法務委員会 第6号
- 発言数
- 45 件
- 登壇者
- 5 名
- 会派数
- 2
- 開催日
- 1958/10/21
会議録
○小島委員長 これより会議を開きます。 司法試験法の一部を改正する法律案を議題とし、審査を続けます。 質疑の通告がありますので、順次これを許します。 大貫大八君。
○大貫委員 前会で質問について若干事務的にお尋ねをすることが残っておりましたので、二、三お尋ねいたしたいと思います。資料の試験科目変遷一覧表というのを見ますと、試験科目のうちで、法律科目以外に、大幅に他の科目を加えたのは、この一覧表から見ますと、昭和二十一年から二十三年まで、このときにどうも選択科目に法律科以外にたくさんの、たとえば宗教、教育学、国漢というのまで入れておるようであります。このように非常に科目の範囲を広げたのでありますけれども、これは、この表でも明らかなように、わずかに三カ年でやめにしております。昭和二十四年からは、またほとんど法律の科目を中心とするように改正をして現在に及んでおるということは、この表から見ても一目瞭然であります。こういうふうに、法律科以外に多数の選択科目を置いたのをすぐ改正してしまったのは、おそらくこれは実績に徴してあまり妥当じゃなかったのじゃないか、そういうことからこのようにわずか三カ年にしてまた昔と同じように法律科を主眼とする制度に変えたのではないか、こういうふうに思えるのです。要するに、換言すれば、裁判官や検察官、弁護士にはやはり法律の素養ということを十分にすることが必要である、こういう反省のもとに、この二十一年から二十三年までの科目をすぐ改めたのではないか、こう思われるのですが、これはどういうのですか。
○津田政府委員 ただいま御指摘の昭和二十一年から二十三年までに、選択科目に法律科目以外の科目が相当数入っておりますのは、その通りでございます。なお、昭和四年から十六年までもかなり多くの選択科目が入っております。それから昭和十七年から二十年までの間、わずかの期間ではありますが、これは若干選択科目を入れております。それにおきましても、哲学概論でありますとか、経済学が入っております。この昭和十七年から二十年までは戦時中の特別な事情によることだと思いますが、それを除外して考えますと、昭和四年から昭和二十三年までの約二十年間は、大体選択科目にかような科目が入っておるということになると言えると思うのでございます。それではなぜ昭和二十四年からかような選択科目を廃止したかという点でございますが、この点は今日必ずしもつまびらかではないのでございますけれども、主として考えられる理由は、この当時におきましては、御承知のように商法とか民訴とか刑訴とかいう法律科目に並んで、財政学でありますとか、政治学でありますとか、倫理学でありますとか、かような科目が選択され得るわけでございまして、極端に選択いたしますと、国漢と倫理学だけでも選択はよろしい、こういうことになるわけであります。そういたしますと、これは法律科目との間におきまして、採点の基準が必ずしも明確にいかないというような難点もあったように聞いておるのであります。しかしながら、今回の改正におきましては、選択科目は、法律科目以外の科目を一科目必ず選択しなければならない、こういうことになっておりますので、さような欠点は生ずる余地がありませんので、今回その点も考慮いたしまして、選択科目の選択の範囲を、一つは法律科目以外というふうに限った次第でございます。
○大貫委員 それからさらに資料の中の合格者内訳表というのがありますが、この合格者内訳表の中で、二十一年から二十三年まで、これが統計の中から除いてありますが、これはどういうわけなのでしょうか。要するに、法律科以外に、大幅に他の科目を試験科目の中に加えた時代の実績について、なぜこれは統計に表わさなかったのですか。
○津田政府委員 ちょっと今はっきりいたしませんが、昭和二十一年は司法試験を行わなかったと思います。それから二十二年、三年は終戦直後の混乱期でございますので、どうも一般的の標準にならないという意味で、これを省いたということになっておりますので、結局本年から過去十カ年分の表を一応出して、それから終戦前の表を出した、こういうことになりますが、なお取り調べまして、二十二年、三年に司法試験を施行いたしておるといたしますれば——二十三年は多分やっておると思いますが、その分をお出ししてもよろしゅうございます。
○大貫委員 最後に法務大臣にちょっとお尋ねして質問を終りますが、この試験制度の改正の趣旨というものが、前会も再々お聞きしたように、大学の在学生から合格者を十分出したい、こういうことのようですが、そういうことによって法律学の素養が非常に低下しはしないか。つまり試験をやさしく、程度を落すということによって、裁判官、検察官、弁護士となる専門的な法律の素養というものが低下するということになると、これはゆゆしき問題だと思うのであります。むしろ裁判官、検察官、弁護士の素質が低下するということになって、日本の司法制度の信用問題に関するのじゃないかと思うのですが、そういう点について法務当局としてどういう考え方を持っていますか。
○愛知国務大臣 その点は、私どもも非常に苦慮している点でございまして、何としても法曹界に優秀な人を選びたいということから、前々申し上げておりますように、試験制度に改善を加える。しかしながら、ただいま御指摘のような心配もございますので、法制審議会の答申等については、さらに政府としても十分検討を加えまして、前会も申し上げましたように、たとえば短答式というような第二次試験の冒頭に行われるものについては、基本の法律三科目に限定をしたというようなところにも配慮を加えた次第でございます。それから、これは申し上げるまでもございませんが、司法修習生の制度というものがございますので、一般的に教養の高い者に対して、この二カ年間における修習制度の実をあげるということをも考え合せます場合に、御心配のような点は私は十分払拭し得ると考えているような次第でございます。
○小島委員長 坂本泰良君。
○坂本委員 本日資料をいただきました点については、もう少し検討を要しますが、一般的の問題について、大貫委員と重複しないように、二、三お尋ねいたしたいと思います。 第一に、先般の法制審議会の答申と今回出されました司法試験法の一部を改正する法律案要綱とは、だいぶ違っているように思いますが、違った要点と、その違うに至った経緯と申しますか、理由と申しますか、その点についての概略を承わりたいのでございます。
○愛知国務大臣 概論的に申しますと、法制審議会の答申というものは、一般的に教養の高いもの、それから受験生の負担を軽減したいというようなこと等が、どちらかというと、相当重点が多かったように私は思うのでございます。従って、大貫委員の再々御懸念になって御指摘のような点につきましては、私は一つの考え方からいえば、法制審議会の案というものは、あるいは割り切っているということがいえるかと思いますけれども、実際上の問題からいたしまして、大貫委員の御心配の点としてあげられておりますようなことも考えあわせて、なるべく実情に沿うように、また試験制度に急激な変革を与えないで、受験生の便宜などもいろいろ考えますと、私どもの修正して提案いたしましたものが、まず現実的には最善の案であるというふうに考えたわけでございます。 なお、前会あるいは前々会にも、いろいろと御議論が出ましたが、私どもにはそういう考えは毛頭なかったのでございますけれども、たとえばいろいろの大学の実際の状況などから見まして、法制審議会の答申案そのままでありますと、関係の大学等におきましても、相当不安に思われたり、あるいは学閥がどういうふうになるかというような、一般的な御不安などもあろうかということも、実は私どもとしては十分考慮に入れまして、そして法務省としての立場において、各方面のいろいろの方の御意見をも徴しまして、まずそれらの方々の御納得を得るようにというような案はどういうものであるかということも考えまして、こういうふうなものに落ちつけば、これが今日としては最善ではなかろうか、こういうふうに考えたような経緯でございます。
○坂本委員 事務当局でけっこうですが、審議会の答申とだいぶ異なっている主要な点、その点をお伺いしたいのです。
○津田政府委員 審議会の答申と異なっている点は、科目の点のみでございますが、答申におきましては、まず第二次試験に短答式を置く、それから論文式と口述試験を置くということ、この三つの試験を行うということは、答申通りでございます。 それから短答式におきますところの科目の点でありますが、答申によりますと、法律学概論と、それからもう一科目、裁判官、検察官、または弁護士となろうとする者に必要な基礎的な知能及び一般常識的な教養で、主として政治、経済及び社会に関するもの、この二科目があったわけでございます。その二科目を取り払いまして、憲法、民法、刑法の三科目に短答式試験をいたしたのが、本提案のものでございます。 その次は、論文式試験におきまして、まず必須科目でありますが、その点は提出案と変っておりません。選択科目につきましては、提出案におきましては、その科目を大幅に増加いたしております。その増加いたしましたものは、まず破産法と国際公法、それから政治学、経済原論、財政学、会計学、心理学、経済政策、社会政策であります。そういたしまして、答申案におきましてはそのうちから一科目選択すればよろしいことになっておりましたのを、本提出案におきましては、選択科目を甲類と乙類とに分けまして、法律科目、それから法律科目以外の科目というふうに分類いたしまして、おのおのの各類から一科目ずつ選択する、こういうことになりました。 それから、口述試験におきましては、答申案におきましては筆記試験において受験した科目全部について試験を行うわけでありまして、その点は原案におきましても同じであります。ただ、選択科目を、甲類、乙類と申しますか、二類に分けまして、その各類から一科目ずつ選択いたしました結果、答申案におきましては五科目であった口述試験の科目が七科目になっておる次第でございます。 以上が答申案と原案との違いであります。
○坂本委員 そうしますと、最初の科目の点について、答申案の点は、大臣が申されたように理想で、それがいいと思うけれども、現実の問題として二科目を減らして、短答式に、憲法、民法、刑法、この三科目にした、こういうことですね。
○津田政府委員 その通りでございます。
○坂本委員 従来、ここ二、三年短答式を実際やっていたわけですが、これは法的の基礎がなくてやっていたと思うのですが、その点はいかがですか。
○津田政府委員 現在の司法試験法におきましては筆記試験を課することに相なっておりますが、短答式が筆記試験に該当するかどうかという現行法の解釈論になると思うのであります。現行法におきましては、すでに第一次試験におきましても筆記試験を課することになっておりますが、それは第一次試験施行以来、短答式を併用して施行して参っておるのでございます。それから人事院における国家公務員上級職試験等におきましても、筆記試験という項目のもとに短答式あるいは択一式を実施して参っておりますので、筆記試験のうちには短答式は当然含まれると解釈することができるということになると思うのであります。過去三年間これを実施いたしましたのは、要するに、受験者の数が非常にふえましたために、論文式とあわせてこれを行うことが適当という結論に達しましたので、それを採用した次第であります。
○坂本委員 そこでもう一点だけこの点について大臣にお聞きしておきたいのですが、一次試験と二次試験を区別いたしまして、一次試験は大学における一般教養科目の単位を修得した者に対しては免除する、こういうふうになっておるわけですね。そこで二次試験においては、答申案のような教養課程、政治、経済及び社会に関する基礎教養と申しますか、こういうのはすでに一次試験でやり、さらに一般基礎教養科目の単位の取得者に対しては免除しておる。だから二次試験においては、このような基礎教養はすでにもう前提として済んでおるからやる必要はないんじゃないか。そこで、われわれは大学における四年間、特に教養課程を通じて修得せられるものであるけれども、法曹の専門職の試験である司法試験では、これは法律知識は絶対に必要であるから、教養科目を組み入れることによって法律試験のレベルを引き下げることになる、こういうような考えで、二次試験においてはこの答申案のような基礎教養は必要ない、もう前提に行われておるのである、済んでおるのである、こういうような考え方に立っているわけですが、その点について大臣はいかにお考えですか。
○愛知国務大臣 何と申したらよろしいかと思いますが、坂本委員のただいまのお話につきましては、その通りだと私は申し上げても差しつかえないかと思うのであります。先ほど申しましたように、これはそんたくになりますけれども、法制審議会の答申案の考え方というものは、なるほど第一次試験において「学校教育法に定める大学において学士の称号を得るのに必要な一般教養科目の学習を終った者」ということで第一次試験を免除しておるのであるから、そこのところはもう省いてもいいじゃないかという考え方かどうかというお尋ねだと思いますが、現在出しておりまする案はまさにその通りになっておるわけであります。法制審議会の考え方は、先ほど申しましたように、そんたくになりますけれども、おそらく審議会案は、一般常識的な教養で主として政治、経済及び社会に関するものではありまするが、裁判官、検察官、又は弁護士となろうとする者に必要な基礎的な、というような文章がございます点から想像いたしまして、いわゆる予科とでも申しますか、一年及び二年のときに一応修得はしておるけれども、多少それより高度というか、あるいは多少専門的な形式を帯びたものならば、もう一ぺんこれを第二次試験において短答式においてやってもいいじゃないか、こういう考え方ではなかったかと思います。私の考え方、この原案にはそうはなっておらないわけです。
○坂本委員 そういう原案についての御見解は承わりましたからそれでいいわけですが、大学の基準によりましても、やはり一般教養科目と専門科目とをはっきり区別しておりますから、一次試験と三次試験を区別する以上は、しかも一次試験において大学の基準による一般教養科目の単位を取得した者は免除する、こういうような見解に立てば二次試験は専門科目だけでよろしい、こういうような考え方に立つわけです。そういうような考え方に立って二科目を短答式からはずされた、私はこう思うわけです。そこで選択科目の——便宜上乙類と申しますが、乙類は全部選択科目だ、こういうふうに考えますが、その通りであるかどうか、これは事務当局から……。
○津田政府委員 御指摘の乙類、第六条第二項第七号の選択科目、これはもちろん選択科目でございますが、この中から一科目必ず選択するという意味におきましては、必要選択ということになると思います。
○坂本委員 そこで、これに付随しますから、この際お尋ねしておきますが、政治学、経済原論、財政学、会計学、心理学、経済政策、社会政策、七科目あるわけですが、このうちの一番最初の政治学ですね、これは今の御答弁もやはり選択科目だという見解に立っておるわけですから、そういたしますと、次の経済原論と同じに政治原論、こういうふうにしなければ——政治学といえば、一般教養の政治学と同じに考えられるおそれがあるんですが、その点はいかがでございますか。
○津田政府委員 乙類の方におきまして、経済原論は経済学というふうにはいたさなかったわけでございますが、経済学といたしますと、通説に従いますれば、経済原論と経済政策を含めるような解釈になろうということになりますので、そこで経済原論と経済政策とを分けて一科目ずつにいたしたわけであります。ところが、政治学につきましては、一応政治学全般にわたってその科目の対象にする、こういうことになるわけでございますが、なお将来考査委員の意見を参酌いたしまして、管理委員会におきまして、あるいは範囲を限定するというような場合も起り得ると思うのであります。
○坂本委員 私たちは、管理委員の問題については、これの権限をあまり広げるという点については反対でありまして、その点についてはあとでまた質問申し上げたいと思います。この大学基準によりますと、一般教養科目の中に、社会科学関係は、法学、政治学、経済学、社会学、地理学、教育、こういうふうにありまして、やはり政治学、経済学、こう言いますと、一般教養科目というふうに誤解されやすいと思うわけであります。従って、ここに経済原論としたのは、経済政策と一緒に考えられる関係で区別した、もちろんこういうようなことも一つの理由ではございましょうが、それより基本的に、経済学とすれば一般教養科目に見られやすいから経済原論とした。政治学の方も、政治学とすればやはり一般教養課程として浅く広くやりまして、その範囲が非常に困ると思うわけです。従って、やはり専門科目とする以上は、政治学原論と申しますか、あるいは政治原論と申しますか、こういうふうにいたさないと、一般教養科目と誤解されやすい点があるし、この点は管理委員会にまかせておけない、こういうふうに考えますが、その点いかがでございますか。
○愛知国務大臣 私のお答えはどうも常識的で恐縮なんでございますが、私の理解しておりますことは、政治学とかあるいは経済原論というのは、大部分の大学の中で、講座の名称として通例広く用いられておるものと思いましたので、私としては、政治学といえば、一つの社会科学のある程度高度の専門のものとして、その範囲はおのずから通念として概定されるものであろう、この原案を作りました私の気持としては、そういう気持でやりましたのでありまして、一般教養ということよりは高度のものであるというふうに考えておるわけであります。
○坂本委員 ただ法律案として出ますと、政治学といえば、受験者の方は非常に困るわけです。これは専門の政治学者の話を聞いても、やはり政治原論というふうに特定しないと、受験者が非常に困るのじゃないか。また政治学の広範な試験があるということを前提にしてやることにしますと、非常に負担が重くなる、こういうような関係にございますから、これは私の意見ですが、こういうふうに専門科目としますれば、政治原論としなければならぬと考えるわけであります。この二件を伺いまして、なおこれについては、本日資料をもらっております大学の各学年の課程における専門の点も、私またあとでよく見まして検討はいたしますが、現在のところ、そういうふうに政治学とすれば一般教養科目に誤解されやすいし、しかも広範囲になるから、政治原論というふうに特定して、初めて大臣のおっしゃった高度の政治の専門的な科目についての試験を行う、こういうふうに考えられるわけですが、この点いかがですか。
○愛知国務大臣 坂本委員のおっしゃることはよくわかるのでございますが、私どもは学生の立場というか、受験生の立場において考えました場合に、政治原論ということよりは、政治学ということの方が、講座や科目の名称としても相当普及されておりますから、その方がかえって受験者に対しては範囲が明確である、私はこういうふうに考えたわけでございまして、ちょうど経済原論と相並ぶカテゴリーとしては政治学が適当じゃなかろうか。それと、各大学の講座や科目のきめ方などを見ました場合に、この方が私どもの目的にかない、また受験生にも範囲がかえって明確になるのじゃなかろうか、大体こういうふうに考えたわけであります。
○坂本委員 大臣の御説明はよくわかりますが、ただ私は、大学基準の一般教養科目の中に政治学、経済学と、こうあるわけですから、経済の方は経済原論になっておるからいいのですが、もし政治学とこうなっておれば、さっき事務当局の御答弁では基礎教養ははずしたというのが、この政治学というところで、簡単に言えばごまかしで、やはり基礎教養も入れたじゃないか、こういうふうに誤解されやすいものですから、御質問したわけです。なお、この点については、専門の政治学者の意見も聞きまして、また大学の四カ年間における専門科目の単位の点なんかも調査いたしまして、さらに検討したいと思います。 それから、第二の必須科目の点ですが、民事訴訟法と刑事訴訟法が選択になりまして——旧高等試験令ではやはり選択になったこともあるわけなんです。ところが、裁判官、検察官ともに訴訟法は必要であるから、いずれをはずしてもいかないじゃないか。もちろん選択科目の方で一方を選択すればいいわけなんですが、一方を選択しないと訴訟法が一つはずれる、こういうような関係になりまして、訴訟法学者の方では非常な異論があるように聞いておるわけです。依然民訴または刑訴というふうで、必須科目中一科目を選択にしておいたのを、民訴、刑訴両方必須科目になり、今度さらにもとに返ったようなことになったのですが、何かこれについてその必要があったかどうか、その点を一つお伺いしたいと思います。
○愛知国務大臣 この点はこまかく政府委員から御説明いたしますが、私がこの案を最善と思いましたのは、前々会から引き続き申し上げておりますように、一つは受験生の負担を軽減したい。しかし同時に、やはり訴訟法というものは大事である、お説の通りでございますので、一つを必須にし、一つを落したわけでございます。なお話訟法というような関係につきましては、先ほども申し上げましたように、非常に大切なことであり、非常にテクニカルなものでございますので、これは司法修習生二カ年の課程において、実地についても十分に勉強してもらわなければならないものであり、またそこにおいて相当の効果をあげるもの、こういうふうに考えましたので、この案が従前のなによりはベターであるというふうに考えたわけであります。
○津田政府委員 本日お手元へ差し出しました参考資料その二のうちの大学法学部授業科目学年別配当表を御参照下さいますと、訴訟法の点につきましては、民事訴訟法は多くの学校におきましては、四年の科目に大部分入っておるようなことになっております。全体としてはそれほどでもありませんですが、大体において半々くらい、四年の科目になっております。これに反しまして、刑事訴訟法はほとんど三年までに履修済みということになっておりますので、その点から申しまして、四年の学生が受験するといたしますれば、あるいは勢い刑事訴訟法を選択するということになろうかと思われます。しかしながら、この民事訴訟法につきましては、ただいま大臣も申しましたように、司法修習生の期間において実地に勉強をする方が、修得の上において非常に能率的であるというような点も考慮いたしまして、民事訴訟法を学校で勉強し、あるいは卒業してから受験するという方は、もちろん両者を選択することになろうかと思いますけれども、在学中に受ける者になるべく受けやすくするという意味合いにおきまして、民事訴訟法と刑事訴訟法を必須におきましても選択し得るということにいたしたのが原案でございます。
○坂本委員 こういうような専門の点については、また委員長とも御相談して、各大学並びに専門家の公聴会と申しますか、意見も聞きたい、そういうふうに思っておりますし、なおわれわれも多少研究の足らぬ点もありますから、後日に譲ることにいたします。 次に、選択科目についてでありますが、先ほどのような基礎的教養をはずしたというような前提にお立ちでありますならば、第六条の六と七を、同じ専門科目であるから区別する必要はないのじゃないか、こう思われますが、この点についての所見をお伺いしたい。
○津田政府委員 第六条第二項第六号に掲げました科目は、法律科目ないし法律に関連する科学、これを掲げておるわけでございます。これに反しまして七号に掲げましたのは、まあ法律学からいえば隣接科学ということが言い得ると思うのであります。法律学に直接関連はしないが、法律学に隣接しておる科学であって、この素養のあることが、裁判官、検察官、弁護士として非常に望ましいということからであります。この両科目をかりに合併いたしまして、この科目から二科目ということになりますと、法律科目のみを選択する者もありましょうし、あるいはこれに反しまして、隣接科学のみを選択するというような者も出て参りまして、非常に合格した者の素養にアンバランスを生ずるということになりますので、その点の配慮から法律科目に関連した科学を一つのグループ、それから隣接科学を一つのグループ、こういうふうに分けた次第でございます。
○坂本委員 旧高等試験令の第十五条ですか、ちょっとここに持ち合せがありませんので間違っておるかもわかりませんが、それには、選択科目を十五、六科目ずっと並べてあるわけですね。それには倫理学その他いろいろなのがありまして、そして、その中から二科目ですか選択する、こういうふうになっていたと思うわけです。ですから、法律並びに隣接科学と今おっしゃったのですが、専門科目を選択科目にする以上は、やはり旧法のようなもので、二つに区別する必要はないのじゃないか、こういうふうにわれわれは考えるわけなんです。今おっしゃったような考え方に立たれるのについて、旧法の関係について検討されて結論を出されたかどうか、そのいきさつを一つお聞きしたい。
○津田政府委員 旧法におきましては、昭和四年から十六年まで、これは高等試験令時代でありますが、その時代におきましては、御指摘のように、哲学概論、倫理学、論理学、心理学というようなものを含めて、しかも行政三法をその中に含めまして、そのうちから二科目を選択するということになっておりましたし、昭和二十一年から二十三年も、つまり今の司法試験法ができます前におきましても、やはり同じような組み立てになっておったわけでございます。その点につきましては、今回の案におきましては、その全部のグループから二科目ということをとりませんでしたわけは、この提案の趣旨の説明の中にもございましたように、法律科目に偏重しておるのじゃないかという批判が相当出て参っておりますというような関係がございまして、法律科目以外の隣接科目のいずれかについて相当の素養のある人を求める方が、裁判官、検察官、弁護士の将来の素質を向上せしめるゆえんであるというふうに判断されますので、かようにいたした次第であります。
○坂本委員 私たちは、やはり旧法にもすでに実施してきて、そして昭和四年以来優秀な裁判官も検察官も弁護士も出ているわけでありまして、何も必要ない、そういうような考え方に立っておるわけです。この点については、単に法務当局の行政的見解だけでなく、やはり一般の東大あるいは私立大学並びに専門の教授、法律家の意見を聞いた上で決定しなければならない。今私はそういう意見を聞く前提でありますから、この上私の意見と法務事務当局の意見をここに戦わしてもあるいは無理じゃないかと思いますから、この程度にしておきたいと思います。もちろん今の隣接科学とおっしゃった点について、あとで口述試験の問題にも関連しますから、その際にお伺いすることにいたします。 そこで次にお伺いしたいのは、この口述試験の点ですが、今度の改正案では、七科目になり、六を甲類と言い、七を乙類と言います。甲類、乙類から各一科目を選んで七科目、こういうふうになっておると思うのです。この口述試験は、これは必須科目だけで十分であるというふうに私たちは考えます。その点についての所見をお伺いしたいと思います。
○津田政府委員 かって高等試験令時代におきましては、必須科目と口述科目の関係、あるいは筆記試験と口述試験の関係におきまして、口述試験の科目を筆記試験の科目よりかなり減少せしめたというような時代もあるわけでございます。ところが、御承知の通り、口述試験の意味はどういうことであるかと申しますと、この筆記試験あるいは短答式、論文式の試験におきまして一応合格した者につきましても、何らかの事情によって素養がまだ十分でないのに合格した者がありはしないかということが考えられますので、その点を口述試験によりまして、いわば確かめるというような形の試験という性質のものだと思われるのであります。従来も大体そのように運用されて参りまして、口述試験において不合格の者は非常にその数が少いわけでございます。しかしながら、若干は不合格の者も出ておるわけでございます。従いまして、そういう口述試験の性質から申しますと、やはり筆記試験において受験した、つまり論文式試験において受験した科目全般にわたって行うのが最もよろしい方法だと思われるのであります。従来におきましては、この考査委員の数の関係あるいは日時の関係等から、なかなか多くの口述試験科目を設けるのも困難であったような事情もありますけれども、今回の改正案におきましては、考査委員の数の制限も撤廃する規定になっておりますので、そうすれば理想的な形の論文式試験と思われる試験を行なった者全部について口述試験を行うという建前にいたした方がよろしいということで、かような案になった次第でございます。
○坂本委員 ただ問題になるのは第七号のいわゆる隣接科学、この科目について相当学説の相違があると思うのです。もちろん法律専門科目においては、学説は対立いたしているわけです。いろいろあるのですが、政治学——私は政治学は政治原論に制限したいと思うのですが、政治学、経済原論あるいは経済政策、社会政策、こういう面においては、私専門ではございませんけれども、相当学説の対立があると思うわけです。そういう科目について果して公平な試験をして、公平な採点ができるかどうか、こういう点を懸念するのです。従って、乙類の方の試験科目についての考査委員の選択はどういうふうにしてやるか、これは法の成立後における大きな問題でございますから、今、やはりこの委員会を通じはっきりしておいた方がいいと思うからお聞きするのです。まず考査委員ですが、考査委員の選任についてどういうふうに運用していくか、その点についてのお考えがあればお聞かせ願いたい。
○津田政府委員 考査委員は司法試験管理委員会の御推薦に基いて法務大臣が任命することになるわけですが、考査委員の選任、ことに第六条第二項第七号の科目につきましては、ただいま御指摘の通り、説の相違があることはもちろん承知されておるところであります。それにつきましては、かような科目については、その説あるいは立場の相違を離れて、受験者の答案なり口述の価値を判定し得る最も適任者が考査委員に任命されなければならない、かように考えるのであります。 さような適任者をいかにして得るかという問題でごでざいますが、これはあるいは著書を参考にし、あるいはいろいろ各方面の意見を参酌いたしまして、管理委員会において推薦をする、こういうように運用されることになると予想いたしておるわけでございます。
○坂本委員 この点が今後の受験生その他に対する大きな問題になると思うのです。管理委員の点については、「司法試験管理委員会は、試験科目中相当と認めるものについて、司法試験管理委員会規則でその範囲を定める」というのがここにあります。その範囲を定めると同時に、今申されたように、試験委員を任命と申しますか委嘱するわけですね。その際において著書とか何とかとおっしゃるのですが、経済問題、社会問題については両極端があるのです。わかりやすく言えば、進歩的の者と保守的の者、保守的の見解と進歩的の見解とは全然相いれない。それをもしも保守的な考え方が従来の通説である、こういうふうな考え方に立って、進歩的な考え方の学者その他を排斥する、こういうことになれば、これはやはり一方に偏するということになるわけなのです。ですから、試験委員も、公平にやれば、やはり保守的の考え方の者と、全然資本主義と相いれない進歩的な社会主義的の立場に立つ考え方の試験委員が二人立って、そうして口述試験をした場合に、もちろん自分の学説に従った方の人は百点をやるでしょうし、片一方の人は零点をやるでしょう。そういうような場合について、非常に問題が出てくると思うのです。筆記試験についても、いわゆる論文試験についても、この問題は出てくるわけなのであります。その点の調節について、今の御答弁では納得がいかないのです。しかも、従来のように管理委員が最高裁判所の事務総長あるいは法務省の次官、弁護士の代表者、こういうようないわゆる保守的な人であり、また時の政府の政策に従わなければならない地位にある人がその試験委員を任命する、こういうようなことになりましたならば、この現代における司法関係の検察官、弁護士を作るところのその登龍門である司法試験の公平な実行は不可能じゃないか、こういうふうに思われるのでございます。そういう点について、もう少し考えられたかどうか、考えなくて、今御答弁のような簡単な考えで、ただ管理委員会が公平に任命するというような一片の考え方でこの司法試験の改正を企画されたかどうか、この点をお伺いいたしたいと思います。
○愛知国務大臣 ただいまの御質疑はまことにごもっともな点でございまして、考査委員の選考、あるいはその前段にお尋ねになりました試験科目について、試験の範囲の限定はどういうふうにやるかということは、両者関連して非常に重要な点でございまして、私どもも、その点については、十分の備えをしていかなければならないと考えるわけでございます。そこでまず、今の選択科目の問題でございまして、これについては特にただいまおあげになりましたような点、常識的に非常な学説の違いがあるというようなことは私もこれを承知しておるわけでございます。ただ、やはり必須科目、——根本的な法律の問題についても、これはいわゆる進歩的あるいは保守的というような学説なり、あるいは学者にも、それぞれ相当対立的な考え方もあろうかと思うのでありますので、なおさらむずかしいわけでございますが、現在の私どもの研究の結果といたしましては、やはり学者にお願いいたします場合には、どうしても著書を中心にせざるを得ないと思うのであります。その人の代表的なりっぱな著書が中心になりませんと、受験者に対しましても、どういう意見であるかわからないというようなこともありますから、権威のある著書のない人は、私は一応問題にならないと思うのであります。それから、著書につきましては、試験制度ということから申しまして、公正に、何といいますか、現代の情勢において一番通説的な、中庸を得たような方を私は選ぶべきであると思います。それからなお、これは試験委員としてお選びする場合には、その方がかりに非常な革新的であり、あるいは非常な保守的な考えを持つ方であっても、試験委員の場合においては、受験生のとっておる考え方がいずれでありましても、その人の理論の立て方等が妥当であるような場合において、自分の説、あるいはイデオロギーと違うからといって、ただいまおあげになりましたように、一方に百点をつけ、一方にゼロ点をつけるというような考査委員は選ぶべきではない、そこまであわせて考えなければならないと思います。 それから管理委員の問題がありますが、これは時の政府に云々というお話もございました。言葉を返すようになって恐縮でありますが、最高裁判所の事務総長、これは最高裁判所という司法権の代表者といったようなことになるかと思います。それから法務次官が管理委員になりますのは、これは主として検察官の立場を代表するというようなことが主たる意味になるかと思います。それから在野法曹につきましては、日本弁護士連合会の御推薦になる方というようなことで、法曹界を通じましてそれぞれの代表的な責任のある者ということで参りますと、やはりこの三人の管理委員を従来通り、いわばエキス・オフィシオといいますか、その地位に直接付随した立場において管理委員をやってもらって、この管理委員の人たちの良識に待って考査委員を今申しましたような考え方で選ぶということが、最も妥当であると思うのでございます。 それからもう一つ試験の科目の範囲の制限でございますが、私がただいま考えておりますのは、むしろ、主として法律の科目の場合でございまして、従来から、たとえば、民法については相続、親族を除外する、あるいは商法については会社法等を除外するというようなことが慣行として行われておったようでございますが、これをやはり慣行だけでなく、広く受験生にもはっきり明示することが受験生に対して便宜であるだけでなく、試験のやり方として公正を期し得ると考えますので、こういう点は、むしろ端的に何と何は除く、あるいは何と何に限定するということを明示することが私は試験の制度として適切なやり方であろう、大体ただいまのお尋ねに対しましては、そういうふうな気持でおるわけであります。
○坂本委員 今の問題についてはそつのない大臣の答弁であったわけですが、しかし、受験生にとっては重大な問題であります。なおまた、先ほどから申し上げましたように、訴訟法の問題、それから選択科目について二つに分けた問題、それから隣接科目とおっしゃられる七の専門科目についての問題、また、これに関連して試験委員、口述試験の問題、さらにこれに関連いたします司法試験管理委員会の問題、こういうような点について本日資料をいただきましたので、さらに検討して質問をいたしたいと思います。なお、私の考えとしては、あとで委員長にお願いをいたしますが、これは重要な問題であって、単に法務当局の行政処理だけでいかない、やはり優秀な判検事、弁護士を作る試験でございますから、この点については、各大学の代表的な意見あるいは学者の代表的な意見も承わりまして、そうしてさらに私は詳細な質問を申し上げたい。この法務委員会の審議の状態等によって、やはり今後の司法試験の運用が格づけられるわけでありますから、そういうふうにいたしたいと存じますので、質問を留保いたしまして、本日はこの程度にしておきたいと思います。
○大貫委員 実は本日配られた資料その二によりまして、内容を見て非常に驚いたので質問いたすわけでありますが、法務大臣の提案趣旨説明にもしばしばありましたように、要するにこの試験制度を改めるということが、優秀な大学の卒業生を他の職業分野にとられることを防ぐのだ、そういうことを心配して、大学生の受けいいように、合格しやすいように改正するのだというのが趣旨のようでありました。本日配られました資料その二によりますと、試験制度の問題よりも、優秀な卒業生を他の職業分野にとられてしまうというのは、裁判官、検察官の待遇の問題に帰着するのではないかと、私はこの資料を見ましてびっくりしたのです。たとえば司法試験に合格いたしますと二年間司法修習生として修習を受けます。そうして判事補なり検事に採用されます。その初任給が、この表によりますと一万六千三百円になっております。ところが同じクラスの行政官、一万六千三百円の本俸の行政官は、このクラスになると係長級なら管理職手当がつきまして、一万九千五百六十円ということにこの表ではなっております。従って、司法官と行政官では、もうこのスタートにおいてすでに三千二百六十円の差がついております。しかも司法官の場合は、この表で明らかなように、俸給月額五万七千六百円に至るまでは管理職手当がついておらぬようであります。ところが行政官の場合は、五万七千六百円のクラスになりますと、管理職手当がついて七万二千円になっております。従ってもうこの段階になりますと、スタートにおいて三千二百六十円違ったものが、このクラスまで上って参りますと、司法官と行政官は一万四千四百円の差がついて参ります。さらにそれ以上になると、六万三千四百円から司法官にも管理職手当がつくようでありますけれども、この表によっても明らかなように、その管理職手当が司法官の場合には一二%、行政官の場合は二五%になっておりますから、従って管理職手当がつきましても、行政官とは比較にならぬほど差がついております。こういうふうに行政官と裁判官、検察官は待遇の上において非常な格差がついて参りますから、おそらく学生諸君は、こういう将来の待遇問題なんかについては十分検討をするはずであります。これは学生として当然のことであります。こういうふうに将来性を考えてみると、優秀な学生というものは、司法官はなるほど大体地位の保障、身分の保障があって安心かもしれぬが、こういうふうに待遇において非常に行政官と違うということを見ますと、めんどうくさい司法試験なんかを受けて、二年間も司法修習生でやられて、そうしてやっと判事補になり検事になっても、このような差ができるならば、むしろ行政官に行こうと考えて、優秀な者は役人を志願するならばむしろ待遇のよい行政官の方に行ってしまうというのが私は当然じゃないかと思う。これは試験制度の問題ではなくして、むしろ待遇に大きな問題点があると思うのですが、この点についてどうお考えになっているか。
○愛知国務大臣 この点は前回の委員会でも御質疑のあった点でございますが、私どもの方から御参考に出しましたこの表についてとかく説明をすることは恐縮なのでありますが、これは対応する職名といいますか、それを比較いたしております。前会にも申しましたが、たとえばある年次に学校を卒業したその者が、かりに一般職の公務員になりまして、お互いに漸次昇進していくわけでございますから、現在一般職の方で非常に早い場合には各省の事務次官になり次官になりますが、同じ年次に大学を卒業して法務省あるいは検察官である場合におきましては、年令等から比べまして、クラスとしては、たとえば本省の課長である、あるいは地方検察庁の次席検事であるというような場合も非常に例が多いのであります。その場合をお互いに比較してみました場合には、裁判官、検察官の待遇というものは必ずしも悪くないので、この点をこの前私は、判検事の待遇は、給与という問題を全額に限って比べてみますと、相対的には悪くないということが言えるということを申し上げたのであります。ただしかし、これはあくまで相対的な問題でありまして、判検事の待遇につきましては、もっと給与も俸給もよくしなければならぬということは、あらゆる機会にかねがね私どもの主張しておるところであり、また努力を新たにしなければならぬ点であると考えるわけであります。前会にも申し上げましたように、むしろ待遇の問題から申しますと、たとえば検察庁の状況なども御案内の通りでございます。まことに恵まれざる環境において、物的の施設あるいは福利厚生の施設等は、他の官庁に比べて非常に劣っておるのであります。こういうところを大いに改善しなければならないというのが私どもの主張なのでありまして、この点は私どもとしても大いに苦慮しておるところであります。たとえば、司法修習生として二年間の修習の期間におきましても、検察庁で実務を修習しておる場合に、こういうバラックのようなきたないところで将来検察官ができるであろうかというようなことについては、相当の不安を持つのが実情のようでございまして、この点は、来年度の予算等におきましても、画期的な措置をいたしたいと考えております。 なお、こまかくは政府委員から御説明いたしたいと思いますが、この表にもございますように、修習生の場合には一万二千八百五十円でスタートする。それから国家公務員の上級試験に合格しました者の初任給は九千二百円で、ほかに居残り手当等を合せて平均一万一千円強になります。ここからスタートが始まるわけでございまして、スタートにおいては、ここに示されましたように、明らかに裁判官、検察官の方が上位に位しておるというのはこの表にある通りであります。
○津田政府委員 この表は、実は法律的にきめておりました表と並行して並べたわけでございまして、詳しい内容につきましては必ずしも調査が明確でございませんのですが、一例を申し上げますと、判事五号、検事四号というのが五万三千二百円でございますが、これは御承知のように、判事補の期間は十年でございますので、修習生の二カ年を含みまして司法試験合格以来十二カ年というところで一応五万三千二百円の本俸になる可能性が判事、検事の方はあり得るわけであります。行政職の方を考えてみますと、五万三千二百円というのは二等級になっております。本俸に関して比べますと二等級の六号ということになっておりまして、本省の局長、次長、部長の最高位ということになっており、これを管理職手当を含む実額と考えましても、三等級の七号あるいは二等級の二号の間に位するというところでございます。そういたしますと、一般行政職におきまして上級試験に合格して採用されたのが十二カ年で本省の局長、次長または部長になり得る実例があるかどうかという問題でございますが、これは具体的の問題なので必ずしも明確でございませんが、十二カ年で本省の局長、次長あるいは部長になった例はほとんどないのじゃないかというふうに思われるわけでございます。でありますが、逆に判事の方もそれじゃ十二カ年ですぐ判事になるかというと必ずしもそうでもないと思われるわけでありまして、この辺はそのときの俸給予算の総額あるいはその人が優秀であるかどうかというようなことによって違ってくるかとも思われるのであります。要しまするに、その辺を考えてみますと、必ずしも判事、検事の俸給が行政職に比べて悪いということは申せないので、むしろ若干はいいのじゃないかということになっております。しかしながら、それから上になりまして、判事特号、検事二号ということになりますと、これは管理職手当が一二%の関係上、八万四千円ということになるわけでございます。これに反しまして、一等級の一号あるいは事務次官の特別の人だと思いますが、そういう人は九万三千七百五十円ということになりまして、ここで約九千円の違いが出てくるということになりまして、最上級者のところにおきましては、必ずしも行政官よりよくないということが言えるのでありますが、下級者あるいは中級者においては、やや行政官よりよろしいというようなことが言い得るのじゃないかというふうに考えております。
○大貫委員 ただ、今の御説明で、たとえば判事の五号、検事の四号、ここまでは一般職よりもなるほど若干早く行くと思うのでありますけれども、これは先ほど法務大臣の御答弁にありましたように、一般職、一般行政官と裁判官あるいは検察官では、福祉制度なんかがまるで違っておるのではないか。福祉制度というか、共済制度というか、やはり裁判官や検察官は、そういうものが一般職に比べて非常に劣っておるように聞いておるのです。しかも判事五号、検事四号になると、それから上が実は非常に停滞してしまって、なかなか進まない状況だと思うのです。行政官と違って、裁判官、検察官等は、ほんとうに俸給以外に何の収入もない、何の特典もないのですから、よほど給与において考慮していただかぬと、こういう点がやはり司法部によい人材、若い人がどんどん魅力を持って志願しないという一つの原因にもなるんじゃないかと思いますので、そういう点を十分御考慮願いたい。
○小島委員長 本日はこれにて散会いたします。 午前十一時五十五分散会