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30回国会衆議院1958/10/24

農林水産委員会 第10号

発言数
89
登壇者
8
会派数
2
開催日
1958/10/24

会議録

松浦周太郎自由民主党

○松浦委員長 これより会議を開きます。  蚕糸に関する件について調査を進めます。  去る八日足鹿覺君より提案いたされました夏秋蚕繭糸価格の安定に関する件についての議事を進めます。  本件は、すでに提案の趣旨については説明を聴取いたしておりますので、直ちに討論に入ります。  討論の通告がありますので、これを許します。丹羽兵助君。

丹羽兵助自由民主党

○丹羽(兵)委員 本決議案に対しましては、一応了承の気持の浮ぶところもございますけれども、しかしながら、私は、自由民主党を代表いたしまして、本決議案に対して反対の意見を申し上げたいと思います。  すでに皆様方御承知のように、本日の閣議におきまして、これらが非常に重要な案件であるので、処理に対する決定を見ておるわけであります。そういうことを私どもが承知しつつ、本件の決議に賛成することは全く要を得ないことでありまするので、はなはだ遺憾でありますが、私はこれに対する反対をせんとするものであります。何とぞ御賛成を願います。(拍手)

松浦周太郎自由民主党

○松浦委員長 次に、高田富之君。

高田富之日本社会党

○高田委員 私は、社会党を代表いたしまして、本決議案に賛成の意を表明しようと思うのであります。  前回並びに休会中の八月下旬におきましても同様趣旨の提案がありまして、二回にわたって提案の趣旨の説明があったわけでありますが、要は、この決議案の骨子といたしますところは、特別国会において決定を見ました繭糸価格安定に関する臨時措置法の精神にのっとりまして、また、そのときに与党の力からつけられました附帯決議というものもありますので、この精神にのっとりましてすみやかに夏秋蚕に対する繭糸価格安定の措置を講ずべしとすることであります。  その内容は、価格安定のためにさらに百億の追加買い入れ資金措置を講ずること、さらに、共同保管されておりまする繭については、必要なる融資の措置を至急に講じて、円滑に乾繭できますように万全の措置を講ずるということ、第三番目には、夏秋蚕の二割調整に対しまして、非常なる農民の犠牲を強要いたしたわけでありますが、これに対しまして適切なる損害の補償措置を講じてもらいたいという三点でございます。私どもは、この繭糸価格の安定に関する臨時措置法というものが、単に春繭並びにそれから出ます糸に関する価格安定措置であるばかりでなく、本生糸年度を通じての繭並びに生糸の価格の安定措置として制定せられたものであると確信しておりますし、事実法文を見ましてもその通りになっておりますことは、先般の農林大臣の釈明によりましても再確認されたわけであります。その当時、われわれは、建前は本生糸年度を通ずる繭糸価格の安定でありながら、内容は春繭だけしか講じられていないではないか、こういうことではこの法律を通過さすわけにいかないということで、われわれは原案に反対をして、修正案を提出したわけであります。この点につきましては、与党におきましても、趣旨は確かに本生糸年度を通じての繭糸価格の安定、すなわち生糸十九万円、繭千四百円というものを維持するということであって、あの程度の措置でも大体大丈夫だと思うけれども、万一将来先行き不安等が生ずるおそれがあるときには、すみやかに適切なる措置をとり、資金措置を講じまして、本生糸年度を通じて繭糸価格が安定するようにという附帯決議もつけられておるようなわけであります。従いまして、この七月末から八月にかけまして再び糸価の暴落を見るに至りましたので、本来ならばそのときに立ちどころに政府が処置を講じまして、そして業界に不安を与えず、また、夏秋蚕の出回りに当りまして農民に対して不安、動揺を与えない措置を講ずるのが当然でありまして、そういう場合には機を逸せず先手を打って処置していくように、前の特別国会においても大臣はたびたび約束をされておるわけであります。従って、本来ならばこういう決議案をわれわれは提出する必要は全然ないのでありまして、当然の措置として政府はその措置を講ずべきであった。しかるに、私どもが七月から八月にかけて休会中何回か委員会を開いて、政府にすみやかにこの価格暴落に対して処置を講ずるように要請いたしましたが、なかなか処置を講ずる気配が見えませんので、ついにこの決議案を提出することになったわけであります。しかも、与党におきましても、前に法律案を通過させましたときにつけた附帯決議の精神から言って当然でありますので、われわれの決議案に対しても、ただいまも丹羽さんからお話がありましたように、内心は御賛成でございます。でありますから、でき得れば満場一致、全会一致をもってこの決議案を出して、そして政府にすみやかに処置をとってもらおうということでありましたが、たまたま、委員長においては、これは決議しなくてもその趣旨で必ず政府は至急にやるからということで、委員長に預けられたままじんぜん日を過ごしておったようなわけであります。しかるに、最近新聞紙上等の伝えるところによりますと、全くこの趣旨と反した方向に議論が進められている。いつの間にかこの最低価格等もり引き下げるというような方向で検討され、また、何らの対策にもならないような対策のためにいろいろと議論をかわしておるやに伝えられておりますことは、はなはだ遺憾でございます。こうして政府が何カ月もの間何らの手を打たなかったために、業界のこうむりました損害、あるいは全国の養蚕農民のこうむりました損害というものは実に莫大でございます。私どもは、この今日の蚕糸行政に対する大きな失策というものについては、政府はその責任を痛感されて、そして、今からでもおそくはありませんから、この趣旨にのっとった措置をすみやかに講ずる当然の責任がある、こう思うのであります。  私どもは、そういう趣旨でこれを提案いたしましたので、よもや与党においても反対されることはあるまいと思っておるのでありまして、どうか一つこの決議案を全会一致をもって御賛成をいただきまして、この繭糸業に対する不安、動揺をすみやかに一掃されますように強く要請いたしまして、賛成の理由にかえる次第でございます。(拍手)

松浦周太郎自由民主党

○松浦委員長 これにて討論は終局いたしました。  お諮りいたします。足鹿覺君提案の夏秋蚕繭糸価格の安定に関する件を本委員会の決議とするに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕

松浦周太郎自由民主党

○松浦委員長 起立少数。よって、本件は委員会の決議としないことに決しました。     —————————————

松浦周太郎自由民主党

○松浦委員長 次に、繭糸価格の安定について三浦農林大臣より発言を求められておりますので、この際これを許します。三浦農林大臣。

三浦一雄自由民主党農林大臣

○三浦国務大臣 繭糸価格安定につきましては、過般来政府におきましてもその対策につき鋭意検討、調査を進めておったのでございますが、本日の閣議をもちましてその方針を決定いたしました。つきましては、今後この閣議決定の線に沿いまして、そしてこれを実施に移したいと考えております。そこで、その大綱につきまして御説明申し上げ、皆様の御了解を得たいと考えます。  まず、お手元にございます、本日閣議決定の要領を簡明に書いたものを便宜朗読して御説明いたします。   政府は、最近における繭及び生糸の需給事情にかんがみ、本年夏秋蚕繭については価格維持の特別措置を講ずる必要があり、また長期にわたる蚕糸業の安定を図るためには、現行の価格水準の改定と今後の繭生産量の縮小はやむを得ない段階にたちいたっているものと認め、下記の措置を講ずるものとする。      記  一、農業協同組合連合会が共同保管する夏秋蚕繭に対しては、三〇〇万貫につき貫当り一、二〇〇円を確保する措置を講ずる。  二、最低糸価及び最低繭価については、実勢価格水準の見通しをつけた上で近く改定し、内外市場の不安を一掃して実需要の回復を図る。  三、養蚕農家のために自主的に繭の価格安定を行うための機関の設置について必要な措置を講ずる。  四、養蚕農家が行う桑園の整理のために要する経費について必要な助成措置を講ずる。  五、繭及び生糸の生産及び流通の合理化、生糸の新規用途及び新規販路の拡張等を積極的に検討して蚕糸業の恒久対策の樹立に努める。  備考  (一)、第一項及び第二項の措置をとるため、政府の生糸及び乾繭の買入限度額の拡大を内容とする繭糸価格の安定に関する臨時措置法の改正案を臨時国会に提出する。  (二)、本措置に関する予算的措置については大蔵、農林両省協議の上、決定する。  以上が本日の閣議決定によります政府の繭糸価格の安定に関する方策の大綱でございますが、若干補足して説明を申し上げます。  現在、農業協同組合等におきましては、この需給の事情にかんがみまして、同時にまた、春以来一つの調整案等をとりまして夏秋蚕の生産調整の手段をとって参ったのでございますけれども、遺憾ながらその所期の目的を達し得なかったのであります。しかしながら、需給事情は、依然非常に増産気がまえでございまして、需要は伸びず、そして現在停頓の形にあるわけでございます。これに対処しましてすでにその方、面におきましても共同乾繭保管等もいたしております実情にかんがみまして、政府は、三百万貫につきましては終局においてこれを措置するの方途を講じまして、そして千二百円程度を下らざる繭価の保持をはかりたいという考えであります。  第二番目につきましては、最低糸価及び最低繭価につきましては、実勢価格水準の見通しをつけた上で近く改定し、内外市場の不安を一掃して実需要の回復をはかりたい。現在は糸の値段にしますと一俵当り十九万円の高水準を保っておるのでございますが、その後内外の需要をうかがいますに、海外需要は五割程度、内需につきましては二割程度の減退の模様でございまして、容易に回復し得ざる実情であります。従いまして、かような事態にありまする場合には、経済的な面から見ましても容易ならざることでございますので、これは一つの実勢価格を見まして、そしてこれに即応して経済的に流通し得る態勢に導いていかなければならぬと考えておるのでございまして、この考え方で取り進めたいと存ずるのであります。  第三番目に、従来、養蚕農家の方にありましては、買手としての地位であって、いろいろな面においてその条件の至らざる点がたくさんあるわけであります。従いまして、繭の売買等にあっても、常にいわば劣勢にしてかつ受動的な立場にあるのであります。かようなことでは養蚕農家が自主的に自立してその経済的機能を発揮し得ざる実情にかんがみまして、今後は養蚕家を中心とした新しい機関を作りまして、そして自主的に繭の価格安定をし得るような措置を講じたい。このために、立法措置によりまして新しい機関を設け、繭価維持の方策を講じたい。同時に、これに対する所要の予算的な措置をも講ずる考えであります。  第四日には、かような繭糸価の事情にありまして、すでに養蚕農家等におきましては転換並びに改植等をいたしておるのでございますが、これらはしばらくの現状にかんがみましてやむを得ない措置でありますので、その事情に応じて、養蚕農家の行います桑園の改植もしくは転換等に対しましては、政府において必要な助成措置を講じて参りたいと考えておるのであります。  第五番目には、かような措置を講じまして新しい態勢に移ると同時に、繭及び生糸の生産、流通の合理化、生糸の新規用途及び新規販路の拡張等を積極的に検討しまして、恒久対策の確立に努めたい。  なお、この施策を実行するにつきまして、第一項及び第二項等の措置をとるためには、政府の生糸及び乾繭の買い入れ限度を拡大いたさなければなりませんし、これを内容といたしますところの繭糸価格の安定に関する臨時措置法の改正案を臨時国会に提出いたしたい考えであります。同時にまた、各項目に関係します予算措置等につきましては、先般来関係当局において協議中でございまして、近く決定し、これに即応せしむるつもりでございます。  以上は、ごく概要でございますけれども、本年の夏秋蚕繭に対する対策の中心的なものでございまして、同時にまた、将来の見通しにおきまして若干の基本的な施策をも加えまして、この方針によって繭糸価の安定の施策を講じたい考えでございます。  以上、私の説明を終らせていただきます。

松浦周太郎自由民主党

○松浦委員長 ただいまの農林大臣の発言に対し質疑の通告がありますので、これを許します。栗原俊夫君。

栗原俊夫日本社会党

○栗原委員 ただいま長い懸案であった蚕糸問題についての政府の態度の発表があったわけでありますが、われわれはこれには絶対に承服できません。率直に言えば、まるで対策というのは名のみで、対策になっていない、こういうことを前提にして幾多の質問を行なっていきたいと思います。  まず第一に、法律についての政府並びに農林大臣の考え方でありますが、法律というものを作って国民に発表し施行した以上、この法律というものは何らの手続を経ずに政府当局の都合によって適当に変えていけるとお考えなんですか、この点を明らかにしてもらいたいと思います。

三浦一雄自由民主党農林大臣

○三浦国務大臣 法律の改正等につきましては、もとより国会法その他の定むる所定の手続をとらなければならぬことは申すまでもございません。ただ、その内容としますところの事情が変遷し、将来に対応すべからざる事態の生じましたときには、実質的な内容の変更というものは、その時々の事情によりまして改定せられなければならぬこともありますことは、これまた当然のことと考えております。

栗原俊夫日本社会党

○栗原委員 もちろん、法律には事情によって内容を変えていけるというようなことを政令やその他にゆだねておるものもあることは私も承知いたしております。そこで、先般来の当委員会において、いろいろこの春の特別国会でできた臨時措置法についての論議がかわされたわけでありますが、このことについては、農林大臣はいろいろ言を左右にして言い張っておる。そこで、一歩あるいは百歩引いて私はこれからお尋ねしたいのですが、繭糸価格の安定法というものがある。そこへ、今年の繭の対策として、臨時立法として繭糸価安定に関する臨時措置法というものを作った。ところが、その第一条には、昭和三十三生糸年度の繭、こううたってあるのだが、農林大臣は、これは春繭だけなんだ、こう言い張っておるのだけれども、それでは今年の夏秋蚕の繭は一体どの法律によってめんどうを見ておる建前になっておるのか、春蚕は臨時措置法でめんどうを見るのだが、夏秋蚕の繭はどの法律でめんどうを見ておるのか、全然法律の保護下にないのかあるのか、この点を明らかにしてもらいたい。

三浦一雄自由民主党農林大臣

○三浦国務大臣 この問題は、過般法律の成文の解釈といたしましていろいろ御論議がありまして、私は、成文のなにとしましては、委員の各位のことにつきまして率直にそれを承認したわけでございますが、問題は、先ほど申し上げました通り、事情に即するかどうか、事情に即応して適正を期せられるかどうかということでございまして、春以来取り来たりました繭糸価の価格維持が、現在の世界市場あるいは国内の事情等にかんがみまして、それを維持することがむしろ蚕糸業全体の見地からして当を得ない、むしろこの際は改定して将来の安定したものを求めなければならぬ時代である、こう考えておるのであります。

栗原俊夫日本社会党

○栗原委員 いろいろ苦しい詭弁を弄しておるわけなんですが、臨時措置法でめんどうを見てもらえぬ夏秋蚕。そうすると、夏秋蚕の立場は、臨時措置法でめんどうを見てもらえないけれども、繭糸価格安定法ではめんどうを見ておるのですかどうですか。

三浦一雄自由民主党農林大臣

○三浦国務大臣 今春以来の事情にかんがみまして、安定法の適用はこれを中止し、そして弾力ある措置をしたいというので臨時措置法の制定によってやるということであります。それを主として——法律上の条文はいろいろ御議論がございますが、経済的内容を持ちますものは臨時措置法の適用によってこれを見ていくということであったわけであります。そうして、秋繭に対しましては、生産者側でもせっかく努力してこの需給調整にも役立つような方策をとるということを前提にしてこれを期待し、そしてその推移を見るということになったのでございまして、従いまして、その際に皆様からの御議論はいろいろありましたけれども、それは事態の推移によってその際善処いたしたい、こういうふうに考えていたのでございますから、繭糸価の安定法、さらに臨時措置法等によりましては、法律並びにこれを裏づける予算の取り組み、仕組みということからいいますと、実はそれに対しまする十全の措置がとられておらなかったということは率直に申し上げざるを得ない、こう考えております。

栗原俊夫日本社会党

○栗原委員 予算の問題等についてはいろいろそれぞれの立場があるかもしれませんが、法律を全く曲げてしまうということは、これは重大問題だと思うのです。今も言う通り、繭糸価格安定法という恒久的な法律がある。ところが、蚕糸事業が非常に窮迫してきた、そこで今年限りは何とかこれをめんどうを見ようということで今年の臨時措置法を作る。これは少くとも繭糸価格安定法よりもより一歩前進した措置でなくてはならぬと思う。そういう受け取り方をしてわれわれは論議をしてきたわけですが、今になって、春繭だけだと言う。そうすると、繭糸価安定法もめんどうを見ない夏秋蚕、そうして、せっかく作った、ことし一年はめんどうを見てくれると思っておったのに臨時措置法もめんどうを見てくれない夏秋蚕、一体この夏秋蚕はどうなるのですか。これで農林大臣は農民のおやじという立場をとっているわけなんですけれども、それでいいのですか。一つ農林大臣の所感を述べてもらいたいと思う。

三浦一雄自由民主党農林大臣

○三浦国務大臣 率直に申し上げますと、当時、社会党の御提案等は、相当高額な予算を計上してそうしてその対策をやれということであったわけであります。与党、政府としましては、百五十億の…(栗原委員「与党と政府をはっきりして下さいよ、あなたは政府なんだから、与党じゃないですよ」と呼ぶ)政府の案といたしましては、百五十億の限度を持ちまして、そうして春繭の対策に十全を期すると同時に、秋繭に対しては、生産者側の協力というか、いわば生産調整に期待しておる、こういうことでやって参ったのでありまして、結果から申しますといろいろ御議論があろうと思いますけれども、この夏秋蚕の事態に即応して今度は所要の措置を講じたいという考えでただいま進んでおるわけであります。

栗原俊夫日本社会党

○栗原委員 繭糸価格安定法は、繭糸価格安定審議会というものを設けて、これと十分連絡をとりつつ諮問をして、そうして繭糸価格の最高、最低、あるいは繭の最低支持価格というものをきめておるわけなんだが、そういうことまでやって繭糸価格の安定をやってきた。ところが、先ほど言うところをお聞きすると、繭糸価格安定法というものはしばらくたな上げしておいて臨時措置法をやったんだ、臨時措置法で一年めんどうを見ようと思ったが春繭だけでやめたのだ、そこで、夏秋蚕は、今聞いてみると何のことかわからないが、ここで千二百円を確保しようと思うのだとかなんとか言うのだけれども、大体法の建前から言って繭糸価安定審議会というものはものの数ではないのですか、どうなんですかこれは。

三浦一雄自由民主党農林大臣

○三浦国務大臣 それは機能を発揮したものと思います。同時に、繭糸価安定法を運用する上におきましては必要なる機関と見ております。問題の焦点は、その当時審議会等によりましてだんだんおきめになったその事情が、今日の生糸事情に即応しない事態になってきておりますから、これはある程度の改定はやむを得ない、こういう立場に立っているわけでございます。

栗原俊夫日本社会党

○栗原委員 やむを得ないという立場に立っているというのですが、率直に言って、農民は、はっきりと、春の臨時措置法でことし一年間はめんどうを見てもらえると考えて、繭の最低値千四百円、これを信頼しながら夏秋蚕をやったわけです。ところが、実際は政府の御都合でこういうべらぼうなことをやって、一体今後どういうことをたよりに農民は生きていくのですか。農林省関係の法律というものは信頼できなくなるのだが、そのときのぶち当りでどうにでもなっていくという受け取り方をしてもやむを得ない、こう考えているのですか、この点はどうですか。

三浦一雄自由民主党農林大臣

○三浦国務大臣 栗原さんの御指摘になったような考えはございません。しかし、この生糸の事情におきましては、これは世界的な関係も非常にございますし、国内の需給の事情も激変するような事情でございまして、この激変した事情に即応した対策を講ずるのが当然のことと考えますので、この点は、われわれは、遺憾ながら、事情変遷によって対策を研究し、これに対処せざるを得ない、こう考えております。

栗原俊夫日本社会党

○栗原委員 私は、激変したという事情も一応わからないことはありません。しかし、一般民間の台湾銀行などというものは、ああいう激変したときはやはり国から金を出してやっている。法律でめんどうを見てやるという約束をしている。従って、激変したならば激変したで話はわかる。これで来年からはやっていけるというならば、それは話はわかる。しかし、法律でちゃんときめておいて、しかも特別に臨時措置法まで作って、ことしの繭はとうたっておいて、激変したからどうのこうのと言う。こういうこと自体は、少くとも法治国で法律を出してやっていく農林大臣として——これはこの前も私は言ったのだが、これがほんとうにうまくいかなかった場合にはあなたは職を賭すとまで言ったでしょう。なぜ法律を守る大臣としてがんばらないのですか。がんばれないのですか。これはほんとうにあなたはここではっきり言っている。こういうことになるかもしれぬからわれわれはこの臨時措置法ができるときに口をすっぱくして言っているのですよ。それを、あなたははっきりと、これでやっていけるのだと言っている。もちろんやっていけるというそろばんの中にはそろばんの違いがあったのでしょうけれども、やっていけるのだということは、言い方をかえれば、三十三年の繭は全部千四百円で買いますよということだ。そろばん違いはあなたの方にあったのだ。農民の方には一つもありませんよ。それを、おれの方にそろばん違いがあったからその被害は全部農民が負え、こういうことでは政治にも何にもならぬと思うのです。しかも、内容は単なる行政ばかりではなくて法律によってきめている内容なんだ。責任をとる気はありますか、どうですか。

三浦一雄自由民主党農林大臣

○三浦国務大臣 事情変遷によりまして政策を転向するのもまた私の使命であると考えておるのであります。

栗原俊夫日本社会党

○栗原委員 そういう政府だから、法律の遡及効でも何でも平気で考えて、三年前にやったことでもあとから処罰規定を作って三年前のことをひっくくろうと考えるようになる。そんなことはありませんぜ。少くとも今の時点でやるならば今の時点でいけばいいですけれども、それならば、春繭を処理した直後、夏秋蚕を掃き立てる前に、たといそれでもわれわれは承知できぬけれども、夏秋蚕については千四百円はとても保証し切れませんよという論議を展開できるような措置をなぜとらぬのですか。千四百円で買うような顔をしてぬけぬけと今日まで引っぱってきておいて、今になって事情変更とは何を言うのですか。おやめなさい、あなたは。そんなことで農民の親である農林大臣が勤まりますか。いま一ぺん所見を伺いましょう。

三浦一雄自由民主党農林大臣

○三浦国務大臣 一身上の措置につきましては、お答えする筋合いではないと思います。

栗原俊夫日本社会党

○栗原委員 それはいきなり私がそういうことを言うなら、その答弁で私は引っ込みます。そういうことがあるから、私は前の特別国会でだめを押してある。速記録を見て、あなたが何と言っておるか、よく読んでごらんなさい。うまくいかなかった場合には責任をとりますよと言っている。いきなり私はここにきてこういうことを言っているのじゃない。私は、初めからちゃんと段取りをつけて、ばかげたことをやったときには迫れるだけの段取りをつけている。いきなりこういう無理難題のごときことを言っているのじゃない。あなたは責任をとると言っているじゃないか。一体どこで責任をとるのですか。

三浦一雄自由民主党農林大臣

○三浦国務大臣 栗原君の言われる責任をとるということにつきまして、私の一身上のことでございますから、みずからこれを判断すべきことと思います。

栗原俊夫日本社会党

○栗原委員 私はただあなたにやめてくれとばかり言っているのじゃないのです。少くともあなたがここで国民に約束した線を強く堅持して、大蔵大臣となぜ差し違えができないのです。とにかく、国民に約束して、こういう形でやってきたのだ。銭があるとかないとかの問題じゃありますまい。あると言うからある、ないと言うからない。使い方の問題ですよ。ややこしい飛行機の問題で一千億も使おうとしているじゃありませんか。しかも、あなたの与党は、きょうは与党の諸君が一人も——幾人かいますか。この前ちゃんと附帯決議までつけている。しかも、あの附帯決議は、与党の農林委員の人たちだけがつけたのではなくて、自由民主党を代表してあの附帯決議をつけておる。きょうあたりの討論を聞いておると、実際脱党して反対しなさいと言いたくなる。なぜ与党のつけた附帯決議が実行できないか。あなたがみずから国民に議会を通じて約束した、しかも法律まで作った内容が、がっちりと政府内においてなぜ戦えないか。こんなことであなたはほんとうに今後農民を指導し守っていけますか。重ねて御所見を伺いたい。

三浦一雄自由民主党農林大臣

○三浦国務大臣 栗原君の意見は意見としてそれはよく聞いておきますが、私は私の信念で進めるよりいたし方ないと思います。

栗原俊夫日本社会党

○栗原委員 実際話にならない答弁で、あと質問をするのもいやになるくらいでございますが、一、二聞いてみます。  今度の対策の中で、三百万貫につき貫当り千二百円を確保する措置を講ずる、こういう話なんですが、これは具体的にはどんな工合にやるのですか。

大澤融農林事務官(蚕糸局長)

○大澤政府委員 これは備考にも書いてございますように、大蔵、農林両省でなお協議を要する問題でございますけれども、保管会社の買い入れ、あるいは補助金というようなこと、結論としてはそういうふうになるのではないかと思いますが、なおこれは早急に検討をして結論を出さなければならないものだと考えております。

栗原俊夫日本社会党

○栗原委員 千六百万貫もできた夏秋蚕の中で三百万貫だけをどうやって買うのですか。

大澤融農林事務官(蚕糸局長)

○大澤政府委員 これはすでに全養連が中心になりまして、繭価安定を有利に展開しようというお考えのもとに、三百万貫程度を目標にいたしまして自主共同乾繭保管をやっておられます。この繭につきましてこういう措置をとりたいと思います。これに援助をする、強力にそれをバックをするという意味でこういう措置をとりたいと考えております。

栗原俊夫日本社会党

○栗原委員 そうしますと、裏を返すと、全養連が段取りをしてやった約三百万貫の共同乾繭は買うけれども、その他の繭については全く野放しで、八百円になろうと七百円になろうと勝手です、これは事情の変化でどうなるかわかりません、大臣も事情の変化ということを言っているのだから、幾らになってもかまわない、こういう考え方なんでございますかな。

大澤融農林事務官(蚕糸局長)

○大澤政府委員 決して私どもそういうことを考えておるわけではないのでありまして、先ほど農林大臣が説明されましたように、繭糸価が低落の一途をたどっておるわけでありまして、こういうときには、正常な水準以下にどんどん下る傾向があるわけでありまして、それを食いとめて正常な水準に復帰しようというための努力がここにあるのでありまして、べらぼうな値段にどんどん下るということはあり得ないでしょうし、またそういうことを私どもは望んでいるわけではありません。

栗原俊夫日本社会党

○栗原委員 べらぼうに下ることはありませんと思うと、そこのところは私はよくわかるのだけれども、実際値が下るということは売りがあるから値が下るのですよ。売りがなければ値は下らないのですよ。売る人があるから値が下るのですよ。そういう売る事情が今の農村を実際襲っておるのだ。そういう事情にあるのに、繭糸価安定法もかなぐり捨てて、臨時措置法もすっぽって、全く無防備の農民を大海の中にほうり出して、それで一体農林省があるのですか。農林省という役所は何をする役所ですか。われわれにはこれはわからぬ。(「値を下げる役所だ」と呼ぶ者あり)明確にこの点をお答えなさい。どうするのですか。一体三百万買ってあと野ざらしにするのですか、大臣から説明して下さい。

三浦一雄自由民主党農林大臣

○三浦国務大臣 養蚕家の方におきましては、この買手と売手の関係からいきますと非常な不利な状況にあることは御承知の通りです。これは、一つには組織がないということ、それから、それを操作するにしても財政的な力がない。その事情にかんがみて、今度は所要の資金等を持たせまして、そうして繭の売買等につきましても自主的に力のある組織を作りたい、こういうことでございまして、第三の綱領にありました通り、その組織を作る、これに対しましてりっぱな措置を講じ、さらにこれに対する政府の出資もしくは助成等もいたしてその態勢を整えさせて参りたい、これを裏づけさせて参るのであります。同時にまた、三百万貫といいますと、本夏秋蚕にとりましては相当の部分でございまして、これが凍結せられ、たな上げされるわけでございますから、需給の面におきましては相当の力を発揮することと思います。従いまして、今蚕糸局長が申し上げたように、価格の面につきましてもわれわれの期待しておりますような情勢をもうん醸される、こういうふうに考えておるのですから、これをほうり投げるようなことはございません。のみならず、現在の安定措置法の中心は、売れないところの糸、これをかかえ込んで無限に買わなければならぬという情勢でありますから、かようなことでは、いかに何でございましても、政府の財政支出をもってこれを支えるわけには参りません。これを改正して、やはり養蚕家の最低限を保証する、同時にまた新しい糸価の最低限は維持するということにつきましては変りはございません。

栗原俊夫日本社会党

○栗原委員 率直に言って、農林省自体がほんとうに養蚕農民のためを思っておらぬということです。私も、先般アメリカへ行く機会を得ましたので、向うでいろいろこの目で見、この耳で聞いてきましたけれども、向うは安くなければ買えないと言っておるのではないのです、十四万円でも買えないというのです。なぜかといえば、十二万円になるかもしれぬというのです。そういう点はちっとも段取りも何もせずにほったらかしておく、こういうようなあり方では、これは養蚕農民はとても救われません。今言うところの第三項とかいうことでいっておるのだそうですが、それは来年からの問題で、ことしの夏秋蚕の問題にはなりませんよ。こういう問題を掘り下げていくと、農林省は養蚕農民に対しては全く誠意がない、熱意がない、形ばかりの、対策とは言えないようなものを立てて対策と称しておる、こういう工合に受け取らざるを得ません。われわれは、さらにまた今後あらゆる機会に、養蚕農民をいかにして安定するか、これは党の立場においてこれから皆さんにも要求していきたいと存じます。  以上をもちまして、私は、残念でありますけれども、納得しないまま一応質問を打ち切ります。

松浦周太郎自由民主党

○松浦委員長 高田富之君。

高田富之日本社会党

○高田委員 根本的な点については栗原委員からいろいろ御質問がありましたので、きょうここへ出されました閣議決定の中の対策につきまして御質問してみたいと思います。  この対策を見ますと、第一項は、三百万質について千二百円を確保する、こういうのでありますが、まずこの三百万貫という数字は一体何から出てきたか、それから、千二百円という数字は一体何を根拠にして出てきたか、これを御説明願いたい。

大澤融農林事務官(蚕糸局長)

○大澤政府委員 ことしの臨時措置法の立案をして御審議を願った際に、夏秋蚕につきましては、生産制限をいたしまして、大体千四百万貫くらいというようなことを考えておつたわけでありますが、御承知のように、私ども農林省の総計調査部の調査による出産見込みは九月二十日現在でしたか、千六百万貫幾らかでございます。多少軟化病その他の関係でその後減るというようなこともございますが、大体その程度。そこで、三百万貫という数字がどこから出てきたかというお話でございますが、これは先ほども栗原委員の御質問についてお答えいたしましたように、全養連が中心になって、この数量を目標にして自主共同乾繭保管を始めておられるわけでありまして、千六百万貫といいますと、大体その二割程度に当るかと思いますが、その程度のものについてこうした措置をとれば、異常な価格低落を防いで正常な水準を維持することができるであろうという想定のもとに、私どももその数字を取り上げましてバックをするということであります。  しからば、千二百円の根拠はどうだということでございますが、これは、ただどういう措置もとらないということでは、三百万貫目標の自主共同乾繭保管の円滑な実施ができないと因るということもございますので、この程度の手取りを農民に保証すれば、人のためにもみずからの繭をしまっていこうということにもなろう、円滑な実施を確保するためにこの程度のことがよかろう、こういう考えから、千二百円という数字を考えて、こういう処置をとることにいたしたのであります。

高田富之日本社会党

○高田委員 そうしますと、大体、二割に当るということと、それから、全養連あたりが自主的にそういうことをしているようだから、これを認めてやる、こういう御説明でありますが、しかし、この措置は価格を維持するためにやるのですから、幾らの価格にするためにはどういうふうにすればいいかというところから数量も割り出されてくるのでないと、全く腰だめみたいなことで、根拠が非常に薄弱だと思うのです。ですから、これは三百万貫でもよい、五百万貫でもよい、あるいは二百万貫でもあり得るかもしれないということにもなるだろうし、千二百円ということも、今言ったようにほんとうに腰だめみたいなものですから、あるいは千百円であったり千三百円であったりするようなこともあり得るわけで、こういうふうに何か非常に腰だめのようなものを出したという感じが強いのです。ここで三百万貫だけをと言いますが、大体、今度の夏秋蚕につきましては、製糸の方では全面的に引き取りを拒否したという形で、千六百万貫近いものが、内容的には多少差はありましょうが、一応共同乾繭のような形態で掛目協定も何もしないまま製糸家の倉庫に乾繭して入れてあるのでありますから、特に養連の方で三百万貫だけをといって持ち出してくるということは考えられないのでありまして、もし持ち出してくるとすれば、自主保管をしてやる手数百万貫の全量について全養連が何か要請をしてくるというならわかるのですが、三百万貫だけ特に要請してくるという事情がよくわかりません。もう一ぺん御説明いたしたいと思います。

大澤融農林事務官(蚕糸局長)

○大澤政府委員 お説のように、千六百万貫がいわゆる共同乾繭の形をとっておるということもあるのでありますが、この三百万貫につきましては、それとは違いまして、完全に市場から隔離するという意味での乾繭保管という意味に御理解を願いたいと思います。

高田富之日本社会党

○高田委員 そこが非常に問題があるところなんですが、千三百万貫なり千四百万貫というものが、共同乾繭の形で、売買されずにただ製糸家に委託保管されておる。そういう状態にあって、また、そういう状態にあるというのは、結局養蚕団体には乾繭施設がございません。前回の委員会で相当論議されましたように、ないために、共同乾繭したくたってできませんから、やむを得ず製糸家の了解を得て全部倉庫に預けてもらっておる、こういうつわけであります。春繭につきましても、実際には百四十万貫でしたか、それしかたな上げになるものはなかった、意外に少かったというようなわけでありますが、これは、結局、設備もないし、そういうようないろいろな事情がありましてそういうことになっておるのです。今度の場合も、もしかりに三百万貫といたしましても、この三百万貫を市場からたな上げするためには、それだけまた製糸家の方へ了承を得て、これはよろしいということで話し合いの上でなければ持っていけないのではないか。もし話し合いの上でやったのならば、これは大した効能がないのではないか。大体共同乾繭をして市場から引き揚げるということは、それだけ売手の立場を強化して、買手である製糸業者に対してこれは団体でもって行う一つの圧力になるわけですが、初めから話し合いで頭を下げて了承を得てやるなら、これはどうやったって何も圧力にならないので、効果がないのじゃないかと思うのですが、いかがですか。

大澤融農林事務官(蚕糸局長)

○大澤政府委員 先ほどお話ししました千六百万貫、この三百万貫以外のものについてもいわゆる自主共同乾繭保管の形をとっている、それに似たようなことがこの三百万貫についてもあるのではないかという点の御指摘だろうと思うのでありますが、この点につきましては、三百万貫と申しますと、糸にいたしまして三万俵、三万俵の糸を市場から隔離するということにもなりますので、そうした面からの製糸の協力もあろうかと存じます。

高田富之日本社会党

○高田委員 いずれにしましても、製糸の協力を得てそういうことをやるということになるので、本来共同乾繭をして値段をつり上げていくとか維持するとかいう機能は非常に割り引きして考えなければならぬではないかということが一点であります。  それから、もしこういうことをしたことによって、ここにありますように、根拠ははなはだ薄弱なのですが、かりに千二百円という腰だめ価格を維持するとしましても、三百万貫については政府は何らかの方法で金を払うのだからこれはいいとしまして、その他の千三百万貫については、同様製糸には最低千二百円で引き取れ、そしてそこがまた問題になるところでしょう。法律の定める千四百円との差額は別に出すとかいうことを自由民主党との間で相当長い間御検討なさったと思うのでありますが、そのことは別としまして、その千三百万貫というものについて三百万貫の千二百円と同様の価格を確実に維持させるという何らかの措置をとるのですかとらないのですか。

大澤融農林事務官(蚕糸局長)

○大澤政府委員 先ほど来から繰り返して申し上げておりますように、三百万貫、つまり糸にして三万俵、これだけのものを確実に市場からたな上げいたしますことによって、異常に下っている糸価を正常なものに戻す、それに見合う繭価というものの取引を期待しておるわけであります。

高田富之日本社会党

○高田委員 それでは、かりに三百万貫をたな上げしてしまったために残りのものが暴騰して千三百円になったというときには、初めの三百万貫の方で売った人は損してしまう。また、反対に、三百万貫たな上げしたけれども、千百円にしかならなかった、あるいは千百五十円にしかならなかったというときには、三百万貫の買い上げから漏れた方のものは損をしてしまう。こういうことがあっても、それはやむを得ぬ、こういうことでありますか。

大澤融農林事務官(蚕糸局長)

○大澤政府委員 千三百万貫、その他のものにつきまして、どういう価格が維持されるかということは、今後の事情いかんで、これを今からこうだと予測することは困難だと思います。三百万貫の方の問題につきましては、たとえば今の御指摘の、これは千二百円の手取りになっておるが、ほかのものが千三百円になったときは損するじゃないかというお話でございますが、それは、こうしてたな上げをします場合にほかのもののいわば犠牲となってしまう、そこで、ほかのものよりは損はさせないということを考えていきたいと思っております。

高田富之日本社会党

○高田委員 そうすると、ほかのものが千二百円より上になれば、さらに千二百円に対して追加して補助金か何かの名目で足していく、それから、それよりもほかのものが下って、三百万貫のものの方が千二百円で幾らか高かった、ほかのものは千百五十円であったという場合には、その足らない方にはまた五十円を全般にぶっ足すことによって同じにする、こういう意味ですか。

大澤融農林事務官(蚕糸局長)

○大澤政府委員 千三百万貫が千二百円よりも安い値段で協定されたという場合、それについて補助金か何かで補給するという考えは持っておりません。

高田富之日本社会党

○高田委員 そういうことであって、いろいろお伺いしてみますと、何としてもこれは思いつきみたいな、窮地に追い込まれてこういうことをやったのでしょうが、これは価格維持の政策としましてもほとんど確たるものがない。この程度のことで、先ほど来栗原委員が追及しましたような基本的なものを曲げてこういうものにすりかえたということでは、農民は全く納得できないと思うわけであります。  それから、もう一点御質問をしておきたいのですが、これはこの前もちょっとお伺いしましたが、最低繭糸価格の問題。これもいつまでもずるずると様子を見ているというようなことなのですが、いやしくも価格の安定制度をとろうとするからには根拠というものが先にあるべきだと思う。実勢相場の成り行きばかり見ておって、落ちるところまで落ちて、これ以上落ちそうもないというところまでいってから考えるというのでは、安定制度でも何でもない。安定制度を放棄するということである。安定制度を今後維持していきたいという腹があるならば、どういうところで安定させるかという根本がやはり初めに立てられて、そこから割り出されていった価格に持っていくように努力しなければならないのではないかと思う。そういう点で、私はこの前も申し上げたんですが、いやしくも八十万尺からの農家が従事して原料生産の部面を担当しているものですから、どうしても価格の安定を考える場合には農業生産が引き合うというところを基本にしていく以外にない。結局、生産費というものを無視してただ実勢相場でというようなことを言っておったんでは、これは価格安定制度の放棄になるので、やはり生産費を基礎にして、そこから割り出していかなければならない。そうなった場合には、結局、二重価格制度をとるか、それとも、ただいまきめておりますように、繭の生産費千六百七十円ですか、そういうようなところからその八割なり八割五分というものを補償するところに生糸の加工費を加えたもの十九万とおのずから出てくるわけなんで、最近は政府もほったらかしておきましたし、いろいろな方面から意見が出まして、何か十九万というとまるきりとんでもない非常識な夢みたいなことを言っておるというような印象を与えておるところに持ってきたということは、全く政府のやり方と宣伝の結果だと思うのでありますが、しかし、あくまでも安定制度を維持するという理論的なことから言えば、どこまでも繭の生産費を基礎にして、そこから出てくる以外に出てこようがないと思う。それではどうしても糸が高過ぎてしまうのだということになった場合には、二重価格制度をとるか、何らか別途の方法を講ずるより仕方がないので、原料生産を破壊するようなかりに恐慌状態になれば、糸の値段というものはどこまで下るかわからぬと思う。そんなところをねらっておられたんではもとの方の原料生産がだめになってしまうのですから、将来回復したってとても追っつかない。せっかく今日まで努力して政府が非常に奨励してこの程度まで回復をしてきましたところの今の養蚕、特に主要養蚕地帯にとりましてはこれはきわめて重大なことなんで、農家の収入の平均六割以上を占めておるそういうところにとりましてきわめて重大な問題です。ですから、生産費を基礎にしたところで安定帯価格というものをきめる以外にはきめようがないだろうと私は思う。そういう点で、いつまで一体——この第二項を見ますと、いつまでたっても近く近くといって成り行きを見ておるという態度なんですが、これは一体、いつごろ、またどういう状況をもとにして、何を基準にしてきめようというのですか。

大澤融農林事務官(蚕糸局長)

○大澤政府委員 価格の一方的な値下りを待って初めて値段をきめるんじゃないかというような御質問かと思うのでありますが、私どもは、ただいま申し上げましたような三百万貫のたな上げをするというような方法によりまして、正常な水準にない現在の糸価を正常な水準に戻す、そこで初めて価格をどうするかという問題を検討しようと思っておるわけであります。  なお、御指摘のありました生産費の基準の問題でありますが、もちろん法律に生産費を基準とするということが定められておりまして、それをくずすというようなことは考えておらないのであります。ただ、生産費を基準とするやり方につきましては、今までやっていた方法が絶対唯一のものではないと考えております。具体的ないろいろの事情が変る場合にはこれまた異なってくるということは考えております。

高田富之日本社会党

○高田委員 そうすると、生産費を無視したことはやらないということを今言明されたんですが、それはまた当然だと思う。それなしには安定価格というものは理論的根拠というものはなくなると思う。ですから、生産費をあくまでも基礎にやらなければならぬのですが、そうなりますと、将来生産性を向上せしめるためにいろいろの施策を講じて、農民も努力をする、政府も努力をする、そうして生産費を下げていくということは、これから当然やらなければならぬ問題としてわかるのですが、しかし、さしあたって当面やはり生産を維持しなければなりませんから、現在の生産費というものをやはり基礎にして、将来改定する場合は生産性が向上した後において考えられることであって、現在の生産費を基礎にして、その生産費をもとにして価格をやはり検討していく、これを無視してやるのではない、こういうふうに理解していいのですか。

大澤融農林事務官(蚕糸局長)

○大澤政府委員 御質問の趣旨、多少私の理解が足りないところがあるかもしれませんが、今のような生産費のとり方、あるいはそのとった生産費の基準の立て方、これが私ども絶対唯一のものだというふうな考えは持っておらぬわけであります。先ほど申し上げましたように、大臣からも話がありましたように、いろいろの事情の変更があったわけでありまして、そういうものに応じてまた生産費の基準あるいは生産費の概念、こういうものも変って参るかと思うのであります。そうした意味で申し上げたのであります。

中澤茂一日本社会党

○中澤委員 関連。  蚕糸局長にちょっと聞いてみますが、今まで乾繭を三百万貫に対して自主乾繭で保管しておったのですが、金利、倉敷その他はどうするつもりですか。金利、倉敷その他を持って自主乾繭しているものを千二百円で買い上げるという措置は全部不満だ。これは栗原君の言いぐさじゃないが、こんなものは話にならぬ。三百万貫を自主乾繭している、今まで信連から融資している金利とか、あるいは保管倉庫の倉敷とか、そういうものがあるわけです。それをどうするか。

大澤融農林事務官(蚕糸局長)

○大澤政府委員 三百万貫のお話ですが、金利、倉敷プラスして、最後に政府に入るということになるわけであります。

中澤茂一日本社会党

○中澤委員 金利、倉敷プラスにするというと、一体いつまでの期間の金利、倉敷その他というものに——概念において、大蔵省折衝で今後この要綱に基いて事務折衝をやるわけですね。ですから、一体幾らという数字が出ますか。春繭において百八十一円五十銭やっておるのです。だから、大蔵省折衝において大体幾らで計算が出ておりますか。

大澤融農林事務官(蚕糸局長)

○大澤政府委員 それはいつごろ買い入れるかということでいろいろ数字が変ってくると思います。一応私どもはじいた数字がありますが、まだ折衝中の未確定なものでありますから、ちょっと申し上げることははばかりたいと思います。

中澤茂一日本社会党

○中澤委員 数字はこういう公式な委員会で出せないのはいいとして、私は初めから主張しているように、ことしの夏秋蚕は千四百円保証してやる政治責任が政府にはあるのですよ。まだ増産計画の年度中であるのじゃないですか。しかも大臣は事情急変で逃げておるが、いかに事情が急変しようが、政治責任というものを考えなければいかぬですよ。本年だけは千四百円農民に保証してやれ。来年度は、事実今後の輸出、内需その他需給状況をにらみ合せて、二万五千町歩の減反方針もいいだろう、それに対する指導方針なり調整措置が出るならわかる。これは通常国会でじっくり論議しようじゃないか。われわれ社会党としても何でもかんでも反対しているのじゃない。実際の状況というものもわれわれはわかるのだから、そこまでわれわれが話をしているのだから、本年は千四百円保証してやれというのがわれわれの最低線の主張なんです。そういう面において、金利、倉敷で、千二百円というものに対して千四百円になるようにカバーしてやらなければならぬと思う。だから、そういう面において春繭においては百八十一円五十銭というものが五十億の予算の中に組まれたわけです。だから、私は、少くとも春繭に対して組んだ限度までは、あなた方が大蔵省折衝において持ち込んでいってもらわなければならぬ。これは基礎においては年度末までの期間短縮問題があるから、果して計数的にそこまでの根拠があなた方に出せるかどうかは疑問としても、そういう努力をして、とにかく農民に本年度だけは、これは政府の政治責任なんだから、それだけのものをやってやれ。それには金利、倉敷はどうカバーしてやるかという問題を相当突っ込んでいく以外に、もうこの段階までくれば方法はないと私は思う。だから、あなたの今後の折衝においてこの点をよく考慮して、できるだけ千四百円に近い線を保証するような努力をしてやってもらいたい。  それから、三百万貫については今明らかになったのですが、しからば製糸に委託をして——事実これは、養連が入らないで、製糸に委託という形で、九百円なり千円の仮渡しをとって、半分売買みたいな、半分委託みたいな形のものがあるのです、実際の中で。そういうものに対する金利、倉敷、これはまた下手に逆に使われると製糸家にとられてしまう危険もあるわけですけれども、そういう自主乾繭の形があるわけです。そういうものに対しては金利、倉敷その他はどういう処置をとりますか。要するに、三百万貫以外のものに対して金利、倉敷はどういう処置をとりますか。

大澤融農林事務官(蚕糸局長)

○大澤政府委員 それは製糸と養蚕者との間で解決をしていただくというふうに考えております。

中澤茂一日本社会党

○中澤委員 またそれは問題を起すのです。そういうふうに農林省が突っ放せば、百姓が負けるにきまっておる。中には、ちゃんと信連から金を出して、そうして養連に特別融資をして養連が買い取りして保管しておるものは、これは完全な自主乾繭で問題はない。ところが、そういうことができるということは、たとえばわれわれの長野県のように乾繭の組合製糸を五つも六つも持っておるところは、そういう形が完全にできてくるわけです。ところが、高田君の言うように、埼玉県とか組合製糸のないところは委託という形で、政府の対策がきまるまで自主乾繭という形を作っておるものが相当ある。それを製糸と農民だけの間で勝手におやりなさいと言えば、これは完全に今まで仮払いした千円なら千円で押えられてしまうにきまっておる。これは春繭で苦い経験を——あなたは春繭のときには蚕糸局長でなかったから、内容を一応須賀君から引き継ぎは受けているだろうが、そういう形のものは農民が完全に製糸に持っていかなければならぬ。三百万貫は政府は責任を持ったが、あとは責任を持っていない。これは自由主義経済でやるのだから、九百円仮渡しで、払えないということになれば、それで農民は泣き寝入りになってしまう。それに対する方法を何らか考えなければならぬ。これは、ぼくは大臣にはものを言わないということにきめたのだけれども、どうもあなたがお見えになっていれば言わないわけにはいかないから言いますが、この問題は重大な問題になってくるのですよ。今後の紛争は必ずここに出てくるのですよ。これに対して農林省として確固たる一つの指導方針というものを持たなければいかぬじゃないか。これは大臣も考えがあったら答弁して下さい。なかったらいいです。

大澤融農林事務官(蚕糸局長)

○大澤政府委員 今のようなお話で、今後繭価協定が行われることになると思いますので、その間で解決をしていったらどうか、こういうふうに考えます。

中澤茂一日本社会党

○中澤委員 だから、そこなんですよ。そういう抽象的な答弁でなくて、行政指導としてどういうふうにやっていくか。大体私は、実はこの三百万貫決定までにはいろいろ自由党の蚕糸特別委員の諸君と毎日連絡をしていたのですよ。私に言わせれば三百万貫では不足なんです。要するに、千百万貫というものを夏秋蚕の二割減による予定蚕繭量にしていたのだから、千六百万貫の生産に対してどうしても五百万貫のたな上げをやらないと現在の市況では困難なんですよ。これは見通しの問題で、見解の相違だと言えばそれまでです。ともかく、千百万貫という二割減による夏秋蚕繭量の目標を立てたのがこの前の計画だったのです。それが、非常に天気がよかった、桑が非常に繁茂した、繭質が極端に言えば十九匁というようなものが出てきた、そういうところから増量になってきた。千百万貫という春の計画なんだから、これは五十嵐君、助川君にも言ったが、五百万貫のたな上げをしなければこれはまたくずれる危険があるぞということをさんざん言ったのですが、どうしても五百万貫はのめないというので、こういう結論になっている。これはまた私は八方破れとさんざん前に農林大臣に言ったが、少くとも十六万円の維持というものを目標にした今回の対策要綱だと思う。これが果して可能かどうかといえば、これはまた問題が起ってくる。だから、そういう点についていつも後手後手ばかりいっていないで——これは予算編成から、大臣にも何回も言ったように後手っきり引いておる。こんなばかな話はないですよ。われわれに言わしたら政治じゃないですよ。春繭のときだって、いろいろなことでやって、六万五千俵あのとき先手を打ってたな上げをして七十億の乾繭保管をして助成金をとっておいてごらんなさい、こんな大混乱を起しゃしないですよ。そんなことを幾ら教えてもやらぬのだから、私はもう大臣にものを言わぬというのですよ。幾らこうやればいいのだということを申し上げてもやらぬのだから。とにかく、いろいろ今になってぐちを言ってもしょうがないが、今の行政指導方針だけは相当確固たる腹をきめてやってもらわぬと、繭価協定の行政指導というものはまた混乱のもとになりますよ。どうです、大臣、行政指導に対して事務当局にこういう命令を下して断固としてやるというような歯切れのいい答弁を一言して下さい。

三浦一雄自由民主党農林大臣

○三浦国務大臣 蚕糸局に対しましても、適切な方策を勘案させまして、できるだけの行政指導等はいたしたいと思います。

高田富之日本社会党

○高田委員 そうしますと、残りの千百万貫からの繭は、ただいまの御質問がありましたように、大体製糸に渡っております。しかもこれはいつ掛目協定が行われるのかわからない。これでは——政府の方で、この前の春繭みたいに、千四百円で買い取る誓約書を出せ、そうでなければ十九万円で買ってやらぬということをやれば、相当無理もあったわけですが、ああいうようなことをやって、ともかくも曲りなりにもああいう形の掛目協定ができたわけです。しかし、今度のように、三百万貫だけを上回るからといって、あとをかまわぬでおいて、しかも価格の改定もやるぞやるぞと言って、いつやるのかわからぬという状態では、これはいつになっても掛目協定は始まらないというようなことで、先になればなるほど農民の方は、金が必要ですから、詰まって参りますから、ますます追い込められまして、おそらく三百万貫以外のものはとうてい千二百円にはなりっこないと私は思う。しかも窮迫販売みたいな形でぽつりぽつり売り出さなければならぬようなことになるかもしれない。これは非常に大きな問題だと思うのです。いわんや、こういう何らかの要綱がきまったといって出すからには——これは全体に見ましても非常にわれわれは不満ではありますが、出すからには、やはりその全体について、夏秋蚕の全体の繭が現在宙に浮いちゃっているのですから、これは非常に重大な問題なんで、一刻もすみやかにこれらの千何百万貫という繭を処理させて、農民のふところに金を渡すようにしてもらわなければ困ると思うのですが、その見通しとそれに対する措置についてどの程度考えておるのか、言明していただきたいと思います。

大澤融農林事務官(蚕糸局長)

○大澤政府委員 先ほどから繰り返し申し上げておりますように、三百万貫のたな上げによりまして糸価を正常な状態に戻す、それに基いて繭価協定が行われると期待しておるわけであります。

高田富之日本社会党

○高田委員 ただ野放しにして期待するという程度でほったらかしておくということでは、せっかくの今日まで待った夏秋蚕対策についての閣議決定なるものも、全く決定になっておらないと思うのです。まことにこれはどうしようもないので、われわれとしましてはもう一ぺんこれは至急に再検討をお願いして、先ほどあなたの言明されましたように、とにかく価格についても今の生産費を基礎にして早急に決定をする、そうして、その決定といいましても、価格をもとにすればもう動かす必要はないので、これは言うまでもないのですが、従前通りということになる。その場合に、この第三項とも関連するのですが、この三項に、自主的に繭の価格の安定を行うための機関を設置する云々というようなことが書いてありますが、いずれにしましても、養蚕農家の立場というものは、生産費補償ということ以外にないと私は思うのです。ですから、もしもこういう機関を作るということであるならば、当然この機関において一手に買い取って、そうして生産費を補償する、千四百円なら千四百円という現在の価格で買い上げてしまう、そうして実勢相場なり何なりに見合った価格で繭を製糸家に売り渡すということでもする以外には、ほんとうの意味での安定はないと思う。かりに、そうでなくて、ただ今の養連を若干強化したようなものを作るのだと言ってみたところが、今までと大同小異であって、何ら価格を安定する機能も持たないし、まして生産費を補償する最低の支持価格制度というようなものがこういう機関によって運営されると思われない。これはきわめて抽象的で何が書いてあるかよくわかりませんが、この機関の内容は、今私が言ったような一手買い取り販売をやるような機関を考えておるのですか。

大澤融農林事務官(蚕糸局長)

○大澤政府委員 私ども、この機関をどういう性格のものにするか、あるいはまたどういう機能を持たせるか、あるいはどういう運営をするか、幾つかの案を持っておりますが、まだ最終的にこれということをここで申し上げる段階には至っておりません。いろいろの御意見を参考にもさせていただいて、早急に確定して参りたい、こう思っております。

高田富之日本社会党

○高田委員 せっかく要綱で確定したように出しておりまして、内容がまだわからないというのでは、これまた対策にも何にもならぬと思うのであります。そこで、こまかいことをいろいろお伺いするのは、またいずれもう少し具体化したものを出されるようでありますから、そのときにいたしまして、私は根本的な問題として大臣にお伺いしておきたいのですが、現在、世界的な不況というようなことで、ほかの繊維類についても、需要が、一時的であると思うのですが相当減退しているという状況はあるわけです。しかし、生糸につきましては、ほかの化繊だとかなんとかいうものと違いまして、特殊な用途に向けられておって、しかもその量というものは非常に少い。アメリカあたりでも繊維の中の〇・何%というようなものでしたか、きわめて少いものなので、今たまたま、ことしになってから、あるいは去年の暮れあたりから需要が減退したからといって、これはほんとうに正常ならざる経済状態の中で現われたことであって、しかも、今年に入ってからの輸出の急減は、むしろ政府の価格政策の未決定、蚕糸対策に対する態度の動揺ということが相場に反映して、そして海外の需要を減退さしているという効果も出ておるということは、各方面で指摘している通りで、その通りだと思うのです。従って、われわれは、もう少し、蚕糸対策についても、その場その場当りでなく、大臣としては相当腹を据えた大きい立場から、当面の対策もそういう立場から出してもらいたい。そうでないと、ちょっと相場が悪い、少しこれが下ってきたというと、すぐに種を一律に二割ぐっと減らしてしまって、せっかく奨励してふやした桑がほきておるものをただほったらかしておくというようなことをしてみたり、また、今度みたいに、すぐ価格を、実勢相場の底までついたときに、そこへまた持っていくのだということを考えたり、あるいはまた、そのあとを見ましても、今度はどんどん改植をさせたり、ほかのものに転作をさせるということを言うのは、過去十年にわたってずっと増産を奨励して、せっかくここまできて、しかも量から言えばまだ戦前の半分にも満たないというようなところであるのですから、潜在需要というものをよく検討してみる必要があるのではないか。私は、絹についての潜在需要というものに対しては、今まで増産をしてきた趣旨等から考えても、状況から考えてみましても、それが間違っていたとは思わないのです。おそらく現在程度のものを——これ以上増産しろとは言いませんけれども、現在程度のものを保持させていって、そうして、その間にいろいろな景気の情勢の回復も待たなければならぬし、海外にも宣伝とかいろいろなその他の恒久的な対策を手を打っていって、今後二年、三年、五年の間に現在程度の桑園がフルに使われても、さらに増産されても、桑園そのものはふやさなくても繭の増産がされても、さばけていけるという将来を見通していけば、今ここですぐに農民がこんな安くてはしようがないと言ってあわててほかのものに飛びつく——他の何をやったらいいかわかりません。やたらにほかのものにあわてて飛びついて、またそれがだめだったということにもなりかねません。そういうような不安と動揺を与えるよりは、現在程度のものは安心してやっている、とにかく最低価格は生産費を補償するところまでやってやる、ただ増産はストップということにして、多少の財政負担は講じましても、過渡期の一年や二年の間の財政負担はがまんをしても、せっかく十年間増産をしてきたのだから、さらに潜在需要は私は減っていないと思うのです。経済事情の変動で途中の機屋さんや糸屋さんの需要は減ったかもしれないけれども、潜在的な絹の需要はずっとある。これから減るということを今考えるのは、これは実に早手回し過ぎると思うのです。将来足りなくなってまた桑を植えなければならなくなる、そういうことにならないという保証はどこにもない。ですから、そういうようなことを考えますと、日本の蚕糸対策そのものが非常に動揺しているというふうにしか見られないし、事実海外でもそういうふうに見ていると思うのです。そういうことは非常に遺憾なことであって、やはり、こういうちょっとしたことですぐおびえて縮小したり、値を下げたり、農民をほかの方に転換しろというようなことでなく、ここはがっちりかまえて、そうして生産費を補償する今の千四百円を保証し、必要によったら二重価格でも何でもして海外にどんどんはけるようにしていって、そうして景気が正常化するのを待って一そうこれを振興していくというように、やはり長期的な見通しの中での対策でなくてはならぬと思うんですよ。そういう点で、この案を見ましても、政府は非常に場当りであって、蚕糸業そのものに何か見切りをつけてしまったような印象を与えますことは非常に遺憾だと思うのです。そういうような点から、この案につきましても一つ再検討を願いたい、こう思うのですが、大臣の御所見を伺いたい。

三浦一雄自由民主党農林大臣

○三浦国務大臣 本案におけるいろいろな考え方につきましては、遺憾ながら高田委員の意見と対照的な立場にありますから、御意見の相違のあることは免れないことであります。しかしながら、私たちは、転換期にありましてもやはり養蚕農家を保護していきたい。同時にまた、その価格の決定でございますが、千四百円のくぎづけにせい、同時にまた必要によっては二重価格制度をとれ、こういう御提案でございますが、それはどうも再検討するわけには参りません、われわれとしましては、生産費を割るくらいのものをどうするか、さらにまた経済事情によっていろいろ即応させた転換の道もなしとしないわけでございますから、これらはどうもその事情によって改変はやむを得ない。ただし、今の養蚕の事情は、同時にまた養蚕家は、何といいましても自主的にいろいろな操作をするには機構も整備されず組織もございません。でございますから、われわれとしましては、いち早くこの第三項に記載してあります通りの自主的な働きをするような機構を作りたい。今御指摘になりまして、蚕糸局長からはまだ正確な点を御説明申し上げる段階でないということでございますけれども、出荷体制を整備する、必要に応じては相当量の買い入れもできる、さらに、必ずしも繭で持つことが適当でない場合もありますから、その際にはこれを糸にしてそれを保管するという機能も与えたいような考えであります。同時に、真に平等といいますか、パリティと申しますか、ただ単に製糸家方面からいろいろ振り回されて、不利益な立場にならぬような機構だけは十分に作って参りたい。しかも、これはなるべくすみやかに設立しまして、そうして対応策も講じて参りたい。同時にまた、第四項に書かれてあります通り、それらを強化する場合に、並びまして養蚕の対策に十全を期する。さらにまた、潜在需要があるから心配ないというお見込みでございますが、われわれは必ずしもそう楽観はしておりません。ことに、他の繊維との対比糸価を見ます場合には、非常な悪い条件である。これらを厳密に見ますと、現在の糸価等につきましても相当再検討し、これを考慮しなければならぬ等の事情もありますので、これらの困難な問題を十分検討した上に将来長きにわたってとっていきたい。さしあたり、われわれとしましては、養蚕農民等に対しましても、これだけの組織を強化するだけの財政等の支出をしまして、そうして対応の政策を推進していきたいというのが本案の骨子でございます。

高田富之日本社会党

○高田委員 質問はこれで終りますが、いずれにいたしましても、この閣議決定の要綱については、われわれは、また養蚕農民としましても、とうてい納得がいかないこともありますし、いろいろな点が非常に不明確で具体性を欠いておる点もありますので、われわれとしましては、あくまで繭糸価格安定法、また臨時措置法の精神にのっとりまして、またただいま申し上げましたようなもう少し大きな長い目で見まして、この要綱についても、政府においてもまた国会としましても再検討いたしまして、これをこのまま実行するというようなことのないように強く要請をいたしまして、質問を終りたいと思います。

松浦周太郎自由民主党

○松浦委員長 石田宥全君。

石田宥全日本社会党

○石田(宥)委員 ちょっと大臣に伺いますが、政府はさきに長期経済計画を企画庁でまとめたわけです。その中で、農産物一般、もちろん蚕糸関係も数字的に全部昭和三十七年までの計画と見通しが盛られているわけです。それに基いて本年の春蚕が終るころまで増産計画を地方においては進めて参ったわけです。ところが、春蚕繭の暴落、糸価の暴落にあわてふためいて今度は減産計画を打ち出す。なるほど、農業というものはなかなかむずかしいもので、農産物というようなものは、二割減産するといっても、種を減らすといっても、桑の伸びがよかったり気象条件がよければ、なかなか工場生産のようなわけには参りません。しかし、昭和三十七年までの長期計画の中に、生産はこれこれの数字で、需要はかくのごとく伸びるのだ、こういうことを前の蚕糸局長は自信を持って本委員会において述べておるのであります。しかるに、本委員会においてそういうような答弁をいたしましてわずかの月日しかたたないにかかわらず、今度は、減産運動をしなければならない、こういうような事態が起ったわけです。今高田委員からも指摘されたように、そのとき私も申し上げておったのですが、海外との関係やあるいは繊維産業全体から見て、必ずしもこういう増産計画は妥当でないのではないか、あるいはまた、ただ絹糸だけで輸出をするということは得策ではないのではないか。イタリアあたりの例を見れば、生糸の量では日本と輸出は同額であるけれども、イタリアにおいては加工をして輸出をするから、外貨の獲得においては日本の五倍ぐらいになっておるという報告も受けておる。あるいはまた、安い糸を輸入をして加工してさえもやっているじゃないか。そういう面についても少しも努力をしていないじゃないか。国内における潜在需要の点もその通りであります。こういうふうな状況の判断というもの、農林省の判断もことごとく誤まっているから今日のような混乱を招来したわけです。今日の御報告によりますと、価格水準を引き下げるのもやむを得ないと大臣は言っておられる。私どもこれについてはいろいろ考えはありますよ。それから減産等についても考えておりますけれども、一体、こういう重大な段階において、蚕糸業界が大混乱に陥ったというこのさなかにおいて、ことしの最も重大な段階に局長の移動をやられたということは一体どういうことなんです。今私が申し上げたように、ちゃんと自信を持って春の増産計画を進めると言明された局長の見通しが誤まっておったから局長をほかの方へ回されたのか、あるいはその他の事情によってやられたのか。こういう見通しの誤まりから養蚕農民に対して重大な打撃を与え重大な損失を与えるようなその責任は一体だれが負うべきものか、この点をまず一つ伺っておきたい。

三浦一雄自由民主党農林大臣

○三浦国務大臣 蚕糸局長は更迭いたしましたが、これはいろいろ省内の仕事の配分によって運用上の関係からいたしたものでございまして、その責任を春の増産でどうだと、そういうことではございません。ありきたりの事情と御了承おき願いたいと存じます。

石田宥全日本社会党

○石田(宥)委員 もう一つの、そういう方の責任は一体だれが負うのですか。

三浦一雄自由民主党農林大臣

○三浦国務大臣 責任と言われましても、いろいろこれまたとり方がありますが、われわれとしましては、全力をあげてその事態に処して最善を尽して参りたい、こう考えております。

石田宥全日本社会党

○石田(宥)委員 だから、私どもは、繊維一般から見ても、世界経済の状況から見ても、増産計画などを立てるべき段階じゃないのじゃないか、国内の潜在需要についてもまだ打つべき手があるじゃないか、それにしてもここで増産計画というものは乱暴じゃないかということを指摘したにもかかわらず、確信を持って増産計画をおやりになって、そうしてこういう混乱を引き起したその責任は、だれかが負わなければならないのじゃないですか。私がこれを言うのは、今後の農業生産について再びこういう事態を起してはならないから私は言うのです。そのときすでにこういう事態になるおそれが多分にあったから、法案審議の際にわれわれはそれを指摘した。ところが、確信を持って言えるといって、須賀蚕糸局長のごときはこういうことを言っておる。絹糸の買い上げ保証をやったが、昔から買い上げした絹糸で損をしたためしはない、必ず上ります、こういうことを言っておるのです。速記録をごらんなさい。そういうふうな考え方で指導しておって、その責任が明らかじゃないということはないでしょう。そういうことであると、今後われわれ農業経営をやっておる者は安んじて政府の方針に従って増産などできないということになるのじゃないですか。この責任は一体だれが負うのですか。

三浦一雄自由民主党農林大臣

○三浦国務大臣 過去のことは私もあまり事情は知りません。しかし、実際は御指摘のようなことがあったことは想像します。しかし、現在のわれわれの地位にありますと、やはりあやまちは正すにしかず、そのことにつきまして懸命に努力をいたして、善処もし改善も加えていくのがわれわれの責任だと痛感しておる次第でございます。

石田宥全日本社会党

○石田(宥)委員 その点は明らかでけっこうですが、実は、今高田委員も指摘されたのですが、私は青年時代から養蚕をやっておるのですよ。養蚕のことは私は専門家なんですが、私どもは、戦前においては減反運動をやって、金をもらって桑園を整理して、三年か四年たつと、今度また増産で、またその増反の補助金をもらう、整理をして金をもらって、また増産をして金をもらって、しょっちゅうそれをでんぐり返していたのですよ。そういうことを再びやってはならないということを高君は指摘されておりますが、私もその点が非常に大きな問題だと思うのです。われわれが過去において繰り返したような、そうしてまた価格が暴落をして悲惨な経験もいたしておりますから、そういうことのないようにしなければならぬ。ところが、今度政府では減反を考えている。きょうの報告の中には具体的には出ておりませんが、来年一万町歩、再来年一万町歩ですか、これを整理する、こういうことを言われた。桑園を整理して一体何にこれを転換させようというのです。そうして、もうすでに農林省は予算要求は出されておりますけれども、そういう点もすでに予算要求として出ておるであろうが、どういうふうにして来年度の予算要求の中に出ておるか。もちろんこの整理する者に対して反当幾らという予算はありましょう。私はそれを聞いているのではない。そうじゃなくて、一体転換をする場合にどういう作物に転換をするか、それが自主的に農民にできるようなことであるかどうか、この点についての予算要求と転作についての大臣のお考えをお聞きしたい。

三浦一雄自由民主党農林大臣

○三浦国務大臣 いろいろ具体的の問題につきましては蚕糸局長から説明させる方が適当だと思いますが、私からこれに対する考え方を申し上げたいと思います。実はこれはケース・バイ・ケースで事情は違うと思います。しかし、日本の農村の事情から見まして、養蚕をとるのでなければ他の産業を選ばれないという地帯があると思うのです。これはやはり保持していきたい、こう考えております。しかしながら、同じ養蚕をいたしておりましても、他に転換の余地のあるものは絶無だとは言えない。現に私は先般山形等を見たのでありますけれども、現に、当事者が、小開墾もしくは用水等の問題を解決してくれるならば、むしろこれは稲作に転換したい、こういう要望のある地帯も具体的にあるのであります。こういうような場合には、やはりそれに即応させまして転換させるということも必要だと思います。さらにまた、地帯によりましては、小家畜なりあるいは畜産等に転換し得る問題もございますので、これらは、事情を見て、そうしてこれに対応の策を講ずる。しかしながら、事情に迂遠な役所からただ単に強制的なことをさせるということは許されないことでありますから、一応地方の養蚕団体等の事情も聞き、そうしてその重さ、同時に地方の需要度に応じまして、そうして諸般の手続を進めて参りたい、かように考えておるわけであります。  予算上の問題につきましては蚕糸局長から一応説明させていただきたいと存じます。

大澤融農林事務官(蚕糸局長)

○大澤政府委員 まだ折衝中の予算内容ですから、こまかくお話し申し上げることははばかりたいのですが、ただいま大臣からもお話がございましたように、全養連を中心にしまして実施計画を立てております。それにのっとってやっていくという考え方を持っております。最近統計調査部でやりました農村動向調査というようなものを見ましても、今のような繭の事情でありますので、桑園を整理してほかの作物に転換していこうという動きが顕著に現われておりますので、そういう事情を土台としてこれをやって参りたい、こう存じております。

石田宥全日本社会党

○石田(宥)委員 政府は畑作振興ということを言っておるのです。畑作振興ということは、なかなかこれは農産物の価格支持政策が徹底いたしませんと困難なんですよ。そういう中において桑園を整備する。今お話を聞くと養蚕団体が自主的に云々というお話ですが、夏秋蚕繭の二割減産ということ自体が養蚕団体の自主的なものではなかったことは、もうすでに議論の余地はないのです。そうすると、再びまたあれと同じように、政府がかなり強制的にこれを転換させるというような結果が現われ、それに従ってその一万町歩の転換というようなことが事実行われないということもまた予想されることになる。そういうようなことでは、なかなか、明年度の桑園の整理ということも、将来の蚕糸業というものについても休んじて農民がこれに従事することができないと思うのです。一体来年度の畑作振興についてこれとの関連において大臣はどのように予算要求をし、そうして養蚕農民が休んじて減反に応ずることができるとお考えになっておるのか、また、その具体的な構想と予算についての考え方を一つ承わっておきたい。

三浦一雄自由民主党農林大臣

○三浦国務大臣 先ほど申し上げたような基本線で進みたい、こう考えておるわけであります。

石田宥全日本社会党

○石田(宥)委員 そこで、さっきから繰り返すように、畑作振興というのは非常に困難なんです。そうして、新農村建設計画などで、適地適産主義などということで、どこもかしこも同じような農産物があふれておるのです。そういう状況の中で、政府はもっと積極的な予算措置等をやらなければ、桑園転換というのはなかなか困難だろうと思うのです。確信を持って桑園を整理して他に転作をして畑作農民が生活をやっていけるような措置をお考えなんですか、お考えないのですか。

三浦一雄自由民主党農林大臣

○三浦国務大臣 考え方としましては、その当該の地帯におきまして転換する方が有利かつ安定するものであるならば、これはむしろ積極的にお勧めしたいと思っております。同時に、しかし、その方策につきましては、政府はただ干渉がましいことはしない、どこまでも自主的に計画せられたものをこちらでもって十分に検討した上に誤まりなきを期したい、これが基本的な考え方であります。     —————————————

松浦周太郎自由民主党

○松浦委員長 小委員会設置についてお諮りいたします。  先ほどの理事会の決定に従い、酪農問題について、その対策樹立のため、本委員会に酪農に関する小委員会を設置いたしたいと存じますが、これに御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

松浦周太郎自由民主党

○松浦委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたしました。  つきましては、小委員の人数は十一名とし、小委員及び小委員長の選任につきましては委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

松浦周太郎自由民主党

○松浦委員長 御異議なしと認め、酪農に関する小委員に    吉川 久衛君  倉成  正君    佐藤洋之助君  助川 良平君    永田 亮一君  丹羽 兵助君    本名  武君  神田 大作君    中澤 茂一君  西村 関一君    芳賀  貢君を、酪農に関する小委員長に永田亮一君を、それぞれ指名いたします。  これにて散会いたします。     午後四時四十三分散会

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