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30回国会衆議院1958/10/31

内閣委員会 第8号

発言数
72
登壇者
9
会派数
2
開催日
1958/10/31

会議録

内海安吉自由民主党

○内海委員長 これより会議を開きます。  憲法調査会法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を続行いたします。柏正男君。

柏正男日本社会党

○柏委員 憲法調査会法の一部を改正する法律案の提案理由の中に、昨年八月発足以来調査審議は広範な事項にわたって、細部にわたって行われておるというように言われておりますが、事務局長の方で、審議の経過の中で、どういうように今まで審議を行なってこられたか、総会、委員会並びに今後どういうような方法によってこの審議を継続されていかれるか、それに伴う事務局の方針というようなものについてお伺いしたいと思います。

武岡憲一憲法調査会事務局長

○武岡政府委員 お答え申し上げます。憲法調査会が昨年の八月に発足いたしまして以来の大体の審議経過につきましては、前にも御説明申し上げましたが、大体申し上げますと、建前といたしまして総会を月に二回ずつ開いて参っておるのでございます。昨年八月以来現在までに十九回の総会を開会いたしました。総会におきましては、初めの三回までは調査会としての一般的な調査審議の進め方と申しますか、調査会の審議の一般的方針についての討議が行われました。それによりまして、まず最初に調査会として調査いたします議題は、日本国憲法がいかなる経過のもとに制定されたかという、いわゆる憲法制定の経過というのを議題として取り上げるということを決定いたしたのであります。そこでその議題に基きまして、第四回から第十回までの総会におきまして、つまり七回にわたる総会で、この憲法制定の経過にいろいろなお立場で関係になられた方々を参考人としてお招きいたしまして、調査を進めて参ったのでございます。一方本年の一月から憲法制定の経過に関する小委員会というものを設置いたしまして、総会において一般的な審議の行われました憲法制定の経過という問題につきまして、さらに具体的な精細な調査を行うということで、この小委員会が今年の一月以来今日まで十三回にわたって調査を続けて参っておるのでございます。一方、総会におきましては、この憲法制定の経過というものに続きまして、次は日本国憲法運用の実際についてというのを議題として取り上げました。憲法が施行せられましてから今日まで実際にどのように運用されて参ったか、またどういう点に問題点があったかという事実を客観的に調査するというのが主眼でございます。そこでその問題のうち、特に最初に取り上げましたのは司法関係の問題でございまして、裁判に現われた憲法問題、また司法の手続の問題、あるいは司法機構の問題等につきまして調査が行われました。これがことしの八月まで、総会で申しますと十七回の総会まで行われたのでございます。この司法関係の憲法運用の実際という問題につきましては、その後第一委員会というものを設置いたしまして、この第一委員会でさらに詳細な具体的な調査を進めるということで、今日に及んでおるのでございます。なお総会におきましては、司法関係のものに続きまして、現在は国会関係を取り上げております。国会において憲法上のいかなる点が論議の対象になったか、また国会制度そのものの運用というものについて、どういう実情であるかというような点を調査しておるのが現状でございます。以上申し上げたような状況でございます。

柏正男日本社会党

○柏委員 この提案理由の中に、会議もひんぱんに開催され、今後ますますその回数が増加するということが言われておるのですが、増加するとかいう見込みについては、どういう点の調査が行われるからふえるという点を示していただきたいと思います。

武岡憲一憲法調査会事務局長

○武岡政府委員 ただいま調査会が定めております調査の方針と申しますか、計画から申しますと、総会におきまして、いわば一般的な総論的な調査を行います。それぞれの事項について一応総会の一般的な調査が終りますと、これは次々に委員会に付託していくという方針をとっておるのでございます。ただいま委員会といたしましては、先ほどちょっと申し上げました第一委員会のほか、第二委員会及び第三委員会という三つの委員会が接地されておるのでございます。この三つの委員会はそれぞれ憲法の条章別に所管を分担することになっておるのでございますが、第一委員会は基本的人権と司法の問題、第二委員会は国会、内閣、財政及び地方自治の問題、第三委員会は前文、天皇、戦争放棄、改正及び最高法規、それらの条章を分担することになっておるわけでございます。さきに申し上げましたように、司法関係についての憲法運用の実際という調査は、総会としては一応終了いたしましたので、それを第一委員会に移したわけでございますが、さらに今後総会における調査が進行するに伴いまして、それぞれの所管に応じて第二委員会、第三委員会というものに、それぞれの事項が付託されるわけでございます。そうなりますと、各委員会がそれぞれ調査を開始するわけでございます。なおこれらの委員会は、さらにその具体的な事項ごとに分科会を設けて調査しようではないかということになっておりますので、そこで各委員会とも事項別に委員会の中にさらに分科会というものを設置いたしまして、若干名の委員の方が担当するという調査方式を考えているのでありますから、今後審議が進んで参りますと、各委員会、分科会というような単位における調査がだんだん多く開催されることになりまして、従って会議開催の回数も相当ふえて参るではないか、それだけに調査が具体的、精細に入っていく、こういう見通しであります。このことを申し上げたわけであります。

柏正男日本社会党

○柏委員 大体総会から委員会に移すという段階になり、さらに委員会から分科会に入るという状態になっているわけですね。ではこういう論議の中で、ただいま憲法改正という目的のために調査が進められておるというところまで行っておりませんか。

武岡憲一憲法調査会事務局長

○武岡政府委員 ただいま憲法調査会が調査をいたしておりますのは、さきに言いました憲法運用の実際についてという議題でございます。これは憲法実施以来今日まで実際にどのように運用されたかという事実を、客観的な資料によって明らかにするというのが主眼でございます。文字通りこれはいわば調査ということでございまして、特に憲法の条文をどう改めるとか、あるいはどうしたらよいかというような意見を交換する段階ではございません。そういう実質的な意味における審議というものは、ただいまやっておらないのであります。最初に調査会がやってきたと申し上げました憲法制定の経過というのも、文字通りこれは制定の経過がどうであったか、どういう経過において作られたかという事実の調査でございますし、また現在やっておりますのも、憲法がどのように運用されたかという事実を明らかにすることが主眼でございまして、御指摘のような改正についての審議と申しますか、意見の交換と申しますか、まだそういうような段階ではございません。

柏正男日本社会党

○柏委員 私ども社会党では、憲法第九十六条その他から見て、この憲法調査会がどうしても憲法改正の問題について調査を進めていくのだという見方をいたしておりますが、今までの事務局長のお話では、実質的な調査の範囲を出ていないということであります。しかしながら総理大臣は、みずから憲法改正論者であるということを言っておられる。さらに第九条を含めた憲法改正を考えておるのだという発言もあるのでございます。そういう点から見ますと、やはりこの憲法調査会は、この次の段階においてはどうしても憲法改正の論議に進んでいくのではないかと私どもは思うのでございます。そうしますと憲法調査会は、その行為が憲法発案の内容に触れていくというおそれが多分にあるのではないかと思います。そういう点から見まして、今後憲法改正という考えから調査を進めていくようなことが考えられるのか考えられないものか。これは事務局長にお伺いするのは変だと思いますが、調査会審議の状況から、事務局長の方ではどういうように御判断をされておるか、また今後そういう改正の資料を整えるため調査を進められるような準備があるのか、そのためにこういう増員というような計画があるのかどうかお伺いします。

武岡憲一憲法調査会事務局長

○武岡政府委員 調査会の今後の運営の仕方というようなことにつきまして、私からあまりとやかく申し上げがたいのでございますが、一応私として理解しております範囲でお答え申し上げます。先ほど申し上げましたように現在の段階においては、いわゆる憲法がどういう経過で制定されてきたか、またそれが実際にどのように運営されてきたかという事実の調査をやっているわけでございますが、この段階における調査が一応終了いたしますれば、その次に考えられるのは、それでは実際にやってきた上の問題点を一体どうするのかということになるのであろうと考えられます。ただしかしながらその場合も調査会として、それでは今の憲法について、これをこう改正するとか、あるいはしないとかいうようなことを調査会として決定するのかどうか、そういう調査会としての一本の意見というものを出すのかどうか、この点につきましては、実はもちろん調査会としてきめているわけでもございませんし、私として特に申し上げる点はないのでございますが、最初調査会の一般的な運営方針というものに付随いたしまして、議事規則を制定いたしました際に、御指摘のような問題があったのでございます。しかしその点につきましては、結局憲法上のいろいろな問題点について、これを改正すべしとか、あるいはすべからずということについては、これはそういう段階において各委員の方々が御意見をお述べになるということになりますれば、委員の方々にそれぞれいろいろな御意見があることだろうと思うのでございますが、それらの点については、かりにある一つの問題点について、これを改正すべしという意見の方が何人おられ、だれだれであったとか、それから改正すべからずという意見の方がだれだれであったかというその事実を報告するのも、これは法律に定められておるいわゆるその結果を内閣及び内閣を通じて国会に報告するという憲法調査会の一つの使命なのではないか。すなわち法律の第二条に規定されております憲法調査会の使命というものは、必ずしも調査会として一本の意見、一つの憲法改正案というようなものをきめて報告するということではないのであって、慎重調査審議した結果は、このような意見がある、このような意見が述べられたということを報告するということでもよろしいのではないかというような意見があったのでございます。最後においてどのような姿になりますかは、もとより私が軽々に申し上げるべきことでございませんけれども、改正というような問題についての審議の段階に入った場合に、どういうことになるかということにつきましては、一応そういう今申し上げたようなことが考えられるのではないか、このように私は考えております。

柏正男日本社会党

○柏委員 四回から十回までの憲法制定の経過についての総会の結論というようなものについては、何か今までに結論的なものを得られたものがあるのでございますか。

武岡憲一憲法調査会事務局長

○武岡政府委員 別に結論というようなものはございません。これは先ほども申し上げましたように、ただいま小委員会におきまして継続調査中でございます。従いましてまだ最終的な段階でございませんので、お尋ねのような結論というようなものは別にございません。

柏正男日本社会党

○柏委員 第一委員会においては、基本的人権について特別な調査を進められる。そうしますとこの第一委員会の中にいろいろな分科会ができると思いますが、その分科会は幾つぐらいに分れて、どういう条項について分科会をお作りになりますか。

武岡憲一憲法調査会事務局長

○武岡政府委員 これは別に何も定めがございませんので、ただ事項ごとに適宜分科会を作るということになっております。従いまして現実にはどのような分科会ができるかは予測できません。

柏正男日本社会党

○柏委員 では第二委員会、第三委員会においても、まだそういう特別な分科会を作っていくという予定はないわけでございますか。

武岡憲一憲法調査会事務局長

○武岡政府委員 委員会は、総会から付託を受けた事項について調査をするということなのでございます。現在の段階におきましては、司法関係の問題については、一応総会における審議を終った段階でございますので、その事項だけは第一委員会に付託になりまして、従って第一委員会が今調査中でございますが、ほかの委員会の所管する事項につきましては、まだ実は総会における調査が終っておりません。従って具体的な付託がございませんために、第二及び第三の委員会というのは、設置はされましたけれども、まだ実際活動の段階には入っておりません。

柏正男日本社会党

○柏委員 私どもはこういう第二委員会、第三委員会において各分科会を設けて、憲法の条項につき委員会の審議を進められるようになるといたしますれば、その中で特にたとえば第三委員会のような、前文、天皇あるいは戦争放棄の条項、最高法規というようなものについて委員会を作られることにつきまして、国民は非常に関心を持っておると思います。この分科会の構成につきましては、現在の委員が分担をされるというように、各分科会を人をダブることなく各委員に振り当てて、分科会を構成されるということになりますか。

武岡憲一憲法調査会事務局長

○武岡政府委員 各委員会の構成は、現在、各委員がそれぞれいずれか一つの委員会に所属するという建前になっております。しかしながら分科会を構成する段階になりますと、必ずしもその所属の委員会の委員だけで構成するということはございませんで、分科会を構成いたします場合には、他の委員会に属する委員もその分科会の審議に参加できるような建前を考えておるわけであります。従いまして第一委員会である事項についての分科会が設置されます場合には、第二委員会あるいは第三委員会に一応所属しておられる委員の方でも、その御希望により、あるいは委員会側といいますか、分科会側の要求によりましてその分科会の調査に参加することができるような構成を考えておるわけであります。

柏正男日本社会党

○柏委員 私どもはそういう分科会において論議が進められていき、さらにその論議が中心になって憲法改正がだんだんと一つの既成事実になっていくのではないか、そういうように考えますときに、分科会の今後の活動というものに対して非常に注目をする次第でございます。それにつきまして、この憲法調査会の分科会の内容というものは、どういうような形で国民に周知させるようになっておるのでございますか。

武岡憲一憲法調査会事務局長

○武岡政府委員 分科会はまだ具体的には実際に開かれておりませんので、現実的な運営について申し上げる段階でございませんけれども、ただいま私たちの調査会でやっております会合は、総会にいたしましても、また小委員会にいたしましても、また委員会にいたしましても、いずれも公開の建前でございます。それから各会議ごとに議事速記録を作成いたしまして、この速記録は一般の者が購入できるように、政府刊行物サービス・センターを通じて一般に頒布いたしております。従いまして、もちろんこれは各報道機関によって新聞等にもそのつど発表されておりまするし、そのほかに、詳細にその記事の内容をお知りになりたいという方は、その議事録によってごらんいただけるというような建前になっております。

柏正男日本社会党

○柏委員 将来の段階において、そういう分科会で公聴会というような形のものがやられるような計画を持っておられるのですか。

武岡憲一憲法調査会事務局長

○武岡政府委員 公聴会についてのお尋ねでございましたが、もちろんこれは議事規則の中にも公聴会が開けるような道を講じてございます。これは憲法調査会としての公聴会もあって、明日大阪において行いますし、八日には金沢において、そのほか引き続きまして名古屋あるいは仙台、福岡といったような主要地において開催する計画を持っております。なお将来委員会または分科会というような段階に入りましても、それぞれ各委員会なり分科会が調査いたしておりますような事項を主題にした公聴会というようなものも、当然考えておるわけでございます。具体的にどのような格好でどういうふうに開かれるかは将来の問題でございますが、考え方といたしましては公聴会等をできるだけ開きまして、一般国民のこの問題に対する所見というものも十分伺って参りたい、こういう考えであります。

柏正男日本社会党

○柏委員 私どもは憲法調査会が現在の憲法に関する関心を高める意味において公聴会を開かれ、あるいは分科会においてもそういう制度を御採用になるということについては、その点は憲法を周知せしめるという意味を持つことにおいてけっこうなことだと私どもは思います。しかしながらこれが今度改正の問題を取り上げていく、改正の宣伝の機関にそういうものをお使いになるというような事態になっていきますれば、私どもはそういう公聴会のやり方とか、そういうようなものに対してもっと違う意味でこれを考えていかなければならない。そういう意味におきましては、私どもは現在ここに五名の事務官を増すというようなことにつきましても、現実にただ今の説明を承わっただけでは、総会が委員会の段階に移り、委員会が分科会の段階に移るという程度であって、必ずしも実質的な事務の量の増大というようなものが、その形だけでは現われてこないのではないか。ただ委員会が分科会に移るというようなことによって回数が多くなり、あるいはそういう速記の量がふえたり頒布する書類の量がふえたりという形は考えられぬことはございませんが、憲法改正というような段階まで入りませんと、実は七人が十二人になるというだけの事務量が考えられないというように思うのでございます。しかしもうすでに予算にも計上されておることでもございますから、今さら言ってもいたし方ないと思いますが、そういう面から見て私どもは憲法調査会が現在の段階においては決して改正のところまでは進まず、現在の憲法の内容を明らかにしていくという程度のところで進んでおるのだと思います。  次は官房長官にお尋ねいたしたいのでございますが、現在の状態において国民の中には憲法調査会は憲法を改正する一つの予備機関である。総理大臣自身も、自分は憲法改正論者である、ことに九条を含めた憲法改正を考えているのだ、あるいはこの問題は憲法とは離れましても、安保条約も改正する、ことにその中には防衛の範囲が拡大されていく、あるいは国民が心配するような核兵器を使うような戦争への中に巻き込まれていくのじゃないかということに対しても心配をいたしております。そういうことと今度の警職法の問題なども関連して考えてみなければならないという情勢のもとで、憲法調査会が新しく陣容を増される、また今後の調査の範囲を広げていかれるということにつきましては、私どもも果してそういう状態が将来のためになるものかどうかということを心配いたします。それで憲法調査会の仕事は、今後どういうプログラムで、あと何年くらいこういう状態が続けられていくものか。憲法改正までの間に、どのくらいのプログラムをもってこの憲法調査会を運営されていくか、これは一つ官房長官の方で何らかの目安を持っておいでだろうと思いますからお聞きいたしたい。

赤城宗徳自由民主党内閣官房長官

○赤城政府委員 だんだんお話を承わりましたが、憲法調査会は憲法を改正するという目標のもとに置かれていないことは御承知の通りであります。ただ今お話のように、岸総理個人としては改正論者であるけれども、しかし憲法改正の問題は、憲法調査会等の結論を得なければ自分できめるべき問題ではない、こういうふうに言っておられますので、前申し上げましたように憲法調査会は憲法改正という目的ではない。しかしどういう結論が出るか、これは結論は将来のことにわたっておりますので、私どもが予測できませんけれども、改正を目的としておることでないことは、憲法調査会の設置された当時から変っておりません。それから安保条約のお話が出ましたが、この問題につきましても、総理大臣が再々説明申し上げていますように、現行の憲法の範囲内において、この問題については交渉すべきである、こういうことを言っておりますので、この点も御了承願いたいと思います。  それから憲法調査会のこれからの審議のプログラム等はどうか、こういうお尋ねでございますが、それにつきましては今のところ何年たったならば結論が出るかというプログラムは立っておりません。いろいろな資料を集め、検討を続けておる段階でありますので、今目安は立っておりません。  それから人を増すということがどんなものであろうかということでありますけれども、この職員を増すことは、現在調査範囲が非常に広まってきましたので、全く事務的な意味において職員を増したい、こういうことでありますので、ほかに目的は持っておらないわけであります。以上のようなことでありますので、御了承願いたいと思います。

柏正男日本社会党

○柏委員 憲法調査会の委員会の構成を見ておりますと、第一委員会は、基本的人権の問題、これには裁判所の問題もあるのですが、司法、基本的人権、第二委員会は国会関係、地方制度、第三委員会は前文、天皇、戦争放棄の条項、最高法規、こういうようにお分けになって審議を進められるように承わりましたが、こういうようにお分けになりましたには、何か特別にお考えがあってお分けになったのですか。

武岡憲一憲法調査会事務局長

○武岡政府委員 格別な理由はございません。大体憲法の各条章を各委員会にできるだけ均分的に、関連のあるものを拾って分けたということでございます。それ以上の意味はございません。

柏正男日本社会党

○柏委員 私はそういう意味であろうとは思いましたけれども、第三委員会において前文、天皇、戦争放棄、最高法規というようにお分けになったのにはなかなか意味があることだろうと思います。私どもは特に第三委員会、第一委員会につきましては関心を持つものでございますが、最近警職法の問題が論議されまして、この委員会においても総理大臣が出席され、第九十九条の問題というようなものが憲法擁護の義務として問題になりました。私はこの九十七条、八条、九条を一緒にした最高法規の問題を特に憲法調査会が取り上げていることに関心を持ちます。というのは、九十七条においては基本的人権が人類の長い戦いの結果に得られたものであることをうたい、その次の条項において、この憲法にはっきりもとる法律その他を認めない、その次の九十九条においては、これを擁護する義務があるというふうに、この三つのことを関連させて最高法規としておる。この事態から見まして、政府においても最高法規として、基本的人権はどうしてもこれを変えられないものである。この変えられない憲法を守らなければならない義務がある。この三つの関連事項が九十九条においてはっきりされておる。この十章の最高法規という意義は、基本的人権をいじることはできないのだぞということで、ここに大きな意味があると私は思います。そういう点につきまして、今度の警職法の改正の問題は、十章の最高法規の問題と相いれないものがあると私は考えますが、官房長官はこういう問題についてどういうお考えを持っておられますか。

赤城宗徳自由民主党内閣官房長官

○赤城政府委員 最高法規であるという九十九条の規定は、将来憲法を改正する場合があってもその精神は残すべきものだと私は考えております。今の警職法と憲法が最高法規であるという九十九条との関連でありますが、警職法につきましては第三章の基本的人権の規定と相当関連を持っているわけであろうと思います。そこで十三条とかその他の条項もありますが、十二条という憲法の条項もありますし、公共の福祉と基本的人権との関係、広くいえば公共の福祉も基本的人権の中に入ると私は思うのでありますが、狭く考えて基本的人権と公共の福祉、この辺の調整をどういうふうにするかということが相当問題であろうと思うのであります。絶対無規制に自由とかあるいはまた幸福を追求する権利が認められていいというふうには、憲法でも規定していないのであります。これはお互いの間の自由あるいは幸福追求の自由というようなものを関連的に考えなければならないという点にも、考慮しなければならぬ点があろうと思います。そういう点におきまして私どもは警職法と憲法との関係については相当検討いたしたのでありますが、今提案している限度におきましては憲法に違反しているとは考えておらない、こういう立場に立っておるのであります。

柏正男日本社会党

○柏委員 私は法の支配の問題において、法の適法な裁量者がだれであるかということが、法治国家の中で非常に大事な問題だと考えます。憲法において私どもが逮捕、監禁その他身体を守れる一つのよりどころは、法の適法なる解釈者が少くも判事の段階に自由主義諸国家においては守られておる。こういうことは非常に私どもの安全感を高めるものだと思うのでございます。自由主義国家でない共産国家におきましても、法の適法なる裁量をする者としては検事を充てておる。共産主義の諸国家においてすらそういう段階を設けて、法の適法なる解釈、裁量をさせておる。しかし今度の警職法によりますと、その段階がはずされてしまっておるということは、私ども非常な不安を感ずるものでございます。ことにこれが自衛隊法の八十九条との関連をもちまして、自衛隊が出動をするようになると、自衛隊員が警職法を執行するようになります。そうしますと、現在警察官よりももっと法律というものについて低い段階の自衛隊員が、法の適法なる解釈、裁量をする立場に立つということは、法治国家として非常なる危険なる状態になるのではないかと私は考えるものでございますが、そういう点につきまして官房長官はいかなる御所見を持っておられるか。

赤城宗徳自由民主党内閣官房長官

○赤城政府委員 憲法に規定されております逮捕、監禁、処罰、これは今お話のように判事の段階においてきめるべきである、これは御説の通りであります。でありますので、その点につきましては今度の警察官職務執行法においても、警察官がそういうことをするのでなくて、刑事訴訟法に基いて逮捕、監禁、尋問、処罰をする建前になっておりますので、今度の警察官職務執行法においても逮捕、監禁、処罰につきましては、刑法あるいは刑事訴訟法その他刑法関係の法規またはその法の手続に基いてやることになっております。でありますから今度の改正案におきましては、その点は刑事訴訟法に基いてやるので、その以前において制止あるいは警告というようなことができることになっておりますけれども、これは行政的の手続であって、決して刑事訴訟法に違反したりあるいは憲法に違反しているというふうには私どもは解釈しておらないのでございます。

柏正男日本社会党

○柏委員 ただいまの官房長官の制止あるいは予防検束というような段階におきましては、これは刑事訴訟法の問題には触れてないというお話でございますが、実際的な効果はほとんど違わない程度で実害が起ってくるのではございませんでしょうか。

赤城宗徳自由民主党内閣官房長官

○赤城政府委員 先ほどから申し上げましたように、この点につきましては現行法と改正案の間に変っておりませんので、実際問題としても刑事訴訟法に基かないで逮捕、監禁、処罰をするということは、これはやるとすれば権利の乱用になると思います。権利の乱用につきましては相当の処罰もありますし、また行政的にもそういうことに陥らないように、十二分に意を尽すつもりであります。

柏正男日本社会党

○柏委員 問題が少しくこまかくなり、それたような感じがいたしますが、しかし私どもは、こうやって憲法調査会が憲法の問題を審議していき、特にこの憲法の中で基本的人権が尊重されなければならない、基本的人権を侵害するような法律は認めない、そういう意味において国会議員、国務大臣、裁判官、公務員はこの憲法を擁護する義務を負っておるという最高法規だけは、少くとも変えられない条項であろうと思います。そうしますと、こういう条項をいつも頭において問題を見ていくときに、私どもは警職法の中に非常にいろいろな危険な要素があることを考えるものであります。そういう点から見て憲法調査会の今後のお仕事の中にも、基本的人権に対して少しでもこれを侵害するようなことが考えられないように、今後の調査を進めていただくということが、私は当然であろうと思います。なおまたこれは単なる国内法の問題だけではなくして、条約はやはり憲法と同じく国民生活を拘束するものである。そういう点から見ましても、現在考えられております安保条約の改正というような問題も、なお最高法規の問題と同じく、私どもの基本的人権に関連を持つような、たとえば戦争放棄を現在においては憲法の大事な条項としておるにもかかわらず、戦争に巻き込まれなければならないような条約が考えられていくということに対しては、私どもは非常に心配するものであります。そういう点からしましても、憲法調査会の今後の任務というものは、国民は相当に注目をいたしますし、重大なものであると考えます。それだけに憲法調査会が内容を充実されまして、間違いのない憲法の実態調査をされるということはよいといたしましても、改憲論者が常に何らかの圧力を加えていくというようなことが憲法調査会の中に起っては、はなはだ遺憾であると思いますので、岸総理大臣は憲法調査会における発言というようなものには、十分なる考慮を払っていただきたいと私は思います。あくまでも憲法調査会は、憲法を変える調査会でないという建前において、今後の調査、研究を進めていただく。たとい岸総理大臣自身が改憲論者でございましても、その影響力というものを調査会の中に持ち込まないように、官房長官においては十分そういう点についてお考え合せを願いたい。私の質問は以上をもって終ります。

内海安吉自由民主党

○内海委員長 石山權作君。

石山權作日本社会党

○石山委員 調査員を五名ふやす。これは私は大したことではない、全く事務的な問題だと思うのです。御承知のように憲法問題に関しましては、社会党は今の憲法は当分いじってはいかぬというふうな建前でいるものですから、もし問題をからませるとすれば、五人調査員をふやすという事務的な問題が、ある意味ではさらに政治的な意味を持ってくるわけです。そして時あたかも憲法に非常に抵触するような法律、警職法のようなものが突然出されておる。あるいはやがて問題になるだろう日米安保条約のいわゆる共同防衛の範囲によっては、憲法に重大な危機がくる。こうなりますと、問題は簡単に見えても、調査会そのものを否定している社会党のわれわれから見ますれば、実際言えば簡単にこの問題は片づけたくない。不賛成なのです。不賛成だという意味で、われわれ警職法等を通じてここで三日くらい討論する、安保条約をからめて一週間くらいやる。そうすると、保守派の良識でやられる内閣委員の与党の方々は、おそらくしびれを切らして質疑打ち切りの動議を出す、多数で押し切る、こういうような状態のとき、私は憲法とにらみ合せて見ますると、まだまだ今の憲法はいじってはいかぬ。多数横暴が働くのですから、われわれ問題を慎重に討議していけば、五人の調査員をふやすというふうな限定された問題じゃない。ですから私は簡単に賛成できないという建前でお話を申し上げるつもりでございますけれども、問題は事務的に出してきているのでございますから、まず事務的なことを二、三お聞きしたいと思います。  たとえば社会党に何回もこの調査会に参加を求めましたけれども、御承知のように社会党は参加を拒否したわけでございます。そのことによって障害が起きているかどうか、事務局長から見た目で討論の内容において片寄っておるかどうか。これは何と申しましても、岸さんが入党されて党内の憲法調査委員長になられました。その方がおおむね任命した委員でございますから、これは私でなくても大がいの人は、委員の方々のおおむねは改憲論者を主体にして選んだであろう。調査会は憲法調査会という名前に名を借りて、憲法をば改正する方策を案出する委員会だ、こう見ておるわけであります。その場合、論議を進めていった場合に、社会党がいないことによってどういう不都合が起きているか、これは政治的に見た場合は官房長官の御意見、事務的に見た場合には事務局長の説明を承わります。

赤城宗徳自由民主党内閣官房長官

○赤城政府委員 憲法調査会が作られる場合に社会党が反対されましたことは、私ども承知します。反対はされましたが、法律として憲法調査会が設置されることになったのでありますので、設置されました以上は、その目的に従ってぜひ御協力を願いたい、こういうことで、この間私が官房長官になってからも、社会党の委員の御協力を願うべくお願いしたわけでありましたが、今のお話のように入らない、こういう結果に相なっておるのでありますが、今でも私は入っていただくなら、とにかく議会できめた法律であり、設置されたのですから、そういう御心配の点もあろうかと思いますので、社会党の方々にもぜひ入っていただきたい、こういう考えを今でも捨てておらないのでございます。ただ御心配のような点もありましょうけれども、憲法調査会そのものは、憲法調査会法の設置されました目的に従って調査を進めておるわけであります。その調査の段階において事務的にもう少し人をほしい、こういうようなことに相なっておりますので、事務職員をふやすということによって御心配の方向へ持っていくというような考えは全然ございませんので、それは御了承を願います。

石山權作日本社会党

○石山委員 事務局長、あなたが見て、社会党が参加しないことによって何か事務的な不便を感じませんでしたか。

武岡憲一憲法調査会事務局長

○武岡政府委員 社会党の議員の方々に御参加いただけませんことはまことに遺憾でございます。そこで調査会といたしましても、そのために運営が非常に片寄るということのございませんように、たとえば参考人をお呼びいたしますような場合には、できるだけ広い立場からいろいろな立場の方に参考人として来ていただいて、そういうお立場からの御所見を伺うというように、運用上は十分気をつけてやっておるつもりでございます。

石山權作日本社会党

○石山委員 在野の学識の方々が政府の憲法を改正する意図をば非常に危険に感じて、やはり一つの憲法研究会をば作ったように聞いております。そういうふうな民間の憲法を調査する研究会というようなものは、どういう名前で幾つくらいあるか。それと政府がお作りになっている調査会とは何らか連絡をとって、それらの御意見をば参照するような格好で調査を進めているかどうか、お聞きしたいと思います。

武岡憲一憲法調査会事務局長

○武岡政府委員 民間と申しますか、調査会以外に憲法問題についていろいろ研究をなさっていらっしゃいます団体というのはあるように伺っております。ただいま御指摘になりましたのは、憲法問題研究会という団体のことであろうかと思いますが、そのほかにも、たとえば憲法擁護国民連合のごとき、これはそういった研究的な会合なんかをお持ちになっていらっしゃいますようでございます。それからまた以前におきましては東大の公法研究会でございますとか、あるいは憲法研究会というようないろいろな団体があるようでございます。それからまた自主憲法期成同盟というような団体もございまして、その団体に所属されていらっしゃいます学者の方々のお集まりというようなものもあるように伺っております。調査会といたしましては、そういった各団体でいろいろ御研究になられました結果のいろいろな記録でございますとか、機関誌のようなものでございますとか、それはできる限り私の方にもいただきまして参考にさせていただいておるのでございます。ただ御指摘の先般できました憲法問題研究会の方は、会合も非公開でやっていらっしゃるようでございますし、特にその研究についての結果、記録というようなものはないようでございますので、この方は特にそういう意味で私の方はどういうふうなことをやっていらっしゃるか、内容については新聞に報道される以外には存じておりません、そういう状況でございます。

石山權作日本社会党

○石山委員 憲法調査会の進行程度を見ますると、一つの結論みたいなもの、あるいは集約する時期にはまだ到達いたしていないようでございますが、政府は結論をばいつごろというふうに暗示をしているわけでございますか。何らそういうことはなくして、野放しに学者に研究をさすような態度で、かなりな研究費と申しますか、調査費をお払いになって、たくさんの要員をばまわりにつけておく、こういう格好で国費を乱費されておるわけでございますか。

赤城宗徳自由民主党内閣官房長官

○赤城政府委員 いつ幾日までに結論を出せという指示はいたしておりません。それから経費の点でありますが、これは御承知の通り国の費用でやっています。税金から出ておるのですから、最小限度必要な経費をもってまかなっていく、こういうことでございます。

石山權作日本社会党

○石山委員 これはいろいろな考え方があると思います。たとえば社会党が反対をしておる。これは約百六十名にすぎない政治結社でございますが、しかしこの背後には何千万の支持をいたしている国民がいるわけです。この国民の声をわれわれは代表しているわけです。その声は憲法調査会の設置を認めない、こういう意見でございます。増員は認めないという意見なのです。そういう声をどういうふうに受け取ってこれをば処理なさるか。私はこの問題は——あなたたちはたとえばこれをわれわれの納得を得ないで打ち切ってやる。(発言する者あり)特に私がこう話しているとき妨害したり何かしている連中はけしからぬと思いますけれども、いずれにしましても私たちの意見はつぶされるでしょう。しかしそれはほかの問題と違って、事憲法に関する限りは、私は簡単な一つの行政事務だというふうに考えてもらっては困ると思うのです。新しい憲法は、たとえば私たちが発言している考え方を全く否定する考えがあっても、それを多数で押し切るというような格好でやってはいかぬという、個人の人格を尊厳するというやり方、これが今までの憲法と変っておる一番大きなめどだと思う。これを反対に数で押し切ってしまうというようなやり方は、事憲法の問題だけに私は政府としては慎重に考えて、この問題を受け取ってもらいたいと思う。私たちが反対をした、それを多数の横暴で打ち切ってそのまま採決するつもりか。

赤城宗徳自由民主党内閣官房長官

○赤城政府委員 憲法を改正するかしないかという問題はこれは将来の問題で、その点において御主張を通されるということはお互いけっこうなことだと思います。憲法調査会法そのものは、国民の代表である社会党の人々も入って——これは反対はしましたが、この憲法調査会の法律成立ということに参加いたしておるのでありますから、この法律は法律として御参加のもとにきまった。反対であっても御参加のもとにきまった法律であります。その法律に基いて私どもは運用いたしておるのであります。今のお話の憲法改正という問題になればまた別でありましょうけれども、今の憲法調査会そのものにつきましては御参加をいただいてきめた法律であり、そのもとに設置されておる調査会でありますから、その運営につきましては、御注意、御心配の点には十分配慮いたしますけれども、一つそういうふうに分けてお考え願いたいと思います。

石山權作日本社会党

○石山委員 その筆法でいきますと、やはり少数の意見というものは、参加しないで欠席したまま採決された場合、初めて社会党はほんとうの意味の反対ということになるわけですか。出席するといつもその構成人員の中にいるから、お前たちは会議に参加したのじゃないか、こういうふうな発言があるわけですが、どうなんですか。

赤城宗徳自由民主党内閣官房長官

○赤城政府委員 憲法調査会法そのものは議会の議決を経て、皆さん方の御反対の意見もあったでしゃうが、成立したものでありますから、そういうことでありますので、この運営については、今この法律に基いてやっておる。しかし、今のような御心配の点もありますから、実は私は社会党の方々にも、法律でできた憲法調査会というものにお入り願いたい、こういうふうにお願いしてあるのでありますが、残念ながら入っていただけないわけであります。でありまするから、今の委員の方でいろいろ研究、調査を続けていく、これ以外には方法がないわけであります。改正の問題になれば、また別の観点からいろいろ論議しなければならない問題だろうと思います。

石山權作日本社会党

○石山委員 憲法調査会設置のときは、私の方で反対討論をする、反対討論の原稿まで用意して待っていたのに、自民党の方は社会党の参加を拒んで、留守中に採決をした経緯がございます。これは間違いございません。ですから、最も大切である憲法の——改正するか改正しないかは別ですよ。改正する意図があるとわれわれは断定する、危険性がある、こういうふうな認定をされつつある調査会をかかえている自民党が、もしほんとうに大政党で、いわゆる国民に理解を——あらゆるものを求めてやるという民主主義に徹底しているとすれば、何であき巣ねらいみたいなことをやるのです。堂々とわが党の用意していた反対論をぶたせたらいいじゃございませんか。それをよく聞いて、そうして受けて立つということこそ、私は新しい政治のやり方だと思う。それは社会党は数が少いから、たまにはレジスタンスのためには、少し三十分のところを五十分ぐらいやったりするのは、これはやむ得ない現象でしょう。それをいいことにして、社会党は横暴だ。どっちが横暴だかわからない。あき巣ねらいする方が横暴なのか、けちなのかわかりませんけれども、そういうやり方で憲法問題をいじるということは、私は非常に危険だと思う。自衛隊なんかもあの通り、警察から予備隊だなんだというふうに既成事実を作っていく手口ですが、中立で事実問題を精密に検査をするのだ、こういう建前でできた憲法調査会であっても、意図するものがあって、そしてそれを静かに静かに秘密裏に持っていけば、これは改憲にも——しかも岸さんが考えているように、憲法九条を主体にしたやり方で持っていくということになりかねないわけです。社会党では、どうせこんなようなものは反対したのだから、数々申し述べるのも不愉快なんです。不愉快だけれども、私はやはり曲げてもらっては困るという気持はある。できたものを曲げてもらっては困る。既成事実でございますから、これをひっくり返すといっても、なかなかわれわれの力で今ひっくり返すことはできない。せめてもの抵抗と願いは、曲げてはいかぬということなんです。これを私たちは一つの考え方にしているわけです。  ところで憲法の問題と関連したことで、長官がたまたま今朝おいでになったことですから、申し上げたい点がございます。それはたとえば内閣の意見としていろいろ話す場合があります。特に幅をきかす場合もある。せんだってもあなたの発言している内容の中で、警職法に反対している労働組合の行動に対して、行動を起すか起さないかまだ未決定なうちに、行き過ぎは断固として取り締る、こういうことを言っておられるわけです。内閣を代表するからそういうことをおっしゃるだろうと思うけれども、やるかやらないかわからないうちに事前に、断固として取り締まるとばかり言っているというのは、どんなものございましょう。警職法はあなたの方では、何にも予備知識を与えないでぽんと出した。労働組合はガラスの中でいろいろなことを討議するから、あなたの方では事前にわかるかもしれません。わかっているでしょう。だからあんなことを言うのかもわかりませんけれども、事を起さない前に、重要な地位にある人がさもさもらしく発言するということは、これは弾圧でございましょう。弾圧と考えませんか。事を起さない、時日も組合としては確実に決定されておらない。その場合において断固として断固として、法に照らしてやるとか、これは私はちょっとあなたに似合わしからぬ考え方だと思う。あなたならば保守党のうちでも最近の新しい政治観念というのは御理解いただけると思うのです。新しい最近の道徳というものは何にもないのです。個人を大切にせいというのです。近代のメカニズム、政治体制のがんとしたコンクリートにもなりかねない巨大な機構に対して、個人がともすればつぶされてなくなってしまう。波の間にあっぷあっぷしてしまうというのが個人の状態なんです。これを守っていただくということは政治家の任務だと思うのです。保守党の連中は私の言うことをみな笑って聞いているだけで、一生懸命、私のようにまじめな考え方を、大体ちゃらんぽらんに考えておる。政治はちゃらんぽらんでできないと思う。

内海安吉自由民主党

○内海委員長 ちょっと申し上げますが、なるべく感情と御議論にわたらぬように、御質問の要点に触れていただきたいと思います。

石山權作日本社会党

○石山委員 委員長の言うことはよくわかりますが、事憲法論というものはやむを得ないのです、万般にわたる問題でございますから。それから私は官房長官にも私の意見を聞いていただくと同時に、やはり与党の内閣委員の方々にも聞いていただかなければ困ると思うのです。聞かないものですから、私少々くどく意見を交えながら言っておることも、委員長に理解していただかなければいけないと思うのです。  それは別にして申し上げますが、個人の立場というものは弱いものでございます。ですからあなたが高いところに立って労働組合を云々ということは、やはり一つの弾圧の形だと思うのですが、一つそれを今度からおやめになるというようなことは言えませんか。

赤城宗徳自由民主党内閣官房長官

○赤城政府委員 石山さんはちょっと心得違いしておられるように思うのです。私は労働組合を弾固取り締るなんということを言ったことは一度もありません。それからまた新聞に出ていたでしょうけれども、十一月五日に政治ストというものがあるということは大体公知の事実でございます。そういう場合において汽車がとまったりあるいは電信電話がとまったり、社会不安が生じては困るから、それに対しては社会不安ができないように対処するように、こういうことは当局に対しても私は注意を与えておるわけであります。労働運動を弾圧する、断固取り締るなんということは私は一回も言ったことはありませんし、どこから見ても労働運動を取り締るなんということは考えらるべき問題ではありません。でありますから、ちょっと心得違いで御質問があったように考えております。その点は一つ御了承願います。

石山權作日本社会党

○石山委員 私は官房長官がそう言ってくれるだろうと思って期待しておりました。ただあなたの労働組合の今回の動きが政治ストであるという、これはやはりもう少し御研究していただかなければ困ると思うのです。今の労働組合大衆運動、これは社会党も含めた国民運動と名づけてもいいものでございますが、これは何と申しますか、追い詰められた形で問題を進めていっているということですよ。自衛手段なんですよ。労働組合などは特に警職法なんというものが出たならば、これがもし通ったならば、全く労働組合としては、今までの十数年間にわたる慣行が一挙といっていいほど変ってしまわなければならぬ。労使がうまくいけ、皆さんもよくそう言っておる。労使はうまくやって、日本の産業が繁栄するように協力してやれ、こう言っているわけでしょう。われわれもそうだと思う。なるべく協力してやりたいと思うが、協力できないような形で資本家が押し込めているわけでしょう。それを保護するように皆さんの方では公務員法の改正は行わない、ILOの批准はしない、あるいは王子の組合のようにオープン・ショップにするというように切り込んでくる。これは全く労働組合としては押し込められた形で問題は進んでいるわけでございます。そこへ不況のあらしだ、そこへ今度は警職法だ、これでは労働組合としては、大きな団体と手を結んで、どうしても現実を守らなければならないというやり方で動くことは、やむを得ない現象だと思うのですよ。自分を守るのでございますから……。これを何か大きな目的を持って現実をひっくり返すような格好で行動を起していく、こういうふうに御認定になるから、政治的動きだというふうに労働組合を見ると思うのですが、これは違うのですよ。そういうふうにひっくり返すというのじゃなつい。やっと両手をもってとどめているというのが今の現実ではありませんか。これは政治ストではないのですよ。それを政治ストと見て問題を処理するとなれば、形から見れば終局的にはあなたの方で弾圧したということになるのではございませんか。弾圧でしょう。私はそう思わざるを得ない。特に民主主義というのは、私はもたもたするのが当然だと思うのですよ。大きな経済的な問題あるいは強い法律の前に両手をふさぐのは当りまえだ。これでは私は困るからやめて下さいといって抵抗を試みるのは当りまえなんです。憲法を守らなければならないし、憲法は守り抜きましょうという総理大臣が、高い壇上から、私は改憲論者だ、こういうふうなレジスタンスを試みているわけでしょう国会においてこのレジスタンスは合法的だと言う。労働組合が道路に列を作って並べば反対だ。——警職法反対だ、賃金はもう少し値上げしてくれと叫ぶのを、これは政治的行動だ、公務員法に違反するものだ、こういう見方では私は片手落ちだと思うのですよ。そういうことのないように、あなたも考えていられるようでございますけれども、もう少し新聞発表する場合に思いやりのある、ゆとりのある言葉で、今度の警職法に関して起きる国民運動に対する政府の態度というものを発表していただければ、私は大へんよろしいと思うのです。私がそういうふうに願ったって、あなたの立場上なかなかそういうことはできないだろうということは、七分か八分わかるような気がします。ただし私はずっと前からつき合ってあなたを知っているのでございますが、ほんとうに保守党の中では、まじめに百姓の生活を考え、中小企業の生活を考え、また割合に農民運動やらを通じて労働組合までも理解しようとして努めていることを知っていますから、あなたは発表の機関に立っているから、私はあなたの良識がうまくここを切り抜けような工夫をこらしていただきたいという願いでございます。これは質問ではありません。私の願いでございます。こういうふうにして、これは憲法につながる問題ですから特に私は言うのですが、この警職法を包んだ今回の大衆運動に対してよろしく善処していただきたい、こういうふうに申し上げて終ります。

飛鳥田一雄日本社会党

○飛鳥田委員 関連して。今赤城長官は政治ストというようなことを軽々しくおっしゃったのですが、これは私非常に重大だと思います。今警察官職務執行法に対して、国民は賛否いかなる意見をも自由に表明し得る権利を私は持っていると思います。従って日本の法律によって制約をせられない限り、その表明に関する手段、方法もまた自由でなければならないと思います。その場合に労働組合の諸君は、今これを大衆集会あるいはストライキ、こういう形で表明しようとしている。これを軽々しく長官が政治ストなどということできめつけ、しかもそれをまるで違法なものであるかのごとき表現をとられることは、私は重大じゃないかと思う。一体これが政治ストであるということが、日本の中で定説として定まったものであるかどうか。私は個人としての赤城さんがそうおっしゃるのならばけっこうです。人はおのおの意見があります。だがしかし政府の要職にあられる方は、こういう問題については最高裁判所の判例なり、あるいはその他われわれが公けの機関として認定をしておるべき資料に基いておっしゃるのが当然だ、こう私は思います。それでなければ、一方的な立場に立ってあなた方は、不当に大衆運動を弾圧しているものだというように考えないわけにいかないわけです。なるほどあなた方は、今警職法を提案して通過させようと努力していらっしゃる最中ですから、そのお気持はわかります。だがしかし、やはり憲法を守る責任のあるあなた方は、そうした慎重な考慮が私はあるべきだろうと思います。一体いかなる学説に基いてこれを政治ストと断定をなすったか。世界のこの問題に対する通説はどうなっているのか、日本の通説はどうなっているのか、そういうことを一つお述べをいただきたいと思います。

赤城宗徳自由民主党内閣官房長官

○赤城政府委員 十一月五日に反対闘争を、あらゆる職場その他を通じて全国的に展開するということを私どもは承知しています。しかし実際にこのことが行われてみなければ、どういうものであるかということは申し上げることはできないと思います。ただ労働組合の運動につきましては、憲法を守らなくてはならないと同じように、労働組合法、ことに第一条とか、その他の法規において労働組合運動のあり方、これはピケを張っても違法だというようなことは私も考えていませんが、そういうような労働組合の正常なあり方というものは、やはり法治国家においては法律のもとに規定されておると思います。でありますが、そういう問題がどういうことであるかということは、現実にぶつかってみなければ、これはどうも判断は下せないと思います。でありますから、私が政治ストというような言葉を使いましたが、これは学問的な意味で申し上げたわけでありません。でありますから今お尋ねのように、政治ストということが学問的な術語になっておるか、あるいは政治ストということがどういう社会通念になっておるかというようなことにつきましては、私はよく承知しておりません。先ほど申し上げました政治ストという意味は、政治的なストという俗的に申し上げたのでありますから、学問的にどうこうということを問われれば、それは発言が軽率だった、こういうように私は考えております。

飛鳥田一雄日本社会党

○飛鳥田委員 俗な意味でお話しになったとおっしゃるのですが、政治家は片言隻語を慎しまるべきだと私は思います。このことによって一般の大衆は、ああ、赤城官房長官がああ言うのだから、おれたちが今やろうとするストライキは違法なものかもしれない、だから差し控えようなどというようなことがかりにあったとすれば、それはあなたの俗な意味で申されたことによって、大衆運動が押えられる結果を生じてしまいます。一つ十分に慎重にそうした言葉をお使いをいただくように私はお願いしたいと思います。  なおこの際私は明確に、私たちの党の立場から申し上げておきたいと存じますが、これは政治ストではありません。岸内閣打倒というようなことをスローガンに掲げてストライキをやりました場合には、あるいは疑問があるかもしれません。これは吾妻光俊さんなりその他の学者のおっしゃるところにもあります。だがしかしこの法案によって労働組合その他の団結権が侵害されると考える。そのことの当否は別でありますが、侵害されると考え、しかも今後の労働組合活動が大幅に制限されると彼らが信じ、そのことをはねのけようとしてストライキに訴えます場合には、当然労働組合法第二条の規定しておる目的の中に入るはずであります。従ってこれは警職法反対という具体的な戦いであって、この問題についての政治ストなどという定義が出てくる余地のないことを私は申し添えておきたいと思います。この問題についていろいろ議論はあると思いますが、そうした問題は法務委員会の方々に譲ります。以上です。

内海安吉自由民主党

○内海委員長 受田新吉君。

受田新吉日本社会党

○受田委員 私はこの前の委員会で、この調査会の事務量がどういうふうにふえて、従ってこれに五名の増員をきめたのかということについてお尋ねしたわけですが、大体この憲法調査会という会そのものは、社会党が反対して——長官のお説のごとく、参加はしたといっても、暁の国会で社会党欠席のままで委員会を通過させるというようなばかげた措置までとって、無理やりに通した法律なんです。従ってこういう重大な法律を、野党がこれほど反対している法律を、ことさらに事務量をふやして、そうして定員をふやすというようなこの法案を出すそのことが、私は大へん不謹慎であるといわざるを得ない。野党に対する敬意はちっとも払われていない。野党が猛烈に反対して、しかも社会党は憲法調査会を廃止する法案を出しておることを御存じですか。そうした野党がこれを廃止せよという法案を提案しておるのです。そういう重大な段階に、逆にここに定員をふやすようなばかげた法案を出すということは、はなはだ不謹慎であると思う。しかもおととしの参議院選挙には、参議院においても、憲法第九十六条の憲法改正の発議権を獲得するための三分の二以上をあなた方がよう確保しておらない。ついこの間の選挙においては、衆議院側において三分の二以上をよう確保されないのみならず、社会党が偉大な進出をして、その数は一そう縮まっておる。だから憲法改正の発議はとうてい九十六条の規定から見てもできそうもない段階ではないですか。そういう国民の審判は、一そう憲法改正の発議を押える方向に行っているときに、この憲法調査会事務局の定員をふやすようなことは、これは非常に不謹慎なことである。社会党としては非常に重大な法案です。従って私はここで今昼飯を早く食べさせろという陰の声をしきりに聞くけれども、こういう考え方でこの法案が審議されることには、強引にがんばって逆らわなければならないと思う。私はそういう意味において、時間を延長してもがまんして——今から飛鳥田君にじっくり時間をかけて討論していただくことになっておるのでありますが、どうか一つごしんぼうをいただきたい。従って私はその前提のもとに、まず赤城長官にお尋ねいたします。あなたは総理大臣にかわって御発言ができると思いますのでお尋ねしますが、社会党が憲法調査会を廃止しようという態度をもってその法案を出しているというような段階に、こうした事務局の定員をふやすというやり方などは、はなはだ不謹慎であるという私の質問にお答えをしていただきたいと思います。

赤城宗徳自由民主党内閣官房長官

○赤城政府委員 憲法を改正することで問題になっているならば、私は別だと思います。しかし先ほどから申し上げておりますように、議会において正当な手続によって成立した憲法調査会法でありまするし、憲法調査会であります。でありまするから先ほど申し上げましたように、法律を守る立場にある私どもといたしましては、できた法律を守って、そうしてその機能を十二分に発揮していきたい、十二分に発揮するためには、職員が少し足らぬから職員を少し増していきたい、当然のことであります。

受田新吉日本社会党

○受田委員 われわれの方で出した廃止法案の中には、はっきりこの憲法調査会そのものが違憲事項を掲げた法律であるということをうたっておる。そういうように、二大政党の一つが相当強い反対をしておる法案です。しかも憲法改正のための調査会でないとおっしゃっても、事実上改憲論者の筆頭の岸さんがこれを推進してきておられ、あなた方がそれを守ってきておられるような法律であるとするならば、それはだれが見ても、これは単に調査会という意味でなくして、憲法改正を意図する前提というような印象を国民に与えておるのです。いやおうなしに国民に与えておるのです。そういうときに、野党議員から出されるべき委員が参加しないような調査会には、定員をふやすというような改正措置などとらぬで、定員を現員にとどめて、つつましやかに調査を進めていくという態度が賢明な態度ではないかと私は思うのです。そこを申し上げておるのです。この調査会の出発した当時に、ちゃんとした予定のもとにあなた方の方では定数をきめられたわけです。事務職員一千万円という予算を組まれて——途中で一名増員というけしからぬ措置をとられたようですが、それにしてもとにかく一千万円で出発した調査会は、つつましくその限度でやっていくべきじゃないですか。それを一年たつかたたぬかで、すぐ事務局員をほとんど倍数にふやす。——社会党の十名の委員が参加したら、もっともっと事務量はふえるはずです。それが今おらぬのですから、当初よりもっと仕事は減っておるはずですから、事務局員をふやさないで、つつましやかに現在の定員でやっていくという態度をどうしておとりにならなかったか。私は非常に残念です、遺憾しごくです。どうぞ御答弁願いたい。

赤城宗徳自由民主党内閣官房長官

○赤城政府委員 憲法調査会を廃止するという法案につきましては、別途十二分に御審議願えることだと思います。今できておる憲法調査会におきましては、お話の通り私どももつつましやかに処置しておるのでありまして、ほんとうはもっと人員でもふやしてくれというような事務当局の要求もあったのですが、お話のようにつつましやかに最小限度に増そうということで提案しておるわけであります。という理由は、発足当時と違いまして、やはり調査を進めていきますると、思いがけないというか、もっと慎重に調査をしなければならぬという事態が出て参ります。たとえば会長の高柳氏なども、制定当時の事情を聞くというようなことでアメリカ等へも今派遣しておりますけれども、それは役員の、委員の問題であります。そういうふうに万般にわたって仕事がふえるのはいたし方ありません。発足当時よりは、調査を進めていけばやはり仕事はふえます。でありまするから、お話の気持はよくわかります。つつましやかに、これは最小限度にやっておるのでありまして、もっと必要とするのでありますけれども、これは最小限度のつつましやかな気持で出しておるということも一つ御了承願いたいと思います。

受田新吉日本社会党

○受田委員 あなたの方でつつまやしかとおっしゃっても、出発当時はこれだけでいいということで七人と定数をきめられたのですよ。そのときの構想の中には、社会党の十名の委員が入ることになっておったのですが、その十名が入っていない。欠員のままで調査が進められているわけです。だから事務量は減っているはずです。むしろ私は定数を減らす法案が出るかと思って期待しておった。ところが逆にふえる法案です。そんなにあわてて、急いで大じかけな調査をするような、それほどの構想は初めなかったわけです。従ってあなた方が突然変異で、途中からそういうことをどんどんおきめになるということになれば——しかもこの法案が与野党全会一致できめられた法律ならいいです。国民の非常な反対、選挙のつど、この間の選挙もその前の選挙も、憲法改正の発議はできないという国民の審判が下っている段階で、事務量をふやして職員をふやすというやり方は不謹慎だ。私はこういう問題になっておる法律の施行またはその改正というようなことは、よほど慎重を期さなければならぬと思う。これは政治的な意図からいっても、あなた方は配慮しなければならなかったと思う。赤城さんのような人格の高い——与野党ともあなたのお人柄は認めておるのですから、そういう方によって、私は事務局長を押えるくらいの努力をしていただきたかったのです。非常に残念です。私はもうそれ以上答弁をあなたに要求をしませんが、問題は、これは単なる事務局職員をふやすということだけでなく、非常に根本的に大きな問題があることをお考え願いたいのです。  それからもう一つお尋ねを申し上げておきたいのは、憲法九十九条の憲法を尊重し擁護する義務規定です。これに対しては、当然総理の御答弁の必要がある問題でありますが、長官は今代弁していただくべき位置にあられる方で、お願いしたいのですが、大体憲法は昭和二十一年十一月三日に公布されたのですから、ちょうど満十二年が明後日なんですね。そういう歴史の日が目の前に迫っているわけです。そういう公布記念日とかあるいは五月三日の憲法記念日とか、こういう記念日を大いにたたえて、新憲法の精神を普及するための努力が、やはり憲法九十九条の尊重及び擁護義務規定に該当すると思うのです。ところが、政府は改正のための空気は巻き起しておるけれども、調査会は拡充強化しておるけれども、新憲法を擁護し尊重するという義務になぞろうたような措置をしておられません。新憲法を実施されて五年目までは、毎年々々憲法公布記念日、発布記念日というのがずっと行われておりまして、最初は憲法普及会をおい立ちとして、最初五十万円ですか、国庫補助があって以来、非常に熱心に吉田内閣、片山内閣、芦田内閣においてこれが継承されてきた。新しい憲法の精神がまだ十分普及徹底していない段階で、途中から——特に鳩山さんまでは、憲法記念日などには講演会をやるとか、何かの措置を多少とられておるが、岸内閣になってから、去年もことしも、憲法記念日に当って何らの措置をしておらぬ。何か会議をされたときに、憲法記念日を大いに盛大にやろうというような意見が出たそうですけれども、こういう調査会が行われ、憲法改正論も行われておるときには問題だというので、とうとう国民の祝日である憲法記念日にも、何らの措置をしておりません。文部省あるいは総理府その他から、新憲法の精神を普及するために、各学校とか官庁とか団体とか、そういうところに対して、憲法の精神を普及せよという通達も出しておりません。新憲法はあってなきがごとく、これをたなに上げておいて、改正論をどんどん唱えておるということは、憲法九十九条の精神からいって、これはとんでもない精神だ。私はそういう意味から、新憲法の擁護とそれを尊重する義務を有する政府が、国務大臣が——ちゃんと国務大臣と書いてある。なぜ憲法の精神を普及、浸透させるための措置をとらないのですか。国民の祝日として、国をあげて祝う祝日の中に憲法記念日があるのに、その日のために通達をなげ出さないのです。こどもの日、成人の日には、文部省からこのような行事をやれと通知を出しておる。憲法記念日には何ら通達を出しておらぬ。何ら政府自身が主催した会合がない。憲法記念日は全く忘れ去られたごとき記念日になっておるじゃありませんか。これをもって憲法九十九条の擁護、尊重をする義務を有する政府といえますか。御答弁願いたい。

赤城宗徳自由民主党内閣官房長官

○赤城政府委員 その普及の行事をしないから、憲法九十九条の擁護の義務を果していないという御議論は、少し飛び離れているかと思います。私どもはその行事いかんにかかわらず、憲法を擁護し、憲法を順守するという気持は強く持っておるわけであります。しかしいろいろ御注意の点もありましたので、その点はよく考慮いたします。

受田新吉日本社会党

○受田委員 昨年岸総理はこの委員会で、憲法記念日には何とかそういうこともしたいという発言をされておる。ところが実際その日になってみると、閣議でいろいろ意見が出て、ついに結論に至らなかったということは、新聞にも報道されておる。そういうところを見ると——大体あなたは、具体的に何かなされないと尊重されたとは言えないのだという議論は浮いておるということをおっしゃったけれども、実際は、心に思うたことは色に出るものです。形の上に何か現われなければ尊重したと言えません。ほかの祝日には、それぞれちゃんとした通達を出しているのです。厚生省、文部省の通達を見て下さい。各学校には必ず、こういう基準で行事をやってくれという通達が行っている。ところが憲法の記念日には何らそれをやっていない。最初のころは、吉田内閣のころはやっておった。鳩山内閣も一部やった。ところが岸内閣になってからは、これは一切まっぴらだという態度に変っておるのです。憲法を尊重するという政府であるならば、現憲法の精神をいかに普及徹底させるかという行事を行うぐらいのことは、やってもいいじゃないですか。末端にもそういうことに対する通達ぐらい出してもいいじゃないですか。憲法記念日というものを全然忘れているじゃないですか。私はそこを申し上げる。思うことは形の上に現われる。政府は憲法九十九条の尊重義務と擁護義務を何らかの形で果してくれるのだと、国民が納得するだけの何らの形もないじゃないですか。形を一つ現わしてもらいたい。

赤城宗徳自由民主党内閣官房長官

○赤城政府委員 お話のように新憲法制定から、その普及徹底につきましては、相当力をいたしてきておったのであります。でありますので最近におきましては、何か政府からそういうことを押しつけるというようなこともどうか、民間から、憲法が大事であるということ、憲法を守っていこうという機運が出た方がよかろうというようなことで、政府がイニシアチブをとって行事をすることは差し控えた、こういうふうに私は了解しておるのであります。

受田新吉日本社会党

○受田委員 そうじゃないのです。それこそ浮いたお考え、お説です。それは不謹慎です。とにかく憲法もだいぶ浸透したから、今さら政府がこれにハッパをかける必要はない。そんなくらいなら、憲法記念日はやめたらいい。憲法記念日は要りません。憲法は浸透したからもう必要はない、こういうことになってしまう。そういうような理論は成り立たないと思う。とにかく憲法記念日という日を契機にして、できるだけ新しい憲法の精神を普及徹底させ、憲法擁護の国民的な信念を植えつけるという努力は、常にそのときどきの政府が継承しなければならぬのです。政府は何ら新憲法擁護の普及徹底のための努力をしていないじゃないですか。もし努力しておられる具体的なものがあれば、副長官でもいい。副長官は自治庁の責任ある地位にあって、地方自治体に対してどういうような態度で、憲法普及のための努力をされたか。副長官からでもけっこうです。政府の具体的に形の上に現われた、憲法擁護、憲法尊重のそういうものがあるならば、お示し願いたい。

鈴木俊一内閣官房副長官

○鈴木(俊)政府委員 私今御指摘になりましたような事柄について、具体的には記憶いたしておりませんが、地方は地方で、それぞれの団体が民間の事業としてやっておるところもあろうかと思いますし、自治体におきましてもやっているところがあろうかと思います。全部が全部やっておりますかどうか、それはちょっとわかりません。

受田新吉日本社会党

○受田委員 今御答弁のようなことで、ほとんどやっておりません。そこでわれわれの民主的な団体が、憲法擁護の国民運動などを通じてこれを盛り上げているということで、辛うじて新憲法の浸透が末端にされておるのです。この憲法九十九条の大事な問題を、責任ある政府が何らやっておらぬということに問題があるのです。赤城さん、あなた一つ閣議——去年せっかくここで総理が、何とか記念行事をしたいと言われたのですか、途中で何か変な声が出て、とうとうやめられた。去年にちょうど憲法十周年記念日であったが、その努力もされていない。一方で改正論を唱えるのもいいです。改正論にちゃんと形を変えて、新憲法擁護の精神などというものは、普及する努力を全然されない。むしろ改正意見を国民の上にふわっと浸透させる努力をされておる。そこに今政府の大きな矛盾があるのです。だからこの憲法の尊重擁護の九十九条の義務規定、いかに尊重するかを形の上にどう現わしたらいいかを、一つ具体的に再検討してもらいたい。そうしてわれわれは今回具体的にかような態度をきめたということを、ごく近い機会にお示しいただきたいということを要求いたしまして、私の質問を終ります。

内海安吉自由民主党

○内海委員長 ほかに御質疑はありませんか。——質疑はないようでありますので、本案に関する質疑はこれにて終了いたしました。  これより本案についての討論に入ります。討論の通告がありますのでこれを許します。飛鳥田一雄君。

飛鳥田一雄日本社会党

○飛鳥田委員 日本社会党を代表いたしまして、この本案について反対の意見を述べたいと思います。この法案のもとをなしております憲法調査会が設立をせられますときに、私たちは猛烈なる反対をいたしました。その理由をここで繰り返す必要はなかろうかと存じますが、しかし根本的にいってこの憲法調査会は少くとも内閣に置かるべきものではない。国会が憲法によってその改正を発議し、これを提案する権限がある以上、いやしくも改正の発議に関連をすべきこの調査会が、内閣に直属をするということは違憲ではなかろうか、こういう考え方を持ち、同時になぜこれを国会に置かずして内閣に置くかということについて、われわれの考え方を述べたのであります。すなわち、内閣に置くことによってこの憲法調査会の性格が、そしてその利用の方向がおのずから推察をせられるのではなかろうか。岸内閣が持っている、あるいは保守党内閣が持っている政治的な意図、すなわち日本をして再びフアッショ的な戦争への道を歩ませようとする意図が、やがては憲法第九条の改正となり、この憲法九条を改正するために国民の世論を方向づけていく一つの手段としてこれを内閣に置く、こういうことが便利なのであろう、しかしこのようなことが日本国憲法に照らしてみて正しいものであるとは、われわれはとうてい思えないということを申し上げたはずであります。幸いにしてこの憲法調査会は、日本のかなりの俊英の学者がお集まりになったようであります。そしていろいろの御研究がなされたようであります。私たちはその一つ一つの調査、御研究の学問的な価値を全然否定するつもりはございません。だがしかし、ここにやはり一つの悲劇を見ないわけにいかないのであります。独立であるべき、しかも主観的には非常に独立を主張しておらるる学者の諸公が、大きな政治的な流れの中で保守党政府の意図に利用せられておるという悲劇をここに発見いたします。われわれが憂えましたことは、現にその後しばしば具体的な事実となって現われてきた。すなわち、日本の自衛隊は次第に単なる警察予備隊から発足をして軍隊と名づくべきものとなり、しかもこの軍隊と名づくべきものは自衛権ありと称する解釈によってさらに勇気づけられ、やがでは最近に至っては集団的自衛権ありとさえ議論をせられている。こうして安全保障条約の改定をめぐって、日本はやがてその将来を確定されるであろう、その将来はアメリカと日本とが組んで滅亡のふちへと進んでいく道であると私たちは考えます。このような事実が平然と行われている。そして海外派兵すら現に行われようといたしつつある。沖縄に対して兵を送ることは海外派兵でないなどという形であります。これは明らかに憲法の実質を突きくずしていくものだと言わなければなりません。言葉のみを残し、その実質を虫ばもうとする行為であります。こういう行為、さらには誤訳であるとおっしゃるけれども、NBC放送のセシル・ブラウン記者に対する岸さんの談話、それを追及せられるや本会議場において私は改憲論者であると居直る態度、しかも改憲論者であるというのならば、どことどこを改正するつもりだといえば、憲法調査会の調査の結果に待ちます、こういうふうに述べられる。一方においては改憲論者とし、日本の運命を定めるべきことを勝手にどしどし縦横自在にやっておきながら、いざ国民が憲法改正の問題に触れて参りますと、片一方では憲法調査会の調査の結果に待ちますとおっしゃって隠れてしまう。これではお一方お一方の学者の良心、主観、こういうものを利用して、岸さんが自分の政治的な立場を実現していくための道具にしていることではないだろうか、こうなって参りますと、私たちがこの憲法調査会設立の冒頭においておそれとして述べたことが、今や現実となりつつある、こう言わなければなりません。しかもわれわれの尊敬する幾多の学者諸公の学問的な業績とは別に、大きな政治的流れの中で利用されている、こう言わなければなりません。私たちはこういう点を考えて参りますと、この法案がわずか五人かそこらの調査員をふやす、こういう問題にとどまるとは考えられないのであります。そうした意味で私たちはこの法案について全面的に反対せざるを得ない、こう申し上げざるを得ないのであります。  今回の警察官職務執行法の御提案の問題にいたしましても、当然これが憲法に違反するという考え方を持っておられる方が数多くあります。政治学会の諸公は全会一致で憲法違反を決議せられました。憲法研究会の皆さん方もしかりであります。各大学の教授連も寄られまして、それぞれの形でその反対決議に署名をせられました。言ってみますならば日本のほぼ全学者をあげて反対をする、こういう形態が出、しかもその理由とするところは憲法違反であります。また主婦連合会あるいは婦人有権者同盟、YWCA、こういう婦人からの反対の声も非常に強うございます。その理由とするところもまた憲法違反であります。このような、少くとも日本国民の大部分といって過言でない人々が憲法違反と考えられる事実を平然と出し、片一方において憲法調査会の事務職員を増してくれなどという御要求は、精神分裂ではなかろうか、こういう感じがいたすのであります。私たちはこのような精神分裂的な法案に、どのようなことがあろうとも賛成することはできない、こう言わざるを得ないのであります。  あまり長く討論をいたしますことは、皆さん方のお腹もすいていらっしゃるそうでありますから差し控えますが、わが党はこの際断固とした態度をとってこの法案に反対をいたすということだけを、全委員諸公に御銘記をいただきたいと思います。以上であります。(拍手)

内海安吉自由民主党

○内海委員長 次に平井義一君。

平井義一自由民主党

○平井委員 私は自由民主党を代表いたしまして、本案に賛意を表せんとするものであります。  現在の憲法は占領下に制定せられたということは、日本国民のみならず、全世界の国民が知っておるのであります。当時憲法起草委員が、マッカーサー元帥によって泣く泣く受諾をされたということもわれわれは耳にしておるのであります。また昭和二十二年の憲法の実施に対しまして、当時、今はなくなっておられませんが、共産党の徳田球一氏が本会議におきまして、マッカーサーの作った、押しつけた憲法をどうして受諾したかと鋭く吉田内閣に迫ったことも、私の記憶に新しいところであります。また社会党の方々の中にも、この憲法はマッカーサー憲法である、これを受諾するとはけしからぬ、実施してはならぬという人もなきにしもあらずであったことは、私の記憶に新しいところでございます。そこで憲法調査会ができて、問題点を調査することは当然の使命であろうと私は考えておるのであります。社会党が誤解をされておるか曲解をされておるか知りませんけれども、憲法調査会というものは憲法改正を前提としてはおりません。これはあくまでも超党派的でなければならぬ。しかも全国民の立場から諸問題を検討していく、調査していくことは、国民として当然のことである。国民の意思によって作られた憲法ならば社会党さんの言う通りでございます。この調査会は、憲法記念日に運動会がやられたか、国民がみな善ぶか、あるいは日の丸を出さないか、こういうことも調査するのであります。いろいろな点から今日の憲法を国民が擁護しておるかどうか、あるいはどういう点が国民に喜ばれてないのか、こういう点も研究していく、これが私は調査会の使命であろうと思います。岸総理初め政府の当局のしばしば委員会その他で答弁をされておることで明瞭でございます。  この調査会が昨年制定されましてから、総会を開くことすでに十九回に及んでおります。その間憲法制定の経過に関していろいろ調査を進めておる。今日までは主として、この憲法は占領下において作られたので、国民の意思であったかないか、この制定の経過を中心として進められておる。また本年の一月からは小委員会を設けて、だんだん広く問題を取り扱って調査を続けておる。従いまして事務量がふえるということは当然でございます。そういう事情から、事務員をもう少しふやして事務の円滑化をはかるということは、これまた私は当然のことであると思います。そういう点から見まして、事務費も増額するということで、反対でございましょうけれども、本案の骨子というものは決してむちゃくちゃに人をふやすということではないのであります。事務量がふえるからこれに従って事務員をふやす、また憲法を改正するかどうか、そういう点を研究するのでございますから、社会党も国民の名において参加をしていただきたい、これを心から私はお願いするわけであります。従いまして、本案は適切妥当なものとわれわれは信じまして、賛成をする次第でございます。(拍手)

内海安吉自由民主党

○内海委員長 これにて討論は終局いたしました。  これより憲法調査会法の一部を改正する法律案について採決いたします。本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕

内海安吉自由民主党

○内海委員長 起立多数。よって本案は原案の通り可決いたしました。  なお、本案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

内海安吉自由民主党

○内海委員長 御異議なしと認めます。よってそのように決しました。  次会は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。     午後零時四十五分散会      ————◇—————

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