逓信委員会 第2号
- 発言数
- 72 件
- 登壇者
- 8 名
- 会派数
- 1
- 開催日
- 1958/10/15
会議録
○淺香委員長 これより会議を開きます。 放送法の一部を改正する法律案を議題とし、審査を進めます。 この前の郵政大臣の提案理由に対し、濱田電波監理局長より補足説明をしたいとの申し出がありますので、これを許します。濱田電波監理局長。
○濱田政府委員 放送法につきましては、過去数年にわたりましてその改正が論議せられましたが、各方面の意見等を総合いたしまして、第二十八国会におきまして審議未了となりましたこのもとの案につきまして、若干の修正を加えまして、今回御審議をお願いすることになつたわけであります。 この改正の趣旨をごく簡単に申し上げますと、電波科学、放送技術の非常なる進歩発展に伴いまして、御承知のように今日白黒テレビジョンが非常な勢いで普及をいたしておりますし、やがてカラー・テレビジョンの実施等につきましても考慮がなされております現在におきまして、今より八年前に作られました放送法は今日の情勢にそぐわないものがいろいろあるということを感ずるわけでありますので、これにつきまして必要な改正を行おうとするものであります。この放送法なるものは、かような日進月歩の電波科学技術の進展に伴いますために、今日完全無欠な改正を行なつてしまうということは考えられないのでありまして、いろいろな問題点はございますけれども、この根本的問題点は後日に残しまして、——すなわち千古不磨の大典というものを作ることは不可能でありますので、さしあたり必要な、今日の情勢に適応するような改正にとどめたいというのがその方針でございます。 さて、どういうところをなすかと申しますと、たくさんのテレビジョン放送局が免許され、たくさんのラジオ放送局ができましたにつきまして、国民が非常に懸念し、また各方面で論議せられておりますところの番組の向上適正化ということは、まず何をおいてもこの放送法において取り上げて、この向上適正化が実現するように配慮しなければなりません。そのために、いかにしたならばこの番組の向上適正化が可能であるかということにつきまして、その所要の改正をしたいというのでございまして、いささかも、言論の統制であるとか、あるいは番組の官僚統制あるいはNHKの官僚支配等は、意図しておりません。 次に、わが国には御承知のように日本放送協会と民間放送という二本建の放送の組織がありますが、このNHKなるものの性格を今よりも一そう明確に法定し、従いまして民間放送との色分けを明瞭にするために、現在の放送法できめられておりますNHKの業務、組織あるいは財務等について、若干の修正を加える必要がある。今日NHKがやつております業務にはいろいろなものがありますけれども、それにプラスしまして、こういうものを入れた方がいい。たとえばNHKは国民的な放送機関でありますがゆえに、受信料を強制契約という形式において徴収いたしておりますが、これはただにNHKの放送を実施するために必要な存在であるばかりでなく、NHKと同時に、民間放送全体のためにも存在理由があるんだという考えを実現するために、その技術研究でありますとか、あるいは放送文化の研究でありますとか、そういう研究をもつと徹底的にやる、あるいは必要がありましたならば研究の委託を受ける、あるいはその成果を一般国民に開放する、そういう措置をとることが一例でございます。かような業務の拡張をすることを考えるようにしたいということでございます。 それから、かようなNHKの業務を徹底的に行うために、現在の組織では不満足でありますから、そういう意味におきまして経営委員会の考え方を変え、組織を変える。それからその責任者の数、理事者の数を増すというふうな改正を行うということでございます。かようにいたしまして、NHKの考え方を一そう徹底化し、その任務を行うに必要な組織や業務を拡張強化するということでございます。 次に、民間放送につきましてはいろいろ問題がありますけれども、これにつきましては、なるべく自主的な運営に持つようにしなければならないという考えに基きまして、前申し上げました番組の向上適正化につきまして、NHKと同様に、番組の編集基準とかあるいは根本方針とかというものをきめるために、番組審議会というものを各放送事業者ごとに作るように、法律をもつて明定するようにしたい。これは先ほど申し上げませんでしたが、NHKの場合には、NHK全体のために中央的な存在としまして——これは国内放送でございますが、中央番組審議会というものを設けておりますが、同時に各地方に、たとえば札幌であるとか大阪、名古屋、そういう各地方の中心地に地方の番組審議会を設けまして、国民が放送を聞いて、その放送の内容を批判する、そういう窓口の役割をすると同時に、どういう番組を作つたらいいか、その基準、方針等につきまして番組審議会がそれぞれの審議をして、放送事業者に協力する。言いかえますならば、国民の声を番組審議会なる機関を通じて十分に放送に反映するようにいたすというのがこの番組審議会の構想であります。さような番組審議会を一般民間放送会社はすべて持たなければならないように明定することでございます。 それ以外には、最近放送局が諸方に作られましたために、この番組の供給に関しネット・ワークのことが議論されております。この際におきまして、ある放送会社が特定の会社からのみその番組の供給を受けなければならないというような協約を結ぶことをしないように、マス・コミュニケーションの独占を排除しなければならない、かような規定を設けるというにとどめまして、それ以上のことは大かた各民間放送会社の自主的運営にこれをまかすというふうに配慮したいというのが民間放送会社に対するところの今回の法律改正の要点でございまして、それ以上はほとんど規制は行わない。大体かような趣旨で今回の放送法の改正をいたしたい所存でございます。
○淺香委員長 これより質疑に入ります。質疑の通告があります。これを許します。秋田大助君。
○秋田委員 簡単に二、三の点をお尋ねしたいと存じますが、今度の放送法の一部を改正する法律案の目的は多々あろうと思いますが、何と申しましても放送が国民一般の思想また文化の上に非常な影響のあることは申すまでもないのでありまして、従つて放送番組の質の問題あるいはその目的等、質がいいものであり、しかもその目ざすところが適正妥当なものであるかどうかということが非常な問題でございますから、NHK、民間放送を通じまして、この放送番組の質の向上なり適正化をはかるということが改正の大目的の一つであろうと思うのであります。そこでまずNHK、民放の放送番組の現状は、何らか法による改正の措置をとる必要があるような現状であるかどうか、あればこそここにいろいろな改正もされてあると思うのでございますが、まずその点に関する政府の御所見をお伺いしたいと思います。
○廣瀬政府委員 本日は大臣が御不快で休んでおられますので、私からお答えいたします。 ただいま秋田委員の御指摘のように、今回の放送法の一部改正につきましては、放送番組の適正化、向上、改善ということが一つの大きなねらいなのでございまして、そのためにいろいろのことをやりたいということで提案をいたしたわけでございますが、これにつきましては、第一に現行法第四十四条におきまして、放送番組の編成の基準と申しますか、方針と申しますか、社会公共の福祉の増進という観点に立ちましての規定が設けてあるわけでございますけれども、ただいま電波監理局長から御説明申しましたように、相当長い期間にわたりましての経験に徴しまして、さらにもう一筋骨を入れる必要があろうということで善良な風俗というものを害してはならないということをうたうようにいたしたのでございます。 それから第二に、教養番組または教育番組並びに報道番組及び娯楽番組等を設けまして、そういう各種の番組が相互の間に調和を保つた番組の編成の仕方でなくちやならない、ことに教育番組につきましては編集及び放送のよりどころを明らかにしなければならない、かような規定を設けることにいたしたのでございます。 第三に、放送事業者はあらかじめ放送番組の種別及び放送の対象とする者に応じて放送番組の編集の基準を定めまして、これによつて放送番組の編集をしなければならないということにいたしたのでございます。 第四に、ただいま局長から御説明いたしましたように、放送番組の審議機関をNHKにおきましてもあるいは一般放送業者におきましても作つてもらいたいというようなことも規定の上で明定をいたしたのでございます。ことに協会におきましては公共放送の性質にかんがみまして、ただ中央におけるさような機関を作りますばかりでなく、地方におきましても、地方の国民の声を番組に取り入れたいという観点に立ちまして、ただいま全国に放送法の別表によりまして八地区に分ちまして中央放送局を設置いたしておりますが、大体さような地域ごとに地方の審議機関を設けるようにしたい、かように考えて番組の適正向上化をはかりたいとねらつておるわけであります。
○秋田委員 いろいろ御説明でありましたが、私のお尋ねいたしましたのはそういう規定を設けてこまかにしなければいけないようなものが現状としてあるかどうか、そういう状態にあるかどうか、その点に対する政府の御見解を問うたわけでございまして、お答えが少し私の質問の的からははずれておつたように思うのであります。繰り返してお尋ねいたしますが、そういう改正を必要とする状態にあるかどうか、この点に関する政府の御見解をお伺いいたします。
○廣瀬政府委員 先刻の御質疑に対して的をはずれた答弁をいたしましてまことに恐縮に存じておりますが、ただいま御質問の点はまことにむずかしい問題でございます。今のままでいいじやないかという御意見もございますけれども、改善をしなければならない、適正をはからなくちやならないというような御意見も多々あるようでございます。さような御意見に従つてかような改正をいたしたいと考えたわけでございます。
○秋田委員 それで放送番組の質的向上を期するために、御提案の法律案によりますれば、先ほどからも御説明のありました通り、放送事業者にそれぞれ番組審議会を設けてその良識ある判断に訴えて自主的に規制していくというお考えのようでありますが、番組審議機関を設けることはよろしいといたしましても、これが形式に流れまして、果して法案の期待するような機能を発揮して効果を上げるかどうか、上らないようなおそれはないだろうかというような点も考えられますが、そういう番組審議機関を設けても、それが単なる形式に堕さないで、その効用を発揮し得るという御自信がおありかどうかその点に関する政府の御所信を承わりたいと思います。
○廣瀬政府委員 お尋ねでございますが、一般の放送事業者に対しましては学識経験を有する者七人以上から構成される審議機関を要請いたしておりますし、NHKにおきましては十五人以上ということを考えておるのでありまして、こういうような学識経験を有する者をメンバーといたしました審議機関を作ることでありますので、放送の内容、番組が良質に向上してくるということは大いに期待ができるものだと考えておるのであります。
○秋田委員 それが形式に堕さないで、りつぱな学識経験者をもつて構成されておるから予定の機能効果を発揮し得るということでございますが、これが実際の運用上いろいろまた問題もあろうかと思います。かりにそれじや政務次官がおつしやるように効果を発揮するといたしましても、それは大体の標準を示されただけであろうと思うのです。先ほども申し上げました通り、国民の思想、文化、政治、経済あらゆる方面に非常な影響を及ぼしますから、実際の内容の具体的な取扱い方それ自身が非常に問題でありまして、大体の標準を得たからそれでよろしいというわけのものでもなかろうと思うのであります。しかしながら一方において、政府が内容にこまかにタッチされる意図もないと思います。そうなれば言論統制のおそれもまた出てくるかもしれません。そこいらは非常にむずかしいと思いますが、実際いろいろと複雑な時局になつて参りますと、いつでもこの点が問題になります。そこで、番組審議会等を設けて大体の標準は与えられておりましても、実際の運用はなかなか問題である。それは果してうまくいくだろうかどうか。またいくには、言論統制の非難を受けずして政府がこの点をうまく運用できるようにするということについて、何らかのお考えがあるかどうか。またもしこれらの放送法の規定を守らなかつた場合には、違反した場合には、どういう是正方法をおとりになるか。またこの法でもつて是正方法があるとお考えになるか。これらに対する御所見を承わりたいと思います。
○小野説明員 お答え申し上げます。先ほど、今改正案の扱いにつきまして最も重要なポイントであると思われます点につきましての御質問に対しまして、郵政省といたしましての気持は政府委員から概略お答えを申し上げたわけでありますが、何と申しましてもこの法案の取扱いはきわめてデリケートなむずかしい問題かと思うのでございます。政府が干渉するということは厳に慎しまなければなりませんし、それかといつて現在の内容をより向上させるという必要もあろうかと思いますので、その点を自主的に放送事業者が改善をはかつていくということを期しますためにはいろいろな方法がございましようが、これなら大丈夫だという方法はなかなか見つかりません。少くとも現在の放送内容につきまして改善向上を期しますために、政府も言論の圧迫でなしに干渉もいたさずに、さらに放送事業者も自主的に改善をはかつていくにはどのような方法がいいか、こういうことで現在のこの改正案に取り上げております方途は、放送事業者は自主的に番組審議会を設ける、それによつていろいろ番組編成の根本基準なり、また現実に放送業者が放送いたしております内容を十分に調べまして、それが果して放送法に明記してあります不偏不党でしかも公けの福祉に役立つような放送がなされておるかどうか、こういう面も監査する機関といたしたい、こういうことでございます。先ほどこういつた法案を提出いたさなければならないほど現状が悪いかどうかというお尋ねがありました。きわめてむずかしい御質問でありまして、この点につきましては各般のいろいろな意見も出ておりますが、どれも私どもも放送内容に一々タッチしているわけではありませんし、ばく然とながらそのような改善の方途を講ずる必要はあろう、かように考えられるわけでありまして、そのために万全を期し得る方策は何かということが、今回の改正案で取り上げました自主的に番組審議会を設けて——そこで完全にはおそらくいき得るものとは考えませんが、現状を改善するに役立つ方途ではあろう、かように考えているわけであります。要はこの審議会の構成なり——この点にも政府は全然タッチするわけでもございません、そういつた構成、運用その面にかかつているわけでありまして、何がしか改善に役立つことであろう、こういう期待を持つているというような状況でございます。少くとも教育放送の拡充が必要だと叫ばれる向きもありますが、この中の放送の内容につきましては、何が教育であり、何が娯楽番組であり、何が教養に役立つものであるかということは、これは明らかに教育である、これは娯楽の分野である、これは教養の分野であると明確に観念し得るものもございますが、その限界はきわめて微妙なむずかしいものがあるのでありまして、個人的な判断をもつてこれをやりましては独断になる危険が多分にある。そういう面をいろいろな方面から集まられた方々がきわめて自主的に、しかも民主的に判断されまして検討された結果は、審議するに足るものがあるのじやないか、かような考えをもつて提案をいたしているわけであります。
○秋田委員 ただいまお尋ねいたしました点について私にも多少の意見もございますが、とにかくこれは自主的にやつてもらわなければならない問題でございますから、またNHK当局等にもいずれ伺つてみたいと思いますが、放送法の改正について一番問題になるのは、言論統制になるかならないかという点でございます。この点に関してことに放送事業者が神経をとがらして問題にいたしております点は、例の大臣が放送事業者から業務に関する報告を徴し得る規定でございます。今回の改正案にもこれが残つているようでありますが、これには「放送法の施行に必要な限度において」という前提と、「政令の定めるところにより、」という条件がついておりますが、ここがやはり問題であろうと思うのであります。政府はどういう事項について報告を求める御意向であるか、つまり政令の内容について、具体的でなくても大体の構想を承わりたいと思うのであります。
○濱田政府委員 放送事業者から報告を徴し得る事項でありますが、これは番組はむろん入つておりません。それから財務も入つておりません。たとえば審議会が作られたかとか、作られました審議会の内容であるとか、そういうような放送事業運営についての、番組、財務以外の諸事項であろう、かように考えております。
○秋田委員 その点についても、またの機会にもう少し詳しく承りたいと思いますが、きようは大体の問題点について洗つておきたいと思うのであります。「一般放送事業者は、学校向けの教育番組の放送を行う場合には、その放送番組に学校教育の妨げになると認められる広告を含めてはならない。」という規定があります。これが新しく設けられておりますが、それじやどういう広告が教育の妨げになるか、ならないか、その認定がなかなかむずかしい問題であろうと思うのであります。どういう事態を政府は御想像になつておるか、またどういうものが教育の妨げになる広告であり、どういうものが教育の妨げにならない広告であるか、どういうように考えておられるのでありますか、そこらを少し具体的に伺いたいと思います。
○濱田政府委員 どういうものが教育の妨げにならないか、なるかという問題につきましては、具体的の例を今日はつきり出してみませんと、非常に判定困難であろうと思うのであります。かような問題につきましては、これから作られます番組審議会の審議事項の重要なものとして、この審議会におきまして具体的な番組を考えていただきまして、だんだんと具体的に基準等をきめていただく、それ以外に方法はない、かようにただいま考えております。
○秋田委員 今回の改正で国際放送がNHKの業務の一つに明確に加えられる規定をされておる。この規定は、国際放送なるものがNHKだけしかできないのか、民間放送はやつちやいけないのだという趣旨であるかどうか、私は必ずしも民間放送は国際放送の分野に進んではいけないのだというふうに考える必要はないんじやなかろうか。いろいろ問題もありましようが、日本は貿易で国を立てなければいかぬというようなことも言われておる。そういう点も考えてみますと、民間放送がある基準と申しますか、標準を自主的に守つていくならば、国際放送の分野に進むことを許してもいいんじやないか、またそれによつて国のためにもいろいろ役立つことがありはしないか、国際放送だからといつて門戸をNHKだけに限つて、民間放送を締め出すということは大いに考うべき余地があるんじやなかろうか。私は今回のこの改正法律案の趣旨は、国際放送に関してはNHKだけがやれるのだという趣旨では必ずしもないと思うのでありますが、その点に関する政府の見解を承わりたいと思います。
○廣瀬政府委員 ただいまの国際放送の問題は、これまたまことに重要な私どもの論議の対象であつたわけでございますが、この法規の上では必ずしもNHK以外は国際放送をやつてはならないというようなことにも解釈ができないんじやないかと思うのでございますけれども、これははつきりした政府の統一した見解ではございませんで、私の私見も多少まじつておるかもしれませんが、なるほど民間の一般放送事業者が宣伝、広告というようなことで国際的に放送をするというようなことも、日本の貿易の振興上から考えられないことはないのでございますけれども、国際放送のねらいというのは、国際親善あるいは在外同胞に慰楽を与えるということが大きな使命じやないかと思うのであります。従つて非常に国際的な微妙な関係の放送でございますので、一つの国からは一つの口で放送するということが最も望ましいように考えております。諸外国の例を見ましても、国際放送は主として政府がやつておるようでございます。そこで私どもといたしましては、もつぱら国際放送はNHKがやるんだというような考え方が正しいんじやないかと思つておりますけれども、法律の解釈は必ずしも絶対に民間の放送事業者はできないというような規定じやないと私も考えております。
○淺香委員長 関連質問を許します。原健三郎君。
○原(健)委員 さいぜんから政府の答弁を聞いておると、改正の理由は何かと聞くと、ばく然たる理由でございますがというようなことを言われる。その改正の効果は何か、これもまた何がしかの向上の利益があろうと思うという、きわめてばく然たる理由だ。こんなことなら初めから改正なんかやらぬで、やめた方がいいと思うのですが、どうですか。
○廣瀬政府委員 先般のこの委員会でも、大臣から提案理由を御説明いたしましたし、ぎようも劈頭に局長からさらに重ねて少し詳しく御説明いたしましたし、また御質疑に応じて答弁もいたしておりますように、放送法の改正の必要があるんだということを強く私どもは考えて提案をいたしたわけでございまして、皆さん方の十分なる御審議をいただきまして、ぜひともこの改正案が通りますように御協力願いたいと思うのでございます。
○原(健)委員 政務次官はきわめて必要だと言うが、さいぜんからの答弁をいろいろ聞いておつても、たとえば番組の審議会をこしらえてすべてはそれにまかすのである、そんなことくらいで特別に顕著なる効果が上るとは僕は思わない。しかもいろいろ問題がある、言論統制になつてくる、政府がそんなところに出しやばつてくる等々、いろいろ疑義があるんだから、この際こんなものはやめておいたらどうかと思うが、いかがでしよう。
○濱田政府委員 放送法の問題は、先刻申し上げました通り、非常に込み入つたむずかしい問題をたくさん含んでおります。この改正に当りましては、根本的に徹底的に改正するのがいいという議論もございます。私どももかようにしたいという希望、考えを持ちまして、いろいろ検討したのでありますけれども、御承知のように、この放送なるものは日進月歩、非常に急激な発展を示しておりますために、今日の段階においては根本的にこれを改正することはどうしても困難である、といつて現行のままで置くことは、これは不得策であるという結論を得ましたので、この根本的の問題、たとえばNHKの受信料の問題でありますとか、あるいは先ほどの国際放送の問題でありますとか、いろいろ根本的な問題がございますけれども、これらはなるべく早い機会に根本的な研究を遂げまして、そして将来長い間変えないでもいいような法律に仕上げたいというのが希望でございます。しかしながら今申し上げましたように、この法律は八年前の昭和二十五年に作られました法律でございまして、今日かように放送事業が発展いたしましたこの情勢においては、どうしても最低限の改正を行う必要がある、そういう結論に達しました。まず一番大事な問題は何かと申しますと、世上論議されますところの番組向上の問題である。これは現在の放送法第一条あるいは第三条に記載されました表現の自由、編集の自由ということと背馳しない範囲において、何とかしてこの法律でうたわなければならないだろう、大方の協力を得てこの重大な放送法を改正する必要がある、公共の福祉のためにこの放送がよい効果を生むようにともかく努力をしなければならない、そういう結論を持ちまして、かように考えて御提案を申し上げた次第であります。
○原(健)委員 私が申し上げたい点は、そんなら現在の放送をやつておるものは非常な害悪を流しておるかというとそうでもない。ほんのちよつぴり何とか改正してみたいと、こう言う。しかも根本的なものはない。そういう中途半端なものなら、今大害悪はないのだから、もう少し時期を待つて、よく醗酵し、よく煮詰め、よく研究してから出しても決しておそくはない、こう考えるのであります。今の局長の話だと、NHKの受信料の点は将来考えると言うが、今受信料という料金を強制的に取つておる。これなどは——税金は取られますが、税金以外に強制的に取られるものが何かあるか、それを一ぺんお教え願いたい。
○濱田政府委員 現在のNHKの受信料なるものは、協会の放送を受信できる装置を持つたものは、協会と契約を行わなければならないという強制契約のようなものであります。それ以外に、たとえばイギリスのBBCのごときは免許料というものをとつております。これは受信機を買いますと、その受信機を使うための使用料、免許料、ライセンス・フィーというようなものであろうと思います。あるいは税金というようなことも考えられるかもしれませんけれども、今日の日本の情勢では今しばらくこのままでいつても差しつかえはなかろうという判断で、このままにしておいて、後日に研究を残すということに考えておる次第でございます。
○原(健)委員 日本では強制的に取られるものは税金くらいで、そのほかのものはあまり取られてないように私どもは承知しておるのだけれども、こんな強制力を持つているものを法律でもつて許可しておいて——昔のNHK創設の時代なら多少勘案すべきものもあると思うが、今日これほど民間放送が発達しておるときに、同じことをやつておるのにひとりNHKだけが法律のうしろだてをもつて金を強要して取る。うちは聞いてないからと言つても無理に取る。一カ月聞いてないと言つても取る。そういうのはあまり行き過ぎでありはしないか。すみやかに受信料については自由にしてもらいたい。これは国民の声である。ひとりNHKだけが特定の、大した放送もやつていないし、今政府においては何とかNHKの性格を明確化すると言つておるが、国民の側から見ると、民間放送とNHKとが画然と区別があるという性格の明確化などは見当らない。こういうときにおいて昔取つたからその惰性でいつまでも料金を強要するがごときは、国民の側からは実際はなはだ迷惑である。これはよろしく考慮してもらいたい。これは将来はどういうふうに考えておるか伺いたい。
○廣瀬政府委員 ただいま原委員から御指摘がございました受信料の問題でございますが、これはいろいろな御議論があると思います。でありますけれども、一般の放送業者のように事業を経営して参りますにはその経費が必要なのでありまして、広告を盛んにとつてもいいということになりますと、それこそ民間の放送業者を明らかに圧迫することになりはせぬかと思うのでございます。しかもNHKは公共放送という性格を持つておりますので、やはり何らかの形によりまして、その経営のための資金を徴収し得る方途は考えてやらなければならぬと思うのであります。広告はとらずに自分で収入を上げなければならないわけなのでございますが、その受信料の徴収方法につきましては、ただいま局長が御説明いたしましたように、今度の法律の改正案におきましては全然触れておりませんけれども、将来の課題といたしまして税金というふうな方法も考えられましようし、あるいは免許料というふうな方法も考えられましようし、ただいまのように予算によつて、しかも放送法の法律によりまして受信の設備をしたそのときに契約ができまして、それに付随しまして徴収するという方法もあるわけでありまして、そういうことにつきまして、将来の課題として検討を続けて参りたいと思つております。
○原(健)委員 NHKが料金を徴収しなければならぬ、それは公共性があるからだと言われるが、ほかのものと違つてどれほど公共性を発揮しているかお聞きしたい。
○濱田政府委員 現在のNHKは現行の放送法によりましていろいろな義務あるいは任務を課せられております。たとえばNHKは全国あまねく放送を受信できるように設備しなければならないというふうな任務を持つております。ただに東京ばかりでなく津々浦々に——普通の民間事業でありますならばとうてい採算の合わないところでもこれを行わなければならない。そういうふうにいたしまして一様に放送文化の恩沢に国民が浴し得ることを確保する。そういうふうに現行の放送法は規定しております。これがNHKの性格でございます。
○原(健)委員 あなたの今の答弁は二十年か三十年前はそれでよかつた。今は、あなたがさつきから答弁しているように日進月歩、進んでおる放送だと言うから、それに対して今後どうするかということを聞いておる。二、三十年前はラジオもなかつたし放送もなかつた、だから強制料金によつて全国津々浦々にこれを聞かしてやる、それはけつこうです。そのときはそれで認められるが、いつまでもそんなことでは話にならぬ。
○濱田政府委員 先刻申し上げましたように確かに放送は日進月歩でありまして、ただいまの考えは二、三十年前の考えだというお話でございますけれども、私はさようには考えていないのであります。日本の放送の態勢は、NHKという現行の放送法できめたようなタイプのやり方、アメリカのいわゆる商業放送、この二本建をとるようにいたします。そうして両々相待つて放送文化が増進せられるように配慮したのが現行の放送法で、これができたのは昭和二十五年ごろでありますが、商業放送ができたからもう放送協会は要らないという議論にはどうしてもならない。いろいろな角度から検討しましたあげく、この両々相待つていくのが日本国民のために一番よいことであるという結論で、先ほど申し上げましたような結論になつているわけであります。
○淺香委員長 原君、ちよつと御相談しますが、関連質問でありますから、質疑の通告がだいぶありますのでその程度にしていただきたいと思います。
○原(健)委員 承知しました。今の局長の話は十年一日の答弁で、あなたは自分だけよいと思つているが、日本国民全体から言つたら、そんな役人の答弁では満足できぬ。全国民は今日強制料金を取られてはなはだ憤慨しておる。むちやくちやです。ラジオは数カ月聞いておりませんと言つても無理に取つておる。数カ月ためておいて、あるいは一年ためておいて、一ぺんに取られるので非常に迷惑をしておる。こんなことをあなたは知つているのですか、知つてないのじやないですか。
○小野説明員 原委員の御質問の御趣旨、私もよくわかるのであります。今日の程度に民間放送が育てばNHKの放送は要らないのではないか、こういう意見はなるほど起り得ると思います。しかしながら、民間放送が聴取料を取るということになるとNHKと同じような事態がここにまたできるわけであります。商業放送はスポンサーで立つていくということになりますから、内容その他の関係においてもおのずから限度があろうかと思います。NHKのような存在で、そういつたような商業的ないわゆる収入面の牽制を受けないところに初めて高度な番組を期待していいのではないかと思われるのでありまして、なるほどそのような意見が成立する余地は十分にあろうと思うのでありますが、私どもはそういう立場をとつておらないのでありまして、きわめて高度な放送内容の普及を念願するためには、民間放送のほかに今のようなNHKの存在を許容すべきである、こういう態度をとつておるわけであります。
○原(健)委員 だから、あなた言うのは、実は高度の放送をやると言つてみたり、あるいはほかの民間放送とは明確な、截然たる区別をつけてやらすと言つている。それはけつこうだが、やつてはいないじやないですか。一般の国民の側から見てそんな区別があるかということを一ぺん聞いてごらんなさい。何があるか。公共性を持たすなら、民間とは違うようにちやんとはつきりさしたらいい。僕は何もそういうふうにして両建でやるなら決してNHKの存在を頭から否定しておるのではない。内容は一緒である、公共性もない、区別が明確でない、その上に料金だけよけい取られる、それは実際困るというんです。もうちよつとやるならやるで——しかも料金が高過ぎる。なおこれを上げるというようなことも言つているらしいが、困る。そんなことはよくよく考えて、その点はもつと実のあるようにしてもらいたい。やるなら、何も口先だけで言つちやだめだ。実際は一般の国民はそういう考えを持つている。料金なんかもだんだん上げるという、しばしば今までも上げてきたが、電気料金を上げるといつても国民生活を脅かす、ラジオ放送の聴取料の強制徴収は国民生活を脅かすこと絶大であります。よくよく考えてもらいたい。その点、ただ口先だけで議論したつてだめだと言うんです。もつとしつかりやつてもらいたい。
○淺香委員長 政府側に注意しますが、原君のあれは注意なり、忠告ですが……
○小野説明員 原先生の御質問の御趣旨ごもつともでございます。私どももそのように考えまして、当初私どものそういつた意図が現実にはまだ十分ないという点もあろうかと思います。NHKに対しましては、そういつた線でより一そう勉強してもらう必要があろうと思いますので、そのような面は十分注意して運用して参りたいと思います。
○淺香委員長 佐々木盛雄君。
○佐々木(盛)委員 電波監理局長の先刻来のお話を聞いておりますと、私はこの前にこの委員会に現われてカラー・テレビの問題について質問したときにあなたがおつしやつた言葉を、私はあげ足をとるようだけれども、あなたに申し上げます。それは、あなたはカラー・テレビを国民に見せてやるんだというようなことを言つた。私は、あの言葉の中にくしくも現われたのは官僚独善だということを追及したのですが、本日あなたの意見を聞いておりますと、全く官僚独善です。これは言論の弾圧です。一体あなたの本来おやりになる仕事というものは何ですか。放送の内容にわたつてとやかく言うことがあなたの任務でありますか。あなたは電波の公平な割当をしたり、電波を公共の社合本福祉のためにサービスさせるというのがあなたの主たる任務じやないですか。放送番組をどうするのだ、こうするのだということは、少しあなたは越権のさたじやないのですか。しかもあなたに承わりますが、この放送法を見ましても、この放送法を根本からくつがえす意思はないでしよう。この放送法によつて不備な点を、あなたをして言わしめますならば、十年もたつておるんだからもう少しアップ・ツー・デートにするということなんです。しかしこの放送法の総則にうたわれた基本的な原則というものをあなた方はくつがえそうという意思ではないでしよう。もしそれをくつがえそうというならば、あなたは憲法に保障された言論の弾圧です。電波監理の技術の範疇を越えて、憲法に保障された言論の自由を干渉しようとする考え方を持つて、しかもその考え方に終始して、実に独善、そして傲岸不遜です。それじや承わりますが、この放送法の第一章の総則の中の第三条、これは放送番組編集の自由、いわば憲法に保障された基本的人権に相応する規定なんであります。これに何と書いてあるか。「放送番組は、法律に定める権限に基く場合でなければ、何人からも干渉され、又は規律されることがない。」と書いてあります。これは鉄則じやありませんか。この放送法に貫かれたところの言論の自由、思想の自由ということの鉄則がここにあるのじやないですか。それをあなたはこの鉄則をくつがえされて、そうして言論を弾圧しようという考え方じやないか。あなたがそれほどに今日の放送の状態でもつて公共の福祉、社会の安寧秩序を乱すというものがあるというならば、それを例証したらいいじやありませんか。先刻来われわれ同僚議員によつて追及されても何ら具体的な何ものもないじやありませんか。ただ自分たちの気に食わないということだけでしよう。私はジャーナリストの出身だが、おそらくはこれは与党政府においてあなた方が出されたものであるからわれわれは無条件に賛成すると思つているかもしれませんけれども、われわれの良識は党派を越えてこんなものに賛成することはできない。断じて反対です。これは明らかに言論の弾圧です。でありますから、あなたに承わりまするが、まず第一に、あなたは今言つたように、こういうプログラムの編成の指導にまで立ち入るということは少しあなたの職務の範疇から逸脱した行為であるとは良心的にお考えになりませんか。
○濱田政府委員 この前の国会における私の答弁の中にカラー・テレビの恩恵に浴せしめるというふうなことを御回答したことにつきまして、お前は官僚独善である、けしからぬというおしかりを受けました。私は官僚独善のような考えを意識的に絶対持つていないのであります。その浴せしめるという言葉は、私は役人になる前にもしばしばかような言葉を使つておつたのでありまして、浴せしめるということは……。(「浴さしてやると言つた」と呼ぶ者あり)そういう意味ではないのでありまして、誤解のないようにお願いいたします。(「速記録にある」と呼ぶ者あり)そういうふうに申したならば、私が悪かつたです。私の意図はそうでないことをここに御了解願いたいのであります。(発言する者あり)どうぞ釈明したいと思いますから申し上げさしていただきたいと思います。 さて、今回の放送法の改正案の提案に当りまして、放送番組審議会というものを持つて番組の合理化、適正化をはかるように考えておりますということを申し上げましたが、これは私一個の考えではございません。多くの人の意見を拝聴し、公聴会も開き、電波監理審議会等にも御諮問申し上げまして、いろいろの人の意見で申し上げたのでありまして、決して電波監理局の少数の意見でないということを申し上げます。私どもは、この放送法を扱うに当りましては、ただいま御指摘になりました現行の放送法第一条、第三条の精神は実にりつぱな、長く継続さるべき精神だと思うのでありまして、その精神を一点、一画もくずすことなく、強めていきたいという念願を持つてわれわれは考えていきたいということをどうか御了解願いたいと思うのであります。しかしながら先ほど来御論議になつておりまするところの番組の問題、これにつきましては、確かに二、三年前におきましては、先ほど原委員も言われましたように、NHKといえどもいろいろ批判に値するような番組があつたということを私は知つております。これは今そういう番組の内容をテープ・レコーダー等によりまして保存しておりませんから、証拠を見せろと言われましても証拠は出ませんけれども、その当時において、新聞紙上において、あるいはいろいろな会合において、いろいろな私的の談話においても、この放送についての批判はこの両三年来相当たくさんあつたということは私は多くの人は知つていると思うのでありまして、これにつきまして政府は何らこれに干渉しそうであつても政府の側から干渉したり、あるいはあるプレッシャーをかけてこれを直させるような手だてをとろうということはごうまつも考えておりません。これは放送事業者が自主的に良心的にやるべきであるという考えでもつて、そういうことを実現する方法は一体何があるかと申しますと、多くの人の御意見を承わつたあげく番組審議会ということが一番いいのじやないかという結論に達した次第でありまして、何ら政府側から、かような放送法の精神をくつがえそうというような大それた、あるいは不届きな考えを持つものでは毛頭ないことをどうか御了解願いたいのであります。
○佐々木(盛)委員 私はきようは臨時で逓信委員になつてきたのです。私は元来この逓信関係の問題を専門に研究している男じやないのですよ。しかしこの間のカラー・テレビの問題にいたしましても、あるいは本日たまたま私は臨時にこちらの方に来たわけでありますが、この放送法の改正を見ましても、私は初めてこの提案理由の説明をあなたから承わつたのですが、聞いているうちにこれではいけないということを痛憤してついにやむを得ず立ち上らざるを得なかつた。私はこのままこの委員会を立ち去るに忍びずして立ち上つたのです。あなたのおつしやつていることは矛盾撞着あるいは独善ばかりであります。でありまするが、今NHKの問題が出ましたので、NHKと民間放送とは先刻来おつしやつたようにもう画然としておるのですが、それではNHKの問題について私申し上げます。NHKに対する番組向上の問題をあなたが御希望でありまするならば、放送法を改正する必要はごうもありません。NHKの会長は総理大臣が国会の承認を得て任命するのであります。気に食わなければやめさせればいいじやありませんか。各八人の経営委員会というものもある。この八人の経営委員会のメンバーもまた同様に国会の承認を得て総理大臣が任命するのじやありませんか。そうしてその経営委員会において業務を決定する業務の中には放送番組やその他のことが一切含まれていることは当然ではありませんか。従つて、現在ある経営委員会において番組向上の問題も当然解決し得る問題であります。ことさらにこの法律を改正する必要が一体ありますか。今の話はNHKに関することでありますよ。あなたはNHKの経営委員会では法規上所期の目的が果せないというならば、その根拠を明確にして下さい。
○濱田政府委員 NHKにはお説のごとく経営委員会があります。この経営委員会は最高の意思決定機関でありまして、同時に業務上の責任者であります。従いまして、番組につきましても責任ある機関であることは仰せの通りであります。しかしながらこの経営委員会なるものは、現行法によればかような広範な権限と責任を持つておるのでありまして、番組はその最も大きな使命でありましようけれども、毎月、毎週、あるいは毎日の番組について一々これを検討し、いい悪いを判断するような実施機関ではないのであります。むしろ最高の重大問題についてその方角をきめる意思決定機関であろう、そう考えられるわけであります。従いまして番組につきましても、今日NHKでは法定ではありませんけれども、自発的に番組審議会というものを作つて、そうして今度の改正案によりまして法定するような仕事を行いつつあります。そういうわけでありまして、これは明瞭に経営委員会と分けて考えるのが適当であろう、そう考えておる次第であります。
○佐々木(盛)委員 全くあなたの御説は筋が通りません。そんなことを私たちは承服することはできません。あなたのおつしやることは理論上筋が通らぬじやありませんか。あなたはそんなことを国会議員の前でよく平気でおつしやつておりますね。人を愚弄しておりませんか。筋が通ると思つておりますか。そんなばかな話はないじやありませんか。NHKに対する番組をあなた方が好ましいものにしたいというならば、あなた方はNHKの会長を呼んで話をすることもできるでしよう。総理大臣が連絡することもできるでしよう。その委員会というものはみな内閣や国会の承認を得ておるじやありませんか。国会の承認を得るということは、好ましからざる者は採用せぬということじやありませんか。でありまするから、できるわけじやありませんか。こまごましたところの、何日にだれを呼んで何の話をする、そんなことは別でありますけれども、基本的な方向はきまるでありましよう。ことさらに、日本放送協会に関する限りは、この放送法の改正を用いずして、あなたの願つておられます目的を達成することができる、それだけの法的根拠が十分あると私は考えるわけであります。重ねて聞きますが、いかがです。
○廣瀬政府委員 佐々木委員からおしかりをいただきましたけれども、濱田局長が国会を愚弄するとか、あるいは言論統制的な悪い意味における官僚的立場でかような法律の改正を計画しているわけでは決してないのであります。この点は御了解をいただきたいと存じます。ただいま御指摘の問題につきましては、なるほどさようなこともできないではございませんけれども、私どもの考えといたしましては、経営委員会というのはNHK運営の最高の意思決定機関でございまして、日常の業務の運営につきまして、一々タッチするわけでもございませんので、これをきわめて民主的に国民の声を聞いてそういうような番組を作りたいということで、今回番組の審議機関を設置したいという考えで提案をいたしておるわけでございます。今回の改正はその審議機関の新設ばかりでなく、他面いろいろ、あるいは業務の面からも、あるいは財政の面からも、あるいは人的機構の面からも、NHKに対しましては、公共放送という立場で検討いたしたいという意図のもとに研究を続けて参りました結果、かような法律の改正の提案をいたしておるわけなのであります。この点一つ御了承願いたいと思います。
○佐々木(盛)委員 最高の意思決定ができるものが放送の番組に対するところの指揮命令はできないのですか。どういう理論的根拠に立つているのですか。会社の社長かあるいは役員会における決定は会社の方針——業務に対する命令はできないのですか、どういうことなのですか。
○廣瀬政府委員 私の考えでは経営委員会というのはたとえば国会みたいなものでありまして、最高の意思決定機関でありますけれども、それを実際に執行しますにつきましては、各行政庁がありますように、業務の執行につきましてはNHK自体がやるのだ、かような考えを持つております。
○佐々木(盛)委員 私は承服しません。そんな論理は成り立ちません。経営委員会というものは各会社における役員会ですよ。役員会において決定し、あるいは株主総会がそれを承認したことはどんなことだつて実行できるじやありませんか。しかもそれには政府の意思の通つた、いわゆる社長さんや重役さんが任命されているのでありますから、それは私はいいのです。いいというのは、承服するわけじやないんですよ。でありまするが、私はその点は承服しないが、そんなことを幾ら押し問答しても始まらない。あなたの方の設けられる審議会というのは、私は初めて聞きましたけれども、まだ審議会の内容も知らないのですが、どんな審議会を作ろうとするのですか。これは自由にまかした審議会ではないのですか。官選の審議会を作ろうというのですか。
○濱田政府委員 経営委員会と審議会の関係でありますが、この経営委員会は確かに最高の機関であります。経営の責任を負つているわけでありますので、従つて番組について意思を決定する機関であることは間違いないと思います。しかしながら、その経営委員会がありまして、その下に会長以下の業務実施機関があるわけであります。その業務実施機関の中の一つに審議会を作ろうという考えでありまして、これは経営委員会の下部構造であると考えてしかるべきだろうと思うのであります。でありまするから、今度の改正案にありまする十五名くらいの各方面の代表的な人物を適当な方法で選んでいただきまして、この方々が忌憚ない意見を言つて、そして番組の基準であるとか、方針であるとか、今週どういうものをやろうというような、こまごましいことをきめるのがこの機関であろうと思うのであります。そういうわけで、責任は経営委員会にございます。しかしその審議会として与えられた任務を果す責任を審議会は持つているというわけであることは、他の例を申しますと、おそらくNHKあたりには技術審議会というものがあります。実際あるのです。あるいは研究委員会というのがありまして、その最高の責任はすべて経営委員会に帰するのですけれども、しかしながらその分担々々の責任においては、各審議会の会長とか委員長が責任を負う。かようにしないと毎日の仕事は遂行できないだろう、そういう考えでありまして、これは当然のことだろうと思います。
○佐々木(盛)委員 何を言つているかさつぱりわけのわからぬようなことをおつしやつておりまするが、それでは十五名の審議会というのは、これは官選ですか、それとも官選ではないのでしようが、あなた方の意向、希望に合致したようなものを選び出すことなんですか。もう任意にそれぞれの放送会社あるいは日本放送協会が十五名程度の者を勝手に選び出せばいいのですか。学識経験者を何名出せ、あるいは技術者を何名出せ、あるいは新聞記者の出身者を何名出せというような、そういう細目にわたつてまであなたの方が指名とかあるいは何かされるのは、どの程度まであなたの方は干渉なさるのですか。
○濱田政府委員 審議会におきましては、毛頭政府自身が関係するものでありません。ついでに申しまするが、審議会は、業務執行機関の責任者である会長のもとに置かれるものであります、NHKの場合には。それから会社の場合には社長の統括下にあるわけです。政府は何ら関係はいたしません。
○佐々木(盛)委員 もう一回重ねて確認しておくのですが、十五名程度ということなんでありますが、それをどんなふうに選ぼうと、どこから選んでこようと、どういうサークルから選んできてもかまわないというわけですか。
○濱田政府委員 会長あるいは社長の判断によつて、どういうところから選ばれても差しつかえないと思います。適当な方である限り、この放送法の精神を実現するに適当なる常識ある方々ということになると思います。
○佐々木(盛)委員 それでは適当なりやいなやということについては、当局が認可するとか、あるいは暗黙の認可でも与えるとか、人事に対して何らかのそれに対する意思表示でもするのですか。
○濱田政府委員 当該事業者から報告を受ける以上の何ものもなすことはできないだろうと思います。
○佐々木(盛)委員 それではもう一回確認しておきますが、そのままですか。もし訂正なさるとすれば今のうちですが、それでいいのですか。
○廣瀬政府委員 もう少しはつきり、正確に詳しく課長から説明させますから、御聴取願いたいと思います。
○佐々木(盛)委員 結論だけでいいのですよ。明確にして下さい。
○濱田政府委員 先刻申し上げましたように、政府は何の干渉もいたしません。
○佐々木(盛)委員 しからば、日本放送協会に関する限りは、政府が任命し国会の承認する会長や経営委員会を持つ、その団体において好ましいような番組を編成することは可能なことでありませんか。あなたのおつしやることは矛盾撞着しておるのですが、もつとはつきり言つて下さい。筋が通りますか。
○濱田政府委員 確かに理論的には、経営委員会があれば審議会は必要ないように思います。けれども、それでは業務は執行できないと思います。
○佐々木(盛)委員 役人というのはすぐに、やれ委員会だ、やれ審議会だとそういう機関を作りたがる。どういう気持か知らぬが、私たちはそういうものはなるだけなくしていきたいという考えを持つておる。そこで放送局の中にはおそらくは編成局であるとか、あるいは番組の課があるとか、それぞれの担当課があるのです。そこにあなた方のおつしやるような良識ある人間を配置すれば、好ましいところのプログラムを編成することはきわめて可能なことである。それをことさらに、あなたは千古不磨の大典ではないとおつしやいましたけれども、少くとも放送の番組のごときは、基本的人権であるのだから、たとい日本国の憲法が将来どのように改正されましようとも、基本的人権に関するところは改正はできないわけです。この項目だけは、われわれが自由世界に生存する限りにおきましては、これは千古不磨の大典であります。第三条に関する限りは、これに動揺を与え、これにいささかでも干渉を与えようというようなものの考え方をする官僚があるならば、私たちは断じて戦わなければならぬ。われわれは自由を守るために戦わなければならぬ。単に政党政派の問題ではありません。そこで、今のお話によれば、政府が任命し国会が承認する会長や各委員を持つておられて、それが放送協会内の人事をやるのでありまするから、その放送番組の部署にそれぞれ希望する人間を配置すれば、所期の目的を達成することができると私は言うが、できないというなら、できないという根拠を明らかにしろというのです。
○廣瀬政府委員 さつき経営委員会と審議会との関係につきましては局長から御説明いたしましたが、多少はつきりしない点をお聞き取りではないかと思うのでございまして、私から補足いたしますが、審議会というのはあくまで会長の諮問機関なのでございまして、執行部として業務を執行するにつきまして、その大方針と申しますか、経営の大きな目標につきましては、経営委員会から御指示があるわけでありますけれども、具体的にこれを実施するということにつきましては、会長が責任を持つてやりますわけでございまして、さような実質面におきまして、諮問機関として審議会がありますと、国民の声を聞いて番組の編成等もできますわけでございますので、さようなことを考えておりますわけでございます。そこで、番組の審議会を作れとか、番組の基準を作れとかいうようなことを政府がNHKを呼んで要求するなどということは、言論報道機関に対する干渉とも考えられますので、このような政策事項は、法律案の姿で国会の皆様方の御審議を願つて、国民の総意の具体的な表現でありますところの法律によつて明らかにすることが適当であろうということを考えて提案をいたしておるわけなのでございます。
○佐々木(盛)委員 私はほかに私の専門の外務委員会へ行かなければなりませんので、この辺で打ち切りますが、私はきわめて不満足であります。全然納得いたしません。日本放送協会、NHKに関する限りは現複のままで十分であります。こういうものをなくしたつてあなたの目的を達成することはできるということを申し添えておきます。私はその考え方を変えません。 次に、もう一つは民間放送の問題であります。あなたは、民間放送の今日の番組が好ましいとか好ましくないというようなことは、どういうところに基準を置いてお考えになつているかわかりませんが、やはりジャーナリストの考え方というもの、あるいは国民大衆の考え方というものと官僚の考え方とは違うのです。官僚の考え方のようなことばかりプログラムに組んでおつたなら、年がら年じゆう教育勅語を読まれて修身の教育をされておるようなものだ。しかしそこにやはりスポンサーがついたり娯楽などがありまして、いろいろなことがある。ときにそれがあなた方にとつて好ましからざることがあつたといたしましても、あたかもそれはわれわれ与党にとつて野党の言葉が好ましくなくても、これまた民の声なんです。でありますからこれは大いに傾聴しなければならぬ。そこに言論の自由というものがあるわけなんです。今日の民間放送というものはすでに良識の範囲を逸脱したとわれわれは考えておりません。ときに行き過ぎた番組があつたといたしましても、私自身に好ましくない、耳ざわりが悪いことがあつたといたしましても、それは基本的に大きく社会公共の安寧秩序を乱すものであるとは私は考えません。彼らには良識の限界のあることを私は認めております。それがたまたまあなたのような取締りをしようとするような、そういうものを何か弾圧でもするというようなものの考え方を持つた人からいうならば好ましくないかもしれませんが、民間放送のことにまで放送法を改めて政府が干渉する——これは明らかに干渉です。どんな放送番組を作ろうとかまわぬじやありませんか。それを好ましい番組を作つてくれ、そんなことは要らぬおせつかいじやありませんか。好ましいか好ましくないかは、それぞれの会社に審議会なんか設けなくても、おそらくは常に編集会議、プログラムの会議をして、来週はどうしよう、その次はどうしようという計画があることは事実でしよう。わざわざそこに審議会まで作る必要はありません。そういう審議会を作るなれば、それはその会社に対する一つの官僚の橋頭堡となり、そこからまた発言権を持つてくるということを考えるのですよ。官僚というものは、何とかかんとかけちをつけて、言いがかりをつけていこうという考え方なんです。私たちは今日まで言論自由のために戦つてきた。私は決して共産主義者じやないけれども、憲兵隊につかまつてほうり込まれてまで言論自由のために今日まで戦つてきたのです。でありますから、こと基本的な言論の自由を侵すようなことをなさるならば、たとい保守党であろうと、わが党の内閣の作つた改正案であろうと、われわれは断固として反対いたします。 それでは承わりますが、今日民間の放送局のプログラムが、あなたたちの放送法に規定されておりますところのこの目的——放送法というのは公共の福祉に適合しなければならぬという法律でありますが、公共の福祉に反するとお考えになりますか。あるいは健全な民主主義の発達を阻害しているというお考えでありますか。もし今日の民間放送というものが国民的な良識の範囲内にあるものだという認識に立つならば、何がゆえに改正をしなければなりませんか。何がゆえにそういう審議会を設けなければなりませんか。これはやがて将来の検閲制度に通じることです。これは言論の弾圧に通ずる。こんなことにはわれわれは絶対反対でありますが、反対するという決意をここに披瀝すると同時に、今私があなたに質問いたしました、今日の民間放送が著しく国民の良識から逸脱しておるとお考えになるかどうかという点について、御答弁を促しておきたいと思う。
○濱田政府委員 今日の民間放送の番組が非常に公安に害があるとか良識から逸脱しているかどうかということにつきましては、私はそうであるとは言い得ないと思う。また私は時間がないために、この番組につきまして長時間にわたつてこれを見ているひまがありませんので、そういうような資料を持つておりません。しかし私の見るところでは、かようなことは多くあるまいということを考えております。しかしながら、あるいはアメリカの放送の番組とか、あるいは過去の日本の民放の番組等をいろいろな話から判断しまして、これは感心しない——公安を害するか、あるいは風俗に反するかどうかは別として、子供の教育とかいろいろな意味において感心しないというものがあることは、私は認めざるを得なかつたのでありまして、今日はだいぶ改善されたでしよう。しかしながらそういうふうなおそれは、放送番組というものには本質的につくものであるということを、私は考えざるを得ないのであります。そういう考えが官僚独善的な考えであるというふうにおつしやるならば、これはいたし方ありませんけれども、過去の例においてはそういうことは心配があるのでありまして、かような心配は今なくても、長期にわたつた時間の経過においてはあつては大へんだから、ないようにとにかく万全の配慮をする必要がある。そのためにはこの番組審議会というようなものを作ることが一番安全な方法であろう、無難な方法であろう、そういう先ほど来申します通り多くの方の御意見を聞きまして結論に達した次第であります。佐々木委員は、官僚独善である、お前は特に官僚独善の頭目であるというようなことをおつしやいます。けれどもそれについては、これは見方でありますから、それはそうでないと言つたつてそうであるということになるかもしれませんけれども、かような官僚独善というような考えの根拠によつてこの法律の改正案の作成に参画したのではないのであります。先ほど来おつしやいますところの放送法第一条、第三条の精神は千古不磨のものだと思う。法律は千古不磨の大典ではないと申しましたが、この精神、言論の自由あるいは公共の福祉の増進に関するものの考え方についてのこの放送法の精神は、これは私は千古不磨の精神だと思うのであります。これをくつがえすような考えは絶対持つていないということをどうか御了解願いたい。これは言葉はたまたまお前お前と言われますけれども、この法律は私が皆さん多くの人と御相談したその最後の結論みたいなものでありまして、一部の官僚がでつち上げたものだ、そうして弾圧のための橋頭堡だというようにお思いにならないように、ぜひ御了解願いたいと重ねてお願い申し上げます。
○佐々木(盛)委員 私、最後に要望しておきます。まず二つ申し上げておきます。一つは、あなたの方でそういう好ましからざる今日の傾向があるというならば、あるいはまたそのことが将来起り得る危険性があるというならば、あなた方と一番関係の深いNHK、日本放送協会について、まず現段階においてあなた方は試みてごらんなさい。やり得るのです。現段階、今の現行法に基いても、あなたのおつしやるようなことは、目的を達することがやり方によつては十分できます。またNHKに対してはそういうつもりでやつて下さい。従つてNHKに対してはこういつた法律の改正は必要でありません。 次に第二の点は、民間放送については、今日新聞記者、ジャーナリストというものは、それぞれのモラルもあればプレス・コードもあるのです。それらの自主的な態度にまかすべきであつて、それをあなたの方が番組についてとやかく言わないというのだつたなら、審議会なんか設ける必要はありません。あなたが審議会を設けようというのには、審議会を通して自分たちの意向を反映しようという考え方だから、審議会の必要が生まれてくるのです。それぞれの会社が自由にやつていいというなら、審議会がなくても現在の組織のままで十分にやり得ることではありませんか。要らぬ経費を使い、要らぬ金をかけて、時間の空費をして、ああでもない、こうでもないといつてするよりも、現在の組織を生かして十分どこの放送会社でもやり得ることであります。それにもかかわらず何がゆえにこの法の改正をするかという点につきましては、私は全面的賛成であるから、以上申した二点について十分お考えを願いたいと思う。私は答弁は要りません。
○廣瀬政府委員 御意見は十分わかりました。
○淺香委員長 寺島隆太郎君。
○寺島委員 本日はだいぶ時間も経過いたしておりますので、本法に直接関連する分について一、二お尋ねいたしたいと思います。 先般来、私がたびたび電監当局にお尋ねいたしておりますカラー・テレビの問題も、本法律案を審議する重大なエレメントでございますので、特にこの問題に触れてさらにお尋ねいたしたいのでありますが、きようはお尋ねいたしたい郵政大臣が欠席いたしておりますので、この分については次の委員会に譲り、さらに郵政大臣に関連して電波監理局長にも特にお伺いしたい点が多くあるのでありますが、これもその次といたします。 先ほど来電波監理局長の御説明を聞いておりますと、あなたの目の中には二つの境界線があつて、こちらの目の境界線は公共放送であるNHKしか見えないという目の構造になつており、また左の方の目はこれと反対の民放しか見えないというふうな特殊構造を生理学的にいたしておるのであると私は考えておるのであります。濱田工学博士は、さように独特なる、わが民族には二つとない独特なる生理的構造を有しておる眼を持つて、ここに放送法の改正並びに放送事業の監督をいたしておるようでありますが、あまねく日本国民、私をも含めまして善良なる日本国民大衆の眼は、ないしはその耳は、左の方は公共放送、右の方は民放しか聞えない、見えないという、そういう窮屈なものではござりませんので、スイッチ一つで民放も見られれば公共放送も自由に見られるという建前であります。胃袋の中に境界線がないので、どういう食物を食べても胃に入つてしまえば渾然とするように、目の中に入つてしまえば、民放であろうと公共であろうと全く違わない効果を上げるものでございます。しかるに運営の上においては非常に違つた運用をされておるのであります。これはまことに遺憾にたえない。今日NHK、日本放送協会が、先ほど原委員も言われました通り、税務官吏にも見られないような強奪的方法で聴取料ないしはテレビの観視料を取つております。驚くなかれ、これは世界で一番高い放送料金であります。この世界で一番高い放送料金をまたぞろ値上げいたそうということを、大臣も言つておるし、きよう電波監理局長も言つておるのでありますが、これはまことにけしからぬ話であつて、国民の側からいけば、ただで見られるむしろ民放の方を育てればよろしいという考えであります。それも電波行政の上に大きな弊害をなしておらないならばまだよろしいのでありますが、あなたの考え方ないしは最近の電監当局の動きを見ておりますと、本放送法にも明らかに触れております、将来はカラー・テレビの問題であるということを申しておるのでありますが、そのカラー・テレビを許可する場合においても、着実であり、それがわが国の放送の根幹をなすものであるとあなたが考えておるNHKないしは放送協会が、どこをひねり出そうとしてもそういう金の出どころはない。今日三百円の放送料金を五百円に値上げいたしましても、カラー・テレビの方に踏み切ることはできないのだ、こういうことであります。一方、民間放送が他に先んじてこれをやりたいというその意欲と正当なる考え方をも、やれ国際標準方式がきまらないのだとか、やれわが国における工業段階がまだそこまでいつていないのだとか、そういううそを二度も三度もついておる。前々回の委員会においては、日本の工業水準はそこまでいつていないのだということを声高らかに言い、前会においては、「私は研究者の端くれとして、」しかもそういう言葉までヒステリックに挿入せられまして、まだ日本の工業がそこまでいつていないのだという苦しい言い方をしておりますが、その実は公共放送であるNHKを擁護して、民放に先んじられることをおそれるという考え方をどうしてもあなたは包蔵いたしておると思う。この点については、この次の委員会においてさらに詳細材料を持つてお伺いいたしたいと思いますから、どうかあなたの方も次の委員会まで——この前のように、まだ日本の東芝においては、日立においてはという例をあげ、抽象的にまだそういう技術は日本にはできていないのだというふうな言い方ではなくて、あなたが学者をやめて電波監理局長になつている間に、あなたがそういう法律の条文をいじつている間に電波技術はどんどん発達しておつて、あなたが気がつかぬ間に、きのうの権威者きようの盲者になつているというくらいの進歩でありますから、それはよくお考えになつておいていただきたい。 特に本法についての先ほどの説明に触れてお聞きいたしたいのでありますが、マイクロウエーブを使つてネット・ワークをする場合において、中央の送信局とこれを受ける地方の受信局が特殊契約を結んで——特殊契約と言わざるまでも、多くの部分を中央の一つの放送会社に委託するというような場合には弊害があるから、それをさせないのだということをあなたは言われましたが、それは今日の民放がだんだん大きな力になつてきているから、これをまとめておいて官僚爆砕をしようという根胆であると考えられるのでありますが、むしろそういう強力なるネット・ワークを組むためには、特殊関係に入り、全国単一のネット・ワークの会社ができても私はよろしいのだと考えるのでありますが、郵政官僚の諸君はどういう根拠で、さようなことは弊害があるという事実認識の上に立つてさような行政指導、また行政的措置をされようとするのでありますか。本法の運営に関連してお尋ねいたしたいと思う。
○濱田政府委員 テレビジョンのネット・ワークを作ることにつきましては、いささかも反対はいたしておりません。しかしある会社がある特定の会社とだけで番組の供給を受ける、受けなければならないというような協約を結ぶということは、これはマス・コミュニケーションの独善を排除するというこの放送法の、先ほど来のお話の精神からぜひ必要であるという考えにおきまして、これは最小限そのくらいの精神は必要があるだろうということで、さいぜん申したような条文を作つたわけであります。
○寺島委員 ただいまの答弁は、何という独善的な、しこうして一方的な考え方であるかと、むしろあぜんたらざるを得ないのであります。これより大なる民業圧迫はないだろうと思います。マスコミの本義にかんがみてさようなことはやるべきではないのだ、最小限度にさような規制をいたすべきであるとあなたは言つておられますけれども、しからばNHKの場合には、中央を頂点として、全国的にピラミッド組織のごとくこれを流していくものであつて、NHKの方だけはこれを単一組織にしてもよろしい、民放にはそういうことをしてはいけないのだということは、むしろ発展し行く民放の前途にチェックを与えるようなものであり、民放発展の時計の針を逆に回されるような結果に相なるであろうと私は思うのでありますが、あなたの見識なり考え方なりは、ちようどアメリカとソ連くらい私との間に認識の階梯があるものと考えて、なかなか一致しないのであろうと思うのであります。そのことは断じてやつてはいけない問題であろうと思うし、むしろ甲と乙との会社の間に緊密なる連携ができてこそ、民放はますます発展し行くものであろうと思うし、かつまたその間におけるむだというものも排除せられるであろうと思うのでありますが、この点についてあなたはどういう基盤の上に立つてさような考え方を展開されておるのであるか、もう一ぺん承わつてみたいと思う。
○濱田政府委員 緊密な連携がなされることは望ましいことでありまして、ごうも反対するところではございません。しかしながら、先ほど申しましたように、特定な会社とのみ供給を受けなければならないというような条項を含む契約を結ぶことは好ましくない、そういう考え方であります。 もう一つ、NHKの場合は、先ほど来御論議が多々ありましたが、これは民間放送とはその性格が異なる放送事業であるとわれわれは考えておるのであります。これは、全国的に同一番組で、なるべく完全にネット・ワークを作つて、全国をカバーするようにするのが望ましい。しかしながら、同時に、その地方々々でローカルな番組等を要求される場合がありますから、それはそれとしてやるのがいい、そういう考えでありまして、個々の民間放送の場合とNHKというものとは性格上根本的に異なる、そういう見地に立脚しております。
○寺島委員 どうも濱田さんの話を聞いていると、私が冒頭に申しました通り、目の中には、これがNHKで、これが民放であるという区別がない。あなたの特殊な眼にはそういうふうに映るらしい。これは心理学的な相違ならばまだ妥協の余地もあると思いますが、まことにどうも生理的に根本的に相違つておる考え方でございますので、相一致しにくいと思います。卑近な例をとつてみましても、二カ月に一ぺんずつ行われる相撲の放送に、これがNHK様の放送でございます、これは民間の放送でございます、濱田さんにはやれ負けました、勝つたというあやが、これは民間でこれはNHKだという区別があるかと思いますが、大衆から見れば同じことですよ。同じことに対してしやくし定木を当てて、一方はこれは中央集権だ、一方はこれは地方分権でなければいけないのだという考え方は、徳川時代の親藩と外様を区別する、当時の徳川幕閣の封建的な考え方、施政の方針でも、こんなに矛盾撞着した方針はとつておりません。あなたは一つの放送でも民間の放送とNHKの放送ではまるで違つたニュアンスを持つているのだという考え方を持つておるのであるけれども、何も違つておりません。これはお宅へ帰られて、せいぜい石けんで顔でも洗われて、民放と公共放送とよく比べて、根本的にここが違つているのだから、おれはこういう定木を取りかえて、これは行政指導をやつていかなければならないのだということができるならば、われわれも昔ジャーナリストであつた者の一人として、まあそれは承服しましようけれども、ただいまのあなたのそういう根拠で、ただ法律条文の上で、これは民法だ、これは公共放送だ、その違いは、一方においては中央集権、一方においては地方分権というような、そういうせせこましい考え方を持つておられますけれども、これは最も考えなければならない役人の独善であるといわなければならないのであります。この役人独善の上に展開した話が、今日の放送法改正案の多くのものであり、従つてこの案には、佐々木委員が指摘いたしました通り、断ぎはぎだらけの矛盾撞着を含んでおり、かつまた国民大衆を擁護すべき郵政省が、国民大衆に対して足を引つぱるというような法律の効果しか生まないであろうということも、これは会得するにかたくないのでありますが、この詳細に関しましてはこの次の委員会に若干の時間を拝借いたしまして、先般のカラー・テレビの問題とあわせて質疑をいたすことといたしまして、以上をもつて終ります。
○淺香委員長 次会は明後十七日金曜日、午前十時より理事会、午前十時三十分より委員会を開会いたします。 本日はこれにて散会いたします。 午後零時三十六分散会