大蔵委員会 第9号
- 発言数
- 30 件
- 登壇者
- 6 名
- 会派数
- 2
- 開催日
- 1958/11/04
会議録
○早川委員長 これより会議を開きます。 産業投資特別会計の貸付の財源に充てるための外貨債の発行に関する法律案を議題といたします。 外債発行の問題はまことに重大な問題でございますので、本日は、本案につきまして、特に土屋清君及び佐藤進君の御両人に参考人として出席していただきました。参考人には御多用中のところまことにありがとうございます。 これより参考人から御意見をお聞きするのでございますが、初めに参考人よりそれぞれ御意見を述べていただき、その後に委員各位の質疑に入ることといたしたいと存じます。 それでは、まず、武蔵大学経済学部助教授佐藤参考人にお願いいたしたいと存じます。
○佐藤参考人 佐藤でございます。 今回の外債の発行問題につきまして、意見を幾つかに要約して述べます。それは、第一番目には、日本における外債の過去の経験。第二番目には、当面日本経済が負担すべき対外債務、それに新しい外債がどういう意味をつけ加えるか。第三に、現下の経済情勢のもとで外債を発行しなければならない理由。第四に、外債の発行条件について。この四項にわたり意見を述べてみたいと思います。 まず第一に、日本における明治以来の外債の経験は、いろいろと反省すべきものを含んでおります。まず明治初年から日清戦争後までの外債非募集政策、外債は募集しないという政策、これが大へん重要であると思います。御承知のように、わが国の公募外債は、明治三年及び明治六年の鉄道及び秩禄処分の英貨債のあとは、明治三十二年まで募集を見ておりません。この理由についてはいろいろ説明されておりますが、この基本的な原因の一つといたしまして、明治の政治家が、外国資本の侵略的な意図に対して反発を感じ、極端なまでの外債忌避の態度をとったこと、これがあるのを忘れてはいけません。しかし、この時期といえども、経済の大きな発展というものは行われた。外債が増大し始めましたのは、日清戦争の賠償金を基礎にして積極的な戦後経営を始め、また金本位制を採用して以後のことであります。日露戦争においては、この外債は飛躍的な増大を見ました。日露戦争の戦費の四〇%が外債によって支弁され、さらに、戦後の経営で、鉄道の買収その他を契機として、外債の累積がもたらされました。外債は、一たん採用いたしますと、雪だるまのように増大する傾向を持っております。年度末の現在高を見ますと、明治二十八年に百万円であった外債が、五年後の三十三年には九千八百万円、それから三十八年の九億七千万円、それから五年後の四十三年になりますと、十四億四千七百万円へと増大しております。日清戦争後の十年間で十五倍の増大ぶりであります。こういうふうにして累積されました公債は、利子払い及び元金の償還に連年多額を要求するようになりました。大正の二年、三年ごろになりますと、対外準備が枯渇して、外債の利払金にも事を欠くようになりました。利子払いのために、さらに外債を募集しなければならない、こういうふうになったのであります。これは、国際収支の連年の赤字を背景にし、また外債に関する費用はこの逆調赤字の原因になったのであります。こうした事態が今後また繰り返されないという保証はないわけであります。 日露戦争以後の第一次外資流入期に続いて、大正時代、これは震災以後でありますが、第二次外資流入期に起った外債をめぐっての幾つかの苦しい経験は、親しくなめた人も多いと思われます。金解禁時代のいわゆるドル買い事件に、外貨債が資本の逃避の手段とされた例、また金輸出再禁止後の為替相場の低落が、外債の発行者に非常な負担過重となった例、こういうものがあげられます。要するに、本邦における過去の経験からして、外債がなければ経済発展の道はとざされるといったものではなく、むしろこれに伴う弊害の方が多いと思われるのであります。公債は、一たんとられますと、連続的に増大する傾向を持ち、これは国際収支の赤字と租税負担の増大をもたらします。 第二に、当面日本経済が負担する対外債務は、控え目に見積っても七千億円の巨額に上る。これに伴う年間の外貨流出高は二億ドル以上、昭和三十六年になりますと、三億ドル以上見込まれております。これに対して、今回の外債は、量的には少いけれども、政府債の増大の機運がこの外債によって作り出されるという意味では、好ましくないと思うのであります。 ここで対外債務として一括いたしましたのは、第一に、過去の外債の残高、第二に、賠償関係の対外債務、第三に、世銀借款、それから民間の導入外資、こういうものを含めた中期、長期の外貨債務、第四に、対日援助に伴う債務、この四つであります。この一から三までは、委員会で提供していただきました参考資料を基礎にし、それから四の対日援助関係は未決定でありますが、西独方式に従うものとして計上してみました。 まず第一の外債の残高は、本年三月未で八百七億円、元本の返済は当面五年平均で百億円であります。元本償還の時期は、特に三十六年と三十八年に集中しております。第二の賠償関係の対外債務は、本年九月末現在で三千九十億円、当面の年間支払額は二百三十億から三百五十億と見込まれております。第三の中期及び長期の外貨債務は、やはり九月末現在で五億ドル、ここには技術提携の資本還元分は入っておりませんが、当面五カ年の対外支払い義務は一億ドル、三百六十億円と概算されております。第四のガリオア、イロア等の対日援助に伴う債務は、西独の方式に従うものとして、債務元本六億ドル、当面五年の支払いは五十四億円、続く三十年間には百三億円と見積られております。以上を通算しまして、控え目に見積っても、当面の対外債務は七千億円、年間の対外支払額は七百五十億円、つまり二億ドル以上と言ったのでありまして、三十六年に対外支払いが三億ドルをこすと見られる理由のおもなものとして、外債残高の償還がこの時期に集中しているということがあるのであります。 ところで、今回の外債は、額だけからいえば三千万ドル、円貨にしまして百八億円で、必ずしも多いとは言えませんが、その意義は決して少くありません。というのは、外債だけでなく、公債の発行は財政法等四条の規定に従って厳に戒められておりまして、戦後を通じて、政府公債の募集は、特別減税公債を除いて、ほとんどなされなかったといってよい。もちろん交付公債とか政府保証債、こういうものはいろいろあります。今回の外債法は、この点について、外債を通じて政府債が飛躍的に増大するきっかけとなりかねない。新聞の伝えるところによりますと、大蔵大臣は当初外債の発行高を五億ドルほどと考えており、第一回の起債額を一億ドルにしたい、こういう意向であったといわれております。三千万ドルの外債は、今は赤ん坊の状態でありますが、今後手に負えない怪物になるおそれがあります。これは戒めなければならない点であると考えるわけであります。第三に、現下の経済情勢のもとで外債を発行しなければならない理由でありますが、今回の外債の発行には幾つかの意義が付与されております。これを要約いたしますと、第一に、外貨準備の補強という効果、それから第二に、財政投融資の財源の確保という効果、第三に、不況対策としての意義などがありますが、現下の経済情勢から、これらはいずれも疑問だと思われるのであります。第一の外貨準備の補強という点では、世銀借款が新たに一億五千万ドル約束され、さらに一般の国際収支が大幅の黒字を続け、年度間五億ドルの出超が見込まれる現在、これはつい二日ほど前の新聞に出ておりましたが、三千万ドル程度の外貨を取り急いで外債に待たなければならないという理由はないのではないかと考えられます。もっとも、これに対しては異論がありまして、外貨準備は多ければ多いほどよいという議論、また国際収支は将来を考えると必ずしも楽観を許さないものがあるから、外債の発行は結局プラスになる可能性が多い、こういう意見、また、この点に関して、外債の募集は国際収支に余力のあるときの方がやりやすい、こういう議論があります。しかし、外債の発行というような重大な行為については、これはあくまでも緊急あるいは非常の手段として考え、現在必要もないのに外債発行を取り急いでやるという態度は反省すべきものを含んでいると思われます。 第二は、今回の外債発行の実際の目的は、三千万ドルの外債を百八億円の円資金といたしまして、財政投融資の原資にするということでありますが、そもそもわが国は財政投融資の財源にそれほど困っているのでありましょうか。財政投融資の原資の大もとであります郵便貯金は伸び悩みの状態にありますが、現在民間金融はゆるもうとしており、これは第一に貿易の黒字、第二に供米代金の支払い、第三に財政投融資の繰り上げ支出、第四に税収の停滞のためであります。こうして第三・四半期には従来例を見ないような財政資金の払い超が見込まれているのでありますが、一の貿易の黒字と四の税収の停滞は今後も残りますから、金融緩慢もなお続くのではないか。そこで、国内資金の調達も必ずしも困難ではないのではないか。また、政府は資金がないと言いながら、たな上げ資金をそのままかかえ込んでいるのはなぜか、こういう議論も成り立つのではないかと考えるのであります。財政投融資の問題につきましては、明年度における財政投融資規模の増大に準備する必要が説かれるでありましょうが、財政規模のいたずらなる膨張は望ましくなく、資金の合理的な配分に努力する必要があると思われます。 三の不況対策としての外債については、政府は現在を深刻な不況とは見ていないのでありますから、またここでの投資資金の量も大きなものではないのでありますから、取り立てて論ずる必要もないと思われます。 最後に、今回の外債の発行の条件でありますが、現在アメリカでは財政インフレ必至という声が高い。このために、政府は、公定歩合の引き上げや、公開市場操作等を通して、引き締め政策を行なっておりますので、金融は逼迫し、金利は上っております。これは鈴木駐米公使、IMFの渡辺理事の報告の通りで、外債募集の好機はこの六月で終りを告げたと見られております。日本公債の発行利回りは世銀の貸付金利をこえるものであります。他方産業投資特別会計の貸付金利は六・五%としますと、利ざやすれすれであります。もう少し外債の金利が上ったり国内の貸付金利が下ったりすれば、逆ざやになりかねない、こういう心配さえあるのであります。米国起債市場の金利は今後なお高まるであろうから、現在はおくれたといってもなお潮どきではないかという議論もありましょうが、それならば、なぜ一両年ないし二、三年市場の動きを静観することができないのかという疑問が出ると思われます。 以上、外債問題につきまして問題点を明らかにいたしました。御静聴を感謝します。
○早川委員長 朝日新聞論説委員土屋参考人にお願いいたします。
○土屋参考人 私は、今回の外債発行に賛成でありますが、以下それについての所見を申し上げます。 外債発行は二つの目的があると思います。一つは、外資を確保して、わが国の外貨事情を安全な状態に置くというねらい、第二には、国内資本の不足を補給して、外債によって生ずる見返りの円資金を国内の経済建設に使うというねらいであります。 この第一の、わが国の外貨の事情からして外債を発行する必要がありはしないかという問題でありますが、私は日本の国際収支の前途についてはそれほど楽観しておりません。今日上半期で二億五千万ドルの黒字を出した。現に毎月まだ黒字が続いており、外貨の保有高も八億ドルになんなんとしておるという状態で、目先はそれほど心配がないように見られますけれども、一、二年前をとって考えますと、一年間で五億ドルの赤字を出したようなときもあり、六億ドルの外貨保有高を割りかかって青くなったというときもあるのでありまして、決してこの国際収支の前途というものは楽観できない。今日いいからといって、前途心配ないというふうには考えられない。そういう場合に、もちろん現在国際通貨基金その他から短期の資金借り入れの制度もありまして、現にわが国は一億二千五百万ドル借りた。多少そういう制度も役に立ちますけれども、やはり、日本としては、外資を導入して国際収支の健全性を保持していくような態勢を整えておくことが必要ではないかというふうに考えます。目先不安がないからといって安心してはいけないので、将来起り得る国際収支の危機というものに対処して、あらゆる面から手を打っておかなければいけない。その一つとして、外資を導入し得るような態勢を整備する、その有力な手段が外債発行だというふうに考えます。 第二に、国内資本の不足を補強するというねらいであります。これはもうあまりこまかく申し上げる必要はないと思うのですが、わが国にはいろいろなすべき多くの事業が残されておる。これは道路一つをとってみましても、一兆円の計画が進行しておりますけれども、なかなかその資金の手当がつかない。あるいは国鉄の東海道新線を作る、原子力発電をやる、いろいろと大きな事業が現在企てられておる。それを国内の円資金で調達できれば問題ないのですけれども、国内の円資金がそれほど豊富とはいえない。これは国内で公債を発行すればいいじゃないかという議論もありましょうし、私はやがて二、三年のうちに国内で公債が発行できるような、そういう条件が整えられることを期待しているのでありますが、それにいたしましても、やはり国内資本の補強のために、外資の裏づけのある外債発行によって円資金を獲得するということは、やはり必要なことではないかというふうに考えるのであります。 この二つのねらいから見まして、外資を導入しなければいかぬということは明らかでありますが、それならば、必ずしも外債によらないで、世界銀行借款のような国際機関からの借り入れで足りるのではないかという議論が出てくるかと思います。つまり、外資の導入は必要だけれども、何も外債を発行しないでも、世界銀行が貸してくれるなら、それでいいじゃないか、こういうこともいえるかと思います。ところが、なるほど世界銀行からは今日までに約二億五千万ドルの貸付を受けまして、そしてまた今後約二年のうちに一億五千万ドルくらいの借り入れが約束されているといわれておりますけれども、しかし、世界銀行の借款というものの性質を考えてみますと、これは民間から資本の調達が相当の条件でできない場合に、世界銀行から借款を与える、こういう建前になっている。つまり、民間から資本の調達ができるならば、世界銀行の借款は第二次的になるという建前でありまして、従って、これまで日本が世界銀行から借款を得て参りましても、日本が民間から資金を調達できるようになれば、当然それを行うということが前提でなければならない。現に、また、わが国がかなり世界銀行からワクをとって借款を受けていることに対しまして、諸外国から、相当、苦情ともいえませんが、文句が出ているというふうにも聞いておる。つまり、東南アジア各地のような地域こそ、世界銀行からの借款を与えるべきであるのに、比較的工業化が進んでおる日本のような国に集中し過ぎているじゃないか、特にこの一年ばかりをとってみますと、一億五千万ドルくらいになっておるが、集中し過ぎているじゃないかというような批判も出ておる。そういう事情を考え合せますと、現在約束しておる今度の一億五千万ドルは、これは入ってくると思いますが、今後において世界銀行から今までのような調子でどんどん入ってくるというふうにも必ずしも考えられない。やはり、われわれとしては、世界銀行の借款もさることながら、アメリカの民間市場から資金を導入するという道も開いておくことが必要ではないかと思います。戦前のわが国の外債の発行を見ますと、政府の外債のほかに、民間の会社が相当外債を発行いたしまして、政府、民間合せまして六十八銘柄くらいの外債が発行されておる。そのうちだいぶ償還されまして、現在は二十三銘柄になっておりますが、たとえば横浜の市債であるとか、東京の市債であるとか、台湾電力の社債であるとか、東洋拓殖の社債であるとかいう工合に、民間団体あるいは公共団体がどんどん外債を発行して資金を調達しております。私はこういう形が望ましいと思う。つまり、政府の外債もけっこうですが、将来世界銀行だけにたよれないということになれば、直接有力会社やあるいは東京都のような公共団体が外国の市場で資金を自由に募集する、民間資金を必要なときにどんどん募集するという、昔のような形になることが望ましいと考えるのであります。このように民間資金が自由に入るということは、いろいろひものつきやすい世界銀行借款とか輸出入銀行の借款よりは、一歩進んだ外債の導入形態ではないかというふうに考える。つまり、世界の金融市場の情勢に応じて、適当な条件で自由に外債が募集できるということになれば、それだけわが国の資本調達能力が増します。また大手をふってこれは借金できることになるので、その方が私は好ましい。そういう将来有力な会社やあるいは東京都、横浜市といったような自治団体が外債を発行するためには、まず一番信用度の高い国の外債が発行されて、テストをしてみることが必要であります。これはテストというと語弊があるかもしれませんが、何と申しましても、民間の会社や自治団体が外債を発行するよりは、やはり国というものが一番信用度が高いのですから、日本の外債を出して、そして欧米の外債市場に日本というものになじみを作っておく。そういう条件が積み重ねられていけば、それこそ、国鉄が今度ニューヨークで外債を発行する、あるいは原子力発電会社が外債を発行するというようなことになっても、あまり唐突ではなくて、自然にそういう条件も整えられる。これは決して世界銀行借款がいけないという意味ではないのですが、世界銀行借款だけにたよるのではなくて、パイプを多く作っておく。そのパイプを作っておくためには、やはり日本としてまず信用度の高い国の外債を適当の機会をとらえて発行しておくということが必要ではないか、というふうに考えます。 従って、基本的には私は外債の発行は好機をとらえて実行すべきだというふうに考えるのですが、問題はその条件でありまして、現在世界銀行の貸出金利が五分七厘五毛くらいといわれておる。今度外債を発行した場合には、これに多少経費を見なければなりませんので、世界銀行の金利よりは少し高くなって、六分前後になるのではないかというふうにいわれております。アメリカの金融市場については、先の参考人のお話にありましたように、現在アメリカの金利は上昇しつつありまして、必ずしも一番安い時期とは申せません。つまりアメリカの公定歩合は、一昨年の八月が三分五厘でありまして、それが一分七厘五毛まで下りましたが、この六月からまた上り始めまして、現在二分になり二分五厘になり、三分五厘の一番高いところから見ると一分低いのですが、一分七厘五毛の一番下ったところから見るとちょっと上っておる。こういう中間のところに戻しております。これはアメリカの不況が比較的早く底をついて上昇し始めたということを反映するものでありまして、今後においては、やはり私はアメリカの金利は先高見込みだと思っております。特に米国の景気上昇にとって最も大切なことは、設備投資が盛んにならなければ、アメリカの景気回復は本格化しない。現在の景気の上昇は、財政支出の増大、そのはね返りとしての消費支出の増大によるものでありまして、これではまだ本格化しない。本格化するためには、アメリカの民間会社の設備投資が盛んにならなければだめだと思うのでありますが、そのアメリカの民間投資が盛んになってくる時期は、おそらく来年の三、四月以降だと見られる。そのころになると、金利はもっと上って、ますます日本が外債を発行することが不利になってこやしないかと思う。これからはクリスマスの年末繁忙時期に多少金利が上りますか、それからちょっとゆるみまして、そしてまた三、四月ごろから上り始める、こういうような経過をたどるのじゃないかというように思います。もちろん、アメリカの金利が一番下りました不景気のどん底の、公定歩合が一分七厘五毛のときに外債を発行すれば一番よかった。しかしそういう一番低いところで機会をとらえるということはなかなかむずかしい。株で申しますと、株を一番安いときに買って一番高いときに売れば一番もうかるのですが、だれもがそういうことはできないのと同じように、金利が一番低いところでもって外債を発行するという条件はつかみがたいということになりますと、少々上って半分ほど戻しましたが、先行きなお一段高いことが見通されるとすれば、今から来年の三、四月までの間が一つの機会じゃないか。この機会に日本が国の外債を発行して外資導入に新しい形式を開くということは、その条件が著しく悪くならない限り、まず六分前後で発行できるならば、私はけっこうなことではないかというふうに考えております。 問題は償還能力の点でありまして、先の参考人も、償還能力の点において、あまり外資を導入し外債を発行すると、将来困りはせぬかという御懸念を述べられました。確かに、これは、賠償とかあるいはガリオアの返済まで含めて考えますと、大へんなことになるのですが、今までの発行された外債だけで見ますと、参考人も指摘されましたように、三十六年度において日本の金で二百三十三億円、三十八年度において百八十二億円、現在のところせいぜい二、三千万ドルの程度であります。今後においてこれに賠償が加わる——ガリオアまで加わるとは私は思いたくありませんけれども、賠償が加わるといたしましても、私は、日本の経済の成長、特に安定的な成長が可能であるならば、少々の負担というものは当然返していけるはずだ。また、その程度の力がなければ、外債の発行をすることもできない。同時にまた、国内の経済の伸びもとまってしまって、国内的に非常な問題が生ずるのでありまして、私は政府の考えるような六・九%の成長でずっといき得るとは思っておりませんが、それを多少は下回るにしても、日本の経済の成長というものは過小に評価すべきではないと考えておる。要するに、経済の成長に自信を持ち、同時に、経済の成長の一つの条件として、外資の導入が適切だということを考えますと、この際そう過大な負担を一時に背負うことは考えものでありますけれども、まず三千万ドルを皮切りとして、だんだん外資を導入し、外債をふやしていくことは、そう無理な圧迫をわが国の国際収支に加えるものだというふうには考えていないのであります。 結局、外資の導入ということ、あるいは外債の発行ということは、先ほども申しましたように、日本の経済の成長を安定化するという前提の上に立って考えなければならない。同時にまた、安定的な成長が可能だということが期待できるならば、私は、外資の導入、外債の発行ということに決して弊害は生じない。外資の導入の新しい形態として、この際政府がまず信用度の高い国の外債を発行して糸口をつけるということは、けっこうなことであるし、また、それが、今の世界経済のもとにおきましても、必ずしもそう割の悪い条件ではないのじゃないかというふうに考えまして、この外債発行に賛成であります。
○早川委員長 これにて参考人の意見の陳述は終りました。 続いて参考人に対する質疑に入ります。塚田十一郎君。
○塚田委員 まことに恐縮でありますが、二、三の点につきまして伺いたいと思います。私は実は外債発行はこの時期においては非常に疑問なのじゃないかという感じでおりますので、主として土屋参考人にお尋ねいたしたいのです。 外債を発行する、あるいは外資を導入するということ、そのこと自体は、ある国が、ある段階、ある時期において、適当であるし、大いにやらなければならない。しかし、それは、やはりその国、その時期というものを問題にしなくちゃならぬが、一般に外資導入に意義があるというときには、金が必要だということよりも、その金をもとにして外国から資材を入れなくちゃならない、私はこういう状態のときだと思います。従って、一国経済が非常に急速に伸びなければならぬ——大体後進国はそういう状態になっておると思うのですが、今日本が、そんなに外資を入れて、その外貨で物を入れなければならないという段階では必ずしもないのではないか。また必要な程度のものは蓄積されている外貨で十分まかない得る状態になっているのではないか。そうすると、今の段階での外資導入というものは、多分に、外貨が必要だというよりも、円資金が必要だという感じで問題が考えられておるのではないかという感じを持っておる。それは円資金も外国から募集して必ずしも悪いという感じではないのであります。私も、土屋参考人と全く同じように、これから日本の経済発展は必ずするであろうという楽観的な見通しを持っておるのでありますけれども、発展を安定化していかなければならないという感じを強く持っておる。そこで、私は、安定化していくために、今日の段階で外資を入れることは全く反対の結果を起すだろう、こういう感じを持っておるのであります。 そこで、私は、まず、外資を入れるならば、今日の日本として一番気をつけなければならぬことは、心がまえができておるかどうかということだと思うのであります。残念ながら、日本の経済界、金融界において、外国から借金をしてまで仕事をしていいという心がまえになっておらぬ。これは、過去の二十八年、三十二年の経験から通してみて、あの苦い経験を経て、その後一体金融界に何かしら反省の色があるのか。財界に反省の色があるのか。これは自主規制の方法ということも経済同友会あたりでいろいろ取りざたされておりますけれども、まだそれがほんとうに実を結んでいるというところまで完成されているとは思わない。ですから、私は、今円資金がほしいとするならば、結論的に言って、国内のむだな部分をまず省いて、そこで国が国内公債の形で金をお借りになるなり、あるいは公債を発行されるなりして、そこからまず国内を締めていく、それがまず第一段階で、それができてなお足らない場合に考えるならば考えられる、まあこういう感じであります。 そこで、一体どのくらい国内のむだがあるだろうかということで、先般来いろいろな資料は調べておるのであります。私どもの手で集まる資料はなかなか的確なものはないのでありますけれども、ここに日本銀行が発行しております本邦経済統計、それから経済統計月報の三十三年七月号というものを基礎にしていろいろと調べてみますと、サービス業なり旅館、飲食店、そういうものに月々に新規投資される額がまだ相当あるという資料があるわけです。昭和三十三年、本年五月の統計では、約一カ月で新規投資の額が二十五億くらいでありますから、そうすると、年少くとも三百億くらいの金がこういうものにまだ新規投資をされている。なるほど、そう思って見ると、急でないようないろいろな建物ができる。テレビ塔ができる、工場ができるというような形が確かにある。やはりまだ相当むだがあるという感じを持っております。この感じのときに、うかうかと外資を入れて国内の経済の拡大を考えるということになると、やはり私は二十八年、三十二年の経験をもう一度繰り返すことになるのではないか、そういう意味で、まだ心がまえが十分にできておらないのじゃないかという感じが非常に強いのでありますが、この点についての感じはいかがですか。
○土屋参考人 確かに国内の金融情勢から見ますと苦い経験をしたはずですが、それにもかかわらず、企業家の投資態度が直っていない。これは私は同感です。これについては金融政策上いろいろ措置しなければならぬ面があると思うのでありますが、外債の発行は、なるほど確かに円資金を調達するという面があって、そのことを私は指摘したのでありますけれども、同時に、やはり外貨の補強という大きなねらいがあるように思うのです。三千万ドルくらいは、今の七億五千万ドルあるいは八億ドルも外貨のあるときに、要らないのじゃないか、こういうことが言われるかとも思いますけれども、しかし、三千万ドルは確かに金額としては小さいが、将来の国際収支の安定性ということを考えますと、今回の国の外債の発行が機縁になって、これは、先ほど申し上げましたように、将来民間会社なり公共団体なりがやはり外債を発行して外資を導入するという形にしておいて、日本の国際収支に安定性を持たせるということを、やはり今の段階で考慮しておかなければいけないと思うのです。当面は国際収支の危機が去りましたから、そういうことの必要性があんまり感じられないと思いますけれども、一年前を考えますと、だいぶ心配したものなんで、そういう状態を考えると、やはり外資導入の新しい道を開いておくという意義が多分にありはしないかと思います。 それから、国内の資金の問題でありますが、国内の問題——確かに金融がそれほど必要なところばかり出ていないということは、御指摘の通りでありまして、その点は十分直さなければいけませんけれども、この外債の発行によって得られた円資金というものは、これは政府が重要産業に対して投下するもので、一応政府の管理下に置かれるので、これ自体がむだになるわけじゃない。ですから、一般の金融も、そういう不急不要な投資に対する政策というものは別個に考えるべき問題であって、政府が重要な部門に対して投下する円資金というものは必ずしもむだなものじゃないですから、その点は区別して考えた方がいいのじゃないかと思っております。
○塚田委員 先ほどの御説明のときにも、将来国際収支がまた悪くなる場合かあるからということを言いました。また、ただいま御答弁があったように、私はその点についても若干参考人と考え方を異にするものでありまして、私は、第一に、これからはこの間の経験のようなことを二度と繰り返してはならない、こういう感じを持っておるのでありますが、それをしくじった場合どうするかということもありますけれども、一体それじゃ適正外貨というものはどれくらいなのかという場合があると思う。いろいろ聞いて回ってみると、ある人は、六、七億ドルと言い、ある人は十億ドルぐらいと言われますが、適正外貨というものはそんなにないので、むしろ、外貨の量が適正であるか不適正であるかということよりも、同じく日本では、最近非常に下りましたときは約四億五千五百万ドルぐらいまで、ちょうど昨年の十月ごろに下っておるのですが、そのときでも、四億五千五百万ドルの外貨保有量に意味があるのではなくて、下ってきて四億五千五百万ドルになって、さらにほっておけば下る傾向であるかどうか。これが逆に上ってきて四億五千五百万ドルであるとすれば、私は全然四億五千五百万ドルの数字が持つ意味が違うと思う。日本がほんとうにこれから安定の発展をしまして、世界の目から見て日本が健全に発展をしているというときには、私は、外貨の量が幾らなければならないということは、議論の上ではないのだというようにむしろ考えております。従って、将来もう少し減るかもしれないから、外貨は幾らかこの際借りてたくわえておくのだということは、そう大きな意味を持つものではないのではないか、私はこういう感じを持っておるわけです。それから、一方、そういうように考えますと同時に、外貨を入れる。これは、国の経済、ことに産業基盤がおくれておることは私もよく知っておりますし、これは何とか早く直さなければならない、こういうように感じておりますけれども、それでは、おくれている産業基盤を早く落ちつけるために、安易に外から金を借りてやると、どういう結果が日本の金融情勢ことに物価の動向に及んでくるかというと、どうも私は非常に危険な感じがする。これは、の間、予算委員会でも、その点について大蔵大臣に若干お尋ねいたしましたのですけれども、残念ながら大蔵大臣とは考え方を異にしておりました。私は、きわめて理屈の上だけで申し上げると、外貨を入れて、それが見返りで国内に円資金が出る形というものは国内に資本蓄積ができて、それが新しい投資に向う場合と違うのでありますから、きわめて激しい形で言いますならば、私は日銀引き受けで公債を出したと同じ結果になる、こういうふうに申し上げる。これは事実そうなっておると思う、全然蓄積のないところへ出ていくのでありますから。ただ、若干違いますのは、一方は外貨の裏づけがある。従って、この金でもって仕事をした場合に、幾らか外国から物資をよけい輸入しなければならない場合に、若干の安定感はあるというだけのことでありまして、その程度の外貨は今の日本は平常の貿易で蓄積ができておるという状態を考えると、その面は別に考慮する必要はないのじゃないか。そうしますと、残るのは、外貨を入れて国内に円資金が出ていくことによる国内のインフレ含みの傾向というものが、ことに今日本が正常貿易ですでに外貨がたまって、それがために円資金がふえつつある時期に、政府が借金までしてそれに拍車をかけるという形は、どうも好ましくないと思われる。むしろ、時期としては、最も悪い時期に政府がおやりになろうとしているのじゃないか、こういう感じです。私は、三十二年の一千億施策、一千億の減税予算を組みましたときは、まことに恐縮な話でありますけれども、自分が党の政調会長をしておりまして、党側の責任者の一人として、ほんとうに失敗したという強い感じを持っておるわけです。どうもまた同じ傾向が日本に出てきておる、そういう感じを強くしておる。そこで、先般来、アメリカあたりの最近の経済動向に対する、ことに金融情勢に対する政府のものの考え方を見ておりますと、景気の対策というものは、起ったあとの対策ではいけないので、予防の気持でやれということを強く言っておるようであります。不況になりかけるとすぐに景気を出す対策を立てたり、景気が少し戻ってくるとすぐに締める対策——なるほど、そう思って見ておりますと、この間不況で苦しんだアメリカは、少し出過ぎたと思ったら金利を上げて押える対策をとった。なるほどこのぐらいでなければならぬものかなという感じです。そういうようないろいろな感じを総合判断してみますと、さっき申し上げたように、政府は、外国から借金をするなら、まず国内を締めて、それから民間側がゆるんでいるときは、政府は逆に締めるというぐらいの手でもっていかないと、安定した発展というものはできないのではないだろうか。そこで、先般来ドイツのいろいろなあれを読んでおりまして感じましたことは、ドイツでも、民間産業と政府のやるべき基幹産業の産業基盤の伸び方が食い違ってうまくいかなかったときに、ドイツは民間産業に十億マルクの社債を持たして、こっちを合わして進めた。私は日本の今日のこの産業基盤の育成がおくれているのも、これぐらいの感じでいいのじゃないか。民間が行き過ぎる傾向がありますから、ここから金を吸い上げて、おくれているものを上げていくというぐらいで、今の段階ではいいのじゃないか。それができた次に、なお必要があり安全が見通されるならば、外資導入がいいのじゃないか。こんな感じを持っておりますが、いかがですか。
○土屋参考人 外資の導入が、いわゆるインパクト・ローンの形でなされたときにインフレを招来しないか、こういう御懸念だと思うのです。これは、お話の通り、確かに物資の輸入を伴わないで外資が入り、国内の円資金だけ使われた場合においては、外貨の裏づけがありましても、理論的にはインフレ要因になることは、これは否定できない。従って問題はその程度なんですね。かりに一億ドルの外資の導入があって、国内で三百六十億円円資金が使われた、インパクト・ローンで物資の輸入が全然なかったとする。それでは、かりにその三百六十億円の円資金が散布された場合に、それでインフレになるか。私は、全体としては必ずしもそれがすぐにインフレになるというほどの金額ではないと思うのです。従って、同じ理屈で、今国内でもって公債をかりに三百億円ないし五百億円出したって、それ自体としてはインフレにすぐなるものじゃない。例年ある程度の散超というものは起っている。もっと金額の大きいものも起っているんで、理論的にはインフレ要因になるけれども、それじゃそれがすぐにほんとうに物価水準の上昇を伴うほどの大きさのものかというと、かりに一億ドルであっても、それほどの問題じゃないんじゃないか。ですから、三千万ドルであれば、これはほとんど問題にするに足りないと思うのです。しかし、御懸念のように、そういうことを無視して、ただインパクト・ローンでどんどん外資さえ入れておけばいいんだということになりますれば、これは確かに危険で、その金額が大きくなれば、それのもたらすインフレ効果というものも考えなければいけない。ですから、やはり結局は、御指摘の点は金額の点になるんじゃないかと思う。これはインフレ要因であることは明らかなんですが、国内の金融情勢と見合せて、それがどの程度ならばインフレ効果を招かずにやっていけるかどうかということの問題であり、さしあたり当面としては私はそういう心配はないんじゃないかと思っております。特に、この下半期はもちろん、来年度においても、経済の成長が非常に少いと思うのです。これは政府の方でも四・五%、せいぜいそのぐらいしか見込んでいない。そういうときであるし、しかも現在一兆円にも上る滞貨を保有しておる。生産能力の三〇用は遊休化しておる。むしろいかにして景気を刺激するか、つまり有効需要を喚起するかということが大きな問題になっておるときでありますから、現在の時点においては、その面からくる影響というものは、私はそれほど心配することはないんじゃないかと思う。ただ、全体の心がまえとしまして、御指摘のように、財界が放漫な経営態度をやっておる。そういう態度が是正されないときに、政府がどんどん外資を導入してインフレ機運をそそるというような形になることは、決して私はいいとは思っておりません。最初に申し上げましたように、金融のあり方については、また特に考えてみなければいけないと思うし、同時にまた、外資が導入されて、円資金が重要な部面に的確に使われるような、そういう導入の仕方をしなければいけないというふうに考えております。
○早川委員長 横山利秋君。——横山君、参考人御両人は大体午前中というお約束になっておりまして、与野党大体時間を半分に分けて、あと廣瀬君、石野君もございますので、それをお含みの上、一つ御質問願います。
○横山委員 今塚田委員から御質問がございましたが、私の立場も実は全く同感なんであります。この間私は大蔵大臣や政務次官にいろいろな角度から実はお伺いしたのですが、その意味でお二人にお伺いしたいのです。 この間からの私なりあるいは塚田さんの議論を集約して、どういうところに問題があるかということを整理しますと、たとえば、塚田さんの今おっしゃったいわゆる心がまえの問題、財界に心がまえがなかった、大蔵省に心がまえがなかった、大蔵大臣にその心がまえがはっきりしてなかったという問題、それから第二番目に、条件が適当であるかどうか、その見通しは適当でないという見通しの方が強くないか、第三番目に、国内で今外資を必要とするかという緊急性といいますか、積極性の問題、第四番目に、米国の経済事情というものがこれに適応しておるかどうか。これは、適応していないという意見が強いようであります。第五番目に、佐藤参考人がおっしゃった、歴史的な経緯と、その及ぼす将来へのわれわれの心配、第六番目に、財政負担がどういうふうになってくるかという問題、第七番目に、大蔵大臣もおっしゃったし、今土屋参考人もおっしゃったのですけれども、テストとしての問題、パイプを通すという意味の問題、この七つに大体議論が整理されると思うのです。 それで、まず佐藤参考人にお伺いしたいのですが、この間大蔵大臣からもそういう意見が出ました。テストとしての必要性といいますか、パイプ、道筋をあけていくという必要性というものは、他の条件なかりせば、ある意味ではもっとものような説得力を持っておるわけです。他の条件なかりせばという意味であります。その他の条件が六つ並んで、そして最後に説得力の多少あるような——テストとして、金額は大したことじゃないんだから、まあ一つあとあとのために道筋をあけていこうという論理というものが、全般的の中でどういう意味を持つであろうか、こういう点をまず佐藤参考人にお伺いしたいのであります。
○佐藤参考人 簡単にお答えいたします。 外債の募集を試みにやって、それで今後の、たとえば社債あるいは地方債、こういうものへの糸口をつける、つまりそういうところで国際的な経済あるいは民間金融市場との連係をつけておく、そういう考えの是非という御質問だと思いますけれども、基本的な考え方としまして、私は、外債というものは、なしで済ませ得ればそれが一番いい、なしで済ませることができれば、なしで済ました方がいいんじゃないか。そういう意味で、もしそういう意見になりますと、外債——外国から絶対借金をしないという意見なのかと言われますと、誤解されるおそれがありますが、そういうことを言っているわけではなく、やはり外債を募集する国内的——もちろん金を貸してくれるのは、向うの貨幣あるいは金融市場がどういう事情であるかということにかかっているわけでありますが、やはりそれだけ自分の方で困っている、そういう条件がないときに出す、そういうことは要らないんじゃないかと考えられます。テスト、試みに出すということが、やはりある意味で一つの大きな、将来への雪だるま式の発展への道になる。でありますから、意見を申し述べたときにも言いましたように、今は小さい子供あるいは赤ん坊であるけれども、今後非常におそろしい怪物になるんじゃないか、そういうおそれが多分にある。たとえば、今は三千万ドルでありますけれども、大蔵大臣が考えているところ、新聞が伝えているところによりますと、今後五億ドル出したい、さしあたって一億ドル出したいけれども、一億ドルも出ないから大体三千万ドルくらいが適当だろう——もしそれが正しいとすれば、これは非常におそろしい結果をもたらすのじゃないか。やはり歴史は繰り返すということで、その試みに対して大きな警戒の心組みでいなければいけないんじゃないか、そういうふうに考えております。
○横山委員 そこで、土屋参考人にお伺いしたいのでありますが、今塚田委員の論理的な立場について、その論理は御了承をなさる。けれども、金額が少いのであるから、論理は認めるけれども、そのようなおそれはまずない——結論的に私が理解いたしましたところによれば、そういう感じがいたしました。少くとも、外債を募集するという点については、今外資が乏しい、あるいは国内資金が不足する、あるいはまた外国における金利が安くて長期である等の条件がある。しかも、その基底をなすものは、国内において経済成長率を増すという一つの意欲がある場合、こういうふうに私は判断しておるわけであります。先ほどからお伺いしていると、土屋参考人の御意見は、経済の成長について、まあ六・五%まではいかないけれども、そう心配はしていないというようなお考えのようであります。つまり、この外債を発行するに必要な条件といいますか、端的にいえば、積極政策をとってもよろしいのではないかというふうに、私は理解できるわけであります。実はそこのところが大事なことではなかろうか、私はこう思うのです。少くとも今日国内において行われています経済政策は、不況対策はとらないという言葉に表現され、あるいはこのまま横ばいさせるという言葉に終始しておる。つまり積極政策はとらないという立場に立っておるわけです。国内では積極政策をとらぬ、そうして外国からは積極政策の材料となる外債を発行する、そういうところに、私は今日の経済政策の矛盾があると痛感をしておるわけです。もしあなたが外債を発行すべきであるというお立場にお立ちになるならば、それに必要な国内の経済政策についての御意見が、あなた自身としておありになるだろう。今の経済政策のもとにぴったり合った外債発行であるかどうかについては、またあなた御自身別な見解をとっていらっしゃるのではないか。少くとも佐藤さんのおとりになっていらっしゃる経済政策のベースであなたがものを言っていらっしゃるのではないような気がするのです。そういう意味合いで、外債発行に賛成である、その裏打ちされる国内経済政策はどうあるべきかという点について、逆な質問で恐縮でございますが、御意見があれば承わりたい。
○土屋参考人 私は、先ほども申しましたように、本年度の下半期も来年度の経済の成長もかなり低いと思うので、ある程度の景気刺激策は当然とるべきものだと思うし、それをとるだけの余力もあると考えております。しかし、今度の三千万ドルは、金額にしても百億円ですから、それほどの大きなウエートを持つものではないと思うので、そういうところからこれを考えるのではなく、むしろ将来の日本の国際収支並びに資本蓄積の不足を補うために、世界の外資事情と自由に結びつける、そういう糸口を作るパイプを開いておくというところに重点を置いて考えなければいけないんじゃないか、というふうに考えております。しかし、外資導入全般の問題としては、私は佐藤参考人とは全く反対でありまして、むしろ、日本経済の成長を可能ならしめるためには、相当思い切って外資を導入してもいい。それに耐え得ると思っております。またそれに耐え得るような経済でなければだめだ。外資を導入したから参ってしまうといったような国は、それはもう滅びつつある経済であって、後進国ならばいざ知らず、わが国においては、外資を導入して参ってしまうといったようなことはないと思うし、またそういう入れ方はすべきでないと思う。私は、大きな問題としては、外資の導入ということも、日本の経済の成長を確保する上の有力な手段であるというふうに考えております。その外資の導入の方法としては、世界銀行の借款とか、輸出入銀行の借款とかいうような特定機関からの導入よりは、広く世界の金融市場で日本が民間資金を導入するという形の方が好ましい、こういう考えに立っております。
○横山委員 私の質問の仕方が悪かったかもしれませんが、そういうことを聞いているのではないのです。外資導入に適応する日本の経済政策、外資導入が、国内の経済政策がどういう条件であろうと、いいということではなかろうと、私は聞いておるわけです。つまり、国内においては消極政策をとり、外資導入についてはきわめて積極的な立場をとるというところに、矛盾があるのではないか。外貨はどんどんため、そうしてためておいてはまた借金をする。ここにもまた矛盾があるのではないか。つまり、外資を導入するとすれば、たとえば塚田委員が財政の放慢政策を取り上げたけれども、導入するとせば、今日の国内の経済政策についてかくあらねばならぬという御意見が、あなたにはおありになるんじゃないか。あなたの御意見の基盤をなす考え方は、佐藤大蔵大臣の国内経済政策とは少し次元が違いはせぬかということに私は疑問を感じて、そこで国内の経済政策についての御意見がありはしないか、こう言っておるわけです。
○土屋参考人 御質問の要点がよくつかめないのですが、今申したことを繰り返すことになりますけれども、私は、現在、来年度までは、日本の経済においてはある程度の景気刺激を行う必要があることは認めております。これに対して政府がどういう態度をとるか、私はまた別の問題だと思っております。現在外資を三千万ドル導入するということは、これは景気刺激という意味からいっては非常に小さいものだ。従って、私は、その意味で——もっとこれを大きくしろとかなんとか言っているのではない。私の今これに賛成しているのは、もっと先の日本の経済の大きな成長を考えまして、そのために必要な外資の導入についての新しい。パイプを開く糸口だという意味において賛成している、こういう意味であります。 その外資の導入に伴って、国内でどういう経済政策を考えたらいいかという御質問ですが、これは、もちろん、外資を導入すれば、それを外貨で返さなければなりませんから、通貨価値を堅持して、為替レートの切り下げになるようなことは当然避けなければいけない。その意味において、通貨価値の堅持という政策ももちろん考えなければいけないと思います。それから、外資を導入した場合に、その外資が、必要でない、必ずしも緊急でない部面に勝手に使われるといったようなことは、これは厳に避けなければいけないので、できるだけ産業関連施設の整備等に重点を置いて、大事なところに投ずるような、そういう投資の重点化ということも考えていかなければならないと思います。その他、また企業にしましても、企業の一部において過当な設備投資を行なって、また同じような失敗を繰り返すようなことも、もちろん避けなければならない。これは先ほど塚田委員のお話にもございましたが、そういうことを考えなければならない。要するに、外資を導入するということは 一つの経済の安定的成長のために考えるのですから、そういう前提の上に立って、全体の経済政策ということを処理していかなければならないものだと考えております。
○横山委員 安定的成長という点が、私はどうも気になるわけです。成長をはかるということと、この間においておもしとして安定をさしていくということについて、私はあなたと意見を異にするわけですが、それは意見の相違ということにいたしまして、その次に、外債の条件ということが問題になっており、あなたもお認めになるように、将来、ここ数カ月でさらに条件が悪くなる。今日の状況においても、産投の六分五厘に匹敵するような条件で外債を募集する可能性がある。そういう場合においてはどうすべきかという点について、御意見が承わりたいのであります。大蔵大臣は、そういう条件になったら、必ずしも外債を募集するとはきまらぬ、こう言っておるわけです。少くともインドへ行き、そうして最近アメリカから交渉委員がやってき、国会でこういう議論があり、その段階において、法律は通してもらいたい、実は条件が悪くなるかもしれぬから、やるかやらぬか、実際のことはわかりません、状況次第でまかしてもらいたいというお話なんであります。弾力性に富むという言葉はいい言葉でありますけれども、きわめて積極性がない。何と言いますか、腹のすわった外債募集の態度ではない、こう考えておるわけです。その点について御意見を伺いたい。
○土屋参考人 これは、結局、当面どうしても三千万ドル借りなければ日本の国が困るということか、それとも、将来を考えてこういう新しい形式の外資の導入に踏み切るべきか、そういう問題に帰着すると思うのです。先ほども申しましたように、三千万ドル、百八億円くらいは、国際収支の面からいっても、円資金の面からいっても、今何も急いでやることはない。問題は、できるだけ早い機会に、日本の産業界と、それから世界の自由な金融市場とのつながりをつけておく。そういうことがいいというのが出発点なのであります。それで、世界の金融市場につながりをつける場合に、もちろんこれはできるだけ金利の安いときに外債を募集すればいいことは、これはその通りであります。ただ、これはやはり相手のある仕事であって、公定歩合が一分七厘五毛のときに募集できればよかったのですが、株を一番高いところで売り、一番安いところで買うことができないのと同じように、アメリカの景気の回復の速度というものを、それほど的確に予見できなかったので、一番外債募集に適当した時期はのがした。これはやむを得なかったと思います。 今後の見通しにつきましては、先ほども申しましたように私といえどもその点についてはこうだと断定し得る論拠はございません。大体の感じとしては、一番公定歩合が高かったときと一番安かったときの半分に今戻しておる。ちょうど中間の時期だ。ですから、よくも悪くもない、まあまあだと思うのです。今後来年三、四月以降は、金利が上りはせぬか。設備投資がかなり盛んになりはせぬか。そうすると、その三、四月までの間に比較的妥当な条件で外債を募集し得るチャンスがあるように思うのです。その予想に反して、クリスマスの金融繁忙時期がさらに一月、二月になっても続いて、どうしても外債募集の金利が上って困るという情勢になるならば、それは何も無理して年度内に三千万ドル借りなければならぬという問題じゃないから、そのときは見合せるということも私はやむを得ないと思います。つまり目先今どうしても金を借りなければならぬという問題じゃないと思う。日本が世界銀行だけにたよるといったような態度でなくて、自主的に民間から資本を調達するという態勢を作るということであれば、その間できるだけ有利な条件のもとで募集する機会をつかむということが、当然な配慮じゃないかというふうに考えております。
○早川委員長 参考人は大体十二時前後というお約束で来ていただいておりますので……。
○横山委員 土屋さんと私どもとの間に財政法に対する理解が相当懸隔があると思うのです。私どもの財政法の理解は、外債というものは原則的になるべく発行しないという立場に立っておる。財政法のいっておるところは、そういうことになると思うのです。法律でもってきめなければいかぬとか、償還計画を出さなければいかぬとかいうふうにして、制度的立場にある。あなたの御意見は、とにかく外債はどんどん発行しろ——どんどんとは言いませんけれども、民間も公共団体も昔のようにやったらどうか、こういう御意見、この御意見は、恐縮なんですけれども、財政法の立場と少し違うと思っておるのです。あなたの御意見であるならば、財政法を改正いたしまして、そうして公債に対する法律の感覚、解釈というものを変えなければ、どうしてもさっきからいろいろお伺いしておるのですが、次元が違うと思うのです。 それはそうとして、そこで最後の問題に移るわけですが、ほかの六つの問題については、大体あなたの御意見と私どもの意見の違いということや、いろいろなことはわかりましたが、やはりテストという問題とパイプを通すという問題が、違う次元においても、意見をもう少し尽したいところだと思うのであります。あなたは、金額は百八億くらいであるから、論理的にはインフレ傾向ということはあるけれども、現実的にはないのだというお話でありまして、この限りにおいては私も認めるにやぶさかではない。ただ、私ども政治を担当しておりまして、あなたも新聞という非常に感覚の広い立場にお立ちになって、共通の点がなくちゃならぬと思いますので、お互いに三千万ドル、百八億の数字に限定してものを考えるわけには参らぬではないか、そういう気がするわけです。先ほど佐藤参考人からおっしゃったように、赤ん坊だから何もしないんじゃないか、赤ん坊をここへ出したって、刃物があっても別に刃物をとるようなことはしない、人を殺すようなことはしないよという論理と似ているんじゃないかと思います。あなたのお考えは、財政法の解釈によればよるほど、この赤ん坊がすこやかに早く成長することをあなたが望んでおるとするならば、最初私が申しました六つの問題について、やはり論理的な問題についても大きな将来の危惧が存するのではないか。そうとするならば、今度は、テストあるいはパイプ論というものが、今でなくてはならぬのかということになる。今テストをしなければならぬのか、今パイプを通すことに絶好な時期であるかという点を、最後に私はあなたにお伺いしたい。今このテストをしなければならぬ時期か。私は今パイプを通さなければならぬという時期でもなかろうと思っておるわけです。自余の問題は、あなたも相当お認めになったのでありますが、まあ道さえつけておけばいいんじゃないかという、その道において、今でなくてはならぬのかという点について、私は理解がなかなかできない。
○土屋参考人 今でなくてならぬのかということは、私は、必ずしも、三月までにしなければならぬ、四月までにしなければならぬというふうに、時期を限ろうとは思っておりません。しかし、できるだけ早い機会に世界銀行借款だけにたよらないような態勢を作っておく方がいいんじゃないでしょうか。世界銀行は、先ほど申しましたように、国際的な機関ですけれども、そういうところの意向によって一々外資の伺いを立てて導入するという形よりは、自由な国際市場で日本の外債を募集して、買いたいものは買います。保険会社かあるいは民間の人もあるでしょう。日本の外債はけっこうだから買おうという形で、アメリカ、ヨーロッパの人が買ってくれるという形で金が入ってきた方が、私は世界銀行一本やりでいくということよりは好ましいんじゃないかという感じを持っておる。その意味においては、これは、何もそんな世界中の人に買ってもらわぬでもいい、国内資金だけでやれということなら、これは別ですけれども、私は基本的に日本の国際収支の前途について楽観しておりませんから、やはり国際市場から民間の金を調達し得る可能性を作った方がいいと思うのです。それにはやはり適当な機会を早くつかんだ方がいい。今が一番適当な機会かと申しますと、先ほど申しましたように、金利その他からいって、一番いい機会じゃない。金利は上りつつある。先行きどうなるかわかりはせぬが、もっと上ってまた下る時期まで待つ、その時期の見通しがつけばいいが、そこまでは経済の観測の予測がつかないので、あるいは三月ごろまでに外債を六分くらいの利回りで発行しておいて、一年くらいたってみたら案外下って五分五厘でできたんじゃないか、そういう結果論も起り得ると思います。それまで予見できれば、一年待った方がいい、二年待った方がいいということになりますが、そこまでの予見は、米国の景気の観測の問題と関連するので、なかなかできない。そうだとすると、まあ公定歩合が一番高いときと一番安いときの中間まで戻したくらいの時期は、一応発行していい時期じゃないかというふうに考える。これは、もちろん、こう言っているうちに、来年一、二月になって、今の二分五厘が三分になり、三分が三分五厘になるというふうに急ピッチな上り方をしますと、これは私は何もそこで無理に急げというふうには考えておりません。この辺のところは、常識的にアメリカの金融市場の動き、アメリカの景気の動向というものを判断して、日本にとってそう悪い条件でない限りは、早く自由な国際金融市場とのつながりをつけるという形でやった方がいいんじゃないかと思っております。
○早川委員長 石野久男君。
○石野委員 私は、時間を非常に詰められておりますから、簡単に土屋参考人にお尋ねいたします。 土屋さんのお話によりますと、今度の外債発行に賛成される理由として、外貨の国際収支の健全性を将来にわたって確保するためにということと、それから国内資金の調達を兼ねるという二つの意味がある。今の時期になるべく早く国際市場との間にコネクションをつけて、一つパイプを通しておきたい、こういう御意見のようでございます。外債を発行するに当っては、外債そのものがどんなに小さいものであっても、佐藤参考人が言われるように、それは赤ん坊であっても、やがては怪物になるという危険をだれもが考えておることで、また土屋参考人自身もお考えになっておることは、先ほどのお話でよくわかっているんです。そこで、問題になりますのは、この外貨の健全性という問題になりますと、現状ではあまりそうすぐに必要だという事情もないようでございますし、当然今日発行される理由というのは、円資金調達のための裏づけということになるようでございます。私がお尋ねしたいのは、やはり私たちが外債を発行するということになりますと、将来の国際市場におけるところの金利がどういうふうになるかということの見通しを、ただ勘で感じたような形での、いわゆるスペキュレーションとしての外債発行というものは非常に危険だというふうに感じます。外債発行は、あくまでもその国の経済が健全に発達するためにという、長い見通しの上に立って、その必要に応じて緊急やむを得ないときに出すのが、財政法の建前からいっても筋だと思うのでございます。そうなりますと、今通すパイプというものは三千万ドルというきわめて少額のものなんです。この少額のパイプを通さなければならないという今日の日本の経済事情というもの、そうして、今ここでパイプを通してないと、今後緊急に必要になってくるという事態が、当面の近い期間に見通されるという事情がなければ、このパイプを通す必要はないんじゃないか、こういうふうに思うわけです。 そこで、土屋さんは、日本の経済の健全な発達のために、今持つ日本の経済計画、永年にわたる経済計画の中で、国際的にはどうあろうと、金利がどうあろうと、ついじき近いうちに多額の外債を発行しなければならぬという見通しがある、そういう建前に立ってこの外債発行に御賛成なさっているとするならば、そういう見通しの問題について、国の経済の発展に対する外債の必要度というものは、どういう時期にどれだけの——どれだけといっても、すぐ確実には言わなくてもよろしゅうございますが、今土屋さんはどういうふうな見通しを持っておられるかということを、ここで一つ承わっておきたいのです。近いうちに外債をどういう時期にどれだけのものを必要とされる日本経済の実情であるか、ということについてのあなたのお考えを、一つここで聞かしてもらいたいと思います。
○土屋参考人 大へんむずかしい御質問を受けたんですけれども、緊急やむを得ないときに発行するということは、これはもちろんそのとき発行しなければならぬわけですが、そのときに発行するのは困難ですね。日本の経済の上からいって、国際収支が悪化して発行しなければならぬというときは信用がないときなんです。その場合には、国際通貨基金から、この前やりましたように一億二千五百万ドル借金しましたけれども、ああいうことで対処するほかないんで、そのときになって外債を発行しようと思っても、日本の国際収支が悪いときには、日本の外債を売り出しても、もうだれも買ってくれないと思うんです。ですから、私の緊急やむを得ないというのは、そういう足元から鳥が飛び立つような感じで、情勢が切迫したときにやるという意味ではないんで、日本の国際収支を考えますと、私はことしは四億とか五、六億ドルの黒字になっていいと思っておりますが、同時に一、二年前には、一年間に四億ドルも五億ドルも赤字になった、あるいは昨年の三月から五月の三カ月で三億ドルも赤字を出したという事例もございまして、非常に安定性がないわけです。今日毎月四、五千万ドルずつ黒字が出しておるから、もう国際収支は心配ないんだというんで、だいぶ議論が楽になりましたが、一年前を考えると、非常に底の浅い日本の経済においては、非常に好調だったのが、ぐっとまた逆転して、たちまち四、五億ドルほどの赤字が出るという危険性がないとは言えないと思うんです。これはもちろん国内の経済政策の誤まりに基因するところが多いんです。先ほど塚田議員も述べられましたように、経済の拡大しているときに積極予算を組んでそれをあおったといったようなことも一つの原因だったと思うし、いろいろそういう政策の誤まりに基因するところが多いと思うのですけれども、やはり、日本の経済の体質の中にも、非常にそういう安定性のない、赤字あるいは黒字を繰り返すような、そういう要因がいろいろひそんでいるように思うのです。もちろんこれは是正していかなければいかぬし、そういう経済政策が進められるように思うのですが、それにしても、私は、全体として見ると、なかなか国際収支の前途は楽観できない。ことしはまあ四億ドルの黒字かもしれない。来年も一、一億ドルの黒字かもしれない。しかし、そのころになると、ほんとうのことを言いまして、果して黒字でいけるかどうか私はわかりません。むしろ、今までの例からすると、日本の国際収支の危機というものは三年の周期で襲ってきています。大体周期的に赤字が襲ってきて、どうも安定性がないという状態を繰り返しているように思うんです。先ほど塚田議員からも最低保有高は幾らかといったようなお話がございましたが、これはいろいろ国によって違いますけれども、経験的に今までの日本の側から考えますと、輸入額の二割程度はどうしても最低保有高として持たないと、実際の外貨のやりくりがつかないように私は思っております。ですから、二十六、七億ドルあるいは三十億ドルくらいの輸入規模として、五、六億ドル、まあ六億ドル見当、これくらいはどうしても最低必要保有高として持っていなければいけない。今日八億ドル近い外貨がありますから多少ゆとりが出ていますが、しかし二億ドルくらいのゆとりでは、一ぺんに四億ドルも五億ドルも赤字が出た年もあったんですから、これではまたたちまちなくなってしまうというように考えられる。ドイツのように六十億ドルも外貨を持っているわけではないんですから、そういう点から考えますと、今緊急に赤字が差し迫っているようには考えられません。しかし、そのときになってあわててやってもだめですから、あらかじめパイプをつけておいて、世界銀行以外に新しい国際金融市場から民間資金を借り入れる、こういう形を整えておくことがこの際適当ではないか。ただし、これもあまり金利が上ればまた考えていいと思うんですけれども、まあこの辺が一番いいところじゃないかと思っております。
○石野委員 あめと二、三問です。 今私のお尋ねしたのは、外貨市場の安定化のための勘という問題ではなしに、こういう外債を発行するについては、将来また多額のものを必要とする。パイプを通すということは、小さいパイプでももっと大きくせよという意味があるわけですから、それは必然的に外債を今後多額に入れることも意味しているわけで、それはまた日本経済の将来への見通しの問題と関連があるわけでございます。その問題に対する御答弁はちょっといただけなかったんです。 今、経済政策や経済態勢の中に非常に不安定性がある、こういうお話でございました。しかし、外貨の最低保有量というものが大体輸入の二割程度といいますと、五億ドル、六億ドルという程度なんです。現在八億ドル持っておる。この前外貨が非常に不足してしまったような事情になったのは、塚田さんもおっしゃったように、当時の経済政策の中に若干の誤まりがあったということをはっきり申しておるのであって、今土屋さんの御心配になられる海外からコネクションをつけて外資導入の糸口をつけようということよりも、もっと大事なことは、国内の経済政策にもう少し注意せよということの方が必要なんじゃないかというふうに私は思うわけです。 そこで、そのことは別としまして、パイプをつけてやる場合には、当然次にまた太いパイプにしなければならない。その場合、国際市場がどういうように金利状態が変ろうとも、その必要によってパイプを太くするのであるかというと、そうじゃなかろうと思うのです。それは、やはり条件によって、有利な条件をということになってこようと思いますから、そうなりまするならば、今は幾らパイプを通じておっても、条件が悪ければとても。パイプは広がらないということになって参ります。そうすると、当然今日のパイプはただ勘でやるだけだということになって参って、非常にその根拠は私は薄いように感ずるわけであります。問題なのは、それにもかかわらず、今三千万ドルという外資の導入をやらなければならぬということになりますと、今日の状態のもとでは、これを円資金にかえなければ、どうしても国内で円資金の調達ができないという事情がなければ、その裏づけになってこないんじゃないかというように私は思うのです。そういう意味で、たとえば、先ほどから申しますように、いろいろ資金の調達の方法はあるんだ。ことに塚田さんもおっしゃっておりましたように、投資に関する心がまえという問題が非常に違っておるし、あなたもおっしゃいましたように、今投資家の持っておるかまえの中には非常にむだな投資もあるということを認められるとしますと、現状では、そういうパイプを通ずるよりも、現状で調達できるならば、むしろその方向でやる方がいいのではないかという考え方をわれわれは持つわけですが、そういうことに対しては、参考人はどういうようにお考えになりますか。
○土屋参考人 確かに、円資金の面からいえば、私は今ここで三千万ドル、百八億円がそう重要とは思いません。やろうと思えば、資金運用部の蓄積資金を出すだけだって一千億円以上も金は作れるのであって、円資金の調達という観点からいって、これがどうしてもやらなければならぬものだというようには考えません。しかし、問題は、繰り返すことになりますが、将来の国内資金はやはり足りないんじゃないか。これは、国内で国債を発行することも必要でしょうが、同時に、外国で外債を発行して、その外資を裏づけとした円資金を調達することが必要になる情勢も私は起るだろうと思うのです。それから、国際収支について、先ほど申しましたように、これも楽観しない。パイプをつけておけば、それが次第に大きくなって心配だということを言われました。そこで、その基本的な感じ方になると思うのですが、外資の導入あるいは外債の発行を危険と考えるか、それとも、それは日本の経済の成長に、もちろん限度はありますが、プラスと考えるか、こういう基本の感じ方が多少食い違っておるんじゃないかと思うのです。なるほど、日本は、戦前外資をいろいろ導入し、外債を発行し、そのためにいろいろと国際収支の面で苦しんだ面もありましたが、同時に、そういう外資を導入して経済の成長をはかり、それがプラスになったというその効果は無視できない。今後の経済の成長についても、私はやっぱり外資は要ると思います。とても円資金だけでは到達できない、そういう面が少くないと思います。円資金だけでやればやれないことはないと思いますが、経済の成長がそれだけおくれる、あるいは正常な高さまで達しないということも考えられる。私は日本の経済の成長についてある程度自信を持っています。そう心配は要らない。つまり外債が返せなくなるほど低いものとは思いません。しかし、外債を導入しないで、全部円資金でやっていっていいかというと、それほど経済の成長が自力だけで高いとも思っていない。結局金額をどの辺で押えるかということになるかと思いますが……。
○早川委員長 石野君、参考人のお約束の時間が過ぎておりますから、この一問だけで打ち切りたいと思いますので、そのつもりで御質問を願いたいと思います。
○石野委員 今土屋参考人からおっしゃられたように、私は、先ほどの質問でも、決して外債は何でもかんでもいけないという言い方をしているのではございません。その必要に応じて外債を発行することは、決して悪いことじゃないと思うのです。ただ、それは、日本の経済の成長というものとの見合いの中で、きわめていい条件の中でそれをやるべきだ、ということを言っているわけでございます。そういう意味で、決して、土屋参考人の言われるように、外債を私は何でもかんでもだめだというような所見に立っておるわけではないということを、この際はっきり申し上げておきますが、ただ、その場合には、今日外債を発行しようとする理由としておあげになられた、外貨事情を安定させるためということについては、今日の状態の日本の外貨保有の状況からいえば、決してこれを必要とする段階ではないということも、はっきりしておるわけであります。将来にわたって危険だというのは、経済政策の問題に非常に依存するわけでございますから、これはむしろ政府がその点ではっきりした態度をとって、時期を誤まらずに、その施策を誤まらなければ、とにかくこの国の力に応じ、健全な外貨保有の状態を維持することができると私は見るわけです。今日外債を発行しようとする——わずか三千万ドルというものを発行しなければならない事由が、今の時期においてはなぜ必要かということを私は先ほどお尋ねしたわけなんで、それについて、この外債を入れますると、これは円資金にかわるわけです。決して外貨そのものとして輸入の財に充てるわけではございません。そうなって参りますれば、今この国の中での円資金調達の方途がないのかどうかという問題を一つ考えるべきだということを私は申し上げておるのであって、そういう点に道はないかということが一つ。それからまた、パイプをかりに通じたからといって、それは、細いパイプであっても、大きくしなければならないという意味からそのパイプを通じるのでありますから、それは、危険だとかなにかでなしに、その意図があるから通じておるのだということになると思います。不必要なときにパイプを通ずるということは、将来その必要は認めるということだと思います。その必要を認める根拠は、あなたの論拠で言うならば、外貨事情に不安定性があるからだということになるわけであります。私どもから見ると、経済政策の面で十分な引き締めというものをやっていけば、その点は除去されるのではないか。そうすれば、当然、それを除いても、外貨を将来にわたって大きくしようとするのには、今日見通されるところにおける日本経済の成長とその計画のために、外貨はどうしても必要だという根拠がなければできないということを申しておるのです。その点についてあなたの所見を伺っておきたい。外貨の不安定性というような事由でなしに、また、先ほど言われたように、将来非常に条件が悪くなるかもしれないから、ここで通しておくのだというような投機的な考え方でなしに、ほんとうに日本の健全な経済建設のために、この時期においてどうしてもそのパイプを通しておかなければならないという見通し、そういう長期計画に基く経済の必要性と、日本の国民経済の安定性というものがどこにあるかという点について、あなたの御意見を一つ承わっておきたい、こう申し上げておるわけであります。
○土屋参考人 非常にむずかしい問題で、私はどうもこういうことに全般的にお答えするだけの力がないのですが、パイプをつけるという比喩的に申したことが、あるいはかえって逆効果かと思うのでありますけれども、やはり国際金融市場で外債を募集するというようなことは、これは実は、一ぺんやったからといって、すぐなじみができるわけのものではないのです。日本は戦前ある程度出しておるから、ある程度外債に対して信用がある国となっておりますが、三十年間途絶しておって、果して、今の国際情勢のもとで、一般の大衆のもとにおいては、日本に対して投資するということにまだかなり不安の念を持っておる者もあるいはありはせぬか。いろいろその当時と情勢が変っております。そういう中でもって、必要になったから、さあ出そうということを言っても、すぐには間に合わないので、やはり早い機会をとらえて、三千万ドルでも、あるいはまたこの次三千万でもけっこうですから、出しておいて顔なじみにしておいて、そして将来国際収支の危機が生じたときになって、あまりじたばたしないでやっていくような態勢を築き上げていくという、一歩々々こういう努力が必要だと思うのです。何もそういうことをしないでもいい、外資導入にたよらぬでも、国内でやっていけるというのならばいいですが、国内の円資金から申してもなかなかうまくいかないと思っております。たとえば、長期経済計画で、国内の資本の蓄積三〇%を見込んでおります。これは共産国家に匹敵する高い率なのです。それでやっていく計画になっておりますけれども、それでも、なおかつ私は日本の必要とするいろいろな建設は足らない部面があると思います。いわんや、その蓄積率になかなか達しないということになると、円資金調達の面からいっても、こういう道を開いておくことは決して悪いことではない。いわんや、国際収支に関しては、以上申し上げました通りであります。ですから、目前の円資金ということをいえば、百八億円くらいどうにでもなるので、おっしゃる通り何もあせる必要はないと思うのですが、将来における外資導入の新形式として外債をある程度出せるような形の方がいいということであれば、比較的アメリカの金融市場が落ちついておる——少し上りぎみになりましたが、この時期にそのスタートを切る方がいいんじゃないか、こういう意味で申し上げたのであります。
○早川委員長 これにて参考人に対する質疑は終ります。 この際、参考人の方々に対し、一言ごあいさつを申し上げます。参考人には、御多用中のところ、長時間にわたり御出席をいただき、有益かつ忌憚のない御意見によりまして、当委員会の審査に多大の便宜を与えていただきましたことに対し、深甚の謝意を表したいと存じます。 それでは、午前の会議はこの程度にとどめ、午後一時半より政府に対する質疑を行うこととし、休憩いたします。 午後零時二十二分休憩 ————◇————— 〔休憩後は会議を開くに至らなかった〕