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30回国会衆議院1958/10/24

大蔵委員会 第6号

発言数
88
登壇者
7
会派数
2
開催日
1958/10/24

会議録

早川崇自由民主党

○早川委員長 これより会議を開きます。  税制に関する件、金融に関する件及び外国為替に関する件について調査を進めます。  質疑の通告があります。これを許します。  奧村又十郎君。

奧村又十郎自由民主党

○奧村委員 私は主として大蔵大臣にお尋ねをしたいことがありますが、まだお見えでありませんので、その前に、主税局長に、九月末の租税収入の実績が大蔵省で発表されておりますから、それに関連して二、三お尋ねをいたしたいと思います。  本日ただいま委員会に配付された「昭和三十三年度九月末租税及び印紙収入収入額調」の表を見ますと、経済界にかなり不況が全般にわたっておりますので、税収入にどの程度響いてくるものかということについては、非常に関心を深めておるわけでありますが、この九月末のリストによりますと、税収の総収入額は五千百四十二億で、前年度の対決算額に比較した。パーセント四八・一%と比較すれば、四八・六%ですから、前年度と大差ないように思います。しかし、これは前年度の予算額に比較すると伸びが悪い。総計においてはまだ悲観すべきものではないように思うのですが、どうでしょうか。

原純夫大蔵事務官(主税局長)

○原(純)政府委員 おっしゃる通り、ただいまの収入状況で見ますと、総計といたしましては、この予算に見ました額が欠けることはまずあるまいというふうに思います。大体予算のペースで動いておるように思います。

奧村又十郎自由民主党

○奧村委員 問題は、法人税において、前年度と比べて、かなり減収になっておりますので、これについてお尋ねしたいと思いますが、ただいま外務大臣がお見えでありますから、私の質問は中止いたします。     —————————————

早川崇自由民主党

○早川委員長 それでは、賠償等特殊債務処理特別会計法の一部を改正する法律案を議題とし、前会に引き続き質疑を行います。  石野久男君。  石野君に申し上げますが、外務大臣は大体十五分くらいの短かい時間でありますので、重点的に御質問をお願いいたします。

石野久男日本社会党

○石野委員 大臣にお尋ねいたします。  賠償等特殊債務処理特別会計法の一部を改正する法律案が本委員会に上程になっておるのですが、この法律案は、日本国とラオスとの間の経済及び技術協力協定に対する関連性の問題として、処理法案として出てきておるわけでございます。昨日もアジア局長にお尋ねいたしましたのですが、まだ十分に理解できない点がありますので、大臣にお尋ねいたしたいと思います。  最初に、ラオスからは日本に対して賠償請求権を放棄するという申し出があって、その事実を考慮して、しかもまた、ラオスが希望しておるところの、日本からラオスヘの経済協力を与えるために、十億円の無償経済協力をするというのがこの趣旨だと承わっております。そこで、私は、まず日本の政府が考えておる基本的な考え方として、こういうふうに賠償放棄という意思表示がありました場合には、それと引きかえで向うが日本に経済協力などを求める場合、いつの場合でもこういうような処理をなさるのかどうか。そういう考え方で、今後かって大東亜戦争における交戦国であった国々に対する跡始末の処理をなさるのかどうか。その基本的な考え方を一つ外務大臣からお聞かせ願いたいと思います。

藤山愛一郎自由民主党外務大臣

○藤山国務大臣 御承知のように、ラオスは賠償請求権を放棄しております。このことは、われわれ日本国民としてラオスに対して感謝をしなければならぬことだと思います。従いまして、ラオスのこの好意ある態度に対しては、われわれも、国民としても、長くそれらの好意に対して十分報いて参る。それは精神的にもそうであります。同時に、何らかの形でもって援助できる場合には援助をしていくのが適当ではないか、こう思うのであります。今度のラオスの問題も、ラオスが今後いろいろ経済建設をやって参ると思いますが、しかしすべてこういう形でラオスに持っていくというわけではありません。この問題としては、これでさしあたりわれわれの好意を示すということであります。今後は、精神的に、できるだけ、ラオスの経済建設というものに対して、われわれも好意を持って考えていきたい、こういう立場でおるわけでありまして、ラオス以外の賠償を放棄した国に対しても、そういう気持でいくことが、日本国民の適当な気持の表示ではないか、こういうふうに考えております。

石野久男日本社会党

○石野委員 あとの方はちょっと十分に聞き取れなかったのですが、私の聞きたいのは、こういう賠償請求権を放棄してきた国が、日本に経済協力を求めるような場合には、その事実を考慮し、向うの希望に合致するような形で、ラオスに対してとったような、こういう無償経済協力の形を他の諸国に対してもとるかどうか、ということを聞いているわけであります。

藤山愛一郎自由民主党外務大臣

○藤山国務大臣 ラオス以外にカンボジアの問題もあるわけでありまして、われわれとしては、むろん、それらの援助の方法なり金額なりについては、それぞれそのときの条件によって違うと思いますが、そういうような考え方を持っております。

石野久男日本社会党

○石野委員 大体そういう趣旨に基いている。それでは、この日本とラオス との間に行われた技術協力協定というものは、主として、政府当局としては、この協定に基いてどういう成果が上ってくるという見通しによって、こういう協定をなさっておるか。政府の考え方を承わっておきたいと思います。

藤山愛一郎自由民主党外務大臣

○藤山国務大臣 今回の十億円の技術協力協定は、御承知のようにラオスの首府でありますヴィエンチアンの上下水道を作る、こういうことなのでありまして、ラオス側からいえばいろいろな希望もあろうと思いますが、ラオスの今日の事情から見まして、衛生状態の改善あるいは全体の均衡の上からいって、水道を作ることは非常に必要なことだと思うのであります。ラオス側にも、上下水道ができるということに対して、私は非常ないい影響を与えるのではないか、こう考えております。

石野久男日本社会党

○石野委員 私の聞きたいのは、ラオスの側がそういうような用益を受けるということ以上に、日本がそれによって将来どういう成果をその中からくみ取ることができるか、そのねらいは何であるかということであります。

藤山愛一郎自由民主党外務大臣

○藤山国務大臣 これだけの上下水道を日本が作るということができますれば、向う側に十分な国民の幸福、市民の幸福を与えることになりますので、向う側に対しても非常にいい印象を与えるということ自体が、日本側の将来の、これらの国々との友好関係を打ち立てていきます一つのやはり大きな根になっていくと思います。われわれとしては、むろん、今後とも、これらの国に対してできるだけ日本側も友好関係を持って参らなければなりませんし、またそれを持って参りますことが、日本の今後におきます各種の問題を取り扱う上において、長い目で見ていい結果を招来するのではないか、こう考えております。

石野久男日本社会党

○石野委員 その友好関係は観念的なものなんですか、それとも実質的、経済的なものを何らかねらっているわけですか。

藤山愛一郎自由民主党外務大臣

○藤山国務大臣 むろん、友好関係が増進されるということは、政治的にも経済的にも、いろいろな意味において今後密接な関係がつながれていくということが考えられると思います。

石野久男日本社会党

○石野委員 私は、今後密接な関係が結ばれていく中で、特にこういう問題は、観念的なものだけではなしに、実質的に経済的につながりを深めていくことのねらいが達せられなければ、やはり意味がないと思うのです。そういう問題については、時間の関係がありますので、あとで貿易問題と関連してまたそれに触れたいと思います。こういうような考え方でいきます場合に、たとえば今ヴェトナムの賠償交渉が行われておる。それから、ラオスと同様に、大臣が今言ったように、カンボジアとの問題がある。このカンボジアの問題は、近いうちに約十五億円に相当するものを、これと同じような形で話し合いを進めるのだと、きのうアジア局長から話を聞いたが、ヴェトナムの方の問題については今交渉がどうなっておるかということ、それからもう一つは、ヴェトナムについて非常に大事だと思うことは、ヴェトナムが南と北とに分れておる。この南と北とに分れておるときに、南ヴェトナムと交渉をしたときの賠償の成果というものは、北ヴェトナム国に対してどういうふうに出てくるのか、それと日本との関係はどうであるかということについてであります。そこで、私が大臣から答弁をいただきたい一番重大な問題は、こういう南と北とに分れておる場合の賠償交渉というものについての考え方が一つ、もう一つは同じヴェトナムでも、北の方にわれわれは戦争のときいろんな被害を与えた率が大きいのです。財貨の上においても何においても。その北ヴェトナムの方では、ちょうどこのラオスと同じように、以前賠償の請求権を放棄するというような意思表示がなされたことを、われわれ知っておるわけなのでありますが、そういうような事態とこのラオスの問題との関連性において、南ヴェトナムとの賠償交渉の問題はどういうふうになってくるのか、こういう関連性を一つ大臣から明確にお聞かせ願いたい。

藤山愛一郎自由民主党外務大臣

○藤山国務大臣 御承知のように、南ヴェトナムはサンフフンシスコ条約にサインをいたしております。従いまして、賠償の請求権を持っておるわけであります。その立場から、かねて南ヴェトナムとしては賠償の請求をいたしてきておりますので、現在その交渉をいたしておりますことは事実であります。なお、ヴェトナムが南北に分れておるという事実は、現在確かにあるわけでありますが、しかし、この両国は、将来、ジュネーヴの決定によりましても、話し合いによって解決されるものだと思うのでありまして、賠償自体は全ヴェトナムに非常にいい影響を与えるものではないかと考えております。

石野久男日本社会党

○石野委員 この点は非常に重要な問題なんです。あなたは、今、ヴェトナムはやはり全ヴェトナムだということを言われた。しかしヴェトナムは現実に南と北とに分れておる。しかも、片方は、サンフンシスコ講和条約の線に沿って賠償しなければならぬということで、交渉しておる。ところが、現実に存しておる北のヴェトナムは賠償を放棄するという事態が、一方では出てきておる。一方では賠償を支払わねばならぬという事態が出てきておるときに、日本の国民の立場から考えると、それをどういうふうに取り扱うかということは、きわめて重要な問題なんです。まず第一番に聞きますが、南ヴェトナムの賠償の交渉は今どういう状態に進んでおりますか。

藤山愛一郎自由民主党外務大臣

○藤山国務大臣 南ヴェトナムとの賠償の交渉は、長い間の折衝でありますので、だんだんそれが進んで参ってきておることは申すまでもないわけであります。従って、現在ある程度の進行を見ております。まだ最終的に決定する段階にはなっておりませんけれども、ある程度固まりつつあることは事実でございます。

石野久男日本社会党

○石野委員 新聞に伝えられるところによると、ヴェトナム交渉はどうもうまく進まないで、一応中断の状態になっておる、こういうことが一昨日の新聞には出ておりました。そういう事実はどうであるかわかりませんが、交渉の実態はどういうように進んでいるかということを、もう少し詳しく知りたい。それと同時に、先ほど私がお聞きしましたように、政府では南ヴェトナムとの交渉を盛んに進めておりますが、同じヴェトナムの中で北の方の賠償の問題についてはどういうようにお考えになりますか。

藤山愛一郎自由民主党外務大臣

○藤山国務大臣 現在、ヴェトナムとの賠償の交渉は、金額等の点につきましては、ある程度まだ最終的に調印をいたしておりませんから、最終的なことを申し上げかねますけれども、だんだん話し合いが詰まってきておりまして、それらの問題とあわせて、現在いろいろな付属的な事務的な問題を討議いたしております。それから、北ヴェトナムが賠償を放棄したという事実は果して確認し得られるのか、得られないのかということは、私どもとしてわからぬわけであります。

石野久男日本社会党

○石野委員 賠償を放棄したかどうかが確認できないという事実に基いて、もし北ヴェトナムから賠償の請求があった場合には、どういうような処置をなさいますか。

藤山愛一郎自由民主党外務大臣

○藤山国務大臣 私どもは、南ヴェトナムがヴェトナムの代表的政府としてサンフフンシスコ条約に調印いたしておりますので、賠償問題に関しては、その政府を相手にして解決するのが正当な方法だと考えております。

石野久男日本社会党

○石野委員 それが非常に大事な問題なんです。今、大臣は、サンフランシスコ講和条約で南ヴェトナムが調印した国であるからということで、そういうふうに言われたのだが、しかし、現実には、あの十七度線というもので区切られた三つの政府ができているわけです。この一方の政府の存在する事実を日本の政府は認めないのかどうか。この点について政府はどういうようなお考えを持っておられますか。

藤山愛一郎自由民主党外務大臣

○藤山国務大臣 ヴェトナムがサンフランシスコ条約調印後に二つの政権があるという事実は、われわれも承知いたしております。しかし、ただいま申し上げましたように、賠償に関しましては、私どもの交渉しております南ヴェトナム政府が調印をいたし、また請求権を持っておるわけでありまして、それと交渉するのが順なことであろうと思っております。

石野久男日本社会党

○石野委員 もしそういうような事態でありますると、どこでも同じことになってくるわけなんです。中国においてはやはり台湾と中国本土とに分れておる。今台湾との間に日本政府は折衝を持っておるが、中国の賠償の問題で、台湾との間で問題の解決が一応したとしたら、中国の問題もそれで処理できるということになるのか。中国の方からもし賠償の要求が他日出てきた場合に、台湾との交渉はこういうふうに済んでおるからということで、言い切ることができるのかどうか。ヴェトナムも同じことです。ヴェトナムもやはり南と話をしたから、北から新たな要求が出てきたときに、日本政府はそれを切り抜けることができるという国際的な十分な第三者を納得させるような事由があるのかどうか、そういう点政府はどういうふうに考えておりますか。

藤山愛一郎自由民主党外務大臣

○藤山国務大臣 サンフンシスコ条約によって賠償請求権が発生した国の政府と交渉するのが当然なことだと思うのでありまして、その他の国と交渉する必要はないのじゃないかと思っております。

石野久男日本社会党

○石野委員 今賠償は平和条約の内容だからというようなお話がありましたが、内容は内容であっても、これはみな国民の負担になることには変りはない。それで、他日北ヴェトナムとの間に日本の平和交渉が進み、賠償の問題が出てきたときにはどうするのか。あるいは、中国との間に平和条約が結ばれることになって、新たに賠償の問題が出てきたときに、政府はどういうふうに対抗するのですか。これは観念的な問題ではない。現実に日本国民の負担になる。日本国民の税金からその金を出さなければならぬということになる。そういう点について政府の明確な考え方を聞かしてもらいたい。

藤山愛一郎自由民主党外務大臣

○藤山国務大臣 ヴェトナムの国がやがて統一されるということは、ジュネーヴ会議でもきめられております。将来必ず一つになると思っております。かりに今お話しのように二つの国になったというような場合に、私どもとしてはサンフンシスコ条約に調印した条約上の義務を持っておりますところに支払うのでありまして、それ以上のことは考えておりません。

早川崇自由民主党

○早川委員長 石野委員に申し上げますが、大体お約束の時間が参りましたので、あと結論的な御質問をお願いいたします。

石野久男日本社会党

○石野委員 私は、この問題は非常に重要だから、きのう大臣に来てくれと言っておったわけです。それで、なるべく委員長に協力いたします。そんなに時間をとらないつもりですが、大臣もこの点についてはやはり明確に意見を述べてもらいたいと思う。  私は、講和条約がこうだから、ああだからということでなしに、現実にやはり南と北の二つのヴェトナムがあって、その土地は続いており、みなそこの人民が住んでおる。そうして北には戦争を通じての大きな被害を与えておるということは、戦争の遂行の過程から見て大臣はよく知っておると思う。そういう中で、南と話を進めただけで、北からの交渉がもし新たに出てきたときには、われわれは完全に二重賠償をしなければならぬという事態が出てくる。これは、あなたがどんなに抗弁したって、世界的には許されない。ただ、私はもちろん二つのヴェトナムになり切るということは考えていない。必ず一つになると思う。また中国も一つになるのだから……。しかし、今の交渉の内容についての発展がうまくいかなかった場合に、新たにそういうような問題が出てきたときには、これは抗弁できない。と同時に、もし不幸にして長期にわたって二つのヴェトナムなりあるいは二つの中国という形が続くことになりましたときに、もっとめんどうな問題が出てくるわけです。私は、やはり観念的な操作をするのでなしに、現実に戦争の罪をどうしてぬぐい去ることができるか、国民はそれをいかにして負担を軽く逃げ切ることができるかということを、賠償交渉に一切をかけておるわけです。政府の今のやり方からいいますと、これは当然二重賠償の形が出てくるので、私はヴェトナムの賠償交渉というものは今急ぐべきでないということ、統一された後にやるということをなぜ考えられないか。そういう考え方は外交マナーとしてはまずいのかどうか。日本の国が生きていくために間違っているのかどうか。今の岸内閣の一外務大臣ということでなくて、日本の国の将来を背負っていく外務大臣として、考えを明確に示してもらいたい。

藤山愛一郎自由民主党外務大臣

○藤山国務大臣 私どもは、条約上の義務を負っております場合に、その条約を履行していくということは必要なことだと思うのでありまして、それが世界の信用を高めるゆえんだと感じております。従ってサンフンシスコ条約で請求権を持っております国から請求がありますれば、それに対して交渉をしなければならぬと思うのであります。そういう点から見まして、私どものやっておりますことは不当だとは考えておらぬわけです。

石野久男日本社会党

○石野委員 不当だとかなんとかいう考え方じゃなしに、とにかく現実に南と北とがある。この事実をそれじゃ政府は認めないのかどうかということなんですよ。それを認めるということになれば、そこから当然主権のあるところではいろんな意見が出てくるし、また交渉が始まるわけです。それを全然抹殺し切って、外交というものが、将来にわたってそれが続くかどうかという問題なんです。あなたは今簡単に北の問題を無視してかかっているけれども、これはやがて日本人としてはどうしても責任を持たなければならぬ問題です。そういう問題について、あなたはどういうふうに考えているか。今と将来に対してのあなたの考え方をはっきり示してもらいたい。

藤山愛一郎自由民主党外務大臣

○藤山国務大臣 この二つの政府がやがて統一されるということになりますれば、当然今やっております賠償交渉というものは引き継がれるのでありまして、全ヴェトナムに及ぶことだと思っております。また、お話のよつうに、それが二つの国になるというような場合に、私どもとしては、現在やっております賠償をもってすでにわれわれの賠償に対する責任は果したものだ、こう考えております。

石野久男日本社会党

○石野委員 今大臣のそういうことを援用しますと、たとえば中国と台湾の問題になる。台湾に中国との戦争状態終結に対するいろいろな折衝をした場合の一切の問題の解決を、みんなそれで仕切ってしまう。将来中国との問題が起きたときには、もう一つになったんだから、それでオーケーだという形にあなたは考えておるのですか。

藤山愛一郎自由民主党外務大臣

○藤山国務大臣 現在の立場において、私どもはそう考えておるわけであります。

石野久男日本社会党

○石野委員 そう考えておるわけだというところに問題がある。ヴェトナムの北と南とは領域においても相似しておるものがありますけれども、中国の台湾と中国本土との問題を考えたら、これは問題にならないんです。しかも台湾は、戦争当時まだ日本の統治下にあったのだけれども、中国全土はやはり戦場化したところで、何千万という人をあそこで戦争の惨禍の中でみないじめ尽しているわけです。そういうことを考えると、賠償の問題が正規に中国との間に起きてくる場合には、台湾なんか問題にならなくなってくる。今、それにもかかわらず、外務大臣がヴェトナムと同じような考え方だということになると、日本の外交というものはやっていけない。将来にすべての危険を残していくことになる。そんなことでほんとうに日本の国の外交の真正面に立っていろいろなものを処理していくということになると、われわれはまったく信頼ができなくなる。政府の考え方というものは全く一方的で、それは決して、自主的な立場で、国民のほんとうに考えている、憂えていることを、外務大臣が自分の憂いとして処理しているとは考えられない。あなたの考え方は、むしろ、サンフランシスコ講和条約のイニシアチブをとったアメリカの考え方に追随するだけで、こういう問題に対してそういうやり方というものはない。やはりもっと日本人の立場に立って、日本人の将来の憂いをなくする立場に立って、賠償交渉をしてもらわなければいけないんじゃないか。私はそういう点であなたに聞いているわけです。もう一ぺんあなたの日本の外務大臣としての答弁をしてもらいたい。

藤山愛一郎自由民主党外務大臣

○藤山国務大臣 私は、日本人として、日本の外務大臣として行動しているのでありまして、決してアメリカに追随をいたしておるわけではないのであります。私は、現在の観点からいたしますならば、こういうふうな解決をとりますことが一番日本人のためにも適当であろう、こう考えております。

早川崇自由民主党

○早川委員長 すでに時間が超過しておりますから、あと一問で……。

石野久男日本社会党

○石野委員 これはいろいろ言っても考え方の相違があるようだし、あなたの考え方は、どうもやはりアメリカさんの考え方ばかりを頭に置いているから、そういうことになり、いろいろ危険があとに残る。私はそのことだけははっきり申しておきます。  そこで、ラオスとこういう協定を結ぶに当っては、両国の友好増進のためにもなさるのだ——それはやはり観念的な友好関係でありましょうが、より以上に、やはり実質的経済関係を考えていると思うのです。また、そうでなければ、せっかく向うが賠償を放棄するというのに、そこに無償の経済協力をするということもちょっとおかしなことだと思います。そこで、私は、外務大臣に、これはラオスを含め——カンボジアもそうですが、東南アジア全般を含めての経済交流の問題について、特に貿易の発展の問題について大臣の考え方をお聞きしておきたいのですが、これらの国々は皆金がないわけです。しかも、日本の国は輸出が非常に多過ぎるわけです。従って、向うの国は、日本に何か買ってもらわなければ、日本のものを買えないというのが現実です。だから、東南アジアの貿易の問題は口で盛んに騒いでも、日本が向うから何か買ってやらなければいけない。さもなければ、円借款か何か与えなければならないということになると思う。あるいは延べ払いをやるとか、現地通貨の決済をするという問題になってくると思います。そのために、あなた方の一番お考えになっているのは円借款の問題だろうと思います。クレジットを設定することだと思うのですが、そのクレジット設定の問題について、最近特に外債の問題なんか出ておるわけですが、そのクレジット設定の資金をどういうように調達しようとしているのか。また、外債等について政府はどういうような考え方、また外務大臣はどういう考え方で今各国との間に事を運ぼうと考えておるのか。特に今度大蔵大臣はIMFのあれでインドへ行かれました。そのときに世銀からの借款の問題も相当進んだというものの、まだ十分でないということも言われているのでございます。そういう東南アジアの経済協力の基底になるいわゆる円借款、クレジットの設定について、それと関連する外債の関係について、外務大臣はどういうようなお考えで各国と話し合いをなさろうとしているのか、そういう点のお話をしていただきたいと思います。

藤山愛一郎自由民主党外務大臣

○藤山国務大臣 お話のように、東南アジアの各国というものは、まだ完全に植民地経済の位置を脱却いたしておりません。そうしまして、独立しました以上は、それぞれ自立経済を立てて行こうそれには当然工業化というような問題が起ってくると思います。また、それなくして東南アジアの各国が民生の安定あるいは経済的繁栄ということの期し得られないのも事実であります。また同時に、それをやるために非常に資金が不足しているということも事実だと思います。従いまして、日本として、やはり、たとえばラオスのこうした贈与の問題を通じて、日本の技術導入によって協力していくということは、将来非常に大きな東南アジアの産業開発、工業化建設という意味において、日本の技術がいかに役に立つかということを示す一つの例示にもなるかと思います。そういう意味から考えて参りまして、やはり民生の安定ができ、購買力がふえて参りませんければ、一般商品の輸出も伸びて参りませんので、やはりそうした意味において、いわゆる発電所、その他大企業はむろんのこと、中小企業の育成というような問題に、日本の明治以来今日まで来ております中小企業の経験、技術というものが相当生かされていくではないか。それが生かされていくことが、東南アジア経済の現段階における発展にも非常に必要なことではないかと思うのであります。ただ、そうした面を考えて参りますと、やはり東南アジアの現状は、各国とも非常に資金が不足しておりますから、まず資金の面からある程度の援助をし、そうした建設に対する注ぎ水となるような資金を出していかなければならぬ場合があると思います。それが、御指摘のような円借款になり、あるいは延べ払い方式というようなものを若干でも採用していかなければ、注ぎ水というようなものにならぬのではないかと思うのであります。私から申すとあれでありますけれども、日本の財政事情から申しましても、そう巨額のものをどんどんつぎ込んでいくわけにも、現在の経済事情からいえばいかないと思いますが、しかし、日本が許されている経済範囲内においては、できるだけそういうような便宜を与えますことが今日必要であると同時に、またそれらの資金を獲得する方法として、あるいはそれらの資金に余裕を与える意味におきまして、国内の産投会計その他に出し入れします国内の開発資金等を外債その他の道によりまして得ていく、そうして余裕を得ていくということも、これまた私は必要なことだと思うのであります。そうしたことは、やはり東南アジアの経済開発の今日の急務であると思うのであります。従って、日本の財政が許し——日本の財政もかなり超均衡であり、超健全財政であると思いますから、若干の外債を募集し、そうしてこれらのものを国内資金に充てて、そういう資金を得て東南アジアの建設に使うということは、大きな観点から見まして必要ではないか、こう考えております。

早川崇自由民主党

○早川委員長 奧村又十郎君。  大蔵大臣はもうすぐ見えますから、政府委員の方から始めて下さい。

奧村又十郎自由民主党

○奧村委員 大蔵大臣の見えるまで、主税局長と銀行局長にお尋ねをいたしたいと思います。  さっきの御質問の続きですが、九月末の税収の実績を見ますと、特に法人税の税収が悪いように思うのです。前年九月末の法人税の税収が千七百七十六億、今回は千五百三十九億、約二百四十億ほど減収になっておるのでありますが、これはやはり企業の不況が現実に現われてきたものと思う。前年に比べて税率は多少下っておりますけれども、私はやはり企業の不況がここに反映してきておる、こういうふうに思うのであります。主税局はどうお考えになりますか。

原純夫大蔵事務官(主税局長)

○原(純)政府委員 おっしゃる通り、法人の所得が減って参っております。これは、経済の沈滞と申しますか、最近までの趨向がここにはっきり現われてきているというふうに思います。たびたび申し上げますように、各税の中で、法人税は一番経済の変動に対して敏感な税であります。特にいわゆるブームというような熱狂的な状態、また反対の不景気というような状態の場合には、顕著にそれが現われて参ります。先般神武景気といわれました時期に、法人税収の見込みがどう見込んでもとうていおっつかないというくらいにはね上ったというような御記憶がおありになると思う。同時に、今回のような、経済が若干沈滞ぎみになり、かつ物価が下ってくるというようなときにおきましては、どうしても通常の経済の動き以上に所得が減って参ります。これは、大体企業の収益が、値上りのときは通常の利益のほかに値上り利益が入る、逆に、値下りがありますときは、通常の利益が減り、値下りによる損がふえて参るというようなところが、特に大きいように思われます。そこで、法人税でありますが、本年九月末において千五百三十九億、昨年の九月末は千七百七十六億で、おっしゃる通り二百四十億ばかり減っております。予算をごらんになりますと三千三百十一億で、昨年の決算額は三千六百四十億でありますから、約三百三十億ばかりことしの予算の方が少いということになります。今までに二百四十億減ったのだから、今後幾ら減りますか。同じに減るとすると、五百億近く減るというような計算になる。そうしますと、予算は三百三十億少くても、百億以上マイナスになるという感じが出て参ります。この辺が幾らになりますか、きわめてむずかしい問題で、ただいまそれが百億の減になるか、あるいは百何十億の減になるかというところまではとうていわかりませんが、これは、おっしゃる通り、経済のこういう趨勢がここに顕著に現われておる、そうして法人税というのはそういう傾向が一番顕著に現われる税目であるということを申し上げたいと思います。

奧村又十郎自由民主党

○奧村委員 この九月末の法人税の税収というのは、申すまでもなく七月までの決算がここに現われておる。九月末の決算は十二月ごろでなければ結果はわからぬわけですが、法人税のような今おっしゃるように敏感なものは、おそらく十二月になるともっと悪い面が露骨に出るのじゃないか、こう思いますと、この九月末で二百四十億も減収ということになれば、私としては、これはうまくいっても年度末には五百億以上の減収になると思う。そうなりますと、来年の予算を編成するについて、あるいは税制改正をいたしますについても、これは、そのもとである自然増収というものが今まで考えておったほどはとうてい見込まれぬのじゃないか、こういうふうにも考えられるのです。ただ、今度の九月末の税収状況だけでそれほど悲観するにも当らぬ——これは現段階としてはこの程度しかお尋ねできぬと思いますが、それほど悲観しておられぬかどうか。法人税についてはかなり悲観した見方を持たなければいかぬと思うのですが、これはどうでしょうか。

原純夫大蔵事務官(主税局長)

○原(純)政府委員 おっしゃいます通り、九月の法人税収入は、七月決算のものが九月納期になります。また同時に、徴収猶予という制度がありまして、七月決算のものは九月末に申告納税をしなければいけませんが、その半分は三月あとの十二月末でよろしいということになっておりますから、九月末までのところでは、完全に半分ではありませんが、半分近くのものについては三月ずつずれたその前の影響がきている。従って、七月までに各決算期の分がフルに影響が出ているのではないということになります。いずれにしましても、九月末までで、年度としては半年分の収入が大体あったとおおむね見てよろしいと思いますが、今後は、従いまして、七月以前のものの徴収猶予が入ってくるのもあります。それは五月、六月というような決算期の徴収猶予されました分が今後入ってくる。同時に、八月、九月以降来年の一月までの決算期の分が、全部または半分ちょっとの額が年度末までに入ってくるということになります。それらの今後入ります各月における法人税の基本になります決算期は、まあ勘でいいますと九月、十月あたりが中心的な決算期になるわけです。そこで、九月、十月あたりがわかると、かなりにこの輪郭がわかってくる。あとわかりたいのは、ほんとうは十二月の決算期というのはやはり相当な影響力を持つということになります。  九月、十月に関しまする限りは、いろんな経済雑誌あるいは経済新聞等でも見込みを立てております。私どもも、あまり広くはできませんが、いろんな形で会社の様子を調べております。それらが概して申しますとどういうことになるかといいますと、前期、つまり三月末の期に対しまして、所得として大体申告所得が横ばいであるというような数字が出ております。三月のときは前の税率でありましたが、今度は二%下って三八%ということになっておりますから、同じだと若干税収は減るのですが、所得のうち例の免税所得、非課税所得というようなものが、特別措置の整理が若干きいてきて、三月よりもそういうものの免税の分が少いというようなことがあって、税収入の方は大体三月までとんとんにいきそうだというのが、大法人についての趨勢であります。中小法人の方は、何分数が多くて、ちょっとそういうサンプル調査でもいきかねる。様子を見るということに相なっております。この辺がどうなるかが相当心配で、これは十一月末に申告が出てこないと確実にはわかりかねるというようなわけであります。そういうようなことでありますから、ただいまのところ、大事なといいますか、ウェートの一番大きい九月期あたりは、税収として前期の横ばい程度である。そうしますと、ただいま二百四十億減っておるのが、もっとどこどこ減るだろうというようなこともないのではないか、こういうような感じになるわけであります。  大体法人税収のうち、大法人——ただいま申しました大法人というのは一億円以上の資本金の法人でありますが、それの分が約半分、それ以下の分が約半分でありますから、まあ半分については大体見当がつく。あとの半分については、申し上げましたようなわけでかなりに心配がありますが、これも一億円以上のものと一億以下のものとがそう大きく違う経過をとるかどうかというあたりは、そうひどく違うんでもなかろうというような感じもいたしますので、確かに三千三百十一億という予算額は達成されないだろうとは思いますが、非常に大きくこれを割るかどうかは、もう少し見ないとわからないというところかと思います。

奧村又十郎自由民主党

○奧村委員 政府の方で来年度の税制改正を用意しておられるようでありますが、その諮問機関として、これは、新聞紙上によりますと、税制懇談会と称するものを開いて諮問しておられるようであります。これは一体どういう目的で、どういうことを諮問しておられますか。大蔵省は、もとから、臨時税制調査会とかなんとかかんとか寄りかかりを作らぬと御心配と見えて、前は調査会とか審議会とかいうものを作ったが、これは前国会で社会党さんの方から文句が出て、大っぴらにはこれは作れぬ。今度は懇談会ということでやっておられるが、その懇談会というものは、どういう性格で、どういう目的で作ってまたどういう諮問をかけておられるか、伺いたい。

原純夫大蔵事務官(主税局長)

○原(純)政府委員 税制懇談会といいますのは、主として三十四年度の税制改正につきまして、広く各界の達識の方々の御意見を伺うということ、これはきわめて必要なことだろうと思っておりますが、そのために臨時税制委員というものを、二十八人でございますか、お願いしておる。その方々に意見を伺うのに、ばらばらに伺うというのも何だから、議題をまとめ、また日をきめて、まとめて御説明もし、伺っておるというのが、通称臨時税制懇談会でございます。これに対しましてお尋ねしておりますのは、私今手元にそのなにを持っておりませんが、昭和三十四年度の税制改正についてどう考えるかというような広い形でそれをお願いするために作ったということが、閣議の決定になっております。ただいま申しましたような会合でありますから、正式にどういう諮問をするというような形での諮問は出しておらないのではないかと思います。後ほど調べまして、出しておりましたら申し上げます。大体三十四年度の税制改正について意見を伺うまた、それを通して、税制改正のもう少し長くを見た考え方でもおっしゃっていただければ、非常にありがたいというようなごあいさつで、政府側はこの会合に出ておるというような次第でございます。

奧村又十郎自由民主党

○奧村委員 どうもそこらの辺は明確でないので、これはむしろ大蔵大臣にお尋ねしようかと思いますが、主税局長、今まででもこういうことについての御答弁は不明確であったのだが、大体昭和三十一年にできた臨時税制調査会は内閣に作ったので、内閣総理大臣が正式に諮問しておるわけです。その次に、何という名前ですか、特別税制審議会ですか、おととしから去年へかけて大蔵大臣の諮問機関として作った。両方とも閣議で決定してお作りになったのでしょうが、それでは今度は閣議決定で正式に作ったものでない、一人一人に意見を聞きたいが、そうもいかぬのでというあいまいなことですが、ここら辺から、それなら日当や旅費を払っておるのかという質問があるのだが、もう少し明確に御答弁がないといかぬと思う。というのは、何か政府の都合のいいときは、懇談会や調査会の答申がこうこうだからと言うてそれを利用するし、都合が悪いと、何かあいまいなもののように、そこをいいかげんにおっしゃるし、その性格をはっきりしておきませんと、今後われわれ税制を審議する場合に、そういう懇談会なるものの答申を軽率に扱う。尊重できぬことになる。その意味において、もう少し、旅費、日当も払っておるのかということも含めて、はっきりおっしゃっていただきたい。

原純夫大蔵事務官(主税局長)

○原(純)政府委員 行政万般にわたりまして、大事な事項について各界の達識の人の意見を伺うということは、非常にけっこうなことだろうと思います。特に、税制というものは、国民に非常に影響の多いことであり、かつ影響の広い範囲の問題でありますから、各界の達識の人の意見を伺うということは、きわめて必要だろうと思います。そういうような意味で、一昨々年からでありますが、臨時税制調査会というものを設けていろいろ意見を伺いました。それから、一昨年のが閣議決定による調査会であったのに対して、昨年は、大蔵省議の決定をもって、税制特別調査会というものを設けて、御意見を伺いました。これは、昨年は、地方税の方はあまりに触れる気持がないというような気がまえでありましたので、それでは大蔵省でというようなことでいたしたのであります。今回は、国税、地方税を通じていろいろ問題を考えなければならぬというようなことから、閣議にも話が出るというようなことになってきております。どういう形をとりますかはいろいろ何でございますが、根本の趣旨において、税制の改正について各界の達識の方の意見を伺うという意味においては非常に大事なことであり、けっこうなことではないかというふうに考えております。もちろん、この委員さん方に対して、日当と申しますか、委員手当的なお礼は差し上げるということにいたしております。

奧村又十郎自由民主党

○奧村委員 それじゃ、大蔵大臣がお見えになりましたので、大蔵大臣にお尋ねをいたしたいと思います。主として税制改正に対する政府の基本的な心がまえあるいは御方針を承わりたい。私は、御質問というよりも、懇談というような気持で打ち解けて申し上げ、また率直な御答弁を願いたい。  それは税制改正に対する方針、考え方について、もちろん大臣は自由民主党の所属の大臣であり、また政党内閣であるから、党の減税公約をできるだけ実現しようと努力なさるのは、当然であり、まことにけっこうであります。しかし、実際の問題としては、覚の立場、責任と、政府の立場、責任と、これはおのずから異なっておりまするから、実際の税制改正においては、これは必ずしも党と政府がすべて一致するわけのものではなかろう。そこは一つ筋道をはっきりさせておかなければならぬので、党とは別個に、政府の税制改正に対する考え方というものをはっきりさせておかなければならぬ、こういうように思うのです。そんなことは釈迦に説法で当りまえだと言うかもわかりませんが、間々当りまえのことが実際実行になりますと間違うことが多いので、念のために私はそれを確かめておきたい。特に、私は、税制改正については、政府の方針、立場というものをはっきりさせておかなければならぬ、その政府の立場、方針にできるだけ党の公約を盛り込んでいく、これが基本的な態度でなければならぬ、かように思うものであります。その通りお考えのことと思いますが、大臣いかがですか。

佐藤榮作自由民主党大蔵大臣

○佐藤国務大臣 もちろん私も自由民主党所属の一員であります。党員でございますが、同時に、政府の大蔵大臣といたしまして、税制改革の責任は大蔵大臣がとるべきものだ、かように実は考えております。もちろん党の公約実行を頭から無視してかかるというようなことはいたしませんし、また、当委員会等におきまして国会の決議等もあり、税制改革の際に特に考慮しろとか、あるいはかくかくしろというような御意見もすでに出ておるのでございます。そういう点をも十分取り入れまして、責任はどこまでも大蔵大臣の責任で、税制改革案をそのうちお手元に差し上げて御審議をいただく、かように考えておる次第であります。

奧村又十郎自由民主党

○奧村委員 党の減税公約に対する政府の扱い方ということについて、私はちょっとお尋ねしておきたいと思います。それは、当委員会で、前回、社会党の横山利秋君と春日一幸君から、党の公約——減税について八百億を実施するのか、七百億減税か、百億違ったというので、えらい御質問があったが、これは少し的がはずれておりはしないか。というのは、大臣の答弁のように、減税の項目を取り上げて実際減収がどうなるかということは、これはそうこまかい計数というものははじけるものではないのであります。標準家庭で月収二万五千円以下は免税にする、その党の公約が実現すればいいので、実際そろばんをはじいて、その結果において幾らの減税になるかということは、これは党はいわば腹づもりで大まかな計算をしているのであって、実際の減税の結果というものは政府がはじき出す。その間において相当の金額が違うということは、これは当然のことです。その点ははっきりさしておかなければならぬ。現に、昭和三十年、三十一年においては、たしか党の公約は減税千億、ところが実際池田大蔵大臣が実施したのは千二百億、それは、経済の情勢によって、千億を公約しても、経済の情勢で千二百億減税する。それと反対に、八百億の減税を公約しても、場合によって経済の実勢が変ってくれば、それは百億くらい計数が変ってくることもあります。こういうように思いますから、政府においては、あまり金額とかというふうなことにはこだわらず、政府の責任を明らかにしていただきたい。これが建前であると思うのであります。そこで、私がお尋ねしたいのは、党の公約は公約として、政府としての税制改正に対する基本的な考え方というものは、当委員会においてはいまだに明らかにされておらぬので、それを一つおっしゃっていただきたい。

佐藤榮作自由民主党大蔵大臣

○佐藤国務大臣 減税項目につきましては、党はすでに公約をいたしまして、所得税の軽減であるとか、あるいは事業税の軽減であるとか、その他各項目について発表いたしております。この線に沿いまして、政府は責任を持って諸準備を進めておるわけでございまして、臨時特別税制調査懇談会等を設けて各方面の御意見なども伺い、ただいま成案を得るべく急いでいる段階でございます。

奧村又十郎自由民主党

○奧村委員 大臣の答弁は、党の方針をできるだけ実現すべく今用意しておるというが、党とは別個に税制改正の基本方針はあるのじゃないか。私はなぜそういうことを言うかというと、これも釈迦に説法ですが、税制の改正、特に大改正なるものはそう毎年やるものではない。かっての税制を振り返ってみても、大正十五年の大改正、続いては昭和十五年の戦争前の大改正、まあ十年に一回かそのくらいです。近ごろはどうも税制をなぶりものにしているような感じがいたすのであります。ほんとうにりっぱな税制を確立するには、内閣の首班はどう変っても、政府の税制に対する確固たる方針というものは、なるべく持続して変らぬ方がよろしい、私どもはかように思うのであります。そうでありませんと、これも、二、三年前ですか、所得税においていわゆる概算控除——所得の経費を計算するのに五%の概算経費控除をやった。あれを実施してわずか一年のうちにまた廃止した。あの概算経費控除を実施する手数とか、経費とか、あるいはその法律の趣旨を徹底させる手間とかいうことを考えると、ずいぶん煩雑なものであります。それを一年やってまたやめる。そういうふうなことは、(「政府がやったのじゃない。自民党の提案だ」と呼ぶ者あり)これはどちらから言い出したことか知らぬが、政府が提案しておる。そういうことではいかぬのであります。やはり政府として確固たる方針を持ってやらなければならぬ。かような意味合いにおいて、今回の税制改正についても、これは今ぽっと出たのじゃない。過去数年間税制調査会なりあるいは税制審議会なりに諮って、大体において政府の方針というものは立っておる。たとえば、まず当面の問題としては、課税の特別措置、臨時措置、これはなるべくやめなければならぬ、こういう方針は大体立っておるはずです。そういう方針を、政府として大蔵大臣は踏襲して、できるだけ実現しようというようなお考えを持っておられるのか、そういう基本方針だけは、党とは別個に、この際はっきりさせておいていただきたい。

佐藤榮作自由民主党大蔵大臣

○佐藤国務大臣 税制のあり方は国民生活と多大の関係があるものであります。ことにまた国の歳入を税収にたよっておるという関係から、基本的にどういうようであるべきか、こういう問題は、これは不変のものと申していいと思います。しかしながら、税制を政治的に扱うという考え方から申すわけではございませんが、経済状態なり、あるいは国民生活の状態なり、各産業系列等において、ときにその基本方策にある程度の修正を加えて参ることも、これまたやむを得ない。税のあり方というものは、抽象的あるいは観念的にこれをきめることは非常に困難だと思います。しかし、一つの税体系を理想に描いて、その方向に絶えずたゆまぬ研究を続け、そうしてりっぱな税制を打ち立てる、こういう努力はいたしておるつもりであります。そこで、ただいま御指摘になりましたような特別措置、これは本来でありますれば言葉が現わしますように特別措置であって、税の建前から申しますれば、変形的なものであり、変態的なものである、こういうことはいえると思います。そういうものがいつまでも続く筋のものでないこともわかりますが、ただいま申し上げましたように、それぞれそのときの経済情勢なり、あるいは国民の生活状態なり、あるいはそれぞれの産業系列なりがあって、それに対応して考えておるのでございますから、一がいに直ちにどうするということをただいま申し上げる筋のものではない。これを実は申し上げるのでございます。私が先ほど来説明しておるのはその点であり、こういう事柄は奥村委員の方がより私よりくろうとでございますから、よくおかわりがいただけると思います。今回取り上げております税制改革、これは前選挙の際に公約したというのが一番大きな問題であり、その線に沿って今回の税制改革を実施する、こういう方向へ努力しておる。これが政府の今回の税制改正の取扱いの基本的な考え方でございます。しかし、根本的な問題としてどういう税制があるべきか、こういうこと、あるいは産業のあり方から見ましても税制はいかにあるべきか、あるいはまた国民生活、国民負担の点から見てもいかにすべきか、まだ幾つも研究課題が残っておる。そういうものは、簡単な期間に、非常に短期間に理論的な研究をして結論を出すべきものではない。この点についてはもっと慎重な研究を要するものだ。かように実は考えております。

奧村又十郎自由民主党

○奧村委員 ちょっとわかったようでわからぬようですが、しかし、これが一番大事な議論の別れ目になるので、もう一つお尋ねをいたしたいと思います。  党の公約減税の方は減税に力が入っておりますけれども、御承知の通り税収総額一兆円余り、これに対して減税額は七百億になるか六百億になるか、これはいわば氷山の一角であって、その一兆円余りの歳入を確保する税全体の体系を見て、不公平がないか、矛質がないか。また、税務職員だけでも五万人を動かして税務を執行して国家財政を立てていく政府の責任、立場からいきますと、過去数年、数十年、政府において税制というものはこうなければならぬ、実際に税務執行上ここに困った点がある、こういうことは、党とは別個にもっと実際の執行上の立場から、いろいろ政府のお考えというものがなければならぬ。いわんや、臨時税制調査会とか、あるいはいろいろな民間の世間の世論を聞くために調査会を作って、着々税制の改正を大蔵省御当局みずからやってきておられる。そうすれば、まず政府の税制改正の基本方針というものをお立てになって、その中にできるだけ党の公約をはめ込んでいこう、これが基本的立場でなければならないのじゃないか、こう私はお尋ねしておる。ところが、大蔵大臣の御答弁では、まず選挙の直後だから公約を先にしてというと、今までせっかく政府が努力してきた税制改正の方向をこの際一ぺんストップしようというふうな感じを国民が受け取ることになる。それではいかぬ。やはり政府の今までの努力を継続し、その中に公約減税を組み込んでいく、こういうことでなければいかぬと思うのであります。しかし、私の申し上げることは抽象的な議論になりますから、これは御答弁を求めないことにいたします。  そうすると、先ほど話に出ましたいわゆる臨時措置ですね。たとえば利子所得に対する免税の措置、こういった臨時措置は前々からなるべく早くやめなければいかぬということで、大蔵省としてもずいぶん努力してこられた。ところが、利子所得の臨時措置は期限があって、来年の三月三十一日限りでなくなることになっておるのです。従って、これを来年の四月以後継続して実施するかどうかということを政府はきめなければならぬ。ところが、臨時税制調査会その他では、期限がくると同時にこれはやめるべきであるという意見が強い。さてこれを継続するかどうかは、政府としては一番大きな税制改正に対する根本的態度の分れ目であると思うが、大蔵大臣はどう考えられるか。

佐藤榮作自由民主党大蔵大臣

○佐藤国務大臣 税制についての臨時措置なりあるいは特別措置なりというものについては、先ほど抽象的な観念的な御説明はいたしました。そこで、具体的に今回どうするかというお尋ねだと思います。ただいま、こういうものをも含めて、税制審議会というか、懇談会で意見を徴しております。問題は、こういう事柄が一般経済にどういうような影響を持つのか、あるいはそういう臨時措置をとったときと事情がどう変ってきておるか、あるいはこれが、特別な階層に対して、経済団体に対して依然として非常な圧迫になるのかというようなことを十分判断する。その場合に各方面の衆知を聞いて最終的決定をしたい、こういう段階でございます。

早川崇自由民主党

○早川委員長 奥村委員にちょっと申し上げます。午前中に本委員会を終りたいと思いますが、まだあとだいぶございますか。あとに横山委員がおりますから……。

奧村又十郎自由民主党

○奧村委員 この税制改正は特に当委員会としては一番大きな問題と思うのです。野党の諸君からは質問がありましたけれども、与党としては初めてで、しかもこれは事前に一つじっくり話し合おうという趣旨ですから、できるだけ時間を与えていただきたいと思います。あんまり時間々々と言われると、私も落ちついた質問ができませんから……。時間は大体どの程度ありますか。

早川崇自由民主党

○早川委員長 大体一時までに終りたいと思っておりますが、けっこうです、質問を続けて下さい。

奧村又十郎自由民主党

○奧村委員 それでは、なるべく早く終りたいと思います。  そこで、特に佐藤大蔵大臣にお聞きをいただきたいのです。私は国会に出てからもうかなりになりますが、特に利子所得を免税するということは日本の税制の一番大きなガンであるというので、いつの委員会でも、これは一刻も早く正常に返して、公平な税制を作らなきゃいかぬという議論を立ててきたのであります。詳しいことはもう毎国会申し上げておりますから、あなたの部下の主税局長初めよく知っておられますが、しかし、大臣は初めてでありまするから、ごく簡単に私の所論を申し上げますから、一つ聞いていただきたい。  利子所得は、申すまでもなく資産所得の中でも一番豊かな階級の方であります。この利子所得に課税するということは一番負担がしやすい。従って、戦前は、特に利子所得に対しては、所得税のほかに資本利子税がかかっておった。戦時中でも分類所得税と総合所得税がかかっておった。ところが、現在は、昭和二十年から今日まで過去三年間、特に長期の預貯金の利子所得に対しては所得税は全然かからぬ。所得税がかからぬのですから、これに賦課するところの住民税、事業税というものもかからぬ。従って、利子所得者は、国税、地方税を通じて、国家財政、地方財政の負担を何らしない。一番楽な所得に対して一文の税金もかからぬ。こういう不公平なことはあり得ない。しかし、資本蓄積の建前から、臨時的やむを得ざることとしてこの処置をとってきたが、これはいかにも不公平だという声が高まっておる。一番身近な税務職員の中から、こういうことではわれわれは公平な税務執行ができませんと言っておる。そういうことでありますから、税の公平を保つ上からぜひやらなければなりません。しかもこれにつきまして、臨時税制調査会などでも、答申に、早くやめなければいかぬ、そのやめるについては、期限に到達すると同時にやめようということをいって、また政府としてもそういう方針でこられたはずであります。来年の三月三十一日の期限切れには、断固としてこの特別措置はやめていただきたい、こういうように思う。  ところが、今度は、これにもう一つ情勢が変ってきて、関連した問題が起ってきておると思うのです。それは、預金の利息を引き下げよ、こういう声が世間にちらほらいわれるようになってきた。政府の御方針は今日ここでお伺いができればまことにけっこうですが、この預金の利子を下げるような、いわゆる金融が正常化されるようになった以上は、この際この利子免税の特別措置はやめるべきだ、こういうふうに思うので、そこで、預金の利子を下げるということについて、やはりこれに関連いたしまするから、大臣のお考えを承わりたいのですが、預金の利子をお下げになるように検討しておられるのですか。これはこの前時期の問題だということで大臣は答弁されたようですが、大体利下げをするならばいつごろなさろうとするのですか。今の政府の考え方を参考までに聞いておきたい。

佐藤榮作自由民主党大蔵大臣

○佐藤国務大臣 金利は、全般的にごらんになっておわかりのように、私大蔵大臣に就任以来公定歩合を二回にわたって引き下げました。この公定歩合の引き下げにつれて、あるいはコール・レートであるとか、あるいは一般の貸出金利であるとかいうものも大体追随して参っております。この二度目の公定歩合の引き下げをいたしましてからまだ日が浅いのでございます。従いまして、今次の措置をいかにとるか、こういうことを申す段階では実はないと思う今後の推移をもう少し見きわめた上で、私どもの考えの結論を出すべきじゃないか、実はかように考えております。

奧村又十郎自由民主党

○奧村委員 こういう重大な問題は軽軽に大蔵大臣も御答弁がしにくかろうと思いますから、むしろ私の方から自分の意見を申し上げた方がよかろうと思います。私は、預金の利下げというものは、よほどいわゆる金融の需給が緩和されて、金融情勢が安定されなければ、そういうことは考えるべきではないと思う。預金の利下げというようなものは、政府が命令して法律でもってするのじゃなしに、自発的に利下げが行われるということが願わしいものである。ところが、今の段階では、利下げするということになれば、おそらく臨時金利調整法に基く大蔵大臣の告示によらざるを得まい、そういう無理なやり方はとるべきでない、またそういう段階でもあるまいと思う。そこで、そういうことをなさるほど金融が正常化しておるのかどうかという認識の問題が一番肝心であろうと思う。  そこで、これからお尋ねしても、どうせお御答弁はなかなかしにくかろうと思いますから、続いて御答弁を聞かずに私のお尋ねをいたしますが、まだまだ金融はそれほど正常化しておらぬ。それは、今いわゆる米の代金が相当放出されるとか、政府の資金の散布超過がはなはだしい。しかし、これは、年末を越えて来春になれば、また引き揚げ超過に変っていく。現にまだ日銀は四千億前後の貸し出しをしておるのだから、決してこれはまだ正常化とはいえぬ。しかも、もし正常と見られて利下げを行うような場合には、一体利下げが先か、利子免税の特別措置をやめるのが先か、これだけは一つ今から腹をきめておいていただきたい。それほど金融が正常化するなら、税法上のいろいろの不公平な特別措置、これをまず先になさるべきではないか、こういうふうに思うのでありますが、その見解だけは一つここでおっしゃっていただきたい。

佐藤榮作自由民主党大蔵大臣

○佐藤国務大臣 具体性を持たない答弁として、また抽象的なお答えだとして御了承をいただきたいと思います。この利子課税についての御意見、これは先ほど来しろうと大蔵大臣ほんとうに拝聴いたし、謹聴いたしたのであります。大へん私も教えていただいたという感じがいたすのでございますが、もちろん利子課税をしないで今日まであった。これは特別な経済的な理由があった。ただ単に理論的な問題だけで割り切れておらない。こういう点は、税について非常に深い知識を持たれる奥村さんもぜひ御了承いただきたい。おそらく抽象的、観念的な意見としては、利子課税というものについて非常にきびしい批判をしておられる方が多いだろう。しかし、具体的の問題としては、現実に課税もしないで今日まで推移している。こういうところに経済の実情に合った措置がとられてきておったんだということだけは、見のがされない方がいいだろうと思います。そういう意味で、利子課税というものをやはり基本的に見ていかなければならない。金利の問題と関連がないわけでもございますまいが、同時にこれは別個なものとして考えていくという方が本筋ではないか、そういうように私は一応考えております。しかし、ただいま利子課税の問題についていろいろ御意見があり、一般の金融情勢もこう変ってきたのだ。そうすると、利子課税をしないで推移するという情勢は変ってくるんじゃないか、預金金利まで下げるというような状態にまでなるならば、それはもう必要はないんじゃないか、こういうことも一応いわれ得ると思いますが、同時に、それでは預金者は利子の課税も受けるし、預金金利も引き下げられる、一ぺんに非常な負担を受けるじゃないか、こういうふうな話もやはり出てくるでしょう。なかなかきめかねる問題ではないか、こういうふうに思います。やはりこれは考え方を全然別個なものとして立案し考究していく方が本筋ではないか、こういうふうに思うのでございますが、これはまだ私ども非常に未定な話であり、冒頭にお断わりいたしたように、抽象的なまた観念的な議論であって具体性を持たないものであるだけに、ただいま所感を言えとおっしゃるので、率直に私の考えを御披露する次第でございます。

奧村又十郎自由民主党

○奧村委員 政府は税利改正を今用意しておられる。私の意見としては、やはり現在の不公平な矛盾した制度はなるべく改めて、税制も正常化しなければならぬ、金融の正常化にはむしろ先行して税制の正常化をしなければいかぬ、かように思うのです。そこで、大蔵大臣は、現実に今特別措置が実行されて免税されておる、この現実をまず認めて、それから立脚してとおっしゃるが、そういう現実の誤まった状態を一刻も早く正しい状態に直すのが、税制改正の目的ではなかろうか。そこで、なるほど小数の意見では、たとえば利下げについて銀行協会は利下げも反対、またもちろん利子免税を廃止することも反対。反対どころではない。また利子免税の措置を拡大させようというような陳情もいたしております。そこで、私の言いたいのは、せめて大蔵大臣が税制改正はこうあるべきだという、一つ政府、大蔵省としてのはっきりした目標を掲げて、そしてもろもろの意見を聞き、またそれを説得していくというのでなければ、今の大蔵大臣の御答弁を聞きますと、まるで手放しで皆さんの御意見を聞く。それじゃ大蔵省はどういう考えかというと、ただいまのところは自民党の公約以外には考えておらぬ。これでは、私は大蔵大臣の態度として、特に税制をりっぱな税制に持っていこうという大蔵大臣のお考え方としては少し心細い。これも意見になりますが、何か御答弁がありましたら……。

佐藤榮作自由民主党大蔵大臣

○佐藤国務大臣 誤解のないように願いますが、今党の公約事項の処置をとるということがまず第一の主眼でございますということは申しました。しかし、それだけしかやらないということを申しておるわけではございません。ことに臨時特別税制懇談会を開きまして、各方面の意見を聞いております。この立場においては、税の公平なる負担、こういう問題が必ず議論になってくるのでございます。そういう意味で各方面の御意見を聞くということを実は申し上げておるのでございまして、こういう問題を全然不問に付すべしとか取り上げないとか、こういうことを申しておるわけではありません。同時にまた、必ずこれを取り上げてどうこうするということを申しておるのでもありません。特に奥村委員からは大蔵大臣の基本的な考え方を明確にしろと言われますが、税の問題は、個人のお考えもさることですが、もっと国民生活や経済生活に及ぼすことが重大でありますだけに、これはやはり各方面の意見を聞き、民主的な立場において決定することが最も望ましい、こういう意味で、実は私は、その結論を待って、しかる後に私の方の考え方をこれとかみ合せてみたい、こういう気持でおるのです。その段階でございますので、先ほど来から申し上げておることが、あるいはややたよりないというようにお感じかとも思いますけれども、私の考え方の構想というか、基本的には、どこまでも税の問題は慎重に各方面の意見を聞いて結論を出すべきだ、それまでは、自分の考えがありましても、公式の席上において発表すべきことではないと、実はかように考えておるので、御了承いただきたいと思います。

奧村又十郎自由民主党

○奧村委員 この問題については、とても短時間では私も質問を終了いたしませんから、これはこれで今日は打ち切っておきます。  なお、今年の四月から実施しておる貯蓄減税の制度であります。この貯蓄減税の制度は、もうすでに実施してから、相当の期間がたっておるのが、はなはだふるわない。予算に対してわずか三%、これじゃ政府はどこまでの見通しと確信を持ってこういうことをなさったか、まるで問題にならぬ。この貯蓄減税についても、実は大蔵大臣も御承知と思いますが、私はこれにはずいぶん反対したのです。私の意見をいれられずにこういうことになってしまいましたが、やはり今思うと、私の意見をもう少し聞いておいていただけたならば、こういうことにならなかった。これに対する処置をどうするかということもお尋ねいたしたいが、あとの同僚委員の質問もありますから……。  それから、特に、この臨時措置の中に、交際費の一部否認の制度、これも少し実情に沿わないところがある。それからもう一つは、増資免税を復活すべしということについても、ちらほら意見が出ておる。これは、私は、ぜひ大蔵省で御検討願って、近いうちに御答弁いただきたい。私は、増資免税はこの際実施すべきである、かような意見で、これについての意見を申し上げたいと思いますが、同僚委員の質問もありまするから、これは後日に一つ政府の明確な御答弁をいただけるように御用意をお願いいたしまして、私の質問を終ります。

早川崇自由民主党

○早川委員長 横山利秋君。

横山利秋日本社会党

○横山委員 私は、佐藤さんが大蔵大臣になられましてから、今回外債を約三千万ドル、百八億円の外債を募集せられるということになったのが、佐藤財政として最も佐藤さんの色合いというか、ものの考え方が明らかに出てきたものだと考えておるわけです。外債は、すでに三十年になんなんとして、日本においては実施をしなかったものです。その外債を今日募集するということについて、世論は毀誉褒貶相半ばしておる、というよりも、かえって反対論の方が強いのであります。私は、この機会を利用して、大臣の所見は新聞にはちらほら出ておりますけれども、しかし、ほんとうの真意というもの、ないしはその経緯については、まだ反対の立場に立つ人とあなたとの間に一問一答がかわされていないので、その意味で、私は、反対の立場から、一つじっくりあなたの御意見を伺いたいと思う額は百八億円ではございますけれども、少くとも、歴史的というべき、三十年になんなんとして日本が募集しなかった外債を、今、世論の立場でいうならば、突如として募集することになった。そこで、数々の非難とかあるいは意見というものが起っておるわけであります。私は、経済常識からいえば、外債を募集する場合は三つくらいあると思う。一つは、国内の資金が不足しておって、しかも経済成長率がすみやかに上昇することが必要である場合。もう一つは、外貨が非常に逼迫しており、そうして外国からの物資を買い入れなければならぬという事情にある場合。第三番目は、資金が非常に余っておるところで、しかも金利が安く、期間が非常に長うて借りかえも可能であるというような、非常に有利な条件がある場合。少くとも私はこの三つだと思う。ところが、今日の経済情勢は、この三つとも、外債を募集するべき条件にないと私は思う。たとえば、国内の資金は不足であるか。経済成長率の上昇を飛躍的に達成しなければならぬときであるか。そうではないはずです。不況対策をやれといっておるのにやっていない。外貨が逼迫しておるか。そうではない。三億ドル本年余るではないか。外国からの物資の輸入が極度に必要であるか。そうではない。押えておるではないか。資金の余っている国であるか。その条件ははなはだしくいいのであるか。そうではない。条件は今われわれの目の前に提示されていない。大臣自身も、その外債募集条件なるものについては、口を緘して答えていないではないか。そういう中で今外債を募集なさろうとしておる。百八億が多い額であるか少い額であるかについては議論がある。けれども、一たんここで堤を切れば、外債というものは、あなたもおわかりの通り、堤を切るようなものでありますから、とうとうとして外債がふえるであろう。ないしは内国債にそれが波及するであろう。これは火を見るよりも明らかなことで、かりにあなたがそうではないと言っても、次の内閣、次の大臣がその堤から水を流すことはだれでも考える。これは社会常識です。それにもかかわらず、あなたが今外債を募集なさる決意をなさったゆえんのもの、真意は何であるか。ほんとうにあなたは外債を募集するつもりで行かれたのであろうか。そうではないであろう。そういう意見の方が強いのであります。今の日本の経済の中で、あなたがほんとうに腹をきめて、外債を募集すると決意した真意を一つ聞かしていただきたい。

佐藤榮作自由民主党大蔵大臣

○佐藤国務大臣 外債についての基本的考え方、今横山君が横山君自身反対か賛成かはわかりませんが、反対的な立場に立つ人の意見を代表してと言われますが、おそらくただいまあげられたようなことが議論になるでございましょう。この外債というか、借金というか、外債ばかりではない、国内においても国債を発行するとか、こういう問題について基本的な議論のあることは、もちろん承知いたしております。ただ、問題は、今の日本の経済のあり方といたしまして、これはいつも私は申しておるのでございまして、今回特にあらためて申すわけではございませんが、経済は絶えず拡大さるべきものだ、萎縮すべきものではないということを、今までも申し上げております。ただ、拡大成長すべきものではあるが、これが健全な姿において成長拡大さるべきものであるということを、実は申しておるのであります。この観点に立ちまして、現在の経済情勢に対処して、不景気対策を一切やらないじゃないかということを言われておりますが、私は、健全な経済のあり方、質の向上という観点に立っては、今日までもそれぞれ手を打って参りました。これは、すでに、金利の面においても、あるいは公共事業費の繰り上げ使用の面においても、あるいはその他重要産業の資金獲得の面においても、あるいはまた雇用の面に対しましての各種の措置であるとか、あるいは中小企業対策であるとか、こういうことも実はやって参っております。いわゆる不況対策としての、一部で言われるようなドラスチックな方策こそとっておりませんが、堅実であり、また経済が健全である、こういうような意味においての方法は、それぞれとって参っておるのであります。同時にまた、経済を成長せしめ、これを発展させるという考え方からも、一つの考え方を持っておること、これは、当委員会等を通じて、過去においても御説明して参った通りであります。  そこで、問題は、国内の資金の確保なり、さらにまた不足と考えてますならば、国外資金の確保ももちろんいたさなければならない。ただいま、三十年来外債を発行したことはないではないか、こういうお話でございます。なるほど、いわゆる国債の形において外債を発行したことはありません。しかしながら、過去において、世銀を通じ国内の重要産業に対する借款等がそれぞれ行われておることは、御承知の通りでございます。こういう点が、すでに日本経済圏というものが、かつての三十年前とは非常に国際的な環境が変っております。言いかえますれば、経済協力態勢というものが非常に強く打ち立てられておる今日であります。いわゆる自立経済というような言葉は通用しない国際情勢になってきておる。こういうことも観点に入れての日本経済の成長発展、こういう意味において内外の資金を確保する、これは望ましい筋道だと思います。ただ、そこで、誤解のないようにお願いしたいと思いますことは、経済の健全なあり方という面から申しますならば、借金などはどういう形でも避けるべきだ、こういうことがいわれるだろうと思います。なるほど借金によりましてすべてをまかなっていくというような安易な考え方は避けなければなりません。しかしながら、借金をいたしましても、その信用といいますか、借金をし得る能力、そういう限度を十分つかまえて、そうしてその範囲内においての内外の資金の確保に努力する、これは私は本来の健全なあり方をそこなうものではない。ことに、時期的な問題として資金の不足を感じます際などは、この種の処置をとることも、これまた適当ではないかと思います。ただ問題は、外債の場合になりますと、具体的に発行する場合に必ず条件等が問題になってくる。今日、政府自身は、政府の単独意思によって外債を発行する権限は付与されておりません。従いまして、さような状態のもとにおいて、打診などするとかあるいは経済情勢を判断するとか申しましても、これは具体性を伴わないものでございます。こういうものが具体性を持っている、こういうように考えて参りますならば、やはり国会の御審議を得て、そういうような御賛成を得た上で、これを具体化していくということにならざるを得ないのではないかと思います。条件等が全然明らかになっていないじゃないかと仰せられますが、その通りで、ただいままだそういうような具体的交渉などを持つ段階ではないというのでございますから、もちろん条件などはなかなか明確にはならない。ただ、私が、基本的な考え方といたしまして、経済を成長発展さすという立場に立ち、同時にまた健全な経済のあり方という観点に立ちまして、この資金を内外にわたって獲得する、こういうことが望ましい。またこれが二十年来の非常に特殊なものだと言われますが、もうすでに、世銀を通じての、重要産業についての借款などはそれぞれ行われておる、こういうことで、必ずしも三十年来全然ない姿、こういうものとは違う。この点も御了承をいただきたいと思います。

横山利秋日本社会党

○横山委員 大臣の御答弁には数々の矛盾があります。一つは、根本的なものの考え方だけでも、今において不況対策の手を打つべきだとおっしゃる。この間本委員会においてあなたと二時間にわたって論争しましたが、あなたの最後の答えは、不況対策は打たない。ほかっておけばもっと悪くなるけれども、多少おもしをとって横ばいさせるというのが、あなたの結論であります。現在の経済情勢を横ばいさせるということは、とりもなおさず、今急速に経済成長率の伸長をはかるということではないわけです。抽象的な問題ではございますけれども、しかし、ものの考え方というものは二転、三転してもらっては困るわけです。二番目に、世界銀行から銭を借りている、だから銭を借りることは一緒だ、こうおっしゃる。これ以上危険なものの考え方はない。世界銀行は、たしか三十三年六月現在、二千六十七億円の金を借りています。けれども、これは政府が直接債務を負っているわけじゃありませんよ。これは政府が保証しているだけであって、今度は政府が直接に国として債務を負うことになるわけであります。このけじめだけははっきりつけてもらわなければならぬ。どうせおれが判こを押しているのだから、金を借りるのは一緒だということでは困る。人の証文を押す場合と、自分が債務者になる場合とは、厳に明確に区分をしてもらわなければならぬわけです。  しかし、それはそれといたしまして、あなたは、何か自信を持って、外債を募集してもよろしいのだと今初めておっしゃるけれども、世間が、また私が疑念にたえないのは、今度の外債募集に関する政府の態度というものが、ずいぶん目まぐるしく変っていることであります。大蔵省内部も、この外債募集については非常に消極的であったはずであります。あなたには、大臣になられてから、あるところで一億ドルくらいの外債を出すとおっしゃった。そうして、東南アジアの借款に活用する発行条件も、世銀借款よりも有利なもので出すと言明をされております。これが第一です。それから、中米公債が発行の時期が悪いという話が出た。そうしたら、そのあくる日になって、今度は発行の意思なしということをある場所でおっしゃる。ローゼン世銀極東部長の、外債発行が世銀借款の前提だという話が伝わるや、今度はやっぱり発行するというように態度が変りました。あなたがインドへ行っておる間に、大蔵省の態度も、あなたの電話が入るたびに二転、三転をしたのは御存じかもしれませんけれども、われわれ国内の者はよく知っておるわけです。こういう二転、三転して、結局外債を募集するということになったゆえんのものは何か。これが国民の聞きたい今焦点となっておる点であります。なぜそういう焦点となるかと申しますと、時間の関係上そのものずばりで話を進めていきますけれども、大体私どもが承知をいたしておりますのは、多少大臣にはお耳に悪いかもしれませんけれども、本委員会で前に明らかになったことは、三十二年の五月、池田さんとブラック総裁との会談で、電力、鉄鋼、道路等で三億ドルの世銀借款が了解になったということになっておる。その後、この中で、今一億六千四百万ドルは成立している。世銀の発表によりますと一億五千二百万ドルでありますけれども、そうすると残が大体一億五千万ドルであります。ことしの九月ごろ、ローゼン部長が来ましたときに、あなたの方は二億ドルの要求をなさいました。今度あなたがお帰りになりましたみやげというものは、世銀借款が一億五千万ドルで、外債が三千万ドルだ、こうなったら、これは前々からの約束で、一億五千万ドルの約束がそのままになったということだけであって、あなたの方から要求されたあと五千万ドルの要求が断わられて、そうして外債を背負わされたのではないか。世銀借款よりも条件の悪い、そうして向うの事情もわからない外債を背負って帰ったのではないかという考え方が圧倒的なんであります。まずその辺の経緯を一つ明らかにしていただきたい。

佐藤榮作自由民主党大蔵大臣

○佐藤国務大臣 今日まで外貨を導入した金額が二千数百万ドルというようなお話でございましたが、大体借入れ認可の総額といたしまして、この際に明らかにしておきたいと思うのですが、世銀からは二億四千九百万ドル、米国の輸出入銀行からは一億二千九百万ドル、米市中銀行からは七千百万ドル、その他といたしまして一億二千三百万、累計いたしまして五億七千二百万ドル、こういう金額になっております。この金額がやはり今後の外債等の発行にも関連してくるのでございますから、基本的な数字としてこれを明確にしておきたい。ただいま、横山君は、別に御存じないわけではなくて、御承知の上でお話しになっておると思いますが、外資は、ただいま申し上げるように、相当多額の金額が、すでに日本に入ってきたり、あるいはまた認可されておるというのが、今日の実情であります。従いまして、この外資自身が、世銀なりあるいはアメリカの輸銀なりの形を通ってくるというもの、こういうものにはおのずから限度のあることは、了承していただかなければならないと思います。ことに今回は世銀も資本金を増大するということを申しておりますが、すでに世銀の基本法から申しますと、この世銀債発行の限度にも達しておりますので、世銀からの融資に在来のところではあまり多くを期待できない、こういう状況になっておる。これ自体も考えていただきたいのであります。こういう点をも実は勘案して参りまして、そうして、在来から計画されておりますもの、特に私どもが必要と考えますものについての輸銀からの融資というものを確保するとともに、一部期待されております金額を外債に振り向けるということでは、当方ももちろん承知はできませんが、プラス・アルフア、エキストラとして外債を考えるということで、今回話を打診をして帰ってきたような次第でございます。私は、特に今後世銀なりに融資を期待するものとして、国内の事業のうちに、あるいは名神国道であるとか、あるいは電源開発の開発事業であるとか、あるいはまた九州電力だとか、富士、八幡製鉄であるとか、あるいはまた鉄道の東海道第二幹線であるとか、あるいはまた当然起るであろう原子力発電計画であるとか、さらにまた国内においてほうはいとして起っております土地造成の干拓事業であるとか、いろいろなものを考えて参りますと、やはりこういう際に国外資金も確保する要がある、こういう結論を持っておるのでございます。そういう意味において、これはどういう形になりますか、一本の形で、世銀だとか輸銀だとか親会社だとかあるいは米国の市中銀行から、それぞれの主体が借りるということも一つの方法でございましょうが、やはり国の資金計画の一部としてこういう計画を進めていく、これこそが基幹産業の整備の上に役立って参るであろう、実はこう考えておるのであります。なるほど、経過からごらんになりまして、ブラック・池田会談で三億ドルの借款計画が進んだ、そうして大体そういう予定が立っているじゃないか、その金額はちっとも変らないじゃないかというお話もあろうと思います。しかし、米国のそれぞれの機関においても、日本に対して積極的な協力なりあるいは理解の点において欠くるものはないにいたしましても、おのずから限度がある。こういうところをも考え、知って参りますと、私どもが資金獲得の面を拡大することを考えることも、一つの方法だと思うのであります。その点に御了承いただきたいと思います。

横山利秋日本社会党

○横山委員 わざわざインドまで行かれて苦労願ったあなたの御労苦に対しては、敬意を表するにやぶさかではございません。ただ、今日世論から出て参ります問題の解明をして、ここに一つ大臣は大臣としてのものの考え方を明らかにし、誤解があることであったならば、誤解があるところを明らかとされて、世論の納得を得られることが必要であろうと思うまた、私ども、それに対応する意見を発表して、世論に承知をしてもらう、こういう観点でございますから、その点を御了承願って御答弁願いたいと思うのであります。  もう一つの焦点となりましたものは、この三千万ドルを借りて、それを電源開発の御母衣ダムに充てることになっておるそうでございますね。そうなりますと、御母衣ダムは、前の残っております一億五千万ドルくらいの分を充てられる予定になっておったのではないか。そうすると、外債でこれが埋められると、約束のあった残りの一億五千万ドルから、その分だけが引かれることになるのではないか、そうすると、かえって損なことになるのではないか、そういう疑念であります。もしそうでないとしたならば、その御母衣ダムから削った世銀借款分はどういう取りつけをなさっていらっしゃるのか、この点をまずお伺いしたい。

佐藤榮作自由民主党大蔵大臣

○佐藤国務大臣 電源開発といたしまして、田子倉、奥只見、御母衣、こういう三つの開発計画に対して、世銀の融資を期待していたことは事実でございます。しかし、そのうち田子倉並びに奥只見の工事は相当進捗いたしております。そういう観点で、世銀といたしましても、融資対象にするのにはこの際は不適当であるという考え方でございます。そこで、残りますものは御母衣ダム、さらに今後引き続いて電源開発計画を進めるであろう。これは未定なるものでございますが、そういうようなものにつきましては、世銀ももちろんいろいろ考えていくということを申しておるのであります。そこで、御母衣ダムについては、約三千五百万ドルないし四千万ドルの融資計画を、世銀としてはこれに賛成をしてくれて、一応そこに取りつけたわけでございます。問題は、外債が進まないならば、世銀借款そのもので進むことになるでございましょうが、もし外債を国会の了承を得て具体的に取りつけるといたしますならば、御母衣ダムが世銀から借款を予定しております金額のうち、外債の三千万ドルと切りかえる、従いまして残りの分について世銀から電発は借款をする、こういうことになるのであります。この御母衣ダムに予定されますところの世銀借款のうち、外債にかわった分は、その金額だけ他の事業に世銀借款として現われてくることになるのでございます。

横山利秋日本社会党

○横山委員 世銀借款といえども、たとえば一億五千万ドルあなたのところへ貸して上げます、無条件で、というはずはない。ですから、世銀で肩がかりした三千万ドルなり四千万ドルというものも、無条件でいいというわけではありますまい。そうすると、前に断わられた田子倉、奥只見をまた持っていって、そこで了承のできるはずもありますまい。そうすると、これから新しいものを持っていく。それも断わられる可能性があるわけですね。結局世論が言っております一億五千万ドルくらいの世銀借款のワクが減ったことになるのじゃないか、減る可能性があるのじゃないかという疑念は、ますます濃厚になって参るのであります。  それから、あわせてお伺いしたいのは、大臣がお行きになりまして、東海道新線と原子力開発の要望をされてきたようでありますが、それもどうもお断わりを受けたらしいという話が伝わっておりますが、どうですか。

佐藤榮作自由民主党大蔵大臣

○佐藤国務大臣 今の外債と世銀借款の電発への割振りのものは、予定されておりますものを外債で肩がわりいたしますが、その肩がわりしたものを奥只見や田子倉に融資するというのではございません。これははっきり申し上げておきます。これは、九州電力だとか、八幡製鉄だとか、富士製鉄だとか、こういうところに積極的にその金を回して融資する、こういう計画になるわけであります。あるいは名神国道の第二期施行の工事費に割り当てることも考えられるわけであります。問題は、電発に関する限りは、ただいま申し上げますように、外債が出てこなければ、世銀借款で三千五百万ないし四千万ドルを獲得できる、外債がきたならば、その金額には変りはございませんが、うち三千万ドルは外債になるということを申すのであります。そうして、この電発の工事関係で具体的に今まで交渉をしましたのが、ただいま田子倉、奥只見、御母衣、この三つだけやっておるが、その中で御母衣を向うが取り上げておるということを申すのであります。奥只見と田子倉はもう一応消えて参りますが、これからさらに電源開発が新しく計画するであろうもので借款を必要とするものは、あらためて交渉するということを実は申し上げておるのであります。  次に、鉄道と原子力の問題につきましては、時期的な問題として、今日までの金融としては不十分なものがある。従いまして、この鉄道の問題自身が具体化しておらないからと申しまして、直ちに断わられたというものでは絶対にない。これは、今日向うからもおそらく人が参り、調査にかかるはずでございます。これから先の問題としてこの程度の問題についての調査を世銀も進めていく、かように申しておるのでございまして、断わったものでないことだけははっきり申し上げておきます。

横山利秋日本社会党

○横山委員 第三番目の問題点は、外債を募集し得る国際情勢の問題であります。あなたは、向うにおる間から、こちらへ来ても、この外債募集についてのあなたの態度というものは、非常に慎重といいますか、あるいはやるのかやらぬのかわからぬような談話がたびたび発表されました。その一つは、世銀の条件よりも悪かったらやめるということが一つの尺度になっておった。世銀は、言うまでもありませんが、五分七厘五毛です。これより以下でやれるということは、おそらくあなたもお考えになっていらっしゃらない。そうすると、産投でぐるっと回った貸付条件、こういう条件からいいますと、外債募集の条件というものはおのずから限定をされてくる。佐藤さんもきょうの閣議で法律案の了承を大体求められたようでありますけれども、その条件というものは、今のアメリカの国内事情をどういうふうにお考えになっていらっしゃるか。今朝私の手元へ入りました情報によりますと、アメカリのフィラデルフィア、リッチモンド、セントルイス、ミネアポリス、ダラスの五つの連邦銀行は、二%から二・五%、つまり〇・五%の公定歩合の引き上げをいたしたそうであります。前回は〇・二五%の引き上げでございましたから、これはもう一挙に引き上げたことになるわけであります。つまり、このことは、先般大臣もここで私にお答えになったように、アメリカにおいては、公定歩合の引き下げよりも、引き上げの傾向、つまりインフレの傾向がある、金融が逼迫してくる傾向がある、こういうことをおっしゃったはずであります。そうだといたしますならば、またこのような五つの連邦銀行が一斉に大きな引き上げをした今日において、どのような発行条件であなたはなさろうとしておるのか。この発行条件は、一体、今日の世銀借款と見比べて、それを越してなおかつ外債を発行するという積極的な理由が今日必要なのかということなのです。この五つの連邦銀行の引き上げは、あるいはあなたもけさ御入手になっていらっしゃると思うのでありますが、これについてどういうお考えですか。

佐藤榮作自由民主党大蔵大臣

○佐藤国務大臣 アメリカの銀行は御指摘の通り全面的に利率の引き上げを行なっております。私がインドに参ります前に、すでにほとんど全面的と申しましていいような状況であった。今回も向うに参りまして、米国の財務長官アンダーソンであるとか、連邦準備銀行のマーチンであるとか、ブラックであるとか、あるいはヤコブソンであるとか、その他の財界の有力者を打診してみましても、アメリカの景気自身はよほど変ってきている。景気は上向いてきた。マーチンなどの説明によりますと、スチールは非常によくなっている。ことに自動車も、一九五九年型の自動車は、五八年の自動車に比べまして、百万台以上必ず売れる。また石油事業は中くらいに取り戻してきた。ことに日本において困っております海運は一体どうだと聞きますと、これは、きわめて微々たるものではあるが、上向いてきた。そうしてもうすでに景気は転換しておる。アメリカ経済といたしましては、この際インフレに対しての警戒を十分するようになってきた。今後の傾向は一体どうなるのか、一年、二年先の見通しはどういうようにしておるのかということに対しまして、これはおそらく二年程度はこういう状態で続くんじゃないかと思う、まず二年程度までの予測は、そういうような見方をしておるということを、実は申しておるのであります。今回私が特に急いでこの外債発行ということを考えてみたいと思っております根拠の一つといたしましては、時期がおくれればおくれるほど、非常に不利益な状況になるのではないか。むしろ急いで授権をしていただいて具体的に取り運ぶことが、今日の情勢から見ますと望ましいことではないか。外債発行だけの観点から申しますならば、あるいはもうすでに過去において最も有利な時期を失した、こういうような考え方、また批判も当るのではないか。しかし、資金の必要を痛感するといたしますならば、できるだけ早いことが望ましいのではないかということを実は申して、今回のこの臨時国会に、かような法律案を提案するということを実は決意いたしたのでございます。しかし、御指摘になりますように、資金の獲得は必要でございますが、どんな高い金利でもそれをどうしても借りるんだ、こういうものでないことは、冒頭に横山委員が御指摘になりましたように、外債発行の必要なものはこれこれではないかと言われましたが、その点から申しましても、非常に不利なものを発行すべきでない。これだけは私どもも決意いたしておるのであります。そういう点をも実は考えて参りたいと思っております。

横山利秋日本社会党

○横山委員 外債を募集するとしたら、多少時期を失しておるという点については、私も同感なんであります。しかし、私は、外債を、その意味と本来的な意味で、募集すべからずという立場に立っております。  話のよりを戻しまして、アメリカにおける現状というものが、外債を募集し得る条件にないと私は判断しておる。その一つは、今申しましたような、意見が一致しましたようなアメリカにおける公定歩合の引き上げ、インフレ傾向、それから金融逼迫、そういう状況が加速度的にこれからふえるというような御意見でありますれば、なおさらのことであります。  第二番目に、アメリカでは一体外債募集がどういうふうに消化されておるか。局長も御存じのはずでありますけれども、私の手元で調べましたところによりますれば、アメリカで発行された外債は、ほとんど欧州市場が消化しておる。そのことから申しても、また最近の外債発行の銘柄を調べてみましても、発行額が三千万ドルになっておるのはベルギーが五七年九月それ一つでありまして、あとは、欧州鉄鋼石炭共同体、これが一億五千万、オーストラリアが二千万ドル、南ア連邦が一千五百万ドル、アムステルダム一千五百万ドル等々、非常に少い。かてて加えて、これは局長もお調べになっておるならば御答弁願いたいのでありますが、米国の社債消化の太宗である生命保険会社は、州法で外債投資を禁止され、米国の一般投資家も、戦前の外債の不履行の経験から興味を持っていない。米国での外債発行は不利な条件にある。こういうことを先般興業銀行の常務、竹内氏が日本経済に書いておられるのであります。そうだといたしましたら、アメリカにおける外債発行というものはどういうことになるのか。もしも三千万ドルをアメリカで公募いたします。それが消化ができないというふしまつな状況になったら、一体どうなさるのか。あなたが交渉なさったフアースト・ボストン会社ですか。この会社も調べてみました。この会社は、八〇%以上国内のものであって相当すぐれた会社であることは私も認めますけれども、外債を引き受ける場合というものは一〇%か二〇%のことであります。もっぱら国内の証券の引受会社であります。三十年やらなかったものを、今にわかに、しかも経理も非常に不十分な経理で、世論の言うところによれば、押しつけられた外債、そしてアメリカの状況においては、非常に工合の悪い条件の中で——まあ紆余曲折を通って、ここまできたならば、どうしても外債を募集しなければならないというようなお考えではなかろうかと思いますが、この私の考え方について御答弁を求めます。

佐藤榮作自由民主党大蔵大臣

○佐藤国務大臣 ただいまアメリカにおける外債募集状況、外国のお話をるるなさいました。なるほど、今日まででき上りましたアメリカにおいてのニューヨークにおけるこの起債状況は、ベルギーが三千万ドル、これは発行年月が一九五七年。それから最近ではユーロピアン・コール・アンド・スチール・コミュニティというものが三千五百万ドル、その他は千五百万ドルあるいは二千万ドルというように小さいものでございます。この外債の金額の多少という点は、その国の経済情勢にもよるのでございますから、これらの小国と日本の経済とで一々とやかく言うことはないだろうと思います。また、これらの外債が、横山君が御指摘になりました通り、過去においては欧州市場においてこれが消化されておる。これも御指摘の通りであります。しかし、今回私が参りましていろいろ話を伺っておるところでは、今回の日本の外債、日本が外債を発行するならば、これはニューヨークだけで、純然たるアメリカ市場においてこれを消化するということを実は申しておるのであります。過去の実例は必ずしもこれには当らないということが言えるのではないかと思います。しかし、外債を発行するということにつきまして、十分の資料なり調査を完了してやらなければ、御指摘になりましたように、まことにまずい結果になってはそれこそ大へんなことだと思います。従いまして、この点については、特に私は気をつけておるつもりでございます。御指摘になりました保険会社などはなかなか引き受けないのではないかということでございますが、世銀との抱き合せならば、保険会社もこれを引き受けるということをはっきり申しております。この点などは、あるいは私は間違いのないことだ、かように考えておるのでございます。今御指摘になりましたように、金額はもちろんその国の経済あるいはその投資対象というようなものについておよそきまる問題でございますし、また、過去においては、なるほど欧州市場においてこれを引き受けたという形であるが、今回のものについては、アメリカ市場においてこれを引き受ける。さらにまた、保険会社等は協力しないのじゃないかという点につきましては、ただいま申し上げましたように、世銀との抱き合せということが強い理由になっておる。この点で御指摘になりましたような御心配はないように私は考えております。

早川崇自由民主党

○早川委員長 横山委員、予定の時間を十分超過いたしましたから、ぼつぼつ結論を急いでいただきます。

横山利秋日本社会党

○横山委員 ところが、今、三千万ドルをアメリカ国内で消化される、そうして生命保険会社も、世銀との抱き合せならばよろしい。この最後の点は何をもってそう言うのかわかりませんが、私のさっき申しました興銀竹内常務の話では、これはアメリカでは州法では禁止されておるというのであります。その点は、一つ、あなたの方でそうでないということがあったら、そうでないことを説明していただきたい。一方翻って、この外債の国内経済に与える影響というものについて、一つ大臣の意見をただしたいのであります。今あなたは、どうしてもこの金が要るんだ。要るんだとするならば、世銀、世銀でいかなければ外債、こういう論法のようであります。しからば、一体国内で、現在百九億、約三千万ドルの資金というものはどうしても捻出できないものであろうか、こういうことであります。私は、そんなものは、ほんとうに優先的に必要であるならば、これは大臣、幾らでも私はできると思う。本来、外債というものは、反対論が割合に庶民の中から起らないのであります。百億の増税をするよりも、五百億の外債を募集した方が、政治的にはやすいことであります。やすきにつくのがまた政治のならわしであります。ほんとうに百億ほしいならば、それが国家のために必要であるならば、なぜ増税をあなたは責任をもっておやりにならぬのか。増税だというと国民は反対をする。政治的にもなかなかむずかしい。そこで、庶民の中から反対の乏しい外債というもの、やすきにつくという考え方が中にあるのではないか。けれども、これは、庶民に直接に増税ではないけれども、間接的に増税であることは御存じの通りであります。今の納税者に負担をかけるか、あるいは将来の納税者の負担になるかの違いだけであります。しかも外貨の将来の保有量に大きな影響を来たします。私は一応戦前の外債、世銀の借款、賠償、それから経済協力等の推計をいたしてみましたが、今日日本が外国に支払わなければならぬものは全部で八千五百四十二億、私の推計はほとんど間違いないと思うのでありますが、八千五百億の支払いを年々歳々これからしていかなければならぬ。これは、新たに起る賠償を除外して、今日確定の債務であります。そのほかに民間のいろいろの問題があります。いろいろ考えてみますと、約一千億の支払いを年々歳々していかなければならない。そういたしますと、十年として百億、それから多くの問題を考えてみますると、三十二年度でも財政負担はそれらを総計して五百七十三億、三十三年度は六百五十九億という過重な負担が財政的には起っている段階であります。この上やすきにつき外債を募集するということは、これは、大臣、紆余曲折の結果、少し足を踏み入れ過ぎた問題ではなかろうかと思うのです。ほんとうに、大臣におなりになってから、外債を募集するんだという決意と信念の上に立ったお話であるならば、私はそうは言わぬ。あなたがインドに行かれるつい前の大蔵委員会で聞いた際には、そういう話は聞いたことはありますとおっしゃいました。これを称して政治家的答弁であるというならば、何をかいわんやというところでありますけれども、どう考えても、外債については、大臣が、紆余曲折の結果、インドで腹をきめられ、そうしてこちらへ帰って情勢判断をして、先ほどおっしゃったように、今なお完全に踏み切るということではないと思う。私の意見は、もし今どうしても必要であるならば、なぜ増税をなさらぬか。なぜほかの捻出をなさらぬか。大体世銀借款にしたところで、外債にしたところで、政府がものを言って外国から金を借りて、民間企業にひとしいところに金を貸してやるのであります。そうでしょう。それほどの努力をしなければならぬ理由というものはどこにありましょうか。政府として、たといその産業が国家に重要な産業であるにいたしましても、国内の経済納税者の立場、そういうものを考えまして、なおかつそういう無理をしなければならぬという理由があるでありましょうか。私の言わんとするところは、これだけの金が必要であるならば、国内の財源で捻出すべきである。それを必要でないとするならば、今日それはまだ時期が早い、外債はもう少し時期を待った方がよいのではないか。もう一つの問題は、外債というものは、やろうとするならば、これは加速度的にまた来年来年という心配があるが、これはどうか。これが外堀を埋めていくような結果になるという傾向についてどうか。これらの点についてお答えを願いたい。

佐藤榮作自由民主党大蔵大臣

○佐藤国務大臣 お尋ねにお答えする前に、一つ誤解のないようにお願いしておきたいのは、保険会社の問題であります。保険会社は、州によっては禁止しているところがある。これは御指摘の通りでございます。しかし、保険会社が、その州法のあるところについての議論は別でございますが、世銀借款との抱き合せということならば、保険会社は考えられる、こういうものでございます。  次に、百八億円というものが絶対に外債でなければ獲得できないのかどうかというお話でございます。これは百八億円が外債でなければ獲得できないというものではございません。それはもう御承知の通りでありまして、特にお尋ねになったことだろうと思います。ただ、私が冒頭に申し上げました通りに、経済のあり方というものを一応想定をいたしまして、その資金を内外にわたって確保していく、こういう観点に立つ場合に、赤字公債をするとか、あるいは非常な危険な、力以上の借金を背負うということはしたくない、そういうことは避けて参ります。どこまでも健全財政のあり方でものことを考えて参りますということを申し上げたのでございますが、その観点に立って、この際に外債を可能な時期において可能な方法において具体化することは、内外の資金獲得の方法ではないかというのが私の結論であります。基本的な考え方で唐突にインドにおいて出てきたのじゃないか、国会における答弁などから考えても、どこを押してもさような考え方は出てこなかった、かように仰せられます。これは過去においてさようなことを申しておるかわかりません——ではなく、はっきり申しておるでございましょう。しかし、この点は、それと関連を結びつけていただいて御批判をいただくことは、私大へん恐縮に思います。と申しますことは、この外債を発行するということについて、私の方でより有利な条件で必要なものは成立させたい気持のあることは、御了承がいただけるだろうと思います。事柄がデリケートでありますだけに、そういう問題についての扱い方はよほど慎重にやらなければならない。ことに、世銀からの借款というものが可能である場合に、この外債を出すことによって、世銀借款が先ほど心配しておられるように減額されるということならば、世銀借款の方が在来からやってきておることでございますから、その方が望ましいことは申すまでもないことでございます。この外債がプラス・アルフアになって、初めてその資金獲得の総量がふえるということで、これは事業開発、経済発展上に役に立つ、かようにも考えるのでございますから、そういう意味においては私の発言も非常に慎重であったということは、これは私この席で申し上げて差しつかえないことでございます。  第三は、これは今後の問題についてのことでございますが、内国の事業債等についてもいろいろいわれておるでございましょうが、赤字公債を発行するということは絶対に避けなければならぬ。この線は堅持しなければならないことだと思います。また、外債を発行するとか、あるいは世銀その他の借款をいたすにいたしましても、能力以上の負債を持つことはよくない、絶対に避けるべきである、これは先ほど来申し上げておる通りでございます。具体的の問題についてこの際の発言はいたしません。また、日本国民の負担の増といいますか、賠償支払いその地層担の増のあることも十分考えておりますが、この外債募集のかわりに増税をしたらどうかという——これは増税しろと言われるわけでもないでしょうが、増税をしてでも外債は避けるべきじゃないかという御意見については、私は反対でございます。私は、増税はこれまた国民負担を増大するという立場から見ましても、税は減税の方向においていろいろ研究し、公平なる税制であることを考うべきであると思いますので、この点は私は反対をいたしますが、それかと申しましても、赤字公債、赤字外債を発行するような考え方は、これは賛成するものではございません。従って、今後の外債のワクが非常に拡大されるのじゃないかというような点については、これがわが国の能力以上のものであるかどうかというところに一つの目安を置いて、十分考えて参りたい、かように存ずる次第でございます。

横山利秋日本社会党

○横山委員 非常に大臣は税という問題と公債という問題についての認識について欠ける点があると私は思う。どうしてもほしければ勇敢に増税すべきだ、そういう私の意見というものは、税金というものは公平に徴収をする。ところが、こちらの公債というものは、利子を国家が負担してやる。手続その他について国家が負担する。そして後になって後年度の納税者からそれを取っていくのだ。同じことなんだ。結論的にいえば、どちにしたって、今の納税者に負担をかけるか、後年度の納税者に負担をかけるかというのでは、同じことなんです。しかし、今どうしてもこれがほしいというならば、やりたいというならば、現在の納税者に対して特に政府が所信を表明して協力を求めるべき筋合いのものである。今の納税者に税金百億というと反対が起るから、反対の少い公債でやる。これは安易な手段であって、とるべき策でないと思うこの点問題がありますから、念のために申し上げておきます。  時間がありませんから、最後に、国民の焦点となっておるところをもう一つ御質問申し上げたい。それは、端的に、いやそういうことは話を聞いただけだとはぐらかしておるのでありますが、インドへ行かれたときに、アメリカの財務長官からイロア資金、ガリオア資金を督促されたそうであります。私どもは今賠償をアジア諸国に対していろいろと支払わなければならぬという点については了承いたしますけれども、イロア資金、ガリオア資金については、政治的にはわが国の困難な多くの問題をまだ存しておるわけであります。一体大蔵大臣は財務長官に対してほんとうに話を聞いただけであったのか、いろいろとアメリカの御協力を得なければという場合が、今の状況らしいんです。先ほど外務大臣に御質問をする機会がなかったのですが、このイロア資金、ガリオア資金の返済について、一体どの程度の話が進んでいるのであるか。アメリカの財務長官としたところが、初めて言い出したわけでもありますまい。その約束ないしは交渉はどうなっておるのであるか。一つの模範例として、西独の三十億ドルを十億ドルにまけてもらって、支払う条件がきまって実行されているというモデルが一つあるのでありますが、そういうモデルが現実の課題となって話が進んでいるのかどうか、この際これを明示していただきたい。

佐藤榮作自由民主党大蔵大臣

○佐藤国務大臣 前回当委員会で佐藤君の御質問にお答えいたしたと思いますが、アンダーソン財務長官と会った会見時間はわずか三十分程度であります。この時間の短かかったことと、この大部分は当方からの要望を述べて終りです。最後にアメリカ側に何か話はないかというので聞いただけでございまして、具体的にアンダーソンとその結論を出すような話はいたしておりません。これだけは佐藤委員に私がお答えした通りでございます。この点には間違いはございません。ことに当委員会を軽視したような発言などは絶対いたしませんから、これは御了承いただきたい。  藤山外務大臣もおそらくお答えになるだろうと思いますが、この援助資金に対する援助物資の跡始末というか、跡処理の問題についてどういう考え方をしているかというような基本的なお尋ねでございますが、藤山外務大臣が今年渡米いたしました際においても、アメリカ側からこの話が出ておるのでございますが、これに対しては、外務大臣は、賠償の見通しがつくまではこの話はしばらくお預けを願いたいということをはっきり申しております。この点は、アメリカ大使等に会ってみましても、その通りでございます。私も藤山外務大臣からさような報告を聞いております。そこで具体的な交渉をただいま持っておらない、これだけははっきり申し上げ得る状況でございます。  過去におきまして、吉田内閣の第何次になりますか、私忘れておりますが、吉田内閣時分にこの金額を詰める話し合いをしたことはございます。大体、あの占領期間中に、アメリカから日本に持って参りました金額としては、二十億ドルを上回る金額ではないかと思いますが、その金額を全部日本の借り入れだとか、またそれを全部について弁済義務あり、かようには実は考えないが、この金額をいかに詰めて日本の返済すべき債務とするかというような交渉を一時持ったことがあるやに伺っておりますが、結論を得ないままに、そのまま立ち消えになっておるというのが、今日までの推移の大要でございます。従いまして、今回、明日になりますか、アンダーソンが東京に来るわけでありますが、来ましてどういう話をいたしますか、これは会ってみなければ十分わからないことでございます。しかし、その援助物資金額が日本の負債でないことは、これは私ども当然主張のできることだと思います。今御指摘になりましたように、西独に対してはすでにその金額が決定し、そうしてその金額に対する支払い方法などを決定しておりますが、日本の場合においては、金額そのものがきまっておらないという状況にあるのであります。ただいま二十億をこしたというような言い方をいたしましたが、事務当局の話では、総額は二十億以下だということを言っておりますから、この点は訂正をいたしますが、とにかく二十億前後の援助物資が来たということは、おわかりだと思います。しかし、その総額において当方でこれを負債として処理するものだとは、私どもも考えておりません。これだけは明確に申し上げて差しつかえないことでございます。しかし、その金額をいつ決定するかというようなお尋ねがあろうかと思いますが、ただいまそういうような突き進んだ考え方を当方はいたしておらないのであります。ただいま申し上げますように、これは、賠償の支払いが完了したというわけではございませんが、賠償についての見通しが一応立った後に、米国と交渉をするというような——交渉とまでは申しませんが、とにかく賠償の見通しが立つまではその話は困る、こういう話で推移しておる。これが実情でございます。これだけを申し上げておきます。

横山利秋日本社会党

○横山委員 時間もありませんから、これで私は質問を終りにいたしますが、要するに、外債につきましては、ただいまの質問は総括的なことでございまして、まだ日本の経済に対するアメリカの支配、従属態勢、あるいは日本の経済の中でこれから生ずるインフレ、こういうようなものについて多くの問題が残っておりますが、近い将来、もう二、三日うちに外債の法案も出るでありましょう。その際にさらに詳細に御質問することにいたしまして、本日はこれで終ります。

早川崇自由民主党

○早川委員長 本日はこの程度にとどめ、次会は公報をもって通知することとし、これにて散会いたします。     午後一時三十四分散会

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