商工委員会 第11号
- 発言数
- 195 件
- 登壇者
- 19 名
- 会派数
- 2
- 開催日
- 1958/10/30
会議録
○長谷川委員長 これより会議を開きます。 公共用水域の水質の保全に関する法律案、工場排水等の規制に関する法律案及び水質汚濁防止法案の三案を一括して議題とし、審査を進めます。 まず三法案について連合審査会開会の件についてお諮りをいたします。三法案の審査のため、社会労働委員会及び農林水産委員会より連合審査会開会の申し入れがありましたが、これを受諾することとし、開会の日時に関しましては、委員長に御一任願いたいと思います。御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○長谷川委員長 御異議なしと認め、そのように決します。 ―――――――――――――
○長谷川委員長 次に、質疑の通告がありますので、順次これを許可いたします。岡本茂君。
○岡本(茂)委員 私は、主としてただいま提案になっております社会党提出の水質汚濁防止法案につきまして、若干のお尋ねをいたしたいと思います。 その前に、一、二簡単に政府当局にお尋ねしたいのであります。 第一は、渡良瀬川の鉱害の問題でございます。渡良瀬川の流域七千町歩にわたりまして、足尾銅山から排出いたします、これはPHではないのですが、鉱石の細粉末が累年蓄積をいたしまして、田畑におきましては、農産物が日照が得られないために分けつをしないというようなことで、非常な被害をこうむっておるのであります。これにつきまして、従前の鉱業法あるいは鉱山保安法で取り締まる規定があるのかどうか。また今回の政府案においては、これを防止するような規定になっておるかどうかという点を第一に伺いたいと思います。なおこの細粉末の堆積のために、地下水を得られないということで、飲用水にも事欠くというような被害を生じておるのでございますが、これに対しまして、厚生省の水道局の方が見えておりますか。
○長谷川委員長 まだ来ておりませんから、来たら答弁をいたします。
○岡本(茂)委員 それでは、これはあとにいたします。 なお、同様の問題が愛知県の瀬戸方面その他にあるわけでございまして、これは、鉱山ではなくて、陶器工場が御承知のようにたくさんあるわけでございますが、これらの陶器工場から排出いたします陶土の粉末が田畑に堆積いたしまして、農産物の育成を阻害しておるという事実がございまして、これまた三千町歩にわたって被害をこうむっておるのであります。これに対しまして、今度の法規によりまして的確なる取締りができますかどうか、この点につきまして、まず政府当局にお答えを願いたいと思います。
○小岩井政府委員 ただいまの足尾の渡良瀬川の濁ることでございますが、足尾の問題につきましては、古くから鉱害の問題が起りまして、この点、私ども非常に厳重に入念に鉱害の関係を見ておるわけでありますが、いかんせん、川の濁ります点につきましては、ずっと創業の当初に、まだ法令の完備しておりません昔から、他産業との関連を十分に考慮するということなしに操業をしておった関係、特にこの鉱煙の関係がありまして、煙に亜硫酸ガスが入っておりまして、そのためにほとんどあの近辺の山が裸山になっております。従いまして、豪雨が降りますと土砂がくずれる、こういった点につきましては、植林、造林の方の点につきましては林野庁の方に、それから砂防の工事につきましては建設省の方にそれぞれお願いをいたしまして、かなり工事が進んできておりますが、事態は逐年大きく改善されてくるというように考えております。 なお、坑廃水あるいは洗鉱廃水、精練廃水、こういったものにつきましては、一応すべて沈澱池に入れまして、もちろん重金属の銅、鉛、亜鉛、そういったものは、有害なものはでき得る限り除去いたしております。しかし、御承知のように、完全にこれらを除去するという点につきましては、技術上の問題もございますし、私ども責任を持って現状で十分であるということは申しかねますけれども、現状では、有害のもので除去できるものはすべて一応除去しております。 ただいまの川が濁るという問題につきましては、ずっと前に、山がすっかり裸山になりました足尾の北部の地帯の豪雨のために、――普通雨が降りますと、土砂がくずれて川に流れる、従って川が非常に濁ったような感じを受けるのでありますが、内容の調査をいたしてみますと、現在山で操業いたしております洗鉱、精練あるいは坑内水、これらの放流の中に入っております浮遊物がきわめて少くなりまして、鉱山北方の裸山から流れてくる土砂が大半を占めているというような数字も出ております。しかしながら、これらの中に有害成分がありますれば重大問題でありまするので、私どもも、今後一そうこれらの監督を厳にいたしまして、これらの中に含まれております有毒分につきましては、一そう十分な厳重な措置をとって参りたい、かように考えております。
○岡本(茂)委員 この足尾の鉱害については、漸次改善を加えられつつあるということでございまするが、しかし今なお怨嗟の声が絶えないということは、相当な被害が今も行われているということであると思います。従って、今後一そう改善に努力していただきたいと思います。 なお、今の御答弁では、有毒物ということをおっしゃったのですが、必ずしも有毒物に限らず、鉱石の細末そのものは毒性はないかもしれぬけれども、そのものの堆積によって農産物の生育を妨げる、こういうことについて取締りができないかということを私はお聞きしているわけなんですが、その点について重ねてお答えを願います。
○小岩井政府委員 必ずしも有毒物でないものも沈積いたしておるというお話でございますが、私どもが現在考えておりますのは、銅とか、鉛とか、亜鉛とか、そういった重金属で、これらはもちろん直接被害を与えますので、まず最初にこういったものを取り除き、それから第二次的にあらゆる浮遊物、こういったものももちろんでき得る限り取らなくてはならぬのでありますけれども、これを完全に取って放流するという点が、技術上の問題、経済上の問題から、現在これが完全にはもちろんいっておりません。しかしながら、これらが堆積してどういうふうに害悪を与えるかという点につきましては、十分研究ができておらないわけであります。私どもも、これではいけませんので、農林水産関係のできる限りの資料を集めまして、実はあまり他官庁にも見られないようなかなりな資料を集めております。現在第四集まで作り上げておりまして、これらのものをでき得る限り参照いたしまして、もしそういった堆積によりまして鉱害を与えるという事実がございますれば、そういった点につきましても、今後一そう研究を積み重ねていきたい、かように考えております。
○岡本(茂)委員 今第二次的に取り締るというようなことをおっしゃるのですが、その点がいささかふに落ちないのです。鉱業法の百九条によると、「鉱物の掘採のための土地の掘さく、坑水若しくは廃水の放流、捨石若しくは鉱さいのたい積又は鉱煙の排出によって他人に損害を与えたときは、」その損害賠償の責めに任ずるというようなことになっておる。だから、第二次というようなことではないので、当然そこから出るものについては、賠償責任があるくらいならば、取締りの対象になるわけなんで、第一次、第二次という区別が私はちょっとわからないのですが、それは、どういうことなんですか。
○小岩井政府委員 私の申し上げましたのは第一次で、第二次はやらぬというのではなくて、一番害毒を激しく与えるものから先にできる限り取りたいということで、一応私どもの方でとっております方法としましては、沈澱をさせるわけであります。この沈澱がなかなか一次で参りませんときには、二次の沈澱をいたします。これも、もちろん適当なる薬品を入れて沈澱させるのでありますが、どうしても今の技術で沈澱のできない、非常に溶けにくいような、非常にどろどろしたようなコロイド性のものがございます。 〔委員長退席、中村(幸)委員長代理着席〕 こういったものは、なかなか適当に沈澱ができませんので、今の技術で沈澱のできませんものは、害毒のないようにして放流いたしておるわけでございまして、そういったものがどういう影響を与えるかという点につきましては、十分に現在知悉できないような事情がございまして、そういった点につきましては、今後の研究にまかせていただきたい、かように考えております。
○長谷川(四)委員 関連してお伺いをいたします。保安局長の御答弁を聞いていると、全部が納得いかないと思うのだ。ということは、鉱害というものは、PHとかPPMとか、そういうものによってのみ生じていない。ただいまの岡本さんの御質問は、そういうメッシュ二百くらいの微粉がたくさん流れてきて、それが、田であろうが畑であろうが、その水を使ったところには、全部土壌の上がコンクリートと同じような固さになってしまう。微粉で上が固められて、粘土で固められたようになるから、太陽の光線というものが直射をすることができなくなる、それがために分けつはしなくなる、また肥料が分解をしなくなる、そういうような点から出ていって、太陽の光線をもし生物が受けなかったとするならば、この宇宙には、生物というものは何もなくなるはずだ、であるから根腐れをするという、きのうの参考人の言葉があったわけです。こういうものに対して、今度の法案というものが適用されるのかされないのかということなんでありまして、あなたの方でなくて、これは企画庁の方から御答弁を願う方が明らかであろうと考えますので、企画庁の方からの御答弁をお願いいたします。
○花園説明員 ただいまの長谷川先生の御質問にお答えいたします。鉱業関係のただいまの渡良瀬川の災害に対しまする法文の適用に関しましては、第一義的にございます条文は、当然鉱山保安法であろうかと私考えております。鉱山保安法の第四条では、第二号で、「ガス、粉じん、捨石、鉱さい、坑水、廃水及び鉱煙の処理に伴う危害又は鉱害の防止」というものについて、必要な措置を講じなければならないことになっております。それに対しまして、さらにその必要な措置に関しましては、省令の委任ということで、三十条によりまして、鉱業権者が第四条の規定によって講ずべき措置については省令で定めることになっております。従いまして、われわれは当然鉱山保安法系統の条文で問題が処理されるもの、また同時にここにあります保安規定は、むしろ非常に厳格なもので、規定といたしましては、現実の事態がどうなっておるかは、これは通産の問題でございまして、実態をどのように運用されておりますかは、私ちょっと申し上げかねるのでありますが、法規的にはきわめて厳格な規定ができておる。従いまして、われわれがこのたび公共用水域の水質の保全に関する法律案の条文を一応いろいろ練りました際に、むしろ水質基準の適用以前に、鉱山保安法は、鉱業権者が必要な措置を講じなければ、直接に罰則で罰するというほどの強いものがある。従って、こういった渡良瀬川のような場合は、水質基準を直ちにきめていくように努力するつもりでありますが、そういった水質基準も、この地域には、鉱山保安法の系統の考え方にあわせて、われわれは相当一般的に考えられておる、つまり公共用水域の水質の保全に関する法律案の第四条に書いてありますような、関係産業に相当な損害を与えるというふうな言葉の中身のあり方としては、こういう場合は相当きびしいものを作る、むしろそちらに歩み寄ってまできびしくしていかなければならぬ。端的に申しますと、われわれの出そうとしておる法案よりは、むしろ鉱山保安法の方がきびしいくらいではないか、こういうふうに解釈いたしております。
○長谷川(四)委員 小岩井局長は、ただいまの御説明をお聞きだと思うのですが、そうなってくると、たとえば今の愛知県の問題、それから群馬の渡良瀬川の問題、こういうものも当然その対象になることは明らかでなければならない。であるから第二次的なものではなくって、あなたのおっしゃるところのその毒素のみに重点を置くことばかりではなくて、そういうような公共的なものに大きく損害を与えるというときには、当然この法律は適用されるのである。今日まであなた方が取り扱ってきたところのその保安法の中にも、十分明瞭に書いてある。あるのだけれども、現実には行わしめることができなかったのだ。その裏づけとしてなおより一そう高く行わせるために、今度の公共用水のための法案が出たのだということになるが、あなたの方は、二次的に取り扱うことでなく、これを第一次的に同様に取り扱わなければならないと私は考えるが、あなたの御見解はいかがですか。
○小岩井政府委員 私、先ほど二次的というので、大へん二次的がはっきりしてしまいましたが、必ずしもそういう意味ではなくて、従来はっきり害毒を非常に与えておったというような重金属類をできるだけ早くとっていく。それからただいまのお話の浮遊物につきましても十分考慮いたしておりまして、私どももごく最近渡良瀬川の状況を調査いたしてみたのでありますが、この浮遊物につきましては、一番新しいので十月十七、十八と両日調査いたしました結果を見ますと、これは一例でありますが、有越川の堆積場の下の選鉱場の横のところ、ここでとりますと、浮遊物が二十ミリグラム・パー・リッター、一リッターの中に二十ミリグラムあるわけです。これの水量が四立方メーター・パー・ミニット、一分間に四立方メーターになるわけです。渡良瀬川の本流のサンプリングをいたします、と二百ミリグラム・パー・リッター、このときの水量が八百立方メーターになっております。これで浮遊物の量を見ますと、ほとんど大半のものが選鉱場以外から出てくるものでありまして、これは、先ほど私がお話し申し上げました鉱山の北方にあります、いわゆる裸山からの土砂が流出してくる、そういう数字がはっきり何回調べましても出るのであります。そこで、山の北方にあります裸山の土砂の流出は、それではだれの責任かということになるのでありますが、これは、もちろん鉱山の操業によって起りました現象でございまして、当然一括して鉱山が責任を負うべきであるということははっきりいたしておるのでありますが、私どもの見聞いたしておりますところでは、二十八年までのお話し合いは一応解決して、今後の二十八年以降の問題につきましては、もちろんごく最近決壊いたしましたようなああいう問題につきましての補償は、これは当然鉱業権者がいたすべきであり、新しく起りました事態につきましては、もちろん鉱業権者が一切の責任を負うべきであるというふうに考えておりますが、川の浮遊物、濁りの問題につきましては、一応現在では選鉱場、あるいは坑内水、製練廃水、そういった鉱山の現在の操業によって出てくるものは非常に少くて、むしろ昔やりました裸山の土砂流出の関係が大部分を占めておるというような結果を示しておりまして、その点、一つ御容赦いただきたいと思います。
○長谷川(四)委員 それは、あなたはむずかしく考えるからおかしいので、私も行って見てきていますから、今別に議論しようとも考えていないのだけれども、今の排泥をためておくところ、あれは、あのくらいの設備で完全であるとはあなたも考えてはおらないと思う。何人が見ても完全とは考えないのであるから、そこへ、雨が降るたびにそれが流出をするということは争われない現実りである。従って、九十何年間という長い間そのために痛めつけられているこの現実は、あなたのお言葉によっては認めてはもらえないような考え方も持っておるようだけれども、現実が物語っているのではないか。こういう点から、たとえば今度公共用水という新たなる法律が出るのだから、それが適用できるのかできないのかという、これだけをお答えしていただけばそれでいいわけなんです。どうですか保安局長。
○大堀政府委員 今回提案いたしております水質保全に関する法案によりますと、これは一般法といたしまして、鉱山の関係にも効力を持っておる。これは第三条に書いてありますが、全体に対して水質基準を高めていこうという基本法になるわけであります。鉱山保安法は、特別法の関係に相なります。従いまして、私どもといたしましては、水質審議会におきましても、こういった水質基準に関する基本的問題はやはり検討をいたします。必要がありますれば、関係行政機関に対して勧告をいたしてでも必要な措置はとっていかなければならぬと思っております。そういう意味におきまして、今回の法案は基本的に関係があるというふうに考えます。
○長谷川(四)委員 そうしますと、渡良瀬川の問題はしかりであり、ただいまの岡本さんの話のような愛知県の問題等々におきましても、当然これは、保安局としては責任は免れることはできないのだと私は考えるのだが、別に勧告を受けなくても、あなたの方はそれに対しての法文によって――今度できた法律よりも、あなたが今まで握っていて、それによって行なっていた法律の方がもっと強いのだとはっきり出ている。だけれども、その強い法律を持っているけれども、それに対する裏づけが困難なために、それをそのまま行うことができなかったのだ。裏づけができたのだから、必ずそれによって行い得るというくらいのお答えはできませんか。
○小岩井政府委員 私の方の保安法の関係におきましても、今後一そうしっかりやりまして、特に足尾の問題、それから岡本先生のお話のありました山につきましては、十分実情も調べ、今後の改善方法も考えまして、早急に改善をいたしてみたいということをはっきり申し上げておきます。
○小平(久)委員 私も今の点に関連して、ちょっとお伺いしておきたい。 今度できました保全法、それから工場排水等の規制に関する法律、そういうものができたわけですが、論じられておる鉱山関係の排水との関係ですね。 〔中村(幸)委員長代理退席、委員 長着席〕これとの結びつきというものがどうもはっきりせぬのだが、こういう新たなる法律が出ても、鉱山保安法の方は、今度の保全法との関係において何らか修正等は要らないのですか。それとも従来の法律と結びつくとすれば、どこでどう結びつくと理解すればよいですか。
○大堀政府委員 お答え申し上げます。今回の提案いたしております法律におきまして、これが基本法でございますが、現在すでに鉱山関係につきましては鉱業法及び鉱山保安法があります。それから水洗炭業法がございます。下水道法がございます。新しく実施関係で関連を持ってきますものが工場排水法、現在提出されております。これで実施関係は一応網羅されるわけであります。私どもの法律は基本法で、私どもの法律で水質基準をきめていく、水質基準をきめますと、その基準によって、各実施法の方で実施していただく、こういう関係に相なります。法律的には、第三条でこれらの鉱山なり工場、事業場から排出される排出水の汚濁の許容限度を水質基準として決定する、こういうことに相なります。従いまして、水質基準がきまりました場合に、たとえば工場でございますと、今度の排水法によりまして、個々の工場からの排水の限度がきめられていく、施設がそれによってきまる、こういうことになります。鉱山保安法につきましては、これは既定の法律でございまして、法律には特にその関係を規定してございませんが、行政の運営におきまして、省令なり政令規定において、基本法にのっとってやるというふうに運用していただくということに話し合いをいたしておるわけであります。
○小平(久)委員 法律には規定しないが、のっとってやるのだ、こういうことなんですが、なぜその規定をはっきり書かないのですか。どうもそういうことだから、そこのところがぼやけてしまう。せっかくこういう保全法ができたなら、それに従って保安法というものも、新しくできた基準法に当然引用して、それに従って排水をする者はやるのだ、こういうことになぜ明記ができないのですか。
○大堀政府委員 法律といたしましては、第三条に各法律との関係を書いておるわけでございます。ただ旧来の法律を直して、そこに個々の規定を書き込んでおるという態勢はとっておりませんけれども、新しい法律においては、これに従ってやってもらうのだという趣旨で書いております。ことに第二条あたりは、一般的な義務を課しておるわけであります。
○小平(久)委員 端的に聞きますが、今問題になっておる渡良瀬川なら渡良瀬川は、いわゆる指定水域となり、また水質の基準をちゃんときめることになるのですか、ならないのですか。
○小岩井政府委員 もちろん十分な関連を持ってやるわけでありまして、かりに渡良瀬川の水質の基準がきまりますと、当然保安法の方で、その基準に従いまして、基準の範囲内におさまるように、すべて鉱山ごとに保安規定をこまかくきめるようになると思います。もちろん十分なる関連を持つわけでございます。現在のところは、私どもの方は基準がございませんので、いろいろな参考資料によりまして、この程度なら害はなかろうというところで、鉱山別にわれわれが一応の基準めいたものを作って、個々に処理しておるわけでございますが、今回、水域ごとにはっきり基準がきまりますので、基準がきまりました上は、保安法にのっとりまして、各鉱山ごとにはっきりその基準内におさまるようにいたすわけであります。
○小平(久)委員 企画庁に伺いますが、かりにこの法律が通っても、六河川くらいしかできないのだということですね。六河川それぞれいずれも問題のある河川であることは、われわれもわかりますが、その中には、渡良瀬川なんかもちろん入っていません。私は、渡良瀬川だけ言うわけじゃありませんが、全国的に見て、たとえば瀬戸あたりの水もそうでしょう。とにかく、数十年にわたって非常にトラブルを起しておる問題の河川というものが、たくさんあるわけですね。これは、大きな観点から広くやるということも必要かもしれないが、同時に全国的に見ても、長い間農民は苦しみ、あるいは関係の山の経営者なら経営者ももちろん困っていると思う。そういう目ぼしいものをまずもって取り上げるべきじゃないかと私は思うのですが、具体的にいって、たとえば渡良瀬なら渡良瀬というものがいつごろ指定水域になり、水質基準というものがはっきりすることになるのですか。こういう法律ができることによって、農民その他の関係者も、長年の問題が少くとも解決の方向に行くであろうということで、ある意味においては、大きな期待を持っているわけだ。せっかく法律ができても、そういう長年の問題であるところが、いつ指定水域にされるか一向わからぬということでは、関係している人を少々がつかりさせると思うのです。具体的に河川を拾う場合、どういう点を主として拾っていくのか、またそういう長年問題のあるところは、具体的にいえば、いつごろどういうふうにしてやっていくことになるのか、その方針をお聞きしておきたい。
○大堀政府委員 まことにごもっともでありますが、六河川と申しましても、私ども技術的な能力の関係もありまして、一挙に多数はできませんが、できるだけ早い機会に、重要な問題のある河川については、水域を決定するように進めて参りたい、かように考えておりまして、実は御指摘の渡良瀬川も、渡良瀬川か江戸川かというような議論もしておりまして、調査につきましては、できるだけすみやかに着手いたして、早い機会に基準を作成いたして参るように進めていきたいと考えております。
○岡本(茂)委員 さっきの愛知県の陶土による被害の問題で、明確なお答えがないのですが、どなたか簡単でいいですから……。この法律によって取り締まられるのだと考えておりますが、そうであるのか、そうでないのか、この点をはっきりお答えを願いたい。
○松尾(金)政府委員 愛知県の陶土による川の汚濁の問題は、当然今回の法律の適用対象になるわけであります。問題は、先ほどから話が出ておりますように、どの川についてどれだけのスピードで水域を指定し、水質基準をきめるかということと関連するのでありますが、問題の重要性は、私どもよく承知いたしております。できるだけ早い機会にそういうことの規制ができるように――法律は、当然そういうものを対象にいたしておるわけでございます。
○岡本(茂)委員 水道課長が見えたようですが、先ほど渡良瀬川の鉱害の問題について質問したのでありますが、足尾銅山から排出される鉱石の粉末が堆積をいたしまして、農作物の成育を妨げるばかりでなしに、地下水をとれなくしている。そのために、飲用水にも事欠くということになっておるわけですが、これについては、今度の法律で当然取り締まらるべきものだと思うのですが、いかがですか、この点をお伺いいたいと思います。
○田辺説明員 ただいま御指摘になりましたような問題が現実に起きておる、そして多数の国民に相当大きな被害が起きているということが現実にございますれば、当然対象として考えていかなければならぬ、こういうふうに考えております。
○岡本(茂)委員 政府当局に対する質問はこの程度にいたしておきまして、社会党の御提案にかかわります水質汚濁防止法案について若干お尋ねいたしたいと思います。 最初に社会党案の基本的な考え方についてお伺いしたい。水質の保全をはかりまして、農民、漁民を保護いたしますことはもとより必要であり、それが今回の提案の理由になっておるわけですが、しかし一面、鉱工業の振興発展をはかるということは、現在の日本としては重要な命題であるわけです。従って、各産業が調和のとれた成長を遂げるというようなことを目途として、この法案は立てられなければならぬと考えるわけでありまして、提案中の政府案は、大体そういう観点に立って立案されておる。すなわちさしあたり水質を現在より悪くしない、漸次改善を加えるというような観点から立案されておると思うのでございますが、あなたの方の社会党の提案は、どういう基本的観点に立っておられるか、政府案とどういう点において違うか、こういうことをまずお伺いしたいと思います。
○赤路友藏君 ただいま仰せの通り、私どもの法案の趣旨は、日本経済全体の面から見まして、日本の各種の鉱工業が発展をしなければならぬということは当然でございまして、従って、これらの産業の発展を抑止するような形であってはならない、これは、基本的にそう考えております。しかしながら、それらの企業体が企業の発展のために、汚水なり有毒物なりを流すことによって農民なり漁民なり、あるいはその他一般公衆衛生に悪影響を及ぼしてよいということではない。これらを関連せしめつつ、鉱工業の発展も抑止しない、と同時に国民全体に対して迷惑を及ぼさない、こういうような考え方を基本にして実は立案をいたして参りました。それで、現在の各河川なり、あるいは海面等の汚濁、汚染の状態、これを現在より以上に汚してはならないということは当然だと思うのです。それでは、現在の状態でよいのかといえば、現在の状態ではよいとはいえない。現在の状態が汚染され過ぎておるゆえに問題が起っておるのでありますから、当然現在のような汚濁条件をよりよくしていくということが、やはり主体的に考えられなければならない。この出発点は、非常に重大な問題であると思うのであります。現在の条件でよいのだという考え方と、これ以上汚さないのだという考え方の上に立って出発いたしますのと、現在の条件をよりよくしていかなければならないのだという出発点に立つのとでは相当な開きが出てくる、かように考えます。私どもの方の考え方といたしましては、現在の条件がすでに問題を起すほど汚濁されておる、これをよりよくしていく。ただし、そのことによって産業が抑止され、産業が圧迫され、企業体がやっていけないというような状態のことを考えてはならない、こういう基本的な考え方に立っております。
○岡本(茂)委員 現在よりはよりよくしたい。しかし産業の発展を阻害するようなことはしたくない、こういうお答えでありますが、政府案といえども、現在の状態をよりよくしたいという観点に立っておると思いますから、それはぽつぽつであるかもしれぬけれども、とにかく水域を指定し、水質基準を設定してやる以上は、現状よりよくなることは当然なんです。そうすると、基本的観念においては、政府案とそれから社会党案とは別に異なることはない、こういうことですか。
○赤路友藏君 ちょっとそこのところはニュアンスの関係かと思いますが、出発点にいささか食い違いがあるのじゃないかと思うのです。その点が漸次よくなっていくということは、これは、政府の案を中心にいたしましてやりました場合にも、岡本君のおっしゃる通りだと思います。ここで水質の許容基準を設定して、施設を奨励してやっていくということになりますと、これはもう漸次よくなっていくわけなんですから、漸次よくなっていくことには間違いないと思う。しかし政府の案を見てみまして、第一条ですか、目的のところを見てみましても、いささかこれは、言葉から受ける印象と申しますか、そういうことなんですが、それからもう一つは、やはりその出発点において現在の汚染、汚濁されておる条件を単に保全するのだという考え方ではいけないと思うのです。考え方の出発点の問題だと思うのです。そこが少し言葉のニュアンスかと思いますが、私どもの方の法律をかりにここで直ちに実行するといたしましても、全国的に問題の起っておるところを全部一ぺんに解決をつけるんだというようなことは、毛頭考えられない。やはり漸進的に拡大されていってよくなっていく、その面においては変りはないと思うのですが、当初の考え方、出発点によって、やはり自後の作業の進め方というものが違いが生じてくるのじゃないか、こういうふうに考えておるわけであります。だから、最終段階における考え方は同じであると思いますが、出発点における考え方が少し違いがあるのじゃないか、こういうふうに考えております。
○岡本(茂)委員 言葉のニュアンスだと言われるのですが、それならそれは実質は同じだ。出発点とおっしゃいますが、出発点も別に変りはないと思うのです。そうすると大体同じだ、こういうふうに断定していいと思うのですが、それでよろしゅうございますか。
○赤路友藏君 岡本委員から、そういうふうに断定していいかと言われますと、困るわけなんです。やはり出発点にいささか違いがある。私のおそれますのは、その出発点の考え方の相違というものは、この水質の汚濁を清浄化するためのテンポに相違が出てくる、この点を私は心配いたしております。だから、たとえばこれは予算の裏づけがなければやれない、真剣にそうしようという場合における予算の裏づけの仕方、あるいは機関全体の整備の条件、こういうようなものが出発点に相違がありますと、すでに違いが出てきますから、今度はテンポが非常に違ってくる、こういうふうに考える、そういう面で違う、こう私は申し上げたい。
○岡本(茂)委員 出発点が違うとおっしゃいますが、出発点はどういうふうに違うのですか。
○赤路友藏君 どうも少し私の申し上げる点がわかりにくいかと思いますが、水を清浄なものにしようということは、政府の案にいたしましても、私どもの案にいたしましても、その通りなのです。間違いないのです。どういう点に相違があるかと申しますと、まず二十八日の当委員会におきましても、わが党の勝澤君の質問に対しまして大堀局長から御説明がありましたように、大堀局長は、三点の相違があるということを申されております。まず第一に、実施機関において相違がある、これは法律ができますと、その法律をやはり実施していかなければならぬ、これを実践化していくという実施機関そのものに食い違いがあるということが一点。第二点は、指定水域と水質の基準の相関性であります。第三点はあっせん、調停、仲裁というふうにおっしゃっておられるのですが、その通りだと思うのです。今申し上げましたように、法律ができまして、それを実施する機関そのものの構成がすでに違ってきておりますから、私は、その意図するところは同じでありますが、出発点は、そこですでに食い違いが出てきておる、こういうふうに申し上上げた次第であります。
○岡本(茂)委員 この間の大堀局長の説明を引用されましたが第二点は、私はそういうふうに聞かなかったのです。第二点は、委員会制度でいかれる、その点が違う。今の工場の方の汚水の許容基準と、それから水域の方の汚濁許容基準、この二本立でいくというようなことは、むしろ末の問題なのです。これは従の点かもしれません。大堀局長は、そうは言われなかったと思うのです。しかし、それはとにかくとして、そういうことになりますと、目標においては私は大差ないと思うのです。 ただ違うのは、テンポだと思いますね。テンポにおいて違う。それからこれは、皆さんのお考えにないかもしれませんが、きのう田中委員が参考人に対して言われたところによりますと、これは農漁民の立場に立って、これを改善するためにやったんだ。だから、君たちは思うことを遠慮なく言ったらいいじゃないかということを、きのう言われたんです。これは、どうなんですか。一体これは、中正な国家的な視野に立ってこの案は立案されなければならぬと思うのですが、きのうの田中委員の発言を聞いておりますと、この案自体は、農漁民の立場に立って、そういう偏した立場に立って立案されたというふうに聞えるのですが、その点はいかがですか。
○赤路友藏君 私は、当初申し上げましたように、片寄った考え方でこの法律の立案はいたしておりません。ただ第一条に私の方で示しております通り、私たちは、この法律がかりに発効いたしましても、実質的に、水質の許容基準というものを決定いたしますのには相当な困難が伴なって参ります。これは、実際上の問題といたしまして、短時日をもって水質の許容基準というものは決定するものでないと思う。そうすると、先ほど来もお話がありましたように、渡良瀬川の問題であるとか、あるいは瀬戸の問題等が出ましたが、全国的にいろいろなケースの紛争が起っておることは、御承知の通りであります。そういたしますと、この許容基準が決定され、それから規制の区域がきめられて、初めてそれから実行を見ることになるのでありますが、その間におきますいろいろな紛争というようなものは、そのままに放置しておくことはできない。そういう面におきましては、より大きなものよりも、多数の零細な、すでに追い込まれておるような農漁民の立場というものも、十分考えなければならぬではないか、こういうようなことは、当然のものとして考慮の中に入っておるわけであります。しかし法全体から見まして、農漁民の立場の上にのみ立って法律を制定するというようなことは、毛頭ございません。
○岡本(茂)委員 きのうの問答を聞いておりますと、農漁民の立場に立ってこの法律はやったのだ、だから、あなた方は遠慮しないでものを言ったらいいじゃないかと、大坪という全国農業会議所の方に対して言っておられた。それは違うわけですね。この案としては、農漁民の立場に立ってやったということでないということですね。
○赤路友藏君 農漁民の立場のみに立ってやったものではございません。その点は、はっきり申し上げておきます。ただしいろいろな面で、先ほども御説明申しましたような、この法律がいよいよ実効を現わすまでの過程が相当問題になるだろうと思いますから、その過程における操作におきましては、やはり常に被害を受ける零細な農漁民の立場というものが考慮に入っておる、こういうことであります。
○岡本(茂)委員 それじゃまた元に戻りまして、テンポが違う、こういうことですが、そうしますと、社会党案は、水域とこれに接続する地域とあわせて規制区域とする、そういう案ですね。そうして水の方では汚濁の許容基準、それから廃液等の許容基準の二本立でいく、そういう計画で規制していく、こういうことなんですが、全体の計画はどうなんでしょう。テンポが早いということなんですが、政府案では来年度、初年度に六河川を調査し、水域の決定と水質基準の設定をやる、こういうことになっておるのですが、あなたの方の案によれば、さらにテンポを早めてどの程度にやるのか、その計画を承わりたい。
○赤路友藏君 政府の方では、大体六河川ということをおっしゃっておったようです。私どもの方でも、予算の関係を無視して、無制限に拡大するわけには参らないのであります。十分に予算化いたしまして、何ぼ金を使ってもいいというのなら思い切ってやれると思うのですが、そういう無理なことはできません。私の方では、大体北海道におきましては、政府の考えておられますのと同様の石狩川を考えております。東北でも、政府と同じように北上川水系を考えております。それから関東では江戸川水域と、違いますのは川崎、鶴見の海面を考えております。中部では、木曽川水系を考えております。これは政府と同じであります。近畿では淀川水系を考えております。これは、政府と同じであります。もう一つは、加古川水系を考えております。それから中国に参りますと、岩国の海面と三田尻の海面を考えております。四国では、大体吉野川水系と浦戸湾の地先を考えております。九州は遠賀川と八代の海域を考えております。こういうようなことで、十四をただいまのところでは考慮の中に入れております。 それからこの前二十八日の御答弁をいろいろ聞いておりますと、今度のこれに要します予算が、政府の方では九千万円ということでございます。この内容にわたってはどういうふうにその内容を盛っておるのか、私はまだ聞いておりません。私の方は、法律案の最終に付属いたしておりますように二十三億二千五百万円、このうち委員会の一般経費なり、それと同時に、今申し上げましたような水域の調査、あるいは問題が起るだろう紛争のあっせんなり調停なりの費用というようなものを三億二千五百万円程度含み、あとの二十億円は、補助金としてこの際促進するという意味において計上をいたしておる次第であります。 それでは、大体そういうような組み方をいたしまして、現在の状態でどの程度の年限を経るならば工場、事業場関係の汚水清浄施設ができ上るのか、こういうことが一つ問題になろうと思うのであります。政府の方は、一体これを何年でおやりになろうとするか、私もお聞きしていないのでありますが、私は、少くとも二十億程度の補助金を組みまして、それからその他に融資の方を見て参りましても、現在の工場全体をまず一通り大丈夫だという点まで持っていきますのには、該算一千六百億くらいの金を必要とするかと思うのであります。従って、私の方の計画で参りますと、五カ年計画くらいでぜひまず一通りのものは完成していきたい、もちろん補助が二十億で、これで五カ年程度と申しましても、とうていできないと思いますが、漸次財源を他に求めてこれを拡大することによって、大体五年程度で何とか見通しのつくような形までは持っていきたい、かように考えておる次第であります。
○岡本(茂)委員 大体五カ年程度で全国の区域の指定を終るということらしいのですが、政府の案も大体そういうことになっておると思うのですよ。これもあまりテンポも変らぬということじゃないかと思うのです。具体的に初年度のなにをおあげになりましたが、鶴見地帯と加古川地帯とこの辺が違っただけで、面積あるいは災害範囲ということからいえば、これは大同小異じゃないか、テンポにおいても大して違わぬのじゃないかと思いますが、いかがですか。
○赤路友藏君 テンポの問題でありますが、これはここで申し上げるのはどうかと思いますが、やはりこの法律を実施してこれを実際に効果あらしめようとすることになりますと、先ほど来申し上げますように、企業者にのみ全部負担をかけるということでは、法律の実効は上って参らぬと私は考えております。現在までもたとえば鉱山保安法があり、河川法があり、あるいは水産資源保護法があり、いろいろと水質の清汁をはかるための法律はあったわけなんです。あったにもかかわらず、今日までかような状態になっておったということは、これはもちろん行政当局の方の監督の不行き届きと申しますか、やり方のまずさと申しますか、誠意がなかったと申しますか、そういうこともあろうとは思いますが、それ以上に大きなウェートはこれは何と申しましてもその施設費に膨大な金がかかるということ、しかもその施設そのものは、企業側から申しますと、プラスになる何もない。廃水をそのまま正常なものにするという形なんです。だから、一面から申しますと、これは確かに私物でありますが、その廃水をよりきれいなものにして出すということは、やはり国民の健康の保持とか福祉とか、そういうような一面公共的な性格を持ったものだと考えざるを得ない。今日までこれができなかったということは、財政的な面で大きな負担になっておるから、これはいかに官庁の方でいろいろお言いになってもなかなかできなかったのだろうと思う。だからこの法律をほんとうに実効あらしめるためには、そういう財的な裏づけというものがなければ、これは実行して参れぬと思う。実行はおよそ望まれない。私は率直に申し上げますが、これで財源の裏づけがないとすれば空文になってしまうおそれがある。そういたしますと、政府はこの法律について九千万円しか組んでおりませんが、一体それで何をやろうとするのかということが問題になる。だから、自後こういうような予算の組み方、そういうような考え方でいくと、私の方の考え方とは相当大きなテンポの開きが出てくる。こういうことを申し上げるわけです。
○岡本(茂)委員 政府は九千万円ということですけれども、われわれが知っておるところでは九千万円というのは事務費でしょう。経済企画庁の部局設定のための事務費、ほかに国庫補助を十一億円組んでおるのです。その点はあなたの方と半分くらいになるかもしれないが、相当大きなものを見ているわけです。これは程度の問題になるわけですが……。 そこで次に移ります。水域の問題ですが、あなたの方の案では、大体水域の指定を先にやる。そしてその後に許容水準の設定をやる、こういうことになって、その間に相当間隙がある、時間的の空白が出てくるように思うのですが、その通りでございますか。
○赤路友藏君 私の方は段階的になっておりまして、おっしゃる通り区域の指定を先行することになっておりますが、この事由は、先ほど来も申しますように水質の許容基準の決定というものは、これはいろいろ河川によって相違もあろうと思いますが、そう速急にできるものではありません。これはおそらく私は二年ないし三年がかりでやらなければできるものではないと思うのであります。その間、その指定すらもしないということでは、結論から申しますと何もしないのだということになりかねない。それを心配いたします。もう一つは水質の許容基準をきめる前に指定区域をきめますと、その指定区域内にある工場、事業場の企業者の諸君に除害施設をやるための積極的な意欲を起さしめる、こういうような心理的な効果がここにある、こういうふうに考えるわけであります。政府の御説明を聞いてみましても、もうすでに六河川、こういうふうに言っておるわけです。六河川とは、それはそこのところを指定するという前提の上に立っておるわけなんです。だから当然私は指定を先行して、そうしてその指定された区域内の水質の基準をみっちりとやっていく、こういうのが最も妥当な行き方ではないか、こういうふうに考えております。
○岡本(茂)委員 政府案では水域の指定と水準の設定は同時に行う、こういうことになっておるわけです。水準の決定に先立って区域を、あなたの方の言葉で言うと区域なんですが、政府案では水域、その区域を指定すると、心理的効果があるとおっしゃいますが、その許容水準がわからなければ除害施設をするということは具体的に出てこないと思うのです。だから区域を先に指定されましても一向実益はないと思うのですが、いかがですか。
○赤路友藏君 実益というよりも、私はむしろ企業者に対する心理的な影響というものは非常に大きいと思います。そうすると、指定されますと、指定された区域内の企業者は、当然ここでは設備を持たなければならないのだという積極的な意欲、協力的なものが生れてくると思うのです。そのことはそうしたものをより推進する大きな効果がある、こういうふうに考えます。今のお説の通りに水質の許容基準がきまらなければ一切何もやらないのだ。現にそれぞれの工場はやっておるのですね。大工場において施設をやっておりますのが百二十工場あるわけなんですが、それぞれの立場に立って施設をやっておるわけなんですね。もしも水質許容基準が決定しなければ何もやらないのだということでは、今後この法律ができましても行政指導も何もできない、こういうことになろうかと思います。私はこの際は何と申しましても企業者のこれに対する良心的な積極的な協力をお願いしたい、そういう意味からも私はやはり先行する方が妥当である、かように考えております。
○岡本(茂)委員 心理的効果をねらうとおっしゃるのですが、しかし実益はない、こういうことなんです。むしろ政府案のように全国一円に工場、事業場を経営するものはすべて水質を保全する義務を負担する。そうしてそれに対していろいろな不服を聴取して行政指導を行うという道を開いてあるのですが、あなたの方ではいたずらに区域は指定するけれども、それに対してどういう義務も負わすわけじゃないのだから、むしろ政府案よりははなはだ消極的で実益はないのじゃないかと思うのですがどうでしょう。
○赤路友藏君 この点は少し考え方が違いますので、私たちは水質の許容、この水域を指定するということは、先ほど来申し上げますように、本来申しますなれば、日本全国が指定されなければならぬ。ある特定のものだけ指定されて、あとは指定されないのだということであってはならないと思うのです。ただ何と申しましても、作業をやる上において、また実際予算等の関連から見ましても、なかなかそれができないのです。やはり今一番問題のある点を指定しまして、それを漸次拡大していくという方法をとらなければならぬ、こういうようなことでありまして、本来から申しますと、これは全国に一斉に指定してしまうということが一番望ましい姿なのです。これは理想としてはけっこうな話でありますが、実際上の問題としてはそうはいかないだろうというので、重点的に指定する、こういうことなのでございます。
○岡本(茂)委員 そうしますと、その規制区域外はどうなるのでしょう、これは野放しですか。
○赤路友藏君 これは野放しではないわけです。私の方の法律にいたしましても、政府の法律にいたしましても、その点においては同様です。公共用水域に汚水なり廃水なり流すものは、当然それらの措置をとっていくということなのでありますから、その点につきましては私は変りはない、かように考えております。
○岡本(茂)委員 政府案では、工業を営むものは水質保全の義務を負担させられておるのです。ところがあなたの方の案によれば、区域内のものしか義務を負わない、こういうことになっておるわけです。そこに非常に大きな開きがある。政府の方が非常に広いんです。積極的なんです。それははっきり違いがあるのです。いかがですか。
○赤路友藏君 私の方は法の第一条に掲げておりますように、水質の汚濁を防止するということを明確にうたっておるわけです。それから第二条の面で、この法律の定義を掲げておるわけです。これは全体に及ぶわけです。さように御理解を願いたいと思います。
○岡本(茂)委員 おっしゃったのは目的とか定義なんで、それ自体拘束力がないのですよ。その拘束力のあるのはあなたの方の四条ですが、四条は「何人も、規制区域内における水質の清浄の確保につとめなければならない。」、そうすると、規制区域外はその取締りの対象にならない、何ら義務はないと思う。政府案は一切のものを言うのです。そこが違うのです。
○赤路友藏君 第二条の第二項でありますが、これが基本的なものになると思います。「水質汚濁許容基準」とは、公共用水域の水質の清浄を確保するため、当該水域に排出される廃液、汚水及び有害固形物による水質の汚濁度の許容限度に関する基準をいう。」という基準の定義でありますが、これは全体が公共用水に及んでくることでありますから、当然単に規制区域内だけということではないと思っております。
○岡本(茂)委員 それははなはだおかしいので、二条は定義にすぎないのですよ。許容基準なるものはいかなるものであるかという定義にすぎないのです。その許容基準をいかなる区域において適用されるかということによって、拘束力が出てくるわけです。ところがあなたの方の四条では、はっきりと「規制区域内における」と書いてある、限定してあるのですよ。それが全国に及ぶということはどういうふうにして解釈できるのですか。
○松平委員 関連して。規制区域外における規制区域というものは、絶対にふやせないという解釈じゃないと思うのです。やはり規制区域というものは、いろいろな工業の発展によって、次々とできていくと思う。従ってその指定がなければ、たとえば上高地の山の中の川は、規制区域外だから取締りの対象にできないことは当然なんです。だから規制区域を指定したものについてのみ取締りをする、指定しないものについては取締りの対象にはならない、私はこういうことは政府だって同じだろうと思うのです。
○岡本(茂)委員 さっきからの説明を聞いておると、五カ年くらいで全部の指定をする、初年度は五分の一くらいしかできないというのです。何ぼ早くても五分の一、五分の四は規制区域外だ。ところが政府案は、一斉に全国にその義務を負担させておる。だから政府案の方が広いですよ。
○赤路友藏君 私の最初の説明にいささか誤解を受ける点があったかと思います。この水質汚濁規制区域を指定するということが前提になっております。確かにその通りであります。それでは一体指定区域外はどうするか、野放しでほおっておくのかというお話であったと思います。先ほど申しましたように、本来ならば全国一斉に指定区域にすることが当然の措置だと思いますが、いろいろな予算上その他の関連から参りますと、そういう無理なこともできないだろう。できるだけ指定区域は許容基準とは私たちの方は引き離しております。要するに水質基準の決定と指定区域の決定とは切り離して二段階になっておりますから、できるだけ水質汚濁の規制区域は拡大していきたい、こういうような考え方を持っております。
○岡本(茂)委員 私の申し上げることは、法文を読んでいただけばわかると思う。私の言う通りなんです。そこで時間がないから先に移りますが、あなたの方は水質汚濁許容基準と廃液等の許容基準は二本立でいかれるようですが、そうしますと、その水質汚濁許容基準とこの両者の関係は、どういうことになるのでしょうか、具体的に御説明願いたいと思います。
○赤路友藏君 この許容基準の決定につきましては、具体的に申し上げますと、一番本質的なものは、やはり各事業場から排出されます廃液を、ぴしゃっと押えるのが一番正しい方法だと思う。この排出されるものが一点の有害物も含まない、こういうことならば、期せずして水域なり海域なりは清浄なものになる。ただ問題はそうはいかない実情にある。もしもそういうような、たとえば魚の場合をとってみまして、魚の致死量を出すということは当然禁止しなければならぬ。ところが許容量はどの程度かということは、その産業自体の構造と関連性をもって考えていかなければならぬだろうと思う。従って工場から出ます廃液というものを、もちろん原則的に第一義的に押えていきますが、それと同時に、河川なら河川全体の基準を押えていかなければならぬ、こういうふうに私たちは考えておるわけです。川の条件によってそれぞれ違ってくる水流の関係、あるいはその水の量の問題、これらとの関連がありますから、非常にむずかしい問題でありますが、そういうふうに具体的には考えておる次第であります。
○岡本(茂)委員 具体的に両者の関係はどういうことになるのでしょうか。さらに突っ込んで言いますと、その水質汚濁許容基準というものは、どういうふうにして確保されるのであるか、この点です。
○赤路友藏君 先ほど申しましたように、まず第一に重要なのは、河川を汚染されるということ、あるいは海面が汚染されるということである。従って、それらの基準というものは当然決定されていなければならぬ、この水質の基準というものはそこできめられていかなければならぬ、こういうふうに私たちは考えております。
○岡本(茂)委員 それは観念的にそういうものをきめられるわけなんですか。水域の方の基準はどういうふうにして確保するのか。廃液の方の基準をきめられるのなら、この両者の関係はどうなるのか。これは彼此相影響するわけです。それをどういうようにやるのか。
○赤路友藏君 それは関連をさせなければやれないわけであります。おっしゃる通りです。この川ならこの川を、たとえば魚の立場に立つとか、あるいは農業の観点に立って、たとえばそのBODの場合で、三PPMとかりにこれを押える、こういたしますと、その周辺にある工場は、それ以上のものは排出してはならないということになるわけです。そうすると、今度はその工場自体の経営というものが、果してそういうような極度に厳格な規準をきめられた場合に、それで成り立っていくかというと、成り立っていかない場合があり得るわけです。従って、工場の廃液というものとそれとを関連させて、これは決定を見なければならぬ。別々に決定するということは、これは私は至難だと思う。
○岡本(茂)委員 その関連を具体的にはどういうふうに持たせるかということを聞いておるのですが、その点、どうなんですか、わからぬのですがね。 問題はたくさん残っておるのだが、時間がないので……。(「時間はたっぷりやってくれ」と呼ぶ者あり)時間をくれますか、それでは一つ……。それで、今のは両方関連するわけですが、そうしますと、河川なら河川の豊水期と渇水期では、汚濁度が違ってくるわけです。その場合に、関連するところの工場の廃液の許容基準というものを、豊水期ならゆるめていい、渇水期には強くするというように、絶えず動くのですか。その点どうです。
○赤路友藏君 そういうことは、現実の問題として、できません。渇水期のときは非常に水流が少いですから、そういうときに出した場合における尺度と、豊水期の場合において放出した場合の尺度というのは、当然違いがある。それを一々やりよったら、極端な話、毎日変えなければならぬ、こういうことになろうかと思う。そういうことはできない。何としてもそんなむちゃなことはできるはずはございません。だから、それをどういうふうにしてあんばいするかということが問題なんです。だから、渇水期における点を基準にするのか、豊水期における点を基準にするのか、これらは現実に従ってそれぞれの水系に当り、そうしてこれは決定されていかなければならぬ問題なんです。そういうような厄介な問題を含みますと、それと同時にその河川における魚種の問題等を含んで参りますから、私は、水質の許容基準というものは、しかく簡単にはいかない、こういうことを申し上げておる次第であります。
○岡本(茂)委員 お話わかりました。そんなにむずかしいものなんです。今のお答えはせんじ詰めていけば、最小限度といいますか、渇水期あたりを標準にしてやろうということになるのじゃないかと思うのです。そういうふうに了承いたします。 次に紛争処理の問題です。紛争処理につきましては、社会党の御案は、あっせん、調停、仲裁というようなことを規定しておられるわけです。そのうち調停について、調停する場合には委員会が調停案を提示してかつこれを公表する、そうして調停に応ずることを勧告する、こういうことになっておるのです。普通民事調停なんかはこれは調停者が中に立ってお互いの歩み寄りを求める。案を出すといいましても、案というのは実はサウンドする程度のものです。ところが社会党案によりますと、いきなりといいますか、一方的に調停案を作成する、調停するときには調停案を示してこれを勧告する、なおこれを公表する、こういうことになると思う。やり方がはなはだ一方的であるし、いやしくも水質汚濁防止委員会という権威のある機関が理由を示し公表する、そうして調停案に応ずべきことを勧告するということであれば、これは圧力がかかっていくわけです。少し行き過ぎじゃないか、こういうように考えるのですが、いかがでしょう。
○赤路友藏君 紛争が生じました場合は、私どもの考え方といたしましても、それはできるだけあっせん段階で片がつくことが一番望ましいと思うわけなんです。ただ、今までの経過をずっと見て参りますと、このことすらも十分納得のいくような形において解決がつけられていない、こういうことなんです。私はあっせんにいたしましても、あるいは調停にいたしましても、これは被害者側の立場の上に立ってもいけないし、加害者側の立場の上に立ってもいけない、ほんとうに公正妥当な立場の上から当然これはなされなければならない、こういうふうに考えております。公正な立場の上に立ってあっせんなり調停なりをやる、あっせん段階で話がつけばいい、しかしどちらかに不満があってあっせん段階でつかなければその最も権威のある公正な委員会の手によって、一応調停という段階を経る、その際はここに書いてありますように、勧告いたします。一面申しますと、勧告ということは強制するというふうにとられるかもしれませんが、これはこの程度のことをやりませんと、なかなか問題の解決というものがついていかないのじゃないか、こういうふうに考えまして、あっせんと調停という段階を経るようにしたわけであります。
○岡本(茂)委員 民事調停あたりと違って、これはいきなり調停案を作成してこれが受諾を勧告するということは圧力がかかるのです。この点で私は否認していきたいと思いますけれども、これは意見の相違だろうと思いますから……。
○赤路友藏君 補足して説明させていただきます。私の考え方は直ちにむき出しにぶっつけ本番と申しますか、すぐ調停だといってぱっと出すのじゃない。これはやはりあっせん段階を経なければならぬ。今までにも、たとえば労働委員会がございますが、労働委員会では直ちに調停に入ってはいないのでありまして、第一段階ではあっせんをする。あっせんでどうしても解決がつかないときは、どちらかの申し入れによって調停に入る、こういうことでございまして、そういう段階的なやり方をするというふうに御了解を願いたいと思います。
○岡本(茂)委員 その場合でも私は圧力を免れぬと思いますが、しかし意見の相違になるから、これ以上申し上げることはやめます。 次に社会党案の十一条によりますと、当事者の一方が申請すれば相手方はこれに応ぜざるを得ないということになっておるのです。こういうことになれば、われもわれもということでその調停の申請をする。いわゆる寝た子を起すということになって、紛争を誘発するおそれがあると思うのです。この点はいかがでしょうか。
○赤路友藏君 その点は私はむしろそういう面が公正な委員会によってなされていく過程で、そうしたものはなくなっていく、勝手にやりさえすればいいんだというような形のものはむしろなくなってくる、こういうふうに考えております。
○岡本(茂)委員 私はこれは非常に紛争を誘発するおそれがあると思います。しかしこれまた意見の相違だから、追及するのはやめます。 そこで十一条の四項によりますと、あっせんまたは調停は委員、特別委員または事務局の職員がやるということになっておる。事務局の職員があっせん、調停をやる――あっせん、調停なんというものは非常に重要なものです。これは利害錯綜して、相当練達の士といえども判断に迷う場合が多いと思います。そういう困難なるものを収拾するのについて、事務局の職員があっせん、調停を行うというのは、どういうことでしょう。
○赤路友藏君 これはいろいろあれもあろうと思いますが、そうした紛争というものは、現況から見てみますと、全国各地に大小起っておるわけなんです。たとえば本州事件のようなかなり大きなものになりますとこれは別でありますが、私のところでもございましたが、しごく簡単なものもある。ところが、なかなかその簡単なものすらも解決がついていかないような状態にあるわけです。そうした場合、私の方で考えておりますのは、地方ブロックにそれぞれ職員を置いておりますが、この職員は相当専門的にずっと水質関係をつかさどっておるのでありますから、そういう立場の上に立って、どちらへも片寄らない、むしろ公正なあれができるだろう、こういうふうに私たちは考えておるわけであります。もちろんこれでいかなかった場合は、その他の仲裁裁定等もあるのですから、この段階においては、それぞれの考慮を払いました場合に、これらにも一部そうした小さい問題は解決つけさすということで、十分公正な判断ができていくのだ、かように考えております。
○岡本(茂)委員 四人の水質汚濁防止委員も事務局の職員も、あっせん、調停については同じ権限を持つのです。これは私は相当危険じゃないかと思う。これは多数の人々の権利義務に関する問題であり、事は非常に慎重を要するわけです。職員が委員と同じ資格においてあっせん、調停がやれるようにしておられることは、どう考えても私は行き過ぎだと思うのですよ。
○赤路友藏君 実は酪農振興法の関係からも各県にいろいろと仲介制度がございまして、現在までの問題が起ったあるいは解決がついた要件等を取り調べてみたのでありますが、東京都の場合は昨年一件あったわけであります。これの場合は都の畜産課の方のあっせんで解決がついた、仲介段階まではいかなかった。地方労働委員会関係を見てみましても、地方労働委員会の事務局長、これは職員でありますが、事務局長のあっせんで解決がついたものも全国的に相当多数あるわけです。そういうような観点の上に立ってこれも考えたわけであります。今岡本委員の指摘されますように、あっせんの段階はいいとしても、調停の段階は勧告ということがありますから、これは職員はどうか、こういうことは御指摘の通りだと思います。十分考慮いたしたいと思います。
○岡本(茂)委員 その次に、許容基準設定のない場合においても紛争は処理できるという法の仕組みになっておるのですが、これはどうなんですか。ものさしなしに、尺度なしに紛争を処理する、あるいは仲裁ということですが、これは民事裁判に匹敵するもので、そういうことをやる。政府案によりますと水準を決定した上でなければ、そういうことはやらないのです。あなたの方では水準を決定されない場合においても紛争の処理に乗り出す、裁判に匹敵するものもやろう、こういうのですが、何らものさしがないのです。これははなはだ危険ではないでしょうか。
○赤路友藏君 おっしゃるようなお考え方もあろうかと思いますが、現在の状況から見てみますと、全国的にこの種の紛争はあるわけです。これをこのまま手放しで放置しておくということは私は考えるべきでないと思う。やはり水質の許容基準がきまってからということでは、これから評議員のきまるまでの間、三年かかるか五年かかるかまだわかりません。その間そういうような問題があれば、それはほうりっぱなしにしておいていいではないかということは私は言えないと思うのでありまして、そういう紛争のある場合はすみやかに紛争を片づけていくということがやはり考えられなければならぬ、こういうような観点の上に私どもは立っておるわけであります。それで政府の案で参りますと、仲介いたします場合におきましても、これは実害が起ったという場合のみ、損害賠償あるいは民事訴訟のような形のものが現われたときのみ仲介するということになっておりまして、私の方はもう一歩前段階の、たとえば御承知の通り中越パルプの益田工場で起りましたような事件、あるいは鹿児島県の高千穂パルプだとか、南国パルプ等の建設に伴って起りましたような事件、そうしたものをそのまま実力行使とか暴力事件とかいうものに発展させないためにも、私はやはりこうした機関で事前に解決をつけていくということが一番好ましい姿だ、こういうふうに考えております。
○岡本(茂)委員 そういう御答弁ですが、ものさしなしに調停をやるというのだからはなはだ冒険ですし、非常にむずかしいことだと思います。 それはともかくとして次に移りますが、三十三条に特別委員の権限を規定しているわけです。「紛争の処理に参与させるため」となっておる。紛争の処理に参与するということと、紛争の処理に直接当るということは、文義的に私は違うと思うのです。ところが十一条を見れば、十一条では特別委員はあっせんまたは調停ができる、こうなっておる。これは直接紛争の処理をやるということなんです。これは矛盲じゃないでしょうか。つまり特別委員の権限は紛争の処理に参与することなのです。紛争の処理に直接当るということじゃないんだ。紛争処理を直接やるということじゃない。ところが十一条は紛争処理をやるということなんです。ところが三十三条は紛争処理に参与させるということなんです。つまり補佐役から意見を聞くということが私は参与させることだと思う。だから十一条と三十三条は矛盾しておると思うが、いかがでしょう。
○赤路友藏君 参与という意味は、私どもはそういう意味にはとっていなかったわけです。これは間違いかどうかわかりませんが、私たちはやはりあっせんなり調停なりに参与さす――参与をするということはそのままそれに携わる、こういうような意味にとっておりますが、特別委員を特に置くということは、問題の性質によりましていろいろなケースがありますから、それに専門の、そうして公正な立場に立ってそういったものを処理できるというような人を、特別委員として委嘱する方が問題の解決にはいいのじゃないか、こういうようなことで特別委員制度というものを設けたわけです。
○岡本(茂)委員 十一条では直接あっせん、調停がやれるとなっておって、三十三条では参与させる、とこうなっておるのです。明らかに条文の規定が違う。条文の規定が違うということは内容が違うということなんです。あなたのおっしゃる意味なら参与の方を訂正されるか、どっちかを訂正される必要があると思う。これは文義上熟していないと思います。 それから行政委員会に移りたいと思います。行政委員会は水質汚濁防止委員会――これは四人の委員を有識者ですか、人格高潔なる者から選ぶ、こういうことなんですが、四人のほかに相当大きな事務局を持つ、地方に八つの事務局を持つ、おそらくその人員は、あとにあるのを見ますと三百五十一人とか三百何人になっておるわけです。そういうような大きな組織でもってやることになっているわけです。汚水処理に関する行政を一元化してやろうというわけですが、一元化してやるということは、言葉の上でははなはだいいようですが、しかしこれは各省との権限の間にいろいろ紛淆を起すおそれがある。ということは、各省はそれぞれそれに接着したところの行政を担当しておるわけですか。パルプ工場を指導監督しておる通産省は、単に水だけでなしに生産工程全体を見ているわけです。汚水の処理というのは最後に出てきたものにすぎないのであって、生産工程の一環です。生産工程の全部を見ておる行政と引き離してくるわけです。これは各省いずれも同じですが、そういうことについて縦に職務権限が各省設置法できめられておるが、今度は横に水だけを抜き出してくるということになると、これは非常な行政上の紛淆摩擦を来たすと思うのですが、その点はいかがでしょうか。
○赤路友藏君 この点が非常に問題点だと私どもは考えるわけですが、確かに水に対する行政は現在各省に分散されております。この分散されておることが今日のような事態を巻き起した一つの原因になっていると私たちは理解しております。水の重要性というものは、今日まであまりにも等閉視されたと申しますか、軽視されてきたきらいがある。今日のようなもうほとんど許容される極限に達してきておるような重大な段階においては、できる限り可能な範囲において統一すべきじゃないか。これはむずかしいことはよくわかるわけですが、むずかしいからといってこのまま放置しておきますと、いつまでたっても水の問題についての一貫したものが出てこないきらいがある。ここらで思い切って、むずかしいだろうが、できる範囲内においてこれらを統一して、一貫された機関において水質の汚濁を防止し、水本来のものを保全していくというような形をとることが、最も望ましい姿であるというふうに考えた次第でありまして、おっしゃる通りに、ある程度の摩擦というようなものはあるかと思いますが、この水の保全の重大性を考えました場合、百尺竿頭一歩を進めるという処置に出ないと、結局法律がありながらもやらないで、今日のような事態になったということを再度繰り返す危険がある、こういうふうに考えまして、統一した姿でやろうという意欲に基いてできた次第であります。
○岡本(茂)委員 はなはだ勇ましいやり方ですが、しかし実際の運営がうまくいくかどうか、私はいかないと思う。パルプ工場で言えば廃液を出すのは生産の最終段階です。その段階に至るまでのすべての生産工程については通産省が指導監督するが、この部分だけはほかの官庁にひとしい委員会が見るのだ、こういうことでは、行政自体がうまくいかないのみならず、この水質を規制するということもうまくいかないと思うのです。また鉱山あたりでもそうでしょう。鉱害のいろいろなことは鉱山監督局あるいは鉱山保安局で見ておる。その中の水だけ抜き出してこっちに持ってくると、ほかの鉱害との有機関係は分断するわけです。一般工場でもそうでょう。ほかの部分との有機関係というものを分断することになって、工場に対しても鉱山に対してもうまくいかぬということになるんじゃないですか。
○赤路友藏君 そこの点は少し考え方が違うと思うのであります。もちろん生産工程の一環であることは間違いありません。しかしこれは中間的な存在のものではないのでありまして最終的のものである。これの分離は私はさほどむずかしいとは考えていない。ただ私どもがおそれますのは、先ほど来申しますように、現在まで各種の法律がありながらも、これが空文化してたな上げにされておったという現状から見まして、この際この線だけは別途それぞれの生産者側の立場の上に立ったものでない形で、公正にやっていくという上において、ある程度のトラブルがあるといたしましても、この際一貫してやった方がいいんじゃないか、こういうような観点の上に立っておる次第であります。
○岡本(茂)委員 私どもは全然反対の見解を持つのですが、それはまあ意見の相違として、次に移りたいと思います。 この行政委員会、水質汚濁防止委員会ですか、これは四人の委員、高潔なる人を選ぶということになっておりますけれども、どうも私はその数も少な過ぎるし、選ぶ範囲も狭いと思わざるを得ないのです。政府案ではその水質基準をきめる水質審議会は二十人の定員を持っておる、そうして民間の各界から選んでくるというやり方です。それから仲介にいたしましても、常時十五人の候補者を置いて、産業各界から代表者を選ぶということにしてある。ところがあなたの方の委員会というのはたった四人なんです。民間の意見は聞かない。たとえばこの規定を見てみると、区域を指定するのに委員会が委員会だけの意見で一方的に決定する。政府案ではその水域を指定する場合には、関係府県知事の意見を聞くということになっておる。のみならず審議会の議を経てやる。その審議会は各界から構成されておるということで、各界の意見が反映できるというように民主的になっている。ところがあなたの方は、一方的にそのわずか四人の委員でやるということになって、形は何千人、何百人の事務局を持つかもしれないけれども、機構、権限というものは非民主的だというふうに私は思うのですが、いかがでしょうか。
○赤路友藏君 これは委員四人が何もかもするというわけではないのでありまして、とても四人の委員でそういうことはできることではございません。これは運用の面で私どもの方は考えておるのでありまして、たとえばそういうような基準決定のための調査であるとかあるいは研究とかというようなことのために、予算の中で調査関係の費用を平年度五千万円見ておるわけです。これで学者の人であるとかいろいろな方を依嘱いたしまして、それぞれ専門の立場からこれをやっていただく。四人の委員があってそれが何もかもきめるというのではなしに、そういうような運営の一面で、そうしたものが現われてくるようになっておることを御理解願いたいと思います。
○岡本(茂)委員 それは運営の面でなしに、機構自体の面で各界の意思が反映されるようになっておらなければならぬと私は思います。時間がありませんからこれで最後にいたします。損害賠償の責任ですね。あなたの方の十条によりますと、これは排水等から損害が生じた場合には、無条件で損害賠償の責めに任ずる、いわゆる無過失賠償の規定をそのまま取り入れておられるわけです。これは少し飛躍し過ぎてはいないか。大体昨今賠償責任の範囲を拡大していっておりますけれども、日本の法制ではやはり過失責任が建前です。民法の七百九条からの十五条にわたる不法行為、これは故意または過失によって他人に損害を生じたときはということになっておる。近ごろ多少被害者側の利益になるような規定は設けてあります、たとえば自動車損害賠償保障法というようなものがあります。しかしこれは挙証責任を被告に対して課したというにすぎないのであって、依然として建前はくずしておらぬ、過失責任の建前をくずしておらぬ。だから無過失責任というものをここで規定するということは、日本の法制史上画期的な改正案です。こういうことはよほど慎重にと取り扱わなければならぬと思うのですが、それだけの手段を尽さず、手続を経ずして、いきなり卒然としておやりになっておるという感じがするのですが、この点いかがですか。
○赤路友藏君 おっしゃる通り、この点非常に重要な点でございますので、私どもの方でも十分これらのことについては検討をいたして参ったのでありますが、大体今までできております法律の中でも、無過失賠償の規定がありますのは、鉱業法の第百九条、これは無過失賠償の条文であります。それから水洗炭業に関する法律の第十六条がそういうことになっております。こういうふうに前にもこれと同様な無過失賠償の法律ができておるわけであります。これをあえて入れましたものは、たとえばかりに水質の許容基準が決定いたすといたします。この水質の許容基準の決定ということは非常に重要なことでありまして、当初申し上げましたように、産業の形態あるいは被害を受ける側の状態、これらを勘案して、かりにきめる。いろいろ議論があるわけでありますが、たとえば水産庁で昨年ですか何か案を出したようでありますが、それによりますと、これは五PPMということになっております。あるいは昭和二十六年の安本の方の資源調査会の勧告によりましても五PPMということになっておるわけなんでありますが、そういうような状態でいった場合、魚をとって考えますと、それじゃ全然被害がないかということになると非常に議論があると思う。従って水質の許容基準がかりにきめられたといたしましても、起ります被害というものがあったといたしました場合は、これは当然何らかの処置をとらなければならぬ、こういうのであります。その判定ということになりますと非常にむずかしいと思います。これが第一点であります。 もう一つは、今度私どもずっと七月に各施設のあります工場を見て参りました。率直に名前を申し上げてもいいのでありますが、たとえば日炭高松、これは若松にありますが、白炭高松の洗滌水の条件を見て参りますと、非常に膨大な沈澱池を持っております。ところがこの沈澱池は完全にもう一ぱいで、沈澱の用をなしておりません、なまでそのまま出しております。こういうようなことは、長年遠賀川の水底を試験場で調査して参ったのでありますが、約一メートルの厚さに微粉炭の微粉になった黒いやつが堆積しておる、こういうような実態なんです。あるいは岩国のある大きな工場ですが、施設に対しまりして――すぐではございませんが、七年の間に、現在の価額に評価いたしまして、約二億四千万円の施設をいたしております。ところが現地に行って現状を見ました場合、私は驚いたのでありますが、あれだけのりっぱな施設を持っておる、曝気装置を持っておりました。一メートル八十の浜床を持っておる。私たちが行ったときは曝気装置はどんどん水を吹いておりました。ところがこれは海岸にありまして風は吹きっぱなしです。四すみを見てみますと全然石がぬれていない。それだけの施設を持っていながらもこれを使用していないという現実の姿を現わしているわけです。こういうようなことは今後法律ができまして、それぞれの行政官庁が十分な監督をやっていただくことによって、あるいはまた業者側の良識に訴えてそういうようなことのないように――施設を持っていながらなまで出す。これは加古川の兵庫パルプにおいてもその通りである。私たちは行って現実に見てきたわけですが、そういうような事態がもし起った場合はやはり考慮しなければならない、こういうような点から、これは前に法律の上にも、先ほど申しましたようにある文にもございますので、この際はこれを適用してこのこと自体を直ちにどうこうというのでなしに、こういう規定がすでにあるということによって企業者の方でも十分良心的な運営をしていただきたい、こういうような考え方でございます。
○岡本(茂)委員 今おっしゃいました日炭の場合及び岩国の場合ですが、これはりっぱな施設がありながらその浄化がし得ない、ということは、その機能を発揮さすような使用の仕方をしないという点なんです。従ってそこに過失があるわけです。だからあなたのおっしゃった引例は、だからといって無過失損害賠償が是認せらるべきであるということにはならないと思います。のみならず先ほど引用された鉱業法にも立案者自体が無過失賠償の線に踏み切ったのじゃないと言っております。そうしてさらに免責規定として、鉱業法の百十三条には「損害の発生に関して被害者の責に帰すべき事由があったときは、裁判所は、損害賠償の責任及び範囲を定めるのについて、これをしんしゃくすることができる。」これは被害者側に責任があった場合ですね。それから末段に「天災その他の不可抗力が競合したときも、同様とする。」また、同様だ。だから被害者に責任があるとか、あるいは天災その他の不可抗力で損害が発生した場合というのはちゃんと免責条項があるわけです。ところがあなたの方のこの規定には何もないわけです。これは例をあげれば、何も沈澱池の堤が地震でくずれて、亀裂して汚水が流れ込んだ、これは全く天災なんです。それでも産業人は損害賠償の責任を負わなければならぬ。これははなはだ苛酷じゃないですか。こういう法制は私は前例がないと思うのです。こういうむちゃな法制というものは外国にもない、日本にもないと思う。この点どうでしょう。
○赤路友藏君 天災等の場合における免責条項ですが、これは確かに手落ちだと思います。率直に認めます。ただ今申しましたように、私が申し上げました例は、これは確かに企業者側の過失じゃないか、だからこれは過失として当然損害の責任があるのだ、こういうふうに申したわけなんでありますが、過失であるか無過失であるかということを捕捉しがたい面もある、申し上げますことは、これはしょっちゅう各工場の施設のあるところに監督常駐者がおるわけじゃない。現在まで私たちが聞きました、また調査しました範囲内におきましては、あまり大工場でそういうようなことをやっておるのは少いと思うのであります。ある種のところではやはり夜中にそっとなまのものを出しておる。そうすると漁業者は夜中にかなり魚釣りとか何かに行くものでありますから、すぐそれにひっかかる、こういうような事例をあちらこちらで聞いておるわけです。そうなって参りますと、これは当然過失であるわけなんです。それよりも無視して悪意的にやったことになるのでありますが、その実態はなかなか捕捉できない。こういう点をも考慮の中に入れましてこうしたあれをやった。それからもう一つは、先ほど申しますように、これは下手をすると憲法違反の疑いが出てくるというようなことを考えまして、十分いろいろ検討いたしてみたのでございますが、水洗炭業法なり鉱業法にそういうような条文もあり、そういうような実態もあるので、この際は思い切ってこれをやるべきじゃないか、こういうことであります。おっしゃるように天災等による不可抗力で発生した場合の面は、確かに手落ちだと思います。
○岡本(茂)委員 以上をもって私の質疑を終ります。
○長谷川委員長 中嶋英夫君。
○中嶋委員 一昨日質問をいたしまして、本日は両大臣の出席を願って、両大臣から伺いたいと思います。 今岡本委員からの質問で、政府案と社会党案との比較対照をされたのですが、政府案によると、水質の保全について、何人も水質の保全に心がけなければならない、この条項がありますので、政府の案というものは全般的に何人も守ってもらわなければならぬという内容を持っておるということで、社会党案よりはかえってすぐれているのじゃないか、効果があるのではないか、こういう意味の御批判があったわけであります。私ももしこの水質の保全に関する法律案の第二条並びに工場排水の規制に関する法律案の第三条のように、心がけということだけで実効が上るならば非常に喜ばしいことだと思います。ただ私はここでこの心がけという問題が、政府の方の心がけはどの程度この両案に対する熱意を持っておるか、これが非常に大事だと考えております。 そこでお伺いするわけでありますが、水質基準の設定の問題につきまして、それぞれの河川によってどうしても政治的配慮が加えられる。たとえば北上川の場合と多摩川、鶴見川というような京浜工業地帯において注ぐところの川と、おのずからその恕限度というものは違ってくる。その配慮の仕方の中に二つあるようであります。一つはすでによごれておるし、さらによごれる可能性があるからむしろきびしくするという配慮、それからまた同時に、産業の発達上あまりきびしくすることは、工業地帯に対する一つのブレーキになるのであって、この点は考えなければならぬという配慮、この相矛盾する二つの配慮の加えられる可能性があるということを、一昨日来の審議の中に私どもは考えさせられたわけであります。 そこで私はまずこの問題について、政府は現状よりなお浄化をしなければならない多くの河川があるという認識の上に立っておられるかどうか。先ほど問題になりました軽井沢のようなところにある谷川の問題、あるいはこれからなお産業の開発を進めていかなければならぬ東北方面における河川の場合、こういう場合においてはむしろ現状よりもよごれる場合があるだろう、しかしこれ以上よごれる場合があっても、これ以上よごしてはいかぬという基準、こういう基準の設定の場合と、現状すでによごれておる、もう数十年前からの問題となって、水質の汚濁による被害が起きておるという河川の場合には、現状をもっと浄化しなければならないという、こういう立場からの水質基準のきめ方とある。この場合に科学的にスタンダードとしての基準を、前もって政府が持っていなければならぬ。たとえば政治的に配慮を加える場合においても、本来はかくあるべきであるけれども、この土地柄からこの辺まではかんべんしてもらおう、この辺ならば被害は少いはずだ、あるいはほとんどないといっていいということから許されているんじゃないか、こういう配慮がある。そのもととなるべき、ものさしとなるべき科学的な一般的基準というものを設定する意思がないかという問題について、政務次官との質疑応答があったわけでありますが、本日この点に対して両大臣の御見解を伺っておきたい。
○三木国務大臣 お話の前提は、水質の基準を次第に高めていく、現状においては理想的なことはいろいろな摩擦が起ってできないのでありますから、漸進的に水質の基準を高めていく精神かどうかという御質問に対しては、その通りに考えておるわけでございます。 それから政治的というお話は、産業立地的な見地からのお尋ねであると思うのであります。そういうふうな産業立地的な配慮も加えなければならぬが、基準として科学的な一つの基準を持つべきであるという御意見はその通りだと思います。しかしこれはいろいろな問題でなかなか困難もあろうと思いますけれども、理論的には私はそうだと思う。そういう点でこれは水質審議会等においても検討しなければならぬ課題であると思います。
○中嶋委員 通産大臣もただいまの企画庁長官と同様の御意見だと解釈しますが、この科学的な恕限度、水質基準というものについての設定は困難でないということが、昨日の公聴会においてわが国の下水工学の第一人者とも言われております柴田三郎博士から言明されております。またそれを作らなければ水質保全に関する法律というものは無意味だろうという痛烈な発言すらあったわけであります。ところが一方、昨日の公聴会において日本化学工業協会の大島竹治さんから、閣議において今回の水質汚濁の場合に対する立法については現状維持を前提として進めていくのだ、こういう意見が多いとか、あるいは新聞ではそういうことが閣議で了解されておるということを私どもは聞いております。この点非常に問題があろうかと思いますが、水質汚濁の問題は、本年突然この主張が叫ばれたのではなくて、数十年来の要求であります。従って多くの汚濁による被害の現状があるときに、現状を出発点とするというのでありますればこの立法がなされましても、効果に対して私どもは期待を持てないわけであります。水質基準の問題について、すでに日本の現在の科学技術の水準においては十分作り得るという柴田三郎氏の意見を尊重されて、この設定をすみやかになさるお考えはないか。並びに閣議における現状維持を出発点とする考えがまことなのかどうか。またきょうこの機会に、そうではなくて積極的な規制をしていくのだという見解をわれわれに示すことができるかどうか、こういう点についてお伺いいたします。
○三木国務大臣 今、政府委員の方から昨日の委員会における大島参考人の発言をちょっと結論的に聞いたのでありますが、閣議において、この法案は現状維持を目的とするものであるというふうな論議は行われた事実はありません。これはただ、今積極的に、非常に急進的にということは実情に即さない、非常な摩擦が起るのでありますから、漸進的に日本の水質の基準を高めていこうという見解であることを申し上げておきたい。
○中嶋委員 急進、漸進、言葉の問題ですが、その漸進においてもやはり早い漸進もおるだろうし、ほとんど現状のままで十年間に一歩しか進まぬという漸進もあろうかと思います。「百年河清を待つ」という言葉がございますが、そういう内容のものであってはならない。従ってそのテンポの促進はどこにかかっておるかと申しますと、私は実際にはこの問題の中で大事な問題として第十二条、第十六条にあります改善命令と国の援助の問題にかかってくると思います。ここにこそ水質の浄化の、保全の共通の場が、工業の側においても、あるいは農業水産業、あるいは住民の公衆衛生の面から申しましても開かれている。この共通の道が大きいか狭いかというところに問題がかかっていると考えるわけです。実は私神奈川県会におりましたときに、神奈川県ではすでにこの水質保全を含めた、その他煙害、震動、ガス、騒音、これら一切を含めた公害のための委員会がありました。この委員会を主宰しておりましたある時期の商工部長が、会議が中断しまして休憩になった場合に、こういう放言をやった。こんな厄介な委員会はない、私はこの委員会に出るのは一番きらいなんだ、こういう発言をした。休憩中でありますから、不謹慎だというたしなめだけで問題にはなりませんでしたが、問題の本質を究明しないままに、これらの問題は非常に困難である、一方立てれば一方立たず、こういうことから厄介もの扱いをする傾向があることはいなめない事実であります。現に当時の商工部長は通産局の枢要の地位にすわっておられまするが、こういうことから私はこの問題の推進に政府がどの程度の熱意を持っておるかということを、言葉ではなくて、立法の裏づけでありますところの予算の面で、どの程度考えておるかということを伺っておきたい。まず第一にこの問題について土木的な解決があります。きのうの委員会においても、あるいは政府の答弁の中においても、工場をいじめるよりも、工場を規制するよりも、むしろ下水道をどんどん完備することが大事だという意見がありました。確かにこれは一つの解決であります。相当の多額の費用と期間を要するでありましょう。しかも下水道の解決の方策となりますと、当然最後は沿岸漁業にしわ寄せをされます。現存すでに漁獲高の減退を来たしておる沿岸漁民に対する影響というところに、大きくしわ寄せをされてしまう、こういう危険がありますから、当然下水道の海面に接する点において大規模の浄化装置というものの設置という段階になってくる。やはり相当の費用を要します。この問題も大事でありまするか、機械的な解決の方策の方に当面重点を置いて、それは各事業場が排出する場合に、機械的な設備によって汚濁を防ぐという、この方針にいかなければならぬ。それに対して政府は国の援助をするということでありますが、この援助については一昨日松尾企業局長からその設備改善に要する費用の半額は国で補助をしてやる。なおそのほかに長期しかも低利の資金を融資の面で考えていきたい、こういう発言がありまして、私は非常に意を強うしたわけでありますが、やはりあくまでもこれは企業局長の発言でありまして、そうしたいということであります。これがほんとうに松尾局長のこの考えを生かすに足るだけの、通産大臣並びに経済企画庁長官の決意がおありになるのか、これを大蔵省との折衝において、あるいは閣議の中において実現し得るだけの確信をお持ちかどうか、この点を伺います。
○高碕国務大臣 この水質汚濁を防止するということは、これは私どもも非常に重要なことだと存じまして、現状のまま置いておけばどんなになるかわからぬということを常々心配しておりましたが、時あたかも先般来あの千葉県の問題が起りまして、そういうふうなことからますます政府は急速にこれはやらなければならぬということで、今回この法案を提出したわけであります。企画庁長官のお話し申し上げた通り、現在においてはこれ以上悪くせぬということは、その程度でやりたいと思っておりますが、さらにもっと進めて、全体の工場その他から排出するり汚濁水を清浄にするということに積極的に進んでいきたい、こう存じておりますが、今までの状況から見ますと、大工場の方はある程度行政指導でやっておりましたが、これも水質汚濁の水質の基準というものをきめて、それによって今後は法律適用をもってこれを規制するということをやられたわけでありますが、一番問題にいたしておりますのは、中小企業の問題でありまして、これはなかなか自分の工場を動かすのに一ぱいでありまして、それによって起る汚水をどう処理するかということまで考える余裕がない、そういうものに向いましては、今後中小企業に対しましては、共同でその施設をやらすということのために、政府といたしましても、三十四年度の予算に十一億円をかけてやっていかなければならない、こういうふうな考えでおります。また下水道を完成いたしまして、その下水道の完成によって、あるいはこの下水道の出口においてある程度の施設をする、これは非常な膨大なものになるだろうと思いますが、この問題は建設省の予算といたしまして、三十四年度に六十一億円を計上する、こういう工合にいたしまして、海の中へ流れるというこの汚水を、どういうふうに清浄化するかということは、当然十分考えていきたいと存じております。
○中嶋委員 土木的な解決の下水道の問題ですが、実際問題として、たとえば京浜地帯のような、あるいは阪神地帯のような区工業の盛んであり、しかも水の極端によごれる場所において下水道を完備し、その出口に一大浄化装置を設けるというにとは、御存じのように空地がないのです。おそらくこの方針をとった場合には空地がない。接岸する点はほとんど各工場で押えておる。工場の移転ということになると、大へんな問題であります。従って私はそれも可能な場合にはぜひやっていいと思う。しかしそこへいくまでの間は、各工場々々ごとの浄化装置というものが大切である。このためには国の予算にも問題が非常に関係がある。いわゆる一方立てれば一方立たずの悪い循環をする問題である。最後の技術的なきめ手はずでにできておるし、きのう委員会においても、柴田先生もはっきり確信をもって発表された。日本の技術水準は高いんだ、十分できるんだ、問題は資金的なきめ手がないということ、その資金的なきめてについて、松尾企業局長から、半額は補助をしていきたい、もちろん松尾企業局長は、これはたしか中小企業の場合と限定されたのですが、半額は補助したい、それから大企業あるいは半額をもらってもなおやり得ないような中小企業に対しては、長期のしかも低利の資金を出していくのだ、こういう言明があったのです。これを一つ大臣の口から同じように確信をもってお答言えができないのかということであります。
○高碕国務大臣 昨日松尾企業局長が答弁いたしましたことは当然私は責任をもって同様のお答えをする次第であります。
○中嶋委員 今の点については、経済企画庁長官も一つ通産大臣に協力して、閣議の中で御努力を願います。特に下水工学の面に日の当ってくることは、大きな土木事業が起きることになりますし、あるいは現在の経済的な不況のもとにおいて相当の影響があると思う。建設的な意味においての経済振興ということに幾らかの足しになると思いますから、御協力願います。 それから次に政府の案で申しますと、審議会の委員が二十人おられる、社会党の案よりは多いんだ、こういうお話もありますけれども、とかくこういう委員会というのは二カ月に一ぺん、あるいは三カ月に一ぺん開かれて、事務局の出しました資料をもって大体これを審査するというので終るわけです。問題は現場において活躍すべき職員、これが充実しなければ、私は無意味な審議会で終ってしまうと思う。社会党案の場合においてもそうでありますし、政府案の場合においてもそうであります。これらの背後に強力な事務、調査、研究、こういうスタッフを置かなければならない、こういうものについて特別のセクションを設けるだけのお考えをお持ちなのか、たとえば部を設けるとか、そういう点についての見通しなり、お考えを伺っておきたい。
○三木国務大臣 お説の通り、この水質の審議会だけではこの目的は達せられませんから、経済企画庁には水質保全部というような部を設けたいという考えでございます。
○中嶋委員 次に一昨日の質疑の場合に明白になったわけでありますが、政府案で進んだ場合に、私は政府案には賛成ではありませんが、もし政府案の修正とか、あるいは社会党案との折衷ということで、こういう問題が出るかもしれませんが、現在水質の実態を把握する技術者が足りない。従って当面各河川ごとの水質基準をきめるという方式をとった場合において、六河川程度しかできないだろうというお答えがあった。この問題について、たとえば神奈川等の場合におきましては、県みずからが公害審査委員会、公害防止のための委員会を設けて、強力なスタッフを持っております。従って国から府県に委託をして調査をすることになりましたならば、全国的に相当の府県で協力ができると思います。こういう点について六河川と限ったのは、とにかく急ぐことでもない、あちらこちら産業界の反対もあるということから静かにいこうということなのか。これなら問題は別でございますが、ほんとうに技術的に科学的な面での隘路であるとするならば、そういう点の拡大ができると思います。そういうスタッフをもって、河川ごとの水質基準の設定ではなく、一応まず日本全国のスタンダードとなるべき基準を明確に把握する必要があると思います。この点についての熱意をどの程度お持ちか、伺っておきたい。
○三木国務大臣 今御指摘のように、地方の自治体等にみな直接に関係があって、熱意を持たれている地方の自治体も多かろうと思うのでありますが、そういう場合には、これは技術者の面において極力協力をしてもらう。ただしかしそういうことを前提にして考えましても、この調査はかなり精密な調査をいたさなければなりませんので、将来においては全河川に及ぶことが適当でありましょうが、にわかに河川をふやしてやることは、技術あるいは管理両面の能力からいって好ましいことであっても、できぬ。そういう点で現在はできるだけふやしたいとは思っておりますが、現在のところは六河川くらいを考えておるのであって、そういう諸条件が許すならば、その河川はふやしていきたいという希望を持っておることは御意見と同じであります。ただそれには能力の限界があるということであります。
○中嶋委員 その場合に河川ごとに水質基準をきめて参ると、それこそ何年かかるか、わからない。そこで全国的に水質基準を、科学的な一般基準をもって、これを各技術陣を動員してつかむことに成功しますと、現に指定をされない水域においても、指定を受けている水域においても、自分の工場で今度こういう設備をするが、これだけの排流水がある、これを全国的な基準に照らし合せてどうであろうかということの目安がつくわけです。これがつかないと、初めは六河川、また来年度幾つかやる。その間五年先、六年先、七年先になると、その基準は今の基準と変ってくる。現に川の流域にあるところの工場の数が変って参ります。そういうことも追いかけていくことになると危険であります。この点について、当面六河川の水質基準について作業するとしても、この成果の中から一般的な水質基準を設定できるように努力する意思があるかどうか、この点について伺います。
○大堀政府委員 技術的な点にわたりますので私からお答え申し上げます。一昨日も申しましたように、一般的な基準を作成するということにつきまして、被害の側においても加害の側においても、一般的な基準を作るということはデータとして必要なことでありますが、私どももできるだけ努力して参りたいと思うのであります。基準そのものといたしましては、個々の水域ごとに基準をきめていきませんと、一律な基準で参つります場合には、それによってあるいは条件が変って参りますと、二重投資になったり、追加投資をしなければならぬというような事態も出て、あるいは混乱を生じるおそれもございますので、やはり水質基準としては個々で参りたい。しかしお話のように一般的な基準についてもできるだけ策定に努力いたしたいと思います。
○中嶋委員 他の委員からの質疑も続行するでありましょうから、私は時間の関係もありますので、これで打ち切りますが、この機会にお願いしておきたいのは、この水質の保全の問題の最終的な焦点というものは、設備の改善、これに対する国の援助の問題であります。ここに重点を置かないで、一方を立てれば一方が立たないというようなことの堂々めぐりが、ちょうど財界、産業界の中に大きくあることを私は指摘しますが、この点は非常に問題である。これが従来水質汚染のみならず、一般の公害除去の問題に関する厚生省を中心とする立法化の際に、財界を中心とする強力な激しい反対々々の歴史を重ねてきておるということになっております。財界、産業界に非常に関係の深い通産大臣、並びに経済企画庁長官から、この点に関する、技術的きめ手があって、資金的きめ手が問題なら、これに対しては政府が援助するのだ、一つ頭の切りかえをしてほしいということで、この水質保全に対する効果を上げるべきことを期待いたしまして私の質問を終ります。
○長谷川委員長 赤路友藏君。
○赤路委員 私質問に入る前に、ただいま中嶋委員の質問で通産大臣から御答弁のありました下水道のことでちょっとお尋ねいたしますが、下水道の完成を目途として、三十四年度予算は建設省の方で四十二億とおっしゃっておるが、起債はどの程度見込まれておりますか、おわかりになったら一つ……、わからなければけっこうです。
○田辺説明員 厚生省の水道課長でございます。下水の終末処理場につきましては、厚生省で所管いたしおりまして、その関係で、下水の今後の整備計画につきまっして厚生省で考えておりますところを、この際御説明申し上げておきます。都市におきまして下水道を整備いたしまして、それによりまして工場からの排水を受け入れて、それを一般市民の下水と共同して処理しますことが二重投資を避ける意味からいたしまして、一番理想だと考えられるのであります。下水道の整備が、ただいま日本の都市におきましては非常に立ちおくれておりまして、これを急速に整備いたしたいということで、厚生省におきましては終末処理、それから管渠におきましては建設省、それぞれ十カ年の整備計画というのを策定いたしておるわけであります。それで建設省の下水管渠の整備計画とマッチいたしまして、厚生省といたしましては十カ年間に百五十三都市、対象の人口といたしまして約二千万人、その工事費は約五百億になるわけでございます。これは処理だけでございますが……。そういう計画を立てまして、今後十カ年間にこれを完遂いたしたい、こういう目途に進めて参る覚悟であります。
○赤路委員 だいぶ数字に食い違いがあるように思いますのでお尋ねしたわけですが、現在の私の調べによりますと、全国で下水を実施しておる都市が百四十四都市、それに対しまして、下水道施設が完成しておるといいますか、でき上っておりますものが全体の一三%、それから終末処理場は四%しか進捗していない、こういう実情であります。大体今までにかかった経費を全部調べて参りますと、一ヘクタール当りの金額が大体二百万から三百万ということになっておりますので、一人当り大体一万円ということになります。そういたしますとこのパーセンテージから見まして、百四十四都市が完成いたしますまでの間の総事業量というものは一兆円という数字が出てくると思うのであります。これに対して政府の補助が三分の一、あと起債を認めてくれますが、本三十三年度予算から見てみますと、補助が約十億円、それから起債が四十億円、総計五十億円、そういたしますと百四十四都市だけを完成いたしますのに、二百年間かかるという数字になってくるわけなんです。先ほどの高碕大臣のお話では建設省の方で四十二億円と大幅に出てきておるわけです。それにいたしましても――これは今度の水質の問題と関連してくることでございます。お考えとして共同施設、非常にけっこうだと思います。これを進めることは二重投資がなくなってくるということでございますから、よほどこれは精力的に一つ考えていただきませんと、私は人口三万以上の都市をとってみたのですが、三万以上の都市が五百六十二都市ございます。そういたしますと事業総量が四兆円となりますから、今までのようなやり方では八百年くらいかからなければ下水が完成しないというような数字になってくるわけなんでして、およそ十カ年計画でおやりになるというのとは数字的に少しかけ離れがあり過ぎると思いますので、私の方の資料の間違いであるかどうか、あまり数字が違い過ぎますので、もう一応よく調査してみたいと思いますが、そういうような点のあることを、一つよく両大臣はお考えおきを願いたい。これはもう答弁は要りません。 水質問題につきまして政府の方へお尋ねをいたしたいのですが、十月二十八日の当委員会で、私の方の勝澤委員の質問に答えまして、大堀局長の方から社会党案と政府両案とのおもな相違点というので御答弁があったわけなんですが、先ほども私申し上げたように、第一が実施機関の問題、第二が指定水域と水質基準の相関性、第三はあっせん調停、仲裁員、以上の三点があげられておるわけなんです。それともう一つ違いますのは、先ほど来問題になりました無過失補償の責任の所在ということ。それから国の助成措置の点が非常に不明確であるという、この五点が大体相違点の大きなものだと私は考える。そこでこの五点について政府の方のお考え方をお聞きしたいと思うのであります。やはり二十八日の委員会で、花園参事官は現段階において統一するのには、各省間に摩擦があるという点を率直に言っておられる。これは私どももよくわかるわけなんです。非常にむずかしい問題でございまして、現状において水に関するものを一本の形に持ってこよう、統一しようとすることには相当いろいろな反撥力が出てこようと思う。しかしながら先ほど来私申し上げますように、従来法律があっても、その法律がどちらかというと空文化しておったような傾向があるわけです。それだけに従来のような状態のままでは、たとえ新しい法律ができたといたしましても、そのままで移行いたしますと、今までやってきたことが繰り返される。私はここに一つの懸念を持つわけです。従って、非常にむずかしい問題ではあるが、この際一歩前進さして思い切った処置をとるべきでないか、こう考えるわけであります。もちろん各省間にはそれぞれの考え方がございましょうし、行政は各省それぞれ別々に所管事項がございます。しかしながら政府自体としましては、それぞれ所管事項は違いましても、あくまでも一本の統一した形で相協力してやるのが官庁の務めだと私は思う。だから、この重大な問題を取り上げる場合、いたずらにセクト主義に陥るということでなしに、相協力するという大きな観点の上に立っていただきますならば、ここで思い切った手段がとれるのじゃないか、こう考えるわけであります。ただいまこの面につきまして企画庁長官の方から、水質保全部を置くのだという御意見があった。せめてそれでもできますれば非常にけっこうだと思うのでありますが、これは法律の中には何もないわけです。答弁を聞いてみましても、ただ調整局の中へ四十九人かふやしてやるということでありまして、これはもちろん行政組織法の改正等も要ると思いますが、法律上は何もないわけです。具体的にこれらの点はどういうふうにお考えになっておるのか、お聞きしたいと思います。
○三木国務大臣 各省間にいろんな摩擦があるというお話でありましたが、これは意見がまとまってこういう法案の提出となったものであります。各省間というより、名産業間におけるいろんな利害の錯綜した問題があろうと思います。やはり全体の産業のバランスも考えなければならぬわけでありますから、水質の保全に関する非常に急激な立法はかえって混乱を起す。だから、各省間というより、各産業間におけるいろんな利害の錯綜したものが問題の背景にあるわけで、必ずしも役所でセクト主義に落ちて、この問題の前進がはばまれているというわけのものではない。また企画庁の方においては、とても現在の状態では――企画庁は本来の事務があるわけでありますから、相当な人員をふやして、先ほど申し上げましたごとく水質保全部のような機構を設けたい。これは通常国会において組織法を改正する法律案を出したいと考えております。
○赤路委員 その機関のことは一応その程度にいたしておきましょう。 それで第二点の指定水域と水質基準の問題ですが、水質基準が決定されないと指定水域の指定はしない、その水質基準の決定と指定水域の決定とが同時となっておる。私はここを非常に問題にするわけなんでありますが、二十八日以来の論議でももうおわかりの通り、水質の許容基準というものは簡単にきまるものではありません。これはなかなかむずかしい問題です。一つの水系をとってみましても、二年かかりますか三年かかりますか、私は簡単にきまるものじゃないと思う。これはもちろん漁業なら漁業という立場からだけとるならしごく簡単であります。そう日時を要さなくともできる。しかしながらそれだけではいけない。やはり産業の面も考えていかなければならぬ。そういたしますと各種各様の業態があって、川の状態も違いますし、それからいろいろな意見等も聞いてやっていくということになりますと、これはもう意見百出いたしましてなかなか決定するものではない、私は率直にそう思う。そうすると決定しないまでは何もしないということになるおそれがあるわけです。結局法律がそのまま運営されていかないという懸念が十分生じてくると私は考える。いろいろと二十八日以来の御答弁を聞いておりますと、行政指導を十分やっていくということ、たとえば水質の区域を指定しなくてもあるいはその以外のところでも行政指導をやっていくこうおっしゃっておるわけですが、先ほど来三木大臣がおっしゃるように、これは能力限界というものがあるわけです。予算の裏づけも当然考えなければならない。だからおのずから限度が出てくるわけです。その限度の中で行政指導をより効果的にやろうとするためには、やはり水質の規制区域というものを前もってまずきめる。そうして指導をより効果的に行なっていくということが正しいのではないか、こう私は考える。それから六河川を調査したいというお話ですが、六河川ということはすでにやろうとする指定区域なんです。だからこの六河川を指定すればいい。そうしてそれから水質基準を決定していくということが、いろいろな面で、私は行政指導を実効あらしめるためにも、この処置をとった方がよりいいのではないかと思いますが、その点はどういうふうにお考えになりますか。
○大堀政府委員 一昨日もお答え申し上げた点でございますが、私どもの立て方は排出水の基準をきめるという建前をとっております。その前提としてもちろんある水域の流水について一般的な水準というものを頭に置きますけれども、法律の建前といたしましては、排出水のところで基準をきめたい、こういう立て方をとったわけでございます。そこでその基準がきまりました場合に、通産省で、今度提案しております、工場排水法によりまして除害施設を整備していくということになっておりますので、法律の体系としましては結局水質基準がきまらなければ法律的な効果はその面では出ないわけであります。地域を指定いたしまして、さらにある一定期間を置いて水準をきめていく、そうしますと地域指定と水準の決定の間に空白期間ができるわけでありますが、これはやはり権利関係に相当影響する法律でございますので、地域は指定したが水準はまだきまらないということは、それに関係しております人々にとって相当権利関係の不確定状態が起る。それは非常に行政的に不適当な結果を生ずるのではないかというような考え方に立ちまして、私どもは水域と基準とを同時にきめるという立て方をとったわけでございます。その前の段階におきまして、結局何事もしないでほっておくのかという点につきましては、法案の第二条に一般的な水質保全に関する義務を課しておりまして、また行政的には必要な勧告もできるわけでございます。通産省はこの一般的義務に基いて報告をとりながら、行政指導を行うという立て方に法案ができておりますので、そういう意味で何もしないのではございません。社会党案では水域を指定してそこで行政指導をするということを一般的に課しておる、こういうふうに御了解いただきたいと思います。
○赤路委員 少しロジックがおかしいと思うのです。おっしゃることはわからぬでもないのですが、基準がきまらなければ除害施設にどういうものをやっていいか、それに適応するようにやらなければならぬ、だからまず水質の基準をきめなければいかぬ、こういうことだと思うのだが、そうすると水質の基準がきまるまでは何もできないということなんです。そういうロジックから参りますと、その他のところも行政指導で特定施設をやらす、あるいはそういうような除害施設をやることを大いに勧奨して指導していくということなんですからね。水質の許容基準が決定しなければそれはできないのだということではないと私は考える。すでに現在でもどんどんどんどんやっておる。通産省あたりでも何といいますか推薦いたしまして、開発銀行あたりからこのことのために融資をしておるわけであります。だからその点ではいささかロジックが合わないのじゃないか、こういうふうに私は考えるのですが、その点はどうでしょう。
○松尾(金)政府委員 工場排水法の方におきましても、大体工場から汚水を出すようなことが想定される施設を指定いたしまして、その特定施設を持っておるものからは、法律で特に報告徴収ができるようになっております。その報告徴収に基いて行政指導をやっていくわけでありますが、その際に今御指摘のございました、水質基準がきまらない以前において行政指導ができるのであれば、やはり同じように法律の強制力を持つことができるのじゃないかという御意見だと思いますが、実際問題としまして排水法の方で水質基準の指定された地域でとります措置は、法律に基く命令を出します。命令に従わない場合には罰則がかかってくる、そういう罰則をもって強制するような厳格な制度をしくのには、やはり水質基準がきまっていなければいけませんけれども、しかし罰則をかけるような強力な制度でなくして、業者側の自覚と相待って行政指導する程度であれば、水質基準がない状態でもできる。つまり法律が罰則をもって強制するかしないかの差が、そこに出てくるのではないかというのが私どもの考えであります。
○赤路委員 その点はだいぶ考え方が違いますので、これ以上言いましても同じだと思いますので、後ほど触れたいと思いますが、やはりそれらのことは企業者側の立場と申しますか、これは先ほど来申しますように企業者側にとってみてもやりたくないことなんです。実際は一つもプラスにはならないのです。マイナスの線は出てもプラスにならない。そのプラスにならないことをやるわけなんですから、企業者としてはなかなかすなおにやりたがらぬのも無理はないと思うのです。ただ問題は、だからといって手放しにしておくというと今日のような事態が起る。非常に大きな影響を及ぼすのであるから、やはり国の方である程度の措置は考えていかなければならぬ。これと私は関連を持ってくると思うのですが、その措置の裏づけがなくして行政指導をおやりになっても、何をやってもなかなか簡単に進むものじゃない、こう考えております。ここのところは相当考え方の相違がありますから、それはその程度にいたします。第三点は、私の方のあっせん、調停、仲裁制度の問題であります。一応私たちは、加害者側の立場の上に立ってもならぬ、被害者側の立場の上に立ってもならぬ、あくまでも公正妥当な形においてなさなければならぬ。被害者側からといたしましても、あるいは加害者側からといたしましても、いささかも圧力がかかるというような形のものであってはならぬというふうに考えているわけです。そこでそういうことを前提において考えました場合は、やはりこれに対しては権威のある機関によってなされることが一番妥当じゃないか。私は何も県段階の方へ委任いたしまして、そうして県知事段階でその仲介員をきめることが不公正だというわけではありません。しかしながら今までのいろいろないきさつを見てみますと、手放しで安心できない点があるわけです。私が直接ぶつかった事例でありますが、ある会社が排水を間違えまして有害なものを流したわけです。それが本年の四月問題になりまして、漁業者側の方は、これについて県の方へあっせんをしてもらいたいという申し入れをしたわけです。そうすると県は、それは双方において話し合いをすべきであるというのでこれを拒否した。その後四カ月にわたって漁業者の方と会社側の方で話し合った。会社の社長は商工会議所の会頭をやっているような大物がなっておるのですから、てんで話がつかない。とうとう漁業者の方は業を煮やしてしまって、これは実力行使に出るほか道がないというので、その会社の前で抗議集会を持った。そうすると会社の社長は青くなって県庁へ飛んで行って、どうかあっせんをしてもらいたいと言うと、県庁があっせんに乗り出してきた。こういう実態なんです。これは一つの例でありますが、こういうことが地方ではありがちなんです。要するに地方の有力者の諸君が隠然たる勢力を持っておる。こういうことはあってはならぬのだが、現実の姿はそういうことがありがちである。そういうことに私は現実にぶつかっているのです。こういうようなことを考えて参りますと、やはり私は権威のある、どちらへも片寄らない条件のもとで紛争は処理すべきでないかと考えるのですが、その点はどうでしょうか。
○大堀政府委員 私どもの今回提案いたしております仲介による和解の制度でございますが、ただいまちょっとお話の出ましたケースの場合は、今日まで法律がございませんでしたので、そういったことが多かったかと思うのでございますが、今回の法律によりますれば、紛争が生じた場合に都道府県知事に対して和解の仲介の申し立てをすることができる。申し立てがありました場合は、仲介員を指定して、仲介員は法律によって紛争の実情を詳細に調査して、事件が公正に解決されるように努めなければならぬという任務を課してございまして、また仲介に際しましては、関係行政機関に対しまして、都道府県知事から仲介のために必要な資料なり、技術的な判断を求めることができる。従って各行政機関におきましても、技術的判断なり資料を提供する義務があるわけでございまして、その意味におきましては制度化することによりまして、そういった面の不徹底な点は今後改善され得るんじゃないか、私どもはかように考えておるわけでございます。なお、仲裁制度その他非常にけっこうな制度だと私ども存じておりますが、現状においては強制調停なり、仲裁もできますことは、内容から少し無理があるんじゃないかというので、漸進的に仲介制度ということを考えたわけでございます。
○赤路委員 もう一つは、二十八日以来いろいろ論議されておりますが、二県にわたる場合、これはどうしたらいいかということは明記されていない。これらの点は、二県にわたると、どういうふうにするんだということをやはり明確にしておく必要がある。責任の所在というと、ちょっとどうかと思いますが、不明確です。それからもう一つは、十九条では損害賠償の紛争ということ、すでに被害が起った場合のみに仲介をするということになっておるわけであります。ところが今までのいろいろな紛争のケースを見て参りますと、この工場を設置することによって、当然被害が起るだろうというようなことを想像いたしまして暴力行為等が起って、問題を起している点が多々あるわけなんです。そういう場合は何にもできぬということになるわけです。もちろん行政指導で今後は十分やっていただけることとは思いますが、これらの点も野放しにすると申しますか、そういう事態をそのまま放置しておくということでなくして、そうした事態をもやはり何らかの形においてこれを正常なものにしていくという配慮があってしかるべきだと思うんですが、その点はいかがですか。
○大堀政府委員 確かに御指摘のように、第十九条におきましては「損害賠償に関する紛争その他の民事上の紛争が生じたとき」と書いてございますから、法律の建前といたしましては、生じた場合にこの制度で仲介ができる、こういうことになると思います。ただたとえば四条におきまして、水質基準の設定の場合におきましても、損害が生ずるおそれの高いものについては水質基準をきめられるということが書いてございまして、たとえばそういった紛争が起るような地域は、水質基準の設定の場合に相当優先的に考えて、早く基準の設定を行なっていくというような措置もとれるわけであります。従いまして、法律の制度にはなりませんが、やはり実際上の行政上のあっせんで、できるだけ円滑に解決しますように今後努力して参りたいと思います。
○赤路委員 ではそれらの後段のことについては行政指導で十分やっていく、こういうふうに理解いたします。 それから無過失補償の問題については触れません。最後のところで私は予算の面で触れておきたいと思いますが、説明によりますと、九千万円と申しました。約一億とも聞いたわけなんですが、これをどういうふうに内部的に配分をしておるか、その経費の使途というものはどうなっておるか、ちょっとお聞かせ願いたい。
○大堀政府委員 九千万円のうち約四千万円につきましては水質保全部の人件費、事務費その他の費用が入っております。これは一般の事務費でございます。審議会の費用が三百二十三万円、和解の仲介の費用、これは府県に対する委託費でありますが、府県に交付します金が三千五百五十万円、それから現地の水質調査に要する費用が千二百八十二万円、大体そういう内訳になっております。
○赤路委員 内訳は先ほどのお話のように、施設に対する補助金が約十一億円というふうにお聞きいたしましたが、そういたしますと、水質の清浄化のためのこの法律案の目的をほぼ達するというためには、大体どの程度の期間をお考えになっておるのか。何年くらいで、百パーセント完全というのはなかなかむずかしいと思いますが、ほぼこれなれば農民側の方にも、漁民側の方にも、一般の国民の方にも迷惑を及ぼさないという程度になり得るのか、その点をお聞かせ願いたい。
○大堀政府委員 当面問題になっておりますような河川につきましては、約五年くらいの間に基準の策定をいたしたいと考えております。
○赤路委員 五年の間におやりになろうというのには少し――三十四年度十一億の補助でありまして、三十五年度、三十六年度というふうに漸次これを拡大していくなら話はわかりますが、これは私は率直に申し上げますが、とてもいかないじゃないかと思う。それでは水質清浄化のための施設総事業量というものを、どの程度にお考えになっておりますか。
○大堀政府委員 これは実は事務的にどの程度の人手が要るかということは、新しい仕事でもございますので、ある程度やってみませんと、率直に申しまして確定的な数字が予測できないのでございますが、私どもとしましては、初年度まずこれでやってみまして、あるいはその結果経験が重なって、相当能率化されて、予想より早くできる、あるいはもう少し人員を増加してやらないと予期したような効果が出ないというようなこと、これは実行の段階において将来のことについて考えて参りたいと考えます。
○赤路委員 ごもっともな話だと思います。しかしこれは非常に重大なことであります。法律を作って清浄化をやるんだ、やるんだといって補助金を十一億積んだ、これは単なる腰だめだということで、将来ずっと伸ばしていくということはわかりますが、一応大体の見当というものがあってしかるべきだと思う。この程度ではとうてい五年間ではむずかしい。三十年の統計を見てみますと、四人以上の工場、事業場は、これは通産省の統計ですからおわかりだと思うのですが、十一万七千百十二ある、その中で汚水あるいは廃液を流す除害施設をやらなければならないだろうと思われる工場、特にそれも三百人以下のものをとってみますと一万四千二百九十七ある、それから鉱山関係、これも中小企業と思われるもの、石油事業等をとってみますと、これが二千五百六十九ある。そういたしますと、中小企業と称するもので、しかも助成措置が当然含まれなければならぬ、これは高碕大臣もおっしゃったように、中小企業に対しては、自力でやれといったってそれは無理なんですから、そういうものをひっくるめますと一万六千八百六十六工場ということになるんです。そういたしますと、もちろんどういうふうに施設をするか、それぞれの業種によって違う、しかしすでに今まで大企業は大企業でやっておるのですね。小さいところは少いでしょう。しかしながらそれぞれのメーカーを調べてみますと、たとえば澱粉工業、これは小さいものですが、澱粉に対してはどの程度のもので、どういう装置ができるのだということは全部上っておるわけなんです。それらのものを総合して参りますと大体の総事業量というものはどの程度になるのかということが私は出てこなければならぬと思う。私の推算もはなはだずさんなものでありますが、私の方で見てみますと、四人以上九人以下の事業場が五千四百十六それから十人以上二百九十九人までが八千八百八十一事業場、それから先ほど申しました石炭、石油が二千五百六十九、合せまして一万六千八百六十六になるわけですが、三百人以上の大工場で現在施設をいたしておりますものが百二十です。これは固定資産税その他の面から調査して参りましたが、あと残されたものが大体三百六十六、約四百と踏んでいいと思う。そうしますとこの四人以上九人以下というものは、今までの設備の状況あるいはまたメーカーの機械の価格等から踏んで概算いたしますと、大体一事業量二百万じゃないか。だから五千四百十六の事業場に対しましては一事業量が大体二百区万円でほぼいくのではないか。それから三百人以下のものは大体四百万円、こういうふうに踏んで参りますと、総事業量が大体五百五十六億になる。これの半分を助成したといたしますと百八十三億一千六百万円、こういうような数字が現われてくる。そうすると一体大企業に対してはどうするのか。これは融資ということが当然考えられるわけなんです。では融資はどの程度要るか、大企業の場合は少くとも平均一億五千万から二億というものをかけなければ、とてもじゃないが、まともな除害施設はできないだろう、こう考えまして、これを四百事業場といたしますと八百億になるわけです。だから全体としての総事業量はほぼ一千三百六十億という数字が出てくる。その中で補助分が百八十四億、それから融資分が四百億、五百八十四億を国の方でめんどうを見る、あとはそれぞれの事業主によって自己資本でまかなっていく、こういう計算が成り立つわけなんです。そういたしますと政府の案のようなことでいきますと五カ年間ではとうていできない、こういうふうに考えられる。この点十分一つお考えおきを願いたい。答弁は求めません。 要は財源の問題であると思う。財源をどこから捻出するかということが一番大きな問題で、財源がありさえすれば思い切って仕事ができると思います。その財源をどこから捻出するかということを一つお考え願いたい。これを一点だけ私申し上げておきますが、この間お聞きいたしましたように、現在公共用水、要するに公共用の水を利用している画がたくさんあります。北海道の例を調べてみましたが、北海道では水一個当りに対して年間三千円の利用料をとっておるわけです。そういたしますと水一トンを利用することによって、金額にいたしますと四厘という値段、ただの四厘、これは非常に安いと思うのです。だから公共用水を、海面であろうと河川水であろうとあるいは地下水であろうと、少くとも水を利用しておる面でもっと財源の捻出の方法がないかどうか、これは私の推算でありますが、考え方によりますと大体百二十億程度のものは出てくると思います。現在水の利用でおとりになっておりますものは電源開発でありますが、この電源開発の分が約十四億ですか、それから鉱山関係のものが六千三百万円それから砂利採取が一億四千六百万円、現在水関係で十五億六千万円程度のものが財源として上ってきております。これは現に徴収しておるわけです。だから私は財源をどこに見出すかということを一つ政府の方では本格的に考えていただきたい。しかも水利の使用料を徴収いたしておりますのは二十二都道府県であります。全国にわたっていない。だからほんとうに公共用水を正常なものに保とうということ、工場自体も汚染された水は使えないのですから、工場もこれらの面で負担しても、大きな負担にはなりません。かりに十個使う工場とすれば大工場です。水を一個使いましても、これは二十四時間操業いたしますと、年間三百日と見まして大体七十二万トンになる。七十二万トンの水を使って、それで使用料がただの三千円なんです。これはちょっと考えていただいていいと思う。こういうところに財源があるということを私は指摘いたしておきます。どうも長くなりました。これは御答弁は求めません。 ―――――
○長谷川委員長 この際田中武夫君より通商産業の基本施策及び経済総合計画に関する件について、緊急なる発言を求められておりますので、これを許可をいたします。 田中君に申し上げます。本会議は二時であります。参議院の方の委員会が二時に開かれますので、二時に終了するようにお願いをいたします。田中武夫君。
○田中(武)委員 私はちょうど高碕、三木両大臣がおられるところで、重要な問題について若干の質問をいたしたいと思っておったのですが、今委員長も言われたように時間がもうあと十分ほどしかありませんので、一言だけお伺いをいたしたいと思います。それは御承知と思いますが、今来日中の西ドイツのエアハルト経済相が、二十七日ですか、日本人記者会見において、日本の貿易の問題その他についていろいろと批判といいますか、発言をしておる。その中に、日本の貿易振興というか、貿易の問題等について重要な示唆がある、かように考えられますので、これについて、何かあす両大臣はエアハルト経済相と会談せられる様子ですが、その際に当然そういうような問題が出るだろうと思います。しかし岸総理がブラウン記者と話し合っているように、あとになって言った言わなかったというようなことになるとちょっとめんどうだと思いますので、この際ちょっとお伺いしておきたいと思います。と申しますのは、エアハルト経済相は、ともかく日本の商品が安過ぎるのがむしろ日本貿易の障害になっておる、それは日本が低賃金である、あるいは日本の円レートを引き上げる必要もあるだろうとか、あるいは東南アジア貿易に対して自由貿易をやるべきだとか、あるいはまたヨーロッパと東南アジアとの間で日本の商品が値段が違うとか、いろいろのことを言われておるのですが、そういうことにつきまして何かきのう両大臣が打ち合せをして、あすそのエアハルト発言に対して反発をする、こういうようなことも一部新聞に出ておりますが、こういう発言に対してどのように考えられており、こういう示唆を受けて考え直すような点があるか、そういう点について、一つずつたとえば賃金についてどうかというように私も伺いたかったのですが、もう時間がありませんので、総括的に伺いますから、総括してでけっこうですが、どういうふうにお考えになっておるか、それからあすはどういうような態度で話に臨まれるか、ちょっとお伺いいたします。
○高碕国務大臣 御承知のようにエアハルトはドイツの復興をやって成功した人であります。ちょうど日本とドイツの状態が、戦後の復興ということにはよく似ている点があります。私は年来エアハルトに会いたいということで、先生も、自分は理論家である、お前は実際家であるから、一ぺん会おうじゃないかというようなことを、この四年前から約束しておったものですから、ちょうどこっちに来たものですから時間をさいてくれる、こういうので、あす二時間ばかり会うつもりでおります。彼が今まで各方面で言ったことを私はまだ直接聞いておりませんから、これはどうだこうだと批評することはできませんが、今まで新聞に出ていることが正しいものとすれば、多少私と意見が違う点があると思いますから、当然そういう問題も触れると思いますが、しかし根本におきまして彼のドイツを復興させたやり方につきまして、日本の状態と比較して五つ、六つの点を聞いてみたい、こう思っておりますが、それは会見してからの話にしていただきまして、今ここでまだ話をせぬ先にどうこうということを申し上げることはどうかと思っております。
○田中(武)委員 まあ、そうであろうが、読売新聞のけさの朝刊を見ますと、エアハルト発言は日本の実情を無視したものであるから、あす両大臣が反駁する、こう書いてある。それによると、円レートの引き上げについては応じかねるとか、あるいは低賃金と言うておるが、こうだとかああだとか、こういうようなことがずっと出ておる。ずばりそのもの低賃金なんというものは確かにそうだと思うのですよ。そういうことについてはどうでしょう。
○高碕国務大臣 これはドイツと比較して日本の賃金は低いということは、これは統計でわかっておることであります。賃金が低いから生産効率も上っていない。生産の率と賃金の程度ということからいうと、ちょうどドイツと一致しているわけです。それからイギリスとも一致している。アメリカやカナダと比較すると、これは賃金がべらぼうに高いから多少違いますので、アメリカやカナダからお前の方は賃金が低いぞと言われるのはわかりますが、ドイツからあまり言われることはないだろうと思っております。そういう点はもし話が出ればしてみたいと思っております。
○田中(武)委員 たとえばアメリカが日本の綿製品について輸入の禁止あるいは制限をやっている。その一つの原因がやはり日本のソーシャル・ダンピングとか、低賃金、こういうところにあるようなんです。だから話し合われてから伺いたいと思いますが、あすの会談ではよく聞いていただいて、日本の実情についてもう一度見直してもらうような目を開いてもらいたい、このように思います。もうあと時間もありませんから、会談をせられたあとで一つお聞きします。
○長谷川委員長 午後三時まで休憩いたします。 午後一時五十二分休憩 ――――◇――――― 午後三時四十三分開議
○長谷川委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。 公共用水域の水質の保全に関する法律案、工場排水等の規制に関する法律案及び水質汚濁防止法案の三案を一括して議題とし、質疑を続行いたします。兒玉末男君。
○兒玉委員 水質汚濁に関連する事項でお伺いをしたいと思うのでありますが、この案件につきましては、すでに前々国会以来の懸案でもあるし、また特に水質汚濁に関しましては、各地域におきましても相当長年月にわたり紛争が起きておりますし、特に本年五月でございましたか、本州製紙等のような非常に重大な問題まで発生をいたしておるわけでございます。 まず第一点としてお伺いをしたいのは、特に水質汚濁防止ということについては、諸外国の例等を見ましても、相当真剣に長い間取り組んで対処しておるようでございますが、特に水質の規制ということは相当強力なところのいわゆる機構というものがなければ、被害を受ける側と加害者とのいわゆる利害の対立という点から、なかなか十分な管理というものが行われないわけであります。これは経済企画庁でございますか、昭和二十六年の三月でございますか、出されました水質汚濁防止に関する勧告書の内容等からも知り得たわけでございますけれども、たとえばちょうど河川の水の状態等から日本とほぼ類似しているところのアメリカの例等によりましても、特に水質汚濁に関しましては、一八六五年に自然水の汚濁を守るための政令が出され、一八七六年には保健法令、一八九三年には河川汚濁防止法がいち早く制定をされまして、数次にわたる改定を通じて河川流域の住民あるいは産業用水等の保護ということについて相当努力をいたしておるわけでありますが、このような観点から考えます場合に特にアメリカの場合におきましては、独立したところのいわゆる河川汚濁防止局というものを設置いたしまして、河川汚濁水質保全について強力な監督機構を持っておるわけであります。これに対しまして当局といたしましては、特に今回出されましたこの水質汚濁防止法の中から判断いたしましても、この経済企画庁の調整局の資料によりましても、出されました勧告案の中に水質調査事務局の設置とか、あるいは水質の科学研究所の設置とか、こういう具体的な事例が勧告されておるわけでございますが、ここに上程されております法案にはそのような勧告に基くところの水質調査事務局等の設置等が全然考慮されてないというのは、いかなる見解に立つものであるか、まず第一点としてお伺いしたいと思います。
○大堀政府委員 お尋ねの点でございますが、水質汚濁に関する行政の事務は、今日まで各所管省たとえば水道、下水道については厚生省あるいは建設省、工場、鉱山について、通産省、その他関係省がそれぞれの行政の一部といたしまして、それぞれの部面の規制の問題を取り扱って参っておりますので、これを今日の段階におきまして一切の事務を一カ所に集中して処理するということは、現実の問題として非常に困難でございますので、各省のそれぞれの行政とともに実施を各省において行いまして、これの全体の総合調整、基本に関する水質基準の問題、こういった総合調整的な事務だけを内閣において調整していく、現在企画庁が行政事務の調整に当っておりますので、企画庁において総合調整の仕事をやって参る。内容といたしましては、水質基準の作定と水質審議会の運営に関する事務を企画庁が担当するわけでございますが、御指摘のようにこの仕事は相当手数の要する仕事でございますので、陣容もかなり充実をしなければならぬということで、先ほど大臣から御答弁がございましたが、企画庁の中に水質保全部といったような機構を設置いたしましてこの仕事に当っていくという考え方でございますが、来年度実施に入ります前に、来年度予算とともに通常国会において必要な改正手続をとるという考え方で、現在進めておるわけであります。
○兒玉委員 第二点といたしましては、先般青山の青年会館で開催されました全国の漁民大会なり、あるいはそれを契機として結成されておりますところの全国の漁民その他各団体でもって構成されているこの水質汚濁対策推進本部等からの要望事項等にも、具体的に明らかにされておりますが、この水質汚濁防止法の運用につきまして、特に積極的な施策が必要とされているわけでありますが、その中で先ほども触れましたようないわゆる専管行政機構の整備に対するところの経費、あるいは今触れましたところのいわゆる水質科学研究機関等に対する予算の措置、または現在既設の工場施設なり、あるいは新設の工場施設等に対するところの除害設備あるいは変更等に対する国庫の補助、さらには特に一番やっかいでございますが、紛争に対するところの仲介制度に必要な経費、こういうこと等が特に強調されておるわけでございますけれども、今当局から出されております法案の内容から判断しますと、これに必要な予算措置についてきわめて積極的であると私は考えるわけでございますが、このような非常に被害をこうむっている全国の漁民、農民等のこの切実な今までの要望等に対して、具体的に提起されておりますところのこの問題について、どのような御見解を持っておられるかお伺いしたいと思います。
○大堀政府委員 水質保全に関する政府の助成に関しまして、基本法であります保全に関する法律案には規定はいたしておりませんが、これは基本法でございまして、水質の基準なり審議会の制度に関する規定が中心になっておりまして、通産省が提出いたしております工場排水等に関する法律の中に、国の必要な助成に関する規定が織り込まれておるわけでございます。全体の問題といたしましてはただいま御指摘の研究機関に対する問題、これは現在あります各省のそれぞれの研究機関において水質に関する研究が部分的に行われておりますが、それに対する必要な経費を来年度予算に織り込んでおるわけで、これは各省それぞれ提出いたしております。なお除害施設に対する問題は、先ほど御質問もございましたが、これも通産省におきまして中小企業の除害施設に対する補助を予算として請求中でございます。紛争の仲介に関する経費につきましては、企画庁におきまして地方長官に仲介の仕事をやっていただきますが、その関係の委託費を現在大蔵省に要求中でございます。そういう意味でそれぞれ必要なる予算について努力中でございますが、なお法律の関係では、通産省の法律の方に必要な規定が織り込まれておるわけでございます。
○兒玉委員 第三点としてお伺いしたいのは、この法律はおそらく今度成立すると思うわけでございますが、特に今日までいろいろ発生しました問題から考えますと、この水質基準の設定を全国一律に規定することはもちろんきわめて困難であると思いますが、この基準の設定について具体的にどのような構想をお持ちであるか、この点についてお伺いしたいと思います。
○大堀政府委員 水質の基準の設定につきましては、本法案の第四条に規定がございまして、指定水域の指定と同時に水質の基準を設定いたして参るわけでございます。この水質の基準はいわゆる排出水についての基準でございまして、河川全体の流れ、流水についての基準ということは法律上には現われておりませんが、われわれは前提といたしまして作業の過程におきましては、そういうものを想定いたしますが、それをもとにして排水の基準を定めて参ります。従いまして個々の工場、事業場から排出される水について、こういう基準でなければならぬということに決定されるわけでございます。下水道につきましても、この下水道の出口ではこれこれの基準でなければならぬというふうにきめて参る、こういう考え方でおります。
○兒玉委員 ただいまの御回答から判断しますと、この水質基準の認定なり、あるいはまたこれに関連してのいわゆる除害施設の整備ということについては、今後相当の時日を要すると思うのでございますが、このような除害施設なりあるいは基準が設定されるまでの間に発生するところの各種の損害の補償、こういう事実が必ず起きておると思うのでありますが、このような補償についてはどのような対策を講ぜられる御意向か、お伺いをしたいと思います。
○大堀政府委員 ただいまの御質問の点でございますが、除害施設を講じましても、あるいはその間において被害を生じました場合、この規定はその法律の中にございませんけれども、提案理由の説明の中に、一般の民法の原則によりまして不法行為、故意または過失がありまして損害を生じた場合、当然水質基準によっておりましても、もちろん損害を与えれば補償の義務があるわけでございまして、これは一般の民法の原則によって賠償が行われる、こういう考え方をとっております。
○兒玉委員 次に多少角度を変えてお伺いしたいのでございますが、たしか当局の資料であったと思うのですが、中小企業関係の工場の非常に密集している地帯に対しまして、共同排水処理施設が設けられまして、これに対する補助金を、通産省関係からだろうと思うのですが、昭和三十二年度に三千万円、三十三年度に五千九百万円を国費として補助金を出しております。このような具体的な共同排水処理施設に対して、これだけの資金を出しておりますが、どのような実施効果が上っておるか、もしわかっておればお伺いをしたいと思います。
○岩井説明員 ただいまの中小企業が密集しております地帯にできておる排水施設でございますが、これは建設省で管理することになっております。三十二年度で三千万円、三十三年度で五千九百万円、一応これは三年度で完成してもう一年やることになっておりますが、目下工事中でありまして、予定される効果としましては、やはり必要なところには処理場も設けまして必要な程度に浄化してこれを放流することになっておりまして、従来よりは相当きれいな排水が開始される予定になっております。
○兒玉委員 私の郷里は非常にカンショの多いところで、澱粉工場が多いのでございますが、つい先般澱粉工場関係の業者から、この水質汚濁に関するところの法律から除外してもらいたい、いわゆる水質保全という見地からも、澱粉工場等からの排水というものは全然影響がない、こういうことの陳情を受けたわけでございますけれども、現実には澱粉工場の設置等の場合に事前にその河川の下流の流域の住民等から工場の設置に同意するとかいう形で、同意書とかいうものをとりまして、そうしてその後発生するいろいろな河川の汚染等町に対する損害について全くほおかむりをしている、こういう具体的な事例も発生いたしておるわけでございます。これは専門的な立場でないので私わからないのでございますけれども、この澱粉工場等の排水による被害というものは、相当大きな問題であろうと考えるのでございますが、これはきわめて限定された問題で大へん恐縮でございますけれども、このような澱粉工場等の排水処理と申しますか、こういうことについて現在どのような規制とかあるいは処置が行われているか、これに関連してお伺いをしたいと思います。
○松尾(金)政府委員 御承知のように澱粉工場は農林省の所管になっております。しかし現在提案されております工場排水法におきましては、この法律にございますように、それぞれの工場の主務大臣がこの法律を施行するようになっておりますから、農林大臣が澱粉工場について定められました水質基準を守るように、そのような処理施設をやらせるという建前で運用されることになるわけであります。
○兒玉委員 それから政府案によりますと、この工場等から排出されましたところの廃液等による被害の補償ということが生じた場合に、現在まではほとんど力のない河川の流域の住民、漁民、こういう人たちの被害というものはほとんど補償されないままに、今日までなされてきていると私は思うのでございますが、特にまた工場と沿岸漁民、農民等との力関係から判断をいたしましても、どうしても力の弱い農漁民というものは、いつも害を受けて泣き寝入りしていかなければならない、こういう点から考えます場合に、現在のような政府案によりますと、いわゆる公平なところの加害者と被害者の補償関係というものは確立をされないのじゃないか、私はこういう懸念を持つものでございますが、このような点についてどうお考えになるか。 それからさらに今後新しく工場を設置する場合に、やはりこのような被害の発生ということが予想されるわけでございますけれども、このような災害発生の予想に対しましても、地域住民のこのような被害を未然に防止するという立場からの要望に対して、現在の政府から出されている原案によりますと、補償するという条項等はきわめてあいまいなように私は判断をするわけでございますが、この二点についてどのような見解をお持ちかお伺いしたいと存じます。
○大堀政府委員 前段の御質問につきましては、今回の法律の第四章に和解の仲介という制度を新しく設置いたしまして、民事上の紛争が生じました場合に、当事者は知事に対して仲介の申し出ができるわけでございまして、この申し出を受けた場合に知事は仲介員を任命し、その仲介員は五名以内でございますが、仲介員は紛争の実情を詳細に調査して、事件が公正に解決するように努力しなければならぬ、こういう規定を設けまして、仲介の義務を負わしておるわけでございます。また同時に関係行政機関に対して知事は必要なデータの提出を求めるという二十三条の規定を設けまして、関係各庁はこれに協力するという態勢を作っておりまして、これによりましてただいまの御質問のようなケースについては今後円滑に解決ができますように努力いたして参りたいと考えておるわけであります。 第二の点につきましては、未然の場合にはただいま申し上げました規定の適用はございませんけれども、水質の基準の作定の第四条におきましても、現に汚濁の事実が発生している場合のほか今後その発生のおそれの高いものについて水質基準が作定できるわけでございまして、問題のありそうな地点につきましてはできるだけ早い機会に基準を作定するように努力して参りたい、かように考えておるわけでございます。
○兒玉委員 最後に、これは要望と質問を兼ねて伺いたいと思うのですが、冒頭にアメリカ等の例も申し上げましたが、これは資料が間違いでないと思うのですけれども、この水質汚濁に関する問題は、現在出されているこの法案の内容全体からでは十分なる効果は期待できないのじゃないか、と申しますのは、この水質汚濁の問題をめぐって全国的に発生している問題から考えますと、いわゆる水質の基準ということと損害が発生した場合の損害賠償の算定と、この二点が私はこの法案の基幹をなすものであろうと思うのですが、この二点が十分な効力を発揮するためには、やはりアメリカ等におきまして、水質保全のために、また河川汚濁防止のために、十分に法律の趣旨が生かされるように河川汚濁防止局という専管の行政機構が確立されている、このような先進国等の例を十分私たちは学ぶべきであるし、特に長年の懸案であるこの法案の成立を期して、ぜひとも私は先ほど申し上げました調査事務局の設置なり、または単なる諮問機関ではなくてこのような水質汚濁防止に関して一切の権限を統轄するところの機関を、この際設置されることを要望申し上げまして、最後に当局の御見解を承わり、質問を終りたいと思います。
○大堀政府委員 機構の点につきましては先ほど申し上げた通りでございますが、私どもとしましてはこの法案を提出いたしました本旨である水質の向上を期していき、水質の改善をしていくということにつきまして、今日まで相当長期間まとまりを得ませんでしたものが、今日ようやく結論を得ましてこの法律が制定されました上は、各行政機関の協力を得まして、この法律の実施について最大の努力を尽して参る考えでございまして、漸進的ではございますが、水質に関してはこの法案が施行されることができますならば、これはやはり飛躍的な措置になると確信いたしておる次第でございます。
○長谷川委員長 大矢省三君。
○大矢委員 ごく簡単に二、三点お伺いしたい。これは私の選挙区に特に関係がございますからお聞きしたいのですが、淀川の現在の実情というものはもう限度に来ており、大阪市民にとってはゆゆしき問題が起きつつある。淀川はこの指定区域内に入ると思いますが、同時にまた大阪の港湾は漁民が長い間苦しんでおられることで、これもあわせて区域内に入ると思いますけれども、今の皆さんの計画といいますか、実際に当っての考え方をお尋ね申し上げます。
○大堀政府委員 私どもは淀川を第一次の調査区域案として考えております。もちろんこれは審議会で十分検討した上決定になるわけでございますが、この淀川の中に港湾の関係も含めて考えております。
○大矢委員 それから先ほど来いろいろ質疑の中に、非常に経済力の乏しい中小企業の方々に対する施設については半分は国庫補助にしたい。さらにまた大企業にいたしましても何らかの融資をやってこの問題を処理したいという態度でありましたが、この淀川の現状というものは、上は京都、大阪市内から衛星都市の下水処理に大きな問題があることは御存じの通りです。ことにこの下水処理に当って、昨年でしたか一昨年でしたか、新しく簡易水道並びに工場用水に対する特別融資の法律が出まして、そのときに尋ねたのでありますが、その際にこれは工場用水にしても下水処理にしても、独立採算制をとっておるところはこの対象になる。言いかえれば水洗便所をやって料金を取っておるところはこの特別融資といいますか、これらの起債の対象にはなるけれども、取っておらないところはならない、こういう話でして、これは困ったことです。何らか特別の、特に大都市にはこの処理について考慮してもらいたいということを私は申したのですが、今度この融資の問題がありましたが、こういう衛星都市並びに大都市におけるふん尿処理についての起債といいますか、あるいは補助金、そういうものに対して考えておられるのか、いや今はそういうところまでは手が届かぬとおっしゃるのか、その点はせっかくこの法律ができてきれいになるということを希望して、またそれに期待をかけているのに、こういうことができないということは残念です。そういうつまり経済上、財政上の処置についてお尋ねしたい。
○田辺説明員 都市におきます下水道の整備の問題、ただいまお話のありました点でございますが、けさほども少しく申し上げたのでございますが、日本の都市におきます下水道というものは非常に貧弱でございまして、下水道の最末端に作られております下水道終末処理場というものを利用いたします国民の数は、ようやくわずかに四百万人に達したという程度でございまして、御承知の通り各都市の屎尿の行き詰まりは非常に大きな問題になっておるわけでございます。その屎尿の適当な処分ができませんので、大阪湾の周辺にある都市におきましては大阪湾に持っていって捨てておる、こういうようなことからその汚濁の問題が非常に大きく社会問題化しておるわけでございます。こういうった実態に対しまして厚生省といたしましては、建設省の下水道整備計画と調子を合せまして、本年度を初年度といたしまして十カ年計画を立てたわけでございます。その計画の内容を申し上げますと、全国におきまして百五十三都市に対しまして十年後におきまして約二千万人、市街地におきますと総人口の約半分になるわけでございますが、十年後におきまして二千万人の市街地の人口が便所を水洗化できる、こういう状態を目途として計画されておるわけでございます。それを完成いたしますには約五百億の金が要るということでございまして、ただいま三分の一の補助を出しておるわけであります。残りの三分の二は起債が認められておるわけでございます。なお十年先におきまして約半分の二千万人は下水の終末処理場で屎尿が処理されるわけでございますが、残りの二千数百万人に対しましては、これは下水道で処理いたすのが理想ではございますが、膨大な資金もかかることでございますので、屎尿消化槽を各都市に整備いたしまして、そこで衛生的な処理をいたす。将来その屎尿消化槽は下水道の終末処理場が完成されました場合には汚泥消化槽に転用する、こういう計画でございます。
○大矢委員 これは実際問題として、処理するに当って設備に必要な土地の確保に非常に困っている。どこかに設計してみますと、あげて反対しますから、必要なのに土地を確保することができるために非常に困難で、各都市とも悩みの種になっている。膨大な設備と土地を要するというようなことで困難でありますが、この土地の確保について何か法的処置がなければ、納得の上でこの密集したところにこういう処理場を新しくこしらえるということはなかなか困難です。これの処理に対する最も科学的な新しい研究もあろうと思いますけれども、なかなかこれが簡単に参りませんので各都市とも悩んでおりまするが、この設備の土地の確保について何らかの処置がなければ、せっかくの十年計画ですか、これらの計画も結局はそれで行き詰まってくる。計画通りいけるような土地の確保の問題についての計画が何かあられるかどうか。それはその地方で解決していただくよりいたし方ないが、こういう公共の施設だから何か新しい法律でも出されて確保する計画があるのかどうか、これは重大なことです。各都市の悩みですから、この点についてお聞きしたい。
○田辺説明員 ただいま御指摘のございました終末処理場とか屎尿消化槽などの施設を作ります場合に、その土地を確保することに非常に御苦労なさっておるというお話は、全くその通りでございまして、各都市ともその点で非常に頭を悩ましておるわけであります。法的には都市計画事業として認定を受けました場合には、土地収用法で強制買収ができるわけでございますが、実際の運用面で非常に手数もかかることでございます。なるべく話し合いで話がつくということが一番好ましいわけでございます。なお大きな都市になりますとなかなかその適当な土地が得られません。海岸を埋め立てまして、そういったものの用地を確保するといった方向にだんだんなりつつある傾向もあるわけでございます。なるべくスムーズに土地の確保ができますようにできるだけ努力いたして参りたいと考えています。
○大矢委員 昨日来の質疑の中に、小さな工場には二分の一を補助したいというお話がございましたが、これはもう大蔵省とちゃんと打ち合せ済みなのかどうか、ああいう気持だったけれども、どうも大蔵省がなかなかうんと言わぬのでできぬということになっては困るので、それはちゃんと来年度の予算には大体見当をつけて、二分の一に相当するものを出すとお話し合いになられているのか、それが一つと、それからその工場に要する費用の半額負担という総額を、来年度にどのくらい見積ったか、この点を一つ聞いておきたい。
○松尾(金)政府委員 前に私から御説明をいたしました来年度において中小工場の汚水処理設備に対する補助金十一億円と言っておりますが、これは現在予算要求をいたしておる形でございまして、大蔵省との予算折衝はこれからという段階でございます。大蔵省は当然予算の責任当局として、そう簡単にこれを了承してもらえるとは私ども楽観をいたしませんが、できるだけ努力して参りたいというふうに考えております。 それから中小工場の処理施設の総額という点でございますが、これは私どもの要求と申しますが、希望という意味のことから申しますと、大体中小工場の中でも汚水を出すような種類の業種であり、またそういう生産施設を持っておるものを拾って参りまして、一応の積算はいたしております。それに基いてできればこれを五カ年くらいの計画で、それが大体解決するようにという目安を一応持ってはおりますけれども、これは私どもの積算であり、希望要求でございますので、これからそのような線に沿ってできるだけ努力いたしたいという気持でございます。
○大矢委員 この法律がもし通ってそれの実施に当っては、この費用が確保されなければ、これは死法なんです。従来の例から見ますと、大蔵省はなかなかそう簡単に承知しないだろう。これは大いに一つがんばってもらって、この計画通りの確保に努力していただきたい。こういうことをお願いして、私の質問を終ります。
○長谷川委員長 堂森芳夫君。
○堂森委員 ただいままでこの二法案に対していろいろ審議が行われましたが、私、少しく方面を変えまして二、三お尋ねをしたいと思います。 たとえば今日稲作にとりまして不可欠の有機燐製剤と申しますか、パラチオンというものが盛んに全国の稲作に使われるわけであります。この有機燐製剤が人体に及ぼす影響はきわめて甚大なことは皆さん御承知の通りなんです。そこで私が聞いておるところでは、たとえば九州の有明湾ではこの有機燐製剤の使用によって人体に危害を及ぼすような影響が出てきた、こういうふうなことが言われております。そこで調整局長にお尋ねしますが、経済企画庁に、この有機燐製剤の農業方面の使用によって、今まで日本全国でどんなふうな危険な状態が出てきた場所が何カ所あるか、あるいはなかったか、その方面のいろいろ資料があると思いますから、まず局長から御答弁をお願いしたいと思います。
○堀説明員 御指摘の有機燐製剤のパラチオン剤につきましては、お話の通り非常に人畜に対する毒性が強いというので、毒物及び劇物取締法で特に規定をされまして、その使用に非常な制限を加えておるのであります。従って魚類その他に対する影響についても、われわれ非常に注意をいたしておりまして、機会あるごとにその調査をいたしておりますが、その使用法が不適当であると申しますか、たとえてみますと、容器をみぞの水で洗うとか、あるいはあきびんをみぞの中に捨てるとかいったようなことで、局部的に魚に影響を与えたというような例は二、三聞いておりますが、大きな問題としてたんぼに散布した薬が川の水にまじり、さらに海の中に流れ込みまして、あるいは漁獲に大きく影響しているのじゃないかというふうに問題になりましたのは、有明海の問題が初めてでございます。現在のところわれわれの持っております資料としては有明海だけが大きな問題として取り上げられております。
○田辺説明員 有機燐製剤パラチオン等によりまして、飲料水に影響を及ぼしました事例がございますので御報告いたしたいと思います。二、三年前だったと思いますが、熊本県のある村におきまして簡易水道の水源が、このパラチオンによりまして非常に危険な状態が予測されまして、県の衛生部がその使用を制限いたしました。直ちに水源を他に求めるということにいたしまして、農地からの排水の入らないところに水源を移しかえまして、問題を解決した例がございます。なお水道法の規定いたします水質基準というものには、このパラチオンは検出してはならない、マイナスでなくちゃならない、こういうふうな規定になっております。
○堂森委員 ただいま農林省の課長から御答弁がございましたが、もう少し詳しく御答弁が願いたいと思います。またただいま厚生省の水道課長からの御答弁でありますが、検出してはならない、もちろん検出したらこれは大へんな害があるわけでありまして、検出されないような方法は講じなければいかぬ、こういうわけでありますが、有明海にそういう例があった。それではどんな程度に検出されたのか、あるいはどういうわけでそうなってきたかということについて、もう少し詳細にお答え願いたいと思います。
○堀説明員 有明海では昭和二十八年からエビ、アミ等を中心にする水産物の漁獲が漸次減ってきた、時を同じうして昭和二十八年からあの地帯にパラチオン剤が実際に使用され、だんだんと使用される量が多くなったわけでございます。そういう関係からあるいはパラチオンがこの漁獲の減少に影響しておるのじゃないかというので、九州大学の水産教室で海水あるいは沿岸の土を分析した結果、パラチオンらしきものが存在しておるというので、おそらくこれが関係をするのであろうというふうな発表があったわけでありますが、その後農林省の農林水産技術会議でも取り上げまして、関係の研究機関、つまり農林省の技術研究所とか、あるいは九州その他の農業試験場あるいは東京大学、先ほど申しました九州大学も参加していろいろと研究を進めたのでありますが、アミとかエビというものが、実験的にはきわめて微量のパラチオンにも非常に鋭敏であるということはわかるのでありますが、有明海の水や土の中にはっきりと散布した薬が流れ込んでおる、そうしてそれがエビやカニあるいはその他の魚類に悪影響を与えておるという科学的な根拠がいまだに得られない、こういう状態でございます。元来パラチオン剤という薬は、非常に強い毒性を持っておりますが、土の中に入ったり、あるいは植物体内に入りますと比較的分解しやすい薬でございまして、そういうふうな点もありますので、しかも散布されましたのが灌漑水の中に入りますと、非常に稀薄なものになり、さらにそれが川水あるいは海の中へ入りますと、さらにまた薄いものになりますし、またその間の時日の経過とともにあるいは分解するのじゃないかというふうな考え方が持たれております。しかしこういうふうにまだ科学的に十分因果関係があるということは判定しておりませんが、私どもといたしましては、万一の場合を顧慮して行政指導をいたしておるわけでありまして、でき得れば有明海に注ぐ河川流域地帯の二化メイ虫の防除は、パラチオン以外の、特に水産魚類に毒性の少いBHCとか、あるいはその他の薬を使うし、またどうしてもパラチオン剤を使わなければならぬような場合は、今も申しましたようにこの薬が分解しやすいという性質を利用しまして、水を落してなるべくたんぼの土に薬を吸わせるようにするとか、あるいは水を落すことのできない場合は水を逆に張っておいて、薬をまいてから一定期間水を出さないようにするというような技術的な対策を講ずることを指導いたしまして、府県でもおそらくこの問題につきましては真剣に指導をしておるのではないか、こういうふうに考えております。
○堂森委員 ただいまの御答弁でありますが、そうしますと、人体、あるいは他の海や川に住む食糧としての蛋白源の魚類、貝類にも相当の影響がある、こういうものに対して、ただいまの答弁でございますと、地方の府県でも行政指導をしておるのではないか、こういうことでは私非常に危険だと思うのです。実際は農林省がそうした危険な燐の化学薬品を使うときに、全国の末端で使っている薬ですから、各農家に対してもっと強い指導がなされなければならぬのでありまして、さっきは、おそらくしておるのではないか、こういう表現ですが、これはわれわれ納得できないのです。おそらくもっと強くやっておると思うのです。私の県なんかではやっております。そこでもう一つお尋ねしたいのですが、有明海だけそうした影響が出てきたのではないか、もちろん科学的にはっきりっした証明をすることはむずかしいのですが、おそらくそうだろうと思うのですが、有明海にだけそうした現象があって、日本全国の他ではそういうことがいまだかつてないということはどういう理由でございますか。想像でけっこうですから御答弁願いたい。
○堀説明員 行政指導をしているのではないかというふうに申しましたのは、私の言葉の至らなかったところでございまして、問題の起りました当初はもちろんのこと、ほとんど毎年のように念のためと申しますか、私どもの方では県には十分通牒その他の方法で指導をいたしておりますし、県も十分農家の指導に努力しておると思います。有明海にどうして特にそういう問題が起ったかという理由につきまして、私十分にその理由がわかりませんが、現地の人たちの話では、ああいう袋のようになって出ていくところのない内海であるから、特に問題があるのであろう、こういうふうに申しております。しかしこのパラチオンという薬は、直接分析する方法が今のところないのでありまして、そのうちの成分を構成しておりますパラニトロ・フェノールの色を出す反応で、それが初めてわかってくるようなものであります。パラニトロ・フェノールというものは、単にパラチオンだけでなしに蛋白質の分解したものの中にも、あるいはまたわれわれの食べておるみそ、しょうゆの中にも、あるいは腐蝕質の多い土の中にも、どこにでもあるわけでありますし、また問題になっておるエビ、カニを殺す、殺さぬという量は、何千万分の一あるいは何億万分の一というきわめて微量が問題になるものでありまして、現在のところわれわれが繰り返しやった試験では、有明海の水や土壌の中にパラチオンが含まれているというふうなはっきりした証左は得られないという実情でございます。その他で問題にならないという理由につきましては、私よくわからないのでありますが、実際問題として有明海のような実害が出ていない、あるいは軽微なものはあったのかもしれないけれども、出ていない、こういうことではないかと思います。
○堂森委員 水道課長にお導ねいたします。戦後全国的に、特に農村には簡易水道が非常な勢いで広がっていることは飲料水の清浄化ということにおいては、きわめて喜ぶべきことだと思うのであります。私も実は十年ぐらい前から私の選挙区で先頭に立って、一生懸命簡易水道の普及運動をやってきました。非常な勢いで伸びているわけなんです。しかしながら考えてみますと、きわめてちゃちな工事が相当あると思うのです。たとえば私の選挙区ではまつ先に唱道しましてやったわけです。ところが何回水源を掘り直しても泥水しか出ないわけです。私が奨励してやっているわけですが、どうも文句が出まして、実は水道のことになりますと、私は黙って集会から抜けてしまうというにとなんです。県にも一生懸命やってもらうのですが、なかなかうまくいかないのです。泥水が出るわけであります。ときにはミミズが出てくるというようなこともあるわけでありまして、普通は井戸水を使って便所の掃除には水道を使うというようなばかなことをやっているわけです。日本の土地の一割五分ぐらいは耕地だと言われております。全部がたんぼではありませんけれども、広範囲にわたってパラチオンが使われている。そうして農村で簡易水道が非常な勢いで伸びている。これはいいことなんですが、特段の注意を払ってもらって、特に水源地の選定あるいは水質の検査というようなことには一つ厳重な監督をしてもらう。現実はそうではありませんので、私の住んでいる部落だけではなく、かなり水源にはむずかしい問題がありますが、今後一つ完璧な簡易水道を全国に敷いてもらう。これをお願いいたします。
○長谷川委員長 小平久雄君。
○小平(久)委員 実は私どもこの法律案を詳しく調べている余裕がないのですが、この法律の実際の運用についてお聞かせを願っておきたいと思うのです。 ある河川の指定水域、この法律からいえば指定水域になるところですが、そこの水質基準というものがまずきまって、それからそこに工場、事業場等の排水が出る、それらの事業主体に対して、まず河川の基準をきめてから今度は排水の水質基準を指定する、こういうことになるのではないかと思うのですが、そこはどうですか、それで間違いありませんか。
○花園説明員 ただいまの御質問でございますが、第四条の第二項におきまして、「経済企画庁長官は、指定水域を指定するときは、当該指定水域に係る水質基準を定めなければならない。」この文章は一応同時原則になっておるわけでございます。ただいろいろ審議会の議その他の点と多少ズレがございましても、一応工場排水の方で指定水域がきまってから六十日以内に云々というような文句がございますので、事実上は三十日程度の空間はありましても、やはり同時にする原則の上に立っての問題でございます。
○小平(久)委員 そういうことになると、私はしろうとだからどういう表記をするのか知りませんが、ある河川の汚濁度をかりに一〇〇なら一〇〇に保ちたいという基準がきまっておる。それに今度は流れ込む水を出すところの工場等に対する按分は、そこに関係がある各工場から出たものの総和が一〇〇をこさないように、各工場に基準をいわば按分して示す、こういうことになるわけですか。
○花園説明員 きめ方でございますが、これは一昨日もちょっと触れたわけでございますが、大工場、中小企業いろいろございますが、それについては、大体今の考え方でございますけれども、単位流量に対しましてその含有成分というものを規定していくという考え方を、ただいまはとっております。
○小平(久)委員 それはいいのですがね、各工場から排水がありますね、それの総和が、いわばこの河川の基準をこえないように、そういう建前で按分をするのかどうかということです。
○花園説明員 もちろんそれぞれの排水口別の基準をきめますわけでございます。その前には本流の水質につきまして、調査の結果の実態把握がまだあるわけでございます。従いまして、たとえば隅田川を例にとりますと、永代橋以下の指定水域においては、そこまでに上流からよごれて参る水のよごれ方を一応とりまして、従ってこの水域では、この程度以上の汚物はもう排出できないという総和が一応きまっております。それにつきまして、さらに将来の工場立地の関係から、将来拡張または増設されるべき工場に対する予定量がある程度は除いておきまして割り付けることになります。
○小平(久)委員 今の御答弁の最後のところと関係するのですが、そうすると最初の各工場に基準を示すときには、将来のことも勘案して若干ゆとりを見てやっておく、こういうことだろうと思うのだが、そうしますと、その地域に対してはゆとり分だけは工場があとからできても認めるでしょうか。それからそれがなくなってしまったというときには、今度は一体どういうことになるのか。つまりもう工場は建てさせないという方針をとるのか、あるいは河川の方の水質基準そのものも従来一〇〇であったものを一二〇でいいとか、一五〇でいいとかゆるめることにするのか。ゆるめたのではどうもこの法律をせっかく作る値打がなくなっちゃうと思うのですが、どういうふうに将来運用されるのですか。
○花園説明員 これはもちろんわれわれは現在日本の水がどの程度のよごれ方をしておるか、非常にもうどうにもならぬのだという区域が、どの程度あるかという問題ともからむのでありますが、さしあたりは今の水が通常のよごれ方として考えます場合には、当然増設された工場が、もうこれ以上排出不可能なような状態になりました場合は、つまり余裕がなくなりました場合は、当然さらに既設の工場を一斉に基準をきびしくして参るということにも相なるかもしれません。かように存じております。
○小平(久)委員 その河川の方の基準そのものはどうですか。その方も変更することもあるのですか。つまり従来一〇〇と指定しておったものを、今度は一二〇でいいとか、一五〇でいいとか、そういう場合もあるか、それが一点です。 それからそういうことになると、各工場の排水について示す基準は、その工場にとっては施設関係で非常な影響があります。そういう個々の水質基準というものも、よほど各事業体において納得のいくように、また公平にやらなければならぬだろうと思います。役所で公平にやらなければならぬが、基準そのものも公平を期して、これが基準になってお宅はこれだけだというようなこと、それらはせっかくでき上る水質審議会ですか、これらの議も経て、ほんとうに万やむを得ないのだということを、それぞれの事業主が納得し得るような手続を経て示されることが非常に必要だと思いますが、その点もあわせて御説明願いたい。
○花園説明員 最初の御質問でございますが、ただいまの日本の川の状態で、これ以上絶対によごし得ないと考える水域においては、当然工場の増設に伴って、各工場別の許容限度はむしろきびしくせざるを得ない地域もあると思います。また一方もう少しよごれてもという区域も相当あるわけであります。その場合は基準を動かさずに、むしろそのまま参る。そのまま参るということは、工場がふえるに従って本流の水質基準は多少低下しても仕方がないということになるわけであります。 それからこれらのそういった変更につきましては、当然水質審議会の議を経なければ動かし得ないわけであります。当然そういったことが行われるわけであります。これは地方長官の意見も参照しなければならないわけです。
○小平(久)委員 先ほどの説明の中にこれもあったが、工場がだんだんふえてくるという場合には、既存の工場の水質基準も、従来以上にシリアスにしなければならぬ場合も起るだろうということですが、このほかの場合にも同様の例があると思います。そういう場合には、新しいものができなければ従来の工場はそれだけでよかった、新しい工場ができたために施設の改善をしなければならぬというよけいな費用もかかる、先ほどのお話だとこういうことになる。そういうときには一体負担はどうなるか。改善の費用は、新しい工場の増設を認めなければ要らない、従来の施設でよかったのが、当局が新しい工場を認めたために、既存の工場が施設の改善をしなければならぬよけいな経費がかかるといった場合には、そのときの経費の負担はどういうことになりますか。
○松尾(金)政府委員 先ほど経済企画庁から御説明いたしましたように、排流水自体の汚濁の目標限度を想定して割り振るわけであります。法律全体の目的からいって、できるだけ水をきれいな方向に持っていくという一つの目的もあるわけであります。その際に、今御指摘のありましたように、さらに工場がふえ、その結果水がだんだん濁ってくるということでは困りますが、先ほど経済企画庁からお答えがありましたように、さかのぼって水質許容基準そのものにも再検討を加え、できるだけきれいな方向に持っていくというのが、この法律運用の建前であります。その際に、今御指摘がありましたように、前にある工場がその後においてさらに負担をこうむるのではないかという点でありますが、これは今言いましたように、再検討をしばしばやって、そういう基準を変えることはとうてい運用上許されないと思います。工場の側からいいましても、一たんある水質許容基準にのっとって施設をやった以上は、そうしばしば変更されることは当然避けなければならぬ。しかしそういう地域に汚水を流す工場が次々に出てきて、その結果は非常に大きな害を流すということになれば、これは工場の共同責任といいますか、その川を利用する工場の共同責任として、その流水の汚濁度について、あまりきたなくしないようにということで協力をしてもらうということは、これは法律の建前といいますか、工場が公共用水を使う場合におけるいわば社会的な責任というようなことで、これは当然工場としても、その程度の協力はしていただかなければならぬ。しかしそれも先ほど申しましたように、しばしばそういうことが起るのではなくて、非常に工場が次々とできてくるような極端な場合の想定でありますので、実際問題としてはこういうことがしばしば起るというふうには、われわれは考えていないのであります。
○小平(久)委員 それはそうしばしば起っては困ることだし、また共同の社会的な責任だということもわからないではないのですが、実際問題として、現実の問題として、かりに従来許可された基準が変更になったというような場合には、相当深刻な問題が起きるのではないかと私は思うのです。事業をやっている者は、みな利害打算でやっているのですから、よその者が割り込んできたためによけいな負担をしなければならぬというようなことが起ると、実際には具体的に解決するよりほかに仕方がないでしょうが、おそらくそういう問題も起きるのじゃないかという気がする。 それからもう一点、これは別の問題でありますが、先日来のと質疑、特に社会党の諸君の質疑等を伺っておりますと、社会党の諸君は、指定水域というものを、とにかくもっと広範囲に広くやったらいいじゃないかという主張のようです。ところが政府の方は、指定水域というものと水質の基準というものは原則として同時にやるのだ、従って、水質の基準はそう簡単にできないからぼつぼつやっていくのだ、来年度は六河川くらいやるのだ、こういう御説明のように拝聴したのですが、政府の説明もよくわかるにはわかるのですが、とにかくこれだけの法律が今度できるわけです。しかもこの法律は、一般に被害者側といわれる農民なり漁民なりの方々は、長いこと待望いたしておったわけです。従って、ようやく自分たちの願いも通って、今度は法律ができるのだ、こういうにとに非常に期待を持ち、喜びを感じておられるだろうと思うのです。ところがいざ法律ができてみると、とにかく初年度とはいえ、全国でわずか六河川くらいしか取り上げられないのだ、それから除かれたものは一体取り上げてもらえるのか、もらえないのか、取り上げてもらえるのでも、いつやってもらえるのか、一向わからない、せっかく法律ができても、一向自分たちに関係ないじゃないか、極端にいえばそういう期待はずれの失望感を与えるのじゃないかと思うのです。ですから、たとえば総合開発などでも、何といいましたか、調査区域といったか予定区域といったかわからないが、それを何カ所か全国で指定して、取り上げるべきものは取り上げる、こういう方法をとっているわけです。これをどういう名称にするかは別として、指定水域でもいいだろうが、しかし水質基準がいつ指定がきまるかわからぬようなばく然たるものにまで広げてやる必要はないと思うのです。それはかえって弊害があると思いますが、少くとも三年なり五年なり、最長五年くらいまでの間には、水質基準を決定し得るということが私は大体予想がつくのではないかと思うので、それくらいの範囲については、あらかじめ指定水域というものを一挙に指定してしまう、その期間内において逐次水質基準というものを数年間にきめていく、こういうことになれば、今度は今まで関係しておった、今まで不満があったような農漁民も三年なり五年なりの間には解決してもらえるのだという安心感もできる。要するにこれらの長年の要望にこたえることにもなるわけなんです。私はむしろその方が、実際として、せっかくこれだけの法律を作って、なんだ、できたのは一つも御利益がないじゃないかという失望感を与えるよりもよろしいのじゃないか、せっかく熱心に法律を作るのですから、これらの人にこたえるのにもその方がいいのじゃないかという気がするのです。それには現在出ておる法律を若干修正しなければならないかもしれませんが、どうもその方がいい、私個人の感じなんですが、そういうふうに考えているわけなんですが、それらの点について御当局は研究したことがあるのかないのか。研究してもそれはまずいのだということなのか、あるいは研究してなければ、さらに研究してみるという気があるかどうか。そこらのところを一つ最後に承わっておきたい。
○大堀政府委員 昨日、一昨日来非常にその御意見がございまして、実は私ども法案作成の過程でいろいろ検討もしたわけでございますが、でき上りましたものについての問題点をちょっと個別に申し上げますと、第一が結局指定水域の指定と水質基準の査定との間に、本案では同時になっておりますが、かりに一年なり、場合によっては二年というようなことになるかもしれませんが、時間的な空間ができた場合、私どもの考えでは、指定水域が定まりまして、水質基準はいつまでたってもきまらない、指定水域に臨んでいる工場、事業場あたりの方々にとってみますと、基準はきまらないが地域に指定されておる、権利関係には相当の影響がある事柄でございますが、権利関係が非常に不確定のまま放置されるという状態になるということが、この法の建前から見て不適当ではないか、やはり基準がきまって排水施設がきまるという関係になるわけでございますから、そのときに指定水域も同時にきまって、施設も同時に処理をしていく、こういうことでないと空間の間の不確定な状態というものは好ましない、こういうことが第一点でございます。 それから第二点の技術的な問題でございますが、指定水域自体は同じ河川でありましても、A橋梁からB橋梁の間、B橋梁からC橋梁の間と、各河川ごとに地域ごとに違った基準がきまって参るわけであります。従って、ある程度基準がきまってからでないと、逆に申しますと地域というものがきまってこない、一括してこの河川を指定するということで指定できないものでありますから、この点が一つの技術的な問題じゃないか、かように考えているわけであります。 それからあとは工場排水法との法律的な関係でございますが、工場排水法が、この指定水域の指定と同時に施設の届出をして六十日以内に処理をしていく、こういうような形になっておりまして、この空間との関係で、この点を直しますと、法の体制もかなり変えなければならぬじゃないか、工場排水法に非常にむずかしい問題が出るのではないか、こう思っているのであります。こういうことで実はだいぶ考えたのでございますが、この点を分けますことは、なかなかむずかしいように実は考えているのであります。ただいまの御趣旨の点大へんごもっともな点で、この法律が施行になりました場合に、私ども技術的に申しますと、やはり六河川とか七河川しか一年にできませんけれども、五カ年計画と申しますか、水質調査の五カ年計画といったような意味で、水質、審議会において、今後問題にする河川等について、五年間で大体これくらいのものはやろうというような一つの目標をきめまして、そうして調査地域といいますか、調査水域というようなことで行政的に前途の見通しがつくような意味で、そういうふうな運用をして参ったらいかがかと実は思いまして、まだ私だけでございますけれども、研究させていただきたいと思っておるわけでございます。
○長谷川委員長 中嶋英夫君。中嶋君に申し上げますが、申し合せの時間が参りましたので、ごく簡潔に一つ御質問願います。
○中嶋委員 何度も済みませんが、もし施行された場合ということを考えて質問しますが、この場合には工場もしくは事業場という形で、実際問題として神奈川の公害防止条例に従って問題を取り上げた場合、旅館、それから農業そのものが害を及ぼす場合があり得る。この扱いに困ったことがあるのです。たとえば過度の農薬の使用によって、また農民が困るという場合がある。農薬はこれからいろいろ複雑多岐になってくると思いますが、こういう場合はどうなるか。それから、観光施設等の排水、たとえば最近大規模の大衆浴場がありますが、そこからよごれた洗い流した水が大量に出る、そういうことから害を来たしているという具体的な例もあるのですが、こういう場合はどうするのか、この二点だけ……。
○花園説明員 工場排水法で、特定施設を有する工場、事業場という限定を置いております。従いまして水質保全の法律で工場もしくは事業場、工場排水等の法律第二条に規定する特定施設を有する工場または事業場という中には、実は風俗営業のふろ屋とか今の旅館でございますが、こういったものをあまり持ちませんので、従って、入りかねるかと存じます。それから農業の関係でございますが、これははずしております。
○中嶋委員 私もその点心配したのですが、この条文そのものからいきますと、やはりはずれるのじゃないかと思っておったのですが、ただ黙ってそうはずれるのだなと思っただけで果して済むかどうか。従ってこれは解釈ではおそらく入らないと思うのですよ。かりに御答弁が入りましょうといっても問題が残ると思うのです。社会党の方でも案を出しておりますので、そのうち決着してきまると思うのですが、きまったあとにおいても、その点問題があるということで、将来の改正その他のことについては十分御配慮おき願いたい。特に公衆浴場が従来と違って非常に大きくなって参りましたので、その傾向顕著ですから、必ず問題が起きるということを十分御考慮おき願いたいと思います。
○長谷川委員長 本日はこれにて散会いたします。 次会は来たる十一月四日火曜日午前十時より連合審査会、連合審査会散会後に委員会を開会いたします。 なお明日は午後二時より理事会を開会いたします。 午後五時四分散会