商工委員会 第9号
- 発言数
- 185 件
- 登壇者
- 9 名
- 会派数
- 2
- 開催日
- 1958/10/28
会議録
○長谷川委員長 これより会議を開きます。 去る二十四日に付託になりました内閣提出の小売商業特別措置法案を議題として審査に入ります。 まず通商産業省の大島政務次官より趣旨の説明を聴取することといたします。大島君。 —————————————
○大島政府委員 小売商業特別措置法案について提案の理由及びその概要を御説明申し上げます。 まず、提案の理由について御説明申し上げます。小売商業が国民経済上きわめて重要な分野を占めていることはあらためて申すまでもありませんが、全国百数十万の小売商の大部分はいわゆる零細小売商であり、その数は年々増加する傾向を示し、同業者間の競争はいよいよ激甚となり、加うるに購買会等小売商以外の者の小売面への進出により経営の不振と不安定とに悩んでいるのであります。 政府は、かかる点に思いをいたし、小売商業について特別な措置をとりうるよう、第二十六国会において小売商業特別措置法案を提案いたしたのでありますが、第二十八国会において審議未了となりましたので、あらためて十分再検討を加えまして、このたび本法案を提案するに至った次第であります。 次に本法案の概要について申し上げますと、第一に、都道府県知事は、いわゆる購買会の事業活動が中小小売商の利益を著しく害すると認めるときは、その員外利用を禁止し、さらに必要があれば、その禁止を確保するため必要な命令を出し得ることとしたのであります。 第二に、消費生活協同組合は、消費生活協同組合法において行政庁の許可を受けた場合に員外利用を認めているのでありますが、この小売員外利用の許可申請があった場合におきましても、当該行政庁は中小小売商の利益を著しく害するおそれがあると認める場合には、許可を与えてはならないことにしまして員外利用を未然に防止するため必要な命令を発し得ることとしたのであります。 第三に、いわゆる小売市場につきましては、近年大阪、神戸、名古屋等の都市においてその乱立による過当競争が激化し、しばしば不公正な取引方法が用いられているのでありますが、かかる小売市場の乱立の根源をなしている市場業者による過大な家賃等の徴収を防止するため、まず特定の市においては、市場業者の貸付契約について都道府県知事の許可を要することといたしました。また市場内小売商の不公正取引について、都道府県知事及び公正取引委員会が必要な措置をとるための規定を設けることにいたしたのであります。 第四に、生産業者の直売行為、卸売商の小売行為等中小小売商の事業活動にかかる紛争につきましては、都道府県知事が、あっせんまたは調停を行うことといたしますとともに、必要があれば都道府県知事または主務大臣が紛争の当事者に対して勧告できることといたしまして、紛争の解決に万全を期したのであります。 以上述べました通り、本法案は、小売商の事業活動の機会を確保し、小売商業の正常な秩序を阻害する原因を除去するためのものでありまして、中小企業団体の組織に関する法律の円滑なる運用と相待って、中小小売商の経営の安定と向上とを期待するとともに、ひいては国民経済の健全な発展に寄与することを目的としているのであります。 以上が小売商業特別措置法案の趣旨でございます。何とぞ御審議の上、可決せられまするようお願い申し上げます。
○長谷川委員長 以上で趣旨の説明は終りました。 なお本案についての質疑は後日に譲ることといたします。 —————————————
○長谷川委員長 次に同じく去る二十四日に付託になりました水谷長三郎君外二十三名提出の商業調整法案を議題とし、審査に入ります。まず提出者より趣旨の説明を聴取することといたします。提出者松平忠久君。 —————————————
○松平忠久君 私は、日本社会党提案にかかるところの商業調整法案について、その提案理由を御説明申し上げたいと思います。去る二十四日本会議で永井委員から説明がありましたように、本日もまた永井委員より説明することになっておったのですが、やむを得ない事情で欠席をいたしますので、私がかわって簡単に御説明申し上げます。 わが国の中小企業の全産業の中に占むる事業割合と申しますか、その地位というものは大体九九・九%、従業員の数が八三・九%、出貨数においては五六%でありまして、きわめて重要な数字を示しているのであります。 今日の中小企業の悩みは御承知のように過度の競争とか金融難、税金高、原料高の製品安また施設の不備、技術の後進性、外貨導入の圧迫、アメリカの輸入制限とか、あるいは中共貿易の中絶など数え切れないほどであります。特に昨年以来の金融引き締め政策の影響は深刻でありまして、その多くは生存の危機にさらされている実情であります。しかるに政府の中小企業対策は口先だけで、当面の措置はもちろん、恒久対策のごとき、実効を期待し得るものはほとんどないといっても過言ではないのであります。二、三の立法措置は講ぜられましたが、しかし体系立ったものではなく思いつき程度のものにすぎなかったのであります。 また裏づけとなるべき予算化、あるいは金融措置などに至ってもほとんどございません。干天にしめりを渇望している気の毒な中小企業者に対して政府の与えようとしているものはほとんどない。しかもそれは逆に独禁法の緩和とか、輸出入取引法の改正とか、産業基盤の確立等の名による大企業への集中化であり、中小企業への犠牲であります。空腹にあえぎながらパンを求めている中小企業者に対し、石を与えるというがごとき冷酷なやり方に対しては政府もいずれの日にか思い知らされることを覚悟しておかなければならぬところであろうと思うのであります。 わが党は今日、中小企業の置かれた窮状をすみやかに打開するためには、この国会に独占資本の不当な圧迫の排除とか、産業分野の規制、金融、税制関係及び百貨店法、官公需の確保など、中小企業の振興をはかる一連の産業経済関係立法十余件を提案しております。さらに法律改正十余件、行政措置四十余件等を含めて中小企業対策を総合的な一貫した政策を推進しようとしておるのであります。要するにわが党の中小企業対策は常に、国の産業経済全体の中で考え、立法措置だけでなく所要の財政経済的裏づけを並行せしめその実効を期待しようとするものであります。そこでここに提案しました商業調整法はこれらのものの中の一つであることを御了承願いたいと存ずるのであります。 以下本法案の概要について御説明申し上げます。本法案の目的は卸売業、製造業と小売業の問、または小売業相互の間の業務分野というものを調整して適正な流通秩序を維持することによって一般小売業者を保護しようとするものであります。 今日、小売業者は、百貨店の新増設、あるいは大規模ないわゆる月賦販売、予約販売等によりまして不当な営業方法、大メーカーによるその製品のいろいろな手段によるところの安売り、また卸売業者による直接販売等によって、小売商の利益を著しくそこなわれておるのであります。 そこで本法案は、まず第一に、調整すべき業種と地域を商業調整審議会の意見に基いて主務大臣が指定することといたしたのであります。すなわち小売業の分野において、製造業者または卸売業者と一般小売業者間に競合が起り、一般小売業者の利益がそこなわれるような場合に、関係の業種、地域を限つて一般小売業者の適正な経営を確保しようとするものであります。業種及び地域の指定を行う理由は、不必要に消費者の利益を害することのないように考えてのことであります。この際小売業者の団体に指定の申請の道を開いているのであります。 第二に、この業種並びに地域指定があった場合、特別の事情がない限り、指定地域において指定業種につき製造業者、卸売業者の小売販売は新規に行うことを禁止したのであります。 第三に、このような禁止は新規開業のものだけでは不十分でありますので、既存の兼業者につき、指定地域内指定業種に属する小売業部門の設備、新増設その他経営規模の拡張をも禁止したのであります。さらに既存兼業者の小売活動が一般小売業者の存立に重大な影響を与える場合、これが圧迫緩和につき適切な措置をとるよう行政命令を出し得ることといたしております。 第四に、以上の規制に対して、大資本による脱法行為が予想されるので、これを予防する措置を講ずることといたしたのであります。たとえば東横百貨店における東光ストアとか、高島屋における高島屋ストアなどのごとく、資本的にまたは人的に支配する別会社を組織し、いわゆるスーパー・マーケット方式によって事業の拡張が行われている実例もありますから、この種の事例は、脱法行為とみなして行政命令によって排除措置をとり得ることといたしたのであります。なお百貨店関係の分につきましては、わが党はすでに本国会に提出しております百貨店法の一部改正法案の中で、百貨店法の脱法行為として規制を加えることといたしております。 第五に、公設または私設小売市場の新設拡張については、これを許可事項とした点であります。小売市場については、特に関西地方に見られるように、その乱立が目立ち、市場相互間並びに周辺の一般小売業者との関係、調整を要する事態となっております。そこで乱立防止に必要な地域を政令で定めて、地域内における小売市場の新増設を許可制としたのであります。この場合五大都市においてはその許可の権限を市長にゆだねた次第であります。 第六に、購買会事業の規制を行うことといたしました。いわゆる会社購買会による小売販売事業は年間一千数百億円に上り、その員外者利用は周辺の一般小売業者に重大な影響を与えているのであります。会社購買会は会社経営にとつて、その資金運営に寄与するばかりでなく、一方では労務管理にも利用されているのであつてその形態自体にも問題がありますので、わが党は別途、労働者の指導権による消費生協への組織がえを考えておりますが、ここでは当面、員外販売を禁止することといたしております。消費生協は購買会に比べて、売上高はその四分の一にすぎない微少なものであり、その組織は、労働者の正当な生活権に基礎を置くものであり、購買会とは同一に論ずるわけにはいきません。わが党は消費生協の存在意義を正当に評価し、わが国における小売事業活動の特殊な諸条件を考慮しながら消費生協に対し特に員外利用二〇%を認めるごとといたしました。 最後に、本法案の運用に重要な役割を果すべき商業審議会の構成については、小売業者代表、消費者代表の参加を法文に明記して、公正にしてかつ適切な運営を期待した次第であります。 何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決あらんことを御願い申し上げる次第であります。
○長谷川委員長 以上で趣旨の説明は終りました。 なお本案についての質疑は後日に譲ることといたします。
○長谷川委員長 公共用水域の水質の保全に関する法律案、工場排水等の規制に関する法律案及び水質汚濁防止法案の三案を一括して議題といたします。審査を進めます。質疑の通告がありますので、順次これを許可をいたします。松平忠久君。
○松平委員 公共用水の関係の法案に対して若干質問したいと思います。公共用水の確保の問題は、工場の発展あるいは鉱山の伸展ということによって、かなり広範な地域にわたって、漁民、農村等に被害を与えてきておる実情でありますけれども、私がまず伺いたいのは、この公共用水の面におきまして加害者側であるところの工場または鉱山、こういう方面において大体これをどういうふうに政府は一体分類しようと考えておるのか、すなわち化学工業関係の薬品による被害というものがあると思うのでありますが、他方においてはいわゆるパルプ事業のごとく物理的な影響を与えるものも中にはある。そのほか鉱害のようなやはりこれは化学というか薬品関係に関係を持っておる被害がありますが、政府は日本の工場、鉱山等を大体調査して、それを大別どういうふうに分類し、またそれをどういう方法をもって今日まで、その鉱害をあるいは工場の排水の被害というものを防いできたか、私は現行法においてどの程度これをやつてきたかということを伺つておきたいと思うのであります。それによって、この法律を将来カバーしていくために、しからばどうやつて規則を補つて直さなければならぬかということも出てくるわけであります。従ってまず第一に、それらの工場並びに鉱山等の被害の実情というか、それを分類し、さらにそれを今日まで防いできたところの現行法規について、その運営面はどういうふうに行われておつたかということを質問申し上げたいと思います。
○花園説明員 説明申し上げます。ただいまの御質問は二つに分れると思います。一つは汚濁の種類というものを、どういうふうに当局は分類しておるか。つまりそれぞれの産業に応じて科学的、物理的または生化学的ないろいろな汚濁の実態があるはずだが、それは一体どういうふうに分類しておるのか。もう一つはそういうものに対してこれまでの統計においてどういうふうな対策を講じて参つたかというその問題と了承してお答え申し上げます。 まず第一に汚濁の種類でございますが、これは農業あるいは水産業、それぞれ被害をこうむります産業別にいろいろある。また加害者側においていろいろある。これは産業別にあるわけでございますが、これを政府側といたしましては産業別分類という格好ではなく、汚濁の種類によってこれを統一して対策を講じて参りたい、かように存じておるわけでございまして、たとえば水の濁度——濁度と申しますと、これはその中に泥その他のようなもので濁りを生ずるのが濁でありますが、その他汚度と申しますと、あるいは大腸菌でよごれておるとか、あるいはいろいろの汚物の結果、一っの水のあり方としては、その水が当然保有しておらなければならぬ酸素の量が非常に変化して参る。従って水産業に必要な酸素量が確保し得ないということのために、酸素量をこの程度に保っておきたいというふうな考え方で、よごれ方を考えるというような分類を考えておるわけであります。 それからこれまでいろいろな産業につきましては、たとえば鉱業関係につきましては鉱業法なり鉱山保安法、また下水道に関しましては下水道法、それから水産業に関しましては水産資源保護法、それから水洗炭業につきましては水洗炭業法、こういった法律におきましてそれぞれの法律別に目的を立てて、防止に当っておるわけであります。しかしながらもちろん河川法のように、基本法として河川の清潔全体を保持すべき法律もございます。そういう法律がこれまでそれぞれ制定もされ、運営もされておったわけでございますが、それぞれ必ずしも十分な成果をあげておらぬというのが実態であったと存ずる次第でございます。それにつきまして今般提案いたしました法律は、そういったそれぞれの目的を持った法律に対する基本法として、それぞれの法律が準拠すべき道を設けて参りたいとうい趣旨のものでございます。
○松平委員 そういたしますと、今までの法律では不備であったから今度は基本法を作るのだ、こういうような今御答弁であったわけであります。そこでお伺いしたいのは、これまでの法律はどういうところが一体不備であったのか、あるいはどういうわけで運営がうまくいかなかったのか、そういうことを伺いたいと思います。
○大堀政府委員 従来の法律は鉱山の関係は鉱業法あるいは水洗炭業の関係については水洗炭業法、下水道の関係については下水道法、それぞれございますが、下水道法につきましては下水道の構造、その他建築に関する下水道全般のことに関係して水質の問題が規定されておるわけでございまして、水の汚濁の問題についての全体の水準なり、全体の方向が統一されておりませんために、具体的には水産の問題その他の問題が出ました場合に非常な混乱が生ずる、こういった行政全体としての統一的な運用が行われていないという点に問題があったのであります。
○松平委員 工業の中でも特に悪い影響を与えるような廃液を流す産業があちらこちらにあって、問題を起しておったわけであります。たとえば亜硫酸が出てくるとか、そのほか化学工業においてもいろいろな廃液が出てくる、こういう産業については、そういう廃液を流してはいかぬという取締り法規がなかったわけですか。その個々の産業については。
○大堀政府委員 工業につきましては従来直接これを取り締る方法はなかったのであります。
○松平委員 そういたしますと、たとえば江戸川のような場合におきましても、あるいは静岡県下における各製紙業者等においても、従来いろいろな漁民等から苦情が出ておったが、そういうことをやっておる工場主は廃液をどんどん川の中に流しても海の中に流しても、全然これを取り締る方法はなかったのですか。
○松尾(金)政府委員 ただいま大堀局長から御説明いたしましたように、いわゆるインダストリーの工場につきましては、そのための特別の取締り法規は従来なかったのであります。ただ鉱山につきましては御承知のように、そのための鉱山保安法があってそれができ得るようになっておりましたが、工場につきましては国の法律ではなくして、ただ二、三の場所において、いわゆる地方の条例によってそのような取締りが一応できるようにはなっておったと思いますが、条例には取締りにっいておのずから限度があるわけでありますので、従来これについては実際上特にそのような法律をもって強制するような取締りの対象にはなっていなかったという事態にあったわけであります。
○松平委員 そういたしますと、そのために被害を受ける漁民とか農民には別に求償の制度もなかったというふうに了解されるわけでありますけれども、そう解して差しっかえないわけですか。そのために漁民、農民が非常に困って、漁獲高が減ったという場合に、それを求償する権利は漁民も農民も全然持っていないことになる。そうすると、たとえば江戸川等においてああいう騒動が起ったという場合には、当然漁民、農民というものは被害をこうむりっぱなしでよいのだ、工場をやっておる方の人は何の落度もない、違法でも何でもない、こういうことですか。
○松尾(金)政府委員 ただいま申しましたように工場に対しましては、直接に国の法律で、そのようなことを汚水の防止について強制する法規はございませんでしたけれども、実際問題としましては、もちろん工場として外に大きな迷惑をかけるような汚水を流すことにつきましては、当然自分で相当程度その汚水の処理にっいては努力をしておったわけであります。しかしもちろんそのような努力が従来必ずしも十分ではなくして、御承知のようにいろいろ各地でその汚水問題について地元と紛争が起きた事例はあるのであります。そのような事例になりますれば、当然工場といたしましては、被害者側からこれに対する損害補償の要求が出る場合もありましょうし、あるいは損害補償の要求と相応じて廃水の処理、このような被害の防止について双方の話し合いが行われて参ったと思いますが、そのような点は損害賠償については、最終的には民法上の損害賠償請求に来たと思いますけれども、その以前におきまして、実際上の双方の話し合いでこの問題が扱われてきたというような状態に、工場としては置かれておったという状況であります。
○松平委員 そういたしますと、これは今まではきわめて不備であったわけであります。何らの特別立法もなくて、そうしてただ民法上の損害賠償を受けるということで処理されてきた、こういうわけでありますが、今お聞きすると工場主の方でいろいろ考えて、自発的にそういう汚水防止の措置を講じておったというわけでありますが、通産省はそういう問題に対しては何らかの行政指導等によって、これはある程度廃液は流してはいかぬとか、あるいは薄めて流せとかいうようなことはおやりにならなかったわけですか。
○松尾(金)政府委員 従来この工場廃水、汚水の問題について、これの処理にっいて一番むずかしかった点は幾つかあると思いますけれども、まず第一には先ほど大堀局長からも御説明がございましたように、そのような汚水の取締りその他をやるについて、一体どの程度の汚水について扱うかという、いわゆるこの法律でいっております水質許容基準というような、扱いのものさしがなかったという点に一番問題があったと思います。しかし各工場は従来も事実上そのような汚水処理を放置した状態で経営がうまくいくわけはございませんので、不十分ながらできるだけそのような汚水処理その他をやって参ったと思います。それに対しまして通産省としましては、そのような出て参ります汚水なり廃水にっいて、その処理の技術をどのように扱うかという点に非常に問題があったわけであります。この点につきましては従来通産省といたしましては、いわゆる通産省の試験研究所において、そのような処理技術の研究もいたして参りました。また民間のそのような試験研究機関に対しましても、汚水処理施設の研究にっいて相当の補助金を交付する等によって、まず汚水処理技術の進歩なり発展について従来特に努力して参りました。そのようなことで、汚水処理技術がだんだん進んで参りますと、工場としては、いわゆる工場の経営採算等をあわせ考えまして、それ相当なできるだけの汚水処理をやってきたという実情にあると思います。なおそのほかに、従来そのような汚水を出します工場が、特にある地域に密集しておりまして、しかもその密集しておる工場が比較的大規模な工場でありますれば、相当程度までは自分の能力で処理排水等もできるのでありますけれども、それが特に中小工場の密集地帯等でありますと、そのようなことを自分の力ではなかなかやりにくいというような事態に対しましては、従来国として、いわゆる共同排水の施設を、いわゆる公共事業費の一部で実施をして参りました。従来そのような処理技術の研究と、また中小工場の排水等については若干の共同排水の国の援助、さらには先ほど申しました事実上の行政指導で、このようなことを進めて参ったという実情にあったわけであります。
○松平委員 そうすると試験研究機関、あるいは事実上の行政指導で今までは各工場等について指導してきた。こういうような御答弁であったと伺っておきますが、事実上の行政指導というのは、あなた方は何によってやってきたか。一体どういう法規もなくて、何に基いてこれをやっておったのですか。基準というものもない。ただ常識的に行政指導をやっておったのかどうか。一体何に基いてそういう事実上の行政指導を、どういう根拠に基いてやっておったのですか。
○松尾(金)政府委員 先ほども申したと思いますけれども、鉱山につきましては法規の根拠があって、そのようなことができたわけでありますけれども、工場につきましては従来はっきりした国の根拠法規がございませんので、今申しましたような技術の研究でありますとか、やむを得ない部分についての援助ということをやって参ったという程度のことで、それ以上の点は従来各工場の自主的な措置にまかされておったというのが実情であると思います。
○松平委員 そういたしますとお聞きしたいことは、今までの工場廃液等によって、直接あなた方が事実上の指導をしたり、あるいは紛争を生じた場合において県等においてあっせんとしたこと以外の、つまり通産省の直接これにタッチしてあっせんしたという事例はございますか。あったら幾らぐらいありますか。
○松尾(金)政府委員 従来今御指摘のありましたような廃水等の問題についての紛争事件は、各地に相当たくさんあったと思いますが、その大部分は現地において、その府県知事なり何なりで事実上の解決をしていただいておった。ただ鉱山につきましては先ほど申しましたように、すでに根拠法もございまして、現地と言いましても実際上は大部分の場合、いわゆる通産局長が現地であっせんその他の解決をはかったというような実情にあったわけでございます。
○松平委員 もう一つお聞きしたいのは、この法律というものは大体公共用水をこれ以上汚濁させない、こういう趣旨にできておるように思うのですが、そういう趣旨ですか。
○大堀政府委員 公共用水を現状以上に汚濁させないということが主体でございますが、現状が著しく悪いという場合には多少これを改善していくということも含んでおるというように考えます。
○松平委員 そうしますとそれは水質基準といいますか、それによって一体どこが悪いかということを調べるわけなんでございますが、それはどこの水が水質基準に合わないかということを、まずピック・アップしなければならぬと思う。たとえば江戸川がいかぬとか隅田川がいかぬとか、あるいは大井川の下流がいかぬとかいうことをピック・アップしなければならぬが、そのピック・アップする基準は何によってするのですか。
○大堀政府委員 これは今度御審議いただきます法案の第四条に規定してございます条文がありますのですが、これは河川個々についてやはり産業の分布状況でありますとか、被害産業、水産業その他の現状、その他やはり個々に非常に事情が違うわけであります。そこで全体の観念といたしましては、現在の当該水域の水質の汚濁が原因となって関係産業に相当な損害を生じている、もしくは公衆衛生上看過しがたい影響を与える場合、またはそのおそれの高い場合、こういう場合に限って水質基準を設けることができる、こういう法体系になっております。あまり極端な例で、私どもよくお話に出るのですが、隅田川に白魚が住む程度まで水質基準を上げるということは、この目的以上でありまして、そこまでは考えておりません。
○松平委員 私の聞いているのは水質基準を調べなければならぬけれども、一番初めにどの川をあるいはどの地域を調べるかということは、どうやってピック・アップしていくのですか。たとえば淀川だとか。あるいは隅田川だとかいう場合において、どの川の水をまず調べるのだということはだれがきめるのですか。まただれが調べるのですか。それはごたごたが起きたところだけの水を調べるというのか。あるいは全国河川のうち工場地帯の河川の水を全部調べるというのか。そこはどういうことなのですか。
○大堀政府委員 やはり水質を調査いたしますにも相当な技術的な調査が要りますので、スタッフの関係で、全国一せいにやるわけではございません。私どもの考え方としましては、全国の各河川のうちで特に今日問題の多い、この意味からいっても重要な河川というものをピック・アップしていく。それは企画庁の長官が決定するわけでございますけれども、今度できます水質審議会に諮りまして、各関係方面の専門家の意見も十分伺いまして、設置して参りたいと思います。例示的に申し上げますと、関東地区の江戸川あるいは関西の淀川あるいは中部地区では木曽川、九州では遠賀川、あるいは北上川、石狩川というようなところが当面第一次に取り上げられる地点じゃないかというふうに考えておるわけであります。
○松平委員 今お示しになったような川は従来からごたごたが起きていた。それで問題を起した川であるから、そういうところはすぐ水質検査をするということは考えられるけれども、そのほかにもずいぶんそのおそれのあるものがあろうと思うのです。工業の発展によってどんどん出てくると思うのです。それはどうやって取り上げるのか。だれかが騒がなければ取り上げないというのか。あるいはあなた方の方でシラミつぶしにどの川の水でも、工場が少し密集していれば、その川の水を取り上げてすぐ水質検査をするということになるのか。そこはどうなっているのですか。
○大堀政府委員 やはり問題がありますところは、自然に水質が汚濁しているから問題があるのだと思いますが、それ以外に専門的な見地から多少、初年度は六河川にいたしましても、二年度以降、三年度、四年度と逐次やって参るわけであります。それらのどこをよっていくかということについては、やはり実施期間において直接調査もいたして参ることであろうと思います。
○松平委員 その実施機関というのはあなた方でしょう。その実施機関はどういうことを考えておるのか。問題が起きたごとにやっていくのか。あるいはシラミつぶしにだんだん日本の北から南の方へやっていくというのか。そこらの考えはどうですか。水質基準をきめる場合に、どの川のどの水域の水をまず取り上げていくかということはどういうふうにお考えになっているのですか。
○花園説明員 ただいま御質問の趣旨の、つまり全国いずれの川も実は調べて参りたいわけでありますが、そのうちでどれを実施区間として系統立って調査をしていくか、ピック・アップしていくかという問題になるわけだと存じますが、これまでのすでに問題の起きておる川というのが、お手元に差し上げました資料でもわかります通り相当多数にしっておる。従ってその川が一方技術者陣営のただいまの不足の状態から申しましても、当面予算の関係もありますが、一年に六河川程度しか調べられない。これは一つの川の渇水期から豊水期まで、一年間あらゆる条件を精査して参るわけでございますので、当初においては一つの川を調べるのでも着手早々でございますから、相当ひまがかかるわけでございます。そういうわけで当初六河川程度のものがやっとこなせる状態だというのが数年続くといたしますれば、ただいまのところ問題の起きておる河川というやつを取り上げて整理して参るというのが実は精一ぱいなんです。それでは問題の起きている川をどの順番に取り上げていくつもりかということにつきましては、これは水質に関しまして、それぞれ関係省におきましてあの川はどうもいかぬというふうに認識をしておる川があるはずでございますので、それは水質審議会において、それぞれの関係省の意見を拝聴しましてきめて参ることになるかと思います。
○松平委員 ただいま聞いているところによると、一年に六河川くらいしかせいぜいできない、しかもそれも一つの川だけでも二年もかかる、一年だけではだめだということになりますと、およそ日本の工業地帯を流れている川の水質検査は二十年もかかるのではないかと思う。そういうなまぬるいことで、あなた方は考えておるのかどうか。問題の起っておる川ですら、江戸川一つにしても焦眉の急ではないかと思うのですが、それを調べるのに二年もかかる、こういう考え方を持ってやられたんでは、とんでもないことになると思うのですが、そこらは水質基準というものを早く作って、これはこうしろ、ああしろというふうに行かなければ問題の解決はあまりにもゆうちょう過ぎる、こういうふうに思うのです。そこであなた方の計画としては、およそ工場地帯における日本の川の水質基準というものをきめるのに、一体何年かかるのです。
○花園説明員 ただいま御指摘の通り、日本として実は先進工業国と比較しまして実におくれておる次第でございますけれども、初めての問題、新しい問題であるという意味におきまして、この関係の技術者が比較的今まで養成されておらなかった。またこの水質基準の設定に関する資料の収集等につきましても、これまではなれておりませんので、当初はせいぜいその程度から始めるということを申し上げたわけでございますが、その間におきまして逐次技術者の増員養成を考えますと同時に、また一方非常になれて参ります。また一つの川をやった経験によりまして、大体どの程度の河川につきましては、逐次、普遍的に水質基準の考え方にこれを援用して参るということもできるわけでございまして、これは累年調査河川というものは増加して参ることができるかと存ずるわけでございますが、同時に御指摘の通り現在工場関係のある、また紛争を生ずる河川というものは、先刻お手元に差し上げました資料の通り数十カ所あるわけであります。それにつきましてはできるだけすみやかに問題のある河川だけはやっていきたい、従いまして少くともただいま私の説明の違いで、二年というふうに御印象をつけられたように思いますが、調査自体は一年、その後の整理で大体半年くらいかかるわけでございます。従いましてそういった年数がかかるものであるけれども、逐次これの処理を早めまして、少くとも四、五年の間には問題のある河川について調査を完了してしまうということを、実は各省の了解でとっておるわけでございます。
○松平委員 そうすると四、五年の周は工場は流しぱなしでしょうがない、こういうことですか。
○松尾(金)政府委員 御承知のように従来このような問題につきまして、工場についての法律の措置が不十分な場合、法律の措置がなかった場合でも、工場は御承知のようにすべて水をきたないまま流しておったわけではございません。工場としてもある程度、あるいは相当程度、必ずしも十分ではないまでも、それだけの処理なり、配慮はしておったはずだと思います。しかしその点が従来必ずしも十分でなかったから、このような立法措置を必要とするに至ったのであると思いますが、今御指摘のございました指定水域がきまり、さらに水質基準がきまって、その指定水域の水質基準に合うような法律の本格的な運用に至るまでの間は、一体どうするのかという御質問であろうかと思いますが、この点につきましては、工場排水法におきましても、第三条におきまして工場からきたない水を流すような種類の工場につきましては、その施設の指定をいたしまして、そのような指定設備を持っておる工場は、その工場自身がその水の水質の保全について汚水の処理を適切にし、また水質の保全に心がけねばならないという意味の義務規定が第三条にうたわれております。さかのぼりますと、基本法の第二条にも、やはり水質保全について一般的な義務の宣言規定があるのでありますが、さらにこの工場排水法の第三条におきまして、特定施設を持っておるものは水質の保全に心がけねばならないという宣言規定を置いておるのであります。さらにこの法律の第十五条によりまして、特定施設を持っておるもの、つまりきたない水を流すことの予想されるような工場につきましては、この十五条によって、主務大臣はその特定施設の状況、汚水等の処理の方法あるいは工場排水等の水質に関して報告を徴収できるようになっておりまして、この十五条の規定によりまして、そのような工場からは早くその実情の報告をとって実態把握をしまして、その実態把握に基きまして、できるだけの行政指導をやっていく。また同時にその行政指導の際には、汚水の処理についての技術的な援助なり、あるいは必要な資金援助等も考えて、本格的な法律運用の以前におきましても、主務大臣は工場についてできるだけの行政指導をやっていきたいということを、この法律の建前にいたしておるわけであります。
○松平委員 しかしそういった行政指導も、結局指定水域は、水質の基準というものがきまらなければきまらないと思うのです。それをきめるのに一つの河川でも二年かかるというのだから、そうしますと二年後でなければ、そういう行政指導ができないということになると思うのですが、どうですか。
○松尾(金)政府委員 ただいま申し上げましたのは、指定水域がきまり、そこの水質基準がきまる以前においても、いやしくもこの法律でいっております特定施設、つまりきたない水を流すおそれのあるような生産設備を持っておるものに対しましては、その場所のいかんにかかわらず、十五条による報告徴収ができるようにしてございます。さらに第三条におきまして、そのような施設を持っておるものは、すべて水質保全の一般的な義務を課せられておりますので、その双方の規定の運用によって、指定水域、水質基準のきまらない以前においても、行政指導ができるような足場を、法律上用意をしておるという考えであります。
○松平委員 それではその指定水域がきまるまでの間に、暫定的措置として特定の施設に対しては行政指導ができる、第三条ともう一つの第十五条に、そういう規定があるというのですが、第三条は宣言規定であって、これは常識でそうしなくちゃいけないということであって、これは大したことはない、そんなことは今までと同じことだ、指定水域がきまるまでの間の暫定措置として通産省がやると、今あなたがおっしゃったことは、これは工場に対する義務規定としてこれをやっていくのですか。もしそれに違反したらどういう措置をとるのですか。
○松尾(金)政府委員 この法律の建前は、やはり指定水域がきまり、水質基準がきまったその上において、この水質基準をものさしにして、法年上の強制をし、またその強制に従わなかった場合には、罰則をかけてまで強制をするという仕組みになっております。そのような本格的なものさしができる以前におきましては、罰則をもって強制するような施設の強制は、法律上できないことはやむを得ないのでありますが、先ほど申しましたような規定の根拠によりまして、罰則による強制ではございませんけれども、行政指導ということで、できるだけの行政指導をやっていく考えでありますが、事実問題といたしまして、それぞれの工場は当然その付近の、いわば社会的環視のもとで作業をしておるわけでありまして、そのような行政指導に服さないで勝手にきたない水を流しっ放しというような状態では、とうていその工場の経営も周囲の状況から事実上うまくいかないわけであります。工場自身もおそらく適当な合理的な行政指導には従って、排水の処理も行われていくであろう。ただそれを法律で罰則をもって強制することは、やはりはっきりした水質基準がきまるまでは、法律の建前からはむずかしいというような実情にあるわけであります。
○松平委員 そういたしますと、結局二年の問は相手の良心に待つということでやっていかなくちゃならぬ、こういうようなことであったように思うのですが、その場合、罰則はやらぬけれども、あなた方の方でそういう工場に対しては、銀行の方に話して金を貸すことをやめろというようなことを言ってみたり、あるいは新聞に大きく広告を出してたたくなり、そういった何か適切な方法というものはお考えになっておりますか。行政指導の効果を十分ならしめるための措置、どういうことをやって行政措置の万全をはかっていこうと考えているのですか。
○松尾(金)政府委員 先ほど申しましたように、工場自身がそこからきたない水を出すといたしますれば、当然その周囲に迷惑を及ぼす、また周囲もそれに対して当然これを見守っているわけであります。工場自身が野放図にきたない水を流すことは、すでに現在の社会通念からは、そう容易に許されるはずはないのであります。工場自身もその点は十分意識して工場運営をやると思います。その際に、今申しましたような行政指導なりそのような考え方で、工場の汚水を処理したらどうかというような指導がありますれば、それを全く無視してやるということは、少くも工場の実情からいって、そのようなむちゃな通常をすることは私どもはないと思います。しかしそれについて特別に今例としておあげになりましたような方法をとらなくとも、実際上の運営で完璧とはいかなくても、相当程度いけるというような考え方に立っているのでございます。
○松平委員 しかしそれはやはり騒いで反対運動なんかが起ってから、工場はそういうことをしなくちゃならぬことになるのが大体の例なんです。ことに中小企業なんかはそうなんです。金もないし、従って今あなたが言われるような工合に、常識的に工場自身が考えて、はたが騒ぐからやらぬだろうと、こういうふうにお考えになるのは私はどうかと思う。今の資本主義の世の中では、なるべくよけいなところへ金をかけずにもうけたいというのが、一般の産業のあり方なんです。だから迷惑はかけつぱなしでよいんだと、この考えでみなやっておるわけなんです。だからその点は工場を経営したり、産業をやっている人は——ことに中小の場合におきましては、良心的にほかに迷惑をかけないように仕事をしていくんだというような考え方の者は、日本人の中には遺憾ながら少いのです。道徳地を払っておるわけです。だからなまぬるい考え方で、指定水域というものがきまらない間の行政措置を、そういう仕方でやっていこうとすることは、今の状態とあまり大差はない、こういうふうに見ておるわけであります。今勝澤君その他が見えましたから、順番に従って質問をやっていくわけでありますから、私は以上で質問を終ります。
○長谷川委員長 勝澤芳雄君。
○勝澤委員 私はまず最初に、水質汚濁防止という問題に対する政府の基本的な考え方について大臣にお伺いをいたしたいのでありますが、この法律を見てみますと、数年来の長い懸案であった水質汚濁に対する政府の考え方があまりにも独占資本、大企業ばかりを擁護する立場に立って——通産省は加害者の代表ですから、そういうお考えになるのは当然だと思うのです。しかし数十年来漁民あるいは零細農民というものはこれで苦しめられてきておる。しかしこの際根本的にこれらの対策というものを考えていかなければならぬ、こういう立場からこの法案というものができ上っておると思うのですが、この問題に対する基本的な考え方、こういうものについて大臣の御所見を承わりたいと思います。
○高碕国務大臣 一国の産業発達の過程におきましては、第一次産業つまり農業、水産業がおもなるものでありまして、それが順次工業方面に伸びてくる。そういう順序をたどってくるわけでありますが、現在のわが国の状態から申しまして、面積が狭いところに農業は十分にやっていかなければならぬ、また水産業はやっていかなければならぬ、そこにまた新しい工業が伸びてくる、こういう状態でありまして、この間の調整をどうするかということは一番重大な問題でございます。工業が起らないという場合には農業、それから水産業というものは何ら危害を加えられないと思いますが、工業が大きくなればなるほどそこにいろいろな制約が加わって参りまして、いろいろな問題が起ってくる。特に工場から出す汚水だとか、あるいはガスだとかいろいろなものが、その付近における天然産物に対して危害を加える、こういうことでありますから、これをどういうふうに調整するかということは、今日一番の重大な問題だと存ずるわけであります。そこで農業と水産業からいえば、はっきりいえばもう工業なんか起ってもらわない方がいい、こういうわけでありますけれども、それじゃ国が立っていかない、それじゃどういうふうに調整するかということは、工場から出る廃水だとかガスなんというものは、できるだけ工場内において処理をして、そうしてその危害を農業なり水産業に加えないようにするということが考えられなければならぬ問題だ、こう思うわけであります。そこでそれはあまりに生産原価が高くついて、つまり工場に対する排水その他の危害防止のために非常な費用がかかってしまうので、その事業が成り立たないということになれば、これまた一方から一つ考えなければならぬ、こういうことでございまして、そこでどういうふうな基準をもってこれを抑制すべきかということは、今日排水する水がどの程度の水質の基準かという、そのものさしをきめなければならぬ。これを早く作る必要があるということを痛感した次第でございまして、ここにできるだけ多数の人たちに寄ってもらって、汚水というものの基準をきめるということを早く実行に移したいと思うことが一つでございます。もう一つは将来日本の全体から考えまして、どの地域に工業を発達せしむべきか、いわゆる工場地域というものを考えなければならぬ。そういう点から考えまして、現在あるものはもちろんのことでありますが、将来等も考えまして、その地域における淡水——これは工場であるといたしますれば、どうしても今後の工業は用水ということが非常に大事でございますから、その工業用水を得た結果、これがどういうふうな危害を加えるかという、その地域等についても工場立地条件等からよく考えていかなければならぬ。まずもちまして水質汚濁の基準をきめることと、もう一つはどの地域に日本の工業を伸ばしていく必要があろうかということから考えまして、指定地域ということをきめる必要がある。この二つは政府の役人だけの力ではだめだ、できるだけ衆知を集めて、そうしてその審議会をもってこれをきめてもらうことにしたい、こういうふうに考えておるわけであります。単に今日は淡水の問題だけ、つまり河川の問題だけを論じておりますけれども、引き続いてこれが海水に及ぼす状況等につきましても、日本の水産業というものの立場から考えまして、今後考えていかなければならぬ、こういうふうに思っております。
○勝澤委員 三十二年の十二月の産業合理化白書によりますと、産業活動に伴なって工場、事業場等から排出される廃水や廃液、排ガス、煤煙等によって生活環境を汚染し、あるいは他産業に影響を及ぼしている、一部には紛争が起き、政治問題に化している、そしてまた工場側は中小企業も多いし、あるいはまたこの紛争のほとんどが零細な漁民、農民である、こういうふうに産業合理化白書には書かれております。ですからこの通産省で出された産業合理化白書の立場から、今回の法律は出されているとするならば、やはり法案の考え方というものは、積極的に水質を保全しなければならぬ、そうして工場に対してそういう除外設備もさせる、こういう立場で、この法案はできていなければならないように思うのですが、どうも水質を積極的に保全するのだという考え方でなくして、紛争が起きたときに何とかおさめればいいのだ、こういう考え方に立たれているように思うのですけれども、その点いかがですか。
○高碕国務大臣 それは間違いだと思います。紛争を処理するということは、これは結果でありまして、問題は水質をいかにしてよくするか、水質をよくすることによって、あまりにその生産原価が高くつくということは困るから、どの程度にそれを調整するかということが問題でありまして、紛争を処理するということだけではありません。
○勝澤委員 二十六年の一月に、経済安定本部の資源調査会から水質汚濁防止に関する勧告が出されておるわけであります。この勧告がなされて以来今日までなおざりにされ、ようやく江戸川問題を中心にして今日こういう法案が出てきた。しかし基本的に二十八、二十九国会と、社会党は独自の立場から水質汚濁防止法というものを出してきた。これに刺激されて政府もやむを得ず、こういうものを出してきたのじゃないか、こんなように思うのでありますが、二十六年一月に経済安定本部の資源調査会から、当時の安本総裁の吉田茂に出されたこの水質汚濁防止に関する勧告を、どういう立場で今回の法案の中に生かしてきたか、あるいはまたこれをどういうふうに今日まで政府は対策の中に取り上げてきたか、こういう点について一つ御説明を賜わりたいと思います。
○大堀政府委員 ただいまのお尋ねの点でございますが、水質をきれいにするという問題につきましては、この報告にもございますようにかなり理想的に考えておる、また考えなければならぬ面もあるわけでございますが、現実の問題といたしまして、私ども今日まで数年間この問題がなかなか結論を得なかったという実情につきまして、結局加害者側になります工場なり鉱山なり、あるいは下水道なりの加害者側の立場、それから被害を受けます水産関係、農業関係、上水道の関係等いろいろございますが、加害側、被害側いずれの面から見ましても、なかなか利害が相対立しておりまして、今日までこういう状態で参りましたのを、一挙に水を理想的な状態によくしようということは、現実からいってなかなか困難な現状であります。われわれとしましては、この問題に関して一歩前進して、逐次いい方向へ持っていこうという考え方で今日得ました結論が、ようやく各関係方面の意見を総合いたしまして、妥協をして得ましたことでございます。従いまして理想の面から申しますと足りない点も多々あるかと思いますが、私どもは今日スタートの段階としては、この辺でまず一歩前進するということでやりたい、かような考え方で法案を作ったわけでございます。
○勝澤委員 利害が対立しているので、なかなかそれを調整するのに困難である。そこで、そういう立場からこの法律を見てきますと、なおさら各省の寄せ集め細工ででき上った法案だ、こういうふうに見られるわけでありまして、そういうふうに見た場合に、この法案を作成するに至った過程を、簡単に一つ御説明願いたいと思います。
○大堀政府委員 これは御承知のように数年間もみ合っておったわけでございます。実は前通常国会に提案するところまで、一応こぎつけたわけでございますが、その際にも最後の段階で意見がまとまりませんで、今日まで持ち越されたわけであります。経緯と申しましても、私どもの経済企画庁が総合調整の立場で各省間の意見を調整して参りまして、五月九日に閣議了解をやって、それに基いて企画庁におきまして法案の作成にかかって今回ここに提案しております法律案に相なったわけであります。私どもはやはり現実に即して、あまり一挙に過ぎますと、たとえば工場につきましても中小工場がたくさんありますし、中小工場に一々この設備を作るということになりますと経営が成り立たなくなる、そういう場合はむしろ下水道設備を整備していくことによってそれを救っていく、そういうふうにやっていかなければならぬ、そういう面もございまして、必ずしも一挙に理想的な考え方で、この制度を作っていくということよりは、今日まで、極端な言い方をすれば二千年間ほうって参ったことでございますので、逐次改善していくよりないのではないか、かような考え方で一歩前進ということで、この法案を出したわけであります。
○勝澤委員 政府の考えている、自分に、あるいは大企業に都合のいい法律というものは少しの反対があっても、どんどん押し切って作っていく。あるいは警職法の問題を見てもその通りだと思うのです。あるいは独占禁止法を改正するためには、独占禁止審議会を設けて諮問を行なって、その答申を求めているが、独占審議会のメンバーを見てみると、カルテル友の会といわれるようなこういうものを作って、政府の意図する方向で法案を作るために答申を得てそれに沿って法律を作っている。しかし政府が作ったこの水質汚濁防止に関する審議会では、二十六年の一月にあらゆる立場から総合的に、根本的に先進国に負けないようなものを作ろうという立場で、こういうものを出されておるけれども、何もそれが取り入れられていない。そういう点でこの水質汚濁の問題については、鉱工業関係から強い反対があって今日まで実現しなかった、こういうふうに私は聞いているのですが、その点いかがでしよう。
○大堀政府委員 私どもは鉱工業関係だけに限らず、やはり下水道の問題を取り上げましても、現実に下水道を整備するというのは相当な予算もかかりますし、なかなか困難でございますが、やはりこの際下水道工事を根本的に進めていかなければならぬという考え方は、今回の法案提案と同時に相当政府の内部でも真剣に検討されておる問題でございますけれども、下水道の問題にいたしましても、あるいはそのほか事業場の現状からいたしましても、業界の反対とかなんとかいうことだけではなく、あまり最初から理想的な段階にいきますことは妥当を欠くのではないか、工場にいたしましても中小工場等の問題もございますので、中小工場あたりがこの設備を強制することによって、あるいは事業が成り立たなくなるというようなケースもございますので、そういった場合はむしろ下水道でやっていかなければならぬということもございましたり、いろいろな見地がありまして、今回のような法案を提案いたしましたような次第であります。
○勝澤委員 下水道の話ですが、この下水道はこの法案の中から除かれているのではございませんか。
○大堀政府委員 下水道につきましては、下水道の出口で、水質基準で縛っているのでございますが、やはりこの法案によって水質基準が定まりました場合には、その下水道管理者において、下水道の出口に浄化設備を設けなければならぬということに相なるわけであります。
○勝澤委員 この法案に対しては、社会党から二十八国会と二十九国会に出されているのは御存じの通りでありますが、政府案と比べた場合にだいぶ大きな違いがあると思うのです。これに対する考え方は大臣どうですか。
○大堀政府委員 大きな点で数点違いがございます。今ここで個々の問題について比較を申し上げるのは適当かどうか存じませんが、一つの点は実施の機関について、社会党の提案では行政委員会を設置し、また地方にも支局を作って、相当大きな体制でやっていきたいという考えのようであります。私どもの考え方におきましては、さしあたり経済企画庁の一つの仕事として実施することになっております。私ども調整局でございますが、調整局の仕事の一部としてやることになっております。考え方といたしましては、これは相当な仕事でございますので、私どもも調整局の一部の仕事としてやって参り得る仕事ではないと考えております。これについてはやはり相当な陣容を整えなければなりませんが、現在考えておりますのは、水質保全部といったようなものを設置いたしまして、執行機関を作って、実施に当っております各省の行政を総括調整いたしまして、水質基準の設定及び審議会の運営を担当していくというふうに考えているわけでございます。この点が社会党提案の行政委員会と違っているわけであります。私どもはこの点につきましては、現在下水道は下水道所管の建設省、上水道は厚生省、あるいは工場、鉱山につきましては通産省、水産業については農林省、それぞれの所管行政に対応して、この水質の問題をあわせて執行しておりますので、現在これを一括して一本の行政でやるということは現状から見ていかがか、やはり各省の実施機関において実施をしていただきまして、この全体の総括調整及び水質基準といった基本的な面だけを、内閣なり別個の総合機関で実施する方がいいのではないかという考え方で、企画庁でこれを取り扱うことになっております。この機構につきましては、私の今言った水質保全部といったものを考えて、折衝いたしているわけであります。 第二に、指定水域の指定の仕方、水質基準の設定の仕方について違いがあるように思います。社会党の御提案の法案によりますと、指定区域を定めまして、その後に今度は流れ基準をきめる。そのあとで放流基準をきめていく、こういう非常に整備された段階で書いているわけであります。私どもの提案の書き方は、指定水域を定めまして、同時に水質基準を定めるという法案になっております。私どもの考え方は、水質基準がきまりまして、これに基いてそれぞれの行政機関がその水質基準によって行政を実施する。たとえば今度提案されております工場排水法によりますと、この水質基準に基きまして工場の特定の処理施設を規制していく、こういう考え方になっておりまして、法律の規制の段階ではやはり水質基準が規制の中心になるわけでございます。従いまして、私どもの考えは水域の指定もありますが、この水域の指定ということはあくまでも水質基準がきまるということで意味を持ってくる、こういうことで、観念的にこれが同時に出るのだという態勢で書いておるわけでございます。この点の差異があるかと思います。あとは仲裁の制度が違っております。私たちは仲介員制度ですが、社会党の御提案によりますと、仲裁制度を採用されておるわけであります。私ども仲裁制度も大へんけっこうな制度だと思いますが、商事仲裁その他一般仲裁になじむ場合であって、本件のように多少加害者と被害者の利害関係が非常に対立した形で、仲裁人の選定等も非常にむずかしい場合が考えられますので、むしろ多少中途はんぱかと考えられますが、仲介員制度で事実上の和解をはかっていただくという考え方をとっておるわけであります。大体その辺が大きな食い違いかと存じております。
○勝澤委員 資源調査会からの答申によりますと、第一に水質汚濁防止法、第二に調査の事務局、第三に水質科学研究所、こういうようなものが骨子になって画期的な、実に今までおくれている水質汚濁の問題を根本的な立場で考えられている勧告というものがなされておるわけであります。しかしどうも先ほどからのお話を聞いてみますと、この勧告というものについては何ら取り入れられていない、こういうふうに理解されるのですが、これは全然無視されて、別の立場からこの問題ができてきた、これは極端な言い方でしょうが、そういうふうに理解せざるを得ないと思うのですが、この勧告に対する考え方というものは、どうも先ほどはっきりしなかったのですが、もう一度はっきりお答え願いたいと思います。
○花園説明員 二十六年四月にできました当時の資源調査会の勧告につきましては、われわれも十分これを尊重いたしたわけであります。しかしながらこの中にあります各項目につきまして、これを直ちに現段階において実施いたすといたしますと、やはり各方面の関係において抵抗がある場合がある。または必ずしも現在の事態においては、そこまでいってはいかがかと存ぜられるということで——実はこれは三庁七省に関係のある非常に広範な問題でございます。しかも三庁七省がそれぞれの省の所管において目的別に水の問題を扱って参った。従ってその間に、はなはだ申しにくいことでございますけれども、関係各省岡のセクショナリズムも当然あります。そういう意味から、ただいま直ちに水というものを一つの統一した機関にまとめて出発いたすには、あまりにも摩擦があるという場合には、やはりこの場合漸進的にまず第一歩を踏み出して問題の拠点を作るということが一つの試みではないかということで、特にこの行政委員会という独立官庁を通じての水行政の統一という面については将来の問題として、逐一その方向へ進んで参ることにいたしたい、かように私たち考えております。また科学関係につきましては、すでに科学技術庁がございまして、ここにおきましては来年度予算につきましても、相当膨大な水の科学研究予算を実は要求しておる次第でございますが、そういう方面につきましては現存の機関において足るのではないか、かように存じたわけであります。水質汚濁防止法という名前につきましては、実はわれわれ、局長からも御説明申し上げました通り、水質汚濁防止のみならず、さらに改善をも考えるという趣旨で題名を変更して提出した次第でございます。
○勝澤委員 今政府は、あるいは自民党は、行政機構の簡素化ということを盛んに言われているわけでございまして、その中で、こういう各省のセクショナリズムの中で統一したものを作るということは、なかなか困難だといわれることは大へんもっともだと思います。国民年金制度を見ても、どの省にも同じような医療設備を持っているということで、統一しなければならぬという声が出ているわけでありますから、その問題はまた別の機会に譲りまして、この法律を見ますと二つに分れている。基準設定を中心とした法律と、それに基いて実際に措置をさせるための法律、しかし鉱山の場合は鉱山保安法、河川の場合は河川法、工場の場合は工場排水等の規制に関する法律、こういうふうに幾つかに分れているし、また工場排水等の規制に関する法律の場合だけを見ても、大蔵省あるいは厚生省、農林省、通商産業省、運輸省、この各大臣がそれぞれ主務大臣になっている。水域の指定、それから水質基準の設定、公共用水域の水質保全に関する基本的な政策や計画について、関係行政機関の事務の総合調整を経済企画庁が行う、こういうふうにされているようでありまして水質汚濁の防止制度というようなものは総合的な立場で運用されなければ、とうてい実際の効果がないというふうに考えるわけであります。従って、このように水質の規制基準をきめる機関とそれを守らせるための機関とが分離してしかも守らせるための権限が幾つかの行政機関に分れていることは、勢いそれぞれの利害関係者の立場擁護に流れて、総合性と公共性が失われて、従来と同じような弊害が起るのではないか。こういう立場から見ると、被害者たる農民あるいは漁民の利益というものがどうもとかく無視されて、役所の中をたらい回しされる、こういうふうに思うのですが、その点に対してはいかがでございましょうか。
○花園説明員 ただいま御指摘の通りでございまして、水に関します行政につきましては、たとえば鉱業法を所管しておりますと、つい所管官庁としては鉱業家がかわいくなる、また水洗炭業法についても同様のことがあるはずだと存ずるわけでありますが、そういった各省の一つのあり方というものは、やはりこれは行政機構の通弊ではございますけれども、一挙にこれを除去するのはなかなか困難な場合もあるかと存ずるわけであります。その意味におきましては、この新しい水行政の一貫化という問題は、やはり近代行政としての新しい将来に向っての問題でございますから、この意味では、ここでそういった旧套を打破するのに急であるために、むしろ橋頭堡すら築き得ないという意味では困るのでありまして、この法律がその意味では各省のセクショナリズムを相変らず残存させることになるのではないかという御指摘につきましては、はなはだ問題があるかと存じますが、公共用水域の法律におきまして、八条で、経済企画庁長官の関係各行政機関の長に対する勧告権というものをはっきり打ち立てまして、こういったものから漸進的に問題を統一して、統一解決に持って参るように実は考えているわけでございます。
○勝澤委員 漸進的だといわれるが、確かに法律を見れば見るほど不満な個所がたくさんあるわけであります。そこで内容に少し入りまして水質の保全という問題についてお尋ねいたしたいと思うのでありますが、水は天然資源の中で最も重要な物資であって、一般民衆の保健上あるいは産業の興隆も、すべて水の適当な利用によって初めて期せられるということが言われておりますし、そしてまた水は量とともに質が重要であることは申すまでもありません。社会の福祉のためには水質は常に良質に維持されなければならないのでありまして、政府の考えている水質の保全ということは、水本来の姿を保全するあるいは積極的に水質を浄化するという考え方ではなくして、消極的な水質の保全に心がければ足りるというような、現状維持的な消極的な、まことにあいまいであると思うのでありますが、たとえばこの法案の中に流れておる保全に努めなければならないというような、義務的なものにするのが当然なことであって、あるいはもっと積極的に、社会党案のように、「清浄の確保につとめなければならない。」こういうふうにすべきだと思うのでありますが、この水質の保全という問題についてのお考え方を一つ御説明願いたいと思います。
○花園説明員 ただいまの問題は、この法案の根本的な考え方の問題であろうかと存ずる次第でございますが、社会党案の目的、それから政府側の提案の目的、それぞれに、やはり目的そのものの字句の問題でございますが、要するに中身の問題でも、中身の解明の問におのずから目的が打ち出されるものかと存じますが、ただ目的そのもののあり方、現わし方という面から一応御説明申し上げますならば、水質汚濁防止という考え方自体は、やはり汚濁を防ぐというだけの感覚になり、従って水域別に水のよごれ方というのはそれぞれに異なった段階があるわけでございますが、その意味で汚濁防止という言葉の中には、非常によごれている場合にこれを防ぐだけか、それともなお改善するかという意味におきましては、やはり字句としては若干適正を欠くのではないか。その意味でいろいろな段階のよごれ方をしておる水、またいろいろな清浄の度合のある水といったものの非常に多種多様の水の姿に対して、これのよごれを防ぎ、または多少ともこれを改善の方向に持っていこうという考え方に立ちますならば、水質の保全という言葉の方が含みが、広がりが大きいのではないか、かように私考える次第でございます。
○勝澤委員 この法案がおくれた原因というものが、なかなか水質の基準をきめるのが困難だ、こういうことが言われておったわけでありますが、水質の基準をきめることがなかなか困難であると言われておるにかかわらず、水域の指定と、それから水質の基準というものを一緒に行わなければならない、こういう法案の立て方になっておるわけでありまして水域の指定と水質の基準を同時に設定をしようとすれば、なおさら期間がかかるということは、先ほどの松平委員の質問の中でも明確にされておるわけでありまして、やはり現実的になかなか困難である。しかし水域の指定をする場合においては割合簡単にできるんじゃないか、こういうように考えると、水域の指定と水質の基準を切り離すことによって、水域を指定をするそのことによって、工場経営者あるいはそのほかに、積極的に保全をすべきだという考え方を持たせることの方が、この法案を運用する場合においては最も現実的であり、やはり有効的なものであるんじゃないか、こういうふうに思うわけでありますが、どういうわけで水域の指定というものと水質の基準というものを一結にしなければならぬのか、むしろ別々にした方がいいんじゃないか、これについてのお考えを承わりたい。
○大堀政府委員 水域を指定いたしまして水質基準を設定する間には時間があく。かりに水域を指定いたしましてから水質基準がきまりますまでに相当な時間が要ります場合に、水域の意味がどういう意味か、法律上の拘束力の問題になりますが、私どもは結局、工場事業場に対する拘束力の意味から申しますと、水質基準がきまらなければ、水域だけを指定いたしましても実態的な効果がない。ただいまお話のように、だから工場側に対する拘束力といいますか、そういう趣旨のモラルな拘束力からいきますと、私どもの法案の第二条に書いております水質保全に心がけなければならぬという規定が、やはり全面的に意味を持ってくるわけでございます。そういう法律の建前からいいまして、やはりこれは同時じゃないかということで、これは考察したわけでございます。
○勝澤委員 水質の基準をきめることがなかなか困難だ、こう言っておる。そうすると法律はできたけれども、水質の基準をきめることが困難なので、その法律が現実に相当おくれていかなければ、実際には適用になっていかない。しかし、水域をきめれば、それによって必然的に、近い将来において水質の基準がきめられる、こういうことによって積極的に工場が除外施設というものを考える。こういう立場からいえば、水質基準と水域を同時にきめねばならぬということを、この法律の中であまりにも固執しておる考え方というものがある。先ほど私が基本的に、積極的にこれをやろうとする意思があるのか、消極的にごまかし的にずるずる延ばしていけばよいのか、こういう立場から質問したのに対して、段階的にやっていきたい。しかし、これこそ別にそんなにセクショナリズムがあるわけではない。これはきめ方でどんなにでもなると思う。
○大堀政府委員 これは先ほど松平先生の御質問にお答えしたことと同じになるのでございますが、私どもとしては法律は出したけれども、決してあと、のらりくらりやるのだというつもりではございません。法律を出して、できるだけ早い機会に水質基準を、必要なものについては設定するように進めていきたいという積極的な考え方でおるわけであります。ただ先ほど申し上げましたように技術的なスタッフとか、実行の問題としては、一挙に全国の河川を取り上げるわけにもいきませんので、第一年度は六河川、それから少しずつ能率も上って参りますから、だんだん多くなると思います。数年のうちにおもな河川だけは水質基準が設定できる、こういう意図でございます。従いまして、水域の指定をしないから水質基準がいつまでもできないという意味では決してございません。やはりただいま申し上げましたように、できるだけ早い機会に、おもなところには水質基準を作っていきたいという積極的な考え方でございます。ただ法律技術的に水域指定を水質基準から切り離して、水域を指定しても、それ自身で独立して立法的な効果を持ち得ない。結局水質基準をきめないと、実態的な内容になって参らないわけであります。そういう意味で法の立て方として、これは密着して書いておるのだ、こういうわけでございます。
○勝澤委員 技術的に水質基準をきめることが困難だから、水域だけきめても仕方がない、こう言われておるのですが、水域の指定は私は簡単だと思う。そうしてまた相手の加害者側の工場なり何なりでも、ある程度の見舞金を出しておる。こういうところが、この法案の中でもいわれているように、損害があったということははっきりしておるのです。ですから、そういう立場で考えるならば、水域の指定というのは、そんなに技術的にむずかしい問題じゃない。技術的にむずかしいと言っていて、来年は六カ所くらいしか技術的にはできないだろう、こう言われている。あとはどうするのか。経済企画庁から出されている被害の例を見ても、あるいはまた水産庁から出されている例を見ても、実に多くの個所というものがみな被害を受けているわけです。ですから、この際積極的にやる意思があるならば、水域の指定を行なう。そしてやがて水質基準を設ける。こういうことにしても、何ら支障はないと思うのです。技術的には三年も四年も、あるいは極端にいえば十年も二十年もかかることになりはせぬかというおそれがある、そういうふうに考えられているものを、やはり事前に水賢の基準をきめられるのだ、こういうことが示されていることの方がより積極性があると思うのですが、水域を一緒にきめた方が積極的なんでしょうか。私の言うように、水域をきめてあとから水質基準をきめた方が積極的なんでしょうか。
○大堀政府委員 水域の指定といいますのは、たとえば一つの河川につきまして、ある地点からある地点まで、ある橋からある橋まで、違った基準で設定されるわけであります。水域をきめます場合には、この水域についてはどういう基準を作っていくか、この水域については、同じ河川の中でも、いろいろ違った基準が出てくるわけでございます。従いまして、水域というものは、水質基準というものを離れて、ばっと綱をかけるという形で参りますことは、ちょっと実行問題として問題になるのじゃないか。むしろ、先生の御指摘の早くやっていくという点は、私どもも同意見でございまして技術的に許す限りにおいては、できるだけすみやかに水質基準を設定していくという点は、御指摘の御趣旨に沿ってやりたいと考えております。
○勝澤委員 水質をきめることによってこそ、除外施設を積極的に工場、事業場が作らなければならぬということが考えられるのです。水質の決定をおくらせて、水賢基準をきめなければ効果がない、こういうふうに考えられることは、あまりにも水質基準をきめるのが技術的に困難だ困難だと言っている、そして一つの川でもその場所によっていろいろまた変る、こういうことを言われておるのですから、なおさらだと思うのです。それであるならば、やはり最初に指定水域をきめる、このことによって積極的に除外施設というものを工場、事業場等が何とかしなければならぬのだ、こういうことを宣言されることによって、次に水質基準がきまったときには、自然とそれがそのまま当てはまっていく、こういう積極性というものが私はほしいと思うのです。どうも今のお答えを聞いていると、水質基準が具体的に困難だ、こういうことを言っておられながら、水域の指定というものをあまりにもおくらせようとしておる。
○松尾(金)政府委員 今大堀局長から御説明申し上げましたように、この一連の法律の建前が、水質基準というものができて、その水質基準に合うように処理施設等を作らせるというところで、この法律のいわゆる強制力なり、法律的効果を持っていることは御承知の通りでございます。しかしその以前において、今お話のように、法律的な効果はなくとも、指定水域を指定するだけでも、まあ工場側に対していずれ将来水質基準がきまって、処理施設の強制が行われるという意味で、心がまえができるという意味の心理的効果があるのじゃないかという点を御指摘になっておるのじゃないかと思います。その点につきましては、通産省を中心に作りました工場排水法の方におきまして先ほど御説明したかと思いますが、そういう意味の心がまえは、ある水域を指定することではなくて、ある水域にある工場の全部がきたない水を流すわけではなくて、その水域にある工場でも、やはりこういう種類の工場のこういう種類の生産施設はきたない水を流す、汚水を出すということが常識的にあるわけでございますから、そういう意味の施設を先ほど申しましたように指定いたしまして、いわゆる特定施設として指定をいたしますれば、工場側としては、いずれ自分のところに水質基準がきまれば、この指定された特定施設については、当然汚水処理施設を作らなければならぬという心がまえは、地域の指定ではなくて、施設の指定で十分そういう心がまえはできるだろうと思います。そういう心がまえのもとに、先ほど申しましたような報告を徴収して、実際上そのような指導をする、つまり法律上の効果以前において、そのような指導をやって参りたいという建前になっておりますので、水域の指定というよりは、やはり施設を指定してそのような心理的効果といいますか、工場側の心がまえを作らせるという方が、実際的ではないだろうかという考えに基いておるわけでございます。
○勝澤委員 先ほども、水質の基準がきまるまでは流し放しにしておくのだ、あとは工場側の良心に待つ、こういう御答弁が松平委員の質問に対してなされておったようでありますが、この場合においても、いや届出をさせるからいいのだ、こういうようなことで積極的だと言われておるのですけれども、どうも私は消極的に思うのです。これをそう続けてもあれですから、次に移ります。 水質の基準についてお尋ねをいたしたいのですが、水質基準の許容条件というのは四条の三項ですか、ここに出されたと思うのですが、相当の損害が生じ、若しくは公衆衛生上看過し難い影響が生じているもの又はそれらのおそれの高いものの除去または防止の措置以上に出てはならない、こういうふうに規定されておるわけでありますが、許容基準を守ってもこれはやはり損害が出る場合がある、こういうふうに理解をしてよろしゅうございますか。
○大堀政府委員 お話の通りでございます。
○勝澤委員 そうしますと、この基準は司法上の基準でなくてこれは行政上の基準であるので、当事者の民法上の免責規定ではないということは、また提案理由の中でも言われたように思うのですが、これは当然、損害を与えたときには、損害賠償をするのだということを法律の中ではっきりきめておかないと、許容基準を守ったけれども損害が出た場合、民事訴訟の場合無過失の場合には問題にされなくなるのではないだろうか、それによって被害者である農民や漁民が不利になる、こういうふうに私は理解するのですが、当然これは法文の中にはっきりと無過失賠償ということを明記すべきではないだろうか、こういうふうに思うのです。
○大堀政府委員 この点につきましては、ただいまお話のように、これは行政目的のためでございまして、かりに基準がございましても、工場、事業場から流された水によって被害が生じた場合には、工場、事業場は賠償の責に任する、これは一般の民法上の原則によって賠償の責に任するわけでございまして、この原則を欠いておるわけではありません。ただ、ただいまお話のように、無過失の場合の賠償まで規定するかどうかということになりますれば、これは法律に積極的に書かなければ無過失賠償の責任は発生しないと思いますが、ここに書いてないからといいましても、一般の民法上の賠償責任を免れるものではないというふうに解釈しております。
○勝澤委員 それは解釈でなくてはっきりここに明文にした方が、私はいいと思うのですが、その点どうでしょうか。
○大堀政府委員 これは私たちも司法当局あるいは法制局と十分打ち合せいたしたのでございますが、これを書かない場合は明らかに司法上の責任を免責するものではないという解釈が確定いたしておりますので、その趣旨によりまして、特にここに明記しないということにいたしたわけであります。
○勝澤委員 水質基準がこういうようにきわめてゆるやかといいますか、あいまいといいますか、これですと被害が発生する場合もあるということがいわれておるし、ますます被害が出て紛争が激しくなるのじゃないかというようなおそれがあるように思うのですが、もっと具体的にどの程度の基準が設定をされるのか。こういう点について明らかにしていただきたいと思います。
○花園説明員 ただいまの具体的な水質基準のきめ方の内容でございますが、先ほどもちょっと例に出ました通り隅田川をほんとうにきれいにして白魚まで泳ぐようにする気はない。従ってそれぞれの川の産業上の形状によりまして、ある地域はここはノリだけ満足に成育するような川の水であったらどうかとか、ある川においては工業用水の取り入れのために相当純度を上げる必要があるとか、または上水道の取り入れのために相当程度以上に問題の清浄度を高める場合があるとかいうふうに、川の景況、これの使用状況に応じてそれぞれ異なって参るわけでございます。ただいま例に出ております魚の例で申しますれば、いわゆるその場合の川の漁業上の使用の状態に応じて、たとえば百パーセント白魚を生かすことはかんべんしてもらうけれども、ノリと赤貝だけはこの場合生きるようにきめていこう、そうすると漁業被害としてはやはり魚種別に考えますと満足に参らないことが当然予想されるわけでございます。もう一つの考え方としてはノリの被害自体についても百パーセントノリが被害を受けないようにしているのかどうか。この問題につきましては、やはりそれぞれの川の景況に応じて、またそこの水産業の実態に応じてものを考えていくべきだと思いますが、場合によっては若干の被害というものは、この際工業側の汚水処理の景況から見て、若干の被害はやむを得ないのじゃないかと思われるような場合は、やはりそれなりの水質基準というものを考えながら、かつそれによる損害の問題についての填補の仕方を業者間における話し合いに持っていくというふうな場合も考えられるのじゃないか、かように存ずるわけであります。
○勝澤委員 そうしますと水質基準をきめても、その基準に従っても被害があるということは明白にされておるわけです。その場合においては当然損害賠償もしなければならぬ。そこで同じ水域の中に多数のいろいろな工場が設置されている場所がたくさんある。たとえば静岡県の場合においても、一つの川に十七の工場がいろいろのものをやっている。こういうような場合に工場の規模なり、あるいは種類なり設備なりいろいろ違うと思うのですが、この場合基準の設定というのは水域一本でやるのですか。それとも個々の工場あるいは事業場あるいはまたこれらをごっちゃにしてやるのですか。そういう点について御説明願いたい。
○花園説明員 ただいま御質問の点は水質基準の具体的なきめ方になるかと思いますが、これはわれわれとしましては、たとえば社会党側の御提案は本流の水質基準をきめてかかるという行き方に対しまして、政府提案の方は本流の水質の汚濁の状態を前提に置きますけれども、それによって具体的にきめて参りまして法律的な効果を上げようとするものは、それぞれの工場の排流水であるという建前をとっておるわけでございますが、その排流水自体につきましては、工場の規模に応じて、当然、量の関係では千差万別になるわけでございます。従いましてこの場合は同一種類の廃液を流す工場を例にとりましても、千差万別の流水量を対象にものを考えることは非常に複雑化を来たしますので、一応単位流量当りの水の汚濁の許容限度というものをきめるような行き方で参ったらどうか。たとえば百立米の水を流す工場、一立米の水を流す工場、それぞれ単位流量当りに応じて汚濁許容限度をきめて参ったらどうか、かように考えておるわけであります。
○勝澤委員 この水質の基準をきめるまでにはいろいろな技術的な、あるいはむずかしい点がたくさん出てくると思うのです。そこで具体的にこの法案を実施される場合の指定水域の予定というものは、先ほど少し言われておりますが、その予定されておる水域を具体的に御説明願うと同時に、これから調査を行う予定の河川あるいは湖沼、沿岸地域その他の公共用水域についても、一つ具体的にお知らせ願いたいと同時に、予算的な裏づけといいますか、規模いいますか、こういうものについても構想をお述べ願いたいと思う。
○花園説明員 ただいまの御質問に対しましてはお手元に被害状況調べという参考資料が参っておると思いますが、これにつきましてただいま予算折衝のあり方としては多少立ちおくれの感がございますが、大蔵省に持ち込んで折衝しておるわけでございます。従いまして予算規模自体としてははなはだ出しにくい格好でございますけれども、約一億程度のものを予定して出しておると同時に、そのうちで一つにはわが国におきまする水質関係技術者の数または技術の程度にまだ非常に未発達の点がございます。従いまして対象河川を大幅に広げることはできない、特に初年度におきましては対象河川はむしろ多く取り得ないかわりに、同時に数河川をそれこそ徹底的に調査いたしまして将来に対する調査の一つの判例を作っていくという建前がどうしても必要でございますので、初年度はまた大幅な手の広げ方は困難であると存じます。その意味におきまして六河川を指定いたしたいというふうにわれわれ大蔵省に出しておるわけであります。これは現在のところは予算折衝の技術上の問題もございまして、各地域別に一河川ずつを代表河川としてあげておるわけでございまして北海道では石狩川、東北では北上川、関東では江戸川、中部においては木曽川、西部においては淀川、九州で遠賀川というふうに、地域の代表河川をそれぞれ取り上げておるわけでございますが、これは実は関係各省の間の調査河川についての考え方が、それぞれ所管産業に応じて要求が多少食い違っております。従いまして最終的にはやはり早晩出発されます水質審議会にかけまして河川の最終的な決定をいたさざるを得ないか、各省の意見を徴しながらきめざるを得ないかと存するのであります。今はとりあえず六河川を考える、それと同時にこの六河川については初年度のことであるので、ただいま申し上げました通り十分調査範例を作るという趣旨における調査方式の確立をはかるという趣旨で、十分な調査をやって参りたい、かように存ずる次第であります。 それから調査対象河川というのはどの程度あるかということにつきましては、先ほど来申し上げました問題のある河川については可及的すみやかに、つまり四、五年のうちにこれを片づけてしまうように持っていきたいと存じておる次第でございますが、その河川名はお手元の参考資料の通りでございます。
○勝澤委員 そうしますと六河川というのは対象河川として来年度で一応考えている。それ以外のものはこの資料に従って四、五年の間に調査を進めていきたい、こういうことなんですね。この資料を見ても実に膨大なものであるし、そしてまた技術的に相当困難なものだ、こういうことがいわれている。そうしますとこの仕事そのものは相当膨大なものになる、こういうふうに私は思うのです。そこでやはりその間は、先ほどの流しつぱなしにしたり、あるいはまた騒がなければ対象にならないのかというようなことがまたいろいろ出てくると思う。問題が起きて、すわり込みやなぐり込みでも起きればそこは早く対象になるけれども、静かにしていると、さっぱり対象にならぬ、こういうようにとかく考えられるのであって、これはやはりそういうようなことのないようにより公平に——やはり具体的に起きている問題というのは、どこが先、どこがあとという問題はないと思うのであります。そういう点から積極的にこれはやらなければならぬと思うのです。そういう立場で今度は水質審議会の問題を見て参りますと、こんな膨大なものをやりながら、片方では水質審議会は非常勤の委員と、非常勤の専門委員で諮問機関のようなものでこれをやろうとしている。一体これで完全にできるだろうかどうか、こういう点を危ぶまれるわけでありますが、むろん今日では専管の行政機関を持つことは困難だといわれておるのですから、やはりこの審議会が中心になってやられると思うのですが、これで一体できるのかどうか心配なんですが、その点についていかがですか。
○花園説明員 ただいまの御指摘の点につきましては、まず審議会の機能は経済企画庁長官に対する答申または建議機関でございまして、実態はこれは経済企画庁が扱うことになるわけでございます。特にこの水質基準の問題につきましては、先ほど来申しております通り、水質基準の実態調査というのが業務の大半を占める格好になるわけでございまして、一年間にわたって、たとえば淀川なら淀川の指定区域について特定の人間が駐在いたしまして、そこの水をとり、これを分析する。それが渇水期、豊水期、それぞれの段階においてそういう分析表を作るというふうな一貫作業が、実は要望されるわけでございますが、その意味においてはわれわれはやはり経済企画庁の調査機能というものをどの程度に保有し得るかという問題が実は問題の解決点であろうと考える次第でございます。その意味において、これまで国内におきましての水質調査の関係の技術者というものは、いろいろ勘案いたしてみましても、ある面で非常な特殊技能が要る。たとえば魚、ノリの被害については相当研究能力があり、また研究経験があるという方はやはりそれなりに、水産庁の方でその仕事に携わっておられる。そういう面からいたしまして、こういう新たな仕事をやりますには、新たな行政でありますだけに、技術陣容の面で急に相当大がかりなものを構成するというわけにはいかぬ。また一河川についてはどう考えてみましても、中核的な人物として五名程度の者がかかり切りにならなければならぬ、そういう面からしまして、それではそれだけの人間を、それぞれの知能のある者を選抜しまして、一河川に五名ずつ派遣いたしますとすれば、一体現在どの程度までが可能であるかという陣容的な面からのワクのはめ方がありまして、やはりせいぜい六河川三十人というのが調査面における初年度の可能な数ではないかということで、実は企画庁のただいまの水質関係の仕事の中核になります調査関係の担当者としまして、三十名程度の者を現実の調査員として大蔵省に要求しておるわけであります。と同時に、これの庶務なり、または当然一斉にこの問題が処理を要求されて参ると考えられます和解仲介関係についての事務処理の問題、そういう問題をあわせまして、現在四十九名の定員増を要求しておるわけでございますが、これは実は技術陣営の関係におきましては、初年度においての可能な限度であろう、その意味におきましては、はなはだ御満足を得ないかと存ずるのでありますが、急には膨大な陣容ができないので、この程度で出発いたしたいと存ずる次第でございます。
○松平委員 ちょっと関連……。今の水質基準の問題なんですが、政府から出している「主要河川の水質汚濁状況」というのがありますけれども、これによると、たとえば江戸川のところを見ると最大の場合は二千六百度という濁度である、同じ江戸川でも少い場合は一・五という濁度である、こういう濁度の調査が出ておるわけであります。そのほか十二の河川港湾にわたっていろいろな水質の分類表というものが出ておるわけでありますが、これは正しい資料ですか、いいかげんなものじゃないでしような。
○花園説明員 これは実はただいま触れました通り、一年間の水の量に応じまして、非常に濁度の変化を来たすわけであります。この数字自体は私は当然問題はないと存ずるのでありますが、これのやはり裏づけとしての調査、渇水期であるとか、豊水期であるとか、または洪水期であるとかいろいろな別な参考事項がなければちょっと読みにくいのではないか、かように存じます。
○松平委員 関連だから簡単にお伺いしますが、この資料を作るのにどのくらいの人員でどのくらいの日時というものがかかったのですか、これをただ単にこういうふうにまとめる、プリントするというのではなくて、河川ごとに調査をして、濁度からあるいはその中のマンガンが幾らだとか、イオンがどうだとか、PHがどうだとかということを全部こういうふうに調べるのに、何人の人員で何年かかりましたか。
○花園説明員 これは実は企画庁におきまして、水質汚濁防止関係の業務、つまり法案作成その他の企画をやっておりますのは十名に満たないわけでございます。新しい仕事でございますので、その意味でこの表自体建設省から下水道関係の資料をとるとか、または厚生省から上水道関係の資料をとるとか、各方面の資料をいただきまして、編成したわけでございます。その意味において、これの具体的な数字の取扱いにおきましては、何名ぐらいの人間を要したかについては、ちょっと私お答えいたしかねるわけでございます。
○松平委員 そうしますと、もう一つ関連してお伺いしたいのは、この出された表は各省の表をまとめられた、こういうわけでありますから、各省おのおのその水質を検査する基準というものが違っておりませんか。つまり全国に共通な基準というものがあって、各省でその基準に基いてその線でやった表ではなくして、各省が基準を何か考えてやったというものでありますか。というのはその濁度についても河川によって非常に違っているのです。これを見ますと、たとえば石狩川とかその他の河川においては大体最高でも十度かそこらの濁度になっておる、ところが江戸川だけは最大は千度以上の汚濁というのがずっとあります。淀川なんかを見てもあれだけ濁度があるにかかわらず、これによると大した濁度がないようにこの表ができている。だから私はこれはいいかげんなものじゃないかといってさっきお聞きしたのは、そこにあるわけだけれども、そこらの点はどうですか。基準も何もなくて、ただ調べたというのですか。というのはこの資料をちょっと見ただけでも、濁度一つについても河川によってあまりに違い過ぎると見ているのです。だからどういう基準に基いて濁度なら濁度というものを調べておられるのですか。
○花園説明員 ただいまの御指摘の通りでございまして、実は水質基準の検定をやりますための各種の分析方法なりそれから採水方法、そういったもので非常に数字が違って参るわけであります。その意味におきまして、各省間に水質基準等の分析または採水等の手段に統一はございません。その意味では各省がそれぞれの目的別に、また個所別にある程度問題のとり方に応じて数字が違って参るということは御指摘の通りでございます。
○松平委員 それからもう一つは平均ではなくて、点なんか住んでいるという場合においては、その最大点というものが問題だろうと思うのです。それと流量の時間じゃないかと思うのです。夜あまり排水を流さぬという工場もあるだろうと思いますから、そこらが非常に違ってきはせぬかと思うのだけれども、そういう生物の住む最少限度の水というものはどういう程度のものであるかということぐらいは、政府は今日そういう基準はお持ちなんですか。
○花園説明員 ただいまの御指摘の通りでございまして、われわれ今後水質基準設定のための調査自体につきましても、一年間を通じ、または水をとる時間についても午前五時、正午または午後五時というように時間別の採水をやるという一貫作業が要るわけでございます。またその被害対象としまして、赤貝についての水質はわかっているかとか、またはノリについてはどうかという問題につきましては、水産庁の方では逐一いわゆる魚種別に研究を続けて参っておるようでございますが、今のところ確定いたしておるものは数種類にとどまっておるというふうに私聞いております。
○勝澤委員 大臣が見えませんから次官にちょっとお尋ねしたいのですが、この運営をしていく場合に、やはり何といいましても人が一番問題になると思うのです。水質審議会の委員の問題についてもそういう点が言えると思うのです。この法案を作ってきた過程を見ても、やはり各省の利害というものが調整されてできてきた、こういうふうに思うのですが、そうした場合、この委員の任命の仕方を見てみますと、関係行政機関の職員あるいは学識経験者というふうになっていますが、こうするとこの審議会自体に各省の利害を持ち込む、こういうことになって、基準あるいは水域の指定、こういうものについても審議会が弱体化するのではないだろうか、こういうふうに思うのですが、それとまたこれらの構成についての具体的な案があったら一つお教え願いたいと思います。
○大島政府委員 御指摘の件ですが、審議会の構成のことでありまして、それによりまして弱体ではないかというようなお話と伺いますが、私どもの方といたしましては、この人員におきまして十分やっていけるというように感じておるわけです。見方にもよると思うのですが、私たちはこれで十分やっていけるという考えであります。またやりました上でまた……。(「二十年もかかるよ」と呼ぶ者あり)それは見解の相違でもありましょうが、私たちはこれでやっていけるという確信のもとに立案しておるわけであります。
○勝澤委員 あまり論争することもどうかと思いますし、また内容を見てみれば、これは御答弁された次官自体が、非常勤で構成されているのですから相当無理だというのは御存じだと思いますし、まあ段階的に最初だからやむを得ぬ、こういうふうに理解されていると思うので、その問題についてあまり私も論争いたすことはやめます。 次に和解の仲介の問題について一つ御見解を伺いたいと思うのですが、この工場や鉱山というものは独占的なものであって、その対象になるものは零細な農漁民だ。こういう紛争を処理する場合においては、私はやはり和解の仲介というのでなくてもっと積極的な調停、あっせんあるいは仲裁というような制度が好ましいと思うのでありますが、その点に対してのお考えはどうでしょうか。 それからもう一つは、都道府県知事に和解の仲介を申し立てることになっているようでありますが、河川等の場合数県に関係する場合が多いわけでありまして、たとえば江戸川の本州製紙の江戸川工場の問題を見ても、これはどこに欠陥があったかといえば、やはり機構の、あるいは各県の問題だと思うのです。東京都と千葉県、こういう問題から考えてみても、この法律では大体そういう場合にどういうふうにされるのかという点についてお伺いをいたしたいと存じます。
○大堀政府委員 ここにございますように、和解の仲介という制度は民法上の通常の話し合いになるわけで、これ自身では法律上の効果を生ずるという、裁判上の判決にかわるような効果を持つとか、そういった意味はございませんけれども、これがもしまとまりません場合は、おのずから一般の裁判の方へ参るわけですが、民事調停の制度にのせて、一般の民事調停の方法で解決するということになるわけであります。ここで先ほどお話がございましたが、仲裁制度という制度をとったらどうか、社会党の御提案は仲裁制度になっております。仲裁制度も私ども非常にけっこうな制度だと思いますけれども、その場合は商事仲裁とかあるいは労働関係の場合、特定の関係がある場合で仲裁人に適当な人が得られるというようなケースで、本件の場合はどうも工場の加害者側と被害者側との利害の関係から見まして仲裁制度にのる事態ではないのじゃないかということで、こういうふうな和解の仲介という制度にいたしておるわけでございます。 なお仲介の申請でございますが、私どもは関係知事どちらにでも持っていける、たとえば東京都と千葉県両方に関係がある場合、被害者側が申し立てる場合にどちらに持っていってもいいだろうと思います。おそらく被害者側の所在の県に持っていかれると思いますけれども、申請を受けた知事が結局関係府県の知事と相談をして実行していく、しかし申し立てを受けた都道府県知事が仲介人の選定をやっていく、こういうふうに考えております。
○勝澤委員 江戸川の工場の場合を見てみますと、千葉県の方が積極的で東京都の方が消極的だ、これは被害者と加害者の関係ですね。こういうふうに見てみれば、おのずから行政の仕方が違うというのがはっきりしていると思うのですが、こういう場合でもそれは好きな方に持っていけばいいという理解なんでしょうか。
○花園説明員 ただいま御指摘の通りでございまして加害者側の工場の所管都道府県知事はおそらく不熱心であろう、かように存ずるわけであります。その意味においては、実はそういう実態はこちらが都道府県知事を特定して、たとえば加害者の方に持っていけとかなんとかいたしましてもなかなか動かない。従いましてわれわれといたしましては、やはり被害者が一番持っていきやすいのは自分の県であろうけれども、しかし同時に加害者側の都道府県知事に持ち込んだっていいのじゃないか。これはやはり一つの争いと申しますか、和解のための争いでございますが、そういう裁く場を作るための手続でございますから、その意味でどちらでも持っていけるようにしておいてたとえば当然予想されますのは、被害者が被害者側の都道府県知事に持っていった、同じ問題を加害者が加害者側の都道府県知事に持っていったというような、同一案件についての二重申し立てが発生することが予想されるわけでありますが、そういう場合に実はそれぞれできるのだということは、やはりおかしいわけでありますので、そういう場合は当然両県知事が話し合うということが必要になるのじゃないか。そういう意味におきまして申し立ての対象都道府県知事を規定いたしますよりも、その後における関係都道府県間の協議と申しますか、そういった問題の解決のための協議の場というものを政令で考えていくことにしたわけであります。かように存じておる次第であります。
○勝澤委員 どうも各県ばらばらに和解の仲介がなされておるのですよ。今度の江戸川の場合を見てみても、私はそれがはっきりしていると思うのです。被害者側の千葉県知事と同じような考え方をするならば、ああいう騒動が起きずに別の角度で問題を解決する方法は見つかったと思う。また仲介人の指名はこれまた県知事が行うことになっているのですね。そうすると、県知事の持ち味で仲介人の名簿というものもこれまた変ってくると思う。やはり仲介というものは被害者も加害者もある程度その仲介人の言うことが聞ける人ということが一番必要だと思うのです。ですから、こういう場合に、たとえばこの間何かの話で、農民の代表はだれを出すといったら、農林中金の理事長を農民の代表として出すということを政府から話をしておったのですが、そういうことでなくて、現実に一般公益を代表する者、それから加害者の工業あるいは被害者の農業並びに水産業、こういう形の出し方をしていけば、いろいろそういう問題も出てこないと思うのですが、やはりある程度当事者が指名をするといいますか、こういう考え方も考えられるのじゃないだろうか。労働委員会なんかのやり方を見ていましても、やはりこういうきめ方というものはある。参考としてもこういうものを考慮に入れて、仲介人の指定の場合においても考えられるし、また今の各県ばらばらな和解の仲介というものが行われる。こういうものも今の程度ではなかなかむずかしい問題だと思うのですが、もう少し具体的に考える余地があるのじゃないかと思うのです。
○大堀政府委員 最初の御質問の仲介人の選定でありますが、仲介人につきましてはもちろんここに書いてございますように、一般公益を代表する第三者的な方もありましょうし、あるいはそれぞれの加害側、被害側の産業についての学識経験者と書いてありますが、直接の利害関係の代表者ということでございますと、やはり仲介という仕事には不適格じゃないか。むしろそれぞれの産業事情について十分聞き得る資格を持った、それについての十分な学識経験を持った適当な人に仲介に入っていただくという方が適当ではないか、かように考えておるわけでございます。 それから、二県以上の場合に御指摘のようにこれは実はいろいろ問題があると思います。御指摘のように、加害者側の府県と被害者側を所轄している府県との問に多少立場が違いますので問題があるかと思いますけれども、これを両県でやるというのも一つの方法かと思いますが、私どもはやるのは結局一方の申請の申し立てを受けた県がやる。ただし、いずれにいたしましても被害側の県がかりに仲介をやる場合におきましても、加害側の県の協力を求めないとなかなか解決は困難な事態かと思いますので、そういう場合は、両県知事で十分話し合ってたとえば仲介人の選定等についてもある程度加害者側をなだめることができるような範囲から人を選ぶというようなことも考えられるわけであります。そういった意味で、実行する場合は一つの県が当っていくということが適当ではないか。しかしやる場合には十分連絡して協議してやっていく、こういうふうに考えて法律を構成したわけであります。
○勝澤委員 各省の中でもなかなか調整するのに困難だ。ましてや県が違えばなおさらだと思うのです。そういう中で和解の仲介をやろう、そうしてその場合はどちらでもいいのだという考え方というものは、なかなか今ここで論議をしている以上に私はむずかしい問題だと思う。そういう点で、なかなか和解の仲介というものは中途半端な考え方で、実情に合っていない面が多いと思うのです。そこでその問題はその程度にして、法の十九条を見ますと、公共用水域に起った紛争というものが前提で、そうして現に発生している被害についての紛争のみが規定されておるわけでありますが、損害発生の可能性を予期して工場や事業場等にあらかじめ除害施設等の設置を要求する、こういうような行政処分に対する要求はどう処置されるのですか。
○花園説明員 ただいまの御質問は、まだ起っていない問題の未然処理の問題になるわけでございますが、やはり裁判制度なり、または仲裁制度なり、和解制度なり、そういった一つの調停的なものはやはり事態が判明してから、これが紛争が起きて初めて始まるものではないか、かように私存ずるわけでございます。
○勝澤委員 次に事務局の考え方ですが、審議会の活動、あるいは調査のための水質行政の重要だということは盛んに言われておるわけでありまして、そういう立場からいいますと、せめて最小限経済企画庁に水質保全行政に関する専管の事務局を置くということが私は当然になってくると思うのです。それで聞くところによりますと、最初はそういう案が考えられておったようでありますが、いつの間にか消えてしまったというようなことで、効果的な水質規制というものを行うことはなかなかこの法律の形だけでは困難だと思うのです。いわゆる裏づけが当然必要だと思うのでありますが、この専管の事務局を置いて水質行政というものを少しでも前に進める、今も少し進めるという機運になっているでしょうが、もう一段と積極的な立場でやっていく、こういう点についていかがでしょうか。
○大堀政府委員 ただいま御指摘の点につきまして私どもかように考えておるわけであります。本年度中はかりに法律が施行されましても、法律の施行に関すること、及び来年度以降に実施します調査の準備段階でございますので、審議会の運営その他施行手続、そういったもの、あるいは調査の段取り等をする準備段階で、本年度中は現在調整局におります陣容と各省から協力を得ておりますが、それらによって本年度中はやっていく。この実施に入りますと、ただいまお話の通り、私ども水質の基準を設定いたしますのに最少限度相当の人数が要りますし、この事務自身が相当むずかしい仕事でございますから、先ほど申し上げましたように独立の特別の機構を作りまして、水質保全部というような機構を作って、この実施に当っていくようにしたいということで、現在その案によりまして来年度以降の陣容について大蔵省と話し合い中でございます。
○勝澤委員 ことしはあれだけれども、来年についてはもう少し積極的にやっていきたい、こういう意向でございますので、次の問題として、私は、工場排水等の規制に関する法律の中で、この除外施設の設置に対する助成措置の問題について少しお尋ねいたしたいのです。 今日までこの水質汚濁を防止するということが認識されておったけれども、その実現がなかなか困難であったというのは、一面においては除外施設を作る場合に多額の金が必要だという点にあったろうと思うのです。従って、早急にこの除外施設を設置させる、あるいは特設施設についてはいろいろと届け出をさせて行政上の指導を行なっていく、こういうことが言われておったようでありますが、これらにつきまして、国としての積極的な指導が当然必要になってくると思うのです。この十六条を見てみますと、「国は、汚水処理施設の設置を促進し、公共用水域の水質の保全に資するため、汚水処理施設の設置又は改善につき必要な資金の確保、技術的な助言その他の援助に努めるものとする。」こうなっておるわけでありまして、特に私はこの中の「その他の援助」というものについての具体的な内容についてお尋ねいたしたいと同時に、特に独自でこの除外施設ができる大企業は別として、なかなか困難だという認識を中小企業者については持たれておるわけでありますから、これについて補助を考えられておるのかどうか。それからもう一つは、この汚水処理施設等については、税法上の恩典については固定資産税の免税のみ書かれておるわけでありますが、租税特別措置法による特別償却という問題については考えられなかったかどうかという点について一つお尋ねいたします。
○松尾(金)政府委員 ただいまお話のございました第十六条の「その他の援助」という事柄でございますが、これはこのような法律の条文の文句としましては、あまり直接予算を拘束するような意味の補助金とかなんとかいう字句は、なるべく使わない方がよろしいという意味の最近の慣例等がございまして、ここにはそういう意味で特に明文をうたっておるわけではございません。しかしこのような国が援助に努めるという意味の中には、やはり広い意味では、今御指摘のございましたように、大企業はともかくといたしまして、中小企業のように、このような法律の施行に伴って、法律の強制によって相当経営上の負担を課せられる、しかもその負担になるたとえば汚水処理施設というものからは、直接のいわゆる経営上の利益があがってこないような性質のものであることを考えますと、中小企業等につきましては当然それ相当な援助、特に中小企業の場合には補助金を考えてしかるべきだと私どもは考えております。そういう意味で、この法律の施行を期しまして来年度以降にはそのような予算要求もいたしております。 なお税制の点でありますが、固定資産税につきましては、すでにこの法律の附則でうたっておりますが、もう一つ御指摘のございました特別償却の点であります。この点は、現在までの国の税法の建前から申しまして、税法上の特別の規定は、特別措置についてはできるだけ御承知の租税特別措置法で書きたいという、考え方によればこれは単なる技術的な問題であるかもしれませんが、そういうことが一応従来の建前になっておりますので、この法律の附則には書かないで、将来の問題として、そのような特別償却の内容等も十分検討した上で、租税特別措置法の改正という形でそのような実現を期したいということで、従来、またこれからもさらに内容を具体的に詰めて大蔵省と相談をしたい。従来ももちろん相談をして参っておりますけれども、そのような内容の最終的な確定は、今後大蔵省と折衝したいという状態でございます。
○勝澤委員 そこで、この案に対する全般的なあるいは部分的な質問を行なったわけでありますが、何といいましても実施をする場合の裏づけというものは予算的なものだと存じているわけであります。積極的にやられる、しかしなかなか困難であるけれども近い将来を、こう言われているわけでありますが、そこで総括的な問題として、この法律を実施するための予算的な措置というもの——先ほど水質の問題については一応この規模を考えているということを言われましたが、総括的に調査の費用だとかあるいは審議会の費用だとか、あるいはまた紛争仲介のための経費というようなものは考えられておると思うのですが、これらについての予算的な裏づけについて一つ御説明を賜わりたい。
○花園説明員 お答え申し上げます。水質保全関係の予算は、実はこれまで各省にまたがっておりまして、たとえば建設省には下水道に関しては下水道事業費設置補助金まで載っており、また厚生省には終末処理施設の項があり、科学技術庁には研究費が載っているというふうにいろいろに分れているわけでございます。それを今まで調べてみました結果は、三十三年度予算においては十三億、三十二年度予算においては十一億五千万という実態があるわけでございますが、これに対しましてことしは各省が要求しております予算を合せますれば、九十億程度のものになるということが今数字的には集まっております。これに対する大蔵省査定は、もちろん現在進行中でございますので何とも申せませんが、特にこのたびこの法案に関しまして経済企画庁といたしまして考えておりますのは、九千万円程度のものを大蔵省に提出いたしておるわけであります。その中には経済企画庁自体のこの問題処理のための定員増等のためのものが六千五百万、それから和解仲介の関係が、都道府県知事においては一斉に法律においてきめられました業務になりますので、この関係の交付金というものを約三千五百万程度実は考えているわけであります。
○長谷川委員長 勝澤君に申し上げますが、理事会の決定したお約束の時間からちょうど二時間と五十分あなたはオーバーしておりますから、結論が出ましたらお願いいたします。
○勝澤委員 委員長から早く打ち切れというお話があったのですが、大へん重要な問題ですからもう一、二問簡単に——予算から見た場合大へん不満でありまして、むろんこれでやられる当局におかれても不満だと思うのでありますが、時間の関係で最後に私は、先ほど申しました産業合理化白書の中に出て参ります工場の煤煙の問題について伺いたい。 この煙害の問題も長い懸案事項でありまして各所に被害が起き、一般小市民あるいは農民の間にもごたごたが起されておるわけでありますが、この煙害対策に対して何らか規制する法律を作る意思ありやなしや、あるいはまた当然作らなければならぬと思うのですが、これらに対する考え方について一つ御意見を承わりたいと思います。
○大堀政府委員 御指摘の通り水の質からくる公害のほかに、煙害その他工場事業場に関係してその他の公害が現在予想されてあるわけでありますが、今回の法律につきましては特に水の問題が中心に相なりましたので、こういった水質の保全を提案することにいたしたのであります。その他の公害につきましては今後十分検討いたしまして、必要がありましたならばなお各省と協議の上で善処いたしたいと思っております。
○勝澤委員 鉱害でなくて私は煙の害なのです。これは当然方々で事件として起きておるわけでありまして、政治上あるいは社会上からも問題になっておるわけですから、この水の問題が一段落つくと同時に、やはり煙の問題も一つの問題として提起して、積極的な対策を講ずべきだ、こういうふうに思います。
○大堀政府委員 ちょっと言葉が、公害と申し上げて、私は公の害ということを申し上げたので、煙害も含めまして煙の害等についてお答え申し上げたつもりであります。
○長谷川委員長 中嶋英夫君。
○中嶋委員 それでは大臣もおらぬことですから一部質問しまして、第十二条、第十六条に関しては大臣の出席を求めてあとでまたいたします。 今勝澤委員から全般的に質問があったわけですが、私は二、三具体的に質問を進めてみたいと思います。 第一に、今回の立法の効果の問題について、今次官から相当の効果があげ得るという確信に満ちた答弁がありましたが、私は立法の効果の重点は、あとで御質問しますけれども、第十二条、第十六条の内容をいかに重視されておるものであるかどうかということにかかっておると考えるのでありますが、今問題になりました、公害という言葉が出ましたが、ガスあるいは煤煙、廃液、騒音、振動、こういった公害の問題についての解決は、いわゆるその被害を受けます産業ないしは付近住民、この福祉を中心として考える場合には、当然産業の発達に影響があることは私も存じております、ただこの解決をはかる場合に、もし産業の発達を重点にします場合は、当然その被害なり影響を受ける者に対する補償問題、その損害をどう賠償していくか、こういう問題にタッチせざるを得ないと思います。また住民の福祉ないしは他産業への影響、これを防除するのだということに重点をおきますならば、当然十二条、十六条の改善の命令、国の援助というものがどの程度になるかということにかかってくると考えるわけです。その意味において今回の立法の趣旨は、どちらの方に重点をおいているのか、この点をまず明白に基本として伺っておきしたいと思います。
○松尾(金)政府委員 この法律の提案理由のときにも御説明を申し上げましたように、今御指摘のございましたような広い意味の公害を含めまして、このような問題は、結局は各種類の産業間の問題でもあり、またさらに広い意味では産業と一般公衆との間の利害調整の問題になるわけでありますので、従いましてこのような問題につきましては、結局は双方の立場を十分考えて運用していかなければならぬということに相ならざるを得ないと思います。今御指摘のございましたように、このような問題について工場側つまり加害者側といわれる方の側につきまして、そのような汚水なりその他公害を相当与えるようなことについて、それを除却するような方法を、当然ある程度の強制をしなければならぬような場合には、もちろんそれに対しては国から必要最小限度の援助その他はやらなければならないと思いますが、先ほど申しましたような意味合いからいいましても企業自身が公共的、社会的な責任の立場から、当然自分自身もそういう立場に立ってものを考えてもらいたいということと、双方のかね合いで問題の解決をしていかざるを得ないであろうというふうに考えます。
○中嶋委員 双方のかね合いといいますか、調節をはかっていくということになりますと、重点をどちらに置いたかということが明白にならない。従って、水はよごれるが、この程度ならばかんべんしてもらえるだろう、あるいは確かに迷惑はかかるけれども、その迷惑をとるために水質の改善をいたすまで今度は産業がだめになる、こういうところにさまよいながらこの法律は実施されていくだろうという見通しに立つわけであります。従いまして私ども社会党の方で問題を提起しております、先ほど勝澤君からお話しましたが、いわゆる指定水域を先にして、水質基準を後にという意見があったわけですが、政府はあくまでもこれを一緒にやっていく、ということは河川、ことに応じての水質基準を設定していくということに考えられるわけであります。いわゆる石狩川における水質基準と北上川における水質基準と、隅田川における水質基準との間には相当な差があるわけです。かりにその河川ないしはその下流にある沿海の魚類、こういうものの性質、たとえば貝とかノリとか、あるいは魚の種類、そういうものに対する影響力がこの程度ならばよろしいというところの変化を意味するかのごとく答弁がありましたが、それ以外に、たとえばこの地帯は、産業構造上非常に重工業の多い地域にある河川である、その地区における都市が工場地帯であるかどうか、こういうこともあわせて考慮した上での水質基準というものが入る、いわゆるあくまでも技術的にきめるべきものであるか、それとも政治的な配慮を加えるべきであるかということについての見解を明白にお聞きしておきたい。
○大堀政府委員 ただいま御質問の点でございますが、もちろん水産関係の個々の事情も考慮いたされますが、加害側の産業立地というか、産業の密集地帯であるか、あるいはその他加害側の産業分布の状態も水質基準をきめます場合の考慮の一つのファクターになると考えます。
○中嶋委員 そうしますと、この水質基準の設定の問題は単なる技術的な問題でなくして、非常に政治的な要素を持つということになる。そうなりますと、現在の河川の状況がそれぞれ工場地域においては非常に汚染されておる、まだ工場の進出のない東北、北海道方面においては、あまりよごされておらない、こういう条件があるわけです。そうしますと今回の立法措置は現状を基礎にしてよごれておる河川をきれいにしていきたいのだという積極的なものを含んではおらぬというふうに考えてよろしいかどうか。
○大堀政府委員 根本的には現状以上悪くしないということが主体でございますけれども、現状が非常に悪い、極度に悪いというような場合は、これはやはり多少改善をしていくということも含まれております。
○中嶋委員 そうしますと、多少積極性を持っておられるという答弁のようでありますが、今までの質疑の中にもいろいろ言葉が出てくるわけですが、あまりにもひどい場合云々という抽象的表現が出ますが、この際対象となるべき過度に汚染されているという言葉を使う場合、過度とはどの程度のものを基準として言うのか。いわゆる河水の問題について河川ごとに政治的配慮を加えるというけれども、その場合においても、本来ならばここなんだけれども、政治的配慮があってここまで高めたのだ、本来ならばここだという純粋な技術的な意味においては、ちょうど騒音の場合においてフォン単位の基準があります。あるいはガスの場合においても、これ以上は人体に故障があるという許容限度がある。その意味において、水質の場合に、濁度ないしはその他の菌の場合においては、おそらく厚生省関係の方において明白にお持ちだろうと思います。その他浮遊しておる微生物とかいろいろ政府の出しております資料にもありますが、それぞれの害の原因となるべき要素についての恕限限界と申しますか、これまでは許し得るというものを技術的にお持ちであるかどうか、この点を伺っておきたい。またその点をはっきりつかんだ上で、今回の立法なりその他の作業にかかったのかどうかということを、事務当局からお伺いいたしたいと思います。
○花園説明員 ただいまの水質基準のきめ方についていわゆる今お言葉の中に政治的配慮というお言葉があったわけでありますが、この表現につきましては、多少われわれとしては産業立地的なという考え方が、むしろ当てはまるだろうと存ずるわけであります。われわれとしましては、当然北上川の場合または江戸川の場合、それぞれ水質基準のきめ方に、そういった産業立地のあり方、人口の棚密度、工場、事業場の棚密度、将来の産業立地の面からくるその付近の工場の将来のふえ方の予想、そういったものをわれわれは当然考慮のうちに入れて、ここは一つこの程度でかんべんしてもらおうじゃないかということをわれわれ考えておるわけでございますが、その場合に、もちろん当該地方におきます産業の構成が、非常に水産業のウエートが大きいという場合の考え方と、ある地方において水産業はこの際むしろ衰退していっても、ほかの産業によって十分カバーし得る状態であるという場合は、やはり水産業がむしろそのような考え方でとられる場合があるということは、われわれ考えておるわけであります。従いまして、個々のケースにつきまして、われわれが、ではこの川の基準をどの程度にするかというのは、やはりただいま申し上げました通り、川の汚濁度についてまず調べる、その汚濁度が現在その川にかかっておる各種の産業の間で、一方にはその川にある水産業で将来とも保存して参りたいもの、水産業というのは、たとえばカキなりノリなり、この程度のものはやはりこの程度の産額を維持するようにしておかなければいかぬのじゃないか、また一方排水する方につきましても、それぞれの産業別のあり方によりまして排流水の中身が違っておるわけでありますが、それが技術的限界を越えてまで除外措置を命ずることもできかねますので……。
○中嶋委員 私も簡単に質問していますので、答弁も簡単に要点をつかんでやっていただきたいと思います。要するに基準を持っているかということなんですよ。基準を持って作業にかかったかどうか。
○花園説明員 そういう全国一律の基準は用意しておりません。
○中嶋委員 今産業立地上云々という言葉がありましたが、表現の問題ですけれども、今この程度ならかんべんしてもらおうという表現があったが、それは政治的配慮の入った水質基準がきまるであろうということを、関係者には少くとも与えるわけなんです。ですから、たとえば今度政府が水質汚濁の問題について立法をした、こういってある県の水産大会で与党の代議士が声高らかに宣伝して何かいいものができるのだと思っておる。ところがそれは相当政治的配慮が入ったところの水質基準ができるということは、関係住民、漁民はまだ知らぬのです。この点を明白にしておかなければならぬということで答弁を求めた。なぜかというと、政治的配慮が入っていないとなりますと——入る場合においても、当然技術的に科学的にこの程度の汚濁度は本来いかぬのだ、だがかんべんしてくれということになる。かんべんしてくれといってその基準すらがないということになりますと、今回の立法は非常に空虚な内容しかないということをみずから証明していることになる。そうでしょう。たとえば政治的配慮を加える場合でも、十という基準が本来必要なんだけれども、ここは工業地帯でもあるから二十までにしよう、ここは水産が進んでおるところだから、相模川のようにアユや何か大事にしているところだということで十を守ろう、こういうことになる。その十という単位がきまってないで、あなた方がこれからこの程度はかんべんしてもらおうといったって、どの程度がかんべんしてもらう基準なのかわからない、われわれはどこまで譲ったのか、どこまで守ってもらうのかわからない、こういう意味では科学的の——現に騒音の場合とかガスの場合とか、あるいは振動の場合においても何ミリの震度があるということで、初めてこれがいい悪いの問題になる。そういうものを持っていないで、ただ水を調べたら濁度がこれくらいあった、ここにはこれくらいの細菌がある、何があるということを調べた、しかもその数字のうちのどの辺に線を引けばいいのかという基準がまだ見つかつてないということになりますれば、まことにこっけい千万であるし、私はほんとうに心配になってきたのですが、この点をはっきりして下さい、
○花園説明員 ただいまの御懸念の点につきましては、むしろ被害を受ける側の、たとえばノリの場合はどの程度の汚濁度になると非常に害があるか、また軽微な害で済むかというような水産業側の各種の調査というものが、むしろ今の問題の場合は当てはまるかと思うのであります。これは実は水産庁の方でも鋭意その方面の研究者が——割にその数は少く、二名か五名でありますが、一つ一つシラミつぶしに魚種別に調べていっておる段階でございます。従いまして、こういったものは今後の作業過程と申しますか、今後この関係の仕事が確立しますにつれて、実はもっと具体的にきまっていく問題だと思います。今のところは、その意味での行政上の確定しておるものは非常に少いのだということは、全く御指摘の通りであります。
○中嶋委員 今答弁されたことは、先ほどの質疑の際に、五つか六つの問題については大体水産庁がわかっておる、あとはまだわからぬということを答弁しておったと思うのですが、その五つ六つにしても、やはり許容限界というもの恕限度というものをつかんでかからなければならぬと思うのです。その意思がおありかどうか。
○花園説明員 実は水産の被害の問題につきましては、農林省側において鋭意予算化に努力しつつ研究を続けておるわけであります。そのうちのやはり産額の多いものから、たとえばノリ、カキ、真珠、そういったたぐいから逐次進めておるわけでありまして、現在の段階においてはそれらのものを除いた、たとえば赤貝の被害がどうかとかまたアユの被害がどうかという問題にわたっては、まだ決定を見ていないように聞いております。
○中嶋委員 そうしますと、初年度におい数河川、まあ六つの河川というお話ですが、調査を進めるということですね。先ほどの答弁を好意的に解釈すると、これからこの一年間で、六河川だけではなくて、一般の許容限度、恕限度というものが発見できる、こういう期待を持っておるのですが、そのように期待してよろしいでしょうか。
○花園説明員 ただいまの御質問は私実は非常に答えかねます。これは研究成果の問題でございますので、実はことしは赤貝がわかってしまうだろうというふうには、ちょっと答えかねるわけであります。
○中嶋委員 六河川ものあれを一年間かかって、約一億の費用ですかあるいはその半分ですかつぎ込んでやって、そこであなたの方では水質基準をきめるという、そこまでの作業を進める自信があるときに、一般的な恕限度を発見できないとなったならば、この六河川に対して水質基準をきめる場合の裏づけというものについて、われわれは安心してまかせることができないということになるわけですが、それでよろしゅうございますか。
○大堀政府委員 先ほどからお話がありました水産関係の個々の水産物に対する影響は、どういう影響があるかという研究が、現在行われておるわけでございますけれども、私どもの水質基準をきめます立場はその立場だけではなくて、やはり個々の水域における加害者側、被害者側の産業の影響、そういう面から必要な水質基準をきめることになっております。やはり一般的に決定するデータとしては、こういう研究が進むことは非常に参考になると思いますが、水質基準としてはやはり具体的な産業間の影響を勘案してきめる、こういうことにせざるを得ないと考えております。
○中嶋委員 私は一般的な恕限度というものをかりにつかんだ場合、社会党の立場から申しますならば、これを守れ、これを守れないときにその産業の設備の改善を命令する、命令しっぱなしではいかぬ。政府の十分なる資金のあっせんなり融資なり、あるいは補助金というものによってこれを埋めていく、ここまでいかなければ私は水質問題に限らず公害問題全般に対しての解決というものはあり得ないと考えているのです。これを一歩譲って、その地区地区の産業立地の条件というものを加味していく、いわゆる政治的な配慮を加えて水質基準をきめる場合においても、この地域はこういう重工業地帯であるからこの辺までというか、もとになる基準というものがないと話にならぬと思う。必ずしも私は赤貝から一切のものまで守れとは申しません。しかし大体のものを見て、これ以上はずっと問題があるという線はつかめるはずだと思う。現にガスの場合においても、震動の場合においても、あるいは煤煙の場合においても、これは濃度があります。それから騒音の場合においても、限界がちゃんとわかっている。水質の場合につかみ得ないということはない。つかんだ上でかんべんしてくれというならかんべんのしようがあるけれども、それをつかんでいない。そうしますと住民はがまんしてくれと言われた場合に、自分はどの程度にがまんしたかわからない。本来がまんしてしかるべきものなのか、あるいはがまんできないと主張していいものか、それが科学的な裏づけを与えられないで、うやむやのうちに解決される審議会であるならば、私は問題が大きいと思う。だから一歩譲って、その地区地区の河川ごとによって水質基準をきめる場合においても、その本来あるべき基準というものが科学的に発見されなかった場合——現に、二、三のものは発見されておる、こういう話ですから、二、三のものが発見されて、あとのものは発見できないはずはない。ノリが発見できて赤貝が発見できない、アサリが発見できないというばかなことはない、これを努力するのかどうかということです。
○大島政府委員 非常にごもっともな点だと思いますが、水質の基準というのはこれから審議会においてきめるということになるわけです。そこでその上において一応の基準が研究されて、それが基準になると思うのです。ですから、まだ今御指摘のような決定的なものであるというようなことには私たちは考えられないのです。これから審議会によりまして、そして今までもむろん研究をしていたでありましょうけれども、それより以上に決定的のものを得るために審議会というものができて、そしてだんだん進められていきますならば、やはり御指摘のような御趣旨が徹底するのじゃないかというように私は考えておりまして、ことに政治的な配慮がなしとせずということであります。ないともいわれぬでしょうが、私たちはそういった人民の迷惑になるというようなことを前提としていろいろなことが考えられる場合、そんなに政治的な配慮によって曲げる、また考え方をかえるというようなことは考えないように努力いたしたい、かように考えております。
○中嶋委員 政治的な配慮を加える必要はない、そんな考えはないという答弁があったのですが、それならば河川ごとに水質基準をきめる必要はない。これから一年間かかっても全般的な、一般的な水質基準をきめて、こういう水準以上の川はいかぬ、たとえば汚濁源を中心に攻めていくという先ほどの参事官の答弁は、私賛成です。川の水をとって、これは限界だということだけではなくて、その汚濁を起すもとである工場なり事業場なりそういうところへ行って、用排水を中心に限界をきめるのもけっこうですから、今次官がおっしゃったように政治的配慮を入れないというならば、なぜ一河川々々々ごとの水質基準をきめるということが必要なんだ。この点、法案をもう一ぺんやり直しますか。
○大島政府委員 それはちょっと違うのです。先にきめるというのでなく、これから審議会が基準をきめていくのですから、その過程において何かむつかしいあなた方の方の御心配になるようなことがあるならば、逐次これを改善していけると思うのです。
○中嶋委員 あなたはこれから審議会できめるとおっしゃる。そうすると審議会にかかる場合に、本来科学的にはこれ以上の濁度、これ以上の浮遊物、これ以上の特殊の要素が入った場合には、ノリはだめになりますよ、カキはだめになりますよ、こういうものを出して、まあ自然のことであるから、水といっても雨が降って、要するに希釈度の問題ですが、水の量が多い場合に薄くなるというような場合もあるし、その辺までかんべんしてもらおうというようなことで、場所が京浜地帯だからというようなことがかかるわけです。審議会の委員はそれを聞いてよかろうというようになるだろうと思う。審議会の委員は全部現場に行って水の量を調べたり、あるいは生物実験してその上でこれはいいとか悪いとかやるはずはない。しかもその審議会は河川ごとにやる、一河川ごとにやるというようなことは、隅田川の場合と北上川の場合と石狩川の場合ということなんです。あなたのように政治的配慮を入れるところがなければ全国のどの川もこれ以上よごしてはならぬということはきまるはずなんです。あなたは政治的配慮を入れない、審議会できめていくというならば、その審議会でかってに入れないということを証明していないではないですか。あなたは政治的配慮を入れないということならば、一河川ごとについてやりません、どこの河川でもここから先はいかぬ、ここまではよろしいときめます、こう言明されればあなたの今の答弁は首尾一貫する、さもなければ首尾一貫しませんよ。
○大島政府委員 私が今政治的という言い方の内容が少し違うと思う。それは私の申し上げたことは何か政党の関係で曲げて何かやるというような言い方で申し上げるのでありまして、あなたのおっしゃったことと内容がちょっと違っておるのですが、もし私の言い方が悪かったならばお許し願いたい。
○中嶋委員 何も政治的という言葉は自民党的水質汚濁とか、社会党的水質汚濁とかいう意味ではないので、私の言うのは利害の一致しないものが入った場合、これを真にこちらがいい、こちらが悪いという軍配が——軍配だけではいけない場合に、現に今参事官が言ったように、水産業が衰退しても、その土地を今後工業圏としてかえていくという場合を言っておるのです。こういうことが政治的という意味なんです。これはまた皆そう思っているだろうと思う。あなたは別に考えているのです。 次に問題になりますのは、今言ったように一般的な水準は発見に困難だ、今ここでは約束はできないという話ですが、少くとも六河川の水質基準をきめる場合に、大体相場というものはきまりますね。たとえば六河川以外の河川の周辺に工場をこれから作るという場合に、汚濁の問題があったから、こういう水質基準をきめられておる、他の河川の実体はどうなっておるかということを見て工場を作ると思う。当然これはやると思う。従って単に六河川に限らず、全国各河川の付近の事業場の設備の改善の場合、あるいは新設する場合に非常に参考になると思う。従ってその場合に私が今言ったような一般的な恕限度の相場というものは発見できるかということを聞いている。
○花園説明員 実はこの水質基準を河川ごとにきめられなければならぬという一つの基本的な問題は、この場合それぞれの川を予定しまして、河口付近にある水産業が真珠の場合、カキの場合、ノリの場合それぞれ違うわけであります。これは当然漁業法によりまして認められております区画要件の内容によって違ってくるわけでありますが、その場合に、工業との関係で、つまり汚水との関係で、われわれが普通ある川ではカキを念頭に置きながら汚濁度をきめていく場合、ある地域においては真珠を念頭に置きながら考える場合、ある地域では特に淀川周辺になりますと、工業用水の取り入れのことも考えながらきめていく場合、そういうように川というものは、自然条件においては水として同じものであることは当然であります。と同時に、それぞれのその川に関係のあります産業構成というものが川ごとに違って参りますと、この川についてはこの程度のものは流したっていいじゃないか、これは河川そのものには、当然自然浄化作用を当てにした下水的機能というものが一方にあるわけであります。やはりある程度の下水というものは、河川の本来的な使命の中にあるというふうに考えますと、ある程度そういった汚物を流すことも認めてやらなければいかぬ性質のものでございますが、それが今のようなそれらの関係産業のあり方によって、汚濁度というものは違って参るという意味においては、われわれも淀川の場合のものをすぐ石狩川に適用していいかどうかということは、やはり問題であろうと存ずるのであります。
○中嶋委員 しからば先ほど申し上げたように、一歩譲って水質基準を各河川ごとにきめるという方針でいく場合においても、本来はこうありたいというものを、この一年間の六河川の調査の結果からつかむだけの能力をお持ちかどうかということです。
○花園説明員 ただいまの六河川を調べますと、先ほど申し上げました通り、この六河川の調査というものは、調査の一つのモデル・ケースとしての調査方法の樹立、または調査対象のつかまえ方、それから当然汚濁度の中身を何を考えるかという問題を考えながらやっていくわけであります。この六河川をやっていくことによって、全国の河川の汚濁度のきめ方の方法論的な基準というものはまず発見できる、かように存ずる次第でございます。
○中嶋委員 それから次にこの水質基準をかりに六河川別々にお作りになると思うのですが、先ほど社会党の勝澤さんから言ったように、大体の相場がきまったならば、今度は指定水域を、調査の対象にしない六河川以外のものにも広げておいて、多少恕限度をゆるめてもこれは守ってもらわねばならぬぞということを、前もって指定しておくということは困難でないと考える。先ほどこれを分離することができる、できないの問題があったけれども、その上に立った場合はできると思うのです。
○花園説明員 私はただいま方法論的な面では基準が立てられるというふうに申し上げたわけでございますが、同時にそれでは一つの川できまった基準そのものが、ほかの河川において何らかの参考的なものとして仮適用できるかどうかという問題になりますると、これはやはり法制的な面から見ると、指定水域をきめて水質基準がきまっておらぬという状態は、当然法的には空白と申しますか、そういった状態に放置されるわけでございますので、その意味でその区域の行政指導の面で、ただ単に行政指導の趣旨からだけで、そういった仮水準といったようなものを運用していくということは、むしろ非常に迷惑をかけることになるのじゃないか、かように存じております。
○中嶋委員 たとえば例を北上川にとりましょうか。もし今年この河川の状態を調べて水質基準をきめる場合と、四、五年後において水質基準をきめる場合においては、私は相当変ってくると思う。さっきの次官のお考えでは、産業が発達してくれば違った意味での一般的な、普遍的な意味で政治的な配慮が入ってくると思う。そういう非常に動揺性のあるものです。もちろんそういう内容であるということを皆さん御承知の上で進めておられると思うのだけれども、われわれもそう理解してかまわないのですね。この点よろしゅうございますか。
○花園説明員 御指摘の通り河川の汚濁度というのは、必ずといってよいほど悪い方へ変るものだと考えております。
○中嶋委員 そうしますと、今われわれは水というものはだんだんよごれていくということは知っています。しかし私どもは今から百年前、二百年前の先祖よりきれいな水を飲むことができるわけです。そこでやはり科学性というものが問題になってくる。そこまで入っていくものとして私はこの第十二条、第十六条というものを見つめてみたいと思ったのでありますが、この十二条、十六条というものをきれいに書いてはあるけれども、なおよごれていくというものならば、第十二条、第十六条に対する政府の予算化に対する熱意というものを疑わざるを得ないんだが、むしろ積極的に今より努力しているのだということを含めての第十二条、第十六条なのか、この点を政務次官からお答え願いたい。
○松尾(金)政府委員 技術的な問題を含みますので、私からお答えさせていただきます。十二条の問題は、この改善命令を出す際には、この法律の明文に掲げてございますように、要するに水質基準を目安にして出すわけでございますから、最終的にはその水質基準のきめ方に帰着すると思います。その水質基準のきめ方につきましては、今までいろいろ御意見がございました。私どもも今御意見がございましたように、要するに河川の水は、それを利用するみんなができるだけ最も有効に利用するようにしなければならぬということは当然でございますので、そのような水が現在どのような状態で利用されておるか、先ほどの例にいろいろあがっておりましたことのように、水産業としてはこの程度の水を要求して、その程度の水の状態でこういう利用の仕方をしておる。また逆に同じ工場側でもそこをきたなくするだけでなくして、同時に工業用水その他として、この程度の水を前提としてこのような利用の仕方をしておる。逆に工場の側からいえば、そこに排水をする場合には、その工場の水の実情に応じてできるだけ処理をしながら排水をしておるというような共同利用の状態でありますから、この水質基準がきまる際には、先ほどお話がございましたように、当然その水の現在の利用状況を前提として、それをそれ以上きたなくしないようにというのが最小限度の要求であります。できればそれから少しずつでもきれいにする方向に努力をする。それは工場側からいえば、排水処理技術がだんだん進んでいくに従って、若干はそこにきれいにするような努力の余地が出てくるというようなことになると思いますが、そういう実情に応じて水質基準がきまる、十二条、十六条の運営をして参るということに相なると思います。
○中嶋委員 そこで問題になりますのは、大体今お考えを聞くと、現状はかんべんしてほしい、それ以上よごれるというのは、というところに重点を置いておるように伺えるのですが、関連の産業もあるいは付近住民あるいは漁業者も決して現状に満足はしてない、ただこれを抗議し、解決していくだけの法的な裏づけが、今ないからがまんしているのです。今みんなが国会なり政府に要望、期待しているのは、今度法律ができれば、この現状を改善できるんだという期待を持っておる。また政府並びに与党はそういう期待を国民に与えています。従ってこれは公約からはずいぶん離れたものになってしまう。こういう点を政務次官はどうお考えになっておりますか。
○大島政府委員 国民が期待をかけているということでありまするので、私どももその期待に反しないように、できるだけの努力をすることに今推進中でありますので、そのように一つ御了承願いたいと思います。
○中嶋委員 そういうお考えでしたら、大臣ともよく相談されまして、当局に対してせっかくお前らは作ってくれたけれども、現状以上に急に押えようとすることであって、国民が要求をし、自民党なり政府に対して期待しているのはそうじゃないんだ、今たくさん問題があるんだけれども、法的裏づけがないために解決がつかない、これを解決してほしいというなまなましい血や涙をこめた訴えもきているんだから、やり直すかどうか、もっと積極的に変えて、こういうふうにもう一ぺん出せないかどうか、その点を伺いたい。
○大島政府委員 それは今私は大臣でありませんので明確に申し上げられませんが、出し直すというようなことは、ちょっと困難じゃないかと感じておるわけであります。
○中嶋委員 普通の場合の撤回要求と違うんです。今質疑してみて、あなたも私と一緒に聞いているわけなんですが、ああいう答弁なんです。従ってあなたもこれはきっと国民にほめてもらえるだろう、こう思っておられたんだろうけれども、それが遠いということがわかったならば、これはよく大臣と相談して——これは大臣に、きょう大臣は見えませんから、あらためて大臣出席の際にこの点について質問したいと思います。時間がありませんから、この問題はこの程度にして、あと大臣にお伺いします。 あと一つだけ問題になりますところを伺っておきます。それは第十六条の国の援助の問題について今勝澤君からも質問がありましたが、私はこれに対して政府が今後何億円を考えているかということを聞きたいんじゃない、それよりもむしろこの水質保全のための設備の改善をする場合に、水質汚濁を防止する意味においてこれだけのものを追加して、設計を直して設備をつけ加えてくれ、こういう場合その何割をめんどう見る気なのか。総額よりも、あるいは融資の場合でも、融資でどこまでめんどうを見るとか、あるいは補助金というならば、補助金は法文に書けないということ、これは松尾さんがおっしゃった通りで、これは私もよくわかるわけでありますが、しかし当局の考、えとしては何割までやりたい、たとえば五割までやりたいとか、これは他国にも例があるんですが、このパーセンテージについてお答えを願いたい。
○松尾(金)政府委員 従来までの状況で申しますと、先ほど申しましたように、いわゆる汚水を出すような種類の中小企業が密集しておるような地帯につきましては、従来必ずしも十分ではなかったと思いますが、公共事業費をもちましていわゆる共同排水の施設をやっております。しかしこれは従来わずかの程度であります。今度の法律の施行に伴いまして、これは来年度にまたがる予算要求の問題でございますから、そういう見方でございますが、われわれの気持としては、中小企業に対しては、国、地方公共団体合せて施設の二分の一の補助をしたいというのがわれわれの要求というか、希望であります。それから大企業につきましては、これは補助金というような性質のものを要求するものではございませんが、融資という意味で、国の財政資金、具体的には開銀資金をもちまして二分の一に相当する額の融資のめんどうを見たい、これも私どもの現在の要求でございます。
○中嶋委員 融資をする場合、あるいは補助金を出す場合、それは地元の県の商工部なり、経済部なり、そういうところを窓口としてなされるつもりなのか、あるいは中央において窓口を一元化するつもりなのか、その点を伺いたい。
○松尾(金)政府委員 大企業の場合には、その大部分がやはりそれぞれの各省なりあるいはその出先機関を通じて運用されると思います。しかし中小企業の場合は、この法律の上にもその事務の運営を地方長官に委任することができるようになっておりますし、またそれぞれの地方公共団体からも援助してもらう意味からも、これはむしろ当然各地方公共団体を通じて問題の処理を進めていくようになると思います。
○中嶋委員 それから中小企業の場合二分の一の補助、それは今のところは通産省の方のお考えであって大蔵省がどう言うかまだわかりませんけれども、これは一つ岸内閣の共同責任において、裏打ちをしてもらえるだろうと思うんですが、二分の一の補助、またあと二分の一が出し得ない、こういう場合、なおそのほかに資金のあっせんを、たとえば長期の低利の資金をあっせんしてやろう、そういう積極性はないんですか。
○松尾(金)政府委員 御指摘のように、かりに補助金という制度をしきましても、これは今の補助金の性格上全額補助というわけには参りません。従いまして、それ以外の部分についてできるだけの資金のあっせんということも当然必要であろうと思いますが、そのような場合には、かりに資金のあっせんをしましても、企業が金を借りて将来返すという負担に耐え得るかどうか、やはり問題は最終的に残るように思われます。そのような場合にはやはり基本的には、そういう中小工場が密集しておるような地域につきましては、下水道の建設をむしろ国がみずから進んで進めるということの方が問題解決には資するのじゃないか。片方下水道の拡充計画につきましては、建設省でそのような計画を持っておるわけであります。それと結びつけて処理すべきものではないかと思います。
○中嶋委員 土木的な解決の方法もありますが、私の今言っている補助金とかあるいは融資のあっせんの問題は、機械的な設備改善の場合を言うのです。それを守らなければ罰金がかかるんです。もちろん罰金を取るのもいいけれども、そういう不心得者からは取るのもかまいませんけれども、取る前にこれだけやったじゃないか——ところが中小企業の場合防除措置なんかの場合に、かりに五百万、一千万という多額の費用を要する場合もある、しかしある企業者に対して気の毒だからといって許した場合、先ほどの政治的な配慮でもって、それを許したならば、一カ所だけでなく他も許さなければならぬということで、他にもだんだん出てくる、そうして一つの水産業なり他産業が衰滅を来たすという場合もあるということで、公共的な立場に立りて考えると、一企業あるいは一住民等の問題ではなくなってくる。そういう場合に、半額の補助のほかにあと半額は長期低利の融資のあっせん、これを中央から各府県にプールしておいてそれでやっていく、そういうことを考えたことがあるかどうか、またそれを推進するお気持があるかどうか。
○松尾(金)政府委員 今御指摘になりましたような基本的な制度としてというところまでは、まだ私ども検討しておりませんけれども、当然融資のあっせん等につきましては政府として協力をしなければならぬことであろうと思います。
○中嶋委員 なお先ほどの汚濁の基準の問題ですが、先ほど参事官の答弁によれば、汚濁源を重点と考える、これは非常にいいことです。汚濁源を押えれば、おのずから本流並びに下流、あるいは沿岸の水質にも影響してくる。この汚濁源をつかまえないと、たとえば一つの河川の周辺に京浜あるいは京阪神のようにたくさんの工場がある場合に、よごれてもたれの責任かわからない。そこの工場がお互いに、いや、うちじゃない、そちらでしょうというようなことで問題になってくる。ちょうど煤煙あるいは塵埃の場合における煙突の方向と同じだと思う。その汚濁源を押える場合、やはり基準がなければ、先ほど言った政治的な配慮とかなんとかいうことで汚濁源を押える場合、最終的にこの川の周辺にある工場群が悪いといっても始まらない。行政上この事業場だとこうなるというように、その事業場の汚濁源を押える場合の基準を設定なさるおつもりですか、その点をお伺いしたい。
○松尾(金)政府委員 つまり社会党案におかれましての本流の水質基準、それに応じての工場、事業場別の排水許容基準という社会党案の立て方と、政府案の立て方の違いだと思いますが、政府案は、もちろん作業的には各工場、事業場の排流水の出る口でそれぞれのあれを押えますが、それの前提といたしましては、木流の汚濁度というものを調査するということは、作業段階においてあるわけであります。
○中嶋委員 いや、私の言うのはそうじゃなくて、汚濁源を押えるのはけっこうだ、その汚濁源を押えて、その基準を越えているから問題だ、その基準を越えてないから、こんなに騒いでおるけれども、どうもこの工場じゃないらしい、別の工場だろうというので次に行かなければならぬ、そのときの基準がおありなのかどうかということです。たとえば濁度が何度以上はいいとか、悪いとかいう基準がなければならぬ。
○花園説明員 それがこちらで定める基準であります。
○中嶋委員 その基準はお持ちになるわけですか。
○花園説明員 基準を作るわけです。
○中嶋委員 それは水質基準とは別に。
○花園説明員 水質基準がそれになるわけであります。
○中嶋委員 そうすると、水質基準は工場単位、事業場単位に作っていくわけですか。——そうすると、一本の川の中にも、ある工場の水質基準の場合にはこう、ある事業場の水質基準の場合にはこうと出るわけですか。ちょっと混線していやしませんか。
○花園説明員 実は勝澤先生にお答えしたときにちょっと触れたんですが、要するに、われわれとしてはそれぞれの排流水の水質の汚濁許容基準をきめます場合には、当然大工場もあり、中小企業もある、それが百の水を流すところ、一の水を流すところで、それぞれ違った基準であってはおかしいわけであります。これは同一産業についての場合でございますが、その場合に当然われわれは単に流量をとりまして一立方メートルあたりの水の中にこれだけのものを含め、またはこれだけのもの以下を含める、たとえば大腸菌は二五〇以下にしろとか、または溶存酸素量は五〇pmにしろとかというふうな立て方をして、要するに大中小のそれぞれの産業別に同一の基準がいくようにして参りたい、かように存ずるわけであります。
○中嶋委員 そうしますと北海道にある、ある鉄鋼産業の排流水のいわゆる汚濁源に対する基準と、神奈川県における同種の産業、同種の工場の汚濁源に対する基準とは同一になるわけですね。
○花園説明員 これは実は河川自体には自然浄化作用が常に伴うわけでございますから、従いまして、たとえば隅田川一つをとりましても、隅田川の河口周辺の工場の場合、それから白髭橋あたりの工場の場合、これは明らかに白髭橋あたりから下流に流れて参る間の自然浄化作用による多少の汚濁減というものを考えながらきめていくわけでございます。従って密集地帯である下流地帯は、もちろん同種類の工場であってもきつくなる。それから上流の方は単一で存在しているような場合でも、むしろ水量が同一と見なせれば同じということになるわけであります。
○中嶋委員 そうすると正常に還元するという作用を持っているということによって、その係数をかけて引き直す。しかしやはり基準は同じなんでしょう。要するにあなたのおっしゃるのは、もっと端的にいうと、石狩川の場合はゆるくて、むしろ密集地帯の工場のたくさんあるところの方はきつくなるということ、そう解釈してよろしゅうございますか。
○花園説明員 これは水域ごとに違って参るということでございます。
○中嶋委員 違ってきた場合に、各工場によっては、ある工場と同種産業の他の工場の場合、こういう問題が起きたということに対して、川の持っておる浄化作用だけで差をつけることを、その事業場に了解させますか。その他の要素はありますか。
○花園説明員 たとえばわれわれはそれぞれの水域におきましての工場の排流水の汚濁度をきめます場合は、当然本流そのものの汚濁度を調査してかかるわけでありますから、従いまして清洲橋あたりに参ったときの隅田川のよごれ方と、上流から流れてきた汚濁のあり方というものをまず前提にしまして、それでその周辺に来ますと、汚濁の限界に来ておるというような場合には、そこら辺の工場はできるだけ汚水を流させないような措置を講ずる、しかし一方言問ないし白髭橋あたりは比較的水はよごれておらぬ、しかし清洲、永代橋あたりに流れる間には若干よごれが消えていく、そうするとそれも考えながら上流の方は上流の方で、ここはこの程度ということが別にきまって参るわけでございますが、それは単に本流の自然浄化作用というのは一つの自然現象を私は申し上げたわけでございますけれども、やはり具体的にはそれぞれの産業立地構成の問題がある、かように存じます。
○中嶋委員 浄化作用があるといっても、たとえば下流では永代付近が問題になった、しかし白髭橋の方がいいといっても、永代の方に行っているものの中には浄化し切れなかったところの上流のものも入っているわけです。その場合には上流に対してはいいけれども、やはり下流に行って大へんだからということでその範囲に入ってくるわけですね。そうなってくるとやはり本流の総和的な汚濁度というものが、どうしても大事になってくるわけですね。その汚濁度の場合は、今もあなたの答弁の中に限界をこえるという表現があった、その限界をこえるというのをきめる前に、やはりその言葉を使わなければならない。だから隅田川なら隅田川の水質基準をこの程度にするということを審議会にかけておそらく審議会は大てい反対もしないで、よかろうということで通すだろうと思う。その作業の前に限界がどうかというものをつかまなければならない、これをあなた方はどういうふうにしておつかみになるのか。それを次官のように審議会できめてくれるだろうということで逃げるのか、いや専門的立場から科学的に恕限度というものをわれわれは前もって持つのですと確信を持って答えられるかどうか、ここが大事だと思います。
○大堀政府委員 先ほど来の御質問の要点は、結局各河川には何か共通した一つの基準をきめるのじゃないか、そういうものがあるのじゃないかというお考えかと思うのでございますけれども、私どもとしましてはやはり各河川ごとに受ける被害の実態も違うわけでございますので、各河川ごとに汚濁度というものは違ってくると思うのであります。
○中嶋委員 その実態が違うとおっしゃいますけれども、たとえば京浜地帯においては、この辺までは恕限度を高めようという場合にも、基準がなくては高いか低いかわからないわけです。問題は、日本の河川は、基準としてこれ以上は汚さないというものを持って、それから臨むのでなければ、先ほど申し上げた政治的配慮によってあいまいなものになってしまう。しかもこの法律があることによって、あいまいな内容を持っているがゆえに、しかも恕限度が高いがゆえに、今までは少くともその工場のところに行ってけしからぬじゃないかと文句が言えた漁民までが、今度はこの法律のためにかえって文句が言いに行けないという現象が生まれる危険性がある。ですからやはり一般的に被害を与える限度はどの程度かそれはもちろん工場があるところは汚濁度が高いというのはあたりまえなことで、わかっているが、その場合もこれはという基準がなければならぬ。水質基準をきめる前にきめなければ、水質基準はきまらないのです。
○大堀政府委員 これは非常にむずかしいことになりますが、各国の場合でもやはり河川ごとに水質の基準がきまっているように私ども了解しております。たとえば水道のような公衆衛生に関係のあるものは、現在の技術における浄水能力の限界がありましょうから、そういう場合にはかなりはっきりした一つの線がやっているうちに出てくるかもしれません。しかし水産業になりますとやはり加害、被害、その経済的な影響度といったものを考えて基準をきめていかなければならないのじゃないか、かように考えておるわけであります。
○中嶋委員 最後に政務次官のさっきの答弁のところにまた返ってくるようですから、あらためて大臣出席の場合にいたしますけれども、水質汚濁による被害を受けておる住民、関連産業は今の状態より以上に汚染することをやめてほしいという声ではなくて、今困っておるのだ。今困っておるのだが、われわれ住民なり被害を受けている関連産業を守ってくれる法律がない。その立法をしてほしいということを昨年来——数年前からもちろんそうですが、特に江戸川の問題以来強く政府、国会に要請をしてきた。一見これにこたえて、政府は与党の支持のもとにこれだと言って出したのが、今度の二法案です。ところが検討してみると、日本の川はここまできれいにしておかなければならぬという積極的なものを含んでいない。むしろ現状を中心にスタートする基準がないということは、現状を基準にするほかはないのですが、そういうお考えのようであるので、私は相当大事な問題になってくると思う。政府がこの水質汚濁に関する公約に違反する形になると思う。非常に重大な問題と考えますので、後日大臣にも質疑いたしますが、その前に次官はよく大臣とこの点を検討しておいていただきたい。 以上で私の質問を打ち切ります。
○長谷川委員長 本日は、これにて散会をいたします。次会は明日午前十時より議題の五案について、参考人より意見を聴取することといたします。 午後二時散会