商工委員会 第8号
- 発言数
- 174 件
- 登壇者
- 10 名
- 会派数
- 2
- 開催日
- 1958/10/23
会議録
○長谷川委員長 これより会議を開きます。 参考人出頭要求の件についてお諮りをいたします。公共用水域の水質の保全に関する法律案、工場排水等の規制に関する法律案及び水質汚濁防止法案の審査のため、来たる二十九日参考人に御出席願い、御意見をお聞きしたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○長谷川委員長 御異議なしと認め、そのように決します。 次に、参考人の選定に関しましては委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○長谷川委員長 御異議なしと認め、そのように決します。 —————————————
○長谷川委員長 鉱山保安法の一部を改正する法律案及び鉱業法の一部を改正する法律案の両案を一括して議題とし、審査を進めます。質疑を続行いたします。多賀谷真稔君。
○多賀谷委員 先般フランスの鉱山試験協会、いわゆるソフレミンが日本の炭鉱を調査いたしました。これは世界銀行の要請によって政府とさらに石炭協会の方で招聘をしたと思いますが、その調査報告書によりますと、まず日本の炭鉱で考えられることは、どうしても継続的安定の必要性がある、これはいかなる他の産業よりもその経営には継続的安定が必要である、こういうことを非常に強調しておるわけであります。長期と短期の石炭政策に別々のものでなくて、常に不可分のものである、こういうこともやはり強調しております。拡大をするためには安定がなくてはいけないということを、石炭の特殊性から非常に強調し述べておるわけですが、しからば継続的安定の対策として政府はどういう手を打たれているか、これをお聞かせ願いたい。
○樋詰説明員 ただいまの御質問、われわれも毎日痛感しているわけでございますが、まず安定するためには、何と申しましても石炭産業自体がほかの産業から信頼されるということが一番の根本条件ではないか、こう思っております。そのためには、まずそれぞれの炭鉱自体、石炭鉱業自体、自分自身で直すべきところ、いろいろな労使関係その他もあるかと思いますが、これは石炭鉱業の中でできるだけ話し合いして、最も発展的な方向に持っていくように今後とも努められると思いますし、またわれわれも及ばずながら、できるだけそういう方面にお世話をしたい、こう思っておりますが、これに関しましては、たとえば一番必要なのは長期契約を結びまして、そうしてそのときどきの経済状況等にあまり左右されないような、値段等につきましても、あらかじめスライデング・スケールといったような制度でも確立するということによりまして、そうしてお互いにちょっと情勢が変ると、炭価を上げてみたり、あるいは買いたたいてみたりといったことでなしに、経済情勢の推移に応じて、スムーズに安心してその炭が使えるというような格好に持っていくような、いわゆる長期契約というものを結ぶことが絶対必要じゃないか、こういうふうに考えております。具体的には、今年度の石炭につきましても、豊水の結果、電力用炭の引き取りというものが上期におきましても百六十万トンばかり減ったわけでございます。しかし石炭の重要性ということにかんがみまして、通産省といたしまして、石炭、電力両業界よく話し合って、そうしてできるだけ予定に近い炭を引き取るようにということを勧奨して参ったのでございますが、先週に至りまして、大体話し合いがつきまして、一応電力業界といたしましては、上期に向いますときの貯炭は百五十万トン程度が望ましい、適性貯炭だというふうに今まで言っておったのでございますが、少くともその倍の三百万トン程度の貯炭になっても、今後の引き取りというものは大体計画の線に沿ってやる、具体的に申しますと、年間で大体千三百万トン程度の石炭を電力界でたくというふうなことにつきまして、原則的な話し合いがついております。現在電力界はすでに四百万トンをこえる貯炭を持っておるのでございますが、これから下期の需要期に向いまして、できるだけ炭をたいていただくということにし、さらに来年の豊水期に向いましても、先ほど申し上げましたように、普通の適正貯炭と考えられるものの少くとも倍程度は持っていただくということで話がつきましたので、まず一番大きな大口につきましては、さしあたりのところ今後半年ないし一年くらいのめどがついたわけでございますが、われわれといたしましては、さらにこれを推し進めまして、そうしてことしの上期に問題になりました石炭のたき方は少かったけれども、ある程度石油をたいたといったようなことのないように十分に関係局とも相談し、両業界の関係も緊密にさせるという方向に持っていきたいと思っております。またそれ以外の国鉄その他政府関係機関あるいは大口の需要者に対しましても、石炭の浮動するということが今の御指摘の通り非常に他産業にも迷惑をかけ、石炭鉱業自体の発展を妨げるということになっております点をるる申し上げまして、できるだけ各社あるいは各機関の事情の許す限りにおいては、継続してとっていただきたいということを絶えずお願いしているわけでございまして、この努力は今後とも続けていきたい、こう思っております。
○多賀谷委員 通産省の方で五千六百万トンという目標を変えられたのはいつごろですか。
○樋詰説明員 今年度の生産目標は、七月三十日に石炭鉱業審議会を開きまして、そこでいろいろ御審議いただきました結果、五千三百五十万トンということに正式に決定したわけでございます。五千六百万トンと申しますのは、年度の始まる前に、当時の経済情勢から見て大体五千六百万トン程度要るのではないか、ということを非公式な見解として申し上げたわけでございまして、三十三年度の合理化法に基く計画の目標数字は五千三百五十万トン、これは七月三十日の決定でございます。
○多賀谷委員 その後今年度は幾らに変更されましたか。
○樋詰説明員 まだ正式に変更はいたしておりません。と申しますのは、七月三十日には四月、五月の実績が大体わかっておりましたので、それと当初考えられておりました年度間の鉱工業の生産水準が四・三彩程度ふえるといったようなことを計算いたしまして、五千三百五十万トンという数字であったのでございます。ところが、御承知のように七、八、九の三カ月も思ったよりも雨が非常によけい降ったといったようなこと、それから鉱工業の生産水準がほとんど昨年度横ばいを続けたといったようなことから、上期自体におきましても相当大幅な消費の減少がございまして、二千三百万トン程度の上期消費だったと思いますが、二千百万トン程度の消費にとどまったわけでございます。それで下期の今後の見通しにつきましては、目下いろいろな方面からのデータを集めて検討いたしておるのでございますが、一応鉱工業の生産水準が上期に比べて六・五%程度伸びるということを前提にし、平水べースというようなことを仮定いたしますと、大体消費者は二千八百万トン程度になる、そういうふうに考えております。
○多賀谷委員 そうすると、年度を通じて幾らになりますか。
○樋詰説明員 需要でございますか。
○多賀谷委員 出炭は。
○樋詰説明員 そこで二千八百万トン程度になりますが、御承知のように九月の末の貯炭が一千七十万トンございます。そこでわれわれといたしましては、来年の上期、いわゆる石炭の不需要期に向いますころには、少くともこの千七十万トンから三百万トン程度は貯炭を減らしておくということでないと、本年度は切り抜けても、来年度の上期に至って非常に石炭のさばきが不活発になるということを憂えますので、大体二千八百万トンの消費があるとすれば、生産は二千五百万トン程度にとどめることが、来年度に対するつながりから見て安全ではないかというように見ておりまして、一応ことしの上期の生産実績、それに上期のストライキの補正を加えますと、ほとんど二千五百万トンになるわけでございますが、大体上期の生産程度を下期も続けていただくということをするのが需給の面から見て実は安全ではなかろうか。ただし、その数字そのものについてはもう少し正式な検討をしたいと思っておりますので、正式に石炭鉱業審議会を開いてことしの目標を変更し、あるいは業界の方に、はっきりと正式の指導をするというところまでの自信をまだ持っておりませんが、そのあたり計数を目下整理いたしておりまして、現在のところは、一応最近の見通しでは三百万トン程度貯炭を減らすことにすると、二千五百万トン程度の生産にとどめた方が安全ではなかろうかといったようなことを、非公式に行政指導といったような格好で大手、中小に申し上げておる段階でございます。
○多賀谷委員 普通の年で、まあストライキというものを考慮しなければ、上期と下期では出炭のベースは大体どのくらい上るのですか。
○樋詰説明員 大体季節的の差というのが、年間約五百万から六百万と見ております。
○多賀谷委員 そうしますと、下期は二千五百万トンの上期のベースを二千万トンくらいのベースに減らさなければいかぬのですな。それはちょっと言葉が足りませんけれども、二千五百万トンという上期の出炭に応ずれば、今お話がありましたように季節的に五百万トンふえるということになれば、三千万トンということになりますから、それを二千五百万トンというベースに押えるということになれば、べースでいくと五百万トンほど出炭制限をしなければならぬ、こういう実情になりますね。
○樋詰説明員 下期の出炭の能力が、今おっしゃいました通り三千万トンあるという前提に立てば、二千五百万トンというのは二割のカットということになるわけでございますが、しかしこれは下期の生産能力、適正な現在の出炭能力を幾ら程度に見るべきかというところに問題があるわけでございます。大体私どもの技術屋がずっと検討したところでは、二千八百万トンというのが一番無理のない、いわゆる適正生産能力というものではなかろうかと思っておりまして、われわれ二千五百万トン程度に生産を押えました場合にも、これは大体一割程度の生産制限にはなろうかと思っております。なお新聞紙上等で大手が一五%だなんだとかいうお話がございますが、それは、それぞれの会社が一番最初、年度当初に考えておりましたペーパー・プランと申しますか、こういうもので、必ずしもわれわれの方はそれが能力だというふうには考えておらないわけでございます。
○多賀谷委員 では端的に言いますと、上期のペースの一割くらいの制限が必要である、こういうように考えられているわけですね。
○樋詰説明員 上期は実際二千三百八十万しか出ておらないわけでございます。ストライキの補正その他を加えて二千五百万トンというのですから、そのままずっとやっていけば、需要の方ではその増で五千百万トンになる。従って九月末の貯炭、三月末の貯炭に比べて倍くらいになるのが普通でございますので、上期に掘った炭が下期に消費される。私が申し上げましたのは、普通の年で下期の方が五百万トンくらい上期に比べて消費がふえるということを申し上げたのであります。
○多賀谷委員 需要ですか。私は実は出炭ベースのことを聞いておったのです。大体上期と下期は消費が違うのは当然ですが、下期になると、気候の関係もあるし、日数の関係もあるし、いろいろあって、大体下期の方は出炭がふえるのです。消費に関係してふえるという点もなきにしもあらずですけれども、大体べースからいえばふえるわけですが、それを聞いておったわけです。
○樋詰説明員 大体歴年の実績では、上期が四八に対しまして下期が五三という生産実績でございます。そこで四%程度違っておりますので、年間といたしまして大体五千万トン・ベースで二百万トン上期と下期で違うということになります。
○多賀谷委員 局長の方から、まず愛される炭鉱ということが必要であるというようなこと、いわば、まあ信用ある炭鉱というようなことをおっしゃいましたけれども、私はまず政府がもう少ししっかりした見通しを立てなければ、先ほどソフレミンの報告書を読みましたが、継続的安定は困難ではないかと思うのです。役所は局長がかわるから非常に都合がいいようになっておる。私はここに速記録を持ってきておりますが、ちょうど解散前の四月三日に、五千六百万トンというのは見通し困難ではないかということを盛んに質問しているわけです。重油をこれだけ入れておるけれども、これは石炭を圧迫する危険があるということを、夜の八時ごろまで質問をしておる。ところが当時の局長は、五千六百万トンという数字は決して過大な数字ではありません、ということを再三にわたって答弁をしておる。もうすでにそのころは五千六百万トンは困難だといわれておったのです。しかし政府はやっぱり旗を変えないのです。景気に対する弾力性がないならばないだけに、もっと鋭敏に反映をしなければならぬ。むしろ逆です。景気に弾力性がないから、むしろ受け取る側として、鋭敏に反映して対策を事前に打っておかなければならぬ。それがすでに五千六百万トンが危ない、日本の生産の伸びが大体停滞気味でだんだん下るだろう、こういうことがいわれておったときでも、五千六百万トンは決して過大な数字ではない、こうおっしゃっておる。これは単に当時の局長だけではないです。これは二十九年のときも同じですよ。二十九年の当時は、四千八百万トンでしたが、四千八百万トンは絶対に死守するのだということを愛知通産大臣はおっしゃった。ところが四千八百万トンが四千六百万トンになり、四千三百万トンになり、四千百万トンになった。ところが幸いにして局長はかわった。そうして次の局長が、石炭は不況ですからというので合理化法案を出され、ボイラーの規制の法案を出された。役所は幸いにしてかわりますから、これはいいですけれども、私はこういうようなことを繰り返しておられたのでは、日本の石炭政策というものは樹立できないと思うのです。このとき私は、局長の五千六百万トンが五千四百万トンになり、五千三百万トンにならないことを切望し、期待しておく、こう結んでおるのです。残念ながらもう私が懸念した通りになっておる。すでにそのときはかなり赤信号の時代ですから、やはりこういうことは率直にお話になった方がいいと思う。一回掲げておるなら絶対にそれをくずさない。しかし景気は動いておるのだから、事情はどんどん変っておる。こういうような情勢ですから、私は、政府は率直に見通しがわからぬなら見通しがわからぬ、こういう答弁をなさってしかるべきだと考える。まあこのことについては私は追及しませんけれども、重油についても同じことです。とにかく重油は製品は若干輸入が下ったのですけれども、原油は三十二年度の上期にも下期にもなかったくらい大幅に二十三年度の上期に入れておる。これはどういうわけなのか、非常に過大に入れておるんじゃないかということを質問いたしましたところが、いや、これは正常な形だ、すなわち石油化学の発展とか、あるいは航空機用がソリンの消費が増加しておるから、ある程度の在庫の補てんをしなければならない、在庫の補てん上、原油の輸入が必要なんだということを言われておるのですね。これは一体どういう事情であったのですか。どの局長でもいいですから、お答え願いたい。
○福井政府委員 御承知のように、重油は非常に重要なエネルギーの源になっておるものでございますが、全体の経済活動の伸びに伴いまして、重油の需要量が逐次増加している。こういう傾向になっておりまして、三十六、七年度になりますと、三十年度に比べますと、全体の石油の需要量というものは倍近くになる、一応こういう長期計画の見通しができております。
○多賀谷委員 そういたしますと、三十三年度の上期の外貨の割当、原油の輸入というのは適正であった、こう考えていいわけですか。
○福井政府委員 私どもは、大体適正であった、こういうふうに考えております。
○多賀谷委員 適正であったのではなくて、やむを得なかったのでしょう、率直にお話しになると。船の契約上、とにかく違約金を払うわけにいかないから、やむを得ない処置でしょう。それは適正であったなんて言われると、一体どうしたのだ、こう言いたくなる。やむを得なかったのでしょう。
○福井政府委員 油の需給計画といたしましては、適正な需給計画を関係省の間で検討いたしまして、それに基いて需給計画を作っておるわけであります。ただ原油の輸入につきましてはただいま先生のおっしゃいましたような点が、スエズの動乱以後の長期用船契約の結果といたしましてございます。この点はスリッページでございますとか、あるいはストックの量でございますとか、そういう点で、外貨をある程度よけいにアロケーションいたしまして原油の輸入をせざるを得ないような会社が中には二、三あった、こういう実情でございます。
○多賀谷委員 すでに昭和三十三年度上期は鉱工業生産は伸びていないでしょう。三十三年度当初、下期はかなり伸びるように計画をされておった、計画書でも上期は伸びるようになってない。下期はぐっと伸びるようになって、トータルとして実質四%くらい伸びるようになっておったと記憶しておりますけれども、上期は伸びるようになっていない。それに外貨の割当はそのまま大きくされておる。こういうところにやはり問題があったのではないだろうか、こういうように考えるわけです。それを適正だなんておっしゃいますと、一体——われわれとしては石炭合理化法案というのを作りました。また重油ボイラーの規制法案というのを作っておる。国会としてはかなり手を打ってあるわけです。そうして政府は、とにかく石炭安定のためにこういう法案があるから一つ審議をしてもらいたい、こういうことで——私は反対をしました。その合理化法案については、私は今も異論を持っている。私たちが心配したと同じ結果になっている。そこで私は反対しましたけれども、大勢はこれは必要であるというので通過をしました。でありますから、不況対策にはこういうものが必要なんだということで法案の提案をされた。われわれは審議して、それは通過した。しかるに、その不況対策の法案が二つも出ておるのに、またこういう事態を繰り返して、一体これはどこに欠陥があるのか、これは大臣から御答弁願いたい。
○高碕国務大臣 これは、いかなる数量が適正であるかということは、そのときの経済状態によってきまるわけなんでありまして、しいていえば、政府の石炭政策にいたしましても、油の政策にいたしましても、その当時適正として認められたものが、そのときになってこれが景気、不景気のために過剰を生じた。特に今日の場合、石炭にいたしましても、石油にいたしましても、計画を立てましたときは適正と考えておりましょうが、今の状態から考えまして鉱工業生産は予定よりも伸びない。あるいは石炭にいたしますれば、予定以上に雨水が豊富なために要らなくなったとか、そういうふうなことが出て参ったわけでありまするが、そこにこれが生じたと存ずるわけであります。いずれにいたしましても、政府といたしましては今後いかなる数字が適正であるかということは、そのつどつどよく検討いたしまして考慮し、その数量につきましてはよく目標を定めていきたい、こう存じております。
○多賀谷委員 私はあまり数字にはこだわっていないのですけれども、国会としては、石炭合理化法案を通過さし、それから重油ボイラー規制法案を通過さしておる。石炭の安定のために二つの法案まで出しておる。しかるに、またこういう事態が起っておる。一体国会にどういうことを審議せよとあなた方は考えておるのか、そうしてまたどこに欠陥があったのか、これをどういうようにお考えであるのか、お尋ねしたい。
○高碕国務大臣 お説のごとく、大体日本の石炭の生産について長期にわたって生産計画を立てる、これを実行しやすいように合理化法案を作っていただきましたわけでございますが、その長期に向って立てます数字につきましては、できるだけ狂いのこないようにしておかなければならない。石炭の事業はほかの産業と違って、急にふやすわけにも減らすわけにもいかない、こういう建前から、この数字を固守するようにやっていきたい、こういうのが最初の考えであります。 しからばエネルギー資源として、景気、不景気によって非常な狂いが生じたという場合は、輸入する油を規制することによって、ときには輸入する油の量を切る。世の中が不景気のときにエネルギー資源が要らなくなったというときには、石炭においては切ったりすることはできないから、輸入する油においてこれを切るということは切りやすいわけであります。また非常にエネルギー資源が必要なときには、油の輸入をもっとふやすことができるようにするために、重油規制法案等も取り上げられたわけであります。この二つの法案をもって、そうしてやっていけば、私は今後日本のエネルギー資源の調整は完全にいくと存じますが、ただ問題は、どこにその基準を置くのがいいかという見通しをつけることが必要でありまして、本年のごときも上半期において油は余っておる。石炭も余っておるというときでありましたが、ここで石炭は貯炭がふえるということになれば、下半期の重油の輸入をもっと制限するということを十分にやりたい、こういう考えで進んだのでございますが、石炭と競合する油は重油でありまして、その重油につきましては、これを輸入する数量は、特殊の重油であったために、これを切るわけにいかない。従って石炭と競合する重油を切らんとすれば、原油を切らなければならぬ。原油を多数切れば、また一方において軽油が不足する。こういうふうなジレンマに陥りまして、私どもは最初この七月ごろ考えておりまして、石炭審議会において私が申しましたような工合に、下半期において大量の石油の輸入を切ることができなかったことは、非常に遺憾に存ずるわけなんでございます。でも、ともかくも五十万キロリットルという数量を切ったわけであります。従いまして、今後来年度におきましては、いろいろそういうふうな点も考慮いたしまして、今私が申しました方針をもって今後エネルギー対策に対していけば、石炭の方は比較的安定し得るだろう、こう私は存ずるわけであります。
○多賀谷委員 では、その法案の実施、運用について聞いてみたいと思います。重油ボイラーの制限法ができて、一体どのくらいそれによって認可をし、その認可をしたボイラーの重油の消費量はどのくらいになっているか、これをお聞かせ願いたい。
○福井政府委員 御承知のように重油を使う設備を設置してはいかぬというような法律の規定になっておりますので、許可をいたします場合は法律で限定されておるようなわけでございまして、運用の幅が非常に狭い法律になっております。これを通産局で実施いたしておりますが、ただいま御質問の点につきましては、三十年の十月十日から重油ボイラーの規制法が施行されております。施行以来全体で九百四十二カン、三十三年度分は入っておりません、三十二年度までの数字といたしまして九百四十二カンの許可カン数になっております。ボイラーの数でございますが、そういうことになっております。 それから重油の消費量でございますが、これはどういうふうに許可を受けましたボイラーで消費したかというはっきりした数字はなかなかとり得ないわけでありますけれども、ただいまの九百四十二カンのそのカン数の能力で参りますと、大体百二十九万キロくらい、百二、三十万キロリットルくらいの能力増になろうかと思います。従いまして、これは能力の数字をそのままとったわけでございますから、果してこれでどの程度重油が消費されておるかという実数は、この数字では出ていないわけであります。
○多賀谷委員 私が調査したところによりますと、一番伸びているのは電力の重油消費です。これはものすごい上昇率を示しておる。昭和三十年度は二十九万七千キロ、二十一年度は六十六万三千、三十二年度は百三十五万六千キロリットル、こういうように、最初から見ると三十、三十一、三十二と倍々といっているわけです。ですから、二十年度と三十二年度を見ると四倍の重油消費が行われておる。しかも電力は公益事業ですから、政府のかなりの監督下にある、規制下にある。一般の製造業なんかを見ますと、あまり伸びていないのです。重油の消費は伸びていない。一般の製造業あたりも私重油が使いたいだろうと思います。しかし、そういうものにはほとんど許可してはいないのです。許可しても非常に少い。ところが電力だけはどんどん許可しておる。こういうところにやはり私は問題があるのではないかと思うのです。安い電力を供給するということも必要でしょうが、やはり国の基幹産業として、相互援助の形で石炭と電力はいかなければいけないと思うのです。一体公益事業局はなぜこういうような膨大な設備を許可し、さらにまた重油の消費を認めているか、これをお聞かせ願いたい。
○小室説明員 公益事業局といたしましては、石炭業界と電力業界とが長期にわたって共存態勢をとっていくということが非常にいいことであるというふうに考えております。また最近の石炭不況に際しては、そういうふうな態勢をさらに強化するという行政指導もいたしておりますが、数年来の電力の不足に対応いたしまして、電源開発を強化して参ります場合に、新鋭火力を増設し、新鋭火力のベースといいますか、基幹的な発電所として運営していくという方向をとって参っております。もちろん能率のいい新鋭火力については、ボイラーも七万五千トン、十二万五千トンというふうに大きくなってきております。それから起動とか停止とか運用とかいう点について、どうしても重油を消費する量が多くなって参ります。新鋭火力の全体の火力に対する需要の比率がふえて参りますについて、一カン当りの消費量もふえ、また全体としての消費量もふえて参る。これはやむを得ないことであると思いますし、また電力事業自体の合理化ということからいえば、こういう方法は長期的に見ると、今後ともやはり考えていかなければならぬ点であろうと思うのであります。それと、ただいまの石炭業界と電力業界と共存共栄といいますか、そういう点をかみ合せて、最近においては重油の消費を極力節約するように指導しております。
○多賀谷委員 新鋭火力がだんだんウエートを占めていくということは知っております。そこで私たちはその新鋭火力に石炭の消費を依頼しているわけですね。むしろ今までの自流式よりも大容量貯水式ダムになって、従来のほとんど豊渇水の危険を石炭に転嫁しているという状態がだんだんなくなっている。トータルにおいてはなくならぬかもしれぬけれども、比率においてはだんだんなくなる、こういうことを期待している。そこで新鋭火力がどんどん増設されるということは、石炭界の安定のためにもいいのだ、こう考えているわけです。ところが重油をどんどん使っておって、重油の消費が伸びておっては、私はこれは逆じゃないか、むしろ混乱に導くものではないか、こういうように考えるのですが、どうですか。
○小室説明員 重油の消費がふえていることは事実でありますが、同時に新鋭火力がふえて参っているために、石炭の消費の実績は毎年相当躍進増大して参っております。ことしの数字にしても、昨年に比べて相当ふえて参っている。これは数字を申し上げてもよろしゅうございますが……。(多賀谷委員「言って下さい」と呼ぶ)二十九年で電力事業が消費しております石炭の消費量は六百三十万、三十年七百二十万、三十一年が八百六十万トン、三十二年が九百七十万トン、それから三十三年はこれからの問題でございますが、約千百万トンくらいです。
○多賀谷委員 重油の消費とともに問題になるのは、私は公益事業局で作られる年度における電力用炭の消費量の問題が非常に問題になると思う。これはなるほど豊渇水はありますけれども、電力は大体計画通り石炭をほとんど使っていない、ここに問題があるのではないか。一番よく見込みが狂うのは電力ですよ。電力用炭が狂う。ですから、あなたの方は、電力用炭の算定をされる場合に、どういう出水率を見ておられるのか、今まで今お話しになりました二十九年度から三十二年度まで、一体当初の計画と実績がどう違っておるか、この二点についてお伺いしたい。
○小室説明員 昭和十七年以来、出水率を正確に計量しておるわけでありますが、十数年にわたる実績を平均いたしまして平水率を算定し、それと電力需用とのギャップを火力が埋める、そういう形になっておるわけであります。御承知のように、水の出方というものは、予想が非常に困難でありまして、これはもう全然見通しがつかないのでございます。ことしの例で申しましても、四月、五月はよかったのですが、六月、七月は異常渇水であり、八月、九月になりますと、台風の影響があって非常にいい。ならして幾らかといいますと、平均に比べて一〇二%程度ということになっております。この平水の計算そのものについても議論があることは承知しておりまして、現在これについては部内で検討はいたしております。別にまだ結論は出ておりませんが、平水率の計算についても検討はいたしております。しかしながら、何と申しましても電力用炭の計画と、それから実際の消費との間のギャップが生じております一番大きい要素は、やはり水の出方です。ただしことしの上半期などで申しますと、実は需用の減なんというものも相当ギャップに寄与している。水の方の計算違いが五億キロワット・アワーくらいとすると、需用の方がもう少し大きな数字になっておるというような感じでございます。この電力の需用の見通しについても、なかなか先のことははっきり見通しにくいというような事情がありまして、火力発電は当初予想したように動いておりません。特にその際当然のことでありまするけれども、老朽の火力というものはとめておいて、新鋭の火力を動かしまするので、燃料の消費率というものも能率的になって参ります。たとえば一キロワット・アワー当り〇・六五キロの石炭を予想しておったものが〇・六というようになる。そういうような面で、これは合理化で、一面からいえば喜ぶべきことですが、結果からいえば石炭の消費が下る、こういうような面もございます。それぞれそういう点が見通しの狂いの原因になっております。過去の数字の計画と実績との差は、相当狂いがあることは事実でありまして、それも当初予想していたより若干下回っているということは事実でありますが、これはただいま数字をちょっと手元に持っておりませんので、もし必要ならばあとでお手元に差し上げます。
○鹿野委員 ちょっと関連して。ただいまの重油と石炭の消費の問題について、大臣に私はお尋ねいたしたいのですが、今多賀谷委員の質問に対する当局のなには、重油の消費も伸びておるが石炭の消費も伸びておる、こういうような御答弁でしたが、私はこの考え方に非常に不満を感ずるものです。それはだれでもわかっているように、石炭はまだ開発の余地がある。重油は輸入しなくちゃならぬ、こういうような状態ですから、現在の日本経済から見て、積極的に石炭の開発をやり、重油をもっと積極的に押えていくという方針をとることが私は望ましいと思う。少くともこうしたことをとることについて、いろいろ困難な問題があるでしょうけれども、考え方の基本は私はそこに置かなくてはならないのじゃないかと思いますが、大臣のこのことについての御所見を承わりたいと思います。
○高碕国務大臣 ただいまのお説には私は最も賛成するわけでございます。現在から見ましても、重油の消費が、電力の方においては、多賀谷委員のおっしゃったごとく、毎年々々倍々になっておる。石炭に対する消費は、幾らかふえておるけれども、その比率はきわめてわずかだというところに非常に欠陥があると私は思っております。従いまして、どうしても今後の方針といたしましては、この輸入に仰ぐ重油はできるだけ規制して、産出し得る石炭は優先的に使うという方針をもって進みたいと存じております。ただ遺憾ながら、現状におきましては、油運賃が非常に低下しておったために油は使いやすい、こういうことのために、このままほおっておけば、電力業者はこれに進むようになりますから、できるだけ規制をして石炭にかえたいと存じております。
○多賀谷委員 今お話しになった点で二点問題がある。第一点は平水のとり方、これは毎年この国会で議論になるのですが、電力の方は平水だといって、数字には違いないが、毎年々々それが豊水になり、平水をオーバーする出水率になっておる。数字をごまかしているという意味ではないが、この点もきわめておかしい。ですから、もう平水をとらないで、大体二%なら二%増し、一〇二%というようにものを考える。この前石炭合理化法案で出された政府の資料では一〇四%と出ていたわけだ。一〇四%と確率を見ておかなければ、危なくてどうにもならない。後になって要らぬと言われても困るといわれるくらい確実に見ておかなければならぬ。本年はだれが考えても渇水だという印象が強いのです。最近の豪雨があったのは特別として、大体印象的にいうと渇水だ。ところが本年も豊水だというから、どうも平水のとり方にも問題があるのではないか。公益事業局の方は、なるべく石炭をよけい使うことにして料金をきめれば、あと決算に赤字が出ないからいいでしょうけれども、一方の方は非常に困るわけです。ですから、この点については、単に長期契約ということだけではなくて、何か制度的に問題があるのではないか、解決すべき方法があるのではないかと思うわけです。そこで重油ボイラーの規制法案と合理化法案のほかに、もし法案が要るとするならば、やはり取引上における安定帯というのが必要ではないかと思う。これが欠けておりますから、いかに合理化法案を作り、ボイラー制限法を作りましても、一つ大きなものが欠けておる。ここに今日のような事態を招いておるのではないか。また今後この不況を克服するためにも、そういうことが必要ではないかと思うわけです。これに対して大臣はどういうふうにお考えですか。
○高碕国務大臣 石炭鉱業が安定するためには、どうしても消費と生産との調整をよくしていく、それがためには長期の取引ができるように、またしやすいように持っていかなければならぬ、それには、数量と同時に価格というものを織り込んでいかなければならぬ、こういうようなことにつきましては全く同感でございまして、それに対して現在の二法案だけでは足らぬ、こういう御意見でありますが、そういう点につきましても十分検討を加えたいと存じております。新しい法規も必要があればこれを検討したいと思います。
○多賀谷委員 私は、単に電力と石炭の私的契約ではこれはやはりいけないのじゃないかと思うのです。両方ともこれは資本主義における私的利潤追求の会社ですから、私は、制度的に考えなければやはり解決できない、そうしなければ、石炭の増産態勢というものが非常に困難になると考えるわけです。電気の方におきましても、やはり料金の安定ということがきわめて必要であります。常に石炭の値段が上ったり下ったりしておったのでは、料金に著しく狂いが生ずる。ですから、料金の安定からいきましても、価格の面にもやはり十分検討をして、一つの安定帯というのが必要ではないかと思うわけです。これは単に私的な契約では私はうまくいかないのじゃないか、かように考えるわけですから、一つ大臣におかれても十分研究していただきたいと思います。 それから、さっき私は二つのうちの一つに平水の話をしましたけれども、消費効率の問題も、これは大体機械を入れるときにわかっているのですから、もうすでにその点を年度の初めには十分織り込んでもらいたいと思うのです。昭和二十九年も、実は一般の鉱工業生産が伸びておるのに、石炭だけが非常に悪いのです。これは一般鉱工業生産が伸びておるのに、石炭だけが悪いのは一体どこに原因があるだろうかというので、いろいろ研究してみましたが、一つは消費効率にあった。各合理化が進んで、鉄鋼でも電力でも消費効率が非常によくなった、だから、あまり使わなくなった。こういう点も数字から見るとばかにできない大きな問題です。事前にわかっておるのですから、これも織り込んで事業局としては年度の電力用炭を計画してもらいたいと思うのです。機械を入れるときこの機械が幾らくらいということはわかっているのですから。そのときは黙っていて、そうして今まで通りの消費効率でやって、あとになったら、実は消費効率がよくなって石炭は要りませんでした、こういうことでは、私は日本の電力界にとっても石炭界にとっても不幸な事態になると思いますので、もうあらかじめわかっておる消費効率の合理化については、十分年度計画に入れていただきたい、こういうことを要望しておきます。 それから鹿野委員が質問されましたので、これ以上言いませんけれども、私たちも、石炭が不況になってくると重油を切れというお話をするのはどうも毎度のことで、質問をする方からいいましても、あまり言いたくないのです。法律もできておるのに、さらに重油を切れ、重油を切れという話をしても芸のない話で、これはやはり政府が長期的に計画を立てて、そうしておやりにならないといけないと思うのです。炭主油従ということを閣議で御決定になられたその当時の三十三年度の上期ですら、もう炭主油従の線はくずれておるのですから、そんなことなら炭主油従なんて言わない方がいいのです。みんな炭主油従で安心しておったところが、もう原油の輸入は、三十二年度の上期、下期に比して、経済が不況になっているにもかかわらず、多く入れておるのですから、羊頭狗肉ということがありますけれども、私はやはり羊頭狗肉の類を出ないのではないか、こういうことを考えざるを得ません。一つ大臣におかれては、一そう積極的に炭主油従の線を確保していただきたい、かように考えるわけです。そういたしませんと、出炭制限を業者に要請いたしましても非常に困難です。第一、コストが高くなるでしょう。首切りというものは簡単にできませんよ。少くとも労働組合のできた時代に、首切りなんというものは簡単にできません。それから合理化法案ができて、なるほど中小炭鉱はかなり淘汰されたことは事実ですけれども、それはどこに被害がきておるかというと、そこに住んでおる従業員にきておるのです。これはちょうど大臣が九州を視察なされたころ、「世界」の八月号のグラビアに「生きる廃坑の人々」というのがずっと出ております。これは田川の添田炭鉱の写真を載せておりますけれども、安定的な就業をしている人はほとんどないのです。全部集団的に極貧層になっている。むしろ合理化法案がなければ、労使ともに非常に協力して、そうして営々努力して——それは首切りは出るかもしれない、しかしその首切られた人も、隣の人が就業しているから、自分も何とか職業を探さなければならぬということで、非常に努力をして職を探すでしょう。ところが、隣を見ても、またその隣を見ても、全部同じ状態でしょう。全部が一度に失業するのです。そのうちに何とかなる、離職金も若干もらえる、こう思っておりますと、気がついたときは全部引っ越しもできない状態です。そうしてそこも集団世帯でいえば、七百世帯から千の世常、従業員でいえば、家族を合せますと、三千から四千の人口が全部失業しているという状態なんです。労働省の方も、最初は石炭合理化法案に基く失業者は国が何とか見ると言っておりましたが、法律ができて一年も二年もしますと、今まで石炭の合理化法にかけられて首切られた人々には、マル石といって特別の失業対策をやってくれておりましたが、それもなくなる。そこで一世帯一人しか失対事業に行けない。親子三人で炭鉱で働いておりましたものが、今度は一人しか行けない、こういう状態なんです。今の日雇い労働者の登録は一世帯一人しか許さない。こういう状態で、政府が法律を作るときと実際のその後の実施というものに画然たる差があるわけです。私は、いかに政府がかわりましても、こういう点は責任を持ってやってもらいたいと思う。 そこで私は、今問題になっております法案について質問を申し上げたいと思いますが、まず今度の一部改正で、集積物等の九条の二が鉱山保安法では改正になっております。これは集積場等というのですから、おそらくボタ山等をさしているのだろうと思いますが、石炭で言いますと、譲渡しまたは放棄したあとでも鉱業権者に責任があるということですけれども、これはどういう法理から出ているのですか。譲渡したあとでも鉱業権者に責任があるというのはどういう考え方に基いているのですか、これは局長から御答弁願いたいと思います。
○小岩井政府委員 ボタ山等を鉱業権の譲渡に従いまして承継する、こういう考え方の端的な根拠は、地すべり防止法の関係がございまして、現在のボタ山の所属が非常に不分明なところが多いわけであります。地すべり防止法ができますときに、保安法の適用を受けておりますものと適用を受けていないものとの二つにはっきり分けたのであります。保安法の適用を受けるものは鉱業権者の所有に属するものという考え方であり、一方適用を受けないものは鉱業権者以外のものの所有のもの、あるいは所有者の全くわからない所有者不明のもの、このいわゆる保安法の適用を受けないものが地すべり防止法の適用を受け得る、こういうような考え方から出ております。従って、現在保安法の適用を受けております堆積場等、これらのものが実際はなかなかむずかしくありまして、鉱業権者がいかにも所有しておるような状態でありましても、場合によりましては、自分のものではないというような場合もあり、あるいは放棄しておるかのごとき状態で、また炭の値段の上ったような場合には、このボタ山はおれのものであると主張するというような関係で、非常に不分明でありますので、そういったわけのわからないボタ山が今後数多く出ることを非常に懸念いたしまして、現在一応はっきりさせてありますボタ山については、鉱業権の譲渡とともにそれが一緒についていくという考え方でありまして、いかなる法的根拠に基いてそういうふうに考えたかという点については、私どもよくわかりませんけれども、一番大きな目的は、わけのわからないボタ山の生ずることをでき得る限り防ぎたいというのが唯一の目的でございます。
○多賀谷委員 どうも局長の答弁は、法案の趣旨を十分お述べになっていないようです。これは、鉱業権者はほかの人にボタ山の所有権を移しても、元の鉱業権者が保安の責任に任じなければならぬという意味でしょう。
○小岩井政府委員 そうです。
○多賀谷委員 違うじゃないですか、さっきの話と。なぜそうなったのかというのです。
○小岩井政府委員 これは、私の説明がちょっとわかりにくかったかもわかりませんが、一般の鉱害賠償のときにも、鉱業権がなくなりましても、前の鉱業権者が責任を持たなければならぬ場合もございます。そういった考え方と同じように、譲渡をしましても——譲渡した場合にはもちろん継承していくのでありますけれども、それを……。
○多賀谷委員 違う、それは鉱業権だよ。ボタ山だけがほかの人に移るんだよ。
○小岩井政府委員 ほかに移りましても、譲渡をしましても、前の鉱業権者が責任を持つ。鉱害の観念と全く同じでございます。
○多賀谷委員 私は集積場の管理といいますか、それがどこに所属するかというのがこの法案になると思うのですが、集積場等を人に譲渡しておる——放棄したならば別ですが、譲渡して他人が所有権を持っておるのに、旧鉱業権者に責任を負わすというのはどういう考え方だろうか、こういうのです。
○小岩井政府委員 これは逆に考えますと、譲渡をしましても、鉱業権者が責任を持たなければならぬということで、これを裏に見ますと、できるだけ譲渡しないようにさせる、これが裏から見た考え方なのでございます。
○多賀谷委員 これは、一つの責任の所在を明確にする法律ですからね。その程度の答弁では私満足できないのです。すでにボタ山の所有者が厳然としておるのですよ。その所有者が管理の責任に任じないで、旧鉱業権者に責任を負わすというのはどうも納得できない。二項はいいのです。二項は、鉱業権の移転の場合はそうでしょう。しかし所有者が厳然としておる場合に、その管理の責任を旧鉱業権者に負わすということがどうも納得できないのですがね。
○小岩井政府委員 私どもの考え方としましては、ボタ山に当然鉱業権者が作ったものでありますから、鉱業権者が終始責任を持つということが原則でありますけれども、このボタ山の考え方が非常に複雑微妙でありまして、二十四年の七月十二日に東京の高裁で判決がありました内容は、非常に端的に考えておりまして、まだ土地と一体をなさない間は、ボタ山というものは、地下より採掘搬出せられて動産となったボタが、動産として鉱業権者所有のままの状態で多量に集積されたものにすぎない、こういうような非常に端的な表現をしておりまして、これは、譲渡も放棄もできるのだという建前をとっておる関係で、どうしても譲渡という観念をはずすわけにいかない。で、譲渡をしてしまえば、どんどんその責任がのがれてしまうというのでも非常に困りますので、一般の鉱害の関係と同じように、譲渡はしましても、やはり権者の責任としては残るのだという観念を入れたわけなのです。
○多賀谷委員 鉱害の方はどういう理論ですか。鉱害と同じだと言われるから、鉱害の方はどういう理論ですかというのです。
○樋詰説明員 鉱害の方は、御承知のように鉱業権者が鉱害賠償の責任者です。鉱業権の消滅時の鉱業権者が鉱害賠償については責任を負うということになっておりますので、そういう鉱害の原因を作ったのが鉱業権者であるということになれば、鉱業権者が一応自分の加害鉱について責任を負う。鉱業権は消滅しても、そのあとで鉱害を受けたという場合には、消滅時の鉱業権者が責任を負うということになっておりますので、このボタ山につきましても、ボタ山から鉱害が起ったという場合に、一応鉱業権者が責任を免れない。もっともこれは当事者の間で、中でさらに話し合いで、損害賠償なりあるいは内部の負担責任なりということは、別途民事上の問題として残るわけですが、鉱害防止という見地からは、あくまでも鉱業権者の最終の責任としております。
○多賀谷委員 そういたしますと、鉱害の方は、ボタ山を他人に譲って、その他人が所有をして、その所有権者の管理が悪く被害が起った場合でも、これは旧鉱業権者になりますか。
○樋詰説明員 その通りでございます。
○多賀谷委員 大体その考え方というのは、どこから出ておるのでしょうか。今鉱山保安法の鉱害も同じですか。
○樋詰説明員 これは、被害者に対する関係において、加害者である鉱業権者というものが最終的に一応責任を負うという格好ははっきりするわけでありますが、ところが先ほど申しましたように、それが譲渡されておるといったような場合には、譲渡を受けた人間と鉱業権者との間には、当然損害賠償なりいろいろなことで、内部的に解決させるということであります。
○多賀谷委員 そうすると、結局所有権者の過失による損害賠償請求といいますか、それは、一般の民法でやらなければならないし、故意過失の立証責任は、被害者にある、だから結局被害者の救済にならない。そこで無過失賠償責任を課しておる鉱業法による鉱害を支払う場合においては、鉱業権者によった方が被害者救済のためになるというのがこの法律だと思う。鉱山保安法もその通りでしょう。
○小岩井政府委員 その通りであります。
○多賀谷委員 笑っておられますが、これは実は事件がきわめて多いのです。そうしてこれはなかなか困難なんですよ。これは九月ごろでありましたか、六十年前のボタ山が燃え出して、しかもそのボタ山のわきには、かつてボタを埋め立てて家が建っておる。その家のところに、だんだん地下に火が入って、ふき出した。こういう問題が起ってきた。しかも、それは最近石炭合理化法によって買い上げられた家屋です。その家屋を当時の従業員が譲渡を受けた。こういう事件です。ですから、これは一本どこに責任があるのですか。しかも、このボタ山は放さないといって、旧鉱業権者が持っておる。事業団はボタ山の所有はないのですね。これは一体どうなりますか。
○樋詰説明員 それは、一応事業団が第一次の賠償責任を持っております。
○多賀谷委員 そうすると、所有権を持っておる旧鉱業権者は、どういう形になりますか。
○樋詰説明員 連帯責任でございます。第一次責任は、現在の鉱業権者であります事業団が持っております。事業団と、それから鉱業法に基きまして、この前起きました鉱害の鎮西鉱業と申しますが、連帯で一応……。
○多賀谷委員 連帯ですか。その被害の発生は、事業団が買い上げてから被害が発生したのですよ。
○樋詰説明員 ただいまの私の答弁を訂正さしていただきます。旧鉱業権者、これは、いわゆる所有者としての民事上の責任というものを持って、賠償責任の第一次的の義務者は、事業団でございます。
○多賀谷委員 そういたしますと、旧鉱業権者は、鉱業法上の責任はないわけですね内部的にも。
○樋詰説明員 これは、民法上の責任はございますが、鉱業法上の責任はございません。
○多賀谷委員 そういたしますと、原因を作ったものには責任がないというのは、どういうわけですか。鉱害の発生時は今の鉱業権者、原因を作ったのは旧鉱業権者でしょう。その鉱業権者に鉱業法上の責任がないというのは、どういうわけですか。
○樋詰説明員 それは、現在の鉱業法に基きまして、鉱害発生時の鉱業権者が鉱害賠償の責めに任ずるということになっておりますので、この場合、現行法のもとにおきましては、第一次的には、あくまでも事業団が賠償責任者でございます。そうして事業団と鎮西鉱業と、この間は、先ほどのお話のように、別途内部的の問題として解決することになるわけでございます。
○多賀谷委員 今の話は了解をしたわけですが、内部的には、民法にいう損害賠償しか旧鉱業権者はない、こう理解をしていいと思いますが、どうですか。
○樋詰説明員 その通りでございます。
○多賀谷委員 そこで、私は一歩この理論を進めて侵盗掘のあった場合の鉱害、これは、その鉱区の鉱業権者でいいと考えますが、どうですか。
○樋詰説明員 侵盗掘は、これは、鉱業権によらずしてやっておるのでございますので、侵掘あるいは盗掘による鉱害というものは、現行法にいう鉱害にはそのままなりがたい、そういうふうに考えております。
○多賀谷委員 侵盗掘の場合も、今度は、保安には盗掘はありませんけれども、侵掘には保安の規定がありましょう。
○樋詰説明員 今度の改正で、そういう場合にも、保安上危険な場合には適切な処置を講ずるということになっております。
○多賀谷委員 ですから、私は同じ理論だと思うのです。原因を作った操業者とは関係がないという考え方です。原因を作った操業者とは関係がない、それは被害者擁護のためだ、そうならば一歩進んで、とにかくその被害者から見ればだんだん家が傾いていく、しかしその鉱区の所有者というものは厳然としておる。その人が掘ったのであろうとは大体考える。それが、はからずも侵掘であったり盗掘であったりするためにその損害賠償の適用を受けないということになれば、被害者から見れば、これは大へんなことです。そこで私は、原因を作った作業時の鉱業権者とは関係なく、現在発生時の鉱業権者に責任を負わすという今のボタ山の理論を貫けば、これは盗掘でも侵掘でも、当該鉱区の上にあって、そうして作業はしておらないけれども、当該鉱業権者がいわば権利を侵されてその被害が起った、鉱業権者からすれば、どろぼうに追い銭ということもあるでしょうけれども、被害者の立場からするならば、第一次的には当然鉱業権者が持つのだ、こう考えていいじゃありませんか。
○樋詰説明員 これは、ボタ山の方は、鉱業権の譲渡その他で、現在の鉱業権者が、原因は自分が作ったのでない、しかし鉱業権を正当に譲り受けて持っておるわけで、これは鉱業権というものを譲り受けた際に、当然現在の法律から申しましても、将来問題が起れば、自分でやらざるを得ないということを前提として受けているわけでございます。今のお話の侵掘あるいは盗掘というのは、鉱業権者の同意を得てやっておるというのじゃなくて、全然鉱業権者も一種の被害者である。これは、確かに今多賀谷委員のおっしゃいます被害者の立場から、泣き寝入りできぬという点はごもっともで、われわれわかるのでございますが、しかしそうだからといって、それをすぐ鉱業権者、しかも全然善意無過失、寝耳に水の鉱業権者にいきなり責任を負わせるということは、理論的に無理な点があるのではないかと思いますが、最近いろいろ侵掘あるいは盗掘といったようなことに基く鉱害問題も、あちこち発生しているようでございますので、われわれといたしましては、できるだけどういうふうにしたらいいかということについて検討いたしたい、こう考えております。
○多賀谷委員 私は、先ほどのボタ山の問題、あるいはそれが鉱害の場合も鉱山保安の場合においても、現在の鉱業権者にある、こういうようなことは、私はその理論を貫くならば、今の侵盗掘でも同じだと思う。と申しますのは、鉱業権者は予定しているとお話になりますけれども、鉱業権を譲る前にすでによそへ売っておる。鉱業権者がよそへ売っておるのですから、当然ボタ山というものは、所有権の外にあるわけでしょう。管理の外にある。それは初めから予定されておる。それに、鉱業権者に責任を負わせるという考え、あなたの方でそれだけ理論が進むならば、鉱業権者の管理が悪いために、これはものの言いようですが、国からせっかく権能を与えられておっても、管理が悪いために盗掘や侵掘になっておる。その盗掘や侵掘を知らないということは、少くとも鉱業権者としては怠慢ですよ。ですから、それを知らないでおいて、そうして被害が起きた、こういうことになれば、鉱業権者が被害を持つという方が、ボタ山の理論によれば、理論が通ると思うのですが、どうですか。
○樋詰説明員 先ほど私が申し上げましたのは、現在の鉱業法自体が、上にある動産であるボタ山が、売られようが売られまいが、ともかく鉱害が発生したという場合には、鉱害発生時の鉱業権者であるということを前提として、鉱業権の設定あるいは譲渡ということも認めておるわけでございますので、そういう法体系を一応承知の上でやっておる限りにおいては、そちらの方が一応すでに理論的に割り切られた、こういうわけでございますが、先ほど私が申し上げたのはそれをいきなり全然知らぬで、今現在の鉱業権者が盗侵掘されておるのは間抜けだからというようなお話ですが、それは、むしろ鉱業権者から見れば、非常に迷惑な話なんで、自分の財産は減らされる、そして賠償責任だけ負わされるというのは、これは、いささか筋が通らないのじゃないか。これは、むしろ被害者救済という全然別の見地から何か考えるのが至当なんで、そういう方面をどうすればいいかということについて、われわれとして考えたいということを申し上げたわけであります。
○多賀谷委員 鉱業権者の管理が悪くて盗掘や侵掘をされておるのは間抜けだ、こう言っておるわけではないのです。それはどろぼうに追い銭のようで、はなはだ合理的ではないのだけれども、しかし被害者救済の意味から、あなたの方でそれだけ踏み切られるならば、この理論だって通るじゃないか、こう言っておるわけです。ですから私は、むしろ侵盗掘のあった場合に、第一次的には、鉱業権者に負わすという方が理論的だと思うのですよ。ボタ山は所有権者、管理者というのがちゃんとおるのですからね。ですから、その管理者がおって、そうして管理者が賠償責任能力がある場合においても旧鉱業権者というのは、これは一つの被害者保護あるいは公安を保護するための一歩前進の法案ですから、私は言いませんが、それをなさるくらいなら、今の理論だって考えられるじゃないか。 それから、言葉じりをとるわけではありませんけれども、局長のように、法律に明記してあるから、それを承知の上でやっておるのだろうとおっしゃいますと、法律は今後作れませんよ。どんな法律を作るときでも、そういう問題は起る。ことに鉱山保安法なんか、今度初めて出るのです。いやこんなことはおれは知らなかったと言うかもしれませんよ。ですから、そういうことは法律理論としてはできない。やはり私は、侵盗掘についての被害というものももう少し考えていいんじゃないか、ことに鉱業権というものの考え方に非常に問題があると思う。鉱業権というのは、本来国が持っておるものを、個人に採掘する権能をゆだねておるのですからね。いわば国とその鉱業権者との一種の社会的な契約なんですよ。その国が、これをよく管理して掘りなさいよと言っておる。鉱業権を私的に解すると今おっしゃったような工合になる。しかし、少くとも国がただで鉱業権を付与しておる。その鉱業権の自分の管理が悪いなんということは、これは、やはり問題だと思うのですよ。あまりにも私的な、私物化した議論をされると、私は、鉱業法というものはうまくいかないのじゃないか、かように考えるわけです。本来ならば、自分の鉱区を管理するのに、盗掘や侵掘があるのがわからぬような鉱業権者なら、鉱業権者としての資格はないですよ。それはもうないと考えていい。ですから、鉱業権者としては、当然そういう管理をすべきですよ。社会情勢が悪くて、管理をするためには命が危ないなんというのが間々ありますからね。私はよく事情を知っておりますが、あえて言いませんけれども、やはり鉱業権者というものはそのくらい国に責任を持っていいと思う。そこで、今の議論は、侵盗掘の場合の鉱害の責任者の明確化という点を一つ研究していただくことにして、次に進みたいと思います。 鉱業権の問題ですが、鉱業権の享有能力といいますか、出願資格といいますか、この問題については、現行の鉱業法を離れて根本的改正をされるというのですが、どういう考え方を持っておられるか、これをお聞かせ願いたい。
○福井政府委員 鉱業権につきましては、御承知のように現在先願主義をとっております。この先願主義は、だれでもとにかく早く出願をした者が、鉱業権を取得する権利を得る地位にあるわけでありますが、この問題につきましては、いろいろ弊害もございます。もちろん非常に長所もあるわけでありますが、従いまして、この先願主義を改めてはどうか、こういう議論が出るわけでございまして、これに対応いたします主義といたしまして、御承知のように能力主義がございまして、外国でも能力主義を採用いたしておる国があるわけでございます。この能力主義は、しかしながら運用なり要件、こういった点につきまして、非常に困難な点もございまして、なお検討を要する点がございます。こういった点につきまして、鉱業権を今後検討いたして参りたい、かように考えております。
○多賀谷委員 出願の段階で検討をするか、施業案認可の段階で検討するか、これはいろいろ議論があると思いますが、一つ検討していただきたいと思います。 それから今度の改正で、三十二条の二で、六十日間は許可をしない、すなわち鉱業法違反によって取り消された者については、許可をしないということがありますが、この考え方は、いやしくも鉱業法に基いて公権的な性質を有する権利を付与された者が、鉱業法違反によって取り消しを受けたという場合には、永久にその鉱区については許可をしてはならぬ、こういうように明記すべきではないかと思いますが、その点はどうですか。
○福井政府委員 この点につきましては、多賀谷先生のおっしゃる通りでございまして、その点、十分私検討しなければならない点だと思っております。ただ、今回なぜこういうふうにしたかという点につきまして御説明申し上げますと、この点だけにつきまして、ただいま先生の仰せになりましたような非常にきつい規定を置きますことは他の条項との関係もございまして、将来の一般改正のときに譲ったわけでございまして、六十日にいたしましたのは、徹底しない、一歩進めた程度の解決策でございますが、今申し上げましたような事情で、今回はこういう改正案にいたしておるわけでございまして、御了承をお願いしたいと思います。
○多賀谷委員 おそらく取り消しということになると、かなり鉱業法違反の条項でも悪質な者であると思うのです。ですから、いやしくも鉱業権の取り消しをやった場合には、その同一鉱区について同一人が出願することができるなどという考え方は、間違っていると思うのですね。これは、六十日とするなら、私は永久にした方がいいと思う。しかし、それは同一鉱区であればいいのです。その人間を永久に犯罪者として、どの鉱区にも出願できないということは酷でしょう。ですから、同一鉱区についてはもう権利がないのだ、こう考えていいと思いますが、大臣、どうですか。
○高碕国務大臣 理論的にはそういうふうな議論も立ちましょうが、実際に法律を適用する上におきまして、そういうことをすることが他に影響するところが多いというのだから、六十日というところで一応やっておいて、その間にほかの人間がどんどん出願する機会を与えておくということにすれば、犯罪を犯した人間はそれだけハンディキャップをつけられるということになりますから、そこらのところで妥協しなければならぬのじゃないかというところで、これができたわけであります。
○多賀谷委員 大臣にしては珍しく穏便な答弁ですが、私は、やっぱり決断をされた方がいいと思う。それは、取り消しということをやる以上は、相当悪質でなくてはならぬと思う。取り消しだけの処分ではないのです。鉱業法の処分に、停止の処分もあるでしょう。ですから、取り消しをするくらいなら、もう六十日なんということを言わないで、永久にその鉱区については認めない、こういった方が鉱業法の精神からいっても合致しますよ。少くとも国がある人間と契約をし、そうして契約違反をやったのでこれを取り消す、そうして二カ月たったらまた契約するなんということが許されますか。社会常識から考えても、これは許されないでしょう。それならば、取り消しをしなければいい。取り消しに値しないならば、権利の停止か何かやっておけばいい。取り消しをするくらいなら、やはり永久にやるべきだ、こう考えますが、どうですか。
○高碕国務大臣 取り消すということは、相当大きな違反があったということでなければならぬわけでありますが、そういうような結果になりますと、六十日置かないということになりますと、人の名前を使って、家族の名前を使ってやるというふうな手も打ちましょうし、まず一応六十日置いて、ほかのものもこれに参加し得るという機会を置いた方がいい、こう考える次第であります。
○多賀谷委員 出願主義ですから、参加はできないんですよ。別の会社になれば別として、そういう脱法的なことも考えられますが、それは脱法として行政処置の範囲内ですから、許可されなければいいのです。六十日を置くくらいなら、その鉱区については永久に取り消してもいい、こう考えるわけです。それを六十日と置いたところにきわめて問題がある。それは酷ではないかというなら、取り消しまでいかないで——取り消しという場合は、よほどひどい場合ですよ。それは一時作業の中止を命ずればいい。ですから、従業員があるにもかかわらず取り消すくらいなら、そういうものについては、その鉱区についての出願はもう永久に許可しない、こうしてしかるべきだと思うのですが、局長、どうですか。
○福井政府委員 多賀谷先生のおっしゃる点は、まことにごもっともな点でございますが、ただ、ただいま大臣もおっしゃいましたが、取り消しを受けまして今度出願をいたします場合には、他人名義で出願するということもできるわけでございまして、これはただいまの先願主義の建前から参りますと、Aという取り消しを受けました者のかわりにBが出ましても、そのBは、Aの身がわりとして出ておるのかどうかという点は、チェックする方法がないのでございまして、そういった点もありまして、これを永久に剥奪するということにいたしますと、鉱業権の譲渡制限というような問題も同時にやはり考えていかなければならないのではないか。現行法では、取り消しをいたします場合には、御承知のように聴聞にもかけることになっております。取り消しをいたしますのは、ただいまお話が出ておりますように、非常に特殊の場合でございまして、これは、大体稼行してももう価値のないような山について行われることが普通の場合であろうと思いますが、譲渡を制限するということになりますと、今度はほかの条文の関係になって参りますので、仰せの点につきましては、私どもも十分内部におきまして議論を重ねたところでございますが、今回はそういうことでお願い申し上げて、後日ほかの条文を全部見直して参りますときに同時に検討いたしたい、かような考え方でございます。
○多賀谷委員 やはり鉱業権というものの考え方が、私は間違っておると思うのです。鉱業権というものは、国が与えておるということをよく考えていただきたいと思います。ですから、国の契約に違反したようなものに、また六十日たったら再契約する、しかも同じ条項で再契約するなんということは考えられない。それほど酷であるなら、取り消し処分にいかなければいいのです。少くとも公聴会まで開いて取り消されたものについて、また六十日たって許すなんということは、普通ならば考えられないことです。どうも研究が足らないで六十日になったようですが、もう少し研究をして法律を出してもらいたい、こういうように考えます。 時間がありませんから、次に進みますが、侵盗掘が盛んに行われる、ことに侵掘が盛んに行われるということですが、この侵掘によって、今度東中鶴炭鉱では坑内出水があったわけですが、旧法には、十間といういわゆる間隔地制度というものがあったわけです。これを昭和十六年に、鉱利の損失を招くということで改正になって、いわゆる戦時出炭としてこれが撤廃された。そこで、実際問題としてすでに掘っておるところ、あるいは施業案の計画の出ておるところはやむを得ないかもしれませんが、間隔地制度というものをお考えになっておるかどうか、復活の意図はないかどうか、これをお聞かせ願いたい。
○福井政府委員 間隔地の問題につきましては、ただいまのお話のように、旧法にはあったわけでございまして、この問題につきましては、今後の改正でもう一ぺん採用してはどうかという見地から、検討いたしたいと考えております。ただ現在間隔地を置いておりませんので、今後現行法との関係をどうするか、現在の鉱区につきましてしいて置くということになりますと、補償の問題とか、そういうような問題も出て参りますので、いろいろめんどうな問題が出るわけでございますが、この問題につきましては、今後十分検討して参りたいと考えております。
○多賀谷委員 私は、さらに休眠鉱区の問題とか、あるいは鉱区の交換分合という点についても質問いたしたいと思いますが、時間がありませんから、次に譲りまして、公共の福祉との関係について一つ質問したいと思います。 これは、昭和二十八年度の改正であったと思いますが、法律的にはかなり多くの条文が出ておる。そこで、この運用が悪いのではないかという気持もするわけです。単に法律だけが悪いのじゃなくて、運用がよろしくないのではないかという気持もするのです。そこで、電源開発のダムの設置の場合に、鉱業権を一体どう処置をしたか、これをお聞かせ願いたいと思うのです。その場合に、鉱業権の買収ということをやったことも考えられるし、あるいは電力会社が土地収用法によって鉱業権の消滅収用を申請したという場合も考えられるし、さらに鉱業法の五十三条による取消権の発動をしたという場合も考え得るのですが、これは、一体どういうふうに処置をされたでしょうか。
○福井政府委員 すでに鉱業権の設定されております地域に電源開発をいたします場合には、競合いたしております場合には、両当事者で補償の点について話し合いが行われております。それから出願地域でございまして、なおいまだ出願の許可をしていないものにつきましては、通産局の方で、公益事業部と鉱山部とが十分相談をいたしまして、両方が競合しないように取り計らっております。
○多賀谷委員 これは、こういうふうに処置したということだけでもけっこうですから、あとで資料として出していただきたいと思います。 次に、坑内実測図の問題ですが、これは、先般来から坑内実測図を故意にごまかして記載をした。しょっちゅう話に出ることですが、鉱区の譲渡の場合には、なるべく掘らなかったように書いて出すということもありますが、そういう場合には、一体どういう適用をされておりますか。
○樋詰説明員 現行の鉱業法の百九十条によりまして、一応報告及び検査に関する規定がございますが、うそのことを言って報告をしたような場合には、これはその中に立ち入って調べることができることになっておりますし、そういう結果、違反がわかった場合には、百九十三条によりまして、二万円以下の罰金という罰則がついております。
○多賀谷委員 それは実際は法律の条文だけでしょう。坑内実測図が出されて、これはうそであるか、ほんとうであるか調べたことがないでしょう。またそれがうそであったといって書き直さした例はないでしょう。明治以来日本の法律ができてから、実際問題としては一度もないでしょう。
○樋詰説明員 一応調べてはおるのでございますが、違っておったということで、それを見つけて告発したという例は一件もございません。
○多賀谷委員 条文があるだけですよ。実際坑内の実測図を報告さして、その報告と実際が合っているかどうかというようなことを調べる余裕もないですね。率直にいって、今の鉱山の監督機構ではないだろう。ですから、私は大臣に——鉱山監督業務というじみな仕事ですけれども、災害が起ったときに初めて大へんだといったんでは、どうにもならない。現地に行って、現地の石炭事務所を見ますと、盗掘を調べにいこうとしますと、もう施業案がどんどんたまる、施業案を調べておると、もう盗掘しておる。もう大へんなんですよ。盗掘だって、一人で見に行くわけにいきませんし、とても危ない。ですから、やはりじみではありますけれども、こういう資料だけははっきり政府が握っておってもらいたいと思うのです。こういうじみな仕事でありますけれども、とにかく坑内実測図というものは、あそこに行けば確実だ、こういう観念を一般に植えつけるくらいやはり鉱業権者に履行していただかなければ、鉱業権者自体も困りますし、また被害者の方も、通産局あたりで、いやあれは掘っておりませんよと言いましても、実際被害が起っておる。通産局はどうも鉱業権者の味方だ、こういうように考えがちであります。こういう点の整備も一つやっていただきたい。 そこで、最後に私は、罹災者の救出の問題についてお尋ねいたしたいと思うのです。先般来から鉱山保安法二十五条の三の解釈を聞いておりますと、実際問題としては、これではあまり救済にならないのではないかと危惧される点もあるわけです。そこで二十五条の三でどうにもいかない、こういうような場合には、政府はどうされるのか。特別立法か何かを考慮する余地があるのかどうか、これを一つ大臣から明確に承わりたい。
○高碕国務大臣 被害者の救出につきましては、今度の保安法の改正は、何しろ生命ある者を一日も早く救出の実行をしなければならぬ、そのときに、現在の鉱業権者がその命令に従わなかったというような場合には、行政代執行法の規定によりまして、国が第三者に命じてこれを実行さす、これによって起った費用は、当然鉱業権者に負担さすということで、生きている人間を助けるということを主体に置いておりますが、しからば、ここでもうどうしても助からぬという人間がおった場合にどうなるかということでありますが、現在のこの改正の規定だけでは、できるだけ行政指導によって死体を搬出するような方法を鉱業権者に命じてやらすというくらいの程度しかできないのでありますけれども、実際の被害を受けました家族になってみると、死んだ人と同様に、その死体があるということは実際にわかっているわけでありまして、これは、ほかの方の水難救済とは違っており、そこに死体が現存しているということもわかっているわけでありますから、これは、何らかの方法をもってこの死体の救出を鉱業権者が実行できなかった場合には、取り出すような方法を考えたい、こういうふうな考えでございますが、これを特別立法でやるということになりますためには、いろいろ法律上の手続も考えなければならぬし、またほかの方のことも考慮しなければならぬし、第一に予算が伴うことでありますから、これを実行いたしますについては、よほど慎重に検討を要する点だと存じまするが、しかし相なるべく死体は救出し得るような方法について、実行し得るように検討いたしたいと存じております。
○多賀谷委員 この問題は、私はやはり大きな社会問題であると思います。近衛さんの奥さんならソビエトへ行って、御主人の死体を見つけて、そうして焼いて母国へ帰れる、ああいう方は特殊です。またこれは、外地に行っているわけじゃないんです。死体のある場所もはっきりわかっているのですから、やはり一近衛さんの奥さんだけの気持じゃないと私は思う。全部の遺族がそういう考えでいると思う。ですから、十分一つ考慮してもらいたい、かように考えております。 それから現在保安監督員制度というものがあるわけですね。この保安監督員制度というものは、保安管理者について保安の実施に対する勧告権を持っておる。ところがこれがなかなか実効を上げていない。実効を上げていないというのは、職制からいいますと、保安管理者のもとに保安監督員というものがおるわけです。ですから、職制からいっても、上司に対して勧告するなんということは、法律上はあるけれども、実際問題としてなかなか実効が上らない。一体実効の上る方法をどういうように考えているのか、これは局長から御答弁願いたい。
○小岩井政府委員 従来の保安監督員が十分に動いておったかどうかという点につきましては、私どもも監督員制度自体が、鉱業権者の自律制度、私設の監督官といったような関係で、あまり深く追及いたしておりませんでしたが、いろいろ問題もございますので、最近どんな程度の勧告をやっているかという程度につきまして、かなり詳細に調査をいたしました結果、それぞれ山の実情に応じましてかなりの相違はございますけれども、私どもが予想しておりましたよりも以上に詳細に、かなりな程度にまで勧告をいたしている山もございます。しかしながら全般を通じまして、今の先生のお話のように、監督員の機構、位置が保安管理者よりも、もちろん当初は同等に考えておりましたが、現状では保安管理者以下の立場の方が非常に多い関係で、十二分な勧告はできていないではないかというふうに考えております。 なお、この保安監督員をどういうふうにしたら有効に効果を発揮せしめ得るかという点につきましては、今後鋭意検討して参りたいというふうに考えております。最近の報告では、相当金額がかかるような風橋の修理、修築、そういったものまでも、かなり大規模な程度の改修も勧告をいたしておるような実情もございまして、必ずしも効果が上っていないというふうには見ておりません。しかし今後一そう効果あらしめるために、十分に実情を調査し、検討して参りたいというふうに考えております。
○多賀谷委員 これは、単に局長が御答弁になるだけでは、実際問題としてうまくいかないのです。これは、いわば鉱山保安を十分実施しないことによる被害者の立場の方を代表する人間を入れたらいいと思う。要するに、従業員の意向というものをくんだ技術職員を保安監督員に選んだらいいと思う。これは、同じように監督される者も監督する者も同じ立場の人である。しかも監督する方が監督をされる人よりも下におるなんという制度自体が、きわめて問題があると思うのです。ですから、この点についても私は十分検討していただきたいと思います。 そこで最後に、私は大体この鉱山保安法というのは、あまり実施運営がされていないのじゃないかと思うのですよ。第一、この法案をおかけになっておりますけれども、この法案を鉱山保安協議会に全然おかけになっていない。いやしくも法律の改正をやる場合に、労使、学識経験者からできておりますそういう保安協議会というのがあるのですから、この鉱山保安法の改正をするについてはこういう考え方を持っておりますと、こういう民主的な機関にかけてこの鉱山保安法というものを出すべきですよ。これは、何もそんなに急ぐ法案じゃない。急ぐのは急ぎますけれども、きょうあしたという法案じゃないのです。ですから私は、なぜ鉱山保安法の四十五条に鉱山保安協議会というのがあり、四十六条にはそういう規定があるにもかかわらず、この手続をおとりにならなかったか、これをお聞かせ願いたい。
○小岩井政府委員 私どもは、法律は国会で審議して作っていただくということで、保安法につきましてはもちろんかけておりませんけれども、法律がきまりまして、あとの関係の省令、省令に基きますいろいろの規則の改正につきましては、必ず中央協議会におかけしておるわけでありまして、別に他意があるわけではございません。
○多賀谷委員 私は、そういう運営が間違っておると思いますね。少くとも保安協議会という学識経験者を含めた諮問機関が——しかも大臣が会長であるわけです。ですから、われわれよりもずっとくろうとなわけです。専門家ですよ。しかも、この鉱山保安法なんというのは、技術監督立法です。何もそう利害関係のある立法じゃない。これは、特殊な人の技術立法なんです。そういう技術立法を、鉱山保安協議会というりっぱな制度があるにかかわらず運営をしないという考え方は、根本的に間違っておると思いますが、大臣どうですか。大臣が会長ですよ。
○高碕国務大臣 はなはだ不勉強で、私はそこまで知らなかったのですが、しかし、そういうものがあれば、できるだけこれは有効に活用いたしたいと思います。
○多賀谷委員 法律は、国会でどちらかといえばしろうとが議論して、あとの省令だけはお前たち審議してくれなんということはないです。これは、当然技術立法であるし、しかも専門家ばかりそろっておるここにかけて、そうしていろいろ意見を聞いて、大体まとまったところでお出しになるというのが至当です。こういう機関を利用されないということだけでも、われわれはこの法律を撤回したいくらいです。この内容よりも、そういう民主的なルールを踏まないで国会へ、しかも当初ぽんと投げ込むなんということ、それからいろいろ聞いてみると、まだ理論もはっきりしてない、まだ研究も十分でないがこの程度というようなことは、非常に私は不見識だと思うのです。最近重大災害が非常に多く勃発したわけですが、一体保安協議会というものに諮問をしたことがありますか。
○小岩井政府委員 中央保安協議会には、特別に諮問したことはございません。地方協議会におきましては、年度の方針その他の主要な対策につきましては、お諮りしておるようでありますが、中央におきましては、はっきり諮問いたしたことはございません。
○多賀谷委員 最近国会でも非常に問題になり、しかも社会問題化しておる大きな災害が次から次から発生しておるわけでしょう。そういうときに、こんな民主的な非常にいい機関に、どうしたらいいだろうかということを諮らないということは、ないだろうと思うのです。これは専門家ですよ。いかに局長が大学を出て、ずっと監督行政をやっておられるかもしれませんが、現場は彼らの方が詳しい。現場の事情はこうなんだ、だからこういうようにしなければ今の災害は撲滅できない、こういう意見があるに違いないですよ。最近ずっと重大災害が起っておるのに、中央保安協議会というりっぱな審議機関があるのに、それに全然諮問をしない、意見も述べさせない、こういうことでは、私たちはこの鉱山保安法を運営しておるかと言いたい。それでは運営しておらぬですよ。法律があるだけでしょう。いかに役所で何カ年計画で半減運動をされてもだめですよ。それは机上プランですよ。やはりこういう機関を動員して、どうしたらこの災害が防げるかという英知を集めるべきですよ。一体この保安協議会というのは、どのくらい開いておるのですか。
○小岩井政府委員 中央保安協議会におきましては、省令の規則改正の場合には、必ずお諮りしております。最近御承知のように、石炭の関係、金属、石油の関係で規則改正をいたし——石炭ではもう改正もいたし、金属も改正もいたしました。石油もごく近いうちに改正することにいたしておりますので、中央協議会は、最近は割合に開いておるのでありますが、大体年に一、二回、地方協議会におきましては、地方によって多少違いますけれども、やはり二回か三回程度、これは予算の関係もございまして、あまり十分に開けないという点もございますが、今後でき得る限り仰せのように、なるべくこういった機関を使いまして、いろいろな問題をお諮りしたいというように考えております。
○多賀谷委員 私たちは、今後こういう民主的な機関があるのにかかわらず、それの議を経てこないものは審議しませんよ。それは、法律ができて、その施行についてはあなた方に諮りますと言っても、全くどういう意図でできたのかはっきりしないようなものを、省令だけは作ってくれ、こういう不見識なことがありますか。それなら保安協議会というものをやめればいい。法律が実際あるにかかわらず、その運用をしていないでしょう。大体鉱山保安法の運用よろしきを得れば、災害もあまり起っていないのですよ。坑内実測図の問題だってそうでしょう。とにかく昭和二十年から今日十三年もたつのに整備がされていない。保安協議会だって、今重大災害が頻発しておるのにかかわらず、一度だって開いて意見を聞いたことがない、こういうようなことがありますか。私は、鉱山保安法の運営について非常に義憤を感ずる。そうして災害が起って、しろうとの大臣に答弁さすなんという、そういうことはない。私は、今後運営について十分注意してもらいたい、かように熱望しておきます。
○長谷川委員長 滝井義高君。
○滝井委員 鉱業法並びに鉱山保安法の改正に当って、二、三の点について質問をさしていただきたいと思いますが、鉱山保安法なり鉱業法が改正をされなければならぬような事態になったその石炭業界の背景というものを、私たちはやはり深く反省してみる必要があると思うのです。現在の日本の石炭業界が直面をしておる危機の姿というものは、石炭の需要と供給の関係を調整したらいいんだというような、もはやそんななまやさしいものでなくなってきておることは、一たびあの老朽化しておる筑豊炭田に足を一歩入れてみればわかる。先般私の同僚議員が北海道から九州の筑豊炭田に足を入れたところが、その立ち並ぶ老屋の中に、ぎっしり失業者が詰まっておる姿を見て、これはもう北海道で考えておったこととはまるきり違う、これはやっぱり大へんだ、なるほど福岡県というところは、社会党の強いのももっともだ、こう言って、社会党の強い理由にしたのです。社会党の強い理由というのは結局貧困の渦が詰まっておる、いわゆるなべ底の経済のもとに、累々として失業者の山が詰まっておるということが社会党の強い理由になるという、こういう貧困な政治の姿が筑豊炭田に現われた、特にそれが石炭山に直接的に現われておる、こういう事態は、もはや石炭の需給調整だけで問題が解決するのじゃなくて、一体今後の日本の石炭企業というものを政府は根本的にどうしようとするのか、こういう基本的な問題もやはり考えなければいかぬと思うのです。なるほど事業場の閉鎖の状態、あるいは未払い賃金の状態を見ると、二十九年のあの不況に比べたら、それは経済的な指標はよろしゅうございます。しかし一たび現実の貯炭の状態を見ると、われわれ今まで常識で、大体四百万トンの貯炭ができたならば、石炭業界は一つの危機がやってきているのだという、一応しろうとながらも見通しを立てておったところが七月末千万トンになり、そして九月末には、公社なり需要家の貯炭を総合すると、実に千二百万トンの貯炭があるといわれておる。これは、まさに戦後に傾斜生産を唱えて以来最高の貯炭なんです。こういう莫大な貯炭をかかえた根本的な理由というものは大臣、一体どこにあるとあなたはお考えになるか。
○高碕国務大臣 石炭の需給計画に対する最初の見積りに対し、今日の経済不況が持ち来たした石炭の消費の減退と、その他水力電気が比較的に石炭を消費しなかった、いろいろな需給関係の調節が予定と一致しなかった、この結果予定以上の、平常貯炭以上のたくさんの貯炭ができたということは、まことに残念に存ずる次第でございまして、政府といたしましても、これをいかにして打開するかということのために、あるいは金融措置において、あるいは需要家に対する手持ちをふやしてもらう点において、あるいは輸入油を切ることによって、いろいろな方策を講じてきておる次第でございます。
○滝井委員 大臣の今御答弁をされておるような、非常に経済が不況になってきた、同時に、具体的に言うと電力の需要というものが、水力の関係その他でうまくいかぬというようなことは、だれもその通りおっしゃっておる。そうしますと、そういう形で石炭企業に非常なしわが寄ってきておるのですが、今のようなことだとするならば、三十二年度の総燃料情勢の中から見て、国内炭の需要というものが増加をしておりますか。
○樋詰説明員 ここに数字を持ち合せておりませんので、あとから申し上げますが、石炭の伸びは、それ以外のエネルギーの伸びに比べてかなり劣っておるというのが実情でございます。油その他の方が伸びております。
○滝井委員 私の調べたところでは、三十二年度の総燃料情勢から見て、石炭換算で三百四十六万トン程度増加をしておる。その中で重油が二百三十四万トン増加して、輸入炭が百四十六万トン増加をして、国内炭は三十四万トン減少している。従って、結局今大臣がいろいろ経済情勢とか、油の輸入を規制するとか、あるいは電力が水力の関係でどうもたくさん使わなかった、こうおっしゃいますが、それならば大臣、現在どんどん増大をしていくところの重油の需要を恒久的に押えることができるかどうかという問題が一つ。いま一つは、石炭業界でなくて電力業界は、現在の日本のエネルギー政策というものは鎖国主義だ、こういう鎖国主義をとっておったのではだめだという強い意見になりつつある。そうしますと、今大臣が述べたいろいろな原因で、千二百万トンの貯炭ができた原因というものはこういう原因なんだという。そういう原因は、一応大臣の御答弁ではっきりしたのですが、しからば国内炭が実際に需要が伸びておるかというと、需要はむしろ三十二年度の結論を見ると減っておる。そして一方においては、重油に対する恒久的な需要がきわめて強く出てきている、こういう情勢がある。こういう情勢の中で、今危機に直面しておる石炭業界というものを、一体どうして通産行政は打開をしていくか。先般立てたところの長期エネルギー政策というもので、石炭業界は、そのエネルギー政策に従って五千六百万トンですか掘るんだということで設備をやり、いろいろの人員もそろえた。ところが七月になったら、政府が一挙に五千三百五十万トンにぽっと下げる。こういうように、浅沼書記長の言葉じゃないが、朝令暮改じゃなくて、朝令昼改くらいなんです。年度の半ばにしてもう切りかえてしまう。これでは、石炭企業者も不安定だし、そこに働く労働者も不安定だし、金融業者も今後これには金を貸しませんよ。こういうように、政府の一貫したエネルギー政策の中における石炭の位置づけ、安定的な政策は、確信を持たれていないということなんです。従って、そういう政府の政策が確信を持たれていないがために、業者はどういう形をとりつつあるか。石炭は企業ではない、石炭に金をつぎ込むことは、投資ではなくて投機になっている。石炭には、五年に一回ずつ大きなブームがやってくる、その大きなブームに金をもうければいいと、投機になっているところに問題がある。石炭業界が投機であるということは、政府が日本の特に大事な地下資源である石炭に対して、一貫した腹がまえがなく、そのときそのときによって変っていくというところに大きな原因がある。そういうところから、今度は出てくるところの鉱業法の問題やあるいは鉱山の保安の問題というものに、さいぜん言ったように、ほんとうに政府の一貫した政策がないために、担当の役人諸君が腹がまえをきめて、これに打ち込んでいくところの熱意が沸かないという結果にもなってくる。あとでいろいろこまかくやりますが、そういう基本的な問題について、非常に良心的な高碕通産大臣は一体どういう工合に考えているか、この際石炭政策に対する政府の基本的な腹がまえというものを、はっきり示す必要があると思う。
○高碕国務大臣 三十二年度のエネルギーに対する今の滝井委員のお話は、三百四十六万トンの増加に対して、輸入炭が多くて国内炭の方が減っている、こういうことで、これは、私ははっきり知りませんが、私の勘では、三十一年度はああいうふうな景気だったから、石炭が非常に要った、そういうことで幾らか石炭が不足したというようなことから、原料炭なんかと一緒に一般炭も持ってきた、こういうふうに思うわけで、国内炭が減っているということはまことに遺憾でありますが、おそらく三十三年度は、数字はそうふえておりませんが、そういうふうな比率にはなっていないだろうと存じます。と申しますことは、私どもの考えは、どうしてもやはり石炭というものは日本の国産であるということと、しかもこれの計画を立てれば、その計画の通りにほぼ近い数字を得られるということと、第三には、石炭というものは一応計画を立てれば、その計画をふやしたり減らしたりすることは非常に困難であるということと、この三つの点から考えまして、石炭についてはどうしても優先的に、たとえ値段が高くついても、日本の燃料政策の上においては優先的にこれを採用すべきものだ、そうして国内の景気いかんによって燃料のエネルギー資源の増減があるという場合は、それは輸入する油によって調節するという方針が根本方針でなければならぬ、またその方針で今後進みたいと思っておりますが、本年は御存じのごとく、急速なる大きな需要の変動を来たしたということ——私は実際申しますと、この七月言明いたしましたごとく、この下半期においても、石炭がこんな貯炭になるならば、もっと油を切ろうという考えで非常に努力したのであります。けれどもこれはもう時すでにおそく、日本の原油というものをある程度切る場合には 一方においてはまた軽油が不足しておる、このために思い切った手術ができなかったわけであります。それでも、まず五十万キロリットル減ったということになったわけであります。来年度につきましても、十分現状に即して安定する方針をとっていきたいと存じております。
○滝井委員 大臣は、安定するように努力していくということでございますが、そうしますと、これは通産省も言っておりましたが、石炭の千二百万トンにもなんなんとする貯炭があるとするならば、その石炭の需要の増大の政策というものが当然とられなければならぬし、それから現在千二百万トンの石炭をそれぞれ公社なり事業所がかかえておるというのであれば、炭鉱に対しては、ある程度貯炭に対する融資というようなものも、当面の緊急な対策としては考えられなければならぬ。これは、通産省も何かそういう構想を発表しておったようである。ところが、これは何かそれぞれ業界その他の反対等もあって、なかなかうまくいっていないというようなことも聞いておるのですが、需要増大のための具体的な対策というものは、一体どういうものを持っておられるのか。それからその累増する貯炭に対しても、一体国家資金というものを救済のために発動していくのかどうか、こういう点について御説明願いたい。
○樋詰説明員 需要の増大につきましては、たとえば石炭化学でありますとか、あるいは微粉炭、低品位炭の活用とかいうふうな方面につきまして、まだ効果は十分ではございませんが、できる限り新しい用途の開拓ということについて、それぞれの企業も努力いたしておりますし、われわれの方でも、できるだけそういう方向に指導するということをやっておりますが、まだ数量的に新しい需要を非常に飛躍的に伸ばすというところまでは至っておらないことは、非常に残念であります。ただ低品位炭の電力活用等につきましては、近く常磐火力に次ぎまして、九州地区においても新しい発電所というものが建設されることになるだろう、大体そういう方向にきまったというふうに承知いたしておりますが、できるだけそういう低品位炭を利用する発電所というようなものをまず作っていきたい。同時にメタノールでありますとか、あるいはその他石油化学工場というようなものを新しく作り出すということによりまして、できるだけ新しい用途の開拓ということには努力していきたい、こう思っております。それと並行いたしまして、先ほども申し上げたことでございますが、電力に対する石炭の引き取りといったような、大口部門に対する石炭引き取りの円滑化ということに対しましては、通産省全体といたしまして努力してきたわけでございまして、先週電力だけは大体話がついたのでありますが、今後国鉄その他国営機関関係の病院、学校、防衛庁とか、あるいは私鉄、その他セメント、肥料といったような大口の需要関係にも、できるだけ一つ石炭の引き取りを円滑にするようにということにつきましては、強力に申し入れたいと考えております。
○滝井委員 その第二点の、需要の拡大のためには、まだ具体的にはきまっていないが、まあこういうことをやりたい、大口の電力の引き取りはどうにかまあきまったということでございますが、その他に具体的な対策がないようでございます。そうすると、第二点の、たとえば石炭の需給調節のための事業団を作るというような構想も漏れ聞いておったのです。いわゆるある程度国家資金、資金運用部等の資金も出していくというような構想も、われわれは新聞や雑誌で見たことがあるのですが、この国家資金の発動の問題というものは、一体どういうことになるのか。御存じの通り、すでにこの石炭の値段というものは、急激な下り方をしつつあります。本年第一・四半期には、中小では平均五百円ぐらい下りつつある。だんだん千円くらいの引き下げをやらなければ、山の維持ができないというような事態が起りつつあります。そういうように出て参りますと、幾ら大手が下期に一割五分の出炭制限をやっても、中小は生きていけないから、ダンピングをやらざるを得ない。こういうことになると、必然的にこれは、ダンピングをやってもどうしても山の維持ができないということになると、すでに労働省が、今年の石炭山から出る失業者は、一万から一万五千であろうといっておられるのが、大口の制限と相待って、ここに二万ないし三万という、労働省の見通しと全く違った倍以上の失業者が石炭山から出る、こういう事態も必ず起ってくる。従って、この貯炭の山に対して、いわゆる大口需要の拡大をはかるか、同時に累増しているそのものに対して何か手当というものをやっていかない限りにおいては、日本の石炭の危機というものは、今の段階では乗り切れないと思いますが、一体これについてどういう工合に考えているのか、これは、一つ率直に大臣の見通しを聞きたいと思う。 先般われわれが新聞等で見たのでは、各社トン当りたとえば二十円くらいの積立金をする、そうして資金運用部からもある程度金を出して貯炭の買い取りをやり、同時に市場が非常に少くなれば、その放出をやるという構想も出ておりました。あるいは石炭問屋——最近は石炭問屋というものは、非常に系列化されているので、なかなかそうはいきません。もとのように独立の石炭問屋というものはなくて、これらの系列に入っているから、なかなかうまくいかないのだが、そういう問屋の協同組合を作るというような構想も聞いたことがあるのですが、政府は、この際石炭業界に手のうちを示す必要があると思う。そうして石炭業界の意見をざっくばらんに聞いてみて、政府と業界が、あるいはその辺に協力する労働組合というものが、何らかこの危機を打開する道を衆知を結集してやらなければならぬ時期がきていると思うのです。だから、この際通産省もおそれることなく、ざっくばらんに、危機乗り切りのための金融対策、あるいは石炭の貯炭対策というものをあわせて打ち出すべきだと思う。
○高碕国務大臣 今日空前に貯炭量がふえましたことにつきましては、急速にこれについては、第一に金融の道を講じなければならぬ。それにつきましては、大口消費者の金融によってこれを引き取ってもらって、石炭業者の負担を軽からしめるという方針をとりたいと思っております。また中小炭鉱業者につきましては、これは、彼らが貯炭をするということはなかなかできないことでありまして、ついそれが乱売をして炭価を引き下げるというふうなこともあるので、これらについては、大口の炭鉱者の協力を得て、政府としてもできるだけこれに対する金融をして、価格の維持に努めたい。同時に、私は先般来石炭業者にお願いしておりますことは、今日空前の貯炭ができたということは、これはどうも国内だけではまかない切れないのだから、ある程度の犠牲を払っても、これを一応荷を軽くする必要があるから、輸出の方に力を注いでもらいたい。幸いに船舶も今非常に安くなっておるときであるから、遊んでおる、係船しておる船を使っていけば安い運賃で行くだろうから、そういうふうな検討もやってくれということも、先般業者にもお願いしておったようなわけなんであります。そういうふうなことについて、一応この一千万トンという貯炭をどうして減すかということにつきましては、あの手この手を考えていきたいと存じておりますが、今のお説のごとく、できるだけ衆知を集めて、この石炭対策につきましては特にこれによって起りまする失業者の対策等につきましても、これは、労働大臣ともよく話し合いをつけておるわけなんでありますが、十分民間の御意見も承わって対処していきたいと存じております。
○滝井委員 大臣は今輸出振興によって一つの打開の道のある点をお示しになりましたが、私は、現在の石炭業界というものは、もう非常に自由主義的で、そうして個別資本というものが、いわゆる日本経済全体を考える立場が足らないと思うのです。この際、やはり個別資本の意思もある程度尊重するけれども、石炭全体の総資本の立場というものをある程度やはり考えなければならぬ時期がきていると私は思うのです。そういう意味で、たとえば修正資本主義から国家資本主義に石炭についてはいかなければならぬという意見もちらほら見えてきておるというのが、その端的な表われじゃないかと思うのです。日本の石炭企業というものは、御承知の通り非常に雇用が多いわけなのです。現在日本のような人口の多いところでは、このような雇用の非常に多い石炭企業というものは、非常に大事な企業でございますが、そのために石炭産業の近代化がおくれるという矛盾も、同時にそれははらんでおります。そういう矛盾をわれわれは徐々に修正をしながら、やはりここに個別資本よりか総資本の立場というものも考えなければならぬ時期が来ているという感じがするのです。どうも大臣方の答弁を聞いておっても、隔靴掻痒の感があって、この際千二百万トンをかかえておる石炭業界の危機を、何とか打開をしていくという情熱的な答弁というものが得られないことを非常に残念に思います。私一時ちょっと過ぎにはやめろということでございますから、具体的な法案に入りたいと思いますが、一つ十分御検討になっていただいて、とにかく石炭危機のために、多くの大衆が町ぐるみ村ぐるみ苦しんでおるという事態のすみやかなる打開をまず考えていただきたい、こう思うのです。 次に、鉱業法の質問からしていきたいと思うのですが、この鉱業法改正の提案理由の説明を見ても、やはり近く鉱業法の本格的な改正というものをやらなければならぬという点は強調せられております。一体鉱業法は、明治三十八年にできて以来、昔の富国強兵、殖産興業というような、明治維新のスローガンのときにできたような鉱業法でやっておるわけなのです。事態は、もうこの鉱業法の提案理由で書いておるように、非常に違ってきております。一体鉱業法の改正に当って、基本的には、どういう点を軸にして今後改正されていくつもりなのか、そうして、そういう時期というものはいつごろを目途にして国会に提出をしてくるのか、これをまず御説明願いたいと思います。
○福井政府委員 ただいま考えておりますおもな点を概略申し上げますと、御承知のように、現行の鉱業法は、先願主義をとっております。この先願主義を改める必要があるのではないか、こういうことになりますと、能力主義を採用してはどうかという点に相なるわけでありますが、鉱業権者の資格でありますとか、能力でありますとか、こういう点を一体どういうふうに取り入れるのかという点が、今後検討を要する非常に大きい問題点でございます。 二番目には、御承知のように、現在の鉱業法の建前から参りますと、今日一つの鉱区に二つ以上の鉱業権を認め得る建前になっております。この点につきまして、一鉱区一鉱業権制度ということが、実際問題としていいのではなかろうかというような点も考えられます。しかし、現在の法制の建前の方が、合理的開発ということからいえばいいのではないかという面も考えられますし、こういった点も、非常に大きい問題点の一つでございます。 それから租鉱権制度が現在の鉱業法には認められておりますが、こういった点につきましても、最近の事情等から見て、現在の制度そのままでいいのかどうかという点でございます。 それから予備鉱区という問題がございます。これも鉱業権者の能力主義と一部関連する面もございますが、こういった予備鉱区の保有を認めるのはいいのかどうかという問題。 さらに大きい問題といたしましては、試掘権の問題でございます。これは、御承知のように、現行の試掘権制度は一つの物権とみなされておるわけでございますが、試掘権は、次の採掘権を前提としての権利になるわけでございまして、従いまして、この試掘権というものは、単なる探査、探鉱をする権利であるというふうな考え方もできるのではないか、こういった点につきましても検討いたしたい、かように考えております。 それからさらに最近問題になっております地上権と鉱業権との調整の問題でございますが、これらにつきましても、御承知のように、非常に関係する法律問題が広いわけでございまして、しかも社会問題にも関連いたしておるわけでございますので、こういった調整問題につきましても、どういう調整規定を持ったらいいのかというような点でございます。 さらには鉱害賠償の制度につきまして、改正を要する点はないか、あるいはまた鉱区間の間隔を設ける制度を——旧法にございましたが、こういう点も復活してはどうかというような点がございます。 そのほかにもいろいろこまかい点はあると思いますが、大きい点、基本的な点を申し上げますと、以上申し上げましたような点が、現在私ども研究いたしております者として考えられておるわけでありますが、この改正の目途といたしましては、次の通常国会に通産省の設置法を改正をしていただきまして、鉱業法改正審議会というような審議会を設置していただきたい、かような心組みでおります。各方面の権威の方にこの審議会の委員にお願いいたしまして検討いたして参りたい、かような考え方で現在進んでおります。
○滝井委員 改正の問題点として、今度改正するときは、審議会を設置して、その意見を聞いて結論が出れば国会に出す、こういう点はよくわかりました。そうしますと、問題点がわれわれにもわかりましたので、ぜひ一つ十分勉強させていただきまして、来たるべき審議会が結論を出して法案になったときに備えたいと思います。 今度の改正で鉱業権者が施業案なしに鉱物を採取する、あるいは保安命令に従わなかったときには取り消すことになっておるのですが、この場合に、たとえば保安命令に従わなかったといった場合に、取り消されたときに、その鉱害は、一体だれが復旧することになりますか。
○樋詰説明員 それは鉱業権者であります。保安命令に従わない、あるいは施業案違反、いずれにいたしましても、鉱業権者がその鉱業権を乱用するというような格好でやった限りにおきましては、施薬案通りにやろうがやるまいが、鉱業権者が一応責任を負うということになります。
○滝井委員 そうしますと、取り消されたのですから、自分の鉱区でなくなってしまうわけなんですがね。
○樋詰説明員 鉱業権がなくなった場合には、消滅時の鉱業権者が責任を負うということになっておりますので、あくまでも鉱業権者は責任を免れないわけであります。
○滝井委員 そうしますと、六十日以内に全く別の人がそれを出願をして、自分の鉱区にしてしまう、こういうことになるわけなんです。そうしますと、その消滅時の鉱業権者というものが取り消されてしまって、山は廃山にしてどこかへ行ってしまった。そうすると、そこに今度はニュー・フェースがやってきて、もとの同じ坑口から炭を掘り始めた、こういう場合に、取り消されて閉山をしていなくなった、そのあとに今度出願をした者が来てやるので、そうすると、もとの人にやれといっても、山をやめてしまって、一体できるかということなんです。これは、なるほど法律の上ではできますよ。文字の上ではできますが、いよいよそれが具体的現実の問題になったときに、同じ坑口から別な人が出願をした、その人がやることが一番合理的なんです。一体そういう場合に、もとの鉱業権者にやれといって、実施ができますか。
○樋詰説明員 取り消されまして、そうして新しく鉱業権を取得した、そのあとで鉱害が出てきたということであれば、これは、とにかく鉱害発生時の鉱業権者が一切責任を負う、こういうことになっておりますし、もしそれが取り消される前に発生しておった鉱害というのであれば、取り消しによって消滅したわけですから、これは消滅時鉱業権者が責任を負う。
○多賀谷委員 関連。前段の場合、取り消されたのですから、一応鉱業権の断承はないわけですよ、新しい鉱業権者とは。ですから、その場合でも、当該鉱区の鉱業権者ですか、Aという鉱業権者が取り消されて、その後にBというのが先願主義で鉱業権を持った場合に、Aという鉱業権の原因に基く被害がB時代に発生した場合は、これはBですか。
○樋詰説明員 私の説明は、はなはだまずかったと思いますが、鉱業権が消滅した場合には、消滅時の鉱業権者が責任を負うということになっておりますので、取り消されて一たん消滅したそのとき鉱害の原因を来たして、そして発生したということであれば、これは、当然前の取り消された鉱業権者が消滅時の鉱業権者として責任を負うわけでございます。
○滝井委員 その場合に、鉱害というものは、御存じの通り安定したものと不安定のものとが出てくるわけです。鉱害は、少くとも掘ったからといって、すぐそのときには出てこない。やはり掘ってから、鉱害が出たということを知るのはやはり一年ぐらいかかる。一年ぐらい後に出てくる。そうしますと、取り消されたときに鉱害があったならば、それは、当然取り消された鉱業権者が持つでしょう。しかし同じ坑口を今度新しく出願をしてもらった人が掘っていった場合に、一体その鉱害というものはだれのものかということは、なかなか認定ができない。そうすると、新しく出願をして掘った新鉱業権者は、これはおれの鉱害じゃないのだ、取り消された人の鉱害なんだ、こういうことを言った場合に、一体その認定をだれがやるかということなんです。
○樋詰説明員 消滅時の鉱業権者の鉱業行為によって発生しているというもの、これは、問題はないわけでございますが、それが果して前鉱業権者の時代にできたものか、あるいは新しく鉱業権を設定された者の時代にできたものかということは、技術的にはっきりしておれば、これはもう問題ないということになりますし、ここは、もう技術的な事実認定の問題でございまして、それがはっきりしないということになれば、前の時代のものであるということがはっきりできない場合には現在の鉱業権を持っておる者の時代に発生した鉱害として処理せざるを得ないと考えております。
○滝井委員 従って、私はそれを防止するためには——少くとも取り消したのはだれが取り消したかというと、通産局が取り消すわけです、石炭局が取り消すわけです、政府が取り消すことになるわけです。従って取り消したときには、被害者に迷惑を与えないように、そこで、たとえば施業案なり鉱害の実態というものを、取り消すと同時にやはり天下に声明する必要がある。この取り消されたAという鉱業権者の鉱害の範囲というものはこれこれである。そして政府は、そこできちっと切りをつけておって、おやりなさいよ、こういって、今度新しく出願してきた者に許可をしないと、切りをつけておかないと、技術上の問題だ、こうおっしゃるけれども、その技術上の問題というものが現在の——あとでまた機構に触れますが、通産省の機構じゃ断じてできない。またそれだけの、行ってやるだけの勇気のあるお役人もおりません。これは、坑内に入っていってぴしっとやるのですから。ですから、こういう問題は、法律ではできますが、これが現実の具体的な問題になると、泣き寝入りをしなければならぬのはだれかというと、被害を受けた農民であり、中小企業であり、大衆です。法律を作るときに、ここらあたりは、一つ政令なり省令でもう少しきちっと明白にしていただきたいと思いますが、それはできますか。
○樋詰説明員 法に基かずして、いきなりだれの責任であるということを政令あるいは省令段階で負わせるということ自体は、非常に困難であると思いますが、大体採掘等によりまして、どの程度までの鉱害が起るであろうということは、一応見当がつきますので、ただいまお話のございましたような点につきましては、できるだけ前後の鉱業権者の間でキャッチボールといったことのないような格好で、いずれかの責任において鉱害がはっきりさせられるというふうな方向に法制化の研究をいたしたい、こう思っております。
○滝井委員 ぜひそうしていただきたいと思います。 次には、盗掘や侵掘をすれば、これは施業案がないので、当然取り消されることになるわけでございますが、この鉱業法の改正によって、盗掘、侵掘によって得られた鉱物を、運搬、保管、有償もしくは無償で取得、または処分のあっせんをした者は、五年以下の懲役もしくは五十万円以下の罰金になるということがある。そうすると、租鉱料を取っておった場合はどうなのですか。侵掘しておる、そうしてその場合に租鉱権料だけを取った、そのことはどういう関係になりますか。
○福井政府委員 ただいまの滝井先生の御質問の御趣旨がよくわからないのでございますが、盗掘、侵掘の場合に租鉱料を取るということ、行われないのではないかと思います。
○滝井委員 あるのです。Aという鉱区を持っております。そうしてその隣に、自分の鉱区の一部を租鉱権を設定してやるわけです。そうするとこの租鉱権者は、当然Aという鉱業権者に租鉱料を払っていくわけです。だんだん目分のとる鉱区の中に石炭がなくなってしまって、そこから今度は鉱業権者のところの石炭をとると一番いいということで、黙ってとってしまう。しかし、鉱業権者は、知ってか知らずか、租鉱料だけをもらうわけです。こういう場合に、一体このことはどういうことになるのかということなのです。これは、租鉱料を取っておるばかりではありません。販売権だけをもらう場合がある。販売権だけを一つ僕が持とう、こういう場合もある。石炭が不足の場合には、販売権を握るということは非常に大きな力になるわけです。これは、この運搬にも保管にも、有償もしくは無償で取得にも、処分のあっせんにも当らないのです。この場合は一体どういうことになるのですか。
○福井政府委員 現行法の罰則におきまして、百九十一条にこういう条文があるのでございます。「過失により鉱区外又は租鉱区外に侵掘した者は、二十万円以下の罰金に処する。」こういう規定があるのでございますが、今お話の場合は、租鉱区外に侵掘した場合ということに該当するのではないかと思います。
○滝井委員 その場合は、二十万円罰金を払いますと、これは侵掘ないし盗掘でございますから、そこに鉱害が起っても、これは損害賠償であって、いわゆる鉱業法上の鉱害の賠償はやらなくてもよいということになるわけです。そうすると、そこに起った鉱害は、鉱業権者もやらなくてもいいし、それから侵掘をした、その租鉱権者というものは侵掘でございますから、いわゆる鉱業法上の一般鉱害の適用対象にはならないのです。こういう事態が起ったときに二十万円だけで片がつくなら全部やります。そうすると、鉱業権者も鉱害の責任を負わなくともいいから、黙っていて知らぬ顔している。裁判があった場合に、いや、あれは確かにわが輩の鉱区を侵掘なり盗掘したのでございます、と言って逃げればいい。片一方は、私は確かに盗掘いたしましたと言えばいい。こうなってくると、鉱害の責めは免れる。罰金だけで終ってしまう。こういうことになる。
○福井政府委員 私ども普通常識観念で考えまして、今先生のおっしゃったような具体的な例がよくわからないのでございますけれども、とにかくそういう例もおありかと思います。ことに北九州には普通ではちょっと考えられないようないろいろな例も起きるようでございます。ただ、これは法律上いろいろな場合を想定いたしましても、何か抜け道が必ず出るのが一般の場合でございます。ただしかし、善後措置という問題もございますので、この点は鉱害賠償制度の問題といたしまして、今後十分検討いたしたいと存じております。
○滝井委員 今でもそれはあるんです。従って僕の言いたいのは、今の盗侵掘によって得られた鉱物を運搬とか、保管とか、有償もしくは無償による取得処分だけでは足らぬという意味なんです。従って、たとえば石炭の販売権を持つとか、あるいは租鉱料だけをもらった場合でも、やはり処罰をするような形にしておかないと、鉱害の金を払わないために、大手筋の炭鉱が中小の山にどんどんそういうことをやらせることも可能なんですよ。たとえば密集地帯に石炭の山がある。ところが家屋の密集地帯の石炭の山を掘るためには、莫大な鉱害の金を払わなければならないということで、これは現実に侵掘をやる場合が多いのですよ。だから、今までのものの考え方だけでは足らぬくらいに、ちょうど提案理由にあるように、社会情勢が複雑錯綜してきたために、もう少し頭を働かしてもらわなければならぬ事態が出てきておる。こういうことを私は言いたいのです。何か石炭局長にあれば伺いたい。
○小岩井政府委員 これは今お話の租鉱権者、それから鉱業権者がともに、さっき滝井委員から御指摘のありました親権者が租鉱料をもらって、そうして盗掘をやらせるといった場合には、今度の法律はぴしゃりと罰則にかかるというふうに考えております。 それからもう一つ、盗掘あるいは侵掘による鉱害賠償関係でございますが、これは先ほど来何回も申し上げておるように検討したいと思っておりますけれども、現行法のもとにおきましては、鉱業法上の権利なくしてやったというものにつきましては、民法上の不法行為による損害賠償といった問題が起りますが、現在の鉱業法では、いきなり百九条の鉱害賠償ということにはかけ得ないということになっております。いろいろ先ほどからの御指摘の点もございますので、現在の法律はこう解釈せざるを得ないということになっておりますが、今後さらに法制的な研究ということを考えていきたいと思っております。
○滝井委員 だから現在の段階では盗掘なり侵掘をしたものは、いわゆる一般鉱害の適用をして、国が土盛りのために金を出すことができない。従って侵掘をした租鉱権者に損害賠償を善良な市民は求めるより仕方がない。こういうことになる。ところが善良な市民は、地下のことなんだから、おそらくあの大きな大手筋の炭鉱さんの鉱区の上に自分の家はあるから安心だと思っておったところが、あにはからんや、行ってみたら、あれは私が掘ったのではありませんぞ、こう言われて、泣き寝入りで帰らなければならぬ。だから、こういう事態というものは結局だれがそれを防ぐかといえば、監督ですよ。監督機構が、いわゆる施業案通りに事態が行われておるかどうか、絶えず見なければならぬ。ところが、それはやられていないのですよ。やっておると、この前讃岐さんのときには、大みえを切った。断じてそういうことはありませんと言ったんだが、至るところでそれが行われておるのですよ。だから、これはさいぜんも多賀谷委員から言われましたが、現在石炭事務所の機構というものはもうなっていないのですよ。たとえば一体鉱区の地図というものはどういう工合になっておるか、石炭事務所に行ってもわからないのです。直方においても、田川においてもよくわからない。だから大衆はどうしておるかというと、石炭事務所に行っても話がつかないから、全部福岡に行くのです。福岡の通産局に汽車賃やバス賃を使って出ていくと、通産局は山と人が行っていますよ。そして部長の部屋というものは応接室も何もない、みな直接部長の部屋に押しかけて話をしている、こういう実態です。だからこの前も提唱したのです。町田さんなんか考慮しようということを炭政課長言っておったのですが、少くとも石炭鉱業の合理化法というものが出て、どんどん中小の山が合理化にかけられておるわけですが、その中小の山というものは、鉱害をたくさん背負っております。従って、石炭事務所のそういう鉱害や保安の面における人員の整備をやらなければ、とても末端の石炭行政というものはうまくいかない。これは一つ大臣十分あとでお聞きになって、実情も御調査いただいて、末端の石炭事務所の強化を——少くともここ一、二年か三年もすれば、合理化の事務的なものは全部処理できると思うのです。だから臨時的にでも鉱害関係の専門家と、それから保安関係——これは恒久的になるでしょうが、鉱害関係のものだけでも臨時的にふやさなければいかぬと思う。末端の石炭事務所に行ってもがらんどうです。毎日鉱害のいろいろなものの調査とか、そういうもので全部出払って、石炭事務所でものが達成できたことは一回もありません。石炭事務所でものが達成できないので、われわれ国会議員のところに被害者が押しかけてくる。そこでまさにわれわれが石炭事務所の出先機関になっておる。これではいかぬと私は思うのです。そういうことのために、われわれが東京に来ておる間はブローカーが働くわけです。そこにボスが発生して、いわゆる暴力ざたが行われる。こういう事態が起るのです。整備事業団にも押しかけておりますが、これはどうしても末端の石炭事務所を強化してもらわなければなりません。この石炭事務所の強化ができるかどうか。これは長期にしてもらう必要はないと思いますが、少くともこの合理化法が片づくまででもやってもらいたいと思うのです。大臣どうですか。
○高碕国務大臣 先刻来、多賀谷委員なり滝井委員から非常に実情を詳しく伺って、なるほどこれはそういうことはあるだろうと思って、私考えますことは、特に最後のお話の、鉱区の所有者が妥協してどろぼうさせて、おれは知らぬと言って、鉱害の責任だけを逃げる。これは悪い人間の考えることとしてあり得ることだと思います。そういうことは当然排すべきだと思いますから、そういうことのために法制も十分作る。元来鉱業権というものは国家の所有である。それを彼らに委任してやらせておるのだ、この原則からいけば、国としては十分これを監督していかなければならぬと存じます。今の御指摘のような点につきましては、十分御意思に沿うように努力をいたしたいと思っております。
○滝井委員 時間がありませんので、大事な点だけ聞きますが、次には最近も鉱区の分割が非常に行われ始めたということです。私は鉱業法の根本的な改革に当っては、鉱業権の分割の問題を考えてもらわなければならぬと思う。旧法では鉱業権の分割は許されておらない。ところが、これは後に許されることになった。その結果どういうことが起り始めておるかということ、これは先般も質問いたしまして、政府の方で研究するということであったので、研究ができておるだろうとは思いますが、私たちがあの石炭鉱業合理化法を作るときのものの考え方というものは、Aという鉱区を合理化にかける場合には、そのAという鉱区全部を合理化にかけるものだと思っておりました。ところが最近はそうじゃございません。たとえばAという鉱区を私が持っておって、そこで炭鉱を始めております。これを今度合理化にかけなければならぬという事態になってきた。そうしますと、どういうことが行われたかというと、やり方はいろいろありますが、大まかに言って四つ方法があります。まずそのAという鉱区をぽんと一つ切るわけです。そうしてそこは自分が坑口を持っておるところで合理化にかけます。もう一つぽんと切るわけです。これは残します。そうして今度は、ぽんともう一つ切って、それは他人に譲渡します。そうしてぽんともう一つ切って、四分しまして、もう一つには自分が炭鉱を始める。そうすると今度はここの山が廃山になっても、すぐに労務者は新しく始めたところに移る可能性はできてきたわけです。これで労働問題は片づくので、これはいいことです。ところが今度は、残したところはどういうところかというと、鉱害の多いところを残すわけです。一番鉱害の多いところを残してしまうわけです。こういうように四つをコンビネーションしたり、二つを組み合せたりしてやる方法ができてきた。そうしますと、何ということはない、政府が買い上げるところは、どういうところかというと、これは可採の炭量を少くて、もう何にもないところを政府が買い上げるという形になってしまう、こういうことが行われるわけです。一体こういうことがあの合理化法を作ったときの立法の精神なのかどうかというと、断じてそうじゃないのです。ところがこれが白昼公然と行われ始めた。はなはだしいのになると、どういうことになっておるかというと、Aという鉱区を二十ぐらいの租鉱権者にばっとやってしまって、炭鉱を掘らして、自分は租鉱権料だけをとっておったわけです。そうすると今度は、そのAという鉱区を二十ぐらいの租鉱権者に分けておった中の、たとえばBならBという租鉱権者が、侵掘をやり盗掘をやって、問題になったら、ぽっと山をやめちゃって、今私は一文もありません、こう手をあげてしまうのです。そうしますと、今度はそのAという持っておった鉱業権者が、その侵掘のあったところとCという租鉱権者の分とを合せて、合理化法からどけてしまうのです。そしてあとだけは合理化にかけるわけです。こういう形も行われております。 こういうように、この合理化法の裏をくぐった実に複雑怪奇な状態でやっておる。従って、今その合理化にかけて、その合理化をかけられた山には労務者が全部社宅にまだいる。いわゆる合理化によって一カ月分の離職金をもらわなければならない。ところが合理化が確実に完了するまでは、買い上げられてしまうまでは、離職金を労働者はもらえないわけで、労働者はじっと休んでおるわけです。休んでおるというか、廃山になったのだから、炭住にじっとしておる。炭住を出ていこうとしても、離職金がもらえないから出ていけない。あるいは離職金は山が買い上げられてしまってからだ、半額は今払うが、半額は残しておこう、こういう形なんです。こういう状態が合理化の後に起ってきておるということなんです。従って私は、少くとも合理化をやるときには、まず鉱区の分割というのはやらしちゃいかぬということなんです。もし分割をやらせるとするならば、そういうことが起って、そこには複雑な法律問題が介在をして、何が何か、しろうとにはわからない。だから莫大な被害を受けた鉱業権者なり労務者が路頭に迷って、一体これはどう解決したらいいか、みんな悲惨な状態になっているのです。従って、悲惨な状態になっておるが、問題がこじれてくるので、整備事業団も、さてこれを買い上げの申請を受けて調査をやったけれども、どうにもならない、こういう事態です。従って、締め切ったけれども、買い上げの決定ができずにだんだんと延びておる。延びれば延びるほど鉱害の問題も解決しないで、労務者は離職金をもらえぬ、こういう社会問題が大きく浮び上ってくるという事態になっているのです。一体こういうものについて、どういう工合に根本的にお考えになっておるのかということです。
○樋詰説明員 今お説の通り、確かに非常に悪徳な鉱業権者がやっておるという例はあるのでございますが、これにつきましては、われわれといたしましては、石炭鉱業整備事業団の方を指導いたしまして、そして分割しないで、とにかく申し込んできた者の鉱区は全部買うようにということで——全部じゃなければというのは、中には、申し込んでから今のお話のようなことで分割をしたいというようなことを言ってきた者もあるのでございますが、こういう際にはいいところだけ残して、悪いところだけ売りつけるというようなことはけしからぬということで、そういうのは買い上げの対象にしない、全部まとめて持ってこいというふうに指導しております。ただ事業団に持ってくる前に、もう今のお話のような格好で分割してしまいますと、これは現在の鉱業法では、十五ヘクタール以上あれば一応分割を認めるということになっておりますので、これは非常に法の精神を踏みにじった運用ではございますが、今のところ先に分割してしまって、それからこの鉱区だけ買ってくれというその鉱区が、現在事業団で考えております買い上げの基準に合うというものであれば、一応断われないというような格好になっております。ただ問題は、そうやっておいて、そして残った部分は鉱害が出たといったような場合、その責任はどうするかといったような問題等ございますので、その分割したものを買い取らざるを得ないといったような場合にも、事業団で買い取った鉱区、そこから破断角の関係を計算いたしまして、この程度までの範囲内に起った鉱害であれば、これは当然買い取った鉱業権者である事業団の方であとから責任を負わざるを得ないから、その補償のために、買収代金からその鉱害の予定金額というものはあらかじめ差し引いて、そしてその地域内の被害者が鉱害のために非常にお困りだという場合には、事業団がかわって——かわってと申しますか、事業団が自分の責任で鉱害の復旧をする。しかしその金は、そういう悪徳の連中からあらかじめ買収代金から差し引いてとっておくというような方向で処理するように現在しておる次第であります。
○滝井委員 だから問題は、鉱区を細分化するところにあるわけです。十五ヘクタール以上あれば新しく鉱区として認める、こういうところが問題なんです。現在一体どういう形で日本の石炭山ができつつあるかというと、まず初めは先願で、大手がずっとたくさん鉱区を持っていたわけです。そして大手がずっと掘っていって、大手が採算が合わぬところは、だんだん中くらいに切り売りしている。大手がやって採算が合わぬと、今度は大手が自分の掘った鉱害を中に負わして鉱区をやってしまう。いわゆる継承するわけです。そうすると、今度は中がまたその鉱害は全部やらずに残しておいて、小に持っていくわけです。こういうふうに、次から次にだんだんと手かせ、足かせが一番小のところに出てくるわけです。そして今度はその小が合理化にこれをかけていく。かけていくときには、鉱害の一番多いところだけは残してしまう。こういう形が平然として行われておるということなんです。だから、これは鉱業権の分割という根本的な問題にメスを入れる以外にない。今からでもおそくはない。これをやるべきだ。なぜ私はそういう主張をするかというと、ごらんなさい、そうして分割された鉱区を一体だれが最後に始末をするか、国が買い上げるじゃないですか。それならば、国が買い上げるならば、まず大手が要らぬようになったときに、大手から国が買い上げたらいい。そういうことをやらずに、最後になったら国が買い上げる、こういう形になるわけです。これは非常に問題が出てくる。 そこで、国が買い上げるところまでいきましたが、国が買い上げた、整備事業団が買い上げたその鉱区は、一体政府はどう処理する方針なのかということです。この整備事業団の業務方法書を見れば、「事業団は買収した採掘権を売り渡し、譲渡し、租鉱権もしくは抵当権を設定しまたは他の鉱業権者の掘進増区を承認してはならない。」こうなっているのです。そうすると、これはじっと蒸しておくというわけにはいかぬと思うのです。だからやはり合理化で買い上げが進行していけば、鉱区の分割をも今後はやらぬとともに、これの処理についてあわせて考えていく方法をやらなければならぬ。これはやはり日本の石炭鉱業の一つの危機に直面した現段階において、私たちが考えておかなければならぬ問題なんです。これを一体政府はどういう方針でやられるのか。もうすでに整備事業団ができ、合理化がずんずん進んでおるのですから、もうそろそろこれらの買い上げた鉱区に対する処置というものを考えなければならぬと思うのです。
○樋詰説明員 目下まだ買い上げ進行中でありますので、最終的な処置ということはきまっておりませんが、さしあたりは、そういうところには新しく鉱業権の設定を認めないということをしばらく続けていきまして、そしてこの事業団の買い上げ業務が大体完了するころまでには、さらにそのうちの部分で合理的な開発計画等によって開発をするのがいいかどうかというようなことを慎重にきめた上で、場合によってはあるいは一定の条件のもとに認めることもあるかもしれませんが、さしあたりは鉱区禁止ということを続けることによって、今後の処置を研究していきたいと思っております。
○多賀谷委員 関連。その点をはっきりしておかなければならぬ。今は不況になりましたからよろしいですが、少し好況になりますと、事業団が買い上げた鉱区の付近の鉱区の価格が上るのです。それはなぜかというと、いずれ事業団は払い下げるだろう、こういうことで、値段が上ったりするのですよ。ですから政府は——国だって鉱業権を持つことはできるのですからね。やはり政府はこの点は明確にしておく必要がある。緊急に明確化してもらいたい。
○樋詰説明員 御趣旨の通り、できるだけ早く結論を出したいと思っております。
○滝井委員 大事なところがたくさんあるのですが、どうも時間がありませんので、次にはボタ山の問題です。鉱業権者がボタ山を譲渡いたします。そうすると、譲渡した場合にいろいろ被害があれば、当然もとの鉱業権者が責任を持つということははっきりしておりますが、その譲渡を受けた人が、そのボタ山の土を人にどんどん売るわけです。これは今三輪車一台二百円とか三百円とかで売っておるわけです。そうしますとボタ山というものは、外から当らない間は、いろいろ工作をしない間は、かたく固まっております。大雨が降ったときにざあっと急傾斜して流れていく土砂の排出がありますが、これは当然鉱業権者の鉱害として見ております。今度は他人に譲渡をして、そしてその譲渡を受けた人が、そのボタ山をトン何ぼで人にどんどん売るわけです。売るということは、ボタ山の形態を変えることです。そうすると大雨が降ると、当ったその土砂がだあっと流れていくことになるわけです。そういう場合の被害も同時に鉱業権者に持たせていいのかどうかということが一つ。それからいま一つは、そのボタ山の土を売って、買う人はだれかといえば水洗炭業者が買うわけです。そして水洗炭業者がどんどん水洗をやります。そのために莫大な被害が出てくるわけです。その場合に、その土というものは鉱業権者のボタ山から出てきた土ですから、善良な市民が小さな水洗炭業者のところに行っても話にはなりません。従って、やはりこれは鉱業権者が責任を持つのかどうかということ、この二点をはっきりして下さい。
○樋詰説明員 これはボタ山を買った人間が、民法上の規定に基く善良なる管理者の注意を怠って迷惑をかけたのでございますから、民法上の責任というものは、当然、動産であるボタ山を買った所有者が負わなければいけないということになると思います。それから、これは動産であるボタ山を売ったのでございますから、それから起った鉱害については、鉱業権者は一応責任はないということにならざるを得ないのじゃないか……(多賀谷委員「洗炭業者の賠償責任がある、民法じゃない」と呼ぶ)水洗炭業者は責任がございます。水洗炭業者が自分でそこから掘っていって、そして山をくずして鉱害が起ったという原因を作ったのであれば、水洗炭業者には賠償の責任がございます。
○滝井委員 そうしますとその場合は、無償であろうと買い取ったものであろうと——私なら私がAという鉱山からボタ山を買うか、無償でも何でも譲渡してもらった、そうして土を他に売った場合に、そこの土をとったために鉱害が起ってきたというときには、鉱業権者は何も責任がないと、こう確認して差しつかえありませんか。それは問題がありますよ。私は鉱業権者だと思っておるのだけれども……。
○樋詰説明員 今のところ私は鉱業権者には責任がないというふうに考えておるのでございますが、もう少し中でもよく検討してみたいと思います。この次までに……。
○滝井委員 そういう事態が非常に多いわけなんです。現在土はどんどん金になっておるわけです。冬場になって石炭の値が上れば上るほど、そういう傾向が多くなってきておる。これは一つぜひ検討してもらわないと、その被害を受ける善良な国民はどこに苦情を持っていっていいかわからぬことになってしまう。 次に、さいぜん多賀谷さんもちょっと触れておりましたが、中小の山でガスの爆発、出水その他がありまして、死体の搬出ができないという事態が起ってきておるわけです。どういうわけでできないかという、金がない。いわゆる中小の山は未払い賃金も多い、電気料も重なっておる、労災保険も払っていない、こういう事態です。これは金があれば死体の搬出ができるのですが、金がない。ところが、ばっと十人なり二十人なりが生き埋めになったときには他の山からみんな救援に行きますが、これが二十日になり一カ月になり二カ月になると、もうそうそう救援もできない。あとはその山だけにまかしてしまうから、死体の搬出ができないのです。金がない。死体の搬出のために金を使っておると、山の方の運営ができない、こういう事態が起ってくるわけです。こういうときにはやはり国家が特別にそれを救出する方策を何か考える必要はないかということなんです。そういうところに労災も未払いでございますので、死亡した家族は労災の保険金も半額しかもらえない。制限給付です。だから家族は、自分のかわいい肉親を殺して労災保険金は半分しかもらえぬ、死体は出てこぬ。なぜ出てこぬかというと、事業主が金がないからやれないのです。電力による水揚げができない、こういうことになるために、今度はどういうことになるかというと、その死体の入っておる鉱区を分割して金のある人に売るか、租鉱権を設定して、死体の搬出をしてもらう、こういう事態になるわけです。これはあるのです。だから、こういうときには、やはり何らか国家的な助成をして出すような方法を考えないと、一事業主にこれをまかしてしまっておると、大へんなことになってくるということなんです。それはさいぜん言ったように、鉱区が細分化されて、だんだん小さい裸一貫という人がやるということになると、そうなる。ここに石炭企業の投機性というものが、鉱区の細分化によってますます拍車をかけられる事態になってくる。もはや日本の産業にはフロンティアがないというところに、日本の資本主義の行き詰まりがあるということを笠信太郎さんが指摘しました。もはや石炭鉱業にはフロンティアはないのです。もう北海道にでも行く以外にない。こういう状態なんですが、大臣、この点は一体——まあ何でもかでも国が出ていけば大へんだと思う。しかし、そこの経理状態その他を見れば、必ずそういうところは国税の滞納があり、社会保険料の滞納、労災保険料の滞納があるのです。だから、そういうときには何らか国家的な助成を講じていくということが考えられないかどうかという点です。 それからもう一つそれにつけ加えて、先般来、中小の山には非常に災害が多いのだが、長年経験を持ったある炭鉱事業主が言っておりました。この際政府は中小炭鉱の災害を防ぐために、ポータブルの先進ボーリング機をやはり国が保有すべきだ。そしてたとえば北九州なら北九州に五台とか十台とか絶えず持っておる。そしてそれぞれの中小の山に使用料をもってこれを貸し与える、こういうことをやればいいのだということを言っておりました。これはポータブルならば、百万か百二十万であるそうです。私はこういうことは、死人が出てから死体を搬出する、掘り出す金もないということを防ぐために、すみやかにこういう予防的な措置を国家がやってやる必要があるだろうと思う。こういう二点について大臣はどうお考えになっていますか。
○高碕国務大臣 第一点のことにつきましては、今回の改正案は、生きている人間がみすみす助からないというときに、鉱業権者がまごまごし、金がないからといっておるときは困るというので、そういう場合は政府は命令でもって代行してやっていこうということでございます。そこで死体だった場合はどうなるか、こういうことでありますが、現状におきましては、この法律の適用ではそれはできないわけであります。遺族の点から考えまして、死体が実際あるので、水難にかかった場合と違うのだから、それを見ることは感情上しのびないわけでありますので、何としても法律が適用されると同様に行政措置をもちまして、できるだけこれを実行していきたいと思いますが、今のところこれを法律をもってやるということになりますれば、別に単行法でも作らなければならぬ。それにはいろいろの問題もあることでありますが、しかしそれはできるだけ早い機会にそういうふうに御趣旨に沿うように進みたいと存じております。 第二の未然に防ぐということは絶対必要でありまして、わずか百万円か二百万円のもので、ポータブルのボーリング機械があって、それで防げるということが実際できるということになれば、当然これは実行いたしたいと存じておりますが、よくその点は検討いたしまして、実行するように進みたいと思います。
○滝井委員 先進ボーリングの方は御検討になっていただいてこれを実施してもらえば、おそらく政府の監督の面からいっても非常にやりやすくなるのじゃないかと思います。ぜひお願いしたいと思います。 最後に、最近原子炉の輸入問題が起っておる。原子炉による被害というものは、これは莫大なものになることは火を見るより明らかである。ところが最近聞くところによりますと、政府は原子炉による被害というものは国が責任を持つということを出したということを聞いておりますが、そういうことでございますか。
○高碕国務大臣 この問題は科学技術庁の問題になりまして、私責任を持ってお答えできませんが、しかし私は当然国家が持つべきものだと思います。その点につきましては、原子力委員会においてよく検討中だそうでございます。
○滝井委員 原子炉による無過失賠償責任というものは国家が全部持つということになりますと、当然これは他の公害、特にこういう鉱山公害等についても持たなければならぬということに私はなると思うのです。私はむしろ原子炉のものを国が持つことになれば、日本の鉱害に関するものの考え方というものは非常に進歩することになると考えておるのですが、これは原子力委員会の問題であるそうでございますので、いずれこれは原子炉にそういう結論が出るとすれば、今後の通産行政における鉱害防止の上に非常に大きな飛躍になると思うのです。私はそうなることを望んで、長いことお世話になりましたこの質問を終らしていただきます。
○長谷川委員長 以上をもって本案の質疑は終了いたしました。 次に討論に入るのでありますが、両法案については討論の通告がありませんので、直ちに採決いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○長谷川委員長 御異議なしと認めます。よって、両案を一括して採決いたします。両法案を原案の通り可決するに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○長谷川委員長 御異議なしと認めます。よって、両案は原案の通り可決いたしました。 次に、ただいま可決いたしました両法案に対し、自由民主党、日本社会党共同提案にかかる附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。まず趣旨の弁明を求めます。大矢省三君。
○大矢委員 私は、ただいま議決されました鉱山保安法の一部を改正する法律案及び鉱業法の一部を改正する法律案に対して附帯決議を付すべきであるとの動議を提出いたします。まず文案を朗読いたします。 鉱山保安法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案) 鉱山災害の絶滅を期するため、政府は、鉱山保安法の根本的再検討を行うとともに、その運用にあたつて、左の点について特段の考慮を払うべきである。 一、保安監督員制度を実効あらしめるよう措置すること。 二、保安協議会を十分に活用すること。 次に 鉱業法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案) 現行鉱業法は、鉱業に関する基本的制度を定めて鉱物資源を合理的に開発するため、制定されたものであるが、高度に発展し、複雑化した昨今の経済情勢等に照らし種々の不合理が生じている。 よって政府は、この際現行の鉱業法を全面的に検討し、可及的速かに根本的改正のための措置を講ずべきである。 以上でありますが、もう多く説明をする必要がないと存じます。今日までの質疑応答によって明らかであります。特に鉱山保安法に至っては人命に関する問題であります。さらにまたこの鉱業法は日本の経済に及ぼす影響はきわめて大でありますから、政府はこの点に特に留意されて、この決議案を十分尊重されたい。従来ややともすると決議案に対して軽視の傾向が政府にあるのであります。私はこの際以上述べた理由によりまして、尊重されることを強く要望して、この動議の提出の理由といたします。
○長谷川委員長 ただいま大矢君の動議の通り附帯決議を付すことに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○長谷川委員長 御異議なしと認め、そのように決します。 なおただいま議決いたしました両法案に関する委員会の報告書の作成に関しましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○長谷川委員長 御異議なしと認め、そのように決します。 この際通商産業大臣より発言を求められておりますので、これを許可いたします。通商産業大臣。
○高碕国務大臣 連日両法案につきまして熱心に御審議願いましたことは、まことにありがたく感謝いたします。 つきましては、ただいま附帯の決議案の趣旨を十分尊重いたしまして、法律施行に万全を期する考えでございます。ありがとうございました。
○長谷川委員長 次会は来たる二十八日火曜日午前九時四十分理事会、午前十時より開会することとし、本日は、これにて散会いたします。 午後一時二十九分散会 ————◇—————