商工委員会 第7号
- 発言数
- 168 件
- 登壇者
- 11 名
- 会派数
- 2
- 開催日
- 1958/10/22
会議録
○長谷川委員長 これより会議を開きます。 去る十八日に付託になりました水谷長三郎君外二十三名提出の中小企業の産業分野の確保に関する法律案、同じく官公需の中小企業に対する発注の確保に関する法律案、同じく百貨店法の一部を改正する法律案の三案を一括して議題とし、審査に入ります。まず趣旨の説明を聴取することといたします。提出者松平忠久君。
○松平忠久君 ただいま議題となりました中小企業の産業分野の確保に関する法律案の提案理由を、提案者を代表して御説明申し上げます。 本国会にわが社会党か提案しております幾多の立法の一環として、特に中小企業の適正な経営を確保し大企業による不当な進出を抑制するために、本法律案を提案するものであります。日本における今日の独占資本の形成が、中小企業、農業を犠牲とし、労働者の低賃金を基盤として行われてきたことはいまさら言うを待たないのであります。中小企業が過度競争に悩み、失業のたまり場となって、重大な社会問題化しているのも、わが国経済の顕著なる特徴であります。当面する中小企業の過度競争は、さらに大企業による中小企業分野への進出によって拍車をかけられております。大紡績による既製服、ワイシャツ等の大量生産、鉄鋼大メーカーによる二次製品の加工等々、その進出はあらゆる部門に著しくなって参っております。この過程において中小企業は、いつまでたってもその後進性を回復することができず、中小企業問題は日本産業の構造的欠陥として、ますます大きく社会問題化せざるを得ないでありましょう。わが社会党は、こうした矛盾を克服し、中小企業を近代化して、日本の産業構造の中で適正な地位を与えるため、総合的な経済政策を用意しているのでありますが、その安定した地位を確保するに至るまで、当面の中小企業の困難を打開するため、大企業による中小企業分野への進出を防止しようとするものであります。 そこで、本法律案の内容を御説明申し上げます。本法律案は以上のような理由から、国民経済上、中小企業の産業分野として適切なものを指定し、その安定をはかるため、その分野への大企業の進出に必要な規制を行なって、経済秩序の確立をはかることにその目的を置いているのであります。そして、まず第一に、製造業、建設業、サービス業に属する業種のうち、中小企業者が五分の四以上を占め、また過去一年間の生産実績の三分の二以上が中小企業によって占められるものについて、その経営が中小企業形態による方が経済的にも社会的にも適切であると考えられる業種を主務大臣が指定することといたしたのであります。そして第二に、その指定業種に属する事業については、大企業が新規に開業したり、設備の拡張を行うことを禁止しているのであります。さらにまた、現に当該指定業種における大企業の活動によって中小企業が著しい悪影響を受けている場合にも、それを緩和するため大企業に規制命令を出し得ることにしているのであります。第三に、以上の諸制限を回避し、大企業が系列支配等、資本的、人的な支配関係にあるものに同様の事業活動を行わせる場合も十分に予測され得るので、かかる脱法行為をもあらかじめ禁止したのであります。かかる脱法行為があった場合、その排除措置をとり得ることは言うまでもありません。第四には、かかる法の運営の実をあげるには、慎重を要し、かつ中小企業者の意見が十二分に反映されねばなりません。そのため、従来の審議会の構成を改め、各産業分野の代表を法文の上に明記することといたしたのであります。 以上がこの法律案の提案理由並びに内容の概要であります。何とぞ慎重御審議の上、早急実現のため御賛成あらんことをお願い申し上げる次第であります。 次に、官公需の中小企業に対する発注の確保に関する法律案の提案理由を、提案者を代表して御説明申し上げます。 戦後の経済復興過程を通じて、保守党政府の一貫した独占資本擁護の経済政策によって、経済の集中は促進され、独占資本は再建されましたが、それは一方において、中小企業を犠牲として初めて可能であったのであります。中小企業は残されたわずかばかりの市場をめぐって、相互間の過度競争は激化するばかりでありまして、さらに最近は経済の不況に加えて、大企業による中小企業分野への進出は製造、販売その他あらゆる部門において顕著となり、中小企業者の存立に重大な脅威を与えているのであります。 今日、中小企業問題は、単なる経済問題としてばかりでなく、重大な社会問題化しているのであります。こうした中小企業問題の解決は、根本的には、国の財政、金融その他万般に及ぶ総合的な施策を待って初めて可能であることは言うまでもありません。その一つの施策として、中小企業の事業活動の分野を可能な限り確保していく措置がとられる必要があると信ずるものであります。中小企業の産業分野を確保するための措置については、別に先ほど提案理由によって説明を申し上げましたが、かかる主要問題に対しては、まず国及び公共企業体等が率先してその範をたれるべきだと考えるものであります。中小企業問題が日本ほど深刻でないアメリカにおいてすら、国防省の総予算のうち一割以上を中小企業に発注しなければならないという規定が実施されております。このことは、わが国における官公需の発注が大企業に偏し、中小企業はほとんど顧みられていないのと比べて、特に重視されねばなりません。昭和三十二年度における国及び公共企業体、並びに地方公共団体等の物件費の総額は、優に九千億をこえる膨大な額に達しております。かりに、このうち一割を中小企業に確保するとしましても、毎年一千億に上る需要が保証されることになるのであります。そこで、まずこの膨大な国及び公共企業体等のなす物資の調達、工事の請負その他の契約について、中小企業に一定の割合を確保せんとするのが本法律案の目的なのであります。 この法律案の内容の大要は次の通りであります。まず第一に、学識経験者を中心として構成された中小企業官公需確保審議会において、国及び公共企業体が中小企業者となすべき官公需契約の割合を調査審議せしめ、その答申に基いて、内閣総理大臣がその割合を公表することといたしたのであります。第二に、各関係機関こその公表された割合に達するよう努力する義務を負わしめ、その割合を達成せしめるために必要ある場合は、契約の特例を設けて中小企業者だけに競争入札を行い得ることとしているのであります。第三に、毎会計年度において中小企業者となした官公需契約の実績について、主務大臣または内閣総理大臣に対して報告をなさしめ、加えて、定められた官公需契約の割合を達成するため、主務大臣または内閣総理大臣に必要な勧告を行わしめることといたしているのであります。 以上が本法律案の提案理由並びに内容の概要であります。どうか慎重御審議の上、早急実現のため御賛成あらんことをお願い申し上げます。 次に、百貨店法の一部を改正する法律案の提出理由を御説明申し上げます。 去る二十四国会におきまして、特に百貨店業の事業活動を調整して、中小商業の事業活動の機会を確保するとの目的をもって、一応政府提案による百貨店法の制定を見たのでありますが、施行後の経過を振り返って見まするに、当初の法律の目的は完全に踏みにじられ、逆に既存の百貨店を保護するように運用されて参ったのであります。すなわち、法律の施行後、本年九月現在まで新設、拡張の行われたものは百四十八件、その売場面積は約四十万平方メートルに達しております。これは小売商店の平均売場面積が約三十平方メートルとして、実に小売商店約一万三千軒に相当し、これを少数の大資本が支配しているのであります。こうした法の目的を逸脱した運用を危惧して、当時特に衆参両院において附帯決議を行い、公共団体の土地または施設の利用、並びにターミナル施設の設置を禁止し、また中小商業者の利益を阻害するような不公正な事業活動を厳に戒めたのであります。しかし、これらの附帯決議は保守党政府によってほごのごとく捨て去られ、百貨店の激増を許可したのであります。政府は、むしろ積極的に既存百貨店の保護育成に努力を払い、公正なるべき百貨店審議会また百貨店業者の利益を代弁する機関に堕してしまったのであります。さらに最近、百貨店業者は中小商業者の反対を回避するため、別会社組織による、いわゆるスーパー・マーケットの設立に力を注ぎ、実質的に百貨店法の脱法行為を公然と行なっているのであります。政府並びに百貨店審議会は、スーパー・マーケットによって死活を問われる中小商業者の猛烈な反対の声に対し、全く耳をかすことなく、これを黙認し続けているのであります。また、百貨店による割賦販売は、日本信販等の組織と結びついて急速に伸び、資本力のない中小商業者を著しく圧迫しつつあります。こうした百貨店業者の不当な事業活動に対し、政府は法律の目的に沿って中小商業者の利益を擁護するため、効果的な措置をとるべき義務を課せられているにもかかわらず、故意に法の公正な運用をサボタージュしているのは、きわめて遺憾なことであります。 そこでわが党は、ここに百貨店法の一部を改正する法律案を提出することによって、法の本来の目的を達成せしめんとするものであります。すなわち、百貨店業者による不公正な取引並びに営業行為、百貨店法の目的に逸脱する行為等を法律に明確に規定することによって、百貨店業者の行き過ぎた事業活動を規制し、不当な店舗の拡張を制限し、もって中小商業者の公正な利益を確保せんとするものであります。 その内容のおもなるものは次の通りであります。まず第一に、店舗の床面積について従来の物品販売業を営むもののほかに、飲食店営業または喫茶店営業を営むものも加算することとし、百貨店の不当な売場面積拡張の手段を封ずることにいたしたのであります。第二に、割賦販売、積立金組織による予約販売その他特定の営業方法に関し、その内容と方法において中小商業の利益を著しく害するおそれがある場合は、通産大臣は許可を行なってはならないこととしているのであります。第三に、百貨店がその優位な立場を利用して、仕入先たる中小企業者に対し返品、値引きその他不公正な仕入れ行為を行うことを禁止しているのであります。第四に、百貨店審議会の公正な運営を期すため、学識経験者のほかに中小企業者を代表する委員の任命を明記し、中小企業者の利益を公正に反映させる道を開いているのであります。第五に、国及び地方公共団体など政府関係機関の所有する土地または施設を百貨店業の店舗の用に使用させることを禁止しているのであります。第六に、百貨店業者の別会社組織による百貨店類似行為についても、本法による規制の対象といたしたのであります。そして最後に、百貨店業者の不公正な販売行為、仕入れ行為を効果的に規制するため、特に公正取引委員会にその判断をゆだねることといたしているのであります。 以上がこの法律案の提案理由並びに内容の概要であります。何とぞ慎重御審議の上、早急実現のため御賛成あらんことをお願い申し上げる次第であります。
○長谷川委員長 以上で趣旨の説明は終りました。なお、本案についての質疑は後日に譲ることといたします。 ————◇—————
○長谷川委員長 次に、鉱山保安法の一部を改正する法律案及び鉱業法の一部を改正する法律案の両案を一括して議題といたします。審査を進めます。 この際参考人出頭要求の件についてお諮りをいたします。両案の審査のため、石炭鉱業整備事業団理事長田口良明君に参考人として本日委員会に御出席を願うことにいたしております。これに対して御異議はありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○長谷川委員長 御異議なしと認め、そのように決します。 両案に対する質疑を続行をいたします。井手以誠君。
○井手委員 鉱山保安法と鉱業法の一部を改正する法律案に関連いたしまして、鉱業法の全面的改正に関する二、三の意見と、鉱害復旧の具体的問題について尋ねたいのであります。 まず全面的改正について大臣にお伺いをいたします。当委員会における大臣の説明によりますと、鉱業法の全面的改正を計画されて、審議会を設置されるように承わっておるのでありますが、まことにけっこうなことでございまして、すみやかにその審議会が設置されるように本員からも要望いたす次第であります。この審議会設置に当って、私の承わったところでは、予定される委員の中には、この石炭鉱業に非常に関係の深い地方公共団体の首長と、それから鉱害に関する利害の代表者が漏れているようであります。もしそうであるといたしますならば、全面的改正においては、いわゆる能力主義の採用、あるいは鉱業と地上権または公益との調整、さらに鉱害賠償制度の合理化というこの重要な問題について、私は十分なる審議ができないんではないかという不安を持っておるのであります。特に鉱業関係においては、経営者を中心に従来検討を進められてきたきらいがあるのでありますが、今回の全面的改正に当っても、そういう経営者中心の、あるいは官庁中心の審議会であってはならぬと本員は考えておるのであります。ぜひとも地方公共団体の首長なり、あるいは鉱害に関する利害関係の代表者を入れてもらいたい。これに対する大臣の所信を承わっておきたいと思います。
○高碕国務大臣 鉱業法の抜本的の改正につきまして、急速に審議会を開きたいと存じております。審議会のメンバー等につきましては、まだきまっておりません。でありますが、今のお説のごとく、できるだけ地方公共団体等の意見を代表し得るような人も入れていきたいということも、十分考慮いたしたいと存じております。また一面、経営者だけでなくて、それに対する従業者の立場等も代表し得るような人も入れたいと思っております。
○井手委員 私の承知した予想される顔ぶれには入っていないのでありますから、この点については特に御留意のほどをお願いいたしておく次第でございます。 次に私は、今から特に鉱害を中心としてお尋ねをいたしたいのでありますが、鉱業権者の鉱害賠償の義務を確保するには、どうしても供託金制度を強化する必要があると私は痛感いたしておるのであります。その供託金の問題で、鉱業法によりますと、鉱物価額の百分の一以内を供託するように現行法ではなっておるのでありますが、最近この供託の金額が——石炭鉱業においてはことしは若干下ってはおりますけれども薮年前に比べて炭価はずっと引き上っておる。それにもかかわらず、供託金が最近毎年々々金額が低下いたしまして、最も鉱害の多い九州地区においては、わずかに四円八銭になっておる。私が調査したところによりますと、これは数年前の統計でございますが、鉱害賠償の実績はトン当り五十円に上っておる。これは完全ではなかった時代の実績が五十円、その五十円の鉱害賠償を行うのにわずかに四円八銭では、私はあまりにも低過ぎると考えておるのであります。どうしてそんなに毎年々々供託金の金額が下っておるのか。この四円程度のもので果して鉱害賠償を完全に遂行できる見通しを持っておられるのかどうか。この点をお伺いいたしたいのであります。これは大臣でなくてもけっこうであります。
○樋詰説明員 御承知のように鉱害賠償の供託金は、鉱業法の第百十七条によりまして二十円以内ということになっております。現実に積んでおりますのは、今御指摘の通り五円弱というのが実際の姿になっております。鉱害は最近、年にいたしまして大体八億程度発生しておるのでございますが、そのうち約四億八千万に相当するものについては、鉱害賠償供託金でなしに、鉱害賠償未払金として一応損金に経理することが三十二年から認められまして、それで鉱害を払うという意思をはっきり示しておるものが、大体四億八千万程度あるわけでございます。御承知のように鉱害賠償の供託金は、これはいよいよもう最後の手段として被害者に残された唯一の担保といったようなものでございますので、今までこれを積みましたが、ほとんど一回も利用されたことがない。大体この担保を利用するまでに当事者間でいろいろ話し合いをして片づくといったようなことが多うございましたので、これはほんとうの最後の担保ということになっておるわけでございます。そこで具体的な数字で申し上げますと、八億円の鉱害のうち、約四億八千万は自分で払うということで、ちゃんとはっきり鉱害の引き当てとして未払金を損金に経理しておりますので、残りの三億二千万程度の鉱害が、果して鉱業権者に鉱害賠償の意思があるかどうかはっきりわからないという鉱害でございますが、現在の臨鉱法の負担区分から申しますと、大体三億二千万のうち鉱業権者が負担しますものが、この約半分の一億六千万ということになっておりますので、この一億六千万の鉱害が最終的に担保されるかどうかということが問題であるわけでございます。この一億六千万円を、それだけの鉱害を与えた炭鉱の出炭トン数で換算いたしますと、十五円ということになりますので、現行法の二十円の範囲内で——確かに今御指摘の通り、現実に積んでいる金額は必ずしもその鉱害全部を担保するに足らない金額になっておりますが、われわれといたしましては、今後さらに実情に即応するように、別に二十円の限度を引き上げなくても、先ほど申し上げました鉱害賠償未払金の方で六割程度ははっきり払うという意思を示してもおりますので、残りの分につきまして考えますと、二十円の限度内を履行すれば、大体カバーできるんじゃないかと思っておりますが、具体的にはそれぞれの地方の実情、炭鉱の実情等にも応じまして、通産局長から現在の炭鉱別の限度の引き上げということについて指示するように研究したいと思っておる次第であります。
○井手委員 四、五円の供託金で、とてもまかないつくものではないのであります。今局長から、話し合いによって順次鉱害復旧に乗せていきたいという話がありましたけれども、鉱害復旧が簡単に話し合いのつくものではないのであります。これは局長も御存じだろうと思います。特に私が心配いたしておりますのは、大手筋ではなくして、地方の中小鉱であります。供託金は思ったよりも納入成績はいいようでありますけれども、未納入のものに地方の中小鉱が非常に多いと私は承わっておるのであります。局長は昨日以来盛んに未払金の留保のことを何か答弁の金看板のようにおっしゃっておりますけれども……。私は、そこで石炭局長にお伺いいたします。未払金の留保をしておる炭鉱は幾つございますか。私の調査したところによりますと、私の佐賀県においては、一年間に二百七十万トン出炭をいたすのであります。その佐賀県下において、この未払金を留保しておる会社は、わずかに三菱の古賀山一鉱だけであります。二百七十万トンのうちにわずかに三十万トン、これで鉱害復旧ができるなどとお考えになることが私は不思議だと思うのです。当局にお伺いいたしますが、この鉱害復旧で一番納入してもらわなければならぬ中小鉱が供託金を払わない場合には、鉱業法によりますと、事業の停止を命ずることもできるでありましょうが、どういう行政措置をなさっておるのか、その点をお伺いいたします。
○樋詰説明員 供託金を指定された通り積まないという場合の措置は、今お話にございましたように、事業の停止しか現在できないわけでございます。ただ、今まで供託金を積まなかったために事業を停止したという例はございません。われわれといたしましては、あらゆる手段で督促してでも、とにかく積み立てるということが、鉱害を復旧させる一番合目的な方法ではないかと考えております。できるだけ督促するということに重点を置いておりますので、今までのところ、法規を適用いたしまして事業の取り消しとか停止を命じた例は一件もないのであります。今後督促の方をさらに進めていきたいと考えております。
○井手委員 供託金については、調定額はぜひ確保してもらいたいと思うのですが、昨日来強調されている未払金の留保、それがほんとうに鉱害復旧の必要な中小鉱にどのくらい守られているのか、その点をお伺いいたします。先刻私は佐賀県の実情を申し上げましたが、一番問題なのは中小鉱の鉱害であります。
○樋詰説明員 はなはだ遺憾でございますが、全体では六割以上ということになっておりますが、中小鉱では、御指摘のようにほとんど未払金という制度を利用して、はっきりこれで払うという意思を示していないのが現状でございます。
○井手委員 それでは、今後未払金の留保をどういうふうに強化される御意思でありますか。
○樋詰説明員 これは会社の経理につきましても、一応未払金は損金として経理できるという税法上の恩典がございますので、特に経理の苦しい会社あたりにおきまして、この制度を利用する方が経理上安定をするというような宣伝、教育啓蒙を行うと同時に、先ほど申し上げました供託金すら十分に積まないということ、それでは結局事業の停止をせざるを得ないのだということをさらによく周知徹底させるということで、この未払金制度を利用するか、それとも鉱害賠償の供託金を約束通り積むか、どっちか選ばなければ、行く行くはとめざるを得ないということで、反省を求めることにしたいと考えております。
○井手委員 御承知のように、最近石炭鉱業の経営は悪化の一途をたどっておるのでありまして、強調される未払金の留保ということにはあまり期待ができない。そうしますと、この大事な復旧について未払金の留保は期待ができない。供託金についても、こういう経営の状態でございますから、さらに未納入がふえてくるではないか。しかも、調定の金額は確保されない。こういうことになって参りますと、石炭の好況時代ですら、話し合いによって簡単に鉱害復旧が軌道に乗っていないことを考えますとき、私は鉱害復旧の前途は非常に暗いと考えているのであります。 そこで私は、今から大臣にお伺いをいたしたいのであります。鉱害復旧という非常に重要な問題、この点について供託金制度をさらに強化なさる御意思があるかどうか。金額を引き上げて強権的にこれを徴収する。しかし、加害者である鉱業権者といえども、無限に広範囲にわたっている鉱害を完全に復旧するということは、ことに中小の鉱業権者には簡単なこととは思えないのであります。それは実際問題として望めないことであります。そういたしますならば、ある程度まで供託金を引き上げて、これに強制力を持たせ、それでもなお鉱害復旧が完全に履行できないときは、引き上げの分については国家で補償するという鉱害復旧の方法、国家補償の制度をさらに強めた方法、そのためには、鉱害復旧公団などという強力な機関が必要であると考えております。その点について一つ大臣の所見を承わっておきたいと思います。 その前に、私当局にもう一つお尋ねいたしたい。毎年鉱害か発生するのは私ども八億から十億と考えておりますが、今まですでに発生している鉱害はどの程度でありますか。
○樋詰説明員 大体一般鉱害といたしましては、われわれの調査では百十六億ということになっておりますが、そのうち約五十億が今年度までに片づけられ、あと五十数億が残っておるということになっております。
○井手委員 私はその百十億という鉱害の金額は低きに過ぎると思うのです。まだ中小鉱の、あるいは鉱業権者のないような鉱害がたくさん残っておると思うのです。一応能力のある、鉱業権者がはっきりしておるのを集めたものが大体百十億だったと私は聞いておるのであります。 そこで大臣にお伺いいたします。先刻の問題でありますが、支払い能力のある、鉱害復旧能力のある炭鉱のすでに発生した鉱害だけで、なお六十億近く残っておる。今後年々八億ないし千億の鉱害が発生してくる。これを復旧するのに、先刻申しましたようなもっと強力な機関を設けておやりになる御意思があるかどうか。一方においては食糧増産とか、農民の生活安定のために、開拓確保のためにたくさんの国費を投じておる。ところがこの鉱害復旧において、せっかくの肥沃な農地がどんどん荒廃に瀕しておる、こういう状態でございますので、国土保全の立場から一つ格別の御配慮を願いたいという意味で、私はお尋ね申し上げるのであります。
○高碕国務大臣 鉱害の発生及びこれに対する対策というものは、国土保全の見地から申しましても絶対にこれは必要と存じまして、十分この対策を講じたいと存じます。つきましては、鉱業法の抜本的改正と相待ちまして、これを供託金によってある程度償わしめる、同時にある程度においては国家がこれを補償するというふうな問題につきましては、十分検討いたしたいと存じます。
○井手委員 なおこの問題についてさらにお伺いしたいのでありますが、あとでたくさんの質問を持っておりますので、この国土保全の立場からする鉱害復旧については、もっと強い立場から御検討なさるように要望をいたしておきます。 次にお伺いしたいのは、従来鉱害の復旧には金銭の賠償を原則とされておった。しかし鉱害の復旧というのは、いろいろございますけれども農地が中心になっております。そういうことを考えますと、原状回復を原則として、そして金銭の賠償は従とすべきであると私は考えるのであります。なるほど抽象的な理論として、値打が同一のものであるならば金銭でいいではないかという議論も成り立つわけであります。そういう意味で従来は金銭賠償を原則とされておるのでありますけれども、鉱害が主として農地ということを考えまするならば、農地はかけがえのないものである、そういう個性を持ったものであります。工業製品のように、損傷したからかわりがすぐ作られるというものではないわけなんです。また農民の愛着心やあるいはいろいろなことを考えますと、どうしても原状回復を原則としなくてはならぬと私は信じておるのであります。この全面的改正に当って、従来の金銭賠償を原則とするという行き方を改め、原状回復を原則とするようになさる御意思はないか。従来金銭賠償でありまするために、幾多の紛糾が起っているわけです。炭鉱側、会社側の見方と被害者の見方というものに非常な開きが出てきている。これが原状回復ということになりまするならば、第三者の地方公共団体であるとか、あるいは通産省であるとかの公平な立場において、紛糾が起らぬで鉱害復旧が完全にできると私は考えるわけであります。鉱害の復旧は原状回復を原則となさる御意思はないかどうか、この点をお伺いいたします。
○高碕国務大臣 ただいまのところ現金賠償が原則になっておるようでありますけれども、実際から申しますと、現金をそのまま被賠償者に渡すというにとはよくないことでありまして、これはどうしてもやはり御説のごとく、原状に復旧するということが終局の目的でなければならぬ、こう存じますから、そういうふうになるように進めたいと存じております。
○井手委員 次に昨日鈴木委員からも議題に上りました能力主義の採用の問題であります。これもやはり現地の鉱害復旧の立場から私はお尋ねいたしたいのでありますが、今日の先願主義、先に出願した者が物権としての権利を獲得する、こういう今の先願主義を改めて能力主義にしなくちゃならぬ。先願主義をとられた意味は、私が申し上げるまでもなく、地下資源の開発を促進するためにとられたものである、地下資源の開発者を保護したり、あるいは採鉱意欲の増進をはかるという意味でとられたものだと私は承わっておるわけであります。けれども、もう最近になりますと、有望な炭鉱地域というものは大体鉱区として認可を得てしまっておる。そうなりますと従来の先願主義の意義はなくなってしまう。いよいよこれからば、従来の地下資源開発の思想を普及するという意味ではなくして、この大事な地下資源を開発する段階になっておる。そうなって参りますならば、この大事な地下資源をいかに有効にすみやかに開発するかということに切りかえなくてはならぬと私は存じておるのであります。いわゆる能力のある者に、すみやかに開発できる者に、この鉱区の配分なりあるいは鉱業権を与えなくてはならぬという段階にきておると私は思うのであります。またそういう能力のある者でなくては、先刻私が申し上げましたように、鉱害復旧の話し合いにも応じないし、鉱害復旧の能力もないということになるのであります。だからどうしても能力主義を加味しなくてはならぬ。しかしそれにはやはり憲法の問題もあるしいろいろあるでありましょうけれども、いわゆる供託金制度というものを強化いたしますとともに、地方にいろいろな関係があるものについて、いわゆる担保と申しますか、積立金制度と申しますか、あるいはそういうものをひっくるめた供託金制度というものでもけっこうだと思うのでありますが、ある程度の金を積み立てさせて、あるいは鉱害の復旧なり、あるいは地方の諸問題についての解決に資する財源を確保しておく、こういう意味で能力主義を採用なさることが必要ではないか、かように私は考えておりますが、大臣の見解を承わっておきたい。
○高碕国務大臣 ただいまお話の先願主義については、今日の状態におきましては、これを改正しなければならぬという時勢になっておるということは事実でございますが、しからば能力主義であるとかいうことになりますと、その能力ということには、経験者あるいはそれに対する資力とかいろいろな問題があるわけでありますから、これを一がいにきめることはなかなか困難な点があると存じますので、その点は十分審議いたしたいと存じております。ただいま井手委員のおっしゃいましたようなことは、よほど有効な参考として考慮いたしたいと存じております。
○井手委員 この問題はなお検討すべき点がたくさんあると思いますが、さらに進んで今回の改正案についてお伺いをいたしたいと思います。今回の改正案によりますと、鉱業権を取り消された鉱区は二カ月間しなくては出願ができないようになっておる。これは私は当然の行き方だと思っております。しかしながら鉱業権者が鉱業権を取り消されるということは、これは鉱業権者がその義務に違反した、鉱業資源開発上その鉱業権者の存続はどうしても許されない、だから取り消すということになっておるのであります。だから悪質の違反者に対してさらに出願を認めることがいいかどうか。なるほど二カ月はほかの者も出願する機会は与えられておりますけれども、その取り消された鉱業権者が再び出願する機会があるかどうか。その点について、これは局長からでもけっこうでありますから、見解をお伺いしたいと思います。
○福井政府委員 ただいまの御質問の点につきましては、私どもごもっともな感じがするわけでありますが、ただ鉱業法の建前が、ただいまお話がございましたように、先願主義をとっておりまして、鉱業権者の資格に対しては別段の規定が設けてないわけでございます。取り消しを受けます場合は、鉱業法の五十五条で、お話のように悪い違反行為等がありました場合に取り消しをするわけであります。その者が二カ月間いたしましたときにやはり首を出してくるのはおかしいではないかということはごもっともでございますが、先ほどの能力主義の採用の問題もございますし、またほかの条項との関係等もございまして、今回の改正案では徹底はいたしません、第一歩を進めたという程度でございますが、そういった違反者につきまして出願能力を剥奪してしまうかどうかというような点につきましては、改正審議会におきましてとくと検討いたしたい、かように考えております。
○井手委員 そういう必要を認めたならば、一歩を進めたのじゃなくて、百歩を進めてもいいと私は思うのです。鉱業法の全面的改正、私は先刻これを強く要望したわけでありますけれども、この鉱業法の全面的改正ができ上るのはいつかということになりますと、やはりせっかくのこの改正の機会に十分の改正の意思を持つべきであると私は考えております。私は、鉱業権者の鉱業権の取り消しということは、よほどのことがなくては起きぬと思う。従来の通産行政のあり方から申しますならば、よほどの悪質でなければ取り消しはしないはずです。なるほど先願主義ではあります。先願主義ではありますけれども、この排他的な独占的な鉱業権を取り消さねばならぬというよほどの事態に対しまして、私はその鉱業権者には再び出願の資格を与えるということは考えものだと思う。せっかくの機会でございますから、私は百歩を進めて資格を剥奪するくらいの勇気があっていいと思うのです。これはやはり従来の関係がございますので、よその者が先に出願してとるということも、実際問題としてなかなか困難だ。結局そういう悪質な人が再び出願して鉱業権を獲得するということになれば同じことです。そういう悪質な業者でありますならば、やはり思い切って資格を奪うべきであると思う。この点は、大臣がいいんだけれども、いけなければほかの人でもいいですが、一つ思い切ってやって下さい。
○福井政府委員 ただいまのお説につきましては、私ども今後十分検討いたして参りたい、かように考えております。ただ現在先願主義をとっております関係上、これはかりに出願の権利を剥奪いたしましても、御承知のように実際問題としてはいろんな名義で出てくるというようなことも考えられますので、この点は違反行為がないというふうに私ども全体の観念を高めていく以外に実際問題としては解決の方法がないであろう、こういうふうに考えております。しかし法律の問題といたしましては、ただいま先生の御指摘の点につきましては、先ほどから申し上げておりますように、ほかの条文との関係もございますので、改正審議会で十分検討いたして参りたい、かように考えております。
○井手委員 どうも最近になりますと審議会が隠れみのになったような気がいたすのであります。あれもこれも審議会というものを隠れみのにしておるようであります。しかし取り消す場合には、列挙された事項によりますると、大体一般の聴聞を経た上で取り消すのじゃないですか。それほど手続を経て、重要な鉱業権というものを取り消されておると思うのです。それほど手続を経て悪質な業者として取り消したものを、また出願を許す。結局、二カ月の余裕はあるといたしましても、取り消されたその鉱業権者が再び権利を得るということは間違いないのであります。せっかくの改正案でございますから、再考の余地はございませんか。
○福井政府委員 今回の鉱業法の改正につきましては、保安法と並びまして災害防止の観点だけから、実は問題点を取り上げておるわけでございまして、鉱業法全体の問題につきましては、ほかの方にもいろいろ検討を要する点がございまして、そういった関係上、法律の改正審議会の検討にお願いする点が非常に多いと思うのでありますが、今回の鉱業法の改正案といたしましては、ごく限定したものだけに限っておるわけでございます。従いまして、今回この取り消しを受けた場合の自後の出願につきまして二カ月という期間を置きまして出願をさせるという、非常に中途半端な改正の内容に実体的にはなっておりますけれども、今後、ただいまお説の点につきましては、ほかの条項とともに十分検討をいたして参りたい、かように考えております。
○井手委員 当局の意図は大体わかりました。その取り消された者が再び鉱業権を得るであろうことは容易に想像できるのであります。これ以上は、国会としての立場から検討しなくてはならぬと考えておりますので、申し上げません。 そこで、これは鉱山局長の分だと思いますが、二、三小さな問題をお伺いしたいのであります。私はしろうとでよくわかりませんが、施業案というものは今秘密のものですか、公開はできないのですか。
○樋詰説明員 施業案は、鉱業権者が自分の鉱区をどういうふうな要領で開発するかといったような計画を示すものでございまして、一種の財産権といったような性質を持っておりますので、現在のところ一般には公開する必要はない。ただその施業、案の実施がいろいろの他の権益と競合して迷惑を及ぼすとでもいったような場合は、これは必要の限度におきましてそれぞれ関係者等に知らせるということを実際にやっておりますので、現行のもとにおきましては、大体内容は一般的には公開しないという建前をとっております。
○井手委員 私はこの施業案の認可さえ得ればどんどん自由に——もちろんその施業案以外にはみ出してはなりません、施業案尊重の義務はもろちん鉱業権者にございますけれども、どんどんそれでやっていける。しかもこの掘進によって他の権益あるいは公益との調整が起ってくる、鉱害が起ってくる、保安の問題が起ってくる、こういうことに広く一般との関係が非常に深くなっておるこの施業案を考えますならば、これは権利として秘密にすべきものではないと思う。少くとも施業案というものは、地方公共団体には一般に公開できるような方途を講ずべきだと考えます。これは意見になって参りますし、鉱業法全般の問題になると思いますけれども、私は、この鉱業法が鉱害その他のことを考えますならば、あるいは災害のことを考えまするならば、当然公開すべきである、むしろ義務づけるべきである、かように考えておりますが、そういうお考えはございませんか。
○樋詰説明員 御承知のように、まず鉱業権を付与します際には、これは地元の知事あたりとも十分相談いたしまして、意見を聞いているわけでございます。それからただ鉱業権が付与されましてから相当年月がたって、いよいよある地下を掘る、そのときにいろいろ地上の権利との間に摩擦が起るといったような問題が起りました場合には、現在でも通商局長は鉱区の減少あるいは鉱業権の取り消しというようなこともできることになっております。実際にはそういう場合には地元の知事さんあるいはその他利害関係者の意見も十分徴しまして、そういう措置をとることになっておりますので、現在鉱業権者のいろいろな行為を縛るということにつきましては、現行法を十分に活用すれば相当制限し得るというように考えているわけでございます。ただ今お話のございましたようにだんだん世の中が複雑になって参りまして、鉱業権と地上のいろいろな権益との総合調整が至るところで問題になってきた場合に、たとえば地上の鉱業権者だけに責任を負わせるのでなしに、ある程度地上の方にも建物を堅固にしていただくというような必要が起ってくると思うのでございますし、場合によりましては地上の権利者と地下の鉱業権者だけでなしに、国がある程度の費用を負担することによって、地上の権益も保護しあるいは地下の鉱業権も十分に実施できるようにといったような必要が起る場合も十分に考えられるわけでございます。特にそういう当事者だけの間の負担によらず、ある程度国庫もそれに参加するといったようなことにでもなれば、当然ほかの予算措置等も要りますので、何らかの特別方途も要るのではないかと考えられておりますが、現在のところまだわが国の鉱業の歴史が浅く、ことに鉱害問題につきまして真剣に取り上げられましてから、そう年月もたっておりませんので、残念ながら英独仏のごとく鉱業権の実施と鉱害との因果関係、どこをどう掘ればどの程度地上に影響がくるが、従ってどの程度堅固な建物を上に作らなければならないかといったような因果関係のことについて、まだ十分なるデータを持つに至っておらないのでございます。従いましてたとえば現在の法律におきましては特別掘採区域に指定されたものにつきましては、一般的な基準ができませんために、一件々々の掘採計画を許可します場合に、地方鉱業協議会の議に付しまして、さらにその中に専門部会を作りまして、地上のいろいろな権益に及ぼす影響を調べまして、一件々々の計画につきまして許可する、許可しないということをやっているのが現状でございます。もしデータさえとれれば——現在も地上の権益と相当混乱を起すようなところは特別掘採区域に指定して、はっきりした認可基準を示すことができるのではないか。しかし国庫がさらにそれに一枚加わるということになれば、これは別途特別の立法ということも必要になるかと考えておりますけれども、いずれにいたしましてもまだ肝心の因果関係をつかむと、いうところまでのデータがそろっておりませんので、われわれとしましても政府の中で特別法を作って国費を支出することについて、関係各省を十分納得せしめるだけのデータを持っておらないことをはなはだ遺憾に思っておりますが、できるだけ早く因果関係をつかむようなデータをそろえまして、特に施業案の内容を公開するかどうかといったようなことと別に離れまして、地上の権益と地下の権益とが、どうすれば一番うまく調整できるかということについて、円満な解決を得るように努力いたしたいと考えております。
○井手委員 施業案が秘密になされておるならば、とても今お話しになった地上権、公益との調整なんというものは、なかなかできないと思うのです。施業案というものが公開されて初めて私は調整がとれるしと思う。排他的、独占的な鉱業権に対して、通商局長の認可さえ得ればどんどん事業がやっていける。ところが一般にはそれに関係ある地上権なり公益の関係について、それがわからないということでは、調整のはかりようがないのであります。それほど強力な物権でありますならば、私は当然公開すべきであると考えるのでありまして、この点については後日あらためて論議をいたしたいと考えます。 そこで、坑内実測図はどちらの方の関係ですか。鉱山局長ですか石炭局長ですか。
○樋詰説明員 石炭であれば石炭局で所管いたしております。
○井手委員 それではお伺いしますが、鉱業法なりあるいは鉱山規則なんかによりますと、毎年坑内実測図の写しを通産局長に提出しなくちゃならないようになっておりますが、この坑内実測図が非常に乱れておると私は聞いておるのであります。この条文通り、規則通りに間違いなくこれが励行されておるかどうか。間違いなく通産局長にその写しが提出され、あるいはその原文が事務所に備えつけられておるかどうか、この点をお伺いいたしたいと思います。
○樋詰説明員 大体概数から申しますと、予定通り出ているようでございますが、一部中小炭鉱等におきまして出しておらないところがあるというのが実情でございます。
○井手委員 今の御答弁によりますと、一部の中小炭鉱では出ていない、違反しておるというお話でございますが、私の聞いたところでは大部分が励行してないと承わっておるのであります。間違いございませんか。そしてまた出てないところにはどういう処分をなさっておりますか。
○樋詰説明員 はなはだ勉強不十分で申しわけございませんが、ただいま調べましたところでは七、八分までは出しているのじゃないか、こういうことでございますが、さらによく取り調べましてあとから詳しいことを申し上げます。
○井手委員 そういうことでは鉱業の監督をすることはできないと思う。この坑内実測図というものは、施業案とともに鉱業監督上一番大事なものである。その坑内実測図というものが規定通りに備えつけてなかったり、あるいは毎年二月末に前年の十二月末現在のものの写しを通産局長に提出する、これは非常に大事なことですが、その大事な手続が励行されないと私は承わっておるのであります。当局でさえすでに七、八割より出ていないという答弁である。これはゆゆしい問題だと思うのです。そういうことでどうして鉱業の監督ができますか。災害の防止ができますか。この改正案にあります侵掘の状態がわかりますか。
○樋詰説明員 当局としましては極力法規通りの励行を期待し、またできるだけのことはやってきたつもりでございますが、ただいま御指摘のように必ずしも鉱業監督の十分でなかった点がありますことははなはだ申しわけないと思っております。しかし来年度におきましては一般の鉱業監督に要する経費といったものも、今年度に比べまして約四倍に増額することを要求しておりますので、今後は、これは来年度にならなくても、今日以後とにかく今御指摘のありましたようなことが、一日も早くなくなりますように最善の努力をしたいと考えております。
○井手委員 これは大臣にもお聞き願いたいと思いますが、鉱業監督に関する予算が非常に少いことは私も認めておるわけであります。この点は当局にも同情いたしておりまするし、また協力もいたしたいと考えます。今のような鉱山監督に関する予算あるいは旅費ではとても十分な監督はできないわけです。この点は十分わかる。しかし今私の申しました坑内実測図は予算とはさほど関係はないものであります。これは鉱業権者に義務を課したものである。しなくてはならぬと規則にちゃんと書いてある。これを怠ったものは処罰すると書いてある。そうしなくてはならぬという義務を課したのは、いかに坑内実測図が重大であるかということを考えた上に、こういう条文があるのだと私は考えておるわけであります。私が聞いたところでは、ほとんどこれが励行されていない。そこに私は今日の鉱業の大きな問題があると思う。鉱業災害の問題、また今日の鉱業の運営のでたらめがあると思う。これは今後十分現地の調査もいたしまして、その上でまたお尋ねもいたしますから、厳重に規則を励行されることを要望いたしておきます。 次にお伺いいたしたいのは、これは小さな問題ですが、一昨年あたりから鉱害調査費が組まれておるようでありますが、これはどのくらい今調査が進んでおりますか、その点をお伺いいたしたい。
○樋詰説明員 現在やっております鉱害関係の調査は、臨鉱法の施行に関連いたしまして、毎年どの程度の復旧工事をやるべきかという鉱害復旧事業費に関連いたしまして、その復旧事業費算出のために根拠を得るデータを集めるような調査をやっております。
○井手委員 次に家屋の復旧が、一昨年でしたか、法律の改正で鉱害復旧に乗るようになったのでありますが、これが非常に金額か少いために遅々として進まないようであります。非常に関係者は困っておりますが、来年度はどのくらいお考えになっておりますか。
○樋詰説明員 御承知のように今年度は七千万円の予算を立てたわけでありますが、これでは御指摘のように非常に少いということで、三十四年度は少くとも倍程度の工事ができるようにということで、一億四千万を予定して目下大蔵省と折衝をいたしております。
○井手委員 次に法律の改正案についてお伺いをいたしますが、盗掘の処罰を強化されておるようでありますが、これは私一昨年もずいぶんこの点について、警察庁も来てもらって御相談を申し上げたわけであります。私の地元の佐賀県東松浦郡相知町においては、盗掘が一時は二十数件あった。あいくちを持って、勝手によその立木を伐採して盗掘をする。その盗掘の実績を私は承わりたいわけであります。
○樋詰説明員 まず福岡通産局管内の数字がまとまっておるようでございますので申し上げますと、三十二年中に福岡通産局管内におきまして盗掘として告発いたしましたのが百八十件ございます。
○井手委員 その結果はいかがになっておりますか。
○樋詰説明員 百八十件のうち起訴されたものが四十四件、そのうち体刑が三十二件で罰金刑が三件、目下公判中のものが九件でございます。それから不起訴が百十七件、起訴前処分のものが五件、その他略式請求で一応告発しましたけれども嫌疑なしということになったものが、十四件でございます。
○井手委員 これは今委員長席におられる長谷川さんにも、通産省政務次官当時にいろいろ御相談した問題でありますが、どうもこの盗掘について通産局は、まあ迷惑なものだという程度で、従来は熱が足りなかったと思うのです。その点について、私は今度の改正を機会に十分熱意を持って盗伐、盗掘についても取締りを厳重にしてもらいたい、この点を要望いたします。 それからこれはいろいろな法律案の審議のときに関係いたしますが、ボタ山の捨石というものを鉱業法に何とか規定する方法はないのですか。いつもボタ山の場合は石になっている。あれは洗えば石炭の中に入る。このために取締り上非常に問題が出てくるだろうと思う。あれは石だから通産省の関係じゃないということになっておりますが、これを統一する必要はないのですか。
○樋詰説明員 ボタ山に関しましては、前々国会で御審議いただきました水洗炭業法によりまして、ボタ山を洗って炭をとるといったような場合には、その法規に基いてコントロールするということになっておりますので、特にあれを石炭とするか、あるいは石として置いておくかということをあらためてここで区別しないで、必要があれば水洗炭業法で取り締るということで十分じゃないかと思います。
○井手委員 ボタ山は鉱業法の範疇には入っていないのでしょうか。
○樋詰説明員 ボタ山は動産の扱いになっておりますので、鉱業権の対象になっておりません。
○井手委員 ボタ山は石炭界が不景気になってくると盛んに掘られる。そうなると不景気のときには石だけれども、景気になってくると炭になる。そこに鉱害が起ってくる。こういう因果関係が非常に深いのでありますが、これはやはり鉱業法の中に含めるべきだと考えておりますが、いかがでございますか。
○樋詰説明員 ボタ山から出ます鉱害につきましては、ボタ山は現在動産の扱いを受けておりますが、鉱害の面では鉱業権者に一応の責任があるということになっておりますので、鉱業権者のはっきりしておりますボタ山につきましては、鉱業権者の責任において鉱害の復旧ということに当らせておりますし、また鉱業権者のはっきりしないというボタ山につきましては、これも過般御審議、御決定いただきました地すべり等防止法によりまして、危険がある場合には国において所要の措置を講ずるということになっておりますので、ボタ山から生ずる鉱害の予防ということにつきましては、大体現行法でやり得るのじゃないかと考えております。
○井手委員 私は現行法では不十分だと考えておりますので、さらに御検討願っておきます。 次に具体的な鉱害復旧の問題について二点お伺いをいたします。杵島炭鉱の北方礦業所の鉱害の問題であります。醫王寺部落の鉱害については、長い間折衝が行われた懸案であります。去る何月でございましたか、事業団と石炭局、農林省、佐賀県それに私どもが立ち会いまして打ち合せました結果、醫王寺部落については、なるべくすみやかに鉱害復旧をやりましょうという結論であったと私は記憶をしておるのであります。その打ち合せがあってからすでに半年を過ぎておると思いますが、あるいは四カ月くらいであったかもしれません。もう稲の刈り取りも近くなっておりますし、鉱害復旧にはいい時期に直面いたしておると私は思います。おそらく長い月日でございますので、すでに鉱害復旧についての十分なる計画ができておろうと私は期待をいたしておりますので、もし計画ができておりますならば、この機会に承わりたいと思います。
○田口参考人 醫王寺地区の鉱害の問題につきましては、事業団が北方炭礦を買収いたしましたのは、昨年の十二月十三日に売買契約を締結いたしております。この北方炭礦は御承知の通り膨大な鉱害量がありまして、約一億一千万円程度の鉱害量に当っておるわけであります。ただこの中でただいま御指摘の醫王寺地区の問題につきましては、事業団が買収の当時におきましては、鉱業権者並びに被害者の代表との間に打ち切り補償の契約が有効に成立いたしておりましたので、売買契約を、結んだわけでありますが、その後一部に紛争がありましたので、当事業団といたしましては、できる限り鉱業権者並びに被害者の意思を尊重するという建前から、ただいまお話がありましたように、関係者会議を何回となく開いておるわけです。ただここは御承知のように六角川の流域でございまして、その波及するところがかなり広範にわたりますし、また復旧の問題につきましても、技術的にも非常にむずかしい点もあるやに聞いております。しかし事業団といたしましては、あくまでも被害者の立場も十分尊重いたしまして、これが円満なる妥結に入るように、関係者会議にも出席いたしまして折衝しておるわけでありますが、まだ復旧の具体的な計画までには遺憾ながら到達いたしてはおりません。
○井手委員 御説明によりますと、まだ復旧計画は立っていないとのことであります。私はその点は非常に残念に存じますとともに、炭鉱と地元との間に有効に契約が行われたというお話については、私は非常に不快に存じておるのであります。この問題は鉱害の一つの問題でありまするし、私だけで審議しておるわけではございませんので、参考までに私はその内容を申し上げておきたいと思いますが、杵島炭礦の北方礦業所は、昨年石炭鉱業合理化法に基いて鉱業権を整備事業団に売却するに当りまして、今お話があったように、被害農地が二百町歩に及んでおる。その他の被害を加えますると、県の統計では五、六億円にも達しておると言われておる。とうてい北方礦業所の売却代金をもっては、鉱害を復旧することは困難であるということから、通産局でもいろいろ御配慮願って、その前に閉山をいたしました同じ杵島炭礦の大鵬炭礦を同時に買い上げることになったわけであります。その買い上げに当って、福岡の通産局は、鉱害がなお進行中といわれておるところまで含めて、大体百と五十町歩を安定鉱害として認定をいたしました。鉱害がなお若干進行しておるものまで含んで百五十町歩ばかりを安定鉱害として認定をしておる。従って、そのために杵島炭礦では、問題の醫王寺における陥落農地、大体六十五町歩程度でありますが、これを含めて打ち切り補償を被害者の代表と交渉したわけであります。この交渉に当って、炭鉱側は、当時杵島炭、礦は九十七日のストをやっておった最中でございまして、このストを口実にいたしまして、お前たちが打ち切り補償に応じないならば炭鉱はつぶれて一銭もとれないようになるぞ、こういう圧力を加えたことは関係者の証言で明らかであります。ところがこの杵島炭礦はストも解決いたしました。なるほど経営の内容は変って参りましたけれども、依然として杵島炭礦は健在であります。つぶれておりません。これを考えますと、お前たちが打ち切り補償に応じないならば一銭ももらえないようになるぞというこの炭鉱側の言葉は、刑法上の欺罔行為に当ると思うのであります。しかもこの会社側の示しました打ち切り補償の金額はきわめて低いのであります。完全復旧には反当り大体十二、三万円が予想されておりました。しかし炭鉱の立場もありまするし、農林省の熊本農地局でいろいろ検討した結果、大体反当九万円、総額五千七百九十万円、この復旧計画を立てたのであります。その反当九万円から考えますると、炭鉱の負担は一万一千五百円であります。鉱害復旧に要する炭鉱側の負担は三万一千五百円、打ち切り補償の金額は幾らであるかと申しますと、一万三千円であります。実際の炭鉱側の義務から申しますならば四割にも達していないのであります。しかもその上にけしからぬことは、三十二年度は、陥没した水害のために、普通は八俵も九俵もできるような醫王寺の農地において、産米はわずかに三俵とか四俵程度でありまして、五俵内外の減収になるのであります。五俵と仮定をいたしまするならば、一俵当り四千円といたしまして二万円です。この三十二年の産米だけでも二万円の減収賠償はあってしかるべきなのに、年々賠償に加えて打ち切り補償金額が一万三千円、年々賠償にも及ばない金額であります。一たんこの打ち切り補償に応ずるということになりますれば、一万三千円の金はなるほどとれるかもしれませんけれども、反当八俵も九俵もとれる肥沃な農地が二度と鉱害復旧の機会にも浴しないのであります。土地改良の機会にも浴しないのであります。今さっきお話があったように、六角川の水利の問題はもちろんございますけれども、そういう事情もからまって、場合によっては雨年のときにはほとんど稲作がとれないような悲惨な状態に陥いると思う。年々賠償の二万円、一方鉱害復旧に三万一千五百円の炭鉱負担に対してわずかに一万二千円、これはあまりにもひどい打ち切り補償の金額であります。従って、幾多の折衝紛糾を経た末に、十一月十六日地元代表との間についに反当一万三千円の打ち切り補償、総額は八百九十九万六千円、それに見舞金の八十五万円を加えて九百八十四万六千円で打ち打り補償の調印が行われました。しかしこの地元代表の権限はどうかと申しますると、これは打ち切り賠償の全権を地元部落が委任したものではないと私は聞いておるのであります。またあれを証明する文書もあるのであります。越えて十一月二十六日の部落の総会においては、この一万三千円の打ち切り補償に応じたこの交渉にみんな非常に激高いたしまして、即座に打ち切り補償反対の決議が行われた。そして十一月二十八日付をもって、これはそこにいらっしゃる石炭鉱業整備事業団の理事長に対して、地元の山本善六外七十六名の連署をもって、私ども地元は打ち切り補償には絶対反対でありますという内容証明をよこしておるのであります。続いてまた同じ地元から炭鉱側に対しましても、同様の内容証明を渡しておるのであります。これは郵便局の証明によって事実は明らかであります。この点でおかしなことは、十一月二十八日に発送されたこの内容証明の文書が——あなた方の事業団に聞きますと、あれは確かに受け取りましたけれども、あれは交渉が成立した十二月十三日の翌日の十四日でございますという返事でありました。佐賀から福岡までの間に半月もかかる。しかも御丁寧にも買い上げを契約された十二月十三日の翌日に到着したとおっしゃっておる。私はこれくらい不思議な問題はないと思う。七不思議といわれるけれども、七不思議以上の不思議だ。その上にこの醫王寺の部落の鉱害地については、昭和三十年度から鉱害復旧工事が始められておるわけでありまして、昭和三十二年度には十三町歩幾らかの、鉱害復旧が予定され、すでに県の予算にも計上されておったのであります。その佐賀県に対しましては、何ら事前に御相談はあっておりません。打ち切り補償についての話はあっておりません。一方では事業団においてちゃんと鉱害復旧の計画に載って予算にも計上されておる。農林省なり佐賀県に対しましては、何ら打も切り補償の相談はあっていない。また当時非常に紛糾いたしましたので、私もその中に入りまして、佐賀県庁の係長と私が、会社には今しばらく待ってもらいたいと繰り返し御相談をいたしましたにもかかわらず、十二月十三日にとうとう買い上げなさっておるのであります。 そこで私はさらに進めて申し上げたいのでありますが、合理化法によりますと、安定鉱害は売り渡した炭鉱が処理をしたあとでなくては、買収することはできないようになっておるのであります。私は二十八国会においてもこの問題を取り上げましたが、そのときの石炭局長の答弁によりますと、その鉱害の賠償の処理を全部完了させ、しかる後買収契約を締結するようになっておりますという明らかな通産当局の方針が明示されました。また石炭局から農林省に出されました覚書によりますと、臨鉱法により事業主が復旧または事後復旧を実施すると書いてある。打ち切り補償はいけない、安定鉱害について炭鉱が鉱害復旧をしなくちゃならぬしという覚書が、あなたの方から農林省に渡されておるわけであります。またこの問題について私は軽々に安定鉱害を百五十町歩認定したことにも問題があると思う。これらを考えて参りますと、地元代表と炭鉱側の契約には大きなきずがある。あなた方の事業団に対しましても会社側に対しましても、部落の大多数の者が絶対反対だという意思表示を内容証明によってやっておる。そういうきずのあるものを何ゆえにあなたの方が買い上げたのか。もしそれが軽卒であったというならば、この石炭鉱業合理化法の精神なり、あるいは石炭鉱業整備事業団の発足の意義にかんがみましても、積極的に地元の総意をくみ取って、鉱害復旧を一日も早く軌道に乗せることが、事業団理事長の責任であると私は考えております。しかるにただいまの御答弁によりますると、まだ計画が立っていないわけであります、私はまことに不快にたえません。なるほど長い間の紛糾でありましたので、一たん炭鉱と一万三千円の打ち切り補償に調印した一部の中には、鉱害復旧に反対した者もございました。部落内は二つに分れてあいさつもしない、やった嫁は取り戻すという非常に悲惨な部落内の紛糾がありました。しかししんはみんな鉱害復旧を望んでおるのであります。最近では部落民全部一体になって鉱害復旧の組合を作りました。金をもらった人々もその中に入って、そうして全部が一致して鉱害復旧の一日も早いことを県を通じて石炭局にも農林省にも提出しておるような次第であります。私はこの大事な六十五町歩の農地が二度と土地改良なり、鉱害復旧ができないという、あるいはこれを復旧してまたもとの八俵、九俵の美田に復活する、この岐路が今日あると思う。この点についてもっと熱意のある御答弁が願いたい。
○田口参考人 だんだんのお話承わりました。この北方の炭鉱の買収につきましては、お話のような紛争があることも承知しております。またあの当時といたしましては事業団は安定鉱害につきましては鉱業権者の方で処理をして、次に事業団が買収するという原則になっておりまするが、ただ未処理の分があった場合には補償金をもって、これが処理をするという業務方法書に基きまして、事業団は買収の契約を締結したわけであります。しかしながらただいま御指摘のように、この北方の一億一千万円程度の膨大な鉱害の中の一部に、そういう紛争地区があるということでございまするので、先ほど申し上げましたように事業団といたしましても、関係者の御協議によって、関係方面との折衝によりまして、できる限りこれが円満解決に資したいということで、ただいま事業団はおるわけであります。
○井手委員 地元と会社で円満解決の段階でないことは、理事長もよく御承知だと思うのです。このあなたの方の買い上げに当って安定鉱害が処理されていないことははっきりしておるのですね。常識でわかるでございましょう。九万の復旧費、会社の負担が三万一千五百円、それに対して一万三千円の打ち切り補償、しかもその一万三千円の中に昨年の反当二万円の年々賠償も含まっておる。こういうことが果して世間で許される鉱害賠償でしょうか、打ち切り補償の金額でしょうか。それだけでわかるじゃございませんか。しかも地元からは絶対反対の意思を、あなたの方に内容証明で通達されておる。明らかにこの契約にはきずがあることがわかっておるのです。私はその問題について今からいろいろ文句を申そうとか、あるいは追及しようとか考えておりません。あなたの方に責任があるこの問題については、もっと積極的な鉱害復旧の検討をなさるのがほんとうだと思うのです。円満な解決をはかりたいなどといったって、いつまでたってもそれは済みませんよ。地元民はどうですか、三俵か四俵の米をとって、政府に販売もできません。販売余力はございません。ほとんど農協から金を借り、あるいは親戚から米を借りて、やっと昨年から今日まで糊口をしのいでおるのですよ。一日もゆるがせにできないこの鉱害復旧の問題について、話し合いによる円満なる解決を期待しようなどとお考えになっておる点が、私はすでに間違っておると思う。 私は石炭局長にお伺いをいたします。この問題については、前の局長さんもいろいろ骨を折ってもらっております。問題は炭鉱がなかなか金を出ししぶっておるということを私は承わっておるわけです。炭鉱が三万一千五百円と、打ち切り補償の一万三千円の差額を出してくれさえすれば、一千何百万円の金を出してくれれば簡単に事は運ぶはずだ。その金を炭鉱が出さないからこの問題がこじれておるのです。しかしこのままその問題が簡単に進まないとしても、これを解決する熱意を持ってしかるべきだと思う。石炭局においても事業団においても当然だと思います。その熱意に欠けられておるということは、私は非常に残念に存じておるのであります。私はこの杵島炭礦の買い上げが、大鵬を含めてなお鉱害復旧の力がないというならばそれを責めません。しかし大鵬炭礦を含めて買い上げたために、杵島炭礦はそこに七千万円ばかりの金がもうかっておるのです。これを批判するならば、私は不当な利得だと言いたいのです。金が足らぬならばそういうこともあり得るかもしれませんけれども、大鶴を買ってもらったために、二つの炭鉱を買ってもらったために、金が残っておるじゃありませんか。その七千万円かをもうけた中に、一千二百万円の金を出させないような事業団はあまり役に立たないと思う。そのくらいの熱意がなければならぬ。何のための整備事業団ですか。鉱害復旧が使命じゃございませんか。私は大臣に聞きたいのですが、大臣としては、なお調査した上でというようなことではなかろうかと思いますので聞きませんけれども、石炭局長は御存じのはずであります。石炭局長から今まで杵島炭礦、最近資本が入りました住友の交渉がどういうふうに進んでおるか、この点を承わりたい。
○樋詰説明員 先ほど田口理事長から御説明があったのでございますが、われわれ今まで承知いたしておりますところでは、一部の方に確かに反対意見がその後出てきた。しかし一応事業団が買いましたときには、これは大体一部補償について当事者の間で話し合いがついたということを信用して買ったのであるというふうに、私どもも承知いたしておるわけでございます。これはかりに打ち切り補償が果して有効か無効かということにつきましては、これはむしろわれわれ行政官庁が判断するというよりも、この契約自体の問題になりますので、裁判所でもってやるならやるべきじゃないか。しかしかりにそういうあまりややこしいことをしないで、これは一応打ち切り補償は有効だ、しかし国土保全という立場からあらためて復旧をしなければいけないというふうに、当事者と申しますか、被害者同士——私今聞いておりますことは、被害者の中で、あの打ち切り補償は有効だから、何もやらぬでいいという意見があるように聞いておるのでありますが、かりに被害者の方で話がきまるということになれば、これは現在の臨鉱法では、国家的見地から鉱害の復旧については必要な補助をするということになっておりますが、この臨鉱法で取り上げて、そうして復旧の対象にするということも、これは道としては残っている。ただその場合には、当然打ち切り補償として出していただい金といったようなものは、これは受益者負担という格好でお出しいただかなければならぬということになると思いますが、これはそういうふうにまず被害者の間の話し合いというものをまとめていただくのが一番先じゃないか、そういうふうに考えております。
○井手委員 局長の話はだいぶ事実とっております。あなたも御承知ないでしょうから、その点についてあまり一々間違いの点は申し上げれませんけれども、今現に全部落民が一致して鉱害復旧を要望しておるのであります。あなたの方にもその書類が来ておるはずだ。間違いございません。また先刻も申しましたように、大臣もお聞きになってもらいたいと思うけれども、内容証明ではっきり部落民の意思が通達されておるではありませんか。打ち切り補償の金額が、いかに不当であるかわかっておるはずであります。きょうそれについての御答弁ができなければけっこうであります。私は何日も、ほかの方には迷惑でしょうけれども御相談を願い、毎日でも事業団の方においでを願って追及したいと思います。あなたのように裁判所にまかせるなどという冷たい態度は、石炭局のとるべき態度ではありません。あなたの方には鉱害課というのがあるはずです。鉱害課は復旧するサービス課です。裁判所にまかせるなどということは聞きたくございません。どうぞ一つ鉱害課長とも打ち合せ願いたい。 さらに十月の九日には、農林省から醫王寺地区については——この醫王寺地区についてはということに、非常に含みがあるわけでありますが、醫王寺地区についてはすみやかに鉱害復旧について格段の御配慮を願いたいという文書が出ておるはずであります。あとでさらに私はお尋ねをいたしますが、十分御調査を願いたい。それとともに事業団の方にもお願いしておきますが、あなたの方の立場はつらいと思う。やりそこなったということは腹の中では思っておられる。それが口に出せぬところにあなたのつらさがあると思う。今までのことについて、あなたの方のやり方が不当であった、軽々であったということは責めません。県庁も農林省も部落民全部も、鉱害復旧を望んでおるこの問題については、この稲刈り後には鉱害復旧ができるように、格段の協力を願いたいと思う。その点について御答弁願います。
○樋詰説明員 私先ほど裁判所と申しましたのは、契約自体が有効か無効かというようなことについての認定権ということになればということを申し上げたのでありまして、裁判所に持っていって下さいというのではありません。われわれといたしましては今お説のありましたように、できるだけ円満に話し合いがつきますように、先ほど理事長も、被害者と炭鉱との間の話し合いということには、さらにあっせんしてやろうということを申し上げたわけでございますが、ただいまの大鶴関係の問題その他全部総合勘案いたしまして、できるだけ地元民が納得するような行政指導で、炭鉱の方にも十分な話をするように努力したいと考えております。
○井手委員 大臣も、小さな問題でありますけれども留意していただきたいと存じます。そこではなはだ済みませんが、もう一問ですから、おそれ入りますがお願いをいたします。 同じ鉱害復旧の問題について、これは一地区で二十二億円の金額に上る鉱害復旧の問題であります。それは佐賀県の砥川炭鉱の鉱害であります。この炭鉱は昭和八年の四月に開鉱いたしましたが、たび重なる大出水にあいまして、昭和十七年七月、ついに作業を中止いたしたのでありますが、開鉱間もなく地盤沈下、家屋傾斜等の鉱害が広がりまして、地盤沈下した農地は大体三十センチから一メートルに及んでおります。その被害は四方町村にわたっております。そのうち砥川村というところは打ち切り補償が行われたのでありまして、この砥川村については、特鉱法において水道が一万九千八百三十三メートル、農地五十八町歩が地元負担によって鉱害復旧工事が行われました。次いで臨接町村が、臨鉱法によって一部地元負担によって水道や道路の約一億八千万円の復旧工事が行われたわけであります。しかしこれはごく一部でありまして、六百四十四町歩に上る大きな農地の鉱害については、今なお復旧工事に乗っていないのであります。特鉱法の認定にも漏れております。そのために、今でも、三俵近くと地元では言っておりますが、年々賠償の補償もやられておりません。復旧工事の見込みも立っておりません。この復旧工事の総額は、先刻も申し上げましたように、二十二億円といわれておるのでありまして、その被害者は、牛津、芦刈、久保田の三カ町村にわたりまして、四千二百戸、二万四千人にのぼっておるのであります。ところがこの炭鉱は、東杵島炭鉱株式会社の経営でありましたが、作業を中止したあとで、昭和十九年の七月、総動員法による石炭統制会によって施設転用になり、三井鉱山に強制譲渡が行われました。そうして、三井鉱山は、未採掘のまま、その鉱業権を昭和二十五年の四月、再び元東杵島炭鉱社長の山口慶八に譲渡しております。従って、鉱害賠償の責任について、久しく論義、検討されておりましたが、最近石炭局では、「芦刈地区の鉱害賠償責任について」という公式な見解を発表されております。大事な点でございますから、結論だけ申し上げておきますが、結論として、「結局三井鉱山および山口慶八は当該鉱害について連帯責任を有するものと判断されるから、臨鉱法第六十六条は適用できず、同法第四十八条による復旧を行うべきものである。この場合納付金は三井と山口慶八両者連帯で負担すべきであるが、旧砥川村に対しては打切補償がなされてあるから、この分は受益者負担として地元が負担すべきこととなる。なお三井および山口両者は、鉱業法第百十五条の消滅時効を援用する場合も考えられるから、その結果によっては、全額地元負担となるべき場合が生ずることも予想されるであろう。」と、こういう見解を述べられております。さらにまた、この公式見解によりますと、一番被害の大きい芦刈地区の地盤沈下は、砥川炭鉱の採掘に基く脱水陥落によるものと判斯されるというふうに、鉱害の原因を明らかにされておるのであります。そこで私は、今日法律の問題はいろいろ申し上げませんけれども、この二十二億円にも上る大きな鉱害について、何とかやはり鉱害復旧のめどをつけなくてはならぬではないか。法律問題でむずかしい、法制局の見解はどうである、あるいは三井が消滅時効を持ってくるのではないか、こういういろいろな問題はございましょうけれども、何とかして鉱害復旧を軌道に乗せることが、私は当面非常に急を要する問題だと考えておるのであります。従って私は、この鉱害についての調査を一日も早く完了してもらいたい、そして対策を講じてもらいたい。地元の部落民に原因はないわけであります。明らかにこれは鉱害である。そうでありますなら、一つすみやかに鉱害復旧についての格段の努力を願いたいと思いますが、いかがでございましょうか。
○樋詰説明員 今先生のおっしゃいましたように、一応法律的にはいろいろ三井と山口慶八との二人の責任ということにならざるを得ないような解釈になるかと思います。しかし現在われわれといたしましては農林省並びに建設省とも相談いたしまして、特にこの前特別鉱害復旧法で認定されなかった部分というふうなところもございますので、特鉱法との関係、認定漏れなどはどうなっておるかというふうな被害の実情の調査を三省相談しながらやっておりますので、その結果に基きまして、全額国でやるかというようなことを、今ここですぐ申し上げるというようなことはできませんが、できるだけ早く被害の状況をつかんだ上で善処したいと考えております。
○井手委員 もうこの問題についてはこれ以上は申し上げません。何としても鉱害復旧がねらいであり、目的でございますから、すみやかに調査を完了されて、鉱害復旧ができるように強く要望いたします。長いことはなはだ恐縮でございました。これで私の質問を打ち切ります。
○長谷川委員長 次の質疑者に入ります前に田口参考人に一言ごあいさつを申し上げます。本日は御多忙中のところ当委員会に御出席下さいましてありがとう存じました。厚くお礼を申し上げます。——加藤鐐造君。
○加藤(鐐造)委員 今回の鉱業法並びに鉱山保安法の一部改正が急遽行われることになったのは、おそらく最近各地におきまして特に炭鉱関係の鉱山において災害が頻発しておりまするので、それにおびえた結果、そうしてまたこれらの問題が大きな社会問題として取り上げられるに至ったというような現状から、急速この二法の改正を試みられたものと私は考えております。しかしこの改正の内容はきわめて簡単なものでありまして、要するにほんの一時の思いつき程度のものにすぎないのではないかというように思うわけでございます。大体今日のように災害が頻発いたしまするのは、いろいろな原因があると思いまするが、一つは一番大きな原因は取締りの問題であると思います。政府がいかに鉱業権者の施業について監督をしておるかという問題だと思います。それからもう一つは鉱業権者の質の問題だと思います。そういう点から考えて、私はすでに災害の原因はこの鉱業権を許可するときに発生しておるというふうに考えるものでございます。そういう点から考えて、いろいろな問題があるわけですが、政府もおそらくそういう点を考えた結果、一部改正の趣旨を説明した際に、近く根本的な改正をする考えで用意をしておる、こういうようなことを説明しておられたようでございます。そこで私は今回の改正というものが、ほんの一部の当面を糊塗する程度の改正にすぎないと考えまするがゆえに、政府は一体根本的な改正というのはどういうようなことを考えておられるか、こういうことをまず承わりたいと思うわけであります。
○加藤(鐐造)委員 今回のこの臨時国会に鉱山保安法、鉱業法の改正をお願いいたしましたのは、ただいま先生から御指摘のように、最近石炭鉱業につきまして非常に災害が発生いたしますので、この災害の防止に少しでも役立つように法律を改正いたしたい、かような見地から提案をしていただいたわけでございますが、私どもといたしましてこの鉱業法の問題につきましては、大臣も御言明されておりますように、全面的に改正の点を従来の経験から見ましていろいろ考えておるわけでございます。どういった点について考えておるかという御指摘でございますが、いろいろ考えておりますが、現在の鉱業法の建前が先願主義をとっておりまして、この点につきましては各委員の先生方からも能力主義を加味、採用してはどうかというような御説も出て参っておるわけでございます。私どもとしましてこの先願主義が現在のままでいいかどうか、能力主義を取り入れてはどうか。鉱業権者の資格でございますとか、あるいは能力でありますとか、こういった点はどういった要件を一体取り入れたらいいか。そういうものが外国の立法例等を見ましても、先願主義をとっておりますところもございますれば、能力主義をとっておるところもございまして、いろいろ能力主義をとるにいたしましてもむずかしい点がございますので、こういった点を検討いたしたい、かように考えております。 それから現在の鉱区につきまして、一つの鉱区に鉱業権が二以上設定し得る法律上の建前になっております。こうっいた点につきましても、一鉱区一鉱業権というような制度にしてはどうか、こういった点も今度十分検討していただきたいというふうに考えております。それから鉱区の強調譲渡というような問題につきましても、一定の資格のものに強制的に譲渡させるのがいいかどうか、こういう強制譲渡の問題。あるいはまた現在の試掘権。御承知のようにこの試掘権は物件とみなされておるわけであります。この性格が、現在のままでいいかどうか、一つのほんとうの採掘権に入ります前提でございますので、鉱物を探査するだけの権利というふうなことで考えてはどうか。こういうような点につきましても検討しなければならぬだろうと考えております。 それからなおまた地上権との調整の問題でございますが、これも非常に大きな問題でございまして、関係するところが法律的に見まして非常に広い関係を持っておりますが、こういった問題について、どういうふうに今後規制していったらいいか。あるいは先ほどお話が出ました鉱害賠償制度も、現在の法律を改正する必要があるのではないか。おもな点を申し上げますと、気づきます点は以上申し上げましたような点でありますが、その間におきましてもいろいろ検討して参らなければならぬ点が多数あることと存じます。
○加藤(鐐造)委員 現在の単純なる先願制度を是正することが、悪質鉱業権者に対する規制を行うことであるという政府の御意見については私も賛成するものでございます。それで先願制度を是正する場合に官僚政治で常に起りますところの弊害は、大幅な認定ということが行われやしないか。本省の認定、通産局長の認定、特に関係地区の通産局長の認定というようなことが相当大幅に出てきやしないかということを私は心配する。そういうことになりますと、そこにまたいろいろに大きな弊害が起って参ることは必然でございますので、今局長はいろいろな点で具体的な改正の内容について方針を述べられたが、私はこれは鉱業権者の要件であるとか、いろいろ具体的な条件について、できるだけ合理的な方法でやられることを心から希望しておきたいと思います。 そこですでにこまかい点は他の委員からいろいろ御質問になりましたので、私は大ざっぱに基本的な問題だけについて、きわめて簡単に質問いたしたいと思いますが、まず第一に災害が頻発する原因は何と申しましても政府の、特に直接の担当者であるところの通産局長等の監督の問題だと思います。おそらく政府は厳重に監督しておるというように言われるでございましょうけれども、しかしながら今日の災害の頻発は確かにその大半は政府の責任ではないかと私は考える。従って一体政府は今日まで鉱業法に基いてどこまで厳重に監督してこられたか、そういう点について具体的に御説明を願いたい。具体的に説明ということになれば、当然罰則に基いて、第何条にはどれだけの違法が摘発されたか、どういうふうに処分されたか。また現在までほとんどなかったのではないかと思いますけれども、鉱業権の取り消しというような問題について具体的に御説明を願いたい。
○福井政府委員 先ほどの能力主義の問題につきましては、加藤先生から御指摘の通りでありまして、これを取り入れるといたします場合には、確かに具体的な要件が問題になるわけでございます。従いまして先願主義のいい面もあるわけでありまして、こういった点につきまして先願主義、能力主義の長所短所を、今後十分に審議会で御検討願いまして、合理的な線をきめていくように努力いたしたい、かように考えております。 それから一般的な監督の問題につきましては、御承知のように保安監督部で監督いたしておるわけでございますが、ただいま鉱業権の取り消しにつきまして御質問がございました。御承知のように従来鉱業権の取り消しにつきましてはそう多くの例はございません。ただ鉱業権を持っておりまして、長いこと鉱区を稼行しないで放置してあるというようなものにつきまして、ある程度鉱業権の取り消しを実施いたした例があるのでございます。
○加藤(鐐造)委員 あるいはそういった数字について、今ここで御説明を求めることは無理かと思いますけれども、私のお聞きしたのは、今まで一体いかに、との鉱業法に基いて監督をせられたかということを具体的に承わりたいと考えて、違反というものがどの程度に摘発されているか、何条による違反がどの程度にあるかということをお伺いしているのです。
○小岩井政府委員 鉱業法に基く違反というふうに御質問がございましたが、おそらく保安法の関係だろうと思いますが、私の方の巡回監督につきましては、最も大切な仕事の一つでございまして、毎年監督方針、監督の要領、あるいは特に災害の多い石炭につきましては、石炭災害の防止対策、それぞれの種類の対策を立てまして、最も有効的に監督をやって参りたいという考えを持っております。 まず石炭について申し上げますと、これも限られた予算の範囲内でありますので、ただ漫然と巡回するわけに参りません。従いまして、まず危険を内包する程度に従いまして、坑口の格づけをいたしております。自然条件あるいは管理の面、この二つに重点を置きましてそれぞれの実態を把握いたしまして、最も危険を内包する鉱山につきましてはA級、それぞれB級、C級と格づけをいたしております。最も危険を内包する鉱山につきましては、月に一回ずつ回るとか、あるいは二月に一回回るとか、あるいは三月、半年に一回というような工合に、格づけに従いまして巡回の頻度を変えてございます。 まず石炭から申し上げますと、石炭におきましては、最も大きく災害を起します爆発、あるいは坑内出水、自然発火というような、そういった危険性を内包するものに重点を置きまして、ただいま申し上げましたような有効適切な巡回をいたしておりますが、大体三十二年度におきましては、四千五百七十七坑、月平均三百八十一坑の巡回をいたしております。三十三年度になりましては、六月までに千三十九坑、月平均三百四十六坑、少し減っておりますが、これは最初の第一期でありますので少し少いのですが、全体といたしましては、もちろん、昨年よりもよけい回れると考えております。 これを過去三年ばかりの状況を見ますと、三十年には、三千十坑回りまして、一万三千六百八十五件の違反件数を摘発いたしております。三十一年には、四千五十坑で、一万四千百三十七件の違反を摘発しております。三十二年には、ただいま申し上げました四千五百七十七坑で一万六千六百七十六件、こういうふうにかなり多数の違反件数を摘発しております。 その内容はどういうふうになっておるかと申し上げますと、規則の百五十九条の一項、支柱の関係が非常に悪い、違反をしておる、この件数が一番多くありまして八街九十一件、それから同じく同条の三項、これは必ず先受けをやるということに規則できめられておりますが、この先受けをやっていないというのが八百八十八件、それから通気の速度と量の関係、こういった点で違反をしているのが六百十七件、それから風管の漏風防止、風管から風が漏れて完全に風管の作用をしていないというようなもの、あるいは延長がおくれているもの、そういうのが五百六十五件、それから支柱の補強を要するもの、これが補強されていないというのが五百五十三件、以下述べますと非常にたくさんございますが、こういうような、主として落盤の関係、通気の関係、運搬の関係、こういったものに多くの違反が出ております。これらの違反につきましては、それぞれの処置をつけておりまして、特に先ほど御質問がございました操業の停止につきましても、特に重要な違反をやっております場合には、坑口全部あるいは坑口の一部につきまして、いずれも操業の停止をどんどんやっております。これは石炭でございますが、金属は、御承知のように災害の件数におきましても石炭の六分の一くらいで、山の数は非常に多いのでありますけれども、災害の絶対数におきましては、石炭と比べますと非常に格段の開きがあるので、従いまして石炭の方に経費も七割くらい充当しまして、金属は三割くらいの割合で充当いたしております。 金属もごく概略申し上げますと、三十二年の実績としましては、鉱山数が二千六百四十三鉱山あるわけでありますが、巡回いたしましたのが千四百七十鉱山、これで六千二百六十三件の違反を摘発いたしております。金属は、巡回の回数は割合少いのでありまするが、摘発の件数はかなり多く摘発いたしております。特に亜炭の関係におきましては、先生の地区なのでございますが、名古屋の亜炭が最近非常に災害が多くありまして、この名古屋の亜炭につきましては、非常な監督の強化をいたしまして、特に昨年には監督旅費も特別に増額いたしまして、監督を厳重にいたしております。この亜炭の関係で申し上げますと、名古屋の亜炭坑は、六月の数字でありますが、大体二百二十二坑口、これで、本年の六月末に坑内出水の危険性を内包する坑口として二十九坑があげられております。監督に当りましては、特にこれらの坑内出水とか、あるいは落盤の災害の頻度の高いものに重点を置きまして回っておるわけでありますが、三十二年度におきましては三百九十二坑、本年度におきましては、一・四半期で百三十坑監督をいたしております。昨年は千九十六件の違反を摘発いたしておりまして、その内容につきましては、施業案の違反を最も多くやっておるわけでありますが、これが八十五件もございます。参考に全国のを申し上げますと、全国の亜炭では施業案違反が百二十五件あるのでございますが、名古屋地区だけで八十五件も施業案違反を起しておる。それから連絡の通路が一方しかない、こういうような違反が七十五件、それから坑外の係員あるいは坑内の係員を選任していないのが、それぞれ五十七件、四十九件というふうに、かなり大切な点で違反を起しているケースが非常に多くあります。これらの違反はでき得る限り巡回を密に、しかも危険を内包する鉱山に重点を置いて、でき得る限り摘発はいたしておりますが、最近、御承知のように、特に石炭の関係で、さらに中小に災害が頻発しておりますので、監督の重点も、重大災害を起すような種類のもの、あるいは落盤、運搬のような頻発災害を起すもの、これらに重点を置きながら、なおかつ中小に重点を指向しまして、限られた予算を有効に使って参っておるわけであります。こまかく申し上げましたが、なお金属の点は非常に長くなりますので省きました。私の方の監督といたしましては、最近さらに一そう巡回監督の旅費も増額を願いまして、今後一そう巡回の強化をはかって参りたい。中には、鉱山数が多いために年に一回も回れないというような状態でありまして、予算の点につきましては国会の御協力も得まして、来年度は何がしか増額してもらいたいというふうに考えておりますが、予算の措置によりまして、なお一そう巡回監督の強化をはかって参りたい、かように考えております。
○加藤(鐐造)委員 鉱山の保安監督の問題については、なお追っていろいろ伺いたいと思いまするが、今の御説明でもわかることは、大きな災害が超ると、あわてて監督を厳重にする、予算をふやす、こういうことが従来の通産省のやり方だったと思います。今のお話の施業案の違反ということは、特に亜炭地帯ではざらにやってきたようですが、そういう監督の不行き届きということが、災害の頻発の原因だということは申すまでもございません。 そこで鉱業法のことについて、なお一点承わりたいことは、今度の法律で、鉱業権の取り消しの日から六十日間を置くという、この問題ですが、これはほかの委員からあるいは質問があったかとも思いますが、一体どういう根拠で六十日という日をきめられたか。
○福井政府委員 御承知のように現在の鉱業法におきましては、こういう規定がございませんで、取り消しを受けました人が、極端に申しますと、ほかの人が取り消しを受けたということを存じませんので、すぐまたそれをその人が出願をすれば、先願許可書を受けられるということになっておるわけでありますが、これを六十日にいたしましたのは、率直に申し上げまして六十日自身に別段根拠はございません。六十日間の期間を置けば、大体一般の者に公知、周知させることができるであろうという観点から常識的に選んだ期間でございます。
○加藤(鐐造)委員 六十日間というと相当の長い期間ですが、この間にいろんな問題が起る場合があろうと思います。災害の問題もそうですが、その取り消された鉱山がきわめて重要なる価値のある鉱山であるというふうな場合に、これを保護するというようなことを考えておらないのか。六十日間の空白を置くということは、その間に落盤とか、地盤の崩壊、いろいろな問題が起って、せっかくそこが重要な鉱物であって、相当のものを産出して採掘しておったにかかわらず、取り消されなければならないという事態になった、そういうような場合に、一体これを保護するものは何か、そういうことについて伺いたい。
○福井政府委員 お話の点はごもっともな点があると存じますが、実際問題としては、それほど問題になるようなことは起きなかろうかと存じております。ただいま先生のおっしゃいました点は、結局は現行法第五十五条に、各種の違反問題がございますときに、それの取り消しをする、こういう規定があるわけでございまして、この問題になってくるわけでございますが、実際問題としては、これを取り消しました場合に、そういう重要な鉱山について起きるというようなことはなかろうかと思いますが、現行法では、この五十五条で取り消しました場合の跡始末というものは、これは鉱業権者が全然なくなるわけでございまして、何らの規定をいたしていないわけでございます。
○加藤(鐐造)委員 ちょっと聞き取れなかった点がありますが、そういう保護をするとか、あるいはまた災害を防止するとかいうような処置が考えられないとすると、これは重大な欠陥ではないかと思うのですが、もう一ぺん説明して下さい。
○福井政府委員 現行法の五十五条に、通商産業局長が、一定の場合に鉱業権の取り消しをし得ることになっておるわけであります。従いまして、取り消しをいたしますと、そこには鉱業権者がない、こういうことになりまして、それに対する保安上の措置、こういうようなことは、法律の建前上触れるのもおそらくなかなかむずかしいということで、現行法では何ら触れていないということだと思います。
○加藤(鐐造)委員 私は取り消しをしてはいけないというのではなくて、悪質な鉱業権者に対してはもっと厳重にやったらよかろう。最近、取り消しについて先ほど承わりましたが、あまりやっておられないようで、明確な御答弁はありませんでした。最近私は新聞で見ますと、亜炭業者で一件取り消しが行われたものがあったようですが、従来あまり行なっておられないようです。私は悪質な業者に対してはどんどんやったらいい。ただそれをやって六十日間の空白期間を置く場合に、いろいろな問題が起ってくる。そうした問題に対するところの適当な処置というものが考えられないとすると、少し無責任ではないかという点を言ったわけです。それは今お話によると、そういうことは考えておらないということでしたが、それはそれでいいですか。
○福井政府委員 鉱業権の取り消しの問題につきましては先ほどお答え申し上げましたが、件数といたしましては大体百五十件くらい、過去において取り消しをいたしておるようであります。なおこれは大部分が、鉱業権を持っておりまして稼行をしないという鉱業権者に対して取り消し処置を行なった例でございまして、施業案違反で取り消しをいたしましたのは、ただいま先生の御指摘になりました亜炭鉱山について最近一件例が出たという程度でございます。この取り消し後の保安の問題につきましては、ただいま申し上げましたように、規行法におきましても何ら触れていないわけでございます。ただ今回改正案でお願いいたしておりますのは、この取り消しを受けました者がさらに首を出してくることについて、不徹底ではあるけれども、ほかの者にもその取り消しを受けました当該地域について出願のチャンスを同様に与える意味で、六十日間という期間を置いた、こういうことであります。
○加藤(鐐造)委員 時間かないので、あまり一つの問題で議論しませんが、私が常識的に考えて、従来の法律ですと、すぐ次に出願する。鉱物が重要なる資源であるとすれば出願する人がある。また重要な鉱物であれば、政府もすみやかに許可もされるでしょう。ただ今度の六十日間という空白があるとすれば、やはりその間は全然だれにも責任がないということ、これは直ちに次の出願ができても、やはり許可までには空白があるのだから大した違いはないという考え方かもしれないけれども、しかし、それがもし重要な資源であるとすれば、その間の空白で失うものがあるような場合は国家的な損失ではないか、そういう点から私は質問しておるわけなんです。その点はどうですか、重要な資源を守るということで……。
○福井政府委員 仰せのような事例の場合には、もしそういうことが発生しますれば、そのような懸念が確かにあると存じます。ただ実際問題としては、先ほど申し上げましたように、そういう問題はほとんど起きないであろう、かように考えております。
○加藤(鐐造)委員 それから最近、実際問題として各地に起っておる問題だからお伺いしますが、地上の公益企業と地下資源との関係ですが、たとえば電源開発、発電所等を開発する場合に、関係地域であるというようなことで、相当重要な地下資源があって鉱区を申請しても、許可されないような事例があるようですが、これは法的な根拠はどこにありますか。あるいは私の不勉強のためかもしれませんが、一つ承わりたいと思います。
○福井政府委員 電源開発の地帯と鉱山の開発との問題につきましては、地域がよく競合いたしますような事例が確かにあるわけでございます。ただ電源開発の予定地に新しく鉱業権の出願がある場合につきましては、両者の関係をうまく調整をするように指導をいたしております。
○加藤(鐐造)委員 そうすると、それは何ら法律や省令によらず、ただ利害関係に基いて両者の調整をするというだけですか。実はその関係というものが非常に末梢的なものであっても、これは電源開発の地域である。たとえば湛水区域の非常に末端であって、そこで開発しても、実際にはほとんど工事に関係のないような場合であっても許可しないというようなことが、往々にしてあるようですが、その点もう一ぺんお伺いしたい。
○福井政府委員 そういう具体的の事例につきましては、私どもの方と公益事業局と十分打ち合せをするようにいたしておりますが、御承知のように、その前段階といたしまして、鉱業権の認可は通産局長がいたしておりますので、通産局の鉱山部と公益事業部とよく打ち合せをいたすように指導いたしております。
○加藤(鐐造)委員 それではさらに保安法の関係について、保安監督の方にお伺いしたい。 まず第一に、この施業案を許可する場合に、二重監督の関係にあるわけですが、施業案を許可するものは通産局でしょうが、保安監督部長は一体どの程度それに発言権を持っておられるか。当然意見を述べることができるし、協議もせられるであろうと思いますが、しかし私の見るところによりますと、保安監督部長の発言権は非常に弱いような気がしますが、その点どうですか。
○小岩井政府委員 もちろん施業案の認可に当りましては、通産局長が認可することになっておりまして、施業案が出ますと、通産局長から監督部長の方に協議がございます。監督部長の方の力が弱いというお話がございましたが、もちろん通産局長に比べますと弱い感じはいたしますけれども、施業案の中の保安に関する事項につきましては、監督部長が責任を持って内容を見ておるわけであります。もちろん、認可するのは通産局長でございますから、通産局長といたしましても全般の責任を負わざるを得ないということで、二重の内容審査というようなことになってはおりますけれども、監督部長といたしましては、ただいま申し上げましたような保安に関する事項については、全責任を持って協議を受けておりますので、監督部長の意見が通産局長によって曲げられるというような場合は、もうほとんどございませんような状態でございます。
○加藤(鐐造)委員 あなたの御説明の通りならばよろしいけれども、何といっても役所というところは、局長と部長との関係は、やはりその発言権の強弱ということになって参りますので、従来どうも監督部長の発言が弱いというところから、施業案のずさんという問題になってくるように思うので、その点は、監督部長は監督部長としての責任を十分に果すように、督励を願いたいと考えておるわけです。 それから被害者の救出の措置ですが、これは当然鉱業権者の責任でやるわけですが、しかし、特に中小企業の場合には、鉱業権者が力が弱いために、なかなか敏速に適当な措置ができないというようなことがございます。そういう場合に、この第一の責任を国において行うというような考えを持たれないのか。特に鉱物資源を災害から守るという点から考えても、そういうことが必要であると考えますので、救出命令を鉱業権者にするだけでなく、被害者の救出は国の責任において行う、こういう考えを持たれないか。
○小岩井政府委員 災害が起きました場合の一切の責任と申しますか、特に罹災者救出の責任は、全面的に鉱業権者にあるものであるというふうに考えております。しかし、実際の場合におきましては、鉱業権者がきわめて零細でありまして、人員の点につきましても、資材の点につきましても、また技術的な救出方法につきましても、不十分な場合が間々ございますので、特に監督部長が、必要のある場合には、鉱業権者に適切な救出命令ができる、必要な措置を講ずるよう命令することができるようにいたしたわけでありまして、これをすべて、鉱業権者の力が弱い場合に、国でもってこれを代行してやるということは、多少困難ではないかというふうに考えております。
○加藤(鐐造)委員 そこで、この改正案の中に、「必要な措置」とか、「必要があると認める」というような抽象的な言葉で表現されておりますが、この「必要な措置」というのは一体どんなことか、「必要があると認める」というような、その基準をお示し願いたい。
○小岩井政府委員 もちろん現在基準というものは持っておりません。これを必要と認めました理由は、この六月二十八日でしたか小牧市の小泉炭鉱で縦坑の坑壁の崩壊事件がありましたが、たまたま縦坑の坑壁がくずれまして三人ばかり中に閉じ込められた。ところが初めはその崩壊した区域は直したのでありますけれども、直る直前にまた他の部分が崩壊しまして、だんだん手に負えなくなってきた。初めは一両日で救出の見込みが立っておったのでありますが、あとからあとからくずれた関係で、二日が三日になり、四日になり、このままではとうてい助からぬ、せっかく生きている中の人間を殺してしまうというような事態に立ち至りまして、通産局、鉱山保安監督部も見ておるわけにいかない。もちろん命令しましても命令の実行ができないという事態になりまして、実は通産局監督部で責任を持って始末をつけて六日目に無事に救出したという事例があったわけであります。この例ばかりではございませんで、私どもの考えておりますような適切な救出の措置が十分に講ぜられない場合がままございます。こういうような場合には、どうしても救出の措置につきまして具体的に命令ができるという必要を痛感いたしましたので、この改正をいたしたわけでございますが、どういう基準のときに出るかという点につきましては、監督部長の認定によるという以外にはないのじゃないかというふうに考えております。
○加藤(鐐造)委員 侵掘が行われて、そのために災害が起ったというようなことについては、侵掘の停止とか閉鎖を行うということですが、私はそれだけじゃ不十分じゃないかと思う。その前に先ほど来申し上げておる、あなたも今後強化すると言われたが、監督の強化という問題がなければならぬと思う。その監督の強化ということは単に施業案だけを机の上で見るということだけでなく、実際に現地の監督、特にそうした災害が起る可能性のあるところの鉱山に対しては、坑道の中に奥深く入って、十分に監督、査察をするというようなことが実際に行われているかどうか。私の聞くところにおいては、現地について聞いてみますとそういうことは行われておらない。特に危険なところはだれでも入るのはいやですから、外から聞いてみる程度で、危険だと考えられるような鉱山について、坑道の中まで入って厳重な監督をするというようなことは、実際に行われておらないように思うわけですが、その点あなたはどういうふうにお考えになりますか。
○小岩井政府委員 ただいまのお話は大へん重大なお話でございまして、私どもの方で巡回監督に参りまして、坑内を見ないということは特別な場合以外にはございません。もちろん坑外の特殊の問題で巡回する場合もございます。ボタ山の巡回であるとかあるいは堆積場の巡回であるとかございますが、大半は坑内の巡回に最重点を置いておりまして、山に参りまして坑内の監督をやらなかったということは、あるいは先生一、二の実例としてお聞きになったかもわかりませんが、私どもの監督といたしまして、かようなことは絶対にないというふに考えております。
○加藤(鐐造)委員 局長は口をきわめてないとおっしゃるけれども、事実行って聞いてみますと往々にしてあるのです。私の言うことが一、二の例であっても、私は重大なことだと考える。その一、二の例がおそらく最も鉱害の起りやすいような危険な鉱山だということになりはしないかということを私は心配して、そういうことを申し上げておるのです。これは私は希望として鉱害の頻発しておるところの現在では、特にそういう点では注意されておると思いますけれども、鉱害が遠のくとまた手がゆるめられるということになりはしないかということを私は心配するので、特にこの点御注意を申し上げておきます。 それからもう一つ、これはあるいは希望になるかもしれませんが、特に中小鉱山、たとえば炭鉱、亜炭鉱というような災害の頻発する中小鉱山の場合に、一番欠けておるものは保安設備、あるいはまた災害が起った場合の防除するところの、たとえば人的な災害が起った場合にこれを救出するというようなことについての設備、機械、器具というようなものが非常に不備だという点で、一朝人命に関する災害が起った場合に救出が非常におくれる。これは先般来頻発した岐阜県の御嵩地方の災害の場合にもしばしば逢着した問題なんでございますが、こういうものについてこういう設備をする場合に、またする場合というよりも積極的にその業者にその設備を持たせる、たとえば協同組合のあるところは協同組合に持たせるとか、こういうことを強制的にやらせる必要がありはしないか、そういう意思があるかどうか。それからまたその場合に政府はある程度の補助金を出してでも、そういう設備を持たせる必要があると考えるが、局長はどういうふうに考えられますか。
○小岩井政府委員 災害が起りました場合には、もちろん大手の鉱山におきましては自力でほとんど解決いたしております。中小の場合にはなかなか自力でできない場合がございますが、実際の問題といたしましては、変災が起りますと、ほとんど近辺の鉱山は見るに忍びずということで、あらゆる面の援助をいたしております。たとえば爆発が起りますれば救護隊も参りますし、出水が起りますれば、もちろんポンプでもパイプでも近辺から皆でき得る援助はいたしておりまして、自然にお互いの助け合いというような形ができておりますが、特に過般の名古屋の変災におきましては、やはり近辺から相当の人員の援助あるいは器材の援助というようなものは、特にわれわれの方で頼みませんでも、近くの鉱山からお互いに助け合うというような実情で、何とか間に合う場合が多いのでありますけれども、しかしなかなか間に合わない場合もままございますし、従いまして名古屋地区におきましても、最近鉱業組合で適当な資材、ポンプ、パイプといったような、一たん事故の起りました場合の資材を、組合で置いておくというような構想の実現ができまして、わずかな金額ではありますけれども、国の方も一部出しまして、まとまったわけでございます。現在九州の中小におきましても、やはり変災の起りました場合にはいろいろな器材が入用になり、特に最近の例で見ますと、東中鶴の場合でも、ポンプでもパイプでも近所の炭鉱から非常に多く参りまして、実は余るくらい来ておりますが、実際に使えるものが比較的少いというような実例もございまして、最近九州地区の中小だけで、特に変災が起きた場合の器材を前もって共同でたくわえておくというような構想で、目下検討を進めております。考え方といたしましては法できめるというよりも指導で、なるべくこういった方向に持って参りたいという、ふうに考えております。
○加藤(鐐造)委員 北九州等の大炭鉱地帯における場合と、中小業者ばかりの亜炭地帯の場合とでは状況が違うと思う。亜炭地帯等における災害の場合に、そういうものがすぐ間に合ったという例は今まで少いのです。だから私は申し上げるのであって、わずかばかりの金でもとおっしゃらないで、できるだけ一つ補助金等をたくさん出してやって、必ずそういうものを備えさせるというふうに指導願いたい。これは強く私は要望いたしておきます。 それから時間が来ましたからこれでやめますが、私は一つ最後に労働省に伺いたかったのですけれども、これは非常に重要な問題ですから、通産省関係でも、一応頭の中に入れておいていただきたいと思いますが、特に中小炭鉱の場合ですと、労働組合というものがないのです。また作ろうとすると経営者側がこれを圧迫して作らせない、こういうことが非常に多い。それはときには労働組合が激烈な争議等をやって、経営者がこりて労働組合がない方がいいというような考えになったということもあるでしょう。しかし私が特に亜炭地帯で現地において痛切に感じますことは、一つの鉱山の中において労働者の相互の十分なる連絡を行うという組織がないために災害が頻発しておる、起らなくともいい災害が起っておるというような例も実はあるのです。と申しますのは、何と申しましても中小企業の鉱山等では、請負制度で少しでも有利なところで採掘したいという考えから、危険なところの採掘をしたり、また侵掘をしたりする場合があるのです。そういう場合にそこの鉱山に働く全従業員がその事実を知っておれば、そういうことを行わせない、お互いに危険だからよそう、こういうことでお互いに戒め合えるという場合があるのです。たとえば昨年起りました森山炭鉱では廃坑の近くに侵掘をしていったために、廃坑から水が流れてきた、ところがそこで採掘しておった連中は、危険と見て直ちに避難してしまったけれども、その下で知らずに働いておった鉱夫が犠牲になって、多数の死亡者が出た、こういう事実があります。こういうことは労働組合等の組織があれば十分お互いに戒め合える、だれでも命が惜しいのですから戒め合えるのに、そういうものがないために従業員同士の連絡というものは全然ない、わずか三十人ばかりの従業員で、だれがどこで掘っているかということを全然知らない、危険なところを掘っているというようなことも知らないというようなことから起ってくる災害が間々ある。これは労働省に聞くことですから、それ以上申し上げませんけれども、そういうような問題を考えますときに、中小炭鉱の経営者が労働組合を頭から毛ぎらいして、そして圧迫するというようなことのないようにした方が、かえって鉱山保安の上からいってもいいのじゃないかということを私は考えるので、これは労働省の問題ですが、県の労政課だとか、地方の労政事務所等に労働省からそういう点についての適切な指導をしてもらいたいと思うのですけれども、これは通産省あるいは地方の通産局としても、十分に心得ておってもらわなければならない問題だと思いますので、この際申し上げておきます。 それから二重行政について労働大臣にお伺いしたいと思いましたが、おいでになりませんので、一応そういう点を保留いたしまして、これで私の質問を終ります。
○長谷川委員長 午後二時まで休憩いたします。 午後一時二十四分休憩 ————◇————— 午後二時十九分開議
○長谷川委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。 質疑を続行いたします。大矢省三君。
○大矢委員 この鉱山保安法に関する基本的なものの考え方について二、三お聞きいたしたいと思うのであります。この法律は二十四年に制定されまして、第一条にうたっておりまするように、第一は労働者を災害から守るということ、それから鉱物を合理的に開発するということが目的であることは明らかになっておる。そこで第一にうたっているところの、労働者を災害から守るということならば、所管はおのずから労働省でなければならない。と申しまするのは、生産計画をする場合に、鉱山局もまた通産省も、日本の重要な一つの基幹産業として、どうしても計画的に生産しようというところに重点を置き、そこに全力をあげる。特に戦後の石炭の重要性、あるいは鉱物その他の重要性にかんがみまして、どうしてもこれに力を入れるから、第一にうたっているところの開発の原動力である労働者を災害から守るというこのことを、どうしても軽く見る傾向がある。私は、何をさておいてもこの目的を達成するためには、いわゆる労働者を第一義的に考える、その考えかあって初めて生産計画も成り立ち、あるいは合理的に開発することもできるのですから、私は当然労働省にいくべきことだと思う。二十四年の当時議論になったのでありまするが、当時どうしても通産省に置かなければならぬという意見の強かったことは、一貫した生産計画をやるためには、第一資材を必要とする。時に坑内の落盤だとか、いろいろな災害等については、やはり施設に非常な資材を要する。それは生産計画と一緒に立てなければ、ほんとうに労働者を災害から守ることはできないのだ、むしろ資材が非常に入手の困難なときには、当然通産の一貫したあれでなければならぬという強い意見で、結局は通産省の所管になった。ところが労働省には労災保険があり、基準法があるのだから、こうしたいわゆる大切な人間を対象とした法律が、一貫した労働政策として有効的に適用されることは当然だと思う。しかし今日こういうように情勢が変っているのに、依然として監督官が通産省に所属しておるが、むしろ労働省は労働者の保護の立場に立っておるところの独立省でありますから、労働省の所管にすべきである。私はこれがあるべき姿だと思う。ところが、今日なお通産省に置かなければならぬという形が果してふさわしいのか。当時と事情が違っております。この機会にどうしても明らかにしなければならぬのは、労働省に切りかえる意思がなければその理由、あるいは場合によっては切りかえてもいいと考えているのか、その点をお聞きしたい。
○小岩井政府委員 保安関係の一番大きい目的は、人に対する危害の防止であります。その点で、かねがね労働省に移したらという話も従前たびたび出たことは事実でございます。しかしながら、私どもの方で考えておりますのは、一般の工場、事業場と鉱山の場合とは違いまして、特に坑内作業が主体でありまして、全然外から見えない。しかも作業の個所が刻々に変っていく。特に石炭のごときにおきましては、現在は長壁式で、きのう掘ったところがきょうはつぶれてしまうというふうに、刻々作業個所が変って参るわけであります。従って生産と保安というものが、ほとんど一体となっていなければ、完全な操業ができないという点で、労働省移管を強く反対して参ったわけであります。もちろん今のお話のように、資材の点も通産省でまかなっているという時期もあったかもわかりませんが、一番大きな点は、特に生産と保安が切り離せないという鉱山の場合の特殊性を考えまして、通産省に置くことを強く主張したわけでございます。
○大矢委員 御承知のように、基準監督官は地方にずっと配置されているのだから、労働省へいったら生産と切り離れるということはない。むしろ経営者というか、鉱業権者といわゆる通産省の鉱山局その他と一緒になっているところに、厳重な監督ができぬと思う。独立した権威のある機関でなければ、私は監督が十分できないと思う。それでなければ監督ができぬと言われるのはおかしい。むしろ自由な、独立した立場に立って初めてできる。各地方には労働省の基準監督署がちゃんとあるのだから、あなたたちのやっている監督も、そこで独立してやれば、所属はどちらであろうと、生産と一体になれないはずはない。もちろん生産のことの考慮のない監督はないのです。これではどうしても片寄りやすい。それに重きを置いて、十分なる独立した監督ができぬきらいがあるから、労働省が所管して、独立機関でやるべきだと思う。今あなたのおっしゃられるように、生産とマッチしないで勝手にやれというのじゃないのです。独立することによってほんとうの権威ある監督ができるという考えにおいて、私はこのことを強く言うのです。特に労働者はそれを非常に希望している。今のままではほんとうの監督はできはしない。だから基準法なり労災なりその他の、ほんとうに一貫した労働政策として、労働者を災害から守るには、当然労働省の所管であってほしいというのが、労働者みずからの強い希望です。それは制定当時も強く言った。ところが当時は、いざというたら実際上の問題として資材の確保が困難だから、そうすると保安の問題も第二義的になって非常にお留守になるから、かえって労働者のためによくないというので、やむを得ず承知した。しかし今日では、今言う通り事情も違って、資材も確保できるし、そして今労働者も希望するのですから、労働者の一つのサービス機関としての労働省にこの所管を移すということは、何らの不思議はない。もし労働省に移して、一体監督にどういう困難と矛盾があるのか、労働省に所属すれば、生産といいますか、いわゆる計画にどうしてマッチしないのか、どうも通産省の方がいいのだということを、もっと具体的に説明してもらいたい。
○小岩井政府委員 現在石炭局、鉱山局、鉱山保安局と三局ございますが、もちろん従来は鉱山局一本でございまして、鉱山局で石炭も、金属も、石油も、あらゆるマイニングの関係を、生産も保安も一緒にやっておったわけでございます。従って長い伝統がございまして、保安というものも生産と一体となった行政を、ずっと長い間続けてきたわけでありまして、戦後鉱山保安局ができましたのも、たしか二十四年の八月に鉱山保安法か実施されまして、これが一般の鉱業法から分れて、保安局も独立して、保安法の施行に当るという工合になったわけでありまして、従前の長い伝統で、切り離すことがかなり困難な実情にあったわけであります。理論的に労働省がいいか通産省がいいかという点につきましては、なかなか議論のむずかしい点かあると思いますが、通産省が現在やっておりますおもな理由は、従来からの長い伝統と経験で、生産と保安が、今直ちに切り離して十分に効果の出る態勢ができるかどうかという点にかなりの疑義がありまして、現状に落ちついているような次第であります。
○大矢委員 伝統だそうだからやむを得ぬのだというのは、実に薄弱な理由だと思いますが、これは今後時代も変ったし、一つ十分考えていいだきたい。 それから説明書の中に、非常に生産が高まったが、死亡者が減ったというのですが、一体死傷者というのは一年にどのくらいあるのですか。最近一、二年でけっこうです。
○小岩井政府委員 石炭の関係で申し上げますと、三十二年には死亡者は六百五十三名、重傷が二万二千八百四十三名、軽傷が三万三千七十人、全体の罹災者、死亡を含めた死傷者と申しますか、それが五万六千五百六十六名、これは三十二年の石炭の総計であります。これは金属もそのほかの石灰石も石油もその他全部寄せたものもございますから、統計表が御入用でしたら、別途に詳細なものを差し上げたいと思っております。石炭の災害が一番多い関係で、石炭だけを申し上げておきます。
○大矢委員 これは最近の労働組合が非常な努力をして、経営者との協力によってやったその結果が減ったということであります。決して監督が効を奏した、私はもちろんそれだけではないと思います。私はそういう非常な組合の協力によって、この件数が減ったと思いますが、そういうことはお認めになりませんか。
○小岩井政府委員 もちろん私どもの努力だけであるということは絶対に考えておりませんけれでも、災害が、保安法ができました当初から見ましても、全面的に非常に大きく減っておる。なお、特に私が一番指摘申し上げたい点は、戦前には、炭坑の爆発だけを考えましても、国内で一番大きいのが方城の六百数十名、そのほか四百人、三百人、二百数十人というのが非常にたくさん出ております。しかしながら、戦後に百人以上の爆発災害を起した実例は一件もございません。六十名の茂尻の爆発災害がございましたけれども、これは非常に大きい例でございまして、戦前、戦後に比較いたしますと、百人以上の爆発災害は一件もない、こういう点から申しましても、技術的な改善は確かに非常に大きな効果を上げておりるということが言えるのじゃないかというふうに考えております。もちろん、私どもの監督の努力だけで、こういうような成果が上ったというようには考えておりません。いろいろ鉱山の関係者全部の協力によりまして、こういった成果が上ってきておるというふうに考えております。
○大矢委員 それからこの法案を通じて一貫して私ども感ずることは、監督を厳重にするということが主たるねらいであります。それでありますならば、監督官の人員の増加ということが当然起り得る。さらにそれに伴う予算というものがなければ、この法律のほんとうの意義といいますか、ねらいを完成することができないと思いますが、その点は、人員は幾らふやすのか、予算が幾らふえるのですか、その点を一つお聞きしたい。
○小岩井政府委員 保安の監督の点でございますが、現在二百名余りの監督官が全国におります。私の方の予算は、何も膨大な予算を要求しなくても十分にまかなえるわけでありますが、最近の予算の要求の状況を見ましてもはっきりわかるのでありますが、あまりたくさんな予算は毎年要求いたしておりません。過去数年の簡単な例を申し上げましても、たとえば監督の旅費につきましては、三十一年には二千九百万円ばかり要求いたしておりますが、二千四百万円いただいております。それから三十二年には三千百万円ばかり要求しまして、二千五百万円ばかりもらっております。それから三十三年には三千六百万円余りを要求しまして、二千五百万円もらっておるというふうに、ほとんど毎年似たような旅費をいただいております。要求もあまり変っておりません。そうたくさんな金は要らないのであります。私どもの要求しておる程度の旅費がいただけまするならば十分に監督ができる。この巡回監督というものは非常に苦しいものでありまして、一々違う坑内を見ます関係で、監督官の中でも罹災する人間が出る場合がございます。私どもが入りましてから、もうすでに三人なくなっておりまして、非常に危ない仕事でございます。従って一人が月に何日も巡回をやるということはなかなか困難でありまして、おのずからそこに限度が出てくるわけであります。私どもの予算といたしましては、三千数目万円もいただければ十分に監督ができるというふうに考えております。現地でもかような考え方を持っておるようでございます。従って、この監督の予算といたしましてはそう莫大な予算は必要としない、そういうように思います。 人員の点は、今二百名でやっておりますが、来年度は三十人ばかり、実際は三十八名の数字が上っておりますが、大体三十名ばかりの監督官の増員をいたしまして、監督の強化に当りたい、かように考えております。
○大矢委員 それからこの説明書の中にいろいろな例を掲げてありますが、この「侵掘」というのと「盗掘」というのはどう違うのですか。
○小岩井政府委員 簡単に申し上げますと、「侵掘」と申しますのは、鉱業権を持っていながら、他人の鉱業権の鉱区の中に入り込んでいくのを「侵掘」と言うわけであります。「盗掘」は、全然鉱業権も鉱区も何も持たずに人の鉱区内の炭を掘るというのが「盗掘」であります。
○大矢委員 そうしますと、この「侵掘」というのは、鉱業法の違反として取締りの対象にならないのですか。
○福井政府委員 これは当然対象になります。
○大矢委員 そうすれば、わざわざ、こういう法律を作る必要はないじゃないですか。それで取締りが十分できるなら……。どうしてこういう法律をこしらえて、鉱業法で当然取り締るべきものを、こういう法律で明らかにしなければならぬのか。その理由を一つ聞かしていただきたい。
○小岩井政府委員 これは仰せの通りに、鉱業法で処置をつけますのが建前でございます。しかしながら最近の例でありますが、九州の東中鶴炭鉱という租鉱炭鉱がございまして、ここで変災を起した例でございますが、たまたまこの災害が起ります数日前に、監督官が現地の巡回監督に参ったのであります。そうして侵掘しております事実もはっきりわかっておったわけであります。しかしながら当方といたしましては、保安法と鉱業法は姉妹法の関係にありますので、保安法は正当な鉱業に対して保安法を適用するという方針をとっておったために、鉱務監督官に対しましては侵掘区域の保安は見るな、端的に申し上げますれば、侵掘区域については監督をするなという根本方針を通達いたしておったわけであります。従って監督官としては侵いたしておった事実はわかっておりましたけれども、戻りまして通産局長に連絡をいたしまして、鉱業法を扱っております通産局長から処置をとってもらうという方針でその通りやっておったのでありますが、その通産局長からとめます前に、処置をつける前に、その間に変災が起ってしまったわけであります。その点で国会で強い指摘を受けまして、それはけしからぬじゃないか、監督官が現場へ行っておって侵掘の事実も知りながら、直ちにそこで処置がとれないというのは法の不備だ、改正をしたらどうかという強い御意見がございまして改正をいたしたわけでございます。
○大矢委員 盗掘についてはいろいろ監督を厳重にして、先ほどの答弁を聞いておりますと百八十件もやったということですが、最近侵掘というのはどのくらいの数字があるのですか。今おっしゃる通りに、それを当然認めておっても、あるいは局長に言っても、それはどうすることもできぬからこれが必要である、こう言われるが、一体どうして侵掘をそのままほうっておくことができるのか。鉱業法で当然侵掘は監督ができるはずです。最近特に大きな災害というものはこの侵掘からきているという。でありますから、これを取締りができぬというはずはない。だからして、どうしてもこれを新しくこしらえるというならば、こういう実例があった——一例でなく、たとえば実際に侵掘というのは何件くらいあったのか、その実例を一つ示していただきたい。
○福井政府委員 ただいまの御質問でございますが、侵掘につきましても、法律上から申しますと、鉱業法第七条の「まだ掘採されない鉱物は、鉱業権によるのでなければ、掘採してはならない。」この規定が当るわけでありまして、鉱業法から申しますと、鉱業権がなければ掘採してはならないという規定の違反になるわけでございます。従いまして鉱業法で規定いたしておりますものは、保安上の見地からでなくて、単に法律秩序の見地から罰則を課しておる、こういうことでございまして、これを保安上の見地からと取り締りますために、鉱山保安法の改正案を今回お願いいたしておるわけでございますが、この侵掘の例を見ますと、金属山につきましてはほとんどございません。問題の出ますのは石炭山でございまして、大ざっぱな数字でございますが、三十二年度の件数を見ますと、北海道で侵掘が約二十件、常磐で十件余り、それから山口で五件、九州で約六十件というようなことでございまして、大体百件程度のものが行われておりますような統計が出ております。
○大矢委員 それからこういう災害に対して資力の不足なために適切な措置が講ぜられなかった場合には、また国なりあるいはその他第三者によって、これを行わしめることができるというのでありますが、そうなりますと鉱業権者が責任を非常に軽く考える。自分は資本が足りないのだから、そういう能力がないのだからして、国がこれをやってくれるということで軽く責任を考えるようなおそれがないかどうか。当然責任を負わなければならぬということと、いま一つは、こういう規定をやらなくたって、先ほど来の御答弁にもありますように、近くの同業者、鉱業権者がこぞってこれに対して協力しているんだ、またそうなければならぬ、従ってこういう規定をわざわざ設けるということ自体、法の権威といいますか、それからいわゆる鉱業権者の責任に対する感じが私は変ってくるのじゃないかと思います。この点を心配しまするが、そういうことはない、こういうお考えですか。
○小岩井政府委員 これは災害が起りまして、鉱業権者が微力でできないという場合に、罹災者の救出に適当な措置を講ずるように命令するものでありまして、もちろん場合によりましては——場合によりましてではなしに、国で直接にやるか、あるいは第三者に国が責任を持ってやらせることになるわけでございます。従って国でやりますけれども、結局その費用は国税徴収法によりまして、やはり一応は権者からまた取り上げるということになるわけでございます。まあしかしそれは実際に払えるがどうかは別でございますが、国が行政代執行でやりますけれども、要しました費用につきましては同じように鉱業権者からやはり返していただくという考え方でございますから、御質問のような御心配はそうないのじゃないかというように考えております。
○大矢委員 その金を出すからして、むしろ、まあ自分の力がなくてこういうことができない場合には国がやってくれるのだ、こういうことで、それだけ能力のない、実際の資格のない人がこういうことをやる、しかも新しく国でやってくれるのだというので、安易な考えを持つというおそれが、私はあるのじゃないかと思う。また先ほど私がお尋ねしたところの意味もそうだと思う。鉱業法で監督できぬからして新しく法律をこしらえて侵掘に対しては監督するというのだから、現に今やっているのは鉱業法で取り締れない、だからああいう法律を作るのだといって、堂々とむしろ奨励することになる。これができれば別ですけれども。こういうことで、私はどうも自分らに納得のできないものを、わざわざこしらえる必要は感じられないのです。今の点でもどうなんですか。自分らの力でできないときには国が見てくれる、こういうことを、実際問題として不自由のない——不自由のないというか、ほんとうにみな協力してやっているものを、いやそれは国か見るからということでわざとこういう法律をこしらえるということは、どういうわけなんですか。
○小岩井政府委員 原則的にはもちろん鉱業法の問題でありまして、保安法の方で侵掘した場合にとめられると申しますのは、やはり侵掘区域にあるいは本鉱区の方に危険を及ぼすおそれがあるというような場合にとめることができるのでありまして原則といたしまして、まあ端的に申し上げますれば、危険がなければもちろん鉱業法でとめてもらうわけであります。侵掘した場合に何でもかでも保安法でとめるということではないわけです。
○大矢委員 それからこの最後に、この法律は暫定的といいますか、そういうものであって、近く相当思い切った改正を行うことを、ただいま検討中であるという説明ですが、しかもその前提として、それは鉱山労働者並びに鉱業権者が順守すべき具体的な問題を研究して、思い切った改正をやるというのですが、一体その内容というのは何です。鉱業権者並びに労働者が順守すべき義務というのは、内容はどんなものですか。
○小岩井政府委員 最近発生いたしました災害からかんがみまして、特に坑内出水が非常に多かった。しかも坑内出水は侵掘して出水を起すというケースが多かったために、大きい改正の点といたしましては、侵掘をいたしておる場合に、監督部長または緊急の場合は鉱務監督官が適切な措置がとれるというふうにきめたわけでありますが、災害防止に関連いたしまして、保安法の方の改正はわずかでありますけれども、これに関連いたします保安規則の方には、かなり広範囲に改正を検討いたしておるわけであります。そのおもなものといたしましては、出水の点について考えましても、今坑内実測図あるいは古洞の状況を入念に調べると申しましてもなかなか簡単には参りません。長時日かかりますので、現在古洞がわかっております場合には、それから五十メートル手前からは、もう先進穿孔をやれというふうに規則できめてあるわけでございます。これも実際にこういうふうに規則にきめてありましても、いろいろ事故が起りましてあとで調べてみますと、百五十メートルも二百メートルも図面では離れておりますけれども、実際にはすでにぶつかってしまっておるという実情から、これらの距離も、測量がはっきりできておりまして、距離がはっきりしております場合は別でありますけれども、そうでない不確かな場合には、二百メートルくらいから先進穿孔をやらせるように規則の改正をやりたいという点が多々あるわけでございます。これは一例でありますが、あるいは最近の爆発の例におきましても、坑内で電気関係の修理をいたします。この修理の仕方も非常に切羽に近いガスの多くありそうなところで、しかも修理の扱いが非常に不適当な扱い方をしておるようなケースが非常に多かった関係で、坑内で修理する場合のこまかい規定を一つ検討しようということで検討いたしております。それから落盤につきましても、従来は一般の坑内規格というものはきめてございますけれども、断層があったり褶曲かあったり、そういう特殊な地帯につきましてはなかなかはっきりきめてございません。こういう特殊な地帯の支柱については、特別な考慮を払うような義務規定も設けたいという点でいろいろ検討いたしておるわけであります。そういう保安法の改正に伴って災害防止の見地から改正を考えております点をそこに申し述べたわけであります。
○大矢委員 保安規則の相当思い切った改正というのは、いつごろ行われるのですか。
○小岩井政府委員 初めは保安法改正に伴うごく小範囲のものを考えておりましたが、この機会に災害防止の見地から少し変えた方がよろしいと思われる点をかなり広範囲に考えておりますので、できますれば年内にやりたいと考えておりますけれども、場合によりましては来春になるのではないかというふうに考えております。
○大矢委員 大体私のお聞きしたいことはこれだけでありますが、この法案を一貫して第一、第二第三の理由をあげてあります。これはことごとく監督を厳重にすれば行える、または災害の場合において現実において行われておるところのもので、何らの不自由を感じない程度のものである。ことに侵掘の問題なんかは当然鉱業法によって罰することができるので、あらためてこれをこしらえなければならぬほどの理由は、私ども見当らないのであります。毒にもならなければ薬にもならぬが、なきよりはましだ、その程度の法律で、私ども今お聞きをしましても、また多くの質問者への答弁を承わっておりましても、これはどうも法案として臨時国会に出さなければならぬ急を要する適切な法律でないと考えております。しかしながら、今申しましたようにいろいろな点で完璧を期するという意味ですが、私は第一に特に監督を厳重にする、独立した監督部の権威を一そう高める、今聞きますと来年度は三十人の監督官をふやすといっておりますが、もっとあってもいいと思う。大いに一つ監督を厳にしてこの目的の、災害から労働者を守る、あるいは重要な基礎産業でありますから、これらの合理的な開発を行うということに対して、一そうの努力を希望して私の質問を終ります。
○長谷川委員長 伊藤卯四郎君。
○伊藤(卯)委員 高碕通産大臣に石炭の不況対策の四、五点についてまず先にお伺いしたいと思います。御存じのように昨年の秋以来、経済界が非常な不振に陥りまして、特に石炭産業の不況が深刻であります。貯炭も九月末現在一千万トンになっておるといっております。従来から冬場になれば需要期として非常に好転するのでありますが、今年はそういう見込みも全然ないという状態である。そういうところから、先月大手炭鉱を初め中小炭鉱もこの下期当初計画を一〇%減産をするという生産制限をきめまして、さらに大手はこれを改正して一五%減産をするということをきめたようであります。こういう点から見ていかに炭鉱界の不況が深刻であるかということは、あえて申し上げるまでもないと思うのであります。従って、これから影響してくる点から炭労では完全雇用の問題をひっさげて、業者側の回答いかんによっては相当深刻な争いが展開されるということは火を見るよりも明らかになっておるのであります。従って、政府の方ではこの減産関係からどのくらい失業者が出るという計算を立てておられるか。またその失業者に対して政府はどのように就職のあっせんを考えておられるか、あるいは経営者側にこの際減産をしても失業者は出さないようにしろというようなこと等警告をしておられるかどうか、そういう点等もあわせて伺いたいと思います。御存じのように、八、九年前と現在とを比較いたしますと、炭鉱労働者は約二十万人近く炭鉱から去っております。四十六、七万おりましたのが現在では二十六、七万くらいではなかろうかと思います。わずかの間に炭鉱労働者二十万も炭鉱から追われて失業しております。私はこれをこういうように思っておる。炭鉱労働者は非常に働いて、その結果二十万人炭鉱から追われながら、人員は減りながら、生産の方は二千万トン以上も増産いたしておるのであります。これは驚くべき増産といわなければなりません。だから、ミツバチが働いて一生懸命みつをためたが、冬場になってきたら、ミツバチの経営者がどうもみつを食わすのは惜しいからというので、ミツバチをみんな追い出してしまうというようなやり方を、炭鉱の現状においては炭鉱労働者はとられておるといっても、あえて過言ではないような気がするのであります。それからさらに、これはついでながら申し上げておきますが、非能率炭鉱を三百万トンほど買い取るということで、その成果があげられてきておるようですが、ところがそれから一万四、五千の失業者が出ております。これを直接事業団から聞いてみると、約三分の一近くは就職したであろうが、あとの一万以上の、三分の二以上の者は依然として行き場がなくて困っておるということを報告いたしております。ところが買い取り事業団を作るときには、よって起ってくる失業者は必ず配置転換、就職を政府が責任を持つということを、ここでしばしば当時の通産大臣も言明をされておるのであります。ところが事実は今申し上げるようなことであります。こういう点もありますので、この生産制限によって起ってくる、今お尋ねしようとして申し上げた諸点について、通産大臣並びに政府の方では、これらの対策についてどういうお考えを持っておられるか、一つ責任ある御意見をお聞かせ願いたいと思います。
○高碕国務大臣 この石炭の不況につきましては、御承知のごとく長期計画から申しまして、本年は五千六百万トンという予定のものが、国鉄の方面における消費減退と、大口消費者である電力業界において豊水のために消費が減退したということのために、この五月に生産を五千三百五十万トンに減らしましたが、なお貯炭が非常にふえた。このふえるということのために、当時政府といたしましては、特別融資の方法を購じまして、これの救済に当ったのでありますが、引き続きまして、なお消費がだんだん減退する形勢でありますから、さしあたりこれはできるだけ消費者に貯炭をしてもらうということについて、大口の消費者等に対し貯炭を勧誘してきたわけであります。同時にこの下半期におきましては、石炭の競争の相手になる油の方の輸入を制限するということにいたしまして、わずかながらでも五十万キロリットルの油の輸入を制限して参ったようなわけであります。さりながら今、なおかつ消費は思ったよりもふえない、こういうふうなことのために、お説のごとく今日業者の自粛におきまして大口一五%の減産をするということが、今実行されつつあるようでありますが、この結果、このしわ寄せが労働者に行くということは耐えきれない点でありますから、政府は、減産をしてもらうということはいいが、失業者を出さぬようにしてくれということを再三申し入れておるわけでありますが、もちろんそれだけの減産をすれば原価も高くなりいたします。経営者とすれば、失業者を出さぬということのためにある程度配置転換なり、あるいは作業の方法等も変えまして、採炭の方よりもむしろ坑道を作るとかいう方面に配置転換もするでしょうが、いずれにしてもある程度労働者の収入が減るだろうということは予期されるわけでありますが、そういうことのためにやはり経営者の方でも、ある程度の犠牲を払うわけでありますから、できるだけ協力的にやっていただいて、ここに失業者を出さぬということに努力してもらいたいということを、政府が申し出ておるわけであります。なおさきに実行いたしました三百万トンの不良炭鉱の合理化につきまして、買上機関を作った、買取事業団を持ってきたということのために起ります失業者につきましては、当時政府といたしましては、鉄道方面にこれを吸収すべく、新たな鉄道の敷設計画を立てたいというようなことでありまして、できるだけ石炭において失業した人たちは、ほかの方面に吸収するように努力いたしておるわけであります。さっき、石炭事業は最初は多数の労働者があったが今減ったということで、統計で見ますと御承知のごとく、二十六年度は三十八万何千人の従業者がありましたものが、三十三年には二十九万に減って、そして生産の数量はだんだんふえておる、こういうわけでありますから、もちろんこの能率の増進ということも今後ますます考えていきたいと思いますが、その結果、利益は経営者だけが取るというふうなことは断じてやらさないわけでありまして、自然、二十六年に比較いたしまして三十三年度における労働者自身の収入も、相当増加するということになってきておるのでありまして、今後とも増産をいたしまして各個人当りの出炭量がふえれば、それだけ労働者各位にも報いられるように努力いたしたいと存じております。
○伊藤(卯)委員 今度の、炭鉱経営者側が減産を行うということによる失職者の問題については、今大臣の方から経営者側に、減産をしても失業者を出さないように強く申し出られたということは、まことに時宜に適したことで、非常にけっこうだと思います。 〔委員長退席、中村(幸)委員長代理着席〕 そこで、業者側はその申し出についてどういうような返事をしておるかということ。さらに、申し上げたように、業者側があえて失業者を多量出すということになれば、炭労側では完全雇用をひっさげてこの回答を求めておりますから、当然争いが出てこざるを得ないという結果にも陥ると思うが、そういう場合においては政府の方では、今大臣が申されたような、失業者を出させないという方針等に沿って、これらの争いが深刻化しないように、中に立ってこの解決のできるようなあっせん、努力をしなければならぬというようなお気持を持っておられるかどうか、その点をちょっと伺っておきたい。
○高碕国務大臣 ただいまのところ経営者側におきましては、原則的にこちらの失業者を出さぬようにということについては、承諾しているようであります。ただ、とにかく先ほど申しました通り、実質賃金においてある程度減るだろう、こういうことは、経営者の側においても損失が出るわけでありますので、これはがまん願わなければならぬと思っております。従いまして石炭減産の結果、ここに労使の間に争いが起ったということに相なりますれば、これは業者自体において解決してもらいたいと存じますが、政府といたしましても、ある程度この問題につきましては責任を感じておりますから、できるだけその問題につきましては円満に解決できるように努力いたしたいと存じております。
○伊藤(卯)委員 政府は本年度の生産計画を、大臣御存じのように五千六百万トンと見込んで、これを経営者側に指示していたようであります。ところが最近のような石炭の需給関係では、本年度おそらく五千万トンを下回るであろうことは、これは申すまでもないきわめて憂慮すべき事態であることは、先ほど申し上げた通りであります。政府は現在の事態を、そう悲観しなくてもいいというようなことで、日本経済の全般的立場から楽観論的なことを大体ずっと放送されてきておりますが、こういう楽観的な見方は、一体どういう点においてそういう見方をしておられるのか。また政府が何らかの手を打って打開するという自信があって悲観論を押えておられるのか。特に炭鉱の場合におきましても、大臣はさっき貯炭融資とかなんとかいうことをおっしゃっておりましたが、とうてい今日のような状態では、貯炭融資くらいでは片づきません。従って今日思い切って一割あるいは一割五分の減産をしようということを、業者みずから自粛をきめておるようなわけなのです。そこで油の輸入制限をしてみたところで、あの程度の油の輸入制限などでは、今の貯炭に対して大した効果を現わすことはできないといわなければなりません。やらないよりかいいが、とにかくそう期待することはできないということは申すまでもありません。また当初の五千六百万トンの生産は、必要があるといって非常に政府は自信を持ってやられた。私も何回かこの委員会で、この生産計画は多過ぎはしないかということを、ずいぶんいろいろ注意をしたこともございました。どういう生産計画の上に立って、また従って需要責任の上に立ってやっておられるのかということを、ずいぶん聞いたことがあります。ところが当時は、大丈夫だといって相当自信を持った答弁をされておりました。ところが現在は今申し上げるようなことですが、こういう一つの見方の上に立って大臣はどういうようにお考えになっておるのか一つお伺いしておきたいと思います。
○高碕国務大臣 政府は必ずしも手放しに楽観論をしておるのじゃありませんのですが、一国の産業というものは非常な勢いで伸びる場合と、ある時期になればそれが尺取虫が歩むごとく縮む時期がある。これはもうやむを得ないことでありまして、今日のこの不況は先般来のいわゆる神武景気なるものによって非常な勢いで伸びたその余勢をかっていろいろの計画を立てられた。そのことのために今伊藤さんの御指摘のごとく、本年五千六百万トンなんという数字が出ておったのでありますが、これは間違いである、ことしは無理だということで、年度当初においてこれを五千三百五十万トンにかえた。こういうような工合で、そのときどきに手をかえていきたい、こう存じておるわけであります。その意味から申しまして石炭の鉱業も、これはほかの産業と違って、一応設備をしてしまえばなかなかこれを減産することもできないし、また一応減産してしまって設備がなかったときには、景気に応じて急にふやすこともできないために、できるだけその差額を少く持っていきたい。今、年初の五千三百五十万トンは今日の状態で五千万トン以下になったということでも、これは一割までの減産にはなっていない。五千六百万トンからいえば一割以上になっていますが五千三百万トンの計画からいえば五千万トンそこそこは、これくらいの程度は、ほかの産業の減産しておるものと比較すれば、比較的少いものじゃなかろうか、こう思うわけであります。しかしどうしても石炭鉱業は鉱業自体の性質から申しまして、今申しました通りに一割だとかそんな大きな違いかきては困るというふうなことを考えていかなければならぬ。そこでこれに対抗するエネルギー資源である油をどういうふうに切るか、輸入を制限するかということによって、石炭をできるだけ増減をしないで、一定の比率をもって増加さしていくように、今後の方針をとっていきたい、こう存ずるわけであります。ただ本年の下半期に私どもが予想いたしました通りに、多数の油とか重油を切ることができなかったということは、これは技術的に考えまして、重油を割り当てておりましたもので、特別の種類のものが多かったわけでありますから、そういう関係上できなかったわけでありますけれども、明年度におきましては、エネルギー資源が相当ふえて参りましても、あるいは油の輸入量の絶対量は減らなくても、この方針を相当持続して参りたいと存じておりますから、本年の相当な貯炭がふえたものも、明年度においてアジャストメントができる、こういうふうに私どもは考えておるわけでございます。いずれにいたしましても決して手放しで楽観はしておりませんで、十分の努力はいたしたいと存じております。
○伊藤(卯)委員 従来から政府が石炭需要計画を立てておられたのが、私は一言にしていえばでたらめだったということを言わなければなりません。従って政府には非常な責任があることを今ここで申し上げます。早い話が、政府の生産見込みの実績というものについて、昭和二十九年には、当初四千八百万トンの石炭が必要であると、当時の愛知通産大臣はここで非常に自信のあることを言明されております。実際には四千二百万トンしか要らなかった。ここにおいて六百万トンの違いが出てきた。ところが昭和三十一年には、四千五百万トンの見込みが、実際には四千八百万トンも必要であったということが出てきた。政府の見通しと実際というものの間には、常にこういうような非常な食い違いが起っておる。これではいかに政府が計画を立てて、経営者側にあるいはまた労働者側に、責任をもってやるからこの指示に従って努力してくれと言われても、私は信用しなくなってくると思う。経営者側も労働者側も今日、政府からの生産指示などというものは全くでたらめであてにならぬと言っておる。従って政府の指示通りに生産をしたら、今日のような膨大な貯炭になってきた。この場合において、政府は消費についての責任は何ら持たない。この消費に責任を持たない生産指示なんていうものをまじめに聞いておられるかというのが、今日の炭鉱経営者なり労働者の態度です。非常に政府のやり方に対して冷淡な気持になっておる。政府が年産責任を指示する以上は、もっと科学的な上に立って、さらにそれからよって起った消費について責任を持つということが当然だと思うのですが、大臣はこの点についてどういうお考えを持っておられるか伺っておきたい。
○高碕国務大臣 これは統制経済で生産も消費も政府の手でもって実行するという場合は別でございますが、今日自由経済の基礎に立ってやっております上におきましては、政府は生産数量を指示するのではなく、生産目標を示すのでありまして、その目標も政府だけの考えではなく、できるだけ経営者の御意見も承わって、それによって先ほどお話のように二十九年は四千八百万トンを消費するだろうというふうな目標を出したわけであります。それが今お話のように四千二百万トンにとどまったということは、二十九年当時が不況であったということのために、そういうふうな結果になったのでありまして、これは今日の状態でいかに科学的の力をもってやりましても、なかなかそこまで先々の見込みをつけるということは困難性がある。同様に三十一年はお話のごとく、非常に好況であったということのために、四千五百万トンの予定が四千八百万トン消費されておる。三十二年は幸いに予定通りいっておりますけれども、本年に至りましてはかくのごとく不況がくるというふうなことはいかなる科学的の方法をもっても、先を見ることはなかなか困難性があるわけなんでありまして、そういうことのために初めの予定よりも消費が減った、こういうことに相なっておるわけなんであります。要するに政府といたしましては、今後できるだけ業者、専門家の意見も聞いて生産目標を示して、それをもってやっていただくということでありますから、まあたよりにならぬといえばたよりにならぬのですが、でき得る最善の努力をした結果、そういうふうな結果になると存ずるわけであります。
○伊藤(卯)委員 申されたように責任の持てない、たよりにならぬようなことなら生産指示をしない方がかえっていいんじゃないですか。やっぱり政府が指示すると、民間というのはこれは相当権威のあるものだ、また責任を持ってもらえるものだというように信用するのは、これはある意味においてまことに出喜ぶべきなんです。ところが責任も持てない、全くたよりにもならないという結果から、上ったり下ったりして、絶えず不安動揺を与えるということは、政府に対する信頼がなくなってくるということにもなるのだから、むしろ私はそういう責任の持てない、たよりにもならないようなことなら指示しない方がかえってよくはないかと思う。そこで私は妙な問答みたいなことを一つ伺いますが、さっき大臣も神武景気の問題を言っておられたが、神武景気と言って非常に騒がした。ところが今度また去年の秋ごろから神武不景気といって、非常に深刻な状態を今日全体に与えておるが、一体この神武景気とか神武不景気というのはどこから出てきたものですか。大臣はどういうように見ておられるか、これを知らして下さい。
○高碕国務大臣 これはなかなかむずかしい質問でございますが、私は常識的に考えまして、日本の経済というものははなはだ遺憾ながらきわめて底の浅いものでありまして、これを動かす大勢はほとんど世界の景気に動かされておる、こういうのが実際の日本の現状でございまして、この景気の先々をどういうふうに見るかということは、必ずしも政府はただいま伊藤さんの御指摘になりましたような指示はいたしませんですが、石炭においての目標を出すのであって、そういう目標に違いが起ると、政府の不信になるわけでございますから、できるだけこれを正確な数字をつかみたいということのためには、この景気の動向ということをよく知る必要がある。こういうことのために世界の景気の動向がどうなるかということをまず先につかむ必要がある。これは科学的の方法によって相当できる。こういうふうな信念を持ちまして、経済企画庁を中心に、世界の景気を把握するということと、これを一つ検討しようということで今進んでおるわけでありまして、日本の景気が神武景気だとか、あるいは何とか不景気だとかいうことは、これは大体は世界の景気において動かされておる、こういうふうに私どもはとっておるわけなのであります。
○伊藤(卯)委員 神武景気と当時自民党の方でも政府の方でもえらい手柄のように言って、国民に宣伝をしておりました。もちろんそれは自然に起ってきた実力ではなくて政府があまりに融資を出し過ぎた。政府資金の預託を受けた銀行というものは貸出競争を盛んにやっておりました。注文とりまでして金の貸し出しの競争をして、そして設備拡張をやらすようなことを盛んにあおった。これは当時自民党政府の一つの方針だったのです。ところがそれからえらい設備過剰になって、生産過剰になるから、これはえらいことになるぞというところから、大臣も御存じのように、去年一万田さんを大蔵大臣に入れかえてから、どうも政府のやり方は大腸カタルを起したから今度は下痢どめをおれはやるのだと言って金融引き締めをやった。それから今日いわゆる神武不景気というものが言われてきて、容易に不況の立ち直りができないような状態になってきておる。いわば神武景気といい、神武不景気といい、これは自民党の政策の誤まりなんです。あなたは自民党の闘士であるかどうか知らぬけれども、そう自民党に責任を持たなければならぬような人のような気もしないから、あなたにあまり言おうと思うことは持っておらぬが、大体において自民党の政策的、党略的宣伝の結果が、かくのごとき状態を作っておると主張しても、自民党の諸君といえどもちょっと弁解の余地はない、こう私は思っておるのです。だからそういう考え方で自民党も企画庁あたりを使って五カ年計画、五カ年計画というが、何年たっても五カ年計画で、最近は五カ年計画を言わなくなってきた。多分自信がなくなったから言わなくなったのだろう、こう思うのですが、そういう考え方でやられるところに、今日の日本の経済界を動揺させておると思うのです。やはりもっとまじめに政策、対策、計画等を持ってやらなければならぬであろうということ、大臣は特にこの点を深くお考えを願いたい。こういうように私は思うのです。 それからこれは大臣でなくて係官の方でなければわからぬことかと思いますが、昨年の秋と本年の秋との石炭の生産費がどういう違いになってきておるか。それから石炭の炭価がどういう状態になっておるか。この比較をちょっとお知らせ願いたい。
○樋詰説明員 申し上げます。まず生産の実績でございますが、昨年の下期生産の実績は二千六百四十万トン。今年下期は先ほど大臣から申し上げたと思いますが、二千五万トン程度というふうに考えております。
○伊藤(卯)委員 私はその数字を聞いておるのではなく、生産費と価格を聞いておるのです。
○樋詰説明員 ごく最近のと申しますと、今私のところに六月のものがございますが、六月は大手が五千五百二十九円、それから中小は五月のしかございませんが、四千六十五円ということになっております。 それから標準炭価をきめます際の生産費、これは三十二年度を四千百二十円というふうに見、今年度は四千九十七円ということではじいたわけでございます。しかしこれは大体先ほどの五千三百五十万トンの生産をやるというときにはじかれたものでございすので、それが今のように相当減って参りますと、大体コストといたしましては三百六十円ないし四百円程度上るのではないかという試算を今いたしております。
○伊藤(卯)委員 ちょっとここで伺うのも無理かとも思いますから、その辺について私が申し上げたことについて一つ数字を出して、資料としていただきたい、こう要求しておきます。 最後に大臣に生産の問題についてもう一言伺っておきたいのですが、それは今申し上げたようなことで、生産と消費の点においてまことにたよりない話ですから……。やはり石炭というものは、日本産業のエネルギー源として非常に重要な使命を持っておるもので、従ってこれが動揺することが日本産業経済にもいろいろ大きな影響を与えてくることは申すまでもないのであります。そこで電気のごときは、御存じのように公益事業としてほとんど独占的な性格を持っておりますから、ある意味においてこれはもちろん安定してその使命を達成しておる。ところが石炭と油の問題は、これは全くそういう安定をいたしておりません。従って石炭と油との競合関係という点も、やはりもっと政府の方でエネルギー源として、石炭と油はどのくらい必要であるかということは大体正確な計画を立てられれば、私はある程度の安定の見通しというものは立つと思うのです。そういう点から、放任の状態の現状のままではいかんともしようがないという状態でありますが、やはり石炭においても、生産と消費の需給調整の関係というものを、何らかの形でもう少し立法化するというか、立法化しなければ制度化することもできませんが、そういう形でやはり生産においても、消費の数量においても、価格においても、安定して、油と見合せていくというようなこと等をやることは、私は日本の産業経済の安定化をはかる上において、エネルギーのサービス的な使命を達成さすためにきわめて当然なことだ、こう考えます。 〔中村(幸)委員長代理退席、委員長着席〕 こういう点において大臣は、安定化について何らかの方策をお持ちになっておるかどうか、またやった方がいいとお考えになっておるかどうか、そういう点について一つ大臣の所見をお聞かせ願いたいと思います。
○高碕国務大臣 石炭鉱業はすべての産業の基本産業であるという意味から申しまして、経済的から申しましても社会的から申しましても、この産業を安定せしむるということは、国の経済を安定させるまず第一歩であると深く信じておるわけであります。その安定の方法といたしましては、実際はもっと容易にできると私は思っておったのですが、なかなか困難性もあります。しかしほかの産業よりも比較的私は安定性が楽にいくと思いますことは、日本全体のエネルギーの消費量というものは、日本の石炭の生産額の現在は倍でありますが、これは近いうちにだんだん消費量がふえて参りますから、そうした場合に石炭と競合する油というものでございますが、この油の国内における生産は、いかに努力してももう百万キロリットル持ってくれば当分は限度だと思っております。これ以上ふやすことはなかなか困難である。従いましてこの油は、大体エネルギー資源としては輸入に仰がなければならぬ、こういうことになっておりますから、その輸入を手かげんすることによって、石炭の消費というものは、生産と見合った消費に持っていくことは、政府の政策いかんによっては私は比較的容易にできる、こう思っておるわけであります。しかし本年のごとき、油が存外値が下ったとか、運賃が破格に安くなったとかいうことのために、いろいろ間違いがきておりますが、比較的この点は油と石炭の競合関係をよく考慮してやれば安定し得ると存じまして、今後のり石炭政策としては政府はこの点に重点を置いてやっていきたいと考えております。
○伊藤(卯)委員 油の点は今大臣のおっしゃったように、値段かあんなにひどく下っております。もちろんこれもあまり輸入し過ぎてタンクは一ぱい詰まっておる。持ってきたものは船に長く置くわけにいかぬというので、しばしば投げ売りのような形も出てきておりますが、しかし油は世界の値段と比較すると、日本のは非常に高いのです。それから御存じのように、油は外国資本との合弁ですから、従って油会社は、外国の自分の国内においてやはり一つの組織を持って値段を自由自在にしておるのでありまして、さらにまた日本に持ってきて精油もやり小売もやる、いわば外国油資本が独占的な経営支配をしておるのですから、油の値段というものは一体どのくらいが原価であるか、どのくらい利益を上げておるものであるか、これは正直なところわからない。従って外国との比較をしてみれば、御存じのように非常に高いのだから投げ売りをしておるからといっても、そう実際損をしてやっているかどうか私は疑問に思う。だから私はそのことはそんなに気にされる必要はないが、油が投げ売りされるとそれが石炭の方に非常に影響してくるので、国策としては放任しておけないという問題等があろう、こう私は思うのです。その問題をやっておりますと時間が立ちますから一応この点はこの程度にいたしておきます。 それから鉱業法の今度の改正というか、鉱業法の根本的な問題点について二、三点お伺いしておきたいと思います。今回政府は鉱業法の一部改正案をお出しになっておるわけですが、その内容というものは現行鉱業法の改正の点からいけば、全くくだらない程度のものであるという一言に尽きると申し上げても過言でない、私はこう信じておる。従って政府の方も現行鉱業はこれでばいかぬから、すみやかに根本的に改正しなければならぬということはお考えになっていると思います。これは十年来大体こんなものではしようがないじゃないかということは、役所の中の人々からも、またこれに関係を持っておるところの人々からも私どもはしばしば聞かされておることです。だから現状のままにおいては、鉱業法というものは百害あって一利なしといっても差しつかえありません。極端に言う人は今の鉱業法なんというものは有害無益な法律で、この法律というものは国家的な権威というものを維持する上に何らの役に立たないものだ、こういう極論さえもあるのでございます。ところが鉱業法は、御存じのように鉱業の憲法ともいうべき法律です。ところが現在ではこの鉱業法を犯しても、多くの違反者が出ましても、さっきも議論になっておりましたが、侵掘、盗掘をやりましても、これを犯罪と思っておりはせぬ。そういうことをやったって、これは犯罪を犯したなんと思っている者はあまりなかろうと思う。そういう風潮というものが、この法の影響を受けるところの中ではそういうことが流布されておる現状です。ところが今度の改正というものは、われわれの聞くところによりますと、三年間かけて鉱業法の改正をしたい、それについては改正の調査やら研究やら検討というか、審議をやって、そして根本的な改正の案を作りたいというふうなことですが、今申し上げたように現状に即さない鉱業法を改正しなければならぬということを役所の方でも考えておられながら、しかも三年間かかってやろうということが事実とするならば、あまりにもこれは気の長い話で、私は本気になってやっているのだろうかという気がするのです。やろうと思われれば、一年間もそれぞれ専門家を集めてやられれば十分できるのじゃないかと思うのです。今から十年前、もっと前でしたか、私が鉱業法改正の委員長になって、国会と民間と役所の関係者とでやらないかという話を伺ったこともございました。その当時からこれはやらなければだめだと言われておったんです。私はそのときに思いました。もし私が委員長としてやらなければならぬということがあるならば、私は一年以内に必ず権威者を集めて、根本的改正案というものを作ることができるだろうと思いました。それからそれぞれ専門家の権威者にも当時私連絡をとって意見を聞いたんですが、一年もかからなくてもみっちりやればできますよという話でした。だから政府が三年もかかってやらなければならぬというのは、一体どういうところにゆうちょうさがあるのか、あるいは改正案を作るのにある程度の予算が要る。そういう予算関係を大蔵省との間に折衝困難だから、まあ食い延ばして三年間もかかってやろうとされるのかどうか、その辺のところが私は納得できないからその辺のいきさつ、あるいはそんなゆうちょうな構えでいいのか、あるいは一年以内でできるものならばやろうとされるのか、そういう点を一つ大臣のお考えになっている点を率直にお聞かせ願いたいと思います。
○高碕国務大臣 今回の鉱業法の一部改正は、全く御説のごとくなまぬるいものでありましたことは、こんなものではわれわれの期待に沿えないということは、もとよりわかっておりますけれども、今回のものは保安という点から考えまして、できるだけ予算を伴わないで早く実行に移そう、こういうふうなことからあわててやったわけであります。これは全然ないよりも幾らかあった方が保安を維持したいという点から必要だと存じますから、これはぜひ今回成立するように御努力願いたいと思いますが、一方根本的な鉱業法の改正につきましては、今三年という伊藤さんからのお話でありましたが、そんなゆうちょうな考えはしていないのでありまして、もうすでに実質的には委員会等を開きまして実行に移したいと思っておるわけでありまして、これでどれくらいかかりますか、これも来年の予算の関係、それから立法者等につきましても考慮しなければならぬから、来議会においてある程度の立法措置をいたしまして、そうして一年くらいのうちに仕上げてしまいたい、こう思っておるわけでありますから、どうか一つぜひ皆様方の御援助を得て実行に移すように早くやっていきたいと思います。
○伊藤(卯)委員 大臣の非常な信念というか、それを聞いて私も大いに頼もしいと思いましたが、どうも私の耳に入るところでは、三年がかりでやろうということが耳に入っておりましたから、そういうことでは何らの意義がないじゃないかということを心配したのであります。そうすれば大体において来たるべき通常国会の折には、予算とともにその根本的改正をする委員会というか、調査機関というか、そういうものをお出しになって、来年一年くらいには仕上げて、次の通常国会くらいには必ず出せる、こういうお考えであるかどうか、その点をもう一回伺っておきたい。
○福井政府委員 大臣の御説明をちょっと補足して説明申し上げますと、現行鉱業法につきまして、ただいま伊藤さんの方から非常に鋭い御批判をいただきまして、はなはだ恐縮に存じますが、この現行鉱業法も各界の権威が非常に検討を重ねまして作った法律でございまして、私ども非常によくできておると存ずるのでございますけれども、ただ時世が非常に変りまして、また従来の経験から見まして相当広範囲に改正する必要があるのではなかろうか、こういうことで現在事務的にはすでにいろいろ検討をいたしております。ただいま大臣の申し上げました改正審議会につきましては、通産省の設置法を改正いたしまして、鉱業法改正審議会を通常国会でぜひ一つ設置していただきたい、かように考えております。この審議会で鉱業法の諸問題を検討していただくことに私ども現在段取りをいたしております。従いまして鉱業法の改正の成案を得ますのは、来たる通常国会にはとうてい困難であろうかと存じております。できるだけ早い機会に成案を得て改正案を国会に提出いたしたい、この点につきましては、ただいま大臣の申し上げました通り、私どもも熱望いたしておりまして、できるだけ審議の方を急いでもらいたいと考えております。
○伊藤(卯)委員 大臣がおかわりになる場合はしばしばありますけれども、役所の方は、政府委員の方はそれぞれずっと責任が残ってかわらないのでありますから、従って少くとも一年以内に根本的改正案を作って国会にお出しになるということを、ここではっきり伺ったので、大いに期待をいたしておりますから、一つ責任を持ってやっていただきますように十分注意を申し上げておきます。大体今申し上げたようなことで、あとのことは、そういう確約ができたので尽きたようなものですけれども、なお、これは役所を攻撃するわけじゃないが、やっぱり絶えず刺激を受けるということも注意の一つになりますから申し上げておきますが、さっき局長は、今の鉱業法を作ったときには非常に権威があったと言われたが、それはあの当時はまさにそうですよ。しかし四十年も五十年もたちますと、赤ん坊の着物を四十、五十になった者に着せるというのは無理な話でして、現在の時代に即応して改正するのがあまりにもおそいということが世論なんですから、これは申し上げるでもありません。そこで鉱業法の権威のない問題について役所側の扱い方にも遺憾の点が——法に権威がなく、堕性に流れておるような博物館行きのようなものは、守っておったってしようがないじゃないかということもあったかもしれませんけれども、鉱業法を主管する——これは鉱山局長のことになりますが、行政上の扱いが非常に堕性に流れ、もう仕方なしにやっておられるというようなものがあったと思います。たとえば極端に申せば堕性で書類を作るばかりであって、実態に触れての鉱業法の施行状況などについては考えておられぬ。たとえば施業案の認可にしても、ほとんど内容を調査するというようなこともやっておられません。単に鉱区が重複しているかいないかというような程度を書類の上でお調べになるだけであって、重複していなければめくら判を押して、とにかくこれでオーケーと言うに過ぎない。一度与えた鉱業権でも、たとえば法律上から見て、これは非常に悪質であるというようなものがあれば、そんなものはどんどん取り締って、そういう悪質なものは当然法律違反として処罰されなければならぬはずなんだ。ところが私は処罰されたということを聞いたこともありません。また先ほど申し上げたように鉱業法に違反することは犯罪と思っておらぬような風潮もあるくらいです。従って全く権威のないことは言うまでもないのです。そこで私は念のために聞いておきたいのですが、鉱業法違反で処罰を受けた件数というのは一体どのくらいありますか。さっき侵掘だけでも百件ばかりあるとか言われておるけれども、その他盗掘もあり、もろもろの違反が、これを計算したら何千というふうにあるような気がするのですが、一体、違反をやって罰されたものがどのくらいあるか、こまかいことは要りません、大ざっぱな点だけでよろしいから知らしていただきたいと思います。
○樋詰説明員 三十二年度の石炭関係を申しますと侵掘は、先ほど鉱山局長から申しましたように全国で百三件ございます。そのほかに盗掘が二百八十二件、それ以外に施業案違反というのが三百三十九件ございます。この中で盗掘につきましては、起訴されましたものが四十四件、不起訴のものが百十七件、その他略式請求、嫌疑なし、あるいは起訴前処分のものということになっておりますが、起訴されましたもののうち体刑が三十二件、罰金刑が三件、公判中のものが九件ということになっております。それから施業案違反につきましては、これは違反をしてわれわれの方で違反を見つけたものが三百三十九件あるわけでございますが、これの処罰状況につきましては、今手元にどの程度発見してどういう処罰をしたかという資料がございませんので、後刻調べて申し上げたいと思います。
○伊藤(卯)委員 大体私の勘では、鉱業法違反というようなことで扱われておるのは十分の一くらいなものだろうという気がするのです。どうせ博物館行きの法律だから、そんなものを取り立ててここであまりものを言おうとは思っておりませんが、こういう悪質なもので鉱業権を取り上げたという件数はどのくらいありますか。
○樋詰説明員 全体の数字は調べてあとで申し上げますが、私の知っておりますところでは、亜炭関係で施業案違反、それから侵掘をしておるということで鉱業権を取り消したという例が最近一件ございます。
○伊藤(卯)委員 亜炭というのはあれは炭焼きみたいなものですから炭鉱の中には入りませんね。炭鉱とか鉱山とかいう鉱業権の中で、私どもここに資料があるが、それは私の知るところではなさそうだから——おそらくないでしょう。あったら何件あるか、私ども鉱業法を根本的に改正したりなんかする上においての資料になると思いますから、あったら御提出願いたい。
○福井政府委員 ただいまの御質問でございますが、鉱業権を持っておりまして鉱業権をなかなか実施をしないということで、法律の条項に照らしまして取消し処分をいたしましたものが約百五十件ほどございます。
○伊藤(卯)委員 それは金属鉱山ですか、石炭ですか、油ですか、その他いろいろありますが、大体どういうのが一番多うございますか。
○福井政府委員 全鉱種を含んでおりますが、その中では石炭が多いと思います。
○伊藤(卯)委員 それも一つ鉱業種類別に、今石炭局長が資料をお出しになるというのと一緒にお出し願いたいと思います。 最後に炭鉱災害の件について……。これはあるいは同僚議員各位からもお尋ねしたと思いますが、高碕通産大臣もこの前九州へおいでになりましたときに、今なお炭鉱災害で水没の中に十何名の死体をそのままにしておる例の福岡県の東中鶴炭鉱に大臣も見舞に行かれ、また私どもも商工委員の国政調査団に加わって参りました。そのときこの家族の諸君から、高碕大臣からも大へん力強い理解と同情のあることを伺って、非常に光明を得て喜んでおります。そこでどうも炭鉱経営者の方ではこの死体を出そうといたしません、また炭鉱経営者にはそれを出すだけの資力もありません。従ってこれはもう国の力によって出していただくよりほかに方法はないと思います。高碕大臣がいらっしゃったときも、それをやっていただけるのじゃなかろうかと期待しておりましたが、一向そういう点がはかばかしくありません。一体こういう点はどうなるのでしょうかということで、私どもにも陳情が出、あるいは政府の方にも出ておるだろうと思います。そこでこれは一例として東中鶴炭鉱の状態を申し上げたのであるが、今までもあり、今後もあると思います。こういう災害で水没の中にあるいはガス爆発とともに坑内に生き埋めになった、そうして死体は坑内にたくさんあるというのは、もう死んだ者は仕方がないじゃないかということで、死んだ人間の人権というものは死ぬと同時に消滅してしまって、人権というのは尊重されないものであるかどうか。たとえば飛行機などが墜落をして海の中に落ち込んでいく、あるいは船などが沈んで、それで死体が上らない、山で遭難などがあった、こういう場合にはそれぞれの政府機関が動員をして行ってこれを助けてやる、あるいは死体を上げてやる。こういう場合にはすべてこれはそれぞれの国家機関が国費をもってこういう事業をやっておるのでありますが、鉱山の場合においては今申し上げたようなことで、生きておれば国家の費用をもって救出をするが、死んでしまえば、死体になればもう人権はないのだから尊重されないのだということで、これは顧みられないというような気がしますが、大体そういうようなことで、今度の保安上の扱い方というのをお考えになっておりますか、どうですか。
○小岩井政府委員 先ほども御答弁したのでありますが、決して私どもも死んでしまったから放っておくというわけではございません。ただ従来の建前といたしまして、炭鉱で災害が起りました場合に、鉱業権者が一切責任をもって処理をするということを一応建前といたしております。しかし鉱業権者が力のない場合がございますので、保安法の一部改正もいたし、さらに東中鶴のように死体の上らない、非常に長時間かかるというような場合は、特に私どもの方でも鉱業権者に責任を持ってもらうという線に沿いまして、その範囲内で最善の努力をいたしておるわけでありまして、東中鶴の場合でも一、二カ月で租鉱権者が手をあげておりますときに、親権者に相談いたしまして、ほかの炭層も掘れるように話し合いをつけたわけであります。現存掘っておりますのは、もちろん当時炭を掘れなかった炭層を掘れるようにして掘っておるわけでありまして、大体従前の出炭に近い出炭をしておるわけであります。その出炭をしながら取り分けの作業を継続していくという約束で、ほかの炭層を掘れるようにいたしたわけであります。坑内の取り分けでありますので、ただいたずらに多額の金をかけましても、おのずから作業人員には限度がありまして、四交代の方法もございますけれども、現在は一応三交替でフルに取り分け作業をやっておりまして、ただ取り分けがかなり困難で遅々といたしております点は、はなはだ残念に考えておるわけでありますが、私どもも災害を起りました当初から現地の監督部長には直ちに取り分けには十分慎重な方法で、最も早い取り分け方法を指示するようにということで、現在もなおその取り分けをあきらめておるわけではございません。現地の部長からも報告を受けておりますが、三交代で目下続行いたしておりまして、ただ予定が少し長くなります点ははなはだ残念でありますが、もうしばらくかかりませんと取り分けが困難であります。しかしながら決して放棄したわけではございませんで、必ず収容するという方針で目下進行いたさせております。
○伊藤(卯)委員 御存じのように、あの水没の原因は何百メートルかを侵掘をしているということは役所の方でも多分御存じだろうと思う。従ってあれは監督が事前に行われておって、そういうところを中止を早くさせるならあの水没は起きなかったのでございます。ところが何百メートルもよその鉱区を掘っていっているのに、それを黙っておられた、それでそういう不注意、監督の怠慢というか、そういうところからあの水没犠牲者が出てしまったのです。これはまさに鉱業法の違反であり監督の怠慢である。そういうわけで、あのとうとい人命をあれだけ坑内の水没とともに、今なおどうすることもりできない。ところが炭鉱の関係では租鉱権の期限があるので、おそらくそれまでの間に上らないだろうかどうだろうかということが一つの不安になっております。もし租鉱権が延長されないということになれば、もうそのままである。しかし今の進行状態では、実際上あれは見棄てておるのではないかとも思いますが、そういう諸般の事情等もお考えになった上で、必ずあの死体は上げてやるということで、役所の方でも責任をもってやらす、また協力してやるということは、既定の方針として、それはあくまで実行されるということには間違いございませんね。
○小岩井政府委員 目下必ず収容をするという方針で現地に進ませております。現地もその方針で目下進んでおりまして、ただ何月ごろまでにという点につきましては、今までもかなり見通しを何回も聞かしておりますけれども、かなりその点に食い違いを来たしておりますので、はっきり申し上げられませんけれども、目下のところは必ず収容するという方針で現地に進ませております。現地もまたその方針で進んでおります。
○伊藤(卯)委員 それで大いに安心をいたしました。保安局長のその責任ある熱意というものを、現地の者も非常にこれに安心して期待をしておると思いますから、必ずそれを一つ実行していただくよう重ねて私の方からもお願いいたしておきます。 それから委員長、もう二点だけお伺いします。それは鉱害の復旧についてでありますが、三十四年度の鉱害による耕地、家屋、公共物等の復旧工事の計画とその予算について、三十三年度とどういう増減関係になるかということを、一つその計画は多分あると思いますから、それをこまかいことは要りませんから大略でよろしゅうございますからお示し願いたい。 それから、時間の関係がありますから、ついでに私の方からずっと申し上げておきます。鉱業権者が負担する鉱害復旧費の積立金について、現在では各鉱業権者別におのおのがその積立金を持って、国家の負担分と合わして鉱業権者がその復旧工業をやる、こうなっておるわけです。ところがなかなかこれではうまくいきません。そこで国家機関、たとえば復旧事業団のような、こういう機関が復旧事業のために、各炭鉱経営者が分担するところの分担金、この積み立てを各炭鉱に持たしておくというのでなくて、国家機関の事業団がこれを徴収して、積み立て保管をしておくということが、私は非常に大事なことじゃないか、こう思いますが、こういう点についてどうかということが一点、それから復旧工事はすべて事業団が全部やるべきであると思うが、この点についてどうお考えであるかという点が二点、それから鉱業権者が負担する鉱害復旧費という金額は損失令として免税をされておるのでありますから、従ってこれは国家機関である復旧事業団が積み立て徴収をするということが当然のことじゃないか、そういう理論的の上に立って私はそう考えるが、こういう点についてどうお考えになっているか。それから復旧工事は事業団がやるようにならなければ工事がなかなか進行しません。被害者との間に絶えずごたごたが起って、社会問題などもしばしば起ってくるわけであります。ところが鉱業権者の中には復旧工事をおくらしておるものがあります。それはどういう関係でおくらしておるかというと、被害者がもう待ち切れないというので、国家負担の分を陳情などをして、この額が増額されたところで、これをもらってから一つ復旧をやろう、そして自分の鉱害復旧分担分というものをできるだけ少くしよう、こういう考えを持っていたずらに復旧工事をおくらしておるという事実があります。こういう点から見ても、この積立金もしくは事業は、国家機関の事業団がやるべきであるということが私は当然だと思うのです。こういう点についてどうお考えになるか。それから鉱業権者の復旧費の積立金を会社が経営費に使用して、事業に失敗してしまう、それで行方不明になる、あるいは無資格者になってしまうということになってくると、鉱害だけが残る、こういうことになることも、これは膨大な鉱業権者の行方不明、無資格者の鉱害地が今日あるということから見てもきわめて明らかである。こういう点から見ても、私が主張しておるような国家機関の事業団がやるということがきわめて安全、当然であるということが言えると思うのでありますが、こういう点等について、これは内容的なものの説明は、政府委員でなければわからないと思いますから、そういう具体的な点については、政府委員から答弁できることであるが、私が今申し上げたようなそういう国家機関が積立金を徴収して積み立てておいて、国家機関の事業団が復旧工事の事業のすべてに責任を持ってやるべきであるという点についての考えについて、大臣はどのようにお考えになっておるか、この点は大臣から、あわせてはっきりした点を政府委員からも答弁をしてもらいたい。
○高碕国務大臣 今の伊藤委員のお説は私もっともだと思います。復旧のための積立金をその会社自身が持っておるということは、むろんそれをほかの事業経営の方面に運用し、その結果損失が来たといって、そこから逃げちゃうということになって、災害だけが残るということになるということは相済まぬことでありますし、いわんやその積立金に対しては国家は免税をしているというふうな点から考えまして、これは何かの機関がそれを持っておって、それを有効適切に使えるようにしてやるためには、お説のごとく復旧公団のようなものを作るというようなことも名案だと存じておりますから、この点は私は十分検討を加える必要があると存じまして、検討を加えてよく研究いたしたいと思っております。また、今の御質問の本年度と来年度の復旧計画の予算等につきましては、政府委員から詳細説明いたさせます。
○樋詰説明員 本年度と来年度の鉱害復旧の事業量のトータルから申し上げます。本年度は御承知のように、復旧事業の事業量が全体で十億九千二百万円でございます。来年は大体十七億円を予定いたしております。と申しますのは、これは御承知のように、一応三十七年の八月で現在の振興法が終るという格好になっておりますので、来年度十七億、それからあと二十五、三十六、三十七年の半分で三十五億ばかりどうしてもせざるを得ないということで、来年度は十七億ということを考えております。これをある程度内訳で申しますと、農地、農業用の施設関係が五億八千九百万円から七億九千四百万円になります。それから土木の関係が一億五千二百万円から二億円になります。それから水道は、ことしは七千万円でございますが、来年度上水道と下水道と両方合せますと一億七千四百万円でございます。それから学校関係の復旧、これは文部省関係でございますが、今年が二千六百万円、それが来年度は六千万円、それから家屋の関係は、ことしは一億九千二百万であります。これは公共用の建物も一部入っておりますが、大部分が家屋でございます。これが来年は三億九千万、そのほか港湾とかあるいは鉄道といったような他者関係が若干ございまして、全部で千億九千万から十七億ということになっております。
○伊藤(卯)委員 今私の鉱害復旧事業の今後のあり方についての意見に対して、大臣もきわめて当然だから検討するということでありますが、一言申し上げておきますが、これには鉱業権者側がかなり反対でありますから、これを一つお含みおきを願いたいと思います。というのは、大きいところでは、自分の金を何億というものを銀行に置くか、自分が持っておるかということで、実は非常に違うわけであります。自分が持っておればこれをいろいろな経費に利用できる。復旧費として公的な機関にやってしまうと利用できませんから、そういうところからこれに反対でございます。でありますから、そういう反対があっても大臣は次の来たるべき通常国会くらいには、今お前の言ったことはおれも同感だから、それが具体化するように必ずおれはやるぞということを——少々あらしがあっても、多分おやりになれるだろうと私も期待しますから、その積み立てば公的機関に積み立てておく、事業団が工事を全部やるというきわめて筋の通ったことを、来たるべき通常国会には成案として大臣がおやりになるように、大臣がこれをおやりになっていただくなら、他の大臣がやれなかったことを、さすがに高碕通産大臣はおやりになったというので私は最大の評価をいたしますから、一つそのつもりでがんばっていただきたい。 それからこれは小さなことだが、測量制度という機関も作られたのであるが、これが一向活躍をいたしておりません。たとえば甲の炭鉱、乙の炭鉱、丙の炭鉱というか、その鉱区が入り乱れておるから、だれの鉱害だかわからぬ。あるいは上の石炭層は甲の鉱区、下の石炭層は乙の鉱区というようなこと等もありますので、従って鉱害はだれの鉱害かということがわからないので、鉱業権者はおれの鉱害でないといってこれを拒否して、あえて鉱害復旧をやりません。そうすると甲がやらぬと、乙もおれの方じゃないと言います。丙もおれの方じゃないと言います。困るのは被害者だけが困って非常に泣いておるという状態です。そのために測量機関を作ってやろうということになったわけですが、こういう点がどうもまだあまり活躍しておるようなことを聞かない。昨年の国会でしたか、これをやるということになったと思いますが、その後この測量制度機関というものは一体どのように活躍をして成果を上げているのか、これを一つあとで伺いたい。 それからこれもさきの積立金制度と同じように、実は測量制度機関を活躍さすことを鉱業権者は反対でございます。そういう点を測量して明らかに出されるということになってくると、鉱害が甲の鉱害か乙の鉱害かということがはっきりしてきますから、自分が責任を持たなければなりません。やっぱりなすり合いのけんかをしておるということは、自分が出さないでいいから、被害者は泣かしてもその方がとにかく得だというので、測量制度に反対です。反対であるから石炭局の方ではこれをようやれぬでおるのかどうか、こういう点も一つあわせて伺いたい。とにかく鉱業権者が反対したってそんなことは断じてちゅうちょするものでないというような勇気を持っておやりになる決意があるかどうかもあわせて伺っておきたい。 それから大臣に最後に一点だけ伺いたいのは、これはこの間の国会のときにもお伺いをし、大臣の意見も伺ったことでもありますし、また高碕大臣も御賛成でありますから、あえて伺う必要もないようなものでありますけれども、通常国会が目の前に迫っておりますので、これは非常に深い関係がありますから念のために伺うのでありますが、鉱業権と地上権の調整について鉱業法が改正されてこれを解決するまでの期間、時限立法として特別立法を制定してこの調整をはかる必要があるということは、現地の通産局長もまた係官もこれを切なるものとして本省の方にも訴えて、書類も来ておるはずです。大臣はまた自分の信念としてもこの調整はすべきであるという気持をお持ちになっておることを私は伺っております。大臣もそうであるし、現地の局長もそうであるし、係官の人々もその必要があるということを言っておるのでありますから、従って私はこの調整のための時限特別立法をもって調整されることはすぐできるのじゃないか、こう思うのです。たとえば建設省にしても、厚生省にしても、運輸省にしても、そういう関係官庁はいずれも被害者的立場に立ちますから賛成でございます。そうするとこれに反対だというのは、おそらくは鉱業権者が非常に制約をされるのじゃないかという不安を抱いて反対するのではなかろうかと思いますが、私は何もこの調整法自身が鉱業権を制約し、施業許可を与えないとか、あるいはそれを圧迫するとか、そういうことを考えておりません。やはり国家的見地から掘らした方がいいのか、掘らせない方がいいのか、掘らすとすればどういう掘らせ方をした方がいいのか、あるいは地下鉱物を出すためにそれが大事であるなら、地上にそういう公共物というか、あるいは問題を起すようなものを作らせないようにするというか、そういう意味においての調整の必要を私は言っておるのであります。どうしても地上区を守らなければならぬということがあるなら、地上の被害を最小限度に食いとめるように採掘の方法をどうするか、あるいはその地区だけを掘らせないようにするなり、国家がその鉱業権に対してどのように損害を補償するかという調整のやり方はいろいろあると思います。欧州、ドイツなどでもこれはやっておるようなことを、この前見たことがございます。従ってこういう近代重工業地帯あるいは公共物、こういうものが非常に作られておるわけでありますから、従って鉱業権と地上権の調整というものは、こういうような近代的なものになればなるほど、この調整の必要が当然に起ってくるわけでございます。そういう点から私は大臣初め係官の人々もその必要の切なることを感じておられると思うのであります。従って来たるべき通常国会にこれは時限特別立法として当然出されるであろうと、陳情者も私もまたそう思っております。そういう約束になっておるような気が私もいたします。だから従って来たるべき通常国会に大臣はその調整措置についてそういうものをお出しになるということを、この係官に命じて用意と準備をされつつあるか、まだ今からでもおそくないわけであるから、そういうことを命じて通常国会に出される用意をされつつあるがどうか、そういう点について一つお聞かせ願いたいと思います。
○高碕国務大臣 鉱業権とそれから地上権との調整ということ、これはもうお説のごとく私ども痛感しておるわけなんでございますが、これの外国の例なんかを見まして、まだ日本が両方の因果関係の調査といいますか、研究というものがほんとうに行き届いていないということがはっきりいたしたものでありますから、この点の研究を早くしろ、こういうことを命じているようなわけであります。ただいまのところ私は鉱業法の抜本的の改正をするときにこれをやっていきたい、こういう考えをしておるわけなんでございますが、その後の方針またやり方につきましては政府委員から説明いたさせます。
○樋詰説明員 地上権と地下の採掘権との調整でございますが、これはお説の通りいろいろ問題を起しております。われわれといたしましてもできるだけ調整のうまくいくように努力をいたしたいと思っておりますが、ただいま大臣から申し上げましたように、実は地下をどれだけどういうふうに掘れば地上にどういう変化がくるか、たとえば水平移動がどうなるか、ひずみがどうなるか、沈下がどうなるか、引っぱりはどうなるかといったようなことにつきまして、これは残念ながら日本の鉱害測量の制度が非常に発足がおそかったということで、十分にきわめられておらないわけでございます。御承知のようにヨーロッパ各国はもう非常に古くから鉱業法を持ち、そしていろいろな長い経験を経て、大体地質その他から見ての一定の因果関係というようなことにつきましても十分なデータを持った上で、調整その他必要なことをやっているわけでございますが、まだわれわれの持っております資料では、地下をこれだけ掘るためには、地上にどれくらい強い堅固な建物を作らなければならないかといったような一例をとりましても、まだ自信のあるデータというものを持っておらない。そこで先ほどもお話がございましたが、二十九年度から鉱害測量を始めております。特に昨年度から筑豊地区に三カ年計画で鉱害測量を徹底してやろうということで、すでに四千点ばかりの測点を設けてやっております。来年度もさらに費用を約倍にいたしまして測量を継続して、大体来年度中には合計して五千五百点くらいの測点を持ちたい、こう思っております。三十二年から始まりまして三十四年、この三年間で一応筑豊地区については相当の測点を持つことによって、それらの地域における地下をどれだけ掘れば、地上にどういう変化がくるかといったようなことの計数もある程度取り得るデータがそろうのじゃないか、そういうふうに考えております。地上の権益との調整につきましては、御承知のように現在の法規の中にも、非常に地上に大きな影響を与えるというときには、特別掘採計画を提出すべき地域として通産大臣が指定することになっておりまして、現に小倉市、飯塚市あるいは福岡市の姪ノ浜地区とか、あるいはこの前問題になりました瀬板池というようなところは、それぞれ指定になっておるわけであります。この指定になりましたならば特別掘採計画を出してその認可を得なければならないわけでございますが、その特別掘採計画を認可するに当りましては、認可基準を作らなければいかぬ、それから認可基準と申しますのは、これは御承知の地方鉱山保安協議会にかけてきめるということになっておりまして、そこで第三者あるいは労務者という方にも入っていただいて基準をきめるということになっておるわけでございますが、残念ながら先ほど申し上げましたのは、データが十分とってなかったということのために、どういう計算方法をすべきか、こういう建物、施設に対してはどういう点を特に注意して計算すべきかといったようなことは、ある程度わかってきたのでございますが、いわゆるどこまでを許容限度とするかといったことについては、まだ一律的な基準を立てがたいということのために、いわゆる認可基準というものを作らなければならないにもかかわらず、それが作れませんために一件々々につきまして、さらに中に専門部会を設けまして、これは許すべきか許すべからざるかということを検討せざるを得ないというのが現状でございます。従いましてかりに将来何かの地上との権益を調整することのために、鉱業権者の権利を制限し、あるいは地上権者の権利を制限し、さらにあるいは場合によっては国庫である程度の負担をするといったような場合にも、これは一体だれがどの程度負担すべきかということについての基準が明確にきまらぬ間は、せっかく作っていただいても動かないということにもなりますし、そうなりますとわれわれ政府といたしましては、まだ因果関係もはっきりしないというものに対して、必要な予算措置を講じろということになりましても、現在のところ正直の話、私どもまだ政府部内をこれで十分統一するという、説得するというだけの資料も持っておらないということでございますので、さしあたりはできるだけそういうデータを収集いたしまして、因果関係をはっきりさせるということに努力を注ぎまして、その上で先ほど大臣から申し上げました鉱業法の全面的改正というようなことと並行いたしまして、両権益の調整をいかにはかるべきかということについて慎重に進めていきたい、こう思っております。それからこれは先ほどちょっと大臣から申されました事業団による鉱害の復旧あるいは供託金の強制徴収というようなことにつきまして、原則的にはそういうのが望ましいのじゃないかということで、研究したいと大臣は仰せられたのでございますが、私どももちろん大臣の御方針に従ってそういう方向で検討したいとは思っております。しかしたとえば未払金を積むということ、それは伊藤先生先ほどお申しになりましたように、むしろ鉱害を及ぼしたけれども十二分にそれを復旧してくれない中小炭鉱あたりが一番問題じゃないか。そういうところには確かに何らかの格好でこういうある程度の強制徴収というようなことも考えるという必要が起るかとも思いますが、しかし逃げも隠れもできないようなものについては、それを手元に置かしておけば、いろいろと活用されて、そうしてそれによってできるだけコストを安くしようという石炭鉱業にとっての資金の円滑化ということにプラスになるというような面等もございますので、今後われわれ研究いたします場合にも、被害を与えたけれども跡始末をしないというような炭鉱が出ることによって、各方面に、御迷惑をかけるようなことのないようにするためには、どうすれば一番いいかというような方向で研究さしていただきたいと思いますので、御了承いただきたいと思います。 それから、測量がうまくいっていないのじゃないかといううお話でございますが、これは先ほど申し上げましたように、大体すでに四千点の測点を設置して測量をやっておりますし、われわれといたしましては、三カ年計画で筑豊炭田については一応の測量を終えたい、こう思っておりますので、予算措置を講ずるとともに、その本来の目的に沿い得るように、これは責任を持って遂行したいと考えております。
○伊藤(卯)委員 私の質問は終ったのでありますが、今局長が答弁されました点に疑問がありますので、その点を再度質問というか、私の意見を述べて明らかにしておきたいのは、さきに特定地区ということで、たとえば小倉というか、あるいは八幡というか、飯塚市というか、福岡市を例にあげられましたが、こういうところは御存じのように施業許可を制限をしたりなんかしてやっておりません。やはりこれはいつの間にか施業許可を与えて採掘をして陥落が起っております。また今の法律の現状では、これを通産局長が施業許可を与えないということはなかなかできぬのであります。もし与えないということを局長がやるのならば、これはやはり憲法問題でもありましょうし、所有権に対する侵害でもありましょうし、そういう点から国家がその制限をした地域について補償するというか、何かそういう形ができない限りにおいては、今の法律の建前上、実際問題としてこれは現地の局長としては施業許可を与えない、制限することはなかなかできないのです。だから、そういう点から私は特別立法論を言い、あるいは鉱業法においてそういう調整のできるものを作る必要のあるということを、私は言っておるのであります。今のままでやるなら、現地の通産局長が一番困るのです。地上からのいろいろの文句があり陳情がある。鉱業権者の方も一定の地区において施業許可をしろということを要求する。その板ばさみになって困るのは現地の局長です。従って特定地区を設けてその地区を制限するということは、今のままではできないのです。だから、私はその点をはっきり、御存じであろうけれども、申し上げておきます。また、どうも今の局長の意見を伺っておると、鉱業法を改正するまでの時限的な特別立法を作って、地上と地下との調整をするという問題については、何か非常にあいまいな、後退したようなことのようでありますが、もしそういう考えであるなら、これはまたなかなか問題が出て参りますから、やはりここで何らかのそういうことをすみやかにおやりになる必要があるということと、それからあいまいにしておかれれば、やはりまた問題が出てくるということ、こういうことを十分お含み置きを願いたいということを申し上げておきます。 それから積立金の問題でありますが、これも今中小のことだけを局長は例にとられたが、中小はもちろんそうである。ところが大手と称しておったところでも今日鉱業権がだれのものであったかということのわからない膨大な鉱害地区というものがあります。あに中小ばかりではありません。従来大手であったという地区においても、そういう地区があります。そうすると、結局鉱業権者の行方不明、無資格になったその膨大な鉱害地区というものは、これは国家がやらなければならぬようになってしまっているのです。しりぬぐいを国家がしてやらなければならなくなっているのです。これというのは、私がさっきから質問しているような積立金を公的な機関が徴収している。そうして公的な機関の事業団がこれの復旧をやる、これが早く確立しておったとするなら、今日行方不明の鉱害地区であるとか、無資格の鉱害地の膨大なものは残らないのです。全部やられておるはずです。そういうこともさかのぼって一つ十分お考えを願えば、こういう点がよくわかると思います。だから大臣がさっきおっしゃったようなことを、やはり国家の政治として私は考えるべきだと思う。今局長の意見を聞いておると、その積立金を経営者に持たしておけば、これを活用することによって生産費が安くなるとか、便利であろうということだが、これは資本家には全く便利です。何億というものを外へやっておくより自分が活用しておくということは便利であることはきまっておる。その便利の結果、被害者が泣くようなことや、あとで国家がそのしりぬぐいをしなければならぬということは、国の政治としてあるべきことでないということを私は言っておるのです。もっと国の行政機関としては、やはりどっちにもとらわれないということですべてを、取扱いをするということが、私は政治の公正でなければならぬということを言っておるのです。こういう点を十分考えていただくよう要望いたしまして、私の質問を終ります。
○長谷川委員長 本日はこれにて散会いたします。 次会は、明日午前九時四十分より理事会、午前十時より委員会を開会いたします。 午後四時四十七分散会