商工委員会 第5号
- 発言数
- 96 件
- 登壇者
- 15 名
- 会派数
- 2
- 開催日
- 1958/10/17
会議録
○長谷川委員長 これより会議を開きます。 公共用水域の水質の保全に関する法律案を議題とし、審査に入ります。 まず河本経済企画政務次官より趣旨の説明を聴取することといたします。河本政府委員。 ————————————— —————————————
○河本政府委員 ただいま議題となりました公共用水域の水質の保全に関する法律案の提案理由並びにその要旨について御説明申し上げます。 近時都市人口の増大、鉱工業の急激な発展にもかかわらず、都市下水道の整備が著しく立ちおくれ、工場、事業場等においても汚水処理施設の整備に欠くるところがありましたため河川、湖沼、港湾、沿岸海域その他の公共の用に供される水域が年々汚濁され各種の問題が随所に発生するに至りました。 すなわち、汚濁水の放流に起因して水産業等の関係産業に相当の損害が生ずる等の事例が増加する傾向を示しておりまして、この傾向をこのまま放置するときは、産業相互の協和を害し、均衡のとれた経済発展を阻害するだけでなく、これに起因して紛争等を惹起し、また公衆衛生の向上をも期しがたいと考えられるので、政府といたしましてはかかる事態に対処する措置として新たに本法を制定し、水質保全のために必要な基本的事項を定め、もって産業の相互協和と公衆衛生に寄与させようとした次第であります。 以上がこの法律案の提案の理由であります。 御承知のように欧米の工業先進国においては、すでに十九世紀以来水質汚濁の規制について、その対策が論議されており、わが国においてもさきに資源調査会から水質汚濁防止に関する勧告がなされ、その後引き続き政府部内において複雑多岐にわたるこの問題について種々調査研究してきたのでありますが、このたび、成案を得まして提出の運びとなった次第であります。 次に本法律案の要旨につきまして御説明申し上げます。 第一に、水質基準についてでありますが、本法は各省所管の汚濁水規制に関する各種行政法規に対しいわゆる基本法的な地位に置かれるものでありまして、本法によってこれらの行政法規の運用統一をはかり、直接の取締り等は各行政機関にゆだねることになるのでありますが、この運用統一の基本となるべきものが水質基準でございます。まず経済企画庁長官が公共用水域のうち汚濁による相当の被害が生じまたは生ずるおそれが高い一定の水域を指定水域として指定し、当該水域について水質保全上必要であるとともに具体的に順守可能な水質基準を定め、工場排水等の規制に関する法律、鉱山保安法、下水道法等の主務大臣がこの基準によって現実の取締りを行い、これによって本法の目的とする水質の保全を実現しようと期している次第であります。なおこの基準は公共用水域の水質の保全をはかるための行政上の基準でありますので、当事者の民事上の免責規定ではないのであります。 第二に、水質審議会についてでありますが、経済企画庁の付属機関としてこの審議会を設け、指定水域の指定、水質基準の設定等の重要事項については、この審議会で慎重審議の上決定することといたしております。なお水質保全に関しましては地下水の汚濁等今後の研究に待つべき課題も多々あると考えられますので、公共用水域及び地下水の水質の保全に関する基本的事項を水質審議会の所掌事務に掲げ、今後の施策の検討の場といたした次第であります。 第三に水質汚濁による被害に関する紛争についてでありますが、この種の紛争は近来各地にしばしば見受けられるところでありますが、解決に迅速を要し、また判定に専門的知識を要する等、本来裁判制度になじまない性格を有するため、ややもすれば両当事者の力関係に支配され、必ずしも合理的な方法で解決を見ているとは言いがたいものがあります。これを放置するときは、産業相互間の協和を害するのみならず社会問題化するおそれなしとしないので、水質保全行政の一環として本法に都道府県知事による和解の仲介制度を設け、紛争処理を合理的な軌道に乗せようとはかったのであります。 最後に本法の施行に伴い経済企画庁において関係行政機関の水質保全行政を調整する等の必要を生じますので、附則において同庁設置法の一部を改正し、関係条文の整理を行なった次第であります。 以上公共用水域の水質の保全に関する法律案の提案理由並びにその要旨を御説明申し上げたのでありますが、何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願いする次第であります。
○長谷川委員長 次に工場排水等の規制に関する法律案を議題とし審査に入ります。まず大島通商産業政務次官より趣旨の説明を聴取することといたします。 ————————————— —————————————
○大島政府委員 ただいま議題となりました工場排水等の規制に関する法律案につきまして提案理由を御説明申し上げます。 近年における鉱工業の発展に伴い、工場事業場から排出される汚水に関し各種の問題が発生し、放置を許さない事態に立ち至っております。この問題は、わが国産業構造の高度化に伴う農水産業等の第一次産業と鉱工業等の第三次産業との間における不幸な避くべからざる摩擦現象でありますが、わが国経済の調和のとれた発展をはかるためには、一面において鉱工業の振興対策を強力に推進しなければなりませんとともに、他面その発達過程における他産業ないしは公衆衛生の分野に対するその悪影響をできるだけ軽減しつつその目的を遂行することが必要であることは言を待たないのであります。 政府といたしましても、水質汚濁防止に関しては、関係各省が相集まって数年来検討を続けて参ったのでありますが、本年九月ようやく意見の一致を見たのであります。その案によれば、経済企画庁長官が、各方面の学識経験者及び関係行政機関の職員より成る水質審議会の議を経て、保護すべき水域を指定し、その水域に適用される水質基準を設定するとともに、他方、工場、事業場、鉱山、下水道等に対しては、それぞれの主務大臣がこの水質基準を順守せしめるよう法的措置を講ずることとなったのであります。 この決定に従いまして、経済企画庁においては、その担当すべき部分を実施するため、公共用水域の水質の保全に関する法律案を立案し、今国会に提案いたすこととなったのであります。この法律による水質基準の適用を受けますものとしては工場事業場の外に鉱山、下水道、水洗炭業等々があるのでありますが、鉱山、下水道、水洗炭業等につきましてはすでにそれぞれの規制法律が制定せられておりますので、今回いまだ取締り法規の定められていなかった工場、事業場について、その主務官庁たる大蔵、厚生、農林、通商産業、運輸の各省が共同してこの工場排水等の規制に関する法律案を立案し、前述の経済企画庁立案の法律案と相呼応して、主務大臣に課せられた責務を完遂するための体制確立に万全を期したい所存であります。 本法案の主要な内容は次の通りであります。 第一に、この法律は経済企画庁において定める水質基準の具体的適用範囲のうち製造業、ガス供給業及びこれらに類する事業に関する分野における事業活動に伴って発生して参ります汚水等の処理を適切にすることによりまして、公共用水域の水質の保全をはかることを目的としております。 第二に、この法律は、製造業等の用に供する生産施設のうち汚水等を発生するものを政令で特定施設として指定し、およそ特定施設を設置している者は、その特定施設から排出される汚水等の処理を適切にし、公共用水域の水質の保全に心がけるべき旨を明示しております。 第三に、工場排水等を指定水域に排出する者については、特定施設の設置、変更を行う場合、あるいは、特定施設の使用方法ないしは汚水等の処理方法の変更を行う場合において、事前に主務大臣にその計画を届け出ることとし、主務大臣はその計画が工場排水等を水質基準に適合させるものであるかどうかを検討し、もし問題があれば、汚水等の処理の方法の計画の変更を命じ、さらには特定施設自体に関する計画の変更、廃止等を命じ得ることとしたのであります。なお、新たに指定水域が定まった場合、あるいは新たに特定施設が定まった場合等においては、既存の特定施設を設置している者については経過措置としての届出をさせることとし、実態把握に遺憾のないようにいたしております。 第四に、現に指定水域に排出されている工場排水等が、その水域の水質基準に適合していないときは、主務大臣は、その工場排水等を排出する者に対し、汚水等の処理方法の改善、特定施設の一時停止、その他必要な措置をとるべきことを命令することができることとし、常に水質汚濁の事実が発生しないよう取り締る根拠としたのであります。 第五に、特定施設を設置する者に対しまして、以上のように公共用水域の水質を保全する義務を課しましたにつきましては、その義務の履行を容易にして、本法の実効をあげるため、汚水処理施設に対する固定資産税を免税するとともに、国として汚水処理施設の設置または改善につき必要な資金の確保、技術的な助言その他の援助に努めることとし、さらに主務大臣は、適切な汚水処理技術の研究及びその成果の普及に努めるものとしたのであります。 以上が、この法律案を提出する理由であります。何とぞ、慎重御審議の上、御賛同あらんことを切望いたす次第であります。
○長谷川委員長 以上で両法案の趣旨の説明は終りました。 なお両案についての質疑は後日に譲ることといたします。 —————————————
○長谷川委員長 次に通商産業の基本施策に関する件及び経済総合計画に関する件について調査を進めます。質疑を順次許可いたします。内海清君。
○内海(清)委員 私は昨日船舶の輸出に関します振興策につきまして若干のお伺いをいたしたわけでございますが、その中で特に設備等輸出為替損失補償法の船舶に対する適用、特にポンド建、ポンド払いのものにつきましての十分なる考慮をお願いし、お尋ね申し上げたわけでありますが、これに関しまして運輸省の方でも、これは船舶輸出の最も大事なことである、さらに通商大臣におかれましても、これが全面的に適用になるように最善の努力をいたす、かようなお言葉をいただき、大蔵省の方といたしましては、今後はケース・バイ・ケースによってこれをできるだけ適用しようというお言葉をいただいたわけであります。これは今後十分にお考えいただきますことによって、船舶輸出がかなりの伸びがあるものと考えます。特にドル地域からの船の発注は今後はなかなか多く望めぬと思うのであります。ポンド地域からの引き合いにつきましては、昨日船舶部長のお話の通り、膨大なるものがあるのであります。しかも今日におきましては、ドル地域でも運賃でありますとか、あるいは雇船料というふうなものがポンド払いになっておるのがきわめて多いのであります。従って造船契約をポンド払いとする要求が順次ふえておる傾向であると思うのであります。かような意味から申しまして、今後ポンド為替の変動に備えまして、これも昨日のお言葉を十分に実現できますように、特にこの際お願いしておきたいと思うのであります。 次には、延べ払いと円借款のことについて少しお尋ねをいたしたいと思うのであります。船舶の輸出はアメリカ市場でありますとか、あるいはロンドン市場、あるいはギリシャ船主などの大手市場のほかに、中近東あるいは中南米その他中国以外の共産圏諸国等の新しい市場もあるわけでありますが、これらの市場の開拓には、どうしてもこの延べ払い制度の承認基準を大幅に緩和して、そうしてこれが契約を獲得することが必要であると考えておるのであります。さらにこれらの地域におきましては、ドル不足がはなはだしいのでありますから、円借款等の開設も必要であると思うのであります。これらにつきまして政府のお考えを承わりたいと思うのであります。
○高碕国務大臣 現在のところ中南米及び東南アジア、中近東からは相当船舶の延べ払いあるいは円借款の交渉があるわけでありますが、これを今一律に実施するわけにいかないわけでありまして、相手国の経済状態と、それから相手国の日本に対する国交の友好関係等もよく考慮いたしまして、ケース・バイ・ケースに、頭金を何割にするか、あるいは延べ払いの期限をどれくらいにするかということをきめていきたい、こう思っておりますが、これは逐次船舶をもってこの方面の経済協力、あるいはその国の産業を助成するという意味から進んでいきたいと存じております。
○内海(清)委員 これにつきましては大臣のお言葉を全面的に信用いたしまして、十分なる御配慮をお願い申し上げたいと思うのであります。さらにこの船舶輸出につきましては、造船業者の経済基盤を強化して国際競争に打ち勝つ、こういう面が必要であると思うのであります。その一つの問題といたしまして、輸出所得特別控除の問題をお聞きしたいと思うのであります。この制度は、明年末で打ち切りになる、こういうふうになっておると思うのであります。この輸出特別控除の租税特別措置というものは、社会党といたしましては、このような特別措置に対して原則としては賛成しがたいのでありますけれども、現実の問題といたしまして、これが輸出振興として実施されております今日、打ち切られることに相なりますると、一応これが輸出振興のチェック・ポイントと相なると思うのであります。通産省といたしましては、この措置の打ち切りにどういうふうに対処しておられるか、あるいは大蔵省と何か意見交換を行われておるか、造船業がこの措置によって得ておりますところの収益の損金算入額は、大体どのくらいの額になっておるか、こういうふうな点につきましてお伺いいたしたいと思うのであります。
○高碕国務大臣 輸出所得の特別控除というものは、来年で切れるわけでありますが、通産省といたしましてはこれを継続していきたい、こういうふうな考えで今進んでいるわけであります。 あとの数字につきましては政府委員からお答えいたします。
○山下説明員 ただいまお話しになりましたように、輸出所得の控除が、船舶の輸出に大きな力になっているわけでございます。従いまして私の方といたしましても、通産省また大蔵省にぜひその制度を存続さしていただくようにお願いしているわけでありますが、ただいまのところ控除されました金額が幾らになっておりますか、資料を持ち合せておりませんので、後刻御報告申し上げたいと存じます。御了承願いたいと思います。
○内海(清)委員 造船業者の経営基盤強化につきましては、その他なお多くの問題があると思うのでございますが、時間の関係もございますので、また次の時期に譲りたいと思います。 次にお伺いいたしたいと思いますのは、最近私ども聞きますと、運輸省におきましては輸出検査法によります輸出船舶の検査を実施される、こういう御意向があるというふうに聞いているのであります。これはいつから実施されるか、また明年度の予算としてこれは予期しておられるのか、一応お伺いいたしたいと思います。
○山下説明員 船舶の輸出につきましては、問題になりますのはおもに小さい船が問題なのでございます。と申しますのは、小さい船は、いろいろの設備を小さい船に搭載するために技術的にもいろいろ問題がございます。ほんとうに小さい船になりますと、かえって大きい船よりもむずかしいようなむずかしいケースが出ます。それからもう一つはどちらかと申しますと、小さい船の建造につきましては、設備の比較的小規模な技術陣容の少い工場で作られるケースが多いわけであります。従いまして、その建造技術その他が必ずしもいいところに相手の国から注文されるというふうには限りませんので、その点につきましては十分厳重な検査を、または設計当初からそれを注意いたしまして、いやしくも日本から出しました船が、外国に行きまして名声を落すことのないような措置を講じたいというふうに考えております。従いまして検査法を適用する場合におきましても、大造船所におきましては、また技術水準が高いところにおきましては、その会社の社内検査を信用してその検査にゆだねる、政府といたしましてはその足らぬところを補うという程度にとどめまして、主として小さい造船所、また技術水準の低いところにつきまして、検査規準をはっきり作りまして、事前にそういうあやまちのないようにしていきたい、こう考えております。その問題につきましては、実は漁船の問題で農林省といろいろ事務的な打ち合せをいたしております。できるだけ早くこれを実施したいと考えておりますが、あとまだ二、三カ月の時日は要るのではなかろうか、こういうふうに考えております。
○内海(清)委員 ただいまの船舶局長のお話によりますと、主として小さいものについての検査、かように承わったのであります。大体船舶輸出は、繊維品あるいは食料品の輸出と違いまして、受注生産による輸出なんであります。従いましてメーカー側とオーナーとが建造の過程におきましてすでに常に連絡をとっておる。従ってクレームとかトラブルとかそういうようなのは、両者間で随時これを妥結して仕事を続けていっております。特に政府の検査によってクレームとかトラブルが防止できるというふうなことは、なかなか考え得ないのでありまして、従って輸出検査という名目は大へんいいと思いますが、船舶等の検査につきましては、本格的にこれを実施するということになると、方法論として非常に大がかりなものになるということ、検査の能力が伴わない場合には、これはいたずらに役人の温存場所になるんじゃないか、こういうきらいが非常に強いのであります。これらにつきまして通産大臣の見解をお伺いいたしておきたいと思うのであります。
○高碕国務大臣 一般の輸出検査というものはなかなかいろいろな問題がありまして、よほど技術的に長じた者が検査官に立たないと、かえってその結果悪い結果になるということにならぬとも限らないので、よほど注意したいと思います。船舶の方は御承知のロイドの検査法もありますから、ある一定の規定があるから、きわめて私は楽だと思っておりますが、しかし小型の漁船等小型の船になりますと、だんだん船の種類も多種多様になってくると存じますが、しかし日本の国の商品として輸出する上において、今後船舶が必要であるということになれば、この船舶に対する技術等も十分検討いたしまして、できるだけ検査規定というものを設けていって、各方面の意見を総合して、日本において初めてりっぱな検査基準ができるというふうなことにも持っていきたいと思っておるわけなんでございますが、これはよく運輸省とも打ち合せた上でやりたいと思っておりますが、私たちはやはり検査は当然すべきものだ、こう思っておるわけなんであります。
○内海(清)委員 船舶輸出に対しましては、ただいま申し上げましたような実情によって実施されておるのであります。しかしこれを検査するということは、もちろん異議がないと思いますけれども、果して実際にこれをやろうとするならば相当な人員が要ると思うのであります。今運輸省でお考えになっておりますもので、どのくらいの人員を予定されておりますか。
○山下説明員 私ども船舶検査を実施します場合に、実は予算定員を要求いたします。ところがなかなか増員を確保するに至りません。しかし現在地方の出先に船の検査に従事しておる検査官がございます。また造船所のいろいろの技術行政に参加しております技術官もございますので、それらの者を適宜利用いたしまして、そうしてこの法律が制定されました場合に、運営に支障のないようにやろうと考えております。その検査の基準並びにやり方等につきまして、実は各造船所のエキスパートに御参加願って、今審査をお願いいたしております。その基準につきましても先ほど申し上げましたような趣旨で、おもに小さい造船所についての技術的な問題について十分調査するということでございますので、必要があれば小さい造船所、また技術水準の低いところから出ました設計、仕様書その他につきまして、大造船所の有力な技術者等の応援を願って、事前に十分審査するというような段取り等も考えられる。従いまして予算的にも極力切り詰めて、しかし、事業の遂行に支障のないようにというようなうまい運営をやりたい、こう考えておる次第であります。
○内海(清)委員 ただいまの船舶局長のお話によりますと、役人の増員をしないということのようでございますが、船舶の輸出検査に当って、それで果して所期の目的が達し得られるかどうか。この点を私ども危惧いたしております。今いろいろ立案中だということでありますので、今後私どもの心配しておりますようなことがございませんように、十分な御配慮が願いたいと思うのであります。 次に、先般計画造船も出ました。ところが、これは御承知のように二十五万トンであります。従って、輸出造船の面から見ましても、これは大手造船所の受注にほとんど片寄ると思うのであります。中小造船所の船台はこれからだんだんあいてくるおそれがあると思うのであります。運輸当局は直接の行政担当局といたしまして、中小造船所の操業度を一定水準に維持させるような対策を考えておられるかどうか、この点一つお伺いいたしたい。
○山下説明員 ただいまお話のように、中小造船所の現在受注しております量は、きわめてわずかでございます。もうすでに船台が相当長期にわたってあいておる工場も出ております。ことしの暮れから来年にかけては、大半の船台がからになるというような、きわめて憂慮すべき状況であります。私どもこれらの中小造船所の対策として考えておりますことは、何しろ需要が起きなければ中小造船所の仕事がふえないことは当然であります。その喚起をはかるのが第一に必要であるわけであります。御承知のように来年度におきましては、いわゆる旅客船公社というものを、今運輸省で国会の御審議を願うことにしておりますが、そういう旅客船公社等ができました場合に、瀬戸内あるいは沿岸の小さい客船等の代替建造が促進されるであろう。それが一つ。第二番目には、これまた沿岸の航路の貨物船の代替建造を推進していく。そうして老朽船を淘汰するという船舶需給の調整法をやはり今国会に提出する予定でございます。従いましてそれらがもし通りましたならば、この両法案を通じまして、小さい船の建造が興り得るであろうということ。それから第三番目には、これはフィリピンまたはインドネシア方面の賠償の関係でございます。今のところフィリピンにつきましては大型船の発注が多いようでございますが、インドネシアにおきましては必ずしもそうでなく、インドネシアの沿岸を航行いたします小型船舶の発注が相当期待できるであろう、まだその全体的なスケジュールははっきりしておりませんけれども、私どもはそういうふうに仄聞いたしております。従いましてそれらのものにつきましても、できるだけ中小造船所に仕事が回りますように気を配っていきたい。それからもう一つは、現在のところ中共との関係が非常に不円滑でございますが、中共等に対するココム制限の緩和等がございましたので、船舶の輸出ができるのじゃなかろうか、来年度あたりにぜひ中共に対する造船の視察団等を出して、これらの需要を喚起していきたいというふうにいろいろのことを考えておるわけでございますが、目下のところ非常に困っていることは事実でございます。
○内海(清)委員 時間の関係がございますので、この辺で質疑を打ち切りたいと思いますが、御承知のように最近造船業も非常な不況の状態に追い込まれつつあるのであります。しかしながら船舶輸出はわが国輸出産業の第一位を占めておるような状況でございます。ことに、昨日船舶局長からもお話がございましたように、政府の施策いかんによっては、船舶輸出はなお十分なし得る余地があると考えるのであります。さらに造船業におきましては関連産業は多くのものを持っておりまして、労務者の数から申しましても、関連産業を入れれば三十幾万になると思うのであります。これらの造船労働者、関連産業労働者にしわ寄せの参りませんように、政府といたしましては十分な御配慮を願い、今後わが国の輸出産業の第一位を依然として確保できますような格段の御努力をお願いいたしまして、私の質疑を打ち切りたいと思います。
○長谷川委員長 堂森芳夫君。
○堂森委員 私は繊維不況に対する問題につきまして企画庁長官にまずお尋ねをいたしたいと思いますが、企画庁長官は参議院の方に御出席のようでありまして、きわめて残念でありますが、かわりの方に御答弁を願いたいと思います。 昨年以来、繊維の不況に対しまして、政府は多くの総合対策と申しますか、そういうものをやってきていると思います。そして原料部門であるとか、織布の部門であるとか、あるいは輸出部門であるとか、こういうふうに大別して三つの方面から総合的な対策を立ててきておられますが、現在のところ何ら明るい方向に向う見通しはございません。しかも現在長期にわたる、最高五割の操短、あるいは少いところでも二割の操短をやっておる。こういうふうにして、日本の繊維の歴史を見ておりますと、操短の繰り返しだ、こうも言われておりますが、このような状態になってきた原因は何であると企画庁では考えておられるか、まず御答弁を願いたいと思います。
○大堀政府委員 非常にむずかしい御質問でございますが、企画庁といたしましても、長期的には繊維の全体としての需要はまだ今後伸びる、国内の個人消費につきましても、長期計画におきましては、現在一人当り十三ポンドないし十四ポンド程度でございますが、五カ年計画の三十七年度には二十ポンド程度まで内需も伸びるであろうというふうに考えております。ただ需要の内容といたしましては、やはり天然繊維の伸び方はきわめて少いと思うのでありまして、むしろ化学繊維が相当伸びる。従ってその内容は、現在天然繊維に対しまして化繊の比率が三二、三%でございますが、これは四二%くらいまで変っていくだろう、こういうふうに観測いたしております。当面の問題といたしましては、やはり繊維関係の設備が、総体的にかなり過剰になってきておる。それに対して最近輸出が停滞をいたしておりますことと、ことに東南アジア等において中共その他の綿布の問題もございまして、そういった影響で需要が停滞をしておる。国内的にも昨年来の景気の影響もございまして多少停滞いたしております。そういったことで滞貨が累積し、これが圧迫して、市場を特に悪くしておるのではないか、かように観測いたしておるわけでございます。現在のところ当面の問題としましては、先ほど御指摘がございましたように、生産調整によりまして在庫をある程度調整いたし、同時に設備の問題といたしましては、国の設備買い上げの促進、そういった面から手を打っております。また輸出につきましても、賠償に消費財を加えていく、こういった面でもできるだけ努力をしていくべきではないか、かように考えております。
○堂森委員 ただいまの企画庁当局の説明を聞いておりますと、まるでよその国の繊維産業の動向がどう変ってきた、あるいはこうなるのだ、こういう御説明のようでございます。企画庁といたしましては、たとえば日本の繊維製品はこれくらいの内需がある、あるいはこれくらいの輸出の需要がある、こういう一つの見通しを持って、そうして自民党政府ですから計画経済、計画生産はできない、こう言えばおしまいでありますが、しかし今日の設備が過剰になってきた、あるいは生産が非常に過剰になってきた、こういうふうな原因は、私は政府に責任が大いにあると思うのです。なぜかといいますと、たとえば昭和三十二年度の予算案を政府が提出いたしますときに、当時の池田大蔵大臣は、もう日本の経済の拡大生産の基盤は磐石になったというような大ぼらを吹いておる。すなわち神武景気に政府が乗りまして——もうすでに昭和三十年の終りごろ、あるいは下期の初めごろから、繊維については一つの不況の徴候がはっきり出てきておるわけであります。しかるにこの数字を見ますと、繊維の設備のふえ方は異常なものがあるわけであります。たとえば昭和三十年の末から三十三年の末までに綿紡機の方は一〇%もふえてきております。スフの紡織機の方は三割七分以上もふえてきておる、スフ綿の方は驚くなかれ六割三分というようなふえ方をしてきております。人絹糸の生産設備はやはり五割六分以上のふえ方です。昭和三十年の末からすでにもう繊維については、不況の徴候が明らかに出てきておる。当時から昭和三十二年の終りまでの二年間に驚くべき数字の生産設備の過剰がやってきておるわけです。また昭和三十二年の九月現在において、昭和二十五年の三月を基準とした全産業平均の約三倍近い設備のふえ方に対して、繊維は驚くなかれ四倍以上のふえ方をやってきておる。これはあなた方の役所で作った数字であります。そうしますと、繊維産業の設備のふえ方というものは、一般のすべての産業のふえ方の平均よりもずっと上回って、大きく飛躍したふえ方をしてきておる。これは一体どうしてそんなことになってきたか。まるで気違いざたのようなふえ方である、こうも言えると思うのであります。なぜこんなふうに設備が過剰になってきたか、こういうことについては、一つは、もちろん繊維産業の資本家たちが無我夢中になって、そうして神武景気によってもうけ、あるいはまた戦争中、あるいは戦争直後の繊維の統制時代が済んで、昭和二十六年でございますか、繊維の全面的な統制が撤廃になって以来、非常にもうけた金を利潤追求の本質から、繊維産業の資本家たちが競って設備の拡充に狂奔した、こういうことも一つの大きな原因であります。もう一つは、政府がいろいろな税法的な恩典を与えるような資本蓄積政策を強行して参った、こういうところに原因があるわけでありますが、このような膨大な繊維産業の設備がふえて参った、過剰になってきた、こういうことについては私は政府に大いに責任があると思うのでありますが、通産大臣はどのようにお考えになるでありましようか、一つ御答弁をお願いいたします。
○高碕国務大臣 今日の不況の原因は、ひとり繊維工業だけでなく、日本全体の産業について、お説のごとく、神武景気に酔っぱらった結果非常な設備の拡大をした。三十一年に比して三十二年が全設備において六〇%以上の設備の拡大をしたことが、今日の原因になっておるということは、お説全く御同感でございまして、その一番先に行ったのは繊維である。繊維がよけいやったんだ。従って今日罰が当ってよけいひどくなっておるのは当然のことだと思います。これは政府といたしましても全然責任がないとは申しません。けれども、今日政府は自由主義の経済を原則といたしておるわけでありますから、できるだけ行政指導によって、そういうふうに先走りをせぬように常に努力いたしておりますが、業者自身にもやはりそれをわきまえてもらってやっていかなければならぬ、こういうのが現状でございまして、その結果今日各自が減産をし、そうして苦難の時代を経なければならぬ、こう存じておりますが、一国の産業はやはり伸びるときはうんと伸びなければならぬ。場合によれば縮まなければならぬ。それが多少見積りを間違えましたこと——世界の市況がこんなことになるということは、だれも予想してなかったということのために、われわれの予想以上に困難が来ているということは事実でありますから、この際設備をしてしまった結果でありますから、これはもうそれを論じても仕方がないから、過剰の設備をいかにして整理していくか、悪い設備をこの際に整理し、いいものは生かしていくというふうな方針をもって善処していきたいと考えております。
○堂森委員 まことにおそれ入った答弁であると思うのです。高碕通産大臣は政府における通産行政の最高の責任者でございまして、これではわれわれは納得できないのであります。これは後ほど同僚議員が御質問を申し上げますから申し上げませんが、今日たとえば鐘紡のごときは膨大な利益を好況時には獲得しながら、無統制、無計画な事業の拡張をやって、今日は合理化政策と称して労働者の賃金カットをやる、あるいは工場の閉鎖をやる、あるいはまた労働者の整理をやる、こういう態度に出てきているわけでありまして、これは大きな一つの経済問題であるばかりではなく、大きな社会問題である。またこうした問題が展開されていくということは、連鎖反応として他の産業にも伝染病のごとく飛び散っていくことは当然であります。こういうことは、結局また繊維に戻りますならば、そこで賃金べースのダウン、あるいは失業者の続出ということはただでさえ不景気で需要の減ってきたこと、繊維の内需の減少ということからもふえてくるわけでありまして、非常に大きな問題であります。この鐘紡の問題に関しましては特別に御質問になるようでございますから私は申し上げませんが、そこで、今日まで政府が昨年以来とって参りましたいろいろな繊維産業の不況に対する対策というものが、ほとんど効果を奏していないと思います。そこで通産大臣として、一体今後どのような方法で繊維産業を組織していくといいますか、どのような方針で繊維産業——これは従来日本の外貨獲得には大きな役割を果して参った重要な産業でもあるし、あるいはもう今日は仕方がない、イギリスのランカシアみたいに、インドの植民地に綿業を扶植してきた結果、おれのところはなくなるのだ、こういうようなことであきらめるならば特別であります。しかし政府としては何らかの緊急な、あるいは長期的な、総合的な対策があるはずに違いないと思うわけでありますが、現在どのような構想でおられるのか、通産大臣の御答弁をお願いしたい、こう思うわけであります。
○高碕国務大臣 従前日本の繊維産業は世界の競争場裏に処して、特殊の技能と、そうして優秀なる技術を持っておったことは事実でございまして、これをいかにして生かしていくかということでありますが、今日これに対抗して新興の国家が新しく市場を獲得するということのために打撃を受けていますし、一方日本の現在の繊維産業全体は、設備過大に苦しんでいる状態でありますが、この場合に、古い設備を整理し、いいものだけを生かし、そうして従前ある一部分の意見では、日本は綿もない、羊毛もない、従って今後の進むべき道は合成繊維に重点を置くべきだ、こういうふうなことの意見が一部分にあったようでありますが、それは私どもは間違いだと思っております。従前は綿においても羊毛においても持っておった特殊の技術を十分生かして、それから新しい合成繊維の方はもちろん、これは日本において原料が供給できるのでありますから、これに相当の力を注ぐということはもちろんでありますが、合成繊維と同時に綿なり羊毛あるいは現在の日本の絹糸等もこれに加えまして、そうして繊維工業全体としての総合的の進み方をここに考えていかなければならぬ。今後私はこの方の問題に重点を置いて総合的に繊維工業をいかにすべきかということの問題を徹底的に検討を加えて、それに応じたような方針をとっていきたい。そうすることによって私は日本の繊維工業は、世界各国の中で優秀の地位を得て、また再び第一の輸出産業となるという時期がくるだろうと存じております。
○堂森委員 通産大臣の御答弁はまことに抽象的であると思います。なるほど本会議の質問でございますならば、時間もございませんし私は抽象的なそのような御答弁でいいと思います。しかし委員会というものはもっと具体性を持った御答弁が願えるのが当然だろうと思うのです。たとえば繊維産業の不況というもの、今日ある姿を一体今御答弁になりました合成繊維などに転換すべきだ、こういう意見もあるが、私はそう思わない。たとえば従来からやってきた優秀なる技術を生かして、もう一度重要な輸出産業として発展させていくべきだ、こういうふうな御答弁でございますが、しかし政府は何かもっと具体的に、たとえばこういうふうな組織を作って、あるいはこういうふうな何か大きな委員会でも作ってやっていくとか、そうしてこういうふうな見通しがついたとか、何か御答弁がなければならぬ。そんなばかな抽象的な御答弁では一体何のことかわかりません。従って私はもう一度もっと具体的な、こういうふうにしていくという御答弁をお願いしたい、こう思うのであります。
○高碕国務大臣 ただいま申し上げました趣旨に応じまして、現在繊維局において実行いたしております方針につきましては、繊維局長から御説明いたします。
○今井説明員 先ほどからお話がありましたように、現在需要の方は非常に横ばいと申しますか停滞しておりますし、一方それに対しまして非常に供給力が多いということが繊維産業の共通の悩みでございます。根本から申しまして輸出なり内需をふやしていくということができれば、それに越したことはないと思います。しかしながら輸出にいたしましても、現在繊維産業は、たとえば人絹織物にいたしましてもスフ織物にいたしましても、全世界のその種類の織物の輸出の六割ないし七割を占めておるというふうな状態でございます。従いまして今後私どもとしてあらゆる努力はいたしますけれども、輸出の伸びは今まで過去数年来非常な勢いで伸びておりますけれども、そういうカーブで果して伸びるかどうかということにつきましては、よほどの努力あるいは東南アジアのいろいろの問題が好転するというふうな問題が、やはりそれに関連して参ると思います。それから内需につきましては、これは二十五、六年ごろから内需が非常に早い大きなテンポで伸びて参ったのであります。戦後十数年たちまして、たんすの中も不満足ながら多少詰まったという状態になりますと、ここへ来まして非常に内需の伸び方も少くなっておるというところに、需要の伸びが停滞したということに問題があるわけでございます。ところで生産設備、供給力の方は今までこの数年来輸出につきましても内需につきましても非常なテンポで伸びて参りました。その伸びが将来続くのではないかというふうに、おそらく業界の方で期待いたしまして、さような伸びに充足するような生産設備を実は民間の方で作った。従いまして今後需要が非常に伸びて参りますれば、設備問題も起らないわけでありますが、需要がそういう傾向にあるということになりますと、どうしても相当高率の操短をしなければならぬ。従いまして問題の対策といたしましては、需要をいかにして伸ばすかということが根本でございますが、それがいろいろの関係で、やはり相当問題があるということになりますれば、結局供給力をどうするかという問題になるわけでございます。そこへもってきまして、繊維産業全体として今非常に大きな転換期にあるように感ぜられるのでございまして、それは御承知のように合成繊維がここ二、三年でもって急速にふえて参っておるわけでございます。全体から申しまして合成繊維の充足率というのは数量的に申しますと六、七%程度でございますが、これは御承知のように金額的に非常にかさばるわけでございまして、スフなんかに比べまして四倍、五倍というようなことでございます。従いまして、数量の伸び方以上に国民の購買力の方から言いますと、合成繊維の占める割合というものは非常に大きくなりつつある心従いまして合成繊維と既存の繊維との関係をどうするかというのが、今後のあり方として大きな問題になっておるわけでございまして、また綿なり羊毛なり絹なりの天然繊維と、それからスフなり人絹なりの化学繊維とのあり方をどうするかという問題を、やはりここへ来て大きく再検討しなければならぬわけでございます。私どもといたしましては、やはりこの際そういう転換期に処しまして、根本的に再検討しなければならぬ時期じゃないかと考えておりまして、近く各業界の主脳の人あるいは学識経験者を入れまして、一つの懇談会でもってその問題を根本的に討議するということにいたしておるわけでございます。その際に、要するに設備対策と申しましても、たとえばスクラップにするという問題もございましょう。しかしたとえばスフにいたしましても人絹にいたしましても、最近においては新しい設備が相当たくさんできておるということになりますと、設備自体においてさほどの径庭がない、その場合に非常に大きな設備でございますので、スクラップについて、そういうことが果して可能かどうかというふうな問題もございますし、いずれにいたしましても一部工場をやめまして操業しておるというところに、繊維の原料の割高ということで非常に生産費がかさんでおるわけでございます。従いまして能率のいい工場に生産を集中する、しかしその場合に労務の問題も起りましょうし、いろいろな問題も起るわけでございまして、そういう問題をどういうふうに考えていくか、これはあらゆる非常に広い視野から考えなければならぬということで、こういう総合対策懇談会を作って、そこで検討したいということにしておるわけでございます。
○堂森委員 ただいま繊維局長からの答弁を承わっておりまして、なおさら驚くわけでございます。たとえば昭和三十年ごろに、すでに繊維不況の徴候ははっきり見えておった。そうして繊維工業設備臨時措置法の立法化にかかっておるのが三十年の終りであります。三十一年の六月でございますか、国会を通過いたしておるわけでございます。そうしてここで五カ年計画と称して設備のチェックにかかかっていろいろ対策を講じてきた、こういう経過でありますが、私は政府の怠慢がいわば今日の繊維不況がさらに深刻化してきたといっても私は間違いでないと思う。またただいま需要の問題について申されました。輸出をもっとふやしていくように今後努力する、こういう御答弁もありました。また内需を見ますると、かなり二十五、六年のころを契機として急激な伸びがあったが、すでに頭打ちにきている、こういう御答弁でありました。私もそうだと思うのです。しかしながら、たとえば戦前と戦後の日本における繊維製品の占める役割といいますか、戦前はたしか内需に向けたものは三割前後でなかったかと思うのです。ところが戦後はどうしても内需がこれを引き受けていかなければ繊維産業が成り立っていかないような状態、これはすなわち輸出市場の梗塞が来ておると思うのです。たとえばインドネシアの例をとりましても、きょうもらった資料では、これはもちろん絹、人絹でありますが、今年においては、七月から九月まではインドネシアの人絹の織物の輸出はゼロとなっておるようであります。全然ないのかどうか知りません。そして昨年の七月から九月までと、本年の七月から九月までの輸出数量を比較しますと、半分に減っておるのです。それから三十一年に比較してもやはり約半分に減っておる。これはインドネシアの外貨の不足あるいはその他の事情による手控えもございましょう。とにかく従来自由民主党の政府がとってきた外交政策に原因して、非常な市場の梗塞があると思うのです。アメリカから余剰の農産物としての綿花を押しつけられる、こういうことでありましょう。また特に岸内閣になってから、共産圏、特に中共に対しての政策が、きのうも本会議で問題になったように、急テンポに外交政策が対米依存という方向に強く進んで参るようでありますが、こうした岸内閣の性格がやはり貿易にも大きな影響を来たして、私は繊維の立場だけから考えても、今日日本の貿易構造が大きな転換期へ向ってきておって、今までの貿易構造では繊維だけを取り上げても輸出の振興はなかなか困難じゃないか、こういうふうに考えるのであります。これは議論になりますから申しませんが、貿易の今後の見通しあるいはまた内需の今後のふえ方——戦前とは違って内需にうんとたよらなければいかぬような情勢になってきた。日本の繊維産業についての今後の輸出及び内需の見通しについて、もう一度繊維局長から御答弁を願いたいと思います。
○今井説明員 戦前と現在と比べまして、内需のウエートが高まり輸出の割合が減るのじゃないかという趨勢はその通りじゃないかと考えております。輸出につきましては、たとえば綿織物ということになりますと、戦前一番出ておりました当時において年に約二十七億ヤールくらい出ておるわけであります。去年あたりは綿織物自体は十四億五千万ヤールに減っておりますけれども、なおそのほかに戦前にはございませんスフ織物が約十一、二億出ておりまして、輸出におきましても、たとえば綿製品、それに代替するスフ織物を含めまして、ほとんど同じ程度の数量が出ておるわけでございます。その間世界の全体の綿布の総貿易量というものは非常に減っておるわけでございますが、これは主として後進国において紡績設備、織布設備、繊維工業が発達したということで減って参っておるのでありますが、日本はそういう綿織物、スフ織物合せますとほとんど減っていない。それから入絹織物についても、多少スフ織物に食われまして減っておりますけれども、戦前に比べまして絶対量自体はそれほどは減っていないのでございます。ただ将来の綿織物ということになりますと、パキスタンあたりは、数年前は日本の一番大きな得意先でございました。それが繊維工業ができました結果、ほとんど日本から行かなくなってしまったというようなこと、そういうことを考えていきますと、あらゆる努力をいたしましても、それほど今後急速に伸びることは考えられないわけであります。人絹織物、スフ織物は、日本がほとんど全世界の輸出数量の七割程度を占めておるというような状態でございます。従いまして、どうしても今後の需要ということになりますと、昔の輸出は大体六、七割各繊維産業において占めておったわけでありますが、これは現在はちょうど逆になりまして、輸出の方が三、四割、内需が六、七割くらいの比率になっております。今後かえってそういう傾向が助長されるのではないかというふうに考えております。さような意味合いからいたしまして、私ども内需の開拓と申しますか、そういう方面に大きな関心を持っておる次第であります。
○堂森委員 内需の拡大ということは、これはぜひともやらなければいかぬことであります。しかし残念ながら自民党政府の資本家本位の政治ではきわめて困難であろうと私は思っておりますが、これは議論になりますから申しません。 そこで私はいろいろ当面の問題に移ってみたいと思います。今日ほど操短あるいは織機の制限——これはもう合成繊維にも関係するわけでありますが、これに関連いたしまして、現在撚糸業者は非常な打撃を受けておると思うのであります。またもう一つは織機の製造業者が非常な打撃を受けておるのであります。これはもちろん中小企業庁また重工業局に関連した問題ではないかと思いますが、撚糸業者は、今日特に日本では零細な業者が多いと思います。しかも今日西欧諸国では非常にすぐれた撚糸の機械設備が、日進月歩で発展いたしておるわけであります。しかもまた今日織物業者は、綿スフにしても絹人絹にしても一つの大きな団体的な行動をとって政治力を持っておるのでありますけれども、撚糸業者はほとんどそうした組織も何もないという状態でありますが、この二つの問題について質問したいと思います。撚糸業者はどういう状態なのか。そしてどういうふうな対策を政府はとっていかれるか。それから織機の製造業者が大きな打撃を受けておると思うのですが、現在どのような状態になっているか、今後どのような対策をとっていかれるか、この点をお伺いしたいと思います。
○今井説明員 撚糸業者が現在非常に苦境に立っておることは事実でございます。特に絹人絹なり、あるいはそういうふうなどうしても糸をより合わして使うという種類の業種については、撚糸業というのは非常にウエートがあるわけでございます。ただ御承知のように大きな紡績業あるいは織物業と違いまして、まとまった業態でないために、今まで私の方として十分施策が行き届いていないということも事実でございます。この撚糸業につきまして実態調査と申しますか、たとえば設備がどれだけあってどういう状態になっておるというふうなことを、現在業界と打ち合せつつ調べておるような状態でございまして、さしあたりまだ手は打っておりませんけれども、これからそういう谷間と申しますか、そういう部分につきましても十分手を打って参りたい、かように考えております。
○小出政府委員 繊維産業の不況対策に関連いたしまして、織機それ自体を製造いたしておりますメーカーの関係の問題に関しての御質問でございますが、当面の問題として、合繊織機の設備制限に伴いまして、どういうふうな状況であり、対策をとっておるかという御質問でございます。御指摘のように、繊維産業不況対策の基本的な問題は、需給のバランスがとれないために、とりあえず供給力を制限するということでございまして、繊維産業自体といたしましては、設備が制限されるだけであって、注文がストップするわけではございません。織機の製造業者といたしましては、制限でなくてほとんど今後新しい生産ができないという面におきましてはある意味では非常に影響が深刻であるわけでございます。従いまして通産省といたしましては、繊維局とわれわれの方の重工業局と相談をいたしまして、合繊織機の設備制限を行います前に、あらかじめ紡織機の製造業者に対する対策を、一応方針を立てたわけでございます。御承知の通り織機の設備制限規則の施行に伴いまして、まず大体九月十五日現在というところを時点として押えまして、諸般の経過措置を考えたのでありますが、まず第一には、織機製造業それ自体の合理化を促進するという面でございます。それにはどうしても技術水準を高めまして、高級な織物を中心とした繊維品の輸出拡大をはかる。もちろん一方において国内需要の増大ということも考えなければなりませんが、そのためには第一に紡織機の技術水準を高めますための施策あるいは研究が行われるわけでありますが、それに対しまして現在鉱工業技術研究補助金というような各種の補助金がございます。その補助金をできるだけ積極的に充当する、積極的に充当するという意味は、こういった研究補助金を与えます場合に、その審査の基準というものがございますが、その審査の基準をできるだけ有利と申しますか、業界の方に対してできるだけ積極的に与えるという方法によって審査をやっている。それから第二は技術水準を高めますためのメーカーの合理化計画に対しましては、海外技術を導入する、海外との新しい技術提携をやる。生産がとまりましても生産の技術は日夜進歩しておりますので、これにおくれてはならないという意味で、海外との技術提携をできるだけ促進いたしまして、そういった技術水準の向上に努める。それから合理化資金の調達につきましても、商工中金等のあっせんによりまして、積極的に資金の調達をあっせんするというような点を中心にいたしまして、どうしてもやむを得ず転業しなければならぬというような場合におきましては、新規企業への転換資金は、もちろん商工中金なりあるいは中小企業金融公庫を通じまして、積極的にあっせんするということは考えられるわけであります。 これは大体国内対策でございますが、一方輸出を促進するという面につきましては、もちろんこういったブランクの間に、中共の製品等が東南アジアに進出するというようなマイナスの面もございますので、できるだけ東南アジアというような後進地域の諸国に対します経済協力を促進する。その経済協力計画の内容といたしましては、できるだけ紡織機という品目をとり上げてもらいまして、紡織機の輸出の促進をはかるように考慮していきたい。それからこの輸出の振興業務に関連いたしまして、マーケットの開拓なりあるいはアフター・サービスというようなものを行いますにつきましては、相当外貨資金が要るわけでございますが、そういった外貨資金の獲得につきましてもいろいろな形でできるだけ必要額を優先的に確保するような措置をとっていきたいというふうに考えております。 これらは今後における内需なり輸出促進における基本的な対策でありますが、とりあえずの経過措置といたしまして、先ほど来申しましたように、九月十五日現在で一応押えたわけでございますが、この九月十五日現在までにいろいろ注文を受けておって、しかもその日までに納入ができないというようなものもございますので、それらにつきましては経過措置といたしまして、すでに登録されております登録織機のりプレイス——更新のあっせん、あるいは新規織物業者の登録権譲り受けのあっせんというようなことを積極的に行いまして、既契約のキャンセルをできるだけ防止するということであります。それから九月十五日の施行日までに約束通り生産されておりましたけれども、まだ引き渡しが済んでいないというような織機が相当あるわけでございまして、そういう織機がメーカーの場所にある場合におきましても、言いかえますれば需要者——ユーザーのところになくても、その織機の所在の場所において確認措置を認めるというようなことを、ただいま現地の通産局を通じましてやらしております。そういうような段階でございまして、先ほど申しましたように、織機のメーカーの方は、ある意味においてこの影響がより以上に深刻でございますので、できるだけ万全の措置をとっていきたい、かように考えております。
○堂森委員 まず繊維局長にさっきの御答弁に対して重ねて質問いたします。ただいまの繊維局長の答弁によりますと、まだ今のところ撚糸業者についてはその実態もわかっていない、こういう答弁でありました。これはまことに繊維当局あるいは通産省の怠慢だと私は思うのです。織物を作るについて撚糸はつきものであることは、これは車の両輪のごときものであります。撚糸なくして織物は織れない。しかも織機の過剰買い上げというような一つの具体的な施策がなされているにかかわらず、撚糸業者に対してはまだその実態もわかっていない、こういうようなことではまことに怠慢である、こう私は強く抗議を申しまして、そうした片手落ちの施策はけしからぬ、こう私は申したいのであります。また、最もそういう点はあるわけであります。撚糸業者は特に零細な業者が多くて、しかも力が弱くて、何ら政治的な組織力がない、そして政府に向っては何も団体的な陳情はできない、こういう弱い面がありますから、政府は弱い者はほっておいて、やいやい言う者は助けておる、こういうようなことはまことにけしからぬ、こう私は申し上げたいのであります。一日も早く撚糸業者に対しても施策が必要である、こう思うわけであります。まだ何もきまってない、せっかく努力中だ、これは政府がいつも言うことであります。たとえば、私実はゆうべ参議院の商工委員会の速記録を読んでみたのです。これはたしか休会中でありますから、おそちく八月だと思うのです。八月の参議院の商工委員会において同じようなことを答弁しておるのです。撚糸業者に対してはまだ実態がつかまれておりませんので、目下懸命に実態の調査中であります、善処します、こういう答弁をしておられまして、もうだいぶ時間がたっておるわけでありますが、きわめて怠慢である、こう申したいのであります。またただいま織機メーカーに対する施策の答弁がありました。しかしあのような答弁では、私はおそらく業者あるいはメーカーは、きわめて不安な状態にあると思うのです。たとえば転業したいという場合に、中小企業金融公庫であるとか、あるいはそうした——これは半官半民といいますか、そういう機関でありますから、私もそういう方面に金融の依頼をしたことがありますが、それは一般の普通銀行と同じにきわめて厳重でありまして、あなたが役所で、転業の方は金を貸してもらえるなんて思っておられると、とんでもないことでありまして、そんな簡単なことで金融機関は金は貸しません。でございますから、今後どのような連絡をしながら、そうしたところには優先的に融資をしていくという具体的な万策をとっておられるのか、一つ御答弁を願いたいと思うわけであります。
○今井説明員 撚糸業につきまして対策がおくれておりますことは、はなはだ残念でございますが、一日も早く十分対策を立てるようにいたしたいと思います。
○小出政府委員 紡織機の製造業者の転換の場合における資金のあっせんの問題につきましては、もちろん転業ということそれ自体非常に困難な問題でございますし、新しい企業を始めるわけでございますので、金融機関といたしましても相当慎重に考えるということは、私も承知しておるわけでございますが、具体的には、先ほど私数字を申し上げるのを忘れましたけれども、大体合繊織物関係の織機の注文を受けておりまする全体の台数が三千八百五十台ございます。そのうち九月十五日までに納入可能なものが千五百五十五台、九月十六日以降が二千二百九十五台、大体三千八百五十台という合計数字であります。全体の九割まではすでに契約金の受理あるいは材料手配済みというような関係になっております。そこで実態をまず把握いたしまして、これは主として中部地方が中心でございますので、名古屋通産局等の商工部等におきまして、具体的に転換の希望あるいは転換の見込みあるものというようなものを調査いたしまして、それらのメーカーにつきましては地元の金融機関の支店、支所等を通じまして、具体的なあっせんをこまかにやっていこう、こういうことでございまして、金融機関を所管いたしまする中小企業庁とも連絡いたしまして、そういう措置を促進しておる次第であります。
○堂森委員 重ねて局長に万遺憾なきよう処置なさいますことを希望いたしておきます。 そこで時間があまりございませんから、私は通産大臣にお尋ねをしたいと思います。たしか九月の休会中の委員会に、通産大臣は何かの用件で御出席にならなくて、当時その委員会には繊維局長が出席しておられました。その前日に参議院の商工委員会で、緑風会の豊田委員が質問をしておられるわけです。今日過剰織機について綿スフ、絹人絹について、政府が今後二年間に七万台の織機を買い上げていく、そして一台につき二万円の政府の補助金を出していくというわけであるが、豊田さんの質問は、二万円の国庫補助ではおそらく出ないであろう、政府は七万台を二年間に買い上げると言っているが、とうていそのような数字には達しないであろう、そういう場合に政府はどうするのか、こういう質問をいたしておるわけであります。そうしますと通産大臣が、これはまだ大蔵省の了解は得ていないが、そういう場合には予算のワク内で集中的に、もう少し高く買い上げの補助金額を上げていくことも考えておる、こういう答弁をしておられます。このことについて繊維局長にお尋ねしましたが、繊維局長は、私はそんな答弁は知りません、こういう答弁をしました。事もあろうにそういう重要な、今日焦眉の問題について繊維局長が知らぬというのはけしからぬのでありますが、知らぬものは知らぬのでありまして、幾ら責めても仕方がありませんから、そこで次の委員会に通産大臣から御答弁を願いたいと思ったわけでありますが、この御答弁には間違いがないでありましょうか、いかがですか。
○高碕国務大臣 私は二万円でどうしてもいかぬということになれば何とか方法を講じたい、こういうふうな考えで初めから進んでおるのでありますが、そのことを、この前の豊田さんの質問について私の考えを申し上げたわけであります。いろいろその後考慮し、また折衝もしてみたのでありますが、どうしてもこれは最初われわれが予定しておった二万円以上払うことができないという結論に達したことを、ここに御報告申し上げておきます。
○堂森委員 通産大臣よろめきまして、またもとへ戻られたようでありますが、それでは通産大臣は詳細については御承知ないかもしれませんから、繊維局長にお尋ねいたします。 政府が二万円の補助をして、業者負担、スクラップ代をまぜて絹人絹では三万五千円くらいになりますが、それで買い上げていくという方針、あるいは綿スフの方は数はもっと多いのでありますが、このような程度で、政府が目的としておる買い上げが果して予想通りに進行していくと思っておられますか。あるいは現在得ておられる情報ですね、これはもちろん政府は強制的に買い上げるわけにいかぬのであります。従って任意に、買い上げをしてくれという申し入れを集計して買い上げるわけでありますが、現在得ておる繊維局の情報はどんなふうな状態であるか、御答弁を願いたいと思います。
○今井説明員 買い上げがおくれておりますことははなはだ残念でございますが、現在業界におきまして、人絹織物につきまして政府補助二万円、業者負黒万円、スクラップ代五千円の三万五千円では不満足であるという声があることは事実でございます。この組合の責任者は大体それで行かざるを得ないというふうに踏み切っておるのでございますが、まだ十分納得しない個々の組合員があることも事実でございまして、とにかくやってみなければ果して何台出るかということはわからないわけでございますが、今のところ連合会の方から、絹人絹織機につきまして各産地の組合に三万五千円で、大体幾ら出す希望者があろうかという照会を出しておりましたところ、それに対する回答は約八千台ということでございます。と申しますことは、結局八千台が最低である、八千台は少くとも出るということでございまして、どうしても三万五千円以上はほかに手段がないのだということがはっきりいたしますれば、これに対してプラス・アルフアの織機が加算されて出てくる、かように考えるわけでございますが、そのアルフアを足して予定通り一万五千台になるかどうか、これは私どもも確信はございませんが、とにかく三万五千台で決定して、一日も早く取りかかることが、この際やはり一番いいのじゃないか、かように考えております。
○堂森委員 このたびの買い上げについて、全面的に転業していく小さい業者が相当あると思うのです。繊維局長あるいは通産大臣においては、こうした転業する機屋さんに対して、特に金融的に買い上げだけでは、とうてい転業はできないと思うのです。大体一台五万円くらいで抵当に入っておる機屋が多いのです。三万五千円もらった場合に一万五千円の赤字になるわけですね。そうすると転業しようにも借金でできない、こういう業者が相当多かろうと思うのです。そこで転業資金というようなものについて、具体的にどのようにめんどうを見ていこうと考えておられるか御答弁願いたい、こう思います。
○今井説明員 小さな機屋さんで、自分の織機は全部出してこの際廃業したいという方々に対しましては、三万五千円のほかに何とか見てあげたいという気持で、いろいろ検討はしておりますが、それに対する結論は出ておりません。と申しますのは、結局たとえばおやじさんは転業したのだけれども、あとそれによりまして少しよけい金をもらって、そしてまたすぐおかみさんが他から織機を譲ってもらって仕事をするというふうな問題がございます。従いましてその織機の買上価格を転業者にいかに厚くするか、気持は私どもそういう気持でおるのでございますが、まだその辺の結論がついておりません。 それからもう一つ、お話の今度転業して他の仕事を始める場合に、その新しく始める仕事についての資金が出るかどうかという問題でございますが、これは私どもといたしまして、たとえば商工中金にいたしましても、あるいは国民金融公庫にいたしましても、できるだけあっせんの労をとりたいと思います。
○堂森委員 中小企業庁長官来ておられますね。あなたの方にも重大な関係があると思うのですが、どういうような具体的な方策で、転業していく小さい機屋さんに対してどのような施策をしていかれますか。現在どのように考えておられますか御答弁願いたいと思います。
○岩武政府委員 転業の問題はいろいろ事態があるのでございますが、具体的に一体廃業してどういう仕事を始めるか、それについてどういうふうな資金が要るか、こういう問題になろうと思います。それでこれは一律一体にも参りませんでしょうから、各廃業者の考え方あるいは計画にもよると思います。金融的にはもちろん旧債の償還とか、廃業のいわば金というようなものは政府金融機関でも、あるいはその他の金融機関でも出せないと思いますが、今後の新しい事業を始めるにつきましての具体的な計画に即応して、これはたとえば国民金融公庫もございますし、あるいは設備資金でございますれば中小企業金融公庫もございます。さらにある程度まとまった組合等になりますれば、これは商工中金等もございますので、何とかしたいと思うのでありますが、問題はそういうふうな具体的な行く先の計画内容だと思います。具体的に例が出ますれば、これは十分に考慮したいと思っております。
○堂森委員 絹人絹、綿スフで七万台の買い上げがある、こういうことに政府はきめたわけでありますが、そこで私、こういう一つの矛盾があるのじゃないかと考えますが、どうでしょうか。今日三割の操短をたとえば絹人絹がやっておる。大体絹人絹で広幅換算で二十万台あるといわれております。そうすると三割ということは六万台の操短をやっている。そうはいかぬでしょうが、そう見られるのじゃないか。そうしますと今後三万台を買い上げて、今までに一万台買い上げていますから、四万台、五万台を買い上げていって、それで需給のバランスがとれていくのでありましょうか。私考えてみると、その点が非常に不安になるのですが、繊維局長いかがでございますか。
○今井説明員 現在大ざっぱに申しまして、封緘という形ではございませんが三割だけ減産さしておる。従いまして六万台見当のものが遊んでおるというのが現実でございます。従いまして従来の買い入れと今後の買い入れを入れまして四万台程度になる。従って二万台余るじゃないかということは事実でございますが、ただこの人絹織物自体にいたしましても、今後業界の需要の開拓によりまして、やはりもっと需要は伸ばさなければいかぬという問題もございますし、たとえばほかの合繊織物あるいはアセテート織物、新規の織物にいたしましても、人絹織物以上に需要が伸びてくるわけでございます。従いまして若干のゆとりを持つことがやはり必要なんじゃないか、かように考えております。
○堂森委員 もう私は時間が参りましたから質問を終りますが、最後に通産大臣に、一日も早く繊維に対する総合的な対策を立てられまして、この不況にあえいでおる——もちろん全産業不況でありますが、繊維産業に対しても十分なる措置をとられますよう強く希望いたしまして、私の質問を終ります。
○長谷川委員長 小林正美君。
○小林(正)委員 先ほど来堂森委員に対する当局の御答弁をいろいろ承わっておったのでありますが、どうも現実にこの非常な深刻な繊維不況に対して十分なる責任を感じていらっしゃる、こういう工合には受け取れぬのであります。そこで繊維不況の問題について、さらにつっ込んでお尋ねをいたしたい、こう思うのであります。私どもは今日の繊維不況を招来した大きな理由が二つあると考える。その第一は、繊維資本家の利欲にかられた神武景気のもとにおける非常な増設、増産競争の結果こういうことができてきた、これが第一である。第二点としましては、これを助長した政府のいわゆる資本蓄積政策の行き過ぎであった、こういう工合に考えるのでありますが、この点について通産大臣の率直なる御意見を承わりたいと存じます。
○高碕国務大臣 お説のごとく、今日の不況の最大原因は需要にマッチしない設備の増設、増産をしたということは事実でございますが、一面需要がかくまでも減退するといったふうなことはこれを経営する経営者といたしましても、また政府といたしましても、予測に反しておったことも事実でありまして、繊維工業が伸びていくためには、時にはこういうふうな増産をされるということも、過去の実績においてあるわけであります。必ずしもこれは今のお話のごとく政府が助長政策を講じたということだけにもよらない、こう思うわけでございます。いずれにいたしましても、設備を増加したということにつきましては経営者といたしましても、また政府といたしましても相当責任を感じまして、これに対する対策をせっかく講じたいと思っております。
○小林(正)委員 今通産大臣から責任を感じておるのだ、こういうことでありますので、私もその点については今後一そうの努力を要望したいと思うのでありますが、念のためにここでもう一度申し上げておきたいと思うのであります。試みに通産省の調べというものをわれわれが見ますと、設備能力の指数表によって見るときに、設備能力の拡張テンポというものは、昭和三十二年の九月現在におきましては、七年前の二十五年三月を基準とする全産業の平均は二・九倍、こういうことになっております。ところが繊維は実に四・二倍になっておる。ここに私は非常に大きな間違いがあるのではないか、こう考えます。また神武景気のもとにおきまして、すなわち三十年三月に比べて三十二年の九月現在におきましては、全産業の平均は六〇%の増加にとどまっておるが、繊維関係においては実にその設備の拡張が八五%ふえておる。こういうようなところに、非常なアンバランスの原因があったと私は思うのであります。この点一つ、将来政府としても十分考えてもらわなければ困る、こういう工合に考えます。神武景気のもとで上げた会社の利潤というものは、私どもが調査したところによりますと、公表利益だけによっても三十一年の下期決算で見ると、デフレ期の二十九年の下期に比べまして綿紡関係においては四倍、化繊、羊毛関係においては三倍近いところの利益を出しております。ところが、このほかにたとえば鐘紡のごとき企業におきましては、いわゆる隠し利益というものが相当膨大な金額に上っておる。こういう工合に莫大な利潤を上げ得たのは、実に私は政府の助成措置のおかげである、かように理解するものであります。例をあげて申し上げますと、たとえば税制上あるいは租税特別措置法として企業の資本蓄積促進と、輸出振興を目的とする重点的な法人税の減免が行われておる、こういうことに着目しなければならぬと思うのであります。まず所得に対する直接的な税の減免、すなわち主要物産製造業の利子所得の免税、輸出所得の特別控除、配当所得控除の拡大、こういうことが行われております。次いで準備金、引当金のいわゆる損金への算入、すなわち価格変動準備金、貸し倒れ準備金などが行われておる。さらにまた、特別償却として認められておるものには、事業用の機械の割増し償却、海外支店の特別償却など、こういうことが認められておるのであります。以上のような政策の結果、神武景気のもうけというものは、労働者、さらにまた消費者大衆には少しも配分されないで、すべてが設備投資に向けられる、こういう結果を招来した、こう言っても私は過言でないと思うのであります。国民の貧困と貿易構造の対米依存、なかんずく日中、日ソ貿易の梗塞のために、需要が壁にぶつかりまして過剰生産に陥るや、この設備過剰は一挙に表面化いたしまして、深刻な繊維不況に突入せざるを得なかった。従って不況のすべての責任は、私は資本家の考え方の誤まりと、同時にこれを指導して参りました政府の責任にある、かように考えます。この点については先ほど来通産大臣も率直にこれをお認めになっておりますが、こういったような、いわゆる行き過ぎた大資本に対する一つの擁護政策、言うならば資本家に対するこうした誤まった措置というものが、今日の設備の過剰投資を来たしたのではないか、かように考えますが、その点大臣のお考えを承わりたいと思います。
○高碕国務大臣 お説のごとく、今日各社が利益の上るにまかして設備投資をしたということは事実でありますが、しかし一面、一国の産業を論じます上におきまして、今日戦前における各事業者の負債額というものは、自己資本に比較して非常に多くなってきたのでありまして、戦前自己資金が一であった場合には、借入金は大体その半分であるということを原則としておったのでありますが、今日は自己資金が一であって借入金が二になっております。これはいかに日本の産業の基礎が薄弱であるかということを物語っているわけであります。そういう意味におきまして、できるだけ事業を安定せしめ、産業を安定せしめるために社内の蓄積をやって償却をする、あるいは積立金に対してはできでるだけ寛大な措置をとり、償却に対しても寛大な措置をとるということは、今後の産業政策上私はどうしても必要だと存じますしかし今回の設備過剰ということ、誤まってそれが設備に使われたということはまことに残念でございますが、今後そういう点については政府は十分注意していきたいと存じます。
○小林(正)委員 それともう一つ私が言いたいことは、やはり政府の見通しが非常に甘い、そういう点において大きなあやまちを犯しているということを申し上げたい。スフの一カ年半、人絹の一カ年を初めといたしまして、繊維の操短はすでに一年を経過している。通産省の在庫調整完了の見通しについても絶えずズレを来たしております。ことしの九月の試算によりますと、九月から十一月に完了するという前回の七月の予想が、綿、絹、人絹は十二月から来年の二月にまでずれている。前々回五月の試算から比べて実に三カ月ないし五カ月間も予想が狂ってきている。一体いつになったら需給がバランスを回復するのか、こういう点について、もう少しはっきりした見通しを政府当局に立てていただきたい。そうでないと非常に大きな問題を巻き起すのではないか、こういう工合に思うのであります。市況も九月に入りましてから暴落いたしまして、昨年同期に比べますれば約五%から一〇%も値下りしている。本来ならば例年需要期がだんだん迫って参りますと市況が上向くのに、その時期に市況が下っているということは、これは当然政府資本家の不況対策の明らかな失敗だったと思うのですが、そういう見通しについてなぜこういったあやまちを犯したか、その点をお尋ねいたしたいと思います。
○高碕国務大臣 前途の見通しをつけるということは非常にむずかしい問題であります。政府といたしましてできるだけ完全な見通しをつけるために、ひとり日本の景気の将来における見通しだけでなく、世界全体の見通しをつけるために、経済企画庁を中心といたしまして、いろいろな調査をいたしているわけであります。そういうふうな基礎数字をもちまして見通しをつけたわけでありますが、これが見通しが間違ったということは事実でございます。できるだけそういうふうな点につきましては、今後の見通しを完全につけるようにいたしたいと存じます。
○小林(正)委員 私どもは先般商工委員として関西方面に国政の調査に参りまして、現地の業者の代表と会っていろいろと話をしたのでありますが、特に貿易業者などは現在の日本のいわゆる通産行政というものが非常に間違っている、何といいますか、静観という言葉を大臣などはよく使っておられるのでありますけれども、全く何ら処置をとっておらない、こういうようなことに対して非常に大きな憤りを現わしておりました。 そこで私は通産大臣にお尋ねしたいのでありますが、輸出はことしに入ってからも急速に下向きになっております。これは原綿の対米依存を中心とするところの貿易構造の向米一辺倒に原因すると大臣はお考えにならなかったか。もし中国と正常な国交回復を目ざして貿易を再開する態度をはっきりするならば、中ソを初めとする東西貿易が拡大いたしまして、貿易構造の全体のゆがみを是正することができるのではないか。日中貿易再開に即時踏み切るという意思を大臣はお持ちにならぬかどうか。それが現在繊維を含む日本の不況打開のための不可欠の政策と考えるが、この点についてもう少し突っ込んだ大臣の御答弁を伺いたいと存じます。
○高碕国務大臣 今日日本の輸出の停滞いたしております一つの理由として、五月以来中共貿易が途絶されているということは全く同感でございまして、これは私ども最初予想しておりました数字だけでも、少くとも一億ドルは輸出できるわけでありましたが、これができなかったということで、それだけ停滞したということは事実であります。従いまして、この輸出を振興する上において、中共との貿易を一日も早く回復するように努力いたしたいと存じておりますが、御承知のごとく中共側はやはり政治と経済とは分離することができないような状態でございます。私どもの方はやはりできるだけ政治と離れて経済だけでこれと取引していきたい、こういうところに提携することについての困難を来たしておるようなわけでありますが、これをどうして打開するかということに、せっかく努力しておるようなわけであります。
○小林(正)委員 どうも、今の大臣の御答弁は私はそっくりそのまま大臣にお返しいたしたい。すなわち日本の今の貿易産業政策というものが取りも直さずアメリカに直結をして、アメリカのごきげんをうかがって、アメリカの政府のひもつきのもとに経済政策が行われておるから、そこで日本の貿易が中共並びに東南アジアに伸びないのではないか、私はこう考える。その点、通産大臣のお考えは全く逆であります。そういうような中共方面に対するいわゆる敵視政策というものが、今日の日本の産業界の不況の原因の一つの大きなウエートを占めておると私は思うが、その点をもう一ぺんお尋ねしたい。
○高碕国務大臣 私は、日本の経済政策がアメリカの政策によって左右されるべきものでない、こう存じております。従いまして、中共貿易につきましてもできるだけ早くこれを回復したいという考えに燃えておるわけでありますが、今申し上げましたごとく、今日現在の条約があります上において、必ず中共と国交を回復するという前提のもとに進むということはできない状態でありますから、そういうふうな点は必ずしもアメリカによってわれわれは左右されておるとは考えません。
○小林(正)委員 時間がありませんので先を急ぎますので、しばらくこの問題をおあずけといたしまして、次に労働省の労政局長にお尋ねをいたしたいと思います。 実はただいままで繊維不況の問題をいろいろ通産大臣にお尋ねをいたしておったのでありますが、その繊維不況の結果、すべてのしわ寄せが労働者の上に大きく押しかぶさってきておる。この問題についてあなたに一つお尋ねいたしたいと考えます。今までの不況対策の方法というものは、一般的にこれはもう一方的に資本家の救済、労働者への犠牲転嫁ということになって現われてきておる、私どもはこういう工合に見ております。こういうやり方について、一体あなたはどのようにお考えになっておるか、お尋ねいたしたいと思います。
○亀井政府委員 繊維の不況につきまして、この乗り切り策につきましてはいろいろな方法がもちろん考えられなければなりませんが、その中でも特に私らとしまして大事に思いますることは、労働者の協力なくしてはこの不況の乗り切りは不可能であるというふうに考える次第でございます。
○小林(正)委員 きわめて簡単明瞭、不親切きわまる御答弁で残念であります。少し私の考えを申し述べてみたい。昨年からの操短不況対策は、昨秋化繊に始まった一時帰休を皮切りといたしまして、本年の六月から七月にかけては約一万二千名の失業保険適用によるところの一時帰休者を出しておる。また約三千名が退職させられておる。残されたすべての繊維の労働者に対しても、一カ月五日程度の輪番休日制をしかれておる。こういう工合にいろいろと犠牲が労働者の上にしわ寄せされておる。さらに工場閉鎖によるところの首切りや転勤という大規模な犠牲を出したのを、あなたは知っておられると私は思う。特に機業地、機屋のところでは、首切りとか帰休あるいは賃金の遅払いで、労働者が職場から投げ出されて、これはもう非常な大きな社会問題になっておることをあなたは御存じだと思う。こういうような首を切られて失業者になっていくことがいわゆる協力ですか。これが経営に対する協力とあなたは言われるのか。私はこの点についてあなたのお考えを一つ伺いたい。
○亀井政府委員 私が協力と申し上げましたのは、不況乗り切りについて労働者の協力を求めなければならないから、労働条件その他に経営者側がしわ寄せをして、それのみによってこの不況を乗り切るというふうな対策につきましては、われわれとしては当を得た対策ではないということを申し上げる意味の協力ということを申し上げた次第であります。
○小林(正)委員 あとでいろいろ例をあげてお話をしたいと思うのでありますが、資本家に対しては綿製品とか人絹製品あるいは毛製品の買い上げ機関が設けられて、在庫の買い上げに数十億円の金が銀行から融資されておる。これは事実上の滞貨融資というべきものだと思うのです。こうして市価をつり上げることによって資本家には利潤というものが保証されている。消費者大衆にとっては、不況だといっても繊維製品はそれほど値下りしておらぬ、賃金の減収などで、実は今後ますます繊維製品などを買いにくい立場に労働者は追い込まれている。これはむしろ大衆の購買力減退となって、不況を促進する役割を来たすのではないか、こういうふうに私は考えておるのであります。このような岸内閣のもとでの不況対策が続けられる限り、不況はますます長引くのではないか、労働者を初め国民大衆を犠牲にして、ひとり資本家だけに特別の保護策がとられているのは一体どういうわけか、政府はこの不況対策を一体どう心得ているか、正しいと思うかどうか、われわれはこのような不況対策に反対いたします。政府は労働者国民の利益を守るような真の不況対策に転換することを私は考えてほしいと思う。このような方法が別にあると私どもとしては考えるが、一体あなたはどのようにこの問題をお考えになるか。実際会社などをよくお調べになっていただくとわかるが、表面はなるほど赤字を出したような形をとっておりますが、その事実はいろいろな経理的な操作を行なってあるいは利益を隠している、そういうことだってある。そういう点についてもっとあなたは突っ込んでお調べになって、そうして労働行政についてお考えになったことがあるか、私はお尋ねいたしたい。
○亀井政府委員 会社の経理の個々の内容につきましては、個々の会社につきまして具体的に詳細に知悉しているわけではございませんが、問題は、それらの問題がこの賃下げその他労働条件低下にしわ寄せされるということにつきまして、労働組合あたりが団体交渉におきまして、そういう問題を十分に討議をして、会社側からそういうものに対しまする明確な回答を得、その中から団体交渉をさらに煮つめまして、労働条件へのしわ寄せをできるだけ労働組合としては防いで、そうして別な方途による赤字克服の対策を労使双方で協力して作り上げていくという態勢が望ましいのではないかと思いまするし、現に鐘紡におきましては、会社から、赤字克服の方途について組合が協力するならば賃下げあるいは昇給の停止というものについては譲歩してよろしいという提案がなされまして、今、これに基きまする組合側の検討、さらにまた団体交渉が続けられるだろうと私は考えております。
○小林(正)委員 鐘紡の話が出ましたから申し上げますけれども、結局鐘紡の問題というものは、表面上当局が発表した経理内容と実際とは違うのです。その点を労働者の諸君が十分調べて、そうしてどんどん迫ったから鐘紡の経営者も今よろめいてきた、こういうことです。あなた方も少くとも労働問題を口にする場合は、会社の経理内容に十分立ち入ってお調べにならなければならぬ。一方的な表面に現われた現象にとらわれて、それによって労働問題が解決できる、こう思ったら非常に大きな間違いだと思う。そこで通産大臣に、御老体はなはだ気の毒でありますが、鐘紡問題について、もう少し突っ込んで、私はお尋ねいたしたいと思います。 こういう鐘紡のような巨大企業において一割の賃金の値下げあるいは工場の休止、一年間の休職を含むところの企業合理化が行われるということは、これは非常に大きな社会的影響があると私は思うのであります。特に中小企業においては賃下げ、首切りを行おうとしている今この矢先において、こうした鐘紡経営者の行為というものは、実にゆるがせにできない重大な問題であると考えます。この意味において鐘紡におけるこうした問題を通産大臣としては、どのようにお考えになっているか、御意見を承わりたいと思います。
○高碕国務大臣 事業経営、鐘紡なら鐘紡につきましても、その経営の主体はどこにあるかと申しますれば、これは私は三つあると思うのです。一つは資本を出している株主、これを経営している経営者、これに従業しておる従業員、この三つによって立っていっております。景気のいいときにはこれは株主配当を十分ふやす、従業員のボーナスもできるだけふやす、それから経営者もボーナスをとる、こういうことになっているわけであります。不況になったときは、やはり三者ともそれの対策を講じていかなければならぬ、こう存じておるわけであります。しかるに、一方において鐘紡のような大きな会社が一割八分の配当もやれぬで株主は動揺しておるというときに、労働者の方だけを賃金を下げるということは、これは当然間違いだと思います。従いまして私は今回のこの紡績に対しましては生産調整を利用して、これで首切りすることはまかりならぬ、ということは口頭でなく書類をもって通知しておるようなわけでありまして、従いましてある程度株主の配当も減し、それから経営者の賞与を減ししてきた場合は、やはりこれに従事する従業員の方もしんぼうしてもらうということが、いわゆる協力してやっていくことだ、そうすべきものだと思います。
○小林(正)委員 大臣にお尋ねいたしますが、ただいま大臣は鐘紡の問題は非常に重大な問題であるので、経営者の方に勧告しておるというお話でありますが、もし経営者がその大臣のせっかくの御勧告に対して、これに応じない場合においてはどうなさるおつもりですか、お尋ねいたします。
○高碕国務大臣 これは私はここでどうこう言えませんが、行政指導によって生産調整をやるというときに言うことを聞かぬときには相当の手かげんを加えてやっていきたいと思っております。
○小林(正)委員 ただいま通産大臣は、会社は結局株主と経営者と労働者ででき上っておる。だからもし何か問題があったときには、当然三つの者が同じような責任を負うべきである、これは一応わかります。そこで私はお尋ねいたしたいのでありますが、どうも鐘紡問題というものは、経営者側が一たん自分たちが打ち出した自分たちに都合のいいところの対策案をあくまでもやり通したい、こういうような気配が実はうかがわれる。これは私は人から聞いた話でありまして、その真実は存じませんけれども、うわさによりますと、僕のところもやったのだから君のところも一つやりたまえ、こういうことを武藤社長が他の経営者の肩をたたいて育ったとか言わぬとか言われております。現に鐘紡がこういう問題を打ち出した直後、日本各地の繊維業者その他、たとえば石原産業であるとか日本碍子のような会社までもどんどんと会社の合理化、いわゆる産業不況を口実としたところの賃金カット、工場閉鎖、そういうことを次々にやろうとしております。そして私たちが申し上げたいのは、この鐘紡の問題は、何かこうした問題が起ると、今通産大臣が言われたようなそういう考え方ではなくして、いの一番に労働者にしわ寄せをして、経営者はその上に依然としてあぐらをかいて知らぬ顔をしておる。こういうような連鎖反応が今起らんとしておる。これに対して大臣は一体どう考えられるのか、もう少しはっきりお尋ねしたい。
○高碕国務大臣 私は鐘紡の場合は相当特殊の場合と存じております。鐘紡の経理内容は詳しくわかりませんが、私の知っております範囲におきましては、あの会社はスフ綿の設備について非常に大きな設備をして、それに対する大きな借金を持っておる、こういうふうなことが今日の経営の不振を来たした一番大きなものでありまして、全体の繊維産業が、先刻来お話のごとく、設備過多が今日の不況の原因を来たしておるといいますが、その最先鋒になっておるのが鐘紡だと私は存じます。そういう意味におきまして、鐘紡の問題が今日起っておりますことは、あの会社としては無理のないことだと存じますが、これによって右へならえをしてくるというようなことは断じてないと存じております。まずそういう場合には行政措置をもって相当これを考慮していきたいと思います。
○小林(正)委員 私は鐘紡問題の実際の内容に対して、通産大臣と理解の仕方が若干違っております。私が知るところによりますと、鐘紡というものは、なるほど九億四千万円近い赤字を一応計上はいたしておりますけれども、それは先ほど申し上げたように、いろいろと経理面の操作において現実に二十億円のいわゆる隠し利益がある、こういうことをわれわれは承知いたしております。さらにまたことしの四月二十五日現在において、鐘紡は九十億円の積立預金を実は持っておる。だからわれわれは、鐘紡が現在言うような、どうしてもああいった対策を講じなければならぬような段階に来ているとは思えない。ちょっとばかり調子が悪いというので、表面赤字を現わして、それによってこの繊維不況の状態を上手に乗り越して、自分たちだけがうまい汁を吸おう、こういうような魂胆であると私は考えるのでありますが、そういう数字の内容について御承知かどうか、お尋ねいたします。
○高碕国務大臣 私は今繊維局長からその報告を聞いているわけなんでありますが、その数字の内容につきましては繊維局長が大体存じておりますから御答弁いたします。
○今井説明員 私も鐘紡が幾らの隠し利益があるというようなことは存じません。とにかくたとえば配当積立金なりあるいは価格変動準備金なりいろいろの積立金が過去にあることは、これはもちろんどの会社にもございます。ただ現実問題として、前期において九億三千万円の赤字を持つと称して、その配当をいたしますためにいろいろの積立金をとりくずしておった、実質的には九億の赤字である、かように考えておるわけであります。
○小林(正)委員 鐘紡の問題につきましてこの際私はこれが将来の日本の経営者の人々に対する非常な悪い前例となるということを非常に憂うるために、これだけ声を大にして申し上げたいと思うのであります。きょうの通産大臣は、鐘紡の中には若干の特殊な事情がある。三木国務大臣も先般そういうことを言われた。そこで私はさらにその点についてお尋ねをいたしたいと思うのでありますが、鐘紡の場合は一般的な繊維不況の共通条件とともに、さらには鐘紡にのみ存在するところの特殊条件が積み重なって、このような状態が招来したのである、こういうような答弁をしておられます。私もその見解には同意するものでありますが、もしそうであるとするならば、労働者に犠牲をしいるその前に、まずもってなぜ経営者の今日までのやり方に対して十分なるメスを下さないか、経営者みずからがなぜ責任を感じないか、私はこの点について通産大臣のお考えを承わりたい。
○高碕国務大臣 私は当然これは経営者自身もこの責任を持つべきものだと存じますから、労働者に行く前に、経営者自身も自分の収入をそれだけ減らすべきものだと存じます。また、そうさすべきものだと存じます。
○小林(正)委員 ともかく鐘紡が特にこういった状態に追い込まれた一番大きな理由は、やはり経営者、特にワン・マン社長である武藤氏の非常に誤まった見通しが今日を招来した。そこに一番大きな原因を見い出すわけであります。それでなければ、今や日本の繊維産業のトップに立っておる鐘紡のこの問題を、ここに軽々に私たちはもちろん最後の結論を出そうとは思いません。もう少しその内容をよく調査して、ほんとうにここでわれわれがその原因を確かめて、その責任の所在を明らかにしなければ、日本産業の将来のために非常に大きな問題を残すのではないか、こう思うのです。 さらに私がここでもう一つ考えなければならぬことは、これは単に労働者あるいは経営者だけの問題ではない。鐘紡の株主の問題についても考えてみたいと思う。鐘紡の資本金は御承知の通り三十七億三千万円ということになっております。そうして株主の数は総数で七万六千七百十七名、株主一人当りの平均持株数は、わずかに九百七十四株、こういうことになっております。この七万七千名に近いところの多数の零細な株主に与えた損害をも私たちが考えてみるときに、武藤統治社長以下の重役諸公の責任というものは、当然私は追及しなければならぬ、当然免れることのできない責任であろうと思うのであります。株式の民主化が盛んに現在叫ばれておりまして、新しい経営者の道徳というものが樹立されなければならぬ現在におきまして、この点指導監督の立場にあられる通産大臣は一体どのように考えるか、この点について大臣の率直な御意見を一つお聞かせ願いたい。
○高碕国務大臣 事業経営者の責任というものは、単純にその会社の責任者が責任を感じて辞職するというだけでは、私はおさまらないものだと存じます。少くとも会社に対する損害をかけた場合には、ある程度において自分がこれを補うということの覚悟を持って当るべきものが経営者の責任だと存じます。そういうわけでただ責任を感じたというて、全部重役を交代しろというくらいのことをやっては、かえっていいことではありません。それは責任を感じて、自分が損失をかけたものは自分が力をもって補うというだけの責任を持つべきものが、事業経営者の責任だと存じます。
○小林(正)委員 私は実は鐘紡の重役の中で非常に懇意な人がおりまして、鐘紡の内容はある程度知っております。特に社長の次に位しております常務の坂口君は、私は年来商工会議所で一緒に役員をしておりまして、非常に懇意な間柄でありますが、そういう方面等から私がいろいろと聞きましたいわゆる材料によりますと、現在の鐘紡というものは先代の武藤さんと違って何と言いますか、三代目というのですか、貸家と唐様で書く三代目ですか、とにかく非常な坊ちゃんであり、ワン・マンである。そこに一つの大きな原因があるのじゃないか。これは単なる町のそこら辺にころがっている小さな会社の問題でない。日本の繊維産業界全般の問題であり、日本の産業界の経営者というもののあり方について、ほんとうにこの際十分考えなければならぬ問題であると思う。そこで私は、ここに鐘紡のいろいろと経営内容について分析した数字を持っております。ところが残念ながらあなたの方にはこれがないと思う。もう少しこの問題を僕は追及したい。しかし大臣も繊維局長も、おそらく数字については知らぬとおっしゃるだろう。そこでこれ以上この問題について私はあなた方にお尋ねすることはやめたいと思うのでありますが、もっとこの問題についてはわれわれはほんとうに取っ組んで、新しい経営者のあり方、新しい経営者道徳の樹立ということを考えて、この問題を掘り下げて追及したいと思いますので、この点について何とか一つ方法を考えてもらいたい。そうせぬと私たちはただ黙って、経営者が赤字だから、やむを得ぬから労働者の首を切る、賃金を値下げする。通産大臣はこれに対して勧告をする。勧告を聞かなかったらもうこれでおしまいだ。これではとうてい日本の将来の産業も国民の仕合せもない、かように私は考えるのであります。これはどうしても私たちとしては、とことんまでこの数字の内容を突っ込んであなた方に勉強してもらって、そうしてしっかりした回答を打ち出さなければ解決がつかぬと思う。大臣、この点どうですか。
○高碕国務大臣 いろいろだくさんの会社もあることでありますから、一々その内容に立ち入って検討することは困ると思いますが、今日問題となっております鐘紡の問題のごときは、御承知のごとく非常な重大なる問題と存じまして、十分内容等を検討いたしまして勧告すべきところは勧告し、善処いたしたいと考えております。
○小林(正)委員 私はとにかく日本中の会社のすべての内容について、通産大臣がこれを調べてこい、そんなことは言いやしません。鐘紡といえばいやしくも日本の代表的な大会社です。その大会社のあり方、しかも今度のこの繊維不況ということを名といたしまして経営者がとろうといたしておりますいわゆる労働者に対するしわ寄せ、こういうものを僕らは黙っておれない。だからこの問題については一つしかるべき方法を講じて、とことんまでその内容を掘り下げたいと思う。一応私はあとの選手と交替いたしまして、この辺で終ります。
○田中(武)委員 ただいまの小林委員の鐘紡問題の質問に関連いたしまして、議事進行の意味で一言お願いをいたしたいのです。先ほどの小林委員の質問の中でも、いわゆる鐘紡の経理の問題、その他の問題につきまして大臣なり当局の認識と、質問者及びわれわれの調べておる点とはだいぶ食い違っておるように思います。これはもっと突き進んで実態を調べる必要があろうと思う。しかも操短その他による犠牲を労働者にはしわ寄せしないようにということを、われわれも常に決議し、大臣もそう言っておられる。今もまたいわゆる資本、経営、労働者、三者が同じような負担を受くべきである、こういうことを言われたが、現に行われている鐘紡の問題につきましては、私はどう考えても経営者の放慢経営の責任を労働者に転嫁しようというものであるようにも考えられますし、また御承知と思いますが、十一月号の総合雑誌「世界」、これが毎月「日本の潮」という欄を設けまして、そのときどきの日本の国内における重要問題を論じております。今月も十一月号のそのトップには繊維の大企業の合理化問題、こういうことでこの鐘紡の問題を論じております。そういうことは現在日本の国内における一つの大きな問題である、こういうことが言えると思います。そういう意味からこれをもっとはっきりしてみたいという意味におきまして、あとで理事会等で御相談になることだと思いますが、この際鐘紡の武藤社長及び鐘紡の労働組合あるいは全繊同盟の組合の代表者と関係者を当委員会に参考人として呼んでいただきまして、そこでもう少しこの問題を掘り下げて、双方の当事者から意見を聞かしてもらいたい。これは現在鐘紡だけの問題ではなく、先ほど堂森委員が申しましたように、伝染病のごとく各業界にわたり広がるというおそれもありますので、そういうような措置を委員長において考えていただくことを、議事進行という意味におきましてお願いをいたします。
○長谷川委員長 勝澤芳雄君。
○勝澤委員 私は特に通産省の中で、政治のワク外におる中小企業の問題につきまして二、三御質問をいたしたいと存じます。 中小企業はわが国経済上きわめて重要な地位を占めている反面、絶えず経営の不安定に悩んでおり、大企業の圧迫によりまして、いつもそのしわ寄せを受けておりますことは御存じの通りであります。その上今日政府の経済不況政策によってますます苦しめられ、大企業には独禁法あるいは輸出入取引法等の改正によって、ますます独占利潤を確保させながら、金融や税制の面においても特別な措置がなされておりますが、中小企業に対してはきわめて冷淡であったと存じます。大臣は就任以来所信表明の中で、特に中小企業の振興策を常に唱えて参りましたが、今日の中小企業対策はいろいろなお題目でなくて、やはり具体的な施策だと存じます。そこで私は第一番に中小企業振興策の具体的施策いかんという問題についてお伺いをいたしたいと存じます。 第二番目に、その中で特に問題となるのはやはり金融と税制だと存じます。金融につきましては設備の合理化資金の関係、あるいはまた商工中金、中小企業金融公庫あるいは国民金融公庫の金融ワクの拡大とか、あるいはまた長期の低利資金の要求あるいは中小企業金融公庫や国民金融公庫をもっと多く作ってくれという要求もありますし、また税金問題につきましては事業税、物品税の撤廃等、中小企業団体から強い要望が出されておりますことは御案内の通りでありまして、大臣もまたしばしば事業税を初めとする中小企業の減税には極力努力すると言われておりますので、これらについてもあわせて御所見を承わりたいと存じます。
○高碕国務大臣 中小企業が今日日本経済に占める重要性は、今日の輸出の産業についても、非常なウエートを持っております。一方また中小企業が、失業対策においては失業者を一時吸収する上において非常な強い役割をしておるということから考えまして、日本の経済を安定しようという上において、いかに中小企業が大切であるかということは、私どもとしても一番痛感しておる一員でございます。従いましてこの不況のために中小企業に非常なしわ寄せが来ることは困る。現に昨年の五月以来の不況が参りましたときにも、一番先に相当のしわ寄せが中小企業に行っておる。どういう点にしわ寄せが行っておるかといえば、金融が、大企業の方は相当の信用があるから楽であるけれども、中小企業者は金融に困るということのために、中小企業の金融の方針につきましてまず緊急対策を講じたのであります。その内容等につきましては中小企業庁長官から詳しくお話し申し上げます。そのほか税制の問題等につきましても相当考慮したのでありますが、一方日本が持っておりました独占禁止法というもので一番の打撃を受けたのは中小企業者でありまして、中小企業者が団体的な行動をすることについて、独占禁止法はなかなかこれを認めなかったのであります。これにつきましては協同組合法の適用だとか、あるいは御承知の中小企業団体法の制定におきましてようやくこれが緩和されまして、中小企業者が団体的な行動をして、お互いの力をふやして、そして合理化をするとか、あるいは販売の競争を防ぐとかいうふうな方針をとってきたのであります。そういう工合に、まずもってこの不況対策の第一歩として、中小企業に対する振興対策等を講じてきたわけであります。政府は決してそう中小企業というものを捨てておくわけじゃございませんから、さように御了承を願いたいと思います。
○勝澤委員 私はやはりもう少し具体的な内容についてお伺いをいたしたいわけでありますので、もし大臣にあれでしたら中小企業庁長官の方から御答弁をいただきたいと思います。
○岩武政府委員 主として金融なり税制面のお話でございますから、その方面の現在やっておりますること、あるいは将来やるべきことを申し上げたいと思います。 第一点の金融の問題につきましては大勢といたしまして、昨年の金融引き締め以来中小企業に対しまする全国銀行の貸し出しの比率はやや落ちております。むしろ中小企業関係の金融機関の貸し出しの方が総体的にはふえておる、こういう状況でございます。今年の政府関係の中小企業金融機関の資金貸出計画におきましても、前年度に比べましてそれぞれ一割近い増加を見込んでおりまするが、実際の窓口の状況を見ておりますると、かなり貸し出しの申し込みが殺到しております。現在の貸出計画をもっていきますと、どうも昨年度の申し込みに対しまする融資の比率よりも悪くなりそうだという傾向でございます。これはどういう原因か、ちょっとわれわれにもはっきりつかめませんが、一般金融機関の方から締め出されて政府金融機関の方に回ってきておるものもかなりあると思います。もう一つ見のがせませんのは、先ほど来お話がありましたように、最近繊維産業の不況あるいはその他の産業の不況で、中小企業に対しまする特殊の金融上の需要が出て参っております。いわゆる生産調整資金あるいは一手買取機関に対する資金、これらの需要であります。すでに今年九月末までに商工中金あるいは中小企業公庫等において生産調整資金約二十億余りを貸し出しております。なおこの年末までにもう二十億くらいの需要があるわけでございます。すでに申し込みがあったものだけでもそれだけあります。これは繊維だけでありませんで、ほかの業界でもかなりあります。そこで、年末にかけての政府関係の中小企業金融機関の貸し出しをどうするかということで、目下具体的に検討中でございます。幸いにしまして政府金融機関につきましては、予算総則におきまして随時借り入れをふやし、あるいは貸し出しを増加できるという弾力条項がございますので、それを活用しまして少し資金のワクをふやしたい、こういうふうに思っております。目下具体的な話し合いに入っておりますが、ただ言われますように、第三・四半期はかってない政府資金の散布超過が予想されておるようであります。三百億をこえるといわれておりますので、一般的には金融の基調はゆるむかと思います。それが中小企業に具体的にどういうふうに潤いますか、あるいは全然潤わなくて、中小企業は依然として従来以上の金融難になりますか、その辺はもう少し情勢を見ないとわかりませんが、いずれにしましても年末を控えての対策を目下事務的に検討し、かつ関係方面と折衝中でございます。 それから税制の問題でございますが、これは御案内のように前々から中小企業に対しましても、たとえば少額所得者の法人税の税率の問題でありますとか、あるいは中小企業の特別償却の問題でございますとか、あるいは事業税の軽減税率等の問題におきまして若干の措置はされておりますが、さらに今度一番問題になっておりますのは、事業税の問題、ことに個人事業税が農業に課せられなくて中小企業に課せられておるということは、かなり不均衡ではないかと思われますので、今回は何とかして措置してもらいたいという要望は、全国の中小企業者の要望でございますし、われわれもその線に沿っていろいろ免税点の新設でありますとか、あるいは基礎控除の引き上げでありますとか、あるいは税率の引き下げとかいうふうなことで、それぞれ関係方面と折衝中でございます。 それから例の物品税の問題でございますが、これも中小企業が主として納税義務者になっておる品種もございまするし、中には免税点等がありまするので、個々の中小企業者の負担はきわめて少いものもございますが、しかしそういう課税品目になっておりますために、徴税上の手続その他でかなり負担になっておるものもございますので、これも今回何とか合理化、改正をいたしたいと思っております。 その他法人企業と個人企業との均衝問題も若干ございます。例の勤労所得相当分の控除の問題でありますとか、あるいは同族会社である小法人に対しまする特別加算税の問題でありますとかいろいろございます。これらに対しましてもある程度の合理化を行いたいと思っておりますが、いずれにしましてもこれらは中小企業者の立場だけで、実は議論ができない面もあります。御承知のように地方税全体の問題もございましょうし、あるいは消費課税に対する考え方もございますので、これはぜひとも国会の方々の御支援を得て施策いたしたいと思っております。
○小林(正)委員 ちょっと私言い忘れておりましたので通産大臣にお伺いいたしますが、先ほど私の質問に対しての御答弁の中で、繊維の不況特別対策委員会を設けてこの問題についての研究をしたい、こういうお話でありましたが、その審議会ですか、そういった構想なりあるいはメンバーなりについてある程度お考えがありましたら、この際伺っておきたいと思います。
○高碕国務大臣 先ほど申しましたのは、繊維産業総合対策懇談会ということで——今繊維局長が行ってしまったので、名前はよくわかりませんが、できるだけ公正な、学識経験者というものと、販売業者、生産業者、生産業者の中には綿業者と合成繊維とか各業種別に出てもらって、それに学識経験者を加えて、それでメンバーを作りたいと思っております。人の名前等は記憶しませんが、そういう趣旨で作れ、こういうことで私は命じておったのであります。
○小林(正)委員 大臣、一番大事なものを一つ忘れてはいませんか。やはりそういう場合には先ほどあなたがわれわれにせっかく親切におっしゃった労働者の方もお加えいただくということをここで御確約願いたい。いいですね。答弁して下さい。
○高碕国務大臣 私は重大なことを忘れていました。労働者つまり従業員の代表者も入れるということになっておるようであります。
○勝澤委員 中小企業の問題につきましては、またあらためてあとで続けるといたしまして、だいぶ時間もおそくなりましたので、私は一点に集中をしてお伺いしたいと思うのですが、中小企業以下の零細企業の問題であります。これは先般二十七国会におきまして、中小企業等団体法が作られ、その際に中小企業等協同組合法の一部改正が行われまして、事業協同小組合制度が新設をされました。まことに零細企業者が、これは法律にきめられておりますように特に鉱工業、運送業等の五人以下あるいは商業、サービス業の二人以上のごく零細な、自己の勤労による勤労性企業でありまして、従来とかく大企業中心であった通産行政の中で問題にならなかったのが、今回これらの零細企業に対する問題にまで論議がされて、こういう制度になったということは、大へん喜ばしいことだと存じます。そこで私は従来この法律ができたときに、いろいろと政府はこれらについての取扱い方、たとえば定款の作り方などについて行政的な指導を行なって、組織化の援助といいますか、あるいは指導というものをやってきたと思うのですが、協同小組合に対して行なってきた行政上の措置と組織化の状況について、ます第一にお伺いいたしたいと存じます。 第二に中小企業等協同組合法の二十三条の三によりますと、「政府は、事業協同小組合の組合員に対し、税制上、金融上特別の措置を講じなければならない。」こういう規定をいたしておりますが、この措置をどういうふうに講じておられるか、お伺いいたしたいと存じます。
○岩武政府委員 小組合のお尋ねでございますが、これにつきましての行政上の措置といたしましては、組合の結成の仕方、定款によります指導等を行なって参る。現在までに結成されております組合の数についてはちょっと今手元にございませんので、後刻調べて御報告いたしたいと思います。それで例の二十三条の三の税制上、金融上の特別措置の問題でございますが、金融上の問題につきましては十万円以下の貸し出しにつきまして、商工中金が扱います際に、担保あるいは保証等の条件を緩和して、保証協会の保証さえあれば無担保、無保証、それから事業資金の使途に対しましても、従来は業種ごとに多大の制限がございました。生産方面を優先的に扱うということがございましたが、今度はこれにつきましては制限を緩和しております。その他言類の内容も普通の場合はなかなかむずかしいのが普通でございますが、この際はきわめて簡単なものに取り扱う、手続につきましても簡単に取り扱いということにいたしております。貸し出しの実績はちょっと十万円以下のものだけしかございません。ちょっと統計がございませんので……。それから税の問題でございます。この問題はいろいろ参議院の商工委員会におきましても議論があったようでございます。組合員なるがために税が免除されるということは御承知だと思いますが、かなり税制上の問題として議論があるようでございます。実はその点で大蔵当局とも折衝を続けておりますが、まだ解決を見ておりません。ただ一般的な零細事業主の税負担につきましては、先ほどちょっと申しました勤労相当分あるいは専従者勤労分の控除という、この控除の限度を七万円に引き上げるというふうな形でやっておりますが、組合に入った人だけを、ほかの零細企業者と切り離して税制上見るということはまだ解決を見ておりません。
○勝澤委員 この問題につきましてはいろいろと法案が審議された際に問題になるということが、議事録の中でも明確にされておるわけでありまして、いずれまた小売商業特別措置法が提出されておりますので、その機会にまた質問させていただきまして、今日までこの法律に基いて実施されてきた内容等につきまして、ぜひ一つ詳しく報告を賜わりたいということを要望いたして私の質問を終ります。
○長谷川委員長 先ほど田中君からの発言につきましては、次回の理事会においていろいろお話し合いを願いたいと思います。 次会は来週火曜日午前十時より開会いたすこととし、本日はこれにて散会いたします。 午後一時十八分散会