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30回国会衆議院1958/10/16

商工委員会 第4号

発言数
126
登壇者
11
会派数
2
開催日
1958/10/16

会議録

長谷川四郎自由民主党

○長谷川委員長 これより会議を開きます。  通商産業の基本施策に関する件及び経済総合計画に関する件についての調査を進めます。質疑の通告がありますので、順次これを許可いたします。松平忠久君。

松平忠久日本社会党

○松平委員 先日の高碕通産大臣の通商産業政策に関する所信の表明について、全般的な立場から質問をいたしたいと思います。  今日の日本の経済の不況というものは、ひっきょうするにこれは需給のバランスがとれていない、アンバランスである、しかもそれが長期にわたる傾向があって、この需給のバランスの回復ができないというところに非常に国民は心配をし、この状態が続いていくと、そこに貧富の差が非常に出てくるし、社会不安も生じてくる、こういうことであります。従ってこの状態を克服していかなければならぬということが、政府に課せられた一番大きな任務であるわけであります。ところが政府は、一体どうしてこの需給のアンバランスが生じたのかということについて相当深くこれを分析して、この需給のアンバランスの根本原因を克服していくというような対策を立てていかなければならぬにもかかわらず、自民党の中においても、また政府部内においても意見の相違があって根本的な方針は立てられない。従ってこの需給のアンバランスを、根本策を講ずることなくして、たとえば繊維なら繊維、鉄鋼なら鉄鋼というものを個々ばらばらにこれを取り上げていって、それを手当していく、こういう考え方であるようであります。そこで私はどうしてもお伺いしなくちゃならぬのは、一体政府は、この需給のアンバランスが端的にいってどういうところから出てきたのか、この原因を政府はどういうふうに把握して対策を立てられておられるのか、根本的な考え方について私はお伺いしたいのであります。これは一つの経済のいわゆる循環的な原因であるという考え方もありましょう。それもまさにそうであろうと思います。日本は資本主義経済の中の一員として、その影響を受けることは当然であるが、それだけではなくて、日本の受け方が非常に深刻であり、なお昭和二十八年当時の受け方とはかなり違った様相が今現われてきている。しかもそれは貿易の面でことに著しい障害というものもあると私は思うのですが、それらのことについて、需給のアンバランスが生じた一番大きい原因、次の原因、その次の原因というものはどういうところにあるのかということについて、まず通産大臣の認識を伺いたいと思うのです。

高碕達之助自由民主党通商産業大臣

○高碕国務大臣 松平さんの御質問の、現在の不況の原因が需給のアンバランスにあり、このままにいけば社会問題になるというお説につきましては、私は全く同感であります。しからばこの需給のアンバランスはいかにして起ったかということについての原因についてお話し申し上げたいと存じます。一国の経済が伸びていくときには、ときには非常な勢いで伸びていく、あるいはあるときは縮まなければならぬ。ちょうどシャクトリ虫が進むがごとき状態で進んでいくものだと私は存じております。しかるに日本の経済は、御承知の昭和二十九年ごろの不況時代から三十年、三十一年には非常な勢いで伸展して参りまして、それはひとり日本の経済によってでなく、世界経済の動向につれて伸展して参ったのであります。そのときの伸びが予定よりも非常な勢いで伸びたという状態でありましたために、三十三年、いわゆる神武景気が起って以来、非常な勢いで日本の経済は伸びるという一つの見込みのもとに、三十二年は三十一年に比較いたしまして、その設備のごときもかれこれ六〇%以上——私は正確な数字は、ちょっと間違えるかもしれませんが、設備が伸びた。それだけ設備が伸びたにもかかわらず、世界の景気はその割に伸びなかったということのために、ここに設備過多を来たしまして、需給の方はアンバランスを生じた。数字で申しますと、設備が六〇%ふえたにもかかわらず、生産は二〇%しかふえないということは、消費の方が二三%か二五%くらいしか伸びなかった、こういうことのためにこのアンバランスが出たのでありますが、アンバランスのおもな原因は何だとこう言えば、輸出が減退した。輸出の減退した理由は何だとこう言えば、世界の景気が思ったほど進まなかったと、こういうことであります。そういう結果、国の政策といたしますれば、ここに何としても輸出を振興するということが第一義でなければならぬというので、政府といたしましてはその方面に今努力しているような次第でございます。

松平忠久日本社会党

○松平委員 御説明を承わると、結局政府が見通しを誤まった。誤まって六〇%にも及ぶ過当設備をさしてしまった。ところが思ったほど有効需要は伸びない、そういうところにあるという御説明であります。その通りであろうと思うが、従ってこれは通産大臣の所管ではない、私は後刻企画庁の長官が来ればお伺いしたいと思うのですが、通産大臣の考え方もこの際承わっておきたい。なるほど産業別に見ますと、いろいろパーセンテージについては長短がありますけれども、あるものは六七、八%もその設備が過剰になっているにもかかわらず、消費の方は大体二三、四%、こういうことであって、これはもう一目瞭然と不況が来ることはわかり切っておった。ところがこういう過剰設備の規制を一体どうしてできなかったか。われわれが主張しておったのは、資金計画委員会のようなものを作って、そうして資金的な規制ということをはかっていくのが妥当ではないかという意見を、かねてから持っておったわけでありますが、今度企画庁長官の発表したものを見ると、それと似たようなことを言っておられる。私は昭和二十九年以降三十年、三十一年、この二年間において、今のようなむだな資金と資材を使ってしまったということは、何としてもこれは取り返しのつかぬことであったわけであるが、一体、こういう過剰な投資を無方針にあるいは無計画にやらしてしまうということについて、何か規制をして、そうしてもっと必要なところへ資金、資材が流れてくるような方法をとれないものか。とろうと思えばとれると思います。通産大臣は、過去のことは過去のことといたしまして、今後これらのいわゆる無計画な投資、そういうものをさせない、必要な投資をさせるというようなことについて、何らか新しい方式というものをやらなければならぬだろうというお考えではなかろうかと私は思うが、何らか御所見がありましたら承わっておきたいと思います。

高碕達之助自由民主党通商産業大臣

○高碕国務大臣 自由主義経済を基調といたしておりますから、政府は強力に計画経済を実行するわけでもありませんが、長期の経済計画を立てまして、その進むべき道を国民にも十分知らしめ、政府といたしましてもその進むべき道に合うように資金の審議委員会を作りまして、固定資金はどの程度に出すべきかということも、大蔵省といたしましてもまた通産省といたしましても委員会を作って出す、こういうような方針で今進みつつあるわけであります。できるだけ広く全体の意見を聞きまして、民間の意見等もよく取り入れまして、それに応じて資金の規制を今後やっていきたい、こういうふうに考えております。これは、つまり計画経済でありませんから、それによって行政指導するという程度でございますから、できるだけ業者自身の自覚を待つということにも、一応力を注いでいきたいと存じております。

松平忠久日本社会党

○松平委員 現在の政府としては計画経済をやらないから行政指導の方でやっていくというお話でありますが、私はやはり日本の現在の経済状況、あいるは国民の民度というか教育程度というようなものから考えますと、強弱の差はあるけれどもやはり計画的な経済というものをやっていかなければならぬということになるだろうと思うのです。今大臣が言われた資金の規制をやっていこうという考え方も、これは計画があるからそういうことになるのであって、無計画ならそういうことをやる必要はない、ほったらかしておけばいい。だから計画経済であるとかないとかいうことは、もはや古い議論であると思うのです。保守党は計画経済はやらないのだ、社会党の専門だなんというのは古い思想なんだ。もはやあなた方自体も計画的なものをやっていかなければどうにもならない。ただ従来の惰性というか、自分の置かれた立場というか、そういうことにこだわって今のようなお答えをしておられるのじゃなかろうかと私は思うが、これは水かけ論になりますから深入りをいたしません。  そこでお尋ねしたいのですが、今のお話だと需給のアンバランスを克服するために需要を増していかなければならぬ、その需要を増していく上において外需というか、貿易というか、輸出をどうしても根本的に増していかなければならぬということを言われておる。そこで初めに立てた三十一億五千万ドルですか、これをとにかく三億程度下げて、二十八億八千万ドルということに減らして、一挙に三億ドルも減らさざるを得ないような立場に立ったことは、非常に大きな誤まりを犯したといわなければならぬわけでありますが、この二十八億八千万ドルというものを確保していく上においても、だまっておって一体できるのかどうか。あなたは今最大の努力を輸出に傾倒するとおっしゃいましたが、まさにそうあってしかるべきであるが、最大の努力を傾倒して初めて二十八億八千万ドルというものが達成される、こういうのであるか。この二十八億八千万ドルという数字については、あの当時も常に変っておりました。ことしの六月ごろの特別国会のときの大臣の考え方は、もっと上回っておったはずであるが、だんだんと先細りになってきて、二十八億八千万ドルという数字に落ちついたわけだが、一体この数字はこのままの状態で、今までの努力だけでそれを達成される、こういう見通しであるのか、あるいは相当従来以上の努力をしなければ達成できないのか、その点の見通しはどういう見通しに立って二十八億八千万ドルという数字を通産省は算定したのであるか、その基礎を私は承わっておきたいと思うのです。

高碕達之助自由民主党通商産業大臣

○高碕国務大臣 これはお説のごとく、三十一億五千万ドルが二十八億八千万ドルになったということは非常に残念なことはあります。これも決して今後従前のような調子で必然的に増加する、必然的にこの数字が達し得るということは、私どもは断じて考えておりません。相当の努力をして初めて二十八億八千万ドルに持っていきたいという考えで進んでおります。そう進みたいと存じます。

松平忠久日本社会党

○松平委員 しからば、今後今まで以上の努力を払っていかければ今お示しの二十八億八千万ドルも達成できない、こういうことでありますので、順次お尋ねしたいと思うのですが、そういうことであるならば、貿易はアメリカとの片貿易を含めて膨大な数字に上っているわけであるけれども、対米貿易を日本の根本的な貿易政策から言うならば、なるべくならば対米依存度というものを分散しなければならぬということは、政府自体も考えていることだと思うのです。一体この貿易の中の一番大きなウエートを占めるアメリカとの関係というものを、今後どういうふうに調整していくつもりであるか。つまり輸出をもっとふやさなければなりません。と同時に輸入はどっかに持っていかなければならぬ。これが日本の貿易政策の一番大きな眼目だろうと思うのです。  そこでお伺いしたいのは、今までアメリカの国内にありましたいろいろの日本の輸出品に対する防遏政策というか、そういうものも一応——たとえばペイン修正案のごときものは幸いにしてあまり日本に影響を与えないようなところに落ちついている。しかしそのほかいろいろ雑貨等に関しまして、あるいは繊維製品につきまして、まだまだ相当大きな妨害があるわけであります。私はこういうことに対して、たとえば稻垣さんを団長として派遣されるということもやられたけれども、成果はあまり上っていない。一体大臣はアメリカのこれらの日本の輸出品に対する防遏政策というか、そういうやり方に対して何か適当な方法、もっと有効な方法というものを考え出さないものか。私は、これは相当業者と業者との話し合いということも必要でありましょう、それからもっと高い見地に立った外文折衝というものも必要であろうと思うのだが、これをよくあわせて行なっていかなければならぬけれども、従来の日本のやり方というものはそこに関連性がないのであります。業者は業者で勝手にやる、外交は外交で勝手にやるというふうに私には見えている。何というか、時限的な大砲を撃ち込むということではなくて、散発的な小銃でやっているというふうに見ているわけです。そこで大臣は対米政策の是正ということを、今どういう具体的な方法で改善していくつもりであるか、そのことからまずお伺いたいと思うのです。

高碕達之助自由民主党通商産業大臣

○高碕国務大臣 昨年の対米貿易が片貿易であったということは、お説のごとく非常な片貿易であったことも事実でありまして、これを是正すべく今年来やっておりますが、元来アメリカから持ってくるものは日本として必要なものでありまして、これをほかに転換するということにつきまして、輸入先をどちらに変えるかということにつきましてもいろいろ検討いたしているわけであります。昨年度の異常に輸入がふえたということは、日本の設備が過大に設備されたということのために、機械の輸入が膨大であったのでありますが、本年になりましてこれがだんだん是正されまして、ことしの一月以来六月までの統計を見ますと、私の記憶によりますと、輸出の方は大体アメリカに対して一四%ふえておりますが、輸入の方は昨年に比較いたしまして五〇%減っているようであります。本年になりまして初めて片貿易が相当是正されたようにありますが、今後におきましても、アメリカから輸入するもので外国のほかの方から供給を受けられるものがあれば、これは逐次その市場を転換いたしまして、そうして片貿易にならぬように心がけていきたいと同時に、対米輸出につきましては、アメリカも景気が悪いといいますけれども、日本の商品を買うぐらいの力は、景気が悪い、いいにかかわらず当分続くものだと、私どもは確信を持っておりまして、どうしてもアメリカに対してはもっと輸出を増進していきたい。少くとも昨年よりも二割近くは増進するように努力いたしたい、こう思っておるわけであります。それがためには業者と業者との間で話し合いをつけて、向うの業者のじゃまにならぬように日本の商品を持っていく、ある場合には数量の制限もしなければならぬ、あるいは販売の価格等も向うと打ち合せをしなければならぬ、場合によりますれば、向うの同業者と一緒になって何らかの方法を講ずると同時に、またもっと大きく政策的に進めたいと思いますことは、今日アメリカにおいてあれだけ日本品が排斥されておるということは、これはアメリカ政府なりアメリカの大衆は必ずしも日本の商品に対して、悪意を持って、ボイコットをやっておるというようなふうはないのであります。ただ日本の商品でアメリカに行きますものは、多く中小工業の製品でありまして、アメリカにおいてもこれを製造しております中小工業者は、相当自分たちの立場から、地方の議員さんたちに陳情する。議員さんたちは最近にまた選挙もあることでありますから、選挙対策としての声が相当高くなっておる。思っておることよりも声が高くなっている、事実よりも声が高くなっているということでありますから、これに対してはアメリカの国会に対する対策等も講じていく必要があると存じまして、その辺のことに対する手を打つべく、今交渉を考えているわけなのであります。

松平忠久日本社会党

○松平委員 本年の六月までの統計によりまして、漸次好転してきている、それは私も認めております。しかしこの対米貿易の片貿易的な状態というものは、もうずいぶん、数年前から是正しなければならぬということを言われておったわけであります。一朝一夕にいかなかったという理由もあるのでありましょうけれども、お伺いしたいのは、アメリカの原綿にしろ何にしろ、輸入物資というものをどういうふうに一体分散をしていくような考え方を持っておられるか。つまり一つの計画というようなものを持って、そうしてこういう物資はどこどこから入れていこう、こういうものはどこのものを開発してそれを入れていこうというように、一つのプランというものを一体政府はお持ちになっているのかどうか。ただばく然として努力をしているというのであるか。輸入会議なんかのあれを見ましても、政府ではいろいろそういうことをやっていることを私も承知しておりますけれども、一つの計画というものを持って、そうして片貿易の是正に一体当っているかどうか。もし計画というものがあれば、ここでお示しを願いたいと思います。別に大した秘密でないと思いますから、その点をお伺いしたいと思います。

高碕達之助自由民主党通商産業大臣

○高碕国務大臣 大体は、今後の世界の貿易というものは求償的になりまして、こちらから売らんとすれば向うの物は買わなければならぬ、こういうことになっていますから、アメリカから輸入しております物資の中で、棉花のごときは、場合によれば物を買ってくれるその方面から輸入しなければならぬ、あるいは米のごときも同様でございますが、計画の大要につきましては政府委員からお答えをいたします。

松尾泰一郎通商産業事務官(通商局長)

○松尾(泰)政府委員 ただいま大臣のお答えに補足をしまして、ちょっと簡単に申し上げます。申し上げるまでもないことでありますが、輸入を自由化する。最も安い地域から自由に輸入をさせることが、日本の経済の発展に一番望ましいことであるのみならず、世界的にも大体そういう傾向をたどっておるということで、ここ数年来輸入の制度については、できるだけその自由化の方向をたどってきたわけであります。たとえば自動承認制の品目を拡大するとか、あるいは輸入割当につきましても、できるだけ広範囲の地域の中で業者が最も希望する地域、商品を選ばせるということでやって参ったのであります。ところが、ただいまも大臣が御説明になりましたように、世界の傾向は根本的には自由化の方向はたどってはおりますが、またここ一、二年の傾向としましては、その反動として求償的傾向が非常に顕著になってきておるのであります。外貨不足が目立つ諸国におきましては、日本から輸入をさせようということになりますと、どうしてもその国のものを買ってくれという要請が強くなって参っておるわけであります。一種の反動的な傾向と思われるのであります。従いまして日本の当面の輸出振興策としましては、貿易の自由化の線を堅持しなくてはならぬのでありますが、他方当面の諸外国の要請にも応じていくことが輸出振興策になろうということで、現在のところ求償的な要請がある諸国につきましては、できるだけそれに応ずるという方法で輸入計画を編成しておるのであります。対米輸入につきましては別段そういう要請がない。従いまして結論的に申し上げれば、求償的な要請のある諸国につきましては、できるだけその要望に沿うように、その地域からの輸入に努めていく。もちろんこれにつきましては無条件にはできないわけでありまして、割高のものを業界に買わせるということになりますと、かなりの負担にもなりますので、その限度はございますが、ある程度行政指導なりあるいは業界の御協力を得まして、無理をして高いものをある程度買ってもらっておるというのが今の実情なのであります。その結果としてアメリカからの輸入が影響を受ける場合がある、こういうことでありまして、アメリカからの輸入は奨励されて起ったものでないのであります。経済的な実益から見て一番安い、あるいは取引も一番やりやすいということで、勢いそこに片寄っておるのであります。従って、その片寄っておる輸入を計画的に分散することになりますと、勢い不経済な輸入を業界にしいるということになるのであります。従いまして、われわれとしては対米輸入を転換するというよりは、求償的な要求のある諸国からの輸入を極力優先的に考えていく、結果として対米輸入が影響を受けるのはやむを得ない。そういう意味で、アメリカからの輸入について、市場転換という言葉をときどき使われるのでありますが、われわれは市場転換とは考えていないのでありまして、対米輸入がそういう影響を受ける結果、今先生御指摘のような輸入のアンバランスが是正されて参るのではないかというふうに考えておるのであります。去年、一昨年におきましては、確かに輸入超過は膨大な額に達しておるのでありますが、本年度は対米輸出が比較的好調でありまして、全体の日本の輸出の中にありまして対米輸出は若干ながらでも増加を続けております。他方輸入は本年度は全体として非常に激減をいたしておりますので、結局影響を受けておりますのはアメリカからの輸入であります。その意味におきまして対米貿易輸出入は非常な是正の方向に進んでおるということでありますが、これは計画的に是正を意識してやっているということではなしに、結果的にそういうふうになっている、こう申し上げた方が率直であろうかと思うのであります。大体そういう考え方で進んでおります。

松平忠久日本社会党

○松平委員 それではお伺いいたしますけれども、そういうようなお考えで、結果的にそういうふうになるのだということでやっているとすれば、本年度六月までに輸入が非常に激減したというのはどういうわけなんですか。つまりそれはほかの方の地域における輸入がそれだけ非常に多くなって、その結果向うの輸入が少くなった、そういう理由だろうと思うのでありますが、今の考え方からすれば、ほかの方からの輸入物資が安くなって、アメリカのものが高くなってきたということで、輸入業者が自然にアメリカから買わなくなって、よそから買ってきたということになって、五〇%も激減したのであるかどうか。しからば計画も何もせずに、自然にただほったらかしておきながら減ってきたというのは、どんな原因があるのですか。

松尾泰一郎通商産業事務官(通商局長)

○松尾(泰)政府委員 ただいま申し上げましたのは、日本のことしの全体の輸入が非常に減少しつつある、この影響がやはり一番大きいかと思うのであります。なぜ対米輸入が減ったかということでありますが、全体の輸入が減ったから、そしてまた一番日本の好景気のときには、普通のベースより以上に対米輸入が多かったがために、その反動としまして対米輸入が非常に減った。その結果アンバランスが非常な是正をされてきたということを申し上げておるのでありまして、先ほど来申しておりますように、計画的にアメリカから輸入するものを、ほかの国に振りかえるということではなしに、求償国の要請にはある程度応じておるわけであります。輸入を転換すると申しましても、効果なき輸入の転換というのは、かえって経済的にはロスであります。従いまして、自然にしておけばどうしてもアメリカからの輸入に片寄るものを、ある程度経済的に許容できる範囲内において、求償的な要請のある国の輸入に振り向けるように指導をいたしておるのであります。そういう要請のない国からの輸入をふやすということは、これまた効果のないことなんであります。従いまして求償的な要請のある国からの輸入がふえる結果として、要請のない国からの輸入は、減るが、その方が政策としてはより合理的でもあるし、経済界に及ぼすショックも少くて、結果的に市場転換的な効果が達成できるのではないかということを申し上げたのであります。

松平忠久日本社会党

○松平委員 そうしますと、今大臣はアメリカからの輸入が減ってきて輸出がふえたということを言われたわけでありますが、それは今あなたの説明によると、全般的に輸入が減ったのだからアメリカの方も減ったのだ、アメリカからことに大口に輸入しておったから、その割合で減ったのだということでありますれば、手柄でも何でもない。そこで今のお話によりますと、計画はしないのだ、ただ相手国から輸入の要請があれば、それに応じて輸出もさしてもらうと同時に輸入もしていくのだ、こういう話であったわけであります。そうではなくて、どういうところに日本として安いものがあるかということを探して歩いて、そうしてもっと積極的にその国から輸入をはかっていくという積極性というか積極政策というものは、今のお話だと全然お持ちにならないわけですか。それではいつまでたっても、これは相当長期にわたって転換をはかっていかなくちゃならぬということになるわけで、どうも局長の話は非常に消極的なんだけれども、大臣は一体輸入をしてもらいたいというか、相手国から注文があった場合だけに輸入をするということでなくて、こっちから探し出して輸入をはかっていくというようなお気持はないわけですか。

高碕達之助自由民主党通商産業大臣

○高碕国務大臣 さっき局長のお答えしましたことで、ちょっと欠けておる点があると思いますことは、アメリカの輸入が減ったということは。昨年アメリカから輸入したものは設備用の機械類が非常に多かったわけであります。それが本年設備投資が減った結果減ったということが、おもなる理由だと存じております。それから局長のお答えいたしましたものは、自由主義でやるときには当然そういうふうな方向で進むべきものだと言うておりますが、私どもはやはり世界の市場というものを開拓するとともに、世界のどの地に日本の要求する物資が得られるかということを同時に調べなければならぬ、こういうことを深く感じまして、今回の経済使節が参りますときにも、いかなる場合にもその国へ行ったときには、その国に売るということだけを考えてはいかぬ、その国から何を持ってくるのが一番いいかとか、日本が要求するものは何があるかということをよく調べてくれということを言い、同時にジェトロを通じましても、そういうふうな研究は十分怠っていないつもりであります。

松平忠久日本社会党

○松平委員 どういうものを輸入していくかという今の大臣の話でありますが、私はやはりそういう努力を今後相当やっていかなくちゃならぬと思うのです。そういうことをやるということがいわば計画的なんです。やはりそういう計画をやっていかなければ、いつまでたってもアメリカとの片貿易というものは直らない。アメリカヘの依存度はますます深くなっていって、首根っこをつかまえられておるということにならざるを得ないと思う。そこでお尋ねしたいのは、日本の輸入の地域というものは、アメリカ以外の地域において、かなり東南アジアにしろ中共にしろ、その他の大きな人口を擁しておる原料の供給国というか、そういうところにはポテンシャリティがあると思う。そこでこのポテンシャリティというものに目をつけて、たとえば東南アジアにいたしまして、どこの国も積極的に輸入開発ということをやって、そこでつまり経済開発をさせて向うの輸出入をもっと上げてやるという政策をとっているわけであります。日本もそういう意味で、今の岸さんの言っているところの東南アジアにおける開発というような考え方も、前からあったわけであります。そこでお伺いしたいのですが、これらの地域において、最近特にはなはだしくなってきているのは、共産圏の進出であろうと私は思うのです。この共産圏の諸国の東南アジアにおける進出というものをどういうふうにお考えになっているのか、ことに最近のシンガポールあるいはインドネシアその他の地域等における中共等の輸出品の非常に旺盛な状況というものは——日中貿易が途絶をしており、そうして日本の、何と申しますか、政策の転換というか、そういうことを求めるというような意味もあって、中共は東南アジアに非常な進出をしている。そういうところに動機があるのではないか。従ってこれは一時的現象のように思うというようなことを、ある大臣に言っておられたけれども、あなたは一体この中共その他の、ソ連にしても同じでありますが、東南アジアに対する進出というものを、どういうふうに一体認識をしておられるか。これは一時的な現象であるか、あるいは非常に大きな、将来にわたってこの方面に経済的な進出をしてくる根本的な方針というものであるか。それをどういうふうにお考えになっていますか。

高碕達之助自由民主党通商産業大臣

○高碕国務大臣 今日まで私の解釈しております限りにおきましては、共産圏の国々の貿易政策は政治政策と一体となっている結果、貿易政策は単に経済問題だけでなくて、あるいはある程度の政策も加味されておりましょうし、また経済問題にいたしましても、そろばん玉をはずしても、外貨をかせぐためには輸出しなければならぬ、こういうふうな方針をとっておるようであります。今日東南アジアに対する中国の計画が、日本との貿易が途絶されておるから、それを打開する一つの道として日本に打撃を与えるために、東南アジアに出ておるという見方もあるかもしれませんが、私はそう信じておりません。これは経済的に考えまして、かりに日中貿易が従前のごとく回復されましても、当然中共とすればあれだけの力を持って東南アジアの貿易に進出してくるもの、これだけの覚悟を持って、われわれはかからなければならぬという考えをしておるわけであります。

松平忠久日本社会党

○松平委員 大臣がそういうお考えであれば、それは非常にけっこうだと思いますが、この間三木さんの言ったことは、中共の東南アジアに対する進出は大したことはないというような表現を使っておられたのであります。中共という国はあなたの御存じのように、とにかく九〇%が農民なのです。そこでこの国が五カ年計画をやっていくという場合におきましては、どこかへ出なければとてもその新しい経済政策というものは遂行できない。農民のレベルを上げて国内消費、有効需要を増していくという政策はとるでありましょうけれども、これではとても追っつかない。これはほとんど農民が大部分である。そういう国が五カ年計画で重工業から軽工業まで非常な勢いでもって増産政策をするという場合におきましては、どうしてもこれはよそへ、はけ口を求めていかなければならぬ。その政策を今後長く中共はとると私は思うのです。そういうふうにいたしますと、東南アジアに対する日本の考え方というものは、よほど改めていかなければならぬというのが私の持論なのですが、これはよく政府も考えてもらいたいと思う。あの華僑の勢力をもってして、これと結びついて、しかもあなたが言われたように政治と結びついて採算を無視したことができる経済体制になっておる。のみならず膨大な生産力の拡充をやって、それをどこへ持っていくかといったならば、国内の国民にそれを全部売るだけの、そういう体制に基いた農業政策というものはなかなかとれない。そういうところから、ひっきょうよそに向って出ていかざるを得ないと思うのです。従って日本の東南アジアに対する貿易政策というものは、大臣が言われた延べ払いとかその他のことをやっておられるようでありますけれども、この延べ払いのことにいたしましても、今日中共あるいはソ連が、インドネシアその他にやっております延べ払いの方式は、非常に緩和された方式であるということをわれわれは聞いておる。そういたしますと政府部内において、大蔵省と通産省との間に延べ払いの条件等について多少の意見の相違があるように聞いているのですが、そういう大蔵省式な考え方でいっても、これはとてもできるものではないと私は思う。私はここにいろいろ資料を持っておりますが、これらの資料に基いても、シンガポールを初めといたしまして、インドネシアあるいはセイロン、あらゆる方面において非常に緩和された延べ払いの方針をとっておる。それから船舶等にいたしましても、ロンドン用船をして、どんどん英国の船をチャーターして東南アジアとの貿易に使っておる、そりういう実態なんであります。従って一体大臣は東南アジアに対する延べ払いに円クレジットというようなことを言っておるが、これはどの程度のことをやらんとしているのですか、たとえば三年のものを五年にするとか、あるいは十年にするとか、頭金を二〇%を一五%にするか、一〇%にするかというようなことを考えておられるようですが、東南アジアに対してはどの程度の緩和された条件のもとに延べ払いその他のことをお考えになっているのか、これを承わっておきたい。

高碕達之助自由民主党通商産業大臣

○高碕国務大臣 これは先方の出方いかんによってこちらがむやみに競争しても、相手方がそろばんを無視してやってきた場合にはしょうがないことでありますから、そういうばかげた競争はしないつもりであります。日本として進むべき道は中国においてできない技術のようなもの、何と申しましょうか、主としてプラント類、機械類のごとき中国においてできないものをわれわれは供給していく、その場合の相手方は、むしろ中国でなくてヨーロッパの連中との競争が多いわけであります。ヨーロッパの連中とは東南アジアの市場においてプラント輸出を供給いたしますためには、競争し得るだけの延べ払いの方式を持っていかなければならぬ、ヨーロッパの連中を基準としてやるわけでありますけれども、中共の延べ払い方式をその方面には適用しない考えであります。また現在中共がやっております貿易のおもなるものは繊維製品、陶磁器、雑貨というようなものがおもでありまして、この方面におきましても陶磁器のごときは古い伝統を持っている中国でありますから、われわれの日本よりも優秀な技術を持っておるかもしれませんが、繊維製品のごときは日本といたしますれば各種の製品の原料があり、古い歴史を持っているわけでありますから、中国においてできないような優秀な製品をもってこれに対抗するということに持っていって、中国の製品と抵触しない製品、しかもできるだけ優良品をもって、これに当っていきたい、こういう方針を持っていきたいと考えております。

松平忠久日本社会党

○松平委員 高碕さんの考えもちょっと古いと思う。私は東南アジアの方面からニュースをつづったものを見てみますと、今日中共の東南アジアの進出というものは、あなたが言われた化繊とかその他の雑貨品というようなことではすくて、そういうものはむろんありますけれども、そのほかに日本がヨーロッパと競合しておるような鉄鋼であるとか、あるいは化学製品であるとか、アルミニュームの製品であるとかいうような、かなり広範なものが最近は出ているのであります。たとえば鉄鋼はタイに月三千トンの輸入の契約をしております。それから苛性ソーダは、インドのニューデリ—にある中国の国営貿易公司とインド政府との間の協定によりまして、本年五月から十月までの間に二千五百万ルピーの協定が結ばれておる。そうして中共は苛性ソーダを供給する、カーバイド、苛性ソーダ、新聞用紙を供給するということであります。それから自動車のタイヤは、やはりシンガポールを中心として、トラック用のタイヤの契約ができておる、そういう工合に今までの化繊、綿糸布、自転車、ミシンというようなもののほかに、重化学工業製品というものが、最近は大量に進出してきておる状態なんです。私はあの国の五カ年計画を見ておって、やはりこれはあの国だけでは消費できないような大量のものを作っておると思うのであります。そういたしますと中共との間にただ単なる従来のような考え方で、雑貨とかその他のものだけのことを考えて対策をしておられるようであるけれども、それは大間違いである。何としても近い将来において相当大きないわゆる重工業製品なり、化学工業製品というもので、日本は競争の立場に立たなければならぬというふうに私は見ておるのであります。従って何としてもその対策というものを政府は講じていかなければならない。その対策は今あなたが言ったような工合に、延べ払いの方式というものもありましょう。もう一つは、どうしてもいかぬというならば、やはり日本は中共との国交回復、貿易回復というところまで行って、市場協定というものもしなければならぬという事態が遠からずくると私は思うのです。今の中共のあの計画を見ておりますと、どうしてもそういう方面に非常なウエートが置かれておるように見ておるのであって、今あなたが言ったような工合に、また雑貨だとか、あるいは綿糸布、化繊というものだけの競合ではなくて、やがてプラントもできるでありましようし、その一歩手前の鉄鋼あるいは苛性ソーダというものまで、すでに大きな競争の相手となって現われてきておるのであります。そこでそれらに対して一体どうお考えになっておるのか、先ほどの大臣の答弁は、少し前のことし三月ごろのあなたの答弁だったらいいかと思うが、今日の答弁としてはもう通用しない、その点はどうですか。

高碕達之助自由民主党通商産業大臣

○高碕国務大臣 松平さんの仰せのごとく、順次金属加工製品、鉄鋼等、その方も入ってきておる。統計も私どもの手元に入っておるのでありますが、しかし全体から申しまして私は議論をしたわけでありますが、今後とも中共との貿易が従前のごとく回復してきた場合に、現在におきましては、われわれが中共から持ってくるものがない。持ってこられない結果、中共として輸出する重要なる原材料、たとえば粘結炭だとか、あるいは鉄鉱石というふうなものはほかに売れない。売れないから国内の消費は相当無理をしても輸出しておる、こういう現状でありますから、日本との貿易が回復して、そういうものが日本に供給されれば無理な輸出はしないであろうと存ずるわけでありまして、繊維製品のごときも、私どもの統計で見ますと、日本の国民が一人当り十七ポンドの繊維製品を使っておる現状において、先方はまだ一人当り四ポンドか、五ポンドというくらいの繊維製品の消費しかまかなっていない。そういうときにおいても、なおかつ輸出するということは、外貨獲得のために無理をしておる、こう存ずるわけでありますから、そういう意味から申しますれば、日本との貿易が回復すれば、われわれが東南アジアにおいて競争する限度もよほど減ってくるだろうと私は考えておりますが、将来においてもしも国交が回復できますれば、当然今のお話のごとく、中共との間には貿易協定等もでき、また市場協定等もでき、ちょうどヨーロッパにおいて共同市場問題をやっておるがごとく、そういうふうな時期がくるということを私は想像されるわけでございますが、ただいまそれを望んで、どうこうということの政策を立てることはできないのであります。

松平忠久日本社会党

○松平委員 その次にお伺いしたいのは賠償との関係でありますが、最近フィリピンにおいて日本から持って行った賠償の鉄鋼が市場にあふれてしまって、フィリピンにおいては鉄鋼の値段が非常に下ってしまって滞貨の山をなしておる、こういうことがフィリピンから伝えられてきております。過剰鉄鋼は本年末までに一億三千二百万トンに達する、こういうことを言われておる。一体日本の賠償はどういうような具合に行われておるのか。賠償部長も来ておるそうだけれども、日本の賠償のために鉄鋼があふれてしまって、鉄鋼が山になって非常に値下りをしてきたというようなことは、日本の貿易政策と、かなりこれは食い違ったことになるわけであるが、それらの点は、一体政府はどういうふうに貿易と賠償との間のことをやっておるのであるか。特にフィリピンの鉄鋼については、どうしてこういう工合に滞貨してしまったのかということを伺いたい。

高碕達之助自由民主党通商産業大臣

○高碕国務大臣 私は日本から鉄鋼を持っていって賠償に充てたかどうかということは、ちょうど賠償部長が参っておりますからお答えいたしますが、ただいまのお話のフィリピンで過剰鉄銅が一億三千二百万トンというお話ですが、これは何か数字の間違いではないかと思っておりますが、その詳細のことは賠償部長から御説明申し上げます。

吉田健一郎外務事務官(アジア局賠償部長)

○吉田説明員 お答え申し上げます。今持っております資料がトンの表示がございませんで円の表示でございますので、ちょっとその点あとで調整を要すると思いますが、賠償を開始いたしまして以来二年半の間に、本年の九月末現在までに、フィリピンに対しましては鋼材といたしまして約三十五億円出しております。

松平忠久日本社会党

○松平委員 伝えられるところによりますと、本年二月までに約三千万トン行っているということでありますが、この数字は新聞の報道でありますからよくわかりませんが、しかし現在フィリピンにおいては鉄鋼があふれておるが、この鉄鋼のあふれたのは、日本から持っていった賠償の鋼材その他が消化できない、消化できないためにあふれておって、山をなしておる、こういうことであります。そこで、鋼材の値が非常に下ってしまったというわけであるが、政府にはそういうニュースはございませんか。

高碕達之助自由民主党通商産業大臣

○高碕国務大臣 この賠償の問題につきましては、これは日本から押しつけたものでなくて、先方の希望によって渡すのでありますから、これは二十五億円と申しますと、ドルにすればわずかのものでございますけれども、これはこちらから押しつけたものではない、先方が希望して取ったものでありますから、そこまでの責任は政府は負えないわけであります。

松平忠久日本社会党

○松平委員 それでは伺いますけれども、昨年の十二月でしたか、人絹が非常に下ってしまったというので、人絹を賠償物資に繰り入れてくれ、こういう陳情があったことは御記憶の通りであります。そのほか今日やはり化繊関係においては賠償の中に、いわゆる消費物資というものを繰り入れてもらいたいという話があったわけであります。これについて私は伺いたいのだけれども、賠償の消費物資の繰りくれの注文というか、要求というものは、それらの賠償要求国から日本に対して消費物資も賠償の中に入れてくれという要請があったということを聞いておるわけでありますが、それは事実でありますか。

高碕達之助自由民主党通商産業大臣

○高碕国務大臣 最初政府の方針といたしましては、賠償物資としては資本財をもってこれを渡すということが原則になっておりましたが、消費財はなるべく持っていかない。これは正常貿易を阻害する、こういう考えで進んでおったのでありますが、先方がしいて賠償の対象として消費財をほしいという場合には、正常貿易を阻害しないという範囲において、ビルマ等においては消費物資を持っていったことはありますが、その後先方からそういう要求がありますれば、こちらといたしましても、正常貿易を阻害しないという範囲においてはこれはどんどん持っていきたい、こう存じております。今いつごろどういう要求があったかというふうな御質問でございますが、これは政府委員からお答えいたします。

吉田健一郎外務事務官(アジア局賠償部長)

○吉田説明員 お答えいたします。  インドネシアからの消費財の繊維製品の要求は、この四月にインドネシアの平和条約並びに賠償協定が批准書を交換されるときに、スバンドリオ外務大臣がこちらへやってこられましたときに、綿製品を含む三百万ドルの繊維製品を入れてくれないかという話が、口頭でなされたことはございます。それに対しまして、賠償協定上賠償物資の供与は、実施計画というものを年々作成して、与えることになっておりますので、それでは正式の提案をしていただきたいということを申しておったのでございますが、現在に至りますまで賠償実施計画へ繰り入れるという正式の提案はございません。

松平忠久日本社会党

○松平委員 私の聞いているところでは、その三百万ドルの口頭の要求があったときに、日本側の方からは賠償物資の中に消費財を入れるということは、日本の賠償の建前としては困るということでもって、それを一応拒絶したということを私は聞いておるわけです。それは事実ですか。

吉田健一郎外務事務官(アジア局賠償部長)

○吉田説明員 拒絶したことはございません。

松平忠久日本社会党

○松平委員 そういたしますと、向うから口頭で賠償に消費物資をそれだけ入れたいという要望があって、その後実施計画を出してこない、その中に入ってないというわけでありますが、日本側からはそういう要望が向うにあったのだから、その要望をむしろチャンスとして、ことに綿製品のごときは、今だぶついて困っておるのだから、それをぜひ一つ入れてくれということを、日本側から今日まで言わなかったのかどうか、それをお伺いしたい。

吉田健一郎外務事務官(アジア局賠償部長)

○吉田説明員 消費財の供与というものを、協定との関係で見ますと、協定にも書いてございますが、賠償として供与される生産物は、資本財とする。ただし、インドネシア共和国の要請があったときは、両政府間の合意により、資本財以外の生産物を日本国から供与できるという工合に、インドネシアとの間の賠償協定ができておりまして、原則として消費財を排除するという規定はないわけでございまして、向うからの要請が正式にございましたならば、幾らでも検討する用意は持っているわけであります。

松平忠久日本社会党

○松平委員 そういたしますと、要請がなければ——口頭ではあったけれども、口頭じゃ困る、文書でなければ困る、こういうことなんですか。

吉田健一郎外務事務官(アジア局賠償部長)

○吉田説明員 言葉を補足さしていただきますが、口頭でございましたときに——少しこまかくなりますが、説明さしていただきます。三百万ドルの繊維製品とは何かということを、こちらから聞いたのでございますが、人絹、化繊、あるいは糸、布の区別が全然向うはそのときに持っておりませんでしたから、それでは年間実施計画に正式に計上して合意する仕方がないんじゃなかろうか、さっそくインドネシアに帰られた上で、三百万ドルの内訳をきめて、正式に提案しておいでになったらどうかということで別れたわけでございます。

松平忠久日本社会党

○松平委員 その後日本側から督促をするとか、あるいは日本側から、向うからそういう要望が来たらそれをいいこととして、ぜひそういうふうにしてくれというようなことを言ってやったのか、そこらのところのいきさつはどうなっていますか。

吉田健一郎外務事務官(アジア局賠償部長)

○吉田説明員 インドネシアの賠償供与の現状を申しますと、実は消費財だけの問題ではないのでありまして、年次平均額が七十二億を供与することになっておるのであります。つまり二千万ドルを供与することになっておるのでありますが、現在までに今申し上げました年間実施計画で正式に合意いたしましたのは、内航船九隻を含む七百二十万ドルでございます。従いまして、二千万ドルと七百二十万ドルとの差額に見合う実施計画の提出というものは、早ければ早いほどいいということを、たびたび向うに言ってやっているわけであります。消費財を含むすべての包括的な実施計画は一日も早く出してくれということをたびたび申しております。

松平忠久日本社会党

○松平委員 通産大臣にお伺いしたいのですが、日本はそういうような協定を結んでおる。先方からは口頭ではあったけれども、そういう要望があったということに関しまして、これは内閣全体の問題として、これは消費物資をちょうどいいからやっていこうというお考えであるのか、あるいはそうではなくて、やはり先方のやり方、先方の要求というものをただ待っておる、こういう消極的態度であるのか、あるいはもう少し積極的に、向うがほしいならぜひそれは繰り入れたいのだ、こういう積極性があるのか、その点をお伺いしたい。

高碕達之助自由民主党通商産業大臣

○高碕国務大臣 こちらとすれば、先方に向って要請するわけにはいきませんから、繊維製品の余っているものにつきましては、これを先方の要求があれば繰り入れるという方針で進んでおります。

松平忠久日本社会党

○松平委員 先方の要求が口頭であったわけですが、口頭だけじゃいかぬというふうに考えているわけです。そこで、それに対しまして、口頭でもいいじゃないか、一つこちらからどんどんもう少し積極性を出すというお考えはあるのかどうかということです。

高碕達之助自由民主党通商産業大臣

○高碕国務大臣 これは口頭であろうが、あるいは書いたものであろうが、はっきりと内容を明示してもらえば、当然これを受けて立っていくと思いますが、ただ相手方がちょっと言ったというだけで、内容も言ってこないというのでは、どうも手のつけようがないわけでありますからり、それを向うの要求に応じて、こちらも受けて立つ考えであります。

松平忠久日本社会党

○松平委員 三木企画庁長官の答弁によりますと、積極性があるように私は受け取れたわけです。ただ単に口頭でちょっと話があったからというような今の通産大臣の答弁であったけれども、かりにも外務大臣が三百万ドルという額まで示して、そういうことを言ったのだから、これはただ単にその辺の使い走りが三百万ドルのものをよこせということを言ったのとは違うと私は思うのです。もし日本にそういう生産資材以外の消費資材も入れたい、しかも綿糸布のようなものを入れたいというようなことがあるならば、私はもっと積極性を出すべきであろうと思うのだけれども、どうもその点は通産大臣と三木企画庁長官の考え方が少し違うんじゃないですか。

三木武夫自由民主党経済企画庁長官・科学技術庁長官

○三木国務大臣 全然食い違いはありません。高碕通産大臣も、向うの方が今申したように二千万ドルの中でわずかなものしか賠償のプロジェクトがきまってない、全体としての計画がないと、消費物資というのは通常貿易にも影響いたしますから、そういう点で積極性がないというのではなしに、非常に積極的です。向うも希望し、こちらの方もこの滞貨の処理というものは非常に大きな問題でありますから、言葉は慎重を期されて言われておるが、内心はきわめて積極的です。

松平忠久日本社会党

○松平委員 どうも今の話は、二人ですわっていて打ち合せながら言っているからなんだけれども、私はもう少しこれは積極的にやっていかれていい問題だ、こういうふうに思うのです。それを今までただ口頭で言っていたから文書で出せというので、包括的な催促をしてやっているというようなことであったけれども、もう少しこれは方法を変えて、だれかほかの民間の者を使うなり何なりして、これをぜひ一つ入れてくれ、お前の方が入れたいというのだから入れてくれという、そのくらいの手は打ったらどうかと思うのだけれども、そういう手をお打ちになる気持はございませんか。

高碕達之助自由民主党通商産業大臣

○高碕国務大臣 松平さんのおっしゃることは、もっと積極的に余った消費物資を持っていくように努力しろ、こういうお考えのように拝承いたしますが、私ども全く同感でございます。

松平忠久日本社会党

○松平委員 同感なら、やはりそういうことを、ただ同感だけで下られては困るので、もう少し行動にそれを現わしてもらいたい、こう思うのだが、そういうお考えは政府自体としてあなたがそういうことをやらなければ、外務大臣はやる気はないのです。それはできない立場にある、あなたがそれをやる立場にあるのだから、やはりあなたが積極性を出して、そうして繊維などが困っているから、たといそういうことは少しでもやってやれば喜ぶ、こう私は思うのだが、私はその行動をお伺いしたい。

高碕達之助自由民主党通商産業大臣

○高碕国務大臣 賠償物資に消費物資を繰り入れるということになりますれば、これは一つの商売でありまして、あまりこっちから泣いていくということは足元につけ込まれるということもありますから、その辺の点は、あなたの御意見と私どもは一致しているということであれば、その程度でおまかせ願った方が、今後の進捗がよくいくだろうと思っております。さよう御承知願います。

松平忠久日本社会党

○松平委員 私はこういうことであまり議論するつもりはありません。これ以上それはいたしませんけれども、やはり通産大臣はそれを主張すべきだと私は思うのです。正常貿易を阻害しない程度ということはあります。その点はいいでしょう。しかし業界がこれだけ希望しておるのだから、やはりその希望をいれてやるという親心はなければならぬと思うし、ことに向うからそれをほしいと言ってきたのだから、それは渡りに舟と思ってお考えになっていただいて、それを行動に現わしていただきたいということを申し上げまして、私はこれは打ち切ります。  次に、三木企画庁長官が非常にお急ぎのようでありますから、一言お伺いしたいと思うのですが、先ほどもちょっとこの問題に触れましたが、東南アジアに対する中共並びにソ連の進出についてであります。この状態で参りますと、日本が自由圏だけ一緒に固まって、そうして共産圏の東南アジア進出に対抗するような一つのこちらだけのグループを、もっと密接なものを作っていくということになるか、あるいはそうではなくて、少くともソ連も入れたところの経済開発機構というものを作って、そうしてその中で妥協しながらいくというのか、私はきわめて最近の機会において日本の行くべき方向をきめなければならぬという段階が近づいてきていると思うのです。それはたとえば東南アジアに対するソ連、中共のクレジットの設定は、すでに十四億六千七百万ドルというふうにいわれておる。軍事援助は別といたしまして、後進国の開発援助を主として提供されたものが十四億六千七百万ドル、こういうふうにいわれております。一方においてソ連の産金額は年々ふえてきておる。金が余ってきております。この状態が続いていくと、私はやはり相当のクレジットなり条件のいい借款が行われてくると思う。そこで日本としてはこれらのソ連圏の動きというものに対して、今の政府のやり方を見ておりますと、ソ連圏をボイコットして、そうして東南アジア開発機構を米英というようなものを入れて作っていこうというのであるか。国連におきましては世界銀行の機構改革というようなものも出ておりまして、ソ連も入れて経済開発のための金融機関を、もっと整備強化していこうということを、日本の代表はニューヨークでは言っているわけであります。そこで一体日本はどういうふうにして、これらの各国の競争を、うまく調整していくという考え方で、日本がその役割を果していこうとしているのか。今の行き方でいくと、なるほど国連ではそういうことをいっておりますから、入れてやっていこうという考えも一部にあるようであります。しかしその他の一部におきましはノックアウトして、自由諸国だけでもって対抗的なものをこしらえていきたいとういう考えもあるようであります。三木企画庁長官の所見を承わっておきたいと思います。

三木武夫自由民主党経済企画庁長官・科学技術庁長官

○三木国務大臣 やはり東南アジアに対して日本の政策の基本になるものは、こういう後進国の経済水準を高めるということだと思います。ああいう人類の谷間のような地域があることは、世界の平和にも影響するわけです。そういう意味において、東南アジアのようなところは民族資本というのもないわけでありますから、これが自力でもってやろうとしたところで、どうしたって非常な長年月を要する、こういう点で、やはり世界の相当余裕を持った国々が、こういう後進国の経済水準を高めるために協力し合うということが今日世界的課題だと思うのです。そこで一つの方法は、世界銀行のようなああいう国際的な金融機関が、コマーシャル・ベースでない——後進国はコマーシャル・ベースに乗らない。乗れば後進国でない、そういう意味において第二世界銀行のようなものができて、そうして後進国の経済開発に協力するということも一つ、あるいはまた国際連合などのような機関が、各国から後進国開発の基金というような制度を設けて、そうして東南アジアのような地域に対して経済の開発資金を供給する、いずれにしてもそういう世界的な規模において後進国の経済開発が促進されるような前提条件を満たす、こういう国際的機運を助成することが、日本の大きなこれからの東南アジアに対しての——日本の経済協力というのは日本自身では限度がありますから、そういう意味において世論を喚起すべきだ。だから各国とも東南アジアの経済開発ということを政治的な目的の犠牲にしてはいけない、ひもをつけないで、やはり世界の平和のためには、後進国の経済の向上が必要だということでやることが必要です。これを国際政治の中に持ち込んで、経済援助をすれば軍事的な義務を課したり、あるいは政治的な目的というものを交換条件にするという考え方は誤まっておる。それを越えた高い人類的な立場で、後進国に対してやらなければならない。そういう意味において国連あるいはまた世界銀行という構想もいい。政治を離れて後進国の経済水準を高めるという世界の世論を喚起して、そして日本も自分の能力に応じてこれに貢献していくということがやはり日本の東南アジア政策の基本だと私は考えます。

松平忠久日本社会党

○松平委員 今のお考えを現実に当てはめてみると、現在東南アジアのある国の間には、一つの軍事ブロックというものがあるわけであります。その軍事ブロックがおのずからソ連圏とも対立をしておる。ところがこの軍事ブロックに入らない多くの国々もあるわけであります。それで経済の問題を論ずるに当りますと、今あなたがおっしゃったような工合に、政治とは離れてもっと高い立場に立って、むしろそれをもっと積極的に言うならば、経済の後進諸国、いわゆる低開発国と申しますか、そういう国々の開発をするに当っては、もっと人道的な立場に立ってやるべきである、そういうふうにしていくならば軍事ブロックその他のことも自然に緩和され、解消されていく、こういうところにもねらいがあるというふうに私は受け取ったわけであります。しかし現在は御承知のような軍事的なブロックというものがあって、おのおのがやはりそこに政治的なひもをつけるなり、あるいは政治的な考慮というものを加えながら開発をしていこうという考えが、まだ全然解消しておるわけではない。そこで日本としては国連で、日本がこれらの開発に当ってはどういう方式、つまり世界銀行を中心にするなり、あるいは第二世界銀行を作るなり、あるいはまた現地だけに発言権を与えるような開発の金融機関を作るなりする場合におきましても、やはりソビエトも中に入れたものにしていかなければならぬという発言をしたことは、私は正しいと思うのだが、現実の政府の考え方というものは、今あなたがおっしゃったような工合に、ソ連を加えた一つの機構というものでこれを開発していった方がいい、こういうお考えになるわけですか。

三木武夫自由民主党経済企画庁長官・科学技術庁長官

○三木国務大臣 今アメリカの中にもやはり第二世界銀行を作るべきだという声が世論の中に相当ある。第二世界銀行という構想ができれば、ソ連は入っていないわけです。これは一番実現の可能性を持っておると思うのですが、一方において国連などがやはり直接にやるというよりも、一つのクッションを置くということもそういう意味において——直接にやって、そのためにひもをつけるような形でなしに、するためには一つのクッンヨンを置くということは、私は後進国の開発として考えるべきものだと思う。その方が好ましいのではないかと思います。そういう意味においてソ連だからこれを排撃するというのではなしに、国際連合などで後進国のフアンドのようなものができれば当然ソ連が入る。だからそういう意味で、政治的や軍事的なひもをつけないで後進国に資金を供与してやる。それが共産圏はやはり政治的な目的に経済を犠牲にしがちでありますから、そういう色彩は非常に強いわけであります。そういうものでなしに、やはり国連なら国連に対してクッションを置いてやるというような、政治的な目的に共産圏の諸国が、東南アジアの後進国の経済開発を援助するという意図でなくて、ただ後進国というものが世界にあることは平和のためにも非常に障害になるのだという見地から、後進国に援助しょうということならば、ソ連でも中共でもその資金は排斥すべきものではないと私は思うのであります。

松平忠久日本社会党

○松平委員 そういうお考えだとすれば、世界銀行の現在の機構を改革して、現在のああいうコントロールの仕方はやめていかなければならぬし、また日本自体としても、今の世界銀行的な、いわゆる資本を中心とするところの管理方式をとっておるようなやり方で、日本もきわめて発言権が脆弱になっておりますが、そういうことをやめていかなければならぬ、こういうふうに私は思うのであります。そこでその場合に、今おっしゃいましたが、ソ連の方も政治的なにおいがかなり濃厚であると同時に、アメリカもかなり政治的なにおいが濃厚なのである、そこで両方これをやめさせていくために、日本はもう少し積極的な努力をしていかなければならぬと思います。  そこでお伺いしたいのは、現在の中共の東南アジアの進出というものを考えた場合におきましても、私はやはりこの問題が必ず出てくると思う。そこで開発をするという場合におきまして、いろんな機関を作るという場合においても、ソ連のみならず中共の問題もやはり念頭に入れていかなければならぬ。それはもうこの一、二年の間に出てくると私は思う。従って今のお話によりますと、ソ連も中共もそういうふうにひっぱり込んでいった方がいいというお考えのようであったわけでありますが、重ねて、そういうお考えですかどうですか。中共も含めて——中共が入ってきたいというなら、別にこれを排斥する必要はないということを今言われたが、そういうお考えですか。

三木武夫自由民主党経済企画庁長官・科学技術庁長官

○三木国務大臣 政治的なあるいは軍事的なひもをつけないで、後進国に対して経済援助をしたいということならば、これはやはりどこの国でも排斥すべきでないと思います。しかし共産圏はかなり政治的目的のためにいろいろ経済というものを犠牲にしがちでありますから、やはり虚心たんかいに後進国の経済援助をしよう、政治的な軍事的なねらいを離れてやろうということが前提であって、それがないと、国際政治の現状からして共産圏も自由国家諸国も一緒ということにはなかなかならない。その前提がなければならぬということであります。考え方としてはそれがひもがつかなければどこの資本といって排斥するわけではありません。後進国が開発されていくことがアジアの平和にも役立つし、日本の将来の貿易市場としても購買力を持つことは好ましいことであるということで、具体的に大きな原則をお尋ねになっておりますから原則をお答えしたのであります。個々の場合は検討を要する問題であります。

松平忠久日本社会党

○松平委員 これ以上は抽象論になりますので追及をいたしませんが、一つ伺っておきたいのは、これは担当の大臣の所管外かとも思うのですけれども、最近日本の貿易関係の円のクレジットの設定とか延べ払いということで、先ほど私も質問申し上げたのですが、この問題の中で一つ提起されているのは、輸出入銀行の金が非常になくなってしまったということなんです。従って延べ払い等を通産大臣が非常に主張しておる反面におきまして、大蔵省としては難色を示しておるという一つの原因が、輸出入銀行の金が枯渇を来たして、そうして円クレジットを設定しておるようなところに延べ払いをやっていくという二重のことはいかぬというようなことを、反対の理由としてきておるわけでありますが、現在の輸出入銀行の状況と、それから延べ払いを今後積極的にやっていくという場合にはどうしてこれを調整していくのであるか、それは結局預金部資金なりあるいは一般会計なりということになるわけでありますが、その点はどういうふうにお考えになっておりますか。

高碕達之助自由民主党通商産業大臣

○高碕国務大臣 ただいま輸出入銀行の資金が枯渇しているというお話でございますが、まだ枯渇するまで進んでいないのでありまして、それを私どもは非常に言っているわけなんです。円クレジットの設定に対しましても、また延べ取引の問題にいたしましても、がやがや口で言っているけれどもなかなか実行が進まないのであります。これを早く実行させなければならぬということを考えているわけであります。もちろんそういうことになって、われわれの予定のごとく実行してくれば、当然輸出入銀行の資金は現在の計画では枯渇をするものとみなければならぬ。それには預金部資金なりを出すということになっておりますが、輸出入銀行の貸し出します金利というものは、これは輸出を奨励するためにやることでありますから、四分程度を限度としておるわけであります。従って預金部資金の金を持っていけば、六分以上の金を持っていくということでありますから、そこで輸出入銀行の政府出資というものをもっとふやしていって、平均で四分くらいに貸しても赤字のでないようにしていかなければならぬ、こういうふうなことで今せっかく大蔵省と折衝しているわけであります。詳細の数字は政府委員からお答えしてもよろしゅうございます。

松平忠久日本社会党

○松平委員 今大臣の言われたのは、延べ払い等がなかなかうまくいかないのだ、まだ輸出入銀行の資金は枯渇をしない、こういうお話だったのです。しかしこれはやがて構想が進んでいくに従って無利子のものが相当多くなり、無利子の出資をしなければならぬような工合になってくるということはわれわれも考えられますが、一体そういうことを今年大臣就任になってから、すぐ大臣は延べ払いのことを言われたわけでありますが、今日までなかなか思うようにいかぬというのは、どういうところにうまくいかぬ欠陥がございますか。それは相手国には私は別にないと思いますが、国内にやはりこれに対して反対するものがあって遅々として進まぬのかどうか、どういう理由があって遅々としてそれがうまくいかぬのであるか、それをお聞かせ願いたいと思います。

高碕達之助自由民主党通商産業大臣

○高碕国務大臣 今の御質問でございますが、これは主として相手国によりましてそういう問題が進まないのでありまして、たとえばインドにおける五千万ドルの円クレジットも、もうすでに政府としてはきめておることでありますけれども、相手国の状態によりましてなかなかこれが進んでこない、逐次進みっつありますけれども、予定のごとく進まない、こういう状態であります。また延べ取引のプラント輸出にいたしましても、これは相手国の状態によりましてなかなか進みにくいわけでありまして、従前はある程度国内における意見の相違等のために、プラント輸出のチャンスを逸したことは事実と存じますが、これのないように、この六月以来私どもは非常な努力をいたしまして、今日では大体態勢は整ってきておるわけなのでございます。相手方の状態にもよることでありまして、思うようには進んでおりませんが、しかし逐次これは進んでおるわけでございます。

松平忠久日本社会党

○松平委員 相手国の事情というものは、延べ払いの場合には、日本がいい条件を出してやるのだから、これは相手国が応じてこないというのはおかしいわけであって、相手国の原因で進まないというのは、どうもわれわれしろうとにはわかりかねる議論なのです。あるいは向うの支払い能力というようなものによってできないということはあり得るかもしれませんけれども、そうでなくて普通の条件のものを緩和してやるというのだから、相手国にその遅々として進まない原因があるということは、どうも私たちは受け取れないのです。われわれしろうとにはちょっとわからないのですが、しろうとにわかるように、もう一度答弁願いたいと思います。

高碕達之助自由民主党通商産業大臣

○高碕国務大臣 たとえば円クレジットの設定のごときにおきましても、インド側におきましてはやはりインドの政府の中にいろいろ意見がありまして、あるものはこっちの仕事をやれ、ある部分ではこちらをやれという工合に、先方の意見が一致しないことがあったということも、円クレジットの場合は事実でございます。また相手国の状況と申しますけれども、相手の方においては延べ取引にいたしましても、これはできるだけ安いものを買いたいというのが先方の希望でありますから、そうすれば国際入札でもやるかというふうなことになってくると、自然競争にもなるということで、これは思う通りにはなかなか進まないわけであります。しかし逐次進みつつあることは事実であります。

松平忠久日本社会党

○松平委員 もうちょっとお伺いしたいのですが、最近伝えられるところによると、自由民主党では行政機構等の改革ということをお考えになっておるということで、貿易を伸張していくために今の通産局の機構ではどうもだめだ、関税あるいは為替というようなものまで一括したところの貿易庁といいますか、外局として貿易庁のようなものがあって、一括して、そこへ行けば何でもできるのだというものがなければならぬという考え方のもとに、いわゆる貿易庁の構想というものがあるように承わっております。これは党のことであろうと思うのですが、貿易担当の通産大臣として、現在の国家行政組織法の中の貿易機構というものに対してこれで満足しておられるかどうか、もしそうでないとすれば、何らか構想がおありであろうと思うのですが、率直に承わっておきたいと思います。

高碕達之助自由民主党通商産業大臣

○高碕国務大臣 ただいま政府といたしましても、貿易を振興するためには相手国があるものであるから、競争者との間に打ち勝っていくためには、条件等も急速に取りきめなければならぬということを痛感する次第でありまして、それがためには、各省にわたっていろいろ折衝しておるということのために時期を失することが多いと存じまして、そういうことのないように何か行政機構の改革ができるということになれば、その方針に基いていけるようなことが実行し得ればまことにけっこうだと存じております。

松平忠久日本社会党

○松平委員 今おっしゃったことは、その場合に関係各省との間のいろいろな連絡協議事項がなかなかスムーズにいかない、こういうことのために時期を失するというこで、そういうふうに機構を改革していきたいというお考えのようでありますが、現在の貿易関係の機構というものはかなりにまたがっております。大蔵、通産、外務というふうになっているのだが、あなたのお考えではどういうふうにこれを統合整備していったならばいいというふうにお考えになっているのか。貿易の一元化ということをいわれておるが、そのためには貿易省というか、そういうものに全部統合していくというのが一つの方法でありましょう。そこで今伝えられておるところの党の考え方もよくは知りませんが、どういったものを理想としてお考えになっているのか、もうちょっと具体的にお示し願いたいと思います。

高碕達之助自由民主党通商産業大臣

○高碕国務大臣 現在、御承知の為替管理をやっている、あるいは国内の情勢等も見なければならぬ。そういうふうな点から申しますれば、国内の情勢と為替管理の問題というふうなものを一本で解決ができるというふうなことができれば、私は非常に楽だと思っておりまして、その方法等につきましては、原則をそういう原則において持っていきたいと存じております。

松平忠久日本社会党

○松平委員 最後に一つお伺いいたします。それは十四日の日経に出ておりましたけれども、エジプトとの間のオープン・アカウントの廃止の問題についてであります。御承知のようなアラブ連合ができてから外貨が非常に少くなったとか、それからいろいろな経済上の変化というものがあって、日本の貿易政策としてオープン・アカウントをなるべく廃止していきたいという考え方のようであります。そこで現金決済の方向に、一応九月の初旬でありますか、先方から人が来て、今月の末くらいまでに大体まとまる、こういうことを聞いているわけでありますが、これに対してかなり疑問が出てきておる。つまりこういうことをやって果して輸出が伸びるのかどうか、伸びないのではないかという心配をしておる者か、かなり最近は出てきておる。こういうのが新聞の記事であります。私ども自体考えましても、一方におきましては確かに債権確保という問題があって、大蔵省筆の考え方によってどうしても現金決済ということにならざるを得ない要請もあると思いますが、しかし他方においては、やはりこれも高碕通産大臣が関係しておるといわれておる電源開発等の問題、あるいはプラント輸出というようなことを考えますと、これも何らか現金決済を補ってやらなくちゃならぬような場合がかなり出てくるんじゃないか、こういうふうに私は思うのです。だから、債権確保というようなことだけでオープン・アカウントをやって、そうして輸出が伸びないということになった場合には、これは逆になってしまうということになりますので、通産当局の責任者としての大臣の考え方というものを、この際承わっておきたいと思うのです。

高碕達之助自由民主党通商産業大臣

○高碕国務大臣 これは相手次第によることでありまして、オープン・アカウントを継続するかしないかという問題をきめなければならぬと思っておりますが、お説のごとく、現在の世界の大勢はオープン・アカウントをやめて現金決済にしようじゃないか、こういう大勢であることは事実でありまして、またそうあるべきものだと存ずるわけであります。相手国の信用いかんによりまして、これはただいま急にやめなければならぬものでもなければまた相手国の信用いかんによれば、これは非常に警戒をしなければならぬ点もあることでありますから、今ここで一がいに論じられませんが、ただ単に貿易を増進するということからいけば、オープン・アカウントがあればけっこうでありますけれども、それによって大きな焦げつきが起るというふうなことになれば、これまた国全体として考えなければならぬことでありますから、そこらの点はよく考慮いたしまして、相手国とよく折衝した上において、その支払い決済等の方法はきめたいと存じております。

松平忠久日本社会党

○松平委員 新聞報道によりますと、現金決済の場合には、日本の輸入が十であって、輸出が五だという提案をエジプトからはしてきているということである。これではあまりに片貿易ではないかと思うのです。そこでそういった先方の国が日本からいった場合、輸出十に対して輸入五だというきめ方ですね。これはやはりそういう方向に進んでおるのですか。それともなにか中をとって日本からの輸出は七・五くらいまでに引き上げるというようなところで妥結をしたいというようなことを考えておるという報道もあるわけでありますが、エジプトとの関係において一体どういうところへ結着する予想でありますか。

高碕達之助自由民主党通商産業大臣

○高碕国務大臣 この問題はただいまこちらから人が参りまして、せっかく折衝中であることでありますから、できるだけこちらの有利にしたいということの方針で進んでおります。

松平忠久日本社会党

○松平委員 現金決済をやった場合、プラント輸出とか、あるいは電源開発ということになりますと、かなりこれは現金決済ではなくて、長期の信用供与ということになるわけですが、やはり政府はそういうことをあわせて考えておられるのであるか。ことにアラブ連合等のああいう低開発国におきましては私は極端なる現金決済ということでは、輸出は決して伸びないと思う。その点は大臣の非常に関心の高い電源開発等も話があるやに聞いておるのでありますが、この開発関係の話はどういうふうに進んでおるのかということと、またこの開発等の場合の決済というものは、全然別個の方法で決済されると思うのですが、それはどういうふうにお考えになっているのか、これをお聞きしまして私の質問を終りたいと思います。

高碕達之助自由民主党通商産業大臣

○高碕国務大臣 これは主としてエジプトに関する御質問だと存じますが、これはオープン・アカウントの問題も、貿易の決済をどうするかという問題も、それから電源開発のような場合の経済協力をやる場合にも、また延べ取引をやります場合も、そういうものは総合的に考えまして、相手方の国情に応じてやるわけでありまして、かりにある一定の期間を置いて延べ取引でやります場合に、その延べ取引の支払い期限になったときのその金をどうするかという問題が、今の支払い決済の問題と一緒に論じられるわけでありますから、単純にこれは一つだけを考えるわけにいきませんで、相手国の国に応じましてどの程度に延べ取引をやるべきものか、どの程度のクレジットを出すべきものか、どの程度の経済協力をすべきものということ等は、相手国の国情に応じて総合的に考えてやっていきたいと存じております。

松平忠久日本社会党

○松平委員 それはわかりましたが、このエジプトとの問題は今人が行って折衝中である、こういうお話であったのですが、これは一体いつごろ最後的に結着する予定になっておりますか。

高碕達之助自由民主党通商産業大臣

○高碕国務大臣 政府委員から……。

松尾泰一郎通商産業事務官(通商局長)

○松尾(泰)政府委員 かわりましてお答え申し上げますが、現在のエジプトとの協定はオープン・アカウント協定でありまして、これが十一月二十七日にエクスパイアすることになっておるのであります。従いましてそれまでに新しい協定を発足させるということで、先般代表団が参りまして、今せっかくやっているような次第であります。

長谷川四郎自由民主党

○長谷川委員長 板川正吾君。

板川正吾日本社会党

○板川委員 私は過日大臣が所信を表明されましたので、これに関連いたしまして二、三質問を申し上げたいと存じます。まず政府は過般の九月九日の輸出最高会議で、本年度の輸出目標為替ベース三十一億五千万ドルから二十八億八千万ドルに修正をいたしました。まず何が原因でこのような大幅な目標の引き下げを行わざるを得なかったか、その理由を一つお伺いをいたしたいと思います。またその新しい目標に対して、現在の事態において政府はこれが達成できる確信があるかどうか、この点をあわせて質問をいたします。

高碕達之助自由民主党通商産業大臣

○高碕国務大臣 政府は最初三十一億五千万ドルを策定いたしました当時における世界の情勢は、かくまでも悪くならないということが一つの考え方でありましたことと、もう一つは中共との貿易が五月以来途絶しておるということが一つの理由であります。もう一つは、金額が大幅に減ったということは、輸出する物資が大体七%ないし一〇%価格が低下したということのために、金額においてそういうふうな低下をしたのでありまして、幸い数量におきましては予定とあまり大きな変化がないというふうな状態でございます。  それから下半期の目標はどうだ、こういうことでありますが、これは私はこのまま手をつかねて成り行きにまかしておけば、なかなか二十八億八千万ドルに到達することは困難だと存じます。従いまして、さしあたり通貨を十分持っており、外貨を持っておるアメリカ、ヨーロッパないしニュージ—ランド、豪州等には、せっかく使節団を出しまして、輸出の振興について急速に今努力しておりますから、努力のいかんによりますれば、私はこの下半期におきましては上半期よりも七%の増加はできるだろう、そういうふうなことから二十八億八千万ドルは達成し得ると存じます。

板川正吾日本社会党

○板川委員 二十八億八千万ドルの中には一応中共貿易が見込まれておるというふうに思っておりますが、これは見込まれておりませんか、おりますか。

高碕達之助自由民主党通商産業大臣

○高碕国務大臣 中共貿易もある程度回復し得るものということを見込んでおります。

板川正吾日本社会党

○板川委員 中共貿易が現状のままで中絶して進みますと、予定通り行きましても二十八億八千万ドルを割るということになると思いますが、そういう解釈でよろしいですか。

高碕達之助自由民主党通商産業大臣

○高碕国務大臣 この間の経済最高顧問会議では、私どもは二十八億八千万ドルという数字を出しておりますが、経済最高顧問のあのときの数字は二十八億ドルということになっております。それは数字を訂正しておきます。  それから中共との問額につきましては、もし中共との間の経済が回復できなければ、相当数量は減るだろう、こう存じております。

板川正吾日本社会党

○板川委員 わが国の輸出の状況を過去五年間拾ってみますと、為替ベースで計算をしまして二十八年度が輸出十一億五千万ドル、二十九年度は前年度に比較して三億八千万ドル増加して、三十年度はさらに前年比四億二千万ドル増加しております。三十一年度は前年比四億五千万ドル増加しておる、三十二年度は前年比三億八千万ドル増加しておる。大体四年間で十六億三千万ドル、一年平均にいたしまして四億一千万ドルずつ増加をいたして参りました。この増加傾向をたどってみますと、本来ならば三十三年度の輸出は三十二億ドルをこえてもいいと思う状況であるのに、ただいまの説明によりますと、二十八億ドルやったとという状況であります。このままでいきますと産業が発展をしない、拡大をしない。われわれ年間百万人ずつ労働人口がふえて参ります。この百万人ずつ年間ふえる労働力に対して、雇用の機会を与えるということは、産業政策上重要なことであろうと思うのであります。労働者は憲法によって働く権利を持っております。国家はこれに働く機会を与えなくてはならぬと思うのであります。通産大臣として通商産業を振興して雇用の機会を与えなければならぬと思うのでありますが、この雇用関係について、通産大臣は現在どのようなお考えを持っているか、この点をお聞きいたします。

高碕達之助自由民主党通商産業大臣

○高碕国務大臣 政府がやっております長期の経済計画というものは、根底はどこにあるかといえば、現在年々増加する労働力をいかにして収容するか、そうしてできるだけ失業者の数を少くする、こういうことが、長期計画の根本の方針になっているわけであります。従いまして一国の産業を、どの程度に工業の生産はふやすかということも、この雇用関係を一番先において考えたわけなんであります。それに付随いたしまして、生産がふえればこれをどういうふうに処理させるかということが問題でありまして、そのために輸出を増進するということが、そのまた問題になっておりますから、輸出を増進するかどうかということは、言葉をかえていえば、いかに雇用関係を改善するかということに、結局帰着するわけでありまして、輸出増進ということも、根本は雇用関係はどうして改善するかということのためにやっているわけなんであります。

板川正吾日本社会党

○板川委員 大臣から先ほどの所信表明の中で、日本経済を長期に安定化するためには輸出の拡大が急務である、長期に安定した輸出市場の培養をすることが大切である、ただいまは雇用の機会を拡大するためにも輸出が急務であるというお話があったわけであります。その点は私も否定するものではありませんが、しからばどうして輸出を拡大するかという点について私は第一に、先ほど松平委員も若干触れましたけれども、対米片貿易を是正することが当面の急務であろうと思う。対米片貿易の輸入市場をアジア、アラブ地域に求めるということがまず大切ではないか。第二としては、東南アジア地域に輸出拡大のための強力な措置を講ずること。第三は、日中貿易再開をはかるということ。この三点が私は当面の輸出拡大政策の要点であろうと思うのであります。  そこでまず第一にお伺いいたしたいことは、最近米国における日本品の排斥運動が非常に熾烈になって参っておりますが、その実情について御報告を承わりたいと存じます。これは政府委員でもけっこうであります。  それから報道によりますると、政府はアメリカ政府に対していろいろ働きかけておりますが、私はアメリカの実情からすると、民間に対する働きかけというのも大切であろうと思うのであります。こういう日本商品の排斥運動に対する対策というものをどういうふうにとってこられたか、まずこれをお伺いをいたします。

高碕達之助自由民主党通商産業大臣

○高碕国務大臣 御指摘のごとく輸出を増進して経済を安定せしめる、従って国民の失業者の数を少くするということは当然でありますが、それがためには、御指摘のごとく対米の貿易をどうするか、それから東南アジア貿易をどうするか、日中貿易をどうするか、この三つの問題は非常に重大な問題だと存じます。対米問題につきましては、輸出入が今片貿易になっているものを逐次変えつつあるということは先刻お答え申し上げました通りでありますが、現在アメリカにおいて日貨に対する制限問題等が出ておりますが、これは御説のごとく、日本の業者自身がアメリカの業者自身とよく接触し合って、話し合う必要があるということは十分痛感いたしておりまして、今回稲垣経済使節団をやったのも、あるいは繊維の問題そのほかの問題につきまして、相手国のアメリカの業者とよく話してくれ、こういうことを言うてやっているようなわけでありまして、業者自身といたしましても、これは全国にまたがっておるのではなくて、大体地域にきまっておるようでありますから、その地域の方に行ってもらって、そしてそこで話をしてくれ、こういうことを言っておるわけでありまして、できるだけ業者と話をして、日本の状態なり向うの状態もよく聞き、そうして日本としてある程度自省すべきものは自省していこうじゃないかということを話をつけていきたい、こう存じておる次第であります。

板川正吾日本社会党

○板川委員 次に対米片貿易の問題でありますが、先ほど松平委員も触れられました。私も重ねてお伺いをいたすわけでありますが、昭和二十五年、一九五〇年から五七年までの八年間を統計をとってみますと、輸出の総計が二十六億八千五百万ドルであります。今度はアメリカから輸入した対米輸入総額でありますが、これは六十九億三千八百万ドルに達しております。この間の支払い超過は実に四十二億五千三百万ドルという膨大な金額に達しておるのでありますが、このように八年間に四十三億ドル近く対米支払い超過となっておる現状というものは、日本のほんとうの経済の自主独立というものが達成できない大きい原因をなしておると思うのであります。通産大臣はこの際思い切った輸入市場の転換をはかるべきではないかと思うわけでありますが、先ほど通商局長が言われるのには、対米輸入は安い物を買うのだから、自然の法則に従うのであるからやむを得ない、転換する市場から高い物を買わせるということは無理だ、それだから計画的に輸入市場の転換をはかるということはできない、こういうような趣旨を言われております。しかし、この輸入市場を転換するということは、ただ単に輸入の市場を転換するのではなくて、これは輸出の拡大と表裏一体をなしているものでありまして、東南アジア地方が非常な外貨不足のために日本の輸出が伸びない現状から見るならば、輸入市場を転換して輸出の拡大をはかるべきではないか。ところが、対米片貿易の状態はこれはまあやむを得ない、こういうことですと、輸出を非常に重要視する大臣の政策と相反するのではないか。私どもはとにかく、輸出が伸びない原因は、先ほど言いましたように、三十一億五千万ドルから二十八億ドルに引き下げざるを得ないような状態になったことが、何といっても対米片貿易に大きい原因があるのだから、輸入市場の転換をはかって輸出の拡大をはかるべきではないか、こういう考え方を持つわけあります。もう一度一つ重ねて大臣からその間の所信を承わりたいと思います。

高碕達之助自由民主党通商産業大臣

○高碕国務大臣 アメリカからの片貿易を是正するためには、アメリカから輸入しているものについて、市場転換のできるものは市場転換の方法をとれ、こういう御説でございまして、それはまさにその通りでございますが、それが今日までのように自由にまかしておきますというと、なかなかそう転換し得る方法はないのでございまして、たとえば現に輸入しております大豆のごときは、中共から入らないからやむを得ずとらなければならぬ、こういうことになっております。米の方の問題は、御承知のようにこれははっきり転換いたしまして、今日ではアメリカから米を持ってきておりません。残っているものは綿花の問題でありますが、こういう問題もできるだけ、エジプトに物を売ればエジプトから持ってくるとか、あるいはそのほかの国から買うとかいうこともやっているわけでありまして、必ずしも自然の価格そのままで放任しているわけではなく、業者ともできるだけよく接触いたしまして、輸出というものと見合って輸入をするというふうなことに、市場転換の方法を講じて逐次努力いたしているわけでありますから、おいおい対米の片貿易も是正されてくる、こう存じております。

板川正吾日本社会党

○板川委員 対米片貿易がおいおい是正をされてくると言われております。先ほどの大臣の説明ですと、本年の一月から六月までの半期間は、昨年同期の実績に比較いたしまして輸出が一四%増し、輸入は五〇%減った、こういうことで、昨年より片貿易は大へん是正されてきている、こういう説明がございました。私、通関ベースで比較をいたしたのでありますが、昨年から見ますると輸出においては一二%ふえておりますが、輸入においては三九%マイナスになっている。数字はこれは通関ベースと為替ベースの差かと思いまするが、それにいたしましても半期間に二億七千七百五十万ドルばかり何といっても赤字、対米支払い超過になっているようであります。本年集計いたしますと、一体どのくらい対米片貿易になるか、こういう見通しについて一つお伺いをいたします。

高碕達之助自由民主党通商産業大臣

○高碕国務大臣 今アメリカだけに対しての数字ははっきりいたしませんですが、大体からいたしまして、去年は特殊需給がございまして、それがあっても非常に大きな支払い勘定になっておりますが、本年は特殊需要を入れますと、大体対米貿易というものは、貿易の赤字は特殊需要によってまかなっていける、こういう見通しを持っております。

板川正吾日本社会党

○板川委員 日本の経済が特需にたよっていくということは常態でない、そういうことが輸出を伸ばさない大きな原因になっていると私は思うのでありまして、特需を除外して計算すると、なおかつ本年度において五億ドル以上の赤字になるのではないか、こういう予想ができるわけであります。何といっても対米依存度があまり高過ぎている、こういうことが輸出を伸ばさない原因であろうと思うので、今後の是正に対する積極的な対策を要望いたします。  なお片貿易の問題をちょっと見ますると、オーストラリアやカナダにもずっと長い間貿易が続いております。こういった地域における片貿易を是正する方針といいましょうか、その従来とってきた方針、今後の政策なりをお伺いいたしたいと思います。

高碕達之助自由民主党通商産業大臣

○高碕国務大臣 これはカナダにいたしましても、オーストラリヤにいたしましても、アメリカも同様でございますが、相当経済力が充実している国でありますから、片貿易を是正するということよりも、オーストラリアとかカナダにいたしましても、もっと物を買ってもらえないか、こういう方針でいきたいと存じまして、今度の経済使節団にも、相当その点を強く言って頼んでいるわけでありますが、幸いオーストラリアの方は非常によくなりつつあるような気がいたします。

板川正吾日本社会党

○板川委員 オーストラリアの片貿易というのは、非常に激しいようであります。カナダよりも非常に多いのでありまして、こういう点は、日本の実情をよく訴えて、一つ片貿易是正のために、一そうの積極的な対策を要望いたします。

田中武夫日本社会党

○田中(武)委員 関連質問。先ほど来松平委員あるいは板川委員から、アメリカの片貿易の問題についていろいろ御質問がありました。その原因の一つと申しますか、アメリカにおいて日本の繊維の輸入の制限ないし禁止の運動、そういうものの一つの原因が、日本のソーシャル・ダンピングに対するアメリカの一つの攻撃だ、こういうふうにも考えられる。これはやはりILO労働条約の日本の批准、こういうことに関係があると思うのですが、これは労働大臣に伺うのが本筋かと思いますけれども、貿易に関係があるという意味から、このILO国際労働条約の批准に関して、貿易拡大という意味から、通産大臣はどのようにお考えになっているか、この点をちょっとお伺いしておきます。

高碕達之助自由民主党通商産業大臣

○高碕国務大臣 アメリカの方ももちろんでございますが、ヨーロッパ市場におきましても、日本の輸出を阻止するためには、いろいろな手が打たれております。あるいは日本の労働力が非常に安い、こういうふうなことをいう議論もあるわけでございます。それも一つでございますが、この問題と相からみまして、労働問題につきましては、ILOの問題等につきましても関係があることだと存じまして、よく検討いたしたいと存じております。

板川正吾日本社会党

○板川委員 次に東南アジア貿易について、重複いたしますから、一点だけお伺いをいたします。東南アジアでは、昨年と一昨年の二年間で、約二十三億ドル近い外貨を失って、今非常に深刻なドル不足にある、こういう状態は御承知の通りであります。こういうドル不足の国に対する輸出をふやすために、大臣はしばしば延べ払い、クレジット等をやって、輸出の増進をはかりたい、こういうことを言われております。最初の松平委員からの質問についても、はっきりしないのでありますが、一体具体的に延べ払いの条件をどういうふうに緩和しようとしておるのかという点を、一つお伺いしたいのであります。それは、延べ払いは消費財には適用しない、こう言っておりますが、中共等は、インドネシアにおいて消費財の場合でも、そういう扱い方をしておるようでありますから、一体政府は延べ払いの条件を緩和する、こう再々言われておる、その条件の内容について、一つわれわれにもわかるように、はっきりと説明をしていただきたい。それによって、こういうような輸出増進の見込みがあるということも、あわせて一つ説明を願いたいと思います。

高碕達之助自由民主党通商産業大臣

○高碕国務大臣 これは主として延べ払いをいっておりますこと及びクレジットの設定等は資本財、つまり言葉をかえますと今日はプラント輸出が主なんであります。従前プラント輸出につきましては、最初頭金を五割とるとか、あとの五割は三年払いにするということをやっておりますが、これは漸次緩和いたしまして、頭金を三割にして、あとは七年間くらいの延べ取引を認めようじゃないか、こういうふうなことまで政府は今踏み切っておるわけでありますが、先般エジプトといたしましたのは総額を三千万ドルといたしまして、ある品物については頭金を一割五分でいい、紡績の機械のごときは二割よこせ、あとの延べ払い期限を十カ年にするというふうなことまで緩和したわけであります。そうすることによってあの話がきまったようなわけでありますから、相手の国のいかんによりますればよくケース・バイ・ケースによって、早くある程度の条件を緩和していきたい、こう思っておるわけであります。また消費財につきましては、これはただいまのところまだ考えておりません。これはなくなってしまうものですから、担保力も何もありませんですから、そういうふうなものになりますと、これはよほど考えなければならぬと思います。ただし今考えておりますことは、肥料のようなものはこれは消費財であるけれども、ことし入れれば来年も行くのじゃないか、すぐに現金でなくても、来年のクロップで払ってもらうということにして考えていく必要があろう、同じ消費財でも鋼材だとかあるいはセメントのようなもの、これはある程度物が残るものですから、これについては一つ考慮してみたい、こういう考えで進んでおるわけであります。

板川正吾日本社会党

○板川委員 最後に一つ通産行政の基本的な構想といいますか、そういう点で一つ質問をしたいのでありますが、日本の産業構造というか、特に輸出産業の構成というものを見ますと、日本は現在の軽工業と重工業の中間にあるような状態から将来重工業、重化学工業、こういう方向に産業の構造が転移していく状況であると思います。これは三木経済企画庁長官も必然である、歴史的に見ましても、もうそういう方向に行くことは当然であるということを先刻言われたのであります。私もその点では同感でありますが、先ほど大臣は軽工業が後進国地域、特に中共、インド、そういう地域から発展をしてくると、日本の現在の軽工業中心の輸出はそれと競合する、従って中共やインドや後進国でできない機械類、こういった品物が輸出の重要品目になっていかなくちゃいかぬ、こういうことも言われておったようでありますが、これに関連しまして昨年度の統計を見ますると、機械類の輸出が非常に伸びてきております。反対に軽工業の製品である繊維類が非常に伸び悩んできております。これを統計的に見ますると、昭和二十六年で繊維品の輸出総額中における割合というものは四六・五%である、当時機械類の輸出は八・一%であります。ところが昨年度はその繊維品の輸出の中における割合というのは三五・五%であります。機械類は二二%を占めて参りました。こういうような実績から見ましても、将来日本の輸出の中心というのは付加価値の高い機械類というものに重点を置かれるということは、こういう推移を見ても明らかであります。昨年機械類がどのくらい出たかというと、六億三千万ドルであります。この日本の機械類を買ってくれた地域を検討いたしますと、アメリカはごくわずかであります。六億三千万ドルのうちに、機械類の対米輸出は五千万ドルしかありません。その他の五億八千万ドルというのは、後進国地域、アジア・アフリカ地域に輸出がされておるわけであります。従って日本の今後の通商産業を検討する場合には、何といっても東南アジアあるいはアジア・アフリカ、この中共を含めた地域が日本の輸出市場となるりことは、これはもう必然であろうと思うのであります。そこで私がお伺いしたいのは、こういうような将来日本の輸出市場となる中共を含めたアジア・アフリカの地域と友好関係をどうしても保っていかなくちゃならぬと思うのであります。これに対する大臣のお考えを一つまずお伺いをいたします。

高碕達之助自由民主党通商産業大臣

○高碕国務大臣 今の日本はだんだん軽工業から重化学工業に一そう目標をおいていかなければならぬということは御説りの通りでございます。今日まで非常な発達をしたものは、これは後進国と申しますけれども、造船が非常に多かったわけでございます。機械類というものは存外、私どもの考えているほど進んでいないのでございます。これにもう少し重点をおいてやっていくということにいきたいと思いますが、それについては、これはもうアメリカなんということを考えておってもだめなことであります、ヨーロッパもだめであります。むしろ豪州なりあるいは後進国に持っていかなければならぬということに努力したいと思います。それには、相手国はお説のごとく現在外貨は非常に持っていないわけですから、これには、経済協力という意味でここへ持っていかなければならぬ、こう思っておりますが、経済協力とはということになれば、その間によほど政治的のつながりを持っていかなければ解決はしないだろう、こう思うわけでございまして、よくその国と日本との間の了解をつけなければならぬ。ところが遺憾ながら今日では、まだ東南アジアの国の中でも、日本は経済協力ということに名をかりて、また昔の侵略をやるんじゃないだろうか、こういう誤解も相当あるようでありますから、そういうことのないようによほどこれは注意をしていかなければならぬ。幸い中南米なり中近東なりアフリカはそういうことがないわけでありますから、こういう方面は存外純経済的にいけば早く進んでいくだろうと思っておりますが、いずれにしても今後プラント輸出をし、あるいは延べ取引をし、あるいは円クレジットを設定するとか、あるいは経済協力をするということのためには、その相手国の国民的の感情をよほど融和していく必要があり、同時に中共のごときも早く国交等も回復することを私ども希望しているわけなのでございます。

板川正吾日本社会党

○板川委員 アジア・アフリカ地域の諸国民と友好を保ち経済的提携をはかっていくということは、全く大切なことであろうと思うのでありますが、アジア・アフリカ地域の諸国がバンドンに集まりまして、バンドン会議を持ったのでありますが、このアジア・アフリカのほとんどの国々、ごく一部を除いては、やはり中共を承認し、中共と友好関係を保っておる国々であります。そこで高碕大臣が先ほども中共貿易に、一日も早く国交も回復すべきだという議論を言われております。私も同感であります。過般、中共貿易打開のために、招かれなくても一つ行って、日中関係の打開に努力してみたい、こういうことも新聞紙上で承知をいたしております。またバンドン会議の代表は高碕さん自身であったと私思っております。従ってこの日中問題を打開するということは、高碕大臣が好個の候補者といいましょうか、資格において非常ないい条件を持っておるのだと思うのであります。最近聞くところによりますと、中共の方でも、日本は一つバンドン会議の精神に戻れ、バンドン会議を思い起して、あの精神に戻れば打開の道もあるということを聞いておるわけであります。そこで、日本の将来輸出市場を確保する意味においても、中共を含めたアジア・アラブ諸国の市場というものは大切であります。バンドン会議に集まった国々は、みな中共と友好関係あるいは承認しておる国々であります。従ってそういう中共との途絶されておる現状を打開するためには、どうしても一つ大臣が決意をすべきでないか、かように考えておるわけであります。日本の将来の通商産業政策上からも第四次協定を承認して、日中貿易の中絶を打開するために中共に使いする決意があるかどうか。この点は新聞で報道されておっただけでありますから、その点一つ本委員会において大臣の所信のほどを承わりたいと思います。

高碕達之助自由民主党通商産業大臣

○高碕国務大臣 中共との間に第四次貿易協定が中絶しておることはまことに残念なことでございまして、これも一日も早く回復したいという精神に燃えておるわけであります。それがためには、御説のバンドン精神に戻れと中共は言っておりますが、私どもは日本政府を代表いたしまして、あのバンドンにおいて決議されたことについては、これを認めてきたわけでありますから、従いまして今日まで日本政府の方針がバンドン精神に反しておると断じて思っておりません。ただ現在の実情に即しまして、すぐに今中共を承認することができないということは御承知の通りでございます。従いまして今後政治的と経済的との問題を一つにしておる中共に対して国交を回復するためには、あるいはそれを前提として貿易が振興するというふうなことになれば、今すぐに第四次協定を認めるわけにはいかないわけでありますが、現在必ずしも中共は国交問題と貿易問題とは一つにしていないと私は解釈しておるのであります。そういうふうなことであるとすれば、国交と切り離して経済問題として話ができる時期がくるかと思っております。それを私はここにはっきりできるのか、どういう方法でやるのか、いつ行くのかということになれば、まだお答えすることはできないのでありますが、自分として考えて、今日行けば必ず解釈できる、国のためにもなり、両国のためにもなるということがはっきり見込みがつきますれば、私は自分の老骨をささげてこれに尽したいと存じておるわけでありますが、今日まだその時期でないということだけはお答え申し上げておきます。

板川正吾日本社会党

○板川委員 日中貿易の第四次協定ですが、協定そのものは決して日本が中共を承認しろということを言っておらない。それとは別で貿易協定をやろうというのでありますから、中共は何も即時日本が中共を承認すべきだということは言っておらないと、私は理解しておるわけであります。そういう立場に立って貿易をするためには、何と言っても友好関係を保つことが第一であろうと思うのです。特に日中貿易が中絶した原因を振り返ってみますと、第四次協定の国旗掲揚の権利、これは十一条の覚書だと思うのでありますが、東京と北京に通商代表部を置く。そこに国旗を掲げる権利をお互いが持つ、こういうことを政府は承認をしぶっておる。こういうことが第一の問題点であったわけであります。これは国旗を掲げることがその国を承認したことではないということは、向うも承知しておるわけであります。ところがこの国旗の承認条項に対して政府が了承をしない。しかも民間使節といっても、いろいろな打合せした結果、自民党の代議士である池田さんが代表として調印をされてきておる。従って民間代表だから政府は知らぬといっても言い切れるかと思いますが、それを調印するまでに、一たん日本に帰国して各方面の了解を得て再び中国北京に行って調印したのでありますから、第四次協定は政府はすなおに承認をする、認める。これがバンドンの精神であろうと思うのであります。今日の状態が少くともバンドンの精神とはちっとも違反していないということは私はないと思うのでありまして、少くとも友好を前提とするバンドン精神に反しておるのでありますから、これが一日も早く一つ打開するように、特に大臣はそういう意味においてはバンドン会議の首席代表でもあったのでありますし、一番の適任者でありますから、一そう打開のための尽力を要望いたして、私の質問を終りたいと思います。

長谷川四郎自由民主党

○長谷川委員長 午後二時まで休憩いたします。     午後一時二十三分休憩      ————◇—————     午後二時十九分開議

長谷川四郎自由民主党

○長谷川委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。内海清君。

内海清日本社会党

○内海(清)委員 私は先般の通産大臣の所信表明につきまして、若干の御質疑をいたしたいと思うのであります。  通産大臣は、今後の通商産業政策につきまして、基本的な問題について先般説明されました。特に輸出の振興を強調せられたのであります。また経済企画庁長官も下期の輸出は上期より七%程度伸びるという予測を立てておられるようであります。しかし年間の輸出額といたしましては、年度当初におきまして見込額であった三十一億五千万ドルをはるかに下回りまして三十八億八千万ドル、これにつきましては、先ほど板川委員からも質疑があったわけであります。こういう政府の見通しが発表されたわけでございます。しかも二十八億八千万ドルといい、あるいは二十八億ドルというふうなこともありまして、明年度の輸出の見通しについては非常にばく然としておったと思うのでありますが、このような情勢の中におきまして大臣が先般述べられました輸出の振興ということは、経済政策としてます重要になってくると思うのであります。去る七日に大蔵省が発表いたしました本年度の上期の輸出実績は十三億六千九百万ドル、前年度下期の九二・九%に当っておるのであります。これを品目別に見ますると、輸出の第一位の船舶が一億四千四百十二万ドル、前年度の下半期の七七・九%であります。輸出の第二位の綿織物、これが一億三千二百六十五万ドルで八三%でありまして、いずれも上半期の輸出総額の一割以上を占めておる品目の輸出減少率は、平均減少率よりも非常に大きいのであります。政府は主として季節輸出増があるというふうな見通しであるようでありますが、下期の輸出について品目別に見まするとどういうふうになっておるか、いかに予想されておるか、上半期の実績が十三億六千九百万ドルでありまして、年間を通じての輸出予測が二十八億といたしますと、下期の輸出予測は大体十四億三千万ドル程度に相なろうかと思うのであります。この十四億三千万ドル程度の主要品目別の予想についてお伺いいたしたいと思うのであります。

高碕達之助自由民主党通商産業大臣

○高碕国務大臣 ただいまの御質問でございますが、これは数字の問題でございますし、私記憶しておりませんから通商局長を呼びまして、通商局長から詳細に御説明を申し上げたいと思いますが、大体から申しまして、船舶なり綿製品に相当重点を置いておったのは事実でございますが、これが非常に減ったわけであります。それ以外の機械製品につきましては、これは漸次ふえていくわけなのでございます。雑貨類特に対米の雑貨類については、相当重点を置いてふやしていくという方針でございますから、今の下半期を上半期について七%ふやすということは、繊維製品につきましては大きな期待はできませんが、その他のものにつきましては期待をしたい、こういうわけでありますが、この数字はちょっと局長が参りますまでごかんべん願いまして、次の質問に移っていただきたいと思います。

内海清日本社会党

○内海(清)委員 数字は一つあとからお聞かせいただくことにして次の質問に移ります。  それでは次に下期の輸出の市場別の構成についてお聞かせ願いたいと思います。例年の輸出報告を見ますると、なるほどクリスマス用品だとか年末用品、こういうようなものの輸出は秋口からだんだんふえてきて、繊維品も夏場の雨期を過ぎますと、秋口からやはり輸出が増加するのでありますが、本年は繊維輸出の最大市場でありますところの東南アジア諸国が、外貨の不足というふうな制約を受けて、輸入削減による貿易のバランスが縮小の方向に向っておる。そういう縮少の方向に向うか、あるいは援助貿易に一方的に依存するか、いずれかの方向に向わざるを得ないような傾向になっておると思うのであります。アジアで下期におきまする輸出増加を期待することは非常に困難と思うのでありますが、同じようにアフリカ市場あるいは中南米市場も輸出増加の期待はあまり持てないのではないかと考えるのでありますが、下期の輸出を主要市場別にどういうふうに予測しておられますか。これを一つお伺いいたしたいと思います。

高碕達之助自由民主党通商産業大臣

○高碕国務大臣 下期の輸出につきましては、欧州市場については相当期待を持っておりますことと、アメリカ市場につきましては北米合衆国及びカナダ、それから特にオーストラリアに対しては相当大きな期待を持って、これに進んでいきたいと思います。これを商品別に申しますれば雑貨と、オーストラリアに対しては機械類というふうなものを持っていきたいと思っておるわけでありますが、お説のごとく東南アジアにおきましても、これは問題はどこにあるかというと相手国の外貨が不足しておるという点であります。その意味から申しまして、延べ取引を相当実行することによって、外貨の獲得は急にはできませんが、数量をはかすという意味においては、相当大きな重要点を持っている、こう存じております。アフリカもやっぱり東南アジアと同じような状態でございますが、中南米並びに中近東におきましても、東南アジアと同じような状態だと存じております。

内海清日本社会党

○内海(清)委員 大体大臣のお考えはお伺いいたしましたが、これにつきましてもでき得ますならば、市場別の数字をお知らせいただきたいと思います。  次に、これは松平委員や板川委員からも多少これに関連した質問があったと思いまするが、簡単に申し上げますと、下期におきまする東南アジアの貿易について見ますと、わが国の輸出を促進する面といたしましては、賠償輸出があると思うのであります。ところが、この輸出をチェックされる面では中国品の非常な進出がある。また西欧諸国の資本財を中心といたしました進出があると思うのであります。政府としては、東南アジア市場におきまして繊維品を中心といたしまして、日本品の輸出がどれくらい中国輸出によって代替されておるか、この推定額はどのくらいになるか、わかりますればお知らせいただきたいと思います。

高碕達之助自由民主党通商産業大臣

○高碕国務大臣 繊維製品は昨年と比較いたしまして、日本の東南アジアに対する輸出額というものは相当数量中共に食われておりまして、今後もこのままいけばもっと食われるだろう、こう存じております。それにつきましては繊維製品の品質を向上いたしまして、インドネシア等におきましても、今日、中共から入っておる品物は下級品である。上級の金巾類についてはこれを日本によりたい、こういうふうな申し出もあるようでありますから、中共品と競争して、品質におきまして優良品をもってこれにかえていくということにいたしまして、少くとも現状の維持でいきたい、こういうふうに存じておるものであります。

内海清日本社会党

○内海(清)委員 大臣の御答弁で数字が伺えぬのははなはだ遺憾に存じますが、これはあとで一つ政府委員の方からお答えをいただきたいと思います。  それから次にお伺いいたしたいと思いますことは、東南アジア市場に対します輸出が、いつまでも消費財商品を中心とした時代は、もう過ぎ去ったのだと思うのであります。これから後に各国におきまして、大小の差はございますけれども、軽工業が漸次勃興していく、中国商品の進出もまた目ざましい、こういうことから考え合せまして、特に中国、ソ連の援助貿易が東南アジア市場で非常な振興をしておると考えられます。わが国の東南アジア輸出も、一段と振興策に努力しなければならぬ段階に来ておると考えるのであります。東南アジアの貿易が次第に消費財から資本財に重点が置かれていく今日であります。当面の対策といたしまして、賠償を通じて資本財輸出の基礎固めをすることが非常に大事なんじゃないか、かように私考えるわけであります。最近インドネシアあたりから大量の船舶の賠償の申し入れがあったというようなことも聞くのであります。賠償全般にわたっての資本財賠償がどういうふうに行われているか、この点を一つお伺いいたしたいと思うのであります。

高碕達之助自由民主党通商産業大臣

○高碕国務大臣 これは賠償の対象といたしましては、現在実行いたしておりますのはビルマとフィリピンとインドネシアでありますが、ビルマ、フィリピンにおきましては主として資本財をもって当る、ビルマは一部分は消費財をもって入っているようなわけでございます。インドネシアにつきましては、大体現在まで賠償の対象として造船を持ってこいと、こういうことでこれは今せっかく折衝中でございますが、大体一年に二千万ドルというのが賠償の対象でございますが、そのうち現在申し出ておりますのは詳細な数字はただいま記憶いたしておりませんが、千三百万ドルばかりの船舶をもってする、その他のものを何によるかということは、今折衝中でございます。

内海清日本社会党

○内海(清)委員 数字を承われぬので質問に困るのでありますけれども、あとからお聞かせいただくことにいたしまして、時間もありませんので進みたいと思います。  次には少し具体的に入りまして、わが国の輸出産業の第一位を占めております船舶輸出について、少しお伺いいたしたいと思うのであります。造船の国内建造量は、本年上期の自己資金船の建造量は十四隻で、十四万一千総トン程度であったと思うのでございます。昨年度の内需実績の四十五万六千総トンを非常に下回っておる。また計画造船におきましても、本年度の第十四次造船は先般発表になりましたいわゆる二十五万総トン、昨年度の十三次造船の四十一万四千総トンを、はるかにこれまた下回っておる、一方輸出船の受注も海上運賃が非常に値下りし、この影響を受けまして、だんだん不振の状態になっておるのは御承知の通りであります。造船業が輸出産業といたしまして、外貨の獲得率から申しましても非常に高い。しかも高度の加工製造業である。さらに各種の製造品の総合組立業である。そういう関係で、幅の広い関連産業ともつながっておる特徴から考えますと、今日のわが国におきまする失業対策としても、造船の輸出の振興ということは、重要な意義を持っておると私は考えるのであります。そこで政府といたしまして、今後の造船輸出の振興策はどういうふうな具体策を持っておられるか。これをまず一つ通商産業大臣にお伺いいたしたいと思うのであります。

高碕達之助自由民主党通商産業大臣

○高碕国務大臣 お説のごとく日本の造船の技術が世界的に申しまして非常に進んでおるということと、それから造船によって輸出いたします、また振興いたします、関連いたします産業が非常に範囲が広いわけでありまして、そういう意味におきまして造船の輸出ということは、わが国の輸出産業といたしまして非常に重要なものである、これに十分の力を注ぎたいと思っておりますが、従前からの経過から申しますと、日本の造船業が非常に進んでいるということと、造船の余力があったということのために、きわめて易々と輸出ができたわけであります。たとえば相当の延べ取引をいたしますにつきましても、きわめて短期間にこれを回収するとか、あるいはこれに対する政府の延べ取引に対する融資額——輸出入銀行の融資額、それ等もほかの産業と比較いたしまして切り詰めておったわけです。ほかの産業なれば、たとえば輸出する金額の八〇%を輸出入銀行が融資する、造船だけは五〇%、こういうような方針をとっておったわけであります。そういう輸出入銀行の融資額というもの、つまり低金利の融資額をもっとふやすということと、それから延べ取引の条件等も相当緩和していきたい、こういうふうなことによってできるだけ造船の輸出というものを奨励いたしたいと思っております。

内海清日本社会党

○内海(清)委員 大臣の御答弁によりますと、きわめて抽象的で、そういうふうなものがだんだん今後は造船業にも大臣のお考えによればいろいろな施策が実施されていくというふうに理解いたす次第であります。これらにつきましてはいろいろな問題がある。ことにここ数年来におきますわが国の造船輸出というものは、わが国の輸出産業の一、二位をずっと続けて参ったこれの非常なる減少ということは、わが国の輸出産業上非常に重大な問題だと思う。できますれば、もう少し具体的にただいまの方策についてのお考えをお伺いいたしたいと思います。

高碕達之助自由民主党通商産業大臣

○高碕国務大臣 この造船の輸出が急に停頓いたしました理由の一番大きい理由はどこにあるかといえば、現在の海運界の不況ということに一言にして尽せると思っております。なおその数量、また輸出の状況等につきまして、ある程度詳細な数字につきましては、船舶局長から御説明いたしたいと思います。

内海清日本社会党

○内海(清)委員 また運輸省関係には、一応大臣のお考えをお伺いいたしましてからお伺いいたしたいと考えますが、通産省として、この造船輸出の振興策についてどういう具体的なものを持っておられるか、こういうことを一つお伺いいたしたいのであります。

高碕達之助自由民主党通商産業大臣

○高碕国務大臣 先ほど申し上げました通り、もう一ぺん繰り返しますと、輸出振興ということはいろいろな方法もございますが、要するに、相手国の状態によりましてはある期間延べ取引をしなければならぬというふうなことにもなります。それからダウン・ペイメントの頭金もある程度緩和していかなければならぬというふうなことも考えられるわけであります。そういうことをできるだけ緩和する方針をとっております。延べ取引につきましても、政府の融資額、つまり輸出入銀行の融資額をもっとふやしていく、プラント輸出をする場合は大体八〇%をやって、二〇%は民間の銀行によるということになっておりますが、造船業だけはときには五〇%しか政府は融資しない、あとの五〇%は民間の融資によるということになります。従いまして、金利の負担も多くなるということになりますので、そういうふうな点につきましては、できるだけ造船業といいましょうか、造船の輸出を振興するために、船の輸出につきましても一般のプラント輸出と同じようにできるだけ持っていきたい、こう存じておるわけであります。これがいわゆる私どもの考えております唯一の輸出振興策でございます。

内海清日本社会党

○内海(清)委員 大臣からただいまお伺いいたしたのでありますが、私はまだとるべきものは多くあるんじゃないかというふうにも考えております。この際運輸省としての輸出振興策はいかにお考えになっているか、一つお伺いいたしたいと思います。

山下正雄運輸技官(船舶局長)

○山下説明員 ただいま御質問のございました基本的な輸出振興策でございますが、第一番に必要なことは、日本で作ります船の造船コストを、諸外国に比して有利な条件になすということが一番肝心なことであります。その点につきましては、現在の日本の造船所の技術というものは相当程度に達しておりまして、材料の節約またば工数の節減ということが徹底的に行われておりまするけれども、一番大きなネックになっておりますものは、船に積みます機械類の製造につきまして、まだ完全な合理化が行われていないということでございます。従いまして、この点につきましては私どもいろいろ業界と相談をいたしまして、これが現在よりもはるかに合理化され、安い価格でいいものができるような指導をいたしております。それが第一の点でございます。第二の点につきましては、これは市場の確保の問題でございます。現在の日本の造船の注文は、ほとんど八割程度までがアメリカのギリシャ系の船主の注文でございます。御承知のように、ギリシャ系の船主は非常に先をよく見ると申しますか、悪く言いますと、多少投機的に走る傾向がございます。注文があるかと思うと、とたんに注文がなくなるというように、非常に不安定な面がございます。しかし何しろ大きな注文先でございますので、これらの船主につきましても、戦前も行き届いていたと思いますが、これらについても今後一生懸命努力するということと、そのほかに後進国の市場といたしまして東南アジア方面とか、中南米方面、また中近東に極力市場を開招していく努力を続けていきたい。これらの諸国につきましては、あるいは賠償を通じて船を出すということ、または向うから研修生を受け入れ、研修生を通じて日本の技術を紹介するということもいたしますし、また従来貿易振興費の中から、東南アジア方面には向うの海運の状況の調査、または小型船舶がいかに使われ、どんなものが使用されておるかというような調査等もいたしております。しかし何と申しましても、ドルの手持ちが非常に少いわけでございまして、これらにつきましては、国としての大きな援助の力を向けませんと、急速に市場を開拓するというわけには行きかねると思います。この点につきまして、私どもは今後これらの市場を培養するということに極力全力を尽していきたいと思っております。  それから第三の点といたしましては、やはり市場の開拓の面でございますが、現在欧州またはイギリス等に有力な船主がたくさんございます。それらの船主は内部の蓄積資本が十分ございまして、景気のいいときには船は割合に差し控えて作りませんが、不景気になりますと、古い船を処分して新しい船に置きかえるというような、いわゆる海運の常道を歩む行き方を従来よりもとっております。従いましてこういうような堅実な船主を、日本の将来のお客にするということは絶対に必要なことでございまして、この点につきまして私どもはぜひ力を注いでいきたい、こういうふうに考えております。昨年度あたりの実績を見ますと、欧州からの有力な船主の注文というものはせいぜい一〇%を越えるか越えないか、その程度のものでございますが、これらを極力一つ伸ばしていくというような努力を続けたいと思います。それにつきまして一番問題がございますのは、欧州の船主はおもに運賃その他をポンドでもらっておるわけです。ところが日本の通商政策といたしまして、ポンド払いの船を受注するということが非常に困難な状況にございます。昨年じゅうに相当ポンド契約について、向うの船主から引き合いがございましたが、日本の方でポンド払いの船を受け得る準備がございませんので、それらを断わっております。簡単に実例を申し上げますと、昭和三十二度におきまして引き合いのありました件数を合計いたしますと八百三件、千百五十一隻、昭和三十年の四月一カ月のみで七十九件、百四十四隻の多きに達しております。このおもなものは英国を中心とする欧州諸国からの引き合いでございまして、約六四%を占めておる。それらの船を延べてみますと六百九十万総トン、船価にしまして約二十四億ドル、昭和三十三年四月一カ月のみで約八十万総トン、船価にしまして二億三千万ドルの巨額に達しております。しかしこれは外国船主は一つの船を数社の造船所に引き合いを出しますので、この重複率がかりに十倍と見ましても昭和三十二年度には六十九万総トン、約一億四千万ドルでございます。また三十三年の四月約八万総トンといたしますと二千三百万ドルに達しております。こういうようなわけで、為替損失補償法等がポンド払いの船に適用できるならば、船舶の輸出というものは、さらに一段と伸びるだろうというような考えを持っております。もちろんこの点につきましては大蔵省または通産省はよりより相談をいたしておりまして、わが国の造船上から無理のないように処理をお願いするというふうな段取りをいたしております。そのほかこれは直接の貿易振興の面ではございませんが、大臣が先ほども申されましたように、国内の金融上の措置とか、または輸出に対する税制上の問題とかいろいろの点がございますが、それらにつきましても、政府といたしまして今後なお一そうの輸出振興ができるように努力をいたしたいと考えております。

内海清日本社会党

○内海(清)委員 ただいま船舶局長に輸出振興策につきましていろいろお伺いしました。まことにごもっともな御意見だと思うのであります。特に最後にお話のございました設備等輸出為替損失補償法の問題、これは私もお尋ねしよう、かように思っておったのであります。たまたま船舶局長から造船の輸出振興策の最も重要なものとしてお話がございましたが、これの設備の中には、造船は明らかに書いてあるのであります。しかるに実際の運用の問題といたしましては、手続申請以前の段階で適用を拒否されておるのが実情であると思うのであります。現在わが国の造船の輸出は、世界第一であることは御承知の通りであります。この輸出の高水準を保つことがわが国の輸出振興に多く寄与しておる、この点を考えますときには、どうしてもこれを船舶に適用していただくということが、私といたしまして最も望むところなのであります。これはただいまお話のございましたように、特にポンド払いの契約において必要なんです。これの引き合いにつきましては、ただいまお話がございましたような非常な膨大なる数字になり、これが成立いたしますならば、わが国の貿易の上に非常に大きな寄与をいたすと考えるのであります。ところが現状ではこれが適用されていない。運用の面において輸出振興の面から見ましたときに適用されてないことは、大へん私は不可解に思う。これにつきまして一つ通産大臣のお考えをお伺いいたします。

高碕達之助自由民主党通商産業大臣

○高碕国務大臣 一昨年でございますが、ポンドの先行きが非常に懸念されましたところ、ポンドのレバリュエーションに対する損失補償をやろうじゃないか、やってくれ、こういう申し出は相当強かったようでありますが、これにもおのずから限度があったものでありますから、これを実行されなかったことは非常に残念だと存じております。国内の財政の許す範囲におきましては、今後そういうふうなレバリュエーションに対するところの損失補償をできるだけ緩和していって、実行し得るようにいたしたいと存じております。

内海清日本社会党

○内海(清)委員 法の中に、明らかに設備等ということに造船がありまして、これが適用されぬということ、これにつきましては、適用しないものならこれをはっきり除外してあればいいので、明記しておって適用しないというところが、私どものわからぬところであります。もし輸出の振興ということをお考えになるならば、これははっきりしていただきたいと思うので、そのお考えをお伺いしたいと思います。

高碕達之助自由民主党通商産業大臣

○高碕国務大臣 仰せごもっともと存じまして、御期待に沿うように努力いたしたいと存じております。

内海清日本社会党

○内海(清)委員 ただいま大臣から期待に沿うというお言葉をいただきまして大へん心強く思うのでありますが、これが今日まで適用されていないということは、私の聞き及びましたところにおきましては主として大蔵省の態度いかんにあったというふうに聞き及んでおるのでございます。なぜこれが今日まで造船に適用されなかったか、大蔵省のお考えの方を一つお聞かせいただきたいと思います。

長橋尚大蔵事務官(為替局管理課長)

○長橋説明員 お答え申し上げます。船舶につきまして、事実上法の運用方針といたしまして、原則としてこの補償法の適用をやっていかないのが適当であるというふうな線を打ち出しましたのは昨年の四月でございます。それ以前は大体ドル建ての契約が非常に多いというふうな事情もございまして、その以前の実績も一隻程度というふうなことでございましたが、昨年四月以降、法の運用方針といたしまして、船舶のような非常に競争力のある輸出産業につきましては輸出取引を正常化していく、輸出契約を結ぶに当って、為替リスクは大体商売の慣行として行われておりますように、買手側に負担させるというふうな正常な姿に漸次持っていきます場合に、船舶のような輸出競争力の非常にあるものから漸次はずしていく、法の運用を差し控えていくのが適当ではないかというふうな考え方に基くものでございます。また同時にもう一つの理由といたしましては、財政負担能力におのずから限度があるわけでございますので、船舶のような、競争力も非常にある、またそれだけに非常に引き合いも大きい、輸出額も多いというふうなものを適用して参りますと、競争力の弱い、ほんとうに財政的にも支援をして輸出を伸ばしていかなければいけない一般のプラント類の輸出に支障を生ずるのではないかというふうなことも、その一つの理由でございます。ただいま申し上げました理由に基きまして今日に参っているわけでございまして、今日の情勢下におきましても、大蔵省といたしましては、ただいま申し上げましたように、輸出取引を漸次正常化していくというふうな考え方自体はやはり今後も原則として続けていく必要があるというふうに考えておりますが、ただ現実の問題といたしましては、非常に船舶の輸出市況も悪化しております。国際輸出競争も激化しておるというふうな現状でございますので、まず契約の当事者におかれまして最善の努力をされる、ドル建なり円建なり、為替リスクも買手側に負担させるというふうな契約の締結について最善の努力をされる、それにもかかわらずどうしても話がまとまらない、しかもその輸出が船舶の輸出市場の維持開拓というふうな観点からいたしまして、きわめて緊要であるというふうなものにつきましては、ケース・バイ・ケースでこの適用を行なっていく必要があるのではないかというふうなことで、ケース・バイ・ケースによりまして、ただいま申し上げましたような事態の認められますものにつきましては、補償法の適用をやっていく用意を持っております。

内海清日本社会党

○内海(清)委員 今後はこの補償法につきましても、造船に関してケース・バイ・ケースでこれを適用していきたい、かような御答弁でございますが、非常に造船の引き合いの多かった、契約が盛んに行われまして、むしろ断わるのに困った当時におきましては、それでよかったと思うのでありますが、今日のわが国の造船業はその能力がブーム時代は別としまして、今日でもなお百八十万総トンといわれております。これに対しまして国内船の建造というものは、御承知の通り今日のわが国の状況からいえば、多くを望むことができぬ。これを維持いたしますには、どうしても大幅な輸出船の獲得をやらなければこれを維持できない。ことに非常に広範な関連産業を持っておる造船業であります。それが今日すでに中小造船所におきましては船台があいてきておる。大手造船所におきましてはなお二年近くのものを多く持っておりますけれども、すべてこれは大型でありますために、実際の工数の面から申せば、すでに非常な減少を来たしておる。造船の不況ということが深刻になって参ります場合にはこれは労働問題から考えましても、あるいはわが国の輸出産業の上から考えましても、非常な多くの問題をはらんでおると思うのであります。従って輸出船の獲得ということは、今日のわが国の輸出振興という面から考えても、最も大事なことだと考えるのであります。従ってこの造船の契約のできやすいような環境を作るということ、こういうふうなものをできるだけ適用していって、環境を作っていくという面に十分なるお力添えをいただきたい。これは先ほどの船舶局長のお話もございましたようなことで、大蔵省におきまして特にお考え願いたい。なお通産省におかれましても、大蔵省と十分なる折衝をしていただきまして、わが国の輸出産業の第一位を占めている造船業が、二十九年度当時の不況のようなことにならぬように、特段の御努力をお願いしたいと思うのであります。時間がないようでございますので、一応本日はこれにとどめて、あとの質問は保留いたしたいと思います。

長谷川四郎自由民主党

○長谷川委員長 内海君に申し上げます。先ほど通商産業大臣への御質問の中に御回答にならないものがありました。これは明日までに書類をもってあなたのところに御回答を申し上げます。  本日はこれにて散会いたします。次回は明十七日午前十時より理事会、同十五分より委員会を開会いたします。     午後三時七分散会

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