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30回国会衆議院1958/10/30

社会労働委員会 第15号

発言数
150
登壇者
8
会派数
2
開催日
1958/10/30

会議録

園田直自由民主党

○園田委員長 これより会議を開きます。  内閣提出の国民健康保険法案及び国民健康保険法施行法案並びに第二十九回国会に提出されました滝井義高君外十三名提出の国民国民健康保険法の一部を改正する法律案の三条を一括議題とし、審査を進めます。  質疑を行います。滝井義高君。  滝井君に申し上げますが、要求されておる主計局次長は、午前中待機しておりましたが、午後出ておりますので少しおくれます。それから自治庁長官は、予算委員会で今澄君の質問があるそうですから、それが終ったらこちらへ出て参ります。そのおつもりで質疑を続行願います。     〔委員長退席、大坪委員代理着席〕

滝井義高日本社会党

○滝井委員 国民健康保険法案並びにその施行法案について、政府の見解を総合的に承わってみたいと思いますが、なお新しい構想のもとに組まれた法案でございますので、当然逐条的な審議もわれわれはぜひやらしてもらいたい、こう思っておるわけです。そこで総合的な問題から、政府の見解をただしてみたいと思うのですが、今度のこの法案は、一面皆保険という社会的な、人道主義のかおりが非常に高いものでございます。しかし一面その内容を見ると、どうもわれわれに多くの疑問を投げかける点がたくさんあると思われます。  まず総合的な観点から、現在国民健康保険が背負っておる課題をわれわれが見てみますと、まず第一に国民健康保険は全国に普及をしなければならぬという課題を持っております。同時に昭和十三年以来この保険が多くの国民の命を救い、また多くの国民が貧乏に陥ることを防いで参りました。その結果この国民健康保険は多くの赤字を背負っておる。従って普及の課題を解決するとともに、赤字を解消していかなければならぬという課題も同時に持っておるようであります。しかも一面新しい医学技術の進歩によって、国民健康保険は同時にその給付の内容の改善をも勇気をもって断行しなければならぬという一つの事態に直面をしておると思います。同時にさらに最近新しく国民健康保険に加えられたものは、医療費の合理化でございます。従って赤字を解消し、普及の課題を持ち、医学技術の進歩に対応する給付の改善をやりながら、同時に十月一日より実施をせられた八・五%のワクの拡大をやっていくという、この医療費の合理化の問題も同時に解決しなければならぬという大きく見て四つの課題を持っております。これらの四つの課題はすべて歳出につながるものであります。そういう四つの課題について一つ一つ政府に尋ねてみたいと思うのです。  まずわれわれが普及の課題を見る場合に、どうも奇異に感ずることは、どれが政府の皆保険をやる四カ年間の年次計画か、どうも私たちにはわからないのです。そこで全国民にこの国民健康保険の普及をしていく政府の年次計画は、一体どういう計画でやられようとしておるのか、それをまずお教え願いたいと思います。

橋本龍伍自由民主党厚生大臣

○橋本国務大臣 年次計画の詳細を保険局長から御説明いたさせます。

高田正巳厚生事務官(保険局長)

○高田政府委員 本年度は三十三年度でございますが、各年度末の被保険者の予定数を一応申し上げてみますと、三十三年度が三千八百四十万、そのときの国保の対象者になるべきものであって国保の対象になっておらない未適用者数が千五百十万、それから三十四年度末が、国保の予定被保険者数が四千三百八十万、未適用者数が七百六十万、三十五年度末が四千九百二十万、これで未適用者数がゼロということになる数字的な計画で進んでおるわけでございます。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 引き算をするのがめんどうですから、一つ三十二年度に幾ら、三十三年度に幾らと、加入というか、新しく組織の中に入れられた数を言ってみてくれませんか。

高田正巳厚生事務官(保険局長)

○高田政府委員 三十二年度に三百七十万、三十三年度に四百十万、三十四年度に五百四十万、三十五年度も五百四十万という予定でございます。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 三十二年度三百七十万、三十三年度四百十万、三十四年度五百四十万、三十五年度五百四十万というのが決定版ですか。実は三十一年の十月に全国普及の四カ年計画を厚生省が発表したときには、三十二年度は八百二十七万八千人、三十三年度は八百十万九千人、三十四年度は四百十二万四千人、三十五年度は二百十七万八千人、こう発表されたわけです。それからその後に発表をされたのが今のような数になっておるわけです。もう一回中間に何かそういうような発表があったのですが、実は、その発表をされるごとに数が違ってくるわけなんです。数が違っても、実績がどんどん、最終的に三十五年末までには国民健康保険の加入資格者が全都加入してしまって、ゼロになればそれでいいと私は思うのです。ところが過去の実績、少くとも昭和三十一年度までの実績を見ますと、三百万をこえたことはないのです。三十二年度の三百七十万というのは確実な数字であるのかどうかというにとと、三十三年度以降に、今まで三十一年度までは少くとも二百万をそう多くこえたにとはない、二百十何万くらいが三十一年度じゃなかったかと思いますが、こえたことはないのに、最終的には五百四十万というものを入れる。これはもちろん消費的な大都市が一つ入れば五十万、七十万、あるいは東京あたりが入れば一挙に三百万以上が入ることになるので、そういうことになるだろうとは思いますが、現実に残っておるところは非常に国保の実施のむずかしいところが残っておるわけです。消費的な大都市あるいは財政負担力の脆弱な農村の町村、こういう形で残っておるので、どうも過去の実績から見て、そうそう数字の通りいくかどうかは疑問があるし、それからまた過去においても全国普及四カ年計画というものは、三十一年に決定したのとは全く逆の形になっているわけです。初めは、当初において三十二年、三十三年ごろに八百万入れる、こういう計画であったものが、今度は、初めは少くて終りに多くの者を入れる、こういう形ですね。三十一年のころの計画は、初めは脱兎のごとく終りは処女のごときだったのですが、今度は、初めは処女のごとく、終りは脱兎のことし、とこういう形になってきておるでしょう。そこで、この関係を、一体どういう理由で普及計画が逆転をしなければならなかったかということです。それから実績とあわせてこういうことが一体可能かどうか。この二点を一つ明白にしていただきたい。

高田正巳厚生事務官(保険局長)

○高田政府委員 八百何十万という数字はおそらく三十一年ごろにそういう数字が出たわけなのですが、これはこういう意味でございます。八百何十方を各市町村開始予定ということにして、そにに開始を勧奨する。それが全部開始いたしましたら、大体八百七十万くらいの被保険者の増加ということになる。しかし、それは勧奨はするけれども、とても開始は歩どまりとしてむずかしかろう。従って、その中で何割までが開始をすると見ると何万になるというふうな計画を、三十一年度ごろに私ども作ったことがございます。それでその八百何十万という分は、各都道府県で大体三十二年度中に始められそうな市町村はどこであろうか、こういう見当をつけて、いわゆる国保普及勧奨の対象になる市町村を合せてみると、被保険者八百何十万になるはずだ、こういう数字であったように記憶をいたしております。そのことは別といたしまして、その結果歩どまりとして何万ずつふえていくというその数学自体も、御指摘のごとく三十二年度の途中において実績とにらみ合せて改定をいたしております。これは昭和三十二年度の終り近くであったかと思いますが、改定をいたしておりまして、それが今申しあげました被保険者の増加数、三十二年度は三百七十万。四百十万、五百四十万、五百四十万ということでございます。それで、なおここにもう一つの要素としてつけ加えて申し上げておきたいと存じますことは、この四百十万なり五百四十万なりという数字は、片一方で被保険者が新規開始によってふえますと同時に二重加入を逐年整理をしていきたい、こういう計画を立てておりますので、その差引の数字がここに上ってくるわけでございます。  数字の大体の御説明は以上の通りでございますが、しからばこの計画通りにこれが進むであろうかどうか。ことに最初の計画では、三十二年度、三十三年度あたりに重点がかかっておったけれども、今聞いた数字では三十四年、五年あたりに重点がかかっておるように思うが、果してそういくであろうかどうであろうか、こういう趣旨の御質問でございますが、これは私どもそう簡単に腕をこまぬいておって参るものとは存じておりません。これにはそれぞれ財政的なてこ入れの強化とかあるいは医療担当者との関係とか、いろいろ改善をいたすべき努力をいたし、それをまた新しい法律によりまして制度化していただいた上に、さらに行政的な格段の努力をいたさなければならないものと考えております。ただ先生が御指摘になりましたように、大都市が開始をいたしますと、たとえば東京都の例をとってみますと、三百万以上の被保険者が一ぺんにふえるということになりますので、たとえば東京都が三十三年度にやる予定であったものが三十四年度に移る、あるいは年度が一時若干でも繰り上るというふうなことになりますと——これは東京都のみならず大阪とかそういう大都市がさようなことになりますと、現実の数字はこの計画より相当大幅に繰り上ったり繰り下つたりする可能性があるということは、これは事実でございます。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 三十五年度末に国民健康保険の適用対象者が四千九百二十万になることになっております。三十五年末になると、日本の人口は九千三、四百万になるのじゃないかと思うのです。今多分九千二百万ぐらいあるのですから、三十四、三十五と。百万ずつふえるにしても、九千四百万から九千五百万になってきます。大体国保の対象者は五千五百万台だろうというのが常識的な見方だったわけです。そうするとここに四千九百万、五千万と踏んでもなお五百万程度、三十四、三十五年の加入者にひとしいぐらいの者がどこか行方不明になっておるのです。これは一体どういう計算になるのですか。

高田正巳厚生事務官(保険局長)

○高田政府委員 私どもの計画上の数字は、三十五年度末の総人口を九千三百七十万と押えておるわけでございます。それでそのときの被用者保険の方の人員が、本人が千六百九十万、家族が二千五百九十方、両方で四千二百八十方が被用者保険の対象になっております、それで四千九百二十万が国民健康保険の対象になっております。そのほか生活扶助等もございます。それから非常にわずかな数字でございますが、児童福祉設置等に収容されておるような者等もございますので、そういうような者を全部加えますと九千三百七十万ということで、一応計画といたしましては、全部の者が何らかの保険なりあるいは公的扶助なり、そういうものでおおわれていく、こういう大体の考え方をいたしておるわけであります。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 そうすると、国保は四千九百二十万で、私の言う五千五百方が国保の対象者だろうという、その約五百万ばかりの者は被用者の方に入るというのが政府の見解なんですね。わかりました。  次にお尋ねをいたしたい点は、財政上の見通しについてでございます。昨日もいろいろここで問題になりましたが、社会保障制度審議会は、少くとも現在の日本の財政状態から考えて、国保を全国的に実施しようとするならば、やはり年八十億程度、三割に当るものをふやしていかなければならぬだろう、こういう形、しかも五人未満というものは国保に入れるのではなくて、第二種健康保険という説をあのとき出したのですが、第二種健康保険で、それは八割の給付で七十五億程度政府が出す必要があるだろう、これは日本の国民所得なり経済状態から見て支出可能の金額であるという見解を発表したのです。こういうように急激に三十三、三十四、三十五と三カ年間で千五百万程度を入れるにとになるのですが、その場合における国民健康保険に関する国の負担額というものは一体どの程度になるのかということです。今の二割と五分の調整交付金で、三十五年度末には政府の負担というものは、国保に関する限り、一体幾らになるかということです。

橋本龍伍自由民主党厚生大臣

○橋本国務大臣 これは受診率の伸びの見方でありますとか、あるいはまた事務費の単価等の見方によっていろいろ違って参りますけれども、一応試算をいたしましたところでは、三十五年度末を過ぎて三十六年度において、今日の予算では年間約百五十七億を計上しているわけでございますけれども、それが医療費において約二百七十億、事務費につきまして約五十億から六十億くらい——これは実は受診率の見方それから事務費の単価等につきましてある想定を用いてあります。一応はそういう想定で計算いたしますると、三十六年度で医療費が二百七十億、事務費が六十億、大体こういうふうに予想しております。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 三十六年度になりましてから、すなわち三十五年度が終って、いわゆる皆保険体制になったときに、現在の五分の調整交付金と、二割の国庫負担と、事務費の全額負担だけで、とにかく国民健康保険だけで三百二十億ないし三百三十億の金が要るということです。そうしますと、これに日雇い、それから共済組合はとにかくとして、政府管掌の健康保険、これは今十億しか出ていませんが、日雇い、船員、こういうものを加えると、こういう国保を除いた他のものを一応現状の通りに金を出すとすれば、三十六年度においてはおよそどれくらいになりますか。

高田正巳厚生事務官(保険局長)

○高田政府委員 他の方は、先生御存じの通りに、わずかでございまして、そのうちで日雇いが一番大きな額になるかと思います。政府管掌健康保険の方につきましては、幾らというきまりがございませんで、財政の状況に応じてということになっておりますので、大体率がきまっておりますのは日雇いが二割五分、あとは船員、政府管掌等は率がきまっておりません。従いまして、日雇いがどの程度に伸びて参るかということについての正確な試算をいたしておりませんが、それほど大きな数字にはならないと思います。全部合せてこれは計算をしてみないとわかりませんけれども、四、五十億か五、六十億程度のものになるのではなかろうか、かように考えております。——一応試算をした数字があるわけでございますが、これは非常ないろいろな仮定が入っておりますので、今私が申し上げましたようなところで大体いい、むしろそれ以下にこの予想ではいたしております。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 結論を簡単にするために、そうするととにかく国民健康保険なり政府管掌なり日雇いなり船員をひっくるめて、現在昭和三十三年度予算に計上をしておる予算面に出た社会保険の国の負担分二百二十五億というものに相当する額は、昭和三十六年になったときにはこの数字でいくと三百八十億前後、こう考えて差しつかえありませんか。

高田正巳厚生事務官(保険局長)

○高田政府委員 大体その見当ではないかと思います。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 これは厚生大臣にお尋ねしますが、現在の二割の国庫負担と五分の調整交付金というものは、昨日の公聴会の八人の公述人の意見を聞いてみますと、全部これは不満足である、しかし漸進的にこの程度で岸内閣の施策としてはやむを得ぬだろう、自分たちとしてはもうぎりぎり三割だ、実は四割望みたいところなんだが、まあ、三割ぐらいのところにしてもらいたいというのが民意であったわけです。民意を入れるとすれば、これは五百億くらいにはなるんですが、この三百八十億くらいまでの線は、橋本厚生大臣は皆保険実施の段階においては、必ず確保ができるということになるんでしょうね。健康保険みたように、少し財政状態がよくなったからといってかねや太鼓で政府が出したところの三十億をも、翌年は十億にして二十億を削るというようなことはないだろうと思うのですが、年金その他がなかなかやかましい時代でございますので、ころばぬ先のつえでございますが、そういうことは万々ないと思いますが、そういうことはどうでしょうか。

橋本龍伍自由民主党厚生大臣

○橋本国務大臣 かまえてそういうことはないと考えております。それからまた御承知のように、国民皆保険の実行ということは非常に困難な問題でございますので、最小限にれくらいの財政負担はございませんと、政府が非常に苦心をいたしましてもなかなかむずかしいと考えております。従いましてただいま申し上げました程度の国庫負担というものは、かまえてこれを確保して参るつもりでございます。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 大臣も御存じの通り、昭和十三年に国民健康保険が貧しい農村の厚生運動の一環として、あるいは昭和十六年一月に、当時戦争中でございましたが、人口政策面立要綱、それから十七年の八月には結核対策要綱とともに、当時多分厚生大臣は小泉厚生大臣だったと思いますが、その結核対策要綱を出した翌年の十八年の九月には、国民健康保険の全国的な普及をはかるための三カ年計画というものを出して、そうして社会保険制度の確立を公表したのをかすかながら覚えておるのですが、いわばその十八年の九月の三カ年計画で健兵政策とそれから非常に社会保険確立の前進の装いを示したわけです。装いというと言葉をあえて私は使うのですが、装いを示したのです。当時相扶共済——国民健康保険の新法じゃなく現在の法律の第一条に書いてあるのですが、相扶共済の精神をもってこれを国民皆保険運動として展開をしたのです。今のように国民皆保険政策とは言わなかった、国民皆保険運動として展開をしました。そしてそれが燎原の火のごとく、強い上からの力によってどういう形になって発展してきたかと申しますと、昭和二十年には一方四百三十一市町村が国保を実施した、そして被保険者は四千九十二万人になった。まさにその現実の皆保険政策を岸内閣が唱えるよりか、すでに今から十三年前に、四千万をこえる人がこの組織の中に入った。ところがこれは非常に強制的なものであったがために、終戦とともに不満続出をして、淡雪のごとく消え去ってしまった。この歴史はやはり用心しないと繰り返すのです。ちょうど岸さんが戦争中に反動的な政策を行なって、その岸さんが再び内閣に列して反動的な政策を行うのと同じように、カニというものはおのれの甲らに似せた穴を掘りがちです。それと同じように、上からの国民健康保険の押しつけというものは、戦争中と同じような状態になるおそれが十分あることを、私たちは警戒しなければなりません。そこでそういうことが再び繰り返されるかいないかということは、今後の普及の政策にかかるわけなんです。どうして今後の普及の政策にかかるかというと、さいぜんから申しました通り、今後普及しなければならないのは消費的な大都市であるということ、そして財政力の弱い農村であるということ、こういう二つの点から考えてみますと、まず政府はそれらの貧弱な地方自治体なり消費的な大都市にやる場合に、今まで通りの普及の方式で、ただ上から勧奨するだけのことで、今後イバラの道を切り開いていくことができるかどうかという点でございます。この点について今までとは何か違ったものでなければ、単に五分の調整交付金と二割にしたというだけではどうもいきかねる感じがするのですが、これに対する政府は何か新しい一つ、今後の千五百万の人たちに——三十四年と三十五年とにすれば約千万程度で、何か具体的な新しい皆保険実施の心がまえというか、政策というか、裏づけというか、何かそういうものを、五分の調整交付金と二割という以外に妙案でもお考えになっおるものがあれば、一つお示しを願いたいと思います。

橋本龍伍自由民主党厚生大臣

○橋本国務大臣 国民皆保険の推進に当りまして、いろいろ困難な部面が考えられるのであります。いろいろ検討をいたしました結果、現在提案をいたしておりまする新国民健康保険法案、つまり国庫の負担を明確にして、医療費の二割、調整交付金の五分ということ、それから事務費についても今後改善をいたして参ります。こうした建前のもとにおいて、現在までの運営、たとえば補助金の交付をできるだけしっかりやる、そういうような行政運営の改善をできるだけ最高限にやって参りまして、そし制度といたしましては、今日提案をいたしておりまする新国民健康保険法案のもとにこの皆保険を実施をいたして参りたいと考えておるのでございます。制度的にこれ以外に特別にさらにこういうことを考えておるということはございません。ただこの新法案に盛られました制度を行政的にできるだけ円滑に運営をいたして参りたいと思います。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 真理は平凡なところにあると申しますが、あるいは今のような平凡な答えでやれるのかもしれませんけれども、過去の小泉厚生大臣の賢政をもってしてもなかなかうまくいかなかったというその過去を思うと、あつものにこりてなますを吹くわけではございませんが、どうも私は心配なんです。それは、昭和三一十年十月に厚生省が国民健康保険を実施するに当っての実態調査をおやりになっております。これを見てみましても、年間所得七万円未満というのが総世帯の二七%これは東京だけかもしれませんが、多分全国的な任意摘出の調査だと思うのですが、二割七分を占めておる。年所得二十万円以下というのが七割七分五厘なんです。結局こういう年所得が七万円未満が二割七分も占めておって、しかも年所得二十万円以下が七七・五%というと、にれらの層は所得税を納めていない層です。御存じの通り現在日本においては大体二十万円ぐらいの所得までは無税になっておりますから、所得税を納めていない。所得税を納めていないということはどういうことを意味するかというと、保険料の納入がいわば均等割であるということを意味しておるということです。しかも保険料の負担額は二千五百円以下の負担能力しかないというのが世帯の六割五分を占めておるということです。二千五百円といえば、国民健康保険の現段階における保険料の全国平均に近いものです。その二千五百円の平均以下が、三十一年において世帯の六割五分を占めておるということです。三十一年は、全般的に見ると今よりも経済はそう悪くない時代だと思います。それが六割五分です。一世帯の世帯員数は五・三人です。そうしてしかも年々の受診件数と医療の内容の状態、あるいは受診率を見ても、年々向上しております。受診率は、年間最少に見積って多分一割ずつは上っていると思います。そしてあなた方の出した厚生白書を見ても、貧富の格差はますます拡大しつつあるということです。千百十三万人のボーダー・ラインがあり、二百四十六万世帯のボーダー・ライン層があるということです。そして貧富の格差はますます拡大をして、貧しい階層の深みというものは巾広く、より奥行きを深くしつつあるというのが、あなた方自身が厚生白書に書いていることです。こういう中で、大都市における国民健康保険というものが実施をされようとするのです。こういう世帯のこの七万円以下という所得層が最も多いのは一体どういうとにろなんだというと、東京とか名古屋なのです。名古屋に至っては、所得税を納めていない者が、国民健康保険の対象者の実に四割五分あるといっておるのです。半分は所持税を納めていない層だということです。そうすると、こういう中で都市における国民健康保険というものを二カ年間の間に完了をして実施することになると、何か平凡な答えだけでは私はできない感じがするのです。ここに何か一つ勇断がなければならない。     〔大呼委員長代理退席、委員長着席〕 蛮勇をふるわなければ、最後のぎりぎり決着のところにいったときに、再びあの戦争の末期に四千万の国民をその組織の中に包含をしたにもかかわらず、一夜にしてこれがくずれ去ってしまったというこの失敗の二の舞を継り返さないとも限らないと思うのです。こういう点について、あなた方はすでに三十一年の十月に実態調査をやられておるはずなのですから、これらの問題について一体いかなる千を打とうとするのか。それを今まで通りの平々凡々たる国保普及の政策をもって、これらの都市に一体普及することができるかどうかという点でございます。移動率も御存じの通り東京都のごときは多分転出よりか転入の方が多い。転出が三十万くらい、転入五十万くらいではなかろうかと記憶しておるのですが、あるいはその数字は間違っておるかもしれませんが、転人の方が転出よりはるかに多いという状態です。しかも区から区への移動というものが実にひんぱんであるということです。こういう大都市における現状というものから、今のような大臣の御答弁では、私はどうも自信が持てないと言っておるのです。

高田正巳厚生事務官(保険局長)

○高田政府委員 国保の被保険者になるような方々の所得水準というふうなものは、私どもいろいろ調査をいたしました。過去のあれはただいま滝井先生が御指摘のようなところであります。それで特に大都市等において簡単に従来のようなやり方では、そういう負担力の点からいきましても、またいろいろ技術的な面からいっても、非常に困難性が伴うじゃないか、これも御指摘の通りだと存じます。ただ実際問題として考えみますると、東京都だとか大阪、名古屋等が一番国保開始について問題にいたしておりますところは、今仰せのように国保の対象者は負担力が弱いにかかわらず、従来の国庫補助金の交付方式によりますると、地方団体としての財政力が相当ありますので、従って療養給付費の一割二、三分程度しかもらえないことになる。これが東京都みたいなところの国保開始の現行の制度のもとにおける最大のガンであったわけでございます。それでこの点につきましては、今の新法律案では、東京都のようなところであっても、必ず二割だけは国の負担といたしまして、画一的に確保をする、そうしてそれ以外に、団体の方というものとは別に被保険者の負担力に応じまして、この調整交付金を配っていくというふうな制度に変えることによりまして、今私が申し上げました一番大きな障害というものがまず除かれるということになるかと思うのでございます。それからその他非常に人の出入りが激しいというふうなことに伴いまするいろいろの事務上の保険料徴収の上における困難性とか、あるいはその他万般の事務上の困難性があるわけでございますが、それにつきましては、新法におきまして若干の手当をいたしております。なお東京都におきましては、特別区が保険者ということに一応なりまするので、東京都の特殊性に即しまして、各区ばらばらになってはなりませんので、都がこれを調整をするというふうな規定をも入れまして、それらに対処をいたしておるわけでございます。しかしそういうふうに若干の工夫はいたしておりますけれども、大都市で国保をやりまするには、本質的に事務的な、何といいますか、むずかしさ困難性というものは、農村あたりに比べますと確かに多いわけでございます。しかしそれらの点は、何としても努力をしてもらうことによりまして、今のような法律上の若干の手当の上に立って、事務的な困難というものは乗り切っていっていただきたい、かように考えておるわけでございます。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 わずか五分の調整交付金、いわばエビでタイをつるような態度では、とてもこれはできないと思うのです。局長、五分の調整交付金の総額は一体幾らになるのですか。

高田正巳厚生事務官(保険局長)

○高田政府委員 今年度の予算では二十七億か二十八億程度の金額、平年度化しましてそうなると思います。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 あとで触れていきますが、一般会計からの繰り入れが、年々三十億を越えておるわけです。それで、五分の調整交付金二十七億程度で、東京や大阪その他の大都市に国保がやれるということについては、私は非常に大きな疑問があると思うのです。なるほど東京都にはボーダー・ライン層が非常に多い。だから、それならば東京にやれば、農村は一体どうなるか、こういう問題が出てくるのです。今の政府の答弁でも、結局大都市にやる呼び水というものは、五%の調整交付金以外にはない、こういう結論です。事務費も幾分色をつけるにしても、これはもう予算のワクが九十円なら九十円と、締め上げられたのです。現実に事務費というものは百二十円から三十円にいっているにかかわらず、九十円かそこらに締め上げられているという点がある。あとで事務費の点も触れますが、従って、まあ呼び水といえば五分の調整交付金、こういうことでは私は問題だと思うのです。  そこでもう一つ、では、それらの都市に直なる問題として、先般私は——これは多分河野君の質問の過程の中で、東京のような大都市における政府管掌健康保険の強制適用事業場において、一体どの程度のものが適用漏れになっているのかという資料の要求をいたしまして、先日配付を受けました。二十九年の行政管理庁の監察報告では、東京では五人以上の、強制加入せられなければならぬ事業場であるにかかわらず七割以上が加入されておらなかったし、大阪においては三割というものが加入されていない、この理由は何なのか、結局賃金が低いからなんだ、いわゆる標準報酬の適正なところにいっていない、少くとも一万とか一万五千の段階にいかないところに加入の大きな隘路があるということは、もう巷間伝えられておるところなんです。先般いただいた資料を見てみましても、どういう統計数字かどうもよくわからないのですが、とにかく適用の事業所十六万六千五百のうち、なお未適用の事業所が十二万六千五百もあり、その労働者の数は七十四万人だ、こういう点です。これは統計に出てきただけが七十四万なんです。そうすると、これは出てこないものを見ると、優に百万はあるといわなければならぬ。そうすると、三十六年から皆保険を実施する場合書に、一体これらのものはどうするのだ、こういう問題が出て参ります。そうすると、東京都は、なるほど政府管掌の健康保険というものは、一応政府自身がおやりになるにしても、東京都政からいうならば、東京都政における社会保障の問題を考えた場合に、これらの健康保険の七十四万ないし百万に近い数というものを放置するわけにはいかないのです。何らかの形でこれを救っていかなければならぬ。そうしますと、必ずこういう事業場の諸君は、政府の方に加入をしていくためには事業主の半額負担が要る、これは事業主の半額負担というものにたよったのでは自分の医療保障はできないから、一つ国民健康保険に変りましょうかという者も出ないとは限らないのです。政府はこういうものについては、三十五年末に一体どういう工合に処置していく方針なのか、すでに二十九年以来、なるほど進んではおりますけれども、これは百万近い者が、なお医療保障の組織の盲点として残っているということなんです。一体どういう方針で皆保険政策と並行してやられるのか、橋本厚生大臣の所見をお伺いいたしたい。

橋本龍伍自由民主党厚生大臣

○橋本国務大臣 保険局長からお答えをいたさせます。

高田正巳厚生事務官(保険局長)

○高田政府委員 今の未適用の問題についてお答えいたします前に、たとえば東京都のような大都市ではやりやすくなる。えさは五分の調整交付金だというだけじゃないかという仰せでございましたが、私先ほど申し上げましたように、それより以前に、現行の制度でほうっておきますと、東京都のようなところは、療養給付費の一割三、四分くらいしかいかないわけなんです。それを二割だけはきちんとやるということに今度の新法では改められまするので、その方が金額としてはむしろ大きいのでございます。  それからなお、この健康保険に適用さるべきものであって適用になってない、いわゆる未適用事業所の問題でございますが、先般資料をお出しいたしましてごらんをいただいたのですが、この資料は前回の委員会でも申しましたように、ある一定岡期の事業所数並びに被保険者数は、調査の結果、一応推定をいたしておりまするが、その後の経緯につきましては、従って現在、三十三年八月末日においでどのくらいあるかということは、これは一応推定でございますから、その点は御了承を願いたいと存じます。これはわれわれが的確に把握をいたしておれば全部入れなければならぬということになるわけでございまして、指定をいたした数字をやむを得ずごらんに入れたわけでございます。それでその未適用は当然われわれといたしまして努力をいたしまして解消をいたしていかなければならぬわけでございますが、その努力の結果、最近の政府管掌業業所についての被保険者数並びに事業所数の増加の傾向によりまして、相当成績を上げておる、かように考えておるわけでございます。それで御指摘の政府管理庁の監察報告の点でございますが、これは当時私どもも行政管理片にその報告に基いて、さような意見を提出してあるわけでございますが、行政管理庁で押えておりまする事業所数と健保の強制適用になりまする事業所の範囲とに、非常に食い違いがあるのでございます。例をあげて申しますと、行政管理庁の方で事業所の総数として押えさおるのは、昭和二十九年の事業所統計調査、これは総理府がやったものでありますが、これで抑えておるわけでございます。ところがこの事業所統計調査というもののなかには、まず第一に、健康保険の適用対象でない業種も入っておるわけでございます。適用対象でない業種も入っておりまするので、まずそれを除かなければならない。それからこの事業所調査の五人以上というものの中には個人業主自身も、非常勤の役員でありますとか、あるいは無報酬の家族従業員、日雇い労働者、そういうふうなものも含めて、とにかくそこで働いている人間の数をいっているわけなのであります。そういう性格の調査なのであります。健保の方は御承知のように、そこで働く有給の従業員が常時五人以上上ということになりまするので、その人間の数が事業所統計では五人以上になっておりましても、健康の適用対象として見る場合には五人以下に落ちてくるところが非常に多くあるわけでございます。そういう問題もございまするし、また健保では常時五人以上でございまするから、浮動性のある事業につきましては、五人になったり四人になったりというような場合には、これは私どもの方では適用いたしません。従ってそういうものも落ちてくる。それから健康保険では申請によって、実際に事業所は二つの場所にございましても同一事業所として扱っておるものがございます。こういうふうなものの数が少くなってくる。あるいはまた公営の事業所もこの事業所調査の中に入っておりますので、これは共済組合に加入しておるものも多いというふうなわけで、例をずっと列挙していったわけでございます。幾ら健保の適用事業場がある、それで全体の事業場はこれだけだ、これだけだという方を、今のような健保と変った立場におきましての調査によって数字を押えておるわけでございますので、そこに非常な食い違いが出て参っております。この点は従いまして東京都で七割、大阪で五割というふうな、こういう適用すべき事業所が適用されておらないというふうなことは、あまりに実情と食い違った数字である。しかし適用すべきもので未適用事業場が存在しておるということは、私どもといたしましても否定はいたしません。従ってそれには大いに努力をいたしましてその解消に努めたい、かように考えておるようなわけでございます。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 いろいろ理屈はあると思いますが、とにかく同じ政区から出ておる報告なんですから、それは一つ高田さんの方で、私の方に言うんじやなく、そういう間違いがあれば、とくと行政管理庁の方に言って、そんな間違った報告を発表しないように、あなたの方から抗議してもらわぬと、われわれは、同じ政府の中から出た報告であって、あなた方を監察をする行政管理庁から出ておるものに対して、監察せられる側が、いや自分の方が正しいんだと言ってもいかんともしがたい。判事がぴたっと判決を下したら、私らはいろいろ異議があってもそれに従わざるを得ないのと同じで、行政管理庁が監察の報告をやったからには、世間はあなた方の言うことよりそれを信頼するんです。政府内部で出す統計に間違いがあれば人心を撹乱しますから、あなたの方でそういうことのないように一つ注意をしてもらいたい。  そこで私の方としては、あなた方の数字によっても、とにかく事業所にして十二万六千五百、労働者の数にして七十四万人というものが現実に適用になっていないという事実なんです。従って政府は一千万の、残りの国民については皆保険のために年次計画を立て、同時にまた予算を、二割以内といっておったようなものをきちんと二割国庫負担をして、五分の調整交付金までつけて皆保険組織の中に入れようというのですから、さいぜんから私が言うように、実際をいうと優に百万くらいにはなる。これは家族も入るわけですから、家族も入れれば三百万くらいになるかもしれない。従ってこれらのものについてやはり計画を立てて、二カ年のうちに入れる措置は講ぜられなければならぬと思う。そうすると一体これらのものがなぜ入らないかという理由を探究していけば、結局それらの事業場における標準報酬というものが安いところに原因があるんです。これは私きょう新聞の切り抜きを持ってきていませんが、至るところの地方の新聞をごらんになると投書が出ております。自分の事業場というものは政府管掌の健康保険の適用事業場になりたいと何回も申し出るけれども、どうもだめだ、言を左右にされて入れないんだ。これには二つの原因がある。一つは事業主が言を左右にして加入せしめない場合と、一つは社会保険出張所がしないのと二つある。多くの投書はそういう形で出てきております。従って政府は当然皆保険をやろうとするならば、これらのものについて予算を計上し、具体的な全国的の調査を精力的にやって、正確な資料を把握して、そうして標準報酬が少いためにできないならば、すでにこの委員会において与党も野党も一致をして議決しておるのでございまして、健康保険においても定率の国庫負担というものをやるべきなんです。そうしてそれらのものを救済しなければならぬと思うのですが、この点について橋本厚生大臣は二年間で未適用事業所十二万六千五百、あなた方の数字による七十四万人を二カ年でやるとすれば、年間三十五万ずつくらい入れなければならぬことになるが、それがおできになるかどうかということです。これは当然やってもらわなければならぬものなんですが、どうなんです。

橋本龍伍自由民主党厚生大臣

○橋本国務大臣 標準報酬が低いから断っているという事実はございません。一番の問題は、正直に申し上げますと社会保険の出先機関の人手が実は十分でないわけであります。この点につきましては、そういうような落ちのございませんように、社会保険関係の機関の充実をはかっておりますから、それによりましてなおなおそういう落ちのないようにやりまして、保険機構の中に取り入れるようにほんとうに真剣に努力をいたして参りたいと思います。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 村上主計局次長にお尋ねをしたいのですが、政府の政策としては三十五年までに日本の人口が九千三百七十万になるわけですが、三十五年末までに国民健康保険に四千九百二十万を入れて、これに要する財政支出が大体三百三十億程度になるようでございます。これは政府の答弁によって三百三十億、それから九千三百七十万から四千九百二十万を引いた残りの国民、四千二百八十万程度の国民は被用者保険、健康保険とか船員保険になるわけです。これらのもの、特に日雇いを中心とする財政支出を合せますと約三百八十億程度の金が要ることになるわけなんです。ところが今大臣からお聞きのように、社会保険に五人以上の強制適用事業場を全部入れていくためには、どうも社会保険出張所の人手が足らぬということを言っていらっしゃるわけです。私はそれもあると思いますが、これは私が自分の主張を曲げないで言っておるんですが、それらの事業場、全国で言うと十二万六千五百の事業場なんです。これは五人以上で強制適用の事業場であってまだ適用されていない事業場が、厚生省の推計によれば十二万六千五百あるわけです。これらのものはなるほど標準報酬が一万五千円以上のところもあるかもしれないけれども、大部分はやはり、一万五千円以下ではないかと私は推定しておるわけです。従ってそれらの事業場を入れるということになると、健康保険財政というものがようやく黒字に転化した現段階において、これらのものを入れるとまた財政が赤字に転化するかもしれないというおそれが厚生当局にはあると思うんです。それで人手も足りないし、それからそういうところを入れると事業場の数が飛躍的に増加をしていく、十二万六千五百が増加をしてくる。従って人手もふやさなければならぬが、同時に徴収上の問題も入ってくるという問題があるわけです。そこで一体大蔵省は、政府の政策として皆保険を実施していく場合自に、これらの強制と適用事業場というものが盲点になっておるわけです。国民健康保険は、二割の国庫負担と五分の調整交付金で四千九百万の国民というものは、とにかく三十五年までに政府は入れるという意気込みを示したけれども、現実にできておる健康保険についてはなかなか明言ができかねており、努力をするというくらいのことしか言いかねておるわけなんです。それが今言ったような社会保険出張所の事務員の不足あるいは標準報酬が低いために、入れた場合には赤字になるかもしれないおそれがあるわけです。  そにで、あなたにお尋ねいたしたい点は二点、まず第一にあなたの方の見積りは、昭和三十五年末における日本の皆保険政策が終ったときにおいて、皆保険に全部入ったときにおいて——現在社会保険の経費は、御存じの通り、昭和三十三年度の予算は二百二十五億出ておる。これが今の厚生当局の見解では三百八十億前後になるわけです。これがあなたの方の大蔵省の見通しとしては、どういうことになっておるかということが一つ、それからこれから二カ年間に七十万ないし百万の政府管掌の健康保険に入らなければならない者が入っていないが、これに対して大蔵省は積極的に加入せしめるための財政措置を一体やるのかやらぬのかということです。この二点について。

村上一大蔵事務官(主計局次長)

○村上政府委員 お答え申し上げます。  第一点でございますが、三十五年度は御承知の通り既定計画の最終年度でございますので、厚生省ともよく御相談いたしまして、国民皆保険かその年度末には達成できるようにということで、既定計画の推進に努めております。また予算の編成に当りましても、そういった既定計画を十分織り込んで、三十四年度、三十五年度、こういうふうに編成して参るつもりであります。  そこで、三十五年度における社会保険関係の経費が一体幾らになるかというお尋ねでございますが、実は厚生省の三百八十億という数字は私ども詳細に検討しておりません。従いまして三十五年度一体幾らになるかということははっきりした御返事がむずかしいのでございますが、非常に大見当な推測をいたしまして、三百五十億程度にはどうもなるんじゃなかろうかと、一応の見通しでありますが、申し上げられると思います。もちろん今後のいろいろな様子で動くこともありますけれども、大体その前後には達するであろうというような見当でございます。  それから、第二点でございますが、いろいろ御指摘もございましたような五人以上の事業場というのは相当残された分野がありますので、今後こういったものを拾い上げていくということにつきましては、標準報酬の問題もありますし、また事務費その他の問題もございまして、保険経済にはある程度不利な要素が残されておるということも承知しておりますが、これは三十四年度、三十五年度、まだあと多少時間のゆとりがあることでございますので、その予算編成の機会におきまして十分そういった個々の要素につきまして厚生省の御意見も伺い、今申し上げましたような既定計画を完遂するという建前において予算を計上して参りたい、かように考えております。  抽象的なお返事で恐縮でございますが……。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 そこが大事なとにろなんです。政府は国民健康保険については、昭和三十二年度には三百七十万を入れます、三十三年には四百十万を入れます、三十四年には五百四十万、三十五年にも五百四十万を入れて、これで国民健康保険の対象者は解消してしまいますと、こういう見解を明白に発表しておるわけなんです。これは今から国庫負担の制度を改めて、新しい国民健康保険法を制定していく未来像をいっているわけなんです。ところが、政府管掌の健康保険というものは現実に動いておるわけなんです。現実にそれらのものを対象としておらなければならぬものが、まだ三十四年約十二万の事業場ができていない、こういう現実なんです。だから当然これらのものを政府は年次計画で、第一年度すなわち三十四年度には三十五万を入れます、三十五年度には残りの三十五万を入れますとか、年次計画が当然これにもできなければならぬはずなんです。ところが今あなたの言うように、今からゆっくり時間もあるから話し合うということでは私はおかしいと思う。それでこの点については当然三十五年になってあわてることがあってはいけないので、一体どういう年次計画でこれをやるのかこれの方が先決なんです。どうもこういうことになると大臣に出ていてもらわぬと、次長さんではお気の毒だと思うのですが、これは一番大事なことなんです。橋本厚生大臣どうです、二カ年計画で、三十五年度末までには五人以上の健康保険の強制適用事業場は、国民皆保険の精神にのっとって解消できるという御言明ができますか。

橋本龍伍自由民主党厚生大臣

○橋本国務大臣 先ほども申しましたように、現実にはこれを把握するのが非常にめんどうな困難なことでもございますので、われわれの機構も充実をいたしまして、これは法に定められたところでございますので、五人以上の事業場を健康保険に入れるため万全の努力をするつもりでございます。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 機構の充実をするとおっしゃいますが、当然あなた方にはその財政的な計画もなくちゃならぬと思うのです。現在人員が不足だからこれができない、こういうことが唯一の理由になっている。そうすると十二万六千の事業場がふえるということは、相当の人員と予算が必要なんですが、一体どの程度のものが充実されれば——財政的にお金に見積ればどの程度の金を入れれば、現在の日本の社会保険出張所の機構が充実されて、これが容易に達成でき、その後の事務運行が順当にできるとお考えですか。これは保険局長でけっこうです。

高田正巳厚生事務官(保険局長)

○高田政府委員 事務的な人員不足で、それが非常に影響しておるということを大臣がお答えになりましたのはこういう意味でございます。健康保険の今日の建前では、事業主が届け出ることによりまして、そこで保険の適用をするという形になっております。従ってこの未適用というのは事業主が届出をしないものなんです。そうすると、こちらから行って、町の中を歩いてここには何人おるか、これは常時五人以上使っているかといって探して歩くということになるわけです。さような関係でございますので、なかなかめんどうなことになるわけでございます。しかし私どもといたしましてはさような問題をも含め、また今日被保険者事業場の数が非常にふえておりますので、今日の陣容ではとうていやっていけないということで財政当局に増員を要求いたしております。要求いたしておりますが、これは財政当局と相談の上でどういう結果に落ちつくか、これはわからぬわけでございますが、私どもといたしましては、そのような問題をも含めて社会保険出張所を充実をしてもらいたい、こういう要求を出しておることは事実でございます。その員数はここに資料がございませんので、ちょっと私記憶しておりませんので申し上げられませんが、相当な員数を要求をいたしております。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 どうも大事なところで数字がはっきりしないのですが、大蔵当局で出ている数字を御存じならばお教え願いたいのです。そうしますと大蔵当局としては皆保険の政策を遂行しようとするならば、当然これは認めなければならぬものだと思うのです。国民健康保険というものが進んでいく、一方においては事業場で何らの医療保障の恩典も受けない階層というものが十二万の事業場があり、しかもそれが七十五、六万に達するということは許されぬと思うのですが、これは大蔵当局には大蔵当局の言い分があろうと思いますが、基本的にはこれはやっぱり認めてもらわなければならぬと思うのでよ。そうして三十六年四月一日からは全国民が、国民健康保険で大臣が特別の理由があると認める者以外ば、すべて医療保障の組織の出に入る体制ができなければ、この法案というものは、作っても絵に描いたもちになるおそれがあると思うのですが、その点村上さんどうお考えになりますか。

村上一大蔵事務官(主計局次長)

○村上政府委員 来年度の増員の御要求はただいま手元に持っておりませんで恐縮でございますが、今おっしゃいました通り、私どもの方では人の増員につきましては、できるだけ既存の定員の能力を発揮いただくということで、全体としては極力増員を抑制したいという建前で、本件ばかりではございませんが、全体を考えておりますことは御承知の通りでございまして、この増員以外の事務費とか庁費というような点でカバーできる点もございますので、そういう点もあわせ考えまして、御指摘がございましたこの国民健康保険の運官、皆保険の実現ができる程度の人件費は、これは計上せざるを得ない、かように考えております。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 国民健康保険はもちろんですが、今言った五人以上の健康保険の強制適用事業場が、三十五年末までには皆保険の組織に入れるようにぜひ一つ措置をしていただきたいと思います。  次にお尋ねをいたしたい点は、国民皆保険をやる上のいろいろのファクターが変ってくるわけです。そのファクターの変る状態をどういう工合に厚生省は見ておるか。たとえば現在保険料の推移を見てみますと、昭和二十七年には保険料は一世帯当り千八百五十円であったわけです。それが二十八年には二千十七円になり、二十九年には二千三百八十六円になり、三十年には二千六百三十六円になり、三十一年には二千八百四十八円になっておる。三十二年以降の統計数字はちょっと私ないのですが、それが三十五年には、大体どういう推移になるかということなんです。これは今後の財政計画を立てる上に一番大事なことだし、また三百三十億程度の国民健康保険の財政負担を三十六年から必要とする、こういう数字が出たからにはその推計がある程度出ておらなければならぬはずだと思うのです。まずそういう保険料の推移、それから受診率はおよそ一割程度、ずっと過去の実績を見ると上昇しておるということを私は見ましたが、大体そういう上昇の推計の仕方でいいのかどうか、こういう点についての厚生省の見方を教えていただきたいと思います

高田正巳厚生事務官(保険局長)

○高田政府委員 これはもちろん推計でございますので、そう的確なものとは言えないと思いますが、私どもの四カ年計画で小計を出しております数字は、一世当りの保険料調定額が、三十二年度では、これは実績でございますが、三千五十一円、それから三十三年度、三十四年度、三十五年度は三千三百八十円、三千六百九十円、三千八百四十五円。それから受診率の方の動きでございますが、これこそ非常に動きますので、なかなか見当がつかないわけでありますが、     〔委員長退席、大坪委員長代理着席〕 少くとも三十三年度は、対前年としては一割程度の受診率の伸びがあるであろう。三十四年度、三十五年度、これは非常に見当がつきかねるのでございますが、この一割というのが過去四カ年ほど続いておりますのでいつまでも一割ずつ伸びていくというのはちょっと考えられぬことでありますけれども、大体三十四年度、三十五年度では五分ないし一割の範囲内におさまっていくのではないか、かような推計をいたしておるわけでございます。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 いいです。少し大事なところだけ急がないと、おそくなりますから……。われわれが普及の課題を解決する場合に一番大事なことは、三十五年皆保険達成時にどの程度の保険料が必要で、そしてそれが負担可能かいなかということを見きわめておけばいいんだろうと思う。そうしますと、今の三十五年における推計が三千八百四十五円、そこで一人当りの保険料は幾らくらいになりますか。六百五、六十円になるのですか。

高田正巳厚生事務官(保険局長)

○高田政府委員 三十二年を申し上げますと六百十七円、三十三年が六百七十六円、三十四年が七百三十八円、三十五年が七百六十九円。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 それだけわかればけっこうです。そこでさいぜんも申し上げました通り、一人当りの保険料七百六十九円を、三十五年度になって、都市なり農村の住民が負担できれば、国民健康保険のまがりなりにも大体形式的な形というものは、でき上ることになるわけです。今私は国民健康保険の第一の課題である普及について、一応の問題点を指摘しました。その中で政府管掌の健康保険における未適用者というものを、やはりすみやかにこの際普及の課題とともにやらなければならぬ、こういう点を指摘をした。次の課題は赤字解消の課題です。  そこで奧野さんに伺いたいのですが、自治庁から出ておる資料を見ますと、三十年には国民健康保険の赤字は四億三千百九十万円になり、三十一年の赤字は四十一億四千八百万円になっておるわけです。ところが今度は厚生省の数字はどういうことになっておるかと申しますと、三十年度は三千四百二十万円の赤字なんです。厚生省の赤字はその十分の一くらいです。しかも三十一年度は自治庁は四十一億の赤字があったとおっしゃるけれども、厚生省は三億六千三百万円の黒字になっておる。同じ日本政府の中の二つから出ておる数字にこういう違いがある。さいぜんは行政管理庁の数字と厚生省の数字が全く違っておるということがわかったのですが、これは一体どういうことなのか。一つ両方から御説明を願って、どちらが、正しいのか……。

奧野誠亮総理府事務官(自治庁財政局長)

○奧野政府委員 自治庁では実態的に国民健康保険の特別会計の収支がどうなっておるか、こういうことを見ておるわけであります。実態的に歳入が不足いたしました場合に、市町村としては国民健康保険が立っていくようにしなければなりませんので、一般会計から多額な繰り入れをいたしておるわけであります。この繰り入れがありませんと、国民健康保険特別会計はやはり収入に欠陥が生じてぐるわけであります。また国民健康保険特別会計から、あるいは診療所関係その他に対しまして繰り出しをしておる場会合もございます。この繰り出しを必要としなければ、それだけ黒字になっていくわけでございますので、これは逆に財源としてはプラスをしてみたらよろしいのではないか。こういう計算の仕方をいたしますと、先ほど御指摘になりましたように、昭和三十一年度の決算としては四十一億四千八百万円、こういう数字になるわけであります。

高田正巳厚生事務官(保険局長)

○高田政府委員 私が御説明をしましたのは、もう少し詳しく御説明をしたわけでありますが、今の滝井先生おあげになりましたのは、収支差引全体のがらがら計算をしてみますとこういうふうになる。そのほかの要素としまして、診療報酬の未払いの問題がありますし、それから国庫補助金の精算の問題があります。それから一般会計の繰入金の問題があります。こういうふうに実は説明をしておるわけであります。従って今おあげになりました数字は、自治庁が今言われましたように、私の方の収支差引額と、それから一般会計の繰り入れを全部赤字と見た場合には、今のような数字が出るのではないか、こういうふうに一応考えられます。数字を合わしてみませんとわかりませんけれども、一般会計の繰り入れは全部赤字だという見方をいたしますると、そういうふうな数字になるのじゃなかろうかと推察をいたします。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 一般会計の繰り入れは、多分三十八億ぐらいじゃなかったかと思うのです。

高田正巳厚生事務官(保険局長)

○高田政府委員 三十年度は三十五億、三十一年度が三十八億、三十二年度五三十八億、大体こういう数字であったように記憶いたします。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 その数字も違っておるのです。三十年度はあなたの方は三十五億、自治庁は三十一億と見ている。三十一年度はあなたの方は三十八億、自治庁は三十三億と見ている。こういうように同じ政府の中の官庁で、そして市町村というもののやっておる仕事を取り扱う官庁の数字というものが、こういうように二億、三億と違ってくる。しかも片一方が赤字といったときに片一方は黒字といっておるということじゃ、国民は一体どれを見たらいいかわからぬのですよ。だからこれはやはり政府の中の同じ官庁なんですから、そういう点はお互いに有無相通じて、資料の交換をやって検討し合っておらないと、一体今後皆保険政策を打ち立てるときに、どの資料を信頼したらいいかということがさっぱりわからなくなる。私はたまたまそういう数字を見比べてみたからこそそういう誤謬が指摘できたんですよ。ところがそういうものを新聞なら新聞にぽっと、自治庁が国民健康保険はこういうように地方財政を圧迫する、こういう赤字が出ているという、いや厚生省は黒字だということになれば、全く国民健康保険に対するものの見方が変ってくる。だからこういう数字を御発表になるときには、やはり打ら合せて発表していただきたいと思います。こういう末梢的な数字の違いをきょうは言うつもりはないんですけれども、いよいよものごとを立論しようとすると両方読んでいろいろ聞かなければならぬ。財政計画なんかを聞かなければならぬということになると、大へんものの考え方が違ってくるのです。これ以上私はこの問題を言いたくないのですが、こういう点一つ御注意を願いたいと思います。これは橋本厚生大臣も愛知自治庁長官もぜひそういう点を御注意願いたい。何か奥野さんの方で、あれば……。

奧野誠亮総理府事務官(自治庁財政局長)

○奧野政府委員 私も実は両方の数字をつまびらかに比較いたしておりませんので、あるいは間違いがあるかもしれませんが、一般会計の繰入金と、逆に国民健康保険特別会計から一般会計へ繰り出しているのがございます。差引いたしまして繰入金が幾らだというのが自治庁の数字ではなかろうかと思います。従いましてそういう計算をしますと、厚生省の言っている数字も自治庁の言っている数字も違いはないのであります。一般会計から繰り入れている金額は、厚生省の言われている金額の方が今伺っておりますと大きいようであります。自治庁の数字の方が少いようであります。これは形式的に、入ったものから、今度は逆に国保の特別会計から一般会計へ繰り入れておるものを引いておるわけであります。ネットの繰入金を自治庁の方では申し上げておるので、そこに食い違いがあるわけであります。あるいは真実に食い違いがあるかもしれませんが、今後も注意していかなければならぬと考えております。大体繰入金につきましては今申し上げたような事情ではなかろうか、こう思うわけであります。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 従って一般会計からの繰り入れ、特別会計からの繰り出し、こういうものを赤字とか黒字とかいう場合にはどういう取扱をするということの意思の統一をしておかないと、今度は第三者の大蔵省の立場から見たとき、自治庁から言う数字と厚生省から言う数字とが違っておると、大蔵省の主計局もどちらが真実かで、また計算をやり直さなければならぬ。こういう二重の手間とロスが出てくるのです。一つこれは両大臣ともぜひ今後国民健康保険に関する限りは、基礎数字というものを十分照らし合して、その上で一つ計画を立てていただきたいと思います。  そこでお尋ねいたしたいのは、今後の国民健康保険の赤字の解消の問題についてでございますが、地方自治体の三十一年度までの実質的な赤字というものは二百七十九億、その中の実に百十億というものが、国民健康保険による一般会計からの繰り出しのためにそういう赤字が出たのだ、こういうことになっているわけであります。今後政府の皆保険政策を遂行する上において、一般会計から国民健康保険の特別会計に相当のものを繰り入れなければ赤字は解消できないというのが客観的な現実です。従って一般会計の繰り入れを考えると、四十一億の赤字になり、それから片一方はそういうものは当然のことだとしているから黒字になる、こういう観点の相違も出てくることになる。自治庁の期本的な方針としては、国民健康保険の今後の健全な発達、同時にその赤字の解消をはかるためには、一般会計からの繰り入れというものは依然として認めていく方針なのかどうかという点なんです。地方財政整備促進のためのあの地財法では、赤字団体、すなわち十二条適用の団体というものは繰り入れてはまかりならぬということを、三十一年ごろには自治庁は通達を出しているわけです。今後の皆保険のもとにおける自治庁の方針はどういうことなのか、お聞かせを願いたい。

愛知揆一自由民主党法務大臣・自治庁長官

○愛知国務大臣 お答えをいたします前に一言ごあいさつを申し上げます。  私突然一昨日自治庁長官を命ぜられました。まことに至らぬものでございますが、どうぞよろしくお引き回しをお願いいたします。(拍手)何分就任早々でございますから、練達なる滝井君の御質問に十分お答えができないのを遺憾といたしますが、さっそく勉強いたしまして十分政府の態勢を整えたいと思います。  ただいまお尋ねの点につきましては、地方財政のあり方につきまして、国の財政との総合関連におきまして、従来とも自治庁において鋭意検討中であったようでございます。そこで当面の問題といたしましては、よく御承知の通りで申し上げるまでもございませんが、今回調整交付金の制度が創設され、それによって療養給付金の五%が補助されることになるわけでございます。それから事務費に対する国庫補助金につきましても、従来の被保険者に対する一人当り従来は八十五円でございましたか、これが今回九十円に引き上げられることになるわけであります。そういった面において相当の改善が期待できると私は思いますが、これが実額でどういうふうになるかにつきましては追って御説明をいたしたいと思います。  それから国民健康保険全体の運営の改善についての自治庁に関連する部分でございますが、たとえば一部負担金の窓口徴収一本化その他につきまして、運営の改善が行われることも御承知の通りでございます。かようにいたしまして、従来に比しまして改善を現在企てつつあるわけでございますが、なおただいま御指摘の点につきましては、関係省と十分協議をいたしまして、何とかさらに改善の実を上げたいというふうに考えている次第でございます。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 私の質問をしたい点は、従ってそういうように今度の法律は二割の国庫負担を明確にし、五%の調整交付金を出すようにし、同時に事務費の額を、大臣の言われたように、八十円から九十円に引き上げるという形が出たのですが、従って一般会計からの繰り入れというものはやらぬようにするのか、それとも依然として自治庁の指導方針としては続けるのか、この点なんです。

愛知揆一自由民主党法務大臣・自治庁長官

○愛知国務大臣 一般論として一般会計から全部補てんするかというお問いであると、遺憾ながらそうではないということにならざるを得ないと思うのでありますが、たとえば事務費であるとか、そのほか診療所の費用その他について項目別に一般会計からの補給というものを限定的にいたしますが、これをできるだけ事務的にも精査いたしまして、それらの項目については一般会計からの補給をする、こういうことでやって参りたいと思います。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 そうしますと、一般会計からの繰り入れというものは、開き直っていえば出さないのが原則だ。しかし国民健康保険の現状にかんがみ、事務費やそれから診療所の費用というものは、一般会計から限定的に選択的に繰り入れる、こういうことなんですね。そうしますと、過去の一般会計からの繰り入れである厚生省の数字で言えば、三十二年度三十八億、自治庁の数字はちょっと決算だから出ておらなかったのですが、三十一年度では三十三億ですね。こういう経費は、今大臣の御説明になったような事務費とか、診療所の経費のような限定的な経費なんでしょうか。

奧野誠亮総理府事務官(自治庁財政局長)

○奧野政府委員 具体的には特別会計における赤字補てんだ、かように考えておるわけであります。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 そうしますと、過去に出たものは限定的なものではなくして、赤字補てんとして、いわばかぶせていったものだ、こう理解して差しつかえありませんね。そうしますと、昭和三十三年の地方財政計画の一兆二千三百七十一億七千三百万円の中のどの項目に入っておりますか。過去数年来三十億前後の金が出てきたんです。二十七年ごろは十億くらいだったのですが、これはどういう項目にどの程度入っておりますか。三十三年度でけっこうでございます。

奧野誠亮総理府事務官(自治庁財政局長)

○奧野政府委員 先ほど大臣からもお話しがございましたように、一般会計から国保の特別会計へ運用をするということはない建前で、地方財政全体の問題を考えていかねばならぬわけです。従いまして、御指摘になりました地方財政計画の中に、特に国保特別会計への繰入金しというようなものは見込んでいないわりであります。しかし現実には国保の赤字を補てんするために繰り入れをしておりますので、それだけ決算期にはどこかにしわが寄ってきて、そのことが地方財政の赤字問題につながってきているのだ、こういうことになってきているわけであります。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 昨年の地方財政計画の中には、国民健康保険の中で、たとえば直診の経費と保健婦の設置費が、ちょっと額を思い出さぬのですが、北海道に行った柴田君の答弁には、かすかに入っておったように私は記憶しておるのです。そういうものは今年は入っておりませんか。

奧野誠亮総理府事務官(自治庁財政局長)

○奧野政府委員 御指摘になりました保健婦の設置に要する費用、それから直営診療所に要する費用、これを国民健康保険特別会計で負担をしている場合がございまして、そういう負担をしている場合には、一般会計から特別会計に繰り入れをして参りますことは、当然それでよろしいと考えておるわけであります。もとよりこれらの経費を国保会計で負担しないで一般会計で負担するのがむしろ建前かもしれません。またそういうようにやっているところも多いわけでございますので、そういう経費を数億円程度見ておるわけでありますけれども、これを全額そのまま繰り入れされるというわけのものではなしに、国保会計でその経費を負担していく場合には繰り入れされてしかるべきだ、こう考えておるわけであります。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 そうしますと、その理論的な根拠は、保健婦というものは何も国民健康保険の被保険者ばかりを見るものではない。全住民の健康を守るために保健婦があり、それから直営診療所というようなものは、やはり国保の対象者ばかりでなくて全住民を診療するのだ。従って一般的、善遍的な恩典というものは市民に及ぶから、あるいは住民に及ぶから出してもよろしい。こういう理論的な基礎ができるわけですね。そうしますと、問題は、三十億前後の赤字補てんのために出しておるものが地方財政計画に載っていないということになると、その地方自治体は当然善後処理をやらなければならぬわけです。その場合に、たとえばそれが十二条適用の団体、あるいは十二条に準用する団体であるということになれば、地方財政計画のいわゆる再建計画費変更をやらなければならぬ。変更をやらずして三十億をこえる金を勝手に出すわけにはいかぬということになると思うのですが、その間の事情は一体どうなるかということなんです。これはいわゆるせっぱ詰まって緊急の事態で出すことになるのですが、事前に議会を開いて、あなたのところの財政再建課なり財政課なり調査課で十分練ってやるということになると、非常に時間がかかるわけなんです。これから議会の承認を打てということでは、すぐ半年くらいたってしまうのです。一体こういう問題は、自治庁はどういう取扱いをするつもりなのか。厚生省当局はどういう指導方針を持っておるのか。

高田正巳厚生事務官(保険局長)

○高田政府委員 この法律案を立案いたします際に、自治庁と相談をいたしまして、思想を統一いたしておるのでございます。それは項目別に一つ交通整理しようじゃないか。それで、たとえば直診の経費というふうなものは、直診を建てる場合に臨時費が要ったり、ことによりますと軍営費についても赤字が出たりする場合があるわけなんです。そういう直診の経費でありますとか、保健婦の経費、それらのいわゆる保健施設に属するようなものは、国体の特別会計の施設だとはいうものの、結局町村民全般が利用をしておるわけでありますから、従ってそういうふうなものについては、一つ特別会計の繰り入れを認めていってもよろしい。それから療養給付費というようなものにつきましては、一般会計の繰り入れをすることを当てにして財政計画を立てるにとはやめようじゃないか。これは保険料と国庫負担金並びに調整交付金が入りますが、保険料と国庫からのてこ入れの金で療養給付費というものはまかなっていくという財政計画でいこう、こういうことに大体思想を統一をいたしておるのであります。それから事務費につきましては、これは元米国が十分積極的に事務費は見ていくべき経費であるから、だから妥当な事務費は十分に見ていこう。それで問題は、現実に今事務費が足らなかったような場合、あるいは療養給付費が、そういう財政計画を立てて、その指導方針で参りましても——療養給付費等に例をあげますと、非常に富裕な団体であって、保険料というものでとるよりはむしろ一般の税金でとった一般財源の方でやった方がやりいいというふうな特殊な地方団体があるならば、ここまでを禁止する必要はないじゃないか。しかしながらそういうことを当てにして財政計画は立てまい。これは当然保険料、いわゆる保険税と、それから国庫のてこ入れ、この二つでまかなっていくという財政計画でいこう、こういうふうな考え方に実は一致をいたしておると、私の方は理解をいたしておるわけであります。大体その線で私どもも考えておりますし、自治庁の方でもお考えをいただいておると私は理解をいたしておるわけであります。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 まあ自治庁の見解はいいでしょう。この赤字を解消していくためにば、自治庁当局が述べたように、原則としては一般会計から入れることができないという形になっておるわけです。従って、当然これは国民健康保険自体が年次的な計画を立てて、やはりやる形を作ることが第一の前提でなくてはならぬと思うのです。それができないとすれば、私は市町村が運営の主体でありますから、国民健康保険は、従って地方自治体である市町村から国民健康保険の特別会計の中に、市町村の一般財源である一般会計から規則的に順当に入れ得るやはり立法上の措置が、この際必要じゃないかと思うのです。そうしないと、やみからやみに年度末になって自治庁に行って、調査課なり財政再建課にお百度を踏んで、そしてそれを認めてもらこういうことでは、それは国民健康保険をやる方も何となくうしろめたくてやれないにとになってしまう。こういう点について一体橋本厚生大臣はどうお考えになりますか。もうすでに過去二十七年以来毎年一般会計からの繰り入れというものはうなぎ上りに上っておるわけです。これを今のように、自治庁が確とした原則を立てられておるならば、厚生当局としては当然自治庁と十分相談されて、一般会計から繰り入れるような方策というものを、私は考えられなければならぬと思うのです。あとにいろいろ私はその理論的な根拠を述べるつもりでございますが、厚生大臣としてはどうお考えになりますか。

橋本龍伍自由民主党厚生大臣

○橋本国務大臣 滝井委員の御趣旨はまことにごもっともでございますが、費用の項目にもよりますし、それからまた国庫の方からの精算払いの金額の支払いの時期いろいろ関係もございまして、この問題はもう少しはっきりさせなければならぬと思っておりますが、今日のところまだ割り切って結論を出しておらないのであります。もう少し検討いたします。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 運営の主体が市町村であって、そしてしかも過去においてすでに既成的に一般会計からの繰り入れを見ておるという、こういう現実というものはもはや無視することはできないと思うのです。しかも今後三十四、三十五と入れる一千万の国民健康保険の恩典を受けていないそれらの住民の所属する市町村というものは、東京都とか名古屋とかという消費的な大都市が、再三操り返すように、地方財政の貧弱な市町村なんです。そうすると、それらのものに国民健康保険をやろうとするならば、さいぜん局長みずからが御答弁になったように、昭和三十五年には一人当り七百六十九円の保険料を納めなければなりません。一体これが納め得るかというと、なかなか納め得ないことは、一世帯当りの保険料の納入状態というものが、平均が二千五百円であるにもかかわらず、二千五百円以下というものは六割をこえて、世帯に存在するというこの事実は、どうしても一般会計から入れなければならぬという一般的な客観的な情勢が明らかにあるわけです。ところがそれについてなお政府が決断をせずして皆保険に入るということは、私は木によって魚を求むるたぐいだと思う。小泉厚生大臣のころに、なるほど昭和二十年には四千万の国民が入ったけれども、終戦とともにその国民健康保険が大きな音をたてて瓦壊した。これは橋本厚生大臣の施策によって皆保険はでき上つたけれども、その形式だけであって、内実を伴わなかったという、こういう過去の轍を踏むおそれがあるのです。この際やはり私は、政府は蛮勇をもって一般会計から繰り入れるという原則を確立しなければならぬ。そうしなければ、自治庁は迷惑な話です。こうしてわざわざ地方財政計画を線密に立てておるにもかかわらず、横道から入ってくるものが出てくると、これはもう絵に描いたもちで、何の役にも立たなくなって、しかもそれが一億や二億じゃない、三十八億という額には、地方財政にとってはばかにならない額なのです。地方財政の実質赤字がこの四、五年の間に二百何十億しか出ていない。その中で百十億というその四割というものが、国民健康保険によって占められる赤字だとすれば、これは政府当局の考えなければならぬ問題だと思います。愛知国務大臣、この点はどうお考えになりますか。

愛知揆一自由民主党法務大臣・自治庁長官

○愛知国務大臣 先ほど申しましたように、数字等の検討を十分するだけのまだいとまはございませんが、ただいまお述べになりましたような問題につきましては、私の地方財政の観点から言いまして、なかなかこれは大きな問題だと思います。漸次改善しつつあることは先ほど申し上げた通りでございますが、来年度の地方財政計画の一つの大きな問題といたしまして、早急に関係方面と協議をいたしたいと考えております。

橋本龍伍自由民主党厚生大臣

○橋本国務大臣 先ほど申し上げた通りでございますが、再々小泉厚生大臣の時代のお話がございましたが、戦後瓦解いたしました一番大きな原因は、戦後せっかく伸びました国民健康保険の組織が、あれほど大きくいたみました原因は、何と言っても戦後のインフレの問題でございます。今日築いておりまする国民皆保険のこの努力というものが、そんなことになるおそれはないと考えております。ただ内容の充実については十分考えて参らなければならぬ点でございまして、ただいまお話のありました問題は十分に問題として考えておりますけれども、もう少し内容を検討いたしたいと思います。なお追加いたしまして保険局長から答弁いたさせます。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 時間の関係がありますからけっこうです。  とにかく過去において一般会計から繰り入れの実績というものが続いているというこの現実、しかもそれがやれなければ結局黒字も赤字になるというこの現実は、もうだれが見ても間違いない事実です。従って自治庁当局も関係各省と十分連絡をして検討をするということでございますので、一つ速急に三十四年度の予讃を編成するに当って、これは地方財政計画を、新たに三十四年度のものを立てなければならぬわけです。従ってそれまでにはぜひ関係者当局がお話し合いになりまして、明快な方針をきめていただくことを特にお願いいたしておきます。いずれ機会を見てこの点は質問さしていただきます。  次には給付の拡大をやり、赤字解消が——そういうように一般会計からもある程度順調に繰り入れられてくるということになりますと、その結果当然ここに給付の改善の問題が出てくるわけです。現在給付率は御存じの通り今度の法律においては五割でございますが、これは健康保険並みに給付の内容を高めることになっております。現在保険者の中で五割をこえる、たとえば六割とか七制をやっているものが相当あるように聞いているわけです。一体どの程度の保険者が給付において六割とか七割をやっているのか。

高田正巳厚生事務官(保険局長)

○高田政府委員 調べがあるわけでございますが、ちょっと表がたくさんございますので、見つけるまで御猶予願いたいと思います。——現在といいましても三十一年度末の数字でございまするが、一六ページを見ていただきますと、一番下の合計欄に出ておりまするように、これは一部負担金の割合でございますので、五割給付のものが保険者の数といたしまして二千九百四十五、特別の四十二を含んでおります。六割給付のものが五十六、そういう数字でございます。    〔大坪委員長代理退席、委員長着席〕

滝井義高日本社会党

○滝井委員 わかりました。私がお尋ねをいたしたいのは、この一部負担の割合、四割が五十六あるわけですが、これら五十六の保険者の財政状態というものは一体どういう状態であるかということなんです。五十六の市町村でできておるものが、他の団体ができないはずはないと思うのです。もし五十六のやっておる市町村が財政豊かな団体であるとするなら、これはそこに一考の余地があると思うのです。しかし五十六のもので、一般会計から国民健康保険の特別会計への繰り入れなしにやっておるものがあるとするならば、これは一体どういう理由で五十六のものは四割という一部負担でやっていけておるのか、あるいははなはだしいものは、特四を除いても三割負担のものが十八あるわけです。こういうように自治体の中では非常に一部負担の軽減をしてやっておるものがあるというこの現実です。そこでわれわれはこういう実態がどういう実態であるかということをお教え願わなければならぬのですが、それはどうしてかと申しますと、御存じの通り、国民健康保険の医療費というものは昭和三十一年ごろを見ても千五百円程度なんです。そうすると、これを健康保険の三十一年に比べてみますと、政府管掌では五千八百六十七円で四分の一なんですね。同じ保険なんです。同じ保険であって一方は保険料は半分事業主が持ってくれる、一方は全部自分が出さなければならぬ、しかもその給付の内容というものはいわば四分の一である、これではなるほど皆保険にはなるけれども、その内容というものは実に貧弱きわまるものである、こういう形も出てくるわけなんです。そこで私が問題にしなければならぬのは、こういう四割の一部負担で六割の給付をやっておる五十六の保険者の財政状態というものは一体どういう実態にあるのかということを、私たちはこの際探究してみる必要があると思う。これをある専門家の意見を聞くと、少し努力をすれば、二割の国庫負担金と五分の調整交付金で六割も不可能ではない、六割の給付も可能だという意見を言う専門家もおるわけです。そうしますと、現段階では、私はやはりこの機会に六割の給付くらいには最小限踏み切るべきではないかという感じがするのです。こういう五十六の保険者の団体は、わかっていなければ次の機会でけっこうですが、どういう姿なのか、全部五十六のものは赤字で気息えんえんたる状態であるのか、それともゆうゆうやっておるのか、こういう点一つお教え願いたいと思います。

高田正巳厚生事務官(保険局長)

○高田政府委員 実はこの五十六の保険者については、それぞれ事情が違うかと思いますから、その詳細な事情をただいま明らかにいたしておりません。ただ私がいろいろ常識的に考えまして、給付率というものは給付範囲と非常に関係があるわけでございまして、今給付の範囲を非常に狭く条例でしぼれるようになっておりますから、給付の範囲を狭くしぼっておれば、給付率は同じような財政状態でも高くし得るわけでございます。その辺の給付の範囲がどういうことになっておるか、あるいはまた基本的にはその市町村の受診率といいますか、医者にかかり工合、一人当りの医療費の工合、そういうふうなものが一般より低ければ給付の率も同じ財政状態でも高くなるということもいえるかと思います。それからいま一つは、非常に国保の古くから保険税を適用いたしておりますような東北方面におきましては——これは給付率が六割だという意味じゃございませんが、一戸当りの保険税を実は相当高くとっておるのです。全国平均よりもむしろ東北のような貧しいところの方が保険税が高いのです。しかもそれで国保が運営できておるということは、これはなぜかといいますと、国保というものが相当早くから発達をいたしまして、それで貧しければ貧しいほど、国保という一つのシステムにたよって医療をやっていこうという気持が非常に強いから、これが円滑にいっておるわけでございます。そういうふうないろいろな事情が想像されるわけでございますが、いずれにいたしましても、今回の新法では給付の範囲を健保並みにできるだけ早くするということがまず大事だ、従って原則は健保と同じように給付の範囲をいたしたわけでございます。その次は給付率でございますが、給付率におきましても、ミニマム・スタンダードを五割、こうきめて、それ以上につきましては、それぞれの保険者の財政状態、特殊事情に基いて引き上げができるような法律上の建前にいたしまして、しかもこの給付率の改善につきましては、私どもといたしましても積極的に指導をいたして参るつもりでございます。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 健康保険の給付の範囲に引き上げていくということになりますと、昨日の近藤先生等の公述を参考にしてみますと、二割と五分ならば引き上上げが不可能だ、二割八分出さなければいかぬだろうという御意見があったのです。これは政府はどうお考えになっておりますか。

高田正巳厚生事務官(保険局長)

○高田政府委員 近藤公述人がどういう計算をなさいましたか、私存じませんけれども、健康保険の給付の範囲と一緒にして参るということは、今日御存じのように、初診は給付の対象にしないとかいろいろそういうことをやっておるわけでありますが、これに要する経費というのは、最近三十年度以降相当給付の範囲については改善をされておりますから、私はこれに要する経費はそう多額なものだとは考えておりません。むしろ給付率をかりに画一的に六割というふうに引き上げた場合の方が、財政的な響きがずっと大きくなる、さように考えております。従って国民健康保険の給付の範囲を健康保険と同じようにするということだけで、二割五分を二割八分にしなければならぬという計算は、私としましては、これはデータを伺ってみなければわかりませんけれども、直観的にちょっと納得いたしかねるような気がいたします。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 そこで問題は、この際国民健康保険を全国的に実施するためには、健康保険の給付と同じようにするがよいのか、あるいは給付率を引き上げる方が皆保険実施の呼び水になるのか、こういうふうに論が分れてくるわけです。なるほど財政的には、健康保険並みにすることと給付率を引き上げることとでは幾分違うかもしれません。あなたの言うように、給付率を引き上げることは相当金がかかるかもしれませんが、それは私はそう目の玉の飛び出るほどの多額な増額ではないと思うのです。  そうしますと、現在の客観的な受診率の状態、その受診率の中に含まれておる受診の姿を見てみますと、これはもうすでに多くの人が言い尽しておるように、農村においては貧農層というものは国民健康保険の被保険者であるけれども、その国民健康保険証を利用していない。そして中農以上がこれを利用する。すなわち中農以上は貧農の保険料の犠牲において医療を受けておるという姿であり、中農以下というものは配置薬や何かによってどうにか医療をまかなっておる。こういう姿はもう多くの人々が言っておるし、またわれわれが実態調査をやってみても、そういう状態であることは、保険局長御存じの通りなんです。  そうなりますと、一体どっちを選ぶべきかという問題です。私は、高い医療をやる前に、まずだれもが機会均等に医者にかかれる姿を作らなければならぬと思うのです。皆保険は、貧乏人が保険証を使える姿をまず作ることが前提だと思います。非常に高度な、健康保険と同じ医療を与えても、それは高ねの花なんです。保険証を持っておっても、半額の金が払えなければ行かれないの、だから、その半額払うことを軽減する政策が先じゃなくちゃならぬと思う。この点大臣は一体どうお考えになるか。どちらが先の方がいいかということです。私は給付率を上げてすべての国民にまず最小限の医療を受けさせることが先決だ、こう思うのです。

橋本龍伍自由民主党厚生大臣

○橋本国務大臣 ただいまお話のございました諸般の観点をしさいに検討いたしまして、今日提案をいたしました国民健康保険法案のような行き方で当面参りたいと考えておる次第であります。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 どうも問答無用式の答弁でございます。やはり理論には理論でいかなければいかぬと思うのです。お互いに腹を減らして、おそくまでこうしてやるというのは、日本の九千万の国民に皆保険をやろうという情熱でやっておるわけですから、その情熱をお互いが問答の中で傾倒できないならば、これはもう議論しても価値がないのです。従って、政府が、その五割の給付をやる、しかもそれを健康保険並みに引き上げることがいいと言うならば、いい理論的な根拠、すなわちそれによって全国民が順当に保険証を使えるのかどうかという、この点が大事なんです。保険証をもらっておっても、それが使えない保険証ならばものの役に立たないということです。いかにそれがりっぱな、世界最高の医療を受けさせてくれるといったって、その保険証が使えないならばそれは何の役にも立たないのです。だから食乏人が保険証を使える方法を講じてもらうところに、まず皆保険の第一歩がなくてはならぬと思うのですけれども、もう一回大臣の情熱を傾けたところの答弁を伺いたい。

橋本龍伍自由民主党厚生大臣

○橋本国務大臣 実は先日来ずっとその問題はいろいろな方から御質問がございまして御答弁を申し上げましたので、ただいま申したように申し上げたのであります。  保険の給付範囲の問題、給付率の問題、いろいろな問題がございます。もちろんわれわれといたしましては、国民健康保険制度を拡充いたしまして、これによって国民皆保険をやろうとしておるのでありますが、それには将来の理想といたしまして、職域保険の保険制度と国民健康保険との間の内容の公平になりますことが非常に大事な問題だと考えております。従いまして現在何ら社会保険制度の適用のない人たちに対しまして、国民健康保険の制度を拡充いたしますことと、それから同時に保険の給付範囲を拡大いたしますことと、また給付率の改善をはかって参りますことは、みんなやって参らなければならぬことだと考えております。社会保障制度審議会の答申もございますので、再々御答弁申し上げましたように、これはできるだけ早い機会に給付率を上げて参りたいと考えております。ただ今回国民健康保険法を提案するに当りまして、いろいろな点を勘案いたしました結果、まず第一に新法におきましては給付の範囲を健康保険と同一にいたしますことと、それからまた保険財政を健全化いたしますために、国庫負担を拡充いたしますことと、それによってとにかく今日まだまだ保険制度の恩典に浴していない人たちの間に、これを拡充するということをまず第一にやろうという考え方でいたしたのでございまして、今回提案をいたしました国民健康保険制度によりましても、かなりの改善をはかって参ったと考えておりますが、相次いで社会保障制度審議会の答申の筋を実現いたしますために、給付率の改善をできるだけ早くやって参りたいと考えております。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 政策には緩急があり、それに従う順序があると思うのです。実際に国が二割の負担を出し五分の調整交付金を出し、曲りなりにも事務費の全額を出していく、しかも保険費の三分の一の補助をやっていく、直診にも三分の一程度を出す。そういうものを国民の血税から出しておきながら、その地区に住む特に貧しい住民が後生大事に持っておる保険証が使えない、こういう悲劇は私は政治の大きな悲劇だと思うのです。そうしますとこれはやはり使える姿を作ってやらなければならぬということです。現実に厚生省の調査でも、国民健康保険の給付で保険証を持っておって使えない人がたくさんおる。その現実を見ずして給付内容を上げることに金を使うということは、私はそれはあとだと思う。これはあなたの方と私の方との意見の相違といえばそれまででございますが、私はこれは客観的にだれが聞いても私の主張が正しいと確信をいたしております。大臣の言っている政策というものはなるほど未組織の人を組織していく、それから給付の範囲を広げる、給付率を上げよう、全部ながめればそれは必要です。しかしそれらのものは一体どれから先にやらなければならぬかということになれば、この際乏しい財源の中から、その財源を重点的に使うところが出てこなければならぬと思うのです。私たちもこれは不満です。不満だけれども重点的にどこに入れるかという議論に、今しぼってやっておるわけです。それは一つ意見の相違にいたしておきましょう。  そこで普及率の改善ということはついに政府としては行わずに、今のままだ。そしてしかも給付の内容というものを先にやるのだ、こういう政策はちょうど日本の農業政策が三割農政だといわれると同じように、日本の社会保障政策は三割農政に追随をする三割社会保障だといわれても仕方がない姿をこれで打ち出したわけなのです。  そこで、次には医療費の合理化です。われわれが普及の課題を解決をし、赤字解消で少くとも一般会計から潤沢に国保の特別会計に繰り入れるという原則を打ち建てていくと、十月一日から実施をした医療費の合理化の問題というものがやはり一つの重荷になってくることは明らかです。これは過去の十一円五十銭なり十二円五十銭の現実の中においてさえも三十八億の一般会計からの繰入をやらなければならなかった。その現実において八・五%のワクの拡大で保険者の負担というものは平年度に直して一体どの程度増額をすることになるのかということです。もう三十四年度の予算編成期ですから、おわかりになっていると思います。その点についてお伺いします。

高田正巳厚生事務官(保険局長)

○高田政府委員 本年度の半分でございますが、本年度を平年度化いたしますと、たしか二十八億の影響であったかと記憶いたします。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 そうしますと、八・五%のワクの拡大で二十七億だが、保険者の負担は幾らになるのか。この二十七億というものは患者が十三億五千万円、保険者十三億五千万円となるのじゃなく、保険者だけが二十七億ですか。

高田正巳厚生事務官(保険局長)

○高田政府委員 こういうことでございます。八・五%の引き上げをいたしますと、四十数億国保の医療費がふくれ上る。そのうちで五割給付が大部分でございますから、保険者の負担になるのは、私の記憶によりますれば年間として二十八億であった。従いまして全体のふくれ上りが五十億ちょっとくらいになる。それでその二十八億のふくれ上りのうちで本年は半分でございますから、十四億程度が保険者の負担になる、こういうことを申し上げたわけであります。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 そうしますと、平年度においては患者の負担増は二十二億になるわけですね。二十八億が保険者の負担ですから、二十二億が患者負担となるのですか。それは当然医療費のワクが五十億ふくれれば、二割の十億を国が見る、保険者が二十八億見る、一部負担がそうすると十二億、こういうことですか。

高田正巳厚生事務官(保険局長)

○高田政府委員 大体そういうことでございます。かりに五十億といたしますれば、五十億のうちの二割五分は今度は国の方にかかってくるわけですね。そうしてあとの七割五分を保険税と一部負担でまかなう。そうしてかりに五割給付したとすれば、一部負担が五割で保険税が二割五分かぶる、こういう計算になる。大まかにいえば、そういうことになる。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 とにかく十億前後の金が大ざっぱにいって患者の負担になってくるわけです。そうしますとこの数字というものは、いわゆる給付率を健康保険並みに引き上上げない前の数字です。これを引き上げて参りますと、往診とかいろいろの抗生物質、それから歯科でもいろいろな特殊のものが加わってくるということになりますと、この数字はさらに増加をしてくるわけです。そうなりますと問題は前の赤字の解消とか、普及の課題にこれがはね返ってくることになる。なるほど二割と五分の調整交付金をもらうことになるが、八・五%のワクの拡大によりそれらのものは相当程度財政支出によって吸収されてしまうという形が出るのです。その上に御存じの通り、国民健康保険の疾病の姿が徐々に変ってきつつあるというわけです。どういう点で変ってきつつあるかというと、今後皆保険を実施すれば急激に日本においては老人人口が増加し始めておるということです。そうして今後国民健康保険に入っていく層はどういう層が入っていくかというと、政府管掌の健康保険なり、共済組合なり、健康保険組合から定年で退職をされた層というものが一拳にどっと国民健康保険に、これは今までも流れておるが、今後はますます老人人口の増加によって流れていくというにとです。そうして日本における疾病の姿というものは急激な変化を来たしつつあることは、ここ数年来の日本の死亡の順位がこれを示しております。今まで先天性弱質とか、あるいは下痢腸炎とか、結核とかいう乳幼児の疾患、青年の疾患が日本の死亡率のトップを占めておった。ところが最近は脳溢血あるいは心臓病あるいはガンというようないわゆる老人性の疾患というものがぐっとふえてきておるということです。このことは結局農村においては家父長、いわゆるおじいちゃんやお父さんたちが——今までは赤ん坊が病気の主体であったのが、今度は一家の家父長が疾病の対象になって登場しつつあるということです。こういう層は高度の医療費を、農村の現在の家庭というものがきわめて封建的な家族関係にあるとするならば、子供の病気よりかおじいちゃんやお父さんの病気というものを早く医者に見せるという傾向も出てくるわけです。そういう層はやはり一家の大黒柱でありますから、いい医療をやってもらわなければならぬという形が必然的に生まれてくることは明らかであります。そうするとそういう傾向は八・五%のワクの拡大に拍車されるわけです。こういうように日本の疾病の姿というものがだんだん老人性の疾患に重点が移りつつあることはここ数年来の顕著な傾向です。一体そういう状態になったときに、あなた方がいうように八・五%のワクの拡大と医療の非常な高度の近代化、そして医薬品の顕著な進歩、そしてそれの普遍的な大衆化、こういう問題と疾病の傾向をあわせ考えますと、二割の国庫の負担金と五分の調整交付金というものは、どうも私は八・五%のワクの拡大と日本の疾病傾向と相まって、大して皆保険に拍車をかけるだけの財政的な能力を発揮できないのじゃないかという心配をするわけなんですが、この点に対するあなた方の御見解はどうなんですか。

高田正巳厚生事務官(保険局長)

○高田政府委員 日本の疾病の状態といいますか、あるいは死亡率の死亡原因の数字的な動きが、下痢腸炎とか、あるいは結核とかいうようなものから、老人性の疾病に移っておるという大勢は御指摘の通りでございます。ただそれが国保の財政を圧迫するかどうかということばそのことだけでは私は言えないと思う。今まで結核にずいぶん金がかかった。それで国保なり保険の財政がこれで弱っておったんだ、こういうことは定説になっております。その結核がだんだん医療費が現実に減ってきております。パーセンテージが非常に落ちてきております。そのかわりに今度は老人性のものがふえていく、こういうことでございますから、その疾病の移り変りで若い者の病気よりは年寄りの病気の方が高くつくのだということもちょっと言えない。従ってそれだけでは私は国保財政に疾病の状態が非常に影響するというふうには即断はいたしかねます。むしろそれよりは老人性の病気もその他の病気もおしなべて医学、医術というものが進歩をいたしまして、同じ病気をなおすにも金のかかるような病気のなおし方にだんだん進歩していく、高度な技術を使えばどうしても金がかかりますから、そういう問題とさらに衛生思想が普及して、今までは薬を売薬か何かで済ませておったのがみな医者にかかる。いわゆる受診率の向上、こういうふうなものの方が、むしろ国保財政の将来がどうなるかという場合には、大きいということを申し上げるのも、あるいは即断かもしれませんけれども、そういうふうに他に非常に大きな要素もありまして、従ってあれこれ考え合せましたときに滝沌井先生のお話、わからないこともございませんが、そのことによって国保財政がえらく芳しくなるのだという結論を出すにはいささか、これは見解の違いということになるかもしれませんが、ただいまの考えでは少し早過ぎやせぬだろうかというふうに感じておるわけでございます。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 私は国民健康保険が結核によって、健康保険に比べて、致命的な打撃を受けておったとは考えないのです。全国の療養所を回ってみると、国民健康保険の保険証で入っておる者はほとんどありません。りょうりょうたるものです。しかしそこには健康保険の本人と生活保護の医療券によって入っておる者はたくさんおります。しかし国民健康保険の保険証によって入っておる者はほとんどないということです。従って結核において一番食うものは何かというと入院によって食うのです。普通の通院によって食う結核の医療費というものは、われわれが驚くほどのものは過去においてはなかったんです。過去の実績は何といっても入院だったんです。従って国民健康保険が、なるほど社会医療費の三割前後が結核によって食われておったということは認めますが、国民健康保険が文字通り三割食われておったかというと、これはなお検討の余地があると思います。入院がほとんどない。そういう意味からいって、結核の問題は重大であるけれども、むしろ国民健康保険が結核を治療するだけの力を持たなかったという点に、結核問題に対する国民健康保険の大きな欠陥を見出すことができるんですよ。そういう意味で、私はこの際医療費の合理化がこの十月一日から実施されるが、なるほどそれはある程度の財政的な措置はしておるけれども、一方においてそれは同時に住民の負担を過重をしておる。そしてその過中な負担をした者はますます中農以下の階層の保険者の使用を制御する形が現われるということを私は言いたいのです。従ってそうであるならば、またさいぜんの問題に返りますが、医療費を上げることよりか八・五%のワクの拡大というのはますます給付率の引き上げを要請する一つのてこにもなるのではないかという感じを私は持っております。そういう点で議論があると思います。そうしてしかも今後老人病というものがだんだん出てくると、農村においてはやはり何といっても権威というものは老人であるんですよ。それは田のあぜ一つ塗るにしてもだれが塗ったのが一番水が洩れないかというと、おじいちゃんが塗ったものです。過去営々五十年間の経験が農村では支配しておるのです。しかもその次にうまいのはお父さん、それから息子ですよ。だから農村において権威のある者は、アジア的な生産様式を持つモンスーン地帯において権威を持つ者は、老人なんです。そうしてそれは昔、日本の貴族院議員の平均年令が七十二歳であったという結果が政治機構にも現われておったのです。そういう姿は日本の農村ではなくなっていない。従って慢性的な老人病というものがだんだん多くなってくると、金がなくなればお年寄りも医者にかけられませんが、金がある限りにおいてまずおじいちゃんというものの権威が働くだろう、こういう意味なんです。  そういうことは余談になりますが、とにかくそういう意味において皆保険の歳出の面における課題というものは、普及の課題と赤字解消の課題と給付の率を改善をする、医療内容をやる前に率をやるということが先の課題です。そうして医療費の合理化、財政上の負担過重をどういう工合に解消をし吸収していくかというこの課題を、当面私たちが皆保険実施に当っては解消しなければならぬというのが私の主張なんです。  次には、同じように歳出の課題に対して歳入の課題がある。この歳入の課題には保険税があります。先に言っておきますが、一つは国庫補助に対する課題であります。一つは一般会計からの繰り入れの課題があります。今いろいろ論議しましたが、いま一つは、一体患者負担の問題をどうするかという課題がございます。そうして五番目には事務費の課題がある。そのほか保健婦や直診の課題がありますが、これは厳格な意味で言うと、今の事務費までの五つの問題がわれわれが当面解決しておかなければならぬ問題です。そこで歳入の課題についてのまず第一は保険税の問題でございます。現在医療給付費のどの程度のものを保険税でまかなっておりますか。

高田正巳厚生事務官(保険局長)

○高田政府委員 調べがあると思いますが、すぐに出て参りませんのでしばらく御猶予を願いたいと思います。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 私は新しい統計がなく、三十一年度ぐらいしかないのですが、それによりますと給付費の三五・三%、こういうことになっているようですが、三十二年度はどういうことになっているか、わかりますか。

高田正巳厚生事務官(保険局長)

○高田政府委員 三十二年度の支出総額は四百二億でございます。内療養給付費が三百六億でございます。これは支出の面でございます。それで保険料の方は調定総額が三十二年度で二百三億、これに収納率の九一%というものがかかります。従って二百三億の九一%が実際に収納された保険料並びに税ということになるわけでございます。そのパーセンテージをちょっと今出しておりませんが、数字はそういうことでございます。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 そうすると約百八十億ちょっとが税になるわけですね。

高田正巳厚生事務官(保険局長)

○高田政府委員 さようでございます。百八十億がらみの金でございます。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 そうしますと三百六億の給付費で百八千億ということになると、給付費に対して約六割が保険税ということになるのですか。

高田正巳厚生事務官(保険局長)

○高田政府委員 療養給付費が三百六億でございますので、支出総額ということになりますと、四百二億ということになります。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 医療給付費を基礎にして保険税というものはきめられるんじゃないですか。今までの地方税法からいうと、医療給付費の七〇%、こうなっておったはずでございますが、大ざっぱにいってそうなるんじゃないですか。

高田正巳厚生事務官(保険局長)

○高田政府委員 保険料の額というものは判別会計で支出をいたしまする総支出とにらみ合せて実質的にはきめるということになるわけでございます。しかしその支出の方で療養の給付及び療養費の支給に要する費用の総額の見込額から療養の給付についての一部負担金の総額の見込額を控除した額の幾らに相当するというものを大体の標準にして定める、こういうことになっておりますので、結局療養給付費ということになりますと狭くなりますが、医療給付費というものを標準にとって、そうしてそれをにらんで定めるということは、滝井先生御指摘のような趣旨になるわりでございます。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 どうもちょっとパーセントがわからぬのですが、これは何の本で読んだのかちょっとわかりませんが、医療給付費の三十五・三%になっておるんですが、そこらあたりはいいでしょう、議論をこまかく進めていけばわかってくるんですから。  そこで自治庁にお尋ねをいたしたいんですが、自治庁が国保に対する見解を三十二年の五月に発表したことがあるんです。それによりますと、どういうことを発表されておるかと申しますと、国民健康保険の赤字の原因について、厚生省の保険料または保険税の立て方を基礎にして、国庫補助、一部負担金の控除など考えれば断然黒字になるはずである、それが赤字になるのは制度の運営に共通の欠点があるからである、こういうことを一つ書いてあるわけであります。それからいま一つは、保険税の基礎算定方法が市町村によってまちまちだが、一般には初めから見積りが少な過ぎる、赤字の解消には税率の引き上げが手軽であるが、これをどう解決するかが問題である、こういう自治庁の見解があるわけです。そこで問題は、制度の運営というものが共通の欠陥を各保険者が非常に持っているということと、保険税の算定の基礎というものが、これが実際まちまちです。実態を調査してみると、全部十人十色というようにみんなまちまちです。そして非常に少く見積っております。これを正当に見積って参りますと、住民税とほとんど同額あるいは住民税以上になるんです。従って住民税以上になると、税金でさえもがこのくらいじゃないか、国保の保険料なり保険税がそれ以上取られてたまるか、こういう市民感情なり、住民感情が生まれてくるのです。だから、従って市町村当局はこれを低く見積らざるを得ないという状態もあるわけなんです。これは私新聞で読んだのか何で読んだのか覚えないですが、そういう見解を自治庁は三十二年五月に確かに発表しております。この自治庁の見解は私は当っておると思います。厚生省に今から質問をするわけですが、この見解は、自治庁、間違いないでしょうね。

奧野誠亮総理府事務官(自治庁財政局長)

○奧野政府委員 今お話しになったような見解を持っているわけでありまして、厚生省側におきましても、そういう問題の解決のために新たな立法をされておるわけであります。その際に厚生省当局とも十分な打ち合せをして参ったわけであります。なおまた、国民健康保険税をきめます場合に、一応療養の給付費の見込額を基礎にしているわけでございますけれども、受診率がどんどん上っていく、しかし税のことでありますので、そういうことを予定してある程度税の徴収額をきめなければならないといたしましても、そのことは非常に困難のようであります。ことに今御指摘になりましたように、弱小の地域におきましては、住民税と比べた場合に、国民健康保険税が非常に高くなるだけに一そうそのことがむずかしい、かような事情もあるわけであります。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 そうしますと、私たちが国民健康保険を全国民に普及しようとするならば、まず何といっても確立をしておかなければならぬのは保険料であり、保険税であるわけです。これがそれぞれ住民の応能の原則なり、応益の原則によって、明白に住民が納得する姿で確立されておらないとこれがうまくいかない。そうすると、第一前提として市町村の見積りというものが非常に少な過ぎる、これが実態です。一体この実態を、皆保険を実施する主体官庁である厚生当局は、この皆保険発足のときに当っていかにしてこれを打開をして、正当な保険料を微収する方策を講じようとするのか、伺いたい。

高田正巳厚生事務官(保険局長)

○高田政府委員 これは個々の保険者がそれぞれ自分のところの療養給付の見積額を出して予算を立てるわけでございますから、私どもの方といたしましては、この見積額が適正であるように十分指導していかなければならぬということになるわけであります。その意味におきましては、最近はそのために保険料が非常に安くて済むという計算になるものでありますから、そうすると結局赤になる、こういうことになりますと、これは大へん工合が悪いので、私どもといたしましてはこれを適正な見積りをいたすように強力に指導をいたしておりまして、その点は相当改善されておるものと任じます。そのはね返りがこの保険料一世帯当りの調定額に出てきているわけであります。たとえば過去数年間の保険料の一戸当りのあれを見てみましても、ぐんぐん保険料は伸びてきております。多くなっております。これは市町村住民としては非常に骨の折れることでありますけれども、しかしこのことは、今のように過当に小さく見積っておいて、そうして保険料を安くきめておきますと、あとで困るということになるわけでございますので、さような指導を強力にいたしておりまし、逐次相当改善されてきておる。最近の新たに開始いたします都市等におきます一戸当りの保険料の平均は、相当高い財政計画の上に立って、相当高い保険料を徴収するにとに計画をいたしておるのが大部分でございます。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 従って相当高い保険料であるので、下層の者は保険料をとられて一部負担を出す金がなくなる、こういう悪条件が出てくるのです。しかし保険料というものを確立しなければ皆保険政策というものは達成できぬことは第一前提ですから、それを一つ公平に応能なり応益の原則に従ってきちっととっていかなければならぬことになるわけです。  そこで大蔵省に尋ねなければならぬのですが、今お聞きのように大都市においては一戸当りの平均の保険料というものは非常に高くなって参ります。全国平均の保険料を見ましても、今年度は三千三百八十円、一人当りが六百七十六円、三十五年度になりますと一人当り七百六十九円、一世帯当り三千八百四十五円です。従ってこれは今全国平均でございますから、大都市になれば四千五百円くらいになるのじゃないかと思うのです。おそらく四千円をこえるだろうと思うのです。鳩山さんも御存じだと思いますが、東京都のようなところは年所得七万円以下の世帯の者が二割七分もおるという現実です。そうするとそういうところに皆保険を実施しいくためには、保険料をあるいは保険税を確実にとっていかなければどうにもなりません。と申しますのが、世帯二十万円以下の階層というものが全国民健康保険の対象者の七割七分もおる、こういう状態ですから……。そうなりますと、いわゆる保険料の五割をとる応能の原則——現行法でいえば五割をとることになるのですが、今後はどういうことになるか。おそらくこれは政令できめることになるのだろうと思いますが、五割とる応能の原則というものは、これは所得税なり固定資産税を納めておる人から、現行法によれば資産税、所得割で五割はとるわけです。ところが残りの応益の原則で、その制度の恩典を受けるすべての人々から均等割と世帯割で五割をとってくることになるわけです。そうすると保険税の応益の原則である五割、百円の医療費がかかれば、税を百円とるとするならば五十円は応能からとるが、五十円を応益の原則でとらなければならぬ。そうするとこれの中に保険料の未収が出てくるのです。均等割、世帯割の中に未収が出てくるのです。そうすると国の政策として国民皆保険をやるからには、その応能の原則については国は責任を持つ必要はない、あるいは自治体は責任を持たなくても、応益の原則についてはだれかが責任を持たなければなりません。そこでここから私はまず第一に、その保険の運営の主体である市町村自体が、一般会計から何分の金を出すという理論が出てくるだろうと思います。それから同時に県も保険医を指定をしあるいは保険医療機関の指定をやろうとするならば、何分の金を出してもらわなければならぬと思うのです。しかし究極には国の政策として、地方自治体にこういうものを三十六年までには完成をしろという六号命令を下してやるからには、国もこの応益の原則についての未収については責任を持ってもらわなければならぬと思うのです。これについて大蔵省は一体どう考えるかということです。これは私はそう莫大な額にはならぬだろうと思いますが、二割の国庫負担と調整交付金の中の五分というものは貧しい階層の多いところに行くのだということにはなっておりますが、そうだとすると、これは大都市のようなところにだっととられちゃって、そうして中小のいなかの都市はその恩典に浴することが必ずしも多くないということになる。なぜならば五分のワクというものが、現段階ではとても皆保険を順当に進展するだけの莫大な額ではないのです。平年度わずかに二十七、八億なんです。従ってそういう点から考えて、ここで五分の調整交付金のほかに、どうしても保険税というものをとる場合に均当割、いわゆる応益の原則だけで保険税を出す人が相当おるわけです。所得税を納めていない者が、名古屋のような大都市でさえも、四割六分ですか、国保の対象者におる、こういう現状です。これについて一体大蔵当局はどう考えるかということです。

鳩山威一郎大蔵事務官(主計官)

○鳩山説明員 ただいまの問題につきまして、私ども国民健康保険の財政調整交付金を設けました趣旨は、ただいま滝井先生のおっしゃいました通り、大都市において実施する場合に、従来は主として非常な貧弱市町村が国保の経営が苦しいというような観点であったのであります。それから名古屋の例あるいはその他の例によりますと、低所得層が非常に比率が高いという事情でございまして、そういうような点からやはり二割は確定的に補助をする、あるいは国が負担するというにとにいたしまして、五%を財政調整金というふうにして、従来より国庫負担を五%ふやしたわけでございます。国がどれだけ負担しなければならないかということは、やはり程度の問題と思いますので、今後検討して参りたいと思うのでありますが、ただいまお述べになりました事実は、まさに私どももそういう点よくわかっておるつもりでございます。特に大都市の普及がおくれておる現状でございますので、この点は今度の改正案によりまして、大都市としてもこれならやっていけるというふうなめどが立つようにということで、二割は最低限度負担するということに考えた次第でございます。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 五分の調整交付金で応益の原則分から出てくる保険税をカバーするということでおそらくやったろうと思いますが、私はとてもそれでは足らないと思う。どうしてかというと、過去の国保の実績を見ると、なるほど三十二年度においては保険料の収納率は九一・二五%になっております。これはおそらく私は現年度分だと思うのです。過年度分は七割そこそこしかとれていないのです。だんだん古くなるにつれてとれません。なるほどこれは自治体当局が差し押えをやろうと思って行っても、なべとかましかないという現実が非常に多いのです。そこで国保の保険料を徴収するために、一般の税と同じように差し押えをやるということは、もうほとんど不可能に近い。全国的な状態を見ると、過去の実績は金額にして一割、世帯にして二割は未収なんです。そうしますと、私はやはりこの際国がこの政策をやろうとするならば三者に泣いてもらいたい。自治体自体、県、そして国というものが、これらのものについては応分に出す。そうなりますと県は一般会計からこの国保に、補助金を出す、自治体も、市町村も一般会計から出すという原則は、こういう理論からも私は立て得るのじゃないかと思うのです。一つこれはぜひ研究をしておいてもらいたいと思います。とにかく保険税の問題は非常に今後重大な問題だと思うのです。まだいろいろたくさん尋ねたいことがあるのですが、時間がありませんので先に進みます。  次には国庫補助の問題です。今度一応二割負担していただくことになりました。これは自治庁にお尋ねしたいのですが、現在大ざっばにいって二百万の人々が二重加入だといわれております。それからそのほかに国民健康保険と生活保護の単給と併用する者もあります。こういうようにいわば広義の二重加入というような姿の者が相当あるのです。これについて一体国庫の補助金というものが出ておるのか出ていないのか、これを自治庁当局に御説明願いたい。

奧野誠亮総理府事務官(自治庁財政局長)

○奧野政府委員 二重加入につきまして、応益負担に属する分の診療報酬は二割の国庫負担の対象から除かれておるわけであります。自治庁としては、これはぜひ入れていただきたい、そういうことによって国保の中に入るものは入ってもらいたい、こういう考え方を持っておるわけでありますけれども、大蔵省は大蔵省としての考えをお持ちになると思いますから、必ずしも考え方は一致していないわけでございます。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 その二重加入のために国庫補助が削減をされる額は大よそどの程度でありますか。

奧野誠亮総理府事務官(自治庁財政局長)

○奧野政府委員 対象になります額が四十億円程度で、従いまして二割相当額でありますと八億円程度だと承知しております。たしか三十一年度の決算に基いて調査した数字ではなかったろうかというように記憶いたしております。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 これはきわめて重大なところでございます。なるほど生活保護というものは八割を国が持ち、二割をそれぞれ県なり市が持っております。それから健康保険との二重加入のものは半分健康保険が持ち、半分は家族である限りにおいては国民健康保険が持っております。従って私は、現在なけなしの金、いわば自治体の一般会計からいえばやみの金を三十八億も出しておるのが現実でございますから、政府が皆保険政策をやろうとするならば、当然四十億の二重加入に見合う療養費の中の二割、八億というものはやはり出してやる必要があると思うのです。こういうところに国があまりけちけちするということになると、私はやはり皆保険政策というものはできないと思うのです。だからこの点を一体大蔵省当局はどうお考えになっているのかということです。赤字の中から再建団体もこっそりと目を盗んで金を出す、それから一般会計から総額三十八億も出しておるというときに、その中の大事な金である八億を、もし大蔵省が認めてくれれば、三十二年度の三十八億は八億減って三十億になる、それだけでもどのくらい地方自治体の財政に均霑するかわからないのです。この点村上さんの方はどういう理由でそれを削減されるのか。どうも私たちは二割というものだから、医療給付の二割はそのまま文字通りいただけておるのだと思ったところが、あにはからんやそういうところに八億も歳入欠陥が出ておるということです。厚生省も厚生省、今までそういうことはこの委員会で一言も言わないのです。たまたま私が見ておる間に犬も歩けば棒に当るで棒に当ったら、当った棒が八億だということは、どうもこれはちょっと大きいと思うのですがね。これは村上さんの方で考えてもらわなければならぬと思うのです。

村上一大蔵事務官(主計局次長)

○村上政府委員 二重加入による負担分が八億になりますか、これは私も数字は正確に記憶しておりませんが、二重加入の問題は御承知のように国民皆保険と密接な関連があるわけでありまして、国民皆保険という一つの大きな目標を作りまして、それに達しますには、これは申し上げるまでもございませんが、いろんな医療保険の制度を総合的に活用して、終局的に全部の国民を対象にしよう、かように考えて前進いたしておるわけでございます。そこでいろんな制度が、経過的な理由もございまして、各個に並行して行われておりますが、二つ以上の制度に同時に加入しておられるという方は、いわば両方の制度の恩典を受けられておるわけでございまして、それぞれの制度には定率負担もございますし、またある程度金額で予算的な幾らという補助もございますけれども、いずれにいたしましても相当額の公けの費用による負担があるわけでございます。従って国民皆保険というようなことを考えますならば、どうしても二重加入の排除ということを一つ並行して考えざるを得ないのでございまして、またこれはいろいろな理由で二重加入が発生したわけでございますが、方向としては、一方において国民皆保険ということで、未加入者をどんどん吸収するということをいたしますと同時に、たまたま二重加入の問題が発生しているというものには、できるだけこれを排除して参りたいという方向で考えておるわけでございまして、厚生省もそういった方向で努力しておられると思います。そういう現状でございますから、これをそのままの現状で両方の制度に対していわば負担をするということは、言葉は悪いかもしれませんが、一種の重複的な公費負担でございますので、そういった考え方も、こういったものについて負担が重複しないようにという配慮をいたしたい、かように考えておるわけでございます。  なおついでで恐縮でございますが、先ほど地方団体の一般会計から国保会計への繰り入れの問題を、赤字と関連して御議論でございます。これは私ども実は内容の実態がなかなかはっきりしないので苦心しておる点でございますが、まずこの問題の一番の問題は実態をはっきりするということだと思います。と申しますのは、三十八億あるいは三十五億とおっしゃいます繰入れ額の中には、実質的には何らおかしくない繰り入れがあるわけでございまして、先ほど来自治庁、厚生省、両御当局から具体的の例をあげられて御説明がありましたけれども、たとえて申しますと、国保勘定で診療所を作るという建設費のようなものが入っておる場合もございます。またそれの運営費が含まれておる場合もございます。そのようなものは国保だけに負担させるのは実は筋がおかしいのでございまして、負担割合についての御議論はございましょうが、やはり一般会計として相当負担していただいていいものじやなかろうか。たまたまこの経理が一般会計と特別会計というふうに区分されておりますので、一方から一方に繰り入れが起る。かりにもしそれを逆にやりますと、今度は国保会計からまた負担金というような繰り入れが必要になります。そういうものは会計間の区分に基くいわば技術的な繰り入れでございますので、これは現行制度の建前を考えましても決して私はおかしくないと思います。それからその次に、現行制度のもとで考えますならば、いわば赤字的なもの、赤字に相当するものがもちろん若干あると思います。これは先ほど自治庁のお考えもございましたように、現行制度としてはそういう建前で予算が組まれ、また決算的に繰り入れられることはおかしいというような御議論がございましたが、この点につきましては私は現行制度はそういったものを自治体から繰り入れるということの建前をとっておりませんので、自治庁の御議論の通りだと思いますが、ただ滝井先生も御指摘になっておりますように、立法論として、将来の問題としては、やはり地元の市町村なり当該府県がある程度のものを負担なさるということは当然考えていいのじゃなかろうか、特に先ほど来御議論ございますが、二割の負担、それにプラス五%のいわば調整的な負担というもので経理がかりにまかなえないというような状態が起りますならば、当然その問題も一つの項目として研究対象にすべきではなかろうか、かように考えておりまりす。これは立法論でございまして、現在の制度としてはそういった赤字があることは好ましくないということは私どももさように考えております。  それからもう一つ、これは非常にウエートの軽い問題でございますが、一般会計から特別会計に繰り入れを私ども一昨年でございますか、ある程度実例を拾いましてサンプル調査をいたしたことがございます。そういたしますと実は当然一般会計に属するような事務を処理しておられる方々が、たまたま特別会計所属として経費が払われておるというような事例がございます。こういうのはむしろその分として繰り入れがなされてないならば、むしろ実質的には繰り入れをすべきだというようなケースもございます。これは私は金額は大した額には上らないと思います。  以上申し上げましたように二つ、三つの要素が混然として三十八億というような繰り入れが現実に起っておるわけでございますので、私はまずその繰り入れの実質をよく分析し洗いまして、これは繰り入れすべきである。これはすべからず、これは技術的な繰り入れである、これは実質的なものであるという区分をしました上で、現状を論じ将来を論ずるということが非常に肝要かと思っております。     〔委員長退席、田中(正)委員長代理着席〕

滝井義高日本社会党

○滝井委員 まさに私の言いたいことを村上さんが言ってくれたわけですが、この際大蔵、自治庁、厚生当局においてやはり地方自治体に対して一般会計から原則的に特別会計に繰り入れてよろしい項目というものは、たとえば保健婦設置費あるいは直営診療所の建設費あるいはその運営費、こういうふうな全住民に普遍的に及ぶところの側の面なり、人的な経費というものは、これは入れてもよろしいということです。そのほかのものはここへいれて悪いならば悪いのだという明白な、やはり三者統一した見解というものを、この際三十四年度の予算編成がもう目前に迫っておりますから、私は出してもらうことが必要だと思うのです。それを出してもらわずしてこういう議論をやると、どうしても議論の行き違いになってしまう。だからこれは今村上さんが結局国民健康保険の赤字に関連して、その実態がなかなか把握困難だ。私は国民健康保険の会計というものは伏魔殿だと思う。実際わからない。われわれがこれを調べれば調べるほど全部基礎数字が違っておってわからないのです。だからこれはこの際厚生大臣が一つ音頭をとられてぜひやっていただきたいと思うのですが、どうですか。

橋本龍伍自由民主党厚生大臣

○橋本国務大臣 この問題はいつまでこのような状態でやっておってはいけないと思いますので、ただいま御指摘の通り十分内容を検討いたしまして、将来国保の財政が確固たる基礎の上に運営のできるようにいたしたいと思います。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 ぜひ今言った具体的な問題について、一つ共通の広場を持つように意識統一をしていただきたいと存じます。  そこで、これはまた村上さんになるのですが、生活保護を単給で受けている人が同局に国民健康保険にももし加入をしておれば、国民健康保険の事務費なりあるいは国民健康保険におけるいろいろな保険料の徴収の事務、あるいは給付のいろいろな問題というものは全部市町村当局は考えておるわけです。ところがたまたまその人が突如貧しくなって——これは大体始めから貧しくて国民健康保険に加入していないとすれば、生活保護法の対象者なら始めから法律で加入せしめないのです。ところがたまたま何かのきっかけで単給医療扶助だけを受けることになったということは、これは私は何も故意にそうしたのじゃないと思う。補助金を取るためにしたのじゃない、善意のものなんです。従ってそういう場合に国が生活保護になったからといって国庫補助を削ってしまうということはやはり問題があると思う。私はこういう考え方です。皆保険政策によって国保が全国の市町村に普及をするならば——生活保護の医療扶助は現在約二百億をこえております。この金の中から一割ないし一割五分というものは、一挙に三十六年になったら減少すると私は見ております。すでに過去においてそういういろいろの皆保険実施における生活保護費の節約について研究をした人もおります。こういう人の研究、特に東京都あたりにおいては、皆保険をやれば少くとも東京都で、二割を県なり都は負担をするわけですから、その二割が皆保険を実施することによってどの程度削減されるかというと、東京都において一億五千万円、これを今度は国の負担分からいうと七億七千万円負担が軽減されるのです。全国的に見ると約三十億程度が軽減をされるのです。そうしますと、今言った二重加入の問題は、なるほど私たちも今後は二重加入というものは廃止すべきだと思っております。しかし生活保護との問題というものは百パーセントの給付をやらない限りは、しばらく給付率が五割、六割、七割にしても、やはり問題としては残るものなのです。従って生活保護との関連については、やはり国というものは私はなんぼかの国庫補助を見るべきだと思うのです。皆保険を実施した場合には、少くとも三十億程度の財政軽減というものが、生活保護費の医療扶助の中から軽減できるとするならば、その程度のものは私は国というものは見るべきだと思うのです。それが方々見てもわずかに八億だというにとになれば、八億を倹約することによって市町村にいやな気持を起させる必要はないと思う。そのかわりに同時に生活保護費が県なり市なりの段階において、たとえば東京都でいえば一億五十万円も節約になるのですから、ここに生活保護費が倹約になるというそのことからも、東京都というものが都民の国民健康保険を実施する場合には、都の予算面にそれに見合うものを組めという、理論的に一般会計から特別会計に繰り入れる理論も出てくるわけなのです。あるいは市自体も出てくるわけです。町村は県が生活保護費を負担をしておるのでちょっと出てきかねますが、市は出てくるのです。こういう点について、やはりこの際皆保険を実施しようとするならば、大蔵当局は八億円くらいの金でいろいろ自治体に文句を言われる筋合はない、この際やはり思い切って——これは八億といえば莫大な金ですけれども、まあ生活保護費だけならば八億にならないと思うのです。少くとも生活保護関係だけが、たまたまそういうことになったのですから、出すべきじゃないか。それから健康保険との二重加入については、あなたの方は健康保険については出していないのです。たまたま六十億の借入金をさしたのだが、去年は三十億くれといったのを今年取り上げちゃった、十億の借入金だけになっている。二十億も引き揚げたのですから、健康保険のものについては、国庫が十億は出してくれておるけれども、それは過去の赤字の解消のためになしくずしにやることで出しておるのです。だからこういう点からいっても、どうも村上さんの理論というものは私は受け取れぬと思う。あなたここで即断はできぬかもしれぬけれども、これは自治庁は非常に困っておる。市町村に行って、けしからぬじゃないか、こういう赤字を出して何事だと言うと、やはり市町村が出してくるのは、いやどうも生活保護のものが突如として出て参ったものですからと、こう言われると、自治庁は、なるほどこれは困ったことだと、自治庁は困っておるのですよ。私は前の柴田さんにいろいろ突っ込んでおるうちにこれを見つけたのです。非常に困っておりました。泣き泣き北海道に行ったという状態ですよ。これは一つ大蔵当局としては考えなければならぬ問題です。今日は即答はできないと思うのですがどうですか。しかし検討の価値はあると思います。

村上一大蔵事務官(主計局次長)

○村上政府委員 おっしゃるようにだんだん皆保険が進んで参りますと、生活保護との関係では計算上財源が浮くということは考えられると思います。ただ実際にはその場合やはり受診率が上ってくるという問題がございますので、金が浮くかどうかこれはわかりません。そんのかわりそれは医療の給付が厚くなるということでございますので、そういう意味でおっしゃるならば、その関係では財源といいますか、あるいは社会保障が厚くなるという点はあり得ると思います。ただ、今御指摘になりました、従って例の重複の八億は出したらどうだ、こうおっしゃるわけでございますが、これはいささか問題が違うのじゃなかろうか、一方に財源があることでもあろうからというお気持はよくわかるのでございます、十分検討はいたしますが、その点は多少別個の問題じゃなかろうか、かような気持がいたします。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 国民健康保険と健康保険との二重加入の問題については、われわれもこれは三十六年以降は解消すべきだと思います。しかし生活保護との問題というものは解消できずに残るわけなんです。これは給付が健康保険で十割にならない限りは残っていく問題です。そうすると、これは市町村としては依然として続いてくる問題です。だからここらあたりで何らかの形で解消してみる必要があると思う。まあこれはいずれあなたの方の真摯な態度による検討を期待をいたしておきます。これは自治庁にしても、市町村当局にしても、非常に困っておる問題であるということはおわかりになったと思います。  それから、その次の歳入の課題は一般会計よりの繰り入れの問題でございます。さいぜんも触れましたが、地方財政の赤字の四割というものは国保がその役割を演じておった。しかもその一般会計から繰り入れられたものは地方財政計画にも載らないものである、こういう点でございます。この問題については、さいぜん厚生大臣から御言明をいただきました、一般会計から国保の特別会計にどういう原則で繰り入れるかという問題が確立すれば、これはある程度解決してくる問題だと思います。その際、ただいま申し上げました生活保護の関連、それから今回の医療機関の指定の問題については、知事が前面に出てきたということです。従って当然これは知事の側にも一役負わせる必要が私は出てくると思う。市町村当局は当然運営の主体ですから、応分の責任は負ってもらわなければならぬ。そこで一般会計から国保の特別会計への繰り入れの問題は、県段階と市町村段階において、応分の義務的な繰り入れの規定というものを今後設けて、すべての国民がこの皆保険政策に注目をする政策をやはり出す必要があると思うのです。この点について自治庁と厚生省はどう考えておるか。

奧野誠亮総理府事務官(自治庁財政局長)

○奧野政府委員 現在は、御承知のように、市町村を主体にして国が一定の金額を負担しておるわけであります。これをさらに府県なり市町村なりにも一般会計から援助さしていくということになりますと、それに相応する財源を府県なり市町村なりにやはり与えていかなければならないわけであります。そういうことでいくのがいいのか、国がその負担をしなければならない場合に、国に必要な財源措置を考えてやっていくのがいいのか、こういう筋合いのものではないかと思うのでありまして、どちらにいたすにいたしましても、同じ日本国民が負担しているわけでありますから、今の二〇%なり二五%なりを引き揚げるということでありますれば、府県も一部を負担し、市町村も一般会計で一部を負担する、そういう複雑なやり方をする必要はないのじゃないか。もしその負担の仕方を変えていく。今の国民健康保険税の徴収の仕方が、総額が今の法律の定める通りであり、また負担の求め方が半分が平等割的なものであり、半分が所得割的なものである、そういうようなやり方をやめていって、また応能的な色彩を強くするのだ、こういうような考え方があるかどうかとか、いろいろな問題が関連するのだと思うのでありまして、もし御指摘になっておりますことが、今の国庫負担率二五%ただ上げるのだということでありますれば、私は、府県なり市町村なりに片棒をかつがせるということは少し複雜過ぎるのじゃないか、こういうふうに思っております。

高田正巳厚生事務官(保険局長)

○高田政府委員 一般会計と国保の会計との大体の関連の問題につきましては、先ほど私がお答えをしたような考え方を一応とっておるわけであります。それから府県の問題につきまして、府県が応分のものを国保に援助するような法律制度を置けたらどうかということでございますが、これはいろいろ御議論のあるとにろであるかと思います。今日国保について府県が何らかの形で援助をいたしておるとにろもございます。しかしこれは任意的にやっておるものでございまして、それを制度的に何らかの府県の役割というものをはっきりさせるかどうかということにつきましては、これは議論のあるところでございまして、改正案はさような立場をとっておりませんけれども、これは将来の問題として一つ研究して参りたい、かように考えております。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 私は奧野さんの意見は非常に大事な点だと思うのです。もし制度を非常に簡素なものにしていこうとするならば、やはりわれわれ国民から出ていくお金は、財布の口は一つでございますから、これは国一本にした方が非常に理想的だと思うのです。これの方がまた制度としても、事務費の問題その他いろいろの問題から考えても私はこれは非常にいいことだと思うのです。     〔田中(正)委員長代理退席、委員長着席〕 とにろが現実の日本においてはどうも国がちびりちびりとしか補助金なり負担金を出さないために、現実の事態は相当の県が補助金を出しております。それから市町村の一般会計からの特別会計への繰り入れというものも、ほとんど恒常的なものになっております。相当の市町村では恒常的なものになっております。だとすると、遠き将来は国一本にするとしても、ただいまの政策としてはこれはやはりそれぞれのものが負担をして、そうしてこの制度というものをすべての自治体と国が責任を持ってささえて、そうしてこの制度をりっぱなものにしていくのだということは、当面、ここ五年やそこらの政策としては、私はそれの方がいいのじゃないかという、こういう感じがするのです。そういう点をもう少しく一つ御検討をいただきたいと思うのです。  次に患者負担の問題です。今度の保険法では患者負担の最終的な徴収責任者は健康保険医療機関、国民健康保険でも指定医療機関になっております。一体、現在徴収率、逆に言えば未納というものはどの程度あるのか、昨日新潟県の高田市長の御意見によれば、町村合併等で相当の未納額があった。九千万円程度あった。いわゆる患者が医師に支払わなければならぬ一部負担が九千万円程度あった。ところが最近はだんだん努力して現在四千万円になった。私がものの本を見たところでは、新潟県だけて一億数千万円ありました。一体厚生省は全国の未収というものを、保険者の未収じゃなくて、療養担当者に対する支払いの一部負担の未収をどの程度に見積っておりますか。

高田正巳厚生事務官(保険局長)

○高田政府委員 全国的に今窓口徴収の一部負但金の未収額が幾らあるかという調査は、私どもの手元にございません。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 こういう画期的な制度の切りかえ、いわば最終責任が保険者にあるという現在の制度から、保険者の最終責任を解除して、特殊な、保険者が認める人以外は全部指定医療機関に支払わなければならぬという、制度の百八十度の転換をやるについては、一体現実の未収の姿がどういう状態であるかということを調査なくして、そういう画期的な転換はできないと思います。やはり管庁というものは、それをやるからには全国的な調査を完了をして、その完了の確信の上に立ってやらなければならぬと思うのですよ。それがちょっとどうも大事なこういう政策を立てる上において、少し片手落ちじゃなかろうかと思うのです。類推その他もやっていないのですか。

高田正巳厚生事務官(保険局長)

○高田政府委員 現在の制度は、御存じのように保険者徴収も、窓口徴収も、どちらでもできるようになっておるわけでございます。それでだんだんと窓口徴収の方が多くなりまして、正確なパーセンテージを記憶いたしておりませんが、七、八〇%の保険者は窓口徴収にすでになっておると記憶いたしております。さようなわけで、今回法律案を考えまする際に、皆保険ということに国民全部がなっていくのでありますから、これは一つ医療機関にも御協力を願わなければなりませんので、先ほどの改正とあわせて一部負担の徴収はまず全部窓口徴収に割り切ったわけでございます。ところが窓口徴収に割り切りました場合に、医療機関としましては喜ばれる面、日銭が入るという意味で工合のいい面もあり、またとれないものが出てくるというわけで、工合の悪い面もあるわけでございます。それでとれないものに対して一体どうするかということは重要な問題でございます。健保の場合におきましては一部負担が非常にわずかでございますので、その手当をいたしておりませんけれども、国保の場合には一部負担金が大部分は五割というふうな非常に多額でございますので、これは健保と同じようなことにしておくわけにはいかない。従って何らかの形においてとれなかった場合の措置を講じなければならない。その意味におきまして現行法ではあまり明確でなく、またそれをやりますにはたしか一つ一つ市町村会の議決を経てやるということになっております。減免、猶予等の措置等を明らかに法律できめまして、さようなめんどうな手続をする必要をなくいたしまして、四十二条というものを設けて、実際に資力がなくて払えないというものにつきましては、一部負担金を減額しあるいは免除をする、今は払えないけれども将来は払う可能性のあるというものにつきましては、徴収の猶予をいたしまして、そうしてその分については保険者の方から医療機関の方に支払う、こういう制度を新法では作っておるわけでございます。さてその際に医療機関側としましてはこれでは不十分なんで、とにかく自分のところでとらなかったものについては、それ以外は全部市町村が払ってくれ、こういう要求があることは当然だと思います。しかしさような格好にいたしますと、結局とらなかったものは全部保険者がかぶるということになりますと、極端な場合におきましては、十割給付と同じような結果になり得る場合もあるわけであります。これでも困る。それで四十二条のような規定を置きまして、保険者が認めてこれらの措置をしたものについては責任を負う、こういう建前にしたわけであります。ただしこの規定の運用につきましては国保の一部負担が非常に多いという実態に即しまして、十分にこの規定を活用し得るように運用をいたさなければならぬと思うのです。言葉をかえて申しますれば、お医者さんの方で一生懸命に取り立ての努力をされまして、しかもなお未収になってしまうというふうなものにつきましては、この四十二条を十分に発動をして措置するというような運用にいたさなければならぬ、かように私どもは考えておるわけでございます。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 資力のない者は払わないように保険者が特別の計らいをすることに四十二条ではなっておることは、今御説明の通りでございますが、今までの規定では最終責任は保険者になっております。しかし寡聞にして、現在の国民健康保険の療養担当者が保険者に向って払ってくれといって、最終責任は保険者にあるにかかわらず、保険者がそれを取り立てなかったということで市役所なり町村役場を差し押えした事実はなかった。われわれのところで一度役場を差し押えするということが起ったのです。終戦直後のあの混乱のとき、五十万円の金を払っていないというので差し押えをするということが起りましたが、実際は行われなかった。そういうように最終責任は現行法においても保険者になっておるけれども、あれは訓示規定みたいなものなんです。まあそういうことにしておけば、いつかはわれわれもいいことがあるだろうという、安心立命の境地でああいうものがあるだけであって、実際に保険者が、市町村役場が最終責任を持ったからといって、それが支払わなかったからといって取り立てた例はないのです。そういう弾力を持っておるために、そこに市町村当局と療養担当者の間にいろいろの話が行われ、あるいはそれは昨日この委員会だったか、協力費というものを圧力団体である医師団体からとられるのだ、だからわれわれはそれはかなわぬので、一つ県にしてもらっておけば安心だ、こうおっしゃるけれども、これは払っていなければ必ず何かほかのものでいくことは当然なんです。ですからそういう点について、昨日も申しましたように、固定資産税の減免の問題、あるいは未払いがあるために予防注射の額の三百円を一つ五百円に引き上げましょうかという、協力費の問題が出てくるのですよ。だからあなた方なり市町村長が心配するようなことは、実は県知事に指定権を持っていったところで、現実に未払いが残る、あるいは現実に医療報酬の支払いが遅延をするということになれば、やはり圧力は市町村当局にいくことは、知事の指定であろうと何であろうと同じなんです。ところが保険者側は、どうも知事の指定にしてもらっておかぬと工合が悪いのだ、協力費等の圧力がかかる、こういう説明だったのです。しかしこれはどうも私たちは顧みて他を言うという感じがしたのです。そこで厚生当局もこの点は、やはり皆保険政策に療養担当者を協力せしめる意味において、私はこれは、過去の実例から見、過去の実績から見て、訓示規定だと思うのです。保険者に最終責任があると言ったところで、これは実際には保険者が行ってかわりに徴収をしてやること以外にないのですよ。保険者がそのかわりに一般会計なり保険料から出すということはほとんどない。だから原則的には、これは窓口で徴収をしてくれ、しかしそれがどうしても徴収ができないということになれば、これは保険者が持ちましょうということにしておいても、どうしてもとれないときということになりますから、とれませんと言ってきたから、もう一回努力してみて下さい、もう一回努力してみて下さいと言っておれば、三年や五年は、光陰は矢のごとく流れてしまうものなんですよ。ですからそう安心立命を与えることだから、あなた方はがんばられるが、この点は最終責任にすることが協力を得る通なんです。だからこれはああいう形を固守されずに、あっさり保険者にしなければならぬ。保険者もみずからが国民皆保険のにない手として強く前面に出てきて、そうして市町村の選挙のときに国民皆保険をやりますというスローガンを掲げたからには、やはりやらなければいかぬ。それも最終責任になると思う。どうも私はできませんと逃げるには、その市町村長なりあるいは岸内閣自体が、皆保険政策をほんとうに全国の療養担当者の全面的な協力を得てやろうとする熱意があるのかどうかと疑わせることになるのです。だからこういうこまかい過去の実績は、そんなに目の色を変えて取り立てた例はないのですから、そういう点はもう少し大臣なり保険局長はおおらかな気持で考えていただかなければいかぬ。だから従ってこの点の修正は与党はもちろんのこと、政府当局もぜひ一つ修正をしていただきたい、こう思うのです。政府の答弁はどうですか。

高田正巳厚生事務官(保険局長)

○高田政府委員 三年五年光陰矢のごとくほっぽっておくというようなことは、四十二条でいたさない運用をいたすつもりでございます。要はこの人が払えるか払えないかということを医療機関側の認定にまかすか、市町村側の認定にまかすかということです。医療機関側がこの人は払えないと思ったものは、全部市町村側がかぶるんだということであれば、これは医療機関のやり方によりましては、五割給付というものが七割給付になったり十割給付になったりすることも出てくる可能性のある制度になるわけですね。従ってそういうことは当然なかなかできないことでございます。しかしながら今御引例のような、一生懸命取り立てには十分努力する、努力してしかも取り立てられないようなものにつきまして、市町村がそれを減免し、徴収猶予をしてみずから医療機関の方に払っておくというふうなことをいたしますことは、この四十二条の運用によって十分できるものと私どもは考えておるわけであります。明らかにその運用の仕方につきまして、明確な通牒等を出していきたい、かように考えております。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 あなたはそうおっしゃいますけれども、しからばいいですか、あなた方が一生懸命にかねや太鼓を鳴らして保険料の徴収をやっておっても、保険料の徴収率というものは九割ですよ。一割というものはとれていないのです。ではこれを全部市町村は減免をしておるかというと、していないのです。全部過年度分としてだんだん翌年度に回していって、その中から五割か六割か取り立てておるわけなんです。そしてそれを今度は残ったものは、やむなくいつの間にかそういう者はおらぬようになったりするのですよ。だからやむなく自然に流しておるのです。これは流すことによって棒引きをしたことに形式的になっておるのですが、しかしその者が帰ってくると取り立てに行くのですよ。これはおそらく同じですよ。一体あなたはそうおっしゃるならば、これはそれぞれの市町村によって、あるものは減免をし、あるものは猶予することはおかしい、やはり全国の市町村一定の基準がなくてはならぬ。一体四十二条で特別の理由ある被保険者とはいかなるものなのか、これを一つきめてもらわなければならぬ。現在保険料で未収の額は一割ですよ。世帯にして二割のものは払っていないのです。この昭和十三年以来行なった国民健康保険の実績は、われわれにそれを教えておる。そうしますと、保険料でいったら一割、住民の世帯でいったら二割だけはそれに入れるということになるのですか。一体保険者が減免をする特別の理由というものは、いかなることを基準にするか、一つお教えを願いたい。これは今後の市町村の減免規定が凹凸があってはいかぬ、やはり皆保険ですから給付を一定にしておく、保険料もできだるけ足並みをそろえていく、一般会計からの繰り入れも基本的な原則でやっていこう、こういうことになれば、第四十二条の規定というものは、特別の理由は、被保険者あるいは特別の理由について基準がなければいかぬと思うのです。その基準というものはどういうものですか。

高田正巳厚生事務官(保険局長)

○高田政府委員 これはお医者さんにかかった者の何割をこれに充てるとかいう抽象的な画一的な基準は設け得ない。本質上そういうものだと思っております。ケース・バイ。ケースで、たとえば同じ程度の貧乏さであっても、入院した場合の一部負担金は非常に多くなる。それからちょっとした外来程度の医療であれば一部負担金はわずかで、これはやはりケース・バイ。ケースでいくよりほかに仕方がない。従ってそのケース・バイ・ケースに運用をいたします具体的な運用の仕方について、私どもは何らか運用方針を示したい、かように考えておるわけであります。そこで今先生が御指摘になりました保険料でもとれないものがあるのではないかというやつでございます。それに当るものは、三号で一応医療機関の方には払っておきまして、この人間は免除したり何かはできないけれども、すなわち保険料の場合に欠損処分とか免除処分とかいうことはできないが、しかし先にいってとれるというような、過年度の保険料の滞納を繰り越しているようなケースに当りますものといたしまして、三号でとりあえず市町村が払っておいて、その人間から取り立てることは猶予をするということで処理いたして参りたい、そういう規定の趣旨でございます。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 規定の趣旨ではなくてケース・バイ・ケースでやるとおっしゃるけれども、少くともそのケース・バイ・ケースを選ぶためには基準が要る。警職法で公けの秩序、善良な風俗というような抽象的なことでは、その場その場のお金の徴収ですから済まされない。だからやはりこれは保険医療機関においても、あるいは保険者においても、あるいは患者大衆にとっても、一体どのようなケースになれば減免し、徴収を猶予してもらえるか、知らせておかなければならぬ問題だ。そうしないと住民は申し出もできない。だからそれを今になってあなた方がケース・バイ・ケースということではだめです。現実の医療で行われる問題ですから……。世帯にして二割です。保険料の一割ということになれば、さいぜんの御説明によりますと、百八十億程度だったですか、百八十億程度ならば、十八億です。これは小さくない。十八億保険税なり保険料を払えない人は、そのまま今度は全部が全部一部負担金未納とは限らないでしょう。しかしそういう人は相当の未納者が頻度としては多く出ることは明らかだ。だからこのケース・バイ・ケースでは済まされない。やはりあなた方が行政指導をする場合には、全国こういう基準のものは減免なり猶予の措置を請ずるんだという方針を示しておかないと大へんなにとになる。そこで問題になってくるのは、一体大蔵省は、医師に窓口で払う一部負担は、療養の給付費の中に入るのか入らないのか、入るとすれば、国民健康険保法案のどの条項で入るということになるか、これは一つ財政当局の見解を尋ねておきたい。財政当局は二割とか二割五分とか金を出すことになりますから、財政当局がそれを知らぬでは大へんですよ。

村上一大蔵事務官(主計局次長)

○村上政府委員 負担の対象に入ると思います。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 その条文は、どこで入ることになりますか。実は今までの国民健康保険法では八条の九で、「療養ノ給付二要スル費用ノ一部」と、こう書いて、一部負担金とはっきりしておるのです。ところが今度の法律のどこを見ても療養の給付に要する費用の一部が一部負担金だということにはなっていない。どにを見てもなっていないようになっているのです。

高田正巳厚生事務官(保険局長)

○高田政府委員 六十七条に、「国は、政令の定めるところにより、市町村に対しそ療養の給付及び療養費の支給に要する費用の十分の二を負担する。」と書いてあります。そうすると、療養の給付及び療養費の支給に要する費用というのはそれではどういうことかということになるわけでございますが、第四十三条に「指定医療機関が療養の給付に関し保険者に請求することができる費用の額は、療養の給付に要する費用の額から、当該療養の給付に関し被保険者が当該指定医療機関に対して支払わなければならない一部負担金に相当する額を控除した額とする。」こう書いてあるのであります。そこで療養の給付に関する費用の額というのは、これは一部負担金をも含めて呼んでおる、それを意味しておるということは、この規定で明らかでございます。そうして六十七条の方に参りまして、療養の給付及び療養費の支給に要する費用の十分の二」というふうに書いてございますので、今大蔵省からお答えになったようなことになるわけでございます。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 そうしますと、一部負担金というものは療養の給付の中に入るわけなんですね。その入っておる一部負担金というものは、窓口で指定医療機関の責任で取りなさい、こう原則はなっているわけですね。ところが今あなたが再々指摘をされた四十二条においては、保険者が自由自在にこれをまけたり——まけるというのは私らの方言だが、減免をしたり徴収を猶予したりすることが自由自在にできるのです。責任は医療担当者にあるものを、保険者が自分の意思によって自由自在にまけたり猶予したりできるというのはおかしいですよ。そうするとこれは今言ったように、療養の給付費の中に一部負担金が入るということになり、しかもそのものを自由自在にまけてやるあるいは徴収を猶予することができるというのはおかしい。越権なんです。徴収の義務というものを療養担当者にさせておきながらですよ。これはどうもおかしいです。それからこの施行法の五十八条をごらん願いたいと思います。五十八条、四十二ページの終りから三行目のところに、「第七百三条の第二項中「療養の給付に要する費用の総額の見込額の百分の七十に相当する額」を「療養の給付及び療養費の支給に要する費用の総額の見込額から療養の給付についての一部負担金の総額の見込額を控除した額の百分の九十に相当する額」」こうなっておるのです。療養の給付についての一部負担額、こうなっておるのです。だから療養の給付費の中の一部負担とはこれでは読めないのです。僕は専門家ではないからよくわからないが、読めば読むほど、しからば療養の給付とは一体何なのかということになる。今あなたがお読みになった三十三条の「療養の給付に要する費用の額から、」という、これ以外には療養の給付と一部負担の関係というものは載っていないですよ。そうして今の施行法の五十八条にそういうことが書いてあるが、読めば読むほどはっきりしない。昨日近藤先生にも私は尋ねてみたが、明快な答弁は得られなかった。健康保険や何かの関係をしていたが、読めば読むほどわからないと言っていたが、私も読めば読むほどわからない。だからこれは、療養の給付費、その二割をやる、こういうことになると一部負担金をどけたものじゃないかというような感じもするのです。除いたものじゃないかという感じもするのです。だから、法文をお書きになるときはもう少し懇切丁寧に書いてもらわないと、あなた方がそういう解釈だとおっしゃれば、われわれは頭が悪いから、私たちは金をもらう方ですから、さようかといって引き下ります。しかしどうも、旧法において八条の九に「療養ノ給付ニ要スル費用ノ一部(一部負担金ト称ス)」と、こういうふうに丁寧にしておったものを今度はなぜしないかということになる。やはりわかりやすくしておいてもらわなければいかぬと思うのです。しかし今、それはもう一部負担金も入ります、療養の給付費の中に入りますと大蔵当局から言明をいただいたので、まあ予算は二割きちんと全部のものを、一部負担金も足したものからもらえるということは、これで安心したのだから、条文はそう読めないでも安心しておきましょう。  そこで今度はこれは大蔵省に尋ねなければならぬが、今、生活保護の金は今やっておらない、生活保護と国民健康保険のものはだめだとおっしゃったのですが、これは研究してもらうことになったのですが、そうすると今度は保険者が三十六条で、一号から六号までの療養の給付をやるわけなんです。そうすると、一号から三号までは、これはまあ保険者の皆さんがおやりなさいということになるのです。ところが四、五、六というものは保険者が必要だと認めた場合だけやることになるのですが、これは一体国庫補助の対象になるかどうかということです。ここらあたりははっきりしておいてもらわないと、先になってからどうもあれだけは給付しないことになるのだなんて大蔵省から言われると目も当てられぬですから、なかなか大蔵省は強いから、ころばぬ先のつえとして言っておくのですが、これはどうですか。

村上一大蔵事務官(主計局次長)

○村上政府委員 この法律に基きまして行いましたものは、当然やはり補助の対象になる、かように御解釈していただいてけっこうだと思います。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 この法律に基いてやったものは全部対象になる、こういうことなんですが、そうしますと前に戻ってくるのですが、生活保護の場合は、国民健康保険では五割は保険者が持つのです。五割は患者が持つのです。そうすると、患者の持つ五割は、患者が貧乏だから、患者の払う一部負担金、すなわち保険者、療養担当者が徴収しなければならぬ五割は国がかわりに払ってやったのです。そうすると、五割というものは患者が払うもので、何も保険者の責任じゃないのですから、これも法律に基く給付ですから、やらなければならぬことになるわけです。それはもう今の発言によってそう認めるものと了承して差しつかえありませんな。どうも網のかけ方が非常に遠くからきたから……。

村上一大蔵事務官(主計局次長)

○村上政府委員 今御指摘の場合に、国民健康保険の本人負担分の半額について負担ができない場合には、それを生活保護で負担するという場合が当然起るわけでございますが、それは生活保護法における負担でございまして、今おっしゃるようなことには、その意味ではならないと思います。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 それは違うのです。五割というものは保険者には関係ないものなんです。療養担当者がとる責任のあるものなんです。生活保護法で負担する五割というものは、療養担当者の責任のものなんです。だから、療養担当者のとる分を国がかわりに払ってあげましょうということで、保険経済、保険者にとっては何もかかわりないものです。市町村にはかかわりがありますよ。しかしそれは市町村の一般会計にかかわりのあるものであって、国民健康保険の特別会計については何ら縁もゆかりもないものなんです。ところがそれを、縁もゆかりもない国民健康保険に補助金をやらぬという理論は出てこないのです。これはなぜならば、療養の給付だからです。従って、それをもう少し理論をシビヤーにしてせんじ詰めていくとどういうことになるかというと、普通ならば給付費というものは、今のあなた方のお認めになったように、医者に払う患者の窓口負担と、それから保険者の負担する分との全部について二割が出るわけなんです。だから、この場合の理論を正確にしていけば、五割については国は二割を出さない、残りの五割について出すということになるわけなんですよ。だから、百円かかるならば、そのうちの五十円は国が持ってやったのだから、残りの保険者の負担する五十円の二割、つまり十円について補助金声出す、こういう理論上なるのですよ。これならば大蔵省は文句は言えないと思うのです。今はそれも補助金の対象になっていないでしょう。自治庁、そうですね、その半額についてはなっていないのでしょう。

奧野誠亮総理府事務官(自治庁財政局長)

○奧野政府委員 生活保護法で国民健康保険法の規定に基いて受けます給付が優先するわけでありますので、半額の部分は現生活保護法の対象にはなりません。しかし、二割の国庫負担の場合には、半分についてだけが対象になるわけであります。従いまして、全体については十分の一しか対象にならない、従って差額の五分の一だけが出ているということであります。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 厚生省、そうですか。それならば私の主張する通りに補助しておるわけです。現生活保護については、補助の対象になる五割については補助をしていない、保険者の持つ五割について出しておる、こうおっしやるのですが、そうですか。

高田正巳厚生事務官(保険局長)

○高田政府委員 保険者の持つ五割については出しておるのでございます。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 それならば、大蔵省の言う通り、療養の給付については全部出しておることになった。私はその生活保護の場合には、保険者の五割にも出していないと思っておった。そうすると、四十億という額は、結局八十億になるわけですね、簡単に言うと倍になるわけですから。半分が四十億、そうすると額がちょっと多過ぎるのですが、八十億も医療費はないのじゃないですか。そこらあたり、はっきりしてもらいたいのですがね。補助対象の総額が四十億ですね、四十億の二割の八億だけが補助をもらっていない、こうおっしゃるわけなんです。そうすると、もし保険者の負担する分が四十億だとするならば、患者負担の分が五割あるから、大ざっぱに言って総額は八十億なくちゃならぬわけでしょう。ところが、さいぜんの奧野さんの御説明では、四十億と、こうおっしゃったのです。

奧野誠亮総理府事務官(自治庁財政局長)

○奧野政府委員 生活保護法の関係もございますし、それから結核予防法の関係もございます。いろいろあるわけでございますが、そのうちで国庫負担の対象から除かれる基本の額が四十億だ、こう申し上げておるわけであります。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 わかりました。そこらあたりは、保険者負担の五割については補助金が出る、二割の国庫負担の対象にもなるし、五分の調整交付金の対象にもなると確認しておいて差しつかえありませんか。一つ大蔵省からそれをはっきりしておいていただきましよう。

鳩山威一郎大蔵事務官(主計官)

○鳩山説明員 ただいまの生活保護の場合におきましては、生活保護で半額出ます場合には、残りの五割につきまして、これを医療費と見まして、それの二割を国で負担しておるわけであります。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 わかりました。私の取り越し苦労でありました。しかし、三十六条の保険者が必要と認める場合にしても、看護やそれから入院料、移送費等についても補助金を見ていただけるということがはっきりしました。  そこで次は事務費です。もう簡単に聞きますが、これで財政上の問題は全部終るわけですから、もうちょっとしんぼうして下さい。あとは理論的な問題になりますから、大蔵省や自治庁はけっこうでございます。事務費でございますが、三十二年に大蔵省と厚生省で事務費の実態調査をやられたわけです。一体この実態調査の結果、事務費の額は幾らだったのでしょうか。

村上一大蔵事務官(主計局次長)

○村上政府委員 ちょっと手元にその資料を持ちませんで恐縮でございますが、記憶で申し上げますと、三十二年度において調査したわけでございますが、当時確か単価八十五円で組んでおりまして、百円をこえる事務費の要求があったわけでございます。それだけの実績があるという御要求があったわけでございますが、そこで実態調査をしようということになりまして、しました結果、出っぱなしで、これは私の記憶でありますが、確か百十円という数字が出ました。出っぱなしというのは、先ほど特別会計、一般会計の議論がございましたが、つまり形の上で特別会計で経理されている事務費、人件費を全部拾いますとそういう数字が出たわけでございますが、これを仕事の内容で分けて参りまして、ほんとうに国保の事務費として実質的に見られるものを実態調査したわけでございますが、それが確か八十九円幾らという、多少違っておるかもしれませんが、そういう記憶がございます。そこで、三十三年度予算から、そういうことも考えまして、単価を九十円に上げておる、かように記憶しております。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 これは自治庁にお尋ねいたしますが、国民健康保険の事務費の算定というものは、最近における市町村の非常な合併によりまして一万有余の市町村というものが多分三千くらいが減ってきたと思います。従ってそれぞれの市町村というものは非常に広範になってきたわけであります。今までのように小じんまりとした市町村の実態で保険事務を遂行する場合には、何とか国民健康保険の基準の職員の数でやれたかもしれません。しかし町村合併によって非常に広範になり、あるいは都市等においては移動が激しく、それぞれ市町村の特殊性によって、人件費の問題等がからまって非常に千差万別だと思うのです。しかし現在の国民健康保険の赤字の大きな原因になっておるのは、これは事務費だといわれておるのですが、自治庁ではこの実体をどういう工合にごらんになっておりますか。

奧野誠亮総理府事務官(自治庁財政局長)

○奧野政府委員 国民健康保険会計につきまして、国がいろいろな形において援助しておるわけでありますが、事務費につきましては、全額国庫が補助するという建前になっておるわけであります。そうなっておるわけでありますが、なおその額が少な過ぎるという点を市町村ではかなり強調して参ったのでありまして、事実私たちもそうであったと考えております。またそういうことからたしか二十九年が被保険者一人に対して六十二円、それが八十円になり八十五円になり九十円と非常に早い速度で回転されて参った、こういう工合に私たちは考えておるわけであります。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 何か自治庁から出ておる数字を見ますと、三十一年度には三十三億の事務費が要ったんだ、その中で国からもらった金は十九億円で、十三億の赤字になったというのが、今自治庁の決算か何かを繰ってみたら出ているのですが、こういうようにわずか五割から六割程度しか事務費がもらえてない。この事務費を一番食うものは何なのか。結局それは保険料の徴収の費用なんです。職員の仕事の六割ないし七割というものは保険料の徴収です。保険料さえうまく入れば国民健康保険というものの経営ははそうむずかしくないのです。仕事は簡単なんですから。ただその保険料を適正に賦課して、そうしてこれを徴収するところがこの制度の運営のかなめになっているわけです。ところがこれは何といっても人間のやることだ。そうするとその人間をまかなっていく経費というものが非常に削られるということになると、優秀な人材が国保というものに求ません。現在われわれが地方の自治体を回ってみてほんとうに国民健康保険のことを知っている人というものは少いのに実は驚いたのです。県に行ってみましても、あとで連合会のことをいろいろ尋ねますが、連合会の実態を見ても、専任でやって、そうして全県下の状態に通暁しておる者は一県に一人おるかどうかというところなんです。行ってみて、ほんとうに国民健康保険をよく知っている、いわゆる国民健康保険の主といわれるくらいのベテランというものは、非常に少いのです。そういう状態から見ると、私はこの事務費というものを——事務費は主として人件費になると思うのですが、これをやはり思い切って出して、ベテランを養成しなければいかぬと思うのです。そうしてベテランを養成して、その人たちによって国民健康保険に筋金を入れる以外はできません。ですからたとえば岩手県なら岩手県を見てみますと、名前を言うては失礼ですが、佐藤さんというような国保の鬼といわれるような人がいらっしゃる。そうすると勇将のもとには必ず熱心な主事というものが一人や二人はおるのです。こういう実態なんです。これは調査した結果百十円も事務費があった。ところがそれを何とかかんとかいって八十九円に削って、プラス一円して九十円を三十二年に出した。ところがその前の年の三十一年度はわずかに十九億しか出さぬので、十三億の赤字になった、こういうことなんです。一体三十二年度の事務費による赤字はどのくらいでしょうか。自治庁でおわかりになっておれば自治片でお示し願いたいし、わかっていなければ、厚生省がお示し願いたいと思います。

奧野誠亮総理府事務官(自治庁財政局長)

○奧野政府委員 三十一年度分につきましては自治行として調査いたしたわけでございますが、三十二年度分については特に国保としての事務費について調査はいたしておりません。

高田正巳厚生事務官(保険局長)

○高田政府委員 先ほどの調査はたしかやはり三十一年度の調査であったと思いますので、三十二年度分につきましては正確な数字を持ち合せておりません。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 巷間伝えられるところによると、三十二年度は百四十円くらい。くらいと書いておるからはっきりしないのですが、そのくらいかかっておるのだ。事務費がウナギ登りに登ることは、ペース・アップされているからですね。従ってこれは町村合併によって非常に広範になってくるし、大都市にも国保を実施しようとするならば、やはり私は国保に相当優秀な人材を入れなければだめだと思う。だれかが国保は人なりと教えてくれた。私はやはり国保は人なりと思うのです。われわれの町で国保をやる場合に、国保に熱心な課長がおらなければ国保というものはうまくいかないのです。国保は人なりというならば、人に力を入れなければならぬと思うのです。それはやはり事務費だ。こういう点についてもう少し厚生省は自治庁と相提携をして、そして国保のための人材というものを養成していかなければならぬと思うのです。こういうところに、皆保険政策のもとにおいて国保の仕事というものを、国民健康保険連合会と申しますか、中央会と申しますか、そういうところばかりにまかしておくということは問題があると思うのです。これはあとで国保連合会のいろいろのことを尋ねますが、問題があると思うのです。みな兼任でやっている。こういうことでは国保は進展しません。だからやはり県知事が医療機関の指定をやろうとするならば、少くとも県においてがちっと国保を押える中心がなければならぬ。ところが各県の国民健康保険の実態を見てごらんなさい。国民健康保険の課長がおるところというのは、りょうりょうたるものですよ。みな政府管掌の国民健康保険における保険課長のもとにおいて係長です。この係長が非常に熱心な人であるならば相当な普及はできます、もしそれが県政に対して発言力が弱い人であるならば県の補助金も出ないし、それからまた市町村の普及もうまくいかない。ですからやはりこれは今後皆保険をやろうとするならば、少くとも国民健康保険の一係ではなくて、課長ぐらいに昇格をして、そうしてがちっとやらなければだめなんです。ところが現実の県政の実態を見ると、民生部と衞生部が統合される。民生部は労働部の一つになるというように、だんだん厚生行政の末端というものが縮小されつつある。縮小されながら、しかも一方国における政策というものは高らかに国民皆保険を掲げ、国民年金を掲げておるけれども、全くその足というものは弱体化されようとするのが現実なのです。こういう現実に立つときに、私たちは、法律はできてもこの末端というものはもはや動かない状態にあるということを言いたいのです。そのためには保険税を取り立てる。取り立てるためには、それは人なんだから、ここに事務費というものを思い切ってつぎ込んでいく必要がある。その点について厚生省は、まあまあおれらの方は医療の給付の方が大事だからと言って、事務費をないがしろにしておるということはないと思いますが、しかし今後これは何といっても自治庁の方と十分意思の疎通をはかって推進をやらぬと、末端の機構というものはだんだん細っていっております。これは今から三年か四年前に川崎君が厚生大臣になったときに、私は一体衛生部というのはどういう姿なのだ、だんだん衛生部が減ってきたと指摘したが、その指摘にもかかわらず県の衛生部はどんどん減っている。衛生部が減るばかりではなく、民生部も統合されつつあるという実態なのです。こういう点は、府県政が非常に窮迫してくると、末端の行政機構がだんだん縮小化されて、縮小化された結果が結局皆保険政策というものに対する人がいなくなり、優秀な人材が他の方にとられる、こういうことなんです。だからやはり何といっても推進力というものは事務費にあるのだから、あなた方がせっかく御調査なされて、百十円程度あったものを何とかかんとか言って削って八十九円にして、一円プラスして九十円をやったのだ、矢のごとく六十八円から九十円になったのだと言うけれども、二十二円しか上っておらない。だからこの際思い切って、来年度予算編成に当っては皆保険をやるのですから——事務費というものは全額と書いておるんです。もちろんそれぞれの自治体によって、これはおそらく事務費を出す基準があります。人口どのくらいで被保険者の数がどのくらいのところは大体どの程度の人員が適正な人員であるということはあるのです。ところが最近の自治体というものは市町村合併で非常に広範になっておるし、それから大都市になれば移動も激しいし、それからなかなかその把握もしにくいという実態がありますので、事務費についても私は調整交付金的なものをこの際考えてやる必要がある。それによって優秀な人材を当分配置をして、これが軌道に乗ればいい。乗るまではやはり国民健康保険の下部機構というものはうまくいかぬ。だから熱心な市町村長のおるところは国保について相当優秀な人材を配置しておる。そういうところはいい。ところがそうでないところはだめです。こういう点について一つ大臣、三十四年度の予算編成期ですから、これは事務費の全額ということにプラス・アルフアをつけるか、それとも、もう少し今度は事務費をふんばっていただかなければならぬが、一体三十四年年度にはどの程度の事務費を厚生省は要求をなさるおつもりなのか。きょうは大蔵省主計局か来ておるのですから一つ……。

橋本龍伍自由民主党厚生大臣

○橋本国務大臣 ただいまお話のございましたように、国民健康保険が今日ここまで伸びてきたというのは全く営営たる関係者の苦労の集積であると思います。今日皆保険を実施いたす上において人材を集める、そこに非常な熱が要るということはお説の通りでございます。事務費の問題につきましては、もちろんあちこちで野放図にやられては困りますから、できるだけ倹約しながらやってもらわなければなりません。場所によっては事情が違いますけれども、しかしとにかく今日の予算というものは、そういうふうにいろいろ考えた上からいっても、事務費の金額という点からいって実際に非常にほど遠いものでございますので、今年度九十円という単価になっておるのでありますが、これをぜひ増額をいたして参りたいと思っております。いろいろな資料等について検討いたしておりますが、要求は確か百十五円で要求をいたしております。これをぜひ確保いたしたいと考えております。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 どうですか大蔵省は。百十五円ということでございますが、三十一年度の実績は百十円なんです。私が見たところでは三十一年度の実績は百十八円になっておるのです。そして三十二年度は百四十円、三十三年度は百五、六十円くらいになる。そうすると厚生省は心臓の弱い省だと思うのです。百十五円だったら、百円くらいに削られるのは火を見るよりも明らかなんです。これは掛値なしに事務費というものは、この際だから見てやる必要があると思うのです。二割とか、五分というものは、ことしのことですから私はもう言いません。これはやむを得ない、泣き寝入りをしなければならぬ。しかし事務費というものは、総額にすれば三十一年度もあなたの方は十九億も出しておるのだから、これでまた相当金が要ると思います。ぜひ大蔵省は真撃な態度で事務費を計上していただきたいと思うのです。額はなかなか言えないと思うのですが、言えれば言ってもらいたいと思います。大蔵省はおよそこの程度のものはやりたいということは、すでにあなた方は実績を調査されておるのですから、一つどの程度か、できればこの機会に一つぐらいおみやげとして言明していただきたいと思うのです。

村上一大蔵事務官(主計局次長)

○村上政府委員 事務費の問題でございますが、過去の実績は滝井委員がよく御承知かと存じますが、ずっと前は別にいたしまして、三十一年度が六十八円、三十二年度が八十五円、三十三年度が九十円ときたわけでございまして、現在補助率は全額十分の十となっておりますが、これは二十五年度までは七割、その前は二分の一、こういうことでございました。三十三年度予算額はこの単価で計算いたしまして三十二億という金額にいたしております。そこでこれは毎年、国民皆保険で四百何十万という被保険者増を見ますので、かりに五百万といたしますと、九十円で四億五千万というものが、その単価でも増額になっているわけであります。私どもはこの事務費をやみくもに切ろうという考えは毛頭持っておりません。先ほど申し上げました数字が多少違っておりましたが、出っぱなしで百十円と申し上げましたが、百四円であります。それをいろいろ中を明査いたしまして落しました数字が、先ほど申し上げましたように九十円をちょっと切った八十九円幾らでございまして、これはどういう切り方をしたかという一例を申し上げますと、たとえば戸籍事務をやっておられる方が国保勘定に入っておったというような例がありまして、これは明らかに国保に関係のない問題であります。あるいは休職者給与、どういう事情かわかりませんが、休職になっているのを一般会計からはずして国保勘定で抱いておられたというような例がありまして、そういうものをはずしていったわけでございますので、そういう見方からすると、大体私どもは九十円ならば相当いいところに来ているのじゃなかろうかと思っております。しかしいろいろお話がございましたので、単価は、一昨年から実態調査をいたしまして以来、真剣に実は検討している問題でございますから、増額するとかしないとか、さような結論を本日申し上げることは差し控えたいと思います。十分検討したいと思っております。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 ぜひ事務費を御検討願いたいと思います。それ以上くどく申しません。今回は百十五円というのが客観的に見て良心的なものだと思いますので、百十五円をあまり下回らぬように認めていただきたいと思います。  以上で大体おもなところだけ、国民健康保険の歳入の課題と歳出の課題を終ったわけです。これからいよいよ国民健康保険法自体におけるいろいろの、当面重要な問題になっている問題点に入ることになるのですが……。

園田直自由民主党

○園田委員長 このままの姿で休憩いたします。     午後七時五十六分休憩   ━━━━◇━━━━━     午後八時四十一分開議

園田直自由民主党

○園田委員長 休憩前に引き続いて会議を開きます。  本日の質疑はこの程度にとどめ、次会は明三十一日午後一時より開会することとし、本日はこれにて散会いたします。     午後八時四十二分散会

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