社会労働委員会 第11号
- 発言数
- 73 件
- 登壇者
- 5 名
- 会派数
- 2
- 開催日
- 1958/10/23
会議録
○園田委員長 これより会議を開きます。 内閣提出の国民健康保険法案及び国民健康保険法施行案並びに第二十九回国会に提出されました滝井義高君外十三名提出の、国民健康保険法の一部を改正する法律案の三案を一括議題とし審査を進めます。 質疑を行います。岡本隆一君。
○岡本(隆)委員 先般の滝井委員の質問に対しまして、国民健康保険の保険経済は、相当ことしも好転してくるようなお答えがございましたが、国民健康保険については本年度はどのような状態になっているのか、少くも三十二年度はどのような状態になっておるのか、先般資料をいただきましたが、その資料にも三十二年度のが載っておりませんので、まずその状況を局長からお伺いいたしたい。
○高田政府委員 三十二年度の国民健康保険の財政状態を大局的にながめまして御説明いたします。三十二年度の国民健康保険の全体の財政規模でございますが、収入総額が四百十六億ということになっております。それから支出の総額が四百二億でございます。それで差引十三億三千四百万円程度の黒ということになっております。この十三億三千四百万円程度の黒ということになるわけでございますが、これは全体的に見ますとそういうことになるわけでございまして、その内訳を少し探ってみないとわからないのでございますが、決算剰余金を出しました保険者のその剰余金を全部足してみますると、二十三億六千四百万円ほどになります。ところがつじつまの足りない保険者で、翌年度の歳入を食って充用しておるものがございます。この金額を全部足してみますと十億二千九百万円になります。前に申し上げました十三億三千四百万円の黒というのは、ただいま申し上げました二十三億六千四百万円と十億二千九百万円の差引をいたしますと十三億何がしが出て参るわけでございます。決算上に現われました数字は大体以上のごとくでございますが、これだけでは国保財政がどうかということはまだわからないわけでございます。もう一歩踏み込みまして、しからば診療報酬未払額がどのくらいあるかという点を見ますると、これは全部で九億九千六百万円ほどでございます。これは御存じのようにいわば赤の要素でございます。ところが今度はこれに対しまして黒の要素でございますが、国庫補助金の足らずまいというのが当該年度の療養給付費のいわゆる二割でございます。当該年度にやるべきものを清算いたしますとこれだけ足りないという額がある、これが十二億ほどでございます。これは国保の財政を見ます上におきましては歳入に入ってくるわけでございます。 大体以上のような状況でございまして、これを概括的にごく一口に申しますと、今の数字をごらんいただきますとおわかりいただけますように、国保財政は三十年度以降関係者の努力、国のてこ入れというふうなことによりまして、数年前とは非常に見違えるようによくなって参りまして、三十二年度は今申し上げましたように全般的に見ますれば非常に好転しておる、こういうふうに申し上げられるかと存ずるのでございます。これはもう全般的ながら、がら計算をいたしました財政状態を御報告いたしますと、以上の通りでございます。
○岡本(隆)委員 もう少しその収入の内訳を詳しく御説明願いたいのです。たとえば保険料の収入が幾らあって、それから国庫補助金が幾ら入って、市町村の一般会計からの繰り入れが何ぼあって、それから被保険者の一部負担金が何ぼあるか、その数字を御説明願いたいのです。
○高田政府委員 保険料収入が、手元の資料によりますと三十二年度で二百三億でございます。それから国庫補助金が三十二年度で百十九億に相なっております。
○岡本(隆)委員 パーセンテージは出ておりませんが。
○高田政府委員 パーセンテージは出ておりません。それから一般会計からの繰入金が三十八億ということになっております。それから一部負担は、御存じのように面接国保の会計を通らない場合が相当多数ございます。幾らということをはっきり申し上げる資料はありませんのですが……。
○岡本(隆)委員 僕持ってくるのを忘れたが、あのいただいた資料の一番しまいの表に例年は出ております。各年度別の資料のものに出ておりますが、それは直診とか、そういうところの一部負担だと思いますが……。
○高田政府委員 今御質問の一部負担という場合のは、結局患者が医療機関にかかりました場合に、五割給付の保険者でありますれば、五割は保険の方から支払って、残りの五割を医療機関に払うわけであります。これが窓口徴収の場合におきましては、国保の会計をくぐっておりませんので、決算上には実は現われておりません。あるいはその推計の数字が資料の中に——正部負担の中で、保険者徴収の一部負担の金額は決算に出ております。三十一年度の資料がここにございますが、二十九億、三十二年度は二十七億千三百万円、これは保険者徴収の一部負担でございます。大体そういうふうな状況でございます。
○岡本(隆)委員 それから支出の中の療養給付費は幾らでしょうか。
○高田政府委員 支出の中の療養給付費は、先ほど申し上げました四百二億のうちで三百六億ということになっております。
○岡本(隆)委員 先日の委員会の御答弁で、三十一年から三十二年度にかけて健康保険財政が非常に黒字になった。本年度もまた同じ要素があると思うのでありますが、三十二年度は黒字が八十億と聞いたように承わっております。三十三年度の黒字見込みは大体四十億くらいじゃないかというふうに承わっておるのでありますが、三十二年度と三十三年度の間に、どういう要素でもってその黒字見込みが減少してくるのか、その辺のファクターを御説明願いたいと思います。
○高田政府委員 三十二年度の決算は、これに出ておりますように、七十九億でございましたか、はっきり決算上出てきたわけでございますが、三十三年度は目下進行中でございますので、どれだけ黒字が出るかということにつきましては、私ども的確にはとても言い切れないのであります。私のほんとうに個人的な感じをこの前ちょっと申し上げてみたわけであります。それは三十三年度の予算で見積りました通りに収入が入ってき、それから支出がその見当でいくというふうな気が大体いたしますので、そうすれば、支出の方に予備金をとっておりますので、その予備金程度のものがあるいは決算黒として残ってくるのではあるまいかという、ほんとうの個人的な感じといいますか、勘といいますか、これは狂うかもしれませんが、そういうような意味で、ごく軽い意味で申し上げたのであります。従って、その関係がどうしてそういうふうなことになるかという御質問でございますが、推計自体が非常に根拠のない感じで写しておることでございますので、七十九億が四十億に変ってくる——これは年度によりまして財政規模も変っております、被保険者の数も変っておりますし、事業場の数も変って、おります。従って、その辺の金額の違う理由を述べろとおっしゃいましても、実は私ちょっとお答えをいたしかねるような状態でございます。お許しを願いたいと思います。
○岡本(隆)委員 局長、お逃げになってはいかぬと思うのです。こういう言い方をすると少し何かもしれませんが、三十一年度から三十二年度にかけて赤字を予想されておった保険経済が、ぐんとその赤字を通り越えて八十億という大きな黒字を出したのには、それだけの理由がなければなりません。従って、その理由というものに、今までの政府側の御答弁では、これは経済界の好転である、こういうふうにいつも言っておられたのです。しかしながら、私はそうは思っていないのです。やはり健康保険法の改正というものがあったから、それだけの大きなてこ入れが保険経済にできて、その保険経済へのてこ入れのゆえにできた黒字であると私は解釈をいたしております。そういたしますと、今年もその要素というものは依然として引き継いでおるわけです。しかも三十二年度においては、年度の途中からそのファクターが生きてきたわけですね。健康保険法の改正によるところの一部負担金の増強であるとかいうふうなものが三十二年度の中間において、たしか七月からだったと思いますが、実施されておるわけでありますから、これは十二カ月分ではないのです。三十三年度においてはまる十二カ月分のてこ入れが行われておるわけでありますから、従って相当な黒字というものが予想されなければならない。それを黒字ができるかできぬかわからない、また推定だからてんで見当がつかないというふうな御答弁では、私は満足できないのです。少くとも一国の保険経済をあずかりますところの保険局長ともあろう方が、今年の大体の収支の見通しというものを、雲をつかむようでわかりません、こんなふうな御答弁では困ると思うのです。だから、どういうふうなファクターによって保険経済がこういうふうに好転し、そしてまたもし今年黒字分が減る見通しがあるというなら、どういうファクターが新たにできたから黒字が減って、大体この辺のところになるのじゃないでしょうかというふうな見通しというものはお持ちになって当然であるし、またそれを聞かしていただかなければ、私たちはこれから保険経済の問題を論ずるわけには参りません。従ってその辺についてもう少しはっきりした見通しを承わりたいと思います。
○高田政府委員 三十二年度は赤だろうということだったが黒だったというお話がありましたが、実はそうではございませんので、二十九年は御在じのように大きな赤を出しまして、三十年度にはそれに対する財政上の措置をいたしまして、それで年度を出発いたしました。大体差引ゼロということになれば見通しの通りであったということでありますが、ここから四億くらいの黒を出して参った。それで三十二年度におきましては、決して赤字になるだろうという見通しの上に予算を組んでおったわけではございません。ただ七十九億の黒が出たということ、これは見通しがゼロになれば予算通りということになるわけであります。あるいは計上してある予備金が残っただけということになれば予算通りということになるわけでありますが、それだけ見通しが予定よりも誤まったということになるわけであります。それでただいまの御質問で、三十二年度には一部負担等が七月から始まっておるから、今度三十三年度はこれが十二カ月になるのだから、より黒の要素が多いのじゃないかという仰せでありますが、その限りにおいてはまさにその通りでございます。しかし一部負担の財政的な影響というものは、もうほんのわずかでございまして、正確な数を記憶いたしておりませんが、おそらく六、七億か七、八億程度のものでございます。これは大体七、八百億の会計でございますので、そのうちの七、八億の影響というふうなものは、七月からであろうと四月からであろうと、大した影響がないわけです。それよりは収入の面におきましては、被保険者の数がどれだけになるか、それからその被保険者の平均標準報酬月額というものがどのくらい上昇するかというふうなことが収入の面では非常に大きな要素になって参ります。それで三十一年、三十二年に非常に黒が出ました原因をよく見ますと、支出の方は、大体これも正確ではありませんが、概括的に申しますと、大体予算の見積り通りいっておるのに、歳入が予算よりは非常に伸びておるということで、むしろ歳入面の予算以上の収入があったということで、実は決算が黒になって出ておる。これが大体の傾向でございます。従いまして、被保険者の増加というもの、私どもが予定いたしました予算に見積りましたものよりは、うんと被保険者がふえてきたということが一番大きな要素でございます。しかるに支出面におきまして、被保険者がふえればそれだけ病気になる人もふえるわけでございますから、同じパーセンテージで支出の方もふえそうなものでございますが、三十一年度以降の大体の傾向を見ておりますると、医療費の方は新しくふえただけ伸びておりません。そういうふうなことが財政好転の非常に大きな理由でございます。 いま一つは支出面におきまして、現金給付というものがございますが、その中の八〇%程度を占めております傷病手当金、これの平均日数というものが若干落ちております。そういうふうな面で歳出の方が楽になってきたということになるわけでございます。大体そういうふうなことが、概括的に申しますと、財政好転の一番大きな理由でございます。 それからさらに突っ込んで申しますと、これは目下私どもいろいろ研究しておって、しかもなかなか結論を出しにくいむずかしい問題でございますが、医療費の伸びが人間が伸びたほど伸びてこないということにつきまして、実は結核の医療費というものの占める割合が政府管掌においてはだんだん落ちておるのではあるまいか、実はこういう予想を持っておるのでございます。これはもう少し資料をそろえてみませんとわかりませんけれども、私どもの一応の今持っておりまする数字では、結核の医療費というものが政府管掌の医療費の中で占めるパーセンテージが確かにここ二、三年来落ちて参っておる。こういう一応のパーセンテージの数字は持っておるわけでございます。しかしその辺がもう少し突っ込んで調べてみないとわからないのであります。そういうふうなことが医療費の伸びについて相当影響しておるのじゃないだろうか、かような見当をつけておるような次第でございます。あるいは十分御満足のいきません答弁だと存じますけれども、大体の傾向を申し上げたような次第であります。
○岡本(隆)委員 ただいまの御説明で、ある程度去年と今年の動きがわかって参りました。このいただきました資料のうちにも、結核医療費が保険経済において占める割合がだんだん減ってきておるのを見まして、私もこれは非常にいいことだと思って喜んでおりますが、そういうふうな問題、あるいはまた医療費の占める割合が滅ってきておるということ、このことはいろいろな要素もあるでしょうが、しかし一部負担金が増強されたということがやはり受診率の低下を来たしておる。あるいはまた医療機関に対する監査機構の強化というものが従来よりも診療方針をある程度変更させてきておる。そういうふうな要素はやはり大きく保険経済の中で今年も引き続いて働いている。ただ問題は、今年と昨年との間の雇用関係の増減、従って被保険者数の増減という問題で、昨年と今年とは条件が違うでありましょうが、しかしながらその他の条件につきましては昨年から今年にかけてそれが逆転しておるというふうなことはうかがえないわけです。従って本年度も引き続いて保険経済は相当恵まれた状態にあるというような推測を下すことができると思うのでありますが、局長のお考えはいかがでしょう。
○高田政府委員 私も政府管掌の保険経済は本年度も、先生御指摘のように順調であるという見通しをしております。ただ昨年よりいいかどうかということにつきましては、大体去年の事情をいろいろ考えて当初予算を組んでおりますので、決算の上の黒がどれくらい出るか、昨年より多くなるが少くなるかということにつきましては、これは具体的には確信ございません。しかしとにかく保険経済が三十三年度も大きな意味で順調に推移するであろうということは、先生と同じような見当をつけております。
○岡本(隆)委員 そこで大臣にお伺いしたいのでありますけれども、昨年も恵まれたというと少し語弊があるかもしれませんが、相当な黒を出しておる。今年も引き続いて保険経済は相当な黒字が出るというふうなことでありますと、その黒字をどういう方面に使ってそれを生かしていこうかというふうなことをお考えになっていらっしゃいますでしょうか、あるいは今後どういうふうにやっていきたいというふうな構想でもけっこうでございますから、承わりたい。
○橋本国務大臣 政府管掌の健康保険の会計につきましては、この黒字の状態が漫然とこのままでいくということは考えられないことでありまして、保険経済ですから、長い目で見ると、やはり当然ある程度の変化が起りはしないかということは十分注意して考えなければなりません。現在のところでは、診療報酬の改訂をいたしたところでございまするし、保険経済の推移をもう少し見守りたいとは思っておりますけれども、それでもやはり黒字の情勢が続くのじゃないかと思われます。現在のところ、率直に申し上げますと、保険料を引き下げろという御意見もあり、また一部負担を考え直したらどうだという御意見もあり、それからまた保険給付内容の改善、特に予防方面に給付内容を広げたらどうだというような、いろいろな御意見があるわけであります。ただ保険の問題は、御承知のように一見小さな改訂のように見えても、大きな意義を持ちまするし、ほかとのつり合いも考えてみなければならないと思いますので、ただいま出ておりますいろいろな意見を考えまして、きわめて急速に一つの考え方をまとめて参らなければならぬ問題じゃないかと考えておるのでございます。今のところ、ここではっきりどういう方向にするということをきめておりません。その点は内部的に十分検討いたしまして、何らかの構想を立てて御相談申し上げるようにせねばならぬと考えております。
○岡本(隆)委員 同じ被用者でも、御承知のように、零細工場に働く人たちは健保の運用を受けておらない。今度それが国保に包含されるということに政府の方針がきまりましたが、五人未満の零細工場の数が大体どれくらいあって、そこに働く人たちが大体どの程度の数だろうということについては、およその数字をつかんでおられると思うのですが、御説明願いたい。
○高田政府委員 これは、私どもの統計調査部の調査でございますが、五人未満の事業所の数は大体百五万三千、ここに働いております従業員数が二百八万。これは全体の数でございますが、健康保険の適用事業で申しますと、そのうち七十八万一千の事業所が適用事業であると推定いたしております。そこに働きます従業員が百六十一万、大体こういうわけでございます。それで問題は、この百六十一万人の人たちが問題になるわけでございます。それからこの人たちの中で、現在すでに被用者保険に入っておる人がございます。それから、国保の中で特別国保に入っておる人がございます。それからその他の人で、すでに地域国保が実施されておるところに住んでおる人は、これらの中で地域国保に入っておるわけでございます。それで、前の二つの健康保険、それから特別国保に入っておる人の調査はございます。その百六十一万人の中で、三十六万五千人がその被用者保険並びに特別国保に入っておるので、これだけはこの百六十一万人から差し引いて考えておる。さらに差し引かなければならぬのは地域国保に入っておる人たちでございますが、これは住所地主義で国保をやっておりますので、どれだけ国保に入っておるか実は調査がございません。大体こういうふうな数字でございます。 なお御参考までに申し上げてみますと、五人未満の事業所の従業員というのは被扶養者が非常に少うございまして、平均一人当り〇・七人という数字が出ております。結局ひとり者が多いということでございます。
○岡本(隆)委員 それではこれら百六十一万の人たちを健康保険の中に吸収すると仮定いたしましたならば、その人たちは平均の標準報酬は少いわけですから、やはり相当な財政負担を伴うと思う。それはどれくらいと見積っておられるか、お考えになったことがありますか。
○高田政府委員 大体は平均賃金等も一応調べてございますので、計算をいたしますれば出ないことはないわけでございますが、ただ今申し上げましたように、百六十一万人の中で、三十六万五千人はすでに被用者保険並びに被用者保険に近い形をとっておる特別国保に入っております。あと地域国保に入っておる人も、数は未定でございますけれども、一応保険の対象になっておるわけでございます。その残りの人がどれだけあるかということは推定になるわけでございます。それらを勘案いたしますと、実はどれくらいの財政負担になるかということは、ただいまのところ計算いたしておりませんけれども、これはやはり相当な財政負担にはなると思います。
○岡本(隆)委員 大まかに見てどれくらいになりますか。
○高田政府委員 ちょっと申し上げかねますが……。
○岡本(隆)委員 被用者保険と国保の違いというものは、原則的には自営者と被用者というところにあると思います。またそうでなくてはならぬと思います。自営者の場合でありますと、たとえば農家でありましたら、かりに主人が病気をいたしましても、他の人たちの労働力をもって少くとも最低の生活がささえられる。また小さな商売を経営しておられる商家の家庭でも、主人が病気をしたとしても、どうにかこうにか自営者の場合には生活をささえる道がある。ところが被用者になりますと、その戸主が病気をした場合には、その日から、はたと収入の道がとだえます。そこで被用者に対しては傷病手当金というものがなくてはならない。またその上に傷病手当金制度というものはできておると思う。従って国保の果す役割と被用者保険の果す役割とは大きな意義の違いがあるわけでありまして、その被用者を、零細企業に働くがゆえをもって、国保の中にむぞうさに投げ込んでしまう。そしてこの傷病手当金に対しては、何らの考慮も払われておらない。かりに半額の一部負担は多少のたくわえをもってささえることができたとしても、しかしながら、収入が皆無になるということは、これはその人たちにとっては非常に大きな痛手なんです。従って健康保険の制度を医療保障の一環と呼ぶ限り、社会保障の一環と呼ぶ限り、どうしてもそれらの人については傷病手当金をどうするかという問題は真剣に考えなければならぬ問題だと思います。だから、五人未満の零細企業に働く人たちは、その人たちの収入が少ければ少いだけ生活が日々脅かされ、また一たん病気をした場合にささえる弾力性を全然持たないところの家庭経済をとっておる人たちなんです。ですから、当然それらの人が病気になった場合には、後顧の憂いなく治療ができるようなことを考えていかなければならない。だから、保険経済にゆとりができたなれば、その保険経済のゆとりというものは、何をおいてもまず五人未満の零細企業に働く人たちをその中へ抱き取っていくという努力を一番に心がけるべきである。またそういう人たちが病気をした場合には、勢いその人らは生活保護の適用を受ける運命にもなっていくわけであります。だから、政府は相当な財源をさいて、五人未満の人たちを国保の中へ押し込むというのじゃなくて、健康保険の中へ抱き取っていくという努力をすべきである。厚生大臣、その辺についてのお考えを承わりたい。
○橋本国務大臣 ただいま岡本委員の御質問の通りわれわれも考えておるのであります。ごく正直に申しまして、何年か前までは任意包括の制度を採用するに当って、御指摘のように五人未満の事業場においては報酬額が低いということで、あまり積極的に受け入れないというような空気がなかったでもないと私は観察いたしております。今日では五人未満の事業場の任意包括の申請があります場合に、賃金の実態等がどうもあまりでたらめで一向わからぬという方面についての再調査をお願いすることはありますけれども、これを任意包括の制度によって健保の適用を願い出てくるものにつきましては積極的に、できるだけ受け入れるような方向でやっております。むしろ、制度的に五人未満のものをどっちへ受け入れるかということになりますれば、それを国保の方に拾って健保の拡充をやらないということでなしに、これは御承知のように、事業主もそれから被用者の方も、両方の承諾が要るわけであります。任意包括の制度が出て参ります場合、できるだけこの方に受け入れていくようにいたしたいと今日考えておる次第であります。
○岡本(隆)委員 五人未満のものを任意包括で健保の中へ入れるような努力をしておるというお話でございますが、それでは局長にお伺いいたしますが、現在五人未満の零細事業場の従業員が、どの程度の数、健保の中へ吸収されておるのでしょうか。
○高田政府委員 先ほど申し上げましたように、三十六万五千が被用者保険並びに特別国保に吸収されておるものでございます。このうちの内訳をちょっとここに持っておりませんけれども、特別国保の数はそうたくさんはございません。従って、非常に多くの部分が任意包括で健保あるいはその他の被用者保険に吸収されておるというふうに考えております。なおこれは時期はちょっと忘れましたけれども、二年か二年半くらい前の調査でございます。従ってその後もこの任意包括は、賃金が安いとかなんとかというような、財政負担があるようなことの場合には、二、三年前までは御存じのように少し締めておりました。これをそういうふうなことでは断わらないというような方針に変更いたしております。今大臣がおっしゃいましたように、業態あるいは雇用形態が健保の対象になり得る、標準報酬の中で実態がつかみ得る、しかもそういうものであって、事業主、保険者が同意を与えてやってくるものはできるだけ入れていくというふうな方針に変っておりますので、その後も相当ふえておるのじゃないかと思いますが、最近の調査はございません。
○岡本(隆)委員 私の知り得る限りでは、五人未満の事業場で健保に入ったという人を私はまだ知らない。しかしながら私の住む世界が非常に狭いためにそういう人に逢着しないのかもしれませんが、零細企業場の人間で、先生何とかならぬでしょうかという相談だけはしばしば受けております。今あなたの方では包括する方針をとっておる、入れる方針をとっておるというふうなお話のようでございますが、どうも末端へはその声は届いていないように思う。しかも末端では、断わらないけれども歓迎しない、こういうふうなことなんだろうと思います。現実にそういうふうなことは私は見聞きいたしておりません。前国会でも私は具体的な例をあげてお話を申しました。とにかく末端の社会保険出張所としても無理からぬと思うのです。何しろ少い人員でたくさんの対象を扱っていく。もしも五人未満の事業場をほんとうに誠意を持ってその中へ包括していくというふうなお気持をお持ちになるなれば、五人未満の事業場の人たち、みんな来て下さいという、まず第一に広報活動をやらなければならない。頭からそれらの人をあきらめているのです。何らその広報活動が行われておらない。もしもそういう広報活動が広く行われたとするなれば、零細企業場の、事業主でなしに、そこに働く職場の人たちは大きな声を上げて参ります。双手を上げて飛び込んで参ります。そうすると、事業主もそれらの人たちの声を無視するわけにいきません。ただ事業主にすれば、自分たちがやはり保険料と同額のものを負担しなければならないから、事業主みずからが進んでいくということはない。これは零細企業であればあるほど、こういう社会保障の問題に無理解であり、むしろ自分が社会保障のおかげをこうむりたいような気持の人すらいるのであります。だから事業主に働きかけてもそれは無理なんです。そこに働く、ほんとうに医療保障を求めている人たちに対して、さあいらっしゃいという広報活動が行われなければ——これはそれらの人たちは知らないでいるわけなんですね。そういうふうなことをやれ、けれどもまた一斉に来られても、今度は社会保険出張所の方ではもう受け入れる態勢がありません、そんなにお客さんがふえたのではわしら因りますということで、意識的な策をやらざるを得ないような状態が、今日の社会保険出張所の人的構成の実態だと思います。それに対して、厚生大臣の方ではどういうお考えを持っていらっしゃるか。任意包括をやり、広くできるだけ多く健保の中へ抱き取ろうという気持をお持ちになれば、やはり末端の機関に対してもそれだけの手当を講じていかなければならない。受け入れ態勢を作ってから、さあいらっしゃい、こう言ってもらうのでなければ、これはそういうことは実際の運営には——考えや言葉の上には出て参りましても、実際の形となって出て参りませんが、その辺についてはどういう対策を持っていらっしゃるでしょうか、お考えを承わりたい。
○橋本国務大臣 実は任意包括の問題につきましても、そのさらに以前にありまする五人以上の事業場に対して健康保険の制度は完全に適用されているかどうかという問題に対しまする、ほんとうにわれわれの職責の問題でございますが、これを果す上での落ちのないようにいたしまする問題につきましても、それは今日われわれの出先機関というものをもっと真剣に活動させなければならぬと考えております。現在のところでは社会保険出張所もフルに活動いたしておりますが、ただいま御指摘のございました五人未満の事業場の人たちに対して、まずとにかく任意包括の制度のあることを知らせ、やはり話を事業主、被用者、両方まとめなければなりませんけれども、できればまとめて、恩典に浴させる、こういうことにつきましても、さらにまた強制適用の本来ありまするものに対して落ちのないような監督をいたしますることにつきましても、もう少し社会保険出張所の内容を充実する必要はあると実は考えております。予算の問題等いろいろございまするけれども、なお充実をはかりながら、ある機関をできるだけ活用して働いていきたいと考えております。正直のところを申し上げますと、人手は不足しがちでございまして、強制適用の問題につきましても、軒並みに監査して歩くということはとうていできませんものですから、町の声の出るのを待って、出てきたものについてだけ拾い上げていくというような状態でございますので、これもできれば充実をいたしまして、もう少し全面的に落ちのないようにいたしたいと考えております。
○岡本(隆)委員 これは医療保障上の大きな問題でございますので、私たちもこれから後はただここで議論しているのでなしに、その広報活動の戦列の中に入って、政府のお手伝いをさせていただこうと思いますから、政府の側においてもそういう場合には快く受け取っていただくことをお願いいたしたいと思います。 次に医療保険の問題の中で、やはり今日大きな問題として残されているものに診療報酬の問題があると思うのであります。先般厚生省は甲乙二表を作成して、今月からいよいよその実施に入っておるわけであります。さてその実施の結果を見てみますと、医療機関の九割までが乙表をとっております。政府が最初予想されており、かつまたこれが一番いいんだという考え方をとっておられました甲表が、政府機関あるいは政府の直接の指令の届く範囲にとどまって、ほとんどの医療機関が乙表を採用しておる。ことに私も最近知って驚いたのでありますけれども、たとえていいますと、この委員会にもいつも出ておられる亀山孝一さん、厚生省の政務次官をしていらっしゃり、今回愛病院の理事長をしておられます、院長は三沢さんでありますが、あのような権威のある学者を院長に持ち、しかも亀山さんのような厚生省の方針には非常な理解を持っておられる人が理事長をしておられる病院ですら乙表をとっておる。これは乙表をとらざるを得ないのですね。こういう現象について厚生大臣は今どのような見方を持っておられるのか、御見解を承わりたいと思います。
○橋本国務大臣 医療費の問題は、昨年以来の経緯は御承知の通りでございまして、私はごく率直に申し上げますけれども、医療費というものは、本来の趣旨から申しますと、同一診療行為に対して二つの表があるというのはほんとうはおかしいのでありまして、これは非常な帯心をいたしましても、合理化という精神に従って十分検討の上一本にすべきものだと私は考えております。ただ、従来の診療報酬の点数表に対してもいろいろ問題があることは確かでありまして、前大臣のころ御苦心されまして、それに対する相当急激な変化を考えられたわけであります。急激な変化でありますだけに、一つの理想ではあるけれども、経営上の関係等もあって、いきなりそれを全部採用させるのは無理じゃないかということで、一つの経過措置のようなもので乙表を作られたわけであります。そういう関係から申しますと、本来からいって甲表だけを強行するのは無理だということで乙表が経過措置として出たという見地からいいましても、むしろ経営上の関係等からいいますと乙表をとった方が安心だという気持は一般にあると思いますし、そういうことを考えればこそ乙表というものは考えられたと思うのです。そこで、この甲乙二表の原案を一表にするのが理想であるとしても、それはなかなかすぐ一表にすることができない。しかしそのために診療報酬の改善、医師の待遇の改善をおくらせるのはよくないと思いまして、前内閣時代にきめられた方針に従って一応今月の一日から実施をいたしたわけでございます。ただそういう経緯でございますだけに、この甲乙二表というもののいろいろな経緯はあるにいたしましても、この採用を全く診療機関の自由ということにいたしまして、これに対してどっちがいいとか悪いとかというような指図はいたしておらないのであります。ただ私が厚生省として管理者の立場にある国立病院、療養所等につきましては、経営の責任にありますのは院長とか療養所長でなしに厚生大臣でありますから、いずれかにきめなければなりませんので甲表の採用ということをきめて指令をしてあるわけであります。ほかの医療機関につきましては、甲表、乙表とも自由なお考えで御採用願いたいということで、その場合、とにかくこうした変化のある場合に乙表の方が経営上安心だという考え方の方が多かったのだということを率直に考えておる次第でございます。
○岡本(隆)委員 医療費の改訂というものは、少くも現在の医療費が非常に低い、だから医療機関の経済を安定させるためには八・五%の引き上げをやらなければならないという観点に立って、甲表をとっても乙表をとっても八・五%引き上げになるように、またなりますということで発表されたわけですね。ところで、私がよく知っておる医療機関一カ月分の診療報酬を調べた結果をその院長に聞きますと、その病院はまた非常に良心的なやり方をしておる病院なんでありますが、その医療機関の一カ月分のものを全部甲表、乙表に翻案して計算してみますと——そこは各科あるのですが、その医療機関の計算をしますと、甲表をとると五%の収入減、乙表をとると一%の増になるという結果が出ております。しかもその病院は、おそらく保険局長がその診療報酬の請求書の内容を見られたら、これは実にまじめな医療をやっておるというふうに確かに思われるだろうというくらいに、相当信頼できるような医療機関なのです。そういう医療機関でやっておる診療報酬の結果を翻案してみた結果でも、実際的には引き上げになっておらないし、甲表のときには逆に五%減になる。これは私も請求書を見せてもらって、事実そのような結果が出ておるわけであります。それでは甲表をとろうにもとれないじゃないか。ある点、甲表にはうなずける面もないではない。だから甲表をとってみてもいい。両方やってみて、どっちも同じような程度ならばむしろ甲表をとってもいいというふうにその院長は考えておった。ところがこんなことじゃどうしてもとれっこないというふうなことになる。それかといって甲表をとれば甲表並みに、診療報酬がふえるような診療方針の変革をやる。つまり診療点数表を見て、それに有利になるように診療方針の変革をやるというふうなことは、正しい医療ではありません。従来の医療方針が正しいと信じるならば、それから後もその通りの診療方針をとっていくのが当然なんです。そうすると、従来みずからが正しいと信じておる診療方針をとっていけば、逆に五%減になるということになるので、やはり乙表をとらざるを得なかった、こういうことになって参るわけです。従って、おそらく三沢さんが院長をしておられる同愛病院でも、やはり私はそういう結果が出ておると思うのです。だから診療報酬の問題というものは、決して甲表乙表が出て実施に移されたということだけでは解決された問題ではございません。また医療機関がこれだけ今の診療報酬というものに大きな不満を持っておる限り、この問題が一応落着したとはいえない。先般の大臣の御答弁でも、ここ少くも二、三年はちょっと様子を見たいというふうな御意見であるかのようにもうかがわれたのでありますけれども、そういうことではこの問題は、くすぶるばかりか、もっとくすぶりが大きくなって爆発点が出てくると思う。従って厚生省の方でも考えていただいて、この問題をもう一度真剣に検討し直してみるということをお考え願いたいと思うのでありますが、それについての御意見を承わりたい。
○橋本国務大臣 全くそのつもりでおります。実は六月に、十月一日に実施いたします案をきめました際にも、先ほど申し上げましたように総体をあの際練り直して、十月一日の実施に間に合うように急速に練り直すということは不可能の状態である。そのために従来の点数表そのものによって、診療報酬の改訂をしないのは、医療担当者にも気の毒だと思いましたので、そこで先ほど申し上げたように、とにかく一応の話し合いによって私の責任でまとめまして、そして、ただし甲表というものは理想によって作ったもので、将来もその精神は生かして参りたいと思うけれども、しかし現実に今日出された甲表、乙表は御自由に御採用願いたいということで発足いたしたわけであります。ところがそれを練っております間にも、とにかく二表あるというのは不合理じゃないかという御意見も十分出ますし、個々の具体的な問題についてもいろいろな御意見も出ますので、一応実施には移すけれども、これは直ちに急速にこれの一表化に対して努力をいたしますことと、それから一表化するに当りましては、どうせいろいろな利害関係者の間で、利害関係から出たところの議論を経なければなりませんけれども、その基礎的な案を検討するに当っては、十分科学的に診療行為の内容に従って、報酬の多寡というもののバランスは十分考えておるということはお話し合いをいたしまして、その際医療担当君対してもそういう方向でやるのだというお約束をいたしておる次第でございます。私も今日何もしないでほうっておるわけではございませんので、実はその約に従ってやるつもりでおります。ただ御承知のように、今日問題をかけて参ります上での社会保険医療協議会の欠員補充の問題について、これはやはりいろいろの問題で多少もめがございますので、その点を円満に解決することが——できなければば別ですが、私は円満に解決することはできるということを信じておりますので、多少気長に骨を折って参ったのですが、ある程度私の期待が実りそうに実は考えておるのでございます。そこでいろいろな考え方はございますけれども、とにかく最終的な仕上げというものは、何といっても医療協議会にかけて決定をしなければならぬ問題でありますが、医療協議会というものが欠員補充をして、直ちにきょうでもあすでも、御相談をしようと思えばかけられる状態になっていないのに、なんだか下相談のようなものでもするということは、これは医療協議会を無視するのではないかというような誤解を生じて、問題の解決をよけい困難にするのではないかということを考えまして、急がば回れだと思って、実はその方を円満に発足さして、そして医療協議会にかければいつでもかけられる状態をちゃんと作って、誤解のないような形において、診療報酬の問題はこのまま放置してはならないけれども、合理化の精神というものを基礎に置きながらさらに再検討して、一本化する方向に努力をしなければならぬと考えておる次第でございまして、ただいま岡本委員の御提言の通りにするつもりでおります。
○岡本(隆)委員 この診療報酬の問題につきまして、私は前の国会で、本会議の席上で党を代表してで岸総理にお尋ねをいたしました。今までのような地方医療協議会のような組織をもってしては、この医療費問題の解決は困難である。いわばあれは各利益団体の代表の集まりでありますから、いつまでたってもあそこではけんかばかりしておるのです。だからあのような機関をもってしてはこの問題は解決できるものではない。中立的な裁定機関を作って、そこで解決しなければならないが、どう思われますかと私お尋ねしましたところが、総理も、それにはしごく賛成である、こういう御答弁でございました。それから後解散になりまして、あらためてこの法案が出て参った。当然私は総理が、そうお答えになった限りそれが織り込まれておると、楽しみにしてあけてみましたところが、全然それは入っておりません。昨日河野委員が、審議権というものをどうするのだ、国会の審議のあとというものをこの法案は全然鼻にもひっかけていないじゃないかというふうに申したのも無理ないと思います。一番重要な問題が、しかも総理も賛成だといっておられるような問題が、全然それに対して筆を加えるということなしに、原形のままで出てきておるというところに私どもの大きな不満があるわけであります。そういう問題の検討及び決定ということは各利益代表者で討議するのじゃなしに、もっと中立的な機関によってきめなければならぬ、こういうふうに思うのですが、大臣はいかがお考えになるでしょうか。
○橋本国務大臣 これはきわめて重要な問題でありまして、この問題もいろいろに実は考え、なお省内でも検討いたしておる次第でございます。ただいままだ結論をどうこうということは申しませんが、私の今日考えております基本的な考え方だけ申し上げたいと思うのです。やはり診療報酬の問題に関しましては、医療担当者といたしましても保険者といたしましても、それから一般公益という点からいいましても、それぞれ関心のあるところでありまして、従って最終的に診療報酬をどうするかということ、つまり案を作る過程の問題でなしに最終的に決定をする場合には、どうしてもやはり、いかなる議論があり、あるいはついに折れ合うことがあってもなくても、利害関係者の議に付し、その意見を聞くチャンスというものがなければおさまらないのじゃないかと思うのであります。一番望ましいのは、ただいま岡本委員から御提言がございましたように、利害関係者の間で十分そういう点を考慮の上で、どうせ自分たちのそれぞれの立場があるから、中立委員の判断に服しようじゃないかという建前になって、そういう機関ができるということが大変望ましいことだと考えております。私はそれが一番の理想でございます。ただ関係者の間で十分納得を得ないのに法律を出して無理押しをして、そして利害関係者の発言の機会を封ずるような形になるということは、どうも話をうまくするゆえんでないと考えますので、今日のところでは、私はやはり中央社会保険医療協議会という、せっかく今まで作られておりまするあの制度というもの、少くとも最終的に診療報酬の問題を決定する際にはあそこにかけて決定する、従来通り利害関係者、保険者についてもだれについても、あそこでの発言のチャンスがあるのだというふうにしておいた方が、今日の現実の事態としてはむしろ安心のいく方法じゃないかと考えております。ただ診療報酬のような技術的にもいろいろ考えてみなくちゃならないし、それから頻度の計算等についても各医療担当者によって相当違うというのを、総体的にまとめた問題を扱うような場合において、案の基礎からああいうところで討議立案するということは、これはなかなかむずかしい問題でございます。その点についてはやはり厚生当局が、ある一半の責任は負いながら、あの医療協議会の専門部会を活用するという方法もございましょうし、何かほかにもいろいろな考えようがあると思いますけれども、下の案を起案し、その利害得失を解明するということだけは、現在までの中央医療協議会の運用だけを考えているとうまくいくかどうか、これはいろいろな面で懸念があると思います。そこで私の考えておりますところは、最終結論を出す際にはとにかく中央医療協議会に必ずかけて、今まで通り関係者の意見を聞くという建前を堅持しながら、その幅の中で合理的な討議のできる方法は、勝手に私どもが考えるだけでなしに、十分関係方面とも御相談して将来のあり方というものをもう少し研究したいと思っております。
○岡本(隆)委員 もちろん各関係者の意見を聞くということは大事でございます。しかしながらその原案は厚生省の手によって作られ、そして資料も厚生省の手によって提供される、そういうことになって参りますと、厚生省というものはどういう機関か、政府機関という形においては公正中立なものでなければならぬ、しかしながら保険者の中で一番大きな保険者なんです。政府管掌の管理をやっておられるだけに一番大きな保険者なんで、だから保険者である厚生省が中立な立場において原案を作ります、あるいは基礎資料を整えます、こう言われたところで、その関係団体のすべての人はそうは思わないのです。また作成する側も、保険者たる立場においてということがどうしてもその中に入ってくる。しかも大きな予算の、場合によれば国の大きな財政支出を伴うわけでありますから、自分の方の資料のいかんによったら、それこそ大蔵省とも大げんかの一つもせんならぬということになってくる。そういう難局に逢着するのはかなわぬから、なるべく難局に逢着しないようにうまく逃げたいという気持が潜在意識の中に入ってくるのは、私はやむを得ないと思います。だから勢い出てくる資料も案も、多少なりともそこに色づいたものが出てくるということは否定できないと思います。従って現在のような形でもって医療費の問題の検討が続けられていく限り、医療機関との間にはなかなかうまく話は進まないだろうし、かりに公正なものだということで渡されても色目で見る、こういう弊はやむを得ないと思います。従いまして医療費の決定に当ってはどうしても厳正中立な機関というものを設けなければ、これはこれから後長い将来の問題で、この問題をここで一回だけ片づけたら、それで八万円満におさまれば将来ずっとそういけるのかといえば、決してそうではありません。物価の変動に伴って——物価指数の変動だけでなしに、医療というものは設備が非常に問題になってくるわけであります。昔は内科系統であれば聴診器一本あれば診察できた。ところがこれから後の医療機関というものは決して聴診器一本、メス一丁では成り立ちません。相当大きな設備というものを持たなければ医療機関としての機能を発揮することはできない。またそれだけの設備を持つのには、それだけの設備を大きく要求されればされるだけ、医療費というものはそれに伴って上昇していかなければならない。従いましてこの経済状態の変革と一緒に、科学の進歩というものに適応して、時代にマッチした医療というものを医療機関に遂行させるためには、どのような医療費が適正であるか、こういう観点から物事を見ていかなければならないのです。単に物が上ったから、公務員のべースが上ったからそれに合せて上げていくのだ、これでは話にならないのです。なるほど公務員の給与なら、それは物価指数に見合って、それでもってきめていけば適正な数字が出てくるかもしれない。しかしながら医療費というものは、単にそのような物価指数の変革、物価の変革というものだけでは、これは解決のつかない問題であって、やはりその時代の科学の水準というものにマッチした医療をすべての医療機関に行わせるという限りにおいては、また違ったファクターが入ってくる。従って専門的にそういうものを絶えず検討していく機関がなくてはならないと思うのです。医療問題が問題になってきたから、厚生省で今までのでき合いの機構の中で、よしそれをやっていこうかというので動員して、徹夜してパチパチそろばんをやるというようなことでもって、これから後日本の医療保障というものは決して円滑に動いていきません。公務員の給与の場合ですら、やはり人事院というものがあるのです。そして別に一つの大きな権限を持ち、それでもって政府に、公務員の給与水準というものはかくあるべしという一個の独立した、政府機関とは別の立場に立ち、独立したところの意思決定をやって勧告する権限を持っておる機関があるわけなんです。少くも国民全体に非常に密接な関係があるところの医療費問題を決定するのに、間に合せの政府機関の保険局の一部でやっておるというような、こんなおそまつなことでもって日本の医療費を決定しようなどということ自体に私は大きな誤謬があると思うのです。どうしても私はこの問題は、人事院のような形の別な、厚生省とは別に独立した機関でもって、適正な診療費というものはどうあるべきか、医療費はいかにあるべきかということを決定して、それを勧告することができるというような裁定機関というものを持たなければ、私は日本の医療保障の将来に大きな暗影を投げかけると思うのでありますが、その辺についての大臣のお考えを承わりたい。
○橋本国務大臣 私も、どうも医療費の問題に関しまする従来の扱い方というものは、この際根本的に考え直さなければならぬ問題だと思っておるのです。これはやはり現在までの日本の医療が、国民皆保険ということでなしにずっとやって参りました関係からしまして、昭和二十六年のときにもまた昨年のときにも、医療費の引き上げ問題というものは、何か特別な大事件として出て大騒ぎになっておるわけです。国民皆保険をやっていきます上からはただいまお話のございましたようにこれはいろいろなファクターからして、物価が上ったという原因からも出て参りましょうし、物価が上らないまでも日本の経済が発達して、一般に所得水準が上ったのだから、医者の水準も上げろということもありましょうし、また医術の内容という点から、またいろいろ医療内容の向上という点からも問題があると思います。これはやはり少くとも定期的に私は国民皆保険下における社会保険診療報酬の問題というものは、やはり改訂問題が随時あるいは週期的に必ず起ってくるものであって、従ってそれに対してはむやみに感情的ないさかいまでまじえて大騒ぎをしなければならぬような状態というものはよくない。これはやはりあくまでも科学的に検討した上で、物事が穏やかにきまっていくような仕組みというものをこの際私は真剣に考えなければならぬ時代に相なっておると思います。今日、私就任いたしましてから、その基本の方針は天下にお約束をしながら、どうしたらいいかということを実は考えておるのでありますが、なかなかやはり利害の錯綜と感情の問題と相待ちまして、今はちっとも変えてはいかぬという強い御意見を始終言ってこられる方もありますし、根本的に変えなければならぬという御意見もございますので、私は具体的にどうするということをただいままだ申し上げかねるのでございます。そういうことをかりにきめるといたしましても、ただいま御提案のあったような医療報酬のきめ方をどうするかという医療報酬のきめ方のまたきめ方というものにつきましても、これはよほど十分いろいろな方々の御意見を伺ってやらないと、厚生省がひとり省内一隅でこういう案をこしらえるということでなしに発足をしないと、とてもうまくいかないと考えておるのであります。従いまして今日ここで具体的にどうするかということを言明申し上げられませんけれども、お話の筋としては、あくまでも将来週期的に、ないし随時起ってくる問題であって、それはもうきわめて冷静に科学的に判断をされなければならない問題である。その仕組み、今までの行き方ではどうも不十分だと思いますので、これは十分皆様方また関係の方々の御意見を伺いながら、なるべく早い機会に具体案を考えて参りたいと思っております。 ただ私、繰り返して申しますけれども、なかなかいろいろな疑惑というような問題もありますだけに、当面やはり今日あります中央社会保険医療協議会の構成の問題だけは、ごく円満になるべく早い機会に解決をして、それからそういう問題について医療協議会自身の御意見を聞くという形で発足した方が無事ではないかと思っております。
○岡本(隆)委員 中央医療協議会のような機関というもの、それは各界の意見を反映させるためには必要だと思う。それは別な委員会の下へ置いて諮問機関として、今厚生大臣の諮問機関であるが、今度は別な機関に、中央医療協議会のようなものをその諮問機関として置けばいいのであって、やはりそういうすべての人が中立的な立場において運営が行われておるという一つの委員会、しかもそれは常駐的なビューロー、事務局を持っており、そしていろいろな構成でもって絶えずその問題の検討を続けておる。だからそこから出たところの結論は公正なものなのだということはだれの目にも見える。だからそれに対して不満を唱えれば、唱える方がどうかしているのだと感じられるような権威のあるものを作っていただかなければ、現在のような形の紛争が将来長く続けば、日本の医療保障制度の発達のために非常な障害になるということを先ほどから申しておるわけでございまして、これは一つの提案でございますけれども、この問題は厚生省の方でも真剣にお考えを願いたいと思うのです。 それからもう一つこの機会に診療報酬問題をめぐって、今度の甲乙二表についての私の直観的な感じを申し述べておきたいと思うのです。それは今日の疾病治療には、根治療法と対癌療法とございます。たとえば手術をして悪いところをすっかり取っちゃうというふうな根治療法、あるいはまた頭が痛いから頭が痛いのがとれるように、熱があるから熱をさますようにという、症状に対して行う対症療法、この二つあるのです。外科的な治療というものは主として根治療法が多い。従ってそれに対する診療報酬というものは相当重く見られておる。ところが内科的なものに対しては、従来対症療法が多くとられておったために、診療報酬面において比較的薄く扱われておる。しかし内科方面でも、このごろ新しい薬品が非常に躍進してきて、根治療法がどんどん薬物療法で出て参りました。その最も著しいものは、結核に対するパス、マイシンであり、あるいはまた肺炎その他化膿性疾患に対するところのペニシリンであり、というふうなものですね。そういうふうなものがどんどん新しく出てきておる。そういうふうな新しく出てきたところの薬品というものは、全部新薬として取り扱われております。それが相当期間たちますと、局方の中に入って参ります。ところが新薬として扱われておる間というものはどうしても薬価原価が高いわけですね。従って内科的治療というものは、その内科の臨床家ができるだけ新しい優秀な薬品を使って良心的な治療をやっていこうというのには、どうしても薬品コストが高い新薬類を使う傾向が出てくるのはやむを得ないと思う。またそういうふうな新薬を使うなというふうなことであれば、これは医学の進歩というものはどこにもございません。また一部の診療機関、たとえば大学の病院であるとか一部の診療機関で試験的に使われて、それなら効果があると規定されてから一般の民間医療機関が使ってよろしいといったふうな考え方を保健当局が持たれるとするなれば、それは民間医療機関の研究心を頭からもぎ取ってしまうような行き方でありまして、いやしくも医学者というものは科学者であります。みずからの得たところの科学的な技術というものを持って人間の生命を救っていこうという立場のものなんでありますから、従って内科的な医療機関が新薬を使えば非常に不利になるというふうな診療報酬の決定をされるということは、これは日本の薬物療法、科学療法の芽をつんでしまうことになるわけでありまして、こういう方針は厳として私は慎しんでいただきたいと思うのです。ところが現在の甲表乙表、いずれを見ましても平均購入価格というふうなものがその中にありまして、比較的薬価の高い薬品を使うとマイナスになるように上手に仕組まれてあって、経済的に局方品ないしはそれに似たものを使わなければ運営が困難になるように上手に、きわめて巧妙なやり方が行われておるわけなんであります。こういうふうなことについては、やはり厚生当局の方でも今後お考えを願いたいと思うのです。これは意見でございますが、もし御意見があればまた局長さんから何か承わってみたいと思います。
○高田政府委員 御意見の方向としては私も同感でございます。また御存じのように使用する薬品というものは、これはもちろん製薬許可を得たといいますか、医薬品として認定された、オーソライズドされたものでないとこれは工合が悪いわけでございます。よく大学等ではいろいろ臨床実験というものを、製薬許可の前にメーカーでお願いしたりなんかしてやっておるのも事実でありますが、保険の方で現実に取り上げるということになりますと、まず第一に、それが医薬品としてオーソライズドされたものでなければならない。医薬品としてオーソライズドされたものでありますれば、今日の建前でも、これは先生御存じのように、薬価基準に載っておる薬は三千種類から三千五百くらいになっております。おそらく今日の薬というものは全部載っておるわけでございます。むしろ薬価基準の登載品目を少し整理をしたらどうかという御意見が、これは保険者側からではなく、薬関係者とかあるいは医療担当者からも出ておる程度に、非常に広く載っておるわけであります。従いましてそれに載っておる薬は使えるわけでございますが、まずこの薬について医薬品としてオーソライズドされ、しかも医学の方でも、大体これは間違いないというふうに学界でオーソライズドされたものはおそらく全部網羅しておるという格好になっておるわけでございます。 それからもう一つ御指摘の、平均薬価で払う場合、そういういい薬はたとい医薬品として登載され、薬価基準に登載されておっても、なかなか経済的に使えなくなるのではないかという御指摘でございます。御指摘はおそらく甲表におきましては六十円未満は平均払い、それから乙表におきましては六十円未満は十五円刻みでそれぞれ平均払いになっておる。しかしそれ以上は御存じのように、みんなそのものずばりの価格で払うわけでございます。従いまして今御指摘のような、最近出て参りました、ことに内科方面で根治療法に使われるというような薬、ペニシリンは最近安くなりましたけれども、その他の薬におきましては大体五、六十円以上のものでありまして、そのものずばりの値段で払うというような仕方になっておりますので、まずまず心配はあるまいかりと思いますけれども、しかし事の性質といたしましては、物事の方向といたしましては、先生御指摘のような点も十分注意をいたしまして、将来の点数等の問題についても十分検討を加えて参りたい、こういうふうに考えております。
○園田委員長 午後二時まで休憩いたします。 午後零時五十八分休憩 ————◇————— 午後四時三十五分開議
○園田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。 国民健康保険法案外二法案についての質疑を継続いたします。岡本隆一君。
○岡本(隆)委員 けさこの法案の基本的な問題についてお尋ねいたしましたので、今度はこの法案の各条についての疑問点についてお尋ねいたして参りたいと思います。 まず第一に法案第三十六条でございますが、組合は、被保険者の疾病及び負傷に対して療養の給付を行うということが書いてございます。ところが今度四十条の方を見ますと、療養の給付を受ける者は、二分の一に相当する額を療養担当者に支払わなければならない、こういうふうに規定してございますが、この国保の法律でいうところの給付というのは、療養そのものなのですか、あるいは療養に要する費用の半額なのですか、どちらになっておりますか。その辺をはっきり御説明願いたいと思います。
○高田政府委員 お答えいたします。給付は療養全体でございます。
○岡本(隆)委員 そうなって参りますと、保険者は被保険者に療養全体を給付する。そうして被保険者は、今度は医療機関に対して費用の半分の支払い義務がある。そうすると、もしその義務を履行しない被保険者があった場合には、その義務というものはだれの手によって果されるのですか。
○高田政府委員 その義務を履行しないということの性格によるわけでありますが、保険者は被保険者に対して療養の給付をするべきものでございます。それでその療養の給付をする場合の条件としては、法律でその要する費用の半分はまずそちらで払って下さい。それは被保険者の義務ですから、その関係においては、被保険者はその義務を果さなければ療養の給付を受けられない、こういう関係になるわけであります。それで先生の今御質問の点では、ところが現実に被保険者が医療機関に払わなかった場合に、一体だれが処理するかという問題でございます。その点につきましては、具体的な問題としては、一体その払わなかったということがどういう事情によるのであるかという問題になってくるわけでございます。それがもし被保険者の方で負担能力がなくて、全部あるいは一部が払えないという場合もございましょうし、あるいはそう貧乏ではないけれども、一時的にそのときの工合で払えなかった、そのとき手持ちがなかった、しかし将来は払えるというふうな場合、いろいろあると思います。さような場合におきましては、これは四十二条の方に規定がございまして、保険者は一部負担金を減額したり、免除したり、あるいは指定医療機関に対する支払いにかえて、一部負担金を自分が直接被保険者から徴収することにして、そうしてその人が払えるようになるまでその徴収を猶予する、そういう措置をとるわけでございます。かような措置をとりました場合は、もちろん医療機関の方には保険者が払うわけでございます。大体そういうふうなことになっております。
○岡本(隆)委員 この未払いの問題は非常にしばしば起ってくる問題であると思う。現実にもあるでありましょうし、またこれから後、ことに零細企業の従業員が国保の中へ取り入れられた場合には、診療券の絶えた人が医療費を払うということは非常に困難だと思います。だから、こういう問題は非常に多く出てくるケースでありますが、その辺のところをもう少し具体的に、どういうふうな場合には保険者の方で支払うのか、もう少し明確にしておいていただかなければ困ると思うのですが……。
○高田政府委員 これはもちろんケース・バイ・ケースの問題になるわけでございますから、それぞれのかかりました被保険者の負担力によるわけでございまして、画一的にどうのこうのということはちょっと言いにくいかと思うのです。従いましてケース・バイ・ケースの問題になるわけでございますが、別に四十三条の方の第一項の規定をお読みいただきますと、結局指定医療機関が保険者に請求する金額というものは、一部負担金を控除した額とする、こういうことになります。 〔委員長退席、八田委員長代理着席〕 従って、先ほど申しました四十二条で減免をされたり支払い猶予の措置を受けましたものにつきましては、それを全部保険者がかぶって、そうして医療機関の方からは請求ができるという法律関係になるわけであります。しからばもう少し具体的に話してみよという仰せでございますが、今のようにケース・バイ・ケースの問題でございますので、こういう場合にはどう、ああいう場合はどうというふうなことにはなかなか申し上げられないと思いますけれども、抽象的に申しますと、その被保険者が負担力があるにかかわらず、医療機関の方で徴収をしなかったというふうな場合には、これは被保険者の方も悪いのでございますし、医療機関の方でも徴収しなかった——これはできるだけ御協力をいただく意味において徴収に大いに努力していただかなければならぬ建前になっておりますので、十分御努力を願わないで、しかも被保険者の方には負担力は十分にあるというような場合には、これは保険者の方は減免の措置はいたさないと思います。こういうふうな場合には被保険者と医療機関との関係になって残る。ところが医療機関の方で徴収の努力は十分していただいた、しかるに被保険者の方に負担力がなかったとか足りなかったとか、あるいは一時的になかったというふうな場合には、これは四十二条の減免の規定あるいは徴収猶予の規定がありまして、これを保険者、つまり市町村が払う。こういう取扱いになります。それ以上にさらに突っ込んだことになりますと、具体的にこういう場合、ああいう場合ということになるわけであります。
○岡本(隆)委員 そういたしますと、実質的には被保険者が医療機関から療養の給付を受けます。そうして一部負担金をそのとき払わずに帰った。それで療養担当者の方からたとえば二回、三回と請求いたします。そうして請求してもなお払ってこない場合には、あなた払えなければ一つ保険者の方へ支払い免除の申請をしてくれ。そこで支払い免除の申請が出ますと、保険者の方でそれを実質的に負担能力があるかないかを審査して、その結果支払い能力がないと認めた場合には、療養担当者の方へその通知をすれば、請求書が出ますから払ってくる。こういう順序なるんですね。 そこで私は問題があると思うのです、これは今日生活保護法でしばしばそのケースがある。とにかく生活保護法で医療機関の方へ来ます。医療機関の方へ行きます場合に一応初診券を持っていく。緊急を要する病気だから、たとえば急性盲腸炎やジフテリアとか子癇というふうな形で、緊急を要するから応急の治療をしなければならぬ。医療機関としては事人命に関する問題でありますから、そのときには患者の経済力というものは全然無視して、万全を尽して治療いたします。ところがいよいよ診療管の支払いという場合になって、生活保護法でございます、じゃ手続しなさい。民生委員もしくはその他の機関が審査いたしますが、支払い能力があるというふうなことで医療券の交付がありません。ところが片方は、一応民生委員を通じてなにしているんだからという気持がある。実質上やはり医療費の負担が困難なボーダー・ラインになって参りますと払って参りません。だからそこに非常な見解の相違があるわけですね。またその見る場合見る場合、あるいは今のケース・バイ・ケースによって、いろいろの程度の差はあるにしても、相当まとまったものになりますと、これは支払い困難なのは言うまでもない。従って、それが全部医療機関への審査からはずれたものは、医療機関への未払いとして残ってくるわけです。今度こういうふうな四十二条のようなものが一応あるということになって参りますと、勢いこのケースが相当ふえてくると思う。このケースによって、保険者の認定によって払ってくる、払ってこない分についてはほとんどが医療機関の負担になって、たださえ今日保険経済の中で苦しい経営を続けている医療機関が、相当困難な場合に逢着してくる。それをどういうふうにあなたの方で考えておられるのか。それはとらぬのが悪いのだというふうな気持でいらっしゃるのか、あるいは医療機関というものは昔から医は仁術といわれているし、また事そういう場合になったら——ほかの場合だったら、米屋が、米を買いにきたときに、金を持ってこなければ売れないといっても、これは世の指弾も非難も何も受けないのです。しかしながら医療機関の場合は、金を積まなければ手術をしない、あるいは金を積まなければ治療をしない、こういうことは人道上言えることじゃありません。だからそんなことは度外視してやりますが、あとのことについては、保険者の方で、そういうふうな立場にある医療機関に対して、相当あたたかい考慮がなければ、医療機関というものは成り立たないと思うのです。その辺について、どういうふうなことを御考慮願っているのでしょうか、お聞かせを願います。
○高田政府委員 生活保護法の場合の御引例がございましたが、生活保護法は、御存じのように国民の税金でもって、しかも最低生活を保障するということで、全般的に、一口に言えば相当きびしく運用をいたされておることは御承知の通りでございます。またそうするのが国民の公共の立場か見まして当然であると思います。国保の場合には、何といいましても市町村の住民であります。しかも自分たちが保険料を納めてやっておるわけであります。おまけに住民でございますから、大都市においては、これはそうは参りませんけれども、保険者である市町村当局は、その人の生活状態を非常によく知っているわけであります。財産状態もよく知っている場合が非常に多い。このような場合でございますので、生活保護法の場合と国保の場合とは、非常に違って参る場合があるということは、当然考えられるわけであります。また従って今のような問題につきましても、現在すでに市町村局当と医療機関の関係も、まあ生活保護法のようにいろいろきしんでおるわけではないので、こういう問題がある程度円満に処理されておることも、これまた事実でございます。 〔八田委員長代理退席、委員長着席〕 しかし、そうは申しましても、確かに御指摘のような問題が起り得ると思います。これは医療機関の方の側からいえば、自分がほんとうに受け取った金以外は全部保険者がしょってくれるということが、一番望ましいわけでございます。ところが保険者の側の方からいいますと、もしそういうふうなことにいたしました場合には、これは被保険者の心がけなりあるいは医療機関のやり方いかんによっては、五割給付といいながら、結果的には十割給付になってしまうおそれがあるということになるわけであります。従いまして、財政計画も立たない、非常に赤を出すというふうなことになって、まあその他の医療機関に対して、支払いがおくれたりして御迷惑をかけるというふうなことになりかねないわけであります。従ってこの間をどう調整するかということが結局問題の要点になるかと思います。法律的には、今のように条文としてはある程度の保障はいたしておるわけであります。従ってこれをどう運用するかという問題になって参ります。私どものただいま考えておりまする気持といたしましては、被保険者の方も一部負担金を支払う意思がある、あるいは能力がある、絶対的にないわけではない、それから医療機関の方でも善良な管理者の注意をもって十分に請求の努力をしていただいた、しかしどうも入らないというふうなものにつきましては、これは運用の問題といたしまして、保険者の方から医療機関の方に払っておきまして、そうしてその一部負担金は保険者が徴収することにして、そうしてすぐ取り立てられないものは徴収猶予にする措置をとるとかなんとか、運用の上において具体的にそういうふうに円滑に参るような措置を考えて参りたい。結局ケース・バイ・ケースの問題でございますので、そこは医療機関側の方も十分請求の努力をしていただくし、保険者側の方もなるべく、ほんとうに一生懸命に努力をしていただいたものについては御迷惑をかけない、こういう立場から、その辺の調整のつく妥当な線を生み出していただくのがいいのじゃないか。具体的にどうするかということにつきましては、いろいろ御意見なり何もあるようでございますが、まあ四半期ごとにそういうものをまとめて、医療機関の方から保険者の方に連絡して持ってくるとかあるいはまた先にはがきか何か配っておいて一件々々連絡をしたらどうだろうかと、いろいろ御意見の点については私ども検討いたしておりますが、その具体的な方法はもう少し検討させていただきたいと思います。いずれにいたしましても、精神といたしましては今申し上げましたような精神でこの規定を運用して参りたい、かように考えておるようなわけでございます。
○岡本(隆)委員 そうしますと、今度は現在の政府管掌の健康保険法の一部負担金の場合はどうなるのでしょうか。
○高田政府委員 政府管掌の健康保険の場合は、これは国保とだいぶ事情が違います。と申しますのは御存じのように、健康保険の方は被保険者本人につきましては初診の際の百円、入院の際の一日三十円という非常にわずかな一部負担金です。それから家族の方は、これは法律の建前が療養費払いになっておりまして、かかったものの半額を本人に払い戻すというのが法律の建前です。この点は、一部負担が国保と同じように五割だというふうに普通いわれておりますけれども、法律の建前は家族に対する給付というものは半分を金で払うということになります。従って被保険者本人の場合には今のように非常にわずかの金でございますが、家族の場合には建前が変っております。従ってこれと非常に一部負担金の多い国保と同日に論ずるわけには参らない。かてて加えて御存じのように健康保険におきましては、その市町村の住民というふうな保険者と被保険者との関係がございません。日本全国からの被保険者がおるわけであります。従って一部負担金を保険者が徴収するというようなことになりましても非常にめんどうな問題が出てくる。あるいは負担能力の点なんかも保険者の方で、これは市町村だけの住民と違ってわかりにくいということもございます。従いまして一部負担金が健保の場合には少い、国保の場合には多いということ、それから市町村の地域保険と全国一本にしたような保険との相違、こういうふうな関係から、健保においては一部負担金につきましては、今申したような措置をとっておりません。四十二条のような規定もございません。しかし国保においてはこれは別に考えていかなければならぬというわけで、四十二条の規定を設けまして、さらに運用については今のような気持でその規定の運用をしたらどうであろうか、こういうふうに考えておるわけでございます。
○岡本(隆)委員 健康保険法でも「療養ノ給付ヲ為ス」とあって、今仰せの家族の者に対しては費用の半額というのは第何条にありますか。
○高田政府委員 健康保険の家族の場合は五十九条の二だと思います。ちょっと読んでみますと、「被扶養者が第四十三条第三項各号ニ掲グル病院若ハ診療所又ハ薬局ノ中自己ノ選定スルモノニ就キ療養ヲ受ケタルトキハ被保険者ニ対シ」、これは被保険者本人に対し、「被保険者ニ対シ家族療養費トシテ其ノ療養ニ要シタル費用ニ付之ヲ支給ス「家族療養費ノ額ハ療養に要スル費用ノ百分ノ五十二相当スル額トス」こういうように書いてあるわけでございます。
○岡本(隆)委員 そういたしますと、国民健康保険の場合には医療担当者が善意を持って一部負担金の徴収に努力をした場合には診療費の全額が保証されておる、こういうことに解釈して間違いございませんか。 〔委員長退席、田中(正)委員長代理着席〕
○高田政府委員 善意を持って努力を願えば、実質的に仰せのような結果になるように四十二条の規定を運用いたしたい、かように考えておるわけでございます。
○岡本(隆)委員 次に四十三条でございますけれども、この三項では、保険者は都道府県の知事の認可を受けて、指定医療機関との契約によって、療養の給付に関する費用の額について別段の定めをすることができる、こういう規定がございますが、これは特殊の、たとえば組合立の医療機関であるとかその他が保険者と約束をしておけば割引診療をすることができる、こういうふうな規定のように私は見るのですが、そうじゃないのでしょうか。
○高田政府委員 これは健康保険にも同じ規定がございまして、その規定の趣旨と同じでございます。それで、たとえば例をあげてみますと、国立療養所は、御存じのように保険でも一般自由診療でも、全部割引をしてやっております。そのほか私気がつくのはちょっとございませんのですが、あるいは保健所がそういうようなことをやっているかもしれませんが、さような場合に、国保であるからといって——ほかの方は割引してもらえるのですが、国保だけ割引してもらえないというふうなことであれば、これは非常におかしなことになりますので、健康保険でもこういう規定がありますが、同じような規定を挿入したわけでございます。従って、規定の趣旨といたしましては、特に医療機関を選んで特別まけてくれというふうなことをやるという規定の趣旨ではございません。
○岡本(隆)委員 しかしこの問題は従来健康保険でそういうことがあったといたしましても、そのこと自体が、これは日本の医療のあり方というものについて相当大きな問題だと思う。たとえていえば国鉄の病院なんかでも相当被保険者に対する優遇をやっておりますが、そのことは健康保険の本来の趣旨であるところの団体同士の契約で医師の自由選択を認めるという日本の保険医療の精神から見て、その中の特定のワクのものについてだけ保険医療の何を減額させて、しかもこれは健康保険の今の診療単価ぎりぎり一ぱいを見ておられるのですね、そのぎりぎり一ぱいの診療費でもって一般の医療機関には診療させておいて、片一方は他の方面からの経済の補助がある、財政的な補助がある。だから、そういう補助のある機関においては割引診療が可能です。民間の医療機関と一部の公的医療機関とを、お互いに競争できないようなぎりぎりの線にまで民間医療機関を追い込んでおいて、公的医療機関に割引診療を認めるということになって参りますと、あなたの方の意図はいかにあろうとも、結果的には民間医療機関を保険診療から締め出していく、こういうふうなことになってくるわけです。だから、こういうような基本方針は、これは設備であるとかあるいはその他のサービスにおいて公的医療機関と民間医療機関が競合しろというならよいのですけれどもしかしこういう診療費の面でもって競合の形に置かれることは、非常な犠牲を民間医療機関に払わせるものだと思うのですが、こういうふうな基本方針について厚生大臣どういうことを考えておられるのか、一つお考えを承わっておきたいと思います。
○橋本国務大臣 ただいまの問題に関しましては保険局長から答弁をいたさせます。
○高田政府委員 御指摘の御趣旨ごもっともに存じます。ただいま御指摘になりましたいろいろな病院がございますが、これは健保の上ではその健康保険組合、すなわち保険者が自分で直営する病院とかあるいは事業主医局とか、そういうふうなものは別扱いをしておるわけでございます。ところが今度の国保のこの新しい法律では、自分が設置して自分が経営しております国保の直診というふうなものも、都道府県知事の指定を受けて指定医療機関になって、一般の医療機関と全く同列に法律上扱っております。従ってその診療報酬というものもこの四十三条によって縛られてくるわけであります。これが国保の新法では非常に違うところでございます。それで三項の規定といたしましては、都道府県知事の認可を受けていないとできないということでございます。従いまして、直診等におきましても料金を割引するというところも現在あるかと思いますが、むしろそれは払うべきものは払って、そうして直診の勘定が豊かになれば、やはりそれは保険者の一つの勘定でございますから、払うべきものは払うというふうに運営をいたした方が妥当であろう、かような考えに立っております。従って三項の規定の運用につきましては、またその規定の趣旨は、先ほど申し上げましたようにあくまでも医療機関の設置目的からいって、これはどの保険の被保険者ということでなくして、一般の自由診療でも何でもとにかく割引をするというふうな医療機関がございました場合には、これは一つ国保も人並みに乗りたい、こういう趣旨の規定でございます。先ほど御指摘の、たとえば鉄道病院とか逓信病院とかいうところでは、自分の被保険者につきましては別個の料金でやっておることは事実でございます。しかしそれは先ほど申し上げまたように、健康保険法あるいはその他の共済組合法等におきましては、いわゆる保険医療機関として扱っておりません。そういうふうな関係になっておりますので、今のようなことがあるわけでございます。しかし国保も新法では、直営診療でも全部同じ取扱いをしておる。従って三項の規定の趣旨は今のような趣旨で、さような趣旨で運用をいたそう、こういうことであります。
○岡本(隆)委員 それではこれから後東京都であるとか、あるいは大阪、京都とかいうふうなところで国保が普及して参りました場合に、そういうふうな都立あるいは市立の病院、あるいはその他郡部の直診でも、診療費についての特別の定めというものはさせない方針である、こういうふうに理解してよろしゅうございますか。
○高田政府委員 そういう方針でございます。
○岡本(隆)委員 そうしますと国立とそういう都立の病院とは、どう意義が違うのでしょうか。国立病院だけが、今までたしか十二円単価のときに十円か何かで低かったのですが、国立の病院と都立あるいは市立の病院とは性格的にどう違うために、どういう理由でもってそういうふうな低い何を健康保険で認めておられるのでしょうか。
○高田政府委員 現在病院は割引をいたしておりません。結核だけであったかと思いますが、結核療養所が、これは保険だけでなくして、自由診療の場合におきましても、いかなる場合におきましても、保険によってきめられた値段の、たしか二割引かをいたしておるわけであります。これは結局結核という病気に対し、しかも国が設置しておるというところに、そこに何といいますか社会政策的な意味をもってそのような措置がとられておるかと私は理解いたします。この点は主観でございますが、申し上げておきます。
○岡本(隆)委員 直診の話が出ましたのですが、この機会に直診というものの運営についての方針をお伺いしておきたいと思います。国保の組合ができて参ります。そこに民間医療機関が相当ある。ところがその民間医療機関が相当あるところに直診を設けようとして、民間医療機関との門に、年々われわれのところでも相当な摩擦が起っております。本年もやはり私の方でも一、二の摩擦がありましたのですが、一体直診を設けるのはどういうふうな基本的な方針をもって作るように指導しておられるのか、その辺のところを伺ってみたいと思います。
○高田政府委員 国保の事業が円滑に運営されるように、その必要があると認められる場合には直診を設置するということにしておるわけであります。
○岡本(隆)委員 非常にお言葉が抽象的なんですね。必要が認められるということでは非常に抽象的です。もう少し具体的に御説明願わないとキツネにつままれたようなことなんですが、しばしば摩擦が起って参りますのは、相当医療機関がある。ところがその町もしくは村の、やはり自分たちの身の回りにあるのがほしいとか、あるいはその他面診を何かよりよくしたいという事業欲で出張所とか分院を設けていくというような形で摩擦が起ってくるわけです。そういうふうなことについて、それは無医地帯であるとか、あるいは非常に格別な場合以外は、むしろ直診に対して行われるところの援助というものを、何らかの形で民間医療機関に援助を与えることによって、十分な機能を果せるようにすべきだと思うのです。たとえていえばある都会で、人口がその周辺部も合わせれば二、三万ある。するとそこに盲腸炎でもやった場合にすぐ開腹できるようなところが一つあった方がいいという場合ですね。結局それは人と施設の問題だと思う。ところがそういうものがないから一つ直診で診療所を設けて、内科も外科も併設したものをやるということになって参りますと、その付近の医療機関を相当圧迫するのですね。そういうような場合に、もしも今厚生省が盛んにやっておられる還元融資、そういうものを民間医療機関に与えることができたならば、その民間医療機関は今度は設備を持つ、また適当な人がおらない場合にはそれぞれの専門家を招聘して、民間医療機関でもって十分な医療目的は達成することができると思うのです。とにかくそこに多少ほしいなというような気運があれば、すぐそこへ直診を持ち込んで、ねじ込んでいくというふうなところに摩擦の原因があると思うのです。それについて、今度も還元融資の問題がこの間の社会保険旬報に発表されておりますが、これを見ますと、還元融資というものがとにかく大資本、それから大きな背景を持っている日赤その他というものであるとか、あるいは府県立病院もしくは市立病院といった大きな財政的な力のあるところへだけ還元融資として貸し出されていく。民間医療機関に対してはゼロなんですね。そうすると、こういうふうなことがあって、これは公的医療機関に圧迫されて、民間医療機関というものはぐんぐん滅んでいくのですね。結局北の方のアイヌであるとかあるいはエスキモーに近い存在に、将来民間医療機関がなっていく運命が出てくると思う。従って還元融資ができなければ、あるいは医療金融公庫を作るとか、民間医療機関が近代医学に即応して、近代医学の水準を保って、それでもって十分な機能を果し得るような保護というものは加えられなければならぬ。今日も小売商の法案が本会議にかかっておりました。少くも小売商業というような第一線の配給機関という機能を果しているものに対しては、やはり国もこれを援助し、保護しようという意欲を持っているわけです。ところが民間医療機関に対しては、圧迫するという意欲は持っておっても、これを保護育成して十分な機能を果させようというふうな意欲は政府のどこにも見られないと思うのです。それについて、かりに政府が民間医療機関に対してこういう保護育成策をとっているというものがもし何らかあるとあなたの方でおぼしめすならば、一つそれを具体的に、こういう面で保護育成してやっているじゃないかということを御説明願いたいと思います。厚生大臣一つ。
○橋本国務大臣 民間医療機関を近代的に育成していくということは非常に大切な問題だと考えております。私は今日の日本の民間医療機関というのは非常に大きな役割を果していると思うのでありまして、どんな病院ができましても、大病院によって平常の家庭医としての役割を十分果してもらうことができるわけでございませんし、今日大病院で外来の患者などをとっているのはいろいろ不便でございまして、やはり民間の医療機関というものを十分に充実させて、特別な治療以外はむしろ民間の開業医の人たちによって医療が行われるということが、私は非常に大切なことだと考えております。今日までの医療機関のあり方の問題については、確かにこれは筋がなさ過ぎると思うのでございまして、近く医療制度調査会のようなものを作りまして、病院は病院としてのあり方ないし病院という機関のあり方というものを十分に検討しようと思っておりますが、それまでの間におきましても、政府の手である程度コントロールのできる政府関係の機関だけでももう少し考えたい。多少乱設のきらいが私はあったと思うのでありますが、民間の医療機関については十分これを育成していかなければならぬと考えております。今日までの間でも、中小企業金融公庫に医療関係のワクを設けて融資をすることをして参りましたけれども、これは何といっても金利も普通でありまするし、担保も普通でございまして、都会のよほど繁盛しているところでないと出て参らない。いよいよ僻地で開業医ができないところに対しては、これは金融などやってみても始まらないので、むしろ基幹病院の出張所というような形でやりたいと思っておりますが、その中間にありまするところ、つまりわれわれが一般に触れまする市町村における医療機関というものは、低利でそうして長期の融資ができさえすれば、あるいは医師会からたびたびお話のございます共同の検査設備を作りますとか、あるいは今までの診療所の拡充をいたしますとか、新設をするということができると思います。従来も予算には掲げておりましたが、今度特段に私は医療金融公庫の新設という問題について、国民皆保険の前提の整備の一つとしてぜひやらなければならぬと思いまするので、相当の力を入れて医療金融公庫の創設を考えておる次第でございます。予算面では国庫からの支出二十億と融資十億と三十億の資金で発足をしたいと思っておりまして、予想しておりまする融資の対象でありまするとか仕方等につきましても、かなり詳しい一応の案を立てまして、それを推進して参りたいと考えておる次第でございます。
○岡本(隆)委員 将来こうしたいというふうなお言葉はいただきましたが、現在こうしているじゃないかというお言葉はないのですね。それほど現在民間医療機関というものは公的医療機関との競合の中に見捨てられた存在になっているということは、大臣もお認めになっていらっしゃると思います。従いまして今後やはりそういう面についての助成というものがない限り、日本の医療機関が、公的医療機関と民間医療機関とがそろって、そうして十分な科学の進歩に即応した形でもってその機能を果していくということができないと思いますので、その辺の格段の御努力を願いいたしておきたいと思い今日は私の方で社会部会がございますので、この程度にしておけと理事の方からの言葉でございますので、残りはこの次にさしていただくことにいたします。 —————————————
○田中(正)委員長代理 この際、連合審査会開会申し入れの件についてお諮りいたします。ただいま地方行政委員会に付託されております警察官職務執行法の一部を改正する法律案について、地方行政委員会に連合審査会の開会を申し入れたいと存じますが、御異議はございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○田中(正)委員長代理 御異議なしと認め、そのように決します。 次会は明二十四日午前十時より開会することとし、本日は、これにて散会いたします。 午後五時二十九分散会