P政策ポータルPOLICY PORTALウォッチ
30回国会衆議院1958/10/22

社会労働委員会 第10号

発言数
77
登壇者
6
会派数
2
開催日
1958/10/22

会議録

園田直自由民主党

○園田委員長 これより会議を開きます。  この際公聴会開会承認要求に関する件についてお諮りいたします。内閣提出の国民健康保険法案及び国民健康保険法施行法案並びに第二十九回国会に提出されました滝井義高君外十三名提出の国民健康保険法の一部を改正する法律案は、いずれも重要な案件でございますので、公聴会を開き、広く利害関係者及び学識経験者などより意見を聴取し、委員会の審査の慎重を期したいと存じます。つきましては、議長に公聴会開会承認要求をいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」呼とぶ者あり〕

園田直自由民主党

○園田委員長 御異議なしと認めます。よって、公聴会開会承認要求をいたすことに決しました。  なお議長の承認がありました際は、公聴会開会の日時を十月二十九日午前十時よりとし、公述人の選定及びその手続等に関しましては委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

園田直自由民主党

○園田委員長 御異議なしと認め、そのように決しました。     —————————————

園田直自由民主党

○園田委員長 次に参考人出頭要求の件についてお諮りいたします。内閣提出の最低賃金法案並びに勝間田清一君外十六名提出の最低賃金法案及び家内労働法案の三案については十月二十八日、また内閣提出の国民健康保険法案及び国民健康保険法施行法案並びに第二十九回国会に提出されました滝井義高君外十三名提出の国民健康保険法の一部を改正する法律案の三案については十月二十九日、それぞれ参考人より意見を聴取することといたしたいと存じますが、これに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

園田直自由民主党

○園田委員長 御異議なしと認め、そのように決しました。  なお、参考人の選定につきましては委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

園田直自由民主党

○園田委員長 御異議なしと認め、そのように決しました。     —————————————

園田直自由民主党

○園田委員長 内閣提出の国民健康保険法案及び国民健康保険法施行法案並びに第二十九回国会に提出されました滝井義高君外十三名提出の国民健康保険法の一部を改正する法律案の三案を一括議題とし、審査を進めます。質疑を行います。河野正君。

河野正日本社会党

○河野(正)委員 ただいま議題になりました国民健康保険法案につきまして、若干の質疑を行いたいと思うのでございますが、私は具体的な諸点について質疑に入ります前に、まずこの法案に対しまする基本的な考え方につきまして、若干の質疑を行なって参りたいと考えます。  すでに御承知の通りに、本案は第二十八通常国会に提案をされまして、審議未了に終っております。本法案は医療保障的政策の一環として、真の国民医療の向上を目的として行われなければならぬということが、きわめて重要なる点でございまして、この点につきましては、二十八通常国会におきましてもいろいろ論議がかわされて参ったことも、これまた御承知の通りでございます。ところが、この法案の中におきまする精神と申しますか、そういった中で、国民の真の福祉、あるいはまた国民の真の医療向上という意味におきまして、いろいろ矛盾あるいはまた不純性、そういったものが満ち満ちておったということは、すでに前国会におきましても論及されて参った通りでございます。ところが、先ほど行われておりました理事会におきましても、いろいろ国政審議という点について論議が行われておったようでございますが、私もその指摘を承わって、特に本法案を審議するに当りましても、その感じを強く持ちますることは、ただいま私が御指摘申し上げましたように、医療保障的政策の一環として真の国民医療の向上をはかるべき法案、その内容につきましていろいろ問題がある。ところが、今回提案されて参りましたこの法案も、その一部経過措置等を改める程度にとどめて、本案のほとんどすべてが原案のまま上程されて参った。このことは、先ほど私が御指摘申し上げましたように、国政審議という点を私どもがよく考えて参りまする場合に、ややもすれば私はこの委員会の席上においてあるいはまた本会議の席上におきまして、熱心に論議されて参りました国政審議というものが——今回提案されて参りました経緯を私よく考えて参りますと、私どもの国政審議というものが軽視されておるのではないかというような印象を非常に強く持って参るわけでございますが、この点につきまして、国政審議のあり方という点につきまする大臣の基本的な所見をまず承わっておきたいと思います。

橋本龍伍自由民主党厚生大臣

○橋本国務大臣 ただいまお話のございました件でございますが、これはもう一般の国政審議というものに真剣に耳を傾けて、あらゆる施策の中で関連を持つ限り、十分考慮されなければならぬと思いまして、内政審議の点につきましてはあらゆる面にわたりまして十分気をつけておるつもりであります。

河野正日本社会党

○河野(正)委員 国政審議については十分耳を傾け、また考慮を払ったというふうな大臣の御答弁でございます。それで私は言葉を返すようでございますけれども、あらためてお尋ね申し上げたいと思います点は、二十八通常国会におきましても、いろいろ医療保障的な立場に立っての国民医療のあり方というものが、この法案の審議に当って論及されて参った。ところがそういった論及の内容と申しますか、実績と申しますか、そういった点がほとんど考慮されておらないということは、今回の法案というものが一部経過措置を改めるにとどまって、ほとんど原案のまま再提出されて参ったというふうな姿を私どもがよくながめて参りましても、ただいま大臣から御答弁願いましたように、国政審議というものを十分尊重したんだということは、少くとも私はこの法案の形の上においては現われておらないということを、残念でございますけれども、御指摘申し上げなければならぬと思いますが、その点重ねて一つ大臣の御答弁を願っておきたいと思います。

橋本龍伍自由民主党厚生大臣

○橋本国務大臣 今回提案をいたしました国民健康保険法の施行法案は、仰せの通り一部の経過措置を修正いたしました以外は、前大臣のころに提案をいたしました原案を踏襲いたしたものでございます。この国民健康保険法案の制定に当りましては、各方面から非常に多くのいろいろな御意見がありますことは私もよく承知をいたしておりまして、前国会においても十分留意をいたして、論議にも耳を傾けておったつもりでありますが、今回責任者としてその点は十分に私考えておったつもりでございます。これの提案に当りましても、この法案を一わたりずっと再検討いたしました。ただ今日もなお現在の案に対しましては、この内容についてこれではいかぬという御意見もありますと同時に、またそれと反対にぜひ原案でなければいけない、ないし原案を別の意味においてさらに強くしなければいかぬといったような意見も行われておるのでございます。大体そういったような御意見は、この春ごろから出ておりましたのと引き続いて同じようでありますので、提案前にも、先般特別国会に提案をいたそうと考えましたときにも、いろいろ検討をいたし、考慮も払いましたけれども、現在提出いたしております法案の内容、つまり前大臣のころに作られました法案というものは、結局いろいろな点を彼此勘案いたしまして、今日提案するのに最善であると考えまして提案をいたしておる次第でございます。御論議自身は、十分各方面の御論議に耳を傾けながら、それを勘案いたしましてなおかつこういう提案をいたした次第でございます。

河野正日本社会党

○河野(正)委員 今日国民ひとしくが、社会保障政策の強力なる推進を熱望しておりますことは、何人も疑う余地のない点でございます。国民年金の早期実現あるいは国民皆保険政策に万全を期することは、私ども、あるいはまた政府当局におきましてもさようでございますが、こういった為政者に課せられました最大の責務であるというふうに私ども痛感するところでございますが、ただいま大臣の御答弁を承わって参りましても、私ども了承するわけに参りません。このように私どもがいろいろ指摘いたしましたけれども、大臣はいろいろ国政審議、いろいろな各面の意見を尊重したけれども、本法案が最善のものであるというふうな御答弁でございましたが、いろいろ各面から意見なり要望などがある。しかしそれを私の立場から申し上げますならば、一方的に無視をして、この皆保険を急ぐの余り、形式のみを整えて提案されて参りますことは、国民の利益にあらずして、かえって実質的には国民皆保険に逆行するような結果が生まれてきはせぬかというようなことを私どもおそれるのでございますが、こういった基本的な考え方につきまして、私どもなお大臣の御答弁では了承して参るわけには参りませんので、なぜ、いろいろ各方面からの意見が出ておるのに、そういった点を十分考慮に入れることなく——時間的に急ぐということは別問題でございますけれども、このような法案をあらためて提案されたかということにつきまして、ただいままでの答弁では単に、十分意見を尊重したけれども、これが最上の案であるということになりますならば、少くとも二十八国会以後国会でいろいろ論議されて参りました意見というものは、この国民皆保険に取り入れる価値がないというふうにも、開き直って考えますならば、そういった感じも持てるわけでございますが、そういう点に対します大臣のあらためての御所見を承わらしていただきたい、かように存ずるのでございます。

橋本龍伍自由民主党厚生大臣

○橋本国務大臣 私も実は文書のようなものを始終拝見はしておりますし、おいでになる方にもお目にかかりますし、団体の会合にも始終出ておるのでございます。ごく率直に申しまして、今日国民皆保険をやります上においては、この保険者、医療担当者それぞれ御意見がそろって国民皆保険というのができていくわけであります。その間におきまして、やはり市町村に開始してもらうような点を考えて参りますと、自治体関係の意見等もいろいろ考えてみなくちゃならない点がございます。しかし、また今日医療というものは医療担当者の手によって行われるものであって、しかもそれがただ医者が手を触れるというだけでなしに、医療の内容というものは十分科学的にも内容のいいものが行われなければならぬわけでございますが、率直に申しまして、今日この医療担当者の側と国保団体、これは結局市町村団体でごいざますが、ずいぶんかけ離れた意見がございます。私など出ましても、かなり激しい御意見が行われるような状態でございまして、この提案を見合せて、それぞれ両者の間の意見の調整をはかるというふうなことをやりましても、なかなか——それぞれの団体の間で事が円満に了解して、提案をしたときには全部問題が済んでいたということは非常に望ましいことでありますが、なかなかそこまでいきかねるのであります。そこで今日国民皆保険をやります上からいきましても、国の補助、負担という点からいきましても、いろいろな制度の点からいきましても、旧国民健康保険法というものは古いので、新しい形に練り直さなければならないということを考えまして、二十八国会に提案をせられました案を、特別国会以来提案するに当っていろいろ苦心して考えまして、結局はいろいろな点を勘案いたしました結果、現在提案いたしましたものを提案いたしまして、そうして国会の公明な御審議を仰ぐというのが、やはり皆保険に対する国民の要望に真にこたえるゆえんであると考えまして、提案をいたした次第でございます。もちろん私といたしましても、いろいろな御意見の調整ができて、そうして法案以前に、重要な国民皆保険の大きな担当者同士の間で、それならけっこうだというような了承のできるような筋を発見したいと考えましたが、残念ながら今のところではなかなかそこまで行きかねておりますので、われわれが検討し、そして政府部内でまとめましたところの案を提出いたしまして、今日としてはまとめ得る最善の案と信じて、国会の公明な御審議をお進め願いたいと考えておる次第でございます。

河野正日本社会党

○河野(正)委員 ただいまの大臣の御答弁を承わっておりますと、私の言葉が足りなかったのかもしれませんが、多少誤解があったようでございます。私は単に保険者団体なり、あるいはまた医療担当者等の利害の問題を通じて、このような質疑を行なっておるのではなくて、国民の福祉、あるいは真の国民医療の向上といった立場から、私はいろいろ大臣に対して御質問を申し上げておるのでございますから、その点につきましては一つ誤解のないように御理解を願いたいと思います。  いろいろ基本的な考え方につきましては、不十分ではございますけれども、大臣から御所見を承わりました。そこで私は今度は具体的にいろいろの問題を取り上げまして、そしてそれらに対しまする大臣の、あるいは関係者の御所見を承わって参りたいと思います。  もうすでに今日まで委員会におきましても、このような問題につきましては、いろいろと論及されておりますので、多少重複するきらいがあるかと思いますけれども、さらに突っ込んで御指摘を申し上げておきたいと思います。それは国民皆保険を推進するためには、基礎的な諸条件を整えなければならぬ、基礎的な諸条件を整えるということが、皆保険を推進する最も大きな条件であるということでございます。国民皆保険の推進というものは、単なる組織網の拡充、いわゆる未確立組織に単に組織網を拡充していくということや、あるいはまた後ほど論及して参りたいと思いますが、統制の強化をはかっていくということが、国民皆保険の推進ではないということでございます。  そこで私が第一にお尋ねを申し上げたいと思いまする点は、基礎的諸条件の中で最も大きな比重を占めて参ります問題は、今日まで論及されて参りましたように、何と申しましても地方財政との関連でございます。なるほど本法におきましては、調整交付金制度で五分の調整交付金が交付されるということが新しく設けられて参ったことも、これまた御承知の通りでございます。現行法では、御承知のように療養給付というものは二割でありましたが、しかし実際にこれを検討して参りますといろいろな制約がございまして、大体私どもが承知する範囲におきましては、一割五分前後に相当しておるというふうに私ども仄聞をいたしております。それから事務費というものは一応一〇〇%ということでございますけれども、実際はその必要経由の六割から七割程度であるというのが、一般にいわれておる点でございます。こういったことが現行におきまする真の実情でございますが、このように事務費は全額、あるいは療養給付は二割ということでございましたけれども、しかしながら実質的にはいろいろな制約があって、二割の療養給付が一割五分程度、それから十割の事務費は実際の必要経費の六割ないし七割程度というようなことでございますから、現実の問題といたしましては当局側が考えられております以上の、非常に大きな地方財政へのしわ寄せが行われておるということを、私はこの数字的な実情をながめて参りましても、否定することはできないのであろうというふうに考えます。このことは自治庁の発表によりましても、現在全国で大体二千六百市町村、私どもが見ましても二千八百くらいだと思いますが、いずれにいたしましても、二千六百から二千八百の実施市町村が現在あるのであります。その中の二千二百前後、パーセンテージで表わしますと、大体八五%程度に相当するようでございますが、こういった市町村におきましては赤字を出しておる。そうしてこの赤字は一般会計から繰り入れをいたしまして、辛うじて命脈を保っておるというのが実情でございます。数字も自治庁の発表では二千六百ということでございますが、私の方の調べた数字では二千八百有余くらいですから、多少数字の異同があるかと思いますが、大体これが私どもの仄聞いたします現況でございます。こういった実態は当局側としても十分に御承知の上で今回の法案が提案されておると思いますが、私はさらに論議を発展させます関係上、一応その現況についての御報告をここであらためてお願い申し上げたいと思います。

橋本龍伍自由民主党厚生大臣

○橋本国務大臣 ただいまの状況について、こまかいことはまたあとで保険局長から説明いたさせますが、概況を私からお話申し上げたいと思います。  御説のございますように、給付費の総体の二割相当額の国庫負担をいたしまして、現実の配分については御承知だと思いますが、一〇%は一つの奨励的な意味をもって徴収率のよいところに出す。二〇%は財政状況の悪いところに出す。七〇%は各保険者に医療費の按分比例で出しておるわけであります。そこで総体一割五、六分ということはございませんで、市町村によりまして多いのは二割五分くらい、少いのは一割二分ということに相なっておる次第であります。今回の改正は、この点を遺憾に思いまして、給付費の二割ということはきちんと給付いたしまして、国庫負担をいたしまして、あと別に調整交付食等によって配分をいたしておるわけであります。それから事務費につきましては、これは総体的に見て全額国庫負担ということにいたしておりますけれども、被保険者一人当り平均九十円という金額では足らぬと考えております。これはぜひ上げなければならないと思いまして、ただ急速に上げることはなかなかできませんので、年々上げて参ったのであります。ただ事務費の問題につきましては、よく御承知だと思いますが、自治体によりまして非常に開きがあるわけでございます。地方の農村などではなかなか倹約をしてかなり安くやっておられるところもありますし、九十円の平均以下のところもございます。また別に都市部におきましては、人件費が高かったりいたしまして非常に高いところも多いのでございます。私のところへ要望のありますところでも、実績で三百円をこえておるというようなことを言ってこられる市などがあるのでありまして、仕事のやりようは十分考えてもらいませんと、ただそれぞれのところでやりほうだいの全額ということにも参りませんので、一応やはり標準を立てて考えてもらわなければなりませんけれども、それにしても平均九十円というのは確かに足りないと考えております。そういう点を勘案いたしまして、国民皆保険の前提としては何といっても財政の確立ということが必要でございますので、二割を国庫負担にし、調整交付金を五分設けますと同時に、事務費についてもはっきり国庫負担としまして、内容の単価についても改善をはかって参りたいと思うのであります。  ただ、ついでにお話を申し上げておかなければなりませんのは、現在までの国保の財政を顧みてみました場合に、これはやはりいろいろ考えなければならぬ点がございまして、金額の多寡の問題もありますし、支払いの方法といたしましても、実際は年々計上いたしました予算で支払いましたのに対して、清算してもっとよけい出さなければならぬという場合に、今日では一年おくれで出しておるわけであります。それだけが結局借りのような形になりますので、こういう部分を、法律の表面に出ておりませんけれども、大蔵当局とも相談をいたしまして、やはりこれを繰り上げて早く払うということをせねばならぬと考えておるのでございます。そういったことで国保財政というものを、今日改正案として提案をいたしましたもの、及びいろいろやりようによりまして、今までよりもずっと堅実な方向へ持っていくことができると考えております。なお事務費のこまかい具体的な金額につきまして、もし御要望があれば今保険局長から詳細な説明をいたさせます。

河野正日本社会党

○河野(正)委員 二割国庫負担、あるいはまた事務費の九十円というような問題が現実に即して非常に不合理であるというようなことは、ただいま大臣からも御答弁いただきましたので、私どもも了承いたすわけでございます。  そこで私どもさらにお尋ね申し上げておきたいと思います点は、今日の二割の国庫負担、あるいはまた事務費におきましてもただいま大臣から御答弁いただいた通りでございますが、いずれにいたしましても二割国庫負担では国保の運営が不可能であるというようなことについては、すでに社会保障制度審議会におきましても強調せられておりますし、いやしくも社会保障を口にするものにとりましては、二割国庫負担では不可能だということは一つの定説にもなっておるわけでございます。ところが私どもがさらに今日心配をいたします点は、それは御承知のように先般来非常に問題を呼び起しました例の新点数の問題がこの十月一日から実施される。これのために医療費が伸びてくるということは当然の結果でございます。そういった実情でありますから、従って二割国庫負担という点につきましても非常に問題があったが、さらに調整交付金の五分が新設されたといたしましても、非常に大きな地方自治体に対する圧迫が生じてくるということを、この新点数の実施された点につきましても、そういった感じを強く持って参るわけでございます。そういった現況にあるにもかかわらず、単なる五分の調整金交付というようなことでお茶を濁すと申しますか、そういった措置をはかられますことは——反面におきましては大臣も財源措置等についてはいろいろ御苦労なさっておると思いますが、考え方によっては医療報酬に対する一つの理解申としますか、熱意の足りなさと申しますか、そういった点を暴露したということにもなりはせぬかという感じを強く持って参るわけでございます。前回の委員会におきましては与党の委員の方からも、実は国庫負担は三割、もちろん調整交付金も含んでおるかもしれませんが、三割にしてもらいたいというような要望が強調されて参りました。この点からながめてみましてもこの二割国庫負担、あるいはまた五分の調整金では円満なる国保の発展を期待することはできないということは、超党派的に与党、野党通じてのひとしい意見であろうというふうに考えるわけでございますが、その点に対します大臣の御所見はいかがでありますか。

橋本龍伍自由民主党厚生大臣

○橋本国務大臣 国庫負担を三割にするということは強い要望でありますし、私もはっきり将来の理想としてそういう方向に持っていきたいと思います。ただ今日財政負担の関係でなかなかそこまでいくことができませんし、医療費の二割国庫負担と五分の調整交付金でやはり相当な改善ができると私は信じておるのであります。三割にしなければ意味がないということでありますならば、ほんとうに調整交付金五分ということでは意味がないということになりますが、これは私自身も実は理解がないのではないかというお話がありましたが実は私は一地方の国民健康保険を十年ばかり責任者としてやって参りました今日、私はかなり自信を持って申し上げておるつもりでございますが、現在までのところ国保の関係者は非常に苦心してやって参ったと思います。今回の国民健康保険法の改正を機にいたしまして、医療費ははっきり一割を国庫負担にし、その上に調整交付金の五分をつける。それから今の九十円は安うございますから、これに対して事務費をある程度改善いたしまして、——どうも今まで厚生省の力が足りなかったか、大蔵省も理解が足りなかったか、せっかくの補助金、負担金がおくれがちであったものでありますから、これを真に時期に応じて出すということをいたしますれば、私は今日の制度でも今までよりは相当に伸びていくと思いますし、まして今回提案をいたしました国民健康保険法を活用して参りますならば、それで国民皆保険の達成はできると思っております。もちろん楽ではございませんけれども、どうかその点につきましては保険者の各位におかれましても、また医療担当者の各位におかれましても御協力下さいまして、私たちも用のありますところへはどこへでも出かけていって隘路の打開等については骨を折って参ります。三割というのは、理想として将来そこへ持っていきたいとは思いますが、今日とにかく調整交付金と合せて二割五分にとどめたのは、それではどうも意味がないというふうには考えておらないのでありまして、私は相当な改善として、これによって国民皆保険の達成をやって参ることは可能であると考えておる次第でございます。ただそれには非常にいろいろな苦心が要ると思いますので、その努力はせいぜいいたして参りたいと思います。

河野正日本社会党

○河野(正)委員 大臣は医療費の二割国庫負担ないしは五分の調整交付金の新設によって相当の改善が行われるというような御答弁でございましたが、なるほど現状からながめますと一歩前進ではございましょう。ところが新しく生まれました条件といたしましては、新点数によります医療費の伸びが十月一日から起ってきております。そこで、なるほど一歩前進ではございますけれども、しかし新しい条件が一つ加わってきておる。そこで大臣がいろいろ御答弁をなさいましたように、そう手放しで喜ぶような前進ではなかろうというふうに感ずるのであります。そこで私が心配いたしますのは、そのような態度、施策でほんとうに三十五年完了というものが実際に行われるかどうか。私はややともいたしますると、単なる組織網の拡充、拡大と申しますか、組織だけはなるほど未確立の地域にも非常に伸びていって、当局の発表によりますと二千八百万が救われるというようなことでございましょうけれども、しかし実際にはそれは単なる組織網の拡充に終って、実質的には真の国民の医療の向上なり、国民の福祉には、若干ということは別として、大して大きな、大臣がおっしゃいますような相当な改善が行われるという程度に進歩はせぬというふうに考えます。そこでこの点は私どもも心配をしてお尋ね申し上げるわけでございますが、このような生かさず殺さずというふうな施策で、ほんとうに三十五年完了ということについて自信を持っておられるかどうか、これに対する確固たる所信を加わっておきたいと思います。

橋本龍伍自由民主党厚生大臣

○橋本国務大臣 私、就任以来これで三、四カ月になるわけでございますが、国民皆保険の実施については私も非常に大きな責任を感じまして、ただいままでにかなり具体的に各地方にわたりまして、国民健康保険の実施に対するいろいろな具体的な計画、そのおくれている理由なりあるいは進歩の度合いなりというものを検討いたして参りました。なかなか困難な道ではあると思いますけれども、私は政府当局が与えられた制度の範囲内において、今日改善しようとしておるこの新法の範囲内において真剣に努力をいたして参りましたならば、三十五年度末までに国民皆保険はできると考えております。

河野正日本社会党

○河野(正)委員 大臣は非常に明快に御答弁なさったわけでございますけれども、私は開き直るわけではございませんけれども、一つお尋ねを申し上げておきたい点は、大臣がそのように三十五年一ぱいには必ず完了する見通しを持っておるというような自信がおありといたしまするならば、私は必ずしも新法において、三十六年三月以前においても勧告することができるというふうな明文は必要なかったと思うのです。三十五年一ぱいに完了するについてはいろいろこれは問題があるぞというような建前で、私は新法の中に三十六年三月以前においても勧告することができるというような表現がうたわれたと思うのです。そこで少くとも法文を創案されました精神の中には、やはり財政上その他の問題についていろいろ問題があるので、これは下手をすると三十五年一ぱいには完了せぬぞというふうな考え方が底を流れておった、それが法文の中における三十六年三月以前においても勧告することができるというふうな一つの条項になったというふうに私は理解するのであります。大臣の非常にりっぱな明快な御答弁がございましたので、この点に対する御所見を承わっておきたいと思います。

橋本龍伍自由民主党厚生大臣

○橋本国務大臣 私先ほども申し上げましたように、よほど困難な問題とは思っております。従いまして制度さえあてがいますれば、ほっておいて三十五年度末までにできるとは考えておりません。従いまして、法に従っての勧告も必要でございまするし——私新法が出るまでは割合に受け身で、ぜひと呼ばれるところだけ、それでも一月に二回くらい出ておりましたが、今後新法が出ましたならば、私は積極的に、単に居すわっておって法に従う勧告をするというだけでなしに、何とかしてもう少し早くできないか、残っておるところがあるがどうしてできないのか、もしそれに対して改善の余地があるならどういう点を改善したらいいのだということを、積極的に私みずから、また省の幹部もあげて全国に出て歩きたいと思っております。よほど真剣にやりませんと、なかなかもって三十五年度末までにはできないと思いますが、この与えられた制度を活用いたしまして真剣に熱を持って解決に当れば、三十五年度末までにはできると思っております。

河野正日本社会党

○河野(正)委員 これは新法を創案されました精神から申し上げましても、私が先ほど御指摘申し上げましたように、財政措置についても非常に大きな問題を残しておるという意味を明らかに暴露しておるというふうに考えるわけでございます。従って国庫負担三割なければどうにもならぬということは了承できぬというお話でございましたけれども、私はそれらの点については了承しがたいということを明らかにしておきたいと思います。  それからこの点もすでに一、二論及された点でございますが、私はやはりこの保険財政を考える場合に非常に大きな関心を持たなければならぬ問題は、やはり結核対策の問題であるというふうに考えるわけでございます。昭和二十八年結核予防法が制定をされて今日まで約五カ年間の歳月を要して参りましたことは、これまた御承知の通りでございます。この結核予防法が画期的なものであり、そのために結核の死亡率というものが非常に激減してきたということも、これまた周知の事実でございます。しかしながら、なるほど死亡率は減少して参りましたけれども、罹患者の数というものがなお刮目に値するものがあるということもまた大臣御承知の通りでございます。そこで換言いたしますと、この結核医療によって、非常に大きな経済上の負担を背負っておるということにも相なって参るものと考えます。さらに言葉を継いで申し上げますと、結核医療費の保険財政における比重というものが非常に大でございます。従って保険財政が今日赤字を出しておる市町村が非常に多いということも先ほど御指摘を申し上げた通りございます。こういった市町村における保険財政の赤字の大部分というものも、この結核医療によってその赤字がもたらされておるということも当然明言ができるわけでございます。そこでこの結核医療費の解決なくしては保険財政の健全化をはかることはできないということは当然の事柄だと考えるわけでございますが、こういったような結核医療に対する基本的な考え方について、大臣からまず御所見を伺っておきたいと思います。

橋本龍伍自由民主党厚生大臣

○橋本国務大臣 ただいまお話の通りでありまして、結核の問題を解決いたしますることは、国民の保健衛生という見地からいきましても、この国民皆保険財政にとりましても非常に大事な問題でございます。これも先ほどお話のございました国民皆保険の前提条件の整備の一つの問題として大きく考えておるのでございます。概略申し上げますと、現行の結核予防法は非常にりっぱな法律でございます。国民全体を予防検診をして、出て来た患者をなおすという方法でございますが、ただそういう方法に従いまして患者を十分になおす上において、なかなか今日の公費負担だけでは十分できがたいということで、今まで厚生省としましては現行の結核予防法の精神に従って予防検診を全部に対してやる、そうしてそれに対して、見つかった患者に対する公費負担の率を上げるということを、年々予算要求をして参ったような次第でございます。ただこういう行き方で行きます場合には財政負担が非常に大きくなりますために、公費負担の増大といったような問題も、要求をするだけでなかなか通らないで参ったのであります。今回、私はこういうふうに考えております。結核につきましては、実はことしになりましてから実情調査をまたやっておるのであります。前回調査をいたしましたときに比べまして、死亡率の減ったのと並んで、患者自身が減ったか減らないかというのが非常にいろいろ論議の的でありましたが、調べてみますと、患者の数もある程度減って参っておるようであります。しかし、とにかく減ったと申しましても、非常に膨大な人員でございまして、率として若干患者の数が減ったといってみても、数百万という結核患者があるわけでありまして、結核の問題というものは非常に重要でございます。そこで結核問題につきましても、これだけやはり結核を追い込める方向に来つつあるということは、一そう力を入れれば今までよりも効果が上るし、やらなければならぬということでございます。ことしの予算要求に当りましてもいろいろ考えたのでありますが、どうも現在までのような、現行の結核予防法をそのままとっても、予算要求というものはなかなか通りがたい。たとえば予防検診一つとりましても、前には年令の制限がございましたが、今は年令の制限もなしに、九千二百万人を毎年一回づつ検診すると書いてあるのであります。実際問題として、そういう法律の全面的実施はできかねる。実際三六%くらいしか検診をしてないという状態でございますので、結核予防法の精神に従って、できるだけの効果をあげていくように努めますが、予算要求の面では、むしろそうした形を追うよりは、従来発見された患者の周辺でありますとか、あるいはまたどうも危険があると考えられるような集団等に対しまして、集中して予防検診を行う。その結果発見された患者の中で、他に感染の危険のある者については、本人がやらなければ、それらの者を必ずつかまえて強制入所をさしてしまう。その強制入所をした者に対しては、公費負担をずっと上げて、そして治療の十分できるような態勢をとりたいというのが結核に対する考え方でございまして、来年度の予算については、そうした重点化によって効果を上げるという方法によっていきたいと考えておる次第でございます。これは一面から申しますと、国民全体を検診をして、出た患者は全部、要するに十分な公費負担をしてなおしてしまうという、従前、毎年繰り返して参りました予算要求の筋からいうと後退のようでありますが、現実の問題としては、やはりただいま申し上げましたような行き方の方が具体的に効果を上げる道ではないかと考えて、ただいまそういう筋で結核撲滅の十カ年計画を立てているわけでございます。これが成功いたしますならば、ただいま御指摘もございましたように、保険財政の上におきましても、やはり財政負担の減少する有効な原因になろうと思います。

河野正日本社会党

○河野(正)委員 結核というものが保険財政に及ぼして参ります影響につきまして、大臣からもいろいろ御答弁をいただいたのでございますが、私はこういった問題は、やはり予算と制度の一元化をはからなければ、その実、あるいはその成果を上げることは困難だということを指摘しなければならぬと思います。なるほど、検診によって患者を発見する、そうして結核予防法で逐次なおしていく、発見した者については公費負担率を上げていくということは、けっこうでございますけれども、しかし私がただいま御指摘申し上げましたように、制度と予算を一元化しなければならぬということは——現在の結核予防法で公費負担率が上ったといたしましても、この給付には制限があるということは御承知の通りでございます。そこで、治療の中の一部が結核予防法によって救われるということでございまして、結核の治療のすべてが結核予防法で救われるものでないことは、これまた御承知の通りであろうと思うのでございます。そこで、やはり制度と予算の一元化を完全にはかることによってのみ、私はこの結核対策というものが完全に遂行されると考えるわけでございまして、この点に対しましては、なるほど大臣の御答弁は、検診によって早期発見をする、そうして結核予防法で公費負担率を上げて、徹底的に治療するということでございますけれども、その制度だけでは不十分だということは、もう法律の性格を見て参りましても明らかでございます。そこで、その点につきましては一つ十分お考えを願わぬというと、私はこの結核対策の完璧を期して参るわけに参らぬということを、強く御指摘を申し上げておきたいと思います。  それから、結核医療法とも関係がございますし、必ずしも結核のみに限ったことではないのでございますが、いずれにいたしましても、長期療養を要します消耗性疾患等、いろいろあると思いますが、そういった長期療養を要する疾患等を考えて参りますと、私は本法にうたわれておりますこの療養給付の期間というものが、非常に問題となって参ると考えるわけでございます。皆保険というものは、国民のすべてが、医療保険でその医療というものの保障をされる、それが私は皆保険の精神でなければならぬと思うのであります。ところが、この療養給付の期間が、一年に打ち切られて三年後には皆保険の外に締め出されてしまうという結果になりますと、この療養給付期間を三年に限定いたしますことは、皆保険の道に逆行する結果になって参ると思いますが、その点に対します大臣の御所感を承わっておきたいと思います。

橋本龍伍自由民主党厚生大臣

○橋本国務大臣 立案の趣旨につきまして、保険局長から説明いたさせます。

高田正巳厚生事務官(保険局長)

○高田政府委員 御指摘のように、医療保障という観点から見ますと、給付の期間はできるだけ長い方がいい、あるいは全治まで見るということも言えるのでございます。ところが、また一方、保険を実際に運営をし、しかも市町村が単位でこれを運営して参るわけでございますので、あまりに少数の人に被保険利益が集中をいたしまして、そのためにみんなの負担が非常に高くなるということになりますと、保険に対する一般の協力というものがそこで心理的に非常に影響してくる。簡単に申しますと、非常に小さい市町村で、結核で何年も療養をしておる人とかあるいは精神病でほとんど際限なく療養しておるというような人を二、三名でもかかえますと、ほかの人は大して病気にならなくても保険料を相当高く出していただかなければならぬ、こういうことになりまして、その辺からの配慮もいたさなければならぬ。その両面をいろいろ勘案いたしまして、私どもといたしましては被用者保険が一応最長三年という期限を切っておりますので、一応給付期間は三年ということにいたしたわけでございます。しかしながらこれは市町村によりまして、それ以上引き続き給付をしていこうということを考えまする市町村は、それができるような道が開いてございます。かようなわけで三年というように一応調整をとったというのがその理由であります。

河野正日本社会党

○河野(正)委員 ただいま保険局長の御答弁を承わって参りますと、全く了承しがたい点があるのでございます。それは被用者保険の給付が三年であるので、従って三年に限定をしたというのでございますけれども、国民保険の場合と被用者保険の場合とはおのずから性格が異なるということを十分一つ考慮していただかなければならぬと思うのでございます。と申し上げますのは、国民保険の場合は住民の保険でざいます。ところが被用者の場合は、結局三年の給付期間が切れますと使用者との関係にもおのずから新しい問題が起って参りますし、そういった点から見ましても非常に性格は異なっておりますし、なおまた私どもが強く御指摘を申し上げたいと思います点は、ただいま申し上げますように、被用者保険の場合は三年間の期限が切れますと使用者との関係がなくなるわけでございます。ところが住民の場合は、市町村との関係というものは絶対居住を変えない限りはなくならぬ。従って、保険料等は当然納めなければならぬ義務があるものと私は考えます。そうしますと、保険料を納めるけれども、給付の対象にはならぬ。この点は被用者保険とは非常に性格を異にする一点だと私は思うのでございます。ところがそういったような性格が非常に異なる被用者保険と同一に考えて、そうして給付期間を三年に限定されるということは、私は非常に大きな誤謬を犯されておるというふうに考えるわけでございますが、その点はいかがですか。

高田正巳厚生事務官(保険局長)

○高田政府委員 御指摘の通り被用者保険とい若干違うところはございます。従いまして、先ほど申し上げましたように一応法律で三年というものをきめましたけれども、市町村がやろうという場合には、それ以上にも給付はできるという道を開いておるわけでございます。その点が違うわけでございます。それで国民健康保険が住民であるから、最終の医療保障の建前である一つのしかけであるというような考え方も、一応そういう方針でものを考えることもあるいは可能だと存じますが、しかしまた同時に、保険の仕組みだけではとうてい医療保障というものは完全には全部をおおうことはできませんので、やはり保険とそれから公的扶助というものと並んで、医療保障の完璧を期さなければならぬという考え方も成り立ち得るわけでございます。国民健康保険が全面的に普及をいたしました際におきましても、あくまでもこの生活保健法の医療扶助というものは、やはり残っていかざるを得ない。私どもはさような考え方をいたしまして、先ほどのような保険が行き得る限度といいますか、保険として分担をする一応の基準を三年ということに考えたわけでございます。  なお保険料を三年後にも納めるじゃないかというふうな御指摘もございましたが、これはその人に財力がありますれば、そういうことになりますけれども、三年も結核で療養をしておるということになりますと、実際問題としては保険料は減免という取扱いなるのが現実の姿であろうかと存じております。

河野正日本社会党

○河野(正)委員 ただいまの答弁の中で、やろうと思えば必ずしも三年給付ということではないのだ、そういう道も開けておるのだというふうな御答弁でございましたけれども、御承知のように、先ほどからたびたび御指摘申し上げておりますし、大臣からも御了承を願っておりますように、地方財政というものが現在の療養給付では非常に大きな圧迫を受けておるということは、すでに大臣も先ほど御了承をいただいたのでございますから、従ってそういった状況の中で——三年給付と限ったことではない、道は開けておるのだというような御指摘でございますけれども、そういった事情の中でほんとうに、三年と一応原則的に限定されたのにさらに道を開き得るかどうか、この点は私はおのずから明らかだというふうに考えるわけでございます。そこでやろうと思えば道が開けておるというようなことでは、私は納得がいかぬということをはっきり申し上げておかなければならぬと思います。  それから私ども、具体的に言えば一体こういう事実が起るかどうかわかりませんけれども、さらにそういった弊害が起るとすれば、この点も十分考慮してもらわなければならぬと思うので、さらに一点御指摘を申し上げておきたいと思いますが、これは御承知のように、三年いたしますと給付が切れて打ち切られるということでございますから、Aという地方団体からBという地方団体に移る、それからなおまたある場合におきましては、Aという地方団体からBという地方団体に移って、またAという地方団体に移ってくる、そういったことで被保険者としての資格を取得する。言葉をかえて申しますと、保険団体の逆選択、逆に選択するというような結果も生まれてくるのじゃないか。これは一つの弊害かとも思いますけれども、そういった点もやはり経済上非常に苦しい大衆が今日非常に多いわけでございますから、従ってやはり経済的な事情に左右されて、そういうような実態というものが生じてくるのじゃないか。そうであるとすれば、やはりこの際国民皆保険の医療保障という建前から申し上げましても、私はこの療養給付の期間を三年に限定すべきでない。これは本質的にも先ほど申し上げますように、この医療保障の一環としての国民皆保険でございますから、従って国民のすべてがこの医療の保障を受けるという建前でなけばならぬというこの皆保険の精神から申し上げましても、私はそのように三年で期間を限定すべきではないという感じを強く持つわけでございますし、なおまた先ほど申し上げますように、道は開けておりましても、今日の地方財政のもとではなかなかその道を開くことはできないというのが現状でございまするから、この点に対しましても私はさらに強い御反省を求めなければならぬというふうに考えるわけでございまするが、その点は一つ大臣から御所見を承わっておきたいと思います。

橋本龍伍自由民主党厚生大臣

○橋本国務大臣 ただいま承わりましたことにつきましては、現在までもかなりいろいろな点で検討いたしまして提案といたしました次第でございます。御意見は十分に拝聴いたしまして考えて参りたいと思っております。

河野正日本社会党

○河野(正)委員 十分考慮してやっていきたいということでございますが、その点は具体的にはどういうことでございましょうか、一つ具体的に明らかにしていただきたい。

高田正巳厚生事務官(保険局長)

○高田政府委員 実は三年ときめましたのは、この法律全体がそうなっておるわけでございますが、現在は御存じのようにばらばらでございます。それで数は少うございまするけれども、三年以下のものもあるのでございます。ミニマム・スタンダードを三年ときめて、しかも先ほど申し上げましたように、片一方の生活保護法と保険の受け持つ分野というふうなものも考慮いたしまして一応三年というごときにめたわけでございますが、申し上げましたように、五十四条でございますか五十五条でございますか、それ以上にやる道も開かれておりますので、私どもといたしましてはその道を奨励いたしまして、先生御指摘の御趣旨に沿うように運用をいたして参りたいと考えておるわけでございます。

河野正日本社会党

○河野(正)委員 ただいまの御答弁をるる承わって参りまして私非常に残念に思いますることは、どうも口では国民皆保険を強調されておりまするけれども、実質は単に形を整える、選挙の公約上あるいはまた国民にいろいろ約束した建前上、単に形を整えるということに終始しておられるというふうな感じを強く持つわけでございます。と申し上げますのは、現在が三年以下のものもあるし、ばらばらであるので三年に、ということでございますけれども、先ほどから私がるる強調いたして参っておりまするように、皆保険というものは医療保障の一環でございまするから、国民すべてが医療において保障されるという建前をとらなければならぬ。そういう建前から申し上げますると、何も今まで悪かったのでそれにちょっと筆を加えればいいということではないと考えます。どうも口ではなるほど皆保険々々々というふうに美名をもって国民を酔わしめておる。だが実質的には単に組織網の拡充をはかり、あるいは国民を一時的に欺瞞をしていく。単に形のみを整えようという意図にほかならぬ考え方に基いておる。ただいままでの御答弁をいろいろ承わって参りますると、そういった感じを私は強く持つわけでございます。どうも私は口では皆保険といわれながら、その口の中には一片も誠意というものが認められないというふうな感じがするわけでございますが、その点大臣はいかがでございますか。

橋本龍伍自由民主党厚生大臣

○橋本国務大臣 国民皆保険の現実の段階におきまして、いろいろの不満な点がたくさんあることは私も十分心得ております。今日のところでは現在健保、国保からはずれておりまする人々に対しまして、ある程度今日までの医療内容の向上をはかりながらそういう人たちを皆保険下に入れるということに私は十分力を注いで参りたいと思いますが、それと並行しながら、またさらに今後も内容の充実をはかって参りたいと考えております。私は一ぺんに全部満足ができないから、それで現在の国民皆保険の努力がむだだというふうには決して考えておりません。

河野正日本社会党

○河野(正)委員 ただいま大臣は声を大にしておっしゃいましたけれども、私先ほどいろいろ御指摘申し上げましたように国民皆保険というものは単なる組織網の拡充に終ってはならぬ、少くとも組織網の拡充とともにその内容が整い、真の国民の医療の向上、真に国民の福祉というものが建前でなければならぬということを御指摘申し上げて参ったのでございます。そこで、なるほど言葉で二千八百万の未加入国民を救済するのだ、その恩典に浴せしめるのだという考え方はけっこうでございます。しかし私がさっき申し上げますように、さればといって単に二千八百万の国民をその恩典のもとに浴せしめるということでなくて、やはりその恩典というものはどこまでも国民医療の真の向上であり、国民の真の福祉増進でなければならぬということを強調して参ったということを十分大臣はお認め願いたと思うのでございます。  そこで、二十八百万の未加入国民の問題が出て参りましたから、さらにその点につきまして若干質疑を重ねて参りたいと思いますが、それは社会保障の一環としての皆保険政策であります以上は、これも大臣には御異論があるかと思いますけれども、私は第一にやはり大幅なる予算を出していただき、そしてこの皆保険政策に対する責任を背負っていただかなければならぬというふうなことを強く感ずるのでございます。ところが今日までの状況を見て参りましても明らかでございますように、療養給付率は五割であるということは御承知の通りでございます。いろいろ資料を検討して参りますと、なるほど二千八百万の未加入国民が今後国民保険の恩典のもとに浴するということでございます。しかしながら実際の国民一人当りの医療費の負担というものは、私どもの検討した数字によりますと三百円相当であるというようなことも仄聞をいたしておるのであります。もちろんそのあとには若干事務費もございましょうし、いろいろあると思いますけれども、この金額を申し上げますならば、五割療養給付費ということでございますが、実際これを平たく申し上げますならば、非常にわずかな金額にしか相なっておらぬということを私ども承知をいたしておるのでございます。すでに大臣も御承知のように、社会保障制度審議会も七割給付ということを答申しておりますことは御承知の通りでございます。今日私どもが医療に従事しておりまして、しばしば見聞いたしますことは、経済的な事情のために手おくれとなり、そのためにあたら尊い命を落してしまうというふうな実例を多々今日まで見受けて参っておるのでございます。大臣もヒューマニストでございますから、おそらくそういった事例にしばしば遭遇されていることと思いますが、このように経済的の事情のために今日まで国民が尊い命を落したということは、私はまことに残念なことだと思うのでございます。そこで国民が何の不安もなく、かつまたりっぱな医療を安心して受けていくことができ、そのためには五割給付では、社会保障制度審議会が答申しておりますように不十分である、少くとも七割以上の給付には引き上ぐべきではなかろうか。大臣もこの点については、精神はわかっても財源措置がなかなか困難だというようなことでございましょうけれども、しかし私どももやはり国民医療の向上と、国民が安心して、しかもりっぱな医療の恩典に浴することができるというような建前からも、療養給付率というものを上げていかなければならぬというような考えを強く持っておるのでございまするが、その点に対しまする御所見を一つ承わりておきたいと思います。

橋本龍伍自由民主党厚生大臣

○橋本国務大臣 給付率を七割に上げることは、将来の理想としてぜひそういうふうに持って参りたいと考えております。ただ今日の問題は、一つには健康保険の家族の給付との権衡の関係もございますが、それよりもやはり財政関係の問題から見ますると、現在提案いたしておりまする新国民健康保険法に基きます財政負担でも、やはり国民皆保険の達成までの間に相当な財政負担を考えて参らなければなりませんので、当面の問題といたしましては、新法に提案をいたしました二割の国庫負担、五分の調整交付金、事務費の改善ということで、それをおくれないように完全に地方に流すようにやって参りたいと考えておりまして、一わたりそうした新法の制度のもとに国民皆保険が実現いたしましてから、さらに新法の範囲以上への給付内容の改善についての努力は、なるべく早く進めて参りたいとは考えておりますが、当面のところは、一つ新法の程度でがまんをしてやっていってもらいたいというふうに考えておる次第でございます。

河野正日本社会党

○河野(正)委員 将来については十分考慮を払って参りたいというようなことでございますけれども、私は具体的な事実をあげて一点重ねて御指摘を申し上げておきたいと思います。それは御承知のように被用者保険の場合は全額給付でございます。ところが今申し上げましたように、国民健康保険の場合には五割給付。そうしますと、皆保険という主張から申しますと、ただいま申し上げますように、被用者保険の場合には十割、それから国民健康保険の場合には五割というふうにアンバランスが生じておる。この点は私は再三再四、国民皆保険の精神を口がすっぱくなるほど強調して参りましたが、そういう意味から見て参りましても、私は現実において非常に矛盾があるように感ずるわけでございますが、その点はいかがお考えでしょうか。

橋本龍伍自由民主党厚生大臣

○橋本国務大臣 健康保険は被用者保険として発達をいたしまして、今日までに参っておるわけでございます。国民健康保険の方が確かに発達がおくれておりまして、給付の内容に開きがありますことは、はなはだたおもしろくないことだと考えております。国民皆保険の実施をいたします場合においては、これは健保、国保あるいは船員保険、共済というものを通じて、やはり医療給付の内容、負担の内容というものはつり合いのとれたものにしなければならないわけでありまして、将来の問題といたしましては、ぜひその間の総合調整を考えて参らなければならぬと考えております。やはり行き方といたしましては、各分野のものをそう直ちに機械的に調整をすることもできませんので、ただいままでの御質問の間にもるるお話がございましたように、国民健康保険の今日の不十分なところを拡充をいたしまして、国民健康保険の給付内容を向上させて、自然につり合いのとれるようなことをなるべく急速に実現をして参りたい。大体のバランスのとれて参りましたところで、その間にありますいろいろな制度との結びつきといったようなものをもう少し考えて参るのが将来の問題として非常に大事なことだと考えております。現在のところ開きのできておりますのは、はなはだ遺憾なことだと考えております。

河野正日本社会党

○河野(正)委員 ただいま御指摘申し上げました点は、現在現実において非常に大きなアンバランスがあるわけでございますから、この点につきましては十分一つ御考慮を払っていただかなければならないということを重ねて申し上げておきたいと思います。  それから療養の給付の問題が出て参りましたので、さらにその問題に関連いたしまして一、二お尋ねを申し上げておきたいと思いますが、それは療養の給付を担当する者についての問題でございます、今回の新法におきましては、医療機関の指定方式と保険医登録制の二重制度をとっておることは御承知の通りでございます。この機関の指定ということは、療養の給付を担当いたします者の意思というものが十分に尊重されぬ結果に陥って参るということを強く感ずるものでございます。と申し上げますのは、機関の指定というものは物中心主義ということでございます。ところが責任というものは機関が負うものでなくて、医師みずからが負わなければならぬということは常識でございます。そこで私はこのような二重制度というものが適切であるかどうかということにつきましては、非常に強い疑問を持っておるのでございますが、その点に対しまする御所見を一つ承わっておきたいと思います。

橋本龍伍自由民主党厚生大臣

○橋本国務大臣 今二重というお話がございましたが、健康保険法のいわゆる機関というものの二重指定というものと、新法で出しました指定と同じ言葉が使ってありますけれども、違うわけであります。ついでに私申し上げておきたいと思いますが、これは医師会からもいろいろな御意見が出ておりますが、新健康保険法で医療担当者に対して立てております考え方は、従来は要するに保険者との任意契約でありましたために、同一町村内におるお医者さんと市町村理事者との仲が悪いときに、これを国保に使わなかったり、あるいは値引きであるとか直診だけ使うということが行われておりましたが、皆保険になりますとやはりそういうことは穏やかでないので、国民皆保険というためには、診療報酬でありますとか、そのほかの給付の内容でありますとかは、全部やはり一定されたものでなければならない。またいやしくも医療担当者としてやっていきたいという意思のある人は、全部そのまま医療担当者をやってもらう。そういう趣旨で、今日の国民健康保険法は、医療担当者にして国保の担当者たることを希望する者はそれを申し出てもらって、申し出のある者については府県知事が指定をいたしまして、要するに希望のある医師については、きめられた同一の内容でみんなが医療担当者になってもらうという制度を作ったわけでございます。健康保険法による機関の二重指定の問題とはいささか建前を異にしておりますが、その点につきましてはなお保険局長から詳細な法の建前を御説明いたすことにいたします。

高田正巳厚生事務官(保険局長)

○高田政府委員 健康保険の制度の上では、保険診療をやりましょう、それではお願いいたします、こういうわけで、保険と関係づける。それはやはり医療機関が主体になって、都道府県知事とそういう関係づけをするわけであまりす。この場合に、医療機関だけでもいいということも言えるわけでございますが、その場合にやはり医師個人というものがある意味で個々の診療行為には独立していろいろ行動をされますので、従って個々のお医者さんにつきましても保険のきまりを守っていただかなければならぬというわけで、別に保険医の登録という制度を設けまして、いわゆる機関の指定と保険医というものが二つあるわけであります。ところが国保の方のいわゆる指定医療機関制度におきましては、今度の新法の考え方におきましては機関の指定だけでございまして、その国保医の登録というふうな制度は特別に設けておりません。その点が健康保険の立て方とちょっと変っております。

河野正日本社会党

○河野(正)委員 この指定について、実は私は問題があったので御指摘を申し上げたわけでございます。というのは、国保の場合は事業の経営単位というものが市町村になっているということは御承知の通りでございます。ところが先ほど私が御指摘申し上げましたように、指定は知事が行う、ところが実際の経営単位というものは市町村である、そこで指定はいたしますけれども、県知事は何ら責任を償う体制を整えておらないというのが問題である。そこでことさらこのような指定制度をとるということがいいことか悪いことか、これには一つの疑問があるというふうに私は御指摘を申し上げたわけでございます。そうしますると、指定はするけれども、実際責任は負わぬ、責任がありますのは経常母体でございます市町村でございます。そうしますと、何だかこれは一方的な権利行使——先ほど統制という言葉を使いましたが、権利行使に終るのではないかというふうな感じを私は強く持っておるのでございます。その線を私は御指摘申し上げたかったから、先ほど御質問申し上げたわけでございまするが、その辺に対します局長の御答弁を重ねて伺っておきたいと思います。

高田正巳厚生事務官(保険局長)

○高田政府委員 まず第一点は、指定という言葉がはなはだしく、何というか一方的においっと指定するというふうに響くものですから、あるいはそういうふうなお感じがするかもしれませんが、これはあくまでも申し出によって指定をするということでございまして、決して一方的な行為ではございません。従いまして、まあやかましい法律論をすれば、公法上の契約というふうにいわれている種類の性格の法律行為でございます。それで指定という言葉はあまり適当ではないのじゃないかという感じがするかもしれませんけれども、ほかの法制がすべてそういう場合に指定という言葉を使っておるものですから、この言葉を使ったわけであります。決して一方的にどうこうするというものではございません。  それから御質問の中に、知事は一方的に指定するだけであって、何らの責任も負わぬじゃないか、責任は各市町村のいわゆる保険者が負うのじゃないかというふうな御趣旨の御質問がございました。これはもちろん各保険者が自分で保険を運営しておりますので、その保険者に医療担当者を選ばせたらいいじゃないかという考え方が片一方に一つできるわけでございます。しかしその場合には、先ほど大臣がちょっとお触れになりましたように、保険者が選ぶということになりますと、そこに保険者の意思というものがどうしても働かざるを得ない。保険者にこれを願い出たら全部しろというようなことは、これは言えないわけであります。そういたしますと、好きな者だけ指定をしてその他の者は指定をしないというふうなことになりかねないおそれがあるわけでございます。従いまして、かようなことよりはむしろ都道府県知事が、都道府県の首長というのじゃなく、国の機関として、医療機関の準備だけは国が責任を持ってするんだという考え方を新法はとっておるわけであります。市町村に対しては国保実施の義務を負わしておるわけでございます。ところがその市町村が義務を履行しようとすると、たとえば医療担当者の同意が得られないとかなんとかいって、その義務が実施できないというふうなことになる場合も間々ありますので、そういうことではなく、市町村に義務を課するかわりに医療機関の方の準備は一つ国の力でやってあげよう、こういう考え方に立っておるのが新法の考え方であります。それは同時に、最初に申し上げましたように、個々の保険者にまかしておきますと、医療機関をより食いするおそれがある。そういうことになりますと、皆保険下の医療機関の立場を考えてみますと非常に重大な問題になってくる。従って国の方でその問題は準備しよう、ただし都道府県知事がやりたいという者の指定を拒否したりするような場合は、都道府県知事だけではできない。これは医療協議会の諮問でございまませんで、議による。拒否しても、医療協議会が議決しなければ都道府県知事はできないというふうな保障をいたしました。あるいはまた指定を解除するといいますか、保険との関係を解消するというか、いわゆる指定の取り消しといふうなことをやります場合には、こういうふうな場合でないとできないぞということを法文に明らかにし、医療機関の立場というものを法律上保障をしたような建前を新法はとっております。現行法のもとにおきましては、各保険者がやりましょう、やって下さいという関係を結ぶわけでありますが、同時にその関係を断ち切るにも何ら法律上の制約がない。いやならやめてもらいたいということが、市町村側でも言えるような法律上の建前になっております。さようなわけで、大臣が先ほど仰せになりましたように、皆保険下における医療機関の立場というものにつきまうては、いろいろと配慮をした上で、新法がこういう案を作ったわけでございます。

大石武一自由民主党

○大石委員 ちょっと関連して。あとでいろいろお尋ねしようと思っておりましたが関連して二、三点お伺いしたいと思います。今の、県知事が指定をやめる、解除するといいますか、そういうような場合には、法律に書いてあるその条文に照らして、それに該当すれば直接知事がそれを解除することになるわけですか。

高田正巳厚生事務官(保険局長)

○高田政府委員 その場合におきましても、医療協議会に諮問をいたさなければなりません。それで医療協議会の答申を得て、そういう措置をとるわけであります。

大石武一自由民主党

○大石委員 その医療協議会というのは、どのような性格でお作りになるお考えですか。

高田正巳厚生事務官(保険局長)

○高田政府委員 医療協議会は、社会保険構成会及び社会保険医療協議会法という法律がございまして、その構成は、大筋といたしましては四者構成になっております。保険者代表、被保険者代表、診療担当者代表、それから公益代表、こういうふうな格好になっておるわけであります。それでここには、これは大石先生よく御存じだと思いますが、いわゆる医師、商科医師、薬剤師等の診療担当者の団体の代表が御出席になっておるわけでございます。

大石武一自由民主党

○大石委員 その四者構成は、みな同数からなっておるわけでございますか。

高田正巳厚生事務官(保険局長)

○高田政府委員 さようでございます。

大石武一自由民主党

○大石委員 そうする場合に、たとえば保険者団体において、かりに診療担当者代表として自分の気に食わない医師が代表に出てきておる、あるいは被保険者代表に、自分らが見て実に下等だと思う人間が出ておる、こいつの議論は正しくないというような場合には、その相手の医療協議会の委員となることを拒否できますか、できませんか。

高田正巳厚生事務官(保険局長)

○高田政府委員 これは地方医療協議会におきましては都道府県知の任命でございまして、その任命をいたしますには、それぞれ推薦団体の推薦を得て任命をするということになっております。従って、あの委員が出てきたから、わしは気に入らぬから、あれをやめてくれと拒否するとかなんとかいうことは、法律上はあり得ないことでございます。

大石武一自由民主党

○大石委員 とかく今までのあり方は、保険者側と医療担当者側との間において、どうしても意見の反することが多かったことは大体おわかりだと思います。新しい国民健康保険法が実施されましても、急にそのようなものの考え方は変るまいと思う。でありますから、いつでも医療協議会というものはいろいろと議論し合ったり——議論するのはいいけれども、感情的に、あるいは利害的にばかり対立し合う場が多くなっておるのではないかと思う。でありますから、このような重大な、とにかく医師の死命を制するような指定の場合に——というのは、御承知のように国民皆保険ですから、皆保険となると国民全体から保険税を取るわけですから、そうすると、どうしても医者というものは全部保険をやらなければならぬということになるわけです。好むと好まざるとにかかわらず、国民健康保険というものを扱わなければならぬのですから、どうしても医師会としては大事な生命線になるわけです。そこでしょっちゅう医療協議会というものが今までのようにいがみ合う場であっては非常にうまくないと思う。そこでこういうものを作り直して、別に正しい第三者的な公平な人たちから成り立つものをそこに選んで、それらの者の間においてこれを審議するというようなお考えは持ち得ないものでしょうか、どうでしょうか。

高田正巳厚生事務官(保険局長)

○高田政府委員 中央医療協議会が医療費の問題等をめぐりましていがみ合ったことは事実でございます。ただ地方の、医療協議会におきましては、これは先生方もあるいは実情を御存じかもしれませんけれども、この保険医の指定ないしは取り消しというふうなことにつきましてえらい対立をして、いがみ合ってどうのこうのということは、実は私どもの耳にはあまり入っておりません。いろいろと話し合って、そうして決をとるというようなことがむしろ非常に少い。多数決とかなんとかということが少い。むしろ話し合いで円満に一定の方向にいくというふうなことがほとんどでございます。その点の御心配は、ただいまのところ地方医療協議会につきましては、実は耳にあまり入っておらないわけでございます。

大石武一自由民主党

○大石委員 それからまた少しもとに戻りますが、指定というのは、国家で統制するような考えは全然なくて、むしろ契約というような言葉を使ってもよろしいというふうな発言がございましたが、大体そのようなお考えでおるわけでしょうか。

高田正巳厚生事務官(保険局長)

○高田政府委員 私が申し上げましたのは、法律上の性格からいうと、申し出によって指定するということは、いわゆる公法上の契約だというふうに理解されますということを申し上げたわけでございます。現行法では、申し出により市町村長定むべしということが書いてある。診療担当者を定むべし、この定むべしというのを指定という言葉にしたわけでございます。それはほかの法制がみなそういう言葉を使っておりますので、そういう言葉を踏襲しただけであります。従って指定という言葉の響きがあるいは何となく悪いかもしれませんけれども、一般的には、法律上は別にそういう悪い意味を持っておるわけではなく、定むべしというのとちっとも変りないのでございます。こういうことを申し上げたわけでございます。

河野正日本社会党

○河野(正)委員 今まで局長からいろいろ指定の問題につきましての御答弁を願ったのでございますが、いみじくも局長が御答弁されましたように、保険者団体が医療担当者をより食いする、そういう弊害があってはならぬので、指定制度をとったというような御発言もあったようでございます。ところがこの国民皆保険の建前から考えて参りますと、医療担任者の選択の権利、自由というものは、それぞれ国民に与えられた権利であり、自由である、私ども本質的にはさように考えるわけでございます。そういたしますと、さっき局長が答弁されたように、あれはいい、これは悪いというようなことができないように指定制度をとったということでございますが、ただいま申し上げますように皆保険の建前から申しますと、医療担当者の選択の自由なり権利というものは、それぞれ国民に与えられた自由であり権利であるということになりますと、医療担当者がやろうという意見があれば、当然やらすべきだ。そうしますと、たまたま、これは局長の本心がどこにあるかわかりませんが、あれはいい、これは悪いというようなことでやられては困るのでと、非常に医療担当者に有利なような御発言があったようでございますが、それが心からそうであるとするならば、あえて指定制度をとる必要はない。医療担当者がやろうという意思があれば、それはすべてやらせるということになるのが、国民皆保険の建前からいっても、また国民に与えられた自由と権利の建前から申しましても、それが適切であるというふうに私は考えるのでございますが、そういう私どもの考え方に対しましてはどのようにお考えでございますか、その点を明らかにしていただきたいと思います。

高田正巳厚生事務官(保険局長)

○高田政府委員 ごもっともな御質問でございます。今日健保で指定制度をとっておりますが、ほとんどの医療機関がみな今日では健康保険の保険医療機関になっております。これをゆえなく拒むというようなことは、ほとんどいたしておらないわけでございます。今の、医療協議会の議によらなければならないということで、都道府県知事の自由にもならない、こういう形になっておるわけでございます。さようなわけでございますので、国保の場合におきましても、私どもとしましては申し出があれば——特別な理由があれは医療協議会でも拒否されるでしょう。たとえば非常に悪い例でございますが、昨日非違があって指定を取り消された、翌日また再指定を願い出たというような、これは非常に極端な悪い例でございますが、そういうふうな例を除いては、すべての医療機関が指定を受けるということに、この制度が実施されれば結果的になるような仕組みになっておるわけでございます。  それからいま一つ、国民から見ればどんな医療機関にでも行きたいところに行けるようになるべきではないかという御質問でございましたが、これもごもっともでございます。現行法は、結局市町村が大体自分の村内のお医者さんとかあるいは近所のお医者さんにお願いをするというふうな建前をとった法制でございます。ところが医療が比較的進歩発達をいたしまして、交通機関も発達をいたしますと、村の中のお医者さんだけでは済まぬ、ちょっと重くなれば県庁所在地の中心病院にも行かなければならぬというふうなことに、だんだん医療が広域的になって参っておりますので、今回の制度では、都道府県知事が指定をいたしますれば、その都道府県内の被保険者は、どこの市町村の者であってもみんな利用できるというふうなことにしたわけでございます。もう一歩進んで、これをさらに被用者健康保険のように全国的にして、指定を受けた医療機関は、もう東京の医療機関も鹿児島の被保険者が利用できるということにまですれば、さらに進むわけでございます。しかし国保はやはり地域性を若干持っておりますので、そこまでにする必要もないだろう、指定を受けた当然の法律効果としては県内だけにとどまる程度に広げておけばいいだろうということで、その建前をとっております。ただし東京の医療機関は、たとえば大学病院であるとか、あるいは埼玉県に近い医療機関でしょっちゅう埼玉の人が来るとか、そういうふうな医療機関が、自分のところは東京都だけでなしに埼玉県も鹿児島県も、どこでも引き受けるよという申し出を自分の所在地の東京都知事にされれば、その医療機関は今の申し出の範囲内に入っておる被保険者はだれでも利用できる、こういうふうな建前をとっております。その場合には、あくまでも医療機関の意思によってそういうふうなことができるという構成に新法はなっておるわけであります。

河野正日本社会党

○河野(正)委員 ただいま局長の御答弁を承わって参りますと、その言葉自身には私は大して問題はないと思います。ところが、私どもがおそれますのは、やはり言葉ではさようでございますけれども、実際運営に当りますと、願い出れば必ずしも自然発生的に指定されるということではなさそうな心配があるわけでございます。それがややもいたしますと、最終的には私どもがおそれております官僚支配の具に供するというふうな危険性もなきにしもあらずということは、局長が今首を振っておりますからその通りだと思うのですが、そういうおそれが多分にあるということを私どもは指摘せざるを得ないのでございます。そこで局長がすなおにとりますならばけっこうでございますけれども、そういったおそれがあるとするならば、やはり願い出れば自然発生的に指定をするということでございますならば、あえて私は指定制度を設ける必要がないということを御指摘申し上げたいわけでございます。  そこで私は具体的な事実を一例取り上げて参りたいと思いますが、たとえば山間僻地あるいは離島、そういうところで事故が起ったといたしますと、おのずから空白状態が起って参ります。要するに、今度かわった人の意思によりて直ちに指定されるということであるならは問題はないけれども——それがさっき局長がいろいろ御説明になりましたように、大都市あるいは大都会というようなところでは私は問題はないと思う。ところが山間僻地であるとか離島において事故が起る。たとえば院長が死んだというようなことになりますと、再指定を受けなければならぬということに当然なってくるかと思うのです。そういたしますと、指定を受けまするまでの間、空白状態が生じて参るから、そこの住民は医療を受ける権利はあるけれども、実際は権利行使はできぬ。これは一例でありますけれども、そういった事態も生まれてくるのではないか。これは極端な例かもしれませんけれども、そういった事態というものも生じてくる可能性は当然あると思う。そういたしますと、やはりこの指定制度というものが一つの障害になる。皆保険の建前から申しますと、国民はそれぞれ医療の恩典に浴する権利があるわけでございますけれども、その権利行使ができない。これもたまたまでございますけれども、今の指定制度があるばかりにそういった権利行使ができないという結果に陥ってくるというようなことにもなると思うのであります。一例でございますけれども、そういった事実、あるいはまた私どす先ほど申し上げましたようないろいろな考え方、そういったことを総合いたしますと、局長がここで御指摘になりましたようなそのままの精神でございますならば、私はあえて指定制度を設ける必要はないのじょないかというふうに考えるわけでございますが、そういった私が御指摘申し上げました事実等も御勘案願って、そうしてどのようにお考えになるのか、一つあらためて御答弁を願っておきたいと思います。

高田正巳厚生事務官(保険局長)

○高田政府委員 今御指摘になりましたような問題は、従来の現行制度でもあるわけです。お医者さまが一人しかいないところで、その人が死んでしまって、今度新しいお医者さんが来れば新しく指定を受けなければならぬ、こういうことになるので、現行制度でもあるわけです。しかしいかなる制度にいたすにいたしましても、今のようなことはそこの被保険者のために何とか解決をしていかなければならぬ。そういたしますれば、結局運用の問題になるかと思います。現実に、そこにお医者さんがなくなって、次のお医者さんが来ない間はしょうがないですよ。次のお医者さんがおいでになりまして、指定の申し出をする。その間に医療協議会にかけたりいたしますので、若干の時日を要する。そういうふうな場合には、これをさかのぼって指定をするとかなんとかいうふうな運用上の問題につきましては、今のような場合におきましては、程度はいかにありましようとも、具体的な問題としてこれから片づけていかなければならぬ問題であるかと存じます。

河野正日本社会党

○河野(正)委員 そういった一例をながめて参りましても、指定制度というものが住民に非常に不便なり、あるいは強く申し上げますと、権利行使というものが阻害されるというようなことを御指摘申し上げまして、その点につきましては格段の御考慮を願いたいと思うのでございます。  たまたま責任の問題が出て参りましたから、それに関連をいたしましてさらに論究を就けて参りたいと思いますが、私たちはこの法律をながめて参りまして一貫して言えますことは、それは保険者の責任と義務というものが明確でないということだと考えます。これは過去の実績に照らしてもわかりますように、保険者の義務が明確でないというと、ほんとうの成果というものをあげることができないということは、今日までの国民健康保険の運営を見て参りましても明らかな事実でございます。そこで具体的な事例の一、二につきまして御指摘を申し上げ、そうして御所見を承わって参りたいと思います。現行法におきましては、一部負担金の最終支払い責任者というものは保険者にあるということは、もうこれは御承知の通りでございますが、その徴収責任というものを療養担当者に転嫁をする、今度の新法ではそのようになって参ります。従前におきましては、最終支払い責任者というものは保険者にありましたけれども、今度は療養担当者に転嫁されてきておる、新法ではそのようになっております。こういったことは、私はこの医療保障の建前上非常に不合理であるというふうに考えるわけでございますし、ことに医療保障というものは、これは将来の問題でございまするけれども、大臣も先ほど御答弁いただきましたように、百パーセント給付ということが将来の目的でございます。そういった百パーセント給付ということが医療保障の最終目標でございますから、そういった建前から考えて参りましても、この最終支払い責任というものが療養担当者になるということは、不合理だといわなければなりませんし、なおまた社会保障制度審議会におきましても、そのようなことを明らかに指摘をいたしておりますることも、御承知の点だろうというふうに考えます。私はそういったことでは、なるほど国民皆保険ということで、この組織網の拡充、拡大ははかられて参りますけれども、実質的にその大きな成果をあげて参るということは、私は非常に困難性を持って参るというふうに考えるわけでございます。そういった責任の所在というような問題につきまして、ただいまのは一例でございましたが、そういった問題に対しまする御所見を一つ承わっておきたいと思います。

橋本龍伍自由民主党厚生大臣

○橋本国務大臣 一部負掛金の支払いの問題はきわめて重要な問題でございまするが、法の建前は、いろいろ考えました末、いよいよ支払いのできない人に対しましては減免をいたしまして、減免した分については保険者が負担をして、療養担当者に支払いをする。減免をしない人は支払い能力がある人でありまして、それに対しましては、お医者の方としてもなかなか骨は折れると思いますけれども、これは国民皆保険という全体の制度を立てて参ります上から、この支払い能力がありと認定される者からは、一部負担金を療養担当者においてぜひ徴収をしていただくという建前で組んだ次第でございます。療養担当者の側としては御意見もおありだろうと思いますが、これはやはり国全体でこうした制度をやりまする場合に、支払い能力のない人に対しては減免をして保険者に負担をしてもらわにゃなりませんけれども、支払い能力がある者に対しましては、これは多少いやな顔をしなければならぬときがあるかもしれませんけれども、ぜひ一つ徴収をしていただきたいというのがこの法の建前でございます。

河野正日本社会党

○河野(正)委員 実は私が申し上げましたのは、今のような立場から申し上げたのではなくて、むしろ私は、この一部負担金が療養担当者の窓口で支払えない、そのことが結局療養担当者を選択する自由を抑制する結果になりはせぬか。たとえば、大臣が仰せられましたように、ほんとうに生活困窮のために云々というふうな条件の整った人は減免処置、減額処置等もあるかと思いますけれども、しかしながら、この減額処置を受けるようないわゆる貧困者というような階級でなくても、やはり家庭上の事情で一時的に非常に困窮されておるという方々もおられましょうし、たまたま突発的に病気になる、そういった場合には、家庭の経済状態が十分だというふうにも必ずしも相ならぬとも考えます。そういたしますと、窓口で支払うことができぬ。そこでどうも工合が悪いというようなことで、療養担当者が云々じなくて、今度は患者の立場から、どうも医師を選択する自由というものに非常に精神的に抑制されると申しますか、制限を受ける。そこで私はそういうような場合には、療養担当者に責任がなければ、これはいずれ別な機会に保険者に対して支払うというようなことも——大臣が仰せられますようなほんとうの意味の貧困者でないわけですから、いずれ機会を見つければそういった負担能力もあるのですから、従ってその場合に、この負担金の責任者を保険者にしておけば、そういう医師の選択の自由が抑制されるというふうな結果は生まれてこぬのじゃないかということを一応感ずるわけでございます。これは実際に医療を担当しております場合、そういう現実というものは多々あるわけです。私どもは何もいろいろ理想論ばかりを振り回しておるのじゃなくて、現実にそういう事態に遭遇するわけでございますから、そういう現実の事態を取り上げて御指摘を申し上げ、そうして一つこの点に対しては十分な御考慮を払っていただいた方が、この療養担当者の選択の自由は国民にあるということでございますけれども、その国民にある権利というものの行使が非常にスムーズにいくんじゃないかというような考え方を強く持って、ただいまの点を御指摘申し上げたわけでございます。先ほどちょっと誤解があったようでごごいますけれども、そういった点を十分御考慮願って、その点に対してどのようにお考えになっておりまするか、一つさらに御答弁を願っておきたいと思います。

高田正巳厚生事務官(保険局長)

○高田政府委員 確かに御指摘のように、そう一部負担金を免除してもらったりあるいは減額してもらわなくても、今払うにはちょっと困るんだという人はあり得るわけでございます。それで、そういう方々に対しましては、減免をしなければならない人と同様に、新法の四十二条で、一部負担金は窓口で払わなくともよろしい、保険者の方へ払えばよろしい、しかもその支払いは猶予するという道が実は開かれておるわけでございます。それで、これによりましてそういう問題は処理して参りたい、かように考えておるようなわけでございます。

河野正日本社会党

○河野(正)委員 その点は、そういう道がございますれば問題ないのでございますが、しかし先ほど私が御指摘申し上げましたように、やはり保険者の義務というものが明確でありますならば、この国民健康保険の実績なり発展をさらに大きく期待することができるというような建前からも、そういって御指摘申し上げたことにつきましては十分なる御考慮を払ってもらいたいということを重ねて申し添えておきたいと思います。  それからこの点もすでに論及されたことでございますが国民皆保険を推進していくという中で問題となりまする点が若干ございます。そこでそういった点についてあらためて御指摘を申し上げ、それぞれ明快なる御答弁を願っておきたいと思います。  すでに今日まで論及されて参りましたから十分御承知の通りであると思いますが、それは五人未満の零細企業におきます被用者対策の問題でございます。今日なお五人未満の零細企業の被用者は三百万と称せられておりますが、この大群の労働階級が社会保障の網の目より漏れる結果になって参るわけでございますが、私はこのことをきわめて重大なる点であるというふうに考えます。これは何も厚生省に限ったことではございませんけれども、今日までの政府の施策を振り返ってみますと、たとえば勤務評定あるいは警職法、こういったような弾圧政策につきましてはきわめて積極的な努力が払われる。ところが、たまたま盲点になっておるわけでございますけれども、このような五人未満の零細企業の被用者等の問題につきましては、今日まできわめて消極的な態度がとられて参ったということは、口に社会保障を唱えまする限り、私はまことに残念なことだというふうに考えるわけでございますが、このような点について大臣はどのようにお考えになり、また今後どのように具体的に対処されようとしておりまするのか、この際一つ具体的な御答弁を願っておきたいと思います。

橋本龍伍自由民主党厚生大臣

○橋本国務大臣 五人未満の事業所の医療保険の問題に関しましては、まず適用の状況について数字的にこの機会に御報告をしておきたいと思いますが、厚生省の統計調査部の調査によりますると、五人未満の常用労働者を使用する事業所の数は百五万三千、その従業員数は二百八万人であります。そのうちで被用者保険の適用業種の事業所は七十八万一千、従業者が百六十一万人であります。この七十八万一千、従業者百六十一万人の中で医療保険の適用を受けておりまする事業所の数は、被用者保険と特別国民健康保険組合に加入しているものと合せまして、十三万四千、従業員数三十六万五千人でありまして、適用率は事業所数で一二・八%、従業員数で一七・五%となっておるのであります。今日この五人未満の事業所についてわれわれがとっております方針は、なるべく五人未満の事業所の従業者につきましても、任意包括の制度によりまして、希望のあります限り健康保険の適用をいたすことにいたしております。出て参りますものの中で賃金実態というものがきわめて不明確でちょっとどうにもならぬというようなものにつきまして、再調査をいたすようなことが間々ございますけれども、この任意包括の申し出のあるものに対しまして、これを特にけっておるというようなことはございません。この任意包括の制度は十分に活用いたして参りたいと考えております。

河野正日本社会党

○河野(正)委員 五人未満の零細企業におきまする被用者対策につきましては、ただいま大臣からも数字をあげて御説明をいただきましたし、今後こういった大群の労働階級が社会保障の網の目から漏れるということは重大な問題でございますので、さらに格段の御善処を願っておきたいというふうに考えます。  そこで五人未満の零細企業における被用者対策はさようでございますが、それでは一応今今日まで解決しておると考えられておりまする五人以上の従業員の事業所の、いわゆる普及率ですね、実施率と申しますか、そういったものはどういう実情にあるのか、この点を明らかにしておいていただきたいと考えるわけでございます。

高田正巳厚生事務官(保険局長)

○高田政府委員 お答えをいたします。ただいま五人以上のものはどうかというお尋ねでございますが、五人以上の方は、政府管掌と組合管掌と二つに分れるわけでございます。それで政府管掌の力の状態を申し上げてみますると、三十二年度末におきまして事業所の数が、ここに数字がございませんので正確に申し上げられませんが、大体三十万をちょっと切るくらいの数と記憶いたしております。それから被保険者の数は、これは正確に出ておりますが、六百四十五万二千三百六十一人、これだけの状態でございます。それでこのほかに組合の方は、組合の数にして一千でございます。事業所の数にいたしますと、同じ系統の同じ会社の事業所が方々に分散しております場合も一組合になっておりますから、もう少しふえると思います。そうして被保険者の数は三百七十万程度と私記憶をいたしております。大体そういうふうな適用の状況になっておるわけでございます。

河野正日本社会党

○河野(正)委員 適用の状況についてはただいま概数であると思いますけれども、それぞれ明らかにされましたが、それが実際は全体のどの程度に値するものか、その辺の事情を一つ明らかにしておいていただきたい。

高田正巳厚生事務官(保険局長)

○高田政府委員 その御質問の趣旨は、おそらく適用漏れが一体どのくらいあるかという御指摘であろうかと思います。一両年前に、部分的にその調査をいたしたものがございますが、ただいまその資料を持ってきておりませんけれども、実は昨年度、一昨年度あたりからこの適用漏れの解消に相当大きく力を入れてやっております。一昨年度が被保険者の増加が、たしか差引五十万人程度ですから、六、七十万新しい被保険者が入ってきておる。それから三十二年度におきましては、年間の増加が八十三万五千人という被保険者の増加をいたしております。三十二年度は、下業所の数で二千三百四十四事業所が新たに政府管掌の中に事業所としてふえて参っております。この二千三百四十四、それから年間の被保険者増八十三万五千人、さらにその前年度の三十一年度、これはここに持って参っておりませんので正確な数字でございませんけれども、私の記憶によりますれば、やはり六、七十万ぐらい被保険者がふえております。この三十一年度、三十二年度でかように被保険者が急激に増大をいたしたということは、その前の年までを比べますと、前の年までは大体数万程度年間で被保険者がふえておるだけであります。従ってこのニヵ年でこれだけの数十万という被保険者が増加して参った、事業所の数も非常に増加して参ったということにつきましては、もちろん雇用量の増大ということもあるわけでございますが、これは経済の実態から見て、これだけが全部雇用量の増加だとはとうてい考えられません。今の未適用事業所の解消で努力をいたしておりまするものが非常に多くの部分を占めておる、私はかように見ておるわけでございます。大体そういうふうな状態でございまして、この努力は今日も未適用——通用すべき事業所であって適用漏れになっておるものが、まだ若干残っておると思いますので、今後もこの努力を引き続きやって参りたい、かように考えておるわけでございます。

河野正日本社会党

○河野(正)委員 今非常に御努力された自分たちの努力を示される意味かどうか存じませんけれども、三十一年度、三十二年度と実績の上ってきた分のみについては、いろいろ実数を示して御指摘になりました。ところが私が御質問申し上げているのは、それもけっこうでございまするけれども、現在未適用事業所なり、あるいはその数がどの程度あるのかというようなことを御質問申し上げておるわけでございます。その辺を一つ一応明らかにしていただきたいと思います。

高田正巳厚生事務官(保険局長)

○高田政府委員 御存じのように強制適用でございますので、見つかっていて適用しないということは実はないのでございます。従ってその適用事務というものは、事業主の方から届け出て、そうして適用をするということになっておりまして、その責任は事業主に法律上あるけでございます。従ってそういう届け出ないものがどれだけあるかということになるわけでございまして、今日の正確な数字は私ども持っておりません。というのは、見つかっていないわけでございます。ただ先ほどちょっと申しましたように、一両年、二年ぐらい前だったと記憶しますが、ごく部分的にそういうのを根掘り葉掘り探して歩いて調査をしたことがあるのであります。そういうのはあるわけでございますが、今御質問、御要求のように、今日一体適用すべきもので漏れておるものがどれだけあるかということにつきましては、これは私ども数字を持ち合せないわけでございます。

河野正日本社会党

○河野(正)委員 未適用事業所等についてはなかなか実数が把握しにくいというふうなお言葉でございましたが、聞きょうによってはなるほどもっともというような感じもしますけれども、今まで局長がるる御答弁になりました内容を伺ってみますと、非常に納得のいかない点が多々ございます。と申しますのは、数年前までは数万人の未適用者の解消であった。それから三十一年度、三十二年度になって急激に増加してきた。これは、なるほど三十一年度、三十二年度においては非常に努力された、努力の結果成果が現われてきたというふうにもとれますが、三十一年度、三十二年度以前においては非常に放任であった、あなた方の怠慢であったというふうにもとれるわけですね。そこで、なるほど三十一年度、三十二年度、未適用事業所の解消に努力をしてこれだけの成果があったということで御報告になったことは、その労苦は多といたしますけれども、考えようによりましては、先ほど申し上げましたように、どうも今までそういう方面において熱意が欠けておったのではないか、あまりにも怠慢に過ぎておったのではないかというふうな感じも強く持ちます。と申しますのは、どうも私どもが仄聞するところによりますと、そういう事業体の経営状態というものは、私は必ずしもいい状態ではないというふうにも判断できます。そこでどうもあまり適用していくというと健保の赤字というものがだんだん増加していく。要するに赤字を生み出さぬ、赤字を防止していくというためにどうもそういう努力が怠られておった。そういたしますと、事業主は別といたしましても、被保険者になるべき人々にとりましては、私はまことに不幸なことであるというふうに考えるわけでございます。従ってその点につきましては、五人未満の零細企業におきまする被用者対策につきましては、先ほど大臣からいろいろ誠意ある御答弁をいただいたのでございますけれども、しかし今日まですでに解決しておると考えられておりまする五人以上の事業体におきましても、そういった実情でございますので、この点につきましては、さらに格段の努力をして一つ善処していただきたいということを強く御要望申し上げておきたいと思います。  それから、医療保障の点につきましていろいろな角度から論及して参りましたが、いずれにいたしましても、私どもが究極的に念じますることは、医療保障の万全あるいはまた円滑な発展を念ずるという一事にほかならぬのでございます。そういったような、医療保障の万全を期する、あるいはまた円滑な発展を期待していく、そのためには、いろいろな各面の協力なり熱意というものが私は当然必要になってくると思う。もちろん当局側の熱意、御努力ということも必要でございましょうが、なおまた医療担当者、保険者団体、そういった各面の努力なり熱意というものが必要であり、そういった各面の努力なり熱意というものが相待って、この医療保障の発展というものが生じて参るというふうに考えるわけでございます。ところがこの点につきましては、大臣もすでにもうお耳に入れられておることと思いますが、そういった協力を求めなければ医療保障の発展を期しがたいということでございますけれども、いろいろこの法案の中に問題を残しておる点が多々あるわけでございます。いろいろな各面から陳情その他があると思いますけれども、一、二私が例をあげて申し上げますならば、たとえば医療担当者の協力を求めて参るためには、医療担当者のために、いろいろそういった各面の御意見を尊重していただかなければならぬということは、これまた当然のことだと思います。ところがいろいろな面で拘束は受けますけれども、そういった協力を願わなければならぬというような医療担当者に対しましてはあまり考慮が払われておらぬというような点も、先ほど申し上げましたように多々あるものと確信をいたします。例をあげますと際限がございませんが、そういった意味で、医療担当者のいろいろな要望、たとえば診療報酬審査機関に対する要望、あるいはまた検査罰則等の強化の問題、診療報酬額決定に関する仲裁機関等の問題、あるいは支払い期日の明確化等の問題、こういったいろいろな具体的な問題があると思います。そういった問題に対して当局側が、単に一部の意見を聞く、一部の要望を聞き入れるということだけでなくて、医療保障の完璧を期して参る、あるいは医療保障の円滑なる発展を期待して参るためには、各面の熱意と努力が要ることは当然必要でありまするから、そういった建前からも、ただいま申し上げましたようないろいろな事柄に対しましては十分なる考慮が払われなければならぬというふうに判断するわけでございます。時間も非常に切迫いたしておりますから、そういった総括的な点に対する大臣の御所感等を承われまするならば幸いと考えます。

橋本龍伍自由民主党厚生大臣

○橋本国務大臣 先般も申し上げました通り、二十八国会に提案をいたします際も、いろいろ審議をいたした結果であります。その後私が担当いたしましてから、前特別国会に提案をいたしたいと思いましたときにも、いろいろな論については検討いたした次第でございます。結論といたしましては、今回提案をいたしました法案が当面最善と思って提案いたした次第でございますが、いろいろな御意見もございまするので、その御意見を承わりまして、法の運用には十分考慮して参りたいと思いまするし、その法の運用の過程においても、なお常にどうやったら一番うまくいくかということにつきましては、将来末長く良心的に検討をして参りたいと思います。

河野正日本社会党

○河野(正)委員 いろいろと大臣の率直な御所見も承わって参りましたが、ひっきょういたしまするに、私どもがいろいろと重ねて申し上げて参りましたことは、今日提案されておりまする国民健康保険というものが社会保障政策の一環としての医療政策でなければならぬ、私どもはそういった立場からいろいろ御指摘を申し上げ、いろいろ所感を承わったのでございまして、決して私ども個人の利害に基いて御意見を申し上げたのではないのであります。そこで大臣といたしましても今日まで各面の意見を十分聞かれたと思いまするけれども、もちろん財政事情等の問題がございますので、従っていろいろ困難な面があろうかと思いまするが、しかし国民皆保険という建前は、どこまでも国民すべてが医療保障の恩典に浴するということが基本的な建前でなければならぬということは当然の事柄でございます。そういった大筋を立てて今度の法案を細部にわたっていろいろ検討いたしますると、非常にたくさんな——それは大臣が仰せられましたようにいろいろ困難な面もあったろうと思われまするけれども、しかし実際問題として非常に多くの矛盾と不純性があったということを、残念でございまするけれども御指摘申し上げなければならぬと思います。そこで私どもがたびたび申し上げますように、皆保険というものはどこまでも国民医療の真の向上であり、真に国民の福祉向上であり発展である。その上に立っての国民皆保険であり、国民健康保険でなければならぬということは当然のことでございますし、大臣も十分御承知であった点であろうというふうに考えます。一つ最後にそういった基本的な考え方について、私どもが長い時間かけて論議して参りましたが、そういった点に対する総合的な、最終的な大臣の今後の方針なり、今後対処されまする所信なりを承われますならば幸いだと考えます。

橋本龍伍自由民主党厚生大臣

○橋本国務大臣 ただいまお話のございました通り、この国民皆保険の問題は、全く国民の福祉のために医療の内容を向上し、その便宜をさらに向上させるというつもりで、今日もやっておるつもりでございますし、今後もお話のありましたこと等を十分考えまして、そういう方針で国民皆保険の内容をよくするために努力をいたして参りたいと思います。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 関連して資料の要求をいたしたいと思います。  ただいまの河野委員との間の一問一答を聞いておりまして、私も質問をいたしたいと思っておりました重要問題の資料を要求したいと思いますが、五人以上の健康保険適用の事業場における普及の状態というものが明白に把握をされていないということです。今高田保険局長の御答弁を聞いておりまして、雇用量が非常に増大をし、同時に未適用専業所の解消によって昭和三十一年度には六十万ないし七十万の被保険者の増加があり、三十二年度には八十三万五千人の増加があった。約百四、五十万の増加があったわけです。しかるに昭和二十九年に行政管理庁が行政監察をやっております。行政監察をやっているのは昭和二十九年でございますがこれによりますと、東京においては強制適用場の七割が適用されていないということです。また大阪においてはその三割が適用されていないということです。全国平均してみますると、約半分が強制適用事業場において適用されていないいう行政監察の報告があるわけです。従って行政管理庁のそれだけが報告を、片手間にやった調査で出てきておるのに厚生省当局に強制適用場が一体どういう適用状態であったかというその資料がないということはおかしいと思うのです。こういう大半ないわゆる被傭者階層の実態把握なくして国民の皆保険の実施ができるはずがありません。現在の東京においては、すでに昭和三十三年の四月一日から国民健康保険を実施するということでいろいろ調査をやってきたはずでございます。しかるに現在なお東京都においてそれができないという実態というものは一体どこにあるかということです。全国的な調査が厚生省にないとするならば、東京都だけでもよろしいから、東京都内における強制適用事業場のいかほどが、昭和二十九年には七割が適用されていませんが、現在保険局長の言うように三十一年、三十二年で約百五、六十万にもし適用されたとするならば、東京都内においても相当の減少、七割か四割ぐらいになっておるかもしれません。従って全国的なものを一つ、さいぜんの御説明では部分的に相当探したということでございますから、部分的なものをある程度把握すれば全体の推計が、最近における新しい推計学からできるはずでございます。従って部分的に探した資料があればそれも出していただき、同時にまた東京都は、現実に具体的に国民健康保険実施のための資料を整えておるはずでございますから、まず一番大事な首都が、人口八百万のうちで国民健康保険の適用者と労働保険の適用の姿がいかになっているかということの資料を、明日までに出していただきたいと思います。当然これがなければ皆保険政策はできるはずがないので、これを一つ出してもらいたいと思います。

園田直自由民主党

○園田委員長 次会は明二十三日午前十時より開会することとし、本日はこれにて散会いたします。     午後五時一分散会

国会会議録検索システムで原文を見る ↗