社会労働委員会 第7号
- 発言数
- 71 件
- 登壇者
- 10 名
- 会派数
- 2
- 開催日
- 1958/10/16
会議録
○園田委員長 ただいまより会議を開きます。 速記を停止します。 〔速記中止〕
○園田委員長 速記をお願いします。 第二十九回国会に提出されました滝井義高君外十三名提出、国民健康保険法の一部を改正する法律案を議題といたします。 —————————————
○園田委員長 この際お諮りいたします。本案につきましては、すでに第二十九回国会においてその趣旨の説明を聴取し、その内容は明らかでありますので、趣旨説明を省略いたしたいと存じますが、これに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○園田委員長 御異議なしと認め、そのように決します。 この際、ただいま議題となっておりまする滝井義高君外十三名提出の国民健康保険法の一部を改正する法律案に、先般来審査中の内閣提出にかかる国民健康保険法案及び国民健康保険法施行法案の両案をあわせて一括議題とし、審査を進めます。質疑を行います。藤本捨助君。
○藤本委員 現在におきましては、国民健康保険の給付の割合、さらに給付の範囲等が各保険者によりまして千差万別であり、医療報酬に至りましても、保険者のうちに単価の割引等がありまして、また格差が見られるのであります。このようなことでありましては医療機関の待遇改善あるいはまた医療内容の向上の点から申しまして遺憾にたえないのであります。今度の法改正によりまして、そういうことに対してどのように是正いたされるのか承わりたいのであります。
○橋本国務大臣 ただいま藤本委員御指摘のように、国民健康保険は今日まで相当発展して参りましたけれども、御指摘のようにいろんな点でつり合いがとれないところがございました。そこで今回の国民健康保険法の改正によりまして、一つには給付内容の統一をはかり、健康保険と同一の給付内容といたしたのであります。それから同時に診療報酬の問題もまた医療担当者の問題につきましても、いやしくも国民皆保険というからには、この国民皆保険に協力して国民健康保険の医療担当者となるという意思を持っております医療担当者については、これをすべて国保の担当者とし、かつまた診療報酬についても一律に同じような内容でいたしますために割引等の制度もやめまして、これも診療報酬は健康保険と、同一、かつまたいやしくも療養担当者となる意思のある人については全部都道府県知事において指定をして、これを担当してもらうというふうにいたした次第でございます。 なおまた、公私の医療機関の間に差別を設けてもなりませんので、直診等につきましてもやはり意思のある点を申し出てこれを指定するということにいたしまして、公私の医療機関についても一切平等という取扱いをいたしたのであります。
○藤本委員 ただいま御答弁があったのでありますが、給付内容の幅あるいは範囲が狭いというようなことからいたしまして、貧しい被保険者の中におきましては医療を受ける機会に恵まれずして、かけました保険料をロスにしたというような場合もあったのであります。これは国保のかなえの軽重を問われることにもなりますので、特に今お述べになりましたようなことに対しましては今後御留意願いその実現を期していただきたいと思います。 次に、診療報酬の未払いがたくさんあるということを承わっておりますが、その赤字の累積はどれほどでございますか。また保健所の中には非常に不健全な保険財政を持ったものが多々あるように承わっております。それもお示し願いたい。
○橋本国務大臣 国民健康保険の財政の問題はきわて重要でございまして、皆保険をやるという建前から申しまして、現在すでに実施をしておられるところも大事でありますし、その実績によって、今後無実施市町村でやってくれるその決意にも非常に今重要な関係があるわけであります。診療報酬の未払いの問題、それからまた大蔵省等とも相談をしていろいろ財政の改善をはかって参らなければなりませんけれども、医療費に対する国庫負担金の支払い等につきましても、精算がおくれまして、一年おくれて市町村に追給するというような事態の改善等も相当考えて参らなければならぬ。現在のところまだまだ経理のやり方が十分だと考えておりませんので、これは本式にいろいろな点で改善をはかって参らなければならぬと思っております。ただいま具体的な数字につきましては政府委員の方から説明をいたさせます。
○高田政府委員 それでは数字の内容にわたりますので私から補足説明させていただきたいと思います。 国民健康保険の財政は御存じのように終戦後のインフレーションの進行によりまして一時壊滅の危機に瀕したのでございますが、関係者の御努力並びにその後再建整備資金とか国の療養給付費に対する補助とかいうものが出て参りまして、だんだんと好転をいたしております。ことに昭和三一十年度にはこ存じの療養給付費に対する二割の補助金が法定をされまして、この辺から逐次三十一年度、三十二年度と好転を示しておりまして、数年前の国保の財政と比較いたしますと見違える程度にも至っておると思うのでございます。 それで若干数字的にわたって御説明を申し上げますと、三十年度の状況は収入総額が二百八十七億、支出総額が二百八十七億でございます。差引三千四百二十万円の決算上の赤ということになっております。これの中身を一言つけ加えて申し上げますと、決算剰余金といたしましては八億八千五百万円の決算剰余金を出しております。しかし反対に九億二千万円の翌年度の財源、保険料を食っております。この決算剰余金の八億八千五百万円と九億二千万円の差というものが今の三千四百万円の赤になって出ておるわけでございます。これが三十一年度に参りますと財政の規模は収入総額が三百四十四億、支出の総額が三百四十億、差引いたしまして三億六千五百万円の黒を出しております。この黒の中身でございますが、これにも先ほど三十年度で御説明をいたしましたように、決算剰余金が十四億五千万円ほどございますが、同時に翌年度の保険料収入を食っておる金額が十億八千八百万円ほどございますので、この差引におきまして、先ほど申し上げました三億六千五百万円の黒、こういう格好になっておるわけであります。それから三十二年度におきましては、財政規模といたしましては収入総額が四百十六億、それから支出の総額が四百二億、端数はいずれも切り捨てて御説明をいたしておりまするが、それで先ほどの決算剰余金は二十三億六千万円を出しております。ただし翌年度の歳入を食っておりますのが十億二千九百万円ほどございますので、差引十三億三千四百万円の黒ということになっております。それで三十年度の差引の赤、三千四百万円が三十一年度には三億六千五百万円の黒になり、三十二年度には十三億三千四百万円の黒になって参っておるということで、だんだんと全般的な傾向といたしましては、健全化の道をたどりつつあるわけでございます。ところが先ほど御質問になりました診療報酬未払い額というものがございます。この診療報酬未払い額というのは前年度末までの、すなわち三月三十一日までの診療をいたしましたその診療報酬を五月末日まで、いわゆる決算の出納期までに払わなかったもの、従って六月以降に払ったものの金額でございます。そういう意味でございまするので、その点はさような意味にお聞き取りを願いたいのでございますが、その金額を申し上げてみますと、三十年度は十三億千五百万円ございます。三十一年度は十三億千六百万円ございます。三十二年度は九億九千六百万円でございます。この数字を、療養給付費もどんどんふくらんでおりますので、その療養給付費総額に対するパーセンテージで出してみますと、三十年度の十三億というのは三・五%に当ります。それから三十一年度の十三億というのは二・九%に当ります。それから九億九千六百万円という三十二年度の数字は一・八一%に当るわけでございます。この診療報酬未払い額というものは、ただいま申し上げましたように全額の絶対額におきましても、また療養給付費の総額に対するパーセンテージにおきましても逐年減ってきておるわけでございますが、このことはどういうことを示しておるかと申しますと、前からの未払い額がどんどん押せ押せと翌年度々々々になってきておるわけであります。従ってこの金額がだんだん減り、パーセンテージが減ってきておるということは、結局国保の単年度の収支におきましてはむしろ黒であって、過去の未払い額をだんだん減らしてきておる、こういう格好になるわけでございます。そのただいま未払い額の数字と、先ほどあげました差引の決算上の黒というものと一つ御比較を願いたいと思うのでございます。たとえば三十二年度におきましては十三億の黒を出しておりますので、診療報酬未払い額九億九千六百万円に比較いたしますと、十三億の方が大きいという格好になっておるわけでございます。 こういう状況でございますが、なお先ほど大臣がお触れになりましたように、国庫補助金が当該年度では足りなくて、補正予算で国庫補助金を翌年度に出しておるという数字がございます。これがかりに当該年度に出ておりますれば、その年度の財政は非常に楽になるわけでございますが、その金額を御参考までに申し上げてみますと、三十年度におきましては、はしたはございますが、十億円という補正予算が組まれまして三十一年度に出ておるわけでございます。それから三十一年度には国庫補助金の十六億分が翌年度に流されておるわけでございます。それから三十二年度につきましては、まださような措置が正式に決定いたしておりませんが、その金額は十二億円という精算ができております。これもいずれしかるべき時期に流すことに相なる、こういうふうな次第でございます。 以上申し上げました収支差引額の各年度の数字、診療報酬未払い額の各年度の数字、それから国庫補助金の不足分、すなわち、翌年度以降に支払われる数字、これらのものをそれぞれ御比較願いまして年度間の移りをごらんいただきますると、私が最初申し上げましたように、国保財政というものは非常に好転をしてきておるということが言えるのでございます。ただ、このほかに、さらに別の要素といたしまして、一般会計の繰入金の問題があるわけでございます。この数字は赤字と見るわけには参らないのでありますが、御参考までに一般会計の繰入金の数字を申し上げてみますと、三十年度は三十五億円、三十一年度は三十八億円、三十二年度も三十八億円という数字を示しております。この一般会計繰入金というものは、今後におきましても当然一般会計で負担してしかるべき性格の金に当るものもございまするし、あるいは事務費の実績より補助金が少いというふうな点を補てんしたような性格のものもございます。従いましてこれは一がいにどうこうというわけには参らないのでありますが、ともかく一つの国保財政をごらんいただく上において参考になる数字でございますので、あわせて申し上げておきます。 大体以上が国保財政全般についてながめた一つの数字でございまして、個個の保険者ということになりますと、それぞれの特殊事情がございまして、これは三千ほどございますので、なかなか一口に申し上げられないのでございますが、全般につきまして国保財政をながめてみますと、大体以上のようなことに相なっておるわけでございます。
○藤本委員 私は今までに、国保の保険給付が、たとえば被用者保険のそれに比較いたしまして非常に低いということ並びに国保財政の赤字の点について二、三お伺いいたしたのでありますが、これらの事情のよって来たるところはきわめて簡単明瞭であります。その一つは、保険給付に対する国の補助が低い、第二に事務費の補助単価が実績に即しておらぬ。第三といたしまして、保険料の収入に大きく期待できないというようなことにあるのであります。これらにつきましてこれから少しお尋ねしてみたいと思うのでございますが、国保の保険給付に対しまして国の補助は二割でございます。さらにそのうちの一割を保険料の収納率のいいところにより多く配付しておる。二割を市町村の財政の非常に脆弱なところに配付しておる。その残りを各保険者に対しまして一律に配分いたしておるのでございます。これがために保険者によりましては一割そこそこの配分しか受けておりません。そのために事業の運営に非常に支障を来たしておる。またやればやるほど赤字が出るというような事態も惹起いたしておるのであります。こういうことに対して、この改正法はどういうように対処するのかということが第一点。 それから事務費の補助単価が、かりに数字を申し上げますと三十一年度はわずかに六十八円六十銭であります。それに対しまして事務費の補助の実績は大体百十八円十七銭になっておるはずであります。三十二年度は事務費の補助単価は八十五円、実績は百三十円九銭、三十三年度は九十円に値上げをされておりますけれども、その事務費の実績は大体百四十円くらいに推定されるのであります。これらの差が保険財政の赤字ともなり、あるいはまたこれが市町村の財政にのしかかっておって、中にはそれを被保険者に転嫁しておるような事態もないではないのであります。こういうことでありますので、これに対して今後どういうように新法において取り扱われるかということであります。 さらに保険料の収納率が悪いし、あるいは多くを期待できないということは、この国保の被保険者層は大体におきまして非常に低所得者層の者が多いのでありまして、たとえば年所得が七万円以下というのが全世帯数の二割七分ある、あるいはまた二十万円以下の所得者が大体全世帯数の七割七分五厘ある、こういうような事態でありますので、保険料の賦課を適正にし、あるいは徴収の確保をはかるといたしましても、多くを期待できない、こういうようなことからいたしまして、いろいろと前に申した事情とあわせまして、あるいは給付内容が低い、あるいは国保の保険経済に赤字が出ておるということに相なっておるのであります。新法におきましてはこれをぜひとも是正しなければならない、かように考えております。そこで政府はこのたび調整交付金の制度を創設してこの事態に対処せんとしておられまするが、それはあとでお尋ねをいたすといたしまして、今の三点についてのお考えを率直にお述べいただきたいと思います。
○橋本国務大臣 ただいま御質問のございましたことは、国保の今日のいろいろな問題でございますし、今後皆保険を達成するに当りまして考慮しなければならない大切な部分でございます。そこで十分な解決をこの際全部やるわけには参りませんけれども、今回の国民健康保険法の改正に当りましても、その点をできるだけ改善したい、こう考えて参ったのであります。 まず第一に国庫補助の問題でございますが、現在までの状態は、ただいま御指摘のございましたように、療養給付費の総体の二割に相当する国庫補助金をとにかく出すということでございますが、それが補助という格好になっておりましたのをはっきりした国の負担と改めまして、その総体の二割の中をいろいろに配分するということでなしに、療養給付費の二割だけは各保険者に対してきちんと支払うということに、まず第一にいたしました。しかもそれも補助でなしに、国の負担として責任を明確にいたしたのであります。そのほかにさらに、いずれあとでお尋ねがあるという話でございましたが、調整交付金五分を設けまして、保険者の状態によってそれを加えるということにいたしたわけでありまして、総体的には二割五分に相なるわけでございます。これは昨日も御質問がございましたけれども、社会保障制度審議会の勧告にも国庫負担を三割にせいという御意見が出ておるのであります。将来の目標としてその辺までぜひ持って参りたいと考えておりますけれども、今日の状態といたしましては、まず第一に、やはり全面的に国保の実施をいたしますのと、給付内容の改善を漸進的にはかっていくということで、今回の国民健康保険法の改正につきましては、ただいま申しました通り、療養給付費の二割というものをはっきり国庫負担にする。そのほか調整交付金制度を設けるということにいたしたのでございます。 それから事務費に関しましても、御指摘のございましたようにいろいろの問題があるわけであります。まず新法におきましては、この事務費についても単なる補助をするということでなしに、全額国庫が義務として負担をするのだということを明らかにいたして、その事務費の内容に関しましては、これは確かに今日予算に積算いたしておりますところは、いろいろに理屈はつけておりますけれども、事実の問題といたしましては実績に対してはるかに低い金額でございます。ただこの問題といたしましては、各自治体によりまして給与の内容また事務の取り方の内容等もございまして、やはりできるだけの倹約はしてもらわなければなりませんので、実績そのままにどこまでも払うということには参りかねるのであります。国民皆保険を今後さらに進めて参りまする上において、残っておりまする都市部の国保事務などにつきましては、いろいろ最近も相談を受けるのでありますが、人件費が非常に高いようでございまして、これにつきましてはこういう実情をのんで考えて参らなければなりませんけれども、やはり自分の市では被保険者一人当りの事務費が実績をはじくと二百何十円、三百何十円とかかるといったようなものにつきましては、もう少し仕事のしぶり自身を考えてもらわなければなりません。現在までのところも、いきなり引き上げはできませんので、事務のやり方についてできるだけ簡素化をはかり、節約をするように勧告をしながら、事務費を実績に近づけるようにできるだけの骨を折って参りました。今年度の予算においてもある程度引き上げをいたしました。来年度予算の要求につきましても、もっと事務費を実情に近づけるように努力をいたしておる次第でございます。なおこの数字的な詳細につきましては、政府委員から答弁をいたさせます。 それからもう一つ大事なことは、やはり御指摘のございました保険料の収納率でございますが、これも国民経済全体の好転と、それからまた国保に関しまする理解の進んで参りましたことによりまして収納率は逐年向上して参りまして、二十九年度が八六%、三十年度が八八%、三十一年度が九〇%、三十二年度が九一・二五%というふうになって参りまして、収納率はだんだんによくなって参りました。これをさらに上げるように格段の努力をいたしたいと考えております。事務費につきましては、政府委員からなおこまかい数字的な御説明を申し上げます。
○高田政府委員 事務費につきまして実際どの程度使っておるかということを、私の方と大蔵省と一緒になって調査をいたしました。保険者につきまして無作為抽出によって二百九十六を選定いたしました。この調査結果におきましては事務費の総額が四億三千六百万円余りになっております。これは総額でございまして、被保険者一人当りの事務費は百四円八十八銭、約百五円程度になっております。これは三十二年の調査でございます。なおこれが三十三年度は九十円ということに予算上落ちついたわけでございますが、この百四円というものが九十円に査定をされました経緯につきましてはいろいろ詳細なことがあるわけでございますが、私どもといたしましては、ただいま大臣が申されましたようにこの実績百四円、これはその後べース・アップその他で今日におきましてはもう少し高くなっております、しかしその実績そのものが、もちろんその中に節約をすべき経費が若干入っておるということも否定をいたしませんが、それはそれとして落して、必要なものだけは十分実情に即するように計上をいたして参りたい、こういうふうな建前から、今後もこの事務費につきましては正しい実績額を確保するように努力をいたして参る所存でございます。特に大都市の事務費は非常に人件費等が高うございまして、相当問題があるようでございますので、その辺につきましても今後十分努力をいたしたい、かように考えているわけでございます。
○藤本委員 ただいま保険給付に対する国の補助二割、改正法におきましてはその補助が、負担になっているということでございますが、それは法の規制力においては強化されておりますけれども、二割であるという限りにおいては、中身は同じであります。そこで医療内容の向上、医療機関の待遇改善等のために、どうしても国の負担を三割に持っていけということは、御承知の通り社会保障制度審議会の勧告、あるいは市町村、都道府県その他一切の関係団体の決議による要請であります。大臣は、この際は普及が先で内容はあとだというようなお話もございましたが、どうか一つ、早く国庫の負担三割が実現いたしますように御努力をお願いいたしたいのであります。 次に、この際結核対策につきましてお伺いいたしたいと思います。御承知のように国民の総医療費は昭和三十年におきまして約二千七百億円以上であります。それに対しまして結核の医療費は大体六百億円余りであります。三十一年の国民総医療費は二千八百億円余りになっておりますが、それに対しまして結核医療費は六百三十億円程度であると思います。割合から申しまして驚くべきものであります。大体五対一というように相なっておりますので、この結核に対する措置というものが、現在もそうだが、今後におきましても保険財政を非常に左右することに相なりますので、抜本塞源的な結核対策について御所見を承わりたいのであります。
○橋本国務大臣 結核の問題につきましては、総医療費の中に占めます割合という点からいきましてもそうでございますし、重要な問題でございます。それから、ことに今日といたしましては、結核の死亡率が近年著しく減少いたして参りました状態等から見まして、患者の数はまだまだ減っておりませんけれども、今日においても非常に大きく力を尽して参りますならば、かなり急速にこの結核の問題の解決をはかることができると思いますので、今日従来にも増して力を入れなければならぬということは、国民皆保険の財政の打開の問題にも重要な関係がございますし、国民の保健衛生という点からいきましても非常に重要な問題であると考えております。この結核対策につきましては従来の結核予防法を中心にいたしまして、国民の総体に予防検診をし、そして発見された結核患者の治癒をはかるという筋道はきめてあるわけでありますが、実際問題といたしましてはなかなかそこまで手が回りかねまして、検診の問題でも総体の三六%くらいの検診をいたして、また見つかった患者も十分治療しかねている部分があるわけであります。そこで従来から、検診を十分にいたしますることと、それからもう一つは見つかった患者の治療をはかりまするために、公費負担を全面的に増額をするということに努力をいたして参りましたが、財政的になかなかそれが通りかねて参ったのであります。そこで今日厚生省として考えて、来年度の予算の中に要求いたしておりますることは、昨年ドイツでやりました重点的に結核問題の解決をはかるといった方式にならいまして、いきなり全部の公費負担を増額するということはなかなか財政的にも問題があるかと思いまするので、濃厚感染源と考えられておりまする患者、これは従来から発見をされた患者で治癒のできていない人たちでありまするとか、そのほかそういう点を目ざしまして、その周辺を重点的に、とにかく危ない部分についての予防検診を非常に重点的に大きく実施をいたしますこと、それからもう一つ、そこから発見されました危険な患者に関しましては、見つかった限りは必ずこれをなおしてしまうという建前で、所要に応じまして強制入所をさせまして、強制入所をさせた者につきましては公費負担を増額して、国でめんどうを十分見て早くなおす、こういう点を結核対策の主要な部分といたしまして、力を入れて実施いたして参りたいと思うのであります。これは考え方から申しますると、今年度の予算要求にも出ておりました公費負担の全面的な増加という点からいうと、何だ後退したじゃないか、なぜ全面的に公費負担の増額をはからないんだという御意見があるかと思いますが、現実の問題といたしましては、なかなか全面的な公費負担の増額ということにいきませんので、今言ったような重点的に検診をして、しかも見つかった患者に対してはどうでもなおしてしまう。普通に入れない者については強制入所を命じて、強制入所を命じた者については公費負担率を上げて片づけるというふうなことが、従来の建前を一歩後退したようには見えますけれども、現実にはそれが事を前進させるゆえんであると考えまして、大体結核対策の立て方をそういうふうにいたして予算要求をし、これによって結核の撲滅をこの数年の間には相当程度進捗させたいと考えております。それによりまして保険財政といたしましてもやはり相当の負担の軽減ができると考えておるのであります。
○藤本委員 次に、国保におきまする一部負担は五割でありまして、非常に多いのであります。しかるに先ほど申しましたように被保険者の経済事情は悪い、こういうことからいたしまして、非常に医療機関等に迷惑をかけておる。そこでこの被保険者の一部負担の最終責任者はだれかということについてお伺いいたしたいと思います。
○橋本国務大臣 この一部負担の問題については、まあいろいろな考え方はございまするし、また将来の問題としては、この割合についても考えていかなければならぬ問題があると思いますが、当面の問題といたしましては、今度の新法におきましても五割、一部負担という建前でおるわけであります。ただ実際に中には払えない人がおるというので、この一部負担金につきましては、払えない人に対しては免除をしていく。払える人、すなわち免除のない人たちに対しましては、これはお医者さんの側でやはり徴収をしていただく。これはなかなかいろいろ困難な問題はあると思いまするけれども、こうして九千二百万の国民を対象といたしまして国民皆保険をやって参ります場合には、やはり保険財政を立てていく上でも、療養担当者の側の御協力もやはり十分得なければなりませんので、この法の運用に当りましては、あまりぎくしゃくしないように、あまりかたいことを言わずに、とにかく一部負担金を払えないという人たちに対しては、法の活用によって免除をいたして参りますけれども、いやしくも払えるという建前の人に対しましては、これは療養担当者としてもなるべくは楽な気持でやっていきたいともお思いになるでしょうし、それからまた事実なかなかいろいろな問題はあると思いますけれども、これは一つ骨を折って、払える人に対しては療養担当者において徴収をやっていただきたいと考えております。
○藤本委員 支払い能力のない被保険者に対しましては免除する。免除すればそれだけ穴があくのでありますから、私はその最終責任者がだれであるかということをお聞きしたのです。 それから徴収事務を医療機関がやるということも、なかなかやっかいな問題でありますが、この問題につきましての今後御善処をお願いいたします。 次に、今度の新法におきまして非常に重要なことはこの国保の給付内容の向上あるいは医療機関の待遇改善等をするために調整交付金制度を創始したということであります。そこで私は……。 〔発言する者あり〕
○園田委員長 私語を禁じます。
○藤本委員 調整交付金がいかようにして配分されるのか、その配分の基準、方法いかん、それからこの調整交付金をなぜ義務負担にしないか、さらに国保は、結局は神域保険と組合の二本立でいかなければならぬのであるが、組合には調整交付金を出さないと いうのはどういうわけかということについてお尋ねをいたしたい。
○橋本国務大臣 調整交付金の配分の方法につきましては、いろいろ実績の調査その他をせねばなりませんので、六、七月ごろからいろいろ配分方法のきめ方について調べをいたしておる次第でございます。ただいまの問題につきましては政府委員から答弁をいたさせます。
○高田政府委員 調整交付金の配分の方法につきましては、これはいずれ政令等ではっきりときめたいと存じておりますが、ただいま基礎的な調査を大臣仰せのようにやっておりまして、これらに基いて一定の配分方法をきちっときめたい、大体の方法といたしましてはかように考えておるわけでございます。すなわち調整交付金の大部分は普通調整交付金といたしまして、一口に申しますと負担力の少い被保険者を多数かかえておる保険者に対して、その負担力の少い程度に正比例をして配って参りたい。これをもう少しこまかく申し上げてみますと、国保被保険者世帯における所得税の申告納税額等、所得を示すものを基礎といたしまして、これに一定の率を乗じて得た額並びにだれもが持ってもらわなければならぬ均等額というものがございますが、均等負担として徴収すべき額、これらを一応適当な調査に基きまして妥当なところにきめまして、そうしてこれらの額に対して世帯数を乗じて得た額を市町村が確保してもらう額とします。一方当該市町村における支出の大宗である療養給付費のうち保険者が負担する額、これは見積りで出て参りますが、その比較をいたしまして、前者が後者に足らざるところが要調整額になって参るわけでございます。大体こういうふうな形にして普通調整交付金を配りたいという所存でございますが、これを一口に申し上げますれば、負担力の少い被保険者をかかえておればおるほど、それに正比例をして普通調整額が多くいく、こういうことになる。その負担力の少い被保険者をかかえておるに正比例するという、そのものさしを技術的にどういうふうにして、つかまえるかということが結局問題の技術的な要点になって参るわけであります。それらの点は実情を十分調査をいたしまして、市町村が当然確保すべき額——ちょうど交付税における基準財政需要額、基準収入額というふうなものをとって、交付税がその標準に応じて配られておるわけでございますが、そういうふうなものをどういう点で求めて参るかということが技術的な研究問題になって参るわけでございます。これが調整交付金の大部分の金を配る方法でございますが、そのほかに一部の金を災害を受けた市町村、こういうところ、あるいは災害以外にもいろんな事情が予想されるかと思いますが、特別に財政需要が多くなったところに特別調整として配分いたしたい、大筋といたしましてはかような考え方をいたしておるわけでございます。 なお調整交付金を配る対象としてなぜ組合を取り上げないのかという御質疑がございましたが、御存じのように原則といたしまして市町村公営でやって参るという建前でございます。組合は同種の事業に従事するものが自分たちで集まって自分たちで一つやっていこう、こういうことで市町村の公営国保に支障のなき限りこれは認めていくという制度でございます。従ってその建前から申しまして、調整交付金まで組合に配るということはいささか——もちろん配って悪いということは必ずしも出て参らないかと存じますけれども、いささか疑問がある、私どもはかような観点から、調整交付金は組合に対しては配らない、組合に対してはいわゆる療養給付費の補助金は出します、これは負担金でございまして出しますけれども、調整交付金の方は考えて参らない、かような建前をとっております。 なお立ちましたついでに、先ほどの最終責任——一部負担の払えないものに対して減免をした場合にはだれが払うのかという御質問がございましたようですが、もちらん減免をいたしました場合には保険者が払うわけでございます。
○藤本委員 次に、五人未満の零細な企業者の被用者につきまして国保との関係をお伺いいたしたいのでありますが、彼らは零細な五人未満の事業所に雇用されたという事実のために健康保険から締め出しを食っておるのであります。これは社会主義の立場から見のがすわけにはいきません。もとより脆弱な企業でありますから、使用者の負担は健康保険並みにはできぬと思います。またそこに雇用されておる者も非常に移動がはなはだしい、あるいはまた雇用関係、所得関係等も不確実でありまして、その捕捉が非常に困難であろうということはわかります。しかし、かようないろんな困難な事情を克服いたしまして、こういうものに医療保障の機会均等を与えることはまことに必要なことであり、これをやることによって真の社会保障という意義、その使命が果せるものと私は思うのであります。この点に対しまして大臣の御答弁をお願いいたしたいと思います。
○橋本国務大臣 五人未満の事業所に働いている人たちに対します健康保険の問題でございますが、これは雇用関係が非常にはっきりしているのと、はっきりしていないのとございますけれども、雇用関係がはっきりしておりまして要望のありますものにつきましては健康保険の任意包括の制度を活用して参りたいと考えておりまして、そういう方向で指導いたして参っております。任意包括の制度で健康保険の制度の適用をうまく受けられないものにつきましては、これはもう国民健康保険の制度をできるだけ早く全面的に実施をして、それで拾うよりほかないのでありますが、できる限りは健保の任意包括の制度の活用をはかって参りたいと考えております。
○藤本委員 次に保健婦につきまして大臣はどのようにお考えになるかお伺いしたいと思います。 保健婦は、現在の保健所の大体三割ぐらいは設置しておらぬはずであります。しかし保健婦の使命から判断いたしまして、保健婦は第一線における重要な機関であります。御承知の通り保健婦は家庭を回りまして生活の改善とか乳児の指導とか、あるいは結核予防の検診とか、あるいは寄生虫の駆除とか、その他公衆衛生の向上等に対しまして非常に努力いたしております。しかるにこのけなげな、献身的な保健婦に対する処遇というものは非常に悪いのでありまして、補助単価は一人当り十一万四千何がしであります。しかもその中にはいわゆる基本給のほかに諸手当、旅費まで入っておる。そういたしますと、月に割るとまことに零細なものであり、しかも数年来何らの改善もない、据え置きだということを聞いておるのでありますが、これではこの献身的な保健婦の尽力、努力に対して遇する道といたしましては、まことに冷酷そのものといわなければならぬ。こういうわけでございますので、私はぜひとも今後予算措置におきまして、この待遇を改善することに格段の御努力をお願い申し上げたいのであります。いかがでありますか。
○橋本国務大臣 お話のございましたように、この保健婦の補助単価は、手当や旅費を含んで年額十一万四千四百二十八円にすぎないのであります。実情に比較して、はなはだ低いと思いますので、これらの改善には予算要求をいたしまして、ぜひ努力をして、改善をはかって参りたいと思います。
○藤本委員 最後に私は、病気になった者を医療で直すというために国民皆保険はまことに必要でございまするが、私どもは、病気にかからぬように、国民を病気から守るということも非常に大事であろうと思います。そのために公衆衛生の普及とか、あるいは結核の対策等が特に必要でありますし、世界の動向から見ましても、最近は医療保険ということにはもとより努力をせねばなりませんけれども、さらに国民大衆の保険サービスというようなプログラムが非常に台頭いたしておるのであります。こういうわけでありますので、この医療によって病気を直すということとともに、予防医学とでも申しますか、あるいは病気の予防活動とでも申しますか、そういう方面に特に御尽力いただきまして、相待って国民の健康を早く回復する、あるいは国民の健康を保全するというような措置が必要であろうと思うのであります。そういう点につきまして、大臣の格段の御努力を願うとともに、その御所見を承わりたいのであります。
○橋本国務大臣 仰せの通りでございます。保険財政の将来というものを考えてみましても、社会保障の予算の先行きを私もいろいろ考えておりますが、年金の財政もなかなか大きなものでありますが、やはり医療保障の面でも、将来考えなきゃならぬ問題があると思います。で、この保険財政の将来という点から考えましても、それから、さらに根本的な国民の福祉という点から考えましても、病気になったときの医療の制度を完備いたしますると同時に、病気にならない仕組みを作るということはもうお説の通り、一番根本的な、大事な問題でございます。これにつきましては、いろいろな面の問題がございますが、やはり、この予防衛生の面で十分にいろいろな施策をいたします。それから、かつ、その間にやはり、医者が病気になった人の治療だけに利害関係を持つということでなしに、病気にしないための予防衛生の活動に医者が利益と情熱を感ずるような、やはりいろいろな仕組みが必要だと考えておるのであります。なおまた地区衛生組織の完備でありまするとか、そのほかいろいろな面の問題があると思います。今後の方向といたしましては、なおなお病気になりました人の診療の組織という意味における医療保障の仕組みをさらに充実して参りますのに、基本的に、ただいまお話のありましたような病気の少い社会、その実現のために、療養担当者ももっぱら情熱と利益を感じてくれるような仕組みというものをぜひ一つ考え、かつ促進をいたして参りたいと思っております。
○藤本委員 従来私はいろいろな事情から、病気ということが貧困の最大の原因であり、さらにまた生命尊重というような立場からいたしまして、医療の機会均等を得るということ、教育のように最も優先的にやらなければならぬと考えておるものであります。しかるにそれが今までまことに医療の機会不均等の事情があったのであります。今度三十五年度末を期しまして国民皆保険が達成いたしますならば、まず形の上におきまして医療の機会均等が確立するということに相なるのでありますが、しかしまだ私どものお願いいたしたいところは、形の医療の機会均等では足らない。これからその内容、質の機会均等を大いにやっていただかなければならないということであります。と申しますのは、政府管掌の健康保険におきまして、被保険者は年間の保険給付が六千五百円と承知いたしております。その被扶養者にしましても二千円、日雇い健保におきましては、被保険者は三千五百円、被扶養社は千円、しかるに国保におきましては、千三百円から千五百円の間でないかと思うのであります。そのように大きな質的な相違がありますので、今後の努力によりまして、ぜひとも彼此バランスをとるようにお願いいたしたいものであります。私は大臣の御努力によりまして国民皆保険が近く達成されるということは、まことに慶祝にたえないのでありますが、今後国民皆保険の質の機会均等を達成するということに御尽力下さるよう特にお願い申し上げまして、私の厚生大臣に対するお尋ねは一応これで切ります。 —————————————
○園田委員長 厚生関係の基本施策に関する件についての調査を進めます。 質疑を許します。茜ケ久保重光君。
○茜ケ久保委員 厚生大臣に売春防止法関係のお尋ねをいたします。せっかく売春防止法が施行されまして、いろいろ問題を起しながら現在に至りましたが、どうも最近、巷間、政府はあまり売春防止法の徹底的な遂行に対しては熱意がない、作りは作ったが、これはどうでもいいのだというような態度が多いのです。そういったことが具体的にも出てくるのでありますが、かつては橋本厚生大臣は非常に気骨のある大臣として聞えた方であります。きょうも審議される健康保険その他重要な問題がありますけれども、社会問題として大きな内容を持っておる売春防止法の施行に当っても、ほんとうに熱意をもってこれが所期の目的を貫徹するために全力をあげてやっていかれることはもちろんと思うが、最近巷間では、先ほど指摘したように、どうも政府の熱意はない、作って迷惑したんではないかといったような態度がいろいろな点で出ておるということが推測されるのでありますが、この辺について厚生大臣のこれに対する所信を承わりたいと思います。
○橋本国務大臣 ただいまの御質問ははなはだ心外千万でありまして、政府がこの売春対策で熱意を持ってないというのはとんでもない誤解であります。この売春防止法を実施いたしましてから、これはよほど真剣にやりませんと、こうした法律を作り、この決意を今後も続けて参りませんと、かえって今までより以上に凶悪なるひもがついたりなんかして、これは社会問題としても非常に従来の売春の害悪に加えて、なお深い害悪が出てくる危険性もあるのでありまして、近代福祉社会として売春というものの取締りをやります建前というものは、強く貫いて参らなければならぬと思うのであります。ただその後の事態を見ますると、まだまだなかなかやはりこういったふうな人間性に根ざしたいろいろな問題がありますので、これは事件といたしましては、その後取締り当局の上に出て参っております件数もなかなか容易ならぬものがあるようでありまして、直接売春の取締りの衝に当りますのは、ほかの関係でありますが、われわれとしても要求をいたしまして、売春防止法の徹底的な執行を期しておるわけであります。なお厚生省として担当しております部分につきましても、菅原氏、松原氏等に御厄介になっております対策の協議会の方も毎週必ず御参集を願いまして、所管の方面におきまするできるだけの配意をいたしておるわけであります。なお、この問題につきましての最近の仕事の状況に関しまして、政府委員からも御説明を申し上げます。
○茜ケ久保委員 ちょっとその前に……。厚生大臣の御意思はわかるのであります。しかし厚生大臣に幾らそうおっしゃっていただいても、具体的な事例がいろいろ出て参りますと、これはやはり国会における答弁で済ませるとは思えないのであります。具体的な例について、一、二お尋ねしますが、私は、群馬県から前橋の婦人相談所のことについて陳情書が出ているということを聞いておりますが、社会局長はその点御承知でしょうか。
○安田(巖)政府委員 群馬県の前橋の婦人相談所と保護施設を移転したいという話は聞いておりますが、正式の書類が出ておりますかどうか、ちょっと私、今はっきり覚えておりません。
○茜ケ久保委員 ちょっとおかしいと思うのです。出ております。生活課にはちゃんと出ておる。しかも相当前に出ておる。社会局長が知らぬという答弁はおかしいと思う。局長は群馬県の神田副知事と会って、この件について話し合っておるはずだ。しかも群馬県知事は去る九月、県議会において、社会党の議員の質問に対してはっきり答弁をしておる。いわゆる婦人相談所と保母学院との交換について、厚生省当局の了解を得ておる、こういった答弁をしておる。しかも御丁寧に、さらに重ねて、政府の国庫補助によって作った婦人相談所を勝手に取っかえたんでは、会計検査院に対して大きな失態になるんじゃないかという質問に対して、知事は、はっきりそのことについては、そういう心配もあるけれども、厚生省と打ち合せをして、そんなことのないようにいたします、こう答弁をしておる。もし知事が厚生省の何らかの了解なくしてそうえいうことを言ったとすれば、これはまたかえって知事のえらい問題であります。そこで今の社会局長の、正式な書類が出たかどうか知らぬという答弁は、私はあまりにも、この委員会における国会議員の質問に対して無責任な答弁と思うが、果して社会局長は群馬県からそういった申請書が出たことを知らぬのか、もう一ぺん聞きたい。
○安田(巖)政府委員 私は、この問題については承知いたしておりますということをお答え申し上げたのであります。ただ、この移転について正式の書類が出ておるかどうかということは今覚えておりませんと、こういうことを申し上げたのであります。おそらく県議会の決議でもありまして、それから正式の書類でも出るんじゃないかと私は考えておりますが、話がありましたことは、先ほど申しましたように私、承知をいたしております。
○茜ケ久保委員 知らぬとは何だ。生活課でも知っておるし、出たのはずいぶん前のことなんだ。それを知らぬとは何です。こういう席における答弁をあんまりごまかしちゃいかぬと思う。厚生大臣は何と言っているか。売春防止法の施行は厚生省は徹底的にやるとおっしゃっている。しかも、県がそれを出したのはもうずいぶん前なんだ。生活課長はちゃんとはっきりおっしゃっておる。もし出た書類を今日まで社会局長に見せないなら、これは生活課長の責任だと思う。県議会において、県知事がはっきり厚生省の了解を得ておると言っている。しかも神田副知事は社会局長と会って話をしていると言っておる。書類を持ってきたときに、当然副知事は来ている。生活課長は、書類が出て、副知事が来て話を聞きました——副知事は社会局長に会っておる。副知事が来たのは書類が出てからなんです。あなた、ちゃんと副知事にも会っておる。しかも知事が県議会において、厚生省の了解を得ておるという答弁をしていることを、生活課長は絶対にそんなことはありませんと言っておる。これは私どもの推測ですが、生活課長が言わなければ、社会局長か厚生大臣か、あるいは次官あたりが県に対して内諾を与えるような示唆をしなければ、少くとも知事はそんな答弁はしなかった。しかもそれはどういうことかというと、今の婦人相談所は国庫補助で買ったのでありますが、その実情を申し上げますと、県が保母学院として非常にこれを欲しかった。しかし金がないので買えない。そこへ持ってきてうまく婦人相談所の件が持ち上ったので、国庫補助をもらってその施設を相談所が買って、買った上でいわゆる今ある保母学院とすりかえる、こういう意図のもとになっていることははっきりしておる。こういうことはまさに厚生大臣が今たんかを切られた、そういううわさは心外千万といったことを完全に裏切っておる。こういうことをやっておいて、幾ら国会でえらそうな答弁をされてもだめです。群馬県民はそのことについて憤慨をしておる。しかもずうずうしく社会局長は知らぬとは何です。知らぬとは……。あなたが知らぬとおっしゃっても、県議会はわかっておる。そんなことをおっしゃらずに、見たら見たでよろしい。それはプライベートな意味で、あなたが副知事と懇意だそうだから、副知事とのプライベートな意味で、副知事がいわゆる交換を了承するようなことに受け取れるようなことをおっしゃったかもしれぬ。それでいいと思うのです。しかし、私は書類を見ないといったようなことは心外である。今ここで重ねて申しませんが、その他の交渉について、あなたはこういうことを御承知にならぬでも、群馬県では現に問題になっておる。そういったことは、群馬県では、政府はいわゆる売春防止法は作ったけれども、しかもその相談所は三転、四転、五転して、やっときまった相談所なんです。反対をされて、反対をされて、あげくにやっときまった相談所、それを政府自身が別な、とんでもない場所にある保母学院ととりかえっこをすると、こうなったら、私は政府自身が婦人相談所なるものを無視し、どうでもいいのだと、こんなものは作りさえすればいいのだという状態をはっきりお示しになったのと同じだと思う。あなたはそういう今の私の質問と社会局長の答弁をお聞きになって、厚生大臣として、そういったことがもし許されるとすればどのような措置をされるか。知事は県議会ではっきり言っておる。これは厚生省と了解済みであって、しかも会計検査院の検査に対しては厚生省と話し合って、決してボロを出すようなことはいたしませんという答弁をしておる、こういう実情があるのですが、厚生大臣はこういうことに対してどのような見解をお持ちであるか。先ほどのあなたの大みえを切った御答弁と照らし合せて御答弁を願いたい。
○橋本国務大臣 ことに建物の利用等に関しまする地方の問題については、いろんな実情がおありなんだろうと思います。私も実は初めて承わるのでありまして、これは売春防止法を実施するという建前の趣旨等も考えながら、いろんな事情があるのだろうと思いますけれども、善処いたして参りたいと考えております。ただ私先ほど申し上げましたのは、売春防止法を実施する決意があるかどうかということは、これはもう国全体の関係でありまして、私先ほど申し上げましたように、この近代福祉国家の完成のための非常に重要な問題として、私その一翼の実施の責任を負っておるわけでありますが、この売春防止法について、私はもう誠意を持って実施をいたすということを申し上げておるわけでありまして、群馬県のその問題だけで、法総体の運用に対する決意を問われるのはいかがかと思いますけれども、だだその問題は地方としては非常に重要な問題があると思いまするし、あるいはまた売春防止法実施の熱意をそれによって疑われるようなことがあってはならぬと思いますので、十分実情に即して善処いたさなければならぬと思いますが、何分にもただいま承わっただけの具体的な問題でありますので、社会局長に善処させたいと思っております。
○茜ケ久保委員 とにかく私は今そのことで橋本さんの御決意を問うとは言いませんけれども、具体的な問題で提起されておる。しかも実情を調べますと、どうも県と厚生省は前もって話し合って、県が、これは財政上買えないので一応国庫補助をもらって買っておいて、やがて機を見て保母学院と取りかえようという意図がはっきりしている。これは県会の答弁で出ておるのです。もしそれが事実ならば、たとい金額の多少にかかわらず重大だと思うのです。と同時に、今言ったように、群馬県においてはせっかく三転、四転、五転してできたその相談所が、しかも県がそういったことで厚生省と了解の上でやるとなると、これはもう先ほど言ったように、やはり具体的な例によって、県民は売春防止法の徹底的な施行に対する疑いを持つのは当然であります。しかも私が先ほど指摘したように、社会局長あたりがこういった不届き千万な答弁をするようでは、これは問題じゃない。これははっきりしている。あなたの部下が、せっかくこういうものをやるのですから、しっかり答弁してもらわなければ困る。私はこれはもし何なら県に帰って調べればわかるのです。知事が正式な県会で全然無根なことを言うはずはありません。私もそれは承知していますけれども、ここで一応社会局長に対してこれ以上申しません。この点は、県がもし全然厚生省の了解なしにやったとすれば知事の問題であるし、ほんとうに厚生省が言ったのならこれは問題でありますから、このことはこれ以上問いませんが、次の機会に究明します。群馬県の現在の婦人相談所は施設もりっぱですし、場所もよろしい。それを取りかえようとするのです。その場所は非常に不便なところでありまして、田や畑の中にぽつんと建って、非常に悪いところです。それを今度県会では五十万円の修繕費をかけて、五十万円で保母学院を直せばそれを取りかふるというわけです。県会で可決した、従って副知事が厚生省に来て陳情した。付近の住民の反対ということはもちろんないことはありません。ありますけれども、全面的な反対もなしに、私どもの調査によるとことさらに——これはもう少し申し上げますと、去る七月行われた市長選挙あたりに、自民党の市長の候補者がはっきり言っている。私が市長になったら、この相談所は必ずほかに持っていきますという約束をしておる。こういったことが問題でございますので、私はここではっきり厚生大臣から——もし事情があるとおっしゃるならばその事情は幾らでも調査します。一つには、前もって金がないために国の補助を乱用して施設を買っておいて、そうしていつの間にか取りかえようとする不純な動機、さらには婦人相談所の社会的ないろいろな問題からして、厚生大臣は一つこの県側の申請、いわゆる保母学院と婦人相談所の転換については決して許可しないというはっきりした態度をここでお示し願えば、とやかくは言いません。これは一つ厚生大臣からはっきり御答弁願いたい。
○橋本国務大臣 具体的な行政措置の問題でございますから、ただいま茜ケ久保委員のお話のございましたことも含めまして善処いたしたいと思います。
○滝井委員 関連して。今の婦人相談所の問題でございますが、たまたま群馬県でそういう問題が起る原因になるのかどうか私もよくはわかりませんが、全国的な婦人相談所の実態を見てみますと、われわれが狭い範囲の国政調査をやった実態から見ましても、婦人相談所というのは現在開店休業の状態にあります。ほとんど婦人相談所に相談にくるいわゆる従業婦の諸君というのはないという現状です。従ってそこには優秀な心理学その他を心得た職員がおりますけれども、閑古鳥の鳴く状態であるために仕事がない。そうして同時に婦人相談所に付設をされておる更生寮とか、いろいろ名前はありますが、どの寮を見ると、これもほとんど入っておりません。まあ何人か入っている、こういう実態です。一方、最近ちまたには売春婦というものが潜行的にはんらんをする状態が出ております。この実態は、現在の厚生行政における売春の対策というものが、やはりあの法を施行された後再検討されなければならぬ段階がきていると思うのです。そういう開店休業の実態が、あるいは群馬県でそれを転換するということに現われたのかどうかわかりませんが、これはおそらくよそでもそういうことが私は起るのじゃないかということを懸念するのです。そこで社会局長さんにお尋ねいたしたいのですが、一体婦人相談所の全国の情勢というものはどういう情勢にあるかということです。私たちが何カ所か見た状態、開店休業の状態でございます。これは一体全国的にそういう状態にあるのかどうか。もしそういう状態にあるならば、すみやかに婦人相談所のあり方について検討しなければならぬと思うのです。これはなぜそういうことになるかというと、まあとうとい国の補助金を出し、あるいは県が貧しい中から財政支出をやってそういう施設を作り、職員をそこに保持しておるということは、これは大へんなことなんです。これは全国の情勢を、大臣がわかっておれば大臣に御答弁していただくし、おわかりなければ社会局長でけっこうでございますから、一つ全国の情勢は一体どうなっておるか、それを御説明いただきたい。
○橋本国務大臣 詳しいことは社会局長から答弁をいたさせますけれども、ただいまお話のございましたように、この婦人相談所の問題につきましてはできるだけ法の精神に従った運用をはかるように骨折っておりますが、ただいま滝井委員から御指摘のありましたような傾向が多分にありますることは事実でございます。なかなか寄って参りませんのが一点と、それからもう一つはどうにもならないような者たち、本来この更生寮あたりで更生して出て行ってもらうという回転を考えて、更生ということを考えていく筋であるにかかわらず、ある部分は非常にどうにもならぬ者がずっと居ついているような傾向も出ております。総体的にこれの運用についてはいろいろ考えておるところでございます。実態のことにつきましては社会局長から答弁いたさせます。
○安田(巖)政府委員 御質問のございました婦人相談所でございますが、これは御承知のように、売春防止法で各府県義務設置になっておりますので、大体売春防止法が施行になりましてから半年ぐらいのうちに、各県に設置をされたわけでございます。もちろん各県の事情なりあるいはこの問題に対する熱意等によりまして、規模の大小あるいは内容が充実しているとか充実してないという問題はございますが、一応のものはとにかくでき上ったようなことでございます。そこで、売春防止法が全面実施になりました本年の三月三十一日までは、婦人相談所におりますところの職員並びに婦人相談員を動員いたしまして、従来の赤線であるとか青線であるとかいうところにこちらの方から積極的に出かけまして、とにかく売春防止法の趣旨というものを一人一人の売春婦に知らさせる、承知してもらうという努力だけは最小限度いたさなければならぬと思いまして、こういった手だてをいたしたわけでございます。そこで数字は私ただいまあいにく持ち合せておりませんけれども、二月、三月に非常に相談が多うございまして、それから四月、五月もやはり相当の相談がございまして、決して数字は落ちていないのでございます。と申しますのは、一度相談に来て帰郷いたしました者とか就職いたしました者とかいうのが、実は帰郷しあるいは就職してみたけれどもうまく居つかないというのがだんだん出て参りまして、そういうのがやはり婦人相談所に行っていろいろと相談、指導を受けているという事実が、数字ができておるわけでございます。ところが今度一応そういった法律で落ちつきまして四、五カ月たちますと、こちらから出かけていくなんていうのは——一応今度は世の中からなくなっておりますから、それを探し出して、どうもこの家はそういうことをやっておるらしいから、そこの女について相談をかけるというわけにはいかないというような悩みも、婦人相談員にしてもあるわけでございます。そこで今婦人相談所に送られてくる一番大きな数字は、私ども検察庁と十分連絡いたしておりまして、そういった趣旨の通牒を実は二度も出したのでございますけれども、検察庁で売春婦を検挙いたしました場合には、必ず処分をし、あるいは処分をする前によく私どもの婦人相談所の方に連絡をしていただく。そうして起訴猶予にするとかいった場合にも、婦人相談所の方でいろいろあっせんをいたしまして、その者のその後の状況を指導するとか、あるいは保護施設に入れるということで起訴猶予にしてもらうとかいうことで、よくその点を相談いたしておるわけであります。最近は補導院ができましたけれども、補導院を出た者すら実は私どもの方でめんどうを見なければならぬというような者もありまして、そういう関係で私どもの方に参ります数字の上では、検察庁の方から回ってくるものが一番大きい現状であります。それからもう一つは、転落防止のために婦人相談所が活動しなければならぬということを今せっかくやっておるわけであります。 それから先ほど大臣から御答弁申し上げましたこの保護施設の問題でございますが、これはなかなか府県で作ってくれなかったわけでございますけれども、最近に至りましてようやく全国で新しく四十七カ所の保護施設ができまして、既存のものを入れると六十三施設で、約十七、八百人の収容施設になっておるわけであります。この方は、今のところでは大体定員の半分ぐらいは入っておるようでありますが、今滝井委員の御指摘になりましたように、いなかのそういった相談所、収容施設になりますと、どうもやはり成績が上っていない。ただ東京とか名古屋あたりになりますと、新しくできました収容施設につきましてもほとんど一ぱい、一ぱいになっておりますし、相談所の機能も非常に充実され、活動いたしておるようであります。そういった点で非常にむらがございますし、御指摘のように、今後売春防止の仕事を相談所でいたします場合にも、はっきりした目標がないという点でなかなかやりにくいのでありますけれども、一つはそういった検察庁と連絡をとり、一つは転落防止というような点に重点を置きまして、今後も一つ努力をして参りたいと存じております。
○滝井委員 今局長さんから大体の傾向の御説明をいただきましたが、問題は、本年四月から実施されて一、二カ月の間は明白に対象がつかめた。現在はどこにおるか、ほとんど対象もわからなくなってしまっておるわけです。従って婦人相談所に委嘱をしておる相談員と申しますか、いろいろの人を委嘱していろいろなところから情報なんかを得てつかむことになっておるんだと思います。これは学識経験者、婦人会の会長さん、民生委員の婦人の方とか、いろいろなっていただいておるようでありますが、そういう人たちも職業でそういうことをやるわけにはいかないんだから、これはなかなかつかみにくい。つかむためにはやはりかっての赤線とか青線に入っていかないと工合が悪いということで、なかなかこれはできかねておる。従って今までは対象が明白であって、婦人相談所というものをおそらく考えられたと思うんです。ところが今度は、クモの子を散らすと言っては語弊がありますが、ともかく散らしたように全部がなっちゃったのです。レヒューズのようにどこかにいっておるわけです。従って今までの婦人相談所のあり方について、せっかく県に義務設置にさせたんだが、それが開店休業の状態だとするならば、これはやはり何かやり方を変えなければ、その施設をほかに転換しようじゃないかという論が起ることは当然です。だからそういう点を一つぜひ考えていっていただきたい、こういうことなんです。 それから都市においてそういうものが非常に栄えておるかというと、必ずしもそうじゃない。むしろちまたにはんらんをする売春婦の方が現実には婦人相談所に行く数よりか栄えてきておるというこの現実です。この現実というものはやはり何かそこに対策を講じなければならぬ段階に来ておると思う。そうでないと、これはもう非常な性病の蔓延ということになる。しかもハイティーンですか、十八、九才から二十才前後の青年層に悪質な性病が伝播をしつつあるということはすでに最近いろいろの本に書かれておる。そういう点についても公衆衛生局と社会局とは十分連携をとりながらその防止対策というものを考えてもらわなければならぬ時期であると思うのです。やはり明白な対象を把握しにくいということは、同時に一方その対象を把握しにくいために予防的な防止対策というものも考えてもらわなければならぬ。それから保護施設に千七、八百名の収容定員があるにもかかわらず、それが半分しか入っていないという実情も考えなければならぬ。現在の母子寮その他は足らずに困っておるという実情があるわけなのです。だとすると、今度は必ずそういうものが母子寮に転換されるという形になりかねないのです。そういう点を、大臣においても、せっかく予算をとって血税でこういう施設を作ったのだから、その施設が十分活用されていないという実態に立って、やはり活用されるような態勢というものをすみやかに作っていただきたいと私は存じます。幸い予算の編成期になっております。こういう実態がわかれば、大蔵省はそういうものを削減してくることは火を見るよりも明らかなのであります。だとするならば、あれだけ売春汚職まで作って売春防止法というものを制定した現段階から考えたならば、これはやはりこの法律の精神というものは貫かせなければいかぬと思うのです。そういう意味で、予算編成期でまた削られるというおそれもありますので、こういう点に対する十分な考慮を払って、総合的な対策をこの際もう一回考え直して立てていただきたいと思いますが、一応これに対する大臣の見解を伺っておきたいと思います。
○橋本国務大臣 ただいまお話のありましたようなこと、なおなお考えて参らなければならぬ問題でありますが、予算編成に当りまして、売春防止対策の問題につきましても、省内及び菅原委員会の方々とも御相談をいたしまして、当面の対策といたしましては、相談員の活動をもう少し活発にいたしまするための一つの経費を考える、それからもう一つの性病対策の問題にいたしましては、これは感染の機会というものは、売春防止法の実施によって、確かに私は接触の回数は減っておると思いますけれども、どうもそれと同時に性病をつかむもとが見えなくなっているような傾向もございまするので、性病に関しましては、つかまえても、やはりそれをほんとうになおし切らないとしようがありませんので、国庫負担をふやしまして、つかまえた者の性病を必ずなおしてしまうという対策を立てておるのでございます。この問題に関しましては、なおなおいろいろな面で考えて参らなければならぬと思います。当面は来年度の予算についてそういうような建前で、一つには婦人相談員の活動を活発にいたしますることと、もう一つの問題は、公費負担をふやして性病対策を徹底することをを考えておるのでありますが、なおこの上とも売春防止法の実施についてのいろいろな問題は関係省ともいろいろ相談をしながら十分考えて参りたいと思います。ただなかなかむずかしい問題でありまするので、どうか皆さん方からもお知恵を拝借したいと思います。
○園田委員長 午後一時半まで休憩いたします。 午後零時二十九分休憩 ————◇————— 午後二時四分開議
○田中(正)委員長代理 休憩前に引き続き会議を開きます。 厚生関係の基本施策に関する件について質疑を継続いたします。園田直君。
○園田委員 私は熊本県の水俣市を中心にする奇病問題について質問いたします。 すでに詳細御承知の通りに、あの周辺にできる魚を食べたために奇病が発生しております。これは簡単なものではなくて、すでに死亡者が数十名できておるばかりでなく、これにかかった人は機能中枢神経を冒されて、視力、聴力を失ったばかりでなく、大小便に対する機能まで喪失をして、廃人同様な姿になりまして、しかもその原因は依然としてわかりません。三年前からこの原因並びにその他について、県でも厚生省の方でも研究をやっていただいておりまするが、大体の見当はついたが、的確な治療法もできなければ、研究もわからぬ状態であります。従って、その研究を続けてもらうと同時に、とりあえず非常な恐怖に巻き込まれておる現地の者——しかもこれにかかっておる者はほとんど貧困の家庭でありまして、病気で休んだだけでも、漁業に従事することができなくて非常に悲惨な思いをしておる。しかもそれが職業に従事できないばかりでなく、廃人同様というよりも、むしろ廃人以上の悲惨状態で、何ら手もつけられずにほってあるという状態であります。従って恒久的な研究の問題と、とりあえずの方法として、こういう非常に悲惨な目にあっている人に対する救済の方法並びにこれを収容する処置等を研究されておるようでございますが、この際大臣または局長からこれについて、厚生省としての方針なり具体策をお聞かせ願いたいと思います。
○橋本国務大臣 ただいま御質問のございましたように、水俣の病気というのは非常に症状が悲惨でありまして、そうしてまた重態になり、また死ぬ人も多いので、こういったような原因不明の奇病としては、集団的に発生した重大な問題でございます。厚生省といたしましても、今までできるだけの検討をし、究明を行なって参ったのでありますが、現在までの段階では、水俣奇病とは、水俣湾内で生産せられまする魚だとか貝類を多量に摂食することによって発病いたしまする中毒性の脳症でありまして、水俣湾内産の魚や貝類を有毒化せしめた物質としては、マンガン、セレニウム、カリウムの三物質のいずれか一つ、またはその組み合わされた物質が主として疑われておるのであります。ところが湾内の水を分析しただけでは、その水自身にはそういうようなものが出て参りませんので、それらの毒物が、魚や貝類の体内に移行する経路とか有毒化する順序、また毒物質の本体などについては、まだほんとうのところは解明されておらないのであります。これらの諸点を究明いたしまするためには、従来の魚でありまするとか、あるいは病気になった人たちなんかに対しまする医学的な研究のみならず、薬学、化学、水産学、地質学、潮流学等の多角的かつ総合的な検討を要しまするので、去る七月七日に公衆衛生局長の通牒を発し、文部、農林、通産、運輸各省及び海上保安庁等の協力を得まして、現地に熊本大学長鰐淵博士を中心に総合研究の態勢を整え、これに要する費用を目下要求いたしておるのであります。今まででも、三十二年の四月以来、水俣奇病対策連絡協議会というのを開催いたしまして、社会局や保健同等の省内各局及び関係各省庁とも連絡を密にして、患者及びその家族の対策に腐心をいたして参ったのでございますが、特に本年度は患者を特定の施設に収容して治療方法を検討して、一日も早く回復しますために、現在予備金を要求いたしておるのでございます。この要求の内容といたしましては、水俣奇病の本体を究明いたしますために、従来の医学的研究のほかに、薬学、化学、水産学、地質学、潮流学等、多角的かつ総合的な検討を行いますために、総合研究費として三百二十三万一千円、また忠君を特定の施設に収容いたして治療を行いますための施設の設置費として二百九十二万八千円、また患者の収容費として二百十二万八千円、合計八百二十八万七千円をそれぞれ予備金を要求中であります。なお昭和三十四年度におきましても、これが研究を続行いたしますために三百六万八千円、患者の収容費として六百五十六万五千円、合計九百六十三万三千円を要求中であります。なかなかむずかしい問題でございまして、何が原因でこうなったということを非常に端的に突きとめますことは相当困難がございますけれども、熊本大学を中心にいたしまして、学理的な研究を十分にいたしますとともに、その間におきます患者に対しての措置をできるだけ十分やって参りたいと考えておる次第でございます。なお、さらに詳細なことにつきまして、公衆衛生局長から御説明をいたさせたいと思います。
○尾村説明員 水俣の奇病の取扱いに関しましては、ただいま大臣から御説明のありました通りでございまして、当初はこれを伝染病ではないか、日本脳炎的な問題ではないかというので、厚生省が取り上げましたために、従来は厚生科学研究費による医学者中心の研究がずっと続けられておった。さような関係でありましたので、当初からいきなり海流学、あるいはいろいろな総合的な研究が必要であるということは思いもよらなかったという、非常に希有な疾病ということが途中からわかってきた次第でございます。逐次これが研究を進めまして、最初の間は種類の何らかの毒物でないかという見当がつきますのに約一年を要したわけでございますが、そのうち、これはあくまでいわゆる毒物——細菌とか、そういうようなものではないということがまずきまりまして、さらにその毒物の原因が、非常に重症であり、しかも将来非常に治癒の見込みが少いと従来の研究ではされております重金属である三種類の毒物ということが見当がついて参りました。そうなりますと、これはもう非常に被害者にとってはゆゆしいことになりますので、原因、ことにこれが天然のものでなくて、もし人工的なものとなりますれば、いわゆるこれの加害側の補償問題というものが非常に重要なことになりますので、その点に向っても総合研究を急速に進めなければいかぬ、こういうことに大体本年の夏になりまして確定いたしました。従いまして、先ほど大臣から説明がありました通り、ここでは詳細な今に至りますまでの研究をまとめましたものの発表を局長名でいたしました。これによりまして、今までいろいろと混乱しておりましたものがある程度意見が統一されまして、残りは今の、もし人工的とするならば、それがいかにして患者に結びついたかということを研究するのが中心になったのでございます。さような意味で本年度予備費を、ただいまのように一つは総合研究にぜひ必要な予備費、これによりまして原因と誘因の追及を推し進めるということ、さらに今のような疾患の原因が非常に重い症状であり、しかも長期にわたって後遺症を残すというような病気であるということがかなり明白になりましたので、とりあえず応急措置としても、これは患者の救済が原因の判明を待てない問題であるということで、しかもこれは遠方では、子供の被害者が相当あるものでございますから、親としては手放すに忍びないというような実際の実情がわかりましたので、水俣市に収容施設をとりあえず作り、そこに医師以下これに必要な従事員を配置して、約十四名でありますが、これによりまして、現在ぜひ収容して継続治療を要する三十二名の患者を収容いたしまして、それで十分な治療をしよう。残りは必ずしも収容所に入れる必要がなくて、家庭におきまして適当な療養指導あるいは通院治療によりまして十分可能だ、こういう分類ができましたので、これは通院あるいは家庭指導によって十分な措置をとりたい、こういうことでございます。しかしこれは長期にわたるという見込みでございますので、来年度もこれを継続し、さらに拡大するような予算を組んでおる次第でございます。
○園田委員 今承わりましたが、御承知の通りに現地では非常な不安に巻き込まれております。しかもこれは考えようによっては放射能同様の非常に悲惨な被害であるし、しかもそれが漸次拡大される状態にありまして、どのような経緯でどう変るのかわからぬというような状態でございますから、この上とも原因並びにこれに対する療法等の研究に全力を注がれるとともに、被害者の治療並びにこれに対する収容の方法ばかりでなく、その家族並びに本人に対する生活補助の方法も、単に現在の生活保護法ばかりでなく、何らか便法の措置を講じて、これに対する特別の御配慮を賜わるようにお願いいたしまして私の質問を終ります。
○八田委員 関連して大臣にお願いしたいのですが、今私はおそく参りましたので、よく質問の内容をつかめなかったのですが、私ちょっと聞いてみまして、これは非常に大きな問題です。しかもこれまでに研究をされて、予算の裏づけもやっておられるというようなお話があったのですが、われわれ社会労働委員として、こういう問題を全然知らぬのです。そういう問題が公表されておるならば、公表される前に、やはり国会の社会労働委員会に資料を出しておかれるということが必要じゃないかと思うのです。 〔田中(正)委員長代理退席、委員長着席〕 実際今重金属の三つばかりによって、慢性奇病なんでしょうが、そういうようなことが起ってきたというような報告をちょっと聞いたのでありますが、そういったことにいたしましても、一応われわれに参考となるような資料を出しておいていただいて、そうしてやはり国会議員として十分な協力ができるような態勢をお作り願いたいと思います。私の不勉強のために知らなかったということになりましょうが、やはり厚生省で公表なさる場合には、国会議員にも、特に社会労働委員の方にも御提出願いたい。これを大臣に御希望申し上げておきます。
○橋本国務大臣 実は参議院の方で前前いろいろお話がございまして、参議院の方でお話をする機会が割合に多かったのでありますが、資料につきましては仰せの通りでありまして、ただいままでのところのいろいろな関係の資料をさっそく御配付申し上げることにいたします。
○園田委員長 滝井義高君。
○滝井委員 ぜひ委員長の方から大蔵省を呼んでいただくようにお願いいたします。 国民健康保険法案の具体的な審議に入る前に、やはり国民健康保険法の周辺におけるいろいろの問題を先に見ていくことが必要だと思います。そこで、国民健康保険と非常な関係を持ち、あるいは国民健康保険の将来をわれわれが見きわめる上にどうしても明白に把握しておかなければならぬ問題は、健康保険の財政の問題でございます。健康保険の赤字の問題は、日本における社会保険医療の中心的な課題として、ここ数年来国会で論議されてきました。当時、昭和三十年度の健康保険は四十億の赤字が出る、三十一年度は六十億の赤字が出るんだ、こういうことがいわれ、同時に三十二年度においても相当の赤字が出るといわれておったわけです。ところが、だんだん決算をやってみると、健康保険法の改正が実現する以前に、すでに三十年度においては、四億の黒字が出たし、三十一年度には四十八億の黒字が出たわけです。今後の日本の医療の方向を見きわめ、その医療の方向に対抗する財政の方向を確立していくためにはどうしてもここ一、二年の財政の見通しに対して相当的確な資料が必要であろうと思います。過去一、二年の厚生省の見通しは大きく誤まっておったわけです。その誤まりの上に健康保険法の改正が国会に出された。今後の見通しについて、私はいろいろ政府に尋ねたいのですが、まず第一に、昭和三十三年度の健康保険に対する決算がすでに完了しておるはずです。従って、政府管掌の健康保険に対する三十二年度の見通しではなくして、結末はどういう結末になったのか。七月八日に一応健康保険の財政について政府の見解をお伺いいたしましたところ、当時三十二年度の黒字については、七十億ぐらいの黒字になるだろうということははっきりしておりましたが、正確な数字については鮮明していただけなかった。まず第一に、昭和三十二年度の政府管掌健康保険の黒字は幾らなのか、これを御説明願いたいと思います。
○高田政府委員 三十二年度の政府管掌の健康保険の決算の上におきまして、黒字は七十九億四千五百万円でございます。
○滝井委員 三十二年度の政府管掌の黒字が七十九億四千五百万円だそうでございます。先日は七十億ぐらいだといっておったのですが、明白な数字の形では九億四千五百万円程度増加をしてきたことになりました。そうしますと、最初にちょっと個人的に尋ねてみたんですが、政府管掌の健康保険には相当の積立金ができたことになるわけです。三十三年四月一日現在で、一体どの程度の累計積立金ができておることになっておるのか、これを御説明願いたいと思います。
○高田政府委員 三十二年度末で積立金総額は百三十三億二千一百万円になっております。
○滝井委員 三十二年度未で百三十三億二千百万円の積立金ができることになった。そうしますと、健康保険は一応二月で締め切りますから、今年度三月からいうと、四、五、六、七、八、九、十、すでに満七カ月になっておるわけです。今後私たちが国民健康保険を審議する場合、財政を見る場合に、日本の医療の動向、三十三年度における政府管掌の健康保険の財政の見通しというものは非常に参考になる資料なんです。一体政府は三十三年度の財政見通しをどういう工合に見ておるかということなんです。三十二年度の財政見通しについては七十億ないし八十億の黒字が出るということは、われわれがあらゆる角度からいろいろ質問をしても、一度として政府はこの場において明白にはしなかった。高田さんの見解によれば、せいぜい三十二年度はとんとんであろうというのが高田さんの見解だった。これは私予算委員会でもやったが、とんとんで、よく見積っても二十億程度ではないだろうかというのが今までの見解だったのです。とんとんから七十九億の金が出てきた。これは莫大な金なんです。そこで過去の見通しの誤まり、神ならぬ身ですから、うまくいかぬと思いますが、一体三十三年度の見通しはどういうことになるのか。もう過去三回のあやまちは犯さないように、もう三回でけっこうですから、四度目は正直に一つあなた方の見通しをまず言ってもらいたいと思うのですが……。三十三年度の政府管掌の財政見通し、これは御存じの通り三十三年度までは三十億の金をもらっておったのだが、まあ財政見通しが非常に明るくなるというので、二十億を削られて、十億になった。十億になるということによって、いわば堀木厚生大臣の責任が追及されかかったのですが、そのままになっておったわけです。今度は一つ三十三年度の財政見通し、もう半年過ぎておるのですから、そう日本の病気がこの段階で、あと半年で、流感か何かあれば別ですが、そう非常に大きな変動が来ることはなかろうと思います。もう三十三年度の七十九億の黒字によって、大体日本の疾病の動向が保険経済にどういう影響を及ぼすか、あるいは経済的な要因がいかなる影響を与えるかということは、日本経済なり国民所得の動向その他を十分勘案した上で、政府は補正予算を組まなくてもよろしいのだと、こうおっしゃっておるのですから、そう変るはずはないと思います。そうだとすると、三十三年度の保険財政の見通しは、あなた方はどう見ておるのか。赤字になるのか黒字になるのか、それともとんとんでいくのか。ここらあたりを一つ御説明願いたい。
○高田政府委員 どうも年度進行中に年度の決算の見通しを尋ねられて、お前はうそをついたじゃないかといわれるのは、はなはだどうも私ども本意ないのでございますが、医療費の見通しという、歳出の方の見通しは、仰せのようにある程度年度が過ぎますれば大体見当がつかぬこともない。ただ、歳出だけでなく、歳入の方の見通しもつけませんと収支のあれは出てこないわけです。これは滝井先生よく御存じのように、歳入の方でその見通しに一番大きな影響を持ちますのは標準報酬の定時改定という問題があるわけでございます。これがいつも御質問をいただきまする時分にはまだはっきりしておらない時期に御質問をいただいておりますので、その時分には私どもその見当もつきかねまするので、いろいろ見当が違っておったようなこともあるわけでございます。従って三十三年度の財政収支の見通しにつきましても、とうてい確かなことを申し上げる自信はございません。ただ赤か黒かという問題になりますれば、これは黒になることは確実だと見ております。しからばその程度はどうだろうかという、これはほんとうに私の個人的な予想でございますけれども、保険料収入並びに保険給付費収支の点におきましては、大体予算に計上した程度の収支があるのではあるまいか。もしそうなりますと、三十三年度の歳出の方には予備費を四十一億幾ら計上しておりますので、この予備費程度のものはあるいは決算剰余金として出てくるのではあるまいかというふうな個人的な感じを持っております。しかし最初申し上げましたように、この収入の定時改定の問題と、さらに本年度は十月一日から医療費の改訂もございまして、従来とは事情が違って参りますので、その辺でこの数字は、見通しといたしましては確実なものだということはとうてい申し上げられぬと思います。 なおついでに、先ほどの御質問の冒頭におきまして、三十年度は四十億くらいの赤が出ると言ったのに四億ばかりの黒を出したじゃないか、三十一年度は六十億の赤だと言ったのに四十八億からの黒を出したじゃないかというようなお言葉もございましたが、三十年度も三十一年度も、そういう想定された赤字をどうして解消するかという、それぞれの手当をして出発したわけでございまして、三十年度におきましては当該年度の赤字を大体六十億と見込んだわけであります。それで保険料の引き上げをやりますとか、あるいは借入金をいたしますとかいうことで、それぞれ財政上の手当をして出発をいたしましたので、結局、見通しの通りにいけば収支決算ゼロということになるのが、四億ほどの見当違いをしたということなのであります。それから三十一年度におきましては、今のように相当な赤字があるということで、三十億の国庫補助その他財政上の手当をして参ったのでございます。それで見通し通りにいけば結局収支とんとんということになる、あるいはむしろもう少し正確に申し上げれば、予備費の十八億は決算残として残る、こういうことになるわけなんです。ところが十八億以上の四十八億、ちょうど国庫補助金に相当する程度のものが残ったわけでございます。ここでは見通しとして三十億くらい狂った、こういうことになるわけなのでございまして、そのマイナス四十億がプラス四億になり、マイナス六十億がプラス四十八億になった、それだけ大きな見当違いをしたじゃないかと言われるの、いささか当らないのでございます。しかしながら私ども保険財政の見通しについて、決して的確な見通しをいつも立てておるというふうなことはとうてい申し上げられません。非常に収入の方も支出の方も動きまして、私どもの過去における見通しが必ずしも的確でなかったということにつきましては、十分私どもも反省をいたしておるような次第でございます。
○滝井委員 今の局長の答弁の中で、十月一日から八・五%のワクの拡大がある、見通しとしては歳入歳出が予算に計上した程度のものになっていくだろう、しかし十月一日からの八・五%のワクの拡大があるので、見通しを確立できない、こうおっしゃったのでしょう。しかしこれは小山君の七月八日における発言と今の発言は非常に違うのです。七月八日には小山君はどういう見通しを述べたかというと、十月一日から八・五%のワクの拡大をやっても、政府管掌の健康保険については危なくございません、というのは、すでに政府は予算を編成するときにそれを見込んでやっておるのだからという発言があったのですが、そうすると今の局長の発言とは非常に違うことになるのです。これは当然予算を編成するときに、二月の予算委員会でも論議したときに、十月一日から十八億五千万円は国民健康保険や何かに行って、政府管掌には一文もやらなくてもうまくいくんだという見通しをちゃんと立てておったはずです。そうして同時に料率について見るならば、千分の二程度、すなわち金額にすると二十億程度のものは引き下げの可能性がある、不可能ではないという言明は、七月八日においても小山君はここでやりましたし、それから当時堀木大臣のかわりに出て参りました郡自治庁長官も、厚生大臣代理として引き下げは可能であるということは言っておるわけなんですね。そうしますと、ことしの財政のもとにおいて今のような局長の見通しだということになると、八・五%のワクの拡大をすれば見通しが確実でないということになり、それから千分の二の料率の引き下げについては何も言わぬということになってしまう。こういう二つの点は今後の財政問題を論議する上に非常に重大な点なんです。あとで私、大臣にそれと関連しながら展開して質問したい点があるのですが、そこらあたり、この前の小山君の発言なり、あるいは予算委員会における郡厚生大臣代理の発言とはニュアンスがだいぶ違ってきているわけです。この前もとんとんから七十九億の黒字に逆転してきているという事実があるので、どうもあなたの発言は、さようでございましたかといかぬような気がする。もう半年過ぎているのですから、わかるわけなんです。
○高田政府委員 ことしの支出の見通しと医療費の引き上げの問題につきまして、私があるいは先生に誤解をしていただくような言い回しをしたかもしれませんが、これは前々から申し上げておりますように、本年度の健康勘定の歳出の医療給付費五百四十億余りのものの中に、十月一日以降は八・五%ふくらむ、こういうものを見込んで組んでおります。従って私が大体予算の見込み通りいくでしょうと申し上げたのは、それを見込んだ歳出で組んだ程度の医療給付費でいくのではあるまいかという大まかな見通しを申し上げたわけであります。従ってそこに小山君の申し上げたこと、あるいは前国会、前々国会以来申し上げておることと食い違いはないわけでございますが、私の申し上げ方が不適当であったかと思います。 それから第二点の問題でございますが、私は大見当として予算収支の見込み通りに大体歳入歳出がいくのではあるまいか。そういたしますと、歳出の方では四十億余りの予備金を計上しておりますので、保険料収入並びに保険給付費という歳入歳出の一番大きな柱になっておりまするものが予算に計上されておる通りにいったといたしますれば、予備金の四十数億というのは余るわけでございます。決算上は黒となって出るわけでございます。そういうふうな大見当を申し上げたわけでございまして、従ってかりに千分の二云々というふうなことがそのときに言われておったといたしましても、千分の二といえば大体二十億見当のものでございますから、そこに数字的な見通しの食い違いは別にないわけでございます。以上御答弁を申し上げます。
○滝井委員 そこで大臣にお尋ねしますが、この委員会なり予算委員会において、政府は——健康保険法における保険料は、多分千分の五十五から千分の六十五の間を行政的な措置によって自由に動かし得る制度になっておったと思います。健康保険の赤字が喧伝せられた当時千分の六十であった。その赤字をカバーするために千分の五だけを引き上げまして、当時多分半年分でございましたか、二十五億くらいがそれによって保険財政収入はふえることになったのです。ところがこれが、今大臣もお聞きの通り、三十二年度までは十八億計上しておった予備費が、四十一億計上できる状態ができました。そしてほとんどなかった積立金が、百三十三億できるという事態になったわけです。あとで黒字の原因は尋ねますが、こういうように明らかに保険財政というものはここ二、三年来好転の一路をたどっております。本年もまた赤字の要素は、今の保険局長の御説明でもわかるように、少しもない。八・五%のワクの拡大によってもない。だとするならば、この際私は大臣にどちらかを一つやってもらいたいのですが、保険料率を少くとも二程度は下げ得る財政的な余裕があることは、すでに小山君が七月の八日に明言をしておる通りでございます。千分の二と申しますと、年間の額にして二十億です。保険料にしてみれば四円程度です。従ってこの程度のものは、この際皆保険政策をやる上において、八・五%のワクの拡大をやって、療養担当者に少くとも一円だけの、不満足ながらも一円の収入増をやったならば、今度は被保険者階層に対して何らかの恩典を得させることが必要なんです。この委員会でしばしば論議されたのに、五者泣きということがあった。政府も泣きますから保険者も、被保険者も、療養担当者も、製薬企業も、みんな泣いてもらいたい。五音五泣き、こういう言葉があった。そこで今度は、喜ぶときにはみんな喜ばなければならぬ。政府はまず、今まで三十億出しておったものを二十億削っちゃった。これで政府は二十億だけ喜んだ。療養担当者には一円だけ喜んでもらったのです。そうすると被保険者に一つこの際、政府が喜んだくらいの二十億くらいは喜んでもらわなければならぬと思います。そこでこの際料率を千分の三程度引き下げるか、それがどうしてもできないならば——皆保険政策の上において一番の問題は入院料、特に結核対策の面からいって、国民健康保険の被保険者というものはほとんど結核療養所に入れない。なぜかというと、五割の負担があるからです。同時にまた健康保険の家族も入れないのです。今結核療養所に入院をしておる者は、これは生活保護の患者か、健康保険の本人か、共済組合の本人です。従ってこの際まず二十億の中の一部でもさいて——思い切って二十億やってくれるだけの英断を下していただければ、一番いい。すなわち千分の三の切り下げをやってくれれば一番いいが、それができないならば次善の策として、現在一旦三十円の入院料をとっておる、あの入院料をやめてもらいたいということなんです。このことはすでに二月の予算総会においても、政府は考慮することを言明しておる。また財政が好転をすればそれは必ずもとに戻しますということも、当時の小林厚生大臣もおっしゃっておったわけです。これは橋本厚生大臣に一切しりが来てお気の毒ですが、善政はしりが来てもしいてもらわなければならぬと思います。今度は泣いた者がみんな喜ぶ段階にきたのですから、被保険者だけを喜ばさぬという片手落ちの政治はないと思う。今度は五者五悦の形を作ってもらわなければならぬ。この点大臣どうお考えになっておるのかお伺いいたしたい。
○橋本国務大臣 御指摘のように、この画三年の間、政府管掌の健保の財政は非常によくなっております。このままの形でずっといきますれば、確かにお説の通り、これはむやみやたらに積立金がふえていくというのが能ではございませんから、何か考えていくべき問題があるかと思いますが、ただ医療費も引き上げたばかりでございまするし、それから、これから先の運営の問題につきましてもう少し検討して参りたいと思っております。ただ料率の問題については、十分弾力を持って考えながら運用してはいきたいと考えております。現在のところでは、もう少し政府管掌健保の将来を見きわめながら、しばらく考慮の時期を与えていただきたいと考えております。
○滝井委員 そうしますと、今年の二月の予算委員会で政府の、三十億のうちから二十億大蔵省に奪い返されたときに、この際やはり被保険者の側については考えたいという郡発言というものはうそだったということになるんですか。すでに黒字が明白になってきてるんです。今年の二月より保険財政が健全化したことは、太鼓判を押したように明白なんです。それじゃ、今のように医療費の引き上げがあったし、それから運営の問題を検討して料率に弾力を持たしたいとおっしゃいますが、医療費の引き上げをやるということはすでに今年の予算編成の既定方針としてきまっておったわけです。高田保険局長は当時の小山次長が言われたと同じように——保健財政は心配ございませんと、小山さんはここで胸をたたいた。保険局長は少しあいまいになっておるようでありますが、私はそんなことはないと思う。言い回しが悪かったというくらいで、あなたも胸を張って、大丈夫だと言えるはずです。そうなりますれば、政府が当初予算を組むときに千分の二程度のものは料率引き下げは不可能でないという確信を持っておったことは、小山君の発言をもっても明白であるし、今のあなたの答弁をもってもその心配はないと思うのです。従って、料率を引き下げることが財政的に相当大きな影響を及ぼすというならば、この際三十円のあの入院料を撤廃してもらいたい。三十円をやめても、当時どうでしょう。半年で五億くらいじゃなかったかと記憶いたしますが、一年で十億かそこらだと思います。そうしますと、千分の一程度の引き下げと同じことになる。一つ大臣、これはきわめて重要なことでございますが、何とかこの際、被保険者に皆保険政策に全面的な協力を得るためには、これはやはり公平の原則を貫いてもらわなければいかぬと思う。どうでしょうか、この点もう少し一つ大臣、積極的な御答弁を願いたい。
○橋本国務大臣 一部負担の問題は、単に政府管掌の健康保険の赤字解消のためにとった制度ではございません。一部負担につきましては、今日これを廃止するというような考え方は持っておりません。ただ、料率の問題につきましては、これは先ほど申し上げましたように、弾力を持って考えておるのであります。この春の国会におきまする郡大臣の発言の問題がございましたが、これはもちろん私も忘れておるわけじゃございません。ただ、保険の財政はなかなか長い問題でございまするので、現在なおいろいろ彼此勘案をして考慮をいたしておるところでございます。
○滝井委員 ちょっと大事なところにきて、本会議の予鈴が鳴ったんですが、そうしますと、大臣の方は、入院料の三十円というような一部負担の問題は考慮するわけにはいかないけれども、料率については考慮したい、こうおっしゃるのですか。その点一つ……。私は時期はここで問い詰めようとは思いません。しかし、一部負担よりか料率について、この際明白に黒字になるということになれば考えるということですか。そこのところを明白にして下さい。
○橋本国務大臣 保険財政が常続的に非常に金を残すというような状態になりますれば、どちらかといえば、料率の方について弾力的に考えたいと思っております。
○滝井委員 そうしますと、保険財政が常続的に黒字になるということは、すでに三十、三十一、三十二、三十三年と四カ年間続くということは、これはほとんど常続的と言っていいと私は思う。そうしますと、私は今年とは言いませんが、来年度の予算編成に当っては、料率を一ないし二は引き下げを考慮する、こう考えて差しつかえありませんか。三十四年度の予算編成に当っては……。
○橋本国務大臣 先ほど申し上げましたように、速急に結論を出すということはちょっと困難でありますので、ただいま申し上げましたような趣旨で、いろいろ考慮いたしたいと思っております。
○滝井委員 この問題は、いずれ時期をあらためてもう少し突っ込んでみたいと思いますが、一応恒常的に黒字になるとすれば、一部負担より料率を優先的に考える、こういう御言明をいただいたので、十分胸におさめておきたいと思います。 次に、その料率を引き下げるための裏づけとして、保険財政というものが、ここ三年来いかなる根本的な理由によって黒字に転化したのかという、この理由の究明にかからなければなりませんけれども、本会議のベルが鳴りましたから、これは一つ次会にさしていただきます。
○園田委員長 本日はこの程度にとどめまして、次会は明十七日午前十時より開会することとし、これにて散会いたします。 午後二時五十四分散会