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30回国会衆議院1958/10/08

社会労働委員会 第4号

発言数
167
登壇者
14
会派数
2
開催日
1958/10/08

会議録

田中正巳自由民主党

○田中(正)委員長代理 これより会議を開きます。  今次第二十二号台風の被害状況並びに罹災者の実情について、政府より説明を聴取いたします。橋本厚生大臣。

橋本龍伍自由民主党厚生大臣

○橋本国務大臣 第二十二号台風の被害はまことに甚大でございまして、直ちに政府といたしましては災害対策の審議会を開き、応急の措置をやりまして、かつ災害対策本部を開設をして、ただいま山口国務大臣を本部長とし、各省の担当官を本部員として対策をやっておるところでありますが、社会局長から最近の事情について御説明を申し上げます。

安田巖厚生事務官(社会局長)

○安田説明員 台風二十二号の災害の対策の概況を御説明申し上げます。  お手元にございます資料の一のところに被害状況がございます。これは皆さんすでに御承知の通りのものでございますが、特に今度の災害の特徴といたしましては、静岡県における死者、行方不明者が非常に大きいということでございます。これは御承知のように、狩野川のはんらんによりまして、上流の町村の被害が非常に大きいということを示しておるものでございます。  それから災害救助法の適用地域でございますが、これは第二に書いてございますように、十三都道府県、二十三区、三十四市、六十四町村に及んでおります。  それからそういった被害に対しましてとった措置でございますが、いずれも災害救助法を発動いたしまして、罹災者の救出、避難所の設置、たき出し、被服寝具等生活必需品の給与、医療救護等の応急救助に全力をあげております。人的被害の最も多かった静岡県狩野川流域におきましては、今なお三百二十六名の行方不明者がいるわけであります。自衛隊、消防団、村民等があげて死体の捜索をなお続けておるようなわけでございます。目下のところでは流木が至るところに堆積をいたしておるわけでございますが、その流木を取りのけるのがなかなかの仕事でございまして、その下にあるいは死体があるのではないかということを地元の人々は言っております。それを取りのけるのに、自衛隊の方で機械でやるわけに参りませんので、一つ一つやっておるというような状況で、若干おくれておるような事情がございます。なお、この地方におきましては、応急仮設住宅の建設が非常に急がれておるのでありますけれども、静岡県におきましては、第一次分二百五十戸の建設に着手いたしまして、二十日までには完了する見込みでございます。それから防疫対策につきましては、罹災家屋周辺の消毒並びに清潔方法の実施、鼠族、昆虫等の駆除、飲料水の供給、伝染病蔓延防止のための罹災住民の検病調査等を行なっておりますが、特に静岡県においては、給水班延べ百七班、防疫班延べ二百四十班が給水及び防疫対策の方に活動いたしております。第二は厚生省でとりました措置でございます。被害のはなはだしい東京、静岡、神奈川、埼玉、福島、青森の各県には、災害発生と同時に係官を現地に派遣いたしまして、実情調査及び応急救助の指導を行いました。なおまた、被害のはなはだしい地区には、救助期間の延長等の措置を講じて救助の万全を期しております。それから罹災地の防疫でございますけれども、青森と福島、神奈川、静岡、山形、埼玉、東京、千葉の各県と横浜市を伝染病予防法の第十六条の規定により指定地域といたしまして、なお、東北地区と静岡県には防疫の係の技官を現地に派遣いたしまして防疫指導に当らせております。なお自衛隊の全面的な協力のもとに次のような措置を講じております。静岡県の三島市にはガス壊疽の患者が運ばれて参りましたので、これの血清を自衛隊機で現地に急送いたしました。それから伊豆地方の罹災地は飲料水が非常に困っておりましたので、濾水器を五台、愛知県から三台、京都から二台を現地に急送いたしました。それから伊豆地方には愛知、岐阜、三重、兵庫の各県からそれぞれ防疫班一班、各班ともジープをつけまして、派遣をして防疫活動に当らせました。それから罹災者の救助のために、米国の宗教団体の三団体が作っておりますCACというところから物資をそれぞれ被害県に送りました。それから今度の災害救助に要する補助金の概算でございますが、大体、今のところ一億円ぐらいでございます。これは府県のやりましたことにつきまして、国の方で補助金を出すことになっておるのでありますが、大体一億円ぐらいが今のところ見込まれて、予備費の支出を目下手続をいたしております。それから日本赤十字社が各罹災地に救護班を出動さしておりますが、救助物資といたしましては、毛布と衣類等を三万五千六百六十一点、それからクロロマイセチン等薬品が三百人分、それぞれ現地に急送いたしました。  以上が被害の状況とそれに対する対策の概略でございます。

田中正巳自由民主党

○田中(正)委員長代理 本件に関し質疑の通告があります。これを許します。伊藤よし子君。

伊藤よし子日本社会党

○伊藤(よ)委員 ただいまも災害地の救済の状況についてお話がございましたが、私は伊豆方面へ視察に参りまして、特に強く感じて参りました点につきまして、一、二御質問を申し上げたいと存じます。  第一は、今回の二十二号台風の災害の特徴と申しますか、その点は、特に伊豆方面におきましては出水が突然で、予想しない出水がしかも深夜にありましたことによりまして、非常に人命に被害が多かったという点であると思います。で、当面はただいまもお話がありましたように、応急、緊急の救助はお手が尽されているようでございますが、私が憂慮いたしますのは今後の問題でございまして、非常にたくさんな、伊豆方面だけでも千名余の死亡者が出ましたあとにおきましては、必ず孤児とか、あるいは働く能力を失った老人、母子家庭などが出て参ることと存じます。これらの人たちの今後長期にわたる救済につきまして、特にどのような御措置をお考えになっておりますか、この点をお伺いしたいと存じます。

安田巖厚生事務官(社会局長)

○安田説明員 今お話がございましたように、伊豆地方の水害の特徴は、非常な短時間に降雨量が五百ミリをこえるぐらいの雨量でございまして、あっという間に床上から天井まで水がふえてきたというような状況でございます。村の人に聞きますと、大体二十分くらいでそういうふうになったということで、逃げるのにひまがなかったということです。私どもの方で災害救助法でやりますのは、とりあえずの応急救助だけが規定してございまして、先ほど申しましたような応急措置をとって売るわけでございます。しかし、これも仰せのように二週間か三週間いたしますと、それで終るわけでございますから、あとの未亡人の生活問題とか、孤児の問題とか、あるいはまたその人たちの生活問題とか、いろいろあると思います。こういうことにつきましては、これは厚生省だけでなくて、政府全般で農地の問題とか、あるいは山林の問題とか、その他いろいろ労働政策の問題とかあると思うのでありますが、とりあえず厚生省でとり得る措置といたしましては、たとえば世帯更正資金を静岡県にたくさん出すとか、あるいは母子福祉資金が厚生省にまだ相当の金を持っておりますので、そういうものを増して割り当てるとか、そういったようなことにつきましては、すでに通牒を出しまして、また生活保護の取扱いでございますとか、あるいは国民健康保険、そういう点につきましても、厚生省としてとれる措置は、実は今とっておるわけであります。今後とも気をつけて参りたいと思います。

伊藤よし子日本社会党

○伊藤(よ)委員 ただいまの御答弁にありましたが、私はその点は特別措置法などをお考えいただきまして、たとえばこれらの人たちに国庫から長期にわたる特別な救助の保護費を出して、月二、三千円にいたしましても、保護費を出していただくような特別なる措置法をお考え願いたいということを御要望申し上げておきたいと思います。     〔田中(正)委員長代理退席、委員   長着席〕 またこれは単に老人とか子供、生活能力を失った人たちばかりではなく、一般の災害者におきましても、特に困窮の人たちに対しましては、今後その人たちが更生するまでの間は生活保護法の特例を設けていただきまして、所得差引とか、進学制度等に伴う差引は一切行わないような生活保護法の特例を設ける必要があると思うのでございますが、それにつきましては特に年限を切りまして、そのような措置の必要があると思いますが、こういう点につきまして、厚生当局はどのようにお考えになっておりますか。

安田巖厚生事務官(社会局長)

○安田説明員 生活保護の運用につきましては、私ども先ほど申しましたように、災害のために生活ができなくなったという方に対しましては、生活保護を進んで適用いたしまして、そういう人たちが生活に困るようなことのないようにということを通牒をいたしておるわけであります。しかし今のお話のように、生活保護法の特例を設けまして、そういう人たちだけに手厚い保護をする。たとえば進学の問題とかその他の問題につきまして、あるいは収入差引をしないということにつきましては、生活保護の建前上どうであろうか。といいますことは、災害を受けた家庭にのみは、かりに収入を差引しないということになりますと、そういう人たちが他の人よりか五千円ないし六千円いい生活をする。ところが生活保護を受けております他の家庭の事情をいろいろ調べてみますと、あるいは夫が戦死したとか、あるいは夫が交通事故で死んだとか、いろいろ気の毒な事情がございます。生活保護の問題につきましてはとにかく一律に最低生活のできない者はこれを援護する、その原因は何であるかを問わないという建前をとっております。それをくずすということはなかなかむずかしいかと思いますけれども、しかし実際とにかく生活に困る人が出ないように、私どもといたしましては万全の対策を講じて参りたいと思います。

橋本龍伍自由民主党厚生大臣

○橋本国務大臣 生活保護法の適用の問題については、ただいま社会局長から御答弁申し上げたような次第でございますが、とにかく非常な大災害であり、今日もまだまだ、物資を手当はいたしましたけれども、個人々々に行き渡らせるのはなかなか大へんだというような状態にございます。被害者の方々としては非常にお困りでもありましょうし、今後まだそういう問題は起ると思いますので、ただいまお話のありましたようなことを含みまして、とにかくできるだけの手配を今後も進めて参りたいと思います。

中山マサ自由民主党

○中山委員 関連して……。私はこのたびの水害と申しますか、災害についての最大の悲劇と思って読みましたのは、せっかくこのたび災害から免れて生き残った四人の家族が、御主人が気が弱いのですか、あるいはそれを助ける妻の気が弱かったせいか存じませんけれども、一家四人が立ち直ることかできないと思って、絶望して一家心中をやったという記事を見まして、実に遺憾に思ったのでございまするが、生活保護の面におきまして、こういう特殊な、実に悲しい事件が起らないために、そういうことについては政府がこういう生活扶助も出しておるのだということを、私は何とか徹底的に広報活動をしていただきたいと思うのであります。地方に参りますと、いろいろないい法律があり、それに対する予算もございますのに、その広報活動が徹底しないのか、あるいはまたそういうことにふだん国民が気をとめて聞いていないのか、どちらに難点があるのか存じませんけれども、こういう悲しい事件が起ったということは、私ども国会におる者としては実に残念に思うのでございます。こういうことについて、そういう場合には必ず相談にこいというような広報活動がしてあるのかどうか、こういう問題が一点。  もう一点は、ふだんのときですら、地方を回って、母子家庭とかいろいろなところの話を聞いておりますると、これは省令でおきめになったのでございますかどうか詳しいことは存じませんけれども、そういうお金を借りるにつけて、保証人が二人要る。それで一人の保証人は何とかなるけれども、二人目ということは母子家庭ではなかなか困難であるということを聞いておりますが、どうぞぜひ一つ一人にしてくれないかという声が上っております。それで私、いずれこれはお尋ねしようと思っておったのでございますが、この災害によりまして夫を失った母子家庭などができておりますときには、特に、こういうときにお金を借りるのにつけて二人の保証人が要るということになりますと、ほとんど借りられないのではないかというような心配を抱いて売るものでございます。この点いかがになっておりましょうか。特例はしないという今のお話でございましたけれども、そういう面はいずれ直していただきたい。弱い母子家庭でございますとなかなか保証人ができないということを非常に心配して、今度立ち上る人たちにはほんとうに有効な助けになるかどうか、せっかくの親心でやっていただいても、それが末端において実現しかねるのではないかというおそれを抱くものでございますが、この二点について、いかがでございましょうか。

安田巖厚生事務官(社会局長)

○安田説明員 今最初におあげになりましたような事例が起るということは、まことに遺憾だと存じておるのでありまして、仰せのように、そういういろいろな関係の法律なり制度なりの趣旨が末端まで徹底していないということも確かにあると思います。今のようなケースでありますと、最末端機関といたしましては民生委員なり児童委員というものが指導に当っておるわけでございますけれども、今後ともそういう問題につきましても、もう少し末端に徹底するように私どもにおいて督励いたさなければならぬかと思います。  それから母子家庭の貸付の問題は、先ほど私が申し上げました生活保護の適用の問題ではございませんで、生活保護の適用の問題につきましては、今申し上げましたようなことで二、三の取扱いをするということはなかなかむずかしいかと思います。  母子家庭の保証人二人ということについては児童局からお答えいたします。

太宰博邦厚生事務官(大臣官房長)

○太宰政府委員 ちょっと局の者が来ておりませんので私から。保証人は立てる制度になっております。二人であったかどうかは……。

中山マサ自由民主党

○中山委員 二人なんです。

太宰博邦厚生事務官(大臣官房長)

○太宰政府委員 これは御承知の通り、母子家庭というような比較的お困りの方々のための制度に、れっきとした保証人というものはそうたくさんあるわけではございませんので、指導といたしましては、町村長なりあるいは民生委員なり、あるいは府県の知事さんがなっておるというようなことで、貸付でございますから保証ということも必要であろうかと思いますが、しかし実際の運用の面において、今申し上げましたような便宜の措置を講じておるわけでございます。今回の場合におきましても、いろいろそういう問題も起ってこようかと思います。これにつきましては、そういうために母子家庭がせっかく借りたい金が借りられないというようなことにならないように指導いたしたいと思いますから、御了承願いたいと思います。

中山マサ自由民主党

○中山委員 ついこの九月二十六日に私は奈良に参りまして、全県の保守系の婦人会の大ぜいの集会の場所で質問を受けたのであります。打ちあけた話が、一人ならばお互いに保証するという手もある、しかし二人となるとなかなかやれないから——会長さんの御発言ですから、会長さんのところにはいろいろ苦情が訴えられていると私は思います。市長や知事の保証というお話も出ましたけれども、なかなか徹底していない現状であるということは、実地に現場を歩きましてはっきりしておりますので、どうぞその点を何とか、ふだんでもむずかしいというのに、こういう災害の際にはよけい困難であろうと思いますから、ぜひ御善処方をお願いしたいと思います。

伊藤よし子日本社会党

○伊藤(よ)委員 これは御質問と申し上げるよりも要望になりますが、ただいま大臣からも、できるだけの措置を講じたいという御意思の表明がありましたから重ねてお願い申し上げる次第でございますが、この寒空に向いまして、救助法による医療やいろいろな見舞いの品につきましても、寝具等、思ってみるだけでも身ぶるいするような状態が起きるのではないかと存じます。またただいま中山先生からもお話がございましたように、私もその点についても申し上げたいと思っていたのでございますが、災害の結果親子三人国電飛び込みというようなことが一昨日の新聞にも出ておりますが、いろいろ社会問題が起きてくると存じますので、現状は一時的に知人とかあるいは親戚等で救済したりしておりますけれども、これについてはいろいろそういう社会問題が起きて参ると思いますので、特に現在ある法律の救済の方法をできるだけ拡大していただきまして、また今度の災害につきましては特別な措置法などをお考えいただいて、万全を尽していただきたいと思うのです。特に厚生省におかれましては、今後におけるそのような問題に対して積極的に、あたたかい御心でもって救助をしていただきますように、社会問題等起らないように御措置いただきたいということを特に御要望申し上げて、私の質問を終りたいと思います。     —————————————

園田直自由民主党

○園田委員長 厚生関係の基本施策に関する件について調査を進めます。すでに厚生大臣より説明を聴取いたしましたので、直ちに質疑を行いたいと存じます。八木一男君。

八木一男日本社会党

○八木(一男)委員 厚生行政全般について、厚生大臣に御質問申し上げたいことはたくさんあるわけでございまするが、本日は主として国民年金の問題並びに部落対策の問題につきまして御質問を申し上げたいと存じます。  まず第一に厚生大臣に、社会保障のいろいろの部分について、どの点を重視しておられるか、どういう順序で考えておられるか、そういうことにつきまして厚生大臣の御所見を伺いたいと存じます。

橋本龍伍自由民主党厚生大臣

○橋本国務大臣 社会保障のいろいろな部分につきまして、どの点を特に重視し、どういう順序で考えておるかというお話でございますが、これは私は実はどれを特に重視すると申しますよりも、現在の段階で要するにバランスをとりながら、手落ちのないように進めて参るということが、私非常に実は必要だと考えておるのでございます。新聞等にもやはり時の話題として、たとえば年金なら年金の問題が多く出ますものですから、ときにあちらこちらから、ほかのことを考えていないのかというお話を受けるのでありますが、これはやはり世間に与える印象というものが大事でありますから、手落ちのないように考えなければなりません。考え方としてはそういう面でバランスを考えてやっております。しかし、当面の仕事の量の問題とかあるいはその緊要度の問題というのは、おのずから進め方に差はございますけれども、当面力を入れておりまするのは、昨年度から始まっております国民皆保険を進めて参ります。それからもう一つは、国民年金の創設に関します問題、それと相並びまして結核の問題、とにかくここまで結核対策の将来ということについて一つの曙光が見出される現在、一つぜひ重点的に撲滅対策を進めて参りたいと思いますので、これに相当な重点を置いて考えておりますのと、それから社会保障の範疇に入るかどうか、議論はございますけれども、厚生省の仕事といたしましては、環境衛生のおくれを取り戻すために相当の力を注いでおるのでございます。そのほか、精神衛生の問題とかいろいろな問題がございますけれども、それぞれの問題に手落ちのないようにいたしながら、仕事の量的な大きさといたしましては、今言ったようなところにやはり大きな力を注いでおる状態でございます。

八木一男日本社会党

○八木(一男)委員 厚生大臣の御答弁は、前に吉田内閣時代に厚生行政を熱意を持って御担当になった厚生大臣の御答弁として、ある程度満足をしたわけでございますが、その御答弁の中に、生活保護についての御答弁がなかった。もちろん包括的に御答弁なさって、それも入れているというお気持でありましょうけれども、そこに生活保護のことがなかったという点に、やはり今までの保守党内閣の全体の政策で、社会保障の中で、社会保障のほんとうの完成した形である防食対策——もちろん社会保障は進めなければなりませんけれども、今まで防貧対策がなかったがために貧乏な人がたくさんいる。当面貧乏な人がいる場合にはそれを救うことが先であって、それとともに早くから並行して防貧対策を進めなければならない。そういう点についての御熱意が少し薄いように思うわけでございます。この点について重ねてお伺いいたします。

橋本龍伍自由民主党厚生大臣

○橋本国務大臣 実はそういうつもりはございませんので、ただ私申し上げましたように、社会保障の総体に対して手落ちのないように十分考えて参らなければならぬと思っております。生活保護の問題は、予算も年間四百億使っておりまして、非常にこれを重視しながら生活保護の運用の問題、それから基準の問題等についても非常に気をつけながら運用いたしておりまするし、去年以来こうした引き締め政策のもとにありまするので、生活保護の運用の関係でこれがうまくいっていない、あるいは当面の対策としてやりようが手薄の面があってはならぬと考えまして、運用部分についても、また所要の予算の確保等についても、十分に考えておるつもりでございます。ただ先ほど申し上げましたのは、そういったようなバランスを考えながらやっておりますので、当面の仕事のボリュームといたしますると、生活保護は一応制度もでき、ただいま申し上げましたような、運用について気を配りまする点にあまり多くの時間なり何なりを要せずしてやっておりますので、起案とかそれからそれの進め方というような点にむしろ精力を時間的にも多く使っているのは、大体今申し上げましたのがこのごろは主になっております。十分その重要性は考えて、かつまた運用に誤まりのないようにいたしておるつもりでございます。

八木一男日本社会党

○八木(一男)委員 今の御答弁で、大体は満足してもいいようでございますけれども、しかし制度その他について、国民年金や何かは制度を創設する、国民皆保険は創設を実行に移そうということで精力を傾注しておられるようでございますが、生活保護については、この法を根本的に改正をしようというような御努力の跡が見えていないわけでございます。行政上の運用だけではこの問題は解決しないような要素があることは、厚生大臣も十分御承知であろうと思いますので、国民年金を非常に一生懸命にやっていただくことはけっこうでございまするけれども、あくまでも今までの防貧対策が完成しておらなかったために貧乏になった人、現在のその人たちを救う救貧対策というものが、選挙上国民年金の方が受けがいいというようなことで置き去りにされてはならない。厚生大臣や厚生当局の方々にはそういう気持ではおられないと思いますけれども、どうも私どもの憶測でございますが、与党全体あるいはまたそういう空気を受けて大蔵省が、いろいろのところにへつらうとか、あるいはまたそれがふえるのを防ごうというような傾向で、こういう人たちの問題が置き去りにされる危険性がある。また生活保護の問題以外でも、所得保障とともに重大であり、さらに現実の問題である医療保障の問題が、もっと完全にされなければならないのを、今度政府が出されました国民健康保険改正案のような、非常に不満足な、不十分なものをもってバランスのとれたものというような御答弁があるような、そういう非常に置き去りにされた格好があるという点について、私どもは強く批判をしなければいけませんし、それで皆様方もその態度を改めていただきたいと思うわけでございますけれども、きょうは国民健康保険あるいは結核問題あるいは生活保護については後日に譲ることにいたしまして、年金の問題にこれから移って御質問をさしていただきたいと思います。  国民年金の問題は、年金制度というものは完成するまでに非常に時間がかかるものでございまするから、当然もっと早くから開始されなければならなかった問題であります。特に昭和二十五年に社会保障制度審議会の年金に対する勧告が行われておりまするが、その後の歴代の保守党の内閣は、この問題を全く放置しておられました。そして全然放置されまして、たとえばその大きな例としてあげますれば、一昨年、わが日本社会党から、ごくつつましやかな、年金制度の差し水のような医療年金法案あるいは母子年金法案というものを、無醵出のごくささやかなものでありましたが、出しましたときに、政府与党はこれに一顧だに与えられないというようななまけぶりを示してこられたわけでございます。最近世論が高まりましたので、国民年金に非常に一生懸命に取っ組んでおられる御様子の見えますことはけっこうでございますけれども、しかしながらその御決心の中には、前からの保守政府あるいは保守党の方々の、この問題にあまり熱心でおられなかったことから見れば、熱心に取っ組んでおられると見えても、その熱心の程度に非常に不十分なものがあるのではないかと思うわけでございます。非常に失礼な言い分でございまするが、そういう点について、ほんとうに本腰に国民年金のよいものを完成する決心で当っておられるのかどうか、厚生大臣の御信念を伺いたいと思います。

橋本龍伍自由民主党厚生大臣

○橋本国務大臣 これは申すまでもないことでありまして、本腰に取り組んでやっておるわけでございます。

八木一男日本社会党

○八木(一男)委員 社会保障をわれわれが考えますときに、日本の憲法上の根拠規定がございますが、その規定の精神にのっとって、社会保障の中の本命であります所得保障、生活保障の問題をお考えになっているかどうか、はっきりとお答えを願いたいと思います。

橋本龍伍自由民主党厚生大臣

○橋本国務大臣 社会保障の問題も、ここまで参りまするまでには、長い年月を経てずっとやって参ったわけでありまして、既存の制度を活用しながら、今日考えておりますることは、憲法二十五条にのっとった、健康で文化的な最低限度の生活の保障ということを考え、その上に立った社会保障を考えておるわけであります。

八木一男日本社会党

○八木(一男)委員 数日前に厚生省第一次試案というものが発表されまして、新聞紙上で私ども伺ったわけであります。試案でございまして、第一次案でございまするから、二次案、三次案と変ってくることは予測されるものでございまするが、その第一次案なるものを見ますると、憲法二十五条の精神にのっとったものとはいえないと思うわけでございまするが、その点について厚生大臣の御所見を伺いたい。

橋本龍伍自由民主党厚生大臣

○橋本国務大臣 社会保障全体につきまして、憲法二十五条の精神にのっとって社会保障制度を考えたわけであります。もちろんそのいろいろな仕組み自身につきましては、なおなお今後も内容を充実し、発展をいたして参らなければなりません。出だしの時期から非常に十分であるとは申せないと思いまするけれども、社会保障全体について憲法二十五条の精神で発足をいたしておりまするし、国民年金の制度についてもそのつもりで考えております。

八木一男日本社会党

○八木(一男)委員 厚生省の案は、基本的な年金の方は四十年後に完成するという案であります。この案が一回実行されると、大体において四十年間その方針でやられるという認識のもとに論議をしなければならない。厚生省の第一次案では四十年後に月三千五百円、年四万二千円、その年金額を保障しようという案になっております。     〔委員長退席、田中(正)委員長代   理着席〕 しかもこの年金案に大蔵省あたりでいろいろ異論が出て、さらに値切られるおそれもあり得るというふうに伺っておりまするが、そういうような三千五百円というもので、憲法の条文に即した健康で文化的な生活の最低限度、これを保障できるものかどうか、しろうとが常識的に判断してそういうものは保障できないということは明らかであります。その点についてどうお考えになりますか。

橋本龍伍自由民主党厚生大臣

○橋本国務大臣 これはもう八木委員もよく御承知だと思いまするけれども、国民年金の制度は生活保護の制度とは違うわけでございまして、イギリス等の例で見ましても、国民年金の年金額は、生活扶助費の大体半額ぐらいでございます。国民の最低生活を保障するという面の問題といたしましては、大きく産業政策の問題もございまするし、あるいはまた労働賃金の問題等もございまするし、失業対策の問題もございまするし、総体全部からんで参るわけでありますが、厚生行政の面で参りますれば、どうしても働きのない人たちに対して最低生活を保障するという問題は、生活保護法の問題でございまして、これにつきましては、今日六大都市標準五人世帯で一般生活費その他を合せまして、生活扶助は一万三百六十円というところ、これもいろいろな問題はございますけれども、今日のところこれで最低生活を一応ささえて参るということに考えておるのでございますが、国民年金の問題につきまして、それぞれの所得があり、いよいよない人については生活保護の制度もある、そうして最低生活はみんなが一応やっておるということを考えました上で、それぞれの人たちの生活に対して、さらにもう一歩進んで一つの力と申しまするか、安定性を与えるという意味におきまして、老齢者、それから身体障害者及び子供をかかえた未亡人に対する年金を考えておるわけでありまして、老齢であるとか不幸であるとかいったようなことによって生活の弱さを持っている人たちに対して、この年金制度によってもう一段の強さと安定性を与えることができると考えておるわけでございます。従いましてそういう観点から考えて参りますると、国民年金の制度は、生活保護と違って、これによってまるまる働かないでも食べていける金額を保障するという意味ではございませんので、この三千五百円が十分かどうかということについて、これはいろいろな考え方がありましょうと思います。国民の総生産所得の上り方等によりまして給付内容の改善をはかって参りたいと思いまするけれども、当面の問題といたしまして、やはり相当な金額であると考えております。

八木一男日本社会党

○八木(一男)委員 そういたしますと、厚生大臣は、たとえば七十五くらいの家族のない人が、やはり苦しい労働をして働かなければいけない、完全廃疾であっても、一生懸命苦痛をこらえて働いて何らかの収入を得なければならない、そういうことが社会保障の将来の完成時の状態であるというふうにお考えでございますか。

橋本龍伍自由民主党厚生大臣

○橋本国務大臣 これは、働きの場を持つということは、おそらく御当人たちでも御希望でございましょうし、今だんだんに平均年令も高くなって参っておりまするので、だんだん老齢者の働きの場ということも問題になっては参ると思いますけれども、私ただいま申し上げました問題は、国民年金によって、要するに国民年金だけによって働かないで食べていくのを保障しようという趣旨ではございませんので、従いまして、老齢者の方々でも財産のおありの方もございましょうし、あるいはまた働ける方で職をお持ちの方もございましょうし、そういう方々にも年金を差し上げるわけであります。いよいよそういうこともできない方には、生活保護の適用をいたしまして、それで生活を保つ。国民年金の問題はそれとは別に考えて参りたい。これはどこの国でもそうなっておると思いますが、そういうふうな建前で考えておるわけであります。

八木一男日本社会党

○八木(一男)委員 今の御答弁の中には、財産のある老人がいる、働く職場のある老人がいるというような言葉がございましたけれども、財産のある人は老後を楽しめる、職場のある人は老後を生活できるというようなことでは、社会保障の本旨にもとるものであると思いますが、もう一回その点について伺いたいと思います。

橋本龍伍自由民主党厚生大臣

○橋本国務大臣 私の申し上げましたのは、要するにこれだけで食べていけるという意味で国民年金を考えておるのではないのであって、従いまして、要するに所得保障というものの第一線に立つものは生活保護の問題である。収入のある方はその収入を差し引いて、なお足りないところは生活保護でめんどうを見る。それはそれで国民の最低生活の保障をする制度を確立いたしておきまして、別に老人一般に対し、またある程度以上の障害者一般に対し、苦しい一般に対しまして、国民年金を差し上げることによってそういう人たちの生活の弱さというものを補い、かつそこに一つの安定性を与えることにいたしたい、これが国民年金制度の趣旨だと考えております。

八木一男日本社会党

○八木(一男)委員 まことに驚き入った社会保障に対するお考えであって、あきれかえって話にならないのでございますが、少し観点を変えまして、社会保障制度の意義は、いろいろな所得能力がないそういう人たちに対して生活保護ができるようにするという意義のほかに、もう一つ大きな意義があると思うのですけれども、それについて厚生大臣、どういう意義があるとお考えになりますか。

橋本龍伍自由民主党厚生大臣

○橋本国務大臣 社会保障制度の趣旨というのは、要するに国民総体の協力によりまして、生活の弱みというものを補いながら、国民全体の不幸な弱さというものを国民全体の協力で補いまして、その協力の仕方については、これは保険的に本人にならすものもあるし、所得の再配分的に国庫の一般財源でやることもございますけれども、こういうふうな形によりまして、要するに国民の生活の安定というものを確保するというのが社会保障制度の大事なねらいだと考えております。

八木一男日本社会党

○八木(一男)委員 その点はいいのです。そのほかにもう一つ大きな意義があると思う。生産に関係する大きな意義があると思うのですけれども、そういう点についてお考えになったことはありませんか。

橋本龍伍自由民主党厚生大臣

○橋本国務大臣 これはもちろん社会保障制度の問題につきましては、総体的に国民の経済の運営の波乱を防ぐ非常に大きな支柱であるわけでございます。私はただいまは社会保障の直接の目的について申し上げたわけでありまして、しいてのお尋ねでありまして社会保障の総体的な意義をいろいろと考えますれば、これはやはり国民経済の安定という点に非常に大きな意義があると考えております。

八木一男日本社会党

○八木(一男)委員 はっきりしませんのでこちらから申し上げますと、社会保障の意義は、そういう非常に気の毒な状態にある人の生活とか、あるいはまた病気の状態に対処する方法を確保するとか、失業の状態に対処する方法を確保するとかいうようなことが一番大きな意義でございまするが、そのほかに社会保障が完成することによって、生産面にあるいは労働の配置面に非常に大きな意義があるということを深く考えていただきたいと思うのです。たとえば被用者が、労働者が職場を離れた場合に十分なる年金を持っている場合には、退職金で何か商売をして、そしていろいろなことをして自分の生活を将来やっていこうというような危険な考えを起さない。零細企業がたくさん興って過当競争に陥るというようなことも起らない。また働いている人が一定の年令でやめた場合に、まだ食えないから嘱託として雇ってくれ、あるいは門衛として、受付として雇ってくれというような、老齢になってからみじめなことをしないで済む、そういうことによって、そういう職場が年とった人によって占められておるために新しい学校の卒業生、大いに労働意欲に燃えている人の職場がそれで少くなるというような現象がなくなるのです。所得保障が完全であれば、その人は所得保障で完全に健康で文化的な生活ができれば、一定の年令に達したときには次代の青年にその職場を譲り渡す。また農村においてもそういうことが保障されておれば、農業経営権を早くむすこたちに渡して、農業の経営の近代化とかあるいは共同化とか、そういうことが進む。零細企業も同じであります。こういうような大きな意味を持っている。そういう点について厚生大臣はいかにお考えになりますか。     〔田中(正)委員長代理退席、委員   長着席〕

橋本龍伍自由民主党厚生大臣

○橋本国務大臣 これは、もう今日国民年金制度を創設する上において非常に大きな意義でありまして、私も実はあっちこっちでお話をしておる際に、特に農村等におきましては、これはただいまも御指摘になりましたように親子の争いの問題、これは結局年寄りが一向金を握って放さないという面があるわけです。その点については、やはり年寄りの側からいうと、経営を若い者にまかせたら小づかい一つないという点がありますので、国民年金の制度を創設した場合におきましては、そうした農村におきまする若い者たちが経営の主体を握っていくことについて老人が制約になるというような事態を円満になくすることができる、これは非常に大きな国民年金の意義だと考えております。

八木一男日本社会党

○八木(一男)委員 そういう点を考えますると、所得保障が完全でなければ、そういう効果は起らないというふうにはお考えになりませんでしょうか。

橋本龍伍自由民主党厚生大臣

○橋本国務大臣 これは程度の問題でございまして、私は先ほどから申し上げておりまするように、完全にということはなかなか創設の当時からできにくいと私は考えております。また完金という意味にはいろいろな考え方があると思うのです。ただ今日考えておりますることとしては、掛金の能力、また国庫負担の能力といったようなもの等も勘案をいたしまして考えまする場合に、社会保障制度審議会で考えられました三千五百円という線を尊重して参りますることが、そういう面からも相当と考えられますし、また三千五百円という金額はいろいろな点を考えて見まする場合に、老人なりあるいは障害者、母子というものを考えてみましても、やはり相当意味がある。ただいま八木委員御指摘のような趣旨においても、完全ということを言うことは、これはちょっとどうかと思いますが、相当大きな意義がある金額であると考えております。

八木一男日本社会党

○八木(一男)委員 厚生省の第一次試案につきまして、野党の社会党が攻撃を展開するであろうということを考えられまして、身がまえて答弁をしておられますけれども、日本の社会保障制度がりっぱな方向にいくという観点で、建設的にお答えを願いたいと思います。その点で、今後そういう意味でお答えが願えるかどうか。

橋本龍伍自由民主党厚生大臣

○橋本国務大臣 私は実は八木委員を有力な味方だと考えておりまして、ただいま攻撃をされておるとは決して私は考えておらないのであります。それでなかなかむずかしい問題でありまして、これはもう与党をあげて、それからまた国内をあげて、私は実は大蔵省もなかなかやかましくはありますけれども、やはり有力な味方と考えております。これはみんなで国民年金制度を創設するわけでありますから、私は八木委員の御質問に対しては、ことにそういうような身がまえなどは一つもしておりませんので、一つそのつもりでお願いいたしておきたいと思います。

八木一男日本社会党

○八木(一男)委員 私ども同様な意味において、社会保障制度をほんとうにりっぱなものに早くしたいという考え方で御質問をしておるということを一つ御理解を願いたいと思います。その意味で、一つ腹を割ってお話を伺いたいのですが、三千五百円ということに固執しておられますけれども、これは先ほどのお言葉に出ましたように国庫負担とか、あるいは被保険者の負担能力といったようなものを勘案して、今のところ、将来は直すけれども三千五百円という立場をいいものとしたいというような考え方から御答弁に苦心されておられるわけですけれども、ほんとうは三千五百円よりももっと多くした方がいいとお考えになりましたかどうか。

橋本龍伍自由民主党厚生大臣

○橋本国務大臣 これは制度を作っていく可能性の問題であります。現在としては、私は社会保障制度審議会の答申を尊重しながら立てておるわけであります。私は三千五百円という金額はいいと考えております。  それで多少御説明申し上げたいと思いますが、今組んでおりまする案で、ごくざっと申しまして、社会保障制度審議会では醵出年金の掛け方で、八木委員御承知だと思いますが、出だし月七十五円で発足をいたしまして、四十年間に八回改訂をして、最後に百三十八円にする。出だしの時期には、結局責任準備金に穴があくわけでありますが、あとで埋めるという案であります。ところがそういったようなやり方は、年金制度の立て方としても不健全だと思いますし、それから実際の政治問題を考えてみましても、一応七十五円で発足したのが、四十年間に計画通り給付内容の改善を伴わずに、掛金だけを上げるというようなことができるか、できぬかといったような問題もございますので、そこで今日の負担能力等を勘案いたしまして、醵出金に対する国庫負担としましては、厚生年金一割五分をやっておるものの倍の三割ということをねらいながら、総体で実は三分の一という案を立てておるわけでございます。これも国庫負担としては相当な金額でありまして、大体今の案のままでいきますと、昭和三十六年ぐらいでその醵出金に対する三分の一の国庫負担だけで百八十五億ぐらいになると思います。それが国庫負担としては精一ぱい、それを入れて、結局予定の運用利回りで考えてみます場合に、二十才から三十五才まで百円、それ以上百五十円というので計算いたしておるわけであります。それは結局本人の負担能力の問題、それから国庫負担の財政的ないろいろなにらみ合せで一ぱい一ばい、それから運用利率でも一ぱい一ばいとして考えてみたわけであります。それで計算をいたしまして、大体六十五才までの間に、今申しました行き方でいった本人の掛金だけで十二、三万円になるかと思いますが、それを国庫負担とそれから利殖とを合せて、六十五才までに、三十五万円くらいまでにふくらませまして、そこで平均余命年数を考えながら年金を払っていくというのが、今立てているごく大ざっぱな計算でございます。こういう点から考えてみますると、本人の負担能力、それからかけ方の問題、国庫負担の割合の問題、それから運用利率の問題といったようなものから攻めて参りました場合に、今言ったやり方で三千五百円の給付というのが今日では考えられる精一ぱいの問題であって、しかしてやはりそれは月三千五百円、年間四万円という金額は、これだけで飯を食うということはむずかしゅうございますし、それからいろいろな面で、これで安心だ、これですっかり自分の代を子供に譲ってしまうということの問題については、非常に十分とは申せないと思いますけれども、やはり相当なそういう面への効果のある金額であって、しかもそれを達成するいろいろな方途としては、これは今日やはり精一ばいと考えられる金額、からみ合せまして、私は今日としては三千五百円というのは妥当だと考えております。  それからついでに、これは将来のおおよそ私たちが案を立てながら考えております点を考えますると、大体やはり従来の厚生年金の制度等でも、立ててからあとで掛金を引き上げると同時に、給付内容の改善をはかってきておるわけであります。国民年金の制度に関しましても、これはこまかく給付に手を入れたりすることはいけませんので、相当の見通しを立てて、安定していかなければなりませんけれども、大体国民所得のふえ方からいいましても、大体二十年たてば、少くとも現在の倍以上になる。今日政府の立てておりまする長期経済計画でも、五カ年計画で四割上げるということを考えておりますので、そのままでいかないと思いますが、大体二十年くらいになるならば、国民所得も倍くらいになるということを考えて参りますと、この国民年金の制度というものも、過去の厚生年金の改善の状態等から考えまして、おおよそやはり二十年目くらいには、制度の内容について、やはりこれの改善ということの意見が相当有力に出てくるんじゃなかろうか。これは何も二十年目にどうするということを制度として織り込んではおりませんけれども、検討をしながらの心がまえといたしましては、類似の制度の過去の実績だとか、国民所得のふえ方等から考えてみて、二十年もたったら、やはり制度としてはこれの内容改善について相当考える余地が出てくるんじゃないかということは考えております。

八木一男日本社会党

○八木(一男)委員 厚生大臣の御説明になっているお言葉から拝察すると、社会保障制度審議会の答申が大体根底になって、それに厚生省自体でお考えになったものを少しつけ加えられてこの案を作られたという形かと拝察しますが、その点いかがですか。

橋本龍伍自由民主党厚生大臣

○橋本国務大臣 その通りでございます。社会保障制度審議会の答申を尊重して、これの肉づけをしていくというのが基本の方針でございます。ただ掘り下げてみましたところ、財政負担でありますとか、何かいろいろな点の問題、あるいはこまかい制度の合理性といった面から見て、その通りではどうかと思われるような点につきまして若干補正をいたしているのでございますが、根本の考え方はあの答申をなるべく生かして参りたいというつもりで作業して参りました。

八木一男日本社会党

○八木(一男)委員 それからもう一つ。厚生大臣は経済の成長のことをお触れになりましたが、実はこれは経企長官に伺いたいと思いまして御出席を要求しているわけですが、いまだお見えになっておられません。おいでになりましたら、また御質問をしますけれども、あなたは国務大臣として、もちろん有力な閣僚として参画になっておられますので、ちょっと伺いたいと思いますが、経済の成長率は、もちろんこれは将来のことですから狂いはありますけれども、国務大臣としての厚生大臣のお考えとしては、大体どのように推移するとお考えでございましょうか。

橋本龍伍自由民主党厚生大臣

○橋本国務大臣 年々の波乱はございますけれども、現在やっておりまする長期経済計画で、五年間に国民所得を四割伸ばすということは達成できると考えております。ただ日本の出だしが戦後の混乱で低かったものですから、今まで成長率は非常に高うございましたが、ひとわたり進んで参れば、今後の成長率というものは漸次それだけ落ちて参ると思うのです。今日の五カ年計画で四割上げまして、その次の五年なり何年なりの伸び方というものはやはりこの五年で四割という伸び方は漸減しながら、なお、相当の程度で伸び続けて参ると考えております。

八木一男日本社会党

○八木(一男)委員 国民生活の方でお答えになりましたけれども、経済五カ年計画で、経済を六・五%ずつ成長させる、今はちょっとなべ底景気でございますが、そういう一時的な点は別としまして、総体にそのような率で成長するようにお考えになるでしょうか。

橋本龍伍自由民主党厚生大臣

○橋本国務大臣 六・五%と申しますのは、日本の近年の、つまり低いところから発足いたしました成長率から申しますると、割合に遠慮した数字のようでございますけれども、しかし世界の文明国の成長率からいうと相当高いものでありまして、今日やっております経済五カ年計画の間には、六・五%複利計算での成長をすると思っておりますから、これが達成いたしました後においては、この六・五%の成長率というものは、漸次やはり率としては減って参るのではないかと思います。

八木一男日本社会党

○八木(一男)委員 五カ年計画の後のことも大体の御推定を伺いたいのですけれども、それはちょっとむずかしいことですから……。そうすると日本の今までの、近代社会になってからの成長率よりもたくさんで進むか同じように進むか、その点についてどう思われるか伺いたい。

橋本龍伍自由民主党厚生大臣

○橋本国務大臣 あまり深入りして私から申し上げるのも、所管外のことでいかがかと思うのでありますが、私の今日考えておりますところでは、六・五%の成長率というものを大よそ維持しながら、これがこの五カ年計画の次の五カ年においては六・五%がやや減るくらいな形で、やはりこうした成長を続けていくと私は考えております。

八木一男日本社会党

○八木(一男)委員 終戦後の日本の経済伸張率は、平均にして一二・三%だったと私は理解をいたしております。それから明治以降の平均の成長率は、四%だったように記憶をいたしております。厚生大臣の今の御答弁だと、六・五%がやや下回った程度でずっと続いていくというふうに御答弁になったように伺いますが、明治以降より少し多いくらいに進んでいくというふうなお見通しでございましょうか。

橋本龍伍自由民主党厚生大臣

○橋本国務大臣 戦後今日までの成長率というものは、やはりスタートが低かっただけに異常な成長をいたしておりますけれども、私はっきり記憶をいたしておりませんが、戦後におきましてもほかの一般の文明国の日本と同じくらいの程度の国の成長率を見ましても、大体四%程度くらいの伸びが普通であると思います。日本はまだまだ伸びて参ると思いますけれども、戦後今日までのような平均の伸びは無理でありまして、やはり六・五%くらいが平均の伸びとしては頂点で、むしろ今後としては次の五カ年計画あたりは多少——もとが大きくなりますだけに、伸びとしては幾らか減り目になるんじゃなかろうかと考えますが、これは私の常識のようなものでありまして、あまり責任のある答弁とは申し上げかねるのであります。

八木一男日本社会党

○八木(一男)委員 責任のある経済企画庁長官にあとで伺いますけれども、そうすると大体五%くらいは進んでいくというふうな御想像でいらっしゃいますか。

橋本龍伍自由民主党厚生大臣

○橋本国務大臣 これは国民年金の将来についての関係かと思いますが、こまかい年々の成長率と申しますよりも、大体二十年くらいの間には、やはり日本の国民所得が今に比べて少くとも倍以上にはなるんじゃないかということを、将来国民年金をやるについての財政見通しのごくラフな考え方としては、いたしております。

八木一男日本社会党

○八木(一男)委員 御専門外ではなはだ恐縮ですけれども、大体さっき申した質問にそのままお答え願いますが、これは狂っても仕方ありません、御専門じゃありませんし、将来のだれも狂う要素があるものですから……。大体五%くらいで進む、これはちょっと減ってずっと進むというふうな、そのくらいのような御見当のように伺いますが、そういうふうに理解してよろしゅうございますか。

橋本龍伍自由民主党厚生大臣

○橋本国務大臣 五%というようなふうには、私はちょっと申し上げかねるのでありまして、私はただ現在の長期経済五カ年計画の平均五・五%の達成ができるであろうということと、それからその後においては大して落ちはしないけれども、やはり平均六・五%の成長というものはこれは頂点であって、相当の成長率を維持するけれども、平均してこれを長く抜いていくということはむずかしいんじゃなかろうかという常識を考えますだけで、五%とかなんとかいうことはちょっと申し上げかねます。

八木一男日本社会党

○八木(一男)委員 経済企画庁長官を早く呼んでいただきたいと思います。五%と例をあげて言ったのですが、これは少し狂ったってかまいません。その点で政府追及はいたしませんけれども、それは五%は少な過ぎて六・五%か六%か五・五%くらいで進むことがあるかもしれません、五%というようなことはあまり返事はできないという意味ですか。

橋本龍伍自由民主党厚生大臣

○橋本国務大臣 実はそういうことを特別に考えておらぬという趣旨であります。しいて御質問がありましたから私申し上げましたが……。

八木一男日本社会党

○八木(一男)委員 六・五%の経済成長率は政府が完全に発表している問題であって、今厚生大臣に無理にお伺いしたのですけれども、そういう認識に岸内閣が立っておられるということは明らかであると思います。将来の問題についても、大体そのような調子で考えておるということが諸答弁中で明らかであります。  ところで社会保障制度審議会の答申に準拠して考えておられるのでございますが、社会保障制度審議会の答申は、私も社会保障制度審議会の委員で、年金特別委員会の委員として審議に参加したわけであります。ここでこの四万二千円程度という答申が非常に少いという議論が沸騰しましたし、また六十五才開始というのがおそ過ぎるという議論が沸騰いたしました。それに対しての反対論は、現在の自民党内閣、保守党内閣では、このくらいしか踏み切れないであろうから、現実的に踏み切らせるためにこの辺でがまんしようというのが、この反対論のただ一つの論点であります。それ以外はもっと多くなければいけないというのが論点、もっと早く給付を開始しなければいけないというのが論点だった。ところが社会保障制度審議会はそういうことで、今までの答申だとか勧告がほとんどじゅうりんされておる事実にかんがみまして、何とか発足させたいということで、実にしぼってしぼり抜いたものを答申として出しておるのが経過であります。これは答申の文言にはそういうことは出ておりません。しかしその経過は明らかであって、大内会長を初め、どの委員に聞いていただいても明らかであります。そういうことで、これは最低限度である。しかもその最低限度を作る根底には、大いなる間違いがあります。というのは、私が委員でおりましたならばそれを指摘したわけでございますが、解散で、私が委員不在中に最後の文言を作ってしまった。それで非常な間違いを犯しておる。社会保障制度審議会の答申を全部読んでいただくと、経済成長率を二%として計算しております。それをまだ下げて、ほかの年金の算定の方では一・五%というようなものを根本にして、あれを算定したわけであります。そこに根本的な間違いがある。社会保障制度審議会の答申を尊重せられるのはいいけれども、社会保障をほんとうにりっぱにしようという趣旨を尊重されるわけであって、その計算の基礎が間違っておったならば、その点を直して政府としては立案されるべきであると思う。二%しか伸張しないというのは、社会保障制度審議会が政府を信頼していないから、そういうことを言ったわけであります。信頼していないというと少し語弊があるかもしれませんが、とにかく政府の方では六・五%の経済伸張率を示すということを明らかに言っておられる。それが六と計算したとか、五・五と計算したというならまだ話がわかります。しかし二というような非常な小さな数でやっておる。明治以後の日本の経済伸張率が四%である。それなのにこれからが二%、いかにもこれは自民党にしても社会党にしても、全くばかにされた話で、自民党が政権をとられても経済をもっとりっぱに成長させられるはずであります。社会党であれば、計画経済でもっと飛躍的に経済を成長させる自信がある。社会保障だけ知って、経済の成長のことを知らない方たちが審議した、こういう根底の間違いを根本的に検討されて、そういう趣旨を生かして計算をし直されれば、三千五百円というものは当然七千円なり八千円になっておるはずです。そういう意味で、ほんとうに社会保障に熱心でおられる厚生大臣であれば、第一次策を直して——ほんとうに自民党が自信を持って経済成長をはかっておられるわけでございまするから、そういう根底に立って第一次案をはっきりと直して、ほんとうに国会に提出されるときにはりっぱなものにして出していただきたいと思いますが、これについてはいかがですか。

橋本龍伍自由民主党厚生大臣

○橋本国務大臣 六・五%というのは当面の五カ年計画のことでございまするし、社会保障制度審議会の委員各位にも長いこと御研究願ったわけでありますが、これは非常に長い期間の成長について内輪にお考えになって答申をされておるので、これはこれでやはり十分に尊重すべき意見だと私は考えております。そこで私は社会保障制度審議会の答申は、その趣旨につきましても、具体的な内容についてもなるべく尊重いたして参りたいと考えております。  ただ国民年金の問題について、国民経済はもう不断に成長していくということをやっぱり考えに入れながら——最初の出発点で全部勝負がきまってしまうのだというふうな考え方をするのは私は少し思い過ごしではないかと思う。これは御審議の間にだんだん出てくると思いまするけれども、要するに長い目で見て非常に大事なのは、私先ほど申し上げましたように、過去における厚生年金その他で見ましても、発足のときには割合に内輪で発足をしながら、何年かたって掛金も多く掛けられるようになり、給付の改善もできるし、またその要望が出てくるということに相なるわけであります。国民年金の問題についても、やはり国民経済の伸張、一般の国民の所得水準の向上ということに並んで、やはり内容改善の要求というものはいつの日か必ず出てくるに違いない。結局やはり制度としては、最初に考えなければならぬのはそれでもう未来永劫勝負がきまると考えるよりは、何十年か後に内容改善の要望の起ってきた場合に、これが割合に容易にできるような弾力性を制度が持っているということを私は十分考慮する必要があると考えておりますので、とにかく最初から非常な無理をして案を作って、これで四十年でも百年でもいくのだからということで、あの社会保障制度審議会の御答申の内容をさらに上回るように持っていくというところまでのことは考えておりません。

八木一男日本社会党

○八木(一男)委員 厚生大臣は考えておりませんと言われましたけれども、厚生大臣はこういう画期的な長く続く制度が発足されるときには、ほんとうに野党の意見もよく聞き、それから方々の意見もよく聞いてやっていくのが当りまえであって、自分の方で第一次案を作ったから、それを何でもかんでも言い回しによって弁護をして、それを固定させるという考え方ではいけないと思うのです。そういうようなほかの意見で、そして非常に参考になるべき意見があるならばこれを取り入れるという態度を示されていいと思うのですが、その点についてどうお考えになりますか。

橋本龍伍自由民主党厚生大臣

○橋本国務大臣 全くそのつもりでおります。あちらこちらの意見を十分伺っていかなけりゃならぬと思います。ただ今日当面考えておりまするところでは、八木委員のただいまの御提案に対しましては、先ほど申しましたようにいろいろ分析した結果、百円、百五十円の掛金の高さ、それから三分の一の国庫負担の大きさ、それから運用利率の程度といったようなものを考えてみましたときに、三千五百円がやはり今考えるところとしては相当高いところである。しかも三千五百円というのはやはり相当意義がある金額であると考えまするので、そういうふうな趣旨では社会保障制度審議会の三千五百円というものを尊重して参りたいと考えておるのでございます。もちろん可能な方法が考えられていくのならば、内容をできるだけよくするようには十分今後とも運用の面で考えていくつもりでございます。ただいまのところは研究の結果、私ただいま申しましたように考えておるということを申し上げたわけでありますが、なお御意見があります趣旨は十分今後も織り込んで再三検討いたして参りたいと思っております。

八木一男日本社会党

○八木(一男)委員 それでは建設的な意見があって、それで金額を引き上げるとか、条件をよくするというようなことは、できれば考えるということですか。

橋本龍伍自由民主党厚生大臣

○橋本国務大臣 もちろんそのつもりでおります。ただ現在まででも社会保障制度審議会の答申も繰り返し検討いたしましたし、年金委員の方々の御意見その他部内での検討等もかなりいたして参りましたので、今のところでは大体ああいったようなことで考えていくということを申し上げましたが、今後もなお考えて参りたいと存じております。

八木一男日本社会党

○八木(一男)委員 建設的な意見を一つ申し上げたいと思います。この三千五百円を上回らす方法があるのです。あるのをまだお気づきになっておらないのか、形式的にお考えになってそれを取り上げておられないという点で、この問題が壁に突き当っておる。国民経済とか個人の負担能力を考えれば、年金問題は多いに越したことはないけれども、一定の限度があるということは私どもも知っております。知っておりまするけれども、それでいろいろの工夫をしてそれをよくしなければならないと思う。一番大きな壁は何かというと、今までに年金制度がなかった、被用者に一部ありましたけれども、総体的になかった、そのために無拠出の年金を今即時に開始しなければならないということ、それからもう一つは、将来の年金を確保するために、国庫負担を入れても、拠出制で今の人が自分で将来の年金を用意しなければならないということ、そういうことが重なり合っている点が非常な隘路です。その隘路を打開するには、ほんとうに考えれば打開の道があるはずです。もちろん国庫負担その他で、余裕のある人からたくさんの負担をしてもらって、そうして今の人が負担能力があるようなことにするのには最大の工夫をこらさなければなりませんけれども、現在生きている今の時代の人から税金という形で取っても、保険料の形でとっても、一般税の形で取っても、目的税の形で取っても、いかなる方法をもってしても、現在の年寄り、未亡人とか身体障害者に対する無拠出の年金の負担と、自分たちの将来の負担と、二重負担になる、なければならないというような難儀な点がある、そういう点が壁にぶつかって、工夫をこらしても一定のワク外に出られない、それで金額が狭まってしまうか、支給の時期がおそくなり、条件がきつくなるということが起るわけです。それをほんとうに根本にさかのぼって考えますときに、今まで年金制度がなかったわれわれの親たちにわれわれが親孝行するのであるから、われわれの分は子供に親孝行してもらうというように、時代を一代ずつずらせばこの問題は解決するわけです。これがいわゆる賦課方式の考え方なんです。今までの生命保険その他、そういうものが全部積み立て方式をとっておる。これは商売ですからそうでしょう。今までの社会保障制度とほんとうに違った制度を頭において、それに固着して考えるから、績み立て方式でなければならないという考え方に単純になって、それでワクをはみ出られないで困難しているのが今の政府であり、厚生省であり、社会保障制度審議会の学者の人たちにもそういう考え方がある。それではほんとうの発展はないのである。今までの年寄りに親孝行するなら、われわれも子供たちに親孝行してもらってもいい。負担は将来にある程度ずらす。完全に賦課方式をとった場合には、これは時代的な不公平が起る可能性があるかもわからないけれども、半分くらいは賦課方式の考え方を取り入れてやる、そういう考え方だとしたならば、今おっしゃっているようなワクがはずれて、三千五百円を七千円なりあるいは六千円なり、そういうものになる、そういう点について、厚生大臣はお考えになったことがあるかどうか伺いたい。

橋本龍伍自由民主党厚生大臣

○橋本国務大臣 そういったような御意見が国民年金の組み方についてはあるわけでございます。そこで政府では、十分学識経験者、その他皆様方御関係の方々にお集まりを願いまして、そういう意見を十分に戦わせて、一つの結論を得ていただきたいと思いまして、社会保障制度審議会の方に答申を求めたわけでございますが、これはいろいろな御意見があると思いますけれども、私どもは、社会保障制度審議会の答申せられました、要するに当面経過的に無醵出の——本格的な将来の制度としては醵出制を基本にした積み立て金方式を考えていくということは、いろいろな意見はございますけれども、そう考えておりまして、社会保障制度審議会の答申も、その意味で尊重して参りたいと考えております。

八木一男日本社会党

○八木(一男)委員 厚生大臣は私の質問に対して、厚生大臣の御意見、御見解をお答えにならないで、都合の悪いときになると社会保障制度審議会の答申ということを言われる。まあ、厚生大臣は社会保障に熱心な大臣であったと私は思っております。前に、吉田内閣のときに結核対策の案を出されて、それが否決されるや敢然として職をなげうたれた、非常に敬意を払っておったのでありますが、御成長になられましてから、お年を召されてから、非常にいくじがなくなった。厚生大臣自体としての確固たる御所見を伺いたい。

橋本龍伍自由民主党厚生大臣

○橋本国務大臣 私は実は与党の社会保障制度の特別委員長といたしまして、国民年金制度の創設の案を一昨年打ち出したのでございますが、私はそのときから、国民年金制度につきましては、この醵出制度を基本にして参るべきものだと私自身、実は考えておりました。幸いに党内の各派の賛成も得まして、私は、自分が特別委員長として起案いたしましたものも、醵出を基本として、無醵出を併用して参る、醵出の場合に、績み立て金方式でいくんだという考え方で、実はその結果、なっておるわけであります。ただ、私ただいま申し上げましたのは、社会保障制度審議会の御答申の過程に現われました、結論を得られたこの醵出を基本にしてやっていくという御議論と、私の意見は前から同じでありますので、それを申し上げたわけであります。

八木一男日本社会党

○八木(一男)委員 それでは、厚生大臣は今までのところ、積み立て金方式はよいとお考えになっておられるか。先ほども申し上げました通り、お答えもいただきました通り、各方面で積極的な、建設的な意見があったら、それを取り入れて考えるというお立場に返ってお聞き取りを願いたいと思いますが、厚生大臣は今まで積み立て金方式がいいと思われた。しかしながら、私どもは別な意見を持っておる。今の時代、非常に苦しい今の時代に生きている人が、その中で一番苦しい親たちに、あるいは未亡人に、あるいは身体障害者に、今のゼネレーションの生産年令人口の負担において、これに年金を差し上げることは何ら異議を差しはさむ——大賛成でございまするけれども、それでは、その人たちが自分の将来の年金を自分の責任において全部負担しなければならないということであれば、現在の生きている人があまりにいろいろの負担が重過ぎる。これを後代に、当然われわれに親孝行をすべき子供たちに負担の幾分をゆだねるという方式がどこが悪いのか、それについての御見解を伺いたい。

橋本龍伍自由民主党厚生大臣

○橋本国務大臣 私はやはり、この国民年金の制度というものにつきましては、若くて、そうして健康で、無事な時代に、みずからの所得の中からある程度積み立てをいたしまして、それに国が一般財源から、所得再配分の意味も兼ねた金額を三分の一なり、何なり加えまして運用して、それで国民年金制度を運営して参る基本がいいと実は考えておるわけであります。従いまして、国民年金制度を発足させるに当りましては、そうしたイギリス式の方式をとって参りたいと思うのであります。それが一点。そういたしますと、今日すでに老齢者である人たちをどうするかという問題につきまして、醵出制度のごとく十分な金額ではございませんけれども、やはり無醵出の年金を差し上げたいということにいたさざるを得ないのであります。従いまして、国民年金制度は醵出制度でいくということと、しかし今日すでに老齢等になっておる人たちもほっておけないという意味において、今日の負担がそれだけ重くなっていると申しますか、それだけ今日の醵出制度のスタートが低くなっておる、これはちょっとやむを得ないと思っております。

八木一男日本社会党

○八木(一男)委員 私の申し上げることを、好意をもって申し上げておるのですから、よく一つお聞き取りを願いたいと思います。大体初めの厚生大臣の御答弁の筋はわれわれも賛成なんです。将来の醵出年金について、各人が所得に応じてこれをちゃんと醵出をして用意をする。それがなければ年金は多くなりません。社会党の醵出年金のことをどういうふうな風の吹きまわしか、自民党の方々の御研究の不足か、自民党の委員の方二、三人は無醵出というふうに誤解をされたようでありますけれども、そうではありません。わが党の基本年金は醵出年金なんです。そういうふうなことで、醵出年金がいいということは皆さんと意見が一致いたしております。但し現在のお年寄りとか未亡人とか身体障害者とか、これは醵出する期間もなし今能力もないわけでありますから、無醵出の年金をできるだけたくさん差し上げたい、これは自民党の気持も、政府の気持もあるいはわれわれの気持も同じであります。政府の方では非常にわずかのものだとおっしゃって、これをたくさんにしたいという気持がその裏にひそんでおることは明らかであって、これは厚生大臣のその善意を信じたいと思う。そこで、それをやる方法を申し上げておる。社会党の案を十分に御研究になっておられればわかるわけでございますが、醵出制をとっておって、そうして保険——税でとるのでありますけれども、制度的には保険料であるそのもの、そのものが積み立て金方式でやるわけです。ところが国庫負担分については、基本年金の相当の部分について、これは賦課方式をとったらいいじゃないかということを申し上げておる。厚生大臣、わかりますか。国庫負担分について、それを賦課方式をとったらいいじゃないか、醵出年金の方の。そうなれば国家財政が、社会党では一千億以上のものを出す。自民党では六百億くらいを決心しておられる。これはまあ、いろいろの差がありまするけれども、金額はどちらにいたしましても、そういうことにいたしましたならば、将来の醵出年金の負担は国庫負担分については将来に譲ることができて、現在決心をしている国庫負担金額は無醵出年金にこれを集中することができる。そのことによって、現在少いからお気の毒だがとおっしゃっておるが、それをお気の毒じゃなしに、ある程度お気の毒さが少くなる程度に多くすることができるんです。無醵出年金はそういう方法があるわけなんです。ですから、厚生大臣のおっしゃっておられる醵出制の考え方もそのまま入れて、それで、ただ醵出年金に対する国庫負担の部分を賦課方式に直すことによって、将来の子供たちにわれわれに親孝行をしてもらうことによって、現在のわれわれは親たちにそんな不十分なものじゃなしに、まだ相当に増した、もう少し増した親孝行ができる、これが社会保障の考え方ではないか、そういう点について、非常に社会保障の権威者であり、熱意を持っておられる厚生大臣に対して、大へん失礼でございまするけれども、私の今まで、いろいろ各方面で質疑応答した範囲においては、この賦課方式の根本的な意義について、ほんとうに真剣に考えておられる方が少いと思う。厚生大臣がそうでなければ非常に幸いでございまするけれども、厚生大臣もほんとうに根本的に賦課方式の問題についてお考えになっておられないのじゃないかと私は思う。もしそうであれば、今のわれわれの案も入れて、積み立て金方式に賦課方式を加味して、そして現在の財政は、これは社会党と自民党の態度は違いますけれども、とにかく決心した範囲で出して、それで今の無醵出年金を多くする、将来の醵出年金を多くするという仕方があるということを、一回しっかり考えていただいて、厚生省の第一次原案をもっとよくしていただく、そういうことをぜひお願いしたいと思うのです。それについてのお考えを一つ伺いたい。

橋本龍伍自由民主党厚生大臣

○橋本国務大臣 ただいまお話もございましたけれども、実は醵出制度の国庫負担金のやり方につきましては、お話のございましたように、今日立てておりまする案は、醵出金に対する国庫負担の醵出準備金にいたしておるわけであります。ある年度に醵出金がございますれば、それを三分の二とし、三分の一に相当する国庫負担金をそのときに国庫負担してもらいまして、そしてそれを準備金の中に入れて長期に運用することに相なっておるわけでございます。これはもう現在そういう方向で審議をしておるわけでございますが、これは考えようによりまして、醵出金に対する国庫負担金を、醵出時でなくて給付時にやる、その場合には結局給付時までの運用益を加えて国庫負担をすることに相なります。これはやり方として結局同じ問題であり、お話がありました通り、財政のやりくりの仕方としては相当意味のあるもので、最後にきまるまでの間は私は十分考慮の対象に相なるものだと思います。まだよく考えて参りたいと思います。ただ今日申し上げたいと思いまするのは来年度の予算要求としては二百二十億ばかり要求いたしました。これは御承知の通り醵出関係の問題でございませんで、無醵出の関係のものばかりでございますが、醵出金に対する国庫負担というものが出てくるのは、三十六年度以降になるわけであります。三十六年度以降の財政につきましては、醵出金に対する国庫負担分を醵出時に出すか、それから、ただいまのお話ではそういう意味だと思いますが、それに結局運用益を加えて給付時にそのときの負担として出すかということは、私は十分考えていくべき問題だと思いますが、ただ私が今日計算をいたしておりますところでは、むしろ現在ありまする無醵出千円、醵出三千五百円という社会保障制度審議会の答申の線に従ったものを実現いたしまする上において、非常なやはり財政的に発足の苦労がございますので、ただいま御指摘のありましたようなことを考慮いたしましても、当面の問題としてこの千円、三千五百円をふやすという方向にその考え方を使うということは非常に困難だと考えております。

八木一男日本社会党

○八木(一男)委員 それでは意味が逆になりまして、今の六百何十億か決心をしておられるものをもとにして、そして今の何といいますか無醵出の養老年金、お宅では老齢年金といわれる、それから私どもの方は身体障害者年金、政府では障害年金、もう一つは同じ母子年金、これらをふやすためにそういう方策をとられたらどうかということを言ったわけであって、ふやさないのであれば積み立て金方式の方がいいです。ほんとうにそれをふやすためにそういうことを申し上げたのです。そういう点で、ふやすように今の方式を御活用になっていただきたい。今困難だと言われたが、今困難だということを背景にして、ふやしたいがなかなか難関があるということであろうと思う。ふやしたいがということは、厚生大臣としてはもっとふやした方がいいとお考えになっておられると思うのであります。そういうことで非常に勇敢に、今国民年金というものが自民党の中で、あるいは政府の中で非常に有力な施策となっておりますから、厚生大臣が決死の覚悟でがんばられれば、これをふやす余地があると思う。そういうことで今の私の申し上げました方式をふやす方に活用していただきたい、そういうふうにお願いをしたいと思います。それをがんばられるときに、吉田内閣のときにがんばられるような、あれくらいの意気をもう一回取り戻していただいてがんばられれば、今の厚生大臣の閣内における地位は、吉田内閣で当選後一年にして厚生大臣になられたときと、はるかに違いますから、そういうわけで、ほんとうに決意を持っておられれば、第一次案をはるかに上回る第二次案を出される余地もある、そういう点で強力な御決意を御披瀝願いたいと思います。

橋本龍伍自由民主党厚生大臣

○橋本国務大臣 御激励をいただいて大へん恐縮であります。私も真剣に国民年金制度の創設に努力いたしたいと考えておる次第でございます。ただこの内容につきましては、今日まで相当いろいろな点を考えまして、給付にいたしましてももちろんのこと、できれは社会保障制度審議会の答申を上回ることはできぬかということを考えながらやって参つったわけであります。ただいまのところ、やはり相当検討の結果の問題でありまするから、あまり威勢よく、お話に従って上げることを考慮するということを申し上げかねますが、もちろん将来の問題といたしましてもこの制度がよく充実をいたしまして、国民に対する魅力のできるだけ多いものにしたいというふうに思っておりまするし、それからあらゆる難関を乗り越えまして、私はしんぼう強くこの制度の実現と発展をはかって参りたいと存じております。

八木一男日本社会党

○八木(一男)委員 本日の日刊紙の記事によりますと、大蔵省はいろいろと文句を言っておるようでございます。大蔵省などに断じて負けないで、第一次案にかわって出てくる第二次案は第一次案を上回る内容を含むものを出していただきたい。これをぜひしていただきたいと思います。その決意をもう一回伺いたいと思います。

橋本龍伍自由民主党厚生大臣

○橋本国務大臣 実は私は、第一次案は未定稿ではございますが、今日までのところでは、これを努力し得る最善の案として提出いたしたつもりであります。

八木一男日本社会党

○八木(一男)委員 具体的な内容にこれから少し入らしていただきたいと思います。厚生省の案の大体の額とかの点につきまして、関連で申し上げましたけれども、内容の中に社会保障的な意味もある程度ありまするけれども、社会保険的な要素が多分に入っていると思う。これはあくまでも任意年金ではありませんで、社会保険的なものであってはいけない、社会保障的なものでなければならないと思いますが、その基本概念について伺いたいと思います。

橋本龍伍自由民主党厚生大臣

○橋本国務大臣 国民年金は一般の任意保険などと違いまして、全く社会保障制度のつもりで発案をいたしたものであります。ただ私は社会保障制度という場合には、一般財源の負担が非常に大きくなければならないとか、あるいは五割以上なければならないとか、固定的には考えておりませんで、社会保障を実現いたしますためにある範囲の強制保険として、それに掛金を取って発足するということは、社会保障の仕組みをどうするかという問題であり、その作用なり何なりということは十分に検討しなければならないけれども、私は全く社会保障制度として、そうして今日可能にして比較的満足のできるものというので考えておるつもりでございます。

八木一男日本社会党

○八木(一男)委員 そういう意味で考えていっていただかなければならないのですけれども、厚生省の第一次試案では、社会保障的な意味が完全に行き渡っておらないと思う。たとえば醵出能力のない者については何とか考えるとか、一定の条件をつけるというようなことを言っておられる。醵出能力のないような人が老齢になったときに、廃疾になったときに、最も所得保障が必要な人です。そういう人たちの問題が、社会保障的な考え方で考慮するとか、一定の限度においてというような、あいまいなことで第一次試案がごまかされておるという点についてははなはだ納得のいかない面があるのです。その点についてお答えを願いたいと思います。

橋本龍伍自由民主党厚生大臣

○橋本国務大臣 要するに醵出能力のない、ごく貧乏な方に対しまして、無醵出の老齢年金千円というものを差し上げたいと考えておる次第であります。

八木一男日本社会党

○八木(一男)委員 そういう醵出能力のない人が老齢になった場合にはさっき厚生大臣の言われたように財産があるはずはない、またいい職場があるはずはない。そういう人こそほんとうの所得保障、生活保障が必要なんです。そういう人が無醵出の千円で——将来何十年かたって完成する制度で千円入る、そんなものは社会保障制度でありません。そういうようなものを根本的に変えて第二次案を出していただきたいと思う。それについての御所見を伺いたい。

橋本龍伍自由民主党厚生大臣

○橋本国務大臣 私は所得能力のない方に対しましては初めに申し上げましたように生活保護の制度があり、その生活保護の制度は、国民一般の所得水準の上り方に応じて最低基準というものも上げて参らなければならないわけであります。こうして所得能力のない方の生活をささえまして、そうしてその上での国民年金の問題ということにつきましては、これはもうなるべくたくさん差し上げたいとは思いまするけれども、今日の状態として考えましては、全然所得能力のない方で醵出のなかった方が老齢になられた場合には千円の無慮出年金を差し上げるということが、仕組みの面としては一ぱいでありまして、もちろん将来の問題といたしましてはこういう面についての給付金額の増加というものは、内容改善を考える際にむしろ第一番目に考えていくべき問題ではあると思っておりますが、ただいまのところでは、全然所得能力のない方々に対しましては千円の無醵出年金を支給するという案でいきたいと思っております。

八木一男日本社会党

○八木(一男)委員 おっしゃることと実際とが違ってくるので……。社会保障的にやりたいと考えられた、ところが内容が社会保険的であると指摘をされれば、現在のところそれでやっていきたいと言う。それじゃおっしゃる社会保障に熱意を示されるという御答弁と実際のやり方とが全然食い違っておる。そういうことではいけないと思う。これは第一次草案ですから、これからいろいろな意見を聞いて直されるわけです。そういう点をもっと直して第二次案を出していただきたいということなんです。それはできないということじゃなしに、そういう意味で国会でこういうことを事前に論議をしているわけですから、そういう声を入れてりっぱな第二次草案にして出していただきたいと思う。厚生大臣は、現在のところこれよりしようがないというけれども、それでは発展が一つもないんですから、前からいろいろな意見を聞いてよくするといわれたお約束に反するわけです。そういう紋切り型の答弁じゃなしに、第一次案をそのまま固執するという答弁じゃなしに、第一次案を各方面の意見を入れてよくするという積極的な観点で御答弁願いたいと思います。

橋本龍伍自由民主党厚生大臣

○橋本国務大臣 繰り返して申し上げますが、実はただいま第一次案についての御質問でありまするので、第一次案の趣旨を申し上げたわけでございます。もちろん御意見は十分承わります。ただ第一次案につきましても、社会保障制度審議会の御答申も相当翫味して拝見をいたしましたし、それから国民年金委員の御意見も承わりました。部内でも十分検討いたしました。単に財政の都合の問題だけでなしに、要するに営々として働きながら掛金をかけておられる方が三千五百円もらうのに対して、とにかく何もかけないで千円もらうということは、その関係の公平論も考えて参らなければならぬわけでありまして、要するに醵出された方と無醵出である場合との公平論でありまするとか、いろいろな点を考えまして、第一次案につきましてはただいま提案をいたしているような案がよいと思うわけであります。ただいまのお話のありました点につきましては、なお十分考えていきたいと思います。

八木一男日本社会党

○八木(一男)委員 お考えになるという点は非常にけっこうですけれども、途中のお話になった公平論、営々としてかせがれて納められた人、片方は納めていない人との間の公平の点も考えなければならないという御答弁の中に、社会保険主義の根底が現われておる。そういうことでは社会保障は進展しないと思う。だれも保険料を払えないような身分になりたくないのです。だれもかせいで保険料を払えるような収入を得たいわけです。それが政治の貧困のために払えないような状態に追い込まれておるわけです。その人が老齢になって、廃疾になったときには、財産もないし、年とってから働けるようないい職場もあろうはずはない。そういう人こそほんとうに所得保障が確保されなければならない。それを営々として働いた人が保険料を払うんだから、払わない人と同じにしては不公平だ、そんなら今の社会保険思想と全然変りません。社会保障的に考えられるといいながら、根底にそういう思想が残っておる。厚生大臣だけではないでしょうけれども、厚生省の年金委員会の方でお考えになったところにも、そういう思想が残っておる。残っておるというよりも、それが一番大きく働いておる。そういうことではほんとうの社会保障はでき上りません。そういうことじゃなしに、保険料を納めた人と納めない人との公平論というような間違った社会保険的な考えは捨てて、この第一次案を練り直していただきたい。それについての御所見をもう一回厚生大臣から伺いたい。

橋本龍伍自由民主党厚生大臣

○橋本国務大臣 御意見はもう十分承わりまして、それはなおなお審議をして参りたいと考えております。  繰り返して申しますが、今日出しました案は、やはりそういったことも、答申も拝見し、よく議論いたしましてやって参りました。諸般の観点を勘案いたしまして、今日としてはあれがいいと思って出した次第でございます。ただお話の点につきましては、最終決定までに実はあっちこっちからほんとうにいい意見が出ておりますので、十分承わって決定をいたしたいと思います。

八木一男日本社会党

○八木(一男)委員 社会保障制度審議会ばかり助け舟に出されますけれども、社会保障制度審議会の減額年金は、五年でできるということになっておる。ところが厚生省案ではそういう内容がないようであります。それについて、これは小山さんでけっこうですから、一つお答え願いたい。

小山進次郎厚生事務官(大臣官房審議官)

○小山説明員 厚生省案では、ただいま予定をしております案の内容によりますと、醵出能力の乏しい人は、十年間で減額年金を出すという仕組みにしております。

八木一男日本社会党

○八木(一男)委員 厚生大臣もちろん御承知でありましょうが、今小山さんから御答弁になった通り、社会保障制度審議会を非常に援護材料に出されておるけれども、そういうところは社会保障制度審議会の言う通りにやっておられない。五年を十年に延ばされた。五年しか掛けられない人というのは非常に不幸な人です。それを十年に延ばしたらよけい不幸が多くなる。そういうような、勝手なときに社会保障制度審議会の助け舟を求めて、勝手なときにはそれを無視するというようなやり方では困ると思う。これは制度の中において、そんなにむちゃくちゃに大きな点でもございませんから、別に深く追及はいたしませんけれども、次の第二次案ではこの点は修正をしてお出しを願いたいと思う。そのことをぜひお考え願いたいと思います。その点について、厚生大臣から御答弁願いたい。

橋本龍伍自由民主党厚生大臣

○橋本国務大臣 その点もいろいろ国民年金委員の意見等も承わりながら審議をいたした結果でございまして、八木委員の御意見は十分承わっておりますけれども、今日のところではそれを修正する意思はございません。

八木一男日本社会党

○八木(一男)委員 先ほどから、いろいろの意見を聞いて一生懸命考えると言われながら、今日のところではという前提がついておりますけれども、修正をする意思はございません、そんな前後がはっきりつながっていないような、理論的に一貫しないような御答弁では困る。修正する意思はございませんと言われないで、これはそういうことを考慮して研究するというような返事が最低限度であって、ほんとうはそういうふうに修正するというお答えを願いたいと思う。意思はございませんというお言葉は、今日はないことにして、そういう点をもっと御研究を願いたいと思います。それについて一つ……。

橋本龍伍自由民主党厚生大臣

○橋本国務大臣 実は修正するかと開き直って聞かれたんで、それに御返事をしなければならぬものですから、ただいまのところ修正する意思はないということをやむを得ず御返事をしたのであります。もちろんお話の筋につきまりしては、私は十分——まだまだ最終決定までにはいろいろな意見が出てくると思います。あちこちから意見が出ておりますので、それらを十分承わって、いいものを作って参りたいと考えております。

八木一男日本社会党

○八木(一男)委員 それから先ほどから厚生大臣のお考えには、各方面からの御意見によるということをしばしば申されまするけれども、各方面の中にいい御意見もあると思いますけれども、社会保障に完全に徹底した案が出されないで、社会保険的な案が出されている。その前提として各方面の御意見を伺ったというようなことが言われているわけです。各方面の中の大部分は、社会保障を知らない人の意見が多く、また現在の大蔵省あたりの社会保障を重視しない財政方針からの意見だろうと思う。そういうことを排除して、各方面中いい意見だけを取り入れて、勇敢にこの年金問題に取り組んでいただかなければならないと思うわけです。それを強く要望しておくわけでございまするが、時間がだいぶ進んで参りましたので、ほかの問題に移ります。  この国民年金は、自営業者、無職者——自営業者の中で農漁民あるいは零細企業者、そういう者が対象になっているわけでございまするが、被用者の年金についてどういうふうにお考えになっておられますか、伺いたいと思います。

小山進次郎厚生事務官(大臣官房審議官)

○小山説明員 被用者の年金につきましても、基本的な考えとしては、国民年金制度の中にまず含めて考えるということを出発点にいたしまして、その後いろいろ検討いたしました結果、被用者の年金は、その給付内容におきましても、種々の条件におきましても、現在構想されておりまする国民年金より、おおむねではございますけれども、内容がよろしゅうございます。そういう意味合いにおきまして、その限度においては国民年金の適用をはずすということにして現在は調整をいたしておるわけであります。被用者年金相互の調整の問題は、国民年金制度が一通り固まったあとに考えたい、こういうような考えでございます。

八木一男日本社会党

○八木(一男)委員 被用者年金の中の一番主要部分でございます厚生年金の現在の平均の支給年金額は幾らでございますか。

小山進次郎厚生事務官(大臣官房審議官)

○小山説明員 現在のところ、御承知の通り戦時中の非常に低い標準報酬がもとになっておるものが多うございますので、低くなっておりますが、おおむね平均いたしまして、一人月にいたしまして三千八百円程度でございます。

八木一男日本社会党

○八木(一男)委員 被用者年金が先に発達したところには、やはりそれだけの意味があると私どもは考えております。所得保障あるいは生活保障が全国民に確保されなければなりませんけれども、その中で、やはり被用者は特にその必要度が多い。職場を離れた場合に、農地を持っている人や店を持っている人と違って、職場がなければ全然収入がなくなるという要件がありますので、必要度が多いということ、もう一つは、これを準備するために自分が醵出する場合に、非常な低賃金ではありますが、毎月はっきりとした現金収入があるので、これを納めやすいというような要件がある。そういうような背景がある。それと労働条件の要求とが伴ってこの被用者年金が先に発達をした。そういう条件は今でも変りはございません。そういう場合に、一方で国民年金で三千五百円のものが確保されようという時期において、この三千五百円が七千円であるとか一万円とかいうものであれば、これは国民年金に全部かぶせてしまって、同じでもかまわないかもしれませんが、被用者が特に年金を必要とし、準備する能力があるという時代において、被用者年金の一番根幹である厚生年金が三千八百円では、まことに少な過ぎる。この問題は、特に国民年金が発足するときに同時に取り上げなければならないと思う。国民年金が片がついてからということではおそいので、これは即時にとりかかられる必要があると思いますが、これに対する厚生大臣の御所見を伺いたいと思います。

橋本龍伍自由民主党厚生大臣

○橋本国務大臣  実は御承知の通り厚生年金法の所定によりまして、来年は五年に一ぺんの再計算をいたすわけであります。ただいま厚生省におきまして計算の内容を検討いたしておる次第でございます。掛金の問題に関しましても、それから同時に給付の点につきましても、それと同時に考えて参らなければならぬことは大事な問題でございまして、もう少し検討させていただきたい。ただいま検討中でございまして、この厚生年金の五年に一ぺんの計算をした結果、保険料なり給付なりの問題についてどういう措置をするかということについては、目下慎重に検討中でございます。

八木一男日本社会党

○八木(一男)委員 これは急いでやっていただかなければならないと思います。社会保障制度審議会に対する政府の諮問は、全国民に対する年金制度に対する所見というような設問になっております。社会保障制度審議会が幾分誤まりを犯しまして、非常に腰弱でありまして、最初自営業者と無職者だけを第一次として答申を出しております。しかし社会保障制度審議会では諮問の趣旨に従って、被用者年金についての答申を出す予定でございます。ごく近い将来、本年度中に出す予定でございます。その場合に、当然その趣旨に従って、国民年金と同時に厚生年金法の改正、あるいはそれと通算調整、そういうものの措置を政府としても当然講ぜられなければならぬと思いますが、それを必ず出していただけると思いますが、一つ御決心を伺いたいと思います。

橋本龍伍自由民主党厚生大臣

○橋本国務大臣 ただいま私が申し上げましたように、八木委員の御意見を十分拝聴いたしまして、近く厚生年金の扱いについての態度をきめたいと思っております。十分御意見は勘案いたしたいと思っております。

八木一男日本社会党

○八木(一男)委員 無醵出年金は、厚生省の案は、七十才以上の老齢者に、所得税を納められない人に対して月額一千円、年額一方二千円というものを支給する、それからまた同じような所得制限のもとに、母子家庭に対しては月に一千円、年に一万二千円、身体障害者には一千五百円ということになっておりまするが、これは身体障害者等に対しては、老齢者に対するよりも非常に少いように思う。それについて厚生大臣どうお考えでございましょうか。

橋本龍伍自由民主党厚生大臣

○橋本国務大臣 小山審議官から……。

小山進次郎厚生事務官(大臣官房審議官)

○小山説明員 この額につきましては、身体障害者の年金はもとより、老齢年金につきましても、あるいは母子年金につつきましても、必要という点から申しますと決して十分なものではございません。ただいろいろの事情がありまするので、先ほど来お話し申し上げておりますように、社会保障制度審議会でもいろいろ御検討になりました結果、千円、千五百円というバランスをきめまして答申されましたので、せいぜい勉強してこれだけはぜひ出したいということで案をまとめておる次第でございます。

八木一男日本社会党

○八木(一男)委員 社会保障制度審議会の間違った案が根底になっておりまするが、(「委員じゃないか」と呼ぶ者あり)今非常に不規則発言がございましたが、私は、この間違った態度を出さないために根限りの努力を続けたところ、不幸解散にあいまして、その間に間違った案が出てしまった。そういう経過になっております。そういうようなことで、何と申しまするか、老齢者よりも身体障害者の方がはるかに生活保障をして上げなければならない要素が多いと思う。老齢者はもちろんたくさんしなければなりませんけれども、まだ今までのところ自分の農地があり、あるいはまた店があり、あるいは子供が働いているという要素もありまするけれども、政府の対象としておられる完全廃疾者——両眼がない、両足がない、両手がないというような人たちは、これはもうほんとうに不幸のどん底といわなければならない。そういう人たちに一千円と一千五百円という比率では、とんでもないと思う。ただこれを憶測をいたしますと、全体の老人に年金を差し上げるということは一般の国民、仕合せな国民を含んだ国民に理解がしやすい。身体障害者というの、数が少くて非常に貧乏で、不幸のどん底にあって、あまり発言権を持っておらない団体は、こういうことによって声が高く上らないという背景がございます。そういうことで、選挙に関係のある政党は選挙の札のことをよく考えまするので、どうも選挙の札に関連のある方に重点を置き過ぎる傾向があると思います。これは間違いがあったらあやまってもいいですけれども、自民党さんにそういう傾向があるのではないか。ほんとうにそういう傾向がなければ、身体障害者が千円と千五百円の率でそのままほったらかされるというようなことがあってはならない。社会保障制度審議会の間違った議論などということは別にしまして、ほんとうに厚生行政に携わっておられる厚生省、あるいはまたその背景にある天下の第一党である自民党は、そういうような他の間違った答申で、助け舟でそういうことを考えるのではなしに、もちろんそれは参考にしてもいいけれども、根本的に身体障害者が生活保障を普通の老人以上にはるかに多くしなければならないという条件を認められて、これをもっと高められなければいけない。そういう点で、非常にこの案はバランスがとれておらないと思う。社会党の案を一つ御参考に見ていただきたいと思う。あのままそっくりやられればそう間違いはございません。社会党の案は不具廃疾、疾病に月に四千円、老人の場合は二千円、はるかに金額が高い。そういうことで、社会党の案などをよく十分にお読みになって、一部の委員の方が、これは政府ではありませんが、与党の委員が、社会党は制度として醵出制であるのを、社会党のは無醵出制をとっているから雲をつかむような話で、そういうことを言っているけれども、それでは工合が悪いのだというような理解の全然ない、完全なる誤解に基く妙な宣伝をしておられる。こういうような理解の少い態度を改められまして、深く社会党の案を研究されて、参考にしていただきたいと思う。(「何言ってるんだ」と呼ぶ者あり)こういう点は、今不規則発言がありましたけれども、私は自民党の年金特別委員の方から伺いましたので、その方にはそうではないということを申し上げておきましたが、同じような御意見の方もおられるのではないかと思いますので、そういう点で社会党の案を十分に御参考になって、無醵出年金についてもぜひ御配慮を願いたいと思います。その点についての御答弁を伺いたい。

橋本龍伍自由民主党厚生大臣

○橋本国務大臣 十分参考として今までも拝見をしておるわけですが、なおいたしたいと思います。  一言申し上げておきますが、もう御指摘のありましたように私ども拝見をいたしましても、社会保障制度審議会の案は障害年金及び母子年金には援助が薄いのではないかと考えまして、とりあえず、とにかく範囲の拡大につきましては社会保障制度審議会の答申よりももう少し幅の広いところに年金を差し上げたいと思って、拡大をはかっておったわけであります。ただ金額の点については、御意見があると思いますけれども、総体的な関連で一応社会保障制度審議会の答申の数字をとっておるわけであります。

八木一男日本社会党

○八木(一男)委員 今の点の御答弁で大体いいと思いますが、ただ社会保障制度審議会では、廃疾年金について内部障害が出ております。ところが厚生省試案では外部障害しか入っておらない。こういうふうに社会保障制度審議会の不十分な案ですら値切っておる点がずいぶんある。そういうことでなしに、内部障害であっても、同じような状態であれば障害年金を支給するのが当然だと思います。それについて厚生大臣、御答弁を願いたいと思います。

小山進次郎厚生事務官(大臣官房審議官)

○小山説明員 無醵出の障害年金の範囲につきましては、社会保障制度審議会の答申の内容を縮めるという気持は毛頭ありません。一応ああいうふうにしておきましたのは、先生よく御存じの通り、言葉の上だけで入れるようにしておきながら、実際上まず探してみたらほとんど当てはまるものがないというような、誤解を起すような言葉の表現をやめるという意味であのようにしたわけでございます。そこでさらに研究をいたしました結果、あの程度の表現で相当のものがおるということが明らかになりますれば、より正確な表現でそういうものを入れるように考えたいという気持でございます。

八木一男日本社会党

○八木(一男)委員 小山さんの非常に巧妙なような御答弁で、頭がこんがらかるわけですが、外部障害を入れておいて、あとで内部障害を入れるということは行政的にむずかしい。内部障害を入れるという方がずっとはっきりしておる。そういう上手過ぎた変なやり方をとられないで、内部障害を入れるという方針を第二次案ではぜひ出していただきたい。この方針でございますが、これについては厚生大臣から御答弁を願いたいと思います。

小山進次郎厚生事務官(大臣官房審議官)

○小山説明員 私が申し上げた趣旨は範囲を決して狭める気持は毛頭ない。ただ現在までの結果では、あのような表現では内部障害を入れるということになっておっても、実際上は入らないということにならざるを得ない。だからその点はもう少しわれわれの間で技術的に検討いたしまして、自信がついたら一つの限度で考えたい、こういう趣旨でございます。

八木一男日本社会党

○八木(一男)委員 小山さんの御趣旨よくわかりました。その御趣旨、半分はいいのですけれども、ああいう制度審議会のようなことでは、実際上妙なことが書いてあって、それで該当者が少くなるという危険があります。それでそういう危険を排除して、ほんとうに適用を受けられるように条文その他を御考慮になっていただく必要があると思いますが、しかし初めから内部を出さないでおけば、これは内部がしぼられますから、第二次案では今おっしゃったような意味で実際に適用できるような条文にして、外部も内部も両方とも入れるように、そういうような案にしていただきたいと思いますが、もう一回、小山さんでけっこうですが、御答弁願いたいと思います。

小山進次郎厚生事務官(大臣官房審議官)

○小山説明員 繰り返して申しましたように、この点は十分研究をいたして確信のある結論に到達いたしましたら、そこで整理をいたしたい、かように考えております。

八木一男日本社会党

○八木(一男)委員 ただいまのところで、まだこまかいところをたくさん申し上げる点があるのですが、政府が第二次案を作られる前でございますから、建設的な点で一つ意見を申し述べておきたいと思います。社会党の案では繰り上げ減額年金、繰り下げ増額年金という思想がある部分がございます。御承知の通り社会党では六十才であり、政府では六十五才が開始年令でございますが、そのときに所得保障が必要な段階がきっちり合ってくるというわけには参りませんので、少くともその前からもらいたいとか、そのときは要らないけれども二、三年後にたくさんもらいたいという要求が国民にあるわけでございます。それを自由をきかせる意味で繰り上げて、数字的に計算をし、減額をし、それから年金を支給する。あるいはそのとき必要ではないがあとでもらいたいという人は、繰り下げて、数字的に計算して増額したものをもらうという考え方が社会党の案にはあるわけでございますが、これなどは政府として当然考えられていい制度ではないかと思います。これについての政府の御所見を伺いたいと思います。

小山進次郎厚生事務官(大臣官房審議官)

○小山説明員 ただいま八木先生が仰せになった方向は、権かに考えられる方向の一つでございます。繰り下げ年金はぜひ実施いたしたいと思っております。繰り上げにつきましては、これは被用者の退職年金でありますと確かに成り立つわけでございますが、今度の国民年金のように退職を条件としない支給でやります年金の場合は、なかなか理論的にもむずかしい問題がありますので、今のところではどうもむずかしいという気持でおります。

八木一男日本社会党

○八木(一男)委員 繰り下げの方よりも実は繰り上げの方が必要が多いのです。理論的にとおっしゃったけれども、数字計算をすればいいわけですから、これは理論的も何もありません。それをあまり繰り上げたら、国民が年金の本旨をわきまえずに、将来のことは考えずに、今現金がほしいということで繰り上げをみんなが希望するために、年金制度の本来の趣旨が失われるということがありますが、一定の年限に限って許すことは必要があるのではないか。そういうことをしておきませんと——またそれで逆選択とおっしゃるかもしれないけれども、それは数字計算で入れたらいいわけで、からだの弱い六十三くらいの人は結局年金がもらえないし、年金をもらえるまでには自分も命がなくなる人だろうというには、年金制度というのは非常に魅力の乏しいものである、からだが弱いのに、年金が六十三才でもらえないだめに非常に苦しい暮しをしなければならないというのでは、年金制度としては感心しない。特にこれは六十才開始の案であればまたよろしいのですが、六十・五才というような実に内容の悪い案でありますから、そういう場合には特にそういうことが必要になると思うのですが、それについてもっと積極的に考えるという御答弁を願いたいと思います。

小山進次郎厚生事務官(大臣官房審議官)

○小山説明員 将来の問題として研究いたしたいと思います。

八木一男日本社会党

○八木(一男)委員 ただいま企画庁長官がおいでにならないそうでありますから、このほかに部落問題についてお伺いしたがったわけでありますが、時間も昼食時を過ぎておりますので、結論をつけたいと思います。年金問題についてはまだまだ申し上げるところはたくさんあるわけでございますが、今後の機会にさらにいろいろ御質問を申し上げることにいたしたいと思います。  前に申し上げます通り、この年金は非常に不完全なものでございます。六十五才開始というようなものではほんとうの老齢保障にはならないと思うし、また三千五百円という基本金額では、ほんとうの憲法に保障された健康で文化的な生活を保障するものにはならないと思う。そういう点で、これをほんとうに根本的に変えていただかなければ、自民党さんが、あるいは政府が国民年金をやる——国民年金については、むずかしいから理解が少い国民もありますけれども、国民年金をやると言われた趣旨にほんとうの意味では合わないと意う。健康で文化的な生活を保持する年金を、当然所得保障を受けられる年令から受けられるようにするには、少くとも六十才から開始して、三千五百円の金額は七千円ぐらいに高めなければならない。その高める方法は、さっき言いましたように賦課方式を加味して、そうして今の六百億何がしというようないくじのない考え方でなしに、もっと、たとえば再軍備費用であるとか、それから大資本に対する租税特別措置法であるとか、そういう問題をやめることを考えて、そうしてやればこの六百億を千億や千二百億、千五百億にふやす余地は十分あると思う。そういう点と今の賦課方式を考えることによって、今の無醵出年金の金額を高め、醵出年金も将来の金額を高めるというふうにぜひしていただく必要があると思う。無醵出年金を少くとも老齢者には二千円、母子家庭には基本的には月三千円、そうして子供には十分な多子加算をつける。身体障害者の一級には少くとも四千円のものをつける。また二級の人にも支給する。これは三千円なり二千円なり、そういうものを二級、三級にも支給するようなことにして、これを完全にしていただかなければならないと思う。さらにまた労働者の年金をそのまま放置するというようなことは許されないのであって、七千円ぐらいの国民年金にするとともに、労働者に対しては、労働者が特に年金を必要とする、あるいは年金準備のための醵出能力が具体的に多いということを考えられて、それ以上の年金を直ちに国民年金と同時に発足させることを考えなければならないと思う。その点で政府自体としてもっと根本的に考えられまして、社会保障制度審議会が、自民党なり政府がこれくらいしか出せないだろうという認定のもとにやられたような答申、そういうものに対して社会保障制度審議会のそういうような政府に対する不信はけしからぬ、政府は社会保障制度審議会の学者連の考えているよりももっと根本的な決意を持って国民年金に当っておるのだ、かようなチャチな、不完全な答申をはるかに上回った、そのようなものを政府は出すのだ、これを実行するのだというような決意で年金案を考え直して、第二次案をりっぱなものにして出していただく必要がある。それを出していただかなければ、ほんとうに自民党なり政府は社会保障に取っ組んだという立場にはならないと思う。社会保障という名前、そういう世論の高まっているものを考えて、社会保障ということは言うけれども、実際は社会保険的な、または社会保障としても非常に貧弱なものを出して、ただ世論に対して社会保障をやったのだという立場だけをとりたい、そうして政権を長く続けたい、自民党の多数を長く続けたいというような意思でやっておられるとしかわれわれには考えられない。もしわれわれが言っておることが不当であり、また政府に対して不当に非難をしておるとお思いになるならば、第二次案はさらに倍加したもので出していただいて、自民党がやるのだ、政府がやるのだ、社会党よりも熱心なんだ、社会保障制度審議会のような政府をばかにしたような答申を上回ったものを出すのだ、そういうような態度でやっていただかなければならないと思う。そういう態度をとられない場合には、社会保障を口にされているけれども、ほんとうに社会保障をやる気持はない、ほんとうにりっぱな年金を創設する気持はないという態度であると断定せざるを得ないわけであります。少くともこの意味において、第二次案はもっとりっぱなものにされることを期待して、私の質問を終りたいと思います。

園田直自由民主党

○園田委員長 午後二時まで休憩をいたします。     午後零時四十九分休憩      ————◇—————     午後二時四十一分開議

園田直自由民主党

○園田委員長 休憩前に引き続き、会議を開きます。  厚生関係の基本施策に関する件について質疑を続行いたします。大原亨君。

大原亨日本社会党

○大原委員 最初に大臣に御質問いたしたいのですが、厚生行政の中で、ただいま保育所の問題とかあるいは生活保護費の基準の問題、あるいはろうあ対策の問題、私がきょう主として御質問申し上げようといたします原水爆被害者の援護の問題、それぞれ医療保障や生活保障万般の問題について、非常に国民注視の中で大切な問題をかかえておるわけですが、私ども危惧いたします点は、年金制度の実施に伴いまして、そういういろいろな厚生行政の重大な部面が後退するのではないか、もうすでに後退を始めているのではないか、こういう危惧があると思うのでありますが、大臣のこれに対する御決意をまずお伺いいたしたいと思います。

橋本龍伍自由民主党厚生大臣

○橋本国務大臣 国民年金は新規に発足をするわけであります。今まで積み上げて参っておりまする諸問題、ことに国民皆保険の年次計画を推進いたしまして、なお内容の改善をはかりまする問題でありますとか、ただいままで御指摘のありました保育所の問題でありまするとか、あるいは結核対策の問題でありますとか、あるいは母子衛生とか、ないしそのほかいろいろな生活保護の問題等、いろいろな問題があるわけでございますが、私の考えておりまするのは、国民年金の問題は財政総体からいえば減税の問題と相並んで、特別な財源から特別にこなして、それ以外の、国民年金以外の諸般の施策に関しましては、これはやはり着実にその内容を伸ばしていくということで予算要求をいたしておるのであります。国民年金の創設のために金は要りますけれども、そのためにほかの予算が不当な圧迫を受けることのないようにぜひいたしたいと思って予算も要求をし、なお努力を続けておるところでございます。これにつきましてはまだまだいろいろな重大な関門があると思いますので、この上とも与野党をあげて、厚生省が考えておりまする方面についての御援助、御協力をお願い申し上げたいと思っております。

大原亨日本社会党

○大原委員 ただいま大臣の方から、他の部面について前進はするとも断じて後退を許さない、こういう御決意を表明をされたと思うのでありますが、保育所その他の問題についていろいろとまだ同僚議員から御質問があると思うのですが、たとえば生活保護費の基準を上げるとか、あるいは失対等で問題になりますけれども、勤労控除といいますか、働いておりながら生活保護を受けておる人の控除を増大していくとか、適正にしていくとか、そういう問題等についていろいろと問題があると思います。午前中もちょっと話が出ましたけれども、生活保護費やその他社会保障制度の問題で、今の運営の実態を見てみますと、たとえば生活保護費を適用いたします際でも、とことんまで無一物にならないと適用しない、ちょっと立ち上ろうといたしましてもすぐ保護費を削られる、こういうふうに予算の関係で救貧か防食か、つまり貧乏人をとことんまで貧乏にいたしておきまして、突き落しておいて、そうして恩を着せる、そういう政策になっておると思うのです。私どもの社会保障制度で前進させるのに大切な点は、やはり運営や予算計上その他の面を含めまして、貧乏を予防していく、立ち上らしていく、そういう面において、まだたくさん再検討を要すべき点があると思うのです。救貧か防貧かということになれば非常に抽象的ですけれども、やはりそれに対して現状についてたくさん問題があると存じますか。生活保護費一つの問題をとりましても、そういう面で勤労者の場合はどうするか、控除額を増大していくのかどうか、こういう問題について問題があると思いますが、この点について、具体的に一つの例といたしまして大臣から御見解を承わりたいと思います。

橋本龍伍自由民主党厚生大臣

○橋本国務大臣 もちろんわれわれといたしましては防貧政策というものを第一に考えておるわけであります。いろいろ失業対策の問題でありまするとか、あるいは賃金の問題でありまするとか、その基礎になります産業政策の問題でありますとかいうことをずっとやって参りまするし、厚生省の施策といたしましてもいろいろ医療保障の関係の施策その他いろいろの手を打って参りまして、最後に、あらゆる問題で手を打った後において、なお最低生活基準に足らない人の保護という点が生活保護に相なるわけでございます。防食というのを第一義に考えまして、いろいろな施策をずっと手を打って参りたいと存じます。最後に、あらゆる面で手を打った後に、なお最低生活基準に足らない場合の生活保護の運用の仕方に関しましては、これは法基準は今までに最低生活基準は十四回ばかり改訂をいたしまして、今の基準になっているわけでありますが、大体まあ総体的な最低生活水準という意味においては、今物価も大体落ち着いておりまするので、そういう方向で大体の基準を大きく変えるつもりはございませんが、しかしそのほか生活保護の内容になっておりまする具体的な諸項目の内容につきましては、なお基準の充実をはかるために検討いたしておる次第でございます。  そこで今お話のございましたように、働いた場合に、その部分を収入として引いてしまうという問題につきましては、これはもう終始繰り返される議論であり、なお繰り返してまた考えなければならぬ問題ではあると思いますけれども、やはり国の施策といたしましては、生活保護というのが最低生活基準として、たとえば標準五人家族一万三千六百円なら一万三千六百円の規模の生活だけは維時させたいという方針をきめますれば、やはり収入が三千円なり五千円なりあるという場合には、それをみんな見ませんと、たとえば五千円収入があるのに千円の収入しか見ないと、最低生活基準を六大都市五人標準世帯で一万三百五十円といいながら、その家族についてだけ四千円大きく生活の規模を認めるということに相なりまするので、これは従来でも母子加算の制度とかあるいは何かの加算制度等によって、実質的に手元に残る金額を大きくする方策は講じておりまするけれども、それはやはり加算制度等で考えるべき問題でありまして、だから入って参りまする収入というものは、どうしてさもこれはそれだけ収入として見て、引いて考えるということにせざるを得ないと考えておる次第でございます。

大原亨日本社会党

○大原委員 収入認定、特に勤労控除の是正についてちょっと御質問申し上げたのですが、現行の保護基準は、御承知のように月割り認定に基いて行われていると思うのです。しかしたとえば正月とか盆等には特に支出が増大するということは日本の慣習であります。これが失対関係その他貧乏人にはいつも問題となって参ります。原爆被害者その他等でもいつも問題になるのですが、そういう点について、今まで若干の調整はなされてきたと思うのですが、さらに現在以上これを是正して控除額を増大されるお考えはないかどうか、これが一つと、それからたとえば生活保護を受けております家庭の子供が定時制高校に進学しておる場合に限っては、世帯員の外といたしまして進学を認めております。しかし全日制高校やあるいは大学へ進学する際におきましては、当然収入の認定の中に入れる、こういうふうなことで、実際にはこの保護世帯を離れまして、そして子供が自分の力に応じて進学をしていこうとする際に、あるいは働きながら勉強していこうとする際にも、それを足を引っぱりつけている、拘束している、こういう結果になりまして、個人々々が持っておる社会に伸びようとする意欲あるいは個人々々の人権の内容ともいわるべき教育権の問題、こういうものをむしろ否定するような方向で生活保護の問題が運営されているんじゃないか、こういう二つの点が、手近な問題だけを取り上げましてもあると思うのです。そういう二つの点について、大臣以外の関係局長でもよろしゅうございますから、一つお答えをいただきたいと思うのです。これは是正していただきたい。

橋本龍伍自由民主党厚生大臣

○橋本国務大臣 詳しいことは社会局長の方から申しますが、この被保護者に対する年末等の勤労控除は、現在最高六千円を控除いたしております。なお今後いろいろな点から参りまして、この金額についてさらに研究をいたして参りたいと考えております。  なお教育費の問題等につきましては、厚生省といたしましてもできるだけ一般的な公平を考えながらも進学の機会を与えたいと考えて参りまして、ただいま御指摘のように、別の世帯を立てたりしておるのでございますが、大学などの場合におきましても、特に全部というわけにもいきませんけれども、英才教育といったような意味で、特別の資格のある場合には、勉強しようとする子供には便宜をはかる方法を講じておるわけであります。社会局長から答弁させます。

安田巖厚生事務官(社会局長)

○安田説明員 今のお話の収入の控除の問題でございますが、これは全くお話の通りでございまして、被保護者が立ち上ろうという場合にその収入控除をすべきではないというようなことは、全く同感な場合があるわけであります。ただ先ほど大臣から答弁申し上げましたように、たとえば収入が皆無のものが生活保護を受けまして、そして五千円なら五千円の収入を得るようになったからそれを差し引くというようなこと、それから初めから五千円は収入があって、五千円足りないから五千円だけ生活保護を受けておったような場合、二つの場合の取扱いにおいて、あとで収入が出てきたような場合それを差し引かないということになると、非常に不公平な場合がたくさん出てくるわけであります。それで私どもの考え方といたしまして、理屈のつく限り収入控除、収入差引というものを必要経費と見るような方向に実は長い間努力いたしてきております。しかしこれとてもやはり一つの限界がございまして、収入皆無のものと、若干でも収入のあるものとで、国が最低生活の保障として考えております生活保護の適用が二、三になるという点に一つ問題があるわけであります。今後ともそうした点につきましては十分実情に合うように努力して参りたいと思います。なお年末の費用がかさむではないかということにつきましては、私も実は個人的には同感の点があるわけでありまして、長い問の社会的の慣習といたしまして、年末年始に若干の経費がかかるわけであります。そういうものは生活保護費の基礎としてそれを見るべきかどうか、最低生活費と見るべきかどうかについては議論がございますが、できるならばそういう方向に認めたいと私個人は考えております。  それから進学の問題でございますけれども、これも現在の制度は、義務教育につきましては、これはもう国が義務として認めている教育でございますので、これは生活保護を受けております世帯につきまして必ずそれに必要な費用を見るという建前でございます。ただ高等学校へ行く、大学へ行くという場合に、そういったものも生活保護に見るかということになりますと、これまた比較の問題が出て参りまして、先ほども大臣から答弁がありましたように、自分のうちが貧しいために中学校だけでやめて、そして自分の世帯の収入の道を助けているようなわけで、御承知のように大体中学校だけで終えるものとそれから高等学校へ行くものとは半分半分くらいの状態でございまして、ある世帯はうちが貧しいためにあるいは定時制の高校に行き、あるいは高校に行かないで世帯の収入を助けている、隣の方は生活保護法を受けているけれども高等学校へ行っているということでは、そこの間の均衡がとれないというような点もございまして、個々の場合にははなはだ同情すべきケースが多いのでございますけれども、御質問のような場合に、全部を高等学校に通わせることができない点は非常に遺憾なことであります。ただその子供が定時制の高校に行くといったような場合には、その子が自分でかせいで定時制の高校に行っておるというふうに認められますから、そういった場合に、その子供だけを別世帯にいたしまして、そうして定時制の高校に行かせる。あるいはその子が実業高校等に行っておりまして、もうあとわずかだというような場合には、その世帯を分けて、その子が別に収入の道を講ずるというような認定ができる限りは、それを一世帯として認める。それから先ほど大臣から御答弁申し上げましたように、進学保障制度の問題、このときは御承知のように、高等学校なり大学校なりに十分通えるだけの金を国が保障しておりますから、そういう場合も別の世帯として認めようというような制度に最近変えたようなわけであります。大体そういうような事情でございまして、私どもいろいろな点で努力はいたしておりますけれども、生活保護制度というのが国民の最低生活を保障するという、いわゆる公的扶助制度で、どこの国でもそういったようなものだろうと考えております。なおまた十分研究いたしまして努力いたしたいと思います。

大原亨日本社会党

○大原委員 また関連いたしました問題のときに、この点についてはさらに御見解をただすといたしまして、私最初に申し上げましたように、これは年金制度を実施すると、大蔵省が予算査定いたしまして、ぎりぎりと他の社会保障制度の方へしわが寄ってきて、これが後退をする、そういうことになりましたら、これは明らかに社会保障制度は羊頭を掲げて狗肉を売る、こういうことになると思います。従ってその点については私どもも十分、これが前進をするように努力するという大臣の御見解の表明でございますけれども、十分私ども注意をいたしまして、一つ一つについて吟味をいたしていきたいと思っております。  それから六月二十七日に本委員会におきまして、大臣はお見えになっておりませんでしたが、御質問いたしました。それは御承知のようにこの原爆被害者の医療法が実施されまして、昭和三十二年の実績を見てみますと、一般検査費につきましては六割、それから精密検査費が三割、治療費は約一割六分くらいしか消化されておりません。本年度の消化状況は順調であるというふうな御報告があったのでございますけれども、しかしなお私どもいろいろ検討いたしてみますと、円滑にいっておらないように思います。そのときに公衆衛生局長からも御答弁があり、私どもも補足していろいろと審議いたしましたが、やはり宣伝が不足しておるという点が第一点。第二点といたしまして、指定医療機関の問題について厚生省の方から御答弁がありました。しかし実際に原爆被害者でその必要がありながら医療を受けていない人に聞いてみますと、やはり何といっても生活の問題が第一であります。特にもう一つの問題といたしましては、根治療法が見つかっていないので、行ったってだめじゃないかということもございますけれども、しかしこれは原爆症にはいろんな併発症その他もありまして、受けたいと思っている人がたくさんあるけれども、きょうあしたの生活がどうにもならぬ。そういうことから、たとえば今広島市内におきましても、表面は相当復興しておるような状況でございますが、しかし、裏町へ行ってみますと、電灯のない家庭もたくさんある。狭いところに一ぱい重なり合って寝ておる。あるいは原爆のために一生を棒にふって、結婚もできないような娘さんもたくさんある。就職の機会に恵まれない。大体こういう医療の対象になる人たち四十万ないし五十万人が、広島、長崎を中心にして全国に散らばっておる。こういうふうに私どもは考えておったわけであります。こういう医療の問題が超党派的に努力されまして実現をされました。しかしながらそういうふうな事情、特に生活の問題について大きな障害にぶつかって参りました。私はこれらの問題を解決するために、やはり法を一年間運営されまして、そこで運営上あるいは法自体に欠陥が出てきたと思いますので、この点をぜひ私は是正をしていただきたい、こう思うのですが、これに対しまして、大臣は先般広島の方にも御視察に参りましたけれども、大臣の原爆被害者の医療並びに生活の問題に対しましての御所信をお伺いいたしたいと存じます。

橋本龍伍自由民主党厚生大臣

○橋本国務大臣 原爆の被害を受けられた方は、ほんとうにお気の毒でありまして、私もこの間広島へ参りまして次々に発生しておられます患者を見まして思いを新たにいたしました。原爆の治療や援護に関してのこの法律の運用につきましては、今日までも相当心して参ったつもりでございますが、上申されてからあとで事をきめるまでになかなか時間がかかるという話もありますので、委員会を開催いたします日取りをなるべく早目にするように、その他審議を促進いたしておりまして、今日ではお医者さんの方から上申して参られるものについては特におくれているものはないつもりでございます。八月に開きましたあとでの処理も、総体の中で何でも八十件ばかり承認しなかったものがある。その四十件くらいを再審査して、四十件くらいを終っておる状態であります。この方の審議はなお促進するようにはかって参りたいと考えております。それから原爆症の方々が治療を受けに来られる場合に、交通の便、不便の問題、また生活の問題等がございますが、交通の便の問題については、これも合法だと思いますので、原爆関係の患者が診療を受けるのをできるだけ容易にするように、自動車の配置等を考えたいと思っております。ただ特別な生活援護という点につきましては、原爆被害を受けられた方々、まことにお気の毒ではございますけれども、やはり戦争犠牲者はほかにもいろいろ多うございまして、原爆症の方々に特別な生活援護を考えるということについては、もう少し検討をさしていただきたい、現在大体そういうような考えでおります。

大原亨日本社会党

○大原委員 今大臣が御答弁になりましたけれども、原爆被害者の特殊性、こういうものについては初めての経験でありまして、なかなか十分了解できていないと私は思うのでありますが、大臣も御承知のように、毒ガスは国際法上禁止してあると思うのです。毒ガス以上に大量殺戮の兵器である原子爆弾は明らかに国際法上違反だと思う。そして平和条約で、補償責任については国際法上の責任を追及しないということを国際的に約束しておると思うのです。従いましてこの国際法違反による損害賠償の責任というもの、明らかに国が肩がわりしてくれると思うのです。そういう点から考えてみましても、一瞬にして広島市で二十数万人死ぬ、こういう事態は明らかに国が責任を持って処理すべき事項だと思います。  それからもう一つは、前会もほかの問題に関連いたしまして御指摘したのですが、自民党の松村秀逸さん、当時広島地区で参謀長をしておられたときですが、軍が警戒警報を発令していなかった。発令しないで解除後三十分、長崎の場合も同様ですが、安心しているときに原爆が落ちてきた。つまり警戒警報を発令していないという点から考えても、やはり国に責任はあると思う。特に原爆症については医学的にとことんまで究明されていない。こういう点はあると思うのですが、しかし原爆症の結果、造血機能やあるいは増殖機能、遺伝、そういう面について、今まで私どもが経験しなかったような大きな損害があるということも明らかになってきましたし、先ほども一、二の例を申し上げましたが、例と申し上げたら切りがない。従って身体の上において非常に抵抗力がなくなってくる。そして原爆症だけが白血病の原因ではありませんけれども白血病の症状を呈して参りましたならば——原爆を受けて原爆症の症状を呈した場合においては、ほとんど白血病というふうなことが問題になるわけですが、そういう場合においては生活に疲れて、そして抵抗力もなくなって、病院に入った場合においては、もう立ち上れない。十三年後の今日においても、ほとんどが次から次へと死んでいる。こういうことです。いつ原爆症になるかわからない、こういう不安をかかえて生きておる。こういうふうな問題は、私どもが人道的な立場から考えて見ましても、たとえば軍人や軍属あるいは戦犯、それに準じましていろいろな法律が出て参りましたけれども、そういう問題以上に、国としては責任を持って新しい角度から処理するべき問題じゃないか、そういうふうに私どもは考えるのであります。従ってこの原爆被害者の問題は、その後ビキニとかその他いろいろな実験等においても、逐次出てくるかもしれませんし、先般も政府の方から御指摘がありましたように、平和利用をめぐりましてもいろいろ問題が起きて参りますが、やはりこれは大きな問題として、ほんとに日本が第一の洗礼国といたしまして、原水爆は将来は落させないんだ、禁止するんだ、そういう決意を表明する前提としては被害者に対しましても国の責任において、私は十分なる手を尽すべき責任があると思うのであります。今の厚生大臣の御答弁によりますと、必要は感じておるけれども、それについて現在具体的な施策を講ずる段階でない、こういう御答弁でありましたが、これにつきましては、私はきわめて不満でありますが、重ねて一つ御所信をお伺いしたいのであります。

橋本龍伍自由民主党厚生大臣

○橋本国務大臣 原爆の問題は、仰せの通りほんとに有史以来初めてのああいったような惨害でございまして、もう今度はこれを国際法上も当然厳禁をいたして参らなければなりませんし、いろいろな問題を含んでいるわけであります。ただ今日、いくさを終えまして、原爆以外にも、実に非常に多くの死傷者をかかえておる、悩みの多い日本の現状といたしましては、原爆の被害者だけに特別な生活援護をやるということがいかがなものだろうと思って、御趣旨は承わりながら、なお検計いたしておる次第でございます。なお、この問題に関しましては、公衆衛生局で前から研究しておることもございますので、局長の方から答弁をさせます。

尾村偉久厚生技官(公衆衛生局長)

○尾村説明員 ただいまの原爆被害者の生活援護の問題でございますが、ただいま大臣が説明されました通りでございますが、これを分けまして、一応二つにわれわれ考えております。  一つは放射能に起因しまして、現存でも特別に健康障害を何とかせなければならぬという目的のためできました原爆被害者の医療法を実施するのに、この医療そのものを受けられないという場合の裏づけになる援護関係、それから原爆を原因といたしまして、もちろんその中には失明したりあるいは四肢が不自由になったり、いろいろ原爆が原因で現在生活に困窮を来たしておるという問題と、一応二つに——これは若干交錯する問題もございますが、考えるわけでございます。後者まで発展した問題は、ただいま大臣が申されました通り、これを一般の、東京都の空襲で十万、二十万けがしたり死んだりした者と、別に区別する特殊性を見出して、特別の法律を作らざるを得ないのでございますが、この場合に、国とこの原爆の障害者との特別な関係というものを打ち立てるには、これは十分な検討を要する、こういうことでございまして、検討中ということでございます。  それから一方、医療を受けるのに、実際にはもう医療の道は講じたにかかわらず、受けたいが、いろいろな生活上の障害で受けられないという場合ですと、これは原爆被害者のうちのある部分にわたって、この点につきましてのみ生活援護的なものを特別に講ずる。現在そのうちの相当部分は、生活保護に該当する方は生活扶助によりましても、ある数は保障されております。しかし、それ以上の範囲を高めるというような問題あるいはやり方につきまして、生活保護に規定された条件をほかにも緩和するというようなために、特別な法を要するかということになると思いますが、これもまた、やはり今の原爆被害者の中で区別しなければいけません。またそれが現に生活の困難性という点については、他の一般戦災者と特別な線を引くということが非常に困難でございますので、これも検討はいたしますが、しかし現実にそういう者が多数にあれば、これはせっかくの医療保護費あるいは健康診断を受けられないという結果になりますので、このためには、現在のところでは他のすぐに用いられる方法を便法として、差しあたってわれわれは考えております。  一つといたしましては、今般実施されます法律の、お年玉つき郵便はがきの使用の中に原爆被害者の問題が入りましたので、これを最優先的にこの援護等に使うようにしていきたいということで、厚生省といたしましても、所管の当局にこれを持ち出して、これだけでもさしあたりやりたい。なお、先般医療法が通りますときの附帯決議に、更生資金を十分考えろということがございましたが、これはすでに実施をいたしております。昨年、広島におきましては約六百万円、長崎もほぼ同額を使用いたしたわけであります。その他交通の問題が——これもやはり聞いておるのでございますが、これは交通費を支給する方がいいか、できるだけ便利なところに、健康診断、あるいは非常に軽い、健康診断に含まれるような簡単な措置等は、むしろ機関が出向いた方がより便利だということで、これも来年度の計画といたしまして、すでに予算化して大蔵省に請求をいたしておりますが、それぞれ巡回診断自動車等を完備いたしまして、これを巡回さして、要所々々で診断を受けさせる具体的な方法を、さしあたり講じていきたい、かように存じております。  なお、もう一つの問題といたしましてはどれだけ実際に、生活上の問題で医療保護が受けられないか、精密検査を受けられないかという数を確かめませんと——それが割合と少数でありますと、保護ケースで、あるいは他の方法を綿密にやれば片づくんじゃないかということで、概数といたしましては、現在、健康診断を去る九月末まで——昨年は、大体健康診断は八月から始めましたが、この間に受けました総数が大体十三万件、これに対しまして精密検診を同様の、ほぼ同じ期間に受けました数が約一万八千件でございますが、これは一般健康診断を受けてから、精密検診を要すると言われた者が何人ほどあるか、そのうちどれだけが現実に一万八千件として精密検診が受けられたかどうか、この差額を見まして、その受けられなかった者の原因を調べますと、対策の目標が立つわけです。これを現在個々に調査中でございます。なお、これらの精密検診を受けた者のうち、やはり同様期間で医療を受けた者が約二千件でございます。従いまして、これもやはり非常に差がございますが、これも果して精密検診の結果、要医療とされたものか、それに近い数とか、あるいは著しく多いにかかわらず、それだけしか受けられなかったか、これもその差額につきまして、個人調査表を調整させまして、今調査中でございます。これがもし非常に障害がありまして、偶然受けられた者は幸福であったが、その他の者に非常に困難があったとなれば緊急にいろいろな措置を講ずる。この法律がその場合に要れば、これも検討の対象にしなければならぬ、かように考えております。

大原亨日本社会党

○大原委員 局長の方から、お年玉つきのはがきについて最優先的に使いたいと思っている、こういう御答弁がございましたが、ほかの問題はしばらくおきまして、この問題について厚生省といたしまして、郵政当局、関係委員会、その方にどういうお考えでお年玉つきの問題を処理されようとしておるのか、あるいは現在の進捗状況について一つ簡単にお話し願いたい。

尾村偉久厚生技官(公衆衛生局長)

○尾村説明員 実は明日長崎県と広島県の両関係当局を呼んでおります。これは前からお年玉つきの資金を十分この方に使いたいと存じまして、両方からも申請を出していただいたわけなのでございますが、その内容がそれぞれふぞろいでございまして、いろいろ疑問の点がありまして、請求を郵務当局に出しますには非常に不備であるということで、明日来ていただいて十分厚生省と両関係地方で打ち合せして、出すからには十分自信のあるものへ持っていこうということで、郵務当局の方も事務的にはすでにこれが出るということは折衝を始めております。これがそろいましたならば直ちにまず局長間で——この主管の実際の担任は郵務局長でありますが、ここで直ちに折衝を開始し、さらにこれは厚生省におきましては官房長がその方の任になっておりますが、この配分に関する審議会の方にも強くこれを上げてもらう、こういう次第で今進んでおるのでございます。

大原亨日本社会党

○大原委員 やはり今日まで赤い羽根募金の配分については、主として施設が重点だったと思うのです。目に見える、たとえば広島、長崎の原爆病院、そういう施設に重点を置いて配分されておると思うのであります。ただいまのお話によりますと、私どももそういうことを希望いたすわけですが、医療を受けるための必要な生活費の補助をしていく。やはり更生資金につきましても六百万円、広島、長崎にそれぞれ出ておるというお話でございますけれども、厚生資金は返さなければいけませんので、カード階級ですれすれのところで生活をしている人々にとっては非常に精神的な負担であります。保証人を要したりするようになるので、やはり何といいましても、対策としては非常に有効な面もあるのでありますけれども、不備であることがだんだんわかって参りました。それと、一つは生活扶助につきましては、生活保護の問題もございますけれども、しかしこれはたとえば中小企業や日雇いで働いている人が、きょうは病院へ行こう、当分精密検査を受けるために入院しよう、こういう場合には賃金をカットされまして、そのとき一日だけ生活保護を受けるということは手続上なかなかできません。かえって交通費その他たくさん手数がかかります。従って生活保護の面で生活問題を救済することはできないわけでありますが、お年玉つきはがきの中でそういう生活面について支出をしていく、こういう面について厚生省としてお考えになっておるかどうか、あるいは見通しはどうか、こういう点について御答弁いただきたいと思います。

尾村偉久厚生技官(公衆衛生局長)

○尾村説明員 実はああいうふうな資金の分け方につきましては、原則としては、あとに残りまして年々使える施設中心というのがやはりどちらかといえば原則のようであります。ただいまも、広島、長崎ともにやはり医療を受けるのに一番不便をしております。少し遠路から指定病院に来まして、医療中に安く、ないしは無料で泊れるような宿舎とかあるいは相談所に付設の、諸種の事業のできる施設というのが大きく出ておるわけでございます。これはもちろんそれをやりますれば相当医療を受けるのに困難しておる原因の幾つかが除去できますが、そのほかにやはりこの場合には、今の生活扶助のみで困難なのが相当ありますとすれば、生活援護といいますか、その医療の裏づけとしての生活援護的なものが要るということで、実はこの原爆に関してはそれを持ち出す必要があろうという方針でおりますが、ただあす呼んでおりますゆえんは、そこが県や市でも、県、市でやるべきいろいろな施設関係の計画が従来からも若干あるわけであります、あるいはそれらの計画を国でお世話する方の原爆の施設の方に振りかえて、通りやすい方にこれを振りかえる。その浮いた部分で、あるいは法外援護的なものに振りかえるのに、総額においてかえって有利かもしれないということで、要求の事項が五つ六つこれまで出ておりますが、これを整理いたしまして、より有効なものにいたしたい。決して原爆に関する限り絶対に施設以外には厚生省としては持ち出さぬというようなつもりはなく、ただこれはできるだけ有利にできるように相談をしよう、こういうつもりでおるわけであります。

大原亨日本社会党

○大原委員 今の生活援護、法外援護というような問題についてもお考えの上で折衝を始めておるのだ、こういうお話ですが、私はお年玉つきのはがきのもとにございます金、この金につきましては、やはり何といっても便法的なものであり、また一時的なものであるのではないかと思うのです。先ほど申し上げましたように、原爆被害者の医療というのは非常に長い将来にわたっての問題であります。従って先ほど局長あるいは大臣の方から御答弁がございましたが、この医療法自体に伴う生活費の問題、あるいはもう一つは一般の軍人、軍属、引揚者その他に対する援護、そういう問題と同じようにやはり援護的な立法を作っていく問題、こういう二つの問題があるかと思うのですが、私どもは最低、援護の問題について考えをいただくということは国家の責任からいっても当然だと思うのですが、しかし当面医療法を完全にするためにも、医療法を原爆症の特殊性にかんがみて生活保障あるいは在宅患者の栄養補給、そういう問題について、これは生活保護法の医療扶助の特例のようになるかと思うのですが、そういう生活保護を受けていない人でもそういうものが適用できるような、医療法にくっついた生活や栄養上の問題、そういう問題でこの法律を補うていく、こういう点についてお考えをいただけるかどうか、こういう点をお尋ねしたいと思います。この問題は、厚生省の方で法律の体系ができれば、これは与野党だれも文句のない問題でありますので、医療法を行うにつきまして、そういう普通の健康保険なんかにある生活保障の問題あるいは傷病手当ではありませんが、休業補償の問題、それから在宅患者の栄養補給、こういうふうな問題について医療法の中で特にこれを補うて、そうしてできるだけ完全なものに近づけていく。治療を受ける人だけについて、また要治療の人について、健康管理を要する人についてそういう方法をとっていく、そういう限界を設けた当面の対策、そういう問題も一面には考えられるのですが、これに対しての御見解をお伺いしたいと思います。

尾村偉久厚生技官(公衆衛生局長)

○尾村説明員 今の医療の目的を達することを困難にしておる原因除去に限定して、それに伴う援護あるいは栄養補給というお話でございますが、これは全般的なものよりははるかにしぼられておりますけれども、ただこれはやはり何といいましてもこれを法で書きまして、国と被害者との間の関係を、特別に他のものと区別して、特に有利でありませんと意味ないことでありますので、さようにいたしますには、やはり基本的な原爆の被害者に対する国の責任者等が、他の一般空襲等によるものと違うという決定をいたしませんと、結局法律化するにはやはり議論の余地が十分ございまして、望みましてもさようにいかぬとも存じますので、この点は非常に困難が予想されますので、もう一度これを十分関係者と検討いたしてみたいと思います。さような段階ということで御了承を願いたいと思います。

大原亨日本社会党

○大原委員 いわゆる国際法に違反している、国が責任を持つ、肩がわりする、国が補償する、こういう見地を明確にして、そして医療法だけは完全にしておく。こういう考え方から、こういう特別立法が成立する理由が一つあるのと、もう一つは原爆症自体が持っておる非常に非人道的な、生活に対する、生命に対する不安、こういうものは、やはり原爆症という特殊な症状に対しては国の救済措置、こういう面から考えまして、この点については当然考えられてしかるべきではないか。この問題は社会保障全般の問題としてもそうでございますが、しかし、特に今までは軍人恩給なんか戦犯まで含んでやっておるのですから、そういう問題についてはいろいろな援護立法と勘案しましても、医療だけについて限定いたしまして、そういう特殊の保護立法を立てていく、こういうことは私は筋が通っておると思うのでございますが、この点は、大臣は将来御検討になるというお話でございますが、大臣の方からこれに対する御見解をお伺いしたいと思います。

橋本龍伍自由民主党厚生大臣

○橋本国務大臣 原爆の問題につきましては、先ほども申しました通り事柄も非常に重大でございますので、ほかの戦災者との関連も全然無視することはできませんけれども、なお十分に御意見のあるところを承わりまして、また現地の方々の御要望も承わりまして、なお研究していこうと思います。

大原亨日本社会党

○大原委員 それでは私、その問題につきましては大臣の研究してみたいという御答弁でありましたので、大臣が誠意をもって御検討いただく、こういう点を期待いたしまして、問題をまた将来に保留いたしたい。  それからお年玉つきはがきにつきましては、きょうは郵政省の方は見えておりません。ちょうど事故があって御退席になりましたので、明日また時間を見てお尋ねしたい。そして総合的にまた質問を続けていきたいと思うのです。  もう一つは、原爆症の患者を年金の中の身体障害者の中へ入れるかどうか、こういう問題がいま一つあると思うのです。身体障害者の年金で、午前中に八木委員の方から、外傷患者あるいは内科的な疾患、そういうような問題についていろいろ話がありましたが、原爆症の人は、そういう年金の中へ身体障害者として入れるべきであるかどうであるか、そういう点について私は厚生省のお考えをお伺いしたいと思うのです。これは予算についてはそう莫大な額ではないと思います。相当客観点に限定すべき材料もあると思うのです。終戦直後は、占領軍その他において、原爆症については隠蔽する方策をとりましたからわかりませんですが、今日は相当研究も進んで参りましたし、相当この問題は客観的にわかると思いますが、その点について、原爆症患者を身体障害者の、いわゆる無醵出の方の受給者にお入れになる御用意があるかどうか、こういう点について伺いたい。

橋本龍伍自由民主党厚生大臣

○橋本国務大臣 それは、ただいま審議中の原案には、御承知だと思いますが、厚生年金の一級、二級というようなところで障害の程度をしぼっておるのでございます。原爆症といたしましてもいろいろな症状はあると思いますが、今日出しておりまする案の範疇に該当いたしまするものは、年金の対象に入って参ると思いますが、ただ原爆症一般を全部含めることは、ちょっと考えさせていただきたいと思います。

大原亨日本社会党

○大原委員 原爆症全般ということになりましたら、医療法の対象となっておる人を全部包括して四十万から五十万と予想いたしまして、大体二十万くらいが健康手帳が出ておるようでありますが、そういう人を全部含んで身体障害者の対象にする、そういうことを申しているんじゃない。もちろんこれも病気が発生するおそれのある人については、必要以上に健康管理を要する条件の人が多いと思いますが、これは生活や貧乏との関係が深いものでありますし、症状に関係が深いものでありますので、この中で入院なり通院なり、その他医師が精密に何しまして、そうして健康管理を要する、そういう点については相当数が限定されると思いますが、そういう治療を要する対象をやや明確にいたしまして、これは当然身体障害者として重労働その他非常に疲労する仕事には携われない、これは事実なんです。非常に疲れてくるわけです。これはどの医者も知っておる通り、いろいろ余病を併発しやすいとか、いろいろな障害があって、客観的にもこの原爆症については今日は医師が診断できる、こういう状況でございますけれども、そういうふうにやや内容を分析いたして参りまして、そうしてこれを身体障害者として将来年金の対象にするかどうか、こういう問題について、もう一度大臣の御見解をお伺いしたいと思います。

橋本龍伍自由民主党厚生大臣

○橋本国務大臣 この障害年金の問題については、相当内容はやはり限定して考えて参らなければならぬと思いますが、御趣旨の点については、まだいろいろな点で検討中でございまするので、大原委員の御発言の趣旨によく従って検討いたしてみたいと思います。

大原亨日本社会党

○大原委員 お年玉つきはがきの問題について、もう少し具体的にお伺いしたいと思ったのですが、この問題につきましては、御出席がないので、以上をもちまして質問を打ち切りたいと思います。どうか一つ大臣の方では、原爆被害者の問題は、やはり全国民の問題であると思いますので、私どもがほんとうに平和を望み、あるいは私どもが、戦争におけるそういう問題に対して国の責任を明確にしていけば、私はだれも異論のない問題じゃないかと思います。従ってその点については御検討をいただく、趣旨に従って研究をする、こういうお話でございましたので、こういう問題は私は与野党とも一致してやっていきたい、その点については、何ら党派的な点については自分といたしましても考えていないのでありますので、その点は十分お考えの上で、どういう情勢が出ましても十分な理解を持ってこれを進めていただくように切に希望いたしまして、私の質問を一応終ります。

園田直自由民主党

○園田委員長 滝井義高君。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 国民年金の関係は、小山さんもいらっしゃいませんし、大蔵省の主計局を呼んでおるのですが、これもちょっと急なために来ておりませんので、年金問題はあすにさせていただきまして、きょうは幸い医務局長もおいでだし保険局長もおられますので、一つ病院のことをお尋ねしたいと思うのです。  まず、先般の一日の本会議で、日本の医療制度というものがばらばらであるし、病院の運営の主体もばらばらである、しかもその病院で支払われる診療報酬もばらばらだし、管轄する官庁も、特に医療機関の管轄官庁なんというものはばらばらだ、一体これを今後どういう工合に改善していくかということの質問に対して、実は本会議場であったために、明確な答弁が得られなかったのです。そこで、時間の関係もありますので一つ具体的にお尋ねしたいのですが、それは特に保険局の所管でございますが、今問題になっておる年金と非常に重要な関係のある厚生年金の還元されたお金と申しますか、とにかく厚生年金の利子の一部を充てている厚生年金病院の配置の問題です。一体厚生年金病院というものはどういう方針で全国各地にお作りになっておるのか、その何か基本的な方針でもあればお示しを願いたいと思います。

高田浩運厚生事務官(児童局長)

○高田政府委員 お答えいたします。御存じのように厚生年金関係の病院といたしましては、総合病院として東京、大阪、北九州、それから整形関係の単科といたしまして登別、湯河原、玉造と、大体こういうことになっております。どういう方針でというお尋ねでございますが、まあ全国的に見まして主要な以上三カ所に総合病院を設け、また整形の関係につきましても大体全国的に地域的な配置も考えておりまするが、同時にまたそれには温泉というようなものの関係につきましても考慮いたしまして、以上のような配置をいたしたわけでございます。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 そうしますと、厚生年金の積立金の利子というものは今後当分の間、年々歳々三百億ないし四百億ずつの積立金の増加があるわけです。従ってそこから出てくる利子というものも百億をこえる状態がすぐ出てくるだろうと思う。そうしますと、労働者のための福祉施設として今病院のほかに住宅や体育施設その他いろいろのものが作られておるわけでございますが、この厚生年金病院というものも従って必然的に全国的に、今の総合三カ所と特殊な整形三万所の六カ所以外にだんだん作られていくと思うのですが、これは一体どういう基本的な配置の方針でやっていくのか、と申しますのは、厚生省自身の所管として見ますと、すでに別に国立病院とか結核療養所もあるわけです。それから高田さんの方でいえば、私はこの前一応ここでいろいろ御質問申し上げて、いずれこれは機会をあらためてその後の経過も聞かしてもらいたいと思いますが、健康保険の病院もあるわけです。そうして今度は今言った厚生年金がある。同じような種類に労働省の労災病院がある。これも整形外科を中心とするものなんです。そうすると、それらの直接われわれ国民の税金、あるいは税金に非常に近い保険料の積み立てによってまかなわれていき、あるいは運営をされていくそれらの病院の配置というものはやはりどこかで一貫をして、全国的な医療機関の分布状態をにらんで、適正な配置をやっていくところがなくてはいかぬと思うのです。そこで今厚生年金病院は六カ所でございますが、まず全国の病院の整備状態から見れば、私は厚生年金病院は第一流だと思います。それだけに厚生年金病院をどこに作るかということは、労働者にとっても非常に大きな関心事であるとともに、公的医療機関はもちろん、私的医療機関にとってもこれは非常に重大な関心事たらざるを得ないわけです。今後、冒頭に申し上げましたように、だんだん積立金が増加すれば必然的に厚生年金病院を建てる頻度が多くなってくる。何かここに方針がないと今後やはりいろいろ問題が起ると思いますが、今後どういう方針なのか、それをもう少し具体的にお示しを願いたいと思います。

高田浩運厚生事務官(児童局長)

○高田政府委員 厚生年金病院は、実は積立金の利子等でやっておるものではございません。これは年々の保険料のうちから法律に基きまして、ある程度のものを厚生年金被保険者の福祉のために、保険給付以外に福祉施設として使うという法律がございまして、その福祉施設としてこれをやっておるわけでございます。従いまして積立金並びにその利子と直接の関係はないのであります。それにいたしましても、今の滝井先生の御質問はごもっともだと存ずるのでございまして、実は厚生年金の福祉施設というものにつきまして、現在その他の福祉施設もいろいろやっておりますけれども、病院を今後もう少したくさん作っていくかどうか、ふやしていくかどうか、病院はすでに今申し上げた程度ございまして、しかも御指摘のように年金関係以外のいろいろな病院もすでにたくさん整備されておるところもございますので、あるいは病院を設置するのはこの程度にとどめて、さらに他の部面に福祉施設として手を伸ばしていったらどうであろうか、こういうふうな意見も実はあるのでございます。来年度の予算の要求といたしましては、ごく試験的に年金受給者が年金をもらう。その年金の程度で入っておれるような有料老人ホームみたいなものを、実は試験的に二、三カ所福祉施設の予算として要求しておるのでございます。養老院に限らず、その他の部面にも年金被保険者の福祉施設として適当な方面に手を伸ばしていったらどうだろうか、こういうふうな意見も実は相当有力に出ておるわけでございます。しかしながら病院を絶対にふやさぬという方針をまだ確定いたしておるわけではございません。現に厚生年金病院を作ってもらいたいという要望が、二、三年前から相当有力に出ておる地方もございまして、それらの要望等も、その方針を決定いたします上には十分頭の中に入れて判断をいたさなければなりませんので、これ以上ふやさぬという方針を決定いたしたわけではございませんが、しかし他の病院以外の福祉施設の方に手を伸ばしていくべきじゃないかという意見の方が非常に強うございますので、今後この福祉施設でどんどん病院を増設していくというふうな方向にはおそらく参るまいかと、ただいまのところ私は考えておるのでございます。しかしそれにいたしましても、もしかりに若干でも広げていくというようなことになりました場合に、御指摘のように他の医療機関の配置の工合、特に公的病院の、しかも整形関係の病院の配置の工合というふうなものは、かりに病院をふやしていくといたしますれば、当然その考慮の中に入れてこれらのことを考えなければならぬかと存じます。大体以上のような状況でございます。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 どうも私もうっかりしておりましたが、私は厚生年金病院というのは、保険料の積立金の利子で建てられておるものだ、こう思っておったわけです。ところが今法律で、保険料の中から保険給付の形態で福祉施設を作ってやる、こういうお話しがあったのですが、そうしますと、その予算はどの項目に入りますか。

高田浩運厚生事務官(児童局長)

○高田政府委員 お答えいたします。厚生保険特別会計の予算でございまして、形式といたしまして、いわゆる健康保険勘定とか、厚生年金勘定とか、あるいは自前財源の勘定でございます。その厚生年金勘定から厚生保険特別会計の業務勘定に繰り入れまして、そうして事業の執行といたしましては、業務勘定の事業としてやっておるわけでございます。財源は年金勘定から出るわけでございます。従いまして特別会計の予算の中にそれが載っておるわけでございます。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 どうも私不勉強で、今までずいぶん厚生保険勘定は勉強したつもりだったのだが、そこまでは実は気づきませんでした。実は、一応質問したいと思っておったのですが、何か厚生団というものがあるので、保険料の積み立てたその利子を厚生団か何かにやって、そしてそこまで、かつての労災協会と同じようにやっておるものだ、こう思っておりましたが、そうしますと厚生団というものと厚生年金病院というのは何か関係があるのですか。

高田浩運厚生事務官(児童局長)

○高田政府委員 お答えいたします。厚生年金病院は、今のように厚生保険特別会計で、いわゆる特別会計が自分で建物を建てまして設置をいたしておるものでございますが、これが経営を政府で直接やる、特別会計で直接やるということになりますと、なかなか不便な点もございますし、またそれらの職員はすべて国の役人というような関係になって参りますので、ずっと古くから厚生団という一つのたしか財団法人だったと思うのですが、これに福祉施設の経営を委託いたしまして、この厚生団が直接の経営者としてこれらの福祉施設の運営に当っておるわけでございます。従いまして国有民営というような、いってみればそういうふうな形になっておるわけでございます。厚生団というものはかように厚生年金の福祉施設の運営を受託するという目的のためにできておる団体でございます。大体さような関係になっておるわけでございます。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 そうしますと、かつて問題になりました社会保険病院と同じように、いわば国有財産である厚生年金病院というものを国が作って、その国有財産を厚生団に貸し与えて、これはまあ無料で貸し与えることになるのだと思いますが、そうしてそこで独立採算制でやらせる、こうなるのですか。

高田浩運厚生事務官(児童局長)

○高田政府委員 大体そういうことでございます。正確に申しますと、貸すということになるかどうか、法律上の性格が少し問題でございますが、結局その経営を団体に委託をいたしておる、こういう格好でございます。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 いや、これは結局結論は貸すことになると思うのです。使用料をとるわけではないのですから、無料で貸すので、ちょうど社会保険病院と結局結論的には同じようになるのではないでしょうか。先般問題になりました社会保険病院というものは国有財産、そしてその国有財産を受託者である都道府県の社会保険協会あるいは市というようなものに——朝日新聞なんかもそうだったと思いますが、それらの団体に委託をする。そしてそこに受託、委託の契約ができてくる。それによって受託団体というものが財団法人か何かを作って、それで独立採算制で運営をしていく。そこに給与の問題等で、それぞれ黒字のところもあれば赤字のところもあるということでアンバランスが生じたということから、一つの問題があったと思うのです。そうしますと、今厚生団という、これは一つの団体だから、この前みたような社会保険協会よりか、一本でいっておるわけだと思いますから、かちっとしておりますが、独立採算制でやるということになると、厚生団が運営をする厚生年金病院というものは、給与体系その他は健康保険病院と違って一本になって、うまくいっておるのでしょうね。

高田浩運厚生事務官(児童局長)

○高田政府委員 御指摘のように、その関係は社会保険病院と社会保険協会との関係、あるいは市との関係と同じような関係でございます。それから、今の給与の問題等がばらばらになっていないかという御質問でございますが、これは今仰せになりましたように、全国一本で運営をいたしておりますので、御心配のような点はございません。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 質問をして、御答弁でおぼろげながらだんだんわかってきたのですが、そうしますと、医務局長さんにお尋ねしたいのですが、こういう厚生年金病院——日本における病院形態としてはいわば第一流だと思うのです。今、高田さんのお話によれば、こういうものが今後も必ずしもできないとは限らないので、今後も幾分各地の要望も強いので作るということになりますが、その場合にあなたの方の医療法の関係で、それぞれ病院の配置というものは、今後特に公的医療機関については考慮をされておらなければならぬと思いますが、労災病院や厚生年金病院というものについては御相談があって、十分な考慮の上にやられておるのかどうか。そういう点どうでしょうか。

小澤龍厚生技官(医務局長)

○小澤説明員 御承知のようにわが国の医療は自由開業制を建前としております関係上、現在の医療法では法的にその設置を規制することができないわけであります。従いましてこの種の、国の金を使って建てます病院につきましては、それぞれ開設者が自分の好むところに勝手に建てておったというのが従来の実情であり、今日におきましても大部分その通りでございます。ただ厚生年金関係、保険局関係につきましては、最近保険局と私どもとの関係が非常によくなりまして、かなり深い御相談を受けるようになって参っております。しかし、保険局関係の病院だけ十分かと申すと、これは決して十分ではございません。御承知の通りにわが国の病院は大都市に集中いたしまして、地方に非常に数が少いのであります。どうしても将来はこれは規制していかなければならないのじゃないか、さように考えておりまして、せっかくただいまその対策について考究中でございます。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 これは非常に具体的になりますが、今厚生年金病院の総合的なものは東京と大阪と九州と三カ所あるということでございます。最近別府に厚生年金病院が北九州の分院という形態でできるということを聞いたのですが、そういう事実がありますか。

高田浩運厚生事務官(児童局長)

○高田政府委員 これはまだ確定をしたことではございませんが、九州の年金病院の分院というよりはむしろ分病棟というような形で、すなわち外来を診療したり何かするような形のものではなく、本院に入りました者で温泉治療を必要とするような患者を送って、そこで温泉治療を行うというような格好の分病棟的なものを別府に作りたいという計画はあるのでございます。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 そうしますと、実はその問題をちょっと聞いたので——別府というところは元来病院が多いところであるということは、一、二度別府に行って知っておるのですが、そこに厚生年金病院が入っていくわけです。別府にどの程度病院があるかをちょっと調べてみましたところが、現在六つあるのですね。国立病院が一つ、それから九大の温泉研究所、これも病院です。これが一つ。国立療養所が二つあります。国家公務員の共済組合病院が一つ、それから厚生連の病院が一つ、合計六つあるのです。で、私の言いたいのは、厚生年金病院というものが厚生保険の特別会計の中から出される金によって業務勘定に移り、その業務勘定から、厚生連にできたものを委託して運営していく、こういう形になると、なるほど厚生連としては一貫したものになるかもしれないが、別府というその地域から考えると、運営の主体は、国立あり、九大あり、共済組合あり、厚生連あり、厚生年金あり、こういうようにばらばらになってしまう。それならばわざわざ北九州の——多分八幡は東さんが行っておると思いますが、八幡からわざわざ東さんが汽車に乗って別府に行っていろいろ画策するよりか、私は、むしろこの際、それは制度的にむずかしいかもしれないが、ここは政府の方で割り切ればすぐ割り切れる問題だと思います。国立病院に整形の病棟を還元融資の利子か何かでつけることは、今の制度ではできないが、できるようにしたらいい。大蔵省で金を出さないと言うならば、その金を国立病院につけて整形をやれば、わざわざ別府に行かなくても厚生年金の金が有効に生きることになるし、またそこにおける公的医療機関なり開業医の反対も少い。そうして人間的な知能なり技術を活用する面においても非常に有効だし、国家的な金の使い方も非常に有効適切に使えると思う。ところがこの別府の姿を見ても、国立があり九大があり、国立療養所が二つあって、共済組合病院があり、厚生連が建っておる。温泉があるからわれもわれもとそこに病院を持つのだ。休養所を持つのはいいけれども、病院が、そう種類の違ったものがわれもわれもと別府にいったら混乱を起すもとだと思う。そこで別府における人口一人当りのベッドの数は幾らか調べてみる。そうすると普通還元融資は、人口一万について四十五以下のところに還元融資の病院を作るということが大体大まかな基準になっておるということを聞いたが、別府は二百六十三です。もう普通の還元融資の適格条件からいえば五倍になっている。そうすると、私が本会議で指摘したように、病院の運営主体というものが国立、準国立、県立以下、とにかく二十種類もある。いわばひしめき合っておる。また今度の分院ができていくということは、どう考えても——皆保険の基礎的な条件というものを整備することは、少くとも無医地区を排除して、医療機関を適正に配置することだ。同時に都市集中をある程度排除して、病院、診療所の有機的な連係を保つことが基礎的な条件であると大臣は御言明になっておる。そういう基本方針からいっても、非常に背反することになる。これは別府における厚生年金病院の一例をあげたのですが、こればかりではない。労働省にある労災もしかり、県立病院があるその隣に、百メートルか二百メートル離れた所に労災病院が建つ。そうすると新しくできた労災病院にみんな行って、今まであった県立病院は閑古鳥が鳴く、こういう状態、実にわれわれの血税の二重、三重のむだな投資というか、ロスが行われておる。この点はわれわれが皆保険をやろうとするならば、今後皆保険のための財源というものは、大蔵省に非常に切り詰められて少くなると見ております。だとするならば、われわれはわれわれの内部における現実に動いておる病院なり制度につぎ込んでおる金のロスというものをできるだけ排除して、有機的な連係をとりながら有効適切に使う政策というものが、やはり少い日本の財源の中から皆保険をやろうとするならば、どうしても必要な段階がきておると思うのです。この点は、別府にそういう整形外科の施設が客観的に見て厚生年金制度の上から必要だとするならば、この際思い切って国立病院か、あるいは国家公務員の共済組合の制度か、あるいは厚生年金か、どこかの病院に適切な敷地があるならば、それを見つけてそこにくっつけるということの方が、有機的な連係の上からいっても非常にいいんじゃないかという感じがするのです。こういう点の金の合理的な使い方というものを、もう少し今後厚生省は考えなければならぬじゃないかという感じがするのです。現在病院というものは、実際に地域的に見ると飽和状態になって、外来をとらなければ病院の運営ができないという、病院本来のあり方から非常に離れた状態が出てきている。こういう病院と診療所のあり方、あるいはその有機的な連絡というものも、皆保険の一つの重要な基礎的条件になっておるわけです。こういう点は私も今まで不勉強で、厚生年金病院というものは実は還元融資の利子でやられておると今まで思い込んでおったのです。きょう初めて厚生保険特別会計の中にあることを教えていただきましたので、もう少し厚生保険の実態その他についても勉強して、また機会をあらためて質問さしていただきますが、こういう根本的な私のねらいというものは、私は間違っていないということを考えておるのですり。この点に対する本会議の質問において、どうもあまり明快な答弁をいただけなかったので、非常に不満だったのですが、きょうはこの点だけは医務局長を叱咤——とはおかしいが、とにかく鞭撻して、ここに一つ、こういう二重三重の投資が起らないような、医療機関におけるすっきりした系統的な整備の方向として、官庁から、まず厚生省自体の中から始めていくことが必要じゃないかと思うのです。大臣のこれに対する見解を一つお尋ねしたい。

橋本龍伍自由民主党厚生大臣

○橋本国務大臣 滝井委員のおっしゃることは全く同感であります。実は私自身も社会保障制度に関するいろいろな面での立案に当りながら、国民皆保険の基礎条件として無医地区を解消すると同時に、今お話のありました病院、診療所の非常に無秩序な乱立という問題について、これを秩序づけることがぜひ必要であることを、みずからの方針として遂行したいと考えながら、今日までそれがほんとうには一向手についていないということは、まことに残念なことでございます。ごく基本的には、これは法案を整備して御審議を願いたいと思っておりますが、医療制度調査会の非常に重要な項目として、その規制の関係をあげたいと思います。     〔委員長退席、田中(正)委員長代   理着席〕 御指摘のように問題は時々刻々動いておりますので、今日やり得る範囲内でも何とかそれを規制するという方向については、真剣に格段の工夫をいたしてみたいと思っております。実ははなはだ恐縮でありますが、私が今回厚生大臣に就任をいたしまして以来も、今年度の厚生年金の配付などにつきましても、厚生省の内部で、いろいろな配置等から見て、あそこはもう一度考えていいじゃないかというようなものについて、地元の要望等、いろいろな問題がありまして、なかなか理想通りいかないのであります。それだけに、厚生省の医務局長なり衛生局長なりだけが日常の業務としてさばきの適正を得るというだけでは、なかなかむずかしい点があると思いますので、一つ医療制度調査会のできます前におきましても、何かの審査の仕組みを考えてみたいと思います。お説の趣旨にはもう全く同感でありまして、それを具体化する方向を一歩々々でも積み上げて参りたいと思います。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 根本的な制度に手をつけることはなかなかむずかしいと思います。従って、これからできる病院について、ある程度大臣の方の権限でできるような姿を緊急に作っていただきたいことを要望をいたしておきます。

田中正巳自由民主党

○田中(正)委員長代理 本日はこの程度にとどめます。次会は明九日午前十時より開会することとし、これにて散会いたします。     午後四時十七分散会

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