社会労働委員会 第2号
- 発言数
- 5 件
- 登壇者
- 3 名
- 会派数
- 1
- 開催日
- 1958/10/03
会議録
○園田委員長 これより会議を開きます。 まず御報告することがございます。本委員会所属の野澤清人君が、閉会中国政調査のため東北地方に出張視察中、病気のために倒れられまして、ただいま入院中でございます。遺憾ながら今日の国会規則その他においては、議員の公務中の疾病あるいは傷害等に対する保護、扶助の法律がございませんので、とりあえず出張延期をいたしておきました。なお議院運営委員会の方に、これに対する早急な立法措置を要求しております。その後経過良好で、近く東京の方の病院に移転をいたされます。右御報告をいたしておきます。 厚生関係の基本施策に関する件について調査を進めます。この際、厚生大臣より発言を求められておりますので、これを許します。橋本厚生大臣。
○橋本国務大臣 第三十回臨時国会におきまして、当委員会が初の審議を行われるに当りまして、厚生省所管の諸行政に関し所信の一端を申し述べ、各位の御協力をお願いいたしたいと存じます。 私といたしましては、就任以来、国民皆保険計画のすみやかな達成と所得保障の本格的形式としての国民年金制度の創設とに、その努力を傾注して参っておるところでありまして、今後これらの点に重点を置き、社会保障制度の充実をはかって参りたい所存であります。 以下当面の諸問題につきまして、その概要を説明いたしたいと存じます。 第一は国民皆保険の実現であります。かねての公約であります医療の国民皆保険を昭和三十五年度において実現すべく、国民健康保険全国普及四カ年計画を中核としてその全国普及に努めて参りたいと考えております。ことに国民皆保険達成の中心をなします国民健康保険法案につきましては、これを全面改正すべく、本国会に改正案を提出いたしておるのでありまして、これに必要な予算措置につきましては、さきの通常国会においてすでに成立を見ておる次第でありますので、この改正案のすみやかな成立によりまして、全国普及の一そう強力な推進に当りたい所存であります。また、これと重要な関連を持つ社会保険診療報酬につきましては、十月一日から新点数表が実施されておるのでありますが、今後とも診療報酬の合理化につきましては十分検討を行い、社会保険医療はもとより、広く国民医療の向上と適正化を期する所存であります。次に、国民皆保険の推進のためには、その前提要件として、疾病予防の徹底と医療機関の適正配置を期することが必要でありますので、これがため成人病対策、精神衛生対策、性病予防対策等に意をいたしますとともに、無医地区医療対策等、医療機関の体系的整備について十分な措置を講じたい所存であります。 第二は国民年金制度の創設であります。これにつきましては、昨年四月以来その準備を進めて参り、さきに本制度に関する第一次草案を作成し、目下これを基礎といたしましてさらに関係方面の意見を徴しつつ、その具体案の作成に当っている段階でありますが、拠出制及び無拠出制の両者について、老齢、障害及び母子の三年金を実施するために必要なすべての規定を含む包括的な国民年金法案を、来たる通常国会の劈頭に提出して御審議を願うことを目途として、諸般の準備を進めていく所存であります。 第三は疾病対策の強化でありますが、特に結核につきましては、近年その死亡率等に関し著しい改善を見たのでありますが、いまだに多数の患者が存在いたしまして国民の健康と生活を脅かしておりますので、健康診断、患者管理、感染源遮断に工夫をこらし、今後十年間に結核問題の解決をはかりたいと考えております。また、結核対策実施の基盤ともいうべき保健所につきましても、その機能の強化に努めたい所存であります。 第四は生活環境の改善等であります。すなわち国民の生活改善の上から、最も基本的なものである水道、一掃施設等、環境衛生施設につきましては、この際十カ年計画に基き、思い切った整備をはかりたいと存じております。また自然公園の整備に力を注ぐことはもちろんでありますが、その利用につきましても、国民宿舎の新設等、いささか工夫をいたし、青少年を初め、広く一般国民大衆の健全なレクリエーションに資したいと存じております。そのほか、老齢者、身体障害者、精神薄弱者、その他一般低所得者に対する措置をさらに充実いたしたい所存であります。 第五に、いわゆる保育所問題の打開、児童の健全育成等、児童福祉及び母子福祉の向上、また未帰還者に対する特別措置等に十分な配慮をいたしていく所存であります。 以上申し述べました諸問題につきましては、各位の御支援によりまして今後できる限りの努力をいたして参る決意でございますので、ここに重ねて各位の御協力をお願い申し上げる次第であります。
○園田委員長 次に、労働関係の基本施策に関する件について調査を進めます。この際、労働大臣より発言を求められておりますので、これを許します。倉石労働大臣。
○倉石国務大臣 第三十回臨時国会が開かれるに当りまして、今後における労働政策の運営について私の所信を申し上げ、各位の御理解と御協力を得たいと存ずるのであります。 まず第一に、最低賃金制について申し上げたいと存じます。政府は、昨年末提出されました中央賃金審議会の答申を全面的に尊重した最低賃金法案を、今国会に提出いたしておるのでありますが、これはわが国経済、特に中小企業の実情に即して、業種別、職種別、地域別に最低賃金を決定する方式をとり、漸次これを拡大していくことを基本的な考え方としているものであります。最低賃金制の実施は、ただに低質、金労働者の保護のみにとどまらず、労働力の質的向上、企業の公正競争の確保、国際信用の維持向上等、国民経済の健全な発展のためにもきわめて至要な意義を有するものでありまして今や世論もそのすみやかなる実現を要望するところとなっておりますので、政府におきましては、本法案が一日もすみやかに成立いたしますことを切に望んでおる次第であります。 次に雇用失業対策についてでありますが、これは非常に困難な問題であることは申すまでもないのでありまして、政府におきましては、長期経済計画に基いて、諸般の財政経済施策を強力に推進するとともに、労働行政の面においても、完全雇用べの接近に最大の努力を傾注して参りたいと考えておる次第であります。 このような基本的な考え方の上に立って、当面の施策といたしましては、職業安定機関の機能の強化充実を期し、すべての求職者に対し適職をあっせんすることに努め、特に新規労働力として年々労働市場に送り出される学校卒業者の完全就職をはかって参りたいと存ずるのであります。 失業対策の問題につきましては、経済調整の過程において発生する失業に対処するため本年度予算において失業対策事業の予算の充実をはかるほか、さらに今回公共事業費等の繰り上げ実施の措置を講ずることといたしたのでありますが、今後におきましても情勢に応じてその対策に万全を期するとともに、現在の失業対策事業を検討して事にの経済的効果をも苛めるよう努めて参りたいと考えておるのであります。 また駐留軍離職者対策につきましては、第二十八回通常国会で成立を見ました駐留冠関係離職者等臨時措置法の線に沿って諸般の対策を推進し、これが対策に万全を期しておるのであります。 このほか失業保険の五人未満の零細事業所への適用拡張につきましても、第二十八回通常国会において成立を見ました失業保険法の一部改正法が十月一日から施行されており、これに基いて零細企業労働者に対する保護に努力いたして参る所存であります。 次にわが国産業労働の実情を見ますると、中小零細企業の労働者は大企業の労働者に比して、労働条件の面はもちろん、福利厚生の面でも著しくかった状態に置かれていることは周知の事実であります。従って政府といたしましては、中小企業の労働者の福祉の向上、雇用の安定、さらには企業の存立発展をはかるために、退職共済制度を実施すべく目下検討中でありまして、各界の御意見を十分に伺った上で成案を得たいと考えておるのであります。 また最近、産業災害は依然として減少せず、なかんずく中小企業における災害の増加と喧大災害の発生は見のがしがたい事実であります。ここにおきまして政府は、総理府に臨時産業災害防止懇談会を設置して、各界の意見を聞いて総合的な産業災害防止計画を樹立し、災害防止対策を強力に進めて参る所存であります。 次に、わが国の労使関係は逐年健全化の道をたどっておりますが、他面なお未成熟の面がかなり多く残存しておりまして、依然として一部労使においては行き過ぎが見られ、労使協力の体制を築きしげようとする努力に欠けるものがあります。特に国権の最応機関たる国会で国民大多数の意思として成立した法律を軽んじ、これを無視するものがありますことはきわめて遺憾にたえないところであります。 労使関係のかかる現状にかんがみ、労働秩序の確立をはかり、近代的労使関係の形成を促進することが最も緊要であるとともに、国民の世論の要請にもこたえるゆえんであると考えるのでございます。従って、そのためには労使おのおのがわが国民経済のにない手としての責任を自覚し、場共通の基盤の上に立って話し合い、生産性の向上、ひいては国民経済の繁栄に協力し得る体制の確立を促進するとともに、労使はもとより、国民全体の労働問題に対する理解と良識をつちかい、よき労働慣行の確立に努めて参りたい所存であります。 次に、賃金問題は労使関係の中心的課題であると同時に、国民経済にとっても重要な問題であります。従って、賃金の決定に当っては、単に労使間の関係のみでなく、広く国民経済的旋盤に立って公正に定められなければならないことは申すまでもないところでありまして、職務給、能率給、定期昇給制等に十分の検討を加え、合理的賃金制度を確立する必要も痛感せられるのであります。このために、労働省におきましては、今後さらに賃金及び労働に関する統計調査の整備をはかり、合理的な賃金制度に対する労使関係者の認識を深め、国民経済の実情に即した公正な賃金が労使間で合理的に定められるような慣行を確立するように努力して参りたいと考えておるのであります。婦人年少労働者の保護と福祉の向上をはかることはきわめて重要な問題でありますので、未亡人等就業困難な婦人の職業対策を推進するための内職公共職業補導所の拡充強化、家事サービス公共職業補導所の整備充実、さらにまた働く婦人の家の増設拡充、あるいはまた青少年労働者のための各種福祉施設の拡充強化をはかり、婦人年少労働者の保護に特段の努力を払って参る所存であります。 最後にILO条約についての考え方について一言申し上げておきたいと存じます。政府といたしましてはILOの精神並びにその採択した条約を尊重し、その活動に協力するという基本的な態度は従来とも変りないところであります。しかしながらILO条約の批准につきましては、個々の条約についてわが国の経済社会の実情と調和を保ちつつ慎重に検討を要すべき問題であることはいうまでもないところであります。 以上、簡単でありますが労働行政についての私の所見を申し述べた次第でありますが、今後とも各方面の御意見を十分拝聴して労働行政を推進して参る所存でございますので、どうぞよるしく御協力賜わらんことをお願い申し上げる次第であります。
○園田委員長 本日はこの程度にとどめます。 次会は来たる七日午前十時より開会することとし、これにて散会いたします。 午後二時二十八分散会