外務委員会科学技術振興対策特別委員会連合審査会 第1号
- 発言数
- 67 件
- 登壇者
- 8 名
- 会派数
- 2
- 開催日
- 1958/10/28
会議録
○櫻内委員長 これより外務委員会・科学技術振興対策特別委員会連合審査会を開会いたします。 私が案件の付託を受けました委員会の委員長でありますので、連合審査会の委員長の職務を行いますから、御了承下さい。 原子力の平和的利用における協力のための日本国政府とグレート・ブリテン及び北部アイルランド連合王国政府との間の協定の締結について承認を求めるの件、原子力の非軍事的利用に関する協力のための日本国政府とアメリカ合衆国政府との間の協定の締結について承認を求めるの件、及び原子力の非軍事的利用に関する協力のための日本国政府とアメリカ合衆国政府との間の協定を改正する議定書の締結について承認を求めるの件、以上三件を一括して審議を進めます。
○櫻内委員長 質疑の通告がありますので、順次これを許します。岡良一君。
○岡委員 私は、御提案の米英に対する動力協定、その内容に立ち入る前に、このような協定を急ぐことが、わが国の原子力外交の正しい路線という立場から見て適切であるかどうかという点、並びにこの両協定は動力炉を導入する前提となりますが、現在の国際的な原子力発電の実情から見て、動力炉を導入するということが、果して日本の将来の原子力開発にとって正しい方向であるかどうかという、この二つの点をまずお伺いいたしたいと思うのであります。 不幸にして藤山外務大臣がきょうは御病気で、御出席がないのでありますが、原子力政策は、今日すでにアトミック・ディプロマシーという段階まで来ておるように、わが国の場合は、特に外交問題にかかるところが多いのでありますから、原子力委員長としての三木国務大臣の率直な、責任ある御所信をお願いいたしたいと存じております。 そこで、まず前段の問題でありますが、果して今日われわれが米英との動力協定を急ぐことが、わが国の原子力外交、科学外交という立場から正しい行き方と言うべきであるかという点であります。昨日、同僚の松本さんからの質問もあったかと伺っておりますが、政府はいかなる理由によって、国際原子力機関の理事会に、わが国の原子力発電計画を提示してその援助を求めなかったのであるか。この点を明らかにしていただきたいのであります。国際機関の憲章は、加盟国の原子力開発計画が理事会に提示されるならば、機関はこれを審査し、適切と認めた場合、燃料、資材、情報の援助のみならず、これが建設に必要な資金のあっせんをさえ明らかにいたしております。しかも日本は、昨年の第一回総会においては、アジア地域から選ばれて機関の理事国に就任をいたしております。従って、理事者として機関の運営に直接参画し、発足早々の機関をしてその掲げる大きな目標を達成せしめるための重大な責任を分つべき立場におるのであります。この任務と責任を忘れたかのように、この際米英との動力協定を急ぐ、これでは、万一機関の理事国がみなこのような態度に出るということになりますれば、せっかく発足した国際原子力機関というものが全く有名無実と相なるのでありまして、この点わが方が米英との動力協定を急ぐということは、国際原子力機関の理事国たる自己の責任と任務というものを無視したる、極端に申せば背信的な行為とさえ言えるのではないかと存じます。この点まず原子力委員長としての三木国務大臣の御所信をお伺いいたします。
○三木国務大臣 岡委員の御指摘のように、国際原子力機関というものが去年の秋総会を開いて、日本は理事国になっておりますが、まだこれは具体的に国際原子力機構が動いておるという段階ではない。今後はやはり日本も理事国として、こういう原子力の平和利用が国際的な規模で行われることは好ましいと思います。現在はまだ日本がようやく燃料を三トン申し出て、これが初めての動きである、そういうふうなことでありますから、もし日本の原子力開発ということが、しばらく様子を見ておって、もう少し世界においてこの開発が進んだ段階においてやるべきであるという意見ならば、国際原子力機関が動き出すのを待っておってもいいわけでありますが、やはり将来の日本のエネルギー問題の解決には原子力の利用が好ましいということを決定いたし、政府は原子力開発の年次計画を立てておる。そういうことでありますから、御承知のように、イギリスからはコールダーホールの発電炉を輸入しようとしており、また、アメリカからも、これは研究炉ではなくして試験動力炉としての濃縮ウラン水冷却型の炉も近く輸入しようという考えであります。こういうふうに研究段階から試験あるいは実用段階に入って参りますと、どうしてもこの際日米、日英ともにこういう原子力の協定を結ばなければならない。一応日本の原子力の開発が段階が違ってきて、一歩進んだというところに、こういう国際協定の必要性があったわけでございます。
○岡委員 本年の三月の予算委員会の席上においても、藤山外務大臣は、結局国際原子力機関はいまだ原子力発電等の加盟諸国の計画に対して援助を与える段階に至っておらぬ。従って、日本としては、米英と動力協定を結ぶのであるというお答えがあったのであります。しかし、昨年の暮れに国際原子力機関、しかもこの機関の提唱国であるアメリカを代表してウイーンに常駐しておるマッキニー氏がはっきりと申している。それは、本年度内に機関は原料としてのウラン精鉱、あるいは燃料の濃縮ウランなり天然ウラン、また情報、施設等を提供し得る段階に到達した。そして、原子力発電についても、来年は多分機関としても援助し得るであろうということを実は言明をしておるのであります。なお、この協定において重要な問題をなしておる査察の問題でありまするが、先般私はジュネーヴでこの機関の事務総長のスターリング・コール氏に会いました。その席上においても、コール氏ははっきりと、一年以内に国際原子力機関としての査察班は編成し得るということを言明しておるわけであります。そういたしますれば、原子力発電に所要の燃料なりあるいはまた資材なり、特に情報に至っては、国際平和利用会議において相当な情報が集約されておるのでありまするし、査察の問題も一年以内に解決する、こういう情勢にありまするので、むしろ理事国としての日本は、こういう原子力発電のプログラムを持っておるが、機関は当然責任を持って日本の原子力発電計画に援助すべきであるということを強く申し出ることによって、今機関が活用し得る可能性を持っておるところの原料なり、燃料なり資材なりあるいは情報なり、かつはまた資金のあっせんなり、こういう援助を具体化せしめる大きな推進力になると私は思うのです。そういう意味からいいましても、国際原子力機関の理事国として、これを育てるという立場からも、日本とすれば当然可能性がないのではない。十分可能性が熟しておるのであるからして、日本は原子力発電について国際原子力機関にまっ先に申し込む、これが私は筋の通った原子力開発である、こう考えておるのでありますが、重ねて国務大臣の御所見を伺いたい。
○三木国務大臣 将来においては、日本が国際原子力機関を育て上げていくべきだという岡委員のお考えは同感であります。そういうことは好ましい。これはやはりいろいろな国際政治を超越した原子力開発の課題である。ところが、現実には、今申し上げたように、国際機関に対して具体的に燃料の申し出をしたのはやはり日本が最初である。こういうことで、この問題が具体的に取り上げられるという段階で、まだ原子力の国際機関から日本が実用炉を購入するという段階ではない。それまで待ったらどうか。何年か後にはそうなるから、待ったらどうかという考え方に対して、前内閣は、やはりこの際原子力の平和利用をやろうという決意を行なった。将来原子力発電というものを日本のエネルギーの総合対策から考えてやらなければならぬとするならば、そういう国際原子力機関が成熟するのを待たないで、できるだけ早ぐこれにふみ切ろうとする前内閣の方針は正しいと、私もこれを踏襲いたしておる次第でございます。
○岡委員 私が申し上げていることは、問題は国連機関を育てるためには、理事国として原子力発電についての計画をこの理事会に提示する。そうすれば、審査し、これに可及的可能な範囲における援助を与え得る力を国際原子力機関は持っておる、そう私は判断をしておるのであります。特に査察の問題は、さきも申しましたように、責任者が一年以内に査察班を作り得る、こういう言明をしておるのであってみれば、この問題は厄介な問題でも一年以内に解決がつく。かりにことしの暮れ、この動力協定に基いて英国にコールダーホール改良型を発注するといたしましても、実際に電気が出てくるのは、昭和三十八年の二十八万キロです。あなたは経済企画庁長官として、昭和三十八年における電力の需給状態が、こういう無理をしてまでも二十八万キロの原子力発電をどうしても確保しなければならないことはない。これは先般の動力白書にも明らかであります。してみれば、何も急ぐ必要はない。一、二年以内には必ず国際原子力機関としてもりっぱな援助を与え得る条件が熟しておるのだから、これをもっとプッシュしてやるという方向に日本が進んでいくというのが、日本の原子力外交の正しい行き方だと私は思います。また機関は機関として直接の援助を与えないでも、他の先進国との間の協定について仲立ちもでき得るわけです。でありまするから、そういうふうな機能において国際原子力機関の援助を期待することもできるわけです。これをただ直ちに米英と日本との双務協定という形で進めていくということになりますると、現にこの間第二回の国際原子力機関の総会においても、ユートラムとアメリカとの協定問題が非常に大きな論議の種になった。せっかく全世界一丸となって原子力の平和利用の普及に努めるという憲章の目標を掲げて発足した機関が、第二回総会では東西両陣営が大きく対立をするというふうな状態になっておることは、機関の将来のために私は非常に遺憾であり、事原子力に関する限りは特に私は遺憾なことであると思います。ところが日本が米英に対していち早く双務協定を結ぶということになると、どうしてもやはりそのこと自体か、原子力外交の分野において東西両陣営の対立を激化する方向に、日本の原子力外交が行くということに結論づけられると思う。そういう意味で国際原子力機関というものをもっと親切に、もっとこれを強力にしろという気持で、ぜひ私はお進めを願いたいと思います。 次の問題でありまするが、特に第二次大戦後の科学的交流ということが、御存じの通り国際的に一つの大きな問題になっておる。軍事的な意味は持っておりまするけれども、昨年は米英の原子力の機密情報の交換があり、その他各国においてもこうした科学的な交流というものが非常に顕著に行われてきておるようであります。しかし科学というものは申し上げるまでもなく、国境や民族を越えた真理の探求の場でありますから、従ってこの科学の発展というものはどうしても政治的な作為抜きに世界各国の協力を必然的に要請をする、これは私は当然なことだと思うのであります。そういう意味で一九五五年にジュネーヴで開かれた原子力平和利用のための国際会議は約三千の各国代表が集まって、その最終日には、原子力の平和利用のために全世界の科学者が協力をしようというステートメントを発表しておる。今度の会議では、前回の三千がやがて六千名に近い、しかもこの会議では終始一貫——前回の会議では科学者は原子力の平和利用のために協力しよう、平和について語り、人類の福祉のために原子力を役立てようと、人類の福祉について語りましたが、今度の会議は、最初ペラン議長の開会の辞に始まって最終日まで、もはや各国における原水爆推進の役割を務めておる科学者の発言というものは、ほとんど無視されるというふうなところまでいって、非常にきびしい批判が浴びせられておるというような状態である。私はこの会議で、世界の科学者というものが、かつては平和と繁栄について語ったが、今日はりっぱな平和主義者、ヒューマニストとして成長しておるという姿を見ることができたし、この第二回の平和利用会議の大きな成果というものは私はそこにあろうかと思っておるのであります。そういう意味で私はこの動力協定というものが、こういう観点から見た場合、先ほども申しましたような事情によって、むしろ人為的に作られたところのいわゆる東西両陣営のいずれか一方に偏するという形において、科学者の協力というこの大きな国際的な動向というものに逆行する、そういう危険を私は感ずるのであります。科学の中でも科学の中心といわれる原子力外交においてこういう方向をたどるということは、国際原子力機関というものを抜きにしても、日本の正しい科学外交のあり方、原子力外交のあり方ではないのではないか、こう考えておるのでありますが、国務大臣の御所見を承わりたい。
○三木国務大臣 最近に岡委員は原子力の国際会議に出席をされまして、いろいろ世界の動向について非常に関心を持たれ、今お述べになった御意見のように、原子力を軍事的利用ではなくて、これを平和的に利用しようという機運が世界の科学者の間から盛り上って、それが大きな世論になって原子力の軍事的利用が禁ぜられるような事態が醸成されることは、非常にわれわれとしても渇望いたすわけであります。しかし今日日米の間に原子力の協定を結ぶことが、かえってそういうふうな機運に対してそむくのではないかというようなお話でありますが、そうは思わないのであります。やはり一国の外交はその国の利益ということが中心になるわけであります。日本が原子力を実用化そう、こういう決意をした以上、日本が日英、日米の間にその協定を結んで、その実用化の第一段階に足を踏み入れようということは、大きな国家的な利益から判断をして決定をしたものであります。そういう日本の外交のあり方というものが世界のためにもならぬ、日本のためにもならぬとは思わない。日本の利益のために、この際原子力の平和利用のための開発をやることがいいということであるならば、現在の段階においては最も好ましいと考えられる、そういう平和利用を可能ならしめるような国際協定を結ぶことは、これは岡委員の御指摘のような結果にはならないんだ、こう考えます。
○岡委員 新聞の伝えるところによると、ソ連邦との間に文化協定の折衝がまた始まるやに聞いておりますが、事実でありましょうか。そしてまたそういう場合、あの国も相当核分裂反能なり融合反応なりにおいては高い経験を積んでおるようでありまするし、エジプトなりインドなり新中国なりの若い研究者も相当向うに行って勉強しておるようです。科学に国境なし、そしてまた科学の発展はいよいよ全世界各国の協力を求めるという観点において、ぜひ一つこの文化協定の中に原子力に関する協定というものを、せめて情報の交換くらいの点は含めて交渉なさる御用意があるかどうか、この点外務大臣がおられなければ条約局長から承わりたい。
○高橋(通)政府委員 ただいまの御指摘の点でございますが、日ソ間に文化協定の問題がただいま考慮されているということは私承わっておりますが、まだ具体的にそのような決定がどの程度行われたかというような詳細な点は存じておりません。ただ御指摘の点は上司にお伝えいたしておきます。
○岡委員 原子力委員長としてこの問題は所管の事項でもありますので、ぜひそういう方向にお進めあってしかるべしと思います。なお今日米動力協定等において先進国の技術等を導入する。このことによって日本の原子力の開発を進めて、それを通じて全世界の原子力の開発なり福祉に貢献しようという御趣旨のお話がありました。そこで問題はそれでは日米動力協定の折衝の過程において私は若干疑義がありますので、率直にお伺いをいたしてみたいと思います。先ほどおっしゃいましたように、私は先般小金委員長にお供いたしまして、ワシントンでアメリカの原子力委員会の代表者と会いました。このときに同行の菅野さんから昨年われわれがこちらに参ったときに、日本の国民は原水爆の唯百収大の被害者という立場から、使用済み燃料からプルトニウムができる、これがアメリカの軍事利用に供されるということについては非常な関心を持っておる。ぜひ一つ協定成文に軍事利用には用いない。平和利用に限るのであるということをはっきり入れてもらいたいということを申し上げたら、原子力委員会としてはわかりましたと言っておられた。ところが六月十六日調印され発表されたところの協定を見るとお約束が守られておらない、これはアメリカ原子力委員会としては全く不信な行為ではありませんかという手きびしい反論がなされたのであります。ところがその席上で原子力委員会の代表者は、そうとあらば協定本文の中に入れるか、入れないまでも何らかの形で御趣旨を一つ盛りましょうということをはっきり言明をされた。私はこのプルトニウム平和利用の問題は、動力協定の問題の中でも一番関心を払った問題といたしまして、先般の通常国会でも特別国会でもこの問題に触れて、本会議でも委員会でも政府の所信をただしたところ、外務大臣は御趣旨に沿うように努力すると言明になった。ところがふたをあけてみたらこの平和利用の問題ははっきり協定本文に入っておらない、ところがさて国会の代表に準ずる立場で私どもが出かけていって先ほどのような経過になった。そういたしますると、一体原子力委員会は、委員会決定としてプルトニウムの平和利用ということはやはりはっきり出しておられる。出先の外務省ではどういう事情であったか知らないけれども、この条項を落しておる。われわれが出かけてかけ合えばわかりましたと言う。それも一時間以内の即決の返事です。そうなりますと私は一体日本の原子力外交というものがこういう形で進められているのかどうかということについて、非常な疑問を正直なところ持っておったのであります。出先が弱腰であるのか、原子力委員会が弱腰であるのかわかりませんが、いずれにいたしましても、事実は事実として見のがすことができません。こういう形で日本の原子力外交が進められたのでは、私どもとしても非常に将来が懸念されるのでありますが、この間の事情については明確なところを一つお答えを願いたい。
○北原政府委員 ただいま御指摘のございましたプルトニウムの平和利用に関する日米間の交渉の経緯に関して御説明申し上げます。六月十六日に日米原子力一般協定を署名を了しまして、その際は、この前の特別国会において御説明いたしました通り、当時アメリカ政府といたしましては、一九五六年の十一月の大統領の声明によりまして、米国が供給いたしました原料から生じたプルトニウムは、米国側においてこれを平和的利用にのみ使うという趣旨の大統領声明を、そのまま今後とも持続していく、アメリカ政府の政策としてそれを覚書に明記するということで、一応日米間の了解等をしたわけでございます。その間交渉中におきましても、わが方からは、日本の原子力基本法の精神にのっとりまして、ぜひともこれを協定中に明記いたしたいということを、強硬に主張して参ったわけでございますが、何分にも当時米国政府の締結しておりました十四の原子力協定の中には、これはどうしても協定中に含めないというはっきりした建前をとっておったわけでございます。これはある意味で、米国政府の原子力法に基きます各国との原子力協力に関します協定のひな形の問題として、どうしても納得せしめ得なかったわけでございます。ところが、わが方が六月十六日に協定署名いたしました後におきまして、米国とユーラトムとの協定か成立して——もちろん当時は発表されていなかったわけでございますが、その間日本政府といたしまして、米国とユーラトムとの間に、書簡をもってこの平和利用に関する点を明記しているという情報を得まして、自後米国政府に対しまして、日米間の協定とそれから米国・ユーラトムの協定をめぐります食い違いにつきまして、種々協議を開始したわけでございます。その間、ただいま岡先生の御指摘がございましたように、米国政府と直接日本関係者との間にもいろいろ折衝がございまして、八月上旬からこの件に関しまして、ワシントンで米国政府と正式に折衝を開始いたしました。それが九月の上旬に入りまして、やっと米国政府といたしましては、従来のひな形を変更する用意ありという回答を正式によこしました。結局そのあげく、わが方が昨年以来主張して参りました、協定明文中にはっきりと明記するという点の主張を通し得たわけでございます。以上。
○岡委員 このワシントンにおける原子力委員会の代表の人たちと私どもとの間の話し合いは、ここでそう長々と申し上げませんが、とくと一つ菅野さんなり秋田さんからお聞きを願いたいと思う。私ども一同が実はあぜんとするくらい、現地の諸君は一体何をしているのかということを感じたことだけははっきり申し上げて、今後一つ十分戒心をしていただきたいと思います。 なお三木国務大臣が席をはずしておられますので、若干問題を飛ばしまして、動力炉をこの協定によって導入することが、日本の将来の原子力開発にとってどういう意義を持っておるか、今動力炉の輸入を急ぐことはどう評価すべきかという点について、お伺いをいたしたいと思います。 そこでまずお伺いをいたしたいこと、それは原子力発電というものは、国際的に一体どういう段階にあるかということであります。果して実用段階に来ておるのか、それとも実験段階にあるのか、この判断は、日本が大規模の動力炉を導入する、少くとも二百五十億に近い巨額の資本を投下して動力炉を導入するに際しましては、この判断は非常に重要なポイントであると思う。一体原子力局としては、国際的に、原子力発電は実験段階にあると思われるか、それとも実用段階にあると思われますか。
○佐々木政府委員 きのうも松本先生から御質問がございまして、御説明申し上げたのでございますが、私どもの考えといたしましては、対英と対米の関係と申しますか、その発展段階において若干の相違がございますけれども、まず対英関係から見ますと、英国ではごく最近六十五万キロの実用発電炉を設計完了いたしまして、建設に乗り出すようになりました。その結果、大体三百万キロの発電を現実に建設にかかりつつあるし、またかかろうとしておるわけでございます。三百万キロと申しますと、日本の発電は千二百万キロでございますから、日本の全発電量の約四分の一というものを、はや原子力発電でもって建設しつつあるというこの事実は、とりもなおさず、あの形態の炉では、少くとも英国に関する限り実用段階に入ったと認識してもいいんじゃなかろうかというふうな観察をしております。欧州におきましても、御承知のようにイタリアでも、英国炉に関しては一基購入する契約を結びましたし、フランスでも、同型のものをただいま実用炉として建設中であることは、御承知のことかと思います。一方、米国の炉でございますが、これに関しましても、先般イタリアのSENNで世界銀行の国際入札がありました際に、米国のBW型の発電炉が、実用炉として入札に最終的な勝利を得まして、そうしてイタリアとしては、英国炉並びに米国炉の二基を同時に建設することになったことは、御承知の通りかと思います。従いまして、米国の濃縮ウラン系統の発電炉に関しましては、実用炉として踏み出すのはもう少し時期があとじゃなかろうかというふうに、われわれ観察しておったのでございますけれども、今度のイタリアの世界入札の結果、案外実用的な段階に入るのが早くなってきたというふうな印象を、非常に強く受けたわけでございます。従いまして、英米両方の炉とも、いろいろ解釈の仕方はあろうかと思いますけれども、実験段階というよりは、実用の段階に踏み込んだと見ていいんじゃなかろうかというふうに解釈しております。
○岡委員 アメリカでは御存じのように、シッビングポートにしてもドレスデンにしても、経済性の問題が起っておる。シッビングポートは、一キロワットの原価が大体六十四円、それからドレスデンにいたしましても、G・Eの当初の契約は四千五百万ドル。ところが建設当時でも六千万ドルを突破したということで、経済性の点で非常に疑問があるわけでございます。少くとも経済性が成り立つという実証が与えられておらない。従ってアメリカにおいては、経済性の観点から見ても、一応まだ実験段階にある。従って、SENNがP・WなりB・Wなりを実用炉として導入したということについては、世界銀行の権威ある機関のパネルが決定したことではありますが、私としては若干疑問が生ずるものと思っております。 英国の例を引かれまして、英国が実用段階に入っておる、こう局長は言われておる。しかし、これも、なるほど大規模な発電の設計が完了し、建設に着手した。ところが英国の方でも、国防省の要請で設計が変更になったことは御存じだと思う。プルトニウムが足らないからというので、いわゆる三千メガ・ワット・デー・パー・トンという燃焼率は、また五百程度引き下げるということになっている。従って、あとでも申しますが、七月三日に出ておるフィナンシャル・タイムス——英国では権威ある財政経済のニュース・ペーパーでありますが、これがはっきり指摘しておる。われわれはもう三千メガ・ワット・デー・パー・トンの燃焼率を得ることができないということになると、英国の発電炉の経済性を実証することができなくなったということを嘆いておる。英国の炉についても、果して経済性が成り立ち得るやいなやということについての実証は、英国自身が与えておらない。してみれば、一体国際的に見て原子力発電というものがほんとうに信頼し得るに足る実用段階にきておるかどうかということは疑問ではありませんか。局長はどう思われますか。
○佐々木政府委員 米国の炉につきましては、お説のように先の世界入札の結論のみをもってして直ちに実用段階に入ったと言うのは、あるいは早計かと思います。これは入りつつあるというように訂正した方が妥当かと思います。 英国の設計変更の問題でありますが、これはお言葉を返すようではなはだ恐縮でございますけれども、今までの設計を根本的に変えたわけではないのでありまして、従来の設計はそのまま建設して、ただ有事の際にプルトニウムをとり得るような、プルトニウムを主体にする炉に変え得るような設計をあわせて付加したというふうに御理解いただきたいと思います。 それからコストの点でございますが、かりに三千メガ・ワット・デー・パー・トンを二千五百メガ・ワット・デー・パー・トンにダウンした場合に、それではコストにどれほど影響があるかと申しますと、五百の差を現実のキロワット・アワーに直しますとおおむね邦貨で二十銭くらいの差ではなかろうかというような換算でございます。従いまして、今までの三千メガ・ワットの燃焼率を二千五百に落したから、直ちにそれが非常に大きいコストの上昇になるというふうに御運解いただくのは、いささかオーバー・ヴァリューではなかろうかというような感じもいたすわけであります。ほかの原因がいろいろありますれば、それが総合いたしまして問題が複雑になるわけでありますけれども、そのほかの条件が一定であって、いわゆる燃焼率そのもののみのダウンが大きくコストに影響するというふうに考えるのは、いささか私解せないのでありますけれども、ただいまテンダーを三グループよりとって検討中でありますが、ただいまの段階ではこの燃焼率に関しましても、従いましてまた燃焼率を主といたしましてというと語弊があるかもしれませんが、非常に大きい要素をなしておりますコストに関しましては、従来私ども考えておりました、また英国からも述べられておりました従来の千キロワット・アワー四円七十銭程度というこの目安が、ただいまの段階では大きく狂っているというふうなデータはまだないようでございます。
○岡委員 私もよく調べてみますが、しかし原子力海外事情に伝えられておるこのフィナンシャル・タイムスでございますが、読んでみますと、その他の資料も総合して判断してみますと、プルトニウムが必要となるときには燃焼率を下げるような措置にしたのではなく、国防省では設計変更をしろ、設計をプラスしても、とにかく今建設中の四基の炉については、やはりプルトニウムをあわせて生産する炉としてこれを使用するということを国防省は要請をし、それを英国原子力公社は承認をしておると私は理解しておる。従ってもしそうなれば今あなたは三千メガ・ワット・デーを二千五百メガ・ワット・デーに下げたときの云々と申されますが、プルトニウムの専用炉にするとすれば少くとも五百メガ・ワット・デーぐらいには下げなければならない。そうでなくては能率的なプルトニウムの生産はできない。だから五百に下げるという状態においてこの炉か運転するということになれば、経済性の問題は私は大きく変更するのではないか、こういう点は私もまだ考えが足りませんので勉強したいと思いますが、そう局長の言われるように三千か二千五百か、二十銭しか違わないという単純なものでないと私は思う。この点、経済性の問題について、一つまた十分お互いに研究したいと思いますが、私はむしろ経済性の問題よりも安全性の問題として、あとでゆっくりまたお聞きしたいと存じます。 委員長、三木さんが来られるまで暫時休憩願いたいと思いますが……。
○櫻内委員長 それではちょっと速記をとめて……。 〔速記中止〕
○櫻内委員長 それでは速記を始めて下さい。岡良一君。
○岡委員 この際、原子力委員長にぜひ御奮起をお願いしたいと思います。それと申しますのは、先ほども休憩中に若干申し述べたのでありまするが、原子力委員会は原子力基本法にのっとって、きわめて良心的な決定をおおむね出しておる。ところが、さてそれが現地において、相手国との交渉という段階になってくると、私の見るところでは、腰砕けの状態になる。私はその事例を申し上げたのですが、それではせっかくのこの原子力委員会の御決定の権威がない。御案内のように、たとえば西ドイツで研究協定を改定する場合には、当時の原子力大臣であるシュトラウスがみずからワシントンに乗り込んで、そして非常に有利な研究協定の改定をやっております。私は現在の段階では、外務省もさることながら、原子力政策の大きなパートが、原子力外交という方向にあるのでありますから、やはり日本の学界の権威なりの意見も十分にお聞きになって、委員長みずから——若さと革新と情熱というものがあなたのキャッチ・フレーズなんですから、ぜひワシントンでもロンドンでも出かけていって、一つだめ押しをするくらいの御奮起を願いたい、こう思います。 それから次に、アジア、アフリカとの協力の問題について私の所信を申し述べて、御意見を承わりたいと存じます。私どもの属しておりまする科学技術委員会は、昨年の暮れにアジア、アフリカ諸国と協力して、ぜひ一つ原子力の開発をやろうではないかという決議を採択しておるのであります。そこで、先般も小金団長のおともをして、私どもジュネーヴで国際原子力機関の事務総長のスターリング・コールに会って、この決議の趣旨を申し述べまして、そうして国際原子力機関としてこのようなわれわれの決議に対して、どういう援助を与えるかということを、具体的にただしたのであります。ところが、若干のアイデアをコール氏は示しましたが、その中で、やはりアジア、アフリカの諸国がどうしたら原子力の研究開発を推進することができるかという、具体的なプログラムを国際原子力機関に出してくれ、そうすればそれを審査した上で、適当と認めればできるだけの協力を惜しむものではない、こう申しているわけでございます。国際原子力機関の憲章にも、後進地域、低開発地域に対しては、優先的に援助をしようということをうたっておるわけでありますから、われわれとすれば、当然これを要求する権利もあるわけであります。しかも米、英、ソは、軍事利用を掲げておりますので長足の進歩をしている。一方ではユーラトムができて、西欧六ヵ国もまた協力の形において、どんどん原子力の開発を進めている。全くアジア、アフリカというものは、いよいよこの原子力の分野においては立ちおくれを示すことは、当然だろうと思うのであります。そこで、何とかこの際アジア、アフリカの原子力開発についても、日本が責任ある指導力を発揮して、そして原子力の開発を進める。そこで先ほど申したような経過からいたしまして、私は帰りにカイロで、ちょうどエジプトとインドが国際機関の理事国でありますので、原子力委員会の諸君に会いました。フル・メンバーで会ってくれました。そこで日本の国会の決議も報告をしたところが、そしてまたコール氏の意見も申したところが、非常にけっこうだ、だからぜひこれはやってもらいたいという強い賛成の意向を示しておったわけであります。しかし、もちろんこういうことはきわめて非公式な話し合いのことでもありますので、これは政府間の仕事にするなり、あるいは原子力委員会として積極的に手を打っていただいて、そして、私どもの昨年の暮れに決議をしたこのおくれた国々の協力、それに対して日本ができるだけ責任を持って、積極的に措置するというこの決議の趣旨が、十分実現し得る可能性があるということが一応見通しが立ちましたので、この際ぜひ一つ原子力委員会として御奮起を願いたい。あるいはまた外務省としても御協力いただいて、ぜひともその実現のために、将来アジアトムを作るというくらいな大きな目標のもとに、ぜひとも一つ積極的に御努力を願いたい、こう思うのでありますが、この点について、国務大臣と、また条約局長、北原さんあたりの御意見を承わりたいと思います。
○三木国務大臣 岡委員のお話ごもっともだと思います。アジア諸国の急激な経済開発というものに対しては、やはり原子力の平和利用という部門が後進国にはきわめて重要な意義を持っておる、従って国際原子力機関のアジアにおける平和利用のセンターを設けたい、これは日本は国際原子力機関を通じて強力にその実現を推進したい、こういうことによって昨年度決議の趣旨にも沿いたいと考えております。
○北原政府委員 大臣の御答弁を少しく補足させていただきます。国際原子力機関でこの種の事業のために百五十万ドルの特別の基金を作りまして、それに対して日本は、九月の理事会におきまして、百五十万ドル全部集まるという条件のもとに二万ドル醵出するという意向を表明いたしました。現在のところ、この種センターにつきましては、ウイーンに四十万ドルをもってまず本部に訓練のセンターを作るということが決定されております。わが国といたしましては、アジアにおきましてアジアの実情に沿った訓練のセンターを作りたいということをかねがね申し入れておりまして、特にアイソトープの農業、医療等における利用とか、アジアにおきまして直ちに始め得る具体的な計画を提示すべくいろいろ検討して参ったわけでございます。今後ともこの問題が理事会において取り上げられます際には、このラインに沿って具体的な提案を進めていきたいと思っております。
○岡委員 ぜひ一つ、単に訓練のセンター——もちろん開発、研究のためには人が第一条件でありますから、機構を作ることはもちろんでありますけれども、インド、エジプトだけじゃなくて、タイへ行っても、パキスタンへ行っても、ビルマへ行っても、とにかく名のみの原子力委員会はあるわけであります。それから原子炉は来年の四月にはエジプトで運転を開始する。原子力委員会は、インド、ビルマ、タイ、パキスタン、中国、日本にあるわけでありますから、これらの原子力委員会相互の間で情報を交換するなり、また人を交換するなりしながら、友好をあたためながら一つの統一された共同計画を、単に人の養成だけではなく、もっと具体的な原子炉の設置なりそういう問題について、逐次その計画をお進めいただくように私は切望いたします。 それから先ほど原子力局の方との話し合いで、一体国際的に見て原子力発電というものが実用段階にあるのか、実験段階にあるのかということで、実は原子力局長と話がまだ解決がつかないわけです。そこで、私の考えるところによれば、何しろコールダーホール改良型を買うということになると二百五十億も金がかかる。もしこれが実験段階のもので間違いが起ったということになると、これはまあお金の損失だけではなく、日本の特殊な国民感情から見ても、原子力というものに対して本能的な恐怖を持っておりますので、教育用の小さい原子炉さえまだその敷地が決定しないという段階で、もし大がかりなものが事故を起すということになると、日本の原子力の開発というものはその瞬間に停止しなければならぬと私は思うのです。特にこの原子炉の安全性については私は重大な関心を注いでいかなければならないと考えて、一体実験用の原子炉というものが、実用段階にあるのか、実験段階にあるのかという判断がこの場合非常に大事ではなかろうか、こう思って先ほどもいろいろ申し上げておりました。この問題はきわめて専門的な技術的な問題でもありまするので、できたら、委員長におかれましては、日本の学界なりその他関係者の権威ある方を委員会に御招致願って、そしてまた参考人として御意見でも聞かせていただくような手順でもとって、動力協定は動力炉導入の前提でありますので、ぜひ一つ十分に御審議を願いたい、こう思っております。 それからそれに関連いたしまして、日本が、動力炉はもとよりでありまするが外国から原子炉を輸入する、その安全性というものに対して、現在のような取扱いでいいのかどうかという点をこの際検討すべきではないかと思うのであります。いよいよ協定が結ばれる。そうすると動力試験炉もかなり大がかりなものがアメリカから入ってくる、あるいはコールダーホール改良型が入ってくるというようなことも予見されるのであります。そうなってくると、現在のような原子炉の安全性に関する観念と取扱いでいいのかどうかという点でございます。特に日本においては安全性は政府の責任において真に保障してもらわなければならないということは、先ほども申したのでございます。これはまあ一つの憶測ではありまするが、しかしアメリカの権威あるAEC所属の機関が発表しておる公式な記録にこういうことがある。それは、万一大規模な動力炉の燃料が全部溶けるというふうな大規模な事故を起した場合にはどういう結果が起るか。そうすると半径百六十キロ以内の人々は全部緊急避難をしなければならない。東海村と東京が百二十キロです。そういうことは起り得ないことではない。万一にか起り得る可能性がある。そういうことになりますると大へんな騒ぎになり得るわけです。こういうことは非常な老婆心とは思いまするけれども、一応公式な記録で発表しておるのでありますから、そういうことも頭に置いてこの安全性というものを考えなければならない。 では一体原子炉の安全性について、これで安全であるという認定をだれが下すのか。なるほど原子力委員会には安全の基準に関する委員会がある。通産省にもある。あるいは学術会議にもある。とにかくまだ経験のない人たちが寄ってたかって割拠的に幾つも安全基準の委員会を作っている。なるほどその意見が一本にまとまればけっこうでありまするが、それならば最初から、原子炉の導入についてはその炉の安全性について権威ある最終の意見を出し得る機関を作るべきじゃないかと私は思う。アメリカの場合でもやはりAECとはある意味において独立の機関がある。安全諮問委員会というものがある。AECへある会社が原子炉を作りたいといって設立の認可を申請いたしますると、設計やその他関係の書類というものは一括この安全諮問委員会に回す。それを安全諮問委員会が十分に検討して、さらにその検討の結果もあわせて今度は公聴会を開く。そうしていわば衆議の上に、下までおろして、安全であるということについての納得を得た上で、初めて原子炉の設立の許可をする。アメリカにおいてもここまで周到な注意を払っておるわけであります。ところが日本は、なるほど原子力委員会は総理大臣なりの諮問に応じて安全の基準をきめ、答申をしなければならないことになっておりまするから、原子力委員会がすべきではありまするが、そうあっちこっちに人の少いのをばらばらに置かないで——しかも調べてみると同じ人がそれぞれ名前を連ねておるようでありまするが、この際原子力委員会が意見を十分尊重し得るような、下部機関とか対等の機関とかなんとかという意味ではないが、権威ある一本の安全諮問委員会を日本は作るべきだ、そうして国民も納得し得るようなそういう措置を講じつつ、原子炉の安全性というものについて政府の責任を持つ、私はこういう取扱いがぜひ必要ではないかと思う。なるほど現在の行き方もそのひな形ではありまするけれども、また完全にそこまで行き切っていない、そう私は思いますので、この点委員長の所信をお伺いします。
○三木国務大臣 岡委員の御指摘のように、原子炉の安全性というものは私もきわめて重視をしておる。これに対して最終的な結論が出ない前においては予定をおくらす場合もある、必ずしも当初予定しておったような時間表によってコールダーホールを輸入するとは考えていない。安全性というものに確信を得なければ輸入はいたさない方針であります。それだけの慎重な態度はとりたい。その機構については、原子力委員会の中に、岡委員も御承知のように、安全性に対して審査する専門部会がある。その専門部会というものは、現在においては一番権威のある人々を集めておりますが、公聴会というようなことは別として、それ以外の人たちの意見も聞きたい。最後は原子力委員会できめるわけでありますが、これに対しては、十分衆知を集めて新しい原子力の平和利用に関する事業が国民の不安をもたらすようなことのないような確信をもってこの事業を始めたい。これは強い私の決心でございます。
○岡委員 私は原則的に安全性の問題について政府がどう保障すべきかという手続について私見を申し上げたのでありまして、なお細部の点でいろいろ私にも意見がありますが、これは後日の機会に譲りたいと思います。 そこでそういう点から考えましても、私は現在この動力協定を結んだから直ちに動力炉を導入するというようなことについては非常な疑義を持っておるのです。むしろ反対の意見さえも正直のところ持っておるのです。そこでこれまで原子力委員会が発足してから今日までの経過というものを私どもは率直に自己批判をしてみる必要があろうと思います。一口に申しますると、一昨年の正月に、日本は近々三百万キロワットの原子力発電を五年以内にやるとかいうような非常に独走的な発表があった。それからというものは、原子力委員会はこう申し上げては失礼だけれども、どうもものにつかれたように原子力発電の旗を振られて独走されるきらいがある。その結果、かなめなところが忘れられておったのではないかと思うのです。そのことは今度のジュネーヴ会議でも、日本を代表して行かれた科学者の方々も異口同音に指摘をしておられます。それは基礎分野の研究という点です。なるほど原子力研究所は相当な予算をもって、予算が余るほどあるとも伝えられておりまするが、原子力研究所だけじゃなく、日本全体として原子力の基礎分野に対する研究というものを非常に怠っておったのではないか、従って、日本においては人の問題、人の質と量という問題が非常に原子力開発のかぎでありながら非常に立ちおくれておるということを率直に指摘しなきゃならないと思うのであります。私はそういう意味で、この際動力協定もさることながら、この機会に原子力委員長しとては、日本の人の問題、まじめな研究者を量的に確保するという問題、質的に高めるという問題、こういう点についても具体的なことはまた別の機会に申し上げたいと思いますが、ぜひ一つ御留意をいただきたい。このままで参りますると、基礎の分野というものが非常におろそかになる。なるほど先進国から動力炉を導入する、原料も導入するということになれば、昔の日本の自動車産業のように若干の修理はできるかもしれないが、完成品と原料をもらいまするから日本は運転手としての技術の習熟にとどまる。こういうような形で原子力の開発というものは進めるべきものではないと思うのです。あらゆる分野にわたりその一つ一つをきわめて深く掘り下げて、これを総合してまとめて原子力の研究開発、応用というものが進められておる現状において、ただ他国の粒々辛苦した完成品だけを取り寄せて平和利用するというだけでは、板についた、地についた日本の原子力開発というものは望めない。第一歩でありますから、この点について私は十分委員長としては御留意を願いたいと存じます。 そこで今度は協定に若干触れて申し上げたいのでありまするが、最初に日米協定、日英協定の共通の問題についてお尋ねをいたします。まず免責条項の問題でございます。米英と日本との交渉の過程においては、燃料要素の事故に基く災害のきわめて大規模であることについて日本側はこれを承認しておる。それでありますから導入する動力炉あるいは動力試験炉については、その安全性が少くとも燃料要素については相手国に保障しておらないということになるわけであります。言葉をかえて言えば、この協定に基いて導入する炉の燃料要素の安全性は、相手国としては保障の限りでないということになりますので、その結果万一燃料要素の故障によって事故が発生し、ひどく災害が及ぶということになれば、これは相手国の責任ではないので、損害の賠償は全部日本が引き受けるのだ、こういうことになっております。そうして見ると燃料の精練から成型、加工の過程については、日本としてもいろいろと点検を行い、その完全な燃料として日本に導入されるように努力するというお取り扱いになっておるというふうに私は承知しておるのですが、一たんたとえば英国なりアメリカから濃縮ウランなりあるいは天然ウランの燃料棒を取り寄せるときに、日本の技術として、そうしてまた時間的に完全な燃料として受け取るだけの点検を行い得るのかどうか、それだけの技術的な水準を日本が持っておるのかという点、私は若干疑義を持っておるのでありますが、この点はいかがになっておるのですか。
○佐々木政府委員 検査を事前に日本で引き取る前にすることに対しましては、御承知のように両国の間に了承がついておりますが、ただいま御指摘になりました、しからば検査能力いかんという問題が非常に重要な問題になってくるわけでございますけれども、現在現実の日本では御承知のようにまだ加工、成型等は一種の研究段階でありまして、これを実地に深く研究しておるというところまでいっておりません。ようよう東海村の原子力研究所に冶金研究所ができ、燃料公社にもそれぞれ基礎並びに応用の研究所が一つはでき、一つはこの暮れにできますけれども、そういうものを通じましてこれから研究して参るわけですが、何しろこの問題は国内のそういう研究のみをもってしては非常に不十分でございますので、近き将来に欧米諸国に、この条約でも通りますれば当然相手国でも情報なり実地の見聞を許可してくれると思いますので、調査団を出しまして、十分加工、検査等の研究をいたしたいという手順にしてございます。英国から現実に燃料要素が入って参りますのは五年以後のことに属しますので、それまでには今から馬力をかけて研究を進めて参りますれば、検査能力に対しましても十分わが国としても持ち得るのではなかろうかというふうに考えております。
○岡委員 これは日本としては非常に困難な問題で、ともすれば形式的に流れるおそれがあるのではないか。そうなれば困ると思うのです。相手国の保障しないものについて日本側の低い技術をもって、これは完全だという保障をしようというのですから、いわばできない相談をやろうということになるわけで、しかも重大な問題でありますから、よほどこれは慎重に御努力願いたいと思うのです。なおこういうような免責条項を含む協定によって政府が動力炉を導入する。さて燃料要素に故障があり、事故が起る。そうすると日本の政府が責任を持たなければならぬ。そうなりますと、国と国との協定においてここまで政府が責任を持ちましょうといっておる以上、この燃料というものがたとえば民間に貸与されても、あるいは売却されても、その所有権がどこに移転をしても、国と国との関係において受け取ったものについては、事故があれば日本政府が責任を持つのだ、こういうふうにはっきり協定という形において言い切っておる以上は、この損害については私は政府としては無関心でおれないと思います。この点もやはりしばしば問題になっておった点で、燃料の所有権をどうするかというようなことも、これに関連して起っておりましたが、その後この取扱いはどういう方針におきめになったのでございましょうか。委員長からお伺いをいたしたいと思います。
○三木国務大臣 原子力の燃料については政府が責任を持っております。従って今御指摘のような場合に、そういうことは万々ないようなそれだけの慎重さを持って燃料あるいは発電炉の導入をするわけでありますけれども、しかし一方においてはそういう万一の場合に備えて原子力の燃料あるいは原子炉を含む保険制度の確立をしたい。それで欧米等の例をとりましても、やはり民間の保険会社がある程度原資をプールして、そうして保険の責任体制というものが確立されておる。第一段階としてはそういう民間による原子力保険というものを考える。今民間の保険会社等も検討を加えておるのであります。第一段階としてはこの民間の保険制度の確立、第二段階としては、この各国の例を見ましても、ある程度保険の支払いの限度というものをきめて、それ以上のものに対しては国が責任を持つような体制になっておる国もあれば、あるいはまたイギリスのように、そういう場合には異常災害のようなことで、法律にはきめてないけれども最終的には国が責任を負うのだというような体制もありますので、従ってまだ相当時間もあることでありますから、こういう協定などを国会で通過をいたすようなことになって参りますと、いよいよ原子炉の導入というものが具体化するわけでありますから、その辺は原子力の平和利用について先進諸国の状態もよく考えて、そうして第三者に対して不安なからしめるような体制をとりたい、こう考えております。
○前田(正)委員 この免責の問題に関連しましてちょっと質問させていただきたいと思うのでありますが、今の免責から起る保障の問題はいろいろとあるのであります。まずその第一段階に入ります免責の問題について一つお聞きしたいと思いますことは、アメリカから参りますものは濃縮ウランでありまして、これは当然政府で買い付けるわけでありますから、この免責条項がありましても、日本政府が当然責任を負うわけであります。政府所有のものでありますから政府が責任を負うのは当然でありますが、イギリスから買い付けますのは天然ウランでありまして、この条約に基くと、政府または政府の指定した者が天然ウランを所有できるということになっております。しかしそういうようなことではその政府の指定した者が負いました免責に伴うところの保障責任というものを日本政府が永久に負うということはなかなか問題点が多いと思いますので、原子力委員会におきましては、当分の間イギリスから買いますところの燃料については、国または政府機関がこの燃料を所有する。こういうふうな決定をされて、それをこの前の正力委員長のときに閣議に報告されたと思ったのでありますが、それは大蔵省の反対等もあって十分了解できていないということでありますけれども、過日新聞によりますと、三木大臣が閣議に報告されて、閣議の正式に了解を取りつけたということが出ておりましたが、私は非常によかったと思っております。それに対して今度は大蔵省の方で反対だというふうなことがまた新聞に出ておりまして、閣議できまったものを大蔵省が反対したからといってひっくり返るものではないと思いますけれども、この際大臣が出ておられますので、明瞭に一つ国会の審議を通じて記録に残していただきたい、こう思っておるわけであります。
○三木国務大臣 やはり当分の間、将来にはこの原子力の平和利用というものは非常に進んで参りましょうから、民間の燃料の所有ということは当然考えられましょうが、この平和利用の確保、安全性あるいは国民感情、いろいろなものからいって、今日では、国または燃料公社で扱わせようと考えておりますが、その方が適当であるということで、この協定が閣議を通るときに、今前田委員の御指摘のように正力委員長のときには少しややこしい何か報告ということだけで、了承は得ていなかった。これはやはり明らかにしておくことが必要であろうと思って、提案をいたしました。そのときには佐藤大蔵大臣は、ニューデリーのIMFの総会に出席中であって、私が代理をしておったわけであります。しかし大蔵省に従来もこれに対していろいろな反対の意見があったので、代理とはいっても二役をやっておったわけであります。閣議では了承は得たのでありますが、その後新聞などで見ると何かぐずぐず大蔵省で言っておるようでありますから、佐藤大蔵大臣が帰ったときにもう一ぺんかける——もう一ぺんかけるというのはおかしいのでありますが、これは将来に疑義を残さないようにもう一ぺん閣議の議題にしまして、閣議の正式の——正力委員長のときのような形でなしに、文書にして閣議で了承を得ておりますから、この方針は政府全体の統一した方針であると御承知を願いたいと思います。
○前田(正)委員 それで非常によくわかりましたが、ただ当分の間というのは、今大臣からも御説明のありましたように、こういう特殊の物質でありますから、国民から見まして非常に安全だ、また同時に先ほど岡委員からも触れましたような保険の制度とか、そういったようなものが完備されて、民間においても、あるいはまた民間でカバーできないところは政府がその保険の再保険をするというか、そういうような制度が確立するというふうな、安心して民間に所有権を移していいという時期が来るまでというふうに解釈したいと思いますが、それで大臣としては御異議ないかどうか、お伺いしたいと思います。
○三木国務大臣 そのように考えております。
○前田(正)委員 それから今の岡委員の御質問に対しまして政府は保険の制度、それに対しますいろいろの処置を御考慮中であるように御答弁がありましたけれども、今回の一般協定というものがもし国会で承認をされるということになりますと、これは当然においていろいろと基礎的な問題の研究とか、あるいはいろいろの原子力の発展のための処置も講ぜられると思いますけれども、しかし何といっても原子力発電とかあるいは原子力の動力関係、船とかそういった方面の発展も非常に期待するものがあると思うのです。そういう場合に一番問題になりますのは、何といっても保険でありまして、今早急に保険の制度を検討されるというお話でございましたが、私たちの知識では日本の保険の能力でもっては、幾ら民間が保険をやりましてもおそらく原子力災害として予想されるようなものを民間保険だけではカバーできない。当然民間がある程度の保険を負わなければならぬと思いますけれども、それでおおい切れないような災害の起った場合には政府がこれに対して補償するというふうな考え方がなければ、この一般協定というものを成立さしても意味がないのではないかと思うのであります。一般協定は必ずしも動力だけではありませんけれども、しかし動力の問題が非常に大きな分野を占めると思うのであります。一つ政府としてもそういうふうな保険に対する保障、これについてはかたい決意でもって、大臣としてもそういう制度を、民間保険ではなしに国も責任を持ってやろう、こういうかたい決意を披瀝していただかないと、一般協定を成立さす意味がないのではないかと考えるのでありますが、もう一度大臣の決意をお聞かせ願いたいと思います。
○三木国務大臣 各国とも民間の保険が国際的な再保険などもやって、そういう道もあるようでありますが、しかし御指摘のようなそれには限度があるわけでありますから、どうしてもやはり国も責任を分担するという線に沿うて研究してみたい。従ってこの協定でも国会を通れば、そういう保険制度の進んでおる国に原子力局から派遣をしまして、早急に各国の例等も検討して成案を得たいと考えております。方向としては前田委員の御指摘のような方向で考えてみたいと思っておるのでございます。
○前田(正)委員 今のお話で、方向として御研究される大臣の趣旨はよくわかりましたけれども、問題は、研究されるだけでは実は国民としては安心ができないのでありますが、この条約を通すまでにそういうものを成案として政府がはっきり示していただくことはもちろんできないと思います。お話の通り海外のことを研究される必要はあるわけであります。ただこの条約が通りましたならば、それじゃ自動的に原子炉なり発電炉なりが許可されるかといえば、そうではなくて、もちろん原子力の規制の法律もあって、政府の認可が必要であります。そこで一つ大臣にお聞かせ願いたいと思うのでありますけれども、そういうふうな保障制度というものを、政府も責任を持ってはっきり心配のないような制度を確立するまでは、そういう国民に非常に不安を与えるような動力炉を——今の研究程度のものは、原子力委員会の専門の方たちがいろいろと安全性について研究されまして、それで大体心配ないということで許可されておる、これは私はけっこうだと思いますが、しかし不測の災害も起るかもわからないというような動力炉というものについては、政府としてはっきり保険あるは政府のそれに対する再保障などの方針がきまるまでは許可をしない、こういうようなことを大臣としてはここで一つ言明できるかどうか、お聞かせ願いたいと思います。
○三木国務大臣 原子炉を輸入しましても、それが実際に動くまでに年限がありますから、その原子炉が実際に動くまでの間には、必ずこの保険制度は確立をする。今許可を与えても、たとえばコールダーホールにしましても五年もかかるのでありますから、そういう期間もあることでありますから、その発電炉が実際に運転を開始するまでの間には、必ずこれに対する保険制度というものを確立する、こういう考えでおるわけで、今それができなければ許可をしないということは、許可したからといってすぐに動き出すわけでないのでありますから、多少その点に対して弾力的にお考えを願いたいと思うのであります。
○前田(正)委員 私の質問の仕方もちょっとまずかった点もありますけれども、その許可しないということには、許可の条件として、運転に対してもまた運転許可が要るわけでありますから、買い付けたり設置したりするのを許可されても、許可の条件として保障とか保険というものがはっきりするまでは運転の許可を与えない、こういうふうな条件で買付の許可を与える、言葉をかえて言えば運転の許可はしない、こういうふうなことをはっきりしてもらえるかどうかということを伺いたいと思います。
○三木国務大臣 もし保険制度が確立する前に許可を与える場合には、条件を付するつもりであります。それまでには必ず保険制度を確立しますから、その確立された保険制度にのっとって、設置者に義務を負わすような条件を付して認可したい、そう考えます。
○前田(正)委員 今のお話の点はちょっと違うのでありまして、保険を付して許可をされる、これはけっこうなんですが、その保険のまたもう一つ根本になる政府の保障というものがはっきりしないことには実際問題としてこの保険制度というものは有名無実——有名無実でもないですけれども、ある程度の限度しか保障できませんから、ほんとうの保障にならないわけです。政府がそういうはっきりした方針をきめて、そういう保険と保険に対する保障というものを確立するまでの間は運転は許可しない、そういう条件をつけて買付の許可をされる、こういうふうに了解していいかどうか、一つ御答弁願いたい。
○三木国務大臣 運転の場合はそういうふうにしたいと考えております。
○岡委員 私がさっき申し上げた点について御答弁が的はずれだったので、もう一度繰り返して……。私が申し上げたのは、いわば端的にいえば、政府の方で事故を起すかもしれない不完全な燃料を受け入れて、従ってその故障に基いて事故が起った場合には、すべてわが方においてその損害の賠償の責めに任ずる、相手国には責任がない、こういうことになっておるわけです。そこでそのように不完全なものであるから、日本の政府として低い技術水準であっても、可能な限りそれが事故の原因にならないように、完全に近いものを受ける努力をする。さてそこで燃料要素を受け入れて、かりにこの燃料要素を民間の者に使用させたとしても、また民間の者に所有権を移転したとしても、日本政府に責任があるのではないかということです。国家の保障というものが当然あり得べきではないか。保険とかそういうことは二の段だ。まず第一にこのようなものを十分知りつつ責任を背負って受け入れた以上は国家として道義的に十分保障の責任がある。まず私はこの原則をお立てになるべきではないかということをお尋ねしたわけです。
○三木国務大臣 岡委員の御指摘の通りだと思います。やはりこの条約からくるものは、最終の責任は政府であるということであります。
○岡委員 それから注文を発しても、なるほど炉が事実運転するというのは五年後だ。またアメリカの動力試験炉はもう少し年限も近くなりましょう。ただしかし時間があるからその間にゆるゆる一つ間違いのない制度を作ろうということは、私は不親切ではないかと思います。それは先ほどもるる述べましたように、何となく国民の間には原子炉に対する本能的な恐怖感がある。これがあの小さな教育用の実験炉の敷地の選定さえも、今もって予算は計上されながら二年越しできないという状態です。こういう日本の現実を見た場合には、動力炉導入に踏み切ったときには、政府はまず動力炉の安全性について責任を持つということです。炉そのものの安全性、どこにそれを置くかということは別として、具体的な安全に関する条件についても政府が保障する、万一事故が起っても政府で保障する、これだけの太い安全に対する責任と保障というものをはっきり片一方の手で出して、そしてこの協定と並行的にこれでいくのだというところまで本来ならばいくべきことだと思います。原子力委員会では有沢さんを中心に目下研究中だということを聞いておりますけれども、ゆるゆるとやられてはかなわないので、これは責任をもって——アメリカの動力試験炉はいつ入りますか。注文するといつ運転しますか。
○佐々木政府委員 ただいま来年の一月ごろに契約したいと思っております試験炉は、大体二年後から三年くらいかと思います。
○岡委員 ぜひすみやかに、まず国家の保障を原則として、付帯的に保険制度も考慮するというくらいに、国としての自腹を一つ切るという腹でやっていただきたい。これがやはり原子力開発の重要なてこになるわけでありますから、御考慮願いたいと思います。 なお保険制度の問題でありますが、アメリカの場合、これは若干法制的に、いわゆるプライス・アンダソン氏法がある。これでは、大体五億ドルまでの最高限の国家補償をやる。邦貨にして千八百億。そのかわりに原子炉の設置者は、七千万ドルは強制的にその原子炉について保険に加入しなければならない。非常に高額なお金を払わされておるわけです。こういうことは、やはり動力炉を導入する、そしてそれが運転するまでにゆるゆるきめるということでありまするけれども、発電単価にもかなり私は影響する問題がありゃしないかと思う。そういう点も考えて、十分に一つすみやかに御検討願わなきゃならない。それから、もう一つは、英国は五百万ポンドか何かだったと思いますが、これは国がやっておる。まだ各国としてやっておるのは英国とアメリカ、しかもそれが非常にこういうふうに最高の国家補償が違う。一つは邦貨にして千八百億、一つは邦貨にしてわずかに五十億というふうに、これは原子炉の安全性に対する観念、あるいはまた、原子力産業政策に対する顧慮から、いろいろな手を打たれておると思うのです。私どもは単に金額の問題じゃなく、そういう原子力産業政策とか、原子炉の安全性に対する判断とかいうようなものがやはりこの最高の補償額を決定する重要な参考になると思う。そういう点をも十分考慮して御決定を願いたいのである、御研究願いたいのでありまするが、なお私は、この問題はやはりどうしても国際原子力機関が当然責任をもって解決すべき問題だと思います。船舶やそのほかのいわゆる国際的な規模における保険制度以外に、この原子炉についての特殊なやはり国際的な保険制度を作る必要がある、そして、これは各国が醵出するなりして、フアンドをもって、これは国際原子力機関が提供した原子炉はもちろんであるが、それ以外のものについても包括し得るような国際的な原子力再保険制度を作るということは、国際原子力機関の私は当然の仕事だと思う。政府としても、国際原子力機関の理事国として、当然この国際原子力機関の将来の発展のためにも、運営上特にこの問題を取り上げて、強くその実視について推進をしていただきたい、こう私は思っておるわけです。委員長の御所見を承わりたいと思います。
○三木国務大臣 全く岡委員と同感であります。こういう問題について、国際的にも一つの各国に共通するようなパターンができて、やることが好ましい、そういうことで、その線に沿うて、日本も理事国として努力をしているようでありますから、その経過は外務省から申し上げていただきたいと思います。
○北原政府委員 ただいまの第三者責任に関します国際原子力機関における研究の経緯でございますが、最近やっとその話が国際原子力機関でも出て参りまして、第三者責任に関しまするアドホック・パネル、臨時審議会というのを作るという段階まで参りました。その際には、日本も必ず参加してもらいたいということを申して参りました。目下適当な専門家の方を決定いたすべく、方々に今当っております。大きな構想といたしましては、たとえば非常に、何分金額がかさむ問題でございますし、それからこの面では非常に将来のことでございますが、一般的な軍縮ができたときの財政面との関連、非常に大きな構想は種々出ているようでございますが、しかし現実の問題といたしましては、国際原子力機関から燃料を受け入れます際の免責条項の問題、これが提供国と原子力機関との間、それから原子力機関と受け入れ国との間にこれがどういうふうに入るかという点とも具体的に関連いたします。わが国はすでに三トンの受け入れを申し入れておりますので、その点受け入れ協定の形とその際における免責条項の問題、それとこの問題とも当然関連してくる問題と思っております。
○岡委員 そこで問題はすでにアメリカも二トンばかりの濃縮ウランの提供を国際原子力機関に申し入れをした。英国もソビエトも若干した。それからイエロー・ケーキは五十トン以上もし希望とあれば無制限に出そうとカナダはいっておるという状態で、国際原子力機関に対して燃料の申し入れがある、そこで特に提供国はさるごとながら、加工された燃料を国際原子力機関から受け入れる場合、今申し上げたように提供国と国際原子力機関の間には受け入れ協定がある、今度被援助国と原子力機関との間に受け入れ協定を作る、免責に関しては同文のものになると思うのです。その場合国際原子力機関が中心として作ったところのこの国際的な再保険制度の中には、国際原子力機関から原料を受け入れた国でなければその適用を受けないのではないかという懸念が実はあるわけです。この点については今日までの審議の過程においてはどういうふうに取り扱っておりますか。
○北原政府委員 現在アドホック・パネルがまだ発足しておりませんので、これは非公式に、事務局及び代表団の間での検討の段階でございますから、いまだにその点詳細に処置できないわけでございます。
○岡委員 私どもは現在原子炉を持っておる。あらゆる原子炉に対して国際原子力機関が中心となる国際原子力保険の適用を受けるべきだとは思いますけれども、これは非常に一方的なことであって、国際原子力機関から原料その他の提供を受けた原子炉でなければ適用を受けないということになりはしないかと私は思のです。それにつきましてもこの両協定のそれぞれ十一条、四条にありますいわゆる国際原子力機関への肩がわりの問題、日本が理事国として国際原子力機関を育てる責任を持っておる。従って特定国と双務協定を結んだとしても国際機関を強化し、できるだけ早い機会にこの双務協定を国際原子力機関との協定に肩がわりしていくという方針を当然私はとるべきだと思います。この点は原子力委員会としてはすでに国際原子力憲章を優先する、こう決定をしておられますので、御異議はないと思いますが、なお一つこの際委員長の御所信を承わります。
○三木国務大臣 国際原子力機関が充実してくればさように考えております。
○岡委員 そこで現に相当な提供の申し入れが先進国においてはある、一方査察も一年以内に編成できると事務総長が申しております。こういうふうに肩がわりし得る時期は、私は案外可能性は現に芽ばえて成長しておると思う。でありますからこの肩がわりは案外早くでき得るし、また早くさせなければならないと私は思うわけです。特にやはり保険との関連において急いでいくべきだし、国際原子力機関にも国際原子力保険を早く作らなければならぬ、その適用を受けるためにも原料の受け入れについては原子力機関から受け得るようにこの双務協定の肩がわりということが、この協定についての運営について、将来非常に重大な関心事になってくるわけでございますが、私はこれは、日本も理事者であるときに一つ、やはりこの肩がわりをやってのけるという条件は、国際原子力機関も私は持っていると思いますが、ぜひ一つ、できるだけ早い機会にやってもらいたいということを強く御要求をいたしておきたいと思う。そこで、ただ問題はこれは機関に援助することだけであっては、機関の強化にはならぬ。従って、やはりわが方といたしましても、この平和利用の国際原子力機関憲章の第一条の目的とかなうような自主的な体制を日本としてもどんどん進めていかなきゃならぬ。その場合、やはり一番問題になるのは、燃料の確保という問題でございます。ここでは濃縮ウランも相当量、全部炉に必要なものは入れる、天然ウランも日本の現在の能力ではまだ十分ではないが、足りない分は英国にもらうというような形でありますが、そこで私は、濃縮ウランと天然ウランの二つに分けて、日本が原料の確保に非常に積極的に努力しなければならぬという立場から、原子力局としてどういう計画を持っておられるか。天然ウランについては、一体総量どれだけ要るのか。いわゆる原子力発電の長期計画によっては、どれくらいの天然ウランを必要とするのか。これに対して年次的にどれだけの日本国内における充足計画を持っておるか。果してそれは技術的に可能なのかどうか。そういう点について、日本の国内のウラン資源等もあわせてこの際一つ御報告願いたい。
○佐々木政府委員 燃料の長期計画の問題でございますが、ただいま計画しております昭和五十年に六百万キロの原子力発電をいたします際に、一体どれくらいの燃料が必要であるかという点に関しましては、濃縮ウランと天然ウランのコンビネーションをどういうふうにするかという点で非常に相違が出てくるわけでございますけれども、大体エスティメートいたしました数字は、天然ウランに換算いたしまして、三千トンくらい見込んでございます。この三千トンという数量は非常に膨大な数字でございまして、ただいまこの条約に載っております濃縮ウランは二・七トンでございますが、濃縮ウランでありますから、天然ウランに換算しますと、もっと数量の多いものになりますけれども、非常に膨大な数量でございます。それでは、この三千トンの天然ウランは国内でどの程度まかない得るかという点でございますが、これは非常に問題でございます。しかしながら、ただいままで調査いたしました地下資源の状況等からいたしますと、精密な鉱量等の調査をある程度済ました地点は人形峠地区だけでございます。この地点から出ます天然ウランはこれよりもはるかに少い数量でございまして、鉱石にいたしまして、大体二百万トンから三百万トン程度でございますして、その鉱石の品位は大体〇・〇五くらいでございますから、これを天然ウランの数量に直しますと、百五十トンから二百トンくらいの見当になるのじゃなかろうかという感じがいたします。そういたしますと、所要量が、さっき申しましたように三千トンでございます。これから国内のウランをいろいろ調査をし、開発を進めましても、三千トンに見合う数量はなかなか国内から出るとも思えませんので、大半のものは海外から輸入しなければならぬというふうに考えております。ただその輸入する際に、それでは最終製品の濃縮ウランの形態で輸入すべきか、あるいは天然ウランの形態で輸入すべきか、あるいは粗精練と申しますか、イエロー・ケーキの段階で輸入すべきかという問題がいろいろございまして、目下その燃料サークルの問題を研究中でございますが、ただいままでの考えでは、できるだけこの粗精練のイエロー・ケーキの段階で輸入いたしまして、これを国内で精練をし、同時にまた、燃料要素として確保いたしたい、この段階をぜひ日本でやりたいという方針でおりますことが一つと、それから最後になりまして、この濃縮ウランは、非常にスライトの、爆弾を作るような高度濃縮ウランではなくて、ごく軽い、濃縮度の低い濃縮ウランが非常に有効だというふうにジュネーヴ会議等でも報告されておりますし、各国でも研究を進めておりますので、なるべくそういう軽度の濃縮ウランは日本でも作りたいという念願を持ちまして、その方面に努力をしつつございます。もちろん、米国から二〇%程度の濃縮ウランを輸入しておりますけれども、すぐその程度までの濃度の高いものを日本で作り得るという段階にはとうてい至っておりませんが、将来にはできるだけそういう方向に近づけていきたいというふうに考えておる次第でございます。
○岡委員 とにかく長期計画によると、一九七五年までには大体七百万キロ・ワットの発電をやりたい、天然ウランは三千トン、そのうち日本の自給能力はせいぜい二百トン、濃縮ウランはまるまるもらわなくちゃならぬというような格好で、これは特に日本のエネルギー資源として原子力発電はべス・ロードに乗せなければなりませんから、不可欠な原料ということになってくるものを、この七百キロワットというものがほとんど外国に依存しなければならぬということは、私どもも非常に残念なことなので、国内産は二百トンせいぜいだろうというふうにあきらめないで、ぜひ国内の探鉱にももっと力こぶを入れていただきたい。今さら申し上げるまでもないことだが、フランスなんかの場合、もう今年はあきらめよう、今年だけやろうというので、国内で探鉱をやってみたところが、とんでもない富鉱を二、三個所見つけて、フランスはある程度まで自給態勢を持つことができたという。私は詳しいことは知りませんが、できるだけ一つ、国内の探鉱についても御努力願いたいと思うのです。 ただ濃縮ウランの問題でございますが、なお先ほど御指摘の天然ウランに若干のプルトニウムを加えることによって、いわゆるスライトリー・エンリッチド・ウラニウムの作用が発揮できる。これは今度の対英協定の中で情報としてわが方に入りますか。またそれに所要なプルトニウムも入ることになるわけですか。
○佐々木政府委員 そういう問題は、軍事に関連せぬ限り、詳細な情報が入るという見込みでございます。
○岡委員 交渉の過程において——これは原子力公社のピアソン氏も私にいうておったですが、英国としても、天然ウランから、今度は天然ウランにプルトニウムをプラスして、スライトリー・エンリッチド・ウラニウムという形で燃料要素を作っていくという方針だと私に申しておりました。〇・四%から〇・六%のスライトリー・エンリッチド・ウラニウムでやっていくと、非常に能率的で、非常に炉の形も小さくなって、効率も高い、こういっておるわけですが、この情報は交渉の過程で入るのですか、入らぬのですか。
○佐々木政府委員 条約が締結されれば、当然そういうものは入ってくるという見込みでございます。
○岡委員 これは入ることにはっきりしておるのですか、情報の中に……。
○北原政府委員 私の記憶しております限りでは、交渉の途中ではっきりと、スライトリー・エンリッチドということの問題としては取り上げられなかったと記憶しております。しかしながらこのスライトリー・エンリッチドの燃料が当然平和的利用の範疇に入ると考えますので、その意味では、原子力局長の御答弁の通り、当然入ってくると考えていいものと思っております。
○岡委員 やはり今後の新しい燃料要素の形式として、一つの重要なポイントなんで、これは平和利用の原子力発電のために必要な原子炉の要素であり、このスライトリー・エンリッチド・ウラニウムを使えば、投下資本も少くて済むというふうに、平和利用のための諸条件が満たされるわけです。こういう情報は当然はっきりと——入ってくるものと期待するということでは私は困る。はっきりと、これはもらう、上げましょうという約束はとりつけてもらわないと、これは今後の日本の原子力発電の研究上重要なポイントですから、やってもらわないと……… 。もう一ぺん交渉して、その返事を聞かしてもらいたい。
○北原政府委員 事務的にさっそく取り上げることといたします。
○岡委員 それから次は濃縮ウランの問題です。濃縮ウランの濃縮過程は、アメリカでは厳重な機密事項ということになっておって、外国に漏らさぬと、こう聞いておるわけです。そうすれば濃縮ウランを使用する限りは原料はすべてアメリカ国からいただかねばならぬ、こういうことになるのでありますか。
○法貴説明員 技術的な問題でございますので、私から御答弁いたします。濃縮ウランにつきましては、濃縮ウランの作り方には十種類ぐらい、いろいろな方法がございまして、一番実用的だと考えられておりますのは、現在アメリカでやっております拡散法でございますが、これは猛烈に電力を食うというような点から、日本ではなかなか実用が困難だろうというように考えております。それで先ほどからのお話のように、プルトニウム添加という方法も非常に実現の可能性がありまして、日本としては大いに研究を進めなければならぬ問題でございますが、あわせて濃縮ウランについても、やはり関心を持たざるを得ないというふうな点がございますので、これに関しては現在基礎研究をいろいろ進めております。たとえば科学研究所でウランの有機化合物の研究をいろいろやっていただいておりますが、これは委託金を出して、三年計画でいろいろウランの有機化合物の基礎的な諸性質という点を、現在研究していただいております。これは将来このうちから、何か濃縮ウランを作るためのいい方法が見つかるのではないかというような期待を持っております。それで何とかして日本的な優秀な新しい方法をデベロップさせたいというふうに考えておる次第であります。そういう深い関心は持っておるということを、ここで申さしていただきます。
○岡委員 拡散方式によると非常に電力も食い、金もかかるということを聞いておりますが、この間ジュネーヴの平和利用会議で、フランスがウランの濃縮過程について、はっきり公表いたしました。あれはたしか拡散方式だったと思うのでございますが、しかしそれにしても、やはり今お聞きしておると、ちょっとアイデアは承知をするのですが、ただアィデアのままにちっとも動いてない。ただ、やれば金がかかるということじゃなくて、やはり金のかからない方法を見出すためにも、金のかかるものを入れてもいいと私は思う。そういう意味で、あのジュネーヴですでに公表されておるウランの濃縮方法、処理方法というものについて、技術とプラントくらいは入れて、そして日本自身独自に濃縮ウランの需給をはかり得る方向に向って努力をする必要があるのじゃないかと私は思うのです。そういうお考えはありませんか。そういう方法はとるべきじゃないということなら別ですが……。
○佐々木政府委員 濃縮ウランの問題に関しましては、法貴次長からお話がありましたように、拡散法の問題は、今まで極秘中の極秘でございましたが、今度のジュネーヴ会議でフランスがこれを公表いたしまして、非常に世界の注目を浴びたのでございますが、ただいまの段階で、すぐ日本がその設備等を、フランスから購入してというところまで、実はまだ考えていないのでありまして、この点はもう少し研究を進めたいと思っております。なお、あまり電力を食わないで濃縮するという別の方法も、先ほど十種類程度というお話がございましたが、いろいろございますので、日本のように電力の不足な国では、なるべく電力を使わない、従って拡散法によらないような方式のものが望ましいのでございますから、フランスで公表したからすぐそれを買い取るというふうな考え方のみではなくて、もう少し総合的に判断して、そしていろいろ今後の態度をきめるための資料と申しますか、研究を進めたいというふうに考えております。
○岡委員 いずれにいたしましても、やはり一番肝心かなめな燃料を、いつも相手国に依存するということではなくて、できるだけ完全なものを日本で需給するという方向に、ぜひとも一段の御努力を願いたいと思います。
○櫻内委員長 これにて連合審査を終了いたしました。なお残余の御質疑がございますれば、外務委員会でお願いすることといたします。 本日はこれにて散会いたします。 午後一時五分散会