外務委員会 第11号
- 発言数
- 193 件
- 登壇者
- 13 名
- 会派数
- 2
- 開催日
- 1958/10/31
会議録
○櫻内委員長 これより会議を開きます。 原子力の平和的利用における協力のための日本国政府とグレート・ブリテン及び北部アイルランド連合王国政府との間の協定の締結について承認を求めるの件、原子力の非軍事的利用に関する協力のための日本国政府とアメリカ合衆国政府との間の協定の締結について承認を求めるの件、原子力の非軍事的利用に関する協力のための日本国政府とアメリカ合衆国政府との間の協定を改正する議定書の締結について承認を求めるの件、以上三件を一括議題とし審議を進めます。質疑の通告がありますので順次これを許します。松本七郎君。
○松本(七)委員 この前から質問いたしました中で、私どもが一番中心に考えなければならぬと思う点は、三木さんもこの前の答弁で言われたようにコールダーホール改良型を買うについては、その安全性なり経済性が確実に認められなければ買わないということを言われておるわけですが、この安全性ということについて、どの程度のデータがそろっておるかということです。全然見通しなしに、安全性ということについてはかいもく見当もつかないんだ、しかし将来その安全性も確実になるであろうから、それを確認した上で買うんだ、そのための協定だけは準備としてしておくんだということではこれは済まないと思う。いやしくも協定を結ぶ以上は、多少なりとも安全性について何らかのデータがあって、こういうところまで来ておるから将来確実に安全性が保障され得るんだという、ある程度の見通しというものはあるのだろうと思う。その点についての御説明をもう少し詳しくしていただきたい。
○三木国務大臣 この点は非常に重要な点であります。経済性も大事だけれども、ことに安全性というものが大事。安全の専門部会で検討しておる。それは温度係数の問題でありますから、これを不測の事態の場合にどう制御するかということについて検討が加えられておるわけでありますが、技術的な問題なので、原子力局長からお答えをいたさせます。
○佐々木政府委員 私から御説明申し上げます。原子炉の安全の問題、これが一番重要な問題でございますので、ただいまのところでは一番大きい問題と目しておりますのは、地震に対する耐震設計がどうなっておるかという問題と、もう一つはいわゆる正の温度係数の問題でございます。前者の地震の設計問題に関しましては、この春調査団が行きまして、日本の地震の大家もたくさん、かねがね研究しておりました資料を持って米国に参りまして、向うの実際のメーカーあるいは公社の要路の方たちとお話し合いいたしました。順次その後話し合いを進めた結果だろうと思いますけれども、ただいまの段階まででは相当程度と申しますか、まずまず地震に対しましては、安全と見ていいんじゃなかろうかというふうな観察が強いようでございます。 第二番目の温度係数の問題、これはどういうのかといった技術的な点は一応抜きまして、この問題に対してどういうふうな経緯になっておるかという点をお話し申し上げますと、これに関しましては、実はコールダーホール炉そのもののデータのみでは不十分な点があるのでございます。なぜかと申しますと、改良型になりますともっと温度が高い。今のコールダーホールよりも高い温度でこれを運転することになって参りますので、そういう場合に一体どうなるかといったような問題が加味して参りまして、実際はこの点はまだ改正型が英国でも建設中でございますから、完全にできたそのものとして実験はしてございません。従ってコールダーホールの原型でもって実験をした結果の資料を基礎にいたしまして、今後改良型が運転されましたときにはどういうふうな結果になるであろうかという点を物理的、数理的に計算しておるわけでございます。今度のジュネーヴの会議では口頭で発表されましたのはコールダーホールの原型の実験結果のみが発表になりまして、それから類推いたしましたただいま建設しておる改良型の数字は、書面資料で出ておったわけでございます。そういう書面資料をその後詳細に検討してみますと、相当程度の優秀な資料が出ておりまして、その資料によりましても、コールダーホール改良型によりますと、まずまず確実に正の温度係数は制御できるというふうに見られるのでございます。なおそういうジュネーヴの発表のみではもちろん満足できませんので、ただいまどうしているかと申しますと、御承知のように三つのグループの専門の大家の方たちにそれぞれ日本に来ていただきまして、そして原子力発電会社といたしましてはその各グループから出されましたテンダーを中心にして、文字通り連日連夜両方で検討を加えてきまして、ただいまその検討が一応済んだところでございます。一方政府の方はどうしているかと申しますと、政府の方といたしましても予備審査といたしまして、先ほど大臣からお話のありました安全審査部会というものを設けまして、ここで耐震設計の問題並びに温度係数の問題等をただいま取り上げて真剣に御検討中でございます。やがて原子力発電会社の方から、テンダーを検討した詳細なデータが、仮契約を結ばれるような段階になりますと出て参りますので、これをまたさらに詳細に政府並びに発電会社で検討を加えまして、そして安全審査部会あるいは原子力委員会等で、これであればまず十分であるというところまで完全に見定めをつけた上で、政府といたしましては最終的な決定をいたしたいというふうに考えておる次第でございます。
○松本(七)委員 大臣もお聞きのように、今の佐々木さんの御説明によると、耐震性についてはまあまあ大丈夫じゃないかという観測をしているという程度のものなんです。問題は、果して耐震性についてどの程度の具体的なデータによって、日本ではどういう機関で、どういう資料でこれを研究されておるかということが一つ問題になるのですが、今の御答弁に関する限りは大体よかろうというような観測にすぎないという点と、それから正温度係数についても、コールダーホールによって今度は改良した場合にこういうふうなものという、単なる書面資料で検討しておるわけですね。この点から考えてみても、書面資料からいきなりこれが実用にいくわけはないので、当然書面資料の研究の段階から実験段階を経て実用にいくのは常識です。こういう点から考えてもはなはだどうも不用意であるということが考えられるばかりではなしに、今度はこれを売ろうとしておるイギリスの方のいろいろな報告を聞いてみれば、イギリスの方ではむしろ耐震性については確信が持てない、安全性その他についても、対地震ばかりではなしにまだ確信が持てないから、免責条項というものはどうしても必要だ、こういう言い分をイギリス側はやっておるわけです。そうなると両面から考えていよいよ何でそれほど急がなければならぬかということが、私どもにはますます疑問になってくるわけなんですが、大臣からこの点一つもう少し納得のいく御説明を願いたい。
○三木国務大臣 それは腰だめでそういうものはやるものではないのでありまして、まあまあというのではなしに、耐震性については相当検討が加えられたという報告は聞いておるわけです。今はその温度係数などの問題を中心にやっておるわけであります。しかしこれを実際に持ってきて、それを実現するというわけにもいくまい、従って衆知を集め、必要があれば向うの技術者を呼び、そういうことでわれわれとしてこれならば大丈夫であるるという納得のいくような審査を経て、これの導入を許可したい、こう考えておるわけであります。ただなぜイギリスとの間の原子力協定を急ぐかということは、急ぐというわけでもありません。相当な期間をかけて、おそらく交渉だけでも八カ月ぐらいかかっている。非常に時間をかけてやったわけであります。将来原子炉というものを将来の日本のエネルギー対策として相当なウエートを置かざるを得ない、そういう判断というものは誤まりでない。ことに長い目で考えたとき、日本はエネルギーの供給をやはり輸入に依存する度合いというものが非常に多い。長期計画の中でも昭和五十年にはエネルギー資源の約四八%ぐらいは輸入エネルギーである、こういうのでありますから、どうしても将来原子力の発電による日本のエネルギーというものを考えざるを得ない方向にある。それが間違っておるというならば、これは意見の相違であります。そういう判断に基いておるわけで、従ってこれが将来そういう方向にあるとするならば、安全性、経済性というものに対して確信が持てるならば、早く実用炉を輸入しておいて、そしてその電力を期待するばかりでなく、そういう発電所の建設、運転を通じて日本の原子力に対する技術あるいは知識、こういうものを体得することは、単にエネルギーの供給をそれによりて受けるばかりでなく、長い目で見れば必要である。そういう意味においてこの際原子力の協定を結ぶことが国の将来の利益から考えて適当であるという判断で、この国会の承認を願うために、この条約の上程をいたした次第であります。
○松本(七)委員 この前、今のエネルギー対策上の原子力発電の重要性についての説明があったのです。この間連合審査のときも、岡さんから三十八年度までの電力事情はむしろゆとりがあるというような質問があったのですが、三木大臣のもとにおけるエネルギーの将来の計画というものは、どういうふうになっておりましょうか。
○三木国務大臣 これは従来のエネルギーの長期計画というものを踏襲しておるわけであります。しかし経済審議会の中にエネルギーの部会というものを、これは私の企画庁長官のもとにおきまして検討を加えたいと思っておりますが、現在私が立っておる立場は、政府のきめたエネルギーの長期計画の上に立ってものを考えておるわけでございまして、検討は加えたいと思っております。
○松本(七)委員 そうするとこの間岡さんの指摘されたように、三十八年度までは何らの不足もない、こういうことですか。
○三木国務大臣 一方において水力あるいは火力等の建設もいたしておりますから、大体原子力において期待しておるのは、コールダーホールを輸入しましても四、五年はかかるわけでありますから、昭和三十七年には原子力による発電を、コルーダーホールの場合には十五万キロであります。これはやはり日本の電力の需給計画の中に入れております。
○松本(七)委員 そうすると自給計画の中にすでにそれを織り込んでおるとすれば、大体いつごろこの動力炉を輸入するお考えですか。
○三木国務大臣 今申しましたようにスケジュールとしては年末ごろまでに検討を終えて、来年早々でも本契約というような予定表であったようでありますが、私が考えているのは、必ずしも予定にとらわれないで、やはり安全性、経済性というものに対して十分な検討を加えて、その後本契約というものにがかった方がいいということで、現在のところは今申したように発電会社でもやっておりますし、政府の方でも予備審査をやっておるわけでありますから、そういう結論が出てからということに考えておるので、必ずしも何月何日というきまった日を予定して考えてはおりません。
○松本(七)委員 そうすると、それに関連する予算措置はどういうふうになっておりますか。
○三木国務大臣 原子力の発電会社は民間の会社でありますから、燃料の場合には政府の問題が起ってきますが、これはまあ四、五年先の話で、そういう意味でこれは今は民間会社によって建設が進められるわけであります。現在のところ予算措置というものは必要が起ってこない。
○松本(七)委員 原子力会社としての今日予算はあるわけでしょう。それはもうすでに予定されているのですか。
○佐々木政府委員 それは大体金融でもってやることになっておりまして、一つは九電力会社を主体にいたしました出資金でございます。もう一つは、でき得れば外資を仰ぎたい。これも場合によってはメーカーズ・クレジットと申しますか延べ払いのような方法でもよろしいから、外資的なものを考えられないかということが二つ。 もう一つは開銀等、特殊銀行等から資金を仰ぎたいというので、大体ごくラフでありますけれども三百億ぐらいの必要な資金の中で、百十億から百二十億ぐらいは出資、それから七、八十億は外資、残りは開銀からというような考え方でございます。
○松本(七)委員 免責条項を受諾したことに伴って補償の問題が起ってくるだろうと思うのですが、これには特別の立法は必要としないのですか。
○佐々木政府委員 条約で免責条項がありますから、すぐ国内法を作らなければならないかどうかということに対しては、いろいろ議論のあるところだと思いますけれども、ただいまの段階では必ずしも作らぬとどうにもならぬというふうな考えではございません。ただ燃料を公社で扱うことになって参りますと、ただいまの公社法では長期の資金が借りられぬことになっておりますので、そういう際にあるいは燃料公社法の一部改正といったような問題も起ってこようかと思います。
○岡委員 関連して。原子力発電のために必要な資金問題ですが、御存じのように先般イタリアのSENNは世界銀行から融資することになって、すでにアメリカのBWRを購入することに決定しております。昨年世界銀行の理事者に会いましたときに、世界銀行としては各国の原子力発電に融資の方針を決定した。そして融資のためにはその国で原子力発電を必要とするエネルギー事情にあるかどうかということが一つ。いま一つは原子力発電がその国の水、火力の単価水準に比して妥当であるかどうかという経済性を検討する、こういう方針のもとに各国の原子力発電に対する融資の方針を決定した。そこでパネルを作って全世界の著名な原子力関係また経済関係の権威を十名足らず集めまして、このパネルが国際入札についてはどういう型の炉が適当であるかということを検討する、こういう方針で御存知のようにSENNは国際入札になって、たしか八つか九つか、それぞれ入札に応じたいろいろな炉について検討して、BWRに決定しておるという経緯があるわけです。ところが今お話を聞きますと、日本はこの方法を全然とっておらない。そうしてむしろ自己資金の足りない分は外資——外資も延べ払いというふうなものに期待をする。はっきりわからないということで、何とか資金のやりくりをつけたいというふうなことになっておりまするが、私はこれは非常に拙劣なやり方ではないか。世界銀行と結ぶならば、世界銀行から巨額な融資が保証できるし、世界銀行の責任において炉の安全性と経済性も保証できる。現にイタリアはそれをやって、しかもBWRに決定しておる。なぜ日本は今御答弁のような拙劣な道を選ばれたのでありますか。その間の経過をお聞きしたい。
○佐々木政府委員 昨年でございましたか、SENNでただいまお話のありましたような国際入札を世界銀行を中心にやりまして、そうしてその落札した個所に世界銀行としては融資をする、これは一つの今後の世界銀行の原子力発電に対する投資の何と申しますか、前提条件になるのじゃなかろうかというような感じがいたしまして、日本もこれにならうべきかどうかという点は、ずいぶん議論されたところでございます。 ところがその際、それではイタリア自体一体どういう態度をとっておるのかという点を見ますと、イタリアでは、一方では世界銀行に借款を申し入れながら、一方では自分の資本で英国から炉を購入する態度をきめまして、いち早く英国と協定を結び、そして英国との購入規約もきめてしまったわけであります。従ってイタリアにおける第一号原子力発電炉というものは、英国のコールダーホール改良型を自分の資本で買い取るというふうな建前をとったのでございます。 第二号炉といたしましては、世界銀行からの借款で世界入札の結果を待つというふうな態度に出たわけでございますが、日本ではせっかく石川ミッションをやりあるいはその後研究を進めました結果、やはり英国炉を第一に出すべきじゃなかろうかという観察から、第二番目の調査団も出しまして、そういう問題が進みつつある最中でございましたので、まず第一号に関しましては従来の方針を踏襲して、しかしながら必ずしもまだ世界銀行の入札の結果がわかっていなかった当時ですから、英国炉といえども必ずしも世界銀行から借款という場合には、不利な立場に立って、どうしても借りられないというふうに去年の夏ごろ断言するのは早かろうじゃないかという観察から、イタリアの事情あるいはわが国の事情等とも勘案いたしまして、そしてまずこのイタリアの第一番目にとった方式、単独で一つやっていくという格好にして問題を持ち込んで、そうしてその際、それでは世界銀行との依存関係というものはイタリアの考え方と乖離しておるじゃないか、こういう問題になった際には、これは最後の入札がわかった際にあらためて考えてみよう。もしその際、かりに世界銀行から、これは今後の折衝問題でありますが、非常に有利だという場合になったとしても、英国との間にさっき申しましたメーカーズ・クレジツト——従来の発電の借款というものは、御承知のようにほとんど実質的にはメーカーズ・クレジットでありまして、燃料、機械等を買い取って、そして数年間は金の支払いを延べまして、自後長い間にわたって分割払いしていく、こういうふうな支払い方法をとりまして、実質的には借款と同じような支払い方法をとっていくというふうなことになっておりますので、最悪の場合と申しますか、もし世界銀行から借款ができない場合には、そういう方法を英国あたりと取りきめようじゃないか、話を進めようじゃないかという考えに今まで立っておったわけであります。
○岡委員 佐々木局長の御答弁は、私の質問に対しては的を得てないと思うのです。私が申し上げたのは、問題はイタリアのどの会社がコールダーホールを、世界銀行以外の融資の道を選んで導入しておるのかどうかということを聞いたのではない。少くともセンは、世界銀行を通じて融資をする。そこで問題は、世界銀行を通じて融資をするというので、さっき申し上げましたように世界銀行は世界の権威を集めて、導入すべき炉の経済性と安全性について、融資機関として慎重な決定を下し、その上においていずれに落札すべきかを決定してBWRに決定しておるという経過があるわけです。従って問題は金利なりあるいは借款の期間というふうな融資の条件だけではない。世界銀行が経済性と安全性について保証を持つ。これは日本の未経験な学者がただの数字をいじくって安全性を出すよりも、もっともっと私は権威ある結論が出し得るものと思う。こういうような点をも加味して当然日本の原子力発電に所要の資金については、世界銀行の融資に持つという方針が妥当である、私はそう申し上げておるわけです。しかも、本年私はワシントンで世界銀行の理事に会って、この点についてただしたところが、世界銀行の理事は、日本の原子力発電会社の首脳部に対してその旨を申しておる、世界銀行としてはりできるだけの援助をする、しかし何の音さたもなかったと彼は言っておる。私はこういうような取扱いは、日本の原子力発電というものについても、決して妥当なやり方ではないと思うのです。三木委員長、いかが思われますか。
○三木国務大臣 日本がコールダーホールを入れて、今言ったような原子の力平和利用に一歩進めようということを決定したわけであります。イタリアでは岡君のお話の通りだと思います。世界銀行の融資は国際入札ということが原則になると思います。しかしこれは今後話してみなければわからぬわけで、いよいよ決定すればそういう話もする価値はある。なかなかむずかしいのではないかと思っております。しかし日本が一つこれを早く輸入しようじゃないか、原子炉を入れようじゃないかという決定は、将来のことを考えたならば、これは世界の状態が全部原子力に対しての時間を持って、そうしていろいろな経験が各国で行われた後にやるという考えも一つの考えでしょう。しかし日本としては、将来これを力を入れなければならぬとするならば早くやろうという決定を行なった。そういう場合にはまだこのイタリアの問題もそういうふうにはなっておりませんし、現にイタリア自身としても、佐々木局長が言ったように、コールダーホールを輸入しておるわけです。現に例はあるわけであります。本契約をイタリアはしておるわけであります。そういうわけで、その後に起ってきた事態でありますから、将来においては日本が輸入する場合に、これは大きに参考になると思います。しかしコールダーホールの輸入の場合は、まだそういうふうに世界銀行の態度というものも日本が話を始めたときにははっきりきまったわけではないので、そういうことで日本とすれば、将来にこのイタリアのセンの契約というものは参考にすべきものである。しかしコールダーホールの場合にはそこまで世界銀行の態度もはっきりしておったものではなかったということでこの交渉を進めたものである、こう考えております。
○岡委員 世界銀行の理事者が、コールダーホール型にしろ、いずれにしろ、日本の原子力発電について、銀行としても援助の方針をとろうという申し出があったのは、昨年日本がいわゆるコールダーホール型の調査団を出した、この人たちがアメリカへ寄ったときです。ですから一昨年の暮れか昨年の春のことであります。ところがその後何の音さたもないということを、若干不満の面持をもって私に話をしておられたのであります。問題は、今委員長も言われたように急ぎ過ぎたということです。もう少しじっくり腰を落ちつけて、金融の面なりいろいろな面について、検討すべきものを十分に検討をするというこの態度において若干欠けるところがあって、非常に無理な金繰りになるというような状態にもなる。経済性、安全性についても現にセンでは、世界銀行はBWR——コールダーホールも出たけれども、もうセンは決定してしまっておるというような事実も非常に教訓的だと思います。そういう意味で非常にあせり過ぎておられる。今日でもあせり過ぎておられるではないかという感じが私はいたすわけであります。
○松本(七)委員 先ほどの免責条項に基く国家補償の問題は、原子力関係以外の他の企業での国家補償問題がやはりこれと関連して起ってくるし、この原子力関係の国家補償と他の企業の国家補償の問題をどういうふうに今後調整するつもりであるのか、そういう意味からも、私は立法措置が必要になってくると予想されるので伺うのですが、このことで何かお考えがありますか。
○三木国務大臣 これは将来原子力の損害保険といいますか、そういうふうなものが必要になってくると思います。それから国家がどの程度これを責任を持つかという問題も起ってくるわけであります。この問題については先進諸国の事情等も人を派遣して検討を加えたい。そういう問題はやはり立法的な措置が必要になってくると私は思います。しかし今すぐにこの協定と同時に立法的な措置を必要とするかどうかという事項は、今言ったようにそういう必要はないと思いますけれども、将来においては今御指摘のような問題については立法措置が伴ってくる、こう考えます。
○松本(七)委員 それからこの国家補償には、人体に被害を受けた場合の補償も含まっておるのでしょうか。
○佐々木政府委員 もちろんその事業所の内部における従業員のみならず第三者に損害を与えた場合には、第三者の財産、生命、人体も含んでおるのでございます。
○松本(七)委員 あといろいろ事務当局に質問がありますから、岡さんでも質問があれば先に大臣の方を少しやっていただいたらどうかと思います。
○櫻内委員長 岡良一君。
○岡委員 私は先般の連合審査の際に、原子力外交の正しいあり方、日本の原子力開発の正しいあり方から見て、この協定を急ぐことが妥当であるかということを中心にお尋ねをいたしました。さらに、両協定にまたがっておる免責条項、査察条項等にもいささか触れたのでありますが、次に私はさらに共通の問題として、使用済み燃料の処理についてお尋ねをいたしたいと思います。 一番国会でも問題となっておりました対米協定の場合、プルトニウムが優先的にアメリカに返還をされて、これが軍事利用に供されるということになれば、日本の平和利用は全く事実上においては核兵器の下請けになるのではないかという点が、私どもの心配をしたゆえんであります。ところが議定書の形で平和利用ということをはっきり約束してくれたわけでございますが、一体この議定書にうたわれた平和利用が、アメリカにおいて効力を発効するのはいつごろでございますか。
○高橋(通)政府委員 アメリカ側では、来年の一月の国会にこれが承認されると思います。
○岡委員 アメリカの原子力法によって、これを国会にいわば公知するわけでございますが、その期間は何カ月で、しかもこの協定はその後発効することになりますが、大体何月になりますか。
○高橋(通)政府委員 三十日で公知されることになっております。そこで来年になりましてからそのような手続を経まして、来年早々これがお互いに承認の通知をし合うということになっております。
○岡委員 してみれば、万一の場合には、われわれが国会においてこの協定に批准を与えたといたしましても、アメリカの国会がこれを承認するかいなかということはまだ不確定である、こう申していいのでございますか。
○高橋(通)政府委員 もちろん理論的と申しますか、理論的にはそのような可能性が考えられるのでございますが、御承知の通り、お互いに条約を署名いたす場合には、必然的に双方の国会の開会の時期が違いますから、ある程度先に開会された方が先に完全な承認をして、あとの方ではそれがおくれるということは、これは通常多々あることだと考えております。
○岡委員 ところが私は、アメリカのプルトニウム政策というものはまだコンクリートされておらない、こう見ておるのであります。従いまして、たとえば本年の春、アメリカの原子力委員会は二つの重要な点を含む原子力法の改正を国会に出しました。その一つが落されておる。原子力委員会はとうとうジョイント・コミッテイの反撃にあたって、撤回しておるのであります。してみれば、この条約にしても、果してアメリカの国会が承認をする、こう自信を持って外務当局は言い切れますか。
○高橋(通)政府委員 御承知の通り、これは国会の公知期間でございまして、国会に三十日間公知すれば、いわば自然承認と申しますか、何らの措置なくして最終的な憲法上のアメリカの手続がとられたことになる次第でございます。従いまして、承認というような積極的な通常の行為ということは全然必要ない次第でございます。また、それについて何ら障害がないということは、これはもう理論的には御指摘のような点が考えられないこともございませんが、そのようなことは絶対ないと私は確言申し上げて差しつかえないと思います。
○岡委員 それでは議定書は、アメリカの原子力合同委員会の承認を得たものとあなたはおっしゃるのでございますか。
○高橋(通)政府委員 もちろんその前に、法律によりまして合同委員会に付託され、しかる後に国会に三十日間公知されるということになる次第でございます。
○岡委員 でありますから、合同委員会はこの議定書に対しては承認を与えているかいないかということです。私は与えていないと思うのでありますが、与えておりますか。
○高橋(通)政府委員 その点承認を与えておりません。
○岡委員 アメリカの合同委員会のプルトニウム政策というものは、一体現在どういう方針をとっておりますか。
○北原政府委員 ただいま岡委員の御指摘のございましたアメリカのプルトニウム政策につきまして、軍事利用の面と平和利用の面に関しまして、民主党の方から、本年春新しい提案が出たことは御承知の通りでございますが、結局この問題は私どもといたしましては、日本の平和的利用から出て参ります——万が一日本がこのプルトニウムを平和的利用に全部使用しないという事態に至りました場合に、しかもそれはこの協定の規定にございますように、日本のプルトニウムの平和的利用に関します長期的な計画を基礎にいたしまして、なおかつ余剰分があるという場合に、アメリカが買取権を持つわけでございますが、その前の安全弁といたしまして、しかしその前になるべくこのプルトニウムの寄託について、日米合意の上国際原子力機構に寄託の方法をとろうということを協議し合うということになっておるわけでございます。ちょっと論旨をはずしましたが、しかしこういう長期的な意味で万が一そういう可能性がありましても、日本からアメリカの買い取りますプルトニウムの量というものはさほど大きなものではない。ことしの春の特別国会ではいろいろ数字が出まして、百五十キロとかいろいろ数字が論議されたようでございますが、いずれにしましても、アメリカにおきますプルトニウムの原子力合同委員会の政策というものは、非常に大きなアメリカの核軍備の推進ということに関連いたしまして、いかにその進歩をはかるかということでございましたので、私どもといたしましては、アメリカがここで新原子力委員長のもとに、こういう協定にはっきり平和利用をうたいました以上、必ずしもその合同委員会の全般的な政策とは関係なく、この問題につきましては将来とも、米国政府、議会をも含めましてこの協定のラインで進むものというふうに想像いたしております。
○岡委員 問題は想像され期待をされておることであるが、いわばその相手の実情というものも私どもはのみ込まねばならないと思う。大した量ではないと言われますが、しかし動力試験炉を入れれば百五十キロ程度のプルトニウムは抽出できるのではないかと私は聞いておる。メガトン級の水爆は五キロのプルトニウムがあればいいわけであります。すると三十発の水爆ができる。しかも御存じのように、最近は水爆じゃなくていわゆる戦術兵器として、小型の核兵器にどんどんプルトニウムの需要がある。ペンタゴンはAECに対しては、きびしくプルトニウムの実質的な生産を要求していることは、北原君も御存じだと思う。そこで、ことしの春、原子力法を改正して、海外においても、アメリカが援助を与えた結果建設され運転されておる原子炉から生ずるところの使用済みの燃料については、プルトニウムの価格は、十二ドル半であったものを三十ドルあるいは四十ドルで買い上げる、こういう方針を原子力法の改正を通じてはかろうとした。ところが民主党のアンダーソン議員の反対にあって撤回になった。アンダーソン氏は何で反対をしたかというと、それは、結局共和党系の一部電力会社の原子力発電に対するいわば経済的な利益をはかるにすぎないのではないかということが、反対の大きな論旨であった。ところがそのために、ペンタゴンからはプルトニウムの要求があり、一方海外からの買付がとうとう撤回のうきめを見たということから、AECは、来年度の予算にプルトニウム専用炉の予算一億九千五百万ドルを出した。しかしこれはもののみごとに削られておる。そこで最近原子力委員長のマッコーン氏は、もう一度国内並びに海外においてアメリカのプルトニウムの需要を満たさねばならないのではないか、前回撤回をしたが、あの法律改正というものを再考慮しなければならないということを言明しておる。してみれば、このような議定書というものが来春、しかも言われるようにジョイント・コミッティの承認を得なければならない。ジョイント・コミッティが果してこれを承認するかどうかというところにも私は一つの問題があるのではないかと思う。これはすらすらと通るものだ、そう簡単に安易に皆さんが想像されるようなわけにいくとは限らないと私は思うのです。その点特に北原君あたり専門に研究しておられるから、もう少しアメリカのプルトニウム政策について具体的に最近の実情を御研究になっておられる結果を私どもに教えていただいて大いに蒙を開いていただきたい。
○北原政府委員 私、実はまだ新米でございまして、その点まことに自信がないのでございますが、先ほどの御質問、今の御質問にちょっと補足させていただきますが、今度の議定書は新委員長のマッコーン氏とそれから国務省のロバートソン次官補と、わが方朝海大使との間に署名いたしたわけでありますが、このプルトニウムの平和利用をはっきり明文といたしましたのはこのユーラトムとアメリカとの間の規定が一つ。これが最初でございますが、これはユーラトムとアメリカとの協定の中には明記されておりません。書簡の交換という形式でこれは米国政府がやったわけでございます。今回の日本の場合にははっきり書簡の交換をとらずに協定本文の改訂という形で措置をしたわけでございますが、このユーラトムの交換公文及びそれにまつわりますアメリカ政府の政策というものは、合同委員会に提起されまして先般承認されたわけでございます。その意味合いにおきましてこの平和利用に関します外国から買い上げた場合のプルトニウムの米国内における平和利用の問題につきましては、米国政府の新しい確立された政策として今後とも持続されるのではないか。ユーラトムの先例に見まして日米間の議定書の改訂の問題も必ずや承認されるのではないかというふうに考えております。
○岡委員 しかしそれは、私は非常に軽率な類推だと思う日本とユーラトムというものを、あなたは同一視して——ユーラトムとの間にはプルトニウムの優先買取権を放棄しておる。平和利用ということについても書簡の形で約束しておる。だからアメリカのプルトニウム政策が大きく転換をしたので、日本の場合もおそらく向うへ戻せば平和利用するであろう。しかしこれはユーラトムと日本というものは実質的に、根本的に違っておるではありませんか。ユーラトムはユーラトム自身の規定の中に原子力の軍事利用を禁止するという項目はありません。日本には原子力の基本法によって明らかに平和利用ということをうたっておる。しかもユーラトムの六ヵ国というものはNATOを通じてアメリカと軍事同盟を結んでおる。しかも今年度のAECが要求したプルトニウム専用炉一億九千五百万ドルが削られたのも、ペンダゴンはユーラトム諸国を含むNATO諸国から十カ年間に十一トンのプルトニウムを入手し得る可能性があろうということをその理由に申しておる。そういう事情から考えれば、日本とユーラトムとは原子力の利用においては全然異質的の存在なんです。従ってそういうような条件の中で、またそういう事情の中で考えてみれば、ユーラトムとの間に書簡の形式で平和利用を約束したから、従って日本の場合もその先例に準ずるであろうというふうに軽々しく言い切ることは軽率ではないかと思いますが、いかがでありましょうか。
○北原政府委員 ユーラトムの場合、なるほど六ヵ国はNATO諸国の加盟国が多いわけでありますが、しかし米国政府とユーラトムとの平和利用に関します協力協定というものは、あくまでも原子力の平和約利用に関するものでございまして、万一ユーラトムの数ヵ国のNATO諸国が軍事協力に関する面について米国と何らかの合意に達しますといたしますならば、それは必ずやこのユーラトム、米国協定の別個のものとして行われるのではないか、行われるのであるというふうに私どもは了解いたしております。その意味におきまして今回の日米の協定も、ユーラトムと米国との間の平和利用に関します協定も、その意味では大体軌を一にしておるのではないかというふうに考えます。
○岡委員 NATOの諸国は、フランスは原爆実験をやろうかというような意思表明をしておることは御承知の通りであります。西ドイツは核装備を国会が承認しておる。従ってプルトニウムの平和利用云々は別として、ユーラトムの国々にプルトニウムを残してみたところで、それがいかように利用されるかということについては、日本の場合とアメリカの関心は大きく違っておるのではないでしょうか。私はそういうような意味で万一これがアメリカのジョイント・コミッティによってあるいは否認をされるというようなことになったのでは、政府としても一大失態と言わなければならないので、これは三木委員長にお尋ねするが、やはりわれわれの一番大きな関心であるプルトニウムの平和利用については、なるほど協定本文にも匹敵する議定書の形で約束は取り付け得たけれども、まだ合同委員会の承認も経ていないし、国会の告知という手続も経ておらないのですから、これを相手国として承認をした、そのときに日本の国会もこれに批准を与えるという手続をとるのが、政府としても国民の原水爆に関する関心の高さから申しても最も妥当な方法ではなかったかと思うのでありますが、委員長の御所見はいかがですか。
○三木国務大臣 これは岡君も、プルトニウム平和利用というものはこの協定の中で一番関心を持った問題であります。政府としてもこれを書簡の形で意思表示がなされておったことを不徹底であるということで交渉を始め、これについて向うを説得するために岡委員も間接的に非常に御尽力を賜わって敬意を表しておるわけであります。そういうことでこれは単に向うとしてもユーラトムとの協定の関係もありましょうけれども、日本の国民感情というものも相当な認識をして前の原案に対して議定書の形をとったのでありますから、この原案が原子力の共同委員会というようなものに対しての通過に対しても、これは承認に対しても相当な自信を持ってやられたものである、単にちょっとしたものではなくて非常に深い考え方、日本自身の強い要請にこたえたものでありますから、これがいざということになってきてこの議定書の内容が実施されないというようなことはない、こう確信を持っておる次第でございます。岡君自身も現地でいろいろお話になって、そういう確信をある程度お持ちになったろう、私もさように考えておる次第であります。
○岡委員 これはどうも失言を取り消してもらわなければ困る。いずれにいたしましてもこの協定は免責条項といい、特に査察条項等においても非常な不平等性を私どもは遺憾に思うわけであります。 そこで百歩譲って委員長の仰せのごとく、アメリカ国会も、日本の原子炉から抽出されたプルトニウムは平和利用するということを約束をしてくれるならば、日本としても原子力の平和利用のための協力の協定である限り、共同の責任において平和利用の原則を守るという立場から、日本側は当然アメリカが平和利用するかどうかということを査察する権能があると思う。報告も徴し、必要とあれば立ち入りをやる。これは無理なことでないと思う。一方ではわれわれの幾たびの抗議にもかかわらずどんどん核兵器の実験をやって、ほんのわずかな原料をよこし、限られた情報をよこし、商業価格で資材を売り渡し、しかも報告は徴し、立ち入り禁止をやる。そこでいろいろ問答の末、プルトニウムの問題は一応文書の形で平和利用にいたしますと約束してくれたんだから、一つ日本の方でも、日本側が引き渡した使用済み燃料から抽出されたプルトニウムについては、これが平和利用のために確実に保管をされておるかということを査察をする、これだけの権限を持って、原子力の平和利用を双方の責任において守っていくという建前を貫くべきではないかと思うのですが、いかがでしょうか。
○三木国務大臣 今申し上げたように、日本としてはどの国にもまして原子力の平和利用というものに対しての熱意を持って、その国民感情にもこたえたわけでありますから、この国民感情を無視して、アメリカが議定書にこういう約束をしながら、実際はそれを実行しないというふうなことはあり得ないことだ。やはりアメリカのごとき大国の信義というものを、一々細部に疑いたくはない。やはりそれだけの信義は持たなければならぬ。今日の世界的な影響力を持っておる国としてやっておるアメリカが、日本との約束を破るということはあり得ようとは考えない。やはりわれわれはアメリカがこの議定書を確実に守られるということを、両国の信義の上から認めていいのではないか。一々見せてくれ、実際やるかやらぬかわからぬと、そこまでいくのは実際の日米外交の見地から見てどうでしょうか。そういうことをするアメリカならば、アメリカの世界的な地位は維持できるものじゃない。日本とこれだけ約束しておって、それを軍事目的に利用するような国であれば、アメリカは今日の世界的地位というものは維持できるものじゃない。それだけの大国信義というものは信じたい、こう考えております。
○岡委員 私どもの人間と人間とのつき合いであろうと、国と国とのつき合いであろうと、そういう相互信頼、相互の善意の上にお互いが手を握っていかれればそれにこしたことはない。しかし残念ながらアメリカ側は、日本の国内法によってはっきり平和利用ということを、いわば原子力の憲法にもうたっておるこの国に対して、わずかなものをよこしながら、あくまでもぎゅうぎゅう絞めつけるように査察をする。しかもその国は一方においては、わが方の抗議にもかかわらず原水爆の実験を強行しておる。そこヘプルトニウムを渡す。議定書でもって平和利用をいたします。こういうことを疑うわけではありませんが、相互に主権国家としての平等性を確保するという立場で、日本側は、当然アメリカ側が査察を要求するならば、われわれも査察をするということは、事実するしないにかかわらず、協定の中にはっきりうたっていいことじゃないかと思うがどうでしょう、
○三木国務大臣 両国の関係は対等であるべきであります。そういうものは日本も原子力の平和利用をするために便宜を受けるわけでありますから、そういう意味で両国の対等関係というものは、そういうところにアクセントをつけなくともいいんじゃないかというふうに考えております。
○岡委員 どうも非常に文学的な表現がありましたから、拡大解釈の幅が広くなって困る。これはやはり一つの問題だと思います。 その次には、今度英国の場合、使用済み燃料の処理については具体的にどうするつもりですか。
○佐々木政府委員 使用済み燃料に関しましては、できますれば日本で再処理いたしたいのが念願でございますけれども、ただいまの足取りから参りますと、来年の予算から原子力研究所で中間プラントのような小さいものの建設に取りかかる段階でございまして、まだ大量の処理というわけにいきません。 それから再処理の問題は、岡委員も御承知のように、相当量が膨大になりませんと採算に合わぬ性質のものでございまして、従いまして、大国の再処理の様子を見ますと、非常に大きい規模のものでございます。従いまして、これは経済性の問題ともからんだ問題でございますから、日本で大量に生産するまではやはり英国に持って参りまして、そこで再処理をお願いするというのが順序じゃなかろうかと思います。
○岡委員 資料によると、年間の処理対象が大体一千トン程度なければ採算が合わない、こういうことになっておるようであります。そうするとコールダーホール改良型十六基分くらいのものが日本で運転されなければ、日本で採算の合う処理工場は建てられないということに結論はなるわけですね。 それでは英国に使用済み燃料を渡すプルトニウム・クレジットはどう取り扱いますか。
○佐々木政府委員 プルトニウムの方は、英国に関しましては、日本で平和利用に必要な分は日本に所有権があるわけでありますから、日本で処分してもらいたい、もし余分がある場合には日本の意図によって預託をしておいてもよろしい。従って所有権はあくまで日本に確保しておきまして、必要に応じて日本が引き出せるような態勢をとってよろしい、なお余力がありますれば英国で買い取るか、あるいは第三国に売り渡す等の場合があった場合には、英国の発言等も認めてもらいたい、こういうような態勢になっております。従いましてコールダーホールの炉を入れまして、この中からできましたプルトニウムは、使用済み燃料のままで英国に還送するわけでございますが、その還送してできたプルトニウムは英国の貯蔵庫に入れておきます。そして今お話のありました、それの引き取り値段等が一体どうなるのかという経済的な問題になりますと、ただいままだはっきりした話し合いまではいっておりませんが、英国からのお話では、御承知のようにプルトニウムは、コルダーホールのように燃料の使用をごく、ごくと申しては語弊がありますが、短時間にした場合にはプルトニウム二三九の純粋なものができまして、長く発電炉でやった場合には二四〇というプルトニウムが加味されます。普通爆弾で使いますのは二三九でありまして、二四〇が入りますと不純物が入ったような格好で、爆弾や何かがあまり質のいいものじゃないように聞き及んでおります。従いまして、燃焼のまだ若いと申しますか、そういうものは高く買い取るけれども、燃焼が済んだもの、たとえば日本のは発電炉で、発電でありますから、もう完全にと申しては語弊がありますけれども、二千五百あるいは三千メガワット・デー・パー・トンの燃焼をするわけでありますから、戦時目的にすぐ役立つものは考えられおりませんので、若干買い取り値段というものは安くなろうかと思いますけれども、一応ただいまの経済性を考慮する場合には、これも大きいファクターでございますので、その値段をどういうように落ちつけるかという点は、今後の折衝の一つの課題になろうと思っております。
○岡委員 それではアメリカの場合は、使用済み燃料の具体的な取扱いはどうなりますか。問題は、日本が買い取り、そして日本が所有権を持っているから、使用済み燃料も日本が持っている。だから、英国と同様に、アメリカの場合も必要とあれば日本が経費を払ってこれを処理させる、そしてそのプルトニウムは日本の所有権のもとに、その保管をアメリカに委託する。これもそういう取扱いをする、こういう方法にいきますか。
○北原政府委員 ただいまの英国の方式と大体同じことになると思います。
○岡委員 そうすれば、保管を委託するだけで、日本からアメリカに渡した使用済み燃料から抽出されたプルトニウムの所有権は日本にあるということですね。
○北原政府委員 その通りであります。
○岡委員 そうすれば、査察とか何とかむずかしい言葉でいうからなんですが、所有権が日本にあるのだから、減っているかどうか日本で見たっていいじゃないですか、条文の中へ入れて。
○北原政府委員 ただいまの問題でありますが、協定にはっきり平和利用ということを書きました以上、米合衆国憲法の建前上、一応それで協定の趣旨は国内法と同じ効力を持つというふうに私どもは考えておるわけでございます。その意味において平和利用というものに関しまして、米国政府は、この点絶対に日米協定の趣旨を国内的にもこれを執行するというような義務があるわけでございます。その意味におきまして積極的に査察ということはこの協定にはございませんが、その意味におきまして私どもといたしましては米国政府の国内法執行の立場より、それに十分依頼し得る。それからもう一つは、もしも何らか技術的な面におきまして日本政府の方におきまして希望するなれば、おそらく米国政府においても喜んで同じ趣旨の目的を達するために、何らかの措置はしてくれるのではないかというふうに思います。
○岡委員 それでは時間の事情もありますので、一つ私は希望を申し上げておきます。問題は、一番いろいろと問題の起りやすい燃料の処理は、日本でやればそれに越したことはない。しかしこれはなかなか電力を食うし、経費もかかるし、処理対象年間千トンくらい持たなければ天然ウランはやれないというのでありますからいたし方ないとしても、日本の場合だけでなく、国際原子力機関が小国にも原子力発電を普及させようとするならば、この問題点の処理施設というものは国際原子力機関が持つことが一番必要ではないか。 ただ問題は、原子力発電が実用段階まできておらないから、原子力機関としてもこれを早急に持つわけにいかないとすれば、原子力機関が使用済み燃料を引き取って、これを先進国の処理工場に委託して、原子力機関がその平和利用については厳重に責任を持って監視をする、こういう方針が私は当然原子力機関の大きな仕事になろうかと思う。ここのところを具体化しないと、原子力機関が憲章で人類の繁栄のために原子力の平和的利用を普及しようと思っても、こういう具体的な点にまだまだなされなければならない仕事が残されている。日本は理事国としてもこういう点について大いに具体的なプランを立てて理事会で御努力を願う。こういうことによって今後とも原子力発電をしようとしても使用済み燃料で頭の痛い国々に対して安心を与え得るような機能を私はぜひ持たしめるように御努力を願いたいと思います。 委員長、なお実は英国型の炉についてあと一時間ばかり十分政府の見解をただしたいことがありまするので、その質問の機会をまた一つ御配慮願うことをお願いいたしまして、一応私の質問を終ります。
○櫻内委員長 岡君の希望は承知いたしました。 暫時休憩いたします。 午後零時三十五分休憩 ————◇————— 午後一時十二分開議
○櫻内委員長 休憩前に引続き会議を開きます。 国際情勢等に関し調査を進めます。 質疑の通告がありますので順次これを許します。岡田春夫君。
○岡田委員 きょうは総理大臣お忙しいそうですから、簡単にお伺いします。それでおそれ入りますが、簡単に御答弁願いたいと思います。 まず第一点は、日米安保条約の改定が進んでいるわけですが、日本の草案がすでにできて、一部の新聞に実は発表されております。こういう事実はどうなっておりますか。
○岸国務大臣 まだそういう事実はございません。
○岡田委員 実はこれは新聞に出ているのですが、前文から十条まで——前文の文章も正確に出ておりますが、それではこれは全然事実ではないのですか。
○岸国務大臣 まだ私の方の案文とか、あるいはアメリカ側が何か案を出したようなことが新聞に出ておりますけれども、全然そういう事実はございません。
○岡田委員 それではこの文章は日本側が作った案ではない、こういうように解釈してもよろしゅうございますか。これは外務省の方の条約担当の方もおられますので、伺っておきたいと思います。
○高橋(通)政府委員 ただいま総理の御発言と全く同じでございます。
○岡田委員 いろいろ伝えるところによりますと、今度の安保条約の改定で、沖縄の問題を適用範囲に入れるかどうかという問題が非常に問題になっております。今の状態では、法律的には沖縄の問題を適用し得るというような解釈も総理大臣の答弁にあったようでございます。そこで去年岸さんがアイゼンハワーとの間に共同声明をされたわけであります。この共同声明の中を見ますと、沖縄の問題についてはアイゼンハワー大統領が脅威と緊張の状態が極東に存在する限り、合衆国は現在の状態を維持するということをうたっているわけです。今度岸さんの御答弁等によると、沖縄が適用範囲に入るということになると、この共同声明の状態が変ってきた。言葉をかえていうならば、脅威と緊張の状態が緩和しつつあるということにも解釈できると思うのですが、この点はどうなっておりますか。特に安保条約を改定するに至った動機として国内的な理由は、今まで答弁になっておられるようでありますが、国際的な事情、そういう点についてのお話がまだないようであります。そういう国際的な情勢について簡単でけっこうでありますから、お話を願えればけっこうであります。
○岸国務大臣 国際情勢についてはアイゼンハワー私の共同声明に、また今回藤山・ダレス会談のプレス・リリースにもそういうことがいわれておりますが、いわゆる国際共産主義の脅威は依然として続いておる。こういう一つの判断に立っておりまして、従って日本の安全を保障するということは、日本自体が独立国である以上、当然日本でこれをするというのが原則であることは言うを待ちません。しかし同時にそういう国際情勢のもとにあって、日本だけで日本の安全の保障を完全にし得るという状況でもないのでありますから、アメリカとの間の集団的安全保障によって日本の安全を保障する必要があり、それには日本の国内の実情から見まして、できるだけ自主性と対等性を持った条約にこれを改定することが望ましい、かように考えております。
○岡田委員 これはあとでもう少し詳しく伺って参りますが、沖縄の防衛、いわゆる共同防衛の範囲の中に入れるとするならば、これは内閣委員会の御答弁ですけれども、施政権の一部返還を意味するというような答弁が実は速記録にもありますけれども、答弁をしておられるわけであります。その点はどうなんですか。
○岸国務大臣 それはたしか内閣委員会において、これを共同防衛の地域とするというようなことになれば、日本が基地をここに持つようになるのかどうかというような質問があり、そういう場合にはどうなるのだというような質問がございまして、私は今度の安保条約の改定は、言うまでもなく日本の憲法の範囲内ということを強く前提条件にいたしております。その範囲内で考えられることであるけれども、われわれはここにいわゆる潜在主権は持っているけれども、一切の施政権を持たない、アメリカが排他的に施政権を持っておる、こういう状態であって、従ってこれの返還、全面的返還あるいは一部の返還ということは、われわれは要望しておるけれども、これが達せられない、こういう状況であります。しかも日本の自衛隊があそこに基地を持つというようなことがアメリカ側から許され、またそういうことができ上るということになれば、その範囲内において今までアメリカが持っておる包括的な、排他的な施政権というものはそれだけへこむことになるだろう、こういう意味で申し上げたと思うのであります。
○岡田委員 そういう限りにおいて施政権の一部返還ということになる、こういう意味だと思うのですが、それでは今交渉されている場合において、沖縄に基地を持つというような意味での交渉をされておられるのでありますか、どうでありますか。
○岸国務大臣 沖縄を共同防衛の範囲に入れるか入れないかということは、実はまだそういう点まで具体的に交渉の段階に入ってはおりません。この問題に関して私は国会で答弁いたしておりますように、今までの私の聞いたいろいろな意見の中にも賛否両論あると思います。こういうことに関して、これは重大な問題でありますから、国民の世論の動向等も十分に慎重に考え、また政府としても各般の利害得失その他のことを十分に考えて、この問題についての最後の意見をきめたい、こう申しておるわけでありまして、まだその具体的の交渉の段階には入っておりません。
○岡田委員 これはあとでまた伺って参ります。実は私これはおらなかったので明確でないのでありますが、NBCのブラウン記者に対する談話が大へん問題になったようでありますが、十月十六日の衆議院本会議でこれについてあらためて見解を総理から披瀝されておられます。その点を私しさいに見たのでありますが、中国——中国というのは中華人民共和国ですけれども、金門、馬祖に対する問題については、ブラウン記者の場合には触れておられますが、あとではこの点は触れておられないわけであります。前段のブラウン記者の場合には、総理大臣は中共は金門、馬祖に対する侵略者であるというように言ったと伝えられておるわけであります。ところがこの点は触れておられない。これは取り消しておられるということになるのだと思いますが、それでは今日総理大臣の御見解として、金門、馬祖に対して中国は侵略者ではない、こういうふうに取り消されたのだと解釈してよろしゅうございますか。
○岸国務大臣 私はかって金門、馬祖に対する問題に関しては、こういう日本にも近い地位にもあるし、非常に国際的な関心が深いところであるから、ここに武力の行使が発展するということは非常な危険があるという意味において、武力によって解決するというような方法をとられずに、平和的な話し合いにおいてこれが一日も早くきまることを望むということを申し上げたことがございます。それで一貫をいたしておりまして、私は金門、馬祖に対して中華人民共和国が侵略者であるというようなことは考えておりません。
○岡田委員 その次に伺って参りますが、この点も総理大臣の施政演説その他を見まして、二つの中国は認めない、あくまでも一つの中国であるという考え方が一貫しておられるようです。それからアメリカの一九五〇年以降の教書等を見ましても、二つの中国ということを公然と言っておりません。一つの中国という態度をとっております。そこで私の伺いたいのは、一つの中国であるとすれば、今日の中華人民共和国政権、毛政権と蒋介石グループとの関係というものは、一つの中国の中に起っている争いである、言葉をかえていうならば、過去三十年来国共の内戦が続けられておったのですが、その継続であると解釈していいのかどうか、国内問題であると解釈していいのかどうか、この点について伺って参りたいと思います。
○岸国務大臣 私は決して二つの中国というものを認め、その前提に立ってこの問題を見ようとは思っておりません。そういう今お話のような意味において、国内問題であるという一面の性質を持つとともに、現にワルシャワにおいてこの金門、馬祖の問題の処理についてアメリカと中華人民共和国政府との間にこれが交渉がされております。そういう意味において、この台湾問題というものが国際的な意義を持つ国際問題であるという性質も持っておる、こういうふうに解釈いたしております。
○岡田委員 そうすると、毛政権と蒋介石グループとの間は国内問題である。この点はそうではないという御答弁ならば、これは藤山外務大臣が八月の三十日に国内問題であるとはっきり断定をしておりますので、そうではないという御答弁ならば、あらためて藤山さんにも来ていただいて、内閣の不統一をもう一度伺わなくちゃならないことになりますから、これは国内問題だ、しかしワルシャワの関係におけるアメリカと中国との関係は国際関係である、こういう解釈であるというふうに考えてもよろしゅうございますか、この点は重要ですから……。
○岸国務大臣 今のお話の通り、私は二つの意味を持つということは、一面においては国内的な性格を持っておると同時に、この問題が国際的な問題にもつながっているという意味において国際問題である、こう申したのであります。
○岡田委員 そこでこれは重要だと思うのですが、アメリカが蒋介石グループとどういう条約を結んでおっても、それによって行動しようとも、現実に今お話のあったように、毛沢東政権と蒋介石グループとの間に国内問題があり、これに基いて外国の勢力がこの国内問題に関連をしているなら、これは明らかにアメリカの態度は内政干渉であるということを言わざるを得ないのですが、この点はいかがですか。
○岸国務大臣 アメリカと台湾との関係においては、アメリカと台湾のいろいろな条約関係やその他の関係があります。従ってそれによってアメリカが行動しているということでありまして、これはその点については、アメリカが条約上の権利義務を行使しておる、こういうことであろうと思います。
○岡田委員 ですから私の言うのはこういうことなんです。今日の状態は国内問題である、蒋介石と毛沢東の問題は国内問題であるとするならば、片方の側に対してどのような条約を結ぼうと、外国の勢力が国内問題に関連をしたなら、外国の勢力の関係というものは当然国内問題に干渉しているという事実になりませんか。アメカの態度はそのことになるではありませんか。
○岸国務大臣 これは今申し上げた通り、アメリカと国民政府との関係、条約というようなものによるところの権利義務をアメリカが行使していることだろうと思います。それ以上のことは……。
○岡田委員 そのこと自体が内政干渉であると私は申しておる。それはそうじゃないという御解釈があるなら、それは御解釈願ってけっこうです。(「それはこっちの解釈だ」と呼ぶ者あり)そういう解釈ができるということは、あなたの与党においても言っておりますから、これははっきりしている。しかしこればかりやっていては時間がなくなりますから質問を続けますけれども、それではもう一点伺います。日本の場合、日本は蒋介石と条約を結んでいる。日本とアメリカとの友好関係の原則がある。とするならば、今日の事態において、金門、馬祖をめぐる事態において、中国、いわゆる毛沢東政権と蒋介石グループの間に対立がある場合、この二つの関係が日本にあるとするならば、日本政府、岸さんの政府は蒋介石の側に立つというように解釈してもよろしいでしょうか。
○岸国務大臣 国際関係から申しますと、私の方と国民政府との間に御承知の通り平和条約があり、これとの間の友好関係があります。国際的に日本としてはそれを中実に順守し、それを履行するということが、私は日本の義務だと思います。
○岡田委員 ですからそのことは蒋介石の側に立って履行するということではありませんか。
○岸国務大臣 私はこの両方の争いにどちら側に立つというようなことを考えてはおりません。ただ私の方としては、国府との間に結ばれておるところの平和条約なり友好条約というものを忠実に守っていくということは、国際的に日本が当然やらなければならぬことだと思う。それ以上のことは、どっち側に立ってどっちを援助するとか、どちらに旗をあげるというような考えではございません。
○岡田委員 どっちかの側に立って旗を立てないにしても、たとえば現実に先ほどお話のようにアメリカと台湾の間に条約がある。そういう現実に基いてアメリカの第七艦隊は台湾海峡に現在いる。ところがその司令部は横須賀にある。横須賀にあって、横須賀が作戦の指導部の中心になって、そうして台湾海峡の指導をやっておるわけです。こういうことが現実にあるわけです。こういう現実について岸さんは、今まで安保条約があってわれわれは権限がないからやむを得ないというように御答弁になっておられる。ところが現実に中国の側から見てみるならば、日本の国も二つの対立関係のアメリカ側の陣営に立って、それに対して消極的であるか直接であるかは別として、協力の立場に立っているということは現実に否定することができない。もし中立の立場をとっておると言われるのであるならば、台湾海峡の問題についてアメリカの第七艦際がいろいろな指導をするのを横須賀でやられるのは困るということを一言でも発言なさったことがあるか。そういう発言がない限り、客観的に見るならば、岸さんの政府のやり方というのは、中華人民共和国の側に対しては敵対関係に立っているという現実を明らかにしていると思う。向うから見れば、そう言われてもしようがないじゃありませんか。しかるに岸さんの場合には、敵視政策はとっていないと言われるけれども、これはみずからの行動によって証明をしている。敵視政策をとっているということを明らかにしていると思うのですが、この点はいかがですか。
○岸国務大臣 この関係は、御承知の通り現在の安保条約の規定というものが、われわれはそういうことに対して何らの発言権も持たない状況に置かれております。こういう事柄が不合理だということが、私どもが安保条約を改定したいと考えておる一つの理由であります。現在の安保条約のもとにおいては、そういうことに対してわれわれが抗議を申し込むとか、どうとかする権限を持ってやるということの何らの根拠がない、こう思います。
○岡田委員 根拠のあるなしの問題じゃないと思います。根拠のあるなしをいえば、原水爆の持ち込みについても、根拠があるかないかというような問題があるのです。現実にこういう事実が起っているのに、あなたの方では根拠がないからといって、黙っているということは許されないと思う。現実に敵対関係になっているというこの事実について、あなたが中立の立場をとるのだとおっしゃるならば、こういうような敵対関係を、日本としては関与したくないという態度があってしかるべきだと思うのです。その態度がない限りにおいて、あなた自身敵視政策をとっている。特にブラウン談話を通じて、あのようにはっきり言われたとすれば、岸さんが現在の日中関係をぶちこわしている原因になっていると言われてもしようがない。これをはっきりしなければならないと思う。
○岸国務大臣 私はどちらに対しましても、敵対とかあるいは味方とかいうような態度を一切とっておらないということは、先ほど申し上げた通りであります。ただ現在の条約関係、それから生じている事柄でありまして、私どもとしては全然そういう意図がないということを、ここに繰り返して申し上げておきます。
○岡田委員 時間が十分しかなくなってしまったので、もっとやりたいのですが、あとがやれなくなりましたから、もう一度さっきの沖縄問題に戻っていきたいと思います。というのは、今度の安保条約の改定の場合、アメリカの当然の立場として、ヴアンデンハーグ決議が基礎になっている。いわゆる、効果的な自助及び相互援助の能力がある国に限って協定を結ぶという考え方に基いてやっておる。これは否定し得ない事実であります。というのは、前に日本がMSA協定をやったときにも、その前提に立っておったわけです。とするならば、そこで問題になるのは、防衛のための義務というものは、アメリカと日本とが平等の地位に立つというのが、今度の場合一つの意味があるのだと思います。そうすると、日米安保条約の中においては、日本の方はアメリカに対して基地を提供するとか、あるいは駐兵権を与えるとか、その他いろいろな協定がございますが、こういうような義務を日本としてはアメリカに負っているわけです。ところがヴアンデンバーグの決議によって、対等の立場に立つということになるならば、アメリカも日本の国を防衛するという義務が生まれる。これは安保条約には義務がなかったが、その義務が生まれる。それだけ義務がアメリカで増大するならば、日本においてもアメリカに対する義務が増大すると解釈してもよろしいじゃありませんか。
○岸国務大臣 それは私は交渉の内容の問題だと思います。われわれはあくまでも日本の憲法の範囲内において、われわれが負うところの義務の範囲内に限るつもりでおります。従って抽象的に申しまして、アメリカが日本に対して負うている義務内容と同じような義務を日本が負うということは、これは憲法上できないものがたくさんあると私は思います。そういう制約内においてわれわれは義務を負っていくつもりでおります。
○岡田委員 もちろんそれはそうでしょう。ですから制約内においてやるという場合に、いろいろ問題が出てくる。憲法をどういうように解釈するかというような問題も出てくる。その点を言っていると時間がなくなるから省略しまして、具体的に伺いましょう。あのヴアンデンバーグの決議によると、アメリカは、相手国の領土を防衛するという義務を負う限りにおいて、相手国自身も、アメリカの領土の一部を防衛しなければならないという義務を生じてくるわけです。これはヴアンデンバーグ決議の原則ですよ。そうすると、ここで伺いますが、沖縄というものを防衛の適用範囲に入れるということが、今研究されておるというならば、その場合において沖縄を入れたとするならば、沖縄はすでにこれは日本の領土ではなくて、アメリカの領土として認めて協定を結んだということになってしまう。だからアメリカの領土であるものを日本の国は防衛をする、そういう意味において沖縄を入れるのかどうかということを検討するのであって、潜在主権があろうがなかろうが、すでに現実にアメリカの領土として沖縄を認めている、こういう前提に立っていることになりませんか。
○岸国務大臣 アメリカが他に、フィリピンだとか、台湾だとかあるいは韓国等と結んでいる協定を見ましても、いわゆる太平洋にはアメリカの領土と、それから領土ではないが、アメリカが施政権を持っているとか、あるいは支配権を持っているとかいうように、書き分けているところもございますので、われわれがこの沖縄、小笠原を扱う場合においては、われわれは潜在主権を持っているけれども、しかし施政権は持っておらないという、この沖縄や小笠原の立場というものを、何らかの意味において明示する必要があろうと思います。
○岡田委員 その潜在主権ということは、日本が主権を持っているということなんですかどうですか、日本の領土であるということなんですかどうですか、その点が一点。第二点は、潜在主権が日本にあるというならば、防衛権が日本の国に戻ったというような先ほどのような事態であるとするならば、沖縄の防衛の第一次責任は日本が負うべきであって、現在のようにアメリカが第一次責任を負っておるという立場は転倒すると思わなければならぬのだが、その点はどうですか。
○岸国務大臣 潜在主権を持っておるというのは、どういう性質のものであるかということは、いろいろの点から論議されると思います。しかしあすこに住んでいる住民が、やはり日本国民であると言い、あすこにおける教育法等の文句からいっても、アメリカ側においても、初め議論があったでしょうが、これは日本国民だという立場にあることは認めておると思います。そして、なるほど施政権は、先ほど言っているように、包括的に、排除的に全部独占している、こういう状態で、われわれは何もできないのです。従って、われわれが教育やその他のこともできないと同時に、われわれ自身が防衛することも実はできない状況にあると思います。そこで、今の状況においては、第一次的に、もしくはもっぱら防衛の責任があるのは、アメリカであろうと思うのです。いつかも、それじゃ日本は全然あすこの防衛の権利もないのかという質問があったのですが、それに対して私は、今の状況においては、第一次的に防衛するところの権利義務を持っておるのはアメリカだ、しかしわれわれはやはり潜在主権を持っており、日本国民であるという何に立つ以上は、かりにアメリカが全然あすこを防衛しないというような場合においては、日本が防衛するということも、観念上としては考えられるのじゃないかというようなことも申したのであります。従って、今度これを入れるとして、条約でどういうふうに規定するかという条約の規定の内容に、今の御質問の点はかかわっていると思われるのですが、そういう点もあわせて十分に研究しなければならぬ問題であると思います。
○岡田委員 非常にあいまいな答弁です。時間があればこの点はぜひ伺っておかなければならないのですが、たとえば沖縄に対しての防衛権が日本に与えられた、こうするならば、その場合において、先ほどお話のように、潜在主権というものは日本にある、しかし現実に施政権というものはアメリカにあるのだから、防衛権が与えられたということだけであるならば、自衛権に基く防衛権という概念は、沖縄の潜在主権に相応ずるものとして、相見合うものとしてあったにしても、防衛権を行使するという段になると、これは海外派兵になるのじゃないか。海外派兵は防衛権の行使ということです。防衛権を行使するということになれば、憲法違反という事実になってくるのじゃありませんか。防衛権という概念は沖縄にあったにしても、海外派兵という行動を行使する場合においては、明らかに憲法違反になってくるじゃありませんか。
○岸国務大臣 法律の議論としてどう解釈すべきかということでありますが、ここに潜在主権を持っておるというこの地位から考えてみて、かりに防衛権がわれわれに戻ってきたとして、ここを防衛するためにここに自衛隊が行動するということは、いわゆる海外派兵という観念に私は入らないのじゃないかと思います。しかしなお憲法上の解釈でありますから一応なお……。
○岡田委員 時間がありませんからどんどん進めます。まだ重要な点があるのです。たとえばあなたは、沖縄が適用範囲に入った場合、防衛権の行使だということをお認めになった。そうすればこれはどうなんですか。アメリカと台湾との間に防衛条約を結んでいる。この適用範囲に沖縄が入る。韓国との間にも適用範囲に沖縄が入る。そうすると日本とアメリカとの間に防衛条約を結んで、その適用範囲の中に沖縄が入るとするならば、それによって日本に防衛権が戻ってきたとするならば、施政権の一部は返還されたとするならば、アメリカは台湾に対しても朝鮮に対しても沖縄に関して施政権の一部を返還してやったことになるじゃないですか。その点はどうなんですか。
○林政府委員 今の岡田委員の御質問でございますが、沖縄の台湾あるいは韓国に対する関係と、日本に対する関係とは地位が根本的に違っていると思います。日本はつまり潜在主権を持つ、日本の領土あるいは国民であると考えております。これは決してよその領土あるいはよその国土を日本が相互防衛の立場で守るという立場ではないと思います。ところが韓国あるいは台湾が米韓条約あるいは米台条約で相互防衛を約束しておるのは、お互いの国土をお互いに守り合おうということでできておるわけであります。台湾が沖縄を防衛する、あるいは韓国が沖縄を防衛するというのは、そういういわゆる集団的自衛権の発動の関係だと思います。沖縄に対しては、私は日本はまさに個別的自衛権の範囲だと考えております。
○岡田委員 今のは答弁になっていない。これは集団的自衛権の場合であるとか、個別的自衛権の場合であるとかということは、潜在主権をどういうふうに規定するかということと関連する施政権の行使の問題です。そう簡単にそういうような解釈だけでわれわれがだまされるなどと思ったら大間違いですから、もう少し御研究を願います。 そこでもう少し伺っておきます。最後の点ですが、今度は安保条約を改定して、新規な条約ができて、第四条に基いて日本とアメリカとの合意によって、過去の安保条約を破棄して新条約ができるわけですね。そうなんでしょう。それはどうなんですか。
○岸国務大臣 私どもまだ具体的に条約の交渉は……。
○岡田委員 そういうつもりなんでしょう。
○岸国務大臣 そういうつもりでおります。
○岡田委員 そういうつもりだとするならば、安全保障条約に基いて結ばれている行政協定も全部破棄になるとわれわれは解釈すべきであると思う。特に安保条約に基く行政協定の中には、日本の国を不平等な形で抑えているいろいろな諸関係が明らかになっている。たとえばアメリカの軍隊がどんどん入ってきても税金をかけなくてもいい、あるいはどこを通ってもいい、いろいろな点があります。こういう行政協定は一切破棄になると解釈をしなければならないと思うのです。それはどういうわけかというと、行政協定と安保条約との関係が、吉田内閣のときに問題になったときに、行政協定は国会にかける必要はない、その理由としては、安保条約の付属行政協定であるから、これはかける必要がないという答弁をされている限りにおいて、この安保条約が破棄になり、新条約ができるとするならば、この行政協定は当然無効になると解釈すべきものであると思うのですが、この点が一点。 第二点は、行政協定に基いて日本の法律が三十幾つ作られている。行政協定に基く土地特別措置法とか、いろいろな法律が作られて三十幾つあります。この法律によって日本の国民がいろいろな権利を制限されている。こういう三十幾つの法律も、基本法である行政協定が無効になるとするならば、この法律は当然法律自体としては改めなければならない、基本法がなくなったのであるから無効である、そういうふうにわれわれは解釈すべきであると思いますが、この点はどうですか。まだありますけれども、この二つの点だけ伺っておきます。
○岸国務大臣 それを新しい条約でどう扱うかということは明定すべきものであろうと思います。明定しなければ今のお話の通りでありますが、新しい条約においてかってある行政協定やその他のものをどう扱うかということも、これは協定の内容として考える問題だろうと思います。
○岡田委員 それはいいかげんですよ。安保条約という基本法がなくなるんですよ。それに関する行政協定なんでしょう。基本法がなくなるのに行政協定だけが残るとかなんとかいうような解釈は——本来行政協定を破棄して新しい条約に基いて行政協定のこの部分を生かすということを条文上明らかにするならば、前の行政協定はなくなって新しい行政協定としての法律的要件が生まれるわけです。それが何か残っておるのだというような解釈をするならば、あなたは今度の安保条約の改定において平等の立場をとろうとしておることも、あいまいにしておこうとしている含みがあるのだと解釈せざるを得ない。それともう一つは、行政協定がなくなるならば、それに基いてできた日本の法律というものは無効になるわけですよ。そういう点は当然じゃありませんか。三十幾つの法律が無効になるわけですよ。
○岸国務大臣 法律の問題につきましては法制局長官からお答えいたします。
○林政府委員 今の岡田委員の御質問は、実は形式として今後交渉に当って考えるべき問題だと思います。これは当然その範囲において交渉によってきまりますが、今後とも日本にアメリカの駐留軍がおる以上は、何らかの意味の現在の行政協定に似たような性質のものが必要だと思います。それは今度の新しい条約で今の行政協定を生かしていくか、あるいは新しい行政協定的なものを結ぶかということは、問題になると思います。それは新しい条約で今までのものをどう取り扱うかということがはっきりするわけでございます。形式的に言えば、従来の安保条約の行政協定が当然生きるのではなくて、新しい条約に基く行政協定というものが、内容が同じか違うかは別問題といたしまして、あるということだと思うのであります。従いまして、もう一つの、行政協定に基く立法の方は、これはまさに内容は行政協定を実現するためのものでありますが、立法はまさに国会でなさったものでありますから、廃棄にならない限り無効になることはございません。ただ内容を、行政協定の変ったことによって変えなければならない、あるいは廃止しなければならないという問題が出てくるということだと思います。
○櫻内委員長 佐々木盛雄君。
○佐々木(盛)委員 私も先ほどの林法制局長官のお話を聞いておりまして、沖縄、小笠原を日本が防衛することは施政権が返還されたことになるというような、そういう三百代言的なことには賛成できません。しかし私は、本日は非常に時間を急いでおりますので、これから今度の条約の交渉をなさるときにあるいは御参考になりはしないかということについて申し上げたいと思います。そういう非常に建設的な考え方から承わるのですが、この日米安全保障条約というものは、国際連合憲章第五十三条に基く地域的取りきめなりやいなやという点をまず明確にしていただきたいと思います。
○高橋(通)政府委員 この国連憲章の第八章の地域的取りきめのことは、かねがね非常に広範に慣行として考えられておったわけでありまして、安保条約も一つの地域的取りきめの形であると考えております。
○佐々木(盛)委員 しからば地域的取りきめであるといたしますならば、憲章五十三条の規定によりまして、それが緊急のときに強制措置をとります場合におきましては、当然国連の安全保障理事会に報告する義務がございます。ここへ報告いたしますならば、御承知のように理事会にはソ連もおりまして、拒否権を発動することはもとより当然のことでございます。従って今日の日米安全保障条約というものは、その国連憲章五十三条の安全保障理事会のコントロールのもとにあるんだというのでありますが、その点についてはいかがですか、間違いございませんか。
○高橋(通)政府委員 ただいま申し上げましたのは、非常に大きな、広い意味における地域的取りきめでございまして、通常の地域的取りきめでは、武力攻撃等が起った場合に、個別的または集団的にこの武力攻撃に対抗してこれを排除するという規定がございます。従いまして今御指摘の点は、そういう規定がある場合に、この地域的協定が発動するという場合は、本来ならば前もって国連の許可を得なければならないのでありますが、憲章第五十一条の規定に従いまして、個別的または集団的自衛の措置として、許可を得ずして対抗の措置をとっていい、その場合は国連の安保理事会が措置をとるまでの間そういうことをしていいのであって、またそういう措置をとったならば直ちに安保理事会に報告しなければならない、こういうことになっております。
○佐々木(盛)委員 あなたたちはそういう点では非常に不注意だと思います。この条約を結んだ当時の当事者であった当時の条約局長の西村熊雄君は、私もこの委員会において何回となくこの問題についても論争いたしましたが、当時のいきさつからいきまして——ここにも西村君自身が書かれた論文がありますが、その中にもこう書いております。日本側では、最初安保条約を結ぶに当って、日本に対する武力攻撃があった場合においては、日米は集団的自衛関係に立つことを明らかにして、国連憲章五十一条によってまず自衛権を発動し、しかる後にこれを安全保障理事会に通報してその措置を待つというふうにしたかったのだ。ところが安保条約の第一条の規定におきましては、アメリカの武力行使と国際連合との関係が明瞭ではございません。これは向うが拒否してきたのです。途中の経過は時間がありませんから申し上げませんが、向うが拒否してきたのです。それで明確になっていない。やむを得ずことしの九月十四日に、藤山外務大臣とマッカーサー大使との間に安保条約と国際連合憲章との関係に関する交換公文を出して、ややこの関係を明らかにしたのであって、今のところは、果してしからば安保条約というものは集団的自衛関係がこれによって発生するのか、それとも今日本におりますアメリカ軍が行動するときには、それはアメリカ独自の、アメリカの個別的自衛権と見るべきかどうかということについては非常に疑問が残っておるわけです。これは当時の条約局長みずからが、それは疑問として残っておる、これが禍根であると言っておるじゃないですか。本日の新聞などに出ておりますところの安保条約改定の問題点を見ましても、この問題がちっともうたわれていない。こういう重大な問題を明確にいたしておかなければ、将来国際連合憲章との重大な矛盾の問題が出てくると私は思うなぜこれらの点についてあなたはもっと真剣にお考えにならないのか、なぜ具体的な用意をなさらぬのかということを伺っておきたいと思います。
○高橋(通)政府委員 ただいま御指摘の点でございますが、初めの御質問が地域的取りきめであるかどうかという御質問であったものでございますから、やはり集団的自衛権の関係を明確に規定している地域的取りきめもありますけれども、そうでない取りきめもあるわけでありまして、この地域的取りきめという一般的概念のもとにおいては、非常に広範な、このような種類のものも従来地域的取りきめの中に入れられているということを申し上げた次第であります。ただ自衛権の問題におきましては、やはりただいま御指摘がありましたように、通常と申しますか、従来、このあとにできました諸種の協定のように、武力攻撃があったときに直ちに集団的または個別的自衛権を発動してやるというような規定の仕組みにはもちろんなっていないことは御承知の通りであります。
○佐々木(盛)委員 従って私は、国連憲章との関係を、今度は日米の集団自衛権に基くものであるという規定を明確にする方がよくはないかということを、特に訴えておく次第であります。これが明らかでないと——現に条約を担当した当事者自身が、これが不明確であるから必ずこれは禍根を残すということを書いている。今度の改定についてはぜひともこれを考慮しなければならぬということを訴えておられます。 次の問題に移りますが、今の日米安全保障条約というものは、最初日本は交渉に入ったときには、日米の相互防衛の条約にしたかった。そういう立場から日本がいろいろ要求したけれども、アメリカがいわばこれをけってしまったわけになる。今の安保条約というものは、先ほどお話のありましたヴアンデンバーグの決議などによりまして、日本は今のところ継続的で効果的な自助と共同防衛に十分の実力がないから、しばらくの間アメリカが日本を守てっやろうということになっておる。対等の立場のものじゃない。しばらくの間守ろうということになっておるわけでありまするが、従って日本におりまするアメリカ軍というものは、最初の日本の案では、もっぱら日本の防衛に当るということになっておったのです。ところが朝鮮動乱もありまして、アメリカはそれでは困るので、日本の防衛のために寄与することができるが、同時にこれは共同の安全を守るためにこれを使うこともできるというふうにいたしたのが、今日の安全保障条約でありましょう。従って、今度条約を改定する根本から申しても、この条約の中に書いてありまする日本の安全に寄与するために使用することができる、のではなくて、日本の防衛をする義務がある、いわゆる防衛の義務づけというものを、今度は明確にしなければならぬと思いますが、これは総理大臣も、重要なことでありまするからもちろん御承知であると思いますから、承わっておきたい。
○岸国務大臣 私どももそういうことを明確にしたいと思います。
○佐々木(盛)委員 それからもう一つ重大な点は、今の安保条約によりますと、日本にあるアメリカ軍を共同の緊急事態のためにほかへ動員をしていく、今度は新しい条約でもそういうことが当然出てくると思いまするが、そのときに、この国会の論議を承わっておりますと、事前協議をしなければならぬということをしきりに皆さんおっしゃっております。私も事前協議ということは、場合によっては日本が戦争に巻き込まれるのであるから事前に十分協議をしなければならぬという必要性、そういう御主張をなさる方の御意見はわかりますけれども、さりとて一面また申しますると、今度は、日本に駐屯するアメリカ軍をほかの地域で極東の平和のために使うのに、一々日本と交渉するということになりますると、交渉が困難だとかいうことではなくして、むしろ交渉した結果アメリカ軍が出動するということになりますると、日本の責任は免れないでありましょう。従ってそこまで日本が立ち入って明確な規定をするということが、私は政治の問題、実際の問題として有利かどうかという点も考えますので、そこまでは少し行き過ぎじゃないかと考えるわけでありまするが、総理大臣も一つこの点はよくお考えになる必要がありはせぬかと思いますので、御所見を承わりたいと思います。
○岸国務大臣 今の佐々木委員のお気持も私はわからないわけじゃありませんが、しかしわれわれが自主的な、できるだけ憲法の範囲内においての対等性を持った一つのなににするというこの根本に立ちますと、先ほども岡田委員のお話にありましたように、安保条約で、われわれが全然関知しないとき、あるいはわれわれが何らの意見も言えない状態において、しかも何か出動した、使用されているということで、日本の敵性であるというようなことを言われるような危険のあることを考えてみますと、やはり自主的な立場及び各般の事情を考えて日本の意見を十分に言え、またその同意がなければ使えないようにすることが必要じゃないか、こういうふうに考えております。
○佐々木(盛)委員 安保条約の第一条にうたっております日本国というのを私はこの際はっきりしていただきたいと思いますが、沖縄、小笠原は含んでいないと私は考えております。従って、沖縄、小笠原に対する武力攻撃は米国の管理下にある地域に対する武力攻撃であって、日本に対する武力攻撃ではない、私は現在の安保条約はこう解釈すべきものであると考えますが、いかがでありますか。
○岸国務大臣 現行の安保条約ではそう解釈すべきものであろうと思います。
○佐々木(盛)委員 私も今言った通り、その通りだと思います。 次に、もとより今度新しく締結されます日米相互の防衛の取りきめにおきましては、日本の立場から憲法上の留保条件が当然つくことと考えますし、安保条約におきましても、日本が非武装化されておって憲法で戦争や戦力を放棄していることをアメリカも十分承知の上でやったことでありますから、憲法上の留保条項につきましてはアメリカももとより承知の上で、そういう前提に立って日米の新しい条約を結ぶんだと考えますが、いかがでありますか。
○岸国務大臣 その通りでありまして、私ども話をする場合において、最初藤山・ダレス会談におきましてもその点を動かすべからざる前提条件として、その範囲内における問題として話を進めております。お話の通りであります。
○佐々木(盛)委員 それから安保条約の中にあります内乱、騒擾の場合のアメリカ軍の出動のことでありますが、これはずっと以前から対内の安全というものは自力で確保するというのが日本の変らない主張であったわけであります。でありますから、総理もしばしば御指摘になりますように、日本もかなりの治安力ができたわけでありますから、当然これは配慮されると思いますが、重ねて見解を明らかにしてもらいますと同時に、私は日本の治安体制の確立が非常に必要ではなかろうかと考えるわけでありますが、この点につきましての御見解を簡単でけっこうでございますから承わりたいと思います。
○岸国務大臣 この条約において、内乱の場合にアメリカ軍を使用するということは、私は自主的な立場並びに日本の現状からいってそういう条項を残しておくことは適当でないと思います。同時に国内のいろいろな情勢等から見て、国内における治安対策につきましては万全を期していかなければならぬと思います。
○佐々木(盛)委員 非常に時間がなくて思うことを言えないのでありますが、条約の有効期間の問題であります。私は理論は申し上げませんが、今度は有効期間が期限づけられることと思いますがいかがでありますか。
○岸国務大臣 現行の安保条約においては全然その点についての規定がありません。これをどういうふうにするかはなお検討を要すると思いますが、私ども一定の期限を付することが望ましいと考えていろいろ折衝いたしておるわけであります。
○佐々木(盛)委員 先ほど触れました沖縄、小笠原に関連する問題でありますが、今度の条約の適用区域をどこにするかという問題であります。新聞などを見ておりますと、現在の安保条約と同じように適用区域は日本区域とするという意向のもあり、その日本区域の中に沖縄、小笠原を含むか含まぬかということが問題とされておるのもありますが、一面アメリカ側はそうではなくて、西太平洋とか太平洋とか極東地区とかいうふうなもう少し広範な地区にしようという考えもあるようであります。私の主張は、御意見とは反対であるかもしれませんが、太平洋地区であるとか西太平洋地区であるとかあるいは極東地区というふうな現在の安保条約の適用区域をさらに拡大いたしました広範な地域にする方がよくはないか。あるいは少数意見か知りませんが私はそういう考え方を持っておるわけであります。(「海外派兵じゃないか」と呼ぶ者あり)海外派兵ということをおっしゃるが、海外派兵してはいけないということは憲法の規定にはありません。憲法上の制限と憲法上の制限からくる政策というものはおのずから違うのであります。あたかもたとえばわが自民党におきまして自民党の綱領というものがありますけれども、綱領と政策とはおのずから違うようなものでありまして、私はそういう点にはあまりとらわれない。これを日本地域としてその日本地域の中に沖縄、小笠原を含めるということになりますと、先刻来お話のような非常に厄介な問題が出てきて今の林法制局長官の説明くらいのことでは解決のつかない難問題が出て参ります。そうではなくして太平洋地区とか西太平洋地区とか極東地区とかいうような広範な地区における相互の防衛体制を作る、こういうふうに改めまするならば、沖縄、小笠原を含むとか含まないとか、あるいは海外派兵がどうかこうかというようなことは、学者のアカデミックな論議の対象にはなりますけれども時の政府としては、そういう広範な方向に持っていくのが当りまえである、また、そうしなかったら何のために条約改定をするのか、現在の日米安全保障条約と内容の同じものを、少し条約をいじくっただけでは本質は変ってこないと思うわけです。従って私は、日本地区とするのか太平洋地区とするのか、大体の構悪は岸総理も腹の中はきまっておると思いますが、この際一つ明らかにして下さい。 ついでに申し上げておきますが、社会党はかってそう長い間天下を取って条約を結んだ経験がないから知りませんが、わが保守党政府の場合におきまして、従来外交問題は官僚だけがやっておって国民をつんぼさじきに置いておった。これではいけないと思うのです。そういうことをいたしておりましては国民はなかなかついてこないのであります。今日の段階におきましては、むしろ総理は進んで所信を明らかにされることが適当であると私は思う。従いまして、どの程度を適用区域にするかというくらいは、根本問題ですから、技術の問題ではないのでありますから、総理大臣の所信を承わりたいと思います。
○岸国務大臣 私は先ほども岡田委員の御質問にお答えを申し上げたのでありますが、そのほかの機会におきましても、適用範囲の問題についてはいろいろな区域が考えられるだろうが、現在の日本の置かれておる立場から見ますと、必要なところは入れなければならぬことは言うを待ちませんが、しかし必要な最小限度にとどめておくことが望ましいのでありまして、今お話のような御意見もございますけれども、これをどちらに入れたがよいか、沖縄、小笠原の問題について十分一つ世論の動向を聞いて最後の結論を得たい、私はこうお答えをしております。そういうなにでありまして、私の考えとしては、今申し上げるようにいろいろな地域の考え方があり、非常に広い考え方もありましょうが、何よりも安全ということを主体にして日本の置かれておる立場なり実力なりを考えまして、なるべく必要な範囲はもちろん入れなければなりませんが、最小限度にとどめたいという意味で、むしろ佐々木委員のお考えとは方向としては反対の考えを持っております。
○佐々木(盛)委員 私は、今度の条約改定の本質から申しましても、やはりこの防衛地区を拡大するということ、これは日本の立場からも、アメリカの立場にこたえるゆえんでもあるかと思いまするし、そうすることになれば、反面憲法上の日本の留保条項にも、こういうしっかりしたものがあるわけですから、これによって日本が沖縄、小笠原とかその他に軍隊を出すことができないのはアメリカも先般承知の上で、憲法上の留保条項、これは重要なことです。このかぎを握っております限りは、もう少し総理大臣の頭も政治的にお考えになって、そういう広範な地域にした方がよくないかと私は思います。 それから特に私はこの際あまり時間がありませんから、所見の一端を申し上げ、総理大臣のお考えを承わりたいと思います。この間総理大臣がミスター・ブラウンとの記者会見をやっておられますが、私は率直に言って、実は最近の岸総理大臣の外交方針の中にも、藤山さんの外交方針の中にも、私たちあまり共感を得ないところがたくさんありまして、俗に両岸的外交であるということをよくいわれますが、私もそんなふうな印象を受けないわけでもなかったのです。今党の中にいろいろな何とかの派閥があるとかなんとかいうことを申されまするが、私は政策的に共鳴する人にはほんとうの陣がさでもひざまずいて教えを受けたいと思います。しかしながら、政策上共鳴しないことはどうも私は論理の一貫せざるところに情熱を感じない男でありますから、従いまして、そういう見地から私は申し上げておるのでありますが、岸さんのあのミスター・ブラウンとの会見の記事が新聞に出ましたとき、私は手をたたいて喜んだのです。やっぱり岸さんはこれであったのか、これはなかなかたのもしいと思って喜んでおりましたところが、にべもなく岸さんはこれを取り消された。私はまた失望いたしたわけであります。先刻来岡田君の質問に対して、岸さんはなかなか社交家ですから、うまいことを外交辞令をもってお話になっておりますけれども、このブラウンとの会見の記事の中にも出て参りまするが、今日台湾も朝鮮も日本も共産主義の侵略に陥ってはだめです。守らなければなりません。その限りにおいてあなたのおっしゃったことは正しい。また中共は侵略者でないと言っていますが、あなたも言っておられますように、朝鮮にベトナムにその他について侵略行為をやっておることは事実であるし、国際連合は侵略者として認めておる。わが保守党の総裁が、その共産勢力に対して断固として守らなければならぬということを明らかにされることは、当りまえのことであります。また今日の段階において中共を承認すべき段階でないことも事実でありまするし、また憲法というものも、これは改正すべき段階にそろそろきておることは、わが党の方針であります。その岸さんがこの言葉を打ち消すようなことをおっしゃったことは、私は実は不満に思っているのです。従って、今度の安保条約におきましても、新しくできまする条約というものは今現に中ソ軍事同盟があったりして、共産主義の侵略の前に日本は危険にさられておるのです。岸さんはアメリカに行かれて、向うの首脳部とお会いになって、特にそのことを痛感なさったと思いますが、その侵略に対して防壁をなすことは、当然のことじゃありませんか。従って、私は、そういう意味において今度の安保条約というものはまことに重要でありはせぬか。つまり中共を承認するとか中共を非難するという問題ではなくて、共産主義の脅威が現に存しておる限りは、日本も安保条約を改正してしっかりした防壁を作る、こういうことが必要ではなかろうかと思います。その点に対する御所見をまず承わりたいと思います。
○岸国務大臣 先ほど岡田委員にもお答え申し上げましたように、この改定の国際的意義ということは、今お話がありましたが、このお言葉は多少私そのままには同意できないようなところもありますけれども、お心持としては私ども全然同感でありまして、国際共産主義の脅威がある限り、これに対してわが国を防衛する、それには日本の自力だけではいけないから、アメリカとしっかりした、できるだけ日本の自主性を認め、対等な立場にあるところの協定を作って防衛しなければいかぬ。それと同時に、先ほどもお答え申し上げたように、国内における治安体制及び間接侵略に対する十分な国内体制を整えていかなければいかぬ、こういう見地に立っておるわけであります。
○櫻内委員長 佐々木君、お願いですが、戸叶さんが残っておりますので、御協力を一つお願いいたします。
○佐々木(盛)委員 協定時間を守っておりますから……。今の総理の答弁を聞きまして、私は全く同感で、その通りでなければならぬと思うのです。特に保守党の内閣が共産主義の侵略に対して甘っちょろいことを言っておったのでは仕方がないわけです。この点は一つ総理大臣は今後とも、私はもっと明確に保守党の政策というものを打ち出す方法がありはせぬかと思うのです。実はゆうべ広島県におきまして警職法の立会演説がありまして、私もわが党を代表してやってきたのですが、ああいうことを見ましても、やはり警職法の内容が国民によく徹底しておらぬということを痛感いたしました。今度の安保条約の問題につきましても、いたずらに隠しておくのだということではなくして、進んで国民を指導するという力強い立場を打ち出していただきますならば、岸さんの人気も一ぺんに上って参りますし、さすがにわが保守党には政権を託するに足るという、力強い信頼感を国民は持つわけであります。そこで、私はそのことに関連して、最後に一点だけ申し上げておきまするが、この安保条約の改定とは不可分一体の関係におきまして、日本の国防力と申しますか自衛体制と申しますか、現在の陸海空を含めた自衛体制をこのままでいいとは私は考えないのであります。従って当然条約改定の前提として、あるいは不可分の関係において、真にいろいろな侵略の脅威がありまする限り、また国内におきましてもいろいろ間接的な侵略の脅威がある、私はほんとうに現在の国情まことに憂うべきものがあることを痛感いたしております。おそらくは岸さんもその点につきましては心中深く期しておられるところがあると思うわけでありますけれども、そういう観点に立って、いたずらに社会党の諸君に迎合するという考え方ではなくして、毅然として保守党の行くべき道を明らかにしていただき、歴史的な非常に重大な責任が岸さんの背中にかかっておることを銘記していただきたいと思います。そういうことも十分お考えであろうと思います。私はそういう意味におきまして、あなたがくしくもブラウンとの会見内容におきまして述べられたことについて、私はあらためて満腔の敬意を表したい。 そこで最後に申し上げておきまするが、時間がございませんのでこれで打ち切っておきまするが、この条約の改定と関連をしてというよりは、むしろ前提をなすものとして、日本の国防力の充実、これは安保条約によっても課せられた使命であります。平和条約によってもそのことの使命が課せられておるわけでありまするから、自衛力を増強していく体制を確立する、また国内においても治安体制を確立していく、この点についての御決意があろうと思いますので、率直に承わっておきたいと思います。
○岸国務大臣 日本の独立を維持し、他からの侵略を排除するために自衛力を持たなければならぬということは、私どもそういう見解のもとにずっと自衛力の増強に努めてきておるわけであります。しかし世間で言っているように、私はこの問題はあくまでも日本の自主的立場から、われわれが日本の国力と国情に応じて防衛力を増強していくという国防会議の決定通り進んでいきたい、かように考えておりまして、またこれも関連がありましょうが、別に国内の治安対策という問題につきましては、最近いろいろ現われておるところの事象から見ても、あるいは外には現われておりませんが背後でいろいろ動いておるところの情勢等を考えますと、よほどわれわれはしっかりして、これに対して治安を維持よるという方策を立て、これを実施していく必要があると思います。これにつきましては政府としても十分意を用いて努力をいたす覚悟でおります。
○櫻内委員長 戸叶里子君。
○戸叶委員 時間もないようでございますから質問だけしたいと思います。 安保条約の改定に当りまして、岸首相も外務大臣も、今度は対等的な、そして自主的なものにするということを繰り返しておられます。そうすると今までの安保条約というものは全然対等的でなかった、こういうふうに了承してよろしゅうございましょうか。
○岸国務大臣 そうであったと思います。
○戸叶委員 ちょうど昭和二十六年に安保条約が国会で審議されたわけでございます。その当時私どもは、こういう非常に屈辱的な条約は結ぶべきでないということを申し上げましたけれども、吉田総理大臣兼外務大臣は、これは対等なものである、対等の立場で結んでいるのだからどうしても結ばなければならない、こういうことを何回も繰り返しておっしゃっておられます。速記録をお開きになればわかることでございますが、そういう点から考えまして、岸首相は、その当時対等な立場で締結したのだと言われた言葉を、今どういうふうにお考えになるか、これを伺いたい。もしそれが吉田首相の考えで、やはり間違いであったというふうにおっしゃるならば、率直にそれをおっしゃっていただいていいと思います。この安保条約というのは、日本の外交史上非常に大きな問題だと思いますから、私たちの子孫がこれを読んだときに、同じ保守党の内閣で、ある人はこれは対等だと言い、今度は対等でないから対等なものにするのだというような不統一があることはまことに残忍だと思います。従って、あの当時は国民を押えるためにやはり対等だというふうに言ったのではないかとお考えになるのだったら、その通り率直におっしゃっておいていただきたいと思います。
○岸国務大臣 私は当時の吉田首相がどういう意味で対等ということを言われたか、つまびらかにいたしませんけれども、現在存しておるところのこの安保条約の規定をしさいに検討しますると、アメリカ側はこれにおいて一方的に権利を持っておるけれども、こちらは持っておらない、日本はこれに対して、いろんなことに対する発言権もなければ何もないという内容は確かに不平等であると思います。ただ当時の状況において、アメリカとの間に話し合いをし、日本からも、決して一方から押しつけられたという意味でなしに交渉されたというようなことが、当時対等ということを言われたことじゃないかと思います。しかし現在存しておる有効なる規定の内容を見ると、私が不平等であり対等でないと申し上げたことは御了解いただけると思います。
○戸叶委員 私どもはその当時、今首相のおっしゃったようなことで政府に迫ったのでございますけれども、対等であるということでがんばられておりましたので、やはり今おっしゃったようなことをはっきりと記録に残しておかなければならないと思います。 次に条約の適用区域についてでありますけれども、首相はなるべく狭い範囲にしたいというふうに今もおっしゃいました。このことは大へんにいいことだと思うのですが、沖縄、小笠原の問題についても、住民の意見だとか国民の声などをよく聞いてみたい、こういうことをおっしゃいました。これは大へんに必要なことだと思いますけれども、ただ問題は、国民の意見を聞くと申しましても、果して世論をどの程度までお聞きになっていただけるかという点と、どういう形で国民の意見をお聞きになろうとするのか、この点もはっきりしていただきたい。たとえば国民がそれを十分考えるひまもないうちに、沖縄、小笠原が入ってしまうというようなことも考えられるのじゃないか。従って、どういう形で国民の世論を聞こうとされているか、これが一点。 さらにまた、沖縄の住民の意向を聞きたいということでございますけれでも、岸首相が国会で答弁をされているようなそのままの答えが沖縄の人たちに入ればそれはけっこうなことだ。何か施政権が一部返されるようなことになるから、自分たちは近く日本に復帰できるじゃないか、こういう喜びをもって、やはり入れてほしいという気持になると思うのですけれども、実際問題としては先ほども岡田委員がおっしゃっておりましたように、今度もしも沖縄を潜在主権があるということだけで日本が防衛するということになりますと、結局共同防衛という形で、何ら施政権をもらわないで、共同防衛の義務を負うだけであって、そうして何ら権利がない。かえってよけいな義務を負わされるというふうな形になることを私はおそれるのであって、そういう点をはっきりと沖縄の住民にお話しになりませんと、住民の意見というものは間違った意見を出されるのじゃないか、こういうことをおそれるものでございますが、どういうふうにしてその意見をおまとめになりますか。その点をお聞きしたいと思います。
○岸国務大臣 こういう問題に関する国民の意向、世論というものを、形式的にどういう方法でどういうふうに聞くということは申し上げませんが、すでに国会におきましてもこの問題についての論議がこういうふうに十分行われておりまして、私はこういうことに関して国民の意向のあるところも十分に考え、それから利害得失を十分に検討して、慎重にこの問題はきめたいということを申しております。これは公けにされていることであるし、これに対していろいろな方面においてすでに論議も行われているようでありますから、そういうものの動向等につきましても十分に留意して、この問題に処していきたい。条約そのものを非常に急いで、あるいは全然国民の前に打ち出さずに事務的に進めてこれを締結するというような考えは実は持っておりません。この問題は重大な問題でございますから、すでに審議もしばしばあってもおります。あってもおりますが、まだ具体的に一つの案を両方から出し合うというような段階でございませんで、私どもは慎重に問題点を両方から出し合って、従来のいきさつなりそれに対する今後研究していく方法なりということを話し合っているというのが現在の段階でございます。十分慎重にそういう点は扱っていくつもりでおります。
○戸叶委員 そうしますと今いろいろと意見を出されているわけでございますけれども、いよいよ沖縄、小笠原の問題がアメリカとの話で最終的な段階になったときには、もう一度はっきりと国会なり何なりで積極的にその向きを説明されて、そして議論をする余地をお与えになるものと、そういうふうに私どもも了承したいと思うわけでございますが、いかがでございましょうか。 それからさらに、時間がありませんので急いで伺いたいと思いますのは、首相はなるべく狭い範囲内に共同防衛の区域を置きたいというふうに言われております。そこで昨日も予算委員会におきまして、西太平洋の地域は入れないというふうなことを言われておるわけでございますけれども、その場合に私どもが考えたいことは、海外派兵というような武力行動というものをする範囲はこの程度で、しかし条約の適用範囲はそれよりももう少し広い範囲だというような共同防衛の地域、条約の適用範囲というものが違うというようなことはまさかお考えにならないと思いますけれども、そういうこともお考えになることがあるでしょうか、この点を伺いたいと思います。
○岸国務大臣 観念としては今戸叶委員のお話のように、この条約でもって、ある地域に加えられた危害、侵略というものを両国が共同でこれは自分のところへ加えられた危害なり侵略と見るという、この条約の問題、区域の問題と、それからもう一つは、その中でいかなる行動をするか、武力行動をする範囲をきめることとは、ことに日本のような憲法を持っておる国におきましては、私は観念は違えて考えることはできると思うのです。しかし今私どもが考えておるのはそういうことを考えようということではございませんで、できるだけさっき申し上げた通り、一面においては佐々木委員のように、現在の極東における状況から見てむしろ防衛範囲というものを広げたらいいじゃないかというお考えも一つの傾聴すべき御議論だと思います。同時にまた日本が置かれている状況なり、また日本の国民感情なりというものを考えてみると、私が申し上げているようになるべく狭くするということが、私はやはり国民の考えじゃないかと思います。ただ沖縄については、これに反対の議論も私は聞いております。この点について疑問を持っておられる社会党の諸君から御意見も聞きました。しかし同時にすでに沖縄の住民の意向も一部は表明をされております。また国民の間にもその点に関してはむしろ当然だという議論もあります。それからこれを入れた場合におけるいろいろな利害得失の問題もございますから、十分そういうことを考慮して、いわゆる適用区域といいますか、条約区域というものについては慎重に検討したいと思います。
○戸叶委員 そうしますとはっきりここでお答え願いたいことは、観念的には考えられるけれども、条約の適用地域というものとそれから共同防衛の地域というものは決して違わないのだ、一致しなければならない、こういうふうに解釈してもよろしゅうございますね。
○岸国務大臣 法律上の観念としては不明確なところがあるようでありますが、私は日本の自衛隊が軍事行動をする範囲というものは憲法の解釈でおのずからきまってくるのじゃないかと思います。それは初めから交渉の前提でありますから、どんな範囲をきめたとしてもそれを動かすことは絶対にございません。 それから米軍が活動する範囲という、かりに日本に駐兵させた場合においてそれが活動する範囲という問題がもう一つあると思うのです。これらについてはまたいろいろな意味において検討しなければならない問題であろうと思います。そういうことを合せていわゆる適用範囲といいますか、防衛範囲といいますかの場合に検討したいのでありまして、いずれにしても日本の自衛隊の活動する範囲とアメリカの軍隊の活動する範囲というものの間には違った区域があり得るということはお考え置き願いたいと思います。
○戸叶委員 そうしますと、結局今度の日米の相互防衛条約の中に、日本とアメリカとの間の共同防衛をする地域というものはきめられるわけですね。その場合において日本にいる米軍が活動する範囲というものも別にあると考えての条約でございましょうか。そういうことがあったら非常に大きな問題になると思うのですけれども……。
○岸国務大臣 先ほどから議論のありますように、その場合における活動について日本の事前の協議事項にするかしないかという問題が一つの議論になっておりますが、その問題は当然そういう意味の問題であると思います。
○戸叶委員 それは問題が違うと思います。日米相互防衛条約ということになりますれば、その中にはっきりきめられることは、日本の本土なら本土、それにさらに沖縄が入るとか入らないとかいう問題になるべきだと思います。もしも共同防衛するのはこことここであるけれども米軍が活動する範囲は極東の平和と秩序の安全のためとか、あるいは西太平洋の安全のためとか、そういうことになって参りますと、結局日本との相互防衛はこの地域だけだということがきめられていても、やがてはそちらの方まで武力行動というものをいろいろな形において協力せざるを得ないというようなことになると思うのです。ですからこういう点は条約の中にはっきりしておかなければならないと思いますけれども、いかがでございましょうか。
○岸国務大臣 先ほど来私がお答えをいたしましたことにおいて尽きておると思います。それは今申し上げたように、日本の自衛軍の行動の範囲というもの、また共同防衛の地域をなにしました場合におきましても、日本がどういう方法によってこの防衛に当るかということは、言うまでもなく憲法の規定の範囲内でわれわれは義務を負うのであります。それに対してアメリカ軍にどういう行動なり権限をわれわれの方で授認するかということは、これはやはり協定の内容の問題でありまして、その場合においてあるいは事前の協議が要るとか要らないというような問題も出てくることであると思います。
○戸叶委員 この点については私もう少し次の機会にはっきりさせたいと思うのですが、もう一点だけ伺いたいことは、もし沖縄、小笠原が入った場合に大きな問題としてもう一つ考えられますことは、核兵器の持ち込みと非常に関係があると思うのです。岸首相が昨年の二月二十八日に衆議院の内閣委員会で、この沖縄に原子力部隊が配置されても仕方がないというようなことを言われまして、当時私どもは非常に驚いたのですが、もしも沖縄が日本との共同防衛地域に入りますと、核兵器は持ち込まないということをはっきり今度の条約でさせるというふうな御意見と食い違ってくると思いますけれども、この点はどういうふうに調整されるか、お伺いいたします。
○岸国務大臣 それは御質問でありますが、私は従来から日本の自衛隊を核装備をしないし、また日本に核兵器の持ち込みは認めないということを申しております。しかし沖縄及び小笠原というものの立場からいって、これに対して、私が今いうところの方針を貫くことはできない、不可能であるということを申しておるわけでありまして、その地位が根本的に変るわけではございませんから、そういうふうに御了解願いたいと思います。
○櫻内委員長 戸叶君、時間が参りましたので……。
○戸叶委員 それではもしも沖縄に原子力部隊があったとすれば、もし沖縄が日本の防衛地域に入ったときには撤退してもらう、こういうことにお考えになっておるのですね。
○岸国務大臣 私はそうはならないだろうと思うのです。私自身が言っておることは、あくまでも日本の自衛隊と日本プロパーの領土内に持ち込まれるところのものを言っておるわけでありますから、そういうことにはならぬと思います。
○戸叶委員 そうしますと、もしも沖縄に核兵器があっても新しく持ってこられないならばそのままにしておいてもいい、こういうふうにお考えになっていらっしゃるわけですか。
○岸国務大臣 沖縄や小笠原の地位は、私が言っておる持ち込ませないとか、あるいは装備しないとかいう範囲とは範囲外の問題であると申しておるのであります。
○櫻内委員長 暫時休憩いたします。 午後二時三十九分休憩 ————◇————— 午後三時五十九分開議
○櫻内委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。 原子力三条約を一括して審議を進めます。質疑の通告がありますので、順次これを許します。松本七郎君。
○松本(七)委員 次々に問題が出てくるので、はなはだ時間をとるのですが、おもな点はあしたに延ばしておきたいと思います。ただ今後の質問の前提になることで少し聞いておきたいのは、まず第一にコールダーホール型動力炉の購入価格、それから天然ウランの価格、それからコールダーホール型以外の動力用原子炉の価格等で、おわかりの範囲でけっこうですから教えていただきたい。
○佐々木政府委員 コールダーホール改良型の、大体十五万キロくらいを想定しての価格でございますが、これは建設費等全部合せまして、燃料を除くと約二百五十億程度の予定でございます。それから天然ウランの価格でございますが、これはトン当り約二千万円見当でございます。動力炉と申しましても、英国型の天然ウラン形式のものは、改良型は、今申し上げたのが大体基準でございまして、米国の濃縮ウラン系統のものもございますけれども、これは実はシッピングポートのPWという様式のものが動いておるばかりでございまして、実用段階のものは今建設中でございますが、まだ完成しておりません。従いまして、値段等もはっきりしておりませんけれども、ただ言えますことは、天然ウランの動力炉に比較して濃縮ウランの方の動力炉は、固定費と申しますか、資本費が小さくございます。反対に燃料費が非常に多い。天然ウランの方はそれと反対に、資本費が多くて燃料費の方は割安である、比例的に占める割合が小さい、こういうふうな格好になっております。一キロワット当りの費用から申しますと、濃縮ウランの方は大体キロワット当り二百五十ドル、それから天然ウランの方はキロワット当り四百五十ドルぐらいの見当でございます。
○松本(七)委員 それから補償の問題ですが、これはいずれ大蔵大臣が来られたら質問しなければならないし、まだ問題が多いので、さっき質問いたしましたことで、なお補足的に質問しておきたいと思います。それはさっきの御答弁で、人体がこうむった被害もやはり補償の範囲に入るということでしたが、たとえば動力炉なら動力炉を設置して、そこで働いておる人の人体の被害ばかりではなしに、災害が起った場合には、当然非常に大きい被害が予想される。これは今アメリカでいろいろの補償の金額を算定しているような数字を見ても、いかに被害が大きいかということはわかるので、そういう想定のもとに考えるならば、災害が起った場合に、かりに東海村でいうならば、水戸、東京あたりまで被害を受けるような災害があり得るわけです。そういう場合に、従業員以外の人に対する補償、それからもちろん問題が問題だけに、その人本人ばかりじゃなしに、子供、孫、子孫に対する被害ということも考えられるわけで、そういうものに対する補償、あるいは土地そのものが破壊されるということも考えられるので、土地に対する補償、そういった面は全面的に補償の対象になり得るものかどうか。
○佐々木政府委員 損害の算定並びにそれに対する補償の仕方等は、実に非常にむずかしい問題でありまして、たとえてみますと、人間一人の価格というものは一体どれくらいなのかといったような問題は、非常にむずかしいのであります。現に米国等では、一応今度の保険制度を作るときに計算はしておりますけれども、それがそのまま日本に妥当するかどうかという問題になると、非常にむずかしい問題であります。その他実際に保険を定めます際には、保険料あるいは保険金額等を定めることは、ぜひ必要なファクターでございますので、ある程度の法的規制を持った保険制度を新しく作るといたしますと、おのずからそういう問題にも入ってくるわけでございますが、これはなかなかむずかしい問題でございますので、ただいまの段階では、きのう発表になったのですけれども、東大の我妻先生を委員長にいたしまして、保険界あるいは大学、民間のエキスパートなどに集まっていただいて、これから研究しようということで——今までデーターはいろいろ集めております。しかしまだ非常に不十分でございますので、近く調査団も海外に出して研究も進めたいというふうに、慎重に考えているわけであります。まだそういう段階で、実は非常につらいのですが、海外におきましても、この問題はまだ実ははっきりしておりません。米国が去年やっと法案形式で出しただけでありまして、英国、ドイツでもまだ準備中という段階でございますので、国連等からも、至急そういう問題を進めたいので、日本からも人を派遣してもらいたいということで、この問題を国際的に検討し、処理方法を考えようという機運になっております。そういう状況でございますので、日本におきましてもその責任の限度、あるいは責任の範囲、たとえば無過失のものでも責任をどうするかといったような問題とか、あるいは責任の対象をどういうふうにするか、こういう点は技術的に非常にむずかしい問題でございます。きょうは実ははっきりしたことを申し上げる自信がないので、この程度でごかんべんいただきたいと思います。
○松本(七)委員 保険制度については研究されるということですが、アメリカの場合でも、保険だけではまかない切れないくらいの被害を予想されているわけです。そうすると、それを上回る被害に対しては、国家が補償しようということがアメリカでもやられている。そこで、日本としては保険制度をこれから十分研究しようというのですが、さしあたり、それが研究した結果でき上っても、その被害の状況から考えるならば、アメリカでさえ保険でまかなえないのだから、日本の場合でも、保険だけではいけないことは当然予想されると思います。その場合には、保険でまかなえない分は国家が必ず補償する、全被害に対して補償するという建前だけは確立しているのかどうですか。
○佐々木政府委員 実は一昨日ですか、原子力委員会で、災害補償に関する基本方針を一応内定したような格好になっております。ただいまの最後の点でありますが、その最後の点を申し上げる前にもう少し順序を追って、一応の方針を申し上げますと、まず原子炉を設置いたしたいという希望者には、必ず保険に入るのを——保険と言うと語弊があるかもしれませんが、損害を補償するに足る資力を有し能力を有するということを、一応の設置の許可条件にいたしたいというふうに考えております。これは現在の規制法では明確でないのでありまして、近く規制法を改正いたしまして、はっきり法律に基く義務として、これを国家で許可する際には、これにのっとって義務づけ得るようにしたいというふうな考えを持っております。それからしばらくの間は、現行の保険法の範囲内で原子力責任保険というものをプール制度で作りまして、そこで保険業界の資力の許せる範囲で責任保険制度をまず当面作ってみたいと思っております。ところが損害の程度等を考えますと、それで足りるものやら足らぬものやら、もう少し上回るものも、あるいは炉によっては出てくるかもしれません。そういう場合にはどうしても責任限度というものを設けておかぬと工合が悪いことであります。そうなってきますと、現在の保険法の限界を越えてくる問題になりますから、そういう問題に対しましては保険制度を改正し、単独保険法と申しますか、原子力責任保険というものを作るべきではなかろうか。これは少し先の問題になろうかと思うのですが、最後にそれでもどうしてもいかぬときは、今お話のありましたように、国がその限度以上のものを見るほかはないという点に入ってくるのでありますが、この点につきましては、ただいままでの海外の情勢では、米国は御承知のようにたしか五千万ドルは保険額で、五億ドルまでは国が最高限度補償するというような規定になっておると承知しておりますが、そういうふうに国の補償の限度を規定しております。ところが英国の方は、そういう国の補償の限度というものは設けないのでありまして、保険の限度額だけは作りますけれども、これもまだ正式にきめられておらぬようでございますが、大体五百万ポンド、約五十億円でありますが、責任保険にいたしまして、そしてそれ以上に出ました場合には、ケース・バイ・ケースと申してあれですけれども、起きた事故の損害の程度に従って、国自体が天災と同じような扱いで補償したいというふうに考えておるようでございます。従って国の補償の最高限度をあらかじめ作っておかないというような考え方のようでございます。そこで日本といたしましては、一体この問題に対してどういうふうな態勢をとったらいいのかという点に関しましては、ただいま申しましたように、国自体のやる方式にもいろいろありましょうし、同時にまたこういう問題でありますから、必ずしも国際的に一国でもって問題を処理するのじゃなくて、国際的に人類の将来のために各国で責任を分ち合って、そうしてこの問題を伸ばそうという空気が逐次出てきておりますので、そういう空気に従って将来国がどういうふうな補償方式を考えていくべきかといったような点を研究いたしたいというので、その国家補償の問題も含めて、今後の方式等を考えていきたいというふうに考えております。
○松本(七)委員 今委員長もお聞きの通り、この免責条項に関連して補償の問題というのは非常に重要な問題なんです。それがまだ具体的に案もできていない。保険制度についてはもちろんのこと、国家補償をどうするかという基本的なことにも、まだ案ができておらないような状態です。もちろん大蔵大臣も直接呼んでいろいろ聞かなければならないのですけれども、こういう状態なので、答弁を聞けば聞くほど問題は多くなって、なかなかそう簡単にはいかない。一応きょうはこのくらいにして、審議状況とにらみ合せてあすさらに端折ってやるか、あるいはさらにつけ加えるか、それをきめたいと思います。私はこの程度で留保してあすにしたいと思います。
○岡田委員 ちょっと関連して。現実に東海村でやっておるわけですね。それに対して保険の制度、補償の制度はどういうふうになっておりますか。
○佐々木政府委員 財産保険のような普通の損害保険の問題は、もちろん補償するといたしましても、従来の保険会社にかけておるわけでございますが、第三者に対する損害保険等に関しましては、ただいま申し上げたような状況で、別に制度というものはないわけでございますけれども、しからば事故等が発生した場合、全然何らの処置がないのかと申しますと、決してそうではないのでありまして、これはもちろん責任のあり方そのものにもよりますれども、現在の炉に関しましては、もしそういう事故が起きた際には、国といたしましても、これに対してその損害額等を国が負う性格のものであれば、当然国がその責めに任ずべきものじゃなかろうかというふうに考えております。ただ一番問題になっております動力炉というような大きな問題でありますが、コールダーホール改良型というのは、実はできますのがまだ五年先でありまして、許可するときにどうという問題ではなくて、そういう事故というものは実は運転したあとで起るわけでありますから、運転するまでにそういう制度を確立することは私どもももちろんのことだと思っておりますけれども、まだ長い話でございますから、今から大いにピッチを上げて少くとも来年くらいまでにははっきりした態勢を作っていけば、それほどすぐの問題にしないでもいいのじゃなかろうかというふうに考えております。
○岡田委員 しかしあとのコールダーホール型を入れるという点も大事ですが、現実に東海村で運転しておるわけですね。被害は起っていないのですか。
○佐々木政府委員 全然起っておりません。
○岡田委員 起っていないというように言っておられるが、私は知っておるのですが、あの付近の木にずいぶん灰がたまっておるという事実を御存じですか。
○佐々木政府委員 もちろん原子炉がありますれば、ある程度の灰が上るのはやむを得ないと思いますが、それが人体に損傷を及ぼすとか、あるいは財産に損害を及ぼすというふうな程度にはならない、もちろん問題にならないほどの量でありまして、研究所自体としても今のところはウオーター・ボイラーの小さいのを動かしておるだけであります。おそらく今お話になった点は、むしろ原爆からくるフォールアウトそのものが主であると考えております。
○岡田委員 それはフォールアウトしたものは東海村だけに降るわけではないのでありまして、あっちこっちに降るわけです。これはあすでもまた申し上げてけっこうですが、その付近だけにたくさんたまっておるという事実があるんですよ。 それからも一つ、こういう点は御存じですか。所員でこの運転によって被害を受けておる人があるでしょう
○佐々木政府委員 所員で被害を受けておるというのは、放射線に基いて被害を受けておるということではなくて、たとえば硫酸の扱いが不十分であったとか不注意であったとかいうような面からする、普通の工場等でもあり得るようなけがは聞いておりますが、いわゆる原子力障害というふうな放射線そのものから損害をこうむるというような事例はまだ承知しておりません。
○岡田委員 一つだけ申し上げます。六月の初めにこういう事件があった。東京から放射能の燃料を東海村まで運ぶ途中で、燃料の締め方が不十分であったために放射能が漏洩して、それを運転しておった者、一緒に乗っておった者がそれによって被害を受けたという事実があるでしょう。そういう事実を御存じなければ、あすもっと詳しく名前を教えてあげましょう。
○佐々木政府委員 実は私は承知しておりません。
○岡田委員 お調べになるつもりはありますか。
○佐々木政府委員 ただいま具体的にお話を承わりましたので、さっそく調べてみます。
○岡田委員 そういう事実がありますよ。それ以外にこれの運転によって被害を受けておる人がずいぶんありますよ。今東海村ではこういう点が表面に出ると、あとの原子力研究のために非常にマイナスになるというので極秘にして隠しておるんですよ。そういう事実が現実にあるのですから、あとからもっと大がかりなものが入った場合に、そういう点について十分な補償の措置を何らとないということはわれわれには了解できない。原子力局長の佐々木さんのところはおっかないから、ないしょにしておけということで隠しておるのかもしれませんが、一つ十分お調べになって御報告願いたいと思うのです。私の方も、もし必要ならいつでもお知らせいたします。運転手に私は会いました。
○佐々木政府委員 その点はよく事情を調べまして御報告申し上げます。
○松本(七)委員 関連して。この前九月の十六日でしたか、東海村の研究所で起ったウランの自然発火、あれは、原因はどういうところにあったのでしょうか。
○佐々木政府委員 これは実は核分裂等から起きた、いわゆる原子核物理と申しますか、あるいは原子力現象として起きたものでも何でもないのでありまして、天然ウランをフランスから研究用に買いまして、それを方々で冶金的な面から研究しておるのでありますが、工作機械でカットをいたしまして、くずが出たわけであります。そのくずをそのままにしておいて——工作機械が水か油をさしてさましながらやらぬと危いのを、停電でもって水が流れなくなった、そして自然発火したというふうなのが原因のようでございます。
○松本(七)委員 新聞によると、燃えた量は二キロだとかいうことだったのですが、その補充はどうするのですか。
○法貴説明員 二キロというのは、切りくずその他で、火事騒ぎであと回収ができなかった分が二キロだという意味で、その二キロことごとく燃えてしまったということを確認しておるわけではございません。要するにその量だけがなくなったというわけです。しかし原研は大体八百キログラムくらい持っておりますから、二キロぐらいがかりになくなっても、全体の計画に何ら支障が及ぶものではない、そういうことでございます。
○松本(七)委員 そのなくなった分は、補充はしないのですか。その補充の点は、建前はどうなっておりますか。
○佐々木政府委員 これは条約なしに、わずかの研究用資材でございますので、フランスからただの商品として買ったものでございますので、別に二キロなければどうという問題ではございません。
○櫻内委員長 本日はこれにて散会いたします。 午後四時二十三分散会