外務委員会 第4号
- 発言数
- 86 件
- 登壇者
- 9 名
- 会派数
- 1
- 開催日
- 1958/10/15
会議録
○櫻内委員長 これより会議を開きます。 国際情勢等に関し調査を進めます。質疑の通告がありますので、順次これを許します。松田竹千代君。
○松田(竹)委員 私は日本の今直面しておる国際情勢、安保条約をめぐって二、三の大筋の質問をいたしたいと思います。 わが国に歴史的にも、経済的にはもちろん、また社会的にも最も関係の深いアメリカ、そして今安保条約を初めとして一連の条約を結んでおるということから、さらにまたともに西欧側に属しておるということ、またさらに少数の人々を除いてはわが日本国民大多数のものが、やはり日本はどうしてもアメリカと手をつないでいかなければならぬ、長きにわたってそうすることが世界平和の上にもまたわが国の運命を開拓していく上にも最善の道であるという、この点については私はおそらく外務大臣も、今までの御言明、その他取って参った行動からして同じ立場に立つものであるという見地に立って、大筋の質問を申し上げます。しかしわが国の運命に関する問題について、何でもかでもアメリカとくっついていかなければならぬとも考えておらない。そういう重大な面については、わが国はアメリカに対して強くわが国の考えるところを明確に主張していかなければならぬものと考えておるものであります。そこで現政府、岸総理初め、外務大臣も就任以来もっぱらこの方針のもとに活動せられておるのでありまするが、今度の安保条約は何分にも占領下という特異の事情のもとでできたものであって、その条文の中には日本の希望によってというような言葉があるにしても、これはやはり押しつけられたものであるという感じは払拭できない。そこでこの片務的なものを双務的にし、そうして——今まで日本は、条約に署名するまではほとんど日本の意見というようなものは強く主張されずにきたのであって、全く自主性のないものであるからこれに自主性を持たしめるのだということであります。そういうことになりまするのは当然のことでありまするが、一体あの重圧下にでき上った条約に自主性を持たしめ、そうしてきわめて片務的であったものを双務的に改めるということになりますと、もちろん日本としては発言力も強くなり、日本のイニシアチブにおいて大いに主張していくこともできるでありましょうが、またそれとともに責任の加重ということがおのずから出てくることは当然なことであります。そこで自主性をこれに与えるのだということは、具体的に考えて一体どういうお考えを持っているのであるか、どういうことをもってこの自主性を与えるということにするのでありまするか。その点についてまずお聞きしたいと思います。
○藤山国務大臣 基本的な方針として日本の外交方針がアメリカとの協調といいますことは、これは政治的に見ましても、また経済的に見ても、あるいは自由主義陣営という、社会思想的に見ても、われわれはこの線を太めでいかなければならないという立場については全く同じ考えで、私ども外交を担当いたしておるつもりであります。同時に、今お話のありましたように、アメリカとしましても、あるいはアメリカの政府の施策としても、必ずしも万能でございませんから、われわれが見てアメリカに考えてもらわなければならぬ点は率直に申し入れるということが必要だと思うのであります。松田委員御承知のように、アメリカ人は存外、率直に話し合いますとわかったというような場合もあるわけでありまして、そういう点については、やはり率直にものをまかしていくのがいいのではないか、こう考えております。そこで安保条約のできました当時と今日との間では、非常に事情も違っておるのであります。従ってできた当時のことをあれこれ申しますよりも、今日の段階における日本の状態から見て、これをお互いに強化していくという意味からいいますれば、岸、アイゼンハワー大統領による日米新段階に応じた情勢に従って進めて参ることが必要だと思うのです。 そこで自主性ということについては、おそらく二つ私は考えられると思う。一つはやはり精神的な問題だと思うのであります。日本とアメリカが新段階に入ってお互いに対等の立場でもってものを話し合おうという、総理とアイクとのあの声明の中に現われておりますように、お互いに対等の立場で話をしよう、気持においてもそうした考え方をしていこう、こういう精神的な基盤が一つあると思います。また条約そのものを考えて参ります場合に、お互いに一方的な立場でなく、お互いに協議もし、相談もし、そうしてそれぞれの立場を話し合いながら円満に問題の進行をはかっていくということも、これまた現実面における取扱いの上においての問題だと思います。従いましてそうした意味において、安保条約の改定というものが、精神的にもお互いに新しい時代に適応するような対等の立場という気持の上に立ち、また実際問題の運営におきましても、憲法の制約その他日本におきます諸般の事情がございますから、それを前提としてお互いに協議をしていく。そうしてお互いに隔意なく意見を交換した上で物事を決定していくという立場をとりますことが、ただいま御質問の自主性の内容だと私どもは考えております。
○松田(竹)委員 まず自主性を持たせるということについてはお互いに精神的にさらに信頼感を深めていくということ、また一面的には日米間の問題について隔意なく双方がそれぞれの問題を十分にたたきのめして、そうして双方の意のあるところを明確にするということができる、安保条約を強化することによってそういうことがよりできるのである、そうなりますと、ここに今日私ども日本国民の一番心配しておるところの問題は、現に極東に非常な危機が迫っている状態である、こうした問題について、日本はいかなる態度、いかなる考え方をアメリカに申し立てておるのであるか。私は先般外相が訪米の際に、ロイド英外相との話し合いを金門、馬祖の点についてしたということも、確かにその一つであって、むしろ私はよく話し合ったと考えておるのでありまするが、極東における非常に重大な危機、私は非常な危機と考えておるのでありますが、今の問題について日本はアメリカに対して日本の立場からいわなければならぬことが非常に多いと思う。外相はさきに中東問題についても国連へ出て日本独自の決議案まで出すという熱意を示された。中東問題の平和も重大な問題であるに違いないが、この日本の台湾海峡における問題はわが日本としては実にこれは夜の目も寝られない重大な関心事であらねばならぬと思うのでありまして、この際これから安保条約を再検討してこれを強行していこうという立場に立っておる日本の政府といたしましては、アメリカの極東政策というか世界政策というか、そのあり方に対してわが日本としては非常に強く日本の考え方を述べていかなければならぬと思うのでありまするが、この点につい出てどういうふうにお考えになっておられますか。
○藤山国務大臣 日本が極東問題に対して非常に重要な国民的関心を持っておる、日本の存立のためにも非常に重要な問題だということは申すまでもないのでありまして、従ってアメリカとの間にこの問題について、——単にアメリカばかりではございませんけれども、世界の各国に対して日本の考え方というものを申し述べなければならぬと思います。アメリカと日本と、国の置かれております地理的あるいは歴史的あるいは文化的な考え、あるいは環境というものが、シナ本土に対しまして違っておりますことは申すまでもないことであります。従って日本の国民感情から申しましても、同じ共産国家の国民に対する気持から言いましても、必ずしもソ連と中国の人に対する国民感情というものは同じ共産主義をおそれながらも、若干違うところもあるように見受けられるのが日本人の気持ではないかと思います。そういう点から、私どもはやはり根本的に、日本の置かれておるそうした立場、あるいは日本人の国民感情、あるいは経済的な大陸との関係というような問題につきましては十分やはりアメリカに了解をしてもらう必要がまずあると思います。そういう点から見まして、私どもはまずそれを説明することが非常に重要なことだと思います。続いてわれわれとしてはあるいは現実に起っております政治あるいは軍事上の立場から見まして、アメリカの大きな自由主義陣営の指導者としての立場というものから考えて参っておりますのに、おおむね私どもは同じような筋道の考え方を持ち得るわけでありますけれども、しかし実際問題としては日本の置かれておる立場が、共産圏、しかも大きな共産国二国を隣国に持っておるという意味から言いまして、その考え方についてもいろいろの観測もあるわけであります。同時にアメリカの過去におきます極東に対する関心を世界の各国と比べてみますと、イギリスは長く極東にいろいろな関係を持っております。特にシナ大陸には相当な関係を持っておりましたので、イギリスよりもアメリカの方が比較的にその点が薄いと思います。従って日本人の考えておりますよりも、あるいはイギリス人の考えておりますよりも極東問題について焦点をある場合には得ない場合もあり得ると思うのであります。そういう点についてはわれわれとしては十分説明をして参らなければならず、また日本の立場について理解し得る他の国がありますれば、極東問題に関心を持っておる他の国がありますれば、やはりそれらの国とも問題を考えて参らなければならないと思うのであります。極東の平和と安寧というものが日本にとりまして政治的にも、あるいは軍事的にも、あるいはさらに日本の国民生活に影響する経済的な問題としても非常に大きいのでありまして、そういう立場からやはりアメリカに対して協力を求め、あるいは意思の疎通をはかり、そうして日本の考え方、大きないわゆる防共という目的については一致しておりますけれども、その手段方法等につきましては、やはりお互いに意見を交換しまして、問題の解決をともどもはかっていくというのが必要だと思うのであります。そういう意味において日本の立場というものを十分説明するという必要があると考えておるわけであります。
○松田(竹)委員 今日極東でこうした世界的平和を脅かす問題ができておる際には、日本としてはアメリカにものを申す絶好の機会であると考えております。そこでまず伺いたいのは、安保条約改廃の問題は、日本国内において相当長くくすぶって参ったのであります。今度外相は向うへ行ってダレス長官に会って話し合いを進めてこれを再検討しようといって帰られたのですが、そのときに世間伝うるところを総合してみますと、やはりわが方から言い出したようにわれわれは承知いたしておるのでありますが、それに対してアメリカの政府当局はただちに賛同したというふうに見られないこともないのですが、ときがときであるためにその点をやはり伺っておきたいと思います。
○藤山国務大臣 今回私がこの話を持ち出しましたのは、日米間の基本的な関係をきめて参ります上において、やはりこの問題に触れざるを得ないのでこれを持ち出すことにいたしたわけであります。しかしこの問題につきましては、御承知のように重光外務大臣もすでにアメリカに対して制定当時と重光大臣のときの状況も違っておるから改定をしてもらいたいということも申し込んでおられますし、また昨年総理が行かれましたときにもアイゼンハワー大統領との話し合いのときにもこの問題に触れておられるのであります。その結果は昨年はそこまで参りませんでしたけれども、安保委員会を作られて、それによって現行安保条約の運営の面また将来国民的願望に沿うようにこれを改正する問題等を安保委員会等を通じて話し合いをしていこうということになったのでありますから、今度私が触れましたのも必ずしも突然日本から申し出たのではなくて、過去そういういきさつもございます。従ってアメリカもこの問題に対する日本国民の関心というのが相当深いということは、過去の経緯から見ましても承知をいたしておったと思います。従ってだんだん下世話の言葉で申しますれば機が熟したと申しますか、日本国民の意思を重光外務大臣もしくは岸総理が繰り返し言っておられたので、だんだんに理解を深めてこられたという結果であって、今回私がこれに触れまして突然アメリカが変った考えになったというのではないと思っております。
○松田(竹)委員 それで安保条約をこれからいろいろ話し合って大筋のところから検討していき、そうして改正をするということでありますが、これからいろいろ話し合うというのでありますから、今直ちにどういうものができるかということを全面的にお答え願うことはむずかしいかもしれませんが、アメリカは台湾に対して相互防衛条約を結んだ。またフィリピンに対しても相互防衛条約を結んでおる。大体でき上ったものはこうした線に基いてできるとお考えになっておりますか。それともわが日本としては、特にこういう点は明確にしておきたい。すなわち日本の安保条約についてはアメリカと軍事的に協力していく面は、どこまでも憲法の範囲内で、ワク内でということを外務大臣は言われておるが、その点だけはどこまでも堅持していかれるのでありますか。
○藤山国務大臣 もちろんアメリカとフィリピンでありますとか台湾でありますとか、いろいろの相互防衛条約があり、またアメリカがヨーロッパのNATO諸国と結んでいる防衛条約もあるわけであります。しかし日本は日本の立場から、将来の平和に貢献するような条約を結ぶわけでありまして、決してよその国の条約に範をとって、事情の違っておる日本にそのまま適用しようというふうにはわれわれは考えておりません。従ってただいまお話のありましたように、憲法の範囲内でこれを取り結ぶということは、われわれが堅持して参る方針であることは申すまでもないことであります。
○松田(竹)委員 ただいまの点は了承いたしました。そこでさらに伺いますが、いずれにいたしましても今度の条約は、現在の条約でも、いよいよアメリカが極東で第三国と干支を交えるというような場合が起ったときに、日本がこれに協力する面のことを考えてみますと、まずとりあえず沖縄の問題でありますが、沖縄が攻撃されるというような場合に、日本の自衛隊の派遣ということも考えられますかどうか。どういう方法で協力することになるとお考えになっておられますか、この点を伺います。
○藤山国務大臣 今回の条約の改正に当りまして、適用範囲等については重要な問題でありまして、その点に対しては私が現在お答えできないことをお許し願いたいと思います。
○松田(竹)委員 沖縄の問題は、アメリカは現にこれを占有しておって、あそこに大きな防衛施設と申しますか基地をこしらえておる今日、日本がいかにその施政権の返還を望んでも、必ずしも容易に返還しないのではないかということを考えるのでありますが、アメリカはこれを返還してもいいのではないかと私どもは考えておる。日本の国民は沖縄がどこまでも日本の領土であるということにみじんのゆるぎもないので、アメリカも潜在主権が日本にあるということをダレス長官が言明しておる。そういう立場にあるのみならず、沖縄人は日本に早く復帰したいという希望のもとに、施政権を早く日本に返還してもらうようにしてもらいたい、そうしてかつ安保条約も当然沖縄を日本の領土として含んでもらうことを希望しておるということが、沖縄人からの陳情にも明白であります。そういう状態でありますので、沖縄も日本の領土として考える、そういう意味においてこの安保条約をでっち上げるということになると私は思うのでありますが、アメリカの考え方はこの点についてはいかがでございますか。
○藤山国務大臣 アメリカ側とは第一回の顔合せをいたしただけでありまして、第二回の会議に安保条約の内容の問題について入って参りますので、今日それらの問題についてアメリカ側がどういう意向を持っておるかということは、私として推察いたしかねるわけであります。
○松田(竹)委員 もちろんアメリカのことを、外務大臣にどう考えておるかと聞くのは無理かもしれませんが、日本の国内にアメリカの基地がたくさんある。中にも横須賀という大きな拠点がある。これはアメリカ海軍の極東における一大基地であります。海軍基地といっても今日は海軍というより戦略空軍である、こういうふうにわれわれは考えるのでありますが、いよいよ戦争が起ったような場合を考えますと、この横須賀が大活動をするに違いないのであります。横須賀基地にそういうような事情が起った場合に、直ちにこれに対する集中爆撃など考えられるのであります。こういうときにわが日本自衛隊、どういう協力の仕方をするように条約でとりきめられるのであるか、予想される点をお話し願いたい。
○藤山国務大臣 安保条約の改定に当りまして、私といたしましてはできるだけあらゆる問題について、両国が対等の立場で話し合いをしていこうという立場をとっております。従っていろいろな問題が起りましたときに、やはり話し合いによって問題の解決をしていくということが必要だと思うのでありまして、今にわかにどういう状況のもとに、どういう攻撃が起ってくるのか、あるいはどういう侵略が起ってくるのか、あるいはどういう戦闘行為があるのかということがわかりません以上、前提を置いて何とも申し上げかねると思うのであります。
○松田(竹)委員 ただいまの場合としてやむを得ぬと了承いたしますが、しかしわが日本といたしまして、何分にも現在の極東における情勢というものは心配にたえない。幸いにして中共では二週間の金門砲撃の停止延長ということをやられた。それが非常な好感を呼んで、台湾における米軍を少しく減じようじゃないかという話もすでに出ておると聞いておりますが、一方においてそうした停戦の二週間延長というようなことが一時あっても、それが非常に好感を呼んで、緊張の緩和に大いに役立っておるのであります。この際世界平和のための指導的立場にあるアメリカはこうした点において緊張緩和のためあらゆる手段を講じられるということは、決してアメリカの面子を失うものでないのみか、むしろ私は世界のリーダーシップに対するプレスティージュを大いに高めるものであると考えるのでありまして、日本としては絶対に現在はその好機である、何とか日本は及ばずながらもアメリカに向ってこの方面に対して、非常に強力に働きかける必要があると私は確信しておるのであります。そうしなければどうしても世界の緊張が解けないのみならず、日本の立場というものはまことに憂慮にたえない事情のもとにこれからも長く置かれていかなければならぬのではないかと思うのであります。アメリカは面子などのことにこだわらないで、平和推進のために適当なる処置をとらなければならぬと思うのでありますが、現在中共は相当の情勢が変ってきたにもかかわらず、アメリカは依然として中共不承認の態度を堅持しておる。日本はアメリカとともに国府を承認しておる建前もあるのでありましょうが、現在直ちにこれを承認するということはできないということを重ね重ね言明されてきておりますけれども、今日の世界の情勢を全般的に見て、どうしてもやはりリーダーシップをとっておる国が大いなる犠牲を払う覚悟をもってしなければ、一歩も進まぬと私は思う。アメリカの考え方は、もし金門島、馬祖においてアメリカが譲歩するならば、台湾においても譲歩しなければならぬ。そうすると、さらに全面的にアメリカは譲歩していかなければならぬというふうに考えておるのであるかもしれませんが、私はそういうものではないと思う。金門、馬祖は中共、すなわちシナ大陸のふちにあるのであるから、これはどこまでも中共の領土であることに間違いない。もちろん、いまだかつて、中共の政権ができてから、金門、馬祖が中共の支配下にあったことはない。現に台湾政権が大陸反攻の拠点として、十万の軍隊をあそこに送っているという事情があり、また、いつまでも大陸反攻をやるのだというこのことを捨てておらぬ蒋介石の意図であるように思う。またそれならば、台湾人民はことごとく蒋政権のやり方を謳歌しておるかというと、必ずしもそうでもない。しかも、この台湾政権もあるいは中共も、ともに、中国は一つであると言っておる。中国は一つである、こういう状態であるというと、このままにしておけば、これで張り合っていく場合においては、いつまでたっても極東の緊張の緩和ということはできないんじゃないか。そこで私は、こういう問題についても、日本は相当大胆にアメリカに、日本の立場から強く要請してよいのではないかと考えるのでありますが、アメリカの中共不承認の態度について、今まで日本からどういうことを話し合っておるか。日本の国民としては中共をもう承認してもいいのではないか、そうして、国連の一員としてやっていけばいいのではないか、もし中共が国連の一員として加盟しておりますならば、今日のような金門砲撃ということを一方的にやることはできないことになる。むろん、いよいよ戦争ということになるならば、幾多の条約が直ちにじゅうりんされるということも、歴史の示すところでありますけれども、これはなおざりにほっとけない問題であって、この点についても、日本としてはアメリカに向って強い話し合いをすべきではないかと思うのでありますが、外務大臣は、これまでにアメリカに向って、アメリカも承認してはどうだというような話をなさったことがあるかどうか、お伺いしたい。
○藤山国務大臣 極東の諸般の情勢に対して、あるいはその平和維持に対して、私としてもいろいろな観点から、アメリカ当局、主としてダレス長官にお話を申したり、意見の交換はいたしたわけであります。われわれとしてはお話しのように、アメリカが自由主義陣営の指導国家として間違えないことを期待するのでありまして、そういう意味において率直な話をするわけでありますが、しかし、アメリカがどこの国を承認するかあるいはしないかというような問題につきましては、日本も、日本自身がそうした問題を決定することでありまして、アメリカの問題について、とやかくこちらから言うべきことではないと考えております。ただ諸般の情勢等につきましては、われわれ意見の交換をいろいろな角度からいたしておるわけであります。
○松田(竹)委員 ただいまの話では私はまだ日本とアメリカとが、ほんとうに重要な問題について極端な話し合いをするというところまでいっていないと考える。中共はその政体のあり方は違いますけれども、日本としては中共を長きにわたって現状のままにしてほっとくわけにはいかない。また中共自体が日本に対してどういう感情を持っておろうと、日本としては中共とも善隣友好の歩を進めていきたいという考えには、日本の国民はみな同調しておると私は考える。従って、アメリカの中共に対する考え方を変えてもらうことに対して、日本は強く話をすべきであると考える。現にアメリカの蒋介石政権、あるいはシナ全体に対する政策というものは今までも幾変遷してきている状況からして、アメリカもよく考えればそういう気持になるのではないかと考えるのでありまして、アメリカの現在の世界外交方針、特に極東方針などについて、アメリカ国内においては非常に批判も強いし、もうアメリカは不承認の態度を堅持するのは間違っておるという意見も、十分にあるのであって、今度の下院並びに上院の中間選挙においては上院の議員の中でも立候補を断念しなければならぬぐらいに、今の共和党の不人気が高揚されておるというようなことも伝えられておるわけでありまして、この点は私は、日本はこの際——日本も決して身分不相応な、あるいは身分をわきまえないではないが、非常な謙虚な気持を持って、アメリカに向ってこうした要請をすることが必要であるように考えるのであります。この点はあえて追及いたしませんが、一つそのお考えを持って対処せられたいと思います。 それから、このアメリカという国は、やはり世論の国であるということをつくづく考えさせられるのでありますが、一方ではアメリカの国防総省の次官補アーウィンでありましたか、われわれは日本に対して、どうしても原爆を持たさなければいかぬ、核兵器を持つようにしなければだめである。日本には核兵器の反対が非常に強くて、まだこれを持つようにならぬが、そうしなければ、とうてい日本のほんとうの協力をかち得たことにならない、このために重圧をかけてもやらなければならないというようなことも言われておる。また一面では、もう今日はICBMの時代になろうとしておるのであるから、そうした時代に入ったならば、日本は基地とするに足らぬ。日本にはアメリカの原水爆に反対し、また核兵器に反対し、そうして基地問題が常にいろいろの問題を惹起しておる建前から、むしろこれを後退していいんじゃないか、もう南洋群島方面へ下ってもなお十分にアメリカの防衛をなし得るんじゃないかというような意見も出ております。そこで日本は、核兵器の使用禁止、原爆実験禁止、引き続いて原水爆の製造禁止までいかなければならぬという建前をとって、今日まで終始、岸総理初め外務大臣もやってこられたものと思いまするが、この点について安保条約はできた暁でも、できる途中においてはもちろんのこと、憲法のワク内において考え、そうしてどこまでも、いかなる事情の変化があっても原水爆を用いない。核兵器を日本自体は用いない。むろんアメリカが基地を持っておるんだからアメリカの軍が持ち込むということを日本は拒否する法的根拠はないということは、岸総理からも言明されておるのでありまするが、それは日本としては持ち込んではならぬということは無理かもしれませんけれども、日本自体、日本の自衛隊が持たぬということに対してはあくまでも私は徹底していかなければならぬと考えるのであります。もちろん今までの言明では再三そういうことはやらせないという政府の言明でありまするが、私はこの点について非常な不安を感ずる。われわれ保守党の者——社会党は立場は違うから、これは徹底的に反対しておるようでありますけれども、日本人というものの思想の中にこれを持った方がいいじゃないか——現にここにおられるわれわれの敬愛する同僚菊池君も、この間も持つべきじゃないかという意見を吐かれておったくらいでありまするから、これは私は非常に心配する点であります。この点を日本は強く、岸総理が就任以来やってこられたことは、世界に相当な反響を及ぼして、アメリカに対しても相当の影響を、与えておると私は考えておる。日本は特異の国である。原水爆の洗礼を受けた唯一無二の国であるという点から、日本国民がこれに反対するのはもっともであるということもあるし、また堂々たる人道上の見地からも、この点だけは日本は徹底してこれに終始するということは、一つの巨大な力となると私は考えるのでありまして、これは日本としてはあくまでも徹底せしめたいものである、かように私は考えるのでありますが、外務大臣はこの点について、しかとお考えをきめておられることと思いまするが、この点について承わりたい。
○藤山国務大臣 この問題につきましては、岸総理がたびたび議会においても言明されております通り、自衛隊は核装備をしない、また核兵器の持ち込みについては日本は賛成しないという立場を明確にしておられます。私はその方針を体してやっておるわけでありまして、同様な考えを持っております。
○松田(竹)委員 それ以上にはお答え願えないと思いますが、さればといって、私はいろいろ事情の変化によって日本がよろめく時代が来るんじゃないか、それでは困る。あくまで全国民一致してこれに徹底して反対するときに私は一つの大きな力になると思う。日本は日本の力をもってして世界の平和に貢献し得ることをが、これが唯一のものではなかろうかとさえ考えるくらい私は重要視しておるのでありまするが、どうぞ一つこのお考えを堅持してもらいたいことをお願い申し上げて私の質問を終ります。
○櫻内委員長 菊池義郎君。
○菊池委員 安全保障条約の改定につきまして、政府の御意見やら御見解やら四、五点についてお伺いをしたいと思うのでありますが、まず第一に、沖縄、小笠原は今日米国と韓国との条約、それから米国とフィリピン及び台湾政権との条約において、この二つの沖縄、小笠原、これらの島々が防衛の地域に入っているのでございます。そこで沖縄、小笠原を、もし日本と結ばれる新しい日米安保条約によってその防衛の地域に含めるとなりますると、韓国や台湾、フィリピン等の関係する紛争は日本に持ち込まれ、日本はその巻き添えを食わなければならぬという結果になることは想像にかたくない。大臣は、この前小笠原、沖縄はまだその防衛の範囲に入れるかどうか考えておらぬというお話でございましたが、もうずっと前のことですし、条約に関する交渉が始まっている今日でありますから、おそらく腹も今日はきまっておいでになると思います。アメリカの方ではこの沖縄、小笠原は当然防衛の範囲に入れる意向であるということは外電の報ずるところによってもはっきりしているのでございますが、範囲に入れれば、施政権の返還要求の論拠をはっきり確立することはできます。けれども、一方においてそういったような日本の危険は著しく増大すると思わなければならない。この点について大臣の御見解をお伺いいたしたいと思います。
○藤山国務大臣 条約の範囲をどうす出るかという問題は非常に重要な問題でありまして、私としては今申し上げかねますと同時に、アメリカ側もただいま御指摘のような考えをまだきめているわけではないということはよく存じておりますので、その点だけは申し上げておきます。
○菊池委員 まだきまってないということはよくおかりました。もし入れるとなりますと、こういった危険の増大するということについてはどうお考えになりますか。
○藤山国務大臣 条約範囲に入れる入れないによっていろいろ利害得失と申しますか、危険あるいは危険でないというような問題がそれぞれ考えられることはあると思います。しかしながらそれらの点について私が今ここで何らかのお話を申し上げることは問題の進行上適当でないと思いますので、お許し願いたいと思います。
○菊池委員 それから今までの安保条約を見ますると、極東一円にわたっての防衛をもアメリカの認識によっては日本が引き受けなければならぬということにこれはどうしても改めなければならぬと思うのです。極東の平和と安全を守るための米軍出動云々の文字は、今までの安保条約にはありますが、相互防衛条約は両当事国に加えられた武力攻撃に対してお互いに防衛するのが原則でありまするから、もし新条約でも、この条文をそのまま残すとなりますると、きわめて広大なる極東地域に対する日本防衛の義務というものが、依然としてそのまま残ることになる。消えないのであります。米華条約では西太平洋のアメリカの属領諸島も防衛地域に入っております。極東という言葉に含まれる地域は比較にならないほど大きいのでございます。それでこの地域に対して、アメリカが一方的に平和と安全が妨害されたと判断したときには、日本の相互防衛の責任はここに起ってくるわけで大へんな結果になるのであります。従ってわれわれの希望といたしましては、極東におけるところの日本及び米国の領土以外の地域に対して武力攻撃が行われた場合は、日米両国の合意に基いて共同防衛に当るように改めなければならぬと思われる。要はこの条文をそのまま残されるお考えはないと思いますが、これは日本の責任が限定せられるように改められるお考えであるようでありますが、この点はどうでありますか。
○藤山国務大臣 極東の平和と安全を保ちますことは当然日本として必要であります。そのこと自体は、単に軍事条約としての安保条約だけにかかわる問題でないのでありまして、経済的にもあるいは政治的にも極東の安全に寄与するような施策を日本としては当然とって参らなければならぬと思います。そういう意味において、日本が極東の安全と平和の寄与する道は非常に私は多いと思うのであります。たとえば東南アジアの経済建設に協力していくというような道はやはりこれは一つの極東の安全と平和のための大きな道であろうかと考えております。安保条約は、御承知の通り日本の存立に対する危険を除去するというのが第一の目的であります。それに伴って日本が憲法の範囲内において、極東の安定を保ち得る限度においてわれわれが締結をしていくというのが趣旨であろうかと考えております。
○菊池委員 それからこの条約の期限でございますが、北大西洋条約の場合は二十年となっております。米加条約の場合は期限の定めがないのであります。一年以前に予告すればいつでも条約の効力はなくなるということになっておって、これはまことに融通性があっていいと思う。日本もその期限についてははっきりときめることなく、取り結んだ方がいいと思うのでございますが、これに対日する政府の御見解は、期限を切った方がいいかあるいは定めないでそうして一方的な通告によって解消するというような形に改めたらいいとお考えになりますか。どちらがいいとお考えになりますか。
○藤山国務大臣 何らかの形で新条約が期限の問題に触れますことは私は当然だと思いますが、それがどういう形で触れていくかということについては、今後の問題でありますので言明を差し控えたいと思います。
○菊池委員 日本には米国の軍事基地が何百かあります。NATOの条約機構でも軍隊駐留の条項はないのでございます。イギリスやフランスには米国の軍事基地がございますけれども、これは別個に軍隊駐留に関する協定を結んでおるのであります。軍事基地については日本もやはり英国、フランス並みに別個の協定を作った方がいい。安保条約に入れないで別個の協定を作った方がいいと思われます。この点について政府の御見解はいかがでありますか。
○藤山国務大臣 ただいま御指摘のような問題も今後交渉にわたります問題でございますので、私の見解を申し述べることを差し控えさしていただきたいと思います。
○菊池委員 日本の政府は、前に米国が提唱しておりました東北アジア軍事機構なるものに加盟することを拒んでおるのであります。その原因とするところは、おそらくソ連、中共に遠慮して、ソ連、中共の感情を害するおそれがあるところにあるのではないかと思われたのでございますが、これはどういうわけでございますか。
○藤山国務大臣 日本の安全を維持しますために、日米安保条約があるわけでありまして、現在私どもはそれ以上の他の集団的なものに参加する考えを持っておりません。
○菊池委員 日本の憲法が将来もし改正せられて、そうして軍備を持つことができるということになりましたときには今度改正せられる日米安保条約もまた改正しなければならぬものとわれわれは考えるのでありますが、これに対する政府の御見解はどうでございましょうか。
○藤山国務大臣 憲法改正は日本の主権者である国民の判断によってきまるものでありますから、その点は何とも申し上げかねます。またそうした改正がどういう意向で行われるかわかりませんので、主権者たる国民の意思によるわけでありますから、今日それをそんたくして安保条約を作るわけには参らぬと思います。
○菊池委員 誤解があるようであります。つまり日本の憲法が改められて、そうして軍備を持つことができるようになったと仮定した場合、今度作り上げる安保条約もまたこれは改めなければならぬことになると思うのですが、政府の御見解はいかがでございましょうか。
○藤山国務大臣 私は現行憲法の範囲内において条約の改定に努力をいたしておるわけであります。
○菊池委員 それはそうでございますが、将来もし日本の憲法が改まって軍備を持つことができるようになったと仮定したならば、またこの日米安保条約も改めていかなければならぬと思うのでございますが、これに対してどうお考えですか。
○藤山国務大臣 将来につきましていろいろ予想をいたすことは非常に困難でありますので、今申し上げかねると思います。
○菊池委員 それでは日本憲法は今日軍備を否定しておりますが、これは結局アメリカが押しつけた憲法でありますから、たとい軍備を否定しておりましても、われわれは相当に相互的な条約が締結し得る見込みがあると考えております。日本の憲法に対しましては、彼らは十分な理解がなければならぬ、また同情もなければならぬと思うのであります。このヴアンデンバーグの決議いかんにかかわらず、日本がたとい弱体国家でありましても、台湾や韓国の例について見ても、台湾や韓国は米国と双務協定を結んでおります。でありますから、日本も相当に双務的な条約は、結べるものとわれわれは予想をしておりますが、政府の見通しはいかがでございましょうか。
○藤山国務大臣 私どもは現行憲法の範囲内においてこの問題を扱っておるのでありまして、憲法改正等を予想してこの問題を扱ってはおらないわけであります。従いまして現行憲法の範囲内において日本が締結し得る条約をアメリカと締結したい、こう考えております。
○菊池委員 日本の憲法は軍備を否定しておりましても、これは結局アメリカが押しつけた憲法でございますので、アメリカはそれに対して十分の理解があると思う。それでありますから韓国のごとく、あるいはフィリピンのごとく、あるいは台湾のごとく軍備を持ち得る完全な憲法でなくても、相当に双務的な条約を米国と結び得るものとわれわれは予想することができるのですが、これに対してどういう見通しでありますか。
○藤山国務大臣 現行の憲法がアメリカから押しつけられた憲法であるということはないと思います。国民が決定した憲法だと思うのであります。憲法はむろん国家の条章であり、国民総意の決定によって改正されるわけでありますから、将来そういうことがあろうかと思いますが、それはわれわれとしては予想をいたしておらぬのでありまして、従って現行憲法の範囲内でわれわれとしては努力をするということでございます。
○菊池委員 中共は金門島に対しまして二週間の停戦を発表しておりますが、これは日本としても外交上乗ずべき機会であろうと思うのでございます。私は数日前に台湾政権の外交官に会って打ちあけ話を聞きました。彼が言っておるのに、台湾政権がなぜ金門、馬祖に熱烈に執着しておるか、そのわけはこれを放すと、蒋介石は台湾省一省、つまり地方の政権であるということに転落してしまう。前の台湾省が管轄しておった以外の金門、馬祖も領有しておるとなると、つまり将来の本土進攻を意味づけることになる。それで台湾の政権の権威を維持することができるためだ。要するに面子の問題だ。それでありますから、われわれは、面子の問題だけに彼らはとらわれておるが、面子だけにとらわれる必要はない。蒋介石だけの面子を重んじて日本と米国とに重大な危機を及ぼし、ひいては世界大戦にも発展しかねないおそれのある台湾海峡の問題を、このままに放任することはできない。すべからくこの際熱烈に米国を説いて、金門島から台湾の軍隊を引き揚げさせる、いわば放棄の態度を決定させる、世界平和のために日本としては当然にこの外交交渉をやるべきであると思うのでありますが、この点についてどうお考えになりますか。
○藤山国務大臣 紛争が起りますにつきましては、紛争当事国の間でそれぞれ長い間のいろいろな歴史的過程がありますので、その一断面だけをとらえてとかくの批評を申しますことはなかなか歴史的過程の問題であります以上、困難だと思います。特にワルシャワ会談が進行して、当事国の間でできるだけ平和裏に解決していこうという努力が続けられておりますときに、その努力にわれわれは十分な期待を持ちますようにできるだけ慎重な態度をとって参りますことが、問題解決の一番大きな道であろう、こういう態度であるわけであります。
○櫻内委員長 佐々木盛雄君。
○佐々木(盛)委員 私は本日は特に沿海州だとかあるいは李承晩ラインとか南支那海等における漁業の問題に関連して、外務省当局と水産庁の当局から御報告を受けたい。ここで押し問答をするのじゃなくて、報告を受けたいという気持で参ったわけであります。いずれ安保条約の問題について、もっと具体的に交渉が進んで参りました際には外務大臣から承わりたいと思うのであります。従って本日私は深く追及しようとは思いませんが、一、二先刻来のお話を承わっておって、私といたしましてきわめて基本的なことで、責任を追及するとかいじめるとかという意味でなく、承わっておきたいことがございましたので、ちょっとお聞きいたします。 外務省では日本の国土、国土といえばもとより領土のことだと思います。つまり日本の主権の及ぶ範囲だと思いまするが、一般に、概念的に防衛などの対象となる国土というものは具体的にどこだというふうにお考えになっておりましょうか。
○藤山国務大臣 現在日本の国土と申しますかあるいは日本の統治権の及んでおりますところは、御承知のように北海道、本州、四国、九州及びそれに伴います島嶼ということになっております。
○佐々木(盛)委員 北海道、本州、四国、九州の四つの島はわかっておりますが、それに伴う島々というのは、たとえば佐渡カ島とかあるわけでありますが、それらのところは、もとよりそれは現に佐渡カ島は新潟県あるいは八丈島は東京都でありまするが、その他の島については具体的に申しますると、小笠原、沖縄あるいは南千島等については国土という概念の中にお入れになっておるのでありますか、いかがでございましょうか。
○藤山国務大臣 国土という言葉が法律的言葉になるかどうか条約局長からあとで申し上げますが、日本は現在沖縄、小笠原に潜在主権は持っておりますけれども、施政権を渡しておることだけは事実だと思います。
○佐々木(盛)委員 つまり施政権はアメリカ側にあるが、日本側に潜在的な主権がある、こういうお説だと思うのであります。その潜在主権の中には領土主権というものも当然含まれておると思うのであります。従ってこれは今度の条約に入れるとか入れないとかいうのではありませんが、小笠原とか沖縄とかあるいは千島、これらの島々は日本の領土主権のもとにあるべきものである、こういうお考えでありますか。
○高橋(通)政府委員 ちょっと私から補足させていただきます。ただいま日本の国土であるかまたは領土主権があるのかというのは、要するにその言葉の概念規定の問題ではないかと思っております。従いましてわれわれが領土と考えます場合に、それが潜在主権も入っているところ、これは当然領土とわれわれは観念すべきであるというふうな意味において日本の国土である。それからまた現に統治権と申しますか、統治を現実に行なっておる地域でなければならない、そういうことになりますれば、私から申すまでもないことでございますが、沖縄は除外される。そのように領土といい国土といい、領域といい、その場合その場合、そのうちにどういう概念規定、内容を含ませるかということによりまして、おのおのその領土に入るか入らぬかというふうなあれがきまってくるのではないか、こういうふうに考えております。 それでは沖縄の潜在主権というのはどういうものであるか。たとえばただいま御指摘の領土主権を含むものであるかどうかというようなこと、領土主権とはどういうことを意味するものであろうか、それを含むべきものであるかどうかということによりまして、具体的に言いますれば、たとえばあすこを最終的にもしアメリカがどこかに処分するということは、われわれは潜在主権を持っておる関係上、これを第三国に処分することは絶対にできないことだと思っております。そういうことを考えますと、そういうことについてはわれわれは領土主権を持っているのだということが言えます。ところが、領土主権を持っておるのに、現実に統治が行われていないと、そんなものは領土主権じゃないと言われれば、領土主権じゃないというようなことにもなるかと思っております。
○佐々木(盛)委員 現にその上に施政権を行使して、現実にその領域を支配しなければ、完全な領土主権といえないというような規定からするなれば、もとより沖縄や小笠原は完全な領土主権下にあるとは言い得ないと思う。しかしあなた方が概念的に、いわゆる私が国土という表現で現わしましたが、日本の領土だというふうに考えて、外交交渉に当っても、あるいは今度の条約の改定に当っても、日本のわれわれの土地である、祖国の土地であるというふうな、大ざっぱな考え方でいいますならば、そういう概念の規定の中に含まれるものの中に、小笠原や沖縄や千島などは含まれておるでございましょうか。
○藤山国務大臣 法律論を別としまして、常識的な日本人の気持の上からいえば、施政権の返還も要求しておりますし、われわれとしては今のようないわゆる領土とかなんとかいう法律的な言葉は別にいたしましても、日本の土地であり、日本の人が住んでおるのだという気持で、私どもは外交交渉はもちろんやっております。
○佐々木(盛)委員 従って私は、これから外交交渉の中でどういうふうな扱いになるかは知りませんが、日本人のそういう祖国愛と申しますか、領土愛と申しますか、そういうものの考え方から言うなれば、いろいろ御意見もあるでありましょうけれども、私は原則論的にはやはり自国の防衛というものの考え方の中には、この領土権を主張しておりまするこれらの島々は当然含まれるというものの考え方をもって、条約の改定や外交交渉に臨むべきではないか、こういう考え方を持っておる。今度の条約がどんなふうになりますかということを具体的に聞くのじゃありませんが、藤山さんの心がまえの点はいかがなものでごでざいましょう。
○藤山国務大臣 ただいま申し上げたような気持で、私どもとしては外交折衝をやっておりますけれども、しかしこの問題は大局から判断すべき問題でありまして、ただ単に感情問題だけから判断すべき問題でもないと思っております。今後の折衝に当りましては、そういう点の心がまえを持って、日本の安全という問題を害しないようにできるだけ努力をして参りたい、こう思っておるわけであります。
○佐々木(盛)委員 深くそのことについて論争はいたしませんが、少くとも以上申したことによって、第一義的には当然日本の自衛権の範囲の中に含まれるものである。現に具体的にこれがだれの防衛すべき担当かということはおのずから別の問題にいたしまして、私は基本的なものの考え方は、当然そうあるべきものだという私の見解だけを申し上げておきます。 次に、これからの日米の相互の防衛の条約ができますときに、先刻来お話になっておりました極東の安全保持ということの御議論がたくさんあったようでありまするが、これから結ばれるべき新しい条約というものは日本の防衛と極東の防衛ということの比重を申しますると、これはどちらが主たるもので、どちらが従たるものであるか、別に条約上はそのことを区分けするわけではないと思いますけれども、そういう点につきましては、いかがなようなお考えでありましょうか。
○藤山国務大臣 日本の防衛そのものが、極東の平和と安全に非常に大きなウエートがあると私は思っておるのでありまして、必ずしも極東の中から日本だけを摘出する、あるいは日本ひとりというようなことではないのじゃないかと思っております。
○佐々木(盛)委員 そうすると、先ほど御指摘になった日本の四つの島、あるいはそれに付随する島だけというのではなくして、やはり国土全域の平和と安全のための軍事的な取りきめをいたしたい、こういうお考えでございますか。
○藤山国務大臣 先ほどお答えをしておりますように、まず順序から申しますれば、日本の安全ということが第一だと思います。日本が脅威を受けますことは、国土の安全、平和の安定のために私は非常な大きな支障をもたらすと思います。従ってこれが第一義と申すほかないのであります。それ以上になりますれば、われわれとしては憲法の範囲内において問題の取扱いと比重とを考えて参らなければならぬのでありまして、その問題は、ただいま申し上げたような心組みで進みたいと思います。
○佐々木(盛)委員 先ほど菊池義郎君の質問に対して、たとえば、日本がアジアの安全防衛をするのに、東南アジアと経済提携することも日本の防衛だというような意味のことをおっしゃった。なるほどこれは間接的なアジアの安寧のために必要なことであるかと思いますけれども、少くとも防衛条約の中に経済協力まで規定されるものじゃないと思うのでありまして、私は重ねて聞いておきまするが、今のお説でけっこうなのでありまするが、アジア全体についても日米協力して軍事的に防衛をしよう。ただその間において日本の提供し得る軍事力もあれば、あるいは他のサービスによってし得るものもあるが、とにかくいずれにしても軍事的に日米協力してアジアを防衛しようという考え方には変りはないと思うのですが、いかがでありますか。
○藤山国務大臣 極東の平和と安全を保持するということは、単に軍事上ばかりでなく、いろいろな面で日本がやらなければならない責任もあり、また日本が努力することによってそれが確保される点もあるということに先ほど触れたわけでありますが、軍事的な面だけを考えて参りますと、日本は、むろん憲法の制約を一歩も出ない範囲内においてはやはりそういう考え方でいくことは当然だと考えます。
○佐々木(盛)委員 私はもとよりそれは当然だと思うのです。今度の日米の相互の防衛条約が対等の立場でもって平和を確保しようというのだから、アジアの防衛ということは日米が軍事的に協力することは当然のことだと思います。そういう御意見であったと思いますから、私同感であります。ただもう一点承わっておきたいのでありまするが、あなたがこの間ダレス長官とお会いになった直後に帰って来られて発表されたコミュニケによりますと、現に日本は共産主義の侵略の脅威の前に立っておる、それについてダレス長官との間に意見の一致を見たという意味の字句があったことを記憶いたしております。また現在行われております日米安全保障条約の前文の中にも、同じような趣旨で、現に世界の平和を脅かしておる勢力があるから、日米はここで保障条約を結んだという意味のことが書いてある。具体的にこのことを申しまするなれば、現実にアジアにおいて、ヨーロッパにおいて行われておりまする共産主義の侵略のことを私はうたったものだと考えております。従って従来の日本の安全は、日本が無力であるから、アメリカが保障してやろうといっておった段階から、今度は対等の立場になって、双方が防衛し合うという条約にまで上ってきたわけでありまするから、従って私は日米というものは、いわば運命共同というような立場に立って、この予想されます条約の条文には書かないまでも、つまり現に今侵略を行なっております共産主義の侵略というものの脅威の前に、両国が協力して太平洋、アジアの防壁を作るんだという考え方が根底に流れておるものでなければならぬと私は考えておる。つまり日米というものはとことんまでいわば運命共同だ、そしてともにお互いが手を握ってアジアの平和を守るために、軍事的に協力しようじゃないか、現に共産主義の脅威に対してわれわれは自由主義陣営を守らなければならぬという性格が織り込まれたものでなければならぬと私は判断するわけでありまするが、それらの点について所信のほどを一つ明らかにしていただきたいと思うのです。
○藤山国務大臣 私は特定の共産国家ということは申しませんけれども、国際共産主義の脅威というものが世界を襲っておるということは、現実の事実だと思います。また日本に対しては、第三インターが解消された後、あるいはそうした何らか形の上に現われないにしましても、思想的にと申しますか、そうした無形の脅威がおおいかぶさっておることは事実だと思うのです。そういう意味におきましてアメリカのダレス長官とも意見が一致しておるわけでありまして、われわれ自由主義を信奉するものとしては国際共産主義に対しては抵抗して参らなければならず、またそれが人類の幸福になる唯一の道だ、こう考えておりますので、その線に沿ってわれわれとしてはアメリカとも提携し、それらに単に軍事上ばかりでなく、思想的にもあるいは社会的にも対抗して参るということが必要でありまして、そういう形をあるいは運命共同体というような形で呼びますか呼びませんかは別として、心持としては私はそういう気持でおるわけであります。
○佐々木(盛)委員 私は今大臣の答弁を聞いて、それによって大いに意を強うしたのであります。私たち保守党の中にありながら、ややともすると保守党の持つ責務と申しますか、今日の国際情勢の中において日本の保守党政権が演ずべき役割というものについての自覚が、今までなかったのじゃなかろうかと思うことすら私はあるのです。どうもこの点が非常にぼけておった。ところが本日藤山外務大臣の、言葉は藤山さんは紳士でありますからきわめておとなしいのでありますが、心中に燃える烈々たる闘魂を秘めまして条約改定に臨まれるということは私は非常に意を強うするものでありまして、今仰せのような線に沿って御活躍を願いたいと思うのです。 次に本日伺いたいのは実は私の方の郷里の方の関係もあるのでありますが、裏日本一帯の漁業者、特に底びき網が非常な不況のどん底にあえいでおりますので、これに関連して私は外務省当局と水産庁当局に承わりたいのです。 今日本の漁民が困っておりますことにはいろんな原因がありますが、最大の原因は何といっても漁場を失ったことであります。そこでソ連関係の千島であるとか沿海州という漁場の関係もある、また李承晩ラインから締め出された関係もございます。また南シナ海においても、中共ラインによって追い出しを食っておるわけでありますが、まず第一に承わりたいのは先般もフエドレンコ大使が日本を訪問しましたときに、やはり領土問題が解決しなければ漁業問題も解決しないのだというようなことを言っておったやに私たちは承わっておるのでありますが、そういう考え方でソ連側は依然としてあるのかどうか。また今日ソ連との間の漁業交渉、これは千島の問題もありますし、沿海州の問題もありますが、それらの問題を含めてまず日ソ関係についてお話を承わり、次に李承晩ラインの関係について承わり、最後に中共との関係について承わりたいと思うのでありますが、それぞれについて大臣もしくは大臣で詳細がわからなければ関係の局長から、まず外務当局からその三つの国々についての外交交渉の経過、今後の見通し等について承わりたいと思います。
○藤山国務大臣 大筋のことを申し上げまして、こまかい点はそれぞれ関係者から御説明いたすことにいたします。 ソ連との関係におきましては、御承知の通り近海安全操業の問題を提起しておるわけでありまして、ソ連側はその問題は平和条約の締結がなければ解決しない問題で、むしろ平和条約を急いだらいいじゃないかというような言い方をしてきておりますことももちろんでございます。しかしわれわれとしては北海道の零細漁民の生活問題でもありまするし、こういうことを積み上げて解決していくことが平和条約締結にも大きな道を開くのであるから、この問題を先決問題として解決してもらいたい、またその具体的な問題についてはわれわれとしてもいろいろな案も考慮して、今後とも積極的に交渉をいたして参りたいという心組みでただいまやっておるわけです 李承晩ラインの問題につきましては、御承知のように日韓会談を開いておりまして、向うの代表が来るのがおくれましたので、漁業委員会の開かれますのも非常におくれたわけでありまして、八月二十日前後にようやく漁業代表が見えたわけであります。ただいまこの問題につい委員会を開きまして、そうして先週の金曜日に具体的な問題の折衝に入ることになったわけであります。まだそういう状況でありますから、次の会は今週の金曜日に開かれると思いますが、韓国側としては相当きついことを言っているように聞いておりますけれども、われわれとしては日韓会談の大きな問題も、やはりこの李承晩ラインにかかっておりますので、これらの問題については十分努力をしてやって参りたい、こう思っております。 また東シナ海におきます日中漁業協定は、民間協定は御承知のように六月十二日において期限が切れました。その後今日の日本と中共の関係からいいまして、民間協約そのものにいたしましてもまだ締結の時期には来ておらぬと思うのであります。これまたやはり九州その他の日本の漁業者の重要な問題でありますので、時期さえ参りますればやはり何らかの形でもって日本としてはこれらの問題を打開して参らなければならぬと思っております。しかし中共と日本との関係は、今日非常にむずかしい状態に陥っておりますので、他の貿易問題とあわせて、この問題についても静観をいたしておるわけでありますが、その静観そのものは必ずしも無為無策でなく、総理が言われましたように静中動ありというような気持で静観をいたす、これが大体三国に対する実情でありまして、なおこまかい点につきましてはそれぞれ関係者から御答弁を申させます。
○佐々木(盛)委員 今大臣から外交交渉の大体の経過を承わったのでありますが、それぞれの三つの国々を相手としての外交交渉上の問題点があろうと思いますが、担当の局長でよろしいですから、それらについてもう少し今一番問題になっております点を御説明を願いたいと思います。
○板垣政府委員 日韓の漁業問題につきましては、ただいま大臣からお述べになりましたように、日韓の交渉は始まったばかりでございまして、一応日本側の考え方を向うに提示をいたしましたけれども、まだ韓国側の意向は表明されておりません。早ければこの金曜日にあるいは第一次的な反応があろうかとも思います。そういう段階でございますので、日本側がどういう考え方を述べ、韓国側がこれにどう対処してくるかということを申し上げることは、若干の推測はありますけれども、非常に微妙なので差し控えたいと存じまするが、日本側といたしましては要するに日韓の全般関係を是正いたしまする上において、この韓国の漁業問題が一番重大関心事でございまして、この点に全力を集中しておるわけであります。この点につきましては日本側の考え方は従来とも全く変っておらないのであります。やはりある一国が広範な地域に漁業専轄権を持つということは、これは国際法上からいってもどうしても認めがたいという見地からいたしまして、ただしかしそれだけを争いましては、韓国側といたしましては容易にその主張を撤回すると思われませんので、そういう点で日本側の意思をはっきりいたしますと同時に、第二点の問題としては何らか実際的な解決方法があるかどうかという点につきまして、日本側としてもいろいろな案を練りまして、それの大筋の考え方は現在韓国側に提示はいたしておるのでございます。しかしこれに対しまして韓国側がどう出るかという点は今申し上げましたようにまだわかりません。何分にも今最も微妙な段階に差しかかっておりますので、それ以上申し上げることは差し控えたいと存ずる次第でございます。 それから中共との関係につきましては、ただいま大臣が述べられたことにつけ加える点はないのでございますが、要するに中共との関係は国交の関係は現在ございませんので、あくまで民間協定としてやっておる。この民間協定の内容そのものについては、政府が取り上げるとしますればやはり問題の点は含まれておるわけであります。従来とも国交のない国との間に何らかの形で安全操業をやるということはこれはやはり一面において実利の点もありるわけでございますので、その民間協定のラインで今まで漁業をやって参ったわけであります。これは不幸にいたしまして六月十二日に更新することができなかったわけであります。しかしその後の状況から見ますると、まずまず民間協定締結時代の操業と、そう支障なく漁業は行われておるようであります。この問題の今後の根本的解決につきましてはただいま大臣が申されましたように、これは日中の全般の問題とも関連をいたしまするし、それからさらにこれを政府間の漁業協定にするかどうかという問題につきましては、これはもう一つさらに別の問題が起りますので、その点につきましてはまだ政府といたしまして方針はきまっていないのが現状でございます。
○山下説明員 ソ連に対する近海漁業の問題につきましては、昨年の六月初めに門脇大使がソ連側に口頭で申し入れて、それをすぐ追っかけて文書にして六月十日に申し入れたのでありますが、その後ソ連側においては八月の十六日になって交渉に応じてもいいというような回答があったので、われわれの方はさっそくいろいろ具体的に検討した結果を書きものにしまして、それを申し入れして大いに発展を期待していたわけですが、その後ソビエト側からは何ら返答がなく、われわれの方が何回も催促したのですが、去年の終りになってあるいは公海のサケ、マス漁業の委員会で話し合いをするかもしれないというようなことをちょっと漏らしたのですが、その後も返事がありませんで、ことしの二月五日になって、初めて平和条約ができてないから、まだ近海安全操業の問題を話し合う時期でないという回答をして参りました。われわれの方としてはこれは平和条約ができてないから、あの辺の領土問題なんか未解決のためにいろいろトラブルが起っているんだから、その平和条約ができるまでの間、暫定的なものとしてぜひとも解決したいという申し入れをしたわけであります。ところが、その後先方は三月にも再び同じ、平和条約ができてないからだめだという回答をよこしたわけですが、こちらとしては五月にもう一回門脇さんから書きものでもって、そうじゃないんだ、ぜひとも日ソの間のいろいろなトラブルが起るのを防ぐ意味からも必要なんだ、またわれわれの方から出した案にこだわっているんじゃなくて、十分話し合いをしたいんだ、お前の方も対案を出してくれという形で申し入れをしたわけです。その後まだ向うの回答が来てないのであります。門脇さんが機会あるごとにいろいろ向うに話しかけて催促をしておるのですが、まだその回答を得ていない状況になっております。
○櫻内委員長 佐々木君に申し上げますが、外務大臣に質疑があれば……。
○佐々木(盛)委員 外務大臣はよろしいから、もうお帰り願ってけっこうです。その他の方は一つ残留願いたいと思います。 今の外務当局の御説明で、大体外交交渉の現段階というものはわかったのでありますが、漁民を保護する立場におられます水産庁当局としては、この各漁場から締め出された人々をどういうふうにするかという問題であります。いかなる御見解か、今の説明に関連して一つお答えを願いたい。
○奧原政府委員 まずただいままでのお話の中で、おそらく御質問の中に包含されておったかと思うのでありますが、お答えのありませんでした点に触れてお答え申し上げたいと思います。 それは日ソ漁業条約に基きます漁獲高の問題でございます。これに関しましては、サケ、マス、カニ、ニシンの適用魚種の中で、特にサケ、マスにつきましては非常な激しい論議の末に、昨年は十二万トン、今年は十一万トン、こういう漁獲量を取りきめました次第であります。 そこで今年の漁業は幸いにいたしまして取りきめました漁獲量をとにかく全部漁獲することができたのであります。ところで今後の問題といたしましては、両国の間におきます科学的な立論の根拠というものを、これはできる限り資料の交換、学者の相互交換というようなことによりまして一致させていくということが、今後の論議をうまくまとめていきますためにも有益である、そういうことからそれぞれの技術者の交換調査ということを昨年一応政府に勧告いたしましたのが実現しませんでしたものを、今年とにかく実現いたしまして、それに伴いましてイシコフ漁業担当の部長も日本を視察に参ったわけであります。もちろんこれは第一年でありますので、十分な成果を上げたとは私は考えておりませんけれども、今後の両国の間の交渉の推進には、まあ礎石としての何がしかの成果はあった、かように考えておる次第であります。 次に北海道近海の接岸操業の問題でありますが、この問題につきましてはただいまお話のありました通りの経過でございまして、これに関しまする漁夫の対策につきましては、樺太、千島の引揚漁民につきましては、過去五カ年間にわたりまして、これらの漁民の開拓事業、新しい漁村部落を作って、そこで住宅その他の施設あるいは学校の建設等もやってやるというふうな仕事をやって参ったのであります。今正確な数字を記憶いたしておりませんが、約千三百戸であったと記憶いたしております。それくらいの漁村部落を北海道の周辺に建設をいたしたのでございます。今後の対策といたしましては、この問題が解決しない間におきましても、できる限り沿岸漁業対策をこれらの地域において集中的に実現していく、そういうことによって漁獲収入を増大するという機会を与えていくということに努めたい、かように考えております。今年水産庁におきまして認められました総合的沿岸漁業対策費、この中でも根室周辺海域をまず第一の重点地域に置きまして、そうしてこれらの地域におきまする、通常の予算では認められておらないコンブのほし場の造成等の仕事に対しまして助成をいたす、こういうふうなことに踏み切っておるのでございます。またそのほか魚礁の設置あるいは沿岸漁場の改良あるいは漁船の建造に対する融資等、いろいろな面におきまして着々と具体的な国の助成をこれらの地方に及ぶように努力をいたして参りたい、かように考えておるのでございます。 次に沿海州の問題にお触れになりましたのですが、これに関しましてはソ連の方ではソ連の内水であるということで、日本漁船の締め出しをいたした次第であります。そこでわれわれといたしましては、これらの底びき船の行くべき漁場を国内の漁場調整の上においてぜひ打開したい、こういう観点から北海道の東沖合い等に誘導したいということで、いろいろ北海道漁民の説得に努めたのでございますが、現在までのところは、まだ漁業者の排他的な御承知のような行き方から受け入れられるに至っておらないのであります。しかし今年度幸いに予算が認められておりますので、中部沿海州あたりに新しい漁場の捜査をしたい。これについてはそれによって就業漁場としての価値が見出されれば、これらの漁業者を優先的に就業さすようにいたしたい。なお今後とも北海道の東、千島方面の沖合いにおきます底びき漁場への吸収に一段と努力をいたして参りたい、かように考えております。 それから李承晩ラインの問題につきましては、これは外務省からお答えになりました通りであります。今デリケートな段階で、どうということを申し上げかねるのでございますけれども、われわれといたしましては、この際公海におきまする関係国間の漁場の関係というものがどうあるべきかということに立脚いたしまして、この問題の解決をはかって参りたい、かように考えておる次第でございます。 中共との関係につきましては、ことしの六月の十三日でございましたか、過去三カ年間の民間協定が期限が切れた次第でございます。しかし関係の漁業者いわゆる以西の底びきトロール漁業者を指導いたしまして、協定があった当時と同じような操業形態をする、すなわち協定によりまして中共の沖合いに、約束いたしておりまする禁止区域には立ち入らない、また両方が共同入漁区域として隻数の協定をいたしております区域については、定められた隻数だけをこちらもきめて入っていく、こういう態勢にいたしたのでありますが、その後中共との間に三隻ばかりの船がいろいろ尋問を受けたりしたことがあったわけでありますが、しかし今までのところでは向うの禁止区域を侵していない、こういうことであれば向うも釈放をいたしておるのでありまして、六月十四日以降におきまして拿捕された船は一隻もない、こういう次第であるのでございます。幸いにいたしまして、日本の西におきます漁業の中で、以西の底びきというものは割合に安定した漁業であります。ただ夏は閑漁期でありますが、これから盛漁期に入りますので、さらに一そう規律のある操業をするように指導を加えますとともに、水産庁といたしましても、これが監視船の増強というようなことについて善処をいたしたい、かように考えております。
○佐々木(盛)委員 それらのかって日本の漁民が従事しておった漁区が、あなたの今おっしゃる公海漁業自由の原則を無視した一方的な李承晩ラインやピョートル大帝ラインというものができまして、締め出しを食っておるわけであります。それから締め出された人々をどこへ漁場転換するという、今のお話ではそういう点についてはあまり触れられていないようでありますが、いかがでありますか。
○奧原政府委員 北海道の近海の問題及び沿海州の問題につきましては、ただいまお答えの中に申し上げましたつもりでございます。 それから中共との関係の問題につきましては、ただいま申し上げましたように、今まで協定してやれておったその漁場を整然と操業するということによって、禁止区域を侵さざる限りにおいては拿捕等の事実が起っておらない、こういうことであるのであります。おそらく今後もあの協定決裂の際に憂慮されましたように、一斉拿捕が始まるのだというような懸念はまずまずしないでいいのではないか、かように考えておるのでございます。 一つの問題は李ラインの関係の問題でございます。これはあそこに出まする漁船の中で、底びきとそれからまき網漁業、この二つの漁業があるのでございますが、底びき漁業に関しましては、これは李ラインの設定によりまして、あの当時は非常に大きな打撃を受けましたけれども、今日の東シナ海及び黄海における操業の漁獲の状況から見ますれば、これは西日本における比較的に安定した漁場であるということが言い得ると思っておるのであります。まき網漁業に関しましては、これは李ラインに入れば拿捕されます。しかも山口の沖合いに長崎あたりの船が来れば、これまた沿岸漁民の排斥を食うということで、非常に深刻な対立摩擦を起しておるのであります。そこでわれわれといたしましては、この漁業を東シナ海におきまする新しく開拓されましたアジ、サバのはね釣漁業に転換させていく、こういうことで今年の秋から東シナ海のアジ、サバ漁業を許可制度にいたしたのでありますが、その許可の中にこの漁業者の中で転換を希望する者を吸収していくが、これは一どきにはいかぬと思う。漸次漁船の代船の建造その他に金融の便をはかる等の措置を講じなければいけないと思うのでありますけれども、そういうことによりましてこの漁業をすかしていくということをはかって参りたい。そういうことと相伴いまして、また沿岸漁業との間の基本的な調整を進めていく、こういうことによって生きる道を見出すようにしたい、かように考えておるのであります。幸い最近の状況は、五島におきまして割合有利なる操業をまき網業者もいたしておる、こういうことでやや安心いたしておるところでございます。
○佐々木(盛)委員 もう二、三問ですからお願いいたしたいと思いますが、今の御説明を聞きますと、日本海沿岸におります今御指摘の漁民は、東シナ海におけるサバのはね釣に転換するということで、勇躍してその態勢を整えておったところが、向うの方からまたはみ出されてしまって行き場がないんだということは、必ずしもあなたの御説明のようでは現実はないようでありますけれども、将来の見通しはいかがでございますか。
○奧原政府委員 ただいまお尋ねのありました点は、底びき漁業者が、とにかく自分たちは過去の実績を持たないが、東シナ海のはね釣をやらしてくれというような話がだんだんございましたけれども、これはわれわれといたしましては、許可制度をしく当初におきましては、過去の実績のあります者の範囲において許可をいたすということが、これはやむを得ずやらなければならない一つの基準でございました。従ってそういう者の就業は現にそういう漁業をしておる以上は受け入れかねたのであります。しかしまき網漁業者に関しましては、われわれといたしましても、一定のルールをきめまして、これをはね釣漁業に吸収していくということをやって参りたい、かように考えておるのでございます。
○佐々木(盛)委員 もう二点だけ承わります。先刻のお話では、公海漁業の自由という方針を堅持していくのだということでございましたが、申すまでもなく、たとえば李承晩ラインが、三海里やそれくらいなことではなくして、はるかに越えて竹島の上まできておる、こういう現状であります。これは外交交渉にも関係のあることですが、水産庁当局としてはやはり今後の外交方針として、相手国との交渉に当っても、この公海自由の原則というものは不変の鉄則であるという立場に立って交渉に臨まれるのか、あるいはかなりそこに向う側の主張する李承晩ラインあるいはピョートル大帝ラインといったものに——これは明らかに、従来の国際法の通念から言うなれば、それを越えた海域というものを自分たちの漁場だと言って主張いたしておるのですが、その点についての態度はいかがでありますか。
○奧原政府委員 ただいま、具体的な李承晩ラインの問題につきましては私これについてのお答えをするのが適当とは思いません。また今の段階が適当な時期とも思いませんので、御容赦いただきたいと思います。一般的に日ソ、日来加その他の諸国との関係におきまして、日本が公海自由の原則についてどういう態度をとっておるかということをお答え申し上げたいと思います。 われわれといたしましては、公海における漁業は当然自由である、かように考えております。しかしながら、資源の保続ということはこれを確保していかなければならないのでございます。従って、自由かつ平等の立場におきまして、科学的な根拠に立って資源を保続して参りますのに必要な操業の規律に関して、国際間の合意に基いて規制していくということは、公海自由に関しまする日本の立場と背反するものではない、かように考えておる次第であります。
○佐々木(盛)委員 公海自由の原則ということと魚族保存という考え方とは同列に論ずべきことではありません。別個の問題です。私の聞いたのは、たとえば最近の大陸だなの主張であるとか、国際法の通念の中にも新しい説が生まれつつあるわけでありますが、そのときにわが日本としては、あくまでも領海三海里の原則を守って、それ以外は天下の公海である、どこの国の漁師が出てきて魚をとってもいいんだという公海自由の原則に立って今後とも交渉に臨まれるのか、あるいはそうではなくして、別個の、鉄則は鉄則として魚族保護の立場からここに新しい取りきめを結ぼうという考え方なのか、どちらの方の考え方によって現実の事態を解決しようとするのかという点を私は承わったわけなんです。
○奧原政府委員 私は、原則としてはあくまでも公海は自由である、かように考えております。しかしながら、今日の国際漁業をめぐりまする環境は大きく変革をいたして参っておるのでございます。そこでただいまも申し上げましたように、国際間の自由平等な立場に立った協約に基いて、資源の保護ということに必要なる規制を日本の漁船について加えていく、そういう義務を国際的に負うということは日本の公海自由の立場とも矛盾しないし、また日本の国際漁業を守っていくゆえんでもある、かように考えておる次第であります。
○佐々木(盛)委員 私は、そういう考え方以外に全く相対立しておる二つの考え方を打開していく窮通打開の道はないと思う。そういう考え方で魚族保存という立場から双方が歩み寄って、そこに日本の漁民の行く漁場の発見もおのずからできていくのじゃないか、そういう純然たる魚族保護という科学的な資料の上に立って、しからばどの範囲が最も漁業を禁止する区域として必要であるかということも科学的に割り出してくるならば、そこに何らかの窮通打開の道を発見するのでないかと考えたわけだから承わったわけですが、大体の考え方には私も同感です。 最後に一点だけ申し上げておきますが、今ソ連あるいは北鮮、南鮮、中共に拿捕されておる船、抑留されておる人間の数はそれぞれの国について一体幾らあるかということが一点と、私の郷里の方の漁民にも重大な生活問題であるので、そういう留守家族やあるいは被害に対する国家補償といったものはどの程度の手当をなさっておるかということを要望し、承わっておきたいと思います。
○奧原政府委員 現在拿捕されておる船で、あるいは漁船乗組員で、なお帰還いたしておりません隻数及び人数は、韓国との関係におきましては百四十九隻、百二十二人でございます。これは八月一日現在でございます。中共との関係におきましては百十二隻、百十人でございます。これは民間協定締結以来一隻も未帰還がなかったのでございますが、今年の五月に十六隻つかまりまして、そのうち一部は帰りましが、九隻及び百十人なお未帰還に相なっておる次第でございます。
○佐々木(盛)委員 船の数より人間の方が少いのはどういうわけですか。
○奧原政府委員 船だけ向うに留置しまして人間を帰した、こういうことが累積いたしました数字でございます。 それからソ連との関係につきましては、未帰還の隻数は百二十一、人数は三十九人でございます。 北鮮は未帰還の隻数及び人数は全然ございません。 そこでこれらに対してどういう対策を講じておるかということに関しましては、漁夫に対します対策については、給与保険の制度をしいております。そうして九割国が再保険いたしておるのであります。大体保険料収入は保険給付金の二割くらいしかないのでございまして、大体国の持ち出しで保険の運営をいたしております。これによりまして、平均いたしますれば一万五千円見当の毎月の給付が拿捕された漁夫については払われておる次第であります。ところがある程度の大きさの船はみなこの保険に入りますけれども、対馬周辺等の比較的零細な船はこれに入らないことがしばしばあるのであります。そこで今拿捕されております人数の中で、おそらく六割見当ぐらいが保険に入っておるのではないかと思います。韓国関係で拿捕された者につきましては保険に入っていない者に関しましては政府が毎月一万円、それから定額保険に加入いたしております者については一万五千円との差額の三分の二を交付をいたしておるのでございます。国が今日国の金でもって生活援護をしておる体系の中では、この抑留漁夫に対する援護対策というものは最も手厚い形ではないか、かように思うのでございますが、実はこれにつきましても、いろいろ大蔵省との間で常に議論があるような次第でございますが、とにかく今日そういう状態で維持しておるのでございます。 それから漁船そのものにつきましては、これも特殊の保険制度がございまして、そしてやはり保険に加入いたしております者については、拿捕の際に保険金が交付される。これもほとんど保険料収入が保険金の大体二分の一見当ぐらいしかいっていない、従って常に国が持ち出ししている、こういう状況でございます。最近はやや拿捕が減りまして、少し模様が変りましたけれども、一昨年あるいは昨年の上期あたりの情勢は、そういう情勢でございました。 拿捕されました船主に対しましてはカツオ、マグロ漁業の臨時許可を与えるとか、あるいは代船の建造に対して公庫の融資をあっせんするとか、そういうふうなできる範囲の転換対策はいたしておるのでございますが、ただ何分にも融資の問題につきましては信用ベースに乗るか乗らないか、こういう問題もございまして、必ずしも全部に右から左にはいっておらない次第でございます。
○佐々木(盛)委員 私はこれで質問を打ち切っておきますが、ただいまの水産庁当局のお話を承わりますと、非常に万事うまくいっておるようでございますが、私たちの方に切々として訴えてくるところによりますと、必ずしもそうではなく、また逮捕された人々や船などに対しても、必ずしも十分な保護が行われておらないようなことも言って参っておるような陳情書もたくさんきております。今後ともこれらについて万全の施策を講ぜられますようにお願いをいたしまして、私の本日の質問を打ち切っておきます。
○櫻内委員長 本日は、これにて散会いたします。 午後三時二十四分散会