外務委員会 第3号
- 発言数
- 180 件
- 登壇者
- 9 名
- 会派数
- 2
- 開催日
- 1958/10/08
会議録
○櫻内委員長 これより会議を開きます。 国際情勢等に関し調査を進めます。質疑の通告がありますので、順次これを許します。菊池義郎君。
○菊池委員 与党の議員が質問するのはおかしいのでございますが、大臣もお忙しゅうございますので、簡単に御質問申し上げたいと思います。 新聞を見て気がついたことでございますが、岸総理が昨年二月ごろの内閣委員会で、沖縄に米軍の原子力部隊が置かれるのはやむを得ないというようなことを言っておられます。それで沖縄に核兵器を持ち込んでも仕方がないといったような、まあ認められた形になって今までおるのでございますが、それがまた米軍の戦略拠点である沖縄に戦時において核兵器を入れないといたしますると、駐屯軍はほとんど無用の長物となって意味がなくなる。従って沖縄に入れる核兵器を拒むことは、米国として承服できないところでございましょう。ところが安保条約改定に当りまして沖縄、小笠原が日米共同の防衛の範囲に入るとなりますると、今まで核兵器を入れないと主張してきた政府の態度がどう変るかということが、国民の注視の的なのでございます。またここにおいでになる野党の諸君の攻撃も、この点に集中されるのではないかと思うのでございますが、沖縄でも核兵器持ち込み禁止の方針を貫こうとせられるのであるかどうか、またその方針を貫くとすればどういう方法をもってせられるのであるか、この点お伺いいたしたいと思います。
○藤山国務大臣 安保条約は今後交渉いたすのでありますから、その適用の範囲等について今私が申し上げる範囲ではないと存じております。岸総理が昨年言われたことは、現状においてそういうことであるということを説明されたのではないかと存じております。
○菊池委員 岸総理の発言は生きておるものとみな考えておりまするし、これを政府が否定してもちょっと国民は納得しないではないかと思うのであります。それについては政府といたしましてもこれに対する態度をはっきりきめなければならぬと思うのでありますが、どうでございましょうか。
○藤山国務大臣 私はただいま申し上げましたように、岸総理の言明を否定しているわけでないのでございまして、岸総理の話されたことは、おそらく、今日の現状から見てそう言われたことだと思っております。
○菊池委員 私は核兵器の保有は今日もう世界の常識となっておると考えております。弱小国家が強国を向うえに回して、その侵略を防ぎ得る唯一の方策は核兵器の所有以外にはない、古い兵器ではどうにもならぬ、これが私の考え方でございます。米国といたしましても日本の防衛を約束するからには古い兵器ではとても守れるものではない。政府は一千億円もかけまして戦斗機を作ろうとしておるのでありますが、そういったような莫大な金はすべからくミサイル兵器、核兵器に切りかえた方がよくはないか、かように私は考えておるのであります。古い兵器を今から作るなどということはもう時代おくれであり、また兵器の進歩に従ってそういうものはもう間に合わなくなるというふうなことも考えなければなりません。いたずらに国民に対して血税をしいる結果になると私は思うのでありますが、核兵器をアメリカが持ち込む、それを拒否するということは、安保条約の中に条項を設けない、つまりこれを黙認するという形が一番適当な方法である、これが時代の進運に沿うた条約のきめ方であると私は考えておるのでありますが、いかがでございましょうか。
○藤山国務大臣 岸総理がたびたび議会においても言明しておられます通り、自衛隊は核武装しない、また核兵器の持ち込みは今日では日本として好まない、またアメリカはそれをよく知っているから持ち込まぬ、この現在の態度を維持しておるわけでありまして、安保条約上それをどういうふうに扱っていくかという問題については、今後のことでありますので申し上げかねると思うのであります。
○菊池委員 それでは現在の在来の古い兵器では、とうてい事あるときにおいてアメリカが日本を守り得ないというようなことは常識でございまするがこういう点についてどうお考えになりますか。
○藤山国務大臣 戦略戦術上の問題につきましては、私も十分な軍事上の知識を持っておりませんので、どういう程度にアメリカが考えておるか、その辺は私の了解し得ないところであります。しかし日本国民のそうした希望というものは、われわれもやはり十分尊重していかなければならぬ、こう考えております。
○菊池委員 在日米軍の使用について、あらかじめ日本側と協議するという条項を入れるとのことでございまするが、協議という言葉はばく然としておりまして、これではわけがわからぬのであります。協議の結果日本が反対ならば、これを阻止し得るだけの拘束力を持たなければ意味がないと思うのでございます。つまり日本の防衛以外の他の戦争に出動されては迷惑でございます。けれども、基地を設けたからには日本の防衛以外の目的で米軍が出動するかといいまして、これを阻止することは非常に困難だと思うのでございまするが、こういう点についてはどうお考えになりますか。
○藤山国務大臣 現行条約において一方的にできるような形になっておりますものを、協議によってできるようにするということは、私は過去一年のいろいろな議論を聞いておりましても、国民のそういう要望であろうかと存じております。協議でありまする以上ははっきり日本の意思を表わすわけでありまして、そうした場合に、協議であります以上日本の意思が尊重されることは当然なことだと私は考えております。
○菊池委員 協議という言葉を、協議というだけでもって言いっぱなしでは意味がないので、これをはっきりとどういうどういう場合においては出動を認めないとか、どうどうどういう場合には出動を認めるというようなことに書き分けなければ、条文の意義はないと私は考えるのでございますが、いかがでしょうか。
○藤山国務大臣 一般的に条約を締結いたします場合に、今お話のように、あるいは書き分けられる問願もありましょうし、書き分けられない問題もあろうかと思うのでありまして、そこいらのところはいろいろ条文をやってみませんと、今からどれをどうする、これをこうするということは申し上げかねます。
○菊池委員 今日まで歴代の内閣が自衛隊を海外には出さないということを言い続けてきておるのでありまするが、日本の憲法は自衛権を認めておるのであります。自衛権を認めておりまするからには、退いて守ることも自衛であり、進んで敵を破ることもこれまた広い意味の自衛であります。孫子、呉子の兵法を見ても、クラウゼンイッツの戦争論をひもといてみましても、防御するということは進んで敵を破ることが一番最良の防御である、かようにいっておるのであります。この意味におきまして、防衛ということはすなわち進んで敵を破ることを意味する、そういう意味を含んでおると私は考えておるのであります。従ってこの自衛隊を危急存亡のときにおいて海外に出さないということは、これは無理であろうと思うのである。従って自衛隊を海外に出さぬという条項を設けるということも、これまた危険千万なことであり、間違いであると思うのでありますが、これはいかがでございましょう、御意見を……。
○藤山国務大臣 日本の憲法の解釈から申しましても、日本の自衛隊を海外に出動させることはできないと思います。戦術したとえば侵略してきた軍隊と一緒にやっておりますときに、指令官が先に鉄砲を撃つとか撃たぬとかいうような意味のあれと、海外派兵とは別個なことだと思うのでございます。
○菊池委員 大臣が過般の国連会議におきまして国際平和軍の創設を提唱しておられます。これは日本ばかりでなく、世界に非常な好感を与えているが、われわれ非常に愉快に存じました。外務大臣のおっしゃっておられるこの国際平和軍というのは、スエズのときに使った警察軍あるいは朝鮮動乱のときに使った警察軍、これと同じ意味でございましょうか。
○藤山国務大臣 御承知のように緊急総会に当りましてアイゼンハワー大統領が国際平和軍の研究をしようというようなことを提案しておられます。国際平和軍というものの内容だとかその他につきましては、今後アイゼンハワー大統領も研究をしてみようということであって、われわれもそういう問題を研究することは必要なことだと思っております。むろん世界連邦等の考え方、あるいは国際平和を、各国が自国の軍備を持たないで国際連合等が一つの軍隊を持つというような大きな理想もありますし、あるいは地域的な紛争に対して警察隊を出すあるいは監視隊を出すというような問題もあります。これらの問題については、それぞれ研究をした上で、研究が進むに連れてその内容なり範囲なり規模、それらのものに応じて、われわれも考えを持っていくわけでありまして、世界がなるべく軍備を少くして、そういうようなことで平和を維持することができればいいという趣旨においてわれわれは賛成だということを言っておるわけでございます。
○菊池委員 それはまことにけっこうなことでございますが、日本としてそういう平和軍ができた場合に、現在の憲法下においてどういう方法、どういう形で協力できるか、そういうことについてうまいお考えはございませんか、ありましたら……。
○藤山国務大臣 それはただいま申し上げましたように、平和軍といいますか、国連におけるそうした問題のあり方によって、われわれは考えていくべき問題だと思うのでありまして、一律に何とかと申し上げることは適当でない、こう考えております。
○菊池委員 今までに政府側から漏らされた安保条約改定の日本の構想の中で、日本の内乱、暴動について米軍の出動を要請できるという字句を削る考えであるように思われますが、このお考えに変りはございませんでしょうか。
○藤山国務大臣 これらの問題についても、安保条約の実際の論議に入ってからでありますが、しかし日本が自分の国の問題を自分で片づけていくということは、私は当然独立国民のすべきことであるという考え方を持っております。
○菊池委員 それでは現在の自衛隊だけの力でもって内乱、暴動は鎮圧できるというのが政府の確信するところでございますか。
○藤山国務大臣 ただいま申し上げましたように、自分のことは自分でできるだけ片づけていくということが必要であって、私は軍事上の知識もまだとしいわけでありますから、今の自衛隊の能力等についての正確な判断をこの席で申し上げることは差し控えたいと思います。
○菊池委員 金門、馬祖の攻撃を一時中共が停止するといって、国民政府はこれを一笑に付している。中共の謀略であるといっておるようであります。ところで、また戦争はおそらく始まるのではないかと私は考えております。大臣はこの問題につきまして、この事件の解決のために英国と歩調を合せて米国を説くといっておられますが、英国は御承知のごとく、香港をとっておったりなんかして、特に中共と密接な関係を持っております。米国と中共との関係は全く別でございますので、英国と手を握って果して米国を説き仰せることができる可能性があるかどうか、そういう点をわれわれちょっと危惧しておるわけでございます。これはどうお考えになりますか。
○藤山国務大臣 私はアメリカがわれわれの真の友人であり、また自由主義陣営の中における指導的な立場におる国であるということも全く確信しているところでございまして、それだけにアメリカができるだけ間違わないようにやってもらいたい、こう考えております。従ってわれわれの見るところを率直にアメリカに必要があれば忠告をいたすことも、これまた適当なことだと思うのであります。イギリスのロイド外務大臣ともいろいろ話をいたしたわけでありますが、イギリスの立場に私は全部同調するという考えも持っておりませんし、イギリスの立場も参考にしながら、やはり日本としての外交は日本がきめていく。しかしながらいろいろ各国のそれぞれの立場における意見も率直に聞くことは必要なことであり、またそれらの点で必要があればそれぞれの国といろいろ話し合いをする、あるいはイギリスにもこういう意見があるのだということでアメリカとも話し合いをすることも私は適当なことだと思うのであります。広く各国のいろいろな動向を今後とも徴して参りたい、こう考えております。
○菊池委員 前に重光外相がダレスと会ったときに、安保条約の改正について話を持ちかけた。そうすると、ダレスは日本が何をもって米国の協力することができるか、結局協力する力がないではないかといって一蹴された、それが今日向うから条約改定に喜んで応じているということは、世間に一種の奇異の感を与えておるのであります。それで台湾海峡が緊迫したためであるとかなんとかいうことを言っておる人もあるのでありますが、大臣はこれについてどういうお考えを持っておられるでしょうか。このダレスの態度の変り方、日本の自衛隊は終戦後といえども、今日でも、力において大した変りがないと思うのでありますが、そういうように彼らの意見が急変したのはどういう動因でありましょうか。
○藤山国務大臣 重光外務大臣がダレス長官と話されたときから見ても、数年を経過しておるわけであります。従って日本の国の事情というものは、それからさらに国際社会に復帰もいたしておる、あるいは経済的にも進んできておる、また自衛力等も漸次充実してきておるということは、重光大臣のときよりもさらに違ってきておる、進歩をいたしてきておるのではないかと思います。ただ重光大臣が言い、あるいは重ねて総理が昨年言われたよう一に、たびたび日本人の気持も伝えられたということも、一つの大きな原因になっていると思うのでありまして、重光さんの言われたことが当時聞かれなかったことも決してむだではなかったと思う。やはりそれはおのずから時勢の変化でありまして、そういう時勢の変化に応じて、私が話をしたということは私の非常な得であったということを考えるのであります。ただ軍事上ばかりでなく、やはりアメリカとしては東洋においても一つのよき友人を持ちたい。日本としてもよき友人として、アメリカに協力もするが、忠告もしていく、そうしてほんとうのよき友人としていくんだという立場をとっていきますことが、アメリカがやはり日本を認識してくれる一つの原因になってくるのではないかと思うのであります。アメリカをただ誹謗するのでなしに、よき友人としてアメリカが間違わないようにいくというようなことを率直に忠告することも、私はアメリカが日本を認識してくれる一つの道ではないかと思うのであります。そういう意味におきまして、アメリカも世界に自由主義国の一つの指導的な立場をとっておる国として、よき友人を持ちたいということは、やはり軍事力というようなものを越えて、大きな考え方ではないか、こう思っております。
○菊池委員 防衛庁長官に一言お伺いいたします。先ほど藤山大臣にお伺いしましたが、軍事のことはというようなことでございますのでお伺いいたしますが、核兵器の所有は今日もう日本は必要に迫られておる、かように私は考えております。核兵器の保有は全世界の常識になっておることであって、弱小国が古い兵器でもって大国を向うに回して戦うなんということはとうていできない。それで米軍と共同防衛に当るにいたしましても、米軍に日本を守ってもらうにいたしましても、古い兵器ではとうてい間に合わない。核兵器をすべからく保有すべきであると私は考えております。従って兵器を日本に持ち込まないというような条項は軍事協定の中に入れる必要がない、かように私は考えておりますが、防衛庁長官はどうお考えになっておりますか。
○左藤国務大臣 人類最初の原爆の惨禍を受けました日本人の悲願といたしまして、私どもは核武装はいたさない。核兵器の持ち込みも認めないということは、岸総理もしばしば声明しておるところでありまして、私どもはこの方針で進んでいきたい。私どもは非常な努力をいたしまして、従来の自衛と申しますか、その限度におきまして防衛の全きを期していきたい、かように存じておる次第でございます。
○菊池委員 古い兵器では間に合わないので、一千億円もかけて旧式の戦闘機を作るよりも、むしろその金をもってミサイル兵器に切りかえた方が一番時宜に適しておるとわれわれは考えておるのでございます。そのうちに作って、そのうちに時代おくれになってしまいはせぬかということをおそれておる、こういう点をどうお考えになっておりますか。
○左藤国務大臣 ミサイルにつきましては、私ども研究開発をいたしたいと存じております。しかしそのミサイルは地対空、空対空にいたしましても核弾頭はつけないというような方針で進んでおります。
○菊池委員 相手が核兵器をもって臨んできた場合においても、日本といたしましては黙って自滅を待つというような態度をとるべきでありましょうか、どうでしょうか。また米軍は今言ったような日本の消極的な態度に協調できるとお考えになりますか。
○左藤国務大臣 もし原水爆が使用されるとなりますれば、これは人類の破滅だと信じるのでございます。両陣営におきましていろいろ核兵器の研究開発をいたしておりますのも、お互いにこれをもって抑制しようということでございまして、いわゆる原子力の手詰まりと申しますか、私はこういうようなことが今日の実情と存じますので、人類を破滅せしめるような原水爆の戦争は起るべきでないし、また起してはならない、私はかような信念を持っております。しかしながら、さような原水爆の戦争に至らない一歩手前のいろいろな直接間接の侵略に対しましては、私どもは先ほど申しましたように核武装をいたさない通常兵器によって防衛の全きを期したい、かように存じておる次第でございます。
○菊池委員 沖縄にもう核兵器が入っておるということは、軍事専門家の常識になっております。それから中共にも入っておるということは、これまた常識です。中共あたりがもし侵略するならば、必ず核兵器を持ってくるであろうと思う。核兵器にも二通りありまして、今の原水爆、それからもう一つ原水爆にあらざるところの、それほど害のない核兵器があるわけであります。その後者の核兵器をも保有する必要がないとお考えになりますか、どうでしょうか。
○左藤国務大臣 中共のことは存じませんが、沖縄に原水爆の基地があるということは聞いておりません。 ただいまおっしゃいましたような原水爆にあらざる核兵器というものは、私どもは存じません。
○菊池委員 防衛庁長官にもう一つお伺いいたします。新島の誘導弾の基地は必ず設けるということにきまっておるのでありますか。
○左藤国務大臣 新島に誘導弾の基地を設けるということは、話はなかったと思います。(菊池委員「基地でない、試験場」と呼び)今後誘導弾の開発をいたしますのに、きわめて少数の実験をいたします。その実験場に新島がふさわしいというので、何とか地元の御理解をいただきたいという努力はいたしておるのでございますが、しかしいろいろな事情がございますので、できるだけ一般国民にも、先ほど菊池委員のお話のような核装備をいたさないミサイルであるということを十分御認識をいただきまして、この間のエリコンの騒動もそういう誤解がございますので、地元にもそういうことの御理解をいただきまして、できますならば試験場を設けたいというような意図を持っております。
○菊池委員 藤山外相にお伺いいたします。小笠原の補償問題でダレスにお会いになりましたときに、どういう話がございましたか。
○藤山国務大臣 小笠原の帰島問題につきましては、昨年も話をいたしましたけれども、本年も重ねて話をいたしました。日本の小笠原帰島連盟の方々は、決して帰島を放棄したわけではない。しかしながら、アメリカの今の考え方ですぐに帰島が許されないということも了解できる。従って、補償等の問題について実際的に解決をしてもらいたいということを、帰島連盟の方も希望しておられるし、私も日本政府としてそれをサポートして、そして強く申し上げたのであります。ダレス長官はそれに対しまして、今すぐ返すというわけにいかぬことは、去年述べた通りの事情であるけれども、しかし帰島連盟の小笠原の方々が、補償等の問題について話をされているのはもっともだから、これは通常外交ルートによって金額その他をきめて、そして来年の議会に出すように自分の方も考えていく。ただ問題は議会の法律案提出の前だから、やはり自分の方も議会関係等を考慮するから、できるだけ静かに交渉してもらいたいというのが向う側の希望でありました。従って引き続きこの問題につきまして、東京で交渉をいたす準備をただいまいたしております。
○櫻内委員長 帆足計君。
○帆足委員 本日議題になっております、安保条約並びに国の安全をめぐる諸問題は、日本民族として、その平和と安全のために、きわめて厳粛な課題でありますから、本来ならば時間などきめずに、夜を徹して諸兄とともに語り合わねばならぬ問題であります。また私どもは、多数党の意見も謙虚に傾聴し、同時に国事多難なときには、少数具眼の士の意見もきわめて重要でありますことは、過去の歴史が示す通りでありますから、どうかわれわれの平和の声も、十分政府は耳にとめていただきたい。また藤山外相が最近国連において努力せられておりますことはよく存じ、その御努力と誠意を多としておりますけれども、私どもが遺憾といたしますことは、藤山外相はやはりアメリカに遠慮して、言うべきことを言わぬという傾向があることはいなめないと思うのです。そしてまた藤山外相の平和に対する努力の部面が、かえって保守党の一部の心の暗い方から攻撃を受けて、苦境に立たれておるということを新聞で見まして、まことに遺憾であると思っておる次第であります。 私は、安保条約をめぐる諸問題について、逐次お尋ねしたのでありますけれども、緊急した諸問題について先にお尋ねいしたします。まず第一に台湾海峡をめぐる緊迫した状況につきまして、最近アジア・アラブ諸国、AA諸国の間において、アジア諸民族の意思と国民的感情による、またその理性による解決策が審議されておって、日本もこれに参加しているという朗報を新聞で承わったのでありますけれども、その活動状況はどうなっておられるか、まずこれをお伺いしたいと思います。
○藤山国務大臣 アジア・アラブ、いわゆるAAグループの国連における会合というものは、日本もそのメンバーの一人として、常時出席をいたしておりまして、絶えず緊密な連絡をとりながら話し合いをいたしております。先般のこの会議の席上におきまして、台湾海峡の問題等について、何かAAグループの中で一つ話し合いをして、そして平和的な解決の方途を見出すような声明等をしてみたらどうだという話し合いがあったことは事実であります。それに対してAAグループの国々が、それぞれ一つ考えて見よう、どういうふうにこれを取り扱っていくか、またどういう形でそういうものを出していくかというようなことなどについても、いろいろ現在議論をいたしておるのであります。
○帆足委員 私どもは、AA諸国のこの問題についての申し合せ等ができまするならば、これに大いに期待しておるわけでありますから、逐次情報をお知らせ願いたいのでございます。特に今日は、先ほど防衛庁長官が言われたように、原子力の時代であります。歴史学者はこれを偉大なる人類の夜明け前と言っているほどの英知を必要とする時代でありまして、アジアは世界の三大宗教家の始祖の生まれた国であります。アジア民族の英知をもって、そして長い間しいたげられた小国の叫びというものは、戦争よりも平和に傾くことは当然のことでありますから、それらの国々の意見に耳を傾けるということは、アジア善隣外交という外務大臣も肯定しておる政策とも沿うものでありますから、AA会議にわれわれは大いに期待しているということをまず申し上げたいと思います。 第二に、金門、馬祖をめぐる問題につきまして、イギリスのロイド外相と話し合いがあった。その後外務大臣は、そのいきさつをぼやかしておられることはまことに遺憾でありますけれども、外務大臣がぼやかそうとぼやかすまいと、われわれ外務委員として歴史を知るほどの者は、かつて数年前にイーデン外相が、金門、馬祖の問題に関する限りは、これは明らかに中国の国土である。従って他国が干渉すべきでないということを述べておるその事実を、外務大臣は御承知であるかどうか、これをお伺いいたします。
○藤山国務大臣 私がロイド外相と話をいたしましたことが、何か誤まり伝えられているわけでありますが、私はロイド外相といろいろな角度から、台湾海峡の問題等についてのイギリスの考え方を聞いたわけであります。イーデン氏が外務大臣の当時、金門、馬祖の問題につきまして、今お話のように、これは中共の領土であるということを言った事実は承知をいたしておりますし、またロイド外相は、私にそのことを公知の事実として話をしておられました。
○帆足委員 しかりとするならば、世界の自由国の中の一方の雄である英国の見解は、もはや明らかであると思います。金門、馬祖が中国の領土であるとするならば、私は、中国が金門、馬祖を併合するために実力を行使したところで——それは平和的であることが望ましいということは、われわれとしてだれしも思うことですけれども、その内政に干渉する権利のないこと、あたかも先般の委員会で申し上げたように、明治維新の際に五稜郭に新撰組の徒輩が立てこもりましたときに、官軍がこれを包囲することは官軍の自由であって、同時に、当時フランス軍、英軍の内政干渉を排撃した歴史と全く事は同じ論理であると思いますが、これは論理学の観点から見て、外務大臣はどう考えるでしょうか。
○藤山国務大臣 この問題につきましては、御承知のように、中国に二つの政権があるわけでありまして、それが施政の範囲が歴史的にいろいろ遊動いたしております。私どもはこうした現実の問題が起って参ってきておりますときに、しかもワルシャワ会談がありますときに今とかくのことを申すことはかえってワルシャワ会談を妨げ、適当ではないと考えておりますので、これらのことについて私としては今日まで何らの見解を発表いたしておりません。
○帆足委員 英国のイーデン外相は英国的良識と論理区をもってその事理を明白にしておられるけれども、日本の外務大臣はこれを明白にすることを避けられる。これが海外からアメリカに遠慮すると言われるゆえんであって、まことに遺憾であると私は思います。中国の新政府、中華人民共和国がかって上海、北京を攻略してこれを合併しました。それが妥当であるとするならば、金門、馬祖を併合することも妥当である、もしそれ武力で行なったことが悪いというのであるならば、アメリカはその連邦をワシントンの独立戦争において確立したのでありますから、私は中国のごとき議会のなかった国、民主主義の確立しなかった国において武力を行使したことをアメリカが武力をもってとがめる権利は——かって議会が成立しなかったころのアメリカがみずから独立するために武力を使ったということと同じであるし、また南北戦争と同じでありますから、これをとがめる権利はないと思う。金門、馬祖を併合する権利があるとするならば、台湾もまた——台湾は台湾政府と言っておりません。台湾を中華民国といって、アメリカは中華民国と条約を結んでおる。従いまして中華民国という以上は、それは中国の領土である。中国の領土である以上は中国の圧倒的政権が、ちょうど明治維新の際新撰組の立てこもった五稜郭を官軍が併合したように併合したところで、それは国際公法上は明らかに内戦であって、他国の容喙するところでない。私はこれはアジア諸国のほとんどすべての国々の常識である、西ヨーロッパ諸国の国際法学者の常識であると思う。その常識に対して外務大臣は遠慮してとかくの発言をされないということはまことに遺憾でありますが、これを今お尋ねしてみたところで同じような御回答を得るにすぎないと思いますから、私は論旨を一歩進めて、それでは金門、馬祖の問題が三十六計和をもってとうとしとするということで、今塩が入って休みになっておりますことは、まことに御同慶の至りでありますけれども、万が一にも拡大するというようなことがあった場合に、日本が巻き込まれるおそれをだれしも心配しておる。外務大臣はかって朝鮮戦争のときに日本の立川の基地や板付の基地から飛行機が出撃して爆撃したことを御承知でしょう。当時はアメリカ軍の占領下でありましたからわれわれもそれほどの責任を感じなかったし、また難を免れたのでありますけれども、今日は曲りなりにも独立国でありますから、日本国民としての責任を感ぜねばならぬ。しかもこの問題に対して英国は懐疑的である、西ヨーロッパ諸国もまた懐疑的であり、アジア・アラブ諸国はきそって、ほとんど全部がこの事変に反対し、そして国際公法上からは批判的である。平和解決を望んでおりますときに、日本の基地がこれに使われるおそれがあるというのでわれわれは心配しておるのです。外務大臣はこれに対してきっぱりとした申し入れをなされたかどうか、それを明確に伺いたいと思います。
○藤山国務大臣 台湾海峡に起っております事態が拡大いたすことは、世界の平和のためにもあるいは極東の平和と安全のためにも好ましいことではないのでありまして、われわれとしては極力これが拡大をしないということを趣旨として努力をして参らなければならぬと思います。従って日本が巻き込まれますこと自体が、拡大に一歩進めていくわけでありますから、われわれとしてはそういう事態の起らないように努力をして参らなければならぬのであります。日本の外交として当然そういう面からなすべきことをなしておるつもりであります。
○帆足委員 それではお尋ねをいたします。去る九月十六日にソビエト連邦からやはりこの問題を心配いたしまして、日本が事変にまさか巻き込まれるような愚かなことはしないと思うけれども、アメリカの今次の侵略行為に加担として巻き込まれるような立場に今置かれる心配がある、この問題について日本の領土を使用しないように、巻き込まれないための適当な防止策をとられることを期待するという申入書がありましたのに対して、外務省当局は二週間もこれをほったらかしておいて、そうして最近口上書を出しておりますが、その口上書を見ますと顧みて他を言うようなことがある。すなわちアメリカを侵略国と断定することはできないということをもって口上書の回答の内容にしております。ソ連邦の方で日本に聞きただしてきたことはその問題もありますけれども、アメリカが侵略国であろうとなかろうと、それが干渉であろうとなかろうと、とにかくこの事変の中に日本の軍事基地を使い、日本の国土を使って日本が巻き込まれるならば、すなわち中国側が自分の敵対者として考える、その同盟者とこれを認めざるを得なくなる、そういう事態になると国際紛争が日本に波及するようになるからという問いに対して、アメリカは侵略国でないし、われわれは平和を望んでおるからそういう心配はありませんというだけの回答では、私はむろん物足りないばかりでなくして顧みて他を述べておるとしか見ることができないと思うのでありますが、なぜこの口上書を二週間もほったらかしておいたか。そしてまた率直に日本の国土、日本の軍事基地をこのたびの金門、馬祖の問題には使わせないということを、マッカーサー大使に申し入れしてあるという回答を外務大臣はすることができないのか。民族の命と国土の平和ということはきわめて重要な問題であって、われわれ政治家としての全責任であるわけであります。従いましてこういう日本の民族の命に関する問題に対しては、もっと明確な態度をとっていただきたい。私は先ほど核兵器並びに原子戦争に対する防衛庁長官の意見を伺って感銘しました。それは立場の相違がありますからいろいろ物足らない点がありますけれども、さすが宗教並びに哲学に対して造詣のあられる方だけあって、腹のすわった答弁をされる。しかるに藤山さんは商売人であるからそういう点は要領よくやっておこう、砂糖会社の社長であるというようなお考えでは困るのでありまして、一国の外務大臣である以上イーデン外相を見習ったらいい、ロイドさんを見習ったらいい。英国は保守党ながらさすがにあっぱれなものであって、きわめて慎重で、言うべきときには大胆に率直に言う。その態度を学ぶべきである。軍備がない、国力がないといっても、インドは軍備も弱く国力も弱いけれども、言うべきことを言っておるがゆえに今日の時代に大きな道徳的権威を持っておる。藤山さんの活動が最近多少評価されたゆえんのものは、藤山さんの平和に対する熱意であろうと思う。それならば、なぜアメリカに遠慮する必要があるのか。従いまして、ソ連の妥当なる質問に対する外務大臣の口上書では足らないところを一つここで補っていただきたい。説明していただきたい。
○藤山国務大臣 私は、アメリカに気がねをしたり、遠慮をして仕事をしておるとは私自身考えておりません。ただ、今回のソ連のこうした問題に対します文書、これは往々にして、ソ連がいろいろな時期にこうした文書を出してくるわけであります。それらの問題の内容というものは、日本自身がきめる問題でありまして、ソ連がそれらの問題についていろいろ言って参りまして、それに一々応酬をして参りますことは必ずしも適当だとは私考えておりません。
○帆足委員 ただいまの御答弁は、答弁にならないと思うのです。この前、開会式のときの天皇陛下のお言葉にも、世界各国とよしみを厚くし、平和の道を進めという優渥なるお言葉を拝聴しました。従いまして隣のどこの国であろうと、戦争の危険に対して警告があったときには、謙虚に誠実に答える。ましてやソ連と中国との間には軍事同盟が結ばれておるから、直ちに波及することをおそれて念のために警告を促しておるわけでありまするから、私は六韜三略などにとらわれず、率直に謙虚に思うことを述べたらよかろうと思う。 そこで、さらにこの問題に関連してお尋ねをいたしますのは、岸首相もそうですが、あなたもこの問題については平和的解決のために努力すると始終答えられておりますけれども、それでは具体的にはどういうことをするか、私は具体的に言えば、この問題に関する限りはもちろん安保条約の複雑な問題がありまするし、保守政党としては保守政党の立場から国際政局全体を見て、いろいろ困難な問題がありましょうが、とりあえず金門、馬祖の問題に関する限りは、日本の軍事基地を使用せしめず、日本国土はこれに巻き込まれず、日本国民及び日本政府はこの問題に巻き込まれることのないように全力を注いでおるから、その点は世界各国も了解してもらいたい、そういうことが平和への努力だと思うのです。しかるにあちらに気がねし、こちらに気がねして、一体政府は何をいっているのかわからない。これは街頭録音を聞いてもそうだと思うのです。岸さんは両岸外交、藤山さんはよろめき外交、こういわれておることは、外務委員会としてはことに遺憾なことだと思います。従いまして平和のために具体的に藤山さんはどういう御努力をされてお か。それを伺いたいと思います。
○藤山国務大臣 外交の担任者として、いろいろな角度からこれらの問題について努力して参りますことは当然のことだと思います。それを一々、何日にどういう話をしたとか、どういうことを何したとかということを申し上げる必要はないと思うのでありますが、われわれとしては、やはり先ほど申し上げましたように、国連に参りまして各国の外務大臣の意向も聞き、またそれに応じてアメリカと話をするというような、いろいろな問題を通じて努力をいたしておるわけでありまして、何か文書等でもって突きつけなければ、努力の形が表に現われないのだというような意味におとりいただくと残念に思うのであります。
○帆足委員 今日世界の外務大臣は、自分の意思を率直に述べておるのです。英国もそうです。またインドもそうです。フランスもそうです。従いまして外務大臣がどんなにいいことをお考えになっておっても、心の中で思っているだけではわからぬ。恋愛でもそうです。目くばせだけではわからない。やはり恋の告白をして初めて実るのであって、従いまして平和への政策を外務大臣は具体的に述べていただきたい。それをアメリカに遠慮して述べることを述べないから、日本の外交はぐらついておるという不安を世界に与え、日本の外交に迫力がなくなる。これはまことに遺憾であると思います。 さて私は本論に入ってお尋ねしたいのですが、今日安全保障のことが論議されておりますけれども、一番重要なことは、この原子力の時代における安全とはどういうことであるか。防衛といいますけれども、防衛とはどういうことであるか。まさか鞭声粛々夜川を渡る時代の防衛でもないでしょうし、勝ってくるぞと勇ましく式の防衛でもないでしょう。原子力の時代において、しかも日本の特殊な立地条件、敗戦のあとの国民の心理などの諸関係を考えての防衛でなくてはならぬと思いますけれども、私は防衛庁長官にお尋ねをしたいのですけれども、防衛とはどういうことを意味するものであるか。防衛とは、私は日本の国土と日本の国民の平和と幸福を守るものであると思いますが、防衛庁長官はどういうふうにお考えでありましょうか。
○左藤国務大臣 防衛の最終の目的は、ただいま仰せられた通りでございますが、それを具体的に私どもが現実に即して担当して参ります上におきましては、二つの陣営が対立し、その中に日本が置かれておるというその実情を私どもは十分に把握して対処しなければならぬと存じております。外務委員会できょう初めてお呼びいただきましたので、日本の防衛の目標を申し上げまする前に、長くなりますけれども、私どもの考えております現在の世界の戦略体制についてまず申し上げたいと存じます。 現下の世界における自由、共産両陣営の対立は、最近核の実験停止その他の軍縮についての話し合いも進められ、若干緩和の動きも見せておりまするが、根本的にはなかなか深刻なものである、本質的な緩和ないし解消は直ちには見込み得ない状態にあると判断をいたしております。一方軍事技術の異常な進歩は戦略に根本的な影響を与えておりまして、両陣営ともそれぞれ集団防衛体制強化——一国だけではどこの国といえども守り得ない。従って集団防衛体制強化の方向へ進めて、核装備を中核とした戦略的打撃力によって戦争発生抑止の体制を整えるとともに、局地において発生する紛争等に対しましては、それぞれ極力局限された地域においてのこれが早期的解決もしくは大規模戦への拡大防止に努めておるというように存じます。また今後懸念されます侵略の様相は、核使用の極度の熱戦よりも、遊撃、ゲリラ戦ないしは冷戦まで、まことに複雑多岐にわたっております。従って各般の事態に対処して備えることが必要となってきておるのでありまして、従って各国は極力自国防衛の整備に努め、平和維持、侵略抑止のため、その部分をにないつつ、また同時に集団防衛体制を整えることによってともにその安全を保つことを期するのが、国防についての一般的な趨勢であると存じます。 かような情勢下のわが国におきましても、かねて国防の基本方針として定めておりますように、民主主義を基調とする国の独立と平和を守るため、国際連合の活動を支持し、国際間の協調をはかり、世界平和への実現を期するとともに、万一外部から侵略が行われた場合におきましては、将来国際連合が有効にこれを阻止する——これは理想でございますが、将来国際連合が有効にこれを阻止する機能を果し得るに至るまでは、米国との安全保障体制を基調としてこれに対処する方針で進んでおります。またこれがためには努めて防衛の自主性の保持に努め、国力、国情に応じまして自衛のため必要な限度において——あくまで自衛のためでございます。自衛のため必要な最小限度において、効率的な防衛力を漸進的に整備することが必要である、かような考えで進んでおる次第でございます。
○帆足委員 属僚の作りました作文を長々と読んでいただきまして時間をとられましたことを私は遺憾に思う次第であります。遺憾ながら何ら感銘、裨益するところなく伺ったのですが、そこでお尋ねしたいのですが、アメリカが日本を守るといいますけれども、アメリカが防衛しようとする祖国はどこでありましょうか、それを一つ防衛庁長官に伺いたいと思います。アメリカが自分の税金を使い、自分の国の青年の血を流して防衛しようとする勘どころはどこか、アメリカは何を防衛しようとしておるのでしょうか、ちょっと伺いたいと思います。
○左藤国務大臣 アメリカ人の祖国がアメリカであることは当然でございまするが、しかし世界の一国だけが…、(帆足委員「究極的に守ろうとしているものは何か」と呼ぶ)モンロー主義の時代とは違うのでございまして、自由世界の安全ということがすなわち世界の平和である、こういうような目標をもって努力をしておるものと存じます。
○帆足委員 われわれはかつて五族協和の国を作るといって満洲に約束をし、また朝鮮の諸君の氏名まで変えて日朝一体といいましたけれども、今満洲、朝鮮いずこにか。われわれが責任を持ってそのために血を流そうとしていった国は満州でもなく朝鮮でもなく、われわれは大和民族として九千万のわが国民と国土を守るために、諸君とともに努力したであろうと思う。そうであるとするならば、アメリカが守ろうとする究極の目標は、やはり自由主義陣営とかなんとか、そのときの内閣の政策によって変るものではなくして、アメリカに社会党ができれば、そういうつまらぬことは言わなくなるでしょう。そうではなくて、アメリカの国土とアメリカの国民とアメリカ人の祖国を守ろうとしておると思います。従いまして一国が他国と軍事同盟を結んで、そしてその相手の国を最後まで守り通したという例があるかどうか。私はそれを防衛庁長官に伺いたい。今満州いずこにありや。朝鮮いずこにありや。従いまして、他国とその時に応じて同盟を結ぶことも、歴史上あるでしょう。しかし、そのときには、他国の助けを最終的には当てにせずに、自分の国の平和は自分の手で守るという考えが根幹になくてはならぬと私は思う。しかもその時代における兵器の状況と立地状況というものを考えねばならぬ。今日、原爆、ミサイルの時代において、しかも敗戦して、われわれは、カニがつめをはがれ、甲らをもがれ、自身になり、刺身になり、穴の中から顔を出しておるような状況ではありませんか。戦争が始まろうとしておるのではなくて、戦争はすでに終ったのです。終ったあとの日本に、武力を持って原水爆の時代に対処するいかなる手だてが残っておるかということも、それが現実である以上は、私は諸兄とともに率直に考えてみなければならぬ。しかも日本の立地条件はどうでしょう。アメリカから六千海里隔たったアジアのがけの下の四つの島、それは前線基地、犠牲基地といわれておる。防衛庁長官にお尋ねしたいのが、アメリカの極東戦略の一週間の戦略図を御存じですか。その一週間の戦略図は、日本を前線基地、牲犠基地、補給基地。その光栄ある任務を諸兄は担当しようというのでしょうか。しかるがゆえに、日本の青年は、今日の保守政党の防衛戦略に賛成しないのです。青年が納得するだけの論理なくして、何の防衛ぞや。私はこの問題はむずかしい問題でありますから、ここでそのことごとくを諸兄と論議しようとも思いません。またそれぞれの立場において、保守政党の諸君の言われる言葉の中にも、われわれの傾聴せねばならぬこともあろうと思います。しかし、敗戦の国の置かれた状況がいかに困難なものであるかということだけは諸兄とともに虚心たんかいに考えたい。従いまして、日本が抽象的に、象徴的に防衛と言うときは、それでいいのです。しかも、今金門、馬租の問題が迫り、あるいは南北朝鮮に火を発し、あるいは台湾問題が他に波及するということになると、もうさっそく日本に軍事基地があることが心配になる。雷が鳴るときに 金てこを置いたり、ほうちょうを置いたりすると、かえってほうちょうの存在の方が心配になる。しからば、そういう時代における防衛というものには、一体いかなるあり方があるか。それは私はある意味では英知の世界であり、高次元の世界だと思う。インドからも学ばねばならぬ。アジア・アラブ諸国の外務大臣からも、私は意見を聞かねばならぬ。軽率にきめる問題でないと思う。今日資料として、中華民国とアメリカとの防衛協定、韓国とアメリカとの防衛協定、フイリピンとアメリカとの防衛協定をいただきましたが、これらはいずれもアメリカの下やっこを勤める国、すなわち、祖国アメリカの防衛のための前線基地を承わる一番の犠牲者と変りはないものと、私は思います。従いまして、この外務委員会の席上に、日満議定書を参考として提出していただきたい。同時に、それに比べると多少別なニュアンスを持っておるNATOの条約も、一つ提出していただきたい。そうしてこれらの条約を私どもがしさいに検討して、またインドの国論が日本に忠告し、英国の国論が日本に忠言しているような文献も、諸兄とともにしさいに検討して、この問題に進みたい。従いまして、私が防衛庁長官に伺いたいことは、アメリカの極東戦略は今日どうなっておるか。防衛義務を今度新たに規定すると言いますけれども、防衛義務があるからといって、自己に不利な場合にあくまで防衛する国がどこにありましょうか。日本と満州とは防衛義務がありましたけれども、われわれは満州を弊履のごとく捨て去ってしまって、今何も考えておりません。朝鮮に対しても、これを弊履のごとく捨ててしまう。同じ顔色の、同じ黄色民族の日本と満州の間すらしかりとするならば、歴史の伝統が異なり、言葉が違い、人種が異なるところのアメリカの軍隊が日本に来たところで、五十男の諸兄には興味を持たないでしょうけれども、パンパン嬢に興味を持って、命がけで日本を守るなどということは、この立地条件のもとに、私は期待することは絶対に不可能であると思います。もし日本が宿命的に、立地条件がメキシコやサンサルヴアドル島のような天の摂理に置かれていたならば、アメリカの内戦作戦の内部に入って、日本の国土を守ることもできましょう。王の前に置かれた歩で、その歩は六千海里のかなたにある。ここに地図を掲げて、諸兄とともにこれを論議しなければならぬと思います。もちろん私の申すことは、これは今ある一点を強調して言っておるのですから、諸兄が十分納得せられない点もあろうと思いますけれども、そこにある真実をお考え下さって、一国の防衛というものは、その国の立地条件、その時代における武器の発達の状況、その時代における国際世論の動向、それらを見て、その中から、与党も、まずまずこの程度ならよかろう、野党も、与党の言う、反対党の言うことであるけれども、まずこの程度ならよかろうというようなところをつかまない限りには、三分の一を占める社会党が絶対反対しているような、安保条約や軍事基地を持ってみたところで、われわれが全国の青年にアッピールして、青年よ、銃をとるなと叫んで、そしてそれに反対するでしょう。そういう状況で、世論の反対に囲まれた基地を持ったところで、アメリカは経費がかかるばかりだと思う。私はその例証として、——今左藤長官は長々と読まれましたけれども、私は簡単に読みます。 今から十年前に、アメリカの国務省から対華白書というのが出ております。これに、かつてまだ誠実であり、開拓精神があり、ピューリタンの精神があったときのアメリカ国務省が、どういうことを言っておるか。
○櫻内委員長 帆足君に申し上げますが、時間が迫っておりますから、御要約を願います。
○帆足委員 一九四九年、アメリカ国務省発表の対華白書の巻頭の序文に、 「この白書に書かれている言葉がいかにアメリカ国務省の政策を非難し、あるいは将来におけるアメリカ政府に対する批判と攻撃の根拠となるべき敍述を含んでいるとしても、余はこの白書を公けにすることを拒もうとは思わない。」と述べ、また、「今日の国民党及び蒋介石政権に対するアメリカの援助にもかかわらず、もはや軍事上、経済上のみならず、政治的にも、道徳的にも、致命的に堕落したところの中国国民党政府を助けることは、この上不可能である。」と述べ、さらに、「国民政府はもはやいかなる場合、いかなる意味においても、西洋の意味における民主的政府というよりも、むしろ一党一派にほかならないものと思う。」さらに「われわれは、ただ若がえりし進歩的になった中国政府のみが、国民の忠誠を再びかち得、有効な政策を実行することができるものであることを期待する。」と述べています。また語を次いで、「アメリカから二十数億出したところの軍事援助の資金も、中国国民党に支給された軍事施設も、すべて国民党の指導者の軍事的不手ぎわ、彼らの脱党、降服、腐敗と堕落、戦意の欠除等によって、ことごとく中国共産党の手に落ちてしまった。」とあって、米国に残されたただ一つの道は、それでもなおかつ過去の一つの道を進むならば、その道に陥ったとするならば、やがてかかる干渉は中国国民の大衆にうるさがられ、そうしてわれわれの歴史的政策をまっ正面から逆転させるであろうし、米国国民からも非難されるに至るであろうという意味の指摘をしています。そうして序文の最後の言葉としては、「われわれに明々白々たることは、そしてわれわれが現に実在するこのような時代に直面せねばならぬことは、さらにわれわれが希望的な考えの上に立って、われわれの政策を推し進めてみたところで、中国人民もわれわれアメリカ国民も、どちらも救われないことは、もはや明らかである。」と警告している。こうして対華白書において、中国に対するこれまでのアメリカの政策の失敗とその転換をアメリカ国務省が反省したときに、国務省の責任者はかわった。私はこの歴史的事実は今日においても変っていないと思うのです。従いまして、今日われわれがそれを望もうと望むまいと、中華人民共和国という存在を度外視して、話し合いによる平和はあり得ないし、その国際連合への加入なくして、世界の平和を語ることはできない。しかるがゆえに、良識ある英国は、中国の政権成立三週間後に、早くも中華人民共和国を承認したのだと思います。今日、中華人民共和国の承認問題、国連加入の問題が論議に上ったときに、藤山さんはどうしてあれに賛成しなかったか。アジア善隣外交と言われながら、アジアの二十九カ国のうちに、反対はわずかに九票だったのです。そのうちでヨルダン、レバノン、フィリピン、日本、アメリカの従属国を除けば二十九カ国のうちに、中国の国連加盟反対はわずかに五カ国です。このようにアジアの国民感情、アジアの論理から遊離して、何のアジア善隣外交であるか。せめて藤山外相はあのときに私は中国の国連加盟に対しては棄権してほしかった。保守政党として賛成することができないのであるならば棄権すべきであった。どうして棄権されなかったのか。それでバンドン会議の一員として、平和五原則、平和十原則を藤山外相は今後主張することができるであろうか。まことに残念と思うのですが、外務大臣の御意見を伺いたい。
○藤山国務大臣 中共国連代表の問題につきましては、かねてからの歴史的ないろいろな関係もございます。われわれとしては、現在台湾海峡に重大な事態が起っております。従いまして、従来通りの態度で本年はいくことが適当と考えておるわけであります。そういう観点から賛成をいたさなかったわけであります。
○櫻内委員長 帆足君に申し上げますが、だいぶ時間が経過しましたので……。
○帆足委員 私は今の外務大臣の御答弁、まことに遺憾だと思うのです。これは時間を与えますから、外務大臣としてもアジア・アフリカ諸国の文献も調べ、そしてアジア・アフリカ諸国の外務大臣にもよく会って、もう少し深く考えていただきたいと思います。 防衛庁長官に先ほどのことをお尋ねしたいのですが、アメリカに防衛義務を課したところで、それはきわめて相対的なものであるということもお考え下さって、最初に今日は原子力の時代であると言われた、その観点から安保条約をもう一ぺん再検討してみる必要はないか。従いまして、防衛庁長官は、核兵器を国内に置かない。基地に搬入しない。これは岸首相も言われたことだ。私は、今日ほど明確に防衛庁長官が言われたことは、じかに耳で聞いてほんとうにうれしく思います。今日の時代はもはや初等数学の時代じゃない。高等数学の時代でもない。微分積分の時代であると思うのです。微分積分の上に生きていかなければならぬ時代である。従って、国会議員でも高等数学のできないような国会議員は、大体落第させてもいいというようなことも言えるほどのむずかしい時代でないかと思うのです。従いまして、日本社会党の言うことに対しても、われわれもまた社会党であるばかりでなくて、日本社会党です。日本の祖国を愛する勤労者の党の声として、また日本社会党の同僚諸君の学歴は、あるいは保守党の諸君よりも統計上からいいますと上ではあるまいか。こういう自画自賛を申し上げてまことに恐縮ですけれども、社会党の方でもまあまああれならよかろうというような線を保守政党に出していただきたい。平和と民族の安全保障に関する限りは、お互いに兄弟姉妹なんですから、虚心たんかいに語り合って、最後に時間がありませんから申し上げたことの項目だけを申し上げまするから、お答え願いたいのです。 アメリカの極東戦略と日本の防衛戦略について深く話し合ったことがあるか。それから日本におけるアメリカ軍の配置状況について、防衛庁長官及び幹部は、その詳細を明らかにしておられるかどうか。おられるとするならば、秘密会議でも開いて私は一度伺いたいと思います。またアメリカの基地の配置状況について、それが近代戦略から見て妥当であるかどうかということを十分に検討したことがあるかどうか。そして今後安保条約を改定のときに、われわれは安保条約の全面的廃棄を主張するものですけれども、保守政党の立場としてやむなく安保条約を残すとかりに想定した場合に、その配置について日本の戦略的考慮から、これについて日本側の意見を述べて指図する権能を持つ。または日本の基地から他国に出動するときには、必ず日本政府の許可を必要とするということを盛り込む意思があるかどうか。またもと驚くべきことは、日本の海辺の魚のとれるところが演習地に使われている。その演習地の名前が、五島列島に行って驚いた。フォックストロット地域、ホテル地域、ゴルフ地域、こういう名前がついておる。フォツクストロットならロスアンゼルスで踊ったらよさそうなもの。踊る場所がないならキャバレーかどこかで、適当当にそこらあたりの処女林ででも踊ったらよろしいでしょう。それをブリのとれるところ、日本民族の蛋白質供給源のところで、フォックススロットを踊る必要はない。そういう演習は、子供だましのような新撰組や新徴組のような演習は、ミサイル時代に過去の惰性でやっておるのでしょうから、カリフォルニアの沖合いあたりでやればいいのであって、全部そういうくだらぬ演習地は再検討して断わる意思があるかどうか。ホテル地域、ゴルフ地域に至っては笑止千万だと思う。ゴルフはゴルフ場でやればいい。ブリの漁業地でゴルフをやる必要はごうもないと思う。一体そういうものが至るところにあること、そういう奇っ怪にして侮辱的なる名称がついていることを防衛庁長官や外務大臣は御承知か。従いまして、これは徹底的に再検討していただきたい。同時にこういうことがきまったのは、そもそも行政協定です。一厘の税金を上げるのでも国会の承認を必要とするのに、国民の権利と義務に対して至大の関係のあるこれらの問題が、行政協定ということで楽屋裏でばたばたときめられる。私は気骨ある保守政党の諸君も、こういうことに賛成するはずはないと確信するものです。従いまして、行政協定の問題についても、国会の承認を得る意思があるかどうか、これらのことをお尋ねしたい。 さらに、最後に三十六計逃げるにしかずという言葉もありますけれども、地球は狭いので簡単に逃げるわけにもいかないでしょう。私は日本の防衛のために一番いいのは、アメリカの上院議員の奥さんを立川の基地に全部来てもらうのが一番いいと思う。そうすれば、彼らはもっと慎重になるでしょう。われわれの妻子を非常事態のときに全部カリフォルニアに疎開させる意思があるかどうか。それだけの準備なくしてアメリカから六千キロかなたにある前戦基地、補給基地、そうしてだれが見ても——世界のあらゆる戦略家が、日本を一週間の犠牲基地と言っているじゃないですか、そういう状況に身を置いて、そうしてこれまでのような安保条約の延長では私は困ると思うのです。アメリカの上院議員の奥さんたちを全部東京に駐在してもらったらいいと思う。われわれの家内はカリフォルニアとかサンサルバドル島に疎開させる。従いまして、三十六計のうちに、われわれに残された唯一の方法は、戦いはもう済んだのです。始まろうとしておるのではないのです。しかも原子力、ミサイルの時代です。私は、国会で日本の国民の声、人間の声が速記録に残ることは必要だと思うのです。そうして三十六計のうちに、われわれ絶体絶命の敗戦の国に残されておるただ一つの道は平和の道を諸君とともに手探りで探し求める、そのためにあらゆる努力を傾注する、これが私は最高の防衛であると思うのです。こういう観点からして、安保条約の改定をお急ぎにならずに一つ野党の声をゆるゆる聞し召されて、国民の世論をよくお聞になって、またインドやアラブ諸国の忠言も耳にされて、そうしてこの問題に対して慎重な態度、対策あらんことを切に要望します。また、私は先日李ラインを見学して参りました。あの不幸な事態を見るにつけましても、私は外務省のこういう問題に対する御熱心さが足らないと思いました。もう漁期が始まりますから、早くあそこには巡視船を回していただきたい。また乗組員の生命を保護するための多少の法律的措置を急いでいただきたい。そのために今日は大蔵省の方にも来ていただきましたから、大蔵省の諸君は、こういう重要な問題については、もっと深い認識を持っていただきたいと思います。また韓国から釈放されました漁民の八割近くの人はまだ病気です。私は病人は一割くらいだと思っていましたら、八カ月たった今日八割までが病気です。それらの人たちに対する社会保障の充実等については、戸叶議員または大西議員等が詳しくともに調べて参りましたので、逐次あとで御質問もし、要望もすることと思いますが、即時解決していただきたいと思います。 最後に、昨日でしたか、大村収容所で李柄南という一人の朝鮮人が自殺をはかりました。幸い命は助かりましたけれども、私が調べたところによりますと、南に行くか北に行くかということでノイローゼの状態になっているのだと思います。これは外務大臣が今までにはっきり声明されましたように、北に行く人は北に行く、南に行く人は南に行く、その国際公法によって承認された意思を日本政府がみだりに干渉したり曲げたりするはずはないと思いますけれども、それに対する不安を感じて、収容所の中にいろいろな不安動揺が起っていることを私は見て参りました。従いまして、日韓会談は開かれておりまして、多少の弾力性ある措置も必要でしょうけれども、国際公法に規定されております神聖なる義務と道徳的権威だけはくずさないということは、アジア諸国に対する信頼にこたえるためにも必要なことでありますから、その一線はくずさないということを外務大臣に言明していただきたいと思います。幾つかの条項を申し上げましたが、それにつきまして具体的な御答弁を伺うことにいたしまして、それについての私の再質問は次の機会に回さしていただくことにいたします。
○藤山国務大臣 韓国の不法入国の抑留者の帰還の問題については、私どもとしては原則を曲げておりません。ただ日韓会談を開く過程において若干のゆとりを持ちながら話はいたしておるわけであります。
○左藤国務大臣 先ほど私の申し上げたことを下僚の作文と仰せられましたが、私自身の信念を申し上げたつもりでございます。私、微分、積分は不幸にして解しませんが、先ほど申し上げましたように、人類の平和、世界の自由なる平和を念願する点においては全く帆足委員と志を一にするものでございます。ただその理想に向って進んでいきます現実の認識におきましては、非常に世界観を異にするものであります。私どもは、現在の情勢におきましては、国連が集団安全保障の十分なる機能を持ちまするまでは、世界の自由を守るために努力しております米国と、安全保障条約を中心にいたしまして、しかもこれが日本の自主性を害しないように、また先ほどお話しのようにこれが日本の安全を阻害しないように最善を尽していくつもりでございます。
○櫻内委員長 床次徳二君。
○床次委員 私は、安全保障条約の改定の必要を信ずるものでございますが、それに関して数点お尋ねしたいと思います。 第一は、一昨々年重光・ダレス会談の際におきまして、この安全保障条約の改定につきましては、アメリカ側から憲法の改正あるいは海外派兵を要求せられたかに見えるのであります。そのためにこの改定が行い得なかったということを一般に考えておるわけでありまするが、今回かかることなくして安全保障条約の改定に入り得るということ、これはいわゆる日米の新時代に即応したところの両国の協力に基くものであると思うのでありまするが、その内容におきましては、アメリカの日本に対する理解というものが非常に進んだ、なお国際情勢の変化といういろいろなことがあります。しかしあえて台湾問題を有利に解決するためのものではないというように私どもは考えておるのでありまするが、このアメリカが従来応じなかったにもかかわらず今回これに進んで応じようという気持のある理由につきまして、大臣に御質問いたしたい。
○藤山国務大臣 重光外務大臣がワシントンで話されましたときと今日とでは、日本の実力と申しますか、国際社会における地位なりあるいは国内における力なりそれが変っておりますことは申し上げるまでもないのであります。その上に立ってのアメリカの認識が変ってきておることもまた当然だと思います。また先ほど申し上げましたように、アメリカとしては、単に軍事上ばかりでなく、自由主義陣営の一員としての日本というものを高く評価してきておる。従って、よき友人を持つという意味において何らか誤解があってはならぬのであって、そういう誤解を生むような問題については、できるだけこの際解消をする方向に向っていく、そうしてほんとうによき友人としての立場を確保していきたいというのがアメリカの考え方だと思います。そういう考え方から振り返って安保条約を見ると、なるほど制定当時の事情と変っておる結果として、今日ではあまりにもあの条約がアメリカに一方的であった。これがやはり何らかの形で日本国民の不安と動揺を起す原因になっておることもアメリカは承知しておると思います。そうした諸般の情勢の違いの上に立ちまして、昨年岸総理がワシントンに行かれまして、この問題についてなお詳しく話をされております。その際にできました安保委員会等の一年間の運営の状況から見まして、アメリカとしては、やはり十分これらの問題に対する認識を深めてきておると思うのでありまして、そうした結果が今日の結果をもたらしたものではないかと私は考えております。
○床次委員 かような基礎の上に立って条約の改定が行われようとするわけでありますが、わが国といたしまして、双務的でありかつわが国の自主性を明らかにしたいということは当然のことであります。もちろんわが国におきましては、憲法上の制約もあるわけであります。かってアメリカの方におきましては、ヴアンデンバークの決議等におきまして、完全に対等なあるいは形式的に完全な双務的な条約を結び得ないかのように言っておりました。今日におきましてもその意味においては形式的に完全な対等ということは必ずしも言えないと思うのでありまするが、あえてこれを了承の上改定に応ずるということは、すなわちアメリカの理解の結果である、かように考えてよろしいのでありますか。
○藤山国務大臣 大体さようにお考えをいただきまして差しつかえないと思います。
○床次委員 次に、わが国の従来からの主張は、沖縄、小笠原に対しまして早期の返還を要求しておったのであります。しかも早期返還が不可能な場合にありましても、暫定的に行政権の一部の移譲ということも要求しておったのでありまするが、今回安全保障条約の改定の機会において、この行政権の一部でありますところの防衛権というものも、これは今までのわが国の立場から申しまするならば、当然返還を要求してしかるべきものである、あるいは、防衛権の委任を受けるということが当然のことと思うのであります。また、地元の沖縄、小笠原といたしましても、わが国民の立場におきまして、わが国の防衛を受けるということに対しまして、非常に積極的な要望を持っておると私は聞いておるのでありまして、この点におきましては、アメリカ自体におきましても、わが国が防衛範囲を広げてこの区域まで及ぶということに対しましては、反対ではないというふうに考えるのでありますが、この点について御意見を伺いたいと思います。
○藤山国務大臣 沖縄の問題につきまして、ただいま床次委員からお話のありましたように、日本が施政権の返還を要求しており、引き続いてこれを要求する立場をとって要望いたしておりますことは申すまでもないことであります。しかしながら、今回の安保条約におきまして、沖縄をその地域に入れるか、入れないかというような問題につきましては、非常に重要な問題でありまして、関連するところ多いのであります。それらの問題については、今後とくとわれわれも考えながらこの問題に対して善処して参りたいと思っております。
○床次委員 ただいまの点につきましては、慎重に御考慮をいただきたいと思うのであります。 次にお尋ねいたしたいのでありますが、先ほど同僚委員よりも核兵器の持ち込みの問題についてお話があったのであります。わが国は核兵器に関しまして憲法上の支障がある、すなわち、攻撃的兵器としての武装が許されないことは当然のことであります。従って、かような意味におきまして、われわれは、今回、たとえ条約を改定いたしましても、この条約の改定において核兵器の持ち込みを禁止する、このことを期待するという必要はないと思います。むしろ私どもは期待すべきものではない、すなわち、来たるべき条約におきましては、ある程度まで相当の期限が付せられることも予想せられることでありまして、反面におきまして、兵器の進歩ということも相当考えられるのであります。防衛庁長官の先ほどの核武装をしないという答弁は了承しておるのでありますが、この際あえてかような趣旨だからといって、安保条約におきましてこの持ち込み禁止を規定すべきではない、かように考えるのであります。なお、規定をいたさなくても、この持ち込みに関しましては、行政協定等において米軍の配備あるいは装備に関する事項の問題といたしまして、十分に協議し得る余地があると思うのでありますが、この間の御見解を承わりたいのであります。
○藤山国務大臣 先ほど防衛庁長官からお答えがありましたように、日本が自衛隊を核武装しない、また核兵器を持ち込まないという点については、岸内閣の基本的な考え方だと思います。これらの問題をどう条約上にやりますかということについては、今後の問題でありますので、今その取扱いについて申しあげかねると思います。
○床次委員 なお、核兵器に関しましては、今後の科学の進歩等によりまして、相当変化があり得るものと思うので、一がいに攻撃兵器だけの核兵器ではなくして、反面におきまして防御兵器としての核兵器の進歩も予想せられるのでありまして、この点は防衛の充実、完全ということを考えます場合を考慮いたしまして、十分慎重に扱われんことを特に切望する次第であります。 次に承わりたいのは、今日米国は、フィリピンあるいは韓国、国府等といわゆる相互援助条約を結んでおるわけでありますが、日本が新たに安保条約を改定いたしまして双務的なものにいたしました場合におきましては、米国が他の国と戦争を開始いたしました場合に、日本が連鎖的にとかく戦争に巻き込まれるのではないかということを言う者があるのであります。今回の安保条約の改定におきましては、かかる戦争の波及ということは受けないことを前提としておる、かように考えてよろしいし、またそうすべきものと思うのでありますが、右に関して御意見を伺いたいと思うのであります。
○藤山国務大臣 今回の安保条約の改定は、全く日米間に現存しております安保条約を新たな自主的な立場から改定していくわけでありまして、決して他の国と集団的に何か事をするというような考え方でやっておるわけではございません。
○床次委員 次に、間接侵略に関してお尋ねいたしたいと思うのであります。 従来の安保条約第一条におきましては、一または二以上の外部の国による教唆または干渉によって引き起された国内の大規模の内乱及び騒擾ということが対象とせられておるのであります。現在自衛隊法におきましても、間接侵略に関して自衛隊が対処することが規定せられておるのでありまして、原則といたしまして、間接侵略に関しましてはそれぞれの国が自主的に対処するのが当然であります。今日の自衛隊発達の程度よりいたしまして、すでにわが国におきましては、この間接侵略に関して自主的に対抗し得る立場に到達した、かように考えてよいかと思うのであります。この点、とかく間接侵略を日本自体が担当することに対してなお不足があるかのごとく、今回の安保条約の改正に対して懸念を抱く者もなくはないというふうに見ておるのでありまして、この点防衛庁長官より、わが国の自衛隊は間接侵略を十分排除し得る確信を持っているか、また、今後これに対して必要なる準備等をされるものと思うのでありますが、その御覚悟のほどを承わりたいと思うのであります。
○左藤国務大臣 間接侵略に対しましては種々の様相が、またその程度が考えられますので、一がいには申し上げ得ないと思います。大陸諸国とは地理状況も異なっておりますので様相も異なりますが、特別の態様のものを除いては大体対処できるというふうに存じております。国内の治安の維持はもとより警察が第一線でございますが、これと協力をいたしまして治安の責任を十分果すように努力をいたしております。
○床次委員 いわゆる間接侵略の定義と申しますか、言葉の表現にはいろいろあるのでありまして、非常に大規模のものもあるかと思うのでありますが、ただいま御答弁のように相当大仕掛の間接侵略はむしろ直接侵略とも認められて、これは当然安保条約の対象となり得るものではないか。いわゆる間接侵略は大体自衛隊でまかない得る、ざように解釈しておきたいと思うのであります。また、その目標のもとに御努力をいただきたいと思うのでありますが、なお、右に関して一点お伺いいたしたいのであります。大体間接侵略の際におきましては、自衛隊において鎮圧可能であると私どもは考えているのでありますが、万一不可能な場合におきましては、この間接侵略に対しては日本自体が当るということを条約において規定いたしましても、なお日本の力の足りない場合におきましてはアメリカの協力を求める、政府が区要請するということが当然予想し得ると思う。日本政府の、要請に対して当然アメリカは応諾する。何も応諾の義務を付せなくても、今日の日米の友好状態において考えますならば、両国の親善関係、協調関係より見まして、アメリカは日本に対して好意の援助をいたすものと考えるのでありますが、この点に関する外務大臣の御意見を伺いたいと思うのであります。
○藤山国務大臣 日本自体の国内における問題につきまして、日本がこれをみずから処理するということは当然のことであります。従いまして、そういう立場で問題を考えて参りたい、こう思っておるわけであります。私どもは、現在日本の国民がみだりに間接侵略に応じて、そうして国内の治安を乱すと考えておりませんし、また、そういう事態が起ったときにどういうふうにするかということも考えておりません。しかし、日米の友好関係があります以上は、私どもそうした場合におきましても、日米の友好関係がおのずから問題を解決するものだと考えております。
○床次委員 在日米軍の配備、使用に関する問題に対する日本の発言権の問題であります。日本が双務的立場また自主的にあります場合におきましては、日本の発言権というものは当然認めらるべきであります。昨年の岸・アイクの共同声明におきましても、この点が明らかにせられまして、米軍の日本におけるところの配備及び使用については、実行可能なときにおきましては協議をするということが合意せられておるのでありますが、事柄は米軍の機動性と機密保持に関するものでありまして、非常にむずかしいことではあります。しかし、たとえ困難はありましても、先ほどお話のように、ほんとうに日本とアメリカが友情関係にありますならば、ある程度までは了解ができる。この点はわれわれの希望するところの自主的な態度を守り得るものと思うのでありますが、大臣の御確信を伺いたいと思うのであります。
○藤山国務大臣 在日米軍の配備その他の問題について自主的な立場からアメリカと協議をするというような問題につきましては、今日までの安保条約に関する国民的ないろいろな感情から申して、当然われわれはそうした問題を取り上げていくつもりであります。
○床次委員 次に、問題を転じまして、核実験の停止の問題について一言御所見を伺ってみたいと同時に、世界の軍備縮小の問題について伺ってみたいと思うのでありますが、今日相当この機運が増進して参りましたことは、まことに喜ばしいことと考えるのであります。ただ一点これをはばんでおると思われますのは中共の態度なのでありますが、本来中共が平和五原則を主張して、世界平和のために貢献すると一言っている以上は、むしろ快く中共はこの問題に協力してもいいのじゃないか、かような呼びかけをしてもいいのじゃないかと思うのであります。半面において、中共はこの問題を利用いたしまして、自分の国連参加の希望を実現しようという意図をあるいは持っておるかとも思うのでありますが、いずれにいたしましても、この問題の解決を促進するということは非常に必要である。国連等におきましては何らかの形において話題とせられるべきものと思うのでありますが、御所見を伺いたいと思うのであります。
○藤山国務大臣 核実験の禁止問題につきましては、御承知のようにソ連、アメリカ、イギリス等がそれぞれ十月末以降話し合いをるるということになっております現状におきまして、ソ連が最近核実験をやりましたことは、何らかの形でこの問題に若干の影響を与える心配がありはしないかと懸念いたしますけれども、とにかく一応それらの話し合いが進行をする状況にありますので、われわれとしてはそれらの問題を見ながら考えて参りたいと思います。そうした基本的な問題がどういうふうに動くかによりまして、さらにそれをどういうふうに拡大していくかという問題が次に起ってくると思うのでありますが、そうした状況に応じて世界の各国がこれらの問題について考える事態になるのだろうと考えております。
○床次委員 次は、中共の商品が東南アジアに進出しておるのでありますが、この問題は、日本と中共とのいわゆる貿易問題がこじれたからというような一時的のものではないと思うのであります。従ってこれに対しましては、わが国の産業界におきましては、その品質の向上あるいは品目を重化学工業化する等の努力をいたしまして、半面に経済協力等の実施によりまする貿易の振興というような方面に努力をいたしまして、新しく東南アジアに対しましては貿易展開の道を開くべきだと思うのでありますが、世上におきましては、中共貿易の再開等によりましてこれが緩和できるのじゃないかというような希望を持っておるものも相当あると思うのでありますが、かかるものは誤解だと思う。われわれのなすべき努力というものに対しましては、今後一そう世間の周知を得たいと思うのでありますが、この点に関する大臣の御所見を伺いたいと思います。
○藤山国務大臣 日本と中共との間の貿易が途絶したから、そこで中共が東南アジアに進出したのだ、日本と中共との貿易が再開されれば中共が東南アジアに進出しないということはないと思うのであります。これは自由主義国家の中におきましても、貿易というものは相当お互いに競争をしながらやっておるわけであります。また貿易をする相互の立場から見ますれば、よい品質の商品を適当な価格で入手することができれば、自由な立場において入手をしたいというのは当然のことなのでございます。従って日本が貿易を進める場合におきまして、やはりよき商品を適当な価格で輸出するような国内体制を固めると同時に、またその輸出方法等につきましても、相手国に迷惑のかからぬような方法でやりますことによって、貿易は伸ばせると思うのであります。貿易はどこにおきましても競争は当然あることでありまして、われわれはどの国とも平和的な貿易の競争に対してはできるだけ全力をあげて、それにまさっていくようにやって参らなければならぬというふうに考えております。
○床次委員 中共に対する問題は、最近の国会におきましての総理の説明あるいは大臣の説明によりまして、大体国会等におきまして明らかになったと思う。また政府の声明等によりましても明らかになったと思うのでありますが、しかしながら一般国民に対しましては、その経過なりまた政府の今後の対策、所見というものに対しましては、まだまだ徹底が不十分かと思うのでありまして、この点に関しましては、広く国民に対しまして正しくこの事態を認識せしめるという意味におきまして、ある程度までの説明を出されて周知徹底をはかるということが必要かと思うのでありますが、これに対する御意見を伺いたいと思います。
○藤山国務大臣 中共の貿易が日本にとって望ましいことであり、またそれができるようにありたいということは、総理も言っておられるところであります。ただ先般五月以来いろいろな事情のもとにこれがとまってしまったこともまた事実であります。これが打開をどういうふうに取り運んでいくかということは、われわれとしても相当真剣にまじめに考えて参らなければならぬのであります。ただ日本があやまりさえすればいいというだけの問題ではないと私は思うのでありまして、相互の誤解もありましょうし、そうした問題について十分お互いに反省もする必要もありましょうが、同時にやはりこうした問題の解決というのは一つのきっかけというものがあるわけであります。それは国際情勢等の動きの中において——これらの問題は直接政治には関係いたしておりませんけれども、やはり国際政局におけるそれぞれの国の立場というものがいろいろございます。そういうわけでありますから、ただ単に貿易だけの問題で、日本が五月のあの国旗事件をあやまりさえすればいいというだけの問題ではないし、また日本としても単純にあやまって済む問題ではないと思うのでありまして、そうしたことから見ますれば、われわれとしては適当な話し合いのできる時期というものをとらえていくことが必要だと思うのであります。そうした時期をとらえるためにわれわれとしては努力をいたしておるわけであります。それが総理の言われましたいわゆる動中静ありというところだと考えております。
○床次委員 ただいまの政府の態度は私それでよろしいと思うのでありますが、それを十分に理解徹底せしめるということが他の方面の策動に乗ぜられない大事な要点である、かように考えますので、意見を申し上げた次第であります。 次に伺いたいのは、外務大臣はダレスと会見の際におきまして、将来の沖縄の問題に関しましては十分に隔意なく改善に努力し得るよう話してこられたように承わるのであります。今後正式の外交ルートによりましてこの打開をはかると伺っておるのでありますが、この点に関しましては私どもは相当大きく期待をいたしておるのでありまして、できるだけすみやかに施政権の返還を受けることは当然でありますが、しかしそれが実現いたしますまでの間におきましても、沖縄における住民の生活水準の向上ということに対しましてなすべきことが少くありません。現在アメリカの方においてまだまだ努力すべき点がありますし、なおわが国といたしましても、祖国の立場においてそれを援助するということが可能だと思うのでありますが、この改善の話し合いのルートというものに関しましては、従来からありますところの安全保障委員会というものを使うのも一つの方法でありますが、今回のお話によりまして、新たにやはり外交ルートとして十分に徹底せしめ得る、かようにお話しになったのか、この点を明らかにしていただきたいと思います。従来は国防省と国務省の関係がありました。とかく米国内部における意思の疎通も十分でないように思うのであります。この点は一つ今後迅速にと申しますか、徹底して、日本側の意見がアメリカに反映できますように御努力を願いたいと思います。御所見を伺います。
○藤山国務大臣 沖縄の施政権の返還が一日も早いことを希望しながら、その過程において、沖縄の人たちも日本の八千五百万国民の一部である。沖縄は過去におきましても、沖縄自体ではなかなか経済的に成り立たぬような状況にあった。今日の状況は、なおさらそれが相当強い傾向を持っておるとわれわれは信じているのであります。そういう意味において、沖縄の民生の安定、経済に対する援助ということ、内地からの手を差し伸べていくということは、非常に当面緊急の問題であるということを私はダレスにも話したわけでございます。その問題については、ダレス長官としては、各方面からいろいろなルートで話が出ていくことは、いたずらに事態を混乱させ、誤解を招くゆえんでもあるから、自分たちはその希望はよくわかるから、それを通常外交ルートの一本の道を通って一つ働きかけてもらいたい。それでないと、やはりいろいろな方面からアメリカ側のいろいろな方面に働きかけると混乱をしてしまって、かえってできるものもできなくなる場合もあるということを話しておられたのでありまして、そういう意味において、今後問題をわれわれは通常外交ルートをもって話して参りたい、こう考えております。
○床次委員 最後に一言お尋ねしたいのでありますが、外務大臣がいわゆる外交三原則によりまして、今日外交に対処しておられることに対しまして私は正しいことだと思うし、効果も上っておると思うのでありますが、往々にして三原則適用に対して矛盾があるのではないかという疑いを持つ人があるのであります。私は私見を申し上げますならば、日本がわが国民の平和、安全、利害ということを十分認識いたしまして、自主制を持ってこの三原則というものを適用することによって矛盾は解決し得るものと思うのであります。かようなことを考えまする場合におきまして、今日の台湾海峡の問題等におきましては、先ほどお話のように、現実におきましては米中会談というものが行われておるのであります。大臣がその推移を見守っておられることは当然でありまするが、今後この問題は将来の中国問題等に関連いたしまして、わが国の外交上のきわめて重要問題だと思うのであります。従って、今後の推移いかんによりましては、むしろわが国といたしましては、この中国に重要な関係を持っております立場から、積極的な意見を述べ得る事態があり得ると私は思う。むしろあるものと考えておるのであります。今日におきましては、大臣はこれを公表しない、言うべきときでないと言われましたのは、私はその通りだと思うのでありますが、しかし将来におきましては、積極的にこれを日本として主張すべき意義があるのではないかと思う。その節におきましては一つ十分な努力をしていただきたい。特にこの点に対しまして大臣の御決意を伺いたいと思います。
○藤山国務大臣 台湾海峡の問題が、世界の平和にとりまして重大な問題でありますことは申すまでもないことであります。同時に極東の事態でありますので、これが極東にあるそれぞれの国の最も関心の深い問題であることも申すまでもないことであります。従いまして、われわれはこれが平和的に解決することに努力し、またこの方途を発見すべく努力をして参らなければならぬと思うのであります。私は国連総会におきましても、将来もし国連等において、何らかの形でもってこうした問題を取り上げるときには、日本としては当然発言をしなければならぬから、その発言を留保してということを総会でも申しております。従いまして、われわれとして米中会談の成功することを望んでおります。また平和的に当事者同士において一日もすみやかに解決することを望んでおるのでありまして、そうした状態のときにおいてはとかくのことを申すことは適当ではないと考えております。けれども、もし平和的に解決ができず、あるいは話し合いがつかないというような場合には、われわれとしても当然何らかの発言をする必要がある、こう考えております。
○床次委員 ではこれで終ります。
○櫻内委員長 戸叶里子君。
○戸叶委員 日米委員会が四日に初めて開かれまして、岸首相、マッカーサー大使、藤山外務大臣等が御出席になって、安保条約改定についての話し合いが始められたということが報道されております。そこで日本の政府としては、政府の考え方、基本線というものを示され、アメリカの方からも基本的な態度というものが話し合われたというふうなことが報道されているわけでございますが、日本側の基本的な態度というのは、今まで藤山さんが国会を通して言っておられましたようなことを再び述べられたものであるかどうか。さらに、アメリカの方の基本的な態度というものは一体どういうものであるか、この点を伺いたい。
○藤山国務大臣 先週開かれました、土曜日十一時から開いたのでありますが、これは御承知のように、ダレス長官と私とがワシントンにおいて話し合いをいたしまして、外務大臣が日本に帰ったらば、マッカーサー大使との間に安保条約の問題についての外交折衝をやろうという話し合いができておったわけであります。そのいわば初顔合せと申しますか、全権団というものができれば、当然一つのテーブルを囲みまして、一応儀礼的にも顔合せをするわけであります。今回の場合、必ずしも全権団を作ってやっておりませんから、そういう意味において初顔合せをした。従って、折衝の当事者として私とマッカーサーとが折衝いたしますけれども、当日はそうした儀礼的なものでありましたので、総理にも御出席をいただいたわけであります。従って当日は、特に両方の見解を申し述べたといいますよりも、ワシントンで話し合いましたことをもう一ぺん繰り返して、そうしてそれを基礎にして、一つこれからの折衝をやろうという顔合せをいたしたのでありまして、当日は特段の問題を特に取り上げ、あるいは協議をしたということはございません。
○戸叶委員 そうしますと、アメリカ側としても、別に大して発言をするということでなしに、まあ初顔合せ、これから何とか話を始めていこうという程度に終ったというふうに了承してよろしゅうございますか。
○藤山国務大臣 そういうふうに了承していただいてけっこうなんでありまして、いつから始めるかとかいうような問題は、一応顔合せをいたしませんければ、皮切りができないわけでございます。そういう意味で会合をいたしたわけであります。
○戸叶委員 これから何たびか会合をお持ちになるだろうと思いますけれども、そのつど、その内容について国民に知らせるということは、困難な場合もあろうと思いますけれども、特にこの安保条約の改定というものは、国民にとりましては非常に重大な意義を持つものでございますので、秘密のうちに会談がどんどん進められていくということは、非常に私どもも心配をするものでございまして、適当なときに適当な発表なり、あるいは国会においての発表なり経過報告なりをなさっていただきたい、こう思いますし、またするべきであると思いますけれども、交渉が終ってしまうまで何も経過報告をなさらないでいかれるかどうか、この点も伺いたいと思います。
○藤山国務大臣 この二国間の交渉の過程におきまして、それらの内容を一々発表して参りますことは、いずれの国にとりましても適当でないと考えられますので、むろん会談はそれぞれの国においてその内容を発表することは私も適当ではないと考えております。が、しかしながら私として大きな責任を持って交渉をやるわけでありますから、国会等の議論について、私も過去一年いろいろな国民の要望を聞いておりますし、それを体してやるつもりではありますが、しかし差しつかえない限度おいて両当事者間が打ち合せて、発表できるものはむろん発表いたしたいと思っております。しかしながら今申し上げましたようにこうした問題については両国それぞれいろいろの国内事情があることだと思うのであります。そうした面から見ますと今必ずしも一々の問題について発表するということは申し上げかねます。
○戸叶委員 私も外交上のいろいろな問題がございますから一々発表してほしいとは申し上げません。ただ日本とアメリカとの意見が非常に違って、それが国の性格に非常に影響を及ぼすというような場合、えてして今までの外交方針というものは秘密で行われて参りました。しかしそういうときこそ国民に話して、国民の考え方をも聞いた上で改定をしていかなければならぬのじゃないか。もし改定するとするならばですよ。私どもは全面的に廃棄すべきだと考えておりますけれども、もしそういう立場に立って改定されるならば、当然問題のあった点こそ国会で国民の意見を聞いていくべきではないかと考えますけれども、この点はいかがお考えになりますでしょうか。
○藤山国務大臣 むろん国民の立場に立って外交交渉をやるわけであります。従って非常に重大な問題等につきましてそれぞれの国民の考え方を承知して参らなければならぬと思います。ただその承知して参る方法として、それが発表をするという形において承知できますか、あるいはこうした委員会等における十分な論議を拝聴して、それらによってわれわれも考えていくか、方法論としてはいろいろあろうかと思います。それらの状況に応じて、私としても非常に重大な問題を責任を持って解決に当って参るわけでありますから、決して安易な考え方で問題を取り扱っていきたいとは考えておらぬのであります。
○戸叶委員 今の藤山外務大臣のそういった真摯な態度を信頼していきたいと思います。 先ごろ川島幹事長のお話では、大体安保条約の改定は年内にまとまって通常国会で審議するようになるかもしれないということを発表されておられるようでございますけれども、話し合いの工合から見て、そんなに早くこの改定がまとまるようにお考えでしょうか。あるいはまた年内にでもまとめたいという御希望をお持ちになっていられるのでしょうか。この点を伺いたいと思います。
○藤山国務大臣 非常に重要な交渉でありますから私は急いではいかぬと思います。十分に練りながら考えて参らなければならぬと思うのであります。同時に新しく改定される問題は国会等にお諮りして十分な論議を尽さなければならぬのでありまして、従って新条約というような場合には国会の状況も考えて参らなければならぬ。来年は御承知のように四月以降は参議院あるいは市町村の選挙等がありまして、国会で十分御審議を願いますためには通常国会を目標としてやるのが一つの常識的な考え方だろうと思うのであります。そういう常識的な考え方に立っておりますけれども、重大な問題ですから、その日までにどうしても作らなければならぬ、無理をしてまで作らなければならぬとは考えておりません。ただ常識的に見まして、日本の通常国会、しかも来年の国会の状況から見ますれば四月以降はあるいは御審議等が困難な状況にもなってくることともにらみ合せて、またアメリカも一月から国会を開くことでありますからその辺を一応常識的に目標としてやっていくつもりでおるわけであります。
○戸叶委員 そうしますと藤山外務大臣の大体のお考えとしても、何とかして次の通常国会ではこの改定を実現したいというふうなお考えのようでございますけれども、非常に重大な内容を含んでおりますだけに、来年の選挙があるから十分な審議ができないならばその次に延ばしてもいいことではありますし、そういう点もよく考えられまして、いたずらに急いであやまちをあとに残さないようにしていただかなければならないと思いますので、その点も十分に勘案していただかなければならない、こう考えるわけでございます。 この内容に入っていくわけでございますけれども、昨年日米合同委員会が岸さんが訪米されましてからできまして、安保条約の改定の核心に触れずに一年ほとんどたってしまったわけでございます。ところが藤山外務大臣がアメリカに行かれまして、急にとんとん拍子で安保条約の改定ということが約束されたような形になってきたわけでございますけれども、こんなに急がなければならないような国際情勢の変化、ことに極東に何か安保条約を改定させるような情勢が特に起きたとお考えになって、日米双方が安保条約を改定しなければならないという意見の一致を見るに至ったかどうか、この点も伺いたいと思います。
○藤山国務大臣 御承知のようにこの問題は、昨年総理がワシントンに行かれまして一番大きな問題として提議をされており、また話し合いがされたわけであります。その結果が昨年は安保委員会を作って現行安保条約の運営に関する問題について話し合いをし、また同時に安保委員会において両国国民の願望に沿うように安保条約を検討してみようということで、その結果として安保委員会ができたわけであります。一年間安保委員会をやりまして、種々の話も安保委員会の席上で出ておりますし、そうしたことにつきまして必ずしも今回参りましたことが唐突なことであったとは考えなくても差しつかえないのではないかと思うのであります。私も今回参りますについて、当然岸内閣が長期政権を担当するという立場において外交政策を展開して参りますから、やはり昨年総理がこの問題を取り上げましたフォロー・スルウをやりますことは当然であります。従って、六月末あるいは七月初旬、アメリカ側に対してダレス長官と会談をしたいと言ったとき以来、この問題については問題として取り上げるように申しておるわけでございまして、必ずしも現在起っております台湾海峡等の情勢からわれわれが取り上げた問題でもなし、またアメリカ側におきましても、総理が昨年行かれまして以後総理の考え方も聞いておられますし、またそれによっていろいろ研究もされておったことだと私は考えております。
○戸叶委員 今の藤山外務大臣の御答弁にも、ちょうど機が熟してきたかのようなことを言っておられるわけでございますけれども、ただ私ども今回のように安保条約改定に両者がすらすら一致したことに対しましては、何かしらそこにいろいろな不審の念を抱かざるっを得ないわけでございます。岸首相もなるほど昨年は行っておられますし、昭和三十年には故重光外務大臣も行かれまして、そのときにも、アメリカの方から一体日本の憲法をどうするのかというような逆の質問を受けて非常に困ったようなこともございましたし、私どももちょうどその当時ソ連を訪問しておりまして、日本が海外派兵をするというような新聞記事を見てびっくりしたようなこともございましたけれども、それはそのまま終ったといたしましても、そうした経緯から見ましても今回急に安保条約を改定するということに両者ですらすらと話が運んだということが、何かしら非常に割り切れないものがあるわけでございます。ことに今回の藤山外務大臣の御説明を伺っておりますと、日本の憲法の範囲内でするから海外派兵ということはない、心配はないということをたびたび言われているわけでございます。一歩譲りまして、海外派兵の心配はないというふうに私どもも考えたいのでございますけれども、重光外務大臣がアメリカへ行かれまして、そしてアメリカから一体お前の方の憲法はどうするのだと言われたあと、日本の自衛力というものの解釈が非常に拡大解釈をしている、こういうことを考えてみましても、非常に不安にならざるを得ません。船田防衛庁長官が内閣委員会におきまして、自衛のためなら公海まで十行っていいのだ、あるいは敵の拠点をついてもいいのだというようなことを言っているのをみますと、どんなに文章の上では、日本の憲法を守って相互防衛をいたしますということをいってみたところで、この自衛力の拡大解釈ということによって、海外派兵は自然に生まれてくるのではないか、こういうことさえも考えるわけでございますけれども、こういう点を一体どういうふうにしてお防ぎになるでしょうか。たとえば公海まで行く、自衛のためでも行くことは共同防衛のときにはしないのだ、こういうふうなことまで突っ込んでお話になる御意思があるかどうか、この点も伺いたいと思います。
○藤山国務大臣 憲法の範囲内でこの新条約を取りきめるということは、私がワシントンでも重ねて申しているところでありまして、その意味におきまして、アメリカ側も理解をしていると思います。今後条約折衝の上におきましても、当然憲法の範囲内で、しかも現在の解釈において、われわれとしては当面の条約を審議していくということに変りはないのでございます。
○戸叶委員 今の御答弁は、藤山外務大臣がたびたびお答えになっていらっしゃることで、私も了承しているわけでございます。今の御答弁の中で、憲法の範囲内というのは現在の解釈でしている、こうおっしゃるわけでございますが、それでは昨年あたりから政府が考えております、自衛のためなら公海までも行っていいのだという、その考え方に基いての憲法の範囲内、こういうふうにお考えでございましょうか。それともそれは少し拡大解釈過ぎるというふうな立場に立って議論をお進めになるでしょうか。この点をはっきり伺いたいと思います。
○藤山国務大臣 私は交渉の責任をとっている者として、いよいよこの問題を取り上げますときには、政府としての憲法の解釈をはっきり確定してもらった上で、その上に立ってやって参りたい、こう思っております。
○戸叶委員 もうすでに交渉は始まったも同じようなものだと思うのです。ことにもう来年の参議院選挙前をめどにこの条約改定というふうなことまで考えられているとするならば、そうした解釈の統一というものはすでになされていなければならない、私はこう考えるわけでございますが、それではちょうど防衛庁長官がお隣におられますので、防衛庁長官にお伺いいたしますけれども、自衛のためならばどこまでも行っていい、たとえば公海までも進んで行っていいという解釈をお持ちになっていられるかどうか、この点を伺いたいと思います。
○左藤国務大臣 自衛艦が公海において急迫不正の攻撃を受けました場合には、やはり私どもは自衛をいたすものと思います。公海において自衛のために行動をすることはあり得ると存じます。
○戸叶委員 藤山外務大臣、今防衛庁長官のお話しになったことをお聞きになったと思います。そういたしますと、憲法のワク内で海外派兵をしないといってみましても、結局アメリカの日本にいる基地の軍隊と一緒に日本の自衛隊が、自衛という拡大解釈の名のもとに海外まで行くような可能性も出てくるわけでございまして、どんなに条文上憲法のワク内でということをおきめになりましても、事実上は私どもから考えて憲法に違反する海外派兵ということがだんだんに行われていくように思うわけでございますけれども、こういう点はいかがお考えになっていましょうか。
○藤山国務大臣 海外派兵をして、そして戦乱に巻き込まれるということは当然ないことと思います。ただ軍艦自身が何か突然攻撃を受けたときに、その軍艦が自衛をするというのは当然のことだと思います。
○戸叶委員 そういうふうなことになってきますと、どうしても日本の軍隊は海外派兵させないといいましても、海外派兵の中に巻き込まれる可能性があるというふうに私どもは心配しますけれども、そういうことはないということを藤山外務大臣は言い切れますですか。
○藤山国務大臣 日本の憲法は、日本が軍隊を外に出して侵略行為をする、あるいは戦闘行為をするということができないことは当然だと思うのでござまして、その範囲内においてわれわれとしてはむろんそれらの点を条約上はっきりさしていくことも、これまた当然なことでありまして、われわれとしてはそれを努めて参る所存でございます。
○戸叶委員 それでは角度をかえて伺いたいと思います。これも先ほど出た問題かと思いますけれども、国民が非常に心配していることでございますから念のためにもう一度伺いたいと思いますのは、今度の共同防衛の範囲でございますが、沖縄や小笠原を含めるか含めないかというようなことでございます。潜在主権があるから含めた方がいいというふうな考え方をお持ちの方も与党の中にはだいぶおられるようでございまして、そうなってきますと非常に問題は大きくなってくるわけでございますので、この点一体どういうふうな考え方を持って臨まれようとしているか、この点をまず伺いたいと思います。
○藤山国務大臣 この問題については、私から今何とも申し上げることができないことであります。
○戸叶委員 申し上げられないというふうなことはたびたび御答弁がございましたけれども、お答えになれない理由はどこにあるのでしょうか。
○藤山国務大臣 条約の審議のやはり一つの重要な問題だと思いますので、私はこの問題については今私の考えあるいは意見等を申すことは適当でないと考えております。
○戸叶委員 それでは百歩譲りまして、今お考えがあっても述べられないというふうに解釈するにしても、それではアメリカ側との交渉の過程においてこういう問題が起きたときに、国会で一応こういう問題が起きたということをお話しになられるか、それともそのまま適当にアメリカとの交渉を進めておしまいになるか、この点を伺いたいと思います。
○藤山国務大臣 私は折衝の責任者でありますけれども、むろん私だけの考え方でなく、内閣の考え方でやるわけでありまして、そういう意味において私が個人的に今何とも申し上げられないと思います。またその際果して国会にそうした問題をかけるか、かけないかも、内閣として意思を決定しなければ何とも申し上げられないのであります。
○戸叶委員 それでは私どもが、国会の社会党の外務委員として、そういう問題が出た場合にはぜひとも国会の外務委員会におかけいただきたいということを要望したいと思います。こういうふうな問題を私が心配いたしますのは、共同防衛の範囲に沖縄、小笠原まで広げられて、そしてだんだんに現在以上の軍事的な義務というものを負うようになっていくのではないかということが一つと、そしてまた今ありますところの米韓、米台共同防衛条約ですか、そういうようなものと同じような相互防衛条約を結ぶことによって、知らず知らずのうちに日本、アメリカ、韓国、台湾というように結ばれた線が出てくるのではないかということを非常に心配するものでございます。そして必要以上に中国を刺激することになって、そして日本こそ世界平和の推進力になり得るのにもかかわらず、何を好んでこういうふうな態度を政府がとろうとしているのか、こういうことに対して国民が非常に心配をしているわけでございますので、こういうふうな点は絶対にあり得ないのだというような安心感を藤山外務大臣から与えていただきたいと思いますが、いかがでございましょうか。
○藤山国務大臣 安保条約改定の問題は、かねて日本の国民の考え方であります。自主性を取り戻すということがまず第一に大きな願望であろうと思います。これらの問題について、われわれとしては努力して参りたいのでありまして、他のアメリカとの条約国とどういうふうな連携をとるためにこれを改善するのだというようなことを毛頭考えてこの交渉に当っておるわけでは全然ございません。
○戸叶委員 外務大臣は毛頭そういうふうなことをお考えになっておりませんでも、自然にそうならざるを得ないのでございます。というのは、アメリカと韓国とが共同防衛体制を結んでおり、アメリカと台湾とが共同防衛体制を結んでおりますと、万が一その一つの国が攻撃されるような場合には、他の国もこれと一緒になって共同防衛をするというふうなことが必然的に一環のつながりを持つということは、これは私だけでなしに、少し研究した者には当然のこととしてわかるわけでございまして、こういうふうなおそれがないということを抽象的に言われましても、私どもは非常に心配するわけでございまして、そういう意味からいいましても、私は安保条約というものは全面的に廃棄すべきではないか、こう考えるわけでございます。ときどき岸首相も藤山外務大臣もおっしゃいますことは、日本とアメリカとの間に新時代を作ったから、この新しい時代に即するためにこうした条約改定をするんだというふうに言われるわけでございますけれども、一体その新時代ということは、今度の改定によってアメリカヘの踏み切り、すなわちアメリカとともに立って共同の敵への対決をするというその決意をさらに新たにした、そうした新時代を作るというような意味ではないかとさえ考えている人もあるわけでございますけれども、この点はどうでございましょうか。
○藤山国務大臣 日本が自由主義陣営の一員として、国際共産主義に対して反対の立場に立っておるということは、これは戦後日本の国の一つの大きな、少くも保守党においては方針だと思います。従いまして、日米新時代ということは、そうした問題でなしに、日本が今日のように国際社会に出てきた、また日本の国内の諸般の体制も整備してきたというような立場において、占領下におけるような日本でなくて、対等の立場に立っての日米間の新しい時代が来たんだということは、岸・アイク声明を通じても現われているところでありまして、日米新時代というものは、そういう意味において解釈さるべきものだと私は考えております。
○戸叶委員 今回の条約改定に当りましては、日本とアメリカがさらに強く結ばれて、そうして共同体制をとったというふうに解釈している人の方が多いし、私どももそういうふうに解釈されると思うのでございます。そこで先ほど菊池委員が質問をされましたけれども、核兵器の持ち込みに対しましては幾たびか反対ということを言われておりますけれども、条約にはお書きにならないような口振りでございます。そこで今後沖縄等にあります核武装につきましても、そういうものがあるかどうかわからないというふうな形で藤山外務大臣は先ほど逃げておしまいになりまして、この点は何とも言えませんが、それでは仮定のことといたしまして、もしも沖縄が日本の共同防衛の範囲に入った場合に、そうして核武装をしている場合に、これをどういうふうに解決されるか、これは核武装をしているから武装解除をしてもらいたいというところまではっきりと言われる御意思があるかどうか、この点も伺いたいと思います。
○藤山国務大臣 今日まで総理がその強い所信で表明せられております、日本の自衛隊は核武装をしない。また日本は核兵器の持ち込みに対してはこれを拒否するというその立場は、今回の安保条約を改定して参ります際にも私どもは堅持して参るわけでありますが、それらの問題が条約上どういうふうに表現され、扱われるかという問題については、今日言明の限りでございません。
○櫻内委員長 戸叶さん、大体時間が参っておりますから、おまとめ願います。
○戸叶委員 もう二、三問だけです。 今の御答弁は前の方の御答弁と同じだと思うのです。ただ沖縄などが日本の共同防衛の区域の中に入った場合に、そしてもし沖縄に核武装をしているということがはっきりした場合に、どういうふうにこの問題を解決されるかということを伺っているわけでございます。
○藤山国務大臣 沖縄が入るか入らないかというような問題についてはまだ今後の交渉であります。仮定の上に立って問題を御説明できないと思います。
○戸叶委員 そうしますと、もし沖縄が入った場合に、そして核武装をしている場合には、当然これに対して抗議を申し込むなり、非武装化を要望すると解釈してもよろしゅうございますか。そうでないと岸首相の答弁も藤山外務大臣のお考えも、これは反すると思いますので、そう解釈してもよろしゅうございましょうか。
○藤山国務大臣 総理が申しておるその考え方を体してやっていくわけでありまして、それ以上ここで何とも申し上げかねます。
○戸叶委員 藤山外務大臣は非常にまじめな、いい方と思って私は信頼しているのですけれども、今交渉をなすっていらっしゃる当人でありながら、そういうふうな御答弁では、非常にたよりないと思います。私ども心配でたまりません。もう少しはっきりした態度を持っていていただきたいと思うのです。あるいははっきりわかっているのだけれど今言えない、こういうならわかりますけれども、総理がそういうふうなことを考えていられるからといって、直接交渉に当られる人がそういう態度では、交渉に当っていただく人としては少したよりなさすぎるわけでございまして、もっとはっきりした信念を持っていただきたいと思うわけでございます。 そこで、防衛庁長官にちょっとお伺いいたしたいのですが、先ほど、日本は平和を望む限り、核兵器は持ち込まないということをはっきりおっしゃったわけでございますけれども、自民党の中には、核兵器を持ってきた方がいいというような勇ましい御意見をお吐きになる方もだいぶいるわけでございます。そこで、そういうふうな方は、もちろん平和を望む日本国民の意思に反するということで説得をなさるとは思いますけれども、その核兵器の中には防御用と攻撃用とある。防御用のものならいいではないかという意見さえもこのごろ言っている人があるようでございますが、そういうものも当然入れないというお考えであろうと思いますが、もう一度念のためにお伺いをいたします。
○左藤国務大臣 仰せの通りでございます。
○戸叶委員 もう一つ伺いたいことは、岸首相が昨年アメリカで、米軍の日本における配備、使用については実行可能なときはいつでも協議するといっておりましたけれども、今後はこの条約が改定されればお互いに話し合って、そうして米軍の配備、使用ということになるというふうに了解するわけでございますけれども、きのうの参議院の外務委員会におきまして、防衛庁長官は、緊急の場合には協議できないような場合もあるということをはっきり答えていられるわけでございます。こういうふうな場合には、一体どういうふうにされようとするお考えのもとに交渉をなさるか、外務大臣に伺いたいと思います。
○左藤国務大臣 昨日申しましたのは、物理的に観念的には協議ができないことも考えられるのでございますが、たとえば在日米軍がいて突然攻撃を受けた場合、その現実の攻撃に配備する行動をする場合を観念的に想定いたしますれば、これは事前に協議する余裕がない場合も考え得る、こういう意味で申したのでございますが、現実には敵対行為の急迫した脅威のないときにかかる事態か突発することはあり得ないと思うのです。従いまして、こういうような敵対行為の脅威がありますときには、その脅威に備えて事前の協議はいたし得るもの、かように考えております。
○戸叶委員 そうしますと、協議がもし成立しないような場合でも、日本が同意しない場合には、それに対して拒否権があるように交渉されるとみなしてよろしゅうございますか。藤山外務大臣に伺いたいと思います。
○藤山国務大臣 協議でありますから、両者の意見が一致しないことはあると思います。従いまして一致しない意見を強行されるとは私は考えておりません。
○戸叶委員 そうすると一致しない意見は強行しない、こういうふうに藤山外務大臣はお考えのようでございますけれども、実際問題としてそういうふうに甘く見られていては、いろいろな問題が起きるのではないかというふうに私は考えるわけでございます。この点はあとでまたもう少しつっ込んで質問させていただきたいと思いますが、最後にもう一つ伺いたいのは、政府が大へんにいい言葉として、双務的に安保条約を改定するとか、自主的に安保条約を改定するというふうなことを言っておられますけれども、いろいろな問題を深くつっ込んで考えていけばいくほど、私は双務的なり自主的なりの意味がわからなくなってしまうわけでございます。そこで双務的ということになれば当然日本の防衛力もうんとふやさなければならないでしようし、そうしてまた義務も負わなければならないでしようし、憲法の改正ということにも持っていかれやしないかというようなことを非常におそれるわけでございますけれども、一体双務的とか自主的とかいう意味、具体的な内容を含んだ意味はどういうことか、伺いたいと思います。
○藤山国務大臣 アメリカと日本が精神的に同じ立場に立って、そして問題を解決していくということが自主的であろうと思うのでありまして、一方的な精神の優位によって問題を解決していくというのでは、日本の立場は自主的にはならぬと思います。具体的な問題につきまして協議をするというのが、同じ立場で協議をいたしますれば、これまた私は自主的であろうかと思います。何か非常に御心配のようでありまして、安保条約でも改定されれば、アメリカが日本の憲法改正を強要するおそれがある。これは日本人が自主的な考えでやっていただけばそういう心配はないと思うのでありまして、そこいらにやはり日本の国民の自主性というものが発揮されるところだと思うのです。日本の憲法改正の問題は日本人の問題でありまして、アメリカのとやかく言うべき問題ではなし、またそれは日本の国民の自主性によって解決すべき問題だ、こう考えております。
○戸叶委員 この問題は時間がないので、またこの次に譲りたいと思います。
○櫻内委員長 佐々木盛雄君。
○佐々木(盛)委員 私は、安保条約の改定をめぐる問題につきましては、この前の委員会おきにまして、藤山外務大臣に質疑をいたしまして、外務大臣のこれに対する答弁は私にとってはきわめて不満足ではありましたけれども、しかしながら、一方交渉の進行中の現段階のことも考えまして、本日は質疑を継続しないことにいたします。 ただ緊急な問題について一つ承わっておきたいのですが、ただいまロイターの外国電報によりますと、昨七日夜にパキスタンにおきまして大規模なクーデターが起っております。詳細についてはわかりませんけれども、ロイター電の伝えるところを見ますと、パキスタンの大統領のイスカンダル・ミルザが七日の夜に戒厳令を発しまして、そうしてすでに中央並びに地方の議会はことごとく解散され、既存の政党はことごとくこれが解消を命ぜられ、または現行の憲法もこれは廃棄を声明いたしております。そして声明を発して、これに従わない者に対しては厳重なる処罰をする旨の戒厳令も発しておるようでありますが、外務当局にはこのことが、公電ないし非公式のうちにも何らかの情報を得られておるかどうか。おそらくはまだ公電が入手さえておりませんという御答弁ではなかろうかと私は推測をするわけでございますが、それだというと、私の方もまた考えがございますが、この点につきまして外務省の今日ただいままでの何らかの情報について、外務大臣もしくは関係の局長などから御答弁を願いたいと思います。
○板垣政府委員 実は、私どももけさ外電によって承知しただけでありまして、公電も私国会に出席するころまではまだ来ておりません。時間の関係からいってもそれはやむを得ないと思います。あるいはきょうの午後早目に参るかと思っております。私ども今外電の内容から推測をいたしまして、それの情勢判断でありますが、もちろん私どもとしましても、ミルザ大統領がそういう極端な措置をとることにつきましては予測するほどの材料はなかったわけでありますが、しかし御承知のように。パキスタンは昨年以来非常に政局不安定でございまして、すでに三回政変と申しますか、内閣の更迭が行われております。内政問題といたしましては主として宗教問題がからみます選挙制の問題、それから経済上の困難、こういうものでだいぶ政局は不安定を続けて参りました。対外的には御承知のようにカシミヤ問題があり、さらに今年になりましてから、東パキスタン、西パキスタンにおきまして、インドとの国境紛争が起っております。そういう工合に相当パキスタンは内外多事の情勢でございましたので、私どもそれほど極端な予測はできませんでしたけれども、ミルザ大統領が、この際来年二月の総選挙を控えまして、パキスタンといたしましては政局安定のために何らかの強い措置をとる内部情勢があったのではないかというふうに、ただいまのところ判断いたしておりますが、なお情報が入り次第、逐次御連絡を申し上げたいと思います。
○佐々木(盛)委員 おそらくは、そういう御答弁であろうと私も予期いたしておったのでありますが、まだ時間的に入らないとおっしゃいますけれども、すでにロイター電報は現実に私の机の上に入ってきておる、これは物理的に不可能なことではないのでありまして、現に入っておる。いつの場合においても外務省の公電というのは時間的に非常におくれて参る。これは非常に慎重を期されることもあるとは思いますけれども、どうも外務省の情報網というものはむしろ新聞の、ジャーナリズムのニュースのあとを追っかけ回っておるような傾向がないわけではございません。こういうように世界というものが進まない時代におきましては、外務省の公電というものが新聞、通信より時間的にも早くかつ正確であったかと思う。私たちが昔新聞関係を担当いたしておりました当時におきましては、外務省の情報は非常に早くかつ非常に信憑性があったわけでありますが、最近特に外務省の公電というものがまるでおくれてしまっておる。この前のイラクの革命の場合におきましても、東京において五大使の会議が開かれ、アラブはきわめて静ひつ、安寧であるといって声明をしておられますと、とたんにクーデターが起った。こういうふうなことでありまするので、私は何らかの——突発的なことでありまするから、もとより事態の発生を予測すべきものはないのでありますけれども、何らかのそういった要素が外務省の方にはなかったものかどうかということを私はお尋ねをいたしたいと思ったのでありまするが、現段階におきましてこれ以上進んで追及いたしましてもむだなことだと思います。 ただ今度の外務省の予算の要求の中にも、電報料がないから外務省の情報が非常に貧弱なんだといって切々として訴えておられました。しかし電報を打つ金はなくても、こういう重大な一国のクーデーターに類するようなものは優先的に打ってもらうようにしなければならぬと思うのでありまするが、これは単に外務省の予算をふやすだけの問題ではなくして、出先におきまする外交官の情報網と申しまするか、それらについて最近かなり欠陥があるんじゃないか。外務省に反対するのではなくして私はそう考えておるのでありますが、これらの点につきましてはこの機会にもう少し出先における外務省独自の情報網をとるということ、単に新聞の電報のあとを追っかけ回っておるということではなく、そういうところに一段の努力をしていただきたいということをこの際特に申し添えておきます。 アジアにおきまするこういうクーデターというふうなことは、わが国にとりましてもきわめて重大な問題でありまするし、今後できるだけ詳細に委員会を通して外務省の所見のほども明らかにしていただきたいと思います。 従って外務省に対する質問はそれだけにいたしておきたいと思うのでありまするが、先般私は藤山さんにもお聞きしたのでありまするが、幸いきょうは防衛庁長官もお見えでございまするし、またこの次の委員会まで待ちますとかなり日にちがたちまするので、特にお残りを願ってお聞きするのでありまするが、決してこれは防衛庁長官の立場を苦しめようとか、あげ足をとろうということではないのであります。基本的なことでありまするから、私はこの際承わっておきたいと思うのです。 先刻来同僚各議員によって真剣な審議が行われておりました中のまず第一点に、今の日米の安保条約によりましても第三国、外国の教唆、干渉によっ日本に内乱や騒擾が起った場合においては在日米軍が出動をするという規定になっておるようであります。今度進行中の日米の相互の防衛条約の中においても、この条項は削られるようでございまするが、もとより国民感情として日本人が外国の軍隊によって日本の国内において殺されていくというようなことは私は見るに忍びません。従ってこういう条項は国民感情の上から申しても当然削除さるべきことであるという点におきましては全く御同感なのでございまするが、私がただ伺いたいことは、万一の場合にはもとより日本がアメリカに出動を要求すれば安保条約に関連なくして、日米の友好関係が続く限りはアメリカは助けてくれるだろう。けれどもそれはイラクやヨルダンにおける一国の合法政府が出動を要求したときにアメリカが出兵しても、国際連合憲章に抵触するものではないという場合と同じことです。従って日米の友好関係が続く限りにおきましては、日本がさような要請をした場合においてはおそらく応じてくれるかとも思いまするが、私は防衛庁独自の立場で、ちょっとしばらく今進行中の条約交渉と離れてお考えになってけっこうなのでありますが、そういう大規模の日本におきますところの内乱、騒擾が起ったときに、ほんとうに防衛庁長官はあるいは治安当局は、日本はこれで大丈夫だというようにお考えになっておるかどうか。最近の勤評をめぐる騒動を見ましても、かりに一千人の全学連のごとき先鋭分子に機関銃を持たして、百カ所において騒擾、内乱を起した場合においては、今の日本の治安力をもってしてはとうていこれを防ぐことはできないというのが、専門家の意見のように私は聞いております。赤手空拳でもってあれだけの騒動を起すことができるわけであります。いわんやこれに応じて一ちょうの機関銃を持っただけでも、一千人がかりに現実に軽い武装をいたしまして全国五十カ所、百カ所において蜂起したときにおいて、あなたは責任をもって日本の治安は安全である、自分の責任においてそういういかなる場合においても国民に迷惑をかけるようなことはない、絶対安心であるということをあなたは腹の底からほんとうにお考えになっておるのか。私は今日の自衛隊の内部に対してすら、本日は申し上げませんが、私は非常な不安すら持っておるわけです。自衛隊がまさか寝返りを打つということはないにいたしましても、現実にそういった内乱が第三国の教唆、扇動によって起った場合、あなたは責任をもって絶対大丈夫だということをほんとうに言えるかどうかということを、私は特に保守党の立場からあなたを追及するのではない、真剣にあなたにお伺いしておきたいと思うですが、いかがですか。
○左藤国務大臣 ただいま仰せになりましたような程度でございましたら——それ以上直接侵略と相なって参りますれば別でございますが、さような程度だとすれば警察官と協力いたしまして治安の責任を全うしたい、また国民の大多数も私は必ずこれに協力してくれるものとかように信じております。
○佐々木(盛)委員 責任ある大臣の答弁でありますから、その御答弁に万全の信頼を私は置きたいと思います。しかし私が重ねて申し上げておきたいことは、今進行中の日米のこの安保条約の改定をめぐって、単なる条約上の文章だけを変えるという衣がえだけでは仏を作って魂を入れないということになる、どうしてもこの条約改定と不可分のものは、日本の国内の国防対策並びに治安対策が確立されることが先決問題であると考えるのです。これなくしていたずらに国民的な感情に迎合するということは、場合によっては国運をあやまることになりませんかということも考えるわけでありますから、申し添えておく次第であります。 次にもう一点申し上げておきたいことは、先刻来核武装の問題についていろいろ論議されておるようでありますが、一つ私が防衛庁長官に承わっておきたいことは、今日世界の少くとも自衛力を持った国々は、そのほとんどが全部核武装いたしております。また永世中立を誓ったスイスのごときにおいても、軽度であっても核武装いたしておりますときに、あなたはほんとうに将来とも日本は核武装なくして日本の防衛の万全を期せるという確信がおありでありますか。
○左藤国務大臣 先ほど帆足委員に申し上げましたように、国連による集団安全保障また日米安保条約による共同防衛、この上に立ちまして、私どもは核武装をしなくても祖国の安全を全うし得るように最善の努力をいたすつもりであります。
○佐々木(盛)委員 それは現行の憲法の制約があるから核武装はできないという立場をとっておるのか、あるいは核武装などというものは日本は将来とも永久にしなくても大丈夫である、こういうお考えなのでありますか、承わりたいと思います。
○左藤国務大臣 岸総理の政治的信念の動きません限り、私も岸内閣の一員として将来ともに核武装はいたさないつもりであります。
○佐々木(盛)委員 私はあえてあなたの答弁を要求しませんけれども、常に世界は進歩発達をいたしております。特に兵器の進歩発達は、原子力の出現以来、これはもう全く夢のような発達をいたしております。この刻々に進んでいくときに、将来永久にというようなことを言明することは、決していいことじゃないんじゃないかと私はかように考えるわけであります。永久に日本は核武装をませんという——現段階においてはする心要がないというようなことになれば、私は話は通ると思うのでございますが、世の中がどんなに変ろうとも日本だけは永久に核武装しないなどということは、まるで日本が永世中立でも世界に向って宣言するような、それくらいな国策が決定してから後でなければ、言えないことであると思います。私はそれらの点につきまして、防衛長官としては、まあ現段階においてはそういうふうに言っておいた方がいいだろうというようなお考えでおっしゃっているかと思いますけれども、御意見がありましたら承わっておきます。
○左藤国務大臣 永久の理想としましては、私は世界から原水爆というものが破壊力、殺傷力としては絶対に使用されない、こういうことが私どもの悲願でございまして、永久の理想はそこにございます。現実の段階におきましては、先ほど申し上げましたように、核武装はいたさないということでございます。
○佐々木(盛)委員 もとよりわれわれも世界平和を求める点において人後に落ちるものではございません。しかし悲しいかな現実の世界におきましては、常に世界戦略をやっておりまする陣営が目の前におる、この冷厳なる現実の前に日本の防衛をどうするかという問題なのでございまして、坊さんとの禅問答をやろうというのじゃないのです。しかしこの点につきましては、深く追及はいたしません。おのずから相通ずるものがあろうかと考えます。 次に私は、もう一点申し上げておきたいことは、現在の段階におきまして、防衛庁はもとより、自衛隊は国土防衛に任ずるものと思いますが、その今任じておりますところの国土というのはどの範疇をさすものでありましょうか日本の本州、北海道、四国、九州の四つの島はもとよりであると思いますが、それ以外に国土と考えておるところがありましたならば、お知らせ願いたいと思います。
○左藤国務大臣 四つの島とそれに付随いたしまする小さい島々でございます。
○佐々木(盛)委員 小さな島々とは具体的にどこでありますか。さらに私の方から申し上げますならば、問題の小笠原、沖縄等は国土の中に入るという概念でございましょうか。防衛長官は外務大臣と御相談でございますが、これは外交上の問題ではなくして、現在あなたは国土の防衛に任じておられるのでありますから、あなたの立場においてどこまでがいわゆる防衛庁の担当しなければならぬ区域であるというふうにお考えになっておりますか。
○左藤国務大臣 現在私が防衛の責任を負うておりまするのは、先ほど申しました四つの島、これの付近にございます小さい島々、佐渡島とか隠岐とかいうところでございまして、私が防衛の責任を負うておりまするのは、その範囲でございます。
○佐々木(盛)委員 防衛庁の概念におきましては、国土という概念は小笠原、沖縄等は含まないということでございますか。
○左藤国務大臣 潜在主権のありまする国土ということは、私どもも認めまするが、私自身が防衛の責任を負うておりますのは、先ほど申しましたものでございます。
○佐々木(盛)委員 それではこういうふうに解釈していいのですか。万一外国から緊急不正の危害が加えられたときに、防衛庁が自衛隊出動等によって守らなければならぬ区域というものは、四つの島とたとえば佐渡島であるとかいう程度のものである、こういうふうにお考えになるのだとすれば、それはいかなる危害が加えられても沖縄や小笠原等に対する防衛責任はないということでございますか。
○左藤国務大臣 沖縄や小笠原におきましては米国が現在施政権を持っておりますので、その防衛は米国が当るものと存じております。
○佐々木(盛)委員 今アメリカの施政権下に沖縄や小笠原が置かれておることはその通りであります。従って普通一般の場合に小笠原や沖縄に侵略が加えられたときには、アメリカ軍がこれを防衛することは当然のことであると思いますが、しからば現在の法律のもとにおいて、沖縄や小笠原におるアメリカ軍が緊急事態に処して日本に助けを求めてきた場合においては、日本は防衛しないのでありますか。
○左藤国務大臣 さような場合があり侍るとは存じておりません。
○佐々木(盛)委員 とんでもない御答弁だと私は思います。一国の国防をあずかる大臣といたしましては、いかなる場合をも想定して常に国運の安泰をはかるのが当りまえなことであります。そんなことはないなどというようなのん気な考え方でわれわれの愛する祖国というものを——先ほどの帆足委員と私とは立っております見解は全く違いますけれども、しかしながらアメメカにのみそれをまかせる、しかもまた、アメリカがかりに日米友好関係のきずなにおいて、日本に、いよいよ大へんだから日本も出してくれぬかという要求があったときにも、そんなことは起りませんということで済むとお考えでありますか。
○左藤国務大臣 先ほど申し上げまするように、施政権が米国にあります限り、米軍がこれを防衛いたすものと存しております。
○佐々木(盛)委員 現行のアメリカが施政権を持つ限りにおいては、それが通常の場合であると思います。しかし万一そういうことをアメリカの方から要求してきたときには、私は日本は当然それは出すべきであるという考え方を持っております。一体沖縄や小笠原は日本の領土であるからこれを返せと主張し、その行政権の返還まで日本は迫っております。またアメリカは、沖縄、小笠原に対して日本が潜在主権を持つことは、先方も認めておるわけであります。そのときにわれわれの祖国である沖縄や小笠原を全然そんなことは予想もしておらないからほったらかしだというような考え方に対して、私はもう一度国防大臣としてのあなたの御所見を承わりたいと思います。
○左藤国務大臣 沖縄の施政権の返還は私どもの熱望するところでございまして、施政権が返還されますればむろん私たちの防衛責任の範囲になると存じます。
○佐々木(盛)委員 別にそれ以上追及しようとは思いませんが、それでは現行法規上、つまり自衛隊を拘束する法律とかあるいは憲法の立場等からいって、かりに沖縄や小笠原が緊急事態に直面したときに日本がそこまで出動することは、法律上違法行為であるというふうにお考えになりますか、合法であるとお考えでありますか。
○左藤国務大臣 観念的には自衛権の対象になり得ると存じます。
○佐々木(盛)委員 観念的には自衛権の対象となり得るのだから、従ってこれは憲法の範囲内のものであって、合憲的である。決して憲法違反なものではない。つまり沖縄や小笠原の付近になれば、日本の自衛隊を出すことは、決して海外派兵に属するものではないと私は思うのです。沖縄、小笠原が日本の潜在主権を認められ、そして日本は決して領土権を放棄していないところのこの沖縄、小笠原に日本の自衛隊が行くということは、当然海外派兵の範疇に属すべきものではなくして、合憲的であると私は理論的には考えますが、いかがなものでございましょう。
○左藤国務大臣 佐々木委員の御意見として伺いますが、私どもは観念的には自衛権の対象となり得るという解釈でございます。
○佐々木(盛)委員 いや、自衛権の対象となるということは、自衛権というものは憲法の範疇において許されたことであるという前提にお立ちのことでありましょう。
○左藤国務大臣 観念的にはその通りでございます。
○佐々木(盛)委員 私は、従って当然、沖縄や小笠原へ行くのは、俗に言う海外派兵の範疇に属すべきものではないという考えを持っているのですが、いかがです。
○左藤国務大臣 先ほどから繰り返して申しますように、観念的には自衛権の対象となり得る、従って憲法に違反するものじゃないというふうに考えます。
○佐々木(盛)委員 大体防衛大臣の心中はわかるようでありまするが、そういうことを防衛大臣非常に何か遠慮をなさったり、何かここで自分の言ったことが失言でも起りはせぬかということで、戦々きょうきょうとしてお話しになっているようでありますが、私は今日の国民感情は、大臣の気持を越えたものがあると思います。現実に沖縄や小笠原の島民の立場になってお考えなさい。現に私たちのところへも、島民から切々たる手紙がたくさん参っております。これらはやはり、日本の国土に加えてほしい、そして日本の責任において防衛してほしいということを訴えてきておるわけであります。防衛大臣がそういう引込み思案な頼りないことを言われていたら、だれが安心できるのですか。防衛大臣は外務大臣とは立場が違うのだから、今はあなたはいわゆる文人でありまするけれども、防衛庁というところは昔の国防省でありまするから、国防大臣がそういうことを言っておったのでは、まことにもって私はたよりないと思う。特に私はこの際左藤防衛大臣に一言不満をぶちまけておきまするが、あなたはこの前、いわゆるエリコンの上陸に当って、うまく体をかわしてこれを逃げたのだ、こういうことを言っておられまするが、私はこれは嘆かわしい。これが一国の国防大臣の言うことかと思って嘆かわしい。防衛庁のやっていることは、法律に基いて合法的なことをやっている。合法的な行為をはばもうと、ここに法律を無視した行動が行われておるのに、肝心かなめの、事もあろうに防衛庁の大臣が、それを逃げて肩透かしを食わしたのだというような考え方は、私たちはたとい同じ保守党の人間でありましても、これに私は大きな不満を抱きます。私はこの点につきましては、ぜひともそういうものの考え方ではなくして、少くともあなた方は国民がたよりにしておるのですから、たよりにしておる国防大臣がそういうまるで弱腰では困る。あれは不法なことや無理なことをやろうというわけじゃないのでしょう。一方、法治国において法律を無視した行為を行おうという者があるのに、その法律に従ってやることもできないで、逃げて回っておいて、おれの名案だというようなことをおっしゃるということは、私はまことに心外しごくなんです。これらをも含めて、国防大臣というものは、あなたに国民は非常な信頼をかけておるのです。あなたの背中には国土の防衛という重大な責務が負わされておることを自覚してもらいたい。かりそめにも、そういったことを新聞などに取り上げられて、逃げ回っておるというようなことではまことに醜態です。でありまするから、それらをも含めて、一つこの際所見を明らかにしていただきたいと思います。
○左藤国務大臣 私が戦々きょうきょうとしておりまするのは、世界の平和、国土の安寧にいささかもすきのないようにということに日夜心をいたしておるのでございまして、私の責任を果します点においては、決して私は命を、あるいは地位を惜しむものではございません。 エリコンの問題につきましては、私は逃げ隠れをしたというようなことを申した覚えはございません。法律によって国会の御上審議をいただいて、予算によってやることでございますので、私どもは当然のことをいたしたのでございます。ただ無用の摩擦だけは避けたい、しかも、エリコンに、これは核武装をするんだというような誤解がございまするので、この機会に私は一つ十分御納得をしていただきたいということで説得をいたし、いろいろ努力いたした次第でございます。逃げ隠れしたというようなことは、私はいたしておりません。
○佐々木(盛)委員 私はこれで打ち切りまするが、無用の摩擦を避けたいとおっしゃいますが、無用の摩擦というものは非合法なことによって起っておるのです。法治国において法律を守らない非合法な行為によって、ここに摩擦が起ろうとしておるのです。それを取締り当局が取り締らなかったら、どうなるのです。それを取り締ることができなかったら、一体日本の治安はどうなるのです。しかも、あなたは国防という治安とは重大な関係のある、事いやしくも国防大臣であります。国防大臣が、もしそういった無用の妨害があるというなら、事前にそれらのことを防ぐような措置をちゃんととって、そうして少くとも堂々と、自衛隊の行動を妨げるものがあるからといって、逃げて回るということでなくして、国家の運命を背負った自衛隊だけは堂々と所期の目的を達成するように考えるということが、防衛大臣のとることではないですか。まるで、何かその辺のストライキを逃げて回っておるような立場ではありませんか。全く国家の威信地に落ちるもはなはだしいものであります。あなたは今後、一つ大いに前非を悔い改めていただきまして、そうしてこれからというものは、そういうことをされると、これは私一人の憤慨ではありません。私はここを通してあなたに私憤をぶちまけようとするのではないのです。これは国民の公憤です。あの態度を見て、国民は実際、あなたや、ひいてはあなたの最も信頼されておりまするところの岸内閣に対して、おそらく冷笑を浴びせかけております。何ともなさけない姿だといっておる。あなたはもう少しほんとうに自分の立っておる立場というものをよく御認識いただきまして、特に他の大臣が言われたのなら、まだ私は了承いたします。事いやしくも国防大臣がああいう発言をなさるということは、私はまことに不適当であると考えます。無用の摩擦がかりにあるというならば、事前にその措置をとって、自衛隊は堂々と所期の目的である公務を遂行できるように取り計らうのが大臣の責任ではありませんか。今後一つそういうふうにお取り計らいのほどを要求して私の質問を打り切ります。
○左藤国務大臣 私がとりましたこと、私がどういうことを申したか、新聞等にいろいろ伝えられたでありましょうが、私が逃げ隠れしたということを申した覚えはございません。私は、国の法律が正しく行われ、非合法に対してはあくまで国がこれを正しくして、法治国家としての秩序を維持するということは当然のことでございまして、これは警察当局がとりあえず責任を負います。それで及ばぬ場合には、私どもは、治安出動の要請がありますれば、治安出動いたします。自衛隊の真の目的は、内外の侵略に対して防衛することであり、あるいは国民を苦しめるような治安の場合には出動することでございまして、そういう場合には、私どもが最後の一人まで所期の一任務に向って進みますることにつきましては、私は全自衛隊とともに非常な覚悟を持っておるつもりでございます。今回のエリコンのことにつきましては、先ほど申し上げますように、同じ国民でありますから、できるだけ私どもは事理を尽して御説明申し上げ、また御説明申し上げたことによって御納得いただいた面もあるのでございまして、私どもがそういう念を入れましたことにつきまして、これが非常に岸内閣の面目を傷つけたというようには私は存じません。
○佐々木(盛)委員 私はこれ以上あなたと論争しようとは思いませんが、私の今ここで申し上げたことも一つよくお考えになって、今後とも善処されるように要求だけいたしまして、私の質問を打ち切っておきます。
○櫻内委員長 本日はこれにて散会いたします。 午後一時三十分散会