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30回国会衆議院1958/10/06

外務委員会 第2号

発言数
81
登壇者
6
会派数
2
開催日
1958/10/06

会議録

櫻内義雄自由民主党

○櫻内委員長 これより会議を開きます。  日本国とポーランド人民共和国との間の通商に関する条約の締結について承認を求めるの件及び通商に関する日本国とニュー・ジーランドとの間の協定の締結について承認を求めるの件の両件を一括議題とし、これより質疑に入ります。通告がありますので、これを許します。松本七郎君。

松本七郎日本社会党

○松本(七)委員 最初に、ニュージーランドと日本との間の今日までの貿易実績をちょっと説明してもらいたいのです。

牛場信彦外務事務官(経済局長)

○牛場政府委員 一九五五年から申し上げますと、五五年は、日本の輸出が二百八十万ポンド、輸入が二百四十万ポンド、差引四十一万ポンドの日本の輸出超過であります。五六年は、日本の輸出が二百十二万ポンド、輸入が三百三十六万ポンド。ここで逆調に転じまして、輸入超過が百二十四万ポンド。昨年は、日本の輸出が二百七十三万ポンド、輸入が非常にふえまして九百七十五万ポンド、輸入超過が七百二万ポンドとなっております。本年一月—六月の実績は、日本の輸出が九十六万ポンド、輸入が四百十七万ポンド、輸入超過が三百二十万ポンドということになっております。

松本七郎日本社会党

○松本(七)委員 去年の輸入がふえたものの内容は何が一番ふえておりますか。

牛場信彦外務事務官(経済局長)

○牛場政府委員 これは、羊毛、それから鉄のスクラップが相当ふえました。さらに新しいものとして牛肉が非常に入りまして、そういうようなものが重なってこれだけの輸入の増大になったわけであります。

松本七郎日本社会党

○松本(七)委員 貿易の拡大と円滑をさらにはかっていこうというので今度の協定が結ばれたんだろうと思うのですが、第四条によって依然としてガット三十五条の援用が除外されておらないのでございまするが、これはやはり矛盾しているのじゃないかと思います。英連邦諸国は依然としてわが国に対してガット三十五条の適用を廃止しようとしておらない。その理由は一体どこにあるのでしょうか。

牛場信彦外務事務官(経済局長)

○牛場政府委員 御指摘の通り、三十五条援用の状況は、この協定では変っておらないわけでございますが、この協定によりまして無条件の最恵国待遇を交換することになりましたので、実質的にはガットに入ったと同じ関係になったわけでございます。     〔委員長退席、岩本委員長代理着席〕 ただこの協定には期限がございまして、一応三年間とういことになっておりますが、ガット三十五条援用撤回ということになりますれば、これは恒久的なことになるということで、そこまでは急には踏み切れないというのが、ニュージーランド側の立場であったわけであります。これは昨年結びましたオーストラリアとの協定におきましても同じでございます。ただそのかわり、この協定を作りました後に、三年以内に日本とガット三十五条の援用撤回の交渉に入ろうということも別途約束いたしておりますので、さしあたりのところ漸進的にこの程度で一応満足して、今後さらに努力を続けるということにいたしたいと思っております。  それから英連邦の諸国がガット三十五条を日本に対して援用いたしておりますことはまことに遺憾でございます。そのうちインド、それからオーストラリア、ニュージーランドは、別の協定によりまして、一応期限つきではありますけれども、最恵国待遇を約束しておる。それから。パキスタン、セイロンのごときは日本と完全なガット関係に入っております。そのほか残っておりますのは、従って英本国、マラヤ、ガーナ、南アフリカ、ローデシアというような国でございます。これは何と申しましても英本国が動かないとなかなか動かないわけでございますが、英本国の三十五条適用のおもな理由は、要するに日本品の安値輸出ということに対して向うの業界に非常に反対が強いということにあるわけでございます。これはしかし、最近の日本の輸出態勢、輸出市場の確立ということによりまして、われわれとしても十分相手方の利益も考えながらやっていくという自信がついて参りましたので、ただいま英本国との間には通商航海条約の交渉をいたしておりまして、もう三年来やっておりまして、だんだん妥結に近づいてきておりますので、さらにその努力を強化いたしまして一応双務協定によって最恵国待遇を確保する、さらに進んで三十五条援用撤回ということに参るという大体二段がまえでもって今後の交渉を進めて参りたいと思っております。

岩本信行自由民主党

○岩本委員長代理 経済局長に申し上げますが、ポーランド貿易の表があるように、大体世界の国のこういう表をあとでほしいと思うのです。きようでなくていいです。

牛場信彦外務事務官(経済局長)

○牛場政府委員 承知しました。

松本七郎日本社会党

○松本(七)委員 今御答弁にも有効期間の話が出たのですが、通常五年とか十年とかいうのが一般に規定されておる有効期間だと思います。どうしてこれが半端な三年というような規定になったのか。  それから三年ということになると、正確に言えば三年三カ月と考えた方が正しいように思われるのですが、三年にした何か特別な積極的な理由があるのでしょうか。

牛場信彦外務事務官(経済局長)

○牛場政府委員 これはもちろん長い方が望ましいわけではございますが、日本の立場から申しますとなるべく早くガットに入ることにいたしたいと思っておるわけでございまして、従いまして大体三年程度のうちに一つガット加入を実現したいということで三年といたしたわけでございます。それから期限は御指摘の通り三年三カ月でございます。

松本七郎日本社会党

○松本(七)委員 英連邦の特恵関税率によってガット関税率及びいわゆる最恵国待遇でわが国の産品にかけられる税率を何か例を引いて説明していただきたいと思います。

牛場信彦外務事務官(経済局長)

○牛場政府委員 特恵税率と最恵国税率との差は大体二〇%程度になっております。これはただいまのところニュージーランドはこのいわゆるマージンを切り下げようという交渉をイギリスといたしておりまして、大体この二〇%を七%半ぐらいにまで下げようということで、昨年来ずっと交渉をしておりまして、最近それが妥結したという話は聞いておりますが、まだ具体的には発表になっておりません。  それから今度ニュージーランドから最恵国待遇を得ました結果といたしまして、今までのいわゆる一般税率と向うの法律では申しておりますが、最恵国待遇を与えない国に対して課しております税率との差は、これは相当大きなものがございます。たとえば日本の繊維関係を申しますと大体一〇%程度の差でございます。それから機械類につきましても、ものによってはやはり一〇%、中には二〇%以上の差のついているものもございまして、それによりまして特恵税率とはまだ相当差はございますけれども、一般税率に比べれば平均して一〇%くらいの引き下げになるということは申し上げられると思います。

松本七郎日本社会党

○松本(七)委員 それからこの第三条に「非差別的待遇」ということがあるのですが、ポーランドとの通商条約第六条では「無差別待遇」と書いてあるのです。これは何か違いがあるのでしょうか。

高橋通敏外務事務官(条約局長)

○高橋(通)政府委員 これはいろいろ言葉が使われておるようでありますが、内容は全く同じだと思います。

松本七郎日本社会党

○松本(七)委員 そうすると効果において変りがないとするならば、用語を統一した方がいいと思うのですが、どうでしょう。

高橋通敏外務事務官(条約局長)

○高橋(通)政府委員 確かに御指摘の通り、その通り気をつけた方がいいかと思っております。無差別と使ったり、非差別と使ったり、多少用語の統一がとれていない点があるかもしれませんが、なるべく統一するようにいたします。

松本七郎日本社会党

○松本(七)委員 向う側で言えばどうなんです。英語ではどういうようになっておりますか。

高橋通敏外務事務官(条約局長)

○高橋(通)政府委員 ノン・ディスクリミナトリー・トリートメントです。

松本七郎日本社会党

○松本(七)委員 もう一つの方は。

高橋通敏外務事務官(条約局長)

○高橋(通)政府委員 両方そうです。

松本七郎日本社会党

○松本(七)委員 そうすると訳語が違うというだけで、英語では同じなんですか、統一されているのですか。

高橋通敏外務事務官(条約局長)

○高橋(通)政府委員 両方とも同じでございます。

松本七郎日本社会党

○松本(七)委員 訳語だけこういうふうに変えるというのはますますおかしいじゃないですか。

高橋通敏外務事務官(条約局長)

○高橋(通)政府委員 その点これでなければならないという用語をまだ統一しておりませんものですから、たとえばインドネシアとの通商に関する約束の場合は、無差別というふうに使っていたものです。非差別とか無差別とか、どうもその点確かに統一していないと思います。

松本七郎日本社会党

○松本(七)委員 これはこういう内容のものだから、かりに統一されていなくても効果において同じならば大して問題もないと思いますけれども、外交用語はやはり統一しておかないと、統一してないことによって重要な違いが生ずる場合があるから、よほど気をつけておいていただかないと困ると思うのです。  それから属領に関する交換公文の、属領ということについての国際法上の解釈ですね。植民地だとか保護領、こういうものは当然この属領に該当するものと思うのですが、どうでしょうか。

高橋通敏外務事務官(条約局長)

○高橋(通)政府委員 お説の通り該当すると思います。

松本七郎日本社会党

○松本(七)委員 そうすると、この交換公文では、信託統治地域が属領の概念に入れられておるわけですね。ところが信託統治地域を属領に入れるということは、国連憲章の解釈上疑問があるのではないか。本来なら、属領並びに信託統治地域に関する交換公文、こういうふうにはっきりしなければ、国連憲章で言うところの信託統治と属領というものの解釈を厳密に守っていくならば、ここで信託統治は当然属領の中に入るというような規定の仕方は、国連憲章の解釈と矛盾を来たすのではないかと思います。

高橋通敏外務事務官(条約局長)

○高橋(通)政府委員 確かに御指摘の通り、属領という観念が植民地であるとか、その他そういうふうな地域を考えておりますから、その点ではサモアの信託統治というのは確かに属領の観念ではないと思っております。ただ、カッコいたしましたのは、非常にうかつでございますが、これは別に交換公文の題名をこの通りの題名で交換公文をしたというわけでございません。御承知の通り交換公文にはこの題名はないわけでございます。ただ何と申しますか、見出しのために、属領も入っておりますので、属領ということで統一して、ここにカッコして掲げた次第です。

松本七郎日本社会党

○松本(七)委員 国連憲章の七十六条d項に「すべての国際連合加盟国及びその国民のために社会的、経済的及び商業的事項について平等の待遇を確保し、また、その国民のために司法上で平等の待遇を確保すること。」こうあるのは、信託統治の施政権者と他の国連加盟国との関係は、社会的、経済的、商業的及び司法上の平等であることを規定したものであると思うのです。そのことからすれば、当然たとえば関税それから課税等は両者間に平等であって、差別があってはならないものだということになると思うのです。これは当然そうなると思うのです。そうすると、この交換公文による信託統治地域に与える特別の利益が、他の国には均霑されないということを規定したことは、さっき引用した国連憲章の違反となる疑いがないかという点です。

高橋通敏外務事務官(条約局長)

○高橋(通)政府委員 その点につきましても、われわれとしましては、またお互いになるべく、御指摘の通り信託統治制度の第七十六条d項でございますか、これは「国際連合加盟国及びその国民のために社会的、経済的及び商業的事項について平等の待遇を確保し、また、その国民のために司法上で平等の待遇を確保すること。」とこういうことがございますので、なるべくそれに近い方に確保するのがやはり行き方であろうと思っております。しかしこれは大体信託統治やその他の地域でも全部完全に同一ということが現在のことで確保できるかどうか、その点はおそらくニュージーランド側も制度上疑問があった、こういうふうに考えて一応こういう点を留保したのじゃないかと思っております。

松本七郎日本社会党

○松本(七)委員 ちょっと今の説明がはっきりしないのですが、この交換公文で信託統治地域に与える特別の利益が他の国には均霑されないということの規定は、今言う国連憲章の精神には必ずしも一致しないということは、両者とも認めた上での規定だと考えていいですか。

高橋通敏外務事務官(条約局長)

○高橋(通)政府委員 われわれは国連加盟国でございますから、なるべくこの方向に従っていくことは確保しなければならないと思っております。しかし個々の事項につきまして、これが全部完全に同一にやれというところまで、まだ現在の状態では進展してないのじゃないか、特殊な制度なんかがあるのじゃないかと思いまして、このような留保が行われている、こういうふうに考えております。     〔岩本委員長代理退席、委員長着席〕

松本七郎日本社会党

○松本(七)委員 これはむしろ通産省のあれになってくるかと思うのですが、一応経済局長の御意見を伺いたいと思います。ニュージーランドの産業構造からいって、生産品は畜産あるいは農産物がおもなもので、輸出品も当然そういうものが主力をなしてくると思う。しかしわが国の畜産、酪農の事情が、最近順次過剰生産の様相を帯びてきているときに、国内産業の保護育成ということと、ニュージーランドからのこうしたものの輸入との間に、相当競争も激しくなるのではないかという観点から、一体両国間の貿易拡大と国内産業の保護というものを今後どういうふうに調整していくべきか、方針を伺いたい。

牛場信彦外務事務官(経済局長)

○牛場政府委員 この問題はこの交渉に際しまして一番大きな問題になったわけでございまして、御指摘の通り、先方の主要輸出品とわが国の酪農製品とは正面から競合する場合が非常に多いわけでございます。しかしながら、ニュージーランドの立場から申しますと、これまで対日輸出というものは年々拡大をしてきております。この際、日本との間に最恵国待遇を約束することによって、日本のマーケットにおいて自国の産品が差別待遇されないという約束を取りつけることを主眼としておったわけでございます。従いまして、今回の交渉におきましても、先方に対して一定量の買付を約束したというようなことは一切ございません。ただニュージーランドの産品に対して無差別な最恵国待遇を与えるということを約束いたしたわけでございます。先方もこれでもって満足をいたしておる次第でございます。ただもちろん全然輸入しないというようなことになりますれば、これはこの協定の精神にも反するわけでございます。先方としても、日本の国民所得が上り、国民の生活が豊かになるにつれて、日本の酪農製品に対する需要というものもふえるだろうから、その際にはニュージーランドのことも十分考えてくれということは申しておったわけでございますが、その程度でもって先方は満足いたしておった次第でございます。これに対しまして、わが国からの先方に対しまする輸出というものはただいままでのところはニュージーランドの全輸入額の一%にも及ばない非常に少い額しか輸出しておらなかったわけであります。今回の協定によって最恵国待遇を得れば、これはおそらく二%、三%というような程度まで、現在から申しますれば二、三倍という程度までいくことは私は可能であろうと思うのでございまして、そういう意味におきまして、日本といたしましてはこの協定を結ぶ利益は十分あるというふうに感じておる次第でございます。

松本七郎日本社会党

○松本(七)委員 次はポーランドとの条約でありますが、ポーランドに関しては、ここにも御提出願ったような統計が出ておるのですが、大体ポーランドの貿易は、社会主義諸国以外にオーストリア、スイス、イタリア、エジプト、トルコ、イギリス、その他相当の数と通商をやっておるようですけれども、向うの資料によると、この外務省から出ている資料を見てもわかるように、他の国との貿易と比較すると非常に微々たるもので、従って日本の名前は向うの方では出していないんじゃないかと思うのですが、この条約を結ぶことによってポーランドとの貿易量の増大は見込まれるものでしょうか。

牛場信彦外務事務官(経済局長)

○牛場政府委員 この点につきましては、条約を結びますときにも私どもあまり自信は持てなかった次第でございまして、そこで、条約の交渉を始めますころに、ちょうど民間から向うへ使節団が参りましたので、それに外務省の事務官一人を随行させまして、向うの事情もとくと研究させたわけでございます。それからポーランド政府の方でも、対日貿易の拡大ということには非常に熱意を示しておりまして、その使節団の参りました機会に、東京におりますポーランドの商務参事官も同時に帰国いたしまして、非常に日本の使節団のめんどうを見てくれたようでございます。くまなくポーランドの産業状況を見まして、何か買えるものはないかということを探したのでございますが、どうも今のところではあまり有望ではないのでございます。そこでこの協定ができたらすぐ、たとえば日ソの協定ができたあとにおいて、日ソの貿易の額がふえましたように、ポーランドとの貿易の額もふえるかと申しますと、これはちょっと今のところあまり希望は持てないと存じます。と言いますのは先ほど申しましたように日本側の買う物が非常に少いからでございます。ただポーランドの貿易構造を考えますと、自由諸国との貿易の率が非常に多いのでありまして、これは共産圏の国のうちでおそらく一番多いのだろうと思います。たとえばおととしを見ますと、共産圏との貿易は六〇%、自由諸国との貿易は四〇%という比率になっておりまして、その意味におきまして今後業界の努力、政府のそれに対する後援というようなことがうまくいきますれば、向うの貿易構造から見ましてある程度の貿易の伸長ということは期待できるのじゃないかと思っております。ポーランド側はこの協定を結びます際に、たとえば日本側からある程度のクレジットをもらいたいというような希望もあったようでございます。これは今のところちょっと具体的な話にはなりかねておる次第でございます。

松本七郎日本社会党

○松本(七)委員 これはその御答弁にあるように自信も持てない。ポーランドとの直接の貿易の拡大がそう望めないということになれば、ソ連あるいはその他の社会主義諸国、あるいはまたポーランドが、今御指摘のように相当広範囲に通商関係を結んでおる自由主義諸国というようなものを中断するいわゆる三角貿易の方式は考えられないものかどうか。

牛場信彦外務事務官(経済局長)

○牛場政府委員 これはもちろん考えられると存じます。政府としましてもそういういい話が出て参りますれば、十分これは考慮できると思います。

松本七郎日本社会党

○松本(七)委員 それからソ連との通商条約のときは、通商代表部の規定というものがはっきり打ち出されたわけですが、ポーランドにおいてもやはり貿易の機構上からいえば国営が建前だろうと思うのです。どうしてもポーランドとの条約にも通商代表部の規定があってしかるべきじゃないかと思うのですが、これがないのはどういうわけですか。

牛場信彦外務事務官(経済局長)

○牛場政府委員 ポーランドの貿易は御指摘の通り国営ではございますけれども、これは全部公団貿易でございまして、政府が直接やることはない。ソビエトの場合には政府が直接やることもあるわけでございますが、その点が違いまして、ポーランド側のここにおります通商参事官は、日本が各国に出しております商務関係の参事官なり書記官なりと同じ仕事をするのだということで、通商代表部は要らないのだということを向うから申したわけでございます。そこでそういう規定が落ちているわけでございます。

松本七郎日本社会党

○松本(七)委員 第十一条に「いずれか一方の締約国がその重大な安全上の利益の保護を目的とするいかなる措置をも執ることを妨げるものと解してはならない。」この規定はおそらくココムの制限を言うのであろうと思うのですが、「重大な安全上の利益の保護を目的とするいかなる措置をも執ることを上妨げないというのは、具体的には何をさすのでしょうか。貿易の面で「重大な安全上の利益」ということが考えられるのかどうか。

高橋通敏外務事務官(条約局長)

○高橋(通)政府委員 この規定は日ソ通商条約でございますか通商協定でございますか、この前に結ばれたものの十三条にも同様な規定がございまして、それと全く同様な条文をここに置いたわけでございます。そこで具体的に安全上と申しますのはどういう場合がございますか。たとえば日本、ポーランドがおのおのいろいろな理由で、戦争の脅威とか戦争に近いという状態が起きましたときに、ここにありますような関税上の差別待遇をとらずに、いろんな物資が必要になった場合と申しますか、いろいろな場合が考えられると思います。そのような国家危急の場合においては、各個の協定によらず、おのおのやることができるということを規定したわけでございます。

松本七郎日本社会党

○松本(七)委員 それから紛争解決として第十条に仲裁判断の執行に服する規定があるわけですが、仲裁判断に不服ある場合の救済はどうするのか。

高橋通敏外務事務官(条約局長)

○高橋(通)政府委員 これはおのおの仲裁判断の約束によると思いますが、一応仲裁判断が下されましたらばそれが最終的な、判決にいたしますれば確定判決と同じようになりますので、それによって執行が行われる、こういうことになると思っております。

松本七郎日本社会党

○松本(七)委員 そうすると、最終的に有権的な判断を下す機関は特別にはなくて、いずれか一方の仲裁判断が最終であってそれ以外の救済手段はない、こう理解してよろしゅうございますか。

高橋通敏外務事務官(条約局長)

○高橋(通)政府委員 第十条の二項には執行判決を求めます場合のいろいろな基準がございますから、この基準に合致する場合はそのようなことになるかと思っております。ただそれは最終であるか、もう許さないということは個々の商事契約によって規定されるところではないかと思っております。

松本七郎日本社会党

○松本(七)委員 それから関税の規定ですが、ポーランドは、ソ連と比較して輸入品に対する関税制度はどうなっているのでしょうか。

牛場信彦外務事務官(経済局長)

○牛場政府委員 ただいまのところ、関税制度はあるのでございますけれども、公団貿易についてはその適用を停止しておるという向う側の説明がございました。ただポーランドはただいまガットの加盟を申請いたしておりまして、これは今ガットでもって審議されておるところでございますが、その加盟に備えて新しい関税制度を立案中ということでございます。

松本七郎日本社会党

○松本(七)委員 それを予想してここに一応規定を設けたということですか。

牛場信彦外務事務官(経済局長)

○牛場政府委員 ただいまの適用を停止しております関税もいつ復活するかわからぬわけでございますし、また将来ガットに入ります場合に関税制度ができますれば、その適用の問題が当然起ります。そういうことを考えましてここに関税の最恵国待遇ということを規定いたしたわけでございます。

松本七郎日本社会党

○松本(七)委員 それからさっきニュージーランドのときにちょっと出しました第六条にいう無差別待遇の一般原則というのは、具体的にいえばどういうことを指しているのでしょうか。

高橋通敏外務事務官(条約局長)

○高橋(通)政府委員 この第六条は無差別待遇の一般原則でございますが、今まで第一条以下第二条その他には個々の事項につきまして具体的に無差別待遇または最恵国待遇というものを規定したわけでございますが、この無差別待遇の一般原則すなわち国家事業なんかにつきましては、なるべくでき得る限りこの無差別待遇に従ってやれというような趣旨をここではっきりうたったものだと思います。

松本七郎日本社会党

○松本(七)委員 ポーランドの港でわが国の船舶に開放されておるところはどこでしょう。

牛場信彦外務事務官(経済局長)

○牛場政府委員 グディニアとそれからグダンスクこれはもとのダンチッヒ、それからシュテッティン、三つでございます。

松本七郎日本社会党

○松本(七)委員 合意された議事録の二、これは日本には該当しないもののように思いますが、たとえばポーランドにはそのような特権を与える事情が一体存在するのかどうか。

高橋通敏外務事務官(条約局長)

○高橋(通)政府委員 御指摘の通り、実はこれは相互的な書き方にはなっておりますが、もっぱらポーランドのためと申しますか、ポーランドに関係する事項であります。具体的に言いますと、チェコスロバキアに対する待遇を特別にこの第二項で規定した、チェコのことを考えて規定した条文であります。

松本七郎日本社会党

○松本(七)委員 この条約の発効後日本とポーランド間に定期航路を開設する計画でもあるのでしょうか。

牛場信彦外務事務官(経済局長)

○牛場政府委員 ただいまポーランドの船は御承知の通り相当数極東水域に参っておりまして、日本の港にもときどき入っておるようであります。ただ日本の方の船会社の間では、まだポーランドと定期航路を開きたいという希望はないようでございまして、将来の貿易の発展いかんにかかるものだと存じます。

松本七郎日本社会党

○松本(七)委員 これは航路でずっと行くのと、ナホトカ、それからあとは陸上経由で行くのとどちらが今のところ経済的でしょうか。

牛場信彦外務事務官(経済局長)

○牛場政府委員 これはもちろん船で行く方が経済的だと思います。

松本七郎日本社会党

○松本(七)委員 輸出可能の商品表を見ますと、ポーランドの品目がほとんど農畜産物で占められているわけですが、ポーランドの産品で、日本が希望するが相手が輸出したがらない、あるいはできないというものはどういったものでしょうか。

牛場信彦外務事務官(経済局長)

○牛場政府委員 向うでとめておるものは、実は今のところあまりないだろうと存じます。ポーランドのおもな輸出品は、御承知の通り石炭などでございますが、これは何分遠いために船賃の関係で割高になりますのでむずかしいということで、あとはここに書きましたようなもの、これは洗いざらい拾い上げた例でありまして、日本が買いたくても向うがとめておるというものはないと存じます。

松本七郎日本社会党

○松本(七)委員 日ソの間の支払い協定付属書では、品目と価格が記載されておるわけですが、今度のには価格が全然記載されてないようです。ソ連の場合にああいうふうな形で記載して何か不都合な事情でもあったために、今度はそれを書かないというような事情でもあるのでしょうか。

牛場信彦外務事務官(経済局長)

○牛場政府委員 ソビエトとの協定の場合もあの付属の品目表及びそこに掲げました価格は全然拘束的でないということがはっきりいたしておったわけでございまして、あれを掲げたからその後特にソビエト側から強制を受けて困ったというような事情はございません。ただポーランドの際に書きませんでしたのは、要するに輸入の見通しがほとんど立ちにくいものでございますから、将来もしある程度見通しが立って参りますれば、向うが希望すれば数字を入れても、拘束的でない限りにおきましては差しつかえないと存じますが、ただいまのところ、そこまで市場調査その他がいっておらないために、こういう簡単な品目だけの表になった次第でございます。

松本七郎日本社会党

○松本(七)委員 日ソの場合、付属書の予定価格は二千七百万ドルですか、その実績はどうなったでしょう。

牛場信彦外務事務官(経済局長)

○牛場政府委員 これは後ほど詳しい表を差し上げることにいたしたいと存じますが、ただいまのところ、貿易成約状況、これは昨年の十二月六日からことしの八月一日までの間でございますが、成約高を足してみますと輸入の方が千六百四十八万ドル、輸出の方が千七百六十二万ドルということになっております。

松本七郎日本社会党

○松本(七)委員 これは委員長にお願いします。輸出入額を表にして、詳細な資料で出してもらいたいと思いますので、そのようにお取り計らい願いたいと思います。

櫻内義雄自由民主党

○櫻内委員長 はい、承知しました。外務省お願いします。

松本七郎日本社会党

○松本(七)委員 私はこれで済みました。

櫻内義雄自由民主党

○櫻内委員長 帆足計君。

帆足計日本社会党

○帆足委員 ポーランドと日本との通商条約についてお尋ねいたしますが、この本文の中に付属としてついている商品名は例示的なものであってと書いてありますが、これはどういう意味ですか。通商条約には品目がいつも書いてありますが、これは大体どういう意味を持つものですか。特にこういう品目については輸出入を促進しようという意味ですか。解釈をちょっと承わりたいと思います。

牛場信彦外務事務官(経済局長)

○牛場政府委員 この品目表は、貿易協定の際に多くの場合において付属することは御承知の通りでございますが、われわれの建前はこれは拘束的ではない。例示にすぎないということでございまして、これ以外のものがあればもちろん喜んで貿易に載せようということでございます。またこれは必ず買わなければならないという義務は生じないという解釈でございますけれども、ここに表に載せます以上は、やはりその輸出入につきまして、お互いにできるだけ便宜をはかるという精神は表われているわけでございます。

帆足計日本社会党

○帆足委員 そういう意味だとわれわれも了承しておりますが、ここへ映画フィルム、レコードが入っておりますが、レコードにつきましては日本の政府はレコードを輸入せずに、テープを輸入して、外貨払いをなるべく少くするという方針をとっておるように承わっております。従いましてここにレコードと書いてありますのは、広義の意味でテープなどを含むレコードというふうに解釈されるのでありますが、当局としてはどういうふうにお考えですか。——ちょっと専門的なことですからお答えがむずかしいと思うのです。またそういうことをことごとく局長が知っておく必要もないと思うのですけれども、しかしやはり外務省が文化国家の省であるならば、多少は映画とレコードのことぐらいは知っておいてもらいたいという点がありますから、ちょっと答弁係が参るまで私が希望を申し述べておきます。  日本は御承知のように貿易で生きる国ですから世界から理解され、世界を理解しなければ生きていけない海の国、貿易の国だということは御承知の通りだと思います。日本を普通島国と言いますけれども、島国根性という言葉もありますけれども、私はこれほどいやらしい言葉はないと思います。従いまして日本は子供のときから海の国であり、船と貿易の国である。世界を理解し、世界から理解されなければ生きていけない国である。おおらかな心を持ちそうして理性を持って地球及び人類を理解し得るようにということが子供たちに対する教育並びに国の施策の根本に取り入れられねばならぬ。このたびの日本の敗戦がもしあれが陸軍でなくて、海軍に主導権があったならば、私はあるいは日本は異なった運命をたどったかもしれないとまで思います。陸軍というどん百姓の代表が、この無知無学なそして野蛮な時代遅れの存在が、日本の運命の全部を握ってしまった。外務省などは全世界に触手を持ち、英語も堪能であるのに、その外務省の諸君までが陸軍に追随してしまって、そうしてモスコーはわが日本であるとかテームス川も日本であるというようなことを言い出した外務省の役人も当時おるくらいですから、そういう病気になったということは、二十世紀の神話であり奇蹟ともいうべきものです。従いまして、日本はとにかく世界の状況を知って世界のすべての国と理解し合わなければならぬ。こういう点からいってもすでに植民地をなくし、原子力の時代に生き、平和憲法のもとに生きなければならぬ日本は、今日国際連合及びユネスコの精神に一番近い国である。日本の憲法の条章というものは、ほとんどユネスコ並びに国際連合の条章と符節を合わせるような足並みになっておるということは喜ばしいことであって、しかも歴史の流れもその方向にきておるのであるから、公務員は日本憲法の趣旨をありがたいと思って、これをけんけん服膺して、そして勇躍してこの道を進むべきである。そうだとするならば、日本の外務省としては、外務省情報局とかいう非常に無知をもって世界にPR運動をしておる局があると聞いておりますけれども、これは昔の警視庁の外事課のような思想を持っておる。一皮むいてみれば哲学も知らぬ、文学も知らぬ、教養もない。そして警視庁の外事課のような精神でPR運動をしておる。私はやはり外務省の情報局とか、文化局とかいうものはほんとうに日本の憲法の精神に徹した、そして日本のよき伝統と文化を海外にPRし、それから外国のよき文化を日本国民に伝える、そして日本民族の生きようとする道を正しくPRするというようなものに性格を変えていただかなければならぬ。この映画フィルム及びレコードのことを私が申し上げますのは、われわれは現在映画を見る自由、レコードを聞く自由をほとんど持ってないのです。青少年の犯罪が非常に多いといって世の親は嘆くけれども——今日までは日本の青年で優秀な者は大体結核で倒れたのです。諸君やわれわれのように優秀でない者だけが生き残ったのであって、優秀なのはほとんど結核で倒れてしまっておる。現在でも結核はますますふえておる。しかしふえるはふえるけれども死ななくなっている。そして結局はなおるのです。青年の最高の死亡率は結核であったのが、現在は結核でなくなっている。最高の死亡率は自殺です。それから自殺と連関して少年の犯罪が非常にふえております。この犯罪の原因はもちろん国内の貧困にあることは言うまでもありませんけれども、一番大きな影響を及ぼしているのは映画です。アメリカのギャング映画及び国内のギャング映画です。皆さんはお忙しいから映画など見るおひまはあるいはないかもしれませんけれども、ときどき私は映画館にも外務省の方は行っていただかなければいけないと思う。アメリカのギャング映画はしつこくて、そしてボリュームがあること。その上人殺しがある。人殺しにボリュームがあるのはあまり感心しませんけれども、あれは殺人と強姦を奨励している映画だと思う。そういう映画が国内にはんらんしている。アメリカにも尊敬すべき開拓者の精神もあるし、ピューリタンの精神もある。われわれにとってはアメリカは遠くて、かつ非常に近い。そして尊敬すべき一面のある国であることは皆さん御承知の通りですが、そういう優秀な映画は、現在輸入されているうちの一割くらいのものであって、あとの八割か九割というものはすさまじい映画であります。そういうものを無制限に入れておいて、そうして道徳教育も勤務評定もあったものではない。道徳教育をやりたいなら、まず映画対策が内外に必要です。これは思想統制をするという意味ではないのです。普通の正常なる良識をもって、そして国民及び政府当局が、また業界が自発的に映画をもう少しよいものにしようという方向にいくように、これを国会も行政当局もそういう方向に施策をとらねばならぬ、こういう意味であります。ところがそういう悪い映画がどうしてはんらんしているかというと、占領政策のときに生じた実績がそのまま今日も残っておる。そして既得権益になってきておる。また経済政策上からいうならば、御承知のようにこれが国内の蓄積円となって日本経済を脅かしておる、こういう状況です。それだけならまだいいのですけれども、そのために私どもがインドの映画を見ようと思っても、ポーランド、チェコスロバキア等の映画を見ようと思っても、国民はそれを見る機会がない状況になっているのです。もちろん最近はあとで本数を伺いますけれども、多少割当を緩和して、一本か二本くらいずつはその他の国々の映画も入れ得るような方向に向っておりますけれども、しかし実情ではほとんどそれも困難な状況です。たとえばインドの映画は、これは御承知のように冷房装置が発達したので映画館の中はとても涼しいものですから、映画は大繁盛です。世界で第二位か第三位の大映画産業をインドは持っております。もちろん非常に農業的な国民ですから、映画のテンポがスローモーションで、大へん美しい映画であるけれども、われわれのようにテンポの早い、せっかちな国民にはインド映画は大衆性を持ちにくいけれども、その中にはまたすばらしい映画があるわけです。先年私はボンベー、カルカッタ等を旅行しまして、たくさんの映画を見まして、これならば日本のインテリ層でも、一般庶民層でも大受けをするというような映画を二、三本発見をいたしました。ぜひこれはアジアの親善のために、そしてアジア諸国民を理解するために、日本で公開したらどうかと思う映画を発見したのですが、しかし現在の割当ではそういうものを入れることがほとんど不可能です。私がそれを推薦して無理に入れようと思えば、法外な権利料でも払わなければ入れることができない。その他たとえばブルガリアのような小さな国でも、ブルガリアは非常に貧乏な国で生活水準は朝鮮くらいのところから出発した国です。しかし貧しい国ですけれども、非常に純潔な国であって、ブルガリアの文化映画はすばらしいものです。それからチェコスロバキアの人形芝居の映画だとか色彩映画はどちらかといえば芥川竜之介趣味であって、プロレタリア国家の映画というよりも、非常にリフアインされた文化主義国の映画のような印象のもので、これは日本人に非常にもてると思うのです。それからルーマニアの映画にもおもしろいものがあります。これらの国の映画は、どこの国の映画でも最小限一年に四本だけくらは無条件に、契約を結んだ会社が入れられる。それ以上入れるときは過去の実績とか何とかによる。そういう制度にしなければ日本国民は他国の映画を——メキシコの映画ももちろんそうです。パラグヮイ、ウルグヮイの映画もそうです。私は最近エジプトその他中近東諸国の映画も見たいと思うのですが、そういうものは大使館で見る以外に機会がない。大使館主催のものはこれは御招待状を出して、貴顕、淑女が見るので、一般大衆が見るわけではない。エジプトで事件が起り、イラクで事件が起り、インドからはすぐれた大統領が日本を訪問して、そして大いに親善の促進に努めるというときに、文化交流として一番よいのは私はやはり映画だと思う。従ってそういうすぐれた映画、またはその民族の実情を理解しやすくするような映画は、日本にたくさん入れて映写させる。パキスタンの映画でもバグダットの映画でも、レバノンの映画でも、エジプトの映画でも、そういうものが日本に上映されて、筋はそれほどおもしろくなくても、やはりみなが楽しむ、そして短いものでしたらそれを文化映画として間にはさむようにすればよい。そういうものでまた商業的に引き合うものがあっても、従来の特権を持っておるものはアメリカのチャンバラ映画を入れて一もうけしようとする。初めての試みである中近東とか東ヨーロッパ、また西ヨーロッパの小国の映画など、いいものがあっても入れようともせず、研究もしないのです。こういうことで一体貿易を拡大するといっても——エジプトといっても、エジプトの民衆はどういう喜びや悲しみを持っているか、どういう服装をしているかというようなことを平素から天然色映画で見ておれば、それに対する関心も興味も理解もまたふえる。そして外務省もその国民の文化的理解の上に立って政治力を持ってやれば、外務省の声も健全になるも私は思う。従来外務省は宮内省と同じようにパイカラな格好はしておるけれども、その精神においては内務省の警視庁外事課と同じような精神で来ておった。これはやはり私は外務省が滅びた原因の一つだと思う。ハイカラな格好をして、スマートであることはいいことですけれども、それと同時にほんとうにスマートな精神にふさわしい強い心臓、自信のある民族的感情を持つためには、国民の支持がなくてはだめです。国民の支持が日本の外交にあるためには、日本の国民が日本を海の国だということを理解して、そして世界のそれぞれの民族の伝統の美しさを理解するような国民にならなければよい貿易はできないのではないかと思います。従いまして、このことはたびたび問題になっていることですけれども、ただこれを大蔵省の為替監理局にまかしておくというのがそもそも間違っている。こういう文化政策については外務省と文部省が相談して、また経済政策上は通産省も加わって、そして最後に大蔵省はただ為替操作のことだけをする。大体銀行屋が文化の指導をするのは間違っている。銀行員というものはレコード・コンサートを聞けばいい、製作する立場じゃないのですから。また私はこういう問題に対しては、国会の外務委員とか通産委員並びに文教委員の任務は非常に大きいと思うのです。国会議員がこういうことに対してぼんやりしているから国の政策を誤まるのでございますから、従いまして映画の輸入に対してはどうなっているかと聞かれたら、直ちに、実はこうなって、こういう点がまだ遺憾な点でございますという答弁のできるくらいにしておいていただきたいと思います。そこで後ほど大蔵省の係の方がお見えになりましたら、昨年及びことしのフィルムの割当はどうなっているかという結論だけをきょうは伺っておきたい。これは大蔵委員の間でもたびたび論議になっておりますし、また西ヨーロッパその他小国の映画を輸入しようという熱意を持っておられる議員諸君が懇談会を作って、ときどき政府当局に注意を喚起しておりますから、十分御承知のことでしょうけれども、私どもは現状に非常に不満でございます。またアメリカから映画協会の会長さんであるエリック・ジョンストンという人がときどき来て圧力を加えておりますが、あの人は戦争中はルーズヴェルト大統領によって戦時産業局の大将に登用された人で、個人としては非常にすぐれた人物で、二十年前には一時彼は桃色と言われたくらい進歩的であった人です。そしてアメリカの小学校の教育を全部、特に地理などは映画で教えた方がいいということを主張した人です。私は地理学なんというものはみな映画で教えたらいいと思うのです。パナマ運河などというものを説明するのには、パナマ運河そのものを実写して見せたらいいと思う。それで子供たちの世界旅行とかいって映画で教えたら大へんいいのではないかと思います。そういうすぐれた人ですけれども、やはりアメリカ資本の利益を背景にして、日本に来て非常な圧力を加えている。莫大な蓄積円を持っているものですから、その政治力たるや国会議員より強いのです。大蔵省などはもちろん一たまりもなく押えつけられてしまう。こういう状況ですから、一つ来年の割当までには制度を再検討していただきたい。そして日本の貿易の依存度は、アメリカへの依存度が南北アメリカが三〇%、東南アジアが三〇%、その他アジア及びヨーロッパ等を含めて三、四〇%、まあ三、三、三くらいの比重になっておるのですから、アメリカ映画の割当も大体三〇%くらい割り当てれば十分である。もう少し東南アジア、ヨーロッパの小国とか、もちろんフランス、西ドイツ、英国の映画などもいいことは皆さん御承知の通りでありますが、その他小国の映画、特に文化映画に対して相当優先的な取扱いをするというようなことも私は必要ではないかと思うのです。よいことを一つの目的意識のもとにしようとすることは、政治的に統制するという意味ではないと思うのです。政治にはやはり理想というものがなくてはなりませんから、どういうものを優遇するかということを、国民の良識と相呼応して重点を置くことは必要であろうと思います。

櫻内義雄自由民主党

○櫻内委員長 帆足君に申し上げますが、通商局次長の瓜生君が見えておりますから、どうぞ要約して御質問願います。

帆足計日本社会党

○帆足委員 第二にレコードのことですが、レコードもテープを入れて外貨の節約をする、そしてまた日本文の解説を入れて日本で生産して出すということは、私は大へんいいことだと思うのです。そうでなければ古典レコードまた外国レコードの普及は困難ですからよいことです。従いまして現在テープを入れることに重点を置いているのはいいことだと思います。しかしレコードが全然入らないというのは私はどうかと思うのです。現在は放送局とか学術用などには入れているということですが、特に優秀なレコードがポーランドにもあります。チェコスロバキアには非常に多いのです。そういうものが年にわずか十万円か五万円くらい程度でもいいですから、音楽の愛好者に必要な割当くらいは私はしておいた方がよいのではないかと思います。それから日英協定の結果、ことしはレコードをポンドで多少輸入せねばならぬということも聞いておりますが、それは一体どういうことでそういうことになったのか、もしおわかりでしたらそれも伺っておきたいと思います。  それからもう一つそれに連関してお伺いしたいのは、ビームというレコードの著作権の国際的な団体がございますが、それが日本のレコードの著作権代を請求しております。これは先方は四%の税率で要求しておりますが、日本ではたしか昭和二十九年の七月でしたか、それは二%ということに大蔵省、外務省及び文部省の協定できまったと思うのです。しかるに現在それでごたごたが起っておりますが、これは一国の政策として、法律または行政処分によって二%ときまった以上、業界としてはそれ以上払うことはできません。従いましてこの問題については早く外務省から回答書を出して、問題の結末をつけたらよかろうと思います。それにつきましてお尋ねしたいの、この問題の結末がすでについたかどうかということ、第二には、二十九年に二%という印税率がきまったのに、昨年の十二月末までには四%支払っていたということを伺いましたが、そういうことがあったのかどうか、そういうことがあったとしたら、これは法律違反ということになって、また外国の誤解を招く結果にもなるのですが、私は過去のことを責めるわけではありません。何か理由があってやむなくなされたことだろうと思いますから、その理由を伺いたい。同時に、やむなく行うということであるならば、昨年の十二月末をもってそれを終結して、今年度からは二%の率で行うなら行うということを、外交折衝でフランスにあるビームと最後の折衝をして結末をつけたらよかろうと思います。と申しますのは、私もレコード関係の仕事はいろいろいたしておりますが、レコードの問題にしろ、映画の問題にしろ、こうして顔の色の黄色っぽい、朝はおみおつけとたくあんで済まし、昼はシャケのしっぽで済ましておる、この貧乏な民族が、とにかくべートーベンでもチャイコフスキーのシンフオニーでも耳を傾けて聞く、そして莫大な印税を青い目の民族に払っている。アジアにこういう例はないのです。私は日本民族はすばらしい民族だと思うのです。しかし、こうして黒い目の皮膚の黄色い民族が文化に目ざめて西洋の音楽を味わっておるのですけれども、そういうアジアにおける例外として、日本国民が映画や特に高級なレコード、高級な古典の音楽レコードまでを買っておるわけですから、それに対する印税は私はそう高いものであってはならぬと思うのです。少くとも、アメリカに対するビームの率よりも、むしろ安いものであって当然だと思うのです。従いまして日本政府が二%ときめたことは私は多少高過ぎる。しかしまああまり安くしても文化的な国民としての誇りを失う。まあまあやむを得ないというのがわれわれの印象でありますから、四%払うなどということはもってのほかで、そういうことをすれば日本のレコードによる音楽芸術は成立しなくなりますから、この問題は一つ文部省と外務省の連携を密にして、はっきり解決していただきたいと思いますが、その最後の解決が現在どうなっておりますか。以上の諸点についてお伺いしたいと思います。

高橋通敏外務事務官(条約局長)

○高橋(通)政府委員 ちょっと私専門違いでございますので、すぐお答えできませんけれども、よく調査して次会にお答えいたします。ただいまビームの音楽著作権の問題、それからもう一つフィルムの方は大蔵省の係官から、次会に御説明さしていただきます。

帆足計日本社会党

○帆足委員 それでは教養ある諸兄のことですから、私が申し上げたことの趣旨は了解されたことと思いますが、まず第一には映画フィルムの輸入の問題については、文化教養の高いといわれている外務省においても、通商局はただめくら判を押すということではなしに、やはり一家言を持っていただきたい。外国に対する理解を持たずして、何の外交に対する民間の裏づけぞやであって、従いまして映画のフィルムの問題については一つ通商局当局も少し深い理解を持っていただきたいということをお願いします。そしてこの問題についてはまた外務委員会においても目を光らして監視いたしておりますから、一つこの次の割当方式の検討のときには外務省でも、日本が海の国である、世界の国であるという観点から一つ検討してもらいたい。  それから今のビームのことにつきましては、これは御担当は多分文化課長でしたか、文化課長がよく理解されて御努力なさっているとは聞いておりますが、もうこの辺で一つ結末をつけていただきたい。  それからレコードの輸入につきましては、日英協定で今度は少し輸入し得るということでしたから、これはテープを輸入してやるのが国策になっておりますから、その国策を破って大量に輸入されたのでは外国レコード生産政策上困ると思うのです。同時にまたわれわれ愛好者にとって、特殊の国、たとえばインドの古典のレコードでほしいのがあります。それからチェコスロバキアのスメタナの楽団が今度参りますが、チェコスロバキアのオペラはモスクワのオペラに相匹敵するもので、百枚か二百枚くらい民間でもほしがっておるのです。ところがそういう専門家の手に渡らない。金額から言えばわずか五万円か六万円のものなのです。ですからある金額を限っては、ブルガリアのレコードでもルーマニアのレコードでも、たとえば年額五万円、十万円くらいは放送局用、音楽学校用のほかに、レコード愛好者のためにもこのくらいはいいという多少の余裕を持たしておく必要がありはしないか。またテープの輸入でも、通商条約に書いてありますけれども、今レコードの輸入は禁止なのです。ですからこれはできないものを書いてあるようなもので、レコードはポーランドの場合はショパンの生まれた国です。ショパンの書いたピアノの楽譜をショパンの生まれた町で演奏したもの、それからワルシャワでショパン・コンクールを毎年やっておりますから、そういうもののテープが私どもは一、二枚いつもほしいと思っておるのです。そのくらいのことは、日本に輸入したところで印税が年間に、計算してみますと十万円か十五万円あればいいのです。ですから一つの国に対して、そういう小さな国に対しては年わずか十万円か十五万円かけておけば、大体不自由なくその国の一流のテープを買って、そして日本国内ではそれを千枚か二千枚に再生産して、そうして音楽愛好者に普及することができるのです。私は、皆さんは大国主義に反対だと言いながら小国というものをみずからが無視していると思うのです。文化でも同じです。アメリカの文化はアメリカの国が大きいから偉大なわけでもなく、中国文化は中国の国土が広いから偉大とはいえぬと思うのです。小さな国でも非常にすぐれた文化があるのです。そういう目を育てることが、私は今後の国際文化の進むべき道だと思います。みずから大国主義に反対だと言いながら、やはり過去の伝統で小国をないがしろにする傾向がある。従いまして小さな国々の映画、小さな国々の音楽、それからその他の芸術などに対して、やはりこまかな思いやりを持っていただきたい。もちろん、国の貿易政策、産業政策上、過去の実績を一挙に変えることはできません。それはよくわかりますけれども、しかしそれらの国々の文化を理解し、それらの国々の文化を日本国民に伝えるのに支障のない程度の割当ぐらいしたところで、何も日本の国策全体に影響するわけではございません。ポーラーンドのテープを入れ、ポーランドの音楽を入れ、ポーランドの映画を入れたところで、たかは知れているんです。入れるといっても年に限られている。テープ・レコードにすれば、年におそらく十万円をこえることも容易でないでしょう。チェコスロバキアの場合は一そうあれは文化の優秀な国ですから……。それでも私は年に三十万円以上は要らないと思うのです。三十万円などといえば、一サラリーマンの月給ほどのものでしょう。それを機械的に押えてしまって、そうして一般大衆はラジオを通じてしかそれを聞くことができない。しかもそのラジオに必要なものですら、そういう事情では、たくさん入るはずはないのです。というのは、一般の民衆に理解されていなければ、やはり放送局も取り上げない。先に国民がいろいろなルートから映画や音楽を理解して、そうしてあとで放送局がフォローするということの方が多いのですから、従ってそういう余地を運用上あける。そういうお考えなくしてここへ映画フィルム、レコードとお入れなったとしたら、これは一体どういうつもりでお入れになったか、私は理解に苦しむ。すなわちこういう文化財を並べてあることは大へんいいことです。小さな国々との取引では特に手工業品とか民芸品の取引などというものは非常に大事なことで、それは潜在的に日本の工業、手工業にやはり活力を入れる、魂を入れることになるわけです。この前有楽町のデパートでチェコスロバキアのガラスの展覧がありまして、私も見に参りました。あの一つの展覧会ですら、日本のガラス手工業は最近非常に発達しておりますけれども、それにどれほど大きなよい影響を与えたか、はかり知るべからざるものがあったと私は思っております。日本のガラス工業のごときは、将来もっともっと、チェコスロバキアと東西相並んで輸出に進出し得る素地を持っている工業です。ウルシの工業が衰えたのに対して、ガラスをいろいろ加工して、そしてりっぱな手工芸品として輸出するということも、将来は可能性のある産業の一つだと私は思っております。そういうことですから、皆さんがみずから大国主義を排撃しながら、小さな国の文化や芸術を軽んずるという弊風がお互いにありますから、どうぞそれを直していただいて、こういう品目もただ掲げるだけでなくて、掲げる以上は、金額から言えばわずかなものですから、そういうものの取引ができるようなふうに政策運用上の余地をあけておいていただきたい。これをこの委員会において行政当局に確認しておいていただきたい、こうお願いいたしまして、御回答はそれじゃ次の機会にお願いいたします。

櫻内義雄自由民主党

○櫻内委員長 帆足君にお尋ねいたしますが、大蔵省の宮城管理課長が見えることになっているのですが、まだ見えませんので次会に譲ってよろしゅうございますか。

帆足計日本社会党

○帆足委員 けっこうです。そうして次会は私は一般の安保条約について聞きますので、それはまた別にしていただきたい。貴重な時間ですし、水曜日は重要な議事がありますから、水曜日に伺わなくてけっこうです。このことは別に皆さんおひまなときに伺いますから、ずっと後でけっこうです。

櫻内義雄自由民主党

○櫻内委員長 本日はこの程度として散会いたします。     午前十一時四十二分散会

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