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29回国会参議院1958/09/01

予算委員会 閉会後第3号

発言数
5
登壇者
2
会派数
1
開催日
1958/09/01

会議録

井野碩哉自由民主党

○委員長(井野碩哉君) これより、委員会を開きます。  委員派遣の報告を議題といたします。近畿、中国班の報告を願います。

一松定吉自由民主党

○一松定吉君 委員派遣第四班の調査の結果を御報告申し上げます。  第四班は、一松定吉、苫米地英俊、戸叶武の三名でありまして、八月十七日から二十三日に至る七日間、京都府、兵庫県、岡山県の三県下を視察いたしました。その視察の範囲は、大蔵省及び通産省の各出先機関並びに宮内庁京都事務所、道路公団大阪支社等であり、また、地方公共団体といたしましては、これら各県庁及び姫路市役所でありました。産業関係の現地視察といたしましては、岡山県下では、児島地区の中小機業、児島湾干拓事業、ビートの栽培試作、温室ブドウの栽培状況等、また、兵庫県下では、富士製鉄の広畑製鉄所、淡路島の酪農業等でありました。以下調査の結果を簡単に御報告申し上げます。  関西地方におきまする一般の経済情勢は、景気好転の材料を見出せないまま、内需の伸び悩みに輸出の不振が手伝って、長期沈滞の傾向を深めております。すなわち、大阪通産局調べの大阪市内の卸売物価は、四月は一三〇・二と若干上昇しておりますが、五月は一〇二・八、六月は一〇一・八と低落を続けております。鉱工業の生産指数も、前年同期に比べて一〇%も下回っておる状況であります。また、大阪通産局管内の輸出認証高も六月に九千四百万ドルと、ついに一億ドルの水準を割っております。日本全体の輸出総額のうちで、関西が約半分近い割合を占めておるのでありますから、その割合からいたしますれば、月に一億四、五千万ドルはなくてはならないことになるのだそうでありまして、輸出がいかに不振であるかがわかります。  このような不況の長期化に伴いまして、企業の採算と資金繰りは悪化いたしておりまして、綿スフ関係の中小機屋が特に困っております。従って、雇用情勢も悪化しておりまして、大阪における求人求職のバランスは、今年五月が一人当りの求職者数は三・九人となっており、昨年五月の二・三人を上回っております。失業保険の受給者数も昨年の六割増という状況であります。また、国税の徴収状況は、こういう経済情勢を反映いたしまして、法人税が特に悪く、七月までの収納状況は昨年の八〇%に過ぎず、現地の国税当局の話では、本年度は予算額に達しないのではないかということを申しておりました。  このような状況でありますので、各地の中小企業は深刻な不況に見舞われております。なかんずく繊維工業が最もひどく、その代表的なところは、岡山県では綿学生服、作業衣生地等を主として生産する児島地区、兵庫県では、全国輸出先染綿スフ織物の八〇%を占めている播州織物、それから京都府におきましては、西陣、丹後ちりめんの地区であります。すなわち岡山県の児島地区では、綿学生服関係が、合繊学生服等の進出によりまして、一般的不況要因のほかに、さらに困る問題が生じており、現在約四割の自然操短の状況にあります。兵庫県の播州織物も輸出不振の影響を受け、工賃の値下りに苦しんでおります。また京都府の西陣、丹後ちりめんのごときは、古くからの伝統産業であり、保証付でありますので、不況のため返品が多く、また下請業者は工賃の下落に悩んでおります。  次に蚕糸業でありますが、前国会において、繭糸価格安定のため百五十億円の資金を出すことになりましたが、同時に養蚕農家に対しては夏秋蚕繭の二割の生産抑制を、蚕種製造業者に対しては夏秋蚕種の製造調整を、それぞれ勧奨されましたので、養蚕農家に与えた精神的経済的な打撃は大きく、そのために桑苗の需要も半減し、蚕種製造業者は今後の経営に不安焦慮を来たし、製糸工場も、兵庫県では八月中に二、三工場が閉鎖されるとのことでありました。こういう状況でありますので、明年度の蚕糸対策なり、あるいは指導方針なりを、至急政府から明らかにしてもらいたいという要望が強くありました。  次は酪農でありますが、乳牛の頭数は各県とも年々増加の一途をたどっておりまして、このため牛乳の生産に対し、消費の拡大がこれに伴わず、さらに本年春の低温が災いして、各メーカーが酪農家に価格の値下げを通告するに至ったものでありまして、これが打開の根本策は、何と申しましても消費の拡大であり、各県とも集団飲用及び消費慣行改善による十円牛乳の普及等、種々の対策を講じておりますが、私どもが淡路の酪農協同組合において調査した結果によりますと、牛乳は農家の段階では一合四円五十銭で、メーカー着渡しの値段が六円、メーカーから小売業者渡しの値段が九円五十銭、小売値段が十四円であります。すなわち生産者と消費者の中間に介在するものの利益は、メーカーが三円五十銭、小売業者が四円五十銭を得ておりまして、生産農家の利益に対してメーカー及び小売業者の利益は過大に失しておるということが痛感されましたので、今後の乳価対策に当っては、メーカーや小売業者の利益の幅を縮めることに努め、酪農家にしわ寄せにならないようにすることが必要であります。  次にビートの栽培について申し上げます。岡山県は暖地ビートの栽培に力を入れており、非常な成功をおさめております。現在わが国の砂糖輸入は年間百二十万トンに達し、これに支払う外貨も相当額に上っておりますが、これを自給できるようにいたしまするならば、外貨の節約に非常な貢献ができるわけであります。しかもビートは、砂糖をしぼった後のビート・パルプが牛のいい飼料として酪農振興にも役立ち、また農家の安定作物、水稲早期栽培の後作、タバコの後作にも適しておるので、農家に非常に喜ばれております。現在ビートは暖地寒地いずれの土地にも生産することができるようになっておりますから、砂糖製造の機械及び工場の分布を適正に考え実施するならば、国際収支の改善に非常に役立つものと思います。  次に公共事業遂行状況を見るための現地視察といたしまして、岡山県の児島湾干拓事業を見て参りましたが、この事業は総事業費十九億三千万円をもって児島湾をその湾口弁天島付近において締め切り、海水を遮断して湾内千百町歩を一大淡水湖となし、これを灌漑用水源として沿岸の新旧干拓地五千百四十町歩の旱害、塩害を一掃するとともに、淡水湖水面を低位に保つことにより、沿岸低湿地七百八十三町歩の排水を可能、あるいは容易ならしめるためのものでありまして、工事は本年度をもって完了することになっておりますから、豊かな水田地帯の出現もあまり遠くないことと思われるのであります。  また兵庫県下を視察いたしまして、特に感じましたことは、道路の悪いことと、煤煙のひどいこととであります。ことに姫路から明石に通ずる道路のごときは、いまだ舗装されておらず、これが国道かと驚いたほどであります。ぜひ道路整備予算を拡充して、文明国として恥かしくないようにしなければならないと感じて参りました。また煤煙の問題もそうでありまして、阪神地区には赤い煤煙が空に満ち満ちております。姫路市のごときも塵埃の処理とともに、この煤煙問題の処理に力を入れておりましたが、ぜひ国家の助成によってこの害毒を一日もすみやかに取り除くことを考えなければならないということを痛感して参りました。  また兵庫県の明石と淡路島の岩屋との間を結んでおりますフェリー・ボートは、年を追うて利用者がふえておる状況でありまして、淡路島の産業経済の発展に非常に寄与しております。淡路島の酪農の増加もこのフェリー・ボートに負うところが大であります。また私どもの酪農を視察いたしました地域は、人形芝居の座元でありまして、この春ソ連にも使節が派遣され、文化の交流に非常に貢献をしております。現地の人の話では、この人形芸術の伝統を伝える人が次第々々になくなりつつあるということでありますから、このような無形文化財に対しましては、ぜひ国の手により助成を行なって、後世まで長く伝えるようにしなければならないと思います。  次に地方財政について申し上げます。地方財政は、府県財政も市町村財政も、三十二年度までは各県とも好景気による税収の増加と、国の地方財政対策とによりまして、健全化の一途をたどっておりますが、本年度の収支は不況による税収の伸びの鈍化と、知事、市町村長等の改選を控えまして、この積極政策の必要性とも相待ちまして、相当苦慮しておるようであります。すなわち岡山県におきましては、健全財政をもって知られたところでありますが、昭和三十年度に実質収支で一億一千万円の赤字でありましたものが、三十一年度は九千八百万円の黒字、三十二年度は三億八千三百万円の黒字を示しております。しかしながら、三十三年度は、現在予算で百四十五億円の財政規模でありますが、今後の管理職手当等給与関係の経費の所要額に対しまして、歳入は県税の減収等のため五千万円程度の不足が予想され、収支均衡にはさらに努力を要する状況であります。また市町村財政も非常な健全化を見せておりまして、三十年度には十市三十三町村が単年度赤字でありましたものが、三十二年度におきましては、再建団体を除く赤字団体の数は一市十九町村に減少しております。  また、兵庫県におきましては、県財政はいわゆる赤字県であり、再建団体でありますが、昭和三十年度に再建債を二十一億五千万円借り入れまして、八カ年計画で財政の再建をやっております。そのため単年度の実質収支は昭和三十年度は一億四千百万円の赤字でありますが、三十一年度は六億七千百万円、三十二年度は七億三千四百万円の各黒字を出しております。兵庫県の再建債は、本年度末現在約十五億円残っておりますが、本年度の財政規模は二百六十六億円であり、税収の伸びのよくないこと、及び本年末に知事の改選がある上に、自治庁から再建期間二カ年短縮の勧告を受け、苦慮いたしておりました。また兵庫県下の市町村財政も非常に健全化を示しておりまして、昭和三十年度においては赤字団体の数が四十ありましたものが、三十二年度においては九つに減少しております。  次に京都府におきましては、府の財政は二十九年度に二十四億六千万円の赤字を出した再建団体でありますが、この赤字の棚上げと、その後の税収の好調等によりまして、三十一年度で二億五千六百万円、三十二年度で四億八千万円の各実質黒字を出しております。京都府の財政再建期間は八カ年であり、本年度末現在の再建債等の額は約十五億円でありますが、自治庁から再建期間一カ年短縮の勧告を受けております。また来年度の税制改正に当っては、京都府のように大企業が全然ないところでは、個人事業税が政府案のように減税されることになると、三分の一の財源を失うことになるので困るということを申しておりました。また府下の市町村財政も、三十一年度の決算で二市十九町村が赤字でありましたものが、三十二年度の決算では二市十ヵ町村に減少しております。  最後に、宮内庁京都事務所を調査いたしました結果について簡単に御報告申し上げます。この宮内庁京都事務所は、現在約八十名の職員をもちまして、京都以西にあるたくさんの御所、離宮、陵墓等の管理の任に当っておりますが、近年御所関係の参観者の数は年々百万人をこえており、大宮御所のごときは現に国賓の宿舎に当てられており、人手の不足に困っておりまして、過労のために結核になる職員も出ておる状況であります。また大宮御所に通ずる廊下も戦時中取りこわしのまま放置されており、その他御所関係建物も全体にわたって修理費が不足でありまするので、これらの点につきましては、できるだけ早い機会に予算措置を講ずる必要のあることを痛感して参りました。  以上のように、私どもの今回の視察は非常に広範な範囲にわたりましたが、これを要約いたしますると、  一、関西の経済一般の情勢は、依然として好転の兆が見えていない。特に目立っているのは、輸出の先細りと、中小織屋の困窮であり、これらに対してはさらに強力な手を打つ必要があること。  二、蚕糸業については、現状のままでは関係者が不安焦慮の状況にあるから、今後の指導方針をすみやかに明示してやることか必要であること。  三、酪農については、生産農家に比し、メーカーや小売業者の利益が過大であるから、乳価の値下げに当っては、メーカーや小売業者の利益の幅を縮めることに努め、酪農家にしわ寄せにならないようにすることが必要であるということ。  四、道路、港湾、農林、漁業の施設の整備が不十分であるので、さらにこの方面の予算を拡充して、経済基盤の強化をはからねばならないこと。  五、人形芝居は、その伝統を伝える者が絶えがちの現状であるから、無形文化財としてぜひ保存の処置が必要であるということ。  六、地方財政は、府県、市町村とも昨年度までは黒字であり、健全化してきているが、今年度は不況の影響で地方税の伸びも悪く、収支を合せるには努力を要すること。特に来年度の地方財政は問題で、個人事業税の減税には反対の空気が強いということ。  七、京都御所は毎年内外人の参観者が多く人出不足に悩んでおり、特に整備費が広大な施設であるのに対しておびただしく不足しているので、ぜひ予算措置が必要であること。  八、工業都市の塵埃、煤煙は住民に害毒を流すことはなはだしいので、早急にこれを取り除くことが必要であること。  九、ビートは——ビートというのは、いわゆる大根の一種でありまして、俗に大根から砂糖をとるというあの種類の植物です。ビートは現在、暖地、寒地いずれにもできるようになっているので、大いに普及奨励をして、砂糖を自給できるようにし、外貨の節約に資することが必要であること。  以上であります。  これをもって報告を終ります。     —————————————

井野碩哉自由民主党

○委員長(井野碩哉君) この際、本日の委員の変更について報告いたします。藤原道子君辞任、光村甚助君補欠。吉田法晴君辞任、横川正市君補欠。佐藤清一郎君辞任、植竹春彦君補欠。木島虎藏君辞任、高橋進太郎君補欠。本多市郎君辞任、草葉隆圓君補欠。小山邦太郎君辞任、平井太郎君補欠。以上選任せられました。     —————————————

井野碩哉自由民主党

○委員長(井野碩哉君) 次に中部班の報告につきましてお諮りいたしますが、やむを得ない事由によりまして、派遣委員のお方が御出席になっておりませんので、この報告を会議録に掲載することとして、御了承を得たいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

井野碩哉自由民主党

○委員長(井野碩哉君) 御異議ないと認め、さよう決定いたしました。  本日はこれにて散会いたします。    午前十一時二十三分散会     ——————・—————

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