予算委員会 閉会後第1号
- 発言数
- 7 件
- 登壇者
- 3 名
- 会派数
- 3
- 開催日
- 1958/07/31
会議録
○委員長(井野碩哉君) これより委員会を開会いたします。 開会に際しまして、一言ごあいさつを申し上げたいと思います。 私、このたび予算委員長に選任されましたが、もとより浅学非才、この重責を全うし得るやいなやを深く憂慮いたしておりますけれども、幸い皆様の平素の御好意によりまして、皆様の御支援を待って、公正なる運営が全うし得ますれば、私といたしましてもまことに幸いに存ずる次第であります。どうか何分よろしくお願いを申し上げます。 —————————————
○委員長(井野碩哉君) 委員の変更について御報告申し上げます。 七月二日、八木幸吉君辞任、市川房枝君補欠。七月三日、小幡治和君辞任、西川彌平治君補欠。塩見俊二君辞任、森田豊壽君補欠。七月五日、森田豊壽君辞任、塩見俊二君補欠。七月八日、佐野廣君辞任、井野碩哉君補欠。高橋進太郎君辞任、大沢雄一君補欠。七月九日、亀田得治君辞任、大倉精一君補欠。七月十日、大倉精一君辞任、亀田得治君補欠。七月三十一日、佐多忠隆君辞任、内村清次君が補欠選任せられました。
○委員長(井野碩哉君) 委員派遣の報告を議題といたします。まず四国班の報告を願います。
○市川房枝君 第五班の視察につきまして御報告を申し上げます。第五班は塩見俊二、坂本昭、市川房枝の三名をもちまして、去る七月十七日から八日間にわたり、香川、愛媛の両県下を視察いたしました。 まず日程を申し上げますと、七月十七日夜、東京を立ち、十八日の午後、高松の四国財務局において、同財務局及び四国通産局の各担当部長より管内の一般経済並びに財政、金融事情の説明を聞き、次いで香川県庁におもむいて、県及び市町村の財政概況並びに雇用、失業情勢等につき事情を聴取いたしました。翌十九日は坂出市役所において、坂出を中心とする香川県製塩業の実情について、関係業者及び専売公社高松地方局の担当官より説明を聞いた後、扶桑塩業組合の製塩工場を視察し、午後は丸亀市役所において、現に県の代表的中小企業であり、かつ全国生産高の優に八割を生産して、実に市民の二割がそれに従事しているといわれる丸亀うちわ製造業について、その最近の不況による深刻な実情を聞き、なお市の児童福祉係員より丸亀市内八カ所の公立、私立保育所の現況について説明を聴取した後、塩屋保育所におもむいて実地にその経営状況を調査し、さらにそのあと高松少年院の分院で、窃盗、売春等により家庭裁判所の保護処分を受けた満十四才以上二十才以下の少女のみを対象に、これが更生のための医療、教育並びに職業補導に当っている「丸亀少女の家」なる保護収容施設を視察いたしました。ついで、二十日は日曜日でありましたが、わが国最大の貯水池として知られる満濃池の土地改良事業の進捗状況を現地調査し、その間、神野村及び多渡津町の保育所を視察して、愛媛県に参りました。越えて二十一日には、まず新居浜市内の幼稚園及び保育所を視察したあと、住友クラブにおいて別子鉱業所を初め、電力、化学、機械工業にわたるいわゆる住友系五社の各重役から、それぞれ各社の概況について説明を聞き、さらに住友化学工業新居浜製造所の現場を視察した上、松山に向い、午後は愛媛県庁において、県財政の概況及び県下産業のうち、特に不況の影響の深刻なものの状況、国民健康保険の普及状況、その他総合開発の事業計画等について説明を聴取いたしました。続いて翌二十二日には、午前中県庁において、社会福祉並びに社会教育関係団体との合同懇談会を開いて、各団体代表者からそれぞれ活動状況の説明、意見の交換を受け、午後は伊予市の公民館及び松山市内にある身体障害者更生指導所、ろうあ授産場、乳児院、保育所、婦人相談所等の各施設を歴訪視察し、ここにおいて全日程を終了して、二十四日帰京いたした次第であります。 以下右調査のうち、重要な点について御報告申し上げます。 まず最初に四国地方における産業経済及び金融情勢の概況について、簡単に御報告申し上げますと、やはり最近の中央経済界の不況を反映して、全般に景気好転の材料が見当らないまま長期沈滞の様相を深めているような状況でありました。もともと四国四県はいずれも原始産業を主体とした中小企業が多いため、中央経済の動向に比べ、少くとも数カ月のズレを持った後進性を特色としておるわけでありまして、従って昨年五月以来行われた金融引き締め政策の影響も比較的緩慢で、急激に倒産、縮小といった現象はなかったのでありますが、昨年末ごろからやはり生産調整による全国的な生産減少や輸出不振の余波を受けて、昨今は製紙、製塩を初め、タオル、手袋、うちわ等の地場産業が軒並みに操短実施を余儀なくされるか、ないしは供給過剰に悩むという先行き不安の状況を呈しております。たとえば愛媛県の代表的な産業の一つで、その盛衰が県の財政及び民生安定上にも大きく響くとまで言われる綿スフ織物業でありますが、昨年の五月と本年五月を比較してみますと、平均運転台数において二五%、生産数量において四二%の減少を示し、従業員数においても六十三人が職場を去ったことになっております。特に不況事態が顕著な今治地区の綿スフ織物業者としては、通産大臣命令による三割操短が実施されても、綿布の市価はほとんど改善せられぬため、業界は操短に伴う運転資金の枯渇によって、かえって経営難に追い込まれる始末で、この際一億二千五百万円程度の操短資金はぜひ必要だと言い、このため県でも去る六月の県会で、県費二千万円を愛媛県信用保証協会に貸し付けることを議決し、同協会を通じて一般市中銀行に対し、融資の促進をはかることにしたのでありますが、もとよりこれだけでは不十分で、何としても国の強力な不況対策がほしいと、これは県当局でも強く要望しておりました。 産業経済の一般情勢が、ただいま申し上げたような状況でありますから、金融事情の面も勢い不振でありまして、各金融機関とも資金量は伸び悩みを示し、この資金量の不足が貸出の抑制となり、貸出を抑制する結果がまた資金量の伸びを鈍化させるという悪循環を繰り返す状況であります。さらに銀行、相互銀行等にあっては、いわゆる財政資金の動きが大きなウエートを占め、また貸出し状況としては、銀行の中小企業向け貸出し残が増加傾向を示し、相互銀行、信用金庫の貸出しは全額が中小企業向けとなっておるなど、いろいろ特徴的な傾向も出ております。 次に香川、愛媛両県の財政の概況を御報告申し上げます。まず香川県でありますが、ここは健全な財政運営をいたしておりまして、ずっと黒字財政を続けております。数字で申し上げますと、昭和三十年度は歳入が七十三億二千円万余で、歳出が六十八億二千万円余と、差引五億円余の黒字であり、三十一年度は歳入七十六億五千万円余、歳出七十三億五千万円余で黒字四億円の決算であります。引き続き、昭和三十二年度は、これは決算見込額でありますが、これまた前年度ないし前々年度とほぼ同額の剰余金を生じる見込みであると、県の財政当局が申しておりました。しかして今年度、昭和三十三年度の予算規模は八十二億八百万円余とやや伸びておりますが、実質的に十分収支均衡のとれた健全予算であるとは、これも県当局者の申すところでありました。要するに香川県では、地方自治の本旨を発揮するには、まず財政の健全化からということをモットーとしておるとのことでしたが、事実、徴税に格段の努力を払うとともに、歳出の面で人件費、物件費の節約を初め、極力支出の切りつめが行われておることを見て参りました。 次に愛媛県の財政事情について申し上げますと、昭和二十六年度まで黒字財政を維持していたのでありますが、翌二十七年度を境として赤字財政に転じ、以後逐年累積した赤字の額は、二十九年度において実に五億五千六百万円に達したのであります。そこで県では二十九年三月以来、行政事務機構の改革、人件費、物件費の節減、単独事業費の抑制等、歳出面の縮小に努める一方、歳入面におきまして、自動車取得税及び犬税を創設して増収をはかるなど、赤字解消のための積極策に乗り出すとともに、三十一年六月には地方財政再建促進特別措置法の規定の一部の適用を受けつつ、財政再建債を起さないで行うという独自の財政五カ年計画を策定して、鋭意努力の結果、三十一年度末には、これまでの実質赤字四億三千二百万円のうち二億六千万円を解消し、さらに現在、三十二年度末決算見込額では、累積赤字の全額を解消して、なお二億八千万円の黒字が計上される見込みとなっておりました。県財政はこのようにわずか二カ年間で自主再建を完遂するという好調ぶりであったわけですが、市町村財政の方もおおむね順調な経過をたどっておりました。すなわち愛媛県下十市の三十二年度決算見込額を前年度に比較してみますと、三十一年度において六団体が一億五千二百万円の赤字を生じ、残る四団体が一億三千五百万円の黒字で、差引千七百万円の実質赤字でありましたのが、三十二年度は、赤字団体は三団体で二千五百万円の赤字、七団体は一億六千八百万円の黒字で、差引一億四千三百万円の実質黒字となる見込みで、結局三十二年度中に一億六千万円の単年度黒字を生じたことになっております。 また町村分について申しますと、県内七十二町村の三十一年度決算額は、赤守団体が十七団体で八千七百万円の赤字、黒字団体は五十五団体で、黒字が一億二千九百万円、差引四千二百万円の黒字でありましたのに対し、三十二年度の決算見込額では、赤字団体十一団体、一億三千万円の赤字、黒字団体の方は六十一団体で九千九百万円、差引三千百万円の実質赤字となっておりまして、町村財政に関する限り、県及び市財政の好転に比し、わずかながら赤字増加の不振ふりが見られるわけであります。 次に、視察個所の調査の結果について簡単に御報告いたします。坂出を中心とする製塩業の状況でありますが、まず香川県における塩田規模を申しますと、本年四月一日現在で、入浜式五十九ヘクタール、流下式千百七十五ヘクタール、計一千三百三十四ヘクタールでございまして、塩製造許可高は三十七万三千トンとなっております。昭和三十二年度の生産実績、すなわち納付高でありますが、二十四万一千トンで、これは全国総生産額の二八%を占める割合になっております。ついでながら、愛媛県の塩の生産実績は三十二年度四万九千トンでありまして、その全国対比は五%、つまり香川、愛媛を含めた日本専売公社高松地方局管内で、国全体の塩の三三%を生産しているわけです。ところで香川県における本年度、昭和三十三年度の塩の生産見込量は二十八万六千トンで、この代金は三十六億二千万円となっており、すでに六月までの累計生産額では、計画量を上回る実績をおさめております。問題は、昨年十二月、専売公社において国内塩の生産制限をねらいとした塩業政策の大綱が発表され、次いで本年の一月一日から塩価の三百五十円方引き下げとともに、既許可のものないしこれに準ずるものを除く製塩施設の新増設が認められないことになったため、香川県塩業者としては、せっかくやりかけた有効な施設も建設途上で停止され、ために塩の生産量は業者間において著しい不均衡状態をもたらし、さらに業者として増産に期待した資金計画は根底からくずされ、もはや最小限必要な資金繰りにも窮することとなったから、この際、これまで設備資金として借り入れた約五十八億円のうち、農林漁業金融公庫以外の金融機関からの借入金約二十五億円を、せめて長期低利の国家資金に借りかえる措置を講じてほしいというのであります。もちろんこれには法律改正を要することでもあり、なお専売公社として、他に問題もあるようでありますが、私どもが会った塩業組合幹部の青い分としては、「今日まで一に当局の方針に順応し、多額の負債のもとに流下式転換を初め煎熬設備の改良増設、枝条架の設置、塩田堤防の補強等を行い、ひたすら増産に邁進してきておるのであるから、この際塩需給の長期計画、国内塩業の合理化、旧債の借りかえ、及び適正な塩価の決定を望む」というのであり、これが実現方につき、私どもにも特段の協力を願いたいということでありましたので、その要望のままを申し上げておきます。 なお私どもは、今回の視察に当って、努めて各地の保育所を訪れ、その実情を見てきたのでありますが、その理由は、御承知のように本年度の予算におきまして、保育所措置費に対する国庫負担額が二十五億三千万円ときめられ、前年度に比し、約五千万円の増額となっておりますが、現下新設の保育所並びに給食費の単価値上りや、職員の期末手当、超勤手当支給等のことを考慮すれば、果してこの予算ワクの程度でよろしいものかどうか。さらには、去る六月七日の厚生次官通牒によりまして、七月一日から実施をみるに至った措置費の改善方式が、さらぬだに赤字を伴いやすい保育所の経営を困難にするようなことにならないかどうか。特に保育料が上ることによって、親がその負担にたえられず、やむなく子供を保育所からひかすような傾向が生じないかどうか。そうした点を実地について、とくと調査したかったからであります。 調査の結果は、私どもの心配が単なる杞憂でなかったことをあらためて教えられた次第であります。すなわち、保育所の国庫負担額は低く過ぎる、もっとふやすべきだ。保母さんの給料が少くてかわいそうだ、長時間働いて、しかも身分保障もないのに。お昼の弁当すら満足に持たせられない家庭の子の多い保育所で、これ以上保育料が上ればどうなるか、おそらく保護家庭の約三割は落ちるのではないか。さらに今回の措置費の改正で、事務は簡素化されても、保育料徴収の基準が実情に即していないため、保育に欠ける子が入所できない場合が起きるだろう。改正案にいうC階層の均等課税の家庭は、最低生活を維持している実情にあり、最も措置を必要とする階層であるのに、改正案の保育料はなんとしても過重である。むしろ旧案通りに戻すべきだ、等々。そしてこれらは私どもの会った限りの保育所関係者が、至るところ、程度の差こそあれ、異口同音に叫んだ声でもあったわけであります。 なおまた私どもは保育所以外に、多くの社会福祉施設を予算委員の立場で調査して参りましたので、以下それら施設の関係者から寄せられた要望事項をとりまとめて御報告申し上げたいと存じます。 一、社会福祉行政職員費の国庫補 助について 生活保護指導職員については、全 額国庫補助が実施されているが、福 祉事務所の生活保護関係職員及び身 体障害者福祉司等についても、同様 の措置をとられたいこと。 一、生活保護、身体障害者福祉法 施行事務費の負担率引き上げについ て生活保護、身体障害者福祉法によ る保護費、措置費は十分の八、同事 務費は二分の一の国庫負担率である が、事務費については、その補助単 価の引き上げとともに、負担率を保 護費、措置費同様、十分の八に引き 上げられたいこと。 一、民生委員の経費に対する国庫 補助について 民生委員は地域社会の福祉増進に 献身的な努力をしておるが、従来よ り国は社会奉仕者の美名のもとに、 何らの経費も負担していない。民生 委員法においても補助の道が開かれ ているのであるから、国は地方団体 が支弁した経費の二分の一以上を負 担されたいこと。 一、低家賃住宅の建設について 低所得者階層に対する住宅難の現 況にかんがみ、第二種公営住宅の基 準を下げ、実情に即応した住宅の建 設に努力されたいこと。 一、国民年金制度の早期実現につ いて 老令者、身体障害者、母子世帯等 に対する年金制度の早期実現方をは かられたいこと。 一、生活保護法の保護施設事務費 について 現行の取扱い実人員によっている が、これを定員定額制とせられたい こと。 一、生活保護法による授産施設と は別に、低所得者階層を対象とした 授産施設並びに共同作業場等の設置 について国庫負担の方途を講じられ たいこと。 以上をもちまして簡単でありますが、御報告といたします。
○委員長(井野碩哉君) 次に北陸班の御報告を願います。
○加賀山之雄君 北陸班の視察の結果を御報告いたします。 私どもの班は、鈴木強委員と私が七月二十日東京を出発いたしまして、富山、石川の両県について一般経済事情、地方財政の状況、公共事業及び電源開発の状況等を調査して参りました。この間富山、石川両県庁を初め、財務局、通産局支局、鉄道管理局等において資料の提供を受け、かつ現地の実情について詳細な説明を聞き、また倉敷レーヨン富山工場、伏木港、広貫堂、北陸電力有峰ダム建設地点及び小松製作所粟津工場を視察いたしました。なお最初の予定では福井県にも参ることになっておりましたが、やむを得ざる事情のため、途中から引き返さざるを得なくなりましたことを、あらかじめ御了承願っておきたいと存じます。 まず北陸地方の産業について申し上げますと、往年は絹織物、売薬、陶器等が代表していたのでございますが、近来は石灰石を主原料とする一連の化学工業が産業の構造を一変し、その中心をなしております。すなわち良質の石灰石資源を無尽蔵に擁し、豊富低廉な電力を供給できるという立地条件を背景に、セメント、化学肥料、苛性ソーダ、冶金工業が発達し、これに加えて合成樹脂工業が近年急速な成長を遂げております。その全国生産高に対する比率を昭和三十二年度の数字についてみますと、人絹織物七七・四%、合成繊維三六%、合金鉄三五・七%、カーバイド二八・九%、石灰窒素二六・二%、人造固型電極二五・五%、電気銑一七・九%という状況であります。またこれらを電力の産業別需用構成からみますと、契約電力五百キロワット以上の昭和三十二年度実績では、化学工業が四七・七%、金属工業二六・六%と総需用電力量の七四%を占めております。また輸送の面から見ますと、貨物発送トン数の三六%が石灰石、石炭等、鉱業物資で、セメント、肥料、工業薬品等、工業物資が三九%と、これまた全産業物資の七五%を占めておるような状況でございます。 そして、このような工業の急速な伸長に対して、電力と輸送の伸びがマッチしないところに北陸の産業発展上の問題点があるようでございます。すなわち電力の需用は年間一八%をこえる急激な増加を示しており、目下建設中の有峰を中心とする一連の水力発電所と大阪火力発電所が完成するまでは、急増する需用をまかない得ず、他社からの融通買電に依存せざるを得ない実情であります。また輸送につきましては、昭和三十六年度には工鉱産物資の占める比率はさらに伸び、それぞれ四〇%、四一%と推定されておりまして、現在のままでも北陸線の輸送力が不足しておるため、他線区に迂回輸送されておる迂回車数は、三十一年度中でも四万八千五百車両にも上り、余分に費された輸送経費は一億八千三百万円にも達しておる状況でございまして、このことがあとで北陸における電源開発と輸送力の増強が最も強く要望されるゆえんでございます。 次に、産業の現状は、金融引き締めの影響が次第に浸透してきて各部門とも総じて不況の色が濃くなっております。特に、繊維は打ち続く輸出、内需の不振から一段と深刻化し、その不況の一端をフジエット、本絹ジョーゼット、スフモスリン織物についてみますと、フジエット一疋当りの現在の加工賃は百三十円で、採算限界加工賃二百五十円に対して四八%下回り、本絹ジョーゼットにつきましては、採算限界加工賃の半分、スフモスリンのごときは三分の一といった現状でございます。このような状態が今後も続くとすれば、倒産者の続出が予想されるありさまであります。人絹織物の不況のため、機屋は採算悪と受注減から極度に窮迫し、また、これに伴って織機メーカー及び下請の鉄工業も最悪の状態にあります。 また、富山県の鉱工業生産指数が昭和三十年度を一〇〇とすれば、昨年七月の一五七・一をピークとして以後漸落し、本年二月には湯水期による操短の関係もありますが、一一二・五と、三十一、三十二年度を通じての最低に低下している状況からも、その度合がうかがにるのでございます。従って、雇用も主産業の操短あるいは倒産、営業規模の縮小から悪化の傾向を示し、富山県下の公共職業安定所の取扱い業務から眺めますと、本年上半期における失業保険給付者人員は月平均一万二十六人に達し、前年同期に比し四六・二%の激増を示し、給付金額においてもまた四八・二%の増加を見ております。これら失業者の大部分は企業の整備、操業短縮などによる製造業方面からの離職者と、建設業方面の季節的失業者の増加によるもののようでありまして、景気の回復が見込まれない限り、雇用、失業情勢の好転も当分期待薄の状況でございます。 金融につきましては、年初来停滞傾向にあった、預金が、営業性預金の不振を反映して、ますます低調となっており、また貸出しも借入金の返済に努める堅実な企業が増加し、さらに、赤字資金に対する金融機関の選別傾向が強くなっていることなどにより、預金同様に低調裏に推移しているようであります。資金需要の状況は、優良企業が堅実な経営方針をとり借入金返済の動きがあるのに対し、弱小企業は不況の長期化による負債の増加、これに対処するための値引き、代金支払いの延期など、販売競争の激化から売掛金は増加し、資金繰りが逼迫しているため、資金需要がきわめて旺盛という全く対照的な現象が見られます。一方銀行の資金繰りも最近は漸次余裕が生じ、融資態度も積極化しているようにみられますが、資金の性格上きわめて慎重な態度を示し、中小企業向け貸出しの比率は低下しておりますため、いきおい政府金融機関に対する資金需要は旺盛となり、融資申し込みは昨年より三〇ないし四〇%程度上回っている状況でございます。 ここで、北陸の経済発展の上において最も重要なウエートを占めます電源開発と輸送力増強問題について御報告申し上げます。電力事情につきましては、神通川第一、第二発電所及び有峰常願寺川発電計画を現地において関係者から説明を聞きますとともに、その状況をつぶさに調査して参ったのであります。有峰常願寺川発電計画は、常願寺川水系和田川上流、有峰盆地の咽喉部に築造する高さ百四十メートルの重力式ダムにより、有峰盆地に湛水する総貯水量一億九千百八十万立方メートルの有峰貯水池を主体とし、五発電所の新設と一発電所の増設を行い、二十六万千四百キロワットを発電するとともに、下流の既設発電所を補給して、渇水期一万二千三百五十キロリットの増加を行い、これらの発電所により、年間七億九千万キロワット時の電力量を得ようとする計画でありまして、これが完成すれば供給力が増大することはもちろん、渇水期において著しく増加し、さらに昼夜需用の変動に応じて発電量を調整することによって、電力の質を飛躍的に向上せしめ、北陸地方における電力事情の好転に大きな役割を果そうとするものでありまして、昭和三十年九月に着工、三十四年三月から三十五年十一月の間に逐次発電を開始する目標のもとに工事が進められており、現在までに約三分の一の五十万立方メートルのコンクリート打設が行われておりました。本地点は、恵まれた立地条件と、現場作業所の積極的、能率的な労務管理と相待ちまして、明朗な建設的雰囲気のもとに進捗しておりまして、関係者の努力に対して深く敬意を表した次第であります。 次に輸送力増強の問題でありますが、さきにも申し上げました通り、北陸の産業が次第に化学工業を中心に大をなしつつありまして、特に合成樹脂工業のごときは、原燃料の需要がきわめて大きく、製品一トンに対し十数トンを必要とし、生産遂行には莫大な原燃料を輸送しなければならないような状況でございます。このように工業が急速な成長過程にあるため、北陸における貨物の輸送トン数は非常な勢いで伸長いたしているのでありまして、客貨ともに輸送力は極度に不足し、きわめて高い乗車効率と高度の出貨抑制に悩まされておりまして、国鉄近代化五カ年計画の完成が北陸全体として旱天の慈雨のように切望されているのであります。北陸線近代化総工事費は、本年度以降四カ年に三百五十億円で、おもなるものは複線化百四十一億円、電化九十億円、北陸隧道に六十四億円、停車場改良に四十五億円といったところでありまして、最終年次の昭和三十六年度には輸送量は千三十七万トンとなり、抑制率も二%にまで減ずる見込みで、大体電力の伸びに見合うようになっております。 輸送力の増強は北陸全県からの強い要望でございまして、その経済効果の上からも集中投資が切望されております。なおここで申し加えておきたいのは、北陸線米原、敦賀間に採用されております交流電化の問題でございますが、その長所は地上電化施設が簡単なこと、機関車の粘着がすぐれていること、高速大馬力運転をも可能とすることであり、牽引効率についても機関車の新製費についても、また電化後の運営費についても、著しく有利であり、全く注目すべき方式であると思うのであります。 次に財政事情について御報告申し上げますと、昭和三十二年度決算は富山、石川両県ともに法人関係事業税、住民税が上期において大幅に伸張したため、年間を通じて富山県一七・二%、石川県一八・五%の伸びを示し、交付税等国庫依存財源の増大と相待って、単年度において富山県二億二千万円強、石川県六千八百万円の黒字見込みであり、富山県においては公債費の繰上げ償還三千五百万円、石川県においては財源調整積立金が三千三百万円積み立てられております。また、三十三年度当初予算の規模でございますが、対前年増加率は富山県一一・八%、石川県二〇%と著しい増加を示しております。しかしながら、本年度は一般経済の不況が続く限り、積極財政が果して黒字を維持しつつ完遂できるかどうかは問題のあるところでございます。これをやや詳しく申し上げますと、富山県の昭和三十二年度歳入総額は百十二億千百万円、歳出総額百八億千八百万円、差引黒字額は三億九千三百万円となっておりまして、それに予算繰越額中の夫収入特定財源一億千万円を加えますと、実質収支纈は五億円余りの黒字となっておりまして、昭和三十一年度の黒字二億八千万円と対比しましても、著しい伸びを示しておるのでございます。また、昭和三十三年度現計予算の総額は百十一億七千五百万円で、前年度決算見込額とほぼ同規模となっております。公債費負担の状況につきましては、昭和三十二年度最終予算額で八億六千余万円に対して、昭和三十三年度現計予算では九億二千余万円と、すでに、約七%の増加を示し、年々累増の方向にあり、昭和三十七年ごろをピークとして、これを境として漸減する見込みでございます。 石川県の昭和三十二年度歳入総額は八十九億四千余万円、歳出総額八十八億七千七百万円、差引黒字額は六千八百万円、それに、予算繰り越しにかかる未収入財源四千万円を加えますと、実質収支は一億千万円弱の黒字となりまして、昭和三十年度の実質収支一億九千万円の赤字、昭和三十一年度の千五百万円の赤字と比べますと、その健全化への努力のあとは顕著なものがございます。これは、旅費、庁費等の消費的経費の節減によることはもちろんでございますが、前年に続いて県税の増収が得られたこと、交付税率の一%引き上げ及び国税の増収に伴う地方交付税が当初見込額を相当上回ったこと、軽油引取税、地方道路譲与税の税率が引き上げられ、道路整備に要する経費の財源が強化されたこと、県債償還財源として昭和三十一年度分の地方方交付税が繰り越して配分され、また、一般会計分の政府資金の利率が六分五厘から六分三厘に引き下げられたため、公債償還の負担が軽減されたこと等がおもなる理由として上げられております。昭和三十三年度の予算額は九十二億三千六百万円で、歳出内訳は、人件費四六・二%を主とする消費的経費六二・一%、投資的経費二八・八%、公債費七%というような分類になっております。 ここで問題の点は、一般財源の伸びが、人件費その他の定期的に増加する経費にマッチしないということでございまして、三十二年度に積み立てた三千三百万円の積立金と七千八百万円の剰余金を全部吐き出しても、なお不足する状況ですので、県当局としては、消費的経費をできる限り節減し、単独事業を削減して、何とか昨年の黒字を落さないように努力したいとの説明がございました。また公債費の状況は、昭和三十二年度最終予算で五億二千余万円、これに対して昭和三十三年度においては六億五千余万円と大幅に上昇して、財政の弾力性を阻害していることは留意を要するごとと思います。 最後に、この調査に際して種々の要望がございましたが、おもなるものは次の通りであります。 一つは、国の公共事業費の増額に伴って、地方負担額も急激に増加しているにかかわらず、起債の充当率は年々低下し、昭和三十三年度は前年度に比して半減している実情であって、公共事業費の増額に際しては起債のワクを拡大するか、地方交付税の増額等によって、地方負担額に対する財源措置を考慮されたいということであります。また、交付公債の現在高は二十一億二千余万円にも達し、この利子のみで昭和三十三年度は一億二千二百万円を要し、県費負担公債利子所要額の四分の一を占める実情にあるので、国の直轄事業に対する地方団体の負担については、利息付の交付公債をもって支払うかわりに、負担について年度割をもって分割支払いするという考え方によって利息を免除されたいというものであります。 以上簡単でございますが、御報告いたします。
○委員長(井野碩哉君) 本日は、これにて散会いたします。 午前十一時十五分散会