文教委員会 第2号
- 発言数
- 40 件
- 登壇者
- 6 名
- 会派数
- 2
- 開催日
- 1958/06/19
会議録
○委員長(竹中勝男君) それでは、これより文教委員会を開会いたします。委員会開会前に行いました委員長及び理事打合会の経過について御報告いたします。まず、吉田法晴君外三名から発議されました高等学校の定時制教育及び通信教育振興法の一部を改正する法律案については、次回の委員会当初において提案理由を聴取することに決定いたしました。次に、前国会から懸案になっております教職員の勤務評定について参考人の出席を求める件は、各会派とも異議なく二十四日または二十六日に全国都道府県教育委員長協議会会長木下一雄君、同教育長協議会会長本島寛君の出席を求めることに決定いたしました。以上、報告の通り決定することに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(竹中勝男君) 御異議ないと認めます。 —————————————
○委員長(竹中勝男君) それでは当面の文教政策について文部大臣から説明を聞くことといたします。
○高田なほ子君 大臣の御発言の前にちょっと委員会の運営についてお願いするわけですが、ただいま時計を見ますと、お昼までに大体五十分間の時間的な余裕しかないわけでございます。文教委員会は定足数がそろった上で開かれることが望ましいわけでありますが、従来の慣行上それをとやかくここで申し上げるつもりはありませんが、ただお昼過ぎになっても、一時になっても二時になっても委員会が終らない、こういうことであってはやはり非常にまずいのではないか、健康上にもやはり定期に休み定期に始まるということをせめて文教委員会あたりが率先して模範的な運営をやってもらいたい。きょうは、新大臣が文教一般政策についての御方針を述べられることに相なっておりますが、これについて私どもはだんだん御質問を申し上げるべく過般来よりその準備もしておるわけであります。しかし、余すところ正午までに五十分という時間、これではほとんど質問をする時間的な余裕もありません。また個人的に申し上げますれば、今回の勤評問題についての相当の弾圧が行われ、ただいま情報によれば、日教組の本部に今警官が入って、それぞれのやり方をやっているやに今情報が入っている。こういう中で非常に重要な問題として大臣に対する質問を用意してあるわけでありますが、まあ委員会の運営上かなりの時間をちょうだいしたく考えておりますので、この点について本日時間的な余裕を持つことができないならば、次回においてこの問題を取り上げていただきますよう特にお願いを申し上げて、委員各位の御承了を得たいと思うわけであります。以上です。
○委員長(竹中勝男君) ちょっと委員長からお返事申します。御承知の通りに、今日は開会が種々の事情でおくれました。しかも、きょうは十二時をめどに委員会を終りたいという御希望もあるのであります。また、これは当然のことで、健康上その他文教委員会が時間を守るということは大事なことと思いますので、そういうように運びたいと思っております。従って今日二、三の方々から質問の予定の通告がありますけれども、おそらくきょう十二時をめどにその質問をしていただく時間がないかと思いますので、先ほど理事会においても諮っておりました通り、時を改めて次回に御質問を十分していただく時間をとりたいと考えております。それでは灘尾文部大臣から文教政策について御所信を伺いたいと存じます。
○国務大臣(灘尾弘吉君) 文教政策についての私の所信をということでございますが、私は元来文教政策は、ある程度の期間継続的な、また一貫した政策でなければ適当でない、こういうような考え方をいたしております。従いまして始終大臣がかわるというようなことも、あまり望ましいことではないと、かような考え方をいたしておるものでございます。短期間の間に政策が変っていくとかといったようなことがありましては、日本文教の発展のためにはよろしくない、こういうふうな考え方でおるわけでございます。この前在任いたしましたのが半年とちょっとくらいのことでございますが、今回また十一カ月半ばかりで大臣がかわるというようなことでございますので、その意味から申しますというと、あまり望ましい姿ではない、かような考え方を実はいたしておる一人でございます。ただ幸いに前大臣の松永さんのおとりになりましたところの政策というものと、私の考えておりますものと、おおむね一致いたしておると思うのでございます。その意味合いにおきましては、この前文部大臣をいたしておりました当時と、今日の私がまた新たにいたします場合におきましても、そのものの考え方、政策の進め方等については、ほとんど差異がないと申し上げてよろしいと思うのでございまして、その点については私も仕合せであると、かように考えておるような次第であります。従って特に今回私が就任いたしましたから、変った何か政策でもとるかというようなことは考えておりません。大体において従来の文部省のとっておりましたところの政策を踏襲いたしまして、その発展させるべきものについては、さらに発展していき、また推進すべきものについては、さらに努力を重ねて推進していく、こういうふうな現在考え方でおるわけでございます。従って特に取り立てて申し上げることもございませんが、前々から私が皆さん方にもかつて申し上げたことがあるかと思うのでございますが、日本の現在の文教行政をながめました場合に、かなり昔のことを考えますというと、その取り扱う問題の範囲も広くなってきておる、また戦前等に比べますというと、かなり進歩しておるということは申し得ると思うのでございますけれども、現実にこの行政を担当して参りまして、どの面をとらえて考えてみましても、どうももの足りないものが少くございません。学校教育の面から申しましても、小学校から大学に至るまでまだまだなすべきことは、たくさんあるように思うのでございます。また、そのほかの社会教育、体育その他文部省の担当しております各般の仕事を観察いたしましても、いずれも決して十分とは言い切れないものがたくさんあるように思うのでございまして、まことに任多くして道遠しというような感じがせざるを得ないのでございます。何と申しましても、国の財政その他の関係上、文部省の思うような予算がなかなか獲得し得られない実情でございますので、やきもきせざるを得ない次第でございますが、一般的に申し上げましても、どの面につきましても、さらに拡充、発展をはかるために一そうの努力をしなければならないと深く感じておるようなわけでございます。まあ重点的に申し上げましても、今さら申し上げる必要もないと思うのでございますけれども、私はやはりこの教育の面をとらえて考えますれば、知育、徳育、体育と、古くから言われておる言葉でございますけれども、この三方面にわたってバランスのとれた進め方をしていかなければなるまいかと思うのでございます。ことに科学技術の教育につきましては、今日の世界の情勢から申しましても、またそれに関連して、日本の国内の要請の上から申しましても、一段と科学技術教育の発展をはかって参らなければならぬということは明らかなことでありまして、できるだけこの方面のことにつきましては努力を傾けて参りたいと思うのでございます。 道徳教育の問題も、また科学技術教育の振興と相並んで進めて参らなければなるまいと思うのでございます。今日までも、道徳教育につきましては、学校の当事者におかれましていろいろ努力もし、勉強もしてこられたと思うのでございます。さらにその効果を発揮すべく、いろいろと施策を進めて参らねばなるまいと、かように考えておる次第であります。前大臣の当時におかれましても、この問題については努力せられたように思うのでございますが、その前大臣の施策の実際における進行の状況あるいはそれが果して実情上どうであろうかというようなことにつきましても、十分実情を検討いたしまして、目的は道徳教育の効果を上げるということにあろうかと思うのでございますので、十分現実を検討の上で必要と認めることについてはさらに進めて参りたいと思うのでございます。 国民体育、学校体育、この問題につきましても、前々から申しておりますように、私は日本の国民の体位の向上をはかるということが必要であるということはもちろんのことであります。同時にかような仕事を進めることによりましていわゆる健全明朗な社会の実現のために、何らか資するところがありたいと念願をいたしておるような次第でございます。これも予算その他、いろいろ制約がございますけれども、障害をできるだけ克服いたしまして進めて参りたいと考えておるような次第でございます。 そのほか社会教育の面につきましても、人的、物的になすべきことはたくさんあろうと思うのであります。研究を重ねまして、社会教育についても大いに進めて参りたい。ことに青年の教育、青年の諸君が、岸総理も言われましたごとく、次代を担当するものとして、日本の理想、日本の希望の、これが中心でございますので、青少年に対する対策等につきましても、よく実情を検討の上施策を考えまして進めて参りたいと思っておるような次第でございます。具体的に申し上げる段階にはまだ至っておりません。要するにただいまの私といたしましては、すでに年度の半ばでございます。予算が計上せられましてこれが実行に移っておるわけでございますので、その施行の上において誤まりなきを期したいと思うのでございますが、次の予算編成の際には、今日までの状況を勘案いたしまして、必要と認める点につきましてはできるだけそれの実現に努力をしたいと、こういうことを申し上げるにとどめたいと思うのでございます。 なおこの際、一言申し上げておきたいと思いますことは、今日日本の教育界にかなり一種の混乱を生じておるということも申し上げて差しつかえないと思うわけでございます。特にいわゆる勤務評定の問題を中心といたしまして、各地にまことに不幸な事態が発生いたしておるように思うのでございます。これは非常に残念に存じております。行政の局に当る者といたしましても、十分この事態につきましては検討を重ねまして反省すべきことはもちろん反省して参らなければなるまいと思うのでございますが、私の基本の考え方といたしましては、この勤務評定を実施するということにつきましては、どこまでも実現をはかって参りたいと存じております。これに伴ういろいろの問題につきましては、まことに遺憾な事態が各地にあるのでございますけれども、漸次関係の皆さん方の御了解と御納得を得て、これが実現ができますように及ばずながら私も努力して参りたいと考えておるような次第でございます。一日もすみやかに日本の教育界がもっと明朗になり、もっと平和に、なごやかな状態となりましてほんとうに互いに関係者が手を携えて、文教の内容、文教の設備というようなことに懸命の努力ができるような状態に早くなりたいものと念願をいたしまして、微力を捧げたいと考えておるような次第でございます。 なおまたいろいろお話し申し上げることもあるかと思いますが、あるいはまた御質問等もございますことと思いますので、それに譲らしていただきまして、一応この程度で私の考えについて御了解いただきたいと思うのでございます。
○委員長(竹中勝男君) ただいまの灘尾文部大臣の所信表明に対しまして質疑のある方は順次御発言を願います。
○秋山長造君 今度の岸新内閣の組閣に当りまして、岸首相は組閣の最も重要な人事は大蔵大臣と文部大臣の選任である、こういうことを組閣に先だって表明をされたわけです。大蔵大臣と文部大臣の人選に最重点を置くという方針で組閣をされました結果、灘尾文部大臣がその選に当られてそして新しい文部大臣に就任されたわけでございますので、その責任と申しますか、お立場というものは特に重要視されておると思います。その意味で私どもも灘尾新文部大臣の一挙手一投足と申しますか、これからおやりになることに対しましては、重大な関心を持たざるを得ないわけです。それだけに新大臣とされましても、十分御自愛になって御健闘をお願いしたい、こう存ずる次第でございます。 そこで、時間の関係もありますからそう行き届いた御質問もできないのですけれども、若干の点について大臣のお考えをお伺いしたい。まず、当面非常に問題になっております勤評問題をめぐるいきさつであります。それも言い出せばずいぶん多いのですけれども、端的に、先ほども高田委員の御発言によりますと、ただいま警視庁が日教組の本部に対して一斉捜査を行なっておるという、はなはだおだやかならぬことを聞いたわけであります。また、先般の第二十八国会が終った直後にも、同じように日教組の本部や、都教組の本部に対して一斉捜査が行われ、そして私どもはそれに対して非常な遺憾の気持を持ったわけです。今度また選挙が済んで特別国会が始まるに先だって御承知のように都教組の末端組織に対しまして非常に広範囲な一斉捜査なり取調べが行われ、さらに十数名の人たちが逮捕され、手錠をはめて取調べを受けるというような、教育界にいまだかってなかったような乱暴な警察権の行使が行われておることは御承知の通りであります。しかも、この勾留の請求を裁判所に出して、裁判所はそれを却下する、しかも、それに対してまた警察の方が準抗告あるいは特別抗告をして対抗するというようなことまでしてやっておるわけです。 さらにまたあるいは和歌山県において、あるいはまた岩手県において、あるいは高知県においてこの教育問題である勤務評定を強行するために、しばしば、これは最もむき出しの権力と言っても過言ではないと思います、警察力をいきなり使うという、その警察を大々的に動員をして、そして警察の権力の威嚇によってこの勤評を強行しようというようなことが行われておるのです。どう考えましてもこういう、いきなり勤評問題に対して警察権がむき出しに介入してくるという形は私は許さるべき形でないと思う。多くは申し上げませんけれども、こういう事態に対して文部大臣としてまた国務大臣として、どういうようなお気持を持っておられるのか。 さらにまた先ほども申しましたように、日教組に対する一斉捜査が行われておるとするならば、そういう事態を前もって文部大臣は御存じなのかどうか。御存じとすれば、あるいは御存じないとしても同じことですが、こういう事態に対して、ただこれはもう手をこまぬいて見ておられるだけなのかどうか、その点お伺いしたい。
○国務大臣(灘尾弘吉君) 岸総理が文教の問題を非常に重要視しておられることはお話の通りでございます。私が果してその任にかなうものであるかどうかは別といたしまして、私といたしましても、現内閣の重要な行政部門といたしまして根限りの努力はしたいと思っております。しかし、これも皆さん方の御支援、御協力によってやるほかはないのでありますが、どうぞその意味でよろしくお願い申し上げたいと思います。 なお、ただいま日教組に対する一斉捜査が本日行われたということでございますが、少くとも私は全然承知いたしておりません。ここで初めて伺ったようなことでございます。 この今回の問題につきまして警察権が発動せられておるというような事態は、これは一般的に申し上げまして、私は教育界としましてはまことに残念なことだと思うのでありまして、そういうふうな事態が起らないことを切に望んでおるものでございます。また教育に関係することが多いのでございますから、警察その他が必要があって捜査をするというような場合におきましても、よほど慎重にやってほしいという気持はもちろん持っておる次第でございます。一般的な考え方としましては、そのつもりで警察当局にも私の気持は伝えたいと思っておりますけれども、ただ問題といたしましては、そういうふうな事態を引き起さないようにお願いをしたいと思うのでございます。こういうことをすれば違法である、あるいはまたこういうことをすれば刑罰法令に触れるおそれがあるということは、前々文部当局といたしましても御注意を申し上げておることでございますが、それにもかかわらず、各地でいわゆるわれわれが考えまして違法行為あるいは刑罰法令に触れるというものがかなり勇敢に行われておるようにも思われるのでありまして、かような事柄については、教組側におかれましても慎重にお考えを願い、そういう事態が起らないようにぜひ考えていただきたい、私は心からこれを念願するものでございます。勤評問題に対する反対の意見があるということはこれを阻止するわけには参りません。また人によりましていろいろのお考えもあることと思うのでありますから、反対の意見があれば反対を表明せられることについてかれこれ申すわけではない。十分にお互いに理解を深めていけば、だんだんわかってくる問題だと思うのでございますけれども、反対をするの余りにいわゆる実力行使に訴える。しかもそれが法規に触れるというようなことになってはまことに残念と思うのであります。そういう点につきましては、教組側におかれましてもともと一つお考えをいただきたいものと私は考えておるような次第であります。
○秋山長造君 大臣の御答弁は、一応の常識的な御答弁だと思うのであります。しかし、こういう御答弁で満足すべくあまりにもこれは事態は切迫していると思うのです。大臣もおっしゃるように、特に事教育問題であるし、ただ一般の事件と同じように扱ってはならないので、よほど慎重を期さなければならないというお気持を持っておられるやに、承わりますが、また警察当局に対しても、そういう大臣の強いお気持をお伝えになるおつもりだというふうに承わるわけでございますが、しかし、この間の都教組の各支部、分会等に対する一斉捜査なり、あるいは十何人の……十六人ですかの逮捕等の実情を調べてみますと、これは大臣がそういうお気持を持っておられるといなとにかかわらず、きわめてこれはもう露骨に、しかも私どもは非常に行き過ぎだと思っているのですが、たとえば学校の職員室の引き出しの中までひっくり返して見るというようなことにとどまらないで、さらに教室にまで入り込んで、そうして捜査をやる。あるいはまた子供の見ている前で先生を引っぱっていくというようなことまで行われておるのです。そういうことがすでに現実に行われておるにもかかわらず、大臣はそのときには大臣になっておられなかったわけですけれども、今後も同じことがあると思うのですからなおさら言うのですが、ただ文部省あるいは文部大臣としては慎重にしてもらいたいという気持を持っているんだということだけでは、気持だけでは、これは片一方はどんどんやるだけのことはやってしまうわけですからね、だからこの勤務評定問題の扱い方についていざこざがあることをどう考えるかということはともかくとして、やはり警察権力がこれはいきなりそういう現場にまで入り込んで、そうしてがむしゃらに一般捜査と同じような気持と態度を持って、そうしてやられるというところに、私どもはこれは警察の行き過ぎということ以上に、もっと根本にこれは私は政府自体にそういうことをあえてやらせることによってあるいはこの組織の分断をねらい、あるいはさらに現場の組合員の心理的動揺をねらい、さらにまた一般父兄、世間に対して私は悪質なPR活動をやっておられるのではないか、こういう効果をねらっておられるのではないかという邪推さえ、私はあえて邪推でもないのじゃないかというような気がいたすのであります。それらの点について、大臣、ただ慎重を要するというお気持を持っておられるということは私はけっこうですけれども、それを直ちに私は実行に移して、そういうむちゃなことだけはやらせぬように私はされる責任があるのじゃないかと思う。文部大臣としてそれをおやりになる御意思はありませんか。
○国務大臣(灘尾弘吉君) 問題は、犯罪の容疑があるとして警察当局で活動いたしておることでございますから、警察当局といたしましては、その職務の遂行上必要なことはやって参ると思うのであります。これがわれわれから考え、外から考えまして、非常なむちゃなことをやっておる、非常な行き過ぎがあるということでありますれば、これに対する批判ということももちろん起ってくると思うのでありますが、私は、日本の警察当局の活動につきまして、もしきわめて不当なところがある、あるいはまた非常な行き過ぎがある、違間いがあるということでありますれば、これに対して警告を発することにやぶさかではございません。しかし、事柄は検察権の発動ということでございますので、これはまたその立場において必要なことはもちろんやっていかなくちゃならぬと思いますが、一がいに今どうするとかこうするとかいうことをお約束申し上げるわけには参らぬと思うのでありますが、同時にまた、お話しになりましたような、何か特殊な意図を持って無用なことをやっておる、不当なことをやっておるというふうには私は考えられないのでございまして、少くともわれわれにはさような意図は毛頭ございません。ただ問題は、要するに法律違反の行為をどんどん日教組の方でおやりになるというような事態だけは一つなくするようにいたしたいと私は思うのであります。それを承知の上で、いろいろとおやりになるそのことが警察権の発動というようなことにもなってくるわけでありますので、原因を除去するということがやはり大事なことじゃないか、こういう意味におきまして、私は先ほども日教組の諸君にも十分考えてほしいということを申し上げたわけでございます。犯罪の容疑のあります場合に、警察が発動するということを、これをとめるわけには参りません。そのやり方等につきましては、いろいろわれわれの気のつくところについては申し上げてもいいかと思いますけれども、それを、それはいけないというふうにいわれる筋合いのものじゃないと私はさように考えておるのであります。
○秋山長造君 大臣は、事検察なり警察という問題になると、これはもうあたかも絶対的なもののようなお考え方をしておられるのじゃないかというように私は受け取ったのですが、私はそういうものではないと思うのです。警察にしても、検察にしても、私はこれはしばしば重大な過失を過去において今日まで犯してきておると思う。これはかっての特高警察等の例をあげるまでもございません。大臣も内務省で育たれたわけですから、そういう点の反省は私は十分なさっておると思う。早い話が、あの例の世論を騒がせた菅生事件等のいきさつを私どもがじっと見ておりましても、検察だとか警察だとかいうようなものも、事と場合によるとずいぶん手の込んだことをやるものだなあという印象をこれは持たざるを得ない。だからすべてがそうだというのじゃありませんよ。だから検察権にしても警察権にしても、私はそう絶対的なものだ、だから容疑があれば、何をやってもこれは仕方がないのだといって、手放しに放って置かれるということは、私はちょっと納得しかねるのです。特に、事文教問題ですから、なおさら私はその点について重ねて大臣のお考え直しを願いたいと思うのです。現にこの委員会でも、岸首相あるいは松永文相なんかも、しばしばこの教育問題に対して警察が介入する、警察権を発動するというようなことはとんでもないことだ、そういうことはあってはならぬことだという方針を言明されてきているのです。ところが、そういう総理大臣や文部大臣の国会における御答弁とはこれは全く別に、全く別世界のことのように、どんどん行われているわけなんです。これはもう理屈は、それは警察には警察の理屈がつくと思うのです。また、大臣には大臣の、同じ岸内閣の一員としてのお立場で、あるいは自民党の一員としてのお立場で、理屈をつけようと思えばいろいろつくと思います。つくと思いますけれども、そういう立場を離れて、やはり日本の文教問題、文教の責任をになう文部大臣の立場としてただもう警察がどんどんやる、検察庁がどんどんやる、勝手にやる、やることをただこれはもう容疑があるところ警察権が発動され、検察権が発動されることはやむを得ないのだということで、じっと大臣室からふところ手をして見ておられるという態度は、私はどうも納得しかねるのです。もっとやはり文部大臣として、あるいは政治家としてこの事態の中に一歩踏み込んで、そして問題を、先ほどおっしゃったように、了解と納得の上で問題を片づけていくという努力をぜひしていただきたいと思う、されるべきじゃないかと思うのですが、重ねてお伺いをいたします。
○国務大臣(灘尾弘吉君) 秋山君の仰せになるお心持もわかるのでございます。ですから、私は教育の問題について警察権が働いてくるというふうな場合には、特に慎重にしてほしいというような気持を持っているわけであります。従って警察当局の活動が非常に間違っている、行き過ぎているというふうなことにつきましては、関係者としてもちろんこれに対して注意を喚起するということは、当然のことだと思うのでございますけれども、現在の事態から申しまして、また警察権が発動せざるを得ないような事態がかなりあるように見受けられるのであります。そこらの点については、今後は教組側におかれましても十分一つ考えてほしい、さようなことが一番最初申しましたように、今日不幸な事態だということを私申しましたけれども、こういうふうな不幸な事態が起らないようにするということにお互いが努力しなければならぬはずのものじゃなかろうかと思うのでありまして、日教組の諸君におかれましても、勤評問題について反対の意見をお持ちになるということについて意見をお持ちになることをかれこれ申すわけには参りませんけれども、その反対をやるために、間違った行動だけは一つとらぬようにしていただきたいということが、私の切なる実は念願でございます。こういう点におきまして、お互いにこの点は心配しなければならぬ問題だと思うのであります。
○秋山長造君 日教組に対する大臣の御希望等については、これは大臣が直接日教組と十分お話し合いになったらいいし、また、私どもはぜひそれをやっていただきたいと思うのです。やはり離れ離れで、とにかく感情的になられて、私は先般来大臣が就任されて、そして新聞等に新大臣の抱負としていろいろ伝えられているところをこまかに拝見してきているのですが、どうも選挙が済んだ直後というような特殊な雰囲気もあるかげんかどうか知りませんけれども、私は灘尾文部大臣にしてすら、やはり日教組の問題に対する御発言というものは、相当他の科学振興だとか社会教育だとかいうような御発言とはニュアンスが違ってきてがぜん非常に感情的なといいますか、そういうエキサイトしたような発言をされているので、これはまあ今度灘尾文部大臣が大臣になられて、またこれは大へんだぞというような感じもいささか持ったのです。きのうの本会議場における代表質問に対する御答弁等を拝聴しておりましても、やはり同じような感じを私は受けたのですが、この問題はどうせ教育問題という共通した問題です。また、日教組に対しても、それはいろいろな批判があることは私どもも承知しております。承知しておりますけれども、しかし、同時に文部省自体のやり方に対しても、大いに世間に批判があるということも一つ御反省願いたいと思う。特に昨年来の文部当局のおやりになることには、なかなか常識的に私ども納得しかねる節がたくさんあるわけです。そういう点については、これは灘尾文部大臣も役人生活を長くしてこられた方でございますから、だからそういう点はこれはしろうとの部外の大臣よりは、一そうこれはよくお気づきになっていると思うのです。やたらに通達だ通達だといって通達に籍口して、そうしてもう法律のワク外にはみ出すようなことをやたらにやったり、あるいはまた内面指導だとか何だとかというような口実のもとに、これはもう実に激しいことを繰り返してやってきておられるということについても、私どもは非常な憤りを感ぜざるを得ない。そういう点は一つ、多くを申さなくても大臣もおわかりになると思いますから、十分にそこらは一つお考え直しを願いたいと思うのでありますが、しかし、いずれにしてもこの同じく教育の問題を取り上げ、そして日本の教育の前途ということを念願しながら、文部省とそして日教組とがいつまでもそういう並行線の状態で、ただ離れ離れに遠方の方から言葉を投げ合うという状態は私は望ましい状態じゃない、大臣もおそらく同じお考えだろうと思います。とするならば、大臣はただこの勤評問題に限らず、あらゆる文教問題について、日教組と直接話し合うという機会と場所とを持たれるべきじゃないかと思うのです。それを文部省が一月の末に全国に通達を流されたように、勤評の問題はこれは労働条件等とは関係ない問題だから、県の教育委員会が教員組合などと話し合う必要はないのだ、こういうような通達を文部省の方から一方的に全国に流して、そうでなくても非常に神経がとがっているものを、さらに火に油を注ぐような態度で逆に挑発的な態度に出られるというようなことも、私は絶対に慎んでいただきたいと思うのです。そういう態度では、私は静かに日本の教育問題を論ずるという雰囲気はできないと思うのですよ。その点について、日教組と文部大臣は胸襟を開いてお話し合いになるという気持がおありかどうか、承わっておきたい。
○国務大臣(灘尾弘吉君) 日教組と私どもの間の話し合いというお尋ねでございますが、日教組の諸君に会うことは、何も拒否する理由もなければ、いつでもお目にかかってよろしいと思うのです。ただ問題は、文部省のやり方にも、あるいは皆さんからごらんになるというと、批判の種が相当あると思いますけれども、それは率直におっしゃっていただきたい、改められることについては改めてけっこうだと思っておりますが、日教組の諸君とお目にかかって、今お話しのお言葉にありましたように、胸襟を開いて静かに日本の教育について話し合いをするというような状態のもとに、話し合いができれば望ましいことだと私は思うのであります。しかし、私はかつて日教組の委員長にも申し上げたことがあるのですが、日教組の諸君と会見してお話し合いをするにいたしましても、これはいわゆる団体交渉とか何とかというそういう性質のものじゃない、何か文部大臣との間に談判をするとか、話の取りきめをしてハンコを押すというようなことをお考えになるならば、私はそういう考えを持っておりません。自由な立場でお互いに意見を交換することもけっこうですし、あるいはまた何か要望することがあれば、その要望事項についてお話をすることもけっこうです。あるいは意見があればその意見を伺うということもけっこうでありますが、交渉をしたり談判したり取引をしたりするような立場にはいないということだけは、一つ御承知おきを願いたいということを、かつて私は日教組の委員長の方にも申し上げたのでありますが、その点を御了解の上でおいでになることならば、いつでも私はお目にかかることはできると思うのであります。同時に、また、私が何か感情的になっているのじゃないかという御議論であります。新聞なんかに現われた記事によりますというと、こんな激しいことを言ったかしらんという気もすることが私はあるのでありますけれども、決して感情的な気持で日教組に対しているわけではございません。もしまたそういうふうな点がありとするならば、もちろん反省するにやぶさかでございません。さような気持は毛頭持っておりません。願わくば教育関係の職員団体として、できるならば同じ方向に向って協力して進んで参りたい、こういう気持を持っておるのであります。日教組の諸君にいわせますというと、何か頭から政府なり文部省は敵であるというふうな基底のもとにいろいろなことを考えておられるようでありますけれども、われわれは日教組を決して敵とは考えておりませんが、その点については、日教組の諸君にもよく考えていただきたいと思うのでございます。十分胸襟を開いて話をする心の準備はできておるつもりでありますけれども、ただいまのような雰囲気のもとに、ただいまのような御主張のもとにお目にかかるということはなかなか困難じゃないかと、こういうふうに私は考えておるのであります。
○秋山長造君 大臣と口げんかするつもりも何もないのですけれども、大臣のおっしゃるところによると、これは大臣個人というよりも、これは文部省の皆さんが大体そういう共通な気持を持っておられる向きがあるのじゃないかと思うのですが、どうも日教組と話し合うということは言葉としてはいいことだけれども、何でもかでも文部省に敵意を持ってやってくるものと話し合おうといってもしようがないじゃないか、こういうことをよく聞くのです。しかし、これも過去にいろいろいきさつがあってのことなんですよ。大体どっちが一体手を出してそうしてどっちが一体攻撃的なことをやり出したのかということを、過去にさかのぼって考えてみると、これは文部省自体ですよ。これはあの大達文相の当時の、あの教員の政治活動を非常にきびしく制限したいわゆる当時教育二法といっておったが、十九国会のああいう問題で、まず文部省なり文部大臣の方が、日教組に対して攻勢に出てきたわけですよ、日教組に対して攻撃をしかけてきた。それからそれに続いて、あるいは教科書の検定制度の強化であるとか、あるいは新しい教育委員会法の問題であるとか、あるいは勤務評定の問題であるとかいうふうに、ことごとにこれは文部当局の方が教員に対して攻勢に出てきておるのですよ。だからそれに対してそれは教員は私は追い詰められておると思う、追い詰められて、追い詰めたのはこれは文部省なりあるいは歴代の政府ですよ。だからそこらのことも、一つこの際、率直にさらりと反省をしていただかなければ、ただ日教組に対して今大臣がおっしゃるような、こっちはまともな気持でも先方がひねくれてくるのだから話にならぬというような独善的な態度では、これはなかなか話し合えといっても話し合いはできぬと思うのです。それからまた大臣が今おっしゃるように、会うのは会ってもいいけれども、日教組の性格は職員団体だから、職員団体の行う限度にとどまってもらわなければいかぬだとか、あるいは団体交渉じゃないのだ、ただ会うだけなんだというように、初めから理屈がましくやはりかみしもをみずから着て、そうして、さてそれを認めた上でなら話し合ってやろうというような態度では、私はなかなかこの話し合いはできぬと思うのですよ。だからそういうことは、大臣は非常にきちょうめんな方ですから、だからそういうことを前もっておっしゃるのでしょうけれども、しかしそういう態度では、私はなかなかほんとうの話し合いというものはできるものじゃないと思うのです。だからあまり理に走らないで、また感情的にならないで、一つこの問題は十分教育の問題については御善処を願いたい、また日教組との話し合いについても、私はフランクな気持と態度で御善処を願いたいと思うのです。大体これはもう文部大臣というものは上に立っておる人なんですから、やはり上に立つ人がまずそういう胸襟を開くという態度で取り組むのでなければなかなか問題は前進しないと思うのです。まあその点については、これは重ねて大臣がそういう態度と気持と、そして反省の上に立って一つお話し合いを願いたいと思うのですけれども、ぜひそうやっていただきたいと思うのですが、重ねてお尋ねします。
○国務大臣(灘尾弘吉君) 決して私は何かよろいかぶとを着て日教組に対するというような気持じゃございません。先ほど申しましたような心持で、お互いに理解し合うといいますか、了解し合うというような心持をもっての会見ならいつお目にかかってもよろしいと思うのであります。会うとまたけんかをする、お互いに敵対観念が強まるだけだというような結果になったのではまことに不幸なことですから、日教組の諸君にいたしましても、話のわかる方がおいでになって、そして静かにお互いに話し合うというふうなことなら私は問題はないと思います。しかしながら、大ぜいの人が何のために押しかけられるのかわかりませんけれども、大ぜいの人が押しかけてきて、いわば何か交渉でもやっておるかのごとき状態のもとにお目にかかってもお互いの理解を深めるということにはなりにくいのじゃないか、こういうふうに私は思うのであります。これは私も十分考えますが、日教組の諸君におかれましても十分お考えを願い、会う時期があればいつでもお目にかかってよろしい、私はさように考えております。
○吉田法晴君 教組に対する捜査あるいは組合の諸君に対する勾留、こういう問題は別の機会にもまた時間をとって十分お尋ねをいたしたいと思うのでありますが、今、同僚秋山委員と文相との質疑の中で論議せられました点に関連をして一点だけお尋ねをいたしておきたいと思います。 問題は、今二人の中で論議をしておられました、日教組に対して感情的な敵意を持つか、あるいは教育に対して、あるいは教育行政に対して納得と協力の上に教育あるいは教育行政を続けていくかどうか、この点についてはこれは、前文部大臣松永東氏も参議院の文教委員会で勤評問題についてもこれは一方的な強行を進めて紛争を起すべきじゃないとして最後まで努力をされたのであります。そういうお気持がおありになるのかどうか、これが今の一番の問題の点であったろうと思うのであります。ところが、勤評の一方的な強行、そしてそれに対する反対、それに対して地方公務員法違反の容疑ありとして今警察、検察庁が出ているのだと思うのであります。ところが、実際に私どもがタッチをしてみますと、警察なりあるいは検察庁が出ました裏には、これは文部大臣は御存じないことかもしれませんけれども、私は文部省の動きというものが相当あったように了解をいたしております。警察、検察、それに文部省も加わって協議をせられた際に、文部省が佐賀の教育界において定員の削減問題から休暇戦術がとられた、それを警察あるいは検察庁は地方公務員法違反の疑いがあるとして動いている。こういう先例があるから、今度の問題についてもこれは地方公務員法違反である。こういう主張を文部省の局長でありますか課長でありますかわかりませんけれども、おそらく局長であろうと思うのでありますが、そういう主張をされた。それが警察、検察庁を引きずった、こういうように私は承知をいたしております。そのとき警察なり、あるいは検察当局にも私ども申し上げたことでありますが、佐賀の事件は二十八年の水害のときに三億の金を知事が出された、救済のために出された、その裏づけがなくて国なり法律に基いて裏づけができない。そこで佐賀の学校の先生なりあるいは県の職員でありますが、定員を減らさなければならぬという事態が起って参った。しかし、そういう事態が起らないように佐賀の知事は努力をいたしました。努力をしている最中に警察の発動があった。こういう事態に対してはきわめて好ましくない、問題は私の責任であると知事は言っておられる。ところが、そういう佐賀の実例を引いて、そして地方公務員法違反の疑いがある、もしそれについて判例が出ておるならば別問題だが、まだ判例は出ておりません。ところが、行政解釈として警察が疑いがあるとして発動をした、それを根拠にして文部省当局がもし警察権なりあるいは検察権の発動を要請したとするならば、これは事態は、文部省があの捜査あるいは勾留をさせたといったところで私は過言ではないと思う。そういう事態があったかなかったか御存じはなかろうと思うのでありますが、もしそういう文部省の当局が警察権の発動あるいは検察権の発動等をさせたとするならば、それは先ほど来の文部大臣の答弁とは違う。これは事実じゃないでしょうか。そういうものを含めて前文部大臣の方針を踏襲すると言われるけれども、納得の上に協力を求めたい、こういうことを言われますが、勤評の強行にしてもあるいは強制捜査その他勾留にしても、私はこれは文部省のとるべき態度ではなかろうと思うのです。先ほど来の質疑答弁を聞いておっても、実際の動きは違うようでありますから重ねてこの点だけ伺いたい。
○国務大臣(灘尾弘吉君) 今回の警察権の発動につきまして文部省がどういう役割を勤めたかということにつきましては、私実は詳細承知いたしておりませんが、こちらから警察権の発動を要請するとかというような事実はもちろんないことと思うのであります。ただ問題は、いわゆる公務員法違反の行為という問題につきましては、文部当局といたしましても重大な関心事でございます。従ってかような場合において先例をとられるとかあるいは法規の解釈をされるとか、事実はどういうふうになっておるか、お互いに情報の交換をしたり、あるいは意見の交換をすることは、これは関係当局としてあり得ることと思うのであります。その程度のことは私はあったのじゃないかと思いますが、特にこれを引っぱれとか、これをどうしろとかいうようなことまで文部省が言うべき筋合いのものではないし、また言っていないと私は確信するのであります。私は特に納得と了解ということは何をする上にも大切なことだと思うのでありますが、この問題の筋道については誤解のないようにお願いを申し上げたいと思うのであります。と申しますのは、この勤務評定の実施ということはこれは私の考え方からすれば、法律に基いて行政を行なっていくということの、いわゆる行政作用の問題でございます。その行政作用をやっていきます場合に、各方面の方々の意見を聴取するとか、広く皆さんの意見を聴取して間違いのないようにやっていくということは、もとより大切なことだと思うのでありますけれども、教組の諸君におかれましてもこの問題について御意見があれば意見を発表せられることは何ら差しつかえない。また、意見を申し出られることも何ら差しつかえないと思うのでございますが、この意見が聞かれなかったら学校を休むぞというような態度は、これは私は行き過ぎだろうと思うのであります。そういうようなことでの話し合い、納得、了解をつけるということはなかなか困難なことだと私は思う。法律に基く行政作用でありますので、これはあくまでもその責任の当局者も十分考究の上で実行するということにおいては、これを聞かなかったらこうするぞというような性質の問題ではないと私は思うのでありまして、その点は一つ御了解願いたいと思うのであります。
○吉田法晴君 関連ですから多くは申し上げませんが、行政にしても、戦前の憲法に基く行政ならば別問題であります。しかし民主教育、あるいは民主的な行政というならば、これはやはり建前だけではなくて実際にこの教育委員会なり、あるいは教職員の納得と理解なしにはできぬのじゃないのですか。あるいは教育それ自身にしてもそうです。子供に対してさえ一方的にこれは行政であるからこういうことをやるのだ、こういうことで、それなら道徳教育は実際はできるかというと、そうじやなかろうと思う。あるいはこの国会の文教委員会で行政についても私ども論議をいたします。これもやはり十分聞いておやりになるべきだろうと思う。これは国民の批判と意見を聞いておやりになる。おやりになるならば、それが民主的な批判にたえておやりになるということでなければなるまいと思う。文部省でこうきめたから、それは決定の権威の前にはだれが反対しようと、だれが批判しようとやると、こういうことでは私は民主的行政はできないではなかろうかと、こうまあ思うわけです。 もう一つ、先ほどの警察、検察権の行使ということでございますが、警察、検察庁は独自に動く、これはわかります。わかりますが、文部省としては、あるいは教職員についても、あるいは国民の意見を代表いたしますそれがあるいは少数党であろうとも、国民の意見を聞いておやりになるべきであって、それがそのやり方が言葉で言うと、前文部大臣の納得と理解の上にしか協力が打ち立てられぬ、こういうことであろうと思うのであります。そういういき方でなしに警察の発動、あるいは検察権の発動について、文部省がもしかりにその発動を促すような作用をするとするならば、それは民主的な面の行政のやり方ではないではないか、こういうことを申し上げておるのであります。その点について重ねてお伺いいたしますが御答弁をいただきたいと思います。
○国務大臣(灘尾弘吉君) 行政も法律に基いて行政作用を行います場合に、間違いなきを期するために各方面の意見を聞く、あるいは世論を聞くということはこれは当然のことだと思います。さようなことについては努力していわゆる民主的にやっていかなければならぬということはこれは当然のことでありますが、いろいろ慎重に考究いたしました結果、その所管の官庁なり役所なりにおきまして決定いたしました場合においては、これには一応従っていただかなければ困ると思います。それを従えないということになりますれば、国の行政はできないということであります。そういうことになります。そういうことになるわけでありますから、教組の諸君におかれましても意見は意見として仰せになることは何も妨げるところではございませんが、われわれの意見が入れられなかったらこの仕事はやらせないのだ、これは私はどうかと思う。良識のある学校の先生方の言葉とは受け取れない、かように私は考えるのであります。 それから、警察の発動の問題でございますが、問題にもよると思うのでございます。文部省に関係した事項において、文部省としてどうしても何とかしておかなければならぬということがあれば、これは警察に頼むということもあり得ることであります。しかし、この勤評の問題等において文部省が特にここはどうだとか、こうしてくれとか、こっちがどうだとか、ああしてくれとかいうようなことを要請した事実は私はないと確信しております。
○委員長(竹中勝男君) ちょっとお諮りいたしますが、さらに続行いたしますか。——まだ十五分ですから一言それでは関連の……。
○湯山勇君 関連をすることを先にお尋ねいたしたいと思います。実は勤務評定の問題が愛媛で最初起りましたのは、灘尾文部大臣が前回御就任になっておるときだったと思います。そのときに、文部大臣のおとりになった態度は、決してどちらに味方するというのではなくてこういう紛争しておる事態をどういうふうに収拾していったらいいか、そういうことについて大臣が非常に御苦心をなさったことを私は直接存じておりますし、この委員会でもそういう御発言がございました。ですから、ただ若干時日は離れましたけれども、その継続のつもりで大臣は勤務評定の問題には対処されるものだというように私は非常に期待を持っておったのでございますが、実は今秋山君から指摘されましたように、本会議という特殊な雰囲気もあったかと思いますけれども、非常に大臣は当時強い語調で御発言になりましたので、実はいささか心外に思ったくらいでございました。しかしまあきょうの御発言を聞いておりますと、やはり以前お考えになっておられたことが残っておることも感じられまして、そういう点について若干お尋ねしたいと思うのですが、大臣はやはり現在起っておる事態についてはその原因を除去することが大切だ、こういうことをおっしゃったわけですけれども、その原因というのは私は非常にたくさんあると思います。一つは、確かに大臣が言われましたような組合側の問題もあるかもしれませんけれども、しかしまあ愛媛の問題にいたしましても、あるいは和歌山で起っている問題にいたしましても、たとえばあそこでは文部省あるいは前文部大臣もそれは明らかに間違いだと言われたようなことを県条例で作っております。しかも交渉の途中で教育委員会側が警官の出動を要請するといったようなこともありまして原因を除去するということになれば、四十六都道府県の中で混乱の起っておるのは数府県でございますから、その府県にはそういう事態が起る特殊な事態がきっとあったに違いないということをごらんになると、必ずしも大臣が言われたように日教組がこういうことを決定したからこうだという一方的な割り切り方だけでは原因は除去できない。それからまた文部省自体も同じように、実は文部大臣も前回から御存じのように、文部省自体が実施者ではないわけでございますし、今実施しておるのは各教育委員会が自主的にやっておるということでございますから、何も文部省が腰を入れて、肩を入れてやる必要もないことで、どうしてもこれはやらなければならないというような、そういう強硬な決意を文部大臣自身がお述べになる必要もないことだと思います。むしろ文部大臣としては、話し合いのついたところからやっていけというような態度が、私は本日の原因を除いていくという大臣のお立場からいえば当然だと思います。しかしまあ印象として受けるのは、どちらかといえば、岸総理もホトトギスの話をしましたが、何か文部大臣は鳴かぬなら殺してしまえという信長か、鳴かぬなら鳴かせてみようという秀吉かで、鳴くまで待とうという家康のような御心境ではないというような印象を受けるのですけれども、やはり原因を除くということになれば、そういう文部省自体でどうやるか、教育委員会が果してこういう事態を起すのに責任はないかどうか、こういうことについてもやはりお考え願わなくちゃならぬのではないかと思うのですが、大臣の御所見を伺いたいと思います。
○国務大臣(灘尾弘吉君) 仰せの通りに、この勤務評定を実施するということは、地方の教育委員会の仕事でございます。文部省の直接の仕事ではございませんが、ただ文部省といたしましては、この法律の施行ということについては、文部大臣としても私は責任があると思います。法律がありながらこれが実施せられない。またそれに従って物事をやろうといたしましてもこれが進んで参らないということになりますれば、法律の施行に責任を持っておりますところの文部大臣といたしましては、この実施のために努力をするということはこれは当然の仕事であろうと私は思うのであります。問題はそのやり方の問題になって来るわけであります。あるいは地方の教育委員会のやり方におきましても反省すべき点があるかもしれません。あるとするならば、直ちに反省してもらいたいものと考える次第でありますが、受け取られる側におかれましても、このことは国法がきまっておって、それに従って行政作用としてこれが進んで参ることであるという筋道だけはぜひ一つ御了解を願い、またそれに向って御協力を願いたいと思うのであります。そのやらんとしておることが間違っておる、非常に不適当であるということであれば、これは改善してちっとも差しつかえない問題だと思いますけれども、事柄自体を頭から否定するというような態度は、この際ぜひお考え直しを願いたいものと私は念願しておるものであります。この心持は随所において私は表明いたしたいと考えております。
○湯山勇君 そこで、紛争の起っておるのは大体教育委員会と教員組合の間に起っておるのが多いと思います。そういう場合に、文部省としては事態の解決にどういうふうに処置していくかということがむしろ大切であってそれをやらせるということに重点を置くというようなことは、私は国の行政府としてはやはり必ずしも適当な態度ではないのではないかというように考えますが、この点についてはどういうふうにお考えでしょう。
○国務大臣(灘尾弘吉君) 私は今度のこの勤務評定の問題につきましては、これはやらせるという方角でものを考えたいと思っております。そのやらせ方についていろいろ改善すべきところは改善していくとか、あるいはまた内容において議論がいろいろ紛糾しておるというような場合には、いろいろ御相談があれば、もちろん御相談に乗ってもいいと思いますけれども、これをやらせないというか、いつまでたってもやれないという状態に置くことはやきもきせざるを得ない。何とか一つ御了解のもとに物事が進んでいくようにぜひお願いしたいと思っております。また、一度きめられたことが未来永劫に変えられないものでもない、あるいは場合によってはやってみておかしかったらまた直そうじゃないかという気持もあっていいんじゃないかと私は思うのであります。みんなが万人が納得するような、万人が満足するというようなことはなかなか容易にできないことであります。これは私は、慎重に研究した結果できました案については、これが実施をはかっていくというためにいろいろ努力していかなくちゃならぬと思うのでありまして教職員の諸君におかれましても、決して口をふさがれておるわけでも何でもない、改善すべき事柄があれば改善してよろしい問題でありますので、とにかく法の施行ということについては私は協力するというお気持だけはぜひ持っていただきたい、こういうふうに思っております。
○湯山勇君 大臣のお気持はわかりますけれども、それならば私は抽象的な勤務評定というものはないと思います、それぞれ具体的な内容を持っておるわけですから。そういう問題があるし、現実に教育委員会の案等についても、参考人が見えて聞きたいと思いますけれども、その通りはいっておりません、どこもほとんど。そこで、もしそういう事態であれば、私はこの際両方が一歩引いて、文部省も強行するというようなことじゃなくて、もう一ぺん一つ一歩下って検討すると、やるという方向を変えないということについては、私はとやかく言うのじゃありません、委員会側もとにかく団体交渉にも応じない、それから押しかけてくれば警察を呼ぶというようなことじゃなくて両方が一歩下ってもう一ぺん検討し直すというようなことを大臣としてはこの際お考えになる余裕はございませんか。
○国務大臣(灘尾弘吉君) これが施行の責任を負い、任務を持っておりますのは地方の教育委員会であります。従って、その実施については、どういうふうな経過をとって、どういうふうにやっていくかというようなことまで一々文部省は干渉するつもりはございません。地方の実情に応じて教育委員会としてはその任務を完全に果してもらいたいというだけのことであります。 なおまた今のお話でございますが、私はこの問題はいろいろ御意見もあろうかと思いますけれども、団体交渉の対象になる問題ではないと思います。この問題につきましては、もちろん先生方の意見を聞くことはけっこうであります。十分聞いてやることもけっこうでありますが、交渉が妥結しなければやれない問題だというふうな性質の問題ではないと思います。この点についてはさように一つ御了解を願いたいと思います。
○湯山勇君 この問題はちょっと——私まだいろいろありますけれども、時間がありませんし、なおゆっくり大臣と話し合いしたいと思いますから、非常に急ぐものだけ一つ伺いたいと思います。 公立義務教育諸学校の学級編制及び教職員定数の標準に関する法律、これは前国会で成立いたしました。これはもう実施になったのでしょうか。実は公布の日から施行するということになって、五月の一日で公布されております。ところが、実際問題としてこれに関係する政令がまだできていないために実際は実施されていない。これは非常に国民の期待しておるすし詰め教室解消の法律でございまして、四月に間に合わなければ、早くやらないと大へんな子供たちも迷惑をこうむっております。こういうものを一体今までおくらしておったというのはどういうわけでしょうか。政府の提案で、しかも予算もできておりまして、法律提案されるときには政令なんかもう大体腹案ができていなければ、当初政府が意図したように四月一日からの実施はできないわけでございまして、それが延びて、今日法律が通過してすでに二ヵ月、五十日もたってまだ実施されない、これでは一体何のためにわれわれ法律を通したのかわからない。大臣も今言われたように、法律にあることは実施したいと言いながら、政府が提案した法律を文部省身体が、もっと言えば政府自体が実施させていない、これは全くどういうわけなのかお伺いいたしたいと思います。
○国務大臣(灘尾弘吉君) 仰せの通りに、法律が成立いたしました以上は、すみやかにこれを実施することはこれは当然なことであります。これのために必要な準備その他において多少の日にちを要しておるかと思います。その経過につきましてはまだ十分承知いたしておりませんので政府委員からお答えいたさせます。
○湯山勇君 これは、大臣は直接当時の責任者でありませんからお聞き願いたいと思うのですが、今の勤務評定のようなものは、とにかく法律にあるのだからというのでおやりになる。それもそれとして、こんなに国民が要望し、われわれの委員会でも若干問題がありましたけれども、これも私、大臣が前回御就任のときにずいぶんこの問題についてはお尋ねして、御尽力によってとにかくここまで来たということで、この法律は成立したいきさつもありまして、当然私は法律が通過して施行になれば、もう即座に実施されるものというように思っておりました。その用意は当然私はあってしかるべきと思います。にもかかわらず、今日まで放置されている、で、各府県とも六月県会では補正予算を組むというので用意をしておりますけれども、一向政府の政令ができないので、補正予算も組めない、従ってすし詰め教室の解消もできない、こういう状態に追い込まれております。一体どこがこういうふうになった責任を負うのか、非常に遺憾なことだと思いますので、だれの責任か一つ責任の所在を、これは大臣は冷静な立場で、一つこういうふうになったのはどこの責任だというようにお考えになるかお示しいただきたいと思います。
○国務大臣(灘尾弘吉君) どういう事情のもとに今日までまだ実現されておらないのかということをつまびらかにいたしておりませんので、よく聞きましてまた御報告申し上げたいと思います。
○湯山勇君 大臣にお願いしたいと思うのです。それは今申しましたように、政府提案で政令がまだできないというのは、これはもう政府の怠慢であるということは申すまでもないことだと思います。こういうのはさかのぼって実施するとかというわけに参りません。ほかの法律関係であれば、場合によれば四月にさかのぼってということもできますけれども、今はこのままにいくと、一体いつ政令ができるのかわからない状態じゃないかと思います。いつ一体政令ができるのかということについての大臣の御答弁が願いたいのと、それからもしその政令が各府県の六月の県会に間に合わないとすれば、予算も通っておるし、法律も通っておるのですから、腰だめででもとにかく若干の措置はとれると思います。そういうことについて何らかの対策を立てていただけるのかどうか。 それから第三点は、とかく政令というのは法律に従って忠実にやられなければならないのに、場合によると法律の精神を政令で曲げるとか、今申しましたように、法律はせっかくこういうふうにできていても、政令をおくらせることによって実施を怠っておるというような事例が相当私はあると思います。大臣も御存じのように、前回の教科書法のごときは法律を出していながらそれが成立していないと、今度は行政措置でそれをやるとか、最近の文部行政の中にはそういった非常に不明朗なものが相当あると思います。こういう面については非常に練達な大臣でありますから、十分こういう点は監視もいただくし、それから御善処願いたいと思いますが、今申しました三点、この政令はいつできて、ほんとうにこの法律が施行されるのは一体いつになるのか、もしそれが六月県会に間に合わないとすれば、指導によって六月県会に間に合うように何らかの手が打っていただけるか、それから法律を政令その他の行政上の措置によって曲げたり、あるいは実施をおくらせたりすることについて今後どういうふうにお考えか、この三点についてお伺いいたしたい。
○国務大臣(灘尾弘吉君) お答えいたします。私十分事情をつまびらかにしておらなかったのですが、大体今度の政令は事務当局の間におけるいろいろな話し合いの関係もあって若干おくれておるようですが、今月中には出せる見込みで進めておりますから、さように御了承を願いたいと思います。 なおまた政令の内容等につきましては、一応その予定の通りに実現できるものという想定のもとに、地方との間におきましてはそれぞれ連絡もいたしておるようでありますから、決定いたしますれば、すみやかに実施はできるものと考えておる次第でございます。 それからまた、先ほど御注意を伺いましたが、御注意の点につきましては十分気をつけていきたいと思いますので、御了承をいただきたいと思います。
○委員長(竹中勝男君) ちょっと速記をとめて。 〔速記中止〕
○委員長(竹中勝男君) 速記を起して。
○湯山勇君 六月中にできるというのは確実でございましょうか。実は事務当局でとやかくいう問題ではないと思うんです、この問題は。事務的におくれておるというようなことも理由にならないと思いますので、これについてもなお追及いたしたいのですけれども、それはなおまた別の機会にいたしまして、とにかく大臣が六月中にやるということをここでおっしゃっていただけばできない問題じゃないと思いますので、その点一つ明確にしていただきたいと思います。
○国務大臣(灘尾弘吉君) 六月中にやるつもりでおります。
○委員長(竹中勝男君) それでは、当面の文教政策に対する質疑は、次回委員会において引き続き行うことといたします。 —————————————
○委員長(竹中勝男君) この際、委員の異動について御報告いたします。 本日、佐野廣君が辞任され、その補欠として大谷贇雄君が選任されました。 本日は、これにて散会いたします。 午後零時三十六分散会