逓信委員会 第6号
- 発言数
- 173 件
- 登壇者
- 14 名
- 会派数
- 2
- 開催日
- 1958/07/03
会議録
○委員長(宮田重文君) これより委員会を開会いたします。 委員の変動について御報告いたします。 去る二日横川正市君、前田佳都男君、鶴見祐輔君、苫米地英俊君、館哲二君がそれぞれ辞任され、藤原道子君、木島虎藏君、最上英子君、黒川武雄君及び大野木秀次郎君がそれぞれ選任せられました。 また、本日藤原道子君が辞任され、横川正市君が選任せられました。 ―――――――――――――
○委員長(宮田重文君) まず、継続調査要求についてお諮りいたします。郵政事業の運営に関する調査及び電気通信並びに電波に関する調査を閉会中も継続して行うため、本院規則第五十三条により、継続調査要求書を議長に提出いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(宮田重文君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 なお、手続等につきましては、委員長に御一任願います。
○委員長(宮田重文君) 次に、委員派遣についてお諮りいたします。今期国会閉会中、郵政事業、電波、電信、電話事業及びその他の調査を行うため委員派遣を行いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(宮田重文君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 なお、期日及び人選等につきましては、委員長及び理事に御一任願います。
○委員長(宮田重文君) それでは、郵政事業の運営に関する調査、電気通信並びに電波に関する調査を議題といたします。
○森中守義君 委員長にお尋ねしたいのでありますが、きのう調査案件等に必要な政府機関の出席を求めておりましたが、大臣、政務次官、事務次官等見えないようでありますが、出席を拒否したのですか、どういう理由によって出席していないのですか。
○委員長(宮田重文君) これは要求してありますが、ただいまちょうど衆議院の委員会に出席中でありますので、これはそう長い時間かかりませんで、こちらへ全員出席することになっております。拒否はされておりません。
○森中守義君 全部出席いたしますね。
○委員長(宮田重文君) ええ。
○森中守義君 最初に、この前の委員会のときに資料の提出の問題で、国会法百四条と、それに刑事訴訟法第百九十六条の関連で問題の結末がついておりません。で、あのときに私は委員長及び理事打合会の方で何分の取扱いを検討してほしい、こういうことを申し上げて、委員長の方から善処するという、言葉は違っておりますが、そういう趣旨の答弁をもらっております。どういったような措置をおとりになったのか、この点も委員長にお尋ねしておきます。
○委員長(宮田重文君) 本件につきましては、森中委員から御意見がありましたので、法制局その他に当委員会において明確にしていただくような努力をしていただくために、本日その法制局より出席を願っておりますので、その点についてのお答えをしてもらいたい、かように考えております。
○森中守義君 そうしますと、扱いとしては法制局の出席者と委員との間の質疑によって明らかにしたい、こういうことですか。
○委員長(宮田重文君) ええ。
○森中守義君 それでは、法制局関係にお尋ねいたします。その後私の方でもいろいろ相談をいたしましたり、検討いたしました結果、大体筋としては明瞭になりました。それで、やはり委員会の先例ということでもなかろうかとは思いますが、これから先、委員会の運営上かなり大事なことでありますから、そういう意味で法制局次長の御所見を伺っておきたいと思います。 第一に伺いたいことは、百四条の正式の手続を終了いたしまして資料の要求をした結果、第一国会から現在まで百九十六条の関係で提出が行われずに済んだような先例が本院においてあるかどうか、これを最初にお尋ねをしておきます。
○法制局参事(今枝常男君) ただいまお尋ねの先例の件でございますが、これは百四条の正式の手続を経て要求されました場合につきましては、ほとんどがこれに応じて要求の資料は提出されております。ただ一件だけこの提出がなされないままに終ってしまったという事例があるように記憶いたしております。
○森中守義君 その提出をしなかったという事例はどういう案件でしょうか。
○法制局参事(今枝常男君) ただいま手元に書類を持ちませんので的確に申し上げられませんのでございますが、日教組に対しまして大会の記録、たしか大会の記録だったかと思いますが、そういうものを提出するようにという御要求であった事例と思っております。
○森中守義君 先に本院の委員部から発行になりました事例諸表というのがありますね、これをずっと見てみますと、司法委員会関係で尾津事件の審理状況、それから松島事件外五事件に対する裁判の処理状況、こういうものですとか、真大事件、それから裁判官の刑事事件不当処理に関する調査の件、こういうものを初め百四条による議長を経由した報告または記録の提出要求一覧表というものによれば、おそらく要求されたこの資料の内容というものは法務関係が一番多いんです、第一国会から二十四国会までの間に行われている先例としては。しかも、その要求の相手はときに法務総裁であったり、警視総監であったり、あるいは検事総長であったり、もしくは東京の拘置所長であるとか、こういったように司法機関あるいは検察機関に対する要求が非常に多い。それも、先刻の御答弁からいけば全部要求に応じておる、こういうことでございますね。
○法制局参事(今枝常男君) 私はそういうように了解いたしております。つまり、全部出たように了解いたしております。
○森中守義君 そうしますと、これは委員長に申し上げたいのでありますが、大体今の先例ということが本院では従来尊重されて参っておるし、しかも今度郵政大臣に要求をした七十九条の問題ですね。これは、たとえば内閣総理大臣なり、最高検の総長なり最高裁の長官、警視総監、こういう人たちに要求するものがよほど事件の内容としてはより深刻なものであり、より高度の機密を要するものだと思う。にもかかわらず、高検やあるいは最高裁その他法務関係が資料の要求に応じておるという先例からいえば、大体この問題は私は解決をしたものだ、こういう工合に認識をしたいのでありますが、委員長の御意見はどうですか。当然出すべきだということですね……。 これはあとでいいです。これはにわかに委員長に、その裁量はどうかという聞き方もちょっとおかしいと思いますが、今、法制局の次長の所見によりまして大体問題は非常にはっきりしてきたと思う。つまり、百四条によって百九十六条は当然拘束力を受ける、また院の先例としては、そういう性質のもとに資料の要求が行われてきた、こういうふうに私は解釈をいたします。これで法制局に対してはよかろうと思う。ただ私は、だからといって郵政当局にこういう、先例がこうなっているから、どうしても七十九条関係の資料を出せということはもうこれ以上追及いたしません。大へんお困りのようです。そういう意味で、これは建前としては非常にはっきりいたしました。けっこうです。従って、資料の要求はそういう意味合いにおいて、郵政省が今まで百九十六条を理由にして回避してきたのですが、これは事実上成立をしない認識と判断が明瞭になりました。会議録にもそのことが残りましたから、この点については私は一応終りたいと思います。
○委員長(宮田重文君) ちょっと法制局にお尋ねいたしますが、今、森中委員の言われておるような見解が、法制局としてはそういう解釈のもとに進んでよろしいと、こういう見解をお持ちになっていらっしゃいましょうか。
○法制局参事(今枝常男君) ただいまの森中委員の御見解の通りかどうかということは、その御見解の解釈によって異なると思いますが、ただいま御指摘になりました二、三の事例が、実は私も今具体的にどういう中身のものであるかということを記憶いたしておりませんので、今回の場合の事例と比較して同じような、あるいはそれ以上高度の、何といいますか、秘密性が中にあるような性質のものであるかどうかということ自身、実は私自身頭にございませんので、その事例が今回の事例にどう響くかということにつきましては、私自身としては実は断定できないように感じておる次第でございます。
○横川正市君 法制局にちょっと私の方から二、三点御質問申し上げたいと思いますが、第一点は、郵便法七十九条のごとく、一応事業法と言われているようなものが、他の企業体の関係法規の中にあるとすれば、どういう内容のものか明らかにしていただきたい。
○法制局参事(今枝常男君) 実は、ただいまの御質問の趣旨、ちょっとよく理解いたしませんでしたので……。
○横川正市君 郵便法を、大体通常はこれは事業法というふうに私ども言っておるわけですが、たとえば、国有鉄道法だとか電電公社法であるとか、そういうような、これと同じような類似した法律の中に、この種のいわゆる罰則を伴った法律が幾つかあるように私は記憶しております。そういったものがどういう条文になって作られておるか、入っておるか、そういう点です。
○法制局参事(今枝常男君) ただいまのお話は、郵便法の、問題の七十九条というような種類の規定が、これと類似した事業法の中にある例があるだろうかという御質問かと理解いたしましたが、そういう意味でございましたら、おそらく同じような種類のものがあると了解はいたします。ただ、今すぐ具体的な事例を用意しておりませんが、あるはずとは考えております。
○横川正市君 大体この郵便法七十九条に類似したものが日鉄法、電電公社法の中にあるように私は記憶いたしておりますが、そこでお聞きしたいのですが、この郵便法七十九条の趣旨ですね、大体この趣旨としている、ことに一番大きな焦点は「ことさらに」故意、犯意というところにあろうと思うのでありますが、これは法制局としては、どういうふうに解釈をされていらっしゃるか。
○法制局参事(今枝常男君) ただいまの御質問の趣旨は、郵便法の七十九条に、故意の関係の要件といたしまして「ことさらに」ということを規定しておる。そこで、それがどういう意味を持つかということかと了解いたしますが、一般の場合に、この点に関しまして「ことさらに」という用語を用いている例はあまりたくさんはないように考えております。そこで、この言葉が何か特殊の意味を持つかどうかということにわたってくると思うのでございますが、これにつきましては実は、解釈上大きくは二つの考え方が立つのでございまして、「ことさらに」と規定してありましても、これは一般の場合と同じように、故意を要求しているだけであって……。という意味は、過失を省いて普通の故意を要求している程度の趣旨である。つまり、特に「ことさらに」という言葉で表現していない場合と同じことであるというふうに考える考え方と、それからもう一つは、特に「ことさらに」と規定いたしました趣旨は、単に一般の場合の犯意という程度の要件を必要としている以上に、特にそういうことを目ざした意図のある場合というふうに考える。つまり、従いまして一般的の認識といたしましては、ある結果が生ずるかもしれないということを認識をいたしてはいました場合でありましても、特にそのことを意図している場合だけがこの「ことさらに」で要求されている要件である、こういうふうに考える考え方と、大よそ二つあるように考えております。従いましてこれがその二つの方向のどちらになるべきかということは、実は有権的には裁判所できめることでございますので、中間の考え方は実は強い意味は持ち得ないのじゃないかと、こう思っているのでございます。
○横川正市君 裁判所へ行けばこれははっきりすることなんだということは、実はこの話をプライベートな場所で法制局の方に私お聞きしたのでありますが、立法をする場合には、必要を迫られて、それに対して法律を規定するということになって立法府がその法律を作るわけであります。ですから、その法律を作られた趣旨というものは常に立法府が主体であって、法の運用というものの最終決着が最高裁だというふうに、あまり無責任な態度のとれないのが国権の最高である国会の建前だと私は思います。そういう建前からいくと、この法律が作られたときの趣旨というものがあって、そしてその趣旨に沿うて行政部門、行政官庁がそれを適用して取締りなり、あるいは業務を運行する、こういうことになるわけですが、その場合に、この国会で審議が未成熟であったとか、不十分であったとかいうことでけ言いのがれのつかない問題で、単に行政府が立法府の考え方とは全然……。法律を作るときにはそういう意思が全然なかった、その意思を拡大解釈するようにして法律を適用するというようなことが起り得るのじゃないかと、私はそういうふうに思うのでありますが、そういった場合に、具体的に、事業法でありますから、事業を運行するために必要であったということ以外にこの法律を適用するというような場合が起ってきたときに、これもまた最高裁判所へ持っていって白黒をつけてもらう。ただ見解としては、立法府は事業運行をするために、この法律はこうですよということが明らかにできないものか。この点が、この郵便法七十九条をめぐって実は私疑問に思っているところなんですが、その点を一つ見解をお聞きしておきたいと思います。
○法制局参事(今枝常男君) 実は、ただいま裁判所できまると申しましたことは、ここで申し上げますことが最終的な法律判断の基準になってはいかがかと思いまして、実はそのように申し上げたのでございますので御了承いただきたいと思います。 で、それでは立法当時がどういう趣旨であったかということは、実はわれわれも記録によってその趣旨を承知するだけでございます。それで、一応その記録を調べました限りにおきましては、ただいま申しましたような意味におきましては、少くとも記録の上ではそれがどちらであるかということが必ずしも明瞭でないように存じております。おそらくその審議の過程におきましては、いろいろな詳細な御審議があったことと想像いたしますけれども、立法当時の今残っております資料からわれわれが判断します限りにおきましては、必ずしもそこは明瞭ではないように存じております。
○横川正市君 これは、私のこれから行う質問ということになりますと、こいつは裁判所でやった方がいいということに答弁がなるかどうかわかりませんが、この条文の中にあります故意、いわゆる犯意というものを立法当時の精神から勘案してみて、組合運動を行う場合の組合員の、いわゆる心がまえといいますかが故意、犯意というものに該当するかどうか、非常にどうもむずかしいかと思いますが、私は組合員が組合運動を行うというのは、これは故意ではない。そういうふうに大体まあ考えるわけなんですが、組合員が組合運動をすることが故意であり、犯意なのかどうか。ただ行なった結果、たとえば器物を損傷するとか、人体に傷害を与えるとか、こういうようなことが起ってきた場合には、これは当然いろいろな適用法規というものはあろうかと思いますが、組合員が組合運動を行う、こういうことが故意ということに通ずるかどうか、この点一つ明らかにしていただきたい。
○法制局参事(今枝常男君) 実は大へんむずかしい御質問でございますが、あるいは少し講釈めいて恐縮でございますが、法律上故意と申しますことは、その罰則に関係して故意と申しますときには、その罰則が定めておりますところの結果を認識していれば、それで故意があるというふうに法律上は使われている次第でございまして、従って組合運動のためにある行為が行われました場合におきましても、その組合運動の結果、同時に法で規定しているような結果の生ずることを認識いたしておりますれば、法律上はそれだけで故意ということにはなるわけでございます。
○横川正市君 今の答弁なんですが、私は組合運動というものは憲法の二十八条ですべての者が平等にこれは受ける。この日本国憲法の建前から、そういうものを基本法として行われているものじゃないかと思う。それから事業法は、それぞれ事業を運行するに必要な法律を定め、それに対して違反行為があった場合には、それで罰則を受けることになる、こういうふうになっている。法律の個々の持っている意味というものは非常に、拡大解釈を許さないそれぞれの内容というものがあるのじゃないかと思う。そこで、一番私は奇異に感ずるのは、これは非常にむずかしい表現でありますから、この表現をあとからこうでないか、ああでないかと解釈することは別問題といたしまして大体この法律を見て、一般的にこの法律は、こういうふうに解釈するのが正しいというのを見ますと、大体まあ組合運動を行う場合に、組合員が郵便物に対して故意な意思を持つということはあり得ないのではないか。だから、これを組合運動に適用するということはおかしいじゃないかという意見とか、あるいは組合運動というものは、郵便その他に対して故意を持っているなんということを判断したものは、おそらく全世界どこを探してもないだろう。いろいろ言葉の内容からくる解釈の方法というか、その一つ一つが、必ずしも現実に起っている問題とはかけ離れている解釈が非常に多いわけなんです。そこで、立法府としてこれをどう解釈するかというのは、私は非常に大切なんじゃないかというふうに思って質問をしたのでありますが、そこで、たとえばこの郵便法七十九条は、今全逓労働組合の職場大会をめぐって検察当局が、この法に照らして家宅捜査、逮捕、それからおそらくその後の結果については合議をしているという段階だろうと思う。これをめぐって抗告、準抗告、特別抗告すべてが却下をされたという事情があるわけなんです。そこでこの準抗告の却下の内容を見ますと、単に証拠隠滅とか、住所不定とか、そういった理由がないということもさることながら、事業法を労働運動に適用するのは、少し無理なんじゃないかということも、私は多分に裁判官の主たる考え方の中にあるのじゃないかと考えられる。そういうようなもので、それをここで正当化しようとするんじゃないんですが、ただ、この逓信委員会で、この事業法で七十九条を審議したときに、労働問題ことに正当な労働問題にはこれを適用しないのだ、適用いたしませんと、こう政府答弁はなされておる。それから、その後の経緯を見ますと、国家公務員法に変っております。それから、さらに公共企業体等労働関係法に変っておる。そこで、その変ってきた経緯は別問題として、公労法の十七条で規定されております、同盟罷業ないしはサボ、こういったものは禁止されておるのだから、その禁止されたことを行なった場合には、十八条で解雇という処分を受ける、こういうふうに規定をされておるわけなんであります。ところが、その解釈の中に、組合法で罷業権があった場合には、他の一切の関係法規は阻却されるけれども、公共企業体等労働関係法には、十七条によって違法行為があった場合には処分をすると言っておるから、だからその阻却性は消えてしまって、そして事業法である郵便法七十九条というのが適用されるのだ、こう解釈をしておるようなのであります。これは、検察当局もそうですが、最近行いました郵政当局に対する質問でも、そういう答弁をされております。それで、私は、国会で、たとえば非常に事務上の問題としては公労法十七条、十八条の審議段階で、こういうような違法行為があった場合には、郵便法七十九条というものを適用して刑事処分を受けるのですよ。こういうふうな審議があるかどうかといって調べてみましたところが、それは全然ないわけなんです。ですから、ないということは、私の考えでは、二十二年の郵便法七十九条が作られた当時の考え方は、労働組合関係には一切この法は適用いたしません。いわゆることさらに故意犯意というのは、郵政局から最近出されておりました犯罪の累計をずっと見て参りましても、すべて個人が郵便官署に対する損害を与える、あるいは郵便物を通じて第三者に損害を与える、こういったことが罰則の中心になっておるようでありまして、労働問題に一切適用されたことはないわけでありますから、そういう慣例からいきましても、これを持ってくることは非常に無理なんじゃないかと私は考えておりますが、そういう私の考え方は、法制局の皆さんの考え方としては、一体どういうふうになるのか。もう一点、これはどうしても問題になりますのは、公労法十七条の同盟罷業、サボタージュというのは、これは禁止しておるから、この法だけを見ますと、なるほど禁止しておるから、この法に反すれば違法だということになりますが、基本法である憲法の二十八条では、当然の権利として労働者に与えられておるものであります。憲法が優先するのか、公労法が優先するのかといえば、だれだってこれは憲法が優先する。そこで、憲法の二十八条に対して、いろいろな制限規定を設けられる。今までの政府の言い分は、二十九条の公共の福祉という問題にかかってきております。条文が二十八だから二十九だからといってどちらが優先する、しないということはないと思いますが、この二つの条文を通してみて、当然与えらるべき権利を政府は、たとえば郵便法七十九条で一切の行為が禁止されるということは、公労法十七条から郵便法七十九条へ直通するのでありまして、憲法二十八条の建前というのは全然考えられておらないということになるわけですが、その点の見解を一つ明らかにしていただきたい。
○法制局参事(今枝常男君) 具体的な事件の取扱いについての意見は差し控えたいと存じますが、一般的に申しまして、たとえば故意の要件を備えている場合でございましても、別個にその行為の違法性をなくするような事由がございますれば、当該の罰則は適用されないということがすべてにわたる原則でございます。従いまして、郵便法七十九条に関係するような事案の場合でございましても、それが別個に正当の行為としてなされるような、法が正当の行為として認めているような行為の結果起った場合でありますれば、それは適用さるべきではないということは一般的に申し得ることではないかと存じます。従いまして、もし正当な争議行為の結果、七十九条に規定しているような結果が生じた場合でございますれば、七十九条は十分排除される、こういうことになり得べきものだと存じております。 それから、公労法の十七条があっても、憲法の方が強いんで、正当行為かどうかということについて、公労法から判断が直通すべきではなくて、憲法の方からいくべきじゃないかという御趣旨の点につきましては、これは公労法十七条と言わないで、もし法律と憲法との関係でございますれば、まさに仰せの通りと存じます。ただ問題は、公労法の十七条が、それでは憲法に反しているかどうかということによってきまると思うのでございまして、もしこれが憲法に逸脱いたしておりますれば、お話の通り憲法から直通して正当行為かどうかということが判断さるべきことになると存じます。ただ、公労法十七条が憲法に適合しているかどうかにつきましては、ここであらためて申し上げるまでもなくいろいろの論議が十分された問題でございますし、それから現にこれは法律としてともかく国会を、結果としては憲法を逸脱していないという判断のもとに成立した法律であると考えられますので、現行の公労法が存在しますもとにおきましては、公労法から直結して判断されることは必ずしも間違いではないのではないかというふうに考えております。
○山田節男君 大臣に私質問申し上げたいのですが、この間の大臣御就任早々の当委員会で、私はテレビジョンの問題について御希望を申し上げておる。ところが御承知のように、国会も間もなく終りますし、閉会中の審査ということもありますが、以下御質問申し上げたいことについては、閉会中に事態がより悪くなるという懸念もありますので、本日わざわざおいで願って御質問申し上げるわけです。それは、大臣が今後の政策をおきめになる上について、前大臣、あるいは前々大臣の政策を受け継がれていくのですが、特に注意をしていただきたいという点を私は申し上げた。で、それが遺憾ながらどうも政府の思うようになっていないという事実がありますのでお尋ねしたいわけです。 その第一点は、九州のKBCの問題、これは昨年の十月に一般の民間テレビジョン放送の免許を与えた際にも相当紛糾した地域である。ところが、田中前大臣の裁定によって予備免許を与えられたわけです。ところが、自来非常な紛糾を重ねましてこのKBCに対する何か訴訟を提起したような問題が起きておるということを私は聞くのですが、事実そうなのか。すでに電波監理局長を通じて、大臣にそのことがお耳に達しておるのかどうか。おそらくこの予備免許の問題が一つのそういう争議になって訴訟ざたになるというようなことは、これは非常に心外にたえない。同時に、前大臣がこの予備免許を与えるということにつきまする私は決定そのものが十分でなかったという点に、かような事態が起きたのではないかと思う。まずその事実が、事態がどういうふうになっておるのか、御存じならば承わりたい。
○国務大臣(寺尾豊君) 本件に関しましては若干、山田委員のおっしゃったような懸念について、私も報告を受けております。ところが過日、代表者も参りまして、訴訟ざたになっておる、これがようやく話し合いもついて、この訴訟は取り下げをするようになった、まあこういう話でありましたから、できるだけ円満に協力をし合ってその使命に一つ邁進してほしいという希望を申して別れたのでありますが、その後その訴訟をしておる本人からも私信が参りまして、何か多少申しますと、少し変った人ではないかと、まあ私はそう判断したのです。取り下げるようになったかのようなことを私信をもらったわけです。なお、詳細につきましては、局長からいさいの点をお答えいたしたいと思います。
○政府委員(濱田成徳君) この問題の内容につきましては、大臣がただいま御答弁を申し上げました以上に私は詳しくは存じません。しかし、訴訟が取り下げられたからといって、この問題が完全に解決したかどうかということは、また別問題だろうと思うのでありまして、要は、去年の予備免許を与えますときに、私どもが、いわゆる停止条件付予備免許を行いました。その精神が今後いろいろな方面から達成されますように、格段の努力をお願いしたいということを当事者に要請しました。さきにその方針に従って今後も努力するという言葉を聞きまして、その言明に期待を持ってその成り行きを見守っておるというのが現状でございます。
○山田節男君 こういったような訴訟の取り下げとか続行とかいうことは、これは別問題としまして、そういう事態が発生する背景の原因はどこにあるかということを私は心配するわけです。これは現に濱田監理局長は、平井前々大臣が辞任される直前に、三放送局にテレビ予備免許を与えた。大半は昨年の十月中旬だと思いますが、田中郵政大臣のもとに予備免許が与えられたわけです。私の記憶する限りにおいては、あの昨年の十月の中旬に民間放送、テレビ放送の予備免許を与える場合に何といいますか、基準というものが内示されて、その条項に従うものは予備免許を許す。その内容も公式の資料で知ったわけではありませんけれども、しかし、その内示の内容を見ますと、これは当委員会でしばしば問題になったように、いわゆるマス・コミュニケーションというものが一企業体に独占されてはならない。ことにこのテレビジョンの予備免許の場合においては、新聞社というものが、経営面においてテレビ、ラジオ、新聞社というものが独占的な経営をすることは望ましくない。これは郵政大臣がはっきり条件を示して、そしてあの予備免許を与えられた。ところが、今日の今の九州におけるKBCの問題のごときは、そういう政府の予備免許を与える場合の内示にしても、今、停止条件ということを言われたが、その条件を付されて 〔委員長退席、理事松平勇雄君着席〕 それを守るからということにして予備免許を与えられておる。しかるにもかかわらず、こういう事態が起きるということは、これはやはり田中前大臣が、具体的に言えば、朝日とか毎日とか読売とか産経とか、こういう大きな商業新聞に対してことに非常に弱いところがあったから、こういうことになる。私は、こういういろいろ事態が起きる背景において非常に憂うべきものがある。しばしば私も御注意申し上げ、田中郵政大臣あるいは電波監理局長もこの委員会の席上でこの点については厳重にやりますということを幾度も誓われたにもかかわらず、こういう事態が発生するということは、私はその禍根はどうしてもそこにあるんじゃないかと思うのです。これに対して私は、三十六局予備免許を許されておりますが、しかし、福島のような例もある。また、できたといっても、名古屋あるいは大阪にしましても九州、熊本にしましてもみんなこういう問題が起きている。どうにか体裁はなしておりますけれども、噴火山上にあると申してもいい。こういう予備免許を与えたことがいいかどうかということは、これはわれわれの委員会の責任者としてこれは座視できないのです。ですから、これは寺尾郵政大臣も御就任になって濱田局長からいさい御報告を受けられたと思うのですけれども、昨年の十月の中旬に、民間のテレビ放送が、予備免許を与えられる条件を守ると誓約をしたものが、今日政府の意思に反したやり方をしておるということに対して一体どうするかという考えを、これは一KBCの問題ではございません。寺尾大臣として、これはただ一つの例証にすぎないけれども、潜在的にはこういうものがたくさんあるわけです。これをどういうふうに処理される方針か、寺尾郵政大臣としても大体御所信も私は固まったんじゃないかと思うから、この際どうでしょう。
○国務大臣(寺尾豊君) 予備免許を与えます際の基準その他により、あるいは条件等を付し、十分政府の意図を順守すべく確約をした。この確約に反しましていろいろ紛擾を起す、あるいは支障を来たす、こういうことにつきましては、主管大臣といたしましてはあくまでもこれを反省を求めるところは求め、またその条件を順守すべく注意をいたしまして、この当初の政府の方針また約束をいたしましたことを履行することを極力忠告していきたいと存じております。従いまして私といたしましては、できるだけこういったような問題のある会社等をもできれば十分視察、検討いたしまして、政府の方針に沿って放送事業の高い使命に彼らが一致協力をして徹すると、その最初の条件に従ってりっぱな運営をやると、こういう方向にはあくまでも誠意を持ち、また強くこういったようなことを要望して健全なる発展に向って、理解も協力もしていきたい。かように考えております。
○山田節男君 これは、今、大臣のおっしゃることも抽象的にはわかるのですけれども、今申し上げたように、KBCはこれは一つの現象であって、付随するものはたくさんあるのであって、内在的には二つや三つじゃないだろうと思うのです。これは大臣が現場におもむかれて、視察して結論を出すとおっしゃっても、これはミイラ取りがミイラになるということは私はないだろうと思うのですけれども、しかし実際問題として、あの紛争の経過を見ますと、少々のことでは、これは資本系統あるいは人事的な関係あるいは勢力争い、こういうようなもの、ことに新聞社の場合におきましては、これがもう非常に露骨になってきているわけです。民間の話し合いでは収拾つかない。それかといって裁判ざたで解決するか。大体予備免許に関しては、電波監理局という郵政省の一内局ではありますが、電波監理局長がそういう事実を認められれば、予備免許でも取り消すとか――そのための停止条件なんですね。これは裁判でどうのこうのというべき問題ではないのです。これは寺尾大臣も御存じのように、アメリカにおきましては、FCC――連邦通信委員会が全部そういう裁判的なことをやるわけです。これを裁判なり、司法的な機関によってやるということは、少し電波政策では邪道だと思うのです。あくまで、日本でいえば電波監理局が、これが直接の管轄部局である。そうして、これは郵政大臣が、この場合には主要な行政を行う。これが今の電波行政です。そのためにわれわれが電波監理委員会を作った。電波監理委員会が、日本としては、まだ民主主義の素地がよくできていないために、ついにああいうことになって、郵政省の一内局になったのです。けれども、精神からいうと、電波監理局長、郵政大臣が司法機関にまかすということ自体がおかしい。これは寺尾大臣もアメリカでこのことをよく御存じのことなんです。この事態を許すということは、郵政大臣としてしのぶべからざることなんです。その点においても、私は今日の事態はまことに憂うべき事態であって、今、大臣のおっしゃるようなことでは、結局これが民間の訴訟事件になって、電波行政というものは、そういうことになりますというと、非常に悪い前例を作る。こういうことを私は心配するのですが、今の大臣のお考えは抽象的にはいいかもしれませんけれども、実際問題として非常に私は憂えざるを得ない。 どうですか。電波監理局長あたりは、実除、この問題について 一昨年あたりからとられておられるのですから、今のようなやり方がいいか、悪いか、今さらあなたから御答弁を求める必要はないと思う。そのために免許というものは三年の期限がついておるのですから、郵政大臣、電波監理局長がそこに一つの指揮権を発動するという建前、これをやらないというと、こういうものを作らないと、電波監理局長としては何にもならない。業者の野放図な活動を許しておいてはいけないと思うのです。これを漫然として一般の訴訟機関にまかせるというようなことは、まことに私は許すべからざることだと思う。どうですか。電波監理局長は、責任者として、一般の司法機関の訴訟問題として処分させる、処理させるというようなああいういき方で、この予備免許をなされるということは、これは国民の共有財産である電波というものについて、こういう前例を残してはいかぬと思うのです。どうですか、濱田局長。
○政府委員(濱田成徳君) 山田委員の仰せられることは、全く私同感でございまして、国民の共有の所有物でありますところの電波を、きわめて公平に、合理的に利用するように、われわれは全力を尽さなければなりません。従いまして、ただいま御指摘の、予備免許のみならず、番組の問題でありましても、あるいはその他の問題でありましても、私どもは、絶えず放送事業者の行動を見守りまして、この精神に反する場合がありました場合には、絶えず忠告し、あるいは適切な方法をもちまして、反省するように促すというふうな方法をとるようにいたしておるつもりでございます。しかし、先ほど以来仰せになりました、昨年のテレビジョンの大量なる予備免許、しかも停止条件という、そういう前例のないところの処置をいたしましたその際の情勢、それを考えますれば、その後、もう少し具体的に申しますというと、いろいろ複雑な事情がありまして、無理なこともありました。それを短期間のうちに免許基準あるいは方針なるものを充足させまして、そうして一応全国一斉に予備免許を与えるということをやりますにつきましては、いろいろな私ども関係申請者に対しまして御相談あるいは要請、いろいろなことをいたしまして、そうしてこのことが必ず実現するようにという御相談をいたしまして、こうしなさい、というのでなくして、御相談をしまして、すなわち政府と各申請者の間に協議をいたしましてそれによってああいう期限条件、停止条件付免許というものをやったのでありますから、これの満足、完成というものは、なかなか御想像のごとくむずかしいのであります。で、一番問題は、言論機関の独占排除ということでありまして、新聞と放送の分離経営等を私どもは考えております。理想として考えておるのでございまして、これを先般の免許方針の中に織り込んだわけでございます。しかし、一方におきまして、憲法とか商法とかいろいろな法律が、電波法、放送法以外にございまして、たとえば、民間放送会社の場合には、株主の発言あるいは権限等がここに関連があるのであります。そういう意味で、この精神を生かすように各申請者はあらゆる努力をいたしましても、申請者以外に、株主だとかあるいは一般の聴取者というものがありまして、それらの意見等が総合せられますから、必ずしも最初に作りました免許方針なんかにそのまま適合するようにはなかなか相ならぬのであります。それをできるだけ早い期間にこれが充足されますように私どもは鞭撻をしておるわけであります。今日のところ、おおむねその軌道に乗りつつあるようでありますけれども、ただいま御指摘のようなケースもありまして、それらにつきましては、大臣が答弁されましたように、適当なる措置をもって、この免許方針が必ず達せられまして、電波法の精神が生きますように、あらゆる努力を払いたい、そう考えておる次第でございます。 〔理事松平勇雄君退席、委員長着 席〕
○山田節男君 実際、当面の責任者としての濱田局長の今のお話、一応よくわかるのです。それ以上に出られないということは、これは電波監理委員会という、一種の政府の外局ですね、こういう制度をやめたところに、換言すれば、今日の郵政大臣の権限では電波行政というものが限度がある。これは私はいけないと思うのです。そこに今後の郵政当局、ことに大臣、電波監理局長として、電波行政というのは、立法、司法、行政の三つの権限を持っていないと公平な電波行政ができるものじゃないのです。それがために、アメリカだって困って、今からもう二十五年ほど前にああいう法律を作ったのですから、こういうわれわれが憂いておったことが、実際こういうものに現われてくる。次々にそういうものが出てくることを予想しなければならない。そうすれば、現在の電波監理局を郵政省の内局にしたという、これは、私は、そのあやまちが今、濱田局長の答弁しておる権利の、監督、権限の限界というもの、それ以上に出られないということ、それは私よくわかるが、しかし、電波行政の本質からいって、寺尾郵政大臣は、もうよくその点については先輩なんだから、やはりきぜんとした態度を持って、電波行政の紛争を裁判にでも訴えて、民事、刑事に問われるということはこれは邪道でありますから、これはきぜんとした態度を持って、こういうようなことも事前に大臣の権限において、そういうことの起らないような強硬措置をとるというだけの腹がないと、次々にこの問題が起るのじゃないか。ですから、私は重ねて申し上げますが、大臣の今後のこの、ことにテレビジョンあるいはラジオの予備免許につきましては、大臣がやろうとされても、御案内のように、いろいろな方面から政治的圧力が出て、できないということはよくわかります。しかし、そのところもきぜんとした態度をおとりにならないと、非常に電波行政というものは歪曲される憂いがあるから、私はこの点を重ねて大臣にお願い申し上げておきます。 それからその次は、この間カラー・テレビジョンのことについて私御注意申し上げておったのですが、これもその後いろいろな事態が起きてきておる。たとえば、ラジオ東京が最近増資することになりました。増資する数億の中で、五千万円ということを言うておりますが、五千万円の金はカラー・テレビジョンに充てるということを言うておる。最近、NTVの当局者の一人がアメリカから帰ってきて、これらの会合等における言葉から察しまするというと、もうカラー・テレビジョンは実施すべきだ、今日の実験放送を、さらに範囲を広げて次の段階にこれはどうしてもしてもらわなければいかぬ。それから昨日の新聞を見ますというと、今度北海道の札幌で、何か博覧会か何かあるというので、NHKが四千メガサイクルのマイクロウェーブを使用してカラー・テレビジョンの放送を札幌においてやる。公共放送も民間放送もそういったようなカラー・テレビジョンの放送実施を間近に控えたかのごとき言動ではなくして、もうすでに経済的にも財政的にもそれを処理して実現するということが私は目の前にちらつくわけです。これは、前の委員会で大臣に御注意申し上げたことが、今日もう具体的に現われつつあるわけであります。これは非常に、私はこれまた心外に感ずるわけですが、大臣はこの実態に対してどういうお考えをお持ちでございますか、一つ御所信を伺っておきたいと思います。
○国務大臣(寺尾豊君) カラー・テレビジョンの問題につきましては、しばしば山田委員から質問あるいは御意見等拝聴しておりますが、私の考えといたしましても、過日のモスクワにおける標準方式決定の会議におきましても、これが決定するに至らないで、これは来年の定期会議に持ち越されておる、総会に持ち越されておる、こういう実情にもかんがみ、また現に実験をしておる状況を見ましても、これが直ちに一般放送として取り上げられる段階ではない。従いまして、カラー・テレビジョンに関しては、少くもここしばらくは実験放送を続けて、そうして将来を期して、できるだけりっぱなカラー・テレビョンの放送が実現するように努力をいたしていくべきだ、かように考えております。 なお、この問題につきましては、局長からも詳細に御答弁いたしたいと思います。
○政府委員(濱田成徳君) 先日御報告申し上げましたように、カラー・テレビジョンの標準をいかにすべきかということをきめるモスクワのCCIRの研究部会は決定を見るに至りませんで、来年まで持ち越すことになりました。このことは世界のカラー・テレビジョンの標準方式の決定の動向をきわめて明瞭に物語るものであります。その結果を簡単に申し上げますならば、今、世界の各国においてカラー・テレビの放送を実施しているのはアメリカだけでありまして、そのアメリカも始まって以来四年になりますけれども、まだ所期のよりは発展をしておりません。アメリカの考えでは、昨年のクリスマス時分までに、おそらく百万台ぐらいの受像機が普及するだろうと考えておりました。それが意外にも今まで三十万台以上にならない。そういう意味におきましては、これは実際の放送を開始したアメリカでも、まだいわゆる実用化試験時代だといってもいいぐらいの状態であります。その他の国々では、どこも実験研究の段階でありまして、日本もそれに漏れないわけであります。 さて、日本としましては、ただ漫然と世界の標準方式の決定を待っているのではいけないのでありましてみずからの力をもってよい方式を考え、そして電波の利用をはかり、よいカラー方式を生み出すようにしなければならない。これはいろいろな理由がございますが、この標準方式と申しますのは、大体は技術的な問題が主でありますけれども、その背後には、社会的な、政治的な、経済的な、いろいろな条件があるのでありまして、そう簡単にこれをきめることは困難であろうと私は考えるのであります。で、すなわち周波数の問題であるとかあるいはかりに今アメリカが実施いたしておりますところの方式を日本が採用するといたしましても、これを実現するために、果して日本の工業力が十分であるかどうか。すなわち、そのような方式のカラー・テレビジョンの受像機が、安く国民に行きわたるだろうかというような問題があります。それは一番大きな問題であります。 それから、先ほどから問題になりましたところの白黒テレビジョンの建設が全国的に行われておる今日、これが普及をするまでに多額の投資をやっているわけであります。放送事業会社もあるいは聴視者も、白黒テレビのために投資をやっているわけであります。それらもにらみ合して、いつごろまでに日本として標準方式を決定し、そうして、実際の免許をすべきかということを検討しなければならない、そういうことだろうかと思うのであります。そういう時代でございまして、私は考えといたしましては、日本は一刻も早く研究実験は進めなければなりません。できますならば、よい研究の成果が現われまして、そうしてアメリカのNTSC式と申します方式よりもすぐれた、すなわち値段の安い受像機ができるようなアイデアが生まれますことが非常に望ましいのでありまして、そのために、われわれはあらゆる努力を傾注すべきである。それから、ただいまのようないろんな背景の条件を考えまして、そうして最も日本の国情に適した、そして公共の福祉が増進されるような方式を選んで、それから実用化を考えるべきであろう、そういうふうに私どもは考えております。
○山田節男君 電波監理局長のお話、よくわかりますけれども、田中郵政大臣のやったことは、それと全く矛盾しているのです。というのは、ほんとうに今あなたのおっしゃるような実験まで標準方式の決定的な結論も出ていないと思います。日本のような経済的に貧乏な国が、実験放送をやるということもこれは悪くないと思う。もし、かりに実験放送をやるならば、税金に類する金を取っているNHKという公共放送があるのですから、現在NHKに対してUHFとVHF、NTVにVHFの実験放送を許し、またラジオ東京も実験放送の許可をこの際申請をしていると私は思う。そのために今度の増資もやっておる。今あなたのおっしゃるような、そういうことは非常にいいのだけれども、なしくずしに……今あなたがおっしゃるように、日本の国情から言っても、世界中アメリカを除いてはカラー・テレビはまだ実験の段階である、こうであるべきなのです。ところが、先ほども申し上げたように、なしくずしに実験放送から実用化実験の放送、そして、ある民間テレビでは百台のカラー・テレビジョンのセットをアメリカから輸入することを現に通産大臣に圧力を加えた事実がある。今あなたのおっしゃることと実際のはたの動きというものが、なしくずしに片一方では実験放送から実用化していこう、今度は予備免許に持っていこう、こういうことを策謀している。これは、あなたが悪いと言うのではない。これは、要するに大臣がいろいろな政治力に圧せられて……、あなたがおっしゃっている信念は正しいのだけれども、実際は今申し上げたようなことで、もうすでにスポンサーをつけようということになっておる、ここに私は問題があると思うのです。だから、寺尾大臣が今後の施政方針として、こういうことについては、万全の気をつけなければいけないぞと言っておる口の下から、もうそういったような、一方ではカラー・テレビを見越して増産をするとか、NHKでもマイクロウエーブを札幌から四千メガのやつをこれを延ばしてそうして実験放送をやろう、公共放送、民間放送ともカラー・テレビを目がけて、お互いに暗躍鳴動しているというようなことをわれわれも見ておる。こういうことで、今、濱田局長が言われたことと実際の面とは違うのです。これは、なぜそういうことになるかといえば、これは大臣の責任です。これは濱田局長の責任でもあるが、郵政大臣の責任だと私は思う。ですから、濱田局長のそういう正しい方針を政府が堅持するならば、もうNTVなり、あるいはKRの予備免許は、政府としては、全然問題にしないで、NHKの公共放送で、政府はもっぱら補助金を出してでも実験放送をやらす、これが正しいと思うのです。寺尾大臣はこういう今の濱田電波監理局長のお話なり、私の今申し上げておる意見について 一体今後も大臣として、このカラー・テレビジョンの実験放送の現状を濱田電波監理局長の言われるような線に進むという、あなたはかたい意思があるのかどうか、これを一つ明らかにしていただきたいと思います。
○国務大臣(寺尾豊君) 現在御承知のように、NHK、NTV、この両者が実験をしておるということは、もうこれは現実の問題としてむしろこの実験を私は支持し、りっぱなカラー・テレビジョンの放送が将来なされることに貢献してほしい、こういうふうに考えております。しかしながら、山田委員の御指摘のように、おのおのKRあるいはその他の会社に次々に無制限にカラー・テレビジョンの実験放送を許すということについては、十分検討を要すべき問題であると思いますし、濱田局長からもまだそのことについては報告も聞いておりません。従いまして、局長もさようなことに了解を与えておるということは私はないと信じておりますが、山田委員の御意見等も十分尊重をいたしまして善処していきたい、かように考えます。
○山田節男君 ことに濱田電波監理局長は窓口の責任者としてお願いしたいのですが、今あなたのおっしゃることは堅持しなければいかぬ。それから大臣も、これはあなたも政界のベテランであり、この民放の、われわれとしても見苦しいような暗躍鳴動があって、政府当局が困ることはわかるのです。しかし、これに押し流されますと、今の国策としての電波を見ましても、非常にわき道に行く。これは失礼ですけれども、保守政権の歴代の郵政大臣のやっておられることを見ると、大臣がいかにかたい所信を持っておっても、結局はそれに押し流されて野放図なことになってくる。これは商魂たくましい、まことにユダヤ的な築謀で大臣が押し流されてしまうというのが事実なんでありますが、ですから私は一ヵ月か一ヵ月有半の閉会中におきまして今日の事態がさらに発展することは、非常におそろしい気がしている。ですから、私は一つ電波監理局長並びに郵政大臣は、この点については一つきぜんとした態度を持っていただきたい。臨時国会が開かれたとき、ますますこのカラー・テレビがなしくずし的に、実態的には実用化のカラー・テレビ放送にまで流されてしまったということになると、これは私は重大な問題だと思う。一つ郵政当局の最高首脳部はいかなる誘惑、いかなる圧迫があろうとも、きぜんとして今、濱田局長の言われた政府の方針を堅持されることを強く要望して質問を終ります。
○森中守義君 昨日から事務次官の出席を求めておりましたが、まだ出席がないようです。先刻のお話だと、衆議院の委員会が終り次第ということでありましたが、大臣も見えておるし、おそらく衆議院の委員会は手がすいたと思うのです。どういう理由で事務次官が出席しないのか確かめていただきたいと思います。
○委員長(宮田重文君) 小野次官は今、次官会議の方に行っているので、これは先ほどから呼んでいますが、ただいまこちらに出席する予定になっておりますが、そういう会議の都合上そちらへ行っておりますから、しばらく御了承願います。
○森中守義君 出席しますね。
○委員長(宮田重文君) すぐにはできませんね。 ちょっと速記をとめて。 午後零時四十八分速記中止 ――――・―――― 午後零時五十四分速記開始
○委員長(宮田重文君) 速記をつけて。
○森中守義君 問題の一つとして、今郵政省が高齢退職者の特別措置というものを行なっております。これについて、政務次官及び関係の皆さんに少しくお尋ねしたい。お尋ねの第一点は、この措置は本年度で何年目になるか、これを簡単にお答え下さい。
○政府委員(廣瀬正雄君) 高齢者に退職を勧告いたしておりますことは存じておりますけれども詳しい内容につきましては、つまびらかにいたしませんので、担当の人事部長から御説明いたさせます。
○説明員(佐方信博君) 正式なものといたしましては、昨年に引き続きことしもやる、それから三十一年度に、これほど大がかりではございませんけれども、分けてやっておったと記憶いたしております。
○森中守義君 ことしの財源は、予算書によれば、大体十二億であったと思いますが、この十二億の積算の根拠はどういうことですか。
○説明員(佐方信博君) 特別退職関係で十二億の積算をいたしておりますが、大体一人当り百二十万円くらいの退職金で、千人くらいであろうという目算だと存じております。
○森中守義君 希望者が多くて財源の不足を生じた場合はどういう措置をするのですか。もうそれで人間の制限をするのか、人の制限をせずに財源をふやすのか、これはどういうことになりますか。
○説明員(佐方信博君) 実は現在、各郵政局で勧奨をいたしまして、希望退職者の数を取りまとめ中でございますので、はっきりしたことまで申し上げられませんけれども、原則としまして、予算の範囲内でまかない、なお、一般退職の手当でまかなえる分につきましては、それでまかなえるかどうかを検討いたし、さらに、予備費が流用できるかどうかということも検討いたしましてやりたいと思っておりますが、ただいまのところ、まだ財源その他について、大体何人希望者があって、内訳はどうかということを集計中でございますので、この予算でまかなえなかったときにはやめるのか、それともなお予備費まで流用してやっていくのか、今検討中の段階でございます。
○森中守義君 この措置の主たる目的は何ですか。何を目的にやろうとしておるのですか。
○説明員(佐方信博君) これは現場に対しましては、人事の刷新と士気の高揚をはかるためというふうなことで連絡をいたしておりますが、結局、長年勤めまして、そして職場が、非常に人事の交流といいますか、ができませんので、引退していただける人には引退してもらいたいということでお勧めをしておるわけであります。その結果、相当のポストがあきますと、若い人たちが一段ずつ昇進できますので、その結果はまた士気の高揚にもなろうかと、こういう目的でございます。
○森中守義君 非常に微妙な点でありますから、少し無理な質問であるかと思いますが、今、佐方人事部長が言われた人事の刷新と士気の高揚、こういうことがあなたのお出しになった通達にも出ております。それで、私はその通りに解釈をしていくならば、要するに人事の刷新と士気の高揚をはかるというところに主たる目的を置いてある。それで高齢者の退職措置というのは従属的な、目的のための一つの手段だ、こういうような考え方が正当な解釈だと思いますが、そういうことについては、どうゆうお考えですか。つまりこういうことです。退職勧奨をやること自体が目的ではない。人事の刷新、さらには士気の高揚、これをやるための手段として高齢者退職勧奨をやる、優遇退職をやる、こういう、目的が人事の刷新、士気の高揚である、そのための一手段として高齢者退職をやる、こういうようにこの文書から受け取る感じ、今あなたの答弁からいけば受け取れるわけです。その点はどうでしょう。
○説明員(佐方信博君) その通りでございます。
○森中守義君 私はこういう高齢者退職の特別措置そのものは否定しない。非常にいいことだと思う。ただし、問題になりますのは、この十二億、約百二十万円平均の額、この百二十万というのは、人の増減は若干あると思うのですよ。しかし、全国的に見て、果して千名ないしは千二百名くらいの入が退職をされることによって、果して人事の刷新、士気の高揚がどの程度期待し得るのか、はなはだ疑問だと思う。これに対してはどういう方針ですか。
○説明員(佐方信博君) 全国でやはり千人の人が欠けていきますと、それだけの人が昇進できるわけでありまして、こういう措置をいたしませんと、昔と違いまして、なかなか他の転職の道もございませんので、みんな職場からいつまでも引退していただけない。それで管理者につきましては、今申し上げましたように、長年同じポストにおりまして、昇進の機会を待っておる人がたくさんございますし、それから従事員の人にしましても、やはり年を取りましても集配等をやっておりますと、これは若い人との能率その他の関係からいろいろ問題が起っているわけであります。そういうわけでございますので、こういう一定の時期を限りまして、特別の退職を勧奨して、いつもの場合よりも手当を多くして、引退の一つのチャンスを与えるということをいたしませんと、いわゆる自然退職だけでは、なかなか人事の刷新と士気の高揚ができないということでございますから、われわれとしては、これが非常に人事の刷新、士気の高揚の唯一とまでは申しませんけれども、非常に大きなチャンスを与えておるというふうに考えておるわけであります。
○森中守義君 唯一のものでないけれどもチャンスだということで、大体そのぴたりと来るものがありますがね、しかし、唯一のものではないにしても、かなりこれに大きな比重を郵政省としてはおかけになっておるように私は受け取るのです。そうしますと、これは日常における郵政省の人事管理、つまり人事の刷新だとか、あるいは士気の高揚というものは、他にどういうことをおやりになっておりますか。少くとも私はこういうような特殊な手段によらなければ、郵政省の人事の刷新や士気の高揚ができないというような人事管理のあり方というもの、あるいは省運営の方法というものは、その理由があまりにも複雑であるから、ないしはまた、人事管理があまりにも何といいましょうか。貧困であるというのか、そういうことのために、こういう手段によらなければならないということになるのですが、もう少しほかに何か日常施策として、人事管理の方針として、おやりになるようなことはお考えになっておりませんか。
○説明員(佐方信博君) 先ほど申し上げましたように、人事の刷新、士気の高揚の方法としてはいろいろあろうかと思います。しかし、少くとも人事の刷新という面を主に考えますとこういう年に一度の退職金をよくして、いっかチャンスを待っておる人にチャンスを与える、これは一番大きな機会ではないかと、こう思っております。そのために、あきましたために順番を待っておる人が昇進していきますから、結果的に士気の高揚にいいのじゃないかと思います。
○森中守義君 私はここで問題にしたいのは、これも一つの手段であり、否定しません。いいことだとも思うのです。ただ、その額がもう少し、三十年とか四十年とかいう長い功労者に対しては、もう少し報ゆべきものがあっていい、こういう観点から、平均百万円、百二十万円というこの額については肯定しません。方法はいい、しかし、やはり人事の刷新と士気の高揚というものが一つの目標にあげられておる以上は、日常それでは何をしておるのか、これが一つの問題になる。唯一のものでないと言われますから、ほかにも何かおやりになっておるようには思う。しかし、われわれがしばしばこの委員会でも指摘をし、かつ、主張を続けてきたのは、もう少し幅の広い人事交流、ことに特定郵便局と普通郵便局、普通郵便局と非現業、こういう人事交流だとか、あるいは大へん学閥の中心であるあなたにこういうことを言って恐縮だけれども、本省の局長の中に、長年の体験を持つ、こういう局長はありませんよ。これはいつだか私は学閥というものは、もっと別な角度から考える必要があるということを申し上げた記憶があります。かつまた、江戸の末期から明治の維新以来ずっと続いておるわが国の官僚というものに対して、そうそう簡単にこの根が断ち切れるとも思えない。思えばしませんけれども、やはり事業の最も円満な運営をはかる人事の問題は、もう少し郵政省では学閥中心の本省の局長、次官、こういう首脳部の人事までも窓をあけていくような、こういった人事管理の方式などもとられていいのじゃないかと思う。あるいは特定局の場合には、職員をくぎづけにしておいて、おりおり非現業だとか普通局だとか、郵政省の内部にしても、とてもじゃありません。これはほとんど完全に窓はふさがれておる、こういう状態である。その中に沈滞が構成されていくのは、これはまた理の当然でしょう。こういうことについては、私はむしろ人事部長よりも政務次官あるいは大臣から郵政省の大きな方針として承わっておく方がいいと思いますから、この問題に関連をして、政務次官から、いつまでだかわかりませんが、少くとも抱負と確信を持って政務次官に就任されたはずだと思いますし、この問題についてどういうようなお考えでしょうか。
○鈴木強君 関連。一緒に答えてもらいたい。私は退職懲悪の問題については、非常に今人事部長のお話では、聞いておりまして、新しい人たちに道を開ける、こういうまあ美しい言葉になっておりますが、それでは三十年なり四十年なり勤めた人たちがやめていくというその胸中をどう考えておるのか、おそらく、今森中委員の指摘にもございましたように、百万なり百二十万なりの退職金をもらっても、これは私は何年間実際生活できるかということは保証できないと思うのですよ。ですから、そういうな美名のことでなしに、もっと私はやめさせられる人たちの優遇措置というものを十分考えて、その上に立って、同僚であった、長いこと自分の人生というものを事業とともにささげてきた人たちの行く末を、ほんとうに心から感激をして、そうして生涯考えてやるという気持の上に立って私は考えておるかというと、あなたの言葉を聞いていると、わずかに十割増しだとか八割増しだとか、特別措置を作ってやって、あたかもチャンスを与えてやるのだ、こういうことをおっしゃいますが、こういう内容を見ますと、五十八才以上の人は待ったなし、こういうような内容にしておる。私はこれらの点についても、今日は年令的に見ても十年くらい長くなっていますよ。だから五十八才が定年制で適当かどうかということについても論議があるでしょう。しかも、労働組合があるわけですから、こういう点は労働組合と話をしないとおそらく問題が起きてくると思うのです。こういう定年制については、ですから、これが一方的といえば語弊があるかしらないが、こういう格好でやっていくというのが実態だと私は思うのですよ。だから、聞きたいのは、そういう高齢者に対する考え方、私は話を聞いておって、その人たちを忘れておってただあとに続く人たちが、若い人たちが行き詰まっておるからその人たちの道を開いたというふうに言われておるのだが、それじゃ納得しませんよ。だから、わずか千名や何名か動いてみたところで、大多数の従業員が、やはり従業員として人事管理の不満を唱えております。ですから、森中委員の指摘しているような、もっと具体的な問題について、人事管理というものをお考えになってそういうこととともに、こういうことが出てくるならばわれわれは納得しますけれども、その点が非常に不明確です。だから五十八才以上の人がやめたくないと言ってもやめさせるのですか。これは私は五十八になっても、非常に晩婚のために、まだ子供が学校に行っておる人があると思う。そういう特殊の人たちもこの通牒によると、もう五十八才以上は全部やめてもらうのだということになると思うのですが、これは実情から見て気の毒だ、子供の教育や、その他から見て気の毒だ、こういう人があった場合に除外してやる、こういう気持があるのかどうか、その点が高齢者の問題にからんで、特にこの際あわせて聞いておきたいのです。
○政府委員(廣瀬正雄君) 日本の官僚ということにつきましての森中委員の御意見に対しましては、私まことに傾聴に値するものがあると思うのでございますが、これはひとり郵政省ばかりの問題じゃない、国家全体の大きな問題であろうかと考えます。ただ、少くとも郵政省におきましては、東大閥というような学閥はないと思っておりますが、ただ国家の公務員につきましては、御承知のように、試験制度というものがありますのでありまして、一応こういうものは尊重しなければならないということははっきり申し上げられると思っております。しかし、御指摘の点につきましては、十分検討いたしまして、努めて御趣旨に副うように努力いたして参りたいと思っております。 なお、鈴木委員の御指摘の問題でございますが、退職者の御心情に対しましては、まことに同情に値するものがあると思っておりまして、その点私どもといたしましては十分考えなくちゃならない事柄でございますけれども、他面におきまして、先刻申し上げましたように、人事の刷新と士気の高揚というための一つの命題がありますわけでございまして、それもよくかみ合せて善処すべき問題であると考えております。
○鈴木強君 五十八のやつ。
○説明員(佐方信博君) 五十八才とした場合に、強制退職ということにつきましては、御承知のように法律的な強制力はないわけでございます。従いまして、よく話をいたしまして納得してもらう。それから退職後のことにつきましても、場合によっては、いろいろな話し合いをするというようなこともいたしておるわけであります。
○鈴木強君 そうすると、いやだと言ったら無理にやめさせるということはないのですね。
○説明員(佐方信博君) これは法術的な強制力はございません。しかし、現実的によく話し合いをいたしますし、それからこのことは組合との直接団交事項でございませんけれども、毎年これをやるについては、こういう点を考えてほしいという組合からの要望がございます。その点もよく話し合って本部とは納得してもらってやっておるわけでございます。
○森中守義君 今の政務次官のお答えもやはり抽象論の限界を越えない。もちろん私も先刻の発言の中に申し上げましたように、これはきわめて国の重大な行政上の一つの論争点でもあろうし、また、これは国会などにおいてもう少し抜本的に検討の余地があると思う。もちろん時代の変遷の中にこういう問題も漸次変ってはいくでしょうが、これは官僚がどういう状況にあるとか、どうすればいいという論争はここで私はいたしません。しかし、私がお尋ねをし、かつ善処してもらいたいと思いますのは、要するに今の学閥を中心にした学士さんたちの必要がないということを言っているのじゃない、その他に有能な人がたくさんいる。かから何も退職ということ、こういうことを一つの機会にして人事の刷新をはかるとか、士気の高揚をはかるというのはちょっと、筋違いじゃありませんけれども、もう少し日常において郵政省の人事管理としてはやる方法があるんじゃないか、それについては、長年の体験を持つ優秀な人たちを本省の局長にもする、あるいは次官にするとか次長にするとかいろいろな方法もあろうかと思う。特定郵便局と普通局、非現業との人事の交流等も日常当然の人事として扱われてもいいんじゃなかろうか、こういう具体的な問題があると思うのです。こういうことも一度御検討いただけないか、こういうことを聞いておるのであります。その点を一つお答えいただきたい。
○説明員(佐方信博君) 大きな方針につきましては、大臣、政務次官からお話があろうかと思いますけれども、現状のこの高齢者退職のことにつきましては、主として現業あるいは郵政局の中堅の方が対象になっておるわけでありますが、今御指摘になりましたような本省の局長だとかいうことに関しましては、これは一応御承知のように高齢者退職の年令まで達しないうちに、地方の郵政局長、監察局長、本省の局長はやめてしまいますものですから、その人たちの職場の異動ということにつきましては、これはこれと別の問題として一応取り扱っております。それで、そういうことと別に、特定局長さんでありますとか普通局長さん等で、どの方も長くお勤めになりたいし、また勤めていただきたいわけでありますけれども、同じ職場で長らく勤めておられる人たちに一つの風穴をあけるというチャンスを作っていただきたい、こういうふうに御了解願います。 それから特定局と普通局の交流につきましては、ただいま別に制限はいたしておりません。ただ実際問題といたしまして、特定局の人は非常に固定しておりますので、何とか普通局に移りたいと、こういう希望は非常に強いものがありまして、従いまして、最近におきましては、特定局に分課を設けるとか、あるいは特定局を昇格いたしまして特定局の人がほかの方に出ていくチャンスを作る、そういうこともやっております。それから、これは前の大臣のときに長年勤めて長という字がなかなかつかない人が多いから、何かそういうことも考えろというようなことで御下命がありましたので、先般、例の課長代理でありますとか副課長等も作ったわけであります。そういうことで、先生から御指摘のような方向のことも、おのおの道はつけておりますけれども、今後そういうことにつきましても、われわれとしては一そう努力をしていきたい、こういうつもりであります。
○森中守義君 今の人事部長の御答弁ですね、内容そのものについては何とも言いません。しかし、ちょっとそれは蛇足に過ぎる。私が今政務次官に承わろうとしたのは、要するに大臣、政務次官という郵政省の最高責任者として、士気の高揚、人事の刷新というものは、こうこう具体的な問題もあるが、どういうようなお考えなのかということをお尋ねしたのであります。政務次官から答えてもらいたい。
○政府委員(廣瀬正雄君) お尋ねのことでございますが、具体的には、そうした優秀な方に対しましては昇進、また長期勤務している方に対しましては昇給という道は御承知のように開いておりますわけでございます。さようなことにつきましては、大いに信賞必罰と申しますか、さような考えからやるべきことはやっておりますわけでございますけれども、御意見のほどはさらによく考えまして、今私といたしましては、別にこれという具体的な案を持ち合わせないのでありまして、もうしばらく勉強させていただきたいと思っております。
○森中守義君 大へん控え目な御答弁ですからこれ以上突っ込もうとは思いませんが、ただ方向としては、何も政党政派の問題ではもちろんありません。むしろわが国の公務員制度の最も正しい、時代に即応した方向を私は申し上げておるつもりなのです。今すぐその答えができなければ、後日でもけっこうですが、意図するところはぜひ一つ御了承いただくと同時に、具体的な検討の結果というものを承わるような機会をぜひ私はとりたいと思います。 もう一つ人事部長に伺っておきますが、全国の百二十万で十二億円、こういうことでありますが、郵政省の中に五十八才以上の人は大体何名くらい今おいでになるのですか。
○説明員(佐方信博君) 五十八才以上の人が一応管理者と目される人に三千四百名、それから管理者でない人に六千六百名という数字になっております。
○森中守義君 そういったようにずっといろいろ問いただして参りますと、やはりこの措置も一つの思いつきというのか、悪いことではありませんけれども、惰性というような気がするのです。もっと極端に申し上げるならば無原則、無方針、無性質、こういうような一語に尽きると思います。そこで、退職年金法を来年の一月一日から発足する段階でもありますから、こういうように何かこう思いつき、無性格、無方針というやり方でなくて、一種の制度化というようなことはお考えになりませんか。
○説明員(佐方信博君) 先ほど申し上げましたように、今定年制というものがこれは法制化できておりませんものですから、全部勧奨でやるほか方法がないわけであります。 それから退職金につきましては、今後もそうでありますが、今度国家公務員共済組合法が改正になりまして、退職金は全部法律事項でありまして、郵政大臣限りで今度は多くしてやろう、少くしてやろうということができないという現状であります。従いまして、だんだんこう実績を積み重ねていきまして、慣習的な定年制と言い切っちゃ問題でございますけれでも、そういうことを続けていくほか、今のところ方法がないのじゃないかという考えでございます。
○森中守義君 私はその定年制がないから聞いておる、それは知っておるのです、ただ、今、人事部長の御答弁からいけば、もうお手あげだ、郵政省限りではどうにもならぬということですが、ほんとうに人事の刷新をはかり、士気の高揚をはかるという目的があり、しかも、高齢者に対して報いるものがあろうとするならば、こういう一種の暫定的な措置ではなくして、制度化ということが当面の問題になってくると思うのです。これはもちろんきめるのは法律事項です。法律ですから国会できめます。しかし、郵政省当局としては、その必要を感じないのか、感じるとするならば、より具体的により積極的にやろうとする意思があるのか、こう聞いておるのです。もう少し質問の要点をぴんぴんとつかんで答えてもらいたい。
○説明員(佐方信博君) 現実問題としまして、一昨年、昨年、ことしと、こういうふうなことをやっておりますから、定年制的なことをしなければならぬということについては常に希望を持っております。しかし、これはやはり定年制を法制化することになりますと、単に郵政省だけの問題でありませんで、国家公務員全体にそういうことが法制化できるのかどうかという全体の問題であろうかと思いますので、はっきり郵政省といたしまして、できればこれをせよということまでいけるのかどうか、まだ私としても十分な研究を積んでおりません。
○委員長(宮田重文君) 森中君にお願いいたしますが、約束の時間が過ぎておりますので、午後に一つお願いいたしたいと思います。
○森中守義君 それじゃ、この件も午後に補足いたします。
○委員長(宮田重文君) 委員会は一たん休憩いたします。再開の時間は、委員長理事打合会の結果、あらためて報告申し上げます。 午後一時二十二分休憩 ――――・―――― 午後二時五十五分開会
○委員長(宮田重文君) 午前中に引き続いて委員会を再開いたします。 まず、請願第四十五号、熊本県五名市立願寺温泉に逓信保養所設置の請願を議題といたします。 まず御説明を願います。
○専門員(勝矢和三君) では、私から御説明を申し上げます。 請願者は熊本県五名市長橋本二郎外一名、紹介議員は森中守義君です。請願の趣旨は、郵政当局においては、郵政事業従事員保養のための逓信保養所を熊本県下に設置するということであるが、五名市の立願寺温泉郷の景勝の地でもあるし、また湯量も豊富であって、かつ全国有数の良質の温泉地であるので、この地に逓信保養所を設置してもらいたいというものであります。
○委員長(宮田重文君) 本件につきまして、郵政当局の御所見を伺いたいと思います。
○政府委員(廣瀬正雄君) 熊本郵政局管内に将来逓信保養所増設の必要は認めておりますが、その年度計画及び設置場所等につきましては、未定であります。熊本郵政局におきましては、二、三の候補地を検討し、内々調査を進めておる模様であります。なお、本件は郵政省共済組合の施設でありますことを、御参考のために申し上げておきます。
○委員長(宮田重文君) 本件につきまして御質疑または御意見のある方は、御発言を願います。本件は議院の会議に付し、内閣に送付するを要するものと決することに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(宮田重文君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 なお、報告書の作成等につきましては、委員長に御一任を願います。 ―――――――――――――
○委員長(宮田重文君) 引き続きまして午前の議題に移ります。
○森中守義君 退職勧奨の継続の案件でありますが、人事部長にお尋ねしたいのは、実施細目の中に、退職の勧奨に応じない場合は、配置転換の措置をとる場合があることとすると、こういうことを言っておるのですね。これは退職勧奨の対象が五十八才以上、それから満年令五十才以上五十八才未満の者、それから勤続二十年以上の者のうち、というように、三項に分れておりますが、この三つの対象者全部をさすわけですか。
○説明員(佐方信博君) けさほども申し上げましたように、勧奨に当りましては、もちろん強制力はございませんし、同時にまた、来年からの共済組合法の改正によりまして、給与が非常によくなる人と、来年になってもよくならない人と、いろいろまああるわけでございます。そういう点を考えまして、特に勤続二十年以上の人で五十八才に達しない人等につきましては、その退職を特に適当と認める人というような条件で、一律には縛っておらぬわけでございます。そういうことで極力話し合いを進めていきたいというのがほんとうの趣旨でございまして、今、お読み上げになりましたことにつきましては、後進に道を譲ることについては異論はないけれども、まあ一、二ヵ月でも置いてくれないか、それによって給与関係が変ってくる、たとえば恩給がちょうどつく、そういうような人がありました場合には、御本人とも大体了解も得ますけれども、全体的な異動とからんで参りますから、一応そのポストははずしまして、臨時在勤的な形にすることもあり得る、こういう気持であります。
○森中守義君 それでは、観念として、今まで私どもが配置転換というようなことを考えてきたのとはだいぶ趣きが違うということになりますね。つまり、優遇退職をあくまでもしてあげようという立場から、一定の人事異動の問題としてこういう措置をするという意味ですか。
○説明員(佐方信博君) 直接はそういうふうに考えております。
○森中守義君 この項目は、もちろん、そういう趣旨のもとに慎重を期しつつ実行に移されると思いますが、解釈のしようでは、非常に危ない条文ですよ。たとえばこの三項ですね、対象者の場合の。勤続二十年以上の者のうち退職を希望し、こういう項目に該当するような人で、たとえば目が不自由だ、あるいは少し仕事がなまぬるいと、こういう人を、在来の実情からいけば、二、三勧奨があったようです。それでも、本質的には人事部長が答えられた意味とは合わない。しかし、末端の直接の管理者が何とかして、強制的に排除はできないが、こういう機会に退職さした方がよかろうという話が進んで、どうしてもそれに応諾をしないという場合に配置転換が一、二今まで行われていたような実情を私は聞いております。そうなると、人事部長の言われる本旨と実際の取扱いというものはかなり食い違ったものが実情として出てくるのではなかろうか、こういう心配があるんですが、この点については心配がないものかどうか、明確にお答えを願いたい。
○説明員(佐方信博君) 先ほどもお答えいたしましたように、ただいま各郵政局で勧奨した人の数字を調べておるわけでございます。非常に状態は千差万別だと私は思うわけでございます。それで、こういう気持を郵政局に伝えまして、具体的な措置をしてもらうつもりでおります。
○森中守義君 このことを重ねてお尋ねをしておきますが、要するに、この趣旨というものは、断じて強制をしない、合意の上に行う、というこの一語に尽きますか。
○説明員(佐方信博君) 先ほど来申し上げておりますように、今のところ、定年法はございませんし、全部これは勧奨でいくということであります。
○森中守義君 強制にわたることはないということですね。
○説明員(佐方信博君) それはもう本人の希望調書をとって措置いたしております。
○森中守義君 言葉があまり高尚過ぎてぴんとこないです。要するに、強制はしない、合意成立の上に発令をする、こういうようにとっていいのかと、こう聞いておるわけです。
○説明員(佐方信博君) 全然強制力はとざいませんので、やめる人につきましては、当然本人からの辞表をとりまして話し合いをつけてやる。それから、配置転換等につきましても、これは個々の事情は全然私つまびらかにしておりませんけれども、このことだけで強制配置転換するというようなことはないと私は思います。
○森中守義君 ちょっと私の質問もおわかりにくいかと思いますが、配置転換及び退職、この二つの方とも強制的なものではない、合意成立の上に退職も配置転換も行う、こういう工合にとっていいのか、こう聞いているわけです。
○説明員(佐方信博君) そういうつもりでございます。ただ、非常にはっきり申し上げられますことは、退職につきましては、これは完全に御本人からの何といいますか、辞表をとってやりますから、形式も内容も非常にはっきりするわけでございます。配置転換につきましては、われわれとしては、強制的なことはやる気持は一つもございません。しかし、同意書をもらうというようなことになるのかどうか、非常に千差万別だろうと思いますので、ちょっと私ここで辞表の場合とは違った言い方を申し上げたのでありますが、それは別に私が含みをもって言っているわけじゃございません。
○光村甚助君 関連して。退職の問題は、あなたの方じゃ強要じゃないとおっしゃるのですが、五十八才の人で、もう一年置いてくれとか、息子が学校出るとか、娘が学校出る、こういう場合でも、そういうことはいけないのだ、辞表を出せと言われると出している例はわれわれ知っている。これも強制じゃないとおっしゃられると、私たちはそれだから今しつこく強制じゃないかということを聞いている。そういう特殊な場合なんかやはりある程度認めるのか、あくまで五十八才だったら辞表出してもらいたい、辞表出せば強制じゃないとおっしゃるのか、こういうことを聞いている。
○説明員(佐方信博君) 強制でないという一つの証拠として、けさほど申し上げましたけれども、約一万人くらいの五十八才の人がいる。それじゃ九牛の一毛じゃないかというお話も出たわけでございますが、そういうことで、私といたしましては、あくまで勧奨にするという線でいるわけであります。個々の人につきましてやっぱり法律的な明定がございませんので、じゃ、希望者だれでもいいかということになりますと、どうしても出さないという人についての強制は全然ございませんが、郵政局としてはできるだけお勧めするという態度はとるだろうと思います。
○森中守義君 こういうことも考え得るのです。今までの実情からいきますとね。好ましくない――好ましくない、具体的な内容としては、いろいろあるでしょう、これも千差万別。さっき申し上げた身体がどうも不自由であるとか、あるいはどうも仕事がぬるいとか、いろいろあるんですよ。それで、この一、二、三のどれかにその人がはまった場合だとか、ないしははまらない場合に、一千人なら一千人、千二百名なら千二百名のうちの一人ないし二人ということで便乗するようなことがありはしないかと、こういうんですよ。だから、あなたが今はっきり言われるように、法律的な背景がない、強制じない、完全な合意だ、まあこれだけ聞けば実はそれでもいいんですが、中には、こういう際に目立たないように一人かあるいは二人くらい一郵政局管内ぐらいで便乗して排除しよう、こういうことが行われる危険性があるが、そういう心配はないのかと、こう聞いているんですよ。
○説明員(佐方信博君) 先ほど来申し上げましたように、具体的内容を今集計中でございますから、はっきりここで中身を申し上げられませんけれども、お話の点につきましては、よく話し合ってみたいと思っております。
○森中守義君 そうすると、大へんしつこい質問になりますが、基本的には退職の場合にも絶対に強制にわたらない、配置転換の場合にも強制にはわたらない、双方とも合意成立の上にこれを行うというように了承して差しつかえありませんね。
○説明員(佐方信博君) 先ほども申しました通り、あくまで退職の勧奨でございます。そういうことでございます。
○森中守義君 もう一つこれに関連してお尋ねいたしますが、先刻、配置転換は、たとえば、郵政とかあるいは本省あたりの官房付的なものにすることもあり得る、恩給の関係とか、あるいは子供さんの学校の関係というようなことでですね。そういう答弁がありましたが、これもよく考えていけば、何もそういう措置が悪いというのじゃないんです。しかし、そういう措置が往々にしてきわめて少数の制限を受けた人にそういう措置が行われてきておるのですね。たとえば特定郵便局の主事だとか、あるいは局長だとか、あるいは普通郵便局の主事や主任というような人たちはそういう措置、恩典にあずかっていない。私どもが知っている範囲では、大体官等級でいけば一等級あるいは二等級、そういうごく少数の制限を受けた人たちが本省の官房付になってみたり、地方の局付になるようなことがありますが、これも悪いことじゃありませんが、片手落ちじゃないか、こういうような感じを持つのですが、どうでしょう。
○説明員(佐方信博君) どうも片手落ちなつもりでやったものでもないのですけれども、ただ、現実の問題としまして、たとえば本省から地方の郵政局長になりまして、そこでやめてもらいますと、そこに職場はないわけですね、本人は将来の第二のスタートをいたしますのに東京に職場があるというようなときは、こっちから勧奨してやめさせますものですから、一ぺん東京までのことを見てやるのが至当ではないかということで、その人の、たとえば具体的な例で申しますと、東京にいる人ならば本省の勤務にするとか、あるいは東京の郵政局におりまして、そうして長野なら長野に行きまして、東京が本体だったという人につきましては、東京の勤務にさせるというようなことをやったつもりであります。
○森中守義君 片手落ちではないかという意味はこういうことです。これらが一千名、かりにその人の数としてあるとすれば、そのうち一等級、二等級という人が何名かおいでになる、かりに十名なら十名といたしましょう。そうすると、十名の人たちには東京に仕事があるから東京までのめんどうを見よう。あるいは今から三ヵ月間ならば、三ヵ月間の間本省の官房付にしておこう、こういう措置がとられるわけですね。ところが、そのほかの九百九十名についてはどうするか、そういうことに該当するような人たちがある場合に。だから、私は今までのこの問題に対する認識から参りますと、あまりにもこれは身分やあるいは地位によってそういう恩典が与えられる、要するに不均衡を生じておるように考えておる、それは実に片手落ちではないか。そういう措置を講ずるならば、たとえば郵便あるいは保険、貯金の外勤の人までもそういう恩典を与うるべきではないのか。こういうことを聞いておるのですよ。
○説明員(佐方信博君) 御指摘の二等級の人たちにつきましては、特殊な事情を考えたわけでございますが、主事や主任の人たち、そういう人たちの場合ですと、大体その職場に最初から入りまして、そこでやめる人が多いわけでありますから、その場合特殊ということは認めない。しかし、たとえば、一つの例を名古屋なら名古屋から静岡に強制的な、強制という言葉はおかしいのですが、課長になっていきますときには、ほとんど強制的な異動を命ずるわけでございます。そういう人がやめて、名古屋にまた職場を求めたいというときには、名古屋まで何といいますか、一応在勤を命ずるというような措置はしております。結局片手落ちという問題、いろいろ見方もあろうかと思いますけれども、管理者につきましては、全く一方的に転任を命じ、そうしてあるきまった任地においてやめておりますものですから、元おったところの本拠までは見てやろうという制度がまずとられてきたものと思うのであります。
○森中守義君 これは正確な制度ではないのですよ。今、人事部長は制度と言われますが、慣行ですよ。しかも、その慣行は、いかなる人もそういう状態まで持っていけば私は均衡がとれると思う。しかし、具体的にとれていないのですね。これはあなたがどう説明されても具体的な事実がそれを証明しておる。郵便の外勤や保険、貯金の外勤の人たちが、たとえ三十年、四十年、長年勤めた功労者であっても、やめればそれっ切りです。やめるときの条件によりますよ。しかし、片や、大へん固有の職種をあげて恐縮ですが、郵政局長であったとか、あるいは監察局長であったとか、あるいは電波局長であった人たちは次の仕事が見つかるまで官房付にしている、地方の局付にしている、こういうことが行われてきているわけですね。しかも今、どなたということまでは申し上げないですが、すでにこの前、田中郵政大臣が大臣に就任して直後に行われた首脳部の罷免の際には、それも次のテレビかなんかに入るという話は聞いてはおりました。しかし、約半年あるいは一年近いような状態の中にありながら、実務は何にもしない、ただ次の就職の段階を持つ、そのためにほとんど待命にひとしいような状態で俸給を出している、それは一体どういうケースなんですか。外勤と一等級、二等級の立場の人を比べた場合に、あまりにも片手落ちではないか、こういう考え方のもとに今の質問を出している。そういう事実はありますか。私が言うのが何か間違っておれば、もちろん発言を取り消します。
○説明員(佐方信博君) 先ほど来申し上げましたように、見方としましてはいろいろなことがあろうと思います。しかし、少くとも郵便局の管理者になりますと、一方的に転任を命じ、そうしていわゆる定年という事実や制度はございませんけれども、いわゆるここに申し上げますところの五十八才以上の定年まで達しなくて、みんな早目にやめるという実情でございますので、そういう人たちには生活の本拠だったところまで国が見てやるということはおっしゃるように、制度じゃございません、慣行として行われてきたものであろうと思います。それから管理者じゃない方につきましては、先ほど申し上げましたように、自分で希望された職場におられて、そこでほとんど転任なしに大体そこが生活の本拠になっている場合が多いわけでございますので、そういうことが行われていない、これも一つの慣行であろうと思います。それから先ほど御指摘のいわゆる事例につきましては、現実にそういうことは具体的に聞いておりません。
○森中守義君 ここ三、四年前のことであったと思いますが、待命制度という措置がとられたことがありますね、もちろんこれは制限を受けた国の予算のワク内での仕事ですから、絶えずそういう措置がとり得るかどうかということについては、多分に問題はありましょう。しかし考え方としては、今、私があなたにいろいろ事実として指摘したような問題がやはりこれは潜在的に郵政省の職員の中に流れている。たとえば局長になる、本省の局長になれば、やめるときでもあとの仕事は心配してもらえる、しかし、その他の多くの者は、単に定年五十八才以上という理由のもとにやめっぱなしだ、こういったような意見が出るのです。これはとりもなおさず、私は郵政の人事管理に対する一種の不信の声であろうと思う。また郵政事業に長年働いてくれた人たちに報いるには、あまりにも開きのある報い方じゃないかと思うんですよ。だから、少くともさっき言われるように、士気の高揚をはかる、あるいは人事の適正化をはかっていく、まあこういったような観点に立つならば、少くとも働いているすべての人たちに不均衡のないように、人事上の問題として不信の声が起らないような措置をとることが、当局としては当然私はとるべき一番いい方法じゃないかと思う。だから、こういう観点に立てば、まあ今年はこれでやむを得ないにしても、一等級、二等級も三等級も、あるいは適用外の職員も、すべて一年なら一年、半年なら半年という期限の制限をつけた待命的な措置をおとりになれば、そういう不信の声は漸次ぬぐい去られていくと思うのですが、来年あたりそういうようなことが、予算上の問題もありますけれども、考慮の中に入れることについてはどういうふうに考えておられるか。
○説明員(佐方信博君) お説の通り三、四年前に待命制度というものが法的にも予算的にも、一年限りだったと思いますが、あるいは翌年にまたがりましたか、そういう制度があったかと思います。しかし、それは全く特例的なことでございまして、それをやりますためには法的な、あるいは予算的な措置が必要となるわけであります。省全体としましては、例の組合との間でいろいろなことでそういう制度を一つ考えたらいいじゃないかという意見が強いのでございます。しかし、先ほど申し上げましたように予算的なことと、国全体の問題でございますので、今のところ、省としてそこの線までは打ち出しておりません。しかし、一つ大きな問題として常に提起されておることは事実でございます。せっかくまあ研究してみたいと思います。
○森中守義君 この問題の最後に私は特に要望しておきたいと思いますが、少くとも二十数万の職員の中から、非常に官等の高い人は最後までよくめんどうを見てもらえる、そうでない、地方の郵政局の部長以下のクラスになると、やめっぱなしだというような批判の声が起きたり、あるいは人事に対する不信の声が起きるということは、それそのものが事業に対する大きなマイナスであろうと思う。また、そういうことは郵政省の適正な運行ではない、こういう工合に考える。それで今、人事部長が承知されたように、今なお一年近くたって、仕事はしない。月給は払っておる、片一方の方ではやめっぱなしだ。いつまでそういうことが実際問題として行われるかどうかは知りません。もちろんその背景にあるものはいろいろ私も知っておるし、聞いてもおりますが、そのこと自体をここで突き詰めてどうしようという気持はありませんけれども、やはり人事の問題は、たとえ勤務した年限が長い短かいということはありましても、同等に、郵政事業に対する、国の事業に対する功労者であるから、官等や身分のいかんにかかわらず、同じような処遇が最後まで与えられ得るように、特段の配慮をこの際私は当局に特に強く要望しておきたいと思います。これに対する大臣の所見を述べてほしいと思います。
○国務大臣(寺尾豊君) 森中委員の御所見、最後にお述べになりました郵政省が人事の公正を期して、その官等のいかん、あるいは勤務の長短というようなものにとらわれずに、少くも郵政の業務に従事したこれらの人々を手厚く公正に取り扱っていくべきであるという御意見に対しては、全く同感でございます。従いまして、今後の人事その他につきましては、そういったような公正妥当なる考え方をもちまして人事の遺憾なきを期したい、かように考えております。
○森中守義君 それから次に、資料に関係のあることですが、関係者に二、三御質問いたします。六月二十日に荒巻監察局長は、私の質問に対しまして、こういう答えをされております。七十九条の適用についてですが、「関係政府各機関の間においてそれぞれ検討の結果、意見が一致いたしましてこの実施をされる、こういうことになったのであります。」、こういう答弁が行われておりますね。それで、これは七十九条の発動の協議にもちろん参加されていると思うのです。しかも、当日の委員会においては、同意をした、こういう答弁が出ておる。それで協議に参加したということと、その一致した意見の上に立って具体的に行動を起した、こういう二つの問題になるかと思うのですが、単に協議に参加したということにとどまったのか、ないしは、郵政当局としては、政府各機関の一致した意見のもとに何分の措置を講ずるためにお考えになったのか、このことをお答えいただきたい。
○政府委員(荒巻伊勢雄君) 政府関係機関の間におきましてそれぞれ検討せられたということは、閣議決定でしたか、閣議了解でございましたか、九月二十七日にありまして、それをもとにいたしまして、関係各部門において、この適用につきまして検討いたしたのでありまして、その結果、各部門の間におきまして意見の一致を見、それぞれ所掌の職務に従いましてこの仕事に携わる、こういうことを申し上げた次第であります。
○森中守義君 そうしますと、あれでございますか、同意をした、協議に参加した、これには非常に消極的な責任が生じます。それともう一つは、協議に参加をして、同意をして、それを郵政ではどうするかという、何かの具体的な行動を起した場合には、より積極的な責任をになうという二つの面が出てくると思うのです。たとえば裁判所にいよいよ持ち込まれて参りまして、昨日ですか、特別抗告が棄却になった、そのあとはあとで今度はまたその起訴をきめるんでしょうから、起訴した場合に、裁判所から、かりにこの検察庁のとった、あるいは政府各機関のとった態度は、法の運用としてはあやまちであった、こういう結論を出します。その際に協議に参加をし、同意をしたという郵政省は、その敗訴に対する責任を負わなければなりません。これは当然だと思うのです。それと、郵政省で七十九条発動に対する協議に参加をし、あるいは同意を与えて、それに対する具体的な行動を起した場合には、そのことに対して積極的な責任を負わざるを得ない、こういう問題が実際問題としてやがて出てくると思うのです。そういう意味で、責任の所在を明らかにしておく必要がありますから、単に協議に参加をし、同意を与えたということに郵政省はとどまったのか、そうでなくて、それと同時に積極的に、郵政でも犯罪の捜査に協力をする、あるいは非違行為の摘発に行動を起す、こういうような問題がありますが、今の局長のお答えでは、どうも納得できませんので、積極的に参加したのか、あるいは単に同意を与えたにとどまったのか、そのところを明確にお答えいただきたい。
○政府委員(荒巻伊勢雄君) 協議に参加した、あるいは同意したと、こういうお尋ねのようでございますが、政府各機関の間にそれぞれ検討し、協議があったということは事実でございますが、いずれが主であって、いずれが同意した、こういうようなことではございません。しかしながら、郵便法の解釈につきましては、郵政省自体としての立場がありまして、やはりケース・バイ・ケースということで、いろいろと細かい事情を調べるということはもちろんいたしておりますが、どこが主体となって、どこが同意したと、こういうわけではないのでございます。
○森中守義君 そこで少しやはり問題になるのは、小野次官と荒巻局長の答弁が食い違ってきます。五月三十一日にこの委員会が開かれたとき、同僚横川君と小野事務次官との間に質疑がかわされた。その中で小野次官は「違法の限界等につきましては、明確にその線を示しておったわけであります。そういった面で今回の検察庁のそれは、これは検察当局の独自の見解に基いて行動をしておられるわけでありまして、政府部内のわれわれからこれをどうこうというようなことはいたしかねるような状況であります。」、こういう答弁が小野さんから行われている。そうすると、荒巻局長は同意をした、協議に参加をした、という説明をこの前から今にわたって行われている。そうすると、小野さんがこれを否定し、荒巻局長は肯定をする、その食い違いはどういうことですか、小野次官。
○説明員(小野吉郎君) その点は速記録をしさいに御検討いただきますと、不一致ではございません。私が答弁を申し上げたのは、郵政省として、検察庁の行動ではあれ、お前たちの部下が非常な、そういうような嫌疑を受けて逮捕されるという事態があるのに、これを黙って坐視しているのか、こういう趣旨の御質問がございました。それに対しまして、われわれとしては、検察庁独自の見解でやっておられますので、その行動をよしてもらいたいとか、どうとかという意味合いにおいてわれわれがタッチする立場にはない、こういうことをお答え申したのでありまして、検察当局のいわば要請によりましてこの七十九条違反の事実問題に対する郵政監察官への協力要請、これに監察官が応じなければならないことは、これは私はその点は触れておらないのであります。これまた法律上当然なことでございますので、私の答弁と荒巻局長の答弁の間には食い違いはないと考えます。
○森中守義君 私もだいぶこの質問の要旨及びその答えというものを突き合せて研究したつもりですが、なるほど、底流として流れている質問の要旨と答弁の要旨はそういうことになるような節もあります。しかし、ここでは明らかに検察庁は勝手にやっているのだから何も郵政省は関係しない、協議にもあずかっていない、どうもしていないということで、まさしく郵政省には責任がない、七十九条に関する限りにおいては何にも知りません。ただ、あらかじめそういうような動向があるから、七十九条を適用されるような疑いがあるから、雲行きがあるから注意した方がよろしいということを、事前に二回も三回も、警告という言葉が当るかどうかわからぬけれども、相手方に対して意思表示をやった、そういうことを述べられた。しかし、明らかに今私が読み上げたあなたの内容というものは、郵政省は関知しないところである、これは協議についても、行動についてもそういう趣旨にとれる。ところが、局長はそうじゃない。やはりこれは食い違っていますよ、私はそう取らざるを得ない。
○説明員(小野吉郎君) その答弁の要旨をずっと質問と照らし合せまして、全体的に御検討いただければ明確であると思いますが、私が申し上げたのは、先ほどお答え申し上げた通りに、検察庁独自の行動なんで、郵政省としてはこれをとやかく言う立場にないということは、一切法の解釈問題につきましても、さらにまた、その解釈に基く具体的な捜査の問題につきましても、郵政省はノー・タッチであるというような意味で申し上げたのではございません。検察庁独自のそういった行動に対しまして、これを阻止するような意味合いにおいて郵政省が関与する立場にありませんので、そういう趣旨で申し上げたのでありまして、監察官といたしまして、七十九条の事実問題等について、検察当局独自の行動ではありますが、その過程において協力を要請されれば、これを拒むことはできません。そういう意味合いにおける関係はあるわけでありまして、私がそれを否定した意味の答弁ではなかったわけであります。
○森中守義君 この食い違いと私が判断する内容については、もう少し検討を加えてみましょう。ただ、ここでお尋ねしておきたいことは、私がこう言っておる。「政府機関の意見が一致したということは、郵政省も同意をした、こういうことですね。」と尋ねた。ところが、荒巻監察局長は「さようでございます。」、こういう答えが出ている。このことは事務次官も認めますか。
○説明員(小野吉郎君) 私もその通りに考えておりまして、他の答弁をいたしましたほかの部分を御検討いただきますと、法律の解釈問題につきましては、政府部内におきまして法務省の見解も郵政省の見解も違いはございませんと、こういうこともはっきり申し上げておるわけでありまして、私は監察官としては、検察当局としての独自の現在の行動につきまして、これに対して関与する立場にないということは、そういう捜査を打ち切れとか、あるいはこれはもう目をつぶってもらいたいとか、よしてもらいたいとか、こういう意味合いの関係において、ものが言える立場にないのだから、こういう趣旨でお答え申し上げたつもりでございます。
○森中守義君 それではもう一つ聞きますが、単に同意したということは、これは学者が何かの疑問点に対して意見を開陳し、その意見が正しいであろうというような意味と、行政機関の代表が一つの問題に対して同意を与えるということは、これはおのずから問題が違ってくる。従って、七十九条の問題は郵政省に対しては行政機関として、閣議なら閣議、あるいは次官会議なら次官会議でこのことを案件として提起したと思うのです。従って、荒巻局長の「さようでございます。」という答弁と小野次官が今言われたような答弁からすれば、やはりこの法の発動については郵政省は責任を持つということになると思う。これは当然そのように了承して差しつかえありませんか。
○説明員(小野吉郎君) 捜査には協力いたす立場にございますので、その限度におきまして関係はあるわけでございます。
○森中守義君 どうも答弁があいまいで困ります。限度において協力ということはない。問題の基本になっております七十九条を発動することの意見の一致あるいは不一致ということは、あの捜査の前段にある閣議の中で意見の不一致を見たならば七十九条の発動が行われていない、私はそう思っておる。あるいは法務省と郵政省が七十九条の解釈をめぐって、先方の方はこれは適当だと、郵政省は適当でないという主張が対立した場合には、もう少し変った方向に行っておると私は思う。だから、国の機関として郵政、法務省あるいは検察庁という分れた機関であったにしても、やはり協議に参加したつまり一つの機関というものは、二つあるいは三つにまたがったものが意見の一致した場合においては、その一つは当然責任をになうということになると思う。だから、犯罪捜査に協力する、しないというその前の根本的な問題である七十九条は正当な解釈であるのかどうか、同意をしたということは、この通りやろうじゃないか、積極的にどこがリードしたのか、それは私どもは知りません。少くともここに「さようでございます。」という答えがある以上は、七十九条の発動については、郵政省はもちろん責任を持たなければならぬ、こう私は思うのですが、郵政省はどうですか。
○説明員(小野吉郎君) 今の責任の問題のようなことにひっかけられて申されますので、私の答弁もあいまいになるように思いますが、まだ未定の事実を一つの期待として現実の確定せる事実かのごとく言われまして、それについてお前たちも両方責任があるじゃないかと言われますと、政府はまだそのような仮定の事実に対して、これを責任があるともないとも答える立場にはございません。ただ、法の解釈問題あるいはこの七十九条の捜査の過程におきましては、もちろん次官会議でもいろいろ話題になっております。この間におきましては、過般の御質問に対するお答えでも明確にいたしておりますように、法律の解釈については、政府部内に不統一はございませんと、こういうお答えを申し上げておりまして、従いまして、その意味における七十九条の法解釈あるいは捜査上の問題について関係はあるのでありまして、検察当局は検察当局、郵政省は知らぬ存ぜぬという、こういう意味合いのものではないということを申し上げたのであります。
○森中守義君 大へん言葉がうまいので、どうもごまかされるような気がするが、私が責任ということを強く主張しておるのは二つある。それは、事を起すこと、つまり動機を作った責任と、ての動機によって過程をたどる結果、七の結果に対する責任、責任は二つに分れる、この場合にはおのずから。だから、私は動機に対する責任をどうする、どうなるかということは、結果としては、なるほど仮定のことです、また裁判は行われておらない、どうなるかわかりませんから、そのことは無理かもわからない。しかし、事を起すとさの責任は、郵政省は当然になうべきではないか、このことを認めている以上は。そういう工合にわかりやすく聞きましよう。
○説明員(小野吉郎君) 責任となりますと、何か法解釈を間違えた、また、法の運用を間違ったその関係における結果に対する一つの報いを受けるといりように響きますので、私はそのような面は、まだ将来の問題でございまし、、現在確定の事実ではございませんりで、そういう未定の事実を前提といたしての責任というような言葉は使いませんが、かりに私どもの今の立場を申し上げますと、職責はある、その職責は持っておる、このように御答弁申し上げたら適切であろうかと思います。
○森中守義君 これは今も申し上げたように、事を起すに当っては何かの基準が要るわけですね。これが七十九条の発動が正当か正当でないかという協議という形に現われておる、その協議に郵政省が参加をしている、これは適当であるという意見の開陳をした、あるいはそれに同意をしたということであれば、事を起すに当っての責任というのは当然です。だから、結果についての責任は将来の問題としていろいろ聞くことにいたしましょう。しかし、七十九条の発動に対する政府の一機関、そういう意味においての責任というものは、職責という言葉でごまかそうとしておりますけれども、明らかにこれは責任だ、そういう意味に了承してよろしゅうございますか。
○説明員(小野吉郎君) 御解釈は、見解が非常に違っておるようでありますので、御解釈は御随意にお願いいたします。私は職責としてはそのような立場にある、こういうことをお答え申し上げます。
○森中守義君 責任というのは職責がなければなりません。一個人である小野さんに、こういうような話をしてもしようがない。職責を持っておるから結果が生まれる、責任が生まれてくるのです。そういうばかげた答はやめてもらいたい。事務次官として協議に参加をした、あるいは監察局長として協議に参加をしたならば、職責がそういう行為をさしているのだから、その行為によって生じたものについては、あなた責任を持つのが当然じゃないですか。それで、それは大体私の言わんとするところもわかってもらえたろうし、私は明らかに職責と責任は表裏一体のもであると思いますから、責任がないとは言わせない。それで、そういうことすらして問題になってくるのは、どうしても資料が出せないという意味は、単に協議に参加したということでなくて、捜査に協力をするか、あるいは自主的に郵政省が七十九条の問題を取り扱うか、このいずれかでなければ、資料が出せないということは私はないと思う。単なる協議にとどまっていない、一歩前進をしてその協議、一致した意見を行動によって、行動に移したということになると思うのですが、その点はどうでしょうか。先刻から監察局長にお尋ねしておるが、どうもあいまいで、はっきりいたしません。もう一回お答え願います。
○政府委員(荒巻伊勢雄君) 捜査の手続というものは御承知の通りいろいろ段階を踏んで参りますが、捜査の過程におきまして郵政監察官として行なったいろいろな技術関係あるいはその内容というものを公けにいたしますことは、現在の訴訟と申しますか、捜査の進行段階におきまして、いろいろと問題があるということで公けにすることを差し控える、こういうふうにお答えしたのでございます。
○森中守義君 どうも内容が明らかになりませんから、通達の内容が。それで非常に私どもも困るのです、実際は。しかし、捜査の妨げにならないようにしなければいけないのです。百九十六条の解釈をこの前からここに主張されておりますから、捜査の妨げになるということになると思う、その通達の内容は。捜査の妨げになるから出せないのだ、こういうことでしょう、逆に解釈をしますと。そうなるとやはり行動によって行動を起したのじゃないかというようにとらざるを得ないのです。単に七十九条の解釈であると、あるいは政府機関の統一した意見であるとか、そういうものを地方に出すということは、何もこれは捜査関係には抵触しないということです。それはなぜかというならば、警察は統一された見解一致した意見のもとに具体的な行動によって検挙をやった、強制勾留をやり取調べをやっておるわけですから、もはやそれは秘密性を失っております。単なる統一解釈、単なる一致した意見を指令してやったということであれば。ところが、その段階では、もうすでに警察や検察庁が具体的な行動によって証明をしておりますから、今申し上げましたように秘密性はない、その価値がありません、どう評価しても。それではこれから先の供述調書の問題であるとか、裁判に関係があるとするならば、郵政省自体も何らかの行動によってこれを行おうとしたのではないかというような判断を私は持つのです。だから、単に決定した事柄を流したのか、こうせい、ああせいという指揮監督をやられたのか、そこのところをもう少し正確に答えてほしいと思う。
○政府委員(荒巻伊勢雄君) 内容的には、私申しましたことは、その事柄の内容を公けにすることは差しつかえがある、こう申しましたのでございますが、郵政省といたしまして捜査に協力するという立場から、かくかくの事柄についてはかくかくにおいて調べるというような事柄は、当然下部に指令をする、こういうことは言っておるわけでございます。
○森中守義君 通達の内容というのはそういうことですか。
○政府委員(荒巻伊勢雄君) いろいろと広範な分野にわたるものがあるわけでございます。
○森中守義君 私は、けさあれで資料の問題については一応打ち切っておる。打ち切ってはおるが、もう出してもらわなくてもいいのですが、何回もくどいことは言いません。しかし、内容は審議の問題です。だから、われわれもう少し申し上げなければなりませんが、すでに刑事訴訟法百九十六条は先刻も申し上げたように「妨げとならないように注意しなければならない。」と、こういうことですが、準抗告が行われ、これが棄却され、特別抗告が行われ、これが抗告をされる、しかも、検挙あるいは勾留ということは、もう実際問題としてあり得ない、これから先は。きょう高検の公安部長かなんか談話を発表しておりましたが、実際問題としては、法律上は検挙、勾留の権利はもうない明確に。そうだとすれば、百十六条の問題はやはり検挙、勾留というような、何月何日にだれを逮捕しなければならない、だれを拘引しなければならない、そういうきわめて能動的な状態をさして妨げになってはならないというのであって、すでに強制勾留をやり、供述調書はみんなでき上っておる、参考人も無数に呼ばれておる。もう一つの、点から線に発展した内容は全部把握されておるのですよ。これ以上捜査の妨げになるということは私はなかろうと思う。むしろ、今日あるいはあすからの段階というものは、これをどういうような条文に照らして起訴をするか、その立論の段階だと思う、検察庁における。それでもなおかつ百九十六条によって出しにくいということになりますか。出してもらわなくてもいいけれども、ここでその内容を公けにしにくいのですか、要するに、百九十六条にいう捜査の妨げにならないというその段階ではないのです。大へんくどいようですけれども、もう検挙は行われません。勾留は断じて行われない。しかも、数名の人の勾留をやり、かなり多数の人を参考人として呼んで一つの問題点を高検にしても地検にしても把握しております。今から先はどういうような方法で起訴をするか、むしろ、そういう法理論的な検事の協議の段階であろうし、あるいは検事の認定の段階に来ておる。もう妨げになるならないという時期じゃありませんよ。にもかかわらず、資料が出せない。出してもらわなくてもいいけれども、この委員会で内容を公けにされないという理由はどこにも私はなかろうと思うのです。
○政府委員(荒巻伊勢雄君) 検察部門におきまして実行せられておりまする手続の状況につきましては、私ども詳細に知悉いたしておりませんが、ただ、一般刑事訴訟法的な解釈におきましても、現在におきましても捜査は進行しておるということでありますので、私どもの立場といたしましては、司法警察職員といたしまして、捜査上の障害となる事柄につきましては、発表を差し控えていい、こういうふうに解釈しておる次第でございます。
○森中守義君 それでは、もう一つお尋ねしますが、この実際の犯罪捜査というものは、もう検挙ができないという段階に来、しかも、検察庁も打ち切らざるを得ません、捜査そのものは。あとは任意出頭の形で何人か呼ぶでしょうけれども、実際問題としてそれが終息を告げておりながら、あと裁判にかかる、そういう段階に至って内容が公表できないということはないと思うのです。どうですかね、その点は。
○政府委員(荒巻伊勢雄君) 何回も繰り返すようで恐縮でございますが、私どもの立場といたしましては、現在まだ発表することはできないという次第でございます。
○森中守義君 そうすると、結局これは郵政省の職務の一環としておやりになったことでありましょうけれども、七十九条の解釈といい、あるいはその捜査といい、間接あるいは直接に検察庁と一緒になって郵政省は幇助的な役割を果した、こういう工合に見ても差しつかえありませんね。
○政府委員(荒巻伊勢雄君) 法の適用につきましては、省全体といたしまして解釈して決定されたということを申し上げておりますし、また実際の捜査の手続上におきましては、郵政監察官が司法警察員としての職責を執行する上においての協力をした、こういうことでございます。
○森中守義君 この特別抗告が棄却になり、いよいよ裁判の審理段階にこの事件は入っていくと思いますが、こういうことが二回も三回も繰り返されるということは、いかなる立場から見ても決していいことではないのです。それで今までほんとうに何回もこの問題に関していろいろと質問も申し上げて参った一つの成果というものは何によってこれを求むべきか、どういうことによってこういうあやまちを、だれがあやまちであったかということは別です。それはあなた方の方でいえばこの前大臣が全逓がどうだ、こうだという話ですが、おのおのの立場にそれぞれ主張があるわけですが、少くとも問題として残されておる法律上の疑問がたくさんある、こういうものを明確にすれば、ある程度私はどの法律の適用が正当であるとか正当でない、こういうわずらわしい問題も回避できましょうし、それと根本的には労働問題に対する一つの措置も行われようと、こう思うのですが、こういう問題を処理していくために、再びこういう事態の発生を見ないためにどういうような方法が一番いいとお考えになりますか。あなたは監察ということを、法律の運用にあれですから、そういう立場から答えて下さい。たとえば公労法の改正をすべきであるとか、公務員法をどうすべきであるとか、あるいは郵便法七十九条はこれは、もう少し区別をすべきものは区別すべきだという、そういう立場からの答弁をあなたにはお願いしたい。
○政府委員(荒巻伊勢雄君) 御質問の事柄に対するお答えが非常にむずかしいので、ちょっとお答え申し上げかねるのでございますが、非常に事柄が重大な問題でありますし、法の適用、その結果というものが今後どうなるかということで現在も問題が提起されつつあるわけでありますけれども、私どもの立場といたしましては、法がある以上は法に従い、厳正な適用というものが必要であると、まあかように存ずるのでありましてその間、解釈につきましていろいろ疑問というものがあるのでありますが、これらにつきましては、明快なる公権的な決定というものがあってしかるべきではないだろうかということを、私どもの立場としましては期待しておるわけでございます。
○森中守義君 どうもやはり適切な答えじゃない。これはですね、この前もちょっと申し上げたかとも思いますが、公労法にも盲点がある。郵便法にもいわんや盲点がある。盲点があるというよりも明らかに誤まった法の適用をしております。だから、正確に労働運動に適用すべきでないというような条文を作るなり、新しく挿入するなり、あるいは公労法の改正をするとか、さらには国家公務員法をはずしていく、そういうことが喫緊の問題になってきたわけですが、少くとも労使の正常な慣行の確立が望ましいと主張する岸内閣、その閣僚の一人である郵政大臣は、この前、私はあなたの一番最初のときに深く言っておりませんが、それからかなり日にちもたっておりますから、委員会で何回もこういう論議をお聞きの中から、おのずから一つの大臣としての方針も出てきたんじゃないかと思う。罷業権を与える、あるいは公労法の改正をする、郵便法はこういうものに適用すべきでないならない、まあこういう法律上の正確さを期するというお考えはお持ちでありませんか。
○国務大臣(寺尾豊君) これは森中委員の先刻来のいろいろの質疑等も拝聴いたして参ったのでありますが、非常にむつかしい問題であると同時に、私の今の立場としては、そういうことに対しての具体的な意見をまだ確信を持って申し上げる、こういったようなことを再び繰り返さぬためには、何か法の改正その他を考える余地はないかと、まあこういう御指摘に対しては、私はそのことについての確信ある御返答ができないのでありますが、ただ、私は自分の所管する郵政省の中の、いわゆる組合員がこういうような逮捕をせられる、あるいは郵便法第七十九条に該当するとして取り調べを受ける、あるいはいろいろな捜査をされておるということは、きわめて不幸なことだと、こうは考えます。従って、こういうことを一日も早く再び繰り返さないように願う、まあこういう気持には、私は強いそういう希望を持っております。ただ、すでにできたこの違法行為、それが公労法にも違法行為として違反し、あるいはまた郵便法の七十九条にも該当するものとして捜査あるいはその他取り調べが行われておるということに対しては、これをいかんともすることができぬじゃないか、これは法の尊厳、あるいは法治国としての今の国の形といたしましては、峻厳なるこの法の適用、これはあるいは森中委員がおっしゃいますように、裁判になってその結果を見なければわからないということも、私もまあわからないことはありません。これは法の権威といったようなことになっても、裁判の結果等がどうなるとは、私は断言はもちろんできる立場でありませんけれども、しかし、これが七十九条に該当する、この規定に触れる、触れたんだということによって取調べをされておるということであれば、やはり法は法としてこの適用を受けるということは、まことに遺憾でありますけれども、やむを得ないんじゃないか。従って、こういうことを再び繰り返さないようにしたいという希望はありますが、それならば公労法をどういうように改正するとか、あるいは郵便法七十九条に対する解釈をこういうふうにするとかいうことについての、目下私が確信のある、あるいはまた私としてそれに対する所見を申し上げるということは、率直に申し上げてできない、こういうことであります。
○森中守義君 なるほど、大へんむずかしい課題ですから、そういう程度の答弁かと思いますけれども、承わっていて何かたよりないような気がするのでございます。というのは、私はドイツ憲法の亡霊ではないと思う、法律を扱っていくのは。これはたくさんこの辺に事務屋さんがおいでになりますから、あなたに公労法の何条に何を書いてあるかという、こういうことまでは聞こうとは思わないのですよ。しかし、多分に生きている行政機関、生きている労働面、双方生きているのですから、法律の適用だけで事がおさまるのじゃない。しかも、かりに法律の問題にしても甲論乙駁、いろいろあります。そういう盲点もある。そういうあれやこれやを考えたら、もう少し高い角度から問題の収拾に当るべきではないのか、これが閣僚の仕事じゃないか、こういうことを聞いているんですよ。何も法治国の候のというような事むずかしいことは言わなくてもわかっておりますよ。しかし、現実にこれから先もこのまま放置していくなら、この種の問題はあとを断たない。幾ら岸さんが労働組合をつぶそうとしてもこれはつぶれない。変った形の方向に発展していきますよ。そういう時代の到来は、目の前にあり、しかも、今日の時代の趨勢というものはそういう段階を歩きつつある。こういう趨勢に対してどういう措置をとるかというのは、大臣としての一番大きい法律論争ではなくて、政治論争として、政治問題としてお考えになるべきじゃないかと思うのですが、どうでしょうか。
○国務大臣(寺尾豊君) 森中委員の御質疑の精神と申しますか、お気持はよくわかります。しかし、私はあやまちはあやまちとして、これをとやかくわれわれが、われわれ政府の、あるいはまた検察当局等との解釈の一致したことによって準抗告、特別抗告等の棄却にはなっておりますけれども、しかし、このことと、また七十九条に該当する違法行為があったということによって捜査が進められていることとは、私は必ずしも絶対の関係が、もちろん関係はありますが、準抗告あるいは特別抗告が棄却されたからといって、これがそうした違法行為が七十九条に該当しないことになったのだということには、解釈をいたしておりませんが、ただ私は行政府の、要するに全逓の所管である、主務大臣である立場といたしまして、こういうあやまちを再び繰り返さないように、今後の問題を一つ大きな理解とお互いの話し合い、こういうようなことによって再び繰り返さないようにする、こういうふうなことに努力するということを考えておって、今の法の解釈をこれがどうだとかこうだとか、私はもちろんその法律というものにもきわめてうといし、そういう専門の何らの知識も持っておりませんが、しかし、政府が統一してこの公労法の解釈、また郵便法第七十九条に対する解釈というものが、すでに御承知のように統一されております現状におきましては、これは私どもがさような解釈によって進む、できたことに対してのこうした不幸な事柄ではありますけれども、これが法の峻厳な適用によって進められるということを認めないというわけにはいかぬと考えます。
○横川正市君 ちょっと関連。今の大臣の言われている答弁の中で、法律問題でありますから、そのことによって処罰するものは処罰し、褒賞するものは褒賞するのは当りまえだという意見なんですが、その点で、実は解釈の点ではこれは与野党ということではなしに、実は不一致の段階にあるものだと私は思っておるのであります。その不一致の点をどう合理化したかというと、これは私は法制局関係の人の意見で申し上げるわけですが、その不一致の点を合理化したのはいわゆる政策の問題なんです。いわゆる与党勢力という全体的な上に立ってこれを正当化しているのではないだろうかと、こういうふうに法律条文を実は読み返させられているような状態にあるわけなんです、この郵便法の問題で。ですから、私はそういう問題を、与党勢力というものを背景にしてここでものを言われるということは、実は非常に紛争をさらに拡大することなんだから、もう少し紛争を少くとも少くするためには、大臣として一骨折ってみる気持はないだろうか。その気持を、今度のこの事件に現われて参ったのは、ちょうど表面はきれいなんでありますけれども、ときどきうみが飛び出してくる。だから、そのうみだけを取り除こうというのは、今、大臣が言っているように法律でもって取り除こうということだと思う。実際上うみの出る原因というのは一体何かといえば、これは調停委員会にかかったときに、全逓側が、これに対して調停委員会の意思表示を少くとも有利にしようとした実力行使が原因になっているわけなんです。ですから、大臣がもし努力されるとするならば、調停とか、仲裁とかという第三者の立場というものをもう少し公平無私な立場にする、現在まで、これはもちろん直接的には労働省の担当の問題でありまして、大臣の立場からすれば閣議決定の席上で御意見を述べられる立場だろうと思いますが、私は直接現場を持ち、毎日の労働運動に非常に大きな心労をされております郵政当局としても、当然のこととして、ストライキ権にかわって作られている調停、仲裁というもののあり方については、もう少し真剣に考えたらどうだろうか、ことに、調停とか仲裁の第三者委員なんかの選挙の場合には、労働省が推薦するとか、形式的には労働者側の委員の意見も聞くようでありますけれども、実際上は政府が任命をするのであります、方式としては。そこで、日本へ外国の労働組合の団体がたくさん視察に人をよこしますけれども、こういうような調停、仲裁のシステムというものを見て、これは官製ではないか。正常な労働組合運動をやっていくのに官製の調停、仲裁というのはきわめて非民主的だ、民主的な運営はできないものだというようなことで一笑に付すようなシステムが現在行われているわけなんです。ですから、直接な原因になって七十九条の問題にまで発展していったそのうみの出るもとというのは、こういうようなところにあるわけですから、大臣は直接ここで働かれる分野というものがあると思う。それが一つであります。 それからもう一つは、現在の時流なんでありますけれども、私は私なりの主観的な考え方でものを言っていると判断されればそれまでだと思うのでありますが、ただ、私は日本の政治のすべての実権を握られております寺尾郵政大臣を含めての岸内閣は、確かに今度も選挙では勝ったわけなんです。多数をとったわけです。だから、勝ったということが、果してすべての問題について委任をされたかどうか、こういうことについては、まあいろいろ私は論議すべき問題もあろうかと思う。しかし、そういう中で、今とられております労働問題一般に対するものの考え方は、表面上は労働運動に秩序とそれから法の建前というものを守らせるという、こういう二つのことが石田労政それから倉石労政、ひいては岸内閣の方針として出ているわけなんです。しかし、私はその法を守らせるんだ、法治国家の国民だから法を守れということと、先ほどちょっと法制局にも質問をいたしたのでありますが、憲法の二十八条、二十九条の関係で、最終的に政策が決定すると言われる解釈で、取締法規あるいは労働保護法規というものが出てきて、一方的にそれが労働者に押しつけられるという、こういう問題をもう少し私は角度を変えて方針というものを立ててもらえないものだろうか。それには、たとえばこれは指導者原理の問題から考えてみましても、現状、自分たちが多数だからといって、多数の支持を得た、しかし、その多数の支持が、意識あったかなかったかといって検討すれば、おそらく寺尾郵政大臣の頭と同じ頭が支持したわけでないのでありますから、それはいろいろ支持者のものの考え方というものは、その上にあぐらをかいて漫然としておれない支持票であったということも、部分的にはあるんじゃないかと思うのであります。そういうふうに考えますと、今のこの時勢というのは、たとえば前国会でILOの八十七号の批准の問題が出てくる。それから同じようにILOの百五号の批准についても、石田前労働大臣は批准をするということを、プライベートでありますけれども、表明いたしております。この二つの批准、八十七号と百五号というのは、簡単に申し上げますと、今、全逓でいえば、首を切られております野上委員長が代表権を持つというふうなことが八十七号、それから百五号というのは、これは強制労働に関する批准でありまして、この批准を行うことによって、私は、たとえば公務員であっても政治活動の自由というものは獲得できる、こういうものだと思うんです。そういうようなものが、前国会の前労働大臣のときには、大体批准の方向に向っておったというのが、私は当面いたしております社会情勢の時流だと思うんです。これにそっぽを向くのか、それともその方向に幾らかでも歯車の歩調を合せて問題の処理のために努力をするのか、これが私は少くとも郵政大臣のものの考え方、判断の中で、最も端的な、必要な項目である、こういうふうに私は思う。ですから、第一の問題としては、労働省の所管でありますけれども、こういう問題が出てきたときに、当然労働者も信頼をしてまかせ切れる第三者介入機関、こういつたものを作り、全く自由な立場で公平な機関にする、こういうその強い意思を寺尾大臣としては閣内で発言をする、第二の問題は、時流に背を向けないで、歯車を合せて、なかなか全面的に一ぺんにはできなくても、一歩でも二歩でも近寄っていく、この方向をとるのか、この二つが私は当面の問題として、きわめて重大な問題であると思います。
○国務大臣(寺尾豊君) 私は、横川委員の高い労働運動に対する御理解のある、また、その紛争をできるだけ防ぐ、こういう御意見、また、そういう御質疑に対しては、私はよくわかります。こうした原因が、たとえば第三者機関、調停、仲裁のあり方に多少そこに不備があったことは、その関係において、そういった不幸なところまでとうとう行っちまった、こういうことがあったとするならば、その際に全逓の各位が、ぐっとその第三者機関の理解ある処置によってそうした争議にまで発展をせずに、違法行為にまで発展をせずに済んだ、こういうことであれば、その第三者機関というものを、より高い、いわゆる労働運動に対する大きな理解と、労働者の持つ大きな使命あるいは栄誉を十分保持していこうとする、そういった高い第三者の機関が作られるということに対しては、私は横川委員のように、これはぜひそういったものを作りたい、こういう考えはもちろん持っております。 それから岸内閣が時流に反して、非常に労働者に対して理解のない労働行政をやりはしないかということについては、私はそういう御批判もあるかと思います。しかしまた反面、労働者も、日本の置かれておる立場あるいは労働者の持ちまするところの大きな権利に裏づけされるところの責任、こういうものも考えていただいて、今の御指摘のILOの八十七号あるいは百五号、こういうものも自然にそれが批准をされるというような、そういう情勢を作るということは、政府だけがやるということよりも、両々相待って、労働者は労働者としてよき慣行を樹立していく、また大きな労働者の持つ権利あるいはその条件も認められ、また、これが発展をしていくということのその反面、法を守って、労働者の高い立場として、一つ国の再建に持つ栄誉、使命というものにも徹していく、こういうことで、これは大へん理想論になるかもしれませんけれども、その両々譲り合い、相協力し合うというような空気が出てほしい、そういうことであれば、岸内閣といえども、決してそれに対して圧力を加えるとか、不理解なことになろうはずもない、こういうふうな、基本的な考えのようでありますが、考え方を持っておりますが、しかし、私も所管であり、また自分の家族である全逓の従業員各位が、こうした不幸なことに遭遇しておりますから、この問題の解決という大きな問題に、高い立場から考えましたときには、これをぜひにも、できるだけこうした問題がすみやかに、また円満に解決をせられるということを望んでおるということについて、横川委員の御所見は私は十分わかりもするし、また、そういう考えも私が持っておるということを申し上げます。
○横川正市君 今のあれは、ただ籍目的にそういう何か理想論をただ聞いただけでは、実は現実の問題というのは解決をしないのでありまして、まあ第一の問題は、直接は大臣の関係ではないとは思いますが、第二のILOの二条約の問題は、外務省でも条約の優先性というものを新聞でも出しておりましたし、これは直接今国会には間に合わなくても、次期臨時国会あたりには、これが批准されるということの方が、私は今の困難な状態というものを解決するのに一番手っとり早い方法ではないかと思うのであります。ですから大臣として、当面の問題としてどうだ、しかも、それが一番この手っとり早い問題だということになれば、この二条約の批准について、相当積極的にまあ働いてもらえるのかどうか、その点を一つまあ簡単でいいですから、お答え願いたいと思います。
○国務大臣(寺尾豊君) まあこれは御承知のように、労働省の所管であって、私がいかんともすることができないのでありますが、しかし、こういったような批准も行われて、労働者ができるだけその大きな――彼らにそういう資格が与えられて、正しい、この穏健な労働運動というものが展開されていくということはきわめて望ましいことでありますから、私の気持といたしましては、ILOのそうした八十七号あるいは百五号といったような条約の批准というのは、されることを希望いたします。
○森中守義君 先刻小野次官と荒巻局長との食い違いがあるということを指摘いたしましたが、あらためてこの会議録を読んでみて、やはり食い違っているのです、あと先が。それから横川君の質問の要旨ですね。何となれば、小野次官のあとの方の――あとというのか。横川君の質問に対する答えの中心は、そういった、さっき読み上げた通りですね、検察庁が独自の行動でやっていると、あとで注釈を加えている。その注釈は、岸内閣がこういうことを成立以来労働運動にとってきたということを、単に受け売りしているにすぎない。ここは郵政省の独自の立場からどう考えるのかということをあなたは主張していない。会議録を見てごらんなさい。それに対して私はこの前の監察局長に対する質問は、同意をしたのか――かなりこれは積極的な意味です、同意を与えるということと、さらに、岸内閣の意見をここにただ引用して、政府としてはこういう方針をもってやっております、という述べ方というのは、意味としてはだいぶ違っております。だから、私はやはり先刻も指摘したように、小野次官は、今回の検察庁のそれは、これは検察当局の独自の見解に基いて独自の見解を持ち、独自の行動をやっております、こういう工合に言っておるわけです。やはりお二人の意見は食い違っておりますよ。どちらが正当なんですか。
○説明員(小野吉郎君) 先ほどお答え申し上げましたように、食い違いは毛頭ございません。
○森中守義君 ある。
○説明員(小野吉郎君) これは質問者が違いますし、あなたはそのような意味合いにおいてそういった関係機関の相互間における関連を主体としてお聞きになったわけであります。横川委員は、そんな見地では毛頭質問されておりません。この問題は、本来ならば法務省の問題であろうが、郵政省としてのお前たち解釈の立場があろうから、その面について質問をするのだという見地で聞かれたのでありまして、法務省との関係がどうであるか、操作上の関係にどういう関係があるかというような質問の御趣旨では毛頭なかったのであります。従いまして、そこにありますそれだけをもちまして、同様な質問に対する答えとしては、あるいは表現に多少相違があるかもわかりません。ただ、そのことが聞かれないから、そういう面に触れておらないだけでありまして、その辺の質問と答弁のそれをよく対照してごらんいただければ、決して、その辺に対する食い違いはないと思います。
○森中守義君 横川君の質問はですね、こういう要点ですよ。 まず第一点は、立法の責任者である郵政当局は、郵便法違反容疑という形で逮捕が行われておるという事実に対して、一体どのような考え方を持っておられるか、まずそれをお聞きしたいと思う。それから第二の問題は、この郵便法七十九条は、これは当然郵政省の立法の側に立っている方々がどういうふうに解釈されているか、この三つをまず明らかにしていただきたい、こう言っている。なるほど、表現は少し違っておる。違っておるが、私の聞き出さんとするのと、横川君の言っているのは、そう大幅な懸隔はありません。懸隔はない。これに対してあなたは、先刻申し上げたように、検察庁が独自の見解、行動をやっている、独自の見解と行動ということを主張しておられる。そして、そのことをあたかも疎明するように、郵政省としては、これは岸内閣成立以来労働運動に対しては一つの明らかな線を持っております、ということを後段において疎明をしている。しかも、ずっと最後に至っては、郵政省はその見解をあたかも支持するような表現のもとに、七十九条の発動は非違性はないというように結んでおります。だから、今私が申し上げたことからいけば、明らかに消極的というよりも、政府の見解を一応正面に出し、そして検察庁の独自の見解と、独自の行動に責任の中心を、置いておる。あとは全然違うのです。ところが監察局長は、同意を与えたと、こう言うのです。これはあなた、ずいぶん大きな食い違いですよ。私はそう思うのです。で、これはどうですか、委員長。やはり委員会における説明員の意見の食い違いというものを――会議録に出ていますから、このまま不問に付すというのは私は問題があろうと思います。だから、もう少し先方の方も会議録を十二分に検討してもらわなければならないし、委員長、理事の方もこの扱いを一つ検討してみて下さい。それは検討していただけるか、よろしゅうございますか。この次の機会にでもこの食い違いは明らかにたださなければなりません。
○説明員(小野吉郎君) 今の食い違いとお感じになりますことは、私が先ほどお答え申し上げましたそれによりましてわれわれの気持は十分おわかり願ったと思います。ただ、異なる質問に対する異なる答弁でございますので、その間における質問をされない事項については私はお答えを申し上げておりません。検察庁の関係について、われわれがどのような協力関係にあったか、その関係についてどういう関連を持ったのか、こういう趣旨の質問は毛頭なかったのであります。郵政省としての七十九条の解釈問題を中心としての御質問であったのでございますので、そのようにお答え申し上げたのでありますが、かりに、その辺は別といたしまして、現在この前の議事録はこうなっているのだと、こういう立場を固執されまして、そこに違いがあると言われれば、きょうの御答弁で非常に明確になっていると思います。きょうはそのような意味合いとは違うのだ、監察局長に対すると同様な見地から、森中委員は私にも見解を、不一致があるかどうかをただされておりまして、これに対しまして明確にお答え申し上げております。で、今日のそれは、前回のそれとは質問の御趣旨も違いますし、その辺の実態的なる考え方についてどう考えておるのかということにつきましては、今日の御答弁で大体不一致はないと、このように御了解をいただけると思います。
○森中守義君 これはね、無理に了承せいといえばせぬことはありません。また今あなたが言われるように、質問にない、不必要なことまでも答えぬというけれども、あなた方のために委員会をやっているのじゃないから、よけいなことを言われたのじゃ困る、それは当りまえなことです。それで、これはやはりなんですよ、国会の会議録として残っていくのだから、質問者の方で明らかに食い違いがあると言っているのだから、これはやはりたださなければなりません。もちろん、きょうはあなたが荒巻局長に対する関連した質問として、ないしは関連した答弁としてお答えになったから、その限りにおいてはよろしい、その限りにおいては。前回の答弁ときょうの答弁は問題がこういう工合に進展をしてきたから、初めて会議録の正確さがただされるに至ったのである、もしも、私がこういうことを問題の薙上に提起しなかったならば、このままの状態でこの会議録は将来に残ることになります。それでは委員会としては困る。だから、あなたにはもし機会があるとするならば、また私にその意思があるならば、荒巻局長に対する質問と同じようなことで答えることもあり得るでしょう。しかし、今はこの会議録が明らかになっていないから、そのことをあなたに質問する意思はない。従って私は明らかに将来長きにこの会議録は残る問題ですから、なるほど質問者、答弁者が異なっているので、そういう意見も成り立つかと思いますが、問題の本旨としては、食い違いを明らかに私は認める、そういう意味でやはり再度この問題については、いろいろな角度から再検討の余地がありますから、ぜひ一つ機会を見て委員長の方でそのような措置をおとりいただきたいと思います。
○委員長(宮田重文君) 本問題につきましては、大体この委員会において明らかにされたようにも考えられるのでありますが、森中委員からのお話もありますので、委員長理事打合会にその取扱いを御一任を願います。 本日の委員会は、以上をもって散会いたします。 午後四時三十二分散会