商工委員会 第5号
- 発言数
- 86 件
- 登壇者
- 17 名
- 会派数
- 3
- 開催日
- 1958/07/01
会議録
○委員長(田畑金光君) これより委員会を開会いたします。 委員の異動について御報告いたします。本日、海野三朗君が辞任し、その補欠として藤田進君が選任されました。 —————————————
○委員長(田畑金光君) 次に、理事の辞任の件をお諮りいたします。本日、高橋進太郎君から、都合により理事を辞任したい旨の申出がありました。これを許可することに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(田畑金光君) 御異議ないと認めます。ついては、直ちに理事の補欠互選を行いたいと存じますが、互選の方法は、慣例によりその指名を委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(田畑金光君) 御異議ないと認めます。それでは、私より小幡治和君を理事に指名いたします。 —————————————
○委員長(田畑金光君) 先ほど委員長及び理事打合会を開き協議いたしました結果、本日は、午前中、石炭業界の不況問題について、午後二時からは、繊維業界の不況問題について、それぞれ参考人の方から御意見を聴取いたしますが、参考人の人選については、委員長に一任願っておりましたので、お手元に配付いたしました印刷物にある通りに決定いたしました。 なお、石炭関係の電気事業連合会の松根専務理事から、都合により出席できない旨回答があり、委員長においても、事情やむを得ないものと認めましたので、さよう御了承願います。 それから公報でお知らせ申し上げました日本石炭鉱業労働組合書記長の重枝琢巳君が都合により出席できないので、そのかわりに同組合総務部長の加藤俊郎君が出席いたしておりますので、同君を本件の参考人といたしましたので、この点をも御了承願います。 なお、今後の予定といたしましては、明二日は、午前十時から千葉の川崎製鉄及び東電千葉火力発電所の視察を行い、三日は、午前中経済基盤強化のための資金及び特別の法人の基金に関する法律案について、大蔵委員会と連合審査会を開会し、午後からは商工委員会を開き、通商産業政策一般について審議を行いたいと存じます。 以上のように運営することに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(田畑金光君) 御異議ないと認め、さよう決定いたしました。 —————————————
○委員長(田畑金光君) それでは、これより参考人の方から御意見を拝聴いたしますが、本日は、酷暑の中を、御多忙中にもかかわらず、当委員会のためにわざわざ御出席下さいまして、まことにありがとうございました。参考人の方から御意見を伺いたいことは、現在の石炭業界の不況問題についてでございますので、それぞれのお立場から、忌憚のない御意見を承わりたいと存じます。 なお、時間は、お一人大体十分ないし十五分程度でお願いし、そのあとで委員からの質問もあろうかと存じますので、それにお答え願えれば好都合と存じます。 それでは、まず、国崎真推参考人からお願いいたします。
○参考人(国崎真推君) 順番のことでありますけれども、私は石炭連合会でございまするが、石炭の大部分を出しておられる石炭協会から総括的にお話いただきまして、私は中小炭鉱の立場から別に述べた方がいいのじゃないか、かように考えますが、いかがでございましょうか。
○委員長(田畑金光君) 別段順序も理由があってこういう順序にしたわけではございませんが、ただお手元に配付した印刷の順序と思って御指名申し上げましたが、もしそういう御希望でしたら、御希望の通り、最初に日本石炭協会専務理事の佐久洋君からお願いしても差しつかえないと思います。
○参考人(国崎真推君) そう願えればけっこうと思います。
○委員長(田畑金光君) それでは、最初に佐久参考人からお願いすることにいたします。
○参考人(佐久洋君) 日本石炭協会の専務理事をいたしております佐久でございます。本日は、特に商工委員会をお開き下さいまして、石炭の不況問題についてわれわれの意見を開陳する機会を与えられましたことを心からお礼を申し上げます。 すでに御承知と思いますが、従来石炭についての基本的な政策というものは確たるものがございませんで、非常に石炭の足りないときには、やれ掘れやれ掘れというような指導が行われ、石炭が余って参りますと、あとは野放しで適当にやれ、こういうような政策に終始したやに思われるのでありますが、そういう行き方では今後の石炭鉱業というものは成り立たない。なお、国の経済全体の伸びから考えて、将来のエネルギー需要というものは予想以上に大きな伸び方をする、それに対してできるだけ国内の石炭を増産して、その需要に応じていくということがいいか悪いか、こういう点について、昨年ほとんどまる一年かかりまして、経済審議会のエネルギー部会で詳細な検討をいたされました結果、長期のエネルギー計画というものができ上ったのであります。その内容は、すべて、のエネルギー、石炭に限りませんで、電力とか、石炭はもちろん、ガスあるいは薪炭、石油というようなすべてのものが含まれておるのでありますが、石炭につきましては、将来昭和五十年度において国内炭を七千二百万トン掘るというような一つの計画になっておるわけであります。そういう大きな、先を見た大きな計画というものを作りましたゆえんのものは、それによって安定した生産が行われる、従って価格の安定をはかっていこう、こういうところにねらいがあると思います。ただ、そういう計画を作りましても、必ずしも生産されたものがそのまま荷渡し、あるいは消費されるという保証は今のところは別に何もないのであります。そこで、そういう長期計画に当然付随した一環といたしまして、一時的に避けられない不況の場合にどうするかという政策が当然考えられるべきものであろうと思います。御案内のように、日本の経済というものは国内の消費力に支えられた経済ではなく、むしろ海外の輸出力に主として支えられておる経済であります。従いまして海外の景気、不景気というものがすぐに国内の経済に響いてくるわけでありまして、長い目で見たエネルギーの需要は安定して伸びるということはいえますが、短期間に見た場合には、やはりその海外の影響によって好、不況という小さな波は起るわけであります。その対策がまだ十分にでき上らないやさきに、本年度におきましては、石炭の供給が過剰になってきた、こういう問題に突叩き当ったわけであります。従いまして、現在講じられております不況対策というものは、そういう長期の計画の一環として考えられる長期の対策とは性格の違ったものだと、私は解釈しております。本年度の状況を見ますと、大体生産の力といたしましては、五千六百万トンないし五千七百万トン程度の生産はできる態勢は持っているのであります。長期計画におきまする三十三年度の計画というものは五千六百万トンであります。従って、スタートにおいては、大体長期計画と同じ歩調を合した能力というものは持っている、こう言えると思います。しからば、その現実の本年度の五千六百万トンの能力を持っていながら、現実にどの程度の生産が見込まれるかと申しますと、過去の長期のストによる減産あるいは今後の事故あるいは労働争議等による減産というものを一応予想いたしまして、大体年間の供給力としては五千四百万トン程度と見れば大体間違いはないんじゃないか、こういうふうに推定をいたしているのであります。一方、国内の消費の状況はどうかと申しますると、現在非常に渇水状態になっておりますが、これがいつまで続くか、それによって石炭の消費状況は変って参りますが、今までの見方といたしますると、昨年度の末あたりに考えられました電力の石炭消費量というものはその後の状況によりましてだいぶ推定を変えまして、本年度の電力の石炭消費というものはかなり少いのじゃないか、こういう見通しが一応されるわけであります。なお、この間ようやく解決いたしました長期のストにおきまして、国内の原料炭の消費というものはそれだけまた減っております。それから、これは一つの下期における希望でありますが、今のような供給過剰の状態を解消するために、下期の電力について、ある程度の重油の消費を削減して、そのかわり国内炭を使ってもらう、こういう一つの希望的推定を入れまして、年間の見込みとして、大体消費が五千四百万トン程度ではないかと思います。つまり、先ほど申しましたように、現在の推定生産量が五千四百万トンであり、なお、それに対応する消費がほぼ五千四百万トン、こういうふうに推定いたされますので、本年度だけを限って考えますれば、生産と消費というものは、そこに大きな食い違いはないわけであります。それにもかかわらず、なぜそれでは本年度供給過剰の状態になっているかと申しますると、もっぱらこれは昨年度の大口消費者が相当多量に持っておりました貯炭が本年度にかぶさって参りまして、それが影響して供給過剰の状態になっている、こういうふうに思われるのであります。昨年度末の繰越貯炭、つまり消費者の手持しております貯炭が五百三十万トンほどでありまして、これは通常の状況に比較してざっと百十万トンないし百二十万トン過剰なんであります。それが本年度にかぶさって参りまして、本年度全体として見れば百千万トンないし百二十万トン供給が過剰になる、こういう現象であります。 そこで、もう一つ考えなければなりませんのは、年間としての需給の関係はただいまも申し上げたようなことでありますが、上期におきしては、大体消費者というものは下期に比較して少いのであります。従いまして通常の生産をして参りますると、上期において相当過剰の貯炭をかかえざるを得ないということになりまして、一応われわれはこのままほうりておけば四百八十万トンくらいの貯炭になりはしないかというふうに思われるのでありますが、そういうことになりますると、ここでその過剰の貯炭を一体どういうふうに処理したらいいのかという問題に到達するわけであります。普通の場合でありますると、普通の場合と申しまするのは長期計画も何もない、そういう状態のもとにおきましては、掘っても売れない石炭というものは掘らない方がいい、これはきわめて常識的な話でありまして、生産制限によって消費される限度のものだけを掘るということになるわけでありますが、これは長期計画というものを一つもとにして考えますると、必ずしもそういう結論が正しいということにならぬわけであります。つまり、従来の要るときには掘る、要らないときには掘らないで相当失業者も出る、あるいは社会問題も起るというようなことはいけないということで、長期計画というものを立てておるのでありますが、長期計画の観点に立ってものを考える場合には、単に余ったから生産制限をやればいいという単純な結論ではいかぬと思います。これは昭和二十八年、九年、三十年ごろに非常な不況に石炭業界が見舞われたのでありまして、東京ではさほど深刻に感じられなかったかもしれませんが、石炭の産地においては実に深刻な社会問題になり、失業者は出る、炭鉱に依存している都市、市民の生活は日に日に窮乏に追い込まれる、市町村の税収もないというようなことで、あらゆる方面に非常な問題を引き起したのでありますが、そういう方法をあえてして、ここで生産制限をすべきものでは私はないと思います。 それで、石炭が過剰になった場合に、理想的に申しますれば、自動的にその過剰炭を処理する一つの機関というようなものがあればいいと思いますが、これは今後の検討の問題でありまして、今日そういう機関が存在するわけでもありませんから、それによって不況対策を講ずるわけに参りません。そういう社会問題を避け、しかも将来の長期計画というものに支障を来たさない範囲で対策を考えるとすれば、一時過剰になる石炭について金融を考えて貯炭としてそれを一時かかえていく、こういう対策が講ぜられるのが、番いいと思います。ただ、金融対策を考える場合におきましても先ほど申しましたように、五千六百万トンの生産態勢をそのまま維持しておりましたのでは、本年度の全体として見た需給というものもバランスいたしませんし、また来年度過剰炭が繰り越されるというような状態になりまして、金融の方面から見ると、そう簡単に金融がつくはずのものではないと思います。そこで、年間全体として大体の需給がバランス——するただ上期においては相当の過剰炭が出る、それに対して金融をつけていく、こういう観点に立って金融問題を考えるのが一番いいのではないかということで、先般政府におきましていろいろ御検討を願った結果、去る五月の二十九日に、昭和三十三年度石炭需給施策について、という一つの閣僚懇談会の申し合せというものが行われたの一であります。それによりますと、上期の過剰炭に対しては金融を考えていく、それによって一時的な不況を防ぐ、なお、金融をつける一つの方法として、将来の長期計画に影響を及ぼさない限度の、およそ五%程度の生産調整を六月から十二月まで行う、それによって年間全体の需給のバランスをはかるというようなことを決定されたわけであります。そこで石炭協会といたしましても、将来の長期生産態勢というものをくずさない限度で、政府の考えられました五%の生産制限を一応やるということで、意向は一致いたしたのであります。ただ、そのやり方につきましては、これは各山々で特殊な事情がございますので、その方法は一律的にこういう方法によろうということはきめておりません。各山で検討をして行う、こういう考えであります。一応この過剰炭に対する対策、過渡的な対策というものはただいま申し上げたようなことであります。 なお、現在石炭が相当過剰の状態であるというために、石炭の消費者の方面から値段をかなり低くきめようという動きが強くあるわけであります。これは私ども値段が幾らにきまるか、どうきめるべきかというようなことは、石炭協会の扱っている事項でありませんので、その点は詳しくわかりませんが、一つ心配されますのは、この値段のきめ方が相当低くきまるということになりますると、今後の合理化なりあるいは増産計画を遂行するための資金繰りに非常な苦しさがくるのじゃないかということをおそれているわけでありますが、ただいまのところ、本年度の開銀の投資も融資も大体百億ということできまっておりまして、その合理化工事、増産工事というものは計画通り遂行する決意で進めておるわけであります。ただいま申しましたように、今後の値段のたたかれ方が非常に大きなことになると、この長期計画に狂いが生じ、投資、融資計画、工事計画に狂いが生じはしないか、こういう点を懸念しておるわけであります。 大体の状況を以上申し上げます。
○委員長(田畑金光君) ありがとうございました。 次に、国崎真推参考人にお願いいたします。
○参考人(国崎真推君) 私は、いわゆる中小炭鉱の団体であります石炭連合会の常任理事国崎でございます。本日、当参議院の商工委員会におかれまして、当面の石炭問題について私ども業界の意見をお聞きとりいただく機会を得ましたことは、まことに仕合せに存じ、お礼を申し上げます。 ただいまの石炭需給の現状、今後の見通し、またその対策等につきまして業界としての意見は、ただいま石炭協会の佐久専務理事から詳細にわたってお述べになった通りでありまして、私ども連合会といたしましてもこれと全く同意見でありまして、あらためてこれに追加して申し上げる必要もない次第ではありまするが、せっかくの機会をいただきましたので、ここに中小炭鉱側から見た石炭の現状、その対策等をどういうふうにしていくか、簡単に申し述べたいと思います。 端的に言いますると、石炭の需給が全国的に見てバランスした状態にあるというときは、中小炭鉱はあえて全部とは申しませんが、相当部分の中小炭鉱はすでに不況に一歩踏み込んでおるというのが従来の常態でありまして、現在のようにその需給が大幅にくずれかけてきておりまして、膨大な貯炭が累積しまして、スト減産がありながらも、毎日相当程度の生産炭が売れずに残り、炭価は下るという状況のもとにおきましては、これによって受けまする影響の度合いは、大手の有力炭鉱に比べまして、はるかに深刻であるということは、別に説明するまでもなく御理解願えることと思います。しかし、今、佐久専務理事からもおっしゃいましたように、長い目で見ますれば、日本の経済の進展とともにエネルギー需要の飛躍的増大に伴いまして、国内炭の大増産が必要である。これに基いて国としましても、長期の増産計画がすでに立てられておりまして、私ども業界もこれと完全に一致協力いたしまして、その方向に向って進んでおるのでありまして、ただいまの石炭不況は、率直に言いまするというと、それまでの間の一時的の消長であると考えております。すなわち昭和二十八、九年ごろのような、先の見通しのつかない状況とは違いまして、先は明るい、それも遠い先ではない。この夏場が過ぎて冬分にでもなれば需給は幾らか安定をいたしまして、出た石炭は売れる。また夏場にできた過剰貯炭も逐次さばけていく。来年度になれば一段と安定するであろうという期待を持っておるわけであります。この期待は、現実にはあるいは多少ずれることもありましょう。この夏場も炭価は一応低調をたどるといたしましても、現在の石炭不況は、昨年来の異常豊水と景気反動による一時的の現象と考えまするので、この短期間の不況をどう切り抜けるかということが、当面の石炭対策であろうと思います。もちろん合理化を進めまして、生産費を切り下げて、経営基盤の強化に努めるという必要があることは申すまでもございません。さて、この対策につきましては、ただいま佐久専務のお話にありましたように、政府におかれまして、前内閣の末期に閣僚懇談会で、すでに御決定になっておることでもありますし、この施策を強力に推進していただくということが第一要件と思いまするが、私ども石炭業界といたしましても、政府施策に即応しまして、長期増産計画の基盤をあくまで堅持する。これはくずさない。が、これに支障を与えない程度におきまして、売れない石炭は当分の間、できるだけ手控えるということに努めております。しかし、石炭は他産業と違いまして、操業の性質上、急激な生産縮減は困難がありまするので、季節的に、あるいは一時的に余るという石炭は、一時貯炭をしまして時期を待つという方針できております。もちろんこれと並行しまして、国内炭と輸入エネルギーとの調整、まあ俗に言いますと、炭主油従でございまするが、これや、あるいは国内における石炭の有効需要の喚起等その他政府施策に待つ点は大いにありますことは協会の御意見の通りであります。 ところで、これを中小炭鉱側から見まするとどうであろうか、一口に中小炭鉱と申しましても、粒が大へんに不ぞろいでありまして、大きいのは年産五、六十万トンという大手に準ずる炭鉱から、小さいのは月産千トンにも満たない炭鉱まで、約七百に近い炭鉱がございまして、また北海道、常磐、宇部、九州と、各地区によりましても若干事情が違いまするので、一律には申せませんが、総じて言いますると、中小炭鉱は売れない石炭は掘らぬということが、大手炭鉱に比べて割合に行われやすいというのが従来の慣行です。しかし、こう簡単に言い切って申しますると、非常に誤解を起しまするが、中小炭鉱は売れない石炭は掘らぬというのではなくて、売れない石炭は掘れぬというのでありまして、売れない石炭を掘ったんでは経済的に、また、金融的に山はつぶれてしまうというわけであります。また、先は明るいから一時貯炭をして、売れるまで時期を待つということはわかり切ったことではありまするが、それだけの貯炭金融のつきまする山は、大手に準じまする若干の炭鉱は別といたしまして、多くの中小炭鉱は資金に行き詰まって、賃金も払えぬというようなことにもなりまするので、背に腹はかえられず、赤字を承知で過剰炭のダンピングをするというのが今日まで不況時に歩んできた姿でありまするので、この際、当面の不況を切り抜けるには、まあ一にかかって金が続くか続かぬかという一点にあると思います。 中小炭鉱の最近の状況を御参考までに数字で申し上げまするというと、五月末現在で、出炭は三月に比べて約十六万トンの減少、約一割の減です。昨年の五月に比べましては五%の減、貯炭は最近逐月増加しておりまするが、五月は一月に比べて三十四万トンの増、約二倍になっております。炭鉱数は一月以降休廃坑が九十坑、このうちにはもちろん事業団に売り渡したものもありまするので、全部が全部自滅した炭鉱ではございませんが、その半面に、新坑及び再開坑が四十五坑ございまするので、純減は四十五坑、五月末現在、炭坑数は六百六十九坑、労務省は一月に比べて約八千人の減少というのが現状であります。 繰り返して申しますると、中小炭鉱として当面の対策は、一に金融がつくかどうかという点にあると思いまするが、この点につきましては、当商工委員会で政府の御答弁があったやに承わっておりまするように、商工中金の余裕金を利用できるように、この上とも御尽力を進めていただく、また私ども業者としましても、この融資が受け得るような受け入れ態勢を作らねばならぬと、かように考えております。 なお、つけ加えて蛇足を申し上げまするが、月本の石炭需給は年間三百万トン、あるいはそれ以下、すなわち全体の約四、五%程度の需給の狂いによって市況が大幅に支配される。従って炭価の暴騰暴落が起る。特に豊渇水による電力用炭の増減だけでも大きな狂いが起る。昨年は電力用炭だけでも二百万トンの狂いが起っております。こういう状態でありますので、長期増産態勢の裏打ちとして、政府政策の一項にもあげられております需給調整機構、あるいは予備貯炭場を作るということ、あるいは過剰炭買い取り機関を作るというようなこと、これらのことはもちろん業界自体が中心となって、推進すべきことではありますけれども、この種の機構の確立につきましては、政府におかれましても強力なお力添えを切に希望する次第であります。 以上簡単でありますが……。
○委員長(田畑金光君) ありがとうございました。 次に、野口一馬参考人にお願いいたします。
○参考人(野口一馬君) 私は、日本炭鉱労働組合の副委員長であります。 本日、本委員会から、石炭産業の不況が起っておるが、また起きようとしているが、その安定策をどのようにするか、こういうことで労働者側の意見を求められましたので、ただいまから述べますが、まず、われわれの見方と申しましょうか、考え方と申しましょうか、資本主義社会においては、程度の差はあれ不況というものはつきもので避けることのできないものである。しかも、それは周期的にくるものであって、不況のない世の中を作るということになりますと、それは資本主義社会で求めることはできないことでありまして、初めて社会主義社会で求めることができるのである、こういう考え方を持っております。われわれは、過去幾たびか戦後の歩みの中で、石炭産業の資本家のとるべき態度に関しましては、労働組合の立場で、声をあるときは大にし、あるときは声を小にして申し上げて参りました。しかしながら、資本家はもちろんのこと、政府においてもそのつど、われわれが述べる意見はことごとく封鎖をして、そして不況というときには、すべて労働者にしわ寄せされて、そうして切り抜けを行なってこられたことを考えるときに、今回こうして商工委員会で意見を述べることは、毎年繰り返されたことを再び繰り返さないという観点に立って行われるのであるという考え方をもって意見をお述べする次第でございます。 われわれは、まず、皆さん方に考えてもらわなければならぬのは、使われておる労働者であり、石炭を自分の立場で掘り出しておる労働者であって、石炭産業そのものを握って、責任のある立場でやっておる資本家ではない、こういうことを考えますので、今回起きようとすることにも、われわれ自身がその責任の一端を、もしくは責任の全般を握っておるとするならば、十分切り抜け得る自信を持っておるわけであります。しかしながら、皆さん方におかれましては、ただいまから具体的に述べる意見等も十分参考にしていただいて、よりよき処置を講じていただきたい、こういうように考えるわけでございます。 私たちも、先ほどの参考人が述べられましたように、まず、政府が大規模な機構と人員をば動員いたしまして、長期エネルギー政策を打ち立てられまして、五十年には七千二百万トンの計画を立てられました、本年度は、その出発の一年度に当り五千六百万トンを出そうという年である、こういうように考えておるわけであります。この一年度の出発が行われるに当りまして、生産と消費の当然バランスが立てられた考え方の上に立って、この長期計画を立てられて、これをやろうとするのだという考え方を持っておりますが、まずもって石炭資本家は、上期において、百五十万トン程度の出炭制限をしようという話し合いも一致を見たということを聞いております。この話し合いの一致を見たことを考えて参りますと、政府の立てておる政策、しかも資本家のその中で申しておりますところの意見等を取り入れて立てられておるこの計画が、第一年度からすでにそごを来たしているということを考えるときに、政府並びに資本家自身が全く無策のやり方をしておるわけでありまして、きわめてそのやり方たるや、私は五十年度に七千二百万トンを掘り出す、生産する計画そのものを危ぶまざるを得ないという状態ではなかろうか、こういうふうに考えるわけであります。また、私たちがそのことをよく考えてみて杞憂にすぎなければそれにこしたことはございませんけれども、過去に政府や石炭資本家は、合理化三年計画、また五年計画等をいたしまして、そうしてやって参りましたけれども、それもことごとく私は計画通りにいっているという考え方を持っていません。われわれ労働者の立場で意見を申し述べますれば、それは失敗に終っているということが言えるのではなかろうか、こういうふうに考えるわけであります。 その中で、過去二回ほど不況が参りましたが、そのときは、ほとんど中小炭鉱と労働者にしわ寄せされて、その切り抜けをやられてきているということを考えてみた場合に、十分そのことにつきましては、ただいまから申し述べますような状態を皆さん方によく理解していただきたいと考えるので申し述べるわけであります。 第一回目の不況は、昭和二十四年にドッジ恐怖と呼ばれたのであります。そのときは炭鉱が二百九、中小炭鉱でございますけれどもつぶれて、十一万の労働者が炭鉱からほうり出されました。また、次の昭和二十九年から三十年にかけての不況の中では二百炭鉱がつぶれまして、しかも大手の労働者を含んで十万人の労働者がまた失業のちまたにほうり出されました。しかも、日本の石炭産出の中心をなしておりますところの北海道と九州の筑豊炭田、特に筑豊炭田に例をとってみますと、黒い飢餓地帯と呼ばれるほど深刻なものであった。われわれが言葉にして言うことのできないほど深刻な状態に追い込まれた。そういう状態の中で忍んできたことは、さっき佐久参考人が述べられた中で、再びあのような悲惨な状態を作り出したくないということを言われたことをよく耳にとめていただきたい。私たちは、そのようなわれわれに対するしわ寄せ等を受けてやられて参りました。今回の不況の中におきましても、再びそのようなことが繰り返されるとするならば、われわれは自分たちの持っている権利のすべてを使い果してでもそれを阻止しようという考え方を持っておるわけであります。また、首切りだけであったかと申しますと、残った者には職場を失った者の分まで自分の仕事に加えられて、そうして加重されて働いて参りました。当然賃金はそのまま据え置きされて、われわれの生活はことごとくみじめな状態になってきたわけであります。 われわれは、こういう中で特に考えなければならぬのは、昨年五千三百万トン掘りましたが、われわれは昨年だけでなく、戦後十年間の歩みの中で、要するに増産期にどのような災害が起きているかも十分考えていただきたい、このように考えます。炭鉱企業の中心をなす三井、三菱、住友、明治、雄別、太平洋、この大手各社におきまして、ガス爆発、ガスの突出、自然発火、こういう重大災害が起きまして、その中には、世界の中で二番目に類する大きい災害等も起して、多数の労働者を失って参りました。こういうことを考えられ、昨年行われましたところの増産期には、十一月に貝島、大野浦のガス爆発、それから東中鶴鉱の水没、それから籾井、小倉炭鉱、ごく最近社会問題になろうとしておりますところの江口炭鉱の水没等、数多くの問題が発生しております。これは、ことごとく石炭経営者、石炭資本家が、計画性のない、しかもその場の、火事どろぼう的な、利益便乗主義的な、景気便乗主義的なやり方をやって、労働者の犠牲を顧みない施策にほかならない。このように考えるわけであります。どうか、そういうことが行われたこと等につきましては、社会労働委員会等においては数多く問題になってきたかと思いますが、商工委員会ではこういうことを申し述べる機会はございませんでした。しかしながら、きょうこういう機会がありますので、皆さん方にほんとうに、炭鉱の実態等においてはどのようにして石炭が出されてきたかをよく熟知していただきたい、このように考える次第であります。今後起きてきようというこの不況に関しまして、さっき申しましたように、われわれは、不況の中で、問題を見つめてもがいても始まらないという意見をよく聞きます。しかしながら、われわれは、この不況をはね返すことはできる。それは、岸内閣が、まず貿易振興を口で言いながら、中国との貿易をやめて、そうして、東南アジアとの貿易等を唱えておっても、しかして積極的にやってない。日本の停滞的なこの状態の中で、まずもって産業の振興をはかり、経済の安定をはかるとするならば、国際的には、こういう面におけるところの、要するに積極的な政策を考えてもらわなければならぬのではなかろうか、こういうふうに考えます。貯炭等において百億近い融資をされても、それは根本的解決策にはならぬし、また現在言われておるところの、後半期におけるところの、下半期におけるところの景気復活説においても、十分現在の不況に対する切り抜けの自信がないとするならば、それもから念仏に終るであろう、このように考える次第であります。皆さん方自身が考えられておることの中で、この国でも国内産業重点に政策を行なってきております。景気のいいときは別にいたしましても、景気の悪いときには、まず国内産業を重点的に振興をはかるような政策等をとられて、そうして、外国炭の輸入とそれから重油消費の減少、そういうことも考えられてやられていくとするならば、炭鉱企業は五千六百万トン今年度掘っても、決して苦しい状態に追い込められることはなかろう、こういうふうに考えておる次第であります。どうか、そういう観点に立たれまして、十分、われわれが言わんとする、今度の不況も、労働者にしわ寄せされた不況切り抜け策であるならば、断固自分たちの労働組合として持っておる権利を行使しても、それを阻止するであろうということを、声を大にして、国会の、こういう会議の席上で申し述べる必要はないかと思いますけれども、申し述べて、労働者側の意見にかえる次第でございます。 御清聴のほどありがとうございました。
○委員長(田畑金光君) ありがとうございました。 それでは、次に、加藤俊郎参考人にお願いいたします。
○参考人(加藤俊郎君) 私は、全国石炭鉱業労働組合の総務部長をいたしております加藤俊郎であります。 私どもの組合で、六月の初めに、中央委員会を開催したのでありますが、この中央委員会におきまして、長崎地方及び常磐地方から、賃金の不払いが出始めておるというような報告がなされました。そこで労働省の統計によりまして、調べによりまして、石炭鉱業における賃金の不払いの状況というものを見てみたのであります。この調べによりますと、まだ今年は、三月までしか明らかではありませんが、意外に三月までの統計によりますと、賃金の不払い金額は減少を示しております。多少数字的に申しますと、一昨年の十月には、石炭鉱業における賃金の不払いは、三億五千八百三十三万九千円であったのでありますが、半年後の、昨年の三月には、二億四千四百六十四万八千円、約一億円を少しばかり減少をいたしております。それから半年後の、昨年の十月末には一億四千八百四十六万一千円、再び一億円ほど減少を示しております。今年三月末におきましては、八千六百十四万四千円でありまして、昨年の同期に比べますというと、約三分の一に減少をしてきております。これは、労働省の統計の取り方もあろうかと思うのでありますが、私どもは、現在の石炭産業の情勢から見まして、今年四月以降は、この数字が再びふえてくることになるのではないだろうか、こういうふうに見ておるのであります。それから、このように、今年三月末までは減少を示して参りましたのは、一昨年から昨年度にかけましての、石炭産業の好況というものが、それ以前の不況時代における不払い金額というものを次第に解決して参りまして、だんだん不払い金額というものは少くなってきた、こういうことが今年の三月末ごろまでは出ておるのではないかというふうに解釈いたします。しかしながら、この統計は、その月の末における不払い金額でありますので、たとえば、給料の支払い日が十五日であって、それから二日おくれたとか、あるいは一週間おくれて支払われた、こういうようなものは、この数字の中に入って参りません。従いまして、そういう定められた支払日に払われなかったという形の調査をいたしましたならば、最近は、相当の数字がやはり出てくるのではないかというふうに考えております。 さらに、石炭産業における企業の整備の状況というものを、これも労働省の調査によりまして調べてみたのであります。これは今年の四月までしかわかりませんけれども、二十三年の一月におきましては、十六事業所におきまして、七百五十八人の労働者が整理されておるのでありますが、今年の四月には、三十四事業所におきまして、三千九百十五名の労働者が整理されております。ちなみに、三十一年と三十二年、これはそれぞれ暦年でございますが、その各年における月平均の企業整備の状況は、三十一年が一月当り十三事業所、整理人員が七百二十一名、三十二年は七卒業所、五百五十二名と、こうなっておりますので、最近のこの企業整備人員の著しい増加というものは、注目しなければならないと考えておるわけであります。で、もっとも、この企業整備状況の調査の中には石炭鉱業整備事業団による不良炭鉱の買い上げというものの数字も加わってきておるかと思うのでありますが、本年一−三月、並びに昨年一−三月における事業団の買い上げ炭鉱の数、並びにそれによって整理されました労働者の数は大差ないようでありまして、それらのものを差引いたしましても、最近の企業整備の著しい増加ということが言えるのではないかと思うのであります。 なお、ついでに石炭鉱業整備事業団につきまして、若干われわれの見解も述べてみたいと思うのでありますが、合理化法によりましてこの石炭鉱業整備事業団ができますときには、これは炭鉱を買いつぶすのだというようなことで、だいぶん論議をいたしましたけれども、今日の石炭不況という立場から振り返ってみますならば、まあ一つの解決策としての効果はやはりあったのではないかというふうにわれわれは見ておるのであります。もちろんそれは十全の解決策であるということは言えないと思うのでありますけれども、最近の不況状態の中で、先年経験をいたしましたようなああいう深刻な、すなわち社会問題を現出したような、そういう現象というものが著しくは出てきていないということは、一つにはそういった現象を構成する不良炭鉱、あまり成績のよくない炭鉱というものが事業団によって整理されてきたのではないかと、こういうふうに見ることもできるのではないかと思うのであります。しかしながら、それらの炭鉱における問題は、この事業団の買い上げによって解決されたということは言えないわけでありまして、やはりそこには多数の失業者を出しておる。この失業者をどう職につけていくかという問題は依然として残されておりまして、これはもう政策の外に追い出されておるわけでありまして、その面まで政府の政策というものが十分行き届いたならば、この事業団というものは、もっと評価してもよかったのではないかと、こういうふうに考えるわけであります。現在のこの炭界の不況の原因とか、需給のアンバランスの状況という問題につきましては、今までに三人の参考人の方からいろいろと述べられまして、私どもも大体同じような見解をとっております。やはり一つには豊水によるところの電力炭の消費が著しく少くなってきた。さらに鉱工業の生産活動が振わない。そこにもつて参りまして、石炭産業は長期的な増産計画に沿うところの出炭体制を整えてきておる。しかるに、現実の需給状態に合せるところの生産の削減ということが非常に困難であるというようなところにやはりあろうかと見ておるのであります。なお、直接的には最近のいわゆる貯炭の増加、荷渡しの減少ということがありますし、それから石炭の価格の値下り、それに伴いまして、炭代の支払いが長期化されてきておるという面が特に中小炭鉱に対しては経営上、金融上の圧迫となってきておるものというふうに見ておるのであります。 それで、今後の問題でありますが、私は先ほど国崎参考人のお話を聞いておりまして、将来は明るいのだ、今、金の面の手当をしてもらえば、十分にやっていけるようになるというようなお話でございまして、その通りであれば、まことに現在の不況と申しましても、そう心配をすることはないと、こういうふうに考えるわけでありますけれども、しかしながら、問題は当面しておるこの夏場の状態、これはまあ相当に深刻であるということを考えなくちゃならぬのじゃないかと思うのであります。すなわち、さらに貯炭は増加しようという情勢を示しておるわけであります。すなわち新規の引き取りはふえない。それから、貯炭をするという問題もありますけれども、すでに積出港の貯炭場は一ぱいでありまして、貯炭場の余裕もないというような現象も出て参っております。それからまた常磐地方や、宇部地方、あるいはその他にもあるわけでございますが、炭種によりましては、貯炭をすることができない非常に風化しやすい、石炭もあるわけでありまして、そういう炭を産出しているところの炭鉱はきわめて直接的な影響を受けるということになって参るわけであります。さらに資金の面から申しましても、当面する盆資金の増加という問題もあります。そういう面から考えまして、私どもは中小炭鉱の今後の経営、あるいは金融という問題に対しまして、非常に関心を寄せておりますし、心配をしているところであります。この状態がさらに悪化して参りますならば、当然のことながら休廃山の状況はさらに増加するでありましょうし、企業整備、あるいは賃金の不払いといった現象はだんだんふえてくるのではないか、あるいはまたそういう悪循環から中小炭鉱の中には、ダンピングをするというようなところも出てくるのではないか、こういう面の警戒を怠ってはならないと考えております。 そこで、それらの不況に対する対策の問題でございますが、これは先ほど佐久参考人からも述べられましたように、五月二十九日における石炭需給施策というものは、これに対する対策の方向としてはけっこうなことではないかと考えるのであります。しかしながら、われわれの立場から申し上げるならば、もっと強力な施策を実施するようにやっていただきたい。第一の貯炭融資の問題でございますけれども、なるほど金は借りようと思えば借りられるような形になってきておりますが、果してこの金を、いわゆる社会現象を来たすような、いわゆる深刻な現象を来たすような、経営に困っているほんとうに金を借りたいというところが借りられるようになるかどうか、中小炭鉱に金が回わるかどうかということが、心配になるわけであります。もちろんこれは、返済能力があるかないかという問題と関連するかもしれませんが。従いまして、私どもは、政府は長期の石炭の増産計画というものを打ち立てまして、その政策を実行に移して参っているわけでありますから、このような不況時におけるところの一時的な貯炭というものに対しましては、ただ単に金融的に保護を加えるというだけではなくて、もっと強力な保護処置をとるべきではないかというふうにわれわれは考えているのであります。 第二に、政府は現在の不況を見まして、生産の調整を期待する、こういうふうに申しているわけであります。なるほど現状から申しますならば、生産の制限ということは、これはやむを得ない面があろうかと思うのであります。しかしながら、先ほどから申しておりますように、その生産の制限というものは、特に中小炭鉱にしわ寄せされてくる。さらにそれは中小炭鉱において働いている労働者にしわ併せされるという傾向が、往々にして起るわけでありまして、生産の制限ということを言うならば、当然そこに、そういうような労働面の対策というものを十分に織り込まなければ、政策としてはこれは決して万全のものではないと言わなければならないと思うのであります。 第三に政府は輸入エネルギーの抑制ということを申しておられます。はなはだわれわれもけっこうなことであると思います。これは、今日重油を新たにボイラーに使用するというような問題は、制限を受けているわけでありますけれども、どうもこの政策というものは、あまり徹底していないのではないかというふうにわれわれは感じております。もちろんそういう現場を一々回りまして、私どもが調べたわけではないのでありまして、感じて申し上げることは失礼かもしれませんけれども、この面も一つ龍頭蛇尾にならないように、しっかりやってもらいたいという希望を持っているわけであります。 第四に、大口需要部門との連携を強化する、需給の調整機構の確立をはかる、こういう点を出しておられます。これは、あるいは石炭業者自体が、もっと積極的に進めなければならない問題ではないかと思うのでありますが、この点につきましても一ついろいろな具体的な問題になりますというと、いろいろな法律にひっかかるとか何とかうるさいことがあるそうでありますが、政府の方でも十分にこれは一つ応援するということで、やっていただきたいという希望を持っているのであります。 最後に、労働関係まとめて申し上げますならば、われわれは第一に賃金の確保ということを一つ十分考えてもらいたい。かつての不況の経験から申し上げますならば、労働者は賃金の遅欠配に悩んでいる、遅欠配のまま炭鉱は閉山になってしまう。しかるに政府は国税徴収法によりまして、国の税金に相当する分だけは持っていってしまう。あるいはその炭鉱に資材等を入れている業者は、抵当権によりまして残った資材を持っていってしまう。労働者は賃金未払いのまま、一物も手にすることができなくてちまたにほうり出されるということが、しばしばあったのであります。われわれは、賃金債権というものは、そういう国税や抵当権に優先するんだというような立法を一つやっていただいて、賃金の確保に全力を尽していただきたいということを希望いたしておきます。 第二に、失業の防止でありますが、これについては今さら申し上げることもないと思います。 第三に、この生産制限ということになりますと、また違った意味での労働の強化という現象も現場には出てくるわけでありまして、そこからいろいろな問題を引き出して参りますので、一つ現在の不況対策ということは、こういう面にまで配慮が及ぶような形で、この国会におきまして論議をし、政策を打ち立てていただきたいということを御要請申し上げる次第であります。以上であります。
○委員長(田畑金光君) ありがとうございました。 —————————————
○委員長(田畑金光君) この際、委員の異動について御報告いたします。 本日、岡三郎君が辞任し、その補欠として天田勝正君が選任されました。 —————————————
○委員長(田畑金光君) 以上で、参考人の御意見は終りましたので、質疑のおありの方は、質問されようとされる方の名ざしをされて、順次御発言を願います。
○阿部竹松君 佐久さんと国崎さんに二、三点お尋ねをいたします。 お話を承わっておりますると、手放しの楽観論だという極端なことは申し上げませんけれども、われわれの考えておるよりもきわめて見通しが明るいとか、あるいは将来のことについてはあまり心配ないような印象を与えるような表現ですが、私どもは今まで当委員会で通産大臣あるいはここに出席しておりまする石炭局長等と論議の過程においては、まだまだ深刻に考えております。特にもう一、二月もすれば、大体九百万トンにもなろうということで非常に心配しておりましたが、佐久さんのお話をお伺いしても、ストライキその他で大体五千六百万トンという計画が五千四百万トンくらいで、需給も五千四百万トンくらいであって、大体需要と供給のバランスがとれるというお話でございましたが、まあ、これは立場と感覚とによって景気の打診方法が違いますし、あるいは感じ方が違うと思うので、われわれと感覚が違うかもしれませんけれども、そういうような楽観論で果して昭和二十九年か三十年のような状態を絶対起したくないということは、佐久参考人とか、あるいは炭労の野口参考人のお考えでございましたが、そういうような御感覚でいくと、再び昭和二十九年、三十年のような状態を繰り返すような気がしてならないわけです。こういう点について、ほんとうにあなた方のお考え通り、これはだめ押しになりますけれども、そういうような安易な見通しで、九月になればほんとうに大丈夫であって、現在七月、八月だけが危機なのかどうか、もう一つお二方にお尋ねいたします。
○参考人(佐久洋君) 今お話しのように、これは見方によってだいぶ私違うと思います。たとえば国際景気の回復の見方についても、一番大きな力を持つのはアメリカかと思いますが、アメリカの景気というものは下期になれば回復するという見方もありますし、本年一ぱいはとてもだめだという見方もあります。従って、国内の景気の回復の見方についてもいろいろあろうと思いますが、先ほど私が申し上げましたのは、今までのいろいろのデータを基礎にして考えますると、本年度生産供給が過剰になった原因というものは、昨年度の消費者の手持の過剰炭が災いしているのだ。従って、それとのバランスを本年度において生産調整を考え得るならば、一応需給のバランスというものは考えられる、こういうことを申し上げたわけであります。 それからもう一つは、来年度以降、国内炭の消費が相当減るのだという見通しがはっきりすれば、これはもう長期計画そのものがくずれるということでありまして、今のところそういう見通しを立てるだけの資料というものもないわけであります。従いまして、まあ、本年度の今までわれわれが考えた需給の観点から申しますると、先ほど説明したような数字で大体まあバランスがとれるだろう。ただ、一番苦しいのは、上期を、これは相当の貯炭量になりますから、それをどうして切り抜けるかという方法が一応講ぜられれば、年間全体としては、大体消費、生産とのバランスがとれる、こういうふうに見ております。
○参考人(国崎真推君) 私も佐久参考人の御意見と大体線においては同じでありますが、私は先が明るいということにつきまして佐久さんも申し上げましたが、これは確かにそうだと思います。これは、朝鮮事変あとの昭和二十八、九年ころの様相とはこれは違うと思います。あのときは、お先まっ暗で、重油はどんどん入ってくる、エネルギーの日本の消費は伸びながら、国内炭は食われておったというのが大きな原因だったと思います。この最近の不況は、昨年度の消費は四千八百九十万トンしかないわけです。そのうち七十七万トンは、一般炭の外国炭が電力に入っているのでありまして、国内炭は四千八百十万トンしかない。合計しまして四千八百九十万トン、それに対する荷渡しは幾らあったかというと、五千二百十万トン渡した。それがため佐久参考人のおっしゃいましたように、今工場の手持が非常にふえている。しかし、消費そのものは昨年よりもこれはふえると思います。ことに去年の消費減少は、先ほど申し上げましたように、電力用炭が二百万トン以上も計画と食い違った。これは全く異常豊水のためでありました。これがことしどうなるか、これは天候次第でわかりませんけれども、もうそう三年も豊水が続くかどうか、あるいは正常に戻りゃせんだろうかという点から、来年度は、三十三年度は、三十二年度よりも消費は少くともふえるというふうに考えております。 それから、なお、この上期の問題でありますが、上期はおっしゃいますように、貯炭は現在よりもふえましょう。八月、九月盛夏のころはふえましょう。しかし、これは十一月ごろ、冬場になりますというと、これは出た炭は売れると思います。幾らかそれに貯炭もさばけていく、それは市況が好転するということはもちろん考えておりませんけれども、まあ二十八、九年のようなことになりはせぬかという御意見でありますけれども、これは見解の相違もありますけれども、私は決してああいうような状態に今度はならぬと、こういうふうな見通しを立てております。
○阿部竹松君 もう一度お二人についてお尋ねいたしますがね、まあ見解の相違ですから、その点はいいでしょう。ただ電気の消資する部分は、今までも四、五、六と三カ月調べてきたわけですが——それから、たとえば今まで大体日本のとにかく火力電気がまたどのくらい使うかということは、何十何万トンまではわからなくても、御商売なすっているあなた方はおわかりなはずですね。東北から、北海道から、四国から、九州から雨の降る状態を、新聞でもちゃんと書いている。あの小河内ダムなんか、計画が一日五千キロくらいしか起きないのですから、ああいうところは、雨が降っても、降らなくても、大した影響はない。そうすると、ことしの計画は昨年より四百五十万トン多いのですけれども、そうすると、昨年は二百万トンとあなたはおっしゃったが、確かに二百万トン電気は使ったが、しかし、そのほかに昨年は余ったわけです。そうすると、昨年よりもどこで使うかということになると、大体一般炭を使うところは、それはあなた方は私らよりよく知っているはずなんだ。それで、二十八年というものはどん底のどん底まで追い込まれたけれども、私はあなたのおっしゃったように、そういう甘い見通しではないと、私は判断するのですが、それは大体それでいいでしょう。 それから佐久さんにお尋ねするのですが、新聞で見たので、私はっきりわかりませんけれども、あなた方の業界で、五%の出炭制限をやるということをきめられたという記事を私見たのですが、こういうことをきめたことがあるかどうか。もしきめてあれば、その内容はどういうものであるか、一つお知らせを願いたいと思います。
○参考人(佐久洋君) 先ほど、これは、ちょっと御説明のときに触れました問題です、が本年度の過剰貯炭に対する金融の問題を話す際に、これは石炭に限らず、よその産業についても、非常な不況対策として金融の問題は出ているわけです。その際に考えられる根本の考え方は、年間を通じて見れば、大体需給がバランスするのだということが前提になるわけですね。それで、六月から十二月くらいまで、大よそ五%程度の生産制限をやるということになれば、本年度の需給というものは、先ほどの数字の説明のようにバランスするわけです。そうしないと、また上期の過剰貯炭に対する金融というものはつかないわけです。それがいいか悪いかの議論は別にあるとしても、現実の問題を解決するためにはそうせざるを得ないわけです。そこで石炭協会としては、そういう政府の五%程度の主席制限を期待するというような意向もありますので、それに基いて、十二月まで五%の生産制限をやる、こういう考えにしているわけです。
○阿部竹松君 それで、そのいいか悪いか、これは確かに別問題ですがね。その五%出炭制限をやる場合に、三井なり、三菱なり、住友なり、全国一斉中小炭鉱も含めておやりになるかわからないが、しかしその場合どういうふうな方法でやるかということを、新聞によると、きょうからやるということを見たのですけれども、ほんとうか、うそかわかりませんが、そうするとその五%の制限方法ですね。たとえば五%の従業員にやめてもらうとか、あるいはまたその事業所を縮小するとか、あるいはその石炭を掘っている所を、今度は坑道を掘るのを切りかえるとか、そういうふうな具体的なことをお聞かせ願えませんか。
○参考人(佐久洋君) これは具体的な方法というのは、実はこういう方法でいくのだというはっきりした取りきめというのは別にないわけです。各山の事情が皆違っておりますから、一応五%というものを目標にしてこれは会社がやる。それから、もちろん山元になると多少違ってくると思いますが、方法は全部の各山元で考えている。だから非常に簡単に、たとえば選炭の歩どまりを下げるといいますか、要するに選炭を強化するというようなことで、今まで切り込みのまま売っておったところは、選炭強化ということで五%くらいの効果は上るわけですね。 それから、もちろんこの五%の労働者を切るなんてことは、現実問題としては私はできない話だと思います。それから、それが長期の問題じゃなしに、要するにことしの年間の問題を解決しようという話ですから、そういう首切りというような問題で問題の解決をはかるというのは、私はあまり賢明じゃないと思う。そういう問題は起きないと思います。
○阿部竹松君 どうも佐久さんにばかりお尋ねするのは気の毒ですが、もう一、二点一つお尋ねいたしますが、大手十三社であるか、全体であるかわかりませんけれども、お互いに資金を出し合って、五十万トンとか、百万トンの貯炭会社ですか、そういうような幾構を作って、それで中小がダンピングする場合の、その中小の石炭まで買うような、一つ機関を作ろうということをおきめになったやに私聞きましたのですが、この点はいかがでしょうか。
○参考人(佐久洋君) 一つの考え方として、石炭が過剰になれば、これは当然その値段が下ってきます。それの下るのも、これは限度がある問題で、この前の昭和二十八年から始まって、二十九年、三十年のあの不況のときのような値下りがかりにきたとすれば、これはもう長期計画そのものにひびが入ってくるわけですね。そういう点はやはり防がなくちゃならぬ。で、そういう大幅な値下りのもとというのは、要するに金繰りのつかない炭鉱のダンピングがもとになって、従ってそういうダンピングが起きた場合に、それを買い取っていく、これはまあお互いの救済機関になるわけですが、そういう方法によって大幅な暴落というものを防ごうじゃないかという考えを一時持ったのであります。ところが、いろいろ検討してみますと、今の法制のもとでは実際上できないのですね。従いまして、それは検討をしたというだけのものであって、そういう組織ができるというところにまでは到達いたさなかったわけであります。そういう経過でございます。
○阿部竹松君 国崎さんにお尋ねいたしますが、さいぜんお話の中に、やはり貯炭の場合のその貯炭融資の裏づけ等についてのお話ございましたが、実はその点について、これは加藤参考人からもお話ございましたが、この五月二十九日の経済閣僚懇談会で決定した四つの事項のその中に、貯炭融資の確保について、という項目等もあるわけです。これを先日の委員会において政府にただしましたところ、政府当局としては、それはやはり政府が直接大蔵省の預金部から貸すとか、開発銀行から貸すとか、こういうことでなくして、それぞれ市中銀行を大いに活用してもらうことである、こういう御答弁があったので、それは三井は三井、三菱は三菱のような銀行を持っているじゃないか、これは今、閣僚懇談会等でえらそうにしてきめるべき筋合いのものではなかろう、こういう話をお話しましたところ、問題は地方銀行であって、地方銀行は、政府がやはりこういうことをきめることによって融資の裏づけというものはできるものであるという答弁がございました。五月二十九日ですから、もうすでに一カ月以したっておるわけですから、地方銀行の、特に中小企業等に対する融資がやはり四個条のきめられた方向に進んでおるかどうか、その点を端的に一つお尋ねをしたいと思います。
○参考人(国崎真推君) 経済閣僚懇談会でおきめ願いました資金融資のことですが、これは阿部委員のおっしゃるように、地方銀行の窓口を通じて金がなければ日銀で融資をあっせんする。あくまで窓口が承知しなければ、これはまた日銀までも届かぬわけです。それにはやはり日ごろの信用、経済力、返済能力というものがまずものをいうわけであります。従いまして、先ほど私が申し上げました中にもありましたように、中小の中にも千差万別でございまして、相当有力な炭鉱がございます。若干ございます。これは、いわゆるその線に沿うて各地方銀行に申し込みをしておる。各地方銀行にもその通達が流れておりまして、たとえば中小炭鉱のうちでもあまり大きくない炭鉱、山口で言いますと、名前をあげて悪いからあげませんけれども、ある年産一万トン前後の山がその線に沿うて申し込んでおるということを聞いております。九州にもあるやに聞いております。北海道にももちろんございましょう。しかしこれは、先ほど申し上げましたように、約七百近い炭鉱のうちで何割くらいございましょうか。その他のいわゆる中小炭鉱、これはなかなか非常に信用もそういうわけにいきませんので、何かまとまった別な方法はないかということで通産省にも御相談いたしまして、商工中金のいわゆる中小企業資金のあっせんを願うということでお願いして御援助を願っております。ただこれには、私さっき申し上げましたように、融資を受け得るような受け入れ態勢を作るということを申し上げましたが、これはやはり協同組合を作りませんと、個々には中金は貸しませんので、こういうことは、やはり中小炭鉱がみずから組合を作りまして、ある程度連帯保証のもとに借りるという体制を作らなければいかぬということを申し上げた次第でございます。それでもなかなか中小炭鉱は資金の問題になりますと、これは宿命的になかなかむずかしいのですから、なかなか困難はありましょうけれども、その方面に進めたい、かように考えております。
○阿部竹松君 次に、炭価の問題について佐久さんにお尋ねいたしますが、さいぜんお話の中で、炭価の問題についてはあまり関知しないというような意味にとれる御発言がございましたので、これは私の聞き違いであれば御容赦願いたいのですが、そこで私の解釈では、小さい百トンとか千トンの売炭は別にして、電気あるいは国鉄、こういうようなところに対する大口売炭は、みな佐久さんのところでまとめて交渉しているやに承わっておったわけなんです。そこで、私の方で関知しておらぬということであれば、一体どこでそれをやっておるものか、各個ばらばらにやっておるものか、それとも関知しておられるのであれば、電気屋さんの方の炭価の交渉がどうもきまったように、きまらぬように承わっておる。その点、国鉄さんに対する売炭の方の価格がきまっておるのかどうか。あるいはさいぜん二百五十円か三百円安くなったというお話も若干お話の中にあったような気がいたしますが、そのあたりを一つお尋ねしたいと思います。
○参考人(佐久洋君) 二百円か二百五十円下ったというお話は、これは全然申し上げておりません。これは、何かのお考え違いかもしれません。これだけはあらかじめ申し上げておきます。 炭価の問題は、私は関心を持っております。と申しますのは、長期計画をどうして遂行するとか、それの資金繰りをどうするとかいうようなことは、やはり石炭全体の取りまとめの立場にある石炭協会が扱っておりますので、それにはやはり炭価がどうなるかということは大きなウエートを持つわけであります。その意味で関心を持っておりますが、私が全部炭価交渉の取りまとめをやっておるというような、そういう立場には全然ないわけでございます。 これは電力について申し上げますと、先ほどちょっと加藤参考人がお話に触れたようでありますが、長期計画を進めていく上においては、石炭の安定した生産と安定した価格というものがどうしても前提になるわけであります。石炭が足らなければ高く売るのだ、余ってきたらむちゃくちゃにたたかれていいのだということでは、これは石炭企業というものは安定操業はできないわけです。そういうことは望ましくない、こういうことがあってはならぬ、こういう前提で長期計画というものを考えたわけであります。 そうしますと、一番大きな石炭の消費者である電力業界と、数量と値段について長期の契約が締結されれば、これが一番理想であります。さらにそれを広めて、国鉄とか鉄とか、ガスとか、そういう方面にまで広げてやられれば、さらに私は望ましいことだと思うのです。そういう観点に立って電力業界と長期契約の相談をしようということで、電力と石炭とおのおの五名の委員を出しまして、昨年の暮れから何回か会合をいたしておるのであります。もっぱら炭価の問題、それから数量の問題はそこで交渉が行われておりまして、私どもは全然どういう話になっておるのか内容も知らない、こういう状態であります。
○阿部竹松君 その五名の委員は協会から選ばれておるか、まあ協会と鉱業会と両方合せた中から選ばれておるのか知りませんけれども、まだことしの分の石炭価格はきまっておらぬわけですね。そうしてなお、石炭協会というところは、さいぜん国崎さんの話しでは、日本の石炭を牛耳っておる、こういうお話でしたが、その協会の専務理事が炭価がどうなったかわからぬということでは、政府がいいとか悪いとかということはとても話にならぬではないですか。国鉄の言い分はこうだ、しかし業者の言い分がこうだ、われわれの言い分がこうだ、そこで日本の政府はどう考えるかということでお話しにならなければ、それは私は知ったことではありません、そのお話がなくて、銀行から金を出してもらわなければならないということでは、われわれは何のためにわざわざお忙しいところをおいで願ったかわからぬわけです。値段がきまらぬというようなあいまいもこなところで、政府の、国民の税金を貸したり借りたりするわけには参らぬでしょう。そういうふうになりませんかね。
○参考人(佐久洋君) 先ほどの御質問で申し落しましたが、電力に対する石炭の価格も、また国鉄に対する石炭の価格もきまっておりません。 それから、石炭協会の専務理事がそういう大事なことをやれぬようではしようがないじゃないか、そんな者は呼ぶのじゃなかったというようなお話でありましたが、私は現実を申し上げておるのでありまして、石炭協会の専務理事というのはそれほどりっぱなものでは断じてないのであります。その程度のものだということを一つ御了承願いたいと思います。
○阿部竹松君 佐久さんはきわめて御謙遜なことでお話をなさるから、私はこれ以上お尋ねしようと思いませんが、あなたがやっておるとかやっておらぬとかいう意味じゃなしに、協会でやっておられるということになれば、実際そういうことを御承知しておりませんか。知っておればお伺いしたい。それが将来の、やはり石炭の政策がいいとか悪いとか、どう現在の不況を切り抜けていったらいいかということを、当商工委員会でも論議の過程において、微力でありますけれども一つの結論を出して、通商産業省の中の石炭局をまた叱咤激励してやるという方法もあるのですが、全然そのあたり雲の中に入れてしまうと話にもなりませんから、あなたでわからなければ一体どなたに聞けばこういうことがわかるのですか。そういう点を一つお尋ねいたしましよう。
○参考人(佐久洋君) どうも御期待に沿えないのでまことに残念ですが、しかしほんとうにわからない。わかるというのは電力の五人の委員と石炭の五人の委員と、それだけがわかっておるわけです。もしお聞きになるとすれば、そのうちのどれかにお聞きになる、こういうことになると思います。
○藤田進君 これは四者それぞれの御意見もあろうかと思いますから、四氏の方にお答えをいただければ幸いだと思うのですが、私ども商工委員会にずっと前からいて、また、基幹産業、ことに石炭を見るときに、どうも今の産業構造なり現在の組織なり形態ではとても安定しないのじゃないだろうかという気がするわけです。これを主要な国、イギリスとかアメリカとか、あるいは西ドイツ、あるいはフランス、東南アジアではインド、そういうものの石炭産業というものをずっと検討してみますと、それは立地条件も違うし、歴史も違いますが、日本のような放漫な状態にないというふうに私は実は結論づけざるを得ないのです。たとえば石炭だけ長期計画を立てられても、それはくずれてくるのは無理からぬでしょう。いろいろ努力されていることもわかりますが、たとえば例をあげると、電力と石炭の関係を見ましても、将来どうも炭価は上るかもしれないという時期には、電力会社はもう競って早く契約しようとする、そういうことで歴史的に見て相当つり上げた炭価で契約をする結果になっております。それから、将来そうではなくて逆だというようなときには、なかなか炭価契約がきまらないままに推移してしまって、国鉄と先にきまったというようなことが標準になったりして、これはたとえば中小炭鉱では、テープ・レーバーの形で何とかダンピングというものがそれほど企業自体に障害にならずに、労働者の相当な犠牲でやはりなし得るでしょう。けれども、だいぶ大手になると、かなり労働組合というものがあって、そういった中小炭鉱ほどにたやすくいかないでしょう。といったようなことで、実に不況の波というものが、好況との差において必ずしも日本全体の産業の景気、不景気とはおよそ別の形で、また、石炭だけは単独にどうも波の高低があるように思われる。これは率直に、段階的にでもいいですが、部分的にでもいいが、ほんとうに可能なこと、これは全体弱肉強食あるいは優勝劣敗の形でいいかどうかということに議論もあるが、どうも何か方法があるのじゃないだろうかというようなことをわれわれ痛切に感じるわけです。貯炭関係でも、大口需要である電力の側に貯炭所を設けて引き取っておいたらどうか、いやそれは石炭産業でやれといったりする。いろいろ一緒に会合を持たれても、石炭は石炭の中でそれぞれ優勝劣敗がありますし、利害関係があるからうまくいかない。他産業との協定がさらにまたうまくいかない。落ちつくところ、わが社だけは何とか切り抜けていきたいということで、いろいろな統一も破れてくる。何かこういうふうなことを繰り返して、そのあげくの果てが国民の重油の消費規制といったようなこと、また、相当枯渇してくれば重油を使えというような方向になっていったり、重要な産業である石炭がより多くの国民に大へん迷惑を与えているような気がするのです。お前たち政治家も国会にいて何とかしろとおっしゃる。われわれは実は考えを持っている。持っておるが、現在理想的なものだけを申し上げておりませんが、なかなか少数でうまくいかないのであって、しかしそのうまくいかない現状の勢力をお助けになっているというのが石炭経営者のお立場のように思うし、みずからやはり首を絞めながら、その絞める人たちとの関係において生きようとされるというようなところにわれわれ検討して突き当った。組合の側からもさっき述べられたように、経済の構造なり経済の政策の根本をもすでに踏まれておられるように思うのです。私は石炭なり電気なり、あるいは鉄鋼なりという、こういう国民のためにあるべき重要産業、基幹産業としては、経営者自体がまあ時代的に視野を広くしてもらわなければならない時期に来ているのじゃないだろうか。もうほかの国がそういうふうになりつつあるときに、経済の立地条件の悪いわが国が従来のままで推移するということは、これはどう考えてみてもおかしいじゃないだろうか。いきなり国有、国営とは言わないにしても、今のような長期計画を生産と需要との関係においてでも持つなり、あるいはこれらの炭価契約を今言ったように長期のものにしていくとか、生産と需要の関係を調節していくとかいうようなことを行政指導でどうしてもうまくいかなければ、それはあるいは立法に待つとか、そうでなければ、資本も労働も国民生活も、すべてが安定しないままに推移して、ひいては貿易その他にも悪影響を及ぼし、まあ自由民主党の政府でも何とかやれそうなものが残っているのじゃないだろうかと思われるのですが、何かこの際、参考に一つ述べていただくものがあれば、従来の公述のほかにあればお述べいただきたいと思います。
○参考人(野口一馬君) 僕は石炭産業に対しても相当膨大な補給その他をしていただいておると思います。一番大きな問題は炭価の公表制度ではなかろうかと思うのです、一番根本の問題は。要するに、三井さんの石炭は幾ら出て幾らで売るのかわからない。国家の金というのはじゃんじゃん使っている、こういうやり方ですね。三菱さんが幾らで売っているのかわかない。それを、中小炭鉱が特に若しいと言われるけれども、炭価の公表制度をとるならば、国民は安い石炭をどんどん使っていくと僕は思うし、国民生活の中に石炭とういうものがどんどん使われいく方向に仕向けられていくと思う。現に、私の横におられる佐久さんはフランスとドイツを回って来られて、フランスではこういう制度をとっておられると言われるし、しかもドイツでは要するに発電所ですか、電気関係を炭鉱が——電力は火力を中心にしてあるので、みなこう同資本で経営している、こういうことを言われておるので、特に当面する問題は、皆さん方がわれわれの税金を、要するに独占中心に出されておることが悪いとか悪くないとかいう論議は別にしても、どう正しく企業の合理化にはね返り、しかもそのものが国民生活にはね返っておるかということを明確に出す方法を考えていただきたい。 それからもう一つは、結果的にこれは農村でも言えるけれども、要するに農地の交換分合と言われるように、坑内の中において、まあ地下資源ですから、ここまでは非常にいい、要するにその地下資源であるけれども、これが非常に悪い地下資源というような、やはり断層があり、またいろいろな条件があると思いますが、僕はやはり国家が要するに石炭全部を掌握して そうして国家の企業として、要するに企業そのものは民営でやらせるけれども、資本主義社会でも考えなければ、もうかるときにはじゃんじゃん掘れ、もうからぬときには何とか石炭を掘らぬでも、国家の均衡を、政府の均衡をとれば石炭産業を守っていくのだという政策のあり方に問題があるので、もっとここでいろいろ述べたい点もありますけれども、そういうふうに全般的に国営、国管ということでなくて、国家の資源であるというところの立場から、国家の資源を国家が保護するのだという立場で政策を打ち立てていただきたい。 それから、せんだって通産省の招きで世界銀行から派遣された形でソフレミンというフランスの調査団が中心になって来ました。この人が報告書の中で、数多く日本の石炭産業の持っておる欠点を指摘されておる。それはもう一例をあげると、労働者の賃金状態が悪いとか、保安状態が悪い、それからさっき申しましたように、鉱区の要するに所有の仕方が国有になってやった場合にどうなるのだと、フランスの例その他をあげられて数多く指摘されておる点があります。僕は、そういう点からいろいろ数多くあるけれども、問題は、日本の資本主義がアメリカに隷属する限り安定性はないと言われるけれども、その中で特にもっと秘密主義から公開主義にかえていただいた方がいいんじゃないか、そうすることにおいて、政治が正しく行われておるか、企業そのものが国家の税金を使いながら正しくやられておるのかどうかということが、国民にも理解されるし、全体的に国民の政治に関する関心の度合いが高まっていくのではなかろうか、ひいてはもっと現在の政治よりも明朗ないい政治ができる、ゴルフ政治じゃない政治ができるんじゃないか、こういうふうに考えることをお述べしておきたいと思います。
○参考人(加藤俊郎君) 私は、石炭産業に対する国の規制という点から見ますると、これは次第に強化されつつあるということが一応言えるのではないかと思います。それは、石炭合理化法制定以来の状況なり、あるいは現在言われております長期的な増産計画という面から言いましても、そのことはうなずけるのではないかと思うのでありますが、この面はやはりもっと強くしていく必要かあろうと思います。おっしゃるように、まだまだ日本の石炭鉱業で放漫な面があるということを否定できないと思いますが、そういう点、やはり相当の国の資金を使っているわけでありますから、将来石炭産業については日本のエネルギー政策という立場から見ましても、国の方で規制をする一方、また保護をする、そういうような政策を加えていく必要があろうと思います。当面のやはり具体的な問題としては、どうしても現在行われておる長期計画と関連なしに論議することはできませんので、やはり私どもは、先ほども述べられましたように、一時的に生じてくる需給関係のアンバランスというものをどう調整していくか、これを国の責任でやるというところあたりから論議するのが適当ではないかというふうに思っております。
○参考人(佐久洋君) ただいまの藤田委員が御指摘になりました御懸念の点は、私も全く同感でありまして、現在私は石炭協会におりますが、長らく役人をやって、それも大部分石炭の仕事をやらされた、その当時からやはり頭にあった問題であります。まあ石炭の生産を安定させる、そのためには、先ほどから申しますように、共同目標として長期的な目標を持つ。しかも経営者の考え方としては、石炭というのは何と申しましても基礎的な材料ですから、それが過不足によって上ったり下ったり大きく変動するということは望ましくないのであります。やはり石炭企業というのは、一棟の公共性を帯びておるというふうに見てもいいものだと思いますので、利益というものは薄くてもいいから、安定した生産ができるということがまず第一だと思います。そのためにはただいままでのところでは、石炭の価格なり数量をめぐって常に供給者の石炭業者と消費者の電力業者なりあるいはガス業者なり鉄業者というものが敵対関係のような状態に置かれておったのでありますが、これは私は望ましくない。理想を申しますと、そういう大口の消費者なりあるいは石炭との競争関係に立つ油の業者なりというものと話し合いがすべてついて、本年度のエネルギー供給というのは、こういうふうにいこうというようなことが業者相互できまっていくというようなところまで進むのが私は理想だと思います。それからなお石炭業者としては、今後のこの需要の拡大と申しますか、ただ石炭というものを運んでボイラーに入れて燃やして煙にするということだけでなしに、今後増産が進むに従って従来商品炭として扱わなかったものも付随して出てくるわけであります。そういうものの活用についてもっと積極的に考えていく、こういうふうな点を十分考慮しなくちゃならぬと思います。国家の統制に移せば、すぐ必ずうまくいくかどうかという点については、フランスなり、あるいは多少フランスと事情が違いますが、イギリスあたりが国家統制の形に移っておりますが、それはそれなりにまた歴史的ないろいろのいきさつもある、必ずしも日本と同じではないと思います。ただ私が今考えておりますのは、そういう大口の消費者と石炭供給業者というものがもっとタイアップする機構なり機運というものを醸成していく必要があるのじゃないか、こういうふうに思います。
○委員長(田畑金光君) それでは、この辺で参考人に対する質問は終えたいと存じます。 参考人の方々には御多忙中のところ御出席下さいまして、長時間にわたり御説明いただき、ありがとうございました。委員会では御意見を尊重し、本問題に対処して参りたいと考えております。 それでは、暫時休憩いたします。 午後零時二十六分休憩 ————・———— 午後二時二十九分開会
○委員長(田畑金光君) ただいまより委員会を再開いたします。 これより繊維業界の不況問題について、参考人の方から御意見を拝聴いたしますが、本日は御多忙中にもかかわらず、当委員会のためにわざわざ御出席下さいましてありがとうございました。参考人の方には、それぞれのお立場から、本問題について忌憚ない御意見を承わりたいと存じます。 なお時間はお一人大体十分ないし十五分程度でお願いし、そのあとで委員からの質問もあろうかと存じますが、それにお答え願えれば好都合と思います。 それではまず、阿部孝次郎参考人にお願いいたします。
○参考人(阿部孝次郎君) それでは申し上げます。 私は日本紡績協会の委員長の阿部孝次郎でございます。綿業の不況の実態と、ただいまとられておる対策というようなことについて申し上げたいと思います。 御承知の通りわが綿業界は昨年末ごろから非常に不況に陥りまして、この間にいろいろの対策が講じられてきたにもかかわらず、いまだに早急にこの不況が克服されるというような見通しが立たないという状態でございます。綿業界では、戦後すでに二回の紡績操短、第一回は昭和二十七年の三月から二十八年の五月まで、それから第二回は昭和三十年の五月から三十一年の六月までの二回の操短がありましたのでありますが、今回の場合には、前の場合にないような特殊な性格があるように考えられるのであります。綿業界の不況は日本だけではなく、現在世界的な現象となっているのでありまして、アメリカ、イギリス、それからドイツ、フランス、ベルギー、オランダというような欧州各国から、インドですら非常な事業不振でありまして、綿業の生産はどの国も縮少しております。その原因は、もちろん国によって若干違っておりますが、世界的な景気後退に伴う国内需要の減少が共通した原因でありまして、輸出の不振は国によって違いますが、やはり影響を受けているということになっております。しかしながらアメリカや欧州諸国では生産は減退しておりますが、わが国のように大幅な綿製品価格の下落をしておるというようなことはありませんので、これを二十番手の綿糸に例をとって見ますと、現物相場で例をとって見ますと、昨年一月と本年の三月を比較して見ますと、英国では相場はむしろ多少上昇気味になっております。アメリカでは二%足らず、イタリアでは七%の下落をしておりますのが、日本では約十二%程度の大幅な下落をしておるということでありまして、綿布についても、同様の傾向が認められます。この事実は世界的な綿業不況とはいいましても、欧州諸国に比べまして日本のそれが非常に底の深い不況であるということを示しておると思います。そこで、そうすると、何ゆえに日本の綿業の直面する不況が特に底が深いのであるか、その根本的原因は過剰誤備の存在であります。設備制限を見込みましても、いわゆるかけ込み増設という増設に基く設備過剰は、現在わが繊維工業の各部門に共通する問題でございまして、綿業界もその例外ではないのでありまして、昨年は綿製品輸出量が戦後最高を記録したほか、国内需要もまた経済活況の影響を受けまして、年初より夏の終りまでは非常な好水準を続けてきたにもかかわらず、この間綿製品の在庫は累増したのでありまして、その事実は明らかに設備の過大、つまり旺盛な需要をも上回るような生産力が存在しておったということにあると思います。 設備の問題に関連いたしまして、さらに紡績設備と織機とのアンバランスの問題があります。現在わが国には綿スフ織機が約四十一万台ありまして、世界最大の綿製品生産を持っておりますアメリカは、約昨年の日本の二倍半以上の綿織物を生産しておりますが、アメリカですら三十六万台を持っておって、そうして紡機一万錘当りの、スフ紡機を含めまして、一万錘当りの綿スフ織機の台数を持って、欧米の場合と比べまして日本は一倍半ないし二倍の台数を持っているということになります。このような紡機に対する織機の相対的な過剰がまた当面の綿業不況に特別な影響を及ぼしているということも見のがすことはできないと思います。 以上述べましたような過剰設備の存在に対しまして、綿製品の需給失調はすでに昨年下半期末以来漸次表面化してきましたが、本年に入りましてから、綿業をめぐる内外の情勢がますます悪化を来しまして、需要は極度に萎縮してきて参りました。すなわち、国内におきましては、国際収支改善のために実施されました金融引締めの政策と、綿製品在庫の累積した繊維市況に対する先行不安を招きまして、流通部門その他における綿製品の中間需要を極度に圧縮したばかりでなく、デフレの影響は漸次一般消費者にも波及いたしまして、国民衣料がすでに一応充足されているという事実と相待ちまして、最近は消費者の衣料支出は非常な控え目な傾向を示し始めました。一方、輸出も本年に入ってからは、世界的な景気後退の影響を受けまして漸減して参りました。綿布輸出は昨年の月平均一億二千二百万平方ヤールがこの五月に九千五百万平方ヤールに低下いたしまして、六月にはまた若干減少するということが予想されまして、前途非常に多難であるということが予想されるのであります。しかも、今回の不況は、従来のそれと異りまして、繊維各部門が軒並みに不況に陥っているということのために、お互いに他部門の立場のみをお互いに牽制し合うというような場面もありまして、いろいろ複雑な様相を呈しております。要するに、需要に対してなお過大な生産力の存在するということと、それから日本及び世界経済の萎縮による内外需要の急激な減少ということと、それから繊維各部門の軒並みの不況ということと、この三つの要素がからみ合いまして今回の深刻な不況を来しているというふうに考えられるのであります。 これに対しましてどういう対策を講じられつつあるか、あるいは将来講じなければならぬかということを申しますと、まず、昨年九月から十二月までは同上半期の旦平均綿糸生産実績の一〇%減に当る生産ワク、月産二十一万梱が通産省の行政指導によって指示されました。さらに、本年一月−三月には一五%減、すなわち月産約十九万六千梱まで強化されましたが、綿製品在庫は減少しないのみならず、わずかながら増加の傾向にありましたので、四月から六月まで綿糸月産十八万二千梱、すなわち昨年上半期の実施の二〇%減を目標に精紡機三〇%の封緘が通産省勧告によって実施されました。この思い切った措置によってわれわれは綿業界全体の早期立ち直りを期待したのでありますが、一向に事態は好転いたしませんので、さらにこの操短勧告が九月まで延長されるということになっておるわけであります。 以上は綿糸に対する需給調整対策の実施状況でありますが、紡績会社は織物業をも兼営しております。織布専業者の実施する綿スフ織物の生産調整にも協力しておる次第であります。すなわち、織布専業者は昨年十二月より生産制限を実施しておりますが、紡績兼営織布業も本年一月からこれに同調いたしまして、さらに四月以降は通産省の行政勧告によって広幅織機の二〇%を封緘、五月以降は中小企業団体法の第五十七条の命令が紡績兼営織布部門に発動されておるのであります。このようにいたしまして、五月の紡績兼営織布部門におきます綿織物生産は、昨年上半期の月平均に対しまして約二三%の減産となっております。しかしながら、最近の綿織物市況は、滞貨累積の圧迫から何ら好転のきざしを見せず、織布業界の苦況もいよいよ深刻化して参りましたので、日本紡績業界はその市況回復の一つの対策といたしまして、織布兼営紡績会社がその保有する綿織物をさしあたり合計五千万平方ヤールだけ凍結すべきであるとの方針に到達いたしまして、ただいまその方向に向っていろいろ検討をしておるのであります。 以上、今回の綿業不況の特色と紡績業界で実施されて参りました不況対策の概観を説明いたしましたが、この綿業界はいまだ前遂に光明を見出すに至らず、このままでは不況の長期化ということも予想されますので、さらに何らかの効果的な対策を講ずる要ありと見られます。しかし、効果的な対策といっても、ことさらに新奇な方法があるわけでございませんので、綿糸布の滞貨の圧迫を消滅して市況立ち直りのきっかけを作るため、生産調整を確実に実施するということが、引き続いてわれわれの行う根本的な対策であらねばならぬと考えるのであります。もちろん、このことは生産者としては非常に苦痛なことではありますが、何しろ過剰設備をかかえておることでありまして、もしこれを怠って、ほかに安易な対策を求めるようでは、いつまでたっても不況の立ち直りということは望めませんので、これを行いますと同時に、積極的な需要拡大の対策を特に輸出の振興に求めなければならぬと思います。しかし、国際経済の現状は、近い将来にその好転を期待するということも非常にむずかしく、加うるに東南アジアに対する最近の中共の綿織物の進出は、非常に顕著なものでありまして、綿製品の輸出振興といっても容易なものでなく、非常に強い決意をもって総合的、積極的な諸対策を確立する必要があると思います。同時に、少くともすでに輸出振興を阻害しておるような制度だけは、何としてもこの際にすみやかに改変されなければならぬと思うのであります。また、すでに繰り返して申し述べました通り、繊維工業は現在各部門とも過剰設備を抱いておりますので、たとえ当面の不況が一時的に何とか克服されましても、この過剰設備を抱いておるということは、また不況の再来を招くというようなおそれもありますので、この際繊維工業設備に対する総合的な政策を確立するということが痛感されております。 以上、私より綿業界の不況の原因及び現在とられておる施策について申し述べました次第でございます。
○委員長(田畑金光君) ありがとうございました。 それでは次に、野沢久雄参考人にお願いいたします。
○参考人(野沢久雄君) 私、綿スフ織物工業連合会の専務理事をしておる野沢でございます。私の団体はいわゆる綿織物、スフ織物を織っております機屋の団体でございます。機屋の全国的な団体であります。ただいま阿部委員長から綿業界の大勢につきましてお話がございましたが、私はわれわれのいわゆる機屋村におきまする現状、この苦難を克服するための諸方策につきまして、諸先生の御援助をお願いしたい、かように考えまして、申し上げたいと思います。 お手元に綿スフ織布工業の概況というやつと、綿スフ織物工業危機突破対策という印刷物を差し上げてございますので、この資料によりまして御説明申し上げる次第でございます。 最初にわれわれ機屋村というものが、どういう現状にあるかということの御説明を申し上げます。綿織物、スフ織物を織っております機屋は、先ほど阿部さんのお話しにもございましたように、一部紡績が紡績の一貫加工として、織物を作っておるわけでございます。で、大部分のものが、機屋専業者が綿織物を作っている、こういう業界でございます。で、その業者数を申し上げますると、われわれの方の関係におきましては、業者数が約一万五千軒ございます。この織機台数が約三十四万台、それに対しまして、紡績業者の一貫産業の方は、会社の数が約三十四会社、その保有しておられるのが約七万織機という数字が現在の登録設備の台数でございます。この織機は現在の団体法によって設備制限を受けておりまするので、この登録台数以外には法律的にはないわけでございます。新しい設置の制限であるとか、増設ということは、前の中小企業安定法、今度の団体法によりまして制限を受けておりますので、この四十三万台というのが現在の日本における綿織物、スフ織物の設備であるというふうに御了解願いたいと思います。で、この機屋専業者が大部分の設備を持っておるわけでございまして、特に輸出面等におきましては、御承知の綿織物の昨年の約十四億何がしの輸出、スフ織物でも九億何がしという輸出、これらの大部分と申しまするか、綿織物につきましては約五五%、それからスフ織物におきましては八、九〇%というものはわれわれ専業者が作っておる。このような弱小業者ではございまするが、現在の綿織物、スフ織物の輸出にどのように貢献をしておる業者であるかということを御了解願いたいと思います。 次に、この機屋というものが全国的にどのような産地分布で生産をしておるかということを第二表に作ってみたのでございまするが、この綿織物、スフ織物の産地と申しまするのは、北は青森から南は九州の果てまで、ほとんど各府県にわたって工場の散布がございます。まあ、どの地方でもいわゆる機屋という産業のない所はほとんどないんじゃないか、かように思っております。ただ、産地として固まっておりますのが、近い所で静岡の遠州地区、それから次に愛知県の知多、三河地区、それから大阪へ参りまして泉州あるいは大阪南部、さらに播州、兵庫県でありますが、西脇を中心とした地域でございます。それから、まあ岡山等、たくさんございまするが、とにかくこの綿スフ織物業というものが、全国の各府県にわたって重要なそれぞれの地域の産業をなしておるというふうに御了解を願いたいと思います。 それから次に、現在綿織物、スフ織物かどのような生産状況になっているかという数字を第三表でお示し申し上げたわけでございまするが、終戦後繊維工業がほとんど壊滅した終戦後の状況から立ち直りまして、逐年その生産を増強して参ったのでございまするが、昨年の今ごろと申しまするか、夏ごろですかを大体ピークといたしまして、ただいま阿部さんのお話しにございましたような世界的な綿業の不況ということで、逐次その生産を減少せざるを得ないというふうな結果になりました。もちろん、われわれといたしましても、この市況を回復するための各般の手段を従来講じて参りました。過剰設備の整理の問題であるとか、あるいはまた、生産を抑制するための設備の封緘、あるいは休日制による生産の縮小というふうな努力をして参りまして、生産は逐次減っているのでございまするが、最近の在庫は、この生産の縮小にもかかわらず、逐次膨脹をしておるわけでございます。その姿が第四表に出ておりまするが、今申し上げました三表によりまして、最近の毎月の生産がだんだん減っているというふうに御了解願えたと思いまするが、この生産の縮小にもかかわらず、在庫はむしろ逐次ふえているという結果に相なっておるわけでございます。これはもちろん転出の不振の問題、あるいは内需の売れ行きの不況というふうなことが根本的な問題でございまするが、逐次この在庫がむしろ減らないでふえているというのが、われわれの業界の実情でございます。 それから、この不況を端的に表わしまする採算を主要な二、三の品物にとりまして計算をしてみたのでございまするが、第五表とそれからその次の六表でございますが、五表は、それぞれの品物の糸代と布代を比べてみたわけでございます。一番下の欄をごらん願いまして、かりに百二十本細布という欄がございまするが、この品物の糸代が五十四円かかるわけでございます。で、この五十四円で糸を買って原料とするわけでございまするが、これで作った品物が五十三円二十銭きりならない。工場を動かして労務者を使って作った製品が、原料代にならないというのが、このスフ業者の現状でございます。この表は、糸を買って織物を売ったという場合の例でございまするが、その次の六表が、下請加工による加工賃の傾向でございます。金幅とスフのモスリン一号、これをかりの例としてとったわけでございますが、昨年八円程度の工賃をもらって仕事をしておりました機屋が、現在では二円ぐらいしかもらっていない。二円では、これは女工さんの給料にならない。ならないけれども、工場主としては、何とか工場を回していかなきゃならんということで現在操業をしているわけでございます。 大体現状の御報告を資料に基いて申し上げましたが、今私が申し述べましたような業界の困難を克服するために、われわれ綿スフ織物業者は、この際基本的な抜本的な措置をしてこの危機を突破しなければならんということで、先般業者大会をいたしまして諸般の今後の方針を決定いたしたのでございまするが、そのわれわれが考えました九項目にわたる今後の突破対策の案をこれから御説明申し上げまして、諸先生の御指導をお願いしたい、かように思っております。 最初の問題は、過剰設備の処理の問題でございます。先ほど阿部さんのお話しにございましたように、日本の国の繊維工業設備の中で、特にこの織機の村の設備が、他の紡績であるとか関連する部門の設備能力に対して不当に過剰である、設備があり過ぎるということでございます。この問題につきましては、かねてから国会の諸先生あるいは政府御当局の御指導によりまして、逐次設備の買い上げ廃棄と申しまするか、過剰設備の処分をして参ったのでございまするが、この際この過剰と思われる部門を根本的にえぐり取っていただきまして、業界のガンをこの際一挙に摘出していただきたいというのが、この設備の処理の問題でございます。もちろん、過剰設備の算定等につきましては、いろいろ将来の綿スフ製品の需給の問題等を考えまして、算出する必要があるわけでございまするが、とりあえず、われわれは、現在の状況から将来を考えました場合に、少くとも四万台程度のものは将来においても過剰設備となるのじゃなかろうか、かように考えているわけでございます。六万台をそのままそっくり廃棄してしまえば、これはまあ理想的かもしれませんが、いずれ将来の見通し等の問題もございまして、六万台を処分するということも妥当を欠くおそれがあるかと思いまして、若干のスペアをとりまして、少くとも三、四万台の設備はこの際廃棄する必要があるのじゃないか、かような結論に達したわけでございます。この買い上げをいたしまする場合には、従前から国会の諸先生のお力で補助金をいいだいているわけでございますが、現在のこの中小企業である、むしろ零細企業である綿スフ織物業界の再建をするために、従来より特段の御配慮を願いまして、この補助金の額を、従来のようなことでなくて、もっと飛躍した金額を助成願いたい、かように思っているわけでございます。大体現在われわれが希望しておりますのは、一台について十万円程度の買い上げの価格にいたしたいというふうに考えております。で、この五分の四程度の補助金をいただきたい。現在のわれわれの業態からいたしまして、できればもっと多額の自己負担をいたしたいのでございますが、先ほど来申し上げましたような業界の実情で、とてもその負担能力がないということで、はなはだ申し上げにくいのでございますが、八割程度の国庫補助をお願いいたしたい、かように思っております。 それから、その次の問題といたしましては、製品滞貨の問題でございますが、これは先ほど阿部さんからのお話しもございまして、われわれも同様に考えておりますので、その詳細は省略いたしておきます。 それから、次に金融の問題でございますが、操短資金をぜひ何かの方法で確保していただきたい。これは冒頭に申し上げましたように、われわれはこの不況を乗り切るために、できるだけの操短をいたしまして、業界の立ち直りに持っていきたい、かように思っております。ところが、操短をいたしまする場合には、短期間でございますが、若干の操短資金が必要なのでございます。この操短資金は合計いたしまして、現在われわれは三十七億程度、かように考えておりますが、これを公庫あるいは商工中金等のルートで金融をしていただける方法を願いたい、かように思っております。 次に、輸出振興の問題でございますが、この中小企業の製品の輸出振興も、また日本の一つの大きな課題であろうかと思いますが、われわれは戦前を通じまして、日本の綿製品の輸出に貢献をして参りました。で、その機能が戦時中あるいは戦後のいろいろな機構の改変で、現在は大部分が賃織り業者という形になっておるのでございますが、これを再びこの中小企業の持つ持ち味と申しますか、性能と申しましょうか、特徴を生かしていただいて、輸出の振興に寄与さしていただけるような機構をお考え願いたい、もちろん、いろいろ法律的な問題、あるいは海外市場の開拓等の問題があるわけでございますが、特に現在の通産省でおやりになっている輸出リンク制度の再検討、かようなことも、ぜひお願い申し上げたいと思います。 次に、われわれの業界が今後長く安定を保つための一つの方法として、原料の調整方法を基本的な問題としてお考え願いたいということを考えております。これはわれわれ業界が非常に全地域にわたりまして、しかも、小さな業者がばらまかれておるわけでございます。これらの業者を一つの線に乗せて、一つの計画的な経済の流れに沿うていかせるためには、やはり何か病気を直す一つの方法が必要になるわけでございます。もちろん、先ほど申しました設備の登録の問題であるとか、あるいはまた、生産の調整ということもその一つの方法でございますが、この原糸価における供給を調整し得るような一つの機構をお考え願いたいということを考えておるわけでございます。これはあるいは立法措置等の必要もあろうかと思いますが、ぜひこのようなことをお考え願いたい。 その他、取引改善の問題、あるいは固定資産税の問題であるとか、設備の近代化の問題、これらにつきましても一応われわれとして考えていることもございますが、時間の関係もあるようでございますので、差し上げております印刷物を読んでいただければ、大体御了解得られるのじゃないか、もしも御質問等があれば、お答えしたいと思います。
○委員長(田畑金光君) ありがとうございました。 次に滝波清参考人にお願いいたします。
○参考人(滝波清君) 私は福井県繊維協会会長滝波清でございます。当協会は、機業家、商社、染色業者の団体でございます。今日は参議院の商工委員会に、織維業界の不況についての実情を御職取願うことは、まことにありがたく、深くお礼を申し上げます。 私は福井県繊維業界の立場から、主として、取り扱われております人絹織物、絹織物、染色加工に対しまして実情を申し上げたいと思うものでございます。福井県は昨年、三十二年度において原糸の消費高は全国の比率といたしましては、人絹糸は四二%三でございますし、スフ糸は二八%四、生糸は九・六%、合成繊維は三五%三、その他が三四%、織物の生産にいたしますと、人絹の織物は四三%七八、絹織物は一三%六二、その他が三三%六九、全国最大の生産地でございます。なお隣県石川県、富山県等を加えますときには、実に全国の七五%以上が北陸において原糸を消費され、織物に生産されている実情でございます。これが染色加工におきましては、輸出検査の実績表から見ましても、八五%が輸出されてその八〇%が福井県の染色加工業の手で取り扱っておる実情でございます。 かような関係から福井県としては、この不況打開策には非常に心痛しておりまして、何とかして不況を克服してと思いまして、御当局にも、きょうまで再三いろいろな点でもお願いをして参りました。一つ一つみずからの手でできることは実行に移しておりますが、本年に入りましてから、ますます事情が悪化して、深刻の度を加えておる問題でございます。で、昨今は経済界はなべ底景気とか、九月ごろになると非常によくなるのじゃないかというような、新聞紙上等でも、また政府におかれましても、やや楽観せられたような説が流布されているのでございますが、なるほど国内の金融とか、その他の消費景気とかは、幾らかよくなるのかもしれませんが、事人絹織物、絹織物等の輸出に関しては、決して私は楽観を許されない。この際こそ抜本的対策を立てていただくときではないかと考えておるような次第でございます。 最初は人絹織物について申し上げますと、東南アジア方面の実情が日一日とだいぶ変化して参っております。各国ともが自給自足の立場から、織物より、資材とか原糸、または織機、染色機械等を輸入したい、特に重大な問題はインド、中共が織物の輸出に重点を置いて参ってきております。そのため近隣国のインドネシア、タイ、シンガポール等へ相当の安値で売り込みを開始したことでございます。これらの競争には、とうてい打ち勝てない事情がございます。人絹糸はすなわちイタリア、西独、また日本からも現在は十四万五千円ないしその上下において買い付けております。また、労務債は日本の約半額分ぐらいの労務賃でやっております。また、この両国とも国家保護というような政策をとって二割ぐらいの補助金を出して、そうして盛んに輸出奨励をしているように聞いております。そうすると、日本と比較しますと話しにならぬ安値でございまして、もっとも一説にはそんなものはまだまだ技術も劣っているし大したことではない、こういうように言われておりますが、なかなかどうして、日一日と非常な進歩をしている情勢を聞いております。もっとも、ドル不足とか、相手国からの輸入はあまりできないこととて、よほど国策を打ち立てて、延払い制度とか、バーター制度、また、これらに打ち勝つべく輸出織物に対する保護、助成等を、ぜひこれは実施してもらわねばならぬのじゃないかというふうに思っております。なお、これは今申し上げますように、人絹糸が百ポンドに対して約三千円の高値のものを機屋は国内では使用して、それを染色または商社等が幾らかのマージンを見て、そうして輸出しているのでありまするが、あまりにその懸隔が離れております関係から、だんだんこのしわ寄せが織賃にもなり、染賃にも安く、また輸出商社さんにおかれましても、せっかくきょうまでに市場を開拓、確保されたために、何としてもここで無理にでも採算を合わせて、そうして注文を引き受けられるという関係から、人絹織物を扱われておりまする今までの輸出商社が、だんだんと輸出入絹課というものはやめられて、そうして一つの課を合併しましてやられているような実情でございます。現に、きょう丸紅さんの市川社長さんもおいでになっておりますから、よく事情がおわかりだと思いますが、実際、人絹織物を取り扱うことはもうからないというふうなことで、非常に悲観をしております。要するに機屋さんは、糸高の織物安というよりは、きょうはもう適正な工賃さえもらえぬ。一例としますると、工費が三十年の、品名で申しますと、三千六百も、今三銘品でうたわれておりますかりに三千六百のしゅすが、三十年ごろは基準工費が二百円としますと、三月ごろは百八十円、四月は百三十円、五月が百円、六月が百五十円、七月が百二十円、八月が百六十五円、九月が三百五十円、十月が三百八十円、十一月が二百七十円、十二月が百三十円、まだようやく工費がこういうふうにまあありました。ところが、三十三年のしゅすで見まするというと、やはり基準工費を二百円と見ましても、一月はただの二十五円、二月は七十円、三月は五十五円、四月に至りますと逆に百六十五円の赤字が出ます。五月は十円、まあこういうふうな、これは一例でございますが、まだまだすべてがそういうふうで、非常に工費がないのでございます。そこで人絹メーカーも海外へ安く輸出せられるということになり、また五割も操短せられるということは、ますます経済的にも、まあもうかるとは考えられませんが、それのために、やはり内地織物用としてもそんな安く売られるのを高く、高いというと語弊があるかもしれませんが、まあ海外は百四十五円のものを、内地では今、現在百八十円くらいでございますが、そういうふうになってきておりますと、先ほど申し上げましたように、織物で輸出がだんだんとまってくる。そうすると、その悪循環の関係でやっぱり関連産業が皆共倒れになるようになるのじゃないかと、私どもは非常に憂えているものでございます。人絹織物また人絹糸輸出は、強力な一つのここで一貫した、輸出に対しては、保護の立場をとっていただいて、これまた助成なり、報奨制度というようなものを御採用になっていただきたいと思うものでございます。もっとも、われわれとしても、こういうものには、計画生産に入りまして、いたずらに、売れぬものを作ろうとは思っておりません。ただここで、輸出織物と内地織物と、この際すべてこれを別の調整なり、ワクで機構を改めねばならぬのじゃないかと考えておる一人でございます。そこで、機屋さんとしましても、要望事項を四項目に分けて要望書をこしらえております。一つ、合成繊維織機の新造設を直ちに禁止していただいて、過剰織機の処理を一時に実施せられたいということが一つ。もう一つは、過剰織機買い上げ価格を一台五万円にしていただいて、転廃業者については、この際一台十万円で買い上げてもらいたい。過剰織機の処理の業者負担金は、組合へ長期低利の資金の融資をしていただきたい。また、人絹織物を、インドネシア方面へ賠償の物資に差し加えてもらいたい、こういうような、これはあとにまたお手元へ出したいと思っておりますが、これは一つ一つの項目について、また具体的になっておりますが、こういうことを人絹織物に対しては、思うておるわけであります。 次に、二番目の絹織物でございますが、絹織物は、御承知の、大体生糸はアメリカへ出ております。絹織物もアメリカがお客でございます。年に三十二万俵の生産高のうち、十万俵が大体輸出向きとして、生糸そのままで出ております。残り二十二万俵がすなわち機屋の手で輸出と内地織物とに製織されておるような実情でございます。そこで、政府は蚕糸価格安定法に基きまして、生糸一俵十九万円、また、繭一貫千四百円以下は政府が買い上げて、繭糸価格安定を行うことになってきております。五月末になりまして、佐藤蔵相は、三十三年度の買い上げ資金は、繭の買い上げ資金は六十億、生糸買い上げ資金は四十億、合計百億しか出されないというふうなことをおっしゃったように聞いております。そのため、この資金ではとうてい生糸の十九万円の維持は不可能であると、生糸は六月十一日に暴落して参りまして、十六万円になっております。実に十日間で三万円ほどの大暴落を見ました。海外はいずれにしましても、アメリカの方では、今までの十九万円維持がどうも疑問であると言うておるところへ、そういう十六万円に下ってきたような関係と、今まで買い控えていましたのが、一度にその値段で一斉に買出動をして参ってきておりますので、ちょうど、不況な機屋たちは、五月はほとんど休業しております。また完全に、やっておる者でも、十五日間は休んでいたような機屋も、ようやく愁眉を開いておるような気持になっておりました。ところがさて、この暴落が蚕糸業者、養蚕業者の買い上げ資金増額陳情運動というふうなことにまた展開してきまして、百億円以上出さないと言われた政府が、今度は生糸買い上げに百億、繭買い上げに五十億、合計百五十億を増額して、資金がなくなるまでは、無制限に買い上げるというようなことを発表されております。これがために、相場はまた暴騰をして参りまして、六月二十日には十九万円になって参りました。ともかく二十日間のうちに十九万のものが十六万円になったり、そうしてまた十九万円に暴騰したり、上下六万円もの変動を与えるというようなことは、まことに私は政府のやり方としては、失敗ではなかろうかと思います。現在繭の価格対策は、海外の情勢や、国内の衣料の事情、あるいは扱う商社や、機屋の立場等は全く無視して、ただ単に農林省管轄の養蚕家中心の対策であるように考えられ、まことに実情に沿わない点があると思います。生糸が十九万円、繭が千四百円という価格は、農家にとりましては、ほかの農産物を作るよりは確かに有利でありますので、さらに増産を続けることでありましょう。秋ごろには、百五十億円はおそらく使い果しまして、年末には再び買上げ資金の増額に迫られることは必至と、業界は非常な不安に脅えているような状態でございます、十九万円の生糸が現在の繊維情勢から見まして妥当なものであるか、十九万円で買い上げた生糸をどうするのか、無制限に予算を計上できるか、政府がはっきり買い上げられるという態度を表明せられますか、取扱い商社、機屋あるいは一般消費者の不安人気を解消せしめる必要があると、私ここで思うものでございます。政府の養蚕家救済策はやむを得ないとは知っておりますが、それにしても消費者、取扱い者に迷惑をかけることは不当で、繭の補償だけにとどめておいて、生糸の実務相場で十六万円中心主義に引き下げられ、需要の増進をはかることが、業界全般のためにいいのではないかと私は思うものでございます。朝鮮動乱の前でございますが、生糸は大体十一万円——十二万円のものでございまして、人絹糸は一万九千円前後であったと思います。今日に比較いたしますと、生糸は十九万円でございますから七−八万円高くなっております。人絹糸は一万八千円でございますから、逆に千円ほど安くなっております。最も先般これは聞いた話しでございますが、アメリカの国際絹業大会に御出席になって、アメリカの生糸輸入業者が、生糸はアメリカでどんどん買うのだから、織物の輸入はやめたらどうだというような問題が出たように聞いております。これに、悲しいことに、生糸取扱い業者が賛成をせられて非常な問題になっております。実にくどくどしく申し上げますが、三十二万俵のうちの十万俵が輸出で、残りの二十二万俵が全部織物にて消費せられておることを特に御認識を願いたい。要は対策としまして最優秀品のみを十九万円で買上げ、内地物には逆に価格として十六万円くらいを御採用されたい、すなわち国際価格堅持のため、アメリカの適格品のみの買い上げをされて、大体十万俵は三割に相当しますから、そういうふうにして、不適格品として国内に十六万円くらいで流していただけば非常にいいのではないかと思う次第でございます。 次に、染色加工について申し上げたいのでございます。人絹織物の染色加工は、輸出においてはほとんど全国の八五%が北陸の染色工場で受注しておるものでございます。今日の染色加工というものは完全な請負加工でございまして、染色したあと、また包装、荷造り、木箱に詰めまして、輸出港まで引き受けてやっております。海外の市況により、また、そのときそのときが非常にむらがございますが、ひまなときと忙がしいとき、いずれも海外の注文によってやる関係でございますので、一反も染めておかれぬというような実情で、まことに特殊な業態でございます。そうして責任は全部染色加工屋が引き受けて、輸出商社とマッチして、そうして適正な工賃でやっているように思いますが、なかなか先ほどから申し上げます取引条件の関係で、やはり無理して輸出商社もやられる関係から、だんだんやはり輸出競争が激しくなって、すぐそれが加工業者にしわ寄せが来て参っております。自来二十八年ぐらいから三十一年ごろまでは、大体、逐次予定の計画よりは一〇%ないし三〇%程度の輸出増加になってきて参っておりますから、さほどでもありませんが、昨年度からはむしろ予定よりも、昨年は一〇%減って参りまして、本年に入りましても三銘品だけで見ましても、実に非常な受注が減っておりまして、まことに心細い始末でございます。三銘品で例をとってみますと、一月が千四百三十八万ヤール、二月が九百七万ヤール、三月が七百三十一万ヤール、四月には四百二十一万ヤール、五月が実に三百五十四万ヤールと、こういうふうに月々に減ってきているような実情でございます。そこで、人絹織物はこういう関係で、輸出の検査方法も今日では、海外の輸出先の好みにより、検査制度も幾らか改正せんならんところへきているのではないかと思うものでございます。何分輸出物は箱詰めから海外まで、加工屋が全部責任を持っている関係でございますので、これはどうしても自家検査といいますか、抜き取り検査とか、いろいろな方法はございますが、責任ある工場において自家検査の制度を採用していただいて、また一面には輸出適格工場指定をお願いしたらどうか、何と申し上げましても、同品種、同品名が加工方法で、またデザイン等によりまして、輸出が非常に伸びることは事実でございまして、染色業者としましても、重大な役割を持っているのでございますので、どうかこのしわ寄せがないように、ますます輸出が伸びるように、適正な工賃を取りきめていくべきではなかろうかと、かように思っております。 要するに総合対策としまして、今までは大体原料糸のみの強化対策になっているように考えますが、どうしてもこういうふうになっていきますと、関連業者をもって調整なり統制なりの方へ持っていっていただきたい。特に私は、原料を海外から輸入せられるような、たとえば綿花、羊毛等のもの、また国内において、原料を製品にして一貫して輸出できる人絹織物、絹織物と、これを二つに区別していただきたいと思います。そうしてこれら一貫輸出できるようなものには、極力補償制度を採用して、輸出増進に当ることが必要ではなかろうかと思うものでございます。また、国内にドル不足の折から、そういう輸入の原糸を極力押えていただいて、また一面国内にできる原料に切りかえてもらう、また一方人絹織物等輸出相手国に対しては、バーター制を採用するとか、努めて先方の物資を輸入し、また延べ払い等によって総合対策を立ててもらうことこそ、緊急な総合対策ではなかろうか、かように思っている次第でございます。 まあ、以上大へん時間が延びまして……。
○委員長(田畑金光君) ありがとうございました。 次に、市川忍参考人にお願いいたします。
○参考人(市川忍君) 私、日本絹化繊輸出組合の理事長としてお招きをいただきましたので、かりに絹と、主として化繊の関係を中心といたしまして、若干他の繊維にもふれながらお話し申し上げたいと存じます。繊維業界の今日の未曾有の不況に当面して、これに対してすでに幾多の不況対策が、とられておりまするが、今回の不況は深刻なる設備過剰問題に加えて、その需要面におきまして輸出がすでにもう伸びがとまっておる。そこへ中共の進出等によって重大な困難に直面しておるのでありまして、従来の対策だけでは、容易にこの危機を克服し得ないのではないかと存ぜられます。現在の不況の実態と対策は、どういう工合に行われておるか、今後どういう対策が必要であるかというようなことを簡単に申し上げたいと思います。まず、不況の現状でありますが、そのうちで過剰在庫とその解消の見通しについて申し上げます。 綿糸布の在庫、これは阿部さんもお触れになっておりますし、野沢さんも詳しくお述べになりましたのでありますが、六月末におきましても、いまだ大した減少を見ていない。対策の効果が現われていない。その内訳は、綿糸布は十四万梱台に若干減少を見ておりますが、綿布は逆にこれは綿糸換算としまして四十万梱近くに逆にふえているのであります。こういう状態であります。化繊関係におきましては、六月末で人絹糸が二千万ポンド、人絹織物一億四千万ヤール、スフ綿四千八百万ポンド、スフ糸四千万ポンド、スフ織物一億八千万ヤールという推定でありまして、特に人絹糸、人絹織物、スフ織物等は、正常とみなされまする在庫に比べて、かなり過剰になっております。繊維全体として見て、現在の高率操短をもってしてもスフ綿、毛糸などの一部の品目を除きましては、過剰在庫は、容易に正常在庫に戻ることはむずかしいのではないかと思われます。繊維在庫を通じて、一般的に言えますることは、織物関係の在庫が、原糸関係に比べて非常に多いという事実であります。原糸に比べて生産業者に中小企業の方が多いわけであります。その解決が一そう必要であり、また困難であると考えられる次第であります。 次に、輸出の状況を申し上げます。繊維品全体の輸出は、三十二年度におきまして二十億一千四百万ドルと、その前の年に比べまして一四%の増加を記録したのであります。今年度の輸出目標は、各品目の積み重ね作業の結果、三十二年度をわずかながら上回る十億二千二百万ドルと策定されております。昨年度は綿糸布、化繊等、繊維輸出品の大半は、ほとんど輸出目標を上回る実績をあげたのでありまするが、今年度はその見通しはかなりに暗い。先ほど来皆さんからお話のあった通りであります。もっとも今日までのところでは、化繊関係を例にとりますというと、ただいま滝波さんから詳しくお話しのありましたように、人絹関係ははなはだよろしくないのでありまするが、その他の関係は船積み実績も、それから成約の状況も割合順調に行っております。しかしながら、東南アジア地域の外貨不足からする輸入制限は、緩和する見通しもなく、また、それが最近に至って中共の積極的な進出から今後の輸出成約は全く暗いと言わざるを得ないのであります。 中共の綿布を初めとする繊維品の進出は、二、三年前より行われておったのでありますが、特に最近になって大きな問題となってきたのは、従来のようにそれが間歇的なもではなく、継続的な商業ベースに乗った貿易政策の一環とさえ考えられるような状態で行われておる点であるのであります。これは非常に注目すべき点であって、その背景としては中共が五カ年計画で綿紡を現在の七百万錘から千三百万錘に、織機を二十万錘から三十万錘に増設する計画を持っており、また、綿花も良質な綿花を六百万俵以上も生産している情報もあって、フル操業すれば、年間七十億ヤールくらいの綿布は生産ができるのではないかと言われております。また、化繊関係におきましては綿に比べて遙かにおくれておるようであります。安東に国営工場があって、スフ綿の生産能力は一九六〇年には年産四千万ポンドになるといわれております。一九六〇年になりまして、ちょうど日本の一カ月分くらいということになるわけであります。かように生産も、中共として内需を充足させるには、必ずしも十分であるとは見られませんが、外貨獲得のためには格好の輸出品であることには間違いがないのでありまして、しかも、その輸出の方法は、たとえば先般インドネシアに与えた綿布七千二百万ヤールと米二万トンのクレジット、これは年二分五厘の利子で十年払いであると伝えられておりますが、これに見られますように、単にわが国に比べて値が安いというだけでなく、借款、延べ払い等を低金利で行なっておる上、船積み見本到着後にLCを開設するとか、またいわゆるフォール・クロースというか、値下りの場合はあとで値引きするといった、わが国の現在ではとうてい考えられないような政策をとっておりまして、現在バンコック、シンガポールの従来日本品の顧客であった華商グループは、中共品に乗りかえつつあるといわれて、これがわが国繊維輸出の将来に大きな暗影を投げて参ったのであります。 次に、内地の状況でございます。内地の繊維の流通状況につきましての統計は、むずかしいのでありますが、デパートの売り上げ、これは非常によくできている数字でありまするが、この売り上げの額は昨年に比べまして九九%くらいと言われております。デパートの売り場の面積が非常にふえておる。おそらく全国平均では一割以上ふえておるんでありましょうが、それにもかかわらず売り上げの面においては若干減少しておるというようなこと。 それからよく問題になりまする繊維関係の倒産者の数であります。これは実際出ておりまする数字から見ますると、昭和二十八、九年の不況時に比べてみましても、また昨年と比べてみましても、最近の数字はあまり悪い数字が出てなかったのであります。これは何回かの不況の結果、商社が非常に訓練を経て、相場に打たれる手持ちを、非常な不相応な手持ちをするというようなことをだんだん警戒するような、いわば商売が上手になりまして、今回のこの不況に対しては商社の受けた被害は、比較論の問題でありますが、少かったということも言えますが、またもう一つ裏へ入ってみますというと、この信用に関係のありますことだけに、関係業者ができるだけ表へ出さない、弥縫していくという結果、表面的な数字としては出てこない、こういうような見方もあるわけであります。 以上が輸出、内地の状態でございますが、さて現在今までにとられておる対策でございますが、これは先ほど来皆さんからお話しのありましたことでございまして、全品目にわたって高率の操短が実施されておりまするが、前に申し述べましたように、これによって需給が大幅に改善される見通しは今のところまだ少い。ことに人絹糸の場合などは、永久操短と言われるほど深刻な状態であり、また、これ以上操短を強化することは、企業として採算が成り立たないということで、不可能ではないかと考えられるのでありまして、根本的な対策としては、やはり過剰設備の処理と需要の促進、ことに輸出の振興に期待するよりほかにないと思われるのであります。 この輸出の振興策でありますが、繊維品の輸出については、とかく競争の激化のため、品質の低下あるいは安値輸出の問題を惹起することにもなるので、輸出入取引法に基きまして、輸出組合において組合員の遵守すべき事項を定める規約を設定し、あるいは業者協定を締結して、品質の改善、輸出価格の安定をはかって参っております。また、原料を輸入に仰ぐ綿と毛には、製品の輸出に対して原料のリンク制も実施されております。組合協定並びに全組合員でなく、関係の深い組合員中の業者のみによる業者協定、こういった二つの行き方で、いろいろな対策を講じて参っております。意匠の育成、品質の改善、価格の規制、輸出数量の規制、ことにこの輸出価格の規制、輸出数量の規制といったようなものは、全市場に、また全商品にわたって逐次実行され、また、今後されるような状況にあるのでありますが、時間の関係で全部の内容は省略させていただきます。 従来の繊維の不況は前に述べましたような対策によってどうやら克服されてきたのでありますが、今日の場合は、必ずしも所期の効果を上げていない状態であります。ここに現在の繊維不況のなみなみならぬ深刻さがあり、同時に、その打開策としては、抜本的な対策が必要とされるゆえんであります。この打開策の中心は、内外の需要を促進する方法で行わなければならないことは言うまでもないのでありまするが、内需の増大と申しましても、これは急激には望み得ない。従って当然の結果として、需要の促進は輸出の増大に待たねばならぬのであります。しかじ、従来の輸出振興策では、外貨不足に悩む東南アジアに大体その総額の六〇%を輸出しておりますわが国のこの繊維でありまするのに、新たに強力な中共の競争に直面して参ったのでありまして、まことに事は重大であります。そうして従来この東南アジア地域にも適用しておりましたPQS政策、あるいはチェック・プライス政策などは、むしろ逆に中共の進出を容易にする可能性すらもありまして、こういう面につきまして、根本的に再検討をしなければならぬ状態に立ち至っておると考えられるのであります。 今後新たにとられたい具体的な政策としましては、いろいろあるのでありますが、まず繊維品の賠償組み入れ、これは先ほど滝波さんからお話がありましたのでありますが、特にインドネシアはスフ糸、人絹織物の最大の市場でありますので、同国の外貨不足の現状並びに中共の同国に対するクレジット政策から見ても、その必要が痛感されます。 第二に、ICA資金による日本品の輸出であります。一九五七年にわが国がICA資金によって輸出した額は、一億二千七百八十万ドル、そのうち繊維は四百七十六万九千ドル、またさらにその繊維の内訳は綿布が二百四十八万八千ドル、化繊が百三十五万九千ドル、化繊の糸が七十八万四千ドルというようなことでございます。今後もこのICA資金による買い付けは、日本品を優先するよう経済外交によって、米国等に要請さるべきであると思うのであります。 具体的対策の三、クレジットの供与と延べ払い輸出であります。消費財にクレジットを与え、あるいは延べ払いの対象とするということは、今日までのわが国貿易政策では実現を見なかった、頭から問題にされていなかったのであります。しかし今日の輸出競争の情勢と、主要市場である東南アジア各地の外貨不足を考えます場合に、従来の方針にこだわらずに、あらためて取り上げてもらってしかるべき問題であると思うのであります。なお、従来からも何べんとなく繰り返されました一般の輸出振興策、たとえば経済外交の強力な推進、また、市場の調査と新市場の開拓、新商品の奨励、メーカー並びに輸出業者に対する輸出意欲の高揚のための報奨、優遇上のいろいろな措置というようなことももちろん必要でありまするし、また、先ほど申し上げましたように、この中共の進出ということを考えました場合に、また、最近のアメリカの日本品の輸入規制、関税引き上げというような問題を考えました場合に、従来、先ほど申し上げました組合協定並びに業者協定等によりましてやって参りました自主規制のあり方というようなものにつきましても、これは根本的に考え直さなければならない面も多かろうと思うのであります。はなはだ抽象的でございましたが……。
○委員長(田畑金光君) ありがとうございました。 次に、高山恒雄参考人にお願いいたします。
○参考人(高山恒雄君) 今回の不況に対する問題は、今までいろいろ参考人の方がお話しになりましたように、私は組合の立場から見た今日の不況対策を申し上げてみたいと思うのであります。 今度の不況は今さら私が申すまでもなく、先ほども阿部さんがおっしゃいましたように、昭和三十年の二月から発足した政府の五カ年計画による、その計画に基いたいわゆる繊維局のあの設備の調整法でありますが、これによってのかけ込み増錘が起因して一挙に企業が拡大した、ここに大きな原因があろうと私も考えておるわけであります。しかし、その後の処置として政府がやっておられる考え方というものはむしろ国内需要も輸出も拡大しつつあるのだ、こういう見地に立って発表されておるのが事実であります。しかし、御承知のように昨年の四月以降スフ綿の操短を初めとして、その後逐次各業種に及んで操短が行われております。綿紡の三割操短を最低として、人絹の五割を最高としていわゆる三割から五割までの操短が、今日各業種に行われておるというのは言うまでもありません。 そこで、今日政府がとっておるこの一体操短というものが、勧告操短が効果を上げておるのかどうか、この効果が上っていない。それはどこにしわ寄せされておるかというと、中小企業者と労働者の犠牲を強制しておるような形に今日なっておる、こう私たちは考えるのであります。また、それが今日の実態ではないか、こういうふうに考えます。そういうことはどうして起るかと申し上げますと、大体この操短というものを政府が勧告してやっておられますけれども、自主操短にしても、あるいは勧告操短にしても、たとえて綿紡で申し上げますと、一−三の自主操短という立場で十九万六千梱というような方法でやっておられるわけです。ところが、反対に生産は当時はやみ生産と申しておりましたが、実際表面に出ておるものは十九万八千梱程度でありますけれども、実際は二十二万梱以上できておるのではないか。こうした反対現象がむしろ逆に滞貨の増大をはかっておるということが問題ではないか。なお、四月以降といえども約これは一万数千梱の滞貨が減少したにすぎないのでありまして、従って昨年の九月から今年の六月まで、いわゆる五月までの実績を見ましても、五十三万梱という滞貨が依然としてそのまま流れておる。それこそ、この一、二、三の状態こそ多少の生産が落ちたような傾向を見せておりますけれども、これは国内消費が少くなっておるというのは、事実であります。従ってこうした長い長期にわたる操短というような計画そのものが私は間違っておる。根本的にこれを考え直さなくちゃいかぬ。操短というものは操短をやったその短期間にそういうことが実効が上るということでなければ、自主操短をやる、次に追い打ちをかけて封緘、いわゆる勧告操短をやる、こういういわゆるやり方がむしろ私は今度の不況をさらに拍車をかけたような、人気暴落というようなことを逆に推し進めておるのではないか、こういうふうに考えるわけであります。一方こうした操短の効果が上らないのに、しからば労働者はどういう状態にあるか、これを同盟として今私たちは概算して大体つまんでみたのでありますが、希望退職等がこれまで一部面にありますが、さらに一時離職等をはかっておる状態もあります。悪らつなやり方としては、一時離職者に対して地方の駐在員を使って、この不景気に君やめたらどうか、こういう悪らつな手段でいわゆる退職をさせるという傾向も現実に出ておるのであります。従ってこうした希望退職だとか、一時帰省の人員をあらかじめ私らが調査いたしてみますと、同盟のいわゆる傘下だけでも約二万人の人間が一時離職と退職したということになっておろうかと考えておるのであります。同盟は、日本の繊維産業に携わる労働者の約三分の一の大体組織でありますので、あとに六十万人からの未組織労働者が、あるいは中立の組合があるわけです。これらを大体七%程度の失業者と見て、四万二千人からの失業者が出ておるのではないか。従って六万人からの繊維の労働者がこれのための犠牲になっておる、こういうことを私たちは考えるわけであります。 なお、そのほかに輪番休日というような形をとって、ある程度この不況の乗り切り策にわれわれも協力をいたしておりますが、この休日の一体減収というものは、今日に及んでも大体こうした七−九も継続されるということになりますが、そういうことになりますと大体十四、五日間、あるいは一年間を通じて十八日間くらいの減収になるわけです。こうした減収を労働者がこうむりながら、操短の実効が上らないということは、全く私は政府の政策なり経営者の政策というものが、安易なその操短方式であると司時に、政府のとり方が非常に手ぬるいやり方ではないか、こういうふうに考えるわけであります。 なお、中小企業の対策にいたしましても、十分な手が打たれてない。先ほども言われましたように、福井県、石川、あるいは富山等におけるこの三県の人絹織物は、東南アジアに月産、月平均二千八百万ヤードの輸出がなされておったのであります。これがインドネシア向けの輸出が制限されて、ぴたっととまってしまった。そうしたとまってしまうということは、不況ということにこれは拍車をかけることになる。それにもかかわらず未だこの生産に対する調整が徹底していないということは、一にして私は政府なりあるいは業者がこれに統一的行動をしようとしない。逆に福井県等における操短は三月以降三割以上の操短をやっておるのでありますが、しかし、そうした操短をやっておるけれども、現実には生産が減少しない。こういうことは先ほど多くの人が言われたように、これは事実問題として現われておるのであります。従って私は、こうしたことは、もっと中小企業に対してはその実情に沿った対策を政府も講ずべきだ。金融もありましょう、あるいは操短の方式のやり方、組合に対してのやり方もありましょう。いろいろなそういう問題を総合的に考えて、早くこの自転車操業をやめるような方向にして市況の安定をはかるべきだと思います。 大企業等においては相当の滞貨も持っておりますが、相当な滞貨融資もいたしております。中小企業のみはそういう融資を受けておりません。従ってこういう問題を解決しなければ、市況の立ち直りということを望んでみたところで、私は不可能ではないか、こういうふうに考えるのであります。従って今後私どもの対策といたしましては、むしろこうした生産調整ができないという事実の上に立つならば、もう少し通産省等においては繊維局、労働省と完全な連絡とか、あるいはまた御相談を願って、そして今日基準法にいう第六十二条の深夜業、いわゆる二交替制による特別認可制というようなものは改廃すべきだ、そういうものをいつまでもその日本の残骸としてこれをとうとんで、そうして景気がよくなったときにまたそういうことをやればいいんだと、こういう安易な考え方でなくして、もっと積極的な方針をとっていわゆる生産の調整をはかるべきではないか、こういうふうに考えるわけであります。 さらに、そのほかにいろいろありますが、最もこの生産の調整に悪影響を及ぼしているというような問題は、どういうところにあるかと申しますと、いわゆる商社間におけるところの貿易に対する過当競争、これまた私が今さら申すまでもなく、あらゆる外国を回ってこられた方は、日本の過断競争ほど愚なるものはないと、こういうことは、行かれるたびに発表されておるのが事実であります。それがいまだに政府としては案があるのかどうか私は知りませんけれども、たとえば最低価格を制定するならする、こういうふうにやるべきではないか。これについては中共の東南アジア等への進出というような件が先ほどからもるる述べられておりますが、私たちがちょっと中共の設備を基礎にして算術的な計算をいたしてみましても、一昨年でしたか、中共は六百八十万錘あるということを申しておりました。それを国民消費を三ポンドと押えても、大体年間七十万梱は輸出ができるという可能性が生まれてくるのであります。今日はすでに八百万錘と申しております。しかも、中共においては国民消費を二ポンドで押えておるということを言っております。そうすると、年間三百十一万八千梱というものは、完全に輸出ができるということになるのであります。こういう問題があると同時に、さらに商社間におけるところのこの今日の生産調整に悪影響を及ぼしておるところの原綿の割当、先ほど奨励の意味でという御意見、私もわからぬことはありませんが、しかし、これのために生産の調整ができないという点が私は問題ではないか。やみ原綿とかいろいろなことがあって、それがために日本の生産の調整ができないで、しかも一本の窓口で調整をとっておる中共あたりと日本が太刀打ちをして貿易をやろうというようなことは、全くこれは私は改めるべきではないか、こういうふうに考えるわけであります。 なお、そのほかいろいろ私は申し上げたいことがあるのでありますが、従って、こういう問題は、こうした中共の問題もありましょうし、商社の割当原綿もありましょうし、ほかに奨励法があるのか、またそういう奨励法をやるならば、それの消費面に対する問題をどういうふうにしておるのか、こういうことの検討をしていただくと同時に、さらに貿易に対する商社の最低価格を制定するという、こういう問題をいろいろ取り上げてみて、そして単なる今日行われておる設備調整委員会というものがありますが、こういうおざなりな、お役所から出される資料に基いて短時間の、一時間や二時間であれをきめるということでなくして、もっと政府なり学識者なり、あるいは経営者なり労働者を含めた、根本的な対策を日本の政府としてはとるべきだ。そうしなければ、日本の繊維産業の将来というものが、ほんとうに憂うべき状態になるということを予想せざるを得ないのではないか、こういうふうに私は考えるわけであります。 申し上げたいことはいろいろありますけれども、十分という制限もありましたので、私は簡単でありますが、私の意見を申し述べて終りたいと思うのであります。
○委員長(田畑金光君) ありがとうございました。 以上で参考人の御意見は終りましたが、御質疑のある方は、質疑をされる参考人を名指して御発言願います。
○大竹平八郎君 私は阿部さんに二、三点お尋ねをいたしたいと思うのですが、ただいま高山参考人から操短の問題について述ベられたのでありますが、この操短が昨年の五月から始まりまして、私の知る範囲におきましては、本年の四月までにわたりまして、四段階にわたっておると思うのであります。たとえば三十二年の五月は行政措置による時間の問題、それから三十二年には九月から十二月まで、今度は行政指導によって一〇%の減という問題、すなわち梱数にいたしますれば二十一万梱、それからさらにその次に行われましたのが三十三年一月から三月までのいわゆる生産調整の問題、これは前段の実績に対して一五%の減と、すなわち十九万六千梱、その次が三十一年の四月以降が生産調整を行政勧告によって、そうして上段の実績に対しまして二〇%の減、すなわち十八万二千梱と、こういう強化政策、まあこういうように四段にわたりまして、この操短という問題が取り上げられていたわけなのでありますが、しかしこの繊維を含めまして世界的の不況というものは御承知の通り、相当まあ長期的な様相を持っておるわけなのでありますが、こういうように出し惜しみ的に四回もやることが、果して業界のためになっておるのか、あるいはもう少し率直に大上段的に一つにくるめて、もう少し早くに強化的な処置をとられる方が、業界のために一体なるのか、まあ、その点を一つ伺いたいと思います。
○参考人(阿部孝次郎君) まあお尋ねの通り、綿紡の操業短縮は、最初はいわゆる生産指示といいますかの方法でやられました。次にだんだんと勧告操短に持ち込みました。で、操短の率も最初ゆるいものからだんだんきつくなったということはその通りであります。これは今から考えましたときには、要するにあの神武景気というもののあとを受けて、そうしてだんだん景気が悪くなってきた。世界的の不況はだんだん深刻化して、最近に至っては、中共の進出もあるというような現在の状態から考えましたならば、それは今大竹さんおっしゃる通り、最初から大上段的にかまえて、大きな法律なり、政府の勧告操短によってなされていた方が、あるいはこれが当を得たことだと思います。しかし、何といっても操業短縮ということは、これはわれわれ業者にとっては、いろいろ生産会社の経営上の大きな問題でありますし、それから今高山さんのおっしゃったような、つまり労働者に対していろいろなその措置を含みますので、これは今から考えれば、それは大上段的なものがよかったかもしれませんが、私はやはり徐々にそういう操短率、あるいは方法、低いところから現在に至ったということは、これは事情としてやむを得ないと考えます。まあ、私の考えを率直に申し上げました。
○大竹平八郎君 それから今もお話しの中にありましたし、また、各参考人からもるる述べられたと思うのでありますが、また、本委員会におきましても最近非常にまあ問題にしておる点が例の中共の東南アジアに対するこの進出の状態なのでありますが、これはまあ言うまでもなく、今高山参考人からも述べられた通り、窓口は一本であり、ことに、その繊維の進出ということに多分にまあ政治的な問題を含んでおるということは、御承知の通りだと思うのであります。しかし、いずれにいたしましても、私どもは長い間中国におりまして紡績の状況、それからまた、終戦後において行われておるところの状況を見ましても、六億幾らの人間が中共の生産品で満ちておるということは、私言えないと思うのであります。しかし、それにもかかわらず東南アジアヘの進出というものがいかに政治的であるかということは、これは言うまでもないのでありますが、それが少しぐらいの数字ならともかくといたしまして、これは香港情報で、あるいはあなたの方の御統計とは数字的に違うかもしれませんけれども、とにかく一九五四年には香港を含めた東南アジアというものは、わずかに千五百万ヤード、それから五五年に一躍いたしまして一億一千五百万ヤード、さらに五六年には二億五千万ヤード、それから昨年は上半期だけで実に一億八千万ヤード、年間を通じて大体四億万ヤードということを私ども予想しておるのでありますが、ことにインドネシアのごときは、日本の輸出市場といたしましては、最もいいところであったのでありますが、これがもう逆に中共の進出によって、日本がその王座を奪われておる、こういうような状態なんでありまして、これは私はこのまま放任して参りますならば、単に東南アジアだけでなく、世界各国にそういう問題というものが起り得る可能性があると思うのでありますが、これにつきまして業者といたしましてどういうような、まあ政府は政府で、むろん対策は立てておるようでありますが、どういうような対策を講じつつあるか、あるいはまた特に紡績といたしまして政府に要望する点、その点を一つ御参考に承わりたいと思います。
○参考人(阿部孝次郎君) どうも大へんむずかしい問題を渡されまして非常に困るのですが、その問題はわれわれの頭を現在一番悩ましておる問題です。しかしまあ、いかなる対策がありやと言われたのに対して、お答えしないということもどうかと思いますので、私の考えておりますところを申し上げたいと思います。中共の綿製品の進出というものは、最初は非常な政治的の含みを持って、価格あるいは条件に非常に政治的含みがあるんじゃないかと考えられておったのですが、だんだんと現在の状態を観察いたしますと、価格といえども、これは中共は別にコストを切って出しているわけでもない、いろいろな売り渡しの条件その他も非常に考えた、非常に合理的なところもある、われわれとして大いに反省しなければならぬところが非常に多いと思う。要するに日本の過当競争なんていうものは、非常に中共の行き方から見れば、大いに反省を要することでもあり、こちらが改めなければならぬところもたくさんある。ただこの中共の進出に対して、それではこちらがそれに報いるまで、一つ自分のコストを切ってまでこれに売り向うかということは、私はなすべきではない、やはり日本としては合理的に価格を引き下げ、そして品質的にも優良なものを作り出してこれに対抗する、永続性のある行き方をとらなければいけないというふうに考えて、そういう方面の努力をやらなければいけないんじゃないかと思います。それからただいま中共から出ておりますものは、まあ繊維製品としては要するに綿製品、綿織物が大部分でありますが、要するにグレーもの、あるいはさらしもの、プリントというものが出ておるそうでありますが、われわれとしては、もう一そう中共のな上得ないようなものを作り出すということも一つの方法ではあるし、それからまだ何といってもスフ、合成繊維というものは、技術その他において日本は非常に有利な立場にありますから、こういうものの混紡、混織、その他中共としてここしばらくでき得ないようなものを商品として研究するというようなことも一つの方法だと思います。そのほか原綿を右利に取得することにもう一そう頭を使う、それから要するにクレジットというようなことも、でき得れば買手が有利な条件でなし得るようなことも政府方面でもお考え願いたいというような要するに合理的と申しますか、頭を使った方法でこれに対抗していきたい。そうすれば手段はないことはないというふうに考えております。
○大竹平八郎君 いま一点お伺いしたいのでありますが、昨年かりに三十億の輸出といたしましても、約十億が綿糸布関係なんであります。そのうちのお得意がただいま申しました東南アジアとそれからもう一つは米国なんでありますが、これはあるいはあなたのお立場としてお答えにくいかもしれませんが、すなわち米国に行きますものが大体第二次製品が多いので、あるいはお答えできなければまあよろしいと思うのでありますが、これは最近御承知のアメリカのいわゆる輸入制限の問題にぶつかっておるわけなんでありますが、東南アジアにおいては中共の進出で壁にぶつかっておる。それから米国に対しましては輸入制限にぶつかっておる。しかし、この輸入制限の問題は、ただ表面だけ見ると、いかにも米国が悪いように感じますが、これは日本の国内といたしましても相当反省をしなければならぬので、これは単に綿糸布だけではございません。マグロあるいは合板その他の輸出品が制限を食っておるというのが、これは御承知の通りひなたに置かれないいわゆる軽工業関係の米国業者の、日本のある意味におけるダンピングに対する一つの対抗策、しかし、幸いにしてアメリカの大統領は関税の値上げに対しましても、これは私はよく知りませんが、ほとんどその要請を拒否しておるように私どもは聞いておるのであります。そういう意味におきまして、これはただ単に米国がけしからぬというような解釈では、私はいかないのだと思うのでありますが、それにはどうしても日本業者の何と申しますか、自省というのですか、こういう点を非常に必要とするのでありますが、この点につきまして、特に今年度輸出等につきまして何らかの対策等をお持ちになっておるかということと、ついでながら本年の貿易、機械や何かいろいろこのごろは進出しておりますけれども、何といっても日本の輸出品の大宗は繊維なんでありますが、この繊維全体の輸出の振興策についてお考えを一つ承わっておけば、非常に仕合せだと思います。以上であります。
○参考人(阿部孝次郎君) 米国に対する問題は、ただいま御承知のようにマグロのカン詰、ベニヤ板、かさの骨からすべてのものが向うで輸入制限あるいはこれに類するいろいろな法案が議会に提出されました。非常な困難に直面しておりますが、これは何といっても綿製品が一番歴史も古いし、それから金額においても非常に大きなものであることは事実であります。ところで、綿製品は昨年の一月一日以来自主操短をやっておりまして、つまりあまり急激にアメリカへどんどん出ていくということは、たとい日米の輸出入、国際収支が、日本がアメリカに対して非常に輸出が少な過ぎる、六億ドルの日本の輸出に対して倍の金額を日本が輸入しておるにかかわらず、こういう輸入制限その他の措置を受けるということは、はなはだ私は不当であると思いますが、しかし急激に増加するということは、やはり先方の業者の非常に迷惑するところであろうというところから、昨年初めから自主制限をしておりまして、そうしてしているのですが、私はこれは今後やはりいろいろな交渉を持って、自主制限をいつまでも続けているということは、これはこちらの輸出もできない、少しずつは先方の迷惑にならない限りふやしていくように交渉しなければならぬと思います。まあ、このくらいのことは将来聞いてくれるのじゃないかというふうと思います。 それから対米輸出の問題は、これは御承知のように実は昨年の秋も業界の国際会議がベニスでありました。そのときに私参りまして、アメリカの紡績業者もたくさん出席しておりました。会議が終りましてから、その問題について懇談しようじゃないかといって、いろいろ懇談したことがあるのですが、要するに、これはやはりアメリカとして、この秋に中間選挙もある。いろいろ向うは議員が、議案はいろいろ議員提出でありまして、いろいろな議案が次々と出される。つまり、保護貿易を唱えた議案を次々と出しましたならば、議員さんたちもいろいろ自分に都合のいい場面が出てくるというようなかげんもありまして、次から次に出される傾向にある。そういうことで向うの業者と話し合ってみますと、存外話のわかった人はあるのですが、いろいろそういうふうな関係もあり、日本の輸入制限あるいはそれに類する議案が出されることは、これはどうもやむを得ないと私は考えるのです。少し腰を落ちつけて、そう一年や二年でなかなか解決する問題でない。まあ、長い間時間をかけていろいろな場合に向うの人と話し合いをする、そうしてこれらの考え方をPRするといたしまして、そうして、この問題を打開していく以外に方法がないと思います。原綿の日本とイギリスの問題、第二次戦後、日本とイギリスとの間は、いろいろの問題が起りまして、たとえば意匠問題、あるいはチープ・レイバー、アンフェアー・コンペティション、いろいろな問題が起りまして、ずい分困難をいたしまして、現在、日本とイギリスの関係は綿業貿易に関しては何ら問題がない、これには十年以上かかっております。アメリカの問題も今後十年とは日が長過ぎるかもしれませんが、少し時間をかして相互の理解を深かめるというところへ持っていかなければしょうがないのじゃないか、そうして少しずつでもこの日米の貿易、国際収支のバランスする方向へ持っていくのがいい、これを主張するのが、われわれとして大いに義務があると考えます。はなはだどうも……。
○椿繁夫君 繊維の不況の状態が非常に深刻であることが、皆さんの御説明を聞いてよくわかったのでありますが、結局、不況打開策として輸出の振興をはかること、国内の有効需要を振起さすこと、対策としては過剰設備の買い上げを促進することということに、大体皆さんの結論が一致しているように拝聴いたしましたが、先年、中小企業の商店を守るために百貨店の増築を規制しようということが国会で議論になりました。ところが逆に百貨店の増設を促進するようなことになりました。先年繊維機械の方でも、ちょうど設備の制限を行うということが議論になりましたところが、ただいま高山参考人からも御指摘になりましたような、かけ込み増錘というのですか、急に設備の増強が行われたのであります。私もよくこれは承知しておったのですが、そこへこの過剰設備の買い上げが、当面の対策の重要なものとして今問題になっておるわけですが、これはちょっとはっきりしなかったのでお尋ねしているわけですが、政府の方に買い上げをしてもらいたいということを要求されるのか。それとも各業界でそれぞれ御相談の結果、業界として設備の制限を自主的に行うことを協議されて、その買上資金として政府に補助を求められておるのかという点がどうもはっきりいたしませんでしたので、これはちょっと三参考人から——滝波さんまで、それぞれの業界の対策を、政府に買い上げを要求しておられるのか、それとも業界で自主的にこの買い上げをおきめになったので、足りない部分の資金の対策を要望しておられるのか、こういう点について一つそれぞれ御説明をいただきたいと思います。
○参考人(阿部孝次郎君) 過剰設備の買い上げに関しましては、私はこの綿紡業界としては、まだ過剰設備の買い上げの問題は問題となっておらないのです。過剰であることは事実でありますが、将来起るかもしれません。現在のところは、まだ過剰設備を買い上げてどうするかという問題は持っておりません。従ってこれは私の業界としてはもうお答えする必要がないかと思います。
○参考人(野沢久雄君) 綿、スフ織機の買い上げは、われわれの団体でございまする団体法に基く連合会が消費機関としてやっていきたいと思います。で、もちろんその計画をいろいろ立案していく場合におきましては、設備審議会等でよく政府側と御相談をしまして、計画をいたしまして、われわれの団体が買う、その補助金をいただきたい、かように思っております。
○参考人(滝波清君) 絹、人絹の方は、一昨昨年ですか、二万円で買い上げてもらって、一万円は業者負担でそれを運用できる。一万円は政府で補助金をもらいたい。ところが、去年は三万円にしていただいて、そして二万円を政府の補助にしてもらって、一万円は業者負担でやっておった。ところが、先ほど申し上げました五万円、十万円という問題は、こうやって設備を買い上げて少くなって、残りのものがほんとうはそれの恩恵をこうむるという建前から、一万円なら一万円を補助していくことが何年かでできますが、もうここまで不況になってくると、それが容易にできません。だから一応ここで五万円に買い上げてもらって、そして業者負担はやはり一万円にしていただきたい。で、四万円を政府の助成金にしてお願いをしたい、こういうふうなのが今度の要求なのでございます。
○椿繁夫君 野沢さんの方は五分の四国庫補助ということでしたがね。滝波さんの方も大体四万円を国庫補助で、一万円を業者の方で負担するということのようであります。何だかこれは勝手に設備の増強をおやりになって、今日ちょっと不況で、できるだけの物が売れないから、その八割の設備買い上げの資金を国で責任を持って、こう言うておられるように聞きますので、大へん虫のいい、これは要求のように私は思うのでありますが、ちょっとこれは高山参考人にお尋ねをしたいのですが、この原綿の割当というのは、これは各社の持つ設備などを中心に割当が行われておるのでございましょうか。その余分な話が出ますけれども、粗糖の輸入をやって、その粗糖の割当が設備の多寡によって割り当てられるものですから、百五十万トン程度の必要量しかないのに、設備の方は三百万トン以上の精糖の設備ができてしまっておる。これはもう割当制度に欠陥があると私は思っておるのですが、原綿の割当のごときも何かちょうど砂糖のように、設備の多寡に応じて割当が行われるようなことがあるのでございましょうか。よく存じませんので、これは割当制度の再検討をする必要も実はちょっと考えられますので、参考のためにお尋ねするわけであります。
○参考人(高山恒雄君) 原綿の割当は、設備に対する割当と、それから輸出の奨励の割当と、こういうふうになっておると思うのです。従って、その輸出に対する割当、商社が輸出をした場合、それに対する割当があってコミッションをとる、こういうふうになるのです。それが今日大体やみ原綿としてかなり流れて、手持原綿が少いものですから……。そういう割当方法がいいか悪いかという問題、私たちは生産の調整から見ると、そういうことは何とか是正しなければいかぬじゃないか、こういうふうに考えております。
○椿繁夫君 それから、市川さんにちょっとお尋ねいたしますが、先ほど輸出振興策の一助として、延べ払い制度の決済方式の採用というようなことを考える必要がある。最近インドネシアにおきましても、あるいは韓国などにおきましても、大へんな焦げつきが、何といいますか、国交関係あるいはその国の政情の不安定等によって起っておりまして、大へん日本経済の上にも大きな打撃を受けておる面が各所に見られるわけでありますが、政情が非常に安定し、経済が安定しておるときの決済方式としましては、延べ払い方式というものも考えられ得るのでありますけれども、最近の東南アジアの政情などから考えまして、延べ払い制度を採用することによって著しい輸出の振興をはかることができるとやはりお考えになっておるのでございましょうか。その点について伺いたい。
○参考人(市川忍君) 御承知のように、繊維とか、軽工業品以外のもの、プラント、重工業生産資材、こういったものについて延べ払いの方式が漸次拡大されそうな状況にあります。繊維とか、軽工業品というものは、非常に競争力が国際的にあるというふうに従来考えられておったのであります。ですから、支払いの方法を甘くしなくても輸出は十分伸びるのじゃないかということを、数カ月前までそういう思想であった。そこにまあ青天のへきれきと言うてはわれわれは非常にぼんやりしておったのでありますが、中共のあの進出の工合を、現実にインドネシアヘの売り込みということを見せつけられまして、そういうことも研究しなければならない。すぐにインドネシアにこれだけやれということを私は申し上げたわけではないのでありまして、もう繊維とか、消費物資とかは、もうとにかく延べ払いというものはやるべきものじゃないのだという工合に、簡単に片づけずに、やはりケース・バイ・ケースによって考えてもらうべきじゃないか、そういうところへまで繊維というものが追い詰められてきたということを申し上げたのであります。
○阿部竹松君 私は通産御当局にお尋ねしたいのであります。それぞれ参考人から現状について率直なお話を伺ったのですが、本問題は昨年からいろいろ当委員会でも取り上げた問題でして、今突然に業界がこういうようなことになったわけじゃないのです。特に福井出身の小幡先生等は、声を大にして取り上げたわけですが、しかし、実際問題として通産御当局は、どういう手を打ってきたか、率直に承わりたいわけです。今、輸出振興ということが出ますが、私どもが聞くところによりますと、東南アジアとか何とか言っても、東南アジアはドルがほとんどない。いかにそれを美しい言葉でここで質問したり、答弁しても、中身が何にもない。ドルが若干あるのはタイ国ぐらいであって、問題にならぬ。中共にもいきません。アメリカも、これは当分大幅な需要の見通しはない。こういうような状態のように承わっておりますので、今こちらからそれぞれ出された意見をどのようにお考えになり、どのような措置を講じられるものか。だめならだめだ、ここはこうしなければならないというところは、こうしなければならぬということを……。繊維局長はおいでになっておりませんから、どなたからでもけっこうですが、一つ御答弁願いたい。
○政府委員(大島秀一君) 繊維関係の不況に対しましては、先ほど来各参考人の方々からるる承わりまして、まことにその通りだと思うのでありますが、政府といたしましては、決してこれは放任していたとは考えておりません。むろん画期的なものでないことは御指摘の通りであります。逐次各方面にわたって努力をいたして参ったことは、もうすでに織機を買い上げるとか、あるいは資金の面に対しましても、徐々には手を打ってきたと思うのでありますが、何分にも急激に不況が激しくなって参ったということは、これはもうどなたもその点は御存じの通りと思うのであります。そこで政府といたしましても、この件につきましては、何とか打開策を講じていかなければならない。御承知のように、輸出を盛んにしなければならないということは、これはもう国策といたしましても最大なものでありまするので、この面につきまして、十分これは政府といたしましてもこれからも研究をいたしまして、繊維業界の窮状打開に最善の方法を尽そうと、かように思っているのでありますが、こまかい数字につきまして、また今後、今まではどのようにやって参ったかということにつきましては、専門の者から御報告させることにいたしたいと思います。
○説明員(佐々木彰一君) ただいまお尋ねでございますが、全くただいまの御意見の通りでございまして、まあ特に人絹関係の輸出が非常に工合が悪くなって参りました。その積極的と申しますか、基本的な解決は、これはやはり輸出そのものの増大ということで対処するのは当然であると思っております。ただそこに相手方があり、また相手方の各国いろいろ事情がございます。そういうものに即応いたしまして、右から左に需要そのもの、輸出そのものがふえまするような対策というものがなかなかうまく見つからないといったようなことがございます。少くとも供給過剰、輸出の減退によりまして価格が下る、価格の下るということが、輸出に対しましてはこれは御承知の通り一番大きい買控えの原因となり、このことは繊維に限りませんのでありますが、特に繊維はそういうことがひどいのであります。そういうような点は、少くとも何とかそのおそれをなくしたい、こういうことで、さしあたってはたびたび申し上げておりますような操短を施行し、またそれをだんだん強化する、あるいは三銘品といいますか、できるだけ輸出の基本品に対する買い上げ機関を設立するということで、むしろ価格安定ということを一つの軸といたしました輸出の振興と申しますか、維持と申しますか、そういう点に重点を置いて措置をして参ったわけでありますが、なお今後の問題といたしましては、業界からの御希望も非常にあるようでありますし、また相手国の希望もあるように存じておりますので、賠償に対するその組み入れというようなことにつきましても、われわれとしては相当努力をして参りたいと、こういうつもりでおります。
○阿部竹松君 課長さんですか。
○説明員(佐々木彰一君) 繊政課長です。
○阿部竹松君 そういう抽象的なことでなくして、僕のお聞きしたいことは、たとえば経済外交といって、本年度は三十一億五千万ドル計画しておっても、高碕通産大臣はもう二十八億五千万ドルくらいと言って、二億ドル減少する見込みだと言っておるのですよ。明確に数字を出しておるのは、私の知る範囲では高碕さん一人ですが、少くとも二億ドルは繊維で影響してくるか、ほかのもので影響してくるかわかりませんけれども、そういうことで一切がっさい影響してくるということになりますと、ただあなたの言うように、買い上げてすぐ九月からか十月からか景気が上昇して、アメリカでも東南アジアでも買っていただければいいのですよ、しかし買っていただくような状態ではないでしょう。だから、操短をやっても現状が将来続くものであるか、今まではたまたま若干売れたけれども、操短をやっているのが現状の姿です、あるいは政府がどこまでも金を出して買い上げを続けるのか、不況が続けばただ政府が努力しますというばかりで、これはイエスはイエス、ノーはノーで御答弁いただきたいと思います。
○政府委員(大島秀一君) 私はまだ実はしろうとでありますので、よく明確な答弁はとうていできないと思うのでありますが、今日本全体の貿易の状態から見ましても、非常に現在は世界的不況になっておりまして、ひとり日本だけではないのでありまして、ことに繊維問題に対しましては、これは非常な世界的な困難に逢着いたしておることは、ただいま申し上げた通りでありますが、ただ私はこれは、この問題をほんとうに解決するということになりますると、国内の消費、あるいは国内の問題だけであるならば、これは人為的な方法は幾らもあるのではないかと思うのでありますが、たとえば操短もそれでありましょうし、金融もそれでありましょうし、また織機を買い上げることもそれでありましょう。しかしやはり、ほんとうにこれを解決しようとするには、やはり市場の開拓じゃないかと思うのであります。この市場の開拓に対しましては、非常な困難が実は伴っておるのでありまして、先ほどの繰り延べ支払いというようなことを申しましても、相手国が非常に弱少である場合、万一ということもあり得るのであります。たとえば今のインドネシアのような場合にも逢着することも考えなければならない、そんなことをあれやこれや考えますると、確かに御指摘のように、どんな名案があるかないかと詰め寄られますと、正直な話あまりなかなか名案は見つからないのじゃないかと思うのです。しかしながら、ただそれだからといってこのままに放任しておいて、いいか悪いかという問題になると思うのでありますが、私ども政府の立場におきましても、十分この問題は積極的に研究いたしまして、何らかの形において業界のというよりは、むしろ日本の貿易の振興のために、何か考え出さなければならないと、大臣初めみんな、これに実は頭を悩ましておるような現状でありますので、どうか超党派で一つ皆様方もその名案をお考え下さいまして、私どもに御協力賜わりますならば、これに幸いすることはないと、かように考えているわけでありますので、一生懸命でやっていることに一つ御了承願いたいと思うのであります。
○阿部竹松君 超党派でやるとかやらぬとかといって、困った産業をお互いに全部力を合せてやることについては、全く異論がないのです。ただ次官、あなたは前回ごあいさつのときに新潟県だとおっしゃったが、新潟県から汽車で五時間か六時間行くと福井という所がある、あの辺が一番問題の所なんで、あなたは、私はしろうとと言うけれども、謙遜して言っている言葉ならけっこうだが、ほんとうに知らなかったら、ちょっと問題でしょう。私の言うのは、名案がないならないとか、名案がなければ、まずい案でも出していこうとか、こういうことを聞きたいわけです。あなた方は、景気はなべの底だ、今度上向きつつあるとか、横ばいだからこれより下らぬということを常におっしゃっている。しかし、そういうことで、昨年からだんだんだんだん期待を持たせてきたわけです。一昨年は神武景気だといって膨大な投融資をやって設備をこさえて、今度は世界的不況だから、国内の問題でないからやむを得ません、こういうことでは、もう政府の言を信じてやった業者とか、そこに働いている従業員はたまったものじゃないのです。ですから、ただ名案がありませんからお知恵を借して下さいではなくして、一体どうするかということを、具体的な案があればお伺いしたがったわけなんですが、それがないということですか、端的に言って。
○政府委員(大島秀一君) ただいまのところは、これだというきめ手はまだ持ち合せておりません。これから、しかし、だんだん業者の方ともまた十分研究いたしまして、私たちもどっちみちしなければならぬということは間違いないのでありますので、きょうのところはまだ政府といたしまして、これというきめ手は持っておりませんと申し 上げる方が、正しいのではなかろうか、かように考えます。
○大竹平八郎君 私、先ほど阿部さんに輸出全般のことについてお尋ねしたのですが、お答えがなかったので、業界のベテランである市川さんに一つお尋ねをいたしたいのですが、それは市川さんが、きょうのお立場は組合の理事長というお立場ですが、しかし、特に繊維関係の輸出の大ベテランであるのでありますので、ぜひ一つ綿糸布、スフを集めて、繊維業の一体輸出振興、これは日本の輸出の一番大きな問題なんでありますが、何かあなた方の特に対策を講じているようなお立場があるならば、あるいはまたあなた方のお立場といたしまして、政府に特にこういうことを一つ要請をしたいというようなことがございましたら、一つこの機会に私どもの参考のために、お教え願いたいと思うのであります。
○参考人(市川忍君) 毎日当面している問題、重大な問題でありながら、実はほんとうにこれといって、現在の輸出振興のきめ手は、残念ながら正直申して持ち合せがないのであります。しかし、繊維の輸出につきましては、先ほど来高山さんからも御指摘があったのでありますが、過当競争という非難を商社が特に受けるわけであります。これに対して従来から、先ほど内容は申し上げませんでしたけれども、通産省指導のもとに協力いただきながら全世界、あるいはほとんどあらゆる商品、しかも全地域に向って協調取引と申しますか、取引規制といった体制を順次作りつつあります。そうして市場別の数量の規制、価格の協定をやる、あるいは窓口一本化まではいかないけれども懇談会のようなものを作って、現地とこちらとに作って相呼応してむだな競争をなくするということをやって参っております。ある程度これは効果をおさめていると思うのでありますが、先ほど来御意見が皆さんから出ましたような状態で、非常にこの繊維の貿易というものも、これは日本だけじゃありませんですが、縮小的傾向を帯びている、これはだんだんまあ自給自足の形になっているということと、従来のお得意さんが競争者になってきているというような大きく変化を遂げてきておるし、最近の中共の進出、意外なやり方、これはもう日本の繊維貿易にとりましてほんとうのショックであります。ここにおいてこれは、私個人の意見でありますが、従来の規制なり、業者協定、あるいは自主規制、過当競争を常におそれて、この非難に負けてしまうというようないき方ですね、これに対しては若干の反省を加えるべきじゃないか。それから、アメリカなんかでもまあ非常に著しい例でありますが、向うですぐ一部の業者が、関税引き上げというようなことで騒ぎ出し、議会に呼びかける。人を使って。というようなことになると、すぐこっちがびっくりしちゃって、あわててみずから早く規制をして、まあ無事には済む。関税引き上げは助かるけれども、阻止できたけれども、数量的には全く萎縮せざるを得ない。向うは逆に舌を出して喜んでおる面もあるというような、最近これは、ここに通産省の係官もいらっしゃるわけですが、アメリカで最近というか、昨年あたりから始まった、アメリカで絹織物の輸入規制をしよう、いろいろな商品があるわけです、私たち直接関係がありますから、絹織物の輸入規制をしようというので、非常に猛烈な勢いで食ってかかつて、昨年国際絹業会議がニューヨークでありましたときであります。これに私たまたま行っておりましたが、これはもう少し落ちついて、ほかの場合のように、あわてて自主規制に持っていくということはやめようじゃないか、できるだけ粘ってみようじゃないか。これは私だけの私見でありましたが、組合の人も賛成をしてくれました。粘りに粘って今日まで参っておりましたのでありまして、今までのところはこれでいいのじゃないかと私は思っておるのであります。従来の協調取引につきまして若干強味を持っておるのじゃないか。それから政府におかれても、われわれの指導の上に、経済外交という方面に、もう少し腹を据えて強力に一つ外交に当ってもらいたい。まあこういうことであります。最近しきりにアメリカ大使館、朝海大使あたりのこの話が伝わってきて、私は非常に意を強うしておるようなわけなのであります。政府当局におかれて、この際特にお願いしておきます、少し今までよりも腹の外交と申しますか、落ちついてやってもらいたいと思います。何しろこの規制とか、協調とかいうのはどうしても縮小の方へ持っていく。たださえ縮小する傾向にある場合に、こういう今までのあり方だけではいけないので、たとえば中共に対する対策なり何かといたしましては、やはり中共は日本の出す値段の一割とか一割五分下を必ずくぐってやってくる。それに対応するのに、めいめいがばらばらになってやっていったら、実際追いつくわけないだろうと思う。ですからやはりこれは、窓口一本化的なやり方をやっていかなくちゃならない場面も出てくるのじゃないか。これはいろいろ差しさわりがございますので、私またここで不用意に申し上げてはどうかと思う。ただ、さようなことがあり得るのではないかと思う。これは、メーカーの方におきましても覚悟をしてもらう。おくれをとらない、国際競争において。おくれをとったことがたくさんございます。ぐずぐずしておったためにおくれをとったということが人絹の場合にもあります。そういうことがないように、メーカーと商社側とが一緒になって、単一的な方法で対抗していくというようなことも考えて、もう少しあれやこれやと実際きめ手はございませんが、あれやこれやと頭をひねり、場合に応じて、適当な手を打っていくということであろうかと思います。まあ支払いの問題、先ほど申し上げたんですが、支払いの問題なんかにおいてもしかりであります。 それから、まあさような、われわれが業者の一致をした行動をとる上においての、将来のための輸出入取引法の改正ということも、ずいぶん長い間出しておるアウトサイダーの規制、業者の協定あるいは国内取引の協定、メーカーの協定、こういったものは従来の輸出入取引法では不十分だ。これを改正してもらいたい。従来どういう理由か、できない理由もあるように伺っております。最近承わっておりますと、この輸出入取引法を廃止して、輸出振興法といった構想が通産省内にあるという工合に伺って、まあ内容はよく知りませんが、どちらにしても一歩前進をするものとして期待をいたしておりますが、まあとりとめのない……。
○大竹平八郎君 時間がございませんから、ごく簡単に滝波さんに一点お尋ねしたいと思いますが、お答えはごく簡単でけっこうでございますが、景気不景気を最も敏感に福井県の繊維市場というものは受けることは、これは過去の歴史がはっきりしているんですが、ことに福井県下は中小企業が非常に多いようにわれわれは承わっておりますが、現在この不況対策に対しまして自主的にどういう対策をとられ、それからまたこの金融関係についてどういうような方法をとられておられるか、この点をごく簡単でよろしゅうございますから一つお答えを願いたい。
○参考人(滝波清君) 人絹糸が五割操短によりまして、三割操短と封緘その他によって実施しております。大体それが軌道に乗っております。また織機買い上げによっても大体工場数が少くなってきております。それらを合せまして、この上自主的に一方では調整組合をもってやっておりますから、まずまずという結果になってきておる。 それから金融方面でございますが、先に操短による資金を借りたいというんで、われわれを初め一統がこちらの方にも陳情に来ました。一方北陸三県で四億あたりの別ワクをもって借りることを、まあ大体了解ができました。それには福井県の県会あたりも保証してくれて。まあいろいろな問題がありました。福井県の割当が二億一千万円あった。そこで県においても六千万円ほど補助をせねばならぬということになるし、また組合員も、その上部団体の調整組合が、それにまた理事者が保証する保証の程度で、非常にむずかしい問題がそこでまあ起ってきたわけですね。それで、せっかくのそういうことがありましたけれども、結局七百万円ほどですか、わずかで終ってきた。ほんとうは借りたいは借りたいんですが、非常にまあだんだん内容が多くなってきておりまして、借りたらどうしてもなさんならぬ。補助をもらうならば別ですが、どうしてもまあなさんならぬということのメドがつけにくい。そういうことで保証は非常に問題がむずかしいというような、連帯責任になるような関係のために、せっかく二億一千万円を県が保証してくれましたけれども、大体がそんなことで終っております。 先ほどちょっと申しおくれましたが、今度のその買い上げの一台五万円に対しましても、一万円は業者負担ということになりますが、これらはやはりそれを長期で低利の金利をもらって、そうしてなしていきたい、こういうような問題も出ております。それから、先ほどちょっと申しおくれましたが、転廃業で完全にこの機会に転業せしめるには十万円で買い上げてもらいたいというようなことを言っているわけなんでございまして、自主的にはいろいろ組合でもって強力にやっておりますが。何と申しても、結局詰まるところは糸が五割操短に、機屋が三割というところ、そういうところに非常に矛盾が私はあるんじゃなかろうか。そうかというて、ほんとうは私どもは中小企業ですから、まあ織るということは天職のように心得ておりまして、親子代々から織ることしか知らぬのですから、こういうことがあろうがなかろうが、何とかして織りたい。ですから、三割操短も全く血のにじむような思いで三割操短を実行さしたようなわけでございますので、大へんその点にむずかしい点がございます。
○小西英雄君 いろいろ業界の方から参考になることを聞いたのでありますが、一点聞きたいことは、やはり中共の進出によって東南アジアの市場を荒されているということに相当な業界がショックを受けておるようでありますが、中共の品物が日本の品物よりも、われわれ現在の段階ではいいとは考えられないのでありますが、値段が安い。値段が安いのにショックを受けておるのか、あるいは私たちはこういうふうに、鉄鋼界においては原料を作る方の富士とか、八幡とか、日本鋼管一そういうものが原料ではなかなか値段を下げない。二次製品を作っておる方が中小企業ですぐに参ってしまっておる。そういう点においては、紡績界も同じように言えるんじゃないか。紡績界は糸の値段の方はなかなか下げない。貿易が振わないでも、自分のところは依然とした含み資産を持っておって、ゆうゆうたるものであるから、これを綿紡界にも、相当な国家的な見地から理解を持って、自分たちもそういう対抗処置として一つ安くしてやろう、商社と組んでその対抗処置を考えようというふうなことに少し割ってもらわなければ、日本の将来の繊維業の、依然日本の世界的な優位な位置はこれは守れないんじゃないか、そういう点において阿部委員長あたりが中心になって、この際、中共の物と対抗してでもいこうということについて、相当な腹を持たれて、そうしてまた貿易業者とこの処置を考えてもらわなければ、日本の繊維の王座というものは、漸次くずれるんじゃないかと私は考えておるので、この際、阿部委員長あたりの考え方は、先ほどいろいろ機屋の方から言われたように、機屋は百円であったものを、今日二十円まで下げておるが、そういうふうに原料をやっておる紡績業界等が、それほど今日犠牲を一般にしのいでおるかどうか、そういう点についてお伺いしたい。
○参考人(阿部孝次郎君) 中共の問題に関連して、綿紡績として、つまり機屋さんの原料である糸の価格をもう少し下げる努力をなし得るかどうかというような御質問のように聞いたんですが、糸の値というものは、大体二十番の糸で原料は外国のものであります。大体八割程度が原料価格、あとは工賃その他ということであります。ところが日本は年間二百万俵の原綿は、これはすべて輸入によってまかなっております。われわれが努力して値を下げ得る工賃その他は非常にわずかなものでありまして、もちろんこれの努力はまだ今後やって下げていかなければならぬのですが、一つは原綿の価格というものを何とか安く手に入れる方法を考えなければなりません。御承知のように、米綿にたよっておるわけです。米綿はアメリカで、先ほどお話がございました日本の絹と同じように、つまり支持価格、農民から買い上げる価格を支持しております。むやみに安くはならぬというところに非常に困難があるんですが、これもアメリカのクレジットその他によって、もう少し有利な条件で一つ買えるように、いろいろ向うへ働きかける、あるいはメキシコその他の米綿以外の安い綿を手に入れるというような努力はもちろんするべきである。そうしてわれわれ生産者としては、たとえ原料以外の部分がわずかであっても、仕事の合理化その他によって工賃を下げる、これはいつもやっておることなんであります。そういう正当の手段によって、私はやはり中共の進出に対抗するより方法はなかろうということを申し上げたのであります。何と申しましても、中共という国は、コストその他も日本との比較からは安いでしょうし、原綿も自国に産出するわけですから、どういう価格でやっているかわかりませんが、非常に安い。これに対抗するのは非常にむずかしいと考えますが、決して努力を怠っておるわけでもない。まあ工夫次第によっては対抗手段を生ずることもあり得ると私は考えております。
○小西英雄君 阿部さんにお尋ねしたのは、綿だけについて申し上げたのではないのであって、まずその原料を作っておる、これはスフでも人絹でも綿でも同じでありますが、こういう業界の方は、やはり機屋より強い立場にいつも置かれている。そうして二次メーカーはいかなる犠牲をしのいでみても、最終的にはきまったところまでしかいかない。私たちはそういう意味合いから、政府に、原綿を買うのには、相当安く買うように努力したんです。あるいは原料を作っているこれらの製造業者に対して、もう少し政府がそれを整理指導して今後やっていかなければ、機屋の存在も、またこの輸出の振興も、目的は達成せられない。こういう際こそ国家的見地に立たれて、業界の各代表であられる方が本日お見えになられたことを、われわれは国をあげて、日本は貿易がなければこれは死かという立場の国でありますので、参考人の皆さんの言われたことをわれわれは了といたしまして、政府を督励して、あらゆる輸出の振興に対して努力をいたしたいのでありますが、お互いがここへ来て自己の業界の代表的発言を、これはそういうことばかりでありたとは思われませんが、とにかく日本の繊維というものは、やはり日本の輸出の大部分でありますので、本日お見えの皆さん方が、長い間の、十分なるわれわれ参考になる資料を提供いただいたのでありますが、まずそういうふうな今後における日本の原料を作っておる人と機屋と、そうして打って一丸にして輸出にかからなければ、これは価格の問題等についても、相当よそにひけ目をとるということができますと思うので、一つこの機会に、特に皆さん方の協調をお願いして私の質問を終ります。
○参考人(阿部孝次郎君) 今お話の御趣旨、よくわかりました。まあ私、自分の業界を主としてお話を申し上げたのでありますが、政府方面に対する意見はどうかということになりますと、これはまあたくさんあるわけであります。綿に対しては、先ほども原綿は安く買い入れるような総合策を一つ講じていただく。米綿クレジット、外貨の割当その他を、適時適正な方法でやってもらう。それからスフ、人絹なんかに対しましては、これはやはり原料であるパルプの生産あるいはパルプの輸入税というようなことにも関連するかもしれませんが、そういう問題、それから硫酸、苛性、食塩の輸入というようなことも安く手に入れるような方途を政府に講じていただきたい。それから、合成繊維その他に至りましては石油化学、その他の問題に関連いたしましょうが、早くこういう関連化学産業の振興を日本に成長さして、低価格で合成繊維、その他の原料、薬品が入手できるような方途を講じていただくということも当然必要だろうと思います。それから、こういうことによって天然繊維を初め、人造繊維の原料を安くしていくということは、結局海外輸出に対して最も有利な輸出の振興策であると考えております。 そのほか、先ほど市川さんも申されましたが、輸出の方面におきましては、たとえば輸出為替の簡素化というような問題も先ほど問題として出ておりました。こういうことも、適当に輸出為替の方策を簡素化することによって輸出を容易にするということも必要でしょうし、あるいは輸出入取引法の改正によりましてわれわれ生産者が、とにかく価格その他の面において輸出の際に協定に参加し得るような方策を一つ講じてもらうということが、これは必要なことだと思っております。 そのほか、先ほど大竹さんから操短の問題もありましたが、操短ということは、業者自体がこの独禁法の関係によって勝手になし得ないことであります。すべて通産省の指導のもとにこれを行なっていくような現状でもあります。生産の調整その他の面にも業者の各位の意向がそこに加味し得るようなことができ得れば、もっと生産在庫調整その他がスムーズにいくのではないかと考えるわけであります。 その他いろいろございますが、輸出を促進する根本策について政府においてもいろいろお考え願いたいと思うわけでございます。どうぞよろしくお願いいたします。
○委員長(田畑金光君) それでは、この辺で参考人に対する質問は終りたいと存じますが、参考人の方々には御多忙中のところを御出席下さいまして、長時間にわたり御説明いただき、ありがとうございました。委員会では御意見を尊重して慎重に本問題に対処いたしたいつもりでおります。 本日は、これで散会いたします。 午後五時十四分散会 ————・————