商工委員会 第2号
- 発言数
- 84 件
- 登壇者
- 16 名
- 会派数
- 4
- 開催日
- 1958/06/19
会議録
○委員長(田畑金光君) これより委員会を開会いたします。 委員の異動について報告いたします。 去る十七日、小山邦太郎君が辞任し、その補欠として吉田萬次君が選任されました。 —————————————
○委員長(田畑金光君) 次に、理事の辞任についてお諮りいたします。 本日相馬助治君から、都合により理事を辞任したい旨の申し出がありましたが、これを許可することに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(田畑金光君) 御異議ないと認めます。 つきましては直ちにその補欠互選を行いたいと存じます。この互選の方法は、成規の手続を省略して、便宜その指名を委員長に御一任願いたいと思いますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(田畑金光君) 御異議ないと認めます。それでは私より大竹平八郎君を理事に指名いたします。 —————————————
○委員長(田畑金光君) 先ほど委員長及び理事打合せ会を開いて協議いたしました結果、本日以降の委員会の日程を、お手元に配付いたしました印刷物の通り決定いたしましたが、格別の支障のない限り、このように運営することに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(田畑金光君) 御異議ないと認め、さよう決定いたしました。 —————————————
○委員長(田畑金光君) 次に、高碕通産大臣及び中川、大島両政務次官より発言を求められておりますので、これを許します。(拍手)
○国務大臣(高碕達之助君) 私今回通産大臣の重任を仰せつかったのでありますが、もともと、役人などをやった期間もごくわずかでございます。でありますが、以前に経済企画庁の長官をやっておりました関係上、当委員会にもときどきお目にかかったことがございますが、何しろはなはだ不なれでございますので、よろしく御指導願いたいと存じます。 ごらんのごとく年をとっておりますけれども、幸い健康の許す範囲におきまして日本の商工行政につきまして十分の努力を尽したいという熱意を持っておるわけでありますから、よろしく御支援、御支持を下さるようお願いいたします。できるだけ私はこの委員会にも時間の許す限り、必ず出席さしていただきますが、何しろ衆議院の委員会もあるのでありますから、また、本会議等もあるのでありますから、その場合には練達堪能な両次官もおりますので、かわりに出席さしていただきますから、どうぞよろしくお願いいたします。(拍手)
○政府委員(中川俊思君) 私は中川俊思でございます。今回通商産業省の政務次官を拝命したのでございますが、全くのしろうとでございまして、何もわかりませんが、今、大臣は練達堪能な政務次官とおっしゃいましたが、実は練達堪能ではないのであります。大臣の方が練達堪能でございますから、大臣の驥尾に付して努めさしていただきたいと思います。いろいろ至らぬ点が多多あると思いますが、どうぞ皆様の御指導を抑ぎまして、できるだけの努力をさしていただきたいと思います。何とぞ御指導をお願いいたします(拍手)
○政府委員(大島秀一君) 大島秀一でございます。私はからずも通産政務次官を拝命したのでありますが、ただいま同僚の中川さんのおっしゃったように、私もまだまるきりのしろうとでありますが、どうか皆様方の絶大なる御支援を得まして、職責を全うすることができますように、最善の努力をいたしたいとかように考えておる次第であります。どうか今後とも何分の御指導と御鞭撻を賜わりまするように、切にお願いいたします。どうぞよろしくお願いいたします。(拍手)
○大竹平八郎君 ちょっと議事進行ですが、参考に両政務次官の担当部面をちょっと一つ御報告願いたいと思います。
○政府委員(中川俊思君) 実は昨日初登庁いたしましたようわけでございまして、本日省内におきまして事務当局と、大体きのう、ちょっとこうしたらどうかという何があったのでございますが、ちょうどその際に大島政務次官がまだおいでになっておりませなかったので、本日はあらためて大島さんが見えたときに、事務当局と打ち合せしてきめようということになっておりますので、いずれきょうはきまると思いますので、きまりましたら、委員長まででも御報告いたしますから、御了承をいただきたいと思います。
○大竹平八郎君 了解。
○高橋進太郎君 ちょうど先ほど理事打合会できめて、二十四日に大臣出られることになっておるのですが、これは大臣、時間の御都合、あるいは同時にまたそのときに、やはり日本の貿易政策なり、そういうものの根本についてお考えを伺いたいということをきめたのですが、その点一つ、大臣と十分お打ち合せ願いたいと思うのですが……。
○委員長(田畑金光君) 承知いたしました。 —————————————
○委員長(田畑金光君) それではこれより議事に入ります。 本日は、私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する件を議題といたし、調査をいたします。独禁法については、その改正問題が論議されておりますので、公正取引委員会委員長のほか、通産省企業局長及び内閣審議室長の出席を要求しておきました。 まず、長沼公取委員長から独禁法運用状況について簡単に御説明を願い、その上で質疑に入りたいと存じます。
○政府委員(長沼弘毅君) 長沼でございます。 独禁法の運用について簡単に御説明申し上げますが、御承知のごとく、昨年の十月に総理大臣より審議会に対しまして諮問案が出たわけでございますが、それに対しまして本年の二月の四日に答申案が一応提出されております。この答申案に基きまして内閣審議室を中心にいたしまして、各省が寄り集まりましていろいろと研究を重ねておるわけでございますが、何分にも御承知のごとく経済の基本法とも申すべき法律でございますので、新内閣の政策とも十分のにらみ合せを行う必要がございます。私どもといたしましては、こういう法律は慎重に取り扱うという考えを持っていますので、できるだけ早くという拙速主義というものはなるべくとらぬという考え方をいたしております。しかし、事務的な希望といたしましては、次の国会に提出ということに希望をいたしておる次第でございます。 御承知のごとくこの法律は施行以来約十一年を経ておりまして、その問いろいろと摩擦もございましたけれども、この十一年間におおむね独禁法的な目から見ました経済体制というものは、まずまず確立されてきたと考えてよろしいと思います。従いましてかような法律を改正いたしますにつきましては、非常に派手な大幅な、何か目のさめるようなことをするという考え方は、私はこれは慎重に考慮すべき問題だと存じております。経済の実態に即応し、わが国の経済の民主的発展というものを十分に尊重するという建前から、改正に向って参らなければならない、かように考えておる次第でございます。 ただいま具体的に要綱等によりまして改正の方向につきまして御報告する段階に到達しておりませんのでございますが、何か御質問がございましたらば、それに応じて御答弁を申し上げたいと存じます。
○委員長(田畑金光君) 御質疑がございますならば、一つ御質疑を願いたいと思います。
○豊田雅孝君 ただいま長沼公取委員長からのお話しによりますると、要綱等はまだ発表までには至らぬというようなお話しでありますが、この独禁法の緩和の方向につきましては、もう古い問題であり、そうしてまた、相当反対があるということも御承知だろうと思うのであります。しかし、公取が御想像になっている以上に非常に裏面での反対が強い。これは御承知だろうと思いますけれども、農林水産団体で反対しておるのは、全国農業会議所、全国農業協同組合連合会、全国漁業協同組合連合会、全国森林組合連合会、全国養蚕農業協同組合連合会、全国酪農協会、中央畜産会、消費者の団体では、主婦連合会、日本労働組合総評議会、全国労働組合会議、労働福祉協議会、婦人有権者同盟、婦人民主クラブ、婦人団体連合会、地方婦人団体連合会、さらに中小企業団体では、全国中小企業等協同組合中央会、日本中小企業団体連盟、全日本中小企業協議会、日本中小企業家同友会、日本繊維卸商団体連盟、全国繊維商品取引所仲買人協会連合会、東京旅客自動車協会、東都乗用自動車協会、国産自動車協会、これらがまっこうから反対しておる。さらに大企業の中でも御承知でありましょうが、加工部門を担当しておる重要産業である造船工業会等は非常に反対をしておるというわけでありまして、非常に強い反対が裏面にあるのであります。これは公取もある程度通じておるかと思いますが、まさにこれは御想像以上に強い反対であります。国会にいよいよ緩和の法案が出てきたら、私は非常に大きなそこで問題が出てくるだろうと思いますが、それだけに、懸念をそういうふうにせられるだけに、問題のまだ法案化しないうちにお互いにこの問題についてはむしろ十分に話し合って、そしてこの問題のあまり激突しないように持っていくということがいいんじゃないかというふうに考えるのであります。そういう点で、きょうは問題点につきまして端的率直に質問もいたしますけれども、また、お答えも願うということに持っていきたいというふうに考えるのであります。 まず伺いたいのは、今申しますように、御想像以上に各団体が反対をしておる。これについてどういう見解をお持ちになっておるか。この点についてまず伺いたいと思います。
○政府委員(長沼弘毅君) これはもう豊田委員に対しては、釈迦に説法でございますけれども、この独禁法の改正ということについては、大企業の側と、中小企業の側との意見というものは、ほとんどまっこうから衝突しておるというふうな実情でございます。ただいまお述べになりました中小企業関係につきましての声というものは、私はなかんずく特に尊重していかなければならぬということをまず基本的な姿勢として持っております。でございますが、一方、国際経済の変動ないしはまた、御承知のごとくわが国の現状というものは、きわめて不況の状態にあるのでございまして、こういう不況というものの状態に対応いたしまして、過去十年ほとんど膠着状態と申しますか、半ば動脈硬化に陥っておる法律というものを、いささかもみほぐして、経済の実情に即応するという形をとる必要があるのではないか。これは必ずしも大企業を保護育成するという問題ではないのでありまして、国民経済全般的な、幅の広い視野からそういう観点を一つとっていく必要があるのではないかと考えております。 なお、このカルテルとか、トラストとかいう経済共同行為というものに問題をしぼって、狭い門で経済実態をにらんで参りますというと、つまり条件をあまりにも厳格に維持しておりますというと、予想しない事態でありますとか、法律の条文にうまく合致しないというふうな事態が、実はどんどん起るのであります。こういう問題に対しまして、法律の門をあまりにも厳格かつ狭くいたしておりますというと、案外つかみ切れない事態というものが世間には往々にして発生する。従って、表面的にはあるいは緩和のようなにおいがいたすかもしれませんけれども、法律の面というものは、相当程度幅を拡げまして、行政的監視という面において存分に機能を果すという考え方もあるのではないかということを一つ考えております。 ただいまの御指摘の中小企業関係につきましては、これは私は法律の運用から申しますというと、カルテル、トラストのみならず、不公正な取引方法、要するに経済的優越地位にある力が弱少の力を押しふせる、乱暴をするという事態を、厳重に取り締るという方向に向っておることが必要であろうかと存じます。このような意味におきましての配慮は十分にいたしております。いずれ、具体的には御説明をいたし得る段階があろうかと存じます。
○豊田雅孝君 ただいま最初私の方から申しました造船工業界方面が非常に反対しておるということにつきましては、これは大企業相互間の問題でありますが、要するに、大企業でも原料の部門と加工の部門とでは非常に利害関係が違う。そういう点から、原材料部門のカルテルというものについては、要するに原料高ということに非常になってくるのじゃないか。そうして、製品安ということになり、そこに非常に問題が出てくる。従って、原材料部門のカルテルというものに対しては、非常にシビアに考えてもらわなければいかぬ。これは造船工業界などについてもそうでありますが、いわんや、中小企業関係については、その点が非常に強いわけであります。要するに、大体原材料というものを作っておるのは、大企業が多い。そうして、これを加工するのは中小企業であるという関係からいたしまして、原材料部門のカルテル化ということについては、非常に全体的に産業政策として見た場合に問題が出てくる。これは輸出の振興の点から見ましても、日本のような、人口が多い、しかも手先の巧妙な国民が多い。そういう点からするというと、加工部門を大いに優遇すべきである。それが外貨獲得の上において、得るところがあるのじゃないか。そういう点から見ますると、さなきだに原料高、製品安で悩んでおるのに、原料高を誘致するような原料部門のカルテルというものに対しては、厳に戒めていかなければいかぬのだということが、全体の産業政策的見地から言われ、輸出対策からまた言えるのじゃないか。国際収支のバランスの点から、また大いに論じなければいかぬのじゃないかというふうにも考えられるのでありますが、この点についてどういうふうなお考えを持ち、お進みになっておるか。その点をお伺いいたしたいと思います。
○政府委員(長沼弘毅君) 原材料部面につきましてのお話し、全く御同感でございます。十分厳重な態度で臨みたいと思います。 ただ一つ、ここで申し上げておきますことは、事態にはいろいろな事情がございますので、たとえば原料高の製品安ということは、厳に戒めなければならぬことでございますが、原材料部面におきまして、ある種の共同行為というものが行われないというと、かえって原材料の供給というものが非常な不円滑になってそのしわが弾力性のない中小企業に寄ることによって、かえってはね返りを受けるというふうな場合もなきにしもあらずと思います。まあ、かような場合には、その実情に即応して考え方を多少変えていくという必要があるだろうと思います。 原則論としては全く同感でございます。
○豊田雅孝君 今の、原則論としては認めるという立場から参りますと、ケース・バイ・ケースで考えていかないというと、そこに大きな蹉跌が出てくるのじゃないかというふうに考えられまするだけに、独禁法の緩和ということにつきましては、必要があるならば、むしろ特別法で、抜いていく。一般的な行き方で緩和をするというのでなくて、個々の業種、業態について、やむにやまれぬものを適用除外していく。その特別法を作っていくということの方が、無難じゃないかというふうに思うのであります。これは原則論をお認めになることからくる当然の結果だと思うのでありますが、その点についてはいかがお考えになりますか。
○政府委員(長沼弘毅君) 私も、数はさだかに現在覚えておりませんけれども、適用除外法というものがなかなかたくさんあるのであります。これが特別法によりまして、あちらこちらにたくさんできて参りますというと、実は、御本家の方の独禁法自体というものの姿勢がいささかくずれてくるという格好を考えなければならない。ことに一般の国民の皆さん方から見まするというと、どの法律を読んでいいのかわからぬというふうな不便もあるというようなことを考えまして、これはとくといずれ御意見を伺いたいと存じておりますが、一体、独禁法の建前というものを、もう少し総合的に、適用除外というものも取り込んだ本法の方において修正を加えていった方がよろしいか、あるいは本法は現在のままにしておいて、適用除外というものをどしどし作っていった方がよろしいか、ということにつきましては、私もまだはっきりした結論的な態度をきめかねております。 ただいまのところでは、そういう状態であります。
○豊田雅孝君 しかし、すでに、立案までせられておるので、その、今の独禁法緩和の方向というものは、特別法で、はずしていくという行き方をとっておるのか。あるいはお話しのごとく、特別法ではずしていくということ自身が、相当ふえてくるというとどうかというような点で、本法それ自身をいじる、この本法それ自身をいじるということは、非常に問題が出てくると思うわけなんですが、特別法で抜くことそれ自身でも問題かもしれませんが。いわんや、それが煩に耐えぬというようなことで、本法それ自身に大きな抜け方をしてくる。しかも、それはケース・バイ・ケースで考えていかぬと、国民経済に大きな影響を与えてくるというにかかわらず、抽象的な扱いをするということ自身に非常に問題がありはしないか。それと、今すでに、法律改正の作業が進みつつあるというように聞くものでありますから、どっちの方向に行きつつあるのか、そういう根本問題について非常に大きな疑問を持つのでありましてお尋ねするのでありますが、その点はどうなんですか。
○政府委員(長沼弘毅君) 適用除外の、御承知のごとく一番何といいますか、中枢になりますものは、中小企業関係と輸出入関係というふうにしぼっていったらよろしいかと思います。これはもちろん、はっきりと適用除外という特別法で措置するということは、既定の事実だと考えてよろしいと思うのであります。しかし、本法におきまして、先ほど申し上げましたように不公正な取引方法というものを、どういうふうに弾力的に機動的に運営するか、どう持っていくかという問題は、まだ根本的に私ども姿勢がとれていない。これは相当大幅にいくということになりますと、ケース・バイ・ケースと申しますけれども。あまりこまごました特殊の適用除外というものを規定いたしませんでも、本法でもって運営ができるのじゃないか。この辺の読みとり方で、いろいろと意見が出てくるという段階でございます。
○豊田雅孝君 ただいまお話がありましたごとく、私自身も適用除外は国内的には中小企業に限定する。そうしてさらに貿易関係、これは国際的に見ると、日本の貿易産業自身が国際的中小企業なんですから、そういう見地から適用除外をする。これはけっこうなことです。適用除外をする大きなものというのは、中小企業と貿易産業に限るということが私は一番だと思うのであります。あとはよほどのものでないというと、適用除外をすべきものではない。従ってやるのならやはり特別法でほんとうに論議を尽して慎重な態度でやっていくべきであるというふうに思うのでありますが、この方針についてはいかがでございましょうか。
○政府委員(長沼弘毅君) 全く御同感でございます。さような方向で大体動いて参る、こういうふうに御了解願います。
○豊田雅孝君 そうしますと、適用除外は中小企業と貿易産業は認めていくが、その他のものについては、特別法で厳に戒めるという意味でいくということになりますと、独禁法それ自体の本法の大きな緩和の問題というものは、なくてもいいのじゃないかというふうに思いますが、その点はどうですか。
○政府委員(長沼弘毅君) そこが実は問題でありまして、何と申しますか、一つ私どもが考えております前提がある。それはつまり経済現象の読み方でございますが、非常に変化というものは、はなはだしいのみならず、国際経済の状態によりまして、大きな影響を受けるという、揺れに揺れておる、という状態でございますので、一つの例をあげますと、たとえば不況カルテルというものがある。これは従来までのところ、現実に不況という確定的な事実があるということから動き出しまして、いろいろな措置を講ずる、共同行為を講ずるということになり、それを受けましていいとか悪いとかという判断をするという状態になっておるのでございますが、実は先ほど御指摘のありましたように、原材料部門一つとってみましても、加工業界における不況というものは現実にある。従って原材料に対する不況というものは早晩来るということは、はっきりしておる。しかしまだ、原材料までには時期的ズレがあって、原材料までに不況が到達しておらないという場合、独禁法的には何らの措置ができない。こういうやや幅広に不況のおそれというものも予見的に予想して読みとっていく、行政的指導の面も相当深めていく必要があるのではないか。現に中小企業関係におきましては、そういう構想でつまり確立された事実に対して審判を与えるという準司法的な考え方でなく、もう少し予想せられた事態に対して、予防的な措置を講じ得る余地というものを残していく必要があるのじゃないかということが、言葉は何と申しますか、適切には申し上げられませんが、緩和という表現を用いれば、そういうことが一つあると思う。 それからいま一つは、企業の合理化というものを促進する上においてどうしても必要だというものがあるのではないか。これは従来におきましては、一定の取引分野における競争を実質的に制限するということであれば、いかなる事態でもいけないのだとされておりましたけれども、これがそう大したひどい程度でなく、しかも産業の合理化というものに役に立つというような場合には、多少緩和をした道というものを開いておいてよろしいのじゃないか。 第三点といたしましては、先ほど御指摘のありました輸出入関係につきましても、もう少し寛大な措置をとるというふうにしぼってみました。この三つの点につきましては、十分に考慮をしていいと思うのであります。 独禁法に今全然手を入れないでも、適用除外の二つの大きな柱が立っていけばそれでいいではないかという御質問に対しましては、多少私ども疑問を持っております。
○豊田雅孝君 そこで、原則としては私の主張をお認めになったのでありますから、そのおつもりで進んでもらわぬといかぬと思うのでありますが、今の大企業の不況問題でありますが、不況とひとしく言いますが、大企業と中小企業の不況、あるいはひとしく過当競争といっても、大企業と中小企業相互間では非常に違うわけであります。御承知のように中小企業は、本来何といっても非常に数が多いし、また個々の資本力が弱い。大企業の方は、数はそんなに多くない。同業者の数なんてしれたものである。しかも、それがそれぞれ資本力が強いということでありますから、不況だとか過当競争といったって、大企業の方は問題にならぬので、カルテル、カルテルといいますけれども、カルテルによって結局独占利潤を確保したいということなので、とにかく利益が多いか少いかの問題だが、中小企業の方では、死ぬるか生きるかの問題である。そこに非常な違いがあるわけであります。そういう点で、大企業の不況カルテルについては、中小企業と同様に考えるなんというかりに考えがあるとすれば、これはとんでもないことで、非常に厳に考えていかなければいかぬのじゃないか。そういう点についてのお考えはどうでございましょうか。
○政府委員(長沼弘毅君) ただいまのお話は、原則的にはその通りでございまして、独禁法というものには、一面におきまして中小企業の防衛法であるという考え方もできると思います。さように御了承願います。
○豊田雅孝君 御答弁を聞いておりますと、非常にけっこうなように思うのですが、その通りに今後お進み願うということでないと、あとで非常に問題が起きて参りますから、その点を特に念を押しておきます。 それに関連いたしまして、団体組織法の方では、弱い中小企業であるが、価格協定については御承知のように公取の同意まで必要になっておる。これは実質的に見ますと、結局認可だと言わざるを得ないと思います。そういう点からいたしますと、大企業のカルテルについては、一部では届出でするようにしてくれというような要望があるやに聞きますけれども、中小企業についてすら、実質的に認可と言わざるを得ないような行き方になっておる。このバランスからいいますと、大企業関係のカルテル等については、全部認可制をとっていくべきだというふうに考えるのでございますが、この点はいかがでございますか。
○政府委員(長沼弘毅君) この点につきまして、実は審議会の答申の中にも、従来あまりにも認可というきびしい制度が多過ぎる。軽微なものについては、大企業、中小企業を通じて届出でもって済ましてもいいのではないかという答申があったわけであります。大企業だけに中小企業とのバランスをとって認可制度を厳重にやっていけというふうな御趣旨でございますというと、必ずしも認可ばかりでいかなくともいいという場面があるのではないか。で、私どもは今、認可と届出というものとの間に、どの辺でボーダー・ラインを引くかということを研究中でございます。
○豊田雅孝君 ただいまお話がありましたが、中小企業団体組織法の方での公取の同意というものが、非常にやかましい行き方になっているんです。今お話しのごとく、一面において届出でいこうというような考え方があり、これに同調するぐらいならば、団体組織法の面におきましても、価格協定などについては、同意というより協議でもすれば、同意じゃなくても届出的にやっていけば、それでいいんじゃないかということに当然なってくると思うんですが、弱い者の方については非常にやかましいことになっているが、強い者についてはゆるやかな行き方にしているということでは、どうかと思うんですけれども、この点はどうなんですか。
○政府委員(長沼弘毅君) 抽象的に申しますと、強い者にはやや寛大で、弱い者にはきびしいというふうな考え方ではないのでございまして、むしろ、許可ないしは届出というものは、一般の消費者、国民大衆に対してどういう影響を与えるかという観点から見ております。結果においては、あるいは緩厳の差が多少出てくるということがあるかもしれませんけれども、根本的な精神は、一般消費者の利益擁護というふうなことを考えております。はなはだ抽象的でございますけれども、さように御了承を願います。
○豊田雅孝君 そうすると、届出でいこうというふうに考えられておるものは、どんなものがあるんですか。
○政府委員(長沼弘毅君) いろいろ考えられますが、典型的な例を申し上げますと、たとえば不況カルテルを作ります際に、これが一種の緊急避難的な性格を持っておりまして、きわめて短期間なカルテルでもって様子を見て参りますと、この次にあるいは好転するかもしらぬというふうな事態があり得ると思います。かような事態に対しましては、緊急避難的に三カ月とか、あるいは四カ月とかいう期限でカルテルを作るという場合はあり得ると思います。これを一々認可制度にいたしまして、相当の期間をかけて審議をしている間に、事態がすでに推移してしまうというふうなこともあり得るわけでございまして、かような場合には届出を認めるということも考えられると思います。それからまた、産業合理化のために必要な場合に、まあ、これは緩厳の差をどの程度につけていいか、まだわかりませんけれども、ある軽度の、一般大衆に対する影響というものが軽度であると思われるものに対しましては、届出をもって済ませるというようなことも考えられると思います。
○豊田雅孝君 具体的な問題についてこれからお尋ねしたいんですけれども、一応、抽象的というか、基本的な問題はこの程度にして、ほかにまた同僚議員にもお尋ねがあるでしょうから、あとで質問します。
○大竹平八郎君 私は、他の委員の発言もだいぶあるようでありますが、二点だけにつきましてお伺いをいたしたいのであります。独禁法が制定以来、非常に日本の経済の復興と民主化に寄与したことは、これは言うまでもないのでありますが、最近の日本の経済界の状況を見まして私どもが痛切に感ずることは、ただ単なる不況対策というような立場で、その場その場を糊塗していくというようなことでは、日本の産業の正常化というものにはなかなか復し得ないのであります。しかしながら、わが産業の正常化ということの問題になりますと、何と申しましても、発展の大きな難点というものは、御承知の通り過当競争、こういう問題にあるのでございます。たとえば貿易界にいたしましても、産業界にいたしましても、金融界にいたしましてもしかりであります。このつばぜり合い的な過当競争というものが、日本の経済の正常化をいかに阻害しておるか、これは言うを待たないわけでありまして、ことに、この海外のダンピングの問題であるとか、あるいは過剰生産であるとか、過剰投資、そうして勢い国際収支を悪化してその不況をもたらしているというような事態なのでありますが、戦前におきましては、御承知の通りそういったこの事態に対しましては財閥とか、あるいは金融寡頭資本とかいうものが非常に一つの発言権と申しますか、これをブレーキする力を持っていたわけでありますが、今日にはそういうものはないのでありまして、まあ独禁法があるから、こうなったということも言えるのでありましょうが、そうかといって力のままにまかしておきますと、今の豊田委員のあれとは大体反対の傾向になっていくのでありますが、そうかといってわれわれは中小企業、あるいは日本の全体の産業の上から見て、このままこうした過当競争というものを金融界において、産業界において、貿易界において、これを放任しておることがいいかどうかということが、非常に問題になるのでありますが、今度の改正案につきましては、こういった日本の産業の基本の問題について、何か特にお考えになって立案をせられておるのかどうか、その点をちょっと聞きたい。
○政府委員(長沼弘毅君) お答えいたします。実はその点につきましては、昨年総理の諮問案におきましても、わが国の経済の底が浅い、また国際的な経済情勢に非常な影響を早く受ける。それからさらに、業者の数が多過ぎることによって醸成される過当競争というものの程度がひどいというような点について頭に入れた上で、御審議を願いたいというふうな諮問案になっているのであります。答申案におきましても、この独禁法の存在自体というものが、過当競争を何と申しますか、導き出しておると申しますか、結果しておるというんですか、そういうことがないでもない。従ってこの点を十分に気をつけた上で答申をすることになっております。一応この抽象的な答申に基きまして、われわれは考えておるのでありまして、お説の点につきましては、十分考慮された結果が出てくると思います。
○大竹平八郎君 いま一点、これは別な角度から具体的な問題についてお尋ねいたしたいのでありますが、例の新潟の燕等を中心にいたします洋食器の輸出の問題、これは御承知の通りアメリカで非常な制限をせられておりまして、大打撃をこうむっておる。こういった事態に対しましてやられたことだろうとは思うのでありますが、最近新聞紙上、あるいは私どもが中小貿易業者からたびたび陳情を受けていることなんでありますが、中政連の鮎川総裁を中心にいたしまして、一つの買取機関を作る、たとえば総合大商社から十億円くらいの金を引き出して、それからその他の方面から、それに見合うような出資をさして、一つの買取機関を作るというような案が出ておる。従って出資貿易商社が勢いこの洋食器を扱うようになっていくのでありまして、これは政治的に言うならば、鮎川さんが中小企業を助けると言うのだが、これがほんとうにできるならば、逆になって中小企業の貿易業者自体を、これをもう押えていくような結果になるわけなんで、ここで今たくさんの中小貿易業者というものが、自分たちもやはり独自の政治的な結社を作らなければ対抗していけないと、こういうような運動が実は全国的に台頭しているのでありますが、こういう問題なんかについての一つ御見解を御披瀝願いたい。
○政府委員(長沼弘毅君) 買取機関の内容につきましては、いろいろ差がございますので、ただいま抽象的にどうこうということをはっきり申し上げられませんですが、買取機関を作りますこと自体は、これは違法ではございません。従って私は具体的にその内容がどういうことになっているか、十分拝見いたしました上で、意見を述べさしていただきたいと思います。
○阿部竹松君 長沼委員長に、本件でなく、御答弁できにくければよろしいのですが、実は委員長の前に横田さんがおられたわけですが、いろいろと話をされて、これは横田さんからお聞きしたわけではないのですが、各地でどうも独禁法に引っかかるような気配があるという問題を、あなたのお役所べ一つこれを判断してくれぬかということで持ち込むと、なかなか日数がかかる。一つの物件をあれするにも半年近くかかる。極端な例かもしれませんけれども、そういうことで何とか早くしてくれということをお願いすると、実際は早く出したいのだけれども、しかしながら非常に人手が足りないし、機構が小さい。従ってやりたいことはたくさんあるけれども、なかなか思うようにいきませんということを当時私、お聞きしたわけなんです。それで今度あなたが御就任されて、日もたっておりませんけれども、まあ、ただいま職掌に対する機構の感覚で言ったら、どうかと思いますけれども、ほんとうに本件に取っ組んで、真剣に、豊田先生に対する御答弁等を実施するということになると、やっていけるのかどうか、率直に実はお伺いしたいと思うのですがね。
○政府委員(長沼弘毅君) 大へん御同情のある御質問をいただきまして、私は、実は前に役人をやっておりまして、大体、何と申しますか、行政機構の規模というものにつきまして、一応の基本的な判断はできる能力を持っていると自負しております。その私の能力で判断いたしますと、お説のごとく、まことに微力でございまして、こういうことでございましては、独禁法の十分な運営というものはできかねる状態にある。従いまして、法案の改正案を提出いたします際には、合せて機構の拡充と予算の増加ということにつきまして、お願いを申し上げます。その際には、どうぞ十分に御同情のある処置をお願いしたいと思います。
○阿部竹松君 どうも長沼さんは初めて出てこられて、初めてかどうかわかりませんが、私は委員会で初めてお会いするわけです。もうここに政府の局長さんもおられるから、ちょっと言いにくいのですが、局長さんと匹敵すると言っても何ら差しつかえないような名答弁なんです。しかし、法案審議と予算とは、全然違いましょう。ですから私、決して同情あるとにかくその御質問を申し上げているのではないので、実際あなたのところでやれるかどうかということを聞いている。りっぱな答弁だけじゃだめなので、もうできないという機構に、僕らは何ぼ注文したってだめなんですから、あなたは初めて就任されて、どういうお感じですかということを聞いている。これは端的に御答弁願えばいいのであって、しかし、予算のこととこれとは全然違いますので、そういうことでけっこうです。 その内容ですが、御承知の通り、今回で三回目の改正になるわけです。昭和二十二年か三年に、ダグラス・マッカーサーさんの御指示で、こういうものができたそうですが、当時の文献をひもといてみますと、これは中小企業を助けるための法律ではないのですね。大企業は再軍備につながるからと言って、大企業というものを制限しようというところで出発した。その結論はいいか悪いかは別として、大企業をつぶすというのが、逆に今度は中小企業を助けるということになったわけです。しかしながら、そういう方針で出発してきた法案が、中山さんを会長とする今回の答申案を見ると、ほとんど精神が変ってしまっているのです。もちろん、この答申案を作る委員会は、たくさんの人を委員として出したときに、委員長は御存じかどうかしらぬけれども、河野経審長官が全部これはいかぬあれはいかぬと言って、相当取捨選択されたそうです。ですから、私はこの委員の方は、吉田茂さんのように、曲学阿世の徒の集まりだと極言はいたしませんけれども、出発された当時の本を読んでみると、今のこれとずいぶん違う。委員長はこれをどうお考えになりますか。
○政府委員(長沼弘毅君) この委員会の構成等につきましては、私もよく当時存じておりませんでしたが、この審議の過程におきましては、関係の中小企業関係も全部含めまして、約八十六団体の意見を慎重に聞いて立案に従事したわけなんです。従いましてどういう点を御指摘になるか、私もはっきりいたしませんですが、中小企業の利益に背反するような方向に参るというふうには、私は、考えておらないわけでございます。
○阿部竹松君 それからもう一点お尋ねしたいのは、当時と今との日本経済が相当変革してきたから、その日本経済に見合うものを作るのだ、改正するのだと、こういうお話しですがね。そうすると、日本経済というものは、だんだん変革されてきて、中小企業は大手に匹敵するような経済力なり産業構造ができたから、だから中小企業は見放してもよろしいと、こういうことなんですか。それともやはり、強いものが生きていくというアメリカ経済に一辺倒であると、こういうことになるわけですか。
○政府委員(長沼弘毅君) 先ほど豊田委員の御質問にもお答えしましたが、独禁法というものは、一面におきまして、中小企業というものに対する防衛手段を講ずるという強い一面を持っているわけでございまして、従いまして、その強いものに一辺倒という考えは毛頭ございません。なかんずく、今後御審議をわずらわす途中におきまして、はっきりだんだんいたして参ると思いますが、私どもはこのカルテル、トラストということのみならず、経済的優位にある人間が、一種の暴力ざたであばれるという現象を、厳重に取り締っていくという態度を堅持しております。さように一つ御了承願います。
○阿部竹松君 それでは具体的な問題を少しお聞きしたいのですが、それは後刻に譲りまして、今結論が出まして、法制化するために法制局へ回っているということなんですね、この改正点については。そうしますとこの法制局へ回っておって、修正される点は、法制局で手直しする点は、字句の表わし方とか、あるいは条文の取扱いとか、こういうことで、精神は全くこの答申案通り、こういうことに大体解釈してよろしいわけですか。
○委員長(田畑金光君) 今の件は、内閣審議室で取り扱っているようですから、内閣審議室長の吉田信邦君が出席しておりますので、吉田君から御答弁さしてよろしゅうございますか。
○阿部竹松君 よろしゅうございます。
○政府委員(吉田信邦君) ただいまの法制化の問題につきましては、まだいわゆる法律を提案するつもりで、法制局へ回しているという感覚ではないのでございまして、御承知のように、内閣もかわりまして、閣僚初め各位の方の御意見も伺い、その御意見に基いて考えをはっきりさせなければならないわけでございますが、一応今までのところでは事務的に扱う、法律的な問題が非常に多いものでございますから、一応答申案の線に沿って、法律的にどういうふうに表現さるべきものであるかというような点につきまして、法制局に御審議を願っているという段階でございまして、今法案をすぐ提出するような予定で、法制局に御相談申し上げているわけではないのでございます。
○阿部竹松君 そうしますと、まあ、内閣もかわったことですから、今度の通常国会に出すとかどうとかいうことは、当然通産大臣なり総理なりにお聞きしなければなりませんから、そういうことはけっこうですが、そうしますと、最後に長沼さんにお伺いいたしますが、どういうような方法で出てくるかわかりませんけれども、今たとえば法制化されようとしている、今までやられてきた案は、公取として全く賛成した案と判断してもよろしゅうございますか。
○政府委員(長沼弘毅君) そう簡単には参りませんので、私どもいろいろ意見を持っておりますので、意見を戦わしている段階という工合に考えていただきたいと思います。
○相馬助治君 私は公取の委員長に二点、それから通産省の企業局長に一点、合計三点お尋ねしたいと思います。 第一に、公取の委員長にお尋ねしたいことは、私ども社会党の立場からいたしますと、中小企業者に対する保護育成という角度から、特に先般生まれました中小企業の団体法案との関連において独禁法というものがどういうふうに改正されるのであるかということに対して、非常に深い関心を持っているわけです。従って非常に悪意な見方をいたしますれば、一方においては中小企業団体法というような法律を政府は用意して、中小企業者にあめをしゃぶらせ、一方においては独禁法の根本精神を取り違えて、独禁法を緩和して大企業に対してあめをしゃぶらせる、こういう陰険悪らつなる手口を試みんとするのではないかと、私はそう思っていないのだが、そういうふうに思って見ている者があることは事実なんです。そこで聞きたいことは、独禁法ではカルテルを禁止しているわけだが、現実の問題としては、地下カルテルといわれ、あるいは潜在カルテルといわれる、そういうものが存在しているわけで、こういう事実を公取の委員長は御存じであるかどうか。知っているとすれば、これに特段な手を打たないということは、いろいろな経済事情から黙認の形をあえてとられておるのか、そしてまた、今度の法改正に当って、こういうふうな現実というものをどういうふうに、どういう意味かで教訓的に学び取ってこれに対応するというような予防措置と申しますか、そういったものを考慮されているかどうか、これが一点です。 それから二番目には、団体法では加入命令、規制命令というものがあってアウトサイダーを規制しておりまするが、この独禁法で許可しております不況カルテルであるとか、合理化カルテルというのにはこれがないのでありますが、これは必要だとは思わないか思うか。思うとすれば、一体今度の法改正においてどんなふうな考慮を払おうとするのであるか、この点について公取委員長にお尋ねをします。 それから通産省の企業局長にお尋ねしたいことは、通産省としては勧告操短をやっているわけです。まことに困ったもので、日本の通産行政というものが、経済の将来の見通しを誤まったためかどうか知らないけれども、どんどん設備をやらせておいて、そうしてその次の日には、その設備が豊富であるにもかかわらず、操短を命じなければならない、こういうふうな現実ができているわけでありまするが、この勧告操短というのは、一種の政府が作らせるカルテルであるとも言えるわけでありまして、今度の独禁法改正に当っては、そういう変態的なカルテルを政府自身がやらせるというようなことは、通産省自身も困るであろうし、また、一般経済界もこれ困るのであって、企業局長としてはこの現実に対して、独禁法の今般の改正に当って、何か積極的な意見を公取に申しておるかどうか。そしてまた、この種の問題についてどのような見解を持っておられるか、この点を一つ明瞭に承わりたいと思うのでございます。
○政府委員(長沼弘毅君) ただいまお話のございました一種の実質的カルテルというものが、各方面で行われておるにかかわらず、それに対して独禁法的措置というものがいささか欠けておるというふうな御趣旨に解しましたが、よろしゅうございますか。——御承知のごとく、実は主として勧告操短という行政措置に伴いまして、実質的にカルテルまがいのものが非常にたくさん行われていることは、もう事実でございます。まあ、例をあげるまでもございませんが、耐火れんがであるとか、電気炉でありますとか、クラフト・ペーパーでございますとか、紙、梳毛糸、スフ糸でございますね、こういう方面において非常に行われております。これは独禁法的に私どもはどういうふうに見るかという問題でございますが、要するにその実体は何かと申しますと、根本的には生産制限、この生産制限というものを、どういう形でやっておるかということが問題になるのです。たとえば行政官庁が頭から行政措置によりまして、各社に対して生産数量を割当てる、指示するというふうなことになりますと、これは業界における共同行為というものはないわけでありまして、独禁法の条文にはちょっと触れかねるという状態になる。ところが、だんだん少しおかしくなる事態がありまして、業界に対して、主務官庁が諮問をする、あるいはもう少し一歩を進めまして、業界において事前の話し合いをまずまずつけてこい、しかる上において、形の上で勧告操短をするというふうな行政指示を与えるということになりますというと、これは実質的には、もはやカルテルではありますけれども、そこに行政指導というものが入って参りますというと、法律に違反するという要素をあるいははねのけてしまうというふうな解釈論もあると思います。私どもそういうような点におきまして、一応今のところ、法律違反ではないと考えておりますけれども、非常にむずかしい問題であるということは率直に申し上げておきます。 それから、今回の改正の方向に関連する問題でございますが、カルテルにつきましての、不況、合理化につきましてのアウトサイダー、これはやはり根本的な考え方というものはこういうアウトサイダーを、何と申しますか、加入脱退の自由というものは一応認めていくということでなければいかぬ。それはなぜそういうことかといいますと、私どもが持っております伝家の宝刀というものは、一般消費者と関連事業者の利益というものを考える、こういうことから出発している思想でございます。
○政府委員(松尾金藏君) 従来通産省関係でも、御指摘のように勧告操短というような形をとって参っておりますが、これの実質的な問題、あるいは法律との関係は、ただいま公取委員長からお話があった通りであろうと思います。独禁法との関係におきまして、現状では御承知のように現在の独禁法の制度の上では、いわゆる操短を自主的にやるということは法制上認められていないわけでありますが、従来の私どもが見ます実情におきましては、業界自体が、やはり独禁法の上で認められないようなことを、なかなか自主的に話し合うということが、従来非常にむずかしかったように思います。従いまして、私どもの現在考えておりますこと、あるいは従来独禁法改正の問題について私どもが主張しておりました点は、とにかく独禁法の上で特定のケースをにらんで、それが合法化されるような制度が設けられるならば、業界は現状よりもさらに自主的に話し合うようなことが容易になるであろうということを主張していたわけであります。従いまして独禁法の改正によりまして、現在勧告操短のような形でやっておりますものが、独禁法の改正によって合理化されることによって、従って業界も自主的に話し合いがうまくいくということになりますれば、当然新しい独禁法の改正の形で運用されて参ると思います。しかし御承知のように、業界の話し合いというのは、それぞれ業界の中で各企業の利害関係が錯綜しておりまして、なかなか自主的な話し合いがむずかしいのが実情であります。従来の勧告操短は、その大部分の場合が、業界の自主的な話し合いのむずかしいことを行政指導で補いながら、まあそういうことをしてきたという場合が多いのが実情であります。独禁法の今後の改正の問題については、このような実情もかみ合せて考えなければならないのではないかというふうに考えております。
○相馬助治君 ですから、企業局長に聞いたことは、そういうふうなお考え、そして、通産省当局が期待しているそのことを、公取委員長にも意見として強く進言し、その通産省の期待通りに法改正が行われるような努力をしておるか、こういうことを私は聞いておる。
○政府委員(松尾金藏君) 私どもも、そういう意味から、従来、公取の方ともいろいろ相談をして、折衝して参ってきております。やはり共同行為については、それに伴う一面の弊害がございますから、弊害のないように、弊害のない限度において、独禁法改正の問題について、私ども今申し上げたような主張をして参りました。大体、その考えは公取も採用していただいておるように考えます。
○委員長(田畑金光君) この際、ちょっと申し上げておきますが、下請代金支払遅延等防止法についても独禁法と関連して、資料の提出を願っておりますので、本件についても質問のおありの方は、御質問願います。
○島清君 今委員長の方から御指摘になりましたそれに関連をする質問ではございませんが、独禁法を改正されようとする趣旨に対して御質問申し上げたいのでありますが、ただいまの長沼さんの御答弁を伺っておりますというと、独禁法の改正をいたしましても、中小企業者がそれによって防衛をされて、そうして消費者の利益が擁護されるというような趣旨において独禁法を改正するのだと、こういうふうな意味の御答弁のようでございますが、もちろん、御答弁の趣旨といたしまして、そうでなければ御答弁になりませんので、そういうふうなお答えになるのは当然だと思いまするが、しかし、私たちが今の岸内閣のもとにおきまして、さらに資本家が独占をいたしまして、あばれたいほうだいにあばれておりまするこの現状からいたしますると、はなはだ残念ながら、長沼さんが高級な中央公論などにお書きになっておりまするような形において、私はこの独禁法の改正というものは御期待できないのではないかと、こう思うわけであります。たとえば、現在の独禁法にいたしましても、電機メーカーなどの作りまする電気器具、テレビにいたしましても、洗たく機にいたしましても、こういうものが暴利をむさぼっておるということは、これはだれでも知っておることなんです。しかしながら、皆様方の、あなたの方のお役所におきましてお取り上げになりまして、勧告するとかしないとかというて、まあ新聞を通じて拝見をしたことがございまするけれども、まあされたかどうか知りませんが……。しかしながら、まだその生産者の協定価格というものが厳重に守られて、そうして消費者の利益が守られてない。こういう姿なんです。そこで、こういったような生産者の協定価格というようなものを作りますと、あなたの役所の方でいろいろと御注文がありますので、そういったようなわずらわしい法律は、この際一つなくしたいというのが、私は独禁法を改正したいという側の方の御要望になっておると思うのです。 従いまして、あなたの御意図がどうであろうとも、私たちが今の政治の実権を握っております岸内閣並びにそれと通じまするところの経済界などとの結びつきから考えまするというと、あなたの意図いかんにかかわらず、私は消費者の利益が守られて、そうして中小企業がその法律によって間接的に防衛されるのだ、こういったような御期待をすることの根拠は、今の政治の情勢、経済界の情勢からして見出すことが非常に困難でございますが、この点について御答弁の根拠になっておりまする政治的な、経済的な、これを一つお示しをいただきたい。たとえば、私が御質問申し上げまする前提になっておりまする理論的な考え方も、資本が高度化して参りますると、固定化して参りますると、この資本は、申すまでもございません、釈迦に説法ですが、海外に市場を求めて流れる性質を持っておるのですが、しかしその場合には、軍事力が必要になってくるわけであります。しかしながら、日本は国内においてはそういう資本が独占化して、高度に固定化してしまいましても、海外の方に、資本の持っております必然的な姿が海外に流れていかないという制約を受けておる。制約を受けておりまするので、これが国内の弱い面の方に流れてきておりまするのが、いろいろの姿になって中小企業の圧迫となって現われて参っております。 そこでたとえば、資本の系列化の問題にいたしましても、これは中小企業団体組織法等の問題で、団体交渉というようなこれについての対抗策を講じておりまするけれども、しかしながら、こういうことは一応言ってみるというだけでございまして、実質的な効果は期待できない。これは今の日本の経済界というものが独占化をいたしまして、国内においてかなりあばれておる。その影響を中小企業者の諸君が直接に受けて、そうして苦しんでおる、こういう姿だと思うのです。 そこで御答弁になっておられまする、非常に形を変えれば抽象的で、長沼さんは文学的な表現を好まれまするので、非常にうまい御答弁でございまするけれども、そのうまい御答弁の根拠でございまするものを二、三点一つ理論的に御説明をわずらわしたいとこう思うのであります。
○政府委員(長沼弘毅君) きわめてむずかしい御質問でございますが、中小企業の育成という問題につきまして、私が育成と保護と両方を含めまして考えております問題は、ある狭い角度から施策を施してもだめだ。従いまして、中小企業の共同行為とか、団結とかいうものを相当大幅に認めるということも一つでございましょう。あるいはまた、下請代金というものを厳重に取り立てるような援護射撃をするというようなことも一つ、あるいはまた、中小企業の金融措置というものを十分にできるだけ講じてやるということもその一つでございましょう。いろいろなまた、税法上の考慮ということもあると思います。いろいろな角度から総合された施策が、中小企業の上にかかってくるのでありまして、私どもの公取という立場から申しますというと、これはつまり中小企業対策のごく一部というふうにまずお考え願いたいというのが一つ。 そこで、私どもが担当しておりまする分につきましては、先ほど豊田委員にもお答え申し上げましたように、独禁法の非常に大きな適用除外というものは、何と申しましても中小企業というもの、従いまして御満足がいかないかもしれませんけれども、独禁法上これほど優遇されている業種はまずないというふうに私は考えております。それから法律がどういう形になって参りますか、つまり今の内閣の政治情勢のもとにおいては、私の希望するような方角には参るまいという御判断でございます。これはどうも私の希望と結果とがどういうことになりますか、はっきり御答弁申し上げかねるのでありますが、ただでき上りました法律を運営していくという面から申しますというと、公取委員会というものは独立の、政治性のない機関でございまして、私の身分もそういう政治的考慮ないしは政治的圧力によって左右されないという保障を持っておる地位にある。従いまして、この地位に何と申しますか立っております私といたしましては、政治的な考慮ということを一切抜きにして、公正妥当な判断に従って行動する、かように御約束を申し上げます。
○島清君 今御答弁を願いましたところの立場については、十分承知しておりまするけれども、そこで、私は少くともこれをいじった結果が、あなたが御期待をされるような結果が生まれないということが見通されるならば、あなたの政治的な中立性、あなたの持つておられまするその権限にものを言わせて、現行独禁法というものをお守りになることも、あなたの仕事ではなかろうか。すなわち独禁法をいじらない、現行のままでいくということも、あなたの御職責ではなかろうか、こういうことをお尋ねしたわけであります。だから、そういったような政治経済の情勢の中にあって、独禁法をいじらなければならぬという政府の趣旨であるということを、私は承知をいたしております。しかしながら、それを今のあなたの立場からして、この政治経済の情勢の中にあらわれて、いじることによって今私たちが憂慮するような結果が生まれるとするならば、むしろ、あなたの職責からいたしまして、いじらないことも、あなたの御職責ではなかろうか、こういうことを実はお尋ねしたかったのです。
○政府委員(長沼弘毅君) 私の予想ないし判断によりまして、もし今後来たるべき法律が中小企業の利益を大いに阻害する、侵害するというふうな方向に向っておると予想いたしますれば、私はそれに対して敢然と反対をするという立場があろうかと存じます。
○豊田雅孝君 ただいま委員長から支払い遅延関係に入るようにというお話がありましたので、支払い遅延関係に入りますが、その前に先ほどの質問に関連いたしまして、具体的な問題として残っておるものを一括時間の関係がありますから四点、先にお尋ねしまして、直ちに支払い遅延の問題に入ります。 第一点は、大会社が同業の子会社に対しまして原材料の支給であるとか、あるいは下請代金の支払いの関係であるとか、そういう面におきまして実質的に経営難にだんだんなるように追い込んでいって、そしてこれを結局は吸収合併していくというような行き方が、最近では相当ある。従って会社の合併ということについては、よほど厳正に判断していかないというといかんじゃないか。従って、さような会社合併については禁止措置があってしかるべきじゃないかということでありますが、この点についてのお考えを承わりたい。 第二点は、再販売価格維持契約に関する法律ができておりますが、この法律には大きな抜け穴ができておるわけであります。要するに生活協同組合その他のものにつきまして除外例がある。これがために非常に再販売価格が乱れていくのである。従って利益があった場合には、生活協同組合なども、割戻し、歩戻しの形で組合員に戻していく。しかし販売価格というものは普通の販売価格でいくというふうにすることがいいのじゃないかというふうに考えるのでありますが、そういう面におきまして、再販売価格維持契約に関する法律の原案に戻すべきじゃないか、これは過去において、原案は今申しましたように一律に再販売価格の維持契約をやるようになっておったのでありますが、それが当時修正されて、今のような形になったのであります。そういう点において原案の方がいいじゃないか、これについてのお考えを承わりたい、これが第二点であります。 第三点は、最近問屋の返品が非常に多くて、中小メーカーがこれがために一そう不況の深刻度を増さされておるというのが実情でありますが、これを調べてみますと、問屋の返品じゃなくて、その問屋には百貨店が不当返品してくる。そのために、問屋はまた仕方なくメーカー側に返品するというような実情であります。従って百貨店返品について最近どんな取締りをしておるか、これを伺いたいのが第三点であります。 第四点は、公正取引委員会に諮問機関を設けまして、そうしてその諮問機関には中小企業代表者等を入れられて、絶えず中小企業の意見というものを十分に反映させるようにせられてしかるべきじゃないかというふうに考えるのでありますがこの点はどうかというのが第四点であります。 それで、あとは支払い遅延関係の問題でありますが、最近発表せられたところによりますと、支払い遅延改善を勧告した件数が三十一年度では十九件です。ところが、三十二年度は約四倍の八十一件に達しているという数字が出ているのでありますが、これは要するに金融引き締めに伴って、親工場の売掛金がふえたとか、受取手形の期間が長くなった関係から、その結果を下請代金の支払いにしわ寄せをしてきたのが大きな原因になっていると考えるのであります。しかし、こういう面につきまして、公取の方で絶えず自発的に調査をせられるというのでありますが、事実それほどの手もない。密告をさせるようにしているようでありますが、業界では後難をおそれてなかなか密告しない、ここに非常に問題があると思うのであります。それについて対策がないことはないと思うのでありまして、その対策の一つとしては、御承知の有価証券報告書、これに一億円以上の払い込み会社については監査報告書を添付することになっておりますが、あれの中に未払いの下請代金、これを明確に報告させる。そうしてこれを公正取引委員会にも提出させるということになると、これは非常にはっきりしてくるので、公取の調査上非常に態率が上ってくると思うのであります。密告をさせることも、必要がだいぶ減ってくるでありましょうし、公取自身が問題があるかと思うと調査に出かけるということじゃなくて、監査報告書によって調べて、直ちに出動できるということになると思うのでありますが、この点についての御意見はどうであるか。 それからもう一点は、これは前の横田委員長のときに、私から質問を予算委員会でしまして、当時横田委員長は賛成をせられたのでありますが、その後どういうふうになっているかという点を確かめたいと思います。それは、九十日以上の手形の支払いについては、不公正な取引を是正するという意味合いにおきまして、超過日数分の利子を振り出し人の方で負担するようにしていくべきじゃないか。これについては当時横田公取委員長は賛意を表し、そういう方向に向けていく、また法律改正が必要ならば法律改正をするということであったのでありますが、その点について長沼委員長はどういうふうにお考えになりますか、以上、一括して御質問申し上げます。
○政府委員(長沼弘毅君) 最初の御質問でございますが、大会社が小会社をだんだんに支配していったあげくの果てが合併をしていくというお話しでありますが、これは御承知の通り独禁法の建前から申しますと、合併というものは、大小を問わず全部スクリーングするという考え方に立っているのであります。従いまして、ほかの共同行為といささかおもむきを異にいたしまして、規模の大小を問わず、ほとんど全部われわれが見ている、こういうふうにお考え下さっていいと思います。従ってそういうことでございますので、なかんずく不公正な取引方法という一種の腕力ざたによる合併というようなものは、これはかなりほかの問題よりも、手広く深く私どもの触角に触れ得る場面でございまして、御心配のようなことはまずまずないというふうにお考え下さってよかろうと思います。 それから再販売価格の維持、問屋の返品の取締り、この点につきましては、私十分に習熟しておりませんので、事務局長より答弁をさしていただきたいと思います。 最後の諮問機関の問題でございますが、これは答申案にもございますように、民間の有識の方々に御参加を、どういう形になりますか存じませんが、願いまして、いろいろお知恵を拝借するということを、公取の制度として取り入れたらどうかということになっております。これはぜひ実現いたすつもりでございます。 それから下請の関係に入りますが、前国会におきまして、豊田委員から下請の支払い促進につきまして、有価証券報告書といものを活用したらどうかという御質問かありましたことは、私も承知いたしております。その後いろいろ研究しておるのでございますが、これはまことに御着想としてはけっこうなことでございますし、なし得ればさようなこともいたしたいと存じますけれども、何と申しますか、御承知のごとく下請の関係というものは千万円というものを境にいたしまして、千万円以上のものは親である、以下のものが下請であるという関係で、線の引き方がかなりきめがこまかい。有価証券の報告書によりますというと、これはたしか一億円でございます。かなり小幅なものが逃げてしまうというおそれがございます。さような点でこれを強行いたしますことが、果して業者のために利益になりますかどうか、この辺はもう少し研究さしていただきたいと存じます。 それから支払手形のサイトが九十日をこえるものについては、金利の負担を親会社にさせたらどうか、こういう御意見でございますが、これも画一的に私はそこまで踏み切ることがいいか悪いか、九十日をこえましても、あるいは親の信用によりまして、その手形が案外簡単に割れるというものであれば、そこまで厳重にする必要もないのではないか、いろいろ具体的なケースによって違うと存じます。また、九十日が短いか長いかという問題につきましても、各業態によって、慣習もそれぞれございますので、一がいに言い切れない。百二十日でも通用し得ることも、まれにはあり得ることでございます。のみならず、これは手形の金利負担というものは、一体振出人が負うべきであるか、引き取った側が負うべきであるかという法律上の根本問題に触れます。この下請という問題の一角から、この大問題を支配的に動かしていくのがいいか悪いかということについても、法律的に大きな疑問があると存じます。しばらく勉強さしていただきたいと思います。
○豊田雅孝君 今の点につきまして、有価証券報告書あるいは監査報告書のことにつきまして、一億円以上の問題になるから、ちょっとどうだろうかという御意見でございますが、これは今日一億円という金は大したことじゃないのでありまして、ちょっとした会社は一億円ぐらいになっておるのであります。ことに、せめて一億円以上の会社だけにでも、今申す有価証券報告書なり、あるいは監査報告書によって自動的に未払代金の累積が発見せられ、直ちに出動ができるということになりますと、これは全体的に非常に支払遅延防止の上に実効を上げていくと思います。一億円のものだけでもいい。これはどんどんおやりになることが、確かに全体にプラスになると思いますので、ぜひこの点は御研究を願いたいと思うのであります。 それからもう一つの、長期にわたるサイトの手形の金利負担の点でありますが、これは従来現金払いでやっておったにかかわらず、いきなり九十日あるいは百二十日の手形を振り出されてくる、そういうような場合は、これは全く経済取引といたしまして、優越なる地位にある者が弱小なる地位にある者に、一つの不公正なる取引を強制するという見方になると思いますので、そういう点で出された手形を受けとらんならぬという泣き泣きの状態になるのであります。従って、こういう面については、当然不公正取引の一端として対策を立てていかなければならぬのだというふうに考えまするので、この点は、前委員長のときには、問題なく一つ法律の改正なり何なりしていこうということであったのでありますが、今のお話しだと、今度は後退することになるのでありまして、これはどうかと思うのでありますが、世間では長沼委員長が現われて、だんだん公取は大企業本位に動いていくのじゃなかろうかということまで言うのでありまして、そんなことは私はちっとも思いません。それだけに前委員長のときにやろうと言っておったようなことは、ぜひやるという方針で御研究を願いたいという点を、特に強く要望いたしておきます。
○政府委員(坂根哲夫君) ただいま豊田さんの御質問の中で、再販価格の問題と問屋返品の問題が出されておりますが、再販価格の問題は、実情は豊田委員の御指摘のように、十一団体があるために、かなりいろいろな問題があるわけでございますが、この十一団体はそれぞれ法律によってその性格をきめられておりますから、その法律の性格に基いて行なってもらえれば、あるいはその波及する範囲が少いのじゃないか。たとえば、員外利用を禁止するというようなことをしていけば、私は豊田委員の御指摘の点は、ある程度防止できるのではないかと考えております。 それから、問屋返品の問題は、ただいま私どもの方で百貨店に対する繊維の問屋との関係を、納入関係を具体的に調査いたしまして、ただいま取りまとめ中でございますから、その結果が出ましたら、また御報告できるかと思います。 —————————————
○委員長(田畑金光君) この際委員の異動について御報告いたします。 本日大谷贇雄君が辞任され、その補欠として佐野廣君が委員に選任されました。 —————————————
○委員長(田畑金光君) ちょっと速記をとめて。 〔速記中止〕
○委員長(田畑金光君) 速記を始めて。
○椿繁夫君 ただいまの下請代金支払い促進法に関する問題で、一、二点お尋ねしたいのですが、この法律が制定になりまして以後、昨年の五月に金融引き締めの政策がとられ、そのしわが下請工業あるいは商業の方にしわ寄せになっておる傾向については、ただいまお話があったのですが、非常に深刻な影響を与えております。金融引き締めの政策が、昨年の九月通産省の報告するところによりますと、五百件の企業の倒産を報告し、それが本年一月になりますと、八百十件に倒産の件数が増加しておる。もちろん、これは金融政策の変更の結果のみの影響とは思いません。技術革新でありますとか、一般的不況の進行でありますとか、いろいろ原因はあると思いますけれども、五月の金融引き締め以後、特にこの傾向が顕著になっております。その犠牲を下請工業の方に多くしわ寄せしておりますことが、傾向としても看取できるのであります。このような不公正取引きの現状を打開する一環として、今豊田委員から手形九十日払い、それを超過する部分についての金利負担について、委員長の所見を求められたのでありますが、この手形払いがなされるまでに、検収の時期が非常におくれておる。はなはだしいのになりますと、納品いたしましてから一カ月、あるいは二カ月、長いのになりますと、三カ月をこえてからでないと検収をしない。このようにおくらせて検収した結果、あげくの果に支払不能がここにいただいております資料に出ておる手形サイトになってこれは現われておるのであります。ですからこの検収の時期などを、何らかの方法によって定めて、そうしてこの支払い時期を遅延させるのを防止して、中小企業の立場というものを擁護することを、何かこう考えいただかなければならぬのではないかと思います。で、そういうことについての委員長のまず御意見を求めたいと思います。
○政府委員(長沼弘毅君) まことにごもっともなお説でございまして、それに関連いたしまして、もう一つ問題がある。と申しますのは業態によっていろいろ違いますが、納品をしたと、それを検収以前において受け取ったか受け取らないかという問題がもう一つ実はあるのです。その次に検収が起り、その次に実は手形が起るという問題になってくるかと思います。まことにごもっともなお説でございまして、これは従来私ども昨年度におきまして、約七百五十件の調査をいたしておりますから、この精密調査に入りますと、非常識な検収期間というものがどんどん出てくる。で、非常識な検収期間というものは、法律的に読んで見ますと、下請業者の給付の受領を拒んだということと同罪だと思うのであります。同罪という言葉は、悪うございますが、同じことだと思います。従って、行政指導的にも十分これは監督いたしていける問題だと思いますが、さらに、これを制度化するかどうかということになりますと、どの辺の検収期間をおいたらいいかというめどを、まだ実態的につかんでおりませんので、しばらく時間がかかるかと思います。
○椿繁夫君 私ども以上に、検収の時期がおくれておることについて深くお考えいただいておることに敬意を表します。十分これは一つ研究をしていただいて、不公正取引の原因の一つでもなくするように御尽力いただきたいと思うのですが、この下請代金支払促進法という法律が、検収の時期でありますとか、それからその支払いの、一体納品し検収されてから何日間経過すれば、これは遅払いになるのかというような、遅延度というようなものが定められて法律がいませんために、これなかなか議論の分れるところになるわけですが、この検収の時期を定めるとともに、それ以後このいただいております資料によりますと、遅延度とは当月買掛金残高プラス締切日から支払日までの日数、日数三十日と、こう書いてございますが、こういう三十日を締切日から支払日までの日数を三十日というふうにこれはお考えになって、これをこの日にちを超過してなお支払いを受けていないというものを遅払いというふうにこれはお考えになる行政基準というのですか、そういうふうにお考えになっておるのでございましょうか、これ一つお尋ねいたします。
○政府委員(長沼弘毅君) 御説明いたします。これは左側の方はよろしゅうございますね。ただいまの御質問の三十で割るといいますのは、つまり十日上段がかかるとするとそれを三十日で割ったものが、零点幾つというふうに遅延度として出てきます。
○椿繁夫君 そういたしますと、一体いつからいつまでは、いつからが支払い代金の遅延、いわゆる公取の、この公正取引という見地から監督をされる何になるかということの基準が、もう一つ定まっていないわけですね。そういたしますと、これは何かの法律によって、中小企業の立場、下請事業というものの立場を擁護するために、一つの明確な基準を法律かなんかで定める必要があると思うのですが、その点につきましては、委員長のお考えいかがですか。
○政府委員(長沼弘毅君) まず第一段でございますが、この三十で割ると申しますのは、一月以下の半端も読み取っていこうということでございますから、親切な規定でございます。それから上の欄にあります締切日から支払日というものは、御指摘のごとく締切日とは何ぞやということが実は明確でない。従いましてこれは行政的な指導をするより仕方がないのでございますが、全体的にごらん願いますと、この表に出ておりますように、遅延度というものが一・五という限度四十五日でございますね。四十五日に到達いたしますと、まず遅延の現象が起っておる、こういうふうに私どもは認定をして行動をいたしておるのであります。
○椿繁夫君 だいぶこれでいただいております資料の内容がわかったのですが、どうでしょうかね、今のようなお考えで、そうしてそれを基準にして、この公正取引を推進していただくわけでありますが、何か明確な基準をやはりこの法律改正によるか、この今の独禁法のところにこれを入れることができなければ、改正の際に挿入することができなければ、この支払い遅延防止法の法律改正を行うか何かをやることによって、検収は幾ら、支払いの期日はそれから何日、それをこえるものには、金利負担は親工場が行うと、豊田委員の九十日をこえた手形の部分について金利負担を親工場が行うことになると、先ほどお話しのような、むずかしい一般の手形に対する金利負担を、一体買い取り側がやるのか、受け取り側がやるのかという大問題になると思いますので、何日間とこう定めて、それをこえる今の金利負担については、親企業がこれを負担しなければならぬというふうな工合に明確にすることが私は必要だと思うので、それについて委員会の御意見も聞きたいのでありますが、かりにそのように制度化されましても、なおそういう条件でなければお前の方は気に入らぬのであれば、発注を取りやめるとか、あるいはこういうふうにしてはおくが、実際の取引はこうなんだぞというふうな、この裏の条件などもいろいろ町には行われておるのであります。こういうところまで深い思いやりを持って、最近の金融引き締め政策の深刻なしわというものを一身にかぶっておる中小企業というものを守る対策を、いろいろ一つ考えていかなければならぬと思うのですが、この二点について御所見を賜りたいと思います。
○政府委員(長沼弘毅君) 第一点につきましてお答えいたしますが、御趣旨は非常によくわかっておりまして、ごもっともだと思うのでございます。ただ、私どもは、今技術的に踏み切れないという問題が若干あるのです。一例を申しますと、検収の時期というのは、ある程度にきめるといたします。そういたしますと、この期間というものは、業種によって非常に差があると思います。そうしますと、最大公約数をとって、どこできめるかということになりますというと、うっかりすると、一番長いところできめる、こう長きに引きずられるというおそれが多分にある。そうしますと、短かいところの業種というものは、損をするということがあり得る。そういう点のみならず、この下請関係で現実にいろいろ問題が起って参りまする業種というものは、電気機械でありますとか、輸送用機械でありますとか、産業機械、光学、精密機というふうなものでありまして、検収にかなり手間どる業種が、実は下請問題で、現実に起ってきておるという実情である。従いまして、御趣旨はよくわかりますが、もう少し技術的に検討をいたしませんというと、はっきりしたことも申し上げかねると存じます、それから、かりにそういう措置をした場合に、親企業の方で選択委託と申しますか、日を変えて発注をしないというふうないやがらせをすることに、往々にしてなりがちだと思います。これは明確な事情がわかりますれば、これは法律違反だと思います。不当な拘束を加えたということになると思います。しかしながら、残念なことに、先ほど申し上げましたように、公取の機構というものは、それほど下請企業の万般に、あらゆる現象を漏れなくにらんでおるという工合に、まだ実はなっておりません。従いまして、いろいろなところでもって選択委託というようなことが紀り得るようなことが、十分予想されますけれども、最も顕著な支払い遅延というものを追いかけるということに懸命でありまして、底のまた底まで取り締るということは、現状においてはなかなかむずかしいことである。大へんどうも御答弁になりませんけれども、実際はそういうことでありますから、御了承願いたいと思います。
○阿部竹松君 最後に簡単に三点だけお尋ねいたします。 第一点は、四月ころの話ですから、長沼委員長さんが就任されてからか、横田前委員長さんの時代かわかりませんから、御答弁は局長さんでもよろしゅうございます。それは、新聞にいろいろと出ておりましたが、石炭業界で非常に出炭過剰で、石炭が安くなるし、どうも困るということで、五十万トンほどの貯炭をするために貯炭会社を作るというような話がございました。当時、公取委員会の方では、これは独禁法違反であるという見解を、それぞれの新聞に出しておりましたので、それは公取委員会の正式な発表でないとかあるとかいう意見も聞きましたので、この際明確に、そういう新聞はデマであるかどうかということを、その点を一つまず第一番にお尋ねいたします。 それから、その次に、電機メーカーとか、その他のメーカーが生活協同組合、つまり生協に物を売っちゃいかぬというようなきめ方をしておるところがあるやに、これも聞いておるわけです。こういうことは、独禁法に照し合せて、どういうことになりますかということが第二点目です。 第三点目は、これは具体的問題として、川上長官もお見えになっておるから、川上長官にお尋ねしたいのですが、たとえば中小企業を育成強化するということは、これはもう政府も毎回毎回総理大臣初め通産大臣、川上さんからも、耳にタコができるほど聞いているわけです。しかし現実の問題として、百貨店法ができたからかどうかわかりませんが、東急の例をとってみても、高円寺、あるいはまた駕籠町等においても、東光ストアとかなんとかいう、実際上は、どこから出しておるかわかりませんが、しかしこれは、表面は全然別個の法人になっておるわけです。資本は一切東急なり、あるいは白木屋デパートが出しておる。百貨店法で縛られてから雨後のタケノコのごとく、そちらこちらにあやしげなものができてきてその辺の中小企業は、とにかく全部アウトになる。こういうことについて、この独禁法を開いてみると、なるほど法人が違うから、これは独禁法違反ということはなかなかできぬようになっておるけれども、しかし、これは実際には、内容は一つの同系会社でもって一切がっさい占めておるという裏面があるわけです。こういう点については、公取の皆さん方はどうお考えになるか。 それからもう一つは、さいぜん申し上げました中小企業庁長官の川上さんは、こういう問題が出てきているのを一番よく知っておられると思うのですが、こういうものを放任しておけば、中小企業を助けると言って、いかに名演説をぶったところで助からない。従って、これをどうするかということだけ最後にお尋ねしておきます。
○政府委員(坂根哲夫君) 第一点の貯炭の共同行為の問題につきましては、当時新聞に、たしかそういう記事が出たように記憶しておりますが、これは私どもが驚いたような実情で、どなたかが個人的にお話しになったものが出たのだろうと思います。それ自体がすぐ独禁法違反になるかどうかという問題は、おそらくその程度の問題だと、そう問題にすべき筋のものではない、こう考えております。 それから第二の、電機メーカーが生協に売らぬということ、これは条件のつけ方ですが、独禁法のボイコットになるおそれが多分にあるのじゃないか。これはもう少し実情を聞いてみませんと、はっきりわかりませんが、それ自体を取り上げると、多少問題になる、こう考えております。 それから中小企業庁長官にお聞きになった最後の、たとえば具体的には例の東光ストアの問題であろうかと思いますが、これは私どもの方で、今、阿部委員のおっしゃったように、法律的には非常に乗りにくい問題でございますが、一応各方面から問題を提起されておりますから、今、現在調査さしております。お答え申し上げます。
○政府委員(川上為治君) ただいま公取の事務局長からの説明がありましたように、東光ストアの問題等につきましては、私どもの方としましても、非常に関心を持っておりまして現在、公取の方でいろいろ調査をさしてもらっておるのでございますが、私どもの方としましても、何かそういうものについて、現在、百貨店法におきましても、あるいは独禁法におきましても、十分な取締りと申しますか、そういうことができないような状態になっておりますので、もし、相当な弊害があるということになりますれば、この問題につきましては、いろいろ法律の問題その他の問題を検討いたしまして善処したいという気持を持っておるわけであります。
○委員長(田畑金光君) 御質問もないようでございますので、本日の委員会は、これで散会いたします。 午後零時二十八分散会