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29回国会参議院1958/07/04

社会労働委員会 第6号

発言数
62
登壇者
8
会派数
2
開催日
1958/07/04

会議録

久保等日本社会党

○委員長(久保等君) それでは、これより社会労働委員会を開きます。  委員の異動を報告いたします。七月四日付をもって谷口弥三郎君及び山下義信君が辞任せられ、その補欠として斎藤昇君及び片岡文重君が選任されました。   —————————————

久保等日本社会党

○委員長(久保等君) 前回の委員会で決定いたしました継続・審査要求案件のうち、衆議院において継続審査とならないものは、議長あての要求書を提出いたさないことといたします。御了承を願っておきたいと存じます。   —————————————

久保等日本社会党

○委員長(久保等君) この際、前回決定いたしました国際労働条約批准等に関する小委員等の指名をいたします。小委員の数は八名とし、小委員には勝俣稔君、柴田栄君、斎藤昇君、草葉隆圓君、山本經勝君、藤田藤太郎君、片岡文重君、中山福藏君を、また小委員長には藤田藤太郎君を指名いたします。   —————————————

久保等日本社会党

○委員長(久保等君) この際、請願の審査についてお諮りいたします。本委員会で付託されました請願の審査については、あらかじめ調査室において内容の下審査を行わしめていたのでありますが、その結果、左記の請願はいずれも採択して内閣へ送付を要すべきものと認められ、残余の請願はさらに審査を行うを要するものとなっております。その番号は、専門員をして報告いたさせます。

増本甲吉常任委員会専門員

○専門員(増本甲吉君) 調査室で下調べをいたしまして、採択せられまして相当と考えるものを申し上げます。  第十七号、地方衛生研究所に関する立法措置の請願、第四十三号、同件名でございます。第八十八号、国民年金制度実施促進に関する請願、第五十八号身体障害者年金制度実施促進に関する請願、第百三十四号、国民年金制度の法制化に関する請願、第十二号、結核医療の基準改正等に関する請願、第十四号、簡易水道事業費国庫補助増額等に関する請願、第百三十号、簡易水道布設費国庫補助増額に関する請願、第八十九号、し尿終末処理施設設置費国庫補助増額等に関する請願、第百十一号、熊本県水俣湾沿岸地帯の奇病発生原因早期究明に関する請願、第百十九号は同件名でございます。第百三十五号、東北地方に高血圧調査研究所設置の請願、第十三号、身体障害者の処遇改善に関する請願 第百三十一号保育所措置費国庫負担増額に関する請願、第百三十二号、東北地方に国立精神薄弱児施設設置の請願、第百六十九号、子どもセンターの法制化に関する請願、第百三十三号、国民健康保険法改正に関する請願、第二号、失業対策事業就労者に夏季手当支給等の請願、第四十六号、失業対策事業就労者に夏季手当支給等の請願、第百五十四号、大分公共職業安定所竹田分室の出張所昇格に関する請願。  以上でございます。

久保等日本社会党

○委員長(久保等君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕

久保等日本社会党

○委員長(久保等君) それでは速記を起して。  ただいま報告いたしました請願は、これを本院の会議に付するを要し、内閣に送付を要するものと本委員会において決定いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

久保等日本社会党

○委員長(久保等君) 御異議ないと認め、さよう決定いたしました。   —————————————

久保等日本社会党

○委員長(久保等君) 速記をとめて。   〔速記中止〕

久保等日本社会党

○委員長(久保等君) 速記を起して。  労働情勢に関する調査の一環として、炭鉱災害に関する件を議題といたします。御質疑を願います。

阿具根登日本社会党

○阿具根登君 まず、労働大臣にお尋ねいたしますが、労働大臣すでに御承知のように、前回の大臣のときにガス爆発が非常に相次いで、労働大臣の責任所管ではないけれども、労働者の責任者として、基準局長をして鉱山保安局長に勧告をされたことがあったと思います。昭和三十一年二月の二十四日であったと思います。それから、災害は減ることもなく、非常に続いておるのであるが、その勧告後、大臣として通産当局に対して、そのとった処置その他をお聞きになったことがあるかどうか。あったならば、どういう回答に接しられておられるか、その点、まず質問いたします。

倉石忠雄自由民主党労働大臣

○国務大臣(倉石忠雄君) 最近もまた、鉱山の災害が続いて起きておりますことは、まことに残念千万でありますが、今御指摘の一ように、労働大臣から、所管省である通産省に向いまして、この前のガス爆発に際して勧告をいたしました。その結果、通産省においては、鉱山保安規則の改正等、適切な措置をだんだんをいたして参っております。従って、そのためばかりではございまするまいが、ガス爆発といったような事故は、御承知のように、その後そう大きいものは出ておりません。

阿具根登日本社会党

○阿具根登君 労働大臣がそのくらいの御認識しか持っておられないので、災害が続くのではないかと私は思う。その後でも貝島の爆発、最近は砂川の爆発、思いもよらない大きな炭鉱で大きな爆発を起して、それぞれ十名くらいの人が死んでいる。こういうことが現実に行われている。しかも、坑内で一番おそれられておるのはガスと水害でございます。水害は、御承知のように、東中鶴で十八名、中興鉱業所で二十九名、今度また本添田で二十五名、そのうち二十三名は、それこそ奇蹟的に助かったのです。助かったのが不思議なくらいにあれは助かっておるのです。こういうことが起っておるその原因をまず調べなければならない。直接の責任は通産省にございますから、通産大臣が見えた場合に、十分御質問申し上げますが、まず労働大臣として、そういう災害の起っておる炭鉱がどういう状態に置かれておるか、こういうことをお調べになったかどうか、その点一つお伺いいたしたい。

倉石忠雄自由民主党労働大臣

○国務大臣(倉石忠雄君) ただいまお話の中興等の事件が続出いたしております、このことについては、それぞれ現地の事情を、われわれの方としては十分調査をいたしておるわけであります。労働省では、こういう災害、ことに今日なおその被害者の遺骸も全部搬出することができないというような事情については、はなはだ遺憾千万であります。所管の当局に向って、これが善後措置について十分努力をいたすように、今も、もっぱら関係官の間において検討さしておる最中でございます。

阿具根登日本社会党

○阿具根登君 大臣が御承知ないのは無理ないと思うのです・けれども、私どもは、ほとんど国会のないときには全国の炭鉱を回っております。そうして調査いたしますと、こういう被害の起った、ただたいま申し上げました三つの炭鉱を見た場合でも、ほとんど例外なく、坑内で十一時間から十二時間働いております。大臣の所管下にある基準局の人たちは、それぞれの持ち場を回っておられるけれども、いわゆるマンネリズムになっておるのか、ほとんどそういうことを知っておらない。いわゆるお役所仕事です。これは、ただ報告を聞いただけでは実際にわからない。賃金台帳を調べてみても、何時間坑内におったから賃金は幾らだということは載らないのです。全部これはノルマです。全部過程をきめられておる。たから、その過程が終らなければ賃金が非常に安く、生活ができない。だから、その過程を終えるまで無理に坑内におる。十一時間も十二時間もおる。これが大臣の手元に一カ所からでも、どこかの炭鉱が十二時間も坑内に働いておるということが出ておれば、私は幸いだと思う。一カ所も出ておらないと思うが、どうですか。それをお聞きします。

倉石忠雄自由民主党労働大臣

○国務大臣(倉石忠雄君) 長時間労働について、ことに炭鉱における今までのほとんど慣行的に行われておるような事柄については、私も聞いております。従って、そういうことについては、基準行政の立場から、逐次是正をしていくようにせなければならない。しかし、山の実情につきましては、阿具根さんもよく御存じのように、いろいろ昔から伝統的に行われておる習慣的なものがあるようでありまして、こういうものは、順次改めさしていかなければいけませんので、そういうふうに指導をさせるようにいたしております。

阿具根登日本社会党

○阿具根登君 大臣の今の答弁が、私は一番気にいらない。これは、基準法ではっきりしておる。八時間労働、特に許可のあった場合には二時間延長してよろしい。坑内は十時間以上は勤務さしてはいけないということがはっきり示されておる。それを、山々の実情によって、知ってはおるけれども、今までの慣行、慣習で、逐次やめさしていく。私は、これでは逐次どころか、永久にやまない。そういうものを聞くような中小炭鉱の山主ではございません。大臣がここで、十時間以上働かしたならば厳重なる処罰をする、法の示すところによって厳重なる戒告をするとおっしゃられても、私は直らないと思う。それくらい山の中小炭鉱の持主というものは、心臓も太いのです。あなたが手足のごとく使われる基準局の官吏の人たちは、まるで子供扱いされておる。実際坑内の実情を知らない人たちが監督官として乗り込んでいかれても、海千山千の山の主だちは、子供扱いして問題にしておりません。そういう実情にありながら、慣行上いたし方ないから、逐次直してい、こういうことでは、私は、炭鉱の災害は永久に直らない、かように思うのです。かりに私が調査した範囲内での諸外国の例を見ましても、一日八時間、一週四十八時間制をとっておる。これは坑外だけです。坑外でそれ以上働かせてはいけない。オーストリア、カナダ、ギリシャ、インド、イタリア、ユーゴスラビア、こういう所なんです。それから、坑内の労働時間六時間、しかし、坑内は特殊の事情もあるので、ちょうど日本できめておるように、許可制で、許可があった場合には九時間、一週三十六時間から五十四時間というふうになっておる所が大部分でございます。先般も申し上げました通り、ILOでは、世界の資本家と労働者と政府の代表が集まられて、そうして坑内労働は七時間四十五分をこえてはできない、入坑から出坑まで七時間四十五分にしようじゃないか、こういうことを話し合っておることは、御承知の通りです。こういうことが世界で話し合われておるのに、日本は十二時間も働いておる。これでは、私は災害はとてもとても撲滅はできない。そこで、こういういまだかってない十八人の人、籾井炭鉱の四名の人、中興炭鉱の二十九名の人、これはまだ一名も出ておりません。東中鶴は七カ月になります。もうおそらく骨だけでしょう。江口鉱業所は二十九名、二カ月になります。おそらく腐らんしてしまっておるでしょう。こういう実態が中小炭鉱でまだ今後続々起ってくると思う。東中鶴をやったばかりで、そのあとで、今度は江口に起ってきた。江口鉱業所の方がたった一回ここで問題になっただけで、本添田が二十五名もやられた。私がこういうことを言っておる間に、またどこかで水が出るかもわからぬ。まだ十二時間労働しておる。たから、所管大臣として、、特に坑内労働については、現在の法律から見ても、十時間以上は絶対働かせることはできない、これくらいのことを私は言ってもらわなければならないと思う。私自身もよく知っておる。そういうことになったならば、中小炭鉱の人で、非常に生活に支障をきたす人も起きてくるかもわかりません。しかし、人間の生命と比べる場合には、そういうことを参酌しておったのでは、人間の生命を守ることはできない。こういう考え方から、はっきりとここで法を守らなければならないということを言っていただきたいし、なおまた、ILOできめている七時間四十五分というものは、日本の法律では、この基準法一本にしかなっていないので、こういう点も、早急に日本で批准する心がまえがおありになるかどうか、お尋ねいたします。

倉石忠雄自由民主党労働大臣

○国務大臣(倉石忠雄君) 私が、山のいろいろな伝統的事情と申し上げましたのは、これは、ずっと前には、阿具根さんの御存じのように、小さな山で、従業員と経営者がどっちも希望するような格好で、長時間労働が行われておったようなことがありましたので、これは、政府としては困ったことだ、従って、私どもの基本的な考え方としては、今御指摘のように、炭鉱は、坑内労働という特殊な労働でありますから、基準法に違反するような長時間労働に対しましては、労働省としては、なお一そう厳重に取り締っていく、そういう考え方においては変っておらないのであります。

阿具根登日本社会党

○阿具根登君 大蔵大臣がお見えになって、お急ぎのようですから、労働大臣には、あとでまたお尋ねをいたしたいと思いますが、大臣から、こういう頻発する坑内の災害等をお考え下さって、直ち−に所管庁に対して、十時間以上の坑内労働はおかしい、禁止せよ、このくらいの処置をとっていただきたい。簡単に申し上げますと、世論が、新聞がたたいた神風タクシーで去年死んだ人は、たしか四百三十二名だと私は思っております。そうして、人々が、炭鉱では災害がつきものだというような考えになっておるかわかりませんが、炭鉱で死んだ人は、六百五十三名であったかと思います。それだけ神風タクシー、あるいは殺人タクシーといって、新聞であれだけ騒がれておるこのタクシーの被害よりも、炭鉱が年々歳々受けておる被害者の方が多いことをお考え願って、ややともすれば、新聞等でも、あるいは政府の皆さんの中にも、炭鉱には災害がつきものだ、こういう考えがおありになるのじゃなかろうかと思う。炭鉱でそういうことがあるのはおかしいことだ。外国と比べてみるならは、インドの倍です。千人当り日本は一・九一人死んでいる。インドでさえも〇・八人しか死んでいない。ほかの先進国は推して知るべしです。そういう、一番人道的な、一番民主主義で尊い人命が、後進国よりも日本の方がはるかに多いということは、これは、為政者はもって非常な恥としなければならないと私は思うのです。そういう点から、十分なる一つ警告を発していただきたい、かように思います。  次に、大蔵大臣にお尋ねいたします。大蔵大臣は、この問題についてはあまり御存じないかもわかりませんから、少し詳細に申し上げてみますと、最近九州の炭鉱で、水害が非常に勃発いたしております。これは、新聞で御承知と思いますが、先ほども申し上げましたが、東中鶴で十八名、籾井炭鉱で四名、それから中興鉱業所の江口炭鉱で二十九名、本添田炭鉱で二十五名、これは辛うじて、たまたまそこに炭函があって、その炭函が防壁になって、水が出てくるときに非常に多くの泥土を押し流してきた。それが防壁になって、奇跡的に二十二名の人が助かった、こういうことでございます。こういうことが起る前々から、こういうことを非常に懸念いたしまして、衆議院でも、参議院でも、委員会でこれは数回論議されております。ところが福岡は、九州は、たまたま戦禍を受けて、坑内の図面がなくなってしまっておる。だから、坑内の図面がないんです。古い図面がないんです。この図面がないのに、次々に炭鉱を許可しておる。炭鉱を許可するというようになれば、北海道等は新しい山ですから、こういう古洞というのも少い。九州は、ほとんど網の目のように、掘って掘り尽してあるんです。だから、正確な図面がなかったならば、そこを掘っていいという許可はなかなかできないはずなんです。それを、図面がないものだから、申請された炭鉱の図面を当てにされておるのです。これは、常識でもわかるように、炭鉱の鉱区を人に譲る場合には、少しでも多く炭が残っておるように、鉱区が多いように見せかけて譲るのは当然でございます。そうすると、掘った所を少しでも隠しておる。そうすると、また今度それを譲り受けた人は、自分が採掘を願うときには、なるべくこれを少さく見せて、そうして安全に掘られるような見せかけをしなければならない。これは、理の当然でございます。そういうことをやっておるから、江口炭鉱を見てみましても、常識では考えられぬ、古洞は百八十メーターも向うにあるようになっておる。百八十メーターも向うになっておる水が、掘っている炭鉱に入ってくるはずはない。ところが、実際はもう接近しておる。壁一重に接近して破っておる。こういうことがあったんです。だから、こういうことがないように、大蔵省は予算を組んで、炭鉱の図面が、完全な図面ができるように、早く整備してもらいたい。予算を組んでもらいたいということを、再三私らはお願いしておる。ところが、大蔵省は一銭だもこれに組んでない。だから、通産省に行っても、図面を作ろうと思っても、金がないじゃありませんか、こういうことなんです。金がないから、図面もできない。それでは、図面がないから許可しなければいいんだけれども、勝手に許可をしておいて、死んだならばだれが責任をとったか。だれも責任をとってない。だれか一人でも懲役へ行ったか。何十人殺しておいて、たれも行っておらない。監督官庁は大きな顔をして、監督者として行っておられるけれども、何人死んでも、責任とった人は一人りもおりゃせん。死んだ人が一番かわいそうなんです。ところが大蔵省の——今度まあ大蔵大臣が委員会に行かれても、これは経済基盤の問題が問題になると思うのです。そうして労働者を教育するのに、十五億の基金をやるとおっしゃる。労働者を教育するのに十五億の基金を出されるんだったならば、労働者の生命を守るのになぜ金を出さないか。どっちが大切か、こういたいんです。だから、今度新しく大蔵大臣になられた佐藤さんが責任をもって、今度は、この生命を守るための予算は必ず組むんだ、次期国会の補正予算に必ず組むんだ、こういうお考えがあるかどうか、お尋ねいたします。

佐藤榮作自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) 炭鉱の災害を防止し、予防するという意味におきまして、正確な図面が必要なのは、御承知の通りだと思います。私も、若い時分九州におり、ことに筑豊には縁の非常に近い所におりましたので、筑豊の事情はよく知っております。最近起って参りました炭鉱災害、ことに水害の起ったような炭鉱は古い鉱区である。そういうところから次々に起っておる。そういう場合において、特に正確な図面が必要である。これはもう御指摘の通りだと思います。大蔵省が何だか、予算に対しても冷淡であるかのようなお話でございます。通産省に関係の方からそういうお話をしておるのかと思いますが、大蔵省といたしましては、なくなりました原図の作成についての所要の経費は、通産省の要求によりまして、毎年計上いたしております。ことに三十三年度におきましては、ただいま御指摘になりました古洞の調査そのものについて、特に項目を指定しての要求でございますので、金額はわずかではございますが、旅費等も計上されております。これはまことに大事なことでございます。それが今回のような事故を発生した。まあいろいろな原因があることであると思いますが、おそらく予算の実施に当っての時期のズレ等もあるいは関係しておるのじゃないか、あるいはもっと正確な確信がでぎた後に採掘の許可を与えるとか、そういうような面で、時期的なおくれがあるかもしれぬと思います。予算の面では、これは今日までの要求をかなえておる。かように考えております。これは、こまかな議論になりますので、私あえて議論をするつもりはござまいせんし、また、ただいまのお尋ねが、来年度予算編成に際して特に考えてくれるかどうかというお話でございます。もちろん、大蔵省として考えることをはっきり申し上げる次第でございます。

阿具根登日本社会党

○阿具根登君 大蔵大臣は、山口の出身でもございますし、宇部興産等も周囲にございますし、幸いに筑豊炭鉱も御承知だということで、非常に意を強うしたわけでございますが、大蔵大臣の話を聞いておれば、通産省が要求を出した分だけは出しておる、こういうことでございます。幾ら予算が出してあるか、私ここに予算書を持ってきておりませんので、教えて下さい。

佐藤榮作自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) 三十年度から三十三年度までずっと引き続いてと申しますと、三十年度は三百七十四万五千円、三十一年度も同額、三十二年度も同額、三十三年度は少し減っておりますが、三百五十五万八千円、大体五カ年計画になっております。それらら、三十三年度予算につきまして、古洞の調査を行うというために、これは、通産省の要求に基きまして、これを行うこととして、その調査旅費を計上いたしておりますが、これは十三万、金額としては必ずしも多いとは申しません。しかし、必要な金額には一応なっている、かように思います。

阿具根登日本社会党

○阿具根登君 金額を教えていただきましたが、年々三百七十万、本年度三百五十万、今度の調査に十三万、これで調査が完全にできて地図ができれば、私は、これはまあ万万歳だと関心うのです。ところが、十三年たって全然地図がない。通産大臣が来るまでに言ってしまうと、二度言わなければならぬから、あまりいたくないのですけれども、中央で話を聞いておれば、地図には古洞がついておらなかったと、今度の場合で。地図がついておらないということを言われておる。私が現場に行ってみると、保安監督部は、古洞の地図は載っておらなかったと言われるし、石炭部は、古洞の地図が載っておったと、責任をのがれておるのです。古洞の地図がついておったとなれば、石炭局は、これを許可する場合に、なぜもっと見なかったかという責任を負わされる。今度ついておったとするとなれば、保安部は、なぜ水害指定をしなかったかという責任を負わされる。責任がいやさで、どっちも責任の塗り合いをしておる。中央では、どうも保安局長が勝っておるようなことでございますから、私はあとでゆっくりと御質問申し上げますが、三百五十万や三百七十万で、九州のあの膨大な炭鉱、山口の宇部まで含めた炭鉱の地図ができるとお思いになりますか。しかしそれは、通産省ができると思って出されたやつをそのままお認めになっておるなら、これは私が言うところではございません。そこで、通産省がこれだけ出したのか、それとも予算査定の場合に大蔵省が削られて、このくらいになされたのか、それをはっきりしておいて、責任の所在を明らかにしてもらいます。

佐藤榮作自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) ただいま五カ年計画ということを申しましたが、おそらく当初は、あるいは削減いたしたかもわかりません。しかし、同額が計上されておりますのは、五カ年計画としてやっているからだろうと思います。ただいま御意見がございましたが、おそらくこういう調査費で不十分であることは、これは御指摘の通りであります。ただ、調査費の使い方がいかような使い方でございますか、これは一つの問題でしょう。全体の鉱区について全部の調査を完了するのか、あるいは出願の鉱区についてそういう調査をいたしますのか、いろいろ扱い方があるだろうと思います。ごとに、今回事故を発生しております所が中小炭鉱でございます。それだけに、元の廃坑であるとか、休坑であるとか、それに接属するところの鉱区であるとか、こういう場合には、旧来の図面と十分照らし合せることだろうと思います。最近炭界の模様によりましては、中小企業の山の掘り方もいろいろあるようでありますから、そういう意味において、もし予算的に十分考えなければならぬことでございますならば、予算を計上するのに決してやぶさかでない。来年度の予算編成等につきましても、御意見の点は十分尊重して参りたい、これだけ付け加えておきます。

阿具根登日本社会党

○阿具根登君 来年度予算はわかりますが、九月に臨時国会を開くとするならば、その時でも、ほんとうに大臣が炭鉱の問題をやりたいとおっしゃるならば、あるいは経済基盤強化で十五億の金を出されて、一年間に九千万円の金を映画やテレビジョン、宣伝、パンフレット等にお使いになる。今度の国会も、あと四日延長なさるそうですが、これが延長なさった第一の原因でございましょう。国会を四日も延長して労使の教育をなさる、そういうお気持があるならば、これは経済基盤の最たるものです。炭鉱にこれだけの災害が起ってくるということは、一番これは大きな問題になってくると思う。それならば、経済基盤強化で労使教育に九千万円年々利子を使って、十五億の基金を据え置いてやられるほどの熱意があるならば、こういうことが起って、毎年どのくらいの人間が死んでいるか御存じですか。炭鉱で、平均六百四十人から六百五十人死んでいる。もう一つ数字を申し上げてみますと、終戦後から今日まで死んた人、重傷者、三日以上の軽傷者、これらを合せた累計は、百二十万になります。百二十万といえば、愛知県の人口、京都府の全部の人口に匹敵するでしょう。そうすると、炭鉱の労働者三十万と踏んでみても、十三年間のうち一人が四回ずつけがをしている。これたけの災害か起ってきているわけです。これに対して大臣は今はそれくらいしか言われぬかもしれない、言われるその気持はわかりますが、労使教育の面でそれだけ金を出すならば、今起っている労働者の命を守るため、次の臨時国会にでも出しましょう、こういうお気持はございませんか。

佐藤榮作自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) 先ほど申しましたように、今年度の予算は、今実行中でございます。通産省の実行の状況等も伺わなければならないかと思います。

阿具根登日本社会党

○阿具根登君 それでは、これからは押し間答になりますから、次に進みます。  青木国家公安委員長、自治庁長官がお見えになっているようでございますから、ちょっとお尋ねいたします。

山本經勝日本社会党

○山本經勝君 大臣にお伺いをしたいのですが、前の通常国会であったかと思いますが、衆議院の商工委員会で、今阿具根委員から質問をいたしておりまた古洞の調査、このいわゆる、何といいますか、原因を整備するように決議がなされておる。今、大臣のお話ですと、三十三年度は、古洞の調査については十三万円ということになっておるが、この十三万円でやれるかどうか。私ども、福岡の通産局の石炭部長室で、先だって保安部長並びに炭業課長、こうした連中と一緒にいろいろ話を聞いたのですが、これではしょせんやりようがございません、こう申しておる。それで、正確な金額は覚えませんが、おそらく衆議院で決議なされておるわけです。これは、大臣はあるいは御存じにならないかもしれない。それで、政府委員の中で特に通産関係の方がお出になっておらないのですか。それが見えていただきまするとわかると思う。これは非常に重大であるし、しかも、この古洞の調査というものは、福岡通産局の石炭部で年々認可をします施業案の件数は、大体六百件から七百件の多数に上っておる。それで、古洞のあるものは、これは保安局長もお出になるので、あるいは御承知になっておると思う。大体この間話を聞きますと、六百から七百の間にある認可件数の中で、大体二百件は問題がある炭坑ですということを言っておる。これは、はっきりと先だって聞いて参りました。石炭部長さんや、あるいは保安監督部長の皆さん、あるいは炭業課長、こういった人々の話を聞くと、今、阿具根さんが質問申し上げたところの問題の焦点がはっきり浮かんでくる。そこで、六百から七百の施業案が認可される中で、大体そのうちの二百件が疑いがある。ところが、悲しいかな原図がない。戦災のために焼けて原図がない。それで、認可を申請する際に、それぞれ申請する鉱業権者が自分の手元で作った適当な図面を出しておる。そういうことであるから、すみやかに古洞の調査をして、原図を調整しておかなければ、今後の認可に万全が期せられないということで要求した予算が、今のお話のように、わずかに十三万円、こういうことではおそらく私はできないと思う。そういう点は、今の大蔵大臣としてはどういう増額のお考えがあるかということか一点。  もう一つは、今度の災害が起った実情を調査してみますと、この東中鶴炭鉱では、昨年の十一月の二十二日か三日ごろであったと記憶しておりますか、この災害が起って、出水という事故ですから、まず水を排水しなければならない。しかも、従業労働者が下に埋まっているという実情ですから、これを排水しなければならない。中小炭鉱の排水能力というのは微弱である。貧弱でありまして、ポンプが足らない。あるいはポンプがないという状態ですから、隣近所の炭鉱から借り合せても、サイズが合わなかったりして使い物にならない。やむを得ず北九州水道組合からポンプを借り入れる状態になったのですポンプが坑内で使えないということで時日が経過して、そこで、水につかった坑内の状態というものは、出水というだけではなくて、今度は炭壁の崩壊、天井の落盤、こういうものが続出して、今度は坑道がつぶれてしまう、ですから、すみやかに出水事故が起れば排水をするという作業を合理的に進めなければならぬ。ところが、中小炭鉱が十分にやる能力を持たない。今度の実例なんかも、あるいは江口においても同様でございます。排水能力は、大体最近において順調に進んでいるということを聞いておりますけれども、少くとも出水をして一週間たった状態、あるいはそれか一ヵ月たった状態、さらに二ヵ月、三ヵ月たった状態というものは、非常に坑内の状況というものは変ってくる。それですから、この排水というものが合理的に、しかも迅速に有効に行われるということが、事業を復活するために非常に重要なのですけれども、そうしますと、これに対して、いわゆるこの中小炭鉱の零細な資本力をもってしては、十分な設備をあらかじめしておくというわけにいかぬから、それを適当な国の力で、これは直接国が負担せよとは私は申さない、少くともこれらの炭鉱の災害が起った際にどうするかという問題について、ある程度の資金を放出して、そうしてたとえば、ガス爆発についてよく行われております、機動的に救援の対策が講じられていかなければならない、そういうような方法を講じなければ、起った災害に対して復旧に時日がかかる。そのためにその鉱山が廃山になって、全員が解雇をされる事実が現に起っているのであります。でありますから、こういう災害が起った際に、応急の措置を講じ得るような適切な予算措置というと、こうした機動力のある救援対策が講じられていかなければならない。これは、直接は通産省の所管でございましょう。あるいは直接関係のあります通産省の方で具体的な案を組まなければならない問題でしょうが、少くともそういう場合に、予算が第一問題になる。そういうものを含め、あるいは中小企業炭鉱の中では、やはり申し上げましたように、資本の力が弱いから、勢い十分な予防措置を講じ得ない、こういうところをあわせて、国が一定の資金を出して、今お話になっておりました、たとえば労働協会法の十五億の基金のような金をあそこへ置いておくのはもったいない。そういう金を災害予防のために、起った災害を救済するための機関として、そうして適切ないわゆる機動力のある救援、あるいは応急対策を講ずる機動力のある機関、機構を作って、そうして器具、機械あるいは技術を集中しておく、こういうふうにすれば、排水が一日も早くできる、そういたしますと、崩落その他の問題があってすでに七カ月、東中鶴の炭鉱における十八名は、おそらく死体は完全に骨になっているであろうと専門事家は言っている。しかもなおその遺体が収容できる見通しが立たないと言っている。江口炭鉱では、今年の十一月には排水ができるであろうということが言われておる。そうしますと、いずれもうこれは、いわゆる遺体を収容した場合には、もはや見る影もない骸骨になっているという状態である。なお、坑道が崩落しておりますから、さて事業所を復活するということになると、大へんな費用と時日がかかる。そのために、鉱山は閉山あるいは縮小等によって従業員の首切りが起る。こういうことになっているのですから、それを応急措置として救済するような方法を、政府が国の力でもってやっていく、こういうことが考えられなければならぬと思うのですが、大蔵大臣は、今のお活では、あらためて急速に予算を組むという考え方は持っておられないように思うが、そういうことなんですか。少くともそういうことであれば、労働者の災害による、いわゆる罹災による死亡や、そうしてまた、その事業所における操業困難という理由で閉山による労働者の失業、こういう状態、しかもそのことは、直接地元の市町村の財政、一般国民の経済に重大な影響を与えること、これは、私は防がなければならぬと思う。そういう状態を救わずに、ただ単にいわゆる労働省の御用機関のような労働協会等には十五億ものお金を出されることは、私は全く納得いかない。前回の国会でも非常に論議をして参った点ですが、そういうようなやり方でなくて、労働協会もいいでしょ、う。やられるのはやむを得ないといたしましても、少くとも次の臨時国会もしくは通常国会には、炭鉱の労働者は気の毒だ、かわいそうだと思われるならば、そこで予算措置を講じて、そういう予算措置をとれば、やはり起った事態に対してもなお有効な救援が行われるのみならず、事業所の閉山等による解雇等が防ぎ得るということになって参るのですが、そこら辺の大臣のお考え方はどうなんですか。これははつぎりと伺っておきたい。

佐藤榮作自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) いろいろ問題があるようでございます。まだ私目下勉強中で、あまり詳しい事実を存じません。ただいま炭鉱が再建ができるとかできないとかという問題がございましたが、再建につきましては、もちろん融資その他方法は考えられるべきだと思いますが、しかし、財政的な措置を直ちに講ずるべきものとは私ども考えておりません。失業に対しては、おそらくこれは、私の知識が不十分かわかりませんが、失業保険のもちろん対象になっておることだろと思います。その程度以上には実は出ておらないのじゃないかと思います。  なお、こういう事柄について補正予算を組む考えであるかということでございましたが、ただいまそこまで研究をいたしておりません。

山本經勝日本社会党

○山本經勝君 今の大蔵大臣のお話、まことにこれは炭鉱労働者に、この私が質問を申し上げておることは全国の炭鉱労働者に伝わるので、大へん残念がると思います。なるほど今は、補正予算を組みなさいと私は申し上げておるのじゃない。少くとも次の臨時国会なりあるいは通常国会に、今申し上げましたような実情に即した何らかの具体的な問題を取り上げて、たとえば通産省あるいは労働省の勧告等も出れば、そういうものを基礎にして通産省が企画をするでしょう。その場合には、当然予算が必要になってくると思うのです。そうした場合は思いやりのある、大蔵省の考え方も、それは一つ検討をして考えてみようというようなことにでもなればわかるのですが、それはてんで考えておいでにならない、こういうことなんですか。  もう一点、これは先ほど倉石労働大臣に阿具根さんが質問をしておった問題に関連をするわけですが、三十一年の通常国会の際に、私、この社労の委員会で、ガス抜きに対する勧告の問題を取り上げて大臣にお願いをした際、抽象的ではありましたが、ガス抜きをやるならばガス災害に対する予防が十分できるだろう、こういう期待を持たれた。そしてこの勧告は一応していただいた。これは感謝いたします。ところが大事なのは、中小炭鉱によるガス抜きは、自分の力ではやりきれない。大手炭鉱では、商品として販売するために、あるいは化学原料に利用するためにやる例がございますが、中小炭鉱では、相当費用のかかるガス抜きはやりきれない。少くともこれに対しては資金の問題が出てくる。しかもそれが貸金では困難だ。なぜかといいますと、炭価に織り込まれて参りますから、勢い経理上これは困難である。こういうことになって参ります。でありますから、あのときも、倉石労働大臣に大へんお願いをどくした点なんですが、補助を出してもらいたい。補助でいけなかったら、何らかの形で返済をするに及ばぬ方法を考えてもらいたい、そういものを勧告の内容として盛り込んでもらいたいということを強く要望した。そこまでは結局いかなくて、ガス抜きを奨励する範囲の抽象的な勧告がなされたということは私は存じております。基準局長からも大体同様の趣旨の勧告をなさっておる。でありますが、悲しいかな底抜けになっておる。そうしますと、ガスの災害もすでに頻発をしておる実情ですから、同様の問題ですが、災害予防に関する適切な措置は、やはり予算の裏づけのある対策がきまらなければ実際に有効に行い得ないというのが実情である。そうしますと、これはやっぱり大蔵省の問題に煮つまってくる。また、大蔵大臣が少くとも先ほど冒頭にお話になつたように、労働者も気の毒である。そうして中小企業の脆弱な資本をもってしては、非常に完全な予防も困難である事情を御存知になるならば、ことに筑豊あるいは山口等の炭鉱の事情を一応知っておるとおっしゃるのであるならば、少くともそこで、何らか手厚い予算措置を講ずるというぐらいなお考え方はありそうなものと思うのですが、これは全くないのですか。この点をはっきりとお伺いしておきたい。

佐藤榮作自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) 炭鉱経営についていろいろ問題のあることは、ただいま御指摘になりました一、二の例をもっていたしても容易にわかるのでございます。あるいは労働省、あるいは通産省それぞれの要求官庁としていろいろ計画されておることもあると思います。これは、その資源が石炭という動力資源であるる。また、ここで働かれる勤労階級の方や、また経営者の方、こういう三両から見ましても、こういう企業を特に育成強化さるべきである。この考え方にはもちろん変りはございません。従いまして労働省なり、あるいは通産省なり、それぞれの立場からいろいろの対筑等は講ぜられて参っておると思います。大蔵省が積極的に予算を計上するという筋の役所でもない御承知のような立場にあることは、ぜひ御了承をいただきたいと思うのであります。私どもは、関係省からの要求に基きまして、もちろん事業の持つ重要性なり、あるいは勤労階級の立場と、この勤労の特殊性というものにも十分の考え方をいたしまして、今日まで予算も計上して参りました。その考え方にはもちろん変化はないのでございます。この点は、どうか誤解のないようにお順いをいたす次第でございます。先ほど来いろいろお話のありました問題について、年度内においても補正予算を組むような考え方があるのかと、こういうお尋ねが一面にあり、来年度予算編成に際してこれは十分考えるのかというお尋ねと、二つがございまして、ただいま年度内の補正予算という問題につきましては、先ほど申しましたように、今日まで計上されておる予算の実行の状況等を十分考えてみなければならないということを申したのでございます。  来年度予算編成に際しましては、要求官庁の要望、これも十分検討して参り、総体としての予算を作るようにしたい。特にその場合におきまして、事業の持つ重要性なり、勤労階級の特殊な状況のもとにおいて働かれるこの立場について、また、過去の災害が起きておるという点についても十分の重点を置いた、理解のある措置をとって参りたい、かように考えております。つけ加えておきます。

山本經勝日本社会党

○山本經勝君 もう一点だけお伺いいたしますが、今の大蔵大臣のお話ですと、所管官庁であるたとえば通産省、あるいはまた、労働関係の問題では労働省ということになるんでしょうが、それぞれ所管官庁から具体的な計画を立てて予算を要求する、こういうことになってくるかと思いますが、これは当然なルートですね。そうしますと、いわゆる炭鉱の実情と、中小炭鉱における実態というものについて深い理解を持っておられる大蔵大臣は、十分検討をし、厚いといいますか、あるいは思いやりのある、炭鉱労働者に対する、いわゆる地下産業であるという特殊性をよく御認識いただいて、そうして思いやりのある予算措置を努力をされる、こいうふうに受け取ってよろしいですか。

佐藤榮作自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) 先ほど来申し上げた通りであります。

阿具根登日本社会党

○阿具根登君 青木長官にお尋ねいたします。青木長官は、国家公安委員長であり、自治庁の長官でございますので、両面の点からお尋ねいたします。  江口鉱業所がああいう大きな水害を起して、そうして閉山まで宣告をしておる。二十九人の死体はいつ上がるかわからない。それにもってきて閉山まで宣告をして、ごたごたやっている。ところが、江口鉱業所は、中興鉱業所の四つの炭鉱の一つでございます。御承知のことと思います。あとの三つは、福島という小さな町に、福島、鯛の鼻、それから徳義、こういう三つ、四つの炭鉱の一つでございます。そういたしますと、四つの炭鉱を持っておって、その中の一カ所が水害で採炭ができなくなったということで、一つの炭鉱をまるまるつぶすのはおかしいではないか、これは、だれが考えてもそうなると思うのです。だから、その実情をあとの三つの炭鉱、島の福島、その福島へ行って、その炭鉱の人たちと話し合おうではないかという話ができたわけです。ところが、その福島の町が、だれが町長になろうと、だれが議長になろうと、それは民主的に選ばれたのであるから、その人がどういうところから出た人だからどうだというような色めがねで見るわけではございません。しかし、その議長さんは、その会社の勤労部長さんだと聞いております。その議長さんがですね。まず議会の方々と、非公式か公式かわかりませんけれども、話し合いになって、そうして、だれもストライキをやるとか何とか言っておらないのに、ここに江口鉱業所の問題を話し込まれるならば、これはストライキになったら大へんだというようなことを話し合いになって、そうして外部から入らないように処置をされておるというかに私は聞いております。そうした場合には、自治庁長官としてどういうそれに対して御処置をおとりになるつもりか。この島を治外法権の土地だとお認めになって、だれも行くことはできないというようにお考えになるのか。あるいはそういうことを協議会が話し合いをしたり、あるいはそういうことが別な機関であっておったりしても、これに対しては、議会として、町長として、やはりとるべき処置はとらなければならないといいうようなお考えがあるかどうか。あれば、新聞にも当然出ておりましたので、処置はとられておると思う。とられておるならば、どういう処置をおとりになったか、これをお尋ねする。第一問です。これは、自治庁長官にお尋ねするわけです。  今度は、国家公安委員長の青木さんにお尋ねいたします。今度は、そこでは組夫という、いわゆる法できめられた法定組合ではないと私は思う。そういう方々と炭鉱の労働者でない方、働いておられない方々、そういう方々がですね。これは陸続きじゃないですから、島ですから、その島の船着き場に数十名の人がいわゆるピケみたいなものを張って、そうしてだれが入ってきても、船から降りた人は全部検問される。そうして追い返される。こういうことをやられておる。そこでですね。そのヒケというものについては、どういうようなお考えをお持ちになっておるかピケの限界をまず公安委員長としての青木さんにお尋ねしたい。それから質問を展開していきます。

青木正自由民主党国家公安委員会委員長・自治庁長官

○国務大臣(青木正君) ただいまの中興鉱業に関連する福島町の問題、またピけの限界の問題でありますが、第一点の福島町の自治体の内部における動きと申しますか、紛争と申しますか、その問題に対して、自治庁としてどういう考え方かという御質問でありますか、申すまでもなく、自治体というものは、その自治体の内部の住民の健康あるいは福祉というものが考えられるは、これは当然でありまして、その自治体が、そういうふうに自治体本来の立場に立って、自治体としての職責を果さなければならないことは言うまでもないことであります。ただ、そこで問題となりますのは、自治庁が一体そういう場合にどうするかという御質問でありますが、御承知のように、自治体内部の問題に対しまして、自治庁が直接指揮命令するということは、自治体の自治の本旨を傷つけることになりますので、直接自治庁として、こうあれあああれという命令は、御承知のように、今の法制上は、そういうことはやらぬ建前になっておるわけであります。ただしかし、第一次の監督機関ではありませんが、第一次の連絡調整の仕事を担当しておりますのは、御承知のように、府県当局であります。従いまして、日治体の内部の問題につきまして調整の必要があるというような判断を下した場合、府県としては、適当な助言あるいは勧告をすることは可能なわけであり、また、そうする必要があると思うのでありまして、何か自治体の他の町村との関連において紛争が起きた、そういうふうなことがありますれば、これまた、府県としては、全体の調整をとるために、適当な助言なり勧告なりをする必要があると思うのであります。  ヒケの問題でありますが、このことは、申し上げるまでもなく、平和裏に勧告をするというようなことは、これを警察としてどうというべき筋合いのものではないのでありますが、その間におきましてかりに暴力事犯等が起ります場合は、これは、警察として当然そういうことのないように処置をやっていかなければならないことは、申し上げるまでもないのであります。ただしかし、平和裏に勧告なり話し合いをしておると、こういうことに対して、一々警察は干渉すべき筋合いでもありませんし、また、干渉してはならぬと私どもは考えるのでありますが、そのことが平和裏に行われればもちろん差しつかえないことでありますが、事のはずみと申しますか、その結果として暴力事犯が起きるようなおそれが生じた場合は、警察として、そういうことのないように、適当な処置をとらんければならぬと私どもは考えております。  なお、いろいろ阿具根委員からのこのことについての御質問、承わっておりましたので、もう私どもといたしましても、一体現地の事情がどうなっておるか。こういうことを承知いたしませんと、適切な判断もしかねますので、実情につきましては、警察庁の方に連絡いたしまして、現地の事情を一応報告をとるように連絡はいたしておいたのでありまして、もし御要望がございましたらば事務当局から、現地からの報告について御報告申し上げます。

阿具根登日本社会党

○阿具根登君 長官はよく御存じでないようですから、もう少し詳しく申し上げますとですね。福島の町議会で全員協議会を開いて、そうしてまだたれもストライキをやるとも、ストライキをやらせるとも、何にもそんなことをしないのに、その全員協議会で、よその人が入ってくればストライキになるかもしれないから、そんなことは困るというような決議をされて行動を起される。こういうことば、自治庁長官としても、これは正しいあり方であるかどうかという問題をお聞きしておるわけです。そういうことは、一切を含めて、全部それは県の方であると、こういうことになれば、自治庁長官としての職務を一つ明かにしていただかなければならない。私はかように思うわけなんです。  それから、ヒケの問題につきましてですね。私どもがいつもここで労働大臣等に質問を申し上げる場合、ヒケの限界というものはですね。争議があった場合に、その働いておる工場に第三者が入ってきて操業をしたり、あるいはスト切りくずしが来たりしないようにピケを張って、そのピケはその第三者に対する説得を行うのだ。こういうことだと私は思うのです。ところが、私が言っておるのは、これは島全体に入れないように、船着き場には数十人の人たちが暴力をかまえておられる。西日本新聞をごらんになったと思いますが、最近でも、十人の人が海の中にたたき落されておる。こういう実情があっておるわけなんです。私は、警察を責めておるわけではございません。警察の方も非常に心配をして、そうしてやっていただいておるんです。しかし、その島自体がそういうふうにして、その島の近親の人が来ても、「あなたはどこから来たか、どこに行くのか、何の用事か、いつ帰るか」と、こういうことを一人々々検問しておる。こういうことが法治国家で許されてよいかどうかということを聞いておるピケの場合は、双方に言い分はあると思いますけれども、ほとんどピケを破って第三者を入れでおられるのは警官でししょうが、通常のストライキを、やったピケの場合でも、そのビケをかき分けて、そうして第三者を工場に入れておられるのが現在の警察のやり方です。あなたのやり方です。ところが、今度は通常のヒケと違うんた。工場に張っておる、工場の従業員がストライキのためピケを張っているのと違うんですよ。何でもない、自分の同じ炭鉱の本土にある人が来て、二十九人死んだ、その実情を話をする、そういうことがわかったら困るからヒケを張るというんですよ。だから、工場だけでなくて、鳥の入口に張るんです。だれでも入れないのです。行けば海の中にたたき込まれるのです。こういことが起っている。これは、御存じないと言われないと思うのです。私も新聞で見たんですから、ごらんに入れてもけっこうです。新聞の切り抜きをここに持ってきているんです。ごらんに入れてもけっこうです。こういうことが現在行われているのは、法治国家として恥かしい限りではないか。これに対して、国家公安委員長としてどういうお考えであるか、どういう御処置をおとりになるか。もう一つ心配するのは、今のままでいったならば、あそこで負傷者が出ます。おそらく出る。こういうことがわかっているときに手を打たなければ、いつも負傷者が出たり、人が殺されたり、そういうあとでもって手を打つから、いつも、後手々々になるじゃございませんか。これに対してどういうお考えをお持ちでしょうか。こういう二点です。

青木正自由民主党国家公安委員会委員長・自治庁長官

○国務大臣(青木正君) 福島町におきまして、町議会で何かそういうような、よそから入ってくる人を一切排除するというような決議をなさったというようなお話でありますが、私どもの方で承わっておりますのは、町議会ということでなしに、何か全員協議会とかという形でやったのじゃないか、こういうふうに聞いておりますか……。

阿具根登日本社会党

○阿具根登君 そうです。協議会です。

青木正自由民主党国家公安委員会委員長・自治庁長官

○国務大臣(青木正君) しかしそれにしても、そういうことを私どもは妥当でないと考えております。しかし、あくまでもこれは自治体内部の問題でありますので、やはり内部の問題として、自治体自身で円満に解決するように御努力を願う、こういう建前をとるほかは、今の段階としてはいたし方ないのじゃないか。すなわち、町議会というような形でやりましたならば、これは町議会、自治体の一つの機関がやったことでありますから、その機関のあり方についてのいろいろな問題があろうと思いますが、そうでなしに、どういう形でやっておりますか、任意の集まりのような形になっておりますと、自治体としての機関のやることについての問題として取り上げるわけには参らぬのじゃないかと考えております。しかし、いずれにしても、そういうようなあり力は、私どもは決して妥当なあり方とは考えておりません。考えておりませんので、自治体の本来の使命に立ちまして、自治体内部の問題として、自治体自体ががそういうことのないように、円満に解決するように努力すべきものと私どもは考えるのであります。  なおまた、ピケの問題でありますか、これは現地から、これはもう現地の方の報告によりますと、警察の方といたしましても、そういうような事能が起りましては、いろいろ万一の場合は生命財産にも関することでありますので、情報をやはりできるだけ早くキャッチいたしまして、そういうことのないように、予防措置を講ずるように、万全を努めている、こういうことは承わっているのであります。なおかつ鳥へ上ってくる者を、ピケを張って全部これを入れないようにやっているようなお話でありますが、そのことがかりに交通取締りの違反になるかというようなことでありますれば、これは当然警察として処置せんければならぬことと思うのであります。正当に上陸してくる人たちを、そうして道路を、そこを正常に歩こうとする者に対しまして妨害をする。その妨害のあり方が、暴力をふるうようなことになりますれば、もちろん暴力事犯としての喜取締りをやらんければいけませぬ。また、そのことが交通の妨害になるということになりますれば、交通取締りの面から、これに対する適当な処置をとらぬければならぬことは当然であると考えております。ただ、これは警察といたしまして、何か紛争がありまする場合に、その紛争事態の内部に関与いたすような形になりましては、これは警察本来の使命を逸脱することになりますので、紛争の内部に関与することは極力避けなければいかぬ。ただしかし、そのことが結果としていろいろな治安を乱し、あるいは暴力をふるう、他人に迷惑をかける、他人の生命財産に危険をもたらすというような事態になるおそれがありまする場合に、当然それに対して予防の措置を講じなければならぬ、事態の推移に対しまして、地元の警察側でも相当神経を使って、万一の事態にならぬように警戒はいたしておるようであります、この際、その警戒があるいは不十分であるという御指摘もあろうかと思うのでありますが、なお詳しいことにつきましては、警察庁から警備局長が見えておりますので、今までのいきさつ等につきまして、警備局長から、もしあれでありましたら、地元の報告を御聴取願えればと思います。

阿具根登日本社会党

○阿具根登君 このあとでそれじゃお聞きいたしますが、長官の話を聞いていると、何か仮定のことを話しておられるような気がするのですね、もしもこういうことが起ったなら、ああいうことが起ったならばというような、仮定のことで話しておられるのですが、そうじゃないのです。現実起っているのです。これだけの大きな字で新聞についている。「一般人までも検問」とですね。だから、人権擁護のために知事に調停まで頼んでいる、本土の人たちがですよ。またこちらは、十人海に突き落とされるとある。こういうことが現実起っているのです。それから、私はっきり聞いておかなければいかぬと思いましたのは、地方自治体がそういうようなことを決定するということはいいことではないけれども、方法はないのだ、地方自治体そのものが考えるべきだ、こういうような御答弁だったと思う。そうなると、各地方自治体が、百分のところにこういう人間は来てもらっちゃ困ると言って、駅から間道から、ピケを張って一々検問していいですか。一人も人れないようにしていいのですか。烏だからそういうことができる。今度地方だって、それが正しいというあなたの言い方になってくるならば、正しくはなくてもとめる道はない、こうおっしゃるなら、どこだってそうやりますよ。ほかの者が入ってこないように、駅なら駅に人間をたくさん張っておいて、何のために参りましたか、どこに行きますか、そういう人たちは入っちゃいけません、帰って下さい、お帰りなさい、これができます。これをやっているから、私はただしているわけですよ。それを、最高責任者のあなたが、それは自治体で片づくものだとおっしゃるならば、どこの自治体もやっていいことになる。そういうふうに解釈してよろしゅうございますね。あなたの先ほどの答弁じやその通りです。  それから、ピケットラインにつきましては、ただいま新聞を示して申し上げましたように、一般人までも検問しておる。十人も海に突き落されている。また一回は、船で行っているのに、船まで来て、船の中で突き落されている。こういうことが現実あっておる。それは、警察の方も立ち会っておられるから知っておられる。非常に苦心してやっておられる。しかし、警察の方でも、これ以上は自分たちの手に負えないから入ってくれるなというのが、警察の人たちの気持なんです。それだけ向うは強力なんですよ、相手側は。そういうことが許されるとするならば、これは、日本の治安維持は、だれがそんなら考えておるのか。無警察状態じやありませんか、そういうことが許されるならば。だから、仮定の事実じゃなくて、仮定の問題じゃなくて、現実起きている問題だから、これはいけない、どうするのだということを一つお聞きいたします。

青木正自由民主党国家公安委員会委員長・自治庁長官

○国務大臣(青木正君) 町村なりあるいは府県なり、つまり、地方公共団体といたしましては、当然自治法第二条に、「地方公共の秩序を維持し、住民及び滞在者の安全、健康及び福祉を保持すること」。こういうことが規定されておりますので、お話のように、かりにも町村が、町村としてそういうような能度をとることは、私はいかぬことだと思います。自治体が、勝手に人が入ってくることを押えるとか何とかいうことをやることは、これは、自治法に規定されておる通り、自治体として、その地方の公共の秩序を維持し、住民及び滞在者の安全を守るという意味からいたしまして、いかぬことたと思います。しかし、そういうようなことをこれはやはりやってはいかぬことでありますので、町、つまり理事者なり、あるいはまた町の議会とか、そういう機関がそういうことをすることは、もちろん許さるべきことでないと思うのでありますが、一部の人がやることに対してはどうかと言われますと、これは、その実態を見ませんと、何とも言えないかと思うのでございます。なおまた、その自治体が、たとえば町村がそういうように自治法の精神に反するようなことをいたしました場合に、自治庁としてどういうふうにするかといいますと、これはもう、自治法の考え方がそうなっておるのでありますが、自治庁としては、助言あるいは勧告はできますが、命令をすることはできぬ立場に一応なっておるのであります。しかし、違法の行為でありますれば、これはおのずから別の問題として出てくるわけでありますが、自治庁としては、法律の建前は、あくまでも地方自治を尊重する、こういう線を強く出しておりますので、一々地方公共団体のやることに対しまして、自治庁が命令をするというようなことは、法律の考え方からいたしましても、そううすべきものではない。しかし、あくまでもこれは自治体自体が、自治体内部の問題として、自治体みずからの問題として、法の精神にのっとって、そういうことのないようにせなければならぬと私どもは考えるのであります。なおまた、第一次的には、やはり県といたしまして、そういうような事態がありましたらば、やはり県として、その自治体としての行き違いあるいは行き過ぎ等がありましたらば、そういうことがないように、あるいはまた助言もし、指導もいたさたければならぬと考えるのであります。  それから、ヒケの問題と申しますかにつきまして、そういうことのないように警察はやるべきじゃないか、まことにごもっともと思うのでありますが、その限界がなかなかむずかしいと申しますと、逃げるようなことになりますが、そういう意味でないのでありまして、つまり法律上、法規上、警察官として出動しなければならぬような事態が起る前に、いたずらに警察が出るということになりますと、これまたいわゆる警察官の行き過ぎという問題も起りますので、そういう点から、あるいは警察官として、一方から見れば非常に手ぬるいと申しますか、もっと積極的にやってもいいんじゃないか、こういう御批判もあろうかと思うのであります。ただしかし、警察の立場として、いわゆる警察官の行き過ぎになってはいけませんし、といって、またいろいろ暴力事犯が明らかに起る、こういう事態になっておりますのを放任しておくということも、これは許さるべきではないのでありまして、そこのかね合いと申しますか、そういう点において、あるいは警察のやったことにつきましていろいろ批判もあるかと思うのでありますが、警察の立場といたしましては、もちろんそういう事態が起らないように、できるだけの予防措置を講じなければならないと存じておるのであります。船から落ちたというようなお話も聞いておりますが、そういう点につきましても、あとで局長から御説明申し上げます。

山口喜雄警察庁警備局長

○政府委員(山口喜雄君) この問題につきましては、警察側としましても、いろいろと苦心をいたしまして、措置を講じておることは、現地にいらっしゃいました山本議員も御承知のことと思うのであります。問題の福島地区は、炭鉱が三つに分れておりまして、これは小さい島でございます。警察官がふだん四人駐在しておる所であります。で、六月二十一日と、それから山本議員がいらっしゃいましたたしか二十六日、この日はあまり大きなトラブルはなかった。二十七日と二十九日というように起っておる。二十七日は、佐世保あたりからも応援を出しまして、全部で百七十名の警察官を島に揚げて措置をいたしております。それから二十九日は、七十数名の警察官を出しておるのでありますが、まことに残念でございましたのは、海の中にまあ突き落されたという事件が起りました際には、警察側はその現場にい合せなかったのがあるんです。これはいろいろな事情がありまして、これは、前からのいきさつは御承知かと思いますが、要するに組合の中に二つの派の考え方の違う人たちの意見の相違から問題が出てきておるわけであります。で、ざっくばらんに申し上げまして、福島地区の三つの炭鉱の組合の人は、炭労のやっておられます企業整備反対闘争に反対であるという見解をとって、本土の方の江口地区から、これに対して、まあオルグ活動等のために、宣伝等のために島に渡られることをお話のように阻止しておる、こういう状況であります。で、若干組夫の者も関係しておるようでありますか、人数等を調べてみますと、島の組合員の者がやはり多数出ておるような模様のように見受けられるのであります。問題は、ちょっと組合の内部のことでございますが、しかし、御指摘のような事例は、これは、島の人々といたしましても、私は多少の行き過ぎがあったように思いまして、ただいま警察といたしましては、事件を捜査いたしております。ただ、相当数の人がもみ合いました事案でありますので、まだ詳細、全部がわかっておりませんが、捜査班を鳥に置きまして、ただいま極力捜査をいたしておる、こういうことでございます。

山本經勝日本社会党

○山本經勝君 自治庁長官に一点お伺いしておきたいんですが、この福島の問題の町では、町議会が全員協議会を開いて、先ほど阿具根委員の質問の中にもありましたが、そこで、その町議会で、ストライキを炭労あるいは炭鉱労働組合がやるとは言っておらぬわけなんです。そういう状態の中で、ストライキはやらぬようにしてほしいという申し合せを決定したことは事実でございます。私も、今警察庁の方からお話がございましたように、一応の状況を見、かつ、関係者に合ったわけですが、その際に、聞くところによりますと、申し合せをして、ストライキをやらないようにという申し入れをしている事実がある。これは、先ほど長官のお話にもありましたように、地方公共団体で民主的に設置された機関が協議したわけですから、そのこと自体には問題がないかもわからない。ところが、労働者に与えられた権利として、争議権、ストライキ権がありますね。そうしますと、その国法の定めたストライキ権に対して、お前たちはストライキをやるな、もしくはやってくれるなと、要望ならまだしも、非常に強く組合にそういうことが要求されておるやに承わっておる。そういうことになりますと、地方公共団体である福島の町が、町議会という形式ではなくて、全員協議会にもせよ、町で最高の決議機関であるところの大事な機関が、町民である労働者に対して、ストライキ権のある労働者に対して、ストライキをやるなという申し合せをきめるということが、どうも私は理解に苦しむ点なんです。  そうしても、もう一つこういうことがある。その申し合せの中に、もう一点は、総和会と称する会を作って、るいは農民、漁民、あるいは町内にあります商店会、その他青年、婦人、こういうようなものを網羅して、総和会なるものを作っておる。その中には、先ほどお話のあった、たとえば組夫、臨時夫あるいはその他の人々が入っておる。そういうような組織が作られて、先ほど問題になっておる不当なピケが張られておる。これは私も参って見たのでありますが、狭い小さい小舟が桟橋のかわりなんです。それは、特殊な会社なり、あるいは企業体がやっておる特設のものではない。公然公衆の出入口になっておる大事な玄関である。そうしてその舟から今度は陸地に向けて、がけに向けて、一尺五寸くらいな幅の板が渡してある。非常な危険な所で、個人が一人で渡っても、風が吹き、あるいは波が立ちますというと、揺れて途中で落ちそうなんである。そういう所に、今申し上げました総和会なるものが主体になって、ピケを張っておるということになりますと、これはとうてい揚れませんね。先ほどの検問の話にありましたような状況で、これは、ヒケとしては最も有効かもしれませんが、黙っておってはとても通れない。そういう所をねらって、のど首を締めたような格好でヒケが張られちゃって、これはもう一歩も行く余裕はない。黙っておれば通れない。こういうふうにピケを張っておるがゆえに、海の中に落ち込んだという事実もあるようであります。そのもとになっておるのは総和会であって、あるいはその総和会のさらに基本になっておるのが、町の議会の全員協議会における申し合せである。こういうことになってきますと、どうも私は、地方公共団体といえども、そのような申し合せをすること自体がどうも穏当でないような気がいたします。あるいは違法だという説もあります。むろん、町議会がやったのであれば、そこが問題だと思うが、一応全員協議会で申し合せをしたというのであるから、町議会の決議とは違いますが、しかし、少くとも自治庁長官は、長官として、最高責任者として、こうした公共団体の業務の指準や、あるいは行政指導に当られる立場から言いますと、これは何らか手を打ってもらわないと、この種のことが至るところにやられるような事態が発生いたしますと、その町内に少数の者しかいなかった、こういうような場合には、ストライキのきらいな農民があったり、あるいはまた、商売人があったりしますと、一部労働者の基本的権利がその自治体において抹殺される、こういうことになりはせぬだろうか。これでは、法律に違反する決定である、行動であると断じても行き過ぎではないと、こういう考え方がいたしますが、そこら辺のところを、自治庁長官の方からはっきりお話をしていただきたい。

青木正自由民主党国家公安委員会委員長・自治庁長官

○国務大臣(青木正君) まあその実態を私よく詳しく承知しておりませんので、確言を申し上げるわけには参りませんが、お話のようなことであるとすれば、確かに妥当を欠くことであると思うのであります。ただ私は、法律家でありませんが、法律的に考えますれば、やはり町の正規な機関が——町長なり、あるいは町議会なり、正規な機関が明らかに違法行為をやった場合は、これは、知事がこれに是正を命ずることができるのでありまして、明らかに違法なことをやった場合には、その場合は、知事がまずこれに対する是正の命令をすることができる、こういうことは法律的にできるのでありますから……。しかし、町の正規の機関でない形になっておりますと、いわゆる法律的には、ちょっと知事としても、法律に基いてその是正を命ずるということができるかどうか、また、これはまあ法律から言えばできないことになると思うのでありますし、また、そのことが明らかに違法のことであるということでない限りは、知事としても、是正を命ずることはできないかと思うのであります。  そこで、やはり考え方といたしましては、自治体の内部の問題として、まあまず自治体の方々に、そういうことのないようにやっていただくほかはないのじゃないかと思うのでありますが、ただしかし、お話のように、協議会という形でやっておれば、実態は町の町議会が実際やっているのじゃないかというお話でありますが、私の方でいろいろ現地の状況を聞いた限りにおきましては、少くとも正規の町の機関という形をとっていないようなんですね。あるいは計画的にそういうふうなことをしたかもしれませんが、とにかく町の正規の機関だという形でない限りにおきましては、どうも知事としても、これに対して、これは違法だから自制せよという命令を出すことができないのじゃないか。そこで、まあ自治体内部で、再びそういうことのないように御解決を願うということが第一義であり、あるいはまた、第一次の上級の機関である県の方で、これに対して適当なる助言をするなり、勧告をするなり、こういうふうにして円満に解決をはかっていくよりほかないのじゃないか。今の段階におきましては、少くとも町の正規の機関でやったことでない限り、そしてまた、それが明らかに違法行為であるということがはっきりしない限りには、法律的に知事は是正を命ずるということはちょっとできかねるのじゃないかという気がいたすのであります。もちろん私も、現地に行って実態を見たわけじゃありませんので、私の想像が多分に入っておりますので、その点、間違っておりましたならば訂正いたしますが、今までの報告から、私の考えられる点はそんなことじゃないかと思うのでございます。

山本經勝日本社会党

○山本經勝君 一応この長官の方のお話も、お話のなりに筋は通っているのだと、私も思うのですが、ただ問題は、あまり好ましい状態ではないというような場合に、もちろん違法であれば、当然修正なりあるいは取り消しなり、県知事が命ずる、まあこういうことになるのでしょう。ところが問題は、全員協議会という形で会合を開いたことについては、私の伺った範囲では、これは町長並びに町議会の議長さん、町会議員、こういう連中に会ったのですが、またその連中もひとしく認めていられる。そしてストライキというものは好ましくないということで申し合せをした事実もお認めになっている。だから、事態が直ちに法律に違反する行為であるということを断定するのには、私自身も問題があろうかと思うのです。ただ、好ましくない状態としては、長官もお認めになるのですね。そうしますと、これはやはり、こういうものが主体になって総和会ができ、そして総和会が主体になって今度はピケ隊になる、こういうことになってきますから、好ましくない結果がいよいよ具体的な事実として、事件となって発生をしてくるのだから、そういう状態に対する——何と言いますか、好しましくない状態に対する勧告なり何なり、適切な措置が長官の方から取れぬものかどうか、法的にどうこうと言われますが、私は、いわゆる労働者が正当にやるストライキを拒否する何ものも私はないと思う。ただ、その町内の状態から見て好ましくないのでやめてもらいたいという、穏便な申し出なり、御相談なり、私は、おそらくそこの地元の労働者は、これはそっぽを向くことはあり得ないと思う。そのような状態の中で、しかも、全員協議会と称して申し合せをして、その申し合せが主体になって、町内に総和会なる組織ができて、その組織の合同体みたいな形で、組夫や臨時に雇い入れた人たちがピケを張っている。こういうのですから、そこら辺が非常に微妙で、しかも根深いものがあるというふうに考えられる。  それからなお、申し上げておきたいのは、同じ問題を中心にして、松浦市では、市議会がこれまた開かれました。私は出ませんでしたが、関係者の二、三人と会って話を聞いている。そこのいわゆる市議会として、市内にある江口炭鉱が出水事故によって閉山になって、全員解雇、六百人という失業者を抱えるというのでは、これは大へんなんで、何とか閉山にならないようにしてほしいということで、いろいろな要望等も会社の方に出されたように聞いておりますが、同時に、長崎県知事に対して、これは困る、これを閉山にするようなことは困る、第一、その坑内の実情からいって、二卸に出水の事故があって、二卸は排水に全力を集中しておるから作業は困難であるが、三卸はなお作業は可能であるのに、なお全員解雇しますかということで、いろいろ問題になった。そこで、鉱業所の所長、中興鉱業の常務取締役の何がしという人は、閉山をしたりする心配はございません。どうぞ安心して下さいという連絡をその市議会に送っておられる。こういう状態なんですから、前後の事情は、どうもつじつまが合わぬのです。そして一方、隣の海一重隔てて、わずか十分か十五分かかりましょう。ポンポン船で渡ってそのくらいな距離ですから。その手前の本土側の岸では、同じ問題について全く変った状態が現われている。ですから、どうもこれは、現地の状況を見ますと、両方の懸隔が大き過ぎる、こういうことを強く感じたわけですが、それで、こういう状態に対して、長官の方からは、何ら勧告なりあるいは是正に関する必要な措置は講じ得ないとこういうことなんですか。そこら辺を一つはっきり伺っておきたいと思います。

青木正自由民主党国家公安委員会委員長・自治庁長官

○国務大臣(青木正君) 全員協議会会が町会議員だけの全員協議会余か、あるいはまたそうでなしに、他の人の入った、住民全体の意志を表明するような形でできておるものか、そういう点、私はよくわかりませんが、また、全員協議会の申し合せと申しますか、決議の内容が、今まで私どもの方でいろいろ聞いておるところですと、たとえば島の平和を守りましようとか、幸福を守ろうとか、こういうような形でできておるようにも聞いておるのであります。そういうような形でできておるとすれば、そのことが直ちに違法というようなことにも私はならない。もちろんならぬことでありますので、そういう全員協議会の形の問題、また申し合せの内容が果して法律に抵触するような申し合せをしておるかどうか、私どもも、にわかに判断できないと思うのであります。住民全体が住民全体として、違法でない一つの自分たちの希望を表明する、こういうような形でありますれば、これに対して他からとやかく言うべき筋合いでありませんので、それに対して自治庁として、また県として、これを行うわけには参らぬと思うのであります。それからなお、この法律的に申し上げますと、この予防的な措置と申しますか、こういうことをやつちゃいかぬぞと、こういう予防的な権限は認めていないのであります。違法な事態が起きた場合、これに対する是正を命ずる、こういうようなことになりますので、どうも今の段階だと、まあ私どもの承知する限りでは、町も正式な機関という形でなしにやっておることでもあり、そうしてまた、申し合せの内容が、表面的には、町の幸福を守りましょうとか、そういうような抽象的なことでできておるということになりますと、これに対してどうということにはこれはゆきかねるという気がいたすのであります。もちろん、現地の事情を詳細に承知しておるわけではありませんので、私として、これはこうだからこうというわけには参りかねる点もあるのでありますが、今までにいろいろ事情を承わったところによりますと、どうもそういうふうな気がいたすのであります。そこで、まあ島の内部の問題でありますので、できるだけ一つ円満に解決でぎるように、自主的に処理をしていただくことが最も望ましいことだ、かように考えるのであります。

山本經勝日本社会党

○山本經勝君 もう一点だけ伺っておきたいのですが、私は仮説だけを申し上げて悪いのですが、これは、島が大体六、七キロくらいな周回の小さい島のようです。それで、本土の方からも近い。そこで島がピケを張って、本土側の人を入れぬというのですが、今度は反対に、本土側がピケを張って、お前の方は入れぬぞということになったら、もっと困ると思うのです。そういう状態になりますようなことは、松浦市では考えておらぬわけです。むしろ反対に、松浦市の方は、江口炭鉱の閉山、金貝解雇というのは困るでしょう。それは、市自身の失業対策事業その他の税収の低減のみならず、直接費用を出さなければいかぬ、逆に負担が増大するという点が大きく浮かび上っておるというのですが、そういうことのために、なるべく閉山せぬで作業を継続してやってもらいたい、こういうことを会社に言ったのは事実です。これは私も直接聞いている。ところが、そういう状態でありますから、島がそうなら、わが方はわが方で、よし、それじゃ本土の方へ揚らさぬということになると、島と本土とのけんかになると思うんです。そういうようなことは、先ほどから長官もおっしゃるように、好ましい状態ではない。しかし違法であるから勧告するという筋は立たない。そんなら、その市への措置を講じなければならぬという場合もあり得るのじゃないかと思うのでありますが、そうなったらどうしますか。紛争が起れば、あるいはけんかが起れば、警察官を動員して、その起ったけんかという現象に対して押えつける、あるいは何らかの措置を講ずる、こういうような考え方なのか。そうでなくて、もう一歩踏み込んで、問題の原因である焦点をえぐって、うみを出して、問題の解決をするというような長官の方の御努力はなされる余地はないものかどうか、こういう点なんです。

青木正自由民主党国家公安委員会委員長・自治庁長官

○国務大臣(青木正君) どうも、いろいろお話しを承わりますと、自治体の問題でもありますが、同時に問題の焦点は、むしろ鉱業所、会社自体の問題ではないかという気もするのでありまして、この問題の根本的解決は、やはり自治体としてどうという問題よりは、むしろ会社自体がこれを解決するように努力していただくほか、自治体の問題というよりも、むしろそういうような問題じゃないかという気もいたすのでありまして、その会社の問題ということになりますと、どうしても自治庁でどうというわけにも参りませんし、また、会社の問題がひいては自治体の住民の幸福に重大な支障を来たすということになりますれば、これは、自治体当局としても考えなければならぬことは当然でありますが、なかなか問題が、これは私のざつくばらんの話でありますが、自治体の住民側も考えなければならぬ。同時にまた、会社側とやはり話し合って、何か解決の道を発見するようにいたしませんと、これは、自治体だけの問題としては解決できない問題じゃないかという気もいたすのであります。それから、仮定の問題につきましては、私から仮定のことを前提としてお答え申し上げかねるわけでありますが、それはそれとして、警察側といたしましても、現実に放任しておくと非常に危険だという事態が起らぬ限り、こういうことが起るだろうという予想のもとに警官を配備するというようなことをいたしますと、これまた、警察の行き過ぎという問題も起ってくると思うのでありまして、その点は、慎重にやはりなさなければならぬと、かように考えているのであります。

山本經勝日本社会党

○山本經勝君 この問題で長官と言い合っていてもしょうがないと思うんです。会社との関係の問題というのはこういうことなんです。江口炭鉱の大体水没によって、排水要員が約六、七十名、これは専従でかかる。そうすると、なお、その他の関連をした事業に必要な要員を含めた三百数十名。五百七十何名、約六百名いる従業員から、そのうちの約半数は三卸の方に配置することができる実情にあるので、そういう問題は労使間で、会社との話し合いで、たとえどのように結末がつこうが、話は進むと思うんです。ただ、私が一番心配いたしているのは、福島の全員協議会でもって、ストライキは好ましくないという申し合せをして、その申し合せがもとになって総和会なるものができて、総和会は、中小商工業者、農民あるいは漁民その他第三者が加わってできたものなんです。それが中心になってピケを張っている、こういう状態になると好ましくないということは、長官御自身もお認めになっている。ですから、そういうような事態が地方公共団体の中に起っているという実情について、違法であるということで勧告をしてやめさすということもできない。しからば、何らかの別の方法があるかというと、それもあまりない。こういうことで、見送りということになると思うんですが、そこら辺で、これは、一つ私は要望を申し上げておきたい。この事態が続くなれば、おそらく福島の町も、あるいは松浦の市も、非常に苦境に立っているということは明らかなんです。であればこそ、いずれも関心を持っておりますが、何らかの問題の早期解決に資するような、地方行政関係の最高責任者である長官の立場から方法を講じてもらいたい。あるいは県知事と相談なさるなり、あるいは県知事が実情を聞かれるなり何なりして、何らかの方法を講ずるという、何らかの打つべき手があるんじゃないかというしろうとなりの判断をするわけです。そこら辺でございますが、長官に対する私の質疑はこれで打ち切ります。

倉石忠雄自由民主党労働大臣

○国務大臣(倉石忠雄君) ただいまの会社側の問題であるというお話でございましたが、労働省では、かねがねこの事件を心配いたしまして、長崎県知事にあっせんをしてもらうように、実はお願いしておったのですが、六月の三十日に、長崎の地労委の会長が乗り出して参りまして、実情を調査いたしまして、そこで、実情調査をいたしました結果、あっせんに乗り出す時期を今見ておるような模様であります。労働省側としましては、この地労委の会長があっせんに出て、これが成功してもらえるように強く要望しており、そういう方向を推し進めておる最中であります。

阿具根登日本社会党

○阿具根登君 警備局長の方にもう一、二質問があるのですが、たとえば、先ほど警備局長の方からお話もありましたように、国会議員の山本さんが行った場合に、数人の警官が両方について、そうしてかき分けていかなければ行けないのだ、こういうことなんです。一般ピケの場合は、局長どうですか。そういう場合は交通違反取締りか何かでどんどんバクられているじゃありませんか。何人されましたか。一人立ちふさがったら通られぬような桟橋に、三十人も五十人もついて、通られぬようにしておる。これはもっと私は、一般のピケを考える場合に、考え方が違っておられる、こういうふうに思いますか、警備局長からお答え願いたい。

山口喜雄警察庁警備局長

○政府委員(山口喜雄君) ほかの場合と別に異なった取扱いはいたしておりません。私、先ほど申し上げましたように、島の炭鉱の組合なりあるいは島の人たちがしました上陸を阻止するような行為の中には、若干行き過ぎであったと思われるものがあると私は思う。従って、それらを現在捜査いたしておりますし、それから、二十一日以来警察官を本土の方からやりまして、そうして何回も警告もいたし、そういう本土から応援活動に来るものを実力ではね返すことのないように、警察としましても、十分に注意をいたしておるのであります。  ただ、若干蛇足かと存じますが、やはりあの鉱山の今日までの状況というものが、先ほどからお話がありました、島の人たちのいろいろな動きに影響を及ぼしておるのではないかと思うのであります。御承知のように、あの会社は、三十年のときに、一たん中島鉱業所というのが経営しておりましたのを、やむを得ない事情のために閉鎖をいたしまして、その後今日の会社が引き続いて経営をいたしておるというような状況であります。今回の出水の事故によりまして、本土の方の江口鉱の方を閉山せざるを得ない。これに対して、労組は炭労に所属しておりますので、反対闘争の機運が出てきておるわけでありますが、鳥の方の三つが、どうも三年前のことを考えてでありましょうか、はなはだ申しにくいことでありますが、炭労を脱退するということで、単独の組合を作り、炭労側から出され、島に行ごうとするオルグさえも阻止しようというような実情でございます。もちろん、これは組合内部の問題でありまして、われわれがタッチすべき問題ではありません。行き過ぎがありますれば、厳重に取締りをいたしておりますし、また今後もいたすつもりでございますが、でき得るならば、一つ会社と組合の間で、あの地方の全般の住民の方に大きな影響を持っておることでございますから、円満に話し合いをしていただきたい、私はこう思っております。おそらく先ほどの町の全員協議会というようなところでいろいろと話上合いが出ましたのは、やはりこの炭鉱の動向というものがその地方の町全体に非常に大きな影響を持っておるとふう立場からなされたのではないか、かように考えておる次第であります。

阿具根登日本社会党

○阿具根登君 警備局長は非常によく御存じです。私ども調査したことを、十分同じようによく御存じだから、よく調査が行き届いておる、こう思うわけなんです。それだけよく調査が行き届いておれば、十人もの人が海に突き落されたということだったら、あの小さな鳥だから、だれが突き落したかすぐわかる。そういうのにはどういう手当をされたか、こういう問題が一つ。  そうすると、三十年の中傷鉱業から分離したときの感情がある、それはその通りなんです。だから、相手側の人も、その江口鉱業所の人が行っておるわけなんです。それを追い返す。そういうことになれば、今度は、山本さんが言ったように仮定でありますけれども、本土の方にピケを張って、海の中に突き落してもいいか、こういうことにたるわけです。そうすると、この福島の人こそ気の毒です。島流しになってしまうじゃないか。またそうでなければ、福島の町かあるいは本土で、どこかで今度衝突をする、こういうことになってくると思うのです。それを町も、あるいは議会も、そういうことが起らないように非常に努力をされておるとするならは、私どもは、これはまことにけっこうだと思うのです。ところが、そうじゃなくて、その町も議会も逆の方についておられるというようなことがしばしば言われておる。そこで、先ほど労働大臣にもお尋ねした問題がぶり返してくるわけなのです。たとえば、山本議員なら山本議員が行った場合に、それではあなたのところは何時間坑内で働いておるか、こういうことがわかってくれば、十二時間も十一時間も坑内に下っている。これは違法でございますぞというようなことがわかってくると困る。基準局の方には、十時間しか働いておらない、あるいは八時間になったかもしれませんが、局長もおられますから、すぐわかりますが、おそらく十一時間も十二時間も坑内に入っておりますということは何も知らしていないと思う。基準法はそのまま守っておるということになっておると思うのです。そういう痛さかゆさがあるので、こういうことになっておるのではないかということまで疑わなければならない。だから、そういう問題は十分話し合っていけばいいじゃないか、こういうことを片一方の方では主張しており、片一方の方は、あいつらが来ればストライキをやるから追い出す、片一方の山では、町会でも、それは困る、これではどちらも非常に疑心暗鬼であって、しかもその結果が、けが人が出たり死人が出たりするということになれば、これはまことに困った問題である。通常のピケの場合は、一応会社の方から警察におそらくお願いがある。そうすると、警察官が直ちに出動をして、ピケは直ちに解散させられるか、破られるか、これは、今までどこでもやってきており、御承知の通りです。こういう特殊な場合に、しかも、その鉱山に入るのではなく、島に入るという場合には、これだけの手しか打てないか。現場の話を聞いてみると、警察官の方は良心的にやっておられるそうです。しかし、それがそれでは片づかなくて、こういう問題が起きてきておる。今起きてないのは、本土から揚らないから起きてないのです。揚って起きてないのならば、私はけっこうだと思いますが、そういうことは聞いてない。揚れば問題が起きる。だから揚れないでおるというのが実情じゃないんですか。だとすれば、どうして揚れないかということになってくる。そうすると、やはりそういうことをした人が勝ちだ、こうなってくるんではないかと思うのですが、警備局長せっかくよくお調べになっておるようでございますから、江口の方から人間がたくさん行って、そうして話し合いができておるかどうか、お知らせを願いたいと思う。

山口喜雄警察庁警備局長

○政府委員(山口喜雄君) 二十九日以降の問題については、報告が参っておりません。おそらく行っておられないだろうと思います。私は、本土の方から島の組合の方に対していろいろと説得に行かれる御必要もあろうと思いますが、話を本筋に戻されて、会社側と、江口鉱の閉山問題についてむしろ本格的な話し合いをお進めになられる方が解決が早いんじゃないか、こういうように思うのですがね。片一方の方では島に来るのを阻止する。そうすると、こちらから行く方も、船に何艘かに分けて、両方から陽動作戦のようにして揚られるというようなことがあるものですから、片一方の方も、島の方も何隊かに分けて、そらあっちから来た、こっちから来たというようなことでやっておるということで、全くあれは、派生的な私はトラブルだと思う。問題を解決する本筋の話し合いを、やはり組合側も会社側もお進めになるべきではないか。私の聞きましたのでは、一時、会社は閉山をするということを撤回した、解決の曙光が見えた時期があったように私はお伺いしておるのであります。

阿具根登日本社会党

○阿具根登君 その通りなんです。ところが、それが実施されなかったわけです。それでこういう結果になっておるわけなんです。で、その問題は、ここであなたと私とやるのは工合が悪いし、私もその問題は相当くわしく知っておりますが、ちょっと筋違いのようですから、それは申し上げないのですが、それじゃなぜ島に揚げないかということを考えたならば、何か揚ったら、まずこちらが暴力をやるとか、どろぼうをやるとか、人をぶんなぐるとかいうことをやれば、揚ってもらっちゃ困るでしょう。何も持たぬ人が揚るのを阻止するということは、何か自分の万に痛いところがあるからでしょう。何か困ることがあるからでしょう。自分が困るから、危害を加えてでも人が揚ってはいかぬというのが許されるなら、法治国家じゃないでしょう。それで、私はおかしいんじゃないかというんです。こちらから揚る人でも、何か人をなぐるような棒を持っておったり、あるいは切る物を持っておったり、そういう人がおったら、これは当然兇器所持で処罰されるでしょうし、何でもそういうことがないのに、どうして揚げるのがいやか、ということは、みんなに聞かれて悪いことがあるのか、あるいは困る問題があるのか、何かあるから揚ってもらっちゃ困るということでピケを張ってしまう。そういう理由でピケを張るのが許されて、局長のように、そういう所に行かぬでも、こちらの方で話をしなさいということになれば、そういう実力行使をした人が勝ちだ、こういうことになりますね。強い者が勝ちだ。今問題が起っておらないのは、二十九日以降、ああいう問題があったから、行けば身の危険を感じる、こわいから行けないんです。行きたくないから行かないんじゃなくて、こわいから行けない。そういうことがあっていいかということになると思うんです。そういうことが許されるとするならば、それが島でなくて、私がさっき言ったように、一つの町なら町、そこで一つの工場がストライキを起したとか、あるいは一つの工場で災害が起きたとか、そういうような場合に、一切の人をピケットを張って入れないようにする。外部の声を一切聞かれないようにしてしまうということになってくれば、これは、民主主義も何もあったものじゃないんだ、かように思うわけです。だから、そこでどう起るとかどうなるとかいう問題は、お互いが話し合いをすればいいことであって、決して暴力にはならないと思うから、自由に両方が行き来できるように、日本の交通道徳に従って、日本の法律に従って、日本人だから日本の国の土地に自由に行けるようにしてもらうのが、私は当然じゃなかろうか、かように思うんですが、それはできないのですか。

山口喜雄警察庁警備局長

○政府委員(山口喜雄君) その点につきましては、阿具根委員のおっしゃいました通りで、私もそう思います。従って、島に揚るのを実力で追い返す、あくまでも阻止するというような事例がありますれば、これは、警察として適当な措置をいたします。その際にいろんなトラブルが起れば、それに対する警察としての事件の取扱いもいたします。先ほど私が申し上げましたのは、いささか私の立場としてはいかがかと思いましたが、その問題は別として、問題の本筋において解決をする方向にいっていただきたいというので、希望を申し上げたのでございます。

阿具根登日本社会党

○阿具根登君 それはわかります。それを決して責めているわけではない。そういう本筋もあるということを私知っておりますから、それを責めておるわけではない。それならば、十人も海に突き落されたと、それは突き落されっぱなしか。それなら、行けば海へ突き落されるから行けないということが現実である。突き落したということは暴力だと私は思う。暴力で阻止したというならば、暴力を使った人はどういう者であるか。もうすでに皆さんの手で調べ上げられておるはずだと思う。そうしなければ、海の中へ十人も突き落される、行けば生命に危険を感じるというのが日本の国にある、日本の島にあるということになってくるわけです。だから私は、自由に行けるけれども行かないんだというなら問題はないんだ。行きたいけれども、危いから行けないんだ。海の中へ突き落される、なぐられるから行けないんだというやつは、これは阻止してもらわなければいかぬ。また、一方暴力を受けて、そうしてそういう危害を受けておるならば、暴力をふるった人には、これは反省してもらわなければいかぬ、その道をとってもらわなければいけない。これについて、全然それに触れておられない。もしもこれが、地方でピケを張っておって、会社なら会社側の人が入ってきた場合に、海に突き落したとしたならば、おそらくそのピケはほとんど警察ヘバクられてしまうでしょう。そうでしょう、地方であったら。これは島だからこういうことになっておるかもしれない。東京だったら、おそらくそんなことは私はあり得ないと思う。これは、問題は全然別個ですけれども、砂川ではどうですか。自分の土地でしたな。自分の土地を売るのかいやだと言って、町長が先頭に立って反対された。この問題よりももっとひどいですよ。自分たちの土地を売るのかいやだ。それを政府が取り上げるのに、私たちも行きましたが、警察官が何千人と並んで、全部ピケの中に入って、そうしてトンネルを作ってやられた。あれくらい御親切にやられるんだから、こういうときでももう少し、これは、そういう暴力はいけないんだということで——私は何もこの人たちをバクれと言っておるわけではない。そういうことをしないように、もっと守ってもらえないだろうか。国会議員が行っても、周囲に取り巻かれて、写真にうっかり写されたら、警官に引っ張られるように見えるから、もっと写真が少し困るぐらいに警官の人が警備していかねばいかぬ。そういうところが日本の土地にどこにございますか。北海道から九州まで、どこへ行っても、私どもは、警官の人に守られて行かねばならないような所は一カ所もありません。ここだけです。なぜそれを、ここだけをそんなに手放しにされておるか。何とか対策があって、自由にだれでも行けるようにしていただきたいと思うのですね。私も、国会が終ったらここへ行こうと思っておりますが、行く場合に、警官の方から守られなければ行かれない。一人で行ったら命が危い。こういう所だったら私も行けませんから、まあ私どもは行かぬでもいいかもしれませんか、どうしてもここに行かねばならない人、同じような鉱業所内、あるいは江口鉱業所内の人がこっちに親戚があるかもしれない。親戚のところへも行けないじゃありませんか。何とかこれはできないか、こういうことなんですね。

山口喜雄警察庁警備局長

○政府委員(山口喜雄君) 先ほどから申し上げておりますように、この海に突き落されたという問題につきましては、警察で捜査をいたしております、これは。  それから、島に一般の人が行けないというほどの状況ではない。問題は、要するに、本土からオルグに行く人は島の組合側が揚げないということでやっておるのであります。もちろん、しかし、これも行き過ぎがありますれば、警察として取締りをいたすことは当然でございます。これはもう、私が先ほどから申し上げております通りでございます。なお、ふだんは四名ばかりの警察官しかおらないような島でございますが、現在も多数の警察官を置きまして、警備をいたしておるような次第でございます。山本先生が行かれました際は、国会議員でもございますし、格別警察といたしましては念を入れまして、身辺の保護をいたした次第でございます。

阿具根登日本社会党

○阿具根登君 通産大臣まだお見えにならないのですか。

久保等日本社会党

○委員長(久保等君) ちょっと速記をとめて。    午後四時五十二分速記中止    ————・————    午後五時十五分速記開始

久保等日本社会党

○委員長(久保等君) 速記起して下さい。  本問題に対する本日の調査は、この程度にいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

久保等日本社会党

○委員長(久保等君) それでは、本日はこれにて散会いたします。    午後五時十六分散会

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