社会労働委員会 閉会後第4号
- 発言数
- 120 件
- 登壇者
- 13 名
- 会派数
- 2
- 開催日
- 1958/09/18
会議録
○委員長(久保等君) ただいまより社会労働委員会を開きます。 委員の異動を報告いたします。八月二十七日西田信一君、八月二十九日寺本広作君、九月十二日大野木秀次郎君、九月十七日阿具根登君がいずれも辞任されました。 また、八月二十七日横山フク君、九月九日大谷贇雄君、九月十一日斎藤昇君、九月十七日坂本昭君がいずれも選任されました。 —————————————
○委員長(久保等君) 派遣委員の報告についてお諮りいたします。 今期国会閉会中、現在までにおいて中共地区及び横太等からの引揚者の実情調査並びに労働、厚生行政実施状況の実情調査のため委員派遣を行なったのでありますが、これらの報告は口頭報告にかえ、その内容を会議録に掲載してごらんを願うことといたしたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(久保等君) 御異議ないと認めます。今回の派遣委員報告は口頭報告にかえ、委員会会議録に掲載してごらんを願うことに決定いたしました。
○委員長(久保等君) 次に、社会保障制度に関する調査の一環として、昭和三十四年度厚生省関係予算に関する件を議題といたします。 厚生省当局の説明を求めます。
○国務大臣(橋本龍伍君) ちょうどいい時期に委員会をお開きいただきまして、概略のお話しをいたしまする機会を得ましてまことに幸いでございます。どうせ予算のことでありまするので、財政総体のワクの問題もありまするし、なかなかきまりはいたしませんけれども、私どもの主張を一つお聞きをいただきまして、私どもも実現に骨折りたいと思っておるのでございます。どうぞ皆さん方にも、この上とも御理解と御援助をお願いいたしまするし、また、その間においてお気づきの点がございましたならば、概算要求は出しましたけれども、その進行過程においてできるだけ御趣旨をくんで善処をいたして参りたいと思っておる次第でございます。 厚生省におきましては、過般来、明年度におきまする厚生行政施策の内容に関しまして慎重に検討を重ねて参りました結果、一応の目安を立てましたので、ここに、そのおもな点について御説明を申し上げたいと存じます。私はごく概略を申し上げまして、具体的な金額等については、事務当局から御説明を申しあげたいと思うのであります。 私といたしましては、就任以来、国民皆保険計画の急速な達成と、所得保障の本格的な形式としての国民年金制度の創設等、特にその努力を傾注しておったところでありまして、昭和三十四年度の重要施策についての計画を決定するに当りましても、これらの点に重点を置いて、社会保障制度の充実に意をいたしたつもりであります。すなわち、国民年金制度の創設、国民皆保険の実現、結核撲滅十カ年計画の推進、生活環境の改善、児童福祉及び母子福祉の向上の五項目を基本といたしまして、その結果、明年度予算につきましては、未決定の国民年金関係分を除きまして、概算額千五百八十八億円となりまして、現在、財政当局と協議を始めておるところでありますが、努めて重点的に概算要求をいたすこととした次第であります。 以下、その概要を申し上げますと、第一は国民年金制度の創設でありますが、近日中にその大綱案及びこれに要する経費概算等を作成するようにいたしたいと存じております。近日中と申しますのは、この間うちから、一応、総体的な法案要綱のようなもの、それから、それを基礎にした経費の概算の案を立てておりますが、もう少し省内で目を通したいと思いまするので、来週の半ばぐらいには——厚生省で下案を持っております上に、与党とも相談をいたし、また、財政当局にもそれの提出をいたす必要があると存じまするので来週半はぐらいにはこの大綱案を作成いたすことにいたしたいと思います。その上でだんだんにまた皆さん方の御意見も伺う機会があると思っておるのであります。大体そんな運びにいたしております。 第二は、国民皆保険の実現であります。かねての公約でありまする医療の国民皆保険を、昭和三十五年度において実現をいたすべく、これがため、国民健康保険全国普及四カ年計画の第三年度として、その全国普及に努めることといたし、事務費単価の増額等、所要の措置をとることといたしております。次に、国民皆保険の実現のためには、その前提要件として、疾病予防の徹底と医療機関の適正配置を期することが必要でありまするので、これがため、成人病の予防、精神衛生、性病予防対策等に意をいたしまするとともに、無医地区医療対策等、医療機関の体系的整備について格段の措置を講ずることといたしております。 なお、第三に、疾病対策としては、特に結核問題にいささか新工夫をいたしてみたいのであります。結核につきましては、近年その死亡率等に関し著しい改善を見たのでありますが、いまだに多数の患者が存しておりまして、国民の健康と生活を脅かしておりますので、健康診断、患者管理、感染路遮断に工夫をこらしまして、努めて重点的に集中して結核対策をやっていく、そうして結局は全面的に結核の撲滅をはかるという方向で、今後十年間に結核問題の解決をはかることといたしたのであります。また、結核対策実現の基盤ともいうべき保健所の機能の強化をはかるため所要の措置を講じたいと考えております。 第四は、生活環境の改善等であります。すなわち、国民の生活環境の改善の上から最も基本的なものである水道、清掃施設等、環境衛生施設につきましては、この際十カ年計画に基いて、思い切った整備をはかりたいのであります。要すれば、このため環境衛生施設整備促進法案ともいうべきものを考えてみたいと存じております。また、自然公園の整備に力を注ぐことはもちろんでありますが、その利用につきましても国民宿舎の新設等、いささか工夫をしてみたのであります。そのほか、老齢者、身体障害者、精神薄弱者、その他また一般低所得者層に対する措置をさらに充実いたしたいと考えております。 また第五に、いわゆる保育所問題の打開、児童健全育成等、児童福祉及び母子福祉の向上の対策、また、未帰還者に対しまする特別措置等に十分な配慮をいたしていきたいと考えております。 最後に、行政機構の整備につきましては、年金局、環境衛生局及び自然公園局を新設するとともに、社会保障の研究部門を強化するために、これはいろいろ考えてみたのでありますが、機構はなかなかまあ一ぺんに理想的なものもむずかしい事情等も考えられるものですから、とりあえず人口問題研究所に社会保障研究部門を付設いたしたらどうかと考えておるのであります。 以上、明年度厚生予算概算要求中のおもな事項につきまして、ごくその概要を申し上げたのでありますが、今日の社会保障の問題につきましては、党派をこえた考え方に基いたものが少くないと存ずるのでありまして、とるべき施策の実現には、広く各位の御鞭撻と御援助とをお願いいたす次第であります。 以下、詳細につきましては、事務当局から説明をいたさせたいと思います。
○説明員(山本正淑君) お手元に差し上げてございます昭和三十四年度重要施策につきまして、ただいまの大臣の御説明に若干つけ加えさしていただきたいと思います。 第一ページ、三ページは省略さしていただきます。 今、大臣から来年度の要求総額千五百八十八億と申し上げましたが、御承知のように、本年の予算が千七十二億でございまして、約五百億ほどの増額要求に相なっております。これは国民年金関係の予算を含んでおりませんのでございまして、なお、この要求額は、前年度の要求額とほぼ同額でございます。 三ページの三番目にございますが、国民皆保険の推進の中で、国民健康保険の全国普及につきましては、昭和三十四年度は四カ年計画の第三年度目といたしまして年間の被保険者の増を約五百四十万人、来年度中に伸ばしていく、かような構想のもとに予算を組んだ次第でございます。そういたしまして、昭和三十五年の三月末におきましては被保険者総数が四千三百八十万に達する、そういたしますと、昭和三十五年度に約五百四、五十万人残る、これは三十五年度に普及していく。そして皆保険計画を完了いたしたい、かような構想でございます。 それで四ページを開いていただきまして、国民健康保険の助成費といたしまして、二百五十四億二千六百三十九万円、前年度がカッコの中にございますが、百五十六億余でございまして、百億近くの増と相なっております。これは療養給付に対する補助、これは基本補助額の二割分でございます。それから財政調整交付金は、昭和三十三年度から新たに計上いたしました。約五%相当額の調整金でございます。この両費用が非常に大幅に大きくなっておりますのは、前年におきまして財政調整交付金は六ヵ月分を組んでただけでございまして、なお、医療費の引き上げに伴います措置が六ヵ月計上されてございます。これが一年に伸びるという点と、被保険者が五百四十万人ふえるという点、なお、国民保険の現状といたしまして、医療費の費用が毎年相当大幅に増額されてふえておりまして、その実情に合わすというような結果、相当幅が大きく相なっておる次第でございます。事務費につきましては本年度九十円に単価がなりましたが、これは被保険者一人当りの単価でありますが、これは来年度百十五円への引き上げを要請いたしておる次第でございます。その他は変ったことはございません。 なお、日雇健康保険につきましては、財政状況が非常に悪くなっておりまして、これは一つには医療費が非常に伸びが大きいという点でございまして、かような情勢に対処いたしまして、従来医療給付に対しては国庫負担が二割五分、それから傷病手当金に対しては三分の一、かような中身になっておりますのを、医療費につきましても、傷病手当金同様、国からの三分の一の国庫負担を要請いたしておるという趣旨でございます。 二番の国民皆保険推進のための前提条件の整備につきましては、いろいろの中身があるわけでございます。まず疾病対策といたしまして、成人病対策としてガンを取り上げ、これに伴います構想並びに高血圧センター等を考えております。 それで次の六ページに参りまして、おもなる経費についての説明を申し上げたいと思います。成人病対策といたしましては、ガンの早期診断方法の研究をいたしたいということで、新たに委託費を計上している。それから国立病院におけるガンにおいては、専門のガン病院を作り転換する、あるいはガンセンター、高血圧センターを整備するといったような経費が計上されてございます。基幹病院の機能強化、これは別でございます。精神衛生対策につきましてはこれもいろいろむずかしい問題もございますが、一応従来の構想を拡充した考え方で金額がふえておる次第でございます。 なお、性病予防対策につきましては、従来と若干構想を変えておりまして、売春対策の実施後非常に性病対策がむずかしくなって参りましたので、考え方といたしましては、健康診断につきましては無料でやってやろう、全額公費負担でやってやろう、こういう構想になっております。そして国が三分の二を負担いたしたい。なお、治療につきましても公費負担の範囲を広げまして、国は三分の二の負担をいたしたい。従来これは二分の一でございます。そういうような考え方で計上してございます。 それから(ロ)の医療機関の体系的整備につきましては、これは無医地区の解消並びに全国的にみました医療機関の調整をいたしたいというので、計上されてございますが、これも八ページへ参りまして、おもな経費を御説明申し上げます。 公的医療機関の整備補助、これは特に病院の少い地方に病院を作る、あるいはベッドを増床する、あるいはまた、その機能の強化をするというような際に、国から補助金を出したいということでございます。 それから無医地区の医療対策と、言葉はこうなっておりますが、主としてこれは僻地の医療対策でございまして、僻地の医療対策は、結局親病院と関連さして考えないと効果が上らないという現状でございますので、親病院から医者を僻地に出してもらうという構想のものでございます。これは僻地並びに準僻地を考えております。なお、来年の構想といたしましては、かような僻地に参ります医者を養成する意味におきまして、貸費制度を考えたいという構想が入っているのでございます。 それから次の国立病院の整備は省略いたしまして、医療金融公庫の設置、これは特に医療機関の十分でない地方に個人が——個人といいますか、公的機関じゃなしに医療機関を設置する際におきまして、金融上の制約が相当あるわけでございまして、これを解消する意味において、金融公庫を作って政府出資と資金運用部資金を基本といたしまして、その建設並びに整備資金を貸し付けて、医療機関を整備いたしたい。これは主として医療機関の少い地方を対象としております。 それからその次の医療制度調査会、これは新規でございますが、今日の段階に参りまして、医療制度全般にわたっての総合的な調査並びに検討をして、そうして新しい方向を考え出さなければならないという趣旨におきまして、この制度調査会を作って、総合的な検討を進めたいという趣旨でございます。 それから医薬品、医療器械の輸出振興並びに企業合理化につきましては、従来の構想を拡充いたしてございます。 三番目の結核問題の解決、ここにございますが、昭和三十四年度から十カ年計画で、結核撲滅をいたすという基本的な構想にのっとりまして、従来やっておりました健康診断その他を拡充、充実いたして参りますとともに、新たな構想を組んでいる次第でございます。これは十ページをあけていただきまして、おもな経費を御説明申し上げたいと存じます。 結核対策費といたしまして、前年度予算が、二十八億円余に対しまして、八十二億円余と大幅に増額要求されております。健康診断、予防接種につきましては、従来の対象人員を逐次拡充していくという趣旨で、大きな変化はございません。 それから結核管理費の補助というのが出て参っておりますが、これは、従来結核患者につきましては、開業医その他から保健所に登録をいたしておりますが、その登録患者の実態的な把握、追及というものが、おろそかにされているというきらいがございますので、これを現在登録されている患者全部につきまして、さらに健康診断を実施し、治療を要する者はその方に向けていく指導をいたしたいという趣旨でございます。治療費の補助では、一般治療とありますのが、これは従来いわゆる科学療法を中心といたしました治療でございます。これは内容の改善によりまして、金額が増額されている次第でございます。それで、次の従業禁止、命令入所というのが新規な構想と申しますかそういう趣旨のものでございまして、これは開放性の結核患者につきまして住宅環境が非常に悪いもの、他に伝播させる危険性の非常に多いものにつきましては、これは入所命令を出したい。そのかわり入所命令を出しますと、そういうような対象の人たちが、医療費の負担に困るわけでございまして、これは健康保険等の社会保険は優先いたしますが、その他については自費負担能力のない者については、全額公費で負担したい。そうして国から八割の補助を出す、かような構想が入っておる次第でございます。一応命令入手につきましては六万三千人、年間にいたしまして十二万六千件を見込んでおる次第でございます。 なお、従業禁止は、これは接客業とかその他公衆に接する業態の者につきまして、その開放性患者に従業を禁止して一般的な治療を受けさすという趣旨のものでございまして、この金額が大幅に増額されている次第でございます。 なお、結核関係を主として扱っております保健所の整備が非常に重要でございまして、これは特に保健所の人員の充足ということが大きな眼目でございまして、従いまして、従来の保健所の人件費の単価が非常に安いのでございまして、県の予算化がむずかしいという点がございますので、これを整備して、かつ、人件費については従来の補助率の三分の一を二分の一にしてほしいという要請が入っておる次第でございます。 四番、生活環境の改善等につきましては、まず、環境衛生施設の整備、これは新たに十カ年計画を立てまして、上水道、簡易水道、下水道終末処理施設、清掃施設、これをそれぞれ十カ年計画で整備していきたいという構想で立てておる次第でございます。 おもな経費といたしまして、簡易水道につきましては、二十二億円の規模、新たにその中には飲料水の供給施設、簡易水道に該当しないような地域についても簡易水道と同じような構想で飲料水の供給施設をする際に補助を出したいという構想でございます。 下水の終末処理施設並びに清掃施設につきましては、特別清掃地域に該当いたしております市並びに町村の地区を十カ年計画で、すべて屎尿処理は一般の海洋投棄とかあるいは農村還元というような、その他の不衛生処分をなくしていこうという構想で、来年度は大幅に増額要求をいたしておる次第でございます。 それからその次に参りまして、家庭生活の合理化、これにもいろいろのものが入っておるのでございますが、まず、家族計画の普及につきましては、従来実施いたしております家族計画の構想を若干変えまして、従来は保健所が中心になって実施いたしておりましたが、このやり方にはいろいろな限界があるというので、市町村に三カ年計画でこの実施を移していきたいという構想が入っております。そしてなお、この家族計画の最末端を担当いたしております指導員の手当の増額というような構想が入っておる次第でございます。 なお、この家族計画の普及につきましては、従来の補助率が低い関係もありまして、この引上げも要求いたしております。 それから農山村の栄養改善対策、これは新たな構想でございまして、特に全国のうちで栄養が非常に平均的に悪い府県十三県を取り上げまして、この府県については三カ年計画で栄養の悪いのをレベルまで引き上げよう、こういう趣旨のものでございます。 次に、スラム街の生活環境改善、これは特に大都市、その中でも六大都市の中でスラム街対策というものが従来十分でなかったわけでございまして、新たにこれを取り上げまして、来年は若干モデル的という意味もありますが、個所といたしましては七カ所を取り上げまして、そしてそのスラム街に生活館を作るとか、あるいは共同炊事場、浴場といった生活改善になる諸施設を整備する補助をいたしたい、かような構想でございます。 蚊とハエの撲滅運動につきましては、従来の構想を拡充いたして参りたい。 第三番目の老人福祉対策及び身体障害者福祉対策、これも中身はいろいろございますが、次のページを開いていただきましておもな経費、老人福祉対策の中で養老施設の整備、いろいろの社会福祉施設のうちで特に養老施設の整備に一つの重点を置きまして、最近非常に要請も大きいようでございますので、大幅に拡充していきたいという構想が入っております。 それから有料老人ホームの希望も相当あるようでございますが、これは相当経費がかかるというので運営上いろいろ問題がありますので、さしあたって来年度はモデル・ケースといたしまして、厚生年金の福祉施設としてモデル的に作って、それを検討して将来拡充していきたい、かような構想に相なっております。 それから次の身体障害者更生援護委託でございますが、特にここに掲げてございますのは、身体障害者の就職問題がございまして、いわゆる職親に出す場合に、職親に対してある程度手当を出してやらないとなかなか順調に参りませんので、月に千五百円ずつ職親に手当を出して就職関係を円滑に進めていきたい、かような趣旨でございます。 それから新たに精神薄弱者の更生施設、これは精神薄弱者の更生施設が十分にございませんので、特に今回五カ所取り上げまして精神薄弱者の更生施設を作りたい。 なお、世帯更生資金貸付、低所得層の医療費貸付は、現在の情勢に照らしまして相当大幅に増額を要請いたしております。 第四番の国立、国定公園の整備につきましては、これは従来の構想を拡充してございますが、特にその中に新たに国民宿舎というものを構想いたしておりまして、これは国立公園の中で、特に利用度が非常に多い地域につきまして、あるいは勤労者、青少年等が簡易に利用できるような宿舎施設を作りたいという構想で三カ所考えております。 それから次のページの第五番に参りまして、児童福祉及び母子福祉の向上につきましては、いろいろの中身のものが入っておるのでございますが、おもな経費について申し上げますと、母子健康センターの設置は、これは今年度初めて予算に入りまして、母子健康センターを拡充していきたいということであります。 児童遊園についても同様でございます。 次の児童館は新たな要求でございまして、これも新規構想によりまして、全国に児童館を年次計画で作っていきたい趣旨でございます。 健全育成推進員設置、新たなものが出ておりますが、これは特に子供の不良化防止のために、各地域におきましてそれぞれしかるべき人を委嘱して健全育成推進員として、そうして児童の指導に当っていただこうと、かような趣旨でございます。 なお、次の国立女子教護院の設置、これは男子の教護院は今日一カ所ございますが、女子の教護院がございませんので、ぜひこれは来年度実現したいと考えておる次第でございます。 それから児童福祉施設の設置につきましては、従来の構想を拡充いたしております。その中で保育所の分は二億円余と相なっておる次第でございます。 それから季節保育所につきましても、これも従来の構想の内容改善を考えておる次第でございます。 新たに日雇い労働者の保育所構想がございまして、これは日雇い労働者が子供を連れて職場、工事場を動いていかなければならないという実態に合せまして、移動式の保育所を作って、そうして勤労に差しつかえないような措置を講じたいという趣旨でございます。 それから第二種母子寮設置でございますが、母子寮には年令制限がございましていろいろ不都合な点もあるわけでございますので、そのような年令を超過した母子家庭に対する施設を考えておる次第でございます。 それから六番の未帰還者の特別措置といたしましては、特に未帰還者の現在の構想は、一応都道府県知事による失跡宣告ということになっておりますが、この構想は、名前その他のやり方は法律的にもう少し検討いたしまして変るかと存じますが、こういうとにかく措置によりまして未帰還者の特別措置をやりたい。その際の特別弔慰金として一人当り二万円というものを差し上げたい。これは五千人分を考えておる次第でございます。 備考がございますが、なお留守家族の手当につきましては、さらに三カ年間延長いたしたいという構想を含んでおる次第でございます。 行政機構の点は省略いたしたいと存じますが、簡単でございますが、以上をもって提出いたしました資料の御説明を終ります。
○委員長(久保等君) 御質疑を願います。
○山下義信君 間もなく臨時国会が開会されますので、本格的な御質疑はまたその機会に譲りたいと思いますが、さしあたって一、二のことを、ちょうどいい機会でございますから、伺いたいと思います。 第一点は、医療費の甲乙二表の問題でありますが、この問題は、委員会を開会いたしますつどに、あるいは事務当局の諸君にも伺い、またかというようでありますが、しかし、いつ話をしても、こんこんとして尽きないしゅんがあるわけです。また今日も伺いたいと思うのです。というのは、そのときどきの新たな情勢や新たな要素が加わって参りますし、実は、この問題を通しての政府当局の御方針が、かつて一度も明確にされたことがないので、しばしばこれが話題になるゆえんでありますので、私は今日も少し伺いたいと思います。 ことに厚生大臣から、かつて経過報告は伺いましたが、御所見を承わったことはないので、ちょうどいい機会で、伺っておきたいと思うのであります。というのは、最近甲乙二表を各医療機関が採用いたしました結果が当局から御発表に相なっておる。公式の資料はちょうだいいたしませんが、新聞でこれが報道されております。間違いがないと思う。それを拝見いたしますと、従来の経過を存じておりまするわれわれといたしましては、実に意外の感を持ったのであります。それで今日それを話題にいたすのであります。事直に申し上げますと、私どもは甲表採用の医療機関が相当多数に上るであろうと予想をいたしたのである。また、忌憚なく申し上げますれば、ひそかに期待もいたしたのであります。しかるに、御発表に相なったその集計を見ますというと、甲表採用の医療機関は非常に少い。一割にも及んでいない。ことにその内容におきまして私どもが不可思議に感ずるは、公立であろうと私立であろうと、経営手段のいかんを問わず、病院の医療機関はこぞって甲表を採用するであろうと予想いたしておった。のでありまするのに、その病院関係において、甲表採用のものが半数にも達しない。私がここに持っておりまする新聞の切り抜きは読売新聞の切り抜きでありまするが、病院の総数の三五・二%、乙表を採用いたしたる病院が六四・八%といわれておる。これはいかなる現象であるか。そこで、私はこういう厚生省が万人かたずを飲んで甲乙二表の採用がいかなる情勢であるか、その集計を刮目して、注目して見ておった。こういう結果が当局から御発表になりまするにつきましては、非常にこれは重大な世人の関心を集めた問題でございますから、これらの現象を御発表に相なりますにつきましては、当然、厚生省当局の所感が、厚生当局談話が、少くとも厚生大臣の御所見がこれは付されて御発表になるのが至当のように思う。何かこれについて厚生大臣の御談話があるかと思いまして、各紙を見ましたけれども、ない。そこで本日は、この結果について厚生大臣はどうこの現象を見ておいでになるか、これは一体何を示すものであるかということを一つ明確に御所見を承わりたいとこう思う。私の質問の要旨はそれなんです。 それでその御所見を承わりたい点をもう少し申し上げますと、私は甲乙二表というものは、そもそも第一は厚生省の失敗ではないかと思う、この状態は。遠慮なく申し上げたら、これは、こういうやり方をした、こういう結果を見たということは、もう端的に厚生省の失敗を明確に示したものではないかと私は思いますが、厚生大臣は失敗ではないとお考えになりますかということ、甲表というものを作り、くどくどは申しませんが、大いに長所を盛んにおっしゃった、そうしてこれをお勧めになって、そうしてこのような結果を見たということは、これは端的に厚生省の案が、厚生省の御方針が失敗に帰したということを示すものではないかということなんです。そうでない、九・何%程度でも大いに成功だとおっしゃるのか、一つ御所見を承わりたいと、こういうのでございます。 これは私はまずかったならまずかったでいいと思う。そもそもスタートがこれは私どもとしては、不満足なんですから、甲乙二案というものをお出しになったところに私はミステークがあると思うのですから、一本の姿が好ましかったと思うのです。こういうふうな方途に出られたそもそものスタートに問題がある。そこで、これは何もおべんちゃら言うのじゃありませんが、これはいわゆる堀木時代の堀木案、この跡始末を橋本厚生大臣はなすったのですから、しかし担当の大臣としてお引き継ぎになりました以上は、言うまでもなく政治責任を引き継がれたわけでありますが、しかし、跡始末をなすったのでありますから、それで何も現任の大臣の全部責任と思いませんが、そこでまずかったならまずかったでいいのじゃないかと思う。改むるにはばかるなかれでありまして、こういう状態を今後どうしていかれるかということを、これはお示しに相なるのが至当だろうと思う。 それで、私はこの状態を厚生大臣はどう見ておられるかということと、今後どういうふうに、この甲乙二案というわれわれから見るというと悪い制度をいつまで存続なさるかということなんです。いい制度と考えておられるか、それも承わらなければなりませんが、私どもは悪い制度、好ましからぬ制度と思っておりますが、これをいつまで続けておいでになるというお考えでありますか。つまり、いつ一本化していくお考えであるか、いつまでも二本建でいくというお考えであるか、いろいろお考えがあろうかと思う。これを一つ取りまとめてお示しを願いたい。また、一本化していくというならば、どういうふうな運び方で一本化していかれるというお考えであるか。また、天下がこの弊害やこの制度にかっさいを送っているものはだれもいないのでありまして、一日も早く、いい、混乱のない制度に取りまとめていただかなければなりませんが、それはどういうお見通しで御方針をお立てになるかということが承わりたいのであります。 最後に、もう一つ御所見を承わりたいのは、一体これは何カ月かの間にやってみられる、要するところ、九月幾日かに締め切って、半年か一年か知りませんが、今からおっしゃるんでしょうけれども、やってごらんになるんでしょう。甲乙二表というものを、すでにもう一たん届けたものは幾ばくかの期間は変更ができなくて、それでやってみるんでしょう。何をやってみるんですか、その実施している間に何を確認しようとするのか、いかなる利害得失、長所短所をこの実施期間中に見届けていこうとなさるのであるか、あるいはまた、その期間中にどういうふうにこの甲乙二表を採用している医療機関の今後の進んでいこうとする方向に、どう指導していこうとされるのであるか、漫然とある期間が過ぎる間、手をこまねいて行政当局が見ている法もないでしょう。この間に甲表を採択している医療機関、乙表を採択している医療機関、その実施期間中に何を見ようとするのですかということが承わりたい。私は甲表を採択している医療機関が、診療所と言わず、病院と言わず、それが予定のごとく——一〇%幾らですか、八%幾らですか、それだけ値上りするかしないか、当てはめ作業の通りであったかどうかということのその金銭計算のそろばんばかりの目のせせり工合を見ようとなさるのではあるまいと思う。私はそんな目的で甲表をお作りになったのではないと思う。失礼でありますけれども、私がそんたくすれば、かような医療報酬の作業をなすったゆえんのものは、従来の医療報酬の制度を通して、おそらくわが国の保険医療の内容の革新、改革を企図したものであろうと私は高く評価したのです。二カ月やってみた、五カ月やってみたらやはり予定通りに一〇・なんぼの医療費の増になったとか、そうでなかったとか、そんな結果を何カ月の間に見ようなんというそんな枝葉末節のばかばかしいことでないと思う。この甲表を採用した医療機関が、この医療制度に、診療報酬制度に即応して、いかなる治療方針に変更が来たされたかということが、しかしてその治療の成績がどうであったかという成果こそ私は注目すべきではないかと思う。そういう点をどういうふうに考えておられるか。これは全体にわたりまして一つこの際まとまって厚生大臣の御所見と今後の御方針を承わりたい。
○国務大臣(橋本龍伍君) ただいまの御質問に、ちょうどいい機会だと思いますので、まとまって御答弁を申し上げたいと思います。六月に告示を決定いたしましてからは、御承知の通り、甲乙一案を決定するけれども、各医療機関がいずれを採用するかは特別に強制するというようなことはせずに、自由に採択をしてもらうという方針で指示をいたして参っております。ただ私が所管をいたしております国立病院、国立療養所等につきましては、これは私管理者としての立場で、一つの考え方で、甲表ということは医療合理化という線で考えたものでありますので、そういう観点からいたしまして、甲表を採用するということを決定をいたしまして、その通りにいたしておる次第でございます。ただし、私の管理いたしておりまする病院、療養所以外の分につきましては、いずれを採用すると自由であって、どうするということをこちらから指図をして参っておらないのであります。そこで九月の十日までに乙表を採用をする者は届出をしてもらいたいというので締め切ったのでございますが、結果はお話のありました通りの状態でございます。で病院につきましては、大小いろいろございまするが、件数総体からいきますると、甲表、乙表、採用が病院では半々に近いところに参っておると思います。一体これはどういう意味だということにつきましては、これは当面の問題といたしましては、これは私が国立病院、療養所の採用すべき表につきましては、これはどちらがもうかるかというような考え方でなしに、この甲表というものは、これによって保険医療を改善いたして参りたいという一つの趣旨でやりました観点からいたしましても、そういうふうにきめたのでございます。他の一般機関においてどういう趣旨で採用したか。従って、この結果というものはどういう意義を示すものかという点につきましては、これは中には特別な理想で採用せられた向きもあるかもしれませんけれども、これはごく端的に申しまして、病院経営あるいは個人診療機関の経営という面から見てどちらの方が利益かという点を考えて、これは必ずしも甲表が不利益で乙表が利益だというふうに直ちに相なるのかどうかわかりませんけれども、当面の問題としてはやはりなかなかやってみないと見通しのつかぬ問題でありますから、従来の使用したもの、乙表を採用する方が利益でもあり安心だというふうに考えた機関が多かったのであろうと考えております。これから先、これで採用いたしますと、たしか来年の三月末まではそれを動かせないで、甲表なら甲表、乙表なら乙表を採用して参ることになるわけでありますが、その間におきまして採用いたしました各診療機関におきましては、単なる利害関係の問題としても、どちらが八・五%の引き上げになるのか、あるいはそれ以上になるのかというようなことを計算もされましょうが、同時にやはりあれは単に点数を改正しただけでなしに、診療行為の、何といいますか、区分けの仕方も変えているわけでありますが、あれを実施してみての、つまり社会保険診療というものを合理的にいい診療をやっていくという意味において、ああいう何といいますか、診療行為のこれは何点というふうにきめたくくり方の妥当か否かというようなことを個々の診療機関でもやはり検討されて、半年やってみた結果では、かなりまた利害関係の問題についても、また、合理化の目的に沿うかどうかという問題についても、内容が明らかになって参るものと考えております。従いまして、今日の出た結果の模様でどういうふうに将来推移するかということについては、これは実施後の経過をなお見守って参りたいと考えているわけであります。もちろん見守って参る厚生当局の方針といたしましては、一つには、もともと診療報酬の引き上げということが機縁になって出てきた問題でありますから、予想通り八・五%の引き上げというものが具体的に各個の診療機関に対しましてその通りになっているかどうかということも、これは重大な見定める要素の一つでございますし、同時に、考えました保険医療の合理化という点において、これがうまく趣旨に沿っていくか、つまりそれは収入の内容の問題とからみ合いながら各医療機関が便宜に気持よく動かしながら収入も確保し、なお、内容改善もできるというような方向がうまくいくかどうかというような点を十分ににらんで参りたいと考えているのであります。一体、二本建というものがいいのか悪いのか、成功か失敗かというお話がございましたけれども、これはまあとにかく大改革を企てたために起って参りました異例の措置であるには違いないと思うのであります。もともとが本来同一診療行為に対して二つの表があるというのは、ほんとうからいうと筋のあまり通らぬことでございまして、それはもう違いないと思うのであります。ただ甲表というものを従来の点数表に対して非常にまあ革命的なものを考え、その通り実行するのに相当無理があるということを考えて、従って、これでやれるものはやるし、しかし、当面の問題としてはとうていこれでやれないとか、必配でならぬというものは従来の例によってやってもよろしいという意味で乙表というものが考えられたのであります。従いまして、ある意味からいうと、甲表というものは出すけれども、これはとうてい甲表というもので圧倒的にそれの実施を期待することは無理だということは、まあ言葉をかえていえば当初から予想されていたといってもいいのじゃないかと思うのであります。私はそういうような観点からいきましても、甲表というものは従来の点数表を合理化する方法として大切ではございまするけれども、これをまあ今日、とにかく甲表は甲表でどうしてもやるということになれば、当初からそれだけでは、圧倒的に実施するのは無理だと考えられておるからには、乙表というものに対しましても、いわゆる甲、乙の差というものをつけずに、実施は各診療機関の自由にするという建前が当面の問題としては穏当であろうと考えておる次第であります。 ただ、一体それじゃ将来どうするのかということから考えましたならば、当然同一診療行為に対しましては一つの診療報酬があるというのが筋でございまするので、一応去年以来立てられて、私の引き継ぎましたものを六月三十日にああいう経過で実施をいたしました。とにかく実施をいたしまして、あと引き続いてこれの甲表、乙表というものをもう一度検討をして、そうして甲表の中にある合理化の精神というものを生かしながら、一本の診療報酬点数表というものをなるべく早い機会に作って参らなければならないと考えまして、そういう方針でおるのでございます。ただ、具体的には昨年以来の経緯がございまして、議会の中にはなかなか相対立した意見がございまするし、それから医療保障というものをめぐる関係団体の間にもなかなかいろいろな意見の対立がございまして、私はなるべく早く一本の診療報酬点数表というものを作成するための新たな審議の段階に入りたいと思って、実は何にもしておらないのではないので、いろいろ私としては考えて手配をいたしておるのでありますが、今まだ表に立ってそれを動かすところまで事態が参っておらないのをはなはだ私としては残念に考えておる次第であります、しかし、将来の方針というものはそういう形でございまして、今後そういう方針で一応実施に移しつつありまする点数表というもの、これは審議をするに当ってやはり相当の時日を要すると思いますが、まあ新たにやりまする際にはこれはどうせいろいろな意見の相違はございまするけれども、やはり十分審議を尽して、そうしてことに学理的に討議を尽して、その上で利害の調節をはかって、万人納得するような形でそういう方向に持っていきたいと考えておる次第でございます。なお、さらに掘り下げての御質問がありますればそれにお答えすることといたしまして、概略総括的に私の考えておる所見を申し上げました次第であります。
○山下義信君 私は甲、乙二表案を提示されましたこの厚生省が、全国医療機関が採用いたしておりまするこの結果を見まして、これは非常に失敗であると私は思う。今厚生大臣は失敗と思うか、この程度の状態で厚生省の考えはある程度目的を達したと思っておるかということの御判断を私は求めたが、それにはお触れになりませんでした。そうしてこの状態についての弁明をあそばしたのである。その中には、これは初めから少し甲表を採用させるのは無理であったと思う、この程度の、あるいは少数に終るかもわからぬと思う、それであればこそ乙表というものも考えたと、きわめて巧妙に弁護をあそばされたのである。しかし、それ自体のお話しが非常に甲表が無理であったということをお認めになるということになれば、医療担当者側が反対いたしたように、非常に無理な甲表を政府は押しつけるのだということの議論に裏書きをされたことになると、私はそう思いますが、それらの言葉じりを今ここで取り上げようとはしません。しかし、この程度の予想を厚生省当局はしておったのかどうかということを、順序としては聞かなければならぬ、今聞きません、今聞くのは実はおそいのです。これは私のミステークです。もっと早く、一体この甲表、乙表両表案について厚生省当局は全国の医療機関が甲表をどのくらいとり、乙表を一体どのくらいとるかという予想を一本聞いておけば、ここでこの厚生省の見込みが合っていたか間違っていたか、論より証拠すぐ出るのですが、先に聞いておくのを私は忘れましたから、私のミステークで、ここで責めるわけにはいかぬ。しかし、私はこれは失敗だと思う、従って、当然この甲、乙二表というものをこういうふうに出してきて、かような結果を招いたということの責任は追及せにゃならぬ、それだけを予告編として出しておきます。当然私は不結果だと思う、それがよい結果なら責任問題は起きない、しかし、かような不結果、予想外の不結果ということに対しては責任を負うべきだ、あれだけの大騒動をして、泰山鳴動して甲表採用者が九牛の一毛というがごときことは、初めからかようなことを予想したか、これは私は当局の責任を追及せにゃならぬと思う、きょうは予告編にしておきます。 それでもう一つ、私は関連して承わっておきたいと思うことは、厚生大臣はこの医療費の問題で前任者のやり得なかったことをやった、何であるか、言うまでもなく、医療関係者とあの激しい対立の関係を、これを曲りなりにでも善後措置を講じて、そうして医療担当者と話し合いをするという情勢に変化させた、これは後任の大臣としての一つの事績なんです。世人はこれを見て、よくおさめた、その妥協案がどうであろうとこうであろうと、そんなことよりは非常に不安を感じた国民全体が、医者と厚生省とがけんかをする、こういう好ましくない状態にある程度水をかけて、そうして仲をよくするという方向へ持っていって、これから両者が話し合いのできるような方向を作ったということについては、ほっと胸をなでおろしたような、それはよかったという感じを持っておる、これが偽わらぬ私は国民の感情であろうと思う。だれも厚生大臣が医師会と特別な関係があって、何か特別のコネがあって、そうして医師会の方へ右寄りをしたのだ、そんなことを思っている人は一人もいない、失礼ながら三文雑誌はそうであるかもしれないが、そんなことを思っている人は一人もおらぬ。しかるにそういう情勢にこの状態を収拾しておきながら、そういう方針ならそういう方針でわが国の医療保障のあり方の上に一つの筋が通ってスムーズに物事がいくという方向をつけておきながら、また、そうでもないようなところがちらちらあるように私は耳にするのです。よろめく、厚生大臣がよろめいているように見える。あまり医師会と仲がよさそうな風評、世評を気にしてそうではないぞというところを見せにゃならぬのかわからぬが、また、今度は左向きの方によろめくようなふうに見えるのではないかと、こううかがわれるような節がある。これはまた一部のものの悪口ではなくて、そう思っておる。私はそういうことの気がねをなさる必要はないと思う。堂々と天下の医師団体、医療関係者とこれから厚生省はよく話し合いをしていくんだ、仲よくしていくんだ、ものを円満にやっていくのだと言っておるが、いいじゃありませんか、数年来のそういう状態が見られなかったのが新たな方針のもとにいくのですから、一歩も二歩も前進した。せっかくそういう期待を皆に持たせながら、また、それを世評がどうかということを遠慮して、また、そうでない方面へも媚態を呈するようなゼスチュアはなされるのではあるまいけれども、思われる。端的に申しましたならば、最近うかがいまするいろいろな委員の人選等についてのお考え方、これは私はそれもごもっともと思う。何でも私ども専門外のことで、こういうことをかれこれ申し上げるのは失礼であり、申しわけないのでありますが、専門家の諸君もおられますから私ども申し上げるのはいけないのでありますが、また、基金の理事を代表するたくさんの御仲裁がありましたものがおさまりましたそうでけっこうであります。中央医療協議会の委員はどうなっておりますか存じませんが、病院協会から代理者をとるとかとらないとか、これも一つの筋の立て方でありましょう。しかし、これでは私は少し無理があると思う。堀木厚相の当時に、言うまでもなく、医師の代表者として医師会の推薦の神崎委員が、これが医師会の方針とは違った意見を述べたということによりましてあのいきさつがあった。それを病院協会という母体を認めるとか認めぬとかいうことがくすぶり続けまして今日に至った。政府の期せずして味方をした委員であったことには相違ない。また、病院協会というものも一つの団体であるのですからいなむべからざる事実である。しかし、今日直ちに病院協会というものを別個の医師の利益を代表する団体として公認なされるかどうかということは、これはそんなにあせって、私は一方に偏しないような公平な立場のような形をお見せになるというように、お急ぎになる必要はないのではないかと私は思うのです。これはもしそうなさるならば、今後そうあるべき当然の何か合法的な根拠を先にお作りになっておやりになればよろしいのです。私は今日の状態では、それが直ちに合法的になるかどうかということには疑問を持つのです。先般もその委員が辞任する辞任しないというて厚生省が介入したときに、法理的の疑義を持った。しかし、堀木前厚生大臣は、その問題は、今いろいろな医療費の問題でやっておる最中に国会で問題にしてくれるなとおっしゃったので、ここで初めて言うのですが、私どもは他日の機会を待った。法理的にも私どもは疑問を持ったのです。今回新たに病院協会を推薦母体として公認なさるというならば、私は現在の中央医療協議会の組織法ですか、その法律といいますか、その条文というものが果して妥当であるかどうかということを検討されまして、そうして病院協会を法律的にも明確な推薦母体であるような措置をなされて、しかる後にそういう方途に出られてもおそくはないと考えるのであります。このままでは少し無理ではないかという気持がするのです。一つには言うまでもなく、病院団体は医療機関の結合体、組織体、法律には医師の利益を代表するものとある。当面法律を読みますというと、医師の集合体は医師の利益を代表する。病院協会は病院という医療機関の利益を代表するという建前と、こう一応は見なければならぬ。健康保険が二重指定の制度を打ち出して、機関を重しとするか、医師を重しとするか一つの論争点であった。あるいは一つの主義を厚生省は持っているのでしょう。だから、これからは医療機関を大事にするのだ、医師は第二義的に考えるのだというので今すぐ病院協会を認めようということなら別であります。しかし、法律は医師あるいは歯科医師、薬剤師の利益を代表するものから出すということになっておりますと、私は法律の疑義のないようにそれらの点を検討せられた後に処置せられることが至当ではないか、かように考えるのであります。一体今後医療団体と厚生省との和衷協同していく方針は、厚生大臣としてはどう考えておられるかということを、ただいまの問題と関連して一つお示しを願いたいと思う。
○国務大臣(橋本龍伍君) これは私がもう、だれか聞いてくれたら書いたいということをまあ腹の底から考えておったことであります。私自身は責任者として、当面の事態を責任をもって処理していくのが役割でありますから、物事を現実に解決をしていく上において、毀誉褒貶はちっともかまいませんけれども、しかし、それにいたしましても、いろいろ考えなければならぬ点があるわけであります。私はもうごく端的に申しまして、今まででも医療担当者も保険者も、この医療保障の制度を動かす上において相協力してやはりやっていく上における私の機関だけでなしに、国家的な責任というものは感じなければならぬものがあったと思いますが、今日国民皆保険の制度を実施するのだということになれば、これは保険者にしても医療担当者にしても、これは公的な制度における公的な責任者でありまして、その点は私は十分に考えてもらいたいのであります。で、そういう点から申しまして、政府が医療保障をやって参りまする上において、常にやはり、特に医療担当者の団体というものは内部でいろいろ意見の相違はありましょうけれども、やはり一本にまとまって、医療保障における非常に重要な担当者としての責任をもってもらわなければならぬのであります。そういう面から申しまして、それがいろいろにばらばらになっておるということは、これはもう非常に好ましくない状態でございます。イギリスあたりにいたしましても、御承知のように、イギリスの医師会というものは内部において病院の部会でありまするとか、あるいはまた大学関係の部会でございまするとか、あるいは本国と植民地との関係とかいろいろな部会に分れておりますが、それが大きく集大成されて、国民皆保険下における、その政府に対する医療担当としての責任機関としての地位を持っておるわけであります。で、日本の将来の問題といたしましても、いろいろな問題はあると思いまするけれども、やはり医療担当者は単なる私的な機関でないので、これはそれぞれ独立のいろいろの立場はありますけれども、国民皆保険という医療保障の制度における一つのにない手として、内部の意見はいろいろありましょうけれども、まとまってやはりこの制度に対して責任を負うという体制にあってほしい。従いまして、医師会、病院協会というものが昨年以来の状態で対立をして争っているという状態は非常に好ましくない状態であると私は考えております。で、これはぜひ、私の少くとも在任中の方針といたしましては、医界というものは内部ではいろいろ御意見はあるだろうと思うけれども、しかし、それが一本にまとまった形、内部でどういういろいろな形をしておっても、やはり窓口は一本で政府も交渉をし、向う側もこちらにこられるという筋にいたしたいということに考えておるのであります。私は就任以来そのつもりで今日まで努力をいたして参っております。ただ現実の問題としてその場その場で日限をかまえてさばいていかなければならぬ問題は、これは私がいかに要望いたしましても、その場の状態で、ある程度物事の動くようにしていかなければならぬわけでありまして、六月三十日に新点数表の告示をいたしますについてははなはだ遺憾でありますが、別々に交渉をいたしまして、そしてその間に一つの裁断を下したわけであります。しかし、あくまでもその後の努力を続けて参りました。 次に、問題の出ましたのは、ただいまのお話のございました基金の理事の任命でございました。この問題に関しましてもこれは御承知のように、非常に莫大な金額を一年間に支払いいたしまする一種の金融機関でございまして、この任期は八月二十六日に全員切れるわけでございますが、これが全員切れました場合に理事が欠けますると、これはもう金融機関の重役会がなくなってしまうような形でありまして、支払いも何もできない状態になってしまうわけであります。ここにも問題は、私の念願にもかかわりませず、事態は簡単に進展をいたしませんので、そこで片方に推薦を依頼すると片方が出さない、片方に推薦を依頼すると片方が出さないといったようないろいろな状態がございまして、私は八月二十六日現存におきまする物事を処理する上において、これは基金の法律は中央医療協議会と書き方が変っておりまして、医療の給付を担当する者に対してその所属団体から推薦を求めるといったような書き方をしてあるのであります。まあ法律上の解釈等についてもこれはあまりに、全然余地のないようなことではいけませんけれども、法律上もある程度まあ解釈ができ、そしてその当時の事態において両方の顔をある程度立てながら物事を解決するよりいたし方がないのであります。やはり窓口一本というわけにいきませずに、二本の窓口に相談をしながらその間にどうも私が直接出ただけではいけないのでありますが、医界の、長老の方々にその間のあっせんをお願いいたしまして、これは無事に期限までに推薦を終えて理事を任命いたしまして、幸いにして基金の運営を続けておるわけであります。 次に、というよりもそれより前に問題になっておりまするのが中央社会保険医療協議会の委員が半数六月半ばで任期がきておるのであります。この問題は私が先に申しましたように、とにかく甲乙二表というものを出すということは、これはとにかく非常な異例なことであって、できるだけ急速にこれを一本化しなければならないのは、これはもう理屈でも何でもない、どうしても必要なことであろうと考えるのであります。先般も、今月の十五日に新潟で国保の東北ブロックの大会がありまして、ぜひすみやかに一本化してくれ、私も一本化の努力をするという確言をいたして参りました。そのためにも中央医療協議会という機関を充実することは、これはぜひ必要なわけであります。従いまして、私は何とかしてこれの任命をするようにやりたいと思いまして、今日までいろいろな面での手を打ったりいたしまして続けて参りました。今日一体どういう状態になっておるかというと、これは端的に申し上げますと、法律はただいま御指摘もございましたようにはっきり医師の利益を代表する者、そういうことになっておるわけであります。その関係団体から推薦を求めるというふうに相なっておるわけでありまして、これは法律上医師というものははっきり出ております。ただ現実の問題といたしましては、私にも両方の側から再々これは口頭でも文書でも申し入れを受けておるのでありますが、医師会の方は当然従来通り、この法律の文面から言いましても医師会に全部の推薦を求めるべきである、もし医師会に医師の利益を代表するものの全部の推薦を求めるのでなかったら、自分の方は推薦に応じないという態度でございます。それから日本病院協会の方はいわゆる五団体とか六団体とか申しますが、御関係の保険者団体等とも御一緒に御意見のございまするのは日本病院協会を独立の推薦団体としてその推薦を厚生大臣は求めるべきである、そして法律はそういうふうに読める、でそういうふうな推薦の求め方をするのでなければ日本病院協会及び五団体、六団体は中央医療協議会に協力ができないという建前でございます。そうすると、今日の状態といたしましてはもちろん私はそれを放置しているわけではないので、それはいけないから何とかしてその調整をはかって、そして一本化をして円満に動くような努力を今日までやってきましたが、今日のところは遺憾ながらまた成功いたしておりません。従いまして、中央医療協議会の委員の推薦を求める下地ができておらないのでございます。御承知のように、中央医療協議会の法律には、推薦に応じなかった場合には職権で任命するという規定はございません。これは当然のことであります。つまり基金の方の場合には、これは金融機関のようなものでありますから相手が推薦に応じなければ支払いがとまってしまいますから困りますし、それから片方は職権で任命しても、これがお医者さんの代表者ということを言っても、これは支払いが正確である限りは、これは医者の利益を害しないわけだからいいわけであります。ところが、中央医療協議会の方は要するに、利益代表者として出て、そしてその人が、利益代表者として意見を述べるということでありまするから、私が勝手にいい加減に、お医者さんを連れてきてこれが医師会の代表者と言ってみても、医師会があんな人は代表者ではないと言っている人を入れて審議をしてみても、医者の利益を入れて審議をしているというわけにはならぬわけだから、どうしてもこれは推薦を得なければならぬように法律もなっておりますし、そうでなければならぬ。ところが、今日のところではさんざん努力をして参りましたが、今のところ円満に推薦を得られる下地ができておりません。いつまでもこうしておるわけにもいかぬのでありまして、私は私自身もある程度あちこちお話をいたしますると同時に、これは何といっても医界での長老の方々に、色のつかない人格者として尊敬をされている方々、両方の方があの先生のお話なら聞くという方々をお選びしてお願いをした方がいいと思いまして、こういう状態でいてはひとり私が困るということだけでなしに、日本国民の福祉のために、ただいま申し上げました点数表の合理化というものを、もっと落ちついた方向に推進をいたすことができぬわけでありまして、非常に困った状態でありまするので、私も努力をいたしますが、一つごあっせんを願いたいというので、ごあっせんを願っておるところであります。その後、医師会の方が、また日本病院協会の方々に対しましても、まあ私としては誠意と条理を尽して、今の状態ではどう考えてもどうにもしようがないじゃないか、こういう状態では一歩も改善の努力というものができないし、それから法律上責任のある仕事もできない。これは一つ両方とも国の方では譲ることは一つもないのだ、悪いことは一つもない、要するに、相手が譲って、相手がわかればそれで結着するということを関係者が主張しておられます。この点を、これはやはり中に立つ方にごあっせんを依頼いたしまする場合に、あまり条件をつけて、こうしてくれ、ああしてくれといってもなりませんから、私のただいま申し上げましたように、イギリスでやっているような方式で、落ちついて物事を進める方向に持っていきたい、理想として。ただし、そのために具体的な措置というものはおまかせをする、しかし、自分の方にやるべきことがあればいつでもお手伝いもするし、下案等についても常にいろいろ相談をして考えるという建前で、まあ懸命の努力をいたしておるところでございます。今日の実情はそういう状態でございまして、一体そういう実情が続く限りにおいては、これはいつまでも中央医療協議会の任命ができないじゃないか、そうしたときにどうなるかという、これは御意見は当然私はあると思います。ただ私は関係者の方々も、今日国民皆保険化における一つのやはり国家的機関として国民に対して責任を負う地位にあるということを、私はそうおそからざる機会に御理解を願いまして、医界の長老の方々のごあっせん等にもかえりみて、これは何とか円満に措置を必ず私は見出すことが——見出すことができなきゃなりませんし、また、必ず私は見出すことができると努力いたしておる次第でございます。今日割り切ったはっきりした結論を申し上げられないのははなはだ残念でございますが、いましばらくこの努力を続けさせていただきたいと考えております。
○山下義信君 率直にかつ詳細な御説明をいただきまして、せっかく御努力中でありますから、私は大臣の御心配の結果を待つことにいたしたいと思います。ただお話のように、現存の法律ですぐに別の団体を認めるということは少し無理だということは御同感のようであります。やはり日本医師会におきましても良識をもって私は善処することがいいと思います。武見会長もわからぬ人ではないのでありまして、時と場合によりましては、私は大いに胸襟を開いて善処をするがいいと思うのであります。今詳細にお話を承わりまして、まあ御努力の結果を待つといたします。 最後に、私はいま一つ伺いたいと思うのは、きょう御説明の中に、またこれも新聞紙上で拝見したのでありますが、ただいままた御説明もありましたが、未帰還者の特別措置をなさるというお話であります。話は変りますが、きょうは舞鶴の引揚者のことを同僚の委員からお尋ねするようなことになっておったと承わっておりましたが、台風のために間に合わないそうでありまして、これは他日同委員から質問があろうかと思いますが、この未帰還者の特別措置をなさるということでありますが、いろいろそれについての法律をお出しになるというお考え、前国会にもそういうお考えがありまして、何かの御都合でこれをお見合せになった。最近このことが、再び当局の御意向が伝わりまして、引揚者団体連合会の有田氏などは政府にこの反対の意思の申し入れ等がいたしてあったり、いろいろと世論があるようであります。これは大臣といたしましては、当然明年のあれは八月でありましたか、八月以降の留守家族に対する給与の措置の関係もありましょうし、また、いろいろな関係がありまして、そうして要するところ、消息のわからぬ死んだと思われる者は、死んだという手続をした方がよかろうということになる、簡単に言ったら。そういう措置をなさろうということになりますと、法律を作って予算をつけて出しさえすればいいというわけにはいかぬのじゃないかと思うのですがね、私は。これは法律が出たときに聞くというわけにいきませんから、お出しになるというお考えを今日承わっておく方がいいのじゃないかと思う。法文を書いて、法案を作って、予算の裏づけをして出すことは政府はすぐにお出しになることができる。しかし、そういうお運びをなさる前に政府としてはなさらなければならぬことがあるでしょう。これは何のときでありましたかね、留守家族の援護法の審議のときでありましたか、あるいは審議会の、引揚関係の審議会の、設置法の審議のときでありましたか、両院とも付帯決議があったと私は記憶しております。今調べる間がありませんでしたが、このあれは外務省が調査することになっておりましたか、厚生省が調査することになっておりましたか知りませんが、十分に一つ力を尽して消息不明者については調査してもらいたいという決議が、引揚関係の留守家族関係の法律案でありますから私は記憶がある、決議をされた。一、二回責めたことがある。どういうふうに調査したか、どういうふうに調査したかといって厚生省のあなたの方へ聞いたことがあるのです。その調査を十分なさってからでなければ出されぬはずですから、そういう措置の法案は。いわゆる具体的に申しますと、中共に対して消息不明の安否の調査の申し入れをするかしないかということですね、そういう調査という、あらゆる努力をなさった後でなければ、消息不明者についての未帰還者の特別措置の法案などというものは出せようはずがないのですね、常識で考えて。当然のことです。何らの調査もなしにやるわけにいかぬでしょう。それはどういう調査をされるのです。また、中共がその調査に応ずる見通しがありますか、今日の日中国交の関係のこの段階においてそういう申し入れができますかいな。どうなさるのです。あるいは第三者でも通じて一たんそういった申し入れだけしておけばいいのですか。調査をしてもらったという実績はなくても何らかの公館を、第三国の在外公館を通じて中共側にでも一片の文書なり何なりで申し入れをしておけば、それだけで尽すだけの手は尽したという形になるのですか、どうなんですか。実際の調査というものはやってみたが、これだけはどうしてもわからぬ、向うでもやってもらったがどうしてもわからぬという結果に基いてこの未帰還者の特別措置の法案、その他の御措置は初めてできるのじゃないかと思いますが、法律案ができてから伺ったのではおそいから、その前に何らかなさろうというお考えがあるべきはすだと思う。ただいわゆる今日の日中国交の現段階におきましては、非常に当局としては困難をお感じになると思うのですが、そういうことはどうお考えですかということをお聞きしたい。
○国務大臣(橋本龍伍君) 申し上げます。未帰還者の問題については、まず調査を千分にしなければならぬということは仰せの通りでございまして、政府もそのつもりで、この未帰還者問題に関しまする特別の閣僚懇談会を作り、四月以来いろいろ相談をいたして参りました。そこで第一に今日考えておりまするのは、先般約千二百万円ばかりの予備金をもちまして、それによりまして、まず現在持っておりまする厚生省の名簿に従いまして、未帰還者の方々について、ひょっとしたら消息を知っておるかもしれないと考えられる同一の地域におった人というようなものにねらいをつけまして、そこでまず国内で引き揚げて来ておられる方々に、その人の知っておられるかもしれぬような未帰還者の名簿をお渡しして、もう一度いろいろな点について消息を調べまするというふうな問題、それからまた国外に、今まで通信があったり、消息があったりして、どこの地域にだれがおるということを、かすかながらでもわかりまするものについては、その方に対して問い合せをし、さらにその付近にいたと思われるような未帰還者の方々の名簿をお渡しして、あなた自身の消息についても、あるいはあなたが知っているかもしれないこういう人々についても消息を調べてもらいたいという調べを通信によってやるつもりでございまして、これは一人々々に分けて消息を調べる名簿を作りますので、相当手間がかかりましょうけれども、予算が取れましたので、大至急手配をいたしまして、大体十月末までには一斉に発送の準備ができると考えておるのであります。これは一つの手段であります。それからもう一つの問題につきましては、一つにはソ連、一つには中共の方に向いまして、未帰還者の調査について、これもこっちの名簿に従って、こういう人がそちらにいるはずなんだが、あるいはその後どうなったか調べてもらいたいということを外交交渉でやるということを、話を政府部内できめまして、先般来外務大臣と相談をいたしておる次第でございます。今日、ただいまお話のございましたように、ソ連の方はこれはもう話をするのは終っておりますが、中共関係のことについては、国交問題がいろいろなデリケートな段階にございましするので、これは外務大臣の方に預けてあるわけでありますが、いろいろ情勢を分析しながらその時期及び方法を今日考えておるところでございます。で、これも漫然と当てにならない将来を考えておるということでなしに、やはり今日、日中国交関係全体についてのいろいろな問題もございましょうけれども、なお必ずしもこのままで推移するとも考えられない、いろいろな事情等も考えられないわけでもないという外務大臣の意見でもございまして、ただいまやはりこの政府の決定に従いまして、中共関係につきましても、時期と場所と方法を考えて、話し合いをいたすつもりでございます。 それから未帰還者の措置全体の問題でございますが、これも皆さんよく御承知の通り、前大胆の時代に、一つの見込みがあるかないかという見当をつけて、政府の職権で処理をするような法案を前に考えたのでございまして、これは非常に反対があって、本来相当問題があってそれなりに終ったのでありまして、私は今日、前に作られましたああいった方式で未帰還者の措置を、十分な調査も、これはなかなか最終的に、これで確かだということを言いかねる実情にあったようなときに、ああいう法案を出すというのは私は考えておりません。しからば、ただ何もしないでこのまま推移するかということにつきましては、一般の未帰還者の留守家族の側においても何らか一つけじめをつけてもらいたいという要望を持っておられる方も非常に多いのでございます。そういうことをしちゃいやだという非常に強い要望を持っておられる方があると同時に、これは確かに死んだに違いないというふうな、むしろ消息なり——証拠とまでは、言わないまでも、強い消息があって、大体これはなくなったと認定していいのじゃないかと思われるものについても、これはぜひそういうことはしてくれるなという強い要望がありますと同時に、片方では、どうも不安だけれども、非常にはっきりはしないけれども、どうも死んだらしい、この辺で何とか政府で措置のできることを考えてくれんかという強い要望もあるわけであります。そこで、私どもの考えておりますのは、私どもと申しますより、政府の考えておりまするのは、ただいま申しました基本になりまする消息の調査というものを真剣に今言った努力を続けて参りまするが、それと同時に、留守家族の側で要望があって、そうしてしかも、いろいろな状態から見て生存しているとはなかなか考えにくいといったような方々につきましては、留守家族の要望に従って府県知事あたりから失跡宣告の申し立てをして、そうしてやはり裁判所でちゃんと審理裁判の結果、そうしてよかろうということがあれば失跡宣告の手続をする、そういう方々にはこれでなくなった方と同じように、それぞれの遺族扶助料の支給が始まりまして、それぞれの法律効果を持った措置をするということにいたしまして、それでどうも死んだと思われる場合でも、留守家族の方でもそういう御要望がない、政府の方でも確かに死んだとは言い切れない、こういう方々につきましては、ああいうふうにどうも戦後十何年もたっていつまで未帰還者手当もどうだという意見もありますけれども、これはどうも勝手に職権で打ち切り、整理をすべき問題じゃなくて、たとえそういう方々が少数でもあれば、そういう方々に対して留守家族手当の支給を続けるべきものであるというふうに考えて、この留守家族の手当の法案の期限を延長いたすつもりで、今年もそれに必要な予算の要求をいたしている次第であります。 なお、ただいま申し上げました、この留守家族の要望に従って失跡宣告の手続をするという制度については、留守家族の団体の方でそうしてほしいという要望が相当強いのでありますが、その場合どうも逃げたわけではないので、失踪宣告という名前はいやだ、同じ法律的な手続でけっこうだから、何か戦争による消息不明宣告というふうな特別の名前でやってくれ、ただし、手続は民法による失跡宣告の手続及び法律効果はそれと一緒にしてもらいたいという御要望がありまして、こういった法律的、技術的な点につきまして、なお法務当局とも相談をいたして参りたい。大体今まだはっきり法案を整理して持ち出すところまで参っておりませんけれども、大体の方針としてはさようなことにいたそうかと考えておるところでございます。
○坂本昭君 今山下委員のお尋ねになっていることに関連しまして、引き揚げ援護の問題について国民も重大な関心を持っているわけです。ただいま大臣は十分調査をやり、決して国民が心配することのないような処置をとられるという御説明がありましたので、その点安心でございますが、実はこの前の国会でも舞鶴の地方引揚援護局の閉居ということがきまっております。これは十一月の十五日に閉居することになっております。そうしますと、いろいろとその仕事が、国民の期待している引き揚げの仕事が中止になるのではないかという不安もあるだろうし、また、その当該の援護局の、あそこにはたぶん三十名くらいの人がおられると思いますが、その人の処理の問題などももう時日はかなり切迫しております。そういうことについてどういうふうな処置をしておられるか。さらに先ほど大臣は、引き揚げの問題について十分されるという説明がありましたが、この援護局の予算、それから定員、これが来年度と本年度とどういうふうな状態になっているか、来年度の予算と定員の点について若干御説明いただきたいと思います。
○国務大臣(橋本龍伍君) こまかい予算の問題に入りまする前に、舞鶴の問題等に関しまする方針を私ははっきり申し上げておきたいと思います。舞鶴の援護局に今まで働いてくれておりまする人々は、もう終戦後今日までいろいろ幾変遷の間に苦労してくれておりますので、これはもう今数は少くなっておりまするけれども、これはかまえて前々国会で定められました法律による期限が参りますまでの間に、当人たちの心配のないような身の振り方を考えるつもりでございます。ただまあ当人の方で、非常にここでなければいやだという要望があると、これはまた無理ができるのでありますが、幸い病院、診療所等についても手の要るところもございまするししますので、できるだけ配置転換の処置をする等、御当人の希望で病院、診療所のようなところ、あるいは厚生省関係のいろいろな機関というところよりは、現場でどこそこへ行きたいからその方へ周旋してほしいという要望があれば、その方面の努力もいたしますけれども、もう最後はかまえて私の責任で、一人も路頭に迷わすことのないように、これはもう確約ができると思います。現場の代表者もちょうど半月ほど前ですか参りましたが、安心してくれということを言うておりますし、必要な措置もできるだけとっておるつもりであります。 それで、あと援護局関係の来年度要求しております予算の詳細につきましては、事務当局から説明さしていただきます。
○説明員(河野鎮雄君) 援護局関係の予算でございますが、先ほど来問題になっておりました特別措置の問題、これは新規の予算でありますが、その他の予算につきましては、当初予算の異動によりまして若干の動きがございますが、大体従来の線に沿って要求をいたすようにいたしておるわけでございます。 定員の問題につきましても、現行法によりますと、百五十人整理することになっております。数年前に厚生省で作られました定員関係の法律によりまして、年々整理される人員がきめられているわけであります。来年度は百五十人整理というふうなことにきめられているわけであります。事務の進捗その他の状況を勘案いたしまして、やはり百五十人落されることは非常に痛手でございます。若干の減少が余儀ないものといたしましても、百五十人減らされることは非常に痛手でございます。やはりそういうことにならないように、要求を復活と申しますか、形式的には増員要求の格好になるわけでありますが、そういう要求をいたしておるわけでございます。 それから舞鶴閉鎖後の引き揚げに支障がないかどうかという点も御心配のようなお話があったわけでございますが、何といたしましても引き揚げに支障を来たしますようなことは、私どもの方といたしましては絶対にいたさないつもりでございます。ただ今後の引き揚げの予想から申しますと、中共地区につきましては、先般の二千人の集団引き揚げによりまして、大体集団引き揚げは終ったというふうに中共側は言うておりますし、私どもも帰還者の言葉等から判断いたしまして、最近の機会にまとまって帰ってくることはないのではないかというふうな見通しを立てております。ただソ連地区につきましては、なお樺太に帰還を希望している者がまだ残っております。先般の引き揚げの際帰ってきた人の話によりましても、あるいは早ければ年内にでももう一回くらいあるのではないかというふうなことを言うておるわけでございます。ただ従来の例から見まして、たとえばこの春、一月に引き揚げがあったわけでございます。そのときも、追っかけてもう一回あるだろうというふうなことが言われておったわけでございますが、現実にはそれからまあ半年ほどズレがあったわけです。ですから年内にあるのではないかというお話しにつきましても、実際問題としては、あるいはまた、来年になるのではないかというふうなことも予想されるわけです。いずれにいたしましても、今回で全く終ってしまったというふうには言えないのではないかということが考えられるわけでございます。 そこで今後の引き揚げ、舞鶴が閉鎖になりましたあとにそういった事態が起りました際に、どういうふうにするかということが問題になるわけでございます。この点につきましては、関係省ともただいま具体的に、細部にわたって相談をいたしておるわけでございます。大体の方向といたしましては、定着先が大部分北海道、あるいは東北地方というふうな実態にもございますので、むしろ舞鶴まで持ってくるよりは、あるいは北海道で処理するというふうなことの方が実態に合っているのではないか。たとえば北海道の函館であるとか、あるいは小樽に船を着けまして、できるだけ船の中で手続を済まして、船から上ったらすぐ郷里に迎えるというふうな態勢に持っていくことがいいのでありまして、そういたしますことが引揚者のためにも、早く郷里につける。また、国家経済の面から見ましても非常に経済的にいくということで、そういうふうな方法をとりますれば、引き揚げに万支障を来たすことはないのではないかというふうな確信をいたしている次第でございます。
○坂本昭君 厚生省の仕事の中には、引き揚げ問題のような、きわめて陰の、目立たない仕事もありますし、その半面、国民年金のように、今度スポット・ライトを浴びて舞台に登場してきた非常にはなやかな面もあるし、ただ、はなやかな面のために、こういう縁の下の力持ちの仕事が等閉に付せられることのないように、特にお願いしておきたいと思うのです。 なお、全般的なことについて、大臣に若干お尋ねを申し上げたいのですが、先刻、三十四年度の重要施策について御説明いただきまして、われわれとしても、日本の非常におくれた厚生行政、あえて申しますが、おくれた厚生行政を推進するためには、超党派的に協力していきたい、また、来年度の施策の中には、われわれとしても、これが完全に実施されるように全力をふるって応援申し上げたい点もたくさんございます。ですから、その点は、まず基本的に御了承いただきます。ただ、先ほどの御説明を承わりますと、厚生省の施策が何か積極性が欠けているのではないかというような点が若干うかがえるのであります。それは、国民年金というようなものが前に出てくる、あるいは国民皆保険が出てくると、そのために、ほかの施策がだんだんと圧縮されるのではないか、特に、厚生省の予算というものは、従来とも一つのワクの中にはめ込まれて、医療が進歩しても、医療費のワクを広げないで、初めからあったワクの中で点数問題を処理する、そういうような傾向がありまして、今度のように、国民年金が広がってくるというと、結核対策、あるいは児童対策、あるいは生活保護対策、こういったものがどんどん圧縮されていくのではないか、そういう心配を非常に持たざるを得ないのです。最初に伺いたいのは、来年度の予算に関しまして、いろいろな新しい法律案、あるいは法律の改正を出さなくちゃいかぬと思うのですが、おもなものは私たちも存じておりますが、こまかい点につきまして、大臣の御承知の点があるならば、その点、大臣から御説明をいただいてけっこうですし、それからあと非常にこまかい点につきまして、ただいま御返事がいただけなければ、当委員会に、どういうような法律案を出すつもりであるというその内容を付して、なるべく早く御提出いただきたいと思います。まず最初に、その点、法律案のことについてお尋ね申し上げておきます。
○国務大臣(橋本龍伍君) 法律の問題については、何と申しましても、国民年金法が一番大きな問題になります。あとは、国民皆保険の推進の問題にいたしましても、それから児童福祉関係の問題、生活保護の内容改善の問題でありますとか、いろんな問題がございますけれども、法律をいじくらなくちゃならぬという部分は比較的少いのじゃないかと実は考えておるのでございます。なお、その点につきましては、官房の方から御説明をいたさせることにいたします。お説の通り、いろいろいじくってみましても、国民年金は相当な予算を要しまするし、もう一つ、世間では、国民年金、国民年金と、国民年金ばかり金が要りそうに申しまするけれども、やはり何といっても、国民皆保険の計画というものは、もう非常に大きな内容を持っておるものでありまして、先ほども申しましたように、本年度に比べて約百億増になりますが、その国民皆保険の内容というものは、ほとんど義務的と言ってもいいくらいのものでありまして、また、受診率の見方等もありますけれども、査定の余地の非常に少いものであります。それだけに、やはり医療保障の将来といったような問題につきましては、病気自身を少くするような方策等について、官民をあげて真剣に考えなければならぬと思うこともあるのでありますが、当面の問題としては、確かにお説のありました通り、その方向に相当の金が要ります。生活保護の問題にいたしましても、児童福祉、母子福祉の問題にいたしましても、あるいは従来の戦争犠牲者の援護の問題に関しましても、あるいはまた、環境衛生施設の改善にしましても、もうほんとうに今ごろますますピッチを上げてやらなければならぬ問題が非常にございまするし、結核なんかについても、ほんとうに登録患者を完全につかまえて、なおしてしまうような方向へ持っていきたいと思うのであります。予算の全体の問題としては、三十四年度の予算は、なかなかやはり国民年金、国民皆保険で非常に大きく占めまする関係で、相当な努力が必要だと思うのであります。私も、政府部内にその点の理解を深めてもらうために真剣な努力をするつもりでございます。かまえて、今お話のあるような心配の結果になっちゃなりませんので、どうぞ一つ皆様方においても、そうした御支援をお願い申したいと思います。 なお、提出予定の法律につきましては、官房の方から御説明申し上げます。
○説明員(山本正淑君) ただいまの法律の点でございますが、実は、研究中のものもございます。かつまた、予算がきまります内容によりまして、内容的に変るものもございまして、現在の厚生省の予算要求がそのまま通れば、改正するようなこともございますし、そういう諸般の点がございますので、御説明は後日にさしていただきたいと思います。
○坂本昭君 それでは、改正案につきましては、なるべく詳細に、特に大蔵省からけられてしまって見込みがないからというようなことでなしに、やはり厚生省の考えが法律改正の中に盛られてくると思います。ですから、そうおそくまでかからないで、将来大蔵省でなかなか認めないものがあるかしれませんが、できるだけ詳細に、早い時期にお示しいただきたいと思います。 それからなお、次に大臣に、今国民年金のお話が出ていましたが、先ほどの千五百八十八億に、あと国民年金の予算がつくので、一体、つかみで何百億くらい、あるいは何千億くらいか、その程度の範囲は大体つかんでおられるじゃないかと思うのですが、その程度の御説明もいただきたいと思います。それはできないでしょうか。
○国務大臣(橋本龍伍君) もう申し上げてもいいと思いますが、大体国民年金の問題につきましては、社会保障制度審議会の答申を基礎にいたしまして、厚生省は、与党の側、あるいは一般の御意見等を参酌いたしまして、概略を練っておるのでありますが、やはり当面の細み立ての問題といたしましては、何と言いましても、基本になりますのは養老年金でございますが、養老年金については、無醵出年金を七十才から月一千円、それから醵出年金については、六十五才から月三千五百円という考え方につきましては、これは多少ただいま申し上げましたいろいろな方面について意見の違っている面もありまするけれども、そこを基本にして考えていったらいいじゃないかということを考えておるのであります。それで、それに比例をいたしまして、母子年金、障害年金を考え、また、その間において、つまり無醵出の年金、それから醵出を完全にできない人に対するいわゆる整理資源による経過措置というものを考えてみますと、ただいま申し上げました無醵出七十才千円、醵出六十五才三千五百円という基準で、今言った障害年金も考え、かつ、経過措置も考えて参りますると、大体事務費を合せまして、やはり五、六百億円という金額は出て参ると思います。これは整理資源によってまかないます経過措置の手厚さといったような問題にも関係がございまするし、それから、あるいは所得制限なんかも、やりようによって考えようがあるかもしれませんが、大体すらっと考えてみまして、今言った基準でやって参りますときに出て参ります金額は、五、六百億円に相なると思うのであります。従いまして、やはり年度の当初、つまり三十四年度、あるいは三十五年度、三十六年度といったような当面の財政計画を考えてみまして、それをそのままはめ込むことができるかできないか。できるような工夫をしたいのでありますが、はめ込むために、もし金が足らないというような場合には、今申しましたような、整理資源をどれだけ食うかというような点についても、なおなお大蔵当局とも共同で研究して参らなければなりませんし、あるいはまた、所得制限等の措置についても考えて参らなければならぬ点があると思いまするし、まあいよいよになりますれば、出だしの何年かの間は多少圧縮したものでスタートするという必要が起るかもしれませんが、大体私はただいま申し上げましたような筋で法律を組み立てまして、それでできるだけはめ込むことのできる工夫をしてみたいと考えておるのであります。 なお、三十四年度の問題といたしましては、これは事務手続がなかなか大へんでございますから、今やはり国民の要望もありまするので、できるだけ急いでやりたいと考えております。ほんとうに真剣に努力して、かけ足でやりまして、まず予算が次の通常国会をあがってから法律を施行するのが、まあ七月の一日、それからあといろいろな人員の配置もありますし、いろんな届出だとか、台帳だとか、通帳の交付だとか、いろんなことを考えますと、せいぜい骨を折りまして来年の末に最初の支払いをするというのが精一ぱいの努力だと考えておるのであります。従いまして、予算の問題といたしましては、初年度の財政負担というよりは、むしろこの当面、数年間を考えた平年度の財政計画というところに問題があると思います。そういう観点で目下検討をいたしておる次第でございます。いずれにいたしましても、先ほど申しました内容を、もう一応仕上げ的に検討いたしまして、来週中には法案要綱のようなものと、それからそれに基く財政要求というものを、もう少し明確な形で審議の爼上にのぼせて参りたいと考えております。
○坂本昭君 この年金問題は、次の臨時国会で一番大きな審議の対象になると信じておりますし、初年度、あるいはあと引き続いてどういう財政計画を持つかということにつきましては、また、その国会が開かれましてから、微に入り細をうがって、与党と野党との差異、われわれの主張点、そういう点を申し上げたいと思っております。ただその中で、一番私は大事な点は、現在まで政府がやってきた約一千万人の人を入れている厚生年金の問題だと思います。その厚生年金等の通算の問題、これは与党、政府の今考えておられる詳しい内容はまだ存じていませんが、技術的な通算のことについては、いずれまた審議することにしまして、一番重要な点は、厚生年金の積立金が現在二千数百億できておる。そういったものの上に、さらに今度醵出年金で、全国民から醵出していく。そうした場合に莫大な年金の基金というものが生まれてくる。かつてわれわれはあの戦争が始まってから厚生年金が実施せられた、しかもその醵出したところの労働者はほとんど恩恵に浴することがなく、浴したとしてもわずか三千数百円ぐらいしか浴さなかった。従って、国は人から金を強制貯金のような形で取っておいて、しかも労働者に、醵出した人に十分返してくれない。のみならず、醵出したものは大蔵省の資金運用部資金としてわれわれの好まないところの財政投融資、あるいは債券、そういうようなところに使われることが今まで非常に多かった。従って、現在ある厚生年金の積立金に対してこれをどういうふうに利用するか、この二千数百億の利用の仕方によっては、私は厚生行政をずいぶん推進することができると思います。特に今還元融資という問題が扱われておりますが、この中にはずいぶん内容的に疑問の点が多い。それよりも厚生年金の積立金自身を、新しい国民年金の基本的なプランを立てるに当って、どういうふうにするつもりであるか、そのことをやはり考えないというと、新しい国民年金の財政的な背景といったものも十分私は検討されたことにならないと思うのです。その点だけ、非常にこまかいようですが、私は非常に基本的な問題だと思いますので、厚生年金積立金の取扱いに対しては、大臣はどのように考えておられるか、そのことを一つ伺っておきたいと思います。
○国務大臣(橋本龍伍君) 厚生年金の積立金の取扱いについては、ことしも大蔵省と話し合いをして、御承知のような形で還元融資の対象の範囲を広げてやっておるわけであります。問題としては、いつまでこのままでよろしいのかどうかという問題が非常に大きな問題としてあると思います。国民年金の積立金が新たにできますわけでありまして、これについてもいろいろな考慮をしなければならぬ問題だと思いますが、これはやはり相当関係の面とも相談をしてやらなければなりませんので、この点については、法律案を作っていく上においてどうしても考えていかなければならぬ問題ですが、出だしはほかの方面に精力を使わなければならぬことが多いものですから、先ほど申し上げました来週半ばに表に出して審議をしてもらいたいという部分には、その点はまだたしか入っておりません。問題としては非常に大きな問題で、どういう点を考慮しなければならぬかということを国民年金について考え、同時にどうせひもを引いていく厚生年金についても検討いたしておるのでありますけれども、ただいまのところ、どういう方針でどういうふうに考えるかということをちょっと申し上げる段階になっておりません。ただ問題は非常に重要だということは十分認識いたしまして、いろいろな点の検討をしておるところであります。なお、その上話をまとめるためにもう少し一つ余裕をいただきたいと思います。
○坂本昭君 大臣非常に時間がおありにならないということですから簡単に……。今の五、六百億の予算が初年度に国民年金について必要だということでしたが、五、六百億としますと、本年度が千七十二億ですか、その半分ぐらいが年金に使われるとなりますと、どうしてもほかが圧縮されると思います。実際きょうの御説明を聞きますと、たとえば結核なりを例としますと、六万三千人というのは、ちょうど半年分なんです。半年分のことしか計画を立てていない。あるいは医療制度、国民皆保険をやる上において医療制度というのは非常に大事だと思うのですが、今度医療制度調査会に一千万円ぐらい、これは医務局の所管になると思うのですが、おそまきながらこういう計画を立てておられるようです。しかし、さらに環境衛生関係などを見ましても、スラム街の対策だとか、何かやることはやるけれども、ただお茶を濁すといった感じが非常に強いんですね。どうしても、年金の五、六百億というものがほかの施策になまなまと食い込んでいく。これではせっかく国民年金をやっても非常に意味がないので、この点について、私は大臣が国民年金は今までやった厚生行政の上にさらにプラスしてやるものだ。決して今までの施策を圧縮はしないという、はっきりした態度をこの際一つ見せていただきたいと思いますが、いかがでございましょうか。
○国務大臣(橋本龍伍君) ただいまのお話でございますが、初年度五、六百億円とおっしゃいますが、そうではございません。要するに、初年度はただいま申し上げましたように、なかなか年度の当初から全般的な実施はできかねますので、初年度の財政負担としては、私はあまり心配はないということは申しませんけれども、初年度の財政負担としては、これはやりくりはむしろ割合楽でありまして、初年度の問題というよりは、むしろどうせこれは国民所得も長期経済計画で五年間に四割上げるということを目標にしてやっておるわけでございまして、二十年くらいのことを考えてみましたら、大体倍ぐらいになると思いますが、要するに今日スタートいたしまして、そしてスタート当初の何年間かの財政計画というものが、やはり一番骨の折れる問題だと私は考えております。ですから、五、六百億円と申しましたのは、初年度それだけ使う計画を立てるにいたししまても、初年度はなかなかそれだけ使うところまでできかねると考えております。 それから、ほかの施策が圧縮をされるということは私は考えておりません。これはむしろ第一、年々の対象人口もふえて参りますし、それから内容の改善もはかって参らなければなりませんし、要するに、問題は圧縮をされるということじゃないので、われわれが考えておりまする拡大進展をさしていく度合いをできるだけ十分にしたいという考えでおります。私は、財政計画実施の担当者でございませんけれども、政府全体から私の承知しておりますことは、来年度の財政計画の面で、公約の中で一番大きい減税と国民年金の問題は、約千億円の財政余剰というものの中で、つまりプラス・アルファの中で、第一に使うべきものという考え方をしておる次第でございます。ただ、国総体といたしますと、いろいろな問題がございますから、私が先ほど申し上げましたのは、ほかの仕事も進展をかまえてさせて参りまするし、財政当局もできるだけ進展をさせたいという好意で考えてくれておりますので、国民年金と国民皆保険の問題に相当金を食いますので、ほかの問題については、これは圧縮は絶対にいたしませんが、進展をさして参りまするけれども、進展の度合いをできるだけ十分にしたいと考えておる次第でございまして、この点は、与野党あげて皆さんからの、御支持をお願いしたいと思います。国民年金のために一般予算を圧縮するというふうなことは考えておりません。
○委員長(久保等君) 本件に関する本日の質疑は、この程度にいたしたいと思いますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(久保等君) 速記をとめて。 〔速記中止〕
○委員長(久保等君) 速記を始めて。 —————————————
○山下義信君 私も別に異議あるわけではございませんが、当日委員会を開いていただきまして、この時点において、ぜひ委員会のむしろ義務として聞いておきたいことが一つだけありますのでちょっと待って下さい。 それは事務当局ですか、公衆衛生局長に聞いておかなければならない。私はしろうとでわからぬですけれども、もう去年から私は胸を痛めていることで、そして最近非常にしろうとながら私はおそろしいのは、小児麻痺が非常に流行しているということですね。昨年は木下議員の山口県でしょうけつを来たした。私の所は広島で隣県ですから非常な恐怖を感じた。それで県の衛生部その他で予防措置とか何とかやっておるが、予防措置があるかないか知らぬけれども、広島県は大丈夫だろうと思っておったところが、今年の春から官名前後、広島県にも相当多数発生した。それで私は昨年からおそろしいものですから、スクラップを作って、小児麻痺の記事が出ると集録しておる。しろうとでわかりませんからまとめて質問することができませんから、今朝も昨日もずっと、今朝の新聞は長野県ですが、集団小児麻痺が一部落で、一地方で十数名の発生ですね。これは最近日本に小児麻痺がこんなにたくさん流行して、多数の小児麻痺患者の発生するということは何かに基因するのですか。これは一体昔からあったのですか。ことにこれは最近流行するのですか、私わからぬ、わからぬが、新聞その他には非常に恐怖的にこれが伝えられるのです。そして何か予防措置か対策があるかというと、まあ食べ物を用心せいとか、手を洗えとか、昔からの通りなんだ。それでワクチンか何かできたのかと聞いてみるというと、今研究は、二、三カ所でなさっておられるようですがまだできないでしょう、一般に供給するワクチンができぬのでしょう。いつころできるかと聞いてみると、しろうとでわからないけれども、来年中は間に合わぬで、せいぜい昭和三十五年ごろから一般にワクチンを供給することができるかもしらぬとか、よくわからぬのですね。何でもサルの細胞に培養することによって、まあサルを得ることが困難かどうかよくわからぬが、モルモットでやってみるとか研究中だとか……。これは今小児麻痺で非常に恐怖しておる。これはまあ実に悲惨なことで、そうしてその小児麻痺にかかった児童の、身体不自由児童の施設の方を、これをやるよりは、これも大切だが、小児麻痺が伝染せぬようにして下さらぬか。これも防止も伝染も、何か対策はありませんか。まだ厚生省でこういう対策をしておる、こういう用心をしておってこうだというはっきりしたものがお示しがない。一つ私はちょうどきょう開かれたからこれを伺おうかどうしようかと思って、しろうとですからわかりませんから、この次は聞くことがよう聞けぬのですね、わしはよう聞けぬわけですよ、医学の知識がないから。今、小児麻痺の流行の原因が何であるか、流行状態はどういう状態で、現在までどのくらいの患者が発生しておるか、どの地方が一番しょうけつして、どういう程度でいきおる、まだ危険性があるとか、もう山を越したとか、どういう対策を厚生省がとっておるとか、どういうことでこれは防止できるとか、安心のできるような話があったら、こわいならこわいでもいいですから、警告を発してもらったら、これは心配でなりませんから、きょう聞いておかなければいかぬと思いますので、一つ説明して下さい。
○説明員(尾村偉久君) 小児麻痺の一番のしょうけつ期は夏でございます。ちょうど日本脳炎より一月ぐらいずれて早く最高のしょうけつ期が参る。例年こういう経路をとっておりますが、本年は昨年よりも非常に多うございます。全国的な発生数は約二倍をこしております。これは、原因はいわゆる濾過性病源体であるビールス、これが消化器系統からの排泄物を主といたしまして、いわゆる経口感染が主でございまして、すなわち消化器系の伝染病ということが最近明瞭になっております。ただこれが同じ消化器系の伝染病である赤痢のように、菌がうつれば必ず大部分がうつるというような性格を持ちませんで、まあビールスのこれは特徴でございましょうが、感染は発生した、発病した患者の百倍ないし、まあ学説によりましては千倍くらいその周辺にある。しかし、起るのは何百分の一、こういうような状況でございまして、この免疫によるものでございますが、その起点はまだ明確でありません。ただこれが今のような伝染病の一種でありまして、ビールスによるということで現在ソーク・ワクチンというワクチンによる予防法が大体これは有効であるということで——これは外国の発見でございますが、起りまして、ことしは予研でことしの予算をもちましてこの製造実験を継続いたしておりまして、大体今の見込みでは年末に六千名分が大体でき上るという進行状況でございます。しからば、これができればどんどんこの有効な予防接種の材料を大量に作っていくということでございますが、来年度はこれはいろいろな事情で可能性が大体国産三万人分ということであります。従って、これでは最重点に使うにも足りませんので、もう三万人分ほどをこれはすでに製造の進んでおる外国から輸入をして、来年六万人分をもって今のような濃厚に発生する地域の、ことに免疫が不足であって集団発生のおそれのある小児中心にこれを予防接種に使う。これによって非常な集団犠牲を防ぐ、こういうような計画でございます。現実に、ことしも秋になりますので、現に消退はいたしつつあります。これは決して予防措置というよりも、この伝染の疫学的な特徴でございまして、大体九月を過ぎますと非常に極端に減少いたしますが、ことしはさようなことが六月ごろから予定されましたので、消化器系の伝染病としての措置一切を講じておるにもかかわらず、ことしが非常にふえましたのは、おそらくこれはもう世界中そうでございますが、一定の周期をもってこれが消長する、年次の周期をもって消長する。ちょうどことしがその年に当ったのであろう、こういうことで昨年以前よりもはるかに濃厚な予防措置を積極的に講じておるのでありますが、さような状況であります。このやり方は年々むろん強化しなければいけませんほかに、今の有効とわかりましたソーク・ワクチン中心の予防接種の増強をはかる、こういうことでございます。 それから、先ほど山下先生からお話のありましたサルの問題でございます。これもサルのじん臓に培養いたしましてのみ現在のところ予防ワクチンが作れる。こういうことでございまして、これもサルが非常に不足でございまして、サルの入手と予防ワクチンの製造の進展とは並行するわけでございます。これの方も日本の製造技術が、予研のことしでき上りましたのが成功いたしますれば、これもあわせて考えてみたい。これによりましてできるだけ早くワクチンの製造量の増加をはかって、年々夏に向って起るこの流行の抑制をはかる。こういうようなふうにいたしております。
○山下義信君 結局、ことしの流行の最盛期というときには何もせずにおいて、そうして医学的に秋になればこの種の伝染性的なものの何として自然におさまっていく。従って、ワクチンは今年の最盛期には使わない、ないから間に合わぬと。それならば外国のいわゆるアメリカからでもどこからでもソーク・ワクチンを輸入して臨機の措置をしたかといえばそれもしておらぬ。また、研究中のものがことしの年末には六千人分かできる。来年には今のような措置によりまして多少の手配ができる。来年はワクチンの予防ができそうだ。だけれども、ことしは何にも結局なさらなんだということになる。で、まあ景気が不景気になると、景気というものは循環するという学説があって、また、この種のおそるべき伝染病というものの同期率が、来年は何ですか、あまり伝染せぬような周期率に当っておりますか、周期率ということが医学的に私わかりませんが、とにかくこうして下さい。私医学のことはわかりませんが、これは一つ国民にも、この小児麻痺というものは言うまでもなくおそれられておりますけれども、大いに警告を発していただいて、用心をさせていただいて、これは実に悲惨ですから、それですから一つ用心をさせていただいて、何か方法があるか知りませんけれども、一つこの流行を防止しますか、伝染を防止しますか……これ伝染病になっておりますのか、この小児麻痺というのは。
○説明員(尾村偉久君) 今のところ、いわゆる法定伝染病と昔からいっておりますが、十一種の伝染病には入っておりません。届け出で伝染病ということになっておりまして、今のところ入っておりません。そこで、日本脳炎が数年前入ったのでございますが、日本脳炎よりも現在の考えではむしろ法定伝染病の方にもっと入れた方がいいと、こういうふうに存じておりますので、これを伝染病予防法の中に取り上げることに現在いろいろと検討を進めております。ただし、その取り上げ方につきましては、何といいましても今のように患者の発生とそれから感染との関係が非常に——起るのと、感染はするけれども起らぬというのとの比率が大き過ぎるものでございますから、この措置が、感染をした場合に全部をかけるということについては非常にこれは難点があるのでございますから、その点をどういうふうにしぼるかというのを今学者の委員会でこれは検討を進めております。
○山下義信君 一つ公衆衛生局長にお願いしておきますが、先般、ことしの春以来全国の衛生部長にいろいろ通牒なさって御注意をなさったことはよく存じております。ただいま申し上げましたように、非常に私は心配でなりませんから、悲惨な児童を発生させないように一つ十分万全な総合的な対策を立てていただいて、そうして国民にもよく周知徹底するようにしていただいて、ことしももとよりでありますが、明年におきましてはもう大々的に予防措置を、今のように発生率と予防率というものの大きな格差があるか知りませんけれども、用心にしくはないのでありまして、どうか一つ明年はこの種の悲惨な小児麻痺が流行しないように一つ措置を十分にとっていただきたいということを要望いたします。一つ重ねて御答弁を願っておきましょう。
○説明員(尾村偉久君) ただいまの御趣旨の通り十分措置を講じて……ことにわれわれ、今御要望にはなかったのでありますが、児童局等の身体障害者で非常な手数のかかる中の相当部分が小児麻痺の後遺症があること、十分存じておりますので、これらも考えあわせまして、発生をさせないという方向で十分総合措置を努力いたしていくつもりでございますから御了承願います。
○委員長(久保等君) 本件に対する本日の質疑はこの程度にいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(久保等君) 御異議ないと認めます。 それでは暫時休憩いたします。 午後一時二十分休憩 ————・———— 午後二時五十三分開会
○委員長(久保等君) 社会労働委員会を再開します。 委員の異動を報告いたします。九月十八日付をもって藤田藤太郎君が辞任し、その補欠として平林剛君が選任されました。 —————————————
○委員長(久保等君) 労働情勢に関する調査の一環として、日本専売公社の労働問題に関する件を議題といたします。御質疑を願います。
○平林剛君 私は、ただいま議題となった専売公社の労働問題に関して、公社当局からその事情をお尋ねをいたしたいと思うのです。本日の中心は、高松地方局に起きた、いわゆる機械化政策から起きる労使の紛争についてでありますが、それらを取り扱う公社の労務政策について、私も専売公社の労働組合に長い間関係をしておりましたから、どうも妥当でないところがあるように思います。最近、専売公社の労務政策は、原さんが中心になって行なっておられるようでありますけれども、まだ、あなたは専売公社のことについて明るくない。私は、少くとも専売公社の労働問題については十年以上の経験を持っておるから、あなたのやっていることがいいか悪いか、すぐ判断できるわけです。そういう立場から、きょう、あなたに、あなたのおやりになっている労働政策がどんなものであるか、よく聞いて、そして今日起きている紛争の責任はどこにあるか、これを明らかにしていきたいと思う。公共企業体の円滑な運営をするためには、どうしてもそれが必要である。私はそう考える。そこで、まず、この問題の発端になりました専売公社の合理化政策について、初め責任者から明らかにしておいていただきたい。一体、専売公社の行いつつある合理化政策、つまり各工場を機械化していく目的——ねらいというものはどこに置いておられるか、これがまず大事なことです。副総裁から、現在専売公社が行いつつある機械化政策のほんとうのねらいはどこにあるのか、これをはっきりしていただきたいと思うのであります。
○説明員(石田吉男君) これは専売公社だけに限ったことではないと思うのでありますが、まあいろいろな産業の面で合理化ということはもちろん行われております。で、われわれ専売公社を運営していくに当りましては、公共企業体であるという点から、できるだけ企業性を発揮していきたいという点が一つ、それから、もう一つのねらいは、公共性という点、これはなかなか意味がわかりにくい点もあるのでございますが、普通の私企業とは違った公共性を持っている。その公共性と企業性をうまく調和しながら専売公社の運営に当っていくということが私ども仕事だと思っております。その企業性を発揮するという面につきましては、やはり能率をできるだけ上げていって、企業として全般の成績を上げていくということが必要なのでありまして、従来、たばこ製造関係につきましては、機械化の面が非常におくれているといいますか、そういう点があるのであります。これは世界各国の例を見ましても、葉タバコを扱うことに機械化することがなかなかむずかしい点がありまして、進歩がいわば非常におくれている点があったのでありますが、近代になりましてから、平林委員も御承知の予備作業の面におきましてかなり機械化ができて参った。従って予備作業の面でできるだけ機械化をはかって能率的な企業の運営をはかっていく。それからもう一つは、これは世界各国どこでもそうでありますが、巻上機でございますけれども、これには大体専売公社がやっておりましたものが一分間九百回転、ところがほかの国々では千二百五十から多いところでは千五百回転もあるというようなことから、まあそれらの点についていろいろな機械化ができて参りましたものですから、そういうことで工場の運営を能率的にやっていきたいということから、最近のいろいろな機械化の問題が起っているわけでございます。
○委員長(久保等君) 労働省並びに大蔵省、日本専売公社の出席の方々をお知らせいたします。労働省から亀井労政局長、大蔵省湊日本専売公社副監理官、日本専売公社石田副総裁、原職員部長、駿河生産部長、萩原製造部長、高橋総裁室長、以上です。
○平林剛君 専売公社の機械化を進めるという目的は、企業性、あるいは公共企業体の特質にかんがみということは抽象的な言葉であって、私はもっと突っ込んだ話を聞きたい。私どももできるだけ機械を合理化して能率を高めるということに反対をするものではない。しかし、その緊急性ということについては多少の疑問を持っておる。なぜかといえば、今日製造たばこの販売をながめてみまするというと、国民の需要というものは大体頭打ちになっている、そして現在の経済事情によりますけれども、あまり伸びがない、需要がない。国民も、今の経済能力からいきましてこれ以上の喫煙量をふやすというほどの状態ではない。その中で機械の回転数をふやし、また能率の高い機械を入れるということは、一体ほんとうのねらいはどこにあるか、そういうことを聞いているわけです。ただ企業成績を高めるとか能率を高めるというような抽象的な文句でなく、ほんとうのねらいはどこにあるか。たとえば、私は専売公社の各工場を見て参りますと、せっかく入れた機械が完全操業していないという所だってある。機械が三分の二くらいしか動いていない所もある。つまりこれは現在の製造たばこの販売成績が伸びないために機械も十分に動かさないで済む、こういうことを意味しているわけなんです。このときに、専売公社が九百回転を千二百、千五百、各国に比較してよくするという。それだけはわかるけれども緊急性、必要性というものについては、私は疑問を持っているわけです。いわんや、これを公社の職員と十分話し合いもつけないで強引に機械を押しつけていく、国民がこれを、機械化を強く要望してそしてどうしても専売公社がこれを短期間でやらなければならぬという必要に迫られてやるなら話はわかる。全般の需要、専売事業の現状から見て紛争を起し、しかもそれが、組合が受け入れないからといって警察官を入れたり、無用な紛争まで巻き起して話し合いを拒否しながら進めていくという理由は一体どこにあるのか、緊急性がどこにあるのか、私はそれを聞きたいのであります。少くとももっと具体的に、たとえばこういう機械をこういうことにすることによって専売事業では経費がどういうように節約できる、どういうことを目標にしてやっておるのか、青写真があるならその青写真を示してもらいたい。もっとわれわれに納得するような説明をしていただきたい。
○説明員(石田吉男君) ただいまの御議論の前提に、たばこの消費が頭打ちになっているというお話がございましたが、現実にその実績を見ましても、昨年度に比べて数量で約五%以上の伸びを示しております。 それから私ども長期の計画を立てる場合にも公社のいろいろな統計資料を各方面から検討いたしますと、たばこの消費の伸びというものは、大体成年人口の増加率にほぼ匹敵するということを一つのベースにいたして先のことを考えております。たばこの製造工場がそういうふうな一つの消費の傾向に応ずるためには、あしたから、消費が伸びたからすぐにそれを追いかけて機械を入れる、そういうことでは間に合わないのでございまして、少し数カ年先のことを考えた場合には、どうしてもやはり現在の製造設備というものはある程度ふやしていかなければならないというのが私どもの見通しでございます。従いまして、その場合に工場を増設するということも必要になりますが、それ以前にやはり現在持っております能力をできるだけ稼働して能率を上げていくということは、これは企業経営の立場からいたしますと当然なことと思うのであります。その緊急性の問題も一年内に片づけなければならないか、あるいはそういう計画というものを三年までにやればいいか、これはたばこの消費の推定ということが、現実の数字をつかむのはなかなかむずかしいことでございますが、大体の傾向としますと、やはりできるだけそういう消費に合うように、しかも企業内部の合理化あるいは能率化をはかりながら実際のたばこの消費がふえた場合に、一般の方々に迷惑のかからないようにということをやっていくことは当然のことと思うのでありまして、私どもその機械化のために、紛争を目的にして機械化をやっているわけで実はないのでありまして、やはりそういう将来のことを頭に描いて、そのテンポを合せるようにという点に計画のベースを置いているわけでございます。
○平林剛君 私は従来行なってきた専売公社の仕事を批判をするわけではありませんけれども、少くとも塩の生産の面においても、一時は塩を増産しなければならないという指導政策をとって、それがしばらくたつと過剰塩に困って、あわてて塩業政策を転換する。たばこでもそうです。葉タバコの生産を、増反計画を立ててどんどん増反を奨励し、耕作者に換金作物としての農作物を与えておきながら、豊作が続くというと、たちまちにしてその方針を転換して今度は減反をする、生産農家の生活の安定を動揺させる。ただいまの機械化問題でもそうです。現状は五年先、六年先のことを考えてやられるというけれども、現状は将来に対するそれだけの十分の用意があるか、あるいはそれが行き過ぎた機械化を進め過ぎたか、こういうことはこれは何年かたって後に塩や葉タバコと同じような立場に公社のお考えがならぬとは限らない。いわんや三年先、五年先の需要を見込んで機械化政策を進めるとしたならば、もっと職員との間に穏やかな話をつけてやる方法があるじゃありませんか。企業性を高める、あるいは公共の福祉ということを理由に機械化政策を今強引に進めておりますけれども、私はその機械化を進めることによって企業が、あるいはひいては国民が得をするというよりも、紛争によって企業がどうも円滑にいかないという損害の方がもっと大きい。物事というものは、もう少し私は全般的な立場に立って、あなた方が企業性、合理性を主張する、そして国民の福祉ということを中心に運用されるならば、労働問題はもう少しうまくやってもらわなければならぬ。機械化、合理化によって得するものよりも、国民はあなた方の労務管理の下手なことによって損失を受ける方が大きいかもしれない。まあこれは、私これからいろいろあなた方の労務政策をお尋ねをする上において、それがどういうものであるかとういことを少しは知ってもらわなければならぬと思うのであります。ただいまの質問に対して、その機械化政策の青写真をお示しにならないのか、製造部長がおいででございますけれども、今日までの合理化によって、まあ機械化ですね、機械化を進めることによって要した経費はどのくらいであるか、最近の例で高槻、函館、宇都宮、鳥栖、名古屋等の工場に機械を導入し、新しい機械を買い込むことによって要した経費が幾らであるか。それから私お聞きしたいのは、機械の発注先を聞きたい。もう一つは、今後の具体的計画、専売公社三十数工場ある、残った工場に対する機械化を行うための具体的プラン、この三つを一つ示しておいていただきたい。きょうは、この問題については突っ込んだ質問は続けてしませんけれども、私は専売公社の機械化政策については、多少先ほどの議論から疑問を持っております。この際概要を明らかにしておいていただきたいと思うのであります。
○説明員(萩原昇君) ただいまの平林委員の御質問につきまして機械化に使いました経費については、ただいまは正確な数字を記憶いたしておりませんが、五工場について大体一億円ぐらいかと思いますが、御入用でありますれば正確な費用をいずれ調べて申し上げます。それから、機械化の発注先と申しましてもただいまのお話は、副総裁からもお話がありましたような予備作業の機械化の問題についての御質問かと思いますが、これはごく一部のものは特定の会社に作らせておりますが、あとは工事でありますので、競争入札の形をとっておりますので、あちらこちらの会社でその工事を請負っております。ただいまの、私それぞれの工場についての詳細を記憶いたしておりません。それから計画につきましては、ただいま平林委員がおあげになりました工場について、今までのは実行してきたわけでありますが、なお本年度については三ないし四工場程度のものをただいま考えておりますが、まだ具体的に実行の段階には入っておりません。 以上でございます。
○平林剛君 これは、後の参考にするためでありますけれども、ただいま、今日まで六工場において行われた機械化に要した経費は一億円というお話は、予備作業だけの数字ですか。私が聞いているのは、全般的に、今、専売公社が先ほど大スローガンとして掲げた、企業性を発揮し、能率を高め……何か特別の目的があるようです。その目的を達成するために必要な全般の経費を私、お尋ねをしておるんです。 それから、今後の具体的計画については、もう少しこまかく、どことどことどこで、どういうようなプランがあるか、そして、その専売公社の時代の要請にこたえた合理的な政策というものはどういう計画であるか、いつごろまでに終るか、こういうようなことをもう少し詳しく説明をしていただきたい。
○説明員(萩原昇君) ただいまのお尋ねの経費の点は、予備作業の機械化に使いました経費についてでございます。それで、なお、専売公社の機械化の点につきましては、ただいままでのところでは予備作業の機械化がほとんど中心になっておるわけでございます。そのほかでは、副総裁からもお話のありましたように、早い巻上機を三十台程度ただいままでに作っておる程度でございます。 それからもう一つ、計画につきましては、ただいま、ある程度の腹組みはございますけれども、これは工場の配置等を相当詳しく検討をいたしませんと、その工場で実行が可能かどうかということがはっきりいたしませんので、ただいまここで、これだけの工場についてやりますという正確なことまでは、ちょっと申し上げかねます。
○平林剛君 私は、専売公社の機械化政策に疑問を持っているわけです。従って、労働問題の発端になった機械化政策の緊急性、あるいは総合的な計画を一体どこに置いておやりになっているのか、こういうものにしっかりした根拠がありませんというと、何のために公社は紛争まで起してそれを進めているのか、こういう疑問に発展をするわけであります。本日、この委員会においてお示しできないとすれば、ただいまあげた三つの点につきまして、後ほど資料をもって提出していただきたい。委員長、一つ確認していただきたい。
○委員長(久保等君) 資料の点、いかがですか。
○説明員(萩原昇君) 予備作業の機械化の経費、発注先については資料を作ることができると思います。
○委員長(久保等君) その以外には、
○説明員(萩原昇君) そのプランにつきましては、今、こういうふうにやりますということを、先ほど申し上げました通り具体的な計画というものがはっきりきまっておりませんので、ちょっと提出いたしかねるかと思います。
○平林剛君 私は従って、専売公社の機械化政策の具体的根拠について非常に疑問を感ずるんです。 少し話は労働問題を離れますけれども、もう一つお尋ねをしておきます。最近、専売公社は、「ホープ」の製造を始めまして、いわゆるアメリカからはやった肺ガンの問題から、これは何というんですか、新しい製造たばこ「ホープ」を発売した。これを専売公社の工場で操業をいたしておりますけれども、新たに、企業体の能率を高め、企業性を発揮……という名目にこれもなると思うのでありますけれども、別の所に、これらを専門にする機械工場を設置するといううわさを聞いておる。しかも、そのうわさは、専売公社の退職した官僚が経営をする、こういう話までついて、機械化工場の計画があると聞きます。その真相はどうですか。
○説明員(石田吉男君) 先ほどの資料の点について、あらかじめお断わり申し上げておきたいと思いますが、具体的な計画がないじゃないかというお話でございますけれども、これは、御承知のように、公社は毎年予算をもらいまして、その予算の範囲内で現実の計画を作るのでありまして、従ってその具体的な、どの工場をどうするかということは、全体の大きい一つの考え方がありましても、それを具体的なものに当てはめるということについては、いろいろな条件を考えなければなりませんので、御要求がありましても、できていない計画を申し上げるわけにいかない、ということで御了承を得たいと思います。 それから、あとの方の問題でございますが、これは何か誤解があるようでございますが、現在出しております「ホープ」には、フィルターという先の方に口がついています。このフィルターは従来までアメリカから輸入していたものを使っているのでありますが、国内でいろいろ研究がなされまして、日本でもできるということで、そのフィルターだけを作る会社が発足しかかっております。別に新しくたばこを作る工場を民間にやらせるとか、そういう問題ではないのであります。その点御了承いただきたいと思います。
○平林剛君 まあきょうはあまり話を発展させないであげますけれども、先ほど要求した資料だけは、私の指摘した点をよく検討して、ぜひ提出をしていただきたい。今の副総裁の答弁でかえることはできません。 そこで本題に入りますが、私は専売公社の問題が最近国会でときどき批判の対象になることは、まことに遺憾に思っております。先ほど申し上げたように、昨年の国会では、塩業政策の転換問題をめぐって、専売公社のように比較的統制のとりやすい機関でありながら、塩生産の日通しを誤まって、そこから余剰塩の問題を起した。葉タバコの生産指導に当っては、ある年は生産増、次の年は減反、多くの耕作者の生活の基礎に動揺を与えている。また先般の国会におきましては、管理職手当の問題を起しておる。そして職員間に無用な摩擦を起している。本社の部長は、あるいは総裁室長は月に二万八千円、新たに課長は月に一万三千円、地方の局長は月に一万六千円、こういう新しい管理職手当を職員の反対を押して強行なさった。理由はお尋ねを……その理由はともかくといたしまして、私は専売公社がおやりになっているやり方の中には、どうも独善的な態度がありはしないか。これは、国会議員ですら歳費をちょっと上げるだけでも大問題、ところがお役人さんの方は、それはいろいろ理由はあるかもしれない、しかし、管理職手当という一つの政府の政策に便乗して、すかさず専売公社にもそういう制度を作ってそれを規定化する。額は問題ではない。またその差引がどうだということは議論ではない。ただそういうことを、どこからも批判を受けないことをよいことにしておやりになるという独善的態度を私は苦々しく思っているわけです。きょうの労働問題についてもそうであります。私どもが、専売公社には従来からよい伝統がある、あるいはよい歴史があったと、こう信じておるにもかかわらず、今日衆議院の大蔵委員会においても問題化され、今日社会労働委員長初め、各委員からも最近の専売公社の労務政策はちとおかしいということから議題にもさせられるように、ときどき批判を受けるような事案があることをまことに残念に思っております。こういう原因は一体どこにあるのか。私は、先ほど申し上げたように、長い間専売公社におりましたから、事労働問題については、あなた方よりよくわかっておる。この原因はどこにあるかといえば、第一にあげなきゃならぬのは、専売公社の官僚的な通常、先ほどからあげてきましたような、幾分独善的な官僚的な運営の中から、最近の紛争が起きたものだ、こういうふうに思うのであります。もう一つは、政府の労働政策に便乗しておる。管理職手当のごときはそのいい例であります。すべて政府の労働政策に便乗しながら労務管理を強化しようとしている。そこに新しいトラブルが起きる。もう一つは、従来のよい伝統とよい歴史——私は、労働問題は、慣行を尊重することが最も大事なことだと思います。ところが、そういう慣行を破壊して、時計の針を逆にするような公社の労務政策の転換が、今日の紛争の原因になっておるのじゃないか。端的にその原因を指摘することができるのであります。いかがですか、副総裁。
○説明員(石田吉男君) 管理職手当の問題につきましては、先般も御説明申し上げましたが、専売公社だけがやっているというものではないのでありまして、すでにそれと同様の制度が公務員にもございます。ほかの公共企業体にもございます。また専売公社におきましても、名前は変っておりましたが、従前から同様の性質のものを出しておりましたので、それを管理職手当としたということで、いろいろお話があったわけでございます。先般御説明申し上げましたが、ただそれをもって官僚的な独善的な一つの例だというふうにお考えいただくのは、私どももそういうふうな見方でやっているのではないのでございますので、その点一言申し上げておきたいと思います。 それから公社の労働政策が、政府の政策に従っているのではないかというお話でございますが、これは、公社といえどもやはり専売公社法に基いてやっており、それから労働関係を律するためには、それぞれの法律がございます。その点におきまして、政府の方針なりほかの公共企業体の運営方針なり、それと同じ方法あるいは同じ、同調するといいますか、そういうやり方でやっていくととは当然のことだと思うのでありまして、むしろ私どもとしては、政府の方針に反してやって参りますということは言えないのでございます。それで、従来から専売公社が労使の関係を慣行によって律してこられたというふうなお話でございますが、私どもは、慣行よりも、やはりただいま申し上げましたような、いろいろな公社運営上の規範というものがあるのでございまして、その規範に従ってやって参っておったつもりであります。今日の高松の闘争におきましても、あるいはまた今後の労使問題の扱いにいたしましても、やはりその政府なり公共企業体の労使関係を規律する一つの規範がございますが、その規範に従ってやっていきたいということは、従来といささかも変らないつもりでございます。
○平林剛君 私は総括的に私の考えを述べたのでありまして、あなたのお考えが正しいか、それとも私の指摘の方が合っているか、なお具体的に掘り下げて御意見を聞けば、おのずから明瞭になると思います。 第一に、専売公社が官僚的運営になっているということは、ただ管理職手当のものだけを主として私は言っておるのではありません。専売公社が昭和二十三年公共企業体として発足をいたしまして、初代の総裁が秋山孝之輔さんであります。この人の主義は、有名な前だれ主義、専売公社というのは公共企業体になったのであるから、官庁とは違うのだ、民間企業のいいところを取り入れて、公共企業体としての運営を自主的にやりたい、こういうことで、公共企業体としてのいいところを育てようと、努力なさった時代があった。そのころは職員は生々として仕事に励んでおりました。たとえば、職員の労働条件の問題についても、従来ありました罷業権などに制約を加えられたのであるから、その生活の保障を与えるという意味で、仲裁裁定の取扱いについても、私は法律によって下された裁定を実施して紛争を解決、職員の努力によって企業を発展させたい、こういう気持で運営されておった時代もあった。ところが、今はなくなりましたけれども、入間野総裁は、二代目に就任されると、私は大蔵省に頼まれて総裁になった、だから大蔵省のために尽すのだ、こういうことを就任のあいさつに言って、職員をあぜんとさせたことがある。これまた有名な話である。三代目の現在の総裁になりますと、初めの間はともかくとして、最近全国地方局長会議で、原さんのはっぱがきいたかどうか知りませんけれども、ばかに調子のいいことを言って、これから労働組合を甘やかさない、こういうような張り切り方である。主眼の置き方が何か違ってきている。終戦直後に今のような専売公社が考えを持っておやりになるなら、これは別です。時代が変って参りまして、組合に対する政府の風当りが強くなってくると、あなた方もそれに便乗して、今度は労働組合を甘やかすな、警察権を入れるとか、こういうようなお役人さんの考え方がわれわれはこわい。時代の流れに便乗しながら、全般的な労働問題の解決の能力を持たない、時代々々に便乗しながら、とにかく仕事をしていこうとするところに、大きく見て大局を誤まるということがあり得る。おまけに最近、きょうおいでになった原さんは、これは私に言わせれば、専売公社のことはあまり知らない。公務員の組合の方では辣腕をふるったそうでありますけれども、専売公社のことはあまりよく知らない。おそらく専売公社のほんとうの職員の気持を、まだ十分把握されておらないのじゃないか。総裁、副総裁初め、従来労働組合に比較的友好的にやってきた人たち、少くとも職員の立場を理解して、協調的態度で紛争を処理してきた幹部を退けてしまって、専売公社の労務問題について、あまり明るくない原さんを採用し、これに今日のむずかしい労働問題に当らせようとする、そういうところに私は現在の専売公社の官僚的運営が現われているのじゃないかと思う。原さんをやめさせろというわけじゃないのですよ。しかし、もう少し専売公社が、労働の問題について、十分研究をしておやりにならないというと、専売公社の伝統というものはくずれて、せっかく職員の協力を得ようとする企業体の発展というものを、いいところをみなこわしてしまう、そう思いませんか。
○説明員(石田吉男君) だいぶ職員部長のお話が出ておりますが、職員部長の仕事と申しますのは、公社のまとまった意思を、職員関係に仕事の上で反映させるということが仕事でございまして、職員部長が新しい人が来たから、それですっかり労働組合に対する考え方が変ったのだとか、そういう見方は、まあ私どもから考えますと、非常に労働組合的見方と申しますか、そういうふうに感ぜられるのであります。私はそれぞれの部長が、所管の仕事を持っておりますが、公社全体の方針といたしましては、内部で十分検討いたしまして、総裁以下一同がまとまった意向をきめて、そのきまりました考え方を、職員部の仕事として職員部長が担当しておりますが、個々のだれかれが、どういう部長になったからどうだというふうには考えておらないのでございます。
○平林剛君 副総裁が原さんの立場をそういうふうに弁護するのは、これはまあやむを得ないことかもしれません。しかし、原職員部長に対してお尋ねしますけれども、あなたは専売公社の職員部長に就任するに当って、専売はどうも組合の王国だ、これからは公社の失地回復をはかるというようなことを話されたことがありませんか。
○説明員(原三郎君) どうも私の個人的な問題で恐縮しておりますが、私は十年前に専売の方にしばらくおりまして、三年ばかりおりまして、それから大蔵省へ行って、また、戻って参ったわけでございますが、当時の知り合いの方も専売にたくさんおられるわけであります。別に新しく——全然新しいところへ入ってきたわけじゃございません。 それからただいまお話しの、何か専売王国であるとかなんとかということ、どういうことを言われるのかちょっと私には記憶ございませんでございますが、いつ一体どなたにどういうことを言ったとおっしゃるのか、ちょっと私わかりかねるのでございますが。
○平林剛君 またあとでそのことは質問の順序に触れていきます。 それからもう一つお尋ねをいたしますが、私はそれは個人に対して攻撃を加えたんじゃありません。ただ、最近の労働問題は、あなたの人生観や今抽象的ではありますが、公社の失地回復をはかるんだというような気持で団体交渉に臨んだり、労務管理をやっているのが今日の事態を巻き起しているのではないか、そういう意味で指摘をしておるわけなんです。個人攻撃じゃありません。そういう考え方が底にあって、今日の労働問題が紛争を大きくしているのではないか、こういうことを指摘しているんです。 それからもう一つ、私は最近の労働問題を見まして、その特徴は、政府の労働政策が政府の関係機関に干渉することによって長引いたり拡大するのではないかという疑問を持っておるわけであります。ところが、あなたの場合、また逆で、自分で政党の方に運んでいくような傾向があると聞いておる。つまり、あなたはしばしば自民党の総務会へ出ていって、そして、まあこれは呼ばれたのか自分で行ったのかしりませんよ。私は、倉石さんは長野県人として同郷のよしみでいろんな話を聞いております。今までの職員部長はあまりおやりにならなかったことをやってるような話を聞いたが、これは事実かどうか。
○説明員(原三郎君) どういう問題を言われるのかわかりませんが、一ヵ月に一ぺんとか、何か従来定期的に自民党の労働対策委員会というのですかね、それが五現業三公社の労務担当者が集まるのがございます。私は二へんばかり出ておりますが、それ以外には全然党にどうだとか、何とかという、そちらの方に行って話をするというような機会は全然持っておりませんので、ここで御了承を得たいと思います。
○平林剛君 そこへ行って、あなたが何をしゃべっておるか、これは個人的なことになりますから言いませんけれども、先ほど私が指摘した点を具体的にお話をしましょう。専売公社で発行している「専売」という機関紙がある。この中で、あなた——原職員部長談ということで、質問に答えた形式であなたの考え方をよく現わしている。どういうふうによく現わしているかというと、専売公社の労務管理の問題点を指摘して、「従来の専売公社の労務管理の問題点の一つは、情の面が支配的であるということ」これはあなたの言葉ですよ。「戦後近代的な労使関係、労働組織の問題が生まれてきているので、伝統的なよい面と新しいものとを調和させていくことが必要ということになる、情の面のよさと理の面のよさをあわせ持った新しい分野をいかに発展さしていくかは今後の大きな問題である。」これは言葉は非常にいいんですが、ざっくばらんに言うと、今まで専売公社の労使の関係は情があった。今度は情の面のよさとは一応形容詞を立ててるけれども、あなたの特質は理の面のよさをあわせ持った新しい分野を作る、理の面とは何ぞや、これはおそらく法律に基いている、そして先ほど副総裁が答えたような面を新しい分野として発展をさせる、こういう考え方を言っておる。もっと突っ込んで言えば、専売公社が情の面で負けていたところを、今度は理の面で取り返すんだ、こういうことに通ずるのです。これはあなたが自分でしゃべっている、そしてあなたがこられてから、高松地方局における機械化問題については、警察権を発動しておる。悪い考え方だ、これは今までなかったことです。あなたの特質が現われておる。それから葉タバコの収納における取払いの問題も、高齢者退職処理の問題も、労働組合の交渉権といいますか、話し合いという面を無視して、無理に強行しようとするあなたがおいでになってからの事績というものは、そういう傾向が現われてきておるわけです。 私はそこで個人的にもあなたの意見を聞きたい。それは従来の専売公社の労務担当者が、これはあなたの表現からすれば、情を持ってやってきたかもしれない。しかし公共企業体等労働関係法の第一条の、労使の平和的な調整をはかるということによって公共企業体を発展させる、この考えに基いて労務管理をやっていたかもしれないですよ、平和的な調整に努力をして、そして今日一労使関係を円満に処理し、よい伝統とよい歴史を作っていく、私は少くともそういうふうに感じておるのです。あなたは従来の労務管理者のやってきたことを、新しい分野を開拓することによって消そうとしておる。……あなた何を笑うんですか。
○委員長(久保等君) 私語を慎んで下さい。
○平林剛君 私の指摘に対して何を笑う。それであなた、他の局長の中にもあなたのやり方を苦々しく思っている人が何人あるかわかっておりますか。あなたは自分は何でもいいことをやっているんだ、というような考えでやっておっても、私は地方局長をたくさん知っておる、しかしあなたのやり方を苦々しく思っている局長もたくさんいるんですよ、ただ職員との間の話し合いをもう少しうまくやって、そして職員を刺激させて無用の紛争を起させることが職員部長の仕事ではない、こういう批判がある。私はあなたに個人的な見解を聞きたいと思う。
○説明員(原三郎君) 幾つか問題がございましたが、何か私が参りまして、いろいろ専売の従来の伝統なんか個人的な立場でといいますか意見で、いろいろ変えにかかっておるというようなお話がございましたが、私個人のためと言うより、公社のためと言った方がむしろいいかもしれません。公社に私参りまして二カ月まだかれこれなんですが、そんなに公社の意向というものが、一個人が参りまして二カ月かそこらで変えるということを考える方が、むしろ公社という権威からしても私はおかしいじゃないかと思っておりますが、先ほど副総裁が申しましたように、いろいろの問題点というものがやはり幹部会にかかりまして、そこでいろいろの角度から意見というものが出され、その意見の集約されたものが具体的な施策の一つの基本線となって具体的に現われてくるわけなのでございまして、そういうふうに御了承を得たいと思います。 何か交渉権をいたずらに制限していくのではなかろうか、とか、あるいは話し合いの場の制限までするのではなかろうかというようなお話もございましたが、別に交渉権をどうこうするということを意識しているのではないのでございまして、私どもはやはり交渉なら交渉というものにつきまして、公労法なら公労法というような法律の精神、これはまあ私たちとしましては、公社でございますので、やはり公社の公共的な責任というものも意識しながら、なおかつ企業性を生かし、一般の職員にもプラスになるようなことを考えてやるわけでございますが、しかし、やはり交渉には交渉の一つの公労法なら公労法の制約もございますので、そういう精神にも沿いながら、一般の職員の利便等も考えて参る一わけでございます。およそ考えまして、管理者として部下職員のかわいくない管理者はおそらくおらぬと思います。何も部下職員というものをいじめていると、そういうような気持でおるわけではございませんので、その辺の誤解がもしありますと非常に残念でございますので、この際一言釈明しておきたいと思うのであります。 それから専売新聞でございますか、情の面と理の面のお話がございましたが、まあ前からそう思っておりますが、これはまあどこでも——国鉄でも電電でもそうでございますが、専売にもやはり専売一家と申しますか、家族主義的なあたたかい伝統的なものがあるわけでございます。それをこの際捨てるのだ、そういうような意味ではございませんので、やはり労務管理として近代的ないろいろの合理的なよい面というものがあるわけでございます。民間でもそういうものをいろいろ工夫しておられるようでありますので、そういうよさというものをいろいろ研究して、専売の職場にも適当なものがあれば積極的にどんどん取り入れていきたい、かような意味で言っているので、ただ従来の姿だけでそれで満足しておっては管理者としてはほんとうではない、また不十分である。従っていろいろの広く眼を専売公社以外にも広げまして、いいものがあれば積極的に取り入れていく、こういう気持をあそこに私は表現したつもりでございます。従いまして、従来の専売のあたたかい空気というものをここで制約するというようなことは夢にも考えておらぬものでございますから、一言その点もあわせて釈明させていただきたいと思います。
○平林剛君 問題は、抽象的に言いますとどういうふうにでも答えられるのですけれども、理の面と言いましても、あなたが今までおやりになってきた実績を私は検討いたしてみまして、いい方の理ならいいけれども、どうも無用の紛争の拡大になっているように感ぜられるので、好意的に忠告をいたしておきます。また他の局長たちにおいてもあなたの労務政策について必ずしもこれはいいと肯定している人ばかりではない、その点をよく考えながら仕事をしてもらわなければならぬ、これは私好意的に忠告をいたしておきます。 そこで高松地方局における紛争について具体的にお尋ねをいたしますけれども、これは結局専売公社の機械化の政策に対して、職員が、人員を確保する、その結果労働強化がこないようにそれを阻止する。こういう二本の柱で問題が起きたと私は承知しておるわけなんです。これらと同じことは高槻や函館、宇都宮、上田、名古屋各地でも具体的に起きて、また具体的に処理をされて参りました。これらについては、まあまあ今日高槻地方局に起きたようなことに発展せずに処理をされてきたように私は思うのでありますけれども、従来この各地方局で処理されてきたことにどこか誤まりがあって、今度はそれを転換をされて、そうして警察官を入れたりそれからまた一ヵ月も窓口だけで話し合いをしていったりするようなことになっておるんだが、これは前の処理はどっか違っているところがあったんですか。抽象的でなく、具体的にどういうとこが違っていたから、今度はこういうふうにしているのだというその説明をしていただきたいと思う。
○説明員(原三郎君) 高松の事件につきまして御説明申し上げたいと思うのですが、あそこで機械化と申しますと、葉揃機の問題と、刻の自動給送装置の二点がございます。実は若干その二つは、まあ機械化の時期も違っておりまするが、これは高松の局側とそれから公社側でどちらも実は円満に話がついたのでございます。ついてしばらくたちましてから、一人一要求という職場要求が二百項目ばかりでございましたが、それから統一要求という九項目が、話がついたあとで出て参っておるのであります。御承知のように、高松局は従来何と申しますか、きわめて平和なところでございまして、問題を処理するのに一々団体交渉の場とか何とかいうきちんとしたルールをやっているというよりも、比較的の姿としては団交の席であるのか、話し合いの場の姿であるか、その辺も何となしにはっきりしないような姿で処理を行なっておる、こういうような空気の強いところであったわけなんでございまして、ところが職場要求の二百項目というような問題、統一要求の九項目が出まして、いろいろそれから紛争が実は出て参ったのでございまして、機械化闘争と直接の関係があったのかどうか、時期的に考えまして私にも実は疑問に思っておる次第なんであります。 それで、窓口論争の問題と申しますのは、まあ問題が紛糾してからいろいろの問題が出てくるわけなんでございまするが、団体交渉のルールというものが、どうもそういう経過もございまして必ずしもはっきりしておらぬ、それで紛争でも出て参りますると、やはりそういうところをはっきりしておいた方がお互いにやりいいのじゃないか、そういうことで、その辺をルールをはっきりさせたい、これが窓口論争の一つでございます。それからただいま、きょうもおそらく団体交渉の席で論議されたと思いますが、九項目について、一体管理運営事項なのか、あるいは団体交渉の対象なのか、その辺の詰め方を実はやっておるわけでございますが、従来御承知だと思いまするが、円満に物事を処理したいということで、交渉の過程におきまして団体交渉事項であるかどうかということがいろいろ議論される場合におきまして、まあそこで議論しておっても、どうも本論に早く入った方がいいのじゃないかというようなことで、そういう問題点をはっきりお互いにさせないままに、交渉の場かあるいは話し合いの場か、はっきりしないようないろいろな姿が各職場で出てくるわけでございますが、話し合いに入る。それで話し合いがつきましたら、それの確認をするとか、覚書を作るとか、あるいは協約を結ぶとか、かようにやって参ったのでございます。 それで、製造工場でここに問題が起きだのでございまするが、これは私が来る前からの問題でございますが、やはりこうやって見直してみると、相当管理運営事項にわたるようなことがいろいろな面で義務づけられるような結果にだんだんとなってくる。その辺がどうも、何となくぼけておる。従って、やはり公社の姿からいたしまして、はっきりさして、そして公労法の精神にも沿った運営をやっていくべきじゃないか。もちろん、管理運営事項にわたるものであるということになりました場合に、その事項は公社側で勝手にやってよろしいと、かように考えているわけではもちろんないのでございまして、その場合においてもできるだけ民主的な方法で処理を行いたい。従って、必要な説明もし、意見の交換も行なって、じっくり懇談をする機会を持つ。そしてできるだけ納得ずくで、意見の一致したところでやりたいと、こういう気持には変りはございませんが、しかし、その場合にも、管理運営事項についてはやはり協約等は結ばないで処理するというのが法の精神でもありますし、やはり公社のあり方から申しましても、それが姿ではないか。かようなことで、その辺が若干ぼけておったところをだんだんとはっきりして参りたい、こういうところであの問題は出て参る。 この二つの点が現在問題のあるいは中心かもしれぬ、かように考えております。
○平林剛君 管理運営事項であるかないかという議論は、この間衆議院の大蔵委員会で、高松地方局の要求事項を全部さして、どれとどれが管理運営事項か指摘されてあなた方が答えられなかったということを、私は聞いておるのであります。それは、公労法の精神なんていう抽象的なお題目を立ててあなたは主張されているけれども、話の筋から、従来高松地方局においては団体交渉によらない、話し合いの場というようなことでやっておられた。これもほんとうは団体交渉のルールに、法律に従って、正式に団体交渉でやらなければならぬはずのものである。ところが、専売公社はそれをよいことにして、話し合いできめるというやり方をとっておった。都合のいいところは、公労法で定められたやり方はあまりきちんとやらないというようなことで、あるいいときにだけ公労法の精神を振りかざすというやり方は、私はどうもいかぬじゃないか。情を捨てて理に走り過ぎてかどが立つというようなもので、これはやはりうまいやり方ではないのじゃないか。私が具体的に聞いたのは、高槻、函館、宇都宮、上田、名古屋でおやりになってきたことと、高松で処理をされておることとは、そんなに違いはないのじゃないか。そこへわざわざ警察権を発動したり、それは要求事項があったからといったって、悪い要求をしたわけじゃない。職場の不備を全部を並べ立ててみても、やはり職員が希望するそういうことを交渉に移すことをもって紛争が長引いた理由だなどということにするのは、どうも適当じゃないのじゃないか。 私ども衆議院の議事録を大体棒読みいたしましたが、どうも高松地方局の交渉が長引いている理由は、公社の方で本部中闘の入った団体交渉は認めないということを言ったり、あるいは要求事項の中に管理運営事項に属するものがあるからこれを撤回しなければ交渉に応じない、あるいは団体交渉は勤務時間中だけで、五時以後は認めない、場所は応接室以外は認められない、こういうようなことを言って、結局交渉が長引き、また紛争が拡大をしたと聞いておるわけであります。これはその後、あなた方は衆議院の大蔵委員会でそれぞれ訂正をされたようでありますが、本部中闘が入った団体交渉を認めないなんていうようなことは、どうも公労法の精神に反する。組合を代表する本部中闘が入って交渉することを認めないなんていうことは、まことに越権行為であります。これを直されたということは当りまえのことであります。それから、要求事項の中に管理運営事項が入っているから、撤回しなければ交渉に応じないなんという態度は、幾つかの交渉事項の中には当然職員の要求すべきものがあった。もっと具体的に話をしていかなければならぬ。それを公労法の精神というものを振りかざして拒否するということは、これは公労法の精神に逆に反するわけです。いわんや、時間とか場所の指定などを、双方が協議をするということになっておる、それを認めないということで交渉を断わるというのは、理由にならない。これも法の精神に反している。それぞれ訂正されたからいいですけれども、現在は高松ではどういうようにおやりになっておりますか。
○説明員(原三郎君) 最初に申されました交渉の時間の問題でございますが、団交のルールの問題と関連してお聞きしたのですが、交渉の時間につきましては、御承知のように、専売労組の本部と公社間において取りきめがあります。それによりますると、団体交渉は原則として勤務時間内にすると、こういう協約がございます。従って、それをおそらく現地においてできるだけ勤務時間中にやってもらいたいと、かような話をしておると思います。現実には夜相当おそくなることがございます。一時は、明け方の三時か四時ごろまで続いておるというような話も聞いておりますが、しょっちゅうそんなにおそくなるわけではありませんが、八時なり九時なり、こういうときにわたる場合が相当多いわけでございます。しかし、協約の精神からいきましても、また現地の管理者側としましても、やはりほかのいろいろの仕事を持っておりまするので、そういう方面の仕事を全部犠牲にするというわけにもいかぬので、やはりそれに対するいろいろの仕事のあんばいとか計画とか、部下の指示等もやっていかなければならぬものですから、できるだけ交渉というものは勤務時間内において行う、万やむを得なければ延びる場合がいろいろ実際問題としてあると思いますが、そういう精神で協約に書かれておるわけでございますので、その精神をできるだけ現実においても実行してもらいたい、かようなことだろうと思います。 それから、二番目の、中央執行委員の方が現地に行かれて交渉委員になるのかならぬのかというようなこと、これは若干の誤解があるいはあるのじゃないかと思いますが、あるいは話の現場に私は一々立ち入っていないので、あるいは私が申し上げるのが間違っておりましたら率直に訂正したいと思いまするが、現地で言っておるのは、中央執行委員が現場に行って、その中央執行委員としての資格で当然に現地の団体交渉の交渉委員としての資格があると。そういうことではないのだ。従って、中央執行委員が現地に行かれて交渉の場に臨む場合におきましては、やはりメンバーを正式に交換されて、手続を踏まれておいでになったらいかがですか、こういう趣旨で発言しておるように私は聞いておるのであります。その後若干この問題につきまして、現地に二、三日論争があったようでございますが、幸いにしまして、現地におきまして、中央執行委員の方も手続をとって交渉委員の中で発言されておりまするので、その辺は、私の方としても、もちろんそれでけっこうなことでございますので、現在はこの問題は解消しているように聞いております。 それから、管理運営事項の入ったものは一括して団体交渉の対象にしないとかするとか、これはどうも若干言葉の行き違いがあるいはあったかもしれませんが、現在もちろんそんな考え方でやっておるのではありませんし、初めからそんな考え方が現地にあったとも私は記憶いたしておりませんでございますが、管理運営事項にわたるものであっても、相当まあ民主的に話し合いをして、できれば納得の上でやりたい、しかし、先ほど申しましたように、団体交渉の対象にして協約を結ぶというのは、どうもこれは趣旨に合わない話であるから、それだけはごかんべんを願いたい、かように現地でも話していると私は聞いております。
○平林剛君 まあ個々のあなたの話と実際に地方局で行なっていることと、私、まだ東南アジアを視察して帰ってきたばかりで、実際の状況を見ておりませんから、なお具体的な話をあなたから聞くわけにはいきませんけれども、私も高松地方局の職員をよく知っておる。しかし、そこの問題がこんなに込み入っているのは、やはり、あなたが何と言われようとも、あなたの理をあまり主張し過ぎている、そしてかどが立っていく、というような指導理念があるのではないかというような感じをどうもぬぐい去ることができない。これははなはだ残念なことである。 もう一つ、一方的な話しだけで判断をしてはいけませんから、確かめておきますが、葉タバコの収納あるいは最端層に働いている人たちの労働条件に関して、協約の締結が団体交渉の話題に上っておると聞いておる。しかるに、この話し合いがなかなかつかないものだから、あなたの方では、中央の交渉はもう打ち切りだ、そうして地方でこれを協議するというような話を言われたのは、これは事実ですか。もし、事実だとすると、組合員の代表である中央部を否認をして、地方の組織を直接相手にするということになりまして、従来の慣行に反することであります。それから、強く言えば、労働法に反する行為、少くとも本部と地方を分離させるというようなことに発展をするわけでありますから、これはあなた、いかに新しい分野を開拓するにしても、穏当を欠くと思う。こういう事実がございますか。
○説明員(原三郎君) 収納、再乾の問題につきましては、まあ内容の問題、具体的な経済問題といいますか、労働条件的なもの、それから建前的な問題と、二つに分れたのでございますが、その経済的な労働条件にわたるようなものにつきましては、協議会もしばしば開きまして、大体組合側としても公社側としても、歩み寄ったつもりで、大体のところは一致している。まあ若干の食い違いはあるにしても、これはどちら側にも特に大きく問題として取り上げるほどの問題で実はなくなると思う。 で、内容につきましては、さらに組合側の強い希望もありましたので、労働条件あるいは経済的な問題について、昨年も実は決して悪い条件ではないと思っておりますが、さらにことしは、昨年よりも組合側の希望に沿ったところまでこちら側も出ているような次第なんです。 ところが、これに関連しまして、破棄条項が入っておるのでございます。その超勤の問題について破棄条項が入っておるということは、どうもある期間の特殊の作業でございますが、こちらの方としましては、非常に大ぜいの方々を一般の外部から募集して作業していただくわけです。季節作業員として募集して作業していただく。あるいはそれの事業計画、あるいは貯蔵計画なり輸送計画というものに、いろいろ不安定な協約になっておりますると、非常に、公社の事業としてはもちろんでございますが、第一、第三者に対して非常な御迷惑をかけることにもなるということで、従来から破棄条項はできるだけ入れたくないということでおったのでございますが、いろいろのいきさつもございまして、やむを得ずといいますか、そういうものが入ってきたのでございますが、むろん、事業の性質からしまして、あるいは協約の性質からして、公社が、そういう不安定になるものを、公社として総裁のはんを押してそれをやるというわけにはいくまいじゃないかということを、いろいろ反省いたしまして、ことしの破棄条項の方は何とか一つ組合側でもしんぼうしていただきたい。私はこういうことを再三お願いしたわけでございます。この点が最後までなかなか話のつかなかったところでございます。 それから、もう一つは、いろいろの業務上の協定の問題等がございまして、これはいろいろ研究したのでございますが、相当細部のものを協定したいと、現地においてもやりたいということでございますが、私たちの考え方では、そういう組合側のお考えになっておられるような点でございますると、協定を結ぶとか、そういうことはどうも性質上好ましくないということで、これも実は意見が対立したままでございます。 ところが、御承知のように、収納の問題につきましては、もう時期として非常に切迫しているということで、経済的問題でありまするとお互いに妥協の余地もあるのでございますが、どうも建前論で問題が二つ残ったということで、これはなかなかお互いの立場もあることであり、中央で十分話がつかぬかもしれぬというところまで追い込まれたわけでございます。現地ではできるだけ早く作業の準備を始めるようにしないと、ことしの作業に支障を来たす。 そこで、残された道は二つあったと思います。二つと申しますか、三つと申しますか、組合側の希望を全面的に入れるか、その次は、こちら側で、どうしても組合の方で公社の言うことは聞けないということであれば、公社側で、現在行われて結ばれている協約の範囲内で公社側でできるだけの努力をして、できるだけ民間にも支障を来たさないように、また公社の事業へのマイナスを最小限度にとどめるような、そういう準備をして仕事をする、こういうような行き方がその次にございます。もう一つ考えられるのは、地方によって事情がいろいろ違っているわけでございます。最近三十一年から中央でもって組合と一本で交渉をやっておりますけれども、その前はずっと地方でそれぞれ交渉をいたしまして、協定を結ぶべきものは結んでやってきた。そういう事例、慣行がございますので、地方によってもいろいろ事情が違うし、もしできることならば現地で円満に交渉が運んで、そうして納得してやっていただけるならばお互いに仕合せだ、こういうことでその道を選ぶ。この三つの実は行き方が考えられるわけです。 公社としましては、さっき申し上げました二つの建前論をここで全面的に組合の要求通りになるということは、とてもできかねるということで、この道は選ばないことにいたしました。それとあと残った道をどういうふうにするかということにつきまして、組合から見ますといろいろの見方はあると思いますが、話し合いの道が中央で開かれたにしても、とざされたにしても、地方にある程度の希望が持てるならば、地方で過去の慣行も相当長いと思うわけですから、そこにやって、そこで処理していただく。その方がより納得ずくの道じゃなかろうか。いきなり本社のできる範囲内の案を出すということも考えるのだが、それは一体どうなんでしょうと、団交の席上で向うの意見をお聞きしたわけです。それも困るという話もありましたので、どちらも困るようでありましたけれども、そんなら両方やらぬというわけにもいかぬので、現地の処理で、現地の組合交渉で話のつくところはそれでやっていただきたい。そこでもどうしてもできないならば、本社のできる範囲内の、つまり協約の範囲内の条件で仕事をもっていく、かようなことを実は申し上げたのであります。ただいま本件につきましては、御承知のように、公労委の調停の方にかかっております、きょう一時半からそちらでも第二回をやっておりますので、どういうふうになっておりますか、私はこちらに出て参りましたのでわかりませんが、そういうふうなことでございますので、できるだけそういう方面も関連して考えながら参りたい、こういうふうに考えます。
○平林剛君 収納、再乾の問題の協定の内容について私は尋ねているのじゃないのです。それは、協定の内容について、組合側は組合側の主張があるでしょう。公社側はまた公社として、国家から委託されて、あなた方の考えがあって、組合と話し合うこともあるでしょう。それは私ら問題じゃないと思う。お互いにそこで交渉して、話し合って、円満な平和的調整をはかる、こう言っているのですから、この委員会で私はそんなことは問題にしようと思っていない。ただ、あなたがこういう問題を解決できないので、中央交渉を打ち切って、地方でやるということが問題だと言っておる。あなた、方法が三つあると言っている。組合のものを全面的にのむかとか、あるいはどうだとか、こういうことを言いましたけれども、公労法の精神によれば、調停という道があるでしょう。意見がどうしてもだめで、期日が切迫したならば、調停申請をして、公社の主張が正しければ第三者の調停を仰ぐというふうにきめてある。これが公労法の精神です。それを、中央の本部はだめだ、地方へ移して話をして、それで公社のやれる範囲内でやるなんということが、すでに労働法を知らぬということです。三つの道じゃない、第四の道があるのです。むしろ、積極的に専売公社はみずから調停申請する道があったじゃありませんか。そういうことをせないでおいて、どうもあなたのおやりになったのは、中央を相手にせず、地方とやるなんて——地方とやって、そうしてそこで解決するという道があれば別です。中央の役員と話がまとまらぬやつを地方でまとまるという自信があるのかどうか。それなくしてそういうことをやることは、組合の組織を分裂させるものだという批判を受けてもしようがない。公労法の精神はまだ別の道を教えておるにかかわらず、なぜそれをおやりにならないか。私はそれを言っておる。内容のあれこれを言っておるのじゃない。事実そういうことを、今のお話ですと、おとりになったようです。なぜ調停申請をみずからやるような公労法の精神に従わなかったのですか。 私は、そこに、あなたの労務政策の中には、どうも、ところどころ幾つか指摘しましたけれども、何か理に走って、なかなかよさそうだけれども、その理が間違った理じゃ困る。公労法の精神が、ちゃんと、そういうときは調停申請して、第三者の判断を仰ぎなさいと書いてある。むしろそれを積極的にやるような挙に出ればよかったのじゃないか。これは一つの例ですけれども、どうも最近の労務政策の中には、そういうふうな事例があって、従来のいい伝統といい歴史がくずれつつあるということを私は憂えますので、まだ話はありますけれども、十分きょう私が指摘した点を考えてもらいたい。そうしてもう少し専売公社の全般ということについて検討をして、労使の間の紛争拡大がもしあなたに若干でも責任があるとすれば、それを反省してもらいたい、これを要望いたします。
○片岡文重君 私もこの問題で少しお聞きしてみたいのですが、今、平林委員の御質疑に対する御答弁を、公社側の各位からなされているのを伺っておりますと、どうも少し時代的におくれているような感じを、私は、大へん失礼ですけれども、持つ。今の質疑応答の繰り返されている内容は、他の公社ではもう何年か前に繰り返された御議論のようですが、そういうことはあまり申し上げるのもどうかと思いますし、時間もあまりありませんから、端的に私はお伺いしますので、一つ簡明に御答弁をいただきたいのです。 まず最初に、副総裁にお伺いしたいのは、私が申し上げるまでもなく、全専売の労働組合というのは比較的、他の公共企業体から比べて、紛争の処理が従来上手にされておりました。全然ないとは申し上げませんが、非常に労使ともに上手にされている。原職員部長の御説明をもってすれば、あるいは情にたよっておって、それが今日原職員部長のお気に召さないところかもしれませんが、とにかく労使の慣行というものは紛争がなくて、しかもこの間に企業性も発揮され、公共性も十分に発揮していけるということであるならば、極論すれば、そういう労使の慣行が樹立されてゆるぎないものであるならば、公労法も要らなければ労組法も要らないということに私はなると思う。その労使の慣行が望むように樹立もされず、何らかにたよらなければならないからこそ、ここに法律というものが必要になってくる。従って、従来のように、他の同種の労使と比べて円滑に処理されてきたとするならば、私はそういう労使の慣行というものが十分尊重さるべき価値があると思うのです。しかるに、最近一、二カ月の間に、急に紛争が外部に伝えられるようになって参りました。その理由というものは一体どこにあるのか。これは公社を経営していく最高の責任者としては、非常に頭を痛められている問題ではないか。なぜ、こういうふうに一、二カ月の間にこういう紛争がしばしば起り、しかもこれが従来のような方法では解決しないようになってきたのか。こういう点でお考えになったことがおありになるか。おありになるならば、どういう理由だとお考えになるか。なお、これは、従って今後こういう紛争を繰り返さないで、従来にもまさるような労使の円満な慣行を樹立し、願くは組合の諸君の積極的な協力が得られるような態勢を作るためにはどうしたらよろしいのか。こういう点で一つ、御所見がありましたら承わっておきたいと思います。
○説明員(石田吉男君) お尋ねの件は、かなりの個人的な見方によって違う点がある問題のように思います。私の個人的な考え方といたしますと、従来専売関係の労使問題があまり一般社会の目を引かなかったおもな原因は、その紛争の内容にもよるのではないかと思います。過去におきましては、割合に純経済的な問題が非常に紛争の中心でございました。こういう問題は、まあお互いに話し合っていれば片づく問題が多いというふうに申し上げた方がいいと思います。最近いろいろな紛争の中心になっておりますのは、経営全般に関する問題が非常に出て参りました。従いまして、われわれ管理経営をやっておりますものの立場からいたしますと、その点についてやはりわれわれとしての一つの主張がございますので、この点はどうしてもやはりわれわれとしての考えを行いたいというふうな問題がたくさん出て参ります。そういう点につきまして、いずれも最近の問題はその両方の主張が合わないということが多くなって参りましたので、それだけに紛争も非常に長引き、またトラブルも大きくなっているのではないかと、かように考えております。 お話にございましたように、こういう問題、組合の方の協力を得まして、どういうふうにうまくやっていこうかということは、私ども日夜悩んでいる問題でございます。いろいろな方の御意見も伺いまして、できるだけ、従来のいわば仲よくやってきたと申しますか、そういうふうな間柄を保ちながら、われわれの主張も理解していただき、組合の主張も十分私ども聞きまして、うまくやるように努めて参りたいと考えております。
○片岡文重君 ただいまの御答弁で非常に私は重大な問題があると思うのですが、従来の紛争の多くは経済的な問題が多くあったから、この点は折り合いがついた、最近は管理運営の要求が非常に多い、従って問題がなかなか解決もせず長引くのだ、こういうお話でしたが、私どもの伺っておる点では、別に管理運営の要求がそう頻繁に出され、しかも、当局がそんなにお困りになるいわゆる管理運営の内容を持つというものはあまり聞いておりませんが、たとえばどういうふうな問題がありますか、一、二……。
○説明員(石田吉男君) 冒頭に平林委員から御質問がございました、たとえば予備作業の機械化であるとか、あるいは回転数の速い機械を入れる問題とか、そういうことは公社の工場の能率全般に影響する問題でありまして、その他いろいろの問題がございますが、一例をあげればさようなことであります。
○片岡文重君 生産設備を合理化し近代化して、生産能率を上げ、そうしてそれが同時に労働者の福祉の面にはね返ってくる、たとえば労働時間を短縮して賃金は向上していく、こういうふうなことであれば、これは生産の合理化、近代化について労働者諸君が反対をする理由はないわけです。喜んでこれには協力するはずです。しかしながら、たとえば今おっしゃられた予備作業の機械化をはかって、これによる配置転換の強制なりあるいは降職なり等、重大な労働条件のこれは問題になってくると私は思うのです。機械を入れるということについては、それだけのことをつかまえて管理運営というお話でありますれば、これは問題の本質を把握せざるもはなはだしいことではないでしょうかな。少くとも、この機械を入れることによって、労働者諸君の受ける労働条件というものは、きわめて甚大なものがあるわけですから、当然これは労働条件として団体交渉の私は対象になると思う、これが団体交渉の対象にならないということは、おそらく専売公社だけじゃないでしょうか。国鉄にしたって、全電通にしても、たとえば電話の自動交換化であるとか、そのほかのオートメーション化は、毎日のように進められておる問題であるし、だからといって、これを労働組合と公社との間で団体交渉を持たないのだというようなことを私は聞いたことがない。進んで団体交渉を持ち、そうしてその間に行われるところの用員の冗員であるとか、あるいはその作業の細分化であるとか配置転換とか、それぞれの立場に立った意向を明らかにして、その間に円満な解決を現に遂げつつあるのですから、こういう問題で団体交渉をしないということであるなら、これは他の公社等の類例等もぜひ参照されて、すみやかにこういう問題については団体交渉を私はお持ちになってしかるべきだと思うのですが、従来もそうするとこの問題についてはお持ちにならない、今後も従ってこういう点についてはやはり管理運営である、労働条件ではない、公労法の第八条によるところの団体交渉の内容には入らぬと、こういうことで依然としてやはり団体交渉は拒否されるおつもりでしょうか。
○説明員(石田吉男君) 従来も、一年くらいの間でございますが、そういう問題につきまして、労働組合側と話し合いをいたした例が幾つかございます。その場合に、私どもはこれは団体交渉としてではなくて、話し合いの場としてこれをやっているのだということで、話し合いをやって参りましたのですが、その話し合いがまとまりましたときに、それを確認事項とかあるいは覚書事項とかいうふうなことで、文書にすることが例でございました。ところが、その区分がだんだんあいまいになって参りまして、私どもは話し合いの場として扱っていたような事項が、組合側としてはもう団体交渉事項だというふうにして扱うようになって参りまして、その辺の観念的な区分というものが非常に混淆して参りました。こういうことでは非常に困るので、これからはもうそういうものはやはり管理運営事項として、話し合いはいたしますが、団交事項としては扱わないというふうな態度を私どもは明確にいたしたわけでございます。その点につきまして、あるいはそういうものは労働条件に関係があるから団交事項ではないかという御見解もあろうと思います。私どもいろいろ検討いたしまして、やはりそういうことは管理運営事項として考えるべきだという見解をとっておりまして、その見解で現在進んでおるわけでございます。
○片岡文重君 団体交渉の対象となるかならないかということを、公社側が一方的に宣言をして、組合側の要求を拒否する、それが適法であるというようなことは、私いまだどういう法律にあるか存じませんけれども、少くとも私の知る範囲内では、これが団体交渉の範囲に入るか入らないかというようなことについては、当事者の一方側だけの宣言によって効力を発生するものでは私はないと思う。従って、この点について、もし労使の間で話し合いがつかないと意見の一致ができないということであるなら、これは先ほど平林委員も言われましたが、調停にかかるなり、仲裁を仰ぐなり、適法に定められた処置をおとりになって、そう困難な紛争を長引かせている必要は私はないと思う。けれども、この機械化だとか、合理化だとかいうようなことについては、当然労働者諸君にとっては重大な問題である、死活の問題になるのですから、これをしも団体交渉のワク外であるというような御見解で、しかもこれを一方的に宣言されるということは、私どもとしてははなはだ心外な話だと思います。 従って、ここで今その議論を長々と繰り返すということは時間的にもどうかと思いますけれども、重ねて私は、こういう問題がもし管理運営の問題だというようなことであるならば、このほかの問題もおおむねやはりこれに類似するものであろうと考えられますが、そういう点については、やはりこれがその団体交渉の範囲に入るか入らないかについて、まず十分な話し合いをつけ、そうして組合側といえども、特に今までの労務管理が適切であられたのかどうかわかりませんけれども、少くとも全専売の労働組合の諸君はそう非常識な方は私はおられぬと思うのです。そういう点については、認むべきものは率直に認め、協力すべきは率直に協力を求めてこられたはずです。おそらく原さんの言われる情の面においてかつておったというのは、私はそこをさしておったと思うのです。そういう点をやはり管理者としても十分に尊重して、むしろそういう長所をこそ私は伸ばしていくべきだと思います。 で、今後のこの種の問題について、副総裁はどうしても、従来の態度を改めないで、一方的な宣言をもっておやりになろうとされるのか、ないしは、やはり意見の一致を見出すべく努力をされるのか、その点を一つお尋ねしておきたいと思います。
○説明員(石田吉男君) 組合に対する基本的な態度といたしまして、できるだけ話し合いをして、意見の一致を見た上で仕事をしてもらうということが、これは何といいましても、企業を動かす一番もとだと思います。従いまして、形は団交事項の場合もある、あるいは団交事項でない場合がありましても、何とかして意見の一致を見た上で仕事をしてもらうようにして参りたい、この精神はいつまでたっても変らないのでございます。 それから、ただいま申し上げました、突如としてこれは管理運営事項だと、こう言い出したのではございませんので、従来からこの部分は管理運営事項なんだが話し合いをしていこうというふうな、そういう考え方につきましても、従来といささかも変っておらないのであります。具体的な問題としますと、なかなか意見の一致しない場合が多いと思うのでございます。それらの点につきましては、私どもとしましてできるだけ話を尽して、なるべくなら第三者機関に、そういうところに御迷惑をかけずに、意見の一致を見ていきたいと、かように考えております。
○片岡文重君 今までは、そうすると、何ですか、最近のこの予備作業機械化ということを一つの例にとってみましても、たとえば予備作業の機械化をやるのだと、従ってこの機械化についてはこれは管理運営の事項だから話し合わないのだ、こういうことで団交を打ち切って拒否をされておるのか。少くとも、機械を入れるということに伴って当然いろいろな労働条件が起るわけですから、この機械を入れることによって派生するところの労働条件について団体交渉の申し入れがある場合には、これは公社としてどういう措置をとられますか。
○説明員(石田吉男君) 先ほど来申し上げておりますこの機械——予備作業の機械化の問題その他は、これは一般的な例として申し上げたのでございまして、高松の場合には、先ほど職員部長から御説明いたしましたように、そのこと自体はまだ具体的な問題になっておらないのであります。非常にたくさんの職場要求が出て参りまして、それについての扱い方といいますか、そういうことで従来までかなりもめて、長い時間をとっておったということでございます。
○片岡文重君 高松の場合は、先ほど平林委員に対して御説明があった。今のお話と大体同じだと思います。ただ、団体交渉の範囲に入るか入らないかということで、この機械化などということは非常に重大な問題で、私は当然入るものと判断をいたしておりましたが、先ほどの御答弁では、一つの例として、こういうものは入らないというお話があった。従って、将来高松にこの機械が持ち込まれる場合には、当然これが問題になってくるはずです。これに関して、従って団体交渉をお持ちになるのかならないのか、その点を今から明らかに私はしておく必要があるのじゃないか。当然これは重大な労働条件を伴うことですから、従って、機械の持ち込みによって派生するところの労働条件を対象とする団体交渉はお持ちになるのかならないのか、私はなると思うのだが、その点を明確にしておいていただきたいと、こう思うのです。
○説明員(石田吉男君) 管理運営事項に属することとして、話し合いはいたしますが、団体交渉の事項ではないと、かように考えております。
○片岡文重君 おかしいじゃないですか。一体、じゃ、この第八条のどこにそれは該当するのですか。この公労法の第八条に、どこにもそういうことは私はないと思う。明らかにこの第一号にも二号にも、あるいは第三号にも四号にも、どれをとってみても、この機械の持ち込みに対しては多かれ少かれ関係は持ってくるようになる。特に第三号には「労働に関する安全、衛生及び災害補償に関する事項」ということがある。この一つをとってみたって、新しい機械の持ち込みには当然新しい障害も考えられる。さらに、この機械を入れることによって、労働時間なり、あるいは休憩、休日等の問題も出てくるでありましょうし、賃金も問題が起ってくるでありましょうし、従って、また降職とか配置転換とかいう問題も起ってくる。どうしてこれは団体交渉の対象にならないのですか。
○説明員(原三郎君) たとえば、具体的に申し上げた方があるいはお互いに誤解が少いかと思いますので、申し上げますと、たとえば、まあ機械化の問題につきまして、ある工場に巻上機をかりに新しく五十台入れるというようなことですね。それから、その巻上機に大体一台当り何人くらい配置するか、こういうような事項は、先ほど副総裁から申し上げておりますように、これは単に管理事項としてこちらは解釈するわけであります。それに関連しまして、いろいろの労働条件にわたるような事項が出て参りますれば、その部分はそれなりにして、団体交渉の対象になるものが具体的に出てくるという道を、全然無視しておるわけではございませんけれども、巻上機を何台入れるとか、そこに何人人を配置する、あるいは巻上機を一体何回転にするのか、こういうようなことは、とっぴょうしもないことを公社でやるわけもございませんが、そういうことは本来管理運営事項として考えるべきじゃなかろうかと、かように考えておるわけでございます。
○平林剛君 その点も、あなたの考えは違うと思うのだな。なぜかというと、たとえば巻き上げの機械を五十台入れる、管理運営事項だと、こういうお話ですけれども、その機械を入れれば当然、新しく人員を採用するか、じゃなければ、今までの人員を配置転換するか、新しい労働条件の変更が起きてくるでしょう。現在の専売公社の給与というものは、それぞれその職務に応じて職階給与あるいは職種別賃金がきめられる。そうなりますれば、違う労働に携わるということになりますと、その労働条件の変更は機械の新しい設置に伴って当然議題になってくる。だから、これは管理運営事項ではなくて労働条件に関することとして、当然団体交渉で行うべきものである。これが第八条の解釈である。それからまた、機械の回転数が多くなることは管理運営事項だと、こう言うけれども、先進国の例を見ても、賃金のきめ方は回転数によってきめるというようなやり方もあるのですよ。例がないわけじゃない。今まで九百回転であったのが千五百回転になる。そうしてその回転数によって労働量が増大をし、労働の強化が違ってくれば、当然それに関して労働者の賃金の、賃上げの要求をするということもあるわけです。それをやらないで、賃上げやあるいは待遇改善をしないで機械を入れるということになれば、そのことに関して労働条件の低下なり変更が起きるのだから、労働者がこれに対して団体交渉の議題にするということを否定しているのじゃない。どういうわけで管理運営事項なんですか。
○説明員(原三郎君) あるいは言葉が足りなかったから誤解を生じたかもしれませんが、こういうことを申し上げておるので、巻上機を九百回転なら九百回転、千回転なら千回転にしますと、大体職場には一つの長い間の慣行的な一つの作業能率というものが御承知のようにございますので、それで五十台その機械を入れるとしますと、そうすると、かりに一台——まあ付属のいろいろの施設等の関係によって変ってくるかもしれませんが、かりに一台について三人必要であるとしますと、三、五の十五、百五十人がそこに新しい人が必要になってくるわけであります。そこを今までかりに何人かで、今までの施設があって、そこでもって大体正常な事務量でやっておったものを、新しく百台なら百台入れたものをその人でやれ、こういうことを申し上げているのじゃなくて、やはりその今までの大体の標準的なものを前提としまして、百台なら百台について、一台当り三人とすると三百人というものをそこに配置する、こういうようなことをこちらは当然計画を考えて、従来の全体の作業能率と申しますか、職場におけるしきたりと申しますか、そういうものを大体の目安に置いて、いろいろの総合的な計画を立ててやるわけでございます。そういうのはやはり、一つの公社側としましては非常に重要な作業計画であり、やはり生産計画の一理として考えておるのでございまして、それは私は管理運営事項じゃないか。 ただ、それに関連しまして、何かいろいろ派生的に、関連して労働条件にわたる事項が出て参りますれば、それはその事項として労働条件の問題を団体交渉の場に移すということ、それから管理運営事項にわたるものは、事業計画なりそういう施設をする必要性なり、そういうものの趣旨をよく説明するとか、できるだけ納得していただくようなそういう話し合いの場を持つ、これはもちろん異存はないわけですが、そして納得ずくで働いていただいた方がお互いに気持もいいわけでございますが、まあそれを今度は逆に、何台入れるとか、それを何回転にするとか、あるいは一台について何人にするということを団体交渉の場に持ち込んで、協定ができなければ公社側は仕事ができないのだ、こういうふうになって参りますると、公社としては非常な困った立場に追い込まれるわけなんで、そういう制約を受けるような形の団体交渉の対象事項とするというようなことでは困る。こういう逆の意味もあわせてお考えを願いたい、御了承を得たい、かように申し上げているわけでございます。
○平林剛君 あなたの今の御答弁、あるいはあとで議事録をよく読んで、労務相当者としてまともな答弁をしているかどうか、一度あとでゆっくり検討してこらんなさい。支離滅裂だ。そういう考え方で労務政策をやるとしたら、どうも今の御答弁を聞いていると、そんな考えでやっているから、最近の専売公社の労使の間が無用な紛争が起るような気がしてなりません。これは一つ、あとで議事録をよく読んで、あなたは私が指摘したことにまともな答弁をしているかどうか、よく読み返して考えてこらんなさい。 機械の回転のことを、あるいは機械を入れることを、そのものを組合がどうのこうの言っているわけじゃないと私は思う。いわんや、機械の回転のことについても、賃金を引き上げるというような条件になり得るという例は、先進国の中にもずいぶんあると思うのです。九百回転、五百回転で、それが非常に労働量に、労働条件に変更があると見れば、それが賃上げの理由になり得るという例もすでにあるのです。組合が回転数について議論をするというのは、賃金あるいはその他の待遇を改善せずして、ただ機械の回転数を上げることについて議論をしているわけで、問題の本質をわきまえて議論をしなければならないじゃないか。しっかりした職員の意見というものを聞いて労務管理をしないというと、無用な摩擦になるのですよ。やはり機械を入れたり、回転数の速いものがあるなら、労働条件に変更がないなんという考えをもって団体交渉に臨まれたら、とんでもないことです。その点はもう少し議事録を読んで、そしてあなたはまともな答弁をしているかどうか考え直していただきたい。
○片岡文重君 大体、平林委員と同じ意見ですが、おそらく、私は今あなたの御答弁は非常に説明が足らなかったと思うのですが、団体交渉で双方の意見が合致しない場合に、その事柄を公社として遂行することができないと困るから、団体交渉の範囲には入れないのだ、こういうふうに私どもは受けとったわけです。あなたの御答弁を聞いていると、つまり機械を入れることを団体交渉の対象として持ち出して、これが労働組合側に、この機械を入れて何回転作業をさせるということを持ち出した場合に、労働組合はこれは承知しませんと言ったら、公社としてはできないから、そういうことは困るから、団体交渉の対象にはしないのだ、こういう今あなたは御答弁をした。けれども、この団体交渉の対象にするかしないかということは、双方の意見が一致するかしないかが問題ではなくて、その対象となる内容がいわゆる管理運営の事項になるのか労働条件になるのかということが、団体交渉の対象になるかならないかの分れ目でしょう。私たちは別に、純然たる管理運営の事項についてまで、あくまでもこの法を無視してまで団体交渉をしなさいとは言わないのですよ。この法律自体について、われわれもずいぶん疑問を持ち不満を持っています。持っていますけれども、少くとも現行法律として制定され実施をされている以上は、やはりこの法規に従った行動をとらざるを得ないのだから、この法を無視してまでおやりなさいとは言わない。けれども、との公労法第八条を見ても明らかに、今言ったように、軽微な影響ではないのですよ、新しい機械を入れることによって労働条件に重大な影響というものを、労働組合に対して、労働者に対して与えるわけですよ。従って、その面をとっていけば、これはどこから考えたって、団体交渉の対象にならざるを得ないのではないかと思うのですよ。ただ機械を入れることだからということだけに限定されているようだけれども、この機械を入れることによって派生する労働条件ということを考えれば、一つ一つの例をとらなくても、この第八条の四号には「労働条件に関する事項」ということが明確にうたわれているわけです。労働条件に関する事項である限りは、従って団体交渉の対象にせざるを得ない、しなくてはいけないということが、この法律に明定されているわけですから、これをしも公社に都合が悪いからやらないというような考え方をお持ちになっておったのでは、これはとんでもないことですよ。だから、もしそういう点でお考えになっておるのなら、先ほどの説明に言葉が足らないからして、私はこの際あなたの立場からいって、もう一度説明をされておく方が適当ではないかと思うのですが。
○説明員(原三郎君) どうも私の説明が足らなかったといいますか、あるいは誤解を生ずるような表現であったとしますと、はなはだ恐縮に存じますが、私の申し上げましたのは、そういう事項はこの法律の精神からいって管理通常事項である、かように考えておるわけなんでございます。それで、実体論としましても、そういうような非常に因った問題にも同時になるというのは、別の立場から申し上げたのでありまして、本来そういう事項は管理運営事項としてこちらは考えております。これが本来の説明でございます。あとでよけいなことをつけ加えましたので、その辺が非常にまぎらわしくなったかと思いますので、ここであわせて補足して申し上げたいと思います。
○片岡文重君 わかりました。管理運営事項だから、この機械を入れることについては団体交渉にはしない。しからば、この機械を入れることによって派生するところのもろもろの重大な労働条件があるわけですが、これらについてはどのように扱われるのですか。
○説明員(原三郎君) それは、やはり具体的な問題が出まして、それを具体的に検討した上でないと、抽象的にその問題に関連しまして、それじゃどういうような、たとえば将来ある工場で機械化の問題が行われる、それに関連する労働条件の事項として、組合側からどういう事項がどんなような形で持ち出されてくるか、実はまだわかりませんので、具体的な事項につきまして具体的に検討をした上で、その趣旨を団交の席上やなんかでも申し上げる機会を持つ、こういうふうなことで具体的に処理をして参りたい、かように考えておるわけでございます。
○片岡文重君 将来起ることは具体的なものではないから、つまり現在時点でいけば抽象的になるから、答弁ができないということであるなら、これから入れるであろうところの機械について団交の対象になるかならないかということは、やはりこれは具体的な問題ではないのであって、やはり答弁の限りではないでしょう。果してこれは、その機械を入れることが団体交渉の対象にはならぬということを、あなたは断言する根拠はないじゃないですか。これは管理運営事項だからとあなたが断定する上は、具体的な諸条件を考慮に入れたからこそ、これは管理運営の事項だから団体交渉の範囲には入らぬと、こう断定したのでしょう。だから、そういう考え方に立つのなら、それによって派生してくるような労働条件は、当然労働条件として団体交渉の対象に入る、あるいはどういうものでは入らないということを、やはり言われてしかるべきじゃないですか。自分たちに都合のいいことだけは抽象論でも答弁ができる。肝心の団体交渉ということは、これは釈迦に説法でしょうが、労使にとって重大な問題ですよ。ことに労働条件というものは、労働者諸君にとっては、これは自分たちの死活を制されるような重大問題です。これが団体交渉になるかならないかということは、これ以上大きな問題はないでしょう。これは具体的な問題でないから御答弁ができないということなら、機械を入れることが団体交渉になるかならないかということは、どういう機械をいつ入れるか、どういう作業をするかという問題は、そういうことが具体的にならなければ団体交渉になるかならないかということも言えないはずじゃありませんか。
○説明員(原三郎君) 先ほど、話が抽象的になると誤解を生ずるかと思いまして、たとえばという話で機械器具の問題を申し上げたのでございますが、そういうような事項でございますると、私たちの見解では管理運営事項であると、かように考えるわけでありまするが、たとえばそれに関連してこの八条の各項目がいろいろございますが、まあ普通の場合ですと、機械器具を入れた場合に、そこに新しく配置される人についても、何か特別に大きな作業量が変化するとも考えませんけれども、組合との話し合いで、ある程度作業量がふえてもそのかわり賃金をもう少しよけいほしいとかいうような、かりにそういうような問題が起きるとか、あるいは労働時間をもう少し延ばしてもいいからそのかわり給与の方をもう少し多くすることが好ましいことだとかいうような問題でも派生して、それに関連して出て参りますると、そういうことにつきましては、やはり団体交渉の対象事項として処理すると、かような趣旨で申し上げたわけでございます。
○片岡文重君 わかりました。機械を入れることがイコール管理運営の事項であると、従って一切団体交渉には応じないということではなくて、その機械を入れることによって起るであろうところの労働条件に関係する限りにおいては、やはり団体交渉の対象として当然扱うべきであると、こういうことについては御異論ありませんね。よろしゅうございますね。
○説明員(原三郎君) 労働条件の問題が関連して出ますれば、先ほど申しましたように、それは法律の精神によって団体交渉として取り上げたいと、かように申し上げます。
○片岡文重君 わかりました。まあこまかい問題については時間もないようですからはしょりますが、さっき何か三六協定の問題が出ておったようですが、これは何か聞くところによると、二十八年以来ほとんど発動されたこともないということでありまするし、どだいこの協定の内容というものがほとんど半年以上にわたる長期のものであって、三六協定の立法の趣旨からいっても、この条文を援用するということにもやはり若干の私は議論があるのじゃないかと思うのですが、しかも今までこれによって運営をされ、労使の間でうまく話し合いがついてやってきて、この協定のために何らかのトラブルが起きたというなら話はまた別ですが、聞くところでは別にそういうトラブルも今まではないようです。少くとも二十八年以来はないように聞いておる。もうすでに六、七年というものはこういうトラブルはないということであるならば、今さらこれをしいて取り上げて、わざわざ紛争の種に、またガソリンを一カンぶっかけるようなことはせぬでもいいのではないか、こういうように私考えるのですが、この点についてはどうなんですか。いま一度一つ、先ほどの説明もあったようですけれども、さらにわかりやすく当局の考え方を御説明いただきましょう。
○説明員(原三郎君) 先ほど、抽象的でございますが、説明を申し上げたのでございますが、ただいま片岡委員からの御発言の中に、破棄条項があっても、従来平和的に処理されてきて、そういう実績もないことであるしということでございましたが、実は私も不勉強であったのですが、先ほど実はわかったのでございますけれども、三十一年の十二月に、再乾燥の問題だと思いますが、組合の中央本部から破棄条項の適用の申し入れがありまして、それでそれが期間が短かかったようでありますが、実行された事例がございました。なお、これもごく最近聞いたのでございますが、やはり三十一年の十二月でございますか、郡山地方におきまして、これは収納の関係におきまして破棄条項の適用を通告されまして非常に困った。これは幸いにしまして、その後いろいろ組合側でも検討されたことと思いますが、実行されないで済んだのですが、当時公社側としましては、作業計画を全部変えるなり、いろいろなことを直ちに処置しなければいけないものですから、そういうことでずいぶん一時困ったことがあります。これは、ただいま申し上げましたように、非常に幸いなことに、組合側の賢明なる処置によって実行されないで済みましたので、公社側としてもほっとしたわけでありますが、こういうような事例を最近私二つお聞きしましたので、これを申し上げたいと思います。
○片岡文重君 私は率直に申し上げますが、この葉タバコの収納の問題に関して三六協定を持っている場合は、困るのはむしろ労働組合だと思うのですよ。労働者側ですよ。ということは、これをもし破棄すれば一体どこに非難が起ってくるかということになると、この破棄によって直接に影響を受けるものはやはり耕作者ですね。そうすると、耕作者は、管理者側の労務管理の不手ぎわなり、あるいはこの公社運営の不手ぎわを責めるよりも、直接自分と相対する公社の職員に対してその非難がぶつかってくるわけです。そうしてまた、同じ自分たちの働く者同士として見ているところの農民耕作者が、自分たちの三六協定拒否によって現実に一年間粒々辛苦の結晶である葉タバコの収納が損害を受けていくということになれば、これは労働者として見るに忍びない状態に置かれるわけです。だから、組合側としては——労働者としては、この三六協定はどんなことがあっても、むしろ協定のあるなしにかかわらず、耕作者に損害を与えないような措置をもって労使の紛争を解決しようとする非常に強い誠意を持っているわけです。だから、もし悪質な管理者があって——あなた方とは言いませんよ、悪質な管理者があって、ここをついて労働者諸君を困らせようとすれば、これは職員として非常な苦境に陥るわけですよ。一面において自分たちの兄弟であり、同じ働く者だという感じを持って接している農民に、自分たちの労働条件を守らぬがために損害を与えていかなければならぬ、こういう苦境に陥るのですから、この苦衷というものは、やはりこれは労働者的な感覚がなければわからない苦衷なんです。こういう点を考えてみれば、むしろ冷酷に、原さんおっしゃるような、いわゆる理の上に立って、情誼、温情などというつまり人間性というものを没却した冷たい理のしに立ってこれを処理していくという考え方ならば、この三六協定を武器として使っていこうということは言えるかもしれない。おそらくこれは三十一年度に例をおあげになって、再乾燥の場合は、直接耕作者の手を離れた問題である。ところが、耕作者から収納する場合に、ついに、これは抗し得なかったということは、紛争解決がおそらくあったでありましょうけれども、専売の労働者諸君が農民に与える損害をついに忍びずして、おそらくや紛争解決に涙をのんだのだろうと私は思う。これは容易にわれわれの推察のできるところですから、こういう点もやはり労働者の感覚というものを、労働者の感情というものを管理者側としては十分に尊重していかなければ私はいけないと思うのです。従って、この冷たい理性をもって検事が法を守るがごとくに、あなた方が処置をしていこう、いわゆる失地回復をこの際やっていこう、こういうお考えの上ですべてを割り切っていくということであるならば、何をか言わんや。しかし、もしそういうことをあなた方おとりになるというのならば、将来専売の事業運営上、おそらく重大な支障を私は起すであろうことを予言するにちゅうちょいたしません。冗長になって恐縮ですけれども、今、あんた、検事でさえも、この間酒乱の父親を殺した娘に書類送検というあたたかい措置をとっているでしょう。やはり私は、労務管理の上にはこのあたたかい情味というものが基本となって、労働者の人間性というものを十分考慮に入れて、労務管理というものは進められていって私はしかるべきじゃないか、従来慣行が樹立されて、しかも、その慣行によって円満に紛争が処理されておったならば、たとえ法律がどうあろうとも、その慣行によって公序良俗が紊乱させられる、官紀が持たない、国家の秩序が破壊されるというようなことであるならば、これは別です。しかしながら、今日まで長い間、この専売の労使の間にあって円満に事態が格別の混乱も起らずに今日まで処理されてきたということは、法規はともあれ、しかも、その法規も全然無視していたわけでないでしょう。基準というものがあって、その基準にのっとっておそらく労使はやってきたでしょう。もしこの公労法を全然無視して根拠なき誤まりを犯してきたというならば、今までの総裁、副総裁並びに職員部長がいかなる責任をおとりになるおつもりですか。すでに過ぎ去ったことであっても、これは国家の公務員として重大な責任があるのですよ。やはりその衝に立った公務員の立場から見て、この労務管理は正しいと信じたからこそ、今日までやってきたわけです。その正しい考え方に立って今日まで労務管理に当ってこられた、しかも、何らの間違いもなくてやってきている今日、突如として、その人間性を没却した冷たい理性をもってのみ事を処置しよう、こういう労務管理の転換ということは、むしろ経営の立場にある者が私は虚心に考え、お考え直しをいただくのがしかるべきではなかろうか、そのことの方が私は将来の労使の紛争を解決し、円満な労務管理を行い、そして労働者諸君の積極的な協力も得られる最高の、かつ、最良の道ではないかと思うのです。この際一つ、組合の諸君も心からこの葉タバコ収納に当って、耕作者の迷惑を極力回避して、できる限りこれは回避していきたいという、この切なる念願を持っておることはもうこれは事実である。御列席の製造部長も、しばしばお話し合いの、団交の席上においてこの労働者諸君の意向というものは十分そんたくせられておるはずです。職員部長は少しこういう点について、もっとあたたかい気持で物事を考えられ、この失地回復とか、あるいは何とかいうことで大へん気負い立っておられるそうですけれども、そういうことでは、公務員としてのあなたの治績をあげられ、手腕を発揮するという熱意は私どもも敬意を表しますけれども、労務管理というものは決してそういうものではなくて、あなたがほんとうに労務管理担当の公務員として手腕を発揮されるということは、失地回復とか、あるいは組合をたたきつぶすとか、分裂させるとかいうことではなくて、積極的に喜んで労働者諸君が専売の事業に協力をする態勢を長く続けさせることが、あなたの私は最高の手腕であり、最良の治績であると考えます。こういう点からもぜひいま一度あなたの労務管理についての御再考を願って今後の処置をきめていただきたいと思うのです。やり方を考えていただきたい。特に高松の紛争等については、われわれの聞く範囲では、十分御考慮を願う余地があるのではないか。時間もありませんから結論的に申し上げますが、今後の一体労務管理に当って、従来の慣行は当然私は可及的に尊重されるべきものであると考えます。この従来の慣行を可及的に尊重し、そうして再び紛争の発生することを極力回避されることが、公社経営の責任者として当然であろうと思いますが、将来のこの労務管理について、総裁はどのようにお考えになっておられますか、この際、結論的な意見としてお伺いをいたしておきたいと思うのです。
○説明員(石田吉男君) 慣行の問題につきましては、先ほどもちょっと触れたのでございますが、何を慣行と言うかということについても、いろいろ問題があろうかと思います。それから慣行なるがゆえに破るべきではないという考え方にも私ども多少の意見がございますが、やはり、ただ慣行なるがゆえにということでなしに、個々の事例につきまして十分検討いたしまして、私どもは同意できるものはそれに従い、そうでないものは法律ないし一般の労務管理のやり方に従って考えるということではなかろうかと、かように考えております。
○片岡文重君 私は質問を打ち切るつもりでありましたけれども、今の御答弁でやっぱり質問を打ち切るわけに参りませんから、もう一、二点伺っておきますが、そうすると、従来の慣行によって紛争処理に当ってきた、いや、紛争ということよりも、労使の間における諸問題を解決してきた、しかし、今後はたとえ紛争が起っても、それらの今日まであげられてきたところの慣行は場合によってはこわすのだ、破棄していくのだ、たとえばどういうことだということは私は申し上げられませんが、従来とられてきたところの慣行でありましても、この点は公社としてお気に召さなければこれを破棄して、その場合には、たとえ紛争が起っても、組合の同意が得られなくてもやっていくのだ、こういうお考えなんですか。
○説明員(石田吉男君) ただいま申し上げましたことと同じことになろうかと思いますが、何が慣行であるかということにつきまして、いろいろ見解が分れ得ると思いますので、抽象的に従来の慣行を破壊するかと、こういうふうにお話がありましても、そうだとも、そうでないとも申し上げかねるかと思います。私どもはやはり個々の事例につきまして十分検討をいたして考えていきたい、かように申し上げる以外、抽象的にただいま申し上げましたように、従来の慣行を破壊する、そういうようなことを意図しておるものではございません。
○片岡文重君 従来の慣行を破壊することを考えておるものではない、これはもっともでしょう。しかし、今までの御答弁を伺っておると、公社としてお気に召さない事柄は、個々の問題を一つ一つ検討して、これを破棄していくのだ、こういう御答弁のように私は伺ったのですが、その一つ一つの検討というものはどういうふうにしてなされて、どういう方法をもって破棄されるのか、先ほどの団体交渉の問題のように、一方的な公社の宣言をもってこれを破棄し、組合側の要求にも応じないという措置がとられるのかどうか、その点はそんたくの限りではありませんけれども、少くとも慣行についてもいろいろあると言われますけれども、今日まで労使の間にとられてきたところの、労使の諸問題解決に当つてとられた手続というものは、これは一応慣行として認めてよろしいのじゃないですか。しかも、とられてきたもろもろの手続が労使間の紛争解決に、あるいは紛争とまでいかなくとも、労使間の意思の疎通に役立ってきたとするならば、これを尊重するのに何の弊害があるのですか、当然私はそれを尊重していくべきだと思う。しかも、これが重大な法規違反を犯しておったということであるなら別です。で、従来しからば、もしそういうことがあったとするならば、今までの経営者の立場にあられた、責任の立場にあられた各位は、その重大な法規違反というものを承知の上で犯してきたのでしょうか、おそらくそういうことはないでしょう。少くとも専売公社を経営されてこられた善良な公務員であられる限りは、そういう法規違反を——明らかに法規違反となっているものを、平然としてやってきたことはないでしょう、これは。やはり定められた法律に準拠して、その法律に許されておる範囲内において、情の上に立った慣行というものが樹立されておったに違いない。これを今にわかに破棄しなければならないという理由は一つも見出さないと私は思うのですが、それでもなお、それらの問題について一つ一つこれから検討を加え、破棄をしていくと、こういうお考えでしょうか。
○説明員(石田吉男君) 私は別に従来の慣行を破棄するということをお答えいたしたわけではございません。ただ、何が慣行であるかということもいろいろ考え方がございますし、個々の具体的な事例についてよく検討しないと、ここで抽象的には何とも申し上げにくいということを申し上げたわけであります。先ほど御意見の中にも、公社は自分の気に入ったものは取り上げて、気に入らぬものは取り上げない、かようなお話がございましたが、私ども、たとえば今の慣行云々の問題にいたしましても、労務問題を処理する場合に、そういう見地からものを考えたことは一度もございませんので、やはり一つの制度として公社制度があり、それを律するいろいろな法律関係があり、また、それを律するお互いの労使の関係がございます。そういう点を十分に総合いたしまして考えて、ただ好ききらいでものを判断しているのでないということだけは十分御了承を得たいと思います。
○片岡文重君 もちろん、好ききらいではないと思うのです。好ききらいではなくて、公社のために有利であるかいなか、そういうことがやはり判断の基調になるのじゃないですか。結局このことは、団体交渉の範囲として認める、これは先ほどの職員部長の御答弁のように、もしこれでまとまらなければ、公社は困るから、これははずすのだとか、この問題は一つ団交でやればまとまるであろう、この方が公社にとっては有利である、好きとかきらいとかでなくして、公社経営の面において有利であるかいなかということが、私は判断の基盤になるのじゃないかと思う。もちろん、それが正しいと私は言ってるのではありません。たとえ公社にとって不利な場合があろうとも、法規に命ぜられるところに従って、なされるのが私は正しい見解だと思うのです。そういう考えの上に立って、今日行われておる慣行というものはおのずから樹立され、固まってきたものだと思う。だから、そういう点について、なお今日検討を加えることは御随意です。しかし、そうしてせっかく固まってきた慣行を、今日一つ一ついわゆる失地回復などという意気込みで、積み重ねられた慣行を破壊していく、破棄していく、そして新しい慣行をここに作り上げようとされるそういう努力が今日なされているのじゃないですか。そういうことが今日なされているとするなら、私どもとして、はなはだげせない点も出てくるから、そういうことではなしに、せっかく今日までせいぜい努力をされた労使間のいい面というものを残していかなければならない、その労使間の樹立された慣行のいい面というのは、紛争もせずに混乱も起さずに話し合いなり、団体交渉なり、それぞれそのときの手続によって解決されてきたのでしょうから、それをそのまま慣行として従っていかれたらよろしいのじゃないか、こういうことを申し上げているのであります。
○平林剛君 ただいま慣行の問題が議論されているんだけれども、私どもがお尋ねをしたのは、今までの慣行をなるべく破らない、労使間においては慣行を守るということが大事だから、それをなるべく守ってもらいたいという要望でけりをつけようとしたけれども、その慣行というものは、法律に違反したことを慣行としてやれなどということを前提に言っているのじゃない。それをあなたが、慣行にはいいものもあれば悪いものもある、こういう理屈をこねるから長くなるのです。私らは、今までの慣行について法律違反的なものはなかったであろう、こういう前提で公社の責任者に、その点を守り育てるようにお願いをする、こう言っているのです。そこで、あなたが今のような御答弁になるから私は聞きますが、今までの経営者の中で、いろいろ協約を結び、協定を結んで労使間の調整をはかってこられた、いろいろ努力なさって総裁も副総裁も労働担当の責任者も平和的調整を尽してきたと信ずるけれども、今、新しい分野を開拓すると、こう言われる。それは従来はそういう協定やあるいは覚書や平和的調整をやった中で公労法に違反したものがあったか、こういう前提であなたは新しい分野を開拓する方針をとられているのかどうか、どっからか、お前さんのやってきたことは法律に違反しているよ、こう言われたのですか、あるいはそういう事実があったのですか、そういう事実があったなら、どんなことか、こういうことをお尋ねしているわけです。
○説明員(石田吉男君) さような事実はございません。
○平林剛君 事実がないとすれば、私はまさしくその通りであると思う。今まで何代かの職員部長、副総裁、総裁もおられて、公労法によって平和的調整を行なってきた、その間行なってきた調停や覚書や、すべての結論の中に、法律に違反したものはないと確信いたします。それでは、衆議院の大蔵委員会で原部長は何と答えたか。あなたがかわってからどうも専売の労働問題は紛争が大きくなって困る。あなたは別に私は何もやっていない、ただいままでの労使慣行の中で法律上間違ったものを直したいということを言っている、法律上間違ったものを直したいと言う以上、何か法律上間違ったものがあったに違いない。副総裁はないと言っている。あなたは衆議院の大蔵委員会で、法律上間違っているものは直したいと、それは具体的に何ですか、副総裁とちょっと考え方が違うようですが。
○説明員(原三郎君) どうも表現が、そのときの話ははっきり覚えておりませんが、当時こういうことを申し上げた記憶があるのですが、その問題に関連して何べんか答弁申し上げているので、言葉の筋だけを申し上げたいと思うのです。きょうも話が出ましたが、単に管理運営の事項にわたる事柄、労働条件の即題であるから、限界がはっきりしない事項がたくさんございます。まあこれが各職場どちらにもあるわけですが、そういう面で従来円満に事を処理するというために、そういうデリケートの問題をはっきりさせないままで、団体交渉の場か、あるいは話し合いの場かわからぬような場もいろいろあったようでございまするが、そういうふうに処理してきた、そういうのはものによってははっきりさせないわけにはいかない、法の精神からいっても困る、そういう事項をはっきりさせていきたい、これが一つ、そういう趣旨で答弁したのが記憶にございます。それからその席で具体的な例として申し上げた中に、職場交渉という例を、高松の事件に関連して具体的な例を申し上げたことがございますが、これはもう平林委員の方がよく御存じだと思いますけれども、工場の現場の課長さんのところに、百人とか百五十人の女工さん方が見えて、それで職場の現場におけるいわゆる職場交渉というものを要求されるわけでございますが、私はそのときに申し上げたのですが、これは交渉という性質のものじゃないのじゃないか。本来、陳情的な性質のものであって、公社側として現場の課長さんには交渉委員としての権限は付与されておらない。そういうものが、従来大ぜいのものがやって参りますると、なかなかそれを断わるということが実際問題としてむずかしくなってくるというような事例が職場に、あっちこっちにできた事例がございますが、こういうものはやはり交渉というものが、同時に正式の団体交渉の場というものが持たれるときに、そういうものをやるというようなこと、これは組合の方々からいうと、一つの慣行というふうになることだそうでございますが、これは法律の精神からして決していいことではない、間違ったことである、従って、こういう事項は直して参りたい、こういうようなことをたしかこの前の衆議院の大蔵委員会で申し上げたことが記憶に残っておるのでございますが、さようなことでございます。
○平林剛君 私は先ほどのあなたの法律の精神論について具体的な事例をあげて反省を求めてありますから、今あらためて繰り返しはしません。ただいまのことについても、衆議院の大蔵委員会では、公社側も事態の解決のために善処したいということに一応落ちついているから繰り返しはしません。けれども、片岡議員が先ほど言われましたように、私は現在専売公社で起きている紛争の理由のかなり大きな部分に、専売公社の労務政策のまずさ、あるいは法律に対する理解の仕方でも多少どうも違ったところがあるのじゃないか。具体的に質疑応答した通りです。そういう点はどうか管理者の方でも十分に反省をして、事態の円満なる解決のために努力してもらいたい。同時に、きょう来た誰だか知りませんけれども、特に私気にしているのは、収納、再乾燥の協定に当りまして、中央との交渉を断わって地方に移すことを述べ、そこで解決する見通しがないのに、調停申請もみずからやらず、組合側にやらせる、しかも、交渉委員の発言を一々取り上げるつもりはありませんけれども、重大なことは、この紛争が長引いて耕作者に迷惑がかかってもやむを得ないなんというようなことを言われている人もある。そんな考え方でなくて、どうか一つ至急に紛争を解決し、第三者の正しい調停に服してもらいたい。これを要望いたします。副総裁から何か結論としてきょうの委員会に対してお答えを願いたいと思います。
○説明員(石田吉男君) 長い時間にわたりましていろいろ御意見を伺いまして、おそらくお考えになっておられるととも、私どもが考えておることも終局するところは同じことではないかと思います。私ども、要はできるだけ労働組合とは円満な話し合いを続けながら、なお、公社企業が円滑に運営されていくというところにあろうかと思いますので、いろいろお話のございました点を十分考慮いたしまして、われわれとしても反省すべき点があれば反省し、考えるべき点があれば考える、かようにいたして円満な解決をはかって参りたいと存じます。
○平林剛君 倉石労働大臣がお見えになったから、一つ、二つ政府のお考えを聞いておきたいと思うのであります。きょう専売公社の副総裁初め幹部をおいで願いまして、専売の労務政策についてお尋ねいたしましたことは、最近の日本の労働運動全般に通じて替えることの一つだと私は見ている。こまかい事情については、十分まだ御存じがないようでありますから、そのことについてお尋ねするつもりはありません。ただ、きょう専売公社の労務担当者の答弁の中に、最近政府は三公社五現業の労務担当者をときどき、一ヵ月に一回とか二回とか呼んで事情を聴取しているというお話がございました。これは政府がお呼びになっているのですか。それとも、もし大臣が御存じないとすれば、自由民主党の労務対策部が呼んでいるということに相なるわけなんです。この点は私、大臣がお見えになったから、ぜひ聞きたいと思ったことです。この点一つ政府の当面おとりになっている、ただいまのような措置があるのかどうか明らかにしていただきたい。
○国務大臣(倉石忠雄君) 政府で三公社の管理者を呼んで何か聴取していることがあるかというお話でありますが、政府といっても、私の知っている範囲ではありません。まあ、専売公社が大蔵省の関係であるということで、大蔵省はそういうことをしているかどうか、そういうことは知りませんが、政府で特に三公社の者に事情を聞いているということはありません。
○平林剛君 そうすると、先ほどの専売公社の労務担当者の発言は、自由民主党の労務対策部から招請を受け、そこですでに二回、現在の責任担当者が就任してから呼ばれているということなんです。わずかの期間に二回呼ぶというのは、就任以来わずかですからね、かなりひんぱんに呼ばれているように思う。社会党にしても、自由民主党にしても、労使の問題についてまだ格別の紛争もないときに、やたらに、特に政府の関係者を呼んでやるということは、それは周到な準備としてはいいかもしれませんけれども、かえって政党が介入するというような誤解を受けたり、あるいは私、先ほど力説したのですが、最近は官僚が政府の権力にこびて、そしてそれに便乗して、何か、単なる労働問題を罪悪化したり、あるいは失地回復というような名目のもとに、従来行なわれなかった警察権の発動を、案外簡単にやるような事例が現われてきておる、こういうことは、私はいわゆる、ここにおる人を官僚という言葉で表現するのは非常に気の毒ですけれども、一つの固有名詞として官僚という人たちの気持には、そういう権力に便乗する——これは今おいでになった方をさして言うわけではありませんけれども、大体体臭としてあるわけです。そういう点は、労働大臣はどうか一つ行き過ぎがないように御配慮願わなければならぬ。かりに、それが政府与党の自由民主党でありましても、あまりいいことでないじゃないか。特に、政府与党であるがゆえに、そういうことについてはどうも私遺憾に思うのであります。公平な立場に立って、労働大臣は、こういう私の希望について何とか御検討願いたいと思います。いかがでございますか。
○国務大臣(倉石忠雄君) 私はただいま政府側に立っておりますが、代議士として長い期間というものは、国会の方、党の方におったのであります。私はいつも考えておるのでありますが、日本の国会というものの運営のあり方というものは、どうも国会というものを誤解しておる人が相当多いようで、国会が行政の内部に立ち入り過ぎるということを常に考えております。いわんや、政党が、たとえば与党という立場であっても、何か干渉がましいような、行政府に介入するというようなことは極力避けなければなりません。ただ、社会党にも自由民主党にも、それぞれ調査会があります。来年度の予算の編成に当りましては、私ども自由民主党としては、やはり与党の立場で、予算編成について、その各省から提出されております予算要求、法律案等について検討を随時やっておる、これは事実であります。それはどの党もやっておると思うのでありますが、そういったような政務調査会の一部門で、あるいは三公社の人たちに来てもらって、そして三公社関係の法律関係あるいは労働事情等を聴取することは、たまたまあり得ると思います。しかし、そのことが行政の内部に干渉がましいことであってはならぬ、こういうことば、平林さんのおっしゃる通りで、私も同感であります。そういうことで、政府はもちろん、そういう各省あるいは各公社の責任者のやっておられることについて、とかくの干渉がましいことは避けなくちゃならぬ、こう思っております。
○平林剛君 労働大臣は、そういう立場で全般をながめてもらうことを希望いたしますが、実際上の紛争の処理あるいは最近政府の行き方を見ておりますと、たとえば秋の闘争が起きる、または有期闘争ということで労働争議が起きるというときに、特徴的なことは、処分が行われるということであります。ところが、政府にも一つの方針がある。従来議会においては議論をして参りましたけれども、その処分が往々にして機械的に行われるというきらいがあるのであります。たとえば、ただいま労働大臣からはお話がありましたけれども、自由民主党の中にそれに関係する議員がおりまして、お前のところは一体今度は処分はどう出た、この間のやつはどのくらいだ、ということで、処分を慫慂するかのごときことで、公社にあるいは現業に連絡をとる、その連絡をとることが処分を慫慂するというような結果になっておるという事例を幾つか知っておるわけであります。また、公社の役人の方も、弱っちゃったな、政府与党のだれだれさんがこう言うのだから何とか格好をつけなければいけないというようなことで、処分すべきでないものまで処分をする、あるいはこの処分のやり方についても、この程度だったから停職六カ月、今度はそれより軽かったから三カ月というようなことで、機械的に、あたかも公社五現業の管理者が裁判官にでもなったようなつもりで労働組合幹部の処分をなさるという傾向が現われておる。そういうことは、先ほど私は、公社の首脳部とも法律万能主義で労働問題をやってもらっちゃ困る、自分だけが正しいと思って法律万能を振りかざすようなやり方はかえって紛争を拡大するということは、注意は申し上げておきましたけれども、処分等の問題につきましても、どうも機械的なやり方が多い。政府は、まあ対外的には、これは幾分政治的な面を含めてそういうことを行う、政策として行うということがありましても、実際行われているのは、機械的なものが多いじゃないか。こういう点も私は、長い労働組合運動において、現在起りつつある事態というものは憂慮すべきものがあるじゃないか、政府には大方針というものがあって、それを行う、お互い政治家として理解できないことはありませんけれども、実際行われておるところは、そういう機械的なことが行われる、この点も、私はまあ御答弁は要りませんけれども、この機会に十分労働大臣として配慮してもらいたいということを要望しておきます。
○委員長(久保等君) 本問題に対する本日の質疑はこの程度にいたしたいと思いますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(久保等君) 御異議ないと認めます。 本日は、これにて散会いたします。 午後五時三十八分散会 ————・————