社会労働委員会 閉会後第3号
- 発言数
- 171 件
- 登壇者
- 13 名
- 会派数
- 2
- 開催日
- 1958/08/26
会議録
○委員長(久保等君) ただいまより社会労働委員会を開きます。 委員の異動を報告いたします。 八月十六日付をもって、高野一夫君が辞任し、その補欠として大野木秀次郎君が選任されました。 八月十八日付をもって、草葉隆圓君が辞任し、その補欠として泉山三六君が選任されました。 八月二十五日付をもって、鈴木万平君、斎藤昇君が辞任され、その補欠として谷口弥三郎君、寺本廣作君が選任されました。 八月二十六日付をもって、横山フク君、泉山三六君が辞任し、その補欠として西田信一君、草葉隆圓君が選任されました。 ―――――――――――――
○委員長(久保等君) 労働情勢に関する調査の一環として駐留軍労務者の就職対策に関する件、さらに雇用、失業問題に関する件をあわせて議題といたします。御質疑を願います。
○藤田藤太郎君 私は、今の日本の不況下における失業者の増大、この問題は、政府でもいろいろと対策についてお考えになっているものと思うのであります。この、今の失業の状況と今後の見通しについて、まず第一に承わりたいと思います。
○国務大臣(倉石忠雄君) 失業関係につきまして先国会のときから申し上げましたように、政府のとりました経済調整政策も影響があったと思いますし、外国の不況等もこれに拍車をかけた結果になったと思いますが、政府はそういうことを想定いたしまして、御承知のように、三十三年度予算においては約十万人ぐらいの失業者増というものも見込んでおったわけであります。しかしながら、幸いにして前年同期に比べまして、本年の五月をとりました前年同期には、十万人までの増は出ておりませんでした。しかしながら、私どもは今の状態は、ある数種の業種においては企業整備等によってやはり失業者が出てくる。従って失業保険の受給者数も昨年度よりは増強いたしております。それからまた雇い入れる約束をしておったものでもそれを引き延ばしておる。これは正確に失業者という数に入るかどうかは別問題として、こういう待機をいたしておるものの数も考えてみなければなりません。そういうものを総合いたしますと、景気がなべ底であると言われて参りました状態のもとにおいて、なるほど一部の生産等は上っておるものもありますが、われわれの方の関係による雇用量及び失業の状態というものは決して楽観を許さない、こういうふうな状態であります。従って政府は、こういう状態に適応してどういう施策をとるかということがわれわれの心配いたしておるところでありますし、今、藤田さんも心配してお話しになったことだと思います。そこで、現在は完全失業者先月五十一万と言われております。こういう状態でありますから、われわれが想定いたしておったほど実際には数字に現われておりませんけれども、これに対してはできるだけの措置をしなければならない、こういうふうに思っております。今のところそういう状態であります。
○藤田藤太郎君 私はこの前の委員会で、今の失業者――顕在失業者や潜在失業者の把握の状態というものが労働力調査というもの一本にきめられているところに問題があるのじゃないかということを私は提起したと思う。その労働力調査や、または労働経済指標から出てくる数字を見てみましても、毎月十六万、十九万、十七万、初回の受給者があり、現在失業保険をもらっている人がことしに入ってから四十六万ぐらいの平均になっている。このほかに日雇いや何かの失業者の登録をしているものが五十万をこえておる。これだけ単純に合せてみても、そこの労働力調査では非常に把握でき得ない失業者がある。あわせて今日の不況の中において操業が短縮され、むしろ新しく農村とか、各地域における学校を卒業した青年が萎縮してしまって、それは捕捉のできない潜在失業者の中に人っていっている。これが今の日本の私は労働力の配置の現状ではなかろうかと思う。それじゃあ政府は、経済の政策として不況対策の政策をおとりになるかというと、そういう点についてはなかなかおとりにならない。だんだんと不況、失業増大というこの流れというものは、どこでとまるかわからぬという状態で私は進んでいると思う。それじゃあ、今、政府は心配していると言われたけれども、どういう工合に心配して、どういう対策をお立てになるか。私はこの問題が具体化してこなければ、まず第一に顕在失業、潜在失業の把握という問題はあいまいであると私は思う。事実失業者がたくさん出ているのに対して、具体的にどういう施策をとるかという問題について明確でないのです。たとえば、今日の主としてたくさんの失業が予想される駐留軍の労務者の問題、または特需関係の労務者の問題、繊維産業なんかにおきましても、四、六、七、九の操業短縮、この問題も布施話関係の効果が上っていないという状態から見れば、これらの三つのところから出る失業者だけでも相当な失業者が順次ふえていくということを予想しなければならぬ、こういう事実があるのにもかかわらず、具体的な労働力の配置の根本的な問題について政府が検討されているのか、されていないのか、この点が非常に私はわからない。私はそれで今日も総理府の統計局から六月分の――六月というのは御承知の通り農繁期であります。人手の要るときでございます。そういう六月の労働力調査の報告をいただいて、私はこれを見ました。これを見てみましても、六月には五十九万、労働力調査においても、五十九万になっている。もっと取り上げればたくさんありますけれども、しかしそういう中で労働省は、それじゃあ緊急の経済政策ではどういう手を打つ、失業対策にはどういう手を打つという心がまえをどの程度お持ちになっているか、私はそれを聞きたい。ただ心配しているというだけじゃ私は問題だと思うのです。
○国務大臣(倉石忠雄君) ごもっともなことでございまして、今、いろいろな点を御指摘になりましたが、新卒業生につきましては、私の方で調査いたしました就職率等は、後ほど政府委員の方からお答えさせたいと思いますが、中学校、高等学校等の就職率、就業希望者の就職率というものは、御承知のように大体前年度よりは上回っております。それからまた、ただ私がさっき申し上げました、たとえば紡績等において予約をしてあるものについて、予約をされながらなおもうちょっと採用を待ってくれというふうなことを言われておるものが今あります。そういうものもわれわれとしては放置しておくわけにいきませんから……。先般私は大阪へ参りましたときにも、あそこは綿紡関係の多いところでありますから、いつまでもほうっておかれるようなことであるならば、政府としては注意を喚起しなければならぬという発言をいたしました。その結果、やはり業者も労働組合側もおいでになりまして、それぞれの立場から私どもに御希望を申し出られたような次第で、やはり九月ころまでになりましたならば、あるいは待機させるならば相当の手当を出すなり、何らかの措置をするようにしてもらわなければならぬということで尽力をしておるわけであります。一般に申しまして、私の方で、この状態で私は非常に日本の経済状態が悪化するとは政府は見ておりませんけれども、たとえ悪化せざるまでも雇用、失業の面においては、決して安心してはならない状態であるという考え方のもとに政府部内でも相談をいたしまして第一にはとりあえず即効的なことは公共事業費の繰り上げを行なって、そうして急速にその面において雇用の増大をする、建設当局ではそういうことに対して延べ人員どのくらいというふうなあらかたの計算もいたしておるようでありますが、われわれの方として納得のできる打ち合せを今さしておるわけでありますが、第三・四半期、第四・四半期の公共事業等を繰り上げて実行することによって、その面において緊急に出てくる失業者は救済をする、さらにまたあるいは延べ払い、円借款等、日本の経済事情、また日本の置かれた国際状況の立場の中であとう限りのことをいたしまして、輸出の増強をしなければならぬ、ともかくも申すまでもないことでありますが、われわれは輸出の増強ということが単に雇用の増大ばかりでなく、経済政策に利することでありますから、そういう面では政府の方針を決定して、今着々実行に移しておることは御承知の通りでありますが、延べ払いであるとか、円借款ということは相手に外国もあることでありますので、急速に今まとまったという段階ではありませんが、急いでそういう方法で、それが日本の輸出を刺激するという措置ですから、それを進めていく、まあ私の所管でありませんから、そのことを申し上げることは遠慮いたしますが、そういうような方法で輸出増強及び国内においての公共事業の繰り上げ実施というふうなことで雇用の増大をはかっていきたい、とりあえずはそのように政府は考えておるわけであります。
○藤田藤太郎君 輸出の問題、または国内の経済、要するに不況対策の問題、問題は今日生産力がふえたけれども、国民に購買力がないから操業短縮をせざるを得ない。これは一つの面では貿易の問題も関係すると思う。しかし、そういう経済の総合的な問題が、労働問題を中心的に考えて経済政策を立てるというのは、前の石田労働大臣のときにはこの委員会でお約束をされた。ところが、今の労働大臣のお話を聞いていると、これは分野が違うからというお話なんです。私は閣議においてもそういう日本の経済政策を立てるときには日本の労働力の問題、労働者の生活の問題をどうするかということを基本にして、日本の経済政策というものをお立てになるのが至当であろう、私は前の労働大臣はそういう考えだと言われたから、それはまことにいい考えだ、こう思っておった。ところが、そういうことは実現をしてこない。そしてまた今日の状態においてこの失業者というものがたくさん出こそすれ、減る状態にはないわけです。オートメーションの反比例は、労働者を少く雇って生産を上げるという方式なんですから、ここからはだんだんと締め出されていく、国内の経済回転力がだんだんと下るにつれて職場を追われていく、こういう悪循環がここにあると思うのです。これをまず直していくのにはどうするかという問題を私は労働大臣として積極的にやってもらわなければならぬ、これが一つです。もう一つは、今出ている失業者というものを、私はもっと的確に把握するという任務が労働行政にあるのではないかと思う。単に今の労働力調査だけで、一番最初に指摘したように失業保険受給者と日雇いの登録者を見ても百万をこえるのに、労働力調査の顕在失業者五十一万、こういうことが普通の人で考えられるかどうか。労働力調査というものを再検討して、日本の現在の労働力の配置の状況というものをもっと的確につかむ、または生活状況というものを的確につかむという、こういう施策というものが、当然今日の日本の労働行政の中にあってしかるべきだと思う。こういうことには手をつけないで、ただ労働力調査に出てきた問題だけで、案外少なかった、五十一万だというだけでは、私は生きた行政じゃないと思う。私は今のようなお話ですと、もっと言いたいのですけれども、三十三年度の経済計画を見ても、その雇用計画の中で四十五万という数字は自家就労で、中小企業や農業の自家就労というものは潜在失業者で、これは仕事をしたい。要するにむしろ顕在失業者の中に追い込んで置いて、そして計画をお立てになる、こういうことがあっていいかどうかということを、私はもっと論議しなければならぬと思う。だから今の不況下ではだれが見ても失業者の数がふえていることは事実ですから、心配しているというだけでなしに、労働行政の担当大臣である労働大臣が、この失業者をどういう対策を立てて救済するかというところにもっと力を入れなければ私はならぬのではないかと思う。私は決して今の状態がこのままで、今度の臨時国会、通常国会までにこういうことを研究しているというだけでは、この問題は今年の通常国会のときから非常に問題になっている問題であるから、私はあまりに不熱心と言いましょうか、そういう感じを非常に強く受けるのです。労働省はこの失業対策の問題をどういう工合にお立てになるという計画をお持ちではないのですか。
○国務大臣(倉石忠雄君) 藤田さんも御存じのように、今の労働力調査の把握している資料というものは、ああいうやり方をとっておりますから、それはなるほど若干のズレがあるかもしれませんけれども、どこの国でもやはり失業統計とか、労働力調査というものは、やはり日本の統計局でやっていると同じようなことをやっております。大体今までも、たとえば綿紡の方が不景気になってきたと同時に半年ぐらいずれて、婦人の苦い人の離職者が出てくる。それが統計上に晩夏にやはり現われてきております。これが万全を期することができればそれにこしたことはありませんし、また私も就任いたしましてから、労働力調査、生産年令人口、失業統計というふうなものにもう少し新しい努力を加えようではないかということで、統計調査部の仕事の拡充について熱心に申しているわけでありますが、私は現在の段階では、現在の労働力調査というものは大体正鵠を得ているものだと、このように考えております。近くどこかで開かれます国際統計協会などに出て行かれる教授たちと先般送別の意味で会いました。やはり労働力調査や失業統計のことについてお話がありまして、われわれとしてももう少し完璧なもの、たとえば潜在失業者というようなものをよく論議されるが、ある役所のものと他の役所のものとの間に二、三百人の開きのあるようなものをときどき見せられております。これは何とかもう少し接近した数字が把握できないだろうかというような話もいたしたのでありますが、そういう場合にはやはり、たとえば一週間のうち一時間も働かないというものを失業者と計算する、そういう取り方をしたところと、そうでないところとまたそこで違ってくるというふうなことで、若干の違いはあるかもしれませんが、やはり現在十分とは申しませんけれども、今やっております失業統計、労働力調査等に基いて対策を立てているわけでありますが、先ほどお話の経済政策は、雇用を中心としてやっていかなければならないではないかというお説、これはもう全くごもっともであります。私どももそのように考えております。政府もまた完全雇用を目標とした何年計画というふうに言っておるのでありまして、まず物よりは人でありますからして、雇用の拡大ということについて経済政策を立てておることはいつのときでも自由民主党の政府ではそういう考えで経済政策を立てておるわけであります。従って雇用を忘れた経済政策などというものはわれわれの方では念頭に置いておりませんが、先ほど申しましたし、またあなたもよくおわかりの通りに、日本の輸出入バランスを並行させるという一つの手段、また諸外国の不況等の影響を受けて今日の状態になってきた。しかし経済政策の面ではそれぞれの手は打てても雇用失業の面ではなかなか困難だと、これももう私が申し上げた通りであります。そこで、政府はその雇用失業のために何にもしないではないかというふうなお言葉でありましたが、今申し上げましたように、雇用をいかにして増大していくかということがねらいの経済政策でございまして、そういう意味ではあなたが心配しておいでになると同じ目的のもとにわれわれは経済政策を立てているのだと、こういうふうに御了解願いたいと思います。
○藤田藤太郎君 心配をしている、そういうことはだれでも言えるでしょう。心配をしているということはだれでも言える。たとえば具体的問題で、今の特需や駐留軍労務者を、繊維の失業者を、それではどこへ吸収し、どういう工合にその対策をお立てになったかというようなことを尋ねなければならない。要するにそういう就労計画というものをお持ちなのか、これを尋ねなければならぬことになってくる。 もう一つ、貿易の問題を言われたけれども、中国や東南アジア、繊維関係なんか東南アジアでは非常に大きなシャットアウトといいますか、大きな貿易収縮が行われているというのはどこに原因があるか、それが日本の経済、貿易にどう影響してくるかということも私は言わざるを得ないと思う。この論議はまあきょうはなにですけれども、私はそんな通り一ぺんの、こうも考えます、心配をいたしますということだけの話で失業対策が立つと思っていない。だからそれでは、駐留軍の、特需の、繊維のという工合に、今非常に大きく出ている失業者の就労対策はどうお立てになっているか。
○国務大臣(倉石忠雄君) 駐留軍労務者の関係では、あるいはまた特定の場所の話もあるかもしれませんが、実は内閣にそれに対する対策協議会を持っておりますことも御存じの通りでありますが、先般私は相模工業等に参りまして、あすこの軍司令官にも会いました。そういう場合に、私はかつて調達庁担当大臣を三年ばかり前にやっておりました関係で、駐留軍労務者のことについては特に気を使っている一人でありますから、自分の経験等に徴しても日米の協定に基いてどうか一つ、日本の慣習としては事前に解雇の通告をするし、またそういう場合の手当等についても、それぞれ大体慣習もあることであるから、アメリカ側においても軍の都合でなかなか急速に、本国から命令が来て移動したり、閉鎖したりする場合もあるだろうけれども、あとう限り一つ事前に当方に連絡をして、われわれの担当である労務者の路頭に迷うようなことのないようにしてもらいたいということを申してきたようなわけでありますので、駐留軍労務者の離職する場所にもよりますけれども、大体昔よりは今の方がよほどそういう通告等について米軍側も理解して親切になってきてくれましたが、ただしかし、たとえば呉あたりのようにそのあとの施設をどういうふうにこれを利用することができるかというふうな、日本に全部明け渡しをして自由にしてもらえるならば、それを利用してまたその従業員をそこに働いてもらうような民間産業との提携もできますけれども、それがはっきりしておらないようなところにおいては、その施設を利用するということはなかなか困難である。従ってわが方としても私どもの考えておりますように、満足にはなかなかいかない場所もありますので、そういうところについては、なおこれから折衝しなければならないと思っておりますが、失業者がそういう地域で多発的に一ぺんに出てくる特殊な場所については、藤田さん御存じのように、そこに行われる失業対策については全額を国でめんどうを見たり、あるいはその施設を利用することによって民間産業に利用せしめてそれに、そこの場所に働いておった者を吸収するとか、あるいは事業組合を当該従業員に作らせて生業を得せしめるというふうな措置を講じて参っておることは御承知の通りであります。 なお、個々の問題については事情も違うかもしれませんからお尋ねがあればお答えをいたしたいと思います。
○藤田藤太郎君 私は根本の問題をお尋ねをしておるのです。だからこの労働省の統計を見ても六月の求職者が百三十七万、一月から百七十万、百六十万と、こうあるのですが、実際に就労したのは二十万、初めて六月が二十万ですね。百三十万から百六十万の求職数があるのに、就職ができたのはその中で三十万くらいしか就職ができていない統計が出ておる。これは一般の状態だと私は思う。そういう状態の中で、今の地域の特殊な条件は、それは一カ所か二カ所かあるでしょう。あるでしょうけれども、これだけたくさんの失業者が毎月々々出てきておるのに、この一般の就労関係は百三十万から、五十万のところで三十万かそこらしか就労ができていない。そういう中に私は一般の就職、要するに就職を期待するというような状態だけでこの問題が片づくかどうかという問題に触れざるを得ないと。だから私は具体的にどうおとりになっておるかということを聞かなければならないのです。そういう点については心配をしておるという一語につきて、何ら具体的にはおやりになっていないということにしかわれわれは考えられない。私は、自民党も先ほど完全雇用政策だと言われるが、その通り選挙その他で国民に公約をされておる完全雇用という道を、ほんとうに進んでおられるのか。先ほど労働力調査の問題が出ましたけれども、外国の労働力調査というのは、対象が主として工業力については摩擦失業なんです。いまだに政府は潜在失業者の把握というものをしておらない、そういうものを一切含めて、そうものの摘出もせんと、うやむやの中で労働力調査をやって、どこかで働く場所ができることを期待するという、これが労働行政かと私は言いたい、そんなものじゃないと思う。生活の問題もそうです。これはやはり就労の喜びの中で人生を全うするというのが人間の一番喜びである、勤労の喜びの中に、それに働くところの職がないという、こういう状態の人がどんどんふえていくのに、私は労働行政としてもっともっと雇用対策には積極的でなければならぬ、こう思う。これは今問題になってくる。きょうあとほど出てくる問題も皆これに関係してくる。根本的には就労対策というものの基礎ができていないのです。そこで、ここに問題が起きても、大きな壁にぶち当って一つも解決をしない、それは駐留軍の労務者の問題も臨時措置法ができました、できましたけれども、どれだけ救済されたかということを振り返ってみるときに、私は、ほんとうに期待する中の微々たるものしか救済がされていないという状態なんです。だから私はこの失業――雇用の根本問題というものをもっともっと真剣に労働行政でやってもらわなければならぬ、それは経済政策に関係する。その問題はもっともっと積極的にやってもらわなければならぬ。経済の問題は努力されるでしょうけれども、具体的に出てきている問題をどうするかということを私はお尋ねしておるのです。だから、心配をしているという状態じゃなしに、今後――後にはどうするか、どういう方法でこの完全雇用の政策を立てていくのか、どういう方法でどの時期に就労の問題はどういうふうにやるか、失業対策はどういう方法で失業対策を立てるか、こういう問題が一応明らかにされていいと思う。それを一つ明らかにしてもらいたい。
○国務大臣(倉石忠雄君) ちょっとお尋ねしますが、何かこういうふうなプランでこれだけの人を吸収していくということを明確に説明せよ……。
○藤田藤太郎君 そうです。
○国務大臣(倉石忠雄君) 私ども政府は先ほど申し上げましたように、一体今日出ておる失業者というものを第一にどういう種類の人たち、たとえば女性であればどれくらいな、どういうような年配の、どういう職に今まで従事しておった者が一番多く出ておるかという区分調査を今しておりますが、先ほどもちょっと申し上げましたように、綿業、繊維関係等で出てくる離職者というものが一番現実に現われてきておる、統計の上で多くなっております。これは特に繊維関係の企業整備などでそれが一番多い。安定所などの様子を見ても、そういう人たちの失業保険をもらいに来る数が圧倒的に多い。従って、そういう人たちは他に配置転換をする方法がないか、それにはやはりそういう業種について輸出を振興していくことがまず第一ではないかというような、総合的な計画を政府、それぞれの担当部門で協議をせしめまして、それの計画を立て、それに基いて先ほど申し上げましたように、そういうようなものを吸収するために必要な産業を振興させていくというためには、まず延べ払いを認めてやれば、どこどこの国ではどういうふうなものをほしがっている、それならばこういうものの、需要はそれによって喚起されるのではないか、こういうふうなことで計画を立てて、それを実行に移す計画をしていると、こういうことを申し上げたわけであります。他の男性で労働力のあるような人々、そういうような人々については離職をしていくまでのうちに、やむを得ない、労働力を十分に持っておらないような人々には一般の失対、それからまた公共事業の繰り上げ等によって実施できる労働力を十分に備えているような人々については特別失対であるとか、あるいは一般公共事業等に吸収する計画を立てるということを今やっている最中であります。決して政府は手放しでおってそれを見ている、こういうわけではありませんが、とにかく難問題でありますから、うまい知恵がありましたら一つ教えていただきましたら、幾らでもわれわれは一生懸命で、そういう皆さんの御援助に基いて、とにかく雇用量を増大していくということは、もうこれは政党政派の問題じゃありませんので、全力をあげてやっておるわけであります。
○藤田藤太郎君 教えてくれたらその通りやる、わが党がこの前の通常国会で四百三十六億ものたな上げ資金を、これを不況対策に充てようと言って、その他の財政をとって不況対策の補正予算をきめて、それで日本の不況を、経済回転というものをやって、そうして民需、購買力向上、そうして経済回転への道を開かなければいかぬということをわれわれは提案をしたけれども、数の多数でぷっと放されてしまった、今日不況対策を立てなければならぬ、もううしろに火がついてきておる、補正予算を今度の国会にでも出して処置をする、こういうところまできておるけれども、政府はそれじゃそういう問題についてはどうなんですか、これ以外にないじゃないですか。たとえばもっと言えば今のオートメーション化している工場の時間短縮、雇用増大というような問題が急務の問題として今日来ている、生産力を独占しているところはもうけっぱなし、雇用主は利益をどんどん上げていくけれども、労働者は首を切られている、労働市場は収縮している、そうして貧困生活者がふえている、こういうのが私は自民党が言う福祉国家への道かどうかということも論議せざるを得ないと思う。そういうものが経済拡大の回転の中で私は就職の機会がふえてくるという経済政策の関連が相当ある、この問題をおやりになればいい、そうしてまた失業している方々には職場につけるためにはどうやっていくかということの問題を、もっともっと、今の二十五万の労働力調査の結果も、五十万だから半分していると言われるけれども、潜在失業者というものがどれだけあるか、生活貧困者がどれだけあるか、こういう問題をもっともっと明確に把握して対策をお立てにならなければならぬと思う。厚生白書を見てごらんなさい、ボーダーライン層が千百十三万三十一年度にあるということを出しているじゃないですか、社会行政、労働行政というものを一体の角度から、もっともっと緊密の連携をとって、国民生活の問題、この問題をお考えになればいいじゃないですか、それが福祉国家への道だと私は思う。私らが、うんとうんと知能力をお持ちになっている大臣に釈迦に説法でございますけれども、教えて下さいと開き直られれば、こう言わざるを得ない、しかしおやりにならんで、言うだけは言えと耳の外を流して、それはおれの心に、考えには入らぬということじゃ、何べん言ってもしょうがない、そういう議論に私はなってくると思うのです。だから一つ労働大臣も、今のこの失業対策を、少くとも今出ている失業者を、今度どういう方法で就労の機会を与え、そうしてその人に職についてもらうかというお考えを私は日々積み重ねて五月、四月ごろから非常に論議してきている問題だけれども、二十五百万の失業問題が一つもそこで動いていない、そんな、今度臨時国会も開かれるのだから、そのときには国会が開かれるのですから、私は処置ができると思う。国会以外のときに処置がしにくいとおっしゃるなら、臨時国会が開かれる予定だから、そこでは処置ができる。だからそれまでには明確にこういう方法でやりたいというお考えがあってしかるべきだと私は思う。だからお聞きしている。
○国務大臣(倉石忠雄君) 藤田さんの御高見、雇用量の増大方式等についていろいろ教えていただきました。われわれも御指摘について十分勉強してみたいと思っております。
○藤田藤太郎君 勉強をしてみるというけれども、そうすると何ですか、今の失業対策の具体的な問題は今お持ちになっていないということですか。
○国務大臣(倉石忠雄君) 政府が今やろうといたしております。ことは、私が先ほど申し上げましたことで、大体それでやっていけると、またぜひそういうふうにしむけていきたい、こういうふうに思っております。
○藤田藤太郎君 そうすると何ですか、たとえば一つの例をとりますけれども、その特需工場がだんだんと閉鎖されていっている、追浜に一万の失業者が出ようとしておる、赤羽にもそうだという工合に出てきているけれども、この対策はどうおとりになるのですか。
○国務大臣(倉石忠雄君) そういう特殊な問題については、特別に相談をさせるようにいたしておりますから――政府委員の方からお答えいたします。
○説明員(百田正弘君) ただいま御指摘になりました個々の具体的な問題につきましては、そのつどその具体的な対策につきまして特に駐留軍対策のごときは関係各省集まって協議いたしております。必要な措置はとって参りたい、こういうふうに考えております。
○片岡文重君 関連、もう少し大臣は真剣な態度で私一つ答弁してほしいと思うのだが、せんだっても新聞を見ると、労働大臣の新聞記者に話された内容では、明年度の失業対策としてであるけれども、五百億円要求して三十四万人を吸収した上、就労日を二十一日から二日間ふやして二十三日とする、また臨時就労や特別失対事業をやめて、一般失対事業に吸収するというような、来年度の計画まで具体的に話をされているわけです。そして今さしあたっての問題としては、臨時国会で特別の措置を講じたい、また講じなければならぬのだ、こういうことも言っておるように新聞は伝えております。今、藤田君の質問に対する御答弁では、繊維関係の離職者に対しては、外国向けの繊維製品に対する生産能力の増強のために注文を多く受けるような措置として円借款とか、あるいは延べ払いとかの措置等も考える、こういうことであったが、そういうまるっきり抽象的ではないまでも、繊維関係の限られた女子離職者だけでなしに、今問題となっているのは国内に発生している全般的な離職者に対してどういう措置をとらなければならぬのか、どういう措置を労働省としてはとっておるのか、こういうことを藤田委員としてはお尋ねしておるのであるから、男子の離職者に対してはもちろんのこと、女子の離職者に対しても、繊維以外の者に対する対策としてもっと具体的な措置がとられていると思う。来年のことよりも、今日差し迫った問題をどう解決するのか、こういうことを尋ねているのです。政府としては今日の不況が秋にでもなれば好転をする、こういう期待を持っているというやにも聞いておりますが、しかし、多くの良心的な経済学者の見るところでは、このなべ底景気といわれている不況は、そう秋になったからといってにわかに好転するとは見ておらない、むしろなべ底ではなくてつぼ底だと言っておられる。こういう状態の中で失業者がふえることは火を見るよりも明らかであるし、現実に政府みずからが作っておられるところの統計の上にそれは数字となって出ているのだから、この差し迫った今日の大量の離職者をどういうふうにして吸収していくのか、そのためには労働省だけが、集まったごみを掃き捨てるような格好で、出てきた離職者に失業保険を払うことだけを考えている、失対事業に吸収することだけを考えている、こんなことではどうにもならぬことは労働大臣先ほども言っておられる通り、むしろやはり平和産業をどしどし興してこれに吸収するような措置を考えておられると思うんだが、その考えておられるところの具体的な一端でもお示しがないということは私はなはだ心外だと思う。特にあるものを隠しているのか、現実に言葉は悪いかもしれないが老後のぐち話にひとしいように、困った困ったということだけで、今じんぜん日を送っているのか、そういう点を私やはりはっきりしてもらうべきだと思う。特にこういう委員会での御答弁はきわめてお上手な労働大臣のことだから、もっと各委員が納得できるような答弁を私はしてもらいたいと思う。
○国務大臣(倉石忠雄君) 片岡さんに労働省側にえらく同情のある御質問をいただきましてまことにありがたいのでありますが、私は率直にまじめに申しあげているつもりなんですが、先ほど言葉が足りませんで、女子労務者のただこれは例を引いただけでありますが、先ほど申し上げましたような、政府の考えております輸出増強の政策というものは、やはり一例を引けば繊維関係と申しましたが、その他にも機械産業、化学製品等ございます。そういうものはやはりドル貨のないところに向って、あるいはポンドのないところに向って輸出を増強する場合にはどうしたらいいか、結局やはり円借款というふうなことも考えられるし、あるいは延べ払いというようなことも考えられるし、現地貨で支払いをさせて、それによって向うから対価として買い取り得るものがあれば片貿易にならないで順調にいけるがどうであろうかというようなことについて、今政府はもっぱらそれぞれの各国との間に研究調査を進めている、こういうことでありまして、従ってそういうことによって相当見込みのあるものもあるし、なかなか障害がそれに伴っているものもあるということで、鋭意輸出増強について今政府はやっている最中でありますから、少しずつでもそれが成果を持ち得るようになってくればその面で規模の拡大ができる、私どもは国内の需要を刺激するということ、これは一時的には成功し得ることも考えられるでありましょう。たとえばニュー・ディールのような場合には国内刺激を増強いたしまして……、しかし日本の今日のような立場で、それを果してやり得るかといえば、片岡さんもおわかりの通りにすぐにインフレの問題が出て参ります。従って非常に慎重にやらなければならない、その間を縫いながら輸出増強いうことについてどうやったらやり得るかということに専心今政府は努力している、こういうことであります。片方において。また一方においては公共事業を繰り上げ実施することに伴う雇用量の増大をできるだけはかっていく、こういうわけでありますから、両々相待って全力をあげてやっていく。新聞にまあいろいろ私が断片的にお語いたしましたことが記録されておるかもしれませんが、私個人としてはいろいろなことを実は考えておりまして、しかしまま今こういう委員会だから率直にいろいろ申せというお話でありますが、率直に申しましてですな、こういうところでは一たん発言したら、それをやはり必ず実行しなければならない。あなたが私と立場をおかえになってもこういうところに来るほどやはり自信のあることしか言えないだろうと思うのです。これはお察し願えると思いますから、まあその辺のところで一つわれわれが大いに努力しておるところを御了察願いたいと、こう思っております。
○片岡文重君 いや、ごもっともですが。なかなか、言えないでしょう。これはごもっともです。しかし大臣、問題はね、これからますますこういうことで、これから、今は好景気なんだが、これからは不況になるであろう、これから失業者が出てくるであろう、こういう時代ならこれはごもっともだと思うのですよ。まあまあこれから一つ何とか慎重に具体策を練りましょう、方法も考えましょう、ということで間に合うと思う。ところが、現実にはそういうゆうちょうな時代じゃなくて、先ほど大臣は何か新卒者の採用見込みはかえって前年度を上回っているようなことを言っておられたようですけれども、高校や新制中学の卒業者に対する求人はむしろ減っておるはずですよ。労働省の調べによっても。こういう状態の中で、それでしかも採用の約束をされたものが取り消されるような時代になって、しかも駐留軍関係を初めとする大量の整理者が出ておる、こうしてもう現実に大きな壁にぶつかっておるのだから、たとえ問題は恒久性のない対策であっても、何とかして、この苦境を切り抜けなければならないというせっぱ詰まったときに私はもう来ているのじゃないかと思う。だから先のことはともかくとして、たとえば内需喚起をやってみたところで、この内需というものはさほど恒久的には広がっておらぬということを、かりにそういう議論があったとしてもむしろとっつきやすいのは、国外への輸出の振興が、まず注文をとる、借款方法等も考えてやって、輸出増強を考えるよりも内需喚起の方が、手っとり早い問題もあるわけなのです。特に農村とかあるいは一般市民を相手とする内需喚起等については顧客を、とにかく日本の法規の中で自由になる対象を相手としているのだから、いろいろそれは議論はあります。今日でもありますが、とにかく景気振興策としてはどれもこれもともかく一応真剣にとって考えて、具体化していくという努力がなされなければならない。そういう段階に来ているのだから、今ここで研究しましょう、考えましょうという段階ではないはずだから、政府としてほんとうに真剣にこの不況打開をしよう、離職者の対策をしよう、離職者を何とかしなきゃならぬという良識がおありになるならば、当然私はもう具体的な措置は立っておるものと考えるから、今ここで約束をすればそれをやらなきゃならぬから言えぬということじゃなくて、もうわれわれの希望するところは、すでに着々実行に移しておるであろうところの具体的な政策を、ここでお話なさることはできぬのか、こういうことなのです。
○国務大臣(倉石忠雄君) それが先ほど申し上げました二つの方法で、一つは輸出増強、一つは公共事業の繰り上げ実施というようなことで労働力の充実、増大をはかっていく。雇用量の増大をはかっていく、こういう考え方であります。建設当局でも、大蔵省も、そういうわれわれの考え方にきわめて同調的でありまして、先般も建設関係ではそういう計画に基く吸収人員の大体の予想を持って参りましたけれども、私どもの方ではそのおよそされる現場とそれからそれに、要する人員等について労働省が納得し得る数字について、さらに打ち合せろということを言って目下その作業をしている最中でありまして、そういうことについて雇用量の増大をやっていく。こういう考え方であります。
○阿具根登君 大臣のお話を聞いておりますと、二十九国会で質問してまあ御答弁願ったのと、ちっとも進んでおらない。こういうことになってきますと、今の大掛の話を信用して作業を行なった場合どうなるか。たとえば経済政策の振興、こういうことをおっしゃって、その中から失業者を救済していく、こういうことになって参りますと、それでは経済政策が非常に伸張して失業者が非常に減った、こういうことになりますと、たとえば石炭を一つとってみましょう。政府がかねや太鼓をたたいて五千六百万トン出して下さいと、これだけの燃料が要りますということをやったから、それに応じてそれだけの態勢を整えた。ところが、今度は五千三百万トンでよろしゅうございます。いわゆる操短をやれ。人員を減らせ。こういう結果になってきた。貿易伸張ということを盛んにおっしゃる。確かにその通りです。しかし、それもほんとうに貿易を伸張するということになればいいが、しかし中共、東南アジアとの貿易の問題はどうなっておるか。こういう一連の問題を見る場合に、おっしゃる通りにその政策が浸透している、伸張している、こういうことであるならばいい。ところが、それがますます萎縮されてきておる。そのために犠牲者が出ておる。失業者が出ておる。こういう結果があるのではないかと私は思うのですよ。そうした場合にいつも大臣が、前々からの大臣でも、まず経済政策だと、いや貿易の伸張だと、こうおっしゃる。ところが、それが政府自体の手によって伸びないような結果が現実現われてきておる。それにまた経済政策伸張を待ってくれ。貿易の伸張待ってくれ。これでは失業者はますますふえてくるばかりではないか。それではいつもそのしわ寄せが先ほど言われたように、これは失業者の方に吹き寄せられてしまって労働省はそれを整理するだけではないか。こういう結論になってくる。だから、この前から言っておる論争から二歩も前進しておらない。だから、こういう場合には、これは政府の政策はこうであったけれども、こういう国際不況の波をかぶったならばかぶった、あるいはこういうふうに外国との外交問題がうまくいかなかったのだ、だからこれだけの失業者が出てきた、だからこれに対してはどういう失業対策をとるか、こういうことがあってしかるべきだが、こういうことを言っておるわけなんですよ。公共事業費の繰り上げもけっこうでしょう。しかしそれは繰り上げをやっただけで結局先の見通しはない。どうするのだということになってくる。従って、繰り返してここで何回もやったってしょうがないんで、何もここで大臣が、おれが言ったことは実施しなければならないから、だからここで軽々に覆えないのだ。おれは腹の中にもっといい案を持っているのだ。しかしおれも自民党の一員としてあるいは岸内閣の一員として、おれはこれ以上言えないから言わないという点もあると思うのだが、ここで何もそれをどう言質をとって云々ということではなくて、労働大臣として失業対策に対してどういう対策を持っておるか、どういう考え方を持っておるか。しかし、現実の問題がそれならどこまで行われるかわからないけれども、自分はこういうふうにしたらもう少し失業者が減ると思う、もう少し雇用関係が円満に行われるであろうというようなお考えが、労働大臣個人としてあると思う。だから、それだけでもここで言ってもらったならば、それが実際の実施面にどこまで実施されていくかどうかというふうなことはあとの問題として、労働大臣としてのこの雇用政策に対する考え方もにおわしてもらいたい。こういうことだと思うのですよ。
○国務大臣(倉石忠雄君) 一々ごもっともなお話でありまして、われわれも全く御同感であります。ただいつでもそうでありますけれども、いろいろ時の政府が経済政策をとる場合に、たとえば縮小経済をとっていくといったようなことがあり得る場合に、しわ寄せをしてくるのは、雇用、失業の問題、ことに、御承知の通り昭和十九年ないし二十年の生めよふやせよの時代に人口が非常にふえました。それが今つまり労働力人口として出てきている。従って、日本では一般人口の増加率よりも生産年令人口の増加というものが、まああと八、九年ないし十年くらいは継続するとみなければならないでありましょう。それからはどうなるかといえば、現在の状況では、現在の人口増加の趨勢から申しますと、私は産業がこの通りの伸び方でいきました場合に、失業問題というものは、むしろだんだん先細りといいますか、声が小さくなっていくように必然的になってくるのではないか、そういうことを考えております。この十年間というのは、非常にわれわれにとって重荷が加わってくる時きである。従って、一番むずかしい時だと思うのです。そこで、今申しましたように、年産年令人口というものが一番激しい勢いで出てくる今日、しかも、先ほど来お話のありました経済調整の政策というふうなものがとられて、そして一般中小企業に不況の波が押し寄せてきたようなときに、そこから出てくる離職者、それから過渡的にあります駐留軍、この労務者が一時に多発的に出てくる、こういったような課題が出ている。おそらくこれは、私はどういう政府があるといたしましても、なかなかむずかしい問題だと思います、これを処理していくことは。従って、駐留軍労務者の多発的に出てくるということについては、これは特殊に考えられなければなりませんが、他の一般の問題、たとえば、先ほど石炭のお話がございましたが、やはり経済情勢に応じてその時々に操短したり、あるいは減炭したりするようなことが出てくるでしょう。そういう場合にやはりしわ寄せしてくるのはわれわれの方の雇用、失業の問題です。けれども、それを総括的に考えてみまして、私どもはこういうふうに考えております。現在の日本の不況というものは、もちろん、これは世界的な影響でもありますが、御承知のように世界の景気の中心をなしているといわれているアメリカの景気も、大体底をついたということをいわれ出しております。日本の状態を考えてみましても、さっきつぼ底というお話がございましたが、大体なべ底を横ばいしている。しかも、先々月でありますか、先月でありましたか、開かれました全国通産局長会議とか、日銀の支店長会議などの総計的な報告を見ましても、大体企業整備などもほぼ一段落を遂げてきておる。失業者が出てくる状態も、われわれの方の窓口で察知いたしましたところでは大体横ばいである。従って、ここでさっき申しましたような輸出増強の方策をとると同時に、公共事業の繰り上げ実施というようなことをすることによって吸収していき得るのではないか、一応そういう計画のもとに今雇用の増大と失業の吸収を考えていく、こういうふうなことで進めているわけであります。
○阿具根登君 私は、大臣の言われるのはわからぬわけではないのですけれども、そういう窮屈なもんじゃないと私は思うのです。たとえば繊維にしましても、機械にしましても、石炭にしましても、一応の計画を立てられている。昭和五十年なら五十年までの経済計画を立てられておる。その中にそれは伸び縮みがあると思うのです。しかし、その伸び縮みがあっても、それは吸収できる幅のある伸び縮みでなければならない、こう思うのです。もっと極端に申し上げるならば、その計画が次々に変るようであったら、それは計画ではないのです。一応計画を立てられた、それによって車が動いてきた、歯車が動いてきた、ところが、それが次々に変るようであったら歯車の役に立ってない、それだけの余裕があるはずだと思う。またもう一面、国際貿易、これは国際貿易が日本に与える影響の大きいことはだれでもわかっているけれども、しかし、日本に対してそれだけのゆるみというか、余裕がなくて、国際不況のみで日本が左右されるということになってしまえば、これは他力本願であって、何も日本自体が心配する必要もないし、これは責任はアメリカの不況がこちらにきたんだ、こういうことになってくる。そうじゃなくて各国の状況を見てみても、非常にそれは日本と立場の似通っておる戦争に負けた国でも、相当な雇用関係は成功している。こういうことももう西ドイツなどですでに御承知の通りです。こういう点から考えてみます場合に、あまりにも、他力本願でなくて、中共とかアジアの問題ばかり言ってもまずいかもしれませんけれども、自民党さんはあまりお好きじゃないようですけれども、私どもはもっとそういう面で積極的に働く余地があるのではないか。これは政府の政策の失敗じゃないか。今やっとなべ底で底をはっている、これは深くならないとおっしゃっているけれども、この三年、二年前はなべ底で、また、その上で神武景気で、その神武景気が一年か一年半くらいでなべ底をはっている。今なべ底で横ばいだとおっしゃるけれども、もっともっと深刻になるかもしれない。これは政府の政策によるところ最も大きいと思うのです。そうすると、今、なべ底だから横ばいだということも、一応これでぎりぎりに来ているということも私は言えないと思う。もっとひどい目にあうかもしれない。こういう点を考える場合に、もう少し政策を日本独自の問題で考えなければならないというような問題が一つと、それから先ほどおっしゃったように、日本はここ十年間ぐらいは非常に労働力人口が豊富だ、こうおっしゃる。私もその通りだと思うのです。それならばこの十年間、あるいは十数年間の間におけるこの失業対策、雇用対策というものは特殊なものがなければできない。諸外国から見て日本は特別な人口を持っている、特別な労働力を持っているとするならば、特別な考え方を持っていかなければならないのではないか。それに対する政策が手ぬるいのではないか、こういうことを書いたくなるわけなんです。だから、そういう特殊な事情も十分把握されておるし、日本の立場もこれは御承知であるならば、もっと思い切った政策が立てられるべきである、こういう結論にならざるを得ないと思うのですが、どういうお考えでしょうか。
○国務大臣(倉石忠雄君) 輸出マーケットの拡大というふうなことについて中共のお話がございましたけれども、そういうことについて私も意見はございますけれども、まあ、今、日本の立場では、今日御承知のような立場をとっております。そこで、もう全く阿具根さんのおっしゃる通りに日本の雇用、失業の問題は困難な問題が山積していることも全くお説の通りでありますが、しかるにもかかわらず、われわれは先ほど申し上げましたような方法で出てくる失業者の吸収については万全を期していくし、また、いける、こういうふうに計画を立てまして、それによって推進していこう、こういう考え方であります。
○藤田藤太郎君 労働大臣は何かしらぬけれどもふわっとしたようなことを言って、具体的などうするこうするというような問題に入ってくると、たとえば企業整備の問題にしたって、労働経済時報を見たって昨年の一月からの同期に比べると今年は三倍以上になっている。件数もなっていれば、その対象失業者の数も三倍以上になっている。これは事実として現われておる。これが大体これでとまりだといったところで、経済的な手当をせずしてそんなことを言ってみたところで私は議論にならぬと思うのだ。できるだけおやりになるでしょうが、しかし、私は最後に申し上げておきたいことは、経済施策についても、何とか経済の不況対策の施策をとらなければならぬ、もっと積極的でなければならぬということが一つですよ。もう一つは、今のような労働力の把握の仕方、顕在失業者、それから潜在失業者の把握の仕方というものが、労働力調査だけで、顕在失業者、潜在失業者の今のこんとんとしておる中でこんなものをたよりにこれだけやっておるというだけでは、生きた労働行政だと私は思わない。だから、その点でどうか一つ積極的にやってもらいたい、そうしてわれわれがせめてこの点だけでも、労働省だけは努力をしている、労働者にサービスし、保護をする労働行政の長の労働大臣が、また、労働省全体が日本の失業、雇用の問題について努力をしているという、生きた私は行政をやってもらいたいということを最後に申し上げておきます。ここで議論をしてみたって、具体的な問題に入ってくれば、もうこれくらいでいいとか悪いとかということくらいですっすっといかれては議論にならぬですよ。だから、私は一つ具体的に努力をしてもらいたいということを最後に申し上げておきます。
○片岡文重君 そこで、不況に伴って激増しておる離職者の対策が、今お伺いしておるところでは、どうも今日の事態に善処できておるとは考えられませんが、さらに、この不況による離職者に加えて駐留軍関係の大量の離職者が続発をしておる情勢であります。で、この特需関係、駐留軍関係の大量で、しかも、急激な離職者を一体どういうふうにして政府は平和産業に吸収をしていこうとされておるのか、これが今までのところではさっぱり具体的な、しかも、時宜に適した適切な処置というものがないように私どもには考えられる。で、その政府の対策を伺う前提として二、三お尋ねしておきたいのですが、八月の十二日付で在日アメリカ陸軍司令部から、追浜基地の兵器廠を本年中に、これは本年度じゃなくて、本年十二月中に閉鎖をするということを発表されておりますが、これに対して政府は一体こういう考え方が米軍の中にあったということを、米軍から発表されるまで何ら関知しておらなかったのか、こういう軍の方針を、従来調査なり、あるいは監査といいますか、言葉が悪いかもしれないが、大体アメリカ軍は一体これから今年度はどういう方針でいくのであろうか、どういう方向にいくのであろうかというようなことを政府としては予知することができなかったのか、また、予知するように努力をしておらなかったのかどうか、これは労働大臣ばかりの責任ではありませんから、出席になっている政府委員の中で最もその事情に詳しい、もしくは責任のある者が御答弁いただいてけっこうですが、この点をまずお尋ねしておきたい。
○国務大臣(倉石忠雄君) 私が先ほどちょっと申し上げましたように、先般相模原に軍司令官がおりまして、それに会いまして話しましたことは、先ほどちょっと申し上げた通りでありますが、追浜で大量の縮小が行われるということで、そういう問題について、政府部内でもその対策を協議しておかなければならぬということで、それぞれ相談をさせたわけでありますが、直接総理府の方で関係を持っております者が来ておりますから、そちらの方から答弁を……。
○説明員(丸山佶君) 私特需に関する直接の担当というわけではございませんが、今お話のこういう追浜問題に関しましての軍の関係を最近取り扱いましたので、その事情を申しあげたいと思います。特需の関係は、御承知の通り、米国の会計年度の関係上、毎年毎年年間契約をやって繰り返しておる。それで追浜に関しては、富士自動車並びに日本飛行機の二社が、この数年来、年々契約更新で仕事を進めて参ったのでありますが、その契約の切りかえ時期が、たしか十月一日だと存じます。従って、年々その二月ほど前、あるいは三月前というころには、次の年度の契約に関しまして軍側から、来年はこの程度の仕事となるであろうから、それについてどのような値段あるいは契約事項であるかという交渉があるわけでございますが、本年に至っては、実は一カ月ほど前になっても、具体的な軍側のオファーがない。事情がどうもおかしいと、これらのことが、その会社並びに県庁の方からも私どものところに話が伝わりまして、また、私どもは御承知の通り、あそこの基地の関係、それからなお、それに二千名ほどの駐留軍労務者も持っておる関係もございますので、府中の統合司令部と、その問題に関しての見通し、見込みを折衝して参ったのでございます。それに関して大体の説明は、あそこにおける仕事が、主として古い自動車等、車両の修理、再生産という形になってきておるが、その古い自動車等が漸次数量が少くなるであろう、現在続けておるのは、すでに修理の済んだものをまたいたんだから修理する、再生産ではなくて再三生産あるいは五回も六回もやると、このような状況にきておる。これではとうてい経済的にもこの仕事を続けていくのができないような状況にある。従って、これを来年においては、どうしても継続が不可能であるので、それを具体的にどういう工合に打ち切っていくか検討中である、これらのことに関してわかり次第連絡をする、このような話で、実は十二日でございましたか、二週間前にそのなにがはっきりいたしまして、次の契約は三カ月、十月から三カ月、従って、年末をもってあの仕事は全部終る。そのような状況やむを得ないので承知願いたい。このような通報並びに発表があったのであります。これが追浜に関する情報でございます。
○片岡文重君 今から二週間前というと、十二日からよほどさかのぼるわけですね。もし来車が発表する以前に政府において、この富士自動車、日飛等の閉鎖というか、解散をすることが政府において承知しておったとするならば、これは関係の労働組合なり、あるいは会社に対して、もっと適切な措置がとられてしかるべきだと思うが、十二日に発表があって、関係者がそれからあわてて善後措置を講ずるような処置をとっておる。これでははなはだ政府として不親切きわまるやり方ではないかと思うのですが、正確にいって、政府がその事態を承知したのは一体いつなのですか。
○説明員(丸山佶君) 先ほども申し上げます通り、その気配と申しますか、様子がおかしいということで会社並びに県庁の方から情報を聞きましたのは先月の下旬あたりかと存じます。それに関しまして、先ほどのような関係で私が軍とその問題で折衝と申しますか、話をし出しましてから、結局、はっきり決定というのは、やはり十二日でございます。
○片岡文重君 少くとも先月の下旬、それは七月の下旬にそういうおかしいと察知されたということは、そういう動きが具体的に表面化されなくても、何らかの情報として政府としては入手されたのであろうから、八月の十二日までに軍から発表されるまで便々として待っておることなしに、どうしてこれを積極的に正確に確かめてこれの対策を立てるように措置をしなかったのですか。行くところまで行って谷底に突き落してしまってからどたばたするというやり方では、はなはだ不親切だと私は思うのですが、どうしておかしいと思ってから発表されるまでの間の、すなはち、米軍が処置をしてしまうまで政府としてはこれを傍観しておったのか、そのいきさつを一つ教えて下さい。
○説明員(丸山佶君) 七月の下旬にそのような気配というものを現地から知りまして、直ちに軍側にその実情の確認並びに見通しという話をいたしまして、それがはっきりいたしましたのが、発表の日と申しますか、そのころにやむを得ぬという通報がわれわれにあり、その上発表されたものであります。
○片岡文重君 どうもあなたのおっしゃっていることははっきりわからぬと思うのだがね。そのおかしいということがわかって、しかも、話し合いをしておるならば、話し合いの途中でもって、一方的に、日本政府の意向も無視して、突然この話し合いをしておる途中で一方的に発表してしまったということになるのですか。
○説明員(丸山佶君) その約十日間の間がございますわけです。その間において、もしそういう気配があるなら、気配といいますか、気配が現地から知らせてきておるが、それが事実であるか、また、それに対してなお継続等の措置がとれないかという話し合いを進めておったわけでありますが、十日の後において、そのことはだめである、どうしてもこれは打ち切らざるを得ないから了承してもらいたいという確定返事がありまして、その丘で発表したものでございます。
○片岡文重君 そうすると、八月十二日にアメリカ軍の方でこういう処置をするということを決定し発表することは、発表する以前に日本の政府としてはこれを了承し、発表する以前にその措置を了承したことになるのですが、その点明確にして下さい。
○説明員(丸山佶君) 特需と申しますのは、御承知の通り、米国政府とそれから会社と直接の商議契約に基くものでございまして、これに対して政府が了承する、あるいは了承しなければそういう措置をしてはならないものである、かような状況になったものとは私は承知しておりません。
○片岡文重君 あなたのおっしゃる説明は、どうも私、頭の悪いせいですか、よくのみ込めないのですが、交渉するといったのは、どういう交渉をされたのですか。今、あなた交渉をしたという話があったと思うのですが、交渉をしたということであるならば、少くとも対等の立場に立って日本政府としての意向を伝え、そうして米軍のこういう急激な、しかも、一方的な措置をしないように要求したことでしょうが、どういう交渉をされたのか、その交渉の内容を一つお話をいただきたい。
○説明員(丸山佶君) 交渉と申しますのは、特需の契約は、今申し上げますように、軍側と会社との直接の商議に基く契約でございまして、政府は関知いたしておりません。しかしながら、会社の側から次の契約がどのようになるか今のところ未定である、何か打ち切りの気配があるが、それを確かめてほしいということと、なお、それを直ちに打ち切りではなしに変更可能であるかどうか、それについても御援助願いたい、こういうことでございます。それに基きまして話をいたしました結果が、やはりそのことを計画しておることは事実であり、しかも、それは変更ができないものであるからやむを得ないと、これが結果でございます。
○片岡文重君 くどいようですが、そうすると、そのやむを得ないというピリオドを打たれたのは十二日なんですか。それとももっと以前であったのですか。そうしてピリオドを打たれてから発表するまでの間は一体幾日ぐらいあったのですか。
○説明員(丸山佶君) 私自身が府中の司令部に参りましたのが、たしか、最終的に参りましたのが十二日の午前中であったかと思います。そのときの話では、前日において、向う側としては、いろいろ日本の会社側の言う申し出も聞いてみたが、こうせざるを得ないのでこういう決定をしたと、たしか、そのように私は聞いております。
○片岡文重君 おかしいという動きが見え始めたのが七月の下旬で、それから政府としては急速な閉鎖をしないようにという要求をし、交渉をした。これは特需契約であるから、政府は関知しないと今おっしゃっておられたようだが、しかし事実は、形式の上では関知しないという態度をとっておられても、実際問題として、これだけの問題に関知しないではおられないはずですから、終始これは関係しておられたものに違いない。だからこそ、この七月の下旬からおかしいという情報も得られ、それから交渉にも入られたわけです。そこで、十一日にピリオドを打たれたとしても、少くとも十日ないし二、三週間の間はあったわけですから、その間に、情勢の推移からいって、この閉鎖をされる、今年度一ぱいで閉鎖されるという見通しが全然なかったのか、あったのか。おそらく、これは全然私は閉鎖される見通しがなかったということはないと思うのですが、この間に、これだけ大量の離職者を出す重大な問題について、その対策等について、どの程度に調達庁としてはお考えになっておられるのか。そして労働省等に対しての御連絡、こういう点について、どういう措置をおとりになったのか、お尋ねしておきたい。
○説明員(丸山佶君) 十日あるいは十一日に向う側が最終的な決定をしたことと承知しておりますが、その事情は、先ほどもちょっと申し上げましたが、仕事の種になる車両がなくなってきたということで、また、最近続けておった作業は、すでに何回も何回も修理を加えてきている車両であり、これをまた修理を続けていくということは、とうてい経済的に引き合わない事情にある。だから、そういうことで本問題はやむを得ないことである、これが理由でございます。しかしながら、それに関連して会社だけの労務者が、御承知の通り両社合せて約七千名おります。基地の駐留軍労務者も二千余名おるのでございます。でありますので、この間において、もしも近くこれが最終決定ということになれば、直ちに会社側はもちろん、政府としても対策は立てなきゃいけない。その辺の事情は内閣、労働省その他関係省に事情を伝え、なお、十一日の午前中には直ちに、これはどうしてもだめだ、しかも、見通しは年末ということがはっきりしておる、これらのことを関係省に伝えまして、それに基きまして、内閣の離職者対策協議会の方へこれらの処置をお願いして、すでに二回ほどこれが検討を加えておる次第でございます。
○片岡文重君 仕事の内容であるべき修理自動車が数が減ってきておる、だから、もうこれ以上やっている必要がないのだということで、その閉鎖をするということであるならば、米軍の主張することが事実であるかいなかについても、当然私は調査をされたでありましょうが、その議論はしばらくおくとしてそういう理由であるならば、当然これは閉鎖をされる、米軍が言うような時期にそういう方法で閉鎖されるだろうという見通しを立てるのは、私は容易だったと思うのです。そうしたならば、この七月の下旬からおかしいと思って行動をとられた。できるだけ早い機会にこれは労働省その他関係のところに連絡はされたと思う。今もあなたはされたとおっしゃった。そこで、労働大臣にお尋ねしたいのですが、一体労働省は、その連絡をいつ受けられたのか、また、政府としては、いつごろそれを閣議なりなんなりに諮ったのか、そういう点について労働大臣からお答えをいただきたい。
○国務大臣(倉石忠雄君) 日は忘れましたけれども、先月の月末ごろ、どうも追浜の様子がおかしいということを関係の役所の方から私も面接聞きましたし、あるいは他の部局にもお話があったかもしれませんが、私は直接承わりました。それから間もなく、地元関係の国会議員の諸君が、この従業員の人を連れられましてどうも様子が少しおかしいが、いずれにしても、これはそう遠くない間に縮小される運命にあるべきものだ、そこで一つ、大いに考えてもらいたいということを、懇篤な御相談がありました。その議員さんたちにも、まことにごもっともなことですからしてそれぞれ協議をして万全を期するようにしましょうということをお答えして、帰っていただいたようなわけですが、それと、あるいは前後してか、ちょっとあとでありますが、防衛庁長官も総務、長官と私に、はっきりはせぬけれども、来月になったならば――来月、すなわち八月でございます――あるいは発表されるかもしれない、しかし、これはまだ軍のことであるものですから、はっきり、こちらから聞いても言わぬし、また、あまりしつこく言うわけにもいかないが、そういう形勢にあるので、これは何とか相談をしておきたいと思うという話がありました。そこで、駐留軍対策、今やっております総理府の中で、緊急にこの十八日から、正式に発表になりましてすぐに協議をいたした、こういうことでございます。
○片岡文重君 今、調達庁長官も言われるように、日飛、富士自動車だけでも七千名をこえる離職者が出るわけだ。加えてMLC関係の者も二千名いるわけであります。少くとも一万前後の離職者がこの閉鎖によって出るわけであります。大体見通しとして、これは閉鎖をされるということがつかめたならば、何をおいても、やはりこの対策を立てなければならぬと思うのですが、そんなに早く――そんなに早くということもないでしょうが、少くとも七月末に、すでに労働省としてこれは連絡を受けておったとするならば、今日までの間に十分な対策が私は立てられておったと思うのですが、この離職者対策について、どういう具体的な方策をお立てになっておられるのか、お聞きしたいですね。
○国務大臣(倉石忠雄君) この問題について、ほかの方に、同じような施設の方に吸収されるものはないだろうかということで、先ほどちょっと私、触れました相模原のときにも向うに行きまして、そのときはまだ発表になっておらなかったときでありましたが、頭の中にあったものですから、先方の方にも、二、三千名ぐらいはとれないかというふうな漫然たる話をしましたけれども、仕事の都合でどうなるかわからないが、とにかく一部はこっちへ吸収される見込みであるということを言っておりました。なるべく大ぜいとってもらうように、きょうはそのことで伺ったのではないのだが、これはこれだけの施設を持っておることだし、多くの地方のものをあそこへ総合しておるものですから、できるだけとってもらいたいという話をやって参りました。まあ見込みとしては、五百名か、たかだか千名ぐらいではないだろうかという、これもはっきりいたしておりませんけれども、そんなようであります。そこで、今度のことは全く予期せない、にわかに大量に出たことでございますので、今まで御承知のように駐留軍等離職者対策協議会というのがありまして、そこでは御承知のような法律に基いてやることになっておりますが、そのほかに総合的な対策を研究するということで、二回にわたって政府部内で相談をいたしましたが、日本飛行機、それから富士自動車の使用しておる施設が、土地が約六十万坪、建物は約七万坪ございます。これはもし早期に返還ができますならば、こういうものを使って仕事をしたい。御承知のように自動車は今それほど不況ではない、むしろいい方でありますから、そう言う業界等も実はあるのでございますけれども、私内容をはっきり記憶しておりませんが、事業の縮小はするが、あれをまだ返還するという通達が来ておらないのでございます。そういうことについても、これから折衝しなければならぬと思っておりますが、できるだけ早期に返還をはかりまして、これをちょうど呉のように一部当該施設を転用して、それに民間企業を誘致して離職者の吸収をそれによってはかっていきたい。それからもう一つは、これは労働省の関係でございますが、職業訓練に対する離職者の希望状況を一々聞きまして、そうしてそれに対する職業訓練を拡充してやって、そして吸収するように――これは他のところでもやって相当成績をあげておりますから、こういうことをやっていきたい。それからもう一つは、臨時職業相談所の設置、それから職業紹介をそこでできるだけ、特にそこの急速に出てきました離職者にだけそういうことをして、そして先ほどちょっと申しました公共事業等の方にも振り向けて参りたい。それから事業組合を、今まで従業員だけで、たとえば運転を覚えている技術者がたくさんおります。そういう者は御承知のように福岡、神奈川等はすでにやって商売しておるところがあります。そういうようなことも優先的に許可をして、そして職を与えていく、こういうようなことを、一般の法律に基いて施行することのほかに、一つ総合的にそういう対策をやっていこう、こういうようなことをとりあえず相談をいたしたようなわけであります。
○片岡文重君 総務長官がお見えになったようですから、総務長官にお尋ねいたしますが、追浜基地の米軍兵器廠が本年末をもって閉鎖をするという発表が八月十二日にあった。これについて先月下旬ころに、すでにおかしいという空気を調達庁では察知されて交渉を米軍と持っておられた。ところが八月十二日に、こちらの要望に反してピリオドを打たれた、発表された、こういうお話でしたが、総務長官としては、いつごろからその情報をキャッチされたか、どういう方針でこのアメリカ軍との交渉に関係してこられたか、その点を一つお聞かせいただきたい。
○説明員(松野頼三君) 駐留軍労務対策としては、総合的にことしの二月ころからアメリカ軍に関して今後PD切りかえ及び一般解雇に関しては、特に事前に政府と連絡をとってもらいたい、こういう経過をずっと続けて参っておりました。そのとき一番大きな問題は、PDの切りかえの問題が一番どちらかといえば問題が焦眉なもののように私は考えておりました。従って、当委員会にも先々月参りましたときにも、PD切りかえについて、このような方法でこうやれという御意見もありまして私も当時ここへ出て参りまして、非常に強い発言を実はいたしました。その後、その状況に応じて駐留軍関係というものは、日米間における大きな問題であるということで、外務省及び調達庁、私の方の総務長官としてもあらゆる実は方法をとって参りました。ことに、この八月十二日の問題、追浜の問題につきましては、まだ実は正確と申しますか、いろいろこれには内容的に問題があります。かりに申しますならば、一切これで廃止するのか、基地を返すのかどうかということがまだ明確になっておりません。その計画の順序も、いわゆるこれは間接的な軍需産業ですから、直接政府の労務者というわけのものともこれは違いますので、会社側における反響と政府における反響と、多少これは違いがあったかと思います。しかし、八月十二日、ある程度のことが出ましたので、それに追っかけて、この真意はどうなんだ、あるいは今後ほんとうにやめるのか、あるいは最後にはその所有地まで日本に返すのかという問題が実はまだ不明確になっておりますので、直ちに私どもの方で各省連絡会議を開きまして、各省においてこの問題について対策をはからせまして、昨日もこの問題で同じような会議をやっておるわけであります。しかし、まだ正確に米軍の――一応の形式があります――まだ正確なものまで実はつかみ得ないので、いろいろに問題が今後変ってくるかもしれません。私の方の意見もそういう意味でいろいろ調整しながら進んでおりますので、前から感じておりますけれども、八月十二日ぴしゃっと来るとは実は考えておりませんでした。
○片岡文重君 どうも日米合同委員会等の交渉の――交渉といいますか、会議の経緯を見ておりましても、こういう問題に対してほんとうに対等の立場でおやりになっておるのかどうかということが、私たちにはかなり不審なといいますか、疑いを持たざるを得ない。で、少くとも一万名内外の離職者を一ぺんに作り出すような、まあ一日にして出るわけではないでしょうが、少くとも一度と言って過言でない状態でほうり出される、こういう重大な問題が、日本政府の要望が何ら考慮されない、こういう行き方で交渉を持っておったのでは、いつどういうことをされても、結局は既成事実の上に立って、こちらがあとを追っかけるような始末になって効果的な対策は立てられないと思う。今お話の中では、米軍がなおこの基地を使用するかどうか、返還をしてくれるのか、今後ほかに使っていかれるのかどうか、こういうことも明瞭になっておらない。もちろん、これはアメリカ軍の方の方針もまだきまっておらないといえばそれまでのことですけれども、少くともこの基地が閉鎖をされるからには、その施設なり、その土地なりが、その間閉鎖後は不要になることは明らかですから、再度それを使用することがあろうとも、やはり行政協定にしても、安保条約にしても、厳密に日本の独立のために日本の自主性を持って判断していくなら、これを解釈していくならば、一応の限界をそこに打ったんだから、当然閉鎖されたものは日本に返還すべきだと思う。しかるに、それがまだアメリカ軍の意図もわからないというようなことでは、何か交渉にも少しなまぬるいところがあるのじゃないかというような気がするのですけれども、その点については、政府としてはどういうふうにお考えになっておられますか。
○説明員(松野頼三君) なまぬるいという感じは、それはおっしゃるようにある意味では私はあります。ただ一番困りますのは、私も相当乱暴な交渉を私の部下にはさせておりますが、一番因りますのは、すでに行いました契約とか、あるいはすでに結んでおります条約という条文をとって参りますと、なかなか既存の契約、既存の条文、今日のこの状況というものが、非常にどちかといえばそこに差があるわけです。端的にいえば、既存の条文、契約というのはぴしゃっとできておる。それでは困るのだというのが今日の状況なんです。従ってある程度早急的な交渉がこの中に入りますので、条文から参りますとなかなか……すでに契約がおそらく何カ年か前に特需契約としてできておるわけです。そのときには解雇前の何カ月に予告するというような条文になっておる。アメリカ軍側はその通りやっているんだという、こういう条文上の方に問題が参りますと、おっしゃるように私自身においてもこれは非常に不都合な感じがいたします。しかしそういうものばかりをやっておっても間に合いませんので、日本の経済状況というのはある場合においては物資であったかもしれません。今日の場合には私は雇用対策あるいは労務対策が日本経済における一番大きな日米間の問題だと、こう状況が変って参りますので、私は、今日の交渉ではあの条文の中には経済的影響が――当時は物資であったかもしれない、金であったかもしれない。しかし今日は私は労務問題だと解釈して交渉を進めておりますので、条文によってやりますと隔靴掻痒の感があります。しかし日本の現状が果して――ひいては日米間の緊密な安保条約及び行政協定の精神から話を進めて参りますならば、今日私が言っているように、ある意味において解釈を変えるのが当然ではなかろうかということで、相当各部面を督励して私自身も多少そういう感じがありますが、しかし条文がごうじゃないかと出されますと、なるほどその条文は六カ月前に解雇の規定の退職金を払うという条文でやられますと、なかなかそこにおいて法律論と政治論というものがおのずからありますので、従って私はあらゆる部面を使ってこれをやっていかなければならないのじゃないか。それで、ある意味におきましては外務省を使いまして、日本の大事な安保条約及び行政協定の精神、その条文には大きな問題があるのですから、この小さな問題と申しますか、この一つことによっていわゆる日米間におけるある程度のみぞができるような感じがあっては断じていけない、ということを私は強く言いながら、この交渉を進めております。従って条文からいいますと、過去の契約条文というのはなかなかきつい条文ができておる。それで今日の実際を見るとここに情勢も変りましたし、私も日本の国内情勢に合せて最大限のことは実はやっているわけです。
○片岡文重君 基地が設置された当時は、こういう大量に急激に離職者を出すというようなことはあまり考えられておらなかったはずなんです。今日は今あなたがおっしゃるようにそういう状態ではなくなってきて、こういう広大なしかも平面的な施設というものはさっぱり用をなさなくなった。どんどんこれはやはり閉鎖をする方針に私はなってくると思う。だからそういう見通しと現在の実情を把握すれば、これはおっしゃられるまでもなくこの現実に立脚した議論を進め、それによって交渉をしていかなければならないが、しかし交渉の妥結と、たとえば予告手当にしても、退職金にしても、予告手当なんというのは出ておらぬのですが、これらの問題も必ずしも妥結した通りには出ておらぬようです。そういう点等も十分に把握をされて、一つもっと強力に腰を据えて交渉を私はしていくということをこの際要望しておきたいと思います。
○説明員(松野頼三君) なお施設返還につきましては、今月の二十一日に正式に、使わないならば返還をするようにしてくれ、ということをただいま片岡委員のおっしゃるような趣旨によって、もし返還されるならば、この点日本は転換産業に対する対策も立てて参らなければなりませんので、これは仰せのように二十一日に正式に返還についての申し入れをしております。なお今後こういう問題がこれは日本の労働法に、あるいはいろいろな退職、解雇について日本の労働法に反するようなことがありましたならば、これは厳重に政府及び労働省とともにこれは私どもの方も守らせるつもりでおります。
○片岡文重君 日本の労働法規に反するような点については、厳重に政府も抗議して実効をあげていただきたい。これは特に私は念を押しておきたいと思います。 それから返還を要求しておられるのはけっこうであります。そこで返還をされた場合に土地施設が全部返還をされた場合と、それからまあ施設の一部が返還をされる場合もあるでありましょう、なお水上機等の発着もあるようですから。で、まあそのいずれにせよ、われわれの希望するところは、もちろん全部を返還をしてもらうように一つ交渉をしていただきたいのですが、で、返還をされた場合の民間産業を誘致するなり、あるいは政府として何らかの公共企業的なものでもお考えになるなり、いろいろすでに腹案といいますか、そういうものをお持ちになっておられると思うんですが、特に旧軍港市転換法でしたか等の大幅な活用によって、こういう施設はできるだけ一つ活用をしてもらうように努力していただきたいと思うんですが、もちろんその活用の中にはこの離職者諸君がそれぞれ吸収をされるよう、そうしてまたそれは吸収するといっても、半年なりあるいは三年も五年も先の問題では、これは意味をなしませんが、早急に大量に吸収できるような方法をとり得るならば、これは非常にけっこうなことだと思うんですが、そういう点に対する何らか腹案があっての返還交渉なのか。そういう腹案は全然ないが、とにかく話をしたものなら返せ、ただこういうことでの御要求をなすっているのかどうか。その点どうぞ。
○説明員(松野頼三君) まだ正式にこれが返ってくるという決定がありませんので、あえてここで申し上げるのはいかがかと存じますが、腹案とおっしゃれば、この転換は私はある程度見込みがある。なぜかと申しますならば、非常に地形的にあるいは地理的にもまた施設としても、おそらく今日この地域においては、最大有利なものだろう、と私は考えております。ことに自動車工業をたしかおやりになったはずでありましたが、いずれそういう種類の産業ができて、おそらくこの地域の立地条件を見るならば、公平に考えて再び得がたいような実は地域かと存じます。その腹案をあえてここでどこどことは申し上げられませんけれども、方向は私は非常に可能だという意味で、実は返還後どうするかということは実は早くきめてくれということで、無計画でやっているわけじゃありません。具体的にどうとか、告示したり、交渉したりするということは多少まだ早過ぎますので、方向は私は可能だと考えております。
○藤田藤太郎君 今の問題ですね。具体的にたとえば日飛なんかは、千六百名の十二月首切り通告がきているわけですね。あと残っているのは相模との関係があるが、軍の方針じゃことしじゅうに閉めるというか、アメリカの状況では。そうするとその民間の要するに転換ですね、要するに他の企業転換という問題は早急にやらないとこれはいかないのだから、向うが実際返還するというこの交渉を、よほど腰を入れてやらないと、ずるずるになっていって、何やらおかしな格好になってしまって、結局被害をこうむるのは労働者だけになってしまう。こういう現実の問題がここに出てきていると思います。今の点だけは早急に明確に一つやってもらいたいと思います。
○説明員(松野頼三君) 御指示のように政府の仕事としては、どちらかといえば十二日の発表から二十一日にじゃやれるか――非常に実はその趣旨を含んで時間的に非常に急いだのであります。急いだということは、次の対策を立てるために、できれば失業状態がないように次へ移れるような方向をきめ子ならば、これは非常に良好です。しかしこれが完全返還されれば国有財産の所轄になりましょうから、民間の産業にいたしましても、国有財産法がある場合においては、私はある程度考えて、国有財産法のしゃくし定木にいかないように、まず雇用の一万人の問題からこれは次の産業の誘致を促進していきたい、これで実は大蔵省も含めまして、今の駐留軍対策協議会で話を進めておりますので、各省皆一致した意見でやっていきたいと考えております。
○藤田藤太郎君 そこで根本の問題は、ここしばらくの間に努力をしてよい方向に行こうという努力をされておるようですが、ところが赤羽工場であるとか他にもありますね、赤羽なんかは十一月にもう返還ということになっているのだが、ここらあたりの企業転換はどうなっているのか、その他の所はどういう工合になっているかということも、一つ特需課長もおられるし、関連して通産省との関係において一つお話を願いたいと思います。
○説明員(吉田信邦君) ほかの地域につきましても、それぞれ見ておりますが、これは一般的には従来の離職者対策、労働省の職業紹介、あるいは基地内訓練等によって実施しておる次第であります。赤羽の問題につきましては、その会社自体も相当大きな会社であり、会社自体としてもある程度の解決をつけなければならぬ点もあるかと思います。そういったあらゆる対策を総合していたしたい。ただ今長官からお話がございましたように、政府としては、やはり重点的には追浜の問題は一番大きな問題、目下それに今重点的な力を入れております、そういう状況でございます。
○藤田藤太郎君 追浜の問題については具体的に長官からお話があったので、問題の中心が行政協定の十二条の二項の日本経済の問題として交渉して、一般的な問題をやっていくというお話なんで、その一つの問題として追浜の問題の方向というものはお話になったのです。しかし駐留軍の離職者にしても、この特需労務者の離職対策についても、具体的にあなたも知っておられる通りにてきていない、実際問題として。だからやりますというだけじゃなしに、今どことどこがどういう工合にできておるかということを聞いておるのですから、どういう方向にあるかということだけ言って下さい。……あとで調べてからでけっこうです。
○片岡文重君 総務長官にお尋ねするのですが、大へん率直な御答弁で、あとの質問をするのにしやすくなってきたのですが、その返還の見込みはあるし、企業誘致等についても、大体お考えになっておられるようだが、これについて関係諸官庁の間の意見が統一されておるという先ほどのお話であります。従って仕事が緒についてからまごつくようなこともあるまいと思いますが、しかしなかなかこれは容易ならぬ事業だと思うのです。特に遊休施設の利用と一口に言っても、誘致される企業とその遊休施設が利用される施設であるかどうかという点の関係は、必ずしもすべての産業に当てはまるものではない、これは申し上げるまでもないと思いますが……。クレーンがあるかどうか、しかしそのクレーン等がかえってじゃまになる産業もあるわけですから、そういう点仔細に考えてゆけば、どの事業でもすぐ持ってこられるというわけでもないし、またすぐ自動車関係の仕事だからということで、自動車の関係を誘致されるような口ぶりも拝されましたけれども、これもやはり他の業者の全面的な協力が得られるかどうかということになると、これまた私の杞憂かもしれませんが、必ずしも百パーセントというわけにはいかぬのじゃなかろうか、いろいろな障害が私は出てくると思う。その他また経済的にも政府として資金面それから将来の税金等についても、いろいろな面で積極的な援助をしなければ、これはなかなか話にならぬと思うんですが、そういう将来の具体的な問題を考えてゆく場合に、どんな障害が起っても可及的に急速にこれらの大量の離職者を吸収できるような企業を誘致する、あるいは民間企業が誘致できないならば国としてここに事業を起すとか、何かとにかく一つ考えて実行に移すに当って、たとえばこの追浜なら追浜あるいは赤羽なら赤羽、あるいはそのほか立川等いろいろな各方面の基地を総合した一つの対策委員会といいますか、その企業誘致に関する一つの委員会というようなものでも組織されて、それに専念するような一つの機関でも設けられる御意思があるのかどうか、そうでなしに今の既存の機関で人員なり規模でその事業もやってゆこうとされるのか、私は非常にこれは言うことは簡単だが、実際問題として非常に大きないろいろな困難が横たわっておると思いまするので、果して既設の機関なり構想で急速に円滑にやってゆけるかどうかということになると、はなはだ危惧の念なしとしないのですが、総務長官はこの点についてどういうようにお考えになっておりますか。
○説明員(松野頼三君) 片岡委員のおっしゃるように、私の腹案はさて実行するといろいろな私は障害があるだろうと思います。今の経済状況から産業別に考えましても、まあ機械工業が多少最近は下向きになってきた、自動車工業は多少上向きになってきた、実はいろいろその産業別によって変りましょう。ただおっしゃるような特別委員会を別に作りましても、企業面からいうならばあるいは労務対策と相反するかもしれません。で私の方はあくまで労務対策を主にした企業誘致でありますので、今日はそういう意味で駐留軍労務対策という協議会を作っておりますが、その中には通産省も大蔵省も次官を入れておりますので、各省の連絡はともにやりながらやれるので、これをまた別に通産省とあるいはまた大蔵省だけで別に産業省だけを作りましても、かえって両意見が調整がむつかしいのではないか、今の機関の中において私は第一に労務対策から次に企業別のものを誘致する、という方向がいいんじゃないかと考えますが、新たに作るという考えは現在のところ持っておりません。
○片岡文重君 屋上屋を重ねるようなことは私も反対ですし、よけいな費用を使う必要もありませんが、それはなくて済めばそれに越したことはないんですけれども、事は時間が多少かかってもいいということじゃありませんで、幾ら長くても失業保険の受給期間内にはこれは片づけなければならぬ問題です、どんなに長くかかっても。そういう点を考えると、今の連絡協議会程度のもので全般的にすべてのものを扱っておるわけですから、そういうことでやっていけるかどうかということになると、一まつの不安なきを得ないというのが心境なので、それについての自信がおありならばむしろ作らないで、そういう方面に努力をされることが一番けっこうですから、おやりになるという自信があるならばそれでけっこうです。
○説明員(松野頼三君) 私自身もその対策委員会に出まして、各省次官もおりますので、せいぜい努力いたしまして、なおその問題が非常に前進がむずかしいならば、閣議の中で――労働大臣とともに労働委員会あるいは閣僚懇談会に私も出席いたしておりますので、閣僚懇談会にももちろん持ち出すつもりでおります。従って、機構としては、今日の段階では、今の機構の上になお努力することが一番早道じゃなかろうか。別に機構を作りましても、動き出すまでになお何カ月もかかるようでは、これは私は多少促進がはばまれやせぬかと思いますので、せいぜい一つ努力して参りたいと思います。
○片岡文重君 ぜひその御努力を積極的にお願いいたします。 それからもう一つお尋ねしておきたいのは、そういう努力をしていただいて、企業が誘致されるなりして、離職者諸君が大量に吸収できる、その場合に、なおかつ吸収できなかった離職者が相当数出た場合に、これはその対策をどういうふうにお考えになりますか。
○説明員(松野頼三君) 今のところ私は完全就職を前提にして企業誘致をしたい、こう考えて、企業の方がどちらかというと従になるかもしれませんが、私の頭の中で分析いたしますれば、そういうような考えでおりますので、やはりこれは問題はあまり生活権に不安を与えてはよくありませんので、その方向に向って今日やれば最善だと考えております。
○片岡文重君 そのお話はまことにけっこうですが、これは国が営利を度外視して、離職者対策として企業でも興されるというのであれば、おっしゃるようなことでもいいと思うのですが、民間企業を誘致されるというのが長官のお含みのようです。そうなると、利益を度外視してまでも政府の方針に協力をするという奇特な資本家ばかりおられればけっこうですけれども、これは必ずしもそうとばかりは言えぬのじゃなかろうか。そうなってぐると、せっかくの長官の御希望もそごを来たすことになりゃしないか。そろいう場合に、万一の場合、どうされるのかということをお尋ねしたい。 それからついでですからもう一つお尋ねしておきたいのは、誘致されて企業が操業を開始いたしまして、少くとも離職者を吸収する期間――開始の期日と現在との間に相当な時間的なズレがあった場合、こういう事態もやはり一応考慮しておかなければいかぬと思うのですが、そういう心配はないと、もう失業保険受給期間内に完全に操業を開始する、少くとも賃金を支払うに足る状態にする、吸収をするという確たる自信がおありになれば別ですけれども、もしその自信がおありになるならば、具体的な方策まで伺いたくなるのですが、その点はいかがでしょう。
○説明員(松野頼三君) まだ実は完全に返還ということが申し入れがありませんので、これから先はなかなか言いにくいことですが、かりにそういう状況に進みました場合に、私の気持としては、民間産業の誘致の場合、まあこれが政府国有財産になりますと、国有財産の払い下げ、あるいは貸付等の条項にそういうものを含めてその対策を考えますなら、あるいは採算が合う合わぬという問題はございましょうが、一応、貸付あるいは払い下げという条項の問題がありますので、ある意味において、私はその問題でこの労務問題も含められるのじゃなかろうか。政府の国有財産が規定通りいきますならば、これは物品会計ですから、労務会計は含み得られませんものと私は考えます。しかし、今度のような場合は、私はあえて労務問題も含めてこの問題の返還の条件の中に含めるつもりで、これは私の腹案で、将来になりますが可能じゃなかろうか、こういう考えで実は御答弁申し上げておるわけです。
○藤田藤太郎君 それでは私は松野長官に少し聞いておきたいと思うんですが、この前の委員会で、今のPD切りかえの問題について行政協定の条項の問題をめぐって、今もそのような御答弁があったんですが、今そこでPD切りかえの問題は、事前調整というものは、その後どういう工合におやりになっておりますか。それから松野長官がこの前言明された決意というものは、どういうふうに動いておりますか。そこらあたりの経過を、二月もたっておりますから、お話を願いたい。
○説明員(松野頼三君) この前、私が当委員会に出席して以来、さっそく米軍の参謀総長あてにこの意向を伝えました。文書をもってこれは伝えました。その内容は、事前調整というものに対して厳重にやってくれ、従って、その問題については、今後、日本政府と十分調整をするという意向が米軍からも明らかになりました。ただ、ここに今日の問題で、おそらく藤田委員のおっしゃることは、つい最近の問題はどうだという問題が実はあるわけでございます。つい最近の問題について、私の方は、私がタッチしてから以後という解釈をしておりますが、あるいは米軍の方は二月までに調整済みのものは自分の方で既定通りやる、そこに多少一項目か二項目かの問題……。私は、私が就任して以後という解釈を、私自身は持っておりますが、すでにそのことは二月以来この交渉が進んでおりますので、二月に済んだものはこれは既定通りやるぞ、それ以後だという解釈が多少ありますが、一、二の問題については、私の意向通り今いっておらぬものもございます。これは、またさらにあらためて、私の方から、そういう意味じゃないぞと、追っかけて米軍に対する申し入れをしておりますが、まだその確答はきておりません。一、二の問題が――今月の問題が一つあります。
○藤田藤太郎君 そうすると、今後PD切りかえは政府は基本的に反対であるという立場ですね。その上に立って、政府としては長官が長ですから、最大の努力をしてPD切りかえ等はやらない、万が一そういう事態が起きてきた場合には、事前調整を十分にして、そうして双方の話し合いをする、そう、でなければ実施をしない、こういう工合に理解していいですね。
○説明員(松野頼三君) 絶対にしちゃいかぬという意味は、私の今度の申し入れの中には特に入っておりません。それは、二月以来事前調整という約束をしたんだから、事前調整をあくまで厳守してくれということを主体として、私はこの前から話を進めております。従って、その事前調整をせずに、勝手にやっちゃいかぬぞということを、今度の、さしあたり私が先般考えました第一の条項は、そこに焦点を置いております。絶対にやっちゃいかぬぞというんじゃなくて、今後やるときには事前調整を厳重にしてくれ、約束通りしてくれということを主体にして、今、私は交渉を進めております。
○藤田藤太郎君 そうすると、政府の基本的態度というのは、この前お述べになったPD切りかえは反対である、この売場はどうなりますか。
○説明員(松野頼三君) PD切りかえはもちろん私は最初から、この前の二月以来、その基本方針は変っておりません。その上に立って、万やむを得ずやるときには、二月以来、この交渉をしてくれという基本的態度は、もうすでに一貫しております。特に最近の問題がPD切りかえが事前通告なしにやられるというお互いの意見の相違がありますので、この点を焦点にして、私の方はさしあたりやったわけです。基本的な態度は変っておりません。
○藤田藤太郎君 そうすると、今後はPD切りかえのないように一つ努力すると、それから出てきても、その問題については関係者の理解なしにはしないということに、政府は徹してこれから活動される、今もやっておられる、こう理解していいわけですね。
○説明員(松野頼三君) そのような趣旨であります。
○藤田藤太郎君 わかりました。それで問題は、今までの話自体を振り返ってみると、さっき片岡委員の発言にありましたように、どうも日本の政治の自主的態勢というものがない格好でずっと話が進んできたところに、私は非常にふんまんを感じておったわけです。今のような、き然たる態度で今後おやりになるというなら、私はそれを期待して、そして自後の経過並びに成果を見せていただきたいと私は思うんです。そこで、もう一つお尋ねしておきたいことは、この保安解雇という名前で解雇がされておるわけですね。非常に件数は二百件からあるわけです。で、たとえばその内容なんかを見てみますと、コーラスですか、合唱団がおった。それじゃこれはもうけしからぬといって、軍の意思に合うとか合わぬとかいって首を切る。まあ一つの例ですが、こういうものがあるわけなんですが、これについて、どういう工合にお考えになっておるのか。
○説明員(丸山佶君) 保安解雇問題は、米軍が、軍の安全保持、こういう観点から、もし労務者のうちに、その安全を害する事実があり、あるいはその容疑がある、こういう者は解雇せざをる得ない、まあこういうことで、すでに新契約を昨年締結します前から、それに関する手続上の取りきめをやっております。それを新契約においても、引続きましてそのような契約をやっておりまして、これは、もちろん関係の労働組合も十分に協議も済んだものでありますが、それに基いてやっておりまして、概略を申し上げますというと、向う側が、ある人に対してそういう容疑があり、これに関して日本側の関係当局の意見を聞く、二段に分れまして、地方の機関における意見を徴する。その上で再検討し、なお、調達庁長官の意見も求める。これに基いて、向う側が検討した上で決定する、こういうようなことでやって参っておるのであります。
○藤田藤太郎君 そうすると、なんですか、たとえばそこの基地における駐留軍労働者が、たとえば合唱団を作って、みずからの楽しみの中で合唱をする、そういうことでも、保安解雇というような格好でそれは調達庁長官はいいとお考えになっているんですか。
○説明員(丸山佶君) 別に合唱団を作る、それらのことを、いわゆる文化活動でございますか、それらのもののみであれば、何ら保安と直接の問題にはならぬと思います。
○藤田藤太郎君 そういう人が、たとえば保安解雇ということで首を切られておるという現実、それをどう思っておられますか。
○説明員(丸山佶君) それは保安に関する別の問題としまして、いわゆる軍の軍機、情報等の問題から、軍側の安全を害する破壊的行為が現実にあった、あるいはそれの関係が非常に濃度であった。こういう別途の観点から問題にしておるのでございまして、先ほどの単なる文化活動の一種、そのものによってそれを判定するものとは考えておりません。
○藤田藤太郎君 非常にその問題をここで論議すると、むずかしくなるんだが、いずれにしても、保安解雇という名目で、たくさん首切られている。それで、その首切られた人の賃金の補償というものが行われないで、六〇%ですかしかその賃金の問題が補償されていないという問題が出てきているんですが、この点について、調達庁長官は、どういうふうにお考えになりますか。
○説明員(丸山佶君) それの保安解雇等の理由に基きましての解雇の際に、労務者から、その解雇は、不当であるということで、裁判等になっておるケースが相当にございます。それらの場合に、裁判所の方の仮処分等が大体で、労務者の要求が通りましたものの給与が、裁判所の決定できめられる。それらの給与を調達庁は払っておるのでございまして、もしそれが裁判が確定いたしますというと、解雇がいわゆる不当である、まだ雇用が継続しておるということになりますれば、それらの給与を払ってやるということになります。
○藤田藤太郎君 もう一つ尋ねておきたいんですが、基地内の組合活動の問題ですが、ブラットレー及びパッカード書簡というのが出ているわけですけれども、基地内で、たとえば休憩中でしょう、勤務中にはそんなことはできませんけれども、自分の意思や、それから組合の活動で、個々に配付されるというようなものも、この書簡によって一切禁じられているわけですけれども、この点については、調達庁、長官はどうお考えになっているんですか。
○説明員(丸山佶君) 基地内の組合活動の問題は、実は新しい契約ができまする前にも、労働協約で規定がございまして、正当な組合活動は認めるものである。ただし、軍の基地の管理権に基く種々の制約のもとにやるというような趣旨で労働協約があって、それに基いてやっていたわけであります。昨年新しい契約ができて以来、実は労働協約も、当然直ちに改むべきものでありまして、その労働協約の案について、軍側と協議中であり、労働組合とも話し合っておるわけでありますが、まだできておらない。それらの情勢におきまして、実はお話のような軍側では書簡を、中央部から各基地あてに出して、そういうものの取締りの基準のようなものをきめておるわけであります。これは政治的には、軍の行政協定三条に基く管理権の範囲に基く指示基準であると思います。これに関しまして今申しましたように、労働協約が新しくできておらない状況においては、従来の状況を続ける、こういう双方了解のもとに新しい労働協約の交渉をいたしております。それらの点につきまして、今の書簡が、新たなる、従来以上の制限を加える、あるいは当然国内法に認められておるものを逸脱して制限するということは遺憾なものと存じております。従いまして、これらについても、先般来、軍側との話し合いも続けておりますが、それは、何も従来の慣行、やり方というものまで制限するという趣旨ではなく、ただ個々のケース、ケースについて、非常に各地の例、基準の照会等のある場合に、一応の考え方を示したもので、ケースごとにおいては、従来の取扱いを格別に変更したものではないのが軍の意向でございます。がしかし、いずれにしましても、基地内の労働運動の点、すみやかに新たに労働協約等によりまして、明確にいたしていきたいということでございます。
○藤田藤太郎君 そうすると、なんですか、基地内の労働運動というのは、今まで全駐労、日駐労が組合活動としてやったごとはそれでよろしい、こういうことでいいのですか。そういう工合に――軍はそういう基準であるけれども、一応これを出した、これは今までのやつを超えるものでない、こういう工合に解釈していいですか。
○説明員(丸山佶君) 今までの、従来の労働協約にあったもの、今新しい契約ができてからのの協約がない、協議中である、だから従来あったもの、それに基くもの、またそれに基く慣行を続けていく、これが了解されております。
○藤田藤太郎君 さっき基地管理権というお話が出てきて、この書簡に発展したのですけれども、基地管理権というもの、政府は、このような問題に関して、どういうように理解をされておるのか、これも聞いておきたいと思います。
○説明員(丸山佶君) 基地管理権は、行政協定第三条に規定してあるそれに基くものでございます。これと、各地のたとえば労働組合の問題のみならず、あるいは特需労務者の作業であるとか、その他いろいろあるわけでございますが、それらの点につきましては、総括的に申しますというと、基地管理権はあそこに目的が示してある範囲内のもの、一方、労働行為等の関係は、日本の労働関係法規を尊重する、こういう建前がございますので、その調整において行わるべきもの、かように考えております。
○藤田藤太郎君 そうすると、このような問題に関しては、日本の労働法規に従って監督をやる、それからまた、今までの活動は今までの慣行に従ってやる、こういうことで、組合運動は制限、制約がない、こういうように理解していいわけですね。
○説明員(丸山佶君) 基地内における組合運動の制限、制約がないということは、少し言い過ぎであろうと思います。基地内でありまして、基地というものの作業運営の性質上の制限が当然ございます。だから、それには当然その範囲内において行われる、しかし、日本の労働関係法上当然に認められておることまで侵害するということは、また管理権といえども行き過ぎである、その辺は、適正なところで調整を加えるべきものと存じております。
○藤田藤太郎君 もう一つ伺っておきたいのですが、今まで特需の関係で首を切られる方々の一カ月分の予告手当の出所が非常に不明で、それの支払いが、支払われないか、非常に不安な状態にあるということを聞くんですが、その点について。
○説明員(丸山佶君) 便宜上私からこの問題もお答えいたしますが、特需工業の労務者の予告手当あるいは退職金の問題は、その特需会社と労働組合の労働協約で大体きまっていると思います。あるいはきまっておらない場合には、当然その都度きめるべきだと考えます。ただその場合に、会社はそれに基いて支払いをいたすわけですが、一方、会社が軍側からその分が支払いを受けられるか、受けられないか、こういう問題があるわけでございます。これが実は数年来と申しますか、一昨年来問題になっておりまして、日本の労働慣行等からは、かりに軍側が一カ月以前に予告を出して、もういついつかから要らないぞといった場合においても、日本側は一カ月出す、これに対して軍側は、いやそれは予告はしているのだから、すでにその分はいいじゃないか、こういう主張の対立がありまして、実は、日米の政府間でも特別な専門委員会を作りまして、目下やはり検討中の事項でございます。
○藤田藤太郎君 今の予告手当の問題は、たとえば追浜の問題、あるいは事後対策は努力中であるけれども、または赤羽その他の所にも出ているが、予告の手当の三十日間支払われるか支払われないかという不安定な状態にあるということは、非常に残念でございます。だから、私は当然日本の措置すべき問題であると思いますから、その措置は、厳重に一つ実施するようにしてもらいたいと思います。それから、先ほど申し上げました保安解雇の中の最高裁の判決が出た者まで職場に入れずに、六〇%の賃金しかしっていないという問題なんですね、これはどうなんですか。
○説明員(丸山佶君) その問題は、実は最高裁の判決が出た以上、払うべきだと考えているわけであります。ただ、その対策につきまして一、二の事項につきまして、その分をどうするかということで、なお疑義がありますものがありますので、それらの点をどういうふうに措置すべきかはきめまして、そうしてその争いのない部分につきましては、直ちに支払い得るよう、法規の判決の履行等につきましても、目下法務省と打ち合せまして、措置がつくと思います。
○藤田藤太郎君 この件は賃金はむろんのこと、職場に復帰するということが現実の問題ですから、ぜひその実効を、上げてもらいたいと思います。
○片岡文重君 この現職に復帰をするということになると、これは結局アメリカ軍の方が日本の法律に従うという結果になるわけですね、具体的にいって。そういうことを今の日本の力でお約束ができるのかどうか。私は、当然日本の最高裁が判決を下したのですから、少くとも治外法権でない限りは、これは当然認められてしかるべきである、これが認められないということであるなら、日本の独立国というものはいずこにありやということになる。その点について、調達庁長官は、はっきり履行せしめるということがお約束できるのかどうか。また、しなければ私は困ると思うのですけれども。
○説明員(丸山佶君) 判決が出まして現職復帰ということでありますので、もちろん軍にそのことの交渉はいたしますが、軍は、これは拒否します。しかし、私よりも、むしろ外務省の方から答えていただいた方がいいかと存じますが、日本の裁判所の判決を法律的に米軍、あるいは米軍政府に強行せしめ得るか、これは私の承知しておるところでは、法律上強制できないのじゃないかと考えております。しかし、その点は外務省の方があるいは権威があって、お答えができるかと思います。
○委員長(久保等君) ちょっと速記とめて。 〔速記中止〕
○委員長(久保等君) 速記を始めて。 それでは、暫時休憩いたします。 午後二時二十九分休憩 ――――・―――― 午後三時三十一分開会
○委員長(久保等君) 社会労働委員会を再開いたします。 駐留軍労務者の離職対策及び一般失業対策に関する件の本日の調査は、この程度にいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。 [「異議なし」と呼ぶ者あり]
○委員長(久保等君) 御異議ないと認めます。 ―――――――――――――
○委員長(久保等君) 次に、神風タクシー従業員の待遇改善に関する件を議題といたします。 御質疑を願います。
○片岡文重君 最近、いわゆる世上で神風タクシーといわれておる流しタクシーの業者及び従業員の労働関係を主として、二、三お尋ねをしておきたいのですが、その前に、すでに前国会で本院の運輸委員会でいろいろ問題として取り上げられ、政府当局にもいろいろとお尋ねをし、政府からも善処力がお約束をされ、そして現実にいろいろ手を打たれておるようでありますから、最近におけるこれらのタクシー事業に対する監査の結果について、大ざっぱでけっこうですから、どういうことになっておりますか、その御報告をお聞きしたいと思います。
○説明員(山内公猷君) お尋ねの神風タクシーの監査という問題につきましては、各陸運局におきまして実施をするように、本省といたしましては通達を出しました。で、特に問題になりますのが、東京都内におきます問題が一番大きな問題として取り上げられておりますので、東京陸運局におきましては、東京都内の全業者を本年中に監査をするという計画を立てまして、四月の九日に陸運局内に特別の監査本部というものを作りまして、現在までに第一次、第二次、第三次という監査を終ったわけでございます。この間、第一次は、四号の九日から四月の二十五日まで五十四社についてやりました。第二次監査は、五月の二十日から六月の十四日までに五十二社やったわけでございまして、第三次監査は、七月の十五日から八月の二十日まで五十三社、現在までこれだけの会社を監査いたしております。で、自後の予定といたしましては、第四次を九月から十月まで、第五次を十一月から十二月までということで全部一応終ることになるわけでございますが、来年度につきましては、悪い会社をさらに重点的に再監査をするという計画をもって進んでおるわけでございます。そのうち、第三次の監査につきましては、八月の二十日、つい最近終ったわけでございまして、まだその結果を集計中でございますが、第一次、第二次の監査の結果につきましては、第一次よりも第二次の方がよくなっておる。で、第三次はまだ監査の結果が出ておりませんが、第二次よりもよくなっておるわけで、漸次向上しておるということはうかがえるわけでございますが、そのうち、悪い会社につきましてとりましたのは、この第一次と第二次の監査の結果でございますが、輸送施設の使用停止及び事業改善命令というものにつきまして、第一次で一社出しました。それから、輸送施設の使用停止及び事業改善命令は、第二次で一社出しております。そのほか、輸送施設の使用停止につきましては、第一次で八社、第二次で五社、事業改善命令につきましては、第一次で十一社、勧告につきましては、第一次で三十三社、第二次で三十社、口頭勧告につきましては、第二次で九社、合計いたしまして、第一次では五十三社、第二次で四十五社のいわゆる処分をしたわけでございまして、そのうち、良好と認められたものは、第一次ではわずかに一社でございますが、第二次では七社になっておりまして、合計いたしまして第一次で五十四社、第二次で五十二社の監査を終ったわけでございます。 以上、監査の結果の御報告を簡単に申しました。
○片岡文重君 監査の結果について、今のお話の中で、輸送施設等についての勧告がおもだったようでありますけれども、輸送施設の勧告についても、第一次から比べて第二次がよくなっておる、従って第三次、第四次はだんだんよくなっていくであろう、こういうお見通しを含んでのお話のようでありましたが、そうすると、世上問題になっておりまするのは、輸送施設等の事業関係の、何といいますか、不備あるいは欠陥ということがおもな原因ではなくて、むしろ、労務管理にいわゆる神風タクシーとして非難をされる原因があるのではないかと思うのです。もちろん、施設の不備欠陥等が原因をなしておらないというわけではありません。これは、もちろん原因をなしておるでしょう。特に、まあこれは労務管理にもなりますが、休養施設等のごときは、当然大きな原因となると思うのですが、この監査の結果、勧告をされるように大きく注意をしなければならぬという社が相当多かったように伺っておりました。しかし、御説明が早かったので、私、全部メモできませんでしたが、少くとも八割ないし九割が勧告を受けておるように今伺ったわけであります。この勧告を受けておる八割ないし九割の会社の、一体労務管理はどういうことになっておるか、労務管理を主としていま一度それらの御説明を願いたいと思います。
○説明員(山内公猷君) 労務管理のうち、特に給与につきましては、さきほども申し上げました事故防止対策本部の中のタクシー部会におきまして大体基本給が一万円程度、最低保証給一万八千円程度という線を出しまして、それに行政指導で業界に実施を勧告をするということになっておりまして、この問題につきましては、どの会社ということではなくて、当初から業界を集めまして、全部にわたりましてそういう勧告をいたしております。それで、その結果といたしましては、逐次給与の改訂が従業員組合との間に行われたわけでございますが、その結果を見ますと、従来よりは相当よくなっておりますが、まだ百パーセントとは言えない状態でございまして、その状態につきましては、陸運局におきまして勧告を行いました後、事業者は全部で二百六十六社あるわけでございますが、給与改訂を行いましたものが二百二十一社、八三%ございまして、給与改訂のまだ行われてないのは四十五社、一七%という報告を受けております。この一七%の四十五社の中には、改訂を行う必要のないものと認められるもの並びに改訂するということについて組合と交渉中であるというものも含まれておるわけでございまして、今後まだ改訂をするものもあるわけでございます。それで、改訂を行いました二百二十一社について見ますと、改訂前におきまして基本的な給与は一万円以上が十七社、八%でございました。ところが、改訂後におきましては百六十七社、七六%となったわけでございます。それから改訂前におきましては全部歩合の会社が二社ありましたし、基本的な給与が五千円未満が百三社、これは全体で四七%に当るわけでございますが、改訂後におきましては全部歩合のものも、基本的給与が五千円未満というような、当時世上で非常に非難を受けましたはなはだしく劣悪なものはなくなって参ったというふうに、われわれは報告を受けております。それから、改訂を行わないものはそれではどういう状況であるかと申しますと、その中で、基本的給与が一万円以上のものが十社、行わないもののうちの二二%を占めております。それから八千円程度のものが十一社で二四・五%、五千円以上が十一社で二四・五%、五千円未満が十三社、二九%、こういう数字的な結果になっておるわけでございます。
○片岡文重君 今御説明願いましたそれらの数字は、なるべく早い機会に当委員会に資料として一つ御提出をいただきたいと思いますが、委員長からこの点は一つ要求しておいて下さい。 それから勧告といいますか、注意を受けた事業者の事業程度といいましょうか、規模といいますか、これは、大体大企業も小企業もおしなべて言えることなのか。大体において例えば大企業はいいが小企業はいかぬとか、むしろ、従業員が三百人以上の会社については何社、百人以上については何社、それ未満についてはどの程度ぐらい、少くともこういう程度の調査でもできておられるかどうか、もしできておったら、それもその資料に一つ加えておいていただきたいと思うのです。いろいろお尋ねしたいことがたくさんありますが、きょうは時間の都合もありますので、少し系統的の質問にはならないかと思いますが、たとえば今の給与の問題ですけれども、五千円未満というような固定給の会社が相当あったにもかかわらず、世上で問題になってから、そういう低い固定給はなくなってきたということは、同時に、能率給が引き上げられるということになってくると思うのですが、どうも従業員、運転手諸君に――全部とはもちろんいいません、抽出調査というところまでも私どもの場合ですからいきませんが、大体聞いてみますと、固定給は上ったけれども日給月給でやっておりますから欠勤等があった場合には引き下げられたいわゆる歩合給、歩増しが回収できない、また無欠勤で出ても、歩合給が少くなって固定給が上って、今までのような率ではもらえなくなったのですから、実収入としては非常に少くなってきておる、非常にという言葉を今私使いましたが、全部が非常にという言葉は使えないかもしれないが、とにかく減収になったところが相当多いやに聞かれるのですけれども、こういう点について、自動車局ではそういう給与の実態にまで立ち入って調査をしておられるのかどうか。
○説明員(山内公猷君) 今申し上げましたように、固定給一万円程度、最低保証金一万八千円程度というものをベースにいたしまして給与の安定ということを考えておるのであります。われわれといたしましては、もちろんこれは最低限度はここまでなければいけないということで、業者に指導しておるわけでございますが、水揚げの高が変らなければ、結局給与の個人差というものは、ある程度ならされざるを得ないわけでありまして今まで非常によく働いておられた方が下るという場合は、あるかもしれぬと思っております。それで、今申し上げましたような、まだ賃金改訂がきまらないような会社につきましては、結局従業員の方がこういったものを望まないというものも、中には、もちろんまれな例であると思いますが、あったやに聞いておるわけであります。そういう点、まだ本省といたしましては実態を十分つかんでいないわけでありますが、ただ、抽出的に、会社のその後きまりました給与制度と従前の給与制度というものを、たとえば一定の水揚げ、八千円なら八千円というものを基準に置いて、どういうふうに従前の給与と自後の給与がなるであろうかというようなデスクの上の試算のような仕事は、やってみておるわけでありますが、われわれの方で試算した結果は、理論的には悪くならないということは言えるわけでございます。ただ、御承知のように総走行キロが全般的に業者自体も自粛して減っております。もうすでに今度の最高走行キロをやります前に、業界には非常に強く勧告いたしまして、走行キロを減して安全運転をするようにという指示はやっておりますので、その面の歩合給はある程度下ることもあり得るというふうに考えておりますが、給与制度自体の問題は、結局これは経営者と労働者の配分の問題になるということでございまして、実態を十分まだ本省としてはつかんでおりませんが、抽出的にやりましたものでは、そう悪くならないのではないかというふうに考えておったわけでございます。
○片岡文重君 勧告をされました場合に、この給与体系が適切でないというような事業特に対しては、当然この給与体系を早急に合理的なものを作るようにという勧告をなされたと思うのですが、これについては、期限を付していつ幾日までにというどんぴしゃりのゆとりのないものではなくても、大体いつごろまでには作るようにという程度の勧告はつけておられると思うのですが、もちろんいつ幾日までという厳密な規制がなされておるなら、なおけっこうですけれども、そこまでいかなくても、大体できるだけ早くおやりなさいという程度なのか、一カ月なら一カ月、十日なら十日という期限をつけてやっておられるのか。
○説明員(山内公猷君) この給与のことにつきましては、道路運送法でもそれを規制する権限がないということは御承知の通りでありまして、法律に基く勧告ではなくて、行政措置に基いて勧告をいたしておるわけでございます。それで、陸運局が各業者にやりましたのは、八月十五日までにその結果を必ず報告してくれということで、期限といえば期限をつけまして報告を取ったわけでございます。
○片岡文重君 八月十五日までにということであれば、すでにもう一週間を経過しておるわけですが、八月十五日までに大体何パーセントくらいの報告が集まっておるのですか。
○説明員(山内公猷君) それが今御説明いたしました二百六十六社のうちで二百二十一社、八三%の報告が得られたわけでございます。
○片岡文重君 給与と並んで問題となってくるのが、やはり仮眠施設だろうと思うのですが、この仮眠施設の収容力とか、それから備品、器具類の状態とか、それらのことがやはり問題になってくると思うのです。で、この休養施設についても、問題となるべき点で当局が特に指摘をされておる問題がありましたならば、その問題と、それの改善の状況はどういう状態であるか、給与については八月十五日までに報告を求められておるそうですが、この勧告をされました内容については、給与、それから仮眠施設、すなわち休養施設、それを初めとして日雇い運転者を使ってはいけないとか、それから運行管理の問題であるとか、そのほか企業経営の面にわたってまで大へんこまかく項目をあげておられるようですけれども、これらのあげられた項目を、全部八月十五日までに報告せよと言われても、できないものもおそらくあるでしょう。従って、その報告の期限は、おそらく全部を八月十五日におきめになったわけではないと思うのですが、この仮眠施設等の休養施設の設備、備品等についての勧告をなされた場合、これの改善、改訂等についての報告は、大体いつごろまでに取っておられるのか、またどの程度改善されておるのか、お尋ねしたい。
○説明員(山内公猷君) 仰せの通り、仮眠施設の収容力が不足であるとか、あるいは仮眠施設自体が不適当であるというようなものは、相当たくさんありました。先ほど申し上げました監査のうちで、第一次監査の中では、五十三社のうち十二社が悪いという結果になっております。それから第二次監査の場合には、五十二社のうち十四社が悪い、合計いたしまして百五社のうち二十六社、全体の数からいたしまして一四%というものが、施設が悪いから改善しなければいけないということで、改善のための勧告をいたしております。これらの時期につきましては、仰せのように個々の施設でございますので、それを作る期間をみなければならないので、個々に何月何日までに改善をし、あとで報告をしてこいというように言っております。その内容といたしましては、たとえばたな式寝台の場合、上下の空間が狭いとかいうようなもの、あるいは建物が非常に粗雑で休養施設としては不適当であるというようなもの、あるいはそば屋とか、米屋というようなところの二階を間借りしておりまして、事実上利用することが非常に困難だというようなものも出ておりまして、これらについて逐次改善して報告をするように個別的に指示を与えておるわけでございます。
○片岡文重君 今の問題につきまして、特に休養施設等の関係について、労働省の基準局ではこの問題を調査されたことがあるのかどうか、もしおありになるならば、その点についてのお話を伺いたい。
○説明員(堀秀夫君) 労働省といたしましても、先般の交通事故防止対策本部の対策にのっとりまして、この五月以来重点的に労働基準法に基く監督指導を指示しておるのでございます。具体的に申しますると、この五月、六月、七月の三カ月の間におきまして、大都市特にタクシー業者の多く存在する大都市においては、第一の監督の重点を、タクシー業の監督に向ける、こういうように指示いたしました。その内容につきましては、運輸省の方では一般の業務関係の監督指導でございますが、それと同時に、給与体系の問題について運輸省で指導することになっております。われわれの方といたしましては、基準法に基きまして、特に労働時間に関する違反の事実がないかどうか、それから休日に関する違反の事実がないかどうか、さらに、年次有給休暇、割増賃金等の状況、それからただいまお話しのありました睡眠、または仮眠の施設の状況かどうであるか、それから健康診断の実施状況はどういうふうになっておるか、このような点に重点を置いて監督を行わせたわけでございます。 その結果につきましては、これは東京、神奈川、大阪、三つの代表的な大都会のタクシー業について申し上げますが、全体で基準法の適用事業会社か四百六十五ございます。そのうち五、六、七の三カ月において四百五十七事業場、すなわち九割八分までに監督を実施いたしました。その結果について見ますと、これはいろいろな違反の事実も発見されたわけでございますが、総括的に申し上げますると、四百五十七の事業場のうち、相当悪質な基準法の違反が認められて、請書を徴したものが四十一事業場でございます。そこまでいかないまでも、やはり一部に基準法違反の事実が見受けられたというものが約三百五十事業場ございまして、それについては勧告を与えるという程度にしているわけでございます。 そこで、ただいま御質問のありました睡眠施設でございまするが、これは監督の結果は、われわれの方といたしましては、これは労働安全衛生規則の二百七条に定める「睡眠又は仮眠の場所」の設置が基準に合っておるかどうかという点についての監督でございますが、設備が全然なかったものが二件、それから広さ等が不足したものが百七十七件、寝具等不足のものが三十五件、広さ、寝具とも不足というものが五十一件、そのほかやはり基準にあまり合致していないと思われるものが七十四件でございます。これらにつきましては、悪質なものについては、請書を徴し、あるいは軽度のものについては、勧告を行う等の措置を行いまして、その是正方を勧告しているわけでございます。
○片岡文重君 ただいまお話しいただきました労働省の関係の調査されました結果を、一つごめんどうでも資料として当委員会に御提出をいただきたいということを一つ委員長の方から、それからでき得れば、これは運輸省も労働省も一つこの問題を、この問題といいますか、この神風タクシーによるいろいろな不幸な事態を防止するために、この両省はもちろんのこと、その他の関係におかれても十分御努力をしていただいておると存じますが、なお、積極的に御努力をいただく意味において、現在までに実施されましたこれらの調査の結果というものを、適当な機会に一つ当委員会にお知らせをいただきたいとお願いを申し上げるわけです。 それからこれは主として労働省関係になると思うのですが、一時新聞にもだいぶ騒がれました、大和交通というタクシー会社で労働組合を作ったために、右翼団体等がこれに動員をされて傷害事件を引き起していることがあるようです。しかし、たまたまこの大和交通の場合には、社長さんの前歴やら、その他動員された右翼団体の会長が本院の議員でもあられるというようなことから、非常なショックを世間に与え、問題として新聞にも取り上げられたようであります。しかし、新聞にも取り上げられないで、もっと何といいますか、冷酷といいますか、今日の時代に考えられないような非常識な手段で、結成をされる労働組合が直ちに解散をさせられ、解散にがえんじなければ職場を追われるという事態が起っておるようです。こういう問題について一体労政同ではどの程度の御調査をなさっておられるのか。この大和交通の場合は、一つの例として今私は申し上げたのですが、大体今このタクシー事業で、労働組合はどの程度に組織されておるのか、その調査はなされておるかどうか。設立をされて一月もたたない間に、一番早いのは二日か三日でつぶされておる。少くとも一月以内くらいに、これがまた解散をさせられておるというようなものも、調査されておるならばこれを伺いた、どの程度の状況になっておるか、まず概括的な御調査の結果をお尋ねしたい。
○説明員(亀井光君) 運輸委員会におきまして、自動車事故防止対策に関する御決議がございましたので、われわれとしましては、そのうちで特に不当労働行為等について十分な監督を行へという趣旨の御決議もございましたので、直ちにその趣旨を各都道府県知事に通達をいたしまして、今後この決議の趣旨に従いましてそういうことの未然の防止を十分はかりまするよう通達をいたしておるわけでございます。要するに、この問題は、ふだんにおきまする使用者側に対する労働教育の問題がやはり一番根本問題だと考えますので、われわれとしても、特に中小企業全般の問題にも関連はいたしますが、この問題を取り上げまして、労働教育を十分徹底して行うようにという指示もあわせていたしておる次第でございます。具体的なしからば自動車産業におきまする組合の結成状況はどうかという調査につきましては、中小企業全般としては調査をいたしてございますが、まだ自動車産業だけ取り上げての調査は実はいたしていないのでございます。われわれとしましても、そういう御要望がございますれば、調査をいたしてみたいと考えます。
○片岡文重君 いろいろお忙しいときですから非常に御迷惑とは思いますが、特に小さな業者の従業員が一番みじめな状態に置かれておるし、そして特に私どものこの関心を持つのは、こういう事故を絶滅させる一つの大きな手段として、いわゆる渡り者といいますか、無責任に渡って歩くような運転手をなくする、そうしてなるべく一つの会社に定住してまじめに働けるようにしむけていくということが私は必要じゃないか。そういう私はやはり労務管理が合法的に行われ、合理的に行われておるということが望ましいと思うのですが、とかく中小業者の中には、依然として労働組合というものは企業を破壊するものだという考え方から、組合の結成にひどく反対をされるところが多いようです。従って、労務管理も不十分であり、過酷な労働条件のもとで、しかも、身分保障がされておらないから、どうしても転々と職を変えるような状態になると思うのですが、それを防止するためにも、ぜひ労働組合を結成させて、中小企業の場合は、私どもが申し上げるのはどうかと思いますが、少くとも労使協調の精神で企業を繁栄せしめるような方向に行かなければならぬのではないか、そういう観点からも、ぜひこれらの零細な業者にも労働組合を結成させたいと思う。まず、どういう状態になっておるかということの調査が基本だと思いまするので、一つ労政局でもでき得ましたならば、このタクシー業者の、都内だけでも御調査をいただいて、将来の参考にしたいと思いますので、お願いをいたします。 それからこれは基準局の関係になると思うのですが、先ほど一つの例として申し上げました大和交通の争議の際に、大和交通の労働組合の諸君が車検とキイを握って下車をして休養所にたてこもった。それから、それまでにいろいろな事態があって、いきさつがあって、そういうところにまで追い込まれてきたのですが、そのことは今時間もありませんから触れないとして、その際に、亀戸基準署についても、いろいろと労働組合から協力を求め、調査もお願いをし、組合にしては手を尽しておるようですけれども、どうも聞くところによると、これは私どもも片耳ですから、私の申し上げることだけが正しいということを前提とはいたしませんが、しかし、どうも基準署のとられた措置が必ずしも好意的であり、かつ少くとも迅速な措置ではなかったのではないかということが考えられる。この点本省として、出先機関のことではありますが、一応の経過を御承知になっておられるのかどうか。聞いておりますか。……おられない、おられないとするならば、これは一つ将来のこともありまするし、所管署のことであり、なお、この大和交通の問題は、完全に解決をしておりませんので、所管の基準署について実情を調査させていただきたいと思います。委員長、警察関係はどうなんですか。
○委員長(久保等君) 濱中警備管理官がかわりに今参りました。なお警察庁長官並びに次長、刑事局長、予算関係で外出中で、ちょっと連絡がとれないようであります。
○片岡文重君 それならば警察関係の方にお尋ねをするのですが、七月の初旬に大和交通、これは警察でも御承知でしょうが、江東区の新大橋にある大和交通というタクシー業者です。そこの従業員ですが、労働組合を組織して非常に前時代的な労働条件であり、給与というよりも、むしろ人権無視じゃないか。たとえば信教の自由を拘束するような事態もあったようですが、こういう前時代的な労務管理から抜けたい、そうして合理的な労務管理をしてほしいということで、労働組合を組織し、団体交渉をしようとしたのですが、労働組合を結成する、直ちに社長から解散をするようにということで、非常な圧迫を受けたようです。で、これが機会となって、だんだん労働組合としてはなるべく、なるべくではありません、徹頭徹尾団体交渉で物事を平和裏に解決をしたいという希望で、事態の円満解決をはかったにもかかわらず、会社側としては、とにかく組合を認めない、労働組合を持つということがけしからぬ、こういう態度から、団体交渉等にも応ぜず、組合員を乗務させないという暴挙に出ましたために、従来の慣行として、前日乗務した運転手が翌日車をおりるときには、車検とキーを会社に返さないでそのまま自分のあとに乗る交代番の運転手に引き継ぐ、こういう慣行であったために、この事故の起りました当日も、例の通りに車検とキーを引き渡すべくしたところ、組合員は乗務させないということでありましたから、その車検とキーを預かって、労働組合員は団体交渉をする機会を求めたわけです。しかし、会社は、今申し上げました通りに、団体交渉には応じない、結局、組合員はその休養所に立てこもる、会社の方では暴力団を動員をしてこれが切りくずしにかかる。申し上げておることは、少し飛び飛びに申し上げておりますから、もちろん、この間にはいろいろなこまごまとした経過はあります。しかし、これは申し上げる必要もないと思いますから、時間があれば申し上げてもいいでしょうけれども、省略をいたします。で、こうして従業員が引き上げる、会社側は、これに対して警察に何か強奪か何か、届け出た言葉を今記憶しておりませんが、とにかく会社から運転手が不法にこの車検とキーを強奪をしていった、こういう届出を警察にしたそうです。警察では、この会社からの届出によって、この組合員を十名ぐらいづつ毎日のように呼び出したり、あるいは家族にも、制服警官が家族のところにも行く、こういうようなことをされたそうです。なお、こまかく申し上げればいろいろな、どうも私どもとしてはまさかと思われるようなことを、警察でしておられるようですが、この深川警察でとられました処置について、濱中管理官は御承知になっておられるのかどうか。もし御承知になっておられるならば、管理官として御承知になっておられる程度の内容を、一つ御説明をいただきたい。その御説明によって、また私も御質問する必要があるならば、御質問を申し上げたいと思うのです。
○説明員(濱中英二君) ただいま御質問の件につきまして、まだ当庁の方に詳細な報告が参っておりません。ただいま御指摘になりました点につきましては、私まことに申しわけないことでございますが、事実を承知いたしておりませんのでございますので、さっそく調査させていただきたいと存じております。
○片岡文重君 まだ調査をしておられないとおっしゃられれば、まことにやむを得ないとも申し上げたいところですけれども、この大和タクシーの争議は、新聞にも、特に都内版等には初号活字をもって各新聞にも報道されておるような次第であり、警察官の不当介入として、新聞記者もこれを載せておる問題です。従って当然、しかもこれは遠い所でありませんので、おひざ元のことですから、私は、調査がなされておるものと思ったのですが、御調査がなされておらぬということであるならば、それはやむを得ませんが、できるだけ早急に一つ調査をしていただいて、その結果を一つ出していただきたいと思います。で、その結果は、当委員会が開催されるときでなしに、で夢次第に一つ全員に渡るように御提出をいただきたいと思います。 それからなお、この際ですから申し上げておきますが、私どもがどうしても不愉快にたえないのは、ひとりこの大和交通の場合ばかりではありません、幾つも例がありますけれども、こういう争議の際には、警察はとかく会社側のことのみを取り上げて、信用して、そうしてすぐに、たとえば車検とキーを渡さないことは、お前たち悪いことだぞということで、運転手を警察に呼び出して刑事がこれに尋問する、そうして半日も一日もとめ置いて帰さない。家庭を訪れては、お前の亭主はこういうことをしておる、これは悪いことなんだ、どろぼうではないかというようなことできめつけて、そうして組合の切りくずしをされる。警察としては、もちろん切りくずしをするという考え方でなさっておることではないと思うのです。しかし、現実にそういうことをされたのでは、どうも、幸か不幸か、私どもは日本の警察官の前に行くということは、何か悪いことでもしなければ呼ばれぬという考えを持っておりますから、特に一般の運転手さんその他の御家庭では、とにかくそういうことはやめてもらいたい、労働組合に入るなどということはやめてもらいたいという声が家庭から起ってくる。現実にその家族を守るために結成をされる労働組合に、労働組合の家族からその組合を切りくずすという事態が起ってくるわけです。そういうことが、この大和タクシーの場合にも行われております。そればかりでなしに、この車検とキーを取って保管をして、これは盗むのではないのですから、陸運局に対しても、この場合は、私は、おそらく届け出ておるわけですが、労働組合が保管をする場合、その番号とキーの数とは、陸運局に届け出て保管をしておるから、再交付をしないようにということまで手続をとって堂々とやっておるわけです。それに対して窃盗呼ばわりをして、警察がこれを尋問するというがごときは、全く私は行き過ぎたことだと思う。これは大和タクシーの場合ばかりではありません。しばしばその例があるわけですから、こういう点については、一つ特にこのタクシー業者の運転手諸君が、自分の労働条件を守ろうため、この労働組合を守っていくためには、また争議手段として訴えれば、当然この車検やキーというものを保管をしなければ、これはやっていけないのです。従ってこれが不当行為であるというようなことは、いまだ判例は出ておらないはずです。どんな下級裁判所といえども、これは違法であるということは、判例として出しておりません。判例をしておりません。いわんや高級裁判所には判例はないはずです。それを警察が一方的に窃盗呼ばわりをするというがごときは、私は、越権行為もはなはだしいと思う。この際に一つ、今後こういうことの再び起らないように、十分に御注意をしてやっていただきたい。同時に、この呼び出された運転手諸君に対して、思想調査とあえて言っても差しつかえないような尋問をいたしておる。これは私は行き過ぎじゃないかと思う。どんな思想を持とうとも、これが公序良俗に反するような思想で、社会の秩序を破壊をするようなことであったならば、これは許されないでしょう。けれども、今日憲法に保障された思想の自由というものは、私が申し上げるまでもなく御承知の通りなんです。組合に加盟しておるからといって、思想調査を受けなければならないということはどこにもないはずです。この点について十分に一つ注意をしていただきたいのですが、特に大和タクシーの場合、私どもが聞いて聞き捨てにならない問題は、警察に委員長を呼んで、この争議によって起された会社側の経済的な損害について、委員長はどのように責任をとるのか、こういう質問をされておるそうです。何の必要があってそういう質問をされるのか。労働争議をすることは、労働組合に許された当然の権利であると私は思う。労働争議が行われて会社が経済的な損害を受けることは当然じゃないですか。それがなぜ労働組合の委員長が責任を負わなければならないのか。労働争議というものは労働組合が悪くて起るものではないはずです。少くとも労使双方にその責任が明らかにならざる以前において、会社側の提訴だけによって委員長を取り調べ、しかも、委員長に対してその責任を問うがごときは、一体何の理由があって責任を問うのですか。私は越権行為もはなはだしいと思う。ぜひこの点については、そういう調査がなされたかどうか、一つ厳重に御調査をして、そのままの御報告をしていただきたい。 陸運局に一つお尋ねをいたしますが、今申し上げました通り、大和タクシーばかりではなしに、これらの交通業に携わる従業員諸君が労働組合を組織し、そうして会社から不当な圧迫を受けまして、不幸にして団体交渉が成立せずに実力行使に入るような場合には、当然車検とキーとは運転手諸君が保管をしておるようです。当然という言葉は議論の余地があるかもしれません。しかし、それ以外には有利にこれを解決する手段はない。これを取って経営管理をするとかなんとかということではなしに、スト破りを防ぐための手段としてとられる。今申し上げました通りに、まだこれが不当であるというような判例は一つもない。その前に組合から、これこれで保管をしておるという届出があった場合には、陸運局としてはこれを届出があったにもかかわらず、会社側から再交付を願い出るような場合には、どういう措置をとられるのか。直ちにこれを再交付するのか、あるいはこれは労働組合で保管をしておるということで、そのまま認めておられるのか。今後のこともありますから、伺っておきたいと思います。
○説明員(山内公猷君) 現在の道路運送法というものは、もちろん通常の事態における法律関係を規定しておったわけでございまして、もちろん、車検証交付というものは、事業者の所有であることは言うまでもないわけであります。労働問題、特に争議というような事態が起りました場合には、そのままそれが適用できるかどうかということは、これは一般法と労働争議との関係の大へんむずかしい法理になっておるわけでありまして、まだ判例もありませんので、どうこうということは言えないわけでありますが、現在陸運局といたしまして、そういう場合再発行の要求があれば、やはり労働争議が終るまで、そのまま保留しておくという措置をとっておるわけであります。
○片岡文重君 御質問申し上げたい点がたくさんあるのですが、組合の状況については、まだ労政局で調査をせられていないと言うし、警察関係については、まだ警察庁は調べておられないと言うから、この調査の結果が出てきました際に、あらためて私はさらにお伺いをいたしたいと思います。従ってこの問題については私の質問はこれで留保しておきます。
○阿具根登君 ちょっと関連して質問いたします。新聞で見た程度ですから、私は詳しいことはわからないのですが、一応神風タクシーの問題は、朝日等の新聞で非常に大きく取り上げられて、それが契機になって相当取調べをされたようですが、だんだんこれがまた新聞面から文字が消えていけば、今後は取締り等がゆるめられる、こういう傾向があると思うのです。そこでお尋ねしたいのは、たしか、問題になるまでは、タクシーが一日に四百キロくらい走っておった。これをこれだけ走れば、当然これは神風タクシーの名をもらうように走らなければならないのだ、これはひどいということで、三百キロくらいの線が出ておったと新聞で見ております。ところが、結局は三百六十五でしたかに落ちついている。しかも、業者の非常に強い意見でそうなったということを、私は新聞で拝見したことがございますが、事実そうであるか。それであるならば、三百六十五キロにきめられた根拠は何であるか。これによって自動車の運転手の体力の消耗は非常に軽くなると考えられたのか。一日このくらい走るのは当然だと思われるのか。私どもには非常に疑問がありますので、一つ御説明願いたいと、かように思います。
○説明員(山内公猷君) 事故対策本部におきましてとられましたのは、適正な標準的なキロは幾らかということをきめて、それで行政を指導するということでございました。しかし、これを法律に盛り込みますためには、適正なものだけでは、強制いたしますときに、処罰の対象にはなりませんので、最高の理想距離を求めまして、それをこしたときには、形式的に違反があるということでなければ、処罰の対象としにくいということでございます。それで、陸運局におきましてタコ・グラフと申しまして、ドイツから参りました機械がございますが、これを、そうたくさんないわけでございますが、五つか六つの車につけまして、これはまあ時間的にこのグラフにメモされるわけでございます。そういうものを中くらいの会社に取りつけまして封印をいたしまして、その結果そのタコ・グラフを検討いたしますとか、あるいは職員を使いまして、実際に都内を走らせて見ますという結果、得ました結論といたしましては、大体三百五十キロくらいなら、適正な輸送距離であるという結論を得たわけでございます。それで行政の方針といたしましては、各会社に三百五十キロ程度を守らせるように強く指導して参りたいと思っております。ただ、問題になりますのは、一番疑問の多いのが、客待ち時間が何時間であるかということでございます。お客さんをおろして乗せるというようなことの間、お客さんを拾うための客待ち時間が幾らくらいかかるかということでありまして、これをやりますと、陸運局で考えておりましたのは、大体三十分間に五分間くらい客待ち時間を認めるという考え方で適当ではないか、ということではじきますと、三百五十キロくらいになるわけでございます。ところが、やはり非常に日によりまして、まあ客づきがいいと業界では言っておりますが、次から次に客がくるということで、ロスいたします時間が、実キロになって走り得るということがあるわけでありまして、そういう場合に三百六十キロということで処罰いたしますと、現実の交通法規を守っても、走れたのにかかわらず、処罰するという結果になりまして、行政法規として妥当を欠くということで、十五キロのいわゆるニューアンスを見たわけでございますが、これは十五キロを走っていいというふうには、われわれは指導していないわけでございまして、できるだけ三百五十キロにおさめなさい。ただ特別にそういうことがあれば、三百五十をこしているのじゃないかと言っておりますが、現実にこの車をとめるというような処分がなされないわけでございます。 それからもう一つ、これは運転手諸君の実際の問題でございますのと、それからお客さんの関係の問題も考えて、余裕をとったわけでございます。と申しますのは、結局三百五十キロという指導方針をとりますと、車は三百五十キロ近くになると、車庫に向って帰るわけでございます。たまたまそこにお客さんがおりますと、私の方は三百キロ走りましたから、だめですという乗車拒否の問題が起ります。ただ問題になりますのは、大体車庫に帰りますのが、夜中でございますので、そのときに乗ろうとしたお客さんが拒否をされるということでは、そのくらいの何と申しますか、行政的にニューアンスを考えておいた方がいいのではないかということでございますが、もちろん、それは例外的に考えておりまして、われわれといたしましては、三百五十キロ守るように強力に行政指導やって参りたい。ただ、三百六十五をこせば、形式的に違反として処分する、こういうことでございます。そこで、われわれといたしましては、三百五十がいいとか、三百六十五がいいということは、東京都内の交通がそう簡単に平均的に出るものじゃないわけでありまして、将来とも十分そういう点を検討していきたいと考えております。ただ、実は行政的には、そういう非常に形式的な問題を取り上げなくていいように早くなりたい。ということは、こういう問題を取り上げなければならないことは、結局交通法規をいかに指導しても守られなかったためでございまして、各運転手が交通法規を守っていただければ、こういう問題は起らないわけでございまして、たとえばいかにこれを少く認めましても、非常に悪い例を引くようでございますが、ある運転手が日中サボって、それからあわてて飛ばすということになれば、これは二百キロといたしましても、三百キロといたしましても、神風はなくならないということでございまして、われわれの計算では、まじめにこの勤務時間をフルに使っていただきまして働けば、三百五十キロで現在の交通法規のもとに、事故のない運転ができるというふうに考えてやったわけでございまして、三百六十五というのは、非常にギリギリのところでございまして、運輸省のほんとうの行政的の指針は三百五十にあるのだということをよく説明いたしておりますが、どうも法律の表面に出ておりますのが、三百六十五でございますので、三百六十五、三百六十五ということを言われますが、実はわれわれは三百五十というところで、現在の段階におきましては、業界を指導いたしまして、今後につきましては、さらに来年度、できれば予算をちょうだいいたしまして、さらに合理的な出し方というもの、それだけでなくて、運転手の勤務時間につきましても、あるいは何らか合理的な科学的基礎を持ったものをはじき出したいという希望を持っておるわけでございます。そういう情勢でございますので、御了解願いたい。
○阿具根登君 わかったようなわからない御答弁願いましたが、今の問題、たとえば三百五十キロにしておったならば、お客さんが三百五十で切れるから云々、こういう議論だったら、四百キロにしても、三百キロにしても、二百キロにしても同じことなんです。そういう議論は成り立たない。それからまた、逆に三百キロなら三百キロにすれば、運転手が昼間遊んでおって、晩飛ばす、こういうふうな最初から悪いことをちゃんと念頭に置いて、こういうのをきめられるというふうになってくれば、これは問題にならないのです。そういうことじゃ私はないと思うのだ。そういう悪いのは、大体対象として考えるのじゃなくて、これこれやったならばいいのだ、これで安全だということでやられるのだと思う。それでは三百六十五キロというのは、客待ち時間まで合せて大体何時間運転手は車に乗っておる計算をされたのであるか、それをお伺いしたい。
○説明員(山内公猷君) 私の説明が悪くて、特別の例ということで御説明いたしましたわけでございますが、仰せのようにわれわれといたしましても、安全な運転というものを基準に三百五十キロが適正であるということをはじき出しましたわけでございまして、それ以外のことは、あるいはよけいな御説明を申し上げたかもしれません。それで業界から出て参りました算出の基礎といたしましては、営業回数を六十回と計算いたしております。客の乗降使用時間六十分、客待ち時間六十分、これは一回五分、十二回と計算いたしまして、使用点検の時間五十分、検車、注油、清掃を含めて、点呼、納金時間二十分、合計いたしまして三時間十分というものが、この走行距離以外のものでございまして、十六時間からそれを引きますと、走行時間は十二・八三時間ということになります。
○阿具根登君 そうすると、車を走らせている時間は十二・八三時間、その他の作業時間が三時間十分で、十六時間になる。こういうことですが、基準局長にお尋ねしますが、もちろん基準法による一週間四十八時間でこれは許可されていると私は思うのです。そういう場合を一応考えてみた場合に、十六時間勤務がいいのか、八時間、八時間の勤務がいいのか、その点について基準局としてどうお考えになっているか。もう少しわかりやすく申し上げますとおわかりと思いますが、一日のうち十六時間ときめて、あと八時間あるわけですが、おそらくその八時間は仮眠なんかやっておらないと思う。ただこれは机の上で十六時間ということになっているだけで、仮眠時間というのは、おそらくわずか二、三時間のものだろうと思う。それが実態だと私は思う。そうすると、二十四時間のうち二、三時間仮眠するだけで、あと二十時間そこそこはほとんど労働をやって、そして今度二十四時間休んで、それからまた二十時間仕事をする。これがいいものであるか。それとも一般産業に使われているように、これは二十四時間フルでほとんどやっているのだから、昼夜勤務、二交替制なら二交替制で、そして一日のうち半分なり、三分の一体むというのがいいのか。基準局の立場からどういうふうにお考えになっているか、お尋ねいたします。
○説明員(堀秀夫君) ただいまお話しの問題につきましては、これはいろいろ微妙な問題を含む問題でありますが、現在は御指摘のごとくほとんど大部分の業者におきましては、十六時間一昼夜交代、こういう勤務割りをとっております。ただ、その中には実働八時間交代制で実施している業者もございます。しかし、これは全体の八%程度、このような状況であるわけであります。基準法には、御承知のように三十二条の二項に労働時間の変形を認めておりまして、一週間を通じて四十八時間をこえない定めをすれば、それでよろしい、こういうことになっております。従って十六時間というものは基準法違反の問題は生じないわけでございまして、また、許可も要らないということになるわけでございます。 そこで、しからばどちらが適当であるかという問題になるわけでありますが、実はこの問題につきましては、従来はこの三年前まで、実は基準法の施行規則に一昼夜交代をやる場合に、タクシー関係は十時間というところまで認められるという特例があったわけでありますが、これはあまり妥当でないということで、労使、中立の三者構成の基準審議会にもお諮りいたしまして、この特例は削除をいたしました。そこまで縮めたわけであります。今度それをさらに進めて、八時間二交代というようなことにするのが、現状で適当であるかどうかという問題になるわけであります。そこで、関係の従業員諸君の御意見等も伺ったわけでありますが、理想形態としては、これはもとより私は八時間が妥当であると考えます。ただ、現状でしからば八時間にしなければいけないというふうにするかどうかという問題になりますと、これは従業員諸君の御意見等もいろいろ伺ったわけでありまするが、遺憾ながらほかの条件が悪いわけであります。たとえば八時間制にした場合に毎日出勤しなければならない。そこで、出勤に要する時間等でいろいろ問題がある。それから二交代にしました場合に、昼の番になりました者と夜の番になりました者との給与その他の手取りに非常な不均衡を生ずる。それから交代制の場合にも、またいろいろ問題があるというようなことで、まあ賛否両論があるわけであります。そこで現在におきましては、われわれといたしましては十六時間をとっておりましても、これは違法ではありませんが、できますれば八時間の方にだんだんと持っていくのがいいと思っております。ただ、それにはいろいろの条件をともにそろえていかなければ、なかなか前進がむずかしいのではないかと思います。この点につきましては、運輸省ともさらに今後の連絡を密にいたしまして、だんだんと理想的な形態に近づけていくことが望ましいものと、このように考えているわけであります。
○藤田藤太郎君 私も一つ聞いておきたいと思うのですが、今の問題は触れませんが、衆議院、参議院でこの神風タクシーの問題が起きて問題の起因をなしているものは、従業員の給与の問題、これがやはり何といっても改善されなければならぬということで、固定給の問題が出てきたり、固定標準収入の問題が出てきたり、または労働時間の問題が私は出てきているのだと思うのです。しかし、今日のタクシー業は大きい労務管理の関係で、よいところは別といたしまして、労働者の給与をきめるというのは、何といっても労働者と経営者が交渉をもって行う、労働組合が交渉をもって行うという段階が、労働組合も何にも自分の主張、要求もする組織がないところほど、極端に労務関係が悪い。労働条件が悪いというのは事実だと思うのです。だから衆議院や参議院で、両方の運輸委員会で、たとえば労働組合の組織化を促進しなさい、こういう決議がされております。それからまた、正常な団体交渉ができるようにもして、労働条件の問題を経営者と労働者との間に正常な団体交渉の中できめていくことが好ましいということも決議されている。ところが、この対策本部から出てきている指示の中には、そういうものは一切触れていない。これはどういうことであるかということを、私はまず第一に聞きたいのです。
○説明員(山内公猷君) 御指摘の通り、タクシーの問題といいますものは、まだ前近代的な企業の段階で派生しておると、われわれの方は監督官庁として考えております。そのためには、やはり業界の安定をするということが必要でありますし、また、労使の関係におきましても、今御指摘にありました正常な関係を持つようにということで、私どもといたしましては、業界に具体的に監督官庁が組合を作れということもなかなか言いにくいわけでございますが、まあ、言わず語らずの間に、そういうふうな指導をいたして参っておるわけでございまして、労使の正常な関係ができ、それによりまして労使の関係でこの企業という問題が適切に改訂され、決定されるということを、運輸省といたしましても希望しておるわけでございます。
○藤田藤太郎君 そうすると山内さん、これは何ですか、衆議院、参議院の委員会決議というものは業者に全部まかして、この精神でやるのだということは伝えているわけですか。どうですか、それでなければその話はちょっと……。
○説明員(山内公猷君) 運輸省といたしましては、現場を指導いたしております陸運局に、この決議趣旨は十分に説明をいたしましたし、また、陸運局長会議を特に開きましたし、また全国の旅客課長を集めまして、この趣旨は十分徹底しておるつもりでございます。
○藤田藤太郎君 私の言っているのは、この衆議院、参議院の決議というものは業者に渡っていますかということです。
○説明員(山内公猷君) 陸運局を通じて全部連絡いたしております。
○藤田藤太郎君 そこで、大和タクシーの問題が出てくるわけですが、大和タクシーは私の聞いておるのによりますと、朝七時に出勤して七時半に車は出て行く。そしてあくる日の交代がやはり七時半に交代をして何か行事がたくさんあって、帰るのは九時半とこういうことですが、そうすると二十六時間半の勤務が行われてある。仮眠時間は何ぼあるか知りませんけれども、たとえばそこから四時間引いたとしても、二十二時間半というのは実働の形になっておる。これが大和タクシーの状態だということを聞いておる。そうするとさっきの三百六十五キロとか五十キロという話とそれから十六時間、八時間制十六時間という問題とは非常に大きく食い違ってくるわけですね。これはやはり具体的な監査の中から、この問題の適正な状態というものを生み出していくところに、監督行政の問題があると私は思う。だからやはりこの大和タクシーばかりではなくて、ほかのところにも、たまたま事故が起きたから、ピック・アップしておるけれども、ほかのところにもそういう問題があるのじゃないかと思う。そういうことを運輸省から、労働省と両方の関係だと思うけれども、どういう工合に具体的には指導されていくか一つお聞きしておきたい。それが何といっても私は労働者を守る保護する、休養させる一番肝心な問題ではないか。 それからもう一つの問題は、固定給はなるほど三千円、五千円のやつが一万円前後になった。ところが、その固定給になったけれども、その歩合給がそれだけの分が減ったかというと、それに輪をかけて歩合給が減って、そして全体の収入は極端なところでは五、六千円収入が減っておる。普通のところでも千円、二千円収入が結果的には減ったということをわれわれは聞いておる。この点などについては、どうですか。それを二つ。
○説明員(山内公猷君) 五、六千円も、固定給が一万円になったために減ったというようなことは、われわれもまだ聞いていないわけでございまして、一般に現在夏枯れでございまして、タクシーの収入は例年落ちるわけでございます。それと先ほど申し上げましたように、乗車距離を減らすと、それに伴って収入が減るということは、あり得るであろうというふうに考えておるわけでございます。ただ、著しい差は、われわれの方はないように思うのでありまして、実はまだこの最高輸送距離を実施いたしましてから監査いたしておりませんので、実ははっきり実態をつかんでおらないわけでございますが、第二次の特別監査をいたしました五十二社の平均を見ますと、平均給で二万八千百八十九円、それから最高で三万六千六百円、最低で一万八千円というふうに非常に格差がございます。会社におきまして格差がありますように、個人的な格差のある職業でございまして、一応今のは五十二社の平均の数字を申し上げたわけでございます。ただ、今御指摘のように急激に五千円も六千円も、基準給を作りましたために下るということは、何らか特別な給与制度でもまたできればともかくでございますが、従来通りの給与制度であっても、ちょっと考えられないことでございまして、われわれの方は給与を下げるために、もちろん固定給を作ったわけではないわけでございます。そういうことはちょっとわれわれの腑に落ちない問題でございますが、よく調査をいたしてみたいと思います。
○藤田藤太郎君 もう一つの問題を聞いておきます。
○説明員(堀秀夫君) 労働時間の問題についてお答えいたしますが、先ほどお話しいたしましたように、現在の勤務形態は実働八時間制によるものが若干、それからあとは十六時間制によるものが大部分である、このような状況であります。そこで、監督の実施に当りましては、この基本時間をオーバーするような場合につきましては、これは必ず基準法第三十六条に基くところの労使協定が必要である。これがなければ基準法の違反である。違反であれば請書を徴し、あるいは勧告をいたしまして是正させるとか、このような方針で臨んでおります。なお、これは純粋に基準法違反という問題だけでありますが、実はこれと同時に、指導的な立場といたしましては、協定をすればこの基準時間をこえて時間外労働もできるわけでありますが、それは望ましくない。だからなるべく時間外協定というようなものはしないで、ぜひとも十六時間というところでとどめてもらう、このような指導をつけ加えて監督を実施しておるわけでございます。
○藤田藤太郎君 今言っておるのは、一つの例を言っておる。七時に出勤して、七時半に出庫して、そうしてあくる日帰るのは九時半、交代制ですからあとは何をしておるかというと、さっき片岡君が言ったように、何か宗教の訓話であるとか、掃除があるとかというようなことで九時半に帰ってしまう。それはやはり就業時間の一つだと思うのですよ、そういうことが一つ出てきたから言うのです。そういうところがたくさんあるのではないか、こういうことをどうして取締るか。
○説明員(堀秀夫君) ただいまの問題につきましては、これはそのほかにも、たとえば従来の状況を見ますると、純粋のまあいわゆる今までの実働時間のほかに加えまして、自動車の車両整備をしたり、点検したりするという時間があるわけでありますが、これが従来ややともすると、労働時間外であるという取扱いがされておった例があるわけであります。今回の監督に当りましては、このような整備、点検等の時間も、これは労働時間に入れるべきものである、このように指導をしております。また、われわれの解釈といたしましては、これは現地を具体的に見てみませんと何とも申せませんが、一般的に申せますことは、使用者側の指示によって、当然そのあることをすることを強制されるというような立場になれば、これは当然実働時間の中に入るべきものである、このような原則的な考えを私どもは持っております。
○藤田藤太郎君 だからそういうところは適正に指導をしてもらいたいということなんですよ。はっきり申し上げることは、そういうことがあるのじゃないか、だからそういうものは十六時間という今の基準法の建前から言っても、適正に指導をしてもらいたいということなんです。
○説明員(堀秀夫君) ただいまの問題につきましては、われわれも全然同感でございまして、そのような方針で監督、指導を実施しておるわけであります。
○委員長(久保等君) 本問題に対する本日の調査は、この程度にいたしたいと思いますが御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(久保等君) 御異議ないと認めます。 ―――――――――――――
○委員長(久保等君) 次に、一般労働問題に関する件を議題といたします。 王子製紙株式会社の労働争議問題について御質疑を願います。
○阿具根登君 質問に入る前に、当局から説明を願いたいと思います。
○説明員(亀井光君) 王子製紙の争議につきまして、ごく概要を申し上げたいと思います。 本年の二月二十八日に王子製紙の組合から、会社あてに賃金の引き上げと退職金の額の改訂並びに結婚資金についての要求が出されたわけであります。それに対しまして団体交渉の結果、三月二十四日になりまして昇給につきましての改訂と、それに関連いたしまして就業規則の一部改正の提案が会社からなされたわけであります。その内容は、従来の一週間交代の、一週間一日の週休制に対しまして、十二日連操で二日休日制という提案がなされました。もしこれを組合側におきまして了承するならば、三百二十六円の操業手当を支給するという回答がなされたわけであります。この回答に対しまして、組合側は不満としましてストライキを部分並びに一せいスト、それぞれ取り合せまして行なって参ったのでございますが、五月十七日になりまして会社側から第二次の回答がなされたわけであります。貸金におきましては第一次回答では七百二十七円の回答でありましたのを、第一次回答におきましては昇給を含めて千五十三円、操業手当は第一次同等では三百二十六円でありましたのを四百七十七円、退職金につきましては、一部支給率を引き上げるという回答がなされました。それに会社側からは、労働協約の期間が六月十日で切れますことに対しまして、新しく労働協約の協定案を会社側から提案されたのでございます。そのおもなものは、ユニオン・ショップの廃止、就業時間中の組合活動の一部変更、それから組合への便宜供与の一部変更、その中にはチェック・オフの別協定も含まれております。こういう提案が同時に会社側からなされたわけでございます。この会社側の提案に対しまして組合側はこれを拒否をいたして、引き続き争議行為が行われて参りましたが、六月十日になりまして組合からは、新しい夏季手当の要求五万八千五百四十一円の要求が提出されたのであります。労働協約は先ほど申し上げましたように六月十日に切れたのでございますが、会社側からの申し入れによりまして、一週間の期間延長をいたしまして、六月十八日まで有効でございましたのが、その間に協約についての話し合いがつかぬまま、協約は大月十八日で無協約の状態になっているのでありまして、その後本社並びに苫小牧、春日井各事業場におきまして争議行為が行われておったのでございますが、八月四日になりまして、本社従業員の脱退者をもちまして、王子製紙本社労組が結成され、八月八日に同じく苫小牧工場で、組合を脱退しました者で苫小牧の新組合が結成され、八月十一日におきましては、同様春日井の工場におきまして、脱退しました組合員が新しく新組合を結成しておるという状況でございます。その間におきまして、一時金につきましては、本社の脱退しました組合員と交渉の結果、五万二千円で妥結をいたしております。その後に苫小牧、春日井、それぞれ一時金につきましては、第二組合との妥結はいたしておりまするが、第一組合につきましては、先ほどの御説明しましたいろいろの要求事項につきましては妥結に至っていず、争議行為が行われているという事情でございます。 そこで、組合側といたしましては、これらの問題に対しまして、労働委員会に対して七月十五日に組合の本部から道労委に対しまして支配介入の不当労働行為についての提訴がございました。また、八月十三日には中労委に対しまして団体交渉を拒否したという理由で、不当労働行為の提訴がございます。八月十六日に苫小牧の第一労組から北海道の地労委に対しまして、支配介入を理由とします不当労働行為の提訴がなされております。また、裁判所の関係におきましては、会社側から仮処分申請その他がございまして、一部の問題、すなわち春日井工場におきます食糧搬入についての会社側からの仮処分の申請が八月八日に出されておるのでありますが、それに対しては八月九日、食糧搬入を阻止してはならないという命令が出ました以外は、引き続き裁判所において目下係属しておる事情でございます。 現在のこの労使関係におきます問題といたしましては、団体交渉を組合側から申し入れたのに対しまして、会社側は各、苫小牧あるいは春日井等におきましていろいろ暴力行為が頻発しておる状況であるし、また、本社におきましては第一組合がピケを、あるいはすわり込みをしておるという、こういう状態のもとにおきましては、団体交渉に応じかねるという主張をいたしておるのでございます。会社側としましては、団体交渉に応じないという意思は表明はいたしておりませんが、そういう事情のもとでは、十分な話し合いが行われがたいという趣旨で、組合のそれらの申し出を現在まで拒否しておるわけであります。問題は、今中労委におきましてこの申し立てを審理をしておるというのが現在までの概略の経過でございます。
○阿具根登君 今概略を聞いてみまして考えられることは、いわゆる労働協約を全面的に変えるという問題が、私は骨子になっておるものではないかと、こう思うわけなんです。それは現在まで何年間結ばれておったかしれないけれども、今まで結ばれておった労働協約が、六月十日に切れるから、ユニオン・ショップの撤廃とか、あるいは公休日の変更とか、ちょっと非常に組合としてはこれはなかなか重大問題を出されておる。私はその他の賃金とか、あるいは一時金等の問題よりも、これが深刻になっておると、かように思うわけなんですよ。そうすると、これは労使間の問題の場合に、労働者側からだけ要求をしていいのだ、こういうことじゃなくて、もちろん経営者からもそれは要求をされて、それがきっかけになって争議になるということも、これは労使間にあるべき問題であると私は思うのでありますが、しかし、そういう場合において、やはりそういう非常に組合の基本問題に触れるような問題を提案される場合には、相当な話し合い等がなされなければならないのではないかというように感じるわけです。ところが、ただいまのお話でも聞いてみますと、賃金その他を要求されておる、その要求の一部をいれてやるかわりにこれだというようにあいくちを突きつけられたような立場になっておるのではないかと、こういうふうに思うわけです。さればといって、私どもが労使間の問題を、しかも中労委、地労委にも出されておるのを、ここでどちらが白だ黒だという権限もございませんし、そういうことを言うつもりもございませんが、仄聞するところによりますと、ただいまの六月十一日あるいは十二日に第二組合ができたということですが、それを仄聞いたしますところによりますと、たとえば苫小牧等におきまして保安要員か出勤しておる、争議の場合でも、労使双方の話し合いによって電力関係、食糧関係等の通常おらねばできない人を保安要員として作業に提供しておる。ところが、その作業員に対して会社は朝から晩まで組合を脱退せいということを非常に強く勧告されておる。いわゆる組合からはずれて会社に入って、会社の中で仕事をしておる、その会社の中に組合の幹部も入れないようにしておいて、そしてその中でもって出てきた保安要員に対して、会社が職制を通じて第一組合を脱退せよ、第二組合に入れ、そうすれば云々というようなことを非常にやられている。そして保安要員に出て行った人は、一日中その上司からそういう説得をされて、そして組合を出ていく、こういうようなことが立証されておる、こういうことが言われておる。しかも、会社もそれを認めておる。それで保安要員もそれではもう差し出せないということになってきて、非常に泥沼的な闘争になってきておると私は思うのです。それも私が会社から聞いたわけではないので、だからここで断定するわけにはいきませんが、もしもそうだとすれば、これは完全な私は不出労働行為だと思うが、局長はどうお思いになるか。
○説明員(亀井光君) 今の問題は、労組法七条の支配、介入による不当労働行為かどうかという問題に関連するのでございますが、問題は今地労委に提訴されておりまして審理が行われている段階でございますので、私からそれに対しますいやおうの御返事は差し控えさせていただきたい。
○阿具根登君 だから私は前置きして言っている、そういうことがあったとするならば、そういうことがあり得るとするならば、これは不当労働行為である、支配介入であると思うが、労政局長はどうお考えになりますかと言っているわけなんです。
○説明員(亀井光君) 一般問題としての御質問でございますれば、不当労働行為のにおいが十分にあるのではないかと思います。ただ、この事件につきまして、果してそういう事実があったのかどうか。あるいはどういう条件のもとにそういうことが行われたかどうかという事実認定につきまして、私何らの力もございませんし、あるいはそういうことを承知しておりませんから、お答えできないというふうにお答え申し上げます。
○阿具根登君 それでけっこうです。私も地労委や中労委の役目までここで引き受けようとは思っておりませんし、労使双方の意見を聞いておりませんので、ここでそれを不正事実として局長に認めよと言っているわけではないので、こういう争議の場合に、私が言ったようなそういう保安要員に対して職制をもって介入をしてくるということは、これは労働組合法上認められておらないのだということを認めてもらえば、それでけっこうなんです。そういう点で一応お尋ねをしたわけでございますが、現在局長さんの御説明では、会社は団体交渉に応じないということは言っておらないが、組合がとっている態度に対して応じることができない、こういうように御説明下さったと思うのです。大体今までの争議を、相当ここでもいろいろ検討してみたことがございますが、大体そういうことが言われている。いつの場合でも、そういう場合にはほとんど組合からの要求によって、そうしてそれがいれられずに、双方の意思が合致せずにストライキに入った場合に、両者からそういうことが言われている。冒頭私が申し上げましたように、今度の争議のこの性格というものは、賃金そのものを要求されているときにはストライキに入っておらない。ストライキではなかった。たまたま会社から労働協約の改訂を申し入れられたのが、きっかけになってストライキに入っている。またこういう問題が惹起されているとするならば、これは少し一方的なやり方になりはしないか、私はこう考えるのですが、局長さんの方には、どういうふうにお耳に入っているでしょうか。
○説明員(亀井光君) 先ほど御説明申し上げましたように、会社が労働協約につきましての改訂案を提出しましたのが五月十七日でございます。ところが、争議行為は四月二十四日から二十八日まで、五月四日から七日までのこの会社の提案前におきましても、争議行為としては行われております。
○阿具根登君 これは私の言い方が悪いのでございまして、私の言ったのは、無期限ストライキに入った、いわゆるほんとうにストライキ態勢に入って、そうしてだんびらを抜いてしまった。時限スト等は、それは今までいつの場合にもあった問題でございまして、これは御承知と思いますが、私の非常に浅い労働組合知識におきましても、北海道におきましては苫小牧の王子工場なんというものは貴族的なところなんです。そういう大きなストライキなんかやられたところではないのです。そういうところが長期間の無期限ストライキにも入らなければできないように追い込んだその原因は、労働協約の改訂にあった、これは私は間違いない。そこで、そういうことを会社自体が追い込んでいるのではないかということになるならば、そういうことになるならば、組合がピケを張っているからとか何とかいうことではなくて、団体交渉等には堂々と応ずるべきではないか、私はそういうふうに思うのですが、そういう点については、どういうふうにお考えでしょう。
○説明員(亀井光君) 一般論としましては、言うまでもなく労使双方が、できるだけ紛争の解決を早くするために団体交渉を開きますることは、われわれとして望ましいところでございまするし、われわれもまた、それを強く期待をいたしておる次第でございます。今回のこの紛争につきましても、われわれとして三園にわたりまして、労使それぞれ呼びまして事情の聴取、あるいは解決のきっかけが那辺にあるかというような問題につきまして話し合いをいたしまして、会社側としましても、その際におきまして解決については会社側として自分らの主張をあくまでも貫く、自分らの主張において解決をしたいという主張をしておりまするし、組合側は組合側としまして、できるだけ早く団体交渉を開いてわれわれの主張の線において解決したい。両方主張が今対立しているような形でございますが、しかし、これもまた話し合うという段階に入りますれば、お互いかそこにまた何らかの解決の道を労使双方見つけていくのじゃないか。そうすると団体交渉をするということが、やはり解決への一つのきっかけというものになるのではないかということで、われわれとしましても会社側に対しましてその意向の打診をいたしたのでございます。現在会社側としましては、苫小牧あるいは春日井等におきましていろいろな暴力行為が行われますし、あるいは本社において第一組合がピケを張っておる。こういう状況のもとにおきましての団体交渉というものは、必ずしもいい結果をもたらさないで、そこに何らかの条件といいますか、そういう事態がある程度解除されて参りまするならば、母体交渉に応じたい。決してわれわれとしては団体交渉に応じないつもりを今から堅持しておるわけじゃないのだ、こういう主張をいたしておるわけでございます。
○阿具根登君 それもですね、一つのそのストライキの許された範囲内の、法の認めた範囲内のストライキであるならば、それをやめて団体交渉に入れというふうになれば、これは強いて例えばストライキを解いてしまえば交渉に入るぞと、これに通じて来る。王子がそういうことを言っておるかどうかば別として、往々にして現在までのストライキを見てみると、会社側の強いところは、確かにストライキを解いてから交渉に応じろと、まあかぶとをぬいで来い、こういうふうな出方をされておる。ところが、先ほどから言うように本問題の一番大きなポイントというのは、会社側が出した協約改訂にあるということは論を待たないところである。そうするならば、会社側としてもそういうピケを張っておるとか何とかということは、争議行為の一環であって、この争議行為の一還を解いてこいというようなことでなくて、やはりその中にあって、やはり何か暴力行為でもあったならば、警官が摘発をされようし、時間がないからすっとばしておるのですけれども、そうでなくても警官もこの中に十分入っておる。こわいのはかえって組合の方じゃないかと思うのです。労働組合の方にはいつでも加勢しなさらぬ。これは経営者側の方にいつも加勢しなさるから、何も心配はないのであって、早く団体交渉を持つように、せっかく労使双方を呼んでいろいろと事情をお聞き下さっておるし、いろいろと勧告もされておられるようですから、私がこういうところで局長にこういうことを言えば、労使の紛争に介入せいというふうにとられては困るのですけれども、あまりにも長が過ぎるこういう泥沼のような闘争に対しては、もう少しおとなになっていただいて、団体交渉を持っていただくように一つ努力をしていただきたいとかように思うわけですが、これに対して……。
○説明員(亀井光君) 先ほどの私の説明が言葉足らずで誤解を招くといけませんので訂正をさしていただきますが、会社の言っておりますることは、今の争議行為をやめたならば団体交渉に応じると、こういうまあ言い方ではないわけです。もう少し冷静な状態になったらということでございます。そこまでは会社は実は言っていない。そこで私らとしましても、先ほど来申し上げますように、できるだけ解決のきっかけが団体交渉にあるわけでございますから、団体交渉につきまして会社側にそういう会社側の期待しておる条件というものがどういうところにあるか、私らもよく知りませんが、その条件がどの程度充たされるか、完全と言わなくてもどの程度充たされたならば、交渉に応じるかというようなことにつきましても、率直にまあ話をしたのでございます。で、会社側としましてもできるだけまあ団体交渉ができるような事務折衝というものを一つ早く開いてみようか、という機運に今なりつつあるようでございます。従って、まあそういうふうなものの中から、私は解決へのきっかけというものが見出せ得るならば、非常に幸いではないかというふうに考えております。
○阿具根登君 私も聞き違えで質問したわけではないのでございまして、もう少し冷静になってからという会社側の言い方は、会社側が非常に頭にきておるから、もう少し自分たちが冷静になってから団体交渉を持ちたいと、こうおっしゃるなら、私はわかるのです。ところが、私が言うように、この問題になっておるのは、労働協約の改訂であり、しかも保安要員双方話し合って、それは中立の姿で双方話し合って、そうしてワクの外に就業しておる人たちをつかまえて、そうしてお前たちは第一組合から脱退せねばいけないぞということを、朝から晩まで出て来た人たちに説得する人たちが、どうも理性を欠いておるのではないか。ですから、われわれの方でもう少し会社は頭を静かにしてからというならばわかるけれども、そうでなくて組合の方が冷静になればというのは、たとえばピケを張っておるならばそのピケを解きなさいとか、あるいは警官と対立しておるところは解散なさいと、そういうような一方的なやり方になっておるのではないかと思うので、あれだけの大会社であり、利潤も日本でそう下らぬような十分りっぱな大会社でございますので、一つおとなになって、早く団交をお持ちなさい、ということを私は言っておるわけで、そういう意味で一つ御努力を願いたいと、かように思います。
○藤田藤太郎君 私もですね、私はそのもうこのような大きい会社が北海道と愛知県の春日井ですか、二つの工場が五十幾日もとまっておる。そういう状態の中で、今のような話しで私は不当労働行為自身が、要するに労働委員会にゆだねられているというけれども、何といったって労使は調整問題が主で、そこから派生的に不当労働行為らしきもの、不当労働行為の問題が出てきておるというのは、私は争議の実態だと思うのだ。だから問題はもっとですね、労働省が直接手を打ってどうこうするということは問題があろうが、私はやっぱり労働委員会が、もっとほんとうに三者構成で持ち味のある労働委員会が、そのもっと活動をして、こういう労使調整を有効的にやるという工合にですね、もっとその皆さん方が激励をして、労働委員会をですよ、激励をして、活動さすというところが、私は労働行政の分野やと思うのですが、これはまあ公平な立場からやってもらわなければ困りますけれども、それは皆さん方公平な立場からおやりになると思いますけれども、そういうところにもっと力をお入れになったらどうですかと私は言いたい。今の話を聞くと、警察官五百人も動員して、ぐるぐる回っているというんだから、そういう実態で何ら問題が起きてないところで、そういう実態がいつまでも続いているということは、私は情けないことだと思うのです、工場はとまっておるし。だからもっと労働委員会を鞭撻して、もっと今の労働法に基いて、正常な形でうんと活躍をして、このような問題が団体交渉を拒否しているというのは、これは法律ではっきりと六条で団体交渉の問題が明確にあるんだ、だからそういう問題もここ冷静にとか、どうやとかということを、私はもっと労働委員会が踏み切るように鞭撻してもらいたいと思うのだ。そうしてこの争議が早く解決するようにやってもらいたいと思うのですがね、これは実際取り上げたらたくさんありますけれども、きょうはあまり言いませんが、私は阿具根君が言った通りだと思うのだ。だからそういうことを一つしっかりやってもらいたいと思うのだ。
○説明員(亀井光君) 労働委員会に対しまして、何らかの連絡をしろということであります。まあ、お気持は十分よくわかるのでございますが、ただ、御承知の通り独立機関でございまして、労働省から労働委員会に対して直接ものを言うことが、なかなか法律的にできない関係もあるので、(「そりゃああせい、こうせいということはできない」と呼ぶ者あり)その点はわれわれとしましても、許される範囲内におきまして、そういう御趣旨の点はよくお伝えをいたしまして問題ができるだけ早く解決すれば、われわれの行政の目的も達成するわけでございますから、幸い会社側にも、そういう機運がきざしつつあるように見受けられますので、われわれとしましてはこの解決を期待をいたしております。
○委員長(久保等君) 本問題に対する本日の調査は、この程度にいたしたいと存じますが御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(久保等君) 御異議ないと認めます。 本日はこれにて散会いたします。 午後五時二十一分散会