建設委員会 第4号
- 発言数
- 82 件
- 登壇者
- 15 名
- 会派数
- 3
- 開催日
- 1958/06/24
会議録
○委員長(上林忠次君) それじゃ、ただいまから建設委員会を開会いたします。 まず、委員の変更について御報告いたします。六月二十三日、斎藤昇君が委員を辞任され、その補欠として林屋亀次郎君が委員に選任されました。 ―――――――――――――
○委員長(上林忠次君) これより河川の水質汚濁に関する件を議題に供します。御質疑のおありの方は順次御発言願います。 ただいま政府側から御出席の方のお名前を申し上げます。建設省から河川局長山本三郎君、計画局長美馬郁夫君、住宅局長鬼丸勝之君、それから通産省としまして、企業局次長樋詰誠明君、経済企画庁から調整局農林課長吉岡茂君、それから農林省から水産庁次長西村健次郎君、ただいまそれだけ出席願っております。
○稲浦鹿藏君 この河川汚濁の問題は、もう全国的な問題でありますが、最近本州製紙の問題が大きく取り上げられまして、これについて各委員がおのおの専門の立場から検討しておる。決算委員会におきましては、保護区域に補助を与えて、その補助の程度が減殺されるおそれがあるという関係で、決算委員会の問題として取り上げられておる。また法務委員会と地方行政は、本州製紙で起ったあの不祥事件に対して警備の問題について、あるいはその不祥事件について、農林水産におきましては農林漁業の関係からこれを検討するということで、おのおの専門の立場でやっておりますが、こうした問題が起るということは、結局、その基礎になる法律がはっきりしていないから起るのじゃないかと、かように思うのでありまして、考えてみますと、河川法の十九条で簡単な一条文がありますが、これは具体的に指示していないために、これに対していろいろな条例を作るということもなかなか困難である。それから農林省においては、何といいますか、先年水産物の保護の上から法律ができております。それから厚生省公衆衛生局というのがありますが、結局、ほんとうの指導原則をきめたものがなく、だんだんとこうした問題が大きくなってくるというのは、日本はこれから将来、産業の伸展によって国策として経済国家を作り上げようというときに、こうした問題がだんだんと大きくなってくるのは、これは当然のことであります。といって、これを放置することになれば、今本州製紙に起ったような大きな問題が各地に起ってくるということになりますので、国はこの際、どうしてもいろいろな立場に立って、指導原則となる法律を作るべきものだと、かように思うのであります。こういう意味からしまして、建設省が河川を担当しておる、また下水を担当しておる、それから農林省が水産資源の保護の上からの立場で考えておると思います。また、今おりませんが、厚生省が公衆衛生の立場からお考えになるのじゃないか、かようなことでありますので、各関係省において、この問題について現在どういうふうな構想で進まれておるか、一応御説明願いたい、かように思うのであります。まず建設省から。
○委員長(上林忠次君) それでは、建設省からだれかお願いいたします。
○政府委員(山本三郎君) ただいまの稲浦先生の御質問に対しまして、お手元に「河川における水質の汚濁防止について」という簡単な刷りものが差し上げてありますが、これは建設省の河川の取締りという点からの考え方、従来の経過あるいは考え方を簡単に書いたものでございますが、これによりまして概略を御説明申し上げたいと思います。 河川法におきまして、水質の汚濁の防止に対処するためには、従来から河川法の十九条の規定に基きまして、都道府県が規則を作って取締りをやって参ったわけでございます。今回の本州製紙の問題につきましても、河川法の十九条の規定に基きまして、東京府令が昭和六年に出されております。それの名前は「河川取締及河川生産物払下規則」というのがございまして、その第一条に規定がされております。それで、そういうふうな規則を作りまして、河川管理者であります都道府県知事が取締りをやって参ったわけでございます。ところが最近になりまして、産業が著しく発展いたしまして、公共水、河川等に放流される廃液が公共水を著しく汚濁いたしまして、そのために、水道であるとか、水産業、農業等にも非常に被害を及ぼして参ったわけであります。結局、非常に廃液の中に従来考えられないような排出物が入ってきたというふうな状況になって参りまして、従来の十九条あるいはそれに基く規則のみをもっていたしましては、そういうふうな規則等の表現が抽象的でありましたために、各府県で取締りを行う際に統一した基準等がなかったというふうな点がございまして、必ずしも十分に行われていないというふうな実情にあったわけでございます。そういうふうな状況でありましたために、建設省におきましても、河川法によりまする対策を実際に即して実効あらしめるような方法をかねてから検討して参ったわけでございます。それに対処いたしましては、政令あるいは省令等によりまして、河川の汚濁の基準等をきめていこうというような話も検討されたわけでございますが、ただ、この問題は各省の行政にまたがる非常に複雑な問題でございます。漁業の問題、あるいは工場の問題、あるいは厚生、水道等の問題にまたがる非常に複雑な問題でございますために、各省間におきまして、いろいろと協議を重ねて参っております。昨年の三月になりまして、水質の問題の検討は各省にまたがるために、経済企画庁を中心として行うのがいいだろうということに相なりまして、経済企画庁を中心として対策が協議せられることに相なりました。その後になりまして、経済企画庁は関係各省の意見をいろいろ聞かれた上で、三十三年の二月になりまして、関係各省に対しまして、「水質汚濁の規制に関する法律案」というものを各省に示したわけでございます。それの要点は、総理府に、水質審議会というのを置きまして、内閣総理大臣が水質審議会の調査審議を経て、水質の許容基準を定めまして、関係する各省はこの基準に基いて、それぞれ持っておりまする法令によりまして効果的な防止対策を講ずる、こういうふうな趣旨でございまして、これに対しましては、建設省は、河川を管理いたしまする立場から、基本的には賛成であるというふうな態度をとって参ったわけでございます。そういう次第でございまして、二十八国会に提案されるようにいろいろ準備されたのでございますけれども、残念ながら間に合わなかったというのが実情でございます。 なお、建設省といたしましては、この汚濁対策に関しまして汚濁の最もはなはだしい東京都の隅田川につきましては、汚濁の防止という見地から浚渫の工事を行なって参っております。東京都に補助を出してもやっております。昭和三十三年度は、東京都の浚渫工事といたしまして、約一億二千万円の事業量をもって浚渫を行うことに相なっております。 それからまた一方、水質が汚れておると言われておりますが、その実態を明らかにするとともに、先ほど申し上げました水質の汚濁の許容基準の制定の参考にもしたいという見地から、昭和三十三年度におきましては、水質の汚濁の著しいと認められまする江戸川、隅田川、淀川、及び遠賀川の四河川につきまして、約百六十四万円の予算をもって水質の試験、調査を行うことにいたしております。 水質の問題につきましての私どもの考えは、先ほど申し上げました方針で、今後も至急に検討をして成案を得たいというふうに考えておる次第でございます。
○説明員(美馬郁夫君) 私どもの方の担当は下水の関係でございますが、下水の問題につきましては、先般の国会におきまして御決定を得ました下水道法が関係しておるのでございますが、下水道法の第八条に、放流水の水質の基準という条項がございまして、「公共下水道から河川その他の公共の水域又は海域に放流される水(以下「放流水」という。)の水質は、政令で定める技術上の基準に適合するものでなければならない。」こういうことになっておりまして、目下この政令につきまして、関係各省といろいろ準備を進めておるのでございます。実は、この政令の内容は、先ほども河川局長からの御説明にありました、水質汚濁に関する一般の法律が出ますれば、その関係の基準と歩調を合せる意味でございますが、その関係は先般の国会には出なかったのでございますが、私どもの方ではとりあえず公共下水道関係の放流水の水質の基準はできるだけ早い機会に作りまして、この方面から浄化をはかっていきたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
○委員長(上林忠次君) それでは、こちらから当てさしていただきますが、各省回っていきますけれども、次に農林省にお願いいたします。
○説明員(西村健次郎君) 水質汚濁につきましては、今度の本州製紙の問題は、直接の多くの被害者は漁業者であります。この水質汚濁の問題は、何も最近始まった問題ではなく、各地において非常に問題を起し、いろいろなトラブルがそこに発生しておるわけであります。政府におきまして、いろいろ水質汚濁に関する立法措置につきましては、ただいま建設省の方から御説明がありましたような経過を最近までたどっておるわけであります。従いましてその経過につきましては、私どもあらためて申し上げるまでもないと思います。ただ、私の方としましては、この四、五年来ずっと継続して、水質汚濁による漁業の被害というものを調査しております。三十二年度につきましては、まだ数字が最終的にまとまっておりませんが、三十一年度につきましては、私どもの各県からの報告によりますと、件数につきましては、四百七十八件、それから被害金額というものにつきましては、約八億円、それから関係事業場は三千程度というような数字が出ております。これはいろいろ被害金額なり、そういうものにつきましては、いろいろ見方がありますので、必ずしもこれが最終的な権威ある数字というふうには私ども申し上げませんけれども、いずれにしましても、水質汚濁の問題、ことに工場、事業場の最近における化学工業の発達等に伴いまして、最大の被害を受けるのは漁業者であります。特に漁業者のうちでも沿岸のいわゆる貝を取ったり、ノリを取ったりする小漁師が多いわけであります。従いまして浦安におけるがごとき不祥事件もたまたま勃発したということになるわけです。しからばわれわれとして水質汚濁に対してどういうふうな立法措置と申しますか、措置をとるべきかということにつきましては、これはまず、今、建設省からもお話がありましたように、やはり一定の水質の許容基準というものを作って、これを守らせるということがまず第一に必要であろうと思うのであります。しかし、そこで一つ非常に必要なことは、水質許容基準ということが非常に問題がむずかしい。なかなかきめ手が出ない場合も多い。たとえば漁業に対する被害につきましても、毒物の毒性そのものと、それの拡散度と申しますか、広がる度合いというようなものもあわせて考えなければならないというような関係もありまして、従いましてなかなか許容基準の問題はむずかしい。率直に申し上げれば、この許容基準が何らかの妥協の産物のような格好でできました場合において、果してそれで漁業者が救われるであろうかというような問題があるわけです。いろいろ考えますと、その水質許容基準というものは、たとえきめるにしても、相当の時日を経過するということをあらかじめ考えなければならない。その場合におきまして、単なる水質許容基準のみを定めるということでは問題の解決に資さないのではないか。従って私ども農林省としまして、ことに被害者たる水産の立場といたしましては、許容基準を定めて、それをエンフォースするという一つの行政的な制度のほかに、現実に問題が起った場合において、これを平和的に解決に持っていく何らかの制度が必要ではないか。これは調停制度のようなものでありますけれども、これにつきましてもいろいろ問題はあろうかと思います。これはいろいろ法制等につきましても、なお考えなければならぬ点がございますが、一つの調停委員会のようなものを作って、そこで調停をやっていくということが合せ行われないと、実は許容基準のみの法律ではなかなか現実の解決には役立たない、こういう感じを持っております。それから実は、先ほど建設省からの御指摘もありましたように、ただいまのところ、水質に関する法制はいろいろございます。河川法の十九条、あるいは私どもの水産資源保護法の第四条、あるいは鉱害防止の法律にも関係がありますし、下水道法とか、いろいろございますが、考えてみますと、水質汚濁の問題はごく簡単に申し上げますと、加害者の立場に立つものには工場、事業場、あるいは都市の下水等もございますが、最も問題の起りやすいのは工場、事業場、これの主たる所管官庁は通商産業省であります。それから被害者の面につきましては、漁業につきまして、あるいは畑作、稲作の被害等につきましてはこれは農林省である。それから上水等につきましては厚生省と、こういうふうに多岐にわたっておるわけであります。従いまして、私どもの所管する水産資源保護法におきましても、省令ないし都道府県の規則で水質規制の法令ができる建前にはなっておりますが、そういったこの問題に関連する諸官庁が多い現実の姿にかんがみて、現在の法律によってこの基準を守らせるための、何と申しますか、規制を加えていくということは適当ではないのじゃないか。率直に申し上げて、私どもまだ最終的には熟しておりませんけれども、この問題を実施するための特別の何らかの機関というものがあって、そこで第三者的な立場からすべての問題を勘案して実施していくということが最も適当じゃないか。従ってそういう面から、単に水質許容基準だけを法律できめるというだけでなしに、それを担保するための規定というものも新たに作らるべき法律に盛られてしかるべきじゃないか。こういうふうに考えます。 大体そういうことで、また御質問がございましたら……。
○委員長(上林忠次君) 農地局は御意見ございますか。
○説明員(正井保之君) ただいまいろいろお話がございましたが、農業もまた水質汚濁による被害者の一つでございまして、私どもの方としましては、制度的なものにつきましてはこれまでお話がありましたように、具体化の方向に持っていかなければならぬ、かように考えておりますが、主として対策としまして、私ども二十三年ごろから特に自然の毒水でありますとか、あるいは戦争中に強行して採掘を進めた、そのためにいろいろ被害が起きておるというふうなものを主として取り上げまして、直接に農地あるいは農業経営に被害を及ぼしているのを排除するというふうな措置をこれまでとって参ったのであります。まあおもに水源を他に求めるとか、あるいは毒水を地下に浸透させるとか、いわゆる客土というふうな方法でございますとか、あるいは毒水が流れて参りますので、毒盤と申しますか、地層にそういう盤ができております。これを除去するとか、あるいは客土いたしまして耕作に支障のないようにする。こういうふうな実際的な面を取り上げて、制度の整わない現在としましてはいろいろまずい点を排除していく、こういうふうな状況でございます。 それともう一つ、土地調整委員会がございまして、鉱業権の調整の方法があるわけであります。そういう毒水を流す場合に鉱区禁止、こういうふうな措置によりまして実はこういった面の被害を排除していく。こういった状況でございます。 全体の実情からしますと、まだ十分にはなっておらないというふうな状況でございます。
○委員長(上林忠次君) 次に、厚生省環境衛生部長。
○説明員(尾村偉久君) 水質汚濁の問題につきましては、何と言いましても生活の態様の変化と産業の発達で、国民が一方では非常に生活が豊富になりながら、逆に健康がしばしば侵される機会が非常にふえてきたということもふえて参っておりますので、この生命と健康の保持の意味で、ことに一番大切な飲料水の取得、これに非常な障害が最近は起っております。そのほかになお、これらの悪い水に触れるためにからだの外部からいろいろな障害を起し、ないしはこれが不慮に口内に入りまして、病毒あるいは毒物によりまして直接中毒あるいは伝染病の発生をするというようなことが最近頻発を見て参りました。これのためには人間がみずから排泄する、すなわち伝染病のもとになるような糞尿というようなものの処理につきましては、今回下水を通じましては下水道法によりまして、放流水の水質を規制するということが期待されております。 なお、糞尿そのものをまき散らすということは、従来清掃法によりまして一定の規制を加えておりますが、これら以外の形できます毒物、あるいは病菌というものの規制に適切な直接の取締りの方法がなかったわけであります。 二十八年以来、先ほど御説明のありましたように、この水質汚濁防止の点は、健康の保持という点で非常にこれは緊急なものでございますので、厚生省も中心になりまして十数回の協議会を開きまして、かなりその重点は保健の保持ということで進めて参ったのでありますが、ただ何と言いましても、同じ水から起るものが健康にも障害を起し、また人間にぜひ必要な飲食物の生産にも被害があるというようなことでございますので、そう幾つも基準をばらばらに作ってはいかぬ。またそれでは能率的な実際の改善は行われないということで、厚生省も賛成をいたしまして調整をはかるために、経済企画庁にお願いをいたしまして、これに審議委員として加わりまして、この水質汚濁防止のできることを期待しておるわけであります。現に厚生省からこの専門の技官を経済企画庁にも併任をさせまして、この保健衛生の専門的な問題で落ちのないようにということで、この審議にも常時加わっておるわけでございますが、さような意味で、現在持っております法律、あるいはその他の取締りのやり方におきましては、現在のところ万全は期せられないと存じておりますので、すみやかにこの水質汚濁に関する地域別の水質の一定の基準ができ得る規制が非常に早く必要である、かように存じておるわけでございます。
○委員長(上林忠次君) 次は、通産省企業局次長樋詰君お願いいたします。
○説明員(樋詰誠明君) 私の方の通産省といたしましては、今までにどういうことをやってきて、現在はどう考えておるかということは、お手元に簡単な、「水質汚濁防止措置に関する当省の対策について」という資料を差し上げたわけでございます。大体この経過につきましては、先ほど農林省、建設省等から皆様が御説明申し上げたこととほとんど同じでございます。通産省といたしましては、現在水質を汚濁しております非常に有力な原因となっておる工場、事業場の大部分を所管するといったような関係から、二十八年から産業合理化審議会の中に産業関連施設部会というものがございますが、そこで排水分科会を設けまして、学者あるいは学識経験者等を中心にいろいろと対策を研究して参ったわけでございます。で、いろいろな角度から排水の実態調査とか、あるいは規制する場合の水質基準の点等、あるいは処理施設方法を施す場合にどういうふうにすれば一番いいか、あるいはそれを普及させるにはどういうことを心がけるべきかといったことについて、せっかく努力をしてきたわけでございます。たまたま昨年――これも各省から申し上げましたが――経済企画庁の方で水質汚濁防止に関する草案をほぼまとめられたわけでございますが、その際に私どもといたしましてもそれに参加いたしまして、いろいろ通産省の立場から意見を申し上げたわけでございますが、原則的には企画庁でお作りになりましたこの水質汚濁防止法というものに賛成という立場をとっているわけでございます。 ただ通産省として特にその際申し上げましたのは、そこにも書いてございますが、工場、事業場の中には非常に資力の乏しい中小企業というものが相当ございます。ことに繊維関係、あるいは紙、パルプ関係といったような、水をよごす点において非常にその程度の高い産業に比較的中小企業関係、資力の乏しいものが少くないといったようなこともございますので、そういう企画庁の方で水質、許容水質をきめられる母法といったようなものをお作りになる際には、この法律の中でその除害施設の設置について必要な国としての助成措置ということができるのだということをきめていただきたいということを政府に要望したわけでございます。それと同時に、企画庁の方でお作りになりましたのは、これは皆様御承知のように、流してもいい水質の許容基準をおきめになるということでございますので、それを受けまして、その許容された基準の水を流すというためには、工場の方でいろいろな施設をしなければならない。そこでその施設をさせるためにどうしたらいいか。たとえばそういう工場汚水を排出せざるを得ないような産業が新しく工場を起す、あるいは拡張するといったような場合届け出でさしてその排水をどういうふうに処理して流すつもりでおるか、どういうような汚水処理施設を考えているかというようなことを十分に、実行に着手する前に計画をとりまして、そうしてこういう施設では許容された水質を守ることができないと思う場合には、その施設の変更命令をする。それでまた、先ほども申し上げました中小企業等においては、十分な金ができないといったようなものも少くございませんので、場合によっては国の方で一定部分の補助金を与えるとか、あるいは中小企業金融公庫であるとかあるいは開発銀行であるとかいったような政府機関から長期低利の金を融資させるということによって、そういう除害施設が設置しやすいようにさせるといったようなことを内容とする水質汚濁防止法の施行法といったような法律を作るつもりで企画、検討いたしたわけでございます。不幸にいたしまして、水質汚濁防止法が前の国会において御審議願うというところまで行かなかったわけでございますので、われわれの方でもそれ以上の作業というものは今ちょっとストップしておるような格好になっておりますが、しかし、この汚水問題ということに対しまする根本的な考え方は、このときにわれわれの方が、そういう除害施設を設置するについての規制、監督あるいは助成といったようなことをやって、できるだけ加害者、被害者の間の利害を調節しながら産業関係の、あるいは日本経済全体の円滑な発展をはかっていくために、積極的な促進剤たらしめようというような気持におきましては、全然現在も変っておりませんので、特に最近の本州製紙の問題等から非常に各方面にこの汚水についての関心が高まっておる折でもございますので、われわれといたしましては、今後もできるだけ迅速に具体的な除害施設設置に対する法案を成案を得るというふうに最善の努力をいたしたいと、そういうふうに思っております。 それからなお、通産省はいろいろな工場、事業場を所管しております関係上、ここにもございますように、二十九年度から水質、排水処理の技術の研究についての補助金を民間に交付し、あるいは各種の官営の試験所におきましてどういうふうな施設をすれば一番迷惑を及ぼさないで済むかといったようなことも特別研究のための国費の予算化をお願いいたしまして、着々と研究をいたしておるわけでございます。 それから、これも最後に書いてございますが、毛織物の産地である愛知県の尾西地区、あるいは富士の岳南地区、これは紙パルプ等の非常に密集している所でございます、それから、和歌山の繊維工業の盛んな地域、あるいは大阪付近の布施の地域といったような所におきましては、たくさんの中小企業が密集いたしまして汚水を流しておるということのために、建設省の方にお願いいたしまして、昨年から継続事業で共同の排水路を作っていただくということをやっておりますが、今後もこういう公共事業費における排水処理施設の施行と並んで工場自体が処理する排水浄化施設というようなことにつきまして、せっかく努力をしていきたいと考えております。
○委員長(上林忠次君) 次に、先ほど来施設の問題につきまして建築基準法に関連した問題が出ておりますので、住宅局長の御意見をお願いいたします。
○説明員(鬼丸勝之君) 建築基準法の施行を担当いたしておりますので、この面からこの水質汚濁の対策をどう考えておるかということを申し上げたいと思いますが、御承知のように、現存の建築基準法では直接的にこの種の水質汚濁の防止をはかるような規定はございません。ただ、この種のものを含めまして一般的な公害の防除をはかるために、用途地域性によりまして、御承知のようにその地域の性格を規定いたしまして、その性格に合わないものは当該地域には建てさせないというようなことによりましてある程度公害の防止をはかっておりますが、今回の場合は工業地域内にこの工場が建てられておるわけでありますから、現在の用途地域の建前から申しまして、別に不都合はないと、こういうのが現在の制度になっております。ただ、今後建築基準法の改正の問題といたしましては、この種の公害防止につきまして、建築の構造設備の面において、もう少し精細な規定を設けるように検討いたしたいと考えておる次第であります。それにいたしましても建築そのものの規制、あるいは建築物の敷地の規制というこの方途をもっていたしましては、この種公害の防止にはあまり多くの期待は持てないのではないか。むしろ他の方途とあわせて建築規制の面からも協力してもらいたい、こういう考え方で、基準法その他の関係法令の改正の際にさっそく検討を進めて参りたいと考えておる次第でございます。
○委員長(上林忠次君) 最後に、経済企画庁の調整局農林課長吉岡君、お願いいたします。
○説明員(吉岡茂君) 経済企画庁といたしましては、昨年の春以来特に水質問題につきましては、関係各省が非常に多い関係から、経済企画庁におきまして各省間の意見を調整しまして、第二十八通常国会に水質汚濁の規制に関する法律を提出するために関係各省の意見の調整を行なってきたわけでございます。ところが、先ほど各省からの御説明にありましたように、各省間の意見の調整ができませんで、ついに法律は提出することができなかったわけでございますが、今回の事件にかんがみまして、さらに次の国会に提出するよう至急成案を得るように内容につきましてさらに検討を加えていく必要があると考えております。
○稲浦鹿藏君 大体各省の考え方を聞きましたが、結局今、経済企画庁が言われたように、おのおのの立場から主張しておって意見が一致しない。だから、法律が出せないというような現状にあると思うのであります。これが、今の本州製紙の問題から考えましても一日も早くこれを決定して、その基準といいますか、国としての指導原則をきめることが最も急を要する問題であると思うのです。たとえば本州製紙の例の認可処理を見てみますと、東京都が例の工場公害防止条例によって認可しておるのですが、問題となっておる汚水の点については、きわめて簡単に処理しておる。もう少し技術的な立場から見て考えれば、ああした問題はあんなに大きく起ってこなかったのじゃないか。たとえば沈澱池の問題なんか、実際は私は見ませんが、図面で見ますと、きわめて簡単な小さいものだ。ところが、出てくる沈澱物は非常に多量なものが出てくるのであって、で、今となっては、これを設計変更して、大きな貯水池に切りかえたということを聞いておりますが、こういうことは、初めからわかっておることだから、こうしたことを認可申請を許可するときに、もう少し突っ込んで研究しておく必要があるのじゃないか、こう思います。と同時に、こうした施設をどんどんさすということになりますと、通産省が言うように、相当経費がかかりますから、工場の生産の上にも相当影響するから、これに対するやはり行政的の措置というようなものが、当然考えらるべきものだと思うのです。各省の意見をまとめてやるということは、非常にむずかしいと、また地方的にもおのおの違ってくると思います、工場立地の条件がおのおの違っておるのですから。といって一日も、そう長いこと放って置くということは、またこういう問題が起ってくるし、またこの問題が、だんだんと多く波及してくる状態にありますから、この次の国会あたりまで、これをまとめる確信を持っておるかどうか、これはどこですか、経済企画庁ですか。
○説明員(吉岡茂君) 経済企画庁としましては、もう一度内容を検討し直しまして、まとめていきたいと考えております。
○稲浦鹿藏君 問題は、通産省じゃないかと思うのですが、通産省は、これに対して、助成の措置とかいうようなことは、当然考えてやらなければならぬと思うのですが……。
○説明員(樋詰誠明君) 私の方では、先ほども申し上げましたように、できるだけ許容された水質を確保するための施設は、万難を排しても作らせると、そういう基本方針でおるのでございますが、非常に大きな大企業につきましては、これは自力で作れと言っても、社会的にそう不公平もなかろうと思われるものもございます。しかし非常に、中小企業その他、ことに一人々々の責任というよりも、集まって、そして相当の被害を与えておるといったようなところにつきましては、これは相当、国の方で国費を投じてでもめんどうを見てやるということが必要になるのじゃないかと、そういうふうに考えられておりますので、法律をもって、除去施設を作ることを強制するということをやる以上は、やはり一定の場合には、国の方で、必要な補助金を出すとか、あるいは低利長期な金を貸すということは、これはぜひやっていただきたい。これは、程度は、予算その他で、個々の折衝でなるのでございますが、とにかくお前はもう被害を与えているのだから作らにゃいかぬということで、たまたま今までできておったところは、そこはあまり問題がなかった、これからは強制的に作らされるといったような場合は、たとえば固定資産税……、あるいは特別償却で償却という、収益を生まないような場合のものをどうしても作らせられるといったような場合には、短期に特別償却で償却してしまうといったような税法上の恩典も認めてやるから作れといったようなことで、あるいは鉱山の汚水の排水処理施設には、現在一応固定資産税が免除されているわけでございますが、工場のそういう排水処理施設についても、これは収益を生むようなものでないといったようなことであり、しかも法律で強制して作らされるというような段階になれば、固定資産税は免除してやるといったような、地方税法における税法上の措置によって、ある程度作ることを刺激する。同時に、中小企業等に対しましては、先ほど申しましたように、中小企業金融公庫あるいは開発銀行といったようなものから、長期低利の金を貸し、さらに金融だけじゃ無理だというような場合には、国家の方で一定限度までの補助金を与えるといったようなことができるように、少くとも助成措置というものが、規制措置と並んで、法律の中に明示されるということが絶対必要であろうと、こう思っておりますし、通産省といたしましては、少くともこの次の国会までには、そういったような内容を含んだ法律というものが、政府全体の了解のもとに国会に提出されるということを熱望し、その線に、ぜひ実現するように努力していきたい、そういうことで、この次の国会を目ざして、具体的に法律を出す準備を、今からいたしている次第でございます。
○稲浦鹿藏君 もう一つお伺いしますが、農林省ですか、もうすでにこうした問題が起った場合、この本州製紙のような問題、これの解決をやる方法として、農林省はどう考えているのですか、何か先ほどちょっとあったのですが……。
○説明員(西村健次郎君) 具体的な本州製紙の問題でございましょうか。一般的な問題でございましょうか。
○稲浦鹿藏君 一般的に、たとえば本州製紙の例にしてもいいですが、それを基礎にして、将来どう考えていくか。
○説明員(西村健次郎君) これは先ほど申し上げました。繰り返しになるわけでございますが、本州製紙のような事件、こういう事件が起ってしまってからいろいろやるということは、はなはだ好ましくないわけです。まあ起りました事件はできるだけ円満に、この具体的な本州製紙の事件に例をとりますれば、この損害の賠償というような問題、これは東京都と千葉県が調停に入るようでございますが、これにつきましてわれわれの方の関係から適当に指導して参りたい。さらにその荒らされた漁場の方の復旧につきましては、東京都なり千葉県と現に話をしておりまして、あそこの問題を、水面につきましては、あそこに水産資源保護法による保護水面というのか設定されております。ここに多少の国費の補助もあります。これをさらに直すために、あそこを耕す、耕すと申しますか耕耘する、そして秋の稚貝の発生を容易ならしめる、そういうことをこの具体的事件についてはとってもらいたい。こういうふうに話を進めております。 なお、具体的な被害の調査につきましては、先週の十九日が大潮でございましたので、そのときにいろいろ調査をしたはずでございます。大体一週間もすれば、その結果がわかるようでございます。ただ、調査の結果のいろいろな評価という問題になりますと、いろいろむずかしい問題もあるようでございますが、大体の結果はわかるようでございます。ただ私どもとしましては、こういうふうな事件が起ってから問題をあれこれどう解決するということじゃなしに、やはり起る前に未然に防ぐということで、先ほど申し上げましたように、やはり一つの水質汚濁の防止に関する法律を制定していただきたい。これは御承知のような経過でありまして、各省にまたがり、いろいろそこの権限の問題もありまして、不幸にして去る二十八国会には提案を見るに至らなかったわけであります。次の通常国会であろうと思いますが、いろいろ今通産関係の予算的な問題もからみますので、できるだけ早い機会に、有効適切な水質汚濁の規制に関する法律を作成したい、こういう念願でおります。
○武藤常介君 ただいま汚水の問題で各官庁から御説明がありまして、一応わかりましたが、海岸地帯の炭鉱、その海岸に対する魚族の減退が最近非常に目立ってきまして、これが相当問題化しつつあるのでございます。これらに対しましては、通産省並びに水産庁の御意見を伺いたいと思います。
○説明員(樋詰誠明君) 炭鉱の排水処理施設につきましては、これは一般工業の処理施設と異なりまして、現在すでに地方税におきましても固定資産税の免除というような優遇をされておりまして、これは通産省といたしましても、できるだけ汚ない水を流さないように、そういう恩典まで認められておるという趣旨を十分生かして、それらの施設をするようにということで、せっかく今まで指導してきたわけでございますし、今後も鉱山保安法で規定されております精神にのっとって、そういう悪水は流さないようにということにつきましては、十分な監督もし、指導もしていきたい、そういうように考えております。 それからなお、別途不幸にして現実にいろいろな被害が起って、あるいはその損害賠償といったような問題が起った場合に、これは従来は大体当事者の間で話し合いということで解決したわけでございますが、どうしてもそれが当事者の間で話がつかぬといったような場合には、何らかの公平な第三者による調停ということも合せ考えられてしかるべきだ、こう思っておりますので、一つ一つの事件が起りました際には、事業の所管官庁といたしまして、通産省といたしましては十分な行政指導も行なっていきたい、それによって被害者に対する損害をできるだけ最小限度に食いとめるように持っていきたい、そういうように考えております。
○説明員(西村健次郎君) ただいまお話の炭鉱の被害でございますが、たとえば微粉炭が海底に沈積しまして、そのために魚介類が窒息するというような事例があるように聞いております。これはいわゆる化学的な成分と水質の問題と多少違いますが、やはり広い意味の水質汚濁の問題であろう、従いまして私どもの方といたしましても、単に化学工業による汚濁水のみならず、そういうものにつきましても立法措置をする場合には考えていただきたい、そうしてそのいかなる除害施設が適当なのか私にはわかりませんけれども、これは今企業局次長の方からお話がありましたように、いろいろ方策はあろうかと思います。これはなお通産省あたりと十分な連絡をとりつつ、そういう方面における被害を最小限度にとどめたい、こういうふうに考えております。
○武藤常介君 ただいま通産省並びに水産庁の御説明をいただきましたが、常磐炭鉱方面で相当最近問題化しておりまして、私どもにも相当の陳情が参っておるのでありまするが、通産省並びに水産庁の方には何らそのお話はないのでありますか、その状態をお伺いしたい。
○説明員(西村健次郎君) 私どもの調査で、こういう本州製紙のような大きな、中央にまで大きくジャーナリスティックに取り上げた事件としてはございませんが、報告は聞いております。大体炭鉱の被害が三十一年度に四十件ございました。そのうち福島県で石炭の関係が一件、茨城県が大体二十件くらいあるようであります。
○武藤常介君 ただいまのような状況でありますが、昔と違いましてだんだんすべて漁業者にしても一般的の科学知識というものが進んで参りまして、相当調査研究もされておりますので、ことに今度のような本州製紙のような問題が起りますと、各方面のそういった方面の知識に刺激を与えまして相当やかましい問題にされつつある、こういう時代でありますので、今度法を制定するに当りましては細心の注意を払って、各方面の十分な研究を遂げて、法を作成せられるように私は希望を申し上げます。
○西田信一君 経済企画庁と通産省にお伺いしますが、ただいま御説明によりまして、近い国会に水質汚濁に関する法律案を出すという御決意を承わりましたのでございますが、そこでお聞きしたいのは、こういうような事件が起きて、なおさら全国的にいろいろな刺激を与えておりますが、そうでなくても各地でやはりこういうことがかなり問題になっておって、それぞれの都道府県等においてこの問題を条例等で処理しよう、こういう考え方、そういう動きがかなりあるように聞いております。具体的に都道府県でどういう動きがあるのか、お調べになっておったらそれを承わりたいのですが、それと同時に、近く国会にそういう法律案を出されるといたしますれば、これらの都道府県のそのような条例等による措置とどういうふうに調整をされる御方針であるか。経済企画庁並びに通産省からその実態とまた考え方についてお伺いしたい。
○説明員(樋詰誠明君) ただいま御指摘のございましたように、東京、大阪、神奈川、福岡といったような非常に工業の盛んな各都道府県からは、何らかの格好で規制をしなければいかぬというのでいろいろ検討してみたが、しかしどうもやはり国の法律といったようなものでぴしゃりと基準をきめてやっていただくということでないと、非常にその地域々々でアンバランスな条例を作ってやったのではこの施行の効果ということも必ずしも万全を期しがたいので、できるだけすみやかに――自分の方でやってみたけれども、条例ではおのずから限度があるのじゃないかということがようわかったので、国で至急法律を出してくれといったような趣旨の陳情といいますか、御意見はわれわれの方も再々承わっているわけであります。われわれの方といたしましては、先ほど申し上げましたように、ことしの春の国会で企画庁の方の案でお出しになるということであれば、さらにそれを小さい企業に強制をする場合に、国である程度助成ができるというような、抽象的な規定でも何でもけっこうでありますけれども、そういうことを入れてさえいただくならば、至急あの法律を施行していただいて、それを受けてその施行法を作りたい、こう思ったわけでありますが、今の各府県の陳情等の趣旨も十分入れて、そうして無理でない、しかも被害者に決して迷惑にならないような合理的な法律を作るということに最大の努力をしたい、こう考えております。
○説明員(吉岡茂君) 第二十八通常国会に提出を予定しておりました水質汚濁の規制に関する法律におきましても、実は水質の基準をきめた場合は、その基準は、関係法律並びに関係の条例においてはその基準を適用しなければならない、そういうように調整をすることになっておったわけであります。従いまして、今度もし次の国会に法律が出たといたしましても、関係条例はそれによって統一をとる、そういう仕組みになると思います。
○西田信一君 ただいま例をあげられた四都府県以外に、最近も何か山口でございましたかどこかで具体的に条例案が進行している。こういう新聞記事も読んだのですが、これは各工場から何か負担金のようなものを出させまして、そうしてこれを全部集めて適当な措置をする、総合的な施設をする、こういうような計画らしいように新聞紙上で見たのですが、そういうような地方的に解決できる問題であればけっこうですけれども、私は先ほどお話の通り、一面において水質汚濁を防止するということは必要であるが、それがまた非常に企業上の大きな負担になっていくという面もあって、なかなか府県単独では解決が困難な面が非常に多いのじゃないかというふうに考えまして、今質問したわけですが、たしか山口県でありましたか、そういう具体的に進行しておるということを実は新聞で見ましたので特にお尋ねしたのですが、少くとも政府が今回の事件を契機とされまして、急速にこの法律案を出されると、しかも先ほどの御説明を聞いておりますと、各省の考え方を総合すれば、かなりりっぱなものができ上るように実は期待するわけでありまして、一つそういう面につきましては、都道府県のそういうような陳情があるなしにかかわらず、急速にやっていただきたいことを希望いたします。 それからもう一点お尋ねをいたしますが、これは経済企画庁にお尋ねをするのでありますが、こういう問題が表面化するとしないとにかかわらず相当各地に問題がくすぶっておるということは事実でございますが、そこでこれは最近日本の沿岸漁業というものが、いろいろな条件のために結局はどうも成り立たないというような状況にある。これはもう水産庁でもよくおわかりのことであって、その次にまたこういうような水質汚濁という問題が一つ加わって参るわけでございますが、それ以外に非常に何といいますか、沿岸漁業というものは成り立たない悪条件が累積しておる状況下にあって、こういう問題が起きると、なおさら私はこういう問題が大きくなるというふうに考えられるわけであります。しかしながら先ほど通産省からお話になったように、この水質汚濁の防止ということは相当の施設を要し、またこれが企業の上に大きな負担になることはもちろん、これは画一的には言えませんけれども十分考えられることであり、また産業と産業のウエートの問題から考えましても、十分検討の余地がある問題だ、検討と申しますか、そういうことをやらせる上に、国がいろいろ考えてやらなければならない面があるというふうに思うわけでございます。そこで通産省からは先ほどいろいろな長期融資あるいは補助金、あるいはまた税法上の保護、こういう面について考えていこう、考えなければならないという御見解がございましたが、経済企画庁としては、そういう面についてどういうような見解をとっておられるかお伺いしたいと思います。
○説明員(吉岡茂君) 経済企画庁といたしましてはもちろん、関係各省の御意見を十分に取り入れまして成案を作りたいと、そういうふうに考えております。
○高野一夫君 本州製紙の問題と、それからそれをもとにしまして一般的の問題は、われわれ決算委員会でも討議を進めておるわけですが、先般来も、近き将来に水質汚濁防止の法案を出すことが必要じゃないか、という各委員の質問に対しては、各官庁がすべてその必要があるということをお認めになっておる。しかし先ほど来も稲浦さんからお話がありました通りに、各省のほんとうの考え方というものは非常に食い違っておるのじゃないかと思う。そこでこの調整の法案を提出するということは、非常にわれわれとしては急ぎたいのでありますが、そのために先ほど西村水産庁次長のお話にもあった通りに、かえってこれが悪用されて、そうして漁民側の被害なら被害というものを、これはわたしの方の工場だけでやったんじゃない、ことに法律で定めた水質基準の範囲であるという、こういうようなことをたてにとって、漁民側に不当なる圧迫を加える可能性がないでもないと、こう思う。そこで私は先般も河川局長に伺って、中途半端になって、委員会をおしまいにしたわけでありますが、現在直轄四河川において水質検査をやっておると、こういうお話があった。伺うとケミカルの検査をやっておる。こういう話があって、それが生物にどういう影響を与えるかという検査は、そのもくろみの中に入っていないように私は伺った。そこでこの資料の中にもある通りに、ここで水質許容基準というものを設定をして、そうしてそれを元にして何か法令化する、あるいは審議会を作ってやっていくというような場合に、どういう点を一つ目標にされて基準を作ろうとされるのか、こまかいデータはまだいろいろ検査試験をしなければ出ないでしょうけれども、目標はどこに置いておられるのか、それをまず伺って、あと引き続いて一、二質問をしてみたい。
○政府委員(山本三郎君) 水質基準の問題につきましては、企画庁で例の資源調査会の勧告などがありまして、それらのものを参考にいたしまして基準をどの程度にしようか、あるいは地区別にその地区の産業あるいは水道にとっておるとか、あるいは水産業が行われておるとかというふうないろいろな条件を加味いたしまして、地区ごとに水質の基準を定めていかれる、こういう方向だと思っております。その中に規定さるべきものは、主として一般的事項といたしましては、酸性、アルカリ性の強度であるとか、あるいは酸素の含有量であるとか、あるいは一般の細菌の含有の箇数であるとかいうものに対しましての基準を作っていくと、こういうふうに考えられております。その他といたしましては、特別に絶対にあったらいけないというような毒物もあるわけでございますから、それらのものが出そうなものにつきましては、それらも規定していくというふうな方向に進められるだろうというふうに考えております。
○高野一夫君 西村さんに伺いたいのでありますが、ただいま河川局長はああいうお話であるけれども、先ほど次長のお話にもあった通りに、その汚水が放流されていろいろ拡散する、その濃度、いろいろな関係によって、土地の情勢もいろいろ影響して参りましょうが、それが魚介類に与える影響というものがいろいろ違ってくるはずです。そういう一定のただ基準を設けるということだけでもって、常に流れている川、流水、これにこの基準をあてはめた場合に、それが生物に特に魚介類にどういう影響を及ぼすか、ということを判定することは、これは非常にむずかしいことだろうと思うので、これがただ酸がどうだ、アルカリがどうだ、やれ毒物があるとかないとかいうことだけで、簡単に基準というものはきめられないのじゃないか。こう思うわけでありますが、そうするとこの試験を建設省でおやりになろうと、厚生省でおやりになろうとを問わず、これが魚介類にどういう影響があるかということをまず考えての基準を設け、それを目標にしての試験をやらなければならないのじゃないか。それならば水産庁なり、建設省なり、あるいは通産省なり、厚生省なりが共同のもとに、この基準の設定のための試験を相談をし合っておやりになる。こういうのでなければ、建設省は建設省で直轄河川でやってみる、厚生省は厚生省でやってみる、水産庁は水産庁でやってみるということだけでは、どうもなかなかこの基準を設けるということが実際にそぐわない結果になるのじゃないか、こういうふうに私は憂慮する。この点について西村次長の御見解を聞かせておいていただきたい。
○政府委員(西村健次郎君) 高野委員からの御指摘のありましたような点は、私ども懸念されるわけであります。たとえば水質汚濁につきましても、この本州製紙の例をとりましても、単に水の汚濁のみならず、廃液中に含まれる。パルプの繊維、それが海底に沈澱してヘドロの状態になっている。そのために貝類が窒息して死ぬというような事態になっている。しかし水質の基準とかいう問題は、特にこうした事業について考えれば、被害を受ける部面と、非常にその被害を及ぼす水を出すところでは違う場合が多いわけです。たとえば本州製紙の問題も、江戸川八キロ上流の本州製紙の江戸川工場、被害を受けるところは河口から先の水面である。従ってわれわれとしての最も関心は、その漁場における被害がどの程度であるかということであるわけです。しかしそれをどういうふうにして担保するか、許容基準といいますか、魚族に対する被害を防ぐかということになりますと、実行的な面を考えますと、工場、事業場についていえば、その工場からの排水で押える。その場合については、今のような化学成分というものが主体になるだろうが、その他の來雑物、今のような沈澱を起しているようなものも、そこに含まれてしかるべきじゃないかというふうに考えております。いずれにいたしましても非常にむずかしい問題でありまして、関係するところは大きいわけであります。被害を受けるのは私ども水産業関係の漁業、あるいは飲料水関係ということでございます。その場合においても飲料水と漁業の関係では、またその水質に関する見方も違うであろうし、従いましてこの基準設定のための研究につきましては、てんでばらばらに各所管庁が研究を進めていくというわけにはいかないのであります。かりに法律ができまして、基準を作る場合におきまして、関係各省が協議して緊密な連絡のもとに基準を作って参らなければならない。ただしそういたしますと問題がなかなかきめ手がないということが、率直に申し上げてありますので、なかなか基準がきまらない。しかも基準は地域的またはもう少し申し上げれば時期的にも、客観的条件によって違って参ります。あれやこれや考えますと、やはり基準を作ってこれをやるということは、第一義的に考えるべき制度でありますけれども、それだけではなかなか現実の問題の解決にはならないということで、先ほど申し上げましたような現実に解決する方途としては、別途調停制度というようなものが考えられてしかるべきじゃないか。この点はもちろん政府部内でまだそこまで意見は一致しておりませんが、私どもはそういう強い希望を持っております。
○高野一夫君 この汚水によって魚介類が非常な被害を直接受けて死滅するということのほかに、今も繊維の例を引いてお話がありましたが、直接死滅はさせないけれども、逃げていくというような状態になる場合がしばしばあるはずだと思うのです。そういうこともやはり私は、水質基準を設けるという意味からいけば、考慮していかなければならないじゃないか。なかなかこれは非常に私は実際問題としてむずかしいことと思うので、各官庁において十分一つ念を入れて御研究を願いたいと思うのでありますが、さらにもう一つ通産省でありますか、企画庁に伺った方がいいのか、どちらでもけっこうでありますが、今度の本州製紙の事例を見ましても、一つの権能を持って両者の間の調停をはかってやるということができないように思う。従来においても、たとえば先ほどもお話があったように三十一年に四百七十八件の事例がある。いろいろな解決を見ても、まあたまには都道府県とかあるいは水産庁とか、いろいろあっせんはされるでありましょうけれども、基本としてはただ当事者同士の話し合いで損害賠償をする、見舞金をやるというようなことになっているわけなんです。それだからいつのまにか今度は、漁民側がいろいろ口実を設けられてたたかれて泣き寝入りになって、ある程度の少い見舞金でがまんしなければならないというような場合が、しばしば起るんじゃないかと思うわけなんです。そこで私どもが考えるのは、やはり水質汚濁防止の口実を作るという考え方にいくならば、やはりどんな強い法律を作っても――非常に強い法律を作らなければ意味をなさないと思うけれども、やはり何らかの紛争状況が発生するだろうと思う。その場合にこの法律に基いて両者の間の紛争を調停するということを、法律の中に調停する方法なり、権能なり、そういうようなものをきめなければ、やはり私はざる法案みたいなことになってしまうじゃないかと思うのでありますが、その点についてはどういうふうにお考えになるか。企画庁でもよし、通産省でもいいのでありますが、お考えを聞かしていただきたい。
○説明員(樋詰誠明君) これは各省の意見の合わないところを調整するといったようなことにもなりましょうから、本来は企画庁の方でやっていただく方がいいと思いますが、われわれ一応通産省の側から申し上げますと、先ほど西村次長からも何らかの調停機関といったようなお話が出たわけでございます。われわれも被害者、加害者いずれの立場にも偏しない公平な第三者、といったような性格を持ったところ、でやっていただけるというのであれば、そういうその調停機関では困る、これはあくまでもおれの方でやるのだといったようなことは、これは申し上げるつもりは毛頭ございませんので、結局そういう調停機関において構成がどうなるか、といったようなことあたりが、ここが問題ではないかと思います。これは今後あらためて法律を企画庁でお出しになります際に、いろいろ各省の間で意見を戦わし、そうして企画庁でまとめていただくということになると思いますが、基本的な考え方としては今申し上げたようなつもりで、われわれはわれわれの作業を進めている次第でございます。
○田中一君 これは企画庁の方に伺いますが、水質汚濁防止という問題については、諸外国はどういう施策を持っていますか。
○説明員(吉岡茂君) 昨年から私どもの方で、水質汚濁の規制に関する法律を出す準備といたしまして、アメリカ、イギリス、西ドイツ、ベルギー各国の水質汚濁に関する規制の法律を一応訳したわけでございますが、先進各国は全部水質汚濁に関する規制の法律を施行いたしております。
○田中一君 単行法でやっていますか。それとも河川法なら河川法という、たとえば基本法でやっているのか。どういう方法でやっておりますか。総合された結論がそういう施策になっているんだという考え方もあるわけですね。
○説明員(吉岡茂君) 水質汚濁だけの単行法でやっているところと、それから河川法みたいなところで一緒にやっているところと両方ございます。
○田中一君 たとえば通産省はかりに、製紙会社の問題は通産省がやっているんだから、そういうものを出さないような施設をするということをきめれば、そういう悪水は出ない。だからそこはその面でやる、この面はこの面でやるということになればいいのでありますけれども、政治力の欠除といいますか、現段階ではここに表われているように八つの法律があっても、実際あまり実行されない、不十分であるということなのですから、それを単行法でやることによって、この八つの各法律の存在の価値がなくなるという考え方を持って法律を作るのか。これらも総合して、これらのものを完全な機能を発揮させて、そうしてそれを基本法に取りまとめていくという考え方なのか、どちらなのでありますか、諸外国の例ですよ、これは。
○説明員(吉岡茂君) たとえばアメリカの水質汚濁の法律の例をとりますと、各州によってそれぞれ違っておりますが、州の地方と州の中央と両方に委員会みたいなものを作りまして、水質汚濁の規制を一挙にやっている。そうして河川に汚水を放流する、そういうような場合にはこの委員会の許可を得る、そういうような仕組みでやっているのがアメリカの例でございます。
○田中一君 ほかの例も御承知ならばお知らせ願いたいと思います。
○説明員(吉岡茂君) 西ドイツにおきましては、これは河川法式に、河川法に類する法律の中でその一部としてやっております。それからベルギーも英国も大体西ドイツによく似ております。
○田中一君 そうすると現在の現行法としては、八つあるから徹底しないんだということも言えるのですか。もし今度単行法として出そうという考え方は、どこにおいております、それらの諸外国の例から見て。
○説明員(吉岡茂君) 今度新たに内容を検討していく場合におきましては、もちろん前の二十八通常国会に提出をするために準備しました法案をもとにいたしまして、さらに調停の問題なり、それから先ほど通産省の方からも特に御意見がございました施設に対する補助なり、そういう点をどうするか、そういう点を特に考えていきたい、こう思っております。
○田中一君 企画庁は調整をするような部局にあるならば、これらの現行法をこのままにしておいて、その上にもっていこうという考え方なのか。八つの現行法というものをゼロにしても、消してしまってそれで単行法を作っていこうという考え方なのか、どっちでもいいんですよ、われわれ追及するんじゃないんですから。
○説明員(吉岡茂君) 現在の企画庁におきまして考えた場合は、やはり現行法をある税度尊重いたしまして、それを前提としながらさらに一つの基本法的なものを作っていく、それが一番順当ないき方ではないかと、こう考えております。
○田中一君 あなたはこの河川法、下水道法、水産資源保護法、鉱山保安法、清掃法、港湾法、港則法、漁港法の八つの現行法が、それぞれの部面においてそれぞれの徹底をするならば、完全に防止されるんだというような考え方に立っておるのか、それが全然これはだめだから単行法でやっていくんだという考えなのか、今度出そうという考え方は。これは結局こんなものはあってもしようがないんです、あってもしようがないということはあなた方が今までいろいろと証明しておるんですから、こんなものはあってもこれは何にもなりません、だから作るんですということが結論づけられておるんです。このうちの河川法なら河川法というものを強化して、とにかく河川が入れ物なんですから、それに放流するわけですから、これを強化して他の現象を規制していくという考え方も一つで、西ドイツ、イギリス、ベルギー等もそうやっているというからそういう方法もありましょうけれども、経済企画庁が調整するんだという、調整部局として、これをどこにもっていっても困るから、企画庁がこれを所管しようという考え方ならば、はっきりした態度を示さなければ何にもならぬのです。だからどういう考えを持っておるかということを伺っておるんです。
○説明員(吉岡茂君) 経済企画庁で法律を出す場合、やはり現在の八つの法律を一応前提としましてさらに総合的なものを作る、それが一番妥当だと、こう考えております。
○田中一君 総合的なものを作るということは観念上のあなたの御意見であるんですよ。現在八つの法律があるんです、この八つの法律のどれをどうするという具体的なものがなければならないんですね。この八つの法律はどれをとっても部分的なものであって、総合的にはだめだということになるならば、総合的な一本の単行法というものは、これらの持っておるところの効果というものをせめて取り上げて、それを実施するんだということになるのか、それともこういうものじゃだめだから各法からこういうものを除いて、そうしてお宅個人の問題については単行法で全部に規制するんだという考え方なのか。態度の問題があなたの方ではあいまいだから結局だめなんです。もっとも企画庁なんというものはあいまいにしなかったならば、あっちからもこっちからも抵抗があってどうにもならなくなるかもしらんけれども、態度があいまいだからどうにもならぬことになるんです。私は一つの方法としては、河川法を強化しまして入れ物を強化し、従ってその他のものはそれを流すまでの問題を処理して下さいということも一つの方法だと思うのです。私はまだ西ドイツもイギリスも法律がどういうものか知らぬから、これから調べてもいいと思いますが、どっかでやはり今までやっているものを、そのまま認めながらやっていくということは、これはできないことなんですよ。経済企画庁の政治力じゃできません。だからやるというならば、態度を一つ当委員会に明らかにしてほしいんです。しかし責任を問うのじゃありませんよ。あなた立案やっているのでしょう、立案者として立案の態度というものはどうかということを伺っているのです。
○説明員(吉岡茂君) その点につきましては、私、経済企画庁の考え方としましては、先ほどから何べんも申し上げましたように、河川法なりその他の関係法令を一応尊重いたしまして、そしてやる。そういうようにもうはっきり申し上げております。
○田中一君 私はそういう、今ある八つの現行法を尊重しないで考えていかなければいかぬと思う。結局結論が、河川法の現在の規制に似る面もあるし、反対の面もあるし、他の法律もそれに乗ってくるか乗ってこぬかわからぬから、そういうものに考えないで、汚濁防止という主目的から立案しなければならぬと思うのですよ。そして立案した結果、河川法にも関係があった、他にも関係があったという考え方でなくっちゃならぬと思うのですよ。今言う通り、農林省やその他の役所の顔色を見ながらものをきめるといってもきまりっこないですよ。ことに委員会へくれば、建設関係の方の利益代表的な議員もおれば、農林関係の議員もおるし、まとまりっこないのですよ。まとまりっこないから今まで流産しているのですよ。はっきりした態度をもって臨まなければだめなんです。だから今あなたにそういうことを返事してもらうと言っても無理かもしれぬけれども、まあ一つこれもそういう諸外国の立法例があれば、それを翻訳したものがあれば一つ資料を出して下さい、拝見したいと思いますから。経済企画庁から資料要求だけ返事して下さい。
○委員長(上林忠次君) ただいまの資料要求に対しまして御返答願います。
○説明員(吉岡茂君) 提出いたします。
○説明員(西村健次郎君) ただいま外国の立法例のお話ございましたが、実は水質汚濁の調査団、生産性のチームでございます、それが二月ばかり行っておりまして、先週の十六日に帰って参りました。私どもの方の研究調査官、水質汚濁についてのエキスパート、これも行っております。実はきょうその報告を聞くはずでございまして、こっちへ出てきましたもので行かれませんで、地方に散らばっておりますのであと一週間か十日かかると思います。いずれその制度も、技術的な面も調査して参ってきておるのでございますから、私の方でもできるだけ早い機会にまとめまして御提出したい、こう思っております。これはアメリカのステートの立法例であります。
○田中一君 河川局長に伺いますが、結局あなたの所管の、河川にものを放流することなんですが、河川法を強化して、そうして汚濁防止という大目的に到達する道はありますか。あると考えられておりますか。
○政府委員(山本三郎君) 先ほどこの点御説明申し上げたわけでございますが、河川法の十九条によりまして従来取締りをして参ったわけでございます。しかし最近になりまして、非常にこの汚濁の問題が、今の法体系、法律あるいは規則等によりましては取り締れないような実態になって参りましたということで、私どもといたしましても河川法に基く政令なり省令なりを作りまして、先ほどからお話がありますような水質基準等を作りまして、それを準則といたしまして取締りをやるようにということも考えた次第でございますが、これは最近の実情から考えますると、建設省だけがその水質基準をぴしゃっときめるということは、非常にむずかしいような状況にある。これは産業の問題も、あるいは水産の問題も総合的に考えなければいかぬというような立場になりまして、その水質の基準等につきましては、ぜひ一つ各省の意見を聞いた上で、その基準に基いて河川法の必要なる条文を改正しなければならぬ問題がありますならば、そこを改正いたしまして河川の取締りをやっていきたい、というのが基本的な考えでございます。
○田中一君 そうすると、建設省では河川法を強化して防止をするという考え、経済企画庁の方では単行法を出そうという考え方を今でも持っておるということなんですね。その調整はできておらないのですか。
○政府委員(山本三郎君) 今、経済企画庁で考えていますのは、基準を作ろう、基準は各省の行政にも関係する問題であるし、いろいろの意見を聞いた上で作らなければいかぬから、基準は一つ内閣で作ろう、それに従いまして各法律で取り締ってくれという趣旨でございますから、河川法は河川法の必要なる改正があればやりまして、その基準に基いて取締りをやっていこう、こういうことでございまして、企画庁の基準方針には私ども賛成しておるわけでございます。
○坂本昭君 先ほど来、各省の御意見をいろいろ聞かせていただきましたが、私から一つ各省から資料をお願いいたしたいのです。それは公共用水域における各種の被害事実、たとえば水産庁からは四百七十八件ということがありましたが、これは四百七十八件一々御説明いただいても大へんでございますので、それぞれ分類をしていただきたいのですが、たとえば化学物質だとするならどういう化学物質、あるいは繊維の沈澱なら繊維の沈澱、そうした多数あるものを幾つかに分けて、各省から資料を一つ出していただきたい。農林省、建設省、それから厚生省でも、たとえば熊本県あたりの水俣でしたか、ああいう人命に関するような事件もありましたし、そういったものを一つ分類をして資料を提出していただきたい。これはお願いできますか、各省から、できますか。
○説明員(西村健次郎君) 農林省としまして、たとえば漁業につきましては、件数、被害数量、被害金額、それから事業種類別ですね、それならすぐ差し上げられます。それと農地の被害も出ると思います。
○説明員(尾村偉久君) 厚生省では廃液によります被害の統計を毎年とっておりますので、この全体の件数は提出できます。なお、ただそれがいかなる化学物質あるいは中毒物質というようなものかの分類は、全部につきましては調査が不十分でございますので、特に目立ちましたものは特例といたしまして収集いたしておりますので、これをおもだったものは原因別に分類いたしまして、その内訳としてこれはお出しできます。
○政府委員(山本三郎君) 建設省といたしましては、ただいまお話がございました農林、厚生等の被害がおもなものでございますから、その他のものがありますならばそれを取り調べて出します。私の方で調べましても、やはり農林省、厚生省の関係の被害になるわけですから、それらの点は打ち合せまして出したいと思います。
○坂本昭君 次に、これは経済企画庁にお尋ねしたいのですが、先ほど高野委員が指摘せられた点は、私も全く同感に思うのです。特にこの被害というものを生物――生物の中には人間と魚あるいは貝類と入ってきますが、やはりこういうことに、はっきりと目標を向けなければならないことと。もう一つは、この立法の一体目的をどこに置くか、私も一番の目的は、この紛争に関して、あっせん調停及び裁定を行うということ、これを欠いたならば、この法律の大事な点が抜けてしまう。ただ許容基準だけ作ったら、許容基準の中でやっているのだからこれでいいのじゃないかといって、問題が逃げてしまうところのそういう要素が含まれてくるわけです。私はこの点については、経済企画庁ではただその許容基準だけを作ることを目的にするのだか、それによって水質汚濁の防止をやるか、さらに紛争に関して、あっせん調停、裁定もやる、そういうつもりで立法されるかどうか、その点をお伺いいたしたい。先ほど通産省の次長からは、これは経済企画庁の方でやっていただくつもりだというようなことを言っておられましたから、経済企画庁のお考えを一つ伺いたい。
○説明員(吉岡茂君) お答えいたします。ただいま御指摘の点は、二十八通常国会に出す予定で各省と意見を調整した際に問題となりまして、提出できなかったことでございますので、そういう点は特に内容をもう一度検討し直すときに問題になるだろうと思います。従いまして、その点につきましては農林、通産両省の意見をもとといたしまして提出できるような案を作りたいと、こう考えております。
○坂本昭君 次に河川局長さんにお尋ねしたいのですが、先ほど農林省、厚生省の問題に大体属すると思うということでございましたが、こういう場合はどうなんですか。一昨年、当建設委員会で視察しましたときに、熊野川水域のダムの調査に行ったときに、たしか尾鷲のダムに関して、山の中の冷たい水を尾鷲附近の海岸へ水域変更して流し出すために――これは汚濁じゃなく、むしろ清浄な水、冷たい水が行くために魚がずっと減ってしまった、それに対する漁民の補償要求があった。これは非常に複雑な問題だと思いますが、これはたしかに汚濁じゃないけれども、公共用水域におけるところの魚介類の被害には間違いないのですね。こういう問題は河川局長さんの方の所管の一部に入ると思いますが、こういう扱いはどういうようにお考えになりますか。
○政府委員(山本三郎君) これは水の量の変更と申しますか、流域変更でございまして、今まで水の来ていないところに水が来る、しかも今までの海の水に違った水が来るということで紛争を生ずるわけでございまするし、これはそのすぐ北の三重県の宮川におきましてもそういう問題が起りまして、結局漁業の損失がそれによって起るということでございます。これにつきましては、その損害の程度等を判定するのが非常にむずかしいのでございますが、従来におきましては学者の意見、あるいは水産庁の意見等を十分参酌されまして、ことに三重県の場合には県が事業者でありまするが、今度の尾鷲の場合は電源開発会社が事業者であります。それと漁業の代表との間でいろいろ判定資料を出し合いまして、漁業者の方からは資料に基いて、水が来ればこういう被害が起る、それから事業者といたしましては、それに基きまして自分らもいろいろ研究をするし、また経験者等の判断等を求めるということをいたしまして、両方で資料を出し合いまして、まあ多くの場合、知事等が調停をいたしましてその話し合いをつけて、その上で流域変更するというのが今までの例になっております。従ってそういう場合にも漁業の損失等は汚濁の問題だけではございません、新しい水が入って来るというような問題でございますので、そういう場合にも漁業の損失の問題が起きて参ります。それから上流にダムを作りまして水位が変動する、あるいは毎日流量が変るというような問題で、漁業の損害の起きた例もございます。そういうような関係の資料ならば私どもの方でわかっている分もございますので、御提出申し上げます。
○坂本昭君 今の点の資料は一つ河川局長さん出していただきたいのですが、そういうふうな公共用水域における被害には違いないが、それを今回考えているところの立法の中にこめて検討される意思があるかどうか。これは広い意味で言えば環境の変化ですね、環境の変化によるところの問題であって、私は少し拡大解釈をしてもいいのじゃないかと思うのですが、たしかに汚濁ではない、河川局としてはこういう法律によって考え、場合によれば紛争の起った場合に、この法律で調停をするという御意思があるかどうかを伺っておるわけです。
○政府委員(山本三郎君) 今までこの汚濁の問題につきましてのいろいろ論議の際は、そういう問題は考えられなかったわけでございますが、私ども実際水利権を与えまして、その後いろいろの問題が起きたというような場合には、裁判になる前に一つ調停するような機関が、何かの形でほしいじゃないかというようなことも考えておりましたし、また現在もそういうことを考えております。今回の汚濁の法律に入れるのが適当であるかどうかというような点は研究しなければならぬと思いますけれども、これらの点につきましても、私ども考えて研究していきたいというふうには思っております。
○坂本昭君 最後に厚生省の方にお尋ねしたいのですが、これもやはり汚濁ということですね、汚濁というのは広い意味では環境衛生の変化だろうと思うのです。その中ではいろいろな問題が出てくると思うのですが、その中で特に一番大きいのは放射能の問題だと思うのです。これは水爆の実験による変化も入りましょう。それからさらに各種の研究機関、あるいは東海村の原子力研究所における廃液、あるいは廃煙といいますか煙の問題、こういうところでどんどん出てくると思うのですが、この放射能に関して、やはりこれもこの法律の中に含めて考えるべきじゃないか。政府が従来まで検討してきたところでは、放射能などはあまり検討してないようなんです。そしてほかにもこういう立法はないように思うのですが、厚生省としてはどういうお考えを持っておられますか。
○説明員(尾村偉久君) 放射能の被害防止につきましては、放射能が空気の中に含まれる場合、あるいは物質で出る場合、さらに物質が廃液といたしまして水を汚す場合と、いろいろな場合があるわけでございます。これらを一貫して、放射能の防止という単行法を一つ作るということも一つの考え方でございますが、これにつきましては、ただいままで現在の放射能を扱いましたこれらの出るところが、必ずしも全国敷衍して……また近く多数各種類の方法で配置されるということが明確でございませんので、これらの単行法を拙速に急いで法律化してやるというよりも、それぞれ今の水質汚濁があるならば、水質汚濁のところに、差しあたり水をけがされるということから防止するというところには、具体的にとりかかりやすい問題でございますから、それに含める化学物質のみならず放射能も入れる、現在はそういう考え方でございます。これが全部一本で放射能だけは別に取り上げる、という時期がきますれば、あるいは研究の結果そういうふうにまた引き抜くということもあり得るかと思います。現在はそれぞれの中に放射能防止のためにこの水質汚濁のときには入れる、こういう考えで今やっております。
○坂本昭君 まだ数が少いから考えないというのでは、ちょっと放射能に関する限り手おくれだと思うのです。従来も宇治川の原子炉の場合も、大阪の付近の人たちは非常に反対をした。これなども法的な根拠が明確にされているならば、私はもっと問題を解決することができたのではないか。東海村の場合なども、まだ問題はないからと言っておられますが、私はそんなことはないと思うのです。特に原子力の研究、原子炉の設置、そういうことに関連して、私たちが一番おそれているのは、現実に放射性物質の処理、いわゆるウェイスト・ディスポーザル、あの問題が一番大きい基本的な問題だと思うのですが、むしろこれはあっちこっちできた様子を見てからすることではなくて、厚生省としては最初からやるべきことだと私はそう思うのです。たとえば放射能マグロの問題のあたり、すっかり厚生省は研究、検査をやめてしまったのですが、実際はあの一ころ騒がれたときよりも、もっとおそるべき事実があるのではないか、そう思うのです。空から降ってくるフォール・アウトにしても、さらにマグロにしても、もっと危険な状態に入っておって、今のような厚生省のお考えでははなはだ私は憂慮すべき状態が起ってくると思うのです。従ってこれは厚生省の方の立場を苦しめるわけじゃありませんが、現実に放射性物質によるところの治療は各病院、各研究所で行われて、そうしてそれらのものがどういうふうに廃棄せられ、処分しておられるかというと、これは私はおそるべき事実があるやに想像するのです。従って今のような態度でははなはだ憂うべきものがあるので、厚生省としては特にこの放射性物質についての処理、さらにそのための立法的な措置を当然ほかのものに優先しても検討して、もしそれが今回考えられておるところの水質汚濁規制の基準の中に入れてやったらいいというのならば、はっきりとこの中に大事な部分を占めて法文化して下さい。私はそのことを申し上げて、さらに厚生省の御意見を承わりたい。特にそれに関連して、これは水質だけのことでしたが、東海村では、例の煙突の煙の中に入ってくるということは、これは去年から聞いておる。ただ新聞には、今月の初めごろに、上に上った煙がまた反射して戻ってきて危ないということが、きわめて間接的に言われておるのですが、あの中には実はおそるべき事実が私は隠されておると思うのです。こういうことは当然世論が問題にする前に、こういうきわめて専門的なことについては、厚生省の特に環境衛生部の方で責任をもって処理していただきたい。今の空の問題に合せて、厚生省の御態度を一つ御説明いただきたい。
○説明員(尾村偉久君) ただいま私の説明がまずかったので、誤解を得られたようでございますが、厚生省は、この放射能の問題も非常に緊急に考えておるものでございますので、さらに単独にあらゆる環境を汚染する放射能を全部網羅して、放射能のみを取り上げまして、一つの理想的な法律を作るのが非常に困難であるから間に合わないという意味で、急ぐからそれぞれ……今国際基準がさしあたりできておりますが、それから放射能を扱う側の施設を出すことにつきましては、これはすでに法律ができております。外の方の防御につきましては、直ちに実行できる方向に持ち上げませんと間に合いませんから、そういうような意味で、今年ももしできるならば、その水質汚濁の漁業基準の中に、この放射能を一番中心のものとして基準をきめる。それから煙害につきましては、われわれの方でただいまいろいろ検討を続けておりますが、放射能のみならず、亜硫酸ガスその他の工場からの煤煙が非常に衛生上に問題になっておりますので、これらの立法をやるときに、やはり放射能を工場から出す場合、施設から出す場合に最優先的にその基準の中に入れるというふうに、一番実現しやすい方法としてこれらを取扱う。従いまして放射能が人体に有害であるから規制するということは、一番重要に考えておりますので、その点言葉が足りませんので申しわけなかったのでございますが、さような意味で検討もいたしておりますし、それぞれの法律を作る場合には、最優先に考えていくつもりでおります。
○委員長(上林忠次君) 本日の会議はこれをもって終了いたします。 午後零時十九分散会 ―――――・―――――