決算委員会 閉会後第4号
- 発言数
- 48 件
- 登壇者
- 7 名
- 会派数
- 3
- 開催日
- 1958/09/10
会議録
○委員長(小西英雄君) ただいまから決算委員会を開会いたします。 昭和三十一年度一般会計歳入歳出決算、昭和三十一年度特別会計歳入歳出決算、昭和三十一年度国税収納金整理資金受払計算書、昭和三十一年度政府関係機関決算書を議題といたします。本日は大蔵省の部のうち国税収納関係を審議いたします。検査報告批難事項は第十五号から第十七号及び第三十三号から第二百九号までであります。 本件に関し御出席の方は、会計検査院第一局長大澤實君、国税庁徴収部長飯田良一君、国税庁長官北島武雄君、国税庁直税部長金子一平君であります。 まず会計検査院から概要の説明をお願いいたします。
○説明員(大澤實君) 昭和三十一年度決算検査報告のうち租税関係について御説明申し上げます。 検査報告の四十九ページに総括的な記述をいたしております点につきましては、昨日簡単に申し上げましたから省略さしていただきまして、個別の事項に入ります。五十一ページから五十四ページにかけまして、十五号から十七号までは「租税払もどしに関し処置当を得ないもの」として三件掲げたのであります。これは払い戻すべき租税の還付がおくれたために、多額の還付加算金を支払う結果となって、その処理が当を得ないというものでありまして、そのうち十五号と、飛びまして十七号は、二つはほとんど同じような性質のものでございまして、御承知の通り法人が利子あるいは配当を受けた場合に、源泉徴収されました所得税相当額というものは法人税から控除することになっております。そして法人税から控除されない、つまり余分に納めた分は還付するということになっておりまして、それぞれ納税法人から還付の申請書が適法な期限内に提出されているわけでありますが、税務署及び国税局の内部の処理が遅延したために、これらに対します還付金の支払いが非常におくれまして、その結果多額な還付加算金を支払う結果となった。こういう次第でありまして、事務処理の遅延のために多額の還付加算金を支払ったのが当を得ないと考える次第でございます。 まん中の十六号の事態は、やや性質を異にしておりますが、これは名古屋の国税局で一応納税者野々部というのに対しまして、更正をいたしまして、そうして更正税額に対して納税者はその大部分を納付したわけでありますが、同時にその更正が不服であるというので審査の請求をしておったわけであります。でありますから、当然その審査の請求の内容をすみやかに調査しまして、そうして更正の当否というものをきめなければならなかったのにかかわらず、それを長期間遅延したために、そうして結局おそくなりまして調査しました結果は、やはり納税者の申し分――全部ではありませんが、納税者の申し分に相当うなずけるところがありましたために、更正をこのため減額いたしました。その結果全部支払わなければならぬということになりまして、還付加算金を多額に支払った、こういう事態でございまして、納税者の審査の請求に対しまして、すみやかに調査すればこうした多額の還付加算金を支払う必要はなかったのじゃないかと、こう考える次第であります。以上十五号から十七号までの三件は、そうしたいずれも還付が遅延いたしたために、還付加算金を支払わざるを得なかった事態であります。 それから飛びまして、六十ページから六十一ページにつきまして、三十三号から三十五号までに、「職員の不正行為により国に損害を与えたもの」として三件掲げてございます。これはほとんど例年の検査報告に掲げられる事態でありますが、税務署の職員が領収した税金をほしいままに領得してしまったというのが、この次の三十四号と三十五号で、これはそうした性質のものであります。こうした事態は終戦直後相当多くありまして、検査報告にも相当あったのでございますが、最近はやや減少してきていると思います。しかしながら、まだこうした事態が出ているということははなはだ遺憾なことと存じます。三十三号の神奈川税務署の事件は、やや趣きを異にしておりまして、これは還付金を、納税者に過納の還付金を支払う場合に、郵便局を通じて支払うという制度がありまして、郵便局に対しまして支払いの委託書を出しまして、同時に納税者、いわゆる還付を受ける者に対しまして支払い通知書を出しまして、そうしてその還付を受ける人が支払い通知書を持って郵便局の窓口に行って、郵便局ではその委託書と対照して支払っておる、こういう制度をとっているのでありますが、神奈川税務署のそうした方を担当している職員が、そのいわゆる支払い委託書及び支払い通知書の一連の用紙をほしいままに自分で抜き取りまして、勝手にそれに記入いたしまして、そして委託官の印というものが税務署長のところにありますが、かわりに押捺いたしまして、郵便局に持って行って差し出して、そしてその支払い先を自分の元の下宿なりあるいは自分の住所なりにして、自分の名前に似通った名前にして受け取りに行く、こういうやり方をとりまして、横領した事態であります。そのほかにもやや態様を異にしたやり方をやっておりますが、そうしたことで七十九万円という金額を詐取といいますか、横領といいますか、取られたのでありまして、これは新しい事態で、今まで考えられなかった事態でありますが、この二十九年から新しく国税収納金に関する法律でありますか、それに基きましてできた新しい委託制度というものの制度を利用した一つの不正行為としまして、将来注意して、こうしたことがないようにしなければならぬと考えた次第であります。 次に是正さした事項といたしまして、三十六号から四十一号までに掲げてあります「青色申告書の提出の承認を取り消させ徴収不足を是正させたもの」、これは御承知の青色申告制度というのは、その申告の承認を受けておる法人なり個人が取引の一部を隠蔽したり、または仮装した帳簿を作ったりして申告に偽わりがある、その他いろいろな青色申告法人としての実を備えていないような場合には、青色申告の承認を取り消しまして、いろいろな特典、価格変動準備金を認める、あるいは貸し倒れ準備金を認めるというようないろいろな特典を認めないようにしなければならないということになっておりますが、検査した結果を見ますると、どうも青色申告法人としての実質を備えていないと思われるものがありまして、依然として青色申告法人として取り扱っていたものがありましたので、注意して、それを是正させて、その特典に基く税額というものを徴収させた、こういう事態であります。それぞれ件数はたくさんありますが、同じような事態であります。 次に、六十三ページの四十二号から二百二号までに掲げてあります、この個別な事項は別表といたしまして、二百六十一ページからあとに掲げてありますが、それは租税の徴収過不足を是正させたもの、つまり各税務署を調査しまして、いろいろな見地から見まして、徴収過不足を発見し、これを当局の方に照会しまして是正させた事項でありまして、これは大別しますると、個人の取引関係の調査をもう少しやれば、その徴収過不足が発見し得たであろうと思われる事項が二百四十三事項、徴収不足金額で九千四百万円、徴収過で二十三万円。それから第二には、法人の経理内容の調査不十分であったもの、もう少し詳しく調べればその徴収過不足が発見し得たであろうと思われるものが百二十五件、そのうち徴収不足が五千五百万円、徴収過が百五十万円。第三の分類としましては、法令の適用を誤まった、法規の適用を誤まったものが二百十六件、徴収不足が六千五百万円、徴収過が五百万円ということになっております。それからその次に、課税資料についての通報連絡または活用の不十分なもの、これは税務署各課内、あるいは各税務署間それぞれでいろいろ課税資料を作って、資料の連絡通報制度をとっておられるのでありますが、せっかくそうした通報があったにもかかわらず、それを活用しなかった、あるいは通報をせずに、資料を作ったものを通報せずにあった。そういうようなものの事務の処理遅延のために徴収不足となっていたものが二百十三件で七千三百万円。その次に第五の分類としまして、源泉徴収所得税に関する調査不十分なもの、これは源泉徴収所得税関係を一新してこの分類にまとめておるのでありますが、これが六十八件で、徴収不足三千五百万円。その他のものが四十七件で、徴収不足千八百万円、徴収過二十二万円。合せまして全部で九百十二件、徴収不足が三億四千万円、徴収過が七百万円というものを昨年の検査の結果発見しまして、それぞれ是正の終った件数、金額であります。個別の点は先ほど申しましたように、二百六十一ページからあとに掲げて記述してあります。 次に、六十四ページの二百三号から二百九号まで、これは租税の徴収上の過誤を是正させたもの。これは徴収決定の段階までは正当に行われていたものを、その後徴収の段階、いわゆる金をとる段階になりまして、あるいはまだ資産があるのに資産がないものとして徴収停止、執行停止の手続をとるというような事態をまとめたものであります。これも個別な事項はここに掲げてありますが、記述した通りでありまして、個々の案件につきましては長くなりますので、説明を省略させていただきたいと思っております。 以上で、はなはだ簡単でありますが、租税関係の検査報告の概要を御説明申し上げました。
○委員長(小西英雄君) 次に大蔵省から概要の御説明をお願いいたします。
○説明員(北島武雄君) 昭和三十一年度の決算検査報告におきまして、うち国税関係について会計検査院から御指摘いただきましたのは、ただいま検査院から御説明ございましたように、まず第一に租税払い戻しに関し処置当を得ないものとして三件、それから職員の不正行為により国に損害を与えたものとして一事項五十万円以上のもの三件、最後に税法等に規定する取扱い等に違反したものとして、検査院から御指摘を受け、それによって是正いたしました事項として、一事項五十万円以上のもの百七十二件、こういうことになっております。 私どもは従来から税務行政の運営に当りましては、税法を適正に執行いたしまして、納税者の負担の公平をはかり、租税収入を円滑に確保するために努力して参ったのでございますが、昭和三十一年度の決算検査報告におきまして、なおこのような御指摘を受けましたことは、まことに遺憾に存ずる次第でございます。御指摘を受けました諸点につきましては、今後部内相互間の横の連絡を一そう緊密にいたしまして、また職員の教育、訓練を充実して、職員の素質及び能力の向上をはかりますとともに、課税面におきましては、誠実な青色申告の育成を中心といたしまして、できるだけ自主的申告の機運を醸成するという方向に持って参るとともに、課税資料の収集、整備をはかりまして、その有効な活用によって調査の充実をはかりたいと存じております。また徴収面におきましては、納税貯蓄組合の普及、育成等によりまして滞納発生の未然防止に努めまするとともに、個々の滞納処分を充実させまして、着実に滞納整理の促進に努め、再び御指摘を受けるような事態の発生しないように努力して参りたいと考えております。 以下御指摘を受けました各事項につきまして、国税庁側といたしましての御説明を申し上げますが、まず第一に、租税の払い戻しに関し処置当を得ないものとして御指摘いただきました十五番から十七番までの事件でございます。これは、会計検査院の御指摘の通り、納め過ぎた税金を払い戻すことが遅延いたしましたのでございまして、まことに遺憾でございます。租税の払い戻しにつきましては、従来から調査事務を担当する係と、支払い事務を担当する係におきまして、まあそれぞれの立場から事務の処理の促進に努めて参ったのでございますが、それとともに相互の緊密な連絡によりまして、一そうこれを効果的ならしめるよう指導いたして参ったつもりではございますが、今回の御指摘の事案におきましては、その原因が、還付請求書等の整理不十分と、調査事務を担当する係と支払い事務を担当する係との間の連路不十分とにあったことにかんがみまして、この点今後一そう事務処理の指導の徹底をはかり、再びこのような事態の生じないようにいたしたいと考えます。 なお、このほか払い戻しの請求の方式の改善も、今回の事件にかんがみまして、必要であると考えまして、昭和三十三年大蔵省令第十二号をもちまして、法人税法施行細則の一部改正等をお願いして、今までは確定申告書と還付請求書とは別々に提出することになっておったのでございますが、これを、確定申告書に還付請求事項を記載いたしまして、申告書が同時にまた請求書であるがごとき仕組みを考えまして、請求書を別にあらためて出すという必要のないようにいたしまして、その簡素化をはかることといたしました。 この御指摘を受けました十五番の問題でございますが、これは二つの事業年度についての還付遅延でございますが、これをよくさらに内容を検討いたしてみますと、前期、すなわち昭和二十八年四月から二十九年三月までの事業年度の還付金の問題につきましては、これは実は管理係という還付する係がございますが、管理係におきまして、法人税係から回付を受けましたところの還付申請書の整理が不十分でございましたために、還付申請書が他の書類に混入いたしまして、そのまま月日を経過したという事態でございます。それからまた、次の事業年度の昭和二十九年四月から三十年三月までの事業年度の分につきましては、これはまた逆に、法人税係が還付申請書を受け取ったままこれを管理係の力に回さないで、確定申告書にあわせてつづったまま放置しておったという事件でございまして、いずれも係における処理の不徹底のために未処理となっておったものであります。なお、あとの事業年度につきましては、調査を担当する法人税係におきまして、この還付金は当該事業年度の所得金額が調査未了のときは還付できないものと誤認しておった点もございます。まことに遺憾な事例でございます。 次に、第十六号の野々部某氏にかかる事件でございます。これは審査の請求のなされました昭和二十四年ころは、税務全般につきまして相当混乱しておった時代でございます。かつまた、審査請求の件数もかなりの数に上っておりましたところ、これを処理する職員の質量ともにこれに伴わないという当時の状況下におきまして、本件の内容が複雑でありましたために、直ちに調査できずに延引している間に、一件書類が見えなくなった。長期間放置されたままでおったところ、昭和二十九年に至りまして、未済事項を処理しようということで、あらためて書類を整理いたしましたところ、この書類が出てきまして、それから調査をしましたために遅延したという事件でございます。 次の十七号の中国電力株式会社の問題は、この十五号の事件とほぼ同様な事件でございまして、法人税係におきまして、当該事業年度の所得金額の調査が済んでいない間は還付できないものだと誤認しておりましたがために、還付申請書を管理係に回さなかったことが遅延の原因となっているのでございます。 次に、三十三番から三十五番までの、職員の不正行為により国に損害を与えたものとして御指摘を受けた事項につきまして、御説明申し上げます。これらの事件は、これを区別いたしますと、収入金に関するものと、それから還付金に関するものとがございますが、そのいずれもが、国に損害を与えますることはもちろん、それとともに税務行政の威信を失墜し、納税思想に及ぼす影響もきわめて大であることにかんがみまして、従来ともこの種事件の発生の防止につきましては、十分意を用いまして、たとえば担当者の事務の取扱い方法に工夫をこらすとともに、その指導監督に留意し、かつ事務監査を励行する等の措置をとりまして、近年だいぶ減少をみて参ったのではございますが、なお御指摘のような事件の発生をみましたことは、まことに遺憾に考えております。今後はさらに事務処理に一そうの改善を加えまして、かつ監督を厳重にするとともに、監査を励行いたすことによりまして、この種事件の発生の根絶を期したいと考えております。 御指摘いただきました三十三号の矢田某についての事件でございますが、本件は、矢田某が国税資金支払委託官の補助事務に従事中におきまして、国税還付金支払委託書等を改ざんいたし、あるいは国税還付金支払委託書等用紙に自己名義を記載いたす等によりまして、還付金を詐取いたしたものであります。そのことにつきましては、この事件にかんがみまして、特に昭和三十二年九月十日付の通牒をもちまして、官印使用上の事務処理の改善をはかるとともに、各国税局長に対し注意を喚起いたしたところでございます。この不正行為をいたしました矢田某につきましては、昭和三十二年六月に懲戒免職に付しましたほか、関係の責任者につきましても、それぞれ処分いたしております。なお、矢田某は、昭和三十二年六月、公文書偽造行使、虚偽公文書作成行使、詐欺罪で懲役一年の判決を受けまして、水戸少年刑務所に服役いたし、ことしの一月出所いたしております。国の損害につきましては、横領金額七十九万二千百八十円のうち、ことしの六月までに十万円の弁償がございました。残額については、同人が、水戸の少年刑務所出所後、その所在が不明であったのでございましたが、最近ようやくその所在を確認し得ましたので、すみやかに債権管理法の定めるところによりまして、弁償の措置を構ずる予定でございます。 次に、三十四号の八幡某の事件でございますが、これは、同人が勤務中において納税者から所得税等を領収いたしまして、領収済みの報告書は少額を記載、他人名義に改ざんし、または納税者に正規の領収証書を交付しないで預かり書を交付し、それによって領収金額を横領しておったものでございます。同人につきましては、昭和三十一年十二月懲戒免職に付したのでございますが、なお同人は、昭和三十三年四月、姫路地方裁判所におきまして、懲役二年六カ月、執行猶予五年の判決を受けておるのでございます。国の損害額につきましては、その横領金額七十三万八千二百円から、弁償命令発付前に弁償いたしました三十五万四千三百円を控除した残りの三十八万三千九百円につきまして、昨年の三月弁償命令を発し、納入告知を行なっております。これによりまして、昭和三十三年六月までに弁償されました金額は二十一万二千九百円でございまして、残額十七万一千円につきましては、昭和三十三年二月成立いたしました和解条項に基き、毎月分割弁償中でございまして、昭和三十六年九月までに完済見込みということに相なっております。 次に、三十五号の道免某の事件でございますが、これにつきましては、前の三十四号と同様の手段で領収した金額を横領いたしまして、さらにまた、通常の方法により領収した金額を拐帯逃亡いたしまして、国庫に払い込まないで横領したものでございます。同人につきましては、昭和三十一年八月懲戒免職に付しましたほか、関係責任者につきましても、それぞれ処分いたしております。なお同人は、昭和三十二年十一月、懲役二年六カ月の判決を受けまして、現在帯広刑務所に服役中でございます。国の損害額につきましては、その横領額百十三万七千六百二十円につきまして、昭和三十一年十一月弁償命令を発付いたしまして、弁償を督促中でございますが、ことしの六月までに、これによってすでに弁償された金額はまだ五千円でございます。これにつきましては、同人が刑務所を出所後、すみやかに債権管理法の定めるところに従いまして、弁償の措置を講ずる予定でございます。 次に、会計検査院から、法令等に規定する取扱いに違反したために是正させた事項として指摘されたものについて御説明申し上げます。 まず、青色申告書の提出の承認を取り消させ徴収不足を是正させたもの、すなわち、三十六番から四十一番まででございますが、これにつきましては、会計検査院の御指摘の通りでございまして、まことに遺憾に考えております。青色申告書の提出の承認の取り消しにつきましては、従来から、通達によりまして、その取扱い基準を定め、これにより処理することといたしておるのでございますが、昭和三十二年度における法人税法の改正に伴い、昭和三十二年九月に一そう明確な取扱い基準を定めまして、これによって青色申告の取り消しを処理するように、重ねて国税局長あて通達いたしたところでございます。 次に、四十二番から二百二番までの租税の徴収過不足を是正させたものでございます。これも検査院の御指摘の通りでございます。これにつきましては、まず、調査不十分なものにつきましては、今後課税事務の充実を期するために、調査方式の改善をはかり、一そう調査の徹底を期することといたしたいと思います。また、課税資料の通報連絡及び活用の不十分なものにつきましては、関係部課の間の横の連絡を一そう緊密にいたしまして、通報連絡を十分に行い、資料の活用の十全をはかることといたしたいと思います。それからまた、法令の適用を誤まったもの及びその他過誤のあったものにつきましては、今後従事職員に対して、法令の理解を一そう深めるための職場研修、講習等を実施し、さらに事後監査を徹底すること等によりまして、このような事態の再び出ることのないように努力いたしたい考えでございます。 さらに二百三番-二百九番の租税の徴収上の過誤を是正させたものという点につきましては、これもまさしく会計検査院の御指摘の通りでございまして、私どもまことに遺憾に考えております。今後は、適切な滞納整理の計画を策定し、また明確な取扱い通達を制定いたしまして、滞納整理の早期着手と、完全な租税債権確保の措置を講じて、再びこのような御指摘を受けることのないように努力いたして参る覚悟でございます。 以上をもちまして、簡単でございますが、国税庁側としての見解を申し上げた次第でございます。
○委員長(小西英雄君) 以上をもって説明を終りました。これより質疑を行います。御質疑のある方は、順次御発言を願います。
○仲原善一君 法令の適用が妥当であったかどうかという問題に関連するかもしれませんが、農業法人税でございます。農業法人は、まだあちこちに事件が多くないだろうと思いますが、実は果樹園等を栽培している、たとえばナシであるとか、あるいはミカンであるとか、相当富農に属する階級の農民が、親戚どもが寄り集まって、有限責任の会社を作るわけであります。農業法人を作るわけでございます。従来、二、三年前でございましたか、そういう事例がありまして、国税庁の方では、現地の税務署でやはりそれを認めて課税をされた。そのために、個人個人の経営の場合よりもずいぶん税金が安くなって、半分ないし三分の一ぐらいになったというので、その風潮があちこちに起って、いわゆる農業法人、農業を法人化しようという動きがあちこちにできかかっております。この問題について、最近は税務署の方の関係では、これは認めないというような方針になったとかというようなうわさもございます。従来あったのは、すでにそういうふうに減税になっております。これは非常に小さな問題ではございますが、農政の面から申しますと、自作農を中心にして基本的な政策を立てておるいわゆる自作農政策と非常に問題の起る点でございまして、農地政策の基本に関連する問題でございます。土地やら果樹をお互いに出し合って、法人を作ってやっていくという形になりますので、場合によっては、これは農地の集団化なり、あるいは機械化をやるような場合に非常に有利になる。しかしこれは日本の自作農政策の基本をゆるがすことになる。そういう問題もはらんでおりまするし、特に、とりあえずこの問題の起ったのは税金対策で起ったわけでございますが、そういう点について、今後はそういう法人を国税庁としては認めておやりになるのか、あるいはこれはまあいかぬというので取りやめになるのか、従来二、三件そういう恩典に浴したのがございます。その今後の方針なりその辺についての御所見をちょっと承わりたいと思います。
○説明員(金子一平君) ただいま農業法人の問題につきましてお尋ねがございましたが、私どもといたしましては、大体かように考えておるわけでございます。特にこの問題は、最近起りましたのは、徳島県で柑橘を栽培しておる、栽培のために法人が百数件できました。その問題がきっかけに起ったわけでございますが、農業を経営するのに法人じゃいけないかどうかという問題と申しますよりは、むしろ農地法の関係で、農地を法人に譲渡いたします場合におきましては、農地法第三条の許可が必要になっております。で、この許可は実は農林省の所管になりますが、農業を法人にやらすことは必ずしも適切じゃないというような見地から、許可しない方針を農林省がとっております。そういたしますと、許可のない譲渡は法律上絶対に無効だ。で、譲渡自体が成り立たないという法律的な問題がございますのと、それから徳島県に起りました事例につきまして、税務署が実際に調べましたところでは、実は法人ができ上っておって、法人自体が取引しておるとは言っておりますものの、実際について調べて見ますと、預貯金の名義も、それから取引の実際も大部分が個人の名前で行われておる。法人と言いながら、実は個人と全然変っていない。そういった点から申しますと、法律的にも実質課税の原則に従いまして、個人にその所得が帰属すると、こう見ざるを得ないような立場から、徳島県の農業法人の場合につきましては、その所得は個人ということで申告を慫慂いたしまして、大部分の法人は申告慫慂に従って個人の申告をしていただきまして、ただいまのところでは三件ばかりがペンディングになっておる、かように聞いております。 で、お話のように、かつて数件もうすでに農業法人ができ上っておるという話を聞いておりますが、これはあるものにつきましては、正規の農地法の農地の移転の許可があったように聞いております。あるものについては許可がなかったようにも聞いております。その実際は調査中でございますが、特に古いものは別といたしまして、今後農業法人ができましたような場合におきましては、結局私どもといたしましては、農林省がこういったものの扱いについてどういう態度をとるかということによりまして、態度をきめていかざるを得ないというふうに考えております。
○仲原善一君 ただいまのお話で大体の見当はつきましたが、これは農地法に抵触する場合はお話のようになろうと思いますが、農地の方を提供せずに、資産になっておる果樹、たとえば二十世紀であるとか、柑橘であるとか、それから持っておる農具というようなものを出し合って会社を作っていくというような場合には、農地法に抵触せずにある意味の法人化ができると思うのですね。そういうことも現地では考えている向きもありまするし、それから何と申しますか、そういう農民の方の立場から言わせますと、中小企業では同じような意味で法人化して、実質は個人経営であるのを税を軽減するためにそういう法人を作ってやっておるのがこれは常識だ、非常に不均衡じゃないかというような農民側の意見もあるわけです。 それから今のお話の農林省の許可の問題も、これは第三条でございますが、これはいろいろの場合を予想して許可する場合もあるわけでございますので、そういうものを総合して考えて、そういう法律的な要件が整った場合には、国税庁としてはやはり法人としての取扱いをやられるかどうか、その点を重ねてお伺いいたします。
○説明員(金子一平君) 農林省の方で、今お話のような農地の移転につきまして許可をするということでございましたならば、私どもといたしましては、法人として課税することに別に異存はございません。
○岩間正男君 私はまあ事務当局にお聞きしたいのですが、これは今年度の経済の見通しの問題と関係があるのですが、徴税の実績はどうですか。これを昨年上期、第一四半期、第二四半期――統計があると思います。それから一昨年、こういうものと比べてどういうことになっておりますか。最近の状況を大体伺いたい。
○説明員(北島武雄君) ただいま手元に詳細な資料がございませんから、私のうろ覚えに覚えておるところで申し上げますと、昨年の昭和三十二年度の租税及び印紙収入は、決算上、当初予算に比べまして約千三十億円程度の増収に相なっております。ただし、補正予算がございましたので、補正予算後の数字に比べますと、たしか六百億程度の増収ではなかったかと思います。 そこで、昭和三十三年度、ただいままでの租税及び印紙収入の状況はどうだと、こう申しますと、最近までの日計によりますれば、大体におきまして、昨年の実績の金額に対して約五十億円程度増加いたしております。と申しますことは、もしこのままずっと昨年程度のベースで参った場合におきましては、予算的に約二百数十億くらいの増収になるということでございます。これはまあ単純に、機械的に、ただいままで前年の同期に比べて五十億円くらい増加しておるだろう。このままの趨勢で前年と同じにいったならばどうかというと、約二百五十億の増収になるのじゃなかろうか、こういうふうに考えております。ただし、法人税が実を申しますと、昨年の下半期以降の例の金融引き締めによりまして相当落ちております。ことしの三月期の決算の大法人の状況を申しますと、昨年の九月期の決算に比べまして、申告所得額が約八割、それから四月決算の法人につきまして、昨年の十月の決算と対比いたしましても約八割、それからまたつい最近、大体九月期の決算がどうなるであろうかという見通しを大法人について立てましたところ、これまたやはりことしの三月期とほぼ同額であります。と申しますのは、昨年の同期に比べて約八割程度の収入しかない、こういう状況でございます。法人税の方はおそらくこのままで参りますと、三千三百十一億円という法人税収入に対して、二百億円程度の穴は出るのではなかろうか、これはただいままでの私の推定でございます。これが当るかどうかわかりませんが、今後の景気の状態によっても相当違って参る。とにかく法人税におきましては、どうも予算通り三千三百十一億円の確保はできそうもない、こういう感じでございます。ただし、その反面、何と申しましても源泉徴収の方はベース・アップ等がありまして、予算で見ましたよりも若干上回るようでございます。 それからまた、間接税方面の収入も、前年に比べて、予算に比べて多少上向くのでありまして、結果といたしましては、全体として赤になることはない、若干の黒字が出る、こんなふうに考えております。
○岩間正男君 いろいろ今説明された中に問題点が含まれておると思うのであります。第一に、昨年の同期に比べて五十億くらい、これは絶対額ですから、しかし、これは今年度は御承知のように予算は昨年に比べて一千億円ふえておる。そうすると、パーセンテージではずっと落ちておるわけですね。従って昨年の一千三十億円の自然増に対して大体二百億という見当ですから、これはそういう差し引きをやってみると、絶対額の上からいっても八百億くらい落ちる、こういう形になるわけですから、これは一つ非常に問題点のあるところがあると思うのです。これが一つ。 それから、法人税の問題について今お話が出たのですが、源泉徴収はむろんこれは予定通りいくでしょう。しかし、事業所得の方はこれはどうなっておりますか。この所得税それから法人税も、こういうふうに八〇%しか今実績が上っていない、こういうような見通しが一体どこで出るのか、最後にはとんとんで尻を合せようということになれば、当然このしわは私たち最近見ておりますと、中小企業に行っているのではないか。中小企業の最近の状態と、それからこれに対する徴税の実態というものはまさに深刻です。これは私がここでくどく繰り返す必要がないほど、われわれは耳にタコができるほど最近聞かされておる。こういうものについて総合的にあなたたちは徴税の技術の上から考えて、また予定された予算の執行面でこれを遂行しようという気持は一応わかるのですが、しかし、税務職員なんかもこれは大へんな努力で、努力以上の努力を実は払わされて、実は良心的な職員はなかなか苦しくなってきておるということをよく聞いておる。こういう点で私は一番問題になると思うのは、この見通しの問題ですね。昨年は何といっても神武景気以来の景気と言われた余波が残っていた、一昨年はもっとよかったと思う。ところがことしの予算は御承知のように経済の伸びは七%、しかし大体これを五%程度見て、そうして御承知のような徴税を課したわけですね、大体いくというような見通しで。とんとんでいくかもしれないというのでありますが、非常にこれは、ことに最近の経済の見通しは、最初政府が予算委員会あたりで言っていた見通しとはずいぶんこれは狂ってきておる。もっともお盆過ぎれば何とか見通しは出るだろうといっていたが、とてもとてもそうはいかない、年を越しても見通しはなかなか楽観を許さない、これは全部徴税にしわ寄せされてくるわけですが、こういう面でここであなたたちを実は追及していくのは、少し間違いかもしれませんが、だから実は大臣に出てほしいわけですが、これはどうですか、あなたたち徴税をやっていく面において非常にそういう点で問題点をはらんでくると思うのですが、そういう諸問題について、あなたは責任者として一体どういうふうにこの問題を把握し考えておられるか、こういうことをお聞きするのは、実はここでいろいろ問題が起っている問題と関係があるからお聞きするわけですが、一応これについての見解をお伺いしたい。
○説明員(北島武雄君) 実は昭和三十二年度において、当初予算に比して千三十億もの自然増収は、私は実は異常だと思います。実は大体景気が上向くときには租税の方はおくれが通常あるのであります。景気の上向きのときには租税がおくれる。景気の下降のときでも景気のいいときの徴収をするということになりがちでございまして、見積りといたしましては、相当堅実なところで見積るわけですが、景気の上向くときには予想以上にそれが響くということで、千三十億当初予算に比べて増収になったわけであります。私はこういうような点は非常に異常なものだと思います。ことに昭和三十三年度におきましては、私がただいま申し上げましたように、予算程度の数字は入ることは確実だと思います。しかし、私どもは予算に拘束されて、その金額を必ずとらなければならぬというふうには考えておりません。租税収入はもともと見積りでございます。私の方の国税事務の執行は、法律に従って遂行するものでありまして、予算によって拘束されることは全然ございません。ただ税務の執行にあたりまして、往々納税者の方々からは割当課税をやっているのじゃないかというような、納税者のお気持としては無理もない点もあるのですが、そういうような御推測を受けることがありますが、国税庁といたしましては、割当課税ということは全然いたしておりません。ただ、戦後の混乱時におきましてほんとうのことを申し上げますれば、戦後の混乱期に、占領下においては一、二年、当時においては相当激しいこともあったように私ども考えております。それ以外のときにおいて、絶対に今まで目標を定めてそうして税金をとるというようなやり方はいたしておりません。ただいま御心配のように、法人税が悪くなったので、ほかの中小企業にしわ寄せしてとるだろうというような、そういうような御心配は全然ございません。それから、もともと法人税と申しましても、法人の大部分が中小企業でございますので、その中小企業を含む法人の税金が最近悪く、それだからといって所得税等でそれをカバーするために徴税を強化するということは毛頭考えておりませんので、どうか御安心願いたいと思います。
○岩間正男君 いつでも予算委員会、決算委員会の説明を聞くと、今のようなことを言われるのです。しかし、私は実態を末端の行政で見ているのです。この前も、池田蔵相時代だったけれども、私は桐生の実態をよく見てきて、こっちで聞いたら、絶対そういうような割当はしない、それから強化しろという方針は出していない。出していないけれども、真綿に首で、じりじりじりじりそういうところに追い込んでいくところに税務政策の巧妙さがある。末端はそうなっていますよ。目標をきめていないとか、そういうことをしないとか言っているけれども、ほんとうですか。あなたたち実態を見て見ぬふりをしているのじゃないですか。ほんとうですか。
○説明員(北島武雄君) とんでもございません。
○岩間正男君 私はこれは池田蔵相に聞いた。ほんとうに困ったことである。とにかくあなたたちの言うことをきいておるのは、これは非常に忠良な税務署員である。しかし国民の世論を聞いてやることは、とてもそういうことじゃいけない。重盛じゃないけれども、進退きわまっているというのが今の徴税吏員の姿じゃないか。そういうことを追及しても、そういうことはいたしませんといって逃げている。下の方ではそれをせざるを得ない。そうしておいて、しかも自然増まで高めていく。ところが、毎年の自然増を見ていけばわかるのですが、いつもここのところに食い違いがあるわけです。これは私今ここに資料を持っていませんけれども、幾多の例をあげることができる。そういう事態が起きてそういう事実を示されたときに、国税庁長官、あなたたちはそういう指令はしない、本省ではどうなっているかわかりませんけれども……、これは実際やっぱりギャップがありますよ。私ども末端であまねく知っている。そういうことはしょっ中聞いている。どうなんですか、ほんとうにやっぱり収入の実態をつかんで捕捉して、それをやるというような形だけでは、なかなか遂行されていないのじゃないかと思うのです。やはり目標はどこもここもあって、それを遂行するためには、これがとにかく終るときになって、そこで勤務評定があるかどうか私たちはわからぬが、優劣のそれをやられる。私はこれを知っていますよ。どうなんですか、その点は。
○説明員(北島武雄君) どういうことをもとにして岩間先生がそうおっしゃるのか、私にはわからないので、国税庁といたしましては、絶対そういう指令はいたしておりませんし、また、事実上も割当によって指令をするというようなことは絶対にいたしておりません。その点は何とぞ御了承を願いたいと思います。
○岩間正男君 これはそのうち、はっきりしたことを知っていますから、またお伺いします。 その次、これと関連して自然増の問題です。これはむろんあなたたちの問題ではないと思います。しかし、毎年、例年この自然増が、自然増という形で、つまりこれは一つの予算の操作で自然増を作っておいて、最初は過小の見積りをして予算を立てておいて、自然増を作っておいて、その自然増でもって財政の調整をやる。そうして、しかもそれがどういうふうに使われるかということは、よく最近の傾向がこれを物語っていると思いますね。これは、国民の経済の伸び、こういうことだけからくるというふうにお考えになっていますか。それとも、やはり最初から税率なり、なにかが適正じゃない、実際は現実に即応しないような形でこれは進められている、そういうところから、いつでも、例年こういうような、全租税収入に対して一割以上の自然増を毎年作っている。これが実は財政の助け舟になって、これでもって財政の調整をやっているというのが日本の財政のやり方だ。これは健全と思いますか。こういう財政の立て方というものは、このものはいわば常習犯になっている。こういうものは健全な予算ということはできない。一割以上も自然増という名前で呼ばれるものがあって、そうしてそれでもって一方では国民のいろいろな諸要求は押える役割をしておる。それを余しておいて、今度は何に使うかというと、この自然増の今まで使われたあとを探ってみればこれはわかる。非常に一つの手心を加えていると思います。こういうやり方、これはあなた方に伺うのは少しあれかと思いますが、国税担当の立場でこれについてどういった見解を持っていられるかお伺いしたいものです。
○説明員(北島武雄君) 租税の収入予算の見積りは、所掌で申しますと主税局でやっております。もちろん、国税庁におきまして資料を提供して、それに基いて主税局が判断しているわけでございます。私も昔主税局におりましたので、租税収入の見積りをやったことがございます。その当時からの経験に基きますと、もちろん租税収入におきましては、やはりどうしてもコンサーヴァティブになります。と申しますのは、見積り過大でそれが取れなかった場合には歳入欠陥を生ずることになるわけでございまして、できるだけ実情に近くして、こういうようなところでまあ大丈夫だろうということで租税収入推定をやるわけで、勢い、どうしても多く見るというより低目に堅実に見積るというのがやはり財政当局としては当然のことではなかろうかと思います。ただ、景気の変動の多いときにおきましては、その見積りを立てても、たとえば急激に上昇するような場合におきましては、えてしてその差が大きくなりがちでございます。昭和三十二年、三十一年、それぞれやはり見積りが大きく食い違ったわけでございますが、私の考えで申しますと、そう大きく食い違ったのは、やはり歳入の見積りが悪いからで、歳入の見積りとしては、堅実なところでもってやって、できるだけ近いところに見積るのが普通じゃないかと思う。この一、二年大幅に狂ったのは、経済情勢の変動がはなはだ大きくて、それに対する事務当局の予測が、そんなにまで伸びるとは思わなかったというところにあるのではなかろうかと思うのであります。ただ、昭和三十三年度につきましては、景気のこういうような時期でございますと、食い違いはそう大きなことはないと私は思います。先ほど申しましたように、法人税については二百億くらいの減収になるかもしれませんが、全体としてはまあどうやら予算程度にはいく、昨年のような大きな自然増収が出ることは絶対にないというような状態であろうかと思います。まあ租税収入の見積りも非常にむずかしいものでございますが、何と申しましても、やはり歳入の見積りというのは堅実に見積るのが筋でございまして、そうかといって実際と著しくかけ離れた見積りを故意にやっているというわけではございません。できるだけ実情に即して堅実に見積るというのが今までの主税局のやり方でございます。ちょっとお答え申し上げます。
○岩間正男君 これは国民所得ですね。これは昨年の大体五%ですかね、伸びをみてことしの課税がされていると思うのですが、こういう点から考えてどうでしょうか。昨年の情勢に比べてなかなか大衆が納得しないと思うのですね。たとえばさっきもお話ししましたように、昨年引き締めがありまして、下半期はずっとその影響を受けたことは事実です。しかし上半期はまだ神武景気といわれたものの影響があったわけですね。そういう情勢の中で昨年の予算がなされたと思いますが、そのとき一千三十億の自然増があった。しかし今年度の予算を見ますと、昨年より絶対額をとるわけですね、何しろ予算でも一千億くらいふえている、そうしてまたそれでも二百億くらいの自然増があるだろうといわれますから、昨年より多い、昨年よりことしはやはり税金が絶対額で多く取られる。こういうのが現状に合うかどうか。しかも非常に苦しいいわゆるなべ底といわれている景気の状態、失業者が続出している、ことに中小企業の面へ非常にしわが寄っている、こういう態勢の中でこれはどういうことになりますか、帳面づらだけ見ると、予算執行で税の自然増は昨年より少いのだから、そういう不景気の影響を受けたのだとみられるかもしらぬけれども、絶対額を計算してみますと、昨年よりは多いのです、依然として最近は。この現実は否定できない、そういうことで大衆は見ておりますからね。実際に自分のふところで取られるその額が直接くるのです。そういう点からみれば、昨年の経済情勢に比べて、一体果してこういうような深刻な不況の態勢の中で、これは総体的に絶対額が多くなる、こういうことについてあなたたちは検討されており、またこれに対しての見解を持っておられるか、そういう全体の見通しの上に立って、それで徴税の問題も考えてほしいと思うのです。ただ機械的に、これは税率できめられた、法律できめられた、これを執行するのが自分たちの任務だということでばらばらな行政になっては、そのしわが国民にいくわけです。その点私は心配する。町を歩けばそういうことが私たちの耳にしょっちゅう入るのですね。どうでしょうかその点は。
○説明員(北島武雄君) 絶対額は昨年よりもことしがよけい取られているという第一のお話でありますが、これは私どもやはり経済企画庁の経済成長率というものを相当頭に置いて、毎年租税収入の見積りをいたしているわけであります。本年度は、当初の経済成長率よりも若干下っているとは思いますけれども、しかし昨年よりも全体を通じて日本の経済が落ちているということにはならぬのではないかと思います。やはり国民経済の成長は六・五%いかないにしても、三・何%か四・何%か知りませんけれども、本年度において実績もやはり昨年よりも増加するのではないか、こう思います。そうでありますれば、やはり同じ税法のもとにおきましては、租税収入が増加するというのはこれはまあ目安通りではないかと思うのであります。ただ私どもは、あらかじめこうあるべきだという考えでもって租税を徴税することはよくないと思っております。できるだけ納税者の実態をみて、経済界の実態に即して、そうしてあるがままを捕捉して課税するというふうに持っていくべきでありまして、あらかじめあんまり予断をもって考えることはよくないというふうに思っております。果して本年度におきまして最後の決算がどの程度自然増収が出ますか、どう出るかわかりませんけれども、私どもはあらかじめこうあるべしといったような考え方で国税庁は税務署を指導してはおりません。できるだけありのままをつかまえて課税するようにという考え方でございます。いささかも、法人税が落ちたからといって、他の税金で埋め合せをつけるとか、あるいはそのままとれとかいうような指示はいたしておりませんし、また今後いたすつもりは毛頭ございません。
○岩間正男君 むろんあなたたちの立場からいって、それは税法に反していろいろ手心を加えるということを私は言ってるわけじゃありません。しかしこれはやはり生き物ですからね、こういう行政は。ですから非常に景気の上向きのときと、非常に景気が下降してる、さらにまあその背後には相当恐慌の気がまえのようなものを含んでいる。それから現状ではなべ底などと言われている、こういう態勢の中では、法人税の徴収に手心を加えないということになれば、これはやはり重大問題になると思うのです。そういうことが国税庁長官の腹の中には全然ないということは私考えられないと思うのですが、これはどうですか。今年度の徴税については、やはり景気の動向を見れば、そこのところはやはり私は手心が加味されていいものではないかというふうに思うのですが、全然今お話しの通り一本でいくというふうに考えておられるのですか。
○説明員(北島武雄君) もしある業態が前年に比べて悪ければ悪いがままに反映されるわけでありまして、一応とにかくありのままにつかまえるのが私どもの税務官の役目でございます。状況が悪くなっておるにかかわらず、実際の課税が全般を通じてよくなるというようなことは毛頭ございません。全体としてやはり景気面が落ちれば、それぞれの業態に従ってやはり課税が落ちてくるのであります。ただそれ以上に、不景気だからさらにこれだけしんしゃくするというふうな考え方は、税務の執行として持つのは工合悪いのでありまして、できるだけ実態に即して課税していくというのが建前ではないかと思います。
○岩間正男君 これは反映するのが当り前だとおっしゃいましたが、反映しておりませんか。まだ徴税の現状のもとに反映しておりませんか。これはどうも長官は高いところにいられるから御存じないんじゃないかと思う。下の方で実際第一線で徴税の事務をやってる職員の諸君は、ずいぶんひどいと言っております。そういうものを反映してないんですか。私はそう見られないんですがね。そうして最近見ますというと、こんなことを聞いたことがある。とにかく子供を暑いんだから少し外へ連れていこうと、涼しい所へ、そしていろいろ約束をしたんだけれども、子供の方から、税金があるんだから、税金がきまってしまわないうちは、そういう希望を――どこかに連れていってもらうというのは、お父さん、お母さんと約束したけれども、それは子供の方から最近言い出してるんだな、税金はと、こう言う。そういうところまで深刻な姿でずいぶん出てますよ。そういう形と、徴税のそういう問題というのは、ずいぶん最近逼迫してきている姿が出ていると思うのですよ。そういうものを反映しておりませんか。
○説明員(北島武雄君) 御存じのように、法人税も所得税も申告納税で、納税者が自己の所得をあるがままに申告する、こういう建前になっております。そこで法人税につきましては、先ほど申しましたように、景気の下降を反映いたしまして申告が減っておりますということを申し上げたのでございます。個人につきましては、これは昭和三十三年度分が、来年の二月十六日から三月十五日までの確定申告の時期におきまして、おのおの納税者の力が御自分の所得を計算して申告されるわけです。税務調査は、その実態に即して果してその申告が適正であるかどうかを調査するわけでございます。個人の方に反映するということは今のところ出てないわけでございます。おそらく各業態の変化は来年の二月十六日から三月十五日までの確定申告において現われるべきものと考えております。
○相馬助治君 この機会に私二つだけ長官にお尋ねして教えておいていただきたいと思うのですが、一つは、税の過小見積りと過大見積りの問題では、過大見積りをする方が危険であるから、勢い過小見積りに落ちていくということは私も納得いたします。当然そうあるべきだと思うのです。ところが自然増収なるものが非常に額が大きい場合に、第一線で働く者が非常に困っておるのです。税金をこんなに取り過ぎておる、それだからわれわれこういうふうに高いから、もう少し手心を加えてくれということで、一線で働くあなたの部下が困っておるような事実もあるのです。私の言っていることわからないでしょうか。われわれこういうふうに税金をたくさん納めておる、苦しんでおる、去年は取り過ぎたではないか、これは苛酷にやられておるからだというふうな非難を、第一線の者は受けて非常に困っておるという例があるのです。わからないでしょうか。私はそういう考えから言えば、税の見積りを主税局がやるということならば、もっと適正にやれということを長官からよく言う必要があるのではないかということをお聞きしたいのが一つと、もう一つは、非常な素朴な質問で噴飯ものかどうかしりませんが、税金を取り過ぎたときは、何らかの方法で返す、なまで。諸外国でこんなことをやっている例はないでしょうか。それからまた取り過ぎた税金を景気調節資金だといって、非常に重要な政策の中にその金を繰り入れてくるから問題が非常に大きいと思うので、直接現なまで返せないなら、何かの形で、いわば直接民衆に戻るという形で、自然増収の分だけは考慮するというふうな、外国あたりでうまい実例でもあるんでしょうか、またそんなことないですか、そしてまた長官としてはその点について何かお考えがありましょうか。それとも、そういう政治的な問題だからここで答弁の限りでないと言えば、それもやむを得ないと思いますが、第二の点は全く意見を持たずお尋ねしておるのです。
○説明員(北島武雄君) 租税の収入の見積りは非常にむずかしいのでございます。もちろん主税局におきましても、先ほど申しましたように、あらかじめ巨額の自然増収が出るということは予想してやったわけではございません。それの作業には国税庁が立ち会っているわけです。やはり経済の変動の激しい折におきましては、差が相当出てくるということは事実でございます。今後は私ども主税局に資料を提供するにおきまして、できるだけ実態をよく説明しまして、実情に合うような見積りをしてもらいたいと思っております。 それから第二の点でございますが、これはまさにお話しの通り政治的な問題でありまして、私どもとやかく申し上げる筋ではないかと思いますが、本年度は自然増収の多くのものは、これをたな上げされた、しかし考え方によっては納税者からいただいたものは納税者に返せと言う人もございます。いわゆるケーザルのものはケーザルに返せ、そういう考え方もあるのですが、昭和三十三年度においては、そういうふうな方針ではなく、広い御見地からお考えになって、その資金をたな上げされた、こういうことでございます。私ども事務当局といたしましては、これに対してとやかく申し上げる筋ではございません。世界各国におきまして、取り過ぎた場合に自動的に返す、予算が余ったから自動的に返しておるという制度はないようでございます。
○委員長(小西英雄君) 北島長官に私ちょっとお尋ねするのですが、私たちの立場から考えて、国税庁に対するたとえば会計検査院の方から毎年指摘されると、ちょっとほかの例をあげると、警察官がどうも検事に非常に摘発を受けておるような感じがするのですが、どうですか、その心境について。私たち国民の立場からいくと、税務署が相当厳格に、金銭を取り立てるのに厳正に臨んでおる。それをもう一つこういうような席で、毎年批難事項があげられておる、そういうときにどうですか、農林省、建設省と違う多少の心境にあるのじゃないか、たとえば部下が懲役に行ったとか、いろいろな問題が普通の場合と違って、これはまあ一応任務であるので、そういうような点で自分の部下に対するいろいろな訓示の仕方等、自分が国税庁長官になればもっと一つ厳格に、そういうふうな今あなたの心境を述べられたのですが、非常に影響することが多いので、どうですか、今年あたりずっと終戦後からだんだんこういう指摘事項は統計的に少なくなっておりますか、どうですか、それを一つ……。
○説明員(北島武雄君) ただいまお話ございましたように、逐年減少の傾向にはございます。終戦当初におきましては、たしか租税収入の面よりも歳出面の指摘事項が相当ございました。ある年におきましては、数十件の歳出についての批難事項があったように思います。しかしその後歳出方面の批難事項はほとんどなくなりまして、その半面検査院も歳入方面に重点をお注ぎになりまして、その結果毎年批難事項がございますが、ただ批難事項も私ども毎年やはり減っているように思います。ただし最後の「是正させた事項」になりますと、これはやはり毎年同じ程度の数にはあるのでございまして、まことに申しわけない次第ではございますが、非常に数多くの納税者、非常に多くの税金を扱っておりますので、中にはこういうふうに往々にして法令の適用を誤まって、そのために御指摘を受けるようなこともあるわけでございまして、非常に残念に思います。ただし御指摘を受けるまでの過程におきまして、検査院からいろいろ御照会いただきます中で、まあある程度のことは税務の執行面にまかしておいていただいてもいいんじゃないかと思われる節も若干あるわけでございます。そういう場合におきましても、検査院の方ともよくお話し申し上げて、こちらの立場も御了解願っておるつもりでございます。全体といたしましては、検査院から毎年御指摘を受けまして、私どもも非常に緊張いたしまして、第一線の税務官吏に対しては検査院から御指摘を受けることのないよう適正に法令を執行するように、こういうふうに申しておる次第でございます。年々今まで批難事項も減ってはございますが、今後さらにこれを一そう減少させるように努力いたしたいと考えております。
○委員長(小西英雄君) 私、過般アメリカに参りまして日本の徴収する罰金なり、いろいろとにかく国税なり都税に入るたとえば交通違反の罰金とか、いろいろあるのですが、これがいずれも公共的な中に繰り入れられる場合に、日本の場合は罰金を取って、そしてまた納めに行くと、非常にやかましい顔をして厳重ないろいろ警告みたいなことをするが、アメリカの方は、一応罰金を仰せつかっていよいよ金を払いに行くと、ありがとう、サンキュー、サンキューといって、にこにこして金を取り立てる、そういうふうにまた第一線の税務署が――どうも戦前には天皇の官吏としての立場のしから取り立てたのだが、今日まあ国民の官吏というか、公僕としての税の取り方に対する接触の間が、依然やはり日本の交通巡査がいかにも昔の勢いで臨んでいるような点が多いのですが、税務署もまたそういう点は私らの直接感じるところではだいぶ、昭和二十七、八年ごろよりはよくなっておるが、第一線の税の取り立て方法について非常に親切を欠いている、これはどうですか、長官はそれらの面に訓示したり、あるいはあくまで公僕としての立場から国民から税をいただくのだというふうな感覚についてどうですか、そういうことは上司として多少訓示するとか、そういう機会は各署長にあるのですか、どうですか。
○説明員(北島武雄君) ただいまの委員長の御意見はまことにごもっともな尊い御意見でございます。私どもも租税の徴収に当りましては、できるだけ納税者の身にもなって考えてくれ、まあ若い税務官吏はえてして税法の執行ということだけではやる傾向もございますが、そうではなくて、自分の職責というものは、やはり納税者に喜んで納めていただくところにあるのだ、こういうふうなつもりで仕事をしてくれということを、私は常に申しておるのであります。事実国税庁ができました昭和二十四年当時は、税務行政の混乱時代でございまして、その当時は税務職員の平均年令も二十四、五才でございました。税務経歴の平均が五年足らずといったような状況でございましたので、なかなか今のような考え方も徹底しておらなかったのでありますが、だんだん、いわば税務官吏も年とともにおとなになって参ったとでも申しましょうか、最近では平均年令が三十二才程度になっております。それから税務経歴平均十二年程度と相なっております。これは、同じことを官吏がいたすにしましても、二十四、五のまだ青年くさい者が納税者に対して接するのと、それから平均三十二、三才の者が――相当世の中の辛酸もなめた三十二、三才の者が納税者に接するのとは、だいぶん気持が違うのでございまして、最近だんだん納税者からも御不満の声が少くなって参りましたのも、一つは税務官吏がだんだんおとなになってきたのじゃないか、こういうふうに思っております。しかし、なおなお第一線の状況を見ますと、御指摘のような点がやはり多々あると思います。あるいは場合によっては、職務に熱心なあまり、納税者に対して悪感情を与えるというようなこともあるわけでございます。私どもは平素こう言っております。納税者の方々は納税の義務とお考えにならないで、納税の権利と考えていただきたいのであります。われわれ税務官吏に対しましては、納税義務は、まあ憲法上義務ということにはなっておるが、だれもやはりあまり喜ばない義務だ。だから同じことなら、同じ税金を取られても――取られるということはよくないのですが、同じ税金を徴収されるにしても、あそこまでよく自分たちのことを考えて見てくれたかという気持を与えて税金をいただくのと、それからほっぺたを引っぱたくような感じでもって税金を取られるのでは天地霄壤の差だから、どうか前者のように、税務署は親切に見てくれた、よく事情を聞いてくれた、そういう気持で、納税者が納得して納められるようにしていただきたいということを、機会あるごとに口を酸っぱくいたしております。しかしなかなか五万の職員に対してこの気持を徹底させることは非常な難事でございます。機会あるごとにこういう気持を一線の税務官吏に届くように私は心がけて仕事をいたしておるつもりでございます。今後もそのような気持で、できるだけ納税者の身になって税法を親切に執行する、こういうふうな方法で指導いたして参りたいと思っております。
○委員長(小西英雄君) さらにもう一つ、この指摘事項の中にもありましたが、税を取り過ぎて返すのが遅れて、指摘されておるのですが、税務署として返すというものは非常に少いと思うのですが、そういう返すときには――これは取るときには、国民側からいくと、遅れておっても取られたときは非常に急いで取られたように思うのだから、一つ大したことないのだから、一たびこれが取り過ぎたということになれば、万障繰り合して、税務署というものは、取り過ぎてもさっと返すのだというようなことが望ましいわけですね。 それからもう一つ国税庁長官に尋ねたいことは、昭和十年前後の基準になっておるようだが、いろいろ戦前の調査ですと、日本の総収入に対する、まあ国税だけじゃない、地方税も加味してもいいわけですが、総所得に対する現在は何%になっておるのですか。
○説明員(北島武雄君) 昭和九年から十一年の、いわゆる戦前の基準年次におきましては、国税と地方税と合せまして、国民所得に対して一二・九%でございます。それが昭和十二年以後年々ふえて参りまして、終戦当時、昭和十九年の数字でございますが、十九年当時におきましては、国税、地方税合せて租税負担率は国民所得に対して二四・一%ということになっております。それが戦後のインフレによりまして、さらに負担率はふえて参りました。昭和二十四年当時は二八・五%まで参りました。その後税制改正、減税によりまして次第に毎年減少して参りまして、昭和三十二年度におきましては約二〇%、国民所得に対して租税負担率が約二〇%、三十三年度も同様に約二〇%、こういうふうに相なっております。しかしただいま申し上げたように、戦前の一二・三%という数字にはまだほど遠い状況でございます。
○委員長(小西英雄君) 国税庁長官の今の説明と、経済企画庁等では今年は大体二三%ということになっておるのですが、これは地方税とかその他いろいろなものを入れての統計でしょうか。
○説明員(北島武雄君) 国税の中には専売益金も入っております。それから地方税を全部合せまして三十三年度二〇%でございます。
○委員長(小西英雄君) そうすると、現在の大体九千万ですが、それに対する総収入額というものはそれに逆算すればわかる、大体一人平均どれぐらいな総収入になっておるのですか。
○説明員(北島武雄君) ただいまちょっと手元にございませんので、恐縮でございますが……。
○委員長(小西英雄君) 私たちは大体九千万に対して一人の収入が年間十万円と考え、経済企画庁からのいわゆるあれによると九兆円余という概算なんですが。
○説明員(北島武雄君) ございました。昭和三十三年度の一人当り国民所得が九万二千二百二十円ということになっております。戦前の数字は昭和九-十一年が、平均いたしまして一人当り二百九円という数字でございます。
○委員長(小西英雄君) それはちょっと違うのじゃないですか。今大蔵省等で、日銀等でその当時の換算率が四百何倍ですか、現在四百何倍になっておるのですが、それと合いますか。
○説明員(北島武雄君) 大へん失礼いたしました。ただいまの資料は人のを借りておりますので、あとで持って参りまして……。
○委員長(小西英雄君) それはまたあとでけっこうですが、そうすると、もう一つ、これは資料がなければ、また資料にしていただきたいのですが、昭和九年、十年、十一年の平均の当時、大体一二%の税金を国民から徴収しておった。この内容について、あるいはたとえば農業に対してはその何%であった、それから工業はその何%であった、あるいは商業は何%であった、何か税務署はその内訳の分け方についての、いろいろな税の取り方があったと思うのです。数字上わかると思うのです。それが現在われわれ知りたいことは、ある人は農業の力が戦後非常に税に恵まれて、たとえば給料取りがはっきりしておって、相当天引きに取られるという、これは給料者の立場からいいたい言葉であり、また重工業とかそういうふうな税金、割合農村に軽くして、あるいは給料取りに近いのじゃないか。国力は戦争前に復したといいながら、たとえば官吏の立場、局長なら局長が、収入が前より比例して少いとか、そういうふうな点に、今後の税金の重点を、どこにふやすか、ふやすではなくして、減らす、少くする部類を、たとえば一二%までやはり税金を国力がふえた場合に軽くする場合に、どこの点に一番戦前と戦後、現在の現状からいって税をどこから取り立て過ぎているか、その比率からいって、一二%であったものが現在二〇%、二二%とさっき国税長官は答えたのですが、それはどうですか、あなたたちの過去の実績から見て、農業の方の税が軽くなったのか、あるいは商業者とかいろいろ部類は分けられると思いますが、どこへ今税金が重くかかっている、それを一つ何かわかれば御回答願いたい。
○説明員(北島武雄君) 非常にむずかしい問題でございまして、税制の根本に関する問題でございますので、あるいは主税局長からお答えするのが筋かと思います。ただ、私ども私見はございますが、私見をここで申し上げることは必ずしも適当でございませんから、ただ戦前の当時の国民所得の内容、課税の状況、現在における国民所得の内容、課税の状況等につきましては、主税局で作成した資料が実はございますので、その資料を後刻委員長初め委員の方々に御配付申し上げたらいいかと、こう考えております。それによって御了承願いたいと思います。ただ、資料は見方によりましていろいろな受け取り方がありますので、やはりその場合にはほんとうは主税局長あたりが資料について十分説明をしていただかないと、ただ見ただけでは誤解を生ずる向きも相当あるのではないか、こういうふうに考えております。いずれにいたしましても、主税局と相談いたしまして、主税局の資料を拝措いたしまして委員会に提出いたしたいと思います。
○委員長(小西英雄君) もう一点、これは過般新聞を非常に騒がした問題で、名義貸し株、大証券会社が株を代替して持っているということについて、これは検察庁まで出動した。いろいろあの経過について何か簡単にわかることがあったらお答え願いたい。
○説明員(北島武雄君) 証券会社は名義貸しという事業をやっております。それは業務として、他人のために自己名義をもって配当を受領するということになるわけでありまして、何らかの都合で、会社につきましては自己株が多くあります。自己株の取得は商法上制限がございますので、それを回避するために証券会社に名義を借りて、そうして預けている場合が多い。個人につきましては、これは所得を捕捉されるのはかなわぬということもございましょう。そういう方面の名義貸しもございます。この名義貸しにつきましては、昨年の国会におきまして所得税法が改正されまして、一人十五万円以上の配当をもらう方につきましては、その名義の本体の人をことしの一月末までに資料として税務署に出さなければならぬということに改正になったわけであります。恒久的には実は五万円以上の方はすべて対象になるのでありますが、昨年は経過的に十五万以上ということで資料の提出を願ったのであります。ところが一月末までに各証券会社から提出されました資料は、実はある国税局、大阪でございますが、大阪で少しサンプル調査いたしましたところ、どうも非常に漏れがあるというふうな形勢、状況になりましたので、私の方も、東京でもこれに歩調を合せて調査する必要ありと考えておりましたところ、たまたま三月の中旬でございますか、参議院の大蔵委員会で御質問がございまして、私どもも、大阪に引き続いて東京も調査するということを申し上げたわけであります。 一方、四大証券のうちのある証券会社の外務員につきまして使い込み事件がありまして、あるいは横領でございましょうか、横領事件がありまして、証券会社がその外務員を告発いたしたのであります。告発いたしたところ、その外務員が、実は自分の会社ではこういう悪いことをやっている、ほんとうは名義貸しがこれだけあるにかかわらず、税務署にこれっぽちしか出していないということを申しまして、それが端緒になりまして、検察庁が四大証券の一つに手を入れた。正確に申しますと、所得税法の罰則の規定がございまして、虚偽の支払調書を出したということになりますと一年以下の懲役、二十万円以下の罰金というきめがございます。そこで検察庁ではずっとその証券会社について内容を洗って参りましたところ、どうもその証券会社だけでなく、他の証券会社もやっているということがわかりましたので、四月の中旬以降におきまして、他の三大証券にも検察が手を入れた格好になっております。私どもといたしましては、法律の施行の当初でございますので、できるだけ指導的に監査するという方針のもとに、実は四月の十五日までに大証券会社その他が、全部最初の申告に対して修正を加えたものを出すというようにいたしましたので、その申告を待って一つ調査しよう、こう思っておりましたところ、四大証券の他の三つの証券会社に対して検察庁が手を入れまして、そして先般所得税法第七十条違反ということで起訴になったわけであります。国税庁といたしましては、これと並行いたしまして他の証券会社につきまして調査いたしております。現在もまだ調査中でございますが、それによりますと、最初の一月末日までに出していただいた調書は相当少い数字でありまして、四月の中旬に出してもらった修正申告もまだまだ足りない、こういう状況でございます。国税庁としましてはできるだけ正しいものを出してもらうべくまだ目下調査中でございます。
○委員長(小西英雄君) A会社が自分の株の買い占めにあったらいかぬということで、自分の会社の金を出して、そして証券会社に預けておくということは、これは違法ですか、違法でないのですか。それはどうですか。
○説明員(北島武雄君) これは商法にむずかしい規定がございまして、現在自己株式の所得はごく限られた場合でしかできないことになっております。ここに商法上の問題があるわけでありまして、厳密に申しますと、商法で規定した以外に自己の株式を持っている、たとえ証券会社に預けても自己の株に違いありませんので、そういう商法に違反している場合も相当あるのではないかと思います。
○委員長(小西英雄君) ほかに御質疑はございませんか。御質疑なければ、質疑はないと認めます。 では、これをもって大蔵省国税庁関係の質疑は一応終了しました。従いまして昨日の審議とともにこれをもって大蔵省の部、検査報告批難事項第十五号から第二百九号までの質疑は一応終了いたしました。 以上をもって本日の審議は終了いたしました。次回は明十一日木曜午前十時より三十一年度決算農林省の部のうち内局関係について審議を行います。 本日はこれをもって委員会を散会いたします。 午後零時二十五分散会