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29回国会参議院1958/06/27

外務委員会 第2号

発言数
35
登壇者
5
会派数
2
開催日
1958/06/27

会議録

寺本廣作自由民主党

○委員長(寺本広作君) 大へんお待たせいたしました。ただいまから外務委員会を開会いたします。この際、竹内外務政務次官から就任のごあいさつをしたいということで発言を求めておられます。これを許可いたします。

竹内俊吉自由民主党外務政務次官

○政府委員(竹内俊吉君) ごあいさつ申し上げます。私竹内俊吉と申しますが、今回はからずも外務政務次官に就任いたすことになりました。外交問題につきましては全くのしろうとでございまして、格別によろしくお願いを申し上げたいと思います。

寺本廣作自由民主党

○委員長(寺本広作君) 本日は、国際情勢等に関する調査を議題とし、藤山外務大臣に対し、質疑を行うことにいたします。藤山外務大臣から発言を求められておりますので、まずこれを許可いたします。

藤山愛一郎自由民主党外務大臣

○国務大臣(藤山愛一郎君) 私も第二次岸内閣に外務大臣として再任することになりましたので、よろしくお願いいたします。前国会以来の国際情勢一般につきまして一応御報告を申し上げておきたいと思います。最近の国際情勢を見ますに、フランス内政の危機はドゴール政権の成立によりまして一応回避されましたが、アルジェリア問題の早期解決はすこぶる困難と見られますほか、レバノンの騒乱の成り行きもなお予断を許さない状況でございます。一方、共産圏内部におきましても、ソ連対ユーゴ関係の悪化、元ハンガリー首相の処刑発表等は東欧諸国の情勢が決して平静でないことを物語っております。かかる東西両陣営の内部における不安は、東西の関係に影響を与え、巨頭会談早期開催の可能性がやや薄らいだと見ざるを得ないのであります。巨頭会談につきましては、本年四月から開始されました大使級会談が何ら実質的成果をあげていないばかりでなく、去る六月十六日ソ連がフルシチョフ書簡を一方的に発表し、即日米国が対抗措置をとるに及びまして、同会談開催への努力は振り出しに戻った感があるのでございます。しかしながら、東西双方とも巨頭会談を開催することについてはすでに意見の一致があるのでありまして、今後慎重な準備が続けられれば、いずれ開催の運びになるだろうと考えられるのでございます。近く開催を予想されております核実験禁止管理の専門家会議が、東西歩み寄りにとって好箇の場所となることをわれわれは期待しておったのでありますが、この一両日の状況ではそういうことがあるいは期待し得ないのではないかと考えまして遺憾に思うのでございます。昨年十一月のモスクワにおきごましての十二カ国共産党宣言以来、ソ連はプロレタリア国際主義の名のもとに、東欧諸国における異分子の排除に努め、ソ連圏諸国の政治的把握をますます強化して、東欧各国の自主性の幅を狭めようとしており、これに伴いまして、イデオロギーの清純化に努め、修正主義排撃の名のもとに、各国内の民族主義的分子に対する抑圧を強化するものと見られるのでございます。この政治的再把握と平行いたしまして、経済分野では長期国際分業計画が強力に推進されようとしておりますし、また、軍事面におきましても、ハンガリー動乱後の軍事体制再建が行われた現在、ワルシャワ条約機構の強化及びソ連軍との関係緊密化の方向に向って諸措置がとられておるのでございます。ソ連とユーゴとの関係についてみますと、ユーゴ側としては、できるだけ問題をイデオロギー上にとどめ、全般的な関係悪化にまで拡大しないように努力しておるようでありますが、さりとて実質的譲歩を行うものとは考えられません。これに対してソ連及びそのブロック諸国は、ブルガリア共産党大会、ナジ元ハンガリー首相らの処刑、チェッコスロヴァキア共産党大会等に見られるように、対ユーゴ攻勢を強化しており、今後の成り行きは予断を許さないものがあります。ソ連としても外交的考慮、中立国への影響を考慮する必要があり、適当なところで妥協をはかる可能性もないとは言えないのであります。中共は現在、第二次五カ年計画の遂行のため、ソ連との結びつきを強める方向に向わざるを得ないように思われます。対ユーゴ攻撃において急先鋒になりましたのも、対内的考慮のほかに、基本的には、ソ連の指導性を認めることにより、共産陣営の団結を強化せんとする積極的意向を反映していると見られます。レバノンにおきましては、親西欧政策を基調とするシャムーン大統領の来たる九月の大統領選挙再出馬阻止をおもな契機とする野党攻勢が今春以来漸次激化しております。五月八日反政府色の強い一新聞発行人の暗殺事件を口火といたしまして、反政府派は現政権打倒ゼネストを呼びかけ、反政府暴動は首都ベイルートをはじめ全国各地に波及しておりまして、その状況はまた御承知の通りであります。レバノン政府は、この騒擾はアラブ連合共和国の干渉によるものと非難して、五月二十一日アラブ連盟に、同二十三日国連安保理にそれぞれ提訴いたしました。アラブ連盟は五月三十一日から六月四日までリビアのベンガジで開かれまして、レバノンの安保理提訴取り下げ、アラブ連盟調査団のレバノン派遣等の決議案を採択いたしましたが、レバノンがこれを拒否いたしましたため、同問題は六月十日より国連安保理の審議に移されたのであります。安全保障理事会は、十一日、スエーデンが提案しましたレバノン、シリア国境に国連監視団を派遣する案を採択いたしまして、現在とりあえずパレスティナ休戦監視委員会より選抜された委員がレバノンに入りまして任務についております。また、ハマーショルド国連事務総長も、事態収拾のため十七日ニューヨーク発ベイルートに向った趣きでありまして、その後カイロにおいてエジプト政府と話しをされ、現在レバノンの国に行って、いろいろ問題の解決に当っておられます。  国連監視団は事態の平和解決のため有力な働きを示すものと希望されておりますが、西欧諸国の援助を頼みに反対派の一掃をはかる現政権と、現政府の即時退陣をねらう反政府派との闘争は現在なお熾烈に続けられております。  自由諸国なかんずく米国との協調は、政府の外交方針の基調であることは御承知の通りでありまして、新しい国際情勢の動きに関連し、今後とも一そう米国政府首脳者との接触を緊密にいたしまして、相互に十分意見を交換していきたいと存じております。  わが国の安全保障の問題は日米関係のきわめて重要な一環をなすものでありまして、同時にこの分野におきましては、日米両国間に種々の問題が現在存するのでございます。されば双方の意思疏通と相互理解を深めまして、もって安全保障条約の円満かつ円滑な運営をはかるため、客年八月、安全保障委員会が設けられましたことは御承知の通りであります。  安全保障は国の存立上きわめて重要な課題でありますので、私は今後とも日米共同安全保障の体制を一そうわが国民の必要と願望に適合しまするよう米国との間に意見の調整をいたして参りたいと存じております。  沖縄問題は、対米関係におきましては政府の最も重視するところでありまして、いわゆる沖縄軍用地問題につきましては、米側は四月十一日高等弁務官の名をもちまして布令第百六十四号に基く土地接収計画をワシントン政府で再検討中なること及び新規の一括払い接収告知を中止する旨を発表いたしました。次いで五月二十日、陸軍長官の名をもちまして、アメリカ・沖縄双方の利益を有する問題につき協議のため、当間主席外五名の代表の渡米を招請いたしました。沖縄の民政により多く現地の声を反映せしめ、アメリカ・沖縄意思疏通をはかるとともに、沖縄住民の民生向上にも一そうの援助を行うとの態度を示してきております。右招請に基きまして、沖縄代表一行はそれぞれ最近日本に立ち寄った上で渡米いたしましたが、その際、私も二回にわたりこれらの方々とお目にかかりました。なお、アメリカにおける活動等について御協力申し上げるために、事務的にも数回の会合を行なったわけでありまして、懇談の上にアメリカに行かれた次第であります。沖縄側は、従来の一括払いにする有限不動産権設定方式にかわる地代の毎年払いと五カ年ごとの再検討を条件とする賃貸借契約とすることを主眼といたしまして、あわせて他の諸点をも要望しておりましたが、政府といたしましては、これら現地の要望を十分考慮し、今後とも本問題の円満解決につきまして米側に適宜申し入れを行う所存でございます。  米国のエニウェトック水域の原水爆実験につきましては、昨年九月以来数回にわたり米国にその中止を求めてきた次第でございますが、去る五月七日、四月二十八日の第一回爆発を皮切りに同水域における一連の原水爆実験が開始せられたことが判明いたしましたので、五月十二日付在京米大使館あて口上書をもって、さきの国会の決議の趣旨を伝達かたがた重ねてその中止を求めました。最近、米ソ間に核実験の探知に関する専門家会議開催に関する合意が成立する運びとなりつつあることを喜んでおったのでありますが、この数日の情勢は、必ずしもそれが円滑に進行しないような事態が起ってきております。が、しかし、それがわが国民の悲願を達成する端緒を開くものとして大いに期待しているものでございます。今後とも、十分この専門家会議が円満に妥結に導かれるように希望いたしておる次第でございます。  次に、北米系紅ザケ保存に関する問題でございます。御承知の通り、現在日米加三国の漁業条約によりまして、わが国は西経百七十五度以東のサケ、マスの漁獲を抑止しております。従いまして、西経百七十五度以西の漁獲は何ら条約上規制されてないのでありますが、米側はブリストル湾の北米系の紅ザケがこの海域にも多数回遊し、ことに昨年の日本側船団の集約的な漁獲により北米の紅ザケが多数漁獲され、ブリストル湾の紅ザケが壊滅に瀕していると主張し、わが国のサケ、マス、カン詰の輸入をも禁止せよとの趣旨のいわゆるぺリー法案等が米議会に提出された次第であります。これに対しわが方としては、条約上は何ら義務のないものでありますが、海洋資源の保護という大局的見地から、北米系紅ザケの保存についても十分関心を有するものである旨米側にしばしば説明をいたし、また、五月末にはアメリカ業界代表四名が来日し、わが方業界と話し合いをいたし、その結果、結局米側もわが方の誠意と立場を十分了解したものと認められるのでございます。従って、なお楽観は許されないが、これら話し合いの結果は、ペリー法案等従来の反対運動の緩和に大いに役立つものと期待しておるのでございます。  なお、終戦後、日米友好関係促進の一つの障壁ともなっておりました米国関係戦犯の問題も、岸総理外わが国朝野の努力と米国政府の理解ある態度によりまして、本年四月七日A級戦犯の問題は全面的に解決され、またB、C級戦犯につきましても、去る五月二十日をもって全員釈放が実現したのは喜ばしいことでございます。  わが国が米国と密接な経済関係を有すること言を待たないところであります。今後とも右関係を促進したいと考えております。  ただ、従来わが対米貿易は、わが方にとって多大の輸入超過となっておったので、今後とも対米輸出の増加をはかることにより右アンバランスを是正していくことが必要と考えております。  近時、米国国会及び業界の方面におきまして、国内産業保護のため輸入を制限せんとする動きがございまして、日本品の対米輸出に大きな影響を及ぼすおそれがありますので、政府といたしましては、民間業界と協力してあらゆる対策を講じてこれが阻止に努めてきたのであります。幸いにしてアメリカ政府は、十分にわが方の立場を理解し、自由貿易の原則の維持をはかっております。今日までのところ、僅少の例外を除き、わが国から大量に輸出されている商品に対して現実に関税引上げ等の輸入制限措置がとられた例は多くないのであります。しかし、この種運動は、今後も継続されるものと見られますので、十分われわれとしては注意を怠ってはならぬところでございます。  また、最近米国対外援助法の域外調達を制限する条項が米議会で審議されておりましたが、わが方の米側に対する申し入れ等の努力のかいもありまして、上下両院協議会で右が削除されたと聞いておりますが、右はアメリカ側がわが方の立場を十分理解した証左と認められるのであります。  アジア諸国との関係につきましては、彼我首脳者の往来、賠償問題の解決等によりまして、友好関係の増進を見たことは御承知の通りであります。今後ともわが国といたしましては、これら地域の安定と平和のため、世界の諸国がこれに協力するよう外交を進めるとともに、わが国自体としても、われわれの保有する技術的知識と経験をアジア諸国の国家的事業のため奉仕せしめるため、積極的努力を行なってゆく所存でございます。  ここに、日中、日韓関係につき一言申し上げたいと思います。  四月十四日、中共は第四次日中民間貿易協定に対する日本政府の回答を拒否し、対日非難を行いました。五月二日、長崎において偶発的な中共旗引下し事件が起きるや、これを契機にいたしまして、対日非難を高め、五月六日、七日の両日に、わが漁船十四隻を拿捕し、五月九日陳毅外交部長は岸内閣を非難する声明を行なったのであります。かくて、五月十日以後は既開設LC分を除く一切の貿易は停止され、五月末までに在華邦人商社員もほとんどすべて帰国を求められ、文化交流、人の往来等も一、二の例外を除いては途絶し、六月十二日以降民間の漁業協定の再延長は不可能となりました。また、従来日本船に包括的に開港されておりました上海、秦皇島、天津、大連にまでも一船ごとの入港事前許可を要することとなり、わが国と中共との間は、従来の民間べーシスの積上方式に基く一切の来往関係が一挙に途絶されることとなったのでありまして、まことに残念であります。  中共がこのような強硬措置をとったのは、日本政府の民間貿易三団体に対する回答及び岸内閣の対外政策を何らか誤解しているのではないかと考えているのであります。また、この政策の背後には、中共の国内政情に基く種々の理由もあったのではないかとも思われますが、いまだそれらのはっきりとした情勢は把握しがたいのであります。  政府は、わが国が単に民主主義諸国との友好関係をますます発展させるばかりでなく、たとえ政治的信条、社会制度を異にする国家との間にも友好関係を保持することは世界の平和と繁栄に資するゆえんであると考えており、ことに近隣諸国との間におきましては、たとえ国交関係のない国でも、誤解や不信により、その善隣関係がそこなわれぬよう努力しなければならないと考えている次第でございます。  日中間の貿易につきましても、双方に種々の制約要因があることは申すまでもないのでありまして、双方の誤解とか感情対立に基き、これが断絶するということはまことに好ましいことではないのでありまして、双方の理解により、貿易や文化の交流を促し、漁業問題を解決して、よき善隣としての関係を保ち得るよう努力して参りたいと存じております。  日韓関係につきましては、昨年十二月三十一日調印されました抑留者相互釈放に関する日韓両国政府間取りきめの対象となっておりました抑留日本人漁夫九百二十二名につきまして、本年二月一日に三百名、二月二十八日に二百名、四月二十六日に三百名、さらに五月十八日に至り百二十二名がそれぞれ送還されたことによりまして、その釈放は完了いたしました。  なお、わが方といたしましては、韓人刑余者四百七十四名の国内釈放を取りきめ期限内であります二月十一日に完了しており、また、不法入国韓人は四次にわたり千三名を送還いたしました。  第四次日韓全面会談は、同じく昨年末調印されました日韓間取りきめによりまして、本年三月一日より開催されることとなっておったのでありますが、韓国側による日本人漁夫の送還がおくれたために延引しておりましたところ、その後、韓国側の折衝の結果、漁夫送還の大体の見通しがつきましたので、四月十一日私と金大使との話し合いがつきまして、四月十五日から全面会談を開くことになったのであります。  自来今日までに前後九回の本会議会合が行われました。会談の議題は過去の会談と同じく五つの懸案でありますが、五月六日の第六回本会議会合におきましては、1基本関係2韓国請求権3漁業及び平和ライン4在日韓人の法的地位の四つの委員会並びに韓国請求権委員会のもとにa請求権b船舶の二つの小委員会を設けることが決定されました。そして五月の第四週以来韓国請求権と在日韓人の法的地位の二つの委員会が開かれ、すでに前者は三回、後者は四回にわたりまして会合を行なっております。さらに六月四日には請求権小委員会、同月六日には船舶小委員会の第一回会合もそれぞれ開催され、後者は今日まで三回にわたり会合が行われております。なお、遅延しておりました漁業委員会におきましても、向う側の代表者の方々が総選挙等の事情のためにおくれておられるのでありますが、近くこちらに来られまして、会談が開けることになろうかと思っております。  政府といたしましては、右会談におきまして、わが方の正当な基本的主張は堅持いたしますが、友好的精神をもりて、できる限り、諸懸案の合理的かつ実際的な解決をはかって参りたいと存じております。  日ソ関係につきましては、一昨年、日ソ共同宣言によりまして国交を回復した日ソ両国関係は、その後も領土問題等につきまして意見の対立が解消しない結果、いまだ平和条約による完全な国交の樹立には至っておりませんが、自由諸国との協調に関するわが外交の基本方針及び領土問題に関するわが公正な主張を害しない限り、隣接する大国たるソ連との間の諸懸案を徐々に解決し、友好善隣関係を立樹することは必要かつ歓迎すべきことなのであります。この意味におきまして昨秋日ソ通商条約が締結されまして、また、さる四月二十一日、日ソ漁業委員会会議が円満妥結したことは御同慶の至りであります。また、同様な意味におきまして、最近ソ連側より提案して参りました航空協定及び文化協定締結問題につきましても積極的に検討を行なっております。航空協定につきましては、すでにソ連側に回答を行なったこと、御承知の通りでございます。  他方、懸案の近海安全操業の問題は別に述べるごとく、いまだ解決のきざしはありませんが、この問題につきましても、前に述べましたような友好の精神において、鋭意折衝を続けて参るつもりでございます。  御承知のように、本件につきましては、政府は昨年六月及び八月にソ連に対し申入れを行いましたが、ソ連側はわが方の累次の督促にもかかわりませず、明確な回答を渋っておりましてようやく二月五日、日本政府が平和条約締結の用意があることを表明しないことにかんがみ、本問題を審議する条件がまだ熟していないものと認める旨を回答して参ったのでございます。二月十八日、わが方といたしましては、ソ連側が本問題を平和条約締結交渉と切り離して交渉に応じ、円満解決への努力を払うよう要請いたしたのでありますが、ソ連側は、さらに三月十八日、前回同様の主張を行なって参ったのであります。これに対しまして、政府は、五月十九日、ソ連側に対しまして、日本側としましては本問題の実際的解決の方途を見出すことにつきソ連  側と協議するのが本旨であり、昨年八月の提案の形式に必ずしもこだわるものではなく、また、その内容等についても適用水域の制限等話し合いを行うべき諸点のあることは十分承知している旨を述べまして、ソ連側においても、日ソ友好善隣関係増進の見地より本問題をさらに再検討するよう要請いたしたのであります。  その後、ソ連側からは右に対する回答はまだ寄せられておりませんが、政府といたしましては、あくまでも本問題を平和条約締結に至りますまでの暫定措置として実際的に解決をはかって参りたいと、こう考えております。  これを要しまするに、わが外交の基本的目標は、世界平和の維持にあるのでありまして、この目的に寄与する諸方策を通じまして、わが国の安全と繁栄とを確保することにあること申すまでもないのであります。  特に近隣諸国との善隣関係を保持いたしますことはもちろん、広く世界いずれの国とも友好関係を樹立発展せしめることは、わが外交の基本的な方針でございます。  その場合、わが国の民主主義国としての基本的性格から、また、わが国の生活程度を維持向上せしめる点からも、自由諸国との友好関係を特に増進することは当然のことでありますが、また、善隣関係の保持については、たとえ政治的信条を異にした国家との間におきましても、これを確保することは言うまでもないことでございます。ことに隣国との間に悪意や不信の感情が存在するのでありますれば、そういうものは、できる限り取り除きますよう努力して参る所存でございます。  今日の世界の平和と繁栄は、アジア、中近東における新興諸国の平和繁栄なくしては、これを望み得ないのでありますから、世界の平和維持に責任を有する諸国は、その立場と実力に応じましてこの地域の平和と繁栄のため努力すべきことは当然だと思います。  また、わが国としてもアジアの繁栄なくしては、日本の繁栄を期待しがたいのであります。従いまして、わが国としては、世界の諸国がアジアの繁栄のため努力するよう外交を進めて参りますとともに、わが国の保有しております技術的知識と経験を、アジア諸国の国家的事業のために奉仕せしめるための積極的な努力をいたして参りたいと存じております。  世界平和確立の障害の第一は、形を変えた帝国主義的の野望の存在及びこれに関連し国家相互の不信の現存であるという観点から、内政干渉のきらいのある行動、敵意と不信とをかり立てるがごとき行動等は、いかなる形式をとるにかかわりませず、これを排除したいと存じております。  平和確立のための第二の障害は、富の偏在、生活程度の差が存在すること、さらにまた、大国がその政治的あるいは思想的立場を他国に強要し、相手国の立場を許容しようとしない行動にあると考えられますので、大国も小国の立場に十分の理解を持ち、その主張に耳を傾けることによりまして、国際的民主主義が確立されるよう努力して参らなければならないと存じております。  かかる平和の障害を取り除きますため、国際連合に対する協力を強化するとともに、巨頭会談等平和のための話し合いの機会をできるだけわが国としては活用して参りたいと考えております。  以上、今日までの外交の経過を申し上げ、なお、わが国の外交につきましての態度を一応申し上げたのでありますが、わが国の置かれております国際的地位、国力等に関し、謙虚な反省を持つと同時に、冷厳かつ流動しております世界政治の現実を十分直視し、観念論にとらわれず、広い視野に立って施策する態度を堅持して参りたいと存じております。  また、外交の成果は、これを長期的視野から見るべきものであるとの過去の厳粛な歴史的教訓の上に立ちまして、長い目で見た国際的信用の維持、実利の擁護等に目をつけて参らなければならないと考えておる次第であります。  以上、前回の国会以後の国際情勢等につきまして御報告を申し上げ、私の外交に対します態度をつけ加えまして、御報告申し上げた次第であります。

寺本廣作自由民主党

○委員長(寺本広作君) ちょっと速記をとめて下さい。   〔速記中止〕

寺本廣作自由民主党

○委員長(寺本広作君) 速記を起して下さい。  それでは質疑のおありの方は、順次御発言を願います。

羽生三七日本社会党

○羽生三七君 実はきょうは、わが党の同僚各位それぞれ、私もそうですが、時間に制約された用件があって、こういう短時間で、当面の重要諸問題を十分お伺いすることはできませんので、他日あらためて機会を作っていただくよう、これは委員長にお願いをいたしておきます。  ただいま外務大臣から、最近の情勢についての所信といいますか、感想を承わりましたが、今承わった限りにおいては、われわれもあまり異存ないのです。近隣諸国との善隣友好を深める、それから国交回復のない国についてもそうである、少しもこれはわれわれの異存のないことなんです。しかしそれにもかかわらず、なぜそれじゃふだんにトラブルが起るし、また、解決できないのかということになると、抽象的、一般的な政府の所信にもかかわらず、具体的にはほとんど解決をしないというところにある。それで実は、社会党は、衆議院の予算委員会あるいは外務委員会等でいろいろな論議があったわけでありますが、そのわれわれの論議は非常な低姿勢だったわけであります。これは、党は違っても、日本の貿易の発展、隣国との友好を深めるためにかえって障害になるようなことをしてはいけないから、政府ともある程度呼吸を合わして問題の前進をはかろうという、そういう意味からきわめて姿勢を低くしておそらく衆議院においても質問したと思う。しかしそれにもかかわらず、なかなか問題は前進をしない。しかも今外務大臣は、近隣諸国とはたとえ国交回復のない国であっても友好を深めることに異存はない、こう言われておるわけです。そこで、私は中共に関する最近までのこまかい経緯について、一つ一つかれこれ論議をする意思はもう全然ありません。ただ問題は、一体そういう障害がどこから起ってきておるかということになると、私はもちろんそれは長崎における国旗事件もあるでありましょうが、やはり基本的には、政府の一般的、抽象的な——今のお話にもかかわらず、基本的にはやはり依然として中共との友好を深めるという基調が、政府自身に確認されておらないということじゃないかと思う。たとえば官房長官の談話と他の閣僚との談話が食い違い、あるいは日中貿易の議員連盟の解消問題についても、全く思い思いのことをやっておる。何が自民党の真の中共政策であるかさっぱりわからない。私どもも今この段階で、今の政府が国交回復をすぐやれるような状況にあるとは思いません。また、そんなことをわれわれもせっかちに追及するわけじゃない。しかし、今政府が国交回復がない国と善隣友好を深めることに異存がないと言うならば、あとに残っておる問題は、私は面子のことだと思う。もう一つは、外交は長期にわたって考えなければ、短期で問題の解決はつくものでないということは今御所信の中にうたわれておる、まさにその通りです。しかし、これは長期で静観をしておるわけにいかない当面の問題であります。だから、当面の問題を含めて、一体中共に対してどういう立場をとるかという一点に集約されると思うのでありますが、この場合、私はやはり政府が従来のいろいろな行きがかりをすべて一擲をして、何も日本がしいて不必要な意味で私は卑屈になるとか、頭を下げるとかいうそんなことは言いません、そんなことはできるものでもないでありましょうが、とにかく今までいろいろな食い違いがあった、それでやり方がまずい点があったという点を率直に認めて、今のこの所信を、堂々と今外務大臣が述べられたのですから、その線に基いて、中共との友好親善は少しもこれをそこなう意思はない、積極的にこれを推進したいということを、あらためて日中関係の問題と関連して政府が所信を表明されたらどうか。だから今のような抽象的な形でなら政府は幾らでも論議がある。われわれも少しも異存がない。ただ当面の問題と関連して、何を言うかというところに問題があるのですから、今当面問題になっておる日本と中共との諸懸案と関連をして、この議会であらためて日中間の友好親善に異存のないことを率直に私は披瀝されたらどうかと思う。これはさきに台湾に寄られた岸首相が、昨年不必要な談話をして相手を刺激して以来、引き続いてずっとそういう問題が累積をしておる。それに対してはいろいろな弁解はされておりますけれども、それを打ち消すような率直な意見の展開というものはないのであります。だから、私は繰り返して重ねて申し上げますが、抽象的、一般的な論議でなしに、ここで中共問題、今現に起っておる諸問題と関連して、政府——外務大臣なり、総理大臣が、率直にこの問題の解決のための意思というものを、善意ある意思というものを議会を通じて表明されることが適当ではないか、片鱗としてはいろいろな形でありますけれども、それでは不十分だ。私は全面的に、そういう意味であらためてそういう問題を確認されてはどうかということを考えるわけでありますが、外相の所見を伺いたい。

藤山愛一郎自由民主党外務大臣

○国務大臣(藤山愛一郎君) 中共との関係につきまして、政府が基本的に貿易の拡大、その円滑化ということについて、今日まで支持と協力を与えてきた立場は一向に変っておりません。日本の現在の事情から申し上げまして、貿易の伸張ということは、いずれの国に対しても最善の努力をして参らなければならぬと考えます。そういう意味において、われわれは決してこれをないがしろにいたしておるわけではございません。ただ中共との問題につきましては、いろいろな相互の間に誤解あるいは誤解に基く感情上の刺激が多分にあったと思います。従いまして、私が静観という言葉を使っておりますのに、静観というのは、何にもしないでただ消極的にあるいは否定的に、好ましくないから静観をしているのだというようなふうにどうもとられがちなのでありまして、その点は私としてまことに遺憾だと思うのです。実は、ただいまお話のありましたように、いろいろこの問題については、言説を弄しますと、誤解が誤解を生んでいく、また、用語等の関係からいろいろの感情上の問題も起ってくるきらいが過去の経緯から見ましてあるわけであります。従いましてしばらく慎重な態度をとって、お互いにそれらの誤解を順次解いていく、そうしてその基礎に立ちまして初めて具体的にどう問題を展開していくかということを考えるのが現在の筋道ではないか、また、それが一番貿易を再開するための早道ではないか、決しておそ道でなくて早道ではないかというふうに考えておりますので、従って、私は、静観という言葉を使ったわけでありますが、何か静観という言葉自体にも大へんにまた誤解を生み起しておるようなのでありまして、私の考えております静観という意味はそういうことであります。従って、無為、あるいは策なくしてただじっと考えておる、あるいはそれよりももっと否定的に考えているという意味でないことだけは、この際はっきり御理解をいただいておきたいと、こう考えておる次第であります。

羽生三七日本社会党

○羽生三七君 いや、貿易を促進するためにはできるだけ努力をしたいとおっしゃるのですが、これはまあ貿易促進は当面の問題でありますから、これはもちろん異存のあるはずはない。しかし、問題はそうでなしに、友好関係なしに貿易だけを切り離してうまくやろうというところに問題がある。だから、私は国交回復をすぐやれとかいうことを言うのじゃないのです。今抽象的に述べられた所信を、具体的な問題に触れてお話しになったらどうか、こういうことを言うのであります。これは少しも国交回復とかいう問題なんかには関連のない問題である。だから、そういう基本的な善隣友好関係は背後に隠しておいて、当面の貿易問題だけを浮き彫りさせようというところに問題があるのでありますから、それは静観が、策があっての静観かどうか、これはお手ぎわは将来を見ていくことにいたしますが、私はどうも今外相の言われることに一歩進めて、中共に対してもう少し積極的な意味の善意ある発言をされても、少しも外相の面子をこわすことにはならぬと、こう思いますので、単に貿易を促進するためにはどうとかこうとかいうことでなしに、今日の日本に対する中共の不信というもの、これを一掃するような意味の積極的な御発言があってしかるべきだと思うのでありますが、この点はいかがでありますか。

藤山愛一郎自由民主党外務大臣

○国務大臣(藤山愛一郎君) むろん貿易の問題は当面の問題でありまして貿易でありますとか、政治でありますとか、そうした国際間の関係を打ち立てて参ります上においては、友好関係がその基盤にあることは当然なことであります。従って、私は、善隣友好の精神をもって外交を処理していきたいという点もそこにあるわけでありまして、むろんお互いそれぞれの立場によって信条の違う場合もあり得ますけれども、それが相互に国内問題に関与しない限り、できるだけ友好善隣の関係を打ち立てて、そうして相互の理解を深めていくことが必要だと思います。今日までの日中第四次貿易協定の問題にいたしましても、いろいろ両方の言動その他について何か誤解やその他のものが感情を刺激しているような点もあるわけであります。でありますから、この際はできるだけ控え目にお互いに考えながらやっていくということが、一番それらの過去の誤解でありますとか、刺激を起した問題を冷静に考え直し、そうしてお互いに話し合いを作っていく友好的な基礎をまず作る必要があるんじゃないか、こういうふうに考えて、そうして私は私自身が静観というばかりでなく、とかくの言動をいろいろな方がなさらないようにお願いをしたいということを考えておるわけです。

羽生三七日本社会党

○羽生三七君 とかくの言動というのは国会議員の言動ですか。

藤山愛一郎自由民主党外務大臣

○国務大臣(藤山愛一郎君) 国会議員ばかりでなく、個人としてもいろいろございますので、あまり刺激するような問題が起らぬように希望いたしております。

羽生三七日本社会党

○羽生三七君 刺激するどころではないです。社会党の同志諸君から言えば、むしろしかられるくらいな低姿勢でものを言っておるわけです。もうそんなことは、私はとかくの言動なんかは政府がやっておるので、それはまあ筋違いだろう。みんなとかくの言動を政府がやったことから起ったことで、そんなことは全く筋違いの話だろうと私は思います。しかし、いずれにしても今のような考え方ではなかなか問題は打開しないだろう。だから私は、政府の立場を困らせるというような意味で、そういうまた見通しのもとに私は何も言うわけではない。あくまで問題の正鵠的な解決のために私は発言をしている。しかし、これはきょうは時間もないし、同僚議員もおられませんので、これは委員長にお願いしておきますが、他日十分の時間を取って論議できるような機会をいただきたい。  それから次に問題を移しますが、今度外務大臣が渡米される場合の問題でありますが、渡米される場合には、いろいろお考えがありますので、その一々については私は立ち入ったことをお伺いする意思は全然ありません。ただ私は、沖縄問題について、今の所感の中にもその問題に触れられておりましたが、前国会に岸総理も、外務大臣もこの委員会の席上で私の質問に答えられて、この問題は施政権の返還、地代一括払いの問題であります。対沖縄関係の諸懸案を解決するためにトップ・レベルの会談をやろうということを二回にわたって確約をされておる。それで私は単に事務的な折衝ということでなしに、本腰を入れてこの問題をおやりになったらどうかということを前々から考えて、それを要求しておったわけでありますが、総理大臣も、外務大臣もそれを確認されておったわけでありますが、今度の渡米問題については、アメリカ側としては何も懸案がないのだからと、そういうことを言っておるのでありますが、単に友好関係を深めるということでなしに、これは今まで前に重光さんが行かれて壁にぶつかって帰ってこられた。岸さんは行かれてアメリカと話し合いをされましたけれども、これはわれわれから言えばむしろ好ましくない形でお帰りになった。今度また、友好を深め、また、相互の理解を深めるためにおいでになるのはけっこうでありますが、少くとも国民の大多数が要望している諸懸案の解決のために、積極的に一歩を進めていただく、そういう意味で、沖縄問題について十分な話し合いをなされるのかどうか。今の中共問題等もそれはいろいろあるでありましょうが、この機会に、前の前国会の私の質問に対する御答弁と関連してお尋ねいたしておきます。

藤山愛一郎自由民主党外務大臣

○国務大臣(藤山愛一郎君) 私の今度のアメリカに行くという一つ考え方もしくは態度について基本的に御了承を願いたいと思うのです。それは、私も一年外交の仕事をつかさどってみまして、むろん日米親善友好関係が現内閣の基本方針であることは申すまでもございません。しかし、友好親善関係を打ち立てますためにも、日本の現在の立場から率直に言うべきことは言わなければ、ほんとうの友好親善関係は打ち立てられないのじゃないか。ことに私の外交を担当して一年の経験からいいますと、戦後の日米関係というものはいろいろな段階を経ていると思います。しかし、その日本自体がすでに終戦後経済的にも社会的にもある程度の成長もいたしているわけであります。そういう現状から見ますと、日米関係でもって過去の惰性をそのままにしておいていいということのないのはもちろんであります。その問題につきまして率直に意見を交換して、そうして改善されるべき点は改善していかなければ、日米友好関係を樹立しようということの政策の上からいっても不適当ではないかと思うのであります。でありますから、今回私が外務大臣に再任をいたしまして今後、日本の外交を転換し、ことに日米友好の外交を展開するにおいて、さらにそういう基本的な問題についてまず日本の立場、主張、そういうものについて理解をしてもらいたい。また、日本の終戦以来の経済、社会情勢の発達、また、その世界情勢の中における日本の立場等につきましても、この数年来相当変化もいたしております。そういう問題について、十分理解を得て、そうしてその基礎の上に立って、具体的な問題の解決をはかっていかなければならぬと思います。その基礎の見解がばらばらでありますると、具体的問題の解決もおのずから結論に到達しにくいというようなことが起ってくるのではないか。そこで、私はまずやはり日本の今日の外務大臣としては、アメリカに行きまして、十分そういう基礎的な問題について相互理解を深め、見解の統一をはかる、そうしておくことが必要だと思います。むろんそれでありますから、私が今回参りますのに、具体的な問題を持って参らぬとは申しませんし、また、具体的問題の例をあげまして、そういう問題を説明することも必要だと思うのでありますが、今回行きまして、そのことが、すぐに交渉に入るよりも、交渉の第一歩として、あるいはその基礎をなす一つの話し合いをしていきたい、そうしてその上に立って今後の新しい交渉を進めていきたい、こういう気持でいるわけであります。ですから、その点を一つ御了承いただくと同時に、具体的問題の解決につきましても、それでは二段、三段になるじゃないかというお話にもなるかもしれませんが、今申し上げたような例示等については、具体的な問題を例示等にあげてわれわれの主張する理由を説明していくことになりますから、当然そういう具体的な問題にもいろいろ触れていかなければならぬと思いますが、しかし、こうした両国の懸案を解決しますのは、一ぺんの渡米だけですぐ解決するとも私考えておりませんし、また、それだけの御期待をいただいても無理かと思いますが、今後、長期に政権を担当する覚悟をしておるという岸内閣としては、その気持でもって今後そういう問題を逐次解決する方向に進めていく、それが一番必要じゃないか、そういう心持でワシントンに行ってみたいと、こう考えております。

羽生三七日本社会党

○羽生三七君 もう一点だけ、これは要望に属することでありますが、先ほど申しましたように、前に重光さんが行かれたときにも、出発のときのお考えをここで承わりました。それで向うに行かれてなかなか容易ならざる壁にぶつかって帰られた、岸首相も組閣後行かれて、いわゆる日米新時代というものを作ったのですが、それはわれわれの意図と大いに反しておる、率直に日本国民の要望なり、終戦以来の諸懸案を積極的に述べるべきなのに、私は述べなかったと思います。しかし、むしろ結果においては向うのペースに完全に巻き込まれて、日米新時代とは何ぞやという新しい問題を提起するような状態で帰国された、今後、外相が行かれるについても、いろいろ所信を承わってけっこうだと思います。そういう意味で、日本の当面する諸問題を積極的に解決をするという気魄を十分に持たれて、十分な成果を上げられるように期待をいたしますし、今申し上げた個々の例示にあまり深く立ち入ることを欲しませんが、沖縄問題についても十分な努力をされることを希望いたします。これは要望であります。

森元治郎日本社会党

○森元治郎君 今外務大臣から過去の惰性をやめて言うべきことは言っていく、そうして具体的な問題も織り込んでいきたいというお話だったので、それでは過般の沖縄の立法院で決議した沖縄に核兵器を持ち込まないでくれというのは、そのよい例にあてはまると思うのですが、あてはまるかどうか、おやりになるおつもりがあるかどうか。

藤山愛一郎自由民主党外務大臣

○国務大臣(藤山愛一郎君) 日本の沖縄のそういうような要望というもの、沖縄の人たちの要望というものは十分われわれも考えて参らなければならぬと思いますが、日米の防衛上の問題というものは、やはりまた日米関係を調節する上に非常に大きなしかも重要な問題だと思います。従って、そういう問題を話し合いますためにも、極東の情勢なり何なりに対するアメリカの見方は一体どういうところにあるのかということも私はもっと突っ込んで、日本としては聞いていかなければならぬじゃないかと思うのであります。むろん先ほど羽生委員にお答え申し上げましたように、個々の問題の解決というものを全然無関与でいくというわけではありませんけれども、今回参りますのは、できるだけそういう基本的な認識というものはどこが違うのか、どこがまた一致するのか、また、認識が違うならどういう点が違うのかということをもっとはっきりさせることがやはりいろいろな今後の問題を解決する私は早道でもあり、手がかりでもあるのではないかと思うのであります。そういう立場で参りますので、むろん参ります以上、個々の問題について論議をしないとかいうことはございませんし、また、国民的要望を伝えないというわけではございませんが、私はまずそういう立場で一ぺん話をしてみたいという気持でおるわけでございます。

森元治郎日本社会党

○森元治郎君 そういうふうな御答弁を伺うと、まず立法院の決議だけに限って話をしますと、極東の軍事情勢についてもよく伺ってみなければならない、情勢上やむを得ないんだということであれば、沖縄住民のこの希望というものも強く向うに訴えるんだという、こういうふうに意地悪く解釈もできるんですが、その点はどうかということと、それから立法院の連中もアメリカに行っていると思うんですが、アメリカ当局にも伝えて、これは日本人が伝えているんですから外務大臣もこれを支援するといいますか、口添えをして希望の達成に努力をしてあげることは当然だと思いますが、いかがでしよう。

藤山愛一郎自由民主党外務大臣

○国務大臣(藤山愛一郎君) ただいまお話にありましたように、私の申しました気持というものをあまり意地悪くおとり下さらんで、私も率直な気持で申し上げておりますから率直におくみ取り願いたいと思います。従って、そういうたとえば極東の情勢がこうだからというところに追い込んで、そうしてやむを得ないんだという結論を引き出すような意図で私は行くわけじゃないんでして、そういう話し合いをした結果、それならばどうしなければならぬかと、日本としてはどういう主張をし、また、どういうことをその問題の解決に当って考えていかなければならぬかと、日本国民の核兵器に対する考え方等をどうしていったらいいのかという基礎的な意見の交換をしてみたい、こういう気持なんでございまして、どうぞその点を御了解いただきたいと思います。

森元治郎日本社会党

○森元治郎君 それじゃ端的にお伺いしますが、立法院の決議というものは、核兵器持ち込み反対の岸内閣の一枚看板から見れば当然取り上げてやり得る問題の範疇に入ると思いますが、いかがですか。

藤山愛一郎自由民主党外務大臣

○国務大臣(藤山愛一郎君) 非常に沖縄国民の気持というものを、われわれ日本国民として当然理解はできると思うのでありましてそういう問題としてわれわれは考えてゆく必要があろうかと思います。ただこの問題については、やはり沖縄というものの位置もありますから、そういう問題についても、アメリカと十分話し合いをしてみないといけないのじゃないかというのが私の話し合いをしてみたいという考え方なんです。

森元治郎日本社会党

○森元治郎君 問題はその沖縄という位置の問題なんですね、そこが問題で、今施政権の問題で教育権を返せとかいっているが、これと同様に立法院の決議の趣旨も同列に取り扱い得ると思うんですが、その点どうでしょうか。

藤山愛一郎自由民主党外務大臣

○国務大臣(藤山愛一郎君) でありますから、私としましては、一つのむろん私なりの考え方を持ってゆくわけでありまして、そういう立場からいろいろな面について十分な主張をしてみたいと思っておるわけなんです。で今私はとかくの私なりの考え方というものを申し上げることが適当でないと思いますから申し上げませんが、私はやはりしかし、日本の今日までの極東の情勢に対する十分な考え方、また、それから来る沖縄の位置なりについて一ぺんほんとうにアメリカ当局とじっくり話し合いをしてみなければいけないんじゃないか、こういうふうに考えておるのであります。

森元治郎日本社会党

○森元治郎君 時間がないから次の機会に譲りますが、日米安保委員会という手近なところもあるんですから、十分話し合いを伺っておるべきだと思いますが、また次の機会に譲りたいと思います。  関連して非常に私、気になるんですが、岸さんはいつの国会でも、選挙でも核兵器持ち込み反対、原水爆禁止をやっているのはわが党だと言って、三木政調会長も解散のときの反対討論でも述べておりましたが、私はアメリカ政府が了解しているんだという政府側の説明にはどうも納得いかない、人のいい人はアメリカ政府は了解しているという政府の宣伝に迷わされていると思うんですが、私の了解していないという主張を裏書きするのが四月十八日のUP電報で、アーウィンという国務次官補、安全保障担当が、日本は核兵器に対して非常に神経質である、これは持たせるようにしたい、こういうことを向うが言っている、このことはまことにその通りだと思うので、政府がこれまで了解している——了解しているということは一つもアメリカ側の了解を得ていないんだというその証拠をここに見るんですが、どういうようにお考えになりますか。

藤山愛一郎自由民主党外務大臣

○国務大臣(藤山愛一郎君) アメリカ側においてもそれぞれの立場においてそれぞれの意見があると思います。従いましてときに新聞等でいろいろな電報が来ておる場合もあることはただいま御指摘の通りでありますが、しかし、私ども今日まで対米折衝をしておりまして、アメリカの大きな対日政策として、決して日米友好関係をそこないあるいは日本国民の意思と願望に反したようなことをそのまま押しつけてこようということを考えておりません。でありますから、私としては、現在の段階におきまして、総理が言われておる通り、アメリカとしては、日本の意思を十分にくみとっているものと考えております。

森元治郎日本社会党

○森元治郎君 ただ向う側のそのあとに書いてある電報によると、国務省当局——国防省じゃなくて国務省当局では、ただあまり押しつけると、日本がまた逆なことになってもまずいからというだけでもっぱら持ってもらわなければ困るということだけは国務省と国防省は同じのようなので、こういうものがあるから、社会党がいろいろな機会に国会でも一つはっきりした約束を結んだらどうかという質問がしばしばあるわけなので、アメリカに行かれた場合に、一つそれほど一枚看板にされておるのですから、この点についてはっきり話し合いを進めるべきだと思うのですが、いかがでございますか。

藤山愛一郎自由民主党外務大臣

○国務大臣(藤山愛一郎君) 私は、今回参りますのは、ただいま申し上げましたような考え方で基本的な話し合いをする、そうしてその認識の一致した点、あるいは違った点に立って、どうして日米間のいろいろな問題を扱って行くかということをまず考えてみたいと思うわけであります。その上に立ちませんければ、ほんとうの話し合いというものができないのではないか。でありますから、いろいろの言説がアメリカでも行われておるのは、ただいま御指摘の通りであります。そういう問題について基本的に話し合いをし、そうしてその線に沿っていろいろの問題を十分今後の解決法を見出していくということにいたしていきたいと思いますので、私は今回参りますのに、具体的にこれこれの問題だけは話し合いをして、何とか解決していこうという立場で行くのではなくして、今申し上げたような立場で行くつもりでございます。しかし、行きます以上は、そうした問題についても、むろんいろいろな意味で、先ほど申しておりますように、具体的な問題に触れないわけではございませんし、また、そうした問題を例にとりまして問題の本質の究明をすることも必要だと思うのであります。従って、必ずしも今度行きますことが、何かの問題を解決するのだという意味ではないということだけを一つ御了解願いたい。あるいは二度三度行って、おのずからそれらの基本的な考え方に立った上での成果を上げていくのだということに御了承願いたいと思います。

森元治郎日本社会党

○森元治郎君 渡米の御趣旨はわかりましたが、問題をしぼって、核兵器の日本持ち込みについての政府の気持は、アメリカ側の各界、政界、軍部に十分な了解を得てない、納得を取りつけているということになっていないということが大臣の答弁から伺えますが、さよう了承してよろしゅうございますか。

藤山愛一郎自由民主党外務大臣

○国務大臣(藤山愛一郎君) 私は、アメリカ側の今日までのわれわれの接触しておる範囲内において先ほど申し上げましたように、核兵器に対する日本国民の願望というものを決して踏みにじっておるとは思いません。十分それを了知して、その立場に立って日本に対しておると、こう考えております。

森元治郎日本社会党

○森元治郎君 大体日本は言いっぱなし、アメリカは聞きっぱなしというふうなことが、了解というふうな表現で政府は表わされておると思いますが、これも次の機会に譲ってあと一点だけ。  朝海大使がアメリカでときどき日本に対する輸入制限に関連して、中共貿易の問題に触れております。遠くは四月二十三日、近くは六月十三日、これは六月はシカゴで新聞記者会見をやったときですが、アメリカがそうやってわれわれが出すものの二倍も日本に輸入させておいて、しかも日本の商品の制限を依然やっていくというならば、中共と経済的にまた、政治的にも結びつきを強化しなければならなくなるであろう、こういうことを言っておるのです。この談話は、単にそのときだけでなくて、四月のときにも中共貿易拡大の必要を強調して、日本の業界、日本の中では中共市場の開拓を要望する声は今後一そう強まるものと思うと、こういうことを言っておるのですが、どうも政府が国会で話しておるのと、出先きのアメリカと折衝している第一線の大使のお話のニュアンスと言うか、大へん違うのです。お前が品物を押えるなら、中共と政治的結びつきもするのだ、こういうことは一体訓令によっておやりになっているのか、これがほんとうの腹であるか伺いたい。

藤山愛一郎自由民主党外務大臣

○国務大臣(藤山愛一郎君) 朝海大使がいろいろの機会に、中共貿易問題なりあるいは対米貿易問題に対して発言しておられます一々の言葉上のニュアンスというものについては、私ども現在十分承知しておりません。しかしながら、私どもは、日本の現在の経済上の諸問題から見ましても、国民生活の上から見ましても、中共貿易が必要であるということを認めておるのであります。アメリカがやらぬからこっちをやるのだ、アメリカがやりさえすれば中共貿易をやらぬのだとかいうような、そういう意味の考え方をしておるわけではございません。むろん対米貿易は非常に大きなアンバランスでありますから、対米貿易としてバランスを整える必要がありますし、また、対米貿易だけにおいてこのアンバランスが是正できないとすれば、やはり輸入品の仕入れ地変更とか、そうした問題においてできるだけアンバランスを解消していくということを考えていかなければならぬと思います。いずれの国を利用してと申してははなはだあれかもしれませんが、利用して、他国を牽制するというような立場は、われわれ外交上とっておらぬのであります。

森元治郎日本社会党

○森元治郎君 外国を利用して片方にうまく当っていくということができないという話はわかりましたが、朝海大使が政治的、経済的、その政治的な結びつきを中共と深めなければならぬだろう、この政治的ということは、まだ大臣の御答弁ないのだが、きわめてこれは大使として大きな発言だと思う。そこで私は電報を見てみたのですが、私は新聞記者がかつて本職であったので、どこから出たか、これが信頼されるかされないかぐらいのことは、失礼ながら私は自信があるのですが、それで見ても言ったことは確かなのです。経済的、政治的と並べて、新聞記者の質問に答えておる。そこで、それは政府側でやっぱり解明しないと大きな問題だと思うので、それをもう一ぺん伺いたい。

藤山愛一郎自由民主党外務大臣

○国務大臣(藤山愛一郎君) 朝海大使の言われました全文については、私どもも承知いたしておりませんししますが、おそらく朝海大使としては、アメリカはやはり気をつけてくれないと日本の国民的な考え方もいろいろ変っていくのじゃないかということを申されたのではないかと思います。日本の外交の方針が、お前の方がいけなければおれは向うにいくのだというようなふうに朝海大使も言われたとは思いませんし、また、われわれもそういう意味で訓令も出しておりませんし、また、外務省としての思想統一もいたしておるわけじゃございません。

森元治郎日本社会党

○森元治郎君 どうもアメリカの対日輸入関係については、折衝が機微になってしゃくにさわるのか、こういう傾向の、朝海大使あるいはアメリカにおける日本の外交機関のための対外宣伝がこの傾向でやっておるので、私は政府の訓令でもあるのかと思って伺っただけです。

寺本廣作自由民主党

○委員長(寺本広作君) 他に御発言はございませんか。  それでは本日の委員会はこれで閉会いたします。    午後零時四十九分散会

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