本会議 第9号
- 発言数
- 8 件
- 登壇者
- 2 名
- 会派数
- 1
- 開催日
- 1958/07/01
会議録
○議長(星島二郎君) これより会議を開きます。 ————◇—————
○議長(星島二郎君) お諮りいたします。内閣から、蚕糸業振興審議会委員に本院議員小淵光李君、同吉川久衛君、同栗原俊夫君、同助川良平君及び同松平田忠久君を任命するため、国会法第三十九条但書の規定により本院の議決を得たいとの申し出があります。右申し出の通り決するに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(星島二郎君) 御異議なしと認めます。よってその通り決しました。 ————◇—————
○議長(星島二郎君) 日程第一、議員高石幸三郎君の逮捕について許諾を求めるの件を議題といたします。委員長の報告を求めます。議院運営委員長江崎真澄君。 〔江崎真澄君登壇〕
○江崎真澄君 ただいま議題となりました議員高石幸三郎君の逮捕について許諾を求めるの件につき、議院運営委員会における審議の経過並びに結果を御報告申し上げます。 本件は、去る五月二十二日施行の衆議院議員総選挙に際しての議員高石幸三郎君に対する公職選挙法違反被疑事件について浦和警察署助勤の埼玉県警察本部司法警察員警部からの逮捕状請求により、浦和地方裁判所判事からの要求に従って、去る六月十七日、内閣から、同君の逮捕につき許諾を求めて参ったのであります。 議院運営委員会は、去る十八日に本件の付託を受けまして、即日その取扱いについて協議いたし、翌十九日より五回にわたり秘密会を開いて、音太国務大臣、愛知法務大臣、赤城官房長官等、関係当局の出席を求め、また、審査の慎重を期するため、現地における捜査担当官の出席を求め、逮捕を求めた理由等について詳細に説明を聴取し、審議をいたしたのであります。 なお、その間、憲法の解釈と本件の取扱い方とをめぐって警察当局側と現地側との間に意見が分れて、統一ある見解を述べ得なかったこともありました。しかし、委員会としては、それらにはかかわりなく、本件の性質上、いやしくも審議に遅滞を来たすことのないよう早急に結論を出すこととし、昨日その審査を終了いたした次第であります。 本件は、事議員の身上に関することであり、特に憲法第五十条により保障された議員の不逮捕特権に関する重大問題でありまするので、各委員とも、連日酷暑の中を、おそくまで、終始、党派を離れて、慎重かつ真剣に審議をいたしたのであります。その詳細な内容は、秘密会のことでもありますから、報告を差し控えますが、特に審議の焦点となりました三、四の重要な点につきまして、委員会の了承を得て、ここに簡単に御報告を申し上げたいと思います。 まず第一点は、逮捕の必要性という問題であります。当局の説明するところによりますと、「当初は、任意の出頭もせず、逃亡及び罪証隠滅のおそれがあるという理由であったが、その後、高石議員から、弁護人を通じて、捜査に協力したい旨の申し出があったので、本人の出頭を求め、数回にわたり浦和警察署で取調べを行なった。従って今日の段階では、関係人との通謀による証拠隠滅のおそれがあるというのが唯一の理由である。」ということでありました。これに対し、委員から、「逮捕を求めた理由については、抽象的な説明があるだけで、何ら具体的に明らかでないから、警察庁と現地警察とは緊密な連絡をとって統一見解を出し、具体的理由を明白にされたい。高石議員は、去る六月十四日以来四回も任意出頭をして二十時間近い取調べを受け、捜査に協力をしている以上、逮捕の必要性はないのではないか。また、相手方の高村氏は去る二十三日釈放されたのであるから、当初逮捕要求をした理由について重大な事情の変更が生じたのであるから、逮捕要求の理由が失われてしまったのではないか。」との質疑が行われ、これに対し、警察庁当局から、「犯罪捜査は任意出頭によって取り調べるのが本則であり、これによってその目的が達成できないときに初めて逮捕勾留して取り調べるのが基本的な方針であるから、高石議員の再三の任意出頭を得ているので、それが回を重ねるごとに捜査は相当進展するものと期待をし、また、その結果によって捜査がある程度目的を達成できるということであるならば、その要求を取り下げるということも可能ではないかという考えで配意している。なお、かりに高石議員に対し逮捕状が出た場合においても、今後とも極力任意捜査によって目的を達成する努力を続けていく考えである。」旨の答弁がありました。他方、現地の警察当局は、「高村氏が釈放せられた現在においては、なお一そう証拠隠滅のおそれがあるので、逮捕の必要につき緊迫性が増している。」との答弁があったのであります。 第二点は、議員の逮捕要求と内閣の立場についての問題であります。これに対する政府当局の見解は、「三権分立の建前上、内閣が裁判官の要求を抑制することは適当でないという考え方から、内閣は、経由機関的立場として国会法第三十四条に定めてある通り、すみやかに議院に対し逮捕許諾の手続をとることとしているのである。」という答弁であったのであります。 第三点は、憲法及び国会法上に定める議員の身分保障と警察官、検察官等の逮捕要求との問題についてであります。この問題については、次のような質疑応答が行われました。すなわち、「憲法第五十条及び国会法第三十三条の精神は、議員の国政審議に関する職責の重要性にかんがみ、その身分を保障するものであって国会開会中に議員をあえて逮捕しようとすることは、これは非常に特別な例外的措置であるというふうに解釈すべきものと思う。しかるに、警察官等は、単なる犯罪捜査上の必要性だけを考えて、あたかも憲法第十四条によって憲法第五十条の特権が規制せられるがごとき感覚をもって、この憲法上の議員の身分保障の精神をくまず、慎重な考慮を払わずに、裁判官に対して逮捕状の請求をしたことは、この憲法及び国会法の議員の身分保障の精神をあまりにも軽視し過ぎているのではないか。」との質疑が行われたのでありまするが、これに対し、政府当局より、「憲法第五十条がある以上は、議員の逮捕については慎重に判断すべきことは当然であると思う。」との答弁があったのであります。 第四点は、現在の警察制度のあり方についての問題であります。この問題については、次のような質疑が行われたのであります。すなわち、「政府当局の説明によれば、今回のごとく司法警察員から議員の逮捕要求がなされたような具体的事案については、国家公安委員長及び警察庁長官は、法律上、指揮命令権がないということであるが、かかる警察制度のあり方については根本的に再検討を要するものがあるのではないか。しという質疑が行われました。これに対し、政府当局より、「このような現行警察制度が適当かどうかの問題になると、いわゆる警察の中立性という点もあり、慎重に考えなければならぬと思う。」との趣旨の答弁があったのであります。 以上、委員会における論議の焦点ともいうべき若干の点について申し上げました。 かくして、昨日討論に入りましたところ、自由民主党を代表して山村新治郎君より、「警察側の意見に食い違いがあるまま、国会議員の逮捕を軽々になすことは、国会の権威のため断じて許さるべきではない。高石議員は、四回も任意出頭をなし、取調べに協力をしており、かつ、金銭授受の相手方がすでに釈放せられている現在においては、その逮捕の理由はない。なお、関係当局の説明は、逮捕することに許諾を与うべき理論的根拠があまりにも薄弱である。よって本件は許諾を与えるべきではない。」との意見が述べられたのであります。(拍手)次いで、日本社会党を代表して山本幸一君から、「一般国民が警察ファッショによって迷惑を受けているのが事実であり、憲法上の不逮捕特権を保障せられている国会議員の逮捕については、特に慎重を期すべきであるが、警察当局に逮捕の必要性を強くただしたのに対し、確信ありとのことであるので、高石議員個人に対しては、同情すべきものがあるが、同君の逮捕に許諾を与えるべきものとの態度をきめたものである。なお、今後捜査の結果、逮捕要求をなした必要性がなかった場合においては、警察側の責任をあくまで追及する。」旨付言せられ、「本件は許諾を与えるべきである。」との意見が述べられたのであります。(拍手) かくして討論を終局し、採決いたしましたところ、許諾を与えるべきであるとの意見については賛成者が少数でありましたので、本件は許諾を与えるべきでないと決定した次第であります。(拍手) なお、審議の全体を通じまして、各党の委員諸君の熱心な質疑に対し、当局よりの説明または答弁におきまして委員各位を十分納得せしめるに足るものがなかったことは、委員長として、まことに遺憾に存ずるところであります。このことを付言いたしまして本報告を終るものであります。(拍手)
○議長(星島二郎君) 採決いたします。本件の委員長の報告は許諾を与えるべきでないと決したものであります。本件は委員長報告の通り許諾を与えないことに賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○議長(星島二郎君) 起立多数。よって本件は委員長報告の通り許諾を与えないことに決しました。(拍手) ————◇—————
○議長(星島二郎君) 本日は、これにて散会いたします。 午後三時二十三分散会