本会議 第5号
- 発言数
- 23 件
- 登壇者
- 15 名
- 会派数
- 2
- 開催日
- 1958/06/18
会議録
○議長(星島二郎君) これより会議を開きます。 ————◇—————
○議長(星島二郎君) 国務大臣の演説に対する質疑を継続いたします。 中村高一君。 〔中村高一君登壇〕
○中村高一君 私は、日本社会党を代表して昨日行われましだ岸総理大臣の施政の演説を中心といたしまして、主として内政問題について、特に選挙制度、労働政策、農漁村対策等について質疑をいたしたいと思うのであります。 昨日、岸首相は、今度の総選挙が初めて二大政党対立下における画期的な意義を有するものであることと、また、与党の勝利を誇るがごときごあいさつがあったのでありますが、形はいかにも二大政党であったけれども、内部は不統一、多数の非公認候補が立候補し、現に保守系の非公認が十一人も当選をし、その上、莫大な選挙費用がばらまかれて、選挙違反が続出をいたしております。選挙違反の件数を見ましてさえも七千六百二十四件、人数にして一万四千四百二十人、そのうち、特に買収違反は四千九百七十四件でありまして人数にしても一万一千八百五十五人に至っては、今次選挙が、りっぱな成績どころか、恥を内外にさらしたといっても過言ではないと思っております。(拍手)後世の史家に言わしめまするならば、保守、革新の二大政党下の最初の選挙は腐敗と情実によって汚されたと言われるだろうと思っております。(拍手) 自由民主党は、また、国民の圧倒的な支持を受けたというようなことも言われましたが、前回の選挙の得票数二千三百三十八万票が、今度は二千二百九十七万票に減っております。(拍手)差引四十一万票も減っているじゃないか。社会党は、これに対しまして、百九十万票も票がふえている。(拍手)辛うじて前回の勢力を維持したにすぎないのであります。 また、昨日、岸総理大臣は、議会の運営に関しまして、民主政治の擁護を強調され、国会における少数の意見を尊重し、いやしくも多数党の独善に陥ることなく、真の民主政治の実をあげたいとのお話は、言葉はまことにりっぱであります。しかし、実際においては、一切の国会の役員の独占を計画し、従来話し合いの場として行われてきた慣例を無視し、十六回も余分に演壇を回らなければならない結果となったこと、これでも少数党の意見を尊重した結果などといえますかどうですか。(拍手)選挙の結果において役員を多数党が占めたこと自体を、かれこれ言うのではございません。独善と多数の横車が押し通されると民主主議が破壊されるから、あらかじめその傾向と危険を防止しようとするのにほかならない。(拍手)多数党ならば何でもできるというような思い上りから、小選挙区制をやる、憲法改正をやる、再軍備から戦争へと歩調を進められたのではたまらないから申し上げておるのであります。(拍手) 昨日も、総理は、小選挙区制についても慎重にやるとの答えでありましたが、あなたが幹事長時代に小選挙区制を提案せられた当時の、あの勢いは、阿修羅のごとくで、驀進また驀進、この人は戦う以外知らないのかと、おそれを抱かしめたくらいでありまして、冷静な民主主義者ではなく、勝つことのみに興味を持つ暴君の姿であったのだ、あのときは。(拍手)冷静にして謙虚な気持こそが民主主義の信奉者といえるのであります。 この際、イギリスやアメリカの国会役員選出の、いかにみごとな訓練と慣例が守られておるかを顧みることも、むだではないと思うのであります。イギリスの議長などでは、一たん互選をされましたならば、中立性を守り、不偏不党、本人が在任を欲する限り再選され、選挙の際も反対党は候補者を立てない。その名誉ある地位は、反対党によって尊重され、守られていくのであります。そこにこそ名誉と誇りがあることを、われわれは考えなければなりません。常任委員長のごときも、あらかじめ用意された委員長候補者団の中から議長によって任命され、尊敬と、よき慣例の中に、りっぱに運営をせられております。アメリカにおいても、常任委員長は、委員中の一番古い先任者の中から議長が任命をして、そこには何一つ問題が起きていない。どうか、多数党の総裁である岸首相は、昨日の所信表明を忘れずに守っていただきたいのであります。もちろん、われわれ野党においても、民主主義を守り育てていくために努力すべきことは、全国民に対する義務であります。議会の権威を失ってドゴールの出現を見たフランスのようなことにならないように、お互いによき慣行を育てていくべきことだと、冒頭に私の所信の表明をいたした次第であります。(拍手) 本年の総選挙は済んだけれども、来年は参議院選挙と全国地方選挙が行われるのでありますが、今度のように莫大な資金がばらまかれ、また、選挙違反が繰り返ざれるおそれというものは十分にありますが、選挙法の根本に欠陥があるということを政府も考えなければならないと存じます。たとえば、徹底した選挙公営を行うとか、あるいはまた連座制を強化するとか、政党法の制定あるいは政治資金規正法の改正とか、根本的に考え直す必要はないのかどうか。 試みに、選挙が終ったばかりでありまするけれども、両方に並んでおられる大臣諸公にして、果して法定選挙費用で選挙を行なった人が何人ありますか。(拍手)どうせ法定費用などでは間に合わぬでは、法の権威も何もありません。これでは、首相のいう民主主義政治の擁護も何もありません。 たとえば、藤山外務大臣なども、今度の選挙ではずいぶん莫大な選挙費用を使ったと、うわさをされておるのであります。(拍手)大臣がまず選挙の違反をするというようなことは許されないことでありまするが、ここにありまする記事によっても、たとえば一区の横浜では、中区長者町の某銀行跡の建物をそっくり借り切った保守派の某候補が、一千人近い支持者を集めて万歳を三唱した。しかも、また、この日本一の選挙事務所と騒がれた藤山事務所の三和銀行の支店の借り料が、わずかに一万円である。同じく藤山氏が横浜大映を一晩借り切った使用料と同額となっている。運動員が五人入ると身動きもできなかった京浜鶴見駅前の貸本屋を借りた門司事務所の借り賃の方がはるかに高いと書いてあります。(拍手)あなたの選挙費用は、届出はたった百四万九千七百二十円ですが、これは一日分なのか半日分なのか、あらためて、この際、法務大臣から、正式に、今回の選挙の違反の件数並びに人数、特に買収違反の件数と人数をお答え願いたいと思うのであります。(拍手) 総理は、昨日の国会では、小選挙区制をいずれ提案をするという趣旨の答弁でありましたが、こんな選挙の状態で、果して小選挙区制になってどんな結果が生まれるであろうか。二大政党は一日にしてならず、長い訓練と努力の結果完成されることは、先進国が示しております。日本は、むしろ民主主義の途上にあるといっても、今度の選挙などの例を見ても、過言ではないと思います。民主主義がまだのみ込めていない、扱いかねておるのが実情である。ことに、日本の選挙には、まだまだ感情がまじり、味方にあらずんば敵だと思うような感情があり、小選挙区になれば味方同士のけんかがなくなると言うておりまするけれども、それは民主主義の進んだ国であって、日本などでは、かえって手ごろな選挙だというて、われもわれもと立候補する者がふえないとは断じて言えません。小選挙区だとか、あるいは大選挙区だなどということがいわれるけれども、これはまだまだ区制以前の問題であるとさえ考えられるのであります。まず選挙がりっぱに行える訓練と地ならしの方が先だということをお考えにならねばなりません。(拍手) もう一つ、この際、選挙に関連をいたしまして、いつも問題になりますることは、選挙違反に対して恩赦を行うことでありますが、法務大臣も、この際所見を述べる必要があると存じますので、お答えを願いたいと思います。 さらに、これから主として新内閣の労働行政につきましてお尋ねをいたしたいと思うのであります。 一つは、労働三法の改正の問題、ILO条約の批准等に関することであります。労働三法の改正につきましては、昨日、鈴木委員長の質問に対しまして、岸首相の答弁では、権威者に意見を聞くとのことでありましたが、担当の倉石労働大臣は、大臣になりまして以来、しばしば、新聞紙に、労働三法はどうしても改正をするということを強調されておるのでありますが、あらためて労働大臣の所見をただしておきたいと存じます。 次は、ILO条約の批准に関してであります。国際労働条約の批准について、去る三月十一日から十五日まで開かれましたILOの理事会で、団結権に関する条約批准促進に関する決議案が採択をされたのでありまするが、その際、日本の使用者代表は賛成をしたけれども、またもや政府代表は棄権をいたしたのであります。労働者の代表と資本家、使用者代表が賛成をしたら、あとに残るものはないではないか。全国民が賛成をしたことになるけれども、政府はどう考えるのか。また、ILOの第四十二回の総会は六月四日から二十六日まで開かれるのでありまするが、この総会には、加盟八十カ国の政府、労働者、使用者代表が参加をし、日本からも代表が参加をいたしております。まだ批准をしない国には近く調査団が派遣されることに決定をいたしたそうでありますが、外務大臣はこの事実を御存じかどうか、答えられたいのであります。 ILOの条約批准について、前国会で、岸総理も、国内法との調整を考え、できるだけ早くこれらの条約が批准できるように、あらゆる面から検討をいたしております、と答えておりますし、また、石田労働大臣も、労働問題の懇談会に御協議を願っておるのでございますから、労働問題懇談会の結論を待って政府として善処いたしたいという、批准についての賛意を表しておるのでありますが、これまた倉石労働大臣は反対であるかのごときことが新聞に伝えられておりますけれども、いかがでありますか。 今さら言うまでもなく、ILOの条約は、結社の自由及び団結権の擁護に関する条約でありまして、労働者の基本的権利をうたったものであります。わが国の国際信用を高め、貿易の発展を促進し、円滑なる労働関係を確立するためにも、この条約の批准は緊急かつ必要であると思いますけれども、いかがでありますか。 さらにまた、重要な労働政策でありまして、前石田労働大臣のときに熱心に強調をされておりましたものの一つは、いわゆる公労法にありますところの仲裁裁定の完全実施であります。ぞの実施につきまして法律上の制限のあることはもとよりでありますけれども、石田前大臣は、裁定は裁定として尊重をして従わなければならない、しかし、一方において、よき慣行を作るということについては強調をされておったのでありまするが、倉石労働大臣のこれに対しまする所見はいかがでありまするか。 さらにまた、重要なる労働政策の一つで、社会党が熱心に提唱をいたしておりまする最低賃金法についてであります。政府案も前国会におきましては提出をせられましたが、これが審議未了になっておるのでありまするけれども、最低賃金法についていかなる所見を新労働大臣はお持ちになるか。これは最も基本的な労働者の重要なる法案でありまして、今までとかく、日本の資本家の中には、誤まれる貿易政策等をとりまして、依然として、戦争前のように、安かろう、悪かろうというような、いわゆる低賃金によって物を作ることが、あたかも貿易に対する必要事であるかのごとき、誤まれる考えを持つ者もありまするけれども、これはきわめて重要なる法案でありまするので、お尋ねをいたしたいのであります。 なおまた、同時に、中小企業の労働者に対しまして、前労働大臣等において検討せられておりました勤労者の福祉法、賃金債権確保の法律等は、最も今日恵まれておらないところの中小企業の労働者に対して福祉を与えるという意味におきましても大きな意味を持つものだと思っておるのでありまするけれども、新労働大臣は、これらに対してどう考えておるか。 岸総理大臣に対しましては、前岸内閣当時の労働政策と新内閣の労働政策の上におきまして、伝えられるような大きな変動ありやいなやを、この際念を押しておきたいと思うのでございます。 次は、最近ひんぴんとして問題になっておりまするとろの、労働運動に加えられて参りました不当弾圧の二、三の事実を指摘いたしまして、取締り大臣の明確なる御答弁を得たいと思うのでありまするが、その一つは全逓の事件についてであります。 郵政省は、四月の二十八日に、春闘に対しまして、委員長ら七人の解雇、二百九十七人の停職、減俸、戒告等で、実に二万二千五百六十八人という大量処分をいたしました。一体、こんな多数の者を処分したこと自体、処分の行き過ぎであることは明らかでありますが、かりに違法があったといたしましても、責任者を処分するのが普通でありまして、組合員であるがために組合の指揮に従ったという考までも処分の対象にすることは、明らかに労働組合運動そのものの否定であると、われわれは考えるのでございます。処分は必要の限度を考えることが為政者の心すべきことで、かくのごとき大量処分は、帰するところ、処分のないのと同じ結果になり、処分そのものに何の権威もなくなるばかりでなくして、いたずらに弾圧だとの考えを与えるだけで、組合員を反抗せしめるにすぎないと思うけれども、いかがでございますか。 また、もう一つ、全逓のこの問題につきまして、郵便法違反事件だということで捜査が行われ、逮捕者の勾留問題が起きて参りまして、警察や検察側と裁判所との間に全く意見が相対立をいたしておるのであります。五月十日、全国三十三カ所の家宅捜索をいたし、六月九日までに実に六十三人の検挙をいたしております。検察側は、証拠隠滅のおそれがあると称して、勾留を請求いたしております。ところが、これが、東京も、大阪も、名古屋も、どこもみな裁判所から却下され、さらに高等裁判所に準抗告をして、これも却下。まだあきらめられずに、最高裁に特別抗告をいたしておりまするが、これまた却下されるものと思うのであります。従来、裁判所は、検察側の要請は承認をするという建前が多いのでありまして、むしろ、われわれから見まするならば、聞き過ぎるとさえ思われるのに、こんなに次から次に却下されるという事態を見ましても、いかに不当な弾圧であるかということを明らかに物語るものであります。(拍手)さすがに裁判所もあきれていると見えまして、勾留されている組合員を、どんどんと釈放いたしておるのであります。これは日教組の場合についても同じであります。郵便法という事業法律を無理に労働運動の取締りに利用しようとしていること自体に無理があるのでありまして、弾圧のためならば手段を選ばずというのが、このごろの政府官憲のやり方であります。(拍手) 全逓に対しては、公労法という、りっぱな適用すべき法律がある。違反すれば、この処罰規定がある。この法律を適用した上に、さらに郵便法などに無理に結びつけるところが、われわれはいけないと言っておるのでありまして、これ以上恥をかかないように、すみやかに逓信大臣はおやめになるように取り計らうことがいいと思っております。 さらに、もう一つは、日教組についてであります。五月七日の一斉休暇に対しまして、東京だけでも、事務所の捜索四十八カ所、私宅九十六カ所。この捜査はまだ大ぜいの子供のいるところで行われておるのでありまするが、四支部長の不当逮捕に次いで、六月八日から十四日までに二十一名。しかし、裁判所は、いずれもこれらの勾留請求の却下を命じておることも、新聞の報道しておる通りであります。福岡の場合のごときは、五月十日までに百数十カ所の家宅捜索。六月七日は、三百分会、実に千余名の組合員に対して、地公法第三十七条違反の容疑があるから参考人として出頭せよということの通知を出しております。実に千人以上をこえておるのであります。まるで警察の人海戦術であるというても言い過ぎでないと思うのでありまするが、現に、明らかにこれまた労働組合に対する断圧であり、威嚇手段であります。 今や、こうしたことが全国各地に行われておるのでありまするが、法規に違反した場合、調べるなということを申し上げておるのではありません。取調べには常識と限度がある。この線を逸脱したものに、われわれは抗議をいたしておるのであります。(拍手) 次は、裁判所の職員労働組合に対しましても、実に言語道断な弾圧が行われておるのであります。これなどは、書記官が裁判の判決や決定の原本を書かなかったということで、これを問題にされまして、今日まで、秋田で七名、埼玉で二名、東京で四名の者が解雇せられたのでありまするが、服務の内容について、もし法律上に不備があるならば改正すべきである。しかし、どんなに改正をしても、書記官が裁判書を作れというような改正は断じてできないはずであります。裁判は裁判官が行うのが当然ではありませんか。長い間の慣例だからというようなことで不当なことを強要し、しかも、これを行わなかったということで首にするというようなことは、全く常軌を逸しておるのであります。(拍手)裁判官の仕事がやり切れないのであるならば、これは別に解決すべき問題ではないか。そのしわ寄せを書記官に負わせるというようなことは誤まりだということを、私は申し上げておるのであります。(拍手) なお、先ほど冒頭に申し上げました農山漁村の政策につきまして、農林大臣に所見をただしたいと思うのであります。 日本の農業が、気象その他自然の条件に支配されまして、常に不安定な形で経営を続けなければならない上に、資本の少い零細企業であり、一方においては、肥料、飼料等は独占的資本の支配を受けまして、さらにまた、経済不況のあおりを食って、いち早く農産物価の低落を来たして、不況にあえいでおるのであります。これは昨日鈴木委員長からも触れておりまするから、これ以上は申しませんが、生産米価の引き上げ、蔬菜、乳価、繭糸価等、いずれも価格の維持について対策を迫られております。昨日、鈴木委員長の質問に対しまして総理大臣からは、農林漁業の地位の安定と、すみやかに適切な対策を講ずる旨の答弁がありましたが、農林大臣は、一体、農産物価の安定について、あるいは農林金融の資金ワクの拡大について、農村の二三男失業対策について、あるいは、われわれが主張をいたしておりまするところの農民の自主的団結のための農民組合法の制定等についてさしあたって、いかなる具体策をお考えになっておられますか。 また、第二は、災害対策について伺いたいのであります。これはおそらく保守党の諸君も同様な見解であると思うのでありまするが、全国民の問題でありまするから、国会のこの席から政府の所見を伺うことは国民の待望することだと思っておるのであります。 三月の凍霜害から、天候不良のため、引き続いて旱害、塩害、長雨等によりまして、各地に災害が発生をいたしておるのであります。さきの凍霜害のごときは、ほとんど被害が全国に及びまして、政府の発表によっても、五月三十日現在で、被害総額実に三百四十二億一千三百万円に達するといわれております。これがすみやかなる対策は農家の浮沈に関する問題でありまするが、さきに前の岸内閣当時におきまして決定をされた方針も、いまだ実行には移されておらない問題がございます。たとえば、農業災害補償法によりますところの保険金の概算払いについても、選挙の直前には、五月一ぱいには農家に支払うと、しばしば公約をせられながら、調査困難を理由に、いまだに農家の手には渡っておりません。即時支払うのが概算払いの本旨でありまして、概算払いの時期おくれは何らの意味のないことを強調いたしておきたいのであります。 また、天災によりまする被害農家に対する資金の融通についても、暫定措置法によりまして、営農資金を貸し出すことになっておりまするけれども、年間五割以上等の制限によりまして、金利三分五厘を受けられず、六分五厘を支払うことは、真の救済の趣旨に反するものではないか。支払い期限も、一年や三年の短期では、無理をしいるものであると思うが、いかん。また、被害が大きく、農家によっては飯米にも困っておるものもありまして、現物支給の要求も出ておりまするけれども、農林大臣はいかに考えておるか。減収加算あるいは救農土木事業等について、しばしば農家から要請をされておりますことについても、この機会にお答えを願いたいと思うのであります。 最後に、漁村にも関係をいたす問題でありまするし、また警察官の非常な暴行事件にも関するのでありますが、六月十日に起りました本州製紙の江戸川工場の事件に関連をいたすことであります。 まず第一は、漁民と警官との衝突事件であります。われわれの現場調査では、漁民が交渉に行く前に、すでにバリケードを張り、立ち入り禁止の立て札を立てまして、内部に多数の警官が待機する等、むしろ漁民側を著しく刺激するがごとき行為があったのであります。また、現場におりました警察官が、漁民を工場外に押し出す際に、警棒で多数の漁民の後頭部をぶんなぐっておるのでありまするが、後頭部の負傷で現に診断書もとっておりまするから、どんなに弁解をしても、前からなぐったとは言わせないと思うのであります。佐藤金蔵君という漁民のごときは、警官の暴行を受けまして肋骨二本を折り、全治二ヵ月の重傷で、三日間も留置をせられたということは、実に言語道断であります。(拍手)漁民の中には、敵は工場ではなくして警官だといって憤激をするに至っては、明らかに警察側に行き過ぎがあったと思うのであります。(拍手) 今後の汚水対策につきましても、農林大臣は、すみやかに案を立てる必要があると存ずるのであります。原因は明らかに工場側にあり、三ヵ月も紛争が続いたのに、汚水放出の取締りを怠ったことも、監督官庁の大きな責任でありまするが、たびたびの漁民側の要求や懇請にも耳をかさぬ工場側にも反省を求めなければならなかったのであります。化学工場の増設は実に最近非常に多いのでありまするからして、この種の事件は今後も発生すると思いまするけれども、地方庁の条例などの取締りでは断じて目的を達することはできません。この機会に、工場の施設、汚水の処理、河川の水質保持等のために、水質汚濁防止法をすみやかに制定する意思がないかどうか。従来も水産庁から提案をされておったのは事実でありますけれども、これが通過をしなかったのは、建設省が河川法をたてに強硬に反対をいたしておったためというのでありまするが、まことに残念であります。建設大臣は、これに対して、いかなる御所見でありまするか、これをあわせて質問をいたしまして、私の演説をおしまいにいたしたいと存じます。(拍手) 〔国務大臣岸信介君登壇〕
○国務大臣(岸信介君) ただいまの御質問は、それぞれ所管の大臣を指名されまして、その答弁を求められております。 私に対しては、特に労働行政の方針が前第一次岸内閣時代と今度と変るかどうかというお尋ねであります。これは、私がすでにしばしば申し上げておるように、われわれは、健全な労働運動はこれを育成し、助長していくけれども、その行き過ぎに対しては、行き過ぎないように、これを適当に取締りその他の方法によって行き過ぎをさせないという、これによって健全な労働運動を育成していくという根本の方針におきまして何ら変るところはないということを明言いたしておきます。(拍手) 〔国務大臣愛知揆一君登壇〕
○国務大臣(愛知揆一君) まず第一にお尋ねの選挙違反の件数でございますが、六月十六日午後五時現在に警察庁で集計いたしましたのは、総計七千六百八十二件でございます。 次に、全逓等についてのお尋ねでございますが、全逓の事件につきましては、東京、大阪、名古屋におきまして、それぞれ郵便法違反等の事件を捜査中でございます。これは、御承知のように、公労法第十七条によりまして争議行為が禁止されておるにかかわらず、あえてこれを行いました結果、その行為が郵便法七十九条等の刑罰法令に触れるものでございまするから、捜査をいたしておるわけでございます。(拍手) 次に、日教組の事件につきまして申し上げます。この件につきましては、東京と福岡におきまして、地方公務員法の違反事件として捜査中でございます。何人も御承知のように、職員の争議行為をあおりましたり、そそのかしたりいたしますことは、公務員法六十一条に明瞭に禁止されておるにかかわらず、あえてこれを行いました結果、その行為が刑罰法冷に触れるからでございまして、いずれも明らかに刑罰法令に触れる行為であるばかりでなく、一般国民に及ぼす影響も甚大でございまするから、捜査を進めておるのでありまして、労働組合の正当な運動を弾圧するというような意図は断じてございません。 次に、裁判所の職員の問題についてお尋ねがございましたが、いわゆる全司法の問題につきましては、行政処分が行われただけでございまして、刑事事件にはなっておりませんから、御了承願いたいと存じます。 最後に、検察官といたしまして、捜査の主宰者の立場から、法律に定めるところによりまして、裁判所との見解が違いました場合に、勾留について不服申し立ての手続をとりましたことは、何ら特別の意図を持つものではないのでございまして、捜査手続上の措置を法律の定めるところによりまして行いましただけでございまして、これまた検察官の不当なる労働行為の弾圧というようなことでは断じてございませんことを明らかにいたしたいと存じます。(拍手) 〔国務大臣倉石忠雄君登壇〕
○国務大臣(倉石忠雄君) お答えいたします。 労働三法について、労働大臣はこれを改正すると言っておるが、どうかということでありますが、私が、いかなる場所で、いつ労働三法を改正すると言ったか、お示しを願いたい。私ども自由民主党では、労働関係法について、一年余りの研究は続けております。これは一生懸命で勉強しておりますが、その結論がいつ出るか、あるいはまた、その結果改正すべきかどうかなどということは、そのときに応じて考えられることでありまして、私は、就任以来、本法の改正をするなどということを申したことはないのでありまして、このような席から荒唐無稽の言論を吐かれることは、せっかく政府及び自由民主党が健全なる労働慣行を習熟さしていこうとする妨害になるのでありまして、はなはだこの点は迷惑であります。(拍手) 次に、ILO条約について批准する意思はないというふうなことを言っておるが、これはどうかということでありますが、ILO条約につきましては、前任者時代以来、労働問題懇談会において検討を願っております。まだその結論も出て参りませんので、その結論が出ました結果、公労法全体についても大きな影響があることでありますから、その上で考えてみたいと思っております。 第三の、公労委の仲裁裁定でありますが、公共企業体における紛争というものは、御承知のように、仲裁裁定というもので決定するのでありますから、これを尊重するということには変りはありません。私が新聞記者諸君に語りましたことは、政府というものの立場からは、仲裁裁定というものは尊重するという以外に言えないのであって、最終的決定は国民代表である国会の意思決定に待つのだというのが本法の精神であるという法律上の説明をいたしたのであります。従って、これを完全に実施していきたいという気持は、第一次岸内閣の岸総理大臣及び石田労働大臣と少しも変っておらないわけでありますから、さように御承知を願います。 最低賃金法につきましては自由民主党の政府は、最もこれは熱心な考え方を持っておるのでありまして、前国会において。ああいう状態になりましたが、この短かい期間にどうするかというふうなことについては、十分に検討の上、態度を決定いたしたいと思います。 それから、中小企業の福祉対策でありますが、新内閣の労働省は、昨日発表いたしましたように、労働省官房の中に労働福祉審議室というものを新たに設けまして、この中小企業、ことに零細企業の従業者に対する福祉政策というものに、われわれは非常な情熱を示しておるのでありまして、こういうところにおいて、新しい構想のもとに、皆さん方にも喜んでいただけるような福祉対策を打ち出すつもりでありますから、どうぞ御協力をお願いいたします。 全逓従業員に対する争議のことにつきましては、愛知法務大臣からそれぞれ申し上げました。労働大臣として申し上げられますことは、労働組合が法の保護を受ける範囲は、どこまでも正当なる労働組合運動に限られておるのであるということだけ申し上げて、御了解を得たいと思います。(拍手) 〔国務大臣藤山愛一郎君登壇〕
○国務大臣(藤山愛一郎君) ILO条約のことについての御質問でありますが、本年二月から三月にジュネーヴで開かれました第百三十八回ILOの理事会におきまして、今後、結社の自由に関する各国の実情の調査をして、それを定期的に理事会に報告し、その理事会の報告を総会において審査するという事務局長案が採択をされました。ただ、今回の場合におきましては、まだ日本に実情調査部が来るとも決定しておりませんし、また、総会の議案にそういう種類のものが載っておりません。(拍手) 〔国務大臣寺尾豊君登壇]
○国務大臣(寺尾豊君) 中村議員から郵政省所管についての特別の御質問があったかに拝聴いたしましたので、若干御答弁を申し上げます。 当省といたしましては、従来から、よい労働慣行を樹立する、こういう見地からいたしまして、組合の要求を取り入れ得るものは、積極的に取り上げて参りました。また、労働条件等の改善の努力もいたして参ったのであります。組合運動の行き過ぎに対しましては、これを正道に戻す方針のもとに、厳格な態度をもってこれに当ってきたのであります。しかるに、去る三月十三日、二十日、二十七日と、中村議員の指摘をされましたように、春季闘争なるものが行われまして、明らかに法に違反をする闘争戦術を数次にわたって行使しましたことは、まことに了解に苦しんだところでありまして、そのつど厳重な警告を発し、組合の自重を促すとともに、その即刻中止を要望いたしたのであります。しかしながら、この数次にわたる違法な戦術行使に対しまして、まことに不幸でありましたけれども、四月二十四日、全逓本部三役等七名の解雇等の処分を行い、組合の責任を追及いたしまするとともに、反省を促して参ったのであります。(拍手) 郵便法の七十九条の解釈につきましては、単に個人に限らず、労働組合の行為についても適用されるものであり、すでに公労法の適用を受けまして、全逓職員に争議行為が禁止されるに至っている現状におきまして、その適用を免れないものと信ずるのであります。ただ、私といたしては、この事件が一般の破廉恥罪と異なり、いわゆる公安事件として微妙なものでありますので、検察、警察側に十分その事情を説明いたしまして、捜査に当りましては、郵政監察官は郵政業務に関する専門的な分野における物的資料の収集、保全の面において協力をいたしまして、強制調査、すなわち家宅捜査、被疑者の逮捕、取調べ等につきましては、独自の立場において検察、警察側がこれを行なっておる次第でございます。(拍手) 〔国務大臣灘尾弘吉君登壇〕
○国務大臣(灘尾弘吉君) 勤務評定の実施に対するいわゆる反対闘争、これに伴いまして、今日法律違反の容疑ありとして、東京あるいは福岡等で警察当局の手が伸びておるということは、これは事実であります。教育上まことに残念であり、遺憾に存ずる次第でございますが、しかし、かような行為があります以上、警察当局が手を伸ばしましても、何ともやむを得ないことと存ずるのであります。私といたしましては、かような警察当局の活動につきましては、問題が教育に関係しておりますので、できるだけ慎重にやっていただきたいと思っております。同時に、また、組合の指導者の諸君も、かような事態が起らないように、自粛自戒を切望してやまないものであります。(拍手) 〔国務大臣三浦一雄君登壇〕
○国務大臣(三浦一雄君) 米価を初め、蔬菜、乳価等の農産物価格安定に関する各般にわたります御質疑でございました。いずれ適当な機会をもちまして詳細にお話しする機会もあると思いますが、その大綱についてお答えを申し上げたいと存ずるのであります。 米麦価につきましては、生産の保持を目標としつつ、パリティ計算によりまして、そして均衡ある価格を取り来たったことは、皆様御承知の通りでありまして、このことは依然採用して参る考えであります。 さらに、最近になりまして問題になりました乳価等につきましては、生産の過程におきましても、あるいは流通の過程におきましても、価格安定の方策をとりたい考えであります。 さらにまた、繭糸価の問題につきましては、昨年の夏秋蚕の増産、本年の豊作等に伴いまして、異常な事態になったのであります。さらに、これに反して糸のまれに見る需要減退等がありましたので生じて参ったのでありますが、これに対しましては、繭価を支持し、そうして、かねて政府の養蚕の諸君に声明いたしております線は維持する考えでありまして、ただいま具体的な案を練って不日皆様の御審議をわずらわしたい考えであります。 これに伴いまして農山漁村に対する金融の拡大、さらにまた、次三男等の対策についてのお尋ねでありますが、本年度の予算におきましても、投融資方面におきまする農山漁村に対する投融資も増額しておりまするし、今後もその増大に努める考えであります。農山漁村に対する次三男対策でございますが、これは長期の経済計画の総合的な推進によるのと同時に、従来の農業政策をさらに拡大いたしまして、そうして、開拓であるとか、あるいは土地改良その他の積極面の施策を展開しまして、そうして、できるだけこの次三男の雇用の機会を与えるということに努めると同時に、他面、国土の総合開発等につきましても、関連を持ちます点は強く進めたい考えであります。 第二の問題は、災害対策等につきまして、共済金の前渡金、あるいはそれらの問題につきまして、非常に遅延しているということでございますが、これを遅滞なく促進いたしまして、その支払いを取り進めたい考えであります。なおまた、災害の激甚な地帯におきまして、飯米等の必要がありまする場合には、実情に応じて所要の措置を講ずる考えであります。 なお、救農事業等をどうかということでございますが、本年度の農林予算等も相当に増額いたしておりまするし、いよいよこれは実施期に移っておるのでございまして、これを実施することによって所要の効果をあげ得るものと確信しておりますから、ただいまのところ、救農土木を特段に取り上げる考えはございません。 最後に、汚水の問題でございますが、この問題は、多年いろいろな要素がございまして、立法上の困難な問題でございます。しかしながら、近時、化学工業等の興隆に伴いまして、各地にこの問題が生じて参ったことは、まことに遺憾な次第でありまして、この事態にかんがみまして、各省との連絡協調をはかり、汚水防止の所要の法案の策定等に邁進いたしたい考えでございます。(拍手) 〔国務大臣青木正君登壇〕
○国務大臣(青木正君) 先般の総選挙の成績につきましては、投票率の向上であるとか、あるいは立会演説会の聴取者の増大であるとか、こういういい面もあるのでありますが、一方におきましては、御指摘のごとく、悪質犯罪が跡を断たないことは、御同様、まことに遺憾に存ずる次第であります。これらの問題につましては、もちろん、一面におきましては、取締りの厳正公正を期さなければなりませんが、他面におきましては、数年来いたしておりまする公明選挙に関する常時啓発の運動をさらに徹底する必要があると思うのであります。しかし、それにも増しまして、外国の例等に見ましても、経験を生かしまして、不断に選挙の公明を期するように努力していきたいと考えるのでありまして、衆議院が常に公職選挙法の調査特別委員会を設置しておる趣旨も、おそらくそこにあると思うのであります。私ども、御指摘の政党法の問題であるとか、あるいは政治資金規正法の問題であるとか、こういう問題につきましても、経験を生かしまして、不断に研究調査を重ね、逐次わが国の選挙の公明を期するようにいたしたいと存ずる次第であります。 なお、先ほど、小選挙区制を実施するとかえって違反が増大するのではないか、こういうお話があったのであります。確かに、一面におきましては、一つの議席を二人で争いますので、自然、競争が激烈になります。それからまた、区域が狭いということで激烈になる点もあるのでありますが、他面におきましては、小選挙区制になりますと、もっぱら政党本位の運動になります。それからまた、同時に、地域が狭いので、いわゆる相互監視の状態が出て参りますので、違反も少くなるのじゃないか、こういう見解がありますので、私どもは、小選挙区制度そのものが選挙違反を増大する、かようには考えておりません。(拍手) 〔国務大臣遠藤三郎君登壇〕
○国務大臣(遠藤三郎君) 本州製紙の問題に関連しまして、水質汚濁防止法を制定するに対して建設省は反対しておるではないか、こういうことでございますが、そういう事実は全然ございません。ただ、水質汚濁防止法につきましては、その関係するところがきわめて広範でございます。水産資源の保護の立場から、あるいはまた工場経営の立場から、さらにまた公衆衛生の立場等、きわめて影響するところが大きいのでございます。従いまして、各般の調整をとらなければなりません。政府は、ただいま関係各省が鋭意この検討を続けておりますことを御了承いただきたいと思います。(拍手)
○議長(星島二郎君) 北山愛郎君。 〔北山愛郎君登壇〕
○北山愛郎君 私は、社会党を代表して、財政経済の問題を中心として、施政演説に対し、岸総理及び関係閣僚に質疑を行わんとするものであります。(拍手) 総理は、過日の談話の中で、社会党と政策において対決をすると言われました。私は、その言葉に全面的に賛成をするものでありますが、この特別国会における政府、与党の態度は、国会役員を多数の力で取り上げる力の対決でありまして、断じて政策の対決ではないということを、私はきわめて遺憾に存ずるものであります。(拍手)われわれ社会党は、すでに、当面の不況対策を中心とする補正予算の提出を要求いたしております。同時に、また、約二十件の法律案を準備しておるのでありますが、これに対しまして、岸総理の所信表明は、きわめておざなりの抽象論にすぎない。また、法案としては、前国会でお流れになった、もはや時期おくれの経済基盤強化法案等数件にすぎないということでは、これはどちらが与党であるか、どちらが野党であるか、政府であるか、わからないではありませんか。(拍手)このような消極的な政府の態度は、決して政策の対決の姿ということは断じてできないと思うのであります。 今日、中小企業は、金詰まりに苦しみ、血の出るような経営を続け、毎月多数の企業が倒産し、失業者が町にあふれておるのであります。農民は、重なる災害と農産物の値下りで、はなはだしい窮乏に陥っておるのであります。この特別国会は、単に首班指名と前国会の残務整理に終始することなく、これらの緊急な問題を取り上げて、これに適切な施策を講ずることでなければなりません。(拍手)われわれは、国会をして、国民大衆と血の通う生きたものにしなければならぬと信じます。総理は、民主政治の擁護を強調されましたが、総選挙には金をかけて、はでにやり、派閥人事には血まなこで騒ぐけれども、政策の推進と公約の実行にはスロー・モーでいくということであっては、議会政治に対する国民の信頼をつなぐゆえんではないと思うのであります。(拍手)このようなことを続けていくならば、やがては民主政治の破壊になることは、内外の歴史に徴しても、その例は少くないのであります。民主政治を擁護する道は、いたずらに権力をもって法を守ろうとすることではなくて、われわれの国会自体が生きた現実に即応する生きた政治をすみやかに行うことでなければならぬと思うのでありますが、この点について総理の所信を伺いたいのであります。 さらに、民主政治を守ることは、憲法を守ることであり、とりわけ、憲法第三章に規定する国民の自由と権利を守ることでなければなりません。果して、この自由と権利が守られ、国民の政府はその実現に真の熱意を持って当っているでありましょうか。「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。」という第二十五条は実現されているでありましょうか。憲法第二十八条の労働権は順守されておるでありましょうか。また、憲法第三十六条には「公務員による拷問及び残虐な刑罰は、絶対にこれを禁ずる。」と書いてあるのに、今日、各地の拷問事件は跡を断たない状況であります。憲法に明記する国民の民主的権利がこのような事態で、真の民主政治がどこにできるでありましょうか。私は、総理が、国民に対して、政府の努力にもかかわらず、国民の自由と権利が正しく守られてはおらないことについて遺憾の意を表すべきであり、これが真の民主政治家の態度であろうと思うが、岸総理の所信を承わりたいのであります。(拍手) 今国会の当面する最大の課題は、深刻な不景気をどうするかということであります。昨年の金融引き締め以来一年、なるほど、国際収支は黒字を続けておりますが、それが輸出の増進によるものではなくて、輸入の減退によるものであることを見のがしてはならぬと思うのであります。(拍手) それと同時に、昨年の緊急総合対策のほんとうのねらいは、中小企業への資金の道をとめて大企業向けの資金を確保し、大資本の危機を食いとめるところにあったことは、今日明らかとなっておるのであります。(拍手)昭和三十二年度の全国銀行の貸し出しのうちで、中小企業向けが六百八十四億円、これは前年度の五分の一にも足らないのでありますが、これに対して大企業向けは七千七百七十億円と、前年に比して一八%もふえておることであります。一方では金融引き締め、節約、緊縮を説きながら、大企業の設備投資、在庫投資のためには政府資金と日本銀行から約三千億円の金を貸し出しておること、これらのことは、この事情を端的に示しておるのであります。そのため、企業の整理、倒産は、昨年の六月約二百件でありましたものが、ことしの一月には八百十件と激増をいたしておるのであります。これら整理、倒産をした企業は、大資本救済の犠牲となったものといわなければなりません。(拍手)労働者の実質賃金は低下し、失業者、離職者は急増し、三月の失業保険の受給者は実に五十万四千人、前年に比して十五万人もふえておるのであります。また、この不景気の余波を受けて、野菜、くだもの、牛乳、繭など、みな低落をして重なる災害とともに、農民を塗炭の苦しみに陥れておることは、御承知の通りであります。(拍手)われわれは、国際収支が黒字に転じておる現在、まず応急になすべきことは、これらデフレの犠牲になった中小企業、農民、漁民、失業者に対する緊急の対策を講じ、デフレの犠牲を幾らかでも緩和し、雇用を改善することが必要であると信じて、政府に補正予算の提出を要求したのであります。昨日の鈴木委員長に対する岸総理の答弁を聞きますると、これらの点については、すでに本年度の当初予算にこれを見込んでおる、全部盛ってある、こういうふうな冷たいお答えでありますけれども、労働省すら、ことしの完全失業者は平均して十万人の激増となるであろうというのに、失業対策事業は、昨年に比べてわずか二万五千人の増員となっておるにすぎないのであります。中小企業近代化の予算は、わずかに六億円にすぎない。しかも、昨年の暮れに緊急措置として資金運用部から二百億円の中小企業向けの融資をいたしましたが、これを現在大蔵省は回収しようとすら考えておるではありませんか。本日から日本銀行の公定歩合が二厘引き下げに決定をし、日本銀行から約五千億の貸し出しを受けておる都市の大銀行あるいは大企業、大商社の金利負担は大幅に軽減をされておりまするが、デフレの犠牲になった中小企業、農漁民、失業者に、政府は一体何の対策をとったでありましょうか。(拍手)岸内閣の不況対策は、弱い企業や労働者を見殺しにし、大資本擁護の政策に終始するものと言われても弁解の余地はないと思うが、総理並びに大蔵大臣のお考えを聞きたいのであります。(拍手) 次に、われわれは、今度の四百三十六億円の経済基盤強化基金は、たな上げするよりも、今こそこれを取りくずして、道路や港湾、農業土木等、雇用度の高い事業や失業対策、生活保護等に直接これを使用し、あわせて国内有効需要をふやし、供給過剰の現状を緩和すべきであると信ずるものでありますが、政府は、これに対して、補正予算は提案をしない、岸内閣は、この基金をあくまでたな上げを主張しておるのでありますが、いつ一体たな上げ基金を取りくずして使うつもりであるか。資金運用部に預託されるこの四百三十六億円の原資は、どの方面にこれを運用する考えであるか。中小企業や農業土木に運用する考えがあるかないか。大蔵大臣、農林大臣、通産大臣等の、これらに対する態度を明確にされたいのであります。 次に、日中貿易の問題でありますが、日中貿易の停止や、また、アメリカの対日輸入制限や、東南アジアのドル不足等によって、現在、日本の輸出は減少の一途をたどっております。三十一億五千万ドルの目標を大きく下回って二十八億ドル台程度に落ち込むという悲観的な見通しが、政府部内にも広がっておると伝えられておりますが、通産大臣、経済企画庁長官の見解はいかがでありますか、これを承わりたいのであります。 また、これら内外需要の減少と生産の低下によって、本年の経済計画における経済成長率三%、鉱工業生産四・五%の増等の指標は再検討を要すると見られるが、経済企画庁長官は、この経済計画の修正の必要について、いかに考えておるか、率直に答えられたいのであります。 なお、今回の日中貿易の全面停止につきましては、岸総理は、わが国の現在の立場上可能な最大限度においてこれを促進するという、わけのわからない表現をしておるのでありますが、問題となった通商代表部の国旗掲揚の点については、刑法第九十二条、同じく第八十一条における外国の意味は、正式に国交回復の有無にかかわらず、一定の領土を基礎として統治の組織を持つ団体ならば適用があると解することが正しいと思うが、法務大臣の見解を聞きたいのであります。 このように、八方ふさがりの情勢において、日中貿易、対米輸出並びに特需の制限等の諸問題に、いかなる手段をとろうとするのであるか、外務大臣、通産大臣から具体的な対策を聞きたいのであります。 以上、経済の諸問題についてお尋ねをいたしましたが、緊急デフレ政策のあとに残るものは、経済の回復ではなくて、より深刻な、過剰生産の、供給過剰の深い谷間であって、現在、アメリカの経済も、上下両院の経済合同委員会の報告によれば、来年夏あるいは明後年まで現在の不況が停滞する見通しと伝えられておるときに、長期の不況に対処する態勢が必要となってくると思うけれども、経済企画庁長官はどういう見通しと構想を持っておるか、お尋ねをいたしたいのであります。 また、その際、過剰設備投資に対する規制対策はどうするのか。せっかく財政資金や国民の貯蓄を使って工場の建設はしたが、設備がフルに動かせないで、三割も五割も操短をするというのでは、生産性の向上もできない、コストの引き下げもできないではありませんか。過剰設備投資、不急投資を規制する、より強力な機関を作る考えがあるかどうか、経済企画庁長官に、この点をお伺いしたいのであります。 また、世界貿易が後退をしておるこの段階で、輸出一本やりに無理な努力を傾注するよりも、国内資源の開発や、国土の活用、中小企業、農林漁業の近代化等の国内投資をも考慮する必要はないかどうか、総理、経済企画庁長官の、まじめな御意見を聞きたいのであります。 また、日本経済が戦後比較的安定した発展を遂げたのは、輸出よりも国内市場が拡大された結果であり、農地改革による農民の生活水準が上ったこと、労働組合の強化によって労働者の地位が向上したこと、また、平和憲法に、よって戦前のような巨大な軍備を廃止したこと、この三つの点が国内需要をふやして、輸出は戦前に及ばないにもかかわらず、日本の現在の鉱工業生産は二倍にまでこれを拡大することができたといわれておるのであります。資本家や保守派の諸君は、労働組合の力が経済の安定と発展に役立っておるこの事実を率直に認めなければならないと思います。(拍手) 私は、日本経済の今後の拡大のためには、今申し上げた農地改革、労働者の権利の強化と、再軍備の廃止、この三つの柱を守り続けると同時に、さらに重要産業を次第に国の管理に移して、生産力拡大の効果を国民全体に分配する態勢を整え、おくれた中小企業、農林漁業を近代化していわゆる産業の二重構造を解消することが最も重要であり、これこそ社会党の任務であると、固く信じているものであります。(拍手) 次に、総理は、所信表明の中で、未来の日本を作り出す青少年への期待を述べているが、現在の社会のように、不正と偽わり、腐敗、堕落の姿に放置しておいて、果して青少年に明るい希望と情熱を期待することがどうしてできるでありましょうか。汚職と暴力と、貧乏と、あらゆる資本主義の悪の花がはびこって、自殺と親子心中は世界第一、国のすみずみまで金もうけ主義、立身出世のための押しのけ競争主義と、また事大主義の、この三つの悪がしみ込んでいる日本の社会、また、世の中の最も大事な宝ともいうべき労働者や農民が正しく尊重されないで、卑怯な、悪どい手段を使ってでも、金さえもうければ大手を振って暮らせるこの社会をこのままにしておいて純真な若人たちに正しい道を説くことがどうしてできるでありましょうか。(拍手)むしろ、私は、われわれのあとからくる青年たちに、現在の行き詰まった社会を変革する情熱を持って、現実に妥協せず、恐れず、臆せずに、新しい健康な日本を作るため戦うことを勧めたいのであります。(拍手)働く者が尊重されるような健康な社会を作る。弱い者、老人も、母も、子供も、病人も生活を保障されるような明るい社会を作るために戦うことを期待するものであります。また、自衛隊におる青年諸君には、近き将来、外国に隷属する軍隊ではなくして、平和建設隊として、おくれた日本の大改造、大建設を行う日を期して自重されることを望みたいのであります。(拍手)このような社会変革の大目標に進むことこそ青少年の正しい行き方だと私は信ずるが、総理のお考えを伺いたいのであります。(拍手) 最後に、私は、今こそ、日本民族は、欧米を模倣し、追随し、その召使となった過去半世紀の道を捨てて、アジアの兄弟たちの中へ復帰すべきときであると信ずるものであります。かつて岡倉天心は、アジアは一つであると喝破いたしましたが、西欧帝国主義の侵略のもとで分断されたアジアは、当時は決して一つではなかったのであります。しかし、第二次大戦においてアジアの諸民族は、その支配を脱して独立を完成いたしました。侵略者の手から祖国を取り戻し、アジアに返ったのであります。自由と独立を回復したこのアジアに、コロンボ会議やバンドン会議等に見られるような、一つになる新しい運動、新しい結合が開始されつつあるのであります。東と西の対立の激しい中で、ともすれば見失われるこのアジアの新しい動きほど、われわれ日本人に生き生きとした新鮮さを覚えさせるものはないと私は信じます。(拍手)この一つのアジアの支柱となるものは中国であり、インドであり、日本のこの三本の柱でありましょう。いな、そのようにわれわれは信じたいのであります。この三つの柱ががっちりと組み合うことによって、アジアの平和は維持せられ、アジアの繁栄が可能になるのでありますが、不幸にも、この一つの柱である日本はアメリカに従属をし、その東洋の出店になっている。このために、日本がアジアの国に正しく協力することができないことを、私はきわめて残念に思うのであります。(拍手) 岸内閣が、外交三原則の中で、自由主義の国々と協調していきながら、一方ではアジアの一員としての立場をとるという、この矛盾が、日本の立場を弱め、アジア外交におけるあいまいさを現わしておるのであり、今日の八方ふさがりの外交の根源をなしておるのでありまして、今日こそ、アメリカの制約から脱してアジアに返ることを日本外交の基調とすべきであると思うが、総理及び外務大臣はいかにお考えでございましょうか。(拍手) 終りに、私は、岸内閣が、内外の深刻な行き詰まりと不況に苦しむ国民大衆の生活を正しく認識し、方針を改めて、この国会に補正予算を提出し、緊急な諸対策を実行して、国民の期待にこたえることを強く要望いたしまして私の質疑を終るものであります。(拍手) 〔国務大臣岸信介君登壇〕
○国務大臣(岸信介君) お答えいたします。 私は、昨日もお答えをいたしたのでありますが、この民主政治、国会政治の運営につきましては、われわれ二大政党が対立をして、その政策の根本について考えが違う場合、十分に審議の過程において、両党ともその所信を明らかにして、そして論議を尽し、両党とも謙虚な気持で、反対党の言うことに対しましても耳を傾けて、とるべきものはとっていく、こういう考え。しかしながら、とうてい相いれないところのものについては、その見解を国民の世論、世論の批判に待つということが、民主政治、国会政治の運営の上から望ましい形である。従来の例を見ますと、いわゆる国会運営の方法について両党の意見が対立し、そのために審議ができないというようなことは、これは健全な民主政治を育て上げる方法じゃない。われわれが議院内閣の制度をとる以上は、国会の構成についても、私は、やはり、多数党が国会運営について、全責任を持つという姿がいいのであって、その委員会の運営等について、いろいろ議論を生ずることが間違っておる。委員会における審議を十分に尽すという方法で、今後両党が国会政治の話し合いに協力をしたい、かように考えております。 緊急総合対策に関連して補正予算を出せという御意見につきましては、昨日もお答えをしたのでありますが、すでに、この緊急総合対策を実行する上から見て、経済力が弱い中小企業や農村や漁村にしわ寄せが来るおそれがあるということを十分に考慮いたしまして、現に昨年の中小企業に対する中小金融につきましても特別の措置をとったことは、御承知の通りであります。すでに、この三十三年度の予算におきましても、その点を考慮して予算が編成されております。しかし、北山君の御心配のように、それで果して十分これらのものに対する影響を緩和することができるかどうかという点に関しましては、私は、予算の施行を見て、その結果において、もしもこれが不十分であるというならば、臨時国会においてその案を提出する、しかし、今回の状況においては、そういう必要を認めないということを明瞭にいたしておきます。 青少年の問題に関しましては、北山君が言われるように、私は、青少年に、単に、情熱を持て、あるいは希望を持てと言っても、いわゆる社会の環境が不純である、これらの人々が将来に対して希望が持てないような社会環境であるということは、これはいけないのでありまして、これを改めるためには、勇敢に各種の施策をとらなければなりません。私が、政治家として、私の政治の信念として、三悪追放ということを申しておりますのも、私は、これによって、社会をきれいに——明るい、そして正しい自由な社会を作り上げたいという、私の政治家としての悲願でございます。従って、この点に関しましては、今後におきましても一貫して努力をして、そうして、青年諸君が将来に対して失望をしないような社会を作っていきたい。さらに、私は、青少年諸君に希望を持たせるためには、これらの諸君が、学校において、社会において、りっぱな教養を身につけるならば、その活動の範囲は決してこの四つの島だけではなくして、われわれが謙虚な気持で平和的な建設に協力するつもりであるならば、国際的に幾らでも広い活動の範囲があるということを十分に理解せしめるような方策をとって参りたい、かように思っております。 アジアの復興、アジア外交に重点を置けというお話につきましては、われわれも、かねて、アジア外交に——われわれは、外交の三原則として、国連中心、自由主義的な立場をとって、自由主義国との協調及びアジア外交の推進という三つの柱を述べておりまして、この点に重点を置くことは、私ども全然そういう考えでおります。ただ、日本が、三つの——中国とインドと日本とをおあげになりましたが、これの協力を妨げておるものは、日本がアメリカに従属しておるからというお話でありました。決して日本はアメリカに従属をいたしておりません。(拍手)むしろ、これは、今日の状況から見ますと、中国とソ連との関係ほと日本とアメリカとの関係は緊密ではないと私は思っております。こういう意味から申しまして、決してアメリカ従属であるがゆえにアジア外交が推進できないというものではありません。アジアの復興に対しては、われわれは十分謙虚な気持でこれに協力をし、アジアの繁栄を通じて世界の平和に寄与したいというのが、私の念願でございます。(拍手) 〔国務大臣佐藤榮作君登壇〕
○国務大臣(佐藤榮作君) お答えいたします。現在の経済についての見方が、相当北山君と私とでは相違いたしておりますので、現状につきましてのいろいろ仮定的な条件のもとにおいてお尋ねになりました事柄につきましては、部分的に賛成できるものもありますが、同時に、私の見解をこの機会に明確にいたしまして、御了解を得たいと思います。 御承知のように、昨年来、緊急対策をとりました結果、わが国の経済はまず小康を得て参ったと、私どもは感じておるのであります。国際収支も黒字に転向して参りました。また、物価も一応横ばいの姿を示しております。これらの点は、確かに経済自体が一応小康を得ているという証左だと思うのであります。また、失業者の問題につきましても、かつての非常な不況の時代に比べますれば、その状況とはまだまだ開きのある事態でございます。もちろん、現状につきまして楽観は禁物でございます。今日の状況に対して、経済を発展さす上の好条件と考えられますものはこの際取り上げ、これに力をかすことが私どもの務めだと思います。同時に、また、警戒を要するような面につきましては、一そう警戒を厳重にいたしまして、現在より以上に経済を発展さすことが、私どもの願いでございます。同時に、また、世界的な経済状況に対しましては、わが国の経済もその影響を受けておることは、これはいなめない状況でございます。 今日の状況下におきまして、特別な人為的な工作を必要とするかどうかということにつきましては、私どもは、ただいま申し上げたような状況下において、この際特に人為的な措置をとらなければならないとは考えておらないのであります。従いまして、先ほど来お話のありました、補正予算を提出するとか、あるいは経済基盤強化基金をこの際くずすとか、こういうことは、私どもは考えておりません。今日、まず、昨日公定歩合の引き下げをいたしましたが、これによりまして金融引き締め政策のいわゆるおもしを一つ取ったのでございます。今後も、経済の状況に応じまして、順次おもしを取り去って、そうして、経済活動が盛んになるのを待つのが、現在の段階だと考えておるのであります。 政府といたしましては、失業対策、中小企業対策、農林漁業対策等について、従来とも万全の措置をとって参りましたが、今後も、社会的に好ましくない現象が生ずるおそれがありましたならば、弾力的な財政金融政策によりまして経済の安定した発展に備えて参る決意でございます。(拍手) 〔国務大臣高碕達之助君登壇〕
○国務大臣(高碕達之助君) 私に対する御質問のまず第一は、輸出は予定しておるごとく三十一億五千万ドルは可能であるかどうか、こういうことでございますが、これは、御承知のごとく、世界の不況とか、あるいはその他の状況によりまして、輸出は停頓しつつあるということは事実でございます。このままいけば、なかなか困難だと思います。必ずしも楽観はできませんが、また、一方におきまして、いいことが二点あるのであります。それは、輸出の余力ができたということと、もう一つは、物価が低下いたしました結果、国際価格との開きはだんだん近寄って参りました。この二点がありますから、そこで、政府の努力いかんによりましては、三十一億五千万ドルは必ずしも不可能でないと存じております。それがためには、輸出増進策をさらに一そう強化いたしたいと存じまするが、まずプラント輸出等につきまして、できるだけ延べ取引の条件等をも考慮いたしますと同時に、また、輸出入銀行の資金源等も拡充いたしたいと存じております。 従来問題となっております対米貿易の問題でございまするが、これは、御承知のごとく、現在米国に輸出いたしております商品は、おもに中小企業の製品であります。また、これは、不幸にして、米国におきましてもやはり中小工業の製品でありまして、それがために、いろいろ問題が起っておりますが、まず、これは、不当競争を防止するということと、第二に、日本におけるこの中小工業の製品の向上をはかるということが大事でございます。同時に、米国における同業者と日本の同業者とが相ともに協議をし合って、相手方の立場もよく尊重してやっていけば、さらにこの数量は増加することができると私は信じております。 また、中共貿易につきましては、現在、御承知のごとく、不測の空気をかもしまして、中絶状態にあるということは、まことに遺憾に存じます。これは、昨年すでに六千万ドルの輸出をし、本年におきましても、われわれは一億ドルの予想をしておるのでありまするが、これは非常に重要でありまして、なるべく早期に解決いたしたいという熱意と誠意を持っておるのでありますけれども、貿易のことは相手があることでありますから、中共側におきましても当方の熱意と誠意とを十分理解してくれることを心から熱望してやまない次第でございます。(拍手) 〔国務大臣三浦一雄君登壇〕
○国務大臣(三浦一雄君) 私に対しまする御質疑の一点は、経済基盤強化に関する資金等の運用につきまして、いかような配慮をするかということでございましたが、現在、農村で最も重要でありまする土地改良等の面におきまして、負担軽減のために低利な資金を供給するように考えております。なおまた、本問題につきまして、国会側でもいろいろの御論議がございますので、その点を十分勘案して最終的な取りきめをいたしたい考えでございます。(拍手) 〔国務大臣三木武夫君登壇〕
○国務大臣(三木武夫君) 私に対する御質問は、長期経済計画を修正の必要はないかというお話でございます。御承知のように、世界景気の低迷や、輸出価格の低落によって、輸出貿易の足どりは必ずしも所期の目的通りに行っていないことは、御承知の通りであります。しかしながら、これはまだ年度が始まってニヵ月ばかりのときでございますから、今後、世界の景気も底入れの状態になって参った感がいたしますし、また、政府の輸出増進に対する積極的な施策と伴って、今後できる限りこの目標に近づけたい。そういうことで、この段階で長期経済計画を改訂することは適当とは考えておりません。改訂の意思はないということでございます。努力をしていきたい。 もう一つは、景気の見通しに対しての御質問でございますが、行き過ぎた日本の経済が、ある程度アジャストメントの時期を経るということは、やむを得ないことであります。在庫整理、あるいは生産調節の、ある時期を経なければならぬ。多少時期的にそれがずれた感じはございますが、大体底入れに近づいてきた。その間において日本は輸出貿易に特に力を入れまして、その間に世界の経済の状態ともにらみ合せて、必要があるならば、国際収支のワク内において日本経済の水準を高めるような政策をとることは、必要があったら、これはとりたい。日本のこの経済をぶちこわすことのないようにいたしたい。そういう政府の施策と伴って、日本のこの経済政策の誤まりなきを期したいと考えておる次第でございます。(拍手) 〔国務大臣愛知揆一君登壇〕
○国務大臣(愛知揆一君) いわゆる国旗の問題についての法律の解釈の問題でございますが、刑法九十二条の適用の対象として考えられまするものは、何と申しましても、国交が正式に樹立されてある国の国旗、すなわち、承認国の国旗の保護の規定である、こういうふうに私は解すべきものと考えるのでございます。しかしながら、未承認国といえども、この国旗に対する考え方というものについては、微妙なものもございまするので、これを何とか保護し尊重したいという考え方から、いわゆる器物毀棄罪、これを援用するということも一つの方法である、かように私は考えるのでございます。 御参考のために申し上げますが、いわゆる長崎事件におきまして中共の国旗に対して、ただいま告訴を受理しておりますが、その告訴状も、器物毀棄罪の援用として告訴が出ておるのでございます。これは捜査中でございますから、その取扱いの結果がどうなるかは将来の問題に属しまするけれども、ともかくも、告訴それ自体が器物毀棄罪を援用して出ておるということを御参考に申し添えておきます。 〔国務大臣藤山愛一郎君登壇〕
○国務大臣(藤山愛一郎君) 日中貿易の問題につきましては、ただいま通産大臣が貿易の見地からも言われましたように、日本といたしましては貿易が円滑に拡大されていくことを望んでおるのでありまして、そういう立場から、私は、将来再び日中貿易の問題が一日も早く論議されるためには、現在静観をいたしていくのが一番適当な方法だと考えております。 対米貿易の問題につきましては、今日のアメリカの国内事情その他によりまして、いろいろな問題がアメリカの業者からそれぞれ起っております。むろん、私どもは、これに対して、日常の業務としても、われわれは、公聴会に対して専門の弁護士を派遣し、その他専門家を登用し、それらの立場からやっておりますが、結局の問題は、やはり、先ほど通産大臣が言われましたように、日本の対米輸出の多くのものが、わが国中小企業の製品であって、そうして、それは、日本の国民生活にも、また経済の発展にも非常に大きな影響があるということを、アメリカに対して十分認識させることが、最も基本的な必要事だと思うのでありまして、私どもは、そういう問題について今後十分な努力をして参りたい、こう存じております。(拍手)
○議長(星島二郎君) これにて国務大臣の演説に対する質疑は終了いたしました。 ————◇—————
○議長(星島二郎君) 本日は、これにて散会いたします。 午後四時十九分散会 —————・————— 出席国務大臣 内閣総理大臣 岸 信介君 法 務 大 臣 愛知 揆一君 外 務 大 臣 藤山愛一郎君 大 蔵 大 臣 佐藤 榮作君 文 部 大 臣 灘尾 弘吉君 厚 生 大 臣 三浦 一雄君 通商産業大臣 高碕達之助君 運 輸 大 臣 永野 護君 郵 政 大 臣 寺尾 豊君 労 働 大 臣 倉石 忠雄君 建 設 大 臣 遠藤 三郎君 国 務 大 臣 青木 正君 国 務 大 臣 池田 勇人君 国 務 大 臣 佐藤 義詮君 国 務 大 臣 三木 武夫君 国 務 大 臣 山口喜久一郎君 出席政府委員 内閣官房長官 赤城 宗徳君 法制局次長 林 修三君 法制局次長 高辻 正巳君 総理府総務長官 松野 靜夫君 —————・—————