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29回国会衆議院1958/07/03

法務委員会 第6号

発言数
81
登壇者
9
会派数
2
開催日
1958/07/03

会議録

小島徹三自由民主党

○小島委員長 これより会議を開きます。  まず、裁判所の司法行政に関する件について、調査を進めます。  質疑の通告があり、ますので、順次これを許可いたします。  菊地養之輔君。

菊地養之輔日本社会党

○菊地委員 横田事務総長から、相当長い時間をかけて御答弁を願ったのでありますが、まだ十分ではない点がありますし、どうも答弁がふに落ちない点が多々ありますので、その点に関して簡単に質問をいたしたいと思います。  第一に、浄書の意義がはっきりしておらぬのです。われわれは、浄書という言葉は普通一般に清書という言葉で、でき上った原稿をきれいに写しておくことである、こう考えております。これは一般常識から考えても、あるいは日本の国語の実例からしましても、そういうように解釈されておる。ところが、横田総長の御答弁を聞きますと、そうではなく、非常に広範囲に解釈されておる。いわゆる支払命令やあるいはその他の裁判書を書くこと、あるいは原稿を書くというか、そういうものまでも浄書の範囲に属するような御答弁のように思われるのでありますが、ここではっきりと浄書の意義を御説明願いたいと思うのであります。

横田正俊最高裁判所事務総長

○横田最高裁判所説明員 浄書とわれわれが申し上げておりますのは、要するに裁判官がきめました内容に従いまして、書記官が自画の判断を加えることなしに、それをそのまま書面に書き表わす、いわばその事実的な行為をさして申しておるのでございまして、その一番はっきりしておりますのは、裁判官自身が原稿を書きまして、その原稿を裁判所書記がそのまま引き写すということが一番はっきりしたものでございますけれども、しかし原稿がございませんでも、関係の書類によりまして、裁判官の裁判の内容が確定し得る場合につきましては、それらの書類に基いて書面を作りますことを裁判官が指示いたしますれば、それによって原本を機械的に作ることができるわけでございます。そういうものも含めて、われわれは浄書と申し上げておるわけでございます。

菊地養之輔日本社会党

○菊地委員 そうしますと、われわれが国語的に解釈する浄書とは、どうも趣きが違うようであります。いわゆる原稿があって、原稿をきれいに写しとる、これを従来われわれは浄書と申してきたのでありますが、それはお認めになりますか。

横田正俊最高裁判所事務総長

○横田最高裁判所説明員 それは、あるいはいろいろな一般問題としてはそういう言い方もあるかと存じますが、われわれがずっと長く問題にしておりましたのは、そういう浄書ではなくて、もっと広い意味にとってきておるわけでございます。

菊地養之輔日本社会党

○菊地委員 そうすると、浄書という言葉の内容を、独得に事務総長は御解釈になっておるわけですね。われわれ一般国民が常識として、また日本の国語の解釈として持ってきた浄書とは、違う解釈ではないかと思う。そういう解釈は一体どこから来るのか、そういう点、いわゆる法律的な慣用上扱われてきているのか、あるいはまた事務総長独得の解釈であるか、その点を聞いておきたいと思います。

横田正俊最高裁判所事務総長

○横田最高裁判所説明員 これは私の独得な解釈ではございませんので、要するに裁判所の今までの事務のやり方におきまして、そういうふうに使っておるわけでございます。

菊地養之輔日本社会党

○菊地委員 そうなると、これは浄書という言葉の内容が非常にわれわれ国民と違うので、あるいはまた日本の国語上の解釈とも非常に違うので、はっきりさしておきたいと思うのでありますが、原稿がなくても、いわゆる裁判官が、その内容を決定したものを、書記官に命じて書かしたものも浄書と称するのですね。その点あらためて質問しておきます。

横田正俊最高裁判所事務総長

○横田最高裁判所説明員 その通りでございます。

菊地養之輔日本社会党

○菊地委員 そこで、第二の点に移りますが、今度相当たくさんの書記官が処分をされたわけでございます。これは国家公務員法に基くようでございますが、この違法として処分の対象になったのはどの点でありますか、それをはっきりしていただきたいと思います。

横田正俊最高裁判所事務総長

○横田最高裁判所説明員 処分の対象となりました事項は、被処分者に渡しました処分説明書というものがござい  まして、これに相当こまかにいろいろ書いてございますが、大まかに申し上げますと、今申しましたような趣旨の浄書を、裁判官の命令があるにかかわらず、書記官その他の裁判所職員が拒みましたる点と、それからそういうことをすることを指導しそそのかした職員の、そういうそそのかしの行為、大体この二点が処分の対象となる事実になっております。

菊地養之輔日本社会党

○菊地委員 そういたしますと、書記官の行為が浄書——いわゆる裁判所の解釈する浄書、われわれ国民と違う意味の非常に拡張された浄書、その浄書を拒否したということが今度の処分の第一の要点であるのですね。その点はどうでしょうか。

横田正俊最高裁判所事務総長

○横田最高裁判所説明員 その通りだと思います。

菊地養之輔日本社会党

○菊地委員 そうすると、いわゆる裁判所独得の、われわれ常識で判断できないような拡張された浄書というその範囲の行為は、書記官の職務内容に属するという解釈でございますか。

横田正俊最高裁判所事務総長

○横田最高裁判所説明員 そういう解釈の上に立ちまして処分をいたしたわけでございますが、これは何も最高裁判所あるいは一事務総長の私の独得な解釈ではございませんで、これは長年の間そういうことについてはだれも疑問を持たずにやられてきたことでございます。あるいはしろうとの方がごらんになりますと、浄書といえば、裁判官が作った原稿を引き写すというふうに単純にお考えになるかと思いますが、これは裁判所の中におります者、特に裁判官と書記官の問題でございまして、裁判所の中におります者にとりましては、何ら疑いのないこととしてずっと行われてきたことでございます。

菊地養之輔日本社会党

○菊地委員 その点は、われわれは、裁判所で出すいわゆる通達なんかを見ましても、総長の今申された言葉は承認できないのであります。たとえば、二十三年に三淵長官が出したいわゆる通達によりますと、決定命令等簡単なものといえども、裁判所原本の作成、浄書には、裁判所書記をわずらわさないようにすること、こうあるのでございます。ちゃんとここには浄書と原本の作成とをはっきり区別しておるであります。あなたの今までのお話によると、いわゆる原本の作成も浄書の中に入るんだとおっしゃった。ところが三淵長官の出した通達は、裁判所原本の作成と浄書とはっきり区別しておるのであります。どうも裁判所の内部では、浄書という言葉が統一されて、国民とは違った解釈をしているとは思われないのでありますが、この点はどうですか。

横田正俊最高裁判所事務総長

○横田最高裁判所説明員 私どもはその浄書という言葉にそうとらわれて考えておりませんで、先ほども申しましたいわゆる裁判の実態から問題を議論しておったつもりでございます。つまり、裁判というものは、裁判官が内容を決定することと、それを書面に書き表わしますことと、最後に、御承知のように署名捺印という段階、これが三つそろいまして裁判になるわけでありますが、そのいわば中間と申しますか、その判断を書き表わすこと、これを私どもは広く浄書あるいは原本の作成と申してもいいと思いますが、そういうものが書記官の職務に属するということを言っておるわけでございまして、あまり浄書という言葉にとらわれないのがわれわれの根本的な考え方でございます。三淵通達も、そういう意味におきまして、それを二つ一緒にして問題を提起しておるわけであります。

菊地養之輔日本社会党

○菊地委員 どうも私どもはふに落ちないのです。浄書が今度の処分の大きな問題になっておる。浄書の解釈によって、職務の範囲になるか、あるいは職務の範囲外かということが決定する問題である。その問題が、われわれ国民の常識あるいは日本の国語的解釈でなくて、裁判所独特の解釈で、しかも長年それがいわゆる裁判所の解釈で通ってきたとはいいながら、実際はそうでないことは、先ほどの三淵長官の通達でもわかるのである。それを浄書という言葉なんかを問題にするのでないとおっしゃるけれども、言葉自体、この浄書の解釈自体が、本件の処分が正しいかどうかを決定する重大なポイントじゃないですか。それを言葉を二、三にされたのでは、私ども納得ができないのであります。この点に関して、総長の意見を聞きたいのであります。

横田正俊最高裁判所事務総長

○横田最高裁判所説明員 実際の、われわれが今度処分しました人々との間で問題になっておりますのは、そういう原本であるかどうかというような問題では実はございませんで、要するに、裁判書を作ることについて職員が協力できないという点が問題でございます。浄書と申しましょうと、あるいは原本の作成と申しましょうと、要するに原本になるものを作ることを書記官その他の事務官が拒否したというその点が実は問題なのでございます。われわれは浄書という言葉をよく使いますが、そういういわゆる浄書ということでずっと議論をして参っているわけであります。

菊地養之輔日本社会党

○菊地委員 どうもその点で幾ら議論しても結末がつかぬようですから、それでは、あなたの御解釈の浄書というものは、書記官がなさねばならぬ職務の範囲であるかどうか、その法律的根拠を承わりたいのであります。この点は従来何回も各委員諸君から御質問があったのでありますけれども、これは長年の慣習で、戦前からこの慣習でやって、そうして内部ではもう疑う者がないのだ、こういうことをたびたび聞いたのでありますが、この慣習があるかどうかは、実は私は存じません。実は私は四十年近い間弁護士をやってきたのでありますが、いわゆる裁判というものが書記の手によってでき上っていたとは思っておらなかった。今度初めて聞いて私はびっくりした。今までうかつであったかもしれぬけれども、非常にびっくりした。大体判決以外の裁判というものは、原本の作成あるいはあなたのいう浄書が書記官においてなされて、裁判官は単に署名捺印するだけだということになる。実は私どもは行政官と裁判官の違いをそこに発見したのであります。行政官の方にははなはだお気の毒でありますけれども、行政官は大体下僚の書いたものにめくら判を押し、そうしてあと仕事がなくて、新聞を常に読んでいるくらいだということを言われているのです。そうでないまじめな行政官もあることはわれわれも認めておるのでありますが……。しかし、裁判官はそうではない。みずからその事件の内容にぶつかって、みずから結論を出して、みずから裁判の原本を作る、そうして署名捺印する、ここに私どもが裁判官の重要性というものを認めてきたのであります。ところが、お話によると、そういうことはしなくてもいいのだ、いわゆる書記官に浄書をさせて、そうしてあとで自分の意思に基いて署名捺印すればいいのだ、結局それは裁判官がその内容を検討して裁判したことになるのだ、こうおっしゃっているのですが、われわれ国民が考えていることとはだいぶ仕事の様子が違うのでございます。そこで私どもはくどくどとその質問をするのでございますが、先ほどおっしゃったいわゆる慣例というようなものは、実際そうであるかもしれません。これは調査してみなければわからぬのでありますけれども、そういう慣例になっているかもしれません。しかし、慣例というものは法律ではない。これは古い法令を見ますと、法律に規定のないことは、長年の慣習によって、法律と同じ効力を有するというようなこともあるようでございますけれども、やはり書記官の職務権限というものは、りっぱに裁判所法に規定があるのでございます。従って、慣例というものをとって、これが書記官の職務であると言うことができないことは、言うまでもないことだと思うのでございます。そこで私どもは、あなたが何度もおっしゃった裁判所法の第六十条、これは書記官の職務内容を規定したものでございますが、これを幾ら読んでも、浄書が書記官の仕事である、職務の内容であると解釈することは、とうていできぬのであります。そこで私どもは、この浄書が書記官の職務の内容であるという法律的根拠を、一つはっきりとお示しを願いたいのでございます。

横田正俊最高裁判所事務総長

○横田最高裁判所説明員 書記官の職務の内容についての裁判所法の規定は、ただいまお示しの第六十条第二項、第三項等にあるわけでございますが、書類の作成、保管ということがそこに書いてございますが、実はこれが書記官の主要なる仕事でございまして、現実に書記官がやっております事務を詳細に御観察いただきますれば、このほかに、文字的にはこれに入らない仕事が非常にたくさんございます。その一つ一つを申し上げる煩を省略させていただきますが、たとえば破産管財人の選任であるとか、あるいは国選弁護人の選任というような問題がございますが、選任そのものは裁判官の仕事でございますけれども、その選任をしますまでの間におきまして、書記官に命じまして、その当該破産管財人になっていただきたいということの御連絡をして御内諾を得る、こういう外部に対する連絡の仕事というようなものが相当あるわけでございます。これも裁判官のやることだから、別に裁判所法の第六十条にはそんなことは何も書いてないじゃないか、これは裁判官が自分で電話をかけて勝手にやればいいじゃないかということになりますが、それはそうではないのでありまして、結局訟廷事務、いわゆる裁判事務に関連いたしました訟延事務というものがあるわけでございます。その訟廷事務の一つに、やはりこういう裁判官のために原本になる書類を機械的に書くというようなことが含まれるというのがわれわれの長年の解釈であり、またその解釈のもとに立って、先ほどからいわゆる慣習とおっしゃいますが、われわれは何も根拠のないところにただ慣習があるというふうに申しているわけじゃございません。そういう解釈がみんなにわかっておりまするし、書記官がそういう仕事を長年の間、数十年間にわたってやってきておりまして、いろいろ裁判所法も変りましたけれども、この点に関しましては、特に戦前と戦後で変ることはないわけでございます。そういうことを前提といたしまして、書記官の定員とかいろいろな配置というようなものがきまっておりまするし、またそういうことを前提といたしまして裁判所の規則もできておりまして、訟廷事務というものが書記官の仕事であるということは、規則ではっきりしております。また、その規則を受けまして、事務総長依命通達によりまして、もう少しその内容を詳しくいろいろ説明、指示してあるわけであります。結局、その線に従いまして、戦後もずっと行われてきておるわけであります。これは何も単にそういう慣習があって、長年そういうことになっておるから、このままやるんだということを簡単に申し上げておるわけじゃないのでございます。

菊地養之輔日本社会党

○菊地委員 そうしますと、書記官の職務内容というものは、法律に規定されない、法律では少しもわからないようなことでも次々と追加され、あるいは加算されていく、こういう結果になると思うのです。そういうことは、一体今日の書記官の仕事を規定する上において、正しいことでありましょうか。先ほど規則制度権でやるんだとおっしゃるけれども、法律に規定のないことである。裁判所内部の規則制度権で自由にさせられる。そうすると、実際上、書記官の仕事というものがはっきりわれわれからわからない、こういうことになると思うのです。そういうわからない職務、しかも書記官たちは、それはわれわれの職務の範囲でないということをはっきり言っておることに対して、法律の規定がない、裁判所法の第六十条にも規定がない、職務の範囲でないと法律から見ますとできる規定、それに応じなかったという理由で処分されるということになったならば、法定罪刑主義——これはこの場合適用しないですけれども、法律の規定の範囲内において職務規定があるはずだ。内部の規定あるいは法律にもないものによって規定されるわけはない。そういうものを守らなかったというので処分されることになったら、世の中は大へんになりはしないか。私はそういう御答弁に対して、非常に不満足であります。もう一ぺんその点に対して御見解を承わりたい。

横田正俊最高裁判所事務総長

○横田最高裁判所説明員 実はこれは裁判所の中のことでございまして、書記官がどうもそういう義務がないと言っておるものを、いきなり首を切るのはひどいじゃないかということでございます。書記官が義務がないなどということを言い出したのは、昨年からのことでございまして、これはそこにはいろいろの問題があるわけでございます。そういう解釈については、裁判所の内部でほとんど問題になっておらなかったことであります。この訟廷事務の範囲がはっきりしないじゃないかとおっしゃいますけれども、これはやはり一つの常識があるわけでございまして、所長官舎の草をむしるとか、あるいは引つ越しの手伝いをするというようなことが、訟廷事務に入らないことは当然で、これは幾ら規則で書きましても、そいうことは通用しないわけでございます。そういう点は、いわゆる裁判事務に関連しました事務というものは、おのずからそこには範囲がきまっておるわけであります。それを規則で一応うたいまして、さらに通達等で補充する——私は補充をすると申し上げたいと思いますが、補充をしてやるというふうにお考え願いたいのでございます。

菊地養之輔日本社会党

○菊地委員 どうも、総長は誠意をもって御答弁になっておると思いますが、あるいはお知りになってないかもしれませんけれども、二十三年の三淵長官が、決定命令等の簡単なものといえども、裁判所原本の作成は書記をわずらわしてはならない、こういう通達をしている。これはいわゆる三淵長官個人が、長官自身が自由意思で出したものではないのであります。あるいはお知りにならぬかもしれないが、昨年から浄書拒否の動きが出てきたと思うけれども、もうすでに戦後この裁判所法並びに刑事一訴訟法、民事訴訟法の改正後これが問題になっておって、全司法の第三回大会においてこれが決定され、そうして三淵長官と団体協約を結んだのでございます。このことを御存じですか。そこで、団体協約の結果として、この通達が下級裁判所に出されたのでございます。これを御存じですか。従って、昨年から浄書拒否の問題が起きたのでございますなんということは、非常な誤まりを犯しておるのであります。そういう認識が今までの御答弁になっておると思うのでございます。どうか、おわかりにならなければ、御調査を願いたい。団交の結果、この通達になったのです。従って、二十三年にはすでに問題になっておった。この点はどうですか、御存じですか。

横田正俊最高裁判所事務総長

○横田最高裁判所説明員 そのいきさつは、私も当時はおりませんでしたが、よくいろいろなものについて調べまして、わかっております。この二十三年の通達がいろいろゆがめられまして、今度の浄書拒否に非常に悪用されておるというふうに私は申し上げたいのであります。この二十三年の通達が出ましたところは、御承知かと思いますが、書記官の数はわずかに千数百名、これは二十三年でございますから、ちょうど裁判所の新しい制度が発足しまして間もないことでございまして、人員の整理その他非常に混乱の時期でございます。こういうわずかな書記官に対しまして浄書までさせますことは、非常に気の毒であるというような点が問題になりまして、結局これも団交の対象になったようでございますが、その結果、その通達の文字を読んでいただけばおわかりになりますように、書記官をわずらわさないものとすることというような書き方をしております。これはもし書記官の職務でなければそんなわずらわさないものとすることどころではなくて、これは絶対に禁じなければならない。将来に向いまして絶対に禁じなければならないものを、そういうおもしろい表現をしておりますということは、書記官に法律上のそういう義務があるということをむしろ前提といたしまして、しかし、それを命じてやらせることはいかにも気の毒であるということからいたしまして、できるならば事務官とかその他の者にやらせるという趣旨でこの通達がなされたものと考えます。これは裁判所内の会議の記録等にも、その点がはっきり残っておるわけであります。ところが、この通達があるにかかわらず、それではその後に書記官をわずらわしていないかと申しますと、ずっとわずらわしてきておるのであります。なぜかと申しますと、これは二十三年七月の通達だと思いますが、その後間もなく書記官は大増員が行われまして、ほとんど間もない期間に定員が倍くらいになりました。従って、わずらわしてもいいような事態に立ち至りましたので、しかも、その後ますます書記官は増員されまして、二十三年の千数百名に対しまして現在は五千六百名の書記官が定員になっておるわけでございます。そういうような関係からいたしまして、もうこの二十三年の通達は、その前提となっている事実がすっかり変ってしまいましたから、従いまして、書記官連中は、別にそういう二十三年の通達をたてに浄書の拒否をするというようなことはなしに、十年ほど、今日まで、今日と申しますか昨年まできておった。ところが昨年になりまして、突如といたしましてこの二十三年の通達などをふりかざしまして、浄書の義務がない、——忙しいから書かないというのならば、まだ多少論議の余地がございますが、そういう義務は全然ないのだというようなことを言い出して参ったわけでございます。これは、裁判所といたしましては、そういうことで動いておるわけでございますが、突如としてそういうことをやられますことは、裁判そのものではございませんが、裁判に密接な関係のございます原本の作成ということにそういう支障を来たすということはゆゆしい問題でございますので、いろいろ警告をしたり説得をしたりしたのでございますが、それにも応じませんので、拒否をいたしました者のうちで特に頑強に拒否をしました者あるいはそれを扇動いたしました者、特に問題のある十数名の人を処分いたした、こういういきさつになっております。

菊地養之輔日本社会党

○菊地委員 今のお話ではなはだ驚いたのでございますが、こういう通達が三淵長官から出たけれども、裁判官はそれを守らなかった、依然として書記官にいわゆる原本の作成、浄書をさせていた、こういう驚くべき御発言があったようでございますが、それは真実でございますか。裁判官は通達を守らなかったのでございましょうか。その点をまず承わっておきます。

横田正俊最高裁判所事務総長

○横田最高裁判所説明員 通達の前提となります事実が変りましたために、その通達はそういう事態に対してのことを言っておるわけではないのでございますから、通達に従わなかったわけではないと思います。

菊地養之輔日本社会党

○菊地委員 いわゆる通達を出すに至った、あるいは団交をするに至った原因をあなたは述べておられる。一旦長官がいやしくも通達を出した場合に、裁判官はそれを守る義務が生まれてきませんか。それは動機が解消したとか解消しないということとは別問題じゃないですか。そういうことをあなたの品からおっしゃっていいのですか。裁判官は守らなかったという。しかもいわゆる書記官がふえたのは順次ふえていったのであります。それは単に人員がふえたのではない、仕事の量がふえたから人員がふえていった。私はこれ以上その点に触れようとは思いませんが、ただ私は、また書記官に仕事をさせるなら、団交できまったことは裁判所は守らなければならないでしょう、団交できまったことを裁判所が守らなくてはならぬことは言うまでもないことと思うのであります。それならば、事情が変った、いわゆる書記官にさせてもよろしいという事情になったならば、ここで再び団交をやって、書記官は以前の通りいわゆる原本作成や浄書をする、こういう話し合いの結果でなければ、書記官に対してその仕事をさせられないのではないか、これは労働協約の本質からいって当然じゃないですか、この問題はそういう手続をふまれたのですか。それをお聞きします。

横田正俊最高裁判所事務総長

○横田最高裁判所説明員 結局そういう手続もなしに、ずるずると浄書が行われてきておるわけでございます。それも二十三年から十年間もずっと続いてきておるということは、結局その団交に基きます通達の趣旨が、先ほど私の申し上げたものであるような関係から、そういうふうになってきておるわけで、ございまして、今さらここでまたその問題について団交するというような性質のものではないように私は考えるのであります。

菊地養之輔日本社会党

○菊地委員 古いけれども、二十三年にそういう団交があるのだ。一方的に裁判所が破棄することが一体法律・的に可能でありましようか。また政治的に、社会的にそれが正しいでありましようか。この点に関する認識を私は伺いたいのであります。

横田正俊最高裁判所事務総長

○横田最高裁判所説明員 これは何回申し上げても同じことでございます。要するに、そのときの話し合いの趣旨並びに通達の趣旨が、先ほどの私の申し上げたような趣旨であったといたしますれば、それがおのずから解消してしまった、本来の姿に立ち戻ってしまうということは、これは当然に考えられることでございます。

菊地養之輔日本社会党

○菊地委員 どうも奇怪なことばかり聞くのでありますが、団体協約を結んだが、それがすでに盛られた趣旨が必要なくなったので、そのままになったと言うけれども、それは一方的な破棄じゃないですか。一体団交を一方的に破棄する権限が、裁判所側にあるのかどうかということを聞いておるのです。いわゆる団交もせずに、破棄の通告もせずにおいて、そうしておいてその行為をしなかった者に対して首切りを断行する、こういうことが一体正しいかどうかということを、私は法律的に十分お考え願いたいと思うのであります。これ以上追及しても仕方ありませんので、この点はこの程度でやめますが……。

田中幾三郎日本社会党

○田中(幾)委員 関連して。今、菊地委員の質問のうちに、昭和二十三年にこの問題に関して団体交渉を行なったという事実の上に立って、長官からただいまのような通達が出されておるということがあったが、この事実を没却しないで、この事実の上に立ってこの問題を検討していかないと、現実的に、ただいまの対立しておるこの争いというものは、解決できないと私は思う。そこで、今の浄書が書記官の事務の内容であるかどうかという論争は、あなたの方とやっても、なかなかけりはつくまいと思いますが、しかし、裁判所の中に対立しておるというこの事実は、どうしても解決しなければおさまらぬと私は思う。また、そうしないと、現実の裁判の上に非常なもっと大きな支障が出てきやしないかと思うのでありまして、ただいまの団体交渉の事実があったということを頭に置いてこの問題を処理しないで、単に首切りという、上からの天下り的な行政措置を突然にやったというところに、私はこの問題のガンがあると思う。私は、この委員会において、事務総長並びに最高裁判所当局とのこの論争それ自体が問題じゃないのです。いかにすれば一体この問題を解決に導いていけるかというのが、裁判行政に関する問題でありますから、裁判所当局におきまして、団体交渉の結果の協約あるいは約束というものをほごにしたかどうかという法律的な問題は別にして、こういう事実があったにもかかわらず、今回は天下り的にこの処置をとったというところに、この問題の現実問題としての発端があるのであますから、一体この論争を続けて、ただそれだけでいいのか。この問題をおさめるために、裁判所はもっと態度を改めなければならぬという、政治的もしくは行政的な考え方が必要であるのではないか、私はこう考える。総長はどういうふうにお考えになりますか。

横田正俊最高裁判所事務総長

○横田最高裁判所説明員 私も、この問題につきましては、いわゆる浄書が書記官の職務に属しないというようなことをあくまでも主張して、そういう立場に立って問題が展開されます以上は、どうも問題の解決を見ることは非常にむずかしいんじゃないかというふうに考えるわけでございます。この二十三年の通達も、私の考えますところでは、そういう基本的な義務とかなんとかいう問題ではないということを前提にしたものではなくて、先ほどから申しますように、非常に忙しくて困るという、そこに問題の核心があったように思うのでございます。従いまして、今回の問題も、たとえば事件が非常に多くて困るとか、あるいは裁判官のやり方にどうも少しまずいところがあるとかいうようなことが問題で展開して参りますれば、そこらに話し合う余地は相当あったと思いますが、問題は、もう少し掘り下げまして、全然そういう義務はないんだということを前提としまして、いわば一つの、組合の言葉をもってしますれば、職制の支配排除、あるいは力関係を変えるんだというような態度で、それが現実の問題としましては、そういう義務がないという点ではっきりした態度を持ってこの浄書拒否を行う、こういうことになりますと、われわれとしてもどうもそこに話し合う余地はない。これはぜひ書記官の方もよく考えてもらいまして、そういうもとの前提を思い直してそこで、さて、それではどうしたらいいかという問題に入って参りますれば、われわれとしましてもなおいろいろ話し合う余地があると私は考えております。

田中幾三郎日本社会党

○田中(幾)委員 あなたの方の基本的な考え方と私の考え方に、だいぶん隔たりがあると思うのです。私は、先ほど申しましたように、この問題の起った当時に返って、団体交渉をしたというその事実を無視してはならぬと思う。今日は人員がだいぶん増員したから仕事も楽になっておる、だからあの状態と違うのであるから、一つの命令によって、それは部下の仕事であるからやれと命令していいと考えるところに、この問題が起ったものと思う。もしこの問題の論議を続けていくなら、命令したところが、また拒絶する、そうするとまた首を切らなければならぬ、またやった、また首を切らなければならぬということになったら、裁判所の事務はどうなる。私は論争は論争で、これはきめなければならぬと思うのですけれども、しかし、あなたは行政官庁としての裁判所の当局者として、一体この事態を放任していいのかどうかという問題なんです。こんな論議は学生でもどこでもできる。そうでなしに、現実に裁判所の事務がストップするんじゃないかというような、こういう事態を前にして、あなたの方では、人がふえたんだからして、命令されたら仕事をすればいいんだ、こういう考えのあるところには、この問題はおさまらぬ。私はやはりあなたの方が、二十三年の団体交渉をやったというその事実のところまでバツクして、職員の方でそういう法律的主張をするならば、それも含めた上においてまた新しく話し合いをしないと、前の団体交渉をしたという事実をすっかり抹殺してしまって今度は命令でいいんだということでやるなら、今のような事態がいつまでたっても続くと思う。ですから、この問題を解決する上において、その位置は別問題として、裁判所の方も事態をあとじさりして、バツクして、その上に立って話し合い、あるいは裁判所の書記官の事務の内容を、法的にももう少しはっきりする。争いがあるからこういう問題が起っておる。ですから、そういうところに立って、この問題を解決するというところへ行かなければならぬじゃないか。あなたは、あのときは人員が少なかったから、ただ好意的に、書記官にあまり浄書なんかをさせないようにという、恩恵的な、事務的な処置を裁判官にやらせたんだというふうにお考えでありますけれども、現実の事実は、やはり団体交渉という事実があったんですから、裁判所も多少そこまでバツクしてこの問題を解決しないと、いつまでも対立のままでは、私はおそらくもっと憂うべき危険な状態に立ち至るのじゃないかと思うのですが、どうですか。

横田正俊最高裁判所事務総長

○横田最高裁判所説明員 われわれといたしましては、浄書の義務と申しますか、書記官の職務内容というものにつきまして、私の方ばかりに後退しろとおっしゃいますが、それはやはりその点を書記官によく考えてもらいませんと、それが根本でございまして、その点をよく書記官の方で考えてもらえば、われわれといたしましても、いろいろ話し合いにも応ずる余地はあると、私自身は考えております。やはり問題の中心は、そこにあるんじゃないかと思います。

菊地養之輔日本社会党

○菊地委員 私の質問はまだありますけれども、これでおしまいにいたします。ただ、私この質問が展開されてからずっと聞いておったのですが、どうも裁判所の問題に長い間携わったわれわれとしても、いわゆる浄書が書記官の事務なりやいなやということは、非常に疑問でございます。どの点から見ましても、いわゆる裁判所法の第六十条を見ましても、あるいはいろいろな通達を見ましても、あるいは規則制定権によって作られた規則などを見ましても、どうしても書記官の職務の範囲であると認定することは困難じゃないか。いわんや私だけではなく、刑訴法の学者も、書記官にはそういう義務はないのだということを言う学者が相当多数あるのであります。こういう疑問があるとき、しかもいわゆる二十三年には三淵長官が団交でこういう通達を出しておる。その通達の言葉のあやをとらえて、いろいろ弁解しておられますけれども、それは単なる弁解にすぎない。これは書記官をなるべくわずらわしてはならない、こう言っている。なるべく書記官をわずらわしてはならない、なるべくという言葉があるならば、その職務が書記官にあるということにはなりましょうけれども、そういう条件はついていない。ただ人が少かったというようなことは、内部の問題なのであって、通達の問題ではないのです。それをとらえて持ってきて、これはいわゆる廃規と同様になっておるんだ、効力がなくなったのだという一方的な解釈をされている。これは裁判所として重大な問題じゃないかと思う。団交できまったことは団交で取り消さなければならない、そういうことはちっともやらない。そういう慣行が行われては、一体日本の労働問題はどうなりましょう。範を示すべき裁判所みずからが、いわゆる勝手気ままな、一方的な破棄をやっておる。そうして、それに応じなかった書記官に対して、いわゆる首切りをやっておる。これらの書記官は一体どうなるのでしょう。これは自分の権利を守ろうとしたのだ。自分の権利を守ることは、今日の日本国民の生命である。それを守ろうとする者に対して、一方的に団交を拒否して、首切りをやる。はなはだ冷酷むざんではないかとわれわれは考えておる。こうした事態に対して、官の反省を求める前に、裁判所自体が反省すべきではないか、こういう点を私は考えてもらいたい。これは答弁は要りません。どうかその点を十分御考慮願いたいと思います。     —————————————

小島徹三自由民主党

○小島委員長 都合により、この際、閉会中審査に関する件について、理事会の申し合せに基き、各般の事項について順次お諮りいたします。  まず、閉会中の審査申し出の件についてお諮りいたします。本委員会の今会期中における国政調査事項について、閉会中もなお審査を行うため、一、裁判所の司法行政に関する件、二、法務行政及び検察行政に関する件、三、国内治安及び人権擁護に関する件、四、最高裁判所の機構改革(上訴制度を含む)に関する件、五、外国人の出入国に関する件、六、交通犯罪に関する件、七、青少年犯罪に関する件、八、売春防止法の施行に関する件、以上八件を閉会中審査すべき案件として、文書をもって議長に対し閉会中審査の申し出をいたしたいと存じますが、これに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

小島徹三自由民主党

○小島委員長 御異議なしと認めます。よってそのように決しました。  次に、閉会中審査小委員会の設置に関してお諮りいたします。ただいま議長に申し出ることと決しました閉会中審査すべき案件が、院議により付託されましたならば、その審査に当るため、小委員十五名よりなる閉会中審査小委員会を設置することとし、その小委員及び小委員長の選任につきましては、先例により委員長において指名することといたしたいと存じますが、これに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

小島徹三自由民主党

○小島委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。  小委員及び小委員長は、指名の上、追って公報をもってお知らせいたします。  なお、閉会中における理事及び小委員の辞任及び補欠選任につきましては、委員長に御一任を願っておきたいと存じますが、これに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

小島徹三自由民主党

○小島委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。  次に、閉会中における参考人の出頭要求に関する件についてお諮りいたします。閉会中、小委員会において参考人の出頭を求め、その意見を聴取すべき必要が生じました場合には、委員会に諮ることなく、その取扱いを委員長に御一任願っておきたいと存じますが、これに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

小島徹三自由民主党

○小島委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。  次に、閉会中の委員派遣に関する件についてお諮りいたします。閉会中審査のため実地調査の必要がある場合には、委員派遣を行うこととし、派遣委員の数及び選定並びに派遣地及び期間、その他議長に対する承認申請の手続等、すべて委員長に御一任願っておきたいと存じますが、これに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

小島徹三自由民主党

○小島委員長 御異議なしと認め、よって、そのように決しました。     —————————————

小島徹三自由民主党

○小島委員長 次に、請願の審査に入ります。  請願の審査につきましては、請願日程全部を一括議題とし、各請願につき政府の所見を聴取し、御質疑のあるものについては質疑を行なった後、日程全部を一括して採決することといたします。  それでは、請願日程第一ないし第九を一括して議題といたします。  各請願について、順次政府より所見を求めます。木島法務政務次官。

木島虎藏自由民主党法務政務次官

○木島政府委員 請願の一につきまして政府の所見を申し上げます。  東京婦人補導院建設反対に関する請願について。婦人補導院の設置につきましては、財政当局の方で官有地か旧軍用施設の転用という強い要望がありましたので、旧軍用施設及び敷地の獲得について関係当局と折衝しましたが、東京周辺には適当な敷地がありませんでした。このため府中刑務所の耕転地に決定いたしたような次第であります。婦人補導院は、御承知の通り、更生施設として、職業補導の立場から、また保安上の点からも、関係官庁への交通の便、あるいは市街地に近接したところが望ましいわけであります。請願の御趣旨の通り、建設地に面して学校があるのでありますが、このことにつきましては、環境を害しないよう建物の設計においても十分工夫をこらし、その構造上もなるべく目立たないものを建てるよう配慮いたしたつもりであり、またできるだけ御迷惑をおかけしないようにいたしたいと念願しておりますので、当省の意のあるところをお含み下さいまして、よろしく御審議をお願い申し上げます。  次に、二と三の請題について所見を申し上げます。  戸籍事務に要する経費は、地方財政法の建前上、市町村において負担するものとされており、従って、戸籍改製の事務についても、その経費を国が負担することは困難であると考えておるのであります。  次に、第四ないし第八の占領軍による被害者の補償等に関する請題でありますが、平和条約発効前の占領軍の不法行為による損害については、法律上当然に国に損害賠償の責任があるとすることができないことは言うまでもございません。従って、これらの損害については、従来行政措置によって被害者に見舞金を支給するにとどまったのでありますが、請題の趣旨のように、この際、新たに法律を制定して、占領軍の不法行為による人的損害について国に損害賠償義務を負わせることは、平和条約発効後すでに相当期間経過しておる今日におきましては、立証上の困難があり、その実施に支障を伴うことが考えられるばかりでなく、占領軍の不法行為による物的損害、さらに戦争中国民が戦争に起因してこうむったその他の人的、物的損害との権衡から申しましても、慎重に検討すべき問題であって、請題にかかる特殊の被害者だけについて特別の立法措置を講ずることは、必ずしも当を得ないものと考えるのでございます。  次に、都城拘置支所新設に関する請願について。都城市が交通産業における要衝地であること及び留置場における収容状況からして、拘置支所設置は必要と考えており、財政当局に対してもここ数年来要求している次第でありますが、財政面から支所新設は認められていない状況であります。しかしながら、当省といたしましては、その必要性から、三十四年度予算要求においても実現を期すべく努めたいと考えており、予算措置がつけば、請願の趣旨に沿うようにいたしたい所存であります。  以上、御説明申し上げます。

小島徹三自由民主党

○小島委員長 御質疑はございませんか。——それでは、お諮りいたします。日程第一ないし第三の各請願はこれを留保することとし、その他の各請願は、いずれも採択の上、内閣に送付すべきものと決するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

小島徹三自由民主党

○小島委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。  なお、ただいま採択されました各請願の委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと思いますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

小島徹三自由民主党

○小島委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。  なお、本委員会に参考送付されました陳情書は、お手元に配付いたさせました印刷物の通りでありますからして、御了承願います。     —————————————

小島徹三自由民主党

○小島委員長 それでは、引き続き裁判所の司法行政事務についての質疑を続行いたします。大貫大八君。

大貫大八日本社会党

○大貫委員 裁判書の問題につきまして、事務総長からたびたびお答えがあったのでありますけれども、何回聞いてもどうも納得がいかないのであります。しかも、この問題は非常に重大な問題でありまして単に書記官の職務に関する問題だけではないのであります。裁判の信用に関する重大な問題だと私は思うのです。特に最近裁判に対する疑惑の目が国民の間に高まっております。現に、静岡県においては、死刑の判決が無罪になったいわゆる二俣事件というものがあり、あるいはまた死刑の判決が最高裁から差し戻しになって、現に審理中だと思う幸浦事件、あるいはまた無期懲役からこれまた差し戻しになって、現に調べを受けておる小島事件というような問題もあり、あるいはまた八海事件というような問題もあり、今日国民の中から裁判に関する非常な不信用というか疑惑の念が高まっております。そういう際に、この裁判書の問題、書記官の処分の問題をめぐって、はしなくも裁判の原本の作成というものが、どうも書記官によってある程度判断されておるという事実が明るみに出て、私はびっくりしておる。そこで、総長の御意見によりますと、大体裁判の内容を決定する裁判官の活動、その決定されたものが書面に書かれる段階、最後に署名捺印する、それで完成するのだ、こういう説明をされておるのです。ところが、その裁判官の決定のない前に、書記官がすでに書いて持っていくのであります。このことは、どう考えても書記官の仕事ではなく、裁判官の任務じゃないかと私は思います。つまり、あなたがおっしゃる裁判の内容を決定する裁判官の活動、こういう表現をいたしておりますが、こういう活動がない前、裁判官が裁判を決定しない前に書記官がすでに書面にしておるのであります。これはお認めでしょう。これは一体どうなのですか。これは私はどう考えても書記官の任務に属しないと思いますが、これをまずお答え願いたいと思います。

横田正俊最高裁判所事務総長

○横田最高裁判所説明員 先ほど私、段階的に申し上げましたが、裁判官の内容の決定という仕事は、結局最初から最後の署名捺印をしまして、判決書が完了するまでの間にずっと行われるわけでございます。先ほど申し上げました書記官が最初に書いてしまって、あとは裁判官が署名捺印をするということは、書記官が内容を決定しておるのではないか、こういうお話でございますが、実はそうではないのでございまして、そういう外観を呈しまする場合でも、その前提といたしまして、一件書類、関係の書類によりましてきまっておりまする事項によって、書記官にあらかじめ原本となるべき書面を用意してもらうということは、裁判官の意思なんでございます。それは裁判官の意思に基いて行われているわけでございます。これはもちろんそこにはいろいろ議論がございましょう。そういう命じ方が少しおもしろくないのではないかという御議論もあるかと思いますが、この書記官のやっておりますことは、あくまでも裁判官の意思によってやっておるわけでございます。別にそこで書記官の判断というものは何もないわけでございます。つまり、支払命令を例にとって申しますれば、支払命令は、そこに出て参りました申立書に基きまして、裁判官の意を受けて、それを書記官が書いておるということになりますし、略式命令にいたしましても、そういう検事の請求通りの略式命令の原本を一応作らせるということには多少問題があるかもしれませんが、しかし書記官が作っておりますのは、まさにそういう裁判官の意思に基いて作っておるわけでありまして、そこに書記官が手を入れる余地は何もないわけであります。五千円の略式命令の請求がありました場合に、これを書記官が三千円にするとかあるいは執行猶予をつけるということを書記官にまかせますれば、あるいはそこに書記官が裁判したという疑いもだいぶ出て参りますが、そうではないのであります。書記官には何もそういう判断の余地はないわけであります。つまり、裁判官の意思におきまして、そういう書類ができておる。これは裁判官が品でもってこれを作れといった場合はそうでございますが、そうでない場合も、大体そういうしきたりになっておりまする場合は、書記官がやっておりますことは、やはりあくまでも裁判官の命令、指示に従ってやったことになるわけでございます。この点は、そういう指示の仕方は、一応検察官側の請求を認めたような形にして書記官に書類を作らせるということには多少疑問があるかと思いますが、そういう関係でございまして、書記官には何ら自由裁量の判断をつけられる余地はないのであります。

大貫大八日本社会党

○大貫委員 それが私は一つの詭弁だと思うのです。実際上行われておりますのは、今の問題について言いましても、たとえば今引用された罰金五千円なら五千円の要求が検事からあった場合に、検事の求刑通りに五千円とするか三千円とするか、これは一つの判断だと思うのです。検事が五千円と言ってきたから五千円と書くこと自体がすでにもう間違い、裁判の権威が私はないと思います。そこで、検事の求刑した通りに書くこと自体が私は一つの判断だと思うのです。しかし、それがあなたのおっしゃるように、それはまだ判断じゃないとおっしゃるならば、しばらくそれはあなたの説を聞くといたしましても、その略式命令の場合に実は見のがしてはならぬことは、換刑処分について、罰金をたとえば一日三百円に換算する、あるいは二百円に換算して、留置場に留置するということは、これは書記官がやっております。現にこれは裁判官から何らの指示も受けないで関係書類まで書いているのが実際の実情であります。これはどうお考えになりますか。換刑処分はりっぱな判断じゃありませんか。

横田正俊最高裁判所事務総長

○横田最高裁判所説明員 これももう、慣行的に——換算の日は私も詳しいことは存じませんし、また現実の詳しいことは、本日刑事局長が見えておりますから、そちらからお答えをいたしたいと思いますが、私が考えますところは、そういう換算の比などというものは一応きまっていることで、それを書記官がただ形式的に書くというふうに私は考えます。

大貫大八日本社会党

○大貫委員 これは非常に重大な問題です。これは慣行的にきまっておりませんよ。しかも、換刑処分なんというのは、人によって、たとえば二百円にするか、三百円にするか、五百円にするか、これはその被告人のいろいろな、収入とか財産とか、社会的地位とか、そういうものを見て判断されるはずです。これはあらかじめきまっておるなどというのは、ゆゆしき問題であると思うのですが、どうですか。

江里口清雄判事(最高裁判所事務総局刑事局長)

○江里口最高裁判所説明員 換刑処分は、お説の通り、被告人の地位、身分、収入等によって違うべきものではございます。しかし、略式命令におきましては、大体におきまして罰金額、あるいは交通事件は交通事件というようなことで、概括的にその裁判所において一日幾らということがきめられておるのが実情でございます。それで、一応それによって出してこいということで、裁判官の方からの概括的な、慣例に従っての指示によって書いてきておるのでございまして、裁判官がそれを署名捺印いたす前におきまして、この事件については具体的にこれは改めるべきものであるという場合には、これをそのときに判断いたしまして、改めておるわけでございます。

小島徹三自由民主党

○小島委員長 大貫君に申し上げますが、法務大臣は都合で一時までにどうしても行くべき場所がございますから……。

大貫大八日本社会党

○大貫委員 これだけきまりをつけますから、ちょっと。概括的にというのは、非常に問題だと思うのです。あなたのおっしゃるのは、交通事犯だけについて考えても、交通事犯は運転手でありますから、大体上下がない。一応一つの基準を編み出してもそれはいいと思うのですが、略式命令は交通事犯だけじゃありませんですよ。たとえば傷害事件もありましょうし、いろいろな事件があります。これは地方などでは特に多いのです。たとえば、選挙違反なんかにも略式命令があります。その場合に一つ一つ百姓は幾ら、官吏は幾ら、何は幾らというふうな、そういう基準をあらかじめ作っておくとしたら、これは大へんな重大問題だと思うのですが、どうですか。

江里口清雄判事(最高裁判所事務総局刑事局長)

○江里口最高裁判所説明員 略式事件におきましては、大体におきまして、罰金額を基準にいたしまして、その罰金を換刑処分する場合においては、一日幾らというのが、大体その裁判所において相場と申しますか、慣例がきまっておるのでございます。それに基いて書いてきておるのでございまして、実際に署名して裁判官が裁判書を出すという場合に、それでいいかどうかともう一度裁判官が考え直しまして、直すべきものはそれを訂正して出しておるという実情でございます。

大貫大八日本社会党

○大貫委員 そういう一定の相場、基準をあらかじめ書記官に示しておくということが問題じゃないでしょうか。これは一つの裁判、判断ですから、一つの裁判のあたかも裁判権を書記官に委譲するようなものだと思うのです。これは重大な問題だと思うのですが、それでいいのですか。

江里口清雄判事(最高裁判所事務総局刑事局長)

○江里口最高裁判所説明員 そのやり方については、あるいは御批判があるかもしれませんが、裁判官があとで署名する場合に、これに判断を加えて、訂正すべきものは訂正するということでやっておるわけでございまして、概括的にその裁判所において一応の基準というものを示して事務を処理することは、これは迅速な処理、あるいは能率的な処理ということからやっておるわけでございまして、あとで判断を加えないで、裁判官がそのままめくら署名をするということであれば別でございますが、そうでなければ、書記官が判断を加えてやっておるわけでも、ございません。委譲しておるというわけではないと思います。

大貫大八日本社会党

○大貫委員 それは非常に重大な問題だと思うのです。そう伺っておいてよろしいのですか。そうすると、一応相場というものを書記官に示しておいて、書記官がそれによって大体見当をつけて書く、原稿を作る、それでよろしいのですか。そういう裁判の慣例になっておるというなら、私どもはそう聞いておきますけれども、憲法違反ではありませんか。重大な問題です。

江里口清雄判事(最高裁判所事務総局刑事局長)

○江里口最高裁判所説明員 おっしゃったような、そういう基準によって一応やっております。

小島徹三自由民主党

○小島委員長 それでは次に、法務行政及び検察行政について質問を続けます。田中幾三郎君。

田中幾三郎日本社会党

○田中(幾)委員 昨日最高裁判所第二小法廷におきまして、いわゆる全逓事件についての特別抗告の棄却の裁判がありました。この点について、一、二法務大臣にお尋ねいたしたいと思います。この全逓の事件はいろいろありますが、この判決は、東京の事件について言い渡したものであります。この事件は、最初に勾留請求についての却下の決定がありました。次にこの決定に対する準抗告がありました。それについても棄却の裁判がございました。次いで本件の特別抗告をいたしまして、昨日棄却の裁判があったわけであります。この最終の裁判によりまして、本件に対する勾留する必要を検察当局において認めたことが、その必要がないということに決定したわけです。事実がそういうふうに最終的に決定したわけであります。従いまして、検察庁における勾留を必要とする判断が誤まっておったということは、その裁判において最終的に決定したものであります。法務大臣、事実をお認めになりますか。

愛知揆一自由民主党法務大臣

○愛知国務大臣 本件は、ただいま御指摘の通り、昨日特別抗告が棄却せられましたから、勾留をする、逮捕をしておくということが適当でないという裁判所の裁判が下ったというこの事実は明らかでございまして、その通り私は承認いたさざるを得ないと思います。ただ、こまかく申し上げますと、昨日の棄却の理由といたしておりまするところは、検察庁の従来やっておりました捜査方式あるいはその理由とするところ等について意見を異にするというのではないのであって、判例違反ということを理由として特別抗告をいたしましたことにつきまして、手続上の見解の相違ということで棄却にきまったものである、こういうふうに私は理解いたしております。

田中幾三郎日本社会党

○田中(幾)委員 これは、特別抗告の理由については私も拝見いたしております。またその理由については、いろいろ判例をあげておりますけれども、その個々の判例のあった事件について、事情がそれぞれ違うのであります。同じ事件で同じ形のものでありましたならば、その判例がぴったりと当りますけれども、判例を幾つあげてあっても事情が違うのでありますから、この事件についてはこういう判例があるけれども、この事件についての考え方についてはこの判例は当らぬという判断を下したのであろうと思うのでありまして、私のお伺いしたのは、検察当局が勾留の必要ありと判断をしたのです。その判断が誤まっておったのだ、勾留する必要がないということに最終決定を見たのでありますから、私はこの裁判によって、つまり勾留の必要があると判断しておったのは誤まっておったのだということがきまったのであると思うが、その点をお伺いしておるのです。

愛知揆一自由民主党法務大臣

○愛知国務大臣 これはなかなか微妙な御質問でございますが、しかし、最高裁判所で棄却がございましたからには、私どもはこれにいさぎよく服さざるを得ないわけです。その他につけ加えて申し上げることはございません。

田中幾三郎日本社会党

○田中(幾)委員 これはもちろんそうであろうと私は思います。御不満はあるかもしれません、また特別の抗告があればしたいのかもしれませんけれども、これが最終の決定でありますから、この事実ははっきりしたのであって、明らかに勾留の必要があると判断したことが誤まりであったということで、これは勝負がはっきりきまったわけです。  そこで、私のお伺いしたいのは、これは私ども法律をやった者にはよくわかっておるのですが、正当の手続によって勾留の請求をして、却下もしくは棄却に対しては不服の申し立てば権利によったのでありますから、私はこれは当然だと思う。当然だと思うけれども、その当然だという手続の陰に隠れて、労働運動に対する弾圧をやっていくのではないかというのが私の考え方です。そこで、そういう正当な手続であっても、もはや必要ないという情勢がわかったならば、必要以上にこの手続に名をかりて、この手続ができるのであるからということで、判断を誤まってやるべきではなくして、法律家としての常識を守ってやっていくべきではないか、かように考えるのですが、いかがでございますか。

愛知揆一自由民主党法務大臣

○愛知国務大臣 御意見のありまするところは、私どもも、従来もそうでありますが、今後におきましても、慎重に処置をいたしたいと思っております。ただ、私どもとしては前々から申し上げておりますように、手続に名をかりて不当な弾圧をするというような趣旨は毛頭なかったのでございまして、刑事訴訟法上の手続によりまして、かつ検察側としては確信に基いて抗告をいたしたわけでございますが、不幸にして裁判所にこれがいれられなかったことは残念でございます。私から言えば残念でございますが、しかし、最高裁判所の決定がございました以上は、これに対して何ら言うべきところはありませんし、またこういう判決がございましたことについては、今後私どもの処置について、なお一そう十分慎重にいたす契機にいたしたいと思っております。

田中幾三郎日本社会党

○田中(幾)委員 今後の態度を承わったから、それでいいようなものでありますし、いたずらに検察当局を責めるということが私の能じゃない。ただ問題は、現下の情勢におきまして、いわゆる労働運動、これに対する政府の労働政策、こういうものが今対立している時代でありますから、やはり検察当局は、事件があったらあったと判断して捜索していくのが当然でありますけれども、しかし、それが行き過ぎによって労働運動に油をかける、そのことによって労使もしくは取締り当局との間の対立もしくは感情問題にまで悪化していくということを私はおそれるわけであります。犯罪捜査をするなということは、もちろんこれは申し上げられませんけれども、少くともこういう大衆運動を中心として起っておる場合は、よほどその点をこまかく細心に情勢を判断いたしまして、捜査の手を進めていただかないと、私はとんでもないところに問題の渦が巻いていくのではないかと思うのであります。しかも、こういう点がありましたならば、これは世論の反撃があるのは当然です。検察当局の行き過ぎではないか、労働運動に対する弾圧ではないかというようなことで、私どもが理解をする以上に、しろうとの大衆というものの当局に対する非常な非難の声が起ってくるだろうと思う。ですから、それをなおさら積み重ねていくということは、今後の日本の情勢の上において非常に心配でありますから、どうかその点は、ただいまのお言葉のように、今度の新しい法務大臣は、一つしっかりとそういう内外の情勢を判断して、捜査権の発動ということをやってもらって、かりにも当局が誤まりでないと考えておっても、客観的にはどうも政府が弾圧しておるというような姿の見えないように、慎重にやっていただきたい、かように存ずる次第であります。

小島徹三自由民主党

○小島委員長 坂本泰良君。

坂本泰良日本社会党

○坂本委員 私は一点だけ聞きたい。その前に、今、田中委員の質問に関連してお聞きしたいのですが、全逓に対する逮捕が行われ、勾留請求が全部却下になり、さらに再抗告が却下になった。東京都教組に対する問題も同じ結果になるのではないかと新聞でも書いておりますし、われわれもそう思うわけですが、これはやはり検察当局の逮捕請求権の乱用じゃないかと思う。ことにその身柄に関係しないものは、一斉捜索をやっておる。これに関連して考えますと、やはり令状の請求に対して、七十数カ所も和歌山の教組はやるし、都教組も二回にわたってやっておる。全逓も広範にわたってやっておるわけですが、これはやはり令状請求権と申しますか、いわゆる憲法上保障されております国民の人権に対する問題であり、さらにこれが労働運動のさなかにやられる、こういうふうに考えますと、やはりその乱用によって労働運動を弾圧した、こういうふうに私には考えられるわけです。従って、この全逓の特別抗告の問題から逆に考えまして、過去の検察当局の一斉捜査並びに逮捕は行き過ぎではないかと思います。が、それに対する所見を伺いたいし、それから今後はこういうことは絶対に慎んでもらいたいと思う。と申しますのは、やはり現内閣の労働対策というのは、日教組の弾圧であり、全逓の弾圧であり、労働運動の弾圧である、こういうことになりますと、前会も私は質問しましたが、これは重大なる問題であります。今後の問題については今所見がありましたが、過去に行われた問題について、私は行き過ぎではないかと思うのですが、その点についての御所見を承わっておきたい。

愛知揆一自由民主党法務大臣

○愛知国務大臣 大体先ほど申し上げました通りの気持でおるわけでございますが、同時に、法の保護を受け得るものは、正当なる労働運動であって、大衆運動であるから、あるいは労働運動であるからといって、これがやはり刑罰法規に触れる場合におきましては、検察当局としてはこれに対してしかるべく処置をしなければならないということは、これはもう今さら申し上げるまでもないことであると思います。この点については、十分の理解をいただきたいと思うのであります。  それから、過去について反省するところがないかというお話でございましたが、私も就任早々でございますが、誠意を持ちまして過去に起りました事態もよく調べ、あるいは反省してみまして、今後は御期待に沿うようなきっちりした法の秩序を守るような意味合いにおきまして、勇気を持って処理をして参りたいと思います。

坂本泰良日本社会党

○坂本委員 次に、最高裁判所の裁判官の任命の問題ですが、今回、石坂、高木両氏が最高裁判所の裁判官に任命されたわけです。私はこのお二人個人に対しては他意のあるものではないわけですが、その選任の方法その他について、実は総理大臣が見えましたら総理大臣にお聞きしたいと思いましたところ、見えませんから、法務大臣に所見をお聞きしたいと思うわけです。今回の眞野、小林両氏の退任については、これはやはり弁護士出身から、いわゆる在野法曹からというところで出ておられたわけです。私が申し上げるまでもなく、最高裁判所の裁判官の構成は、これは憲法の番人であるからという意味もありましたでしょう、学識経験者五名、判検事出身五名、在野法曹五名、こういうふうに五・五・五の不文律ができているのじゃないかというふうに考えるわけです。そういたしますと、今度はこの五・五・五の比率が乱れたのではないか、従って、在野法曹の方で非常な不満がある、こういうふうなことが新聞にも出ておるわけでありますから、その裁判官任命についてのいきさつについて承わりたいと思います。

愛知揆一自由民主党法務大臣

○愛知国務大臣 実は最高裁判所の判事の任命につきましては、前任のお二人の方々が御案内のように六月二日と六月八日にそれぞれ定年で退職をされたわけでございまして、内閣といたしましては、退官と同時に後任者を補充するのが原則でございますので、先般来鋭意後任の選考に当っておったわけでございます。ただ、たまたま総選挙後の新内閣の成立ということが目前に控えておりましたので、若干の間があきましたことは遺憾でございましたが、ようやく数日前に後任を選考して任命をいたしたような次第であります。  そこで、ただいま御指摘がございましたが、いわゆる五・五・五の比率ということは、ただいま坂本委員は不文律というようなお話がございましたが、これは政府といたしましてもなるべく尊重をしたい、いわば最高裁の判事にバラエティを持たせたいという気持で、政府としてはこれをできるだけ尊重いたしたいという気持がございますことは間違いのないところでございます。さりとて、これは法律上あるいはその他の規約あるいは申し合せ等によって正式に文書等でとりかわされたものでもないのでございまして、政府としては、最高裁判所の権威を高めるため、何とかして適任と思われるりっぱな方々を選任したいということを第一の眼目におきまして、そして各方面の方々の御意見を十二分に伺いまして、その上で、政府の責任におきましてお二人の方の任命をいたしたのでありまして、私といたしましては、まず現下の状況におきましては、先般任命いたしましたお二人の方が最も適任であるという自信をもって、総理とも御相談の上、さように決定いたした次第でございます。

坂本泰良日本社会党

○坂本委員 尊重するということも、不文律ということも、大同小異と思うのでありますが、最高裁判所は、その本質から、やはり憲法の番人という特殊な性格があるから、判検事出身では型通りの裁判処理に終って好ましくない、こういうようなことが一番中心になりまして、学識経験者から五名、在野法曹から五名、判検事出身から五名、こういうことで、最高裁判所を権威あらしめるために、この五・五・五の比率もできたわけだと思うのであります。従って個人的に適任と思うからというのでこの比率をこわすようであっては、最高裁判所の権威がまた国民から批判を受ける、こういうことになるのではないかと思うのであります。従いまして、尊重するという建前がありましたら、やはり在野法曹にもたくさんの人物はおられるわけですから、その中から政府も責任を持って推薦をされるのが至当である。尊重するとおっしゃられた法務大臣の五・五・五の比率がここにこわされていけば——今度はいいとしても、この次からやはりそういうふうになったのだということになれば、この五・五・五の比率が乱れて権威に関するということになりますから、今後はこの五・五・五の比率を変えずに、この中から最もりっぱな人を選ぶ。これが一番よろしいのじゃないかと思うわけですが、今後の問題についての所見を承わっておきたいと思います。

愛知揆一自由民主党法務大臣

○愛知国務大臣 ただいまのお話はま  ことにごもっともでございまして、今後の交代等に際しましては、私どもとしては、ただいまの御趣旨を十分体し  て参りたいと思うのでございます。ただ、念のため申し上げますが、実は最近は御案内のように在野法曹から判検事になられ、また判検事から在野法曹に戻られるというような事例が非常に多いのでございまして、今回退官されたお一人の方も在野法曹と見るべきか、あるいは判検事の御出身と見るべきかということについても非常にはっきりした1白の出身か黒の出身かということが、いずれとも解釈のできるような方もないでもなかったというようなこともございます。それから、選任いたしました方のうちには、もちろん在野法曹の方々から正式に御推薦をいただいております中から一人御選任申し上げたというような事情もございますので、今後のことはもちろんでございますが、今回の場合におきましても、政府としてはなし得る限り十分の配慮をし、またできるだけ各界の御要望に沿うようにいたしたつもりでございますので、この点につきましては御了承をいただきたいと思うわけでございます。

大貫大八日本社会党

○大貫委員 法務大臣にちょっと一点、人権擁護の問題についてお尋ねをいたしたいのであります。静岡県下に三つの拷問事件が報道されております。第一に。二俣事件というのが、これは一審、二審死刑の宣告を受けて、最高裁判所で破棄され、差し戻しになって、現に無罪が確定いたしました。幸浦事件というのは、やはり一審、二審死刑、これが最高裁判所で破棄、差し戻しになって、現にこれは審理中のようであります。小島事件というのも無期懲役でありましたが、同じようにやはり差し戻しになって、現に審理中だと聞いております。これらの事件をいずれも紅林という当時警部補であった警察官が調べておるようであります。いずれもこの三つの事件の被告の言い分によりますと、この紅林警部補にひどい拷問にあって、ついに心にもない供述をしてしまった、こういうことを訴えておるのであります。このような人権じゅうりんの事実に対しまして、人権擁護の立場から、何らか今まで処置をとられたか、あるいはまだそこまでいってないか、その点をお伺いしておきます。

愛知揆一自由民主党法務大臣

○愛知国務大臣 実はこれらの事件につきましては、私も前任の地位におりましたときにも非常に心を痛めましておりましたところ、はからずも法務省に参ることになりましたので、さっそく人権擁護局を中心にいたしまして、この実情等をつまびらかに調べまして、とるべき処置に遺憾なきょうにするように私どもとしては考えているわけでございます。現在のところどういう処置をとるかというところまでまだ結論は得ておりませんけれども、私といたしましては、誠意をもってまず徹底的に調査をしてみたい、その上での処理の方針を固めたい、かように考えております。

小島徹三自由民主党

○小島委員長 ちょっと速記をとめて……。     〔速記中止〕

小島徹三自由民主党

○小島委員長 速記を始めて下さい。  それでは次会は追って公報をもって通知することとして、本日はこれにて散会いたします。     午後零時四十八分散会

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