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29回国会衆議院1958/06/27

法務委員会 第4号

発言数
77
登壇者
6
会派数
3
開催日
1958/06/27

会議録

小島徹三自由民主党

○小島委員長 これより会議を開きます。  まず裁判所の司法行政に関する件について、調査を進めます。  質疑の通告がありますから、順次これを許します。  飛鳥田一雄君。

飛鳥田一雄日本社会党

○飛鳥田委員 昨日、裁判書の問題についていろいろお伺いをしたわけですが、その事務総長のお答えを要約いたしますと、書記官は裁判所の浄書については責任があり、逆に言えば浄書をさせることは、裁判を裁判官がやっているということにいささかも矛盾をしない、こういうことであったと思うわけです。しかもその清め書きすなわち浄書という言葉の中には、起案から文書の作成、こういうものまで全部含めて浄書と呼んでおられるように私は受け取りました。そして、最後に裁判官が署名捺印をすべき機会があれば、その場で裁判官の責任が果されて、裁判書として完成をする、こういうお説だったように思います。そのときに私は、浄書という言葉の中には、起案、いわゆる内容の決定——最終決定ではないでしょうが、一応の裁判内容の決定、そして起案、作文、こういうものまで含めることは、浄書の概念が広過ぎはしないか、こういうことを申し上げましたところ、大体そういうふうに浄書というものを解釈しているというお答えだったように思います。そこで、実は私、裁判所時報の中に載っております「裁判所法逐条解説」という最高裁の総務局の出しておりまする解説を拝見したのですが、これとは非常に違うわけです。これを見ますと、裁判官が一応決定した裁判の内容を、当該職員に伝える必要がある。ただし、その伝え方、指示のやり方は包括的でもよい、こういう解説のように思います。さらに昭和二十三年七月二日にお出しになりました最高裁判所事務総長通達、これによりますと、「裁判書原本の作成浄書には、」こういうふうに作成という言葉と浄書という言葉とを明確に区別している。すなわち、浄書という言葉の中に作成まで含められてはいないということ。しかも「裁判書原本の作成浄書」ということになっておりますから、原本があって初めて浄書ということがあるという概念も明白になっております。さらにまた、沿革的ないろいろな御説明をこの裁判所時報の中でやっていらっしゃるのでありますが、そのどれを見ましても、やはり浄書という概念は、原本の作成ということは明確に区別をせられている。たとえば「裁判所構成法は、裁判所書記の職務権限として、まず書類記録の調製等に関し規定したうえ、「前四項ニ掲ケタルモノヲ除ク外書記ノ職務及其ノ事務取扱方法ハ書記ニ関スル規則中ニ司法大臣之ヲ定ム」と規定していた。」こういうふうにお述べになって、その当時の条文を並べておられるのでありますが、その十五条を見ますと、「判事ヨリ起草ヲ命セラレタル文書ハ解シ易キ官用ノ文章ヲ以テ之ヲ記シ其文書ニハ事件ノ標目及事務番号ヲ附記シ且欄外ニ取扱ノ種類ヲ記シ之ニ従ヒ浄書及謄本ヲ作ル(中略)書記ハ判事若ハ書記、署名シ又ハ認証スヘキ浄書ヲ原本ト嫌合シ」というふうに書かれ、さらに二十九条を見ますと、「判事ノ署名ヲ必要トスル書類ハ浄書ヲ添へ差出スヘシ」ということになっておりますし、いろいろなものを見ましても、浄書というものと作成ということとは違う。そして原本を前提として浄書というものがあるということが、裁判所時報の中に載っております。幾つかの解説あるいは条文等によっても明らかになってくると思うわけです。昨日の御説明のように、裁判所が無理に浄書という言葉を広義に、常識をはずれた解釈をしておられるが、実際には、起案あるいは作成ということまで浄書という言葉の中に含める必要はないのではないか。またそのことは誤まりではないだろうか。すなわち、無理に浄書という言葉を広げて解釈しなければならないのは、今回起った懲戒処分を解釈するための政治的な解釈ではなかろうか、こう私は思うのでありますが、この点どうでしよう。

横田正俊最高裁判所事務総長

○横田最高裁判所説明員 昨日も申し上げましたように、裁判は裁判の内容を裁判官が決定いたしまして、その決定いたしましたものを裁判書に書きまして署名捺印する、こういう段階になるわけであります。そこで、その一番大事な内容の決定ということと、最後の署名捺印、これは裁判官がしなければならないことでございまして、決定されました内容に従って、これを書面に書く、これは浄書という言葉で言ってもよろしゅうございますし、そういうふうに言っておる場所もございますし、いろいろになっておりますが、その中間の段階につきましては、適当な他の機関に行わせるということは、もちろん裁判の本質に反することでも何でもないわけでございます。この解説も、その趣旨におきまして、内容を伝えます方法は、原稿を裁判官自身が書きまして渡す場合もあり、こまかく口授する場合もあり、あるいは他のいろいろな書面その他、客観的にその内容が決定し得るいろいろな資料を用いさせて、そういう書面を作らせるとかいろいろな方法があるわけであります。要するに、裁判官が決定いたしました内容が書かれる、こういうことを私どもは広く浄書というふうに解しております。

飛鳥田一雄日本社会党

○飛鳥田委員 あくまでも内容は裁判官によって決定されなければならない。その決定されたものを、どう文章の上に表現するかという問題である。こういうお話ですが、その内容の決定が、今の日本のやっている段階においては、現実になされていないじゃないか。そして、実質的には、白紙委任と同様な形で裁判書が作られつつあるという事実を、私たちはきのうから再々申し上げているわけです。たとえば、その一例として伺いますが、戸籍法違反の過料額を決定いたしますために——これもやはり一つの裁判であります。——あらかじめ一週間以内は不処罰だとか、一カ月以内は百円とか、二ヵ月以内は百五十円とか、三ヵ月以内は二百円、六ヵ月以内は二百五十円、一年以内は三百円、二年以内は三百五十円、三年以内は四百円、三年以上は適宜加算などという表を作って書記官に渡しておいて、勝手にこれでやってくれというような指示をいたしますのが包括委任でしょうか。包括的な指示の仕方でしょうか。少くともこれに対して書記官は、そのときに、僻怠の期間が同じでも、それぞれ事情が違うはずだ、従ってそのような一律な取扱いは、裁判の本質に反するのじゃないだろうか、こういう意見を述べているわけです。それにもかかわらず、かまわぬ、おれの責任でやれ、こういうようなことを言われて、事件一つ一つの具体的な事情などというものは全然見もしないでやらせる。こういうことが包括的な指示になるでしょうか。私はこれは一種の白紙委任だと思うのです。これでは裁判をやっているのは書記官であって、裁判官ではない。こう国民が考えるのは当然だろうと思います。私は別に裁判の内容について適否を述べているのではありません。これが一体白紙委任でないかどうかという点を一つお聞かせいただきたいと思います。

横田正俊最高裁判所事務総長

○横田最高裁判所説明員 結局、そういう指示をあらかじめいたしますことが適当かどうかは、多少論議の余地がございますが、しかし、指示いたしました以上は、書記官はそれ以外の判定をすることはできないわけであります。先ほどおっしゃいました白紙委任というのは、書記官に裁量の余地がある場合に白紙委任というのであろうと思いますが、今のような場合は、もう書記官はそれ以外の判断をする余地がないのでございますから、これはやはり内容は裁判官が決定し、その内容を形式的に書記官が書面にしているということで、先ほどの原則には触れないと私は思います。もちろん、先ほどおっしゃった適宜加算などということは、これはちょっと白紙委任的な面がございますので、そこはどうかと思いますが、その他の点につきましては、問題はございましょうが、今申しました内容を裁判官が決定するということにはなると思います。

飛鳥田一雄日本社会党

○飛鳥田委員 今お答えのありました適宜加算というのは、完全に白紙委任じゃないでしょうか。ここで、裁判官ではなくして、書記官が裁判をしているわけです。少くとも原案がこれによって与えられたと私は言えないと思います。こういうふうにして書記官に浄書という非常に広範囲な概念を設定して、この問題を押しつけるから、いつの間にか判決以外の裁判の主体は書記官に移されてしまう。こういう形にならざるを得ないんだろうと思います。この点について、適宜加算というようなことが白紙委任であるのかないのか、そしてまたそういうことが自然に判決以外の裁判書の作成を書記官に移行せしめてしまう結果を作り出すものじゃないのかということを私たちは非常に心配せざるを得ないわけです。大体どこの裁判所へ行きましても、ほとんどこういう形式でやっておられるように私は思います。この点についてどうお考えになりますか。

横田正俊最高裁判所事務総長

○横田最高裁判所説明員 先ほど申し上げましたように、そこに書記官の裁量の余地の入るような指示というのは、かりに最後に裁判官がまた訂正、修正する余地があるといたしましても、そういう点は御指摘の通りよろしくないことだと私も思います。

飛鳥田一雄日本社会党

○飛鳥田委員 議論をしておりますと切りがありませんから、幾つか実例をあげながらこの問題について伺ってみたいと思います。たとえば、北海道内の裁判所で、何年もの間裁判官が家事審判所を作らないために、書記官らがかわって作成して、そして裁判官の署名捺印以前に謄本などの送達がどんどん行われてしまった。こういう事例があるやに聞いております。これは当然最高裁判所としても御存じのはずだと思います。話を聞きますと、その後裁判官はそうした審判書に対して署名を拒んだ、そのために謄本は送達されてしまっているけれども、原本が成立していない。こういうような事態が出て非常に困ったという話があります。こういう事実を最高裁の方では御存じかどうか、そして御存じだとするならば、いわゆる裁判書を書記官にどんどん押しつけてやらせてしまうという一般の風習が、こういう事案をどんどん生みつつあるということをお考えにならないかどうか、この点を伺わしていただきたいと思います。

横田正俊最高裁判所事務総長

○横田最高裁判所説明員 今お示しのような事実がもしありといたしますれば、それはとんでもないことでありまして、私自身といたしましては、そういう事実がいつごろ、どういう裁判官、あるいは書記官のもとにおいて行われましたか、まだ事情をつまびらかにいたしておりませんが、そういう事実がもしありといたしますれば、それははなはだけしからぬことだと思います。なお書記官にいわゆる浄書原本の作成をさせることが、そういう結果を招く原因になるのじゃないかという点でございますが、しかし、今申されましたような事実がもしありといたしますれば、これはきわめて特殊の事情でございまして、こういうようなことがあったからといって、長年やって参っております、そして大部分の場合に問題のないこの浄書の問題を、裁判官自身がしなければならないというようなことにする、またそういうふうに考える必要はないと私は考えます。

飛鳥田一雄日本社会党

○飛鳥田委員 特殊な例だとおっしゃいますから、一つあとからあとから例をお耳に入れたいと思います。裁判官がみずから判決を作らなかったために、罰金の徴収を不可能にしてしまったという事件が数十件あったはずです。すなわち、判決は言い渡しはしたけれども、お書きになりませんために、検察庁の方に執行の連絡をすることができない、そのために罰金の刑の時効が完成をしてしまった。こうして数十件の罰金の徴収が不可能になったという例があるはずです。そうして、この種の事件は数年間投げやりになっておって、整理されたのは昭和三十年十月だということを伺いました。これは私は他人を傷つけるのが目的ではありませんから、事例を申し上げるだけで具体的な事件名その他は申し上げません。しかし、どうしても必要ならば、個別的にお会いして申し上げることはいささかも避けるものではありません。こういう事態が現実に出ておったのです。これもすなわち判決に至るまで、軽微な罰金事件などは書記官に作らしてしまうというやり方をなすっているからです。たまたま書記官が任務が変ったために、異動するというようなために、受け継ぎがうまくいかない、裁判官の方はまかせっぱなしにしているからのんびりしている、こういうことでこういう事態が出てくるのではないか。先ほど申し上げた事例は、決して特別な事例ではない。至るところにあるわけです。同様な事例は北海道にもあるのです。書記官たちの試験勉強のためにとかなんとかいうことを理由にして、数十件もの判決の作成を命じて、書記官らがこれをいやだといって拒みますと、いろいろといやがらせをしたという事例もあります。北海道でもあり、東京でもあり、どこでもあるという現実である。こういうことは、最高裁は大体御存じのはずですが、それはすなわち、今申し上げたような環境の中から出てくる事件だと私は思いますが、いかがでしょう。

横田正俊最高裁判所事務総長

○横田最高裁判所説明員 判決を作らなかったために、罰金刑の執行が不能になったというようなことは、まことにけしからぬことでございまして、私自身どこの裁判所でそういうことがございましたか、つまびらかにいたしておりませんけれども、これはもちろんとんでもないことであろうと思います。なお、書記官に判決を勉強のためというような理由で書かせる。これはあるいは書記官が特に書きたいと言った場合には多少問題があるかと思いますが、裁判官がそれを書記官に押しつけて判決を書かせるなどということは、これはとんでもないことでございまして、もしそういうことがございますれば、司法行政上適当な処置をとらなければなりません。これもいつごろどこでそういうことがございましたか、現在私としてはつまびらかにいたしておりません。そういうような例があちらこちらにあるようにおっしゃいますが、しかし、私としましては、どうもそういうきわめてとんでもない事件がそう日本国中にあるとは思われません。これが裁判書の浄書を書記官にやらせるというようなことにどういうふうにつながりますか知りませんが、それとはまた違ったきわめて特殊の事例のように私は考えます。

飛鳥田一雄日本社会党

○飛鳥田委員 特殊な事例だとおっしゃいますから、特殊でない事例をそれじゃ申し上げてみましょう。現に略式命令などの事件について、裁判官が作らないばかりか、書記官らに印鑑を預けっぱなしにしている者もあるはずです。これはこの東京からそう遠くないところにあるはずです。こういうふうに印鑑を預けっぱなしにしていることも包括委任になるのですか。こういう事態がちゃんとあるのです。こういう事態があって、略式命令など判こは預けっぱなしにして、ぽんぽん判こを押して、書記官が作って出しちゃう。これは重要なことですから、名前をあげろとおっしゃれば名前をあげます。しかし、決して特殊な事例でない証拠に、今これを申し上げたわけです。きっとこれも最高裁判所はお調べになって、御存じのはずです。どうでしょう。

横田正俊最高裁判所事務総長

○横田最高裁判所説明員 たしか全司法の職員組合といろいろ話し合いました際に、そういうようなことを言っている人があったことを記憶いたしますが、これも前の幾つかの例に劣らないまことに遺憾なことでございまして、今具体的な人の名前を言うことを遠慮されたようでありますが、もしそういう事例がございますれば、私の方でしかるべき方法をもちまして、そういうことが絶対にないようにいたしたいと考えております。

飛鳥田一雄日本社会党

○飛鳥田委員 同様な事態がほかにもあります。これは東京地裁管内の裁判所ですが、白紙逮捕状が出されています。そしてそのことは、地裁の事務局長がお調べにいらしているはずです。これなどもやはり裁判書をみんな書記官に押しつけているから、そういう事態が出ているのではないでしょうか。このこともきっと御存じだと思いますが、白紙逮捕令状が出された、これはもう人権じゅうりんの最たるものだろうと私は思います。印鑑を預けっばなしにしておくのと、白紙逮捕状を出すのとは、もうほとんど、形式的には違うといえども、内容的には紙一重だと思うのです。こういうのが現実にあるわけです。きょうこういう例を申し上げておりますと、おそらく一日中かかるでしょう。これがすなわち裁判書を書記官にみんな押しつけている結果として出てくるものではないかと思う。どういう関係があるか自分にはちょっとわからぬというお話でしたが、逮捕令状もあるいは略式命令も、みんな一種の裁判書です。それが書記官の事務とされるところにこういう問題が出るということは、明白だと思うのですが、いかがでしょう。

横田正俊最高裁判所事務総長

○横田最高裁判所説明員 白紙逮捕状のことも私は具体的によく存じておりませんが、これも白紙の意味がどういうことでございますか、非常に変則的な事態で決して好ましいことではないと思います。ただ、おっしゃるように、すべて裁判官が自分で筆をとって書きますれば、なるほど先ほどのような問題も、その相当なものが出なかったであろうということは申されるかとも思いますが、しかしそういう一、二——飛鳥田さんは一、二とはお思いにならぬと思いますが、日本の全体のいろいろな裁判のうちから見ますれば、きわめていずれも特殊な事例であるように思います。それあるがゆえに、書記官にいわゆる浄書、原本の作成について裁判官を補助してもらうというこの仕事全体をいけないものにする、これはやらないようにするというような解釈なりあるいは実際の実務上のやり方というものが、そうなければならぬというふうには私は毛頭考えないのでございます。

飛鳥田一雄日本社会党

○飛鳥田委員 今のお説で、たくさんの裁判の中で幾つかそういう例があったとしても、それはわずかの特殊な例だというふうにおっしゃったのですが、しかし、これは一般の事務と違って、人の運命を左右する裁判です。昨日も申し上げましたが、一人の冤罪者を出すよりも、九人の有罪者を放てという話があるくらい慎重になさなければならない裁判です。それは終局的な懲役何年にするか、罰金幾らにするかというようなこととは違うと逮捕状などについてはおっしゃるかもしれませんが、しかし、今の日本の社会の現状においては、逮捕されるということの方が、罰金などを科せられるよりむしろその本人にとっては苦痛である。あるいはその本人の社会的な境遇をねじ曲げてしまう効力を持っておるものです。これは逮捕されたことのない皆さん方にはあまり御経験がないでしょうけれども、少くともこれは重要な問題だと思うのです。この重要な問題の中で幾つか、少くとも今私があげただけでも数件ある。数件というよりは数十件、数百件あるわけです。そういう状況が何回か繰り返してなされておるわけですから、従って、これは非常に重要である。パーセントにしていけば、何パーセントにすぎないなどと言っていいのかどうか、私は少くとも裁判官のお心構えとしては残念に思います。  そこで、今逮捕状の例を申し上げましたから、今度は家庭裁判所における裁判書作成の実態として、これは東京のひざ元で行われておることですから御存じだと思いますが、たとえば少年を少年院に送るというような決定をせられますについて、九名裁判官がいらっしゃるうち、そのうち二名くらいの方が現実に理由をお書きになるそうですが、その他の七名の方は、少年院に送るという主文の言い渡しのみで、理由は全部書記官が考えて作っていく。はなはだしいのは、印鑑も預けっぱなしにしておる。こういう事態があるそうです。これはわれわれの仲間の弁護士諸公からいろいろ伺って、それを推測いたします。少年院に送るという主文が口授されればそれでいいじゃないかとおっしゃるかもしれませんが、しかし、その理由は少年事件に限っては非常に重要です。将来その少年の処遇をどうするか、こういうような場合に、やはり重要な参考資料になるのは理由です。理由が非常な誤まった、あるいは不適当な理由が書かれておるとすれば、その少年の将来の社会における進路は曲ってしまうかもしれないわけです。裁判は主文だけが重要でないことは御承知の通りです。こういうような事態が現実にあるのです。御存じでしょう。そうしてまた、これも書記官に作らせておる弊害だと思う。これでは国民の裁判に対する信頼感はなくなってしまうのではないか。こんなことを私はつくづく感ぜざるを得ないわけです。  今、少年の話を申し上げましたから、次にもう一つ申し上げておきますが、少年の観護措置決定、これは現実には勾留状と変らないものだと思いますが、これらの決定の作成も、ほとんど書記官がやっていらっしゃる。こうなってくると、少年に対する勾留措置、そういうもの、すなわち観護措置決定というものは、ほとんど書記官の手で全部行われておるということにならざるを得ないわけです。少年といえども、そう簡単に勾留せられたり、とめられたりされたのではたまりません。いや、少年といえどもという言い方は間違っておるかもしれません。非常にすなおな伸びていく少年にとって、とにかく勾留をせられる、観護せられるということは、非常に大きな精神的な打撃を与えちれるものに違いないであろうと私は思います。私も学生時分に、学生運動に参加して、留置場にほうり込まれた経験がありますが、一番印象が深うございました。やはりそういう点で少年の観護措置決定などが全部書記官によってやらせられておるというこの実態、単に裁判官が浄書は書記官の任務だなどという形で肯定してしまうから、こういう間違いがたくさん出てくるんじゃないだろうかと思います。いかがでしょうか。

横田正俊最高裁判所事務総長

○横田最高裁判所説明員 少年事件につきましては、いろいろな決定があるわけでございまして、私も詳細なことは心得ておりませんが、私の聞きました範囲内において概括的なお答えをいたし、もし心要がございましたら、詳細なことをまたほかの者から補充させていただくことにいたしまして、一応のことを申し上げます。  この少年事件の不処分の決定、不開始決定、いわゆる検察庁の起訴猶予に相当するものでございます。これは非常に数が多いわけでございますし、従いまして、決定につきましては、もう一応の様式がきまっておりまして、特にまた理由の記載も要求されておりませんので、多くの場合、裁判官の口頭の指示で書記官がその原本となる書面を作成しておるというふうに聞いております。それから移送観護措置、児童相談所送致、試験観察等の各決定についても、大体取扱いは同じようにやっておると聞いております。最後に問題になります少年院送致、保護観察に付する等の保護処分決定、検察官送致決定、これが問題になるわけでございますが、これらの決定につきましては、原本の草稿を大体裁判官が自分で作成し、ただこの場合でも、特別の理由を付する必要のない程度の決定書につきましては、書記官に口頭で指示して、浄書させておるという場合もあるそうでございます。またそういうやり方も、これを特に違法とすべきではないと考えます。この少年事件の決定のうちの少年院送致の決定書が、これはお示しのように、非常に少年にとっては重要な関係を持つものでございます。この事件につきましては、少年事件の決定の言い渡しが審判期日においてなされることになっておりまして、その席には必ず書記官が列席しておりますが、書記官も決定の言い渡し、すなわち主文とその理由は、その場で聞いておるはずでございます。ですから、裁判官から決定の浄書についての口頭の指示がございますれば、書記官は直ちに決定書の浄書のできる状態にあるように聞いております。そして、その決定書の記載要件は、少年審判規則によりまして、主文、理由のほかに、少年の氏名、年令、職業、住所、本籍というようなものを記載することが要求されております。この理由のうちの罪となるべき事実、それからその事実に適用すべき法令、これはいずれも事件の送致書に記載されておりますので、口頭でその引き写しを指示するだけで、決定書の浄書は可能であると思います。なお実際上は、この決定書とともに、社会記録——調査官の調査報告書等が添付されますので、受け入れ側の少年院等で困ることはないというふうにも聞いております。多くはこの裁判官が作りましたひな形というものがございまして、これはいろいろなものがあるようでございますが、これに裁判官の指示を受けた所要の文言を記入すれば、原本ができるようになっておるというふうに聞いております。

坂本泰良日本社会党

○坂本委員 関連して。さっきの質問に白紙逮捕状の問題があったわけですが、この問題が公けになりましたのは、昭和三十一年の四月六日に簡易裁判所の高井住男という者が罷免の判決を受けたわけです。その中に、緊急逮捕状、捜査差押許可状、鑑定処分許可状等の各種の令状用紙を数十枚作って、一部は自分が保管し、他の大部分は書記官補あるいは雇にそれを預けて、そしてそれがだんだん少くなるとさらにそれを補充しておいて、そしてこの職員並びに雇、これらが警察、検察庁から請求があるとその逮捕状を出していた。その白紙令状十数枚が今度庁外に持ち出されて、令状用紙の使用に何ら関係のない新聞社や全司法職員組合等に入手せられる結果になった、こういう事実があるわけなんです。これがたまたま取り上げられて、裁判官訴追委員会の調査になり、弾劾裁判所に起訴されまして、その事実が認められて罷免の判決になった。その判決の内容なんですが、これは単に川口の簡易裁判所だけでなく、この逮捕状の取扱いに対して、裁判官が非常に軽視をしておる点があると思う。さらにこれを書記官等に、名前を書いて判をついておったのを渡しておいて、そして請求があればその者が出しておる。これはよく調査をすれば全国に相当あるのではないかと予想されるわけです。そういう点について、この三十一年の判決があったわけですが、それに基いて全国的に調査されたことがあるかどうか、それが一点。  それからもう一つは、逮捕状はやはり憲法第三十三条によって、国民の権利として、基本的人権として認めてあるものです。従って、この令状を出す場合は、刑事訴訟法の第百九十九条の第二項で、「裁判官は、被疑者が罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由があると認めるときは」「逮捕状を発する」、出してよろしい、こうなっておる。そこで私がここにお聞きしたいのは、先日和歌山においては七十九カ所の家宅捜査令状が出されて一齊にやっておる。東京都教組については、二回にわたって多数の令状が出ておる。さらに昨日田中委員から質問されましたところによると、全逓に対しては全国的に令状が乱発されて、それによって一斉に七十数カ所も五十カ所も家宅捜索をやる、逮捕をする。その逮捕されたのに対して、検察官が勾留の請求をすれば、全部理由なしとして却下されておるわけです。私はこのように逮捕された者が勾留状を請求した場合に却下されるようであったならば、まず逮捕令状を出す裁判官においてもっと犯罪事実を調査して、そして拒否すべきが、憲法の建前から、刑事訴訟法の建前からして当然である。それを、逮捕状の請求の場合は、もちろん容疑事実を警察、検察官から出してくる。そのまま書記官が写す。はなはだしいのにおいては、判をついたのに対して、書記官が書き込んで、それが行使されて、現実のような人権じゅうりんの問題が起きているわけなんです。だから、勾留状の請求に対して全部却下されるというような、このような事態から推せば、これは逮捕令状を出す裁判官は、果してその犯罪事実を、第百九十九条の第二項によるところの「被疑者が罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由」があるかどうかということを審査して出しておるかどうか、疑われるのです。私は、こういう点からして、白紙逮捕状という言葉がここに出ているのは、裁判官はほとんどそれに関係せず、書記官にやらせておる、それが人権じゅうりんとなってきている、こういうようなことが考えられるわけです。だから、一、二の例があったけれども、ほかは知らぬとかいうようなものでなくて、ここに白紙逮捕状という言葉が出るのには、これはそういうふうにして逮捕状の請求があれば、裁判官はその通り全部出すのだ、裁判官が関与せずに、ほかの権限のない者が出しておる、こういうふうになるのでありまして、これは大きな人権じゅうりんの問題になるわけですが、そういう点について、どういう考えを持っておられますか、お聞きいたしたい。

横田正俊最高裁判所事務総長

○横田最高裁判所説明員 私は、やはり逮捕状そのものの作られまするいきさつはいろいろあると思いますが、逮捕状を出しまする以上は、結局裁判官が、今お示しのような事実があるという一応の認定をいたしまして、出しておるものと思います。それは、勾留状については、検察官の請求があるにかかわらず、その必要がないと思えばこれを全部却下する、こういう裁判所の態度から見ても、私はそういうことが言えるのではないかと思います。

坂本泰良日本社会党

○坂本委員 最初の話の、高井住男のこういう問題が起きた当時、こういう令状が乱発されている点について、全国的な調査をされたような事実があるかどうか、その点。

横田正俊最高裁判所事務総長

○横田最高裁判所説明員 その点につきましては、この種の事件が起りました際に、全国にわたりまして調査をいたし、なおその後の会同等の際には、特にその点を強く最高裁判所として申しておるそうでございます。もちろん今後もこういう罷免に値するような問題が出ないように、私どもは十分に注意をいたしたいと思います。

坂本泰良日本社会党

○坂本委員 今、事務総長は、書記官の浄書について非常に重大な発言をしておられる。この程度ならば、書記官に浄書をさせて、そうして署名捺印すれば、それで裁判書ができるのだ、こういうふうに言われておるのであります。実際この逮捕状の場合に、ほんとうに人権を擁護する裁判官でありまして、犯罪の被疑事実についてよく調査をいたしましたならば、郵便法違反のごとき、七十九条違反のような点について、もっと逮捕令状を出す者が考えましたならば、逮捕令状なんかは簡単に出せるものでない、そういうふうに思うわけなんです。さらにこれを進めて、書記官に浄書という名前をもって、この逮捕令状あるいは略式命令等を簡単にやらせるというところに、裁判が軽視され、さらに国民は人権をじゅうりんされる、こういう重大な結果が生ずるのであります。これは書記官なんかに逮捕令状にしろあるいは捜査差押許可状にしろ、緊急逮捕状にしろ、浄書という名前でまかすべきもんじゃない、こういうふうに考えまするが、その点についての御所見はいかがですか。

横田正俊最高裁判所事務総長

○横田最高裁判所説明員 これは浄書とかなんとかということよりも、結局裁判官自身の心がまえの問題でございまして、私の知っておる限りにおきましては、少くとも裁判官はこの種の重要な決定をいたしまする際には、十分によく考えて処理をいたしておると考えております。

飛鳥田一雄日本社会党

○飛鳥田委員 もうこういう事例をあげていきますと非常に多くあるわけです。あとで大貫先生からもそういう事例がたくさん出されるだろうと思いますので、私はそういう事例については一応これにとどめますが、最後に私のところに来た手紙をお聞かせいたしたいと思います。これはある簡易裁判所の刑事係の書記官補です。「過去約一年間の実務を通じて、私が大いに遺憾とする事実が二点あります。第一は、略式裁判」「の実態であります。一般的に他の係も略式命令の原本・共謄本に、書記官が、検察官の起訴状通り、所定の略式命令用紙に記載し、裁判官の認印(厳密に審理しているとは考えられない)に依り、裁判書原本としての効力を発しているとしていることであります。これすらも大いに疑義を抱いているのでありますが、私の属している」「係では、予め係裁判官の印鑑を書記官が保管しており(数年前より預けられている)その印鑑を略式命令の原本に、主任書記官が押捺(主任書記官が、一応目を通す)して、裁判書が作成され、被告人に交付されている実状であります。従って、係裁判官が何等関知・審理しないままに、係裁判官の名に於いてあたかも裁判せられている様に見受けられますが、実体は書記官の裁判であると云えます。」こういうことが書かれてあります。外部のわれわれがそういう感想を持っているというのではなしに、現実にその場に仕事をしている人さえが「係裁判官が何等関知・審理しないままに、係裁判官の名に於いてあたかも裁判せられている様に見受けられますが、実体は書記官の裁判であると云えます。」ということを言い、そしてそのことをきわめて遺憾としているのであります。これが事実でしょうか。私はこういう事実は日本の裁判のために憂うべきものであると考える。同時にまたそういう過重な労務を押しつけられている書記官諸君の労働条件についても、悲しむべきものだと考えているわけです。お互いに、清め書きの概念の中にどの範囲が入るか入らないかという抽象的な論議をしておるべき時期ではないのじゃないだろうか、こんなふうに私は考えます。  そこで、問題が変りますが、昨日公平委員会の問題について幾らかお伺いをいたしましたけれども、その後私の知りました事実によりますと、福井の懲戒処分事件について、公平委員会ができておるそうですが、この公平委員は三人いらっしゃる。人事局の給与局長、その下にいらっしゃる局づきの方、それから人事局の任用課長の下にいらっしゃる事務官、こういう御三方で構成されておるそうです。しかし一体この任用課長の下にいらっしゃる事務官、この方は任用課長の指揮を受けられるに違いありません。それから給与課長の下にいらっしゃる方、この方も給与課長の指揮を受けられるに違いありません。ところが、現実に最高裁判所の中では、任用課長が公平課長と調査課長を兼務していらっしゃるように思います。この福井の懲戒事件について、任用課長が現実に調査課長として現地に調査にいらした。そうしてその懲戒処分に関与をしていらっしゃる、こういうふうに私は思います。ところが、その懲戒処分に関与した人が、最初は公平委員長になり、やがて申立人の側からいろいろな意見が出ますと、その方がその部下の方とかわられる。こういうふうにかわりはなさったのですが、現実にその影響下からはずれているとは言えない方がなっていらっしゃる。何のことはない。公平委員会とは名だけであって、みんな懲戒処分を行なった人々が公平委員という顔をして、公平委員会を運用しておるという現状です。これで一体公平の名に値しましょうか。私はやはり当然公平委員会はもっと公平になさるべきものだと思いますが、どうでしょう。さらにつけ加えてお伺いをいたしますならば、今の公平委員の選任の仕方は、当然人事院規則の十三の一の第十七項に基くものだとおっしゃるかもしれませんが、この規定は先日申し上げた通り、いろいろな弊害を含んでおる。解釈によって救っていかなければならないものをたくさん持っておるはずなんです。そのことを最高裁判所でも十分お考えになったればこそ、「当分の間、その性質に反しない限り、」となすって、当分の間もうごく忙しい暫定的な当初においてだけやる、こういうふうになすっておられるのであります。ところが、この裁判所職員に関する臨時措置規則というのを、きのうお話がありましたあとで私調べてみましたら、昭和二十七年の二月に出ております。昭和二十七年の二月に出て、当分の間というのです。もう六年の年月が流れました。六年というのは、人生にとってそう当分の間だとは私は言えないと思うのですが、それでも当分でしょうか。なぜこの当分の間などというのをこのままほっておくのか。このままでいけば、百年も二百年もたちそうです。なぜもっと積極的に公平委員会をして、真に公平の名に値するようなものにきちっと規定をなさらないのか。最高裁判所はいろいろな規則をどしどしお作りになります。むしろ国民の側から見ますと、その規則制定権による規則の数が多過ぎて、国民の方が困るくらいたくさん出ます。ところが、重要な問題はちっとも出ていない。当分の間というのをそのままほうっておく、こういうことを感ぜざるを得ないのであります。福井の懲戒処分事件について、公平の名に値しない公平委員会ができ上っておる。しかもそれは当分の間という矛盾多き現定をそのままに放置してある。こういう点について一つ御意見を伺いたいと思います。

横田正俊最高裁判所事務総長

○横田最高裁判所説明員 福井の懲戒事件につきましては、お示しのような問題があったように聞いております。今まで最高裁判所になりましてから数件懲戒問題がございまして、そのつど、前回も申し上げましたように、事務当局の中の人で、三人をもちまして委員を構成しておりましたが、できる限り人事局関係の人を避けるようにいたしておりましたが、その福井の問題だけにつきましては、お示しのように人事局関係の人が三人でもって構成されるようになっております。私はそのいきさつをよく存じませんが、しかし、これは結局福井裁判所がやりました処分に対する審査請求でございますので、最高裁判所の事務当局がやりましても、これはちょうど他の行政官庁がやりました処分を人事院の職員で構成する委員会で調査審議するのと似た形でございます。しかも、その三人の人は、処分には関係しておらない人でございますので、法律上の形としては差しつかえないのでございますが、しかし、これは従来の数件の案件について最高裁判所がとっておりました方針とはやや違った線が出ております。そこに御疑念がおありのことと思います。今回の処分につきましては、前回申しましたように、よほど慎重にこの委員の選考をいたしたい。近くその運びとなるものと考えております。  なお、当分の間準用ということでございますが、これは公平委員会その他懲戒処分の問題だけでなく、裁判所職員の問題につきましては、御承知のように、国家公務員法の規定を準用しておりまして、そういう関係から、すべてが臨時措置法の形で、準用というような形でずっと来ております。これはお示しの通り相当年月がたっておりまして、そろそろ最高裁判所としましても、こういう臨時措置法でなく、国家公務員の中の特殊の地位を持っておりまする裁判所職員につきましては、その処遇あるいは懲戒問題につきましても、ここで独自の考え方を打ち出すべき時期であるかもしれません。しかし、やはり国家公務員ではございますので、しかも公務員法そのものが現在いろいろ批判の対象ともなって、いわば動きつつあるということも言えるようでございますので、それとの関連におきまして、裁判所自体の問題も、もう少し慎重に考えてみる必要があるのではないかと思います。なお、その六年は少し臨時措置法としては長過ぎますが、もう少し時をかしていただきまして、できるだけよい法律規則を作りたいと考えております。

飛鳥田一雄日本社会党

○飛鳥田委員 新しい規則をお作りになるというお心持がおありのようですから、この際伺っておきたいと思いますが、同様な公平委員会の問題につきましては、各官庁にみなあるわけです。そういうものを拝見しますと、ただ単にその職員だけではなしに、いろいろな人を公平委員の中に参加させるような規定になっております。たとえば国立国会図書館職員苦情処理規程を見ますと、その第五条には「公平委員会は、委員七名をもって組織する。」こうなっておりまして、その中の四のところに「国立国会図書館職員組合の推せんする職員側二名」こういうふうにその方に非常にウエートを置いて、数を多くいたしました。組合推薦の職員を入れるような規定ができております。また参議院職員等苦情処理規程を見ますと、ここではそういう資格の制限はございませんが、現実には岩田先生とか、沢田さんとか、中山伊知郎先生とかいう方々が参議院議長によって委嘱をされている。これは全然部外の方です。さらに衆議院職員等苦情処理規程を見ますと、「委員は、衆議院議員、職員及び本属長の側からそれぞれ三人を衆議院議長が委嘱する。」という形になっておりまして、非党に公平の度が担保せられておるわけです。こういうような形を、当然新しい規則をお作りになります場合には、お考えになるべきだと思いますが、いかがでしょうか。

横田正俊最高裁判所事務総長

○横田最高裁判所説明員 今お示しのような関係に、国会職員に対する関係はなっておることは私も心得ております。もちろんこれには多少それぞれニュアンスの違いはございますが、いろいろ参考になる点もあるように思います。次にいわゆる臨時措置でないものを作ります際には、十分にこれらの点も検討いたしたいと考えます。

飛鳥田一雄日本社会党

○飛鳥田委員 最後に、最高裁判所の場合には、懲戒の処分を受ける、異議の申し立てをする、公平委員会の審査を受ける、さらに当局の公平委員会の決定に対して不服があります場合には、行政訴訟を起す、こういう道しか残っていないわけです。ところが、懲戒処分を受けて、公平委員会に異議申し立てをいたしますと、その公平委員会は最高裁判所で構成される。今までの例によれば、外部の方はほとんどお入りにならない。そうして決定がある。それに対して行政訴訟を起すと、また裁判所を順次上って最終的には最高裁判所にいってしまう。何のことはない、ちょうどキャッチボールをやっているのと同じです。投げて向うからたまがくるのを受け取って投げ返してやる。これでは公平委員会あるいは行政訴訟というような形のいろいろな異議の申し出のタイプ、種類を規定いたしました趣旨は、みなつぶれてしまうわけです。投げられてきたたまを投げ返してやっておればいい、こういうような安易な考え方ではないわけです。それだけにかえってこの矛盾が法制的に解かれるまでは、公平委員会の選任あるいは公平委員会の行動などというものは、もちろん他の官庁の公平委員会がルーズであっていいのだというのではありませんが、最高裁の場合には特に念入りに、特に公平が担保せられる形で構成をされていなければ、ただ飛んできたたまを受け取って投げ返してやるというだけの操作に終ってしまうのではないか。形整りて真実の精神が失われていくという形にならざるを得ないと思うわけです。従って、この公平委員会の問題については、当然将来規則の制定をなされます際には、他の外部の人間を大勢入れるとか、あるいは労働組合の推薦する人を公平委員に入れるとかいろいろな形をお考えいただきたい、と同時に、今回起っております事件についても、十分この点については御考慮をいただきたい、こう考えるのであります。  以上は私の意見です。お答えは要りません。

小島徹三自由民主党

○小島委員長 井伊誠一君。

井伊誠一日本社会党

○井伊委員 私も引き続いて今度の秋田の地方裁判所職員に対する懲戒、浦和地方裁判所職員に対する懲戒、それから五月二日の札幌高等裁判所職員佐藤喜三郎ほか三名に対する懲戒の問題について、お伺いをしたいと思うのであります。  この前の秋田の裁判所の職員懲戒と熊谷の裁判所の職員の懲戒事件というものは、その職務の国民全般に対するところの公務員としての思わしからざるところの行為、そういうことによって、またその職務をがえんじないというそのことによって、懲戒されたということになっております。このしばしば繰り返されるところの裁判書の浄書、これを拒んだということでありますが、こういう事実、裁判書の浄書を拒んだということよりは、むしろその裁判書自体を作成させるところの義務そのものがないのだということでこれを拒んだという事実なのではないか。裁判官がやるべき裁判を怠っておって、指揮下の者にこれをさせるというところに問題があるのではないか。しきりに浄書を拒否したということになっておるようであります。こういう事実については、最高裁がこれに対してその裁判所書記官の事務の範囲を示しておる、それによってこれはやられておるのであろうと思うのでありますが、その点最高裁においては、この事実を審理するに当って、これに対するところの何かの指導をことさらにししておられるのではないか、こう思うのでありますが、いかがでありましょうか。懲戒処分をするに当りましての事実はもうわかっておるのですが、それに対して、法の解釈の上で指導しておられるのじゃないか、それをこの具体的な事件について承わりたい。

横田正俊最高裁判所事務総長

○横田最高裁判所説明員 この事件について、特に最高裁判所が各裁判所を指導したことはないと申し上げていいと思います。ただ、御承知のように、秋田の事件につきましては、秋田の地方裁判所の十二名の職員の処分のうち五名は、私が——これは書記官でございますが、処分をいたすというような関係もございますので、それと秋田裁判所のなされる処分との権衡の問題もございまして、この点につきましては、秋田の地方裁判所と私の方でいろいろ検討した事実はございます。それから浦和の熊谷支部につきましては、全く熊谷支部の方でよく調べて、その具体的な事案に応じまして処分をいたされたのでございます。これは最高裁の方とは直接の関係はなかったと存じます。

井伊誠一日本社会党

○井伊委員 ただいま承わりますと、懲戒の程度で最高裁が行うものとのつり合いもあって、最高裁からの指導か何かの交渉がせられたようでありますが、それだけではなくして、そのもとになるところの書記官の浄書に対する見解、それからその裁判書の浄書でなくて、ほんとうの裁判書そのものを裁判官がやらないで、事実上書記官にこれをやらしておるという事実、それがむしろ主なことであって、それに書記官が反対をしておるという事実上の問題に対して、最高裁が何かタッチをしておられないかということなんです。

横田正俊最高裁判所事務総長

○横田最高裁判所説明員 不正確なお答えをいたして申しわけございません。その裁判書の作成、浄書が書記官等の職務になるかという点につきましては、われわれ最高裁といたしましては、もちろん終始それが職務の範囲に属するという考えでおったわけでございますが、これも御承知かと思いますけれども、終戦後間もない昭和二十三年に、最高裁の事務総長の通達で、裁判書の作成、浄書には、裁判所書記官をわずらわさないものとするという通達がございますので、昨年からこのいわゆる浄書拒否ということが行われて参りました際に、この通達との関係がどうなるかということで、盛岡、浦和等の裁判所から、最高裁に対しまして伺いが立てられたのでございます。これは三月のころだと思いますが、そのつどそれは裁判所書記の職務に属するのであるということを答え、かつそのことを全国の裁判所に流しましたことは事実でございます。その意味におきまして、そういう最高裁の意思表示を浦和等の裁判所に対して出しておることは事実でございます。そして、浦和の場合について申しますと、これは秋田の場合も同じでございますが、その最高裁の見解につきまして裁判官会議が開かれまして、全会一致で日取高裁の見解が正しいということが確かめられまして、それに基いて今回の各裁判所における処分が行われております。

井伊誠一日本社会党

○井伊委員 裁判書の浄書ということだけが——今度の少くとも秋田の裁判所と浦和の裁判所の場合においてはそうであるが、それだけで、しかもその浄書は、最高裁においては裁判所書評の職務のうちである、こう示しておる。それに基いて各裁判所がそういうふうに決定する、こういうふうなものとすれば、この者に対してこれらの処分はきわめて重い処分であると解される。懲戒免職の者が秋田において七名もあるのであります。浦和においては二名の人が懲戒免職になっておる。停職の方とても六ヵ月、三ヵ月、二カ月、これは決して軽い処分ではない。これらのことがかように決定を見ておるというそのことについて、先ほど最高裁から、これに対するつり合い上の相談をされたといとことが、少くとも秋田の場合においてはあると仰せられておるのであります。それならば、こういうことについて最高裁は何を標準として示されたものでありますか。これらの浄書拒否ということに値するこれだけのものが相談の上にできたということであるならば、このもととなるものは何でありますか。

横田正俊最高裁判所事務総長

○横田最高裁判所説明員 特にこういう処分にしろというようなことを秋田に示したわけではありません。ただ処分をいたしました際の——少くとも私も処分者の一人でございますから、ああいう処分をいたしました基本的な考え方を申し上げさせていただきますれば、要するに、簡単に浄書と申しますが、浄書の拒否ということは、直接裁判そのものに非常に関係のあるかなり重要な仕事でございます。しかも裁判所におきまして、ここ数十年来ほとんど何らの疑いなく行われておりましたことを、昨年に至りまして突如としまして拒否するというのであります。しかもそれは組合の一つの運動としてそういう線が出て参りまして、これが強力に推進されるという事態になったわけでございます。このことは一時的な超勤拒否あるいは時間内の職場大会等による職場の放棄とは非常に性質の違ったものでございます。その意味におきまして、私どもはこの事態に対してかなり重大な関心を持ったわけでございます。しかも、この承につきましては、再三にわたりまして、ことに浦和におきましても秋田におきましても、職務違背であるということを、所長、各裁判官等が口を尽して説かれたように存じております。それにどうしても応ぜず、頑強に抵抗いたしました者があったわけでございます。今回処分いたしましたのはもちろん浄書拒否をいたしました職員の全部ではございません。その中の特に一番悪質と思われまする者、あるいはそれを中央におりましてあおり、そそのかしたというような者に対して処分をいたしたわけでございます。

小島徹三自由民主党

○小島委員長 志賀義雄君。

志賀義雄小会派クラブ

○志賀(義)委員 本日まで最高裁事務総長のお話を伺っておりますと、裁判書浄書の問題を事務的な問題のようにしぼってお話しでございますが、全国司法部職員労働組合のいろいろな機関紙その他情報で発表したものと、今日まで事務総長が言われたことをいろいろ総合してみますと、これは、ただ事務的なことではなくて、司法部職員の諸君が、不法な警察権力によって裁判所がその自主性を侵されることのないようにすること、これは必ずしも労働組合の方の主張の中にも十分まだはっきり出ておりませんけれども、問題の本質はそこにもあるように思われるのであります。そこで、たとえば逮捕状にしても、書記官が勝手にこれを書くというようなことをさせる。それはただ事務的なことにすぎないというのですが、ここに逮捕状があります。裁判所の判が押してあります。これは警察官が落したものです。いいですか、警察官がこれに書いて裁判所へ持っていって、判事の判をもらってやるのです。裁判所の判がちゃんとここに押してあります。こういうようなものが警察の手にあるはずが元来ないでしょう。私はちゃんと警察官が持っておったものを入手したのです。論より証拠ということがありますが、ちゃんと裁判所の判が押してある。これが警察官の手に渡っているのですよ。こういうことがあるかどうか。ここに証拠があるのでありますが、あなたに一つ答弁してもらいたい。

横田正俊最高裁判所事務総長

○横田最高裁判所説明員 それは全く初耳でございまして、そういうものが警察官の手にあるはずはないのであります。

小島徹三自由民主党

○小島委員長 志賀さんに申し上げますが、先ほど井伊さんはこれで質問を終ったというような意思表示に思いましたのですが、まだ終っていないそうでありますので……。

志賀義雄小会派クラブ

○志賀(義)委員 私のはもうすぐ終りますから。井伊さんよろしいですか。

井伊誠一日本社会党

○井伊委員 それではどうぞ。

小島徹三自由民主党

○小島委員長 それでは志賀義雄君。

志賀義雄小会派クラブ

○志賀(義)委員 事実ないと香りたって、ここに証拠があるじゃありませんか。警察官が持っていったものを私入手したのですが、論より証拠ということは、裁判所で一番大切なことでしょう。

横田正俊最高裁判所事務総長

○横田最高裁判所説明員 遠くてよくわかりませんが、それは何も書いてないのでありますか。

志賀義雄小会派クラブ

○志賀(義)委員 これは何も書いてありません。警察に渡して、警察官が記入して裁判所に持っていくのですよ。元来これは警察官が持っているべき性質のものじゃないでしょう。

横田正俊最高裁判所事務総長

○横田最高裁判所説明員 と思いますが……。

志賀義雄小会派クラブ

○志賀(義)委員 思いますがと言われるが、ここにあるでしょう。こういうことのないようにする、行政権力の圧迫に司法部が属して自主性を麻痺させることのないようにしなければならないというのが、全国司法部職員労働組合の主張の根本にあるのです。これはまた最高裁判所としても当然考えられることでしょう。それはお考えになっておりますかどうか、そのことをおっしゃって下さい。

横田正俊最高裁判所事務総長

○横田最高裁判所説明員 これは志賀さんからお示しのあるまでもなく、裁判所としては、独自な立場で司法権の行使をすることは申すまでもないことでございます。

志賀義雄小会派クラブ

○志賀(義)委員 今の全司法の人たちが、こういうことになってはいけない。現に全逓の逮捕の問題でも、日教組の問題でも、労働組合に対して、最近非常に逮捕状、捜査状が乱発されている。飛鳥田君が昨日申しました通りに、四十秒間に一枚ずつ、請求があればどんどん出すようなありさまです。考えるひまもないでしょう。まるで内閣印刷局で札を作るようなつもりでやっておる。そういうことで、事務総長として司法部の独立ということを念願されていても、できますか。こういうことのないようにする。——こういうことがあるかないかをあなた方がお調べになって、処分の問題を取り上げられるならよろしい。しかるに、今お話を伺うと、そういうことは初耳だと言われる。あまりにうかつじゃありませんか。そういうことを知らないで処分のことをやれば、必ず片手落ちになるでしょう。そういうことがあってはならないじゃありませんか。元来書記官と裁判官というものは、一体になってやるべきものです。それを裁判官の一番上の、その方の事務をつかさどるあなたが、書記官その他の職員をまるで一敵国のように見て、悪質だとか何だとか、あなたは悪質と言われるけれども、それはあなた方がほんとうに司法部の全機関を円滑に運営するという気持がない証拠でしょう。あなたがその任免権を持っておられるところでこういうことが起る。それを指して悪質だなどと立法府に来てしゃあしゃあと報告されて、それで一体済みますか。現に大阪の地方裁判所の裁判官や、また札幌でしたか、裁判所長も、この裁判書浄書の問題に端を発して、今のようなことではいけない、今度の処分は行き過ぎであるという意見があるでしょう。それを田中最高裁長官式の考え方でもってあなたが押し切っていかれて、これで司法部が今後円滑に運営ができますか。  きょうは井伊委員も質問されますから、ここで一つ委員長に提案いたしたいことがあります。つまり、一方的にこの処分はなされているのですが、法務委員会は立法府として国政調査権を持っておりますから、それに基いて書記官の方の言い分もどうであるか、ことにこの中には処分された人もおります。委員長は公平にやられる方と思いますから、今度の法務委員会理事会でよくその審査をなされるように、その書記官を呼んで、その方の言い分をも聞かなければならない。ことに法務委員会は、委員会の性質上そうあるべきものであります。そのことを一言申し上げます。そういうふうにやっていただきたいと思います。  それで、今そのことを提案するとともに、今申し上げたごとについて、横田事務総長はどうお考えになりますか。

横田正俊最高裁判所事務総長

○横田最高裁判所説明員 今回の処分は、申すまでもなく、最高裁判所としまして、秋田、浦和、熊谷の支部で行われました現実の拒否事実につきまして、十分な事実の調査もいたしまして、処分いたしましたのでございます。     〔志賀委員「調査してないじゃないか、調査してないところがあるでしよう」と呼ぶ〕

小島徹三自由民主党

○小島委員長 お静かに願います。

横田正俊最高裁判所事務総長

○横田最高裁判所説明員 いろいろ今お示しのようなおもしろくない現象が、裁判所のどっかでかりに行われておるといたしましても、それは直接にこの事件の問題にはつながらない問題だと思います。

志賀義雄小会派クラブ

○志賀(義)委員 これは裁判所から出る以外に、文書の出どころはないでしょう。こういう逮捕状というものは、法務委員会からも出るものじゃないですよ。警察からも出るものじゃない。裁判所以外に出るところはないでしょう。どうです、その点は。

横田正俊最高裁判所事務総長

○横田最高裁判所説明員 それが裁判所の書面でございますれば、裁判所からだれかが持ち出したものかと思います。

志賀義雄小会派クラブ

○志賀(義)委員 それならば、こういう新事実が発見されたならば、それに基いてもう一度この問題を慎重に調査なさる御意思があるかどうか、その点を伺いたいと思います。

横田正俊最高裁判所事務総長

○横田最高裁判所説明員 そういうものが軽々に外に出ますことにつきましては、もちろんわれわれといたしましてもいろいろ調べなければならぬと思いますが、その問題とこの事件の問題と、それがあるがゆえにこれをさらに追調査をするということは考えておりません。

志賀義雄小会派クラブ

○志賀(義)委員 連関がないということはないでしょう。警察官がこれに記入して裁判所に持っていって、判事が判を押すのでしょう。そういうことがあるんですよ。浦和の裁判所でもあって、弾該裁判までかかった例があるじゃありませんか。事実あるでしょう。こういう事実が発見されたんですから——委員長、もうああいうふうに逃げておりますから、ここで国政調査権に基いて、書記官、ことに処分を受けた人もおりますから、そういう人たちも呼んで、もう少しこれを徹底的に調べるようにしていただきたいと思います。委員長は非常に公平な人であるということをかねて伺っておりますから……。それじゃ、これで私の質問を終ります。

井伊誠一日本社会党

○井伊委員 最高裁判所では、その裁判書の浄書拒否ということは、一般の裁判事務よりはことさら重要な意味があるとして、これを重視している、ゆえに、これを拒否するところのこの事件については、非常な関心を持っておる、こういうことなのでありますが、この裁判書の浄書ということについては、意見がそれぞれあるわけです。最高裁判所で法の解釈を一般にしておるようでありますが、しかしながら、他の方では、その職務権限の中に、この浄書をあのように広く解釈をして、これが書記官の義務であるというふうには見ない、そういう解釈もある。この浄書の問題だけでも、すでに解釈の問題で争いがある。義務であるか義務でないかということであります。最高裁では、義務の根拠は、憲法第七十七条によるところの規則制定権、これに基いて出してある。その規則の中で、これは書記官の義務である、職務であるという、ふうになっておる、こう言うのでありますが、しかし、その中には前からの沿革等をあげて説明をしておられるところから見ると、これはちょうど新しいところの、今の憲法の力においてのこの裁判制度は、もう一ぺん見直さなければならないのではないか。あれをそのまま、旧慣習があるというので、規定の中に義務としてあるとかりにいたしましても、それが一つの単純なる、事務の連絡であるとか、あるいは義務を他に余分に付加するというようなことのない、単純なる規則、こういうものについてはともかくとして、それが一面においては、裁判所法という法律によって、書記官の職務は限定されておる。それをさらに、それとほとんど同じような、労務の関係においても、あるいは責任の関係においても広くなるところの規定を、ただわずかに職務の中であると、こう指示することによって、直ちに命令が法律と同じような位置にまで上っていく。そういうものを出しておられるところに、これの一つの解釈が出てくるのではないか。果してこういうことに基いて、今日この浄審の義務がないと拒否するものがあった場合に、そのことについて、一方的にこれが考えられて処断していいものかどうか。私はそこに、最高裁の指示が一つの解釈の中に余裕のない、その権威をもってこれを示しているところに誤まりがあるのではないか、こう考えるのであります。  それからもう一つのことは、その事実の問題事実が、これは浄書拒否の事実ではなくして、裁判書の作成の義務を負わせるという事実、義務のないところの仕事をさせるという事実、そういう事実が、これは事実上拒否の問題となって現われたのではないか。この点について最高裁が重大視されるというのは、結局この事態をよく承知しておられるからであると思う。従って、これに基いて、その懲戒の範囲あるいは懲戒の程度というようなものの一つの指示をされることになるのではないか、こう思うのであります。こういう事実についても、法の解釈と、それから事実についてこれを争っておったのではないかということは、裁判所おわかりであったのでありましょうか。それから、それに続いて、それを基礎として一つの懲戒の相談をされたのではないか、こういうことをお伺いしたいのです。

横田正俊最高裁判所事務総長

○横田最高裁判所説明員 いわゆる浄書が書記官の職務に属しますることにつきましては、先ほど飛鳥田委員が御指摘になりました最高裁判所の総務局が出しました裁判所法逐条解説のうちに相当詳細に論じてあるわけでございます。要するに、ほかの法律の規定に基くものもございますが、この第六十条の第二項だけが書記官の職務であるという見解には、私どもは反対なのでございます。そのほかに、事柄の性質上、当然に書記官の職務に属するものはまだいろいろあるということを前提にいたしまして、ここにいろいろ議論がされておるわけでございます。あまりこまかいことを一々申し上げますのは恐縮でございますが、現実に現在書記官の諸君がやっておられ、しかもおそらくそれは書記官の仕事であると思っておられるものの中には第六十条の第二項にはまらないものがたくさんあるのであります。これはあるいは今になっては奉仕労働というようなことを言われるかもしれませんが、ごく一、二の例を引いて申しますれば、国選弁護人の選任、これは裁判所のすることでございますが、これを選任する際に書記官をわずらわして、その当該の、たとえば弁護士の方にいろいろ御交渉をいたすというこの交渉は、裁判官自身は現実にはやっておりません。これはみな書記官の手を通じてやっております。あるいはその他の破産管財人の選任にいたしましても、やはり同じようなことが行われておるわけでございます。おそらく書記官の方々もこれは自分たちの仕事であるというふうに考えておられるんじゃないかと思います。それからごく簡単なことで申しますれば、たとえば公判期日の延期をするという際に、弁護士に対して書記官をわずらわしてその交渉をするというような、そういう事実上の行為がたくさんあるわけであります。その場合に、それではそれが第六十条の第二項の書類の作成、保管というようなものに入るかといいますと、これは絶対にこの文句の中には入らない。つまりわれわれがいわゆる訟廷事務と申しておりますものが、この第六十条第二項の職務を中心にいたしましてたくさんあるわけであります。そしてこの第三項をごらんになりますると、「裁判所書記官は、その職務を行うについては、裁判官の命令に従う。」、これはほとんど第二項の事柄についてはあまりこういうことはないのでございまして、今指摘いたしましたごく一、二の例を申し上げましたが、そういうものについてこの第三項が動いているわけでございます。つまり私の申し上げたいというのは、この第二項に書いてないから裁判所書記官の仕事ではないということは、絶対に誤まりであるということを申し上げるわけでございます。こまかいことは恐縮でございますから省略させていただきますが、結局そういういろいろな職務をわれわれは訟廷事務と申しておりますけれども、その点をはっきりいたさせますために、あるいはこの法律を補充したものといってもよろしゅうございましょう。あるいは法律の趣旨を明らかにしたものといってもいいと思いますが、昭和二十九年の先ほどちょっと申されました規則、あるいはその規則の施行についての通達というようなものは、いずれもそういう考え方が前提でできておりまするし、それを前提といたしまして、書記官の配置であるとかいろいろなものがきまる。ここに一つの裁判所の裁判事務に対する態勢ができておるわけであります。ところが、そういう態勢のもとにおきまして、私の言葉をもっていたしますれば、昨年に至りまして、何人も疑わなかったこういう浄書の問題につきまして、突如としてこれを拒否するというような態度に出られたのでございます。この点は私は非常に遺憾に考えておるわけでございます。  なお、事実の点につきましては、これは処分をされました側からも、事実の認定に誤まりがあるということも申してきております。私どもは誤まりはないと現在でも信じてはおりますが、この点につきましては、先ほど申しました公平委員会の審議の対象にもなるということでございますので、私どもは、謙虚な気持でその調査の結果を待ちたいと考えております。

井伊誠一日本社会党

○井伊委員 浄書の問題についても、第六十条の第二項の中に規定してない、これはその通りであると思うが、これを特に最高裁の規則の中に加えて、そうして裁判所法第六十条の第二項というものの補充をしたかのごとき関係にあると思う。分補充をしたという規則によってのその規則と、それからその規則そのものが、少くともこれは過重な——これはちょっと言い過ぎかもしれないが、過重な一つの労働を与えるというような義務を課するというようなものであるならば、その効力は、そこに規定してあることによって効力を発生するのではなくして、この法律によってその点をはっきりさせなければならぬのではないか。だから、これを同様に取扱っておるというところに、裁判所の書記官の職務の範囲でないという議論が起ってくるわけではないか。最高裁の古いところの慣習、善良なる慣習というものがあって、何らの問題もなく今日まできたのであるから、それだからこの浄書の義務は認められておるかのように言われ、その規則によって制定されてあるものがほんとうの義務である、こういうふうに最高裁が押しつけておるところに問題があるのじゃないか、こう私は考える。そういたしまして、これは裁判所法の第六十条と相待って、今の規則が同等の効力を持つべきものである、こういうふうにお考えになるのでありますか。

横田正俊最高裁判所事務総長

○横田最高裁判所説明員 この規則制定権は、お示しのように憲法第七十七条の規定に、裁判所の事務処理、その他の事項につきまして規則を制定することができるという、いわゆる裁判所の自治を強く認めました規定がございます。いろいろ解釈上の疑義はございますが、法律に反しない範囲におきまして、事務処理に関していろいろな規則を作るということはできるのでありますが、それで第六十条の第二項を、これ以外の仕事を絶対にやらしてはいけないという規定と読みますれば、規則は法律に違反できないという立場をとりますれば、それ以上に規則をもって付加するということは問題がございますが、先ほど来申し上げておりますように、この第六十条の第二項だけでは、実際に裁判所が動かないのでございます。ということは、つまりこれは限定的なものではなくて、そのほかにいわゆる訟廷事務というものがいろいろあるということを前提として設けられておるわけでございまして、その他の訟廷事務等につきまして、第七十七条の規定に基いて規則ができておるというふうに私は解釈をいたしておるのでございます。

井伊誠一日本社会党

○井伊委員 憲法第七十七条によって規則制定をするといたしましても、言うまでもなく、それは裁判所法第六十条第二項だけでは十分に裁判事務の運営ができないというところから加えられたその意図はわかるのでありますけれども、またそれが一応問題なく来たのではありましょうけれども、厳密に法を守る解釈からいえば、そういう今の規則によるところの義務は、これは法律と対等に扱われるべきものでない、こういう意見が出ましても、私はこれは相当考えなければならぬことであると思う。職を裁判の上にとっておるところの職員の人たちが、そういうことについて正しい見解を主張するということはあり得ることではないか、こう考えるのであります。それはしかし解釈の相違だということでありますが、最後に参りまして、これは最高裁が結局これに対する判定を下すということになりましょうが、処分の問題は公平委員会でやるとしても、法の解釈は結局そういうところに行くのではないか。それで、公平委員会の方に参りまして、この問題がどういうふうに解釈されるかということによって、これが裁判書浄書拒否という事実に基いたものならば、その点においても非常な問題が後に残る。そうして、最後にやはり最高裁がこれに対するところの解釈を下すのではないか。公平委員会がその解釈をしますかどうか、その点をお聞かせ願いたい。

横田正俊最高裁判所事務総長

○横田最高裁判所説明員 公平委員会は独立の立場で法律の判断もいたしますし、事実の認定もいたすことでございましょうから、場合によりましては、違った判断が出るということもあり得るわけであります。理屈としてはあり得ると思います。

井伊誠一日本社会党

○井伊委員 その点はそれでとどめまして、この懲戒の問題については、やはり最高裁がこれに対する一つの指導を与えておられるように見えます。ほんとうの法文のあれからいえば、任命権のあるところの地方裁判所の裁判官会議がやることでありましょうけれども、これに対して最高裁が関心を持ってこれに対する懲戒の程度、範囲等を示すために相談をされる、そういうことでありますから、最高裁は事実上この懲戒について私はやはり責任を持っておられるのであると考えるのであります。この点についてはどうでありましょうか。

横田正俊最高裁判所事務総長

○横田最高裁判所説明員 これはやはり地方裁判所の、あるいは所長のなさいましたことにつきましては、形式的なことを申しますれぼ、最高裁判所は直接の責任がないと申し上げるほかはないと思います。しかし、あとの最高裁判所自体が第二回目の処分はいたしております。もちろんこれは最高裁判所自体がその責任においてされたものでございますが、第一回の処分と第二回の処分とは、そこに差があり得ると思います。

井伊誠一日本社会党

○井伊委員 第一回の処分は、地方裁判所がこれをやったものであるから、まあ一応関係のないように思いますが、この事件の内容においては、第二回目の処分も、あるいはこれをそそのかしたとか、あるいは機関紙などにある論文を掲載した責任というようなことになりて、前の裁判書浄書拒否の問題ではない。それをもととして、拒否するところのものを運動の方に持ってきたとか、あるいは力づけたとかいうふうな行動があったということでの最高裁の懲戒、いずれにしましても、これは最高裁が結局この事件に対してやはり懲戒処分というものにタッチをしておられるということは、これはもう間違いがない。これは今のお話によってわかる。こういうふうになりましたときに、最高裁が行政上のかような措置をいたしますのは、最高裁のどこでなさるのでしょうか。事務総長だけのことではないと思うのですが、これはどういうふうにしてその措置をなさるのでありますか。あるいは指揮をなさるのか。

横田正俊最高裁判所事務総長

○横田最高裁判所説明員 秋田その他の地方裁判所におきまする懲戒につきましては、最高裁自体が直接タッチしてはおりませんが、私の、事務総長として、つまり最高裁判所から任命権をゆだねられました私自身の処分につきましては、最高裁の中の担当の者、つまり人事局関係等の人々と私とがいろいろ研究をいたしまして、そうして私が任命権者でありますので、私の名前で処分をいたした、こういう形になっております。それから最高裁が二回目の五月二日でございますか、処分をされましたものは、これはもちろん裁判官会議にかかっておるわけであります。

井伊誠一日本社会党

○井伊委員 第一次の秋田の場合も浦和の場合も、事務総長が権限をゆだねられて、それに対して一個の事務総長としての指示が与えられておる。そういうふうになっておりますが、総括的にかような懲戒にタッチする、こういうようなことは、職員の任免全部を委任されて、そうして最高裁としてはこれとどういう関連があるのでありますか。事務総長だけの処理でこれが行われるものとはちょっと考えられないのであります。何といったところで、司法関係の職員の任免に関する、生き死にに関係する問題でありますので、そういうものが単に事務総長だけの一存で全部やれるのか。最高裁判所には関係がないというふうには考えられない。その点については、これが第二次の最高裁の裁判官会議にかかったのと同じ意味において、最後的には秋田の場合もあるいは浦和の場合も、これは最高裁の裁判官会議にかかってその承認を得るとか、あるいはその事件にタッチする前に、一つの方針が授けられるというようなことがなければならぬようにも思うのでありますが、そのところは関連がありますか、ありませんか。

横田正俊最高裁判所事務総長

○横田最高裁判所説明員 これは、法律的に申し上げますと、最高裁判所の裁判官会議にかけなければならぬことはもちろんないのでありますが、しかし、ただいまおっしゃいましたように、これはかなり事重大でございまして、この浄書拒否問題につきましては、折に触れて裁判官には御報告を申し上げ、また私の処分につきましても、もちろん裁判官会議に報告はいたしてございます。

井伊誠一日本社会党

○井伊委員 報告だけというように承わるのでありますけれども、これは司法関係の行政でありますから、裁判官会議というものに報告をされて、それを承認されるというようなことがなければ、ひっかかりはないわけなんです。この法規上からいったならば、その点はいかがでございますか。報告だけで済む事項ではないと思いますが……。

横田正俊最高裁判所事務総長

○横田最高裁判所説明員 これは報告だけでございまして、それに対して裁判官から別に——いろいろお話もあったと思いますけれども、これは決議とかなんとかという問題ではなしに、私の報告を聞かれたという形になっております。

井伊誠一日本社会党

○井伊委員 その点はそれとして、第二次の懲戒については、これは明らかに最高裁の裁判官会議においてきめられた、こういうことですが、そうしますと、こういう懲戒のためには、よほどこれに対する事実上の資料、それから裁判上、法律上の解釈、こういうものがなされなければならない。私は最高裁の裁判官会議というものは全員で行われることになっておると思うが、実際上はどういうふうな形式で行われておるものであるか、これを聞かしていただきたい。

横田正俊最高裁判所事務総長

○横田最高裁判所説明員 これは、この懲戒問題だけでございますが、裁判官会議は裁判官全員の会議で、一応文字通りのフル・ベンチで、いろいろ討論したり、そこで決議をせられるという、きわめて厳格な形式をとられております。これは裁判そのものはもちろんでございますが、いわゆる人事行政等につきましても、その形式がとられております。ただ、問題によりまして、御承知と思いますが、常置委員会というものがございまして、比較的簡単なものは、数人の常置委員の方で処理せられるということもございますが、今回のようなこういう懲戒というような問題につきましては、最も厳格な全体の裁判官のもとにおいて行われております。

小島徹三自由民主党

○小島委員長 井伊君、一時から参議院の方に呼ばれているそうですから、なんでしたら次の機会に……。

井伊誠一日本社会党

○井伊委員 それではそうしましょう。

坂本泰良日本社会党

○坂本委員 議事進行について。この裁判事務の問題は非常に重要な問題でもあるし、ことに逮捕状とかそういう裁判書の点などについては、これは人権じゅうりん問題にも関連することでもあるし、こういう問題から端を発して、大量の行政処分なんかも行われておりますから、この問題は非常に重要だと思うのであります。従って、委員長におかれまして、理事会を招集していただき、参考人として、懲戒処分を受けた書記官の言い分も、これを委員会において聴取し、さらに弁護士界あるいは学者方面から参考人を呼びまして、最高裁判所の御見解を聞いておると非常に誤まられる点もあると思いますから、この方面の意見も聞くことにいたしたい、かように存じますから、そういう点のお取り計らいをお願いいたしまして、本日のところは、この裁判事務については、後日さらにやることにして、打ち切ってもらいたいと思います。

小島徹三自由民主党

○小島委員長 坂本君の御意見につきましては、追って理事会とよく相談してみます。  それでは、本日の質疑はこの程度にとどめまして、次会は来たる七月一日、午前十時より開会いたします。  本日はこれにて散会いたします。     午後零時五十九分散会

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