法務委員会 第2号
- 発言数
- 57 件
- 登壇者
- 10 名
- 会派数
- 2
- 開催日
- 1958/06/23
会議録
○小島委員長 これより会議を開きます。 まず国政調査承認要求に関する件についてお諮りいたします。 衆議院規則第九十四条に定めるところにより、今会期中において、国政に関する調査を実施いたしたいと存じます。すなわち、法務行政、検察行政及び裁判所の司法行政等の適正を期するため、一、裁判所の司法行政に関する事項、二、法務行政及び検察行政に関する事項、三、国内治安及び人権擁護に関する事項、四、最高裁判所機構改革(上訴制度を含む)に関する事項、五、外国人の出入国に関する事項、六、交通犯罪に関する事項、七、売春防止法の施行に関する事項、八、青少年犯罪に関する事項、以上の各事項につきまして、議長に対し国政調査の承認を要求することといたしたいと存じますが、これに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○小島委員長 御異議なしと認めます。よってそのように決しました。 なお承認要求の手続等につきましては、委員長に御一任を願っておきたいと存じます。 —————————————
○小島委員長 この際、愛知法務大臣及び大島法務政務次官よりそれぞれ発言を求められておりますので、順次これを許可いたします。 法務大臣愛知揆一君。
○愛知国務大臣 今般第二次岸内閣の成立に際しまして、はからずも法務大臣の重責をになうことに相なりました。御承知のように、この担当いたしまする仕事につきましては、従来全く未経験でございまするし、また、もともと浅学非才の身でございまするので、何とぞ法務委員会の各位の格段の御協力をお願いいたします。私といたしましても、全力を尽して職務に尽揮いたしたいと思います。何とぞよろしくお願い申し上げる次第でございます。 なお、この機会に就任早々でございまして恐縮に存じますが、さしあたり私の就任に当りましての気持を申し上げまして、ごあいさつにかえたいと存ずるのであります。 まず第一に、私は、国家の秩序を維持し治安を確保いたしまするためには、その基盤となる法を尊重することが肝要でありますが、そのためには、まずもって法の運用に当る者におきまして、その適正妥当を期し、物事のけじめをはっきりとつけることが根本であると考えますので、この点につきまして、十分の努力をいたしたいと存じます。 第二に、検察権の運用につきましては、あくまでも不偏不党、公正な態度をもちまして、検察官の良識を信頼し、ますます検察の伝統を尊重するとともに、検察の威信というものを高めることに意を用いたいと存じておるわけでございます。当面の検察権の運用といたしましては、汚職並びに暴力事犯の一掃、青少年の非行の防止等に特に意を用いまして、明朗な社会環境の維持に努力いたしたいと存ずるのでございます。一面におきまして、検察権の運用につきましては、この上とも慎重を期しまして、人権の侵害にわたることのないように、監督上十分留意いたしたいと存ずるのでございます。 次に、民法、商法、刑法、刑事訴訟法、監獄法等の、いわゆる基本法典の改正につきましては、御承知のごとく数年来その検討を続けておるのでございますが、これらの法典が、国民の権利義務、道義あるいは社会の治安等に多大の影響を有するものであることにかんがみまして、今後とも十分な研究と努力を重ねまして、早い機会に成案を得まして、国会の御審議を願うように努力いたしたいと存ずるのでございます。 最後に、法務省関係は由来予算的にきわめて恵まれない役所でありますことは、私もっとに承知をいたしておるところでございますが、私といたしましては、この方面におきましても努力を尽しまして効果的、能率的に仕事を運び得るようにいたしたいと考えておる次第でございます。 まことに簡単でございますが、以上私の気持を申し上げまして、就任のごあいさつとする次第でございます。どうぞよろしくお願いいたします。(拍手)
○小島委員長 法務政務次官木島虎藏君。
○木島政府委員 私、今回法務政務次官に任命せられた木島でございます。 私といたしましては、この方面は全然方面違いでございまして、目下戸惑いしておるような次第であります。しかしながら、私もこれから勉強いたしまして、皆様の御援助のもとに、十分大臣をお助けいたしたいと考えておりますから、どうぞよろしくお願いいたします。(拍手) —————————————
○小島委員長 この際、国会法第七十二条の規定による最高裁判所の長官またはその指定する代理者の出席説明に関する件についてお諮りいたします。本会期中におきまして、本委員会の審査または調査に関し、最高裁判所の長官またはその指定する代理者から出席説明の要求がありましたとき、その承認に関する決定につきましては、そのつど委員会に諮ることなく、その取扱いを委員長に御一任願っておきたいと存じますが、これに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○小島委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。 —————————————
○小島委員長 それでは、これより裁判所の司法行政、法務行政及び人権擁護に関する件について調査を進めます。 質疑の通告がありますので、順次これを許します。 三田村武夫君。
○三田村委員 前回の第二十八国会におきまして、たしか三月十三日の当委員会であったと記憶しておりますが、当時総評のいわゆる春季闘争の一翼と申しますか、裁判所の中の職員の組織が、いわゆる春季闘争の一翼として、職務放棄的な活動をされたことがあったのでございます。これは当時新聞紙上等においても相当問題点として取り上げておりましたので、私も当委員会で実態内容等についてお尋ね申し上げ、さらにそれに対する当局の御所見、御方針等を伺っておったのでございます。その後、新聞の伝えるところによりますと、また前回の本会議における社会党の中村高一君でありましたか、だれかの発言の中にもあったと思いますが、この運動に対して、裁判所当局は、行政上の処分をしておられるようであります。この問題は、前回私発言いたしました責任もありますので、この際伺っておきたいのでございます。 裁判所内部における全司法と称せられる組織の内容、それから今回処分に至りました闘争と申しますか、運動の経過及び内容、さらに処分されました内容と、その法的根拠とでも申しますか、こういう点、さらにもう一点、御承知のように、全面的に展開されておりまする総評傘下の闘争の中で、全逓なんかの闘争については、行政上の処置だけでなく、司法上の処分が行われておるようであります。また勤務評定反対闘争についても、これも相当の犠牲者が出ておるようであります。それらの関係において、全司法の処置に関して、行政上、司法上の処分を分離して行なっておられまするその内容、それから法的な性格、それらの問題についても、この際、詳細な御説明、御報告をいただきたいと存じます。 その御報告を伺った上において、同僚委員の中からの御発言もありましょうし、また社会党の委員諸君からの御質問もありましょうが、とりあえず前回の関係もありますので、この際私から詳細な御報告をお願いいたしたいと思います。
○横田最高裁判所説明員 今回の処分問題につきまして、私から、少し時間をいただきまして、始まりのいきさつから最近までの動きにつきまして、大筋のところを御説明申し上げたいと思います。こまかな点はまた担当の者から申し上げることにいたします。 まず、今回の問題の発端と申しますか、これは、これより前にいろいろ動きもあったようでございますが、最初は昭和三十二年、昨年の八月の末ごろに、司法部の職員の労働組合でございまする全国司法部職員労働組合というものが、中央執行委員会の指令をもちまして大幅賃上げ、労働時間短縮、労働基本権の奪回その他を目標といたしまして、いわゆる業務改善闘争、完全休養闘争というものを行いまして、これによっていわゆる職制支配の排除を実現すべき旨を指令いたしました。この業務改善闘争の具体的な進め方といたしまして、裁判官がすべきことは裁判官に、課長がすべきことは課長にさせること、その他数項目を指示いたしておるのでございます。この指示に基きまして、全国各地の裁判所においては、業務改善闘争といたしまして、裁判書浄書の拒否運動裁判書の原本を作りますことを拒否する運動が行われる傾向にあったのでございます。なかんずく秋田の地方裁判所、家庭裁判所、同簡易裁判所におきましては、昭和三十二年の十月ごろから、また浦和地方裁判所、家庭裁判所の熊谷支部、それから熊谷簡易裁判所におきましては、同じく昨年の十二月ごろから、組合員たる裁判所職員の一部の者が、裁判書原本作成のための浄書の拒否を断行するに至ったのであります。 ここで裁判書浄書あるいは裁判書原本作成のための浄書ということを申しておりますが、これは、具体的に問題になっておりましたのは、逮捕状、勾留状、勾留更新決定、保釈許可決定、略式命令等の刑事に関する裁判書及び支払命令、競売開始決定、仮差押命令、仮処分命令等の民事に関する裁判書の問題でございます。そして、年間のこれらの事件数を念のために申し上げますと、略式命令は年間約百二十万件、逮捕状等は約三十万件、支払命令等は約十五万件、仮差押、仮処分合せまして約五万件、合計約百七十万件という相当な数に上る裁判書でございます。 この裁判書が作られまする、現に行われておりまする手続と申しますか、経過を御参考のために御説明いたします、このうちで、逮捕状、勾留状、略式命令、支払命令等の場合は、これらの裁判書そのものは、いわばきわめて定型的なものでございまして、不動文字の用紙が用意されておりまして、いろいろな欄に、被疑者とか被告人、あるいは支払い命令の場合でございますと当事者の住所氏名等、それから略式命令等でございますれば犯罪事実、支払命令でございますと請求原因等を書き込めばよいようになっておるわけでございます。これらの住所氏名、それからいろいろな事実というようなものは、一応刑事の場合でございますと、検察官の請求書、民事の場合でございますと申立人の申立書に記載されておるところをそのまま引き写せばよいわけでございますが、通常はあらためてこれらの点について裁判官が原稿を作って、それを書記官に渡して作成させるというような必要はなく、その書面の記載そのものを原稿といたしまして、いわゆる浄書が行われておるわけでございます。場合によりましては、検察官や申立人から提出させました書面を別紙として貼付するというような簡易な方法もとられておるわけでございます。この場合の浄書は、もちろん、ものによりましてはタイピストによって行われることもございますが、通常はこのいろいろな用紙の形式等から見まして、タイプをいたすのに適しないものが多いのでございますから、書記官、書記官補、事務官、雇等が、この原本になる書面の作成をいたすわけでございます。そこで、裁判官は、関係記録をよく検討いたしまして、勾留状の場合は被疑者等を尋問いたしました上に、右の裁判をすべきものとなりますれば、裁判書に署名捺印をする。この場合には、あらかじめ用意された書面の内容にもし修正を要する点がございますれば、もちろん修正加筆をするということは当然のことであります。ときとしては、またあらためて原稿を作って浄書させるというような場合もあるわけでございます。なお、裁判をすべきものでないという結論に達しました場合は、請求または申し立てを却下する場合ももちろんございます。この場合には、またさらに不動文字で作られました書面に署名捺印をするというような方法でやられております。さらに、勾留更新決定、保釈許可決定、競売開始決定、その他これに準ずる裁判書にいたしますと、さらに簡単でございまして、不動文字の用紙に事件名、当事者名等を記載した書面が準備されるわけであります。裁判官が事件を調べまして、その右の裁判をすべきものという結論に達しますれば、その書面に署名、押印し、あるいは請求申し立てを却下すべきものということになりますれば、不動文字の印刷した書面を用いまして却下をいたす、こういうわけでございます。 以上いずれの場合をとりましても、裁判官は裁判官の完全な責任のもとに裁判書の内容、実質を決定しておるわけでございまして、裁判官が最終的の責任を負っているということはもちろん言うまでもないことでございます。つまり、裁判書の内容は裁判官みずからが決定し、裁判書を裁判官が作成するという理屈には毛頭間違いはないわけでございます。この裁判書作成の手続のうちの裁判書の原本になります書面を作り上げるということは書記官等の職務に属しておりまして、その職務を行うについては、裁判官の命令に従うべきことは裁判所法あるいは裁判所の規則等によって当然の事柄でございまして、このことは戦前も戦後も、数十年にわたりまして、裁判所書記官自身はもちろん、何人も疑いないところでございます。戦後におきましても、書記官等によってその浄書がずっとなされてきたのでございます。 そこで、こういう問題のきっかけになりました問題がございますので、少しお話が詳しくなりますが、この際申し上げておきたいと思います。昭和二十三年の七月に、終戦後、新しい裁判所が発足いたしまして間もないときに、「裁判書の作成浄書、開廷の時刻等について」という最高裁判所事務総長の通達が各裁判所あてに出ているのでございます。この通達の中に、「決定命令等簡単なものといえども、裁判書原本の作成浄書には、裁判所書記をわずらわさないようにすること」というのがございます。従って、裁判所書記は、職務上あるいは法律上、そういうものの原本を作る義務はないのであるというようなことが、組合側によって最近言われておるのでございます。何ゆえに昭和二十三年にこのような通達が出ておるかと申しますと、この通達につきましては、特別な事情があるわけでございます。当時は、今日と事情を非常に異にしておりまして、戦後の異常な事態のために、裁判所書記の事務が相当多忙をきわめておりまして、これ以上裁判所書記の負担が加重されることがないようにという配慮から、裁判書原本作成のための浄書は、事務官とか雇とかタイピスト等にさせて、なるべく裁判所書記をわずらわさないようにすることが望ましいという趣旨で発せられたものでございます。具体的に申しますと、当時は、現在と違いまして裁判所職員は裁判所事務官一本でございまして、この事務官の中で、裁判所書記の職務を行う者を補するということになっておったのでございます。当時の裁判所書記は、数で申しますと、わずかに二千足らずしがなかったのでございます。ところが、二十三年の通達が出ました後に、間もなく書記の定員は約二倍に増加されて参っておりまするし、現在で申しますと、二十六年にいわゆる裁判所書記官の制度が確立いたしまして、裁判所事務官と裁判所書記官とは別々のものに相なったわけでございまして、その後の形におきます裁判所書記官と裁判所書記官補とを合せますと、現在におきましては約五千五百人になんなんとする職員があるわけでございます。こういうようなわけで、二十三年のこの「わずらわさないようにすること」という趣旨は、何も法律上裁判所書記にそういうことをする義務がないということではなくて、今申しました事情のもとで、なるべく行わせないようにしてほしい、こういう趣旨でございます。もしこれが職務権限外のことでございますれば、わずらわさないようにするというようななまぬるい通達はおそらく出ないで、「裁判所書記に行わせてはならない」というような強い表現が使われたはずでございますが、そういうような事情だということは、この言葉からもおわかり願えると思うのでございます。そこで、こういう通達が出ましたにかかわらず、その後間もなく先ほど申し上げましたように増員が行われました結果、現実の問題といたしましては、この裁判所の浄書は相変らず書記官等の職務としまして、ずっとその後約九年間継続しておりまして、この間何人もこれを書記官の仕事ではないというようなことを言っておる者はないのでございます。このことはよく御了承いただきたいところでございます。 しかるに、先ほど申しましたような事情から、三十二年八月のころから、いわゆる職制支配の排除というようなことを労働組合の方で言い出しまして、その一つの目標といたしまして、長年の間にわたって何人も疑わないで行われて参りましたこの浄書問題を拒否するという指令を出して、その指令に基きまして、先ほど申しましたような一部の裁判所では、現実にこれを拒否するというような動きが出て参りました。そこで、最高裁判所といたしましては、先ほど申しましたやや誤解を招きますような二十三年の通達もあることでございますので、その後、今年の三月七日と三月十日との二回にわたりまして、裁判所からの問い合せに対して、この裁判書の浄書というものは、裁判所書記の職務に属するものであるということをはっ言通達を出し、かつそれを全国の裁判所に流したのでございます。ところが、こういう動きに対しまして、先ほど申しました全司法労働組合は、二月十七日、十八日の両日に、静岡県伊東におきまして、全司法中央委員会というものを開催いたしまして、先ほど申しました中央執行委員会指令及びその指令に基く業務改善闘争の具体的の進め方としての裁判書原本の浄書拒否闘争を確認し、さらに積極的に闘争を進めるべき旨の決議をいたして、その結果、先ほど申しました秋田、熊谷等において現実に行われておりました拒否の運動がますます活発になりまして、あるいは盛岡地方裁判所その他におきましても拒否の動きがあり、あるいは拒否をするということを通告をしているというような事態に立ち至ったのでございます。そこで最高裁判所は、三月十日に、全司法の中央委員長の佐藤、書記長の吉田等を招きまして先ほど申しましたような通達も出ましたことでございますので、その通達に従いまして、そういう運動をしないようにということを警告いたしたにかかわらず、その翌々日でございまする三月十二日に、この組合の委員長名をもちまして、各地連委員長、支部長あてに、さらに裁判書の浄書拒否の闘争を強化すべき旨の指令を発し、ただ指令を発するばかりでなく、その後書記長の吉田、中央委員の戸田というような人を、秋田その他の裁判所に派遣いたしまして、依然として裁判書の浄書の命令を拒否すべき旨を組合員たる裁判所職員に対して力説、勧誘させておるのでございます。のみならず、中央執行委員の佐々木というのが、これは全司法の機関紙であります全司法新聞の編集長でありますが、この全司法新聞の四月五日付の主張欄に、「命令に抵抗する力」と題する論文を掲げまして、「最高裁判所は、事務総長通達等を振わかざして、昭和三十二年九月十日中央執行委員会が全国に指令し、さらに昭和三十三年二月十七、十八日の中央委員会で強力に前進させることを誓い合った裁判書の浄書拒否を含む奉仕労働返上闘争を押しつぶそうとしておるが、この戦いは各支部が勝手に行なっておるものではなくて、組合の基本方針に基き、全国的統制のもとに行われておるものであるので、各組合員は裁判官の業務命令に屈せず、大幅賃上げ等のための戦いであるこの戦いを実行し、最高裁判所当局に打撃を与えるためにあらゆる形で抵抗すべきである。「旨の記事を掲載いたしまして、全国に配付をいたしておるのであります。こういうような状態で、秋田地方裁判所及び熊谷支部等におきましては、右指令及び前記吉田、戸田というような人たちの指導、勧誘と相待ちまして、裁判書浄書拒否の闘争がいよいよその勢いを増して参りましたので、ついにやむなく秋田地方裁判所、それから熊谷の関係におきましては浦和地方裁判所長、それから秋田の中の一部の職員につきましては、任命権者であります私が、やむを得ず懲戒処分をいたさざるを得ないことになりました。特に情状の重い十二名に対しまして、懲戒免職あるいは停職の処分を行うに至ったのであります。ところが、さらにこの組合は、組合の中央には全然それまでは手をつけておらなかったのでございますが、全司法労働組合は、さらに委員長名をもちまして、この処分をいたしましたその翌日付で、裁判所職員たる各地連委員長、支部長あてに指令を出しまして、裁判書の浄書拒否闘争をさらに推進すべき旨を指令して、浄書拒否闘争を指導しておるという事態でございましたので、もともとこれは中央の指令に基きまして一部の裁判所の職員が行なっておることでございますので、問題はむしろ地方よりも中央にあるということがだんだんはっきりして参りましたから、ついにやむなく最高裁判所は、この拒否運動の中心となりました全司法委員長、書記長ほか二名の合計四名を五月二日に懲戒処分に付したのでございます。この前の処分も後の処分も、この処分の根拠は裁判所職員臨時措置法によって国家公務員法が準用されておりますが、その国家公務員法の第八十二条の、前の処分につきましては第一号ないし第三号、後の処分につきましては第三号の規定によって処分をいたした次第でございます。これが合計十九名、先ほど十二名と申し上げましたが、秋田が十二名、浦和が三名、中央が四名で、合計十九名に対しまして懲戒処分をいたしたわけでございます。その後、現実の問題といたしましては、この浄書の拒否は行われておらず、現在のところは、こういう問題が起ります前の状態で裁判所の事務が動いておりまして、結局この処分という問題が残っておるわけでございます。しかし、今後いかなる動きになりますか、この点はまだこれから後の問題でございまして、われわれといたしましては、この組合の動向というものを今後も十分注視して参りたいと考えております。 この処分に関しましては、法律の規定によりまして異議の請求ができることになっております。おのおの法定の期間内に異議の申し立てがございましたので、異議の申し立てがございますれば、公平委員会というものができまして、そこで審査をいたすことになっております。最近にこの公平委員会が設けられまして、審査の手続に入るという段階になっておる次第でございます。 なお、この処分はいわゆる行政処分でございまして、全逓その他の関係におけるごとき刑事上の処分をもって臨みませんでした理由は、これはもちろん一応そういう点が考えられたわけでございますが、裁判所の内部の問題でございまして、その刑事処分までいきますことは、現在の段階においては問題があるというところで、われわれといたしましては単なる行政処分をもって一応の処理をいたした次第でございます。 なお、いろいろお尋ねに対してお答えをいたしておく点があるかと思いますが、また御質疑に応じましてお答えいたすことにいたします。
○三田村委員 ただいまの事務総長の御説明で大体の経過は了承いたしましたが、これに関連して、一、二点お尋ねいたしておきたいと思います。 まず第一点といたしまして今総長の御報告によりますと、裁判所職員の中に書記官及び書記官補が今日大体五千五百人あるという御説明でございます。この五千五百名に及ぶ書記官及び書記官補は、今御説明のオール司法の組織の中に参加しておるものかどうかということが第一点であります。 それから、その職務の内容については、今の御説明で大体了承いたしましたが、われわれが裁判関係の書類を手にいたしてもわかりますように、大体書記官が署名して裁判所関係の書類は作られているようにわれわれは承知しているのであります。従いまして今の御説明にもう一点つけ加えて、裁判所書記官及び書記官補の職務の内容を明確にしていただきたい。 この二点をまずお尋ねいたします。 繰り返して申しますが、今御説明の中にありました五千五百人の書記官及び書記官補は、オール司法の組織の中に参加しておるかどうかという点が一点と、それから職務の内容であります。この二点を御説明願います。
○横田最高裁判所説明員 この労働組合に書記官、書記官補はどのくらい入っておるかということでございますが、裁判所によりましていろいろ事情が違っておるようでございますけれども、ならしまして、大体入っておると申していいのではないかと思います。なお、この組合は、書記官、書記官補だけでなく、いわゆる事務官その他の者も入っておりますことはもちろんでございます。 それから書記官の職務につきましては、これは詳しいことを申し上げますとかえって煩蹟になりますので簡単に申し上げますが、書記官の職務につきましては、裁判所法の第六十条に、「裁判所書記官は、裁判所の事件に関する記録その他の書類の作成及び保管その他他の法律において定める事務を掌る。」ということが書いてあるだけでございまして、その他の法律というのは、民事訴訟法、刑事訴訟法等にそういう書記官の仕事を書いてあるのが若干あるわけでございますが、このほかに、具体的に申しますと、書記官がやりますることになりまする事実的な行為というものは非常にたくさんあるわけでございます。そういうものを、われわれは、これこそ裁判所始まって以来ということになるかと思いますが、そういう仕事、いわゆる訟廷事務——裁判官以外の裁判所職員は、現行法の形で申しますと、裁判所事務官と裁判所書記官、書記官補というようなものに大別されるわけでございますが、その裁判所の事務のうちのいわゆる司法行政的な人事、会計等の事務は、原則としまして、裁判所事務官がこれを行い、その他のいわゆるほんとうの裁判に関係するもの、いわゆる訟廷事務というものの裁判官以外の者が行いまする事務は、これはやはり裁判所書記官あるいは書記官補の仕事ということで、これはこまかいことは略しますが、戦前の裁判所から現在の裁判所までそれがずっと引き続いてきておるわけでございます。ただ、その点は、やはりその後の新しい裁判制度になりました以上は、やはりここに何かの規定を設ける必要もございますので、昭和二十九年になりまして、首席書記官等に関する規則というものが制定いたされました。同時に、これにつきましては事務総長の通達がつけられまして出ております。いわゆる裁判所の規則、これは御承知のように裁判所は、内部の事務処理につきましては内部規律、規則を作る権限があることは、憲法で明らかにされておるわけでございます。そういう規則によりまして、この首席書記官あるいは主任書記官等につきまして、訟廷事務をつかさどるということが明らかになっております。この訟廷事務というのは、先ほどから申しておりますように、いわゆる裁判に関連するいろいろな事務があるわけでございます。この内容といたしましては、事務総長の通達等に相当詳細に掲げてございまして、その中には、裁判書の浄書等に関する事項ということが、この書記官の仕事という中に明らかにされておる。これは二十九年の首席書記官等に関する規則の通達ではっきりしておりますが、この通達がございませんでも、戦前からずっとそういう仕事のやり方をしておるわけでございます。実際裁判所の事務と申しますものは、裁判官がやりまするその他の固有の事務を除きましては、この書記官あるいは書記官補が一切の訟廷事務をいたすということを前提といたしまして、この書記官の定義その他がきまっておるわけでございます。従いまして、先ほど申しました二十三年の場合のように、特殊な事情がございまして、わずらわさないようにするというようなことも一時はありましたが、その定義がだんだん改正されまして現在に至りました今日におきましては、何人もこれが書記官の職務内容に属するということについて疑いを持っておらなかったというふうに私は了解いたしております。
○三田村委員 ただいまの御説明で、私がお尋ねした二点は明らかになりました。つまり、書記官及び書記官補五千五百人ほとんど全員が全司法労働組合に参加しておるという事実、それから書記官及び書記官補の職務の内容が明らかになったのであります。事務総長はしばしば全司法労働組合という言葉をお使いになっておりますが、冒頭申しました三月十三日の私の質疑の焦点は、そこにあったのであります。裁判所当局が、全司法労働組合なるものを、他のいわゆる労働組合と同列、同質に公認または黙認されておるかどうかということを、私はこの際さらに明らかにお尋ねいたしておきたいのであります。
○横田最高裁判所説明員 これはいわゆる労働組合という言葉がいいかどうかわかりませんが、職員の団体が裁判所側といろいろ交渉するというこのことは、法律がりっぱに認めておることでございます。これは警察官なんかとは違いまして、ちゃんとこういう団体を作って交渉に当るということは、認められておるわけでございます。ただ、御質問のように、この組合の現実の動きというものが、果してほんとうに組合員の利益のためにその地位の向上をはかるとかいうようないわゆる健全な動きをしておりますか、あるいはそうでない動きをしておるかということによって、今後の問題にはいろいろな考え方ができるだろうと思うのでございます。従来までは、この組合はいわば穏健な改良主義的な組合だというふうに第三者から見られておりましたが、最近の動きにつきましては、いろいろな批判があるようでございます。これは私どもが申すのではなくて、全然第三者がそういうような見方をしております。この点は、私どもとしましては、今後の組合の動き方を、先ほども注視すると申しましたが、十分に注視いたしまして、これが健全な組合として発展をしていくように、われわれとしましては、そういう方向に行くことが非常に望ましいというふうに考えておる次第であります。
○三田村委員 他の委員からの御質問があると思いますから、私は簡潔にいたしますが、これは今、事務総長のおっしゃいましたように、私の申し上げることは、私個人の意見ではないのであります。先ほど愛知法務大臣は、その所見の表明に際して、司法の権威、法の秩序というものをあくまでも正しく中正に守っていきたいとおっしゃいました。これは新法務大臣の御所見があるとないとにかかわらず、当然のことであります。そういう見地から、今、事務総長御説明の通り、私も全司法労働組合なるものが今日存在している事実は承知しております。また法的にこれが存在しておる事実も承知いたしておるのでございますが、しかし同時に、法の権威の最終的決定は裁判所であります。その最終的決定をなす最高の権威を保持する裁判所の職員、近ごろよく裁判所の中から組合旗が出たり入ったりしておる事実に対して世論は相当深い関心を持っておるということは、これは何人も否定することはできないのであります。同時に、今、事務総長御説明の通り、厳正であり、中立であらなければならないために、御承知のように、検察、警察、消防の職員には、スト権も団結権も認められていないのであります。そこに私は新しく検討しなければならない問題点があるのだというような気がするのであります。これは私個人の意見ではありません。そういう点についての御所見を、この際伺っておきたいのであります。私は何も全司法労働組合の諸君の動き全部を否定するものではありません。事務総長御説明の通り、健全にしていわゆる進歩的な組合活動というものは、大いに歓迎しなければならないことは言うまでもないのでありますが、しかし、民主社会における最高の権威は法の秩序であります。裁判の権威であります。そういう観点から考えて、現在のようなあり方が、その法の権威、裁判の権威というものに対して一般の国民にどのような印象を与えるかということも、われわれは国権の最高の機関である国会の一構成員として、また当委員会として私はただ素通りに看過することはできないような気がするのであります。この点に対する御所見を一応伺いまして、私の本問題に対する質疑を終ることにいたします。
○横田最高裁判所説明員 組合に対してそういう団結権を否定するというような問題は、確かに一部では論議されておるようでございます。しかし、この組合の活動が、裁判所の健全な円滑な司法権の発動に対して著しい支障を来たすようなことがございますれば、やはりそういう点はかなり考慮しなければならないのではないかと私は考えております。そういうような動きになりますることは、私の最も遺憾とするところでございまして、よもやそういうところまではいきますまいと私は考えておりますが、しかし、今申しましたように、残念ながら、もしそのような段階に至りますれば、かりにわれわれが寛大な考え方をいたしましても、これはやはり日本の国民全体がこれを許してはおかないというふうに私は考えるのでございます。しかし、私自身といたしましては、あくまでもこの組合の団結というものが、健全な方向に行くということを祈念しておる次第であります。
○神近委員 関連して伺いたいのですが、今ちょっと御説明になったのは、逮捕状、略式命令、支払命令を合計して百七十万件とおっしゃったのは、これは二十三年当時の数字でございますか、それとも現在の数字でございますか。合計でけっこうですが、その両方をちょっとお伺いします。 それからもう一つ二十三年の通達と三十二年の通達の違い、それは民主主義の憲法下においての考え方、裁判所というものの機構の相違——事務総長はさっきから、戦前戦後を通じて何人も疑いを入れない任務だというふうなことをおっしゃったんですけれども、これは裁判所機構の基本そのものが変った場合に、これを同じに考えていいものかどうか、そのことについての御所見を伺いたい、この二点でございます。
○横田最高裁判所説明員 先ほど申し上げました百数十万件でございますが、あれは最近の数字でございます。あの当時の数字ではございません。最近それほど多くなって、どうしても書記官の協力をわずらわさなければならない状態であるということでございます。 それから、後の点につきましては、私の申し方があるいは非常に大ざっぱでございまして、おしかりを受けるような点があるかと存じますが、なるほど裁判所司法部というものが、戦前と戦後と違いまして、非常に違ってきておりますことは御指摘の通りであります。ことに裁判官というものの地位が高まってきた。これを中心にいたしまして、裁判所全体の地位が高まってきておるというような点は、戦前と非常に違っております。先ほど申しました書記官の仕事そのものにつきましては、現在いろいろ検討は加えておりまするが、その大筋のところは、そうは実は変ってきておりませんのでこの点は今後の問題といたしまして、われわれ書記官の職務権限というものをもう少し拡大、あるいは向上いたしまして、ともに書記官の待遇の改善というようなことへ持っていきたいというふうに考えております、そういう趣旨におきまして、少くとも裁判書の浄書というような問題につきましては、戦前と戦後ではそう変っていないように私は考えております。
○神近委員 二十三年の数字をちょっと…。
○横田最高裁判所説明員 二十三年の数字は今ここに持っておりませんので、後ほどお知らせいたします。
○小島委員長 坂本泰良君。
○坂本委員 ただいまの事務総長の説明はもちろん整っておるようでありますけれども、使用者側の一方的の解釈でやっておられるし、ただいま神近委員から申されたように、憲法を守る裁判所が、はなはだしく憲法を曲げているのじゃないか、そういうふうにも考えられるわけであります。ことにいわゆる現在の憲法におきましては、人権の擁護に対する関係は、もと警察官がやっていた仕事を、特に憲法事項として十数カ条にわたって規定しておるわけであります。従いまして、裁判事務等については、やはり憲法に基くところの事務の解釈をしなければならぬ、こういう基本的な考え方が、根本的に違っておるのじゃないかと私は思うわけであります。そこで、あくまでも法律に基いて、書記官にしろ、裁判官にしろ、その職務を十分執行しなければならない、こういうふうに考えるわけであります。あとでもお聞きしますが、ことに昭和二十三年のあの通達のごときは、これはやはり簡単なものにしろ、逮捕状にしろ、あるいは拘引状にしろ、人権の自由に関するものでありますから、慎重にしなければならない。こういうような関係におきまして、旧帝国憲法と新しい現在の憲法とは、はなはだしく人民の権利義務、ことに人権の問題については異なっておるわけであります。そういう基本的な考え方が間違っておるのではないか、こういうふうに私は考えます。従いまして、私もこれから二、三お聞きいたしますが、いやしくもあなたは最高裁判所の事務総長であられますから、現行憲法に基く、またそれに基く法律上の見解に立って御答弁を願いたいと思う次第であります。 そこで、第一にお伺いいたしたいのは、裁判所書記官の職務は、先ほどお話がありましたように、裁判所法第六十条第二項によるものと考えるわけであります。それによりますと、「裁判所書記官は、裁判所の事件に関する記録その他の書類の作成及び保管その他他の法律において定める事務を掌る。」こう規定してあるのであります。従いまして、書類の作成という場合は、書記官が自分の権限において、自分の名義のもとに書類を作るということであります。訴訟記録のうちでも、書記官が自己の名のもとに作るべき書類は、これは定められておるのでありまして、これを作ることは第六十条の第二項による作成であります。他人名義の書類、他人の作った原稿に基いて浄書をする、かような仕事は、これは作成とは言わないと思うのであります。裁判の手続の過程におきまして、書記官が自分で作るべく定められておる書類に裁判の手続を記録していく仕事が書記官の任務でありまして、書類の保管についてはまたこれは問題がないわけであります。そこで、執行文は民事訴訟法の第五百十六条でやり、それから判決の確定した場合にその確定の証明書を付与する、これは書記官の権限において民事訴訟法第四百九十九条でやるわけであります。それから書類の送達の事務、こういうことでありまして、他人の原稿の浄書というがごとき機械的の仕事は、書記官の仕事の建前からいっても、裁判所法第六十条第二項の解釈からいっても、これは裁判所書記官の仕事ではない、かように解しなければならないと思うのであります。従いまして、戦前戦後も浄書をやっていたとか、あるいは仕事がふえたからそうだとか、こういうことではないと思う。やはり二十三年の通達というのは、憲法に基いて、裁判書は裁判官が作らなければならない、そのような考え方から通達が出ておるわけであります。書記官の人数が少いとか、あるいは忙しいとか、こういうような解釈ではないと思うのですが、その点についての御所見を承わりたい。
○横田最高裁判所説明員 この裁判書の浄書を書記官等の手でやらせますことは、いかにも何か憲法の基本的な精神に反するかのようなお話でございますが、いわゆる裁判というものの一番大事なところは、私から申し上げるまでもなく、裁判の内容を決定することでございます。その決定された内容を文書にいたしますことは、いわば非常に機械的なことでございまして、まあタイピストに打たせるということもその一つのやり方でございます。この裁判書の原本になる書類を作るという段階は、これはきわめて機械的な事柄でございます。これを裁判官以外の人がやりましても、それによって先ほど御指摘のような憲法の精神に反するというようなことはないのではないかと思うのでございます。ただ、裁判というものは書面によってしなければなりませんから、最後の第三段の段階といたしましては、結局裁判官がそれに署名捺印をする。これは裁判官以外の人がやってはならないことで、署名捺印をいたしますためには、やはりもう一ぺん内容を再検討するということも、先ほど申しましたようにあるのでございましょう。この第三段階の方は裁判官が全責任を持ってやるべきことで、ここがしっかりしておれば、その閻の書面に文字を書きますこと自体は、基本的な実質的な問題ではないように思うのであります。そういう意味におきまして、裁判官がその中間の段階の事務をしてもよいかもしれませんが、これは御承知のように、そういうような形式的な問題に裁判官が時間をとられまするよりも、第一段階の点で裁判官に十分に力を尽してもらえば、それが一番裁判所としてはいいことになるのでありますから、第二段の段階の点につきまして、裁判所書記のいわゆる訟廷事務の一つといたしまして、書記官、書記官補あるいは事務官、雇等にその事実上の仕事をやってもらうことは、何も裁判の本質に反するものでもなければ、むしろ裁判の能率を高める意味におきましても、きわめて望ましいことでもあるように思うのでございます。 先ほどの裁判所法第六十条の解釈でございますが、なるほど第二項の規宗は今おっしゃったような趣旨であろうと思います。しかし、規則あるいは第六十条第三項等におきまして、「裁判所書記官は、その職務を行うについては、裁判官の命令に従う。」これは訟廷事務に関係のないいろいろなことを命令しましても、裁判所書記がそれに従う義務のないことはもちろんでございますが、この規定のあるゆえんは、結局第二項の職務以外に、やはりこれに関連いたしました、あるいはこれを中心としたいろいろな訟廷事務というものがあることを前提といたしまして、初めて第三項というようなものが意味をなすように思います。要するに、第六十条の規定並びに規則等によりまして、これを総合して考えますると、書記官等にそういう職務があるということは、単に私どもが裁判官の立場ばかりからそういうことを申しておるのではなくて、裁判所の裁判事務の円滑な、健全な運営という点から見まして、そういう解釈が最も正しい解釈だと信じておるわけであります。
○坂本委員 第一点は、裁判所書記官に浄書をさせるのは、裁判所法第六十条第二項にないのだ、従って命令的にさせるわけにいかぬじゃないか、こういうお尋ねなんです。さらに、第二項による訟廷事務と言われるのですが、その法的根拠をお伺いしたい。 それからもう一つは、よく読んで署名だけすればいい、そういうふうに言われます。かつて川口の簡易裁判所の、名前は忘れましたが、ある判事は、逮捕状にたくさん名前を書いておいて、そして裁判所書記官ならいいが雇にまでそれをまかせておいて乱発した。そういうような事実もあるのでありまして、弾劾裁判所で罷免の判決を受けたことは御存じだろうと思います。そういうような乱用もされておるわけであります。しかし、そういう点についてはまたあとにしまして、ここでお伺いしたいのは、現在、裁判所書記官は、裁判官が署名捺印だけすればすぐに裁判所の原本となる書面を作成し、浄書しておる。こういうようなことはこの第六十条の第二項の権限に入らないと思うのですが、その点いかがですか。
○横田最高裁判所説明員 先ほどから申し上げておりますように、われわれは第六十条その他規則等の規定を総合いたしましてこういう浄書の職務が裁判官から命ぜられれば、書記官がしなければならぬ職務の一つであるというふうに考えているわけであります。しかし、お話のように、現実の形といたしましては、書記官が原本になる書面を作成しまして、裁判官がそれにただ署名捺印をするというような形に見えますが、その前提にはやはりそういう仕事を裁判官が書記官に命じている。この命じ方には、特に具体的に口授するとか、あるいは原稿を渡して書かせるとか、いろいろなやり方もあると思いますが、やはりそこには裁判所のいろいろな慣行というものがございまして、一々はっきり口で一つ一つのたとえば支払命令あるいは略式命令については、一々命令を出しませんでも、そういう慣行が裁判所にございますれば、書記がそういう慣行に従いまして原本を作成するということもあり得るわけであります。その点は、やはり裁判官の命令に従って、書記が書いているというふうに見て差しつかえないと私は思います。
○坂本委員 民事訴訟法の第百九十二条によりますと、裁判書は発効後に初めて書記官に交付すべきものです。その作成には、裁判官がみずから当るべきはずであります。その過程において、今おっしゃるような常助者がやるやらぬは別でありましょうが、書記官にタッチさすべきものではないと思う。ところが、今のお話によると、慣行上そうやっておる。口授したり、原稿を渡すということは、今までの実例ではほとんどないと思うのです。さっきおっしゃったように、いろいろ不動文字で簡単になっているでしょう。しかし、不動文字で簡単になっていることが、一番大事なことなんです。それによって逮捕されると、二十四時間は自由を束縛されるわけです。そういうような大事な裁判書なんですから、発効後初めて書記官に渡すべきものであって書記官がみずから書いて、ただ署名を求めるだけのものではない。ところがその法に反した慣例が行われている。だからそれはいけないというのが、先ほど法務大臣が言われたように法を守ることなんです。法を守ることを、今までの法に違反した慣例をもっていかぬということは間違いなはずです。従って、ほかにもありますが、この裁判書の問題については、はっきりと民事訴訟法の第百九十二条に規定がありますから、それに書記官をタッチさせてそれでもよろしいという御見解かどうか。どうも今までの御説明によると、そうなる。書記官が書いてきて、署名するときに書類を見れば効力を発生するということは、これは民事訴訟法の第百九十二条に違反すると思うのですが、それでもあなたは、従来の慣例でやってきているから、それでいいという御見解かどうか承わりたい。
○横田最高裁判所説明員 民事訴訟法の第百九十二条でございますが、今申し上げております裁判書の浄書、あるいは将来原木となる書類の作成、これは第百九十二条の規定のもう一つ前の問題でございまして、結局そういうようにして用意されました書面に、裁判官が署名捺印いたしまして、そこにおいて初めて裁判書ができ上るわけであります。それを第百九十二条によって交付する、こういうことでございます。問題は、もう一つ前の段階の問題でございまして、この第百九十二条に何も違反しておることはないように思うわけであります。結局問題は、そういうような浄書を裁判官がみずからしないで、ほかの人にやらせる。しかも、ほかの人という中には書記官が入るか、そういういわゆる書記官の職務の問題、あるいは裁判所事務官の職務の問題ということになりますが、この点につきましては、繰り返して申し上げておりますように、私どもは、これは裁判官に命ぜられた場合には、書記官がすべき職務の一つであるというふうに確信をいたしておる次第であります。
○坂本委員 次にもう一点ですが、今の確信をいたされておる法的の根拠はどこにあるか、その点の御指摘を願いたい。
○横田最高裁判所説明員 これは第六十条の第二項だけをお読みいただいてはいけないのでございまして、結局第三項というものがあること、それからもう少し具体的に申し上げますれば、こういう規定は、規則がなくても援用することになるかと思いますが、昭和二十九年に至りまして、首席書記官等に関する規則というものができて、そこに訟廷事務というものがうたってございます。この訟廷事務につきましては、先ほどから申しておりますように、第六十条の第二項以外に、現実の問題としまして、書記官のする仕事はたくさんあるわけでございます。これらをすべて含めまして、これを訟廷事務と申しておりまして、その内容をさらに明らかにいたしておりますのが、同じ二十九年に出ております事務総長の依命通達でございます。この中にかなり詳細に、訟廷事務についていろいろ書いてございます。これらを総合いたしまして、私どもはそう解釈しておりましたし、また今までみなそういうつもりで裁判所の仕事が動いておりましたのでございます。それが突如といたしまして、昨年あたりから、そういう仕事は裁判官がやるんだというようなことが言い出されまして、むしろ裁判所といたしましては、非常に意外に思い、びっくりしたような次第でございます。
○坂本委員 規則々々とおっしゃるけれども、規則はやはりその基本の法がなければいかぬと思います。基本の法を私は聞いたわけですが、その説明がなかったのです。お話によると、第六十条の第二項だけでなくて、第三項とあわせ解釈してやるというようなふうにも考えられるのですが、その規則の基本法はどうかという点。それからもう一点は、異議申し立てをして、公平委員会が設置される。その公平委員会の設置については、すでに設置されたかどうか。まだ設置されていなかったならば、どういうような構想を持っておられるのか、その点を承わりたい。
○横田最高裁判所説明員 規則につきましては、結局は、もとは憲法の第七十七条の裁判所の規則制定権というところにさかのぼろうかと思います。これは国家公務員法の関係におきましても、法令、規則あるいは指令というものによって、公務員が仕事をしなければならぬということになっておりますが、そういう点につながってきておるわけでございます。 それから、公平委員会の点につきましては、先ほど、異議の請求がございまして、公平委員会にかけられる段階にあるということを申しましたが、この公平委員会につきましては、委員の選任ということにつきましていろいろ苦心をいたしまして、最近にその委員が任命されるであろうという段階に至っております。今ここで、具体的にどういう人ということは申し上げることはできませんけれども、大体従来は、裁判所の事務総局の中の職員五名をもちまして公平委員会を構成いたしまして、この人々によって調査をいたしておったのでございます。もちろんこの事務総局の中の職員と申しましても、その処分に直接タッチいたした者は避けるようにいたしまして、いわば中の人であっても、第三者的な立場にある人を三名選んでやって参りましたが、今回もまたそういうやり方が、裁判所職員に関する臨時措置規則によって準用されております人事院規則の建前から、一応事務総局の職員をもって構成するということが原則となっておりますが、御承知のように、他の官庁の職員あるいは全然第三者を委員に加える道も例外的に開かれておりまして、今回の場合は、処分がかなりいろいろ重要な点も含まれておりますので、こういう特殊の事情にかんがみまして、この構成員につきましては、必ずしも従来の方針を踏襲しないで、そこにもう少し第三者的な分子を加えたらどうかということが、今検討されておる次第でございます。
○坂本委員 人事院規則は、これは国家公務員一般に対しては、人事院が独立をしておるわけなんです。だから、人事院の事務総局の中から選んでもいいと思うのですが、今回の裁判所の書記官の処置に対しては、事務総局の中から…名、さらに処分に直接タッチしない者、これでは、私いかぬと思います。やはり第三者をもって構成するという人事院規則を準用いたしましても、部内の者はいかない。国家公務員の場合は、人事院は全然独立をしておりますから、そこの中でもいいけれども、その処分した官庁の中から出すというのでは、私はいかぬじゃないかと思います。従って、人事院の規則の準用にはなっておりますが、この第三者という場合は、私は部内の者でなくて部外の者を持ってこなければならぬ、こういうふうに考えられますが、その点についての所見を承わりたい。
○横田最高裁判所説明員 この処分が、下級裁判所がやりましたものにつきましては、先ほど申し上げましたように、最高裁判所の事務総局のできるだけ公平な人がやれば、それでもいいと思いますが、今回の処分の中には、先ほど申し上げましたように、最高裁り裁判官の命令に従って、書記が書いているというふうに見て差しつかえないと私は思います。
○坂本委員 民事訴訟法の第百九十二条によりますと、裁判書は発効後に初めて書記官に交付すべきものです。その作成には、裁判官がみずから当るべきはずであります。その過程において、今おっしゃるような常助者がやるやらぬは別でありましょうが、書記官にタッチさすべきものではないと思う。ところが、今のお話によると、慣行上そうやっておる。口授したり、原稿を渡すということは、今までの実例ではほとんどないと思うのです。さっきおっしゃったように、いろいろ不動文字で簡単になっているでしょう。しかし、不動文字で簡単になっていることが、一番大事なことなんです。それによって逮捕されると、二十四時間は自由を束縛されるわけです。そういうような大事な裁判書なんですから、発効後初めて書記官に渡すべきものであって書記官がみずから書いて、ただ署名を求めるだけのものではない。ところがその法に反した慣例が行われている。だからそれはいけないというのが、先ほど法務大臣が言われたように法を守ることなんです。法を守ることを、今までの法に違反した慣例をもっていかぬということは間違いなはずです。従って、ほかにもありますが、この裁判書の問題については、はっきりと民事訴訟法の第百九十二条に規定がありますから、それに書記官をタッチさせてそれでもよろしいという御見解かどうか。どうも今までの御説明によると、そうなる。書記官が書いてきて、署名するときに書類を見れば効力を発生するということは、これは民事訴訟法の第百九十二条に違反すると思うのですが、それでもあなたは、従来の慣例でやってきているから、それでいいという御見解かどうか承わりたい。
○横田最高裁判所説明員 民事訴訟法の第百九十二条でございますが、今申し上げております裁判書の浄書、あるいは将来原木となる書類の作成、これは第百九十二条の規定のもう一つ前の問題でございまして、結局そういうようにして用意されました書面に、裁判官が署名捺印いたしまして、そこにおいて初めて裁判書ができ上るわけであります。それを第百九十二条によって交付する、こういうことでございます。問題は、もう一つ前の段階の問題でございまして、この第百九十二条に何も違反しておることはないように思うわけであります。結局問題は、そういうような浄書を裁判官がみずからしないで、ほかの人にやらせる。しかも、ほかの人という中には書記官が入るか、そういういわゆる書記官の職務の問題、あるいは裁判所事務官の職務の問題ということになりますが、この点につきましては、繰り返して申し上げておりますように、私どもは、これは裁判官に命ぜられた場合には、書記官がすべき職務の一つであるというふうに確信をいたしておる次第であります。
○坂本委員 次にもう一点ですが、今の確信をいたされておる法的の根拠はどこにあるか、その点の御指摘を願いたい。
○横田最高裁判所説明員 これは第六十条の第二項だけをお読みいただいてはいけないのでございまして、結局第三項というものがあること、それからもう少し具体的に申し上げますれば、こういう規定は、規則がなくても援用することになるかと思いますが、昭和二十九年に至りまして、首席書記官等に関する規則というものができて、そこに訟廷事務というものがうたってございます。この訟廷事務につきましては、先ほどから申しておりますように、第六十条の第二項以外に、現実の問題としまして、書記官のする仕事はたくさんあるわけでございます。これらをすべて含めまして、これを訟廷事務と申しておりまして、その内容をさらに明らかにいたしておりますのが、同じ二十九年に出ております事務総長の依命通達でございます。この中にかなり詳細に、訟廷事務についていろいろ書いてございます。これらを総合いたしまして、私どもはそう解釈しておりましたし、また今までみなそういうつもりで裁判所の仕事が動いておりましたのでございます。それが突如といたしまして、昨年あたりから、そういう仕事は裁判官がやるんだというようなことが言い出されまして、むしろ裁判所といたしましては、非常に意外に思い、びっくりしたような次第でございます。
○坂本委員 規則々々とおっしゃるけれども、規則はやはりその基本の法がなければいかぬと思います。基本の法を私は聞いたわけですが、その説明がなかったのです。お話によると、第六十条の第二項だけでなくて、第三項とあわせ解釈してやるというようなふうにも考えられるのですが、その規則の基本法はどうかという点。それからもう一点は、異議申し立てをして、公平委員会が設置される。その公平委員会の設置については、すでに設置されたかどうか。まだ設置されていなかったならば、どういうような構想を持っておられるのか、その点を承わりたい。
○横田最高裁判所説明員 規則につきましては、結局は、もとは憲法の第七十七条の裁判所の規則制定権というところにさかのぼろうかと思います。これは国家公務員法の関係におきましても、法令、規則あるいは指令というものによって、公務員が仕事をしなければならぬということになっておりますが、そういう点につながってきておるわけでございます。 それから、公平委員会の点につきましては、先ほど、異議の請求がございまして、公平委員会にかけられる段階にあるということを申しましたが、この公平委員会につきましては、委員の選任ということにつきましていろいろ苦心をいたしまして、最近にその委員が任命されるであろうという段階に至っております。今ここで、具体的にどういう人ということは申し上げることはできませんけれども、大体従来は、裁判所の事務総局の中の職員五名をもちまして公平委員会を構成いたしまして、この人々によって調査をいたしておったのでございます。もちろんこの事務総局の中の職員と申しましても、その処分に直接タッチいたした者は避けるようにいたしまして、いわば中の人であっても、第三者的な立場にある人を三名選んでやって参りましたが、今回もまたそういうやり方が——裁判所職員に関する臨時措置規則によって準用されております人事院規則の建前から、一応事務総局の職員をもって構成するということが原則となっておりますが、御承知のように、他の官庁の職員あるいは全然第三者を委員に加える道も例外的に開かれておりまして、今回の場合は、処分がかなりいろいろ重要な点も含まれておりますので、こういう特殊の事情にかんがみまして、この構成員につきましては、必ずしも従来の方針を踏襲しないで、そこにもう少し第三者的な分子を加えたらどうかということが、今検討されておる次第でございます。
○坂本委員 人事院規則は、これは国家公務員一般に対しては、人事院が独立をしておるわけなんです。だから、人事院の事務総局の中から選んでもいいと思うのですが、今回の裁判所の書記官の処置に対しては、事務総局の中から三名、さらに処分に直接タッチしない者、これでは、私いかぬと思います。やはり第三者をもって構成するという人事院規則を準用いたしましても、部内の者はいかない。国家公務員の場合は、人事院は全然独立をしておりますから、そこの中でもいいけれども、その処分した官庁の中から出すというのでは、私はいかぬじゃないかと思います。従って、人事院の規則の準用にはなっておりますが、この第三者という場合は、私は部内の者でなくて部外の者を持ってこなければならぬ、こういうふうに考えられますが、その点についての所見を承わりたい。
○横田最高裁判所説明員 この処分が、下級裁判所がやりましたものにつきましては、先ほど申し上げましたように、最高裁判所の事務総局のできるだけ公平な人がやれば、それでもいいと思いますが、今回の処分の中には、先ほど申し上げましたように、最高裁の考えが内部にあるからそういうような問題が出てきているのではないか、こういうふうにも考えられるわけであります。こういう問題について、法務当局並びに警察当局はどういう考えを持っておられるか、まずその点をお聞きしたいと思います。
○竹内(壽)政府委員 お答え申し上げます。ただいま御質問のありましたケースにつきましては、法務省としましては、人権擁護局の方からお答えを申し上げる筋合いだと思いますが、この席においでになっておりませんので、私は所管外ではございますが、私どもの考え方を申し上げますと、勤務評定闘争の中にそのようなことが主要なる要素になっておることは私も承知いたしておりますが、今おあげになった事例が具体的に発生しているかどうかということにつきましては、検察庁のルートにおきましてはまだ報告されておりませんので、私初めて伺った次第でございます。内容につきましては十分調査をいたしたいと思いますが、なおそのようなことを校長が申したということになりますと、これはもう人権擁護の観点からいたしましても十分検討しなければならぬ事案だ、かように考えておる次第であります。
○石井(榮)政府委員 ただいま御例示になりました高知県幡多郡における事案につきましては、私まだそういう報告に接しておりません。そういう事実がありましたかどうか、さっそく確かめてみたいと思いますが、およそそうしたいわゆる差別的な事案というものは好ましいことではございません。ただいま竹内刑事局長からお答えがありましたように、人権擁護等の関係の機関におきまして、十分真相を究明いたしまして、善処せられることが適当であると思います。
○坂本委員 この問題は、六月の七日か八日の問題であって、六月十六日から中学、小学校ともに盟休に入っているような状態ですから、一つ調査をしてもちろん勤評自体の問題は文教委員会の問題だと思うのですが、この差別の問題は重要なる人権侵害の問題にもなりますから、一つ調査をされた上で、さらに質問いたしたいと思います。 それから警察庁長官にお聞きしたいのですが、これは新潟県の問題です。三十一年の九月ごろから警察官が「作業簿」というのを作りまして、一々県の労働組合協議会の闘争とかあるいは砂川基地の問題あるいは国鉄の争議の問題等についての詳細な調査をいたしましてこれを「作業簿」という帳簿にいたしておるわけです。こういう点を警察庁はやっておられるかどうか。さらに和歌山県におきましては、昭和三十二年度におきまして、「送達簿」という帳簿を作りまして、「秘」としまして、これは写真もありますが、「和歌山西警察署松江警部派出所ケイビ」こう書いておるのです。年月日、発送、受理、件名、備考、こういう欄を設けまして例をあげますと、一月七日に「松江対日の浦漁業組合紛争解決す。」十日に「ハタ入手す。」それから一月の十四日は「総選挙に対する住金労組の動向」その他一月二十一日「組合ニュース入手す」同日「住友労組選挙動向」同日「マルト」として「アジビラ入手す」ずっと一月から三十三年の六月七日——最後の六月七日は、発送武田、受理島崎、件名の中に「住金組合ニュース入手」こういうような帳簿があるわけです。これを見ますと、戦前の特高警察と同じような方向を今警察官がとっておるように見られるわけです。こういうように警察官がやっておるから、結局これは上からの命令だと思うわけですが、警察庁においては、こういうようなことをやらせておられるかどうか、まずその点をお伺いしたいと思います。
○石井(榮)政府委員 各都道府県の第一線の警察官が、作業簿というようなものを作っておるかどうかというようなことにつきましては、あるいはそういうものを作っておる者もあるかもしれませんが、必ずしも全国画一的にそういうものがあるとは思いません。少くとも私ども中央からそういうものを作れといったような指導はいたしておりません。おそらく各警察官が、日常勤務に当りまして、いろいろ見聞きしましたことを将来のためにメモにとる、いろいろなことを経験しますから、一々記憶しておるわけにいかぬので、大事なことと思うようなことはメモに摘記しておくというようなことはあり得ることだと思います。そういうものを称して「作業簿」とあるいは呼んでおるのではないかと私は想像しておるのであります。「送達簿」というのも、おそらく文書の送達簿という意味であろうと思います。警察署から派出所にいろいろな文書を送達することがある。逆に派出所から警察署に報告するために文書をもってする場合があります。そうしたものは、いつどういう件名のものがやりとりされたかということを記録にとどめる意味におきまして、文書送一達簿というようなものはあり得ると思うのであります。そうしたものの内容等につきまして、中央の私どもの方から一々こういうものを載せるべし、載せるべからずというような指導はいたしておりません。
○坂本委員 そこで、それを見ますると、一日に何回もやっているし、ずっと続けてやっているわけですが、そのような書面を送達するためには、やはり昔の特高みたように尾行をするとか、あるいは変装をして、特定の者の行動を尾行して調べるとか、あるいは組合の事務所にうまくもぐり込んでそれを入手するとか、こういうことをしなければ、そこに書いてあるようなことは、一月何回も、またずっと毎日続けてやれるものじゃないと思います。だから、それから推して考えますると。尾行したりあるいは隠密に調査をしたり、あるいはまたスパイを使ってそういう書類を入手する、こういうようなことをしなければ、そういうような書類の入手並びにそれを警察本署に送るというようなことは、私はできないと思う。もしそう、うことになりますると、これは憲法違反であり、個人の自由を侵害するものである、こういうふうに考えられるのでありましてそこをわれわれは非常に心配するわけなんです。ですから、単にメモをとってメモを送る、そういうのが月に一回とか二回ならそれでいいでしょうが、ずっと体系的にそういう帳簿があるとすれば、特定の警察官が命令によるか、おそらく命令によるわけでしょうが、そういうような任務の警察官がおって、そうしてその行為をやっておる、そういうふうにしか考えられないわけですが、現在のような法組織のもとにおいて、警察官がそういうことをやってよろしいかどうか、その点についてどう考えられるか、お聞きしたい。
○石井(榮)政府委員 警察官は、御承知の通り、犯罪の予防、また一たび起った事案については、犯罪の捜査といったような仕事を持っております。そうした仕事、職責を全うするためにいろいろ国民の一般の方々の御協力を得なければならぬということはあり得ると思うのでございます。そういう意味におきまして、いろいろ警察官がそうしたことについて事情を知っておると思われるような人からお聞きをする、また文書をいただくというようなこともあろうかと思います。いずれにしましても、それはすべて警察官の本来の職責を全うするために許された範囲において、つまり合法的な範囲においてそうした活動をしなければならぬことは申すまでもないことでありましていわゆる人権を侵害するような非合法な方法をもって、目的のためには手段を選ばずといったようなやり方をするとすれば、これは明らかに行き過ぎであります。そうしたことのないように、第一線の警察官諸君には常に注意は喚起しておるのでございます。具体的にもし行き過ぎのようなことがありましたならば、将来十分注意をさせたいと思っております。
○坂本委員 この「送達簿」によりますと、その内容は組合に関することがほとんど全部なんです。組合の特定の者に関すること、それ以外に普通の破廉恥罪の犯罪とかなんとかに関することは何もないようです。もちろん破廉恥罪の犯罪予防は必要でしょうが、こういうような組合の関係について、組合の動向とか、文書を入手するとか、こういうようなことを専門にこれはやっておる、こう考えられるわけです。そうしますと、やはり警察官は労働組合運動そのものについて絶えずこれを調査し、そのためにはスパイを出すとかあるいはみずから変装して尾行するとか、そういうことをしなければでき得ないことだと思われるわけなんです。それは、ひいては正しい組合運動の弾圧にもなり、こういうことをふだんからやらせておるということは、特定のことに対してやらしておるということは、これは警察法に反する警察官の動向ではないかとも考えられるわけですがその点はいかがでございますか。
○石井(榮)政府委員 警察の仕事には、御承知の通り犯罪の捜査をする捜査係というものがあります。いろんな社会事象、社会運動と申しますか、労働運動全般、そうしたものをながめております警備係というようなものもございます。交通取締り等をやります交通係というものもあります。いろいろな係、部門に分れておるのでございます。ただいま御例示になりましたのは、和歌山県の西警察署の松江警備派出所の警備係の文書送達簿—文書送達簿でございますから、勢いその内容はそうした警備関係の事柄を載せておる。これは当然のことであろうかと思うのでございます。捜査係の文書送達簿であれば、一般犯罪の事案についてのことが掲載されておるものと思うのでございます。いずれにしましても、先ほども申しました通り、警察官はどこまでも合法的な範囲において、警察官の職責を全うするために許されたるいろいろな日常の活動をなすべきものでありまして、警察の職責を全うするためであるからということで、いかなる手段でも許されるというものではないのであります。あくまでも合法的な手段によって警察の職責を全うすべきものであることは、申すまでもないことでございます。先ほども申しました通り、もしそうした点において行き過ぎの事案がありましたならば、将来十分戒心させたい、かように考えます。
○坂本委員 警備係がこういうようなことをやっておるということになれば、現在の警察の警備係はやはり戦前の特高と同じだ、こういうふうにも考えられるわけです。従って、われわれは、この帳簿にあることの入手あるいはこれを探知したその方法について、違法じゃないかということを考えるわけです。従って、警備係がもしこういうようなことをしているならば、これはやはりふだんから労働組合の弾圧のために警察の警備係がこれをやっておる、こう考えられると思うわけなんです。だから、こういうようなことは、警察本部からの命令でこれをやっておられるのかどうか。また下からこういうことをやってくるならば、これはなかなか労働組合弾圧のために有効であるから、よくやっておる、そういうふうに考えておられるかどうか、その点。 なお、竹内局長に、先ほど法務大臣は、法を守り厳正にやる、そういうことを言われましたが、やはり警察官は法を守り、公平に人心の安定をし、労働組合はまた、これは憲法上保障され、さらに組合員の生活権の向上のためにいろいろなあらゆる法的の手段をやっておる。かえって資本家階級に違法行為が多いと思われる点もあるわけです。それをふだんから、使用者側、資本家側の擁護をするような警察官であってはならないと思うわけなんです。だからこういうようなことについて、法務大臣、法務当局は、やってよろしいと思われるかどうか、こういう帳簿を作って。—この帳簿を作るその前提においては、やはり戦前の特高警察と同じような行為をやっておる、これはそういうふうに考えても間違いないと思うのです。そういうようなことをやってもいいと考えておられるかどうか、その御所見を承わりたい。
○石井(榮)政府委員 健全なる労働運動は、私どもは心から念願こそすれ、決してこれを抑圧するような意図は持っておりません。御安心を願いたいと思います。従いまして、労働関係につきまして、警察の警備係の者がいろいろ情報を入手するにつきましても、これはあくまでも、先刻来しばしば申し上げております通り、合法的な方法によりまして、いろいろな動きを参考のために見ておるというにすぎないのであります。従って、人権を侵害したりあるいは正常なる労働運動を抑圧するというような考えは、毛頭持っておらないということを申し上げておきます。
○竹内(壽)政府委員 ただいまお話によりますと、警備警察の面において情報活動をやっておることが、戦前の特高警察と同じではないかという御意見でございました。しかし、石井長官は、警察法の命ずるところによって、合法の線を守って、その必要なる情報をいただいておるんだということであります。私どもは、その情報の内容がいかなるもので、どういう経路でおとりになったものかつまびらかにいたしませんので、批判を申し上げる立場にございませんが、私どもは、石井長官の述べられております通り、合法の線を守って必要なる情報を国民から得ておる、そして治安のために万遺憾なきを期しておるという、この努力の結果であろうというふうに考えておるのでございます。法秩序を守り、法を正しく運用していくという法務大臣の所信の表明に対しましては、事務当局としては全幅の信頼をしておりますし、私どももそのように考えておる次第でございます。
○坂本委員 石井長官は法を守ってやると言うのだが、法を守ると口には言うけれども、こういう具体的な事実があれば、法を守っていないことになりはせぬかというので私は質問しておるのであります。しかし、きょうは時間がありませんから、私の質問は留保して、次会にいたします。
○大貫委員 関連して石井長官にお伺いいたします。今、坂本委員が引用されました「送達簿」によりますと、「ハタ読者の調査」というのがあるのです。これはおそらく「アカハタ」の読者だと思うのですが、一体警察庁としては、こういう指導をしておるのかどうか。つまり「アカハタ」の読者を調査しろという命令をしているのかどうか。それが第一点。 それから、もしそのような調査が行われるとすれば、法律上いかなる根拠で調査をされておるのか。今日憲法上、思想の自由その他いろいろの自由が保障されておるはずでありますが、「アカハタ」の読者を一体どういう法律上の根拠で調査をされておるか。その二点をお伺いいたします。
○石井(榮)政府委員 「アカハタ」の購読者を調査すべしというようなことは、私どもは指示はいたしておりません。
○小島委員長 それでは、本日はこれにて散会いたします。次会は追って公報をもって通知いたします。 午後零時三十四分散会