内閣委員会 第4号
- 発言数
- 55 件
- 登壇者
- 7 名
- 会派数
- 2
- 開催日
- 1958/07/01
会議録
○山本(正)委員長代理 これより会議を開きます。 内海委員長が所用で外出されておりますので、私が委員長の職務を代理いたします。さよう御了承願います。 国の防衛に関する件について調査を進めます。質疑の通告がありますので、これを順次許します。前田君。
○前田(正)委員 この際、防衛庁長官が新任されまして、わが国の国防のために清新の意気をもって万全を期しておやり願うということは、私たち与党側の者としては大いに期待しておるところでございますが、ここでわが国の防衛の基本的な問題につきまして、新長官の御意見を伺いたいと思いますけれども、その中には自衛隊の最高責任者であります総理大臣の御答弁を願わなければならぬ問題が相当あると思います。その問題につきましてはまた適当の機会を得て総理大臣に御意見を伺いたいと思うのでありますけれども、しかしながら一応防衛庁の責任者としての長官の御意見を逐次伺っていきたいと思うのであります。 まず第一にお伺いいたしたいと思いますことは、わが国の平和と安全を守るための防衛庁の任務から根本的に由来する問題でありますけれども、わが国におきましては、御承知の通りすでにアメリカの陸上の実戦部隊は全部わが国から撤退をしておる情勢になっておるのでございます。同時にまたわが国をめぐるところのアメリカ側、ソビエト側その他諸国の防衛状況も変って参りまして、御承知の通り両陣営とも核兵器及びミサイル等を極東に持ち込んで来つつあるような状況に見えるのであります。 〔山本(正)委員長代理退席、内海委員長着席〕 これらの情勢から見まして、わが国の治安の考え方というものが少し変ってこなければならぬかと思うのございます。すなわちわが国に対しまして海外からの侵略が行われましたときには、日本に米軍の陸上主兵力がおりましたときは、この米軍主兵力と自衛隊とが共同で作戦をするというのが従来の建前でございましたけれども、今申しました通り米陸軍がわが国から撤退した現状におきましては、現在のような世界の軍備のあり方あるいは用兵のあり方から見ますと、そのわが国に対する海外からの侵略というものは、瞬時にしてしかも無警告に行われる可能性が多いのでありますが、そのときには、わが自衛隊のみがとりあえずこれに対しまして当面の対策を講じなければならぬ、こういうふうな状況になっておるのではないかと思われるのであります。そこで従来のような米陸軍部隊がおりましたときと同じような考え方でもってわが国の自衛隊の編成、装備等が行われておっていいのかどうかということについて、長官の御意見を伺いたいと思います。
○左藤国務大臣 米地上軍の撤退に応じまして、もちろん財政その他のいろいろな制約がございまするけれども、お話のような急迫不正の侵略に対しましても、相当期間これは対抗のできるように研究努力をいたしております。
○前田(正)委員 これは従来増強計画というものをお作りになりまして、そ、の線に沿うて海空の方は増強しておられるのでありますけれども、しかしながらその海空の増強の方面と、日本におきますところの自衛隊の陸上部隊とのバランスの問題もありますし、その編成、配置等におきましても、この増強計画を立てられましたときに、当然アメリカの陸上部隊が日本から引き揚げるということを予想されて立ててはおられると思うのでありますけれども、しかしながら現在の編成の状態のままでは私はいかないのじゃないか、この際再検討する問題があるのじゃないかと考えられるのであります。 次にもう一つの観点から、同じ問題についてお話し申し上げたいと思うのでありますけれども、わが国におきますところの自衛隊は、単なる海外からの直接の侵略だけではなくて、わが国の国内におきますところの大規模な暴動、革命等にも備えなければならぬ態勢にあることは、御承知の通りであります。しかるところ、これまた従来はそういう大規模なる暴動、革命が起りました場合には、当然わが国に駐在しておりましたところの米陸上部隊その他がこれに支援をするというような態勢であったわけでありますけれども、しかし今申した通り、そういう米陸上部隊等が引き揚げ、さらに空軍、海軍とも逐次引き揚げております現状から見まして、特にわが国内で起りましたような暴動、革命に対しては、そう簡単に海外からこれを支援するということがなかなか困難じゃないか。一応共同防衛の安全保障条約がございますけれども、しかしながら現在欧州方面に起っておりますところの各地の暴動、革命等の情勢を見ますならば、この国際情勢の変化からいたしまして、たやすく海外から日本に向ってこの暴動、革命を鎮圧するために軍隊を上陸さす、応援さすということはなかなかむずかしい問題が多々起ってくると思うのであります。従いましてこれまた従来の自衛隊が、何か大規模な問題が起ったときには、アメリカの応援を受ければ安保条約でやっていけるのだというふうな考え方でありましたのを改めて、わが国の各地に起ります可能性のある暴動、革命に対しても、これは十分なる対策というものを講じなければならぬと思うのであります。その点において現在の編成、装備その他の訓練のあり方でいいかどうか、これを再検討する必要があるのじゃないか、こう思うのでありますが、長官の御意見を一つ伺いたいと思います。
○左藤国務大臣 外からの侵略に対してはもちろんでございますが、この侵略と呼応する内乱、あるいは外には直接関係いたしませんでもいろいろな混乱の起り得るような、そういうあらゆる場合を想定いたしまして検討いたしております。これに対しまして陸上兵力が十分であるかどうかということにつきましては、いろいろ御意見もあると思いますが、最近一万名の増員もいただきまして、これの装備並びに配置等につきましては、先ほど申し上げました各種の場合を想定いたしまして国民に心配をかけないように努力をいたしております。
○前田(正)委員 防衛庁も着々御努力願っておるとは思うのでありますけれども、はなはだ残念ながらわが国の現状を見て参りますと、われわれが議会制度によりまして設けました法律に対しまして、議会というものを無視いたしまして、実力によってこの法律、社会秩序というものに反対しようというふうなことがたびたび行われ、またそれを行おうとしているような動きは相当あるのでありまして、特にいわゆる平和主義団体というて表面に掲げておる諸君が、そういうふうな議会制度を無視し、わが国の秩序を無視しまして平和を破壊してわが国に革命、暴動を起そうというふうな気配は多分に感じられるのであります。すなわち法律を実力で無視するということは、これは革命の第一歩であると私たちはいわなければならぬと思うのであります。かくのごとき事態がわが国に最近とみにたくさん見られるような状況になっておりますならば、これは先ほど申しました通り防衛庁の本来の任務からいいましてこれに対して十分な備えをしなければならぬのではないかと思うのであります。しかもこれは従来の国際的な経験から見ますならば、これらの革命、暴動が起りましたときは、朝鮮におきましてもあるいはヴェトナムにおきましても、すぐに同じ系統の諸君から義勇軍の応援があることが定石でございまして、大規模なる革命、暴動というものには、必ず海外からの義勇軍の応援があるということを考えなければならぬのであります。伝えられるところによると、すでにシベリアにおいては対日解放軍というものが編成されてわが国の暴動、革命のときには、応援に来ようというような態勢を整えつつあるというようなこともいわれておるような現状でございます。こういうふうな現状でございますから、わが国内の議会制度を無視して、法律を実力で破壊しようという空気というものは、単にわが国の治安を乱すのみならず、わが国の安全や平和に対しましても、内外から呼応して革命あるいは平和を乱すような戦乱に陥るというような可能性が多いのでありましてこれに対しましては根本的に現在の情勢を判断されまして、防衛庁としても、従来の防衛方針というものを細密に御検討願わなければならぬのじゃないかと思うのであります。 そこで以上申し上げましたような観点から検討いたしました結果、三十三年度の増員計画は、相当与党の中におきましても意見がございまして、政府に御再考を願いまして、従来の三カ年の増強計画案をある程度御修正を願ったわけであります。それでそれをさらに国会に御提出になりまして、当委員会を通過するに当りましては、私が与党を代表いたしまして内閣総理大臣に御質問を申し上げまして、三十四年度の増員に当りましては、根本的に従来の増員計画を検討、修正される御意思があるかどうかということを御質問申し上げたのであります。それに対しまして内閣総理大臣は、従来の増強計画を国防会議で決定いたしましたときの経過によりますと、国防会議の決定にも明瞭に書いてありますけれども、この国防会議の増強計画というものは、確定した案ではないのでありまして、将来の情勢に応じてこれを再検討するということが、この国防会議の決定のときの附帯条件になっております。そこで内閣総理大臣は、国防会議の附帯条件に書いてあります通り、将来の情勢を再検討するということであるから、今私が申し上げました通り国防の両面から見て、再検討すべき時期に来ておるように思いますから、三十四年度の増強に当りましては、根本的にこれを再検討しようということについて、大体御賛成のような御答弁をされておられるのであります。 そこで新長官に御質問したいと思いますことは、そういうような内閣総理大臣の御方針に沿いまして、新しく三十四年度の予算を役所において逐次これから編成されていくと思うのでありますけれども、そういう方針に沿うて三十四年度の御計画を立てられるかどうか、長官の決心を一つお聞かせ願いたいと思います。
○左藤国務大臣 国家治安の将来をいろいろ御心配いただいて、適切な御質疑でございますが、一面におきましては国民生活が安定をし、社会福祉というものが充実されていきますることが、また国を守る非常に大きな基礎にもなりますので、ただ数をふやす、あるいは装備をよくするというだけではいけないと思います。そういう方面を十分勘案いたしまして将来の計画を策定いたしていきたい。総理が前田委員にお答えになりましたのもその御趣旨であると思いますので、現在はまだ三十四年度につきましてはいろいろ検討中でございますから、総理の言明あるいはただいまの前田委員のお心持を十分体しまして、善処いたしたいと思います。
○前田(正)委員 私があえて本日この問題を取り上げて質問いたしましたことは、はなはだ私どもこの問題については意外に思うのでありますけれども、数日前の新聞に、防衛庁が一万増員のことを内定してそれに基いて三十四年度の予算を要求するというようなことが書いてあったのであります。私も関係した一人でありますけれども、防衛庁の記事というものは、皆さんの御期待とは違うような記事がいつもいろいろと新聞に載る機会が多いのであります。しかしながら少くともそういうふうな記事が表面に載ってくるというふうなことは、これは現に、長官もこの際お考え願いまして防衛庁の中にそういうことを考えておる人が一部おるから漏れるのではないかと私は思うのであります。これは私たちの党といたしましても、私が代表して総理大臣に質問するときには党の方にも諮りまして党の決定に従って、私は当時の国防の副部長でありましたけれども、代表して質問してあることでありますから、三十四年度の編成については従来と同じような安易な気持で、国防会議で一応きまっておるからその線に沿うて防衛一万増員をするというふうな安易な考えでおやりになりましたならば、政府は非常な窮地に陥られるのではないかと私は思います。やはりこれはわれわれの方から御質問申し上げたような趣旨に沿うて、従来の国防会議の決定も御検討願って、三十四年度の増強計画というものはよくお考えを願いたい、こう思うのでありまして、大体皆さんの方でお考えをまとめられる前によくわれわれの方と御連絡願いたいと思うのであります。その点について一つ長官から、十分に御検討願えると思いますけれども、もう一度一つ御答弁願いたい。
○左藤国務大臣 数日前に昭和三十四年度の防衛計画云々として、一部の新聞に出ましたことは、全く私どものあずかり知らぬところでございまして、事務当局がそれぞれ自分の職務に完璧を期したいという意味でいろいろな検討はいたしておると思いますけれども、庁議として決定する段階には全然参っておりません。ただいまの御趣旨に従いまして十分皆様の御意見を伺い、国力、国情に応じまして決定をいたしますように、十分注意いたしたいと思います。
○山本(正)委員 ちょっと関連して。将来の計画は今検討中だというお話でありますけれども、おそらくそういうことであろうと思います。ただこの際長官に一つ伺いながらお答えを願いたいと思いますことは、従来自衛隊の増勢ということが御承知のようにしばしば行われて参った。自衛の計画には対象となるべき事態というものがございましょう。自衛の対象となるべきもの、その対象がいろいろに変って参りますから、その対象の変化に応ずるためにはやはり自衛の計画というものはいろいろに変って参る。その変る結果が増勢を必要として参る、こういう順序だろうと思います。従って委員会が、提案された増勢計画が果して適当なものであるかないかを十分に審議するためには、今のような事柄を十分に、しかもできるだけ正確に御説明を願わぬと、審議が非常に紛糾するのみならず、場合によっては当局の目的が実現すること困難な場合も起り得ると思うのです。現に過去の国会審議において増勢の必要を説明なさり、われわれもこれを伺いましたが、特に野党の諸君の求めんとするものは、今私が申したような増勢を必要とする理由は何であるか。それは自衛の対象になる情勢が変っておるから、それに応ずるためにこの増勢を必要とするということで、どうも抽象的ならざるを得ない部分もございます。これはわれわれもよく理解できるのですが、少くともわれわれの立場から考えても、もう少し具体的の説明がなし得るはずである。またなすことが審査を進めるのにはぜひ必要だと思われることすら、なかなかそれ以上に説明が進んでおりません。そういう過去の事例から見ましても、むろん今検討中のものも、おそらくは増勢的の方向へ進むものと私は推測いたしますが、具体的にその計画が示されて審査を求められた場合に、従来のような説明の形式程度では、その提案された案件についての審査というものは、進行が非常に困難を来たすだろうと思います。これは委員会として防衛庁当局にお含みを願うという意味と、そういう増勢提案をなさる場合は、今私が申し上げたような趣旨において、できるだけ具体的に、増勢を必要とするよって来たる事態をできるだけ明確に説明をするというお気組みであられるかどうか、念のためこれを一つ伺っておきたいと思います。
○左藤国務大臣 国民の自衛隊であり、国家のため子孫のための防衛でございますので、国民の代表でございます国会の十分な御理解、御援助をいただきまして計画を進めていくように、いろいろ情勢の変化等につきましては、極端に申しますれば神様でなければわからないことがございましょうが、また各種の場合を各閣僚等から想定いたしまして、特に諸情勢で、どこを増そうということもなかなかきめにくい点もございまして、いろいろな場合を考慮しなければならぬと存じますが、そういう中におきましても、国民の血税によって子孫の安全のためにどうしてもこれだけはという理由につきましては、胸襟を開いて委員会の御審議をいただくように努力いたしたいと思います。
○山本(正)委員 実は私の求めんとするものにはまだ少し不十分ですが、適当な機会にまたお伺いいたします。増勢については、むろん当局もすでに御丹精なさっておるものと私は推測いたしますが、量的の増勢と質的の増勢と二つ考えられると思います。あとうるならば質的の増勢に意を用い、努力して、むしろ足らざる部分を量の増勢で進めるということであろうと思います。またそういう方針で、当局もできるだけの考慮も努力も払っておるものと私は思いますが、ときどき起きて参るいろいろの事件あるいは事故の中に、どうも質的増勢という観点から非常に遺憾に思われる事柄があるのです。特に今、各種の自衛官を募集しておるようですが、ここ両三年の間の状況を大ざっぱに申しますと、自衛官の応募者がだんだん減る傾向にある。応募者が減るということは、結局体格においても、体格以外のその他の素質においても、漸次どういう比例でいくか知らぬが採用条件が悪くなる、そういう意味においての素質がだんだん悪くなるということが憂えられると思うのです。ここに人事局長もおいでのようですが、今の募集状況、それから採用についての今申したような素質の点はいかがですか。装備、訓練を強化するということも必要ですが、人的要素において年々素質が低下していくということでは、ただいたずらに一万増員した、さらにまた一万増員したといっても、量的増勢で質的増勢が伴わぬということになると、これは非常に考えなければならぬ問題だと思うのです。人事局長にちょっとその状況について伺っておきたいと思います。
○山本説明員 二十のいわゆる一般隊員の方の募集成績は、すでにことしも第一回目を終ったわけでありますが、ほぼ昨年、一昨年と同じような状況でございます。最近における二十の質の問題は、従来と違いましてやや年令の上で、今十八才から採用しておりますが、十八才に近いところの者が比較的多くなってきておる、それから学歴の点では高等学校卒業者が従来よりややふえてきておる、それから体格の上では身長、体重とも、全般的に国民の体位も上っておるものと思いますが、やや上っておるという状況でありまして一般の二十の問題は、前から見まして質的にはなはだしく悪くなってきたとも考えられません。さりとて、また非常に向上したということでもない。まあ数的にも質的にもほぼ横ばいの状況を続けておるというところではないかと考えております。幹部の問題につきまして御指摘がございましたが、今の自衛隊の幹部候補生は、一般幹候といいまして普通大学の卒業者と、防衛大学校の卒業者と両方に門戸を開いておるわけですが、防衛大学校の入学者、つまり志望者はことしも六千人近くありまして、相当優秀な人が入っております。一般幹候補は一般大学でございますが、この方は従来に比較しまして質的にやや見劣りがしてきたのではな、いか、かようなふうに考えております。
○前田(正)委員 そういう根本的な検討をされることにつきましては、いろいろとこの前の委員会でも前国会のときの委員会でも問題が出たことでありますが、それは海の方にもいろいろ問題がありますけれども、これから御検討されることでありますからきょうはこまかいことは省略いたします。ただ陸の問題では、非常に重大な問題があるわけでございます。それは具体的に申し上げまして、在隊期間が現在では二年ということになっておりますが、これは機械化された時代であるから、もっと在隊期間を長くしたらどうかという意見が出ております。それから治安あるいは平和の維持というような立場から、その管区とか編成のやり方は大体十単位なら十単位ということでやむを得ないと思いますけれども、その部隊のあり方というものは、一部は幹部中心の部隊にしたらどうだろうか、一部は機械化中心の部隊、一部は治安を主にした部隊、一部はミサイル等の防御対策を中心にしたらどうかというふうに、部隊の編成も画一的なやり方でなく、再検討したらどうかという重大な問題が提起されているわけでありまして、これはもちろん三十四年度の編成ですべて解決されるとは思いませんが、しかしながら三十四年度の予算編成をされるにつきまして、増強計画を立てられるにつきましては、こういうふうな問題はどういうようにして解決されていこうとされるかということも、一つあわせて御検討願っておかなければならぬ問題だと思うのでありまして、実は三十三年のときもその問題が出たのでありますけれども、まあもう一年間くらいは防衛庁で御研究願おうということで、われわれの方であえて結論を言わないで下っておるのでありますが、三十四年度から実施せよとは申し上げませんが、やはりある程度防衛庁の方にもお考え願わなければならぬと思うのでありまして、この点についてもよく御検討願っておきたいと思います。そこで私はこれらの問題は、もう少し皆さんの方の根本の方針がきまりました次の臨時国会ないし通常国会で、機会を得てもう少し御質問を申し上げたいと思いますから、きょうはまだ根本構想だけお話し申し上げておいたのであります。 次に、ちょっとまた別の観点から別の問題について一つ長官の御意見を伺っておきたいと思います。それは今度の国会の野党側の本会議におきますところの質問においても、すぐに核兵器とミサイルというものをひっつけて、核兵器、ミサイル基地というものは反対だ、こういうふうな質問をされておったのであります。それに対しまして総理は明瞭に核兵器は反対するけれども、ミサイル基地の問題は答弁をしておられません。分けておられましたけれども、世の中においては、一般的に核兵器とミサイル基地というものをよく混同して考えられる方が非常に多いのでありまして、この点は一つ長官からはっきりした考え方をお聞かせ願わなければならぬと思うのであります。すなわち核兵器の問題はたびたび総理からもお話のありました通り、わが国内の自衛隊はもちろんのこと、海外からもわが国に持ち込むことは禁止するというお話であります。そこでミサイル基地の問題になってきますと、これはそのミサイルという言葉にも幾通りもあるのでありまして、このミサイルというものは御承知の通り、まず第一に単に爆発物の運搬機具にすぎないのでありまして、このミサイルというものが必ずしも核兵器とつながるというものではない。ミサイルの中には核兵器を構造的にも持つことはできないようなものもあります。また核弾頭を持てるものと持てないものとあります。また核弾頭だけでやるものもあるのでありましてミサイルといいましても、すべて核弾頭を持つものではないということは明瞭であると思うのでありますけれども、そのミサイル基地ということになりますと、これは核弾頭をつけないミサイルという問題も起ってくると私は思っておるのであります。そこでミサイル基地という言葉は、単に長距離誘導弾あるいは中距離誘導弾というような核弾頭をつけるものの基地だけをさすものでなくて単にミサイルというものは運搬機具でございますから、核弾頭をつけない場合のミサイル、特に防空用のミサイルというようなものもあり得ると思うのでございます。わが国におきましても、防衛庁においては御承知の通りミサイル問題を御研究しておられるのでありまして、この試射場を新島に設けるというような問題もあったのでありまして、わが国においてもミサイルというものが具体化してくるならば、当然このミサイル基地という問題も起ってくると思うのであります。こういう問題についてどういうようにお考えになっておられるのか、明瞭にお聞かせ願いたいと思うのであります。
○左藤国務大臣 核兵器につきましては、これは保持いたしませんことはもちろん、持ち込みもあくまで拒否するという方針を貫くのでございまするが、ミサイルにつきましては、将来特に防空等におきましても、どうしてもこういう進歩した兵器によらなければならぬことが多いと存じますので、十分研究をいたしまして、はっきり原水爆とは一線を画しまして、ミサイルによって国防を全うするように、一つ漸次整備していきたいと存じております。
○前田(正)委員 ミサイルというものは、先ほど申し上げました通り、単なる爆発物の運搬機具でありまして、これは何も核兵器と関係するものではないと私は思うのでありますが、ただそのミサイルというものの命中率を高めて成果を大にするために、電波で誘導されるようになっておるものがあります。一般に誘導ミサイルと申しておるわけであります。ところがこの誘導ミサイルにも、今問題の防空用等の近距離を飛ぶものと、敵基地をたたく戦略を主とするところの今の長距離、中距離のミサイルというものがあるのでありまして、この点はもう少し長官も明瞭にしていただかなければならぬと思うのでありますが、今度防衛庁がスイスのエリコンから買い付けられたミサイルは、いわゆる核兵器には何ら関係がない。構造上核弾頭をつけることはできないわけです。また米国から譲渡されることにきまっておりますサイドワインダーは空対空のミサイルでありますけれども、これも核弾頭を取りつけることはできない。従って新島でも、また国民の中でも、ミサイルというと核兵器に関係があるというような誤まった宣伝とか、誤まった認識を持った者がありますが、現在防衛庁が入手されるところのエリコンの防空用のミサイル、地対空ミサイル、空対空のサイドワインダー・ミサイル、これらはその構造上原子弾頭を取りつけることができない。こういうように構造上原子弾頭をつけることができないものがあるということをよくお考えになりましてしかしながら構造上核弾頭を取りつけることのできないミサイルもわが国においては必要であるということも、よく一般に認識のできるように御説明願いたいと思うのであります。 たとえば防空に例をとりますと、約一万メートル以上の高空で超音速の敵ジェット機が侵入するというような場合には、当方も当然超音速の要撃戦闘機でやりますけれども、やはり超音速の戦闘機に空対空のミサイルを取りつけていないと、これを要撃することはできないということになる。従って核弾頭をつけておるつけておらないにかかわらず、サイドワインダーというものを持っていることが必要ではないかとわれわれは考えるのであります。また広地域に入ってくる敵機に対する機動的な防空作戦上、従来の高射砲とかそういうものも必要でありますけれども、高空、超音速に対してはやはり地対空のミサイルというものが必要である。こういうことはわが国の防衛に携わられる皆さんとしては当然のことであると思うのであります。しかも皆さん御承知の通り、わが国をめぐる情勢においては、超音速の戦闘機はわが国の周辺にたくさんおるのであります。米ソ両陣営ともにおる。それだけでなしに、われわれの聞いておる範囲では、最近は極東のソ連邦、中共、北鮮等にもそういうものの基地ができる可能性がある。あるいはウラジオストックにも現在そういうミサイルを発射できるような潜水艦、駆逐艦等が来ておるというふうに聞いておるのであります。こういうふうなことになってきますと、これを要撃するのは当然要撃用のミサイルでなければならぬと思うのであります。そういうことになりますならば、当然私たちの国においては、この核弾頭は装備しなくとも、ミサイルは絶対必要であると思うのでありますが、一般に核兵器とミサイルというものが混同されて宣伝されて、そうしてミサイルといえばいかにも核兵器に関連のあるような印象を与えられるということは、防衛庁としてももっと厳重にその方面についての対策を考えられて、国民によく注意していただくように宣伝していただかなければならぬ。現に今防衛庁が入手されようとしておるところのミサイルは、明らかに核弾頭を取りつけることができないような構造のものであります。そういう点においてミサイル問題についてはよう対策をお考え願いたいと思うのであります。 同時に私が特に申し上げておきたいと思うのは、ぜひそういうようなミサイルを進んで研究をしなければ、今申しました通りわが国の防衛というものは完全にはできないと思うのでありますが、幾らそういうような防御用のミサイルを持ちましても、敵の方から直接私たちの国に対しまして中距離ないしは長距離の誘導弾攻撃をするというようなことになってきますと、この誘導弾に対しましては、防御用のミサイルをもってしてはなかなかこれを落すことが困難であると思うのであります。それは当然アンチ・ミサイル・ミサイルというものを考えるか、それでなかったならば、敵の誘導弾基地をたたくということよりほかに方法はないと思うのであります。もちろん敵の誘導弾の基地をたたくことも考えなければなりませんが、同時にアンチ・ミサイル・ミサイルの研究もしなければなりません。私たちの国は今自衛という立場において防衛力を持っておるのでありまして、特にわが国の防衛を主とすべき責任を負わされているのでありますから、この自衛隊という世界的にも明瞭に自衛というはっきりした名称を持っておる私たちの部隊としては、防衛上このミサイル時代において最も必要である対策というものを考えなければならぬのじゃないかと思うのであります。この方面に対しては防衛庁の方ももっと研究、対策に努力されまして、三十四年度の予算を編成されるに当っては、ミサイル及びアンチ・ミサイル・ミサイルの研究等については御尽力を願いたいと思うのでありますが、一つ長官のお考えを聞かせていただきたいと思うのであります。
○左藤国務大臣 私、防衛庁に行きましていろいろ感じましたことの一つは、どうも防衛というものに対するPRといいますか、国民に理解をしてもらうような啓蒙の努力が足りない。きのう参議院で、あまりPRと言ってチンドン屋になってはいけないというお話がございました。しかし国民の大事な防衛でございますので、十分事実は事実として御認識をいただくような努力をしなければならぬと思うのでありまして、ただいまお話のような、ミサイルとただちに核兵器と結びつけるような悪意の宣伝もいろいろございましょうが、そういうことに国民が迷いませんように、私は格段の努力をいたしたいと思います。しかしミサイルのきわめて小型のものですらも、これから研究をいたすところでございます。アンチ・ミサイル・ミサイルということになりますれば、これは将来努力しなければなりませんが、どこの国でもまだ完成はせられていないようでございまして、そういう先の先のことまでの心づもりは十分いたさなければなりませんが、とりあえず、先ほどおっしゃいましたように、エリコンとかサイドワインダーというような、最小限度の、しかも絶対核弾頭等の装備のできない、国民に非常に御理解のいただけるもの、そういうところから充実、研究いたしていきたいと思います。
○内海委員長 柏正男君。
○柏委員 私は、防衛庁長官から第一日の委員会において、自衛隊の今後は質的増強、量より質だ、そういう方面に力を入れて今後の防衛力を増強していきたいというお話がございましたが、この点につきましていろいろな角度から御質問を申し上げたいと思っております。 まず、防衛力整備目標によって三十三年から三十五年までの間に整備計画ができることになっておりますが、その年次計画について、先ほどまだ三十四年はできていないようなお話でございますが、大体の御構想はできておることと思うのであります。その点についてまずお話を承わりたい。
○左藤国務大臣 それぞれの幕僚等におきましての検討はいたしておりますが、防衛庁として三十四年度においてどういう計画をし、どういう予算の要求をいたすかということにつきまして、まだ結論は出ておりません。
○柏委員 では三十三年度についてはすでに予算も御編成になっておられますし、その中において量より質へという点の構想を実現された点があるはずでございますし、先ほどのお話の中にも、人的の面においては、あるいは自衛隊員の体格とか、あるいは教育とかいう面についてお話がございましたし、また装備についてもいろいろな点が進められて参っていることだと思います。しかしながら私どもはこういう自衛隊が近代戦争の中においてどの程度の戦力を有するものであるか、こういう点について防衛庁長官は三十三年度の増強計画と、これからあと二年間に展開していくであろう状態とにらみ合わして、戦力としてどの程度に増強されていくものであるか、今まで考えられたものとの比較を一つお話願いたい。
○左藤国務大臣 申すまでもなく三十三年度の計画は、米陸上部隊の撤退のあとの空隙を生じないようにということが中心でございまして、先ほど前田委員からのお話にもございましたように、私どもは直接的な外部からの侵略あるいは内乱等に対しましては、これを防衛し得るような戦力を充実いたしたいと存じております。
○柏委員 その防衛をし得るような戦力というお話でございますが、また防衛力の整備目標の中にも「国力、国情に応じた必要最小限度の自衛力の整備」という言葉が使ってございますが、その必要最小限度という点を表わされていく構想の基本になるものはいかなるものか。たとえば仮想敵国の想定とか、あるいは内乱の程度の規模の問題とか、そういうものに対して防衛庁長官においてはどういうお考えを持っておられるのか。
○左藤国務大臣 現在の防衛力の整備計画におきましては、御承知のことでありますが、わが国の防衛力は国際連合及び日米安全保障態勢と相まって、外国の侵略を企図させないように待つあるを頼むということを基準にいたしておるのでございまして、具体的に仮想敵国を想定して整備しておるのではございませんので、いかなる国の侵略に対し具体的にいかに対抗し得るかということは申し上げかねるのであります。また一般的に自衛隊の防衛力がいかなる程度のものであるかということは、侵略の方法、時期あるいは侵略者の装備、数量等、いろいろな事情によるのでございますが、私どもの意図しております防衛力整備計画の完成後におきましては、大体次のような能力を持ちたいと思っております。 第一には陸上自衛隊、わが国が縦に長く横に細いという縦長幅細の地形でありますので、しかも山岳地帯が多く、道路の状況等も良好でございませんので、陸上自衛官十八万をもって、これを六管区隊四混成団とする部隊に編成いたしまして所要の地域に配置いたしまして、直接侵略及び間接侵略に対処する態勢を確立したい。もし敵の上着陸が行われた場合には相当期間の持久をいたし得るように、また非常時におきます国内の治安の維持に関しましても、警察だけで力が足りませんような場合、これと協力し得るような陸上自衛隊を持ちたい。 海上につきましては、防衛庁の計画におきましては、警備艦艇が約八万四千トン、掃海艦艇が約一万六千トン、それから海峡及び港湾の防備のための艦艇が約一万三千トン等、これを合計いたしまして十二万四千トン、それからP2V大型対潜哨戒機その他所要の航空機をもちましてわが国の周辺の海域を警備し、主要港湾、海峡等の防備に任じますとともに、潜水艦の攻撃に対します悄戒、それからいろいろな物資の輸入をいたします外航の護衛、内航の護衛、また機雷等に対しましても掃海の相当部分を担当し得るように、非常に要求が多いのでございますが、何とかそれに耐え得るようにしたい。 第三に航空自衛隊は約千三百機をもって、要撃戦闘機隊を二十七、輸送機隊を三、偵察機隊を三、その他を編成いたすとともに、レーダー・サイト等、所要の警戒及び誘導組織を概成いたしまして、敵機の早期発見に努め、もって敵の航空機の本土に対する跳梁をほしいままにさせないように、本土領域の防空に当りますとともに、陸海の部隊の行動に対します所要の協力を行う、こういう陸海空それぞれの力を持ち得るよう—もちろん非常な大規模の侵略が長期にわたります等の場合には、わが国の防衛力をもって足らざる点につきましては、米軍、国連軍の協力によって国土の防衛の万全を期していきたい、大体こういうような構想でございます。
○柏委員 ただいまの防衛庁長官のお話では、やはり三年後のこの防衛力の整備ができましても、なおアメリカの国防力の力を借りなければ完全な防衛はできないということが立証されるわけでございますか。
○左藤国務大臣 非常な大規模の侵略、しかも長期にわたって執拗に繰り返されます場合には、天はみずから助くるものを助けるのでありまして、私どもとしては最善の努力をいたしますが、なお足らざるときには国連軍の協力を求めて国土の確保をいたさなければならない、かように存じております。
○柏委員 まず今の防衛庁長官のお話では、自主防衛の限度というものもまだはっきり確立されていないのだというように了承してもかまいませんか。
○左藤国務大臣 世界をあげての大規模な戦争になります場合には、いずこの国といえども一国だけで守り得るのではないと思うのでありまして、局地戦—外からと内からと相応ずるような、さようなさまざまな事態に対しましては、一日も早く自主的に防衛し得るように、またさような侵略、内乱等を招くようなすきを見せないようにという点につきましては、私どもは自主的に守る力を持つ日の遠くないことを信じて努力をいたしたいと思っております。
○柏委員 では防衛庁長官のお話によって、局地戦争は自主的に防衛できる、そういうように了解してかまいませんか。なおそれに従って整備目標というものが、局地戦争の範囲において立てられておるものだと了承してかまいませんか。
○左藤国務大臣 さようでございます。
○柏委員 では防衛目標の中に出ております新式兵器の研究の目標、また重要装備品の改善の目標、あるいは兵器の国内生産の見通し、米国からの兵器の供与に関する見通しというようなものの一切が、局地戦争の範囲において考えられておるのでございますか。
○左藤国務大臣 局地戦という言葉がどこからどこまでという非常にはっきりした定義を下しにくいのかもしれませんが、いわゆる世界をあげて二大陣営が人類の滅亡を賭して相争うというような事態にまで私どもの自衛力は対処し得ないと思いますが、さような大規模のものでない局地的な侵略に対しましては、私どもはあくまで自主的にこれに対処し得るように努力していきます。
○柏委員 では新兵器の研究について、本年度予算の中に技術開発予算として陸軍は三億八千、海軍というのもおかしいのですが、海の関係で三千六百万円、空の関係で九億八千五百万円、技術研究関係が十億一千百万円、計二十四億一千三百万円というような予算が計上され、新式兵器の研究が行われておるようでございます。特にこの中でミサイル、レーダーの研究についてなお四億ぐらいの予算があるように聞いておりますが、このミサイルの今までの研究の概要と、これからの研究についての内容というようなものを防衛庁長官から承わりたい。
○左藤国務大臣 装備局長から…。
○小山政府委員 お答え申し上げます。いわゆるGMの研究には、今年度は総額サイドワインダーを有償援助で入手することにいたしておりますが、それを含めまして五億六百万ばかりの予算がついております。サイドワインダーの有償援助等の金を引きますと、今仰せの通り四億五千六百万円ぐらいの額になります。現在までやりました研究の段階は—この研究は昭和二十九年度からつきまして二十九年度と三十年度はそれぞれ数百万円の金で机上の技術調査を進めたわけでございます。三十一年度から具体的にものを試作したり、あるいは参考品を買ったりするような仕事に入ったわけでございますが、昭和三十一年度は総額約三億七千万円ぐらいで、この中にはエリコンの誘導弾を購入する金額の約半額が入っております。それから三十二年度は総額約四億円をもちましてその研究を進めておりましてこの中にもエリコンの残額の約半分が入っております。これまでの段階はいわゆる部分的な試作で、まとまった飛翔体を作るよりも、部分々々の研究を進めておりまして、まとまったものも小さな、加速度をはかったり、体の回転をはかったりするような計測の方法を勉強するとかいう、部分的な研究を進めて参っておるわけであります。三十三年度は、先ほど申しました四億数千万円の金で、初めて基礎研究用の一つのまとまった飛翔体を作るというところまで取りつく段階になっております。研究の目標は、先ほど来お話のありましたように、空対空の誘導弾、これにも方式が二色ございますが、赤外線を追っていくもの、電波ホーミング、電波を発射してそのはね返りを追っていくもの、この二つの系統を研究しておりますが、この空対空の割に短距離の戦闘機から爆撃機を撃つという式と、それからもう一つは地対空の地から爆撃機等を撃つという種類のもの、この二つを主として防空用のものとして研究しているわけでありまして、ものの性質上空対空の方が研究が進んでおりまして、それに地対空の方がついていくという段階で研究を進めている次第であります。今の研究のテンポ、これは外国の技術導入その他の関係もございますが、今のテンポでいきますと、空対空の一番初めの取っつきいいもの、何と申しますか、使いものになり得るというものができるのが三十七年度ぐらいの見当ではないかという見通しを持っております。これは外国の技術導入あるいは予算のつき方、その他とも関連いたしますが、そういうテンポでものをまとめていきたいと考えております。
○柏委員 これらの研究をもって、あるいは研究のほかにアメリカあたりのミサイル兵器の供与というようなものを受けられることだと思いますが、それらによるミサイル装備の問題について伺いたいのでございます。特に防空関係のミサイルにつきまして、新島の試射場の問題はどの程度に進んでおり、これがどういう目的に使われるものであるか、その他を承わっておきたいと思います。
○左藤国務大臣 先ほど前田委員からミサイルの研究を大いに促進せよというお話がありましたが、立ちおくれている日本の技術なり国力で、非常な困難がございまして、今やっと取っつくのにも三十七年までかかると装備局長から申し上げたのでありますが、しかし立ちおくれておりましても、どうしても自衛を全うさせるために研究しなければならぬと思います。これが実験の段階に入りますれば、どこかに試射場が必要でございまして、私どもとしては新島を今候補地に数えているのでございますが、不幸にいたしまして、ミサイルと原水爆とを混同するような、いかにも試射揚を作ればすぐそれが基地になり、あるいは原水爆があそこから発射せられ、それに対する報復を受けるというような非常な誤解も地元にございますので、十分そういう点の御理解をいただき、与野党の皆様方のこういうミザイル使用が必要だという御協力を特にいただきまして、最小限度の試射をいたすところを得たい、かように今存じている次第であります。
○柏委員 次に、熊谷の三田尻のキャンプ跡に防空学校ができるという話が出ましたのが、ことしの二月十八日でございます。その前に二月の十三日に埼玉県の入間郡日高町、川越市、武蔵町にわたるジョンソン高射砲陣地が、六月末には返還になるだろうという記事が出まして、五日間しまして秋山航空幕僚副長が埼玉の熊谷の市役所に市長をたずねた際に、熊谷の三田尻キャンプ跡に防空学校を作る、そうしてその際に、今の誘導弾の関係としては、誘導弾は当分入らないが、いずれは核兵器を含まない誘導弾を入れることになるだろうという話をいたしております。しかしこの問題につきまして、その後の情勢から見ますと、必ずしも熊谷に持ってくる高射砲の学校、そういうものがはっきりきまったものではないという情勢でございましたが、地元におきましては、ただいま防衛庁長官の言われます通り、ミサイル基地に対する絶対反対、将来ミサイル基地ができましたならば、核兵器を持ち込まないという言明がいかにございましょうとも、客観情勢の変化によってはそこまでいくであろうという地元民の危惧の念が、ミサイル基地絶対反対の期成同盟を作りまして、非常に激しい闘争を開始するようになっております。この件につきましてその後の情勢は、幾度もミサイル基地は作っても核兵器は持ってこないという話だけはございますが、どうも地元では納得できないというのが実情でございます。それにつきまして、熊谷の防空学校あるいはミサイル基地の計画について詳細を承わりたいと思います。
○左藤国務大臣 ミサイルが、しかも戦術的な小さいミサイルが絶対に核弾頭をつけ得ないものだということは、先ほども繰り返して申し上げたのでございまして、どうもこれがすぐICBMとかあるいはIRBMというものと混同されやすいのでございまして、ミサイルが即核兵器でないということは、これは世界列国どこでもはっきりしておることでございまして、その点は一つ御了解願いたいと思うのであります。熊谷の問題につきましては、ここに高射砲陣地等を作るつもりはございませんので、現在私どもが希望しておりますのは、熊谷が解除になりましたら、ここに今防府にある航空教育隊の一部を持ってきたい。それからもし予算等の措置が願えますれば、明年浜松にある航空自衛隊の通信学校の分校をここに持ってきたい。こういうような教育関係部隊の機関を置きたいと存じておるのでございます。先ほど新聞記事の話がございましたが、おそらくこれは誤報でございまして、私どもが本庁において今考えておりますのは、そういう教育関係の部隊を熊谷に置いて教育をいたしたいということでありますので、さように地元の御了解をいただきますようにお願いしたいと思います。
○柏委員 地元の人たちは、ミサイル基地の問題につきましては、今までの政府のとってきた、たとえば憲法改正の問題にいたしましても、自衛隊の問題にいたしましても、口には軍隊は作らないその次に戦力のない軍隊を作るのだというように、口に申しますことはいかにももっともらしいことを言われておっても、実際はそういう方向にいつも向けられておる。この実際を見まして、いかに核兵器を持ち込まないと言っても、必ず持ち込むときがくるだろうという危惧の念に対しては、ぬぐい切れないものがあるのだと思います。岸総理は国会においても核兵器に対して絶対持ち込まないとは言っておりますが、果してそれを保障する方法があるだろうか、保障の方法がないではないか、これが今までの経過でございます。しかし今の地対空のミサイルは将来においては必ず核兵器を持つ時代がこなければ、近代戦争の中における防空態勢というものは完成しないはずでございます。そこに問題があるのだと思います。その意味におきまして、私どもは戦力のない軍隊である間はともかくとしても、核兵器を持つような戦力を持つ軍隊になっていくとすれば、絶対にこの際私どもは核兵器を持つような自衛隊を作ることに対して反対をいたしたいと思います。そういう点について、防衛庁長官は今後絶対に核兵器の研究はしない、核兵器をつけるような自衛隊は作らないということに対する確信なり意見なりを表明していただきたいと思います。
○左藤国務大臣 その点は強く申し上げますが、私在職いたしまする間、絶対さようなことはいたしません。またお互いに核兵器を使って戦うようなときは、もう人類の破滅のときでございまして、私どもは—個人のことを申しますが、私どもの今までいろいろやってきましたことからも、もしそういうようなことがございますれば、私はこの職に就任いたしませんし、この職につきましたことは、絶対さような国民に御心配をかけるような核兵器等のことはいたさないという強い信念を私は持っております。熊谷につきましては、全然さような心配のない教育隊でございますので、できますれば私どももよく地元の方に御了解をいただきまして、円満に一つ防衛の一翼を担当していただきますようにお願いしたいと思っております。
○柏委員 熊谷の三田尻のキャンプの実情から見ましても、付近にありますジョンソン基地は日本におけるあるいは極東における米軍の空軍基地として、一番重要なものでございます。その基地を守るための一つの施設として、防空陣地ができるだろうという予想がなされたのが、熊谷の防空学校の問題と関連したのでございますが、こういうジョンソン基地というようなものをかかえての熊谷あるいはその一帯に対してアメリカの軍略上、核兵器が持ち込まれたり、そういう意味の防空陣地ができるというようなことに対しては、そういうことが絶対ないということが保障されるものでございますか、どうでしょう。
○左藤国務大臣 総理大臣もしばしば言明しておりまするように、さようなことは絶対にございません。
○柏委員 これはアメリカと日本との軍事的な相関関係において、どうしてもアメリカ側がそういうものを必要とするときがきたならば、日本はそれに対して協力しなければならない義務を負っているのではございませんか。
○左藤国務大臣 核装備に関しまして、さような義務は全然負うておりません。
○柏委員 核兵器に対して共同の義務を負っていないということに対して、今までに政府はそういうことを内外に表明されたことがございますかどうか。
○左藤国務大臣 国会におきまして総理がしばしば言明をしておるところでございます。
○柏委員 総理は核兵器の持ち込みをしないということは申しておりますが、アメリカ軍との共同の作戦のもとにおいてそういうことをしないということは言っておられませんが、それについてはどういうように私ども解釈したらいいでしょう。
○左藤国務大臣 自衛隊が核装備をいたさないことはもちろん、核兵器の持ち込みは絶対に拒否するということは繰り返して申しておるのでございます。
○柏委員 今から四年ばかり前でございますが、朝霞の基地に原子砲のオネスト・ジョンを持ち込んだことがございます。その当時私どもは、社会党としてそういう原子兵器を持ち込むことに対して、絶対反対で、これに対する持ち帰り方を要請したことがございます。その当時、埼玉県知事の大沢氏にそのオネスト・ジョンの持ち帰りについて、日米合同委員会の委員の一人でございますから、私ども要請いたしましたところ、オネスト・ジョンというような、原子兵器というようなものはある意味において経済兵器じゃないか。日本の軍事費を少くする、自衛隊費を少くするという意味においても、原子兵器をある程度持ってかまわないじゃないかというような意見の表明がございました。私ども非常に憤慨いたしたのでございますが、そういうようなことを考える人も、世の中には多数あるのじゃないかという感じもいたします。そういう点から見まして、現在そのオネスト・ジョンが韓国の方に行っておるそうでございますが、こういうオネスト・ジョンというような原子兵器、あるいは今後もいろいろなもの、今沖縄に来ておりますような、自衛隊の方がこの前見学に行かれたそうですが、そういうような原子兵器というものが、日本に持ち込まれない、絶対に来ないということに対する保障がございますでしょうか。
○左藤国務大臣 総理が訪米をいたしまして、十分話をいたしまして、共同声明をいたしておるのでございます。絶対に核装備をいたさないし、核兵器の持ち込みはいたさないという方針は、岸内閣はもちろんでございますが、私の責任において必ず完遂して参ります。
○柏委員 今の防衛庁長官のお話を、私は非常に誠意のあるお話だと思います。こういう点につきまして、今後これを声明なり何なり、国民の前にはっきりと、一つの形としてお出しになるお考えはございませんか。
○左藤国務大臣 すでにしばしば国会において総理も言明しておることでございまして、もし機会がございますれば—私も国民の代表であります。現在柏委員に申し上げましたこともその一つでございまして、そういう点につきましては、今後私の信念として必ず完遂して参るということを、また表明し得る機会を持ち得ればけっこうでございます。
○柏委員 なお私は、左藤防衛庁長官だけでなく、今後の、左藤防衛庁長官にかわる次の防衛庁長官ができましても、防衛庁の基本的方針として声明されることをお願いいたしたいと思います。 以上をもって、私は本日の質問を終りたいと思います。
○内海委員長 残余の質疑は次会に譲ります。 次会は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。 午後零時二十四分散会