商工委員会繊維不況対策に関する小委員会 第2号
- 発言数
- 40 件
- 登壇者
- 6 名
- 会派数
- 2
- 開催日
- 1958/07/02
会議録
○中村小委員長 これより繊維不況対策に関する小委員会を開会いたします。 繊維不況対策に関する件につきまして質疑の通告がありまするので、順次これを許します。堂森芳夫君。
○堂森小委員 前回並びに前々回の委員会におきまして、私は主として絹、人絹の不況対策について政府に質問をいたしました。本日は重要な点につきまして、二、三点大臣にお尋ねしたいと思います。 もちろん今日は、人絹界だけとりましても、すでに人絹のメーカーは五割の操短をしており、そうして現地の機屋は、三割の操短をいたしておる、こういう状態でありますが、実は昨日繊維局長の答弁によりますと、大体繊維産業全体にわたって言えることは、その不況の根本原因は過剰生産である、こういうかいつまんだ答弁でございます。私もそう思うわけであります。そこで、絹、人絹の産地は主として北陸でございますが、北陸地方の絹、人絹だけ私は取り上げてみたいと思うのです。地方における要望は、たとえば三十一年に施行されました繊維工業設備臨時措置法でございますか、この法律に基いて、五カ年間に過剰織機を順次買い上げる、そうして政府からの国庫補助と業者による負担、こういう方法で五千台、五千台、本年度内に六千台、こういうことになっているわけであります。そうして最初は二万円、昨年度から三万円で買い上げることになり、業者負担も最初は半分であったのが、昨年からは三分の一になり、非常に業者にはありがたい措置が講ぜられておるわけであります。しかしきのう参考人を呼びました際にも、綿スフあるいは絹、人絹、いずれの業者も、織機についての買い上げの値段をもっと上げてもらいたい、たとえば人絹の織機でも十万円以上十五万円、あるいは精巧なものになればもっと高いものもある、しかるに買い値が三万円ではどうにもならない、こういう希望もございました。また残存業者は、その負担に耐えられないから、そこで残存業者の負担分についても、全部国で見てくれということは言わないが、正長期で、しかも低金利な融資の方法を考えてもらいたい。またこの五カ年計画によって五年間にやる、こういうことでは、そうしたいい政策も効果が薄れる、一日も早く短期間に買い上げを完了してもらいたい、こういう希望もあったわけでありますが、この買い上げの織機につきまして、本年度内は六千台、こうなっておるわけです。しかし、これはもちろん絹、人絹、綿スフ一切を含めての六千台でございます。しかしながらこの綿スフ界においては、昨年は買い上げをしてもらわなくてもいいという意思だった。しかし今年に入って、綿スフ界もやはり不況が押し寄せておりますから、綿スフの方の織機も買い上げてほしい、こういう希望が強くなってきておりまして、どうしてもこの買い上げ織機の数をもっとふやしてもらわなければいかぬ、こういう事態が起っております。それからまた金額をもっとふやしてほしい、台数をふやすと同時に、買い上げの一台当りの価格をもっとふやしてほしい、こういう希望があるわけです。しかし、すでに予算は、もう六千台として一億二千万の国庫補助がきまっておりますので、これはできません。そこで、九月の上旬といわれておりますが、あるいは下旬、中旬かもしれませんが、臨時国会に一つ補正予算を組んで、この業界の不況——ある意味では、私はパニックじゃないかと思うほどの深刻な不況を救うために、補正予算に、さらにこの買い上げ織機の金額をふやして下さるような御意思があるかないかということを、まず承わりたいと思うわけでございます。
○高碕国務大臣 私は、実は繊維産業についてははなはだしろうとでありまして、就任以来一生懸命検討いたしております。いずれにいたしましても、繊維業界の今日の不況というものは、容易ならぬことだと存じます。その対策といたしまして、いろいろ話を聞きますと、結局現在の設備は過剰であるということでありますが、しからば、この設備の過剰をどういうふうに整備するかということを局長あたりに命じておるわけであります。ただいまのお話は、人絹、スフということでありますけれども、これは、やはり繊維全体を総合的に考えまして、そうしてみな困っているときだから、今の業者の方々にこれを負担させて、そうして買い上げるということは無理だと思っております。実際は、残存業者がある程度の負担をすべきことは当然でありますけれども、理屈は正しくてもなかなか無理だ。といっても、政府にもなかなか莫大な金はないわけでありますから、私は金額をふやすということよりも、各業者の負担を低減するとかいうふうな方針に持っていくことがよくはないだろうか、こう思うのであります。この点につきましては、よくくろうとである小室君がお話し申し上げますが、とにかく私は、この問題は深刻に取り上げていきたいと思います。この小委員会が特に選ばれたということで、私は心から喜んでおるわけであります。十分御検討願いたいということをこの席上から特にお願い申し上げておきます。
○小室説明員 ただいまの大臣の御答弁にあまりつけ加えることはないのでありますが、絹、人絹織機の買い上げ価格については、むろん昨日もお答え申し上げた通り、業者にこの際できるだけ手厚い保護を加える、不況の際であるから、特に手厚くめんどうを見るという考え方からすれば、現在の価格でも安いという見方もできるかもしれませんけれども、現在の価格でも、実は申し込みが三十二年度のワクの二倍になり、押すな押すなという状況でありますから、これをあながち非常識な価格だとは言えませんし、私自身も、情勢が普通の状態であれば、手取り三万五千円というような価格は、まあまあ相当いい価格だというふうにも考えておる次第であります。ただ最近の長期の不況で、実際問題として業者に支払う能力が非常に乏しい。さりとて全額国庫負担というわけには参りませんが、現実に組、人組の業者といい、あるいは絹スフの業者といい、負担能力が乏しいということはわれわれ十分認識しておりますから、その点、何かその間を調整する方法はないだろうかと思って、現在実は非常に苦しんでおるわけでございます。
○堂森小委員 さっきの大臣の御答弁を聞きまして、私喜んだわけです。と申しますのは、残存業者に負担させることは苛酷だからできないということですから、そうすると、みんな国が見てくれるのだ、まあこういうふうな御答弁にもとれるのですが、そのあとの言葉は、しかしなかなかそうもいかないのだ、こういうことですし、また局長の答弁では、今苦しんで考えておるんだ、こういうことでございました。これじゃ一向解決できないわけでありまして、一体どういうふうにお考えになっておって、どういうふうにしていきたいというめどがあると思うのですが、局長でけっこうですから、もう少し御答弁願いたいと思います。
○小室説明員 業界からは、長期のきわめて低利の貸付をしてほしいという御要望もありまして、ごもっともな点もあると思いますが、現実の問題として、現在の金融制度のもとにおいて御要望の通りのことをすぐ実行することには、かなり困難な点があります。実はそういう情勢も考慮に入れまして、先ほど御指摘の通りに、従来一対一であった補助金対負担金の割合を、まあこういうことは従来の補助金の例にほとんどないことでありますけれども、三十二年度から二対一に絹、人絹に限ってはいたしたわけでございます。最近特に不況が深刻化しておりますから、私どもとしては、そういう深刻な不況の情勢のもとに諸般の制度を再検討しよう、またそれについて、この委員会等で各委員の御意見等を傾聴して、その結果でまたできるだけ実情に沿った考え方をして参りたい。ただ今この場で答えろと言われても、はなはだ私としては……。
○堂森小委員 そこで次の問題でありますが、これは、私よくわからないのですが、私は、この間うち郷里へ一日帰りまして、業者の人からいろいろなことを教わったというか、聞いたのです。そうしますと、これは絹、人絹、あるいはスフという業者の考え方ですが、原綿と羊毛の論人をもっと規制してもらうことによって、日本の国の外貨を外へ流すということが防げるはずだ、こういうわけです。これは、ある意味では絹、人絹というような人たち、スフの立場の人たちからいえば、あるいは非常な我田引水であって、自分たちの業種を守るためのただ我利々々の個人主義的な考え方だ、こういうことも言えるかもしれませんが、そこで、これは大臣でなくともけっこうです、局長から御答弁になってけっこうですが、現在それがどれくらいな金額になっておって、将来そういうふうなウールだとかコットンの輸入を今よりもっともっと規制していくことが可能であるのか、あるいはそういうふうな計画を持っておられるのか、その点、一つ御答弁願いたいのです。
○小室説明員 数字の問題ですから、私からお答えいたします。わが国の輸入の項目として一番大きいものは、食糧が大体第一位であります。第二位が繊維原料でございます。その中でも、綿花と羊毛というものはきわめて大きな項目でありまして、最近の例で申しますと、昭和三十一年度は、三億九千五百万ドルの外貨割当を計上して実施いたしました。それから三十二年度は、四億一千九百万ドルの外貨予算を当初組んだのでありますが、これは、国際収支が悪化して、例の緊急対策を実施しなければならぬというような事態、及び不況状況等も参酌いたしまして、三億三千万ドルに二割以上圧縮したわけであります。羊毛についても、三十一年度は二億七千九百万ドルというのが実施された予算であります。それから三十三年度の当初予算は三億三千八百万ドル、これにさらに圧縮を加えまして、二億二千百万ドルというふうに大きな圧縮を加えております。三十三年度の予算は、まだ上半期しか決定しておりませんが、ごく大づかみに申せば、三十二年度の圧縮されたベースをそのまま横に引いておるというような感じでございます。 ところで繊維不況に対する対策の一環として、原綿なり原毛なりをもっと圧縮したらどうかというような御意見がある、それについての役所側の見解はどうかというお尋ねでありますが、繊維は、やはりこれは総合的に需給を安定させるということが大切でありまして、今日日本の繊維事情でもそうでありますし、世界の繊維事情でも、綿、毛、化繊というものは相当広い範囲に渡って相互に代替し合っておりますから、繊維全体がダブついている場合には、ある繊維だけが好況になるということはかなり困難であります。そういう意味で、私は繊維の総合的な需給安定ということに非常に関心を持っておりますが、同時に、何かある産業のために他の産業部門が犠牲になるという感じのことは、非常に好ましくない、最近で申せば、綿業、これは織布工業のみならず、綿業全体としても不況でありますので、操短を継続して参らなければならぬという情勢になっております。操短継続を前提としないで組んだ外貨予算については、所要の調整を加えるつもりでおります。その結果として、繊維の総合的な需給安定という目標に、あるいはもう一歩近づくということにもなるかもしれません。一方において総合的な需給の安定をねらい、他方において、当該原料を使う繊維部門の需給事情を見て、その辺の適切な処理をはかって参りたいと考えておるわけであります。
○堂森小委員 羊毛あるいは原綿を輸入し、さらにその加工輸出によって外貨が得られる、これはだれでもわかる理屈でありますから、人絹の機屋さんの言うような、そうしかく簡単に参らぬことは私もよく了承しているわけでありますが、今後こうした日進月歩の繊維という産業については、格段の綿密な計画を当局は立てながら、業界の指導に当ってもらいたい、こう思うわけであります。 そこで次の問題でありますが、きのうの参考人の綿スフの業者の方々から、強い要望があったことは局長もお聞きになっておられたわけですが、操短に対する融資を願いたい、こういうふうな強い要望があったと思います。こまかい数字は私もつよく記憶しておりません。しかし、ああした悲痛な叫びと聞えるような操短の融資の問題でありますが、あのあげられておった数字を聞いておりまして、その裏づけといいますか、その計数的な根拠といいますか、そういうものについては、私もにわかによく理解することができませんでしたが、とにかく操短によって非常な不況にある、こういうことだけは、私は間違いないだろうと思うわけでありまして、こういう方面への融資ということについても、極力大臣におかれては事情をよく調査してもらいまして、そして業者の希望に沿えるように、もっともこれは筋が通らなければできませんが、そうした一つの筋のよく通った話であるということになるならば、そうした努力もしてもらいたい、こういうふうに私は思うわけであります。特にそういう点をお願いしておくわけであります。 次は、もう一つの点でありますが、絹、人絹、あるいは綿、スフの方もそうでありますが、インドネシアヘの賠償物資として繊維製品を向うに運べるようにしてもらいたい、こういう希望があるわけです。これは、国際関係の微妙な問題でございます。また私が申さなくても、すでに大臣もよく御承知の通りでありますから、国会でいろいろ論議するなんということは、あまり益のないごとくらいは私も知っておりますが、しかし、政府の方で、生産財を主として賠償として持っていくという根本方針は、厳としてくずせないものであるかどうか、消費財といえども、向うの希望があれば持っていくことが可能である、こうお考えでありますか、大臣から御答弁願いたい、こう思うわけであります。
○高碕国務大臣 繊維製品を賠償の対象にし得るやいなやという問題でありますが、元来は、賠償対象として生産財を持っていくということも、サンフランシスコ講和条約からいえば間違っているわけでありまして、日本の労力をもって賠償を完遂するというのが原則になっているわけであります。従いまして、原則論から言えば、外貨負担の非常に多いものは困りますが、日本の労力と日本の資材をもって作られたものをもってやるということについては、この原則については、生産財をもってやるのとちっとも変らない、私こう思っております。けれども、従前の賠償のやり方は生産財、残るものだ、こういうことでやっておるわけでありますが、今日のような繊維業界の不況に対しますと、いかにしてこれを消化するかということが一番大きな問題でありますから、できるだけ余った在庫品等を持っていきたいと思っているわけでございます。業者の申し出がありますれば、これに対して善処いたしたいと思いますが、実は相手のあることでありますので、相手方がこれを希望してくれないと困るわけでありますから、相手方にもある程度働きかけをして、できるだけやりたい、こう思っております。ただし、一方において、賠償でやったがために平常の貿易が減退するということでは困るわけです。簡単に言えば、賠償で一万ヤールを渡すと同様に、一万ヤールを買ってくれということもつけ加えたいと存じております。
○堂森小委員 大臣の御答弁、まことにけっこうなんですが、外貨がなくて困っておる。それから、大臣御承知のような東南アジアの現在の状態で、賠償として繊維製品を一万ヤールとり、さらに今度は一万ヤール金で買え、こういうことでないといかぬとおっしゃるのでしょうか、あるいはそういうことは可能でありましょうか、いかがでありましょう。
○高碕国務大臣 ビルマに対しましては、条件をつけて、ほかの消費物資を持っていきました。向うの方は政府が買うのですから、ちょうど賠償で半分はもらえる、半分は現金で払っても、それをすれば半値で行くのだから、国家財政がうまくいくから、国家自身がこれを買い取った事実もあるのです。そういうことはできるだけ希望しますが、先方の希望もあることですから、こちらの思う通りにはいかないでしょう。そういった場合は、こちらも弱いところがあるのだから、それじゃやむを得ないということになるでしょうが、一応はそういう交渉をしてみたいと思っています。
○堂森小委員 これは、もう絹、人絹の産地では非常に希望しておることなんです。と申しますのは、たとえば私は福井県ですが、人絹のストックだけでも、約三月分くらいあるのじゃないか、これが一掃されないことにはどうにもならぬ、こういう気持があるわけでして、賠償としてこれが扱われることになれば、旱天の慈雨ということになるのじゃないかと思うのです。これは、もう業界あげての声であります。大臣に、まだ陳情がないというふうにも私はとれたのですが、おそらく来ておると思う。いろいろ御質問申し上げたいのでありますが、次の方に私はこれで譲りたいと思います。どうもありがとうございました。
○中村小委員長 次は田中武夫君。
○田中(武)小委員 局長には何回かお尋ねしておりますし、大臣に聞きたい点だけお伺いいたしますから、大臣にお答え願いたいと思います。 まず、きのうもお伺いしましたが、この繊維の不況の原因はどこにあるか。局長は、これは需要の減少でなく、供給の増大である、こういうようにお答えになった。まさにその通りだと思うのですが、それから先の分析になると、政府とわれわれと変ってくるのです。一体大臣は、この不況の原因をどういうように把握せられておるか。これを乗り切るためには、相当政治的な力が必要だ、これは、失礼ながら局長さんよりか、大臣の力でなくちゃならぬと思うのですが、大臣はどのような心組みを持っているか、お伺いいたします。
○高碕国務大臣 これは、私の勘でございますが、戦争中繊維が非常に不足して、戦後繊維が出たというので、みんなが思い切って必要以上にたくさんの需要をした。そこに持ってきて好況になってきたというので、必要以上の需要が出た。好況になってくるから、繊維業者も思い切って設備を拡大した。いろいろな心理状態が働いて、実際の必要以上に設備をしたというのが実情だと思います。要するに設備の過剰ということが、すべての原因になっていると私は存じます。
○田中(武)小委員 過剰投資による過剰設備、それからくる生産過剰、それが不況の原因であると私も思っております。しかし、データを見ますと、一昨々年ですか、繊維工業設備臨時措置法をわれわれが論議していた前後から急激にふえてきている。通産省に、繊維機械を計画的に配置しようという計画があるにかかわらず、かけ込み増設ということになった。それをやはり見のがしておったところに、通産省自体の責任があると思うのですが、そういう点については、いかがでしょうか。
○高碕国務大臣 これは、いわゆる神武景気で、ワーつとやってくる、近いうちにまた政府がこれを押えるだろうということになると、かけ込みがある。これを法律をもって早くやろうというのだが、法律を施行するには半年か一年もかかってしまう。それで、どろぼうの方が早く走ってしまって、なわをあとでなった、私はこういうような感じでおるのであります。
○田中(武)小委員 なるほど、設備が過剰だから、これに封印をして、買い上げるとか、いろいろ措置を考えますが、しかし、設備があるのだから、できるだけそれをフルに使って、消費できるような方法を考えていけばいいではないか。そうでなくて、ただ設備が多過ぎるのだ、だから操短だ、こういうのなら、日本の経済は将来縮小、こういうふうに行かざるを得ない。これは、きのうも局長にお伺いしたのですが、大臣にもう一ぺんお伺いいたします。戦前と戦後の内需と貿易とのバランスを見た場合、繊維製品の余生産量の三分の二以上が輸出で、三分の一が内需であった。ところが現在はそれが逆転して、三分の一が輸出、三分の二以上が内需、こういう格好になっている。従って、輸出という面について、もっと努力しなくてはならぬではないかと思うのですが、逆にアメリカ等からは、むしろ制限がきておる。こういうことに対して、もっと外交的な交渉、経済外交といった面が必要だと思うのです。アメリカの綿製品の輸入の禁止ないし制限、こういうことについて、政治的にどのように解決しようと考えられているか。輸出を増進していく上において、もっと積極的な施策が必要だと思うのですが、いかがでしょうか。
○高碕国務大臣 ただいまの御意見、私は根本において同意でございます。一体設備をすることについて、政府はもっと規制をやらなければならぬわけでありまして、それができてしまった今日になってみれば、ある設備を動かさないというやり方は間違っていると思っております、これは理屈でございますが。しかし、先ほど申し上げたようにかけ込みがきて、実際政府の力が及ばぬ先に設備をされてしまっている、これはある程度減産していかなければならぬ。ただいまのお説の、戦前は三分の二が輸出であったということは、これは、日本の繊維工業がいかに戦前恵まれておったかということを物語るわけであります。戦後の状態は必ずしもそうはいかない。ということは、綿製品を使ってくれる相手方が自給策を講じていることと、今まで一番大きなマーケットであった中国自身、あるいはインドにいたしましても、自分で作って出してきた。かりに中共貿易が回復しても、今後戦前のような工合に、繊維製品を中国へ売るということはできない、こういう考えでございます。といって、輸出をこのまま手をこまねいてじっとしているということではない。特に対米輸出につきましては、アメリカからあれだけの綿を買っているわけでありますから、そういうこともかみ合せまして、アメリカの業者が、わずかの日本の製品にああいうふうに騒ぎ立てるということは、はなはだ残念であります。けれども、これはアメリカのために弁護するわけではありませんが、これをアメリカのボイコットであると言っておりますが、私はボイコットではないと思っております。ボイコットというものは、国民全体が日本の製品に対して反対の意見を出すのだ。アメリカの大衆は、日本の安いものをもっとほしい、この気分が相当あるわけであります。アメリカ政府は、それを認めておるわけであります。ただそれを反対しておるのは、実際の製造をしておる中小商工業者が立っていかないというので、そうして、選挙前でもあるから議員に働きかける。それが議会の問題となって大きく取り上げられているわけでありますから、今後アメリカに対する輸出振興という意味から申しまして、大体アメリカの議会だとか、あるいは委員会等に、十分日本の力をもってこれをよく話し合いをつけるというふうなことも、今度通産省の機構の中に作りまして、よく話をしたいと思っておるわけであります。同時にまた、日本のこういう製品を作っておる綿製品の業者自身も、アメリカの当業者とよくお互いに問題を打ちあけて話し合って、先方のじゃまにならぬように、先方を迷惑させぬように、業者自身とも話し合いをつけていくというふうなことをやっていけば、日本の綿製品でも、その他繊維製品のアメリカに対する輸出は、決して悲観すべきものではない。大衆はこれを喜んでいるのでありますから、日本品だから買わないというのじゃなくて——日本品だから買わないというようなことは、その生産をしておる土地の、その州においてはそうやっておりますが、大体においては、日本製品が安いから、これをもっと持ってこようじゃないかというような空気があるようでありますから、この点につきましては、政府としても一般の努力をいたしたいと思っております。
○田中(武)小委員 大臣おっしゃる通りで、アメリカの中小企業を、アメリカの議会なり、そういう政治力によって守ろう、こういうために、今度は日本の中小企業が立っていかぬ、こういうことになっている。ことに同じ中小企業といっても、アメリカの中小企業と日本の中小企業はだいぶん質が違う。そこで大臣、一つ思い切ってアメリカに行ったらどうですか。何か国会が終ると、岸さんが行くとか、藤山さんが行くとか言っておるのですが、ああいう人が行かれるより、大臣が今のような元気で行かれた方がいいと思うのですが、どうですか。何かこの間の委員会でも、中国へ行くという話を聞いたのですが、きょうも午前中、当委員会は日中貿易について参考人から意見を聞きましたが、一つあなたが中共へもアメリカヘも飛んでいって、貿易の問題を話をつけてくる、こういうようなことはいかがでしょう。
○高碕国務大臣 それは、政府全体がその気になれば、高碕自身が行く、藤山外相が行くということよりも、全体の方針をきめて、そしてどういうふうに方針をとるかということで、それに対する予算措置を講じていけば、私が必ずしも行かなくても、最近アメリカの朝海大使がこちらへ帰りますから、それと相談をした上でその方策を講ずれば、大体いくだろうと思っております。
○田中(武)小委員 とにかく外務大臣よりかあなたに期待しておるということだけは覚えていて下さい。 それから輸出ですが、今度は内需も起さなくてはいかぬと思う。内需を起すためには、やはり大衆購買力をふやさなくてはいかぬ。大衆購買力をふやすためには、国民生活の安定、あるいは労働者に対する収入の確保、いろいろなものがあると思います。今日この輸出という問題を大きく取り上げることによって、一面政府の内政における失敗といいますか、そういうことがカバーせられておるように思う。内需をふやす、大衆購買力を上げていくためには、国民生活の安定が大事だと思いますが、そういう点についての御見解はいかがでしょうか。
○高碕国務大臣 私は、根本方針はそこにあると思います。国民生活を安定せしめる、安定だけでなくて、向上せしめるということが大事でありますから、そういう意味から申しまして、国内の繊維製品の消費をもっと増大するということは、私はいいことだと思っておりますが、これも、やはり国民全体の収入にマッチしていかなければならぬ問題でありますから、これだけをよけい買わすというわけにはいきませんから、全体の国民の生産力を上げ、国民全体の収入を多くするということによって、これは、必然的にふえるという方針をとっていきたいと思っております。
○田中(武)小委員 ともかく国民生活の安定、大衆の収入の確保といいますか、所得の確保、そういうことについて一段の努力を願いたい、これは、政府全体にお願いしたいと思います。 次にお伺いいたしたいのですが、前の国会におきましても、当委員会で繊維の不況、ことに北陸三県の不況を取り上げております。大体そのときには操短と融資——融資の点を、一つきのうも参考人の方にたくさん来てもらって聞いたのですが、たとえば大阪では、五億円の融資のワクが出た。ところが実際は一億円足らずしか借りられなかった。また北陸は、われわれが決議したということもありまして、一億二千万円のワクが出たのだが、実際の借り入れば皆無であるというようなことがいわれておりまして、その原因は何かといえば、ほとんどが中小企業であるので、担保の負担能力がないというようなこと、もう一つは、金利が高いというようなことが原因だった。一面融資をしろと業者は言っておりながら、ワクが出ても借りられないというのが実情である。従って、担保能力がないものに対しては、信用保険とか、そういうものもあるが、そうすると、金利がより高くなる。金利というか、保証料も入って高くなる。問題は、やはり金利が高いということだ。そういう点について、こういう特別な情勢にあっては、金利を引き下げる必要があると思う。これは、局長にお願いするより、大臣が政治的に考えてもらう必要があると思うが、政府としてはどうお考えでしょうか。
○高碕国務大臣 中小工業の金利を引き下げるということは、一般問題として、現在政府は全面的に検討しておるわけでありますが、特に繊維工業は、それでは追いつかない不況になっておるということも事実でありますから、そういうようなことから、せっかくワクを作っても、それは高ねの花であって手が属かないということでは、何にもならぬわけであります。そういうことを防ぐために、前もって織機を買い上げるというような方針もとったわけであります。これについては業者の負担が多いというので、負担できないところはできるだけ減じていこう。そこで先ほどお答え申しました通り、また御質問のあった通り、できるだけそれに対しては低金利の方法を講じ、織機買い上げに対するものについては、何か特別の方針をとって、低金利の方法を講じてやるということをせっかく検討中であります。
○田中(武)小委員 できるだけ一つ考えていただきたいと思います。この前の国会で、前尾前通産大臣にも、そういう点のことを申し上げたことがあるのですが、よくわれわれが言われるのは、同じ国民であって、同じ政府の資金を借りるのに、農林中金から借りるのと、商工中金あるいは中小企業金融公庫等から借りるのとでは、支払い期限の面においても、金利の面においても極端な差がある。商工と農業との間には基本的な違いがあるということは、よくいわれたが、あまりにも商工中金その他と、農林中金その他との金利その他がかけ離れ過ぎておる。そういう点についても、もっと引き下げていく必要がある。そういう点について、政府として一段と考えていただきたい、こういうように要望いたしておきます。 それから操短の問題ですが、これも、何割かやったが追っつかないで、またその上で何割かやる。従って二割が三割、三割が四割、こういうようになりつつあると思います。だが一面何割かの機械を封印するが、しかし残った方の機械をフルに使っておる。そういうことで、働いている人たちに労働強化という徴候が現われてきておる。しかも、大体こういう機場における労働者の賃金は、出来高払いか多いようでございますので、今まで十台なら十台持っておったのが、四割操短なら六台持つ、従ってそれだけ減る。そうして結局操短の結果は、長く働いて前と同じ、あるいは以下の賃金しかもらえない、こういうような状態があると思います。そこで、操短と同時に、労働時間ということを考えねばならぬと思う。たとえば現在平均十時間の労働をやっておる。それを、労働基準法の全面的実施による八時間労働をするなら、二割操短と同じような結果が出るのではないか。算術的な計算はできないとしても、そういう結果になると思いますが、この操短の問題と労働強化の問題、こういうような点については、どのようにお考えですか。
○高碕国務大臣 私は、そういう問題につきましては、実際は実情を知りませんからしろうとなんです。どうやるこうやるということを、今私はここで申し上げかねますが、事業をやっておりました勘から考えて、よく実情を調べた上において、そういう点は実行に移したいと思います。今のお話のようなことはあり得ることだと思いまして、私はよく記憶にとどめまして、そういうことは、一つ検討いたしたいと存じております。今結論を申し上げることができないことは、はなはだ遺憾に思います。
○田中(武)小委員 大臣からこまかい答弁を聞こうとは思っていないのです。こっちの言うことを聞いてもらって、頭に置いてもらえばいいのです。そういうことを一つ十分に頭に置いて、操短を考えるときにはぜひ考えてもらいたいということです。 それから大企業と中小企業との経営の関係といいますか、どの産業においてもそうであるが、繊維においてはことにそういった大企業優先というか、大企業優遇という点が現われているのじゃないか、このように思うわけであります。たとえば綿花の割当等にいたしましても、紡績には優先特典的な割当がある。糸にしてもそうです。そういうような割当自体にも、大企業紡績とすなわち中小企業の機屋とは、制度上において大きな不平等な扱いを受けておる。しかもきうの参考人の意見等を聞きましても、大企業のいわゆる系列強化によって、たとえば東洋レーヨンとかなんとかいうような系列によって、賃金加工といいますか、仕事をしておるが、最近どんどんと工賃が下げられてきておる、こういうことを言われておるわけなんです。こういう点について、まず中小企業の経営の安定——現在のようならば、不安定で仕方がない。こういう中小企業の経営安定という面から、綿花の割当制度の問題等々について根本的な検討を加える必要があると思うのですが、この点についてはいかがでしょう。
○高碕国務大臣 私は、この綿花の割当等につきましては、大工業に厚く中小工業に薄いということになれば、中小工業自身がやはり一つの組合のようなものを作って、これをもってやるとかいうことを考えて、やはり平等な特権を与える必要がある、こう存じております。しかし、これまた私の勘で、はなはだ申しわけない、聞違っておるかもしれませんですが、大工業というものは、相当の利益のあったときでもこれを保留し、そうしてそのときの経営者の給料というものは、大体きまっておるのでございます。ところが中小工業を見ますと、利益のあったときには、どうも経営者というものが存外の利益を取って、まず自分の住宅を作るとか、いろいろな方面に消費されてしまう。そうしていよいよ不況になると、これが労働者の方に一番しわ寄せがいって、そこにあるいは首切りが起るとかなんとかいうふうなことになると思いますが、これは、やはり中小工業の経営者というものも、好況時に対してはどうするかということも、相当考えてもらわなければならぬ。こういうことは、私は中小工業対策に対する一つの必要なファクターだと存じておるわけであります。
○田中(武)小委員 言われるように、大企業は経営の基礎が深く、中小企業は経営の基礎が浅いから、少しの打撃でも大きくこたえる、これはよくわかった事実なんです。だからこそ、より一そう政府の保護が、そういった基礎の浅いところへ向けられるべきじゃないかと思うのです。だが実際の面を見た場合には、これは、失礼ながら現内閣のやり方は、大企業重点主義である、こういわざるを得ない。そこで、われわれが信頼する大臣であればこそ、もっと糸の割当とか、そういった問題についても、大企業偏重といったような点を改めて、中小企業をもっと保護育成するという、こういう立場から一つ考えてもらいたい、こういう点を要望いたしておきます。 それから次に、中小企業の税金の問題なんですが、これは通産大臣に言うのはちょっとおかしいのですが、きのうも、実は自治庁の市町村税課長ですかに来てもらって、固定資産の問題を聞いたのですが、どうも税法の解釈を言う程度の答弁しかできなかった。われわれは、そういうことを聞きたがっておるのじゃないのです。たとえば織機を操短によって封印をする、そうして、将来これを買い上げていってスクラップにする、こういうような織機は、これは当然封印と同時に使用しないわけです。ところが、これに対して固定資産税がかかっている。こういうのは、当然固定資産税を減免すべきじゃないかと思うのです。ところが、事務官では、そういうことについての答弁はできない。税法の第何条かに、一年間納入を延期することができるからというようなことを言っておりますが、一年間の延期をしてみても、やはり納められない。われわれの言うのは、実際これは将来使わないのだから、固定資産と見るべきではなく、固定資産からはずすべきじゃないか、こういうふうに考えるのです。こういう点についての固定資産の根本的な問題、あるいは設備の更新に関連しての耐用年数の問題、またこれは繊維関係だけではございませんが、中小企業全般にわたって事業税を全面的に考え直す問題、こういう点は重要な課題になっていると思うのですが、こういう点につきまして、大臣として、一つ政治的な御答弁を願いたい。
○高碕国務大臣 中小工業の事業税を低減するということは、根本において必要だと私は思っておりますが、特に稼働しない設備、いわんやスクラップ化するというようなものにすら課税するというようなことは、これは根本において間違っていると思いますが、さて実際の取扱いになると、そこにはまた困る点があるだろうと思います。そういう点につきましては、通産省として大蔵省とよく折衝いたしたいと思っております。
○田中(武)小委員 時間も五時にならんとしておりますから、これを最後に要望を申し上げておきにたいと思います。 今御答弁していただいたことが、全部ほんとうに実行せられ、誠意を持って大臣が努力して下さるならば、少しはよくなると私は思うが、この繊維不況というものは、なまやさしいものではないのです。そこで、内需を起すための国民生活の安定全般に対する施策も必要であろうし、輸出振興のためのいろいろな積極的な政策も必要だろうし、ことにアメリカ等に対して強く交渉するということも必要である。また、先ほど堂森委員からも質問が出ておりましたが、賠償物資に繊維をぜひ入れること、これも業界並びに関係者の大きな希望だと思う。なるほど先ほどの御答弁のように、サンフランシスコ条約その他からくるいろいろな微妙なものがあろうと思うのですが、これは、ぜひ一つ入れるようにしてもらいたい。それから税金の面等においても、これは繊維だけではなくて、中小企業全般にわたって検討すべき問題があろうと思う。さらにまた融資の面においては、金利の問題、担保力のないものに対してどうやっていくかという問題、こういうようないわゆる中小企業向けの金融の問題等は、根本的に解決せねばならぬと思うわけです。これは、中小企業庁長官にも十分考えてもらいたいと思うわけなんです。そういう点について、せっかくわれわれが期待している通産大臣であるから、あなたの在任中にできるだけ道を開いてもらいたい、このことを大臣に対してお願いしておきます。それからわれわれ当小委員会は、いろいろ大臣あるいは政府委員に質問をいたしましたあとで、何らかわれわれとしての意思表示をいたしたいと思いますから、そういうことができたときには、それを全面的に誠意を持ってやってもらいたい、こういうことを要望いたしておきます。
○高碕国務大臣 ただいまの御要望は、私全面的に同感でございまして、よく御要望に沿うように努力いたしたいと思いますが、これは、私の省だけではいかないことでありまして、全体に関係することでございますから、小委員会としても、各方面に対して働き得るように、どうかよろしく御後援をお願いしたいと思います。よろしくお願いをいたします。
○中村小委員長 次は、中井一夫君。
○中井(一)小委員 私は、ただ一点だけ輸出貿易に関する問題で大臣の御所見を伺いたい。かつ、これは実際問題と法律の建前とがどうしても一致しませんから起る問題でありますので、ぜひ通産省としての御考慮をお願いしたいと思うのであります。そういう意味において私は質問をいたすのでございますが、輸出貿易を盛んにするということにつきまして、いよいよ政府も本腰を入れられて、もとよりその中心は通産省でおやりになる。しかるところ、最近東京の警視庁を中心にして起っておる問題があります。私は、その内情を聞き知って、これは何としても国家的の見地から、通産省においても一つお考え下さらねばならぬ、こういうふうに思うのでございます。すなわち、東南アジア各地に対しまして日本からいろいろなものが輸出されます。しかし、もとよりそのすべてではございませんけれども、その多数のもののうちには、相手方の国におきまして、あるいは輸入を制限するものがある、また多くの額の輸入を好まざるものがある、こういうような理由その他の理由よりいたしまして、取引価格は元来百万円のものといたしますると、信用状も当然百万円で組んでこなければならぬのを、信用状には八十万円しか書かない、あとの二十万円は、日本において円でその輸出者に払う、こういうようなことが多々行われておるのであります。しかし、そういうふうにしなければ取引ができない、相手方買主の方では承知しないのでありますから、やむを得ず日本の商人またメーカーとしては、お得意様の意向に応じてそういうことをやっておるというのが多々ございます。現在問題になっておりますのは、日本の有名なるメーカー、商社五十一、三社がこれにひっかかっておるのであります。すなわち、そういうやり方をすれば、これは外国為替法違反だ、こういうふうになりますと、いかに政府において表向き輸出の増大をおはかりになりましても、実際上法律に縛られてやれぬということになる。こういう場合に、西ドイツなどにもその例があるそうでございますが、政府として何とか貿易の実情に合うように、業者がやりやすいように、法律を改正するなり、また取扱いを寛大にするなりせられる必要がある。こういう問題の場合、外為法違反でやられますれば、業者は全く手をあげざるを得ぬのであります。繰り返して申せば、法律通りにいけば商売はできないし、従って貿易の伸張はできない、貿易を大いにやろうとすれば、自然に法律違反になる。これは、しかし何としても国策の上から見ても残念なことでありますから、通産省といたしましては持に考慮をされる、あるいは大蔵省との間に御相談になるなり、また警察あるいは検事局、法務省との間に御相談になって、何とか実情に合うように、業者を擁護せられるようにしていただきたい、こう思うのでありますが、その点についての大臣の御所見を一つ承わりたいと思います。
○高碕国務大臣 この問題は、非常にむずかしい問題でありますが、従前の為替法から申しますと、外国人が持っておる円為替で凍結されたるものが日本にあるわけです。たとえば映画のフィルムを日本に持ってきて売った、その金は本国に持って帰ることはまかりならぬ。ところが外人は、それを物にでもかえて持っていきたい、こういう考えがありますから、そういう場合には、その円を使用するために、百円のものを五十円のLCをもってやる、あと五十円をこっちで払うということにすれば、これは、自分の日本に持っておる円を持ち逃げすることができる。これは一つの案でありますが、そういうふうな点からいたしまして、政府といたしましては為替法で厳重に取り締っておるわけであります。今のお話によりますれば、これはチェック・プライスをきめておる、値段で縛っておるのだ、その縛っておる値段をもっと自由にしたらどうかというふうな意見に帰するだろうと思いますが、そういうことをしますれば、また過当競争ができるわけです。非常な不当競争ができる、だんだん値段を下げてしまって、日本の値段がしり下りをする、それで外貨の獲得は少くなる。これによってまたその市場において不当競争の結果、かえって商品を売れなくするというふうな点があるものでありますから、そういうふうな点を考慮いたしまして、ただいま中井委員のおっしゃったようなこともよく勘考して、適正な方法を考えていきたい。実際私は、大阪においてこの問うち話を聞いたのでありまして、これは、もっともなことだと思ったのでございますが、しかしこちらへ来て調べてみると、いろいろな弊害もあります。今後は、当分そういうふうなことはやらぬようにしてもらいたい。今までのできたものについては、これをできるだけ寛大な処置をしてもらいたいというふうな考えで私はおるわけであります。あとの対策は、十分各方面の意見を総合した上で検討いたしたいと思います。
○中井(一)小委員 ただいまお説の通り、この問題を実行いたします場合において、あるいは凍結したる円を無理に持って出る、その他いろいろな場合もあります。すなわち国家の全体的の見地からいって話すべからざるものもあります。けれども事実として、ほんとうにまじめな商売でも、それをやらなければ買い方が応じてくれない、こういうことも多々あるのでありますから、そこを、何とか通産省が、一々許可になる場合に見分けられるとか、その他の方法をともかくも一つ御研究いただかねば、これはむずかしいことではありますけれども、どこまでがほんまで、どこまでがよくないかということは、これはむずかしいことと思いますけれども、しかし、これは事実まじめな業者が非常に困っておる。ことに大臣は、大阪のお方でありますが、大阪が一番困っておる。東京もまた困っておる。これは、ほんとうに大へんなものであります。これは、なんとか一つかなわないまでも御研究下さって、そうして気の毒な法令違反でやられる人たちを、なんとか擁護してやっていただきたい。こういうことを厚くお願いをいたしておきます。
○高碕国務大臣 まあ同じことを繰り返すようでございますが、非常にむずかしい問題でございますから十分検討いたすことにいたします。
○中村小委員長 他に御質問はございませんか——御質問がなければ、本日はこれをもって散会することとし、次会は、明日商工委員会の散会後、約一時ごろから開会いたします。 午後五時九分散会