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29回国会衆議院1958/06/27

商工委員会繊維不況対策に関する小委員会 第1号

発言数
3
登壇者
2
会派数
1
開催日
1958/06/27

会議録

中村幸八自由民主党

○中村小委員長 それではこれより繊維不況対策に関する小委員会を開会いたします。  今回商工委員会に繊維不況対策に関する小委員会が設けられまして、不肖私がその小委員長に選任せられました。現在直面いたしておりまするこの繊維界、特に綿スフ織物界における深刻なる不況を打開するための対策樹立に資するために、私も真剣にこの問題と取っ組んで、これからこの小委員会を進めて参りたいと思いますので、どうか小委員の各位には絶大なる御協力をお願い申し上げます。  つきましては、本日は第一回の小委員会のことでもありまするので、政府当局より、まずもって最近における深刻なる綿スフ織物界における不況の現状につきまして御説明願いたい。さらにまた今日ここまで追い詰められるに至りましたる原因、あるいはこれまで政府当局あるいは当業者がとりましたる処置等についても、あわせて御説明を願いたいと思います。さらにまたこれに対する対策等につきまして、すでに具体的に樹立せられておりますれば、それを承わりたいと思いまするが、まだそこまで固まっておらないようでありますれば、まず大筋の解釈、政府当局によりまして、とりあえず今日どういうふうに考えておられるか、どうして、この不況を打開していきたいと考えておられるかということにつきまして、御説明を願いたいと思います。  それでは繊維局長小室君。

小室恒夫通商産業事務官(繊維局長)

○小室説明員 ただいま小委員長からのお話でございまするから繊維不況の現状、今日までの経過について概略御説明申し上げます。  お手元に配付資料といたしましてお配りいたしました「繊維不況の現状とその対策について」というものの中に、文章で概略書いてございます。また別に一枚刷りのやや大きな表の「繊維産業の動向」というのをお配りしております。ここに数字の概略を取りまとめておきましたので、この二つの資料に即して御説明を申し上げます。  最初に繊維業がこのような不況になりました根本の原因と申しまするものは、一般に神武景気といわれておりましたところの昭和三十一年を中心にいたしまして、繊維工業の生産設備が非常に急激な勢いでふえて参りました。この配布資料の上から二番目のところに生産設備という欄がございます。そこに昭和三十年の年末と最近の三十三年五月末との間の設備の比較がございまするけれども、一番顕著な例は、この二年半の間にスフ綿は六四・七%生産能力がふえております。また人絹糸は四三・一%設備能力がふえております。この二つが一番顕著な例でございますけれども、そのほかにも梳毛糸の設備が二七・七%、綿糸の設備も一〇・五%という工合に軒並みに生産設備が急増いたしております。  一方需要の方は、最近までのところ輸出もかなり順調に推移して参りまして、昨年のごときは戦後のレコードの輸出を実現したのでありますし、内需は、最近は終戦直後と違いまして、衣料不足というような状態がなくなりましたから緩慢なカーブでではありますけれども、まず若干ずつふえておりますので、需要の方面においては必ずしも非常に悪い状況ではなかったのでありますけれども、好況時に増設されました設備が漸次フル稼動になって参りまして、供給が急激にふえて参ったということのために、需給の不均衡を生じたわけであります。  その結果といたしまして、大きな表の価格動向というところに示しておりまするように、昭和三十一年の相場と三十二年の相場、これは最高値、最低値で示してございまするが、非常に大きな変化を示しております。つまり三十一年の最高は三十二年の最高よりもはるかに高く、最低もまた三十二年の最低よりはるかに高い、また最近の相場も六月五日まで、この国会の始まる直前まで、そこに出ております。六月二十六日現在の相場では、綿糸については若干五日の相場よりも下っております。ほかのものについては大体ほぼ同じような水準で推移しております。  こういうふうに需給の不均衡の結果として、価格が非常に低いところに落ちて参って、採算から申しますると、化繊関係は軒並みに採算割れというような状態でありますし、また天然繊維関係でも、綿織物のごときは特に採算割れが顕著な状態になっておるわけでございます。ただいま申したように設備能力がふえ、生産がふえ、そのために需要が若干伸びておっても追いつかないで、生産過剰、供給過剰になったというような状況でありまして、それに加えて昨年の春以来の財政金融の引き締め措置がさらに圧力を加えた。そのために昨年の七月には繊維の流通部門を中心にして、いわゆる破産騒ぎが起り、日比谷商店が倒産するというような事態がまず起ったわけでありまするが、生産過剰に加えて、財政金融の引き締めの圧力が加わって、不況が深刻に相なったというわけでございます。  そういう次第でございまするから、対策はまず何よりも生産の調整ということに重点を置かざるを得ないということでありまして、生産調整という欄が大きな表の一番下の方に広い幅で書いてございます。各品目別に詳しい生産調整の内容がそこに出ておりますが、これは要するに綿、毛の関係は約三割の生産調整をやり、また化繊の関係では人絹糸が五割の生産調整、スフ綿が四割の生産調整、また織布部門はそれぞれ三割、二割というような生産調整を実施しているわけでございます。  このような生産調整の強化だけで問題が片づきませんので、これと並行いたしまして、設備過剰の著しい、また中小企業であって、微力でもって過剰設備を処理しにくいという織布部門につきましては、絹、人絹織機の買い上げ、綿スフ織機の買い上げということを、国庫の補助金を支給いたしまして三十一年度、三十二年度、引き続き実施いたしまして、さらに三十三年度においては、当時特に深刻な不況のもとに悩む北陸三県の機業地対策といたしまして、絹、人絹織機に集中して買い上げを実施するという対策をとったわけであります。また価格の安定、特に輸出価格の安定ということにねらいを持って人絹織物の買い上げ機関、あるいは梳毛糸の買い上げ機関等を運用し、操短の補完措置をとって参ったわけでございます。また輸出面における価格の維持ということのためには、輸出組合の規約、あるいは輸出業者の協定等によって、いわゆる過当競争による売りくずしの弊害が出ないような措置も十分講じて参ったわけであります。このような各般の措置を講じ、また特に中小企業に対しましては、金融措置を強化するというようなことも実施して参ったのでありますが、こういうような各般の措置によりまして、当初のねらいとしては、本年一—三月に市況を安定させたい、いわゆる市況の底入れということを実現したいというふうに考えておったのでありますが、輸出の面では、インドネシア向けの輸出がだいぶ回復して参ったところに、内乱の事情等によりまして、急に輸出が不振になったというようなことが悪材料として起きまして、また内需の面で申しますと、暖冬のために冬物の売れ行きが悪くて在庫がふえたというような悪材料もございます。また一月から操短を強化したのですけれども、実施の方法で十分でないところがあって、生産が十分調整されなかったということで、諸般の事情からいたしまして、一—三月における市況の安定ということは実現しなかったのであります。そのために一—三月の終りごろに総合的な繊維の需給調整措置を強化いたしまして、操短率も強化いたしましたが、同時に原綿、原毛の輸入も圧縮を加えるというような措置をとりまして、今度は四—六月にぜひとも安定させたいということで参ったのでありますが、四月に入りまして、それらの効果もあって、だいぶ市況も持ち直して参りました。四月及び五月の前半は相当好転した空気のもとに繊維業界は推移したのでありますけれども、ちょうど五月の半ばごろの中共貿易の一時中止というようなことがきっかけになりまして、再び市況が低迷状態になった。またそのほかに輸出が五月に入りましてから、綿輸出その他の契約が低調になって参った、そういうような悪材料も加わりまして、再び市況が低迷状態になって参りました。すでに一年半近く不況が続いておりました関係で、繊維産業部門においても、特にしわ寄せを受けやすい弱い部門については、かなり深刻な事態になって参りました。特に綿スフ織物あるいは絹、人絹織物というようなものにつきましては、これは産地によって多少事情が違いますけれども、市況が特に悪化しておるという事態でございます。先般綿スフ織物業者は危機突破大会を開いて、いろいろの要望を出して参りましたが、絹、人絹織物についても、かなり深刻な状態となっておるわけでございます。今後の見通しということになりますると、なかなか的確なことは申し述べがたいのでありまするが、大づかみに申せば内需については取引不振というような声もないことはありませんけれども、最終的な小売の段階においては、かなり品物もよく売れております。内需については特に減少するというようなことは私はないと思っております。輸出は一—四月までは積み出しのベースは概して好調子でありまして、昨年米の高い水準で推移しておるのでございますが、信用状あるいは契約の段階ということになりまするとやや不振でありました。特に五月に入ってから、先ほどもちょっと申しましたが不振の色がふえております。ただこれは東南アジア地域等が不需要期であるというようなこともありまするし、例年この時期には輸出はあまり活発でないというような時期でもありますので、もう少し輸出の状況を見なければならぬと考えておりまするが、輸出の方は大体従来の予想通りに推移して参れば、これは現在の体制を続けて参れば、全体にしては九月ないし十月ごろに市況の安定、需給の均衡を回復できるのではなかろうかというふうに考えておるのであります。私どもとしてはこの輸出の推移ということに、特に重大な関心を持っておる次第であります。先ほど申しました織布部門、特に綿スフ、絹、人絹部門の不振ということにつきましては、特に綿織物の在庫が非常に多い、綿糸よりも綿織物の在庫が非常に多いというような状況でありますので、この綿織物在庫のかなり多くの部分をもっておりまする紡績会社に対して投げ売りを防止して在庫を凍結させるような措置を考えるようにということを目下行政指導をいたしております。また要望のありますところの金融対策その他の対策についても目下慎重に検討しておる次第でございます。絹人絹織物の関係については輸出の大宗であるところのいわゆる三銘品と称するものについて買い上げ期間を四月から運用いたしておりまして、安定した機屋さんの操業を確保し、また輸出値段の維持をはかっておりまするが、それ以外の輸出織物あるいは内需の絹人絹織物等についても、目下対策を慎重に検討しておる次第でございます。  それでは部門別にやや詳しく申し上げることにいたします。綿スフ織物業界の不況の現状とその対策について申し上げます。綿スフ織物業界といたしましては、昨年の末から不況に対処いたしまして生産調節をして参りました。広幅織機の二割封緘、一割だけ減産になるような休日を加えまして、ほぼ三割に近い生産調整を実施して参ったのであります。先ほども申しましたように綿織物の在庫が非常に大きな数字に上っておりまして、大ざっぱに言って綿織物が六億一千五百万ヤード、スフ織物が二億ヤードを越える在庫になっております。最近なお綿スフの操短を強化したにもかかわらず、在庫はほとんど減少の色を見せておらない。このために織布業者としては相対的に糸の方が割高であり、織物の力が値が出ないということのために相当大幅な採算割れ、加工賃の悪化を来たしておるわけでございます。また輸出の契約の面で五月から相当悪いいということを申しましたが、綿織物については年初から六月の上旬までの数字を前年同期と比べましても約二割以上の減になっておりまして、輸出ものの発注というものが細ってきておるというような感じでございます。また内需の方も相場の安定が確保されておりませんために、どうしても当用買いというようなことに推移しておりまして、夏物の取引というものは綿織物としては、いわば最盛の取引の行われる時期でございますけれども、それだけの活発な市況は見られなかったというようなことでございます。先ほど申しましたように四月に入りましてから繊維市況全般として安定の兆候を示しまして、綿スフについても同様の相場の好転を見たのでありますけれども、五月の下旬ごろから悪化して参りまして、最近は製品の相場がひどい場合は糸代を下回る、また工賃についても大幅の赤字であるというような状態になっておるわけでございます。生産調整は先ほど申したように三割に近いものを実施しておると申しましたが、なかなか何分にも全国に一万五、六千軒もある機屋さんの生産調節ということでありますので、十分百パーセント励行されているということは非常に言いがたいのでありまして、これについてももう少し生産調節を強化し、実効をあげる方法はないかということを業界においても真剣に検討しております。封緘率をさらに一割引き上げるというようなことが現実問題になろうかと考えておるわけでございます。過剰織機の処理につきましては三十一年度、三十二年度実施して参りまして実台数において一万四千台の織機を政府の補助金を交付して処理して参ったのでありますが、三十二年度に参りますると関係業界の意見としても打ち切ってもらって差しつかえないというような意見が出て参りました。それから絹人絹の織布部門が最も深刻な状況に相なって参ったので、三十二年度限りで一応過剰織機の買い上げについてはこれを打ち切りまして、予算は全額これを絹人絹織機の買い上げに充当して昭和三十二年度から絹人絹織機買い上げ一本で処理することになった次第であります。ただし関係業界から最近の非常な市況の悪化に伴って、買い上げの再開を希望する声が高まっておることは御承知の通りでございます。過剰在庫については先ほど申したように六億ヤール以上の綿織物が在庫となっておりますので、このうち相当部分を一時取引の圏外に置くという意味で、凍結ということを考慮しておるということは前に申し述べた通りでございます。  また綿スフ織物、あるいは絹人絹織物についてもそうでありますが、生産調節の実効を期するために合成繊維用の織機の新増設の禁止をやってもらいたい、また綿スフ織物の強制品質検査を実施してもらいたいというようなことについての要望があります。これは前者は繊維工業設備臨時措置法の改正という問題として考慮いたすわけでありまするし、後者も検査行政上の問題として目下検討中でございます。  次に絹人絹織物の不況の状況でございますが、まず輸出向けの絹人絹織物につきましては、昨年四月以降インドネシア向けの輸出が非常に減って参りましたということが直接の原因になりまして、在庫が急増し、価格が下落して参りましたので、人絹全体として生産を縮小する必要を認めて、昨年の八月から人絹糸の操短を実施しました。最初は一八%の操短であったのでありますが、本年一月から五割操短ということを実施しておるわけであります。また織物については九月から二割操短、本年一月以降三割操短という生産制限を実施しておるわけでございます。また輸出織物の半分に近い部分を占める人絹三銘品、フジエット、塩瀬、しゅすというものにつきましては、これは普通規格の大量にできるものでございますが、こういうものについては輸出価格の安定、市況の安定を目途として日本レーヨン織物輸出振興株式会社というものを関係業界の共同出資で設立して参りまして、四月からここで一手買い取り、また一手で輸出の業者に流すということをやっておるわけでございます。人絹織物につきましては、本年に入りましてから一時輸出が持ち直しました。特にインドネシア向け等を中心にして、本年三月には輸出がきわめて活況であったのでありますが、そこへインドネシアの内乱が悪化いたしまして、また急に輸出が減るということになりました。引き続いて東南アジアが雨期に入って不需要期になるというようなことのために、最近においても輸出契約の状況はあまり活発でないような状況になっております。絹織物の輸出につきましては、数年来対米輸出を中心にして順調に増加して参りました。昨年は一昨年に比べて三割以上の輸出増加であったと記憶しております。ごく最近まで順調な輸出の推移でありましたが、最近生糸の価格に上下がございまして、生糸の価格が安定しないと、輸出絹織物の取引に安定が見られないのじゃないかということを若手心配しております。  内地向け絹人絹織物業界については、やはりごたぶんに漏れず不況下において過剰生産でありますので、取引条件が悪化しておりまして、問屋から返品が増加する、買いたたきを受けるというような状況であります。関東各産地において相当困難な状態となっております。  絹人絹業界に対する対策といたしましては、過剰織機の処理、三十一年度、三十二年度、また特に三十三年度につきましては絹人絹織機中心で過剰設備を処理いたしておるような関係、三十一年度四千五百台、三十二年度五千台、三十三年度さらに六千台の過剰設備の処理を今後において実施する予定でございます。その間なお一台当り一万円の補助金を二万円に増加するというような格段の措置を講じたわけでございます。  また過剰の在庫につきましては、先ほど申しました機関において一手にこれを買い取りまして、市中の在庫はこの買い上げ機関のもとで、ある程度凍結させるというようなことを実施している次第でございます。  生産調整につきましては、輸出が三割、内地が二割の生産調整をかねてから実施している次第でございます。  綿スフ織物、絹人絹織物に比べますと、毛織物の業界の不況の程度は、やや様子が異なっておりまして、決して好況ではありませんが、綿スフ、絹人絹ほどの不況ではございません。しかしながら本年の春ごろ、特に毛糸の価格が暴落いたしまして、織物の方も相当不況の度を濃くいたしましたので、今年三月から当時の中小企業安定法によりまして、毛織機の三割封緘を実施して参ったのであります。価格にしても梳毛糸の価格はその後ある程度戻っております。織物についてもやや回復を見ておりますが、毛織加工賃等は、ようやく経費をまかなうという程度であります。必ずしも楽観を許すものではありません。七—九月においても現在の生産調節を継続して、不況の回復をはかろうとしている次第であります。  その他の分野につきましても、繊維全体の不況でありますので、好況と申しますか、非常に調子のいいというものはほとんどございません。特に染色加工業のごときは一段と不況が深刻化しているような次第であります。  お手元に配布しておりますこの文書の資料のおしまいの方に生産調節の実施状況というのがございます。これは先ほど来申しました各部門別の生産調整の具体的なやり方を説明したものでございます。またその次のページに先ほど来申しました綿スフ織機及び絹人絹織機の過剰設備の処理をどういうふうにやって参ったかということの表示がございます。またその次に、現在すでに設立済みの貰い取り機関、いわゆる買い上げ機関の大要が書いてございます。またその次に、繊維原料について総合的な繊維の需給調整というような見地も加えまして、相当に輸入を圧縮して参ったような関係、それからまたその次に輸出の正常化と申しますか、輸出価格維持のためにどういうような協定が実施され、あるいは政府の調整が実施されているかというようなことの表が出ております。  以上はなはだ概略でありますが、繊維不況の現状とその対策について申し上げた次第でございます。もし御質問があれば、さらにお答え申し上げます。

中村幸八自由民主党

○中村小委員長 これをもって政府当局の説明は終りました。  これに対する質疑は次会に譲ることとして、本日はこれをもって散会いたします。  次会は公報をもってお知らせいたします。     午後二時一分散会

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