商工委員会 第12号
- 発言数
- 85 件
- 登壇者
- 15 名
- 会派数
- 2
- 開催日
- 1958/08/11
会議録
○長谷川委員長 これより会議を開きます。 先般本委員会において行いました委員派遣の報告を各班の派遣委員の代表者から聴取することといたします。 近畿地方を調査してこられました第三班の報告を小平久雄君より聴取することといたします。
○小平(久)委員 私どもは国政調査のため近畿地方に派遣され、去る七月二十一日より二十六日まで六日間にわたる視察を行って参りましたので簡単に御報告を申し上げます。 参加委員は、田中榮一君、中井一夫君、西村直己君、大矢省三君、小林正美君、田中武夫君、永井勝次郎君、水谷長三郎書及び小平久雄の九名でありまして、調査室より二名随行いたしました。 視察日程としましては、七月二十一日には京都市において中小企業に関する懇談会、二十二日には大阪市において中小企業に関する懇談会及び貿易に関する懇談会、さらにライオンペン株式会社平野工場及び東洋製缶株式会社大阪工場、缶詰研究所、缶詰学校の視察、二十三日には大阪通商産業局管内状況説明聴取、さらに日本触媒化学工業株式会社吹田工場、松下電子工業株式会社高槻工場及び松下電器産業株式会社三国工場の視察、二十四日には神戸市において中小企業に関する懇談会、神戸市内小売市場、株式会社神戸製鋼所、川崎重工業株式会社の視察、二十五日には大阪織物三組合との懇談会、泉南郡熊取町の織物工場及び関西電力株式会社多奈川火力発電所の視察、二十六日には丸善石油株式会社下津製油所、東亜燃料工業株式会社和歌山工場及び住友金属工業株式会社和歌山製造所の視察、以上であります。 各現地におきましては、いずれも詳細な現状説明あるいは深刻な要望等があったのでありますが、この際おもな要望事項につきまして、ごく簡単に御報告をいたしたいと存じます。 まず、京都市におきましては、中小企業関係として、一、繊維産業の不況対策について、生糸の安定価格制は農民偏重に過ぎる、生糸の二重価格制をとって適正価格の生糸を織布業者に供給すること。二、百貨店と日信版について、日信般の進出には、百貨店法第九条の勧告規定を発動すること、なお事業税の撤廃及び小売商法の制定を早急に実現すること。三、貿易振興について、輸出代金決済は、現行信用状制度を維持すること、日中貿易の再開を促進すること。四、小組合に対する特別措置について、その早急な実現をはかること、また法人税の総合通達改正措置は、中小企業に不利とならぬよう十分監視すること。五、小売市場問題について、乱立規制の立法措置を講ずること。六、下請工業の問題について、検収期限を法律に明示すること、設備近代化資金の償還年限を延長し、耐用年数を短縮すること等の要望がありました。 次に、大阪市におきましては、中小企業関係として、一、泉州機屋の不況対策について、綿スフ織物五割操短の裏付資金を確保し、なお金利の引き下げ、担保の緩和損失補償等を考慮すること、織機買い上げの単価引き上げと国庫補助の増額を行うこと、原糸の入手については原糸の割当制及び輸出リンク制の改善を行うこと。二、中小企業金融について、政府関係三機関の資金充足率の引き上げ、担保の緩和、手続の簡素化迅速化を行うこと。三、中小企業の設備近代化について、設備の耐用年数短縮及び新機械の償却年限の短縮をはかること。四、中小企業団体組織法の運用に当っては商工組合の設立を容易ならしめること、諸法令及び施策が工業偏重とならぬようにし、通産省に商務局を設けること。五、小売振興について、旧政府案及び社会党案を一本にして、振興法を制定すること等の要望があり、貿易関係として、一、輸出振興の基本策として、十分な予算措置を講ずること、世界情勢の激変と国内不況に対応した弾力性ある政策を推進すること、同時にまた一貫した貿易振興体制を確立すること、過当競争防止に名をかりた官僚統制を排除すること、貿易振興国民運動を展開すること。二、対内的施策として、チェック。プライス制を再検討すること、輸出に対する税制金融上の優遇措置を強化すること、輸出入リンク制を拡大適用すること、特に輸入関係の権限を大阪通産局に委譲すること。三、対外的施策として、在外公館の経済担当機構の拡大強化をはかること、輸人制限運動の盛んな重要市場に対するPRを展開すること、後進国に対する経済協力を進推すること、日中貿易の拡大発展をはかること等の要望がありました。 次に、神戸市におきましては、中小企業関係として、一、小売商振興法の制定、及び事実税の撤廃。二、小売市場乱立防止法の制定。三、薬品関係の現金問屋による圧迫排除。四、日信販に対する規制措置。五、貿易業法の制定、輸出代金決済方法の現状維持、輸出品包装条件の標準化。六、繭糸価安定法を再検討し、生糸輸出価格の引き下げをはかること。七、政府関係金融機関の充実及び金利の引き下げ、特に中小企業金融公庫神戸支店の設置。八、租税特別措置法上の輸出に対する優遇措置を下請にまで及ぼすこと。九、新設備の償却年限の短縮。十、私鉄運賃値上げ反対。十一、中小企業団体法の五十五条、五十六条命令の発動を容易ならしめること等の要望がありました。 次に、鉄鋼及び石油関係におきましては、設備の耐用年数が、技術の長足な進歩途上にある今日ではすでに不合理であり、新技術の吸収、技術水準の向上の障害となっているから、この耐用年数を大幅に短縮するよう配慮すること、また金利の引き下げをはかることによって経営の安定向上に寄与せしめること等について要望がありました。 なお、詳細な点につきましては、委員長の了解を得て後刻会議録に載せていただきたいと思います。 以上はなはだ簡単でありますが、これをもって御報告といたします。
○長谷川委員長 次に北海道地方を調査してこられました第一班の報告を菅野和太郎君より聴取することといたします。菅野和太郎君。
○菅野委員 商工委員会国政調査、北海道班における現地調査の概要を簡単に御報告申し上げます。 参加員は、新井京太君、板川正吾君、内海清君、勝澤芳雄君と私でありまして、私たち一行は去る七月二十六日より三十一日までの日程で、札幌、砂川、釧路、北見及び旭川方面の視察を行なって参ったのであります。 今回の現地調査は、中小企業者団体法施行による中小企業の現況、石炭鉱業、電力事業等の諸問題につき、現地のなまなましい声を十分に聴取することを主目的とし、あわせて各種産業の現状を視察して参ったのであります。 まず、札幌において道内経済界の代表者約三十名の参集を得、中小企業、石炭、電力その他の諸問題につき懇談会を開き、終始活発なる意見の交換を行なったのでありますが、その際に開陳されたおもなる要望事項は、次の通りであります。 一、中小企業関係。一、使用人二人以下の事業協同小組合には勤労控除を認めてほしい。また中小企業金融を円滑にするため預金部資金を低利長期に融資されたい。二、中小企業団体法による商工組合を作ってみても、アウトサイダーが統制を乱している。実際にもっと効果が上るように強制加入をきびしくするなどの改正をしてほしい。三、札幌市における小売市場の乱立——六月現在では百一の市場があります。その乱立に伴って生ずるあらゆる弊害を除去するため、小売商業振興法、小売市場乱立防止規制等の早期制定を望む等々であります。 二、石炭関係。石炭業界の長期安定をはかるために、一、炭況に左右されず長期増産計画を達成できる石炭政策の確立、特に炭主油従政策の実行、二、健全なる経営を圧迫する鉱産税、固定資産税、石炭消費税等税制の改革、三、増産に対応する港湾、鉄道等の輸送力の整備、増強、四、企業安定、コスト引き下げのための労働事情の改善等の諸点につき善処されたいとの要望がなされたのであります。 三、電力関係。本年は水の事情が好調で電力需給関係は非常に安定しておる。しかし電気事業から見た北海道の特殊性として、地理的条件の不利、すなわち人口密度が全国平均一平方キロ当り二百四十一・五人に対しわずかに六十・八人、これは関東地区の十分の一にも満たない数で、必然的に送配変電設備に膨大なる費用がかかるとともに、ロスも他地区に比べ大となっておる。このような不利な条件のもとでは電気料金は他府県より割高とならざるを得ないので、これが高騰を防止するため、企業合理化を行うことはもちろんであるが、それだけでカバーすることは困難である。よって、一、低利な設備資金の導入、二、固定資産税、電気税等の軽減、三、電源開発会社卸売料金の引き下げ等々について協力さたい旨の発言がなされました。 さらに日中貿易問題について、早急に日中国交を回復し、正常な日中貿易の伸長を期待したい等の意見が述べられたのであります。 次に北海道庁よりの要望事項といたしましては、一、中小企業金融の促進のため、政府関係金融機関の貸出資金ワクの増大、信用組合の代理業務扱い指定等の措置を講ぜられたい、二、青森——函館間航送の営業距離の撤廃、三、空港の整備拡充について、四、夕張川総合開発の早期完成並びに天塩川、空知川開発の実施を促進されたい。五、北海道の開発及び経済の発展のため、他府県より高い電気料金の引き下げをされたい。六、地下資源の開発をはかるため、基本的調査を促進されたいなど、以上の六点であります。 なお視察した工場は、砂川では東洋高圧の工場、北海道電力会社の砂川火力発電所であります。釧路では太平洋炭鉱株式会社並びに十条製紙の工場であります。北見では芝浦精糖及び北連薄荷工場でありまして、旭川では国策パルプ工場並びに合同酒精の工場を視察したのであります。 これら工場に共通している問題はいずれも北海道の地理的、気候的な不利であって、固定資産税等地方税率の引き下げ、特に石炭消費税、従業員住宅、暖房用石炭の手当及び寒冷地手当の適正化などの諸点でありまして、これが解決により、より一そう格工場の生産は上昇し、北海道の産業経済の目ざましい伸長を見ることができると存ずるのであります。 以上簡単でありますが、御報告申し上げます。
○長谷川委員長 次に、九州地方を調査してこられました第四班の報告を岡部得三君より聴取することといたします。
○岡部委員 九州班の団員である小泉純也君が出席できませんので、私がかわりに御報告申し上げます。 九州班の御報告を申し上げます。九州班の一行は、小泉純也、岡部得三、木倉和一郎、渡邊本治、今村等の諸君でありまして、七月二十七日に東京を出発し、十条製紙小倉工場、八幡製鉄の視察を初めに、筑豊炭田炭地帯、福岡市、大牟田市を経て長崎市に余り、八月二日、日程通り充実した国政調査を終えることができました。 九州班の国政調査のうち、おもなる問題について簡単に調査の結果を御報告申し上げます。 第一は炭鉱災害の問題であります。七月二十九日、八幡市東中鶴炭坑を訪問しました。この炭坑は昨年十一月二十五日、突然の出水事故を起し、その際遭難しました十八名は、今日に至ってもまだ救出されていないのであります。われわれ一行は遺族の方々に心からお見舞申し上げ、できる限りの協力をお約束しますとともに、詳しく現状を伺ったのであります。幸いにして社長である佐藤強氏は、誠意をもって遭難者救出に全力を傾けておられたのであります。しかしながら坑内の状況が非常に悪いため、揚水作業は遅々として進まず、現在までの速度では、救出にあと一年以上かかるものと思われるのであります。遺族の方々は父や夫を一瞬にして失った悲嘆と生活苦の中にまことに悲惨な毎日を送っておられますが、当正面の対策として、炭坑災害についても海難事故等と同様に、国家的、人道的立場から国費をもって救出してもらいたいと悲痛な叫びをもって訴えられたのであります。われわれ一行もこのような鉱業権者のみの力ではいかんともしがたい事例の場合には、国として何らかの緊急措置を講ずる必要があることを痛感いたしたのであります。 なお、今後の災害防止対策として炭労の代表の方々は、保安監質店の増員、上級保安技術員への罰則の明確化、施業案認可の厳格な規制、労務者代表を保安監督者に任命すること等を要望されたのであります。 また福岡通産局は、昨年十一月の東中鶴、籾井、本年三月の小倉、四月の嘉穂、五月の江口、六月の本添田等の炭坑に相次いで起った災害事故は、ほとんどは鉱業法の規定を守らず、盗侵掘等を行なった他の業者の被害を受けたものでありまして、旧坑の検討を怠り、あるいはその図面が不正確であったものと考えられるので、今後は特に古洞図、坑内実側図の整備を促進するとともに、鉱業監督の強化をはかるため、十分な予算と人員を確保する必要があると報告しております。 第二は、石炭鉱害の問題であります。石炭鉱害の現状については、八幡市木屋瀬地区、直方地区、飯塚地区、田川地区等をつぶさに視察したのでありますが、臨時鉱害復旧法の改正によりまして、昭和三十二年度以来、被害家屋の復旧は着々と進んでおり、現地の方方は非常に感謝されておられました。われわれ一行が参りましたときは市民総出で手に手に歓迎の旗を振って迎えられたのであります。しかしなお復旧速度が緩慢であるとして、政府補助額の増額を強く要望されたのであります。 鉱害問題につきましては、被害者の方々との懇談会のほか鉱業権者の代表、福岡県当局、福岡通産局、九州鉱害復旧事業団等の方々から詳細な報告や御意見を拝聴いしました。 これらの方々の個々の御意見は省略しますが、今後の対策として、九州鉱害復旧事業団理事長天日光一氏の意見を参考までに申し上げます。 一、北九州の一般鉱害量は全国の九〇%を占め、昭和二十六年の調査では二百二十四億円、うち臨鉱法による復旧対象事業量は九十七億円となっており、昭和三十三年度までの復旧工事量は四十四億円で、四六%の遂行率を示している。しかし残存鉱害量のほかに、毎年十二億円程度の新規鉱害が発生しているし、今後の石炭増産に伴って、この数字はさらにふえるものと思われる。従って現在の臨時鉱害復旧法は恒久法に改正して、今後の鉱害復旧に対処すべきである。二、鉱害復旧は国の責任として遂行すべきであり、その経費の一部は、鉱業権者から出炭トン当りにつき一定金額を納付せしめる制度を設けることが適当である。三、国の補助金は各省ばらばらでなく、一括計上することにより復旧工事の円滑化をはかる必要がある。以上であります。 第三は、石炭不況対策についてでありますが、この点については、石炭業界代表の方々との懇談会を持ちますとともに、三井鉱山三池鉱業所も訪問して、御意見を伺ったのであります。 石炭業界の根本的御要望は、総合エネルギー国策の確立であります。すなわち炭主油従政策の基本方針に基いて国内炭の需給安定をはかり、過剰な重油を抑制して、石炭の長期増産計画を軌道に乗せるよう、有効適切な手段をとられたいというものであります。 そのほか中小炭鉱業界の方々は、貯炭融資を確保すること、大口消費者に炭価を早急に決定せしめること、出炭制限に伴う人員整理について政府の石炭政策に労務対策を織り込むこと。炭況回復まで石炭鉱業種備事業団の買上業務を延長すること等を特に要望されました。 第四は、中小企業の問題であります。この問題につきましては、八幡製鉄購売会を視察しますとともに、福岡県庁、長崎県庁、その他訪問しました、各市におきまして、中小企業政治連盟、商工会議所等の関係者の方々と懇談会を開き、また長崎市においては、中小企業者、造船下請企業者の集まりに出席しまして、地方の実情を伺ったのであります。特に目につきましたのは、八幡市、大牟田市における大会社の生活協同組合、購売会と小売商との間の問題、長崎市における沿岸漁業者が李ラインによって深刻な影響を受けておられる点でありました。 要望事項をまとめますと次の通りであります。 一、小売商業調整法をすみやかに制定されたい。二、金融円滑化のため、中小企業関係金融機関に政府資金を大幅に導入されたい。三、中小企業者に対する税負担を軽減し、大企業、農林漁業との間の均衡をはかられたい。四、事業協同小組合の組合員に対する税務上、金融上の特別措置をすみやかに講ぜられたい。五、その他、地方中央会への補助金の増額、中小企業共済制度の確立等が要望されました。 以上のほか北九州におきましては、産業発展に伴う産業立地条件の整備、特に工業用水問題、輸送対策が今後残された大きな問題であります。 工業用水については、遠賀川に大規模な貯水池を構築すること、根本的には筑後川の水を北九州に引いてくるべきではないか等の構想想が考えられておりました。これらの問題は十分研究が重ねられ、大いに推進する必要があることと考えるのであります。 その他鉄鋼業、硫安工業の問題は全国的な問題であり、特に申し上げることもないと思いますので省略しいたします。 以上、簡単ですが御報告申します。
○長谷川委員長 次に、東海、北陸地方を調査してこられました第三班の報告を中村幸八君より聴取することといたします。中村幸八君。
○中村(幸)委員 東海、北陸地方の調査について御報告申し上げます。 この調査班に参加されました方は、自由民主党より不宵中村幸八及び坂田英一君、日本社会党よりは加藤鐐造君、同じく松平忠久君、堂森芳夫君、勝澤芳雄君の計六名の方々であります。 調査班は七月二十二日早朝東京を立ちまして、当日は浜松、二十三日は名古屋、二十四日は電源開発地御母衣ダム、二十五日富山、金沢、二十六日福井の各地区を五日間の日程をもちまして現地視察をいたして参ったのであります。 つきましては各視察個所の詳細を申し上げますと、浜松におきましては伊熊織布株式会社、これはブロード。影山春雄工場、これは別珍、絹三工場。白井一治工場、これは先染織物。鈴木自動車工業株式会社、河合楽器株式会社を視察いたしました。また名古屋地区におきましては、日本硝子株式会社、三菱重工大江工場、中部電力新名古屋火力、電源開発会社御母衣ダム建設地、関西電力鳩谷発電所等でありますが、以上のほか繊維産業につきましては浜松、金沢、福井。並びに中小企業に関しては名古屋、福井。電力需給については名古屋、御母衣ダム、富山等におきまして、視察個所ともあわせ懇談会を開催し、関係官庁、格業界よりの説明及び意見の開陳があり、広く現地での要望を聴取いたしたのであります。 そのうち特に問題になりました要望について概略申し述べますと次の通りであります。 第一に繊維産業について申し上げます。御承知のごとく維繊産業は昨年末以来の不況が世界経済情勢の低迷につれまして、今日に至っても何ら立ち直りも見られないままに、不況はいよいよ深刻となっております。なかんずく綿スフ織物工業の浜松地方においては、七月現在遠州織物工場約一千数百工場中百二十七工場が倒産あるいは全面休業をいたしております。また織機台数二万七千台中遊休機六千五百台を数えられております。その失業者約三千人を出しまして、社会問題化しておるのが実情であります。 このような状況に対し次のような九項目の要望があったのであります。 一、過剰綿スフ織機の買い上げ価格の大幅増額と合成繊維用織機の新増設の規制をすること。一、綿スフ織布専業者の綿糸を織機割当制とし、Wリンクを拡大すること。一、綿スフ織布専業者の操短融資に対し、国庫及び県が利子補給を行うこととともに損失補償の増額をはかること。一、凍結すべき過剰綿布の増量と、賠償物資の指定を強力に推進すること。一、綿スフ織布専業者の最低工賃制度を創設すること。一、綿布取引条件の改善と中小企業の金利の引き下げ措置を講ずること。一、繊維遊休設備の固定資産税を免除すること。一、繊維芸機械設備の現行耐用年数を短縮すること。一、繊維不況による離職従業員のために生活並びに生業資金の融資、あっせんに努力せられたいこと。 以上でありますが、また絹人絹織物工業の富山、福井、石川県の生産地においても、絹人絹織物工業の今日の生産調整を初めとする過当競争防止のための買上機関の設置、過剰設備の処理などの措置がとられているにもかかわらず、なお一段の不況打開のための北陸三県絹人絹織物危機突破大会が開催せられまして、左のごとき措置を要望せられたのであります。 一、過剰織機処理台数を増加し、その買上単価を引き上げること。一、過剰織機買上業界分担分の金額は、国庫負担とすること。一、合成繊維用織機の新増設を禁止すること。一、積極的輸出振興対策を樹立すること。一、滞貨絹人絹繊物をすみやかに処理すること。一、生糸面格の不合理を是正すること。一、固定資産税を減免すること。一、低利長期資金を融資すること。一、絹人絹糸織物の輸出報奨制度を避けること等であります。 第二は中小企業関係についてであります。現下の中小企業は、輸出の不振、産業全般の混迷、消費財の需要減退等もろもろの原因によるしわ寄せのため、この際抜本的対策の樹立と左のごとき措置を講ぜられたいというのであります。 一、中小企業に対する事業税を大幅に減税すること。一、公定歩合を再引下げすること。一、中小企業に対する金融を円滑にするため、国庫資金を大都に融資すること。一、小売商の振興のため法制化すること。一、零細業者に対する社会保障制度を確立すること。一、中小企業信用補完制度を強化すること。一、中小企業振興資金制度を拡充強化すること。一、商工会議所、商工会に対する国費による事業を委託すること。以上であります。 第三といたしましては、電力需給状況であります。電源開発会社の御母衣ダムの早期完成を期するのもさることでありますが、名古屋地区の名古屋港周辺の工業立地計画は、動力源を中部電力の発電計画に基いて着々と進んでおる実情なのでありますが、しかし中部電力の発電能力が中京地区今後の産業伸長に重大なる影響を及ぼすのにかんがみまして、新名古屋火力開発資金、資材等に万全の施策を講ずべきであります。 また北陸地方について申し上げますると、北陸地方におきまする諸産業は、電力を中心として発展して参りました。特に昭和二十六年以来、北陸電力の開発は逐年その成果をおさめてはおりまするが、今日なお電気の需用者に対する電気の質の向上と電力需給の安定を期するためには、三十五年に完成する予定の有峰貯水池電源開発に万遺憾なきを期する必要があるのであります。 最後にその他の事項といたしましては、北陸地方振興開発の法制化の件であります。御承知のように、広域的地方産業の総合開発をはかりまするために、現在北海道総合開発、東北振興等、地理的、気性的不利な立地条件にある地方の総合開発を、単独特別法によりまして行われておるのでありますが、北陸地方は有利な電力資源など潜在的な資源を包蔵しておりながら、工業地帯の整備、港湾施設の充実、資源開発等著しくおくれておりまするので、当地方の総合開発計画の実施をはかるために、特別立法をする必要があるというのであります。 以上簡単でありますが、調査の報告を終らせていただく次第であります。
○長谷川委員長 以上をもって派遣委員の報告は終えましたが、各般の報告は現地、すなわち国内業界の声でありますので、当委員会として大いに努力を傾けて御期待に沿いたいと存じます。 —————————————
○長谷川委員長 次に通商産業の基本施策に関する件について調査を進めます。質疑に入ります前に、前回の田中委員の質疑に対しまして答弁が不十分でありましたので、これを補足するための発言を政府より求められております。これを許可いたします。小出重工業局長。
○小出説明員 私、去る八月五日に重工業局長を拝命いたしました小出であります。どうぞよろしくお願いいたします。 去る七月三十一日でございましたか、当委員会におきまして田中先生から、大阪府下の競輪場内の場内整理の問題に関連いたしまして御質問がございました。その際、その問題に関する経過を調査いたしまして、本日御報告するお約束をしたわけでございます。私から御報告をさせていただきたいと思います。 その際にも、大臣及び前局長から申し上げたと思いますが、今回の大阪府下におきまする事件につきましては、監督官庁といたしまして、競輪場内の整理、警備というような問題につきまして、いわゆるボス的な勢力が介入した結果、いろいろわずらわしい問題が発生したことにつきましては、まことに遺憾に存じておる次第でございます。今後も一そうこういうような問題の発生を防止し、あるいはこれを発生せしめないための処置をとり、その指導をやっていきたい、かように考えております。 今回の大阪府の自転車振興会に関する場内整理の問題の経過でございまするが、御承知のように大阪府下に競輪場が創設されまして、第一回の競輪を行いましたのは昭和二十三年の十二月、住ノ江競輪場において施行さたのであります。当時、昭和二十三年ごろの一般的な社会情勢というものは、申すまでもなくまだ戦後の社会不安が十分にぬぐい切れない、いわば非常な混乱期でございました。のみならず競輪という事柄の性質上、とかく場内の秩序というものは、一般の社会不安がある上にさらにいろいろな不法行為があり、あるいは紛争が起っておったのでございます。そこでこれに対処するために、何らか競輪の施行者としては場内の自衛的な警備力を充実することの必要を感じたわけであります。そういうようないきさつから競輪場内整理ということにつきまして、振興会の責任者等がいろいろ考えました結果、御承知のように土井組というものにこれを委託した、こういうような関係になったのでございます。こういうような状況は当時大阪のみならず、競輪場については比較的一般的だったようでございます。その土井組に対して場内整理を行うための委託をいたしましたが、その委託に関する経費として一定の金額を支払って参ったのでございます。それは場内整理費という名目で、経理的には雑費の中に計上されております。新聞関係協力費等もあわせて、場内整理費ということで支払いが行われておりました。この場内整理費は、一開催ごとに九万円という契約でありました。大阪府下におきましては、昭和三十一年四月以降は住ノ江、炭和田、中央という三カ所の競輪場がありまして、従って月額大体二十七万円くらいの支払いをなしたのでございます。委託を受けた土井組におきましては、開催ごとに大体所属の者約二十名を派遣いたしまして、これが場内整理に当っておりました。従ってその所属の二十名個々の人と、運営責任者である自転車振興会との間においては、直接の雇用関係はなかったのでございます。ところが、こういうようないわゆる自衛的な警備方法というものが、当時においてはある程度の実績と申しますか、一般社会情勢を背景とした当時の事情においては、ある程度の効果を上げておったのでありますが、そういう警備に当っている者と観客と申しますか、中に入っている者との間に、逆にいろいろないざこざを起すというような事件も起って参りまして、弊害の面もまた反面においていろいろ起って参ったのであります。従って、そういうようなやり方はできるだけ早くこれをやめまして、もっと適当な方法に切りかえるという必要は感ぜられておったのであります。一般的な社会情勢は安定いたしまたけれども、御承知のように競輪場内の空気——私は競輪へ行ったことはございませんが、競輪場内の空気は非常に特殊な空気であるようでありまして、従って、何らか場内の秩序を維持するという必要はあろうかと思いますけれども、そういうような特定の組に委託してやらせるというような状況は、必ずしも望ましい状態ではないと考えられますので、できるだけこれを早くやめるようにということで参ったわけであります。たまたま今回の大阪府の競輪場におきまする土井組の代表者が他の刑事事件によりまして指名手配になったというようなことを承知いたしまして、直ちにこれに対する委託の打ち切りということ、責任者でありまする大阪府自転車振興会といたしましては、これとの関係を絶つということにつきまして、その組に対し折衝をいたしました。大体本年の五月ごろをもってこの整理の支払いを打ち切るというようなことも伝達したそうでございまするし、その間土井組の責任者が不在でありました。これの跡始末等につきまして折衝を重ねておるうちに、ついに七月に入ったというような状況であります。そういうようなことでございまして、今回この土井組の責任者に対する指名手配の事実等が相当公けになったわけでございまするが、通産省といたしましては、直ちに現地の大阪通産局に対しまして、すみやかにこういう組に対する自転車振興会との委託関係を直ちに絶つように強く指示いたしました。通産局長は直ちに振興会の理事長を招致いたしまして、その旨を伝え、さらに競輪の施行者に対しましては、今後の運営について検察側とも十分に協議を遂げまして、万全の措置を講ずるように指示した次等でございます。なお同時に通産省といたしましては、全国の関係団体に対しまして、この趣旨の徹底をはかる旨の通牒を発しました。その前に御承知だと思いますが、昭和二十五年の十一月におきましては、当時の所管局長でありまする通商機械局長から大体同様の趣旨の徹底をはかるように通牒が出ておったのでありますが。今回の事件を契機といたしまして、さらに一そうこの趣旨を徹底するように直ちに重工業局の方から関係各団体あてに通牒を発しておる次第でございます。なお当該の土井組の代表者に対する他の刑事事件の経過等につきましては、それぞれ警察当局等から御調査が進んでおると思います。一応この問題に関する調査の概要につきまして御報告をいたします。
○長谷川委員長 順次質疑を許可いたします。田中武夫君。
○田中(武)委員 先日の私の質問に対して当時は十分わからなかった。従って調査の上報告する。こういうことで今なされたわけですが、ただいまの報告を聞いておりますと、小出局長は遺憾に思う、こういうことをまず言われたので、私の申し上げたような事実は確かにあったということを認めになったと思います。それから一番最初二十三年ごろはいわゆる一般的な情勢も社会不安の状態であった。ことに競輪場内等にあれば、そういうことがあるので、一定の人にそれを委託した、こういうことであるが、そういうことならば、いわゆる毒をもって毒を制する。暴力というようなものが競輪場内においては往々にして発生することが認められる。その暴力に対して暴力を背景とするものによって押える。それが警備であり、場内の整備であると考えられた結果と思いますが、二十三年当時のことを現大臣に聞くこともどうかと思いますが、毒をもって毒を制する、こういう考え方が今日まだ競輪場にいわゆる競輪ボスがはびこる原因になっておる。そこで大臣はそういったやり方に対して、ことに三悪追放、暴力追放を一番の公約としておる岸内閣の閣僚の一人として、一体そういうやり方に対してどういうような考え方を持っておられるか、しかも二十五年に通牒が出されておる。この通牒通り行われておるならば、問題はそのときをもって済んでおったと思う。二十三年から始まって二十五年、そして二十五年に通牒が出されて今日三十三年、この長い期間一片の通牒を出してそれでうまく行っておったと通産当局は考えておられるのか、出した通牒がどのように守られておるか、どのような方法で通牒が厳格に守られておるかどうか、そういうことを調査監督せられたかどうか。もしそうしておられたとするならば、こういうような問題はもっと早く解決したと思うのですが、そういう点についてまず根本的な考え方に対し通産大臣、具体的な問題に対しては局長からお答えを願いたいと思います。
○高碕国務大臣 根本政策といたしまして、暴力をもって暴力を制するというような考え方は根本的に誤まりであります。たまたま今回のことにつきまして、競輪が行われた当時社会的な情勢から、そういった方法で場内を整理したことに誤まりがあるということを政府が認めた結果、二十五年の十一月ですか、この警告を発したというのもその趣旨に基いておることと存じます。たまたま今回ああいう事実があったということは、通産当局といたしましてまことに遺憾に存ずる次第でございますから、今後そういうことは断じてないような方法で臨みたいと思います。
○小出説明員 先ほどお答え申し上げましたように、昭和二十五年の十一月に通商機械局長から競輪場の警備についての通牒を発したのでございますが、この通牒の趣旨は、いわゆる自衛警備ということからその必要性というものは、その当時においては認められておったのでございます。これは大きな競技を開催いたします際に、その競技の施行者が全部たとえば警察官というようなものをわずらわして場内の整備に当るということも事実上不可能な場合が多いわけでございまして、それぞれやはり施行者自身が警備員というようなものを置いて、大衆のたくさん集まります場所について取締りをやるのが通例でございますが、この競輪場等におきましてはそういった一種の自衛警備的なものを、特定の組に委託をしたというわけでございまして、その特定の組が当初から暴力的な団体であったり、あるいはそれが非常にボス的な存在であるということがわかっておれば、これはお示しの通り断然毒を制するに毒をもってするというような考え方はとるべきではないのであります。そういうような自衛警備というものが実施いたしておりまする経過におきまして、だんだんボス的な勢力なり、あるいはいろいろな不測の事故が誘発する温床になるおそれが出て参ったにつきましてそういった通牒を出した。具体的に通産省の取締りといたしましては、直接的には通産局、また本省におきましてもこういう競輪事業に対しまする監査等を行なっておる次第であります。その監査につきましてそれぞれ現実の実情を把握しながら参ったのでありますが、先ほど申しましたように、相当あちらこちらにおきましてこの自衛警備的なやり方に対する弊害が出て参っておったことは認めざるを得ないわけであります。従いまして今回の事件を契機といたしまして、そういったボス的な団体に対して包括的に委託をするというようなことにつきましては、今後はこういうような方法を改善することにつきまして指導いたしていきたい、かように考えております。
○長谷川委員長 田中君に申し上げます。労働省から広瀬雇用安定課長、警察庁から刑事局長中川董治君が出席をしております。
○田中(武)委員 私が申し上げておるのは、昭和二十五年にこのような通牒を出されたということは、そのときすでにそういった傾向があることをお認めになったからこそ出されたと思うのです。にかかわらず、それから八年以上もたっている今日、なおそういう状態が続いているのは、出された通牒がいかに実施せられているかということに対して、通産省はどのような監督をしてきたか、こういう点です。 それから警察庁にお伺いいたしますが、今の御答弁から見れば二十三年ごろはもちろん、今日においても場内整理、場内の秩序維持は警察力だけではとうていできない、こういうことを裏書きしたところの答弁であったと思う。そこで警察当局としては、そういうことに対して警察だけで取締りができないのかどうか。ことにこの自衛警備員ですか、こういうものの性格はどういうものか。それからこれはやはり通産省にお伺いしますが、この自衛警備員というのを一定の組等に委託してやった。だがその当時たとえば今日申し上げておる土井組がそういった性格のものでなかった、だが、というような御答弁であったと思う。土井組は私よく知りませんが、土建業だと思いますが、なぜそれではそういうことを、土建業を専門とする人に依頼せねばならなかったのか。おそらくやその裏には、やはり暴をもって暴を制する、こういった考え方がのぞかれておる。ある程度の暴をもって暴を押える。いわゆる暴力によって競輪場内の秩序を維持しよう、こういうような考え方、いうならば昔の鉄火場、ばくち場において、博徒がその子分たちに凶器を持たせて張り番をしておって、その中でばくちを行なってテラ銭をとっておった、こういう考え方と何ら変りがないと思いますが、いかがでありましょうか。
○中川説明員 この犯罪の取締り全体につきましては、われわれ警察が国民の御協力を得て責任をもってやります。問題はその犯罪の取締り以外におきまして、多数の人が集まられて行事が行われる。たとえば映画館で行事が行われておる。そうするとそれの場内の整理で、通路を案内なさったり、そういう整理をなさる方が必要になります。そういった点はそれぞれ事業者に整理していただく。相撲についても同様でありますけれども、この競輪につきましても多数の人間が集まりますので、施行者の方において場内整理をやっていただきたいと思うのです。警察はそういう事業が円滑に行われ、その間に犯罪がないように、犯罪があれば取り締る、こういう点については警察の責任をもってやる。通産当局でいろいろお考えになったのは前者と申しますか、先ほど申しました場内の整理、そういう点では、通産当局で施行者の方の御監督を願って十分やっていただきたい、こう思います。
○小出説明員 先ほど昭和二十五年に通牒を発しました以後の通産当局といたしましての通牒の、実施の確保に関する点につきましては、再三申し上げましたように、しばしば監査も実施いたしておりまするし、そういうような事態が起らないことにつきましては、できるだけの指導をして参ったつもりでございますが、なお今の最初に土井組というものを委託いたしました経過につきしては、私の承知しておりまする範囲におきましては、当時の大阪府振興会の専務理事が、場内の整理につきまして、すでに競馬場につきましてやはり同じような場内整理というものの経験を持っております。しかも他の団体につきましても相当信望があり、あるいは地元の評判もいいというような理由のもとに土井組を委託したという報告を受けております。 それから場内の整理ということと今の具体的な刑事事件発生との関連につきましては、ただいま警察庁の方から申し上げた通りであります。
○田中(武)委員 警察庁の方に伺います。おっしゃることはそのままで受け取りたいと思いますが、暴力犯罪に対しては警察は責任をもってやり、そうしてそのほかの場内整理、たとえば順番に並んで下さい、この入口から入ってここから出て下さいという性格のものは施行者によってやってもらいたい、こういうことだと思いますが、今小出局長は、土井組がその当時その土地において信用があったからという御答弁だが、信用とはいかなるものかということはさておき、ともかくあちらこちらの競輪場でこういった自衛警備、すなわち場内整理というものが、その土地のボスといいますか、顔役といいますか、すなわち背景に暴力を持つ者によって行われておるということは、どうやって答弁をなされようとも既定の事実だ。そこでこちらから第三者が見ておりますと、警察と暴力団とでもいいますか、暴力を背景とする団体とでもいいますか、こういう人たちがアベックで警備しておる、こういうようにわれわれは見、また考えざるを得ない。そこに巷警察と地元ボスとのくされ縁ということが言われる原因があるのだと思いますが、そういう点につきまして警察庁としてはどういう見解を持ち、どういうような監督を行なっておられるか、まずそれを伺います。
○中川説明員 相撲とか演芸とか人が集まる場合、競輪の場合も、場内の整理が段取りよくいっていないで混乱が起るという事例が多いのです。それで多数の人が集まる場合において、観衆の見る場所の配置を手ぎわよくやっていただくことが警察事故を少くするゆえんであります。その意味におきまして場内整理を確実にやっていただくことをわれわれは希望し期待しております。それで競輪施行者におかれましても、そういう多数の人間が段取りよく競輪をやるようにということによっての整理をやっていただくことを希望いたしておりまして、その趣旨によって場内整理員等が選ばれ、それによって円滑な場内整理が行われることは好むところであります。ところがその場内整理員に暴力をふるっていただいて、暴力で整理していただくということは毛頭考えておりません。むしろそういう暴力がありました場合におきましては、場内整理員といえども法律の定めるところによって取り締るべきだと思います。そういう趣旨でやっております。そういう整理員が暴力をふるうことを容認しておりませんし、そういうものがおりますれば検挙するのでありますから、警察がそういう暴力とアベックでやるという考えは全然ございません。警察はそういう人たちを雇用しておりませんので一つ御了承願います。
○田中(武)委員 これは逐次通産省の方に尋ねていきたいと思います。先ほどの調査報告によりますと、開催一回について九万円、それで三回以上で二十七万円、それで一回について約二十人の人が出ておる。それではその九万円の基礎をなすところの計算のことですが、二十人の人がかりに出るとして、日当幾らで一回の会場で九万円になるのか、それを一つお伺いいたします。
○小出説明員 ただいまの一開催ごとの九万円という金額の計算の根拠でございますが、先ほど申しましたように、この競輪の施行者に対しましては、一応開催経費の年度予算というものを作らせまして、その中の雑費として場内整理費というものが計上されて参ったのでありますが、これは当初最初に九万円というものがきまった以後、全然変更になっておりませんけれども、最初の計算の基礎について一人当りどうこうというふうな詳細な計算の基礎は、私どもの手元には実は参っておりません。
○田中(武)委員 この雑費の中へほうり込んで計算しているというところに第一に私は疑問を持っておる。それから一回の開催に対して九万円、大体二十人の人が出るとして、こまかく計算をしてみませんが、その人たちの日当は通常の日当、いわゆる日給と申しましょうか、こういうものよりうんと上回っておると思う。そうするならば、たとえば今警察庁の中川局長がお答えになったように、入場に対して整理を行うことを目的とする自衛警備員であるならば、常用の人を月給を出して雇っておいても、その方が安くつくのじゃないか、このように考えますが、なぜ一括してその地元の顔役と委託契約をしなくてはならなかったのか。それからこういう金を支払った、いわゆる場内整理に対して対価を支払ったというところのこの契約の基礎は、直接施行者とは雇用関係がなかった、こういうように先ほどおっしゃいましたが、これは労務供給契約——先日、前の岩武局長は労務供給契約だ、こうおっしゃったが、もう一度はっきりお伺いいたしますが、その基礎は、労務供給契約であるのか、そういう場内整理ということを内容とする請負契約であったのか、お伺いいたします。
○小出説明員 先ほどの一開催当り九万円というものに対する計算の根拠につきましては、一応そういうものを積み上げて出してきたわけではございませんが、大体人員で申しますれば、二十人ないし三十人が常時出ておる、こういう関係になっておりまして、概略試算してみますと、一人当り一日七百円少し、こういうことになろうかと思います。そこで今の場内整理に関する労務供給かどうかという問題についてでございますが、この場内整理に関する委託は、先ほどの土井組なら土井組という特定の組に対して、組と施行者との間の契約でございまして、しからばその場内整理という仕事を特定のものが請負の形で引き受けておるという格好になっておるのでありまして、職業安定法のいわゆる労働者の供給というような業務にはなっておらない、かような解釈になっております。
○田中(武)委員 労務供給契約ではないとおっしゃったのですね。そうすると、先日の岩武局長の答弁は、労務供給契約である、こう言われたのですが、通産省の答弁に食い違いがありまするが、どちらが正しいのでしょうか。
○小出説明員 先般の速記録、実は今手元に入りましたので私も拝見しておりまするが、当時の岩武局長の御説明につきましては、労務供給という点につきましては、「いわば日雇い的な、個個の雇い入れの臨時労務者と、施行者が委任しております振興会との間に契約のある場合もありましょう。」というようなことを言っておりまして、これは必ずしも明確に労務供給という断定をされたわけではないと思いまするが、いずれにいたしましても、当時岩武局長といたしましては、実態を調査してお答えをするというように言われているのだと思います。従いまして、私どもの係の方で調査をいたしました結果は、先ほど私が申し上げましたようなことが事実であるわけでございます。
○田中(武)委員 そうしますると、この場内整理ということを一括しての請負契約、こういうようなものであるということなんですね。それから、二十五年に出された通牒の中には、職業安定法の三十二条のいわゆる中間搾取の禁止、紹介の禁止の条項とか、労働基準法の二十四条の、労働者に対して直接現金をもって、通貨をもって支払わねばならぬとか、こういうようなことを書いて通牒を出しておられるところを見ると、それは労務供給契約であったというようなお考えの上に立って出された通牒じゃないかと思うのです。先日私がそういう点をお伺いしたので、今度は契約の内容を請負契約だというように、言われておるようですが、労働省にお伺いいたしますが、かりに今言っているような請負契約だとしたら、その請負契約に基いて人を出している、人を供給する、労務を供給する、そうしてそれが一括して賃金を受け取る、こういうものは一体職業安定法による有料の職業あっせんということにはなるのかならぬのか。
○広瀬説明員 今御質問のありました土井組の場合、契約の形式は私ども今調査中ではっきりしておりませんが、請負契約という形で、その実態は、場内警備のために自分の支配下にある労働者を提供している、こういう形になりますと、単純な労働者の提供だということになりまして、これは安定法の四十四条に定めております労働者供給事業ということに該当する疑いが非常に濃いということになると思います。
○田中(武)委員 通産省の方の御答弁によると、労務供給契約であるということを意識的に避けられた。それは今言ったような職業安定法四十四条、四十五条ですか、こういう関係、あるいは労働基準法の二十四条、こういうものの違反の疑いが出てくるので避けられたと思うが、その内容は、形式がどうであろうとも、実質は、やはり人を何人か派遣し、そしてそこで働いてその対価を受け取るということになると労務供給だと思う。しかも職業安定法四十四条によると、これは出した方も受け取った方も両方とも違反である、こういうことになるのです。従ってまず、この具体的な土井組なら土井組が労働大臣の認可を受けていなければ供給者ということも違反である、それを使用せしめた施行者あるいは自転車振興会、これも四十四条違反になると思う。そういう点について職業安定局としては調査を進めていく意思がございますか。
○広瀬説明員 職業安定局といたしましては現在大阪の職業安定機関を通じて調査をしております。今までわかりました情報では、土井組は場内整理の作業を振興会から請負っている、土井組は単に所属の労働力の提供をこれに対して行なっているにすぎないと認められる節が多い、従って職業安定法の禁止する労働者供給事業に該当する疑いが濃いと考えられる、そういう報告が来ております。なお安定法にほんとうに違反しているかどうかという最終的判断をいたしますために、さらに厳密な調査を今現地をして行わしめている段階であります。
○田中(武)委員 さらにそういう見解に立つならば、今度は一括して対価、給料を渡したことは基準法の二十四条違反にもなると思うのですが、それはどうですか。
○広瀬説明員 基準法の問題につきましては、私権限が……。
○田中(武)委員 基準局も来ていますか。
○広瀬説明員 基準局の局長が今出張中でございまして、監督課長が社労の方に出ておりますもので、もし御必要とあれば連絡をいたしますけれども……。
○田中(武)委員 重工業局長にお伺いします。重工業局長は、先ほどの報告によると、二月からその人が行方不明になったので、五月をもって打ち切りたい、こう思っておりましたが、相手がいなかったので八月から打ち切った……。そのときは相手がいたのかいなかったのか。おっしゃるように請負契約であったら、一方的に打ち切る場合、民法の規定によって予告するとかなんとかいうことがいろいろあると思うのですが、それは請負契約として、おっしゃるような手続によって打ち切りの方法をとられたのかどうか。
○小出説明員 先ほど申しました五月をもって打ち切るという問題につきましては、施行者であります大阪府自転車振興会が、土井組の代表者である永田という人が行方不明になったことに関連いたしまして、土井組による場内整理を中止するという措置をもちろん考えまして、そういう場内整理の委任の契約はできるだけ早く打ち切る、同時に整理費の支払いについては五月をもって打ち切るということを一方的に伝達いたしたのでございまするけれども、これに対しまして、相手方の代表者がもちろん当時不在であったということから、いろいろ折衝を重ねているうちに非常に時間がたっておる。この間の経過につきましては、これが非常に明朗な事態であるかどうかということにつきましては、私個人としましてはもちろん疑問を持っておるわけでございますけれども、そういう経過がございまして日を過ごしているうちに七月に入った、こういうのが実態でございます。
○田中(武)委員 当委員会において、この問題が議題に出るとすぐ八月一日から打ち切られる、そういうふうに簡単に打ち切られるなら、なぜ二月から今まで支給しておったのかということも疑問になるし、今おっしゃっておるような計算の基礎あるいはもとをなす契約とでもいいますか、そういうものは各地においてまちまちではないかと思う。あなたのおっしゃるような、全国に幾らあるかどうか私は知りませんが、ほかにあると思う。そういうものが幾らあるか。そういう場内費を出しているのはどういうところが出しておるのか、大体金額についてはどの程度であるか。それが今あなたが答弁せられたような、全都そういう式であるかどうか、そういう点についてお伺いいたします。
○小出説明員 こういった場内整理につきまして、特定の組に委託してやるというやり方が、比較的一般的であるということを先ほど申し上げましたが、具体的に全国各地の競輪場につきましてどういうふうな状況になり、また契約の内容はどうであり、その金額はどういうふうになっておるかということは、私ただいま手元に資料を持っておりませんので、もし御要求があれば調査いたしまして御報告いたします。
○田中(武)委員 何も私は一つの事態だけで申し上げておるのではない。一般的な競輪の権利といいますか、そういうものに疑問を持つから申し上げておるので、全国的にどういうことが行われておるかということを調査してすぐ報告してもらいたい。 それから委員長にお願いしておきますが、次の機会に、日本自転車振興会の会長、あるいは大阪府の自転車振興会の会長、あるいは施行者団体の代表、こういった競輪経理に関係のある人たちに、参考人として当委員会に来ていただいて——今の局長以下の御答弁では私満足できません。そこで十分実態について意見を聞く機会を与えていただきたい、これをお願いいたしておきます。 そこで次に大阪の問題についてお伺いいたします。二月から本人がいなかったそうですが、二十七万円の金を毎月一体だれに渡したのか。その受け取りはどういうことになっておるか伺います。
○小出説明員 大阪通産局で調査しました報告によりますと、五月をもって整理費の支払いの打ち切りを伝達いたしたのでありますが、今御指摘のように、土井組の代表者が行方不明になりましたのは二月でございまして、その間の五月までの整理費は、従来からこの整理費を代理受領をしておりました京谷義明という、この組の人間だと思いますが、これが代理で受領しておりました。それも逮捕されたわけでございますが、その他の代理者の確認が非常に困難になりましたので、従って永田熊吉という、これは土井組の代表者でありますが、その不在中の土井組の事実上の支配と申しますかをしておりますのは同人の妻永田国枝という人でありまして、その人に対して渡しまして、その人から領収書をとっております。
○田中(武)委員 話を聞いておりますと、いよいよ僕はおかしい点が多くなってくると思う。契約をしたのは土井組とやっておる。土井組の組織はこれは株式ですか、法人ですか、その代表者が今の京谷某にその金の受け取りの委任ということを正式にやって、そこで渡したのか、それもいなくなったので妻に渡した。これは法律上不在の場合は妻が代理するからお渡しになったと思うのですが、そういう授受の方法というものも明確になされていない。しかも大阪府の自転車振興会は本人が詐欺賭博容疑で全国指名手配になっておることをとくと承知だと思います。にかかわらずそういうことをなお続けていたということは、事情を知ってそれを続けておったということで、言うならばこれは警察の問題になろうと思いますが、逃亡の幇助罪ともなろう、こういうことも考えられてくると思う。こういう点について、一体土井組というのは法人であったのか。それから契約というのもほんとうにあるのですか。口契約で、ともかくこのくらい出せということで出されていたのではないか。もし契約があるならば、その写しを出してもらいたい。全国にそういうものがたくさんあるのならそういうものを全部一ぺん調べたいと思う。そういうことについて契約書があるとあなたはっきりおっしゃれますか。
○小出説明員 請負契約の内容につきましては、実は田中先生の御指摘の点につきまして私も疑問を持ちまして、事実上そういうような文書による契約があるかどうかということを確めたのでありますが、口頭による契約ということであります。
○田中(武)委員 どうもそうだろうと思ったのですが口頭による契約で果して大阪の自転車振興会が毎月、本人がいなくなっても、きちきちと二十七万円を支払うべき義務があるのかどうか。自転車振興会の会長が支払うのか会計係が支払うのか知りませんが、もしその人本人の金ならばもっと厳格に取り扱ったと思う。この競輪の性格自体が、こういった一つの賭博的なものであるだけにその経理もずさんきわまるものであり、その支払いも大まかにされている、こういうことは認めざるを得ないと思いますが、どうお考えになるか。
○小出説明員 私は最初から申し上げておりますように、競輪関係のそういったいろいろな運営のやり方なり、あるいは経理の実態なりについて現状がきわめて望ましい状態である、合理的にいっておるということは全然考えておりません。従いまして今回のような問題が起りましたことは、きわめて遺憾であると考えておりますし、ただいまのような、特に大阪において起りましたような事件の実態につきましては、私といたしましても徹底的に調査をいたしまして、今後こういうようなことが一切起らないように、また大阪に限らず、他の競輪場一般につきましてもできるだけその趣旨を徹底するように私としては措置いたしたいと考えております。
○田中(武)委員 支払いの問題がそのもとをなすものは口頭であった。しかも全国に、大阪以外にまだたくさんあることも認められる。しかも先ほど御答弁の中に、なぜそういった組の人に頼んだか、こういうことについてはその土地の人たちに信用があるとかいろいろとお答えになっておるが、はっきりと言って、やはり競輪場といったような特別の雰囲気を持つところでは、ある程度暴力を背景とするこういう人に頼む、そういうことによって場内秩序を維持していこうというのか、あるいは威嚇をしようというのか知らぬが、そういうことであった、こう言わざるを得ないと思う。局長はなんとかかんとか、言われておるが、具体的にそれなら信用とはどんなものか、こういうことも聞いてみたくなるのですが、そんな言葉のやりとりをしてもしょうがないと思う。だからはっきり毒を制するのに毒をもってするという考え方だったということをお認めになったらどうですか。そうでないといわれても、現実の事実がそういうことであるということは、これはもうわかり切った事実です。しかも今日暴力組織が問題になっているときに、その組織維持のための大きな資金ルートの一つが競輪であるということはいなめない事実です。言うならば昔のいわゆる鉄火場で、これにその土地の顔役といいますか、やくざが子分を配置して、そこへ善良なしろうとを引っぱり込んでテラ銭を取っておった、こういうことと何ら変りないと思う。どうですか、そういう事実をまだ否定しますか。白ばっくれるならばもっと質問したいと思いますが、どうです。
○小出説明員 先ほど申しましたように、最初そういうような形態において場内の整理という仕事に当らせておりました事柄自体から、いろいろ先ほど警察庁からもお話のありましたように、警察自身の御厄介にならなければならぬような事態を引き起す弊害の面も、間々あちこちに発生しつつあるという事実は、これは私は認めます。従いましてそういうような弊害、いわゆるボス的な勢力の介入と申しますか、できるだけ場内整理はそういうような中間的な存在を排除いたしまして、直接の整理あるいは直接自分が自分の雇用者を使うことができなければ、あるいは個々の人間を直接に雇い入れるというような格好でやっていくように改善をしていきたい、かように考えております。
○田中(武)委員 直接雇用する人によって、そういうことは十分やっていけると思う。現にきょう資料として出されたところのこういう通牒を二十五年に出されたということは、そういうおそれがあった、そういう事実があったために出されたものに違いないと思う。しかるにそれから八年間一体何をしておったか。しかもそういう事実が当委員会で問題になれば、その具体的なものについてはあくる日から——もちろん打ち切りの話が出ていたかどうか知らぬが、あくる日から打ち切られるというような措置をとり得るものを、なぜ八年間も通牒を出してから続けられておったか。しかもその通牒を出した結果がどのように現地において守られ、実施せられておったということを各通産局長を通じて調べてもいない。しかも一昨年国会において法律改正になって、自転車振興会の人事、経理あるいは予算、こういうものは通産大臣の監督下に置かれる、これの認可が必要となるというように改正になった。それは通産省の行政機構の上で地方通産局長に委任せられた事項であるかどうか知らないが、地方通産局長がその委任に基いて法律によって認可したのだと思うが、現に通産省が法律によって認可権を持って以来も、なお続けられておったということ、しかもまたそれがこの一事案だけでなく、いかに言われようとも全国における周知の事実であったということ、しかも競輪の経理は伏魔殿であって、いかなる人もこの真相はつかめないという事実、こういうことは、いかにあなたがおっしゃろうとも明らかな事実であるのに、まだあなたは否定せられますか。
○小出説明員 私はそういうような弊害が起りつつあるがゆえに、従来もそういう取締りについて通牒を発しましたし、今後もできるだけ取り締るということを申し上げておるのでありまして、そういうような弊害の事実は、全国全部がそうであるということを認めておるわけではございません。従いまして、そういうような弊害が漸次激しくなりつつあるという認識のもとに今後の処置を考えたい、かように考えております。
○田中(武)委員 第一回の通牒は二十五年十一月に出ておる。そうして前回の委員会においてこの問題が議題となった一週間後の八月六日に再び通牒が出されておる。その通牒がほとんど同じものが出されておる。それでは二十五年に出されて今日まで、何回も申し上げているが、八年間一体その通牒に基いてどんな行政的な監督をしてこられたのか。そういうことがあれば、この間に何回かもっと変った処置もとられておらねばならない。それが、今日これが問題になって八月六日に同じような通牒をまた出した。この間八年の時日を経過しているということ、これはおそらく通牒を出しっぱなしてほっておかれたと言わざるを得ない。もしそうでなかったら、そういう事実がなお今日まで続いておるということは解せないのであります。最近担当の局長になられたあなたに八年間のことを申し上げてもこれは無理だと思う。だがしかし、そういうことは通産省全体に通ずるところの考え方であり、空気ではないかと思うのです。そういう点について大臣も、それは八年前のことは、あなたは大臣でなかったのだが、しかし今はあなたはその担当大臣だ。一体どないしていこうというのですか。
○高碕国務大臣 前回の委員会において田中委員から御質問があって、私はああいうことはあり得ることだと思って、非常に遺憾に存じました。実際その後いろいろ検討いたしますと、警察力が拡充してきたときにはそういうことは断じてないと思いますが、社会が混乱状態にあったときには、維新当時勝海舟が暴力団を利用した、こういうことで治安を維持したという事実があるのでありますが、日本があの終戦のがちゃがちゃしておるときに、社会情勢が不安であったときに、二十三年ごろ、やはりそういったような顔役の力を使ったらいいではないかという考えであったようにも私は考えられるのでございます。ところが、それが二十五年になってくると、だんだん秩序が回復した、これは当事者がやろうじゃないかということで、あの通牒が出されたことと私は信じております。またかくあるべきことと信じております。特に今日におきましてこういうことが事実存在しておるということはまことに遺憾でございますから、二十五年から今日まで八年間通産省は何をしておったかと言われる御質問に対しては、通産省といたしまして非常に責任を痛感しておる次第でございます。今後こういうことがないように十分努力していきたいと考えております。
○田中(武)委員 委員長から時間がないということですから、簡単にあと一、二点で終りたいと思いますが、尋ねていったら幾らでも出てくる問題です。 二十三年当時の考え方を是認せられたような発言だったが、これは私は疑問がある。しかしこれをここで論争しようと思いません。しかし二十三年から二十五年、わずか二カ年の間でこの通牒を出された。こういう時代になった。ところが私が言ったのは、二十五年から今日までの八年間何をしておったか。具体的に何もしていなかったでしょう。それがたまたま本委員会においてこういうことが問題になったから、あわてて八月六日にまた同じものを出した。こういうことでくされ縁というか、因縁浅からざる関係が打ち切られると考えておるところに間違いがある。 そこで、最後にそれじゃ大臣にお伺いしますが、もう今の質疑応答の中から、あるいは一般的な大臣の良心からごらんになって、競馬も同じですが、あるいはモーターボートも一諸だが、政府が行なっておる競輪あるいはこれに類するもの、こういうものが社会に害悪を流し、その結果が家庭悲劇も起せば、自殺者とか犯罪のもともこしらえておる、こういうことはお認めになると思う。真に岸内閣が暴力追放を決意し、真に三悪追放を決意するならば——もちろんこれの廃止については、これの関係者の自後の生活の問題、就職の問題等もあり、地方財政の問題等も考えねばならぬと思う。だが、これは幾らでも他の方法によって行えると思う。どうですか、この辺で競輪その他これに類するものはもうやめるのだという決意をしてもおそい時期ではなかろうかと思いますが、大臣は三悪追放を口にするところの岸内閣の閣僚とし、競輪あるいはモーターボート、こういった国営賭博を管理する大臣として、もういいかげんにやめたらいいというお考えを持っておられるのではないかと思いますが、その点について聞きますとともに、いろいろと質問に対しては、答弁の方法はあります。しかし今日暴力を背景にする組織の大きな資金源をこの競輪がなしているということはいなめない事実である。しかもまたこの権利というか既得権をめぐっていわゆるなわ張り争いを繰り広げられておりますることは、これも否定できない事実である。こう考えてきた場合、もうこの辺で思い切りをつけるべき時期ではなかろうかと思いますが、大臣、どのようにお考えになりますか。
○高碕国務大臣 通産省は国営賭博の中心ではございません。競輪は通産省に所属しておりますが、競馬は農林省、モーターボートは運輸省、こういうようになっておりますが、これはいずれにいたしましても、こういう種類の賭博類似の行為につきましては、政府としてはだんだんこれをなくすようにすべきものと存じまして、現状許されているものにつきましては、これを整理するということになれば、いろいろ波及するところが多いわけでありますから、これをどういうふうに取り締るか、また今後は許さない、この方針を立てるために、特に前々回か前の閣議におきまして、従前の閣議においては口の申し合せはあったのでありますけれども、これをちゃんと書いて書き物にして、閣議決定にいたしまして、競輪、競馬、モーターボート、こういうようなものについては今後許さない、今後これについては厳重な監督をし、規制をするということに申し合せたようなわけでございますから、これは田中さんのお考えと政府の考えとは一致しているとお考えを願いたいと思います。
○田中(武)委員 質問はやめますが、しかし一致はしていないと思う。 ただ私、ここで最後に要望しておきたいことは、現内閣の前身といいますか、鳩山内閣のときに鳩山さんは大ぼらを吹いて競輪、競馬を廃止するとかどうとか言っておりますが、それが自粛という言葉によって開催日時に若干の規制をするとかなんとかいう程度で今日まで行われてきた。しかしその裏には先ほどから言っているような、やはり暴力とのつながり、いろんな弊害が依然として残っている。従って今日閣議でそういうような話はあったということですが、話だけでなく、次の臨時国会ぐらいにこれの廃止の法案ぐらいを出すような決意をしていただきたいことを要望いたしまして質問は保留いたします。 なお、この次に私要望いたしました競輪の経理をはっきりと公開できるような基礎を調べたいと思う。従ってあとで理事会で御相談願いたいと思いますが、参考人を呼んでいただくということについて保留をいたしておきます。
○長谷川委員長 田中君に申し上げます。これが終りましたら、理事会を開きましてあなたの御要望に沿いたいと考えております。 次は中井一夫君。
○中井(一)委員 私はこの機会に、大臣に対しまして、中共貿易の問題、独占禁止法が緩和されるに伴い中小企業団体組織法についても同様の趣旨においてこれを改正せられたいという問題、さらに先般この委員会において問題になりました百貨店法の運営に関する問題、特に日本信用販売株式会社と百貨店が組んで、小売商の方面に大へんな進出をいたしておる、こういう問題についての御所見を承わりたいと思うのであります。 まず中共貿易でございますが、去る七日に輸出入組合がいわゆる白書を発表して、この際中共貿易の行き詰まりをぜひ打開してもらいたいと政府に要望いたしたのであります。私ども先年中共を親しく見て参りました者にとりましては、この要望の中に唱えておりまするチンコム、すなわち中共への輸出の制限はすでに昨年の夏以来有名無実の状態になった。残っておる一般共産圏に対する輸出制限のココムは、最近これを大幅に緩和する、こういうような世界の大勢になっておる折柄、日本が相変らず貿易断絶のままでは、取り返しのつかないことになる。ただいまこそ日中貿易を促進するには絶好の機会なんだから、これを見のがすことは国家百年のために、いな中共のためにもきわめて遺憾なことであるということを痛感せざるを得ないのであります。もとよりこの問題は、単に貿易は貿易、政治は政治というわけにも参りますまい。日本の外交上の立場よりいたして、その困難であることは申すまでもございませんが、この貿易が中絶されまして以来今日まで三カ月、政府は今なお静観するという一語だけでよいものであろうか。この問題については、特に私が前の委員会において強調したように、外交問題としてよりもむしろ通商産業の問題として、通産大臣みずからが第一線に立って本問題解決の衝に当るべきだ、こういう主張よりしましても、ぜひ通産大臣の強き御決意のあるところを承わりたいのであります。
○高碕国務大臣 中共の貿易問題につきましては、現在ココムが緩和されておる現状におきましては、ますます一日も早くこの貿易関係を復旧することの急務に迫られておることは事実でございます。その他いろいろな点から考えまして、一日おくれれば一日お互いが損をする。お互いというのは中共側も日本側も同様ということでございます。それにつきまして政府は静観をしておる、こう申しますけれども、決して手をつかねて静観しておるのではなく、あの手この手を考えておるわけであります。何しろ相手方は経済問題と同時に政治問題というものは離すことのできない国柄の相手であります。日本といたしましてもこれに対抗いたしますためには、単純に経済問題であるからというて、通商産業大臣の所管のごとく心得て、一人で独走することはできず、あれやこれやで非常に気をもんでいる一人であります。しかしながら、これは現状におきましては相当いろいろな点につきまして検討いたしまして、ある程度の方針も曙光も認められつつ、過ぎ去りつつあるようなわけでありますが、これを具体的にどうするというようなことを御質問になりますと、これは非常にデリケートな問題でございますから、この程度でごかんべんを願いたい。できるだけ早い機会にこれを実行に移したいということで努力しているということだけはお認め願いたいと思います。
○中井(一)委員 この問題につきましては、大臣を信頼し、かつお立場を察して、全力をあげて一日も早く打開されるよう、御努力を切望いたしまして次の問題に移ります。 通産省並びにその他政府部内におきまして、輸出を初めその他産業上の競争があまりにもひど過ぎるということよりして、最近独占禁止法を緩和するという御説のあることを承わりました。この問題はいろいろな意味において是非の議論のあることはもちろんなのでありますが、今日のわが国の現状からいたしまして、その緩和はまことに時宜を得たものであり、やむを得ざるものと考えるのであります。つきましては、独占禁止法における緩和を必要なりとせられる以上、また中小企業に関する団体組織法における商工組合の許可の条件を緩和されることが、きわめて必要であろうと信ずるのであります。申し上げるまでもなく、団体組織法によってきめられました商工組合を作る条件は、結局過当競争があまり激甚で、小売商等がやっていけないようにならなければこの組合を作ることができない。すなわちいわゆる不況条件があまりにも厳格過ぎるのではないか。それでは大病人とならなければ医者は呼べないというのと同じであります。いわんやこの商工組合を作るにつきましては、むしろ作らせないようにしないというような意向が行政官庁の措置の上に見えることは実に遺憾千万でございます。願わくは、独禁法の緩和を考えられるより以上の熱意を持って、この商工組合の不況条件を緩和し、これを作りやすくして互いに中小企業者が共存共栄でその権益を守りつつ、一般社会のために尽すことができるようにすることが一番適切な中小企業対策だと思うのであります。大臣の御意見を承わりたいと存じます。
○高碕国務大臣 独禁法の緩和につきましての改正法を今度提出いたしたいということで、今検討中でございますが、元来がこの独禁法を制定されましたときにおける情勢は、日本の国力をある程度弱くしようじゃないかということが加味されておった点もありますが、これはアメリカの例にならってやった点もありまして、日本の国情に照らしまして、場合によるとこれは不況カルテル、合理化カルテルなんかもやらなければならない。こういうような意味から独禁法を緩和したいと存じますが、特に中小企業の弱体事業体がやはり団結して、そしてその力を発揮するということのためには、どうしても独禁法が改正されなければならぬ。これは特に今日叫ばれており、また政府が考えております改正の根本の趣旨であります。それに合致するためには、この中小企業者のためにやった法律が、これでまた大企業家が恩典を受けるということになればまた間違いが起ってくる、こういうような点があるのでありますから、中小企業者に対しましては特別にまた方法を考えたいと存じておるわけであります。これは政府委員が来ておりますから、その具体的な案につきましては御説明申し上げたいと思います。
○岩武説明員 今お尋ねのございました商工組合の設立の基準の問題でありますが、これは御承知のように中小企業安定審議会が、大臣の諮問に応じて作られたものでございます。その解釈の文言が比較的抽象的でございますので、いろいろと実際の運用に当りましては、あるいは若干誤りがあるかと思いますが、できるだけ実情に合いますように解釈して——御質問がありましたように、組合を作らせないようにしているのだということは全然考えておりません。これは法律並びに基準の条件に合いますように、弾力的に運用して参るように指導して参りたいと思います。従いまして、独禁法が改正されましても、団体法の関係がちぐはぐにならないように、むしろ中小企業の特殊性等に応じまして、弾力的に運営できるようにやって参りたい、こういうふうに考えております。
○中井(一)委員 商工組合の設立条件の緩和ということは、先般私どもが近畿地方に視察に参りましたときに、方方から要求されたところでありますが、弱小の中小企業者を力づけるためには、団体組織法の精神を強く生かして、その弱い力を一本に合わせ、互いに助け合い運動をさせるより外に道がない。またそれが有効適切な施策であるということを痛感いたしたのでありますから、この問題につきまして、直ちに法律の改正ができないならば、その設立条件を判定せられるにあたり、行政措置の上において、もっと楽にかつすみやかに、業者の希望に応じ設立の許可をせられることを、切に望んで次の問題に移ります。 百貨店法の運営に関する問題でありますが、先ず先般本委員会におきまして、日本信用販売株式会社が、このごろ日本至るところの百貨店と取り組んで、割賦販売を盛んにするようになたが、その小売商業者に与えておる影響はきわめて甚大である。こういう事実が前の委員会におきまして問題となったのでありますが、大臣は、そういう事実があるならば、よく取り調べ、善処すると仰せになりましたが、その後この問題に関する取調べをせられたかどうか、またそれに対する措置をいかにせられんとするか。それを承わりたいと思います
○高碕国務大臣 百貨店法が制定されましたゆえんは、中小企業者を擁護するためでありまして、それに関連いたしまして、今日日信販の進出が非常に大きな中小企業者の圧迫となっている、こういうふうな前回の委員会のお話でございまして、いろいろ取り調べたのでありますが、これはやはり中小企業者を擁護するということと、同時にまた消費者大衆というものの立場を考えなければならぬというふうな点がありまして、現在まで取り調べました状況なり、今後の方針等につきましては、まだはっきりきまったことはございませんが、取り調べました状況等につきましては、政府委員から報告いたさせます。
○田中(武)委員 ただいまの中井委員の質問に関連して、ちょっとお伺いいたします。私も同じ趣旨のことを去る七月二日だったか、質問いたしました。それは百貨店法九条にいうところの勧告事項に該当するのじゃないか、いわゆる百貨店の営業方法が著しく小売商を圧迫する場合、こういうことに該当するのじゃないか、こういうことをお伺いして、大臣は、取調べの結果その必要があるならば、勧告も考える、こういうことであったと記憶いたしておりますが、その後の調査の報告と同時に、私が申し上げました質問の点について、大臣がお答えになった、これに関係のある事項についても、一緒に御報告願いたい、このように希望いたします。
○松尾説明員 百貨店の行なっておりまする信用販売、特に日信販等を通じての信用販売の実情は、実はやや古い調査があるのでありますが、当時の私どもの調査では、大体東京にその例が幾つかありまして、もちろん東京でも全百貨店がやっておるわけではなかったようでありますが、むしろ東京を中心にして行われておった。そのときの状況で見て参りますと、大体売上高の三%前後ぐらいが、そのような信用販売制度にのっとった販売であるというような調査がございます。その後御承知のように、東京だけではなくして、大阪方面においてもこのような販売方法を百貨店がとる傾向が出て参りました。そのときに、今御指摘のございましたような点について、当委員会においていろいろ御意見があったわけであります。つきましては、さっそくその実情を調査いたしまして、その調査の結果で、今お話のございました、これに対してどう百貨店法の措置をとるかというような問題にも関連するわけでありますが、この調査につきましては、前の東京近辺の調査だけではなくして、全国的な調査をやりたいということから、先般一定の様式をきめまして、全国の通産局を通じて目下実情の調査中であります。そのような調査の結果を待ちまして、これが中小商業者の経営活動にどういう影響があるかというような判断をした上で、この問題についての処置をいたしたいというふうに考えておる次第であります。
○中井(一)委員 ただいま調査中ということでございますが、その調査は一体いつごろ終結される見通しですか。
○松尾説明員 今申しました調査は、各通産局には大体今月の中旬一ぱいぐらいまでには回答をほしいというふうに期限をつけております。ただ信用販売の実態等はかなり複雑であろうと思いますので、目下通産局でせっかく調査をしてもらっておるところでございます。
○中井(一)委員 私どもの調査の資料も必ずしも新しいとは言えないのでありますが、その資料によりましても、日信販が百貨店と取っ組んでやっておる相手は、百貨店十六社、三十店舗を主体といたしております。その加盟百貨店の床面積だけを申しますと、十五万八千坪に余るのであります。これはわが国小売店の平均売場面積に換算すれば三十一万七千店に相当をいたします。こういうような勢いで進んでおるのみならず、日信販の会員というものは現在二十五万といわれ、その売上高は昭和三十二年度が三十二億三千六百万円に達しており、しかも毎月五千人の会員がふえていくというのでありますから、その家族を加えますと、これは大へんな数に上るのであります。しかもこのクーポン購入券を呼び水として百貨店の現金売り上げは非常な勢いでふえている。全く百貨店にあらゆる小売商の利益が吸い上げられておるというのが実情であります。 先ほどのお話ではこの問題は東京だけにでもあるようにお考えのようでありますが、今日では名古屋、京阪神から九州、北海道にまで、わが国の中小商業者の盛んなるところへは全部進出しておるのでありまして、この問題に対する通産当局のお考えがあまりにも甘いのじゃないかと思われますから、このたびの調査につきましてはそのおつもりで認識を、新たにして正確な実状をおつかみになるように希望をいたします。 なおことにこの問題が小売業者を驚かしておる一つの原因は、大体割賦販売というものは高価なるもの、一ぺんに買えぬからぼつぼつ買うというのが、そのねらいなのでありますのに、この日信販の行き方は百貨店と組んでやりますによって、高価なるものだけではない。身のまわり品から子供のおもちゃまでやっておる、あらゆるものをやる。これではその進出によって小売業者が、これはたまらぬとやかましくなるのは当然であります。願わくば単に形式的な調査だけではなくして、その実質的な影響、月賦販売などというものによらざるお客も百貨店にみんな吸収してしまう、こういうことが小売業者に大へんな影響をするのだ、この点等に注意をされまして、調査の結果をおとりまとめいただきたいのであります。この問題は意外にひどく中小商業者の営業にこたえております。 そこで先ほどお話のありました百貨店法第九条「百貨店の営業行為がその百貨店の事業活動を通じて中小商業の事業活動に影響を及ぼすおそれがある場合において、中小商業の維持育成を図り商業の健全な発達に寄与するため特に必要があると認めるときは、その百貨店業者に対し、その行為をしないように勧告することができる。」こういうことに通産大臣の権限がきめられておるのでありますから、今こそ通産大臣はその権能を発揮せられまして、百貨店に対し日信販の提携中止を勧告せらるべきだと思うのであります。特にこの点につき通産大臣の御意見をあらためて承わっておきます。
○高碕国務大臣 政府委員からお答えいたしました通りに、ただいませっかくその調査資料を集めておりますから、その結果によりまして中井委員の御趣旨に沿うようにやっていきたいと存じております。
○中井(一)委員 それから概括的の問題としまして、百貨店法の運用の現状は、これでよいのかと疑わざるを得ないことを私は発見いたします。百貨店法が三十一年にできたのは、もとより百貨店振興のためではなく、中小商業者を擁護するためである。卒直にいえば、百貨店が有力なる大資本にまかしてやりまくる、その中小商業者に対する圧迫を制限するのが、百貨店法の目的であるのは申すまでもありません。しかるに今までに百貨店から出しました営業や店舗の新増設の許可の件数は、合計百五十三件であるに対し、百貨店審議会、通産大臣がお許しになりました数は百四十六件でありますから、まさに申請の九五%が許可せられておる。いわば申請して却下せられたものなしというのが、この件数の表わすところであります。またこれを床面積について見ましても、百貨店の申請いたしました床面積は、合計で十八万坪余(五四万余平方メーター)でございますが、それに対し許されたものは約十三万坪(三八万六千余平方メーター)であります。結局規制せられたものは二割何がし、概していえば百貨店の希望は大体通っておるというてもよろしいのであります。それがために百貨店は今や百五社、三百三十三店舗、その床面積は三十九万坪余の広大なものになってしまいました。世間では百貨店法は百貨店を規制する法律にあらずして、百貨店の新増設促進法だと悪口を言うに至りましたのも、私は理由があると思うのであります。こういうような政府の行き方、また審議会の態度は、そもそも百貨店法制定の精神にかなうものなのであるかどうか、私はもうここらで百貨店を増大することはおやめになってよいのではないか、あらためて大臣の御意見を伺いたいと思います。
○高碕国務大臣 もちろん三十一年に百貨店法が制定されましたのは、中小業者の立場を安定するためでありまして、当時かけ込みの増設出願者があったことは事実であります。これに対しましては、政府といたしましてもできる、だけ制限を加えたのであります。その後申請者に対しまして許可いたしました数等は、ただいまの中井委員の御説明と、政府の持っております資料とだいぶ食い違いがあるようでありますから、その点につきまして一応政府委委員から説明させますから、お聞き取り願いたいと思います。
○松尾説明員 ただいまお話のございました点の中で、特に法律施行後、いわゆる経過期間のうちに、相当いわゆるかけ込み増設があったのではないかという点は、私どももこの実数について、そういう判断もある程度できると思います。当時の状況で申しますと、当時は申請が経過期間のうちには七十四件で、これに対して不許可が一件、取り下げ三件、取り下げというのは事実上不許可の形勢を見て取り下げたという情勢であると思います。経過期間においてもなお四件の許可をしないものが出ております。これを売場面積について申しますと、申請が四十一万平米に対しまして、形成的な意味では三十万平米でありますが、そのうち売場面積を縮小したものがございますので、これを差し引きますと、二十九万平米が許可になっております。これは許可率からいうと、いわゆるかけ込みといわれた当時でも約七割の許可で、三割は許可になっていないわけであります。これを売場面積の実数について見ますと、確かに経過期間におきましては、当時約百十六万平米の売場面積があったのに対しまして、いわゆる経過規定によりまして、すでに建築に着手しておるもの等の状況を判断して、約二十九万平米の許可が出ております。これが今御指摘のかけ込み増設ではないかという点であります。しかしこの場合においても、ただいま申しましたように相当程度の選別、圧縮はされておると思いますが、さらにこの経過期間を過ぎましてから以後の状況について申し上げますと、この場合には営業許可の申請が十件ありました中で、一件の不許可、二件の取り下げ、実質的には十件のうち六・七件が許可になっております。なおそのほかに新たな営業許可ではなくして店舗の増設とか、あるいは売場面積の増加がございますが、これは許可申請が約七十件ほどあったのに対しまして、このうち約九件が不許可または取り下げになっております。差引五十四、五件が許可になっておりますが、実はこのいわゆる売場面積の増設許可という中には、片方に売場面積の増加はするけれども、同時にそれに相当する他の面における売場面積の縮小をいたしましたもの——この申請の中には相当部分差引売場面積の増減なしとか、あるいはある場合には若干減少するとか、あるいは増加があっても若干の増加というような形の件数のものが相当あるのでありまして、この場合に件数だけでは、その実質的な判断はやりにくいと思います。これを売場面積について申し上げますと、ただいま申しました営業許可の方は、これはまるまるの営業許可でございますから、今のような問題はございません。しかしこの営業許可の場合におきましても、実質的な営業許可の——これは実質も名目も同じでありますが、許可は、許可の申請に対しまして売場面積で、五四%ほど許可があって、約半分近いものは許可になっていないという実薮があるわけであります。さらにあとで申しました売場面積の増加云々の点につきましては、約四万平米の申請に対しまして、形の上では約三万平米の許可でありますが、先ほど申しました片方に売場面積の縮小がありますから、差引の意味では約二万平米の許可になっております。その意味で売場面積の増設の許可は、売場面積の率からいいますと、申請に対してちょうど五割程度の許可でありまして、あとの五割は許可になっていないわけであります。これらを通算いたしましてもう一回振り返ってみますと、法律施行当時約百十六万平米の売場面積があったのに対しまして、いわゆる経過期間に、先ほど申しましたように二十九万平米の増加が行われております。しかしその後におきましては、今申しました営業許可と売場面積の増加を合せまして、その法律の経過期間後におきましては六万六千平米の許可があって、現在約百五十万平米の状態になっている。つまり法律の経過期間以後におきましては売場面積の増加は四・五%程度になるという計算が私どもの実数であります。これは確かに、御指摘のような経過期間においては、そのときの実情でややかけ込み増設という批判があると思いますが、経過期間を過ぎましてからは、ただいま申し上げましたように、今御指摘のように全部が許可になっているとか、あるいは事実上法律の許可制度がなきにひとしいような運用であるというような実情では、決してないように考えております。
○中井(一)委員 私は私の資料の正確であることを信ずるのでありますが、御説明と相違せる点は政府においても私においても再調査の上、次回に事実を明確にいたしたいと存じます。 最後に一点伺いたいことがございます。中小企業の状態は、ほんとうにわが国における大問題で、私はまさに社会問題だと心得るのであります。その原因は、日本民族の置かれたる位置、ことに人口過剰等困難なる根本問題にあると思うのでありますが、それだけに政府は十分に同情し、何とかしてこれを救済し育成したいのだという誠意を持っておることを表明する必要がある。もしそれをせなければ、これら気の毒な同胞は政府を信頼せなくなり、また希望を持って働くことができなくなると思うのであります。従って、これらの人々の懇望に対しては、法律上は多少無理であろうとも、また行政上の措置としてやりにくくあろうとも、思い切って親心によりこれらの人の希望を裏切らないようにするということが、大きな政治であると思うのであります。つきましては、ただいまだんだん御説明がありましたが、要するに小さい商売人は百貨店の大資本力でぐんぐんこられてはたまらぬと言うのです。そのときに当りまして、現在問題になっておる一つは、横浜の松喜屋百貨店の拡張問題であります。この松喜屋百貨店は三十一年、三十二の二回にその増築を許されたのでありますが、今回また増築の許可を願って出たのでありまして、横浜市の小売商は非常な恐慌を来たしておるのであります。もとより横浜には高島屋の進出があり、それにさらに松喜屋が増築するというので、非常な問題になっているのであります。こういうものに対しては断固として許さないというはっきりした態度を、通産大臣がおとりになることは、やがて政府は中小企業者に対して理解がある、またこれほど同情しているのだということの親心を示すゆえんになるのでありまして、実に政治的の必要事だと思うのであります。それをそうでなく、法律上行政上許さぬわけにいかぬといって、どんどんお許しになりますと、やはり政府は大資本家にのみ味方をして、われわれ弱小の者は相手にしないんだというような感じを与えるおそれがある。それではやがて日本の社会状態を根本的に不安ならしめる原因となると私は信ずるのであります。そういう点からいたしまして百貨店法の運営は、今日のような状態でよいのであろうか。現にこの具体的な問題が起っておるが、真に百貨店法の制定の精神をお考えになるならば、まずもって松喜屋増設の申請などには一撃を食らわして却下されるのがよかろうと思う。この問題について一つ大臣の御所信を伺いまして私の質問を終りたいと存じます。
○松尾説明員 具体的なケースのお話もありますので私からお答え申し上げます。先ほど私計数について申し上げましたのは、現在私どもの持っておる実数をそのまま申し上げたということでありまして、そういうことから六百貨居が次々と大きくなり、あるいは新店舖を建築することを放置してよいというつもりで申し上げているのではございません。ただいま御意見のところは、私どもも十分今後百貨店法の運営について注意していかなければならぬ点であろうと思います。 今御指摘のございました松喜屋につきましは実は申請が出て参りまして、法律の手続によりまして一般に公示をして、これについて現地の意見の調整を持っておる時期でありますので、このような時期に私どもの方の考えというようなことを申し上げることは差し控えさしていただきたいと思いますけれども、いずれ現地の方でいろいろ御意見が出て参ると思います。現に現地の小売商の方々からは、これについて相当に強い反対の御意見が事実われわれのところには出て参っておりますので、そういう御意見は現地の商業活動調整協議会の意見として十分反映して出てくると思いますし、そのような御意見は十分尊重されて百貨店審議会の審議で、結論が出ると思いますので、ここで具体的なケースについての御意見を申し上げることだけは差し控えせさていただきたいと存じます。
○長谷川委員長 大矢省三君。
○大矢委員 ごく簡単に二、三質問申し上げます。従って私も簡潔にいたしますが、答弁の方もまた簡潔に、イエスかノーかを一つお願いしたい。 まず第一に、中小企業振興助成法を次の臨時国会にお出しになる意思があるかないか。もし出されるとしますならば——聞くところによりますと、従来中小企業に対して指導あるいはまた診断、監督をして参りました機関を、特に五大都市では、府県にさらにまさった施設なり事務的なそれぞれの機関を持っておるのに、今度府県だけにこれを統一して、それらのものを除外するということでありますが、私はこれは逆だと思う。むしろ手近な地方々々の特殊な産業によってそれに合った診断あるいは助成、指導の機関もちゃんとあるのであります。一例を申しますと、大阪のごときは衛生試験所にしても工業試験所にしても、他の府県にはるかにまさった施設を持って、今日まできわめて熱心にこれを指導しておるのであります。これを除外するということには、私どもどうしても納得がいかない。今度の法律の中で特にこういう施設を持っている——何も五大市に限ったことはない、市に、従来通りこれを与える方針なのか、あるいは府県に統一したい理由がもっとほかにあるのか。まず第一に、法律を出されるのかということ、次に五大市その他施設を持っているものを、こういう機関から除外するのか、これらのことについて伺いたい。
○岩武説明員 中小企業振興助成法の問題につきましては、これを提案いたしますかどうか実は検討中でございます。それから今お話のありました点、実は私最近就任いたしたばかりでございまして、こまかい事情は存じませんので、もし提案いたしますとしますれば、その点も十分検討したいと考えております。
○大矢委員 次に、不況対策の一つとして政府特に通産大臣は、貿易振興策を非常に強調されております。最近聞くところによりますと、そのために東南アジアあるいはまた中南米の方に民間使節団を出して大いに貿易を拡大強化して不況対策の一環にしたい、こういうことを強く宣伝されておるようでありますが、私はまずこれに対して、今日の不況対策に、貿易の振興けっこうでありますが、不況がいかに打開され、どの程度にこれが振興して景気が上昇するか、不景気が回復されるかどうかということについての不況対策としての見通しが、現政府はきわめて甘いと思う。来年の四、五月ごろになるとよくなるなんというようなことを言う。それは見方によっていろいろ出てきましょうが、私はきわめて甘い考えであるということをまず申したいのです。が、これは見解の相違で、いろいろありましょう。しかしこの貿易振興策については、先ほど中井委員からいろいろ熱心に中共の貿易の問題についても御質問があったようでありますが、私も昨年末に中共と北鮮に行って参りました。そのパスポートを出すときに、もし北鮮に入るならパスポートは出さないという。これはどういう関係かしらん、外務省は、国民の要望と通産省があげて熱心にやっていることを、何か意識があってかなしか知らぬが、どうも妨害する傾向がある。私ども一行として行きましたから、一行としては北鮮には行かないけれども、大矢個人としては行ってくるというので、私は一週間ほど北鮮に入ってきました。そのときにちょうどイギリスの商工会議所の会頭一行五十名が来まして、来年度の貿易をちゃんと北鮮で協定しておる。私はこれを見まして、これは一体どうしたことかと思った。同じ自由主義国家内にある、しかも大国である英国がどんどん朝鮮に来る。大臣御承知の通り新潟県から清津の港といったら、すぐそこです。すぐすっと行ける。それをずっと香港を経由して、しかも中共を通って貿易をやっている。これは御存じでしょうが一体どうしてそういうことをするのか。われわれが共産主義圏内に入ったからといって、共産主義かぶれすると思うほどあなたたちは日本人を信用しないのかどうか。私は、大いに民間使節団をやって貿易をできるだけ盛んにしようというならば、まず手近なところあるいはできるところからやっていくということでなければならぬと思いますが、どうもそういうことについて外務省は絶えずトラブルを起して、商人なんか行こうとしてもやらない。これは所管は違うかも知れませんが、貿易振興という大目的のために、あるいは大きな不況対策のための一つの貿易振興としての民間使節団をやるのに、大臣が閣議なりあるいは外務大臣に強引に談じ込んで、ぜひ一つこういうパスポートを出して、絶えず日本の実情を向うにも知らし、向うも見てくる、視野を広くしてくる——これはついででありますが、私の友人が昨年メルボルンに行きましたとき、中流以上の階級の人が自分のところを誇らしげに案内して、日本の大都市に水洗便所はありますか、テレビはありますかと聞いた。テレビだって水洗便所だって、とうにやっていますと言うとびっくりして態度が変ったそうです。いかに日本の実情を向うが知らなさ過ぎるか、大きな国でありますからいろいろありましょうが、中流以上の人が日本にテレビや水洗便所があるかということを尋ねるほど日本を知らないんだから、今後日本も大いに発展して貿易の振興をやろうとするならば、もっと日本を宣伝するために、大臣みずから先頭に立ってやってもらいたい。いわゆる貿易振興策の一助として民間代表を送るということであれば、こういう中共、朝鮮のような手近かなところにも、今まで政府が行おうとしつつあると同様な手続あるいはパスポートを出すことに努力願えるかどうか。それはできぬ事情がこうあるのだというなら、その事情もあわせて簡単に一つ御答弁をお願いしたいと思います。
○高碕国務大臣 不況対策を貿易振興だけによるということは、なかなか困難だと思っておりますが、少くとも貿易振興は不況対策の一大ファクターであるという意味におきまして、貿易振興促進対策をとりたいと思います。貿易帳興は相手方があることでありまして、何しろ目的からいいますと、外貨をかせぐということが一つの目的でありますと同時に、現在持ちあぐんでおる日本の過剰商品を一応はかしてしまう。そして国内の循環をよくする。こういう意味からいって、すぐには外貨が取れなくても、やがては外貨が取れるということになるが、差しあたり荷物をはかす、こういう考え方と二つを考えなければならぬ。その意味から申しまして、今日使節団を出そうとしておりますイギリスだとか、アメリカ、豪州、これは現金を持っておる国でありますから、早く行って外貨をかせぎ、ものを買ってもらう。中南米とか東南アジアとか、あるいは中近東というところは外貨がなくて困っているのでありますから、そこはまず一応日本のものを持っていって、経済協力なり、あるいはブランド輸出なり延べ取引で、日本のものをはかしていく。これを第二の不況対策と考えております。もう一つは中共と北鮮、この問題は私どもは事のいかんにかかわらず、何としても一日も早く解決していきたいという方針を持って進んでおります。
○大矢委員 私は北鮮ということを言いましたが、北鮮に限らず南鮮も、手近かな朝鮮とはぜひやってもらいたいと思います。 それから今、どうも外貨がないからまず第一に外貨獲得、それから滞貨を整理することと言われた。なるほどそうでしょう。しかしながら、大臣はすでに御承知かと思いますが、中共貿易がああいう結果になった一つの報復手段——報復手段かどうか知りませんが、中共が華僑に呼びかけて、綿布ならば日本より一割安くて、しかもドルでなくてもよろしい、向うの通貨でよろしい、そういうふうな方法を中共がやっているのに、ドルをかせがなければならぬから、あるいは一つの賠償の割当で、何か現地に品物を持っていかなければならぬのだと言うが、中共のやり方に対して一体どういう対策を持っているか。これは綿布に限ったことではない。日本で売るものよりもことごとく一割安い。しかも向うの通貨でけっこうです、こういうようなことは、私はおそろしいことだと思います。これに対して一体どういう対策を持っているか。ドルをかせがなければ、それ以外に何もできないのだということになると心細い話です。ドル不足はどこの国にもあるのですから、専門家である大臣は、何かほかにもっと名案がありそうなものだが、この機会に、私に答弁するのでなく、国民に答弁するつもりで答弁してもらいたいと思います。
○高碕国務大臣 中共が現在東南アジア市場に経済問題をひっさげて、政治的に進出しつつあるということは非常に重大な問題であります。これは採算を考えないわけでありまして、そろばんを持たずに政策的にやるのでありますから、日本が憎いために、日本をいじめるためにやっているというふうに考えるのは、私は少し考え過ぎだろうと思います。かりに日本と中共との間の国交が回復されても、やはり宿命的に中共と日本というものは、将来とも東南アジアの市場において競争すべきものだという考え方を持っていかなければならぬ。それには政策的にだけ考えるわけにもいきませんので、どうしても日本の商品を、いいものを安く売る。そして中国でできないものをわれわれは作っていくという根本の政策をもっていかなければならぬ、それに付隋いたしまして、現状としては、外貨をかせぐということだけではいけないということでありますが、外貨をかせぐのも一つの目的でありますが、ものをはかすということが主たる目的でありますので、それがためには延べ取引もいたしますし、経済協力もし、あるいは場合によれば、現地の通貨によって日本の商品を売るということも考えなければならぬ。あの手この手をもって考えていく必要があると思っております。
○大矢委員 最後にもう一点だけ。私ども最近各地方を回りまして、特に織物業界の不況について、いろいろ陳情を受け、実情を見て参ったのですが、その中で一番私ども心配したのは、それは今の政府というか、現状のやり方というものは、自由経済でもなければ計画経済でもない、これが災いをしている。徹底した自由経済なら自由経済でやるかあるいは計画経済でやるか、いずれかにしてもらいたい。また貿易も、管理貿易か自由貿易かどっちともわからないようなことをやっている。その点を一つはっきりしてくれないと、われわれはこれから伸びる道がないと思う。さらにもう一つは、当面の問題もさることながら、安定した操業をやるためには、正常なる糸の価格をきめてくれ、そのためには原綿を割り当ててリンク制にしてくれ、こういうことを言われて、私どもなるほどと、そういう将来の操業について重要な示唆を受けたのですが、先ほど来競輪、競馬あるいは競艇、そういう賭博が問題になりましたけれども、私はあれが大衆の賭博ならば、金持の賭博は三品市場にあると思う。この三品市場が値段をつり上げたり、あるいは買い占めたり、投げ売りをしたりしている。私はおそらく六、七億円の金があったら、日本の糸が自由になると思う。三日間市場が買い占めをやって、どっと値段を上げたり、金融のために投げ売りをやったりするので、これほど不安定な業界はないと思う。そういう糸の価格を正常化する、あるいは三品市場のあり方というものについて、もし検討する必要があるならば、何ら生産に関係なく、何ら原綿に関係なく値段を、左右する三品市場——もし賭博がいかぬなら、これはどの賭博はないのだから、これを何とかしてもらいたい。その三品市場が、何ら生産にも原綿にも関係なく値段を左右するために、織物業者の一番困っているのは糸高で製品安です。そのために織物業者は倒れていくということです。だから糸の価格を正常化するために原綿の割当をしてもらいたいと言うのは、これは無理からぬことだと思います。そこで、その人たちの言う糸の価格の正常化ということ、一体これをどうしてきめるかということが問題なんですが、三品市場がある限り糸の正常なる価格は絶対にきまらないと思う。そこで私は、何か閣議で競輪、競馬は今後ふやさないとか、今後できるだけなくしようということになったそうですが、それならばこの三品市場も同様にやってもらいたい。そでの前提となるのは今申したように徹底した自由経済か、あるいは計画経済の統制をやって、そういう業者を対抗させるよりほかない。先ほど来百貨店の問題も出ましたが、もし政府がほんとうに本腰を入れてやろうとするならば、あの百貨店に対抗すべき商店の百貨店を町に作ったらいい。そうすれば必ず対抗できます。その組織を持たないから、あるいはそれに対する積極的な政府の援助がないから、大資本を持った百貨店に押されてしまう。そこで消費者に便利であり安く売れるような組織を持てば、百貨店に対抗できる。それには私は計画性がなければならぬと思う。大臣よく知っているように、最近アメリカでは百貨店が行き詰まりました。日本でも近き将来に、私は百貨店に対抗すべき協同組合なり、もっと横の連絡をとった、いわゆる中小企業の人たちが立ち上る時代がくると思うし、それが組織化されつつある。こういうことを考えるとき、あなた方が考えておられる経済についても、いずれをとるのかはっきりしてもらいたい。いやどっちに傾くわけにもいかぬのだ。現状では自由経済にも欠陥があるし、計画経済の統制にも欠陥があるのだから、そこは中庸というふうに考えておられるかもしれませんが、そのために因っているのが、つまり中小織物業者であり、商業者なんだ。だからどれかいずれかをこの機会に、このやり方をどうするのか。今行き詰まっておるのは当面の問題を糊塗しているからです。恒久の対策として糸の正常化なり、あるいはそれに対する手数料、マージンが確実にもらえるようにしてやれば、業者は安心してできる。それができないところに、こういうことになった。あるいは政府の施策の一つの失敗であると私どもは思っておるのですが、あるときには無責任といいますか、いわゆる計画性もなく機械をふやした。いわゆる放任をやった。あるときにはまたそれが過剰生産になったというので、機械を買い上げて国民の血税からこれを……。ほかの者はもし政府の施策で自分の方も買い上げてくれるならばいい、全部買い上げてくれと言いますよ。これらは一体どうするのか。こういうことで不景気になったといえば、手の裏を返したように極端な金融引き締めをやる。結局迷惑を受けるのはそういう業者なのです。これはこの機会に大臣が政府の施策なり将来日本のあるべき経済の姿というものを明らかにして、安心して操業ができる方針を、特にいわゆる織物業者の不況に直接関係いたしましてお聞きしたい。
○高碕国務大臣 日本の現在の経済は自由主義に置くか、計画経済に置くか、どちらなんだ、こういう御質問のようでありますが、これは自由民主党が初めから言っております通りに、現在の方針は自由主義経済というものを根幹とし、基幹として、そうしてこれを自由放任しておるのではなくて、これに対して長期の経済の計画性を持たしていくべきだというふうに政府はやっていきたい、こういうのが根本の方針でございます。さてそれが実行になればなかなか困難だろうというのは、ただいま大矢委員の御指摘のごとくいろいろな点において徹底せぬ点はあるのでありますが、逐次その方針で進んでいきたいと存じております。特に今日の繊維対策、不況対策につきましては、正常なる公正価格をきめろ、こういうふうな要望もありますし、またそういうことをやれば、これは政府が中心となった統制経済をやることになりますが、そこらの点につきましては、根本方針に沿うように現在の繊維の不況対策を進めたい、こういう方針であります。現在の繊維不況対策に対して政府の方針は、説明員からお答えいたさせます。
○今井説明員 現在繊維産業は非常に困っておるのは御承知の通りでございまして、不況の対策といたしまして、さしあたりわれわれといたしましては、その不況の原因が、輸出が非常に不振だとか、あるいは内需が不振であるということのほかに、非常に設備が多過ぎるという点にあると思いまして、設備の買い上げを大規模にかつ急速に行いたいということで、先般の八月一日の閣僚審議会におきましても、二カ年計画で綿スフ織機四万台、絹人絹織機三万台を買い上げることにしております。 それからもう一つはさしあたり滞貨が非常に多いということで、これは滞貨綿布の買い上げを急速に行いたいということで、関係業界において今いろいろ実施に、至急に入るべく打ち合せ中でございます。 それから第三点といたしまして、ただいま御指摘の繊維業界といたしまして、大企業である紡績と、中小企業である機屋との間にいわゆる原料高の製品安ということが宿命的な問題として残っております。これは機屋の足並みが従来とかくそろわないということ、並びに資力関係からいたしまして、どうしても大資本に押されやすいということがあると思います。この点はわれわれとしまして何とか是正しなければならぬ、この是正の方法といたしまして、機屋の原糸の共同購入をできるだけ進めさせて、政府の方もめんどうをみていきたい、かように考えております。御承知のように中小企業団体組織法におきまして、この中小企業が組合を作って共同購入をすることによって、大企業に対して少しでも立場を高めていきたいということでございますので、私どもとしましてもそういう線で指導していきたい、かように考えております。その際の取引条件の改善につきまして、政府としてできるだけ指導するつもりでございますが、ただ建値とか、直接値を政府が強力に介入してきめるということは、これは必ずしも妥当とは考えられませんで、その辺は業界が話し合うことをもとにしまして、政府はそこにある程度指導を入れる、こういうような方法で解決していきたいと思います。
○大矢委員 きわめて抽象的な答弁でありまして、これ以上は議論になりますから言いませんが、糸値を正営な価格にしてもらいたいということは、共同購入では解決できません。共同購入しても、正常な価格が出てくるはずがない。そこで何らの関係のない人が上げたり下げたりするこの機関がなくならなければ、私は原価計算というものは出てこないと思う。大資本に対抗して何らかの保護をしてやろうというならば、大企業でするところの糸に対して、原綿から費用一切を計算して、これが正当な価格で糸を買うていく、共同購入をやるとか、あるいは適当に配給するとかしなければ、ただそのまま現状において共同購入して何らか大資本に対する保護をしようというような抽象的なことでは、正常な価格というものは出てこない。結局はその不況の製品安の犠牲というものは機屋に来る。そんなことはわかり切っておる。だからこれ以上私は議論になりますから申しませんが、正常なる価格によって糸を供給してもらって、安定した操業をやりたいというのだから、その具体的な方法を今後考えてもらいたいということを要望して、私の質問を打ち切ります。
○長谷川委員長 次会は九月十一日木曜日午前十時より開会することとし、本日はこれにて散会をいたします。 午後四時三十八分散会