社会労働委員会 第13号
- 発言数
- 103 件
- 登壇者
- 14 名
- 会派数
- 2
- 開催日
- 1958/09/26
会議録
○園田委員長 これより会議を開きます。 今閉会中、本委員会は議長の承認を得て、厚生労働関係諸施策に関し、その実情を調査するため、各地に委員を派遣いたしたのでありますが、これに関し、この際各班の派遣委員より順次報告を承わることにいたします。第一班、滝井君。
○滝井委員 私ども二名からなる東北班は、去る八月二十七日より五日間、岩手、青森両県の厚生及び労働行政につきまして調査いたして参りましたので、その調査の概略について簡単に御報告申し上げます。 まず、岩手、青森両県における調査の日程及び関係施設の視察個所等について申し上げますと、日程の一日目は岩手県庁において、厚生、労働行政について、各関係部課長よりそれぞれ所管事項の説明を聴取いたした後、児童結核療養施設みちのくみどり学園を視察いたしました。日程の二日目は、岩手県同様、まず青森県庁にて厚生、労働行政について、各関係者よりそれぞれ所管事項等の説明を聴取いたしましたのち、国立療養所臨浦園を視察いたしました。日程の三日目は青森国立療養所、婦人相談所、公共職業安定所、養老施設の安生園及び教護施設であります青森学園等の関係施設を視察いたしました。日程の四日目は十和田国立公園の整備状況等につきまして、視察いたしたような次第です。 以上が今回の私どもの視察日程及び視察個所等でございますが、このたびの国政調査の内容はきわめて広範囲にわたりましたので、その調査の結果等につきましては、今後の委員会の過程におきまして、そのつど質疑の形をもちまして御報告申し上げたいと思いますので、本日はその報告を省略させていただきますが、調査の際、県当局並びに施設関係者等より要望を受けました若干の項目につきまして御報告申し上げます。 まず岩手県における要望の第一は、昭和三十一年のお年玉年賀はがきによる四千四百七十二万円と各方面の寄付金等により、全国に先がけ、児童結核療養所として設立されましたみちのくみどり学園はきわめて風光明媚な地に位置し、その施設もまことにりっぱな上、施設の子供等は結核児童とは思われませんほど明るい元気な生活を送っておるようでございましたが、いかんせん、この施設も財政的に非常に困窮いたしており、来年度よりはその見通しさえつかぬとのことであり、関係者一同はこぞって小児結核療養施設に対する国庫の助成をはかるよう希望するとともに、現存の医療機関をして、医療のほか学習指導及び生活指導をも行い得るよう整備し、これを指定医療機関として、これらの施設で療育する結核児童の費用につきましては、公費負担とするよう来年度予算に計上してほしいとの強い要望がございました。 第二には本年七月一日より実施されました保育所措置費交付基準は昨年度に比べ、その保育単価は一般に減額され、これに反してその徴収額は保護者の負担過重となっておりますので、その結果は保育所の運営をして困難に陥れておるのであります。従いまして保育所が地域の児童福祉施設として円滑なる運営ができるようその交付基準を再検討するとともに家庭負担の軽減、保育単価の値上げ、保育料徴収の適正化等をはかるよう要望いたしておりました。 第三には、国民健康保険についてですが、この問題はいろいろの要望がございましたので、その二、三点のみを申し上げますと、まず療養給付費補助金を給付金の三割相当額に引き上げますとともに、その交付に当りましては保険税の負担の平衡をはかるための調整方法を講ずるようにとのことであり、事務費の補助金につきましては、実際の支出額の全額交付とするとともに、直営診療施設の設置に要する費用につきましては、僻地は全額、その他は二分の一にするよう国庫補助率を引き上げるようにとの希望があり、また岩手県におきましては、市町村の国民健康保険財政にかんがみ保険融資基金制度を創設し、その第一次目標を五千万円とするなど着々とその拡充に努めておりますので、国におかれましても何とぞこの制度を設け、これら県基金制度に対する補助制度を設けてほしいとのことでございました。また一方本年六月三十日に告示されました診療報酬の改訂問題につきましては、これが実施に当っては非常に混乱をきわめておりますので、早急に診療報酬点数表の一本化を実現してほしいとの要望がございました。 第四は、失業対事業についてですが、現在の就労日数の二十一日をもってしては最低生活の維持が困難であり、その結果は生活保護法の適用を招くことになりますので、少くともその就労日数を二十五日程度にしてほしいとのことでございました。このほか簡易水道事業費に対する国庫補助率の引き上げ、保健所費国庫負担金の引き上げ及び結核予防法に基く医療費の引き上げ等いろいろと要望がございましたが、これらもまた今後の委員会の過程におきまして生かして参りたいと存じますので、省略させていただきます。 次に青森県における要望事項につきまして簡単に申し上げますと、第一には、保健所費に対する国庫負担金を、現行の三分の一から二分の一にしてほしいとのことであります。 第二には、結核予防法に基く医療費、特に現在入院いたしております患者の中には重症者が多いため、その医療費は相当額に上っておりますので、国庫補助率を現行の二分の一から生活保護法と同様に、その補助率を十分の八に引き上げるようにとのことでございました。 第三には健康保険問題についてですが、青森県の事業所は、そのほとんどが小規模事業所であり、しかもその事業所が各地に散在しておるため、保険料の徴収等、いろいろと困難な問題が多く、保険財政も赤字となっております関係上、健康保険病院の設立を強く要望いたしておりました。 第四には保育所の問題ですが、これは岩手県と全く同様の要望ではありましたが、特に青森県においては、措置児童の大半以上がC階層でありますので、C階層を細分化し、低所得者に対しても徴収可能の額にしてほしいとの要望がございました。その他、職業安定所におきましては、冬季期間における職員の増員並びに機動力の拡充、青森学園におきましては、国立女子教護施設の設置、また青森療養所におきましては、医師の充足並びにアフター・ケア施設の拡充等、いろいろの問題につきまして、各関係者より非常に熱意のある要望を受けましたが、これらもまた今後の委員会並びにその他の機会において御報告いたしたいと思います。 以上簡単でございますが、これをもちまして報告を終りといたしますが、最後に、今回の調査に当りましては、県当局並びに各関係者の心からなる御協力を得ることができ、予定通り当初の目的を果すことができましたことを衷心より感謝申し上げる次第でございます。
○園田委員長 続いて第二班、伊藤よし子君。
○伊藤(よ)委員 私ども田中、伊藤の両委員は、去る八月二十六日より同月三十日までの五日間、厚生及び労働行政の実情調査のため、和歌山県と三重県の両県の視察を行いました。 日程の第一日は、和歌山県庁において労働基準局、民生部、衛生部及び労政課の関係者からそれぞれの所管事項の説明を受けた後、直ちに御坊市に向い、御坊公共職業安定所における実情を聴取いたしたのであります。御坊市の失業対策業務はきわめて特異なものがありまして、失対適格基準を無視した求職の争議は常に非常なる険悪事態を生じるのでございまして、これが対策としては、根本的には経済問題の解消をはかることは申すまでもなく、あわせて強力な同和問題対策の樹立が不可欠であろうと思うのでございますが、この問題に関しては今後の委員会の審議に生かして参りたいと存じております。 次に御坊市と隣接の国立療養所延寿浜園を視察いたした後、国立白浜温泉病院を視察いたしました。当病院で要望を受けました第一点は、定員の増加であります。すなわち昭和二十七年以来据え置きとなっている現在の定員を、病院の特殊性を考慮して看護婦、マッサージ師、ボイラーマン等の定員を確保してほしい、第二点は温泉料を新点数で認めてほしい等の要望がございました。 日程の第二日は車中であり、第三日は三重県に参り、松阪市において松阪公共職業安定所の実情を聴取した後、三重県庁において民生労働部及び衛生部の関係者からそれぞれの所管事項の説明を受けました。終って労働基準局に参り、基準局関係者から所管事項の説明を受けた後、国立榊原療養所を視察いたしたのであります。 日程の第四日は、倉敷紡績株式会社津工場を視察いたしました。当工場の労使関係は非常にスムーズでありまして、労災の安全率もまた高率を示しておるのであります。 なお、三重県において要望を受けました若干の項目を申しますと、観光事業強化の問題でありまして、その第一点は、国立公園区域拡張の早期実現についてであります。当県東南の海岸線一帯は傑出した自然の風景地であって、数年来、地元はもとより県においても本地域の国立公園編入を強く要望しているのであります。 その第二点は、国立公園地域内における観光施設の整備増強についてでありまして、本県の国立公園地域ことに吉野、熊野国立公園地域については従来ほとんど見るべき施設なく、厚生省国立公園部の本地域に対する施設補助は僅少であり、紀勢線全通の暁には伊勢志摩と南紀とを結ぶ重要観光ルートとなり、一般大衆の健全なるレクリエーション地帯として観光客の激増が予想され、今後本地域に対する各種施設の増強並びに国庫補助の増額を要望するというものでございます。 以上簡単でありますが御報告といたします。
○園田委員長 次に第三班小林進君。
○小林(進)委員 私ども亘、小林両委員は、去る八月十九日より五日間、労働および厚生行政実情調査のため鳥取、島根両県の視察を行いました。 日程の第二日は、鳥取県庁において労働、厚生行政及び労働基準局、婦人少年室の概況等について関係者から説明を聴取しました後、要望事項の陳情を受けました。 鳥取県はすでに御承知のように県面積狭隘でありまして、財政的にも決して恵まれているとは申せませんが、社会福祉の諸設備がよく整備され、今回視察いたしました奨徳学校や肢体不自由児収容施設の整肢学園等は、関係者のなみなみならぬ苦労が察せられました。また県内における産業のほとんどが中小零細企業で占められている関係上、労使の関係は比較的平穏でありましたが、経済界における全般的不況の影響は今後かなり複雑な動きがうかがわれることは事実であります。 厚生、労働全般にわたる詳しい報告は多岐にわたりますので他日に譲りまして、同県の要望事項のおもなものを申しますと、 一、福祉事務所現業職員の人件費の国庫負担は完全に裏づけしてほしいこと。すなわち生活保護法を初め福祉三法関係行政の円滑なる運営を期するためには、福祉事務所における職員の適正人員の配置が肝要で、地方交付税基準財政需要額に算定された交付方法では、地方財政の逼迫等により現業員が完全に確保されない現状にあり、なおまた公的扶助の立場からこれら現業職員の人件費は国庫で負担すること。 一、国民健康保険について。(1)、今回の医療費の引き上げは保険財政に大きく影響するから、療養給付費国庫負担率を三割引き上げること。(2)、調整交付金の法定化とさらにこれを増額すること。(3)、保険者の事務費に対する国庫負担を実質事務費に引き上げること。(4)、保健婦設置費等国庫補助を大幅に引き上げ、市町村負担に対しては早急に財源措置を講ずること。 一、保健所費並びに国庫負担の増額と結核医療費公費負担率を引き上げること。 一、日雇い労務者の将来の対策として、資材費の増額と労働者の実態により稼働日数を増加すること。等でありました。 日程第三日は米子市の日本パルプ工場を視察いたしましたが、同工場の労使関係はしごく円満でありまして、今日まで憂慮される争議経歴を持たないということでありました。日程第四日は島根県庁において厚生、労働行政の実情を聴取いたしましたが、島根県も総面積の九〇%が山地でありまして、産業資本に乏しく、農漁業ともにきわめて零細でありまして、原始産業の域を脱し得ない状態にあります。従って貧弱な県財政から厚生、労働行政の円滑な運行は全く困難な実情にあることがうかがわれました。これらの実情調査の資料は今後の委員会の審議に生かして参りたいと考えますが、同県から受けました要望事項は次の通りであります。 一、戦争犠牲者に対する恩給法、援護法関係の裁定行政の矛盾、不平等の是正及び裁定事務の促進をはかること。一、保育単価の引き上げ並びにC階層の徴収基準を引き下げること。同県における保育所入所措置児童の世帯一万一千世帯のうち、C階層は八〇%を占め、これらの階層は生活水準も低く、国の定める四百五十円を徴収することは現実的に過重で、これを三百円に引き下げるよう要望しているのであります。一、志学温泉地を保養温泉地の指定地にすること、などでございます。 その他松江総合職業訓練所、玉造の身体障害者温泉保養所等を視察して全日程を終りました。 以上簡単でございますが、御報告にかえておきます。
○園田委員長 次に第四班、大坪保雄君。
○大坪委員 私ども大坪、五島の両委員は去る七月二十一日より七月二十五日まで五日間、労働及び厚生行政の実情調査のため、福岡県と大分県の視察を行いました。 日程の第一日は、福岡県庁において労働部、労働基準局、鉱山保安監督部、民生部、衛生部の関係者からそれぞれの所管事項の説明を受けました後、職業訓練所、婦人相談所、肢体不自由施設を視察いたしました。 第二日は中小炭鉱視察のために飯塚市加賀鉱業株式会社において中小炭鉱の実情と、飯塚労働基準監督署より管内の石炭鉱業の概況の説明を受けました。続いて田川市に参り、共同石炭鉱業の島廻鉱業所を視察しましたが、特に中小炭鉱の出水災害の予防対策としてのボーリングの現場を坑内に下り、見て参りました。 第三日は、大分県に参りまして、労働基準局において基準局関係者から所管事項の説明を受けました後、県庁において商工労働部、厚生部の関係者からそれぞれの所管事項の説明を受けました。終って公共職業安定所、大分県立病院、肢体不自由児施設、国立公園などの視察を行いました。 第四日は、身体障害者の施設の国立別府保養所、国立療養所の石垣原病院と国立別府病院などの国立医療施設の視察をいたしました。労働及び厚生行政の全般はきわめて多岐にわたっておりますので、今後の委員会の審議を生かして参りたいと考えます。 なお調査の際要望を受けました若干の項目を申しますと、第一には職業安定行政の拡充強化でありますが、特に福岡県では石炭鉱業合理化臨時措置法の適用による離職者対策と駐留軍関係離職者の就職あっせんを初めとし、いろいろの複雑な業務処理に対して、木行政の強化のため予算と人員の増加を要望しておりました。 第二には失対事業の国庫補助率の引き上げでありますが、失業者多発地区では補助率を少くとも五分の四まで引き上げること。 第三には、就労日数についてでありますが、現行の二十一日を二十五日に引き上げる予算的措置を講ずること。 第四には、賃金不払いの場合、給与支給に優先権のないため、処理にあたり困難があること。 第五は、最近の中小炭鉱における出水災害防止のためボーリングの採用は有効な手段と考えられますので、中小炭鉱においても容易に使用し得る措置を講ずること。 第六は、身体障害者の更生援護でありますが、重症者に終身収容し得る施設を国で作ること。また精神薄弱者の収容施設をもまた国で作ること。 第七は、公衆衛生の第一線である保健所の国庫補助率を引き上げること。 第八は母子健康センターでありますが、熱烈な希望が多いので、その予算的措置を講ずること、等であります。 以上簡単でございますが御報告といたします。
○園田委員長 第五班は私から御報告いたしますから御了承願います。 園田、田邊の両人は九月八日より十二日までの五日間にわたり、大阪府及び兵庫県下における厚生並びに労働行政に関する国政調査を行なったのでありますが、今回の府県庁、労働基準局等における実情聴取は簡略にとどめ、むしろ各種施設や事業の現場について実地視察をいたすことに重点を置き、特に清掃事業、職業安定、失対事業、精薄、身体障害者施設等を選びましたるほか、オートメーション関係工場、神戸港における港湾荷役作業の現場などをも視察いたして参ったのであります。 その詳細については他の機会に譲りたいと存じますが、両府県はいずれも大都市を擁する関係上、要望事項等はほとんど共通でございますが、それらのおもなるものについて御紹介申し上げておきたいと存じます。 まず大阪国立病院に参ったのでありますが、都会における大総合病院として利用度のきわめて高いために、他病院に比し実に多忙をきわめておるにもかかわらず、職員数が極度に不足し、年次休暇はもとより病休さえ十分に与えられないとのことで、本地方の基幹病院としての運営上、真に看過できない問題であります。また国立病院としての性格上、研究調査面の活動に相当重点が置かれねばならぬと思われますのに、調査関係の経費がほとんど認められておらぬ点などは、病院の能力発揮、人材招致等の上で今後大いに考慮を要するものであります。職員の厚生施設、看護婦の教養関係費用などについても配意を要するものが少くないように思われます。 次に、年々増加する人口につれて、各都市ことに大都市方面で、はなはだしく困惑しているものに清掃問題がございますが、われわれは大阪府において大阪市寝屋川塵芥焼却場、守口市屎尿処理場、兵庫県において神戸市中部下水処理場を視察いたしたのであります。清掃施設は人間生活の裏面に属するものとはいえ必須のものであり、早急に整備されなければならぬのにもかかわらず膨大なる経費を要し、市町村財政窮乏の現状からしては容易ならぬことであるため、何よりも清掃法に定められた財政援助の趣旨貫徹方が強く要望されるのであります。すなわち、清掃事業法第十八条の国庫補助については現在のごとく屎尿消化槽のみに限定せず、その補助対策の範囲を拡大してごみまたはふん尿を処理するために必要な施設全般に及ぼすこと、現在四分の一以内とされている補助率を二分の一に引き上げること、地方費負担分については起債ワクを増額することなどであります。 なお下水道終末処理施設についての所管についてはいまだに問題がないわけではありませんが、生活環境の清潔を保持する公衆衛生の基本施設としての建前上、厚生省主管の動かすべからざるゆえんについて、特に現場関係者の意見が述べられたのであります。ただこれら消化施設等の現在の能力とこれに要する費用の高額なることなどからあわせ考えれば、屎尿処理施設整備の困難さは申すまでもないことながら、本問題の緊迫性から見まして、国として年次計画を樹立してこれが根本的解決方法につき一そうの努力の必要性を痛感いたしました。 次に職業安定行政機構の整備の問題でありますが、最近の経済界変動の影響を受けまして、各安定所とも特別求人開拓とか失業保険金支払いなどの各業務量が急激に増加の一途をたどっておる実情でありまして、特に定員の増加が痛切に要望されておるのであります。なお来所者の激増に伴い庁舎が狭隘となって、執務に不便混雑を来たしておるもの、または朽廃のため業務執行上危険を感ずるところもありまして、その改築修理について国の特段の配慮方が望まれているほか、職場関係事業全体に対して国庫予算の増額の要求があったのでございます。 失業対策事業については一般経済界不況を反映して、失業者の増大に伴い、失業対策事業依存度合はますます大きくなっております。自治体における財政窮乏の関係からして、(1)国直轄の事業実施ないし全額補助または高率補助の大幅適用とか特別起債を認めることが強く要望されております。(2)日雇い労働者関係については、就労日数を二十三日ないし二十五日まで引き上げることのほか、大阪では家族持ち住宅施設の建設等への配意方が要望があったのであります。 なお職業訓練関係について、結核回復者を対象として設置された施設である兵庫県身体障害者職業訓練所の庁舎が腐朽著しいため、これが改築方が要望されておったのであります。 神戸港における港湾荷役業については、例の手配師問題以来兵庫県労働基準局は神戸東労働基準監督署に港湾特別監督班を設け、賃金、労働時間、災害防止等に重点を置いて、強力な監督を実施して、同港における労働問題の解決に努力いたしておるのであります。われわれも港湾監督船に乗って、沖取荷役作業の現場を巡視いたしたのでありますが、これらの機動的監督の実効を上げる上において、労働基準局関係に専属監視船配置の必要性を痛感しました。なお港湾労働者関係の厚生施設として神戸港湾寮を視察いたしましたが、関西労災病院の神戸港分院を設置して、一そうの福祉増進をはかりたい旨の陳情がございました。 その他主要なるものとしては、両府県を通じて(1)中小企業労働者福祉対策として、従業者の退職、死亡、災厄等に対する共済組織の法制化並びに店員の週休制実施に伴う余暇善用補導施設の設置。(2)各労働基準局における監督機構の整備について職員定数の増加、機動力の増強。(3)国民健康保険事務費に対する国庫補助は実質的にその全額補助となるよう適正化すること。(4)保健所費国庫補助について、補助率を現行の三分の一以内を二分の一に引き上げること。また保健所勤務の食品衛生監視員、環境衛生監視員、薬事監視員、鼠族昆虫駆除員を国庫補助の対象職員に算入すること。(5)結核予防法による医療費について現行の半額公費負担を全額公費負担とするとともに、これに対する国庫補助率を十分の八として、結核予防事業を一段と強化すること。(6)重度精薄児童のため関西にも国立施設を設置することなどの要望があったことをつけ加えまして御報告といたします。 以上で報告を終了いたしました。調査をせられた各委員並びに関係者の御労苦を謝します。なお関係各省においては、各委員の報告を詳細に検討し、これに基いてそれぞれの対策を講ぜられるよう委員会として要望いたします。
○園田委員長 労使関係、労働基準及び失業対策に関する件について調査を進めます。発言の通告がありますので、順次これを許します。齋藤邦吉君。
○齋藤委員 私は王子製紙の争議について数点御質問申し上げたいと思うわけでございます。王子製紙工業は、私が申し上げるまでもなく、公益事業でもなければ、国民経済上重大な影響のある会社の争議でもないわけでありまして、国会においてこうした個別的な事案について御質問するのは、さしひかえるのが普通であるのでありますけれども、この王子製紙の争議につきましては実に幾多の許しがたい異例なる事例が見受けられまする関係上、二、三の点について御質問いたしたいと思うわけでございます。 そこで数点について御質問申し上げるわけでありますが、御質問を申し上げまする前に、まず最初に労政当局から、王子製紙の争議が始まりまして今日に至るまでの経過について御報告をお願いいたしたいと思います。
○亀井説明員 王子製紙の争議の経過につきまして、ごく概要を御説明申し上げます。 本年の二月二十八日に組合側は、現在の賃金、三万円をこえまする賃金でございまするが、それを昇給を含めましてさらに二千百六十一円の賃上げの要求、退職金につきましては支払い率の引き上げ、最低保障額の新設というような要求、第三には結婚資金として二万円の支給方について要求がなされたわけであります。この要求を受けまして、会社側と組合側との団体交渉が続けられて参りました。三月二十四日に会社側は、昇給七百二十七円の回答をいたしますとともに、従来王子製紙におきましては一週間の連続操業がございましたのを、就業規則の改正によりまして、十二日の連続操業、二日休日制という提案を会社側からいたしました。もしこれを組合が認めるならば、三百二十六円の操業手当を支給するという回答をいたしたわけであります。 この回答を不満といたしまして、組合はスト権を確立して、その後部分ストあるいは一斉ストを繰り返してきたのでございますが、五月十七日になりまして、会社は第二次の回答としまして、賃金は昇給を含めまして千五十三円増額を認める、操業手当は四百七十七円に増額する、退職金については一部支払い率を引き上げるというふうな第二次の回答をいたしました。その際に会社側からは、従来の労働協約の期限が六月十日で切れますので、それに対応して労働協約の改訂案を会社側から提案されたのであります。そのおもな内容は、ユニオン・ショップ制の廃止、第二は就業時間中の組合活動の制限の問題、第三は組合への便宜供与の一部チェック・オフの禁止、第四は争議行為の予告内容につきましてそれを明確にするというふうな問題点を中心としまする労働協約の改訂案を出したわけであります。組合側はこれを拒否いたしまして、その後交渉も続けられて参ったのでございますが、六月十日になりまして、協約の期限が切れますので、会社側からさらに一週間の延期方の申し出をして、その間に団体交渉を続けるという申し出をなされたのであります。組合側はこれを了承しまして、その当時時期的に要求の対象になっておりました夏季手当につきましては、五万八千五百四十一円という要求を組合側から今度は出したのであります。団体交渉を続けられましたが、交渉が円満に妥結に至らずに、六月十八日以降無協約状態になったわけでございます。 その後部分ストあるいは一斉ストというものが繰り返されて参りまして、七月十八日以降全面無期限ストに入って今日に至っておるのでございますが、その間に八月八日には、苫小牧におきまして第一組合から脱退しました組合員で新組合が結成されております。八月十一日には春日井で同じく第一組合から脱退しました組合員で新組合が結成されております。その間に裁判所に対しましては、仮処分の申請、あるいは組合側から中労委に対しまして不当労働行為の仲裁の申し立てというものがなされて参ったわけであります。 九月一日に会社側から組合に対して団体交渉再開の申し出がなされまして、正式に団体交渉が開かれたのでございます。九月三日にその団体交渉の席におきまして、賃金を千百円引き上げる、操業手当を五百円に引き上げる、夏季手当は五万二千五百三十円を支給するという回答を出したわけでございますが、組合側はこれを拒否をいたしまして、その後団体交渉においてこの問題の解決が非常にむずかしくなって参りました。九月十三日に中労委におきましては事情聴取をすることに決定をいたしまして、労使双方から事情聴取をいたしたのでございますが、両者の主張が相対立いたし、すなわち会社側は自主交渉でこの問題を解決したいという強い主張がございまして、事情聴取を一応九月十六日に至りまして打ち切らざるを得なくなったのでございます。その間苫小牧におきましては九月六日仮処分の決定がなされたわけであります。この仮処分の内容は、会社が指定するものが会社の事業所に出入することを第一組合員は妨害してはならないという内容のものでございます。従ってこの決定を受けまして、決定の執行をいたす段階におきまして第一組合がこれに強力に妨害をいたしまして、執行が困難となっておったのでございますが、九月十五日になりまして、一応命令の執行が行われました。その後操業が開始され、現在におきましては一部機械の運転によりまして製品が出されておる事情でございます。 春日井におきましては、水源地が工場構外にございまして、この水源地を利用しなければ製品ができないという事情もございまして、会社側から第一組合で阻止されておりましたこの水源地の確保につきましての仮処分の申請をいたしておりましたが、九月十三日になりまして仮処分命令が出まして、第一組合ではこれを妨害してはならないという命令が出されたわけであります。その後この仮処分の決定の執行をめぐりまして、やはり第一組合の妨害にありまして執行がむずかしかったのでございますが、九月二十二日になりまして、これは円満裏に執行が可能になったわけでございます。従って春日井におきましても近く製品が出てくるのではなかろうかというふうに思います。これが現在までの、一応事実の上に基きました経過でございます。
○齋藤委員 王子製紙の争議の発生以来今日に至るまでの経過等につきましては、ただいまの報告を了といたしますが、そこで私は、この王子製紙の争議というものは、なるほど今お話のように三万幾らという賃金べース、非常に高い賃金水準、そこへ会社側の方では千百円手当を上げよう、こういうような話でありました。実は私はこの十三日から十五日まで北海道に参りまして、この苫小牧の争議のいろいろな実情を見て参ったわけでございます。そういうふうな高賃金のところで、会社もある程度認めようというふうな状態のストライキでありますので、北海道の一部では殿様争議だというような批評をしておる者もあるようでございます。しかし、そういうことは私は今ここで問題にする必要はありませんし、する意思も持っておりません。またこの争議の過程において、賃上げ闘争から始まり協約改訂、いわるチェック・オフの廃止あるいはユニオン・ショップの廃止等といったような問題もあるわけでありますが、それが会社側がいいのか組合側がいいのか、そういうことについて私は論じようとも考えておりません。すなわち具体的な争議の解決はそれぞれの調整機関がなすべきものでありますから、私はそういう内容については一切触れないで、ただこの争議が起っておる現地における一つの空気というものを私はここで取り上げてみたいと思うわけでございます。王子製紙の苫小牧工場がありまする苫小牧市における争議が行われておる現場の姿というものを私は見て参りましたので、その姿を一つ、労政局長あるいは警備局長も十分御承知だと思いますけれども、ここで私は申し上げてみたい。これはどうしても見のがすことのできない幾多の異例なる事例がそこに発生しておるということを私は申し上げなければならないと思います。 そこでまず第一の問題は、この争議をめぐって苫小牧市に幾多の暴力事案が頻発しておる、この事柄を私は申し上げてみたいと思うのでございます。暴力事案と申しますのは、これは私は現地の労働組合、特に第二組合の人々はこういう言葉を使っておりました。これは組合運動以前の問題だという言葉を使っておりました。それから全労の北海道の地方会議、これが声明書を出しておりましたが、その声明によりますと、これは暴圧という言葉を使っております。 その一、二のことを申し上げますると、まず第一に申し上げなくちゃなりませんことは、第一組合が発明いたしました名称かどうか知りませんけれども、洗たくデモと称する暴力事案が苫小牧の市の街路上において頻発しているということを私は聞いて参っておるのであります。洗たくデモという言葉は警備局長、労政局長は御承知かと思いますが、念のために御披露申し上げて参りますると、私はこの洗たくデモによって被害を受けた本人に聞いて参ったのでありますから間違いないと思います。すなわち第二組合の者とか会社の者とか、第二組合の応援に行っておりまする全労会議のある者がかりに町中を歩いている。そうしますると第一組合のだれかが笛を吹くという。ぴーと吹きますると、ぱっと集まってくる。これは笛を吹けば集まってくるという一つの計画的な作為がそこにすでにあると私は思うのでございますけれども、そういうことで、ぱっと集まってくる。そうするとその者をまん中に据えて、数列に囲んで、電気洗たく機の軸を中心として渦巻くように、わっしょわっしょとやる。そうして聞くところによると、大体二列目辺の者がこれをける。これがいわゆる洗たくデモと称せられる暴力事案でございます。すなわちぴーと笛を吹けば、付近の者が集まってくる、これは計画的な作為がある。(「おまわりさんに似ているよ」と呼ぶ者あり)これはおまわりさんに聞いたのではない、被害者に聞いたのだから間違いない。そういうこともやる。そうして二列目の者が大体けがをさせる。会社の人事課長もそういうことをやられたという。工場の次長は、十三日でありましたか、やはりそういうことを見ている。こういうような洗たくデモという、傷害を与える事案が市の街路上において行われている。これは私は非常にゆゆしき暴力の問題だと思います。すなわち労働争議には警察は介入しない。労働争議の内容に警察が介入するということはとんでもないことで、もちろん介入すべきものではありません。しかしながらこれは純然たるところの良民保護の立場に立つ警察が取り扱うべきところの暴力事案であります。そういう事案がひんぴんとして起っている。もちろんそのつど警察におきましては機敏に活動をせられまして、そうした良民の保護に当っておられるということは私は心から敬意を表するものでありますけれども、この事案は洗たくデモをやってぱっと散ってしまうので、なかなか警察の目が届かぬ。しかしながらこういう暴力事案が頻発しているということは、私は法治国において見のがすことのできない重大なる問題だと思います。 それから第二の問題は、説得デモと称せられるものがまたはやっている。説得というのでありますから、平和的、平穏裏にやるのが説得だと思うのでございますけれども、第一組合員の者が第二組合員の家に入り込んでしまう。入り込んでしまって、お前はなぜ第二組合に行ったんだということで、長時間そこに居据わるというわけです。こういう暴力事案がある。 さらにまた糞尿をぶっかけるとか、戒名みたいな紙を張りつけるとか、もう一種の人権じゅうりん的な問題もこの争議をめぐって、この苫小牧の町中においては実にあります。これは実に嘆かわしい事柄だと思います。そういう点につきましては警察は、今日までも十分おやりになっておられると思いますけれども、こうした暴力事案というものを絶滅するために、警察庁は真剣に、将来とも私は御努力を願いたいと考えておるものでございますが、こういう暴力事案についての警察当局の御所見を承わりたいと思います。
○江口説明員 ただいま齋藤委員から御質問のございました点についてお答えいたします。 齋藤さんのお話の中で、洗たくデモや説得デモというのが行われておるということでございますが、それは私も現場について見たことはございませんけれども、お話のような事柄が行われているということは十分存じておるのであります。北海道の警察におきましては、その都度それについてはただいまお話のございました通り、普通の事件としてあるいは警告し、あるいは取調べをし、場合によってはこれを逮捕するというようなことで現在まで参っておるのであります。しかしながら、ただいまもお述べになりましたように、この種の事案は立件いたしますのに非常にむずかしい点がございます。やはりちょっとやってちょっと散る、だれがやったかわからぬ、あるいはそばに見ておった人かこれを立証しなければ取り上げることができぬというようなことから、なかなか困難であるという事情は御了察を願いたいと思うのであります。 御承知のように、苫小牧の町におきまして平常の署員もそうたくさんおるわけじゃございません。しかしながら、あの争議が始まりましてからこういう事案が続発いたしまするので、私の承知しております限りにおきましては、毎日三百ないし四百の人数を外からかき集めて苫小牧に応援をさせ、警らの強化をはかって、そういう事態に現場で直面すればすぐこれを制止することができる態勢をとるように努めて参っておる次第であります。十五日の仮処分の執行につきましては御言及がございませんでしたが、その際におきましても、ほとんど二千近くの人数を注入いたしたのでありまして、われわれといたしましては、やらねばならぬ事柄でございますからやるのでありますけれども、御承知のように北海道全部の警察力というのが五千数百しかございません。それがあの広い地域に散らばっておりまするために、どうしても目が届かぬという点はときどきあり得ることでございまして、この点については将来とも検討していきたい、こう考えておるわけでございます。違法な行為につきましては、もちろん労働争議であるからこれは見のがすというようなことはいたさないつもりで現地もやっていることを御了承いただきたいと思います。
○齋藤委員 ただいま警備局長からのお答えもありまして、警察といたしましては、こういう事案は労働問題じゃなくて、普通の事案として、警察本来の仕事として一つ御努力願うということでございまして、さらに一そう真剣にこうした仕事をやっていただきたいと私は思うものでございます。特に九月の十五日に第二組合が、仮処分の執行によりまして約数百人が工場に入って就労いたしておるような現状でありますので、特に留守家族の保護につきましては、そういうような説得デモ、洗たくデモというふうなものとあわせて特に慎重な態度をもって臨んでいただきたい、こういうことを特にお願いを申し上げたいと思うわけでございます。 特に私はこの暴力事案とともに許しがたいことは、仮処分の執行が第一組合員並びにオルグによって非常に妨害されたという事案がありましたことは、ほんとうに法治国として情ないことだと考えておるものであります。北海道の全労会議におきましては九月の十二日に声明を発表いたしております。「王子製紙争議に対する妨害排除の仮処分は九月六日に提示以来すでに一週間を経過した。にもかかわらず依然として旧労働組合及び支援オルグ団の暴圧の前に適正なる法の執行は阻害されたままである。われわれは法治国家の国民の一員としてかかる暴挙を容認することはできない。」こういうふうな全労会議の声明というものを出されておるのでございます。今日までの労働争議におきましては、仮処分の執行をやろうというときには、割合に妨害なしに法の権威を保つことができたわけでございます。今回におきましては、十五日の日にはなるほど仮処分の執行はできましたけれども、最初に仮処分の執行をいたそうとしたときには、第一組合並びに炭労あるいは国鉄から派遣されておりまする約千人以上のオルグ団によってこれが妨害されたということは、ほんとうに法治国として情ない私は事柄だと考えておるものでありまして、将来ともこういう労働争議につきましては、仮処分の執行ということは私はあると思います。こういう点につきましては、やはり警察当局なりあるいは労政当局は、十分緊密なる連絡をとって、こういうことが再び起らないように、一つ慎重に善処をしていただきたいということを重ねて要望いたしておきたいと思う次第でございます。 そこで私は第一の、この暴力事案の問題につきましての質問はその程度にいたしまして、第二の問題として、ピケの問題について労政局長に一つお尋ねをいたしたいと思うのであります。ピケというものは私が申し上げるまでもなく、言論の自由に基くところの労働争議の手段でありまして、あくまでも平穏、平和なる説得の域をこえてはならないということがピケの精神であります。またピケの拘束力というものは、組合員に対してのみ行わるべきものであるのであります。しかるにもかかわらず、この王子製紙の苫小牧に行って見て参りますると、数十人の者が工場の入口へテントを張ってすわっておる、こういうピケが行われる。労働組合の拘束力というものは、組合員に対してのみ行わるべきものであることは当然であります。人が人を拘束することはできない。労働組合員は、組合員なるがゆえに組合の拘束力が組合員に及ぶ。第三者がその工場に入ろうとするときに入れないということは、これはピケの限界を私はこえておるものだと思う。ところが現実の姿というものは、組合員でない、第三者でも、うかつには近寄れないという状態のピケが行われておる。こういうピケについて労政局長はどういうふうなお考えをお持ちになっておられるのか、将来またこういう問題の処理についてどういうふうになさろうとするのか、御意見をお聞かせ願いたいと思います。
○亀井説明員 いわゆるピケは、争議行為の一つの方法としまして、従来こういう争議の際には行われておりましたが、われわれのこのピケに対しまする考え方としましては、あくまでもピケは平和的説得的並びに団結権の誇示という程度をこえることはできないというふうな考え方を持っておるわけでございます。今お話のいろいろな具体的な事例でございまするが、これは現場で私見たわけではございませんので、その具体的な問題としてお答えすることは困難と思いまするが、一般論から申しますると、そういう平和的説得の範囲あるいは団結権の誇示の範囲をこえるようなピケは、正当なピケではないというふうにわれわれは考えております。しからばそういう行為を行う労働組合に対して、どういうふうな措置がとられるかという問題になりますると、これは結局そういうピケをなくすることにわれわれは努力をしなければならないのでございまして、すでに労働省の見解としましては通牒も出されまして、はっきりとした見解を持っております。そこでわれわれとしましては、それらの問題を労働教育という面から推し進めまして、組合員の皆様方にも十分その趣旨を理解していただくというふうなことを、今までもやってきておりまするが、今後とも引き続きこの面についての努力を続けていきたいというふうに思っております。
○齋藤委員 先ほど来申し上げて参りましたように、王子製紙の争議につきましては一民間の争議でありますけれども、実に今申し上げましたような嘆かわしいところの暴力事案が頻発しておる。しかもピケについては、実に第三者の出入が阻害されておるというような、こういうピケが行われておる。こういう事態だけは、これは紛争のないように干渉するわけでも何でもないが、これだけは何とか絶滅するようにしていただかなければならないと思うわけでございます。 そこで私は、労働省当局にお尋ねいたしたいと思いますことは、労働教育の問題でございます。労働教育は何と申しましても、民主的な労働組合の発展をこいねがうという点からいって、労働教育が中心でなくちゃならない。ところがそこまでいく前に、そういう労働組合になる前に、すでにこういう違法行為がひんぴんとして起っておる。まずこれから解決していかなければならない。すなわち暴力を排除する。何と申しましても暴力を排除するということは法治国において当然のこと。ほんとうに嘆かわしい話でありますけれども、日本におきましては法秩序の確立のために暴力を排除する、法を守る、こういうことがまず前提でなくちゃならぬと私は思うのです。労働教育のプロパーの仕事に入る前に、暴力排除だとかあるいは法の秩序を守れというようなことを言わなければならないということは、実に情ない話だと私は思うのです。そういうことを頭に入れて労働教育というものを私はやっていただきたい。特に今度は日本労働協会という実にりっぱな団体もできました。一つ労働協会あたりは真剣にまず暴力というものを排除する。法治国の基本、民主主義の基底、基礎というものは、何と申しましても法を守ることですよ。いい悪いという批判はあと回しにして、まず法律を守ることが先だと私は思う。こういう風潮になったならば、これはおそるべき風潮だと思う。最近におきましても、これは労働争議ではありませんけれども、たとえば道徳教育だというと、全学連その他の者が暴力をふるう。勤務評定反対なら反対を正々堂々とおやりになればいい。平和裏にやればいい。民主主義社会においては、法秩序を守ることが第一前提であります。そういう意味において、労政当局においては労働教育の基本というものをほんとうに、本筋までいく前でありますけれども、暴力を排除するということ、労働組合のいかなる行為も保護されるのではないのだ、正当なる行為のみが保護されるのであって、違法なる行為はあくまでも取り締られるのだということを、徹底的にやってもらいたいと思うものでありますが、この際一つ労働省の考えておられる現段階における労働教育の基本についての御所見を承われれば仕合せかと存じます。
○亀井説明員 今お話のございました問題、いわゆる労働争議以前の問題、労使関係以前の問題としての暴力の問題、あるいは裁判所の決定、命令等の執行が暴力によって阻止されてきたという事実、これはわれわれ一般国民の教養あるいはその中に含まれます労働組合員の一般的教養という意味におきましても、また労使関係の民主的なあり方あるいはその健全なあり方という見地から見ましても、われわれが重点を置いて今後労働教育の面で取り上げなければならない問題だと考えております。ただ、労働教育と申しまする方法の効果というものは、なかなか急には現われてこないのでございまして、われわれとしましては繰り返し繰り返しその問題をとらまえて教育することによりまして十分な効果が発揮できますよう、今後も引き続き努力して参りたいというふうに考えております。
○齋藤委員 労働教育についての局長のお話、御意見を承わったわけでありまするけれども、民主的労働組合の基本はまず法を守るということです。ところが私は北海道へ行ってほんとうにびっくりしたわけでありまするが一部の労働組合員の中には、組合の名において行う一切の行為が保護されるんだ、こういうふうな誤まった考え方がやはりある。すなわち、労働組合というものは憲法によって与えられた団結権に基くものだ、憲法によって保障されているのだ、こういう一言によって、組合の名において行う行為はややともすれば全部が全部容認されるのだ、こういうふうな誤まった考え方がやはり一部にありますよ。そこで、やはりそういうものではないのだ、すなわち組合法の第一条第二項にもあるように、正当なるもののみが法の保護を受けるのだということを、まず幼稚園からと言っちゃおかしいですけれども、まずその辺から労働教育というものを私はやっていただきたい。あまり高尚な労働教育をやってみても、前提が確立されてなければどうにもなりませんので、さらに一そう労働教育の基本ということに一つ努力していただきたいということをお願いをいたしておきたいと思います。 それから最後に私は、一般的な法律問題として一つ労政局長にお尋ねをいたしておきたいと思いますことはチェック・オフの問題です。この問題については労政局長として、健全なる労使慣行という上から申しまして、好ましいとお考えになっておられるかどうかということをまずお尋ねをいたしたいと思います。
○亀井説明員 チェック・オフの問題はわが国におきましても、労使間におきまして従来慣行的に行われて参ってきております。この問題自体におきましては、労使間において話し合いできめていく性質のものだと考えるのでございまするが、ただ組合員の個々の人々がほんとうにその組合の組織あるいは運営というものに積極的な熱意を持ちあるいは責任を持ってその組合の運営に当るというふうな考えのもとで、民主的な組合のあり方に考えをいたしまする場合、または組合の自主性というふうな問題を考えまするときにおきましては、現在とかく行われがちでありまするチェック・オフというものが当然のことである、これは組合の当然の権利である、あるいは使用者の当然な義務であるというふうな誤解がありますることは、私残念なことだと思うのでございまして、画一的、機械的にこういう問題が労使の中で無意識に、何らの反省あるいは何らの十分な討議がなされずに行われて参りますることについては、労使双方が十分反省をして、そうしてこの問題のあり方、この問題の所在というものを検討した上で、自主的に話し合いできめていただきたいというのがわれわれの気持でございます。
○齋藤委員 ただいまの労政局長のお話によりますと、組合意識の問題から申しましても自主性の上から申しましても、必ずしも好ましいというわけでもないけれども、まあ労使の話し合いでと、こういったふうな御趣旨でありますが、私は一つここで意見を申し上げておきたいと思うのであります。私はこのチェック・オフという問題は、労働組合法の第七条第三号のいわゆる不当労働行為に当るのではないかという法的な疑義を実は持っておるものであります。すなわち第七条第三号によると、「労働組合の運営のための経費の支払につき経理上の援助を与えること。」これが不当労働行為ということになっておるわけでございます。すなわち会社が基準法の協定によってチェック・オフをする。ところでこの場合に、会社が毎月組合の経費について定額の補助をするとしたならば、これは間違いなく不当労働行為になるわけであります。ところが会社が、組合の財政の基本であるところの会費を全部納めてやる、取ってやるということ、いわゆる経営的に毎月差っ引いてやるということが不当労働行為にならぬということは、私は法の解釈から言うてどうもおかしいのじゃないか、こういう考えを持つものであります。すなわちこの解釈につきましては、昭和二十何年ですか、まだ労働組合法によって官公労も規制されておりました当時の例示、通牒は出ております。その後、国家公務員法が組合法から出まして独立して、すなわち国家公務員法にあっては、人事院規則の定むるところによって公務員のチェック・オフは禁ぜられております。すなわちこの当時の解釈と今日の解釈というものが、このままであっていいかどうかということが一つの問題に私はなると思うのです。すなわち組合の運営のための経費の支払いにつき、経済上の援助を与える。経費を支払うときに援助を与える。ところが経費を払おうというそのもとは会費の徴収、基本が会費の徴収です。その会費の徴収という事務は非常に重大な事務であります。数千人の工場を考えてみますときに、会費の徴収事務というものを考えてみると、相当大きな事務であります。それを毎月々々経営的に行なってやる。金銭の補助は不当労働行為になり、それはならないということは、私は多少の疑義を持つものであります。今すぐこの解釈を改めていただきたいということを申し上げるつもりはありません。しかし私はこの不当労働行為第七条第三号の規定に該当するおそれがあるのではなかろうかという疑義を持っておるものであります。将来この法解釈については、さらに一そうの御研究を願うと同時に、このチェック・オフが組合意識の向上、組合の自主性ということが基本である以上、将来の立法上の問題としてもこれは私は考慮すべき問題だと思います。今すぐ改めていただきたいということを申し上げておりません。今すぐ法律を改正していただきたいということを申し上げるのでもない。ただ現在の法律のもとにおいても多少の疑義があるということを申し上げ、解釈上の問題並びに立法上の問題として、将来十分御検討をいただきたいということを要望いたしまして、私は質疑を終りたいと思います。 以上私は質疑を申し上げたのでありますが、この王子製紙の争議の内容については関与いたしません。なるべく労政当局が慎重に善処せられて、これだけの大争議でありますから、一日も早く解決せられますことを私は希望いたしますけれども、今日まで王子製紙の争議をめぐって、幾多嘆かわしい事態がありましたので、やむを得ず、その暴力事案を絶滅せしめていただきたいという意味において、以上の御質問を申し上げた次第であります。
○園田委員長 小林進君。
○小林(進)委員 先ほどの理事会のときの打ち合せによりまして、私の質問は労働大臣がお見えになってから質問を開始するというふうな了解が成立したものと私は判断しておりまするので、大臣に対する質疑は、大臣がお見えになってからいたしたいと思いまするから、さように一つ御了承をいただきたいと思うのであります。 しかしこの際、せっかくお名ざしを受けたのでございまするから、質問に入る前に一言申し上げておきたいと思うのであります。それは、私は中央公論の九月号を実は手にいたしました。その中に園田委員長の書かれた「日中交流に関する意見書」と称する論文を拝見をいたしたのでありますが、私はこの論文の内容を拝見いたしまして、実は非常に心を打たれたのであります。だれが執筆者であろうとも、けだし近来の名論文ではないか、かように考えたのでございます。特にその中にこういうような文章もある。「戦争という解決方法が滅びて平和共存による経済競争で優劣を争う時代が、もう世界の戸口まできている。」こういうような名文句がありました。「日中問題をいままで旧い考え方で、共産主義中国と資本主義日本の対抗やカケヒキと考えて処理しては、日本の落伍と衰退を招くことになる。いまは日本の保守党も平和共存にそなえ、両体制の競争に処して己れの支持する現在の社会体制の存続理由を国民大衆に証明しうるよう、改革と工夫に取りかかるべきときである。憂うべきは平和共存の主張でなく、この主張を左翼の一手専売にとられてしまうことである。」「これを要するに、最後の解決方法は戦争だという考え方から、その軍事力の蓄積に専念して破局に向うか、それとも平和共存への転換をみとめて経済競争の準備にかかるのか、そのどちらをとるかという問題である。」こういう実にりっぱな結論になる日中国交促進論の論文を拝聴いたしまして、実は私は心から感激をしたのであります。その名主張をされておる憂国済世の卓見をわれわれの委員長が持っておられるというところに、私は実はきょうみずから発言を求めて言わざるを得ない気持に襲われて申し上げたのでありまするが、昭和二十四年以来、園田委員長の辱知をかたじけのういたしまして、自来十年有余の交友をかたじけのういたして参りました。その間あるいは諸多の場合に委員長に遭遇いたしまして、感激する舞台も多く、その手腕力量に打たれる場合も多かったのでありまするが、しかしきょうこの論文を拝見して、初めて委員長の人格識見、卓越の思想信念に驚嘆したのでありまして、私はこういうりっぱな委員長のもとに社会労働委員会の委員として社会労働行政を論ずるに至ったということは、まことに喜びにたえないのであります。どうか一つこの委員長のもとにおいて、今日本の経済はなべ底なんかといわれるように、はなはだ不況に遭遇いたしておりますが、これに備えて、どうも十年間わが日本の民主政治も、いやまさに反動化するような傾向が若干現われてきておる。今齋藤委員の質問にもその片りんが現われておるように、だんだん日本の経営者陣あるいは独占資本は労働攻勢をたくましゅういたしまして、まさに民主主義を逆転せしめるような傾向をわれわれは非常に感じておる。そういうときにこういう名委員長を迎えまして労働行政を論ずるに至ったことは、まことに感激にたえません。委員長の健在を心からお祈りいたします。 大臣がお見えになりましたので、一つ質問をさせていただきたいと思うのでありますが、実は倉石さんが大臣に就任せられまして、特別国会を約二十九日間われわれは迎えたのでありますけれども、残念ながら労働行政に対する大臣のほんとうの考え方というもの、真意というものを、われわれはまだ全部をお聞きいたしまして、その全貌を納得するという十分なる期間を持ち得なかった。今後大臣とともにわれわれは労働行政を扱って参りまする上からは、まだ諸多の点において大臣の胸中をはたかなければならない問題がたくさんあるのでございます。大臣の言われる正当な労使の慣行というものは一体どういう内容をさされておるのか、あるいはまた最近の公共企業体あるいは民間会社の中に何か資本家、管理者、経営者に基く分裂工作が行われて、第二組合的な動きが出ておるが、こういうものに対する大臣の考え方は一体どうなっておるか、あるいはまたILOに対する労働問題懇談会の小委員会の結論も最近出たようでありますが、こういうことも一体大臣はどういう扱いをされるのかというように、いろいろまだわれわれは疑問点を残しておるのであります。しかしこれらの問題は幸いにして二十九日からいよいよ臨時国会が開かれまするので、名委員長をいただいて、一つ連日委員会を開いてじっくり拝聴をいたしたい、かように考えておるのでありますが、本日は大臣も午後の三時から何か他の用事に行かれるという時間の制約がありますので、私だけで質問をくどく繰り返しておるわけにいきませんので、たった一点、特に最近起っております不当労働行為の問題について大臣に一つお伺いいたしたい、かように思っておるのでございます。ただその前に、一応大臣に私の心境を申し上げておく必要があると思うのでございます。私は大臣にけんかを売るとかいう誤解を受けると、せっかく言わんとすることも、どうも変に話がこじれちゃうといけませんので、あえて申し上げるのでありますが、巷間倉石労政に対しては、どうも前労働大臣の石田博英大臣に比較いたしましてやや反動的であるのではないか、あるいはまた経営者の方の意向をさらに強く労働行政の上に反映されるのではないか、あるいは弾圧をやや強められるのではないかというふうな問題も流れているようであります。実際は世間の風評はそのように流れておるようでもありますけれども、しかし私は昭和二十四年以来大臣と知り合う仲にさしていただいて、近く遠くその日常行動を見ておりますので、大臣の知性、教養その他を勘案いたしまして、これは誤解である、この倉石大臣には、どうもそういう反動政策があの教養と知性の中から出てくるはずかない。むしろこれは世間の誤解である。私はこのように自分自身了承しておるのでありまして、どうか願くば私の期待が大臣によって将来とも憂えられることのないように、この際私はお願いをいたしたいのでありまして、これは私の大臣に対する心境です。どうか大臣に、もし小林進に警戒の念がありましたら、そういうものはほどいて、ほんとうに打ち砕けた気持で真実を語っていただきたい、かように考えておる次第でございます。 最近非常に不当労働行為が激しくなって参りました。われわれはさように考えております。それは至るところに頻発をいたしておりますが、そのはなはだしい不当労働行為の中で、特に最近われわれが経験いたしております中に、新潟の国鉄の監理局管内における不当労働行為の実にはなはだしいものがあるのでございまして、新潟鉄道監理局長によって行われております数多くの事犯というものは、まさにわが日本の労働組合法を無視しておる。そして民主政治を破壊し、権力で組合そのものをまさに抹殺しようとするのではないか、それほど封建制度に近い権力そのもののような労働行政が行われておる。私はその具体的な事例を一つここで申し上げてみたいと思います。 それは今回鉄道局内におきまして新しく非組合員というものが作り上げられた。その新しい非組合員となりましたいわゆる分区長と称するものでありますが、分区長と称する職分にあるものを、いわゆるその監理局内の分区長を新潟鉄道局長は教習所の中に集合をさせまして、管理者の講習会を行なったのであります。その行うときに、どうも常日ごろとやり方が違う、異様な感じの会合をやったということ。ちゃんと一人々々の前にわれわれのように名札を立てまして、局長からだれのだれべえということがわかるように名札を立てておいて、局長は自分の机の上に青写真を置いて、顔と名前が相一致するような物々しい講習会の席を作り上げたわけでございます。そしていわゆる指令といいますか、訓辞といいますか、あるいは命令のようなことを言われた。すなわち、私は国労新潟地方本部というものをぶっつぶすために、そして第二組合を育成するためにあらゆる手を打ってきた。そのために現場長や助役にもそれぞれその第二組合育成の仕事をやらしてきたが、この人たちの力も、もう限度がきていてたよりにならない。今度は一つ諸君にやってもらわなければならぬ。どうか第二組合員をふやすように大いに努力してもらいたい。諸君は日常組合員と作業の上で緊密に結びついておるのであるから、第二組合を増すにも一番よい。大いに一つがんばってもらいたい。こういうことを言われた。それからまた今日、なおこの新潟鉄道管内に一人も第二組合員がいない職場があるが、これらは現場長、助役等の無能を証明しておる以外の何ものでもない。分区長としても第二組合を作れぬような者は、管理者としての資格がないのであるから、これは技術係、営林係、工場長に格下げをするほかはないから、それを一つ覚悟をしておいてもらいたい。なな第三番目といたしましては、自分は国鉄新潟地方本部をつぶすまで新潟でがんばるから、諸君も断じて一つがんばってもらいたい。こういうような大体三点に分れる内容の訓辞か指令をされた。しかも一回のみならず、今度はお昼のときに食堂に行くと、食堂に来てまた同じようなことを繰り返して、新しく生れた管理者に言われて、管理者自身も飯がのどを通らないいんうつな気持でその講習会を受けたという心情が吐露された。これは三十幾人の講習生から直接聞いたものの実際を大臣に申し上げているのでありまして、これは実に驚くべき不当労働行為であると思うのでございますが、一体大臣はこういうことに対してどういう所見をお持ちになっておるか。こういう監理局長の訓辞がどのような形で現場へ流れておるか。これも、私は大臣に御質問をするわけでございますから、そういう荒唐無稽のことをやっちゃいけないというので、その新潟鉄道管内における一地域の職場だけを私はみずから身を挺して調査をして参りました。その調査によりますと、その局長の指令の結果、これはどのように行われておるか。これは一つの職場でございますが、その中における分区長、講習を受けた分区長は、みずからはっきり明言いたしました。第二組合を作るのは局長の命令である、だから私はどうしてもやるのである。こういう言明をしておる分区長を一人発見いたしました。それからまたその地域における別の助役は、第二組合の発行しておりまする脱退書、第一組合を脱退して第二組合へ来いという脱退書を、第一組合員の間に一生懸命配って歩いておる。これは早く脱退届に名前を書きなさいと言わぬばかりの、言葉では言わないけれども、言わぬばかりの行為で、一生懸命助役がこれを配付しておる。こういうような助役にも私は遭遇いたしました。なおまた庶務主任、この人は第一組合員を、近くの、何ですか、料亭というほどまで高尚なものではございませんけれども、そこへ連れていきまして、酒を飲ませながら第二組合に入ることを盛んに勧誘をいたしております。なお後日、別なところではこういうこともやっているのです。組合員を呼んで、この職場から二名くらい他に転勤せしめなければならない、もっと労働の過重なところへ転勤せしめなければならないのであるが、しかし第二組合の組合員になればまたこちらも相当考慮しなければならないであろう、こういうようなことをほのめかしている。そういたしますると、からだの弱い、あるいは結核療養所に二年も入って帰ってきた者等は、こういうことを言われてふるえ上ってしまいまして、そして直ちに第二組合加入に泣きながら署名をする、こういうようなことも行われている。しかもこの一地域、私が調査いたしましたその職場だけにおきまして、昇給のストップをされた者が五名おりました。その五名はみんな第二組合にいかなかった人でございました。第一組合にとどまった者でございます。それからこちらの分会では十六名の人たちが同じく昇給のストップをされました。その中の十五名は全部第一組合です。勧告を受けたか、受けなかったか、受けた者もあれば受けなかった者もありますが、第二組合へいかない人たちでございます。こういうような賃金の差が明確に現われているのです。みんなまじめな人です。だれが見てもこれは、第二組合へいかなかったからこそ、あの人は賃金のストップを命ぜられたと労働者全部が見ている。 こういう歴然たる事実が、私が調査をいたしましたたった一つの地域の中にこれくらい行われておるのでございまして、一体大臣はこういうことをどのようなふうにお考えになっているのか。これはまさにわれわれが積み重ねてきた十何年の労働慣行と民主政治というものを、根本から破壊するおそるべき行為ではなかろうか。 その他たくさんの事例がここに書いてありまするけれども、そう限りなく申し上げたのでは大臣も御答弁に困ると思いますので、一応この程度にしておきまして、また私は質問を繰り返したいと思います。どうぞよろしく一つお願いいたします。
○倉石国務大臣 ただいまの、新潟の実例のお話のようでございますが、私は今日まで何も報告を受けておりませんので、私の申すことがいろいろ影響をもたらすといけませんし、全然事態を存じませんので、お答え申し上げようもないのであります。
○小林(進)委員 大臣はまだ事実の報告を受けておいでにならないというのでありまするが、しからばその話を裏返しますると、お前の言うことだけでは何も信用できぬ、信用できぬからお前の質問には答えられぬ、ほかの方からの報告が入ったら、それは真実なるものとみなして、それに基いて答弁をしよう、こういう趣意としかわれわれは解釈できない。先ほどから申し上げますように、大臣を尊敬し、大臣を高く評価しているにかかわらず、その私に対して、そういうやわらかく、いわゆる戦いをいどむような冷淡な御答弁をなさらずに、私の言うことは、反証のあがらない限り、一つ小林は真実を申し上げておるのであるという信頼の上に立って、そういうことが今行われておるならば、それは一体労働法規あるいは日本の民主政治の立場から好ましいことであるか、好ましからざることであるか、もし好ましからざることであるならば、それに対して大臣は具的体にどういう処置をとるとか、あるいはやるとかいうことを一つ明確にお答えを願いたいと思います。
○倉石国務大臣 私は小林さんのお言葉を信用しないということを申しておるのじゃございません。そういう労働関係の、しかも先ほどいわゆる不当労働行為というふうなお言葉がありましたので、そういうことでありましたならば、事態を何も知らないで解釈をすることは誤解を生ずるから、そこでお答えができない。あなたのそういう事態があったという今の御説明について、それはうそであるとか、それは間違いであるとかいうふうに申しておるのではないのでありまして、その事態を聞いておらないので、今ここでお答えをすることはできないことだ、こういうふうに申し上げておるのであります。
○五島委員 小林委員の今の質問について、質問の内容についてつまびらかにするところではないという答弁はいいと思うんです。ところが新潟の国労の問題は、世間を騒がした問題です。非常に問題が複雑である。それで小林委員が身を挺して職場まで入っていって、いろいろ調査したらこういう問題がわかった。そうすると、小林委員の質問の内容についてはわれわれも初めて聞くわけですけれども、これは不当労働行為は歴然たるものであろうと思う。そこで小林委員の質問に対して、調査しなければわからないけれども、小林委員の言われることが事実とするならばという仮定のもとに、どう思うかということの答弁はあってしかるべきだろうと思う。
○倉石国務大臣 仮定の事実についてお答えをするというと誤解を生ずるおそれがあるから、私の立場では事実を知らないで、ここでとやこう私の所見を申し上げるということは御遠慮した方がいい、こういうふうに申しておるのであります。
○五島委員 それはもちろん新潟と東京ですからわからないでしょうし、小林さんが調査されたようなことを、局長あたりから労働省に対して、第一組合をぶっつぶす、第二組合の養成を一生懸命やっておる、分区長を集めてこういう講習をやった、そうして昇給はストップしたんだ、もしも事実であるならば、そういうことの報告を一々やりはしないだろう、あるいはやってもそれを知らぬと言われるのが、私は常識だろうと思う。そこで問題は重要であるから調査してもらいたいと思うのですけれども、こういう問題は今日ただいまから調査されると思うんですけれども——調査の前に大臣が発言されることは非常に重大な影響を及ぼすかもしれない。大臣ですからね。しかしこの委員会で、こういう問題がある——小林委員の調査は、間違ってるかもしれないけれども、こういう問題があると、確信のもとに質問をしておられる。その質問に対してどう思うか。これは知っているかと質問されたなら、知らないと言ったってよろしいと思う。これから調査すると言っていいのだけれども、こういうような事実に基いて労働行政についてどう考えるかという質問ならば、行政上の判断として説明できないことはないと思うわけです。どうですか。
○倉石国務大臣 小林さんも先ほどお話のように、私どもと何年か国会に議席を持って、今までの委員会では、大体こういう事態が起きているようだが知っているか、政府はまだ調査しておらぬ、それでは一つ早く調べて、そういう真相について報告してもらいたいというふうなことから、やはり始まっていくのが今までの、何といいますか、国会議員同士のやり方であった。突然そういう今の具体的なこまかなお話がありまして、それについて、事態の私の解釈を申し上げろということよりも、やはり先ほどの小林さんのお話のように、こういう事態があるのだが、一ぺん調査してみろ、こういうようなことでしたら、その方がいいと思うんです。たとえば、もうすでに何べんか政府の間でも問題になり、それから中労委等でも取り上げて伺っておったような事案については一通りの知識を持っておりますから、それはこういうところでお答えもできますが、今の新潟の、特定の場所の、先ほどのお言葉の通り、小さい地域のできごとでありまして、報告を受けておらないのにお答えするというのは不親切だ、こういうわけであります。
○小林(進)委員 どうも大臣、今私の申し上げましたのは、小さな職場、あるいは一つのこういう形でもその結果が現われているという例を申し上げたのでございまして、少くとも不当労働行為をやっておるのは、新潟鉄道局の局長が、その管内全般の分区長を局長のところに呼んで講習しているという、これは決して一職場、一位置、一支部の問題ではないのでありまするから——それではちょっと大臣にお休みを願いまして、私は労政局長に一つこの問題をお尋ねしたいと思うのですが、新潟鉄道局と労働組合の問題は、昨年の七月闘争を中心にして、天下の耳目を聳動せしめた問題であって、今行われている王子製紙の労働争議に相比較対象いたしまして、その比重の大なること、決してこれに劣るものではないのであります。しかるに今労政局長は、齋藤委員、前労働次官の前には、この王子製紙の問題については実に懇切丁寧、経過微に入り細に入りの説明をされた。しかし大所高所からながめるならば、先ほどから申し上げておりまするように、その問題の重要性と規模の広大性並びに世論、人心に与える大きな問題としては、決して新潟地本、新潟国鉄の問題は、これは王子製紙のそれに劣るものではないのでありますから、彼に詳しくこれに詳しくないという論拠は成り立たないと思います。どうか王子製紙の事案にまさる懇切丁寧、微に入り細に入る経過の御説明を願いたい。
○亀井説明員 王子製紙の点につきましては、先ほど大臣から御答弁がございましたように、相当長い期間にわたります争議でございますし、中労委も入りまして、その事実というものが社会的にも明るくなっておるので、私どもといたしましても、詳細なものをキャッチしております。新潟の今のお話の問題につきましては、まだわれわれ実は報告を受けておりません。さっそく調査をいたしたいと思っております。かりに今のようなお話の事実がありますれば、おそらく組合から公労委に不当労働行為の申し立てという形で問題が明るみに出てくるのじゃないかという気がするわけであります。従って、この問題がもし公労委の舞台にかかりますれば、公労委において、その問題の所在並びに不当労働行為であるかどうかというふうなことが決定をされるわけでございます。従いまして、われわれとしましてはその内容につきまして、ここで意見を申し上げることは差し控えたいと存じます。
○五島委員 やはり小林委員の質問に対して大臣も労政局長も、事実の報告がないから説明ができないといわれるのだったら、今後あらゆる地方の突発事故とか突発事件とか、あらゆる問題が労政局長に通知がない、あるいは労働大臣が関知してないというようなことについて、労政上の問題ではどういうように労働省が考えているかという問題を質問をしても、関知せざる問題であるとか報告を受けてない問題であるとかといって、その質問に対して答弁を回避されるような場合が今後あるというのだったら、私は重大な問題だろうと思う。ところがこういうように小林委員が微に入り細をうがって、あるいは大臣をほめちぎってでも質問をされた。それに対してわからない。ところが私たちはこれは非常に重要な問題である、労働行政上第二組合の育成を職制がやるというようなことは組合の分断行為である、従って不当労働行為の尤なるものである、こういうように考えるわけです。委員長もそういうように考えられたのではなかろうかと推測される。ところが事実の調査がやってないから、報告がこないから答弁ができない。しかしこういう問題は一方では、小林委員の言によれば昇給がストップされたり、第二組合に入ったものは昇給の恩典があったりというようなことが行われつつあるということは、新潟の国労の労働組合にとっては非常に不公正な問題であろうと思います。それでこの労働委員会が終ったら理事会を開かれて、そうしてこの国鉄の問題について関係者をこの次の労働委員会、臨時国会で開かれますから常時委員会が開かれるでしょうし、そこで関係者を呼んで、この事実があったかどうか。これが報告を待っていたら、いつまでも報告がないと思うのです。こういうような判断の中から、関係者を呼んで、この事実の参考としてわれわれは聞きたいと思うのです。これは自民党の理事の方たちの御協力もお願いしたいと思うのですけれども、委員長、そういうような取り運びにしていただいたらどうでしょうか。
○園田委員長 今の提案は理事会で協議いたします。
○小林(進)委員 今まで五島委員の発言によりまして、この問題をさらに委員長において慎重に真相を追及する方に御努力願えるような御答弁を得たことは、まことに私は喜びにたえないのであります。ただしかし、せっかく大臣がお見えになりましたので、どうしても私はこの問題をいま一回大臣から御答弁を得ておきたいということは、調査に名をかりてじんぜんこれを日を過ごされますと、こういう事例を引用いたしまして、至るところの経営者監理局あるいは権力を握るものはこれを一つの例としてあっちこっちに引用されて、事実の上に実績を作ってこられますと、これは実に日本の労働行政の上においてゆゆしき大問題になりますので、もしこれがやはりいけないことであるならば大臣の明確なお答えを得て、そういうものは芽のうちにやはりつまんでおかなければならない、さように私は考えておりまするので、かく執拗に大臣の御答弁をお願いするのでございますが、従って大臣、一つ新潟の問題と、こう限定しますと、今おっしゃるように事実を知らざるがゆえに答弁ができないというお答えになるかと思いますので、私の質問はここで新潟を取りまして、このような、監理局長でもよろしい、あるいはそれ以上の上級職にある者が、いわゆる労働組合に対してこういう職制を利用いたしまして、第二組合を作るような訓辞、指令を行うような行動があったとしたならば、それは一体大臣からお考えになりまして、不当労働行為になるかならないか、これを一つお答えしていただきたい。
○倉石国務大臣 小林さん御承知のように、不当労働行為の判定というものはそれぞれの機関がございますので、私どもから事前に一つの仮定を設けて、こういうことは不当労働行為になるんであるなどということを言うことは、やはり公労委あるいは中労委等を牽制するようなおそれもないといえませんからして、これはやはり——先ほどそういう手続をおとりになっておられるという話でありますから、その方の判定に待つべきだと思うのです。
○多賀谷委員 先ほど齋藤委員の質問で具体的な問題を質問されましたが、労政局長の方は、具体的な問題は労政局長自身が現地に行っていないからわからないけれども、一般論としてということで、具体的の問題を離れて、一般論として労働省としてのそういうピケについての見解を発表されたわけです。ですから私はそれと同じであろうと思う。今小林さんが質問をされておりますのは、具体的な問題は当局の方で調査されていないからわからぬと言うならば、じゃ一般論としてこういう事実があったならばどうなんですかと聞いておるんですから、それに対して答弁を拒否されるということはないと思う。
○倉石国務大臣 不当労働行為であるとかないとかいうことを私がここで断定することは遠慮すべき立場に立っておりますから、そういうことは遠慮する方がいいと思う。そこで、一つの組合があるのに、その組合を特に分裂するようなことをやることがいいことか悪いことか、こういうことはもうお答えいたすまでもなく、われわれは組合が健全に発達していくことを希望いたしておるのでありますから、それでわれわれの気持は御了解願えると思います。不当労働行為云々のことは、私の立場としては、今すでにそれが公労委に提訴されてあるそうでありますから、私としてはやはり御遠慮申し上げる方がいい、こういうことであります。
○小林(進)委員 労政局長から、先ほどの王子製紙の問題に準じまして、一般論としての御答弁を一つお願いいたしたいと思います。
○亀井説明員 一般論という御質問でございまするが、一般論と申しましても、そのときのいろいろな条件というものを見まして、あるいはそれから判断しまして結論が出されて参りますので、今の御説明の事案だけから、直ちにそれが不当労働行為になるかどうかということは、なかなかむずかしい問題でありまして、これはいわば法律の問題になると思います。従いまして王子製紙のような争議そのものについての調整的な考え方あるいは調整的な判断というようなものと違いまして、純法律的な判断の問題でございまして、これは法律の解釈の問題ではございません。この不当労働行為は完全に法律の適用の問題でございますので、その点若干ニュアンスが違うわけでございます。かねがねこの委員会におきましても、いろいろ地方的な事案につきまして、不当労働行為かどうかという御質問もよく受けるわけでございますが、その事案が労働委員会等において審議されております際におきましては、政府当局としましては結論を申し上げることを差し控えさせていただいているのでありまして、本問題も同じく公労委に不当労働行為の申し立てをなされるならば、公労委におきまして具体的な判断がされていくので、われわれといたしましてはその結論についてお答えいたすことを差し控えさせていただきたいと思います。
○小林(進)委員 どうもその御答弁には承服できない。国民に奉仕すべき労働省の高級官僚までが、与党野党の差をつけて、われわれの方にかくのごとき冷飯を食わすような冷淡な御答弁をされることは、実に私は不愉快千万であります。いずれこの問題はまた一つ留保いたしまして、いま一つ、これは事案が少し違いますので、この問題について大臣の御見解を承わりたいのでございます。 大臣も御承知の通り、八月六日は広島に原爆の落ちた日でございます。今でもわが日本国民がその日は歩く者は足をとどめて平和と、そして死者の冥福を祈るという実に悲壮な思い出の日でありますが、おそらくこの八月六日には、大臣も大臣室で仕事をおやりになっていたかもしれないけれども、広島原爆のその時間には筆をとどめ、姿勢を正して、平和と死者の霊のために祈念されたことと私は確信いたします。日本人の大臣であればおやりになったと私は確信をいたします。従いまして労働組合の職場におきましても、どの職場におろうと、ほうきを持つ者はほうきをとどめ、筆を持つ者は筆をとどめて、この時間に三十秒なり一分間の祈念をするということは、日本国民の民族感情からながめて私は当然だと思う。これもやはり国鉄の問題であります。新潟の国鉄についてでありますが——あるいは新潟だけではありません。全国の国鉄も、それぞれ日本国民の真情を傾けて一分間の黙祷あるいは祈祷を捧げたそのときに、たまたま機関車に乗っている機関士の諸君が——お寺の坊さんならば鐘をたたいて冥福を祈るでありましょう。しかし彼らはその鐘にかわる汽笛を鳴らした。一分間吹鳴して心から冥福を祈りました。これをいわゆる局長、管理者は不当労働行為であるといって処分をいたしました。一体こういう処分が管理者として許さるべき行為であるか、私は一つ大臣の御見解を承わりたいと思うのであります。
○倉石国務大臣 八月六日のことについて、初めの方のお言葉については全く私は同感であります。日本人はみなそうだと思います。そこで機関士が汽笛を吹鳴するという具体的な話でありますが、これはやはり申すまでもなく国鉄経営という経営の中にあって、一方は経営の立場、一方はそれに従業する従業員、従って業務上の命令系統もあるでありましょうし、機関士が一分間黙祷するなり、汽笛を吹鳴するなりという気持はわれわれけっこうな気持であろうと思いますけれども、そういうことを行いたいということであるならば、やはり経営者と十分お話しになって、そうして経営一体という立場で進めていかれるべきものではないか、かように存じております。従ってその内部の従業員と経営者との関係の話し合いをつけて、そうして国鉄としてそれをおやりになる。しかしながら従業員が、経営者が承知しないのに単独でおやりになるということについては、私はそこで業務関係上の命令不服従というようなことになるのではないかと思う。気持はりっぱな気持であっても、そういうときには経営者と従業員が話し合っておやりになることが一番いいことではないか、こういうふうに思います。
○小林(進)委員 大臣の御答弁の、汽笛を鳴らして冥福を祈るというその気持は十分了承するという、そのお言葉を私はありがたくちょうだいしたいと思うのでございます。しかし同じ職場に働いて生産業務に従事している者が、こういう日本的なうるわしい祈りをささげることにまで労使対立し、経営者の権力をほしいままにして、それが一体職場の管理、命令不服従にどれほどの影響があるかということなんです。それまでにして労働者を痛めつけなければならぬのか。それまでにして組合を弾圧しなければならぬのか。職場に働く者が、人間的な愛情とか民族的な祈りまでも許諾を得なければならないというようなことは、私は民族感情を度外視し、人間を機械化し、奴隷化する考え方じゃないかと思う。むしろそういうことを処罰する経営者の中にこそ封建的な、あるいは権力至上主義、権力主義者的な大きなおそるべき思想が含まれているのじゃないか。こんなことは単なる吹鳴の問題でありますけれども、それがしばしば繰り返されていくことになりまするならば、その一つ一つがだんだん日本人から愛情をなくし、血をなくして、昔の権力政治に追いやることになると思う。労働者の側で反省すべきか、こういう処罰をした経営者の側で反省すべきかということなら、これこそ経営者の側でいま少しものの道理や人間的なものの考え方を持ってこられなければ、ほんとうにうるわしい労働慣行とか民主政治というものは作り上げていけないと思いますので、大臣の答弁の後半はいただきかねる。別な方法でも考えて、経営者の誤まれる頭脳に対して、今日においては逆に労働教育でもしてもらわなければならぬ、かように考えておるわけであります。 次に第三番に大臣にお伺いしたいのであります。それは自分のことに関連して非常に悪いのでありますが、われわれは、個人はつまらない者でございますけれども、やはり国民の負託を受けて、その代表者として国政に参与しておりまする限りは、国の諸般の問題についてできるだけ真実をつかみ、あるいは真実を知る権利もあれば、あるいはその真実を求めてわれわれが行った場合には、その職場、その職域の業務に支障ない限りは、国民全般が国会議員に協力してくれる責任があるのではないか、私はかように解釈いたしております。私どもはあらゆる行政の面に問題がある場合に国会議員として、またそれがたまたま労使の問題である場合には社会労働委員として、直ちにできる限り研究をいたしまして、必要があれば行政官庁の最高責任者たる総理大臣あるいは担当の主管大臣の労働大臣、厚生大臣その他に成規の手続を経て勧告申し上げ、あるいは意見を具申する、これは私は国会議員として当然の権利義務ではないかと解釈をいたします。たまたま新潟の国鉄の問題が、かくのごとく経営者あるいは監理局長の態度によって、今労使の間に問題が対立をいたしております。私がこの問題を社会労働委員会の委員として、特に理事といたしまして、その其相を知るために最善の努力を払うことは、国会議員としての当然の責任であると思っております。従って労働組合の幹部の諸君は私が調査に参りまして真相を尋ねに参りましたときには、快く協力をしていただきまして、できるだけの資料あるいは話し合いをしていただいた。しかし私は国会議員という第三者的立場においてものの真実をつかまなければならないのでありますから、労働組合の意見だけではいけない。ついては監理局長の部屋を訪れまして、そうして監理局長にも今起っている這般の問題について、その説明と資料を求めた。彼の業務に支障のない限り私は懇切丁寧にそれを求めた。そのときには労働組合の方々と一緒に参りましたが、組合の方々と一緒では都合が悪い、だから話しづらいが、この次は一つあなた一人で来ていただきたい。よろしい。それは管理者としては当然のことであろうと思いましたので、今度は日をあらためまして私は一人で監理局長のところに参りました。局長、総務部長と約一時間、二時間近くの談話を続けました。労働組合に対する考え方、起っている事案の問題、時間の経過の問題、詳しく承わりました。その間私の意見も陳述して参りました。決して大きな声を出したわけではないし、お互いに感情が高ぶったわけでもなく、私も資料を提供してもらい、話を承わったことに対して、懇切丁寧な礼儀を重ねて伺って参りました。それからそのときも資料を送ってもらうように約束をしたのでありまするが、その資料は確かに送ってもらいました。けれども、その資料を送ってもらった中に手紙が入っている。その手紙を私は見ました。見ましたらその中に、いろいろ文面がありますが、信書の秘密に関しますから全部申し上げるわけには参りませんけれどもその終りの方に、あなたと私と会っておりますというと、その結果労働組合の方にその情報が流れて、そして当局測の真実が何か曲げて宣伝をせられるようなおそれがあるというのですか、なかなか名文章でちょっと読めませんが、でありますからそういうことは小職の本旨に反しますので今後御会談は差し控えたいと存じます、こういうことです。面会謝絶の文書をちょうだいいたしました。先ほど私はくどく労働大臣に申し上げました。私は個人の資格で行ったのではない。私は国民の代表たる立場で真実を求めて、しかも懇切丁寧に行った、にもかかわらずこういう面会謝絶の手紙をもらった。しかもその会談の内容というものは決して秘密を保つ、お互いにしゃべらぬでおこうというような申し合せのもとにやったのではないのであります。お互いに何らそういう打ち合せがない。でありますから、局長もみずから私どもの会談の内容は自由にこれを情報として流す権利ももちろんあるし、彼も至るところで流したことでございましょう。けれども、その局長に私どもの会談の内容はどのように言われようとも、私自身に彼の責任を追及するだけのそういう申し合せは何もないのでありますから、何の権利も責任もない。まして彼もまた、そういう組合側なり第三者が私どもの会談の内容をだれから聞こうとも、それをどう話そうとも、そんなことは世間に通例のあることにもかかわらず、彼はそれを理由といたしまして私に面会謝絶の文書を提供したということは、私は事はきわめて重大問題ではないか、一小林進の問題にあらずして、ひいてこれは国会議員全体に対する大きな侮辱ではないか、もしこういうことが許されるならば、一局長、一課長が、めんどうくさくなったらみな国会議員は面会謝絶でございます。あなたにお話はできません、こういうことをこの事例でひんぱんにやられたら、もはやわれわれの国会議員としての活動は全くできないことになるのでありまして、これは感情問題にあらずして、私は重大問題であると思う。一局長によってわれわれの調査活動が全く停止せられるようなことになりますならば、これは民主政治の破壊行動ではないか、かように考えますが、一つ大臣の御見解を承わりたいと思います。
○倉石国務大臣 ただいまのお話は、小林君と相手方の監理局長個人の間のお話であったようでありますので、私からとかくことを申し上げることは遠慮いたす方がいいと思うのでありますが、やはり国会議員としても個人の場合もあるでしょうし、それからまた委員会で議決をして、国政調査で公けに出張される場合もあるのでありましょう。それぞれやはり同じ人間でも、そのときに身分の使い分けがあると思いますが、どういうことで今の手紙のようなことになりましたか、私にはよくわかりませんけれども、まあお二人の間の道義心と良識の問題だと思うのでありまして、要はあなたの心配しておられる国労の中の労働関係を安定するということであります。そういう全般的に大きな問題では、私どもの方でも心を使っておることでありますから、なおいろいろ研究して、この関係が安定していくようにして参りたいと、こう思っております。
○小林(進)委員 これは私はむしろ委員長に一つお願いをしておきたいと思うのでありまするが、今も大臣がおっしゃいましたように、それは国会の正式な機関を通じて、公けの調査でいく場合と、個人の場合と、いろいろの資格があるだろうとおっしゃった。それはその通りでありますが、少くとも私が新潟の国鉄に参りました場合には、わが党の労働委員の先輩、同僚各位にも相談をいたしまして、そして新潟国労は非常に反動性も現われておる、あるいは組合の行き過ぎがあるかもしれない。われわれ労働委員としては、どうしても調査するに足りる資料であるから、調査に行くからよろしくと御了承を得ました。そして臨時国会にもこの問題を取り上げたいと思うからというわが党の一切の了承を得て、そして私は参りました。そのまま河村局長の前に、きょうは私は組合の代表でも何でもないんだ、国会の社会労働委員会の理事として、わが党の了解のもとに、この問題を国会で調査をして、臨時国会でこの問題を取り上げていきたい、こういう形で来たのであるから、それを私が一方的な資料だけ持っていって、当局側、経営者側の意見や資料をもらわないということになりますると、私は調査の公平を欠いたことになりますから、きょうはこの資格で来たのでありますから、どうか一つ御了承を願いたいと、私は明確に私の立場を披瀝いたしまして、資料その他を要求したのでありまして、その私が一片の書状によって面会の謝絶をされるということは、決して大臣のいわれるような厳格な意味の局長河村何がしと個人で私は相対したものではないのであります。従いまして、こういう私の調査活動が一片の書状によって拒否せられるということになるならば、もはや小林あるいは新潟監理局長河村何がしとの単純な個人の関係ではない。もしこういうことがしばしば許されるならば、先ほどから申し上げますように、われわれは国会活動の完全を期するわけにはいかない。どうか一つ委員長は、委員長が主宰をしておられます社会労働委員会の委員は、小林であろうとだれであろうとよろしい、そのあなたの主宰している委員会の委員が、委員長を含めての委員活動の資料を得るために行った、その私がこのような拒否をせられたということは一体正しいか正しくないか、委員長の明確な御決意と御判断を承わっていかなければ、私は将来の十分なる活動はできません。一つ御意見をお聞かせ願いたいと思います。
○園田委員長 ただいまの問題は、局長から書面で断わったのは面会謝絶ではなくて、小林君が名にし負う社会党の闘士であるから、こわがって遠慮したのだと思いますが、党の代表で行かれたならば党の方で、あるいは委員会または理事会で行かれた場合に面会を拒絶した場合には、もちろん委員長から今後申し入れをいたします。
○小林(進)委員 時間が参りましたので、他の方も質問を待っておられるようでありますから、私はこれで終りたいと思いますが、先ほどの大臣の御答弁にもありますように、一つ労働省側は大臣の責任において、真相をくまなく御調査をお願いいたしたい、なおわれわれは、この問題は先ほども五島委員からも発言がありました通り、委員会の理事会を開いて、われわれの手においても来たるべき臨時国会において労使両方に来ていただいて、国会の公けの舞台において責任ある答弁をお願いしまして、そしてこの間の真相、不当行為であるかいなかを明らかにしていきたいと思いますが、どうかそういうときにも労働省側から万遺漏のない資料もいただけるように、一つ御努力を願いたいと思います。なお委員長には、一つわれわれの委員会がほんとうに世間の納得するようなりっぱな結論と新たなる労働慣行を作り上げるように、今後ともに委員長の御努力をお願いいたしまして、私の質問を終りたいと思います。
○園田委員長 午後一時五十分まで休憩をいたします。 午後零時五十七分休憩 ————◇————— 午後二時二十一分開議
○園田委員長 休憩前に引き続き会議を再開いたします。 この際理事の辞任についてお諮りいたします。理事野澤清人君より理事辞任の申し出がありますが、これを許可するに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○園田委員長 御異議なしと認め、そのように決しました。 次に理事の補欠選任についてお諮りいたします。ただいまの野澤清人君の辞任及び加藤精三君の委員辞任に伴い理事に欠員を生じましたので、補欠選任を行いたいと存じますが、これは委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○園田委員長 御異議なしと認め、それでは藤本捨助君及び大石武一君を理事に指名いたします。 —————————————
○園田委員長 社会保障制度及び医療に関する件について調査を進めます。発言の通告がありますのでこれを許します。滝井義高君。
○滝井委員 今委員長から言われた通りでございますので、一つ簡明率直に御答弁願いたいと思います。 先般来問題になっておりました診療報酬のいわゆる甲表、乙表の届出についての問題でございますが、すでに九月一日から九月の十日までの間にそれぞれ全国の健康保険を担当する医療機関というものは、乙表をとる場合には乙表をとりますという届出をしておるはずでございます。従って全国の甲乙二表の分布状況と申しますか、一体全国の医療機関を見た場合にどういう工合な状態になっておるのか、どういう乙表の届出が出ておるのか、それをまず一つ、これは大臣でなくて局長でかまいません。要約して御説明願いたいと思います。
○高田説明員 大体私どもの手もとでわかっておりまする程度で御説明申し上げます。 医療機関の数から申しますと、病院、診療所をならしまして甲表をとりましたものが五千三百五十、パーセンテージにいたしまして九・三%でございます。病院、診療所、内訳で参りますと、甲表をとりました病院が千八百六十五、パーセンテージで三五・六という数字が出ております。それから診療所の方は三千四百八十五、パーセンテージで六・七%でございます。なおこれはいろいろな経営主体別の総ぐるみで申し上げましたのでございますが、中身はいろいろ分れても、一応の集計をいたしております。必要によりまして御説明申し上げたいと思います。 これはいわゆる医療機関の数でございますが、医療費の方で参りますと、これはまだ正確に計算ができておりませんが、大体病院、診療所をならしまして、医療費の三割が甲表でいたす。それから病院だけをとってみますと半分よりちょっと出はしないか、五割余という大体の推計ができるわけでございます。 ごく概略的に申し上げますと、以上の通りでございます。
○滝井委員 今甲表の御説明がありましたが、乙表はどういうことですか。
○高田説明員 その逆が乙表でございまして、数で申しますと、総数で乙表が五万二千百六十一、パーセンテージで申しますと九・三%の逆でございますから九〇・七%ということでございます。それから病院で申しますと、乙表が三千三百七十四、パーセンテージは先ほどの逆でございます。診療所で申しますと、四万八千七百八十七、パーセンテージは先ほどの逆でございます。
○滝井委員 天下の耳目を聳動せしめた甲表、乙表の一応の帰趨はこれでわかったようでございます。世の中が民主主義で、多数決でいくとすれば、日本の医療機関の大勢は乙表に、病院もひっくるめてきまったような感じがいたします。どちらがいいかどうかということでなくて、とにかく大勢は乙表にきまった、こういう形でございます。 そうしますと、先般来厚生大臣は、甲表をもって一本化するということを言われておりましたが、日本の医療機関が恣意的に選んだものが、大勢が乙表である、こういうことになってくると、今までの方針通り依然として甲表一本でやっぱりまとめていく考えなのかどうか、すでに軍配は大局的に見れば乙表に上ったわけです。この点、一つあらためてこの際大臣の考えをお聞きしたいと思うのです。こういう客観的な結果の出た上での大臣の考えをお聞きしたいと思います。
○橋本国務大臣 甲表で一本化するというのは少し誤解があると思いますが、もともと甲表、乙表と二本立にするという異例な措置がとられたゆえんのものは、甲表という点数表を画期的に合理化しようということで、今の甲表そのまま一本でやろうということは無理だということで、現在までの状況を尊重するということで、乙表も選んで、どちらでも任意に採用するということをお願いしたゆえんであります。そういうわけでありますので、甲乙二表というものを出しておるが、経過的な異例な措置は、なるべく早く解消いたさなければなりませんので、私は一応十月一日にこれを実施いたしましょう、その上この甲表を貫く医療費をできるだけ合理化していくという精神をもとにして、甲乙二表をさらに検討した上で、これを一本の点数表にするというふうにいたしたいと考えておるのでございまして、現在のままの甲表一本にして、乙表を落してしまう、そういう形の一本化をやるのは無理だと考えております。ただいま申し上げたような趣旨で、私は甲表を作成いたしました合理化の精神をもって、甲乙二表というものをさらに学識経験者その他いろいろな方々に御検討願った上で、なるべく早い機会に一本化すべし、こういうふうに考えております。
○滝井委員 七月八日の速記も私は全部大事なところは書いてありますし、速記をお読みになるとよくわかると思いますが、七月八日の委員会では、甲表を中心に一本化するという御言明をなさっておるわけです。ところが、日本の約六万ばかりの医療機関というものが、大勢は九割というものが乙表になってしまっておるというこの事態は、私はやはり日本の現段階としては、いわゆる従前の例によるという、このことが大勢に順応しておると思うのです。過激な甲表というものはとらざるところであるという客観的な情勢が出てきておると思うのです。それは日経連その他があれだけかねや太鼓で、標語まで募集したにもかかわらず、そうはいかなかったというこの現実は、無視することはできないと思います。きょうの大臣の答弁も、甲乙二表を十分考えながら大方の意見も聞いて、まあ甲表の合理化の精神というふうに、だいぶ話が後退してきたように思います。 そこで私は大臣に確認をしておきたいのですが、甲表を中心とした合理化ではなくして、今後は甲表、乙表、それぞれ十分検討した上で一本化をしていく、合理的な一本化をしていく、こういうことに理解して差しつかえございませんか。
○橋本国務大臣 甲表、乙表を十分に検討いたしました上で、甲表作成の基本的な考え方になりました合理化という方向を進めるという基本精神を持ちながら、甲表、乙表はこだわりなしに、両方を冷静に検討した上で一本化をしていく、こういう趣旨でございます。
○滝井委員 その場合、もう少し突っ込んでおきたいのですが、甲表の基本的な精神というところなのです。一体大臣は、甲表の基本的精神というものはどういう工合にお考えになっておるのか、これを一つこの際明らかにしておいてもらえば、将来甲乙を、その甲表の基本的な精神で一本化するということがわかってくるわけです。甲表の基本的な精神は一体何なのかということです。
○橋本国務大臣 これは議論といたしましては、その基本的な精神が貫かれているとかいないとか、いろいろな評価はあると思いますけれども、甲表を作りました趣旨は、物と技術を分離いたしまして、要するに医者の技術を高く評価するという点を診療報酬のきめ方の根本観念に置くという考え方であります。
○滝井委員 物と技術を分離をして、技術を高く評価する、こういうことでございます。今度の甲表は、技術の中の施術は高く評価しておる。ところが、たとえば内科的な診断の技術、いわゆる無形の技術というもの、なるほどメスを握って切るという技術というものは非常に高く評価されておる。ところが無形の、聴診器を当てて見る総合的な無形の技術と申しますか、こういうものは高く評価されていないのです。こういう点に今度の甲表には一つの大きな問題点があるのです。内科とか小児科というような、いわば無形の技術と申しますか、そういうものが明白に評価されていないところに甲表が、こういう全国の医療機関の九割から忌避を食らったという点があるのです。これはいずれ臨時国会を通じて、甲表の理論的な基礎については私たちはもう少し深く掘り下げて、ああいう具体的な数字のよって来たったその科学的な根拠についてただして参りたいと思います。今までの答弁では腰だめ的な、つかみ数字という印象しか受けておりません。従ってこれは大臣と議論をしても仕方がない点でございますので、事務当局と十分今後議論をしていくつもりでございますが、甲表の合理化の精神を基礎にしながら甲乙両方を勘案をして合理化していくという、こういうことで一応きょうは私はこの問題については引き下っておきます。 そこで、この甲表を五千三百五十の保険医療機関が採用することになったのですが、八月のこの委員会で、きょうは池田次官を要求しておったのですが来ておられませんが、池田次官は国立病院なりあるいは健康保険の病院なり直営診療所等に政府が、甲表でなければならぬという指令を出しておるというような話があるが、指令、通牒等を出しておる事実はないかどうかと言ったら、そういうことは一切いたしておりません、国立病院といえども自由に選択させることにいたしておりますという明白なたんかを切ったわけです。 〔委員長退席、大坪委員長代理着席〕 しかし事実は、これはまあ健康保険のニュースでございますが、甲表採用を積極的指導、厚生省両局長が全国知事に委嘱、この両局長というのは高田保険局長と小沢医務局長連名で都道府県知事に通牒を出しておるわけです。こういうように、八月の九日の委員会ではそういうものは出していないと言っておったのだが、あにはからんや、これはその三日ぐらい前の六日か七日ぐらいに出ておるらしいのです。そうしますと、これは政府の公式の答弁で、私はえりを正して念を押したにもかかわらず、こういう通達を出しておるわけですが、これは一体どういうことなのかということなんです。これは国立病院はおれの方の病院だからおれの方は勝手にやるのだ、こうおっしゃるのならそれはそれで私は、あとで関連してきますから、受け取ってけっこうでございます。そういう国立療養所とか国立病院とか健康保険の病院とか厚生年金の病院とか船員保険の病院とかに甲表を採用せしめる方針だ、こういうことを書いているわけです。ところがこの前は、そういう病院も自由に選ばせます、こうおっしゃった。私たちが国立病院に行って調査したら、私たちは乙表を選びたいのだが、政府が甲表をやれと、こうおっしゃいますから、甲表をやらざるを得ないとおっしゃっておる。私は各院長に、それならば一つ甲表と乙表の両方を、診療報酬の請求の場合は二、三カ月計算してみてくれませんか、そうしてもし甲表を採用した場合よりか乙表の方がより多くの医療報酬を病院が受け取るということになると、甲表で受け取った場合と乙表で受け取った場合の差額だけは、これは厚生省の責任で、赤字になった場合でも独立採算だなんて言わせぬように、これはきちっと国会で大蔵省も呼んではっきりさせておかなければならぬ問題がある、たとえば健康保険の病院のごときは独立採算制を主張しておるのだが、今後一切こういう病院については独立採算制を許さぬ、国家公務員の俸給と同じように一切国が責任を持って出す、こういう方針にならなければ、こういうことは言えないはずだから、そういう点をはっきりしておいてもらいたいのだということを、私は行ったところの院長には頼んでおきました。今度も青森県、岩手県の国立病院の院長にも頼んで、それを出してもらうようにしております。この前の池田政務次官は大臣の代理として出たのですが、厚生大臣の代理として出てきた政務次官がそんなことをさせないというのに局長がしているということは、これは一体大臣どうしたことですか。
○橋本国務大臣 どうも池田次官の答弁というのは、私そのようには聞いておらないのでありますが、おそらくそれは池田次官が、その問題については聞いておらないというような答弁をされたんじゃないかと思います。この前にも委員会でも再々申し上げましたように、甲表を採用することと、乙表を採用することは、どうしろということでなしに、それぞれの病院、個人診療所の任意にしてあるわけでありますが、ただ国立病院、国立の療養所につきましては、管理者としては厚生大臣が管理をしておるわけでありまして、各国立病院、診療所に自由に決定をさせるというわけに参りませんので、管理者としての厚生大臣といたしまして、国立病院、診療所等につきましては甲表を採用するということを、管理者として管理下にあるものに対しまして指令をいたしたわけでございます。もちろんその際におきまして、甲表を採用いたしますことは、単に経営上の利益ということだけでございませんで、昨年以来甲表によって合理化をできるだけ進めたい。これについての内容の御意見は先ほど申し上げましたように、これも完全ではございませんで、十分意見はあると思いますけれども、より一歩合理化を進めるという意味におきまして、甲表を国立病院、診療所には採用をさせるということを決定いたしたわけでございまして、単なる経理の面で、この方が有利だということだけで決定をいたしたものではございません。管理者としての立場と、その立場に立っての判断で、これを管下の病院、診療所に指令をいたしたわけであります。池田次官の答弁の際に私おりませんで、まことに恐縮でございますけれども、趣旨は、次官がそう申したとすれば、自分としてはそういうような扱いについて承知をしておらぬというような意味で言われたんだと私思っております。
○滝井委員 承知しておらぬというのじゃなくて、私ははっきり書いておりますが、みずから自由に選択さす、こういうことを言っておるわけであります。私の調査したところでは、甲表をとれという指令がきておりますということだったがということまでつけ加えたのですが、そんなことはない、自由に選択させますという言明だったのです。これは七日に出ております。この委員会が九日でございますから、二日前にこれは出ておるわけであります。少くとも政務次官が知らぬはずはないのです。そうだとすれば政務次官はロボットで、こういう大事な通牒というものは政務次官は知らぬずくで出されておる、こういうことにもなるわけであります。これは政党政治のもとにおいては、なかなか大事な、われわれが見逃してはならぬ問題にもなってくるわけです。政務次官が堂々と大臣のかわりに出てきて、ここで答弁をしたにもかかわらず、私は具体的に、現場の国立病院は乙表を選びたいといっておるが、どうもわれわれはできませんとくやんでおるのを耳にしたから質問をした。ところがそういうものは出しておりません、出す意思もないし、自由に選択させますという御答弁であったにもかかわらず、すでに答弁の二日前、出ておったということは、厚生省の行政の運営の方からいっても、内部に意思の統一がされていないということを、はしなくも暴露しておるわけです。同時にもう一つ、そのときに私は答弁を求めた点は、六月三十日に告示をされた案は、すでに現在地方における点数の甲乙両表の講習会が行われておるが、その講習会の席上で、この点数表はやがて修正をされるかもしれないという意見が耳に入るんだが、これは修正ないし正誤表等で直すというようなことはないかどうかという質問をいたしましたところが、それはそういうことも絶対ありませんという御答弁があったのです。ところが、あにはからんや、先日私は資料として厚生省当局に要求をいたしたのでございますが、大へんな修正になっておるわけなんです。先日館林医療課長さんからお届けをいただいたのですが、これは厚生省保険局医療課長名で都道府県民生部あるいは民生局の保険課長なり保険部長、都道府県民生部の国民健康保険課長に保文発第六三三一号として出ておるわけです。そうすると、これは正誤表として取り扱うには、あまりにも大きな間違いです。たとえば、初診処方料が、乙の二表でいけば一・六点が一・七になり、乙の一では一・七が一・八になる、そのほかにたくさん修正があります。二、三十も修正がありますが、これは、一つ一つ私調べてみたが、相当大事な点なんです。厚生省は二十九年にもこういう正誤表を出したことがありますが、今度は、これは日本の医界をゆり動かす程度の大きな問題になった点です。〇・一点違うということは一円違うということです。今一円の引き上げの問題をめぐってこれくらい大きな問題だったわけです。ところが、一・六点とか一・七点と決定をされたものを、この八月九日の委員会で、そういう修正や正誤表はありませんでしょうねと念を押したにもかかわらず、そういうものは絶対ありませんと言明をしたにもかかわらず、こういうものが九月五日付で私に来ておりますが、それより前に何か官報に出たそうです。そうすると、一体これはどういう理論的な根拠から一・七が一・八と——一円というものはばかにならない。一円上げれば、あなた方が今まで言ったように二百十七億違う。日本の健康保険で一番大きなものは、あなた方の説明するように投薬を注射だとおっしゃる。その投薬の中の一番大事な要素である処方料というものです。処方料というものは、現在は薬代と一緒にもらってしまうわけです。だから分析をすれば処方料として出てくるが、実質的には薬代と一緒である。今まででいえば乙の二ならば二十八円もらうその中に入った。今度修正した乙の二は二十九円になるのですが、そうすると、日本の医療の少くとも投薬と注射は四割八分を占めておる。それが一円上るということは、何十億と計算が違うことを意味します。一体こういう問題が正誤表で簡単に取り扱われていいかどうかということです。あれだけ問題にしておったことがこういうことでできるならば、これは誤植でございましたといって初診療を二〇にしてもいいです。二〇にしても誤植であったといってもいいでしょう。ところがAあれだけ問題になって、私がこれは言っておらなければいいが、政務次官にわざわざ念を押した二つの点も否定をされた。今日は前の医療機関の甲表を採用しろという強制的な命令だけなら、そう問題に私はする必要はないと思いましたが、結局池田政務次官がこの委員会で二つにわたって私をごまかした。そんなことはしないと言ったものを二つともやられておる。そうすると大臣のかわりに出てきた政務次官は、つんぼさじきで何も知らないということ、これなら大臣のかわりに政務次官にここに来てもらう必要はない。一体大臣はこれをどういう工合に理解しておりますか。
○橋本国務大臣 六月三十日に告示をすることをきめまして、その当時関係団体との間にいろいろな折衝を重ねましたことは御承知の通りであります。そこで何分にも医師会、歯科医師会との話し合いにも、膨大な実態調査の資料とか、いろいろ頻度係数、薬の値段等を計算しながらやるわけであります。そこでどうしてもまとめなければならない時間の段階になりまして、非常に膨大な全国的な資料から結論を出すわけでありますから、処方料の問題——ほかにもいろいろな問題は出ておりましたが、処方料の問題に関しましても基礎資料の見方、つまりその計算の仕方とかなんとかいうものについて相当詰めてやったのですが、なかなか詰まらないわけであります。ほかにもいろいろ御意見はたくさんございました。総体から見ればごく部分的でありまするけれども、それだけ問題を詰めていたしまするために、検討するのに相当の時日がかかるわけであります。そこで話をいたしましたのは、要するにまとまったところで話をまとめる、しかし全体を見て、純粋な字句の間違い等はもちろんのことでありまするし、それからそのほかの点につきましても資料の面ではっきり誤謬であったことがわかれば、この六月三十日限りで告示をいたしましたものを改めるということを紳士的に約束いたしまして、そしてその後両方で資料を出して、ずっと突き詰めて参ったのでございます。この間に医師会の側からもいろいろな御要望がございましたけれども、間違いではなくて意見として考えられるようなものについては、これはもう六月三十日に告示をいたしましたので、それを勝手に直すことはできませんからいたしませんでした。ただし明瞭に誤まりでありますものをがんばるわけに参りませんので、これは当初六月二十何日でしたか、ここで一わたりまとめるけれども、明瞭な誤謬は訂正をいたしますと約束をいたしました通り、その後日を重ねて検討した結果、間違いであるとわかったものにつきまして正誤いたしましたわけでございます。その点につきまして、もし私のおりませんときに、政務次官が出ましたときに話が違っておりましたとしたならば、連絡の悪かったことはまことに恐縮でございますけれども、政務次官の申しましたのは、一度きめたものですから、きめたものを意見によって変るというようなことはしないということははっきり申し上げたと思います。しかし間違いの部分は明瞭に正誤すると約束して、またそうするのが筋でございますから、検討した結果、誤謬の点を訂正いたしました。処方料につきましては、たしかパスの値段の取り方が間違っておりましたので、それが主になって訂正をされたものと記憶をいたしております。
○滝井委員 一番大事なこういう問題が間違うということになると、厚生省の資料に信頼が置けなくなるのですよ。そして自分たちが間違ったときだけ指摘されれば正誤表を出し、指摘されなければそのままほおかむりしていくという、こういうことが結局勤務評定と同じように唯我独尊で、自分の作ったものが一番いいというものの考え方があるからこういうことになる。やはりこういう問題はざっくばらんに、ガラス張りの中でみんなが資料を出し合ってやらなければいかぬのです。いわゆる医療費体系の基礎がはっきりしていないからこういうことになるのです。医療費体系の基礎をわれわれに公開せずして、点数だけ公開しているところに問題があるのです。だから私は今度の臨時国会から通常国会にかけて、その基礎となった医療費体系というものを洗ってみなければいかぬ、これが問題なんです。一体一・七を一・八に、一六・を一・七にすることによってどれだけ財政負担がふえるのか、これを一つ御説明願いたい。
○高田説明員 おおむね総医療費といたしまして〇・四%ないし五%と私記憶をいたしております。金額といたしますと総医療費を、社会医療費をかりに二千五百億と押えますと今のパーセンテージになるわけであります。おそらく十億程度のものではないかと思います。先ほどの一円上げた場合にはお前たちは二百十七億云々と御指摘がございましたが、これは滝井先生が御存じのように、十一円五十銭を十二円五十銭に、一円上げた場合でありますから、おのずから問題は別だろうと思います。
○滝井委員 十億という金は、あなた方が獅子奮迅の勢いで団結をしても、大蔵省が健康保険の赤字のときによう出さなかった金なんですね。これはもう、なかなかの金なんです。今度の健康保険ではあの十億しか認めてもらえずに、二十億減らされたことについて予算委員会その他でずいぶん問題になったほどの問題です。こういう十億の金の伴うものを一片の正誤表で片づけるには、今までの論議の過程からいったら、あまりにも問題が重大過ぎる。私はきょうはこれ以上言いませんが、こういうことはもう少しあなた方がざっくばらんに国会に、今度の医療費体系の基礎というものの数字的な根拠を出してもらわなければいかぬと思うのです。医療費体系の基礎になった、いわゆる今回の甲表の基礎になった数字というものを出してもらって、そうして十八点の科学的な根拠をはっきりしてもらわなければならぬと思う。たとえば一例で申し上げますならば、甲表でいくと、十八点の中にはこういう処方料も調剤の技術料も全部先払いして入っているわけなんです。そうしますと、たとえばその患者が今度処方せんをもらっていくときには、もう初診のときに処方せん料といって支払っているから処方せんは無料で出さなければならぬ。処方せんを無料で出すのですか。
○館林説明員 今回の甲表では、処方ぜんの発行の費用は総医療費に含めた扱いになっております。
○滝井委員 患者が請求した場合、無料で出すわけですね。
○館林説明員 処方せんの発行の点数を設けてございませんので、結果的にはその費用を請求できないという取り扱いでございます。
○滝井委員 わかりました。そういう工合に無料になりますと、今度は薬剤師に行った場合、調剤技術料も無料になりますね。
○館林説明員 保険医薬局の調剤報酬は別途設けてございます。従ってその処方せんが保険医薬局へ参りました際は、調剤料を保険医薬局が請求することになります。
○滝井委員 それでは筋が通らぬじゃないですか。百八十円の中には調剤技術料、それから処方料とが入っているんですよ。ものは原価でやるということが甲表の建前なんです。そうしたら薬局に行って調剤技術料を払う必要はない。病院が払わなければならぬ、百八十円の中にもう払っているんですから。ところがそれを今度薬剤師諸君は医薬分業で甲表をとっている、こういう矛盾がある。これは大臣おわかりだと思います。あなたの言うように甲表はものと技術とを分けた。そうして技術料というものは百八十円の中に先払いしてしまっている、そこで処方せんが今無料とおっしゃった。これはその通り。無料ならば調剤技術料も無料なんです。だから薬局へ行って薬代だけ原価を払えばいい。これが甲表の精神でなければならぬ。それが理論的です。ところがあなたが勝手にきめておいても、私が患者だったら、もう払っているからそれを二重に取るということは詐欺ですよ。あなた方はどうも頭を働かしているようだけれども、論理的に言うとこういう大きな矛盾がある。だからそういう点はもう少し、あわてて六月三十日なんかに実施せずに、十分に国会の意見も聞いて、大衆の意見も聞いてやらなければいかぬのです。何も今まで六年間も七年間もやったものを、今度はこの段階になって無理やりにやる必要はない。一カ月二カ月待ってもいいのです。ところが今度薬剤師会は何の勘違いをしたか、甲表支持に回っておる、こういう醜態を演じておる、だから薬剤師は無料です。無料で処方しなければならぬ。薬代だけ原価でもらえばいい、われわれが払えばいい、こういうことになってしまうのです。これは論理的にはっきりしておる。今の答弁で処方料はとらぬのですから、そうすると処方料はとらぬで調剤技術料をとるという方法はないのだから、病院から今度払ってもらわなければならない。そうすると病院の経理というものは大きな穴があく。調剤技術料百八十円の中から薬剤師に払わなければならない。私は論理として縮めていけばそういうことになるということなんです。だからこういう無理な甲表乙表というものをやると、そういう矛盾がまた出てきておる。あなたはいかにもこれが金科玉条の合理化のようなことをおっしゃっるけれども、そういう点がある。 それはそれとして、一体大臣、歯科診療だけなぜ甲表一本にしたのですか、日本の医療を混乱させないために、なお従前の例によるということで乙表を作られた。ところが歯科は混乱してもいいのでしょうか。どうして甲表だけにしなければならないのですか。
○橋本国務大臣 私、実は引き継ぎを受けました処理の方針は、御承知のように厚生省原案の甲乙二表に対して関係団体と話をした上で、話がまとまればそれによるということでありまして、歯科の関係につきましていろいろ御相談をいたしました結果、乙表は要らない、甲表一本でけっこうだ、これは関係団体が全部まとまった意見でございまして、まさしく歯科の方は甲表一本で混乱は来たさないという関係団体一致の意見に従いまして、採用いたしたわけでございます。
○滝井委員 歯科の下部で、甲表一本のために大阪その他で相当紛糾があると聞いておりますが、あなたのところにはそういう報告は来ておりませんか。
○高田説明員 歯科の下部におきまして、地方的にそういう問題が提起されておることは私の方にも情報は入っております。それはその地方の従来の、何といいますか診療のやり方が他の地方と非常に違っておったというふうな特殊な事情もあるようであります。ともかく地方的に今御指摘の大阪等でさような問題、不満を持っておられるということは知っております。
○滝井委員 そういうように下部に不満があるということがはっきりしておるようでございますが、同時に最近歯科の内部の状態を達観をしてみますと、甲表一本でいったために、歯科で一番生命といわれる補綴の部分に、あの甲表のままでいくと八・五%のワクの拡大にならない。従って補綴の修正をある程度やらなければならないという相当強い意見があり、しかも歯科の内部においては、これをやはり十月一日実施までには何とかやり通す、あるいはそれとも来年の三月の切りかえですか、そういうときにでもやり通すというような意見があるように聞いておりますが、これははっきり念を押しておきますが、歯科の甲表については今後当る意思はない——今後といっても当分甲表、乙表を当るとき以外は、修正するとき以外は、正誤表とか計算間違いをしておったとかいうような修正はないわけですか。
○高田説明員 修正でございますか正誤でございますか、さようなことをいたすつもりはございません。もちろん点数表でございますから、いろいろ御意見がございますから、これをよりよいものにしていくということにつきましては、一般医療におきましても歯科医療におきましても、それぞれ手続を踏んで、将来とも努めて参りたい、かように考えております。
○滝井委員 念を押しておきますが、今後六月三十日に告示をされた点数表の正誤とか手直しとかというようなことをやる場合には、医療協議会にかけて堂々と成規の理論的な計算の基礎の上に立っておやりになる、それ以外には勝手に厚生省でいじったりしない、こう理解して差しつかえありませんね。
○高田説明員 所定の手続を踏んでやりたい、かように考えております。
○滝井委員 所定の手続というのは、医療協議会にかけて……。
○高田説明員 さようでございます。
○滝井委員 医療協議会にかけて成規の手続でおやりになるということでございますから、了承いたしておきます。 次に地域差の問題でございますが、先般来地域差の問題についていろいろ論議をしたのですが、すでに都会においてもいなかにおいても、大して物価は変らない状態が出て参りました。そうしますと依然として今まで通り乙表で八%の地域差を持ち、甲表が五%ということは、これは明らかに均衡を失すると思うのです。大臣にも先般私はこの問題についてお尋ねいたしましたが、どう見ても客観的にこれくらい不合理なものはないと思うのです。従って合理化を必要とするならば、すみやかにこの問題を、最小限甲表と同じように五%に持っていくか、あるいは五%、八%を撤廃してしまって、全国一律に持っていくか、ここらあたりを速急にやらなければいかぬと私は思うのです。そうでないと、これはおそらく臨時国会なり通常国会になれば全国から、特に北海道、大阪、神奈川県あるいは北九州から陳情がやってくると思うのです。理論的にこれを返すだけの根拠はどこにも見つからぬと私は思うのです。国家公務員なりの方々だけが四級地の最高の俸給をもらっておって、医師の俸給ともいうべき診療報酬だけが低い乙地区ということは許されぬと私は思うのです。どう考えてみてもこれはあなた方が合理化という看板を掲げるならば、これはやはりやってもらわなければならぬ。看板を下せば別です。下せば私は何も言いません。しかしあなた方が合理化という言葉を唱える限りは合理化してもらわなければならぬ。これくらい不合理なことはないのです。この点、大臣は一体どうお考えになりますか。あなたはこの前非常に言葉を濁しましたが、私は今度北九州にも行きましたし、大阪地区のいろいろの意見も聞きましたが、すでにこういう状態になってくると、乙地区会というものが生まれつつある。乙地区会、これはまた医師会の一つの分裂作戦だなんて痛くもない腹を探られないとも限らない。従ってこれは当然あなたとしては——あとで健康保険財政のこともちょっとお尋ねしますが、財政にも比較的余裕のある時期ですから、当然考えて、医療内容の向上に資する必要があると思うのです。もう一回、だいぶん客観情勢も違って参りましたが、どうお考えになっておりますか。
○橋本国務大臣 ただいま御指摘の問題は、これも御承知だと思いますが、六月末に私がきめる際に、せめてそこまでは、甲乙二表を地域差の点で一致をさせようと思って根限り努力をいたしたわけであります。ただこれも率直に申し上げますが、医師会は甲表は五%の差、乙表は従来の差というものがぎりぎり最後の線で、それを甲乙二表地域差を一緒にするということでは了解できかねるというお話でございまして、最終段階において、それではとにかく、それしか医師会の中でまとめる方法がないならば、やむを得ぬ、どうせこの問題につきましては甲乙二表というものをもう一度見直して一本化をはからなければならぬのでありまするし、当面その医師会の最後の線というものを入れてまとめた次第でございます。もちろん御指摘のように、これは中央医療協議会にかけまして、この甲乙二表をもう一度考え直して一表にまとめる、そういう際における社会医療協議会に諮問すべき非常に重要な課題であると考えております。
○滝井委員 中央医療協議会に諮問すべき重要な課題でございますが、問題は厚生当局がその腹にならなければ百年河清を待ってもどうにもならぬことになる。一体大臣としては、これの不合理であることをお認めになったのですが、いつごろそういう手続をおやりになるのですか。
○橋本国務大臣 甲乙二表をもう一度総体的に検討いたしまして、そうして合理化の線を貫きながらこれを一表にするということは、これはなるべく早く手をつけて御審議を願いたいと思いまして、それにはいろいろ前提の整備も必要でございますが、心を砕いておる次第でございます。私はこの地域差の問題につきましては、地域差の問題だけを単独に解決をするということは、この六月末にきめました経緯から申しましてもなかなかむずかしい問題でございまして、甲乙二表総体を検討いたしまして、その総体を一本化していくという問題の一環として処理をいたしたいと思います。
○滝井委員 これは先日来私は言っておったのですが、甲乙二表を一体一本化するためには、あてどもなく一本化すると言っても仕方がないと思うのです。やはりこれは小山君も言っておりましたが、現在日本経済は安定した、だから単価は十円にいたしたのでございます。物価の変動というものは、戦後のように非常に激しくゆれ動くという事態はなくなったのだから、十円というまるいものにいたしました。従って十円の単価を動かすということは、これはよほど大きな物価の変動がない限り十円で参ります。そして十円を動かすことは、物価の変動があったときだという答弁があったのです。私はその答弁というものは合理的だと思う。そうしますと、今経済が安定をしているのですから、一本化をやる時期というものは、やはり目標を定めて、作業なり努力をしていかなければならぬと思うのです。この前私はここで一本化は、大臣の任期中にやる腹で努力されますかと言ったら、どうものらりくらり、はっきりしなかったのです。一体岸内閣は、きょうの朝日新聞をごらんになっても、もはや支持率というものは急角度に減りつつあるのです。そうすると、大臣の命もそう長くないという事態も起ります。あなたが十一円五十銭なり十二円五十銭なりきめて、八年かかってまたあなたのところに来て、あなたのまいたたねを刈らなければならぬということになったのです。今度八年後に厚生大臣になるかどうか、われわれも代議士であるかどうかわからぬのです。そうすると、あなたの任期中を目標に一本化の努力なり地域差の撤廃を努力してもらわなければならぬと思うのですが、そういう目標ということになれば、おのずから日限の限界が出てくるのです。これは堀木さんに言ったのです。厚生大臣の命というものは、長くても一年半、過去の実例、終戦後の大臣の寿命を見ても一年か一年半です。あなたもお燈明問題で辞退したこともある。ああいう突発的な問題もあるわけですが、予算編成期も近づいております。そうすると、ここ少くとも半年、この通常国会の終った直後ぐらいに、やはり来年、三十四年度に開かれる通常国会くらいには腹をきめて出すくらいの意気込みでないと、なかなか解決できないと思うのですが、これはあなたの任期中に甲乙二表の一本化をはかり、同時にその一本化ときわめて密接な関係のある地域差の問題の撤廃に努力をするという御言明ができますかどうか。
○橋本国務大臣 私はいつまでおるかわかりませんけれども、とにかく甲乙二表というものは非常に異例でありますし、また地域差のあれも異例でありますので、私は私の任期中にできるだけ早く発足させて、この問題を諮問いたしたいという実は考えでおるのであります。ただその前提といたしまして、今日、昨年以来の経緯で医界が割れておりまして、審議の場を作るのに苦心をいたしておるのであります。私はその前提の整備をなるたけ早くいたしまして、なるべく早い機会にその甲乙二表総体の問題、もちろんそういう地域差も含めて、これを一本化するような諮問をいたしたいと考えております。ただその締めくくりの時期をいつにするかということは、これはやはり諮問に日限をつけるということを申しますと、それだけでまたもめると思いますので、私はもし諮問をいたしますならば、これは先ほども滝井委員から御指摘がございましたが、それに必要な、たとえば資料の出し方であるとか、さらにお調べ下さるならばそれに必要な実情の調査も整備をいたしますということで、十分厚生当局としてもサービスをいたしまして、御審議を促進願えるようにはいたしたいと思います。
○滝井委員 それでけっこうです。大臣の任期中にとにかく医療協議会に甲乙二表の一本化と、地域差をひっくるめて諮問いたしたい、その結論はそれぞれ利害関係者もあることでありますので、十分科学的な検討をしてもらえば私は足ると思います。そうして結論を出していただけばそれで満足だと思います。ぜひ一つ大臣の任期中に、今の御言明通り諮問を発していただきたいことをお願いをし、しかと大臣の御言明を胸にたたんでおきます。ぜひそう努力していただきたいと思います。 次にその諮問を発する医療協議会の委員の問題でございます。委員の問題については先般私の質問をいたしたときに、九月ごろになれば大体はっきりする、私の意向も言えるだろうという御答弁をいただいたと記憶いたしております。ようやく秋風もたって十月の声を聞こうとしておりますが、医療協議会の委員は現在半数が多分任期が切れておると思います。すでに七月か六月中ごろに切れたと思いますので、約三、四カ月たっておるかと思いますが、これは日本の診療報酬なり保険医の指定、取り消し等、あるいは保険診療の指導の上にきわめて重要な役割を演ずるものなのですが、その委員の半数が欠けておるということは、国民健康保険法を国会に出して皆保険を実施しようとする政府の態度としては、私はきわめて遺憾なことだと思います。医療協議会の委員の任命は、一体いつどういう工合にしてなさる方針であるのか、きょうは一つぜひ明白にしていただきたい。
○橋本国務大臣 この問題はごく率直に事情及び私の考えておるところを申し上げたいと思います。 社会保険審議会及び社会保険医療協議会法には御承知のように、いわゆる四者構成で医療担当者、医師の利益を代表する者につきましては、その関係団体に推薦を依頼し、その推薦した者の中から任命をするということに相なっておるのでありまして、従来ずっとその任命の際には日本医師会に推薦を依頼をして任命いたして参ったわけであります。昨年以来御承知のように日本医師会と日本病院協会の問題がございまして、これはただ医師会だけの問題でなしに、日本病院協会の立場については、いわゆる関係五団体ありますか、六団体ありますか、その意見もあることでありますので、私は就任以来この問題については決して静観をいたしておるわけではありません。何とかしてこの中央社会保険医療協議会委員の任命を早くやりたいと考えまして、六月以来苦心をしながらいろいろな手を打って参ったわけであります。現在のところの状態は、ごくさっぱり申し上げますると、両者の間に相変らず意見の対立がございまして、従来通りの形で日本医師会に一緒の利益を代表する委員の推選を依頼するということでありましたならば、病院協会等その関係団体においては承知をせぬという状態でございます。それから今度病院協会等その関係団体の意見に従って、かりにそっちの方にも推選を依頼するということであれば、日本医師会の方は出さぬということでございまして、現在のところではこの委員の推選依頼をする方法がないような状態でございます。滝井委員も御承知の通り、この中央社会保険医療協議会というものは、もともと利害を異にする団体の間で意見を述べて、その代表者の間で調節をとるという建前のものでありまするから、職権で委員を任命するということは意味のないことでもございまするし、それでありますから法律にもないわけでありまして、どうしてもこの中央社会保険医療協議会というものの半数の委員を任命いたしまして、これが運営のできるようにいたしまするためには、円満に推選を得られるような事態を作り出さなければならぬのでございまして、この点についていろいろな面で努力をいたして参りましたが、今日のところまだ成功いたしておりません。大体九月中くらいまでにはまとめたいと思いましたし、まとめられるものと思っておりましたのですが、そういう事態になっておらないのでございます。 それで今日どういうことをいたしておりまするかと申しますると、単に厚生当局として、当るというだけでもこれは足らぬことでありまして、何といっても医界の長老の方々に一つその間のごあっせんを願わないと、もう現在のままでは客観的に推選を得る方法がないという状態でございまするので、こういう状態を打開のできるように、二、三の方々にも御依頼を申し上げて、私もその間に適宜の形で参加をいたしまして、せっかく骨を折っているところでございます。もちろん御意見といたしましては、それはそういうことも一つの方法かもしらぬけれども、一体そういう事態がいつまでも打開できなかったらどうするという御意見もあおりだと思いますが、これはもう現在の中央社会保険医療協議会というものを成立させて、そうして次々に問題になっておりまするものを課題に上げるということは、ほんとうに必要なことでございまするので、いつまでも現在の状態であってよいとも思いませんし、従って医界においても必ずやこの打開の道を発見できるものと思いまして、仲に立った方々にも御依頼を申し上げるなり、せっかく努力をいたしておる次第でございます。めどにいたしておりました九月くらいまでにこれを実現のできなかったのは残念でございますが、いましばらく一つ日をかしていただきたいと考えております。先ほど滝井委員からお話のございましたこの一つの過渡的な異例の措置でありまする甲、乙二表というものをほんとうに学理的にももう一度落ちついて御審議を願いまして統一をはかりたいという問題につきましても、私は何とかして一刻も早くこれを課題に上せたいと思っておるのでありますが、前提になりまする中央社会保険医療協議会の構成自体が今日まだできない状態でございまするので、その点数表再検討について、まだとりかかりかねている状態でございます。私どもとしては誠意を尽して、医界がとにかくどういう形にせよ、一つのまとまりの筋道というものを見出して、それによってまずこの委員の任命ができるようにいたしたいと努力をいたしておる次第でございます。
○滝井委員 大臣の御苦衷はお察し申し上げますが、こういう事態になった原因というものは、静かに反省をしてもらわなければならぬと思います。そこで先般、支払い基金の理事は任命をされたようでございます。私はそれを客観的に議員として一応批判をしてみると、診療担当者の一人に塩沢先生が任命をされております。警察病院の院長さんでございますが、警察病院は保険医療機関ですか。
○高田説明員 正確に私承知をいたしておりませんが、保険医療機関になっておると存じます。
○滝井委員 警察病院は御存じの通り共済組合で、一般にいわば大っぴらに公開をしておる病院ではない。警察職員を中心にしてやっておる病院です。従ってその病院の財政はいわば親方日の丸で、あなた方が自由自在になるものです。あなた方といえば語弊があるから、国家といった方がいいかもしれない。あるいは警察庁といった方がいいかもしれない。共済組合とほとんど不可分の関係でやっておると思うのです。そういう意味で、いわばこれは私的医療機関ではないわけです。国家がある程度自由に経理その他動かし得る病院です。そうしますと医師の利益を代表するということは一体何かということです。いわゆる国家権力によって自由自在に経理が動かされ、その院長の首が飛ぶようなものではいけない。あくまでも医師の利益を代表するというからには、資本主義の世の中における利益でございますから、従ってその建前は私的医療機関から出さなければならぬ。もしそれをどうしても出すというならば、公益代表で出すべきです。たとえば中央社会保険医療協議会には、逓信病院の院長の高橋先生は公益代表として出ておったと私記憶いたしております。だとすれば、打開の道は、医師の利益というからには、中心は私的医療機関でなくてはならぬと思う。そうすると病院協会の公的医療機関の人たち、たとえば日赤、これは日赤の病院長が自由自在にその施設をすることはできません。日赤法によってきちっときまっております。日赤の社長が経理というものはやはりがっちり握っておらなければならぬ。ちょうど国立病院の院長が自由自在にやらずに、医務局長が管理者になっておるのと同じ。そうするとそれは資本主義の社会において医師の利益を代表するには幾分欠けるところがある。従ってそれらの人は、公的医療機関の代表として過去において任命されておったわけです。私はこの方で行くべきだと思う。何もそれを日病だ何だとこだわる必要はない。こだわることの方がおかしい。それからここで医師の利益と書いているのは、資本主義の世の中における医師の利益だとすれば、私的医療機関、いわゆる診療報酬の上下によって、その上下の波のまにまに浮き沈みをする私的医療機関、いわゆる診療報酬がどう決定せられようと、その財政というものは国家が、あるいは公的な力がうしろにどっかり控えておるということは、これは赤字になろうと黒字になろうとかまわない。あなた方が甲表を選べといえば、みんなやむなく甲表を選んでしまうのです。だから国立病院の院長を医師の利益を代表するものとして任命するものと、塩沢さんを任命するのとは大して変りはない。しかも本来警察の共済組合のいわば事業主的な性格の病院なんです。健康保険の建前からいえば、事業主保険というものは、保険医療機関に入らないものなんです。指定の取り消しを共済病院がやろうとしても、厚生省はできないものなんです。そういうものが医師の利益を代表するものとして出ていくということは、日本の診療報酬のいわゆる資本主義における体系というものを確立する場合に、問題があると思います。ですからそういう点で塩沢さんを見たときに、円満におさまっているからいいのですが、おさまらなかったとしたら、そういうところに大きな問題があると思うのです。ですから済生会なり日赤が、いつか私がここで主張したように、ほんとうに貧しい人々を独立採算でやる形になってくれば、これは私的医療機関として税金も払えばいい。ところが税金を払っていない。そうして親方は日の丸というところが医師の利益の代表として出ることはおかしい。少くとも医療協議会とか基金に出るには、税金を払っている医療機関から出す。こういうものの考え方をすればはっきり割り切れてくる。そうして現実には公的医療機関のものは、公的代表として入れたらいい。高橋さんは入っています。警察病院の院長が無理やりにせり込んで、医師の利益を代表するものとして入らなくてもいい。あるいは診療担当者の代表として入らなくてもいい。そういうところは、赤字になれば国が見てくれる、あるいは共済組合自体が見るという救済方法があるわけです。いわゆる公益代表としての余地が開かれております。逓信病院の院長の高橋先生は、それで出ているわけです。こういうところに、この医療協議会並びに社会保険審査会法の立法の趣旨から見ても、問題がある。それが円満なときならば、そういうことは大して問題になりませんが、しかしこういう事態になれば、そういう割り切り方をした方がいいと思う。そして日病からは別個に公益代表として出したらいい。これには方法があるのです。高橋先生が出ているのに、また日赤から出さなくてもいいということになる。あるいは警察病院から出さなくてもいい。公益代表として、けっこうそこには自分の主張ができるのです。これは主張の場を持てばいいのですから。ただし医師の利益代表といっても、がりがりの客観性のないものはだれも認めません。ですからそれは公益代表として主張してもいいわけです。厚生省はいろいろこじつけをされておりますけれども、今までの行きがかりから見たならば、医師の利益というからには、税金を納めて、そうして医療経営によってみずからその利害をになっている者が医師の利益を代表するものなんです。これは常識なんです。それを法制局に行って、粘土細工を作るようにあれこれいじり回すからこういうことになるのです。ですから大臣、これは私の一つの意見でございますが、一つ率直に、公益代表で出されたらいいと思う。それなら二人なろうと三人なろうと、公益代表でございますから、これは公益代表でけっこうなんです。警察病院の立場、逓信病院の立場、あるいは日赤の立場というものは公益代表でけっこうです。公益のためにやっておるのですから。これらは人道と博愛を持ってやっているのです。こういうものは、小さな私的医療機関のように、私的な利益を守らなくてもいい病院なんです。もし利益を守る団体に入るというならば、日赤も済生会も警察病院も、税金をお払いなさい。これならば筋が通る。もちろん大蔵省は喜んで税金を取ります。これは改めたかどうか、いずれ今度の国会が始まったら、この前宿題にしておりますから、日赤の中央病院がほんとうに健康保険を主体にして、いわゆる入院料三万円も前金を取るということをやめていると思いますが、そういうものを公的医療機関のもとにおいてやっておる。ところが税金を納めていない。大蔵省の主税局はそれならば税金をとると言っておる。そういう点で大臣、一つ解決法があると思う。何もこだわらないで公益代表で出す。医師の利益を代表するものは税金を出しているもの、こう限ったら、何も病院協会と、それから日本医師会とが争う必要はない。その場合に、今度税金を払うものが一つの団体をつくることも、一つの方法になるかもしれません。今のような状態で強行すると、医師の利益を代表するものでなくて、甲表乙表の代表ということにへまをするとなりかねない。今に甲表代表、乙表代表を出してくれということになりかねない。そういう点で医師の利益というからには、税金を納めているかどうかで一つ判断をしてもらえば、割合みんながわかりやすいのです。聖路加病院の院長を連れて来て、医師の利益を代表するといっても、税金も何も納めていないのですから、公的な医療機関としてやられているわけです。医師の利益ということは、生計につながっている問題なんです。そういう点で診療報酬というものは、そういう割り切り方をすればこの問題は一挙に解決する。何も大臣がそう頭を痛めなくてもよろしい。日病の先生方も医療協議会に出て、公的な医療機関としての発言の場を持てばいい。それがなかったから、今まで問題があったのです。ですから、この際事を円満に解決するために、二つの医師団体が日本の医療の進展のために役立つように甲乙二本を統一して、ほんとうに医師の利益を守るためには、統一していくより以外に道がないと私は考えるのですが、大臣はどうでしょうか。
○橋本国務大臣 重要な御示唆をいただきまして、ほんとうにありがとうございます。私はほんとうにこだわりを持っておりません。六月以来苦心して参りましたのは、中央医療協議会の委員の任命をやりたいということで、実は八月に基金の理事が全員任期が満了いたしました際に、この方だけは、金融機関の役員会のないようなもので、その構成ができないと支払いができなくなります。たまたまあの方は、先ほど私が申し上げました状態と変らぬわけでありますが、療養の給付を担当する者といったような形で書いてあって、いろいろな法律解釈について何かその間に多少の余地があるのではないかということも勘案いたしまして、とにかく両方にお願いをして任命をいたしたわけであります。しかしこれは法律の建前も違っておりまするし、趣旨も違っておりますので、この八月に基金の理事を任命いたしたような方法で中央医療協議会の委員の任命をするということを考えておりませんし、実はそれでなかなかうまくいかないわけであります。ただいま滝井委員からお話のございました点については、これは十分私も考慮いたしますが、現在のところの状態では、これはやはりいわゆる関係五団体側も医師の利益を代表するものという方に日本病院協会を入れろというたっての御主張でございまして、現在のところといたしましては滝井委委の今のお話のように、これは必ずしも、今直ちに私さえこだわりを持たなければ進行できるというような状態にはないように私は考えております。もちろん私もなるべく早く事態を軌道に乗せることが大事でございますから、ただいまお話のございましたことは重大な御示唆として十分心にとめておくことにいたします。どうか一つこの問題につきましては、各方面をあげて、このままでもなりませんので、軌道に乗るように空気を作っていただく。私自身はこだわりを持ちません。ただいま滝井委員から法律解釈についてお話がございましたが、ただ法律はあくまでも、どんな牽強付会の解釈でもいいというわけには参りません。やはり当然法の解釈の限度がございますから、その範囲内において、私はこだわりを持たずに事態の円満な収拾に骨を折って参りたいと思います。
○滝井委員 今の問題は、医療協議会の委員は診療担当者の利益を代表する者になっておるし、それから基金の理事の方は診療担当者を代表する者になっておる。ところがそのやる業務を見て見ますと、指定取り消し、こういうものなんです。警察病院なんか、あなた方が指定の取り消しや何かできはしないのです。そういう指定取り消しをやる権限を持っておるけれども、実際にできないものの代表を選んできても、これはこの業務の上からいっても問題がある。その点診療報酬だって、安かろうと高かろうと、これは共済組合が自力でやっていくのだから何のことはない。大して関知する必要はない。これは医療協議会の業務の十四条をごらんになると、指定取り消し、保険診療の指導監督、診療報酬の額の決定、それから基金はもっと大事な、過去三カ月において最高額の費用を要した月の診療報酬のおおむね一・五カ月分を基金に委託するとか、あるいは支払いの迅速化、請求書の審査、それからそれに附帯する業務とある。警察病院なんかは、こういうものには大して関心を持たぬ問題です。これはやはりこれによって税金を払い、これによって人生の浮き沈みを味わう病院が、一番関係するところなんです。 それから五団体が反対だというけれども、五団体がよその医療担当者の問題にくちばしをいれるということになると、今度は医療担当者が、それじゃ保険者があの会社から出るのは反対だ、こう言われたら一体どうなるか。こういうところにすでに日経連なり何なりの横暴があるのですよ。甲表をポスターに出さしてみたり、ポスターを没収している。これは医療を日経連自体が誤まった態度——それを監督をしない厚生省も厚生省です。厚生省は甲乙二表を平等に取り扱うと言っておるはずです。それを事業主の団体が甲表をやるといってやることについて黙っておるということは、おかしいです。そうなるから今度療養者の団体もやるということになる。こういうけんかをさして高みの見物をし、分裂をさしておさめるということは、昔の封建時代からのものなんだから、厚生省の行政が保健行政でなくて、封建的な行政ならば、それでやればいい。それは結局自分がまいた穂で自分が苦しまなければならぬということになる。だからこの際、あっさり公益代表で私は筋が通ると思う。高橋先生や神崎先生なんか、公益代表で出ている委員があると思う。だから、それは公益代表でけっこうだと思う。 あと二つ、三つ重要な問題がありますが、これでやめますけれども、最後に事務の簡素化は大臣も言明をされたし、小山前次長も言明をされておるのですが、十月一日から甲乙平等に事務の簡素化をやって下さるのでしょうね。
○高田説明員 ただいま請求明細書の様式その他につきまして、関係団体といろいろ相談をいたしておる最中でございます。それがまとまりましたならば、その様式に従って取り運びたい、かように考えております。
○滝井委員 そうしますと事務の簡素化は甲乙平等にやられる。この前の館林さんの御発言では、甲表だけをやるということだったから、私はそういうことは了承できない。大臣は明らかに甲表と乙表の区別はしていなかった。小山君もしていなかった。今の発言は私は甲表だけを言っておったのです、こう言われても困りますから念を押しておきますが、甲乙平等に簡素化をやる、こう理解して差しつかえありませんか、話し合った結果が出れば——。
○高田説明員 甲乙両表の請求明細書について相談をいたしております。しかしその内容におきましては、点数表の中身が違いますので、これは違って参ります。できるだけ簡素化をするということは、これは関係者のすべての要望でございまするので、できるだけやりたい、かように考えておるのでございますが、今せっかく話し合い中でございますので、その結果を待って実施をいたしたいと、かように考えておるわけでございます。
○滝井委員 これは先般来八木さんも問題にしておりましたし、私も問題にしておりますので、一つ関係団体の話し合いがある程度ついたならば、最終決定を見る前に、中間報告の形で国会に報告していただきたいと存じます。この請求事務の問題は、単価一円上げると同じくらいに日本の医療機関に莫大な負担をかけておる問題でございますので、大臣は、最終的な結論の出る前に一応中間報告の形で、こういう様式で大体話がまとまる方向にあるということをぜひお教え願いたいと思います。
○高田説明員 さように取り運びたいと存じます。しかし性格は御存じの通りの性格のものでございますが、御報告をいたしたいと考えております。
○大坪委員長代理 本日はこれにて散会いたします。 午後三時四十七分散会