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29回国会衆議院1958/07/08

社会労働委員会 第10号

発言数
97
登壇者
7
会派数
2
開催日
1958/07/08

会議録

園田直自由民主党

○園田委員長 これより会議を開きます。  前会に引き続き、厚生行政に関する大臣の説明に対する質疑を行います。小林進君

小林進日本社会党

○小林(進)委員 大臣とこれからずっとこの委員会を通じて社会保障制度の問題を研究させていただくのでございますが、そういう大臣と、政治、行政をともにするその出発に当って、私どもはやはり大臣がどういうお考えをお持ちになっているかということを明確につかんでおくことは、何かにつけて私は一番大切な問題であると思いますので、あえて具体的な答弁の問題ではございませんが、一つお伺いしておきたい。  それは、大臣のしばしばの談話の中でお用いになる言葉に、福祉国家の実現を期するということを言われておるのでございます。私も一応の研究はいたしてみましたが、福祉国家と称するものの明確な定義をわきまえておりません。私ども社会主義者は、一切の社会保障制度を含めて社会主義国家を作る、これは私どもの一つのありきたりの言葉でありますが、大臣は社会福祉国家を作るということをしばしば仰せになる。一体社会福祉国家というものはどういうものを意味するのか、私はその定義なり内容について大臣にお伺いいたしたいと思います。決してこれは私は学問論争をやっておるのではございません。こういう言葉を通じて大臣の基本的な思想をお伺いしたいというのが私の質問のねらいでございますので、その点お含みの上お答え願いたいと思います。

橋本龍伍自由民主党厚生大臣

○橋本国務大臣 私は福祉国家の建設ということを申したのであります。私の方も非常に学問的にどうこうということではございませんけれども、私たちは今までもそうでありましたが、今後も生産力を拡充いたしまして経済を年々進めて参るわけでありますが、その間には個人の間に所得の差もございまするし、それからまたその人の健康の差でありますとか、やはり環境の上での幸、不幸の差というものが出て参りますので、国の手でたとえば医療保障の問題を片方に扱い、片方にはまた老齢だとか、あるいは寡婦になりました場合の対策だとか、あるいは廃疾になりました場合の対策のために国民年金の制度を考えるというふうにいたしまして、国全体といたしましてはだんだん経済も進んで参り、総体の生活水準も進んで参りますけれども、その間における個人の幸、不幸なりあるいは健康、不健康であるとかいうような差を埋めるための国の制度というものを社会保障という形で国の手でやる、それが福祉国家の建設の非常に大きな主眼点であると考えておるのであります。

小林進日本社会党

○小林(進)委員 世間に通常用いられる言葉には、そういう福祉国家に相対抗する言葉ではないかもしれませんが、警察国家だとかあるいは行政国家だとかいうようなそれぞれの区別がありまして、普通福祉国家といえば、結局濃度の問題じゃないか。その国の色彩と申しますか、厚生行政等に非常に特徴を持っている国がいわゆる福祉国家といわれ、行政、警察に主力を置いている、そういう機構の完備している国家が警察国家あるいは行政国家というふうに言われるのであって、私は何もそろばんではじくようなきちっとした形の福祉国家というものがあるとは考えられないのでございますけれども、それにしても大臣のお言葉の中でしばしば福祉国家建設という言葉が用いられる限りは、何か私どもがなるほどと納得するような福祉国家の一つの定義というものをいま少し明確にお伺いできないか。私どもの寡聞な知識のしからしむるところでは、大体英国あたりがそういう福祉国家である、あるいはスエーデン、ノルウエーあたりが福祉国家であるというふうに言われておるようでございますが、一体わが国はどうなのか。わが国は福祉国家と言い得るのかどうか。この点を一つ大臣にお伺いをしておきたいと思います。

橋本龍伍自由民主党厚生大臣

○橋本国務大臣 どうせ物事というものは、程度の差はあると思いますが、福祉国家へ向っての建設をさらに進めておるわけでありまして、いつから福祉国家になる、それまではないということではなしに、やはり今日でも福祉国家の歩みを進めておって、それをさらに充実をいたして参りたいと考えておる次第でございます。ただその際に、一つやはり一階段になると思いますのは、何と申しましても個人の所得の差だとか、幸、不幸の差だとかいうようなことを埋める一つの大きな柱が医療保障であり、一つが国民年金の制度である。医療保障の点も国民年金の点も、今日はっきりこの道を進むことをきめて参りました。やはり福祉国家の建設という点では、ちょうど今が一段階、また一わたり進む時期になっておると考えておる次第であります。

小林進日本社会党

○小林(進)委員 やはり福祉国家と申し上げるには、救貧政策と申しますか、貧乏を追放する政策、それから公的扶助、完全雇用、それから今大臣のおっしゃった所得の再分配、こういうものがある程度完備をいたした国家が社会福祉国家じゃないか、かように私は私なりに考えるのでございますが、そういたしますと、これからわが日本は大臣のおっしゃる福祉国家の実現を期するということになるならば、今も申し上げました完全雇用と所得の再分配というようなことは、もっと統制を強化するか、何らかの国家権力の発動を認めて、現在のわが日本の自由主義経済といいますが、独占資本経済といいますか、こういうものを大幅に変えていかなければ私は富の再分配あるいは救貧政策という大臣の言われる福祉国家の終局の目的を実現することは困難ではないか。しかし大臣が籍を置かれる自由民主党という政党があくまで資本主義、自由主義を標榜しておられる限りは、今おっしゃるこの福祉国家の建設という点に至ってこれは大きな矛盾があるのじゃないか。いわゆる福祉国家の最大条件の一つでありまする所得の再分配などということは、これはどうも資本主義、自由主義の原理の中からは出てこない。しかし大臣の言われる福祉国家を作るためにはやはりやらなければならぬ。この矛盾は一体どういうふうに解決をせられるのか。これはわれわれ社会党の政策をもってすれば当然できるのでございますが、大臣の所属をせられる自民党の資本主義制度の中においては、この実現は言うべくしてはなはだ困難ではないかと思いますので、この点大臣のお考えを承わりたいと思います。

橋本龍伍自由民主党厚生大臣

○橋本国務大臣 私あまり学問的な、理論的なことをこの委員会で申し上げることはいかがかと思いまするが、これは、私の知る範囲内におきましては、少くとも社会科学に関する学説を見ますると、要するに自由主義の世界において、それは経済の進展等に非常に特徴はあるけれども、それから出てくるアンバランスを埋めていくために、社会福祉を進める上に社会保障制度というものはぜひ必要である、むしろ社会主義的計画経済をおやりになるならば、これは初めから社会的に矛盾というものはないという建前でやっておられるのでありまして、社会保障の制度というものは、むしろ自由主義の世界においてぜひ必要とされ、そうして福祉国家建設のための手段だということが——私あまり理論的なことを申し上げるのもどうかと思いまするが、学問的な著作には多く書いてあるように拝見いたしておる次第であります。私の考えておりますのはあくまでも自由民主主義的な手段によりまして、経済の面につきましても文化の面につきましても、個人の創意というものをできるだけ伸ばしていく、それが社会の発展のために、経済的発展、文化的発展のためによろしいと考えております。ただその間におのずから、いろいろな面でのアンバランスが出て参ります。おくれておりまする面を埋めますために、国全体の経済の問題としては、経済計画に従ってバランスをとっていくことが必要でありまするし、また個人生活の面につきましては、社会保障の制度によりましてバランスをとっていくということがぜひ必要であり、これがほんとうの社会保障を達成していく上での必要欠くべからざる手段だと考えておる次第でございます。

小林進日本社会党

○小林(進)委員 どうも大臣の御説明では私はまだとうてい納得するわけにはいかないのでありまするが、別な角度で一つお伺いしてみたいと思います。厚生省の白書をざっと拝見したところでも、一千万に近いボーダー・ラインの階層がある、貧困者、低所得者があるということでございますが、それを含めて、世の中には非常に不幸な方がありますけれども、こういう不幸な方が社会に出ているということは、大臣は一体、その原因はどこにあるとお考えになるのか。これはやはり本人がなまけ者であるからだ、いわゆる個人の勤惰に関することが原因だ、あるいはそれは宗教的な運命論に基いて、それは運が悪かったのだ、それは個人の運、不運に基いて、そういう不幸な境遇が与えられたのだというふうにお考えになっているのか。それを恩恵的、慈愛的に、そういうなまけ者を国の政治で情をもって救い上げていくというふうなお考えなのか、あるいはそういう不幸な者や貧困者が出たのは、個人の勤惰の問題ではない、個人の運命の問題ではないのだ、社会自体の罪である、政治自体の貧困のしからしむる結果であるというふうにお考えになっているのか。これは私は今後の厚生行政を進めていく上において、非常に大きな問題でございますので、一つ大臣から明確にお聞かせ願いたいと思います。

橋本龍伍自由民主党厚生大臣

○橋本国務大臣 結局、国全体の人たちが全部、非常に楽な状態になるというために一番根本的な問題は、やはり生産力を上げ、国の経済力を上げて、国民所得を総体的に上げていくということであろうと思います。ボーダー・ライン層の人たち、ないしそれ以下の人たち、これはどういう原因でなったのかという問題に関しましては、これはやはり一つ一つ原因が違うのでありまして、病気であるという場合もございましょうし、あるいはまた夫を失ったという場合もございましょうし、あるいはアル中である、懶惰であるというような者もございましょうし、原因にはいろいろな問題がありまして、これは一つの問題として片づけることはできないと考えるのであります。やはりそれぞれに従いまして、これは総体的には国全体の所得を上げて参りますと同時に、現在の段階で出て参りまするそうした状態にある方々に対しましては生活保護であるとか、あるいは社会保険であるとか、年金であるとかいうような問題によりまして、それぞれの方一方の生活の内容をささえてあげるという対策を講じる必要があるわけでありまして、全部が全部どういう原因でなったかということ、これはきめて申し上げかねると思います。

小林進日本社会党

○小林(進)委員 私はそういう非常に巧みな大臣の答弁を聞こうと思っておるのではないのでございまして、これは今回の新しい文明国家というか、新しい進歩せる国家における社会保障制度を実施するときに基本に流るる思想でございますから、いやしくも厚生行政、社会保障制度というものを行おうという、その当面の最高責任者である大臣が、病気は病気、失業は失業、肺病、らい病、それはみんな原因は異なるというふうな、そういう御答弁では私は満足できませんし、またそういうようなあいまいな考え方に立って厚生行政をお進めいただくこと、われわれ不安で仕方がないのでございまして、やはりそこに一つ大臣の基本的な思想として、個人が悪いのである、個人の勤惰に基くところであるから、本来は国家の干渉するところではないのだ、けれども、ひいてはその弊害は国に及ぶから、やむを得ずしてそういう者を救済する必要があるのであるというふうなお考えになっているのか、あるいはそういう例外はあるとしても、やはり基本的な考え方としては、社会あるいは政治のよって来たるところを原因としてそういう落伍者なり不幸者が出ておるのであるから、そのよって来たるところの原因は個人にあらずして社会の罪である、だから社会は当然救わなければならないというふうな考え方にお立ちになるかどうかということです。これは何もここに初めて出たことではない。過去に何回も繰り返されておる大きな基本問題でありますから、私は大臣は当然そういうことはマスターせられた上にこの厚生行政をおあずかりになっておるものと考えておりますので、いま少し胸を開いて、ざっくばらんな御見解、よって来たる思想の根底をお伺いしたいと思うのであります。

橋本龍伍自由民主党厚生大臣

○橋本国務大臣 実は先ほどから何べんも申し上げているつもりでありますが、要するに一番基本的な問題というものは、やはり国総体の経済力がそこまで上っていない、そうして国民所得の総体が足りないということでありまして、私申し上げましたように、所得のアンバランス、個人の幸、不幸のアンバランスを埋めるために社会保障の制度が必要なんだと、基本的には考えておるわけであります。ただ、それぞれの人たちが、それじゃどうしてそこまでしかかせぎができなかったかということにつきましては、これはそれぞれの人たちのそれぞれの原因があると考えておるのであります。これは総体的に言いましては、やはり国全体の中で十分な所得が得られず、そして貧困で困っておる状態にある人たちのアンバランスを社会全体として埋めるために社会保障の制度はあるのだと私は考えておるのであります。

小林進日本社会党

○小林(進)委員 これはだれかれと具体的に名前を申し上げるのではない、大臣の所属しておられる政党の方々が立会演説会やら個人演説会やら、われわれの接するあらゆる場面においてしばしば言われる言葉でございますが、社会保障制度を完備すると人間がなまけ者になる、どうも英国などにおいても寡婦年金といいますか母子年金あたりをくれることによって寡婦が働かなくなる、あるいは失業手当——これは労働省の関係でございますけれども、そういう失業手当をあんまりやることによってなまけ者が出て働かない、だから社会保障制度というものがあまり完備することは好ましい制度ではないんだ、こういうような話をしばしば聞く。おそらく大臣の所属しておられる政党の基本的な考え方にこういう思想があるのではないかと私は思うのであります。これは私どもの推定でございますから、もし悪意の推定でございましたらお許しを願いたいのでございますけれども、大臣はこういう考え方に対してどういうふうな御回答をお持ちになっておるか、一つお伺いしたいと思います。

橋本龍伍自由民主党厚生大臣

○橋本国務大臣 これは私、実は両党の間に意見の差異があるとは思わないのでございますが、わが自由民主党にいたしましても社会党にいたしましても、社会保障はますます完備しなければなりませんし、その中においていたずらに惰民を養成するような傾向は排除しなければならぬのでありまして、これはもう両党とも同じ考え方で行きつつあるし、いかなければならぬものだと私は考えております。

小林進日本社会党

○小林(進)委員 しかし、両党とも考えに差がないとおっしゃいますけれども——それは特殊な例外です。私は何も政治の舞台や行政の舞台において例外を論じようというのではありません。でありますから例外は若干あるけれども、しかし生きとし生つけるものは原則においては何もなまけ者という者はいないんだ、好んで失業したり好んで病気になったり好んで肺病になって寝ていたい者は一人もいないのだ、みんな健康なからだで働きたい、みんなその働きたい意欲は人間本能なんです。それに職業を与えないのは一体だれなんだ、それを貧困のままに投げ出しておくのは一体だれなんだ、だれも好きこのんで貧乏になりたいという者はいないのだ、一体だれが貧乏を与え、だれが失業を与えているか、それは決して個人の責任でもなければ個人のよって来たる怠惰の原因でもないのだ、せんずるところは社会の罪である、政治の罪である。それを何か失対事業でもやっておれば、なまけておる者が悪いとか、あるいは失対事業はなまけ者を作るとか、社会保障制度は怠惰な人間を作るなどという考え方自体が、それこそ保守主義政党における大きな誤まりである、人間の貧乏をしいてゆがめて考える大きな間違いなのだ、かように私どもは考えております。しかし例外はあります。それは社会主義国家でも福祉国家においても、働かないなまけ者もありますけれども、それはほんの例外であって、そんなものをわれわれが議題の中心にして、社会保障をやればなまけ者が出るとか、失対事業をやって食わしておけばなまけ者が出るなどという議論の対象になるのは卑怯なやり方だ、かように私どもは解釈しております。この点においては私は保守党と社会党においては大きな見解の相違があるのではないかと思いますが、一つ御回答を願いたい。

橋本龍伍自由民主党厚生大臣

○橋本国務大臣 どうも御説はよくわからないのでありますが、われわれは社会保障制度を完備することがぜひ必要だと考えておりますし、失業対策も必要だと思って今年の予算も失業対策をさらに拡充いたしておるわけでありまして、社会保障制度を完備するといかぬとか、失業対策をよけいやってはいかぬとかいう考えは全然持っておりませんし、実施面においてもそういうことをやっておらぬのであります。社会保障制度はますます完備をいたして参るつもりであります。ただその間におきまして、やはり仕事の仕組みの問題といたしましては、社会保障制度にいたしましても、結局は働いておる人たちがそれだけのものを出しながらお互いに助け合っていくわけでありますから、そうした国内全体の公平という点からいきましても、社会保障制度を大いに完備しながら、その間においてなまけた人が得をすることのないようにという、やはり政治の面からの心づかいはだれでもやっていかなければならないというだけの話でありまして、私はどうも御趣旨がよくわからないのであります。繰り返して申しますが、われわれは社会保障制度はますます完備をさせて参るつもりでございます。

小林進日本社会党

○小林(進)委員 そういう意味において、私も同じ平行線を進むようなことを繰り返すのはやめたいと思うのでございますが、ただ社会保障制度を完備したいとおっしゃる結論は同じであろうとも、そのものの考え方に大きな開きがありますならば、よって生まれる結果もおのずから違ってくるのじゃないか。私はそのことを申し上げたいのでございまして、今も大臣がちょっとおっしゃったように、社会保障制度を完備したが、そのためになまけ者が得をするようでは困るじゃないか、その点を警戒してやっていく。それは何でもない言葉ならば何でもなくとれますけれども、私はそういう言葉に一つの針を感ずるのでありまして、だれも好んで、社会保障制度を完備したからといって、それに便乗してなまけようなどという人間がこの世の中にあるという思想自体が誤まりではないか、私はこれを申し上げたいのでございますが、そんなことを繰り返したら議論の蒸し返しになりますからやめにいたしますけれども、了解したわけではありませんので、いずれまた臨時国会でも開かれましたらもっと質問を上手にいたしまして、また一つ繰り返してみたいと思います。  次に、特別国会も終りますので、農村に帰って国会報告もしなければなりませんので、おみやげの質問になるかもしれませんが、一つお許しを願いたいと思います。それはほかでもございませんが、やはり自民党の公約の中に非常にいい公約があるのでございます。生活環境を明るくし、婦人を家庭労働から解放するため云々という種々の政策が述べられて、厚生行政に関する問題が羅列されておりますが、この問題について、婦人を家庭労働から解放するために大臣は具体的にどういう施策をお持ちになっておるか。私は黒土に生まれた百姓の子でありまして、子供のときから農村の生活を見、なおその中に育ってきたのでありますが、今日でもわが日本の農村は婦人労働であると言われておるのでございまして、農村のあの田畑に出て働きます、われわれでも耐えられないような重労働を、大体四割五分は日本の婦人が担当いたしておるのでございまして、これくらい重労働を、半分の労働を婦人が担当しておるということは世界にないのであります。アメリカなどにおきましては、農村における全労働の約八%くらいしか婦人が担当いたしていない。英国においては一割八分というように、どこから統計をとってきたのか資料の出所は知りませんけれども、そういう資料が出ている中に、日本の婦人だけがあの男子も耐え得ないような特殊な重労働を四割五分も担当していられる。ここに私は一つの労働行政といいますか、日本の厚生行政の大きな盲点があるのではないか。文化国家とは言えない、文化国家の日本が世界に恥じなければならない大きな盲点があるのではないか。今、日本農民は四千五百万でありましょうか、そうすると今婦人の比率がちょっと上っておりますから、大体二千四、五百万の婦人がおるわけであります。そういう婦人たちがこれほどの過重な労働に隷属をしているのでございます。これに一つ画期的な大臣の施策を賜われば私は実に喜びはたえない。死しているわが母も地下において喜んでくれるだろうと思うのでございまして、一つ何かそういう婦人の労働を解放するような具体的な施策がおありになりましたらお聞かせを願いたい。明日から直ちに私はその新しい策を宣伝して歩きたいと思いますので、どうぞ承わらせていただきたいと思います。

橋本龍伍自由民主党厚生大臣

○橋本国務大臣 もうずっと前から、婦人の地位の向上というのは非常に大きな問題でございます。法律的な問題については私が申し上げるまでもなく、憲法においても民法においても労働法においても公職選挙法においても全くの男女同権でありまして、法律的にはもう手をつけるところは何もないわけでございます。ただ現実に今日一般社会を顧みてみまするときに、やはり婦人の労働が非常に過重でございまして、そのために男の人のように一緒に寄り合ってものを考えたり、あるいは勉強したり話をしたりよそへ出かけたりというような機会も非常に少いということでありまして、婦人の地位の向上という点からいきましても、家庭労働の苦労をできるだけ解放していくというのは大事な問題だと考えております。  そこで厚生省の面の問題といたしましては、一つは環境衛生の問題でありまして、水道、簡易水道の普及をはかりますること、それから便所の改善等をはかりますることが家庭の生活環境をよくいたしますると同時に、婦人の手を非常に省くと考えております。予算もかかりますることでなかなか骨が折れますけれども、近年だんだんにスピードをあげてその面の改善をやっておる次第であります。今後さらにやって参りたいと思います。  もう一つの問題は、母子衛生といったような面の問題でありまして、一般の保育所でありますとか、あるいはまたその保育所の中でも季節保育所のようなものでありますとかいうものによって母親の手間をうんと省いて参ります。また母子健康センターを活用いたしましたり、あるいはまた愛育委員会のような組織によって保健所を中心にしながら母子衛生をできるだけ考えて参るといったようなこと、この母子福祉、母子衛生といったような問題が環境衛生の改善と並んで家庭の婦人の荷を楽にするという上で非常に大切な問題であると考えておる次第であります。まだまだ網の目が非常に荒うございまして不十分ではございましょうが、これは単に家庭の婦人の肉体的な負担を解放するというだけでなしに、大きくはやはりその解放された時間あるいは健康なりというものによって婦人の地位の向上ということに役立って参ると思いますので、この方面にできるだけの力を注いで網の目をこまかくしながら、そういう面での充実をはかって参る考えであります。特にこの面では、都会は割合にいろいろな便宜がございますけれども、地方農村の面で、環境衛生の面でも、母子福祉の面でも力の足らないところがありますので、その方面に重点を置きながらやって参りたいと考えております。

小林進日本社会党

○小林(進)委員 もう私に与えられた時間もこれで終りになりましたので、大臣に対する質問はこれで終りにいたしたいと思いまするが、今お答えをいただきました簡易水道の問題やら便所の改善の問題、それから母子衛生あるいは季節保育所の問題等は、これは委員長の手元にもあります請願書の中にも、この短かい特別国会にもかかわらず相当出ておりますし、それからまだ請願書にならざる陳情書の書類にしましても、われわれのようなところへも相当参っております。それだけでも国民が、あるいは関係者がどれだけ大臣の御答弁になっておる問題の実現を要望しておるかということは、そういう請願、陳情の書類によってもわれわれはずいぶん推察ができるのであります。私は今朝、今年度のそういう方面に対する厚生省の予算を見てこなかった。だからそれ以上大臣に御質問する材料はございませんけれども、やはり御答弁を得たからには、大臣も十分御関心をお持ちになっておられるということはここに例証せられた。そういう関心なり重点の打ち出し方が具体的に現われてくるものは予算であります。数字であります。私は願わくば今度の臨時国会に追加予算が組まれるならば、もちろんそこへ出していただきたいけれども、緊急を要する問題でないのでありますから、追加予算までも組めということはあるいは言い過ぎた過分な要求かもしれませんけれども、少くとも来年度の通常国会における予算においては、一つ責任を持って、今日の御答弁を裏切ってわれわれを悲観せしめるようなことのないように十分潤沢な予算を組んでこの実現に邁進をしていただきたいと思うのでございます。これを繰り返すゆえんのものは、もう予算編成期に入っておる。来年度は国民年金という大きな仕事がございまするので、そういうような国民年金やらあるいは大臣が言われる母子年金やら老廃年金を含むということになりますと、そちらの方で予算を食いますから、はからずもこちらの方に今まで組んで参りました予算にしわが寄せられて、こちらがだんだんと細まっていくのではないか。そういう面で懸念なきを得ませんものですから、あえて私は申し上げた次第であります。幸いにして世間伝うるところによれば、自民党もいろいろな派閥があると言われておりますが、その派閥の中で、大臣は今の大蔵大臣佐藤榮作氏の派閥の中に所属しておられるということでございますならば……(「よけいなことを言うな」と呼ぶ者あり)これはよけいなことかしりませんが、われわれは予算の増額を望むがゆえに、そういうこまかいところまでわれわれは神経を使っておるという一例を申し上げるのでございまして、幸いにしてそういうような関係にもありますから、親分佐藤榮作大蔵大臣を大いに啓蒙宣伝これ利用あそばされまして、このたび一気に厚生予算を膨大に組んで、婦人解放やその他のために御尽力賜わりますよう、ひとえにお願いいたしまして私の質問を終りたいと思います。

園田直自由民主党

○園田委員長 滝井義高君。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 本日で委員会は終るわけでございますが、この前非常な無理なお願いをして、厚生省の告示案について大臣並びに保険局長の御説明をいただいたわけでございますが、その後関係団体との折衝の結果、告示案がわれわれのこの委員会に御説明をいただいたものと違うものになったわけでございます。従って具体的には三十日に告示されたあの案についていろいろお伺いをしてみたいと思うわけでございます。実は今回の告示案に対する新聞論調を見てみますと、非常に橋本厚生大臣の評判が悪いようでございます。また療養担当者の団体、特に日本医師会が圧力団体であるという、こういう宣伝が行われておるようでございます。冷静な第三者の立場から客観的に現在の新聞論調その他を見ると、どうも告示案の真の内容の検討をすることなく論評を書いておるような感じがいたすのでございます。この際、今回の甲乙二表、単価十円のその告示案の持つ意義について、やはりわれわれは客観的な冷静な立場からこれを批判し、同時に日本の社会医療の進展に今回の告示された案が大体いかなる影響を及ぼすかということについても、冷静な立場から検討してみる必要があろうと思います。従ってそういう立場から大臣に御質問をいたしたいと思うわけでございます。  当初、厚生省原案甲乙二表によれば、総医療費のワクが八・五%増加する。こういう算定の基礎に立ってあの厚生省の甲乙二表という原案ができたわけでございます。ところが今回告示ざれた案は、その案を手直しして、そして甲表と、乙表は御丁寧に乙表の一と二という、こういう三表になったわけです。同時に歯科の部類においては、歯科を原案では多分甲乙三表があったと思いますが、それが甲表一本になるという、こういう原案に対する大きな変化が起ってきたわけでございます。この変化が一体八・五%の医療費の拡大というそのワクにいかなる影響を及ぼすかということです。これは全く違った要素によって、違った形が結果としては出てきておるのですが、予算にきまったいわゆる八・五%のワクの拡大というものにいかなる影響を及ぼすのか、それが変らないのかどうか、この点を一つ御説明願いたい。

橋本龍伍自由民主党厚生大臣

○橋本国務大臣 滝井委員の御質問にお答えをいたします。私、実はこの仕事を引き継ぎまして、もう原案が出ておるわけでありまして、それを基礎にして考えるわけであります。いろいろ意見は当委員会においても承わりましたし、あるやを私も存じておりますが、これを基礎にして考えて参らなければならぬわけであります。今回の問題をまとめますに当りまして一番大切な問題は、ただいまお話のございました、つまり厚生省原案に対して被保険者、保険者の負担というものを増加しない範囲内において医療担当者との間の話し合いがつけばそれに越したことはないのでありまして、それにつきまして話し合いをつけるということを主眼といたして参ったのでございます。それを一番主眼に考えて参りました。厚生省原案に対しまして、内容は若干の修正をしてまとめたわけでありますが、八・五%の総ワクというものには変らないと思います。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 その点、少しどうも私はわからないところがあるのです。それは御存じの通り、甲地区は全日本の総医療費の二割五分程度を占めております。乙地区は約七割五分程度占めております。そうしますと、甲表というものは原案のまま実施したんですが、乙表が乙の一と二になって、そして地域差が五%であったものが八%に変ってきた。従って当然甲地、乙地の個々の医療行為の頻度というものが違っておるわけであるから、従って当然、総ワクというものは違ってこなければならぬと思うのですが、どうもそこらあたりが、八・五%のワクの拡大が変らない、こういう御説明でございます。これは事務当局でよろしいと思いますが、診療報酬を八・五%引き上げた場合に、国庫負担等の措置として十八億五千万円上げることになった。その場合にそれぞれの保険経済、具体的には国民健康保険は国民健康保険、政府管掌の健康保険は政府管掌の健康保険、組合管掌は組合管掌と、それぞれ国の負担する割合がきまってきたわけです。それは診療費の引き上げに関連して当然そういうことになったわけですが、この個々の保険経済についても変らぬということになるのでしょうか。これはちょっと大臣では無理だと思うので、健康保険課長でもだれでもいいのですが……。

園田直自由民主党

○園田委員長 今すぐ保険課長が来ますから……。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 そこらあたりが全く違った形で点数その他が組まれておりますので、私は当然予算に影響があると見なければならぬと思うのですが、具体的には個々の保険経済について、あとで政府委員の方がおいでになってからお聞かせ願います。  そこで、そのように甲乙二表が政府原案と異なる形になりましたが、その甲乙二表を今後背負っていく保険経済の見通しというものは一体どういう姿になっておるかということです。大臣も御存じだと思いますが、昭和三十年においては四十億の赤字が出るといっておったのが四億の黒字に逆転をしました。三十一年には六十億の赤字が出るといっておったのが四十八億の黒字になりました。三十三年度の決算はもうすでに終っておるはずだと思いますが、保険経済、特に政府管掌の国民健康保険はどういうふうになっておるのか、同時に三十三年度の見通しについてお聞かせ願いたい。

橋本龍伍自由民主党厚生大臣

○橋本国務大臣 実は私就任以来、その点非常に大事なことで調べたいと思いながら最近の数字を調べておりませんので、見通しの問題につきましては政府委員が参りましてから答弁をいたさせます。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 大臣、これは一番大事なところですから、早く一つのみ込んでいただきたいと思うのです。今後われわれが単価を幾らにしていくか、ワクをどのくらい拡大をするかということは、保険経済の見通しの上に立って初めてそれが可能になると思うのです。どうも大臣がそれをやっていなくて上だけをきめたということは少し手落ちのところがあったと思うのです。やはり保険経済を見きわめて、その上に立って問題の処理というものはやらなければならぬと思うのです。前の大臣がやっておったからそのままやるということでは困ると思うのです。どうも少し専門的なところが出てくるので政府委員がきてもらわないと工合が悪いので、保険経済はあとで聞きます。  今回甲表と乙表の一、乙表の二、三つの表になったわけでございますが、問題は甲表に対する評価でございます。一体大臣はああいう三表、歯科も入れて四表にも点数表がなった現段階において、甲表というものは一体どの程度日本の医療機関で採用されるという見通しに立っておるのかということなんです。これを一つお聞かせ願いたいと思います。と申しますのは、日本の総医療費の六割程度だと記憶しておりましたが、とにかく五割をこえるものは今まで甲表を支持しておった。病院協会を中心とする大病院が受け持っておるわけなんです。日本の総医療費の半数以上というものを受け持っております。従って甲表というものを一体どの程度日本のそれらの病院なり診療所が採用するかによって、今後の日本の医療費の体系を決定する上に、今回厚生省が出した甲乙二表というものは非常に大きな意義を持つのです。いわば将来の日本の医療の診療報酬の形態を決定する上に非常に重要な役割を演ずることになるのですが、甲表採用の見通しは、一体どの程度につけておられるのか、これを一つ大臣からお聞かせ願いたいと思います。大臣がでなければ、医務局長さんうしろにおいででございますので、医務局長の所管にもなるので、あわせて医務局長さんの御意見も伺うことができればけっこうでございます。

橋本龍伍自由民主党厚生大臣

○橋本国務大臣 私はやはり甲表は大病院は相当採用するものと考えておるのでありますが、詳しい見通しの問題につきましては、医務局長から答弁いたします。

小沢龍厚生事務官(医務局長)

○小沢説明員 実はただいまのところ見通しが立ちにくい状態になっております。と申しますることは、甲表を採用した方が得か乙表を採用した方が得かということは、個々の数字によって異なると思います。実際の見通しは今後厚生省保険局と医師会とで共同して行いますところの甲表乙表の説明会が終ってみないと、正しい見通しがつきにくいのではないかと思います。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 どうも私はそういうことになると、非常に無責任なことだと思うのです。今から一々やってみなければ、甲表がいいのか乙表がいいのか、作った本人もわからぬ、まああなたが作ったわけではないのでしょうが、作った政府当局もわからぬのだ、こうなると、これを使う医療機関の方はなおわからない。やってみないことにはわからない。そうしますと、一体患者はどうなるかということです。甲表と、乙表の一と乙表の二と、三表あるんです。これはこの前も申しましたが、たとえば大阪あたりの甲乙両地区の一つの県内にあるところは、これは患者が大へんです。一体おれは盲腸になったが、こういう軽い盲腸のときはどの表の病院に行ったらいいだろうか、おれは重い盲腸になっているらしいのだが、重い盲腸のときは一体どっちへ行ったらいいだろうかといって、患者は非常に神経質にならざるを得ない。これはすでに代議士諸君が、滝井君、一体病気になったときに、甲表と乙表とどっちを選んだらいいのかということをみな聞くのです。ところが今度はさて甲表乙表を説明するということになると、みなチンプンカンプンわからない、幾ら説明しても。これは何という頭の悪い案なのだとみな言うのです。だから新聞社の諸君も、わかっていなくて社説なり解説を書いていると思う。わかっていない。ほんとうにわかっていない。それほどむずかしい。おそらく大臣も、私わからないのじゃないかと思うのです。表面はわかっておるかもしれないけれども、ほんとうのところはわからないのじゃないかと思うのです。まあわかっておるのは、保険局の医療課の技官と、館林さんと医務局長と保険局長、そこらじゃないかという感じもするのですよ、実際は。そういうように甲表の見通しが、今から説明をしなければわからぬということは、説明を聞いて、今度はうちに帰って、子供が算術の検算をするように一つ一つ検算をしてみなければわからぬというように不合理な案だということなんですよ。合理化案を作るといってまかり通ったものは、みんなが筆をとって、ペンをとってやってみなければわからぬものだという、こういう結果になっておるわけなんですね。これは一つ見通しを聞かしてもらわなければいかぬと思うのですが、大臣はある程度採用する、こういうことでございます。一応そういうことですが、専門家の方は見通しができぬ、こうおっしゃっておるので、見通しのできぬ方がほんとうかもしれません。  そこで次にお尋ねいたしたいのですが、今回乙表の一と乙表の二ができたわけでございますが、乙地区が採用する乙表の二というものは、厚生省原案の乙表と比べた場合にいずれがいいかということなんです。御承知の通り大臣、日本の医療の七割五分は乙地区の医者が見ておるということですが、その乙地区の医者の待遇の改善というものはやはり数が多いのですから、ある程度重点を置かれなければなりません。そうしますと今度出した乙表の二というものは、乙地区の医者が採用するものですが、そうすると大体乙表の二と厚生省原案の乙表とが、一体いずれがいいのかということ、いずれが得になるのか、これは大臣おわかりだと思うのですが、大臣、いずれとお考えになりますか。

橋本龍伍自由民主党厚生大臣

○橋本国務大臣 私は誤解を避けるために繰り返して、きめました趣旨だけ、これは滝井委員りよく御承知のことと思いますが、私答弁を先に申し上げたいと思います。今回の問題につきまして、二表作ったということ自身いろいろな御意見はあると思います。ただ私はこれをまとめるに当りまして、国民皆保険の途上において事柄が円満に推移をいたして参りますためには厚生省で出しました原案に対して総体的に被保険者、保険者の負担を増してはなりませんし、合理化の趣旨というものが全然なくなってはなりませんけれども、合理化ができて、被保険者、保険者の負担という点で総体八・五%のワクの中にとどまるということであれば、それで医療担当者が満足して仕事をやっていくということであればそれを選ぶべきであると考えまして、御意見の中で、最大公約数的にはそこまで寄ったのだからまとめた方がいいというのでまとめた次第でございます。案自身については、私いろいろな問題があると考えております。そこで点数表の合理化という点につきましては滝井委員御承知のように、厚生省の原案につきましては投薬料、注射料、これを高い薬を使えばもうけが多くなるという形を総体的に削って、診察料の方を百円にふやすという形になったわけであります。その後話し合いの結果投薬料、注射料の中で完全に物と技術を分離をいたしまして、薬代をわきに出して、技術料は一定ということにいたした次第でございます。その場合に一体個々のお医者さんとして原案の方をとった方が、つまり診察料は百円で投薬、注射料は総体的にそちらへ財源を持っていったために削ってはあるけれども、やはり高い薬を使えば使っただけもうけが多いという形の方が一体収入が多いのか、あるいは診察料は大体今までの分を八・五%上げただけで、注射、投薬の中で物と技術を完全に分離した最終案の方が収入が多いかということは、やはりそのお医者さんの平素の診察の仕方であるとか、あるいは来る患者の質というようなことによって異なるのでありまして、どっちの側が一般的に得になるかというふうなことは、私はどうも申し上げかねると考えております。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 個々の医療機関相互を比較すれば、そういうことになるわけです。それはもう甲表でも乙表の一でもみなばらばらです。注射をたくさんする医者と、手術をたくさんする医者は違います。注射をしない医者とする医者も違います。これはばらばらです。私は総体的なことを言っておる。個々の医療機関のことではない。一般的にいって、厚生省の原案の乙表と今回の乙表の二というのは乙種のものです。乙種が日本の医療の大体七割五分を持っているのですから、これを比較した場合に、総体的にどちらが得であったかということを言っておるだけですから、その点誤解がないように……。

橋本龍伍自由民主党厚生大臣

○橋本国務大臣 私は損得というよりも、どっちの方が総体的に収入が多くなったり少くなったりするかという意味だと思います。これは非常にこまかい具体的なことはわかりませんけれども、総体論としてはやはり総体八・五%のワクの中で、原案もそれから修正案も、総体の締めくくりの金額としては変りがないのだというふうに、考えておるのであります。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 いやそれは簡単な数学でいくとそうじゃないのじゃないでしょうか。これは小山さんがおいでですからあれしてもらいたいと思いますが、今も質問しておった通り、総体的にいきますと、原案は五%の格差だったわけです。今度は八・二%ですか、八%になっておるのですから、従って算術計算をやれば、一%ちょっと越える程度乙表の二の方が原案より悪くなるという感じがするのですが、そこらあたりはどうですか。総体的に見ると結局原案の方がよくて、乙表の二の方が悪くなるということにならないですか。

小山進次郎厚生事務官(保険局次長)

○小山説明員 どちらがいいかというふうにお尋ねになられると、非常にお答え申し上げるのがむずかしいのでございますけれども、当初の乙表の場合におきましては、乙地は単価に直しますと十二円五十九銭という程度のワクになっております。今回は御承知の通り十二円五十銭でございますから、その意味では当初の案の方が単価に直した場合九銭分だけワクとしては多かった、こういう結果になっております。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 九銭だけ違ったということで、きわめてしろうとにもわかりやすいのですが、そういうことがわかっておればよろしいのです。そこで小山さんがおいでなのでお尋ねしますが、保険経済の見通し、三十年は四億の黒字、三十一年は四十八億の黒字、三十二年度は一体幾らの黒字になったのかということです。

小山進次郎厚生事務官(保険局次長)

○小山説明員 私、外から回って参りましたので、数字を正確に申し上げることができないのでありますが、大体七十億程度の黒字になっております。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 医療費の改訂をやる場合には、明確な保険経済の見通しの上にそれが立てられなければならぬと思うのです。そうしますと、今年十月一日から八・五%の総体的なワクの拡大が行われるわけです。一体昭和二十二年度の保険経済に七十億の黒字が出たその原因というものは、この前、郡自治庁長官が堀木さんのかわりにちょっと来たときには、日本経済が非常によくなったのだということが一つと、いま一つは徴収率が非常によくなったということ、質のいい労働者諸君が中小企業にも入ってきたのだ、そういう三つくらいの原因をあげておったのですが、当時幾ら出るかはっきりしなかったのですが、七十億という黒字は相当な黒字です。この原因というものを——そのうち変っておればいいのですが、原因の分析をされておると思いますが、少し詳しく、いかなる原因によって七十億の黒字が出たか、いま一つは、昭和三十三年十月一日から単価を約一円程度引き上げる段階での保険経済の見通し、これをあわせて御説明願いたいと思います。

小山進次郎厚生事務官(保険局次長)

○小山説明員 昭和三十二年度で黒字が予想よりも出ました原因について、その後さらに精細な分析をしておるかというお尋ねでございますが、結論から申し上げますと、いろいろの要因として考えられるものは当りをつけておりますが、どれが決定的に働いてきておるかということについて、まだ見定めかねておるというような状況でございます。ここで特に内容を明らかにして申し上げるほどに参っておりません。いましばらく検討を進めたいと思っております。  それから三十三年度の見通しにつきましては、まだ年間を確定的に見通し得るだけの時期が推移していないのでありますが、大体当初の予算を組む際に見ておりました程度の推移をしておる、少くともそれより悪い情勢は政府管掌健康保険に関する限りは現われていない、こういうような程度でございまして、それ以上のところはもうしばらく推移を見た上にいたしたい、かような状況でございます。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 どうも不勉強というか準備がないというか、今年の二月当時は三十億か四十億の黒字の見通しだという御説明があったと記憶しておるのだが、その後七十一億くらいの黒字が出た、厚生省から出たのかどうか知りませんが、医療関係の雑誌や健康保険組合のニュース等には出ておりました。その当時からすでに黒字の原因が何であるか今検討中だということは保険局長も言われておったのですが、もうすでに三十三年度の中ごろとは言わぬけれども、三十四年度の予算を編成する八月も迫ろうとしておるときに、三十二年度の黒字の決定的な要因が明白でないということになると、三十三年度の保険経済の見通しと、一円引き上げた後の経済の見通しが一体どうなるのかということは、きわめてあやふやなことになってしまう。少くとも十月一日から単価を一円引き上げるならば、その引き上げるだけの経済的な基盤というものと、保険経済を見定めておかなければ、これは不安です。それをまだ決定的な要因もつかめないうちにおやりになるということ、これをやることは、われわれがやれやれと言っておるのだから、いいことなんでしょうが、どうも自信のないというか、悪い言葉で不勉強というか、これはちょっと納得がいかないのです。単に日本経済がよくなった、徴収率が上ったということくらいでそう黒字が出るとも考えられない。やはり何かそこに大きな要因、それはそれ自身が決定的な要因かもしれませんが、もう少しわれわれにわかるような御説明をしてもらわなければ困ると思うのです。橋本大臣が、甲乙の二表、特に乙表に一表加えて三表で実施をするについては、保険経済の確固たる見通しがなければ、これはなかなかよくやれぬと思うのです。それを大臣にもそこらあたりの決定的な要因の説明もできぬままにやるというのだったら、これはやはり事務官僚としては不親切だと思うのです。小山さん、もう少しあなたが長年の保険行政をやった上で考えた黒字の要因を、あなたなりに見たところがあれば一つざっくばらんに御説明願いたいと思うのです。そう、からに閉じこもらずに、やはりこの際保険経済を研究しておく必要があると思うのです。一つざっくばらんに言ってもらいたいと思うのです。

小山進次郎厚生事務官(保険局次長)

○小山説明員 まず最初の本年度の問題について申し上げますれば、これは申し上げるまでもなく十月一日から政府管掌健康保険においても医療給付費は当然八・五%増加するであろう、負担の増加のほかにその分だけは上積みとして増加するであろう、こういうような見込みで組んでありますので、その意味において今年度八・五%の引き上げをするために、政府管掌健康保険の財政収支が足りなくなるということはないように当初から仕組まれているのであります。なおこれに加えまして、すでに過般の通常国会でもいろいろ御検討願いまして明らかにされました通り、少くとも問題を今年度に限って考えますならば、大体四月から見まして千分の二程度の料率の引き下げは、保険経済の上から見て必ずしも不可能じゃない、こういう点が明らかになっておったのでありますが、これを金額に直して考えますと、大体年間二十億程度のものになるわけであります。従ってその点を考慮に置きますならば、少くとも八・五%の引き上げというものを十分に受け入れ得る条件は、政府管掌健康保険の財政については用意されている、こういうふうに申し上げられるわけであります。  それから次の、何が予想以上に財政収支を好転さしているかという問題については、これは何分御質問になっておられる滝井先生がその方面の権威であられるので、われわれあまりとことんまで突き詰めない結論を申し上げることの危険を感じておりますので、若干警戒の度が過ぎたのでありますが、どうもこの要因は単に経済的な面だけに求めることには若干の無理がある。やはり医療の趨勢の方に基本的な条件の変化ができてきているのじゃなかろうかというのが、実を申しますと関係者すべてが持っている一つの考え方であります。端的に申しますと、少くとも政府管掌健康保険に非常に強くおおいかぶさっておった結核の脅威というものが、確実に言えることは、ここ一、二年の今まで伸びておった度合いでは伸びていない。横ばいもしくは若干軽減の方向に向いつつある。このことが医療費の増加趨勢を全体としてかなりにぶいものにしている。これがどうもわれわれが予想しておった以上に政府管掌健康保険の収支というものを好転させている一つの原因ではあるまいか、こういったような予想を持っているわけでありますが、どうもこれを確認するだけのデータが集まらぬ。他方日本の結核の情勢は必ずしもそれほどよくなっていないといったような感じを持たせる条件もあるわけでありますので、そこいらの点を今いろいろ検討している、こういうような状況でございます。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 実にりっぱな意見を聞かしてもらいまして、私も昭和三十年以来赤字だ、赤字だと宣伝をしておった日本の保険経済、特に政府管掌の保険経済が黒字に転化したというのは、経済的な要因だけでなくて、経済外的な要因というものが非常に強く働いておるという感じを持つのです。それは今言った結核の問題もあると思う。というのは結核の治療形態というものが急激に手術とパス、マイシン等の抗生物質、こういう二つの面に截然と分けられる形ができてきたことは、明らかに保険経済に一つの好影響を与えておると思うのです。中途半端なザルブロをしたり、ブドー糖をしたりという、だらだらと長く引っぱる治療というものは切り捨てられる形が出てきたということが、明らかに保険経済に好転を与えたと思う。そのほかにもう一つ経済外的な要因というものは、ここ数年来の健康保険の改正が療養担当者なり患者に心理的な大きな影響を与えておるのではないかと思うのです。そのためにおそらく萎縮診療というようなものが無意識に——これは意識的ではないが、無意識的に、社会的な健康保険改正という雰囲気にあおられて起ってきておる。と同時に、一方経済外的な要因は、そういう雰囲気の中における厚生省の審査、監査というか、そういうようなものも心理的な影響を及ぼしておるのではないかと私は思うのです。従って、保険経済が黒字に転化をした要因は、経済的な要因、すなわち徴集を強化したとか、日本経済がよくなったとかいうようなこともあるかもしれないが、むしろそれよりか経済外的な要因の方が大きかったのではないかという感じがするのです。なおこれはわれわれも検討いたしますが、これは今後の日本の保険医療を推進する上に重要な要因になることだと思うのです。従って、まさか日本の全療養担当者が枯れ尾花に驚いて萎縮診療をしたとは申しませんが、そういう有形無形の要因について、やはりある程度決定的な二、三の要因について、十分検討をして、次の臨時国会までにはぜひ文書をもって黒字の要因についてお知らせを願いたい。これは特に大臣にもお願いしておきます。  次には、今回の甲乙二表が厚生省の原案とは異なったものによって実施をせられることになったわけでございますが、それは八・五%の保険経済のワクを破ることはないかどうかという点でございます。当初厚生省が計算をしたのは地域差五%ということで甲乙二表を計算したわけです。さいぜん端的に私はしろうとわかりがする数字で御説明を願ったように、一応そこに乙地は厚生省原案とは九銭だけの開きが出ておることは小山さんによって証言をせられた通りでございます。わずかに九銭ですけれども、月に七十億から八十億のお金を扱う保険経済では一銭を笑う者は何とかということわざのように、九銭を笑ってると大へんなことになることは明白です。月七十億、八十億の金が動く保険経済でございますから。従って、あなた方がわれわれに予算委員会やこの社会労働委員会を通じて御説明して下さったことは、今回の八・五%のワクの拡大をすることによって、各保険経済に対して国の負担する分は十八億五千万円の診療費引き上げによる負担増があるということで、個々の保険経済の予算を組まれました。もちろん政府管掌の健康保険は、全然その十八億五千万円は組んでおりません。ゼロにしておるわけです。そうしますと、数字で表わせばわずかに九銭でございますが、そのほかにしますともっと大きなものになる、一%程度のものになると思うのです。一体個々の保険経済については八・五%のワクは破らずに、予算を変更することなくいけるかどうかという点なのです。これを一つ質問したい。

小山進次郎厚生事務官(保険局次長)

○小山説明員 ただいまの点については、当初見込んだのと全く同様でございます。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 そうしますと、こういうことになるわけですね。乙地区で九銭だけ減らした分は、その分が甲地区の乙表の1と甲表とにいくのだ、従って総体は変らぬ、数字の上ではこういうことになるでしょうが、しかし甲地と乙地の医療行為の個々の頻度は違うというわけです。そうするとその数字は合わぬことになる。頻度が同じならいいです。九銭上に動かしても、下がそれだけ減ればいいのですが、九銭動かした上の頻度と下の頻度は違うのです。そうすると総額が違ってくる。これはもう三つ子でもわかる算術計算です。頻度が違ってくるのだから違ってこなければならぬ。総医療費は個々の医療費かける十円かける点数かける頻度で、個々の医療行為はきまっていくのです。だから九銭を甲地に上げたとしても、甲地の初診の頻度と乙地の頻度は違う。だから総体が違ってこなければならぬ。違わなければ八・五%はうそだということになります。

小山進次郎厚生事務官(保険局次長)

○小山説明員 どうも滝井先生のおっしゃっていることがまだ十分つかめていないのかもしれませんが、今回の告示案におきましては、当初予定しておりました案に比べて乙地においては平均して九銭だけ低くなっておるわけでございます。従ってもしも今回の告示案の乙表に乙地がよるといたしますならば、その分だけが全体で少くて済む、この量は全体で申しますと四分の三が乙地に当るわけでありますから、その分の差額が、甲地が当初予定しておったよりも若干高くなった分に振り向けられる、これは結局相互に相殺し得るような数字ではじいておりますから、この点は当初と全く同じになる計算になっておるわけでございます。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 どうもそこらあたり納得がいきませんが、問題がこまかくなりますので、いずれ機会を別にして個人的に聞かしてもらいます。  そこで今度、この前も申しましたが、甲乙二表を厚生省原案でいけば、実質的に単価は十円と十円五十銭になったことになるのではないか、五%の開きがあったので、十円と十円五十銭になるのではないか、これは高田さんがお認めになって、その通りだということになったわけです。ところが今度の甲表と乙表の一、乙表の二となりますと、今度は単価は実質的には十円と十円五十銭と十円八十銭になったのと同じになるわけですね。ただ十円八十銭を、初診で言えば五点と五・四点としておるだけであって、何も乙表を作らなくてもその地域差は八%でございます、こう言えば二本にすることができるわけですね。そうですね。

小山進次郎厚生事務官(保険局次長)

○小山説明員 これは一種の便宜の問題でございますから、便宜を考えてああいう形式にしたわけでございますが、流儀としては滝井先生がおっしゃるようなやり方も十分あり得るわけでございます。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 単価はとにかく十円と十円五十銭と十円八十銭になったということは確実なのですね。そうしますと、あなた方は単価はまるく十円べースにするんだというにしきのみ旗を掲げておったけれども、にしきのみ旗は三本になっちゃった。十円、十円五十銭、十円八十銭ですね。たとえば具体的に計算をする場合には甲表は百八十円、そうすると甲表を採用する乙地のものは百八十円です。ところが甲地の人は百八十九円の初診料をもらうことになるわけですね。だから結局医者の方にしてみればそういう計算を今度は——甲表は一表にはなっておるけれども、やはり二表と同じだ、こういうことになるわけです。

小山進次郎厚生事務官(保険局次長)

○小山説明員 私はその点を意識して申し上げたつもりでありますが、つまり単価十円という考え方だけが唯一絶対のものであって、ほかの考え方が論理的に成り立たないというふうなものでないということを申し上げたわけであります。従って滝井先生のように考えて整理する流儀もあり得る。しかし同時に私どもが今度やりましたように単価は十円で、すべて同じ点数にするという考え方をもとにして考えをまとめていくという考え方もあり得る。要は私どもはこれは便宜の問題であって、全体的に見てどちらの方が事を間違いなく運び得るかということがこの問題について肝心な点だ、こういうふうに考えて整理しておるわけであります。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 あなた方の頭の中には十円がこびりついておるからそういうのでしょうが、現場で医療を担当する患者と医師の側になってみると、そうはいかないのです。百八十円の初診のところは初診料を払えば、家族ならば九十円払ったらそれで終ります。ところが今度甲地になりますとそうはいかない。五%の初診料の半分をもらわなければならない。だからそこでは九十四円五十銭もらわなければならない。そうすると何ということはない、甲表の甲地は単価十円五十銭ということなんです。今までとちっとも変っておらない。十一円五十銭、十二円五十銭とちっとも変っていない。ただ十円と十円五十銭に十二円五十銭が変っただけなんです。だからこういうやり方はどうも日本の医療を合理化しますといったあなた方の案としてはきわめてどうも策がない案だといわなければならないのです。あなた方はこれから三カ月間でいろいろ啓蒙宣伝されると思いますが、一番大事な医療を受ける被保険者にはいかなる啓蒙宣伝をやるかということです。いかなる啓蒙宣伝をやって、このむずかしい案をわからせるかということです。われわれが保険経済をやるときには保険経済を握っておる払う方と診療担当者のその支払いを受ける側との問題を考えたが、同時に保険料を払い込む医療機関に、医療を受ける側のことをもっと考えてやらなければならない。それが現在の厚生行政では盲点です。落ちておる。療養担当者の保険者の問題については血道をあげて考えるけれども、患者の便宜については今度の案というものはゼロです。何も考えていない。一体大阪のような甲乙二つの地区のあるところでは、患者にいかなる指導をするかということです。軽い病気のときには一体どのところに行くかということを、どういうふうにわかりやすく患者大衆に指導するかということです。ある医者が私にこういうことを言った。僕は今度甲表を採用します。どうしてですか。それは小学校の生徒でも甲乙と書いた場合、どっちがいいかというと甲表がいいと言うことにきまっておるではないか。今天下に勤務評定が行われているが、あれは先生に甲乙をつける。だからおれのところの門には甲だと書く。大きく書くとわれもわれもと甲に来るだろう。心理はきわめて単純です。そうするとわしの隣りが乙と書けば、あれは乙だからやぶ医者じゃ、こういうように甲表を採用したお医者さんが言ったら処置ないです。乙表を見たら初診料は五十四円じゃないか、おれのところは腕がいいから初診料は百八十円だ。そういうことを言う。学校の先生の今はやりの勤務評定をごらんなさい。先生も五等級に分けて、いいのはAになり悪いのはDになるのですよ、と言う。実に簡単です。こういう形が日本の医療に持ち込まれようとしておる。私は今後保険局としては一体いかなる方法で患者に、甲表と乙表を選ぶ指導をしていくつもりなのかということを聞きたい。払う側と金を受ける側と、もう一つの側である第三者の患者の問題を考えなければならぬ。これを一体どういう工合に啓蒙宣伝しますか。

小山進次郎厚生事務官(保険局次長)

○小山説明員 滝井先生仰せの通り、新しい点数表を実施いたします場合には、単に医療機関に対してだけでなく、保険者はもちろんのこと、被保険者に対しても、十分に中身を理解させるということは大へん必要なことでございまして、私どももこの啓発宣伝は十分にいたすつもりでございます。ただ順序といたしましては、何といってもまず医療機関に正しく中身を理解してもらう、ついで支払者側にまわります保険者に理解してもらう、最後に被保険者、国民一般に対して啓発宣伝をする、こういう順序にいたしております。時期としては大体九月に入りましたならば被保険者教育とでも申しますか、そういうものをやりたい、かように考えておるわけであります。  なおその甲表と乙表についてどういう指導をするかというお話でございますが、この点については私どもは甲表の仕組みはこうなっている、乙表の仕組みはどうなっている。いずれをとるかというのはそれぞれの医療機関の事情なり、あるいは流儀によることだから、そのことによって甲乙のあろうはずはないということを十分周知徹底させるつもりでございます。現実に一般の国民がどういうふうに感ずるかという問題は別の問題でございますが、誤解のないように十分注意して参りたいという気持でいるわけであります。  なお先ほど、結局今度のやり方だと単価を四つにしたのと同じじゃないかというお話が繰り返してございましたが、むしろ考え方によれば、先ほど来申し上げているように、もともと点数と単価というものに、それぞれ確定的な意味を与えて考えるということは物事を非常にぎりぎりに押し詰めて考えを整理しようとする立場からは一応了解できることでありますけれども、現実の問題としては、単価にも点数にも、それ自体絶対的な意味がなくなっているというのが現実の姿でありまして、これをかけ合せた金額に意味があるというのが現実のつき詰めた姿でございます。従ってその意味におきまして、先ほどお話になったように乙表においては甲地と乙地が点数の違いとして掲げられておりまするのも、むしろ単価を中心にして問題を整理するか、あるいは点数を中心にして問題を整理するかという、しょせん整理の仕方の流儀の違いでありますので、これは滝井先生のような御意見も、りっぱに成り立つ御意見だと思いますけれども、それだからといって私どもが今回やりましたものがおかしいというふうには毛頭考えていないのでございます。この点はもう一回考えさせていただきます。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 いや私が聞いておるのは、具体的に患者にいかなる啓蒙宣伝をやるかということです。ただ説明するだけだと言ったって、説明だけではしろうとにはわからぬのです。九月から被保険者の教育をおやりになる——医者の側は人情として、できるだけ実入りのいい方がいいし、患者の側からいえばできるだけ安い方がいいですね。そうすると患者の側からいえば、一体どの表を選んだら最少の経費で最大の治療が得られるだろうかということを見るでしょう。しかし療養担当者の側はその逆をいくわけです。担当者はどちらでもお選びなさいと言う。これは専門家だから自由に選ぶでしょう。しかし少くともあなた方は出でては保険経済の監督者であり、帰っては保険者です。従って政府が保険者の立場になる限りにおいては、政府管掌の七百万の被保険者諸君に対しては親心をもって、この程度の軽い病気ならば乙表がいいですぞ、この程度のものならば甲表がいいですぞという親切な、少くとも啓蒙宣伝の教育をしてあげなければいかぬと思う。それが親切というものでしょう。それは保険者の歩む道です。政府の立場は別ですよ。あなた方は出でては監督者であり、帰っては保険者、二重人格です。また同時に家に帰れば共済組合の被保険者でもあるわけです。だからその点の啓蒙宣伝をいかなる方法でどういうことをやるかということは今後きわめて重要なことです。一本ならばそういう必要はない。どこへ行こうと同じですから……。技術料というものは一応同じ。医者の上手、下手はありますよ。しかし今度は上手、下手ということの前に、とにかく甲表を選ぶか乙表を選ぶかという問題に直面する。そして甲張を選ぼうということをきめたら、甲表を選んだ医者の中で、どれが自分の病気をみてくれるのに適した医者であるかということを見る。この二段構えになる。だからここらあたりの教育というものをやはり考えなければいけないと思う。ただ説明をしただけではしろうとにはわかりませんよ。きょうもわが党の二、三のえらい人が、滝井君、あれはさっぱりわからぬ、説明してくれんか。説明をしたがわからない。だからごらんなさい、この大事な問題は国会討論会の議題にも上らない。赤城官房長官なんか、さっぱりわからぬ、あれはやったってわからぬからやめておけ、こういうことらしい。二千四百億という防衛費の二倍の金をつぎ込む社会医療問題が国会討論会に上ってこない。勤務評定は上ってくる。わずかに二千二百円を一カ月に校長先生にあげる勤務評定の問題は、ラジオの国会討論会の議題になる。ところが国民の生命にかかわる医療費の問題はラジオの国会討論会の議題に上らない。なぜか、むずかしいから、わからないから……。こういう案を作ったことについては、橋本厚生大臣も厚生省もやはり反省しなければならぬと思う。もう少しこういう生命にかかわる問題は、患者さんにわかるようにしなければならぬ。療養担当者も、今度はよくわからぬ。私はこれが実施された十月分の請求書の資料を一ぺん見たいと思うのですが、おそらく間違いだらけだろうと思う。そういう混乱を平気でやらしている。  私はもうこれ以上追及しませんが、患者に対する啓蒙宣伝というものは一つ社会保険出張所の全力をあげてやってもらわなければならぬ。そして同時にお尋ねしておきたいのは、甲表なり乙表を採用した医者は、甲乙の表示はどういう工合にさせるつもりか。これは患者に心理的な影響を与える。簡単でいいですから……。

小山進次郎厚生事務官(保険局次長)

○小山説明員 表示の問題については、目下関係団体と相談をしております。これは何らかの方法によって、患者から見ましてわかるように表示をすることが必要だと考えております。それから先ほどお話になりました患者教育の点でございますが、実は根本的な考え方といたしまして、私どもは当局としてももちろんでありますが、保険者としても、事、医療費の問題については、どこの医療機関に行ったら安くすむとか、高くかかるというような考慮で動くことは適当でないという基本的な考え方を持って患者には臨んでいるのでございます。もともと社会保険の医療費は、申し上げるまでもなく一種の統制価格でございまして、統制価格はこういったものの性質上、決してこれが高くきめられるということのあろうはずのものではないのでございます。その点についてはやはり患者としては、あまり高い安いということに頭を使わないで、それよりも安心して治療をまかせる、医者がどういう医者であるということを中心にしてお医者さんを選びなさい。これは患者に対しては常にそういうふうな考え方を持って臨むように教育をいたしております。こういう気持でいるわけであります。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 まあ、患者教育は一つできるだけ慎重に、患者の得になるようにやっておいていただければけっこうだと思います。しっかりやって下さい。  次には、これは大臣にお尋ねしたいのですが、今度歯科を入れて四本立の点数表ができたわけでございますが、この点数表は一体どのくらいの期間用いていく所存でございますか。

橋本龍伍自由民主党厚生大臣

○橋本国務大臣 今日告示をいたしました案につきましては、私は当面の問題といたしましてはどれだけの期間用いるといったふうな期間の限定を考えておりません。ただ昨年以来の審議の過程から申しましても、これはもともと厚生省で甲乙二表を出しましたのも、本来甲表で将来統一をはかって参りたい。現状に対して非常に大きな変革でありまするだけに、一種の経過措置のできる乙表を置くというような考え方で参った点から考えてみましても、本来的にこの立て方自身にいろいろな、なお検討すべき問題のあるのは了承いたしておるわけでございます。これからはやはり中央社会保険医療協議会の委員の方々の御意見あるいはまた関係団体の御意見等を十分承わりまして、この上とも医療費の支払い方式ないしその中におきまする各種診療行為の点数で表示されましたウエートのつり合いといったようなものについては、なお検討いたして参りたいと考えております。そうした検討の結果、いつの日かまたこうした方がいいということになれば、皆さん方と十分御相談の上であるいは改訂する時期が将来あるかと思いますけれども、今日告示をいたしましたものにつきまして、期限が幾らというふうなことは考えておらないのでございまして、当面これをずっと使用して参るつもりでございます。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 そうしますと、こういう不合理な点数表を少くとも半永久的に——半永久的にというのは、二十六年の十二月に橋本さんが厚生大臣のときに暫定的だといって、そうして今日まで十二円五十銭、十一円五十銭の単価で来たわけですね。今度はこれは暫定的とは言っていないのですね。そうしますと、足かけ八年という歳月、これは十年一昔といいますから、やはり半永久的ですね、こういう形をとるものなんですか。ここ一年くらいで変えるものでなくして、それは局部的に一、二の点数は物価の変動で扱うことはあると思いますが、これを一本に統一をして、歯科一本と医科一本というような工合にするのじゃなくて、こういう四本立で、四本柱でずうっと、少くともここ四、五年はいくという所存なんですか、そこらあたりだけはっきりしていただけばいいのです。

橋本龍伍自由民主党厚生大臣

○橋本国務大臣 これは何年ということは申し上げかねるのでありますが、ただ基本の考えといたしましては、もともとが原案を作りましたのも、乙表はは経過措置というような考え方から、甲表一本は当面無理だという点で考えました経緯から考えましても、これは将来はやはり一つの診療行為について一つの診療費があるという形に、一本に統一をする努力をいたして参るつもりでございます。その間におきましてはいろいろな検討すべき問題があると思いますけれども、これは十分に、今度こそあまりいざこざいたしませんように、ほんとうに検討の方式につきましても、なお検討の内容につきましても各方面で落ちついて納得のいくようにいたして参りたいと考えておるのであります。これは支払いの方式をより一そう簡便にし、この表を一本に統一するということは考えておりまするけれども、これはいついつという時間を、今見通しを申し上げかねます。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 冒頭に申し上げましたように、橋本さんが二年も四年も厚生大臣のポストにおられるというのならばいいと思うのです。ところが過去の例で、私が大臣に冒頭に申し上げたように、せいぜい一年か一年半なんですね。そうしますと、やはりあなたが前の大臣の事務を引き継ぎになって、そしてあなたの時代に複雑化したわけです。複雑化した種というのは、やはりあなたの時代に刈り取ってもらわぬと困るのです。そうすると、おのずからそこにめどが出てくるのですよ。あなたが一本化の目標を定められたならば、一本化の目標を達成する時期というのはやはりあなたの大臣の時代です。おれの目の黒い間はこれこれの措置をさせないぞ、こうこの前おっしゃった。たとえば公的医療機関が甲表を選ばぬと融資その他に制限を受けるかもしれないという発言があったといったら、自分の目の黒いうちは絶対そんなことはさせないということは、あなたの厚生大臣の就任の間、こういう期限ということなんでしょうか、それから先はどうなるかわからぬということになると思う。従ってそこらあたり考えてみると、まいた種は刈っていってもらわなければならぬ。四本立のこの点数表を一本化することが合理化であり、一本化は日本の医療の前進になるとするならば、何ぞ来年を待たんや。これを一つ明白に承わっておきたいと思うのですが、あなたが大臣をやめた後までも四本立をやられてはかなわぬ。前に申しました通り、社会党は合理化賛成です。しかしそれは金額表示一本でやってくれというのが社会党の主張です。十円にするなら初診料で百八十円でよろしいのです。これくらい大衆にわかりやすいものはない。十八点だなどという必要はない。百八十円としてくれたらいい。かけ算する年間も省ける。あとは足し算すればいいのです。まるが一つつく、つかぬの差だけなんです。何も単価十円にしますと言ってかけ算をさせる必要はない。百八十円にしてくれたらいい。初診を五十四円にしてくれたらいいのです。そうすればおもな、初診や往診や注射や手術料を医療機関の玄関に張っておけば、患者さんが来て、この病院は高いと思えば次の病院に行ってしまうのです。ところが奥の方の文庫の中に甲表と乙表を入れて、月末になってから向うはち巻で医者がくって、さて初診は幾らだったか、尿の検査は今度はどうなっているかとやって、患者はさっぱりわからぬ。窓口に金は払ったけれども、大体尿の検査は幾らだったかさっぱりわからぬ。先生は何か二・三点とか二・四点とか言っておったが、あれは一体どうなんだか患者はさっぱりわからぬのです。ところがちゃんと書いておいてくれればすぐわかる。何もかけ算をさせる必要はないのです。そういう点で、こういう四本立のものを、歯科に行けば歯科流があり、医者に行けば医者流がある、しかも甲地に行けば用地流があり、乙地に行けば乙地流があるということでは困るのです。いけ花か何かならそれでもいいのです。しかし人間の生命を扱うの、今度のこの複雑なものは、それではいけないということは世論が一致してますよ。だとすれば大臣の任期中にやはり片づけるという言明ぐらいはしてもいいのではないかと思うのですが、大臣の少くとも在任中にこの四本立、四本柱を一本柱に一つやっていくんだという言明はできませんか。

橋本龍伍自由民主党厚生大臣

○橋本国務大臣 今短かい、長いということ、私はいつまでぐらい在任するつもりだと予想いたしますのも慎しまなければならぬことであると考えておる次第でございます。ただ私はそういうことでなしに、これはお話がありましたから申し上げておきますが、甲表、乙表を採用することによって何か厚生省の当局がいろんなふうに手心を加えたり意地悪をしたりしないかという御質問がこの間ありました。これはただ私の在任中だけだということでなしに、中表、乙表を作って、そうして医者の任意の選択にまかすということは、何も私だけのことでなしに、私のかわりましたあとでも、この制度のある限りにおいて、そういうふうな表看板と違ったようなことはいたしません。また甲表、乙表というものを将来一本の方向へ持っていくということも、私だけが言う問題でなしに、もともと前厚相時代にこの甲表、乙表ができましたときも、とにかく今一ぺんにはむずかしいけれども一応これでやつて、そうして将来はやはり甲表を中心にして統一をはかっていくという考えでできたのでありまして、私もそれを引き継ぎまするし、私がかわりましたあとにおいても同じことでございます。私、自分の在任中に片づけるとか片づけぬとかいうことでなしに、やはり今日出ました医療の点数表というものについて、良心的にさらに検討を重ねて参るということは、今日ただいまも申し上げられまするし、在任中もその努力をいたしまして、私はいつまで在任するかわかりませんけれども、次の方にも引き継いで必ずその努力をしてもらうのであります。これは個人の意見というよりも政府の方針として、当然診療報酬の支払い方式の単一化ということはばかっていくべきものだと考えております。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 悪いということがわかっておって、なおそれを自分の時代にやるんだということの言えないくらい情ないことはないと思うんですね。それはもうみんなが認めておるんだ。しかし自分のときも努力をしてみたいけれども、次にということでなくて、やはり責任政治ですから、大臣のときにまいた種なんです、これは前から受け継いだにしても、四本立は大臣がまいた種、これは何と言おうとも、大臣のときに告示したんですから、大臣が責任者です。そうすると、やはりそれが悪いということをみんなが言っておるんですから、これは一本化することに努力をするというなら、自分の時代にぜひそれは一本化したい、しかしできなければ次の時代にするんだ、このくらいの答弁はできていいはずなんですね。

橋本龍伍自由民主党厚生大臣

○橋本国務大臣 それはちょっと誤解があるので、私は悪いと考えておるのじゃないのです。要するに今日、診療報酬を昨年以来いろいろ検討をいたしまして、そうして八・五%の引き上げをし、その間合理化をはかるということでいろいろ苦心した結果がこう出ておるわけであります。今日の実情におきましては、要するに甲表一本でやるのは無理だ、やはり経過的に一つの措置が必要だということで、現状においては今日告示をいたしたものがよろしいと思って実行いたしたわけで、悪いと思ってやっているわけじゃございません。ただ今日は物事のかわる途中において、これがいいと思ってやっているわけでありますが、しかしなおなお検討をいたしまして、これは将来皆さん方にもいろいろ御意見もございましょうし、各方面の意向を参酌をいたしまして、そうして医療行為の内容なんかにつきましても医学の進歩につれて変っても参りますし、薬も変って参りまするし、そういうものを総体に参酌いたしまして、将来やはりこの経過措置の時代というものを経過しながら、機会あるごとに統一をするということの方向に努力をしていかなければならぬと考えておる次第でございます。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 どうもぴんとこないのですが、そうすると、結局四本柱が今の段階ではいいのだという結論になるのですね。ということは、それは悪いけれども、妥協して仕方がなかったということじゃないのですか。これは最上のものではないはずだ、ベストのものではないはずだ、大臣にとってはベターくらいだったはずです。それが大臣が今の四本立がいいということになれば、これは僕らと大臣とはそこが根本的に違う。  それから大臣は甲表を中心にして統一をするのだとおっしゃるが、これはまた議論がある点です。一体甲表の基礎は何なのかということです。これは私臨時国会まで大臣に宿題にしておきますが、大臣は甲表で統一するということを言っておるのですが、甲表の理論的な基礎である医療費体系というものの結論はどこにも出ておりませんのに、厚生省が甲表というものを勝手に作ったのです。医療費体系に基く新点数表というものを厚生省が勝手に作った。その基いた医療費体系というものを厚生省は出していない。この問題は、今大臣が甲表を中心に統一すると言ったが、その甲表のもとになった諸問題については、これはまだこの案が具体的に実施されておりませんから、九月の臨時国会かあるいはその前の八月の委員会のときにでも伺いますが、具体的にその甲表を中心に統一するという理論的な基礎が正しいかどうか、きょうはそういう警告だけさせてもらいます。  それで大臣はどうですか、今の四本立がいいとおっしゃるのですが、これはベストですか。

橋本龍伍自由民主党厚生大臣

○橋本国務大臣 私繰り返して申しますが、昨年以来前厚相が非常に苦心されました結果、甲表、乙表というようなものに——その考え方はやはり甲表を中心でいきたいけれども、経過措置としてやはり乙表、そして両方とも地域差がございまして、結局甲表の甲地と乙地、乙表の甲地と乙地というので、四本の診療報酬の建前できたわけであります。これはいろんな御意見はございますと思います。それは最初にさかのぼってあくまで議論をすれば、いろいろなやりようはあり得るかもしれませんけれども、私はやはり甲表という、画期的な変化というものを考えましたときに、現実の医療担当者の利害関係から見て、一ぺんにそこにいくのはむずかしいから、これは一つ妥協した考えでの所産ではございましょうけれども、現状により近い乙表を考えるということが一つの考え方でございまして、今日としてはそれで話を最大公約数にまとめてはいったわけであります。ですから今日の時期において八・五%の引き上げと合理化というものを実施をいたしますには、これがいい案だと考えておる次第でございます。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 そうしますと、くどくど申し上げませんが、結論的に申し上げますならば、今回の歯科も含めた四本立の案は、これは少くとも当分の間はずっと実施していくのだ、それで一年やらそこらでこれは変えるものではない、こう理解して差しつかえありませんね。

橋本龍伍自由民主党厚生大臣

○橋本国務大臣 おおむねそういうふうに御理解を願いたいと思います。ただほんとうに良心的に、将来の支払い方式のあり方とかあるいはそのバランスというものは、検討いたして参りたいと思います。

堤ツルヨ日本社会党

○堤(ツ)委員 関連して。厚生大臣から医療問題についていろいろ御答弁があったわけでございますが、私たちから言わせれば、もう厚生省につける薬はないといった感じですね。そして何か病膏肓に入っていらっしゃる。ですからこういうことをやってもらっては、もうほんとうに大衆が迷惑するのでして、今滝井さんからいろいろ御質問があり、臨時国会までの課題として御要求がありましたけれども、私は厚生大臣にここで一つお尋ねしておきたいのは、大体厚生省の中で保険局がこの医療単価の問題、医療の問題に関係していらっしゃること自体に少し無理がありはしないか、私はむしろ医務局の中で医療担当を中心とした人の考えを中心におやりになるのが間違いのない医療報酬のやり方じゃないかと思うのです。こうなると、保険局の方はきげんが悪いだろうと思いますけれども、保険局の今やっておる医療保障の問題を、保険局でなしに医務局に移してやってみようという考えを持たれたことはないかどうか。厚生大臣は二期生でございますから相当深いはずでございまして、私たちしろうとが考えましても、保険局がやっておること自体に今日矛盾が起ってきておるという考えがするのですが、なぜこれを厚生省の医務局の中でやらないかという考えを持つのですが、これに対してお考えになったことがあるかどうか、一つ厚生大臣にお伺いいたしたい。

橋本龍伍自由民主党厚生大臣

○橋本国務大臣 御意見はいろいろございますが、私はただいまのところ現在の機構でやって参るのがよろしいと考えておるのでございまして、御意見の筋につきましては、なお私としても十分考えて参りたいと思います。ただいまのところいろんな御意見はあると思いますけれども、保険局も一生懸命勉強いたしまするし、省内で保険局の中にも医官がおりまするし、医務局等もこれに参加をして検討いたしておるのでございまして、これはただいまのところでも保険局だけの意見ということでなしに、厚生省としての意見としてまとめて参っておるわけであります。重ねて申し上げますれば、ただいまのところ私はこれで参りたいと考えておるのでありますが、なお御意見の筋につきましては十分私としても研究はいたします。

堤ツルヨ日本社会党

○堤(ツ)委員 私の今の意見を厚生大臣ある程度おわかりになったようでございますけれども、私はこの大切な問題は、やはり医務局の方々が参考意見をよそから具申される程度では、今日のこの間違った、この複雑なやり方というものは是正されないと思うのです。ですから、これは画期的なことになるかもしれませんけれども、厚生大臣は医務局に移してやった方が正しいのではないかという角度から一つぜひ御研究を願いたい。そしてこれも臨時国会開会と同時にもう一度正式問答をさせてもらいたいと思いますから、よく研究していただきたい

滝井義高日本社会党

○滝井委員 点数表の問題は一応そのくらいにして、次には単価十円の問題でございますが、今までは点数と単価というものがありまして、点数はいわば各医療行為の学問的な評価というか、価値がそこに現われてきておったわけです。そして単価には一般の経済的な評価が現われてきておった。ところが今度単価十円と、いわゆる算術計算の基礎になったので、十円の中には経済的な要素というものはほとんどないといってもいいくらいに薄くなってしまったのですね。そうしますと、物価が上り、国民所得が上る、こういうことになりますと——物価が上るときに必ずしも国民所得が上るとは限りませんが、物価が上ったり国民所得が変動するにつれて、その二つの要素を点数で調整しなければならぬことになったのです。そうすると技術料というものはどういうように見積られたかというと、サムスがやってきた時代、適正な技術料というものはまず第一にその技術料の評価によって国民の医療というものが絶えず進展するものでなくちゃならぬという、こういう一つのことが考えられた。同時にそれは国民の負担力というものが考えられなければならぬ。それから三番目には三師、つまり医師、歯科医師、薬剤師の専門技術者としての生活ができるだけの技術料でなければならぬ。四番目には、国民所得の上昇につれて原則的には技術料も上るものでなくちゃならぬ、こういういわば四つの原則が適正技術料の評価の基礎になったわけです。これは医薬制度調査会の答申の中にもそういうことが出てきておるわけです。そうしますと、適正な技術料はそういう抽象的な四つの原則の中から出てくるのですが、点数になってしまった場合に、一体どういう工合に物価の変動と適正な技術料の評価とを加味していくかということ、これは一つの原則がやはり立てられておらないと大へんなことになるわけです。今度四本柱をお立てになって、十円というものに経済的な要素をほとんどなくしてしまったわけなんですから、大臣はその点数でやることになるのですが、その場合どういう工合に一体評価を変動させていくかということです。そしてその評価していく基本的な原則というものは、どういう増合にどういう評価を下していくということになるのでしょうか。経済的な面とそういう適正な技術料の面と、二面から変えていかなければならぬが、その経済的な変動はどういう場合にやる、それから適正な技術料の評価というものはどういう場合にこの程度のファクターを点数に加えて修正していくのだ、これをはっきりしておかないと、今度の案というものはわかりにくいのですね。安心ができないのです。国民も安心ができないし、療養担当者も安心ができないし、保険者も安心ができないのです。これを一つ当分の間実施されていくとすれば、きょうはこれを明白にしておかなければならないのですがね。

橋本龍伍自由民主党厚生大臣

○橋本国務大臣 ただいまの問題は私が就任いたしましてから、関係の大臣と懇談をいたします際に、私は参加はいたしませんでしたけれども、報告を受けておりました会談の内容の大事な部分であったようでございます。これは十円単価というものは便宜でこれを採用いたして参ったわけで、考え方としては、要するに物と技術というものを分離をいたして参れば、今までのときと違って、将来一般国民所得のレベルが上ったら医者の所得も上げるという場合には、技術料を上げていくという建前で点数をいじればいいじゃないかというふうなのが、十円単価にいたしましたときの根本的な考え方であろうかと思うのであります。しかしいろいろお話を伺って参りますと、たとえばただいま御指摘のございましたように、一般的の物価水準が上るといったようなときに無理に点数だけで上げる。そうすると、やたらにずっと少数点がつくというような上げ方をするくらいなら、むしろ単価自身を、十円というのをいじくるのが本筋ではないかというような御議論がございました。それについてはもうお互いに話の了解がつきまして、これは今後とも点数表については物と技術を分離をいたしまして、積極的な医師の待遇改善という点については、なるべく技術料を点数で上げていくということに心がけはするけれども、しかし一般物価水準の上昇というような形で、総体的に上げなければならぬというようなことで全部点数をいじくるというのは、これは無理であります。やはりそういう場合には、点数、単価の両方で医療費をきめるという方式をとっている限り、単価をいじるということもあり得ると考えておるのであります。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 厚生省の事務当局は今のことをよくお聞きになったと思います。そうしますと私はわからなくなるのです。今度何でこれだけ一年以上にもわたって大げんかをして、日本の医療を停滞をせしめて単価だけを上げなかったかということなんです。今後は甲表でいくんだ、そして単価は十円にいたしました、こう言っておった。今の大臣の答弁だと、結局十円が十二円五十銭になる場合もあるし、九円になる場合もある、こういうことなんです。そうすると単価というものは経済的な要素で絶えず、変動をするものだ、こう確認して差しつかえないですね。

橋本龍伍自由民主党厚生大臣

○橋本国務大臣 これは滝井委員のおっしゃったのと、それからいろいろ関係大臣の話し合いの結果を事務当局から報告を受けたのと違うのでありまして、要するに、ものの考え方としては、これは物と技術が一緒になっている形においては、ただいま滝井委員のおっしゃるようなことですが、物と技術を分離をして、物の値段というものがずっと上ってきたときにでも、物の値段を排除して、要するに点数表には技術料というものを重点にずっと考えていく上には、将来何年かたつ間に、一般所得水準が上るときに、医者の待遇だけはそのままということはないのであって、これは当然医者の待遇改善を考えていかなければならぬ。そういう場合には十円単価というものを動かさない。要するに点数で表示せられた技術料を点数で上げて、待遇改善をはかっていくというのを主体にいたしておりますが、ただほんとうに一般的物価水準の上昇というふうな問題が起って参りました際に、これは無理に点数表総体を全部に同じ率を割りかけるというふうなことはつまりませんので、そういう場合には、これは単価をいじることもあり得るということで、従来に比べてはその機会が非常に少いことと考えておるのであります。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 物価が非常に上昇したというような場合には、十円単価は動かす場合があり得るということでございますか。場合は三つあるのです。一つは単価だけを動かす場合、二つは単価と点数を同時に動かす場合、それから点数だけを動かす場合があります。一体それぞれの場合の原則は、そうなると、いかなる場合に今言ったように点数を動かし、いかなる場合に単価を動かすか。単価を動かす場合はわかりました。物価が非常に上昇をして、そうして他のすべての点数の小数点まで動かさなければならぬようなときには、十円を十一円五十銭とか十二円とかにすることは、これはわかりました。そうすると点数も単価も動かさなければならぬという場合もあるわけです。それから本来は、原則的なところは、この案の精神から言うと、点数ばかり動かす場合が一番多かろうと思うのです、今までの厚生省当局の主張したところから言うと。そうすると、単価を動かす場合はわかりましたが、点数だけ動かす場合はどうですか。

小山進次郎厚生事務官(保険局次長)

○小山説明員 先ほど大臣がお話になっておられました通り、十円単価にまとめましたのは、一応戦後の経済も安定してきた、従って終戦直後に見られたような非常に激しい物価の変動というものは一応おさまってきている、そういう状態のもとにおいて、この際、ちょうど今まで経済についてのいろいろな指標を昭和九年をもとにしてやっておりましたのを、戦後のしかるべきときを一〇〇にして整理したのと同じ意味合いで十円にしたわけであります。従って大臣が繰り返して申されましたように、もしも一般的な物価水準の変動というようなことがあれば、これは筋合いから言って。当然十円単価というものを操作をするということが、事の便宜から言って適当だ、こういう考え方でございまして、この点はよくわかっていただいたようでありますが、事務当局ももとより初めからそういう考え方で立案をしておるのでございます。  それから第二の、点数だけを動かします場合は二つございまして、一般的な点数の動かし方をするという場合が一つございます。これは国民の生活水準がぐんぐん上昇して参るというような場合におきましては、物に属する点数を除きまして、技術に属する点数はほぼ同じ率をもって一斉に引き上げをするということをやって参ることが当然必要になってくる、かように考えております。おそらくそういうことをいたします必要は今後比較的多いであろうという想定を関係者のみんながいたしておるわけであります。それからもう一つ、点数を動かします場合に、医療方法が変って参りましたとか、あるいは当初この程度の比率でいいと思っておりました医療行為相互の比率が、その後の検討の結果、どうも適当でないということになりました結果、個々の医療行為の点数を変えて参るという必要の出てくることがあるわけでございます。このことの必要も、先ほど来繰り返して申しておりますように、この種のものは絶えず改善されていかなければならぬものでございますので、きわめてひんぱんに行われて参る必要があると思いまするし、また行われるであろう、こういうような考え方で、目下のところ関係者としては考え方の基礎はほぼ一致している、ただどういう具体的なやり方でやるかということについて、今後一つ相談を進めていこうじゃないか、こういうことになっているわけでございます。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 今単価と点数はわかったが、両方動かす場合、点数も単価も動かす場合があり得るわけです。たとえば今度のようなときですね。いま日本の経済は安定しておる。そして戦後のようなインフレもない。戦後ではなくなったと経済白書はうたってくれた。そのときに単価も点数も動かした。そうすると、今のような経済情勢のときは、将来点数も単価も動かすのですか。

小山進次郎厚生事務官(保険局次長)

○小山説明員 点数と単価双方を同時に全般的に動かすということの必要については、実は関係者の間で論議しておりましたときには、あまり話題には出ていないことでございまして、今のところ私どもは、同時に両方を動かすということはあまりないだろう、こういう考え方をしているわけであります。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 物価が変動してくる、それから国民生活の水準がある程度上るというような場合も私はあり得るのじゃないかと思うんですが、それをあなたの方がそういう場合はないと言うならば、結局単価を動かす場合と点数を動かす場合の二つ。一応了承いたしておきます。  そこで問題は、抽象的にはいろいろ言えるのですが、物価水準の変動というようなものは一体どういうところを基準にとるか。たとえば人事院があなた方の給料を引き上げる場合に、民間給与との比較をやりますね。あるいは物価の変動を見ます。あるいは五%か一〇%かのワクで見ていきます。そういうことが一つ。それから生活水準の上昇ですね。一体物価水準の変動、それから生活水準の上昇あるいは低下、こういうようなものは具体的に、どういうところに一つの指標を置くかということなんですね。さいぜん具体的な方法は関係者で話していないということでございますが、これはやはり私はきめてもらわなければならぬと思うんです。今具体的な何もないのですか。何かあなた方はこういう点を参考にしたらよろしいということをお考えになっているはずだと思う。さいぜん小山さんも言われたように、われわれが日本の統計をとる場合には、昭和九年から十一年をとっておりました。ところが最近は米価のパリティ指数を見ると、昭和二十五年とか六年をとっている。ところが二十五年、六年は問題だということで、米価では生産費所得補償方式をとれというような新しい議論が出てきているのです。従って物価のとり方をどういうところにとるか、そうしてそのとった基準によって、どの程度の上下の移動があったならば医療費の単価を扱い、あるいは点数を変更することになるかという一応の目やすというものを、こういう方式をとるからにはあなた方も御検討になっておると思うのですが、それを一つ厚生省の試案というか、そういうところを一つ御説明願いたい。

小山進次郎厚生事務官(保険局次長)

○小山説明員 ただいま滝井先生が仰せになったことは非常に大切なことでございまして、実はこれを固めることによりまして初めて医療報酬の問題が関係者の間できわめてスムーズに運び得ることになるわけでございます。そういうものを私どもとして何とかして関係者の間で相談の上まとめていきたい、そういうふうにしてできました原理原則はみんなで認め合って、それを守っていくという方法で将来医療報酬の問題を軌道に乗せていきたい、こういう念願は非常に強く持っているわけでございまして、この基本的な考え方については、関係者は皆一致しているわけでございますが、中身の点についてどうかということについては、まだ申し上げるころまで固まっておりません。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 語るに落ちたということになったのです。というのは、昭和二十七年三月当時の医師の所得は、厚生省が調査したところによっては、月に三万三千何がしであった。ところが、今度の厚生省が調査した案によると、それが二・一倍の六万九千九百何がしになるのでございますということは、結局どこかで物価を握り、どこかで賃金を握って作ったはずなんです。いわば万人の納得する物価の変動と給与の変動を握ったからこそ、医療費体系というものができたはずなんです。その原則がなくしては、大臣が言うように、甲表をもって統一をいたしますという議論は出てこないのです。甲表というものが正しいという原則に立ったからこそ、甲表を中心にして統一すると言いながらも、甲表の基礎である物価の水準、いかなるところを物価の水準にとるか、いかなる水準を国民所得の水準にとって、それからどの程度上昇したから医者の所得は二・一倍になるのか、ここらあたりが納得のいかないところです。甲表を作っておきながら、今になってそれはこれから考えますということでは論理が一貫しない。大臣、今の小山さんの御答弁で明白になってきたことは、甲表で統一するということの間違いがここに現われてきたのです。私は回り回って結局今の小山さんの発言を引き出したのですが、甲表が正しいと言ったので、その論理的な基礎の数字は臨時国会でやるつもりですが、その前に、あなたの答弁で引き出しておく必要があろうと思って引き出した結果、物価水準の変動、それから生活水準の上昇という問題、いわゆる適正な技術料というものはこれに基いて評価されなければならない。ところが、それは万人が認め、厚生省自身も的確な原理原則というものを持たないにもかかわらず、適正な技術料というものを評価してきた。それがいかに間違いであり、いかに独善的なものであるかということを、これで認識していただきたいと思うのです。これは宿題にしておきますが、そういうものはあなた方がわれわれにもまだ示していないのです。ないのだから、それは示し得ないのです。たとえば具体的に申し上げますならば、パスとかマイシンとかいうものは、一体いかなるものが計算の基礎になったかということは、全然われわれにはわかっておりませんよ。あなた方のとったパス、マイシンの価格というものが妥当なものであったかどうか、十七円にきめたその薬価が妥当なものであったかどうかという基礎を、われわれに示していまんよ。そしてあなた方だけは勝手に告示をしてしまったのです。だから、一体日本の現実の医療で、何年をとったならば十七円というものが昭和三十三年の十月一日からの医療で正しいのかということは評価されていない。それで告示をしてしまった。これが甲表です。今までは標準点数で〇・七できておった。ところがワクを取り払って六十円にしたからといって、一挙に十三円が十七円にされたその理論的根拠が示されなければならぬが、そういうものが示されていない。具体的な例をあげればそういうことなんです。その甲表をもって将来統一しますということは、いかに甲表の基礎というものが薄弱であるかということがわかるのです。私は具体的な例をあげましたが、小山さん、言うことがあれば言って下さい。

小山進次郎厚生事務官(保険局次長)

○小山説明員 滝井先生のおっしゃっていることは、三つのことをおっしゃっていると思うのでございます。一つは、私どもが現在の医療報酬をさらに八・五%引き上げる必要があるという判断をいたしたことに関する問題でございます。このことについては、先ほど御引例になった昭和二十七年の調査とか、あるいはその後における賃金の動きとか物価の動き、もしくは現在の医師の稼働の状況が、昭和二十七年の三月当時に比べてどういう状態にあるかということが問題として入ってくるわけでございまして、これについては、私どもは案に示したような算定をいたしましたが、これが今後においても唯一絶対のものとして、あるいは無条件に関係者に受け入れられるものとして押しつけるという態度をとる気持はない、こういうことを申し上げたわけであります。これはさらに関係者の問で今後の問題として検討して、一つの原理原則をまとめていきたい、こういうふうに考えているわけでございます。  次に仰せになっているのは、甲表自体の問題でございますが、第一の問題は、いわば甲表、乙表すべてに通ずる問題でございまして、甲表だけの問題ではないわけであります。甲表自体の問題としては、この中で行われている物と技術というものの分離ということがどういう関係にあるか、それから、技術相互の関係が果して適当な関係に置かれているかどうかという問題についてでございますが、この点は問題が別になるわけでございます。  それから第三には、甲表における平均薬価を、六十円未満の分について十七円としたことについてのお話がございましたが、これは同様に、乙表についてはさらに六十円以下を四つに区切りまして、それぞれの平均薬価を声めております。いずれにしても、これはなるべく近くの正しい資料に基いてきめることが望ましいわけでありますが、今のところ持ち合せている資料で最も信頼し得るものは、三十年の七月の資料でございますので、これは私どもも関係の医師会その他の団体も、すべて納得の上でその資料を使いまして、平均薬価を算出いたしたというわけでございまして、その結果甲表においては六十円以下が十七円になり、乙表においては、たとえば十五円以下が五円何がしになった、こういうわけでございます。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 言いわけをされたけれども、かえってやはり語るに落ちたことになった。と申しますのは、八・五%のワクの拡大をする必要があるとして使った賃金なり、物価なり、稼働の状況というものを基礎にして現在の点数ができた。そしてその現在の点数を変えるためには、物価の水準や国民所得の水準の高低を見ながら変えていくということですから、従ってその物価の水準を見たり、国民所得の上下を見ることは、いつを見るかというと、結局昭和二十七年の調査が基礎になってきているわけです。そこが起点なんです。だからこの起点が正しいか正しくないかの議論なくしてあとの問題を論議することは本末転倒なんです。ところがそこは議論していない。二十七年のその稼働と物価と賃金が正しかったかどうか論議していない。もとを論議せずして、今度それから先のことを論議しても、これは始まらない。問題はそこにある。そのもとをきめるときに、いかなる原理原則をもってきめたかということです。そこの原理原則がはっきりしておれば、その原理原則を万人が認めるならば、今後適用したらいい。その場合には、物価がこういう工合に動いた場合は単価でございます、こういう工合に動いた場合は点数でございます、こうなるわけです。だからそこらあたりが、今言ったようにそもそも二十七年の調査がはっきりしていない。それは医療費体系に基く点数表というものを作った、その医療費体系自身がはっきりしていない。曽田さんのときにははっきりしておった。間違っておったかもしれないが、間違っておったら間違ったなりに一つの係数が出た。ところが二十七年の十一月から添加して二十年の十二月に出たものは何もないのですよ。だから、そこらあたりはわれわれをやみくもの中に置いているということです。そのやみくもの中からぽっと出てきたものが甲乙二表です。だからこれは守るのが当然です。だから、これからゆっくり臨時国会まで橋本厚生大臣に、まず昭和二十四年、五年のサムス以来のあの臨時医薬制度調査会以来連綿としてきた医療費体系の議論と歴史的な経過を十分教育して、その上に立って今後の日本の医療費をどうするかということを考えてもらわなければいけない。途中から大臣が前のものをぼっと受け継いでやるということになると、厚生大臣の名誉をはなはだ傷つけることになる。だから一つそういう点で十分教育してもらって、私も勉強して参りますので、臨時国会なりその前後を通じて、甲表で統一していかれるという理論的な基礎と物価水準の変動、それから国民の生活水準の変動、これをいかなる基準をもって単価なり点数に結びつけて変えていくかという厚生省の原則を、臨時国会までに明白にしてもらいたい。これは十月一日から実施するのですから。  次には大臣に、地域差ですが、現在国家公務員の給与は、地域差をのけようとする運動がだんだん起っております。従って政府は一等級を排除して、無給地と一級、二級、三級、四級、こういう形になって、一級は昨年だったかどけてしまった。今度はこの医療費に関する限りは、二つの地域差がついたわけです。五%と八%の地域差がついたわけですね。そうなりますと、これは大臣にお尋ねしなければならぬのですが、現在甲地に所属する六大都市と同じ経済的な状態の地区が相当ある。たとえばわれわれの北九州、福岡、こういうところは国家公務員の給与は四級地です。そうすると、医療費だけが乙地区であるという理論的な根拠はどこからも成り立たないはずです。甲乙の地域差を依然として残していく限りにおいては、これらの地区は経済的に甲地区と全く類似をして、むしろそれらの甲地区よりもまさるとも劣らない地区については、当然甲地区に引き上げなければならぬと思うが、その引き上げる意思はあるか。

橋本龍伍自由民主党厚生大臣

○橋本国務大臣 実は地域差の問題は、今六大都市とおっしゃいましたが、六大都市だけでなしに、付属のいろいろなものが入っておる。これはちょうど国家公務員の給与の地域差と同じに、当初六大都市から発足をいたしましても、ここまでは同じだとか、そこまで延ばすとその次が、というようなことで、地域差をつけた場合におきまするつけ方の境界線というものが、ほんとうに理論的にも説明ができませんし、むずかしい問題を残すわけであります。そこで私は国家公務員の給与についても地域差を撤廃いたしまするのと同時に、診療報酬につきましてもやはり地域差を撤廃して参るのが筋であろうと考えております。厚生省原案は、その点につきまして従来の地域差八%を五%に圧縮をするということで、将来だんだんになくすという方向に努力をいたして参ったわけでございますが、それが今回とにかく国民皆保険を前にいたしまして、このもめた診療報酬の問題をどこかで最大公約数でまとめて参りたいという場合に、八・五%の一番大事な引き上げの率について関係者の間で話し合いができ、また合理化の点について、甲表は全く同意見となり、乙表についても、原案と形は違いますが、むしろある意味では原案より一そう進んだ考え方もありまして、その合理化という点でも意思統一ができました。また十円単価というところも意思統一ができました。ただ不幸にして、乙表の地域差につきましては、乙表については現状にいろいろな変化があるのだから、とにかく十円単価はのむけれども、その基礎計算になったものが一円上っているのだということをはっきりさしてもらいたいという非常な強い要望が医師会側からございまして、その点だけがどうしてもまとめることができなかったのであります。ただ総体的に見て八・五%の引き上げという大きな問題、予算もこのままでやっていくという問題と、合理化の問題と、十円単価の問題が起きました場合、この一点だけで、万事の解決はこれから先の相談ということにしながら問題を残していくということは今日とるところでないと思いまして、この告示をいたした次第でございます。で、御指摘のありましたように、今日五%の地域差がありますことはあまり理論的に意味はございません。それからまたその地域差のつけてあります地域の分け方、六大都市に対してその衛星都市のようなものをどれだけ加えるかというようなことについても、あまり理論的なけじめもつきませんし、ましてやその地域差につきまして、五%のものに対して八%のものもあるということは理論的な説明をつけることができませんので、これはやはり一つの矛盾ではございます。私はこの問題は総体的にいろいろな問題とからみ合せながら、将来改定の時期を見まして、この地域差を撤廃いたして参りたいと思うのであります。その具体的な方法といたしましては、いろいろなことを考えて参らなければならないと思うのであります。地域差自身は撤廃の方向に努力をいたして参りたいと思います。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 地域差は撤廃の方向に持っていきたいとおっしゃいますが、今の四本立の点数表というものは改正するかしないか、一本立をたとえば一年くらいでやるのか、これができれば地域差の問題は何も言いません。しかし少くともこれが当分四本立でいくのだ、こういう議論になりますと、もはや経済的に六大都市なりその衛星都市と同じ水準にある大都市は納得ができない。同時にこれが今後の大都市における国民健康保険の順当な進展に大きな障害になる。すでに北九州においては十一円五十銭では国民保険がやっていけないけれども、やがて点数、単価が改定せられるから、そのときは地域差がなくなると言って厚生当局はみんなを納得さして帰している。ところが今度出た案では、依然として乙地区においては甲表においては五%、乙表においては八%になるならば——乙地区で多く乙表の二をとると、その差は八%になって、乙表の二をとった医師は必ず地域差撤廃運動を起してくることは火を見るよりも明らかであります。すでに厚生省は地域差の問題は、今度点数、単価が変るときには必ずやるから、その問題は出さぬでくれといって押えている。ずいぶんみんな陳情している。北九州もそうです。それから大阪その他のところもそうだと思うのです。大阪の衛星都市でなっていないところがずいぶんある。これなども同じだと思います。そうしますと、今の大臣の御答弁のように地域差を撤廃するというけれども、この問題は同時に点数表四本立の改定の問題にも関連をしてくる。そうするとこれはいつかわからない、不日の改定を待たなければならぬということになると、療養担当者はなかなか納得ができないし、患者もまた低い治療しか受けられないということで、負担はある程度かかるかもしれないけれども、国家公務員は甲地は甲地並みの給料はもらっている。それだけの地域手当がついている。ところが医療が安いということになると、その地区の医者は物価は高い、生活費は高くつくにもかかわらず、医療内容が乙地区並みだから医療内容が低下して、そのしわ寄せが患者にくる、こういうことにもなりかねない。従ってこの点は大臣が改定をやるのだ、撤廃をやるのだ、こうおっしゃるのだが、具体的にどうするかというと、これは当分の間ちょっとわかりません、こういうことになってしまうのです。で、大臣、ここは当分の間、どうせ点数表は今のままでやられるのでしょうから、四本立で、告示案でやられるでしょうから、六大都市とその衛星都市と類似の都市、あるいはそれ以上物価なり賃金の高いところは当然上げるべきことが理論的に筋が通っていると思います。これはそうやってもらわなければ困ると思うのです、これを強行せられていく限りにおいては。これはおそらく陳情は雲のごとくわいてくるだろうと思うのですが、われわれも理論的にはそれが正しいと思うのです。地域差を少くとも五%なり八%をつけたからには、つけられた側においては現実に甲地区と同じならば同じ診療費を支払ってもらいたい、こういうことになると思うのです。その場合にはそういう工合に処理していただけると思うのですが、そういうふうに理解してさしつかえありませんか。

橋本龍伍自由民主党厚生大臣

○橋本国務大臣 これは、戦後のいろいろな実情からして地域差がついたのでありますが、この地域差は撤廃して参らなければなりません。ただこれは要するに今度の告示という以前からずっと引き続いて今まで参った問題でありまして、地域差についてのいろいろな御不満のあるのも承知をいたしておりまして、機会のあるごとに地域差を撤廃して参りたいと考えておるわけであります。  それで診療報酬総体の問題につきましては先ほど申し上げましたように、これはどういう行き方で行くかということを真に良心的に関係の方々と御相談をいたして参るつもりであります。地域差の問題も将来撤廃いたしたいと思いますが、ただいま御指摘のように、やはり総体問題の一環として考えて参らなければならぬと思うのであります。それで地域差問題だけを扱いまして、そしてこれについてどうこうするということはいたしかねるのでありまして、私はやはり診療報酬の支払い方式総体の問題、それからまた点数のバランスをさらに合理化していく問題と、同時に地域差の撤廃ということを一環として考えて参りたいと思うのであります。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 そうしますと、念を押しておきますが、大臣は、六大都市以上に物価が高くて生活水準を上げるためには非常に負担の多いというようなところも、もう現状のままで、今の乙地区の中から甲地区に引き上げるようなことは厚生省の方針ではしないのだ、こういうことなのですか。

橋本龍伍自由民主党厚生大臣

○橋本国務大臣 実は公務員の地域給についても大体そういう方針をとっておるのでございますが、一時中間の段階で都市の追加などを厚生省でもいたして参った時期がございましたけれども、今後の問題といたしましてはこれはそのままにいたしまして、地域差総体を撤廃する方向に努力をいたしたいと思います。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 どうも方向に努力するということで、あとはっきりしないので、おそらくこれは相当の陳情が科学的な根拠をもって厚生省にくるだろうと思うのです。地域差撤廃というが、具体的にではどうするかというと、診療報酬の一環として、こういうことになってどうも堂々めぐりのようでございますからそれ以上申し上げません。  それからもう二つあるのですが、きょうは会期の最後で午後から委員会をやらぬので、ちょっと許して下さい。大臣、もう一問でございます。  まず事務の簡素化の問題です。今度甲表を採用する医師は非常に事務が簡素化されます。というのは、六十円以下の注射などをした場合にはその薬名はおそらく書く必要はないだろうと思います。それから初診の中に簡単な処置や処方料や調剤の技術料やそれから注射料なんか全部入って参りましたから、従って六十円以下のものは十七円の注射を何本した、これでいいことになるのだろうと思いますが、そういうことになるのですか。それをまず先にお尋ねいたします。

小山進次郎厚生事務官(保険局次長)

○小山説明員 今回の改正に当りまして事務を努めて簡素化いたしたいということは根本的な原則でございますので、甲表、乙表の両方にわたりましてできるだけ簡略化をしていきたい。ただどの程度にし得るかということはなかなかむずかしい問題がありますので、関係者の間で今後研究して参りましてそういう方向で結論を出そう、こういうことになっております。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 甲表の問題については今後関係者と研究しなければならぬと思うのです、これは新しい方式ですから。ところが乙表については今までと変らない。乙表は点数の組み方その他がただ裏返しただけであって、単価が十一円五十銭、十二円五十銭を十円にしただけであって、あとは今までと大して変ったところがない。そうすると請求書の仕方がもし今までと同じになると小数点がついただけ複雑になる。もちろんそのかわりに十一円五十銭、十二円五十銭をかけるかけ算はやさしくなっておる。そういう点で、もし甲表が注射の薬名その他を書かなくていいとしたならば、乙表においてやはり事務の簡素化をしてやらなければなりません。乙表だからといって今まで通りの事務をやるということになると、これは乙表を差別待遇をすることになる。従って一つの提案として、こまかい事務的なことは私の意見をいずれ薬価の小委員会か何かで述べさせていただきたいと思いますが、大臣に聞いておいてもらいたいのです。現在診療報酬の請求書はどういうようになったかといいますと、十本注射をすれば十本の注射の名前を全部書く。ところが甲表はおそらくそれを書く必要はないと思うのです。六十円以下の注射ならば書かなくてもいいと思うのです。そこで今度は乙表に十本注射したものを全部書いていくということになると、これは大へんな事務なんです。しかもそれは端数がついておると、なおめんどくさくなる。そこで各県には一県当りの診療報酬の平均点というものが出ております。たとえば福岡県なら福岡県は県の平均点数は五十五点だと、こう出ておるわけであります。そうして現在の審査率を見て見ますと大体九割九分九厘くらいです。削られるのは一厘くらいしか削られておらぬ。従ってそういう審査の実態であるとするならば、この際医者に一々注射の名前を書かせる必要はないのです。六十点なら六十点以下の請求の場合は、平均点以下の請求の場合は注射の名前を書く必要はない。しかし平均点以上のものは詳細にその病気の症状なり注射なり薬の名前は今まで通りお書きなさい。こうやってもらうと、平均点以上の請求書は、私調べたことはないですが、一割か二割じゃないか、そう多くないと思うのです。そうすると審査は、百枚の請求書が出た場合にその医者の百枚を全部見なければその医者がどんなものかわからぬほど審査員は頭が悪くない。みんな優秀な人たちです。四、五枚見ると——私も審査員をやったことがありますが、一日に四千枚から五千枚見るのです。従って、大体郡がきまっております。何郡は滝井義高なら滝井義高が受け持つというように受持ちがきまっておる。何郡の何という医者はどういう請求書を書き、どういう注射を使う医者であり、どういうようにいつも病名を書いてくる医者であるかは大体わかる。二、三カ月審査するとみんなわかってしまう。そうすると簡単な平均点以下のものは四千枚も見るのですから、どんどんくっていってしまう。そうして要点は、非常に注射をした患者、非常に重症な患者を念を入れて見るわけです。実質的にはその一割か二割に当る平均点以下の請求明細書さえ見ていけば、大体その医者の性格なり診療報酬の請求の仕方に水増しがあるかインチキがあるか全部正当であるかどうかわかってしまう。わかれば、今どういう監査の方法をとっておるかというと、何月何日何々保健所なり何々医師会なり何々社会保健出張所に何月分のカルテを持って出頭すべしという命令書が出る。そうするとその監査を受ける医者は自分の、たとえば六月分なら六月分のカルテを全部持って出ていくわけです。それで監査を技官が全部見て、いい悪い、こう言ってくれるわけです。だからそうこまかいものまで全部書かせる必要はない。今日本の医学はどういうことになっておるかというと聴診器を捨ててもペンを捨ててはならぬと言われておる。イギリスでもそういう傾向が出ておる。医療は事務になった。技術ではなくなった。これは日本の医療が非常に退化をしておる現状です。聴診器を捨ててもペンを捨ててはならぬ。ペンを捨てては食えなくなる。なぜならば保険の請求が書けなくなる。聴診器はなくてもいい。そういう工合に、技術料を評価しなければならない医療が筆を尊重することになると、まるっきり新聞記者と同じです。ペンを折ってはならぬと新聞記者はよくいわれるんだが、これと同じで、医者もペンを折ってはならぬということなんです。これは日本の昭和二年以来の保健行政がこういう医療の形態にしてしまったのです。これは今皆保険を実施するに当って、日本の医療が、日本の厚生当局が、日本の保険局当局が反省をしなければならぬ時期がきていることなんです。そういう点で、この際この四本立の医療を実施するときには、一つ抜本塞源的な意味の改革案というものをやる必要がある。そうしないと事務に追われて日本の医学というものは進歩しない。これははっきり申しておきます。そういう方向にやってもらいたいということです。  これは答弁は要りませんが、この前から館林君と私とずいぶん大げんかをやって、事務の簡素化をやると言ったんだが、出てきたものはきわめて不完全なものです。たとえば患者の生年月日の月日を除く。明治三十五年五月十日なら五月十日だけを除いて三十五年だけは書くんだ、こういうこそくな仕事である。それから滝井義高の長女滝井何子というときには、その滝井義高との続き柄はどけてもよろしい、こういうことなんです。ところがその結果どういうことになったかというと、健康保険組合等は生年月日をどけたために、台帳と引き合せようと思っても困る、続き柄をどけたために台帳の整理ができませんという事態が起ってきた。事務の簡素化というものを、患者の生年月日と続き柄をどけることだと、まるっきり厚生省は勘違いをしたらしい。医者の事務の簡素化というものは、あの請求書の明細書の中にこまごまと、カルテに書いたと同じことを——何の何がしという者は胃の状態がどういう状態で、そのときは胃けいれんはどういう状態で激しかったということを事こまかに書かなければ、その請求のお金をくれないというのが実態なんです。一体そういうことが紙の上でわかるでしょうか。わかりゃしないのです。神ならぬ身の審査員はわかるはずがない。それをわかるような顔をして今審査をしておるのが日本の社会保険の診療報酬審査委員会の実態なんです。それならば、もうわかる顔をしてやって、九分九厘九毛の支払いをやるならば、もはや六十点、平均点以上の請求書を出させればわかるのです。そういう療養担当者にむだをやらせる、これだけでも十億くらいの金は浮きますよ。診療担当者に十億くらいの金が浮いてきます。現金に直せば十億くらいの価値のある浪費なんです。ロスなんです。これは一つ大臣、あなたの在任中に考えてもらいたいと思います。私も今度はこれはがんばります。どんなことがあったって、厚生省が変な案を作れば徹底的に追及します。この前私は言っておったんだけれども、あなた方はきわめてこそくな事務の簡素化案で今実施しておるが、かえって事務者の方が困っておる。医者はちっとも楽になっておりません。それは一々ここであげれば時間がありませんから言いませんが、ぜひ一つ大臣、事務の簡素化を断行してもらいたい。  もう一つは看護の基準です。今度の看護の基準を見てみますと、看護をする場合には一類、二類、三類と分けております。そして一類は九点、二類は六点、三類は四点、看護料がつくことになっている。一類というのは患者四人に一人の看護婦さん等がつく場合です。三類というのは患者五人に一名の看護婦さん等がつく場合、三類というのは患者六人に一名の看護婦さん等がつく場合です。これは看護婦さん等になっているから看護婦さんでなくてもいい、看護さん、准看護婦さん、それから看護助手になっている。まず看護助手とは何か、これを一つお聞きしたい。

小沢龍厚生事務官(医務局長)

○小沢説明員 看護助手と申しますのは、格別制度的にそういう人をきめているわけではないものでございますが、それぞれの病院におきまして看護婦と協力して看護の下手間の患者に対するサービスをする役目に従事する人を、通称われわれは看護助手と呼んでいるものでございます。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 具体的には病院にはどういう人がおりますか。

小沢龍厚生事務官(医務局長)

○小沢説明員 たとえば処方せんによって薬を発行する場合に、その薬を薬局までとりにいく、あるいは食事を患者さんのまくら元まで運ぶ、あるいは糞尿その他の処置すべき排出物件等を検査室まで運搬する、あるいはその消毒をするところへ持っていく、さような仕事をしておるのであります。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 そうしますと、国立病院なんかの看護婦学校の生徒さんも看護助手に入るわけですね。食器を運んだりなんかしておりますから。それからつき添い婦さんというのが今あるわけですね。それから雑仕婦という名前もありますね。この前つき添い婦を切る場合に、そのあと雑仕婦に雇うんだ、こういうことを言われおったのですが、私の思い出す病院でそういうことがあるのですが、そういうところを看護助手とこうおっしゃるのですか。

小沢龍厚生事務官(医務局長)

○小沢説明員 前に雑仕婦と呼んでおりましたのを、その後仕事の性質上二色に分けまして、もっぱら病室その他を清掃する掃除等に専念する者を保清婦といたしました。他の者は看護婦の助手的役目をする者を看護助手、こういうふうに振り分けたのでございます。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 とにかく、何かわからぬけれども、「看護の補助を行う者(以下「看護助手」」こうなっているのですが、そういう人が今度健康保険の看護の基準の中に入ってきておるわけなんです。その場合に、たとえば一類だったならば八割以上看護婦と准看護婦でなければならぬ、こういうことになっておるわけですね。十人ならば五、三、二ですか、五人の看護婦と三人の准看護婦と三人の看護助手、一類ならばこれは九点加算される、こうなっているわけですね。一体この九点という加算の根拠はどういう工合にして出てきたのかということです。日本の医療、健康保険というものをどうしてこんなややこしい姿にしなければならぬのかということなんですね。一類、二類、三類わからぬですよ。何のことかさっぱりわからなかった。ようやく調べてみたら、なるほど一類は患者四人に一名の看護婦等がつく場合、こういうことになっている。その場合にお金を九十円払います、こうなっている。そうすると九十円というものは一体どういう根拠から社会保険では出てきたのか。これは何か根拠がなくちゃならぬ。どうですか。

小山進次郎厚生事務官(保険局次長)

○小山説明員 これは現在のいわゆる完全看護についても同様な問題があるわけでございますが、かねてから医療機関の格差ということを考えるべきであるというような非常に有力な意見があるわけでございます。原則論としてこれには皆さん御同意をなさるわけでありますが、しからば具体的にどういう基準によって格差をつけるかということになると、もう話がそこでまとまらぬといったようなことで、いつでも、議論倒れになっているわけであります。そういうような事情からいたしまして、少しでも医療機関のありまする姿に近づく方法といたしまして、そこで雇っておりまする看護婦の数に開きがあれば、おのずから医療機関におけるいろいろなサービスの程度も相違が出てくる。第一所要費用が違っているわけでございます。そういったようなことに対応いたします方法として、現在完全看護の制度が行われているわけでありますが、それと同様の考え方に立ちまして、一類、二類、三類という看護を設けたわけでございます。三つにいたしましたのは結核療養所とかあるいは精神療養所といったような長期にわたる、比較的変化の激しくない患者を扱っておりまするところでは、ある程度数が少くてもやっていけるというような実情もありますので、主として病院に対応いたしますものとして一類、二類を頭に描き、それから結核、精神の療養所に対応するものといたしまして二類、三類を選び、一、二、三という段階を設けたわけであります。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 設けたことは、お設けになったのですからそれでいいと思いますが、一類の九十円だという理論的な根拠、これは何か関連がなければならぬと思う。私は三十二年五月までの看護料金を調べてみたのです。そうしますと、看護婦さんは、普通の病気では五百七十円、伝染病は六百八十円になっておるわけです。ところが今度は、三十三年の六月から健康保険は新看護料金とかいうのをきめたらしい。それによりますと、五百七十円が二十円上って、看護婦は普通の病気では五百九十円になっておる。伝染病は七百円になっておるわけです。一体これとその一類の九十円とはどんな関係があるかということです。これは看護婦さんと准看護婦さんと看護助手とがコンビネーションで患者さんを四人持つ場合には九十円、こうなっているわけです。ところがこれは三交代ですから、実際には四人じゃないのです。一人が十七、八人持っている。そうすると、一日に五百九十円をあげますという健康保険のこの形と、一類、二類、三類は何か関連がなくちゃならぬと思う。これはいかなる関連があるかということ。  それからいま一つは、これは社会局長さんがおいででないので、保険局が知っておればお聞かせ願いたいのですが、今までは生活保護の患者さんも大体五月までは看護婦さんが普通の病気ならば五百七十円、准看護婦が四百七十円、看護助手が四百三十円、いわゆる無資格の者が四百三十円、これで来ておった。ところが聞くところによつると、六月から無資格の者は健康保険は四百三十円から四百五十円だ。これは五月までの四百三十円をそのまま据え置くか、あるいは六月からの改正の無資格者の四百五十円にするということで、健康保険はまああのことらしい。ところが生活保護法は、聞くと、二百五十円にするんだ、こういうことなんです。三百五十円にするということの話があるらしい。これは社会局が来ておらぬのではっきりしませんが、そういうことになると、どういう結果が出てくるかと言うと、今言った九十円という理論的根拠がはっきりしません。この五百九十円と九十円の関連は一体どうなるのかはっきりしないばかりでなくて、生活保護で入るものが、健康保険よりか下の取扱いを受ける。それで完全看護では、特に無資格者ということになると、先般来問題になった生活保護の患者には付添婦がつかなくなってしまう。値段が安くなるから、健康保険に行った方が得だということになる。そうすると貧しい生活保護の患者の諸君というのは、何と申しますか、哀れな状態になるばかりでなく、こういう形で看護の基準がきめられるということになると、いわば完全看護のできる形の大病院というものは非常にいいことになるが、中小の病院というものは非常に悪いというか、よくないという形が出てくる。こういうように看護基準の理論的な根拠というものが非常にわかりにくい、こういう形なんです。こういう点は一つ明白にしてもらわないと、看護はどけて入院をした場合には、甲表は入院料だけが二十八点、そして食費の十五点を入れて四十三点になるけれども、乙表の一は三十六・五点、乙表の二は三十三・八点というように、同じ入院でも段階ができてくる。そして、しかもその上に今度は看護でも差別待遇が行われるという、こういう形が出てくるわけです。そこでもう少し看護の基準その他についても、やはりあまり差別待遇をやらないように、これは非常に専門的なことになるので大臣には申しませんが、考えてもらわなければならぬということです。これは答弁は要りませんが、もう少し看護の基準その他をわかりやすくしてもらわないと——こういう一類、二類、三類と分けていいようではあるが、それが今度は看護婦が何人おったときにはどうだということになると、実質的には三交代ですから、調べてみると看護婦さんたちはどういうことになっているかというと、結局十六、七人持っている。この九十円の理論的な根拠というものをもう少し明白にして下さい。  これできようはやめますが、結論的に申し上げますならば、一体この甲乙二表を実施されたために、日本の医療形態はどうなったかというと、こういう形態になりました。まず第一に、制度自体というものは、給付の関係も、国庫の負担率も、そうしてそこにその給付を受ける被保険者の受ける保険料も、全部ばらばらな、まちまちな保険の制度というものが日本にある。国民健康保険あり、日雇いあり、船員あり、政府管掌あり、共済組合あり、ばらばらな六つ七つのものがあるということです。そうして一方においてはその制度の被保険者をいわば抱きかかえていく医療機関はどういう形態にあるかというと、表面には私的医療機関と、公的医療機関と、そうして私的医療機関でも公的医療機関でもない第二の範疇ということになっておりますが、運営の主体を見ると、国立あり、そうして国立に類似する逓信、それから何と申しますか、鉄道というような、こういう国、それから国に準ずるものがあり、県立があり、市町村立がある。それから済生会があり、日赤があり、農協がある。それから法人でも公益法人があり、医療法人があり、その他の法人がある。そうしてそのほかに大学の医育機関がある。こういうように九つ、十の運営の主体の異なる病院がばらばらに並んでいるということです。保険制度というものは、ばらばらなつぎはぎだらけのものが並んでいる。そうしてそこに受け入れ機関というものもばらばらと並んでいる。そうしてばらばらと並んでいる九つ、十ばかりある運営主体の医療機関の受ける診療報酬はどうなるかというと、四本立になっている。しかも甲表と乙表の一、乙表の二とあって、その単価は十円と十円五十銭と十円八十銭、こういうばらばらなものが、今や日本の医療機関と医療支払いの形態と医療の運営の中にはびこっているということです。そうしてその中で呻吟をしているのはだれかというと、科学者の医者ではなくて事務官の医者が頭を悩ましているということです。もはやそこには科学者はいない。これが日本の現状です。  今や橋本行政が船出をしなければならぬときに、こういう現状であるということを見きわめなければならぬ。そうして日本の医療というものをどうして皆保険という大きな網の中に追い込んでいくか。これは、百年河清を待つのは不可能です。少くともこれをやろうとするならば、この制度自体、もっと簡素な二本立か三本立のものにしなければならぬだろうし、医療機関ももっとあなた自身の手によって日本の医療行政ががちっと握られるような態勢を作らなければならぬ。そうして、診療報酬の支払い形態というものも一本にしていかなければならぬ。そうして一本の手綱となって、それがみんなあなたの手に握られなければ、日本の医療行政というものはだめなんです。これが日本の姿なんです。私はくどくどといろいろ専門的なことをあなたの前できょうはお聞きしました。しかし、日本のこの継ぎはぎだらけのばらばらな、人体を八つ切りにされたどころじゃない、十重二十重に切り刻まれておるこの姿をもっと見きわめて厚生行政をやっていただきたいことをお願いして、非常に長い時間生理的な要求をも退けてやりましたけれども、これは一に日本の厚生行政の前進と、日本の医学、医術の本来の道を歩むことを念願をするからこそ苦言を呈したわけです。どうか一つ次の臨時国会までには心機一転をして日本の医療の進む方向、日本の保険医の進む方向、日本の医師団体の進む方向を一つ明白に示してもらいたいと思います。

園田直自由民主党

○園田委員長 特別国会は短期間でございましたが、委員並びに大臣、政府委員各位には、連日にわたり熱心に精励せられ、御協力を賜わったことに敬意を表します。  休会中の御健闘を祈って散会いたします。     午後二時一分散会      ————◇—————

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