社会労働委員会 第9号
- 発言数
- 35 件
- 登壇者
- 4 名
- 会派数
- 2
- 開催日
- 1958/07/04
会議録
○園田委員長 これより会議を開きます。 本日公報に掲載しました請願四十四件を一括して議題とし、審査に入ります。 まず請願の審査方法についてお諮りいたします。これらの請願の趣旨につきましてはすでに文書表によって御承知のところであり、また先ほど委員各位とその取扱いについて協議いたしましたところでありますので、この際紹介議員よりの紹介、説明の聴取などのことはこれを省略し、直ちに採決いたしたいと思いますが御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○園田委員長 御異議なしと認め、そのように決しました。 採決いたします。本日の請願日程中、第三、第四、第六ないし第八、第一〇ないし第一六、第二〇、第二一、第二四ないし第二八、第三〇の請願中、「(二)療養給付の治療制限を撤廃すること、(三)自己の責任によらず申請漏れになっていた戦傷病者の療養給付を復活すること、(四)療養給付の他に生活の面も保障すること、(五)結核後保護施設への入所料の給付を実現すること、(六)転業補導と就職のあっせん、住宅の配慮を行うこと、(七)申請より裁定までの期間をできるだけ短くすること。」の項及び日程第三一ないし第三八及び第四〇ないし第四四の各請願はその趣旨妥当なるものと認め、採択の上、内閣に送付すべきものと決したいと思いますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○園田委員長 御提議なしと認め、そのように決しました。その他の各請願につきましては議案との関係その他の都合により、採否の決定を留保いたします。 なおただいま議決いたしました各請願に関する委員会報告書の作成につきましては委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○園田委員長 御異議なしと認め、そのように決しました。 なおお手元に配付いたしました通り、本委員会に参考のため送付せられた陳情書は、未帰還者の調査などに関する陳情書外十五件であります。以上、念のため御報告いたしておきます。 —————————————
○園田委員長 去る六月三十日、本委員会に付託せられました公共企業体等労働関係法の一部を改正する法律案、勝間田清一君外十四名提出、及び地方公営企業労働関係法の一部を改正する法律案、勝間田清一君外十四名提出、以上両案を一括議題といたします。提出者よりそれぞれ趣旨の説明を聴取いたします。多賀谷真稔君。 —————————————
○多賀谷委員 ただいま議題になりました公共企業体等労働関係法及び地方公営企業労働関係法の一部を改正する法律案の提案の理由並びに内容の大綱を御説明申し上げたいと思います。 公共企業体等労働関係法いわゆる公労法の改正案を提出いたしました第一の理由は、憲法上の立場であります。憲法第二十八条では労働者の団結権、団体交渉権、団体行動権が保障されております。従って労働法はこの労働基本権を基盤にして制定されるべきものであり、また理解されなければなりません。しかるに公労法第十七条の争議行為禁止条項は労働者の団体行動権を全く無視したものであり、第八条は団体交渉権を制限し、第四条のオープンシヨップ制並びにカンパニー・ユニオン、いわゆる逆締めつけ条項は、団結権すら制限しておるのでありまして、公労法はまさに憲法違反の疑いがある法律であります。従って憲法違反の疑いがある条項を改廃し、公労法を真の労働法といたしたいのであります。 第二の理由は、国際的見地からの理由であります。英、独、仏、伊等の近代的資本主義諸国の例を見ましても、労働者の権利を一方的に制限し、否認している国はほとんど見当らないのであり、その意味で現在の公労法のごとき悪法を持っているわが国は、近代国家としてこれを恥としなければならないとわれわれは考えるものであります。特にILO、すなわち国際労働機構が日本の公労法について、結社及び団結権の自由に関する条約との矛盾について指摘し、本年三月のILO理事会においては条約批准を推進する決定をいたしており、一方、国際自由労連など労働者の世界的な組織が、公労法を民主的権利の抑圧として激しく糾弾している事情を考えますならば、迅速に公労法を改正する必要を痛感する次第であります。 第三の理由は、公労法制定の沿革を顧みました歴史的見地からであります。公労法が制定当時の絶対的な占領権力をてことして作られたものであることは皆様の十分御承知の通りであります。戦後の労働運動は、組織化の比較的容易であった官公庁関係の労働組合がその先頭を切っておりましたが、戦前のはなはだしく低い労働条件を当然あるべきところまで急速に引き上げなければならない状態にありました。加えて、大衆の生活は極度に窮迫し、特に極端に悪かった食糧事情、急激なインフレーションの進行は、労働者をどたんばに追い込んだのでありまして、こうした背景における労働運動がラディカルな傾向をとったことは自然の成り行きでありました。一方昭和二十一、二年ごろから米、ソの対立緊張が高まって参り、当時の労働運動を占領当局が共産主義の扇動によるものと断じ、占領政策の遂行を阻害するものとして弾圧を考えたものであり、そのほこ先は官公庁労働者に向けられたのであります。マッカーサー書簡、政令二百一号は右のように当時の特殊な国際情勢、労働情勢によったものであり、これにより国家公務員法の大幅改正、地方公務員法、公労法の制定がなされたわけであります。御承知の通りわが国の現状は当時に比べて国際的にも、経済的にも、労働の各面において一変しているのでありまして、当時公労法等の制定あるいは改正に賛成された方々も、当然これらの法律を憲法第二十八条の精神に見合う改正を促進されるべきであると考えるものであります。 かかる観点からわれわれは国家、地方公務員、公企体等並びに地方公営企業体の労働者に労働基本権が確立されるべきであると主張するものでありまして、この意味でまず公労法、地公労法の改正案を国会へ提出したのであります。 次に第四の理由は、この悪法の非常なる欠陥から来る混乱をなくしたいという具体的見地からであります。公労法はわが国と事情の全く異なっているアメリカの習慣や政策をそのまま持ち込んだものであって、法そのものとしてもまことに粗雑きわまる法律であります。その結果、法の運営に当っては、解釈をめぐって労使はもとより、国会においても絶えず紛争が続いております。特に労働基本権を否認、制限したことに見合う代償としての仲裁制度に、尽き果てることの知らない紛争が続くことになったのであります。すなわち例を国鉄の仲裁裁定実施状況に見ますると、昨年までになされた賃金の改訂についての裁定のうち、完全実施されたことはほとんどないのであります。このため公企体労働者は裁定実施を要求してどうしても戦わざるを得ない立場に追い込まれておりまして、基本権を剥奪されたまことに不利な状態において、法律のワク内でいわゆる順法闘争という抵抗をいたしておりますのに対し、政府は法律を守ることが違法であるというような行政解釈を出してこれを弾圧するという、まことに言語道断なやり方をいたしておるのでありまして、公労法の誤まりからくる紛争は果てしなく続いているのであります。この意味で、急速に同法の誤まりを改めなければならないと信ずるものであります。 第五の理由は、民主政治の当然のあり方として、世論を重視する見地からであります。先ほど申し上げましたように、現在のこじれ切った労使の紛争を正常なルールに戻したいという世論が急速に高まって参りました。すべての労働者が労働基本権の確立をスローガンに掲げているのは御承知の通であります。東西の労働法学者や、その他多くの識者たちは、あげて公労法改正を主張していることは最も重要視されなければならないと考えます。巷間公労法改正反対の声が絶無とはいえませんが、これは労働問題の本質を知らない人たちが、労働者弾圧のためにする悪宣伝に迷わされたのがその原因でありまして、労働運動の実状、改正案の真意が理解されるならば、その声は急速になくなるものと確信をいたす次第であります。 以上のような理由のもとに本改正案を提出したわけであります。従って、その内容は公共企業体等労働者の労働基本権を確立し、その当然の生活権を擁護しようするものであります。数年間の紛争状態を顧みますと、紛争を短期かつ円滑に処理するには労働者に基本権を、公企体等に自主性を付与し、公正な社会世論のもとに団体交渉を行うことが必要であると信じます。基本権の確立によって罷業行為による大衆の迷惑を極端に心配される方がありますが、むしろ争議権の制限こそ、紛争をいたずらに長期かつ陰性たらしめているのであります。正しい労使関係と紛争の円滑迅速な処理は、相互の権利と責任を明確に尊重する中に生まれるものと考えるものであります。この意味で、本改正案は紛争を少く、かつ短期間にする目的を持つものであることを特に申し上げておきたいと存じます。 次に改正の要点を申し上げます。まず第十七条並びに第十八条を削除して、労調法を適用することであります。現行法では十七条において争議行為の禁止、十八条において争議行為を行なった場合の解雇が規定されているのでありまして、前に繰り返し申し上げた理由によって削除いたすことにしたのであります。 次に、第十六条並びに第三十五条の改正であります。この二つの条文は公共企業体等の予算上、資金上の支出を内容とする協定、裁定は政府を拘束するものではないことが規定されております。このように立法が行われた理由として、公企体が政府の全額出資の公法人であることに根拠を求めようとする説もありますが、公法人たることと協定の効力を制限することは、理論的に何らの必然的な関連を持たないものであります。現に、日本開発銀行、国民金融公庫、中小企業金融公庫、輸出入銀行等は、いずれも政府全額出資の公法人でありますが、その労働協約については、何ら本法のごとき規定は設けられていないのであります。特に、三公社の職員の雇用関係は、原則として私法上の関係であり、三公社の予算は国家予算ではありません。三公社と職員との給与の支払いを内容とする協定によって、公社は私法上の債務を負うのであり、これが国家予算の見地から、実質上その効力が制限されるというのは、私有財産を保障した憲法第二十九条違反の疑いさえないとはいえないのであります。かかる理由からして、予算上、不可能な資金の支出を内容とする協定が締結された場合、政府は協定履行に必要な予算を国会に提出する義務を負うこと、もし国会が承認するに至らない場合は、債権債務の関係が存続し、政府は繰り返し提出する義務を負うことを明確にすべきであります。よってこのような趣旨に改めたわけであります。 次に、第四条第八条を削除して労組法を適用するよう改める点であります。第四条はその第一項においてオープン・ショップ制を規定し、その第三項において、いわゆる逆締めつけの規定を設け、職員以外は組合員になれないとしており、世界にその例がない方法をもって労働組合の団結権を侵害しており、また第八条は団体交渉権を制限しておりますので、これを削除し、労組法によるべきものとしたのであります。 次に第三十三条を改正し、強制仲裁をなくして任意仲裁のみにいたすことにいたしました。自主解決を建前とする考え方から当然であると信じます。 また第四十条の改正により、本法の適用を受けている五現業職員の、国家公務員法によって制限されている政治活動の自由を保障しようとしているのでありまして、当然なさるべき改正と信じます。 さらに第一条の規定を、労働基本権を認める立場に立って、その制約主義を排し、簡潔かつ公正なものに改めたほか、各条項に適正な改正をしようとするものであります。 次に、地方公営企業労働関係法の一部を改正する法律案でありますが、改正の趣旨及び内容は、公労法の改正とほぼ同様であります。 改正の要点は、まず争議行為を禁止し、争議行為をした職員を解雇することを規定した第十一条及び第十二条を削除して、労組法、労調法の手続に参加せしめ、救済を受けるようにしたのであります。 次に第十条を改正して、予算上、不可能な資金の支出を内容とする協定が結ばれた場合、地方公共団体の長は、協定履行に必要な予算を議会に提出する義務を負うこと、もし議会が承認しない際は、協定の効力は存続し、地方公共団体の長は、繰り返し予算を提出する義務を負うことを明確にいたしました。 次に第五条、第七条を削除して、オープン・シヨップ規定、逆締めつけ規御定、団体交渉の範囲制限をなくすべきであります。 内容の御説明はほぼ以上でありますが、これを要するにこの改正案は三公社五現業及び地方公営企業の労働者の労働基本権を確立し、正しい労使関係の上に立って、労働争議の迅速かつ公正な調整をはかることによって公共の福祉を増進し、かつ擁護する目的を持っているわけであります。何とぞ各位にはこの趣旨に御賛同あって、慎重に御審議の上、御可決あらんことを心からお願い申し上げる次第であります。 —————————————
○園田委員長 この際、閉会中審査申し出の件につきましてお諮りいたします。 今会期中、本委員会は厚生外政及び労働行政につき、種々検討を進めて参りましたが、いまだ未解決の問題が山積いたしております。従いましてこの際、閉会中も必要に応じて調査を進めることができますように、一、社会保障制度、医療、公衆衛生、婦人・児童福祉及び人口問題に関する件、二、労使関係、労働基準及び失業対策に関する件、以上の各件につきまして議長に閉会中審査の申し出をいたすこととし、なおこのほか、公共企業体等労働関係法の一部を改正する法律案(勝間田清一君外十四名提出)、地方公営企業労働関件法の一部を改正する法律案(勝間田清一君外十四名提出)、国民健康保険法の一部を改正する法律案(滝井義高君外十三名提出)、失業保険金の給付日数に関する臨時措置法案、多賀谷真稔君外十三名提出につきましても、あわせて議長に閉会中審査の申し出をいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○園田委員長 御異議なしと認め、そのように決しました。 なお、閉会中の理事辞任の件並びに欠員を生じた際のその補欠選任につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○園田委員長 御異議なしと認め、そのように決しました。 —————————————
○園田委員長 この際、小委員会設置の件についてお諮りいたします。 ただいま申し出ることに決しました閉会中審査案件が当委員会に付託されましたならば、診療報酬及び薬価に関する調査をなすため、小委員十名よりなる診療報酬及び薬価に関する小委員会を設置することとし、その小委員及、び小委員長の選任につきましては、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、これに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○園田委員長 御異議なしと認め、そのように決しました。小委員及び小委員長の氏名につきましては、追って公報をもってお知らせいたします。 なお、本小委員会設置の後、小委員及び小委員長から辞任の申し出がありました場合は、委員長に御一任願うこととし、本小委員及び小委員長に欠員を生じました場合の補欠選任につきましては、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○園田委員長 御異議なしと認め、そのように決しました。 また、本小委員会から診療報酬及び薬価に関し調査のため参考人より意見を聴取いたしたい旨の申し出がありました場合、委員長において適当と認めたときは、適宜その出頭を求めることにいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○園田委員長 御異議なしと認め、そのように決しました。 —————————————
○園田委員長 次に委員派遣承認申請の件についてお諮りいたします。 ただいまの閉会中審査案件が当委員会に付託になりましたならば、これらの審査に当り、現地調査の必要もあろうかと存じますが、この場合には委員長において理事と協議の上、適宜委員派遣承認申請を行いたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○園田委員長 御異議なしと認め、そのように決しました。 —————————————
○園田委員長 次に、前会に引き続き厚生行政に関する大臣の説明に対する質疑を行います。小林進君。
○小林(進)委員 私は、実は厚生行政についていろいろ大臣にお伺いしたい問題があるのでございまするが、すべての質問に先だって、これから同じ厚生行政を一つ大臣とともにやっていくわれわれの立場から、大臣の信頼の度合いということがやはり根本の問題になってくるのでございまして、われわれいかに厚生行政を一つ政府に協力いたしまして一生懸命やっていこうと思ったところで、大臣自身に熱意がない、あるいはその場その場の答弁に終始せられて何ら真実を語られない、こういうことになれば、われわれはどうも協力のしようがないのであります。何もわれわれは厚生大臣に能弁の士を求めているわけでもなければ、あるいは焼舌の徒を求めているわけではないのであります。要は、やはり厚生行政にどこまで信念を持っておるか、断々固としておやりになるか、そういう腹の持ち工合をほんとうに示してもらわなければ、私は信頼を置いてものを論じていくわけにはいかない。ところが、わが党においても先ほどからだいぶ質問がございましたけれども、どうもその中には、ああいうように何か大物の大臣を置いたとか、信頼に足るような大臣を置いたとかいうような話もございましたが、私は残念ながら大臣に対して、まだそういう信頼を置くわけにいかない。これは私だけではございません。世論も大衆もやはり、どうも今度の厚生大臣はうそつきだ、さっぱりどうも約束を守らぬじゃないか、こういうような空気もあるのでございます。これは私が私説を言ったのではございません。やはりそのことを他をして言わしめた方がよろしいと思います。新聞の切り抜きを持って参りましたから、まずこれを読み上げますのでお聞き取り願いたいと思います。今日の七月四日の新聞に「橋本厚生大臣に」として、「おとといの新聞で、あなたは、六月三十日に告示した保険医療費の新点数表は、甲表と乙表とに分れているが、将来は、甲表を中心に一本化する方針だという意味のことを話しておられる。まことにけっこうなお考えだとは思いますが、それをほんとうに実行し得る自信を持っておられますか。それが実行できるほどだったら、どうしてあんな告示をなさったのです。あなたの前任者の堀木さんが、総理や党幹部に無理に押えつけられて、告示の延期を余儀なくされたとき、一つのはっきりした約束が取りかわされていたことは御承知のはずです。それは、関係団体との話し合いがまとまらない場合には、厚生省原案通り告示するということでした。ところがあなたは、医師会以外の関係団体はこぞって反対したのに、医師会だけの要求をいれて、原案を骨抜きにされた。それは明らかに、この約束を踏みにじったものです。あなたが何と弁解されようとも、医師会の圧力に屈服したものと解するほかありません。今後、その医師会を向うに回して、どうやって甲表一本化を実現するつもりですか。将来の抱負を語られる前に、あなたがなさったばかりのことについて、もう一度謙虚に振り返ってみられることの方が大事ではないでしょうか。事は一厚生省の問題ではありません。岸内閣全体に大きな暗い影を投げかけたものです。そのことだけは十分心にとめておいて下さい。」というのです。これは私の言わんとするところをそのものずばりと言っておるのですが、これは私が言っておるのではありません。医師会以外の一般の関係の団体がこの気持を持っておる。何だ、期待したんだけれども、大臣になったのはいいけれども、もう朝令暮改だ、ああいううそを言っているんだ、困りものだという声があるのでありますが、どうか一つこの席上において、私の質問を通じて全国民に信頼するに足るような御答弁を願いたいと思うのであります。
○橋本国務大臣 ただいまの御質問に、私真に誠意を持って御答弁申し上げたいと思うのであります。 私はこの診療報酬の問題に関しましては、この診療報酬の内容の改訂、つまり二十六年以来据え置いてきました診療報酬を改訂して医師の待遇の改善をはかるということは大事ではありますけれども、しかしそれがせっかくここまでまとめて参りました単価一円上げに相当する八・五%のワクの中にとどまって、被保険者及び保険者の負担というものが、せっかくこの厚生省原案でやって参りましたことからはずれないこと、それからもう一つは、これもやはり合理化の線を貫いて参りますこと、これが非常に大切なことでございまして、そしてこの二つを心に置きながらなるべく円満な解決をはかって参りたいと私は考えて参りました。この医療費の問題は非常に複雑なものでございまして、私、前にも申し上げたのでありますが、全医療団体の意見をまとめることはなかなか困難なことでございます。今日まで医療報酬の改正問題が円滑に進みませんでしたことは、大多数の関係者が、支払い方式を合理化して、物と技術を分離いたしまして、合理化をしながら引き上げを断行すべきであるという考え方を持って臨んだのに対しまして、医師会、歯科医師会は単価の引き上げを主張いたしましたことと、かつまたやはり引き上げの程度についても、医師会、歯科医師会は現行に比して七、八円の値上げということを非常に頑強に主張して参ったのであります。私就任をいたしましてから、ずっと申し合せに従いまして懇談を重ねました結果、初めて医師会、歯科医師会ともに、現行点数表に固執をしないで、物と技術を分離して医療報酬を合理化するという基本方針を了承いたしました。それからまた引き上げの程度につきましても、七、八円も上げるということでなしに、八・五%のワク内にとどめるという大事な問題について了承をいたしてくれました。こういう考え方のもとに医療報酬の問題を協議するという態度をとるに至りましたために、医療報酬問題を正しく解決していく共通の基盤ができて参ったのであります。すなわち医師会、歯科医師会以外の団体は、厚生省原案を御支持なすっておられました、これは終始そうでございました。医師会、歯科医師会とここまで話をして参りまして、歯科医師会の方は甲表一本にまとめましたし、医師会の方につきましても、ただいま私が申しましたような基本線に従って八・五%のワクの中にとどめる。それからまた乙表につきましても、物と技術を分離いたしまして、一番問題でありました注射、投薬について、高い薬を使えばもうかるという形を完全にはずしてしまったのであります。なおまた十円単価ということにいたしました。そういたしますと、あと一点残りましたのは、乙表における地域差という一点だけでございまして、あとは要するに最大公約数としては、関係団体の間の意見がまとまって参ったのでございます。私はこれだけまとまって参りましたことを、全部御破算にいたしまして、医療担当者と去年以来のもつれを続けながらいくというふうにいたすか、あるいはまたここまでまとまった事項をできるだけ生かしていくかということを考えました際に、被保険者ないし保険者の負担はふえてはなりませんけれども、関係団体の大部分は保険者及び被保険者の代表であられます。その八・五%の負担というものが変らない範囲において、今まで全然打開のできなかった問題についてここまで歩み寄って参りましたならば、その最大公約数に従いまして事をまとめて参りますのが、先般の堀木厚生大臣がやめられたときの、党としても政府としても考えました方針の精神であると考えまして、この措置をいたしましたものでございます。で、新聞等へ御批評いただきましたことも、十分私も心して今でも考えておるつもりでございます。 ただこの際に申し上げたいと思いますのは、私といたしましては、二十六年に私が改訂をいたしました際には、たしかその前二十三年にきめたものを、その後の値上げに従って一円上げにとどめた。その際もいささかもめごとを残してしまったのであります。今回、二十六年以来七年間据え置いてきまして、去年以来もみました問題につきまして、乙表における地域差の一点だけを残しまして、あと共通の基盤ができましたならば、そうしてこれさえのんで参りますならば、医療担当者との間も円満にいき、かつまたその際に被保険者、保険者の負担を原案を変えなくて済むというならば、それを生かしていくのが精神だと考えた次第でございます。もちろん原案自身にもいろいろ御指摘を下さいましたような矛盾がございますし、それからまた、最終決定をいたしましたものにもいろいろ矛盾のございます点は確かにあると思いますので、この点につきましては、今後点数表の合理化問題、支払い方式の問題については、真剣に検討をいたして参りたいと思います。で、私は単に医師会、歯科医師会と妥協をしたというふうに考えられるのは非常に残念でございまして、私は、ただいま申し上げましたように、被保険者、保険者の負担を、原案と変えない範囲内で、しかも問題の大筋というもの、つまり八・五%上げにとどめる、それから合理化をするということ、それからまた十円単価でもって簡素化をはかっていくという大筋が、最大公約数としてまとまるならば、これを生かして参るのが方針の精神だと考えて善処をいたした次第でございまして、私は厚生大臣として仕事をいたして参りまするに当りましては、被保険者の利益というものを一番主体に考えながら、また関係団体についても、関係者についても、妥当な待遇を与え、しかもなるべく円満に推移するというようなことを、私いろいろな面について真剣に気を配って参るつもりでございます。私は私なりに、真に国民の福祉ということを考えて物事を処理いたしておるつもりでございまして、いろいろな点について至らない点については、十分御指摘を受けて今後とも考えて参りまするけれども、根本の趣旨だけはぜひ一つ御理解を願いたいと思います。
○小林(進)委員 大臣の懇切な御答弁もいただきましたが、しかし私はこれで了解をすることができないのでございまして、言葉の上では、何といっても被保険者の利益を第一にする、真の国民の福祉を第一に考えていきたいというような、しごくもっともな御説もございましたし、それから新医療費の問題についても、精神においては前任者と何ら変りがない、こういうようなお言葉もございましたが、しかし現われている現状、現われている現実の場面においては、やはり全被保険者、保険者並びに国民大衆が要望いたしておりました前の厚生省案というものが、医師会のみとの妥協においてともかく改訂をせられたという、この現実は否定できないわけでありますから、しかもなお今日の段階において、負担金において変りがないとおっしゃいますけれども、医師会を除いた一般関係者、関係団体は、ことごとくこれに反対をしているというこの事実もまた変りがないのでありますから、私どもは何も精神、要素の問題を論じておるのではない。現われた現実がどうであるかということが政治の具体問題でありますから、この意味において私は大臣の御答弁に納得するわけにはいきません。何といっても、厚生大臣が就任されて、私も社労委員になった初回におきまして基本的にお伺いしておかなければならぬ問題がたくさんございますが、これだけにこだわっていますと問題が先に進みませんので、これは了解し得ないままに私は次の問題に移ります。これも実は本心ではお問いしたくないのでありますが、国民がみんな知りたいと思っているところでありますからお伺いいたします。 これはやはり新国民健康保険法案に関する問題でございまして、関係団体あげて特別国会に上程せられることを要望しておりましたが、ついに大臣はこれをおやりにならなかった。非常に残念でありますけれども、しかしそのおやりにならないことに対する大臣の御答弁が、私はどうもこの委員会でお伺いした記憶がないので、どこで大臣がおっしゃったのか私は寡聞にして聞いていないのでありますけれども、七月三日の新聞が報ずるところによりますと、橋本厚相は、絶対にこの新国民健康保険法案は修正しないで原案のまま提出して、しかも十月一日の実施には必ず間に合わせるよう成立をはかるということを確固たる態度で言明されたという記事があるのであります。これは私が直接耳にしたのではありませんから、間違っていたら御了承を願いたいのでありますが、この特別国会には出さない、次なる時期にお出しになるというなら、まず予定されるのは臨時国会でございます。政府は何も臨時国会の期日を決定しているわけではございませんけれども、巷間伝えるところによれば、九月に入ってから臨時国会でも開いて、それを終って岸さんが十一月ごろアメリカへ行くということで、アメリカの方では何しに来るんだ、わけのわからぬことで来るんだろうというのできらわれておるということが新聞に出ておりましたけれども、それは別にいたしまして、九月ごろに開かれる臨時国会にこれを御提出になって、そして十月一日の実施に間に合うのかどうか。断固たる態度で言明しておられるというが、この断固も、饒舌の徒の不可能を見越した言葉ではないかという感じを受けているのであります。この問題について一つ大臣に伺いたいと思います。
○橋本国務大臣 この国民健康保険法の改正法律案につきまして、私が就任をいたしました際に前大臣から申し継ぎを受けましたことは、今度の特別国会にこの法案を出すことは——今度の特別国会はほんとうに特別な法律案だけを出すという建前からいって、すでに閣議了解でその当時四つ、その後一本ふえて五つになりましたが、四つの法案だけを提出して、国民健康保険法の改正案は臨時国会に送ることにしたということであります。閣議においても、その前内閣時代の閣議決定を受け継いで了承するということが提案されたのでございますが、私は民間からも、これをぜひ一つ出してくれ、とにかくこの特別国会で上らないまでも提案をして実を示してくれという強い要望のございましたことを承知いたしまして、閣議でも留保して、何とかしてこれを提案したいと思ってあらゆる努力をいたしました。ただ、今回の特別国会は、何分にも会期が短かく、それから国民健康保険法の改正案は百何十条にわたる大法案でございまして、これを今国会で成立を期するということはどう考えても無理である、そこで私さんざん努力をいたしましたが、最終的にそれをまとめることができなかったのでございます。そこで結局は私の努力いたしましたにもかかわらず、引き継ぎました方針で臨時国会に提案をいたすことになりました。臨時国会は九月早々に開かれるものと私は予想をいたしておるのでございます。これは理論的に申しますならば、予算に計上しました金額を配賦するには必ずしも法律がなくてもいいのだから、この国民健康保険法の改正案は十月一日までに必ずしも成立しないでもいいという意見もございますけれども、私はやはり予算の執行につきましても、出せるのは出せますけれども、基礎をはっきりしておきますこととか、そのほかいろいろな関係につきまして、九月早々なるべく早い機会に臨時国会を開く運びにしてもらいまして、この法案については、衆参両院にまたお骨折りをかけますけれども、何とかして九月三十日一ぱいに成立を期したいと考えておるのでございます。 それから内容の問題に関しましては、いろいろごもっともな御意見もございます。私は、これにつきましては、各団体の意見あるいはまた与野党の御意見につきましても十分耳を傾けて聞くつもりではございます。しかしこの法律の問題に関しましては、現在の条文の解釈の仕方もいろいろございまするし、運用の方法もいろいろありまして、政府部内でも私なお話はして参らなければならぬと思いまするけれども、今日いろいろな点を勘案いたしまして、なるべく原案で提案をいたしたい。そうしてそれの運用の方法等について十分皆さん方の御意見を承わりたいと考えておるのでございます。もちろんまだ期日もあることでございまするから、与野党の御意見を承わり、また各団体の御意見承わりまして、きわめて円満に、たとえばこういう解釈は解釈にしても、法文でこう表わした方がいいということになりますれば、私はそれについては十分弾力的な考え方で臨んで参りたいつもりではございますけれども、ただいまのところは、せっかく前国会において政府部内でまとめました原案で提案をして御審議を仰ぎたいと考えておる次第でございます。
○小林(進)委員 大臣がこの問題について、特別国会に提出することの努力をされたという、その努力をされたということだけは私もすなおに聞いていきたいと思うのでございます。しかし、その努力も水泡に帰して御提出にならなかったことだけは間違いない。しかも今のお話を承わりますると、その理由は、特別国会はどうも期日が短かいから臨時国会にいって提出をするのであるとおっしゃったが、これは大臣も御承知のように、特別国会は今朝四日間の延長をいたしまして、前後合せて二十九日であります。一カ月を割ること一日であります。(「まだきまってないよ」と呼ぶ者あり)それにしても、それにしないでも、こういう方がおいでになって、与党の多数を頼んで議運できまったものを、まだきまらないなどと、みずからの政党の多数決に信頼を置かないような方もございますが、そういう不規則な発言は別といたしまして、いずれにいたしましても、その四日間を別にいたしましても、やはり二十五日にきまった。われわれ社会党の方じゃ三十日にしなさいというのを、二十日でよろしいというようなことをおっしゃった。そうして妥協して二十五日になったら、今度は二十五日じゃ間に合わないから四日延ばして二十九日といって、とうとうその期日においてもわれわれ社会党の考えに屈服するというようなぶざまな会期の延長をやる。そういうことは別にいたしましても、この特別国会は前後合せて二十九日、最初に要望されたものが二十五日、ところが特別国会の期日は短かいから臨時国会にお出しになるという。では一体臨時国会の期日はいつからかというと、九月早々始まって九月末日まで、それまでに成案を得て十月一日から実施するという。その九月早早は一体何日になりますか。九月一日と踏んだところで最大限度三十日、早早といったところで、おそらく私は九月一日に国会が開かれるというわけにはいかないと思う。そうすると特別国会といえども、今あなたの言っておる臨時国会と期日の点においては同じじゃありませんか。何も臨時国会が特別国会と比較して二倍も三倍も長くなるというような原則はどこからも出てきません。これは大臣としては、私はやはり牽強付会な弁じゃないかと思う。いま少しやはり大手筋の大衆が納得するような親切な答弁をしてもらわなければいけない。期日の問題で、特別国会は会期が短かい、臨時国会は審議の期間が長いというような御答弁は、私はどうもいただきかねる。こんなことを繰り返していると時間がありませんが、実に残念でございます。私はこういうことを基本線だけ承わっておいて、徐々にその矛盾を長い期間で御訂正をいただくように、また日を改めて聞きたいと思います。 次に、この問題について世論はこういうことを非常に心配をいたしております。「さらに国保法案の行く手をさえぎるものに日本医師会という噴火山がデンと控えている。医師会としては新国保法に対して医療機関の指定制、こげつき診療費の処理方法の二点で大きな不満を持ち、同法案の改正を迫っているからだ。医師会側の主張は現行の契約制で何の不都合もないのだから、官療主義的な指定制には反対であるということ、またこげつき診療費の回収は、現在は医療機関の申請に基いて保険者(市町村)が取り立て払いをしているが、市町村が最終責任をとることを明記せよということの二点である。」云々という言葉が書いてありますけれども、こういう二点で、あるいはまた大臣が朝令暮改といいますか、腰がふらつくのではないかということも心配いたしておりますので、今の医師会側の要求に対する二点の問題について、一体大臣はどういう確固たる信念をお持ちになっておりますか、一つお伺いさせていただきたいと思います。
○橋本国務大臣 この健康保険法案の内容につきましては、私もなおなお研究をいたして参らなければなりませんので、ただいまの問題につきまして十分今日決定的な御答弁を申し上げるに至っておりませんけれども、私はいろいろな面について、実施の仕方等について双方の間でまだまだ十分打ち解けていないところがあるのではないかと思います。市町村に対しましても医療担当者に対しても、不当な負担をかけるということはいけませんので、お互いの間で話し合いのつくところを十分考えて参らなければならぬわけでありますが、私はただいまお話のありました点につきましても、厚生省の申し継ぎを受けました原案というものをできるだけ解釈の上で円満に運用できるなら、それでやって参りたいと考えておるのでございます。なお今後とももう少し私検討をいたしていきたいと思います。
○小林(進)委員 大臣が原案の上で一つ解釈を研究していきたいというふうにおっしゃるのであれば、原案を絶対通していきたいという前回の答弁と変らないのでありますけれども、その御研究が、やはり原案に自信がなくてこれを修正したり、改正するという点までに至る研究ということになるならば、やはりどうも大臣の発言の中に失言がある。やはりどうも信頼に足りないということになりますが、御研究というのは、やはり前言通り原案はあくまでも通す——この新聞には、原案は絶対に修正しないということを言明された、十月一日の実施には必ず間に合わせるというふうにおっしゃったと書いてありますけれども、先ほどのこの席上における答弁ではそれはやや弱められて、なるべく原案をそのまま持っていきたいというふうにやわらかく修正になりましたが、今度は三転いたしまして、今後なお研究を重ねていきたいとおっしゃいました。一体どっちがほんとうなのでありますか。その点お伺いをいたしておきたいと思います。
○橋本国務大臣 それは今特別国会の間にはまさしく原案で提出をいたしまして、そうして御審議の過程で十分意見は、衆参両院、与野党の御意見も関係団体の御意見も伺って善処していきたいと考えておったのであります。今日臨時国会に提案するということに相なりまして、私はただいまの問題につきましては、これはもうせっかくまとめました原案というものをなるべく生かして参りたいと思いますし、私はそういう形で提案をしながら意見を聞くという形でいきたいと思っております。ただ私も十分まだ検討をいたしておりませんけれども、これは与野党の御意見なり、関係団体の御意見なりもこういうふうにした方がいい、そうしてこうやれば円満に行くということがまとまるのに、私はどうしても原案でがんばるということもないのでありまして、私は引き継ぎました原案というものについてはこれから検討を重ねて参りまして、私は原案をなるべく生かすという方向でいきながら、弾力性のある考えで参りたいと考えておる次第でございます。
○小林(進)委員 問題を少し変えまして、これはもう同僚委員諸君の質問で言い尽されていることでございますが、やはり大臣がこの社会保障制度の充実を三十四年度からおやりになるということをしばしば言明せられておることに対して、国民の期待も非常に大きくふくれ上っておりますので、いま少し具体的に承わらしていただきたいと思うのでございまして、たとえて言えば老齢年金については無醵出の者についても来年度からは実施をしたいとおっしゃるのでありますから、来年度から実施をするについては幾らやるか、私は参議院でも大臣の答弁を聞いておりましたが、何かわが党の竹中君が云々とかのお話で、五百円でも何でも早くやった方がいいということを言ったとか言わぬとかと言っておりましたが、一体来年から実施になって、七十歳以上でございますかの方に幾らおやりになるのか、あるいは母子世帯に対して年額幾らの金を予定せられておるのか、あるいは身体障害者に対して幾らぐらいをやりたいとお考えになっておるのか。もはや遠い将来にあらずして来年でございますから、それはもちろん政府の予算も組んでおりませんから、これだけは私は確定的なものをお聞きしたいというわけではないので、国民の期待に沿い得るような最低の線でも一つ具体的にお示しを願いたい。
○橋本国務大臣 しばしば御答弁を申し上げたのでございますが、まだはっきりした御答弁を申し上げるまでの段階に立ち至っておりません。それで党で今回の総選挙に際して公約をいたしましたものは、醵出制度を主体にしながら無醵出の併用をいたしたい、そして来年度からは養老年金を発足させて、母子年金及び廃疾年金をその次から発足をさせるということでございました。たまたま政府で昨年から諮問をいたして参りましたところの社会保障制度審議会において先般答申がございましたので、その答申の内容は小林委員も御承知だと思いまするが、やはり醵出を主にして無醵出を併用する、その場合に養老年金だけでなくて、同時に三年金を発足させてほしい、そして初年度における経費は一応事務費を除いて五百八十億であるという御提案がございました。私はやはり政府といたしましては、せっかく諮問をいたしましたものの答申を受けましたら、これの実現に努力をするというのが筋だと思いまするので、初年度から五百八十億という財政負担は非常に大き過ぎて、とうていその通りにはいかないと思いますが、立て方の問題といたしましては、とにかく社会保障制度審議会の答申のございました醵出と無醵出とを併用して参る。そしてその場合になるべく三年金を一緒に発足させていくというラインで努力をいたして参りたいと思っておるのであります。その場合に大事なのは、ただいま御指摘のありましたように、どれくらいやるかということからくる財政問題でございますが、これは今までのところでは、どういう立て方をしてやったら、どういう項目で幾らかかるかということを検討いたしますること自身が大へんな問題でございまして、これにつきましては、厚生省内の事務機構も近くできるだけ整備をいたしまするし、また別途厚生省に設けられました長沼氏を委員長といたしまする国民年金委員会に委嘱をいたしまして、何とか九月の初めまでの間に、構想を立てまする基礎材料として、どういう組み方でいけばどれくらいの負担がかかるかということをはっきりさせてもらいたいと考えておるのであります。その基礎材料に従いまして政府部内でのまとめをいたしたいと考えておるのでございまして、考え方といたしましては、多少財政上の観点からいって初年度金額は少くなりましても、来年度からぜひ発足をしたいというのを方針にいたしまして、国民年金委員との相談を今いたしておるところでございます。具体的な点につきましては、最低幾らくらいというようなことまで今日申し上げる段階に至っておりません。
○小林(進)委員 この前の大臣の非常に簡潔な就任のごあいさつ、ただしこのときには、たしか委員長は厚生大臣の所信をという言葉で大臣の発言を許されたので、私は所信をお聞きできるものと思って時計を見ながら拝聴しておりましたら、まさに四分と二十秒、こういう所信は私ははなはだ不愉快でございましたが、その所信の中にも三年金を漸次やりたいというふうなことでございましたが、この前からの御答弁で同時にやりたいということで、これは大臣が非常に具体的に示された一例でありまして、私はそういう答弁を非常に快く拝聴いたして参りました。しかしそれに続いて、今もおっしゃるようにその年金の給付金の具体的なお示しがないということは、何といっても私どもは物足りない。あなたの所属しておられる自民党は、選挙の公約のときにかようなことをいっております。あなたは今社会保障制度審議会の答申のお話をなさいましたが、もちろんそれを実施したいという御意向はわかりまするけれども、やはり政党大臣であらせられる限りは政党の公約に対しても、あなたはできる限りにおいてこれを実施するという一半の責任をお持ちになっております。あなたの自民党は選挙のときに際し、三十四年度に老齢年金は年額にして二万四千円、これは私は老齢者といっておりますから醵出か無醵出かわかりませんけれども、三十四年から実施するということでありますから、もちろんこれは無醵出年金と解釈していいと思います。それから母子世帯といわゆる身体障害者に対しては年額三万六千円、月に三千円です。その年金制度を創設するということを公約をいたしておるのでございまして、しかも三十五年度中には国民皆保険を実現し、無医村の解消をはかる、こういうことで大衆から票をとっておいでになってきたのでございますから、こういうふうに具体的にもう選挙のときにお示しになっているのですから、これは即日実施をしないにしても、やはりこれに当てはまるような五百円とか千円とか千五百円とか、何がしの数字をお示しになるのが大臣としての責任ではないかと思うのでありますが、その点いま一度お伺いします。
○橋本国務大臣 小林委員に御答弁申します。自民党が公約にいたしましたのは、とりあえずの問題として来年度から七十歳以上の老人に月千円ということを公約いたしたのであります。党の方針はそうでありまして、私もちろん政党内閣の閣僚といたしましてそれの実現に邁進をいたすのが筋だということはよく心得ております。ただ事情が変って参りましたのは、その後、社会保障制度審議会に政府から諮問をいたしまして、それに対して答申がございましたので、選挙の公約はこういうことでございましたけれども途中で社会保障制度審議会の答申がございましたならば、その答申の実現に努力をいたすということも所管大臣として私、大事な務めだと考えておりますので、一応来年度からは月千円の養老年金だけというのを、私は何とかいたしまして、財源のワクは変らず、従って公約の線より金額が少くなりまして、社会保障制度審議会の答申に従いましてこの三年金を一緒にスタートをさせる方がいいのではないか、少くともそういうことは、社会保障制度審議会の答申尊重という一面の政府の意味から申しまして考えていかなければならないのではないかと思いまして、私は基礎計算ができました場合に、その両者をつき合せて事柄を決定するように政府部内で検討いたしたいと考えておるのであります。その場合の方針といたしましては、選挙の公約は来年度から養老年金だけでありましたけれども、私はとにかくできるだけは審議会の答申に従って三年金を発足させてみたい、その努力をやってみたいと思うのであります。そうしますと、財源の問題といたしましてはどうしても養老年金一本の場合と変って参りますので、私今日、予想される年金の金額をどれくらいだということを申し上げかね次第であります。
○小林(進)委員 大臣は、財源の関係で今どれぐらいの給付ができるかということはわからないということを盛んに言われておる。その具体的な事例としては、九月には長沼さんがおやりになっている国民年金委員会に委嘱して、基本的な構想でも作り上げたいとおっしゃっておられますが、私はこれがどうも納得がいかないのでございまして、大体各省の来年度の予算というものは、もはや作業は今ごろ開始していなければならないのではないかというふうに見ているのでございまして、もう九月にはそろそろ大綱ができ上って、そうして十一月あたりからは、大蔵省とそろそろ事前の交渉が始まって、年度末にはもう来年度の予算がほぼ固まりかけるというが従来の例じゃないかと思っている。もう入梅期も終って雨も降らない。真夏が近づいておるそのさなかに、来年の予算編成に対してまだ着想もできていなければ構想もないなんという、実に私は厚生官僚というものはおそるべきなまけ者じゃないかというふうに考えたのでございまするが、九月へいって、しかも自分の手で何もできなくて、長沼さんあたりの年金委員会へ委嘱して大体のものを作ってもらって、それを今度厚生省の総予算の中へ入れて、そして原案を作り上げて、それからのこのこ大蔵省へ出かけていこうなどという、これは一体私をしろうとと見なされた答弁か、あるいは厚生省側の勉強が足りないのか、いずれにしても私は緩慢すぎると思っているのでございまして、高給をはみながら、一体厚生省の局長などというものは何をおやりになっているのか。厚生年金とか国民年金とかというものは、厚生省の仕事ではありませんか。仕事の一番重大なるポイントではございませんか。そういう自分たちの仕事の最もポイントの問題に対して、まだ構想もなければ企画もない。新たに委嘱した委員会で基礎の柱を作ってもらって、それからやろうなどという、これはどうもわれわれはむだな国家の費用を役人に支払っているというがごとき感じまでも抱かなければならないのでございまするが、大臣はこの点をどのようにお考えになりまするか、いま一度答弁願いたいと思います。
○橋本国務大臣 国民年金委員に委嘱しまして、というのは、その間に厚生省が何もしないのではないのでありまして、厚生省の方は、もう前内閣時代から保険局の次長を、実質上、これはいきなり設置法の改正はできませんので、内部のきめとしておるのでありますが、準備の事務局長という格にいたしまして、省内の各局から出しましたスタッフをすでに三十人ほど寄せまして、国民年金委員の方々と一体になって仕事をしておるわけでございます。ですから厚生省といたしましてはこれは国民年金委員が御意見を出しますまでの間、何もしないで厚生省がおるというわけではございませんで、ただ国民年金委員と事務当局と一体になって掘り下げをするわけでありますが、一応は昨年から予算をきめていただき、皆さん方に御了承を得ておりまする国民年金委員に基本構想を掘り下げてもらうということに相なっておりますが、一体となってやっておる次第でございます。厚生省の予算につきましては、これは御指摘の通り、省内一般の予算というものは、今月あたりからずっと各局ではそれぞれ手配いたしておりまするし、省内全体のまとめにかかって参るわけで、この点は決して怠慢なことはございません。ただ何分にも国民年金の問題は、日本で初めて本式にやるわけでございまするし、醵出制の立て方の問題、無醵出制の立て方の問題、それから醵出された方々も途中から、つまり二十歳からでなしに、もうすでに相当の年になって醵出を始めた方の待遇の問題、その他いろいろな立て方がありますし、それについてやはり財源計算等も違って参りますので、怠慢ということでなしに、厚生省の中でも一生懸命やっておる次第でございます。なおこの点につきましては、所要の人員等をさらに整備するのに骨折って参りたいと思っておる次第でございます。
○小林(進)委員 それをお聞きいたしますこと、大臣は懇切に御答弁をいただきますので、その点は感謝にたえませんが、そういうお話を承わるたびに、私は実は不愉快になるのでございまして、ここにやはり日本の官僚制度の秘密性というか、なるべく一つ物を知らしめまい知らしめまいという考え方がある。ほんとうに協力を願って一緒にやるというなら、もう各局で予算を組んで準備しているというなら、もちろんしろうとばかりではない、そういう本局の次長も準備委員長になって、各局から専門家がスタッフになっているというなら、私はここまできている大体の形というものは、やわらかいかかたいか知りませんけれども、ある程度のものはできていると思う。そういう過程でも、できる限り広く知らしめて、そうしてともにひざを交えて談合しながら、いいものを作っていこうじゃないか、こういう基本的な態度はあっていいのではないかと私は考えているのですが、そこがどうも日本の官僚制度の一番悪いところで、なるべくさわらせまい、知らしめまい、こういう形なんです。それが大臣の答弁の中に私は明らかに現われていると思うのでございまして、先ほどから与野党の協力を得て、与野党の意見を聞いてという言葉が大臣の御答弁の中に二回も三回も出てくるが、知らずしてどうして協力ができますか。教えられずしてどうして一体協調ができますか。しかし、これはただに厚生省のみならず、政治を論ぜんとする者は、努めて大衆を信頼し、大衆にすべてを知らしめて、ともに意見を聞きながら物を固めていくという、そういう謙虚な態度ができなければ、とうてい大衆と官僚というものは結びついていかない。仕事というものは結びついていかない。特に厚生行政などというものは、私はあとでもお伺いしたいと思いまするけれども、何もこれは人民に敵対するものはない。ほんとうに人民と結びついて、世の中の貧困者とともに悲しみを分っていこうというのだから、各省の仕事の中では一番大衆にアピールする仕事なんだから、隠しておいていいことなんか一つもない。知らしめて悪いことは一つもないのでありまするから、私はなるべくならば、そうやって大きな作業としてやるのなら、何も九月の年金委員会の諮問を待たなくても、できれば厚生省の今までの作業の中でも、何とか老齢年金はせめて五百円でも省としてはやっていきたい、今までの研究の過程においては、これくらいはやりたいと思う、これくらいなら国家の財政のもとから出せるというくらいな考えはありますくらいのお話を願った方が、より大衆には親切なあり方ではないかと思う。それを、全部固まらない、何もできないという。先ほどの質問を繰り返しますけれども、厚生予算の中で来年の国民年金が私は予算請求の一番大きな的になっていると思う。各省ではもはや作業に入ったというときに、そんなことで何になりますか。私は将来も大臣に十分そういう点を御考慮おきを願いたいと思うのでございます。 こんなことを言っていると、だんだん時間を食いますから、これも一つ何かのついでに御答弁願うことにいたしまして、次に進みたいと思うのでございまするが、きのうもわが党の岡本君が国民年金の問題について、保険の形でいくか、税金の形でいくかというふうな質問がございまして、大臣は、これも審議会の答申に基いて積立式と賦課式の折衷案でいって、積立式を七割、賦課式を三割にしたいというようなお話がございましたが、これは私は岡本委員とはまた別な角度において、この積み立て方式というものについて非常に危険を感じておる。これはやや論理が矛盾するかもしれませんけれども、私はこういう年金制度を実施することによって利得を得、栄えるものは官僚だけで、また大衆が泣かされるのではないか、むしろわが日本の官僚制度を多くし、官僚はこの年金制度に立てこもって、新しい役所を幾つも作りあげていく。あるいはまた役人の捨て場所をそれに付随して作り上げていく、役人が栄えて国民が泣く、そういう形が出てくるということを私は非常に憂慮する。これは決して厚生省の問題だけではございませんが、一つの類例として私は申し上げるのでありますが、例の農林省管轄における農業共済保険の問題なんかもその通りなんです。災害でやられたときに、農民の災害を補償してやるために政府も三分の一出す、消費者も三分の一出す、生産者たる農民も三分の一の金を積み立てておいて、災害を受けた農民にその積立金をやって農民を救おうという、出発の趣旨のときは論理の上においても何も反対するところはない。農民は双手をあげて喜びました。喜んだが、さてその保険制度共済制定が実施された結果はどうなったかといえば、なるほど共済を取り巻く役人や、共済を取り巻くシステムというものは末端まででき上って、そうして農民の積立金あるいは政府からもらう金の大半は給料、人件費、そういう事務費、運営費にのみ消費されておる。最初は三十億円でよかったものが、もはや事務費やら人件費等に百何億も積み立てられて、真実に災害を受けた農民は、災害はやれ三割以下は一銭もくれないとか、三割以上は何とかということで、今や全国の農民は農業共済に反対をしておる。これはもうやめてしまえ、われわれは積み立てたけれども、何ら恩典はないじゃないか、ただ無用な官僚制度を作り上げて、役人を多く食わしているだけじゃないか、ちっとも恩典がないと、あらゆる非難が起りまして、そうして今度は政府が五割、消費者が五割負担という制度に変ったが、それがだんだん消費者が四割になって政府が六割、今は七割近くになっております。いみじくもおっしゃるこの七、三の歩合まできているけれども、この共済制度というものに対しては、農民は少しも恩典を感じていない。とにかく廃止せよということで、現在ではもはやこの共済制度を任意制度にするというところまで論理が飛躍してきておりまするが、こういう形が国民年金制度にも出てくるのではないか、役人の一部を食わせるためのいわゆる社会保障制度になるのではないかということを非常におそれているのでございます。なおまた、これはいま一つの例ですが、これはやはり農林省管轄の土地改良費の問題です。これも政府は補助金を作るから土地改良をやれやれといって、最初は三割あるいは四割くらい出していた。地元の農民の負担は六割でしたが、だんだん変ってきて、今は政府の補助金が二割か一割くらいになっている。地元負担が七割、八割ということで、だんだん負担金がふえていくようにも変革をされてきておる。一体この積立金制度を、将来へいって今おっしゃる三割が、だんだん国家財政の関係で二割か一割になって、積立金だけが多くなっていくというような懸念がないのかどうか。これはあらゆる面にわれわれの憂慮する点が生まれてくるわけでございます。こういう問題について、一体大臣はいかようにお考えになっておるか。ともかくわれわれのささやかな政治の経験でございますが、趣旨においては非常にいいものを作り上げた、しかしこれが実施されれば国民大衆に利益を与えるものであっても、そのでき上ってくるものを考えると、大体それは逆の現象を現わしておる。一部役人の捨て場所になったり、あるいは役人の出世街道になったり、あるいは新しい官僚システムを作り上げる温床になったりして、むしろその結果が、農民を泣かせ、大衆を泣かせ、貧民を泣かせるというような結果に現われてきておる制度を、われわれは具体的に幾つもあげることができるのでございます。ほんとうにこいねがっておりますこの社会保障制度、国民年金制度というものが、そういうわれわれの懸念する逆な方向へ流れていく危険がないかどうか、一つ私は大臣の確信を承わりたいと思うのであります。
○橋本国務大臣 ただいまの御質問の要旨は、国民年金の積立金の管理について、いささかもゆるみがあってはならないというお話だったと思いますが、これはもう非常に重要な問題でございまして、今後長く立っていく上におきまして、非常に膨大な金額に相なるから、この国民年金の管理については、ただいま小林委員からお話がありましたような懸念のないように、その仕組みを万全に考えて参りたいと思います。ただ積立金を置くとそういう心配があるから、積立方式がいけないというような考え方は、やはり逆ではないか。やはり積立方式がいいか賦課方式がいいかということを考えまして、そうして積立方式がいいということであれば、出てくる積立金の管理については万間違いのないような方法を考えるというのが本筋であろうかと考えておるのでございます。その点を十分に留意いたして参りたいと思っております。
○小林(進)委員 この問題はまだ具体的な機構なり、あるいは制度を示されたわけではありませんので、これ以上大臣とこの問題で質問を繰り返しても意味がないから、きょうはこれでおさめておきますけれども、政府の案が示されたときにあらためてこの問題は徹底的に御質問も申し上げ、追求もしたいと思っておりますが、何といっても官僚というものは自己の出世あるを知って国民あるを知らずだ、これはもうわが日本の官僚の通弊だ、そして国会議員等に対しては、まずいんぎん無礼で、丁寧に頭は下げても腹の中では軽蔑しておる。これが大体わが日本の官僚の通弊でございまして、そういう者の手にこの国民の貧困を救済するというまことに聖なる仕事がまかせられるのでございますが、彼らは聖なる仕事であろうが、なんであろうと、みなこの制度を利用して、自分が一体どのいすに坐ろうか、このいすにすわったら事務次官のいすまでいけるだろうとか、うまくいったら次の国会議員の選挙に出られるかもしれないというふうに考えておるのが今までの通例でございます。しかもこの厚生省——これは厚生省だけではありません。一体局長のポストでも、文官出がすわるかあるいはお医者さん出がすわるか、いす一つでも事務系統やら何系統やら、けんけんがくがく議論を争う。そういうときの熱意はものすごいものでございますが、(笑声)事しかしこの制度をみずからむなしゅうして、国民大衆のためにほんとうにこれを支障なくやりたいなどというような、そういう崇高な役人のあり方というものは、残念ながら私はまだ見たことがないのでございます。でありますから、そういうようなわが日本の悪い官僚制度の中に、今大臣がこれを来年から実施されようとするのでありますが、むしろ私は大臣のほんとうの手腕を拝見したいと思うのはそこなんです。この官僚の出世主義といいますか権力集中主義といいますか、なるべく権力の中心に近づいて自分が出世街道を歩むなどという、そのにおいをかぐ早さなどというものは、役人は神技に徹している。その神技に徹している、神々はひとしい連中を相手にしてこういう制度をやるときに、大臣がその弊風を払いのけて理想通りのりっぱなものを実施になるかということは、ほんとうに笑いごとではない、重大な問題だと思いますので、大臣、一つ今のうちから十分心しておいていただきたい。心しておいていただいて、それが具体化したときに私はあらためてあらゆる角度からその問題を質問いたしたいと思うのでございます。 なお、私は山ほど質問を持っております。どれから順番にいったらよろしいかということを考えておるのでありますが、次に私は大臣にお伺いいたしたいのでございます。 大臣は社会保障に非常に熱意をお持ちになって、非常にありがたいです。それは非常にありがたいのでございますけれども、しかし社会保障制度を完全にするためには、それに先行いたしましてやはり完全雇用とかあるいは最低賃金制度とか公衆衛生とかあるいは住宅対策とか、こういうものが先に進むべきものではないか。たとい月に五十円、六十円の醵出とおっしゃいますけれども、厚生白書の中にもありましたように、今ボーダー・ラインと称するものが一千万人もいるというのがわが日本の実情なのです。そういう人たちに醵出年金を来年からおやりになったところで、どうしてそれらが払えますか。住宅もない、生活も食えない、失業のちまたに放置されている、こういう現状においては、私はあなたの理想とせられる国民年金の全きを期することが不可能だと思いますので、大臣は一体こういう問題をどう処置をせらるるお考えであるか、まずお考えを承わりたいと思います。
○橋本国務大臣 御指摘のありましたように、国民年金の制度がほんとうに成功するかどうかという一番大きな問題は、醵出金を確保することができるかという問題であります。つまり年金の倫理という問題が一番大事であろうと思います。これはかりに積立金方式をとらないで賦課方式で目的税をとった場合にも、その税を確保するという問題になってくるわけであります。私はこの点は楽観をいたしておりません。これは真剣に、それこそ与野党を初めといたしまして世の中全体の協力があり、この意義を理解してもらわなければうまくいかぬと思っておるのであります。ただその点につきまして私が一つのよりどころといたしておりますのは、国民健康保険の制度をずっと今までやって参っておるのでございまして、これが現在までのところやはり保険料を取って、それで運営をいたしております。この保険料は所得割の分もあり、また人頭割の分もあるわけであります。およそこういうふうな点もこれから先研究する非常に重大な課題なんでございまして、国民年金の掛金を取っていく上においては、やはり国民健康保険の掛金の取り方というようなものを重要な参考にしながら考えて参ることだろうと思います。国民健康保険につきましても、保険の趣旨を理解してもらって掛金を取るということが今日昭和十三年以来二十年たちながら、非常に大きな困難な問題でありますから、新たに年金制度を作りました際に、それが一番問題であろうと思います。それについては熱意を持ってその趣旨を説いて参りたいと考えておるのでございまして、別途社会保障制度を完成いたして参ります上においては、所得を補って参ります年金の問題につきましても、また健康が傾いて参りました場合の医療保障の問題につきましても、ただそれだけで足らないということは十分御指摘の通りでございます。医療保障の問題につきましても、むしろまず予防衛生というものを十分にいたしまして病気にかからないように、医療保障の前に医療の必要性を少くする措置が大事でありますし、予防衛生を達成いたします上におきましても、やはり不良住宅地区の改善でありますとか、あるいはまた収入の足らない人たちの雇用の問題とか生活保護の問題等が私は大事だと思うのであります。ただやはりそういう問題は医療保障だけで解決ができるものでもないし、国民年金だけで解決ができるものでもございませんけれども、しかしやはりそれで基礎を築いていって雇用の問題を考えてそうしてまたそこで貧困をなくし、また病気の起源をなくしていけば土台から片づくじゃないかということばかりにもいきませんので、その点は国の経済力の進展に応じながら、両々相待って、つり合いのとれた措置が必要だと考えておる次第でございます。この点につきましてはそれぞれの問題についてこの上とも目を配って、つり合いのとれた進み方、つり合いのとれた社会保障制度の充実をはかって参りたいと考えております。
○園田委員長 暫時休憩いたします。 午後零時五十七分休憩 ————◇————— 〔休憩後は会議を開くに至らなかった〕 ————◇—————