社会労働委員会 第2号
- 発言数
- 7 件
- 登壇者
- 4 名
- 会派数
- 1
- 開催日
- 1958/06/20
会議録
○園田委員長 これより会議を開きます。 まず厚生大臣より、就任のあいさつかたがた厚生行政に対する所信を述べたい旨の申し出があります。これを許します。厚生大臣橋本龍伍君。
○橋本国務大臣 私は今回第二次岸内閣の成立に際しまして、厚生大臣の重職を汚すこととなりました。まことに至らぬ者でございますが、厚生行政について御造詣の深い各位の御支援、御協力を得まして、鋭意重要問題の処理に当って参りたいと思う次第でございます。よろしくお願いいたします。 社会保障制度を整備拡充いたしまして、福祉国家の実現を期する上において、その推進の中核体とも申すべき厚生行政に課せられました使命はきわめて大きいといわなければなりませんが、私どもの当面いたしております緊急の課題は、何と申しましても国民の医療保障を達成することであります。すなわちその中心的施策といたしまして昭和三十二年度から実施いたしております国民健康保険全国普及四カ年計画は本年度で第二年度を迎え、おおむね順調に進捗いたしているとは申しますものの、既定方針通り昭和三十五年度中に懸案の国民皆保険を実現いたしますためには、なお一そう制度上運営上の整備を必要といたしますとともに、同時にこれに関連いたしまする諸施策、特に結核対策、医療機関の体系的整備等について、さらに強化をはかって参らなければならない実情でございます。とりわけこの問題に直接深いつながりを持っております国民健康保険法の改正につきましては、不幸にして改正案が去る第二十八回通常国会において審議未了となりましたが、国民皆保険の早期達成を推進いたしますために、できるだけすみやかに国会に再提出をいたし、その成立を期したいと念願いたしているものであります。 また医療保障の達成に重要な関連を持っております社会保険診療報酬の改訂の問題につきましては、長期間にわたって種々紆余曲折がございましたが、すでに去る五月下旬以来政府の基本方針が確立されておりますので、この線に沿って善処して参る考えであります。 医療保障と並んで重要な課題は、国民年金制度の創設であります。国民年金制度につきましては、政府はすでに昨年四月以来所要の調査並びに準備を進めて参っておりますが、その早急な実現を望む世論はきわめて高いのでありまして、各種の試案が世に問われておりますし、また内閣総理大臣の諮問に対する社会保障制度審議会の答申も行われまして、制度実現への機運はとみに熟して参っている実情であります。この問題につきましては、社会保障制度審議会の答申をできるだけ尊重しつつ、厚生省に設けられておりまする国民年金委員を中心として各方面の意見をも参酌して、さらに慎重に、十分な検討を加え、早急に国民年金制度の体系を確立し、昭和三十四年度から老齢者、母子世帯、身体障害者等に対する国民年金を漸次実施されるよう諸般の準備に万全を期して参りたいと考えております。 以上のほか、公衆衛生諸施策の推進、環境衛生の改善、貧困階層対策、児童の健全育成、母子の保健対策等、厚生行政はきわめて広い範囲にわたり、早急に解決をすべき重要な問題が山積している現状でございます。 これらの問題につきまして私は、まことに微力ではありますが、今後できるだけ力をいたしまして、施策のすみやかな具現化に努めて参る決意でございますので、重ねて各位の御協力をお願い申し上げる次第であります。よろしくお願いをいたします。(拍手)
○園田委員長 次に、厚生政務次官より就任のあいさつを述べたい旨の申し出がありますので、これを許します。厚生政務次官池田清志君。
○池田政府委員 ただいま御紹介をいただきました池田清志でございます。 今回岸内閣の成立に当りまして、私はからずも厚生政務次官を命ぜられました。もとより非才浅学、微力な者でございますが、皆様方の御指導、御鞭撻によりまして大過なきを期したいと念願いたしておりますから、どうぞよろしくお引き回しのほどをお願い申し上げます。 簡単でございますが、ごあいさつをさせていただきます。(拍手)
○園田委員長 続いて労働大臣より、就任のあいさつかたがた労働行政に対する所信を述べたい旨の申し出があります。これを許します。労働大臣倉石忠雄君。
○倉石国務大臣 私はこのたび労働省を担当いたすことになりました倉石でございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。この機会に、これからの労働政策の運営につきまして私の所信を申し上げたいと存じます。 政府は、昨年末新長期経済計画を樹立いたして、国際改支の均衡と通貨の安定を維持しつつ、最大限の経済成長をはかることによって新規労働力の吸収と雇用の改善を促進し、できるだけ完全雇用に近づけることを理想として諸般の施策を推進して参っておるのであります。私は第二次岸内閣の発足に際しまして、労働政策の分野におきましても長期経済計画の基本線に沿ってさらに具体的な施策を強力に推進する必要を痛感いたしておるものでございまして、今後におきましては最低賃金制の実施、中小企業労働者の福祉の増進、雇用失業対策の推進をはかるとともに、近代的労使関係を確立することによってわが国経済の発展に寄与して参りたいと考えておるのであります。 以下これらの施策のおもなる点につきましてその概要を申し上げたいと存じます。 第一に、雇用失業対策についてでありますが、雇用失業対策の究極の目標であるところの完全雇用の達成は非常に困難な課題ではございますが、これが実現なくしてはわが国経済の発展も国民生活水準の向上も期待できないところでありまして、今後政府におきましては長期経済計画に基いて諸般の財政経済施策を強力に推進いたしまするとともに、労働行政の面においてもこの完全雇用の達成を支柱として最大の努力を傾注して参りたいと考えておる次第であります。 このような基本的な考え方の上に立って当面の施策といたしましてはまず第一はすべての求職者に対し適職をあっせんすることに努め、特に新規労働力として年々労働市場に送り出される学校卒業者の完全就職をはかることとし、このために職業安定機関の機能の強化充実を期して参りたいと存ずるのであります。 第二には、前国会で成立を見ました職業訓練法に基く職業訓練を拡充強化することによって失業者その他の労働力の技能化と技能水準の向上をはかり、もって労働者の職業の安定と地位の向上、ひいてはわが国産業なかんずく中小企業の振興に資したいと存ずるのであります。 第三には、失業対策の問題でありますが、雇用政策を推進する過程において発生する失業に対処するため本年度予算において失業対策事業の予算の充実をはかったのでありますが、今後におきましても情勢に応じて万全を期するとともに、現在の失業対策事業を改善して事業の経済的効果を高めて参りたいと考えておるのであります。 また駐留軍離職者対策につきましては、前国会において成立を見た駐留軍関係離職者等臨時措置法の線に沿ってこれが対策を推進するとともに、これらの駐留軍離職者を含めて失業者の多数発生する地域におきましては総額百三十八億円に及ぶ公共事業を重点的に実施する等の措置をとり、これが対策に遺憾なきを期して参っておるのであります。 このほか失業保険の五人未満の零細事業所への適用拡張につきましても、前国会における失業保険法の一部改正に基き零細企業労働者に対する保護に努力して参る所存であります。 次に最低賃金制について申し上げたいと存じます。政府は、昨年末提出されました中央資金審議会の答申を基礎として最低賃金法案を作成したのでありますが、これはわが国経済特に中小企業の実情に即して業種別、職業別、地域別に最低賃金を決定する方式をとり、漸次これを拡大していくことを基本的な考え方としておるのでありますが、同法案は、前国会におきまして衆議院を通過したにとどまり、遂に審議未了に終りましたことはすでに御承知の通りであります。しかしながら最低賃金制の実施はただに低賃金労働者の保護のみにとどまらず労働力の質的向上、企業の公正競争の確保、国際信用の維持向上等、国民経済の健全な発展のためにもきわめて重要な意義を有するものでありまして、今や世論もそのすみやかなる実現を要望するところとなっておりますので、政府といたしましては、できるだけ早い機会に最低賃金法案を再び提出することとし、本制度のすみやかなる実現を期しておる次第であります。 また前国会において成立を見ましたけい肺及び外傷性せき髄障害の療養等に関する臨時措置法につきましてはその円滑な運営に努力いたしておりますが、ことにけい肺及び外傷性せき髄障害にかかりました労働者に対する保護措置の根本的検討につきましては、近く正式にけい肺審議会に諮問することとし、明年末までには改正法案を国会に提出できるよう努力いたす所存であります。 次に中小企業労働者の福祉対策について申し上げます。わが国産業労働の実情を見ますると、中小零細企業における労働条件は、大企業に比し著しい格差が存在し、劣悪な状態に置かれておりますことは周知の事実であります。その原因は深くわが国産業構造に由来する複雑にして特殊な性格に根ざすものであり、これが対策といたしましては全般的な経済政策ないしは中小企業振興策を積極的に推進することが必要であります。これとともに労働行政の面におきましても、まず労働条件の下からのささえとして最低賃金制を実現することによって低賃金労働者の賃金の引き上げをはかる一方において、主としてこれら中小企業労働者を対象とする各種の福祉施策の充実を期したいと考えておるのであります。労働者のための福祉施設としては、すでに労働金庫、労災病院、総合職業訓練所、働く婦人の家、勤労青少年ホーム等がありますが、この際さらに進んで中小企業労働者の退職金等の給付に関する共済制度を含め、総合的な福祉対策を推進することが必要であります。このため近く労働省に労働福祉審議室を設置することとし、これを中心として総合的な労働福祉対策を検討し、できるだけすみやかに成案を得たいと考えておるのであります。 次に労使関係について申し上げます。わが国の労使関係は、逐年健全化の道をたどって参っておりますが、他面なお未成熟の面がかなり多く残存しておりまして、特に遺憾に考えられますのは、一部労使において依然として違法な行為やその他の行き過ぎが見られ、労使協力の体制を築き上げようとする努力に欠けるものがあることであります。労使関係のかかる現状にかんがみまして労働秩序の確立をはかり、近代的労使関係の形成を促進することが最も必要であるとともに、国民の世論の要請にもこたえるゆえんであると考えるのであります。従って、そのためには、労使がおのおのその社会的責任を自覚し、共通の基盤の上に立って対等の立場で話し合い、生産性の向上、ひいては国民経済の繁栄に協力し得る体制の確立を促進するとともに、特に、近く発足を期待される日本労働協会の活動を通じて労使はもとより国民全体の労働問題に対する理解と良識をつちかい、よき労働慣行の確立に努めて参りたい所存であります。 次に、賃金問題は労使関係の中心的課題であると同時に、国民経済にとっても重要な問題であります。従って、賃金の決定に当りましては、単に労使間の関係のみではなく、広く国民経済的基盤に立って公正に定められなければならないことは申すまでもないところであり、この意味において職務給、能率給、定期昇給制等に十分の検討を加え、合理的賃金制度を確立する必要が痛感せられるのであります。また、賃金問題の合理的解決をはかるためには、まず、賃金及び労働の実態について正確な基礎資料を完備することが必要であります。労働省におきましては、従来より労働者の賃金、労働時間、雇用及び生産性等一連の労働統計調査を実施し、その実態の正確な把握に努めるとともに、諸外国における労働の実情に関する資料をも整備して参ったのでありますが、今後さらにこれらに関する統計調査の整備をはかり合理的な賃金制度に対する労使関係者の認識を深め、国民経済の実情に即した公正な賃金が労使間で合理的に定められるような慣行を確立するように努力して参りたいと考えておるのであります。 婦人年少労働者の保護につきましては、さきに申し上げました各種の福祉施設の拡充をはかるとともに、未亡人等を中心とする家庭婦人の職業対策を推進するため内職公共職業補導所の拡充強化、家事サービス公共職業補導所の整備充実をはかることとし、また本年度予算においてこれらの行政に携わる婦人少年室の機能の強化をはかって参ったところでありますが、今後さらにその充実と婦人年少労働者の保護に特段の努力を払って参る所存であります。 最後に、労働関係法規についての私の考え方を申し上げておきたいと存じます。現行の労働関係法につきましては、わが国の実情にそぐわない点やあるいは法律技術の面において必ずしも適切でないと考えられる点などがあるので改正すべきであるという意見も一部において見られるのであります。政府といたしましては、従来とも労働法上の問題点、労使関係の実情等についてあらゆる角度から慎重な検討は加えて参っておるのでありますが、これらの法律はいずれも労働者の権利ときわめて密接な関係を有するものであり、軽々に取り扱うべきものではないので慎重な態度をもって臨みたいと考えておるのであります。 以上きわめて簡単でございますが、労働行政についての私の所見を申し上げた次第でありますが、今後とも各方面の御意見を十分拝聴いたしまして労働行政を推進して参る所存でありますので、何とぞよろしく御協力賜わりますようお願い申し上げる次第であります。(拍手)
○園田委員長 両大臣の説明に対する質疑は後日に譲ることとし、本日はこれにて散会いたします。 午前十時五十一分散会