公職選挙法改正に関する調査特別委員会 第4号
- 発言数
- 7 件
- 登壇者
- 4 名
- 会派数
- 2
- 開催日
- 1958/09/11
会議録
○早稻田委員長 これより会議を開きます。 公職選挙法の改正に関する件について議事を進めます。 本日は、まず派遣委員の方々の報告を聴取することにいたしまして、そのあと、これらの報告に述べられた問題点等を中心に、選挙法の改正に関し、関係当局に対する質疑を行いたいと思います。なお派遣委員は、近畿、東北、北海道の三班に分れまして、今月上旬に現地調査をいたしましたが、その調査の方針といたしましては、それぞれ県庁の所在地におきまして、関係の選挙管理委員会、警察、検察庁及び自由民主党、社会党支部の方々の参集を願いまして、主として過般の衆議院議員総選挙及び最近行われました各種選挙の実情、道府県市町村選挙管理委員会の実態、常時啓発の活動状況、公職選挙法の改正意見並びに選挙違反及びその取締り状況等について聴取することにいたしました次第であります。 それでは、これより順次報告を求めることにいたします。第三班古川丈吉君。
○古川委員 第三班の調査の結果を申し上げます。 調査に参りましたのは、不肖私と日本社会党の山下榮二君でありまして、調査個所は京都、滋賀、奈良の三府県であります。調査の詳細についての内容につきましては、各地の関係者から資料として提出せられたものがありますので、別途これを委員長に提出いたしておりまするから、これによって御承知を願うことにいたしまして、以下重要な点だけを御報告申し上げたいと存じます。 選挙に関する常時啓発とか、あるいは社会教育とか、相当啓蒙が行われているのでありますが、その割合に、いざ投票となりますると非常に棄権が多いのであります。選挙の関係につきましては、取締りの面のみが非常に大きく出ておって、有権者は非常に不安を感じており、選挙そのものが非常に萎縮をいたしておる。また選挙する側の方におきましても、法規の罰則や違反ということを非常に気にいたしまして、これもまた非常に消極的である。こういう点を非常に痛感をいたしたのであります。それから常時啓発の費用につきましては、この委員会でたびたび問題になることでありまするが、非常に国の経費が少い、少くとも三億円程度はぜひほしい、こういうのが各府県ともの要望でございました。それからもう一つは、この金の使い方が非常に制限をされておる、もう少しこのワクをゆとりのあるようにしてもらいたい、五大都市とそのほかとの扱いが異なっておるようでありますが、こういう点について、金額はよりたくさんほしいが、現在の金額にしても、その使途につきましては、あまりこまかい制限を付さないようにしてもらいたい、こういうような要望が各地ともございました。 それから奈良県におきましては、この間行われました衆議院議員選挙について、いろいろな調査が行われたようであります。先ほど来申し上げております通りに、各選管とも常時啓発のいろいろな方法を非常にうまくやっておられるようでありましたが、ことに奈良県ではその感を深くいたしたのであります。この間の選挙の実情調査については、投票の結果を年齢別あるいは職業別、男女別、いろいろ統計をとっております。またその棄権者についても年齢別、男女別、またその理由についても詳しい調査ができておりまして、われわれ調査員は感心いたしたような次第でございます。また奈良県では、立会演説会の聴衆につきましても、詳しい調査が年齢別、また男女別にできておりました。 それから選挙運動に関しましては、各地とも、連呼行為の制限については一定の制限をつけて緩和してはどうか、都市ではともかくとして、いなかの方では連呼をある程度許してはどうか、これは各府県とも同じ意見でございました。それからこれもやはり各府県とも共通の希望でございましたが、ことに政党関係から、社会党あるいは自民党両方の希望でございましたが、公営をもう少し拡充してもらいたい。それからこれは京都で特に話があったことでございまするが、テレビも非常に普及いたしておるし、ラジオのようにただ声だけでなく、姿も見えるので実感も伴い、候補者を識別するのに非常にいいから、テレビを選挙運動に使ってはどうかという話が京都では非常に積極的にありましたが、滋賀県におきましては、県下ではまだ四千台しか普及しておらないからというので、消極的でありました。 それから選挙違反の問題につきましては、取締り当局から詳しい件数、人数あるいはその選挙違反の種類等につき、またその処分の結果について詳しい報告がされました。ただ選挙事犯の今度の被疑者の中で、昭和三十一年度の例の大赦によって赦免された者が、今度の選挙にも相当買収事犯の被疑事実として検挙された者がある、こういうことを報告されておるようであります。 それから京都府におきましては、去年山梨県でも相当たくさんの選挙違反を一つの村でやったことがありますが、京都府におきまして、日本海に面する、京都府といっても比較的開けていない網野町の町会議員の選挙に、二百七名という多数の買収事犯があったという報告がございました。 それから選挙運動期間と関係をいたすのでありますが、選挙の事前運動については非常に取締りが困難である。これは選挙違反の時効の問題とも関連をして、事前運動を取り締るのに容易になるようにしてもらいたい、こういうことは各検察、警察当局者の非常な希望でございました。 それからもう一つ、これはいつの場合でも言われることでありますが、やはり連座規定を強化しなくてはならぬ。さらに出納責任者は、名義上の出納責任者だけしか今処罰できないが、ほんとうの陰の出納責任者がおることが多いから、これに対する取締りを考えなければ買収問題というものは徹底的に取り締ることができない、こういうような意見は、やはり各地とも同じような意見が述べられたのであります。 それからいま一つ、選挙管理委員会の事務局自身の問題でありますが、事務局の人員も、あるいは財政的にも両面において非常に貧弱である、重大な仕事に従事するのであるから、ぜひともその従事する人員は、有権者九千人に一人ぐらいの専任職員を置いてもらうようにしてもらいたい、こういうような希望がありました。 それから根本的に選挙法の改正につきましては、選挙の基本法というようなものは、もう憲法のように原則として変えないのだ、変えるものは政令で変えるというようなことで、選挙のたびごとに改正をするようなことをしないで、もう基本的なものは長い間改正をしないというような制度にしてもらいたい、こういう要望が非常に強うございました。 それからもう一つは、来春行われまする選挙の期日についてでありますが、この選挙につきまして、五大市に関係のあるのは京都市だけでありますが、京都市におきましては、自民党も社会党も五大市は府県と一緒にするということではなくて、やはり別にしてもらいたいというのが両政党の代表者の意見でありました。それからそのほかの一般の市町村の長及び議会の選挙は府県の長及び議会の選挙と少くとも十二日ぐらい離してもらいたい。そうしないと選挙管理事務は十分間違いなくやることは非常に困難だ、こういう意見は、各府県とも同じような意見が出ております。 大体私たちが調査いたしました三府県につきまして、特に関係者から伺った主張はただいま申し上げました通りであります。詳しいことは文書で委員長のところに御報告申し上げますから、御了承を願いたいと思います。また、一緒に参りました山下委員から補足していただくことがありますれば、山下委員にお願いすることにいたします。 以上をもって終ります。
○早稻田委員長 次に、第一班矢尾喜三郎君に御報告を求めます。
○矢尾委員 第一班の北海道地方の調査報告をいたします。 第一班の派遣委員は私と早稻田委員長、土井委員の三名でありまして、五日は道庁におきまして副知事、道議会議長、道選挙管理委員会委員長、札幌市選挙管理委員会委員長、札幌高等検察庁、札幌地方検察庁、道警察本部長、政党側より自民党、社会党の代表者、六日には旭川市役所におきまして旭川市助役、旭川市選挙管理委員会委員長、旭川地方検察庁、道警察旭川方面本部長、旭川市近郊の選挙管理委員会を代表いたしまして神楽町選挙管理委員会委員長の出席を得まして、過般の衆議院議員の選挙の実情並びに公職選挙法改正に関する意見等につきまして、その実情を調査して参りました。その概要につきまして簡単に御報告申し上げます。 まず過般の衆議院議員総選挙の実情につきまして申し上げますと、北海道の有権者総数は二百五十八万二千六百二十でありまして、投票総数は百八十四万七千八百二十で、投票率は七一%となっており、投票率のあまりよくないのは選挙期日が農繁期であったということ、第一区が選挙前にすでに当落が決定しておったという事情によるものと思われます。これを旭川市、神楽町について見ますと、旭川市におきましては投票率七三・五%、神楽町におきましては八〇・六六%で、前回の八二・二%、八四・一八%に比較いたしだいぶ低下いたしておりますが、今回の選挙が五月末の水稲の苗植えという、農業の一年を賭する最も重要な農繁期に行われたために影響したと思われますが、しかし実質的に見ますと、立会演説会はまれに見る盛況さでありました。また初めのころのように頼まれたから選挙をするということはなくなり、投票の文字を見ても不安定なものがなくなり、選挙権の存否に関する問い合せ等も多く、選挙人の政治意識の向上を物語っているものと思われます。 取締り関係につきましては、違反件数が六百五十三件でありまして、前回の千二百五十二件の約半数となっておりますが、これは一つには、今次総選挙が解散必至の情勢が長く続いた後に行われたものであり、選挙の告示があったときには事実上の選挙戦が終っておったということ、一つには、選挙運動の期間が短縮されたということ、それからもう一つには、第一区が選挙前にすでに当落が決定しておったという理由によるものと思われますが、第一点につきましては、各候補者間に年頭のあいさつ、または成人祝い、あるいは政情報告等に名をかりて活発なる文書戦が展開されたほか、各地で後援会組織を利用した供応がひんぱんに行われた模様であり、これらの多くは選挙期日より四、五カ月前に行われたものであるため、事前運動として行われているものであることは、解散必至の情勢から見てきわめて明白にもかかわらず、果して選挙運動であるかどうかがきわめて困難であるところから、未検挙に終っているものが多い状況であります。また違反の内容を見ますと、百円、二百円といったような金銭による買収は少くなってきており、供応、しかも単純なる供応といったものは少く、たとえば後援会の発令式、総会というような会合の名目のもとに選挙人を招集して、会議を催す形をとって供応している等の事犯が多くなってきており、重要関係人が逃亡して事件の処理ができないということと相待って、今次選挙の一つの特徴となっております。 次に公職選挙法改正の意見につきまして申し上げます。 まず選挙人名簿関係でありますが、市区選管北海道支部からは、選挙人名簿はすべて選挙人の申請によって調製するように改正されたい、道選管及び神楽町選管からは、住民登録法による住民票に基いて調製するよう改めてもらいたい、しかし住民登録の現状は正確を保証されていないので、まず現在の住民登録の整備をはかることが前提であるとの意見が述べられ、さらに神楽町選管委員長からは、神楽町は旭川市同様町内に選挙協力委員がいて、これらの人々が住民の異動を常に把握し、名簿調製上相当の効果をおさめているが、それでも住民登録に基いて名簿を調製するようにしなければ名簿調製の完璧は期し得ない、住民登録をしなければ選挙権を取得することができないというところまで持っていけないものだろうか、もしそれができないならば、選挙人名簿はすべて選挙人の申請によって調製するように改めてもらいたいとの意見があり、また道選管より、選挙人名簿はカード式永久名簿とするよう改め、また同一市町村内の住所移転者については、本人の申請によって補充選挙人名簿に登録がえできるように改め、犯罪人及び禁治産宣告の通知については、裁判所は本籍地の市町村に対しその通知をするが、住所地の市町村に対しては通知をしないので、市町村選挙管理委員会は毎年名簿調整時に本籍地の市町村に対し欠格事項の照合をするが、費用、労力といった点から考えると、裁判所が本籍地の市町村に対して通知するときに、住所地の市町村に対しても通知しなければならないこととするようにしてもらいたいとの意見がありました。 不在者投票につきましては、道及び市区選管支部から、指定する養老施設内に居住を有する選挙人で、病気その他の事由によって歩行困難なため、投票日に投票所に行って投票することができない選挙人が相当いるので、これら選挙人についても、指定病院と同様その施設の長を不在投票管理者として、その施設内において不在者投票ができるように改め、また交通至難の島等に居住する選挙人が当該島以外の地域において職務または業務に従事中のときも不在者投票を認めるようにし、さらに施行令第六十条第一項の規定による不在者投票用封筒の裏面に記載する事項中立会人の署名とあるが、立会人が署名することは実際上困難な場合が多いので、記名とされたいとの意見があり、また立候補関係につきましては、立候補の辞退届は各投票管理者への通知、各所の候補者氏名掲示の削除、選挙人への周知等に関し適当なる措置をとることがむずかしいので、選挙の期日二日前までと改め、町村長の選挙に供託制度を設けられたいとの意見がありました。 次に選挙運動についてでありますが、連呼行為につきましては緩和されたいとの意見が多く、取り締ろうとすると連呼をやめてしまい、あとに証拠を残さないので警察も取締りの方法がなく、選管を通じて警告を発してもらっている状況であり、連呼行為の禁止は実情に即しないので、時間を制限するとかの方法を講じて緩和すべきであるとの強い要望がありました。 次に、ポスターについては、道及び市選管からは、撤去のとき連絡の方法がないので、掲示責任者は掲示する場所の市町村に住所を有するものと改められたいとの意見がありましたが、社会党代表より、参議院全国区の選挙の場合のように選挙区が広い場合、掲示しようとする市町村に知人がいなければ掲示できないのではないかとの意見があり、また違反文書の撤去については、検察庁側より、警察で違反文書を発見した場合、選管に連絡し、選管が撤去を命ずることになっているが、北海道のような広い地域においては、違反文書を発見してもそのまま放置していることが多く、また選管が発見するのは困難な場合が多いから、選管のほかに、警察当局においても違反文書の撤去命令を出せるようにすべきであるとの意見があり、また選管からは、法第百四十七条第二項のポスターの撤去義務は選管の非常なる過重となるから、掲示責任者において撤去するように改め、法第百七十三条の氏名の掲示は、選挙当日投票所内のみに行うようにすること、個人演説会開催当日の立て札の掲示は候補者がするように改められたいとの意見が述べられ、また政談演説会の開催については、その回数制限の規定はあるが、届出規定がないため回数の確認ができないので事実上野放しであり、開催地の選管は迷惑しているので、善処願いたい旨の要望がありました。 このほかに、自民党代表からは、小選挙区制を早急に実施してもらいたい、北海道はきわめて広い地域にかかわらず、参議院地方区の選挙区は府県並みに取り扱われているが、二つの選挙区を設けるのが適当である、また自動車の使用についても府県並みに扱われているが、北海道の特殊性を考慮し、大型車の使用できるよう特例を設けてもらいたいとの意見があり、また社会党の代表からは、連座制の強化、公営の拡大が強く述べられましたが、立会演説会については、あまり形式的に流れている、人が集まるように努力し、公明な選挙ができるようなやり方をしなければならない、また札幌市においては自衛隊員は隊内において選挙を行なっているが、仄聞するところによると、隊員が投票する際に上官に敬礼して投票をする。これは投票に威圧を加えるものであるとの発言がありましたが、これは隊内において演説を行わせないで、投票だけ隊内において行うところに問題があるようであります。 次に、選挙の執行経費の基準についてでありますが、現行法による基準額はあまりに安過ぎて、今日の実情に合っていない。特に投票管理者、投票立会人等の報酬、労務者の賃金及び超過勤務手当等はきわめて低く、札幌市におきましては、条例によりまして投票管理者及び開票管理者は五百円、選挙長は千二百円、投票立会人、開票立会人及び選挙立会人はそれぞれ五百円を支給し、その他につきましてもそれぞれ措置を講じておりますが、現行の基準によりましては人は雇えないので、増額されたいという強い要望がありました。 最後に、第一線選管の実態と、来年行われます地方選挙の期日の問題について申し上げます。 旭川市の近郊に神楽町というところがあります。人口約一万五千、有権者八千二百八十であります。選挙管理委員会には専任の職員は置かずに、町の職員を嘱託として主査一名、書記三名を置いており、選挙執行の際には臨時職員を二名、基本選挙人名簿調製の際にも臨時職員一名ないし二名雇用しております。投票所は八カ所設け、投票所事務従事者は一投要所平均六名で四十八名を要するが、これには町の教育委員会、農業委員会、水道関係職員等四十四名をもってこれに充て、足りないところは選挙事務には全く経験のない学校、幼稚園の先生を充てており、代理投票があると、一時投票事務が停頓するという実情であります。近年ますます人口が増加し、有権者の増加に伴い選挙人名簿の調製が困難になってき、選挙運動の期間の短縮によって事務量が増加し、選管の過重の負担となってきております。しかるに選挙事務従事者はいまだ臨時的な事務取扱者という観念を抜け切っていず、一たび誤まれば、選挙無効にまで発展するような事務を臨時の職員が行なっておる実情であります。最近これらの選挙管理委員会の弱点をついて、選挙無効の訴えを提起するという傾向が目立ってきており、事務局の設置が叫ばれるゆえんであります。 旭川市におきましては、昭和二十四年の衆議院総選挙を機として事務局を独立し、専任職員五名を置いておりますが、市区選管北海道支部より、事務局の設置が強く要望されました。 来年四月には地方選挙が行われます。自治庁の案によりますと、都道府県の選挙を四月二十三日、市町村の選挙を四月三十日と予定しておりますが、選挙期間が短縮され、従来の選挙期間においても事務が山積して、辛うじてこれが処理に当ってきたが、自治庁案の通り選挙期日が決定されると、都道府県の選挙の投開票事務と市町村選挙の立候補届出受付、公営不在者投票等の事務と輻湊し、これが執行に重大なる支障を来たすことは明らかで、現在のこうした選管の状態でこのまま実施することは不可能に近く、混乱を生ずるおそれもあり、公正な選挙執行が期しがたく、不祥事態の発生も予測されるので、選挙期日の決定については、直接執行に当る第一線選挙管理委員会の実情を十分理解して、少くとも十二日以上の期間を置いてもらいたいとの強い要望がありました。 また、一時報道されておりましたが、もしこれらの地方選挙を同時に行うようなことがあれば、前に述べました神楽町の場合におきましては、職員の絶対数が少くて、三つ以上の選挙を執行すると必ず間違いを起し、全く自信がないということであり、またこれを選挙人の立場から見た場合にも、従来の参議院議員の選挙の例から見ましても、全国区と地方区との候補者の名前を間違えることがあり、三人以上の候補者の名前を覚えているということは困難なので、無効投票の増加の原因となるものと思われます。またこの点につきましては、自民党代表からも、問題があるので、都道府県と市町村の選挙期日は相当期間を置くべきであるとの意見がありました。 以上概要につきまして申し上げました次第であります。
○早稻田委員長 次に第二班、加藤高藏君の御報告を求めます。
○加藤(高)委員 第二班、東北地方について調査の報告をいたします。 去る九月二日より、島上善五郎君と私とで、青森、岩手、宮城の三県を調査して参ったのでありますが、項目別に分けまして、概略を逐次報告することにいたします。 まず第一に、過般の衆議院議員総選挙における各地の投票率及び立会演説会についてであります。戦後最高の投票率を示した過般の選挙における全国平均は七七%でありますのに比べ、三県とも平均あるいは平均をやや下回る低い投票率でありまして、これは一つは、この地方が農繁期であったことと、立候補者の顔ぶれがほとんど変らなかった関係で、関心が十分わいていなかったのではないかといわれております。各県の投票率につきましては、青森県が七三%、岩手県が七五%、宮城県が七七%でありまして、全国的に前回選挙より投票率が伸びた個所が多いのに反して、三県はいずれも前回よりやや下回っております。立会演説会の開催状況につきましては、青森県において、開催回数は九十六回、聴衆人員平均は一会場九百二十六人、岩手県においては、開催回数八十四回、人員平均七百七十二人、宮城県においては、開催回数百二十八回、人員平均五百人となっており、一会場当り聴衆人員数の平均は、これも三県とも前回よりやや下回っております。 次に、選挙期間の短縮の問題でありますが、これは三県からほぼ同様の意見がありました。三県を通じて山村が多く、交通がきわめて至難なため、期間内での十分な選挙運動が非常に困難であるために、どうしても事前運動に類するような行為が多くなり、それがために選挙費用においては、期間内での費用は従前より少額に済んでも、期間以外で膨大な費用を使う者がふえてきており、法改正の本来の目的に合致しないとの意見が県議会議長及び政党支部から出され、選挙管理委員会側からも、人手が少い所できわめて短時日に管理事務を要求される建前から、この期日短縮については従前通りに改められたいとの意見がありました。 なお、選挙期間の短縮には直接関係はありませんが、事前運動に関連する問題として、青森において話題になったことは、各地において行われる各種の選挙に、全国をまたにかけてその選挙に立候補する者があるとのことでありまして、各地で当選の目的もなく売名を行って、来たるべき参議院議員選挙に全国区より立候補しようとする、明らかな事前運動を行っておる者があります。このように、全国をまたにかけて各地の選挙に立候補することができないように、公選法において立候補の制限をしてもらいたいとの意見がありました。 次に、選挙運動と政治活動との関係についてであります。現行の公職選挙法は、候補者中心の選挙運動という立場で組み立てられておりますが、政管の組織と活動が充実して参りました今日、政治活動と選挙運動との実質的反別が非常に困難な実情であります。これを候補者中心の選挙運動から、政党中心または両者の妥協点を見出す方向に規制し直すべきであるという意見であります。選挙における政党の政治活動はもっと活発にやらすべきであるという意見が、各県の政党支部の方々から出ております。しかしながら、またその反対に、政党及びその他の団体の行う運動は制限することとされたいとの意見が宮城県選挙管理委員会から出ており、さらに岩手県警察から、各種社会教育団体が選挙に関する啓発運動に隠れて、その団体の支持する特定の候補の選挙運動と認められる場合が多いので、これを全面的に禁止することが望ましいが、現状からして困難と思われるので、選管に対する届出制としていただきたいとの意見がありました。 次に、地方選挙の選挙期日の統一問題であります。これは各班から同様の意味の要望が行われておると思われますが、各県を通じて、選挙期日の統一と関係法の早期成立を強く要望しております。先般発表されました政府案によりますと、期日統一は、都道府県の選挙を市町村の選挙に先がけて行うことについては各県とも異存なく、特にこれは各県議会議長から要望がありました。しかしながら前後二回の選挙の間隔が一週間では、候補者の立場からも選挙管理の立場からも、かなり不合理かつ困難であるとの意見が出され、この期間の間隔は十日から二週間くらいの間をぜひ置いて施行されるようとの強い要望がなされております。 次に、選挙運動用ポスターの掲示についてであります。法第百四十七条第二項ただし書きの、選挙の当日投票所を設けた場所の入口から百メートル以内に掲示したポスターの撤去規定は、削除してもらいたいとの意見が青森県の選挙管理委員会より出されましたが、これは他の県においても、選管、警察側とも大体共通した意見でありました。しかし、宮城県の選管から、百メートル以内に掲示した政治活動用ポスターも撤去できるものとするとの意見もありました。 次に、選挙運動用ポスターの掲示責任者は当該選挙区内に住所を有するものに限る必要があり、またその掲示した選挙運動用ポスターは、選挙終了後掲示責任者においてすみやかに撤去するよう義務づけるべしとの意見が岩手県及び宮城県選挙管理委員よりあり、岩手県警察側からは、法第百四十七条の文書図画の違反掲示を選管で撤去させることができるとしているが、警察から選管を通じての警告は全く有名無実に終っており、何ら意味をなさないのが実情であるので、警察からの警告に基き選管でこれを確認した場合は撤去するものとすると改正すべきであるという意見がありましたが、選管においても人手が足りない等の理由から、これを十分になし得ないとの意見があり、この問題は何とか適当な方法を講じてもらいたいとのことでありました。またポスターの検印について、各選挙管理委員会において、雨ざらしによる検印の消失がないよう特殊なインキを使用したり、抜き打ち等、それぞれ最良の方法を研究しておるようであるが、いやしくも偽造印使用の風聞が出ないよう、形、様式、インキ等になお特別の研究をしてもらいたいとの意見が各政党支部の方々からありました。また東北では、電力会社の電柱にポスターを掲示する場合は広告業者の検印を受け、一本につき十五円の使用後清掃費を前払いしているところが多く、これははなはだ高額であるので、軽減されるようとの要望があったのであります。 次に、選挙違反の問題につきましては、買収とか供応とかいうような悪質違反も少くないが、最も多いのは形式犯でありまして、選挙になると、とかく形式犯というものは犯罪のように考えていない向きがあり、少々の警告とか罰金は覚悟の上でやっているような向きがあるので、取締りに非常に困難をきわめるとのことであります。三県を通じて、できるだけ事前に警告を発して検挙者を少くしたいとの建前から、青森県では百九十一件、岩手県では四百七十件、宮城県では実に八百二十件の警告を行っており、その内容のおもなものは、ポスターの掲示個所及び文書図画の頒布であります。また地検における衆議院議員総選挙の公選法違反事件受理及び処理状況は、青森において三百四十二人、盛岡において三百七十九人、仙台では三百六十六人であり、各県とも百日裁判を目標として行われ、七月中には全部これらの違反処理を終了しております。この違反問題については、仙台の地検から、公民権停止に関する規定の改正が要望されました。これは、法第二百五十二条の規定の趣旨は特に宥恕すべき事情のない限り、原則として公民権が停止されるのが建前であるが、この原則が必ずしも原則として守られず、また裁判所相互の間で、公民権を停止しない場合及び短縮する期間の裁量に著しい不均衡が認められるから、むしろ一定の悪質犯罪については、裁判所の自由裁量を許さないこととするよう改正すべきであるとのことであります。 次に、個別的な問題について一、二の点を申し上げます。青森県の改正意見中、不法行為によって当選人が定められたものと認められるときは、裁判所はその申請によってその職務の執行を停止することができるものとすること、また地方自治法に関する改正意見として、一つは市町村選挙管理委員会を都道府県の選挙管理委員会が指揮監督する旨の規定があるけれども、これに従わない場合に対処する規定がないので、これを処置すべき規定を設けること。第二に、投票管理者、開票管理者、選挙長、立会人に対しては、当該選挙管理委員会がその指揮監督をするのが原則であるが、その担任する事務につき、その執行が法令に違反しまたはその権限を犯すものと認めるときは、県選挙管理委員会はその執行を停止しまたはその処分を取り消し、さらにその要請があるときは、自治庁長官が都道府県選挙管理委員会に対して、その職務の代行をせしめることができる旨の規定を設けること。以上のような改正意見が出されておるのでありますが、これら三つの改正意見は、いずれも本年四月に行われた北津軽郡金木町長選挙に関するものであります。この問題は、町長選挙及び町議一名の補欠選挙において、町長に対する投票中投票者数より投票数が六票多かったために、選挙長と選挙立会人の一部が選挙無効を主張して容易に開票せず、開票を中断すること九日間に及んだのであります。また選挙長は開票延期を宣告するなり、投票箱のふたを締め、封印を施し、投票箱を放置したまま立会人及び事務従事者とともに退場し、行方不明となったため、残された投票箱は選挙長代理が指揮し、警察官、役場職員がこれを一たん役場倉庫へ保管しました。開票続行を促した県選管の勧告書が二回も発せられており、選挙長及び選挙立会人のうち二人を途中で交代し、開票の段階に入って選挙事務従事者の総入れかえを行ったり、投票を処理する場合に独断的に行う等、厳正にして公平を本領とする選挙管理委員会が住民の非難を浴びながら公正を欠いた決定を行い、ついに選管委員長たる選挙長及び選挙立会人二人までが公選法違反により逮捕された事件であります。これは選挙の公正確保に疑いありとして、選挙及び当選の効力に関する争訟が提起されております。現地においてつぶさに実情を聞きまして、全く言語道断の感を抱いたのでありますが、常に厳正にして公平を本領とする選挙管理委員の面目はまるつぶれという事件でありました。 第二に、これも青森県における事件に関連する改正意見であります。法第二百九条の二の規定は潜在無効投票のある場合のみに対する規定でありますが、潜在有効投票が存在する場合にも、右に準じて処理する規定を設けることとの改正意見であります。これは前回の昭和三十年四月県会議員の選挙において起った事件でありまして、不在者投票管理者が管理しておった不在者の投票二十数票を忘れておって、投票所閉鎖の時間に間に合わず、開票所に持参したが、開票管理者がこれを拒否したために、投票を認められなかったのであります。これを選挙人が不服として県の選管に訴願をしたが、その裁決に不服のためさらに高裁に訴訟をした結果、一県議がその判決によって当選の効力を失ったという事件から要望された改正意見選挙でありました。 第三に、代理投票の問題であります。これも青森県自民党支部から出された問題でありますが、身体の故障または文盲により、みずから当該選挙の公職の候補者の氏名を記載することができない選挙人が、投票管理者に申請して代理投票をさせることができるとありますが、投票において有権者と異なる意思で投票されることがかなり多いとのことでありまして、御研究を願いたいとのことでありました。 最後に、常時啓発の活動状況及び選挙管理委員会の実態について報告いたします。三県を通じまして、異口同音選挙を明るく伸び伸びとしたものにするがためには、何といっても国民一人一人の政治意識の高揚が最も肝要であるということであります。政治意識が低いために買収供応等を要求したり、またはこれに巻き込まれたりの違反が多いのであって、これに対する取締りがきびしく行われる結果、選挙人はやがて選挙には遠ざかっている方がよいなどの気持を抱かしめる結果を招くおそれなしとは言えません。従って各県とも、常時啓発運動の基本方針の第一に、話し合いによる政治意識の相互研修をはかることに置いており、各種協力団体との緊密なる連携、新郷土建設運動との一体的な推進をはかり、地方公明選挙推進協議会の活動体制を整え、啓発資材の整備をはかり、特に市町村広報の利用を重視するなどの基本方針に基いて話し合い運動の推進、講演及び映写会の開催、ポスターの作成、宮城県においては公明選挙論文及び作文の募集、また岩手県においては公明選挙推進協議会の主催で国会の閉会中国会報告演説会を行う等、あらゆる角度から運動を行っておりますが、これが費用についてははなはだ微々たるもので、国は選挙啓発のため、費用を毎年十分に出すべきであるとの意見が強く述べられ、地方公共団体委託費は現在の三倍ないし四倍にしてもらいたいというのが率直な意見であります。 また、岩手県においては、全国初の試みとして、公明選挙啓発資材センターを本年度より三年計画で設置することとして、常時啓発に要する資材を統合拡充して、常時啓発の飛躍的進展に資するよう努力しております。さらに同県では、選挙人が候補者の政見や政策を判断する手がかりに、選挙公報がきわめて大きな地歩を占めていることが選挙実態調査により示されたので、今回の衆議院議員総選挙に際して、でき得る限り早期に選挙人の手元に届くよう配慮し、公報掲載申請期限の翌々日、すなわち五月九日には印刷を完了して市町村に送付し、選挙期日前五日には配付を完了したことが、選挙人に非常に好評であったということを特につけ加えておきます。 次に、選挙管理委員会の実態についてであります。青森県の選挙管理委員会は昭和二十三年九月から事務局を設置して独立しておりますが、岩手、宮城の両県は事務局をそれぞれ県庁の地方課内に置き、書記長は地方課長を充てております。なお青森県及び岩手県から、市町村選挙管理委員会の事務局は必置制とせられたいとの意見がありました。また、三県の選挙管理委員会及び青森、盛岡、仙台各市の選挙管理委員会より、それぞれ、国会議員の選挙等の執行経費の基準に関する法律を、実情に即するよう再改正することの強い要望がありましたことを申し述べておきます。 以上青森、岩手、宮城各県における選挙管理委員会、検察、警察及び党支部の意見を概略報告いたしました。県を初め御出席の方々には、熱心に意見を述べていただきましたことに対して、この席から厚くお礼を申し上げまして、私の報告を終る次第であります。
○早稻田委員長 これにて派遣委員の報告は終りました。 このあと、派遣委員の報告に関連いたしまして政府当局に質疑を行う予定でございましたが、社会党委員より、本日は社会党の議員総会がありますために質疑は後日にしてもらいたいという申し出もありますので、これにて本日の会議は終り、次会は公報をもってお知らせすることにいたします。 午後二時三十五分散会