決算委員会 第7号
- 発言数
- 17 件
- 登壇者
- 4 名
- 会派数
- 2
- 開催日
- 1958/08/22
会議録
○田中委員長 これより決算委員会を開会いたします。 本日は歳入歳出の実況に関する件、特に防衛庁の航空機購入問題について調査を進めます。委員山田長司君より発言を求められております。これを許します。山田長司君。
○山田(長)委員 防衛庁がアメリカから戦闘機を購入することになって壮絶火を吐くような売り込み戦が行われておるという情報を耳にしたのでありますが、いわばこれは来年度の購入の部類に属するものと思われるのでありますけれども、この問題を当決算委員会が何ゆえに対象として問題にする必要があるかと申し上げますと、会計検査院の指摘する事項が、防衛庁の場合にはかなりたくさんに今日まであったということです。たとえば中古エンジンの問題、あるいは奈良の井上工業所から納入されたくつの問題、あるいは高価な冬服の購入の問題、あるいは使用不能の砲弾の購入、こういう問題を取り上げると枚挙にいとまのないほどたくさんの不正事件があるのです。今回購入しようとする戦闘機のごときは契約しても、われわれしろうとの考え方でも、数年後でなければ全部ができないというこの戦闘機を何がゆえに購入するようにしておるのか。聞くところによれば、もう有人機の時代は終って、無人機、誘導弾の時代に切りかえられようとしておる状態であると聞いております。この戦闘機について私たちは一体防衛庁に方針が最初からあったならば、おそらくしのぎを削るようなアメリカの会社からの売り込み戦はなかったろうと思うのです。方針がなかったことから、こうした聞くにたえないような事態が耳にされるようになったんじゃないかと思うのです。グラマンを採用することは防衛庁や航空自衛隊はもちろん、政府の首脳部においてもごく最近までだれ一人として知らなかったと言われておる。この戦闘機の購入方針がいかなる人たちによって協議をされ、進められたのか。再び過去の間違いを繰り返さないために、当決算委員会においては勇敢にこの全体を明らかにする必要があるのじゃないかと思うのであります。 そこで、本日防衛庁の首脳者がお見えになっておられますが、むしろこの真相を明らかにするためには、以下証人として岸総理、それから自民党の川島幹事長、河野一郎あるいは正力松太郎、左藤防衛庁長官、今井次官、佐薙航空幕僚長、廣岡国防会議事務局長、門叶官房長、伊藤忠社長——これは貿易商社です。それから新三菱重工業の社長、以上十人のほかに、特に検事総長もしくは最高検の刑事部長を呼んで、国民の血の出るような思いをして納めた税金を湯水のごとく防衛庁に消費されるということについて、一つこれが徹底的な調べをする必要が決算委員会としてはあるのではないかと思うのです。もし文書の偽造、あるいは不実記載等がある場合において、断固として当委員会はこれが不正を糾明し、司直の手にゆだねる必要があると思うのであります。これから私はその理由を述べて、委員諸君の理解を得たいと思うのであります。 防衛庁における戦闘機購入についての不当事実に関する私の得た情報であります。防衛庁においては、昭和三十二年八月から次期において戦闘機を購入することについて調査を始め、本年四月までにいかなる戦闘機を購入すべきかについて、国防会議において問題となったものは、ノースアメリカンF1〇〇型、ロッキードF104A、このいずれを選ぶべきかであった。しかして岸総理はノースアメリカンF1〇〇型を推薦せんとした。これについて佐薙航空幕僚長は当時アメリカへ調査に行って帰朝して後、ノースアメリカンは航続距離が長い、すなわち優秀過ぎるから、国会などで社会党あたりから侵略用に使用されるのではないかといわれて困る結果になるだろうという理由で、ノースアメリカンを脱落せしめ、続いてロッキードに決定しかかったところが、佐薙氏はアメリカから帰ると間もなく、アメリカ軍部では日本にグラマンを買ってもらいたい意向である。またロッキードは性能はよいが、しかし安定性に欠けておる。落下傘はこれを機械で突き出すときに、出口がグラマンは上であるが、ロッキードは下である。ロッキードは現に米軍が第一線で使用しておるが、事故が非常に多い。ロッキードは滑走路がグラマンに比して長い。グラマンは六千フィートで飛び、ロッキードは八千フィートを要する。これがためにロッキードは日本向きではないと反対した。以上の理由で四月の国防会議に強引にグラマンの購入を政府に内定せしめた。佐薙氏はこのとき直ちにこれを決定しようとした。しかし国防会議議長である岸総理は、価格と性能がはっきり判明しないと決定できないとした。そうしてさらに今後価格と性能を厳密に調査せよといった。これが内定といった言葉で表わされたが、しかるにこれを防衛庁は仮契約と解釈したのである。 次に、本問題について自民党の幹部間に次のようないきさつがあるという情報を得ておるのである。 岸総理は、この飛行機の購入について、国防会議議長として、この飛行機の購入については、その価格、性能をよく調査し、検討した上で決定すべきであると主張している。しかるに防衛庁は、これを無視して、不当なる決定をしてしまったことが、その後自民党川島幹事長、河野総務会長の知るところとなって、さなきだに防衛庁は国費を乱費し、国民のひんしゅくを買っている現状にかんがみ、これが購入は慎重にせなければならぬとして、本年六月ごろから河野会長は、防衛庁今井次官、廣岡国防会議事務局長等に対して、ロッキードとグラマンの再調査をして、その結果を自民党に提出してもらいたいということを言っておる。川島幹事長からは門叶官房長に対してもやはり同様要求されている。これらについては七月ごろ廣岡事務局長から河野会長に対して回答があったとのことで、それによるとロッキードは滑走路が長いのを必要とする、それから飛び出すときに口が下についているので非常に事故が多い、こういう理由をあげた。これに対して河野会長は、調査して、今井次官と廣岡事務局長に対して、それはロッキードF104Aに対するときの理由ではないか、F104Cはそれを全部改良されているではないかという反問があった。両氏はF104Cのことについては知らぬと答えた。このことでその後調査もしないで、内部でグラマンに内定してしまった。しかし川島幹事長及び河野会長に対して、滑走路と飛び出す口は改良してある、しかし全天候がよくないと言ってきた。全天候というのは注釈を加える必要があると思うので申し上げるのですが、全天候というのは飛行機が雨の日でも風の日でも、また昼でも夜でも自由に飛べるということであって、現在は旅客機といえども全天候がついている。しかしここでいう全天候というのは、これらの性能のほかに、機の両翼に装備するミサイルが敵機に対して赤外線の作用によって飛び出して的確に命中することもできるのであるが、ロッキード旧型は、霧の日は赤外線の作用がきかないからだめだ。すなわち全天候でないという理由であった。しかしグラマンはこれから作成するのであるから、赤外線の作用も、また電子レーダーも装備することができるというのである。その後本年の七月末、内閣においては、このことについて再調査を防衛庁に命じているにもかかわらず、防衛庁は着々事務は最初の方針通り進め、本年の八月二十日ごろ、まだごく最近ですが、国防会議はこれを決定しようとしたことがあるが、事実であるかどうか。毎日新聞の八月十八日の報道によると、左藤防衛庁長官の談として、自分はどこまでもグラマンで決定したいというふうな意味のことを言われておる。 防衛庁側の不当性についてさらに一言申し上げるのですが、防衛庁はロッキードを排してグラマンをとるために次のような策謀をしておるとのことである。防衛庁が国防会議に提出したロッキードF104Aは旧型に属するものであって、米国政府及びロッキード社が日本に売ろうとしておる機はF104Aの改良型Cである。このCは前の欠点を補っておるからグラマンよりは、はるかに優秀な機である。しかも旧型と価格は同じである。防衛庁は何ゆえに米国が真に売ろうとしておる優秀なものを出さずに旧型を出したのか。当時改良型は書類が日本になかったとか言っておるそうだが、すでに来ていたのである。それにもかかわらず何ゆえに出さなかったのか、そこに大きな疑問がある。この改良型の書類は三十二年の十二月に非公式に防衛庁に渡されていたのである。ただし正式にその書類を渡してもよいという大統領の許可の命令の出たのはその後である。これは在日米航空顧問団から防衛庁幕僚部に来ていた。さらに本年三月ロッキード会社は防衛庁の説明会に、この性能の書類は手渡してはいけないけれども、これを防衛庁に見せて説明することは許されておるので説明を行なったと言っておるのである。よって、四月ごろの防衛会議でも、グラマンを内定するときに比較検討すべきであった。それにもかかわらず何ゆえに出さなかったのかということです。 さらに、佐薙幕僚長の裏面に行われたといわれる策謀の事実について伺いたいのです。防衛庁の佐薙幕僚長はグラマンを有利にしてロッキードを不利に導くために裏面において種々策動を続け、特に米国大使館に米国の航空武官をたずねて、ロッキードの社長が日本の政治家と会見しておるように思うから、このようなことをさせないようにしてほしい、自分はグラマンに内定しておるからと申し込んだということであるが、右武官は、このようなことについては拒絶したとのことである。これは航空幕僚長が自己の職権を逸脱して政治に関与することであって、もし事実とすれば綱紀上許されないことであると私は思うのであります。また佐薙幕僚長は、一方においてロッキード社長が日本の政治家に面接してグラマン購入に妨害となることをおそれ、これを阻止するとともに、一方において伊藤忠、三菱、グラマン社と、四者が絶えず相談を続け、その価格のごときもたびたび変更してグラマンを有利に導こうとしている。この一例を示すと、グラマンの見積りにおいて、(イ)三十三年三月付三百機購入として、単価が三億一千三百八十一万五千六百円、八十七万一千七百十ドル。(ロ)三十三年六月九日付三百機購入として、単価が三億六千七百三万一千八百八十円、百一万九千五百二十三ドル。(ハ)三十三年七月二十五日に三百機購入として、単価が三億五千四百三十八万一千四百八十円、九十八万四千三百九十三ドルと転々としておるが、これを考察すると、(イ)は内定前であるから価格を安く見積り、(ロ)はすでに購入することに防衛庁は内定したので高く見積り、(ハ)は内定はしたけれども各方面から非難が起ってきたのでまた安くしたものと推定される。しかして右の見積りがでたらめであるという証拠は、その価格の内訳を見ると、特に輸送費用において、三百機、二百機、二百四十機、百機、ともにすべて百万ドルであるということからしても容易にこれを察知することができるのである。なお八月十八日の情報によると、防衛庁は、伊藤忠社長がこの政界等に配付した書類を国防会議に提出したとのことであるが、この書類の作成は伊藤忠ではなくて、防衛庁であると言われておる。もし防衛庁であるとしたならば、防衛庁が伊藤忠社長にこれを配付せしめたこととなり、まことに機密保持から見ても、綱紀の上から見ても重大なことであり、もし伊藤忠作成のものを防衛庁がそのまま国防会議に提出したとするならば、防衛庁の威信にかかわる重大な問題といわなければならぬと私は思うのであります。 最後に、伊藤忠社長は、閣僚、自民幹部及びグラマン反対派に、あるいは秘密裏にロッキード、グラマンの比較表を配付して、この秘密書類の詳細なるものを配ったと言われている。これらの問題について、すみやかに委員長においては証人として本委員会に前申し上げた諸氏を喚問し、国民の血税の使途を明らかにするために、これが証人喚問としてのお取扱いを願いたいと思うわけであります。 以上、簡単でありますが説明を終ります。
○田中委員長 山田委員にちょっとお尋ねいたしますが、きょうはそれで質問なさらないで、証人を呼び出されるのですか。
○山田(長)委員 証人を呼んで……。別にきょう見えた人たちに質問をしたくないと思います。
○田中委員長 山田君にちょっとお尋ねしますが、検事総長及び刑事部長あるいは検事を呼ぶのはどういうお考えで……。
○山田(長)委員 今出されている書類等について、もし不正な記載事実があったというような場合に、これを明確化するために要望したわけです。
○田中委員長 不正があれば偽証罪でやるというわけですね。
○山田(長)委員 そうです。
○田中委員長 小川君。
○小川(豊)委員 ただいま山田委員から防衛庁の飛行機購入について非常に重大な説明が行われたわけでありますが、これは国民の血税が乱費されている、あるいは飛行機会社に売り込み戦の問題が種々ある、そういうことももちろん重大な問題でありますが、私の考えるところによると、今山田委員の報告を聞いておりますと、責任ある政府の首脳部がまだ決定もしていないものを、防衛庁当局が強引にそれを購入に押し切ろうとしておることが言葉の中に出てきているのであって、これこそ私は国の将来のために最も重大な問題である、こう考えざるを得ないのであって、この点をもっと明確にすべきである、そうして政治の責任というものをはっきりすべきである。こう考えますので、ぜひ山田君のただいまの提案をいれられんことを私は希望します。
○田中委員長 ただいまの山田委員の御発言は、本問題の重要性にかんがみ、証人の出頭を求め、事態を明らかにすべきであるとの御意見と承わりました。それで、証人を許しますには、理事会に諮って許したいと思いますので、暫時ここで休憩いたしまして……。
○松平委員 議事進行について……。理事会に諮るときにあわせて諮っていただきたいと思いますが、本日の委員会は、何者かによって委員会を中止させようという計画があったのではないかと思う。それは、山田君が大阪に行っておって間に合わないとか、あるいは本日欠席しておる西村力弥君の秘書のところに何者かが電話をかけてきて、きょうの委員会は取りやめだとか、あるいはさらに山田君の秘書のところにもそういう連絡があったということで、この委員会を何か妨害しようという計画が私はどこかにあるのではなかろうか、こういうふうに思う。今、山田君の発言の中にもあったけれども、政治に対する防衛庁のファッショ的な傾向が私はあるように見受けられるが、もしもかりに当委員会についてこの開会を妨害するような陰謀があるとするならば、これは法治国としてまことにゆゆしき問題であると思うから、私は、今日のこの委員会の妨害措置が何者によって行われたかということを理事会に諮って究明されんことを要求いたします。
○田中委員長 松平委員に申し上げます。私も先ほどこの委員会に来て、各委員からそういうお話を聞いて心外に思っておるのであります。そこで、御要求通り理事会に諮ってこれを徹底的に調べ、それぞれそういう者がわかったときには、一つ相当の手続をとりたい、こう考えております。 それでは委員会を暫時休憩いたしまして、理事会を開きます。重要な問題ですから、理事でない委員の方もどうか傍聴していただきますように。ほかの方にまことに申しわけありませんが、重要な証人を決定する理事会でありますから、暫時外へ出ていただくようにお願いいたします。 午後二時二十八分休憩 ————◇————— 午後二時五十八分開議
○田中委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。 この際、証人出頭要求の件についてお諮りいたします。理事会の申し合せにより、防衛庁の航空機購入問題の調査のため、議員川島正次郎君、議員河野一郎君、議員正力松太郎君、防衛庁長官左藤義詮君、防衛庁事務次官今井久君、航空幕僚長佐薙毅君、国防会議事務局長廣岡謙二君、防衛庁官房長門叶宗雄君、伊藤忠商事社長小菅宇一郎君、新三菱重工業社長藤井深造君、以上十名の諸君を証人として当委員会に出頭を求めたいと存じますが、これに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○田中委員長 御異議なしと認め、そのように決しました。 なお証人出頭の日時は来たる九月二日午前十時、議員川島正次郎君、議員河野一郎君、左藤防衛庁長官、佐薙航空幕僚長の四名の出頭を求めることとし、なお国防会議議長岸信介君の出席をもあわせて求めることといたしたいと存じますが、これに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○田中委員長 御異議なければ、そのように手続を進めます。また、残りの証人につきましては出頭の日時は次会の委員会において決定いたしたいと存じます。次に、本問題の調査に資するため、関係方面に資料の提出を求めることになりますが、これにつきましては、理事会決定の線に沿い、その取扱いを委員長に御一任願いたいと存じますが、これに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○田中委員長 御異議なければ、そのように取り扱います。本日はこの程度にとどめ、次会は来たる九月二日午前十時より開会いたします。本日はこれにて散会いたします。 午後三時一分散会